説明

FYNキナーゼの改変SH3ドメインを含む特異的かつ高親和性の結合タンパク質

本発明は、FYNキナーゼのSrc相同性3ドメイン(SH3)の少なくとも1つの誘導体を含む組換え結合タンパク質であって、srcループ内のもしくはsrcループに隣接した2つまでのアミノ酸の位置にある少なくとも1つのアミノ酸および/またはRTループ内のもしくはRTループに隣接した2つまでのアミノ酸の位置にある少なくとも1つのアミノ酸が置換、欠失または付加されている組換え結合タンパク質に関する。さらに本発明は、薬学的におよび/または診断的に活性な成分に融合している本発明による結合タンパク質を含む融合タンパク質を対象とする。追加的に、本発明は、これらの結合タンパク質および/または融合タンパク質をコードするヌクレオチドならびに対応するベクターおよび宿主細胞に関する。最後だが重要なこととして、本発明は、薬剤または診断手段を調製するための本発明の結合タンパク質および/または融合タンパク質の使用、ならびに前記結合タンパク質および/または融合タンパク質を含む医薬または診断用組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FYNキナーゼのSrc相同性3ドメイン(SH3)の少なくとも1つの誘導体を含む組換え結合タンパク質であって、srcループ内のもしくはsrcループに隣接した2つまでのアミノ酸の位置にある少なくとも1つのアミノ酸および/またはRTループ内のもしくはRTループに隣接した2つまでのアミノ酸の位置にある少なくとも1つのアミノ酸が置換、欠失または付加されている組換え結合タンパク質に関する。さらに本発明は、薬学的におよび/または診断的に活性な成分に融合している本発明による結合タンパク質を含む融合タンパク質を対象とする。追加的に、本発明は、これらの結合タンパク質および/または融合タンパク質をコードするヌクレオチドならびに対応するベクターおよび宿主細胞に関する。最後だが重要なこととして、本発明は、薬剤または診断手段を調製するための本発明の結合タンパク質および/または融合タンパク質の使用、ならびに前記結合タンパク質および/または融合タンパク質を含む医薬または診断用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特異的かつ高親和性の結合剤は、生物学的および医学的研究のための必須のツールであり、医学的診断、予防および治療のための有用性も有する。現在、モノクローナル抗体は、実質上、任意の標的に対して高い親和性および特異性を有して迅速に単離され得る結合分子の優れた種類である。しかし、免疫グロブリンは、主としてそれらの生物物理学的特性全般およびそれらの比較的複雑な分子構造に基づく制限を有する。したがって、既に1990年代にいくつかの研究グループは、抗体の代用としての低分子球状タンパク質を探索している。この構想の意図は、抗体構造から代替タンパク質フレームワーク、いわゆる足場(scaffold)へのユニバーサル結合部位の移動である。これまでに、40種を超える足場が記載され、その中に2つのSH3ドメインである、AblおよびSrcキナーゼのSH3ドメインがある(Binzら、Nature Biotechnology、Vol.23、No.10、1257〜1268、2005を参照されたい)。
【0003】
SH3ドメインは、細胞内シグナル伝達および細胞骨格系に関与する多数の異なるタンパク質中に見出されている(Cohenら、「Modular binding domains in signal transduction proteins」Cell、80(2)、237〜48、1995)。それらの1次構造における多様性にもかかわらず、これらのSH3ドメインは、非常に類似した全体構造および、天然のSH3結合のための不可欠な決定基である最小のコンセンサス配列PxxPを共有しているタンパク質への結合様式を共有している。SH3ドメインの重要な機能は、高度に選択的なタンパク質-タンパク質相互作用に関与することである。
【0004】
Erpelら(「Mutational analysis of the Src SH3 domain:the same residues of the ligand binding surface are important for intra- and intermolecular interactions」Embo J.14(5):963〜75、1995)は、Src SH3ドメインのRTおよびn-Srcループ中の変異の影響を調査し、両ループ中の疎水性表面に隣接する変異が、分子間および分子内の会合に関与するこのドメインの能力に影響を与え得ることを示した。
【0005】
Hiipakkaら(「SH3 domains with high affinity and engineered ligand specificities targeted to HIV-1 Nef」J.Mol.Biol.293(5):1097〜106、1999)は、可変性の特異性および親和性の決定基として作用するための、Hck SH3ドメインのRTループの能力を調査した。著者らは、RTループの6個のアミノ酸をランダム化した(RRT-SH3と称した)Hckドメインのファージライブラリーを構築した。この戦略を使用して彼らは、Hck-Sh3と比較して40倍に達して良好にHIV-1 Nefに結合できる個々のRRT-SH3ドメインを同定した。著者らは、所望の結合特性を有するSH3ドメインを作製するための一般的戦略としてのSH3リガンド選択におけるRTループの重要性を示している。
【0006】
Leeら(「A single amino acid in the SH3 domain of Hck determines its high affinity and specificity in binding to HIV-1 Nef protein」Embo.J.14(20):5006〜15、1995)は、HIV-1 Nefタンパク質へのHckの様々なSH3結合親和性および特異性の構造的根拠を調査し、Fyn SH3ドメインのRTループ内の1カ所の変異(R96I)によってNefに対するHck SH3の結合特性をFyn SH3ドメインに移すことができた。
【0007】
Hosseら(「A new generation of protein display scaffolds for molecular recognition」Protein Science、15:14〜27、2006)は、治療への応用のために適切な結合タンパク質についての要件を詳細に示している。著者らは、治療に有用な結合タンパク質について、血清安定性、組織浸透性、血液クリアランス、標的滞留および免疫応答などのいくつかの特徴の重要性を記している。後者の観点において、非ヒト治療用タンパク質は、可能な限りそれらのヒト対応物に類似させて作製されるべきであり、ヒト足場は、初めからより少なく免疫原性であり得ることが記されている。著者らは、
「しかし、完全なヒト足場でさえ、タンパク質が、特にそれが細胞内タンパク質である場合、ヒト免疫応答を誘発しない保証は無い。ライブライリー構築におけるアミノ酸のランダム化は新たなT細胞エピトープを導入する可能性がある。1カ所の点変異でさえヒトタンパク質を免疫原性にする場合がある。さらに、ほとんどのヒト足場は、多少の自己免疫応答を生じる。」
と結論している。
【0008】
Nefタンパク質または合成ペプチドなどの既知のリガンドに対する結合剤だけがこれまでに同定されているだけだが、今日、AblおよびHckキナーゼのSH3ドメインは、規定の特異性を有するタンパク質結合剤を産生するためのタンパク質足場として認められている(上記Binzら、を参照されたい)。
【0009】
