説明

HDMIシステムにおける拡張給電

HDMIケーブル経由でシンク・デバイスと通信する様に構成されたソース・デバイスが提供され、そしてソース・デバイスは、内部回路と、シンク・デバイスがHDMIケーブルのラインに電流を供給できるかどうかを検証する様に構成されたハンドシェイキング回路と、ラインに電力を供給することを目的とする内部電源と、内部電源をラインから切り離すことができ、内部回路をラインに接続することができる切替え回路と、を備える。HDMIケーブル経由でソース・デバイスと通信する様に構成されているシンク・デバイスがまた提供されていて、シンク・デバイスは、電源と、シンク・デバイスがHDMIケーブルのラインに電流を供給できるかを示すことができるハンドシェイキング回路と、電源をラインに接続できる回路と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HDMI標準に従うケーブル経由での電力の伝送に関する。
【背景技術】
【0002】
HDMI(高解像度マルチメディア・インタフェース)標準は、データを保持しているデバイスとデータに含まれる関連情報を表示するためのデバイスとの間で、高解像度映像データ及び音声データを転送するための物理的(ケーブル)インタフェース及び論理的(信号方式及び制御プロトコル)インタフェースを規定している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
データを保持しているデバイス、即ち、ソース・デバイスは、映像又は音声の記録/再生デバイスであり得る。関連情報を表示するためのデバイスは、たとえばテレビジョン等のディスプレイ・デバイスや、音声増幅及びスピーカ・システムである場合があり、そしてシンク・デバイスとして知られている。
【0004】
典型的なデータ転送速度において、ケーブル内のデータ線を駆動し、格納されているデータをケーブルに送出する処理を行う回路に電力を供給するために、多くの電力がソース・デバイスには必要である。
【0005】
ソース・デバイスはまた、携帯装置の場合があり、それ自体はバッテリ駆動となる。データを処理してケーブルを駆動するのに必要な電力により、多くの携帯デバイスは、再充電を必要とする前に短時間だけ機能できる。これは、たとえば、ユーザが短い映画だけ視聴し、或いは、携帯デバイス用の充電装置をコンセントに繋がなければならないということを意味する。
【0006】
この様に、HDMIインタフェース上でデータを転送するバッテリ駆動のソース・デバイスの自律性を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で説明する実施形態は、従来装置との相互接続性を維持しつつ、HDMIケーブル経由でシンク・デバイスと通信する様に構成されたソース・デバイスを提供することにより、この必要性に対処する。ソース・デバイスは、
内部回路と、
シンク・デバイスがHDMIケーブルのラインに電流を供給できるかを検証する様に構成されたハンドシェイキング回路と、
ラインに電力を供給するための内部電源と、
内部電源をラインから切り離し、かつ、内部回路をラインに接続することができる切替回路と、
を備えている。
【0008】
一実施形態によると、ソース・デバイスは、ラインでの電流の利用可能性を検証するために、HDMIケーブルのラインの電流レベルを測定できるハンドシェイキング回路を備えている。
【0009】
別の実施形態によると、ソース・デバイスは、ソース・デバイスとシンク・デバイスの両方のデバイスが、ラインでの電力供給に関して互換性があることを確かめるために、ライン経由でシンク・デバイスとパルス列を交換する動作が可能であるハンドシェイキング回路を備えている。
【0010】
一実施形態によると、ソース・デバイスは、さらに、HDMIケーブル経由で、お互いに、接続が存在することを判定するために、ソース・デバイス及びシンク・デバイスにより用いられるラインを、論理的ハイ及び論理的ローに駆動できる回路を備えている。
【0011】
一実施形態によると、シンク・デバイスは、HDMIケーブル経由でソース・デバイスと通信する様に構成されており、シンク・デバイスは、
電源と、
シンク・デバイスがHDMIケーブルのラインに電流を供給可能であることを示すことができるハンドシェイキング回路と、
電源をラインに接続できる回路と、
を備えている。
【0012】
一実施形態によると、シンク・デバイスは、ソース・デバイスがラインから電力を取り出していることを調べるために、ラインから取り出される電流を測定できる。
【0013】
別の実施形態によると、シンク・デバイスは、ソース・デバイスとシンク・デバイスの両方のデバイスが、ラインでの電力供給に関して互換性があることを確かめるために、ライン経由で送られるパルス列を前記ソース・デバイスと交換する動作が可能であるハンドシェイキング回路を備えている。
【0014】
一実施形態によると、シンク・デバイスは、E−EDIDレジスタを有し、ハンドシェイキング回路は、シンク・デバイスがラインに電流を供給する能力を示すメモリ位置を含むE−EDIDレジスタ内のメモリ・ブロックを使用する。
【0015】
一実施形態によると、シンク・デバイスはさらに、
シンク・デバイスがラインに電流を供給できる時間の長さを示すメモリ位置と、
シンク・デバイスがラインに供給できる最大電流を示すメモリ位置と、
を備えている。
【0016】
第2の電源を有するシンク・デバイスとHDMIケーブル経由で通信するために、第1の電源を含むソース・デバイス内の回路に電力を供給するための方法が提供され、本方法は
シンク・デバイスがHDMIケーブル経由で電流を供給する能力を検証するステップと、
第2の電源をHDMIケーブルのラインに接続するステップと、
第1の電源をラインから切り離すステップと、
回路をラインに接続するステップと、
を含んでいる。
【0017】
一実施形態によると、本方法はさらに
シンク・デバイスがラインに供給している電流を、ソース・デバイスが測定するステップと、
測定した電流が第1の閾値より少ないと、ソース・デバイスが、回路をラインから切り離し、第1の電源をラインに接続するステップと、
ソース・デバイスがラインから取り出す電流を、シンク・デバイスが測定するステップと、
測定した、ソース・デバイスが取り出す電流が第2の閾値より少ないと、シンク・デバイスが、第2の電源をラインに接続し、HDMIケーブル経由の接続の存在を検出するために、ラインをソース・デバイス及びシンク・デバイスが使用するラインに接続するステップと、
を含んでいる。
【0018】
一実施形態によると、シンク・デバイスが電流を供給する能力を検証するステップは、さらに、
ソース・デバイスが、シンク・デバイスに向けてラインに一連のパルスを送信するステップと、
シンク・デバイスが、一連のパルスを受信し、受信に応答して、ソース・デバイスに向けてラインに一連のパルスを送信するステップと、
シンク・デバイスがラインに電流を供給できることを確かめるために、ソース・デバイスが一連のパルスを検査するステップと、
を含んでいる。
【0019】
一実施形態によると、シンク・デバイスが電流を供給する能力を検証するステップは、さらに、
ソース・デバイスが、シンク・デバイスにあるE−EDIDレジスタの内容を受信することを要求するステップと、
E−EDIDレジスタの内容が、シンク・デバイスがラインに電流を供給できることを示す情報を含むかを、ソース・デバイスが検証するステップと、
を含んでいる。
【0020】
一実施形態によると、シンク・デバイスが電流を供給する能力を検証するステップは、さらに、ソース・デバイスが、シンク・デバイスから利用できる最大電流を決定するステップを含んでいる。
【0021】
一実施形態によると、シンク・デバイスが電流を供給する能力を検証するステップは、さらに、ソース・デバイスが、シンク・デバイスからの電流を利用できる時間の長さを決定するステップを含んでいる。
【0022】
本発明の、前述の及び他の目的、特徴、態様及び長所は、添付図面を参照して、限定ではなく、例示の目的のために与える、実施形態の以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】HDMIケーブル経由でシンク・デバイスに接続されたソース・デバイスを示す図。
【図2】HDMIケーブル経由で接続された、一実施形態によるソース・デバイス及びシンク・デバイスを示す図。これらは、以下、拡張ソース・デバイス又は拡張シンク・デバイスと呼ぶ。
【図3】ソース・デバイス及びシンク・デバイスがHDMIケーブル経由で接続され、一方又は双方のデバイスが図2の実施形態により拡張されている場合の、例示的なイベント・フローを示す図。
【図4】HDMIケーブル経由で接続された、別の実施形態による拡張ソース・デバイス及び拡張シンク・デバイスを示す図。
【図5】ソース・デバイス及びシンク・デバイスがHDMIケーブル経由で接続され、一方又は双方のデバイスが図4の実施形態により拡張されている場合の、例示的なイベント・フローを示す図。
【図6】HDMIケーブルの+5Vラインで通信する例示的なパルス検出回路を示す図。
【図7】+5Vラインでのパルス通信のためのタイミングを示す図。
