説明

HLAクラスII分子により提示されるMAGE−A1ペプチド

【課題】HLAクラスII分子を結合する単離MAGE−A1ペプチドおよびこのようなペプチドの機能的変異体を提供する。
【解決手段】MAGE−A1腫瘍関連遺伝子によりコードされるHLAクラスII結合ペプチド、ならびにこのようなペプチドをコードする核酸およびそれらに関連する抗体。このペプチドは、CD4Tリンパ球の活性および増殖を刺激する。MAGE−A1遺伝子の発現を特徴とする症状を診断、および治療するための方法および製品に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HLAクラスII分子によりTリンパ球と結合し、これに提示される腫瘍関連遺伝子産物MAGE−A1の断片に関する。ペプチド、このようなペプチドをコードする核酸分子、ならびに関連抗体およびCD4Tリンパ球は、とりわけ診断および治療情況において有用である。
【背景技術】
【0002】
哺乳類免疫系が外来または異質物質を認識し、それと反応する過程は複雑である。系の重要な一面はT細胞応答であり、これは、CD4またはCD8細胞表面タンパク質に対して陽性である成熟Tリンパ球を一部包含する。T細胞は、ヒト白血球抗原(「HLA」)または主要組織適合性複合体(「MHC」)と呼ばれるペプチドおよび分子の他の細胞上の細胞表面複合体を介して他の細胞を認識し、それと相互作用し得る。ペプチドは、HLA/MHC分子も提示する細胞によりプロセシングされる大型分子に由来する(Male et al., Advanced Immunology(J.P. Lipincott Company, 1987)、特に6〜10章を参照)。T細胞とHLA/ペプチドの複合体との相互作用は制限され、HLA分子とペプチドの特定の複合体に対する特異的T細胞を要する。特異的T細胞が存在しない場合には、その相手複合体が存在する場合でもT細胞応答は認められない。同様に、特定の複合体が存在しないが、しかしT細胞は存在する場合、応答は認められない。上記のメカニズムは、外来物質に対する免疫系の応答に、自動免疫病理学におよび細胞異常に対する応答に関与する。
【0003】
外来抗原に対するT細胞応答は、細胞溶解性Tリンパ球およびヘルパーTリンパ球の両方を含む。CD8細胞傷害性または細胞溶解性T細胞(CTL)は、活性時にHLAクラスI分子により提示される適切な抗原を提示する細胞を溶解するT細胞である。CD4Tヘルパー細胞は、それらの表面のHLAクラスII分子により適切な抗原を提示するマクロファージおよび抗原提示B細胞を刺激するためにサイトカインを分泌するT細胞である。
【0004】
T細胞が異質物質を認識するメカニズムは、癌にも関係があるとされてきた。自系黒色腫に対して向けられる多数の細胞溶解性Tリンパ球(CTL)クローンが記載されている。いくつかの場合、これらのクローンにより認識される抗原が特性化されている。De Plaen et al., Immunogenetics 40:360-369(1994)には、腫瘍特異的抗原をコードする遺伝子の一ファミリーである「MAGE」ファミリーが記載されている(PCT出願PCT/US92/04354(1992年11月26日公開)も参照)。これらの遺伝子の発現産物はペプチドにプロセシングされ、次にこれが細胞表面に提示される。これは、特異的CTLによる腫瘍細胞の溶解をもたらし得る。本遺伝子は、「腫瘍拒絶抗原前駆体」または「TRAP」分子をコードするといわれており、そしてそれに由来するペプチドは、「腫瘍拒絶抗原」または「TRA」と呼ばれる(このファミリーの遺伝子に関するさらなる情報については、Traversari et al., Immunogenetics 35:145(1992); van der Bruggen et al., Science 254:1643(1991)を参照)。米国特許第5,342,774号も参照されたい。
【0005】
米国特許第5,405,940号では、HLA−A1分子により提示されるMAGEノナペプチドが教示される。特定のHLA分子に関する特定のペプチドの既知の特異性が示された場合は、あるHLA分子を結合するが、他のものは結合しない特定のペプチドを予測し得る。これは、異なる個体は異なるHLA表現型を有するため、重要である。その結果、特定のHLA分子に対する相手であるとの特定のペプチドの同定は診断的および療法的問題を有するが、これらは特定のHLA表現型を有する個体に関して当てはまるに過ぎない。細胞異常はある特定のHLA表現型に制限されず、標的化療法は問題となっている異常細胞の表現型の何らかの知識を要するため、当領域でのさらなる研究が必要とされている。
【0006】
米国特許第5,591,430号においては、HLA−A2分子により提示されるさらに別の単離MAGE−A3ペプチドが教示される。したがって、所定のTRAPは複数のTRAを産生し得る。
【0007】
上記の参考文献は、HLAクラスI分子により提示される腫瘍拒絶抗原の単離および/または特性化を記載する。これらのTRAは、TRAをコードする腫瘍関連遺伝子(例えば、MAGE遺伝子)を発現する腫瘍細胞を認識するCD8細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の活性化および増殖を誘導し得る。
【0008】
抗腫瘍免疫におけるCD4Tリンパ球(ヘルパーT細胞)の重要性は、これらの細胞が協同的およびエフェクター機能に役立つだけでなく、免疫記憶を保持するのにも重要である動物モデルにおいて実証されている(Topalian, Curr. Opin. Immunol. 6:741-745, 1994により再検討されている)。さらに、いくつかの研究は、貧腫瘍特異的免疫はTヘルパー細胞の不適切な活性化のためであるという主張を支持している。
【0009】
MAGE−A3およびチロシナーゼ遺伝子は、HLAクラスII分子により提示されてCD4Tリンパ球を刺激するペプチドをコードするということが、近年実証された(PCT/US98/18601;Topalian et al., 1994; Yee et al., J. Immunol. 157:4079-4086, 1996; Topalian et al., J. Exp. Med. 183:1965-1971, 1996)。
【0010】
多数の癌関連抗原を用いる場合と同様に、MAGE−A3およびチロシナーゼは限定パーセンテージの腫瘍において、ならびにある種類の腫瘍において発現される。さらに、MAGE−A3およびチロシナーゼMHCクラスII結合ペプチドは、特定のHLA分子を発現する細胞によってのみ認識されるHLA制限ペプチドである。
【0011】
したがって、患者の腫瘍がMAGE−A3およびチロシナーゼを発現しないために、または患者がMAGE−A3またはチロシナーゼペプチドを提示するための適切なHLA分子を発現しないために、前に記載されたMAGE−A3およびチロシナーゼペプチドによるヘルパーT細胞刺激を含む任意の療法から利益を得ない多数の患者が存在する。したがって、MHCクラスII分子により提示され、CD4リンパ球により認識されるエピトープを含有するさらに別の腫瘍関連抗原の同定の必要がある。
【発明の開示】
【0012】
MAGE−A1遺伝子は、HLAクラスII結合ペプチドである付加的腫瘍拒絶抗原をコードするということが、ここに発見された。これらのペプチドは、HLAクラスII分子を有する抗原提示細胞により提示されると、CD4Tリンパ球の活性化および増殖を有効に誘導する。
【0013】
本発明は、HLAクラスII分子を結合する単離MAGE−A1ペプチドおよびこのようなペプチドの機能的変異体を提供するが、機能的変異体は、MAGE−A1ペプチド配列の1つまたはそれ以上のアミノ酸付加、置換または欠失を含む。本発明は、このようなペプチドをコードする単離核酸分子、それらの核酸分子を含有する発現ベクター、それらの核酸分子でトランスフェクトされる宿主細胞、ならびにそれらのペプチドおよびペプチドとHLAクラスII抗原提示分子の複合体に対する抗体も提供する。ペプチドとHLAクラスII抗原提示分子の複合体を認識するTリンパ球も提供される。上記の分子を含有するキットおよびワクチン組成物も付加的に提供される。上記のものは、MAGE−A1の発現を特徴とする症状の診断または治療に用いられ得る。MAGEファミリーのポリペプチドの成員およびMAGE関連遺伝子を含む核酸は有意の配列同一性および機能的相同を共有することが既知である(例えば、腫瘍抗原および前駆体のように)ので、本発明は、MAGE−A1以外のMAGEおよびMAGE−Aファミリーの成員由来の構造的関連HLA結合ペプチドも包含する。例えば、本明細書中に開示されたMAGE−A1ペプチドと同様のアミノ酸配列は、MAGE−A4タンパク質に見出される。したがって、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチド、このようなペプチドを含有する組成物ならびにこのようなペプチドの同定および使用方法についての本明細書中に含入された開示は、MAGE腫瘍関連抗原ファミリーの他の成員にも当てはまる、と理解される。
【0014】
本発明の一態様によれば、HLAクラスII分子を結合する配列番号2のアミノ酸配列の断片、または1つまたはそれ以上のアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含む単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが提供される。MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、本発明のこの態様においては、全MAGE−A1タンパク質を含まない。一実施形態における単離ペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列またはその機能的変異体を含む。ある種の実施形態では、単離HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。好ましい実施形態では、単離ペプチドは上記のアミノ酸配列の1つからなる。ある種の実施形態では、単離ペプチドは、エンドソームターゲッティングシグナル、好ましくはヒト不変鎖IiまたはLAMP−1のエンドソームターゲッティング部分を含む。本発明の他の実施形態では、単離HLAクラスII結合ペプチドは、非加水分解性である。好ましい非加水分解性ペプチドは、D−アミノ酸を含むペプチド、−psi[CHNH]−還元化アミドペプチド結合を含むペプチド、−psi[COCH]−ケトメチレンペプチド結合を含むペプチド、−psi[CH(CN)NH]−(シアノメチレン)アミノペプチド結合を含むペプチド、−psi[CHCH(OH)]−ヒドロキシエチレンペプチド結合を含むペプチド、−psi[CHO]−ペプチド結合を含むペプチドおよび−psi[CHS]−チオメチレンペプチド結合を含むペプチドからなる群から選択される。
【0015】
本発明の別の態様によれば、単離MAGE−A1 HLAクラスI結合ペプチドおよび単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを含む組成物が提供される。ある種の実施形態では、MAGE−A1 HLAクラスI結合ペプチドおよびMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、ポリトープポリペプチドとして併合される。他の実施形態では、組成物中の単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列またはその機能的変異体を含む。好ましくは、組成物中の単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。さらに好ましくは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。上記の組成物のある種の実施形態では、単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、エンドソームターゲッティングシグナルを含む。好ましくは、エンドソームターゲッティングシグナルは、ヒト不変鎖IiまたはLAMP−1のエンドソームターゲッティング部分を含む。
【0016】
本発明の別の態様によれば、上記のHLA−クラスII結合ペプチドのいずれかをコードする単離核酸が提供される。本発明のこの態様に関しては、核酸分子は、全MAGE−A1タンパク質をコードしない。核酸分子は、HLAクラスII結合ペプチドおよび1つまたはそれ以上の付加的アミノ酸をコードでき、好ましくはこれらのアミノ酸は、HLAクラスII結合ペプチドに隣接するMAGE−A1アミノ酸である。したがって、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15またはそれ以上で、好ましくはHLAクラスII結合ペプチドの末端からMAGE−A1タンパク質のアミノ末端および/またはカルボキシル末端までのアミノ酸よりアミノ酸が1個少ないアミノ酸までをコードするヌクレオチド配列が、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドをコードする核酸分子の一端または両端に付加され得る。好ましくは核酸は配列番号12を含む。
【0017】
本発明のさらに別の態様によれば、発現ベクターが提供される。発現ベクターは、プロモーターと操作可能的に連結される上記の単離核酸のいずれかを含む。好ましい実施形態では、核酸は、配列番号12を含む。他の実施形態では、発現ベクターは、HLA−DRB115分子をコードする核酸をさらに含む。
【0018】
本発明のさらに別の態様によれば、上記の発現ベクターのいずれかでトランスフェクトされるかまたは形質転換される宿主細胞が提供される。HLA−DRB115分子を発現し、かつ上記の発現ベクターのいずれかでトランスフェクトされるかまたは形質転換される宿主細胞も提供される。
【0019】
本発明の別の態様によれば、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドに特異的なCD4Tリンパ球でTリンパ球の集団を選択的に高濃度化(enrich)するための方法が提供される。本方法は、CD4Tリンパ球でTリンパ球の単離集団を選択的に高濃度化するのに十分な量でMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドおよびHLAクラスII分子の複合体を提示する因子とTリンパ球の単離集団を接触させる過程を包含する。ある種の実施形態では、因子は、MAGE−A1タンパク質またはそのHLAクラスII結合断片と接触した抗原提示細胞である。好ましい実施形態では、HLAクラスII分子はHLA−DRB115分子であり、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは配列番号7のアミノ酸配列またはその機能的変異体を有するペプチドである。さらに好ましくは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4または配列番号7のアミノ酸配列を含む。上記の方法のある種の実施形態では、単離MAGE−A1タンパク質またはそのHLAクラスII結合ペプチドは、エンドソームターゲッティングシグナルを含む。好ましくは、エンドソームターゲッティングシグナルは、ヒト不変鎖IiまたはLAMP−1のエンドソームターゲッティング部分を含む。
【0020】
本発明のさらなる態様によれば、MAGE−A1の発現を特徴とする障害の診断方法が提供される。本方法は、対象から単離された生物学的試料をMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドに特異的である因子と接触させる過程と、因子とMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドとの間の相互作用を障害の鑑定として確定する過程と、を包含する。いくつかの実施形態における生物学的試料は、例えば腫瘍細胞溶解物を装入された樹状細胞である。ある種の実施形態では、ペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列またはその機能的変異体を包含する。好ましい実施形態では、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4または配列番号7のいずれかのアミノ酸配列を含むペプチドである。さらに好ましくは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4または配列番号7のアミノ酸配列からなる。
【0021】
本発明の別の態様によれば、HLAクラスII分子との複合体を形成するMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの発現を特徴とする障害の診断方法が提供される。本方法は、対象から単離された生物学的試料を複合体を結合する因子と接触させる過程と、複合体および因子間の結合を障害の鑑定として確定する過程と、を包含する。いくつかの実施形態では、HLAクラスII分子はHLA−DRB115分子であり、そしてMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは配列番号7のアミノ酸配列またはその機能的変異体を含む。好ましくは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4または配列番号7のいずれかのアミノ酸配列を含むペプチドである。さらに好ましくは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4または配列番号7のアミノ酸配列からなる。
【0022】
MAGE−A1の発現を特徴とする障害を有する対象の治療方法が、本発明の別の態様で提供される。本方法は、障害を改善するのに十分な量のMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを対象に投与する過程を包含する。ある種の実施形態では、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列またはその機能的変異体を含む。好ましくは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4または配列番号7のいずれかのアミノ酸配列を含むペプチドである。さらに好ましくは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4または配列番号7のアミノ酸配列からなる。ある種の実施形態では、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、エンドソームターゲッティングシグナル、好ましくはヒト不変鎖IiまたはLAMP−1のエンドソームターゲッティング部分を含む。