FynキナーゼのSH3ドメイン(Fyn SH3)は、63残基(Sembaら(「yes-related protooncogene,syn,belongs to the protein-tyrosine kinase family」Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83(15):5459〜63、1986)およびKawakamiら(「Isolation and oncogenic potential of a novel human src-like gene」Mol Cell Biol、6(12):4195〜201、1986)によって報告された配列のaa83〜145)を含む。Fynは、チロシンキナーゼSrcファミリーの59kDaのメンバーである。選択的スプライシングの結果として、Fynタンパク質は、そのキナーゼドメインが異なる2つの異なるアイソフォームで存在し、一形態は、胸腺細胞、脾細胞およびいくつかの血液リンパ細胞系に見出され、一方、第2の形態は、主に脳に蓄積する(CookeおよびPerimutter、「Expression of a novel form of the Fyn proto-oncogene in hematopoietic cells」New Biol.1(1):66〜74、1989)。Fynの生物学的機能は、多様であり、T細胞受容体経由のシグナル伝達、脳機能の制御および接着介在シグナル伝達を含む(Resh,M.D.「Fyn,a Src family tyrosine kinase」Int.J.Biochem.Cell Biol.30(11):1159〜62、1998)。それは、細胞内タンパク質である。配列番号1は、Fyn SH3配列(Kawakamiら、およびSembaらによって1986年に報告されたFynキナーゼのaa83〜145、上記を参照されたい)を示す。
GVTLFVALYDYEARTEDDLSFHKGEKFQILNSSEGDWWEARSLTTGETGYIPSNYVAPVDSIQ (配列番号1)
RT-Srcおよびn-Srcループの配列にそれぞれ下線および二重下線を付ける。
【0010】
Fyn SH3のアミノ酸配列は、ヒト、マウス、ラットおよびサル(テナガザル)において完全に保存されている。ニワトリFyn SH3は、1カ所、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)の1種は、2カ所のアミノ酸位置において対応するヒトドメインと異なっている。他のSH3ドメインと同様に、Fyn SH3は、2つの逆平行βシートで構成されており、他のタンパク質と相互作用するための2つの可動性ループ(RT-Srcおよびn-Src-ループと称される)を含む。
【0011】
要約として、先行技術は、抗体構造を確立するための代替として、足場と称されるタンパク質フレームワークを示している。Src相同性3ドメイン(SH3)は、これらの約40種以上の足場の1つである。多数の異なるSH3ドメイン(ヒトゲノム中で約300および天然で現在までに数千が記載された)の中で、Fyn SH3は、SH3結合特異性および親和性全般を明らかにするために以前使用されていたものである。当業者は、細胞内タンパク質は、著しく免疫応答を引き起こす傾向にあり、したがって典型的には治療および診断などのin vivoでの応用のためには有用でない、または無用でさえあることも承知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO01/62298
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Binzら、Nature Biotechnology、Vol.23、No.10、1257〜1268、2005
【非特許文献2】Cohenら、「Modular binding domains in signal transduction proteins」Cell、80(2)、237〜48、1995
【非特許文献3】Erpelら、「Mutational analysis of the Src SH3 domain:the same residues of the ligand binding surface are important for intra- and intermolecular interactions」Embo J.14(5):963〜75、1995
【非特許文献4】Hiipakkaら、「SH3 domains with high affinity and engineered ligand specificities targeted to HIV-1 Nef」J.Mol.Biol.293(5):1097〜106、1999
【非特許文献5】Leeら、「A single amino acid in the SH3 domain of Hck determines its high affinity and specificity in binding to HIV-1 Nef protein」Embo.J.14(20):5006〜15、1995
【非特許文献6】Hosseら、「A new generation of protein display scaffolds for molecular recognition」Protein Science、15:14〜27、2006
【非特許文献7】Sembaら、「yes-related protooncogene,syn,belongs to the protein-tyrosine kinase family」Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83(15):5459〜63、1986
【非特許文献8】Kawakamiら、「Isolation and oncogenic potential of a novel human src-like gene」Mol Cell Biol、6(12):4195〜201、1986
【非特許文献9】CookeおよびPerimutter、「Expression of a novel form of the Fyn proto-oncogene in hematopoietic cells」New Biol.1(1):66〜74、1989
【非特許文献10】Resh,M.D.「Fyn,a Src family tyrosine kinase」Int.J.Biochem.Cell Biol.30(11):1159〜62、1998
【非特許文献11】Xiaoquin HuangおよびWebb Miller、「A Time-Efficient,Linear-Space Local Similarity Algorithm」Advances in Applied Mathematics、vol.12:337〜357、1991
【非特許文献12】Thompsonら、「CLUSTAL W:improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting,position-specific gap penalties and weight matrix choice」、Nucleic Acids Res.、22(22):4673〜4680、1994
【非特許文献13】NeriおよびBicknell、Nat.Rev.Cancer(2005)5:436〜446
【非特許文献14】Berlierら、「Quantitative Comparison of Long-wavelength Alexa Fluor Dyes to Cy Dyes:Fluorescence of the Dyes and Their Bioconjugates」、J.Histochem Cytochem.51(12)、1699〜1712、2003
【非特許文献15】Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.(1990)
【非特許文献16】Hoogenboomら「Multi-subunit proteins on the surface of filamentous phage:methodologies for displaying antibody(Fab)heavy and light chains」、Nucleic Acids Res、19(15):4133〜7、1991
【非特許文献17】Zardiら、「Transformed human cells produce a new fibronectin isoform by preferential alternative splicing of a previously unobserved exon」Embo J.6(8):2337〜42、1987
