説明

HCV感染の処置のための併用療法

本発明は、HCVの処置のための、プロテアーゼ阻害剤およびポリメラーゼ阻害剤を含む治療用組み合わせ剤に関する。本発明はまた、VX−950およびポリメラーゼ阻害剤を含む治療用組み合わせ剤にも関する。患者におけるHCV感染の処置またはその1種以上の症状の緩和のための本発明の治療用組み合わせ剤の使用方法もまた、本発明の範囲内である。本発明はまた、本発明の組み合わせ剤を含むキットも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、2007年5月4日出願の米国仮特許出願第60/927,581号および2007年5月23日出願の同第60/931,425号(その内容は、参照によりその全体を本明細書中に包含される)に優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
C型肝炎ウイルス(“HCV”)による感染は、切実なヒトの医学的問題である。HCVは、非A非B型肝炎のほとんどの症例の原因因子として認識されており、全世界で、概算で3%のヒト血清陽性率である[A. Alberti et al., “Natural History of Hepatitis C,” J. Hepatology, 31 (Suppl. 1), pp. 17−24 (1999)]。米国だけでも400万名近くが、感染している可能性がある[M.J. Alter et al., “The Epidemiology of Viral Hepatitis in the United States”, Gastroenterol. Clin. North Am., 23, pp. 437−455 (1994); M. J. Alter “Hepatitis C Virus Infection in the United States,” J. Hepatology, 31., (Suppl. 1), pp. 88−91 (1999)]。
【0003】
HCVへの最初の暴露により、感染した個体の約20%のみが、臨床的急性肝炎を発症し、その他は、自然に感染を解消すると考えられる。しかしながら、症例の約70%において、該ウイルスは、数十年にわたって続く慢性感染を確立する[S. Iwarson, “The Natural Course of Chronic Hepatitis,” FEMS Microbiology Reviews, 14, pp. 201−204 (1994); D. Lavanchy, “Global Surveillance and Control of Hepatitis C,” J. Viral He, 6, pp. 35−47 (1999)]。これは、通常、肝炎の再発および漸進的悪化をもたらし、しばしば、肝硬変および肝細胞癌のようなより重度の疾患状態に至る[M.C. Kew, “Hepatitis C and Hepatocellular Carcinoma”, FEMS Microbiology Reviews, 14, pp. 211−220 (1994); I. Saito et al., “Hepatitis C Virus Infection is Associated with the Development of Hepatocellular Carcinoma,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 6547−6549 (1990)]。残念なことに、慢性HCVの進行を遅らせるのに広く有効な処置は存在しない。
【0004】
HCVゲノムは、アミノ酸3010−3033のポリタンパク質をコードする[Q.L. Choo, et al., “Genetic Organization and Diversity of the Hepatitis C Virus.” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88, pp. 2451−2455 (1991); N. Kato et al., “Molecular Cloning of the Human Hepatitis C Virus Genome From Japanese Patiants with Non−A, Non−B Hepatitis,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 9524−9528 (1990); A. Takamizawa et al., “Structure and Organization of the Hepatitis C Virus Genome Isolated From Human Carriers,” J. Virol., 65, pp. 1105−1113 (1991)]。HCV非構造(NS)タンパク質は、ウイルス複製に必須の触媒機構を提供すると考えられている。NSタンパク質は、ポリタンパク質のタンパク質分解的切断によって得られる[R. Bartenschlager et al., “Nonstructural Protein 3 of the Hepatitis C Virus Encodes a Serine−Type Proteinase Required for Cleavage at the NS3/4 and NS4/5 Junctions,” J. Virol., 67, pp. 3835−3844 (1993); A. Grakoui et al., “Characterization of the Hepatitis C Virus −Encoded Serine Proteinase: Determination of Proteinase−Dependent Polyprotein Cleavage Sites,” J. Virol., 67, pp. 2832−2843 (1993); A. Grakoui et al., “Expression and Identification of Hepatitis C Virus Polyprotein Cleavage Products,” J. Virol., 67, pp. 1385−1395 (1993); L. Tomei et al., “NS3 is a serine protease required for processing of Hepatitis C Virus polyprotein”, J. Virol., 67, pp. 4017−4026 (1993)]。
【0005】
HCV NSタンパク質3(NS3)には、大部分のウイルス酵素の合成を補助するセリンプロテアーゼ活性が含まれ、故に、ウイルス複製および感染力に必須であると見なされる。黄熱病ウイルスNS3プロテアーゼにおける変異は、ウイルス感染力を低減することが知られている[Chambers, T.J. et al., “Evidence that the N−terminal Domain of Nonstructural Protein NS3 From yellow Fever Virus is a Serine Protease” Responsible for Site−Specific Cleavages in the Viral Polyprotein”, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 8898−8902 (1990)]。NS3の最初の181アミノ酸(ウイルスポリタンパク質の残基1027−1207)は、HCVポリタンパク質の4つ全ての下流部位を処理するNS3のセリンプロテアーゼドメインを含むことが示されている[C. Lin et al., “Hepatitis C Virus NS3 Serine Proteinase: Trans−Cleavage Requirements and Processing Kinetics”, J. Virol., 68, pp. 8147−8157 (1994)]。
【0006】
HCV NS3 セリンプロテアーゼおよびそれと関係する補因子NS4Aは、全てのウイルス酵素プロセシングを補助し、故に、ウイルス複製に必須であると見なされる。このプロセシングは、ウイルス酵素プロセシングにも関与する、ヒト免疫不全ウイルス アスパルチルプロテアーゼにより行われるのと同様のようである。ウイルスタンパク質プロセシングを阻害するHIVプロテアーゼ阻害剤は、ヒトにおける強力な抗ウイルス剤であり、ウイルス生活環のこの段階を中断することは、結果として治療的有効剤であることを示す。結果として、HCV NS3 セリンプロテアーゼはまた、創薬の魅力的な標的でもある。
【0007】
最近まで、HCV疾患の確立された治療は、インターフェロン処置のみであった。しかしながら、インターフェロンは、重大な副作用を有し[M. A. Wlaker et al., “Hepatitis C Virus: An Overview of Current Approaches and Progress,” DDT, 4, pp. 518−29 (1999);D. Moradpour et al., “Current and Evolving Therapies for Hepatitis C,” Eur. J. Gastroenterol. Hepatol., 11, pp. 1199−1202 (1999);H. L. A. Janssen et al. “Suicide Associated with Alfa−Interferon Therapy for Chronic Viral Hepatitis,” J. Hepatol., 21, pp. 241−243 (1994);P.F. Renault et al., “Side Effects of Alpha Interferon,” Seminars in Liver Disease, 9, pp. 273−277. (1989)]、長期寛解は症例の一部のみ(≒25%)である[O. Weiland, “Interferon Therapy in Chronic Hepatitis C Virus Infection”, FEMS Microbiol. Rev., 14, pp. 279−288 (1994)]。最近のペグ化インターフェロン(PEG−イントロン(登録商標)およびPEGASYS(登録商標))ならびにリバビリンとペグ化インターフェロン(REBETROL(登録商標))の併用療法の導入は、寛解率のわずかな改善と副作用の部分的な減少をもたらしただけであった。さらに、有効な抗HCVワクチンの展望は不確かなままである。
【0008】
故に、より有効な抗HCV治療の必要性がある。かかる阻害剤は、プロテアーゼ阻害剤、特にセリンプロテアーゼ阻害剤、より具体的にはHCV NS3 プロテアーゼ阻害剤として治療可能性を有し得る。具体的に、かかる化合物は、抗ウイルス剤、特に抗HCV剤として有用であり得る。
【発明の概要】
【0009】
発明の概要
本発明は、VX−950およびポリメラーゼ阻害剤を含む治療用組み合わせ剤に関する。
【0010】
本発明はまた、患者におけるHCV感染の処置方法またはその1種以上の症状の緩和方法であって、本発明の治療用組み合わせ剤を該患者に投与することを含む方法にも関する。
【0011】
患者におけるHCV感染を処置するための医薬レジメンを提供することは、さらにもう1つの本発明の目的である。
【0012】
発明の詳しい説明
定義
本発明の目的のために、化学元素は元素周期表、CASバージョン、Handbook of Chemistry and Physics, 75th Edに従って同定される。加えて、有機化学の一般的原理は“Organic Chemistry”, Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito:1999および“Advanced Organic Chemistry”, 5th Ed., Ed.:Smith, M.B. and March, J., John Wiley & Sons, New York:2001に記載されており、これらの全内容を引用により本明細書に包含する。
【0013】
本明細書に記載の本発明の化合物は、所望により1個以上の置換基で置換されていてよいか、または本発明の特定のクラス、サブクラスおよび種により例示される通りである。
【0014】
本明細書で用いる“患者”は、ヒトを含む哺乳動物を意味する。
【0015】
本明細書で用いる用語“ポリメラーゼ阻害剤”は、HCV−RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)の活性を阻害する化合物を意味する。以下の本発明のポリメラーゼ阻害剤には、式I、IIおよびIIIの化合物が含まれるが、これらに限定されない。ポリメラーゼ阻害剤は、ヌクレオシド系または非ヌクレオシド系阻害剤であり得る。ヌクレオシド系ポリメラーゼ阻害剤は、酵素の基質に結合し;一方、非ヌクレオシド系ポリメラーゼ阻害剤、例えばアロステリック阻害剤は、酵素を阻害している間、異なる部位に結合する。
【0016】
本明細書で用いる用語“プロテアーゼ阻害剤”は、哺乳動物においてHCV NS3 プロテアーゼの機能を阻害する効果がある物質(化合物または生物学的物質)を意味する。以下の本発明のプロテアーゼ阻害剤には、VX−950が含まれるが、これに限定されない。
【0017】
本明細書で用いる“VX−950”は、以下に示され、参照によりその全体が本明細書中に包含されるPCT公開番号WO02/18369に記載されるHCV阻害剤を意味する。
【化1】

