説明

H1受容体アンタゴニストとしてのフタラジンおよびピリド[3,4−D]ピリダジン化合物

本発明は、式(I):


で示される化合物またはその塩、その調製法、それらを含有する組成物およびアレルギー性鼻炎などの、種々の疾患の治療におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4−ベンジル−1(2H)−フタラジノン誘導体である一群の化合物、その調製法、それらを含有する医薬組成物ならびに種々の炎症性および/またはアレルギー性疾患、特に、気道の炎症性および/またはアレルギー性疾患の治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アレルギー性鼻炎(季節性および通年性)、肺炎症およびうっ血は、多くの場合、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの他の病態に付随する病状である。一般には、これらの病態は、少なくとも一部は、種々の細胞、特に、マスト細胞からのヒスタミン放出に付随する炎症によって媒介される。
【0003】
「花粉症」を含む、アレルギー性鼻炎は、世界中の大部分の人口に影響を与える。2つのタイプのアレルギー性鼻炎、季節性および通年性が存在する。季節性アレルギー性鼻炎の臨床的症状には、典型的には、鼻のかゆみおよび炎症、くしゃみならびに水様性鼻漏が含まれ、鼻づまりを伴うことが多い。通年性アレルギー性鼻炎の臨床的症状は、鼻づまりがより顕著になりうることを除き、同様のものである。アレルギー性鼻炎のいずれかのタイプはまた、他の症状、例えば、喉および/または目のかゆみ、流涙症および目周辺の浮腫を引き起こしうる。アレルギー性鼻炎の症状は、不快なレベルから衰弱させる程度まで変化しうる。
【0004】
アレルギー性鼻炎および他のアレルギー状態は、種々の細胞タイプだが、特にマスト細胞からのヒスタミンの放出に付随する。ヒスタミンの生理作用は、典型的には、H1、H2およびH3と称される、3種の受容体サブタイプによって媒介される。H1受容体は、CNSおよび末梢中に広く分布しており、覚醒および急性炎症に関与している。H2受容体は、ヒスタミンに応じて胃酸分泌を媒介する。H3受容体は、CNSおよび末梢の両方の神経終末に存在し、神経伝達物質放出の抑制を媒介する[Hillら,Pharmacol.Rev.,49:253−278,(1997)]。最近になって、H4受容体と称される、4番目のヒスタミン受容体ファミリーが同定された[Hough,Mol.Pharmacol.,59:415−419,(2001)]。H4受容体の分布は、免疫系および炎症系の細胞に限られるように考えられるが、該受容体の生理的役割は、まだ明らかにされないままである。
【0005】
血管および神経終末におけるH1受容体の活性化は、かゆみ、くしゃみ、および水様性鼻漏の発症を含む、多数のアレルギー性鼻炎の症状に関与している。クロルフェニラミン、セチリジン、デスロラタジン(desloratidine)およびフェキソフェナジンなどの選択的H1受容体アンタゴニストである経口抗ヒスタミン化合物は、アレルギー性鼻炎に付随するかゆみ、くしゃみおよび水様性鼻漏の治療に有効である。アゼラスチンおよびレボカバスチンなどの選択的H1受容体アンタゴニストである、経鼻抗ヒスタミン剤は、その経口同等物と同様の治療効果を有すると考えられている。しかしながら、かかる化合物は、一般的には、1日2回投与が必要であり、その局所用途にもかかわらず未だに鎮静作用を引き起こしうる。
【0006】
一群の化合物は、H1受容体アンタゴニストとして同定されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Hillら,Pharmacol.Rev.,49:253−278,(1997)
【非特許文献2】Hough,Mol.Pharmacol.,59:415−419,(2001)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は、式(I):
【化1】

[式中:
Aは、CHまたはNを表し;
およびRは、各々独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシルまたはトリフルオロメチルを表し;
yおよびzは、各々独立して、0、1または2を表し;
aは、0または1を表し;
bおよびcが両方とも0とならないように、bは、0、1または2を表し、cは、0、1、2または3を表し;
は、アルキレンが、直鎖であって、1個のC1−3アルキルで所望により置換されていてもよい、−C1−6アルキレン−R−Rを表すか、またはRは、1個のSOを含有する飽和5〜7員環を表し;
は、−SO−、−N(R)SO−、−SON(R)−または−N(R)C(O)N(R)−を表し;
は、−C1−6アルキル(1、2もしくは3個のハロゲンまたは1もしくは2個のC1−6アルコキシで所望により置換されていてもよく、ここで、C1−6アルコキシが1、2もしくは3個のハロゲンで所望により置換されていてもよい)、−C5−7シクロアルキル(1または2個のC1−3アルキルで所望により置換されていてもよい)、−C1−3アルキレンC5−7シクロアルキル(C5−7シクロアルキルは、1または2個のC1−3アルキルで所望により置換されていてもよい)、−アリール(ハロゲン、C1−3アルキル、トリフルオロメチル、またはシアノから独立して選択される1または2個の置換基で所望により置換されていてもよい)、または−C1−3アルキレンアリール(ハロゲン、C1−3アルキル、トリフルオロメチル、またはシアノから独立して選択される1または2個の置換基で所望によりアリール上にて置換されていてもよい)を表し;
、R、RおよびRは、各々独立して、水素またはC1−6アルキルを表し;
あるいは、RおよびRはそれらが結合するN原子と一緒になって、OまたはSから独立して選択される1個のさらなるヘテロ原子を所望により含有していてもよい5〜7員の飽和複素環を表す]
で示される化合物またはその塩を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の化合物は、種々の疾患、特に、炎症性および/またはアレルギー性疾患、例えば、マスト細胞などの細胞からのヒスタミンの放出に付随する気道の炎症性および/またはアレルギー性疾患(例えば、アレルギー性鼻炎)の治療に有用であることが期待されうる。さらに、化合物は、1または複数の以下の特性:
(i)H3受容体より優れた選択性;
(ii)より低いCNS浸透性;
(iii)長い作用持続期間を有しうるという点で改善されたプロファイルを示しうる。
【0010】
かかるプロファイルを有する化合物は、鼻腔内投与に特に適していてもよく、および/または1日1回投与可能であってもよく、および/またはさらに他の既存の療法に比べて改善された副作用プロファイルを有していてもよい。
【0011】
「選択性」とは、化合物が、H3受容体および/またはhERG受容体よりH1受容体にて強力でありうることを意味する。H1受容体での活性は、H3受容体での活性より少なくとも約10倍(例えば、約100倍)大きくてもよい。
【0012】
1の実施態様において、yは0を表し;
zは1を表し;
は、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシルまたはトリフルオロメチルを表し;
aは、0または1を表し;
bおよびcが両方とも0とならないように、bは、0、1または2を表し、cは、0、1、2または3を表し;
は、アルキレンが、直鎖であって、1個のC1−3アルキルで所望により置換されていてもよい、−C1−6アルキレン−R−Rを表し;
は、−SO−、−N(R)SO−、−SON(R)−または−N(R)C(O)N(R)−を表し;
は、−C1−6アルキル(1または2個のC1−6-アルコキシで所望により置換されていてもよい)、−C5−7シクロアルキル(1または2個のC1−3アルキルで所望により置換されていてもよい)、−C1−3アルキレンC5−7シクロアルキル(C5−7シクロアルキルが1または2個のC1−3アルキルで所望により置換されていてもよい)を表し;
、R、RおよびRは、各々独立して、水素またはC1−6アルキルを表すか;
あるいは、RおよびRは、それらが結合するN原子と一緒になって、OまたはSから独立して選択される1個のさらなるヘテロ原子を所望により含有していてもよい5〜7員の飽和複素環を表す。
【0013】
別の実施態様において、yは0を表し;
zは1を表し;
は、ハロゲン(例えば、塩素またはフッ素)、C1−6アルキル(例えば、メチル)、C1−6アルコキシ(例えば、メトキシ)、ヒドロキシルまたはトリフルオロメチルを表し;
aは、0または1を表し;
bおよびcが両方とも0とならないように、bは、0、1または2を表し、cは、0、1、2または3を表し;
は、アルキレンが、直鎖であって、1個のC1−3アルキル(例えば、メチル)で所望により置換されていてもよい、−C2−5アルキレン−R−Rを表し;
は、−SO−、−N(R)SO−、−SON(R)−または−N(R)C(O)N(R)−を表し;
は、−C1−4アルキル(1または2個(例えば、1個)のC1−6アルコキシ(例えば、−O−メチル)で所望により置換されていてもよい)を表し;
、R、RおよびRは、各々独立して、水素またはC1−3アルキルを表すか;
あるいは、RおよびRは、それらが結合するN原子と一緒になって、5〜7員の飽和複素環(例えば、6員環)を表す。
【0014】
別の実施態様において、AはCHを表す。
【0015】
別の実施態様において、Rは、ハロゲン(例えば、塩素またはフッ素)、C1−3アルキル(例えば、メチル)、C1−3アルコキシ(例えば、メトキシ)、ヒドロキシルまたはトリフルオロメチルを表す。
【0016】
別の実施態様において、Rはハロゲンを表し;さらなる実施態様において、Rはクロロを表し;またさらなる実施態様において、Rはパラ位で置換されたクロロを表す。
【0017】
別の実施態様において、yは0である。
【0018】
別の実施態様において、zは1である。
【0019】
別の実施態様において、zが1である場合、Rはパラ位にある。
【0020】
別の実施態様において、aは0を表し、bは2を表し、cは1を表す。
【0021】
別の実施態様において、aは1を表し、bは0を表し、cは2を表す。
【0022】
別の実施態様において、Rは、アルキレンが、直鎖であって、1個のC1−3アルキルで所望により置換されていてもよい、−C1−6アルキレン−R−Rを表す。さらなる実施態様において、Rは、アルキレンが、直鎖であって、1個のC1−3アルキル(例えば、メチル)で所望により置換されていてもよい、−C2−5アルキレン−R−Rを表す。別の実施態様において、Rは、直鎖C1−6アルキレン−R−R、例えば、直鎖C2−5アルキレン−R−Rを表す。
【0023】
別の実施態様において、Rは、−C1−6アルキル(1または2個のC1−6アルコキシで所望により置換されていてもよい)、−C5−7シクロアルキル(1または2個のC1−3アルキルで所望により置換されていてもよい)、−C1−3アルキレンC5−7シクロアルキル(C5−7シクロアルキルが、1または2個のC1−3アルキルで所望により置換されていてもよい)を表す。
【0024】
別の実施態様において、Rは、−C1−4アルキル(1または2個(例えば、1個)のC1−6アルコキシ(例えば、−O−メチル)で所望により置換されていてもよい)を表す。
【0025】
別の実施態様において、R、R、RおよびRは、各々独立して、水素もしくはC1−3アルキル(例えば、メチル)を表すか、またはRおよびRは、それらが結合するN原子と一緒になって、5〜7員の飽和複素環(例えば、6員環)を表す。
【0026】
具体的な式(I)の化合物には、遊離塩基の形態の、またはその塩(例えば、その医薬上許容される塩)としての、その個々の異性体および異性体混合物(例えば、ラセミ体またはラセミ混合物)を含む、実施例1〜14の化合物が含まれる。
【0027】
本発明には、本明細書に記載の実施態様および置換基の全ての可能な組み合わせが含まれることを理解すべきである。
【0028】
単独または別の基の一部としてのいずれかの、C1−6アルキルは、直鎖または分岐鎖であってもよく、C1−6アルコキシは、同様に解釈されるであろう。具体例として、限定されるものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ネオ−ペンチルおよびn−ヘキシルが挙げられる。具体的なアルキルおよびアルコキシ基は、C1−3アルキルおよびC1−3アルコキシである。
【0029】
1−6アルキレンの具体例として、メチレン[−(CH)−]、エチレン[−(CH−]、プロピレン[−(CH−]、ブチレン[−(CH−]、ペンチレン[−(CH−]およびヘキシレン[−(CH−]が挙げられる。
【0030】
本明細書に用いられる、「アリール」なる語には、単一縮合芳香族環が含まれる。アリール基の具体例として、限定されるものではないが、フェニルおよびナフチルが挙げられる。アリールは、そのすべての位置異性体を示すことを意図とする。具体的なアリール環は、フェニルである。
【0031】
本明細書に用いられる、「C5−7シクロアルキル」なる語は、5〜7個の炭素原子を有する非芳香族炭化水素環をいう。かかる環の具体例として、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられる。
【0032】
本明細書に用いられる、「ハロゲン」なる語は、特に明記しない限り、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、特に、塩素または臭素から選択される基を示す。
【0033】
本発明は、遊離塩基としておよびその塩として、例えば、医薬上許容される塩としての式(I)の化合物を包含することを理解すべきである。
【0034】
本発明の化合物または式(I)の化合物に関する以下の言及は、特に明記しない限り、遊離塩基としてまたは塩としての式(I)の化合物を意味することをさらに理解すべきである。
【0035】
式(I)の化合物は、医薬上許容される塩の形態であってもよく、および/または、医薬上許容される塩として投与されてもよい。適当な塩の報文については、Bergeら,J.Pharm.Sci.,1977,66,1−19を参照。適当な医薬上許容される塩には、酸付加塩が含まれる。本明細書に用いられる、「医薬上許容される塩」なる語は、レシピエントに投与すると、式(I)の化合物、またはその活性代謝物もしくは残存物を(直接的または間接的に)得ることができる、式(I)の化合物の任意の医薬上許容される塩または溶媒和物を意味する。
【0036】
典型的には、医薬上許容される塩は、必要に応じて所望の酸を用いて容易に調製されうる。該塩は、溶液から沈殿し、濾過により回収されうるかまたは溶媒の蒸発により回収されうる。
【0037】
医薬上許容される酸付加塩は、例えば、結晶化および濾過により通常単離される塩を得るために、所望により適当な溶媒、例えば、有機溶媒中の、式(I)の化合物と適当な無機酸または有機酸(例えば、臭化水素酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、コハク酸、マレイン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、クエン酸、乳酸、安息香酸、サリチル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸(例えば、2−ナフタレンスルホン酸)、ナフタレン・ジスルホン酸またはヘキサン酸)との反応により形成されうる。式(I)の化合物の医薬上許容される塩は、例えば、臭素水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩(例えば、2−ナフタレンスルホン酸塩)、ナフタレン・ジスルホン酸塩またはヘキサン塩を含むかまたはそれらでありうる。
【0038】
式(I)の化合物(式中:Rは、−NRSO−または−SONR−を表す)は、塩基付加塩を形成しうる。適当な医薬上許容される塩基性塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウムおよびカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウムおよびマグネシウム塩、ならびにpKが>13である有機塩基との塩が含まれる。
【0039】
他の医薬上許容されない塩、例えば、シュウ酸塩またはトリフルオロ酢酸塩は、例えば、式(I)の化合物の単離にて用いられてもよく、本発明の範囲内に含まれる。
【0040】
本発明は、式(I)の化合物の塩の全ての可能な化学量論的および非化学量論的形態をその範囲内に含む。
【0041】
多数の有機化合物が、それらが反応するかまたはそれらが沈殿もしくは結晶化する溶媒と複合体を形成しうることは分かるであろう。これらの複合体は「溶媒和物」として知られている。例えば、水との複合体は、「水和物」として知られている。高沸点を伴うおよび/または水素結合を形成しうる溶媒、例えば、水、キシレン、N−メチルピロリジノン、メタノールおよびエタノールは、溶媒和物を形成するために用いられうる。溶媒の同定方法には、限定されるものではないが、NMRおよび微量分析が含まれる。式(I)の化合物の溶媒和物は本発明の範囲内にある。
【0042】
式(I)の化合物は、異なる物理的形態で存在しうる。かかる形態は、本発明の範囲内にある。したがって、式(I)の化合物は、結晶または非晶質状態でありうる。さらに、結晶ならば、式(I)の化合物は、本発明の範囲内に含まれる、1つまたは複数の多形体でありうる。式(I)の化合物の、室温にて、最も熱力学的に安定な多形体は、特に関心がある。
【0043】
式(I)の化合物の多形体は、これらに限定されるものではないが、粉末X線回折(XRPD)パターン、赤外(IR)スペクトル、ラマンスペクトル、示差走査熱量測定法(DSC)、熱重量分析(TGA)および固体核磁気共鳴(ssNMR)を含む、多数の従来の分析法を用いて、特徴付けられ、回折されうる。
【0044】
式(I)の化合物が、光学異性体、例えば、エナンチオマーまたはジアステレオマーが形成されうるように1つまたは複数の不斉炭素原子を有しうることは分かるであろう。本発明は、式(I)の化合物の光学異性体を例えば、他の異性体が実質的に存在しない(すなわち、純粋である)ように単離された個々の異性体としてかそれともその混合物(例えば、ラセミ体およびラセミ混合物)として包含する。例えば、他の異性体が実質的に存在しない(すなわち、純粋である)ように単離された個々の異性体は、約10%未満、特に、約1%未満、例えば、約0.1%未満の他の異性体が存在するように単離されうる。
【0045】
さらに、R型およびS型エナンチオマーは、キラル固定相に関与する分取HPLCなどの従来の分離方法によって、遊離塩基とキラル酸との塩の分別結晶を用いる分離によって、キラル補助基を用いるジアステレオマーへの化学変換、次いで、異性体のクロマトグラフィー分離、次いで、キラル補助基の除去および純粋エナンチオマーの再生によって、または全不斉合成によってラセミ体から単離されうる。
【0046】
式(I)の特定の化合物は、いくつかの互変異性型の1つとして存在しうる。本発明が、式(I)の化合物の互変異性体を個々の互変異性体としてかそれともその混合物として包含するは理解されるであろう。
【0047】
式(I)の化合物およびその塩の溶媒和物(例えば、水和物)、複合体、互変異性体、光学異性体および多形体が本発明の範囲内に含まれることは上記の内容から分かるであろう。
【0048】
式(I)の化合物またはその塩の調製方法がまた提供される。
【0049】
誤解を避けるために、プロセスセクションにわたって、特に明記しない限り、(CHは、式(I)の化合物中のRに記載のC1−6アルキレンに対応するので、1個のC1−3アルキル基で所望により置換されていてもよい。
【0050】
第1のプロセスAによれば、式(I)の化合物(式中:Rは−SO−を示す)は、式(II):
【化2】

で示される化合物を式(III):
【化3】

で示される化合物と反応させて調製されうる。
[式中:A、R、R、a、b、c、y、zおよびRは、上記の式(I)の記載と同義であり、nは1〜6を示し、(CHは、1個のC1−3アルキル基で所望により置換されていてもよく、Xは、適当な脱離基、例えば、塩素、臭素、トシレートまたはメシレートを表す]
【0051】
反応は、典型的には、適当な塩基、例えば、重炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムと一緒に、所望により適当な活性化剤、例えば、ヨウ化ナトリウムを用いて、適当な溶媒、例えば、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)中で行われうる。反応物は、典型的には、例えば、適当な時間、例えば、15〜30分間約100〜150℃の温度にてマイクロ波オーブンを用いて加熱される。あるいは、加熱は、長時間、例えば、数時間または必要に応じて、一晩、従来の方法を用いて行われうる。
【0052】
式(II)の化合物は、以下のスキーム1およびスキーム2にしたがって調製されうる。
【0053】
式(III)の化合物(式中:Xは、ClまたはBrを示す)は、スキーム4にしたがって調製されうる、および/または、商業的に入手可能である。例えば、Apolloおよび/またはAldrichおよび/またはChemical Blocksおよび/またはTCI Europeから商業的に入手可能である、かかる化合物の例として、1−[(2−クロロエチル)スルホニル]ペンタン、2−クロロエチル フェニル スルホン、塩化p−トルエンスルホニルメチル、1−[(2−クロロエチル)スルホニル]−4−メチルベンゼン、2−クロロエチル 3−[(トリフルオロメチル)フェニル] スルホン、2−クロロエチル 4−フルオロフェニル スルホン、2−クロロエチル 4−クロロフェニル スルホンおよび1−{[(2−クロロエチル)スルホニル]メチル}ベンゼン、ブロモメチル フェニル スルホンおよび3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル クロロメチル スルホンが挙げられる。
【0054】
式(III)の化合物(式中:Xはトシレートまたはメシレートである)は、スキーム5にしたがって調製されうる。
【0055】
【化4】

