説明

HCVプロテアーゼ阻害剤

本発明は、本明細書に示される多環化合物に関する。これらの化合物は、C型肝炎ウイルス感染を治療するのに使用できる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
(+)−センスの1本鎖RNAウィルスである、C型肝炎ウイルス(HCV)は、非A非B型肝炎のほとんどの症例の主要な原因因子である。HCVによる感染は、根源的なヒトの健康上の問題である。例えば、WO 05/007681; WO 89/04669; EP 381216; Alberti et al., J. Hepatology, 31 (Suppl. 1), 17-24 (1999); Alter, J. Hepatology, 31 (Suppl. 1), 88-91 (1999); 及びLavanchy, J. Viral Hepatitis, 6, 35-47 (1999)を参照。
【0002】
ウィルスがすぐに変異し、自然免疫反応を回避するため、HCV感染によって引き起こされる肝炎は治療が難しい。一般的に利用される抗HCV療法としては、インターフェロン−α、インターフェロン−α/リバビリンの併用、及びペグインターフェロン−αがあるのみである。しかしながら、インターフェロン−αまたはインターフェロン−α/リバビリンの併用の持続応答率は<50%であることがわかっており、患者は、これらの治療剤の副作用にかなり苦しんでいる。例えば、Walker, DDT, 4, 518-529 (1999); Weiland, FEMS Microbial. Rev., 14, 279-288 (1994); 及びWO 02/18369を参照。ゆえに、より有効でかつより忍容性の高い治療剤を開発する必要性が依然としてある。
【0003】
ウィルスの複製に必要なHCVプロテアーゼは、約3000アミノ酸を含む。これは、ヌクレオカプシドタンパク質(C)、エンベロープタンパク質(E1及びE2)、および数種の非構造タンパク質(NS2、NS3、NS4a、NS5a、及びNS5bを含む)を含む。
【0004】
NS3タンパク質は、セリンプロテアーゼ活性を有し、ウィルスの複製及び感染性に必須であると考えられる。NS3プロテアーゼの必須性は、黄熱病ウイルスのNS3プロテアーゼにおける変異がウィルス感染性を低減するという事実から推測される。例えば、Chamber et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 8898-8902 (1990)を参照。また、HCVのNS3プロテアーゼの活性部位での変異がチンパンジーモデルでHCV感染を完全に阻害することもまた示された。例えば、Rice et al., J. Virol. 74 (4) 2046-51 (2000)を参照。さらに、HCVのNS3プロテアーゼは、NS3/NS4a、NS4a/NS4b、NS4b/NS5a、NS5a/NS5bジャンクション(junction)でのタンパク質分解を促進することが知られており、これによりウィルス複製中に4種のウィルスタンパク質を生成するのに関与した。例えば、US 2003/0207861を参照。その結果、HCVのNS3プロテアーゼ酵素は、HCV感染の治療において魅力的なターゲットである。可能性のあるNS3 HCVプロテアーゼ阻害剤が、WO 02/18369, WO 00/09558, WO 00/09543, WO 99/64442, WO 99/07733, WO 99/07734, WO 99/50230, WO 98/46630, WO 98/17679, WO 97/43310, US 5,990,276, Dunsdon et al., Biorg. Med. Chem. Lett. 10, 1571-1579 (2000); Llinas-Brunet et al., Biorg. Med. Chem. Lett. 10, 2267-2270 (2000); 及びS. LaPlante et al., Biorg. Med. Chem. Lett. 10, 2271-2274 (2000)で知られうる。
【発明の概要】
【0005】
要約
本発明は、特定の大環状化合物がNS3−4Aプロテアーゼの活性を遮断し、HCV RNAレベルを低減し、他の阻害剤に耐性のあるHCV プロテアーゼ変異体を阻害し、血管系での半減期が延長されるという予想しえない発見に基づくものである。
【0006】
一態様では、本発明は、下記式(I):
【0007】
【化1】

【0008】
ただし、Rは、−H、−OH、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、−Z−R、または−NH−Z−Rであり;この際、Rは、Hである、またはC1−6アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群より選択される部分であり、各部分は、必要であれば、ハロゲン原子(halo)、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよく;ならびにZは、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)C(O)O−、−C(O)C(O)NH−、−C(O)NR’−、−OC(S)−、−C(S)NR’−、または−C(NH)O−であり、R’は、H、C1−6アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基であり;Rは、Hである、またはC1−6アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群より選択される部分であり、各部分は、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよく;Aは、NまたはCHであり;Uは、−O−、−NH−、−NH(CO)−、−NHS(O)−、または−NHSO−であり;Wは、−(CH−、−NH(CH−、−(CHNH−、−O(CH−、−(CHO−、−S(CH−、−(CHS−、−S(O)−、−SO(CH−、−(CHS(O)−、−SO(CH−、または−(CHSO−であり、mは、1、2、または3であり、およびnは、0、1、または2であり;Xは、−O−、−S−、−NH−、または−OCH−であり;Yは、下記:
【0009】
【化2】

【0010】
であり、この際、VおよびTは、それぞれ独立して、−CH−または−N−であり;AおよびAは、それぞれ独立して、C4−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群より選択される部分であり、各部分は、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよい、またはC3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基と融合していてもよい;ならびにRは、H、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、若しくはアミノ基である、またはC1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群より選択される部分であり、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、及びC2−6アルキニル基は、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよく、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基は、それぞれ、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよい、または、必要であれば、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基と融合していてもよく;ならびに下記:
【0011】
【化3】

【0012】
は、単結合または二重結合である、
を有する化合物に関する。
【0013】
置換基(variable)U、W、X、及びZに配置される基は、2価である。各基は、当該置換基が式中に示されている方向と同じ方向で上記で示される。例えば、置換基Uに配置される基−NHSO−は、式に示される通り、C=O及びRの間に存在する。この−NHS(O)−基中の窒素原子はC=Oに結合し、S原子はRに結合する。他の例では、置換基Zに配置される−C(O)O−は、NH及びRの間に存在する(即ち、−NH−Z−R)。−C(O)O−中のC原子は、NHに結合し、O原子はRに結合する。
【0014】
式(I)では、本化合物のサブセットとして、Rが−NH−Z−Rであり、この際、Zが−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)C(O)O−、または−C(O)C(O)NH−であり;Rが下記:
【0015】
【化4】

【0016】
であり;XがOであり;AがCHであり;Wが−CHCH−、−OCH−、−SCH−、または−SOCH−であり;Uが−NHSO−であり;下記:
【0017】
【化5】

【0018】
は、二重結合であり;またはYが下記:
【0019】
【化6】

【0020】
であり、この際、TがCHまたはNであり;Rが必要であればハロゲン原子、アミノ基、C1−6アルキル基、若しくはC1−6アルコキシル基で置換されてもよいフェニル基またはチアゾリル基であり;ならびにRii、Riii、Riv、及びRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、若しくはC2−6アルキニル基であり、またはC3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群より選択される部分であり、各部分は、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよい、または、必要であれば、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基と融合していてもよいものがある。Rの例としては、−NH−C(O)O−t−Bu、-NH−C(O)O−シクロペンチル基、及び−NH−C(O)−フリル基がある。
【0021】
本化合物の他のサブセットとしては、Yが下記:
【0022】
【化7】

【0023】
ただし、R、Rii、Riii、Riv、R、およびRviは、それぞれ独立して、H、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基であり、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、およびヘテロアリール基は、それぞれ、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよい;および、必要であれば、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基と融合していてもよい、
であるものがある。
【0024】
上記化合物において、Rは、例えば、下記:
【0025】
【化8】

【0026】
ただし、nは、1または2である、
でありうる。
【0027】
一実施形態において、本発明の化合物は、下記式:
【0028】
【化9】

【0029】
ただし、R、R、A、U、W、X、及びYは、上記と同様の定義である、
を有する。
【0030】
他の実施形態においては、本発明の化合物は、下記式:
【0031】
【化10】

【0032】
ただし、R、A、U、W、X、及びYは、上記と同様の定義である、
を有する。
【0033】
さらなる他の実施形態においては、本発明の化合物は、下記式:
【0034】
【化11−1】

【0035】
ただし、Rは、−H、−OH、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、または−Z−Rであり;この際、Rは、Hである、またはC1−6アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群より選択される部分であり、各部分は、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよい;ならびに、Zは、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)C(O)O−、−C(O)C(O)NH−、−C(O)NR’−、−OC(S)−、−C(S)NR’−、または−C(NH)O−であり、R’は、H、C1−6アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基であり;ならびにR、A、U、W、X、及びYは、上記と同様の定義である、
を有する。
【0036】
「アルキル基」ということばは、−CHまたは−CH(CH等の、飽和の、直鎖または分岐鎖の炭化水素部分を意味する。「アルコキシル基」ということばは、−O−(C1−6アルキル)ラジカルを意味する。「アルケニル基」ということばは、−CH=CH−CH等の、少なくとも1つの二重結合を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素部分を意味する。「アルキニル基」ということばは、
【0037】
【化11−2】