【0018】
本明細書で用いる用語“治療用組み合わせ剤”は、1種以上の有効薬剤物質、すなわち治療的有用性を有する化合物、の組み合わせを意味する。典型的には、本発明の治療的組み合わせ剤中のかかる化合物各々は、該化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物中に存在し得る。本発明の治療用組み合わせ剤中の化合物は、レジメンの一部として、同時または個別に投与され得る。
【0019】
他に特記しない限り、本明細書に記載する構造はまた、構造の全ての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(または配座))形;例えば、各不斉中心のRおよびS配置、(Z)および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)配座異性体を含むことも意味する。故に、本化合物の単一の立体化学異性体ならびにエナンチオマー、ジアステレオマー、および幾何(または配座)混合物は、本発明の範囲内である。他に特記しない限り、本発明の化合物の全ての互変異性形態は本発明の範囲内である。加えて、他に特記しない限り、本明細書に記載の構造はまた、1個以上の同位体を富化された原子の存在によってのみ異なる化合物も包含することを意味する。例えば、重水素または三重水素によって水素を置き換えること、または13C−もしくは14C−富化炭素によって炭素を置き換えることを除いて、この構造を有している化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析ツールまたはプローブとして有用である。
【0020】
治療用組み合わせ剤
本発明は、HCVの処置のための、プロテアーゼ阻害剤およびポリメラーゼ阻害剤を含む治療用組み合わせ剤に関する。
【0021】
プロテアーゼ阻害剤
本発明の一局面において、プロテアーゼ阻害剤はVX−950である。
【0022】
以下に示す構造を有するHCV阻害剤であるVX−950は、そのような必要とされる化合物である。VX−950は、参照によりその全体を本明細書中に包含されるPCT公開番号WO02/18369に記載される。
【化2】

【0023】
強力な、かつ特定のNS3−4Aプロテアーゼ阻害剤であるVX−950は、HCV遺伝子型1型に感染した対象のフェーズ1b臨床試験において実質的な抗ウイルス活性を実証された(Study VX04−950−101)。対象が処置に応答する程度およびウイルスリバウンドが観察される率は、一部分、プロテアーゼ阻害剤に対する感受性の遺伝子型の相違により得る。HCVの急速な複製速度は、そのポリメラーゼの貧しい忠実度と共に、そのゲノム中の変異の蓄積をもたらす[P. Simmonds, “Genetic diversity and evolution of hepatitis C virus − 15 years on,” J. Gen. Virol., 85, pp. 3173−88 (2004)]。プロテアーゼ領域中の配列変化が酵素の触媒効率または阻害剤の結合に影響する程度は、知られていない。さらに、顕著な配列変化を有する多数のウイルスゲノムの発生は、抗ウイルス治療剤で処置した対象における薬剤耐性ウイルス出現の潜在的な問題を提示する。実際に、HIVプロテアーゼ阻害剤のような抗ウイルス剤に対する薬剤耐性はよく報告されている[Johnson et al., Top. HIV Med., 12, pp. 119−24 (2004)]。薬剤耐性変異は、HCVプロテアーゼ阻害剤の存在下、インビトロでの発生が既に示されている[Lin et al., “In vitro studies of cross−resistance mutations against two hepatitis C virus serine protease inhibitors, VX−950 and BILN 2061” J. Biol. Chem., 280, pp. 36784−36791 (2005)(参照によりその全体を本明細書中に包含させる); Lin et al., “In vitro resistance studies of hepatitis C virus serine protease inhibitors, VX−950 and BILN 2061: Structural analysis indicates different resistance mechanisms,” J. Biol. Chem., 279, pp. 17508−17514 (2004)(参照によりその全体を本明細書中に包含させる); Lu et al., Antimicrob. Agents Chemother., 48, pp. 2260−6 (2004); Trozzi et al., “In viero selection and characterization of hepatitis C virus serine protease variants resistant to an active−site peptide inhibitor” J. Virol. 77, pp. 3669−79 (2003)]。プロテアーゼ阻害剤BILN 2061に対する耐性の変異は、NS3遺伝子中、R155Q、A156TおよびD168V/A/Y部位に見出されているが、NS4領域中またはプロテアーゼ切断部位中には変異は発見されていない。VX−950耐性変異はまた、インビトロでA156S部位にも見出されている。VX−950およびBILN 2061の両方に対する交差耐性変異もまた、インビトロで156部位(A156V/T)に起こることが示されている(Lin et al., 2005, 上記)。
【0024】
他の態様において、プロテアーゼ阻害剤は、国際特許出願公開番号WO2007/025307に記載され、その内容全体は本明細書中に包含される。
【0025】
さらに他の態様において、プロテアーゼ阻害剤は、以下の文献の1個以上:WO1997/43310、US20020016294、WO2001/81325、WO2002/08198、WO2001/77113、WO2002/08187、WO2002/08256、WO2002/08244、WO2003/006490、WO2001/74768、WO1999/50230、WO1998/17679、WO2002/48157、US20020177725、WO2002/060926、US20030008828、WO2002/48116、WO2001/64678、WO2001/07407、WO1998/46630、WO2000/59929、WO1999/07733、WO2000/09588、US20020016442、WO2000/09543、WO1999/07734、US6,018,020、US6,265,380、US6,608,027、US20020032175、US20050080017、WO1998/22496、US5,866,684、WO2002/079234、WO2000/31129、WO1999/38888、WO1999/64442、WO2004/072243、およびWO2002/18369(それら全ての内容全体は、参照により本明細書中に包含される)に記載される。
【0026】
ポリメラーゼ阻害剤
ポリメラーゼ阻害剤は、ヌクレオシド系または非ヌクレオシド系阻害剤であり得る。
【0027】
第一局面の一態様において、ポリメラーゼ阻害剤は、式(I)
【化3】