【非特許文献18】MenradおよびMenssen、「ED-B fibronectin as a target for antibody-based cancer treatments」Expert Opin.Ther.Targets 9(3):491〜500、2005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の基本的な目的は、研究用ならびに具体的には診断用および医薬用の薬剤として適している、改良された標的特異的かつ高親和性の結合タンパク質を提供することである。さらに、これらの結合タンパク質は、生理学的条件下で安定かつ可溶性であり、これらの投与を受けるヒトにおいて免疫効果をわずかだけ引き起こすかまたはまったく引き起こさず、かつ、大きな標的構造物によっても接近できる、すなわち立体障害によって覆われていない、結合構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
SrcファミリーのFynキナーゼのSH3ドメインが、選択された標的に対する特異性および高親和性を有する組換え結合ドメインを設計するための優れた特性を提供することが驚くべきことに見出された。具体的には、標的特異性は、より高い多様性および多数の標的に対する改良された結合特性を生じるようにRTループおよび/またはsrcループに変異導入することによって設計できることが見出された。
【0016】
さらに、天然Fyn SH3結合タンパク質だけでなく、改変Fyn SH3由来結合タンパク質もin vivoで免疫原性でないことが、予想外に見出された。したがって、組換え変異体Fyn SH3結合タンパク質は、非免疫原性タンパク質治療薬および/または診断薬の開発のために特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1a】ドットブロット分析を例示する図である。検出可能量の可溶性Fyn SH3変異体を発現しているクローンの百分率を、抗HIS-HRP抗体共役体(Sigma)を検出試薬として使用する細菌細胞可溶化物のドットブロット分析によって決定した。ペルオキシダーゼ活性をECL plus Western blotting detection system(Amersham)を使用して検出した。 A)ランダム化したRT-Srcループを有するFynSH3変異体。
【図1b】ドットブロット分析を例示する図である。検出可能量の可溶性Fyn SH3変異体を発現しているクローンの百分率を、抗HIS-HRP抗体共役体(Sigma)を検出試薬として使用する細菌細胞可溶化物のドットブロット分析によって決定した。ペルオキシダーゼ活性をECL plus Western blotting detection system(Amersham)を使用して検出した。 B)伸長(4から6)およびランダム化したn-Srcループを有するFynSH3変異体。
【図1c】ドットブロット分析を例示する図である。検出可能量の可溶性Fyn SH3変異体を発現しているクローンの百分率を、抗HIS-HRP抗体共役体(Sigma)を検出試薬として使用する細菌細胞可溶化物のドットブロット分析によって決定した。ペルオキシダーゼ活性をECL plus Western blotting detection system(Amersham)を使用して検出した。 C)ランダム化したRT-およびn-Srcループを有するFynSH3。
【図2】モノクローナルファージ-ELISAを例示するグラフである。MSAに対する3回のパニング後にFyn SH3変異体を提示しているファージを含むモノクローナル細菌上清をELISAによってMSA(100μg/ml一晩、1ウェル当たり100μl)でコートしたMaxiSorp plates(Nunc)を使用して検査した。結合したファージは、抗M-13-HRP抗体共役体(Amersham)を使用して検出した。
【図3a】MSA(100μg/ml一晩、1ウェル当たり100μl)でコートしたMaxiSorp plates(Nunc)を使用する1回の親和性成熟選択後のモノクローナルファージ-ELISA(MSAに対して)を例示するグラフである。 A)G4(ランダム化されたn-SrcループならびにTrp37およびTyr50)の第1のサブライブラリーのファージELISA。親クローンG4を矢印で示す。
【図3b】MSA(100μg/ml一晩、1ウェル当たり100μl)でコートしたMaxiSorp plates(Nunc)を使用する1回の親和性成熟選択後のモノクローナルファージ-ELISA(MSAに対して)を例示するグラフである。 B)G4(ランダム化および伸長されたn-Srcループ)の第2のサブライブラリーのファージELISA。親クローンG4を矢印で示す。
【図3c】MSA(100μg/ml一晩、1ウェル当たり100μl)でコートしたMaxiSorp plates(Nunc)を使用する1回の親和性成熟選択後のモノクローナルファージ-ELISA(MSAに対して)を例示するグラフである。 C)長いkoffを有する結合剤に有利な条件下で実施された、1回のパニング後の第1および第2のサブライブラリーのファージELISA。親クローンG4を矢印で示す。
【図4】製造者の使用説明書(Quiagen、非変性条件)に従った可溶性タンパク質のクローニング(pQE-12ベクター)、発現および精製後の、数個のMSA結合クローンの可溶性ELISA(MSA(100μg/ml一晩、1ウェル当たり100μl)でコートしたMaxiSorp plates(Nunc)を使用)を示すグラフである。検出剤として抗HIS-HRP抗体共役体を使用した。対照として同一の結合タンパク質を4%MPBSのみでブロックしたウェルに加えた。
【図5】可溶性タンパク質の特異的ELISAを示すグラフである。選択されたMSA結合Fyn SH3変異体を、ヒト血清アルブミン(HAS)、ラット血清アルブミン(RSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)およびオボアルブミンに対する結合について、様々なアルブミン(各100μg/ml一晩、1ウェル当たり100μl)でコートしたMaxiSorp plates(Nunc)を使用して検査した。
【図6】D3のBIACore分析を示すグラフである。使用した濃度:4、2、1および0.5μM(上から)。
【図7a】マウス抗体の存在についての血液試料のELISA分析を示すグラフである。 A)MaxiSorp plates(Nunc)をFyn SH3(20μg/ml一晩、1ウェル当たり100μl)でコートした。マウス5匹の各血液試料(75から200μlまで)を系列希釈した(1:4から1:100)。抗体の検出は、抗マウス-IgG-HRP抗体共役体(Sigma)を使用して実施した。コーティング効率の対照として、抗HIS-HRP共役体(Sigma)を使用した。
【図7b】マウス抗体の存在についての血液試料のELISA分析を示すグラフである。 B)MaxiSorp plates(Nunc)をFyn SH3 D3(20μg/ml一晩、1ウェル当たり100μl)でコートした。マウス5匹の各血液試料(75から200μlまで)を系列希釈した(1:4から1:100)。抗体の検出は、抗マウス-IgG-HRP抗体共役体(Sigma)を使用して実施した。コーティング効率の対照として、抗HIS-HRP共役体(Sigma)を使用した。
【図7c】マウス抗体の存在についての血液試料のELISA分析を示すグラフである。 C)MaxiSorp plates(Nunc)をscFv(60μg/ml一晩、1ウェル当たり100μl)でコートした。マウス4匹の各血液試料(75から200μlまで)を系列希釈した(1:4から1:100)。抗体の検出は、抗マウス-IgG-HRP抗体共役体(Sigma)を使用して実施した。コーティング効率の対照として、抗myc-HRP共役体(Roche)を使用した。
【図8a】F9マウス奇形癌組織学的切片における、D3の免疫蛍光法を示す図である。
【図8b】F9マウス奇形癌組織学的切片における、図8aに対応する陰性対照を示す図である。
【図8c】F9マウス奇形癌組織学的切片における、抗CD31染色を示す図である。
【図8d】F9マウス奇形癌組織学的切片における、図8cに対応する陰性対照を示す図である。
【図9a】Fyn SH3-D3の腫瘍滞留を示す図である。ターゲッティング結果は、組織1g当たりに保持された125I標識タンパク質の注射投与量%(%ID/g)として表す。