【0038】
等の、少なくとも1つの三重結合を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素部分を意味する。「シクロアルキル基」ということばは、シクロヘキシル基等の、飽和の、環状の炭化水素部分を意味する。「シクロアルケニル基」ということばは、シクロヘキセニル基等の、少なくとも1つの二重結合を有する非芳香族の、環状の炭化水素部分を意味する。「ヘテロシクロアルキル基」ということばは、4−テトラヒドロピラニル基等の、少なくとも1つのヘテロ原子環(例えば、N、O、またはS)を有する飽和の、環状部分を意味する。「ヘテロシクロアルケニル基」ということばは、ピラニル基等の、少なくとも1つのヘテロ原子環(例えば、N、O、またはS)及び少なくとも1つの二重結合を有する非芳香族の、環状部分を意味する。「アリール基」ということばは、1以上の芳香環を有する炭化水素部分を意味する。アリール部分の例としては、フェニル基(Ph)、フェニレン基、ナフチル基、ナフチレン基、ピレニル基、アントリル基、及びフェナントリル基などがある。「ヘテロアリール基」ということばは、少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、N、O、またはS)を有する1以上の芳香環を有する部分を意味する。ヘテロアリール部分の例としては、フリル基、フリレン基、フルオレニル基、ピロリル基、チエニル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、キナゾリニル基、キノリル基、イソキノリル基及びインドリル基などがある。「アミノ基」ということばは、−NH、−NH−(C1−6アルキル)、または−N(C1−6アルキル)のラジカルを意味する。
【0039】
本明細書中に記載されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルケニル基、アリール基、及びヘテロアリール基は、特記しない限り、置換及び非置換部分双方を包含する。シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルケニル基、アリール基、及びヘテロアリール基に存在しうる置換基としては、以下に制限されないが、C−C10アルキル基、C−C10アルケニル基、C−C10アルキニル基、C−C20シクロアルキル基、C−C20cycloアルケニル基、C−C20ヘテロシクロアルキル基、C−C20ヘテロシクロアルケニル基、C−C10アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールオキシ基、アミノ基、C−C10アルキルアミノ基、C−C20ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、C−C10アルキルスルホンアミノ基、アリールスルホンアミノ基、C−C10アルキルイミノ基、アリールイミノ基、C−C10アルキルスルホンイミノ基、アリールスルホンイミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、チオ基、C−C10アルキルチオ基、アリールチオ基、C−C10アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシルアミノ基、アミノアシル基、アミノチオアシル基、アミジノ基、グアニジン基、ウレイド基、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アジド基、アシル基、チオアシル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、及びカルボン酸エステル基が挙げられる。他方、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基に存在しうる置換基としては、C−C10アルキル基以外の上記例示した置換基全てが挙げられる。また、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロシクロアルケニル基、アリール基、及びヘテロアリール基は、相互に融合していてもよい。
【0040】
本発明の281個の例示化合物を下記に示す。
【0041】
【化12】

【0042】
【化13】

【0043】
【化14】

【0044】
【化15】

【0045】
【化16】

【0046】
【化17】

【0047】
【化18】

【0048】
【化19】

【0049】
【化20】

【0050】
【化21】

【0051】
【化22】

【0052】
【化23】

【0053】
【化24】

【0054】
【化25】

【0055】
【化26】

【0056】
【化27】

【0057】
【化28】

【0058】
【化29】

【0059】
【化30】

【0060】
他の態様では、本発明は、C型肝炎ウイルス感染の治療方法に関する。本方法は、有効量の上記式(I)の化合物をこのような治療の必要のある患者に投与することを有する。
【0061】
さらなる他の態様では、本発明は、HCV感染症の治療に使用される薬剤組成物に関する。本組成物は、有効量の少なくとも1つの式(I)の化合物および製薬上許容できる担体を含む。これとしては、HCVのライフサイクルにおけるHCV NS3 プロテアーゼ以外のターゲットの阻害剤、例えば、NS5Bポリメラーゼ、NS5A、NS4B、またはp7がありうる。
【0062】
このような薬剤の例としては、以下に制限されないが、N−[3−(1−シクロブチルメチル−4−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−3−イル)−1,1−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−1l6−ベンゾ[1,2,4]チアジアジン−7−イル]−メタンスルホンアミド(WO 04041818)、trans−1,2−ジ−4−[(フェニルアセチル−ピロリジン−2−(S)−カルボニル)アミノ]−フェニルエチレン(WO 0401413)、及び1−アミノアダマンタン(Amentadine、Griffin、2004、J. Gen. Virol. 85: p451)が挙げられる。薬剤組成物はまた、免疫調節薬または二次抗ウィルス薬を含んでもよい。免疫調節薬は、免疫反応を仲介する活性剤を意味する。免疫調節薬の例としては、以下に制限されないが、Nov−205(Novelos Therapeutics Inc., WO 02076490)及びIMO−2125(Idera Pharmaceuticals Inc., WO 05001055)が挙げられる。抗ウィルス薬は、ウィルスを殺すまたはウィルスの複製を抑制する活性剤を意味する。抗ウィルス薬の例としては、以下に制限されないが、リバビリン、リバミジン(ribamidin)、インターフェロン−α、ペグインターフェロン、ならびに、2−(2−{2−シクロヘキシル−2−[(ピラジン−2−カルボニル)−アミノ]−アセチルアミノ}−3,3−ジメチル−ブチリル)−オクタヒドロ−シクロペンタ[c]ピロール−1−カルボン酸(1−シクロプロピルアミノオキサリル−ブチル)−アミド(Telaprevir, Vertex Pharmaceuticals Inc., WO 02018369)、3−[2−(3−tert−ブチル−ウレイド)−3,3−ジメチル−ブチリル]−6,6−ジメチル−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2−カルボン酸(2−カルバモイル−1−シクロブチルメチル−2−オキソ−エチル)−アミド(Boceprevir, Schering-Plough Research Institute, WO 03062265)、及び4−フルオロ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.04,6]ノナデセ−7−エン−18−イル エステル(ITMN-191, InterMune Inc., US 2005/0267018)等の、HCVプロテアーゼ阻害剤が挙げられる。
【0063】
HCV感染の治療のためのまたは当該治療用薬剤の製造のためのこのような組成物の使用もまた、本発明の範囲に含まれる。
【0064】
本発明の1以上の実施形態の詳細を以下の説明に記載する。本発明の他の特徴、目的及び利点は、下記説明からおよび特許請求の範囲から明らかであろう。
【0065】
詳細な説明
本発明の化合物は、当該分野において既知の方法によって市販の出発材料から合成できる。例えば、下記スキーム1に示されるルートを介して本発明の化合物を調製できる。
【0066】
【化31】

【0067】
スキーム1に示されるように、多環化合物(i)を、まず、N−(t−ブトキシカルボニル)−L−プロリン(ii)とカップリングした後、メチル化して、中間体(iii)を形成する。中間体(iii)を脱保護して、N−ブトキシカルボニル基を除去して、N−遊離化合物(iv)を製造し、これをカルボン酸(v)とカップリングして、中間体(vi)を得る。中間体(vi)を加水分解することにより、酸(vii)を得、これをアミン化合物(viii)とカップリングして、末端にアルケニル基を有するピロリジン化合物(ix)を得る。中間体(ix)について、グラブス触媒(Grubbs’ catalyst)の存在下で、オレフィン転移(olefine metathesis)を行い、所望の多環化合物(x)を得る。多環類似体(xi)の二重結合をさらに、Pd−Cの存在下で水素化して、飽和多環化合物(xi)を得てもよい。
【0068】
下記スキーム2及び3では、本発明の化合物の別の合成ルートを示す。
【0069】
【化32】

【0070】
【化33】

【0071】
上記方法はまた、最終的に所望の化合物を合成するために、スキーム1〜3に詳細に記載されるステップの前後のいずれかに、適当な保護基を付加または除去するステップをさらに有してもよい。加えて、様々な合成ステップを別の配列(sequence)または順序(order)で行って、所望の化合物を得てもよい。式(I)の適用可能な化合物を合成するのに使用できる合成化学変換(synthetic chemistry transformation)および保護基方法(protecting group methodology)(保護および脱保護)は、当該分野において既知であり、例えば、R. Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers (1989); T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 2ndEd., John Wiley and Sons (1991); L. Fieser and M. Fieser, Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994);及びL. Paquette, ed., Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1995)、ならびにこれらの追版に記載されるものがある。
【0072】
下記実施例1〜281では、どのようにして具体的な化合物1〜281を実際に調製したかを詳細に記載する。
【0073】
本明細書に記載される化合物は、非芳香族性二重結合及び不斉中心を含む。ゆえに、本化合物は、ラセミ体及びラセミ混合物、単一の鏡像体(single enantiomer)、個々のジアステレオマー、ジアステレオマー混合物、互変異性体、ならびにcis−またはtrans−異性体として存在してもよい。このような異性体はすべて包含される。例えば、上記式(I)の化合物は、下記立体化学的な構造(II)を有していてもよい。
【0074】
【化34】

