説明

GlyT1トランスポーター阻害薬および神経学的および神経精神病学的障害の治療におけるその使用

式(I):


(I)
[式中:R、R、R、R21、X、Ar、およびmは、明細書の記載と同義である]
で示される化合物またはその塩が提供される。医薬として、ならびに神経学的および神経精神病学的障害、特に、精神病、認知症または注意力欠如障害の治療のための医薬の製造における化合物の使用も開示されている。さらに、本発明は、化合物を含む医薬組成物および組み合わせを開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物、その調製方法、医薬組成物およびそれらを含有する医薬ならびに神経学的または神経精神病学的障害、特に、精神病、認知症または注意力欠如障害を含む、GlyT1によって媒介される障害の治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
分子クローニングは、GlyT1およびGlyT2と呼ばれる、2種類のグリシントランスポーターの哺乳動物の脳での存在を明らかにした。GlyT1は、主に前脳にて見出され、その分布は、グルタミン酸経路およびNMDA受容体のものに対応する(Smithら,Neuron,8,1992:927−935)。分子クローニングは、GlyT−la、GlyT−1bおよびGlyT−1cと呼ばれる、3種類のGlyT1の変種の存在をさらに明らかにし(Kimら,Molecular Pharmacology,45,1994:608−617)、その各々は、脳および末梢組織において独特の分布を示す。変種は、差次的スプライシングおよびエキソンの利用によって出現し、そのN末端領域が異なる。対照的に、GlyT2は、主に脳幹および脊髄にて見出され、その分布は、ストリキニーネ感受性グリシン受容体のものに密接に対応する(Liuら,J.Biological Chemistry,268,1993:22802−22808;Jursky and Nelson,J.Neurochemistry,64,1995:1026−1033)。GlyT2によって媒介されるグリシントランスポーターの別の顕著な特性は、GlyT1によって媒介されるグリシントランスポーターの場合のようにサルコシンによって阻害されないことである。これらのデータは、グリシンのシナプスレベルを調節することによって、GlyT1およびGlyT2がそれぞれ、選択的にNMDA受容体およびストリキニーネ感受性グリシン受容体の活性に影響を及ぼすという所見と一致する。
【0003】
NMDA受容体は、記憶および学習に非常に関与し(RisonおよびStaunton,Neurosci.Biobehav.Rev.,19 533−552(1995)、Danyszら、Behavioral Pharmacol.,6 455−474(1995));さらに、NMDA介在性神経伝達機能の減少は、統合失調症の症状の基礎となるか、または該症状に寄与するようである(OlneyおよびFarber,Archives General Psychiatry,52,998−1007(1996))。したがって、GlyT1を阻害し、それにより、NMDA受容体のグリシン活性化を増大する薬剤は、新規な抗精神病薬および抗認知症薬として用いることができ、また、認識プロセスに障害のある他の疾患、例えば、注意力欠如障害および器質脳症候群を治療するために用いられうる。逆に言えば、NMDA受容体の過剰な活性化は、多数の病態、特に、卒中および、おそらく神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、多発脳梗塞性認知症、AIDS認知症、ハンチントン病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、または神経細胞死が起こる他の病態、例えば、卒中または頭部外傷に関連する神経細胞死に関与している。CoyleおよびPuttfarcken,Science,262,689−695(1993)、LiptonおよびRosenberg,New Engl.J. of Medicine,330,613−622(1993)およびChoi,Neuron,1,623−634(1988)を参照のこと。したがって、GlyT1の活性を増大する薬理学的物質は、NMDA受容体のグリシン活性化の減少をもたらし、該活性をこれらの疾患および関連する病態の治療に用いることができる。同様に、NMDA受容体のグリシン部位を直接阻害する薬剤は、これらの疾患および関連する病態の治療に用いられうる。
【0004】
グリシントランスポーター阻害薬は、例えば、国際出願公開WO03/055478(SmithKline Beecham)に開示されるように、当該分野にてすでに知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第03/055478号パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Smithら、Neuron,8,1992:927−935
【非特許文献2】Kimら、Molecular Pharmacology,45,1994:608−617
【非特許文献3】Liuら、J.Biological Chemistry,268,1993:22802−22808
【非特許文献4】JurskyおよびNelson,J.Neurochemistry,64,1995:1026−1033
【非特許文献5】RisonおよびStaunton,Neurosci.Biobehav.Rev.,19 533−552(1995)
【非特許文献6】Danyszら、Behavioral Pharmacol.,6 455−474(1995)
【非特許文献7】OlneyおよびFarber,Archives General Psychiatry,52,998−1007(1996)
【非特許文献8】CoyleおよびPuttfarcken,Science,262,689−695(1993)
【非特許文献9】LiptonおよびRosenberg,New Engl.J. of Medicine,330,613−622(1993)
【非特許文献10】Choi,Neuron,1,623−634(1988)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、GlyT2トランスポーターよりGlyT1トランスポーターを選択的に阻害するものを含む、GlyT1トランスポーターを阻害しうるさらなる化合物を同定する必要性が依然として残っている。
【0008】
この度、新規クラスの化合物は、GlyT1トランスポーターを阻害するため、統合失調症を含む、特定の神経学的および神経精神病学的障害の治療に有用である可能性が見出された。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、第1の態様において、式(I):
【化1】

[式中:
Xは、Ar−C(O)CH(R20)−またはAr−NHC(O)CH−から選択され;
Arは、
・1個または複数のY基で所望により置換されていてもよいナフチル;
・1個または複数のZ基で所望により置換されていてもよいピリジル;および
・基Ar
【化2】

{式中:
各Yは、独立して、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、またはシアノから選択され;
各Zは、独立して、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、またはシアノから選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cシクロアルキル、C−CシクロアルキルC−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−CアルコキシC−Cアルキル、CONR(式中:RおよびRは、独立して、HもしくはC−Cアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜7員環を形成する)またはシアノから選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cシクロアルキル、C−CシクロアルキルC−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−CアルコキシC−Cアルキル、CONR(式中:RおよびRは、独立して、HもしくはC−Cアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜7員環を形成する)またはシアノから選択され;
は、H、C1−4アルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cシクロアルキル、C−CシクロアルキルC−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−CアルコキシC−Cアルキル、CONR(式中:RおよびRは、独立して、HもしくはC−Cアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜7員環を形成する)またはシアノから選択されるか;
あるいは、RおよびRは一緒になって、−O−CH−O−または−O−CH−CH−O−から選択される基を形成し;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cシクロアルキル、C−CシクロアルキルC−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−CアルコキシC−Cアルキル、CONR(式中:RおよびRは、独立して、HもしくはC−Cアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜7員環を形成する)またはシアノから選択され;
は、水素、クロロ、フルオロ、C−CアルキルまたはCFから選択される}
から選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、ハロ、シアノ、C−CアルコキシC−Cアルコキシ、C−CアルコキシC−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cアルキルチオ、COR(式中:Rは水素またはC−Cアルキルである)、CONR(式中:RおよびRは、独立して、水素もしくはC−Cアルキルから選択されるか、またはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、4、5または6員環を形成する)またはCHRNR(式中:Rは、水素またはC−Cアルキルであり、RおおびRは、独立して、水素もしくはC−Cアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4、5または6員環を形成する)から選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、ハロ、シアノ、C−CアルコキシC−CアルキルまたはC−CアルコキシC−Cアルコキシから選択され;
mは、0、1または2から選択され;
は、水素またはC−Cアルキルから選択され;
21は、Hまたはフルオロから選択され;および
20は、水素またはC−Cアルキルから選択される]
で示される化合物またはその塩が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「Cx−y」および「C−C」なる表記は、交換可能である。
【0011】
本明細書に用いられる、「本発明の化合物」は、式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物を意味する。
【0012】
本発明が、式(I)の化合物を遊離塩基としてまたはその塩もしくは溶媒和物、例えば、医薬上許容される塩または溶媒和物として包含することを理解すべきである、後述の本発明の化合物または式(I)の化合物への言及が、遊離塩基としての、または塩としての、または溶媒和物としての式(I)の化合物を意味することをさらに理解すべきである。
【0013】
本明細書に用いられる、「C−Cアルキル」なる語は、全ての異性体における、1−4個の炭素原子の直線状または分岐アルキル基をいう。例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルが挙げられる。
【0014】
本明細書に用いられる、「C−Cアルコキシ」なる語は、−O−C−Cアルキル基をいい、ここで、C−Cアルキルは上記と同義である。
【0015】
本明細書に用いられる、「C−CアルコキシC−Cアルキル」なる語は、−(C−Cアルキル)−O−(C−Cアルキル)基をいい、ここで、C−Cアルキルは上記と同義である。
【0016】
本明細書に用いられる、「C−CアルコキシC−Cアルコキシ」なる語は、−OC−Cアルキル−O−C−Cアルキル基をいい、ここで、C−Cアルキルは上記と同義である。
【0017】
本明細書に用いられる、「C−Cシクロアルキル」なる語は、3〜6個の炭素原子からなるシクロアルキル基、すなわち、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタンまたはシクロヘキサンをいう。
【0018】
本明細書に用いられる、「ハロゲン」なる語およびその略称「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素をいう。
【0019】
本明細書に用いられる、「ハロC−Cアルキル」なる語は、所定数のフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子(それらの原子の混合物を含む)で置換された上記のC−Cアルキル基をいう。ハロC−Cアルキル基は、例えば、1、2または3個のハロゲン原子を含有していてもよい。例えば、ハロC−Cアルキル基は、全てハロゲン原子で置換される水素原子を有していてもよい。ハロC−Cアルキル基の例として、限定されるものではないが、フルオロメチル、ジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルが挙げられる。
【0020】
本明細書に用いられる、「ハロC−Cアルコキシ」なる語は、所定数のフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子(それらの原子の混合物を含む)で置換された上記の−C−Cアルコキシ基をいう。ハロC−Cアルコキシ基は、例えば、1、2または3個のハロゲン原子を含有していてもよい。例えば、ハロC−Cアルコキシ基は、全てハロゲン原子で置換される水素原子を有していてもよい。ハロC−Cアルコキシ基の例として、限定されるものではないが、フルオロメチルオキシ、ジフルオロメチルオキシおよびトリフルオロメチルオキシが挙げられる。
【0021】
本明細書に用いられる、「シアノ」なる語は、−CN基をいう。
【0022】
本明細書に用いられる、「C−Cアルキルスルホニル」なる語は、−SO(C−Cアルキル)基をいう。一例は−SOCHである。
【0023】
本明細書に用いられる、「C−Cアルキルチオ」なる語は、−S−(C−Cアルキル)基をいう。一例は−SCHである。
【0024】
およびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、飽和4〜7員環、すなわち、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジル、またはアゼパニル基を形成しうる。同様に、RおよびR、RおよびR、RおよびR、RおよびR、ならびにRおよびRは、上記の式(I)の定義中のかかる基を形成しうる。
【0025】
1の実施態様において、XはAr−C(O)CH(R20)−である。
【0026】
1の実施態様において、XはAr−NHC(O)CH−である。
【0027】
1の実施態様において、Rは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルホニル、C−CアルコキシC−Cアルキルまたはシアノから選択される。さらなる実施態様において、RはHである。
【0028】
1の実施態様において、Rは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルホニル、C−CアルコキシC−Cアルキルまたはシアノから選択される。1の実施態様において、Rは、Hまたはハロである。さらなる実施態様において、Rは、HまたはFである。1の実施態様において、Rは、HまたはC−Cアルキルである。さらなる実施態様において、Rは、Hまたはメチルである。
【0029】
1の実施態様において、Rは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルホニル、C−CアルコキシC−Cアルキルまたはシアノから選択される;さらなる実施態様において、Rは、Hまたはハロである。さらなる実施態様において、Rは、HまたはFである。さらなる実施態様において、RはClである。
【0030】
1の実施態様において、Rは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルスルホニル、C−CアルコキシC−Cアルキルまたはシアノから選択される。さらなる実施態様において、Rは、Hまたはハロである。さらなる実施態様において、RはFである。さらなる実施態様において、RはHである。さらなる実施態様において、Rはメチルである。
【0031】
1の実施態様において、RはHである。
【0032】
1の実施態様において、Rは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、ハロ、シアノ、C−CアルコキシC−Cアルコキシ、C−CアルコキシC−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cアルキルチオ、またはCOR(式中:Rは水素またはC−Cアルキルである)から選択される。さらなる実施態様において、Rは、Cl、OCHまたはCFである。
【0033】
1の実施態様において、Rは、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、ハロ、シアノ、C−CアルコキシC−CアルキルまたはC−CアルコキシC−Cアルコキシから選択される。さらなる実施態様において、Rは、ClまたはHである。さらなる実施態様において、Rは、HまたはFである。
【0034】
1の実施態様において、mは1である。
【0035】
1の実施態様において、RはHである。
【0036】
1の実施態様において、R20はHである。
【0037】
1の実施態様において、式(Ia):
【化3】

