説明

FPC用電磁波シールド材

【課題】柔軟性に富む薄型で段差追従性があり、且つ、過酷な屈曲動作が繰返し行われても電磁波遮蔽性能の低下が生じない、屈曲特性に優れたFPC用電磁波シールド材を提供する。
【解決手段】支持体フィルム6の片面の上に、塗布された誘電体の薄膜樹脂フィルムからなる基材1、アンカーコート層2、金属薄膜層3、導電性接着剤層4、が順に積層されてなることを特徴とするFPC用電磁波シールド材10を提供する。基材1が、溶剤可溶性ポリイミドを用いて形成されたポリイミドフィルムからなり、厚みが1〜9μmであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈曲動作を繰返して受けるフレキシブルプリント基板(以下、FPCと呼ぶ)を被覆して、電磁波を遮蔽するために使用される、FPC用電磁波シールド材に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの携帯用の電子機器においては、筐体の外形寸法を小さく抑えて持ち運び易くするために、プリント基板の上に電子部品を集積させている。さらに、筐体の外形寸法を小さくするため、プリント基板を複数に分割し、分割されたプリント基板間の接続配線に可撓性を有するFPCを使用することにより、プリント基板を折畳む、あるいは、スライドさせることが行われている。
また、近年では、外部から受信する電磁波のノイズ、あるいは内部の電子部品間で相互に受信する電磁波のノイズの影響を受けて、電子機器が誤動作するのを防止するため、重要な電子部品やFPCを電磁波シールド材で被覆することが行われている。
【0003】
従来、このような電磁波遮蔽の目的で使用される電磁波シールド材としては、圧延銅箔、軟質アルミニウム箔等の金属箔の表面に粘着剤層を設けたものが用いられていた。このような金属箔からなる電磁波シールド材を用いて、遮蔽対象物を覆うことが行われていた(例えば、特許文献1、2を参照)。
具体的には、重要な電子部品を電磁波から遮蔽するには、金属箔や金属板で密閉箱状にして、覆い被せることが行われていた。また、屈曲するFPCの配線を電磁波から遮蔽するには、金属箔の片面に接着剤層を設けたものを使用し、粘着剤層を介して貼り合わせることに行われていた。
【0004】
近年では、身辺に携帯する電子機器として、携帯電話が急速に普及した。携帯電話においては、使用しないでポケットなどに収納する時には全体の寸法をなるべく小さくし、使用する時には、全体の寸法を拡大できることが好ましい。携帯電話を小型化・薄型化することと、操作性の改善を図ることが求められている。携帯電話では、これらの課題を解決する方法として、折畳み開閉方式や、スライド開閉方式の筐体構造が採用されている。
また、携帯電話では、折畳み開閉方式、又は、スライド開閉方式のいずれの筐体構造においても、日常的に頻繁に操作画面の開閉(起動、停止の操作)が行われ、操作画面の開閉回数が数十回/日、あるいは数百回/日の頻度で行われる。
【0005】
そうすると、携帯電話に使用されているFPC及びFPCを被覆して電磁波遮蔽しているFPC用電磁波シールド材は、従来の携帯式の電子機器の常識を超える頻度で屈曲動作を繰り返して受けている。そのため、FPCの電磁波遮蔽の役割を果たしているFPC用電磁波シールド材が、過酷な繰り返し応力を受けている。その繰り返し応力に耐えられなくなると、最終的には、FPC用電磁波シールド材を構成している基材、及び金属箔などのシールド材が破断、剥離などの損傷を受けることになり、FPC用電磁波シールド材としての機能が低下、あるいは消失してしまうことが懸念される。
そのため、このような繰り返しの屈曲動作を受けることに対処した、電磁波シールド材も知られている(例えば、特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭56−084221号公報
【特許文献2】特開昭61−222299号公報
【特許文献3】特開平7−122883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1、2に開示されているような、圧延銅箔、軟質アルミニウム箔等の金属箔の表面に粘着剤層を設けた電磁波シールド材においては、屈曲動作の回数が少なく、使用される期間が短い場合においては、シールド性能に支障は無い。しかし、使用期間が5年間から10年間と長く、屈曲動作の回数が多くなる場合には、屈曲特性に欠けるという問題があった。このような電磁波シールド材は、最近の携帯電話に使用されるFPC用電磁波シールド材に必要とされている、100万回以上の屈曲試験に合格するような優れた屈曲特性を有していない。
【0008】