【0075】
上記化合物は、化合物自体に加えて、妥当な場合には、その塩、プロドラッグ、及び溶媒和物を含む。例えば、塩は、式(I)の化合物のアニオンおよび正電荷を帯びた置換基(例えば、アミノ基)の間に形成されてもよい。適当なアニオンとしては、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、トシラート(tosylate)、酒石酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、グルタレート(glutarate)、およびマレイン酸塩などが挙げられる。同様にして、塩はまた、式(I)の化合物のカチオンおよび負電荷を有する基(例えば、カルボキレート)の間に形成されてもよい。適当なカチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、及びテトラメチルアンモニウムイオン等のアンモニウムカチオンなどが挙げられる。式(I)の化合物は、4級窒素原子を含むこれらの塩をも包含する。プロドラッグの例としては、エステルおよび他の製薬上許容できる誘導体であってもよく、これは、患者に投与されると、式(I)の活性のある化合物を提供できる。溶媒和物は、式(I)の活性のある化合物および製薬上許容できる溶媒の間に形成される複合体(complex)を意味する。製薬上許容できる溶媒の例としては、水、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸、及びエタノールアミンがある。
【0076】
有効量の1以上の式(I)の化合物を患者に投与することによるHCV感染の治療方法もまた、本発明の範囲に含まれる。「治療する(treating)」または「治療(treatment)」ということばは、治療効果を得る、例えば、HCV感染、上記病気の症状、または上記病気になりやすい素因を治療する(cure)、和らげる(relieve)、変える(alter)、影響を与える(affect)、改善する(ameliorate)、または予防する(prevent)ことを目的として、HCV感染を患っている、このような病気の症状を有している、またはこのような病気になりやすい素因を持っている、患者に、当該化合物を投与することを意味する。「有効量」ということばは、処置される患者に治療効果を与えるのに必要な本発明の活性のある化合物の量を意味する。有効量は、当業者には認識されるように、処置される病気のタイプ、投与経路、賦形剤の使用、及び他の治療のための処置との任意的な併用によって、異なるであろう。
【0077】
本発明の化合物は、長期間、有効なレベルで血液系に残ることができる。ゆえに、これらの化合物は、治療効果を得るために、1日に1回、有効量で投与されてもよい。
【0078】
本発明の方法を実施するために、本発明の1以上の化合物を含む組成物を、非経口で、経口で、経鼻的に、直腸内に、局所的に、または口腔に投与できる。本明細書中で使用される「非経口」ということばは、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内、または頭蓋内注射、さらには適当な輸注技術を意味する。
【0079】
滅菌注射用組成物は、非毒性の非経口で許容できる希釈剤または溶剤における溶液または懸濁液、例えば、1,3−ブタンジオールにおける溶液であってもよい。使用できる許容できるベヒクルや溶剤の中には、マンニトール、水、リンガー溶液、及び等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、固定油が、溶剤または懸濁媒体として従来使用される(例えば、合成モノまたはジグリセリド)。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体等の、脂肪酸が、注射剤の調製に使用でき、特にポリオキシエチレン化された型の、オリーブ油またはヒマシ油等の、天然の製薬上許容できる油もまた同様にして使用できる。また、これらの油溶液または懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤若しくは分散剤、カルボキシメチルセルロースまたは同様の分散剤を含んでもよい。ツィーン(Tween)もしくはスパン(Span)等の、他の一般的に使用される界面活性剤または製薬上許容できる固体、液体、または他の投与形態の製造に一般的に使用される他の同様の乳化剤若しくはバイオアベイラビリティ促進剤もまた、配合目的で使用されうる。
【0080】
経口投与用の組成物は、カプセル、錠剤、エマルジョンならびに水性懸濁液、分散液および溶液などの経口投与が許容できる投与形態であってもよい。錠剤の場合には、一般的に使用される担体としては、ラクトース及びコーンスターチがある。ステアリン酸マグネシウム等の滑剤もまた一般的に添加される。カプセル形態での経口投与では、使用できる希釈剤としては、ラクトースや乾燥コーンスターチがある。水性懸濁液またはエマルジョンを経口投与する場合には、活性成分を乳化剤または懸濁化剤と組み合わせて油相中に懸濁または溶解することができる。必要であれば、特定の甘味剤、風味剤、または着色剤を添加してもよい。
【0081】
鼻エアロゾルまたは吸入用組成物を、製剤処方の分野で既知の技術に従って調製してもよい。例えば、このような組成物を、ベンジルアルコールまたは他の適当な防腐剤、バイオアベイラビリティを促進するための吸収促進剤、フッ化炭素、および/または当該分野において既知の他の可溶化剤もしくは分散剤を用いて、生理食塩水における溶液として調製してもよい。
【0082】
また、1以上の本発明の活性のある化合物を含む組成物を、直腸投与用の坐剤の形態で投与してもよい。
【0083】
薬剤組成物における担体は、組成物の活性成分と適合し(好ましくは、活性成分を安定化でき)、処置される患者に有害でないという意味で「許容できる」ものでなければならない。1以上の可溶化剤を、本発明の活性のある化合物のデリバリーのための製薬賦形剤として使用してもよい。他の担体の例としては、コロイド酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、およびD&C Yellow # 10が挙げられる。
【0084】
本発明の化合物は、HCVのライフサイクルにおけるHCV NS3 プロテアーゼ以外のターゲットの阻害剤等の、二次抗HCV剤、免疫調製薬、及び他の抗ウィルス薬と共に、HCVを治療するのに使用できる。本発明の化合物及び二次抗HCV剤は、同時にまたは異なる時期に投与されてもよい。同時投与では、これらを混合して、一つのピルを形成しても、または別のピルとして調製してもよい。これらの2つの薬剤は、それぞれ、双方を合わせると、HCVを治療するのに有効であると当業者に認識されるような量で使用されうる。
【0085】
上記本発明の化合物は、インビトロでのアッセイ(実施例282及び283参照)によってHCV感染を治療する場合の有効性について予めスクリーニングした後、動物実験や臨床試験によって確認してもよい。他の方法もまた、当業者には明らかであろう。
【0086】
下記特定の実施例は、単に詳細に説明するものであり、何であれ、残りの開示部分を制限するものではないと、解されるべきである。さらなる努力なしで、当業者は、本明細書の記載に基づいて、十分本発明を利用できると、考えられる。本明細書に挙げられるすべての公報は、全体を参考で本明細書中に引用される。
【0087】
実施例1:{4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−2,15−ジオキソ−18−[2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−ベンゾ[4,5]フロ[3,2−d]ピリミジン−4−イルオキシ]−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.04,6]ノナデカ−14−イル}−カルバミン酸シクロペンチルエステル(化合物1)の合成
まず、化合物I−3を、下記に示されるルートを介して、市販の1−t−ブトキシカルボニルアミノ−2−ビニル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステルから調製した。
【0088】
【化35】

【0089】
THF(5mL)及びメタノール(5mL)における1−t−ブトキシカルボニルアミノ−2−ビニル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステル(0.34g、1.3mmol)の溶液に、水(1.4mL)におけるLiOH(0.13g、5.3mmol)の懸濁液を添加した。室温で一晩撹拌した後、反応物を10%HCl(2mL)でクエンチし(quench)、溶剤を真空下で除去した。得られた固体粉末を水(10mL)で洗浄して、化合物I−1(0.27g、90%)を得た。MS m/z 249.9 (M++23); 1H NMR (CDCl3) δ 10.35 (brs, 1H), 5.84-5.71 (m, 1H), 5.29 (d, J = 17.4 Hz, 1H), 5.12 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 2.23-2.14 (m, 1H), 1.87-1.65 (m, 1H), 1.58-1.41 (m, 1H), 1.43 (s, 9H)。
【0090】
CHCl(40mL)における化合物I−1(0.52g、2.3mmol)、2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスフェートメタンアミニウム(HATU、1.74g、4.6mmol)、及び4−ジメチルアミノピリジン(1.39g、11.6mmol)の溶液を、室温で1時間、撹拌した後、シクロプロパンスルホンアミド(0.57g、4.7mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(1.81mL、14.0mmol)、及び1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク−7−エン(1.80g、11.7mmol)を、15分かけてゆっくり添加した。この反応混合物を室温で一晩撹拌した後、溶剤を真空下で除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、化合物I−2(0.51g、66%)を得た。MS m/z 353.1 (M++23); 1H NMR (CDCl3) δ 9.75 (brs, 1H), 5.64-5.51 (m, 1H), 5.30 (d, J = 17.4 H), 5.16 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 2.95-2.89 (m, 1H), 2.19-2.10 (m, 1H), 1.93-1.88 (m, 1H), 1.47 (s, 9H), 1.46-1.38 (m, 1H), 1.32-1.23 (m, 2H), 1.15-1.00 (m, 2H)。
【0091】
MeOH(8mL)における化合物I−2(0.50g、1.5mmol)の溶液に、SOCl(0.26g、2.2mmol)を室温で添加した。この反応混合物を1時間還流した後、MeOH及びSOClを真空下で除去した。残渣をペンタンから粉砕し(triturate)、濾過して、中間体I−3をオフホワイトの固体として得た(0.32g、91%)。MS m/z (M++1); 1H NMR (CD3COD) δ 5.77-5.65 (m, 1H), 5.43 (d, J = 17.4 Hz, 1H), 5.32 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 3.06-2.97 (m, 1H), 2.45 (dd, J = 17.4 Hz, J = 7.8, 1H), 2.16 (dd, J = 8.0 Hz, J = 7.8 Hz, 1H), 1.75 (dd, J = 10.1 Hz, J = 7.8 Hz, 1H), 1.32-0.86 (m, 4H)。
【0092】
化合物1を以下に示されるルートを介して調製した。
【0093】
【化36】