【図8】HDMIケーブル経由で接続された、別の実施形態による拡張ソース・デバイス及び拡張シンク・デバイスを示す図。
【図9】シンク・デバイスに存在するレジスタ内の、一実施形態によるデータ構造を示す図。
【図10】HDMIケーブル経由で接続された、別の実施形態による拡張ソース・デバイス及び拡張シンク・デバイスを示す図。
【図11】HDMIケーブル経由で接続された、別の実施形態による拡張ソース・デバイス及び拡張シンク・デバイスを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の記述及び図において、同じ参照符号は同じ要素を示す。信号は、HDMI標準で用いられる頭字語で示す。
【0025】
図1は、HDMIケーブル3経由でシンク・デバイス2(SINK)に接続されたソース・デバイス1(SRC)を含むシステムを示している。
【0026】
HDMIケーブル3は、データ転送のためのデータ線TMDSと、インタフェースの制御に関する通信のための制御線SCL、SDA及びCECを含んでいる。制御線SCL、SDA及びCECは、以下では、まとめてDDC(ディスプレイ・データ・チャネル)ラインと呼ぶ。ラインHPD(ホット・プラグ検出)は、ソース・デバイス1及びシンク・デバイス2が接続を検出できる様にする働きがある。DCライン(+5V)と、各端で接続されないままであるNCラインがある。
【0027】
現行のHDMI標準において、ソース・デバイス1は、+5Vラインに電力を供給し、シンク・デバイス2は、基準電圧レベルを確立するためと、シンク・デバイス2内のHDMIインタフェース回路に電力を提供するために、+5Vラインを使用することを規定している。
【0028】
HPDラインは、シンク・デバイス2内部での接続経由で、+5Vラインから高電圧レベルを受信する。ソース・デバイス1からの5ボルトにより、ケーブルが接続されていないと、HPDラインは低レベルとなり、ソース・デバイス1とシンク・デバイス2の双方とも互いに接続されていないことを登録する。
【0029】
HDMI標準は、シンク・デバイスが+5Vラインから50ミリアンペア以上を引き込んではならないことと、ソース・デバイス1は、+5Vラインに少なくとも55ミリアンペアを供給できなければならないことを定めている。
【0030】
+5Vラインに55ミリアンペアを供給することは、データを処理するのに必要な電力と、ケーブルから生じる負荷の駆動を考慮することなく、それだけで、バッテリ駆動のデバイスへの重大な要求を表している。
【0031】
シンク・デバイス2は、多くの場合、商用電源から電力が供給され、よって、ソース・デバイス1内のデバイス回路の総てに供給するのに利用できるだけの十分な電力を有し、そして恐らくソース・デバイス1がそのバッテリを充電することを可能にする。
【0032】
図2は、HDMIケーブル3経由でシンク・デバイス2(SINK)に接続されている、一実施形態により拡張されたソース・デバイス1(SRC)を備えているシステムを表している。そのようなシステムにおいて、シンク・デバイス2は、ソース・デバイス1に電力を供給できる様に構成され、それによって、ソース・デバイス1がその内部バッテリを消耗するのを回避できる様にし、そしてある状況では内部バッテリを充電できる様にする。
【0033】
ソース・デバイス1全体の制御は、プロセッサ101(PROC)により保証される。プロセッサ101は、一連の、映像及び音声データ線(V/Aデータ)、制御線(CTRL)及びホット・プラグ検出線(HPD−src)経由でHDMIインタフェース回路102(HIF)に接続されており、HIFは、HDMIケーブル3とインタフェースする(たとえば、シングル・エンドから差動への変換、電圧レベル・シフティング及びバッファリングを行う)。
【0034】
HDMIインタフェース回路は、HDMIケーブル3からの第1のHPD入力を有する。
【0035】
エネルギー管理回路103(EM)は、バッテリを充電する機能(図示せず)と、ソース・デバイス1内の他の回路に一連の安定化電源PWRを提供する機能を有する。
【0036】
ソース・デバイス1において、給電コントローラ104(SRC5VC)はプロセッサ101に接続され、コンパレータ105からの入力を受信する。給電コントローラ104は、+5Vラインで利用できる電流のレベルを監視し、エネルギー管理回路103と電源106(SRC5VPWR)との間の+5Vラインの接続を制御する。
【0037】
電源106は、+5Vライン経由でシンク・デバイス2に接続され得る電圧源を提供し、電源106は、特定の回路に電力を供給するのに使用され得る。HDMI標準で定められている選択肢のうちの1つにおいて、電源106は、HPD信号に電圧を供給するために使用される。HDMI標準の現行バージョンにおいて、電源106は、5ボルト給電を提供する。
【0038】
スイッチS1が設けられており、スイッチS1は、電源106を+5Vラインに接続するために使用され得る。別のスイッチS2aは、+5Vラインをエネルギー管理回路103内の入力EMINにまず接続するために使用され、次に、バッファ107の入力に接続するために使用され得る。安定化電源PWRを提供し、バッテリを充電する目的のために、入力EMINへの接続は、エネルギー管理回路103が、バッテリから電力を取り出す代わりに、+5Vラインから電力を取り出すことを可能にする。
【0039】
バッファ107の出力は、HPD−srcラインと、HDMIインタフェース回路102内の第2のHPD入力に接続される。
【0040】
初期設定では、HPDラインでのレベルは、シンク・デバイス2により設定される。しかしながら、スイッチS2aが閉じると、+5Vラインの5ボルト・レベルは、バッファ107により論理的ハイ・レベルに変換される。このハイ・レベルは、プロセッサ101とHDMIインタフェース回路102の双方に供給される。これは、HPDラインがソース・デバイス1によりハイ・レベルに設定されることを可能にする。この目的は、図3を参照して説明する。
【0041】
スイッチS2b及び抵抗108は、+5Vラインと接地レールGNDとの間で直列に接続される。スイッチS2bと抵抗108との接点は、コンパレータ105の第1の入力1051に接続される。電圧基準109(Vref)は、接地GNDとコンパレータ105の第2の入力1052との間で接続される。
【0042】
コンパレータ105、電圧基準109、スイッチS2b及び抵抗108を備えている回路は、+5Vラインで利用できる電流を測定するために、給電コントローラ104により使用され得る。これはスイッチS2bを閉じることにより達成され、この様にして、+5Vラインで利用できる電流に比例して抵抗108での電圧降下を生じさせる。この電圧は、コンパレータ105により、電圧基準109により設定された電圧と比較される。
【0043】
スイッチS1、スイッチS2a及びスイッチS2bは、給電コントローラ104により制御され得る。
【0044】
シンク・デバイス2において、全体的な制御は、プロセッサ121により保証される。プロセッサ121は、映像及び音声データ(V/Aデータ)、制御(CTRL)及びホット・プラグ検出信号(HPD−sink)のラインを含む複数の信号ラインにより、HDMIインタフェース回路122に接続される。HDMIインタフェース回路122は、HDMIインタフェース回路102と同様の機能を有する。
【0045】
電源123(SINK5VPWR)は、シンク・デバイス2にあり、ソース・デバイス1及びシンク・デバイス2がHDMIケーブル経由で接続されている期間中、+5Vラインに電圧源を供給するのに使用され得る。
【0046】
電源123は、抵抗124及びスイッチS3経由で+5Vラインに接続され得る。+5Vラインはまた、5ボルト給電レールSINK5Vに接続され、SINK5Vは、5ボルト給電を要求する他の回路のために用いられる。
【0047】
増幅器125は、抵抗124を挟んで接続された2つの入力及び給電コントローラ126(SINK5VC)に接続された1つの出力を有する。
【0048】
給電コントローラ126は、+5Vラインに引き込まれた電流を、抵抗124及び増幅器125を用いて測定する。給電コントローラはまた、電源123、+5Vライン及び給電レールSINK5V間の接続を制御する。
【0049】
ホット・プラグ検出信号HPD−sinkは、スイッチS4及び抵抗127経由で+5Vラインに接続され得る。これは、スイッチS4が閉じている場合、シンク・デバイス2が、HDMI標準の現行バージョンで知られている様に、HPDラインをハイ・レベルにできる様にする。
【0050】
給電コントローラ126は、プロセッサ121に接続される。スイッチS3及びスイッチS4は、給電コントローラ126により制御され得る。
【0051】
図3は、ソース・デバイス1がHDMIケーブル経由でシンク・デバイス2に接続されている場合の、例示的なイベント・フローを示している。ソース・デバイス1とシンク・デバイス2のうちの1つ又は双方が、図2の実施形態に従って拡張されている状況、或いは、いずれも拡張されていない状況が考慮されている。
【0052】