【図9b】Fyn SH3wtについて、蓄積が観察されなかったことを示す図である。ターゲッティング結果は、組織1g当たりに保持された125I標識タンパク質の注射投与量%(%ID/g)として表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上記の結果として、本発明の第1の態様は、FynキナーゼのSrc相同性3ドメイン(SH3)の少なくとも1つの誘導体を含む組換え結合タンパク質であって、
(a)srcループ内のもしくはsrcループに隣接した2つまでのアミノ酸の位置にある少なくとも1つのアミノ酸および/または
(b)RTループ内のもしくはRTループに隣接した2つまでのアミノ酸の位置にある少なくとも1つのアミノ酸
が、置換、欠失または付加されており、SH3ドメイン誘導体が、配列番号1のアミノ酸配列に少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、
好ましくは、配列番号2のアミノ酸配列を含まないとの条件付きの、
ならびに好ましくは、天然に存在する天然のSH3ドメインを含有するタンパク質ではないとの条件付きの、
組換え結合タンパク質に関する。
【0019】
配列番号2のアミノ酸配列(LeeらのFyn SH3変異体R96I、上記を参照されたい)は、以下に提供される。
GVTLFVALYDYEAITEDDLSFHKGEKFQILNSSEGDWWEARSLTTGETGYIPSNYVAPVDSIQ (配列番号2)
【0020】
本発明の関連において、FynキナーゼのRTループ(時にRT-Srcループとも称する)は、配列番号1の位置12から17に位置するアミノ酸E A R T E Dから成る。RTループ内のまたはRTループに隣接する、置換、欠失および/または付加される、すなわち変異導入される位置は、アミノ酸10から19位、好ましくは11から18位、より好ましくは12から17位である。
【0021】
本発明の関連において、FYNキナーゼのsrcループ(時にn-Srcループとも称する)は、配列番号1の位置31から34に位置するアミノ酸N S S Eから成る。srcループ内のまたはsrcループに隣接する、置換、欠失および/または付加される、すなわち変異導入される位置は、アミノ酸29から36位、好ましくは30から35位、より好ましくは31から34位である。
【0022】
本発明の組換えタンパク質は、好ましくは天然に存在するまたは天然から単離される天然のSH3ドメインを含有するタンパク質ではない。すなわち、本発明の範囲は、好ましくは野生型SH3ドメイン含有タンパク質を除外する。天然には多数のSH3ドメイン含有タンパク質が存在する。これら天然のSH3タンパク質は、それらの天然のリガンドへの結合親和性を有する。これら天然のSH3リガンドのすべてではないがほとんどは、PxxPモチーフを有する。しかし、本発明の組換えタンパク質は、非天然標的に親和性を有するように設計された改変タンパク質である、すなわち非天然標的は、例えば天然における、好ましくは哺乳類における、より好ましくはヒトにおける、天然(野生型)のSH3リガンドを除く任意の標的である。より好ましくは、本発明の組換えタンパク質は、任意の天然のSH3結合リガンドへの、最も好ましくはPxxPモチーフを有する任意の天然のSH3結合リガンドに対する結合親和性を本質的に有さない。
【0023】
好ましくは、一方および/または両方のループ内に付加されるアミノ酸の数は、1から20個、より好ましくは1から10個または1から5個のアミノ酸であり、最も好ましくはループ内にアミノ酸は付加されない。
【0024】
他の好ましい実施形態において、RTおよびsrcループの外に位置するSH3ドメイン誘導体の部分は、免疫原性モチーフを導入しないように可能な限り保存される。
【0025】
本発明の組換えタンパク質が、哺乳類において、好ましくはマウス、ラット、および/またはヒトにおいて、最も好ましくはヒトにおいて本質的に免疫原性反応を引き起こさないことは、好ましい。もちろん、本発明の完全な組換えタンパク質の免疫原性は、SH3ドメイン誘導体部分のみに依存せず、タンパク質全体の他の部分によって影響され得る。
【0026】
本発明の好ましい実施形態において、組換えタンパク質の少なくともSH3ドメイン誘導体部分は、哺乳類において、好ましくはマウス、ラット、および/またはヒトにおいて、最も好ましくはヒトにおいて本質的に非免疫原性である。
【0027】
例えば当業者は、標準的かつ日常的技術、例えば目的の組換えタンパク質またはそのSH3ドメイン誘導体をマウスなどの哺乳類に投与(例えば静脈注射)するステップならびに、免疫反応が生じるための適切な時間の後に免疫原性血球および/または因子(例えばインターロイキン)の応答を分析するステップによって組換えタンパク質またはそのSH3ドメイン誘導体部分の免疫原性反応を決定できる。
【0028】
より好ましい実施形態において、本発明による結合タンパク質は、前記SH3ドメイン誘導体が少なくとも70%または少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98から100%の同一性をsrcおよびRTループの外のFYNキナーゼのSrc相同性3ドメイン(SH3)に対して有する結合タンパク質である。
【0029】
好ましい実施形態において変異は、RTおよびsrcループの両方に導入される。
【0030】
さらなるより好ましい実施形態において、本発明の結合タンパク質は、SH3ドメイン誘導体の位置37および/または50に、1つまたは好ましくは2つの改変残基、好ましくは2つの疎水性に改変された残基、より好ましくはTrp37および/またはTyr50、最も好ましくはTrp37およびTyr50を含む。下記の図3bに示す通り、それらのランダム化は、親和性を増大できる。
【0031】
本明細書において使用する用語「FYNキナーゼのSrc相同性3ドメイン(SH3)の誘導体」は、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の配列同一性を配列番号1のアミノ酸配列に対して有するアミノ酸配列を包含して意味する。同じ意味が、少なくとも70%または少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%の同一性を、srcおよびRTループの外のFYNキナーゼのSrc相同性3ドメイン(SH3)に対して有するSH3ドメイン誘導体についても、配列同一性を決定する場合に前記ループを形成するアミノ酸を除外すること以外は、当てはまる。
【0032】
Fyn SH3ドメインの誘導体の配列番号1のアミノ酸配列に対する配列同一性の程度を決定する目的のために、例えば、SIM Local similarity programを使用でき(Xiaoquin HuangおよびWebb Miller、「A Time-Efficient,Linear-Space Local Similarity Algorithm」Advances in Applied Mathematics、vol.12:337〜357、1991)、著者らおよび彼らの研究所から自由に利用できる(ワールドワイドウェブ:http://www.expasy.org/tools/sim-prot.htmlも参照されたい);多重アライメント分析のためにClustalWを使用できる(Thompsonら、「CLUSTAL W:improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting,position-specific gap penalties and weight matrix choice」、Nucleic Acids Res.、22(22):4673〜4680、1994)。好ましくは、誘導体の配列番号1に対する配列同一性の程度は、配列番号1の全長配列との比較で決定される。
【0033】
好ましい実施形態において、本発明の結合タンパク質は、Fyn SH3ドメインの少なくとも2つの誘導体を含む。より好ましくは、それは二価結合タンパク質である。SH3ドメインの少なくとも2つの誘導体は、同じまたは異なっていて良い。好ましくはそれらは、同一である。
【0034】
本発明の結合タンパク質は、所与の標的に任意の特異的結合親和性を有するために設計され得る。好ましい実施形態において、標的は、ペプチドまたはタンパク質などのアミノ酸に基づく標的、より好ましくはPxxPモチーフを含む標的である。もちろん少数の天然の生理学的に関連する標的タンパク質だけがPxxPモチーフを含有する。以下の例は、PxxPとは異なるモチーフを有する標的(例えばフィブロネクチンのED-Bドメイン)のための、本発明による結合タンパク質が入手できることを示す。したがって、本発明の結合タンパク質は、PxxPモチーフに決して限定されず、かつ任意の所与の標的、例えば糖類、ポリペプチドなどに対する特異的結合親和性を有することができる。