【0094】
THF(25mL)における3−アミノ−ベンゾフラン−2−カルボン酸アミド(1.00g、5.7mmol)及びピリジン(1mL、12.26mmol)の溶液を、0℃で10分間、撹拌した。得られた溶液に、4−トリフルオロメチル−ベンゾイルクロライド(1.48g、7.1mmol)をゆっくり添加した。次に、温度を室温まで上昇させ、混合物を12時間撹拌した。溶剤を減圧下で除去した後、得られた固体を集め、水洗し、空気乾燥して、I−4(1.92g、96.0%)を得た。MS: m/z 349.0 (M++1)。
【0095】
EtOH(25mL)におけるI−4(1.92g、5.5mmol)及び2N NaOH(13mL)の懸濁液を、85℃で12時間加熱した。冷却後、混合物を酸性にした後、EtOHを除去した。得られた固体を集め、濾過し、水洗し、乾燥して、I−5(1.71g、95.0%)を得た。MS m/z 331 (M++1)。
【0096】
I−5(1.71g、5.2mmol)及び過剰のオキシ塩化リン(POCl)の溶液を、2時間還流した。冷却し、よく濃縮した後、混合物を塩化メチレン及び10%水酸化ナトリウムで抽出した。有機層をMgSOで乾燥し、濃縮し、CHCl及びn−ヘキサンで結晶化することにより、化合物I−6(1.49g、82%)を得た。MS m/z 348.8, 350.9 (M++1); 1H NMR (CDCl3) δ 8.70 (d, 2H), 8.34(d, 1H), 7.82-7.75 (m, 4H), 7.57 (ddd, 1H)。
【0097】
DMSO(25mL)におけるboc−trans−4−ヒドロキシ−L−プロリン(0.53g、2.3mmol)の懸濁液に、t−BuOK(0.82g、5.1mmol)を0℃で添加した。この混合物を室温まで加温し、1時間撹拌した後、化合物I−6(0.81g、2.3mmol)を10℃でゆっくり添加した。一晩撹拌し続けた後、ヨードメタン(1.02g、6.9mmol)を添加し、反応混合物を室温でさらに30分間撹拌した。この反応混合物を、10% HCl水溶液でpH6〜7にまで中和し、塩化メチレンで抽出した。有機層をMgSOで乾燥し、真空下で蒸発させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物I−7(1.12g、86%)を得た。MS m/z 557.8 (M++1); 1H NMR (CDCl3) δ 8.63 (d, 2H), 8.28(d, 1H), 7.80-7.74 (m, 2H), 7.70 (d, 2H), 7.51 (ddd, 1H)。
【0098】
MeOH(20mL)における化合物I−7(1.13g、2.0mmol)の溶液に、SOCl(1.21g、9.8mmol)を室温で添加した。この反応混合物を1時間還流し、MeOH及びSOClを除去した。残渣をペンタン中で粉砕した。懸濁液を濾過して、化合物I−8をオフホワイトの固体として得た(0.87g、95%)。MS m/z 458.1 (M++1)。
【0099】
室温のCHCl(40mL)におけるHATU(1.12g、3.0mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT、0.41g、3.0mmol)、I−8(0.86g、1.9mmol)及び2−t−ブトキシカルボニルアミノ−ノナ−8−エン酸(1.21g、1.9mmol)の溶液に、N−メチルモルホリン(NMM、1.02g、9.9mmol)を添加した。一晩撹拌した後、混合物を真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、化合物I−9を得た(1.03g、73%)。MS m/z 711.3 (M++1)。
【0100】
THF(20mL)における化合物I−9(1.01g、1.4mmol)の溶液に、0.5M LiOH(5.7mL、2.9mmol)を室温で添加した。一晩撹拌した後、反応混合物を10% HClでpH<7にまで中和し、真空下で濃縮した。得られた残渣を濾過し、水洗して、化合物I−10を得た(0.91g、92%)。MS: m/z 697.3 (M++1)。
【0101】
NMM(0.12g、1.2mmol)を、室温で、CHCl(10mL)における化合物I−3(0.28g、0.4mmol)、HATU(0.31g、0.8mmol)、HOBT(0.08g、0.6mmol)及び化合物I−10(0.09g、0.4mmol)の溶液に添加した。一晩撹拌した後、反応混合物を真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物I−11を得た(0.10g、85%)。MS m/z 921.3 (M++1); 1H NMR (CDCl3) δ 10.24 (s, 1H), 8.61 (d, 2H), 8.26 (d, 1H), 7.77 (d, 2H), 7.73-7.64 (m, 2H), 7.54-7.47 (m, 1H), 7.11 (s, 1H), 6.19 (d, 1H), 5.88-5.70 (m, 2H), 5.38-5.25 (m, 2H), 5.16 (d, 1H), 5.00-4.90 (m, 2H), 4.60 (dd, 1H), 4.88-4.34 (m, 2H), 4.18-4.10 (m, 1H), 2.98-2.89 (m, 1H), 2.68 (dd, 2H), 2.18-1.96 (m, 6H), 1.50-1.32 (m, 7H), 1.28 (s, 9H), 1.09-1.25 (m, 2H)。
【0102】
CHCl(10mL)における化合物I−11(0.10g、0.11mmol)の溶液に、Hoveyda−Grubbs 2nd(35mg、0.056mmol)を、N下で室温で添加した。次に、反応混合物を40℃で24時間撹拌して、メタセシス環化(metathesis cyclization)を行った。この反応物をクエンチし、反応混合物をカラムクロマトグラフィーによって精製することにより、化合物I−12を得た(30mg、31%)。MS: m/z 893.3 (M++1); 1H NMR (CDCl3) δ 10.39 (s, 1H), 8.59 (d, 2H), 8.21 (d, 1H), 7.77 (d, 2H), 7.69-7.57 (m, 2H), 7.46 (dd, 1H), 7.20 (s, 1H), 6.12 (s, 1H), 5.69 (q, 1H), 5.12 (d, 1H), 4.97 (dd, 1H), 4.81-4.68 (m, 2H), 4.28-4.07 (m, 2H), 2.96-2.49 (m, 3H), 2.30 (q, 1H), 1.96-1.12 (m, 14H), 1.08 (s, 9H), 0.96-0.82 (m, 2H)。
【0103】
MeOH(10mL)における化合物I−12(30mg、0.034mmol)の溶液に、5%Pd−C(5mg)をN下で室温で添加した。次に、この反応混合物を、室温で60psiの圧力で水素下で4時間、撹拌した。この反応混合物を、濾過し、カラムクロマトグラフィーで精製することによって、化合物1を得た(16.5mg、55%)。MS: m/z 895.3 (M++1); 1H NMR (CDCl3) δ 10.79 (s, 1H), 8.57 (d, 2H), 8.21 (d, 1H), 7.75 (d, 2H), 7.64 (m, 2H), 7.46 (d, 1H), 7.11 (s, 1H), 6.11 (s, 1H), 5.29 (d, 1H), 4.72 (m, 2H), 4.38 (m, 2H), 4.12 (m, 1H), 3.02-2.58 (m, 3H), 1.98-0.86 (m, 29H)。
【0104】
実施例2〜141:化合物2〜141の合成
化合物2〜141を、それぞれ、実施例1に記載されるのと同様にして調製した。
【0105】
【化37】