で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
【0028】
第一局面の別の態様において、ポリメラーゼ阻害剤は、式(II)
【化4】


で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
【0029】
第一局面の別の態様において、ポリメラーゼ阻害剤は、式(III)
【化5】


で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
【0030】
別の局面において、本発明は、VX−950および化合物(I)
【化6】


で示されるポリメラーゼ阻害剤、またはその薬学的に許容される塩の治療用組み合わせ剤を提供する。
【0031】
別の局面において、本発明は、VX−950および化合物(II)
【化7】


で示されるポリメラーゼ阻害剤、またはその薬学的に許容される塩の治療用組み合わせ剤を提供する。
【0032】
別の局面において、本発明は、VX−950および化合物(III)
【化8】


で示されるポリメラーゼ阻害剤、またはその薬学的に許容される塩の治療用組み合わせ剤を提供する。
【0033】
他の態様において、ポリメラーゼ阻害剤は、当技術分野で公知の阻害剤から選択される。例えば、ポリメラーゼ阻害剤は、以下の国際特許出願公開の1個以上:WO2008/011337;WO2006/093801;WO2005/019191;WO2004/041818;WO2007/150001;WO2006/066079;WO2006/137706;WO2006/011719;WO2004/108719;WO2004/108068;WO2004/033450;WO2003/084953;WO2008/019477;WO2007/019674;WO2006/007693;WO2005/080388;WO2004/065367;WO2004/064925;WO2003/010141;WO2003/010140;WO2003/007945;WO2002/004425;WO2008/021928;WO2008/021927;WO2007/143521;WO2006/020082;WO2004/014852;WO2004/014313;WO2003/026587;WO2003/002518;WO2002/079187;WO2008/011521;WO2008/008912;WO2006/138744;WO2007/039144;WO2006/045613;WO2006/045615;WO2005/103045;WO2005/092863;WO2005/079799;WO2004/076415;WO2004/037818;WO2004/009543;WO2003/037894;WO2003/037893;WO2007/082554;WO2007/028789;WO2006/119975;WO2006/046030;WO2006/046039;WO2006/029912;WO2006/027628;WO2006/008556;WO2005/034941;WO2004/087714;WO2003/062211;WO2002/006246;WO2006/052013;WO2005/080399;WO2005/049622;WO2005/014543;WO2003/000254;WO2007/023381;WO2006/018725;WO2004/074270;WO2004/073599;WO2003/082848;WO2004/002977;WO2004/002944;WO2004/002940;WO2006/117306;WO2006/050035;WO2002/100851;WO2007/147794;WO2007/088148;WO2007/071434;WO2006/100106;WO2006/119646;WO2005/112640;WO2004/052885;WO2004/052879;WO2004/041201;WO2007/092558;WO2005/016932;WO2004/091724;WO2003/099824;WO2003/099275;WO2008/009078;WO2007/034127;WO2007/041632;WO2007/005779;WO2007/002639;WO2006/065590;WO2006/019831;WO2004/080453;WO2003/101993;WO2003/082265;WO2001/077091;および、WO1994/12192に記載される。上記の各文献の内容全体は、参照によりその全体を本明細書中に包含される。
【0034】
他の例において、ポリメラーゼ阻害剤は、以下の米国特許出願公報の1個以上: US2004167123;US2004162285;US20040097492;US20040087577;US20070275947;US20070275930;US20070270406;US20070270405;US2005075376;US20070032488;US20030050320;US2005154056;US2006040927;US2006094706;US2006258682;US2006223834;US2006217390;US2006019976;US2005107364;US2006183751;US2006063821;および、US2005176701に記載される。上記の各文献の内容全体は、参照によりその全体を本明細書中に包含される。
【0035】
さらなる例において、ポリメラーゼ阻害剤は、米国特許番号第7,112,600または欧州特許番号EP1321463に記載される。上記の各文献の内容全体は、参照によりその全体を本明細書中に包含される。
【0036】
さらなる態様において、ポリメラーゼ阻害剤は、Abbott Laboratoriesにより市販されるA−837093;Gilead Sciencesにより市販されるGS−9190;Pfizerにより市販されるPF−868およびPF−554;Roche Pharmaceuticalsにより市販されるR1479、R1626(R1479のプロドラッグ)、R7128およびR1728;Pharmasset and Roche Pharmaceuticalsにより市販されるPST 7081;Idenixにより市販されるIDX102、IDX184、NM107、Valopicitabineと称されるNM283(NM107のプロドラッグ);ならびに、ViroChemにより市販されるVCH−916およびVCH−759;ならびに、Wyethにより市販されるHCV−796、から選択される。他のポリメラーゼ阻害剤は、Genelabs;Boehringer Ingelheim;Anadys;Celera;Schering;および、Medavirから市販される。
【0037】
別の局面によれば、本発明は、患者におけるHCV感染の処置に用いるためのキットを提供する。本発明のキットは、本発明の治療用組み合わせ剤のいずれか1個を含む。該キットは、治療用組み合わせ剤の使用のための説明書をさらに含む。該キットは、患者のクラスもしくはタイプの要求、または年齢、体重、随伴疾患/合併症、HCV感染の重症度およびステージ、前治療に対する応答性もしくは非応答性、副作用の傾向などのような他の臨床的に関係する因子に適合され得る。例えば、キット中の治療用組み合わせ剤は、例えば75kgの体重の患者に適する投与量に合わせられ得る。または、キット中の治療用組み合わせ剤は、例えば75kg以下または75kgの体重の患者に適する投与量に合わせられ得る。または、キット中の治療用組み合わせ剤は、小児使用に合わせられてよく、子供用の投与量は、年齢、体重、疾患の重症度などのような因子に依存して変わる。
【0038】
別の局面によれば、本発明は、(i)複数のVX−950組成物;(ii)複数のポリメラーゼ阻害剤組成物;および、(iii)上記組成物の使用説明書、を含むキットを提供する。
【0039】
別の局面において、本発明は、患者におけるHCV感染の処置またはその1種以上の症状の緩和のための、本発明の治療用組み合わせ剤の使用方法を提供する。
【0040】
一態様において、HCV感染は遺伝子型1型である。
【0041】
別の態様において、患者は未処置の患者である。
【0042】
別の態様において、患者は、インターフェロン単剤療法に非応答性である。
【0043】
別の態様において、患者は、リバビリン(ribaviron)およびインターフェロンを用いる併用療法に非応答性である。
【0044】
別の局面において、本発明は、患者におけるHCV−RNAレベルの低減方法であって、本発明の治療用組み合わせ剤をそれを必要とする該患者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0045】
本発明の一態様において、患者におけるHCV−RNAレベルを、検出可能レベル未満まで低下する。
【0046】
別の局面において、本発明は、患者におけるHCV−RNAレベルが検出可能レベル以下になるまで、本発明の治療用組み合わせ剤をそれを必要とする患者に投与することを含む、医薬レジメンを提供する。
【0047】
製剤、投与および使用
本発明の化合物の薬学的に許容される塩を治療用組み合わせ剤に使用するとき、それらの塩類は、好ましくは無機または有機酸および塩基由来である。かかる酸塩にとりわけ含まれるのは以下のものである:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタン−酪酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩。塩基塩は、アンモニウム塩、ナトリウムおよびカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、有機塩基との塩、例えばジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミン、およびアルギニン、リシンのようなアミノ酸との塩などが含まれる。
【0048】