【0023】
本発明のさらに別の態様によれば、MAGE−A1の発現を特徴とする障害を有する対象の治療方法が提供される。本方法は、障害を改善するのに十分な量のMAGE−A1 HLAクラスI結合ペプチドおよびそれに十分な量のMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを対象に投与する過程を包含する。ある種の実施形態では、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列またはその機能的変異体を含む。好ましくはMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4または配列番号7のいずれかのアミノ酸配列を含むペプチドである。さらに好ましくは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4または配列番号7のアミノ酸配列からなる。上記の方法のある種の実施形態では、MAGE−A1 HLAクラスI結合ペプチドおよびMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、ポリトープポリペプチドとして組合される。さらに他の実施形態では、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドはエンドソームターゲッティングシグナル、好ましくはヒト不変鎖IiまたはLAMP−1のエンドソームターゲッティング部分を含む。
【0024】
本発明のさらに別の態様によれば、MAGE−A1の発現を特徴とする障害を有する対象の治療方法が提供される。本方法は、障害を改善するのに十分な量の、HLAクラスII分子とMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの複合体の存在を対象中で選択的に高濃度化する因子を対象に投与する過程を包含する。好ましくは、HLAクラスII分子はHLA−DRB115分子である。ある種の実施形態では、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列またはその機能的変異体を包含する。好ましくは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4または配列番号7のいずれかのアミノ酸配列を含むペプチドである。さらに好ましくは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4または配列番号7のアミノ酸配列からなる。ある種の実施形態では、因子は、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを含む。好ましくは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、エンドソームターゲッティングシグナルを含む。好ましいエンドソームターゲッティングシグナルは、ヒト不変鎖IiまたはLAMP−1のエンドソームターゲッティング部分を含む。
【0025】
MAGE−A1の発現を特徴とする障害を有する対象のさらに別の治療方法が、本発明の別の態様において提供される。本方法は、障害を改善するのに十分な量の自系CD4Tリンパ球を対象に投与する過程を包含し、この場合、CD4Tリンパ球はHLAクラスII分子とMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの複合体に特異的である。好ましくは、HLAクラスII分子はHLA−DRB115分子である。ある種の実施形態では、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列またはその機能的変異体を含む。好ましくは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4または配列番号7のいずれかのアミノ酸配列を含むペプチドである。さらに好ましくは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4または配列番号7のアミノ酸配列からなる。
【0026】
本発明の別の態様によれば、単離ポリペプチドが提供される。単離ポリペプチドは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチド、好ましくは配列番号7を含むエピトープを選択的に結合するが、但し、単離ポリペプチドはHLAクラスII分子ではない。ある種の実施形態では、単離ポリペプチドは抗体であり、好ましくはモノクローナル抗体である。他の実施形態では、単離ポリペプチドは、Fab断片、F(ab)断片またはMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドに対して選択的なCDR3領域を含む断片からなる群から選択される抗体断片である。
【0027】
本発明のさらに別の態様によれば、単離CD4Tリンパ球が提供される。単離CD4Tリンパ球は、HLAクラスII分子とMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの複合体を選択的に結合する。好ましくは、HLAクラスII分子は、HLA−DRB115分子である。いくつかの実施形態では、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列またはその機能的変異体を含む。好ましくは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4または配列番号7のいずれかのアミノ酸配列を含むペプチドである。さらに好ましくは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4または配列番号7のアミノ酸配列からなる。
【0028】
本発明のさらに別の態様によれば、単離抗原提示細胞が提供される。単離抗原提示細胞は、HLAクラスII分子とMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの複合体を含む。好ましくは、HLAクラスII分子は、HLA−DRB115分子である。ある種の実施形態では、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列またはその機能的変異体を含む。好ましい実施形態では、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4または配列番号7のいずれかのアミノ酸配列を含むペプチドである。さらに好ましくは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4または配列番号7のアミノ酸配列からなる。
【0029】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの機能的変異体の同定方法が、本発明の別の態様により提供される。本方法によれば、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチド、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを結合するHLAクラスII結合分子、ならびにHLAクラスII結合分子により提示されるMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドにより刺激されるT細胞が選択される。MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの第一アミノ酸残基が、変異体ペプチドを調製するために突然変異化される。HLAクラスII結合分子との変異体ペプチドの結合およびT細胞の刺激が次に確定されるが、この場合、HLAクラスII結合分子との変異体ペプチドの結合およびHLAクラスII結合分子により提示される変異体ペプチドによるT細胞の刺激は、変異体ペプチドが機能的変異体であることを示す。好ましい実施形態では、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。さらに好ましくは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4または配列番号7のいずれかのアミノ酸配列を含むペプチドである。さらに好ましくは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号3、配列番号4または配列番号7のアミノ酸配列からなる。ある種の実施形態では、本方法は、機能的変異体によるT細胞の刺激の有効性の鑑定としてMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドによるT細胞の刺激および機能的変異体によるT細胞の刺激を比較する過程をさらに包含する。他の実施形態では、本方法は、基質として変異体ペプチドを用いる機能的変異体の同定プロセスを反復する過程を包含する。これらの方法は、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの第二アミノ酸残基を突然変異化して(変異体ペプチドの突然変異化以外)、第2の変異体ペプチドを調製する過程を包含する。次に、HLAクラスII結合分子との第2の変異体ペプチドの結合およびT細胞の刺激が、第1の変異体ペプチドに関するのと同様に確定される。本プロセスは、機能が毎回試験される限り、第2の変異体ペプチド等を用いて反復され得る。各反復は、基質ペプチドに関して1アミノ酸差を有する変異体ペプチドを生成する。1つより多いアミノ酸残基が各反復時に突然変異化されるさらに別の方法も包含されるが、このような方法も、ペプチド、例えばHLAクラスII結合分子の機能および/またはT細胞の刺激を確定する過程を包含する。
【0030】
本発明は、上記のまたは明細書を通して記載された薬剤のいずれか1つまたはそれ以上を含有する製剤調製物も提供する。このような製剤調製物は、製薬上許容可能な希釈担体または賦形剤を含み得る。
【0031】
薬剤、特に癌の治療のための薬剤の調製における上記の組成物、ペプチドおよび核酸の使用も提供される。
【0032】
本発明のこれらのおよびその他の目的は、本発明の詳細な説明に関連してさらに詳細に説明される。
【0033】
発明の詳しい説明
本発明は、HLAクラスII分子により提示される単離MAGE−A1ペプチドであって、CD4Tリンパ球の増殖および活性化を刺激するペプチドを提供する。このようなペプチドは、本明細書中では、「MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチド」、「HLAクラスII結合ペプチド」および「MHCクラスII結合ペプチド」と呼ばれる。MAGE−A1(配列番号1および2)は、MAGE−1としても既知である。それゆえ、本発明の一態様は、配列番号7のアミノ酸配列を含む単離ペプチドである。クラスIにより提示されるペプチドならびにクラスIIにより提示される抗原性ペプチドの使用は、療法的抗腫瘍予防接種の効力を改善し得る。さらに、HLAクラスII分子により提示される抗原についての知識は、腫瘍抗原をコードする全遺伝子を保有するタンパク質によりまたは組換え体ウイルスにより免疫感作された癌患者の免疫応答の評価のために有用であるであろう。
【0034】
以下の実施例は、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドであるペプチドの単離を示す。これらの例示的ペプチドは、配列番号1の核酸のプロセシング化翻訳産物である。そういうものとして、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが提示のための最終形態にプロセシングされる翻訳産物は、それらが1つまたはそれ以上のMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを包含する限り、任意の長さまたは配列のものであり得る、と当業者に理解されるであろう。以下の実施例で実証されるように、12アミノ酸という小さいならびにMAGE−A1タンパク質(配列番号2)のアミノ酸配列という大きいペプチドまたはタンパク質は、適切にプロセシングされ、HLAクラスII分子により提示され、そしてCD4Tリンパ球を刺激するのに有効である。MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチド、例えば配列番号3、配列番号4または配列番号7のペプチドは、一端または両端に付加された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のアミノ酸を有し得る。このようなペプチドの抗原性部分は、HLAクラスII分子による提示のために生理学的条件下で切り取られる。HLAクラスIIペプチド長は約10アミノ酸〜約30アミノ酸の間で変動し得るということも当業界で周知である(Engelhard, Ann. Rev. Immunol. 12:181-201, 1994)。HLAクラスII結合ペプチドのほとんどが、12〜19アミノ酸の長さの範囲内にある。繰込み組のHLAクラスII結合ペプチドが同定されており、この場合、ペプチドは、コア配列を共有するが、しかしアミノおよび/またはカルボキシル末端に異なるアミノ酸を有する(例えば、実施例ならびにChicz et al., J. Exp. Med. 178:27-47, 1993を参照)。本明細書中に開示されたペプチドより少ないアミノ酸を有するMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドも、本発明に含まれる。したがって、付加的MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドならびにMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドと相同のMAGEファミリーHLAクラスII結合ペプチドは、本明細書中に記載した手法にしたがって当業者により同定され得る。
【0035】
ポリペプチドに関して本明細書中で用いる場合、「単離された」とは、そのネイティブ環境から分離され、その同定または使用を可能にするのに十分な量で存在することを意味する。単離されたとは、タンパク質またはポリペプチドを指す場合、例えば、(i)発現クローニングにより選択的に産生され、あるいは(ii)例えばクロマトグラフィーまたは電気泳動により精製されることを意味する。単離タンパク質またはポリペプチドは実質的に純粋であるが、そうである必要はない。「実質的に純粋」という用語は、タンパク質またはポリペプチドが、それらが天然にまたはin vivo系で、それらの意図された使用のために実際的および適切な程度に見出され得るその他の物質を本質的に含有しないことを意味する。実質的に純粋なポリペプチドは、当業界で周知の技法により産生され得る。単離タンパク質は製薬上許容可能な担体とともに製剤調製物中に混和され得るため、タンパク質は小重量%の調製物のみを含み得る。タンパク質は、それが生きている系に関連し得る物質から分離されるという点で、それでもなお単離され、即ち、他のタンパク質から単離される。
【0036】
実施例に記載された手法は、MAGEファミリーHLAクラスII結合ペプチドを同定するために利用され得る。したがって、細胞をMAGEポリペプチドに接触させることにより、または当該MAGEタンパク質の発現を指図する核酸分子を細胞に導入することにより、例えば抗原提示細胞、例えば正常血液ドナーの樹状細胞に組換え体MAGEタンパク質(またはその断片)を装入し得る。次に、抗原提示細胞を用いて、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを認識する特定のCD4リンパ球の活性化および増殖をin vitroで誘導し得る。次に、例えばCD4リンパ球の活性化および増殖を刺激するために用いられるMAGEタンパク質のペプチド断片で細胞を刺激することにより、実施例に記載したように、ペプチドの配列が確定され得る。あるいは、MAGEタンパク質由来のペプチドを抗原提示細胞に装入し得る。例えば、HLAクラスII分子を結合するためのコンセンサスアミノ酸配列を基に、候補HLAクラスII結合ペプチドであるMAGEファミリータンパク質由来のペプチド配列を予測し得る。この点では、例えば、国際出願PCT/US96/03182およびPCT/US98/01373を参照されたい。HLAクラスII結合ペプチドを選択するためのコンピューターソフトウェアも利用可能である(TEPITOPE;Sturniolo et al., Nature Biotechnol. 17:555-561, 1999; Manici et al., J. Exp. Med. 189:871-876, 1999)。このように選択されたペプチドは、特定のCD4リンパ球を誘導するために、ならびにペプチドの同定のために、本明細書中に記載した検定中で用いられ得る。HLAクラスII結合のためのペプチドを選択および試験するさらに別の方法は、当業界で周知である。
【0037】