【0106】
【化38】

【0107】
【化39】

【0108】
【化40】

【0109】
【化41】

【0110】
【化42】

【0111】
【化43】

【0112】
【化44】

【0113】
【化45】

【0114】
【化46】

【0115】
【化47】

【0116】
【化48】

【0117】
【化49】

【0118】
【化50】

【0119】
【化51】

【0120】
【化52】

【0121】
【化53−1】

【0122】
【化53−2】

【0123】
実施例142および143:[4−シクロペンタンスルホニルアミノカルボニル−2,15−ジオキソ−18−(2−フェニル−ベンゾ[4,5]フロ[3,2−b]ピリジン−4−イルオキシ)−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.04,6]ノナデカ−7−エン−14−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(化合物142)および[4−シクロペンタンスルホニルアミノカルボニル−2,15−ジオキソ−18−(2−フェニル−ベンゾ[4,5]フロ[3,2−b]ピリジン−4−イルオキシ)−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.04,6]ノナデカ−7−エン−14−イル]−カルバミン酸シクロペンチルエステル(化合物143)の合成
化合物142及び143を以下に示されるルートで調製した。
【0124】
【化54】

【0125】
エチルメチルケトン(320mL)における2−ヒドロキシベンゾニトリル(30g、251.6mmol)の溶液に、炭酸カリウム(69.6g、755.5mmol)を添加した。室温で30分間撹拌した後、クロロアセトン(34.95g、377.8mmol)を得られた混合物に添加した後、この溶液を100℃で一晩加熱した。最後に、反応溶剤を減圧下で除去し、得られた固体を水及びエチルエーテルで洗浄して、I−13を得た(31g、70.3%収率)。 MS: m/z 176.0 (M+ +1); 1H NMR (CDCl3) δ 7.59 (d, 1H), 7.46 (dd, 1H), 7.41 (d, 1H), 7.24 (dd, 1H), 2.50 (s, 3H)。
【0126】
5〜10℃のエタノール(30mL)における2−アセチル−3−アミノベンゾフランI−13(2.17g、12.38mmol)及びベンズアルデヒド(1.31g、12.38mmol)の溶液に、水酸化ナトリウムの水溶液(70%、5mL)を絶えず撹拌しながら滴下した。一晩撹拌した後、明るい黄色の固体の未精製産物が反応溶液中に懸濁していた。この固体を濾過し、集め、エタノールで再結晶化して、光沢のある針状物(silky needles)I−14を得た(2.7g、90%)。MS: m/z 264.0 (M++1); 1H NMR (CDCl3) δ 7.83 (d, 1H), 7.71 (dd, 2H), 7.64 (d, 1H), 7.62 (d, 1H), 7.58-7.39 (m, 5H), 7.29-7.24 (m, 1H), 5.83 (broad, 2H)。
【0127】
中間体I−14(1.32g、5.0mmol)を、無水酢酸(10mL)中に懸濁し、温水浴で撹拌した。一晩撹拌した後、反応混合物を氷水に注いだ。懸濁した未精製産物を分離し、集めた後、エタノールで再結晶化して、I−15を得た(1.52g、90%)。MS: m/z 306.0 (M++1); 1H NMR (CDCl3) δ 8.58 (d, 1H), 7.91 (d, 1H), 7.72 (m, 3H), 7.54-7.44 (m, 5H), 7.34-7.7.28 (m, 1H), 2.35 (s, 3H)。
【0128】
CHCl(20mL)における中間体I−15(1.22g、4.0mmol)の溶液を、CHCl(15mL)における臭素の溶液(0.72g4.5mmol)にゆっくり滴下した。一晩撹拌した後、反応混合物を氷水でクエンチした。懸濁した固体を分離し、集め、エタノール/水で再結晶化して、I−16を得た(1.12g、60%)。MS: m/z 465.9 (M++1); 1H NMR (CDCl3) δ 10.22 (brs, 1H), 8.63 (d, 1H), 7.61-7.25 (m, 8H), 5.92 (d, 1H), 5.62 (d, 1H), 2.37 (s, 3H)。
【0129】
アセトン(25mL)におけるI−16(0.93g、2.0mmol)の溶液に、無水酢酸カリウム(0.2g、2.0mmol)を添加した。一晩撹拌した後、反応混合物を冷水に注いだ。懸濁した固体を分離し、集め、エタノールで再結晶化して、モノブロミド(monobromide)−化合物I−17を得た(0.46g、60%)。MS: m/z 385.9 (M++1); 1H NMR (CDCl3) δ 10.50 (brs, 1H), 8.54 (d, 1H), 8.48 (s, 1H), 7.93 (m, 2H), 7.56-7.46 (m, 5H), 7.36-7.31 (m,1H), 2.35 (s, 3H).
酢酸(5mL)及びオルトリン酸(5mL)における化合物I−17(0.35g、1.0mmol)を5時間還流した。この反応混合物を室温に冷却し、氷水に注いで、さらに30分間撹拌した。懸濁した固体を、分離し、集め、DMFで再結晶化して、I−18を得た(0.2g、80%)。MS: m/z 262.0 (M++1)。
【0130】
I−18(1.0g、3.8mmol)及びオキシ塩化リン(POCl)(10mL)の溶液を2時間還流した。この溶液を冷却し、よく濃縮した後、得られた残渣を、10%水酸化ナトリウムでクエンチし、塩化メチレンで抽出した(20mL×3)。有機層を集め、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。未精製産物をCHCl及びn−ヘキサンで再結晶化して、I−19を得た(0.7g、75%)。MS: m/z 279.9 (M++1); 1H NMR (CDCl3) δ 8.45 (d, 1H), 8.09 (d, 2H), 7.84 (s, 1H), 7.71-7.64 (m, 2H), 7.56-7.47 (m, 4H)。
【0131】
DMSO(10mL)におけるBoc−trans−4−ヒドロキシ−L−プロリン(0.53g、2.3mmol)の懸濁液に、t−BuONa(0.49g、5.08mmol)を0℃で添加した。室温まで加温し、1時間撹拌した後、中間体I−19(0.64g、2.3mmol)を10℃でゆっくり添加した。この反応混合物を4時間撹拌した後、10%HCl水溶液でpH6〜7にしてクエンチした。この未精製固体を濾過し、水洗し、真空下で乾燥して、I−20を得た(0.94g、86.3%)。MS: m/z 475.1 (M++1); 1H NMR (CDCl3) δ 8.27 (d, 1H), 7.97 (m, 2H), 7.86-7.76 (m,3H), 7.66-7.44 (m, 4H), 5.81 (s, 1H), 4.47 (m, 1H), 4.03-3.89 (m, 2H), 2.81 (m,1H), 2.50 (q, 1H)。
【0132】
MeOH(20mL)におけるI−20(1.1g、2.3mmol)の溶液に、SOCl(1.17 g、9.9mmol)を室温で添加した。1時間還流した後、反応溶剤を真空下で除去して、未精製化合物I−21を得、これをさらに精製することなく次工程に使用した。MS: m/z 389.1 (M++1)。
【0133】
CHCl(20mL)におけるI−21(0.78g、2.0mmol)、2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスフェートメタンアミニウム(HATU、1.12g、3.0mmol)、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT、0.4g、3.0mmol)、及び2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ノン−8−エノイックアシッド(1.19g、5.2mmol)の溶液に、NMM(1.0g、9.9 mmol)を室温で添加した。この混合物を一晩撹拌した後、真空下で濃縮した。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物I−22を得た(1.02g、80.7%)。MS: m/z 642.3 (M++1); 1H NMR (CDCl3) δ 8.24 (d, 1H), 8.05 (d, 2H), 7.58 (m, 2H), 7.56-7.41 (m, 4H), 7.28 (d, 1H), 5.83-5.76 (q, 1H), 5.71 (s, 1H), 5.24 (d, 1H), 5.01-4.82 (m, 2H), 4.76 (dd, 1H), 4.75-4.34 (m, 2H), 4.03 (m, 1H), 3.77 (s, 3H), 2.78 (m, 1H), 2.36 (q, 1H), 2.01 (m, 2H), 1.75 (m, 1H), 1.54 (m, 1H), 1.42 (m, 6H), 1.31 (s, 9H)。
【0134】
THF(20mL)におけるI−22(1.0g、1.6mmol)の溶液に、0.5M LiOH(5.7mL、2.9mmol)を室温で添加した。この反応混合物を一晩撹拌した後、10%HClでpH<7にまで酸性にして、真空下で濃縮して、固体産物を得、これを濾過して、水洗して、I−23を得た。MS: m/z 628.1 (M++1); 1H NMR (CDCl3) δ 8.34 (brs, 1H), 8.04 (d, 2H), 7.62 (m, 2H), 7.60-7.41 (m, 4H), 7.28 (m, 2H), 5.81-5.72 (q, 1H), 5.70 (s, 1H), 5.29 (d, 1H), 5.00-4.87 (m, 3H), 4.48 (m, 2H), 4.01 (m, 1H), 2.77 (m, 2H), 1.98 (m, 2H), 1.72 (m, 1H), 1.61 (m, 1H), 1.44 (m, 6H), 1.33 (s, 9H)。
【0135】
NMM(0.12g、1.2mmol)を、CHCl(10mL)における化合物I−23(0.26g、0.41mmol)、HATU(0.31g、0.81mmol)、HOBT(0.084g、0.61mmol)、及びシクロプロパンスルホン酸(1−アミノ−2−ビニル−シクロプロパンカルボニル)−アミド(0.094g、0.41mmol)の溶液に室温で添加した。この反応混合物を一晩撹拌した後、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物I−24を得た(0.15g、45%)。MS: m/z 804.3 (M++1); 1H NMR (CDCl3) δ 10.22 (s, 1H), 8.35 (d, 1H), 8.01 (d, 2H), 7.59 (d, 2H), 7.48-7.30 (m, 5H), 7.04 (s, 1H), 5.78 (m, 3H), 5.35 (d, 1H), 5.23 (d, 1H), 5.15 (d, 1H), 4.93 (m, 2H), 4.53 (dd, 1H), 4.41-4.30 (m, 2H), 4.05 (m, 1H), 2.91 (m, 1H), 2.61 (m, 2H), 2.14 (dd, 1H), 2.04 (m, 3H), 1.91-1.52 (m,3H), 1.45-1.22 (18H), 1.21 (m, 2H)。
【0136】
CHClにおける化合物I−24(100mg、0.12mmol)の溶液に、Hoveyda-Grubbs 2nd generation catalyst(35mg、0.056mmol)を、室温でN雰囲気下で添加した後、この反応混合物を40℃まで加熱し、24時間撹拌した。この反応混合物を濃縮して、カラムで精製して、化合物142を得た(30mg、31%)。MS: m/z 812.3 (M++1); 1H NMR (CDCl3) δ 10.29 (s, 1H), 8.28 (d,1H), 8.04 (d, 2H), 7.61-7.41 (m, 7H), 7.00 (s, 1H), 5.69 (m, 2H), 5.19 (d, 1H), 4.97 (dd, 1H), 4.67 (m, 2H), 4.31 (m, 1H), 4.05 (m, 1H), 2.89 (m, 1H), 2.70 (m, 2H), 2.55 (m, 1H), 2.29 (q, 1H), 1.89-1.11 (m, 13H), 1.19 (s, 9H), 0.97-0.86 (m, 2H)。
【0137】
CHCl(5mL)における化合物142(0.1g、0.14mmol)の溶液に、過剰量のジオキサン(2mL)における4N HCl溶液を室温で添加した。4時間撹拌した後、HCl、ジオキサン及びCHClを蒸発させることによって除去し、未精製化合物I−25を得、これをさらに精製することなく次工程に使用した。MS: m/z 712.3 (M++1)。
【0138】
I−25を、アセトニトリル(2mL)に溶解した後、飽和NaHCO(1mL)を添加した。この反応混合物を10分間撹拌した。シクロペンチルクロロホルメート(0.02g、0.15mmol)を、室温でこの反応混合物に添加した。さらに2時間撹拌した後、この反応混合物を飽和NaHCOでクエンチして、CHClで抽出した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物143を得た(0.1g、87%)。MS: m/z 824.3 (M++1); 1H NMR (CDCl3) δ 10.26 (s, 1H), 8.29 (d,1H), 8.07 (d, 2H), 7.62-7.32 (m, 7H), 7.00 (s, 1H), 5.75 (s, 1H), 5.70 (q, 1H), 5.22 (d, 1H), 4.99 (dd, 1H), 4.75 (m, 2H), 4.56 (d, 1H), 4.32 (m, 1H), 4.05 (m, 1H), 2.89 (m, 1H), 2.70 (m, 2H), 2.52 (m, 1H), 2.29 (q, 1H), 1.91-0.85 (m, 23H)。
【0139】
実施例144〜253:化合物144〜253の合成
化合物144〜253を、それぞれ、実施例142及び143に記載されるのと同様にして調製した。
【0140】
【化55】