【0056】
試薬および条件:i)高温、例えば、約180〜250℃、例えば、約240℃、適当な塩基、例えば、酢酸ナトリウム(NaOAc)、適当な溶媒、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP);ii)NHNH、または硫酸ヒドラジンおよび水酸化ナトリウム(NaOH)、適当な溶媒、例えば、エタノール中;iii)適当な溶媒、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、適当なアゾジカルボン酸塩、例えば、ジイソプロピルアゾジカルボン酸塩(DIAD)または他の試薬、例えば、ジ−tert−ブチルアゾジカルボン酸塩(TBAD)、適当なホスフィン、例えば、トリフェニルホスフィン(PPh)、所望により低温にて;iv)適当な溶媒、例えば、1,4−ジオキサンまたはジクロロメタン(DCM)中、酸、例えば、塩化水素(HCl)またはトリフルオロ酢酸(TFA)を用いる脱保護。
【0057】
上記の合成法の改良では、工程(iii)および(iv)は、Boc−保護中間体[化合物(XVII)]を単離することなく、続けて行われうる。
【0058】
式(XII)の化合物は、Sigma−Aldrich,Apollo,Fluorochem,Apin,Davosおよび/またはMerckから商業的に入手可能である、例えば、無水フタル酸、3−クロロ無水フタル酸、4−クロロ無水フタル酸、4−ブロモ無水フタル酸、5−ブロモ−イソベンゾフラン−1,3−ジオン、3−フルオロ無水フタル酸、4−フルオロ無水フタル酸、3,6−ジクロロ無水フタル酸、4,5−ジクロロ無水フタル酸、4,5−ジフルオロ無水フタル酸、3,6−ジフルオロ無水フタル酸、3−ヒドロキシ無水フタル酸および4−メチル無水フタル酸、ならびに/あるいは当業者に周知の方法を用いて調製されうる、例えば、3,6−ジヒドロキシ無水フタル酸は、Wakoから商業的に入手可能な3,6−ジアセトキシ無水フタル酸から調製されうる。C1−6アルキル置換無水フタル酸は、市販の臭化物化合物から当業者に周知の方法を用いて調製されうる。
【0059】
式(XIII)の化合物は、Sigma−Aldrichおよび/またはApolloから商業的に入手可能である、例えば、フェニル酢酸、2−ブロモフェニル酢酸、4−ブロモフェニル酢酸、3−クロロフェニル酢酸、4−クロロフェニル酢酸、4−メチルフェニル酢酸、4−メトキシフェニル酢酸、4−ヒドロキシフェニル酢酸、3−(トリフルオロメチル)フェニル酢酸、4−(トリフルオロメチル)フェニル酢酸、2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル酢酸、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル酢酸および2,4−ジメトキシフェニル酢酸。
【0060】
式(XIV)の化合物、例えば、ベンザルフタリド、4−フルオロベンジリデンフタリド、3−(2−ブロモ−ベンジリデン)−3H−イソベンゾフラン−1−オンおよび4−クロロベンジリデンフタリドは、例えば、Honeywellおよび/またはAldrichおよび/またはAurora Chemicalsから商業的に入手可能である。
【0061】
式(XVI)の化合物は、Sigma−Aldrichおよび/またはFlukaから商業的に入手可能である、例えば、(R)−1−BOC−2−ピロリジンメタノール、(S)−1−BOC−2−ピロリジンメタノールおよび1−BOC−4−ヒドロキシピリジン。
【0062】
式(XVII)および(XV)の化合物はまた、ドイツ特許出願DE 3634942A1および米国特許第3,813,384号に開示されているかまたは本明細書に記載の方法によって調製されうる。
【0063】
【化5】

【0064】
試薬および条件:i)ナトリウムメトキシド、THF/メタノール(MeOH);ii)a)適当な活性化剤、例えば、カルボニルジイミダゾールまたは塩化オキサリル、適当な溶媒、例えば、DMF、適当な高温、例えば、約50℃、b)適当な塩基、例えば、水素化ナトリウム(NaH)、c)式(XX)の化合物;iii)適当な酸、例えば、TFA、適当な溶媒、例えば、DCM;iv)適当な溶媒、例えば、エタノール中、ヒドラジンまたはヒドラジン一水和物(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)、触媒量の酸、例えば、酢酸;v)適当な溶媒、例えば、THF、適当なアゾジカルボン酸塩、例えば、DIADまたは他の試薬、例えば、TBAD、適当なホスフィン、例えば、PPh、所望により低温にて;vi)適当な溶媒、例えば、1,4−ジオキサンまたはDCM中の酸、例えば、HClまたはTFAを用いる脱保護。
【0065】
式(XVIII)の化合物(式中:AはNを表す)は、商業的に入手可能であるか、または既知の方法から調製されうる。例えば、ピリジン−3,4−ジカルボン酸無水物は、Sigma−Aldrichから入手可能である。2−メチル−ピリジン−4,5−ジカルボン酸無水物は、Werner,W.Graefe,U.,Ihn,W.,Tresselt,D.,Winter,S.,Paulus,E.,Tetrahedron,53(1):109−118(1997)に記載の方法にしたがって調製されうる、化合物4を参照。3−メトキシピリジン−4,5−ジカルボン酸無水物は、Krapcho,A.P.,Maresch,M.J.,Gallagher,C.E.,Hacker,M.P.,J.Het.Chem.,32(6):1693−702,(1995)に記載の方法にしたがって調製されうる、化合物10を参照。2−メチル−3,4−ピリジンジカルボン酸無水物は、Moriconi,E.J.およびSpano,F.A.,J.Amer.Chem.Soc.,86(1):38−46,(1964)に記載の方法にしたがって調製されうる、化合物14を参照。
【0066】
式(XX)の化合物は、以下のスキーム3に記載の方法によって、またはWO 2002/079143に記載の方法によって調製されうる(調製例149を参照)。
【0067】
【化6】

【0068】
試薬および条件:i)ジメチルホルムアミド ジ−tert−ブチル アセタール、適当な溶媒、例えば、トルエン、高温、例えば、約80℃、約18時間。
【0069】
ジメチルホルムアミド ジ−tert−ブチル アセタールは、例えば、Sigma−Aldrichから商業的に入手可能である。
【0070】
式(XXIII)の化合物は、Sigma−Aldrichおよび/またはApolloから商業的に入手可能である、例えば、フェニル酢酸、2−ブロモフェニル酢酸、4−ブロモフェニル酢酸、3−クロロフェニル酢酸、4−クロロフェニル酢酸、4−メチルフェニル酢酸、4−メトキシフェニル酢酸、4−ヒドロキシフェニル酢酸、3−(トリフルオロメチル)フェニル酢酸、4−(トリフルオロメチル)フェニル酢酸、2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル酢酸、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル酢酸および2,4−ジメトキシフェニル酢酸。
【0071】
【化7】

【0072】
試薬および条件:i)適当な溶媒、例えば、DMF、高温、例えば、約60〜90℃にて;ii)適当な塩基、例えば、トリエチルアミン、適当な溶媒、例えば、DCM、塩化メタンスルホニル(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)中および所望により付加的な塩素イオン、例えば、塩化リチウムまたは塩化テトラ−n−ブチルアンモニウムの存在下;iii)適当な溶媒、例えば、DCM、適当な酸化剤、例えば、m−クロロ過安息香酸(例えば、Aldrichから商業的に入手可能);iv)適当な溶媒、例えば、エタノールまたはDMF、所望により適当な高温、例えば、約60〜80℃にて、次いで、適当な溶媒、例えば、DCM中における適当な酸化剤、例えば、m−クロロ過安息香酸での処理;v)適当な溶媒、例えば、DMF、適当な温度、例えば、約60〜80℃にて。
【0073】
式(XXV)の化合物は、例えば、Aldrichから商業的に入手可能であり、エタンチオ酸ナトリウム、1−プロパンチオ酸ナトリウム、2−プロパンチオ酸ナトリウム、1−ブタンチオ酸ナトリウム、2−メチル−2−プロパンチオ酸ナトリウム、ナトリウム チオフェノキシドおよび4−メチルベンゼンチオ酸ナトリウムを含む。
【0074】
式(XXV)の化合物はまた、不活性雰囲気中、例えば、窒素またはアルゴン下で、適当な塩基、例えば、水素化ナトリウムを対応するチオールの適当な溶媒、例えば、DCM中溶液に加えることによって、インサイツにて調製されうる。懸濁液を、適当な時間、例えば、約15分間静置した後、スキーム4に記載の反応を続けうる。
【0075】
式(XXV)の化合物に対応するチオール化合物は、例えば、Aldrichおよび/またはTCI−Europeおよび/またはApolloから商業的に入手可能であり、メタンメルカプタン、2−メチル−2−ブタンチオール、3−メチル−1−ブタンチオール、1−ペンタンチオール、ヘキシルメルカプタン、シクロペンタンチオール、シクロヘキサンチオール、2−ナフタレンチオール、チオフェノール、2−ブロモチオフェノール、4−フルオロチオフェノール、2,5−ジクロロチオフェノール、3−メチルベンゼンチオール、ベンゼンチオール、2−エチルチオフェノール、2−イソ−プロピルチオフェノール、2,4−ジメチルチオフェノール、ベンジルメルカプタン、フェニルエチルメルカプタン、2−クロロベンジルメルカプタン、3−メチルベンジルメルカプタンおよび3,5−ビス(トリフルオロメチル)チオフェノールを含む。
【0076】
式(XXIV)の化合物は、Aldrichおよび/またはApolloおよび/またはTCI−Europeから商業的に入手可能であり、2−ブロモエタノール、3−ブロモプロパノール、4−ブロモブタノール、5−ブロモペンタノール、6−ブロモヘキサノール、1−ブロモ−2−プロパノール、(R)−(−)−3−ブロモ−2−メチル−1−プロパノール、(S)−(−)−3−ブロモ−2−メチル−1−プロパノールおよび1−ブロモ−2−ブタノールを含む。
【0077】
式(XXVI)の化合物は、スキーム4に記載のとおりに調製されうるか、または例えば、TCI−Europeおよび/またはAlfa Aesarおよび/またはAldrichから商業的に入手可能であってもよく、2−(エチルチオ)エタノール、2−(イソ−ブチルチオ)エタノール、4−(メチルチオ)−1−ブタノール、3−(メチルチオ)−1−ヘキサノール、2−ヒドロキシエチル ベンジル スルフィド、2−ヒドロキシエチル n−ペンチル スルフィド、4−クロロベンジル 2−ヒドロキシエチル スルフィドおよび3−(メチルチオ)−1−プロパノールを含む。
【0078】
式(XXVII)の化合物はまた、例えば、Acrosおよび/またはAldrichから入手可能であり、2−クロロエチル エチル スルフィドおよび1−{[(2−クロロエチル)スルホニル]メチル}ベンゼンを含む。
【0079】
式(XXVIII)の化合物は、例えば、TCI−Europeおよび/またはAldrichおよび/またはAlfa Aesarから商業的に入手可能であり、1−ブロモ−2−クロロエタン、2−ブロモ−1−クロロプロパン、1−ブロモ−3−クロロプロパン、1−ブロモ−4−クロロブタン、1−ブロモ−3−クロロ−2−メチルプロパン、1−ブロモ−5−クロロペンタンおよび1−ブロモ−6−クロロヘキサンを含む。
【0080】
式(XXIX)の化合物は、例えば、Aldrichおよび/またはAlfa Aesarから商業的に入手可能であり、ジブロモメタン、1,2−ジブロモエタン、1,2−ジブロモプロパン、1,2−ジブロモブタン、1,3−ジブロモプロパン、1,3−ジブロモブタン、1,4−ジブロモブタン、1,4−ジブロモペンタン、1,5−ジブロモペンタン、1,5−ジブロモ−3−メチルペンタンおよび1,6−ジブロモヘキサンを含む。
【0081】
【化8】

【0082】
試薬および条件:i)適当な活性化剤、例えば、塩化メチルスルホニルまたは塩化p−トルエンスルホニル(両方とも、例えば、Aldrichから商業的に入手可能)、適当な溶媒、例えば、ピリジンまたはDCM、所望により低温、例えば、約0〜5℃にて;ii)適当な溶媒、例えば、DCM、適当な酸化剤、例えば、m−クロロ過安息香酸;iii)適当な溶媒、例えば、DMF、所望により適当な高温、例えば、約70〜80℃にて。
【0083】
式(XXV)および(XXVI)の化合物は、商業的に入手可能である、上記参照(スキーム4の後)。
【0084】
式(XXV)の化合物はまた、適当な塩基、例えば、水素化ナトリウムを対応するチオールの適当な溶媒、例えば、DMF中溶液に加えることによって、インサイツにて調製されうる。懸濁液を、適当な時間、例えば、約15分間静置した後、スキーム5に記載の反応を続けうる。
【0085】
式(XXXII)の化合物は、例えば、Aldrichから商業的に入手可能であり、エチレン ジ(p−トルエンスルホネート)、(S)−(−)−1,2−プロパンジオール ジ−p−トシレート、1,3−プロパンジオール ジ−p−トシレートおよび1,4−ブタンジオール ジメタンスルホネートを含む。あるいは、式(XXXII)の化合物は、対応するジオールの活性化によって、当業者に周知の方法によって調製されうる。反応は、典型的には、適当な溶媒、例えば、DCMまたはピリジン中で適当な活性剤、例えば、塩化メタンスルホニル、または塩化p−トルエンスルホニルを用いて行われうる。式(XXXII)の化合物に対応するジオールは、例えば、Aldrichから商業的に入手可能であり、エチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオールを含む。
【0086】
式(XXXIII)の化合物は、例えば、Aldrichおよび/またはAlfa Aesarから商業的に入手可能であり、2−(メチルスルホニル)エタノールおよび2−(エタンスルホニル)エタノールを含む。
【0087】
別の調製では、HO−(CHCH(Y)SRである、式(XXVI)の化合物は、以下のスキーム6にしたがって調製されうる:
【0088】
【化9】

【0089】
試薬および条件:i)適当な溶媒、例えば、DMF;ii)適当な溶媒、例えば、THF、適当な還元剤、例えば、水素化リチウムアルミニウムのエーテル中溶液、適当な低温、例えば、約0〜5℃。
【0090】
式(XXXIV)の化合物は、Aldrichおよび/またはAlfa Aesarおよび/またはRarechemから商業的に入手可能であり、エチル アクリレート、エチル クロトネート、エチル トランス−2−ペンテノエート、エチル 4−メチル−トランス−2−ペンテノエートおよびエチル トランス−2−ヘキセノエートを含む。
【0091】
式(XXV)の化合物は、商業的に入手可能である、上記参照(スキーム4の後)。
【0092】
第2のプロセスBによれば、式(I)の化合物(式中:Rは、1個のSO基を含有する飽和5〜7員環を表すか、またはRは、エチレン−SO−Rを表すか、またはRは、エチレン−SON(R)−Rを表す)は、式(II):
【化10】

で示される化合物を式(IV)または(IVa)または(IVb):
【化11】

で示される化合物と反応させて調製されうる。
[式中:A、R、R、a、b、c、y、zおよびRは、上記の式(I)の記載と同義であり、mは、1〜3を表す]
【0093】
反応は、典型的には、適当な溶媒、例えば、THFまたはDMF中で行われうる。所望により、適当な塩基、例えば、重炭酸ナトリウムを加えてもよい。反応物は、典型的には、適当な時間、例えば、約15〜30分間約100〜150℃の適当な温度にて、例えば、マイクロ波オーブンを用いて加熱される。あるいは、長時間、例えば、約2〜3時間または一晩、適当な高温、例えば、約70〜90℃にて従来の方法を用いて加熱が行われうる。
【0094】
式(II)の化合物は、上記スキーム1およびスキーム2にしたがって調製されうる。
【0095】
式(IV)の化合物は、商業的に入手可能であるかまたは本明細書に記載の方法にしたがって調製されうる。2,3−ジヒドロチオフェン 1,1−ジオキシドは、例えば、AKOSから商業的に入手可能である。3,4−ジヒドロ−2H−チオピラン 1,1−ジオキシドは、X−F.Ren,E.Turos,C.H.LakeおよびM.R.Churchill,J.Org.Chem.,60:6468−6483,(1995)(第6483頁を参照)に記載の方法にしたがって調製されうる。2,3,4,5−テトラヒドロチエピン 1,1−ジオキシドは、B.F.Bonini,M.Comes−Franchini,M.Fochi,G.Mazzanti,A.Ricci,Tetrahedron,52:4803−4816,(1996)(化合物12を参照)に記載の方法にしたがって調製されうる。
【0096】
式(IVa)の化合物は、本明細書に記載の方法(中間体5および6を参照)にしたがって調製されうるかまたは例えば、Aldrichから商業的に入手可能であり、メチルビニルスルホン、エチルビニルスルホンおよびフェニルビニルスルホンを含む。
【0097】
式(IVb)の化合物は、本明細書に記載の方法(中間体5および17を参照)にしたがって調製されうる。
【0098】
第3のプロセスCによれば、式(I)の化合物(式中:Rは−N(R)SO−を表す)は、式(V):
【化12】

で示される化合物を式(VI):
【化13】

で示される化合物と反応させることにより調製されうる。
[式中:A、R、R、a、b、c、y、z、RおよびRは、上記の式(I)の記載と同義であり、nは、1〜6を表し、(CHは、1個のC1−3アルキル基で所望により置換されていてもよい]
【0099】
反応は、典型的には、適当な塩基、例えば、トリエチルアミンとともにDCMなどの適当な溶媒を用いて行われうる。
【0100】
式(V)の化合物は、以下の反応スキーム(スキーム7および8)にしたがって調製されうる。
【0101】
式(VI)の化合物は、例えば、Aldrichおよび/またはTCI Europeおよび/またはApollo Internationalおよび/またはFluorochemから商業的に入手可能であり、塩化メタンスルホニル、塩化エタンスルホニル、塩化1−プロパンスルホニル、塩化イソ−プロピルスルホニル、塩化スルホニル、塩化2−メチル−1−プロピルスルホニル、塩化1−ブタンスルホニル、塩化sec−ブチルスルホニル、塩化n−ペンチルスルホニル、塩化2−ペンチルスルホニル、塩化1−ヘキサンスルホニル、塩化シクロペンタンスルホニル、塩化シクロヘキサンスルホニル、塩化シクロペンチルメタンスルホニル、塩化シクロヘキシルメタンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニル、塩化1−ナフタレンスルホニル、塩化2−ナフタレンスルホニル、塩化2−アントラセンスルホニル、塩化4−エチルベンゼンスルホニル、塩化4−n−プロピルベンゼンスルホニル、塩化4−イソ−プロピルベンゼンスルホニル、塩化4−ブロモベンゼンスルホニル、塩化4−ヨードベンゼンスルホニル、塩化3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニル、塩化4−シアノベンゼンスルホニル、塩化2,5−ジクロロベンゼンスルホニル、塩化2−クロロ−4−シアノベンゼンスルホニル、塩化ベンジルスルホニル、塩化2−(1−ナフチル)エタンスルホニル、塩化2−フェニル−エタンスルホニル、塩化4−クロロベンジルスルホニル、塩化4−メチルベンジルスルホニル、塩化2−トリフルオロメチルベンジルスルホニルおよび塩化2−(4−クロロフェニル)−エタンスルホニルを含む。
【0102】
【化14】

【0103】
試薬および条件:i)適当な溶媒、例えば、2−ブタノン、適当な塩基、例えば、炭酸カリウム、高温、例えば、約70〜90℃にて;ii)適当な溶媒、例えば、適当な溶媒、例えば、エタノール、ヒドラジンまたはヒドラジン一水和物、高温、例えば、約70〜90℃にて;iii)1当量のR−X(XXXVIIIa)、適当な溶媒、例えば、DMF中、適当な塩基、例えば、トリエチルアミンまたは水素化ナトリウム、所望により活性化剤、例えば、ヨウ化ナトリウムとともに;あるいは、R=O(XXXVIIIb)を用いる還元的アミノ化、適当な溶媒、例えば、DMF中、適当な還元剤、例えば、トリアセトキシ水素化ナトリウム。
【0104】
式(XXXVI)の化合物は、例えば、Acrosおよび/またはAldrichから商業的に入手可能であり、2−(2−ブロモエチル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、N−(ブロモメチル)フタルイミド、N−(3−ブロモプロピル)フタルイミド、N−(4−ブロモブチル)フタルイミド、N−(5−ブロモペンチル)フタルイミドおよびN−(6−ブロモヘキシル)フタルイミドを含む。
【0105】
式(XXXVIIIa)の化合物は、例えば、Aldrichから商業的に入手可能であり、ヨウ化メチル、ヨードエタン、1−ヨードプロパン、1−ヨードブタン、1−ヨードペンタンおよび1−ヨードヘキサンを含む。
【0106】
式(XXXVIIIb)の化合物は、例えば、Aldrichから商業的に入手可能であり、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、メチル エチル ケトン、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、3−ペンタノン、ヘキサナール、3−ヘキサノンおよび3−メチル−3−ペンタノンを含む。
【0107】
【化15】