上記のように、本発明は、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの機能的変異体を包含する。本明細書中で用いる場合、HLAクラスII結合ペプチドの「機能的変異体」または「変異体」とは、HLAクラスII結合ペプチドの一次アミノ酸配列に対して1つまたはそれ以上の修飾を含有し、本明細書中に開示されたHLAクラスIIおよびT細胞受容体結合特性を保持するペプチドである。MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチド機能的変異体を作製する修飾は、例えば、1)MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの特性、例えば発現系でのペプチド安定性またはHLA−ペプチド結合のようなタンパク質−タンパク質結合の安定性を強化するために、2)MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドに対する新規の活性または特性、例えば抗原性エピトープの付加または検出可能部分の付加を提供するために、あるいは3)同一または類似のT細胞刺激特性を生じる異なるアミノ酸配列を提供するためになされ得る。MAGE−A1(ならびにMAGEファミリー)HLAクラスII結合ペプチドに対する修飾は、ペプチドをコードする核酸に対してなされることができ、その例としては、欠失、点突然変異、切頭化、アミノ酸置換およびアミノ酸の付加が挙げられる。あるいは、修飾は、例えば開裂、リンカー分子の付加、検出可能部分(例えばビオチン)の付加、脂肪酸の付加、あるアミノ酸の別のアミノ酸による置換等により、ポリペプチドに対して直接なされ得る。変異体は、無作為ペプチドあるいは1つまたはそれ以上の位置に置換を含むMAGEペプチドの配列を基礎にしたペプチドであり得るペプチドのライブラリーからも選択され得る。例えば、ペプチドライブラリーは、HLAクラスII分子に結合されたMAGEペプチドの複合体との競合検定に用いられ得る(例えば、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを装入された樹状細胞)。HLAクラスII分子とのMAGEペプチドの結合に関して競合するペプチドは、シーケンシングされ、他の検定に用いられて(例えばCD4リンパ球増殖)、MAGEペプチド機能的変異体としての適合性を確定され得る。他の機能的変異体としては、ペプチド模倣化合物が挙げられる。ペプチド模倣物は、HLAクラスII結合のために調製され、試験されて(Falcioni et al., Nature Biotechnol. 17:562-567, 1999を参照)、次にCD4T細胞の刺激に関して試験され得る。
【0038】
修飾は、MAGE HLAクラスII結合ペプチドアミノ酸配列の全部または一部を含む融合タンパク質、例えば不変鎖−MAGE−A1融合タンパク質も包含する。したがって本発明は、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドおよびエンドソームターゲッティングシグナル、例えばヒト不変鎖(Ii)またはLAMP−1を含む融合タンパク質を包含する。ヒト不変鎖のエンドソームターゲッティング部分とMAGE−A1との融合は、HLAクラスIIペプチド提示経路に対するMAGE−A1の効率的ターゲッティングを引き起こす。ヒト不変鎖またはその他のターゲッティングポリペプチドの「エンドソームターゲッティング部分」とは、第2のポリペプチドに融合または接合された場合に、第2のポリペプチドのエンドソーム局在化を増大する分子の部分である。したがって、エンドソームターゲッティング部分は、ヒト不変鎖Iiのようなターゲッティングポリペプチドの全配列または小部分のみを含み得る。当業者は、ターゲッティング分子のエンドソームターゲッティング部分を容易に確定し得る。付加的エンドソームターゲッティングシグナルは、当業者により同定され、MAGE−A1またはそのMAGE−A1 HLAクラスII結合部分に融合され、そしてルーチンにすぎない実験を用いてHLAクラスIIペプチド提示経路に対するターゲッティングに関して試験され得る。エンドソームターゲッティングシグナル部分およびHLAクラスII結合ペプチド部分を含む融合ポリペプチドの一例としては、公開済PCT出願PCT/US98/18601を参照されたい。
【0039】
MAGE HLAクラスII結合ペプチドのアミノ酸配列は、天然または非天然起源であり得る。即ち、それらは、天然MAGE HLAクラスII結合ペプチド分子を含み得るか、あるいはアミノ酸配列が、提示される場合にヘルパーT細胞を刺激する能力を保持し、HLA−DRB115分子のようなHLAクラスII分子との結合の特性を保持する限り、修飾化配列を含み得る。例えば、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、この情況においては、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドおよび非関連アミノ酸配列、配列番号3、4および7で示されるアミノ酸配列の合成ペプチド、標識化ペプチド、MAGE発現癌を有する患者から単離されたペプチド、MAGE−A1を発現する培養細胞から単離されたペプチド、非ペプチド分子に結合されたペプチド(例えばある種の薬剤送達系における)、ならびに配列番号3、配列番号4または配列番号7のアミノ酸配列を含むその他の分子を含む融合タンパク質であり得る。
【0040】
好ましくは、MAGE HLAクラスII結合ペプチドは、非加水分解性である。このようなペプチドを提供するために、1つまたはそれ以上のD−アミノ酸を含有するペプチドまたは1つまたはそれ以上の非加水分解性ペプチド結合連結アミノ酸を含有するペプチドのような非加水分解性ペプチドのライブラリーからMAGE HLAクラスII結合ペプチドを選択し得る。あるいは、CD4Tリンパ球を誘導するのに最適であるペプチドを選択し、次に、プロテアーゼによる加水分解のための能力を低減する必要がある場合にこのようなペプチドを修飾し得る。例えば、タンパク質分解性切断に対する感受性を確定するために、ペプチドは標識され、細胞抽出物または精製プロテアーゼとともにインキュベートされ、次に例えばペプチドおよびタンパク質分解性断片をシーケンシングすることにより、どのペプチド結合がタンパク質分解を蒙りやすいかを確定するために単離される。あるいは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドのアミノ酸配列をプロテアーゼのパネルの既知の切断部位特異性と比較することにより、感受性であるかもしれないペプチド結合が同定され得る。このような検定の結果に基づいて、タンパク質分解を蒙りやすい個々のペプチド結合は、ペプチドのin vitro合成により非加水分解性ペプチド結合に置換され得る。
【0041】
多数の非加水分解性ペプチド結合は、このような結合を含有するペプチドの合成のための手法とともに、当業界で既知である。非加水分解性結合としては、−psi[CHNH]−還元化アミドペプチド結合、−psi[COCH]−ケトメチレンペプチド結合、−psi[CH(CN)NH]−(シアノメチレン)アミノペプチド結合、−psi[CHCH(OH)]−ヒドロキシエチレンペプチド結合、−psi[CHO]−ペプチド結合および−psi[CHS]−チオメチレンペプチド結合が挙げられる。
【0042】
ペプチドの非ペプチド類似体、例えば構造安定化または生分解性減少を提供するものも意図される。ペプチド模倣類似体は、非ペプチド部分による1つまたはそれ以上の残基の置換による選定MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドに基づいて調製され得る。好ましくは、非ペプチド部分は、ペプチドにその天然配座を保持させ、または好ましい、例えば生物活性配座を安定化させる。このようなペプチドは、配座および/または活性に及ぼす置換(単数または複数)の影響を査定するために、分子または細胞ベースの結合検定で試験され得る。ペプチドからの非ペプチド模倣類似体の調製方法の一例は、Nachman et al., Regul. Pept. 57:359-370(1995)に記載されている。ペプチドは、本明細書中で用いる場合、上記のすべてを包含する。
【0043】
変異体が配列番号3、配列番号4または配列番号7のアミノ酸に対する変化を包含する場合、保存的アミノ酸置換、即ち電荷、疎水性、配座等のような元のアミノ酸の特性を保持する置換を有するMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの機能的変異体が典型的には好ましい。アミノ酸の保存的置換の例としては、以下の群内のアミノ酸間でなされる置換が挙げられる:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;および(g)E、D。
【0044】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの機能的変異体のその他の同定方法は、StromingerとWucherpfennigの公開済みPCT出願(PCT/US96/03182)で提供される。これらの方法は、考え得るエピトープが比較され得るアミノ酸配列モチーフの開発によっている。各モチーフは、各(相対的)位置の残基が、(a)単一残基に制限され、(b)制限組の残基の間での変更を可能にされ、または(c)すべての考え得る残基間での変更を可能にされ得る限定組のアミノ酸配列を説明する。例えばモチーフは、最初の位置の残基が残基バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニンまたはフェニルアラニンのいずれかであり、二番目の位置の残基はヒスチジンでなければならず、三番目の位置の残基は任意のアミノ酸残基であり、四番目の位置の残基は残基バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンのいずれかであり、そして五番目の位置の残基はリシンでなければならない、ということを明示する。
【0045】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチド機能的変異体に関する配列モチーフは、本明細書中に開示されたMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの主要組織適合性複合体HLA−DRタンパク質および/またはT細胞受容体(「TCR」)接触点の結合ドメインまたは結合ポケットの分析により開発され得る。HLAクラスII結合ポケットの形成に関与する残基の詳細な構造分析を提供することにより、任意のHLAクラスIIタンパク質とのMAGEペプチドの結合に関する配列モチーフの予測を成し得る。
【0046】
これらの配列モチーフを探索、評価または設計判定規準として用いて、特定のHLA分子との結合の、ならびにT細胞応答を誘導するためのT細胞受容体との相互作用の合理的可能性を有するペプチド(例えば、MAGE HLAクラスII結合ペプチド、特に本明細書中に開示されたMAGE−A1ペプチド、およびそれらの機能的変異体)の種類を同定し得る。これらのペプチドは合成され、本明細書中に記載されたような活性に関して試験され得る。これらのモチーフの使用は、純配列相同(抗原的に類似するが、しかし配列は全く別個である多数のペプチドを除外する)または無制限「保存的」置換を有する配列相同(重要な高保存部位で異なる多数のペプチドを許容する)と対照したものとして、疾患の治療において考え得る適用に関して当業者がペプチドを評価し得る方法を表す。
【0047】
StromingerとWucherpfennigのPCT出願、およびその出願に引用された参考文献(これらの記載内容は、参照により本明細書中に援用される)は、HLAクラスIIペプチドの残基を接触させるHLAクラスIIおよびTCR結合ポケットを記載している。HLAクラスIIおよび/またはTCR結合ポケットにおいて結合すると思われる残基を一定に保持することによるか、または特殊化置換のみを可能にすることにより、HLAクラスIIおよびT細胞受容体との結合を保持するMAGE HLAクラスII結合ペプチドの機能的変異体が調製され得る。
【0048】
したがって、さらに別のMAGEファミリーHLAクラスIIペプチド、特にMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチド、およびその機能的変異体の同定方法が提供される。概して、任意のMAGEタンパク質が上記の分析を施され、本明細書中に記載したようにペプチド配列が選定され、試験され得る。例えばMAGE−A1に関しては、本方法は、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチド、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを結合するHLAクラスII結合分子、ならびにHLAクラスII結合分子により提示されるMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドにより刺激されるT細胞を選択することを包含する。好ましい実施形態では、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。さらに好ましくは、本ペプチドは、配列番号3、配列番号4または配列番号7のアミノ酸配列からなる。MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの第一アミノ酸残基は、変異体ペプチドを調製するために突然変異化される。アミノ酸残基は、上記のStromingerとWucherpfennigのPCT出願に記載されたHLAおよびT細胞受容体接点の原理により突然変異化され得る。変異体ペプチドの合成、突然変異化核酸分子を用いた変異体ペプチドの組換え的産生等といった変異体ペプチドの任意の調製方法が用いられ得る。
【0049】
次に、HLAクラスII結合分子との変異体ペプチドの結合、およびT細胞の刺激が、標準手法により確定される。例えば、下記で例示されるように、変異体ペプチドは、MAGE−A1ペプチドを結合するHLAクラスII分子を含有する抗原提示細胞と接触されて、変異体ペプチドと抗原提示細胞との複合体を形成し得る。次にこの複合体は、HLAクラスII結合分子により提示されるMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを認識するT細胞と接触され得る。T細胞は、MAGE−A1の発現を特徴とする症状を有する患者から得られる。T細胞による変異体ペプチドの認識は、TNFまたはIFNγ産生のようなT細胞刺激の指標を測定することにより確定され得る。同様の手法は、他のMAGEファミリーHLAクラスII結合ペプチドの同定および特性化のために実行され得る。
【0050】
HLAクラスII結合分子との変異体ペプチドの結合、およびHLAクラスII結合分子により提示される変異体ペプチドによるT細胞の刺激は、変異体ペプチドが機能的変異体であることを示す。本方法は、機能的変異体によるT細胞の刺激の有効性の鑑定として、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドによるT細胞の刺激および機能的変異体によるT細胞の刺激を比較する過程も包含し得る。機能的変異体をMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドと比較することにより、T細胞刺激特性の増大を示すペプチドが調製され得る。
【0051】
上記の方法のいずれかにより調製されるMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの変異体をシーケンシングして、必要な場合には、アミノ酸配列を確定し、したがって、このような変異体をコードするヌクレオチド配列を推定し得る。
【0052】
さらに本発明の一部は、MAGE HLAクラスII結合ペプチドまたはその変異体をコードする核酸配列、ならびに緊縮条件下で上記のヌクレオチド配列からなる核酸分子とハイブリダイズする他の核酸配列である。「緊縮条件」という用語は、本明細書中で用いる場合、当業者がよく知っているパラメーターを指す。核酸ハイブリダイゼーションパラメーターは、このような方法を編集する参考文献、例えばMolecular Cloning: A Laboratory Manual, J. Sambrook, et al., eds., Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989,またはCurrent Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubel, et al., eds., John Wiley & Sons, Inc., New Yorkに見出され得る。特に、本明細書中で用いられる場合の緊縮条件とは、ハイブリダイゼーション緩衝液(3.5xSSC、0.02%フィコール、0.02%ポリビニルピロリドン、0.02%ウシ血清アルブミン、25mMのNaHPO(pH7)、0.5%SDS、2mMのEDTA)中での65℃でのハイブリダイゼーションを指す。SSCは、0.15M塩化ナトリウム/0.15Mクエン酸ナトリウム、pH7であり、SDSはドデシル硫酸ナトリウムであり、そしてEDTAはエチレンジアミン四酢酸である。ハイブリダイゼーション後、DNAが移された膜は、2xSSC中で室温で洗浄され、次に0.1xSSC/0.1xSDS中で室温〜68℃までで洗浄される。
【0053】
用いられ得るその他の条件、試薬等があり、これらは同程度の緊縮を生じる。当業者はこのような条件に通じており、したがってそれらをここでは示さない。しかしながら、本発明のMAGE HLAクラスII結合ペプチドをコードする核酸の相同体および対立遺伝子の明瞭な同定を可能にする方法で当業者は条件を操作し得ることを理解されたい。当業者は、その後ルーチンに単離されるこのような分子の発現に関する細胞およびライブラリーのスクリーニングとその後の関連核酸分子の単離およびシーケンシングのための方法にも周知している。
【0054】
概して、相同体および対立遺伝子は、典型的にはそれぞれMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドのアミノ酸配列(例えば配列番号3、配列番号4または配列番号7)またはこのようなペプチドをコードする核酸(例えば、配列番号12。これは配列番号7のペプチドをコードする)と少なくとも90%のアミノ酸同一性および/または少なくとも75%のヌクレオチド同一性を共有する。いくつかの場合には、相同体および対立遺伝子は、少なくとも95%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも90%のアミノ酸同一性を共有し、そしてさらにその他の場合には、少なくとも90%のヌクレオチド同一性および/または少なくとも95%のアミノ酸同一性を共有する。上記の核酸の相補体も本発明に包含される。
【0055】
MAGE HLAクラスII結合ペプチドをコードする核酸に関するスクリーニングでは、32Pプローブと一緒に上記の条件を用いて、核酸ハイブリダイゼーション、例えばサザンブロットまたはノーザンブロットが実施され得る。MAGE HLAクラスII結合ペプチドをコードするDNAが最後に移された膜を洗浄後、放射能シグナルを検出するために、その膜はX線フィルムに対して配置される。
【0056】