[式中:
Arは、1個または複数のY基で所望により置換されていてもよいナフチル、1個または複数のZ基で所望により置換されていてもよいピリジル、または基:
【化4】

{式中:
各Yは、独立して、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、またはシアノから選択され;
各Zは、独立して、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、またはシアノから選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cシクロアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−CアルコキシC−Cアルキル、CONR(式中:RおよびRは、独立して、HもしくはC−Cアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜7員環を形成する)またはシアノから選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cシクロアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−CアルコキシC−Cアルキル、CONR(式中:RおよびRは、独立して、HもしくはC−Cアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜7員環を形成する)またはシアノから選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cシクロアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−CアルコキシC−Cアルキル、CONR(式中:RおよびRは、独立して、HもしくはC−Cアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜7員環を形成する)またはシアノから選択されるか;
あるいは、RおよびRは一緒になって、−O−CH−O−または−O−CH−CH−O−から選択される基を形成し;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cシクロアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−CアルコキシC−Cアルキル、CONR(式中:RおよびRは、独立して、HもしくはC−Cアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって,4〜7員環を形成する)またはシアノから選択され;
は、水素、クロロ、フルオロ、C−CアルキルまたはCFから選択される}
から選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、ハロ、シアノ、C−CアルコキシC−Cアルコキシ;C1−4アルコキシC1−4アルキル、C1−4アルキルスルホニル、C1−4アルキルチオ、COR(式中:Rは、水素またはC1−4アルキルである)、CONR(式中:RおよびRは、独立して、水素もしくはC1−4アルキルから選択されるか、またはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、4、5または6員環を形成する)またはCHRNR(式中:Rは水素またはC1−4アルキルであり、R およびRは、独立して、水素もしくはC1−4アルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4、5または6員環を形成する)から選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、ハロ、シアノ、C1−4アルコキシC1−4アルキルまたはC−CアルコキシC−Cアルコキシから選択され;
mは、0、1または2から選択され;
は、水素またはC−Cアルキルから選択され;
21は、Hまたはフルオロから選択され;
20は、水素またはC−Cアルキルから選択される]
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物が提供される。
【0038】
1の実施態様において、式(Ib):
【化5】

[式中:
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cシクロアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−CアルコキシC−Cアルキル、CONR(式中:RおよびRは、独立して、HもしくはC−Cアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜7員環を形成する)またはシアノから選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cシクロアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−CアルコキシC−Cアルキル、CONR(式中:RおよびRは、独立して、HもしくはC−Cアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜7員環を形成する)またはシアノから選択され;
は、H、C1−4アルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cシクロアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−CアルコキシC−Cアルキル、CONR(式中:RおよびRは、独立して、HもしくはC−Cアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜7員環を形成する)またはシアノから選択されるか;
あるいは、RおよびRは一緒になって、−O−CH−O−または−O−CH−CH−O−から選択される基を形成し;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cシクロアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−CアルコキシC−Cアルキル、CONR(式中:RおよびRは、独立して、HもしくはC−Cアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜7員環を形成する)またはシアノから選択され;
は、水素、クロロ、フルオロ、C−CアルキルまたはCFから選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、ハロ、シアノ、C−CアルコキシC−Cアルコキシ;C1−4アルコキシC1−4アルキル、C1−4アルキルスルホニル、C1−4アルキルチオ、COR(式中:Rは水素またはC1−4アルキルである)、CONR(式中:RおよびRは、独立して、水素もしくはC1−4アルキルから選択されるか、またはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、4、5または6員環を形成する)またはCHRNR(式中:Rは水素またはC1−4アルキルであり、RおよびRは、独立して、水素もしくはC1−4アルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4、5または6員環を形成する)から選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、ハロ、シアノ、C1−4アルコキシC1−4アルキルまたはC−CアルコキシC−Cアルコキシから選択され;
mは、0、1または2から選択され;
は、水素またはC−Cアルキルから選択され;
21は、Hまたはフルオロから選択される]
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物が提供される。
【0039】
誤解を避けるために、本発明の化合物のいずれか1つの特徴の実施態様は、本発明の化合物の別の特徴のいずれかの実施態様と組み合わせて、さらなる実施態様を生じうる。
【0040】
本発明の例として、
【表1】

またはその塩もしくは溶媒和物が挙げられる。
【0041】
さらなる例として、
【表2】

またはその塩もしくは溶媒和物が挙げられる。
【0042】
1の実施態様において、前記の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩が提供される。
【0043】
本明細書に用いられる、「塩」なる語は、無機または有機酸または塩基から調製される本発明に記載の化合物のいずれかの塩、第四級アンモニウム塩および内部形成塩をいう。親化合物に比べてより水溶解度が大きいため、医薬上許容される塩は、特に医薬用途に適している。かかる塩は、明らかに医薬上許容されるアニオンまたはカチオンを有する必要がある。適当には、本発明の化合物の医薬上許容される塩には、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸および硫酸と、ならびに有機酸、例えば、酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、マレイン酸、コハク酸、(1R)−(−)−10−カンファースルホン酸、(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸、イソチオン酸、粘液酸、ゲンチシン酸、イソニコチン酸、糖酸、グルクロン酸、フロ酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ステアリン酸、スルフィン酸、アルギン酸、ガラクツロン酸およびアリールスルホン酸、例えば、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−1.3−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸と形成される酸付加塩が含まれる。医薬上許容されないアニオンまたはカチオンを有する塩は、医薬上許容される塩の調製および/または非治療的状況、例えば、インビトロでの使用のための有用な中間体として、本発明の範囲内にある。塩は、任意の適当な化学量論を有しうる。例えば、塩は、1:1または2:1の化学量を有しうる。非整数の化学量論的比率もまた可能である。
【0044】
式(I)の化合物の溶媒和物および式(I)の化合物の塩の溶媒和物は、本発明の範囲内に含まれる。本明細書に用いられる、「溶媒和物」なる語は、溶質(本発明の場合には、式(I)の化合物またはその塩)と溶媒によって形成される可変の化学量の複合体をいう。多数の有機化合物は、その中で反応するかまたはそれから沈殿もしくは結晶化する溶媒とかかる複合体を形成しうることが有機化学の当業者は分かるであろう。本発明のためのかかる溶媒は、溶質の生物活性を妨げないものでありうる。適当な溶媒の例として、限定するものではないが、水、メタノール、エタノールおよび酢酸が挙げられる。好ましくは、用いられる溶媒は、医薬上許容される溶媒である。適当な医薬上許容される溶媒の例として、限定されるものではないが、水、エタノールおよび酢酸が挙げられる。最も好ましくは、用いられる溶媒は水である。用いられる溶媒が水である場合、その場合、かかる溶媒和物はまた、水和物として称されうる。
【0045】
最終的な脱保護の段階前に生成されうる、式(I)の化合物のある保護誘導体は、それ自体薬理活性を有していなくてもよいが、場合によっては、経口または非経口投与され、その後、体内で代謝され、薬理学上活性である本発明の化合物を形成しうることが当業者であれば分かるであろう。したがって、かかる誘導体は、「プロドラッグ」として記載されうる。さらに、本発明のある化合物は、プロドラッグとして投与されうる。本発明のある化合物のプロドラッグ形態の例は、Drugs of Today,Volume 19,Number 9,1983,pp499−538およびTopics in Chemistry,Chapter 31,pp306−316およびH.Bundgaardによる「Design of Prodrugs」,Elsevier,1985,Chapter 1に記載されている(その文献の開示内容は、出典明示により本明細書の一部とする)。さらに、例えば、H.Bundgaardが「Design of Prodrugs」(その文献の開示内容は出典明示により本明細書の一部とされる)に記載しているように、当業者に「プロ部分」として知られている特定の部分は、そのような官能基が本発明の化合物中に存在する場合に適当な官能基上に置かれてもよいことが当業者であれば分かるであろう。本発明のある化合物のプロドラッグとして、エステル、炭酸エステル、ヘミエステル、リン酸エステル、ニトロエステル、硫酸エステル、スルホキシド、アミド、カルバミン酸塩、アゾ化合物、ホスファミド、グリコシド、エーテル、アセタールおよびケタールが挙げられる。
【0046】
以下、本発明のいずれかの態様に定義される式(I)の化合物(溶媒和または非溶媒和形態のいずれか)またはその医薬上許容される塩(溶媒和または非溶媒和形態のいずれか)もしくはプロドラッグ(化学工程における中間体化合物を除く)は、「本発明の化合物」と称される。
【0047】
式(I)の化合物は、1以上の形態において結晶化能を有しうる。これは、多形として知られる特性であり、かかる多形相(「多形体」)が式(I)の範囲内にあることは理解される。多形は、通常、温度もしくは圧力または両方の変化に対する反応として生じ、結晶化工程の変化からも生じうる。多形体は、X線回折パターン、溶解度、および融点などの当該分野にて既知の種々の物理的特性によって識別されうる。
【0048】
本明細書に記載の特定の化合物は、例えば、式(I)のRがC−Cアルキルである場合、立体異性体で存在しうる(すなわち、それらは、1個または複数の不斉炭素原子を含有しうるかあるいはシス−トランス異性を示しうる)。個々の立体異性体(エナンチオマーおよびジアステレオ異性体)およびこれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。立体異性体は、高速液体クロマトグラフィーまたは他の適当な方法によって分離されうる。化合物が単一エナンチオマーとして好ましい場合、立体特異的合成または最終生成物もしくは任意の便利な中間体の分割により得られうる。最終生成物、中間体、または出発物質の分割は、当該分野にて既知の任意の適当な方法によってもたらされうる。例えば、E.L.Eliel,S.H.Wilen,およびL.N.ManderによるStereochemistry of Organic Compounds(Wiley−Interscience,1994)を参照のこと。同様に、式(I)の化合物は、式で示されるもの以外の互変異性型で存在してもよく、これらはまた、本発明の範囲内に含まれることが理解される。
【0049】
1の実施態様において、本発明の化合物の光学的に純粋なエナンチオマーが提供される。「光学的に純粋なエナンチオマー」なる語は、該化合物が、約90重量%以上の所望の異性体、例えば、約95重量%以上の所望の異性体、および/または約99重量%以上の所望の異性体を含有する(前記重量パーセントは、化合物の異性体(複数)の総重量に基づく)ことを意味する。
【0050】
一般式(I)の化合物は、以下の合成スキームによって一部記載の有機合成の分野にて既知の方法によって調製されうる。下記の全てのスキームにおいて、感受性基または反応基の保護基は、必要に応じて、化学の原則にしたがって用いられることが十分に理解されることも認められる。保護基は、有機合成の一般的方法にしたがって操作される(T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts(1991) Protecting Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons)。これらの基は、当業者が容易に想到する方法を用いて化合物合成の都合のよい段階で除去される。方法の選択ならびに反応条件およびその実行の指示は、式(I)の化合物の調製と一致すべきである。
【0051】
前記の式(I)の化合物の調製のための典型的な反応経路を以下に示す:
【0052】
式(I)の化合物は、スキーム1に示されるように、適当な不活性溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド中で式(II)の化合物を塩基、例えば、水素化ナトリウムと反応させ、次いで、式(III)の化合物(式中:Lは、脱離基、例えば、クロロまたはブロモである)で処理することによって調製されうる。
【化6】