【0108】
試薬および条件:i)適当な溶媒、例えば、2−ブタノン、適当な塩基、例えば、炭酸カリウム、高温、例えば、約70〜90℃にて、所望により活性化剤、例えば、ヨウ化ナトリウムとともに;ii)適当な溶媒、例えば、ジオキサンまたはDCM中での適当な酸、例えば、塩化水素またはTFAを用いる脱保護;iii)1当量のR−X(XXXVIIIa)、適当な溶媒、例えば、DMF中、適当な塩基、例えば、トリエチルアミンまたは水素化ナトリウム、所望により活性化剤、例えば、ヨウ化ナトリウムとともに;あるいは、R=O(XXXVIIIb)を用いる還元的アミノ化、適当な溶媒、例えば、DMF中、適当な還元剤、例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム。
【0109】
式(XXXIX)の化合物は、例えば、Aldrichおよび/またはToronto Chemicalsから商業的に入手可能であり、臭化2−(Boc−アミノ)エチル、臭化3−(Boc−アミノ)プロピル、臭化4−(Boc−アミノ)ブチル、臭化5−(Boc−アミノ)フェニルおよび臭化6−(Boc−アミノ)ヘキシルを含む。
【0110】
式(XXXVIIIa)および(XXXVIIIb)の化合物は、商業的に入手可能である、上記参照(スキーム7の後)。
【0111】
第4のプロセスDによれば、式(I)の化合物(式中:Rは−N(R)SO−を表す)は、式(II):
【化16】

で示される化合物を式(VII):
【化17】

で示される化合物と反応させて調製されうる。
[式中:A、R、R、a、b、c、y、z、RおよびRは、上記の式(I)の記載と同義であり、nは、1〜6を表し、(CHは、1個のC1−3アルキル基で所望により置換されていてもよく、Xは、適当な脱離基、例えば、塩素、臭素、トシレートまたはメシレートを表す]
【0112】
反応は、典型的には、適当な溶媒、例えば、DMF中にて適当な活性化剤、例えば、ヨウ化ナトリウムとともに適当な塩基、例えば、炭酸水素ナトリウムを用いて行われうる。反応物は、典型的には、必要に応じて約10〜30分間、適当な高温、例えば、約140〜160℃にて例えば、マイクロ波オーブンを用いて加熱される。あるいは、必要に応じて約3時間〜一晩、高温、例えば、約50〜70℃にて、従来の装置で加熱されうる。
【0113】
式(II)の化合物は、上記のスキーム1およびスキーム2にしたがって調製されうる。
【0114】
式(VII)の化合物(式中:Xは、塩素または臭素を表す)は、例えば、Apolloから商業的に入手可能であり、N−(2−ブロモエチル)−4−クロロベンゼン−1−スルホンアミド、N−(2−ブロモエチル)−4−フルオロベンゼン−1−スルホンアミド、N−(2−ブロモエチル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン−1−スルホンアミド、N−(2−ブロモエチル)−2,4−ジクロロベンゼンスルホンアミドおよび4−ブロモ−N−(3−クロロプロピル)ベンゼンスルホンアミドを含む。
【0115】
式(VII)の化合物(式中:Xはメシレートまたはトシレートを表す)は、以下のスキーム9にしたがって調製されうる。
【0116】
【化18】

【0117】
試薬および条件:i)適当な溶媒、例えば、DCM、適当な塩基、例えば、トリエチルアミン、低温、例えば、約0℃〜室温にて。
【0118】
式(VI)の化合物は、商業的に入手可能である、上記参照(プロセスC後の記載)。
【0119】
式(XLI)の化合物は、例えば、Aldrichおよび/またはTCI Europeから商業的に入手可能であり、2−アミノエタノール、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(プロピルアミノ)エタノール、2−(ブチルアミノ)エタノール、2−(n−ペンチルアミノ)エタノール、3−アミノ−1−プロパノール、3−(メチルアミノ)−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、(R)−4−アミノ−2−メチル−1−ブタノール、4−エチルアミノ−1−ブタノール、4−(n−ブチルアミノ)−1−ブタノール、5−アミノ−1−ペンタノールおよび6−アミノ−1−ヘキサノールを含む。
【0120】
第5のプロセスEによれば、式(I)の化合物(式中:Rは−SON(R)−を示す)は、式(II):
【化19】

で示される化合物を式(VIII):
【化20】

と反応させて調製されうる。
[式中:A、R、R、a、b、c、y、z、RおよびRは、上記の式(I)の記載と同義であり、nは、1〜6を表し、(CHは、1個のC1−3アルキル基で所望により置換されていてもよく、Xは、適当な脱離基、例えば、塩素または臭素を表す]
【0121】
反応は、典型的には、適当な塩基、例えば、炭酸カリウムと、適当な活性化剤、例えば、ヨウ化ナトリウムとともに適当な溶媒、例えば、DMFを用いて行われうる。反応物は通常、必要に応じて約3時間〜一晩、適当な高温、例えば、約50〜70℃にて、従来の装置を用いて加熱される。
【0122】
式(II)の化合物は、上記のスキーム1およびスキーム2にしたがって調製されうる。
【0123】
式(VIII)の化合物は、以下のスキーム10にしたがって調製されうる。
【0124】
【化21】

【0125】
試薬および条件:i)適当な溶媒、例えば、DCM、低温、例えば、約0℃〜室温にて。
【0126】
式(XLII)の化合物は、例えば、Aldrichおよび/またはTCI Europeから商業的に入手可能であり、塩化2−クロロエタンスルホニルおよび塩化3−クロロプロパンスルホニルを含む。
【0127】
式(XI)の化合物は、例えば、Aldrichおよび/またはABCRおよび/またはEnamineおよび/またはChembridgeから商業的に入手可能であり、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、(R)−(−)−2−アミノブタン、(S)−(+)−2−アミノブタンペンチルアミン、tert−ブチルアミン、1,1−ジメチルプロピルアミン、ヘキシルアミン、ジメチルアミン、N−エチルメチルアミン、N−メチルプロピルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、N−エチルブチルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、N−イソプロピルシクロヘキシアミンシクロヘキシルアミン、N−シクロヘプチル−N−メチルアミン、N−(sec−ブチル)シクロヘプタンアミン、N−(1−エチルプロピル)シクロヘプタンアミン、N−イソプロピルシクロヘプタンアミン、シクロヘキサンメチルアミン、シクロヘプタンメチルアミン、2−シクロヘキシルエチルアミン、アニリン、9−アミノフェナントレン、1−アミノアントラセン、2−アミノベンゾニトリル、2−フルオロアニリン、4−クロロアニリン、3−ブロモアニリン、3−ヨードアニリン、1−アミノ−2−メチルナフタレン、2−メチルアニリン、3−エチルアニリン、4−プロピルアニリン、2−イソプロピルアニリン、2−アミノベンゾトリフルオリド、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、3−アミノ−4−フルオロベンゾトリフルオリド、5−フルオロ−2−メチルアニリン、N−エチル−1−ナフタレン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、N−ヘキシルアニリン、N−エチル−3−メチルアニリン、ベンジルアミン、2−フェニルエチルアミン、2−(3−クロロフェニル)エチルアミン、3−フェニルプロピルアミン、(3−フェニルプロピル)メチルアミン、N−メチルフェネチルアミン、(2−フェニルエチル)プロピルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジンおよびN−メチルピペラジンを含む。
【0128】
第6のプロセスFによれば、式(I)の化合物(式中:Rは−N(R)C(O)N(R)−を表し、Rは水素を表す)は、式(Va)
【化22】

で示される化合物を式(IX):
【化23】

で示される化合物と反応させて調製されうる。
[式中:A、R、R、a、b、c、y、z、RおよびRは、上記の式(I)の記載と同義であり、nは、1〜6を表し、(CHは、1個のC1−3アルキル基で所望により置換されていてもよい]
【0129】
反応は、典型的には、適当な溶媒、例えば、DCMを用いて行われうる。反応は通常、例えば、一晩などの適当な時間、常温にて行われる。
【0130】
式(Va)の化合物は、RがRである、上記のスキーム7および8にしたがって調製されうる。
【0131】
式(IX)の化合物は、例えば、Aldrichから商業的に入手可能であり、エチル イソシアネート、イソプロピル イソシアネート、プロピル イソシアネート、ブチル イソシアネート、sec−ブチル イソシアネート、tert−ブチル イソシアネート、ペンチル イソシアネート、ヘキシル イソシアネート、シクロペンチル イソシアネート、シクロヘキシル イソシアネート、シクロヘプチル イソシアネート、シクロヘキサンメチル イソシアネート、(R)−(−)−1−シクロヘキシルエチル イソシアネート、フェニル イソシアネート、3−クロロフェニル イソシアネート、2−フルオロ−フェニル イソシアネート、2−ブロモフェニル イソシアネート、4−ヨードフェニル イソシアネート、4−メチルフェニル イソシアネート、2−エチルフェニル イソシアネート、2−イソプロピルフェニル イソシアネート、2−(トリフルオロメチル)フェニル イソシアネート、3−シアノフェニル イソシアネート、2,3−ジメチルフェニル イソシアネート、3−クロロ−4−メチルフェニル イソシアネート、4−ブロモ−2−(トリフルオロメチル)フェニル イソシアネート、2−イソプロピル−6−メチルフェニル イソシアネート、ベンジル イソシアネート、フェネチル イソシアネート、3−フェニルプロピル イソシアネート、(S)−(−)−1−フェニルプロピル イソシアネート、3−メチルベンジル イソシアネート、4−フルオロベンジル イソシアネート、2,4−ジクロロベンジル イソシアネートおよび4−エチルフェネチル イソシアネートを含む。
【0132】
第7のプロセスGによれば、式(I)の化合物(式中:Rは−N(R)C(O)N(R)−を表す)は、式(X):
【化24】

で示される化合物を式(XIa):
【化25】

で示される化合物と反応させて調製されうる。
[式中:A、R、R、a、b、c、y、z、R、RおよびRは、上記の式(I)の記載と同義であり、nは、1〜6を表し、(CHは、1個のC1−3アルキル基で所望により置換されていてもよい]
【0133】
反応は、典型的には、高温、例えば、還流温度にて適当な溶媒、例えば、THFまたはDCM中で行われうる。
【0134】
式(X)の化合物は、以下のスキーム11にしたがって調製されうる。
【0135】
式(XIa)の化合物は商業的に入手可能である、それは、RがRである式(XI)の化合物を参照(上記スキーム10の後を参照)。
【0136】
【化26】