また、塩基性窒素含有基は、メチル、エチル、プロピル、およびブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物のような低級アルキルハライド;ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミルスルフェートのようなジアルキルスルフェート、ならびにデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルの塩化物、臭化物およびヨウ化物のような長鎖ハライド、ベンジルおよびフェネチルブロマイドのようなアラルキルハライドおよびその他のような試薬で4級化され得る。水溶性もしくは油溶性または分散性生成物をそれにより得る。
【0049】
本発明の組成物および方法で使用する化合物はまた、選択的生物学的特性を増強するために適当な官能基を付加することにより修飾してもよい。このような修飾は当分野で公知であり、ある生物学的系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生物学的浸透を増加させる、経口利用能を増加させる、注射による投与を可能にするために溶解性を増加させる、代謝を変える、および排泄速度を変える修飾を含む。
【0050】
これらの組成物に使用できる薬学的に許容される担体には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、蝋、ポリエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれるが、これらに限定されない。
【0051】
本発明の治療用組み合わせ剤は、哺乳動物への医薬投与のために製剤される。一態様において、該哺乳動物はヒトである。
【0052】
本発明のかかる医薬組成物は、経口的に、非経腸的に、吸入スプレーにより、局所的に、直腸に、鼻腔に、口腔に、膣に、またはインプラントした貯蔵部を介して、投与できる。本明細書で用いる用語“非経腸”は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病巣内および頭蓋内注射または注入技術を含む。好ましくは、組成物は経口的または静脈内に投与される。
【0053】
本発明の組成物の滅菌注射可能形態は、水性または油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、当分野で公知の技術により製剤できる。滅菌注射可能製剤はまた、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液のような非毒性の非経腸的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射可能溶液または懸濁液であり得る。用いられ得る許容されるビヒクルおよび溶媒は、とりわけ水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液である。加えて、滅菌固定油は、溶媒または懸濁媒体として常用される。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む、任意の低刺激性固定油を用いることができる。脂肪酸、例えばオレイン酸およびそのグリセリド誘導体は、注射可能な製剤において有用であり、オリーブ油またはヒマシ油のような天然の薬学的に許容される油、とりわけそれらのポリオキシエチル化修飾体も同様である。これらの油溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤、例えばカルボキシメチルセルロース、またはエマルジョンおよび懸濁液を含む薬学的に許容される投与形態の製剤において一般的に使用される同様の分散剤も含み得る。薬学的に許容される固体、液体、または他の投与形態の製造に一般的に用いられる、他の一般的に使用される界面活性剤、例えばTweens、Spansおよび他の乳化剤またはバイオアベイラビリティ増強剤もまた、製剤目的で使用され得る。
【0054】
一態様において、約0.01ないし約100mg/体重kg/日の投与量レベルのVX−950が、ウイルス、特にHCV介在疾患の予防および処置のための併用療法に有用である。別の態様において、約0.5ないし約75mg/体重kg/日の投与量レベルのVX−950が、ウイルス、特にHCV介在疾患の予防および処置のための併用療法に有用である。典型的に、本発明の医薬組成物を1日あたり約1から約5回、あるいは、連続輸液として投与する。このような投与は長期または救急治療として使用できる。単一投与形を製造するために担体物質と組み合わせ得る活性成分の量は、処置される宿主および特定の投与方法によって変わり得る。典型的な製剤は約5%ないし約95%(w/w)の活性化合物を含み得る。一態様において、このような製剤は約20%ないし約80%の活性化合物を含む。
【0055】
一態様において、約0.01ないし約100mg/体重kg/日の投与量レベルの本明細書に記載のポリメラーゼ阻害剤化合物が、ウイルス、特にHCV介在疾患の予防および処置の形容療法に有用である。別の態様において、約0.5ないし約75mg/体重kg/日の投与量レベルの本明細書に記載のポリメラーゼ阻害剤化合物が、ウイルス、特にHCV介在疾患の予防および処置のための併用療法に有用である。典型的に、本発明の医薬組成物を1日あたり約1から約5回、あるいは、連続輸液として投与する。このような投与は長期または救急治療として使用できる。単一投与形を製造するために担体物質と組み合わせ得る活性成分の量は、処置される宿主および特定の投与方法によって変わり得る。典型的な製剤は約5%ないし約95%(w/w)の活性化合物を含み得る。一態様において、このような製剤は約20%ないし約80%の活性化合物を含む。
【0056】
本発明の医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、水性懸濁液または溶液を含むが、これらに限定されない任意の経口的に許容される投与形で経口投与され得る。経口使用のための錠剤の場合、通常用いられる担体にはラクトースおよびコーンデンプンが含まれる。ステアリン酸マグネシウムのような滑剤も典型的に添加される。カプセル形態での経口投与のために、有用な希釈剤にはラクトースおよび乾燥コーンデンプンが含まれる。水性懸濁液が経口使用のために必要であるとき、活性成分を乳化剤および懸濁化剤と合わせる。要すれば、任意の甘味剤、香味剤または着色剤も添加してよい。
【0057】
あるいは、本発明の医薬組成物は、直腸投与用の坐薬の形態で投与できる。これらは、室温では固体であるが、直腸温度では液体であり、故に直腸で融解して薬剤を放出する適当な非刺激性賦形剤と薬剤を混合することにより製造され得る。このような物質にはカカオバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0058】
本発明の医薬組成物はまた、とりわけ処置の標的が眼、皮膚、または下部腸管を含む、局所投与により容易に接近可能な領域または臓器を含むとき、局所的に投与され得る。適当な局所製剤は、これらの領域または臓器の各々のために容易に製造される。
【0059】
下部腸管のための局所投与は、坐薬製剤(上記参照)または適当な浣腸製剤により行い得る。局所的経皮パッチも使用できる。
【0060】
局所投与のために、医薬組成物は、1種以上の担体中に懸濁または溶解した活性成分を含む適当な軟膏に製剤され得る。本発明の化合物の局所投与用の担体には、鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋および水が含まれるが、これらに限定されない。あるいは、医薬組成物は、1種以上の薬学的に許容される担体中に懸濁または溶解した活性成分を含む、適当なローションまたはクリームに製剤できる。適当な担体には、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステル蝋、セテアリルアルコール(cetearyl alcohol)、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
眼科使用のために、医薬組成物を、等張のpH調節した滅菌食塩水中の微粉化懸濁液として、または、好ましくは、等張のpH調節した滅菌食塩水中の溶液として、いずれの場合も塩化ベンザルコニウム(benzylalkonium)のような防腐剤を添加してまたは添加しないで製剤できる。あるいは、眼科使用のために、医薬組成物を、ワセリンのような軟膏に製剤できる。
【0062】
本発明の医薬組成物はまた、経鼻エアロゾルまたは吸入により投与できる。このような組成物は、医薬製剤の分野で公知の技術に従い製造され、そして食塩水中の溶液として、ベンジルアルコールまたは他の適当な防腐剤、バイオアベイラビリティを高めるための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の慣用の可溶化剤または分散剤を用いて、製造され得る。
【0063】
本発明の治療用組み合わせ剤は、別の抗ウイルス剤、好ましくは抗HCV剤をさらに含む。かかる抗ウイルス剤には、免疫調節剤、例えばα、β−、およびγ−インターフェロン、ペグ化誘導体化インターフェロン−α化合物、およびチモシン;他の抗ウイルス剤、例えばリバビリン、アマンタジン、およびテルビブジン;他のC型肝炎プロテアーゼ阻害剤(NS2−NS3阻害剤およびNS3−NS4A阻害剤);ヘリカーゼおよび他のポリメラーゼ阻害剤を含む、HCV生活環における他の標的の阻害剤;内部リボソーム挿入の阻害剤;広域スペクトルウイルス阻害剤、例えばIMPDH阻害剤(例えば、米国特許第5,807,876号、同第6,498,178号、同第6,344,465号、同第6,054,472号、WO97/40028、WO98/40381、WO00/56331の化合物、ならびにミコフェノール酸およびその誘導体、そしてVX−497、VX−148、および/またはVX−944を含むがこれらに限定されない);または上記のいずれかの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。また、W. Markland et al., Antimicrobial & Antiviral Chemotherapy, 44, p. 859 (2000)および米国特許第6,541,496号を参照のこと。
【化9】