【0035】
より好ましくは、本発明による結合タンパク質は、標的、好ましくは治療および/または診断に関連する標的、より好ましくはPxxPモチーフ含むアミノ酸に基づく標的に対して10-7から10-12Mの、好ましくは10-8から10-12Mの特異的結合親和性を有する。
【0036】
最も好ましい態様において、本発明による結合タンパク質は、癌胎児性フィブロネクチンの細胞外ドメイン(ED-B)に対して10-7から10-12Mの、好ましくは10-8から10-12Mの特異的(in vivoおよび/またはin vitro)結合親和性を有する。
【0037】
好ましい実施形態において、本発明は、FYNキナーゼのSrc相同性3ドメイン(SH3)の少なくとも1つの誘導体を含む組換え結合タンパク質であって、
(a)srcループ内のもしくはsrcループに隣接した2つまでのアミノ酸の位置にある少なくとも1つのアミノ酸および/または
(b)RTループ内のもしくはRTループに隣接した2つまでのアミノ酸の位置にある少なくとも1つのアミノ酸
が置換、欠失または付加されており、
SH3ドメイン誘導体が、配列番号1のアミノ酸配列に少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、
好ましくは、配列番号2のアミノ酸配列を含まないとの条件付きの、
ならびに、好ましくは、天然に存在する天然のSH3ドメインを含有するタンパク質ではないとの条件付きの、
癌胎児性フィブロネクチンの細胞外ドメイン(ED-B)に対する好ましくは10-7から10-12Mの、より好ましくは10-8から10-12Mの、特異的(in vivoおよび/またはin vitro)結合親和性を有する、
組換え結合タンパク質に関する。
【0038】
より好ましい実施形態において、前記SH3ドメイン誘導体は、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98から100%の同一性をsrcおよびRTループの外のFYNキナーゼのSrc相同性3ドメイン(SH3)に対して有する。
【0039】
他のより好ましい実施形態において、上記ED-B特異的結合タンパク質は、少なくとも2つのSH3ドメインの誘導体を含み、好ましくは二価結合タンパク質である。
【0040】
好ましくは、前記ED-B特異的結合タンパク質は、SH3ドメイン誘導体の位置37および/または50に、1つまたは複数の、好ましくは2つの改変された、好ましくは疎水性の残基、具体的にはTrp37および/またはTyr50、最も好ましくはTrp37およびTyr50を含む。
【0041】
ポリペプチドおよびタンパク質の標的への特異的結合親和性に次いで、本発明の結合タンパク質は、低分子有機化合物またはアミノ酸に基づかない化合物、例えば糖、オリゴ糖または多糖、脂肪酸などに対する特異的結合親和性を有することもできる。
【0042】
既に多数の抗体-サイトカイン融合タンパク質が応用のために、例えば関節炎または癌の治療のために、しばしば印象的な結果を示して調査されている。例えば、フィブロネクチン(血管新生のマーカー)のED-Bドメインに特異的なヒト抗体L19は、炎症誘発性サイトカイン(IL-2、IL-12またはTNFなど)を固形腫瘍に送達するために、時に著しい治療的効果を有して、使用されている[総説および対応する参考文献については、NeriおよびBicknell、Nat.Rev.Cancer(2005)5:436〜446およびWO01/62298を参照されたい]。
【0043】
本発明の結合タンパク質は、今日、先行技術の融合タンパク質中の抗体を代用すること、ならびにin vivoおよびin vitroでの薬学的および診断的応用のための新規で低免疫原性の融合タンパク質を設計することも可能にする。
【0044】
第2の態様において、本発明は、薬学的および/または診断的に活性な成分に融合している本発明の結合タンパク質を含む融合タンパク質に関する。
【0045】
本発明の融合タンパク質は、非ポリペプチド成分、例えば非ペプチドリンカー、非ペプチドリガンド、例えば治療または診断に関連する放射性核種を含むことができる。
【0046】
好ましくは、前記活性成分は、サイトカイン、好ましくはIL-2、IL-12、TNF-アルファ、IFNアルファ、IFNベータ、IFNガンマ、IL-10、IL-15、IL-24、GM-CSF、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IL-11、IL-13、LIF、CD80、B70、TNFベータ、LT-ベータ、CD-40リガンド、Fas-リガンド、TGF-ベータ、IL-1アルファおよびIL-1ベータから成る群から選択されるサイトカインである。
【0047】
より好ましくは、前記活性成分は、毒性化合物、好ましくは低分子有機化合物またはポリペプチド、好ましくはカリケアミシン、ネオカルチノスタチン、エスペラミシン、ダイネミシン、ケダルシジン、マデュロペプチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、オーリスタチン(auristatin)、リシン-A鎖、モデシン、切断型シュードモナス外毒素A、ジフテリア毒素および組換えゲロニンから成る群から選択される毒性化合物である。
【0048】
他の好ましい実施形態において、本発明による融合タンパク質は、前記活性成分がケモカイン、好ましくはIL-8、GROアルファ、GROベータ、GROガンマ、ENA-78、LDGF-PBP、GCP-2、PF4、Mig、IP-10、SDF-1アルファ/ベータ、BUNZO/STRC33、I-TAC、BLC/BCA-1、MIP-1アルファ、MIP-1ベータ、MDC、TECK、TARC、RANTES、HCC-1、HCC-4、DC-CK1、MIP-3アルファ、MIP-3ベータ、MCP-1-5、エオタキシン、エオタキシン-2、I-309、MPIF-1、6Ckine、CTACK、MEC、リンホタクチンおよびフラクタルカインから成る群から選択されるケモカインである融合タンパク質である。
【0049】
さらなる好ましい実施形態において、本発明による結合タンパク質は、人工アミノ酸を含む。
【0050】
本発明の融合タンパク質のさらなる好ましい実施形態において、前記活性成分は、蛍光色素、好ましくは、Alexa FluorまたはCy dyes(Berlierら、「Quantitative Comparison of Long-wavelength Alexa Fluor Dyes to Cy Dyes:Fluorescence of the Dyes and Their Bioconjugates」、J.Histochem Cytochem.51(12)、1699〜1712、2003);光増感剤、好ましくはビス(トリエタノールアミン)Sn(IV)クロリンe6(SnChe6);凝血促進因子、好ましくは組織因子;プロドラッグ活性化のための酵素、好ましくはカルボキシペプチダーゼ、グルクロニダーゼおよびグルコシダーゼから成る群から選択される酵素;ガンマ放射同位体の群、好ましくは99mTc、123I、111Inから、またはポジトロン放射体の群、好ましくは18F、64Cu、68Ga、86Y、124Iから、またはベータ放射体の群、好ましくは131I、90Y、177Lu、67Cuから、またはアルファ放射体の群、好ましくは213Bi、211Atのいずれかからの放射性核種;および/または機能性Fcドメイン、好ましくはヒト機能性Fcドメインの群から選択される成分である。
【0051】
上記の機能性Fcドメインは、例えば治療用、予防用および/または診断用の応用において、哺乳類の免疫応答を融合タンパク質の結合タンパク質成分の特異的標的結合部位へ向けさせる。
【0052】
さらなる好ましい実施形態は、血清半減期を調節する成分、好ましくはポリエチレングリコール(PEG)、免疫グロブリンおよびアルブミン結合ペプチドから成る群から選択される成分をさらに含む、上記に挙げた本発明による融合タンパク質に関する。
【0053】