また、特許文献3に開示されている、柔軟性フィルムの片面に金属蒸着などの金属薄膜を設け、その上に導電性接着剤が積層された電磁波シールド材では、繰り返し屈曲を受ける電線類に被覆して使用できるとしている。特許文献3の実施例によると、厚さ12μmのポリエステルフィルムの片面に厚み0.5μmの銀粉入り導電性塗料の塗布膜を設け、その上にポリエステル系接着剤とニッケル粉末とを混合した導電性接着剤を加熱乾燥させて厚み30μmの導電性接着剤層を設けている。また、外径10mmφのマンドレルの外周に沿い180°の角度で曲げ、直線に戻すことを1サイクルとする屈曲試験を、50万回行い、損傷の無いことを確認できたとしている。
【0009】
しかし、最近の携帯電話では、筐体の外形寸法の厚みを0.1mm単位で削減し、可能な限り薄型にすることが求められている。このような薄型の筐体で使用できるような屈曲性能を有するFPC用電磁波シールド材は、例えば、外径2mmφのマンドレルの外周に沿い180°の角度で曲げ、直線に戻すことを1サイクルとする屈曲試験を、100万回以上行っても損傷の無いことが求められる。従来に比べて、過酷な条件による屈曲試験を克服できるFPC用電磁波シールド材が必要とされている。
【0010】
また、特許文献3の実施例に記載されている電磁波シールド材は、厚さが12μmの樹脂フィルムに、厚み0.5μmの導電性塗料の塗布膜、及び厚みが30μmの導電性接着剤層を積層しており、電磁波シールド材の全体の厚みが40μmを越えるものである。
上記のとおり、携帯電話の筐体の外形寸法を可能な限り薄くするため、FPC用電磁波シールド材は、全体の厚みを30μm以下に薄くすることが求められている。つまり、従来のFPC用電磁波シールド材に比較すると、全体の厚みがより薄く、かつ、より厳しい屈曲試験に耐える丈夫なFPC用電磁波シールド材が求められている。
【0011】
また、FPC用電磁波シールド材に使用される導電性粘着剤において、粘着剤層に導電性を持たせるためには、導電性粉末(金属微粒子やカーボン微粒子)を相当多量に添加する必要があるが、そうすると逆に粘着剤層の粘着力の低下が起きることになる。
また、携帯電話でのFPC用電磁波シールド材などにおいては、基材と金属薄膜層との密着力が弱いため、凹凸面に貼り合せた時の段差追従性に乏しく破断してしまい、あるいは、屈曲操作が繰り返されるので、基材と金属薄膜層での接着界面が部分的に層間剥離され、この剥離箇所で金属薄膜層が破断してしまい、電磁波遮蔽性能が経時的に低下することが懸念される。
また、基材そのものも、電子機器の寿命期間における繰り返しの屈曲操作(例えば、100万回の屈曲試験)に耐えるだけの優れた屈曲特性が必要とされている。
【0012】
本発明の目的は、柔軟性に富む薄型で段差追従性があり、且つ、過酷な屈曲動作が繰返し行われても電磁波遮蔽性能の低下が生じない、屈曲特性に優れたFPC用電磁波シールド材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
過酷な屈曲動作に耐え、段差追従性を持たせるため、本発明では、耐熱性樹脂の薄膜からなる基材を使用する。本発明では、塗布された誘電体の薄膜樹脂フィルムからなる基材の上に、アンカーコート層、金属薄膜層、導電性接着剤層、を順に積層することで、基材と金属薄膜層との密着力の向上を図り、FPC用電磁波シールド性能を確保すると共に、屈曲性能及び段差追従性を向上させることを技術思想としている。
また、本発明では、耐熱性樹脂の薄膜からなる基材として、柔軟性と耐熱性とを考慮して、塗布された誘電体の薄膜樹脂フィルムを使用して、支持体フィルム及び剥離フィルムを除いた、FPC用電磁波シールド材の全体の厚みを、25μm以下と薄くすることを可能としている。
また、本発明では、基材である溶剤可溶性ポリイミドを用いて形成されたポリイミドフィルムの薄膜樹脂フィルムと金属薄膜層との密着力を増加させるため、基材と金属薄膜層の間にアンカーコート層を設けている。
【0014】
そこで、本発明では、上記の問題点を解決するために、支持体フィルムの片面の上に、塗布された誘電体の薄膜樹脂フィルムからなる基材、アンカーコート層、金属薄膜層、導電性接着剤層、が順に積層されてなることを特徴とするFPC用電磁波シールド材を提供する。
【0015】
また、前記アンカーコート層が、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂からなる群の中から選択された1種以上の樹脂を含むことが好ましい。
【0016】
また、前記アンカーコート層が、さらに、カーボンブラック、黒鉛、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラック、黒色酸化鉄、酸化クロム、酸化マンガンからなる群より選択される1種以上の黒色顔料、または有色顔料の1種以上からなる光吸収材を含むことが好ましい。
【0017】
また、前記基材が、溶剤可溶性ポリイミドを用いて形成されたポリイミドフィルムからなり、厚みが1〜9μmであることが好ましい。
【0018】
また、前記導電性接着剤層が、導電性の微粒子、イオン性化合物、導電性高分子などの導電性材料群の中から選択された1種以上を含有する熱硬化型接着剤であることが好ましい。
【0019】