【0064】
別の局面によれば、本発明は、患者におけるHCV感染の処置方法またはその1種以上の症状の緩和方法であって、式I、IIまたはIIIのポリメラーゼ阻害剤を含む組成物を投与することを含む方法を提供する。一態様において、該患者はHCV変異形に感染している。別の態様において、該組成物はVX−950をさらに含む。
【0065】
別の局面によれば、本発明は、患者におけるHCV感染の処置方法またはその1種以上の症状の緩和方法であって、式I、IIまたはIIIのポリメラーゼ阻害剤およびVX−950を含む組成物を投与することを含む方法を提供する。一態様において、該患者はHCV変異形に感染している。
【0066】
別の局面によれば、本発明は、細胞におけるHCV感染を根絶または低減する方法であって、式I、IIまたはIIIのポリメラーゼ阻害剤を含む組成物を投与することを含む方法を提供する。一態様において、該細胞はHCV変異形を含む。別の態様において、該組成物はVX−950をさらに含む。
【0067】
別の局面によれば、本発明は、細胞におけるHCV感染を根絶または低減する方法であって、式I、IIまたはIIIのポリメラーゼ阻害剤およびVX−950を含む組成物を投与することを含む方法を提供する。一態様において、該細胞はHCV変異形を含む。
【0068】
本明細書中、以下の定義を使用する(商標に関しては、本願出願時に入手可能な製品を参照する)。
“Peg−Intron”は、Schering Corporation, Kenilworth, NJから入手可能なPEG−INTRON(登録商標)、ペグインターフェロンアルファ−2bを意味する;
“Intron”は、Schering Corporation, Kenilworth, NJから入手可能なINTRON−A(登録商標)、インターフェロンアルファ−2bを意味する;
“リバビリン”は、ICN Pharmaceuticals, Inc., Costa Mesa, CAから入手可能なリバビリン 1−ベータ−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミドを意味する;The Merck Index, entry 8365, Twelfth Editionに記載;Schering Corporation, Kenilworth, NJからREBETROL(登録商標)として、またはHoffmann−La Roche, Nutley, NJからCOPEGASUS(登録商標)としても入手可能;
“Pagasys”は、Hoffmann−La Roche, Nutley, NJから入手可能なPEGASYS(登録商標)、ペグインターフェロンアルファ−2aを意味する;
“Roferon”は、Hoffmann−La Roche, Nutley, NJから入手可能なROFERON(登録商標)、組み換えインターフェロンアルファ−2aを意味する;
“Berefor”は、Boehringer Ingelheim Pharmaceutical, Inc., Ridgefield, CTから入手可能なBEREFOR(登録商標)、インターフェロンアルファ2を意味する;
SUMIFERON(登録商標)は、住友(日本)から入手可能なSumiferonのような天然アルファインターフェロンの精製混合物を意味する;
WELLFERON(登録商標)は、Glaxo Wellcome LTd., Great Britainから入手可能なインターフェロンアルファn1を意味する;そして
ALFERON(登録商標)は、Interferon Sciencesにより製造され、そしてPurdue Frederick Co., CTから入手可能な天然アルファインターフェロンの混合物を意味する。
【0069】
本明細書で用いる用語“インターフェロン”は、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、またはインターフェロンガンマのような、ウイルス複製および細胞増殖を阻害し、そして免疫応答を調節する、高度に相同性の種特異的タンパク質ファミリーのメンバーを意味する。The Merck Index, entry 5015, Twelfth Edition参照。
【0070】
本発明の治療用組み合わせ剤は、天然アルファインターフェロン2aを用い得る。または、本発明の治療用組み合わせ剤は、天然アルファインターフェロン2bを用い得る。本発明の治療用組み合わせ剤は、組み換えアルファインターフェロン2aまたは2bを用い得る。さらに、本発明は、ペグ化アルファインターフェロン2aまたは2bを用い得る。本発明に適当なインターフェロンには以下が含まれる:
(a) INTRON−A(登録商標)(インターフェロン−アルファ2B、Schering Plough)、
(b) PEG−INTRON(登録商標)
(c) PEGASYS(登録商標)
(d) ROFERON(登録商標)
(e) BEREFOR(登録商標)
(f) SUMIFERON(登録商標)
(g) WELLFERON(登録商標)
(h) Amgen, Inc., Newbury Park, CAから入手可能なコンセンサスアルファインターフェロン、
(i) ALFERON(登録商標);
(j) VIRAFERON(登録商標);
(k) INFERGEN(登録商標);および
(l) ALBUFERON(商標)
【0071】
当業者には認識されるとおり、プロテアーゼ阻害剤およびポリメラーゼ阻害剤は、好ましくは経口で投与され得る。インターフェロンは、典型的に経口で投与しない。それにもかかわらず、本明細書中、本発明の方法または組み合わせ剤を、何れかの特定の投与形またはレジメに限定しない。故に、本発明の組み合わせ剤の各成分を、別々に、一緒に、またはその任意の組み合わせで投与することができる。
【0072】
一態様において、プロテアーゼ阻害剤およびポリメラーゼ阻害剤を別個の投与形で投与する。一態様において、何らかの付加薬剤をプロテアーゼ阻害剤との単一投与形の一部として、または別個の投与形として投与する。本発明が化合物の組み合わせを含むとき、各化合物の特定量は、組み合わせ中の互いの化合物の特定量によって変わり得る。当業者には認識されるとおり、インターフェロンの投与量は典型的にIU(例えば、約400万IUから約1200万IU)で測定される。
【0073】
従って、本発明の化合物との組み合わせに使用できる薬剤(免疫調節剤として作用するのであれ他の方法で作用するのであれ)には、Human Genome Sciencesから入手可能なAlbuferon(商標)(アルブミン−インターフェロンアルファ);PEG−INTRON(登録商標)(Schering Corporation, Kenilworth, NJから入手可能なペグインターフェロンアルファ−2b);INTRON−A(登録商標)(Schering Corporation, Kenilworth, NJから入手可能なインターフェロンアルファ−2b);リバビリン(ICN Pharmaceuticals, Inc., Costa Mesa, CAから入手可能な1−ベータ−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド;The Merck Index, entry 8365, Twelfth Editionに記載);REBETROL(登録商標)(Schering Corporation, Kenilworth, NJ)、COPEGUS(登録商標)(Hoffmann−La Roche, Nutley, NJ);PEGASYS(登録商標)(Hoffmann−La Roche, Nutley, NJから入手可能なペグインターフェロンアルファ−2a);ROFERON(登録商標)(Hoffmann−La Roche, Nutley, NJから入手可能な組み換えインターフェロンアルファ−2a);BEREFOR(登録商標)(Boehringer Ingelheim Pharmaceutical, Inc., Ridgefield, CTから入手可能なインターフェロンアルファ2);SUMIFERON(登録商標)(住友(日本)から入手可能なSumiferonのような天然アルファインターフェロンの精製混合物);WELLFERON(登録商標)(Glaxo Wellcome Ltd., Great Britainから入手可能なインターフェロンアルファn1);ALFERON(登録商標)(Interferon Sciencesにより製造され、そしてPurdue Frederick Co., CTから入手可能な天然アルファインターフェロン);α−インターフェロン;天然アルファインターフェロン2a;天然アルファインターフェロン2b;ペグ化アルファインターフェロン2aまたは2b;コンセンサスアルファインターフェロン(Amgen, Inc., Newbury Park, CA);VIRAFERON(登録商標);INFERGEN(登録商標);REBETRON(登録商標)(Schering Plough、インターフェロン−アルファ2B+リバビリン);ペグ化インターフェロンアルファ(Reddy, K.R. et al. “Efficacy and Safety of Pegylated (40−kd) Interferon alpha−2a Compared with Interferon alpha−2a in Noncirrhotic Patients with Chronic Hepatitis C” (Hepatology, 33, pp. 433−438 (2001));コンセンサスインターフェロン(Kao, J.H., et al., “Efficacy of Consensus Interferon in the Treatment of Chronic Hepatitis” J. Gastroenterol. Hepatol. 15, pp. 1418−1423 (2000));リンパ芽球状または“天然”インターフェロン;インターフェロンタウ(Clayette, P. et al., “IFN−tau, A New Interferon Type I with Antiretroviral activity” Pathol. Biol. (Paris) 47, pp. 553−559 (1999));インターロイキン−2(Davis, G.L. et al., “Future Options for the Management of Hepatitis C.” Seminars in Liver Disease, 19, pp. 103−112 (1999));インターロイキン−6(Davis et al. “Future Options for the Management of Hepatitis C.” Seminars in Liver Disease, 19, pp. 103−112 (1999));インターロイキン−12(Davis, G.L. et al., “Future Options for the Management of Hepatitis C.” Seminars in Liver Disease, 19, pp. 103−112 (1999));および、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物(Davis et al., “Future Options for the Management of Hepatitis C.” Seminars in Liver Disease, 19, pp. 103−112 (1999))が含まれるが、これらに限定されない。また、単独でまたはトブラマイシン、およびイミキモド(3M Pharmaceuticals; Sauder, D.N. “Immunomodulatory and Pharmacologic Properties of Imiquimod” J. Am. Acad. Dermatol., 43 pp. S6−11 (2000))と組み合わさった、二本鎖RNAを含むが、これらに限定されない細胞内のインターフェロン合成を刺激する化合物(Tazulakhova, E.B. et al., “Russian Experience in Screening, analysis, and Clinical Application of Novel Interferon Inducers” J. Interferon Cytokine Res., 21 pp. 65−73)も包含される。
【0074】
細胞内のインターフェロン合成を刺激する化合物(Tazulakhova, E.B. et al., “Russian Experience in Screening, analysis, and Clinical Application of Novel Interferon Inducers” J. Interferon Cytokine Res., 21 pp. 65−73)には、単独でまたはトブラマイシン、およびイミキモド(3M Pharmaceuticals; Sauder, D.N. “Immunomodulatory and Pharmacologic Properties of Imiquimod” J. Am. Acad. Dermatol., 43 pp. S6−11 (2000))と組み合わさった、二本鎖RNAが含まれるが、これに限定されない。
【0075】
本発明の化合物と組み合わせて使用できる他の非免疫調節性または免疫調節性化合物は、参照により本明細書中に包含されるWO02/18369に記載の化合物を含むが、これに限定されない(例えば、273頁、9−22行および274頁、4行から276頁、11行参照)。