【0137】
試薬および条件:i)1当量の1,1’−カルボニルイミダゾール、適当な溶媒、例えば、THFまたはDCM中。
【0138】
式(Va)の化合物は、RがRである、上記スキーム7および8にしたがって調製されうる。
【0139】
式(XLIII)の化合物、1,1’−カルボニルジイミダゾールは、例えば、Aldrichから商業的に入手可能である。
【0140】
第8のプロセスHによれば、式(I)の化合物は、式(I)の他の化合物から相互変換して調製されうる。
【0141】
相互変換には、限定されるものではないが、当業者に周知の標準条件下での、アルキル化および脱保護が含まれる。
【0142】
したがって、典型的には、アルキル化反応は、式(I)の化合物とC1−6アルキルの間で行われ、脱離基、例えば、ハロゲンまたは活性化ヒドロキシル基、例えば、メシレートまたはトシレートによって置換が活性化されうる。通常、適当な塩基、例えば、トリエチルアミン、N.N’−ジイソプロピルエチルアミンまたは水素化ナトリウムの存在下において、適当な溶媒、例えば、2−ブタノンまたはDMF中で所望により適当な高温、例えば、約80℃にて反応が起こる。
【0143】
第9のプロセスIによれば、式(I)の化合物の塩は、対イオンの交換、または遊離塩基からの該塩の沈殿によって調製されうる。
【0144】
記載された合成経路およびその除去手段に用いられうる保護基の例は、T.W.Greeneら.「Protective Groups in Organic Synthesis」(第3版,J.Wiley and Sons,1999)にて見出されうる。適当なアミン保護基には、スルホニル(例えば、トシル)、アシル(例えば、アセチル、2’,2’,2’−トリクロロエトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルまたはt−ブトキシカルボニル)およびアリールアルキル(例えば、ベンジル)が含まれ、それは、必要に応じて、加水分解によって(例えば、酸、例えば、ジオキサン中塩化水素またはジクロロメタン中トリフルオロ酢酸を用いて)または還元的に除去されうる(例えば、ベンジル基の水素化分解または酢酸中亜鉛を用いる2’,2’,2’−トリクロロエトキシカルボニル基の還元的除去)。他の適当なアミン保護基には、トリフルオロアセチル(−COCF)が含まれ、それは、塩基触媒加水分解または固相樹脂結合ベンジル基、例えば、メリフィールド(Merrifield)樹脂結合2,6−ジメトキシベンジル基(Ellman linker)によって除去されてもよく、それは、例えば、トリフルオロ酢酸で酸分解によって除去されうる。
【0145】
当然のことながら、本明細書に記載の新規中間体は、本発明の別の実施態様を形成する。
【0146】
式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩は、種々の炎症性および/またはアレルギー性疾患の治療に有用でありうる。
【0147】
式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩が潜在的に有益な抗炎症効果および/または抗アレルギー効果を有しうる病状の例として、気道の炎症性および/またはアレルギー性疾患、例えば、アレルギー性鼻炎(季節性および通年性)または他の疾患、例えば、気管支炎(慢性気管支炎を含む)、喘息(抗原誘発性喘息反応を含む)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および副鼻腔炎が挙げられる。
【0148】
さらに、式(I)の化合物は、腎炎、皮膚疾患、例えば、乾癬、湿疹、アレルギー性皮膚炎および過敏性反応の治療に有用でありうる。また、式(I)の化合物は、虫刺されおよび刺傷の治療に有用でありうる。
【0149】
式(I)の化合物はまた、鼻ポリープ、結膜炎(例えば、アレルギー性結膜炎)または
掻痒の治療に有用でありうる。
【0150】
特に関心のある疾患は、アレルギー性鼻炎である。
【0151】
ヒスタミンが病態生理学的役割を有しうる他の疾患には、非アレルギー性鼻炎、また、消化管の疾患、例えば、炎症性腸疾患(例えば、クローン病または潰瘍性大腸炎)および放射線暴露またはアレルゲン暴露に続発する腸炎症性疾患を含む腸炎症性疾患が含まれる。
【0152】
本明細書における治療または療法に関する言及が、確立された病態の予防ならびに治療にまで及びうることは当業者であれば分かるであろう。
【0153】
上記のように、式(I)の化合物は、治療剤として有用でありうる。したがって、療法にて用いる、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩が提供される。
【0154】
別の実施態様において、炎症性および/またはアレルギー性疾患(例えば、上記疾患のいずれか、特にアレルギー性鼻炎)の治療に用いる、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩が提供される。
【0155】
別の実施態様において、炎症性および/またはアレルギー性疾患(例えば、上記疾患のいずれか、特にアレルギー性鼻炎)の治療のための医薬の製造のための式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩の使用が提供される。
【0156】
別の実施態様において、治療を必要とする患者における、炎症性および/またはアレルギー性疾患(例えば、上記疾患のいずれか、特にアレルギー性鼻炎)の治療(または予防)方法であって、有効量の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を投与することを含む、方法が提供される。
【0157】
療法に用いる場合、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩は、典型的には、適当な医薬組成物中に処方されうる。かかる医薬組成物は、標準的製法を用いて調製されうる。
【0158】
したがって、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩および1種または複数(例えば、10以下)の医薬上許容される担体および/または賦形剤を含む組成物が提供される。
【0159】
適当には常温大気圧で、混合して調製されうる、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を含む組成物は、局所投与(経皮、吸入、経鼻または眼投与を含む)、腸内投与(経口または直腸投与を含む)または非経口投与(例えば、注射または点滴による)に適当でありうる。局所投与に適している、特に経鼻投与に適している、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を含む組成物に関心がある。
【0160】
一般には、組成物は、投与経路によって必要とされる溶液または懸濁液(水性または非水性)、錠剤、カプセル剤、経口液体製剤、粉末、顆粒、ロゼンジ剤、ローション、クリーム、軟膏、ゲル、泡沫、再構成粉末または坐剤の形態でありうる。
【0161】
一般には、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を含む組成物は、投与経路に依存する、約0.1%〜99%(w/w)、例えば、約10〜60%(w/w)(組成物の総重量に基づく)の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を含有しうる。前述の疾患の治療に用いられる化合物の用量は通常、疾患の重症度、患者の体重、および他の同様の因子によって変化するであろう。しかしながら、一般的指針として、適当な単位量は、約0.05〜1000mg、例えば、約0.05〜200mgであってもよく、かかる単位量は、1日1回以上、例えば、1日2回もしくは3回または望みどおりに投与されうる。かかる療法は、何週間または何ヶ月延長してもよい。
【0162】
局所組成物における式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩の割合は、正確なタイプの調製される組成物および投与経路に依存するであろうが、一般的には、組成物の総重量に基づくと、約0.001〜10%(w/w)の範囲内にあろう。しかしながら、一般には、ほとんどのタイプの製剤について、用いられる割合は、組成物の総重量に基づくと、約0.005〜1%(w/w)、例えば、約0.01〜1%(w/w)、例えば、約0.01〜0.5%(w/w)の範囲内にあろう。しかしながら、吸入用粉末において、用いられる割合は、一般には、組成物の総重量に基づくと、約0.1〜5%(w/w)の範囲内にあろう。
【0163】
一般には、経鼻または吸入投与に適当な組成物は、都合の良いことには、エアロゾル、溶液、懸濁液、滴剤、ゲルまたは乾燥粉末として、所望により1種または複数の賦形剤、例えば、水性または非水性ビヒクル、増粘剤、等張性調節剤、抗酸化剤、保存剤および/または共溶媒とともに処方されうる。
【0164】
経鼻または吸入投与に適している組成物について、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩は、典型的には、粒径縮小形態であってもよく、従来の技法、例えば、微粉化、微粉砕および/または微流動化によって調製されうる。一般には、サイズ縮小された(例えば、微粉化された)式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩は、約0.5〜10ミクロン、例えば、約1〜10ミクロン、例えば、約2〜4ミクロン(例えば、レーザー回折を用いて測定される)のD50値によって定義されうる。.
【0165】
1の実施態様において、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩は、経鼻投与に適している。式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を含む経鼻組成物は、化合物(群)を鼻腔(標的組織)の全域に送達してもよく、さらに、化合物(群)を長時間標的組織と接触させたままにしてもよい。経鼻組成物の適当な投薬計画は、鼻を通ってきれいにされている鼻腔まで徐々に吸入する患者のためであろう。吸入の間、組成物を1つの鼻孔に投与しながら、他方は手で圧迫する。次いで、該手順は、他方の鼻孔についても繰り返されるであろう。典型的には、鼻孔当たり1または2回投与は、1日最大2〜3回、理想的には、1日1回、上記手順によって投与されるであろう。1日1回投与に適している鼻腔組成物に特に関心がある。
【0166】
式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を含有する鼻腔組成物は、水性懸濁液および/または水性溶液の形態であってもよい。部分懸濁液および/または部分溶液は、本発明の範囲内に包含される。溶液中にある1の化合物および懸濁液中にある別の化合物を含む組成物はまた、本発明の範囲内に含まれる。
【0167】
経鼻組成物は、1種もしくは複数の懸濁化剤/増粘剤、1種もしくは複数の保存剤、1種もしくは複数の湿潤剤および/または1種もしくは複数の等張性調節剤を所望により含有していてもよい。経皮投与に適している組成物は、他の賦形剤、例えば、抗酸化剤(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム)、味マスキング剤(例えば、メタノール)および甘味剤(例えば、デキストロース、グリセロール、サッカリンおよび/またはソルビトール)を所望によりさらに含有していてもよい。
【0168】
いくつかの賦形剤が、組成物中に用いられる賦形剤の性質および数ならびに治療化合物(群)ならびにその中に含有される他の担体および/または賦形剤の特有の特性によって、1つ以上の機能を果たしうることは当業者であれば容易に分かるであろう。
【0169】
懸濁化剤/増粘剤は、含まれる場合、典型的には、組成物の総重量に基づくと、約0.1〜5%(w/w)、例えば、約1.5%〜2.4%(w/w)の量で経鼻組成物中に存在するであろう。懸濁化剤/増粘剤の例として、限定されるものではないが、Avicel(登録商標)(微結晶性セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ビーガム(veegum)、トラガカント、ベントナイト、メチルセルロースキサンタンガム、カルボポールおよびポリエチレングリコールが挙げられる。懸濁化剤/増粘剤はまた、必要に応じて吸入、眼および経口投与に適している組成物中に含まれうる。
【0170】
安定化のために、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を含む経鼻組成物は、保存剤を含有することによって微生物または真菌汚染および増殖から保護されうる。医薬上許容される抗菌剤または保存剤には、第四級アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、セトリミド、塩化ミリスチルピコリニウム(myristal picolinium chloride)、塩化ラウラルコニウム(lauralkonium chloride)および塩化セチルピリジニウム)、水銀薬剤(例えば、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀およびチメロサール)、アルコール性薬剤(例えば、クロロブタノール、フェニルエチルアルコールおよびベンジルアルコール)、抗菌エステル(例えば、パラ−ヒドロキシ安息香酸のエステル)、キレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)および他の抗菌剤、例えば、クロルヘキシジン、クロロクレゾール、ソルビン酸およびその塩(例えば、ソルビン酸カリウム)およびポリミキシンが含まれうる。医薬上許容される抗真菌薬または保存剤の例として、限定されるものではないが、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、プロピオン酸ナトリウム、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンおよびブチルパラベンが挙げられる。保存剤は、含まれる場合、組成物の総重量に基づくと、約0.001〜1%(w/w)、例えば、約0.015%(w/w)の量で存在しうる。保存剤は、必要に応じて他の投与経路に適している組成物中に含まれうる。
【0171】
懸濁化された医薬を含有する組成物には、組成物の水相中にてその分散を容易にするための医薬の粒子を湿らすように機能する医薬上許容される湿潤剤が含まれうる。典型的には、湿潤剤の使用量では、混合中分散液の発泡は起こらないであろう。湿潤剤の例として、限定されるものではないが、脂肪酸アルコール、エステルおよびエーテル、例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、マクロゴールエーテルおよびポロキサマーが挙げられる。湿潤剤は、組成物の総重量に基づくと、約0.001〜0.05%(w/w)、例えば、約0.025%(w/w)の量で経鼻組成物中に存在しうる。湿潤剤は、必要に応じて他の投与経路、例えば、吸入および/または眼投与に適している組成物中に含まれうる。
【0172】
等張性調節剤は、体液、例えば、鼻腔の液体との等張性を達成するために含まれていてもよく、刺激性のレベルの低下をもたらす。等張性調節剤の例として、限定されるものではないが、塩化ナトリウム、デキストロース、キシリトールおよび塩化カルシウムが挙げられる。等張性調節剤は、約0.1〜10%(w/w)、例えば、組成物の総重量に基づくと、約4.5〜5.5%(w/w)、例えば、約5.0%(w/w)の量で経鼻組成物中に含まれうる。等張性調節剤はまた、必要に応じて、他の投与経路に適している組成物中、例えば、吸入、眼、経口液体および非経口投与に適している組成物中に含まれうる。
【0173】
1種または複数の共溶媒(群)は、活性化合物(群)および/または他の賦形剤の安定性を補助するために含まれうる。医薬上許容される共溶媒の例として、限定されるものではないが、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、エタノール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG300またはPEG400)およびメタノールが挙げられる。共溶媒(群)は、存在する場合、組成物の総重量に基づくと、約0.05〜20%(w/w)、例えば、約1.5〜17.5%(w/w)、または約1.5〜7.5%(w/w)、または約0.05%〜0.5%(w/w)の量で含まれうる。共溶媒はまた、必要に応じて、他の投与経路に適している組成物中に含まれうる。
【0174】
さらに、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を含む経鼻組成物は、適当な緩衝剤、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸、トロメタモール(trometarol)、リン酸塩、例えば、リン酸二ナトリム(例えば、十二水和物、七水和物、二水和物および無水形態)またはリン酸ナトリウムおよびその混合物を加えて緩衝化されうる。緩衝剤はまた、必要に応じて他の投与経路に適している組成物中に含まれうる。
【0175】
鼻(例えば、鼻炎の治療のための)または肺への局所投与のための組成物には、圧縮ポンプによって鼻腔へ送達される加圧エアロゾル組成物および水性組成物が含まれる。圧縮されえらず、鼻腔へ局所投与されるように適合される組成物は、特に関心がある。適当な組成物は、該目的のために希釈剤または担体として水を含有する。肺または鼻への投与のための水性組成物は、通常の賦形剤、例えば、緩衝化剤、等張化調節剤などとともに投与されうる。水性組成物はまた、噴霧によって鼻へ投与されうる。
【0176】
液体ディスペンサーは、典型的には、鼻腔へ液体組成物を送達するために用いられうる。液体組成物は水性または非水性だが、典型的には、水性でありうる。かかる液体ディスペンサーは、定量の液体組成物が液体ディスペンサーのポンプメカニズムに使用者が加える力を適用すると分散される、分散ノズルまたは分散オリフィスを有しうる。かかる液体ディスペンサーは、一般には、複数回定量、連続的にポンプを作動すると分散される量の液体組成物の容器が備わっている。分散ノズルまたはオリフィスは、鼻腔に液体組成物をスプレー分散するために使用者の鼻孔への挿入用に構成されうる。前述のタイプの液体ディスペンサーは、WO05/044354(その全体の内容は、出典明示により本明細書の一部とする)に記載かつ示されている。ディスペンサーは、液体組成物を含有するための容器に取り付けられた圧縮ポンプを有する液体流出デバイスを収容するハウジングを有する。ハウジングは、ポンプにハウジングの鼻ノズルを通じてポンプステムから定量の組成物を圧縮かつ送り出させるためにハウジングの容器上方からハウジングに対してカムまで内部移動を可能にする、少なくとも1個の指で操作可能なサイドレバーを有する。1の実施態様において、液体ディスペンサーは、WO05/044354の図30〜40に示される一般的タイプである。
【0177】
式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を含有する水性組成物はまた、WO2007/138084に開示される、例えば、その図22〜46に開示される、またはGB0723418.0に開示される、例えば、その図7〜32に開示される(その両方の先行特許出願は、その全体を出典明示により本明細書の一部とする)、ポンプによって送達されうる。ポンプは、前記GB0723418.0の図1〜6に開示されるアクチュエータによって作動されうる。
【0178】
1の実施態様において、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を含む経鼻組成物が提供される。別の実施態様において、かかる経鼻組成物は塩化ベンザルコニウムが含まれていない。
【0179】
吸入投与は、例えば、エアロゾルまたはドライパウダー組成物による、肺への局所投与に関与する。
【0180】
吸入投与に適しているエアロゾル組成物は、化合物の医薬上許容される水性または非水性溶媒中溶液または微粒懸濁液を含んでいてもよい。吸入に適しているエアロゾル組成物は、懸濁液または溶液のいずれかであり、一般には、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩および適当な推進剤、例えば、フルオロカーボンもしくはハイドロジェン含有クロロフルオロカーボンまたはその混合物、例えば、ヒドロフルオロアルカン類、例えば、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパンまたはその混合物を含有しうる。エアロゾル組成物は、界面活性剤または共溶媒などの当該分野にて周知の付加的な賦形剤を所望により含有していてもよい。界面活性剤の例として、限定されるものではないが、オレイン酸、レクチン、オリゴ酢酸または誘導体、例えば、WO94/21229およびWO98/34596に記載のものが挙げられる。共溶媒の例として、限定されるものではないが、エタノールが含まれる。エアロゾル組成物は、密封容器中滅菌形態にて単回量または複数回量で存在していてもよく、噴霧デバイスまたはインヘラーで使用するためにカートリッジまたはリフィルの形をとってもよい。あるいは、密封容器は、容器の含有物を消費したら廃棄することを意図とする、定量バルブ(定量インヘラー)を装着した単位分散デバイス、例えば、単回量鼻インヘラーまたはエアロゾルディスペンサーであってもよい。
【0181】
ドライパウダー吸入可能組成物は、インヘラーまたは吸入器中で用いるための、カプセル剤および例えば、ゼラチンのカートリッジ、または例えば、積層アルミホイルのブリスターの形をとってもよい。式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩の粉末混合物および適当な粉末基剤、例えば、ラクトースまたはスターチを含むかかる組成物が処方されうる。
【0182】
所望により、ドライパウダー吸入可能組成物について、吸入投与に適している組成物は、適当な吸入デバイス内のストリップまたはリボン中縦方向に取り付けられた複数の密封された投薬容器(例えば、ドライパウダー組成物を含む)中に組み込まれうる。容器は、要求に応じて破裂させることができるかまたは剥ぐことができ、例えば、ドライパウダー組成物の用量は、デバイス、例えば、GlaxoSmithKlineによって販売される、DISKUS(登録商標)デバイスを介して吸入投与されうる。DISKUS(登録商標)吸入デバイスは、例えば、GB 2242134 Aに記載されており、かかるデバイスにおいて、粉末状態の組成物の少なくとも1個の容器(容器または複数の容器は、例えば、ストリップまたはリボン中縦方向に取り付けられた複数の密封された投薬容器であってもよい)は、剥ぐことができるように相互に固定された2つのメンバーの間に定義されている;デバイスは、前記容器または複数の容器の開口工程を定義する手段;容器を開口するために開口工程でメンバーを別々に剥ぐ手段;および、使用者が開口された容器から粉末形態の組成物を吸入しうる、開口された容器につながっている、出口を含む。
【0183】
エアロゾル組成物は、典型的には、各定量または「パフ」のエアロゾルが、約20μg〜2000μg、特に約20μg〜500μgの式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を含有するように配列されている。投与は、1日1回または1日数回、例えば、2、3、4または8回であってもよく、例えば、時間ごとに1、2または3回投与する。エアロゾルでの全1日量は、約100μg〜10mgの範囲内、例えば、約200μg〜2000μgであろう。全1日量およびインヘラーまたは吸入器中のカプセルおよびカートリッジによって送達される定量は、一般には、エアロゾル組成物との2倍量であろう。
【0184】
別の実施態様において、経皮投与に適している式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を含む組成物が提供される。1日当たり1回または複数回の適用によって、病変部、例えば、皮膚に適用される経皮組成物は、例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、泡沫、スプレー、水性ゲル、またはマイクロエマルションの形態であってもよい。かかる組成物は、1種または複数の可溶化剤、皮膚浸透促進剤、界面活性剤、香料、保存剤または乳化剤を所望により含有していてもよい。
【0185】
軟膏、クリームおよびゲルは、適当な増粘剤および/またはゲル化剤および/または溶媒を加えて例えば、水性または油性基剤と処方されうる。したがって、かかる基剤には、例えば、水および/または油、例えば、液体パラフィンまたは植物油、例えば、ラッカセイ油またはヒマシ油、あるいは溶媒、例えば、ポリエチレングリコールが含まれうる。基剤の性質にしたがって用いられうる増粘剤およびゲル化剤には、軟パラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、羊毛脂、蜜ろう、カルボキシポリメチレンおよびセルロース誘導体、および/またはモノステアリン酸グリセリルおよび/または非イオン性乳化剤が含まれる。ローションは、水性または油性基剤と処方されてもよく、一般には、1種または複数の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤または増粘剤も含有するであろう。
【0186】
別の実施態様において、眼投与に適している式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を含む組成物が提供される。かかる組成物は、1種もしくは複数の懸濁化剤、1種もしくは複数の保存剤、1種もしくは複数の湿潤剤/平滑剤および/または1種もしくは複数の等張性調節剤を所望により含有していてもよい。眼科用湿潤剤/平滑剤の例として、セルロース誘導体、デキストラン70、ゲラチン、液体ポリオール、ポリビニルアルコールおよびポビドン、例えば、セルロース誘導体およびポリオールが挙げられうる。
【0187】
別の実施態様において、経口投与に適している式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を含む組成物が提供される。経口投与のための錠剤およびカプセルは、単位量形態であってもよく、通常の賦形剤、例えば、結合剤、充填剤、錠剤化潤滑剤、崩壊剤および許容される湿潤剤を含有していてもよい。錠剤は、通常の調剤業務にて周知の方法にしたがってコーティングされてもよい。
【0188】
経口液体製剤は、例えば、水性または油性懸濁液、溶液、乳液、シロップまたはエリキシル剤の形態であってもよく、あるいは使用前に水または他の適当なビヒクルで再構成する乾燥生成物の形態であってもよい。かかる液体製剤は、通常の添加剤、例えば、懸濁化剤、乳化剤、非水性ビヒクル(食用油を含みうる)、保存剤、および所望により、通常の香味剤または着色剤を含有していてもよい。
【0189】
別の実施態様において、非経口投与に適している式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を含む組成物が提供される。非経口投与に適している液体単位量形態は、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩および水性または油性基剤でありうる滅菌ビヒクルを用いて調製されうる。用いられるビヒクルおよび濃度に依存する、化合物は、ビヒクルに懸濁または溶解されうる。溶液を調製する場合、化合物は、注射用に溶解され、適当なバイアルまたはアンプルに充填し、密封する前に濾過滅菌されうる。所望により、アジュバント、例えば、局所麻酔薬、保存剤および緩衝剤は、ビヒクルに溶解されうる。安定性を強化するために、組成物は、バイアルに充填し、水を真空下で除去した後に凍結されうる。凍結乾燥された非経口組成物は、投与直前に適当な溶媒で再構成されうる。非経口懸濁液は、化合物が溶解される代わりに懸濁され、滅菌が濾過によって達成され得ないことを除き、実質上同一の方法で調製されうる。化合物は、滅菌ビヒクルに懸濁する前にエチレンオキシドへの暴露によって滅菌されうる。界面活性剤または湿潤剤は、化合物の均一分布を促進するために組成物中に含まれうる。
【0190】
本明細書に記載の化合物および医薬上許容される組成物はまた、1種または複数(例えば、1または2種)の他の治療剤、例えば、他の抗ヒスタミン剤、例えば、H4またはH3受容体アンタゴニスト、抗コリン剤、抗炎症剤、例えば、コルチコステロイド(例えば、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、フロ酸モメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、ブデソニドおよびWO02/12265に開示のステロイド)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)(例えば、ジソジウム・クロモグリケイト、ネドクロミルナトリウム)、PDE−4阻害薬、ロイコトリエンアンタゴニスト、リポキシゲナーゼ阻害薬、ケモカインアンタゴニスト(例えば、CCR3、CCR1、CCR2、CCR4、CCR8、CXCR1、CXCR2)、IKKアンタゴニスト、iNOS阻害薬、トリプターゼおよびエラスターゼ阻害薬、β2インテグリンアンタゴニストおよびアデノシン2αアゴニスト;またはβアドレナリン作動薬(例えば、サルメテロール、サルブタモール、フォルモテロール、フェノテロール、テルブタリン、ならびにWO02/66422、WO02/270490、WO02/076933、WO03/024439およびWO03/072539に記載のβアゴニストおよびその塩);あるいは抗感染症薬、例えば、抗生剤および抗ウイルス剤と組み合わせて用いられうるかまたは含みうる。
【0191】
必要な場合、他の治療剤(群)は、治療剤の活性および/または安定性および/または物理的特徴(例えば、安定性)を最適化するために、塩の形態で(例えば、アルカリ金属塩もしくはアミン塩としてまたは酸付加塩として)、またはプロドラッグ、またはエステル(例えば、低級アルキルエステル)として、または溶媒和物(例えば、水和物)として用いられうることが当業者には明らかであろう。必要な場合、治療剤は、光学的に純粋な形態で用いられうることも明らかであろう。
【0192】
別の実施態様において、1種または複数(例えば、1または2種、例えば、1種)の他の治療上活性な薬剤とともに式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩、ならびに1種または複数の医薬上許容される担体および/または賦形剤を含む組み合わせが提供される。
【0193】
別の実施態様において、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩ならびにH3および/またはH4アンタゴニストを含む組み合わせが提供される。
【0194】
単独またはH1受容体アンタゴニストと組み合わせて用いられうる他のヒスタミン受容体アンタゴニストには、H4受容体のアンタゴニスト(および/または逆アゴニスト)、例えば、Jablonowskiら,J.Med.Chem.46:3957−3960(2003)に開示の化合物ならびにH3受容体のアンタゴニスト(および/または逆アゴニスト)、例えば、WO2004/035556に記載の化合物、WO2006/125665に記載の化合物およびWO2006/090142に記載の化合物が含まれる。
【0195】
別の実施態様において、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩およびβアドレナリン受容体アゴニストを含む組み合わせが提供される。
【0196】
βアドレナリン受容体アゴニストの例として、サルメテロール(ラセミ体または単一エナンチオマー、例えば、R−エナンチオマーであってもよい)、サルブタモール(ラセミ体または単一エナンチオマー、例えば、R−エナンチオマーであってもよい)、フォルモテロール(ラセミ体または単一ジアステレオマー、例えば、R,R−ジアステレオマーであってもよい)、サルメファモール、フェノテロール、カルモテロール、エタンテロール、ナミンテロール、クレンブテロール、ピルブテロール、フレルブテロール、レプロテロール、バムブテロール、インダカルテロール、テルブタリンおよびその塩、例えば、サルメテロールのキシナホ酸(1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸)塩、硫酸塩またはサルブタモールの遊離塩基またはフォルモテロールのフマル酸塩が挙げられる。1の実施態様において、式(I)の化合物を含有する組み合わせには、長時間作用型βアドレナリン受容体アゴニスト、例えば、約12時間以上効果的な気管支拡張作用を提供する化合物が含まれうる。
【0197】
他のβアドレナリン受容体アゴニストには、WO02/066422、WO02/070490、WO02/076933、WO03/024439、WO03/072539、WO03/091204、WO04/016578、WO2004/022547、WO2004/037807、WO2004/037773、WO2004/037768、WO2004/039762、WO2004/039766、WO01/42193およびWO03/042160に記載のものが含まれる。
【0198】
βアドレナリン受容体アゴニストの例として、
3−(4−{[6−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド;
3−(3−{[7−({(2R)−2−ヒドロキシ−2−[4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}−アミノ)ヘプチル]オキシ}プロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4−{(1R)−2−[(6−{2−[(2,6−ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシルメチル)フェノール;
4−{(1R)−2−[(6−{4−[3−(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]−1−ヒドロキシエチル}−2−(ヒドロキシルメチル)フェノール;
N−[2−ヒドロキシル−5−[(1R)−1−ヒドロキシ−2−[[2−4−[[(2R)−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル]アミノ]フェニル]エチル]アミノ]エチル]フェニル]ホルムアミド;
N−2{2−[4−(3−フェニル−4−メトキシフェニル)アミノフェニル]エチル}−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2(1H)−キノリノン−5−イル)エチルアミン;および
5−[(R)−2−(2−{4−[4−(2−アミノ−2−メチル−プロポキシ)−フェニルアミノ]−フェニル}−エチルアミノ)−1−ヒドロキシ−エチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オンが挙げられる。
【0199】
βアドレナリン受容体アゴニストは、硫酸、塩酸、フマル酸、ヒドロキシナフトエ酸(例えば、1−または3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸)、桂皮酸、置換桂皮酸、トリフェニル酢酸、スルファミン酸、ナフタレンアクリル酸、安息香酸、4−メトキシ安息香酸、2−もしくは4−ヒドロキシ安息香酸、4−クロロ安息香酸または4−フェニル安息香酸から選択される医薬上許容される酸と形成される塩の形態でありうる。
【0200】
別の実施態様において、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩および抗炎症剤を含む組み合わせが提供される。
【0201】
抗炎症剤には、コルチコステロイドが含まれる。式(I)の化合物と組み合わせて用いられうる適当なコルチコステロイドは、抗炎症活性を有する経口および吸入コルチコステロイドならびにそのプロドラッグである。例として、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17α−[(4−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボニル)オキシ]−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−フルオロメチルエステル、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−フルオロメチルエステル(フロ酸フルチカゾン)、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロピオニルオキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−(2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3S−イル)エステル、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−(2,2,3,3−テトラメチルシクロプロピルカルボニル)オキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−シアノメチルエステルおよび6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17α−(1−メチルシクロプロピルカルボニル)オキシ−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−フルオロメチルエステル、ベクロメタゾンエステル(例えば、17−プロピオン酸エステルまたは17,21−ジプロピオン酸エステル)、ブデソニド、フルイソニド、モメタゾンエステル(例えば、フロ酸モメタゾン)、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド、シクレソニド(16α,17−[[(R)−シクロヘキシルメチレン]ビス(オキシ)]−11β,21−ジヒドロキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン)、プロピオン酸ブチキソコート(butixocort)、RPR−106541、およびST−126が挙げられる。特に関心のあるコルチコステロイドには、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17α−[(4−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボニル)オキシ]−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−フルオロメチルエステル、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−フルオロメチルエステル、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−(2,2,3,3−テトラメチルシクロプロピルカルボニル)オキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−シアノメチルエステル、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17α−(1−メチルシクロプロピルカルボニル)オキシ−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−フルオロメチルエステルおよびフロ酸モメタゾンが含まれうる。1の実施態様において、コルチコステロイドは、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−フルオロメチルエステル(フロ酸フルチカゾン)またはフロ酸モメタゾンである。
【0202】
さらなる実施態様において、コルチコステロイド、例えば、プロピオン酸フルチカゾンまたは6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−フルオロメチルエステル(フロ酸フルチカゾン)またはフロ酸モメタゾンとともに式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を含む組み合わせが提供される。さらなる実施態様において、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸 S−フルオロメチルエステル(フロ酸フルチカゾン)とともに、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を含む組み合わせが提供される。かかる組み合わせは、経鼻投与について特に関心があってもよい。
【0203】
別の実施態様において、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩およびグルココルチコイドアゴニストを含む組み合わせが提供される。
【0204】
トランス活性化よりトランス抑制に対する選択性を有していてもよく、組み合わせ療法に有用であってもよいグルココルチコイド拮抗作用を有する非ステロイド化合物には、以下の特許出願および特許:WO03/082827、WO98/54159、WO04/005229、WO04/009017、WO04/018429、WO03/104195、WO03/082787、WO03/082280、WO03/059899、WO03/101932、WO02/02565、WO01/16128、WO00/66590、WO03/086294、WO04/026248、WO03/061651、WO03/08277、WO06/000401、WO06/000398およびWO06/015870に包含されるものが含まれる。
【0205】
抗炎症剤には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が含まれる。
【0206】
NSAIDには、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬(例えば、テオフィリン、PDE4阻害薬または混合型PDE3/PDE4阻害薬)、ロイコトリエンアンタゴニスト、ロイコトリエン合成の阻害薬(例えば、モンテルカスト)、iNOS(誘導型一酸化窒素シンターゼ)阻害薬(例えば、経口iNOS阻害薬)、IKKアンタゴニスト、トリプターゼおよびエラスターゼ阻害薬、β2インテグリンアンアンタゴニストおよびアデノシン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト(例えば、アデノシン2aアゴニスト)、サイトカインアンタゴニスト(例えば、ケモカインアンタゴニスト、例えば、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、またはCCR8アンタゴニスト)またはサイトカインシンターゼの阻害薬、あるいは5−リポキシゲナーゼ阻害薬が含まれる。iNOS阻害薬には、WO93/13055、WO98/30537、WO02/50021、WO95/34534およびWO99/62875に開示のものが含まれる。
【0207】
別の実施態様において、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬と組み合わせた式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩の使用が提供される。該実施態様にて有用なPDE4特異的阻害薬は、PDE4酵素を阻害することが知られているかまたはPDE4阻害薬として作用することが発見されている任意の化合物であってもよく、それは、PDE4のみの阻害薬であり、PDEファミリーの他のメンバー、例えば、PDE3およびPDE5、ならびにPDE4を阻害する化合物ではない。
【0208】
目的としうる化合物には、シス−4−シアノ−4−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)シクロヘキサン−1−カルボン酸、2−カルボメトキシ−4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン−1−オンおよびシス−[4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン−1−オール]が含まれる。また、シス−4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]シクロヘキサン−1−カルボン酸(シロミラストとしても知られている)およびその塩、エステル、プロドラッグまたは物理的形態は、1996年9月3日に取得した米国特許第5,552,438号に記載されている。
【0209】
他のPDE4阻害薬には、ElbionからのAWD−12−281(Hofgen,Nら,15th EFMC Int.Symp.Med.Chem.,(Sept 6−10,Edinburgh)1998,Abst.P.98;CAS reference No.247584020−9);9−ベンジルアデニン誘導体のノミネートされたNCS−613(INSERM);Chiroscience and Schering−PloughからのD−4418;CI−1018(PD−168787)として認定され、PfizerによるベンゾジアゼピンPDE4阻害薬;Kyowa HakkoによってWO99/16766に開示されるベンゾジオキソール誘導体;Kyowa HakkoからのK−34;NappからのV−11294A(Landells,L.Jら,Eur.Resp.J.[Ann.Cong.Eur.Resp.Soc.(Sept 19−23,Geneva)1998]1998,12(Suppl.28):Abst P2393);Byk−Guldenからのロフルミラスト(CAS reference No 162401−32−3)およびフタラジノン(WO99/47505);Byk−Gulden、現在Altanaによって調製され、公開されている混合型PDE3/PDE4阻害薬である、プマフェントリン、(−)−p−[(4aR*,10bS*)−9−エトキシ−1,2,3,4,4a,10b−ヘキサヒドロ−8−メトキシ−2−メチルベンゾ[c][1,6]ナフチリジン−6−イル]−N,N−ジイソプロピルベンズアミド;Almirall−Prodesfarmaによって開発中のアロフィリン(arofylline);VernalisからのVM554/UM565;またはT−440(Tanabe Seiyaku;Fuji,Kら,J.Pharmacol.Exp.Ther.,284(1):162,(1998))、およびT2585が含まれる。
【0210】
目的としうるさらなるPDE4阻害薬は、公開された国際特許出願WO04/024728(Glaxo Group Ltd)、WO04/056823(Glaxo Group Ltd)およびWO04/103998(Glaxo Group Ltd)に開示されている。特に関心のある化合物は、国際特許出願WO04/103998に記載の6−({3−[(ジメチルアミノ)カルボニル]フェニル}スルホニル)−8−メチル−4−{[3−(メチルオキシ)フェニル]アミノ}−3−キノリンカルボキサミドまたはその医薬上許容される塩である。
【0211】
別の実施態様において、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩および抗コリン剤を含む組み合わせが提供される。
【0212】
抗コリン剤は、ムスカリン受容体でアンタゴニストとして作用する化合物、特に、MまたはM受容体のアンタゴニスト、M/MまたはM/M受容体のデュアルアンタゴニストあるいはM/M/M受容体のパンアンタゴニストである化合物である。吸入投与のための例示的化合物には、イプラトロピウム(例えば、臭化物として、CAS 22254−24−6、Atroventという名の固体)、オキシトロピウム(例えば、臭化物として、CAS 30286−75−0)およびチオトロピウム(例えば、臭化物として、CAS 136310−93−5、Spirivaという名の固体)が含まれる。レバトロペート(例えば、臭化水素酸塩として、CAS 262586−79−8)およびWO01/04118に開示のLAS−34273も目的とする。経口投与のための例示的化合物には、ピレンゼピン(例えば、CAS 28797−61−7)、ダリフェナシン(例えば、CAS 133099−04−4、Enablexという名の臭化水素酸塩固体についてのCAS 133099−07−7)、オキシブチニン(例えば、CAS 5633−20−5、Ditropanという名の固体)、テロジリン(例えば、CAS 15793−40−5)、トルテロジン(例えば、CAS 124937−51−5、または酒石酸塩についてのCAS 124937−52−6、Detrolという名の固体)、オチロニウム(例えば、臭化物として、CAS 26095−59−0、Spasmomenという名の固体)、塩化トロスピウム(例えば、CAS 10405−02−4)およびソリフェナシン(例えば、CAS 242478−37−1、またはCAS 242478−38−2、またはYM−905としても知られているコハク酸塩およびVesicareという名の固体)が含まれる。
【0213】
他の抗コリン剤は、WO2004/012684;WO2004/091482;WO2005/009439;WO2005/009362;WO2005/009440;WO2005/037280;WO2005/037224;WO2005/046586;WO2005/055940;WO2005/05594;WO2005/067537;WO2005/087236;WO2005/086873;WO2005/094835;WO2005/094834;WO2005/094251;WO2005/095407;WO2005/099706;WO2005/104745;WO2005/112644;WO2005/118594;WO2006/005057;WO2006/017768;WO2006/017767;WO2006/050239;WO2006/055553;WO2006/055503;WO2006/065755;WO2006/065788;WO2007/018514;WO2007/018508;WO2007/016650;WO2007/016639;およびWO2007/022351にて見出されうる。
【0214】
他の抗コリン剤には、WO2005/009439として公開された、米国特許出願第60/487981号に開示される化合物およびWO2005/037280として公開された、米国特許出願第60/511009号に開示の化合物が含まれる。
【0215】
かかる組み合わせの個々の化合物は、別々の医薬組成物中に連続してならびに組み合わせた医薬組成物中に同時に投与されうる。付加的な治療上活性な成分は、式(I)の化合物とともに組成物中に懸濁されうる。既知の治療剤の適当な用量は、当業者であれば容易に分かるであろう。
【0216】
式(I)の化合物は、下記の方法によってまたは同様の方法によって調製されうる。したがって、以下の中間体および実施例は、式(I)の化合物の調製を説明するものであり、決して開示の範囲の限定として考えられるものではない。
【0217】
一般的実験
略語
h: 時間
HPLC: 高速液体クロマトグラフィー
LCMS: 液体クロマトグラフィー 質量分析
MDAP: マスディレクティッド自動分取HPLC
min 分
【0218】
一般的実験法
フラッシュシリカゲルは、Merck Art No.9385をいう;シリカゲルはMerck Art No.7734をいう。
SCXカートリッジは、固定相が高分子ベンゼンスルホン酸であるイオン交換SPEカラムである。これらはアミンを単離するために用いられる。
SCX2カートリッジは、固定相が高分子プロピルスルホン酸であるイオン交換SPEカラムである。これらはアミンを単離するために用いられる。
【0219】
LCMSは、3ml分−1の流速で以下の溶出勾配0.0〜7分 0%B、0.7〜4.2分 100%B、4.2〜5.3分 0%B、5.3〜5.5分 0%Bを用いて、水中0.1%ギ酸および0.01M酢酸アンモニウム(溶媒A)およびMeCN中0.05%ギ酸および5%水(溶媒B)で溶出する、Supelcosil LCABZ+PLUSカラム(3.3cmx内径4.6mm)で行われた。質量スペクトルは、エレクトロスプレー正および負モード(ES+veおよびES−ve)を用いてFisons VG Platform分光計上で記録された。
【0220】
Flashmaster IIは、使い捨ての、順相SPEカートリッジ(2g〜100g)を利用する、Argonaut Technologies Ltdから入手可能な自動化マルチユーザーフラッシュクロマトグラフィーシステムである。勾配方法を実行させるために第4のオンライン溶媒混合を提供する。サンプルは、溶媒、流速、勾配プロファイルおよび回収条件を管理する、多機能オープン・アクセスソフトウェアを用いて待ち行列に入れられる。システムは、Knauer可変波長UV検出器および自動にピークをカッティング、回収およびトラッキングすることができる2つのGilson FC204フラクション・コレクターを装備している。
【0221】
マスディレクティッド自動分取(MDAP)HPLCは、20ml分−1の流速で15分(または25分)かけて適当な溶出勾配を用いて水中0.1%ギ酸(溶媒A)およびMeCN中0.1%ギ酸(溶媒B)で溶出し、室温にて200〜320nmで検出する、拡張ポンプヘッドを有するWaters 600ポンプ、Waters 2700オートサンプラー、Waters 996ダイオードアレイおよび10cmx内径2.54cm ABZ+カラムにおけるGilson 202フラクション・コレクターからなるWaters FractionLynxシステム上で行われた。質量スペクトルは、エレクトロスプレー正および負のモード、別のスキャンを用いてMicromass ZMD質量分析計上で記録された。用いられるソフトウェアは、OpenLynxおよびFractionLynxオプションを伴うMassLynx 3.5であった。用いられる溶出勾配は、特に明記しない限り、15分であった。
【0222】
H NMRスペクトルは、400MHzで作動するBruker AV400上で記録された。標準的重水素化溶媒を用いた。テトラメチルシランは、内部標準として用いられうる。
【0223】
反応物は、TLC、LCMSおよび/またはHPLCなどの、当業者に周知の方法によって通常モニターされる。かかる方法は、反応が終了したかどうかを評価するために用いられ、反応時間はそれに応じて変化しうる。
【0224】
化合物は、ACD/Name PRO 6.02化学名命名ソフトウェアAdvanced Chemistry Developments Inc.;Toronto,Ontario,M5H2L3,Canadaを用いて命名された。
【実施例】
【0225】
中間体
中間体1
(2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソ−2(1H)−フタラジニル]メチル}−1−ピロリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
トリフェニルホスフィン(1.86g、7.09mmol)の乾テトラヒドロフラン(6ml)中溶液に、−15℃にてアゾジカルボン酸ジイソプロピル(1.12ml、5.69mmol)を加えた。得られた淡黄色濃厚懸濁液を−15℃にて2分間攪拌した。攪拌を補助するために、追加の乾テトラヒドロフラン(2ml)を加えた。次いで、反応混合物を、−15℃にて4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1(2H)−フタラジノン(例えば、米国特許第1,377,231号に開示されるもの、例えば、実施例10、工程1)(0.571g、2.11mmol)およびN−tert−ブトキシカルボニル−D−プロリノール(例えば、Flukaから商業的に入手可能)(0.650g、3.23mmol)の乾テトラヒドロフラン(10ml)中懸濁液で処理した。反応混合物を室温に加温し、20℃にて23時間攪拌した。次いで、メタノール(20ml)を加え、溶媒を真空中で除去した。得られた残渣を、40分かけて0〜50%酢酸エチル−シクロヘキサン勾配で溶出されたFlashmaster IIクロマトグラフィー(70gシリカカートリッジ)に付して精製した。溶媒を真空中で除去して、暗褐色油として表題化合物を得た(1.05g)。LCMS RT=3.71分。
【0226】
中間体2
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−[(2R)−2−ピロリジニルメチル]−1(2H)−フタラジノン
(2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソ−2(1H)−フタラジニル]メチル}−1−ピロリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(例えば、中間体1の調製)(1.05g、2.31mmol)の乾ジオキサン(12ml)中溶液に、塩化水素の1,4−ジオキサン(4.0M、6ml)中溶液を加えた。溶液を20℃にて2時間攪拌した。トリフルオロ酢酸(1ml)を混合物に加え、30分間攪拌し、次いで、追加のトリフルオロ酢酸(3x約1ml)を、脱保護が終了するまで10分間隔で加えた。溶媒を真空中で除去し、残渣をSCXカートリッジ(20g)上に適用し、メタノール(x2)で洗浄し、次いで、メタノール中10%水性アンモニア(2x50ml)で溶出した。溶媒を真空中で除去し、得られた残渣を、40分かけて0〜30%メタノール+1%トリエチルアミン−ジクロロメタン勾配で溶出された、Flashmaster IIクロマトグラフィー(50gシリカカートリッジ)に付して精製し、暗褐色泡沫として表題化合物を得た(0.351g)。LCMS RT=2.45分。
【0227】
中間体3
(2S)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソ−2(1H)−フタラジニル]メチル}−1−ピロリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル
アゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル(1.15g、5mmol)のテトラヒドロフラン(5ml)中溶液を、−15℃に冷却された、トリフェニルホスフィン(1.8g、7mmol)のテトラヒドロフラン(5ml)中攪拌溶液に加えた。得られた濃厚懸濁液を、4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1(2H)−フタラジノン(例えば、米国特許第1,377,231号に開示されるもの、実施例9、工程1を参照)(0.558g、2mmol)およびN−tert−ブトキシカルボニル−D−プロリノール(例えば、Flukaから商業的に入手可能)(0.64g、3.2mmol)のテトラヒドロフラン(5ml)中懸濁液で処理し、次いで、さらなるテトラヒドロフラン(15ml)を攪拌混合物に加えた。窒素雰囲気下で一晩攪拌し続け、温度を室温まで昇温させた。反応混合物を真空中で濃縮し、残渣をシリカのクロマトグラフィー(Flashmaster II、100g、60分かけて0〜50%酢酸エチル−シクロヘキサンの勾配)に付して精製した。適当なフラクションを合し、真空中で濃縮して、表題化合物を得た(0.738g)。LCMS RT=3.71分、ES+ve m/z 454/456[M+H]
【0228】
中間体4
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−[(2S)−2−ピロリジニルメチル]−1(2H)−フタラジノン
(2S)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソ−2(1H)−フタラジニル]メチル}−1−ピロリジンカルボン酸1,1−ジメチルエチル(例えば、中間体3の調製)(738mg、1.6mmol)のジオキサン(5ml)中溶液を、塩化水素のジオキサン中溶液(4M、5ml)で処理し、窒素雰囲気下室温にて1時間攪拌した。さらなるジオキサン中塩化水素(4M、2ml)を加え、40分以上攪拌し続けた。反応混合物を真空中で濃縮した。残渣を、メタノール、次いで、10%水性アンモニアのメタノール中溶液で溶出する、SCXカートリッジ(50g)に適用した。適当なフラクションを合し、真空中で濃縮して、表題化合物を得た(0.555g)。LCMS RT=2.45分、ES+ve m/z 354/356[M+H]
【0229】
中間体5
塩化2−ブロモエタンスルホニル
五塩化リン(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(11.8g、57mmol)を、5分かけて攪拌されたブロモエタンスルホン酸ナトリウム(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(4.0g、19mmol)に少しずつ加えた。加え終わると、懸濁液を2時間110℃に加熱した後、21℃に冷却し、次いで、氷に注いだ。生成物をジクロロメタンで抽出し、有機層を水、重炭酸ナトリウムおよび水で続けて洗浄した。有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させて、表題化合物を得た(3.24g)、H NMR δ(CDCl)4.12(2H,t,J=8Hz),3.79(2H,t,J=8Hz)。
【0230】
中間体6
1−(エテニルスルホニル)ピペリジン
塩化2−ブロモエタンスルホニル(例えば、中間体5の調製)(415mg、2mmol)を、窒素下にて氷水で冷却しながらジクロロメタン(4ml)中で攪拌し、トリエチルアミン(0.42ml、3mmol)を加えた。溶液を5℃まで冷却した場合に、ジクロロメタン(2ml)中ピペリジン(237μl、2.4mmol)を10分かけて滴下した。混合物を2時間かけて室温に加温し、次いで、3時間攪拌した。溶液を追加のジクロロメタンで希釈し、それを、水および2N塩酸、次いで、水(x2)で続けて洗浄し、毎回、ジクロロメタンで逆抽出した。合した有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させて、表題化合物を得た(99mg)、LCMS RT=0.89分、ES+ve m/z 176(M+H)
【0231】
中間体7
3−クロロプロピル エチル スルホン
エタノール(24ml)中エタンチオ酸ナトリウム(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(2.0g、24mmol)を、1−ブロモ−3−クロロプロパン(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(2.35ml、24mmol)で処理し、混合物を室温にて3日間攪拌した。次いで、混合物をジエチルエーテルで希釈し、溝付き濾紙で濾過して、白色沈殿物を濾過した。次いで、濾液を、大気圧で溶媒を蒸留して濃縮した。濾過からの固体残渣を、蒸留からの固体残渣と合し、水とジクロロメタンの間に分配した。水相をジクロロメタンで1回以上抽出し、合した有機溶液を(硫酸マグネシウム)で乾燥し、濾過し、濾液をm−クロロ過安息香酸(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(1g、60%純度、3mmol)で処理し、混合物を室温にて一晩攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、重炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機溶液を、水性メタ重亜硫酸(x2)、水性重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、(硫酸マグネシウム)乾燥し、減圧下で蒸発させた。残渣(790mg)をジクロロメタンに溶解し、ジエチルエーテル−石油エーテル(40〜60℃)(20%〜60%)で溶出するシリカカートリッジ(20g)に適用して、表題化合物を得た(260mg、6%):H NMR δ(CDCl)3.71(2H,t,J=7Hz),3.15(2H,t,J=7Hz),3.04(2H,q,J=7Hz),2.40−2.30(2H,m),1.44(3H,t,J=7Hz)。
【0232】
中間体8
エチル 3−(エチルチオ)ブタノエート
エチル クロトネート(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(2.37g、20.8mmol)を、N,N’−ジメチルホルムアミド(60ml)に溶解し、室温にて攪拌した。エタンチオ酸ナトリウム(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(1.66g、19.7mmol)を少しずつ加えた。加え終わると、混合物を室温にて一晩攪拌した。混合物を水で希釈し、酢酸エチル(x3)で抽出した。合した有機溶液を、(硫酸マグネシウム)乾燥し、長時間真空中で濃縮して、過剰のN,N’−ジメチルホルムアミドを除去した。残渣を、酢酸エチル−シクロヘキサン(2%〜6%)の勾配で溶出するシリカカートリッジ(50g)に適用して、無色油として表題化合物を得た(527mg、14%):H NMR δ(CDCl)4.16(2H,q,J=9Hz),3.28−3.18(1H,m),2.66−2.55(3H,m),2.44(1H,dd,J=15,8Hz),1.33(3H,d,J=7Hz),1.31−1.23(6H,m)。
【0233】
中間体9
3−(エチルチオ)−1−ブタノール
エチル 3−(エチルチオ)ブタノエート(例えば、中間体8の調製)(526mg、2.98mmol)を、テトラヒドロフラン(9ml)に溶解し、外部氷水浴中および窒素雰囲気下で冷却された、水素化リチウムアルミニウムのエーテル中攪拌溶液(1.0M、6ml)に滴下した。混合物を窒素雰囲気下で2.5時間攪拌し、次いで、飽和水性硫酸ナトリウム溶液を加えてクエンチした。混合物を濾過し、濾液を真空中で濃縮して、無色油として表題化合物を得た(493mg、約100%、いくつかの残存テトラヒドロフランを含有):H NMR δ(CDCl)3.89−3.72(2H,m),3.00−2.91(1H,m),2.59(2H,q,J=7.5Hz),1.93−1.77(2H,m),1.33(3H,d,J=7Hz),1.27(3H,t,J=7.5Hz)。
【0234】
中間体10
3−(エチルチオ)ブチル メタンスルホネート
3−(エチルチオ)−1−ブタノール(例えば、中間体9の調製)(247mg、1.84mmol)をジクロロメタン(10ml)に溶解し、攪拌溶液を外部氷水浴中で冷却した。塩化メタンスルホニル(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(154μl、1.99mmol)を加え、窒素下2.5時間攪拌し続けた。反応混合物を、さらなるジクロロメタン(5ml)で希釈し、飽和水性炭酸水素ナトリウムでクエンチした。層を分離し、水相をさらなるジクロロメタン(x2)(疎水性フリット)で抽出した。合した有機溶液を真空中で濃縮して、無色油として表題化合物を得、後で一部固体化した(360mg、92%):H NMR δ(CDCl)4.46−4.32(2H,m),3.03(3H,s),2.98−2.88(1H,m),2.57(2H,q,J=7.5Hz),2.03−1.87(2H,m),1.35(3H,d,J=7Hz),1.26(3H,t,J=7Hz)。
【0235】
中間体11
3−(エチルスルホニル)ブチル メタンスルホネート
3−(エチルチオ)ブチル メタンスルホネート(例えば、中間体10の調製)(360mg、1.70mmol)を、攪拌しながらジクロロメタン(10ml)に溶解した。溶液をm−クロロ過安息香酸(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(57〜86%、0.90g、少なくとも3mmol)で処理し、混合物を室温にて2.5時間攪拌した。過剰のm−クロロ過安息香酸を、水性メタ重亜硫酸ナトリウムを加えてクエンチした。飽和水性炭酸水素ナトリウムおよびさらなるジクロロメタンを加えた。混合物を振盪し、層を分離し、水性溶液をさらなるジクロロメタンで抽出した。合したジクロロメタン抽出液を、さらなる水性炭酸ナトリウム(x3)で洗浄し、(硫酸マグネシウム)乾燥し、真空中で濃縮して、無色ガムとして表題化合物を得た(393mg、95%):H NMR δ(CDCl)4.54−4.47(1H,m),4.38(1H,ddd,J=10,8,5Hz),3.30−3.20(1H,m),3.06(3H,s),3.02(2H,q,J=7.5Hz),2.57−2.47(1H,m),2.03−1.92(1H,m),1.47−1.40(6H,m);LCMS RT=1.64分、ES+ve m/z 262(M+NH
【0236】
中間体12
2−[2−((2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソ−2(1H)−フタラジニル]メチル}−1−ピロリジニル)エチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−[(2R)−2−ピロリジニルメチル]−1(2H)−フタラジノン(例えば、中間体2の調製)(3.05g、8.59mmol)を、窒素下80℃にて18時間、2−(2−ブロモエチル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(4.82g、19mmol)(例えば、Acrosから商業的に入手可能)および2−ブタノン(75ml)中炭酸カリウム(5.9g、43mmol)と攪拌した。さらなる2−(2−ブロモエチル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(2.4g、9.4mmol)および炭酸カリウム(3.0g、22mmol)を加え、さらなる日数加熱および攪拌し続けた。室温にてさらに3日後、混合物を水とジクロロメタンの間に分配した。水層を追加のジクロロメタンで抽出し、合した有機層を水で洗浄し、(硫酸マグネシウム)乾燥し、蒸発させた。残存油をジクロロメタンに再度溶解し、40〜60℃石油エーテル中40%酢酸エチル中に設定されたシリカゲル(250g)のカラム上に充填した。カラムを、該混合液、次いで、50%、70%、80%およびニートの酢酸エチルで溶出して、表題化合物を得た(3.96g、87%):LCMS RT=3.19分、ES+ve m/z 527/529[M+H]
【0237】
中間体13
2−{[(2R)−1−(2−アミノエチル)−2−ピロリジニル]メチル}−4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1(2H)−フタラジノン
2−[2−((2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソ−2(1H)−フタラジニル]メチル}−1−ピロリジニル)エチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(例えば、中間体12の調製)(3.96g、7.51mmol)を、攪拌しながら80℃にてエタノール(50ml)に溶解し、ヒドラジン一水和物(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(0.91ml、19mmol)を加えた。混合物を、攪拌しながら1.25時間加熱した。反応物を氷水で冷却し、白色固体を濾過により除去した。濾過ケークをエタノールで溶出し、合した濾液を白色固体に蒸発させた。該固体を2M塩酸(10ml)および水(約100ml)と合した。不透明な溶液を、酢酸エチルおよびジクロロメタンで続けて洗浄した。次いで、水層を2M水酸化ナトリウムでアルカリ性にし、生成物をジクロロメタン(x4)で抽出した。合した有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させて、白色固体として表題化合物を得た(2.29g):LCMS RT=2.74分、ES+ve m/z 397/399[M+H]
【0238】
中間体14
[3−((2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソ−2(1H)−フタラジニル]メチル}−1−ピロリジニル)プロピル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−[(2R)−2−ピロリジニルメチル]−1(2H)−フタラジノン(例えば、中間体2の調製)(495mg、1.40mmol)を、窒素下80℃にて一晩、2−ブタノン(20ml)中(3−ブロモプロピル)カルバミン酸1,1−ジメチルエチル(例えば、Flukaから商業的に入手可能)(404mg、1.70mmol)、炭酸カリウム(293mg、2.12mmol)およびヨウ化ナトリウム(41mg、0.27mmol)と攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣をジクロロメタンおよび水の混合液に溶解した。層を分離し、ジクロロメタン溶液を疎水性フリットに通して、次いで、真空中で濃縮して、表題化合物を得た(737mg、100%):LCMS RT=2.74分、ES+ve m/z 511/513[M+H]
【0239】
中間体15
2−{[(2R)−1−(3−アミノプロピル)−2−ピロリジニル]メチル}−4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1(2H)−フタラジノン
[3−((2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソ−2(1H)−フタラジニル]メチル}−1−ピロリジニル)プロピル]カルバミン酸1,1−ジメチルエチル(例えば、中間体14の調製)(737mg、1.4mmol)を、塩化水素の1,4−ジオキサン中溶液(4M、25ml)に溶解し、混合物を窒素下室温にて一晩攪拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、残渣をアセトニトリルに溶解し、SCXカートリッジ(20g、メタノール、次いで、アセトニトリルで予め処理)に適用した。カートリッジをアセトニトリルで洗浄し、次いで、アセトニトリル中10%水性0.880s.g.アンモニアで溶出した。適当な塩基性フラクションを合し、溶媒を真空中で除去して、表題化合物を得た(508mg、88%):LCMS RT=2.11分、ES+ve m/z 411/413[M+H]
【0240】
中間体16
4−[(エチルスルホニル)アミノ]ブチル エタンスルホネート
4−アミノ−1−ブタノール(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(0.5ml、5.4mmol)を、トリエチルアミン(4.5ml、32mmol)とともにジクロロメタン(25ml)に溶解し、攪拌溶液を、窒素雰囲気下にて外部氷水浴中で冷却した。ジクロロメタン(15ml)に溶解された、塩化エタンスルホニル(例えば、Flukaから商業的に入手可能)(1.5ml、16mmol)を、さらなるジクロロメタン(10ml)を用いて洗浄するために、滴下した。反応混合物を窒素下で攪拌し、3時間かけて室温に徐々に加温した。混合物をさらなるジクロロメタン(50ml)で希釈し、飽和水性炭酸ナトリウムで希釈した。水層をさらなるジクロロメタン(x2)で抽出した。合した有機溶液を、(硫酸マグネシウム)乾燥し、真空中で濃縮して、粗生成物を得た(1.70g)。粗物質の一部を、クロマトグラフィーに付して精製した。褐色油(792mg)を、40分かけて0〜100%酢酸エチル−ジクロロメタンで溶出する、シリカカートリッジ(50g、Flashmaster 2)に適用して、無色ガムとして純粋な表題化合物を得た(621mg、約90%):LCMS RT=2.15分、ES+ve m/z 291(M+NH
【0241】
中間体17
N−[3−(メチルオキシ)プロピル]エテンスルホンアミド
塩化2−ブロモエタンスルホニル(例えば、中間体5の調製)(415mg、2mmol)を、室温にてジクロロメタン(5ml)中3−メトキシプロピルアミン(0.245ml、2.4mmol)で処理し、トリエチルアミン(0.42ml、3mmol)を加えた。溶液を室温にて一晩静置した。次いで、それを追加のジクロロメタンで希釈し、水および2N塩酸、次いで、水で続けて洗浄し、毎回、ジクロロメタンで逆抽出した。合した有機溶液を、硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発させて、表題化合物を得た(225mg)、LCMS RT=1.64分、ES+ve m/z 180(M+H)
【0242】
中間体18
4−[(メチルオキシ)カルボニル]−3−ピリジンカルボン酸
窒素下−70℃にて、ピリジン−3,4−ジカルボン酸無水物(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(26.73g、180mmol)の乾テトラヒドロフラン(250ml)中懸濁液に、ナトリウムメトキシド(11.2g、2.01mol)の乾メタノール(50ml)中懸濁液を加えた。反応混合物を室温に加温し、18時間攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣を水(350ml)に溶解した。これを、濃塩酸を用いてpH約2に酸性化した。得られた固体を濾過により回収し、水で洗浄した。固体を45℃にて真空中で乾燥して、白色固体として表題化合物を得た(14.6g、45%)。LCMS RT=0.98分、ES+ve m/z 182(M+H)
【0243】
中間体19
3−{2−(4−クロロフェニル)−3−[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]−3−オキソプロパノイル}−4−ピリジンカルボン酸メチル
窒素下、4−[(メチルオキシ)カルボニル]−3−ピリジンカルボン酸(例えば、中間体18の調製)(1.81g、10mmol)の乾N.N’−ジメチルホルムアミド(90ml)中溶液に、カルボニルジイミダゾール(1.7g、10.5mmol)を加えた。反応混合物を、50℃にて90分間加熱し、次いで、塩/氷浴中で−5℃に冷却した。これに、4−クロロフェニル酢酸1,1−ジメチルエチル(例えば、中間体23の調製)(2.38g、10.5mmol)を加え、次いで、水素化ナトリウム(1.4gの鉱油中60%分散液、35mmol)を15分かけて少しずつ加えた。反応混合物を−5℃にて10分間攪拌し、次いで、室温に加温した。2時間後、反応混合物を塩化アンモニウムの飽和溶液(100ml)に注いだ。これを酢酸エチル(3x100ml)を用いて抽出した。合した有機物を、水(2x100ml)およびブライン(2x100ml)で洗浄した。有機相を、(MgSO)乾燥し、溶媒を真空中で除去した。残渣を、ジクロロメタン(5ml)に溶解し、シリカカートリッジ(100g)に適用した。これを、0〜50%酢酸エチルのシクロヘキサン中勾配を用いて60分かけて溶出した。必要なフラクションを真空中で蒸発させて、淡褐色油として表題化合物を得た(2.94g、75%、ケトンおよびエノールの混合物純度99%)。LCMS RT=3.41および3.63(U型ピーク)分 ES+ve m/z 390/392(M+H)
【0244】
中間体20
3−[(4−クロロフェニル)アセチル]−4−ピリジンカルボン酸メチル
3−{2−(4−クロロフェニル)−3−[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]−3−オキソプロパノイル}−4−ピリジンカルボン酸メチル(例えば、中間体19の調製)(2.94g、7.5mmol)を乾ジクロロメタン(12ml)に溶解し、これにトリフルオロ酢酸(5ml)を加えた。反応混合物を、窒素下室温にて20時間攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣をジクロロメタン(5ml)に溶解した。これをシリカカートリッジ(100g)に適用し、60分かけて0〜100%酢酸エチルのシクロヘキサン中勾配で溶出した。必要なフラクションを合し、真空中で蒸発させて、淡橙色油として表題化合物を得た(1.59g、73%)。LCMS RT=3.02分 ES+ve m/z 290/292(M+H)
【0245】
中間体21
4−[(4−クロロフェニル)メチル]ピリド[3,4−d]ピリダジン−1(2H)−オン
3−[(4−クロロフェニル)アセチル]−4−ピリジンカルボン酸メチル(例えば、中間体20の調製)(1.59g、5.5mmol)をエタノール(60ml)に溶解し、これに、ヒドラジン水和物(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(0.3ml、6mmol)および数滴の酢酸を加えた。反応混合物を還流温度にて3時間加熱した。反応混合物を冷却し、固体を濾過により回収し、エタノール(10ml)で洗浄した。固体を真空中で乾燥して、白色固体として表題化合物を得た(1.17g、78%)。LCMS RT=2.73分、ES+ve m/z 272/274(M+H)
【0246】
中間体22
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−[(2R)−2−ピロリジニルメチル]ピリド[3,4−d]ピリダジン−1(2H)−オン
−10℃にて、トリフェニルホスフィン(10.42g、40mmol)の無水テトラヒドロフラン(80ml)中溶液に、ジ−tert−ブチルアゾジカルボン酸(8.38g、36mmol)(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)の無水テトラヒドロフラン(60ml)中溶液を加えた。溶液を15℃に加温し、次いで、0〜5℃に冷却した。微量の懸濁液を、4−[(4−クロロフェニル)メチル]ピリド[3,4−d]ピリダジン−1(2H)−オン(例えば、中間体21の調製)およびN−Boc−D−プロリノール(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(5.14g、25.6mmol)の無水テトラヒドロフラン(100ml)中懸濁液を加えた。懸濁液を常温に加温し、23時間攪拌した。溶媒を真空中で除去して、油(30g)を得た。LCMS RT=3.48分、ES+ve m/z 455/457。粗生成物(30g)の1,4−ジオキサン(80ml)中溶液に、1,4−ジオキサン中4.0M塩化水素(80ml、320mmol)を加えた。溶液を常温にて5時間攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣を、1M水性塩酸(400ml)および酢酸(200ml)の間に分配した。相を分離し、水相を酢酸エチル(200ml)で洗浄した。合した有機抽出液を、1M水性塩酸(200ml)で洗浄した。合した水性抽出液を、2M水性水酸化ナトリウム(300〜350ml)を用いてpH10に塩基性化し、得られた懸濁液を酢酸エチル(2x400ml、1x200ml)で抽出した。合した有機抽出液を真空中で濃縮して、表題化合物を得た(8.0g)。LCMS RT=2.15分、ES+ve m/z 355/357(M+H)
【0247】
中間体23
(4−クロロフェニル)酢酸1,1−ジメチルエチル
(4−クロロフェニル)酢酸(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(13.76g、81mmol)を、窒素下、トルエン(100ml)に懸濁した。これに、ジ−tert−ブチルジメチルアセタール(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(50ml)を加え、反応混合物を80℃にて18時間加熱した。溶媒を真空中で除去し、残渣を酢酸エチル(200ml)に溶解した。溶液を、飽和重炭酸ナトリウム溶液(2x200ml)およびブライン(2x200ml)で洗浄した。有機相を、(MgSO)乾燥し、真空中で蒸発させて、淡褐色油として表題化合物を得た(6.68g、36%)。H NMR(CDCl) δ 7.28(2H,d,J 8.5Hz),7.19(2H,d,J 8.5Hz),3.48(2H,s),1.43(9H,s)。
【0248】
中間体24
3−クロロプロピル エチル スルホン
エタノール(24ml)中エタンチオ酸ナトリウム(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(2.0g、24mmol)を、1−ブロモ−3−クロロプロパン(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(2.35ml、24mmol)で処理し、混合物を室温にて3日間攪拌した。次いで、混合物をジエチルエーテルで希釈し、濾過して、白色沈殿物を取り除いた。次いで、濾液を、大気圧で溶媒を蒸留して濃縮した。濾過からの固体残渣を、蒸留からの固体残渣と合し、水とジクロロメタンの間に分配した。水相をジクロロメタンで抽出し、合した有機溶液を、(MgSO)乾燥し、濾過し、濾液をm−クロロ過安息香酸(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(1g、57〜86%純度、少なくとも3mmol)で処理し、混合物を室温にて一晩攪拌した。反応混合物を、ジクロロメタンで希釈し、重炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機溶液を、水性メタ重亜硫酸ナトリウム溶液(x2)、水性重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、(MgSO)乾燥し、減圧下で蒸発させた。残渣(790mg)をジクロロメタンに溶解し、ジエチルエーテル−石油エーテル(40〜60℃)(20%〜60%)の勾配で溶出するシリカカートリッジ(20g)に適用して、表題化合物を得た(260mg、6%):H NMR δ(CDCl)3.71(2H,t,J=7Hz),3.15(2H,t,J=7Hz),3.04(2H,q,J=7Hz),2.40−2.30(2H,m),1.44(3H,t,J=7Hz)。
【0249】
中間体25
2−[2−((2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソピリド[3,4−d]ピリダジン−2(1H)−イル]メチル}−1−ピロリジニル)エチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−[(2R)−2−ピロリジニルメチル]ピリド[3,4−d]ピリダジン−1(2H)−オン(例えば、中間体22の調製)(840mg、2.37mmol)を、窒素下80℃にて一晩、2−ブタノン(25ml)中で2−(2−ブロモエチル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(1.51g、5.93mmol)および炭酸カリウム(1.64g、11.9mmol)とともに攪拌した。さらなる炭酸カリウム(0.17g、1.2mmol)を加え、さらに4時間加熱および攪拌し続けた。ブタノンを真空中で除去した。残渣を水とジクロロメタンの間に分配した。水層をジクロロメタンで2回抽出し、合した有機層を水で洗浄し、(MgSO)乾燥し、真空中で濃縮した。60分かけて0〜100%酢酸エチル−シクロヘキサンで溶出する、シリカ(100g)上で精製し、淡黄色泡沫として表題化合物を得た(996mg、80%)。LCMS RT=2.57分、ES+ve m/z 528/530[M+H]
【0250】
中間体26
2−{[(2R)−1−(2−アミノエチル)−2−ピロリジニル]メチル}−4−[(4−クロロフェニル)メチル]ピリド[3,4−d]ピリダジン−1(2H)−オン
2−[2−((2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソピリド[3,4−d]ピリダジン−2(1H)−イル]メチル}−1−ピロリジニル)エチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(例えば、中間体25の調製)(996mg、1.89mmol)を、エタノール(20ml)に溶解し、ヒドラジン一水和物(0.23ml、4.73mmol)(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)を加えた。混合物を、攪拌しながら4時間80℃にて加熱した。反応物を冷却し、固体を、過剰のエタノールで洗浄する濾過により除去した。合した濾液および洗浄物を真空中で濃縮して、黄色ガムとして表題化合物を得た(636mg、85%)、LCMS RT=2.44分、ES+ve m/z 398/400[M+H]
【0251】
実施例
実施例1
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−({(2R)−1−[2−(エチルスルホニル)エチル]−2−ピロリジニル}メチル)−1(2H)−フタラジノン,ギ酸塩
【化27】