ステップ20で、ソース・デバイス1とシンク・デバイス2の双方が、初期設定に初期化される。この初期設定において、ソース・デバイス1は、5ボルトをHDMIケーブル3の+5Vラインに供給する様に設定される。それに応じて、シンク・デバイス2は、HDMIケーブル3の+5Vラインから電流を取り出す様に設定される。この初期設定は、HDMI標準の現行バージョンで規定されているものに対応している。
【0053】
ソース・デバイス1が図2の実施形態に従って拡張され、給電コントローラ104は、スイッチS1を閉じ、スイッチS2a及びスイッチS2bを開いている。シンク・デバイス2が図2の実施形態に従うとき、給電コントローラ126は、スイッチS3を開き、スイッチS4を閉じる。
【0054】
ステップ21で、ソース・デバイス1及びシンク・デバイス2は、HDMIケーブルを用いて接続される。ソース・デバイス1は、+5Vラインで利用可能な約5ボルトを供給する。5ボルトにより、HPD−sink信号をハイ・レベルとし、HPDラインを、抵抗127及びスイッチS4経由で、約5ボルトにプルアップする。HPDラインでのハイ・レベルは、プロセッサ101に、HDMIインタフェース回路102内の回路を用いて、HDMIケーブル3経由で接続されていることを検出させる。HPD−sink信号でのハイ・レベルは、プロセッサ121に、HDMIケーブル3経由で接続されていることを登録させる。
【0055】
その後、2つのプロセッサ101、プロセッサ121は、ホット・プラグ検出状態を登録し、ソース・デバイス1は、シンク・デバイス2についての情報を得るためにDDCラインを用いてシンク・デバイス2内のE−EDIDレジスタを読み始める。E−EDIDレジスタを読むこのステップは、HDMI標準の現行バージョンに規定されている通りである。
【0056】
ステップ22で、シンク・デバイス2が図2の実施形態に従い拡張されていないと、処理はステップ23に進み、ソース・デバイス1及びシンク・デバイス2は、上述した初期設定のままであり、HDMIインタフェースは、HDMI標準の現行バージョンに従い動作する。処理はそれから、ステップ28に進み、データ転送が起こる。
【0057】
しかしながら、シンク・デバイス2が図2の実施形態に従っている場合、処理はステップ24に進む。ステップ24で、プロセッサ121は、スイッチS3を閉じ、電源123を+5Vラインに接続する給電コントローラ126に、ホット・プラグ検出を示す。
【0058】
ソース・デバイス1が図2の実施形態に従っていると、ステップ25で、処理はステップ26に進む。しかしながら、ソース・デバイス1が実施形態に従っていないと、処理はステップ27に進む。
【0059】
ステップ26で、プロセッサ101は、+5Vラインで利用できる電流の反復測定を開始する給電コントローラ104にホット・プラグ検出状態を示す。これは、前述した様に、コンパレータ105、スイッチS2b、抵抗108及び電圧基準109を用いて達成される。最初の測定を行う前に、ソース・デバイス1は、スイッチS1が測定期間中開いていることを保証する。これは、測定したものがシンク・デバイス2から利用できる電流であり、電源106からのものではないことを保証する。
【0060】
各測定を終了した場合、給電コントローラ104は、抵抗108での不要な電流消費を回避するためにスイッチS2bを開くことができる。
【0061】
給電コントローラ104は、+5Vラインで利用できる電流が第1の限度、例えば55ミリアンペア未満であることを知ると、スイッチS1及びスイッチS2aを初期設定に保つ。これは、ソース・デバイス1が、+5Vラインから電力を取り出すのではなく、+5Vラインに5ボルトを給電し続けるということを意味する。当業者は、閾値を第1の限度に設定するために、コンパレータ105、抵抗108及び電圧基準109を備える回路のパラメータをどの様に調整するかを理解できるであろう。
【0062】
この時点で、スイッチS2aが開いている場合、HPDラインでのレベルはシンク・デバイス2から制御される。
【0063】
給電コントローラ104は、利用できる電流が第1の限度、例えば55ミリアンペアよりも大きいことを確かめると、給電コントローラ104は、スイッチS1を開いたままにしてスイッチS2aを閉じる。スイッチS2aを閉じることは、ハイ・レベルがバッファ107によりHDMIインタフェース回路102に供給され、HDMIインタフェース回路102は、HDMIケーブル3のHPDラインをハイ・レベルに設定することを意味する。
【0064】
ソース・デバイス1とシンク・デバイス2の双方は、HPDラインでレベルを設定する。関連する回路(HDMIインタフェース102、HDMIインタフェース122及びバッファ107)を設計している間に、HPDラインの両端間で見込まれる電圧差を考慮することは有用である場合がある。
【0065】
処理はその後ステップ27に進み、シンク・デバイス2は、その後、+5Vラインから取り出す電流の測定を開始する。これは、抵抗124の電位差を測定するのに増幅器125を用いることにより達成される。
【0066】
これらの測定は、プロセッサ121又は給電コントローラ126の様な論理回路の制御下であり、そのような場合、測定は一定の間隔で繰り返される。間隔は厳格ではなく、例えば50ミリ秒と100ミリ秒との間の値で十分であり得る。あるいは、測定はアナログ制御下にあり、連続的に行うことができる。コンパレータ105は、プロセッサ121に信号で伝えられる割り込みを生成するであろう。そのような実装では、割り込みを引き起こす、+5Vラインでの過渡変動を回避するのに、デバウンス回路を使用することができる。
【0067】
第2の限度、例えば10ミリアンペアを超える測定結果は、ソース・デバイス1が実施形態に従うことを示す。この場合、給電コントローラ126は、スイッチS3を閉じた状態に保つ。給電コントローラ126は、その後、スイッチS4を開き、その結果、HPDラインは、ソース・デバイス内のバッファ107によりハイ・レベルに引き上げられる。
【0068】
一方、測定結果が第2の限度未満であると、給電コントローラ126は、スイッチS3を開き、シンク・デバイス2を初期設定に戻す。これが起こると、+5Vラインで利用できる電流を次に測定する場合に、ソース・デバイス1が検出する5Vラインに供給される電流はないであろう。これは、ソース・デバイス1を、その初期状態に切り戻させることになる。
【0069】
この様に、ソース・デバイス1又はシンク・デバイス2のいずれかが初期状態に戻ると、他方のデバイスもまた初期状態に戻る。
【0070】
さらに、図2の実施形態に従うシンク・デバイス2が、図2の実施形態に従わないソース・デバイス1に接続されると、シンク・デバイス2は、初期設定に戻る。逆のことが起こると、ソース・デバイス1は、初期設定にただ留まるだけとなる。したがって、非拡張デバイス、すなわちHDMI標準の現行バージョンで規定されている機能のみを有するデバイスとの下位互換性が保証される。
【0071】
電源123を+5Vラインに接続するための時間をシンク・デバイス2に割り当てることを可能にするために、HPDが有効になるのと、ソース・デバイス1が利用できる電流を最初に測定するのとの間に、遅延(‘遅延1’)を設けることが望ましい。そうでなければ、ソース・デバイス1は、シンク・デバイス2が+5Vラインに給電できないと誤って結論付ける場合がある。
【0072】
給電コントローラ126が電源123を+5Vラインに接続する時点と給電コントローラ126が測定を開始する時点との間に、別の遅延(‘遅延2’)を設けることも有用である。なぜなら、給電コントローラ104が+5Vラインでの電流の可用性を検出し、ソース・デバイス1内の設定を変更できる様になるまで、+5Vラインに接続される電源が2つあることになるからである。これは、ソース・デバイス1に引き込まれる電流が非常に低くなることを意味する。この時点での測定は、シンク・デバイス2内で、給電コントローラ126に電源123を+5Vラインから切り離させることができる。
【0073】
HPD機能がどの様に動作するかを理解するために、HDMIケーブル経由のループがあることを考えるとよい場合がある。5ボルトがケーブルのシンク・デバイス2側の端部に給電され、この様に、ケーブルのソース・デバイス1側の端部を5ボルトに設定する。回路(スイッチS2a、バッファ107、HDMIインタフェース102)は、この5ボルトを入力として受信し、ハイ・レベルをHPDラインに出力し、このハイ・レベルがシンク・デバイス2に戻される。ケーブルが切り離されると、HPDラインは低レベルとなり、状態がプロセッサ101、プロセッサ121により登録されるであろう。
【0074】
スイッチS2a及びスイッチS3が閉じられる設定では、ソース・デバイス1のエネルギー管理回路103の入力は+5Vラインに接続され、その結果、エネルギー管理回路103に接続されているバッテリを充電することができ、ソース・デバイス1の給電線PWRは、バッテリではなく、+5Vラインから給電される。
【0075】
上述した処理はまた、次の表を参照して理解され得る。この表は、きっかけとなるイベントが起こるにつれて、スイッチの設定と、+5Vラインへの電力がどこから来るのかとが、どの様に変化するのかを示している。列はきっかけとなるイベントを表し、発生順に左から右方向に移る。各列に示される設定はイベントに起因する結果である。この表で考慮されている事例は、ソース・デバイス1とシンク・デバイス2の双方が、図2の実施形態に従って拡張されているものである。