【0053】
式(III)の化合物は、標準的方法によって、例えば、スキーム2A(X=−CR20C(O)−)および2B(X=−CHC(O)NH−)に示されるように調製されうる。
【0054】
例えば、式(VA)のアミドは、不活性溶媒、例えば、テトラヒドロフラン中で適当な有機金属試薬、例えば、臭化メチルマグネシウムまたは臭化エチルマグネシウムと反応させ、式(IIIA)の化合物(例えば、式中:Lはハロゲンである)に変換されうるアセトフェノン(IVA)を得てもよく、アセトフェノン(IVA)を、溶媒、例えば、酢酸中で所望により水性臭化水素の存在下において、例えば、臭素でハロゲン化し、式(IIIA)の化合物を得ることができる。
【化7】

【0055】
あるいは、式(XVI)のアニリンは、不活性溶媒、例えば、ジオキサン中で式(XVII)のハロゲン化ハロアセチル(式中:XおよびX’はハロゲンである)、例えば、塩化クロロアセチルまたは塩化ブロモアセチルと合し、加熱し、式(IIIB)の化合物を得てもよい。
【化8】

【0056】
式(II)の化合物は、例えば、スキーム3に示されるように、常温または高温、好ましくは常温で不活性溶媒、例えば、テトラヒドロフラン中にて三塩化アルミニウムと合した酸化剤、例えば、水素化アルミニウムリチウムを用いて式(V)の化合物を還元させることによって調製されうる。
【化9】

【0057】
式(V)の化合物は、スキーム4に示されるように、常温以下、常温または高温、例えば、還流温度で水性テトラヒドロフラン中にて尿素エステル(VI)(メチルエステルとして示されるが、都合のよいことには、いずれかのC−Cアルキルエステルでありうる)を塩基、例えば、水酸化リチウムで処理することによって調製されうる。
【化10】

【0058】
式(VI)の尿素エステルは、スキーム5のように、対応するアミノエステル(VII)から、例えば、2工程で調製されうる。
【化11】

【0059】
工程(i)、好ましくは常温で塩基、例えば、トリエチルアミンの存在下において、不活性溶媒、例えば、ジクロロメタンまたはトルエン中でアミノエステル(VII)を、例えば、トリホスゲンまたはホスゲンで処理し、イソシアネート(VIII)を得る。工程(ii)、イソシアネート(VIII)を適当な置換アニリン(IX)で処理し、式(VI)の必須尿素エステルを得る。
【0060】
式(II)の化合物はまた、スキーム6に示されるように、式(Ib)の化合物に変換されうる。
【化12】

[R、R、R、R、R、R、R、R、R21およびmは、式(I)の化合物の記載と同義である]
【0061】
式(X)の化合物は、工程(iii)、例えば、必要に応じて室温または高温で、適当な不活性溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド中で塩基、例えば、水素化ナトリウムまたは炭酸カリウムの存在下において、適当なハロエステルと反応させることによって、式(II)の化合物から標準的方法を用いて調製されうる。
【0062】
式(XI)の酸を得るための式(X)の化合物からのエステル基Rの除去、工程(iv)は、既知の方法によって、例えば、必要に応じて加熱の有無に関わらず、不活性溶媒、例えば、水性メタノールまたは水性エタノール中での塩基、例えば、水酸化ナトリウムの使用によって達成されうる。
【0063】
式(XI)の化合物は、工程(v)、種々の当該分野にて既知の方法を用いて式(XVI)のアニリンと反応させることによって式(I)の化合物に変換されうる。例えば、アシル化工程(v)は、カップリング試薬、例えば、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、またはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HATU)などのジイミド試薬の存在下において、不活性溶媒、例えば、ジクロロメタン中で酸(XI)を式(XVI)のアニリンと反応させることによって達成されうる。あるいは、式(XI)の化合物は、式(XII):
【化13】

[式中:R、R、R、R21およびmは式(I)の記載と同義であり、Lは適当な脱離基を示す]
で示される化合物に変換される。脱離基の例として、ハロゲン、OC(=O)アルキル、OC(=O)O−アルキルおよびOSOMeが挙げられる。Lはハロゲンであってもよく、工程(vi)のアシル化は、塩基、例えば、トリエチルアミンの存在下において、不活性溶媒、例えば、ジクロロメタン中で行われてもよい。
【0064】
式(II)の化合物を調製するためのさらなるアプローチがスキーム7にて説明される。
US 3,258,489(1966)に記載の方法にしたがって調製されうる式(XIII)の化合物は、式(XIV)の化合物を得るために、例えば、常温で酸、例えば、酢酸中で適当な還元剤、例えば、亜鉛末で処理されうる。塩基、例えば、トリエチルアミンの存在下において、溶媒、例えば、トルエンもしくはテトラヒドロフランまたは好ましくは、これらの溶媒の混合液中で式(XIV)の化合物を試薬、例えば、ホスゲンで処理し、式(II)の化合物を得る。
【化14】

【0065】
あるいは、式(II)の化合物は、好ましくは塩基、例えば、炭酸ナトリウムの存在下において、不活性溶媒、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフランまたはジメチルスルホキシド中で式(VII)の化合物(メチルエステルとして示されるが、都合のよいことには、いずれかのC−Cアルキルエステルでありうる)を式(XV)のイソシアネートで処理することによって、スキーム8にしたがっておよびTetrahedron Lett.2005.46.85558558に記載されるように調製されうる。該反応は、常温および高温を含む、温度範囲で行われてもよい。
【化15】