アセトニトリル(1ml)中4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−[(2R)−2−ピロリジニルメチル]−1(2H)−フタラジノン(例えば、中間体4の調製)(38mg、0.10mmol)を、エチル ビニル スルホン(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(0.5ml、4.8mmol)で処理し、混合物を、100℃にて15分間SmithCreator(商標)マイクロ波オーブン中で加熱した。反応の進行をLCMSによって確認した。一部の反応のみが起こり、混合物をさらに10分間加熱したが、反応はさらには進行しなかった。追加のエチル ビニル スルホン(0.4ml、3.8mmol)を加え、混合物をさらに10分間加熱した。反応はこれ以上は進行せず、混合物を、メタノールで予め処理された10gのSCX−2カートリッジ上に注いだ。カートリッジをメタノールで洗浄し、次いで、生成物をメタノール中10%水性0.880s.g.アンモニア溶液で溶出して、粗生成物を得た(42mg)。これを、メタノール−DMSO(3:1、0.8ml)に溶解し、MDAP HPLCに付して2回精製した。適当な合したフラクションを蒸発させて、表題化合物を得た(4.1mg)、LCMS RT=2.67分、ES+ve m/z 474/476(M+H)
【0252】
実施例2
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−({(2R)−1−[2−(1−ピペリジニルスルホニル)エチル]−2−ピロリジニル}メチル)−1(2H)−フタラジノン,ギ酸塩
【化28】