核酸に関して本明細書中で用いる場合、「単離された」という用語は、(i)例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりin vitroで増幅され、(ii)クローニングにより組換え的に産生され、(iii)例えば開裂およびゲル分離により精製され、または(iv)例えば化学合成により合成されることを意味する。単離核酸は、当業界で周知の組換えDNA技術により容易に操作可能であるものである。したがって、5’および3’制限部位が既知であるか、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー配列が開示されているベクター中に含入されたヌクレオチド配列は、単離されたとみなされるが、その天然宿主中にそのネイティブ状態で存在する核酸配列は単離されていない。単離核酸は実質的に精製され得るが、精製される必要はない。例えば、クローニングまたは発現ベクター内で単離される核酸は、それが存在する細胞中の物質を極小パーセンテージだけ含み得るという点で純粋ではない。しかしながらこのような核酸は、当業者に既知の標準技法によりそれが容易に操作されるため、その用語が本明細書中で用いられるように単離される。単離核酸とは、本明細書中で用いる場合、天然染色体ではない。
【0057】
本発明は、MAGE HLAクラスII結合ペプチドの同一アミノ酸残基をコードする代替的コドンを含む核酸配列の使用も包含する。例えば、本明細書中に開示されているように、ペプチドEYVIKVSARVRF(配列番号7)は、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドである。セリン残基(配列番号7の第7番目のアミノ酸)は、コドンUCU、UCC、UCA、UCG、AGUおよびAGCによりコードされ得る。6つのコドンは各々、ロイシン残基をコードするという目的に関して等価である。したがって、ロイシンコードヌクレオチドトリプレットのいずれかを用いて、in vitroまたはin vivoでタンパク質合成装置を指図して、ロイシン残基を組み入れ得る、ということは当業者には明らかであろう。同様に、配列番号7のMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを含む他のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列トリプレットとしては、以下のものが挙げられる:CGA、CGC、CGG、CGT、AGAおよびAGG(アルギニンコドン);AAAおよびAAG(リシンコドン);GUA、GUC、GUGおよびGUU(バリンコドン);GAAおよびGAG(グルタミンコドン);UUCおよびUUU(フェニルアラニンコドン)ならびにUACおよびUAU(チロシンコドン)。その他のアミノ酸残基は、多ヌクレオチド配列により同様にコードされ得る。したがって本発明は、遺伝子コードの縮重のためにコドン配列中のネイティブMAGE HLAクラスII結合ペプチドコード核酸とは異なる縮重核酸を包含する。
【0058】
本発明は、1つまたはそれ以上のヌクレオチドの付加、置換および欠失を含む修飾核酸分子も提供する。好ましい実施形態では、これらの修飾核酸分子および/またはそれらがコードするポリペプチドは、非修飾核酸分子および/またはポリペプチドの少なくとも1つの活性または機能、例えば抗原性、酵素活性、受容体結合、MHCクラスIおよびクラスII分子によるペプチドの結合による複合体の形成等を保持する。ある種の実施形態では、修飾核酸分子は、修飾ポリペプチド、好ましくは本明細書中に別記されているような保存的アミノ酸置換を有するポリペプチドをコードする。修飾核酸分子は、非修飾核酸分子に構造的に関連があり、好ましい実施形態では、修飾および非修飾核酸分子が当業者に既知の緊縮条件下でハイブリダイズするよう十分に構造的に非修飾核酸分子と関連する。
【0059】
例えば、単一アミノ酸変化を有するポリペプチドをコードする修飾核酸分子が調製され得る。これらの核酸分子は各々、本明細書中に記載したような遺伝子コードの縮重に対応するヌクレオチド変化と相容れない1、2または3つのヌクレオチド置換を有し得る。同様に、2つのアミノ酸変化を有するポリペプチドをコードする修飾核酸分子が調製され得るが、これらは例えば2〜6のヌクレオチド変化を有する。例えばアミノ酸2および3、2および4、2および5、2および6等をコードするコドンのヌクレオチドの置換を含めたこれらと同様の多数の修飾核酸分子が当業者により容易に意図される。上記の例では、2つのアミノ酸の各組合せは、修飾核酸分子の組に、ならびにアミノ酸置換をコードするすべてのヌクレオチド置換に含まれる。当業者に容易に意図されるように、さらなる置換(即ち、3またはそれ以上)、付加または欠失(例えば、停止コドンまたはスプライス部位(単数または複数)の導入による)を有するポリペプチドをコードする付加的核酸分子も調製され得るし、本発明に包含される。上記の核酸またはポリペプチドはいずれも、本明細書中に開示された核酸および/またはポリペプチドに対する構造的関連または活性の保持に関して、ルーチン実験により試験され得る。
【0060】
本発明は、発現ベクター中での、ならびに原核生物(例えば大腸菌)または真核生物(例えば樹状細胞、CHO細胞、COS細胞、酵母発現系および昆虫細胞における組換えバキュロウイルス発現)である宿主細胞および細胞株をトランスフェクトするための本配列の使用を包含することも理解されたい。発現ベクターは、関連配列、即ち上記のものがプロモーターと操作可能的に結合されることを必要とする。ヒトHLA−DRB115分子はMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを提示することが見出されているので、発現ベクターは、HLA−DRB115分子をコードする核酸配列も含み得る(他のMAGE HLAクラスII結合ペプチドに関しては、異なるHLA分子が用いられ得る)。ベクターが両コード配列を含有する情況では、それは正常ではいずれか一方を発現しない細胞をトランスフェクトするために用いられ得る。MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドコード配列は、例えば宿主細胞がHLA−DRB115分子をすでに発現している場合は、単独で用いられ得る。もちろん、2つのコード配列を含有するベクターはHLA−DRB115分子を発現しない宿主細胞中で用いられ得るので、用いられ得る特定の宿主細胞に関する制限はなく、所望により、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドをコードする核酸は、HLA−DRB115分子を発現する抗原提示細胞中で用いられ得る。本明細書中で用いる場合、「HLA−DRB115分子」は、亜型DRB115011、DRB115012、DRB115021、DRB115022、DRB115023、DRB11503、DRB11504、DRB11505、DRB11506、DRB11507、DRB11508、DRB11509およびDRB11510を含む。HLA−DRB115分子は、Bodmer et al., Tissue Antigens 49:297, 1996中に、ならびにhttp://www.ebi.ac.uk/imgt/hla/でIMGT/HLAデータベースウェブサイトで見出され得る亜型も包含する。
【0061】
本明細書中で用いる場合、「ベクター」とは、異なる遺伝子環境間の輸送のための、または宿主細胞中での発現のための制限および結紮により所望の配列が挿入され得る多数の核酸のいずれかであり得る。ベクターは、典型的にはDNAで構成されるが、RNAベクターも利用可能である。ベクターとしては、プラスミド、ファジミドおよびウイルスゲノムが挙げられるが、これらに限定されない。クローニングベクターは、宿主細胞中で自律的に複製可能であるかまたはゲノム中に組み込まれ得るクローニングベクター、ならびに新規の組換えベクターが宿主細胞中で複製するその能力を保持するようにベクターが決定可能様式で切断され、そして所望のDNA配列が結紮され得る1つまたはそれ以上のエンドヌクレアーゼ制限部位によりさらに特性化されるクローニングベクターである。プラスミドの場合、所望の配列の複製は、プラスミドが宿主細菌内でコピー数を増大する場合は多数回起こり得るし、あるいは宿主が有糸分裂により繁殖する前には宿主当たり1回だけ起こり得る。ファージの場合は、複製は、溶菌期中は能動的に起こり、溶原期中は受動的に起こり得る。発現ベクターは、調節配列に操作可能的に連結され、そしてRNA転写体として発現され得るように、所望のDNA配列が制限および結紮により挿入され得るベクターである。
【0062】
ベクターは、ベクターで形質転換またはトランスフェクトされていたか、またはされていなかった細胞の同定に用いるのに適した1つまたはそれ以上のマーカー配列をさらに含有し得る。マーカーとしては、例えば、抗生物質またはその他の化合物に対する耐性または感受性を増大または低減するタンパク質をコードする遺伝子、その活性が当業界で既知の標準検定により検出可能である酵素(例えば、β−ガラクトシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼまたはルシフェラーゼ)をコードする遺伝子、ならびに形質転換化またはトランスフェクト化した細胞、宿主、コロニーまたはプラークの表現型に視覚的に作用する遺伝子(例えば、緑色蛍光タンパク質)が挙げられる。好ましいベクターは、それらが操作可能的に連結されるDNAセグメント中に存在する構造遺伝子産物の自律的複製および発現が可能なベクターである。
【0063】
好ましくは、発現ベクターは、タンパク質またはペプチドが発現される細胞のエンドソームに対してMAGEファミリーポリペプチド、例えばMAGE−A1またはそれらに由来するHLAクラスII結合ペプチドを標的化する配列を含有する。HLAクラスII分子は、HLAクラスII分子との他の分子の結合を妨害する不変鎖(Ii)を含有する。この不変鎖はエンドソーム中で切断され、それによりHLAクラスII分子によるペプチドの結合を可能にする。したがって、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドおよびその前駆体(例えばMAGE−A1タンパク質)はエンドソームに対して標的化され、それによりHLAクラスII分子と結合するMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを強化することが好ましい。エンドソームに分子を向けるためのターゲッティングシグナルは当業界で既知であり、これらのシグナルは、エンドソームターゲッティングシグナルを含有する融合タンパク質が産生されるよう、発現ベクター中に組み入れられ得るのが便利である。Sanderson等(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:7217-7221, 1995)、Wu等(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:11671-11675, 1995)およびThomson等(J. Virol. 72:2246-2252, 1998)は、エンドソームターゲッティングシグナル(不変鎖Iiおよびリソソーム関連膜タンパク質LAMP−1を含む)ならびにエンドソームおよび/またはリソソーム細胞区画に抗原を向ける場合のそれらの使用を記載している。
【0064】
不変鎖のようなエンドソームターゲッティングシグナルは、非ペプチド結合によりMAGE−A1タンパク質またはペプチドと共役されて(即ち、融合タンパク質でない)、MAGE−A1を特異的にターゲッティングすることが可能な共役体を調製し得る。共有結合の特定の例としては、二官能架橋剤分子が用いられ得るものが挙げられる。架橋剤分子は、共役される分子の性質によって、ホモ二官能性またはヘテロ二官能性であり得る。ホモ二官能性架橋剤は、2つの同一反応基を有する。ヘテロ二官能性架橋剤は、逐次共役反応を可能にする2つの異なる反応基を有すると定義される。種々の種類の市販の架橋剤は、1つまたはそれ以上の次の基と反応性である:第一級アミン、第二級アミン、スルフヒドリル、カルボキシル、カルボニルおよび炭水化物。当業者は、連結される分子の化学的特性および単数または複数の結合の好ましい特徴に基づいて、エンドソームターゲッティング部分およびMAGE−A1ペプチドまたはタンパク質を連結するための好ましい分子を、過度の実験を伴わずに確認することができる。
【0065】
本明細書中で用いる場合、コード配列および調節配列は、調節配列の影響または制御下にコード配列の発現または転写を置くような方法でそれらが共有結合される場合、「操作可能的に」連結されるといわれる。コード配列が機能性タンパク質に翻訳されるのが望ましい場合、5’調節配列中のプロモーターの誘導がコード配列の転写を生じ、二つのDNA配列間の結合の性質が(1)フレームシフト突然変異の導入を生じない、(2)コード配列の転写を指図するプロモーター領域の能力を妨げない、または(3)タンパク質に翻訳される対応するRNA転写体の能力を妨げないならば、二つのDNA配列は操作可能的に連結されるといわれる。したがって、結果的に生じる転写体が所望のタンパク質またはポリペプチドに翻訳され得るようにプロモーター領域がそのDNA配列の転写を実行可能であった場合には、プロモーター領域はコード配列と操作可能的に連結される。
【0066】
遺伝子発現に必要とされる調節配列の的確な性質は、種または細胞型間で変わり得るが、しかし概して、必要な場合には、TATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列等のような、それぞれ転写および翻訳の開始に関与する5’非転写化および5’非翻訳化配列を含む。特に、このような5’非転写化調節配列は、操作可能的に連結された遺伝子の転写制御のためのプロモーター配列を含むプロモーター領域を含む。調節配列は、望ましい場合には、エンハンサー配列または上流アクチベーター配列も含み得る。本発明のベクターは、5’リーダーまたはシグナル配列を任意に含み得る。適切なベクターの選定および設計は、当業者の能力および自由裁量の範囲内である。
【0067】
発現のための必要な素子をすべて含有する発現ベクターは市販されており、当業者に既知である(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning:A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989を参照)。細胞は、MAGE−A1 HLAクラスII結合ポリペプチドをコードする異種DNA(RNA)の細胞への導入により遺伝子工学処理される。その異種DNA(RNA)は、宿主細胞中での異種DNAの発現を可能にするために転写性素子の操作可能制御下に置かれる。本明細書中に記載されているように、このような発現構築物は、エンドソームターゲッティングシグナル、好ましくはヒト不変鎖またはそのターゲッティング断片をコードするヌクレオチド配列も任意に含有する。
【0068】
哺乳類細胞中でのmRNA発現のための好ましい系は、G418耐性を付与する遺伝子(安定トランスフェクト化細胞株の選択を促す)、およびヒトサイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー−プロモーター配列のような選択可能マーカーを含有するpRc/CMV(Invitrogen, Carlsbad, CAから入手可能)のような系である。さらに、霊長類またはイヌ細胞株中での発現に適しているのは、エプスタイン−バーウイルス(EBV)複製起点を含有し、多コピー染色体外素子としてのプラスミドの保持を促すpCEP4ベクター(Invitrogen)である。別の発現ベクターは、in vitroでの転写を効率的に刺激するポリペプチド延長因子1αのプロモーターを含有するpEF−BOSプラスミドである。本プラスミドは、Mishizuma and Nagata(Nuc. Acids Res. 18:5322, 1990)により記載されており、トランスフェクション実験におけるその使用は、例えばDemoulin(Mol. Cell. Biol. 16:4710-4716, 1996)により開示されている。さらに別の好ましい発現ベクターは、Stratford-Perricaudetにより記載されたアデノウイルスであり、これはE1およびE3タンパク質を欠いている(J. Clin. Invest. 90:626-630, 1992)。Adeno.P1A組換え体としてのアデノウイルスの使用は、P1Aに対する免疫感作のためのマウスにおける皮内注射において、Warnier等により開示されている(Int. J Cancer, 67:303-310, 1996)。
【0069】
本発明は、当業者が所望の単数または複数の発現ベクターを調製するのを可能にするいわゆる発現キットも包含する。このような発現キットは、少なくとも別々の部分の少なくとも2つの上記の物質を含む。その他の構成成分は、所望により付加され得る。
【0070】
本発明は、本明細書中に記載されているように、多数の用途を有し、そのいくつかが本明細書中に記載されている。以下の用途はMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドに関して記載されるが、しかし他の構造的または機能的に関連するMAGEファミリーHLAクラスII結合ペプチドに等しく適用可能である。第一に、本発明は、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの発現を特徴とする疾患を当業者が診断するのを可能にする。これらの方法は、生物学的試料中でのMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチド、またはMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドとHLAクラスII分子の複合体の発現を確定する過程を含む。ペプチドまたはペプチドとHLAクラスII分子の複合体の発現は、ペプチドまたは複合体に関する結合相手、例えば抗体を用いて検定することにより確定され得る。
【0071】