【0066】
基を別のR基に変換することはスキームの範囲内であり、基R、R、R、R、R、R、R、R、R21についても同様である。
【0067】
本発明の化合物は、以下のアッセイによって測定されるように、GlyT1トランスポーターを阻害する。したがって、かかる化合物は、特定の神経学的および神経精神病学的障害の治療に有用な可能性がある。化合物は、GlyT2トランスポーターよりGlyT1トランスポーターを選択的に阻害しうる。本発明のいくつかの化合物は、混合型GlyT1/GlyT2活性を有しうる。
【0068】
GlyT1トランスポーターに対する本発明の化合物のアフィニティーは、以下のアッセイによって測定されうる。本明細書に用いられるアッセイにおいて、本発明の化合物は、必ずしも上記の同一群からのものではなかった。1の群で製造された試験化合物は、アッセイ(複数)についての他の群(複数)と組み合わせていてもよい。
【0069】
グリシン(1型)トランスポーターを発現するHEK293細胞を、5%CO中37℃にて細胞培地[2mMのL−グルタミン、0.8mg/mLのG418および10%熱不活化ウシ胎仔血清を含有するDMEM/NUTミックスF12]中で増殖させた。T175フラスコ中、70−80%集密度になるまで増殖させた細胞を採取し、アッセイバッファー[140mMのNaCl、5.4mMのKCl、1.8mMのCaCl、0.8mMのMgSO、20mMのHEPES、5mMのグルコースおよび5mMのアラニン、pH7.4]中に4x10細胞/mLで再懸濁した。化合物を、各化合物を有する2.5mMの最大濃度からDMSOで2.5倍連続希釈し、11のデータ点の用量−反応を得た。各濃度の100nLの化合物を、アッセイプレートに加えた。等容量のLeadseeker(登録商標)WGA SPAビーズ(アッセイバッファー中で懸濁された12.5mg/ml)を細胞懸濁液に加え、5μLの細胞/ビーズ懸濁液を、100nLの試験化合物を含有する384ウェル白色ソリッドボトムプレートの各ウェルに移した(1,000細胞/ウェル)。基質(5μL)を各ウェル[2.5μMグリシンを含有するアッセイバッファー中の[H]−グリシンストックの1:100希釈液)に加えた。最終DMSO濃度は、1v/v%であった。データを、Perkin Elmer Viewluxを用いて収集した。pIC50値を、ActivityBaseを用いて決定した。
【0070】
5.0以上のpIC50、有利なことには、GlyT1トランスポーターで6.0以上のpIC50を有するならば、化合物は、GlyT1トランスポーターで活性を有すると考えられる。
【0071】
本明細書に用いられる、「GlyT1によって媒介される障害」なる語は、GlyT1トランスポーターの活性を変化させる医薬の投与によって治療されうる障害をいう。本明細書でいわれるGlyT1によって媒介される障害には、精神病、例えば、統合失調症、認知症および認知障害の他の形態、例えば、注意力欠如障害および器質脳症候群を含む、神経学的および神経精神病学的障害が含まれる。他の神経精神病的障害には、薬物性(フェンシクリジン、ケタミンおよび他の解離性麻酔薬、アンフェタミンおよび他の精神刺激薬およびコカイン)精神病、情動障害に付随する精神病、短期反応精神病、統合失調性精神病、および精神病NOS、「統合失調症スペクトル」障害、例えば、分裂病質または統合失調症性人格障害、または精神病に付随する疾患(例えば、大うつ病、躁うつ病(双極性)障害、アルツハイマー病および心的外傷後ストレス症候群)、ならびにNMDA受容体関連障害、例えば、自閉症、うつ病、良性健忘症、小児学習障害および閉鎖性頭部外傷が含まれる。他の障害には、パーキンソン病、ジスキネジア障害、認識機能障害、嘔吐、運動障害、健忘症、概日リズム障害、攻撃性および眩暈が含まれる。
【0072】
1の実施態様において、前述の使用または方法によって治療すべきGlyT1によって媒介される障害は、統合失調症、認知症および注意力欠如障害を含む、精神病である。1の実施態様において、障害は統合失調症である。
【0073】
本明細書に用いられる、「有効量」なる語は、例えば、研究者または臨床医によって探索されている、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的反応を引き起こすであろう薬物または治療剤の量を意味する。
【0074】
本発明の文脈中において、本明細書で用いられる用語は、アメリカ精神病医学会(the American Psychiatric Association)によって出版された精神障害の診断および統計学的マニュアル(the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)第4版(DSM−IV)および/または国際疾患分類(the International Classification of Diseases)第10版(ICD−10)において分類される。本明細書中に挙げられた障害の種々のサブタイプは、本発明の一部として意図される。以下に列挙した疾患の後ろの括弧内の数字は、DSM−IVにおける分類コードを示す。
【0075】
特に、本発明の化合物は、妄想型(295.30)、解体型(295.10)、緊張型(295.20)、未分化型(Undifferentiated Type)(295.90)および残遺型(295.60)サブタイプを含む統合失調症;統合失調症様障害(295.40);双極型およびうつ型サブタイプを含む分裂情動障害(295.70);色情妄想型、誇大妄想型、嫉妬妄想型、被害妄想型、身体妄想型、混合型および鑑別不能型サブタイプを含む妄想性障害(297.1);短期精神病性障害(298.8);共有精神病性障害(297.3);妄想および幻覚を伴うサブタイプを含む一般身体疾患によらない精神病性障害;妄想(293.81)および幻覚(293.82)を伴うサブタイプを含む物質誘発性精神病性障害;および特定不能の精神病性障害(298.9)の治療に有用でありうる。
【0076】
本発明の化合物はまた、大うつ病エピソード、躁病エピソード、混合型エピソードおよび軽躁病エピソードを含む気分障害;大うつ病性障害、胸腺異常症(300.4)、特定不能のうつ病性障害(311)を含むうつ病性障害;双極性I障害、双極性II障害(軽躁病エピソードを伴う再発性大うつ病エピソード)(296.89)、循環病(301.13)および特定不能の双極性障害(296.80)を含む双極性障害;(うつ病の特徴、大うつ病様エピソード、躁病の特徴および混合型の特徴を有するサブタイプを含む)全身病状による気分障害(293.83)、物質誘発性気分障害(うつ病の特徴、大うつ様エピソード、躁病の特徴および混合型の特徴を有するサブタイプを含む)および特定不能の気分障害(296.90)を含む他の気分障害の治療に有用でありうる。
【0077】
本発明の化合物はまた、パニック発作、広場恐怖症、パニック障害、パニック障害の既往歴がない広場恐怖症(300.22)、動物型、自然環境型、血液−注射−外傷型、状況型および他のサブタイプを含む特異性恐怖症(300.29)、社会的恐怖症(300.23)、強迫性障害(300.3)、心的外傷後ストレス障害(309.81)、急性ストレス障害(308.3)、全般性不安障害(300.02)、一般身体疾患による不安障害(293.84)、物質誘発性不安障害および特定不能の不安障害(300.00)を含む不安障害の治療に有用でありうる。
【0078】
本発明の化合物はまた、物質依存症および物質乱用などの物質使用障害;物質中毒、物質禁断症状、物質誘発性せん妄、物質誘発性持続性認知症、物質誘発性持続性健忘障害、物質誘発性精神病性障害、物質誘発性気分障害、物質誘発性不安障害、物質誘発性性機能障害、物質誘発性睡眠障害および幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)などの物質誘発性障害;アルコール依存症(303.90)、アルコール乱用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール禁断症状(291.81)、アルコール中毒せん妄、アルコール離脱せん妄、アルコール誘発性持続性認知症、アルコール誘発性持続性健忘障害、アルコール誘発性精神病性障害、アルコール誘発性気分障害、アルコール誘発性不安障害、アルコール誘発性性機能障害、アルコール誘発性睡眠障害および特定不能のアルコール関連障害(291.9)などのアルコール関連障害;アンフェタミン依存症(304.40)、アンフェタミン乱用(305.70)、アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン禁断症状(292.0)、アンフェタミン中毒せん妄、アンフェタミン誘発性精神病性障害、アンフェタミン誘発性気分障害、アンフェタミン誘発性不安障害、アンフェタミン誘発性性機能障害、アンフェタミン誘発性睡眠障害および特定不能のアンフェタミン関連障害(292.9)などのアンフェタミン(またはアンフェタミン様)関連障害;カフェイン中毒(305.90)、カフェイン誘発性不安障害、カフェイン誘発性睡眠障害および特定不能のカフェイン関連障害(292.9)などのカフェイン関連障害;大麻依存症(304.30)、大麻乱用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒せん妄、大麻誘発性精神病性障害、大麻誘発性不安障害および特定不能の大麻関連障害(292.9)などの大麻関連障害;コカイン依存症(304.20)、コカイン乱用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン禁断症状(292.0)、コカイン中毒せん妄、コカイン誘発性精神病性障害、コカイン誘発性気分障害、コカイン誘発性不安障害、コカイン誘発性性機能障害、コカイン誘発性睡眠障害および特定不能のコカイン関連障害(292.9)などのコカイン関連障害;幻覚剤依存症(304.50)、幻覚剤乱用(305.30)、幻覚剤中毒(292.89)、幻覚剤持続性知覚障害(フラッシュバック)(292.89)、幻覚剤中毒せん妄、幻覚剤誘発性精神病性障害、幻覚剤誘発性気分障害、幻覚剤誘発性不安障害および特定不能の幻覚剤関連障害(292.9)などの幻覚剤関連障害;吸入剤依存症(304.60)、吸入剤乱用(305.90)、吸入剤中毒(292.89)、吸入剤中毒せん妄、吸入剤誘発性持続性認知症、吸入剤誘発性精神病性障害、吸入剤誘発性気分障害、吸入剤誘発性不安障害および特定不能の吸入剤関連障害(292.9)などの吸入剤関連障害;ニコチン依存症(305.1)、ニコチン禁断症状(292.0)および特定不能のニコチン関連障害(292.9)などのニコチン関連障害;オピオイド依存症(304.00)、オピオイド乱用(305.50)、オピオイド中毒(292.89)、オピオイド禁断症状(292.0)、オピオイド中毒せん妄、オピオイド誘発性精神病性障害、オピオイド誘発性気分障害、オピオイド誘発性性機能障害、オピオイド誘発性睡眠障害および特定不能のオピオイド関連障害(292.9)などのオピオイド関連障害;フェンシクリジン依存症(304.60)、フェンシクリジン乱用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒せん妄、フェンシクリジン誘発性精神病性障害、フェンシクリジン誘発性気分障害、フェンシクリジン誘発性不安障害および特定不能のフェンシクリジン関連障害(292.9)などのフェンシクリジン(またはフェンシクリジン様)関連障害;鎮静剤、催眠剤、または抗不安剤依存症(304.10)、鎮静剤、催眠剤、または抗不安剤乱用(305.40)、鎮静剤、催眠剤、または抗不安剤中毒(292.89)、鎮静剤、催眠剤、または抗不安剤禁断症状(292.0)、鎮静剤、催眠剤、または抗不安剤中毒せん妄、鎮静剤、催眠剤、または抗不安薬剤脱せん妄、鎮静剤、催眠剤、または抗不安剤持続性認知症、鎮静剤、催眠剤、または抗不安剤持続性健忘障害、鎮静剤、催眠剤、または抗不安剤誘発性精神病性障害、鎮静剤、催眠剤、または抗不安剤誘発性気分障害、鎮静剤、催眠剤、または抗不安剤誘発性不安障害、鎮静剤、催眠剤、または抗不安剤誘発性性機能障害、鎮静剤、催眠剤、または抗不安剤誘発性睡眠障害および特定不能の鎮静剤、催眠剤、または抗不安剤関連障害(292.9)などの鎮静剤、催眠剤、または抗不安剤関連障害;多物質依存症(304.80)などの多物質関連障害;ならびにタンパク同化ステロイド、硝酸系吸入剤および二酸化窒素などの他の(または不明の)物質関連障害を含む物質関連障害の治療に有用でありうる。
【0079】
本発明の化合物はまた、睡眠異常、例えば、一次性不眠症(307.42)、一次性過眠症(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連の睡眠障害(780.59)、概日リズム睡眠障害(307.45)および特定不能の睡眠異常(307.47)などの一次性睡眠障害;睡眠時随伴症、例えば、悪夢障害(307.47)、睡眠恐怖障害(307.46)、睡眠時遊行症(307.46)および特定不能の睡眠時随伴症(307.47)などの一次性睡眠障害;別の精神障害に関連する不眠症(307.42)および別の精神障害に関連する過眠症(307.44)などの別の精神障害に関連する睡眠障害;全身病状による睡眠障害;ならびに不眠型、過眠型、睡眠時随伴型および混合型サブタイプを含む物質誘発性睡眠障害を含む睡眠障害の治療に有用でありうる。
【0080】
本発明の化合物はまた、制限型および過食/排泄型サブタイプを含む神経性食欲不振症(307.1);排泄型および非排泄型サブタイプを含む神経性過食症(307.51);肥満;強迫性摂食障害;ならびに特定不能の摂食障害(307.50)などの摂食障害の治療に有用でありうる。
【0081】
本発明はまた、自閉性障害(299.00);注意力欠如/多動性障害混合型(314.01)、注意力欠如/多動性障害不注意優位型(314.00)、注意力欠如/多動性障害多動−衝動性優位型(314.01)および特定不能の注意力欠如/多動性障害(314.9)サブタイプを含む注意力欠如/多動性障害;多動性障害;小児期発症型(321.81)、青年期発症型(312.82)および発症年齢特定不能(312.89)サブタイプを含む行為障害、反抗的行為障害(313.81)ならびに特定不能の破壊的行動障害などの破壊的行動障害;ならびにトゥレット障害(307.23)などのチック障害の治療に有用でありうる。
【0082】
本発明の化合物はまた、妄想性人格障害(301.0)、分裂病質人格障害(301.20)、統合失調症性人格障害(301,22)、反社会的人格障害(301.7)、境界型人格障害(301,83)、演技性人格障害(301.50)、自己愛性人格障害(301,81)、回避性人格障害(301.82)、依存的人格障害(301.6)、強迫性人格障害(301.4)および特定不能の人格障害(301.9)サブタイプを含む人格障害の治療に有用でありうる。
【0083】
本発明の化合物はまた、認識機能障害の治療に有用でありうる。本発明の文脈中において、認識機能障害なる語には、例えば、注意力、適応力、学習障害、記憶(すなわち、記憶障害、健忘、記憶喪失障害、一過性全健忘症候群および加齢に伴う記憶障害)および言語機能を含む認識機能の障害;卒中、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、エイズに伴う認知症または他の認知症状態、例えば、多発脳梗塞性認知症、アルコール性認知症、甲状腺機能低下関連痴呆、ならびに小脳萎縮症および筋萎縮性側索硬化症などの他の変性障害に付随する認知症の結果としての認知障害;認識低下を引き起こしうる他の急性または亜急性病態、例えば、外傷性せん妄またはうつ病(偽認知症状態)、頭部外傷、加齢に伴う認識低下、卒中、神経変性、薬剤誘発性状態、神経毒性物質、軽度認知障害、加齢に伴う認知障害、自閉症に伴う認知障害、ダウン症候群、精神病に関連する認知障害、および電気ショック治療後関連認知障害;ならびに運動異常障害、例えば、パーキンソン病、神経遮断薬誘発性パーキンソニズム、および遅発性ジスキネジアの治療が含まれる。
【0084】
本発明の化合物はまた、他の疾患、例えば、統合失調症、双極性障害、うつ病、他の精神病性障害および認識機能障害に付随する精神病性状態に関してまたはその結果として生じる認識機能障害の治療に有用でありうる。
【0085】
本発明の化合物はまた、性的欲求障害(302.71)、および性嫌悪障害(302.79)などの性的欲求障害;女性の性的興奮障害(302.72)および男性の勃起障害(302.72)などの性的興奮障害;女性のオルガスム障害(302.73)、男性のオルガスム障害(302.74)および早漏(302.75)などのオルガスム障害;性交疼痛症(302.76)および膣痙(306.51)などの性的疼痛障害;特定不能の性機能障害(302.70);露出症(302.4)、フェティシズム(302.81)、痴漢症(302.89)、小児愛(302.2)、性的マゾヒズム(302.83)、性的サディズム(302.84)、服装倒錯性フェティシズム(302.3)、のぞき癖(302.82)および特定不能の性欲倒錯(302.9)などの性欲倒錯;小児の性同一性障害(302.6)および青年または成人の性同一性障害(302.85)などの性同一性障害;ならびに特定不能の性的障害(302.9)を含む性機能障害の治療に有用でありうる。
【0086】
本発明の化合物はまた、抗けいれん薬として有用でありうる。したがって、本発明の化合物は、哺乳動物の痙攣、特に、ヒトのてんかんの治療に有用である。「てんかん」は、以下の発作:単純部分発作、複雑部分発作、続発性全身発作、欠伸発作、ミオクローヌス発作、間代発作、強直発作、強直間代発作および無緊張発作を含む全身発作を含むことを意図とする。本発明はまた、痙攣の治療方法であって、有効量の前述の本発明の化合物またはその塩をそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。てんかんの治療は、非毒性抗けいれん有効量の本発明の化合物またはその塩の投与によって実施されうる。
【0087】
本発明の化合物はまた、神経因性疼痛、例えば、糖尿病性神経障害、坐骨神経痛、非特異的腰痛、多発性硬化症による疼痛、線維筋痛、HIV関連神経障害、ヘルペス後神経痛および三叉神経痛などの神経痛ならびに身体外傷、切断術、癌、毒素または慢性炎症性疾患がもたらす疼痛の治療に有用でありうる。
【0088】
本明細書に用いられる、「治療」および「治療すること」なる語は、既存の症状の緩和および/または治癒ならびに予防をいう。
【0089】
したがって、本発明は、療法に用いる式(I)の化合物またはその塩を提供する。
【0090】
本発明はまた、GlyT1によって障害の治療に用いる式(I)の化合物またはその塩を提供する。
【0091】
本発明のさらなる態様において、GlyT1によって媒介される障害の治療方法であって、式(I)の化合物またはその塩を投与することを含む方法が提供される。
【0092】
本発明のさらなる態様において、GlyT1によって媒介される障害の治療に用いるための医薬の製造における式(I)の化合物またはその塩の使用が提供される。
【0093】
療法に本発明の化合物を用いるためには、通常、標準的調剤実務にしたがって医薬組成物中に処方されるであろう。本発明はまた、式(I)の化合物またはその塩および少なくとも1種の医薬上許容される賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0094】
さらなる態様において、本発明は、医薬組成物の調製方法であって、式(I)の化合物またはその塩および少なくとも1種の医薬上許容される賦形剤を混合することを含む方法を提供する。
【0095】
本発明の医薬組成物は、通常、経口、舌下、口腔、非経口(例えば、皮下、筋肉内または静脈内)、直腸、局所および鼻腔内投与に適しており、(口または鼻のいずれかを介する)吸入または吹き込みによる投与に適当な形態である。特定の患者に最も適当な投与方法は、治療を受けている病態の特性および重篤度ならびに活性化合物の特性によるであろう。1の実施態様において、経口投与が提供される。
【0096】
経口投与に適当な組成物は、各々が所定量の活性化合物を含有する個々の単位、例えば、錠剤、カプセル、カシェまたはロゼンジとして;粉末または顆粒として;水性または非水性液体中溶液または懸濁液として;あるいは水中油型または油中水型エマルジョンとして提供されうる。
【0097】
舌下または口腔投与に適当な組成物には、活性化合物、および典型的には、風味付けした基剤、例えば、砂糖およびアラビアゴムまたはトラガカントゴムを含むロゼンジ、ならびに不活性基剤、例えば、ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアラビアゴム中に活性化合物を含むトローチが含まれる。
【0098】