また、前記導電性接着剤層上に、更に、剥離処理された剥離フィルムが貼り合せてなることが好ましい。
【0020】
また、本発明は、上記に記載のFPC用電磁波シールド材が、電磁波遮蔽用の部材として使用されてなる携帯電話を提供する。
【0021】
また、本発明は、上記に記載のFPC用電磁波シールド材が、電磁波遮蔽用の部材として使用されてなる電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0022】
上記の本発明のFPC用電磁波シールド材によれば、高温耐熱性を有する溶剤可溶性ポリイミドを用いて形成されたポリイミドフィルムの薄膜樹脂フィルム(厚みが1〜9μm)を用いることで、過酷な屈曲動作に耐えられる優れた屈曲特性を持たせることが可能となる。
また、溶剤可溶性ポリイミドを用いて形成されたポリイミドフィルムの薄膜樹脂フィルム(厚みが1〜9μm)と、アンカーコート層、金属薄膜層とを用いることにより、基材と金属薄膜層との密着性を向上させると共に、厚みを抑えて電磁波シールド性能を得ることができる。
このことにより、支持体フィルム及び剥離フィルムを除いた、FPC用電磁波シールド材の全体厚みを、25μm以下に抑えることができ、携帯電話及び電子機器の全体の厚みを薄くすることに寄与できる。
アンカーコート層内に1種以上の黒色顔料、または有色顔料からなる光吸収材を混ぜることにより、シールドフィルムの片面側に特定の着色が可能となる。
以上のことから、本発明によれば、柔軟性に富み薄型であり、且つ、過酷な屈曲動作が繰返し行われても電磁波遮蔽性能の低下が生じない、屈曲特性に優れたFPC用電磁波シールド材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係わるFPC用電磁波シールド材の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明に係わるFPC用電磁波シールド材の別の例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
本発明のFPC用電磁波シールド材は、被着体であるFPCなどに貼り合せたときに、外表面が誘電体であって、そのFPC用電磁波シールド材外表面に絶縁フィルムを貼り合せる必要がない。また、本発明のFPC用電磁波シールド材は、屈曲動作に対する屈曲特性を向上させるため、全体の厚みを薄くしている。
【0025】
図1に示した本発明のFPC用電磁波シールド材10は、基材1が可撓性を有する厚みが1〜9μmの溶剤可溶性ポリイミドを用いて形成されたポリイミドフィルムの薄膜樹脂フィルムであり、基材1の一方の面に支持体フィルム6が積層されており、基材1の他方の面に金属薄膜層3と基材1との密着力を向上させるアンカーコート層2、金属薄膜層3、導電性接着剤層4、が順に積層されている。図2に示した別の例に係わる本発明のFPC用電磁波シールド材11は、導電性接着剤層4の上に、さらに、剥離フィルム7が順に積層されている。このFPC用電磁波シールド材11は、支持体フィルム6及び剥離フィルム7を除去したFPC用電磁波シールド材として使用することができる。
【0026】
(ポリイミドフィルム)
本発明に係わるFPC用電磁波シールド材10、11の基材1となる溶剤可溶性ポリイミドを用いて形成されたポリイミドフィルムの薄膜樹脂フィルムは、ポリイミド樹脂の特徴である高い機械的強度、耐熱性、絶縁性、耐溶剤性を有し、260℃程度までは化学的に安定であるとされている。
ポリイミドとしては、ポリアミック酸を加熱することによる脱水縮合反応で生じる熱硬化型ポリイミドと、非脱水縮合型である溶剤に可溶な溶剤可溶性ポリイミドがある。
一般的なポリイミドフィルムの製造方法として一般的に知られている方法は、極性溶媒中でジアミンとカルボン酸二無水物を反応させることによりイミド前駆体であるポリアミック酸を合成し、ポリアミック酸を熱もしくは触媒を用いることにより脱水環化し対応するポリイミドとするものである。しかし、このイミド化する工程における加熱処理の温度は、200℃〜300℃の温度範囲が好ましいとされ、この温度より加熱温度が低い場合は、イミド化が進まない可能性があるため好ましくなく、上記温度より加熱温度が高い場合は、化合物の熱分解が生じるおそれがあるため好ましくないとされる。
【0027】
本発明のFPC用電磁波シールド材は、基材の可撓性をより向上させることを意図して、厚みが10μm未満の極めて薄いポリイミドフィルムを使用するものである。
このため、強度上の補強材として用いる支持体フィルム6の片面の上に、薄いポリイミドフィルムを積層して形成する必要がある。ところが、ポリイミドフィルム自体には、加熱温度200℃〜250℃での加熱処理に対する耐熱性を有しているが、支持体フィルム6としては、価格と耐熱温度性能との兼ね合いから、汎用の耐熱性樹脂フィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムを使用するため、従来のイミド前駆体であるポリアミック酸からポリイミドを形成する方法を採用することができない。