【0076】
“電力源”行は、ソース・デバイス1とシンク・デバイス2のどちらが+5Vラインに電力を提供しているかを示す。“HPD”は、HPDラインがプルアップされ、プロセッサ101とプロセッサ121の双方が接続を登録する様に、HDMIケーブル3経由でソース・デバイス1とシンク・デバイス2との間の接続が行われるイベントを示す。 “HPDリンク”行は、ソース・デバイス1とシンク・デバイス2のどちらが、HPDラインをプルアップするリンクを提供しているかを示す。“遅延1”行及び“遅延2”行は、その間に前述の遅延が経過するイベントを示す。ステップの参照符号は、事象が起こるステップである。‘O’は開放を意味し、‘C’は閉じていることを意味する。
【0077】
【表1】

処理はその次に、データが転送されるステップ28に進む。
【0078】
ステップ29で、データ転送は停止するが、ソース・デバイス1及びシンク・デバイス2は接続されたままである。ユーザが一時的にデータ転送を中断する場合が、その様な事例であり得る。
【0079】
ある時点で、給電コントローラ126は、+5Vラインから取り出す電流の定期的な測定を行う。測定された電流が第2の限度を超えている限り、給電コントローラ126は、スイッチS3を閉じたままにし、電源123は、+5Vラインに給電し続ける。
【0080】
しかしながら、シンク・デバイス2から取り出されている電流が第2の限度より少ないことが分かると、給電コントローラ126は、スイッチS3を開く。給電コントローラ104が利用できる電流を次に測定する場合、最早、最小電流が+5Vラインから利用できないことを検出するであろう。結果として、給電コントローラ104はスイッチS1を閉じてスイッチS2aを開く。+5Vラインは、そのとき、HDMIリンクで知られている様に、現行標準に従ってソース・デバイス1により給電される。
【0081】
このような状況の例は、ソース・デバイス1が待機状態となり、エネルギー管理が、たとえばバッテリが完全に充電されていること等により、バッテリの充電を停止している場合であり得る。
【0082】
この場合、ソース・デバイス1では、待機構成が設定され、スイッチS2aは閉じたままであり、バッファ107は電力を供給され続ける。さらに、ソース・デバイス1は、給電コントローラ104、コンパレータ105及び電圧基準109の電源を投入することにより、+5Vラインで利用できる電流の測定を行い続ける。したがって、ソース・デバイス1及びシンク・デバイス2は、HPD信号をハイ・レベルにし、互いに接続されていると見なす。
【0083】
ソース・デバイス1の待機電流消費が、シンク・デバイス2に対して設定された第2の限度を超えたままであると、スイッチS3は閉じられたままとなる。これは、待機中にソース・デバイス1のバッテリを充電できる様にする。
【0084】
しかしながら、待機電流が第2の限度以下であると、シンク・デバイス2は、ケーブルのシンク・デバイス2側の端部でHPDラインを+5Vラインに再接続するために、スイッチS4を閉じる。シンク・デバイス2は、その後、電源123を+5Vラインから切り離し、これにより、スイッチS1を閉じて+5Vラインを入力EMINから切り離すことにより、ソース・デバイス1に電源106を+5Vラインに再接続させる。
【0085】
新しいTMDS転送が開始されると、上記処理のステップ24、ステップ25、ステップ26及びステップ27が繰り返される。
【0086】
最終的に、HDMIケーブルがソース・デバイス1又はシンク・デバイス2から引き抜かれるステップ30に達する。HPD信号、HPD−src及びHPD−sinkは、切り離しを示すレベルとなる。そのような場合でなければ、給電コントローラ104にスイッチS2を開かせ、スイッチS1を閉じさせて、給電コントローラ126にスイッチS3及びスイッチS4を開けさせる。
【0087】
この様にして、ソース・デバイス1及びシンク・デバイス2はともに、HDMIインタフェースの初期設定に戻り、図2の実施形態に従い拡張されていないデバイスへの新しい接続に備える。
【0088】
図4は、HDMIケーブル3経由で、別の実施形態に従う拡張シンク・デバイス2(SINK)に接続されている、別の実施形態に従う拡張ソース・デバイス1(SRC)を備えているシステムを表している。
【0089】
図2に表されたシステムと同様に、シンク・デバイス2はソース・デバイス1に電力を供給する様に構成され得る。
【0090】
図2の実施形態と共通であるソース・デバイス1及びシンク・デバイス2の要素は、既に論じられており、特にスイッチS1、スイッチS2a、スイッチS2b、スイッチS3及びスイッチS4については、それ以上説明しないこととする。
【0091】
スイッチS11は、+5Vラインを給電コントローラ104の出力OUT1に接続する様に配置される。スイッチS12は、+5Vラインを給電コントローラ104の入力IN1に接続する様に配置される。
【0092】
スイッチS1、スイッチS2a、スイッチS2b、スイッチS11及びスイッチS12は、給電コントローラ104により制御され得る。
【0093】
+5Vラインで利用できる電流を監視する機能と、+5Vライン、エネルギー管理回路103及び電源106間の接続を制御する機能に加えて、給電コントローラ104は、シンク・デバイス2内の給電コントローラ126と通信する機能も有する。
【0094】
図2の実施形態と同様に、+5Vラインは、スイッチS2b及び抵抗108経由で、接地レールGNDに接続され得る。スイッチS2bと抵抗108との接点は、給電コントローラ104に入力IMEASを提供する。
【0095】
シンク・デバイス2において、スイッチS21は、+5Vラインを給電コントローラ126の入力IN2に接続する様に配置される。スイッチS22は、+5Vラインを給電コントローラ126の出力OUT2に接続する様に配置される。
【0096】
給電コントローラ126は、プロセッサ121に接続される。スイッチS3、スイッチS4、スイッチS21及びスイッチS22は、給電コントローラ126により制御され得る。
【0097】
図5は、ソース・デバイス1がHDMIケーブル経由でシンク・デバイス2に接続される場合の、例示的なイベント・フローを表す。ソース・デバイス1とシンク・デバイス2のうちの一方又は双方が図4の実施形態に従い拡張されている状態、或いは、いずれも拡張されていない状態が表されている。
【0098】
ステップ40で、ソース・デバイス1とシンク・デバイス2の双方は、前述した初期設定に初期化されていて、ソース・デバイス1は+5Vラインに電力を供給する様に構成され、シンク・デバイス2は+5Vラインから電力を取り出す様に構成されている。
【0099】
ソース・デバイス1及びシンク・デバイス2が図4の実施形態に従い拡張されている場合、スイッチの設定は次の表の通りとなる。
【0100】
【表2】

【0101】
ステップ40で、ソース・デバイス1及びシンク・デバイス2はHDMIケーブル3に接続される。
【0102】
ステップ41で、2つのプロセッサ101、プロセッサ121が、ホット・プラグ検出状態を登録する場合、ソース・デバイス1は、シンク・デバイス2についての情報を得るために、シンク・デバイス2内のE−EDIDレジスタを読み始める。
【0103】
HPDラインでのハイ・レベルは、シンク・デバイス2内のスイッチS4経由での接続により確立される。
【0104】
ステップ42で、ソース・デバイス1が図4の実施形態に従うものであると、処理はステップ44に進み、そうでなければ処理はステップ43に進む。
【0105】
処理がステップ43に進むと、シンク・デバイス2は上述した初期設定のままとなる。
【0106】
ステップ44で、ソース・デバイス1は、シンク・デバイス2が+5Vラインに電力を提供できるかどうかを確かめるために、シンク・デバイス2とのハンドシェイキング通信を開始する。これを行うために、給電コントローラ104は、一連のパルスを+5Vラインに送信する。その後、給電コントローラ104は、スイッチS11を開き、スイッチS12を閉じ、シンク・デバイス2からの応答を待つ。
【0107】
ステップ45で、シンク・デバイス2が図4の実施形態に従うものであると、処理はステップ46に進む。
【0108】
しかしながら、シンク・デバイス2が図4の実施形態に従うものでないと、処理は直接ステップ43に進む。ステップ43で、ソース・デバイス1は、スイッチS1を閉じ、スイッチS2aを開くことにより、初期設定に戻る。
【0109】
ステップ46で、ソース・デバイス1の給電コントローラ104により送られる一連のパルスを認識すると、給電コントローラ126は、スイッチS21を開き、スイッチS22を閉じる。給電コントローラ126は、その後、待機中のソース・デバイス1により受信される一連のパルスを+5Vラインに送る。
【0110】
ハンドシェイキング通信が正常に完了すると、すなわち、ソース・デバイス1が、規定の待機時間内にシンク・デバイス2から正しい応答を受信すると、給電コントローラ104は、スイッチS2aを閉じ、スイッチS1、スイッチS11及びスイッチS12を開く。その後、給電コントローラ126は、スイッチS3を閉じ、スイッチS4、スイッチS21及びスイッチS22を開く。