1−(エテニルスルホニル)ピペリジン(例えば、中間体6の調製)(45mg、0.26mmol)を、窒素下90℃にて30時間、N,N’−ジメチルホルムアミド(1ml)中で4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−[(2R)−2−ピロリジニルメチル]−1(2H)−フタラジノン(例えば、中間体2の調製)(90mg、0.26mmol)と加熱した。この間、反応をLCMSにより確認した。一部の反応のみが起こり、さらには進行しなかった。室温にて静置した後、溶液をメタノールで希釈し、メタノールで予め処理したSCX−2カートリッジ上に注いだ。カートリッジをメタノールで洗浄し、次いで、生成物をメタノール中10%水性0.880s.g.アンモニアで溶出して、粗生成物を得た(95mg)。これを、1:1 メタノール−DMSO(2ml)に溶解し、各1ml量を、25分の勾配を用いてMDAP HPLC(2回実施)上に充填した。適当な合したフラクションを蒸発させて、表題化合物を得た(26mg)、LCMS RT=2.77分、ES+ve m/z 529/531(M+H)
【0253】
実施例3
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−({(2R)−1−[3−(エチルスルホニル)プロピル]−2−ピロリジニル}メチル)−1(2H)−フタラジノン,トリフルオロ酢酸塩
【化29】