最も好ましい実施形態において、上記に挙げた本発明の融合タンパク質は、10-7から10-12Mの、好ましくは10-8から10-12Mの癌胎児性フィブロネクチンの外部ドメイン(ED-B)に対する特異的(in vivoおよび/またはin vitro)結合親和性を有する本発明の結合タンパク質を含む。好ましくは前記ED-B特異的結合タンパク質は、1つまたは複数の、好ましくは2つの疎水性残基をSH3ドメイン誘導体の位置37および/または50に、具体的にはTrp37および/またはTyr50を、最も好ましくはTrp37およびTyr50を有する。
【0054】
本発明による結合タンパク質および融合タンパク質は、平易な有機合成戦略、固相支援合成技術などの任意の多数の従来かつ周知の技術または市販で入手できる自動合成装置によって調製できる。一方、それらは従来の組換え技術単独でまたは従来の合成技術との組合せによっても調製できる。
【0055】
本発明のさらなる態様は、(i)本発明による結合タンパク質または融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド、(ii)前記ポリヌクレオチドを含むベクター、(iii)前記ポリヌクレオチドおよび/または前記ベクターを含む宿主細胞を対象とする。
【0056】
ポリヌクレオチドは、DNA、RNA、PNAおよびそれらの任意の他の類似物であり得る。ベクターおよび宿主細胞は、目的、例えば本発明の結合タンパク質および融合タンパク質、例えば遺伝子治療のための、治療に有用なベクターおよび宿主細胞の産生に適した任意の従来の形態であり得る。当業者は、これらのポリヌクレオチド、ベクターおよび宿主細胞を豊富な先行技術から選択し、所望の目的に対するそれらの詳細な適合性を日常的方法によって過度の負担無く確認できるであろう。
【0057】
本発明の結合タンパク質および融合タンパク質は、マウスについて示されかつ、Fyn SH3が両哺乳類種において同一であることから、ヒトに対しても当てはまると類推される通り、哺乳類において、具体的にはヒトおよびマウスにおいて、強度の、好ましくは本質的にまったく免疫応答を誘発しない。天然Fyn SH3も、改変Fyn SH3もそのいずれかを静脈注射されたマウスにおいて、どちらも免疫応答を生じないことが驚くべきことに見出された。これは、Fynキナーゼが細胞内タンパク質であり、新生児期のB細胞選択に関与しないことから予想外であった。したがって、設計された標的特異性および親和性を有するFyn SH3-由来結合タンパク質および融合タンパク質は、in vivoでの治療用、予防用および/または診断用の応用に特に十分に適合する。
【0058】
このため、本発明に高度に関連する態様は、薬剤を調製するための本発明による結合タンパク質または融合タンパク質の使用に関する。
【0059】
さらなる態様において、本発明の結合タンパク質または融合タンパク質は、診断手段を調製するために、具体的にはin vivoでの応用のために使用される。
【0060】
好ましくは、既に記載のED-B特異的結合タンパク質または融合タンパク質は癌の治療または診断のための薬剤または診断手段を調製するために使用される。
【0061】
本発明の他の態様は、本発明の結合タンパク質または融合タンパク質および任意選択で薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0062】
本発明の他の態様は、本発明の結合タンパク質または融合タンパク質および任意選択で薬学的に許容される賦形剤を含む、好ましくはin vivoでの応用のための診断用組成物に関する。
【0063】
好ましくは、医薬または診断用組成物は、本発明のED-B特異的結合タンパク質または融合タンパク質および任意選択で薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0064】
本発明の医薬組成物およびin vivoでの応用のための診断手段は、典型的には本発明による結合タンパク質および/または融合タンパク質の治療用または診断用の有効量ならびに任意選択で薬学的に許容される(1つまたは複数の)賦形剤などの補助物質を含む。前記医薬組成物は、薬学分野で周知のやり方で調製される。担体または賦形剤は、活性成分のためのビヒクルまたは媒体として使用できる液体物質であり得る。適切な担体または賦形剤は、当技術分野において周知であり、例えば安定化剤、抗酸化剤、pH-調整物質、徐放性賦形剤を含む。本発明の医薬調製物は、例えば非経口使用に適合でき、かつ液剤などの形態で患者に投与できる。
【0065】
最後に、本発明の他の態様は、治療または診断の方法であって、上記医薬または診断用組成物の有効量が、それを必要とする患者に、好ましくは癌および/または炎症性疾患に罹患しているまたは罹患が疑われる患者に投与される方法に関する。
【0066】
疾病を罹患している対象の治療または診断を行う際、本発明の結合タンパク質または融合タンパク質は、経口または非経口経路を含む、治療用または診断用化合物を有効量で生物学的に利用可能にする任意の形態または様式で投与され得る。例えば、本発明の組成物は皮下、筋肉内、静脈内などに投与できる。製剤調製の分野の当業者は、選択された生成物の特定の特徴、治療または診断される疾患または状態、疾患または状態の段階および他の関連する状況に応じて、投与の適切な形態および様式を容易に選択できる(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.(1990)を参照されたい)。本発明の組成物は、単独でまたは薬学的に許容される担体もしくは賦形剤との組合せでの医薬もしくは診断用調製物の形態で投与でき、その割合および性質は、選択された生成物の溶解度および化学的特性、選択された投与経路ならびに標準的薬学的および診断的業務によって決定される。本発明の生成物は、それ自体有効であるが、安定性、結晶化の利便性、溶解度の増大などの目的のために酸付加塩または塩基付加塩などの、その薬学的に許容される塩の形態で処方および投与され得る。
【0067】
以下に、本発明の主題を、本発明の範囲を限定するとの解釈を意図していない具体的な実施形態を参照して、より詳細に記載する。
【実施例】
【0068】
(実施例1)
Fyn SH3変異体の発現
Fyn SH3の変異体の発現を評価する目的のために、3種の異なるFyn SH3サブライブラリーのドットブロット分析を実施した(図1)、第1のライブラリーにおいては、RTループのみがランダム化され、第2のライブラリーにおいては、Srcループがランダム化および6残基伸長され、第3のライブラリーにおいては、RT-およびSrcループが同時にランダム化され、後者のループが4から6残基伸長された。発現されたFyn SH3変異体の百分率は、59〜90%の範囲であった。
【0069】
【表1】

【0070】
(実施例2)
マウス血清アルブミンに対するファージライブラリー(提示)選択
107種の異なるFyn SH3のライブラリーを作製し(RT-ループのみをランダム化した)、ファージミドベクターpHEN1にクローニングした(Hoogenboomら「Multi-subunit proteins on the surface of filamentous phage:methodologies for displaying antibody(Fab)heavy and light chains」、Nucleic Acids Res、19(15):4133〜7、1991)。ライブラリーを、ファージで提示させ、3回のパニングをマウス血清アルブミン(MSA)に対して実施した。3回実施した後、結合タンパク質についてのスクリーニングをモノクローナルファージ-ELISAによって実施し、陽性クローン13個を検出した(図2)。13個のクローンの配列決定により、G4及びC4で示される、2つの異なる配列が豊富に存在することが明らかにされた。
【0071】