【0141】
【化56】

【0142】
【化57】

【0143】
【化58】

【0144】
【化59】

【0145】
【化60】

【0146】
【化61】

【0147】
【化62】

【0148】
【化63】

【0149】
【化64】

【0150】
【化65】

【0151】
【化66】

【0152】
【化67】

【0153】
【化68】

【0154】
【化69】

【0155】
【化70】

【0156】
実施例254:[4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−18−(2−フルオロ−ベンゾ[4,5]フロ[3,2−b]キノリン−11−イルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.04,6]ノナデク−14−イル]−カルバミン酸シクロペンチルエステル(化合物254)の合成
化合物254を以下のルートにより調製した。
【0157】
【化71】

【0158】
DMSO(10mL)におけるBoc−trans−4−ヒドロキシ−L−プロリン(0.53g、2.30mmol)の懸濁液に、t−BuONa(0.49g、5.08mmol)を0℃で添加した。室温まで加温して、さらに1時間撹拌した後、中間体I−26(0.62g、2.31mmol)を10℃でゆっくり添加した。この反応混合物を4時間撹拌した後、10%HCl水溶液でpH6〜7にしてクエンチした。この未精製懸濁固体を濾過し、水洗し、真空下で乾燥して、I−27(0.92g、86%)を得た。MS: m/z 467.1 (M++1)。
【0159】
CHCl(10mL)におけるI−27(0.90g、1.93mmol)、HATU(58.9g、1.55mmol)、HOBt(7.0g、0.52mmol)及びNMM(38.3g、3.86mmol)の溶液に、CHClに溶解したシクロプロパンスルホン酸(1−アミノ−2−ビニル−シクロプロパンカルボニル)−アミド(54.0g、2.03mmol)及びNMM(0.19g、1.93mmol)の混合物を、5℃で滴下した。室温まで加温して、さらに16時間撹拌した後、この反応混合物を濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、未精製産物I−28を得た(0.89g、80% 収率)。MS: m/z 679.1 (M++1)。
【0160】
化合物I−28(1.20g、1.77mmol)を室温でMeOH(18mL)に溶解した後、氷浴を用いてこの溶液を冷却した。この反応混合物に、塩化チオニル(0.39mL、5.30mmol)を滴下した。氷浴から取り出した後、反応混合物を65℃で1時間加熱した。得られた溶液を40℃に冷却し、濾過し、さらに冷MeOH及びエーテルで洗浄して、明るい黄色の粉末を得、白色粉末I−29をさらに精製することなく次の反応工程に使用した。MS: m/z 579.1 (M++1)。
【0161】
CHCl(10mL)における2−シクロペンチルオキシカルボニルアミノ−ノン−8−エノイックアシッド(0.87g、2.34mmol)、HATU(1.16g、3.05mmol)及びHOBt(0.14g、1.02mmol)の溶液に、DMF(10mL)に溶解したI−29(1.18g、2.03mmol)及びNMM(0.49g、4.87mmol)の混合物を5℃で滴下した。室温まで加温して、さらに16時間撹拌した後、10% HCl(1mL)を添加して、反応混合物を濃縮した。残渣を5℃に冷却して、5% HCl(aq)(10mL×2)及びNaHCO(aq)(10ml×2)で順次洗浄して、明るい黄色固体を得た。この固体をMeOH(10mL)に溶解して、さらに少量ずつエーテルをゆっくり添加して沈殿させて、I−30を得た(1.51g、88%yield)。MS: m/z 844.3 (M++1)。
【0162】
CHCl(120mL)における化合物I−30(0.50g、0.59mmol)の溶液を、窒素を1時間バブリングさせることによって脱気した。Hoveyda−Grubb’s 2nd generation catalyst(48mg、0.076mmol)を添加した後、反応混合物を40℃で16時間加熱した。反応の終了をHPLCで確認した後、反応混合物を30℃に冷却し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによって、生成物I−31を得た(0.30g、62% 収率)。MS: m/z 816.3 (M++1); 1H NMR (CDCl3) δ 10.33 (s, 1H), 8.30 (d, 1H), 8.11 (dd, 1H), 7.88 (dd, 1H), 7.67-7.56 (m, 2H), 7.46 (dd, 1H), 7.43-7.30 (m, 2H), 6.12 (s, 1H), 5.64 (q, 1H), 5.22 (d, 1H), 4.92 (dd, 1H), 4.77 (d, 1H), 4.66 (dd, 1H), 4.32-4.22 (m, 1H), 4.04 (dd, 1H), 2.93-2.46 (m, 3H), 2.31 (q, 1H), 1.92-0.80 (m, 25H)。
【0163】
MeOH(10mL)における化合物I−31(50mg、0.061mmol)の溶液に、N下で室温で5%Pd−C(5mg)を添加した。次に、この反応混合物を、室温で60psiの圧力下で水素雰囲気中で4時間撹拌した。反応混合物を濾過し、カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物254を得た(27.6mg、55%)。MS: m/z 818.3 (M++1); 1H NMR (CDCl3) δ 10.50 (s, 1H), 8.28 (d, 1H), 8.13 (dd, 1H), 7.80 (dd, 1H), 7.65-7.57 (m, 2H), 7.45 (dd, 1H), 7.39-7.30 (m, 2H), 6.11 (s, 1H), 5.25 (d, 1H), 4.96 (brs, 1H), 4.68 (dd, 1H), 4.60 (d, 1H), 4.37 (dd, 1H), 4.14 (dd, 1H), 3.02-2.57 (m, 3H), 1.92-0.80 (m, 29H)。
【0164】
実施例255〜281:化合物255〜281の合成
化合物255〜281をそれぞれ、実施例254に記載されるのと同様にして調製した。
【0165】
【化72】