N,N’−ジメチルホルムアミド(1.4ml)中4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−[(2R)−2−ピロリジニルメチル]−1(2H)−フタラジノン(例えば、中間体4の調製)(38mg、0.10mmol)、3−クロロプロピル エチル スルホン(例えば、中間体7の調製)(58mg、0.3mmol)、重炭酸ナトリウム(64mg、0.76mmol)およびヨウ化ナトリウム(15mg、0.10mmol)を、150℃にて15分間SmithCreator(商標)マイクロ波オーブン中で加熱した。混合物を、酢酸エチルと水の間に分配し、有機相を水性重炭酸ナトリウム、ブラインで洗浄し、(硫酸マグネシウム)乾燥した。溶液を濾過し、濾液を減圧下で蒸発させた。残渣(41mg)をメタノール−DMSO(1:1、0.8ml)に溶解し、MDAP HPLCに付して精製した。適当なフラクションを合し、過剰のトリフルオロ酢酸で酸性化し、減圧下で蒸発させて、表題化合物を得た(31mg)、LCMS RT=2.52分、ES+ve m/z 488/490(M+H)
【0254】
実施例4
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−({(2R)−1−[3−(エチルスルホニル)ブチル]−2−ピロリジニル}メチル)−1(2H)−フタラジノン,塩酸塩
【化30】

4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−[(2R)−2−ピロリジニルメチル]−1(2H)−フタラジノン(例えば、中間体2の調製)(118mg、0.33mmol)を、N,N’−ジメチルホルムアミド(3ml)中で3−(エチルスルホニル)ブチル メタンスルホネート(例えば、中間体11の調製)(156mg、0.64mmol)、炭酸水素ナトリウム(177mg、2.1mmol)およびヨウ化ナトリウム(94mg、0.63mmol)と合した。得られた懸濁液を、Smith Creator(商標)マイクロ波オーブン中で30分間150℃に加熱した。混合物をメタノールで希釈し、メタノールで、次いで、メタノール中10%水性0.88s.g.アンモニアで溶出する、SCX−2カートリッジ(50g)(メタノールで予め処理)に適用した。得られた塩基性フラクションを濃縮し、残渣をMDAP HPLCに付して精製した。適当な純粋なフラクションを合し、濃縮して、ジアステレオマーの混合物として表題化合物の遊離塩基を得た(60mg);LCMS RT=2.82分、ES+ve m/z 502/504[M+H]。該サンプルを分けて、メタノールに溶解された、約3分の1の物質を、塩化水素のメタノール中溶液(1.25M、0.5ml、過剰)で処理した。該混合物を、窒素流下で濃縮して、塩酸塩としておよびジアステレオマーの混合物として表題化合物を得た(21mg、12%);LCMS RT=2.88分、ES+ve m/z 502/504[M+H]
【0255】
MDAP HPLC精製から得られたいくつかの少量の純粋なフラクションを濃縮し、残渣をさらにMDAP HPLCに付して再度精製した。さらなる物質を、表題化合物のギ酸塩として、ジアステレオマーの混合物としてそのようにして得た。これを残存遊離塩基物質と合し、全部を、メタノール、次いで、メタノール中10%水性0.88s.g.アンモニアで溶出する、SCX−2カートリッジ(2g)(メタノールで予め処理)に適用した。得られた塩基性フラクションを濃縮して、ジアステレオマーの混合物として表題化合物の遊離塩基を得た(50mg、30%);LCMS RT=2.92分、ES+ve m/z 502/504[M+H]
【0256】
実施例5Aおよび5B
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−({(2R)−1−[(3S)−3−(エチルスルホニル)ブチル]−2−ピロリジニル}メチル)−(2H)−フタラジノン,塩酸塩
および
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−({(2R)−1−[(3R)−3−(エチルスルホニル)ブチル]−2−ピロリジニル}メチル)−(2H)−フタラジノン,塩酸塩
【化31】

遊離塩基およびジアステレオマーの混合物としての4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−({(2R)−1−[3−(エチルスルホニル)ブチル]−2−ピロリジニル}メチル)−1(2H)−フタラジノン(例えば、実施例4の調製)を、215nmで検出する15ml/分の50%エタノール/ヘプタンを用いて25cmx2cm Chiralcel OJカラムに付してさらに精製した。2種のジアステレオマーを、個々の純粋な化合物として得た。
【0257】
分析的キラルHPLCを、215nmで検出する15ml/分の50%エタノール/ヘプタンを用いて25cmx0.46cm Chiralcel OJカラム上で行った。
異性体1:キラルHPLC RT 9.17分;LCMS RT=2.56分、ES+ve m/z 502/504[M+H]
異性体2:キラルHPLC RT 14.73分;LCMS RT=2.58分、ES+ve m/z 502/504[M+H]
【0258】
実施例6
N−[2−((2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソ−2(1H)−フタラジニル]メチル}−1−ピロリジニル)エチル]エタンスルホンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【化32】

2−{[(2R)−1−(2−アミノエチル)−2−ピロリジニル]メチル}−4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1(2H)−フタラジノン(例えば、中間体13の調製)(40mg、0.10mmol)を、室温にて30分間ジクロロメタン(3ml)中で塩化エタンスルホニル(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(11.5μl、0.12mmol)およびトリエチルアミン(21μl、0.16mmol)と攪拌し、次いで、一晩静置した。飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液を混合物に加え、層を分離した。水層を、さらなるジクロロメタン(x2)で抽出した。合した有機抽出液を濃縮した。残渣をMDAP HPLCに付して精製し、適当なフラクションを合した。溶媒を真空中で除去し、残渣をメタノールに再度溶解し、過剰のトリフルオロ酢酸で処理し、生成物をトリフルオロ酢酸塩に変換した。溶媒および過剰の酸を、窒素流下で除去して、表題化合物を得た(50mg、83%)。LCMS RT=2.49分、ES+ve m/z 489/491(M+H)
【0259】
実施例7
N−[2−((2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソ−2(1H)−フタラジニル]メチル}−1−ピロリジニル)エチル]−1−プロパンスルホンアミド,塩酸塩
【化33】

2−{[(2R)−1−(2−アミノエチル)−2−ピロリジニル]メチル}−4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1(2H)−フタラジノン(例えば、中間体13の調製)(30mg、0.076mmol)を、室温にて30分間、トリエチルアミン(20μl、0.15mmol)を含有するジクロロメタン(3ml)中で塩化1−プロパンスルホニル(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(11μl、0.091mmol)と攪拌すると、LCMSは反応が終了したことを示した。溶液を水性重炭酸溶液で洗浄した。水相をカートリッジ中に分離し、水層を追加のジクロロメタンで抽出した。合した有機層を蒸発乾固して、粗生成物を得た(52mg)。これをMDAP HPLCに付して精製し、表題化合物のギ酸塩を得た(34mg)。これをメタノール(5ml)に溶解し、メタノール中1.25M塩化水素を加えた。混合物を蒸発乾固して、表題化合物を得た(37.8mg)、LCMS RT=2.62分、ES+ve m/z 503/505(M+H)
【0260】
実施例8
N−[2−((2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソ−2(1H)−フタラジニル]メチル}−1−ピロリジニル)エチル]−2−プロパンスルホンアミド,トリフルオロ酢酸塩
【化34】

2−{[(2R)−1−(2−アミノエチル)−2−ピロリジニル]メチル}−4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1(2H)−フタラジノン(例えば、中間体13の調製)(40mg、0.10mmol)を、室温にて2時間ジクロロメタン(3ml)中で塩化2−プロパンスルホニル(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(13.5μl、0.12mmol)およびトリエチルアミン(21μl、0.16mmol)と攪拌した。LCMS分析は、不完全な反応を示した。さらなる塩化2−プロパンスルホニル(13.5μl、0.12mmol)およびトリエチルアミン(21μl、0.16mmol)を加え、室温にて1.5時間攪拌し続けた。LCMS分析はまた、不完全な反応を示した。さらなる塩化2−プロパンスルホニル(68μl、0.6mmol)およびトリエチルアミン(105μl、0.8mmol)を加え、室温にて一晩攪拌し続けた。飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液を混合物に加え、層を分離した。水層をさらなるジクロロメタン(x2)で抽出した。合した有機抽出液を濃縮した。残渣をMDAP HPLCに付して精製し、適当なフラクションを合した。溶媒を真空中で除去し、残渣をメタノールに再度溶解し、過剰のトリフルオロ酢酸で処理して、生成物をトリフルオロ酢酸塩に変換した。溶媒および過剰の酸を、窒素流下で除去して、表題化合物を得た(5mg、8%)。LCMS RT=2.58分、ES+ve m/z 503/505(M+H)
【0261】
実施例9
N−[4−((2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソ−2(1H)−フタラジニル]メチル}−1−ピロリジニル)ブチル]エタンスルホンアミド,塩酸塩
【化35】

4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−[(2R)−2−ピロリジニルメチル]−1(2H)−フタラジノン(例えば、中間体2の調製)(56mg、0.16mmol)を、窒素下60℃にて6時間N,N’−ジメチルホルムアミド(6ml)中で4−[(エチルスルホニル)アミノ]ブチル エタンスルホネート(例えば、中間体16の調製)(65mg、0.24mmol)、炭酸水素ナトリウム(96mg、1.1mmol)およびヨウ化ナトリウム(24mg、0.16mmol)と攪拌した。さらに4−[(エチルスルホニル)アミノ]ブチル エタンスルホネート(68mg、0.25mmol)をN,N’−ジメチルホルムアミド(1ml)中に加え、60℃にて一晩攪拌し続けた。LCMS分析は反応がまだ不完全であることを示したので、さらなる4−[(エチルスルホニル)アミノ]ブチル エタンスルホネート(63mg、0.23mmol)をN,N’−ジメチルホルムアミド(1ml)中に加え、60℃にて二晩攪拌し続けた。反応混合物を、SCX−2カートリッジ(20g、メタノールで予め処理)に適用した。カートリッジをメタノールで洗浄し、次いで、メタノール中10%水性0.880s.g.アンモニアで溶出した。適当な塩基性フラクションを合し、溶媒を真空中で除去した。残渣を、ジクロロメタン−エタノール−水性トリエチルアミン(200:8:1)で溶出する、シリカカートリッジ(5g)を用いてクロマトグラフィーに付した。適当なフラクションを合し、真空中で濃縮して、表題化合物の遊離塩基を得た。該物質をメタノールに溶解し、塩化水素のメタノール中溶液(1.25M、0.5ml)で処理した。混合物を窒素流下で濃縮して、無色ガムとして表題化合物を得た(6mg、7%);LCMS RT=2.90分、ES+ve m/z 517/519[M+H]
【0262】
実施例10
2−((2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソ−2(1H)−フタラジニル]メチル}−1−ピロリジニル)−N−[3−(メチルオキシ)プロピル]エタンスルホンアミド
【化36】

4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−[(2R)−2−ピロリジニルメチル]−1(2H)−フタラジノン(例えば、中間体2の調製)(50mg、0.14mmol)を、窒素下80℃〜90℃にてイソプロパノール(2ml)中で4日間N−[3−メチルオキシ)プロピル]エテンスルホンアミド(例えば、中間体17の調製)(38mg、0.21mmol)と加熱した。LCMSは、反応が小さい範囲のみ行われたことを示した。イソプロパノールを蒸発させて、残渣をN,N’−ジメチルホルムアミドに溶解し、2日以上100℃にて加熱し続けた。反応は不完全であるので、酢酸(8.6μl、0.15mmol)を加え、スルホンアミド脱プロトン化を抑制することを試みた。しかしながら、100℃にてさらに2日後、少しさらなる反応が起こったので、溶液を少量のメタノールと合し、メタノールで予め処理された10gのSCX−2カートリッジ上に注いだ。カートリッジをメタノールで洗浄し、次いで、メタノール中10%水性0.880s.g.アンモニア溶液で溶出して、粗生成物混合物を得た(46mg)。これをメタノールに溶解し、100:8:1、ジクロロメタン−エタノール−0.880s.g.アンモニア溶液中で処理された20x20cm Whatman 1mm分取プレート上に充填した。1:1 メタノール−ジクロロメタンを有する最先の強いUVバンドを溶出し、蒸発させて、表題化合物を含有する混合物を得た(15mg)。これを、MDAP HPLCを用いてさらに精製し、表題化合物を得た(6.8mg)、LCMS RT=2.65分、ES+ve m/z 533/535(M+H)
【0263】
実施例11
N−[2−((2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソ−2(1H)−フタラジニル]メチル}−1−ピロリジニル)エチル]−N’−プロピルウレア,トリフルオロ酢酸塩
【化37】

ジクロロメタン(2ml)中2−{[(2R)−1−(2−アミノエチル)−2−ピロリジニル]メチル}−4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1(2H)−フタラジノン(例えば、中間体13の調製)(34mg、0.09mmol)を、n−プロピルイソシアネート(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(20μl、0.21mmol)で処理し、混合物を一晩静置した。混合物を、メタノール、次いで、メタノール中10%水性0.88s.g.アンモニアで溶出する、SCXカートリッジ(10g)(メタノールで予め処理)に適用した。得られた塩基性フラクションを濃縮し、残渣をMDAP HPLCに付して精製した。適当なフラクションを合し、トリフルオロ酢酸(0.5ml)で処理し、真空中で濃縮して、表題化合物を得た(48mg、94%)。LCMS RT=2.59分、ES+ve m/z 482/484(M+H)
【0264】
実施例12
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−({(2R)−1−[3−(エチルスルホニル)プロピル]−2−ピロリジニル}メチル)ピリド[3,4−d]ピリダジン−1(2H)−オン,トリフルオロ酢酸塩
【化38】

3−クロロプロピル エチル スルホン(例えば、中間体24の調製)(84mg、0.49mmol)、4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−[(2R)−2−ピロリジニルメチル]ピリド[3,4−d]ピリダジン−1(2H)−オン(例えば、中間体22の調製)(35mg、0.1mmol)、重炭酸ナトリウム(64mg、0.76mmol)、ヨウ化ナトリウム(17mg、0.1mmol)のN,N’−ジメチルホルムアミド(1.4ml)中混合物を、マイクロ波バイアル中で密封し、SmithCreator(商標)マイクロ波オーブン中で15分間150℃に加熱した。混合物を、メタノールで希釈し、メタノール、次いで、メタノール中10%水性0.88s.g.アンモニアで溶出する、SCX−2カートリッジ(10g、メタノールで予め処理)に適用した。アンモニア性フラクションを真空中で蒸発させて、残渣(52mg)をメタノール−ジメチルスルホキシド(3:1、0.8ml)に溶解し、MDAP HPLCに付して精製した。適当なフラクションを合し、真空中で蒸発させた。残渣をメタノールに溶解し、トリフルオロ酢酸(50μl)で処理し、真空中で蒸発させて、ジメチルスルホキシドが混入する生成物を得た(64mg)。これを、メタノールに溶解し、メタノール、次いで、メタノール中10%水性0.88s.g.アンモニアで溶出する、別のSCX−2カートリッジ(5g)に適用した。アンモニア性フラクションを真空中で蒸発させて、残渣をメタノールに溶解し、トリフルオロ酢酸(50μl)で処理し、真空中で再度蒸発させて、表題化合物を得た(36mg)、LCMS(方法B、より短い実行時間) RT=0.86分、ES+ve m/z 489/491(M+H)
【0265】
実施例13
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−({(2R)−1−[2−(エチルスルホニル)エチル]−2−ピロリジニル}メチル)ピリド[3,4−d]ピリダジン−1(2H)−オン,トリフルオロ酢酸塩
【化39】

エチル ビニル スルホン(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(0.6ml、5.7mmol)、4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−[(2R)−2−ピロリジニルメチル]ピリド[3,4−d]ピリダジン−1(2H)−オン(例えば、中間体22の調製)(40mg、0.11mmol)、重炭酸ナトリウム(60mg、0.7mmol)のアセトニトリル(1ml)中混合物を、マイクロ波バイアル中で密封し、SmithCreator(商標)マイクロ波オーブン中で15分間100℃に加熱した。混合物をメタノールで希釈し、メタノール、次いで、メタノール中10%水性0.88s.g.アンモニアで溶出する、予め処理されたSCX−2カートリッジ(10g)に適用した。アンモニア性フラクションを、減圧下で蒸発させ、残基(43mg)をメタノール−ジメチルスルホキシド(1:3、0.8ml)に溶解し、MDAP HPLCに付して精製した。適当なフラクションを合し、減圧下で蒸発させた。残渣をメタノールに溶解し、トリフルオロ酢酸(50μl)で処理し、減圧下で再度蒸発させて、表題化合物を得た(50mg);LCMS(方法B、より短い実行時間) RT=0.92分、ES+ve m/z 475/477(M+H)
【0266】
実施例14
N−[2−((2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソピリド[3,4−d]ピリダジン−2(1H)−yl]メチル}−1−ピロリジニル)エチル]−N’−プロピルウレア
【化40】