溶剤可溶性ポリイミドは、そのポリイミドのイミド化が完結していて、且つ溶剤に可溶であるため、溶剤に溶解させた塗布液を塗布した後、200℃未満の低温で溶剤を揮発させることにより、成膜することができる。このため、本発明のFPC用電磁波シールド材に使用される基材1は、支持体フィルム6の片面の上に、非脱水縮合型である溶剤可溶性ポリイミドの塗布液を塗布した後、温度を200℃未満の加熱温度で乾燥させて、溶剤可溶性ポリイミドを用いて形成されたポリイミドフィルムの薄膜樹脂フィルムを形成するものである。こうすることによって、汎用の耐熱性樹脂フィルムからなる支持体フィルム6の片面の上に、厚みが1〜9μmの極めて薄いポリイミドフィルムを積層することができる。支持体フィルム6をその長手方向に沿って搬送しながら、その上に基材1、アンカーコート層2、金属薄膜層3等を連続的に形成することができるので、ロールtoロールでの生産も可能である。
【0028】
本発明に使用する、非脱水縮合型である溶剤可溶性ポリイミドは、特には限定されないが、市販されている溶剤可溶性ポリイミドの塗布液を使用することが可能である。市販の溶剤可溶性ポリイミドの塗布液としては、具体的には、ソルピー6,6−PI(ソルピー工業)、Q−IP−0895D(ピーアイ技研)、PIQ(日立化成工業)、SPI−200N(新日鉄化学)、リカコートSN−20、リカコートPN−20(新日本理化)などを挙げることができる。溶剤可溶性ポリアミドの塗布液を、支持体フィルム6の上に塗布する方法は、特に制限されず、例えば、ダイコーター、ナイフコーター、リップコーター等のコーターにて塗布することが可能である。
本発明で使用するポリイミドフィルムの厚みは、1〜9μmであることが好ましい。ポリイミドフィルムの厚みを0.8μm未満に製膜するのは、製膜された膜の機械的な強度が弱いことから技術的に困難である。また、ポリイミドフィルムの厚みが10μmを越えると、優れた屈曲性能を有するFPC用電磁波シールド材10、11を得ることが困難となる。
【0029】
(支持体フィルム)
本発明に使用する支持体フィルム6の基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。
支持体フィルム6の基材が、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの、基材自体にある程度の剥離性を有している場合には、支持体フィルム6の上に、剥離処理を施さなくて、直接に、塗布された誘電体の薄膜樹脂フィルムからなる基材1を積層してもよいし、基材1をより剥離し易くするための剥離処理を、支持体フィルム6の表面に施してもよい。
また、上記の支持体フィルム6として用いる基材フィルムが剥離性を有していない場合には、アミノアルキッド樹脂やシリコーン樹脂等の剥離剤を塗布した後、加熱乾燥することにより、剥離処理が施される。本発明のFPC用電磁波シールド材10、11は、FPCに貼り合わされるので、この剥離剤には、シリコーン樹脂を使用しないことが望ましい。なぜならシリコーン樹脂を剥離剤として用いると、支持体フィルム6の表面に接触した基材1の表面に、シリコーン樹脂の一部が移行し、さらにFPC用電磁波シールド材11の内部を通じて基材1から導電性接着剤層4へと移行する恐れがある。この導電性接着剤層4の表面に移行したシリコーン樹脂が導電性接着剤層4の接着力を弱めたりする恐れがあるためである。本発明に使用される支持体フィルム6の厚みは、FPCに貼着して使用する際のFPC用電磁波シールド材11の全体の厚みからは除外されるので、特に限定されないが、通常12〜150μm程度である。
【0030】
(アンカーコート層)
本発明のFPC用電磁波シールド材10、11に用いられるアンカーコート層2は、基材1である溶剤可溶性ポリイミドを用いて形成されたポリイミドフィルムの薄膜と金属薄膜層3との密着力の向上を図るために、設けるものである。
アンカーコート層2は、その上に施される金属薄膜層3を、真空蒸着法、スパッタリング法などの薄膜形成工程により形成するために、耐熱性に優れた樹脂を用いる必要がある。また、基材1となる溶剤可溶性ポリイミドを用いて形成されたポリイミドフィルムと金属薄膜層3に対する接着力に優れている必要がある。
アンカーコート層2に用いられる樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂からなる群の中から選択された1種以上の樹脂を含むことが好ましい。