【0166】
【化73】

【0167】
【化74】

【0168】
【化75】

【0169】
実施例282:NS3/4Aプロテアーゼの阻害
タンパク質の発現および精製
N末端His−標識(tagged)−NS4A(21−32)−GSGS−NS3(3−181)をコード化する遺伝子を含むプラスミドを、タンパク質の過剰発現のために大腸菌株BL21(DE3) pLysS(E. coli strain BL21(DE3) pLysS)(Novagen)に形質転換した。形質転換されたBL21 (DE3) pLysSの単一コロニーを、37℃で一晩、200mLのカナマイシン及びクロラムフェニコールを含むLauria-Bertani(LB)培地で培養した。細菌培養物を、6Lの抗生物質を含むLB培地(Difco)に移し、22℃で振盪しながらインキュベートした。600nmでの吸光度が0.6に達したら、22℃で5時間、1mM イソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド(IPTG)を用いて、培養物を誘導した。さらに、培養物を遠心(4℃で6,000×15分)により集めた。細胞ペレットを、150mL バッファーA(50mM HEPES、pH 7.4、0.3M NaCl、0.1%(w/v) CHAPS、10mM イミダゾール、10%(v/v) グリセロール)中に再懸濁した。混合物を30psiで操作したMicrofluidizerに4回通すことによって破壊した後、細胞残屑を遠心(4℃で58,250×30分)によって除いた。His−標識タンパク質を含む細胞溶解物を、gradiFrac system (Pharmacia)を用いて10mM イミダゾールの存在下で25mL Ni−NTA(Qiagen)カラムに3mL/分でチャージした。カラムを、カラムの10倍容積の溶解バッファーで洗浄した。結合したNS4A(21−32)−GSGS−NS3(3−181)を、300mM イミダゾールを添加したカラムの8倍容積のバッファーAで溶出させた。プールした画分を、バッファーB(50mM HEPES、pH 7.4、0.1%(w/v) CHAPS、10%(v/v) グリセロール、5mM ジチオトレイトール(DTT)、及び1M NaCl)で平衡化したQ−セファロースカラムによってさらに精製した。NS4A(21−32)−GSGS−NS3(3−181)を含む溶出液を集め、バッファーC(50mM HEPES、pH 7.4、0.1%(w/v) CHAPS、5mM DTT、10%(v/v) グリセロール)で予め平衡化したセファクリル−75カラム(16×100cm、Pharmacia)を用いて0.5mL/分の流速でサイズ排除クロマトグラフィーによってさらに精製した。精製したタンパク質を凍結して、使用するまで−80℃で貯蔵した。
【0170】
HPLC Microboreアッセイ
50mM Tris、pH 7.4、100 mM NaCl、20% グリセロール、0.012% CHAPS、10 mM DTT、5μM 基質 Ac−Asp−Glu−Asp(EDANS)−Glu−Glu−Abu−ψ−[COOAla]−Ser−Lys(DABCYL)−NH(RET S1, ANASPEC)、及び10μM 試験化合物を含む溶液を調製した。80μlの溶液を、96ウェルプレートの各ウェルに添加した。50mM Trisバッファー、pH 7.4、100mM NaCl、20% グリセロール、及び0.012% CHAPSを含むバッファーにおける20μLの10nM NS3/4Aプロテアーゼを添加することによって、反応を開始した。NS3/4Aプロテアーゼの最終濃度は2nMであり、これは、基質RET S1のKmより低かった。
【0171】
このアッセイ溶液を、30℃で30分間、インキュベートした。次に、100μLの1% TFAを添加して、反応をクエンチした。200μLのアリコートを、Agilentの96ウェルプレートの各ウェルに移した。
【0172】
下記の逆相HPLCを用いて、反応産物を分析した。HPLCシステムは、Agilent 1100、Degasser G1379A、バイナリーポンプ(Binary pump)G1312A、Autosampler G1367A、カラム恒温チャンバー(Column thermostated chamber)G1316A、ダイオードアレイ検出器(Diode array detector)G1315B、カラム: Agilent、ZORBAX Eclipse XDB-C18、4.6mm、5μm、P/N 993967-902、カラムサーモスタット(Column thermostat):室温、注入容積:100μL、溶剤A=HPLCグレードの水+0.09% TFA、溶剤B=HPLCグレードのアセトニトリル+0.09% TFAを含むものであった。全HPLC操作時間は7.6分であり、この際、25〜50%溶剤Bのリニアグラジエントが4分、50%溶剤Bが30秒、および50〜25%の溶剤Bのグラジエントがさらに30秒であった。次のサンプルを注入する前に、カラムを25%溶剤Bで2.6分間、再平衡化した。IC50値(NS3/4A活性の50%阻害が観察される濃度)を、HPLCの結果に基づいて各試験化合物について算出した。
【0173】
化合物1〜281について、上記阻害アッセイで試験した。結果から、274化合物が20nMより低いIC50値を示し、7化合物が20〜100nMのIC50値を示すことが示された。
【0174】
加えて、予想できなかったことに、本発明の特定の化合物は、1以上の他のHCV薬に対して耐性のあるHCVプロテアーゼを有効に阻害することが分かった。
【0175】
実施例283:HCVレプリコン細胞アッセイプロトコル
HCVレプリコンを含む細胞を、10% ウシ胎児血清(FBS)、1.0mg/mlのG418、及び適当な捕捉剤(supplement)を含むDMEM(培地A)中で維持した。
【0176】
1日目、レプリコン細胞単層を、トリプシン/EDTA混合物で処理し、除去し、48,000細胞/mlの最終濃度になるように培地Aで希釈した。溶液(1ml)を、24ウェルの組織培養プレートの各ウェルに添加し、5% COで37℃で組織培養インキュベーターで一晩培養した。
【0177】
2日目、試験化合物(100% DMSOにおける)を、10% FBS及び適当な捕捉剤(supplement)を含むDMEM(培地B)で順次希釈した。一連の希釈で、DMSOの最終濃度は0.2%に維持した。
【0178】
レプリコン細胞単層の培地を除去した後、様々な濃度の化合物を含む培地Bを添加した。化合物を含まない培地Bを、化合物フリーなコントロールとして、他のウェルに添加した。
【0179】
細胞を、5% COの組織培養インキュベーターで37℃で72時間、培地Bにおける化合物または0.2% DMSOと共にインキュベートした。次に、培地を除去し、レプリコン細胞単層をPBSで1回洗浄した。RNAの分解を防ぐために、RNeasyキットのRNA抽出試薬またはTRIZOL試薬を即座に細胞に添加した。抽出効率及び濃度(consistency)を上げられるように製造社で提供される指示に修飾を加えて、全RNAを抽出した。最後に、HCVレプリコンRNAを含む、全細胞RNAを溶出させて、さらに加工する(processing)まで−80℃で貯蔵した。
【0180】
TaqMan(登録商標)リアルタイムRT−PCR定量化アッセイを、特定のプライマー2セットを用いて行った:一方はHCVに対してであり、他方はACTB(β−アクチン)に対してであった。全RNAを、同じPCRウェルでHCV及びACTB RNA双方の定量化を目的としてPCR反応物に加えた。実験が失敗したとの注意がでて、各ウェルにおけるACTB RNAのレベルに基づいて拒否された。各ウェルにおけるHCV RNAのレベルを、同じPCRプレートの標準曲線操作に従って算出した。化合物の処理によるHCV RNAレベルの阻害率(%)を、DMSO及び化合物フリーなコントロールを0%の阻害率として用いて算出した。EC50(HCV RNAレベルの50%の阻害が達成される濃度)を所定の化合物の滴定曲線から算出した。
【0181】
化合物1〜281をHCVレプリコン細胞アッセイで試験した。結果から、274化合物が20nMより低いEC50値を示し、7化合物が20〜100nMのEC50値を示すことが示された。
【0182】
実施例284:薬物動態研究
オスのSprague−Dawleyラット(300〜400g)に、存命中の1日前にペントバルビタール麻酔下で血液サンプリングを目的として頸静脈にポリエチレン製カニューレを外科的に移植した。ラットに、水を自由に摂取させて一晩絶食させた後、強制経口投与(oral gavage)(PO)で試験化合物を翌日投与した。投与してから48時間まで、一連の血液サンプルを動物から集め、ヘパリン化血漿を遠心により回収した。血漿中の試験化合物を抽出し、液体クロマトグラフィー−質量分析(LC−MS/MS)によって測定した。
【0183】
標準的な薬物動態パラメーターを、WinNonlin(Version 4.0, Pharsight, CA, USA)を用いて無隔壁分析(non-compartmental analysis)によって評価した。時間に対する血漿中の試験化合物濃度の曲線における最大値を、Cmaxと表す。見かけの末端相晶質(terminal-phase elimination)(t1/2)を、ln(2)/λとして算出し、この際、λは晶質速度定数である。投与時間から無限時間までの濃度−時間曲線下面積(area under the concentration vs. time curve from the time of dosing to infinity)(AUC(0−inf))を、直線台形公式(linear trapezoidal rule)に従って算出した。
【0184】
本発明の特定の化合物は、長い半減期および大きなAUC(0−inf)値を示した。
【0185】
他の実施形態
本明細書中に開示されるすべての特徴は、いずれの組み合わせで組み合わせてもよい。本明細書中に開示される各特徴は、同じ、等価の、または同様の目的を果たす別の特徴で置換されてもよい。ゆえに、特記しない限り、開示される各特徴は、包括的な一連の等価のまたは同様の特徴の一例でしかない。
【0186】
上記説明から、当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に確認でき、本発明の概念および範囲から逸脱することなく、本発明を様々に変更したり修飾したりして、様々な用法や症状に適用できる。ゆえに、他の実施形態もまた、以下の特許請求の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:
【化1】