非経口投与に適当な組成物は、典型的には、所定濃度の活性化合物を含有する滅菌水性溶液を含む;該溶液は、対象レシピエントの血液と等張であってもよい。かかる溶液は、静脈内投与されるかあるいは皮下または筋内注射によって投与されてもよい。
【0099】
直腸投与に適当な組成物は、活性成分および坐剤基剤、例えば、ココアバターを形成する1種または複数の固形担体含む単位投与量の坐剤として提供されうる。
【0100】
局所または鼻腔内用途に適当な組成物には、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾルおよび油脂が含まれる。かかる組成物に適当な担体には、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、およびその組み合わせが含まれる。
【0101】
本発明の組成物は、いずれかの適当な方法によって、典型的には、活性化合物(複数)を液体または微粉固形担体あるいはその両方と、必要な割合で一様によく混合し、次いで、必要に応じ、得られた混合物を所望の形状に成形することによって調製されうる。
【0102】
例えば、錠剤は、活性成分の粉末または顆粒および1種または複数の所望の成分、例えば、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤または表面活性分散剤を含むよく混ざった混合物を圧縮することによって、または粉末状の活性成分および不活性液体希釈剤のよく混ざった混合物を成形することによって調製されうる。
【0103】
非経口投与用の水性溶液は、典型的には、活性化合物を十分な水で溶解して、所望の濃度を得、次いで、得られた溶液を滅菌および等張にすることによって調製される。
【0104】
正確な投与量が、患者の年齢および状態ならびに投与頻度および経路によって決まり、かかりつけ医の最終的な判断によるものであることは明らかであろう。該化合物は、単回投与量または分割投与量で投与されてもよく、1回または複数回、例えば、1日に1〜4回投与されてもよい。
【0105】
統合失調症を含む、GlyT1阻害薬によって媒介される神経学的および神経精神病学的障害の治療のための(体重約70kgの)ヒトへの経口、舌下、非経口、口腔、直腸、経鼻または局所投与のための本発明に記載の用途のための活性成分の提案された投与量は、約0.1〜約1000mg、例えば、約0.5mg〜約1000mg、または約1mg〜約1000mg、または約5mg〜約500mg、または約10mg〜100mgであってもよく、例えば、1〜4回/日投与されうる。
【0106】
式(I)の化合物またはその塩はまた、他の治療薬、例えば、定型および非定型抗精神病薬との組み合わせに適当でありうる。したがって、本発明はまた、
i)式(I)の化合物と1種または複数の抗精神病薬などの1種または複数のさらなる治療薬を含む組み合わせ;
ii)上記のi)に記載の組み合わせ生成物および少なくとも1種の担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物;
iii)哺乳動物のグルタミン酸受容体機能の低下または不均衡によって生じる疾患または病態を治療または予防するための医薬の製造における上記i)に記載の組み合わせの使用;
iv)哺乳動物のグルタミン酸受容体の低下または不均衡によって生じる疾患または病態の治療または予防に用いる上記i)に記載の組み合わせ;
v)本発明の化合物および同時治療的投与のための抗精神病薬を各々含む1種または複数のさらなる剤形を含む第1剤形を含む精神病性障害の治療に用いるためのキット・オブ・パーツ;
vi)療法に用いる上記i)に記載の組み合わせ;
vii)哺乳動物のグルタミン酸受容体機能の低下または不均衡によって生じる疾患または病態の治療または予防方法であって、有効量の上記i)に記載の組み合わせを投与することを含む、方法を提供する。
【0107】
本発明の組み合わせ療法は、併用投与されてもよい。併用投与とは、別々の医薬組成物またはデバイスの形態における各成分の同一または重複投与を意味する。2種または複数の治療薬の治療的投与の該投与計画は、一般的に、補助治療的投与として当業者および本明細書によって称される;アドオン(add−on)治療的投与としても知られている。患者が、式(I)の化合物またはその塩および少なくとも1種の抗精神病薬を別々ではなく同一または重複の治療的投与を受ける、あらゆる治療計画は、本発明の範囲内にある。本明細書に記載の補助治療的投与の1の実施態様において、患者は、典型的には、一定期間に1種または複数の成分の治療的投与で安定化し、次いで、別の成分の投与を受ける。本発明の範囲内では、式(I)の化合物またはその塩は、少なくとも1種の抗精神病薬の投与を受けている患者に対する併用治療的処置として投与されうるが、本発明の範囲にはまた、式(I)の化合物またはその塩の投与を受けている患者に対する少なくとも1種の抗精神病薬の補助治療的投与が含まれる。
【0108】
本発明の組み合わせ療法はまた、同時に投与してもよい。同時投与には、同時に投与される、両方の成分を含むかまたは含有する単一の医薬組成物またはデバイスの形態において、あるいは各々が成分の1つを含む別々の組成物またはデバイスとして、個々の成分が一緒に投与される投与計画を意味する。同時組み合わせのための別々の個々の成分のかかる組み合わせは、キット・オブ・パーツの形態で提供されてもよい。
【0109】
したがって、さらなる態様において、本発明は、少なくとも1種の抗精神病薬の治療的投与を受けている患者に対し式(I)の化合物またはその塩の補助治療的投与による精神病性障害の治療方法を提供する。さらなる態様において、本発明は、少なくとも1種の抗精神病薬の治療的投与を受けている患者における精神病性障害の治療のための補助治療的投与のための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。さらに、本発明は、少なくとも1種の抗精神病薬の治療的投与を受けている患者における精神病性障害の治療のための補助治療的投与に用いるための式(I)の化合物またはその塩を提供する。
【0110】
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその塩の治療的投与を受けている患者への少なくとも1種の抗精神病薬の補助治療的投与による精神病性障害の治療方法を提供する。さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその塩の治療的投与を受けている患者における精神病性障害の治療のための補助治療的投与のための医薬の製造における、少なくとも1種の抗精神病薬の使用を提供する。さらに、本発明は、式(I)の化合物またはその塩の治療的投与を受けている患者における精神病性障害の治療のための補助治療的投与のための少なくとも1種の抗精神病薬を提供する。
【0111】
さらなる態様において、本発明は、少なくとも1種の抗精神病薬と組み合わせて式(I)の化合物またはその塩の同時治療的投与による精神病性障害の治療方法を提供する。さらに、本発明は、精神病性障害の治療における同時治療的投与のための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその塩および少なくとも1種の抗精神病薬の組み合わせの使用を提供する。さらに、本発明は、精神病性障害の治療における少なくとも1種の抗精神病薬との同時治療的投与のための医薬の製造における、式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。さらに、本発明は、精神病性障害の治療における少なくとも1種の抗精神病薬との同時治療的投与に用いる式(I)の化合物またはその塩を提供する。さらに、本発明は、精神病性障害の治療における式(I)の化合物またはその塩との同時治療的投与のための医薬の製造における、少なくとも1種の抗精神病薬の使用を提供する。
【0112】
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその塩および少なくとも1種の気分安定剤または抗躁剤を含む医薬組成物の同時治療的投与による精神病性障害の治療方法、式(I)の化合物またはその塩および少なくとも1種の気分安定剤または抗躁剤を含む医薬組成物、精神病性障害の治療のための医薬の製造における式(I)の化合物またはその塩および少なくとも1種の気分安定剤または抗躁剤を含む医薬組成物の使用、ならびに精神病性障害の治療に用いる式(I)の化合物またはその塩および少なくとも1種の気分安定剤または抗躁剤を含む医薬組成物を提供する。
【0113】
本発明に有用な抗精神病薬の例として、限定されるものではないが、ハロペリドール、ピモジド、およびドロペリドールなどのブチロフェノン系;クロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、ペルフェナジン、フルフェナジン、チフルプロマジン(thiflupromazine)、プロクロルペラジン、およびアセトフェナジンなどのフェノチアジン系;チオチキセンおよびクロルプロチキセンなどのチオキサンテン系;チエノベンゾジアゼピン系;ジベンゾジアゼピン系;ベンズイソキサゾール系;ジベンゾチアゼピン系;イミダゾリジノン系;ベンズイソチアゾリルピペラジン系;ラモトリジンなどのトリアジン系;ロキサピンなどのジベンゾオキサゼピン系;モリンドンなどのジヒドロインドロン系;アリピプラゾール;および抗精神病活性を有するその誘導体が挙げられる。
【0114】
選択される抗精神病薬の商標名および供給業者の例は、以下のとおりである:クロザピン(商標名CLOZARIL(登録商標)で、Mylan,ZenithGoldline,UDL,Novartisから入手可能);オランザピン(商標名ZYPREX(登録商標)で、Lillyから入手可能);ジプラシドン(商標名GEODON(登録商標)で、Pfizerから入手可能);リスペリドン(商標名RISPERDAL(登録商標)で、Janssenから入手可能);フマル酸クエチアピン(商標名SEROQUEL(登録商標)で、AstraZenecaから入手可能);ハロペリドール(商標名HALDOL(登録商標)で、Ortho−McNeilから入手可能);クロルプロマジン(商標名THORAZINE(登録商標)で、SmithKline Beecham(GSK)から入手可能);フルフェナジン(商標名PROLIXIN(登録商標)で、Apothecon,Copley,Schering,Teva,およびAmerican Pharmaceutical Partners,Pasadenaから入手可能);チオチキセン(商標名NAVANE(登録商標)で、Pfizerから入手可能);トリフルオペラジン(10−[3−(4−メチル−1−ピペラジニル)プロピル]−2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン 二塩酸塩、商標名STELAZINE(登録商標)で、Smith Klein Beckmanから入手可能);ペルフェナジン(商標名TRILAFON(登録商標)で、Scheringから入手可能);チオリダジン(商標名MELLARIL(登録商標)で、Novartis,Roxane,HiTech,Teva,およびAlpharmaから入手可能);モリンドン(商標名MOBAN(登録商標)で、Endoから入手可能);およびロキサピン(商標名LOXITANE(登録商標)で、Watsonから入手可能)。さらに、ベンペリドール(Glianimon(登録商標))、ペラジン(Taxilan(登録商標))またはメルペロン(Eunerpan(登録商標))を用いてもよい。他の抗精神病薬には、プロマジン(商標名SPARINE(登録商標)で入手可能)、トリフルロプロマジン(商標名VESPRIN(登録商標)で入手可能)、クロルプロチキセン(商標名TARACTAN(登録商標)で入手可能)、ドロペリドール(商標名INAPSINE(登録商標)で入手可能)、アセトフェナジン(商標名TINDAL(登録商標)で入手可能)、プロクロルペラジン(商標名COMPAZINE(登録商標)で入手可能)、メトトリメプラジン(商標名NOZINAN(登録商標)で入手可能)、ピポチアジン(商標名PIPOTRIL(登録商標)で入手可能)、ジプラシドン、およびホペリドンが含まれる。
【0115】
有利には、本発明に記載の化合物が、1種または複数の他の治療剤、例えば、5HT3アンタゴニスト、セロトニンアゴニスト、NK−1アンタゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、三環系抗うつ薬、ドーパミン作動性抗うつ薬、H3アンタゴニスト、5HT1Aアンタゴニスト、5HT1Bアンタゴニスト、5HT1Dアンタゴニスト、D1アゴニスト、M1アゴニストおよび/または抗けいれん薬、ならびに向知性薬などの抗うつ薬と併用して用いられうることは当業者であれば分かるであろう。
【0116】
本発明の化合物と組み合わせて用いてもよい適当な5HT3アンタゴニストには、例えば、オンダンセトロン、グラニセトロン、メトクロプラミドが含まれる。
【0117】
本発明の化合物と組み合わせて用いてもよい適当なセロトニンアゴニストには、スマトリプタン、ラウオルシン、ヨヒンビン、メトクロプラミドが含まれる。
【0118】
本発明の化合物と組み合わせて用いてもよい適当なSSRIには、フルオキセチン、シタロプラム、フェモキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、インダルピン、セルトラリン、ジメルジンが含まれる。
【0119】
本発明の化合物と組み合わせて用いてもよい適当なSNRIには、ベンラファキシンおよびレボキセチンが含まれる。
【0120】
本発明の化合物と組み合わせて用いてもよい適当な三環系抗うつ薬には、イミプラミン、アミトリプチリン、クロミプラミンおよびノルトリプチリンが含まれる。
【0121】
本発明の化合物と組み合わせて用いてもよい適当なドーパミン作動性抗うつ薬には、ブプロピオンおよびアミネプチンが含まれる。
【0122】
本発明の化合物と組み合わせて用いてもよい適当な抗けいれん薬には、例えば、ジバルプロエクス、カルバマゼピンおよびジアゼパムが含まれる。
【0123】
本発明の化合物は、標準的化学を含む、種々の方法によって製造されうる。任意の前記の変数は、特に明記しない限り、前記の意味を持ち続けるであろう。具体的な一般合成法は以下に記載され、次いで、本発明の特定の化合物は、実施例にて調製される。
【0124】
式(I)の化合物は、標準的方法を用いて式(I)のさらなる化合物に変換されうる。塩は、以下の非限定的な実施例にしたがって適当な酸または酸誘導体との反応により従来法で調製されうる。
【0125】
出発物質は、必ずしも関連のある詳細な記載例の群から調製されていなくてもよい。全ての引用保持時間は、LC/MS(液体クロマトグラフィー/質量分析)を用いて測定される。必要に応じて、これらの保持時間は、HPLCによる精製法に言及する、マスディレクティッド自動精製(MDAP)を用いる精製法指針として用いられ、ここで、画分回収は、目的化合物のプログラム化質量イオンの検出によりもたらされる。
【0126】
出発物質は、商業的供給業者から得られ、特に明記しない限り、さらに精製することなく用いられた。フラッシュクロマトグラフィーは、特に明記しない限り、固定相としてプレパックIsolute Flash(商標)またはBiotage(商標)シリカゲルカラムおよび溶出液として分析用グレード溶媒を用いて行われた。
【0127】
NMRスペクトルは、Bruker(商標)DPX400またはAV400装置のいずれかを用いて400MHz周波数で294Kにて得られ、特に明記しない限り、CDClの希釈溶液で実行された。全てのNMRスペクトルは、テトラメチルシラン(TMS δ 0、δ 0)を基準とした。全てのカップリング定数は、ヘルツ(Hz)で記録され、多重度は、s(シングレット)、bs(ブロード・シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、dd(ダブレット・オブ・ダブレット)、dt(ダブレット・オブ・トリプレット)およびm(マルチプレット)として標識される。
【0128】
総イオン電流トレースは、エレクトロスプレー正および負イオン化(ES+/ES−)および/または大気圧化学正および負イオン化(AP+/AP−)について得られた。
【0129】
特に明記しない限り、キラル中心(複数)を有する全ての化合物はラセミ体である。
【0130】
反応が、先に、全面的に記載される反応と同様の方法で行われているように記載される場合、用いられる一般的反応条件は、本質的に同一であった。用いられる後処理条件は、当該分野における標準タイプであったが、一の反応から別の反応に適合させてもよい。
【0131】
略語:
THF テトラヒドロフラン
DCM ジクロロメタン
DMF ジメチルホルムアミド
NMP N−メチルピロリジノン
iPrOH イソプロピルアルコール
IBX 1−ヒドロキシ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オ
ン−1−オキシド
PE 石油エーテル
EtOAc 酢酸エチル
TLC 薄層クロマトグラフィー
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOH エタノール
TFA トリフルオロ酢酸
g グラム
ml ミリリットル
mmol ミリモル
r.t. 室温
h 時間
m 分
【0132】
特に明記しない限り、全ての試薬は、さらに精製することなく用いられた。ある場合には、溶媒をさらに乾燥させた。例えば、テトラヒドロフラン(THF)は、窒素下でナトリウムから蒸留され、ジクロロメタン(DCM)は、窒素下で水素化カルシウムから蒸留された。
【0133】
分析用LC/MSクロマトグラフィー条件は、
カラム: Waters Atlantis 50mmx4.6mm、粒径3μm
移動相: A:0.05%ギ酸+水
B:アセトニトリル+0.05%ギ酸
勾配: 5分の実行時間:3%B〜97%B 4分以上
流速: 3ml/分
UV波長域: 220−330nm
温度: 30℃
または
カラム:Supelcosil ABZ+Plus 33mmx4.6mm、粒径3μm
移動相:A:10%[CHCN+0.05%TFA]
B:90%[CHCN+0.05%TFA]
勾配: 2.8分の実行時間 A:B 2.2分以上
流速: 0.9ml/分
温度: 45℃
のいずれかで行われた。
【0134】
分取HPLC条件:
分取HPLCは、Supelcosil ABZ+Plus 5μmカラム(10cmx21.2mm)上で高速液体クロマトグラフィーに付して物質を精製した方法をいう;溶出溶媒は、水(0.1%TFA含有)(A)およびアセトニトリル(0.1%TFA含有)(B)である;流速8mL/分での30−85%Bの勾配溶出および254nmのUV検出を伴う10分の実行時間。
【0135】
マスディレクティッド自動精製システムクロマトグラフィー条件:
方法1
カラム: Waters Atlantis 19mmx100mmまたは30mmx
100mm、粒径5μm
移動相: A:0.1%ギ酸+水
B:アセトニトリル+0.1%ギ酸
勾配: 分析的保持時間による10分の勾配を有する13.5分の実行時間
流速: 20または40ml/分
【0136】
方法2
マスディレクティッドHPLCは、物質を以下の装置:Waters 600勾配ポンプ、Waters 2767注入/コレクター、Waters試薬マネージャー、Micromass ZMD質量分析計、Gilson Aspec−wasteコレクター、Gilson 115 post−fraction UV検出器からなるHPLCに付して精製する方法をいう。UV検出し、画分回収を目的化合物のプログラム化質量イオンの観測により行った。用いたソフトウェアは、Micromass Masslynxバージョン4.0であった。用いたカラムは、典型的には、大きさが長さ10mmx内径20mmであるSupelco LCABZ++カラムであった。固定相粒径は5μmであった。溶出溶媒は、水+0.1%ギ酸(溶媒A)およびアセトニトリル:水 95:5+0.05%ギ酸(溶媒B)であった。目的化合物の分析保持時間によって用いられる方法は5種類存在していた。各々、10分の勾配、次いで、5分のカラム洗浄および再平衡工程からなる、15分の実行時間を有していた:MDP 1.5−2.2=0−30%;MDP 2.0−2.8=5−30%;MDP 2.5−3.0=15−55%B;MDP 2.8−4.0=30−80%B;MDP 3.8−5.5=50−90%B。流速は20ml/分。
【0137】
一般に、精製法がMDAPの使用に関する場合、特に明記しない限り、方法1が用いられる。
【実施例】
【0138】
概要:
記載例1:2−ブロモ−N−(3,5−ジフルオロフェニル)アセトアミド
【化16】