アンカーコート層2の接着性樹脂組成物として特に好ましいのは、エポキシ基を有するポリエステル系樹脂組成物を架橋させる接着性樹脂組成物や、ポリウレタン系樹脂に硬化剤としてエポキシ樹脂を混ぜた接着性樹脂組成物である。このため、アンカーコート層2は、溶剤可溶性ポリイミドを塗布して積層された、ポリイミドの薄膜フィルムからなる基材1よりも、硬い物性を有している。エポキシ基を有するポリエステル系樹脂組成物は、特に限定されるものではないが、例えば1分子に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(その未硬化樹脂)と、1分子に2個以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸との反応等により得ることができる。エポキシ基を有するポリエステル系樹脂組成物の架橋は、エポキシ基と反応するエポキシ樹脂用の架橋剤を用いることができる。
【0031】
また、アンカーコート層2は、カーボンブラック、黒鉛、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラック、黒色酸化鉄、酸化クロム、酸化マンガンからなる群より選択される1種以上の黒色顔料、または有色顔料(着色顔料)の1種以上からなる光吸収材を含んでいてもよい。
カーボンブラックなどの黒色顔料を混ぜ込むのが好ましい。黒色顔料又は着色顔料からなる光吸収材は、アンカーコート層2の中に0.1〜30重量%で含有させるのが好ましい。黒色顔料又は着色顔料は、SEM観察による一次粒子の平均粒径が0.02〜0.1μm程度であることが好ましい。
また、黒色顔料としては、シリカ粒子などを黒の色材に浸漬させて表層部のみを黒色にしてもよいし、黒色の着色樹脂などから形成して全体にわたって黒色からなるようにしてもよい。また、黒色顔料は、真黒以外に灰色、黒っぽい茶色、又は黒っぽい緑色などの黒色に近似した色を呈する粒子を含み、光を反射しにくい暗色であれば使用することができる。
アンカーコート層2の厚みは、0.05〜1μm程度であることが好ましく、この程度の膜厚で金属薄膜層3の充分な密着力が得られる。アンカーコート層2の厚みが、0.05μm以下の場合は、光吸収材の微粒子が表出してしまい、基材1と金属薄膜層3との密着力が低下する恐れがある。また、アンカーコート層2の厚みが1μmを超えても、溶剤可溶性ポリイミドを用いて形成されたポリイミドフィルムからなる基材1や金属薄膜層3に対する接着力の増加には効果がないから、アンカーコート層2の厚みが1μmを超えるのはコストが増大するので好ましくない。
【0032】
(金属薄膜層)
本発明に用いる金属薄膜層3は、金属蒸着層からなり、銀、銅、アルミニウム等の金属を真空蒸着法またはスパッタ法によって、アンカーコート層2の上に薄膜層として形成したものである。金属蒸着の方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。また、本発明に用いる金属薄膜層3は、電解メッキ法あるいは無電解メッキにより形成された金属薄膜層、金属箔であっても構わない。また、本発明に用いる金属薄膜層3の厚みは、特に限定されないが、0.05μm〜7μm程度の厚みであることが好ましい。
金属蒸着に用いられる金属種としては、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、スズ、チタン、マンガン、インジウムなどの1種または2種以上が挙げられるが、優れた導電性を有することから、銀または銅が好適に用いられる。
真空蒸着法は、基材の表面を清浄した後、10-4〜10-6mmHgの高真空中にて、金属を加熱蒸発させて基材の表面に析出付着させ、金属の薄膜を形成する方法である。またスパッタリング法は、真空あるいは窒素、アルゴン等の低圧の不活性ガス中で、グロー放電プラズマ処理を施すことにより、陽イオン化した気体分子が陰極に高速で衝突し、それにより陰極を構成する金属から負に帯電した金属粒子を飛散蒸発させて、金属イオンとして、それを基材の表面に析出付着させることにより金属の薄膜を形成する方法である。
金属蒸着層の厚さは、100〜5,000オングストローム(0.01〜0.5μm)、特に500〜2,000オングストローム(0.05〜0.2μm)の薄膜層の厚みであるのが好ましい。
このように、極めて薄い金属蒸着層からなる金属薄膜層は、基材との密着力が弱いと、例えば、凹凸面に貼り合せたときに簡単にクラックが入って破損してしまうため、本発明では、基材と金属薄膜層との密着性を向上させるために、上記のアンカーコート層を設けている。
また、金属薄膜層は、極めて薄い層であり、充分な電磁波シールド性を付与するのが困難な場合がある。このような場合には、金属薄膜層と、その上に積層される導電性接着剤層とが、電磁波シールド性能の機能を相乗的に果たすことが必要とされる。
【0033】
(導電性接着剤層)
本発明に係わるFPC用電磁波シールド材10、11の、金属薄膜層3の上に積層される導電性接着剤としては、アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤等の、一般的に使用されている熱硬化型接着剤に、導電性の微粒子や4級アンモニウム塩などのイオン化合物、導電性高分子などの導電性材料群の中から選択された1種以上の導電性材料を混ぜて導電性を持たせたものが使用されるが、特に限定されない。