【0111】
この様にして、ソース・デバイス1のエネルギー管理回路103は、HDMIケーブルの+5Vライン経由で電源123により給電される。その結果、エネルギー管理回路103に接続されたバッテリは充電可能であり、ソース・デバイス1の給電線PWRは、バッテリではなく+5Vラインから給電される。
【0112】
スイッチS4を開き、スイッチS2aを閉じることは、HDMIケーブル経由での(前述した様に)ホット・プラグ検出機能に対するループを確立し、その結果、HPDラインでのハイ・レベルが、ソース・デバイス1内のバッファ107により提供される。この様に、HDMIケーブルの切り離しは、ホット・プラグ検出信号、HPD−src、HPD−sinkを切断状態にする。
【0113】
スイッチS11、スイッチS12、スイッチS21及びスイッチS22の存在は、ソース給電コントローラ104、シンク給電コントローラ126の入力及び出力を+5Vラインから切り離すことを可能にする。これは、これらの回路と+5Vラインとの接続を回避するためである。スイッチの設定は、次表の通りである。
【0114】
【表3】

【0115】
ステップ47で、その後ソース・デバイス1は、測定により、+5Vラインで利用できる電流を監視し始める。このため、給電コントローラ104は、スイッチS2bを閉じる。これは、入力IMEASで、基準値と比較され得る電圧を確立する効果を有する。測定が完了してから、スイッチS2bが開かれる。監視は、前述したのと同様な方法での反復測定の形を取る。既に述べた様に、測定技術があまり電力を消費しないと、代わりに連続監視を用いることができる。
【0116】
シンク・デバイス2はまた、前述した様に、+5Vラインから取り出される電流の測定を開始する。
【0117】
何らかの理由で、給電コントローラ104が、利用できる電流が第1の限度、たとえば55ミリアンペア未満であると測定すると、スイッチS1を閉じ、スイッチS2aを開くことにより、初期設定に戻る。また、給電コントローラ126が、取り出される電流が第2の限度、たとえば10ミリアンペア未満であることを検出すると、スイッチS4を閉じ、スイッチS3を開くことにより初期設定に戻る。
【0118】
処理はそれから、データが転送されるステップ48に進む。
【0119】
ステップ49で、データ転送は停止するが、ソース・デバイス1及びシンク・デバイス2は接続されたままである。図2の実施形態と同様に、HPDラインはハイ・レベルに維持され、+5Vラインから取り出される電流は第1の限度を超えていて、シンク・デバイス2は、+5Vラインに電力を供給し続ける。これは、ソース・デバイス1が待機中である場合でさえ、自身のバッテリを充電し続けることを可能にする。ある時点で、シンク・デバイス2が、+5Vラインから取り出される電流が第2の限度未満であることを検出すると、電源123を+5Vラインから切り離す。これは最終的に、ソース・デバイス1に、利用できる電流が第1の限度未満であることを検出させ、電源106を+5Vラインに再接続させる。
【0120】
別のTDMSが起動されると、ステップ42、ステップ44、ステップ46及びステップ47が繰り返され、処理はステップ48に戻る。
【0121】
最終的に、処理は、HDMIケーブルがソース・デバイス1又はシンク・デバイス2から引き抜かれるステップ50に進む。ソース・デバイス1とシンク・デバイス2の双方にとって内部にあるHPD信号、HPD−src、HPD−sinkは、切り離しを示すレベルとなる。
【0122】
ステップ51で、図2の実施形態と同様に、給電コントローラ104は、まだそうでない場合、スイッチS2a及びスイッチS2bを開き、スイッチS1を閉じ、給電コントローラ126はスイッチS3を開く。ソース・デバイス1及びシンク・デバイス2は、HDMIインタフェースに対する初期設定に戻り、恐らく図4の実施形態に従い拡張されていない別のデバイスへの接続に備える。
【0123】
図6は、+5Vラインでパルスにより形成されるメッセージを認証するための典型的な回路400を表す。そのような回路は、図4の実施形態に従い拡張された、ソース・デバイス1又はシンク・デバイス2に配置できる。
【0124】
回路400は、給電コントローラ104及び給電コントローラ126に配置され得る。スイッチSH1及びスイッチSH2は、必要に応じて、スイッチS11、スイッチS12、スイッチS21及びスイッチS22に対応する。
【0125】
図4と同じ様に、+5Vラインは、2つのスイッチSH1及びスイッチSH2の第1の端子に接続される。SH1の第2の端子は、レベル・シフタ401の入力に接続される。レベル・シフタ401は、その出力をインバータ・シュミット・トリガー402の入力に接続している。インバータ・シュミット・トリガー402の出力は、まず、第1のD型フリッププロップ403の入力に接続され、次に遅延素子404の入力に接続される。第1のD型フリップフロップ403のQ出力は、第2のD型フリップフロップ405のD入力に接続される。遅延素子404からの出力は、第1のD型フリップフロップ403及び第2のD型フリップフロップ405のクロック入力に接続される。
【0126】
第2のD型フリップフロップ405のQ出力は、決定論理回路406(CTRL)の入力に接続される。
【0127】
決定論理回路406の第1の出力RESETは、D型フリップフロップ403及びD型フリップフロップ405の双方に存在するリセット入力に接続される。決定論理回路406の第2の出力及び第3の出力は、スイッチSH1及びスイッチSH2に存在する制御端子に接続される。決定論理回路406の第4の出力は、スイッチSH2の第2の端子に接続される。
【0128】
2つのD型フリップフロップ403及びD型フリップフロップ405は、カウンタの機能を果たす様に接続される。初めに、スイッチSH1は決定論理回路406により閉じられる。
【0129】
インバータ・シュミット・トリガー402を作動させるのに十分な振幅の立下りパルスが+5Vラインに達すると、2つの有効なパルスが受信されるまで、カウンタはパルスを計数するであろう。これが起こると、決定論理回路406の入力は有効状態に設定される。決定論理回路406はその場合、スイッチSH1を開き、スイッチSH2を閉じて、D型フリップフロップ403、D型フリップフロップ405のリセット入力への出力を用いてカウンタをリセットする。所定の待機時間後、決定論理回路はそれから、スイッチSH2経由で+5Vラインに所要数のパルスを放出する。
【0130】
回路400はまた、ソース・デバイス1でも用いられていて、回路400は受信したパルスに応答してパルスを送る必要がないかもしれない。
【0131】
シュミット・トリガーは、カウンタ回路を作動させる+5Vラインへの雑音及びスプリアス・パルスを回避するために用いられる。インバータ・シュミット・トリガー402のヒステリシスの閾値レベル及び程度の選択は、エンドユーザ環境の特性の関数であり、当業者の裁量内にある。
【0132】
回路400は、決定論理回路406の入力に達するパルスの幅を検査するために、タイマー回路のような様々な方法で、周波数選択的にされる場合がある。これは、決定論理回路406が+5Vラインのスパイク及びリンギングのようなスプリアス信号を無視できる様にする。周波数選択回路を実装することは、当業者の理解の及ぶところである。
【0133】
上記の回路は例として示されている。カウンタは、2つのパルスに対して有効な出力を提供する様に設計される。カウンタを長くすることにより、より高い数のパルスに対する要件が設定できよう。これはまた、要求検証回路400の一般的な雑音排除性を改善する可能性がある。要求されるパルスの数の選択は、当業者の裁量内にある。
【0134】
図7は、+5Vラインでパルスを用いたハンドシェイキング通信の例に対する例示的なタイミングを表す。t0で、32kHzの周波数及び振幅3Vで50%デューティ・サイクルの、2つの立下りパルスが、ソース・デバイス1により放出される。
【0135】
3ボルトの振幅は、純粋に例としての記載である。当業者は、適切な振幅を選択できる。レベル・シフタ401及びインバータ・シュミット・トリガー402の特性は、選択された振幅に依存する。
【0136】
シンク・デバイス2内の、図6にあるような要求検証回路における遅延に依存する遅延後、t1で、応答として、この場合も32kHzの周波数で50%のデューティ・サイクルを有する2つの立下りパルスが、+5Vラインで戻される。これらのステップがタイムアウト時間以内に完了すると、ハンドシェイキング通信は正しく完了している。
【0137】
しかしながら、2つの立下りパルスが、タイムアウト時間になるまでに応答検証回路により受信されないと、ソース・デバイス1は、ハンドシェイキングが失敗したと看做す。したがって、ソース・デバイス1は初期設定のままとなる。
【0138】
32kHzの周波数は、ここでは純粋に例として選択されていて、他の選択も可能である。さらに、立下りパルスは、そのような実装が、それぞれの給電コントローラ104、給電コントローラ126の入力に関する特別な保護回路を必要としないので、この例で示されている。他の実装も可能であり、そして当業者の裁量内にある。
【0139】