【0076】
本発明はまた、チトクロームP450モノオキシゲナーゼ(CYP)阻害剤の投与も含み得る。CYP阻害剤は、CYPにより阻害される化合物の肝臓濃度の増加および/または血液濃度の増加のために有用であり得る。
【0077】
本発明の態様がCYP阻害剤を含むとき、関連するNS3/4Aプロテアーゼの薬物動態を改善する全てのCYP阻害剤を、本発明の方法において使用できる。これらのCYP阻害剤には、リトナビル(WO94/14436)、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、クロメチアゾール、シメチジン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、フルボキサミン、フルオキセチン、ネファゾドン、セルトラリン、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ホスアンプレナビル、サキナビル、ロピナビル、デラビルジン、エリスロマイシン、VX−944、およびVX−497が含まれるが、これらに限定されない。好ましいCYP阻害剤には、リトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、およびクロメチアゾールが含まれる。リトナビルの好ましい投与形については、米国特許第6,037,157号、およびそこに引用されている文献:米国特許第5,484,801号、米国出願第08/402,690号、WO95/07696およびWO95/09614を参照のこと。
【0078】
化合物がチトクロームP450モノオキシゲナーゼ活性を阻害する能力を測定する方法は公知である。例えば、米国特許第6,037,157号、およびYun, et al. Drug Metabolism & Disposition, vol. 21, pp. 403−407 (1993)参照。
【0079】
患者の状態の改善により、必要であれば、本発明の化合物、組成物または組み合わせ剤の維持用量を投与し得る。その後、投与の用量もしくは頻度、または両方を、症状の関数として、改善された状態が維持されるレベルまで減らしてよく、症状が望むレベルまで軽減したとき、処置を止めるべきである。しかしながら、患者は、疾患症状の何らかの再発により、長期的に間欠的処置を必要とするかもしれない。
【0080】
任意の特定の患者のための特定の投与量および処置レジメンは、用いる特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食習慣、投与時間、排出速度、薬剤組み合わせ、および医師の判断、ならびに処置する特定の疾患の重症度を含む、種々の因子によって変わることもまた理解されるべきである。活性成分の量はまた、特定の記載の化合物、および本組成物中のさらなる抗ウイルス剤の存在または不存在によっても変わる。
【0081】
本発明は、ウイルスの生活環に必須のウイルスがコード化するセリンプロテアーゼにより特徴付けられる、ウイルスに感染した患者の処置方法であって、該患者に本発明の薬学的に許容される組成物を投与する方法を提供する。一態様において、本発明の方法は、HCV感染を有する患者の処置に使用する。このような処置は、ウイルス感染を完全に根絶するか、またはその重症度を軽減する。別の態様において、患者はヒトである。
【0082】
本発明の方法は、該患者に抗ウイルス剤、好ましくは抗HCV剤を投与する工程をさらに含み得る。このような抗ウイルス剤には、免疫調節剤、例えばα−、β−、およびγ−インターフェロン、ペグ化誘導体化インターフェロン−α化合物、およびチモシン;他の抗ウイルス剤、例えばリバビリン、アマンタジン、およびテルビブジン;C型肝炎プロテアーゼの他の阻害剤(NS2−NS3阻害剤およびNS3−NS4A阻害剤);ヘリカーゼおよびポリメラーゼ阻害剤が含まれるが、これらに限定されない、HCV生活環における他の標的の阻害剤;内部リボソーム挿入の阻害剤;広域スペクトルウイルス阻害剤、例えばIMPDH阻害剤(例えば、VX−497および米国特許第5,807,876号および同第6,498,178号に記載の他のIMPDH阻害剤、ミコフェノール酸およびその誘導体);チトクロームP450の阻害剤、例えばリトナビル、または上記のいずれかの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
このような付加薬剤を、該患者に、本発明の化合物および付加的抗ウイルス剤の両方を含む単一投与形態の一部として投与できる。あるいは付加薬剤を、本発明の化合物と別に、複数投与形態の一部として投与してよく、ここで、該付加薬剤は、本発明の化合物を含む組成物の前に、同時にまたは後に投与される。
【0084】
本発明はまた、患者への投与が意図されている生物学的物質の前処置方法であって、該生物学的物質と、本発明の化合物を含む薬学的に許容される組成物を接触させる工程を含む方法として使用され得る。このような生物学的物質には、血液および血漿、血小板、血液細胞の下位集団などのその成分;腎臓、肝臓、心臓、肺などの臓器;精液および卵;骨髄およびその成分、ならびに食塩水、デキストロースなどのような患者に注入される他の流体が含まれるが、これらに限定されない。
【0085】
本発明は、ウイルスがコードするセリンプロテアーゼがその生活環に必須であることを特徴とするウイルスと接触する可能性のある物質を処理する方法を提供する。本方法は、該物質と、本発明の化合物を接触させる工程を含む。このような物質には、手術器具および衣服(例えば手術着、手袋、エプロン、ガウン、マスク、メガネ、履物など);実験器具および衣服(例えば実験着、手袋、エプロン、ガウン、マスク、メガネ、履物など);血液回収装置および材料;ならびに、例えば、シャントおよびステントのような侵襲性デバイスが含まれるが、これらに限定されない。
【0086】
本明細書中に引用される全ての文献は、参照により本明細書に包含される。
【実施例】
【0087】
IV.製造法および実施例
本明細書に記載の本発明がより完全に理解され得るように、以下の実施例を記載する。これらの実施例は説明の目的のためのみであり、いかなる意味においても本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0088】
VI. 化合物の阻害特性の検出および測定のためのアッセイ
A.HCVレプリコン細胞
Huh−7細胞を、10%熱不活性化FBS(ウシ胎仔血清)、2mM L−グルタミン、および非必須アミノ酸(JRH)を補ったダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、JRH Biosciences, Lenexa, Kansas)で増殖させた。細胞を、Lohmann et al. (1999)により記載のレプリコンI377neo/NS3−3'/wtと同一の、インビトロで転写されたHCVレプリコンRNAでトランスフェクトした。安定な細胞クローンを選択し、250μg/mL G418(Invitrogen, Carlsbad, California)の存在下で維持した。クローンの1個である24−2を野生型としてその後のHCVレプリコンアッセイに使用した。HCV NS3 プロテアーゼ変異形レプリコンを、既報の通りに、mADE 野生型レプリコンのバックグラウンドで構築した[Chao Lin et al., “In Vitro Resistance Studies of Hepatitis C Virus Serine Protease Inhibitors, VX−950 and BILN 2061: Structural Analysis Indicates Different Resistance Mechanisms,” Journal of Biological Chemistry, 279(17); pp. 17508−17514 (2004)]。レプリコン細胞を10%FBS、2mML−グルタミン、非必須アミノ酸、および250μg/mL G418を補ったDMEM中で増殖させた。細胞を、1週間に2回、コンフルエンスに到達したら新鮮培地に分けた。24−2レプリコン細胞あたり約200−300コピーのHCV RNAが存在する。
【0089】
細胞からのHCVレプリコンRNAを、製造者の指示に従い、Quantigene Discover XL kit(Panomics Inc., Fremont California)を使用して測定した。簡単に言うと、化合物処理レプリコン細胞を溶解し、HCV特異的オリゴヌクレオチド(GenBank databaseにおいて、HCV1bゲノム配列AJ238799の5’UTR領域に基づき設計した)を使用して一晩かけて捕捉プレート上に固定化し、捕捉されたRNAの相対量を、製造者の指示に従いオリゴヌクレオチドプローブセットを使用して測定した。
【0090】
B. 2日間 HCVレプリコンIC50アッセイ
アッセイの前日、96ウェルプレートの1ウェルあたり10,000個のレプリコン細胞を播種し、一晩、10%熱不活性化FBS(JRH Biosciences, Lenexa, Kansas)、2mML−グルタミン(Invitrogen)、非必須アミノ酸(Invitrogen)および250μg/ml G418(Invitrogen)を補ったDMEM(Invitrogen, Carlsbad, California)中で付着させ、増殖させた。次の日、培地を除去し、G418不含有のDMEM+2%FBSおよび0.5%DMSO(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)で連続的に希釈した抗ウイルス剤を添加した。レプリコン細胞を抗ウイルス剤と共に48時間インキュベートした。細胞からのHCVレプリコンRNAを、製造者の指示に従い、Quantigene Discover XL kit(Panomics Inc., Fremont California)を使用して測定した。簡単に言うと、化合物処理レプリコン細胞を溶解し、HCV特異的オリゴヌクレオチドを使用して一晩かけて捕捉プレート上に固定化し、捕捉されたRNAの相対量を、製造者の指示に従いオリゴヌクレオチドプローブセットを使用して測定した。他に特記しない限り、各データ点は3回繰り返した平均を示す。IC50は、細胞中のHCVレプリコンRNAレベルが、未処理レプリコン細胞対照と比較して、50%まで減少しているときの化合物の濃度である。細胞増殖または細胞生存能に対する化合物の効果をモニターするために、レプリコン細胞を連続的に希釈した化合物で48時間処理し、その後細胞生存能をCellTiter Glo assay(Promega, Madison, Wisconsin)を使用して決定した。各CC50は、生存細胞数が、未処理細胞対照と比較して50%まで減少しているときの化合物の濃度である。IC50およびCC50を、SoftMax Pro program(Molecular Devices, Sunnyvale, California)の4パラメータ適合曲線を使用して決定した。
【0091】
C.相乗作用および拮抗作用分析
薬剤−薬剤組み合わせの効果を、Bliss independence modelを用いて評価した[W. R. Greco et al., “The search for synergy: a critical review from a response surface perspective,” Pharmacol. Rev., 47, pp. 331−385 (1995)]。実験データを、PrichardおよびShipmanによって開発された三次元解析法であるMacSynergyを用いて分析した[M. N. Prichard and C. Shipman, Jr., “A three−dimensional model to analyze drug−drug interactions,” Antivir. Res., 14, pp. 181−205 (1990)]。本モデルにおいて、理論上の付加効果は、式 Z=X+Y(1−X){式中、XおよびYは、薬剤1のみおよび薬剤2のみのそれぞれによってもたらされる阻害を示し、Zは、薬剤1および薬剤2の組み合わせ剤によってもたらされる効果を示す}により、個々の化合物の用量応答曲線から計算される。理論上の付加表面は、実際の実験的表面から引き算され、本組み合わせ剤が単に付加的であるとき、0%の水平面として現れ得る表面をもたらす。この平面上のいかなるピークも、相乗作用を示し得るが、その平面未満の落ち込みは、拮抗作用を示し得る。実験的用量応答表面についての95%信頼区間は、統計的にデータを評価するのに用いられる。ピークまたは落ち込みの量は、生じた総合的な相乗作用または拮抗作用を定量化するために計算される。
【0092】
上記のアッセイを用いて、本発明の治療用組み合わせ剤が有用なHCV複製阻害剤であることを決定する。
【0093】
実施例1:VX−950およびポリメラーゼ阻害剤の組み合わせ剤を、bDNA定量を用いて2日間 レプリコンアッセイにおいてチェッカーボード方式で試験した。結果を表6に示す。VX−950および式Iのポリメラーゼ阻害剤の組み合わせ剤は、付加効果ないし中程度の相乗効果をもたらすという結果であった。VX−950および式IIのポリメラーゼ阻害剤は、付加効果ないし中程度の相乗効果をもたらすという結果であった。VX−950および式IIIのポリメラーゼ阻害剤は、付加効果をもたらすという結果であった。
【0094】
【表1】