本発明は、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの発現を特徴とする障害を有する対象を当業者が治療するのを可能にする。治療は、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドとHLAクラスII分子の複合体を対象中で高濃度化する因子を投与する過程、およびこのような複合体に特異的であるCD4Tリンパ球を投与する過程を包含する。上記の治療に有用な因子としては、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドおよびその機能的変異体、このようなMAGE−A1ペプチドを含むエンドソーム標的化融合タンパク質、このようなタンパク質およびペプチドを発現する核酸(核酸を含有するウイルスを含む)、このようなペプチドおよびHLAクラスII結合分子の複合体(例えばHLA−DRB115)、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドおよびHLAクラスII結合分子の複合体を保有する抗原提示細胞等が挙げられる。本発明は、当業者が、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドに特異的なCD4Tリンパ球に関してTリンパ球の集団を選択的に高濃度化することも可能にする。
【0072】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの単離は、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドをコードする核酸を単離するのも可能にする。核酸は、in vivoで、あるいは原核生物または真核生物宿主細胞中でMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを生成するために用いられ得る。熟練従事者に周知の種々の方法を用いて、単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを得ることができる。例えば、発現ベクターを細胞中に導入して、ペプチドの産生を生じ得る。別の方法では、mRNA転写体が微量注射され、そうでなければ細胞中に導入されて、コード化ポリペプチドの産生を生じ得る。細胞無含有抽出物、例えば網状赤血球溶解物系におけるmRNAの翻訳も、ペプチドを産生するために用いられ得る。本発明のMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを含むペプチドは、in vitroでも合成され得る。当業者は、単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを生成するために、既知のペプチド単離方法にも容易に従い得る。これらの例としては、免疫クロマトグラフィー、HPLC、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよび免疫アフィニティークロマトグラフィーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
これらの単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチド、かかるペプチドを含むタンパク質、あるいはペプチドおよびHLAクラスII分子の複合体、例えばHLA−DRB115分子、は、アジュバントのような物質と組合されて、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの発現を特徴とする障害を治療するのに有用なワクチンを生成し得る。さらに、ワクチンは、それらの表面にMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチド/HLA複合体を提示する細胞、例えば樹状細胞、B細胞、非増殖性トランスフェクト体等から調製され得る。ワクチンとして細胞が用いられるすべての場合に、これらは、CD4リンパ球を刺激するのに必要な構成成分の一方または両方に関するコード配列でトランスフェクトされた細胞、あるいはトランスフェクションを必要とせずにすでに両分子を発現している細胞であり得る。例えば、自系抗原提示細胞は、患者から単離され、HLAクラスIおよびHLAクラスII分子の会合中でMAGE−A1エピトープを提示する細胞を得るよう処理され得る。これらの細胞は、CD4およびCD8細胞応答の両方を刺激することが可能である。このような抗原提示細胞は、例えばIi.MAGE−A1融合タンパク質をコードする組換えウイルスで樹状細胞を感染させることにより得られる。樹状細胞は、HLAクラスIおよびHLAクラスIIエピトープでも装入され得る。
【0074】
ワクチンも、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドまたはその前駆体をコードする裸DNAまたはRNAを包含するが、これらはin vitroで産生され、注射、粒子衝撃、鼻腔吸入およびその他の方法により投与され得る。「裸核酸」型のワクチンは、裸核酸によりコードされるペプチドに特異的なCTLの生成を含めた免疫学的応答を惹起することが実証されている(Science 259:1745-1748, 1993)。ワクチンは、ウイルス、リポソームまたはその他の粒子、例えば薬剤送達に有用なポリマー粒子中に充填された核酸も含む。
【0075】
本明細書中に記載した治療のいずれかにより生成されるか、または強化される免疫応答は、当業界で既知の種々の方法によりモニタリングされ得る。例えば、所定の抗原に特異的なT細胞の存在は、抗原性ペプチドを提示する可溶性蛍光原性MHC分子四量体によるT細胞受容体の直接標識により検出され得る(Altman et al., Science 274:94-96, 1996; Dunbar et al., Curr. Biol. 8:413-416, 1998)。要するに、β2−ミクログロブリンおよびクラスI分子を結合するペプチド抗原の存在下で、可溶性MHCクラスI分子がin vitroで折り畳まれる。精製後、MHC/ペプチド複合体は精製され、ビオチンで標識される。ビオチニル化ペプチド−MHC複合体を標識化アビジン(例えば、フィコエリトリン)と4:1のモル比で混合することにより、四量体が形成される。四量体は次に、末梢血またはリンパ節のようなCTLの供給源と接触させられる。四量体は、ペプチド抗原/MHCクラスI複合体を認識するCTLを結合する。四量体により結合された細胞は、蛍光活性化細胞分類により分類されて、反応性CTLを単離し得る。単離CTLは次に、本明細書中に記載したような使用のためにin vitroで拡張され得る。四量体としてのMHCクラスII分子の使用は、近年、Crawford等(Immunity 8:675-682, 1998)により実証された。多量体性可溶性MHCクラスII分子は、共有的に結合されたペプチドと複合化された。クラスII四量体は、適切化特異性および親和性で特異的T細胞と結合することが示された。したがって、四量体を用いて、予防接種プロトコールに対するCD4およびCD8細胞応答の両方をモニタリングすることができる。
【0076】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチド、ならびにMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドとHLA分子の複合体は、当業界で周知の標準技法を用いて、抗体を産生するためにも用いられ得る。抗体産生の一般原理を記述する標準参照研究としては、Catty, D., Antibodies, A Practical Approach, Vol. 1, IRL Press, Washington DC(1998); Klein, J., Immunology: The Science of Cell-Non-Cell Discrimination, John Wiley and Sons, New York(1982); Kennett, R., et al., Monoclonal Antibodies, Hybridoma, A New Dimension In Biological Analyses, Plenum Press, New York(1980); Campbell, A., Monoclonal Antibody Technology, in Laboratory Techniques and Biochemistry and Molecular Biology, Vol. 13(Burdon, R. et al., EDS.), Elsevier Amsterdam(1984);およびEisen, H.N., Microbiology, third edition, Davis, B.D. et al., EDS.(Harper & Rowe, Philadelphia(1980))が挙げられる。
【0077】
したがって、本発明の抗体は、タンパク質、その断片、タンパク質またはその断片を発現する細胞、および適切なHLAクラスII分子等を動物に投与してポリクローナル抗体を誘導することを含めた種々の方法のいずれかにより調製される。モノクローナル抗体、例えばヒト化抗体は、当業界で周知の技法により産生され得る。本明細書中に詳述されているように、このような抗体は、例えばタンパク質を発現する組織を同定するために、またはタンパク質を精製するために用いられ得る。抗体は、画像形成のための特定の標識剤、または抗腫瘍剤と結合され、それらの例としては、メトトレキセート、放射性ヨウ素化化合物、リシンのような毒素、他の細胞分裂抑制または細胞溶解剤等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明により調製される抗体は、好ましくは本明細書中に記載したペプチド/HLA複合体に特異的でもある。
【0078】
「障害」または「症状」という用語が本明細書中で用いられる場合、それは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが発現される任意の病理学的症状を指す。このような障害としては、癌、例えば黒色腫、頭、首、肺または食道の扁平上皮癌、結腸直腸癌、骨肉腫、神経芽細胞腫、頭または首の非扁平上皮癌、卵巣腫瘍、リンパ性白血病、膀胱癌、前立腺癌、乳癌および胃癌が挙げられる。
【0079】
開示に基づいたいくつかの療法的アプローチは、MAGE HLAクラスII結合ペプチド提示細胞に対する対象の免疫系による応答の誘導において前提とされる。このようなアプローチの1つは、組織での表現型の異常細胞を有する対象への、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドとHLAクラスII分子の複合体に特異的な自系CD4T細胞の投与である。このようなCD4T細胞をin vitroで開発することは当業者の技術の範囲内である。一般に、対象から採取される細胞の試料、例えば血球は、複合体を提示し、CD4Tリンパ球を惹起し得る細胞と接触されて、増殖する。標的細胞は、HLAクラスII分子を保有する抗原提示細胞、例えば樹状細胞またはB細胞であり得る。標的細胞は、細胞の試料がまず分類されてCD4Tリンパ球集団を単離する場合、COS細胞のようなトランスフェクト体でもあり得る。上記の四量体技術は分類のために用いられ得る。これらのトランスフェクト体はそれらの表面の所望の複合体を提示し、問題のCD4Tリンパ球と組合されると、その増殖を刺激する。COS細胞は、他の適切な宿主細胞と同様に、広範に利用可能である。CD4Tリンパ球の特異的産生は、下記に記載される。クローン拡張性自系CD4Tリンパ球が次に対象に投与される。次にCD4Tリンパ球は対象の免疫応答を刺激し、それにより所望の療法的目標を達成する。
【0080】
上記の療法は、対象の異常細胞の少なくともいくつかが関連HLA/ペプチド複合体を提示するものと仮定する。これは、特定のHLA分子を提示する細胞の同定方法、ならびに関連配列、この場合にはMAGE−A1配列のDNAを発現する細胞の同定方法を当業界が非常に熟知しているので、非常に容易に確定され得る。
【0081】
上記の療法は、本発明による利用可能な療法の唯一の形態というわけではない。CD4Tリンパ球は、多数のアプローチを用いてin vivoでも惹起され得る。一アプローチは、複合体を発現する非増殖性細胞の使用である。このアプローチに用いられる細胞は、複合体を正常に発現する細胞、例えば樹状細胞、あるいは複合体の提示に必要な遺伝子の一方または両方でトランスフェクトされた細胞であり得る。Chen等(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:110-114, 1991)はこのアプローチを例証して、療法レジメンにおけるHPV−E7ペプチドを発現するトランスフェクト化細胞の使用を示している。種々の細胞型が用いられ得る。同様に、当該遺伝子の一方または両方を保有するベクターが用いられ得る。ウイルスまたは細菌ベクターが特に好ましい。例えば、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドをコードする核酸は、ある種の組織または細胞型におけるMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの発現を指図するプロモーターおよびエンハンサー配列と操作可能的に連結され得る。核酸は、発現ベクター中に組み入れられ得る。発現ベクターは、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドをコードするもののような外因性核酸の挿入を可能にするよう構築されるか、または修飾された非修飾細胞外染色体核酸、プラスミドまたはウイルスゲノムであり得る。MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドをコードする核酸は、レトロウイルスゲノム中にも挿入され、それにより標的組織または細胞型のゲノムへの核酸の組込みを促し得る。これらの系では、当該遺伝子は微生物、例えばワクシニアウイルス、概してポックスウイルス、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、レトロウイルスまたは細菌BCG、ならびに事実上、宿主細胞を「感染」させる物質により保有される。結果として生じる細胞は、当該複合体を提示し、自系CD4T細胞により認識され、次にこれが増殖する。
【0082】
同様の作用は、MAGE HLAクラスII結合ペプチドをアジュバントと組合せて、in vivoでのHLAクラスII提示細胞中への組み入れを促すことにより達成され得る。HLAクラスII結合部分より大きい場合、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドはHLA分子のペプチド相手を産生するのに必要な場合にプロセシングされ得るが、一方、TRAは、さらなるプロセシングを必要とせずに提示される。一般に、対象は、有効量のMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの皮内注射を受けることができる。当業界での免疫感作プロトコール標準に従って、初期用量と、その後の追加免疫用量を投与することができる。
【0083】
HLAクラスII提示細胞へのMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの組み入れを促すための好ましい方法は、クラスII結合ペプチドを含むMAGE−A1ポリペプチドと融合されたエンドソームターゲッティングシグナルを含むポリペプチドを提示細胞中で発現することによる。特に好ましいのは、ヒト不変鎖Iiを含有するMAGE−A1融合タンパク質である。
【0084】
上記の組成物またはプロトコールのいずれかは、細胞溶解性Tリンパ球応答の誘導のためのMAGE HLAクラスI結合ペプチドも含み得る。例えば、下記で実証されるように、MAGE−A1タンパク質は細胞中でプロセシングされて、HLAクラスIおよびHLAクラスII応答の両方を生じ得る。このようなペプチドのいくつかが、米国特許第5,405,940号および同第5,558,995号に記載されている。HLAクラスIおよびクラスII分子を結合するMAGE−A1ペプチド(またはこのようなペプチドをコードする核酸)を投与することにより、免疫応答改善がTヘルパー細胞およびTキラー細胞の両方を誘導することにより提供され得る。
【0085】
さらに、非MAGE−A1腫瘍関連ペプチドも、HLAクラスIおよび/またはクラスIIにより免疫応答を増大するために投与され得る。癌細胞が1つより多い腫瘍関連遺伝子を発現し得ることは十分に確立されている。特定の対象が付加的腫瘍関連遺伝子を発現するか否かを当業者が確定し、次に上記のMAGE−A1組成物およびワクチン中にこのような遺伝子の発現産物に由来するHLAクラスIおよび/またはHLAクラスII結合ペプチドを含むことは、ルーチン実験の範囲内である。
【0086】
特に好ましいのは、「ポリトープ」として既知の一連のエピトープをコードする核酸である。エピトープは、天然フランキング配列を用いて、または用いずに、シークエンシャルまたはオーバーラップ方式で整列され得る(例えば、Thomson et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92: 5845-5849, 1995; Gilbert et al., Nature Biotechnol. 15:1280-1284, 1997を参照)し、所望により、非関連リンカー配列により分離され得る。ポリトープは、免疫応答の発生のための免疫系により認識される個々のエピトープを生成するようプロセシングされる。
【0087】
したがって、例えばMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、他の腫瘍拒絶抗原からのペプチド(例えば、ハイブリッド核酸またはポリペプチドの調製により)、およびMAGE−A1HLAクラスI結合ペプチド(このうちのいくつかは以下に列挙される)と組合されて、「ポリトープ」を形成し得る。免疫応答を誘導または強化するために投与され得る腫瘍関連ペプチド抗原の例は、腫瘍関連遺伝子およびコード化タンパク質、例えばMAGE−A1、MAGE−A2、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A5、MAGE−A6、MAGE−A7、MAGE−A8、MAGE−A9、MAGE−A10、MAGE−A11、MAGE−A12、GAGE−1、GAGE−2、GAGE−3、GAGE−4、GAGE−5、GAGE−6、GAGE−7、GAGE−8、GAGE−9、BAGE−1、RAGE−1、LB33/MUM−1、PRAME、NAG、MAGE−Xp2(MAGE−B2)、MAGE−Xp3(MAGE−B3)、MAGE−Xp4(MAGE−B4)、チロシナーゼ、脳グリコーゲンホスホリラーゼ、メラン−A、MAGE−C1、MAGE−C2、MAGE−C3、MAGE−C4、MAGE−C5、NY−ESO−1、LAGE−1、SSX−1、SSX−2(HOM−MEL−40)、SSX−4、SSX−5、SCP−1およびCT−7から得られる。例えば、腫瘍に特徴的な抗原性ペプチドとしては、以下の表1に列挙されたものが挙げられる。