導電性接着剤は、常温で感圧接着性を示す粘着剤ではなく、加熱加圧による接着剤であると、繰り返しの屈曲に対して接着力が低下しにくくなり好ましい。
導電性接着剤層4に配合する導電性の微粒子は、特に限定はされず、従来から公知のものを適用できる。例えば、カーボンブラックや、銀、ニッケル、銅、アルミニウムなどの金属からなる金属微粒子、及びそれらの金属微粒子の表面に他の金属を被覆した複合金属微粒子があげられ、これらの1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。
また、上記の導電性接着剤においては、優れた導電性を得るために、導電性物質粒子相互の接触、および該粒子と金属薄膜層および被着体であるFPCとの接触が良くなるように、導電性物質を多量に含有させると接着力が低下する。一方、接着力を高めるために導電性物質の含有量を低減すると、導電性物質と金属薄膜層および被着体であるFPCとの接触が不十分となって、導電性が低下するという、相反する問題がある。このため、導電性微粒子の配合量は、接着剤(固形分)100重量部に対して、通常、0.5〜50重量部程度、より好ましくは2〜10重量部である。
また、本発明の導電性接着剤層4を構成する導電性接着剤としては、導電性微粒子を含んだ異方導電性接着剤が好ましく、公知のものを使用できる。この異方導電性接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂等の絶縁性の熱硬化性樹脂を主成分とし、導電性微粒子が分散された接着剤が使用できる。
また、異方導電性接着剤に使用される導電性微粒子としては、例えば、金、銀、亜鉛、錫、半田等の金属微粒子の単体もしくは2種以上を組み合わせても良い。また、導電性微粒子としては、金属でめっきされた樹脂粒子を使用できる。導電性微粒子の形状は、微細な粒子が直鎖状に繋がった形状、あるいは針形状を有するのが好ましい。このような形状であれば、圧着部材によりFPCに対して加熱加圧処理を行う際に、低い加圧力で導電性微粒子がFPCの導体配線に噛み込むことが可能になる。
異方導電性接着剤は、FPCとの接続抵抗値が5Ω/cm以下からなるのが好ましい。
導電性接着剤の接着力は、特に制限を受けないが、その測定方法はJIS Z 0237に記載の試験方法に準ずる。被着体表面に対する接着力が剥離角度180度ピール、剥離速度300mm/分の条件下で、5〜30N/インチの範囲が好適である。接着力が5N/インチ未満では、例えば、FPCに貼り合せた電磁波シールド材が剥がれたり浮いたりする場合がある。
FPCに対する加熱加圧接着の条件は、特に限定されるものではないが、例えば温度を160℃、加圧力を2.54MPaとして30分間熱プレスすることが好ましい。
【0034】
(剥離フィルム)
剥離フィルム7の基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。これらの基材フィルムに、アミノアルキッド樹脂やシリコーン樹脂等の剥離剤を塗布した後、加熱乾燥することにより、剥離処理が施される。本発明のFPC用電磁波シールド材10、11は、FPCに貼り合わされるので、この剥離剤には、シリコーン樹脂を使用しないことが望ましい。なぜならシリコーン樹脂を剥離剤として用いると、剥離フィルム7の表面に接触した導電性接着剤層4の表面に、シリコーン樹脂の一部が移行し、さらにFPC用電磁波シールド材11の内部を通じて導電性接着剤層4から基材1へと移行する恐れがある。この導電性接着剤層4の表面に移行したシリコーン樹脂が導電性接着剤層4の接着力を弱めたりする恐れがあるためである。本発明に使用される剥離フィルム7の厚みは、FPCに貼着して使用する際のFPC用電磁波シールド材11の全体の厚みからは除外されるので、特に限定されないが、通常12〜150μm程度である。
【0035】
本発明のFPC用電磁波シールド材10、11は、凹凸面に貼り合せた時の段差追従性に優れ、繰り返しての屈曲動作を受けるFPCに貼り合せて使用することが可能な、屈曲特性に優れたFPC用電磁波シールド材として好適に用いることができる。また、本発明のFPC用電磁波シールド材は、電磁波遮蔽用の部材として携帯電話や電子機器に使用することができる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、品番:E5100)を支持体フィルム6として用いた。その支持体フィルム6の片面の上に、溶剤可溶性ポリイミドの塗布液を、乾燥後の厚みが4μmになるように流延塗布、乾燥させて、誘電体の薄膜樹脂フィルムからなる基材1を積層した。形成された基材1の上に、光吸収材の黒色顔料としてカーボンブラックと、耐熱温度が260〜280℃のポリエステル系樹脂組成物とを混ぜた、アンカーコート層2を形成するための塗工液を用いて、乾燥後の厚みが0.3μmとなるように塗布してアンカーコート層2を積層した。アンカーコート層2の上に、金属薄膜層3として銀を厚みが0.1μmになるように蒸着法で積層した後、金属薄膜層3の表面抵抗率を測定した。さらに、金属薄膜層3の上に、長辺の長さが200nm〜3μmであり、厚みが40〜500nmの鱗片状の銀粒子を2重量%含有させた、ゴム変性エポキシ系接着剤からなる導電性接着剤層4を、厚みが12μmになるように積層し、実施例1のFPC用電磁波シールド材を得た。