【0095】
実施例2:リバビリンおよびインターフェロンに対するNS3 プロテアーゼ変異形の感受性を、2日間 HCVレプリコンIC50アッセイで評価した。該変異は、以下の通りである:36位において、野生型バリンがアラニン(V36A)またはメチオニン(V36M)に変異し、54位において、野生型スレオニンがアラニン(T54A)に変異し、そして155位において、野生型アルギニンがリシン(R155K)またはスレオニン(R155T)またはメチオニン(R155M)に変異したもの。表7に示す通り、結果は、リバビリンおよびインターフェロンに対する該変異形の感受性を示す。倍率変化(fold change)は、同じ阻害剤についての、野生型IC50に対するNS3プロテアーゼ変異体IC50の比である。156位において野生型アラニンがスレオニン(A156T)に変異したレプリコンおよび156位において野生型アラニンがバリン(A156V)に変異したレプリコンの感受性を、野生型と比較する(Lin, et al., 2005, 上記)。
【0096】
【表2】

【0097】
実施例3:VX−950[Sarrazin, et al., “Dynamic Hepatitis C Virus Genotypic and Phenotypic Changes in Patients Treated With the Protease Inhibitor Telaprevir,” Gastroenterology 132, pp. 1767−1777 (2007)(その全体は、参照により本明細書中に包含される)]および式I、IIおよびIIIのポリメラーゼ阻害剤に対するNS3 プロテアーゼ変異体の感受性を、2日間 HCVレプリコンIC50アッセイで評価した。該変異は、以下の通りである:36位において、野生型バリンがアラニン(V36A)またはメチオニン(V36M)に変異し、54位において野生型スレオニンがアラニン(T54A)に変異し、155位において野生型アルギニンがリシン(R155K)に変異し、156位において野生型アラニンがスレオニン(A156T)に変異し、そして156位において、野生型アラニンがバリン(A156V)に変異したもの。2個の変異を有する変異体(V36M+R155K)もまた試験した。表8に示す通り、結果は、VX−950および式I、IIおよびIIIのポリメラーゼ阻害剤に対する変異体の感受性を示す。倍率変化は、同じ阻害剤についての、野生型IC50に対するNS3プロテアーゼ変異体IC50の比である。
【表3】