【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

【0090】
【表3】

【0091】
HLAクラスIおよびHLAクラスII結合ペプチドのその他の例は当業者に既知であり(例えば、Coulie, Stem Cells 13:393-403, 1995を参照)、ここに開示されたものと同様の方式で本発明に用いられ得る。当業者は、1つまたはそれ以上のMAGE−A1ペプチドおよび1つまたはそれ以上の上記の腫瘍拒絶ペプチドを含むポリペプチド、あるいはこのようなポリペプチドをコードする核酸を、分子生物学の標準手法に従って調製し得る。
【0092】
したがって、ポリトープは、種々の整列で(例えば連鎖状、オーバーラップ)一緒に連結され得る2つまたはそれ以上の考え得る免疫学的または免疫応答刺激ペプチドの群である。ポリトープ(またはポリトープをコードする核酸)は、免疫応答を刺激し、強化し、かつ/または惹起する場合のポリトープの有効性を試験するために、標準免疫感作プロトコールで、例えば動物に投与され得る。
【0093】
ペプチドは、直接的にまたはポリトープを形成するためのフランキング配列の使用により、一緒に連結され得るし、ワクチンとしてのポリトープの使用は当業界で周知である(例えば、Thomson et al., Proc. Acad. Natl. Acad. Sci. USA 92(13):5845-5849, 1995; Gilbert et al., Nature Biotechnol. 15(12):1280-1284, 1997; Thomson et al., J. Immunol. 157(2):822-826, 1996; Tam et al., J. Exp. Med. 171(1):299-306, 1990を参照)。例えば、Tamは、MHCクラスIおよびクラスII結合エピトープの両方からなるポリトープがマウスモデルにおいて抗体および防御免疫を首尾よく生成することを示した。Tamは、エピトープの「糸」を包含するポリトープがプロセシングされて、MHC分子により提示され、CTLにより認識される個々のエピトープを産生する、ということも実証した。したがって、種々の数および組合せのエピトープを含有するポリトープが調製され、CTLによる認識に関して、および免疫応答を増大する効力に関して試験され得る。
【0094】
腫瘍は、一組の腫瘍抗原を発現し、そのうちのある種の小群のみが任意の所定の患者の腫瘍中で発現され得る、ということが既知である。特定の患者中で発現される腫瘍拒絶抗原の小群を示すエピトープの異なる組合せに対応するポリトープが調製され得る。ポリトープは、腫瘍型により発現されることが既知のより広範囲の腫瘍拒絶抗原を反映するよう調製され得る。ポリトープは、ポリペプチド構造物として、または当業界で既知の核酸送達系の使用により、このような治療を必要とする患者に導入され得る(例えば、Allsopp et al., Eur. J. Immunol. 26(8):1951-1959, 1996を参照)。アデノウイルス、ポックスウイルス、Ty−ウイルス様粒子、アデノ随伴ウイルス、プラスミド、細菌等は、このような送達に用いられ得る。送達系の効力を確定するために、マウスモデルにおいてポリトープ送達系を試験することができる。この系は、ヒト臨床試験においても試験され得る。
【0095】
免疫感作プロトコールの一部として、免疫応答を増強する物質が、癌ワクチンの核酸またはペプチド構成成分とともに投与され得る。このような免疫応答増強化合物は、アジュバントまたはサイトカインとして分類され得る。アジュバントは、抗原の貯蔵所(細胞外またはマクロファージ内)を提供し、マクロファージを活性化し、かつ特定組のリンパ球を刺激することにより、免疫学的応答を強化し得る。多数の種類のアジュバントが、当業界で周知である。特定の例としては、MPL(SmithKline Beecham)、サルモネラ属のSalmonella minnesota Re 595リポ多糖類の精製および酸加水分解後に得られる同類物;QS21(SmithKline Beecham)、Quillja saponaria抽出物から精製される純QA−21サポニン;PCT出願WO96/33739(SmithKline Beecham)に記載されたDQS21;QS−7、QS−17、QS−18およびQS−L1(So et al., Mol. Cells 7:178-186, 1997);フロイントの不完全アジュバント;フロイントの完全アジュバント;ビタミンE;モンタニド;ミョウバン;CpGオリゴヌクレオチド(例えば、Kreig et al., Nature 374:546-9, 1995を参照);ならびにスクアレンおよび/またはトコフェロールのような生分解性油から調製される種々の油中水エマルションが挙げられる。好ましくは、ペプチドは、DQS21/MPLの組合せと混合されて投与される。DQS21対MPLの比は、典型的には約1:10〜10:1,好ましくは約1:5〜5:1、さらに好ましくは約1:1である。典型的には、ヒト投与に関しては、DQS21およびMPLは、約1μg〜約100μgの範囲でワクチン処方物中に存在する。その他のアジュバントが当業界で既知であり、本発明に用いられ得る(例えば、Goding, Monoclonal Antibodies:Principles and Practice, 2nd Ed., 1986を参照)。ペプチドおよびアジュバントの混合物またはエマルションの調製方法は、予防接種の当業者には周知である。
【0096】
対象の免疫応答を刺激するその他の因子も、対象に投与され得る。例えばその他のサイトカインも、リンパ球刺激特性の結果として、予防接種プロトコルに有用である。このような目的のために有用な多数のサイトカインは当業者に既知であり、その例としては、ワクチンの防御作用を強化することが示されているインターロイキン−12(IL−12)(Science 268:1432-1434, 1995)、GM−CSFおよびIL−18が挙げられる。
【0097】
予防接種プロトコールに用いられ得る多数の付加的免疫応答増強化合物が存在する。これらは、タンパク質または核酸形態で提供される同時刺激分子を含む。このような同時刺激分子としては、樹状細胞(DC)で発現され、T細胞で発現されるCD28分子と相互作用するB7−1およびB7−2(それぞれCD80およびCD86)分子が挙げられる。この相互作用は、抗原/MHC/TCR刺激(シグナル1)T細胞に同時刺激(シグナル2)を提供して、T細胞増殖およびエフェクター機能を増大する。B7はT細胞でCTLA4(CD152)とも相互作用し、CTLA4およびB7リガンドを包含する試験は、B7−CTLA4相互作用が抗腫瘍免疫性およびCTL増殖を強化し得るということを示す(Zheng et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:6284-6289, 1998)。
【0098】
B7は、典型的には腫瘍細胞で発現されず、そこでそれらはT細胞に関する効率的抗原提示細胞(APC)ではない。B7発現の誘導は、CTL増殖およびエフェクター機能をより効率的に腫瘍細胞が刺激するのを可能にする。B7/IL−6/IL−12同時刺激の組合せは、T細胞集団中にIFN−γおよびTh1サイトカインプロフィールを誘導して、T細胞活性のさらなる強化をもたらすことが示されている(Gajewski et al., J. Immunol. 154:5637-5648(1995))。B7による腫瘍細胞トランスフェクションは、Wang等(J. Immunother., 19:1-8,1996)による養子移入免疫療法に関するin vitroCTL拡張に関連して考察されている。B7分子のためのその他の送達メカニズムは、核酸(裸DNA)免疫感作(Kim J et al., Nature Biotechnol. 15:7:641-646,1997)および組換えウイルス、例えばアデノおよびポックスウイルス(Wendtner et al., Gene Ther., 4: 726-735,1997)を含む。これらの系は、選定の他の分子、例えば、本明細書中で考察された抗原または抗原の断片(単数または複数)(ポリトープを含む)またはサイトカインとのB7の同時発現のための発現カセットの構築および使用をすべて施し易い。これらの送達系は、in vitroでの適切な分子の導入のために、ならびにin vivoでの予防接種のために用いられ得る。T細胞をin vitroおよびin vivoで直接刺激するための抗CD28抗体の使用も考慮され得る。同様に、外来抗原に対するT細胞応答を誘導する誘導可能同時刺激分子ICOSは、例えば抗ICOS抗体の使用により調整され得る(Hutloff et al., Nature 397:263-266, 1999)。
【0099】
リンパ球機能関連抗原−3(LFA−3)はAPCおよびいくつかの腫瘍細胞で発現され、T細胞で発現されるCD2と相互作用する。この相互作用は、T細胞IL−2およびIFN−γ産生を誘導し、したがってB7/CD28同時刺激相互作用を補足し得るが、しかし置換しない(Parra et al., J. Immunol., 158:637-642,1997; Fenton et al., J. Immunother., 21:95-108,1998)。
【0100】
リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)は白血球で発現され、APCおよびいくつかの腫瘍細胞で発現されるICAM−1と相互作用する。この相互作用は、T細胞IL−2およびIFN−γ産生を誘導し、したがってB7/CD28同時刺激相互作用を補足し得るが、しかし置換しない(Fenton et al., 1998)。したがってLFA−1は、B7に関して上記で考察された種々の方法における予防接種プロトコールにおいて提供され得る同時刺激分子のさらなる一例である。
【0101】
完全CTL活性化およびエフェクター機能は、Th細胞CD40L(CD40リガンド)分子およびDCにより発現されるCD40分子間の相互作用によるTh細胞ヘルプを要する(Ridge et al., Nature, 393:474,1998; Bennett et al., Nature, 393:478, 1998; Schoenberger et al., Nature, 393:480, 1998)。この同時刺激シグナルのこのメカニズムは、DC(APC)によるB7および関連IL−6/IL−12産生の上向き調節を包含すると思われる。したがってCD40−CD40L相互作用は、シグナル1(抗原/MHC−TCR)およびシグナル2(B7−CD28)相互作用を補足する。
【0102】
DC細胞を直接刺激するための抗−CD40抗体の使用は、正常では炎症情況の外側で遭遇するかまたは非専門的APC(腫瘍細胞)により提示される腫瘍関連抗原に対する応答を強化すると予測されることだろう。例えばCD40−CD40L相互作用を増大することによる、またはDCをCpG含有オリゴデオキシヌクレオチドまたは細胞外マトリックスからの刺激性糖部分と接触させることによる樹状細胞の突然変異のその他の誘導方法は、当業界で既知である。これらの情況では、ThヘルプおよびB7同時刺激シグナルは提供されない。このメカニズムは、抗原パルス化DCベースの療法の情況において、またはThエピトープが既知の腫瘍関連抗原前駆体内に限定されていない情況において用いられ得る。
【0103】
投与される場合、本発明の治療用組成物は、製薬上許容可能な調製物中で投与される。このような調製物は、製薬上許容可能な濃度の塩、緩衝剤、防腐剤、相溶性担体、補助免疫増強剤、例えばアジュバントおよびサイトカイン、ならびに任意にその他の療法的作用物質をルーチンに含有し得る。
【0104】
本発明の調製物は、有効量で投与される。有効量とは、単独でまたはさらなる用量とともに、所望の応答を刺激する製剤調製物の量である。癌を治療する場合、望ましい応答は、癌の進行の抑制である。これは、疾患の進行を一時的に遅くすることのみを包含し得るが、しかしさらに好ましくは、永続的に疾患の進行を停止させることを包含する。免疫応答を誘導する場合には、望ましい応答は、用いられるMAGE−A1免疫原(単数または複数)に特異的である抗体またはTリンパ球の増大である。これらの望ましい応答は、ルーチン法により監視され得るし、あるいは本明細書中で考察される本発明の診断方法により監視され得る。
【0105】
本発明の治療用組成物を用いて免疫応答を刺激するのが望ましい場合、これは、血清中の抗体力価の増大、細胞傷害性リンパ球のクローン性拡張またはいくつかのその他の望ましい免疫学的応答を引き起こす体液性抗体応答の刺激を包含し得る。投与方式によって、1ナノグラム/キログラム〜100ミリグラム/キログラムの範囲の免疫原の用量が有効であると考えられる。好ましい範囲は、500ナノグラム〜500マイクログラム/キログラムであると思われる。絶対量は、種々の要因、例えば投与のために選定される物質、投与が1回投与であるか多数回投与であるか、ならびに個々の患者パラメーター、例えば年齢、健康状態、サイズ、体重および疾患の段階によるであろう。これらの要因は当業者には周知であり、ルーチン実験で取り扱われ得る。
【0106】
[実施例]
実施例1:CD4Tリンパ球に対してHLAクラスII分子により提示されるMAGE−A1エピトープの同定
単球由来樹状細胞にMAGE−A1組換えタンパク質を装入して、自系CD4T細胞を刺激するために用いた。白色人種の17%で発現されるHLA−DRB115分子により提示されるペプチドMAGE−A1281−292(配列番号7)を認識するCD4T細胞クローンを単離した。
【0107】
I.細胞株、サイトカイン
EBV−形質転換化B(EBV−B)細胞株を、10%ウシ胎仔血清(FCS)(Gibco BRL)、0.24mMのL−アスパラギン、0.55mMのL−アルギニン、1.5mMのL−グルタミン(AAG)、100U/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシンを補充したIscoveの変法ダルベッコ培地(IMDM)(Gibco BRL, Gaithersburg, MD, USA)中で培養した。ヒト組換え体IL−2をEurocetus(Amsterdam, Netherlands)から、IL−7をGenzyme(Cambridge, MA, USA)から、GM−CSFをSchering Plough(Brinny, Ireland)から、そしてTNF−αをR&D Systems(Abingdon, UK)から購入した。標準組換え手法を用いて実験室で、ヒト組換えIL−4、IL−6およびIL−12を生成した。
【0108】
II.2つの組換えMAGE−A1タンパク質の生成
A−大腸菌中でのリポD−MAGE−A1−Hisタンパク質の生成
SmithKline Beecham Corporation Pharmaceutical Company(Rixensart, Belgium)が組換えリポD−MAGE−A1−Hisタンパク質を生成した。それは、そのN末端にHaemophilus influenzaeリポDタンパク質の3分の1の配列を、そしてそのC末端に7つの残基のポリヒスチジンマーカーを含有し、リポDおよびHis末端間にMAGE−A1タンパク質(配列番号2)を有した。この組換えタンパク質は大腸菌中で生成され、以後、タンパク質MAGE−A1(1)と呼ばれている。
【0109】
B−Sf9昆虫細胞中でのHis−MAGE−A1タンパク質の生成
バキュロウイルス発現系(PharMingen, San Diego, CA, USA)を用いてSpodoptera frugiperda(Sf9)昆虫細胞中で、実験室において別の組換えMAGE−A1タンパク質を生成した。バキュロウイルスの一菌株であるAutographa californica核多角体ウイルス(AcNPV)のgp67表面タンパク質のシグナル配列の下流のバキュロウイルス移入ベクター(pAcGP67−A;PharMingen)中で、MAGE−A1のコード配列(配列番号1のヌクレオチド139〜1068)をクローン化した。より容易に精製するために、ヒスチジン尾をコードする配列を、MAGE−A1の配列のC末端に付加した。この構築物は、MAGE−A1タンパク質の昆虫細胞による分泌を可能にし、以後、MAGE−A1(2)と呼ばれている。組換えプラスミドのDNAを致死突然変異化AcNPVのDNAとともにSf9昆虫細胞中に同時トランスフェクトした。同時トランスフェクションは、プラスミドおよびウイルスの相同領域間の組換えを可能にし、ベクターからの外来遺伝子をAcNPV DNAに移入する。Sf9昆虫細胞培養の上清中に含入されるタンパク質の精製は、異なるバッチに関して、下記に記載するように、異なる過程を包含した。
【0110】
濾過、陰イオン交換樹脂(DEAE−セファデックス)、NiClで飽和された高トラップキレート化カラム、固定化抗MAGE−A1モノクローナル抗体(MAb 11B2)を有するアフィニティークロマトグラフィー、濃縮および透析の逐次過程により、バッチ番号1のMAGE−A1(2)を精製した。
【0111】
濾過、陰イオン交換樹脂DEAE−セファデックス、NiClで飽和された高トラップキレート化カラム、逆相HPLCおよび濃縮の逐次過程により、バッチ番号2のMAGE−A1(2)を精製した。
【0112】
III.ヒト血液のプロセシング
標準バッフィーコート調製物として、ヘモクロマトーシス患者から末梢血を得た。Lymphoprep(Nycomed Pharma, Oslo, Norway)での遠心分離により、末梢血単核球(PBMC)を単離した。血小板によるPBMCの汚染を最小限にするために、調製物をまず1,000rpmで室温で20分間遠心分離した。血小板の大半を含有する上部20〜25mlの除去後、試験管を1,500rpmで室温で20分間遠心分離した。PBMCを含有する相間を収穫し、次に、残存血小板を排除するために、2mMのEDTAを含有する冷リン酸塩緩衝液中で3回(またはそれ以上)洗浄した。自系樹状細胞を生成するために、2−アミノエチルイソチオウロニウム(Sigma)で処理したヒツジ赤血球(BioMerieux, Marcy l’Etoile, France)でロゼット化することにより、Tリンパ球からPBMCを枯渇させた。リンパ球枯渇化PBMCを、AAGおよび1%自系血漿を補充したRPMI 1640培地(以後、完全RPMI培地と呼ぶ)中に2x10細胞/mlの密度で培養フラスコ(Falcon)中に37℃で2時間付着させたままにした。非付着細胞を捨て、付着細胞を、完全RPMI培地中でIL−4(100U/ml)およびGM−CSF(100ng/ml)の存在下で培養した。2日目および4日目に新鮮な培地+IL−4(100U/ml)およびGM−CSF(100ng/ml)を培地の半分と取り換えることにより、培養を飼育した。5日目に、非付着細胞集団を高濃度化樹状細胞の供給源として用いた。