2−{[(2R)−1−(2−アミノエチル)−2−ピロリジニル]メチル}−4−[(4−クロロフェニル)メチル]ピリド[3,4−d]ピリダジン−1(2H)−オン(例えば、中間体26の調製)(38mg、0.096mmol)のジクロロメタン(2ml)中懸濁液を、n−プロピル イソシアネート(例えば、Aldrichから商業的に入手可能)(0.02ml、0.21mmol)で処理し、一晩攪拌した。混合物をメタノールで希釈し、メタノール、次いで、メタノール中10%水性0.88s.g.アンモニアで溶出するSCX−2カートリッジ(10g、メタノールで予め処理)に適用した。塩基性フラクションを真空中で濃縮し、残渣をジメチルスルホキシド−メタノールで処理して、MDAP HPLC精製のために溶解した。生成物を結晶化したので、固体を温メタノールに溶解し、別のSCX−2に適用し、上記のようにプロセスを繰り返した。塩基性フラクションを蒸発させて、黄色固体として生成物を得(38mg)、イソプロパノールから再結晶して、表題化合物を得た、LCMS RT=2.39分、ES+ve m/z 483/485(M+H)
【0267】
生物学的アッセイ
本発明の化合物は、以下のアッセイまたは同様のアッセイにしたがって、インビトロおよび/またはインビボ生物活性について試験されうる。
【0268】
H1受容体細胞株生成およびFLIPRアッセイプロトコル
1.ヒスタミンH1細胞株の生成
ヒトH1受容体は、文献[Biochem.Biophys.Res.Commun.,201(2):894(1994)]に記載の既知の製法を用いてクローン化される。ヒトH1受容体を安定発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、文献[Br.J.Pharmacol.,117(6):1071(1996)]に記載の既知の製法にしたがって生成される。
【0269】
ヒスタミンH1機能的アンタゴニストアッセイ:機能的pKi値の決定
10%透析ウシ胎仔血清(Gibco/Invitrogen cat no.12480−021)および2mM L−グルタミン(Gibco/Invitrogen cat no.25030−024)が追加された、アルファ最小必須培地(Gibco/Invitrogen,cat no.22561−021)中のヒスタミンH1細胞株を、非コーティング黒壁透明底384ウェル組織培養プレートに播種し、5%CO下37℃にて一晩維持する。
【0270】
過剰の培地を各ウェルから除去して、10μlにする。30μlのローティング染料(250μMブリリアント・ブラック、タイロード緩衝液+プロベネシド(145mM NaCl、2.5mM KCl、10mM HEPES、10mM D−グルコース、1.2mM MgCl、1.5mM CaCl、2.5mMプロベネシド、1.0M NaOHでpHを7.40に調整)で希釈した2μM Fluo−4)を各ウェルに加え、プレートを5%CO下37℃にて60分間培養する。
【0271】
タイロード緩衝液+プロベネシド(または対照として10μlタイロード緩衝液+プロベネシド)で必要濃度に希釈された、10μlの試験化合物を各ウェルに加え、プレートを5%CO下37℃にて30分間培養する。次いで、プレートを、FLIPR(登録商標)(Molecular Devices,UK)に置き、EC80であるヒスタミンの最終アッセイ濃度をもたらす濃度の10μlのヒスタミンの添加の前後に、Sullivanら(In:Lambert DG(ed.),Calcium Signaling Protocols,New Jersey:Humana Press,1999,125−136)に記載の手法で細胞蛍光をモニターする(λex=488nm、λEM=540nm)。
【0272】
機能的拮抗作用は、FLIPR(登録商標)システム(Molecular Devices)によって測定されるように、蛍光の増大を誘発するヒスタミンの抑制によって示される。濃度効果曲線をよって、機能的アフィニティーは、標準的薬理数学的解析を用いて決定される。
【0273】
ヒスタミンH1機能的アンタゴニストアッセイ:アンタゴニストpA2および持続時間の決定
CHO細胞を発現するヒスタミンH1受容体を、上記の非コーティング黒壁透明底96ウェル組織培養プレートに播種する。
【0274】
一晩培養した後、成長培地を、200μlのPBSで洗浄した、各ウェルから除去し、50μlのローティング染料(250μMブリリアント・ブラック、タイロード緩衝液+プロベネシドで希釈された1μM Fluo−4(145mM NaCl、2.5mM KCl、10mM HEPES、10mM D−グルコース、1.2mM MgCl、1.5mM CaCl、2.5mMプロベネシド、1.0M NaOHでpHを7.40に調節))で置き換える。細胞を37℃にて45分間培養する。ローティング緩衝液を除去し、細胞を上記のように洗浄し、90μlのタイロード緩衝液+プロベネシドを各ウェルに加える。タイロード緩衝液+プロベネシド(または対照として10μlタイロード緩衝液+プロベネシド)で所定の濃度に希釈された、10μlの試験化合物を各ウェルに加え、プレートを5%CO下37℃にて30分間インキュベートする。
【0275】
次いで、プレートをFLIPR(商標)(Molecular Devices,UK)に置き、1mM〜0.1nMの濃度範囲にわたって50μlヒスタミンの添加の前後に、Sullivanら(In:Lambert DG(ed.),Calcium Signaling Protocols,New Jersey:Humana Press,1999,125−136)に記載の手法にて細胞蛍光をモニターする(λex=488nm、λEM=540nm)。得られた濃度反応曲線は、標準的4パラメータロジスティック方程式を用いて非線形回帰によって解析され、ヒスタミンEC50、ヒスタミンに対する最大反応の50%反応をもたらすのに必要なヒスタミン濃度を決定する。アンタゴニストpA2は、以下の標準方程式:pA2=log(DR−1)−log[B](式中:DR=EC50アンタゴニスト処理/EC50対照として定義される、用量比および[B]=アンタゴニストの濃度)を用いて計算される。
【0276】
アンタゴニストの持続時間を決定するために、細胞を非コーティング黒壁透明底96ウェル組織培養プレート中で一晩培養し、PBSで洗浄し、選択されるアンタゴニスト濃度でインキュベートして、約30〜300の範囲のDRを得る。30分のアンタゴニストインキュベーション期間の後、細胞を200μlのPBSで2または3回洗浄し、次いで、100μlタイロード緩衝液を各ウェルに加え、アンタゴニスト解離を開始する。予め決められた時間、典型的には、37℃にて30〜270分、インキュベーションした後、次いで、細胞を200μl PBSで再度洗浄し、上記のように、37℃にて45分間ブリリアント・ブラック、プロベネシドおよびFluo−4を含有する100μlタイロード緩衝液でインキュベートする。その後、細胞を上記のFLIPR(商標)中のヒスタミンでチョレンジする。各時点の用量比を、以下の方程式:機能的受容体占有=(DR−1)/DRによって機能的H1受容体占有を決定するために用いる。時間に対する受容体占有の低下は、直線に近く、線形回帰によって解析される。該直線適合の勾配は、アンタゴニストの解離速度の指標として用いられる。各時点でのアンタゴニスト処理細胞ならびにアンタゴニスト処理かつ洗浄細胞についての用量比は、アンタゴニストの持続時間の指標としても用いられる、相対的用量比(rel DR)を計算するために用いられる。長期間の作用を有するアンタゴニストは、1に近いrel DR値をもたらし、短時間の作用を有するアンタゴニストは、アンタゴニスト処置単独で得られる用量比に近いrel DR値をもたらす。
【0277】
2.H3受容体細胞株生成、膜調製物および機能的GTPγSアッセイプロトコル
ヒスタミンH3細胞株の生成
ヒスタミンH3のcDNAを、酵素BamH1およびNot−1でのプラスミドDNAの制限消化によってそのホールディングベクターpCDNA3.1 TOPO(InVitrogen)から単離し、同一酵素で消化された誘導性発現ベクターpGene(InVitrogen)にライゲートする。GeneSwitch(商標)システム(トランス遺伝子発現が、誘導因子の非存在下でスイッチオフとなり、誘導因子の存在下でスイッチオンになるシステム)は、米国特許番号:第5,364,791号;第5,874,534号;および第5,935,934号に記載のとおりに行われる。ライゲートDNAを、コンピテントDH5α大腸菌宿主細菌性細胞に形質転換し、50μgml−1にてZeocin(商標)(pGeneおよびpSwitch上に存在するsh ble遺伝子を発現する細胞の選択を可能にする抗体)を含有するLuria Broth(LB)寒天上にプレートする。再度ライゲートしたプラスミドを含有するコロニーを、制限分析によって同定する。哺乳動物細胞に形質転換するためのDNAを、pGeneH3プラスミドを含有する宿主バクテリアの250ml培養液から調製し、製造業者の指針(Qiagen)のとおりにDNA調製物キット(Qiagen Midi−Prep)を用いて単離する。
【0278】
pSwitch制限プラスミド(InVitrogen)で予めトランスフェクトされたCHO K1細胞を、使用24時間前に、10%v/v透析ウシ胎仔血清、L−グルタミン、およびハイグロマイシン(100μgml−1)を追加したHams F12(GIBCOBRL,Life Technologies)培地を含有する、完全培地にてT75フラスコ当たり2x10細胞で播種する。プラスミドDNAを、製造業者の指針(InVitrogen)にしたがってLipofectamine plusを用いて細胞にトランスフェクトする。トランスフェクションの48時間後、細胞を、500μgml−1 Zeocin(商標)を追加した完全培地にプレートする。
【0279】
選択の10〜14日後、10nM Mifepristone(InVitrogen)を、受容体の発現を誘導するために培地に加える。誘導の18時間後、リン酸緩衝生理食塩水pH7.4で数回洗浄した後に、細胞をエチレンジアミン四酢酸(EDTA;1:5000;InVitrogen)を用いてフラスコから分離し、フェノール・レッド不含最小必須培地(MEM)を含有するSorting培地中に再懸濁し、アール塩および3%胎仔クローンII(Hyclone)を追加する。約1x10細胞を、ウサギポリクローナル抗体、4aで染色することにより受容体発現について試験し、ヒスタミンH3受容体のN末端ドメインに対して伸長し、60分間氷上で培養し、次いで、sorting培地中で2回洗浄する。受容体結合抗体を、Alexa 488蛍光マーカー(Molecular Probes)でコンジュゲートされた、ヤギ抗ウサギ抗体と氷上で60分間細胞を培養することによって検出する。Sorting培地でさらに2回洗浄した後、細胞を50μm Filcon(商標)(BD Biosciences)で濾過し、次いで、Automatic Cell Deposition Unitを装備したFACS Vantage SE Flow Cytometer上で分析する。対照細胞は、同様の方法で処理された非誘導性細胞である。ポジティブ染色した細胞を、500μgml−1 Zeocin(商標)を含有する完全培地を含有する、96ウェルプレートに単細胞として保存し、抗体を用いる受容体発現の再分析およびリガンド結合試験の前に細胞を増殖させる。1つのクローン、3H3は、膜調製物用に選択される。
【0280】
培養細胞からの膜調製物
4℃で、かつ、予め冷却した試薬と一緒にプロトコルの全工程を実施する。細胞ペレットを、10容量の均質化バッファー(50mM N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)、1mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、KOHでpH7.4、10−6Mロイペプシン(アセチル−ロイシル−ロイシル−アルギナル;Sigma L2884)、25μgml−1バシトラシン(Sigma B0125)、1mMフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)および2x10−6Mペプスタイン(pepstain)A(Sigma)を追加)中で再懸濁する。次いで、細胞を1リットルのガラス製ワーリングブレンダー中にて2x15秒のバーストにより均質化し、次いで、20分間500gで遠心分離する。次いで、上清を、30分間48,000gで回転させる。ペレットを、5秒間ボルテックスして、均質化バッファー(4X容量の起源細胞ペレット)中で再懸濁、次いで、内径0.6mmニードルを介してシリンジで加える。この時点で、調製物をポリプロピレンチューブにアリコートし、−80℃にて保存する。
【0281】
ヒスタミンH3機能的アンタゴニストアッセイ
アッセイされる各化合物について、固体白色384ウェルプレート中にて
(a)DMSO(または対照として0.5μl DMSO)中で所定の濃度に希釈された0.5μl(0.5ul)の試験化合物;
(b)コムギ胚芽凝集素ポリスチレンLeadSeeker(登録商標)(WGA PS LS)シンチレーション近接アッセイ(SPA)ビーズを膜(例えば、上記の方法にしたがって調製)および10μM最終濃度のグアノシン5’二リン酸(GDP)(Sigma、アッセイバッファー中で希釈)と混合し、ウェル当たり5μgタンパク質および0.25mgビーズを含有する最終容量30μlを得るためにアッセイバッファー(20mM N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)+100mM NaCl+10mM MgCl、pH7.4 NaOH)中で希釈し、室温にて60分間ローラー上で培養することによって調製された30μl(30ul)ビーズ/膜/GDPミックス;
(c)15μlの0.38nM[35S]−GTPγS(Amersham;放射能濃度=37MBq/ml;比放射能=1160Ci/mmol)、ヒスタミン(EC80であるヒスタミンの最終アッセイ濃度をもたらす濃度)を加える。
【0282】
2〜6時間後、プレートを1500rpmにて5分間遠心分離し、5分間/プレートで613/55フィルターを用いてViewluxカウンター上で計数する。データを、4−パラメータロジスティック方程式を用いて分析する。定常活性は、最小値として用いられる、すなわち、ウェルにヒスタミンを加えない。
【0283】
結果
これらのまたは同様の生物学的アッセイにおいて、以下のデータが得られた:
(i)実施例2、7、8および10の化合物は、H1にて7以上の平均pK(pK)を有していた。実施例の残りの化合物は、H1にて8以上の平均pK(pK)を有していた。
実施例5A、5B、10および13の化合物は、約8以上の平均pA2値を有していた。実施例1、3、4、6、7、8、11、12および14の化合物は、約9以上の平均pA2値を有していた。
(ii)実施例の化合物は、H3にて6.5未満の平均pK(pK)を有していた。
(iii)実施例3、6、7、8、10、11および12の化合物は、ヒスタミンH1機能的アンタゴニストアッセイにおいて、アゼラスチンより長い作用の持続時間を1または複数の時点にて示した。他の化合物は、試験されなかったかまたは試験されたかのいずれかであり、より長い作用の持続時間は示さなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
Aは、CHまたはNを表し;
およびRは、各々独立して、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシルまたはトリフルオロメチルを表し;
yおよびzは、各々独立して、0、1または2を表し;
aは、0または1を表し;
bおよびcが両方とも0とならないように、bは、0、1または2を表し、cは、0、1、2または3を表し;
は、アルキレンが、直鎖であって、1個のC1−3アルキルで置換されていてもよい、−C1−6アルキレン−R−Rを表すか、またはRは、1個のSOを含有する飽和5〜7員環を表し;
は、−SO−、−N(R)SO−、−SON(R)−またはN(R)C(O)N(R)−を表し;
は、−C1−6アルキル(1、2もしくは3個のハロゲンまたは1もしくは2個のC1−6アルコキシで置換されていてもよく、ここで、C1−6アルコキシは1、2もしくは3個のハロゲンで置換されていてもよい)、−C5−7シクロアルキル(1または2個のC1−3アルキルで置換されていてもよい)、−C1−3アルキレンC5−7シクロアルキル(C5−7シクロアルキルは、1または2個のC1−3アルキルで置換されていてもよい)、−アリール(ハロゲン、C1−3アルキル、トリフルオロメチル、またはシアノから独立して選択される1または2個の置換基で置換されていてもよい)、または−C1−3アルキレンアリール(ハロゲン、C1−3アルキル、トリフルオロメチル、またはシアノから独立して選択される1または2個の置換基でアリール上にて置換されていてもよい)を表し;
、R、RおよびRは、各々独立して、水素またはC1−6アルキルを表し;
あるいは、RおよびRはそれらが結合するN原子と一緒になって、OまたはSから独立して選択される1個のさらなるヘテロ原子を含有していてもよい5〜7員の飽和複素環を表す]
で示される化合物またはその塩。
【請求項2】
AがCHを表す、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が、ハロゲン、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、ヒドロキシルまたはトリフルオロメチルを表す、請求項1または請求項2記載の化合物。
【請求項4】
がハロゲンである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
がクロロを表す、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
aが0を表し、bが2を表し、cが1を表す、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
aが1を表し、bが0を表し、cが2を表す、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
が、−C1−6アルキル(1または2個のC1−6アルコキシで置換されていてもよい)、−C5−7シクロアルキル(1または2個のC1−3アルキルで置換されていてもよい)、−C1−3アルキレンC5−7シクロアルキル(該C5−7シクロアルキルは、1または2個のC1−3アルキルで置換されていてもよい)を表す、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
、R、RおよびRが、各々独立して、水素もしくはC1−3アルキルを表すか、またはRおよびRが、それが結合するN原子と一緒になって、5〜7員の飽和複素環を表す、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−({(2R)−1−[2−(エチルスルホニル)エチル]−2−ピロリジニル}メチル)−1(2H)−フタラジノン;
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−({(2R)−1−[2−(1−ピペリジニルスルホニル)エチル]−2−ピロリジニル}メチル)−1(2H)−フタラジノン;
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−({(2R)−1−[3−(エチルスルホニル)プロピル]−2−ピロリジニル}メチル)−1(2H)−フタラジノン;
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−({(2R)−1−[3−(エチルスルホニル)ブチル]−2−ピロリジニル}メチル)−1(2H)−フタラジノン;
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−({(2R)−1−[(3S)−3−(エチルスルホニル)ブチル]−2−ピロリジニル}メチル)−(2H)−フタラジノン;
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−({(2R)−1−[(3R)−3−(エチルスルホニル)ブチル]−2−ピロリジニル}メチル)−(2H)−フタラジノン;
N−[2−((2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソ−2(1H)−フタラジニル]メチル}−1−ピロリジニル)エチル]エタンスルホンアミド;
N−[2−((2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソ−2(1H)−フタラジニル]メチル}−1−ピロリジニル)エチル]−1−プロパンスルホンアミド;
N−[2−((2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソ−2(1H)−フタラジニル]メチル}−1−ピロリジニル)エチル]−2−プロパンスルホンアミド;
N−[4−((2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソ−2(1H)−フタラジニル]メチル}−1−ピロリジニル)ブチル]エタンスルホンアミド;
2−((2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソ−2(1H)−フタラジニル]メチル}−1−ピロリジニル)−N−[3−(メチルオキシ)プロピル]エタンスルホンアミド;
N−[2−((2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソ−2(1H)−フタラジニル]メチル}−1−ピロリジニル)エチル]−N’−プロピルウレア;
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−({(2R)−1−[3−(エチルスルホニル)プロピル]−2−ピロリジニル}メチル)ピリド[3,4−d]ピリダジン−1(2H)−オン;
4−[(4−クロロフェニル)メチル]−2−({(2R)−1−[2−(エチルスルホニル)エチル]−2−ピロリジニル}メチル)ピリド[3,4−d]ピリダジン−1(2H)−オン;
N−[2−((2R)−2−{[4−[(4−クロロフェニル)メチル]−1−オキソピリド[3,4−d]ピリダジン−2(1H)−イル]メチル}−1−ピロリジニル)エチル]−N’−プロピルウレアである化合物またはその塩。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項12】
医薬として用いる、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項13】
炎症性および/またはアレルギー性疾患の治療に用いる、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
アレルギー性鼻炎の治療に用いる、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬上許容される塩ならびに1種または複数の医薬上許容される担体および/または賦形剤を含む組成物。
【請求項16】
前記組成物が鼻腔内投与に適している、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
1種または複数の他の治療剤をさらに含む、請求項15または請求項16記載の組成物。
【請求項18】
前記1種または複数の治療剤がコルチコステロイドである、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
炎症性および/またはアレルギー性疾患の治療のための医薬の製造における請求項1ないし10のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬上許容される塩の使用。
【請求項20】
疾患がアレルギー性鼻炎である、請求項19記載の使用。
【請求項21】
炎症性および/またはアレルギー性疾患の治療方法であって、有効量の請求項1ないし10のいずれか1項に記載の式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩をそれを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項22】
疾患がアレルギー性鼻炎である、請求項21記載の方法。

【公表番号】特表2011−500537(P2011−500537A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528414(P2010−528414)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【国際出願番号】PCT/EP2008/063642
【国際公開番号】WO2009/047336
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】