しかし、pQE-12ベクター(Qiagen)へのG4のサブクローニングおよび発現(製造者の手引書に従った非変性条件下での発現および精製)の後、MSAに対するタンパク質の結合は、親和性の低さのためにELISAによって検出できなかった(図4)(ファージELISAは、可溶性タンパク質のELISAより高感度である)。したがって、G4の配列を2つの異なる親和性成熟ライブラリー(サイズ:各ライブラリーについて107クローン)に使用した。第1のサブライブラリーにおいては、n-Srcループの4残基ならびにTrp37(配列番号1)およびTyr50(配列番号1)残基をランダム化し、第2のサブライブラリーにおいては、n-Srcループをランダム化した4から6残基で伸長した。1回のパニングの後に、両サブライブラリーの数個のクローンは、ファージELISAにおいて親クローンG4と比較してより強いシグナルを示した(図3)。数個のクローンのサブクローニングおよび発現の後、可溶性タンパク質の結合をELISAによって確認した(図4)。見かけの解離定数は、100nMの範囲であった(BIAcoreによって決定)。クローンのいくつかは、他の血清アルブミン(ヒト血清アルブミン(HSA)、ラット血清アルブミン(RSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)およびオボアルブミンを試験)と交差反応性であったが、他のクローンは、MSAに高度に特異的であり、高度に特異的な結合タンパク質を単離することが可能であることを示している(図5)。
【0072】
(実施例3)
フィブロネクチンの外部ドメインb(ED-B)に対するファージライブラリー(提示)選択
ED-Bを、薬学的に関連するタンパク質に対するFyn SH3由来結合体を選択する能力を示すために標的タンパク質として選んだ。ED-Bは、組織のリモデリングが行われる場合、常に1次転写物のレベルで選択的スプライシングの機構によってフィブロネクチン分子に挿入される、91アミノ酸、III型相同性ドメインである(Zardiら、「Transformed human cells produce a new fibronectin isoform by preferential alternative splicing of a previously unobserved exon」Embo J.6(8):2337〜42、1987)。それは、様々な固形腫瘍(例えば、腎細胞癌、結腸直腸癌、肝細胞癌、高グレードの星状細胞腫、頭頸部腫瘍、膀胱癌など)において過剰発現されるが、事実上正常成人組織においては、検出されない(増殖期の子宮内膜および卵巣の数個の管を除く)、血管新生の良質のマーカーである(標的としてのED-Bについてより詳細には、MenradおよびMenssen、「ED-B fibronectin as a target for antibody-based cancer treatments」Expert Opin.Ther.Targets 9(3):491〜500、2005を参照されたい)。
【0073】
10億種を超えるFyn SH3変異体のライブラリーを調製し、ファージで提示させた(RT-Srcおよびn-Srcループの同時ランダム化)。ED-B3に対する3回のパニングの後、結合クローンをファージELISAによって同定した。配列決定は、2つの異なる配列(B11およびD3と示されるクローン)を明らかにした。D3の解離定数を、BIAcore3000装置を使用する表面プラズモン共鳴リアルタイム相互作用分析によって決定し、8.5×10-8Mの値を示した(図6)。
D3(配列番号3)
GVTLFVALYDYHAQSGADLSFHKGEKFQILKFGRGKGDWWEARSLTTGETGYIPSNYVAPVDSIQ
【0074】
(実施例4)
免疫原性
タンパク質の免疫原性は、タンパク質に関連する療法、特に薬の繰り返し投与を必要とする治療法における主な障害の1つである。マウスとヒトにおけるFyn SH3配列の保存により、FynSH3野生型タンパク質(Fyn SH3wt)およびFyn SH3変異体(Fyn SH3D3、ED-Bに対する結合体)の免疫原としての可能性を、マウス5匹に2つのタンパク質を繰り返し注射することによってin vivoで調査した。マウスにタンパク質20μgを4回(3日ごとに)注射した。4回目の注射の1日後にマウスを屠殺し、血液試料を、マウス抗Fyn SH3wt抗体および抗Fyn SH3D3抗体の存在または非存在を調べるために採取した。陽性対照として、マウス4匹にヒト抗体を1本鎖Fv形態(scFv)で注射した(同じ注射時期および同じ投与量(=60μg))。しかし、scFv群のマウス1匹は、3回目の注射の20分後に死に、他の3匹も死にそうであったので、血液試料は3回目の注射後に採取しておいた。図7aおよびbは、Fyn SH3wtおよびFyn SH3D3に対する抗体が検出不可能であったことを示し、対照群については強いシグナルが観察された(図7c)。
【0075】
(実施例5)
免疫組織蛍光法
Fyn SH3-D3(D3、ED-Bに対する結合体)が、組織中で天然高次構造にあるその標的を認識するかどうかを調査するために、F9奇形癌切片について免疫蛍光法を実施した。図8aは、D3が血管周囲の腫瘍間質に結合したことを例示する(図8a)。検出は、抗His-Alexa488抗体共役体で実施した。陰性対照では、D3タンパク質を添加しなかった(図8b)。血管を可視化するために、同じ切片を、ラット抗マウスCD31抗体で共染色し、2次抗体としてロバ抗ラットAlexa594共役体を使用した(図8c)。陰性対照は、1次抗体を使用せずに2次抗体を使用して実施した(図8d)。
【0076】
(実施例6)
in vivo定量的体内分布
Fyn SH3-D3(ED-Bに対する結合体)およびFyn SH3野生型(ED-Bへの非結合体)のin vivoでのターゲッティング能力を、皮下移植されたF9マウス奇形癌を有するマウスにおける体内分布実験によって評価した。ED-Bがマウスとヒトで同一であることから、腫瘍ターゲッティング研究の結果は、ヒトにおけるD3の能力の予測となるであろう。125I標識D3およびSH3wtを静脈注射し、24時間後に動物を屠殺し、臓器を切り出し、計量し、放射活性を計測した。図9aは、D3が腫瘍内に選択的に蓄積したが(腫瘍:臓器比は、3:1から10:1までの範囲)、Fyn SH3野生型タンパク質では濃縮は、観察できなかったことを示す(図9b)。
【図1a)】

【図1b)】

【図1c)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
FYNキナーゼのSrc相同性3ドメイン(SH3)の少なくとも1つの誘導体を含む組換え結合タンパク質であって、
(a)srcループ内のもしくはsrcループに隣接した2つまでのアミノ酸の位置にある少なくとも1つのアミノ酸および/または
(b)RTループ内のもしくはRTループに隣接した2つまでのアミノ酸の位置にある少なくとも1つのアミノ酸
が、置換、欠失または付加されており、SH3ドメイン誘導体が、配列番号1のアミノ酸配列に少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、
好ましくは、配列番号2のアミノ酸配列を含まないとの条件付きの、
および好ましくは、天然に存在する、天然のSH3ドメインを含有するタンパク質ではないとの条件付きの、
組換え結合タンパク質。
【請求項2】
前記SH3ドメイン誘導体が、srcおよびRTループの外のFYNキナーゼSrc相同性3ドメイン(SH3)に対して少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98から100%の同一性を有する、請求項1に記載の結合タンパク質。
【請求項3】
(a)srcループ内の少なくとも1つのアミノ酸および
(b)RTループ内の少なくとも1つのアミノ酸
が置換、欠失または付加されている、請求項1または2に記載の結合タンパク質。
【請求項4】
SH3ドメインの少なくとも2つの誘導体、好ましくは二価結合タンパク質を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項5】
SH3ドメイン誘導体の位置37および/または50に、1つまたは、好ましくは2つの改変残基、好ましくは2つの疎水性改変残基、より好ましくはTrp37および/またはTyr50、最も好ましくはTrp37およびTyr50を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項6】
標的、好ましくは治療および/または診断に関連する標的、より好ましくはPxxPモチーフ含むアミノ酸に基づく標的に対して10-7から10-12M、好ましくは10-8から10-12Mの特異的結合親和性を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項7】
癌胎児性フィブロネクチンの細胞外ドメイン(ED-B)に対して10-7から10-12M、好ましくは10-8から10-12Mの特異的結合親和性を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項8】