【0113】
ロゼット化T細胞をNHCl(160mM)で処理してヒツジ赤血球を溶解し、洗浄した。磁気微小ビーズ(Miltenyi Biotech, Germany)に結合された抗CD8モノクローナル抗体を用いた陰性選択により、ならびにメーカーの推奨通りにMACSにより分類することによって、CD4Tリンパ球をロゼット化T細胞から単離した。リンパ球を凍結し、その後、樹状細胞との同時培養の前日に解氷した。
【0114】
IV.混合リンパ球/樹状細胞培養
バッチ番号2からの約20μgのMAGE−A1(2)タンパク質の存在下でIL−4(100U/ml)、GM−CSF(100ng/ml)およびTNF−α(1ng/ml)を補充した完全培地中で、37℃で5%COで18〜20時間、樹状細胞(5x10/ml)をインキュベートした。細胞を洗浄し、10/丸底微小ウエルで、IL−6(1,000U/ml)およびIL−12(10ng/ml)の存在下でAAGおよび10%ヒト血清を補充した200μlのIMDM培地(以後、完全IMDM培地と呼ぶ)中の10自系CD4リンパ球に添加した(図1)。7日目および14日目に、バッチ番号2からのMAGE−A1(2)タンパク質を新たに装入した自系樹状細胞でCD4リンパ球を再刺激し、IL−2(10U/ml)およびIL−7(5ng/ml)を補充した完全Iscove培地中で増殖させた。4週間目に、バッチ番号1からの等量の透析化MAGE−A1(2)タンパク質を用いて、刺激を実施した。
【0115】
35日目に、タンパク質MAGE−A1(1)を装入した自系EBV−B細胞で刺激した場合にIFN−γを産生するそれらの能力に関して、増殖中のCD4T細胞を含有する微小培養を査定した。別のタンパク質を用いた理由は、樹状刺激体細胞に装入するために用いられるタンパク質中に含入される夾雑物に対して反応するCD4T細胞を考慮しなくてもよいようにするためであった。20μg/mlのタンパク質MAGE−A1(1)、または陰性対照としての卵白アルブミン(OVA)(Sigma)の存在下で18〜20時間、自系EBV−B細胞をインキュベートした。タンパク質パルス化EBV−B細胞を洗浄し、〜20,000細胞/丸底微小ウエルで、〜3,000CD4Tリンパ球と一緒に、IL−2(25U/ml)を補充した完全IMDM培地150μl中に分布させた。20時間後、上清を収集し、Medgenix Diagnostics-Biosource(Fleurus, Belgium)からの試薬を用いて、ELISAによりそのIFN−γ含量を測定した。
【0116】
V.MAGE−A1抗原に対して向けられるCD4T細胞クローン
タンパク質MAGE−A1(1)で刺激後に高レベルのIFN−γを産生する微小培養G3を、刺激体細胞としてタンパク質MAGE−A1(1)を装入した(5x10〜10x10細胞/微小ウエル)自系EBV−B細胞を用いて稀釈を制限することにより、クローン化した。これらの刺激体細胞は、自系樹状細胞の限定供給のために、クローニング過程用に使用した。同種異系LG2−EBV−B細胞(5x10〜10x10細胞/微小ウエル)をフィーダー細胞として添加した。CD4T細胞クローンを週1回再刺激し、IL−2(50U/ml)および0.5μg/mlの精製PHA(HA16、Murex Diagnostics, Dartford, UK)を補充した完全IMDM培地中で増殖させた。確立されたCD4T細胞クローンに新鮮な培地を週1回補充し、フィーダー細胞(1.5x10同種異系PBL+5x10LG2 EBV−B細胞/24ウエルプレート中のウエル)を用いて1〜2週間間隔で継代した。CD4クローンLB650−CTL 488/G3.14(以後クローン14と呼ぶ)を得た。それは、タンパク質MAGE−A1(1)を装入された自系EBV−B細胞を認識した(図2)。
【0117】
タンパク質MAGE−A1を装入した細胞のクローン14による認識を、抗HLA−DR抗体によりなくした。1/20稀釈で用いられた防腐剤無含有モノクローナル抗体の連続存在下で、クローン14とともに、8%CO下で37℃で24時間、MAGE−A1(1)−パルス化EBV−B細胞を同時培養した。モノクローナル抗体2B6(対HLA−DR)は認識をなくしたが、一方、モノクローナル抗体W6/32(対HLA−A、B、C)の存在下では認識は変わらなかった。
【0118】
VI.CD4クローン14はHLA−DRB115上のMAGE−A1ペプチドEYVIKVSARVRF(配列番号7)を認識する
CD4クローン14により認識されるMAGE−A1ペプチドを同定するために、MAGE−A1タンパク質配列(配列番号2)のオーバーラップ部分に対応する16アミノ酸ペプチドを自系EBV−B細胞上に装入し、認識に関して試験した。一時的NH末端保護のためにF−mocを用いて固相上にペプチドを合成し、質量分析法を用いて特性化した。分析的HPLCにより示した場合、全ペプチドが>80%純粋であった。親油性ペプチドをまずDMSO中に2mg/mlで溶解し、次に5μg/mlの濃度で用いられるようIscove培地中に稀釈した。異なるペプチドの存在下でEBV−B細胞を37℃で2時間インキュベートしたが、指示濃度はインキュベーション過程中のそれらの濃度を表す。それらを、〜10,000細胞/丸底微小ウエルで、〜2,500CD4Tリンパ球と一緒に、IL−2(25U/ml)を補充した完全IMDM培地100μl中に分布させた。18〜20時間後、上清を収穫し、IFN−γ分泌に関して査定した。Medgenix Diagnostics-Biosource(Fleurus, Belgium)からの試薬を用いて、実験室で開発されたELISA検定(20〜4000pg/ml)を用いて、IFN−γ産生を測定した。
【0119】
2つのペプチド、即ちVKVLEYVIKVSARVRF(aa277〜292;配列番号3)およびEYVIKVSARVRFFFPS(aa281〜296;配列番号4)は陽性を得た(図3)。それらは12アミノ酸だけオーバーラップした。クラスI分子により提示されたペプチドとは異なり、クラスIIにより提示されたものは、それらがクラスII分子溝中でそれらの末端により固定されないため、通常は長さが異なり、アミノおよびカルボキシ末端の両方での延長に耐容性である。したがって、それらのペプチドの長さを正確に限定するのは難しい。それらの配列が2つの陽性16アミノ酸ペプチドの配列に含まれる別の組の12アミノ酸ペプチドを試験した(図4)。ペプチドEYVIKVSARVRF(aa281〜292;配列番号7)は、クローン14により良好に認識される(図4)。刺激体細胞を〜10nMのこのペプチドとともにインキュベートすることにより、刺激の半最大(half maximum)値を得た。これは、CD4T細胞によりHLAクラスII分子上で認識された他のMAGEエピトープに関して得られた結果に好都合に匹敵する。例えば、〜10nMのMAGE−A3ペプチドは、抗MAGE−A3CD4クローンのIFN−γの半最大産生を誘導するために必要であった。
【0120】
患者LB650を血清学的に、DRB10701、DRB115ならびにDRB401およびDRB50101に類型分類した。提示中のHLA−DR分子を同定するために、DRB10701、DRB115ならびにDRB401またはDRB50101を発現する付加的EBV−B細胞株を試験した。DRB115を発現するものすべておよびそれらだけが、クローン14に対してMAGE−A1281−292ペプチドを提示し得た(表2)。
【0121】
表2.クローン14はHLA−DRB115上でMAGE−A1ペプチドEYVIKVSARVRF(配列番号7)を認識する
【表4】

【0122】
自系LB650EBV−B細胞または同種異系EBV−B細胞をペプチドEYVIKVSARVRF(配列番号7)を用いて1μMで2時間パルス処理し、洗浄した。10,000ペプチドパルス化EBVを、3,000細胞のCD4クローン14とともに18時間、丸底微小ウエル中でインキュベートした。ELISAにより、上清中のIFN−γ産生を測定した。
【0123】
実施例2:クローン14による他のMAGEタンパク質の認識
本明細書中に記載するMAGE−A1 HLA結合ペプチドと相同のペプチド配列は、MAGE−A4を含めた他の癌抗原中に見出される。例えば、MAGE−A4ペプチドを合成した:YVKVLEHVVRVNARVR(配列番号13)およびLEHVVRVNARVRIAYP(配列番号14)。CD4T細胞クローンがこれらのMAGE−A4ペプチドを認識するか否かを確定するために、本ペプチドを用いて抗原提示細胞(例えばEBV−B細胞)に装入して、上記の検定にしたがってクローン14による認識に関して試験する。CD4T細胞クローンがさらに別の癌関連抗原を認識するか否かを確定するために、組換えタンパク質(例えばMAGEタンパク質)またはこれらのタンパク質中の相同領域に対応するその他の合成ペプチドを、上記と同様に用いる。クローン14により認識される相同ペプチドは、本明細書中に記載するMAGE−A1ペプチドの機能的変異体とみなされ得る。
【0124】
本発明の他の態様は当業者には明らかであり、ここに繰り返す必要はない。本明細書中に引用した参考文献は各々、それらの記載内容全体が参照により本明細書中に援用される。
【0125】
用いられた用語および表現は、説明のために用いられたものであって、本発明を限定するものではなく、このような用語および表現の使用において、図示され、説明された特徴またはその一部のいかなる等価物も排除されるものではなく、種々の修正は本発明の範囲内で可能であると理解される。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】抗MAGE−A1 CD4T細胞クローンを得るために用いられる手法の概略図である。
【図2】クローン14が、HLA−DRにより提示されるMAGE−A1エピトープを認識することを示す図である。
【図3】クローン14による認識に関するMAGE−A1ペプチドのスクリーニングを示す図である。
【図4】クローン14がペプチドEYVIKVSARVRF(配列番号7)およびその他のMAGE−A1ペプチドを認識することを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HLAクラスII分子を結合する配列番号2のアミノ酸配列の断片、あるいは1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含む単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドであって、前記断片が配列番号2のアミノ酸112〜127または114〜127からなるのものではなく、前記機能的変異体がアミノ酸111にヒスチジン置換を有する配列番号2のアミノ酸109〜119または110〜119からなるのではなく、そして前記機能的変異体がHLAクラスII分子を結合する、前記単離HLAクラスII結合ペプチド。
【請求項2】
単離ペプチドが配列番号7として記載されたアミノ酸配列、あるいは1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含む機能的変異体を含む、請求項1に記載の単離HLAクラスII結合ペプチド。
【請求項3】
単離ペプチドが配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の単離HLAクラスII結合ペプチド。
【請求項4】
単離ペプチドが配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の単離HLAクラスII結合ペプチド。
【請求項5】
単離ペプチドがエンドソームターゲッティングシグナルを含む、請求項1に記載の単離HLAクラスII結合ペプチド。
【請求項6】
エンドソームターゲッティングシグナルが、ヒト不変鎖IiまたはLAMP−1のエンドソームターゲッティング部分を含む、請求項5に記載の単離HLAクラスII結合ペプチド。
【請求項7】
単離ペプチドが非加水分解性である、請求項1に記載の単離HLAクラスII結合ペプチド。
【請求項8】
単離ペプチドがD−アミノ酸を含むペプチド、−psi[CHNH]−還元化アミドペプチド結合を含むペプチド、−psi[COCH]−ケトメチレンペプチド結合を含むペプチド、−psi[CH(CN)NH]−(シアノメチレン)アミノペプチド結合を含むペプチド、−psi[CHCH(OH)]−ヒドロキシエチレンペプチド結合を含むペプチド、−psi[CHO]−ペプチド結合を含むペプチドおよび−psi[CHS]−チオメチレンペプチド結合を含むペプチドからなる群から選択される、請求項に7記載の単離HLAクラスII結合ペプチド。
【請求項9】
単離MAGE−A1 HLAクラスI結合ペプチドおよび単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを含む組成物であって、単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドは、HLAクラスII分子を結合する配列番号2のアミノ酸配列の断片、あるいは1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含み、前記断片が配列番号2のアミノ酸112〜127または114〜127からなるのではなく、前記機能的変異体がアミノ酸111にヒスチジン置換を有する配列番号2のアミノ酸109〜119または110〜119からなるのではなく、そして前記機能的変異体がHLAクラスII分子を結合する、前記組成物。
【請求項10】
MAGE−A1 HLAクラスI結合ペプチドおよびMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドがポリトープポリペプチドとして併合される、請求項9に記載の前記組成物。
【請求項11】
単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが、配列番号7のアミノ酸配列、あるいは1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが、配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが、配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが、エンドソームターゲッティングシグナルを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
エンドソームターゲッティングシグナルが、ヒト不変鎖IiまたはLAMP−1のエンドソームターゲッティング部分を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1記載のペプチド、請求項2記載のペプチド、請求項3記載のペプチド、請求項4記載のペプチドおよび請求項5記載のペプチドからなる群から選択されるペプチドをコードする単離核酸であって、配列番号1からなるのではない、前記単離核酸。
【請求項17】
核酸が配列番号12として記載されたヌクレオチド配列を含む、請求項16に記載の単離核酸。
【請求項18】
プロモーターと操作可能的に連結された、請求項17に記載の単離核酸を含む発現ベクター。
【請求項19】
核酸が配列番号12として記載されたヌクレオチド配列からなる、請求項18に記載の発現ベクター。
【請求項20】
HLA−DRB115分子をコードする核酸をさらに含む、請求項18に記載の発現ベクター。
【請求項21】
請求項18記載の発現ベクター、請求項19記載の発現ベクターおよび請求項20記載の発現ベクターからなる群から選択される発現ベクターでトランスフェクトまたは形質転換された前記宿主細胞。
【請求項22】
請求項18記載の発現ベクターおよび請求項19記載の発現ベクターの群から選択される発現ベクターでトランスフェクト、または形質転換された宿主細胞であって、HLA−DRB115分子を発現する、前記宿主細胞。
【請求項23】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドに特異的なCD4Tリンパ球でTリンパ球の集団を選択的に高濃度化するための方法であって、
CD4Tリンパ球でTリンパ球の単離集団を選択的に高濃度化するのに十分な量でMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドおよびHLAクラスII分子の複合体を提示する因子(agent)とTリンパ球の単離集団を接触させることを含み、単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドはHLAクラスII分子を結合する配列番号2のアミノ酸配列の断片、あるいは1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含み、前記断片が配列番号2のアミノ酸112〜127または114〜127からなるのではなく、前記機能的変異体がアミノ酸111にヒスチジン置換を有する配列番号2のアミノ酸109〜119または110〜119からなるのではなく、そして前記機能的変異体がHLAクラスII分子を結合する、前記方法。
【請求項24】
因子がMAGE−A1タンパク質またはそのHLAクラスII結合断片と接触した抗原提示細胞である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
HLAクラスII分子がHLA−DRB115分子であり、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが配列番号7として記載されたアミノ酸配列、あるいは1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を包含する、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