【0037】
(比較例1)
厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、品番:E5100)を支持体フィルム6として用いた。その支持体フィルム6の片面の上に、溶剤可溶性ポリイミドの塗布液を、乾燥後の厚みが4μmになるように流延塗布、乾燥させて、誘電体の薄膜樹脂フィルムからなる基材1を積層した。形成された基材1の上に、直接に、金属薄膜層3として銀を厚みが0.1μmになるように蒸着法で積層した以外は、実施例1と同様にして、比較例1のFPC用電磁波シールド材を得た。
【0038】
(比較例2)
支持体フィルム6を用いず、基材1として厚みが10μmの熱硬化型ポリイミドからなるポリイミドフィルム(東レデュポン株式会社製、品番:EN50)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2のFPC用電磁波シールド材を得た。
【0039】
(比較例3)
支持体フィルム6を用いず、基材1として厚みが10μmの熱硬化型ポリイミドからなるポリイミドフィルム(東レデュポン株式会社製、品番:EN50)を用いた以外は、比較例1と同様にして、比較例3のFPC用電磁波シールド材を得た。
【0040】
(金属薄膜層3の表面抵抗率の測定方法)
JIS−K−7194「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」の規定に従って、三菱化学(株)製の抵抗率計ロレスターGP T600型で、金属薄膜層3の表面抵抗率を測定した。
【0041】
(屈曲試験の測定方法)
導電性接着剤層4の上に、熱硬化性接着剤(スリーボンド製、品番:33A−798)を用いて、乾燥後の厚みが12μmになるように調整して塗布したものを、テストパターンが設けられたフレキシブルプリント基板に、FPC用電磁波シールド材の導電性接着剤層4側を対向させて重ね、160℃、2.54MPaで30分間熱プレスした後12.7mm×160mmに裁断して試験片を得た。
IPC規格TM−650「TEST METHODS MANUAL」(JIS−C−6471の参考3「耐屈曲性」)に従って、裁断した試験片を用いてR=1.0mmの設定条件でIPC屈曲試験を行い、金属薄膜層の抵抗値が、導電層の繰り返しての屈曲動作により初期時の抵抗値に比べて2倍に増加する時の、屈曲試験の回数を計測して屈曲性能を評価した。
屈曲試験結果の判定は、屈曲試験により、金属薄膜層の抵抗値が、導電層の繰り返しての屈曲動作により初期時の抵抗値に比べて2倍に増加する時の、屈曲試験の回数が30万回を越える場合を、合格(○)とし、30万回以下の場合を、不合格(×)とした。
【0042】
(接着力の測定方法)
導電性接着剤層4の上に、熱硬化性接着剤(スリーボンド製、品番:33A−798)を用いて、乾燥後の厚みが12μmになるように調整して塗布したものを、厚さ50μmのポリイミドフィルム(東レデュポン株式会社製、品番:H200)に、FPC用電磁波シールド材の導電性接着剤層4側を対向させて重ね、160℃、2.54MPaで30分間熱プレスした後25mm×160mmに裁断して試験片を得た。JIS−C−6471「フレキシブルプリント配線板用銅張積層板試験方法」の8.1.1の方法B(180°方向引きはがし)に準じて、厚さ50μmのポリイミドフィルム側を補強板に固定し、基材1を引きはがして、導電性接着剤層4の接着力と接着界面を測定、観察した。
【0043】
(試験結果)
実施例1、及び比較例1〜3について、上記の試験方法にて、金属薄膜層の表面抵抗率、屈曲試験、および接着試験を行い、得られた試験結果を表1に示した。
【0044】
【表1】

【0045】
表1に示した屈曲試験の結果によると、基材1であるポリイミドフィルムの厚みが、FPC用電磁波シールド材の柔軟性試験の結果に、大きく影響していることが分かる。
溶剤可溶性ポリイミドを用いて形成されたポリイミドフィルムの厚みが4μmの薄膜であるときには、FPC用電磁波シールド材が柔軟性に富むことから、良好な屈曲性能を得ることができた。
接着試験の結果によると、アンカーコート層の有無で接着力に差があることが分かる。実施例1、および、比較例2ではアンカーコート層を設けており、接着力が十分にあるが、比較例1、および、比較例3ではアンカーコート層が形成されていないため接着力が低くなっている。比較例1と比較例3とでは、基材の種類を変えてもアンカーコート層が形成されていないと、接着力が低いことが分かる。