SH3ドメイン誘導体の位置37および/または50に、1つまたは複数の、好ましくは2つの、改変された、好ましくは疎水性の残基、より好ましくはTrp37および/またはTyr50、最も好ましくはTrp37およびTyr50を有する、請求項7に記載の結合タンパク質。
【請求項9】
配列番号3のアミノ酸配列を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項10】
タンパク質または低分子有機化合物に対する結合特異性を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の結合タンパク質。
【請求項11】
薬学的におよび/または診断的に活性な成分に融合している請求項1から10のいずれか一項に記載の結合タンパク質を含む融合タンパク質。
【請求項12】
前記成分がサイトカイン、好ましくは、IL-2、IL-12、TNF-アルファ、IFNアルファ、IFNベータ、IFNガンマ、IL-10、IL-15、IL-24、GM-CSF、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IL-11、IL-13、LIF、CD80、B70、TNFベータ、LT-ベータ、CD-40リガンド、Fas-リガンド、TGF-ベータ、IL-1アルファおよびIL-1ベータから成る群から選択されるサイトカインである、請求項11に記載の融合タンパク質。
【請求項13】
前記成分が毒性化合物、好ましくは低分子有機化合物またはポリペプチド、好ましくはカリケアミシン、ネオカルチノスタチン、エスペラミシン、ダイネミシン、ケダルシジン、マデュロペプチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、オーリスタチン、リシン-A鎖、モデシン、切断型シュードモナス外毒素A、ジフテリア毒素および組換えゲロニンから成る群から選択される毒性化合物である、請求項11に記載の融合タンパク質。
【請求項14】
前記成分がケモカイン、好ましくはIL-8、GROアルファ、GROベータ、GROガンマ、ENA-78、LDGF-PBP、GCP-2、PF4、Mig、IP-10、SDF-1アルファ/ベータ、BUNZO/STRC33、I-TAC、BLC/BCA-1、MIP-1アルファ、MIP-1ベータ、MDC、TECK、TARC、RANTES、HCC-1、HCC-4、DC-CK1、MIP-3アルファ、MIP-3ベータ、MCP-1-5、エオタキシン、エオタキシン-2、I-309、MPIF-1、6Ckine、CTACK、MEC、リンホタクチンおよびフラクタルカインから成る群から選択されるケモカインである、請求項11に記載の融合タンパク質。
【請求項15】
前記成分が蛍光色素、好ましくはAlexa FluorまたはCy dyesから選択される成分である、請求項11に記載の融合タンパク質。
【請求項16】
前記成分が光増感剤、好ましくは、ビス(トリエタノールアミン)Sn(IV)クロリンe6(SnChe6)である、請求項11に記載の融合タンパク質。
【請求項17】
前記成分が凝血促進因子、好ましくは、組織因子である、請求項11に記載の融合タンパク質。
【請求項18】
前記成分がプロドラッグ活性化のための酵素、好ましくは、カルボキシ-ペプチダーゼ、グルクロニダーゼおよびグルコシダーゼから成る群から選択される酵素である、請求項11に記載の融合タンパク質。
【請求項19】
前記成分が、ガンマ放射同位体の群、好ましくは99mTc、123I、111Inから、またはポジトロン放射体の群、好ましくは18F、64Cu、68Ga、86Y、124Iから、またはベータ放射体の群、好ましくは131I、90Y、177Lu、67Cuから、またはアルファ放射体の群、好ましくは213Bi、211Atのいずれかからの放射性核種である、請求項11に記載の融合タンパク質。
【請求項20】
前記成分が機能性Fcドメイン、好ましくはヒト機能性Fcドメインである、請求項11に記載の融合タンパク質。
【請求項21】
血清半減期を調節する成分、好ましくはポリエチレングリコール(PEG)、免疫グロブリンおよびアルブミン結合ペプチドから成る群から選択される成分をさらに含む、請求項11から20のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項22】
請求項7、8または9に記載の結合タンパク質を含む、請求項11から21のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか一項に記載の結合タンパク質または融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド。
【請求項24】
請求項23に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項25】
請求項23に記載のポリヌクレオチドおよび/または請求項24に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項26】
薬剤を調製するための、請求項1から14、16から18および20から22のいずれか一項に記載の結合タンパク質または融合タンパク質の使用。
【請求項27】
癌の治療用の薬剤を調製するための請求項7、8もしくは9に記載の結合タンパク質および/または請求項22に記載の融合タンパク質の使用。
【請求項28】
診断手段を調製するための請求項1から10、15、19、21および22のいずれか一項に記載の結合タンパク質または融合タンパク質の使用。
【請求項29】
癌の診断用の診断手段を調製するための請求項7、8もしくは9に記載の結合タンパク質および/または請求項22に記載の融合タンパク質の使用。
【請求項30】
請求項1から14、16から18および20から22のいずれか一項に記載の結合タンパク質または融合タンパク質および任意選択で薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項31】
請求項1から11、15、19、21および22のいずれか一項に記載の結合タンパク質または融合タンパク質および任意選択で薬学的に許容される賦形剤を含む診断用組成物。

【図2】
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【図3a)】
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【図3b)】
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【図3c)】
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【図4】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8a)】
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【図8b)】
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【図8c)】
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【図8d)】
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【図9a】
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【図9b】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−500875(P2010−500875A)
【公表日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524142(P2009−524142)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007324
【国際公開番号】WO2008/022759
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(505357971)
【Fターム(参考)】