HLAクラスII分子がHLA−DRB115分子であり、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項23または24に記載の方法。
【請求項27】
HLAクラスII分子がHLA−DRB115分子であり、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項23または24に記載の方法。
【請求項28】
MAGE−A1タンパク質またはそのHLAクラスII結合ペプチドがヒト不変鎖IiまたはLAMP−1のエンドソームターゲッティング部分を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
MAGE−A1の発現を特徴とする障害の診断方法であって、
対象から単離された生物学的試料をMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドに特異的である因子と接触させることと、
因子とMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドとの間の相互作用を障害の鑑定として確定することとを含む、単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドはHLAクラスII分子を結合する配列番号2のアミノ酸配列の断片、あるいは1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含み、前記断片が配列番号2のアミノ酸112〜127または114〜127からなるのではなく、前記機能的変異体がアミノ酸111にヒスチジン置換を有する配列番号2のアミノ酸109〜119または110〜119からなるのではなく、そして前記機能的変異体がHLAクラスII分子を結合する、前記方法。
【請求項30】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが配列番号7として記述されるアミノ酸配列または1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
HLAクラスII分子との複合体を形成するMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの発現を特徴とする障害の診断方法であって、
対象から単離された生物学的試料を、複合体を結合する因子と接触させることと、
複合体および因子間の結合を障害の決定として確認することと含む、単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドはHLAクラスII分子を結合する配列番号2のアミノ酸配列の断片、あるいは1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含み、前記断片が配列番号2のアミノ酸112〜127または114〜127からなるのではなく、前記機能的変異体がアミノ酸111にヒスチジン置換を有する配列番号2のアミノ酸109〜119または110〜119からなるのではなく、そして前記機能的変異体がHLAクラスII分子を結合する、前記方法。
【請求項34】
HLAクラスII分子がHLA−DRB1/13分子であり、そしてMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが配列番号7として記載されたアミノ酸、あるいは1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
MAGE−A1の発現を特徴とする障害を有する対象の治療方法であって、
障害を改善するのに十分な量のMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを対象に投与することとを含み、単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドはHLAクラスII分子を結合する配列番号2のアミノ酸配列の断片、あるいは1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含み、前記断片が配列番号2のアミノ酸112〜127または114〜127からなるのではなく、前記機能的変異体がアミノ酸111にヒスチジン置換を有する配列番号2のアミノ酸109〜119または110〜119からなるのではなく、そして前記機能的変異体がHLAクラスII分子を結合する、前記方法。
【請求項38】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが、エンドソームターゲッティングシグナルを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
エンドソームターゲッティングシグナルがヒト不変鎖IiまたはLAMP−1のエンドソームターゲッティング部分を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが、配列番号7として記載されたアミノ酸配列、あるいは1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが、配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが、配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
MAGE−A1の発現を特徴とする障害を有する対象の治療方法であって、
障害を改善するのに十分な量のMAGE−A1 HLAクラスI結合ペプチドおよびそれに十分な量のMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを対象に投与することを含み、単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドはHLAクラスII分子を結合する配列番号2のアミノ酸配列の断片、あるいは1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含み、前記断片が配列番号2のアミノ酸112〜127または114〜127からなるのではなく、前記機能的変異体がアミノ酸111にヒスチジン置換を有する配列番号2のアミノ酸109〜119または110〜119からなるのではなく、そして前記機能的変異体がHLAクラスII分子を結合する、前記方法。
【請求項44】
MAGE−A1 HLAクラスI結合ペプチドおよびMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドがポリトープポリペプチドとして組み合わされる、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドがエンドソームターゲッティングシグナルを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
エンドソームターゲッティングシグナルが、ヒト不変鎖Iiのエンドソームターゲッティング部分を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが、配列番号7として記載されたアミノ酸配列、あるいは1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが、配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが、配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
MAGE−A1の発現を特徴とする障害を有する対象の治療方法であって、
障害を改善するのに十分な量の、HLAクラスII分子とMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの複合体の存在を対象中で選択的に高濃度化する因子を対象に投与することを含み、単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドはHLAクラスII分子を結合する配列番号2のアミノ酸配列の断片、あるいは1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含み、前記断片が配列番号2のアミノ酸112〜127または114〜127からなるのではなく、前記機能的変異体がアミノ酸111にヒスチジン置換を有する配列番号2のアミノ酸109〜119または110〜119からなるのではなく、そして前記機能的変異体がHLAクラスII分子を結合する、前記方法。
【請求項51】
HLAクラスII分子がHLA−DRB115分子であり、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが配列番号7として記載されたアミノ酸配列、あるいは1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが、配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが、配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
因子がMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが、エンドソームターゲッティングシグナルを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
エンドソームターゲッティングシグナルが、ヒト不変鎖IiまたはLAMP−1のエンドソームターゲッティング部分を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
MAGE−A1の発現を特徴とする障害を有する対象の治療方法であって、
障害を改善するのに十分な量の自系CD4Tリンパ球を対象に投与することを含む方法であり、CD4Tリンパ球がHLAクラスII分子とMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの複合体に特異的であり、単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドはHLAクラスII分子を結合する配列番号2のアミノ酸配列の断片、あるいは1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含み、前記断片が配列番号2のアミノ酸112〜127または114〜127からなるのではなく、前記機能的変異体がアミノ酸111にヒスチジン置換を有する配列番号2のアミノ酸109〜119または110〜119からなるのではなく、そして前記機能的変異体がHLAクラスII分子を結合する、前記方法。
【請求項58】
HLAクラスII分子がHLA−DRB1/13分子であり、そしてMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが配列番号7として記載されたアミノ酸配列、あるいは1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが、配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが、配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの機能的変異体の同定方法であって、
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチド、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドを結合するHLAクラスII結合分子、ならびにHLAクラスII結合分子により提示されるMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドにより刺激されるT細胞を選択することと、
変異体ペプチドを調製するためにMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの第一アミノ酸残基を突然変異化することと、
HLAクラスII結合分子との変異体ペプチドの結合およびT細胞の刺激を確定することを含む方法であって、HLAクラスII結合分子との変異体ペプチドの結合およびHLAクラスII結合分子により提示される変異体ペプチドによるT細胞の刺激が、変異体ペプチドが機能的変異体であることを示し、単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドはHLAクラスII分子を結合する配列番号2のアミノ酸配列の断片を含み、前記断片が配列番号2のアミノ酸112〜127または114〜127からなるのではなく、前記機能的変異体がアミノ酸111にヒスチジン置換を有する配列番号2のアミノ酸109〜119または110〜119からなるのではなく、そして前記機能的変異体がHLAクラスII分子を結合する、前記方法。
【請求項62】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが配列番号7として記載されたアミノ酸配列を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
機能的変異体によるT細胞の刺激の有効性の決定として、MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドによるT細胞の刺激および機能的変異体によるT細胞の刺激とを比較するステップをさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
配列番号7を含むエピトープを有するポリペプチドを選択的に結合するが、HLAクラスII分子ではない、単離ポリペプチド。
【請求項65】
単離ポリペプチドが抗体である、請求項64に記載の単離ポリペプチド。
【請求項66】
モノクローナル抗体である、請求項65に記載の抗体。
【請求項67】
請求項64に記載の単離ポリペプチドであって、Fab断片、F(ab)断片、またはMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドに対して選択的なCDR3領域を含む断片からなる群から選択される抗体断片である、前記単離ポリペプチド。
【請求項68】
HLAクラスII分子とMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの複合体を選択的に結合する、単離CD4Tリンパ球であって、単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドはHLAクラスII分子を結合する配列番号2のアミノ酸配列の断片、あるいは1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含み、前記断片が配列番号2のアミノ酸112〜127または114〜127からなるのではなく、前記機能的変異体がアミノ酸111にヒスチジン置換を有する配列番号2のアミノ酸109〜119または110〜119からなるのではなく、そして前記機能的変異体がHLAクラスII分子を結合する、前記単離CD4Tリンパ球。
【請求項69】
HLAクラスII分子がHLA−DRB115分子であり、そしてMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが配列番号7として記載されたアミノ酸配列、あるいは1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含む、請求項68に記載の単離CD4Tリンパ球。
【請求項70】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項69に記載の単離CD4Tリンパ球。
【請求項71】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項69に記載の単離CD4Tリンパ球。
【請求項72】
HLAクラスII分子とMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドの複合体を含む単離抗原提示細胞であって、単離MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドはHLAクラスII分子を結合する配列番号2のアミノ酸配列の断片、あるいは1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含み、前記断片が配列番号2のアミノ酸112〜127または114〜127からなるのではなく、前記機能的変異体がアミノ酸111にヒスチジン置換を有する配列番号2のアミノ酸109〜119または110〜119からなるのではなく、そして前記機能的変異体がHLAクラスII分子を結合する、前記単離抗原提示細胞。
【請求項73】
HLAクラスII分子がHLA−DRB115分子であり、そしてMAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが配列番号7として記載されたアミノ酸配列、あるいは1つのアミノ酸付加、置換または欠失を含むその機能的変異体を含む、請求項72に記載の単離抗原提示細胞。
【請求項74】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項73に記載の単離抗原提示細胞。
【請求項75】
MAGE−A1 HLAクラスII結合ペプチドが配列番号3、配列番号4および配列番号7からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項73に記載の単離抗原提示細胞。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−109928(P2008−109928A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270239(P2007−270239)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【分割の表示】特願2001−505564(P2001−505564)の分割
【原出願日】平成12年6月14日(2000.6.14)
【出願人】(500025570)ルードヴィッヒ インスティテュート フォー キャンサー リサーチ (16)
【Fターム(参考)】