3,5−ジフルオロアニリン(10.0g;77.45mmol)および臭化ブロモアセチル(6.73ml;77.45mmol)の無水ジオキサン(100ml)中混合物を、1.5時間還流し、室温に冷却し、水(400ml)で希釈し、ゴムを得た。母液を廃棄し、水を、次いで、酢酸エチルを加えた。10分間攪拌した後、層を分離し、有機層を乾燥させ、減圧下で蒸発させた。酢酸エチル−ペンタンから再結晶させ、淡黄色結晶として標記生成物を得た(6.5g;33%)。H NMR(CDCl) δ:4.02(2H,s),6.60−6.65(1H,m),7.14−7.20(2H,m),および8.16(1H,br s)。
【0139】
記載例2:1−イソシアナトシクロヘキサンカルボン酸メチル
【化17】

1−アミノシクロヘキサンカルボン酸(12.5g、87mmol)を100mlメタノールで溶解し、塩化チオニル(17.5ml、276mmol)を−10℃で滴下した。混合物を4時間還流し、溶媒を真空中で除去した。残渣を、NaHCO溶液でスラリーとし、酢酸エチルで抽出した。溶媒を蒸留させ、無色油、1−アミノシクロヘキサンカルボン酸メチルを得た。
【0140】
粗1−アミノシクロヘキサンカルボン酸メチル(2.05g、13.0mmol)をDCM(50ml)で溶解し、トリエチルアミン(1.82ml、13.0mmol)およびトリホスゲン(1.28g、4.30mmol)を0℃で加えた。混合物を室温で一晩攪拌し、溶媒を真空中で除去した。残渣を酢酸エチルで溶解し、沈殿物を濾去した。蒸発させた後、粗生成物をさらに精製することなく記載例3に直接用いた。
【0141】
記載例3:1−[({[4−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]シクロヘキサンカルボン酸メチル
【化18】

1−イソシアナトシクロヘキサンカルボン酸メチル(1.83g、10.0mmol、記載例2)および4−トリフルオロメチルアニリン(1.61g、10.0mmol)を10mlのCHClで溶解し、室温で一晩攪拌した。得られた白色沈殿物を濾過し、PE(10ml)で洗浄した。固体をさらに精製することなく次の工程に用いた。
【0142】
記載例4:3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン
【化19】

1−[({[4−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]シクロヘキサンカルボン酸メチル(0.31g、1mmol、記載例3)を5mlのTHFで溶解し、混合物を0℃に冷却した。該溶液に、LiOH.HO(0.04g、1.0mmol)の2ml水中溶液を滴下した。30分間攪拌した後、PE(10ml)を混合物に加え、沈殿物を濾過し、PE(10ml)で洗浄した。固体をさらに精製することなく次の工程に用いた。
【0143】
記載例5:3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン
【化20】

氷冷条件下、LiAlH(2.28g、20mmol)の20mlの乾THF中溶液に、AlCl(8.0g、60mmol)の100ml乾THF中溶液を滴下した。該混合物に、3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン(6.24g、20mmol、記載例4)およびAlCl(2.66g、20mmol)の400mlの乾THF中溶液を還流温度で徐々に加えた。加え終わった後、混合物を、還流下でもう1時間攪拌した。次いで、200mlのNaCO溶液を加え、混合物をエーテル(4×100ml)で抽出した。エーテル相を合し、蒸留乾固した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィーに付して精製した。LC/MS[m/z] C1517Oの計算値 298.31、実測値 299.3(MH)。
【0144】
記載例6:1−アミノシクロヘキサンカルボン酸エチル塩酸塩
【化21】

1−アミノシクロヘキサンカルボン酸(6.0g、41.90mmol)およびEtOH(150ml)を窒素下で混合した。混合物を−10℃以下に冷却し、次いで、SOCl(24ml、331mmol)を加えた。反応物を常温まで上げ、3時間加熱還流した。減圧下で溶媒を除去し、白色固体を得た(9.0g)。
【0145】
記載例7:4−メトキシフェニルイソシアネート
【化22】

4−メトキシアニリン(10.0g、81.20mmol)をトルエンで溶解し、氷浴下でトリホスゲン(9.63g、32.50mmol)に滴下した。加え終わった後、反応物を常温に加温し、次いで、窒素下で3時間還流温度に加熱した。含有物を常温に冷却し、シリカゲルに介して濾過し、蒸発させ、残渣を次の調製に直接用いた(約10g)。LC/MS[m/z] CNOの計算値 149.05、実測値 148.96。
【0146】
記載例8:3−[4−(メチルオキシ)フェニル]−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン
【化23】