ただし、Rは、−H、−OH、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、または−NH−Z−Rであり;この際、Rは、Hである、またはC1−6アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群より選択される部分であり、各部分は、必要であれば、ハロゲン原子(halo)、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよく;ならびにZは、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)C(O)O−、−C(O)C(O)NH−、−C(O)NR’−、−OC(S)−、−C(S)NR’−、または−C(NH)O−であり、R’は、H、C1−6アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基であり;
は、Hである、またはC1−6アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群より選択される部分であり、各部分は、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよく;
Aは、NまたはCHであり;
Uは、−O−、−NH−、−NH(CO)−、−NHSO−、または−NHSO−であり;
Wは、−(CH−、−NH(CH−、−(CHNH−、−O(CH−、−(CHO−、−S(CH−、−(CHS−、−SO−、−SO(CH−、−(CHSO−、−SO(CH−、または−(CHSO−であり、mは、1、2、または3であり、およびnは、0、1、または2であり;
Xは、−O−、−S−、−NH−、または−OCH−であり;ならびに
Yは、下記:
【化2】

であり、この際、VおよびTは、それぞれ独立して、−CH−または−N−であり;AおよびAは、それぞれ独立して、C4−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群より選択される部分であり、各部分は、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよい、またはC3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基と融合していてもよい;ならびにRは、H、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、若しくはアミノ基である、またはC1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群より選択される部分であり、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、及びC2−6アルキニル基は、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよく、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基は、それぞれ、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよい、またはC3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基と融合していてもよい、
を有する化合物。
【請求項2】
Xは、Oである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aは、CHであり、かつWは、−CHCH−、−OCH−、−SCH−、または−SOCH−である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Uは、−NHSO−である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
Yは、下記:
【化3】

ただし、Tは、CHまたはNであり、R、Rii、Riii、Riv、及びRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、若しくはC2−6アルキニル基である、またはC3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群より選択される部分であり、各部分は、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよい、または、必要であれば、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基と融合していてもよい、
である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
下記式:
【化4】

ただし、Rは、−H、−OH、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、または−Z−Rであり;この際、Rは、Hである、またはC1−6アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群より選択される部分であり、各部分は、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよく;Zは、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)C(O)O−、−C(O)C(O)NH−、−C(O)NR’−、−OC(S)−、−C(S)NR’−、または−C(NH)O−であり、R’は、H、C1−6アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基であり;
は、Hである、またはC1−6アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群より選択される部分であり、各部分は、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、アリール基若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよく;
Aは、CHまたはNであり;
Uは、−O−、−NH−、−NH(CO)−、−NHSO−,または−NHSO−であり;
Wは、−(CH−、−NH(CH−、−(CHNH−、−O(CH−、−(CHO−、−S(CH−、−(CHS−、−SO−、−SO(CH−、−(CHSO−、−SO(CH−、または−(CHSO−であり、mは、1、2、または3であり、およびnは0、1、または2であり;
Xは、−O−、−S−、−NH−、または−OCH−であり;
Yは、下記
【化5】

であり、この際、VおよびTは、それぞれ独立して、−CH−または−N−であり;AおよびAは、それぞれ独立して、C4−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群より選択される部分であり、各部分は、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよい、またはC3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基と融合していてもよい;ならびにRは、H、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、若しくはアミノ基である、または、必要であれば、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群より選択される部分であり、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、及びC2−6アルキニル基は、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよく、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基は、それぞれ、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよい、または、必要であれば、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基と融合していてもよく;ならびに
下記:
【化6】

は、単結合または二重結合である、
を有する、化合物。
【請求項7】
Xは、Oである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
Wは、−CHCH−、−OCH−、−SCH−、または−SOCH−であり;および下記:
【化7】

は、二重結合である、請求項6または7に記載の化合物。
【請求項9】
Uは、−NHSO−である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
Yは、下記:
【化8】

ただし、Tは、CHまたはNであり、R、Rii、Riii、Riv、及びRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、若しくはC2−6アルキニル基である、またはC3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群より選択される部分であり、各部分は、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよい、またはC3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基と融合していてもよい、
である、請求項6〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
下記式:
【化9】

は、−H、−OH、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、−Z−R、または−NH−Z−Rであり;この際、Rは、Hである、またはC1−6アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群より選択される部分であり、各部分は、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよく;ならびにZは、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)C(O)O−、−C(O)C(O)NH−、−C(O)NR’−、−OC(S)−、− C(S)NR’−、または−C(NH)O−であり、R’は、H、C1−6アルキル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基であり;
Aは、NまたはCHであり;
Uは、−O−、−NH−、−NH(CO)−、−NHSO−,または−NHSO−であり;
Wは、−(CH−、−NH(CH−、−(CHNH−、−O(CH−、−(CHO−、−S(CH−、−(CHS−、−SO−、−SO(CH−、−(CHSO−、−SO(CH−、または−(CHSO−であり、mは、1、2、または3であり、およびnは0、1、または2であり;
Xは、−O−、−S−、−NH−、または−OCH−であり;
Yは、下記
【化10】

であり、この際、VおよびTは、それぞれ独立して、−CH−または−N−であり;AおよびAは、それぞれ独立して、C4−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群より選択される部分であり、各部分は、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよい、または、必要であれば、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基と融合していてもよい;ならびにRは、H、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、若しくはアミノ基である、またはC1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群より選択される部分であり、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、及びC2−6アルキニル基は、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよく、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基は、それぞれ、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよい、または、必要であれば、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基と融合していてもよく;ならびに
下記:
【化11】

は、単結合または二重結合である、
を有する、化合物。
【請求項12】
Xは、Oである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
Aは、CHであり;Wは、−CHCH−、−OCH−、−SCH−、または−SOCH−であり;および下記:
【化12】

は、二重結合である、請求項11または12に記載の化合物。
【請求項14】
Uは、−NHSO−である、請求項11〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
Yは、下記:
【化13】

ただし、Tは、CHまたはNであり、R、Rii、Riii、Riv、及びRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、若しくはC2−6アルキニル基である、またはC3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群より選択される部分であり、各部分は、必要であれば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基で1−、2−、若しくは3−置換されていてもよい、または、必要であれば、C3−10シクロアルキル基、C1−10ヘテロシクロアルキル基、アリール基、若しくはヘテロアリール基と融合していてもよい、
である、請求項11〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
化合物1〜281のいずれかである、化合物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物および製薬上許容できる担体を含む、薬剤組成物。
【請求項18】
C型肝炎ウイルス感染を治療するための請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項19】
前記化合物は、治療を必要とする患者に経口で投与される、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記化合物は、一日に一回投与される、請求項18または19に記載の使用。
【請求項21】
C型肝炎ウイルス感染を治療するための薬剤の製造における請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2013−504616(P2013−504616A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529723(P2012−529723)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/056937
【国際公開番号】WO2011/034518
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(505367785)タイゲン バイオテクノロジー カンパニー,リミテッド (10)
【Fターム(参考)】