また、剥離界面を観察すると、実施例1と比較例2は導電性接着剤層の凝集破壊になっており、FPC用電磁波シールド材の各層の密着力は十分にあり、アンカーコート層の効果が大きいことが分かる。一方、比較例1と比較例3では基材と金属薄膜層との間で剥離が起きており、アンカーコート層が形成されていないことの影響が大きいことが分かる。
これらの試験結果から、優れた屈曲性能を有し、且つ、各層の密着力を有したFPC用電磁波シールド材は、溶剤可溶性ポリイミドを用いて形成されたポリイミドフィルムからなる基材の厚みを1〜9μmの薄膜とし、その基材の上にアンカーコート層が形成されていることが必要である。
しかし、現在、日本国内において市販されている熱硬化型ポリイミドからなるポリイミドフィルムの厚みとしては、7.5μmが最も薄い規格製品の厚みであるが、本発明のFPC用電磁波シールド材では、その厚みよりも薄くしたポリイミドフィルムを基材に用いることが必要である。そのため、溶剤可溶性ポリイミドの塗布液を薄く流延塗布することによって得られる厚みが1〜9μmのポリイミドフィルムを、基材に使用し、金属薄膜層との密着力を得るためにアンカーコート層を設けることで、優れた屈曲性能と各層間の密着力に優れたFPC用電磁波シールド材を得ることができる。
また、実施例1によれば、基材と金属薄膜層との密着力が高く、例えば数μmの段差を有する凹凸面に貼り合せた時の段差追従性にも優れるため、屈曲操作が繰り返されても、回路配線の破断が抑制される。また、屈曲操作が繰り返されても、基材と金属薄膜層での接着界面が部分的に層間剥離されることがなく、電磁波遮蔽性能の経時的な低下が抑制される。
本発明のFPC用電磁波シールド材は、携帯電話、ノート型パソコン、携帯端末、などの各種の電子機器に、電磁波遮蔽部材として使用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1…基材、2…アンカーコート層、3…金属薄膜層、4…導電性接着剤層、10、11…FPC用電磁波シールド材、6…支持体フィルム、7…剥離フィルム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体フィルムの片面の上に、塗布された誘電体の薄膜樹脂フィルムからなる基材、アンカーコート層、金属薄膜層、導電性接着剤層、が順に積層されてなることを特徴とするFPC用電磁波シールド材。
【請求項2】
前記アンカーコート層が、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂からなる群の中から選択された1種以上の樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載のFPC用電磁波シールド材。
【請求項3】
前記アンカーコート層が、さらに、カーボンブラック、黒鉛、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラック、黒色酸化鉄、酸化クロム、酸化マンガンからなる群より選択される1種以上の黒色顔料、または有色顔料の1種以上からなる光吸収材を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のFPC用電磁波シールド材。
【請求項4】
前記基材が、溶剤可溶性ポリイミドを用いて形成されたポリイミドフィルムからなり、厚みが1〜9μmであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のFPC用電磁波シールド材。
【請求項5】
前記導電性接着剤層が、導電性の微粒子、イオン性化合物、導電性高分子などの導電性材料群の中から選択された1種以上を含有する熱硬化型接着剤であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のFPC用電磁波シールド材。
【請求項6】
前記導電性接着剤層上に、更に、剥離処理された剥離フィルムが貼り合せてなることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のFPC用電磁波シールド材。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のFPC用電磁波シールド材が、電磁波遮蔽用の部材として使用されてなる携帯電話。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載のFPC用電磁波シールド材が、電磁波遮蔽用の部材として使用されてなる電子機器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−65675(P2013−65675A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203034(P2011−203034)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【Fターム(参考)】