1−アミノシクロヘキサンカルボン酸エチル塩酸塩(0.80g、3.85mmol、記載例6)およびNaCO(0.82g、7.70mmol)を、攪拌しながらDMSO(20ml)で溶解した。0℃に冷却した後、4−メトキシフェニルイソシアネート(0.63g、4.24mmol、記載例7)の粗生成物をシリンジで加えた。反応物を常温に加温し、120℃に加熱し、常温に冷却しながら2時間攪拌し、HOを加えることによってクエンチし、沈殿を形成し、濾過により回収し、水で洗浄し、白色固体を得た(0.90g)。LC/MS[m/z] C1518 274.13の計算値、実測値 275.1(MH )。
【0147】
記載例9:3−[4−(メチルオキシ)フェニル]−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン
【化24】

0℃で、LiAlH(1.74g、45.90mmol)の乾THF(80ml)中懸濁液に、AlCl(6.12g、45.90mmol)を加えた。含有物を還流温度に加熱し、窒素下で2時間攪拌し、次いで、3−[4−(メチルオキシ)フェニル]−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン(4.20g、15.30mmol、記載例8)およびAlCl(2.04g、15.30mmol)の乾THF(80ml)中混合物を還流下で滴下し、3時間攪拌した。0℃に冷却した後、飽和NaCOを慎重に加え、濾過し、濾液をEtOAcで2回抽出し、有機相を合し、(MgSO)乾燥させ、濾過し、蒸発させ、残渣を再結晶(PE/EtOAc)により精製し、白色固体を得た(2.50g、62.80%)。LC/MS[m/z] C1520の計算値 260.15、実測値 261.0(MH)。
【0148】
記載例10:1−アミノシクロヘキサンカルボン酸メチル
【化25】

1−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸(7.5g、52mmol)をメタノール(120ml)で溶解し、塩化チオニル(10.5ml、166mmol)を0℃で滴下した。混合物を4時間還流し、溶媒を真空中で除去した。残渣を、NaHCO溶媒でスラリーとし、酢酸エチルで抽出し、無色油を得た(5.81g、71%)。HNMR(DMSO+DO):δ 4.12(2H,s),3.54(3H,s),1.70−1.77(2H,m),1.44−1.51(2H,m),1.22−1.33(6H,m)。LC/MS[m/z] C15NOの計算値 157.11、実測値 157.1。
【0149】
記載例11:1−イソシアナトシクロヘキサンカルボン酸メチル
【化26】

トリエチルアミン(5.16ml、44.4mmol)およびトリホスゲン(3.63g)を、温度を0℃に維持しながら、1−アミノシクロヘキサンカルボン酸メチル(5.81g、37mmol、記載例10)のCHCl(140ml)中溶液に加えた。次いで、混合物を室温に加温し、一晩攪拌した。全ての出発物質を消費したことをTLCは示した。溶媒を、減圧下、回転蒸発により除去し、残渣を酢酸エチルで溶解し、沈殿物を濾去した。蒸発させた後、1−イソシアナトシクロヘキサンカルボン酸メチル(5.42g、30mmol)を得た(収率:80%)。LC/MS[m/z] C13NOの計算値 183.09、実測値 183.1。
【0150】
記載例12:1−({[(4−クロロ−2−フルオロフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)シクロヘキサンカルボン酸メチル
【化27】

氷水浴で0℃に冷却した、4−クロロ−2−フルオロアニリン(2.90g、20mmol)のクロロホルム(30ml)中溶液に、1−イソシアナトシクロヘキサンカルボン酸メチル(4.76g、26mmol、記載例11)を滴下した。透明溶液を形成するまで反応混合物を攪拌し、室温に加温した。さらに8時間攪拌した後、濾過し、蒸発させ、1−({[(4−クロロ−2−フルオロフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)シクロヘキサンカルボン酸メチル(5.00g、15mmol)を得た(収率:75%)。マススペクトル(ESI,LC/MS) C1518ClFNの計算値 328.1、実測値 329.1(MH)。
【0151】
記載例13:3−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン
【化28】

1−({[(4−クロロ−2−フルオロフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)シクロヘキサンカルボン酸メチル(5.0g、15mmol、記載例12)の30mlのTHF中溶液に、0℃で3mlのLiOHの1M水性溶液を加え、次いで、反応混合物を室温で5時間攪拌した。出発物質を消費したことをTLCは示した。反応混合物を濾過し、蒸発させ、3−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン(3.33g、11.20mmol)、収率75%を得た。H NMR(DMSO−d):δ 9.077(1H,s),7.62−7.64(1H,m),7.42−7.52(2H,m),1.22−1.7(10H,m)。LC/MS[m/z] C1414ClFNの計算値 296.07、実測値 297.1(MH)。
【0152】
記載例14:3−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン
【化29】

水素化アルミニウムリチウム(1.58g、41.7mmol)のTHF(30ml)中懸濁液に、外部冷却しながら0℃でAlCl(5.56g、41.7mmol)の乾THF(20ml)中溶液を加えた。次いで、混合物を1時間還流し、THF(40ml)で溶解したAlCl(1.86g、13.9mmol)および3−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン(4.13g、13.9mmol、記載例13)の残りの部分を、還流を2時間以上維持しながら徐々に滴下した。全ての出発物質を消費したことをTLCは示した。冷却後、混合物を水に注ぎ、(pHが7−8になるように)NaCOで塩基性化し、次いで、混合物を酢酸エチルで抽出した。合した有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮し、粗生成物を得た。クロマトグラフィーに付して精製した後、3−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(0.63g、22.3mmol)を得た(収率:16%)。H NMR(DMSO−d):δ 7.50−7.56(2H,m),7.40−7.46(1H,m),7.23−7.26(1H,dd),3.55(2H,s),1.34−1.62(10H,m)。LC/MS[m/z] C1416ClFNOの計算値 282.09、実測値 283.1(MH)。
【0153】
記載例15:3−(4−クロロフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン
【化30】

4−クロロフェニルイソシアネート(8.0g、52.9mmol)および炭酸ナトリウムをDMSOに加え、混合物を2時間攪拌した。0℃に冷却した後、1−アミノシクロヘキサンカルボン酸メチル(8.0g、52.9mmol、記載例10)を滴下した。加え終わった後、混合物を2時間還流温度に加熱し、次いで、室温に冷却し、60mlの水を加え、次いで、濾過すると、生成物3−(4−クロロフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオンを得た(10.0g、収率55%)。LC/MS[m/z] C1415ClNの計算値 279.1(MH)。実測値 279.0(MH)。
【0154】
記載例16:3−(4−クロロフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン
【化31】

水素化アルミニウムリチウム(1.2g、31.57mmol)のTHF中懸濁液に、AlCl(12.0g、90mmol)を加え、次いで、混合物を30分間還流した。次いで、さらなる量のAlCl(3.5g、26.3mmol)を加えた。3−(4−クロロフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン(9.0g、32.5mmol、記載例15)を、還流温度で滴下し、混合物をさらに1時間還流した。冷却後、混合物を冷水に注ぎ、エーテルで2回抽出した。合したエーテル層を、NaSOで乾燥し、濃縮し、粗生成物を得、カラムクロマトグラフィーに付して精製し、純粋生成物3−(4−クロロフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オンを得た(1.5g、収率18%)。H NMR(d−DMSO) δ:1.45−1.67(10H,m),3.59(2H,s),5.14(1H,s),7.25−7.29(2H,m),7.48−7.51(2H,m)。LC/MS[m/z] C1417ClNOの計算値 265.1(MH)、実測値 264.9(MH)。
【0155】
記載例17:1−({[(4−クロロ−3−フルオロフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)シクロヘキサンカルボン酸メチル
【化32】

氷水浴で0℃に冷却した、1−イソシアナトシクロヘキサンカルボン酸メチル(4.0g、22mmol、記載例11)のクロロホルム(20ml)中溶液に、温度を5℃以下に維持しながら、4−クロロ−3−フルオロアニリン(3.0、21mmol)を20分かけて滴下した。反応混合物を、0℃で30分間および室温で2時間攪拌した。沈殿した固体を、濾過により分離し、標的化合物1−({[(4−クロロ−3−フルオロフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)シクロヘキサンカルボン酸メチルを得た(2.5g)。
【0156】
記載例18:3−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン
【化33】

1−({[(4−クロロ−3−フルオロフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)シクロヘキサンカルボン酸メチル(3.5g、10.7mmol、記載例17)のTHF中溶液に、0℃で5滴のLiOHの1M水性溶液を加えた。反応混合物を、室温で3時間攪拌した。反応物を濾過し、所望の生成物(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオンを得た(3.2g)。LC/MS[m/z] C1414ClFNの計算値 296.07、実測値 296(M)。
【0157】
記載例19:3−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン
【化34】

標記化合物3−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(1.0g)を、3−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン(3.2g、10.8mmol)から記載例14の方法にしたがって調製した。LC/MS[m/z] C1416ClFNOの計算値 282.09、実測値 283.1(MH)。
【0158】
記載例20:2−クロロ−N−(3,4−ジフルオロフェニル)アセトアミド
【化35】

3,4−ジフルオロアニリン(5.65g;50mmol)および塩化クロロアセチル(6.46g;50mmol)のジオキサン(50ml)中混合物を1時間還流し、室温に冷却し、減圧下で25ml容量に濃縮した。水を加え、固体の所望の生成物を濾過により分離し、一晩乾燥させた(収率9.41g)。
【0159】
記載例21:1−({[(3−ブロモフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)シクロヘキサンカルボン酸
【化36】

1−アミノシクロヘキサンカルボン酸(10g、69.8mmol)の攪拌溶液に、水酸化ナトリウム(2.79g、69.8mmol)の水(84ml)中溶液を加えた。溶液を0℃に冷却し、次いで、3−ブロモフェニルイソシアネート(13.83g、69.8mmol)を15分かけて少量ずつ加えた。得られた溶液を0℃で3時間攪拌し、次いで、室温に加温した。反応混合物を、1,4−ジオキサン(84ml)で希釈し、室温で18時間攪拌し、次いで、減圧下で蒸発乾固し、クリーム色固体として標記化合物を得た(27.5g)。LCMSは小さな混入物を示したが、該化合物をさらに精製することなく次の工程に用いた。マススペクトル(エレクトロスプレー LC/MS):実測値 342(MH)。C141779BrN 理論値 341。保持時間 2.48分。
【0160】
記載例22:3−(3−ブロモフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン
【化37】

1−({[(3−ブロモフェニル)アミノ]カルボニル}アミノ)シクロヘキサンカルボン酸(D21)(27.5g、81mmol)のエタノール(360ml)中溶液に、濃HCl酸(52ml)を徐々に加えた。6時間攪拌しながら、反応混合物を還流温度で加熱した。混合物を室温に冷却し、次いで、さらに氷浴を用いて1時間冷却した。白色固体を濾去し、40℃で一晩真空オーブン中にて乾燥させ、標記化合物を得た(21.67g)。マススペクトル(エレクトロスプレー LC/MS):実測値 325(MH)。C141579BrN 理論値 323。保持時間 2.75分。
【0161】
記載例23:3−(3−ブロモフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン
【化38】

アルゴン下0℃で、水素化アルミニウムリチウム(6.19ml、6.19mmol)の5ml乾THF中溶液に、5ml乾THF中塩化アルミニウム(0.825g、6.19mmol)を加えた。溶液を0℃で30分間攪拌した後、3−(3−ブロモフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン(D22)(0.5g、1.547mmol)の5ml乾THF中溶液を加えた。次いで、5時間攪拌しながら、得られた溶液を65℃に冷却し、次いで、さらに0℃に冷却した。発泡がおさまるまで、5M水性HCl酸を滴下した。さらに5mlを加え、次いで、20ml酢酸エチルを加えた。混合物を室温で48時間攪拌し、次いで、有機層を分離し、水層を20ml酢酸エチルで抽出した。有機層を合し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固し、橙色油を得、Biotage(1:1 Hex/EtOAc, 25+Mカラム)を介して精製した。所望の生成物を含有する画分を合し、蒸発乾固し、白色固体として標記化合物を得た(97mg)。マススペクトル(エレクトロスプレー LC/MS):実測値 311(MH)。C141779BrNO 理論値 309。保持時間 3.06分。
【0162】
記載例24.2−ブロモ−N−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アセトアミド
【化39】