データ転送に関するイベントは、通常ユーザの制御の下にあり、そして極めて長い時間にわたって起こることになるので、タイムアウト時間は厳格ではなく、当業者はソース・デバイス及びシンク・デバイスの様々なハードウェア遅延を単に考慮して、正確な値を容易に選択できるであろう。たとえば、値は10ミリ秒と50ミリ秒間とすることができ、この範囲外の値でも機能できる。
【0140】
図8は、実施形態によるシンク・デバイス2に、HDMIケーブル3経由で接続された、実施形態によるソース・デバイス1を備えているシステムを表している。
【0141】
図4の実施形態に共通している、ソース・デバイス1及びシンク・デバイス2の要素は既に論じられており、そしてそれ以上は説明しないこととする。
【0142】
図8と図4とを比較すると、図8ではスイッチS11、スイッチS12、スイッチS21及びスイッチS22が存在していないことが分かる。また給電コントローラ104、給電コントローラ126は、パルス発生回路及びパルス検出回路は備えていない。
【0143】
前述した実施形態と同様に、そしてHDMIに準拠したリンクを用いるシステムと同様に、リンクが形成されてから、シンク・デバイス2の特性を確かめるために、ソース・デバイス1がシンク・デバイス2に問い合わせるステップがある。これは、これまでに論じたステップ21又はステップ41に対応する。
【0144】
このステップは、ソース・デバイス1が、シンク・デバイス2に含まれるE−EDIDレジスタの内容をシンク・デバイス2が返すための要求を、DDCラインを用いてシンク・デバイス2に送信するステップを含む。
【0145】
E−EDIDレジスタは、シンク・デバイス2の特性、たとえばディスプレイ解像度、カラー特性、音響性能などに関する情報を有する。E−EDIDレジスタは、VESA E−EDID仕様に詳細に説明されている。図8の実施形態は、図9に関連して説明されているような拡張E−EDIDレジスタを採用している。
【0146】
図9は、実施形態によるE−EDIDレジスタの例示的な構造を、簡略化して示している。E−EDIDレジスタは、標準の現行バージョンでは128バイト・ブロックに分けられている。
【0147】
VESAに準拠したデバイスは総て、少なくとも最初のブロック、B0(E−EDIDブロック0)を有し、B0はVESA E−EDID標準で規定されているフォーマットで、基本的な最小限の情報を有している。
【0148】
デバイスは、複数のオプションブロックB1−ブロックBn(E−EDIDブロック1−ブロックn)を有する場合がある。これらのオプションブロックの構造は、拡張ブロックとして知られ、VESA E−EDID標準により規定されている。
【0149】
そのようなオプションブロックBeでは、第1のバイトByte0は、それが有する情報の特質を示す。第2のバイトByte1は、VESAの改訂番号を示す。Byte2からByte126には情報が入っており、そしてByte127にはチェックサムが入っている。
【0150】
内容は、オプションブロックの一部に対して定義されている。しかしながら、製造業者が1種類の拡張ブロックの構造及び内容を定義する規定が設けられている。
【0151】
1つの実施形態で、製造業者が定義したBM(製造業者定義)には、+5Vラインに給電するシンク・デバイス2の能力に関する情報が入っている。Byte0は、ブロックが製造業者定義であることを示すために値‘FFh’に設定され、Byte1にはVESA改訂番号が入っている。
【0152】
Byte2からByte126のうちの適切な場所に、シンク・デバイス2が+5Vラインに給電できるかどうかを示す値を含むByte nが置かれる。たとえば、‘1’はシンク・デバイス2が給電できることを、そして‘0’は給電できないことを示す。Byte n+1からByte n+4までは、シンク・デバイス2が供給できる電流の最大値をミリアンペア単位で表すために連結される場合がある。Byte pには、Byte p+1からByte p+5までの連結で見出される場合がある値の単位が入っている。ここで見出される値は、シンク・デバイス2が+5VラインにByte n+1からByte n+4までに示されるレベルで電流を供給できる時間の長さを表す。Byte pに対する典型的な値を以下の表に示す。
【0153】
【表4】

【0154】
別の実施形態では、DI−EXTと呼ばれ、そしてVESA E−EDID標準で定義されている、ブロックBDE内の予約バイトが用いられる。Byte 56からByte 71までが予約されているが、標準の現行バージョンでは機能に関して未定義であり、そして残りのバイトは定義されている。
【0155】
製造業者定義のブロックBMに対して上で論じたのと同様な方法で、Byte 56からByte 71までは、シンク・デバイス2が+5Vラインに給電できる能力、利用できる最大電流及び給電可能な時間の長さを示す情報を入れるのに使用できる。
【0156】
実際、他の拡張ブロックで見出される、予約されているが、未定義、又は未使用のバイトが、上述した情報の一部又は総てを入れるのに使用できる。
【0157】
ソース・デバイス1及びシンク・デバイス2が図8の実施形態に従う場合、シンク・デバイス2はスイッチS3及びスイッチS4を閉じる。ソース・デバイス1はシンク・デバイス2のE−EDIDレジスタ内の情報を受信する。
【0158】
E−EDIDレジスタに入っている情報を返してから、シンク・デバイスはスイッチS3を閉じる。
【0159】
ソース・デバイス1は、シンク・デバイス2が+5Vラインで電力を供給できることを示す応答を受信すると、第1の待機時間だけ待ち、その後、スイッチS2aを閉じ、スイッチS1を開く。第1の待機時間は、シンク・デバイス2がスイッチS3を閉じ、そして+5Vラインに安定な電圧を確立できる様に設定される。第1の待機時間は厳格ではなく、10ミリ秒のオーダーとすることができる。
【0160】
E−EDIDレジスタから情報の受信後のある時点で、ソース・デバイス1は、受信した情報を、自身の電流消費及びバッテリ容量について保持している情報と比較し、そして一連の決定を行う。ソース・デバイス1の回路に電力を供給するだけでなく、充電器に電力を供給するのに利用できる十分な電流があると、ソース・デバイス1は、エネルギー管理回路103を、安定化電源PWRに提供するだけでなく、充電器にも電力を供給する様に構成し、そうでなければ、エネルギー管理回路103は、安定化電源PWRのみに提供する様に構成する。
【0161】
ソース・デバイス1は、その後、5ボルト給電がシンク・デバイス2から利用できる時間の長さに関する情報を、それが利用できる場合、ソース・デバイス1が含んでいる映像/音声データの総てが転送されて表示されるのに必要な最小の時間長と比較する。利用できる時間が足りない場合、ソース・デバイス1はユーザに警告する、或いは、ユーザから決定を求めるメッセージを生成する。あるいは、プロセッサ101は、バッテリを充電しなくても、データの総てを表示するのに十分な時間を与える十分な電力を維持することになるかを計算し、そうであると、ユーザに、このことを提案するメッセージを送信できる。プロセッサ101はまた、ソース・デバイス1のバッテリが充電される期間と、充電されない期間とを合わせて、データ総ての転送を可能にし得るかどうかを計算できる。
【0162】
この最後の特徴は、シンク・デバイス2がそれ自身バッテリ駆動であるが、ソース・デバイス1よりも著しく高い容量のバッテリを有している場合に、有利に利用できる。
【0163】
シンク・デバイス2が5ボルトを給電できる時間を格納しているE−EDIDレジスタの部分が、読み出しだけでなく、書き込み可能であるのは、有用である。それにより、シンク・デバイス2は、自身のバッテリの充電状態を考慮して周期的にE−EDIDレジスタを更新することができる。ソース・デバイス1は、シンク・デバイス2におけるバッテリの最新の状態を得るために、周期的にE−EDIDレジスタを読むことができる。
【0164】
ソース・デバイス1は、シンク・デバイス2のバッテリ充電レベルの最新状態を用い、そしてこれを映像/音声データを表示するために残っている時間と比較できる。ソース・デバイス1はそれから、バッテリの充電及び安定化電源PWRへの電力供給から、安定化電源PWRのみへの電力供給に、いつ切り替えるべきかを計算できよう。
【0165】
第2の待機時間後に、ソース・デバイス1は、図4を参照して説明した方法で、+5Vラインで利用できる電流を測定する。利用できる電流がある限度以上であると、ソース・デバイス1は、シンク・デバイス2が+5Vラインに給電する構成を維持し、そうでなければ、初期設定に戻る。この測定は、特にシンク・デバイス2もバッテリ駆動である場合に、所定の間隔で繰り返される。第2の待機時間は、+5Vラインでのいかなる振動をも抑えることを可能にし、10ミリ秒−50ミリ秒の範囲とすることができる。
【0166】
これまでに説明した実施形態と同様に、第3の待機時間後に、シンク・デバイス2は+5Vラインで取り出される電流の測定を開始する。
【0167】
第3の待機時間は、数十ミリ秒のオーダーであり得る。
【0168】
シンク・デバイス2は、ソース・デバイス1が+5Vラインから電流を取り出す様に設定されていることを発見すると、5ボルト給電とHPDラインとの間のリンクがソース・デバイス1で形成される様に、スイッチS4を開く。