【0098】
他の態様
本発明は、その詳細な記載と併せて記載されているが、該記載は説明を意図し、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を限定するものではないことは理解されるべきである。他の局面、利点および改変は添付の特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロテアーゼ阻害剤およびポリメラーゼ阻害剤を含む、治療用組み合わせ剤。
【請求項2】
VX−950およびポリメラーゼ阻害剤を含む、治療用組み合わせ剤。
【請求項3】
ポリメラーゼ阻害剤が、式(I)
【化1】


で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩である、請求項2記載の治療用組み合わせ剤。
【請求項4】
ポリメラーゼ阻害剤が、式(II)
【化2】


で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩である、請求項2記載の治療用組み合わせ剤。
【請求項5】
ポリメラーゼ阻害剤が、式
(III)
【化3】


で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩である、請求項2記載の治療用組み合わせ剤。
【請求項6】
VX−950および式(I)
【化4】


で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む、治療用組み合わせ剤。
【請求項7】
VX−950および式(II)
【化5】


で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む、治療用組み合わせ剤。
【請求項8】
VX−950および式(III)
【化6】


で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む、治療用組み合わせ剤。
【請求項9】
(i)請求項1ないし8のいずれか一項記載の治療用組み合わせ剤;および、(ii)該組み合わせ剤の使用説明書、を含む、キット。
【請求項10】
(i)複数のVX−950製剤;(ii)複数のポリメラーゼ阻害剤製剤;および、(iii)該製剤の使用説明書、を含む、キット。
【請求項11】
患者におけるHCV感染の処置方法またはその1種以上の症状の緩和方法であって、該患者に請求項1ないし8のいずれか一項記載の治療用組み合わせ剤を投与する工程を含む、方法。
【請求項12】
HCV感染が遺伝子型1型である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
該患者が処置を受けていない患者である、請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
該患者が、インターフェロン単剤療法に非応答性である、請求項11または12記載の方法。
【請求項15】
該患者が、リバビリンおよびインターフェロンを用いる併用療法に非応答性である、請求項11または12記載の方法。
【請求項16】
患者におけるHCV−RNAレベルを低減する方法であって、それを必要とする該患者に請求項1ないし8のいずれか一項記載の治療用組み合わせ剤を投与する工程を含む、方法。
【請求項17】
患者における該HCV−RNAレベルが、検出可能レベル未満まで低下する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
患者におけるHCV−RNAレベルが検出可能レベル以下になるまで、請求項1ないし8のいずれか一項記載の治療用組み合わせ剤を、それを必要とする該患者に投与することを含む、医薬レジメン。
【請求項19】
患者におけるHCV感染の処置方法またはその1種以上の症状の緩和方法であって、式I、IIまたはIIIのポリメラーゼ阻害剤を含む組成物を投与することを含む、方法。
【請求項20】
患者が、HCV変異形に感染している、請求項19記載の方法。
【請求項21】
組成物がVX−950をさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
患者におけるHCV感染の処置方法またはその1種以上の症状の緩和方法であって、式I、IIまたはIIIのポリメラーゼ阻害剤ならびにVX−950を含む組成物を投与することを含む、方法。
【請求項23】
患者がHCV変異形に感染している、請求項22記載の方法。
【請求項24】
細胞におけるHCV感染を根絶または低減する方法であって、該細胞と、式I、IIまたはIIIのポリメラーゼ阻害剤を含む組成物を接触させることを含む、方法。
【請求項25】
細胞がHCV変異形を含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
組成物がVX−950をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
細胞におけるHCV感染を根絶または低減する方法であって、該細胞と、式I、IIまたはIIIのポリメラーゼ阻害剤およびVX−950を含む組成物を接触させることを含む、方法。
【請求項28】
細胞がHCV変異形を含む、請求項27記載の方法。

【公表番号】特表2010−526143(P2010−526143A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507423(P2010−507423)
【出願日】平成20年5月5日(2008.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/005758
【国際公開番号】WO2008/137126
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】