アルゴン下10℃で、3−(トリフルオロメチル)アニリン(2.0g、0.012mol)のジクロロメタン(60ml)中攪拌溶液を、5分かけて臭化ブロモアセチル(1.2ml、0.0137mol)で滴下処理した。白色沈殿を形成した。これを、1.5時間よく攪拌しながら室温に加温し、次いで、固体炭酸水素ナトリウム(1.65g、0.0196mol)で処理し、40分間よく攪拌した。混合物を水(100ml)で処理し、10分間よく攪拌し、次いで、ジクロロメタン層を、相分離カートリッジに通して単離し、減圧下で濃縮し、無色油として標記化合物を得た(3.65g、100%)。マススペクトル(エレクトロスプレー LC/MS):実測値 282(MH)。C79BrFNO 理論値 281。保持時間 2.74分。
H NMR δ (CDCl;400MHz):4.05(2H,s),7.40−7.53(2H,m),7.76(1H,d),7.83(1H,s),8.24(1H,br s)。
【0163】
実施例1:N−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−{2−オキソ−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−ジアザスピロ[4.5]デク−1−イル}アセトアミド
【化40】

アルゴン下室温で、油中60%水素化ナトリウム(15mg;0.369mmol)を、3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(100mg;0.335mmol、記載例5)の無水DMF(3ml)中攪拌溶液に加えた。10分後、2−ブロモ−N−(3,5−ジフルオロフェニル)アセトアミド(D1)(92mg;0.369mmol)を少量ずつ加えた。18時間後、さらなる油中60%水酸化ナトリウム(15mg;0.369mmol)を加え、30分後、さらに2−ブロモ−N−(3,5−ジフルオロフェニル)アセトアミド(D1)(92mg;0.369mmol)を加えた。さらに3時間攪拌した後、飽和水性炭酸水素ナトリウム(150ml)およびブライン(50ml)を加え、混合物を酢酸エチル(2x100ml)で抽出した。合した有機層を、(NaSO)乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残渣をDMSOで溶解し、1.8mlの溶液を得、マスディレクティッド自動精製クロマトグラフィーを用いて精製し、標記化合物を得た(45mg;28%)。H NMR(CDCl) δ:1.15−1.26(1H,m),1.33−1.45(2H,m),1.50−1.80(5H,m),1.80−1.95(2H,m),3.73(2H,s),3.98(2H,s),6.49−6.56(1H,m),7.09−7.16(2H,m),7.61−7.63(2H,m),7.68−7.71(2H,m),9.15(1H,s)。マススペクトル(エレクトロスプレー LC/MS):実測値 468(MH)。C2322 理論値 467。保持時間 3.60分。
【0164】
以下の表の化合物を、実施例1に記載のものと同様の方法を用いて調製した。
【表3】

【0165】
実施例7:3−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−1−[2−(4−クロロ−3−メチルフェニル)−2−オキソエチル]−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン
【化41】

アルゴン下室温で、3−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(D14)(198mg、0.7mmol)の4mlのDMF中溶液を、水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁液、30.8mg、0.77mmol)で処理し、10分間攪拌した。2−ブロモ−1−(4−クロロ−3−メチルフェニル)エタノン(173mg、0.7mmol)の7mlのDMF中溶液を加え始めると、橙色混合物ははまだ発泡していた。シリンジポンプで1時間かけて加えた。加え終わった後、次いで、混合物を1時間攪拌した。多量の未反応尿素、いくつかの所望の生成物およびいくつかの2−ブロモ−1−(4−クロロ−3−メチルフェニル)エタノンが残っていたことをLC/MSは示した。次いで、0.5当量の水素化ナトリウムを加え、30分間反応させた。先の残りの2−ブロモ−1−(4−クロロ−3−メチルフェニル)エタノンの消失をLC/MSは示した。次いで、0.5当量の2−ブロモ−1−(4−クロロ−3−メチルフェニル)エタノンを加え、1時間反応させた。いくつかの2−ブロモ−1−(4−クロロ−3−メチルフェニル)エタノンおよびいくつかのより好ましい生成物が残っていたことをLC/MSは示した。次いで、混合物を60℃で一晩加熱した。2−ブロモ−1−(4−クロロ−3−メチルフェニル)エタノンは残らなかったが、まだ少量の所望の生成物が残っていたことをLC/MSは示した。0.5当量の2−ブロモ−1−(4−クロロ−3−メチルフェニル)エタノンを再度加え、80℃で4時間反応させた。顕著な発生をLC/MSは示さなかった。0.5当量の水素化ナトリウムを再度加え、1時間反応させた。2−ブロモ−1−(4−クロロ−3−メチルフェニル)エタノンが残っていたことをLC/MSは示した。
【0166】
混合物を減圧下で濃縮し、残渣をMDAPに付して精製したが、得られた化合物のTLCは、わずかに混入物を有する2種の主要な化合物を示した。次いで、化合物を、シリカゲルクロマトグラフィー(10カラム容量中EtOAc/ヘキサン 5%〜60%)に付して精製し、所望の化合物15mgを得た(0.033mmol、収率約5%)。
H NMR(CDCl) δ:7.89(1H,s),7.78(1H,dd),7.57(1H,t),7.44(1H,d),7.12(2H,m),4.57(2H,s),3.75(1H,s),2.44(3H,s),1.78(2H,t),1.65(1H,d),1.46(2H,td),1.27(2H,qt),1.11(1H,qt)。
MS 実測値(M+H)=449.2;C232335ClFN 理論値 448。
【0167】
実施例8:2−[3−(3−ブロモフェニル)−2−オキソ−1,3−ジアザスピロ[4.5]デク−1−イル]−N−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アセトアミド
【化42】

0℃で3−(3−ブロモフェニル)−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(D23)(44mg、0.142mmol)の2mlのDMF中溶液に、水素化ナトリウム(5.69mg、0.142mmol)を加えた。溶液を0℃で30分間攪拌した後、2−ブロモ−N−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アセトアミド(D24)(40.1mg、0.142mmol)の2mlのDMF中溶液を3ml/時間でシリンジポンプを用いて加えた。溶液を室温に加温し、18時間攪拌した。反応物をメタノールでクエンチし、溶液を蒸発乾固し、残渣をマスディレクティッド自動精製クロマトグラフィーを用いて精製し、標記化合物を得た(6mg)。H NMR(CDCl) δ:0.95−1.25(2H,m),1.30−1.45(2H,m),1.65−1.75(4H,m),1.80−1.90(2H,m),3.70(2H,s),3.98(2H,s),7.20−7.26(2H,m),7.30−7.42(2H,m),7.55−7.57(1H,m),7.58−7.7(2H,m),7.85(1H,s)。マススペクトル(エレクトロスプレー LC/MS):実測値 512(MH)。C232379BrF 理論値 510。保持時間 3.73分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
Xは、Ar−C(O)CH(R20)−またはAr−NHC(O)CH−から選択され;
Arは、
・1個または複数のY基で置換されていてもよいナフチル;
・1個または複数のZ基で置換されていてもよいピリジル;または
・基Ar
【化2】

{式中:
各Yは、独立して、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、またはシアノから選択され;
各Zは、独立して、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、またはシアノから選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cシクロアルキル、C−CシクロアルキルC−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−CアルコキシC−Cアルキル、CONR(式中:RおよびRは、独立して、HもしくはC−Cアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって,4〜7員環を形成する)またはシアノから選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cシクロアルキル、C−CシクロアルキルC−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−CアルコキシC−Cアルキル、CONR(式中:RおよびRは、独立して、HもしくはC−Cアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜7員環を形成する)またはシアノから選択され;
は、H、C1−4アルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cシクロアルキル、C−CシクロアルキルC−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−CアルコキシC−Cアルキル、CONR(式中:RおよびRは、独立して、HもしくはC−Cアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜7員環を形成する)またはシアノから選択されるか;
あるいは、RおよびRは一緒になって、−O−CH−O−または−O−CH−CH−O−から選択される基を形成し;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cシクロアルキル、C−CシクロアルキルC−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−CアルコキシC−Cアルキル、CONR(式中:RおよびRは、独立して、HもしくはC−Cアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜7員環を形成する)またはシアノから選択され;
は、水素、クロロ、フルオロ、C−CアルキルまたはCFから選択される}
から選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、ハロ、シアノ、C−CアルコキシC−Cアルコキシ、C−CアルコキシC−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cアルキルチオ、COR(式中:Rは、水素またはC−Cアルキルである)、CONR(式中:RおよびRは、独立して、水素もしくはC−Cアルキルから選択されるか、またはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、4、5または6員環を形成する)またはCHRNR(式中:Rは、水素またはC−Cアルキルであり、RおよびRは、独立して、水素もしくはC−Cアルキルから選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4、5または6員環を形成する)から選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、ハロ、シアノ、C−CアルコキシC−CアルキルまたはC−CアルコキシC−Cアルコキシから選択され;
mは、0、1または2から選択され;
は、水素またはC−Cアルキルから選択され;
21は、Hまたはフルオロから選択され;および
20は、水素またはC−Cアルキルから選択される]
で示される化合物またはその塩。
【請求項2】
XがAr−C(O)CH(R20)−である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
XがAr−NHC(O)CH−である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
がHである、請求項1−3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
がHまたはハロである、請求項1−4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
がHまたはFである、請求項1−5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
がHまたはメチルである、請求項1−4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
がHまたはハロである、請求項1−7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
がHまたはFまたはClである、請求項1−8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
がHまたはハロまたはメチルである、請求項1−9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
がFである、請求項1−10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
がHである、請求項1−11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
が、Cl、OCHまたはCFである、請求項1−12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
がClまたはHまたはFである、請求項1−13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
mが1である、請求項1−14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
がHである、請求項1−15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
20がHである、請求項1−16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
2−[3−(4−クロロフェニル)−2−オキソ−1,3−ジアザスピロ[4.5]デク−1−イル]−N−(3,4−ジフルオロフェニル)アセトアミド;
N−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−{3−[4−(メチルオキシ)フェニル]−2−オキソ−1,3−ジアザスピロ[4.5]デク−1−イル}アセトアミド;
2−[3−(4−クロロフェニル)−2−オキソ−1,3−ジアザスピロ[4.5]デク−1−イル]−N−(3,5−ジフルオロフェニル)アセトアミド;
N−(3,5−ジフルオロフェニル)−2−{2−オキソ−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−ジアザスピロ[4.5]デク−1−イル}アセトアミド;
2−[3−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,3−ジアザスピロ[4.5]デク−1−イル]−N−(3,5−ジフルオロフェニル)アセトアミド;
2−[3−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,3−ジアザスピロ[4.5]デク−1−イル]−N−(3,5−ジフルオロフェニル)アセトアミド;
3−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−1−[2−(4−クロロ−3−メチルフェニル)−2−オキソエチル]−1,3−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン;
2−[3−(3−ブロモフェニル)−2−オキソ−1,3−ジアザスピロ[4.5]デク−1−イル]−N−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アセトアミドからなる群より選択される、請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項19】
療法に用いる請求項1−18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
GlyT1によって媒介される障害の治療に用いる請求項1−18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
障害が、統合失調症、認知症または注意力欠如障害を含む、精神病である、請求項20記載の化合物。
【請求項22】
GlT1によって媒介される障害の治療方法であって、請求項1−18のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項23】
障害が、統合失調症、認知症または注意力欠如障害を含む、精神病である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
GlyT1によって媒介される障害の治療のための医薬の製造における請求項1−18のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項25】
障害が、統合失調症、認知症または注意力欠如障害を含む、精神病である、請求項24記載の使用。
【請求項26】
請求項1−18のいずれか1項に記載の化合物、および少なくとも1種の医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項27】
請求項1−18のいずれか1項に記載の化合物および1種または複数の治療剤を含む組み合わせ。

【公表番号】特表2010−517964(P2010−517964A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547677(P2009−547677)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051084
【国際公開番号】WO2008/092878
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【出願人】(501038322)ユニバーシティ オブ ノッティンガム (10)
【Fターム(参考)】