【0169】
しかしながら、測定された電流が定義された限度未満であり、ソース・デバイス1が図8の実施形態に従うものではない場合、或いは、+5Vラインから電力を取り出す様に設定されていないことを示していると、シンク・デバイス2は、スイッチS3を開くことにより電源123を+5Vラインから切り離す。この様にして、ソース・デバイス1又はシンク・デバイス2は、何らかの理由で初期設定に戻ると、他方のデバイスもまたある時点で初期設定に戻る。
【0170】
図10は、ソース・デバイス1に提供される電力供給のために、NCラインを使用する別の実施形態を示している。これまでに説明した実施形態に共通である特徴は、それ以上論じないこととする。この例では、図8の実施形態に関連して説明した様に修正されたE−EDIDレジスタが、通信するために、ソース・デバイス1及びシンク・デバイス2により用いられる。
【0171】
スイッチS3の第1の端子は、抵抗124経由で電源123に接続される。スイッチS3の第2の端子は、スイッチS51経由で+5Vラインと5ボルト給電レールSINK5Vに接続される。スイッチS3の第2の端子はまた、スイッチS52経由でNCラインに接続される。
【0172】
給電コントローラ104は、制御スイッチS1、スイッチS2a及びスイッチS2bに接続される。給電コントローラ126は、制御スイッチS3、スイッチS4、スイッチS51及びスイッチS52に接続される。スイッチS1、スイッチS2a、スイッチS2b、スイッチS3、スイッチS4、スイッチS51及びスイッチS52に対する制御接続は示されていない。
【0173】
この実施形態の事例では、ソース・デバイス1及びシンク・デバイス2が初期状態に初期化される場合、スイッチは次の通りとなる。
【0174】
【表5】

【0175】
この様にして、給電レールSINK5VはスイッチS51経由で+5Vラインに接続され、NCラインは回路のいずれにも接続されない。この設定では、HDMI標準の現行バージョンで知られている様に、ソース・デバイス1は、+5Vラインに5ボルトを給電する。
【0176】
図6を参照して説明した様に、ソース・デバイス1は、シンク・デバイス2のE−EDIDレジスタを読む。ソース・デバイス1は、シンク・デバイス2が5ボルトを給電できることが分かると、給電コントローラ104は、スイッチS41を閉じる。シンク給電コントローラ126は、スイッチS51を開き、そしてスイッチS52を閉じる。5V給電レールSINK5V及びNCラインは、この様にして、電源123に接続される。よって、スイッチは次の通りとなる。
【0177】
【表6】

【0178】
シンク・デバイス2は、この時点で、NCライン経由でソース・デバイス1内のエネルギー管理回路103に電力を供給している。電源106は、エネルギー管理回路103により給電されるので、ソース・デバイス1の総てがNCライン経由で給電される。
【0179】
前述した様に、ソース・デバイス1とシンク・デバイス2の双方は、NCライン経由で流れる電流を測定する手段を保有している。したがって、前述した様に、ソース・デバイス1とシンク・デバイス2の双方は、必要に応じて初期状態に戻る場合がある。
【0180】
スイッチS4は、HPDラインが+5Vラインにリンクされているので、この実施形態では閉じられたままであり、+5Vラインはソース・デバイス1内のリンク経由でNCラインから給電を受ける。したがって、HDMIケーブル経由のループが存在し、ホット・プラグ検出機能が動作できる。
【0181】
図11は、NCラインが、共通の接地線に5ボルト給電を提供するのに用いられることができる実施形態を表す。これまでの実施形態では、インタフェース部分の総て、すなわち、データ、制御及び電源に対する接地は、単一の接地線(図示されていない)により担われている。
【0182】
この場合もやはり、これまでの実施形態に共通の特徴及び機能、特にスイッチS1、スイッチS2a、スイッチS2b、スイッチS3、スイッチS4については、それ以上には論じないこととする。
【0183】
DC接地レール5VGNDは、ソース・デバイス1とシンク・デバイス2の双方で利用できる。スイッチS61及びスイッチS62は、それぞれソース・デバイス1及びシンク・デバイス2にあり、NCラインをこれらのレールに接続することができる。ソース給電コントローラ104及びシンク給電コントローラ126は、それぞれスイッチS61及びスイッチS62を制御できる。
【0184】
スイッチS1、スイッチS2a、スイッチS2b、スイッチS3、スイッチS4、スイッチS61及びスイッチS62に対する制御接続は、図示されていない。
【0185】
給電接地レール5VGNDは、必要に応じて、ソース・デバイス1及びシンク・デバイス2内の回路及び他の接地に接続される場合がある。
【0186】
最初に、ソース・デバイス1及びシンク・デバイス2が初期状態にある場合、スイッチは次の通りとなる。
【0187】
【表7】

この様にして、NCラインは全ての他の回路から切り離される。
【0188】
ソース・デバイス1及びシンク・デバイス2は、ソース・デバイス1とシンク・デバイス2の双方がNCラインを接地線として用いるための回路を有しているということを、E−EDIDレジスタ内のデータを用いて確立している場合、シンク給電コントローラ126は、スイッチS2a及びスイッチS3を閉じる。電源123は、この様にして+5Vラインに接続され、そしてエネルギー管理回路103に電力を供給する。
【0189】
ソース給電コントローラ104及びシンク給電コントローラ126は、スイッチS61及びスイッチS62を閉じ、それによってNCライン経由で共通のDC接地5VGNDを確立する。
【0190】
この様にして、スイッチS1−スイッチS4、スイッチS61及びスイッチS62の設定は、以下の通りとなる。
【0191】
【表8】

【0192】
シンク・デバイス2はこの時点で、ソース・デバイス1内のエネルギー管理回路103に給電しており、共通の接地がソース・デバイス1とシンク・デバイス2との間に確立されている。給電コントローラ104、給電コントローラ126及び電源106、電源123のような5ボルト給電に関連する回路は、このDC接地を用いることができる。したがって、この特徴は、信号転送に関係している回路に対する接地を、電源に関係している回路の接地から切り離すことにより、インタフェースの雑音排除性を改善するのに用いられ得る。
【0193】
前述した様に、ソース・デバイス1とシンク・デバイス2の双方は、+5Vラインに流れる電流を監視し、そして必要に応じて、初期設定に戻ることができる。
【0194】
図2、図4、及び図6を参照して説明した様に、一旦、電源123による+5Vラインの電力供給が設定されていると、スイッチS4を開くことが好ましい。これは、ホット・プラグ検出の作動のために、HDMIケーブル経由のループを確立するためである。
【0195】
前述したことは、その特徴、態様及び目的と共に、限定ではなく、例示の目的のために与えられている。実際、説明された実施形態は、本発明に関連するもののみと看做されることは意図されておらず、本発明をHDMIリンクを用いるシステムに限定されると看做すべきではない。実際、これらの実施形態は、DC電圧線を有するケーブルを指定するどんなデータ転送システムにも適応できよう。
【0196】
機能の多くは、分離したブロック、たとえばプロセッサ101及び給電コントローラ104として説明されているけれども、これは、理解を助けるためであり、そして限定するものと解釈するべきではない。別の例は、エネルギー管理回路103及び電源106であり、これらはまた機能的に統合できよう。これはまた、シンク・デバイス2の機能についても当てはまる。またHDMIインタフェース回路102、HDMIインタフェース回路122は、プロセッサ101、プロセッサ121と区別されて示されている。これは、機能を個別に示すためである。これらの回路はまた、プロセッサ101、プロセッサ121の一部として形成可能である。
【0197】
たとえば、図2及び図4の実施形態は、シンク・デバイス2により供給される電力をソース・デバイス1に伝えるために、+5Vラインを用いることに関連してのみ論じられている。NCラインが5ボルト又は接地を伝えるために用いられる実施形態には、E−EDIDレジスタを用いる通信が説明されている。当業者が十分理解するところである様に、NCラインを図2及び図4の実施形態と組み合わせて使用することもまた可能である。そのような組み合わせは当業者でできることである。
【0198】
たとえば、HDMI標準の将来バージョンが、適応できる規定のケーブル内の他のラインを、電力供給を担うことができる様にするようなことになれば、問題なく、本技術をそれらのラインに拡張することができるであろう。これは、単に、上述した切替え回路をそれらの新しいラインを包含する様に適応させることに係わるであろう。
【0199】
ソース・デバイス1に対して説明された電流測定技術は、+5Vラインと接地GNDとの間に接続された抵抗を用いる。抵抗が接続されている間、電力は消費されるであろう。したがって、抵抗は測定の間だけ接続されることが条件になっている。それ故、周期的な測定が説明されている。利用できる電流を測定するための他の方法が存在する。ほとんど電力を消費しない技術を見出すことができれば、これは、シンク・デバイス2の場合に説明されている様に、連続監視で採用されることができよう。
【0200】
実施形態は、区別されるものとして提示されている。好都合なことに、ソース・デバイス1及びシンク・デバイス2は、2つ以上の実施形態に従い拡張されることができ、この様にしてそれらの互換性を広げることができよう。
【0201】
HDMIインタフェースにおけるDC電力線(+5Vライン)を、HDMI標準の現行バージョンと同様に、5ボルトであると見なして説明した。この値が、標準の将来リリースにより変更されるようなことになれば、当業者はこれを考慮して、原理及び実施形態を適応させることができるであろう。
【0202】
HDMI標準が、制御線(DDC)を用いるプロトコル以外に、ソース・デバイスとシンク・デバイスの間での通信プロトコルを網羅することになれば、実施形態とともにHDMI標準を用いることができる様にするには、軽微な適応で十分であろう。たとえば、映像/音声以外のデータの通信が無線リンクを用いてなされることが可能となろう。ここでは、ソース・デバイス1に電力を提供する、シンク・デバイス2の能力に関する情報が、そのような無線リンクにより渡されることができよう。
【0203】
本発明の少なくとも1つの説明に役立つ実施形態を、この様に説明していて、様々な変更、修正及び改良が、当業者には直ぐに思い浮かぶであろう。そのような変更、修正及び改良は、本発明の精神及び範囲内にあることを意図している。したがって、上記記載は例としてのみであり、限定することを意図していない。本発明は以下の特許請求の範囲及びその均等物で定義されることでのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HDMIケーブル(3)経由でシンク・デバイス(2)と通信する様に構成されたソース・デバイス(1)であって、
内部回路(103)と、
前記シンク・デバイスが前記HDMIケーブルのライン(+5V)に電流を供給できるかを検証する様に構成されたハンドシェイキング回路(104、105、108、109、S2b)と、
前記ラインに電力を供給するための内部電源(106)と、
前記内部電源を前記ラインから切り離し、かつ、前記内部回路を前記ラインに接続することができる切替回路(S1、S2a)と、
を備えていることを特徴とするソース・デバイス。
【請求項2】
前記ハンドシェイキング回路は、前記ラインの前記電流の利用可能性を検証するために、前記HDMIケーブルの前記ラインの電流レベルを測定できる、
ことを特徴とする請求項1に記載のソース・デバイス。
【請求項3】
前記ハンドシェイキング回路は、さらに、前記ソース・デバイスと前記シンク・デバイスの両方のデバイスが、前記ラインの電力供給に関して互換性があることを確かめるために、前記ライン経由で前記シンク・デバイスとパルス列を交換する動作が可能である、
ことを特徴とする請求項2に記載のソース・デバイス。
【請求項4】
前記HDMIケーブル経由での接続が存在することを互いに判定するために前記ソース・デバイス及び前記シンク・デバイスにより用いられるライン(HPD)を、論理的ハイ及び論理的ローに駆動できる回路(107)をさらに備えている、
ことを特徴とする請求項2に記載のソース・デバイス。
【請求項5】
HDMIケーブル経由でソース・デバイスと通信する様に構成されたシンク・デバイスであって、
電源(123)と、
前記シンク・デバイスが前記HDMIケーブルのラインに電流を供給可能であることを示すことができるハンドシェイキング回路(126、125、124)と、
前記電源を前記ラインに接続できる回路(S3)と、
を備えていることを特徴とするシンク・デバイス。
【請求項6】
前記ソース・デバイスが前記ラインから電力を取り出していることを検査するために、前記ラインから取り出される電流を測定できる、
ことを特徴とする請求項5に記載のシンク・デバイス。
【請求項7】
前記ハンドシェイキング回路は、さらに、前記ソース・デバイスと前記シンク・デバイスの両方のデバイスが、前記ラインの電力供給に関して互換性があることを確かめるために、前記ライン経由で送信されるパルス列を前記ソース・デバイスと交換する動作が可能である、
ことを特徴とする請求項5に記載のシンク・デバイス。
【請求項8】
前記シンク・デバイスは、E−EDIDレジスタ(B0、B1−Bn、Be、BM)を備えており、
前記ハンドシェイキング回路は、前記シンク・デバイスが前記ラインに電流を供給する能力を示すメモリ位置(Byte n)を含む前記E−EDIDレジスタ内のメモリ・ブロック(Be、BM、BDE)を使用する、
ことを特徴とする請求項5に記載のシンク・デバイス。
【請求項9】
前記シンク・デバイスが前記ラインに電流を供給できる時間の長さを示すメモリ位置(Byte p、Byte p+1−p+5)と、
前記シンク・デバイスが前記ラインに供給できる最大電流を示すメモリ位置(Byte n+1−n+5)と、
をさらに備えている、
ことを特徴とする請求項8に記載のシンク・デバイス。
【請求項10】
第2の電源を有するシンク・デバイスとHDMIケーブル経由で通信するために、第1の電源を含むソース・デバイス内の回路に電力を供給するための方法であって、
前記シンク・デバイスが前記HDMIケーブル経由で電流を供給する能力を検証するステップと、
前記第2の電源を前記HDMIケーブルのラインに接続するステップと、
前記第1の電源を前記ラインから切り離すステップと、
前記回路を前記ラインに接続するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記シンク・デバイスが前記ラインに供給する電流を、前記ソース・デバイスが測定するステップと、
前記測定した電流が第1の閾値より少ないと、前記ソース・デバイスが、前記回路を前記ラインから切り離し、前記第1の電源を前記ラインに接続するステップと、
前記ソース・デバイスが前記ラインから取り出す電流を、前記シンク・デバイスが測定するステップと、
前記ソース・デバイスが取り出す、前記測定した電流が第2の閾値より少ないと、前記シンク・デバイスが、前記第2の電源を前記ラインに接続し、前記HDMIケーブル経由の接続の存在を検出するために、前記ラインを前記ソース・デバイス及び前記シンク・デバイスが使用するラインに接続するステップと、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記シンク・デバイスが電流を供給する能力を検証する前記ステップは、さらに、
前記ソース・デバイスが、前記シンク・デバイスに向けて前記ラインに一連のパルスを送信するステップと、
前記シンク・デバイスが、前記一連のパルスを受信し、前記受信に応答して、前記ソース・デバイスに向けて前記ラインに一連のパルスを送信するステップと、
前記シンク・デバイスが前記ラインに電流を供給できることを確かめるために、前記ソース・デバイスが前記一連のパルスを検査するステップと、
を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記シンク・デバイスが電流を供給する能力を検証する前記ステップは、さらに、
前記ソース・デバイスが、前記シンク・デバイスにあるE−EDIDレジスタの内容を受信することを要求するステップと、
前記シンク・デバイスが前記ラインに電流を供給できることを示す情報を、前記E−EDIDレジスタの内容が含んでいるかを前記ソース・デバイスが検証するステップと、
を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記シンク・デバイスが電流を供給する能力を検証する前記ステップは、さらに、
前記ソース・デバイスが、前記シンク・デバイスから利用できる最大電流を決定するステップを含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記シンク・デバイスが電流を供給する能力を検証する前記ステップは、さらに、
前記ソース・デバイスが、前記シンク・デバイスからの電流を利用できる時間の長さを決定するステップを含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−524317(P2012−524317A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505245(P2012−505245)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【国際出願番号】PCT/IB2009/052794
【国際公開番号】WO2010/119308
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511094646)エスティー‐エリクソン グレノーブル エスエーエス (3)
【氏名又は名称原語表記】ST−ERICSSON GRENOBLE SAS
【住所又は居所原語表記】12, rue Jules Horowitz, 38000 Grenoble France
【Fターム(参考)】