説明

HMI開発支援装置、HMI開発支援方法およびHMI開発支援プログラム

【課題】従来から知られているHMI開発支援装置は、それぞれの開発担当者に対して、開発情報への一様かつ均一なアクセス法およびアクセス権限を提供するものであったので、他の開発担当者が担当している開発情報を、意図的にあるいは意図せずに変更してしまうという問題があった。
【解決手段】開発担当者が有するそれぞれの担当内容に応じて表示部品が有する属性の属性値を変更することが可能であるか否かを表示部品の属性ごとに設定する。この設定により、レイアウトエディタ20は、開発担当者が自分の担当外の属性値を変更してしまうことを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーション装置などの情報端末におけるヒューマン・マシン・インタフェース(以下、HMIという)の開発に好適なHMI開発支援技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の開発担当者がそれぞれ自己の表示画面を用いて操作・作成するHMIの開発時においては、いわゆるレイアウトエディタが用いられている(非特許文献1)。レイアウトエディタにおいては、前もって準備されたボタンや表示枠などの表示部品を並べることにより、それぞれの開発担当者に対応した表示画面を容易に構成することができる。それぞれの表示部品には複数の属性が備えられており、それら各属性の属性値を変えることにより、外観や動作を変えることができる。例えば、ボタンであれば「幅」、「高さ」、「座標」、「表示色」などといった属性があり、これら属性の属性値はレイアウトエディタによって編集が可能である。
【0003】
【非特許文献1】マイクロソフト株式会社、“Visual Studio ホームページ”、[online]、[平成19年9月27日検索]、インターネット〈http://www.microsoft.com/japan/msdn/vstudio/〉
【0004】
近年に至っては、カーナビゲーション装置など情報端末の高度化に伴い、HMIの開発には複数の開発担当者が作業を分担している。例えば、ボタンや表示枠などの表示部品を作成する部品担当者、それら表示部品を組み合わせて画面全体のレイアウトを行うレイアウト担当者、表示部品の動作および各場面で実現される具体的な機能を作成する機能担当者など、さまざまな役割を分担する担当者が必要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来から知られているHMI開発支援装置は、それぞれの開発担当者に対して、開発情報への一様且つ均一(平等)なアクセス法およびアクセス権限を提供するものであった。そのことに起因して、他の開発担当者が担当している開発情報を、意図的にあるいは意図せずに変更してしまうという問題があった。
【0006】
例えば、表示画面上にあるボタンについて、その横幅や表示色といった属性は外観に関するものであるからレイアウト担当者が責任を持つべき項目であるが、こういったボタンの外観を機能担当者により変更されてしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る本発明は、複数の開発担当者が各自の表示画面を用いてヒューマン・マシン・インタフェースを開発するためのHMI開発支援装置であって、複数の属性と、各属性の属性値に対する開発担当者ごとの変更権限の有無とを表す情報が付加された表示部品を生成する表示部品編集手段と、前記表示部品をレイアウトすることによりヒューマン・マシン・インタフェースに係る表示画面を生成する画面レイアウト編集手段とを備え、前記画面レイアウト編集手段は、前記表示部品が有する属性の属性値を変更する属性値変更手段を含み、それぞれの開発担当者ごとに設定されているユーザ種別情報に基づいて前記属性値の変更の可否を判定する。
請求項2に係る本発明は、請求項1に記載のHMI開発支援装置において、前記画面レイアウト編集手段により生成された表示画面には、前記表示部品の属性名および属性値が表示されており、使用中の開発担当者に変更権限が与えられていない属性値については、属性値変更のためのデータ入力を許可しない。
請求項3に係る本発明は、請求項1に記載のHMI開発支援装置において、前記画面レイアウト編集手段により生成された表示画面には、前記表示部品の属性名および属性値が表示されており、ファイナル指定が設定されている属性値については、属性値変更のためのデータ入力を許可しない。
請求項4に係る本発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のHMI開発支援装置において、前記画面レイアウト編集手段により生成された表示画面には、前記表示部品の属性名および属性値が表示されており、使用中の開発担当者に変更権限が与えられていない属性値の入力欄は、通常の表示形態と異なる表示形態により表示されている。
請求項5に係る本発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のHMI開発支援装置において、前記表示部品編集手段は、属性値が設定されている属性と、属性の属性値に対する変更可否を表す情報が付加された共有部品を生成する共有部品生成手段と、前記共有部品から前記表示部品を生成する派生部品生成手段とを備え、前記属性値変更手段は、前記派生部品生成手段によって生成された前記表示部品が有する属性値の変更の可否を判定する。
請求項6に係る本発明は、請求項5に記載のHMI開発支援装置において、前記共有部品生成手段により生成された前記共有部品の各属性について、前記派生部品生成手段によって生成される前記表示部品の属性値を変更することができないファイナル指定を設定することができる。
請求項7に係る本発明は、請求項5または6に記載のHMI開発支援装置において、前記共有部品は、前記共有部品が備えているすべての属性値について変更可否を表す情報が更に付加されており、前記属性値変更手段は、前記派生部品生成手段によって生成された前記表示部品が有する属性値の変更の可否を判定する。
請求項8に係る本発明は、複数の開発担当者が各自の表示画面を用いてヒューマン・マシン・インタフェースを開発するためのHMI開発支援方法として、複数の属性と、各属性の属性値に対する開発担当者ごとの変更権限の有無とを表す情報が付加された表示部品を生成する表示部品編集工程と、前記表示部品をレイアウトすることによりヒューマン・マシン・インタフェースに係る表示画面を生成する画面レイアウト編集工程と、前記表示部品が有する属性の属性値を変更する際に、開発担当者ごとに設定されているユーザ種別情報に基づいて前記属性値の変更の可否を判定する属性値変更工程を備える。
請求項9に係る本発明は、請求項8に記載のHMI開発支援方法において、前記画面レイアウト編集工程により生成された表示画面には、前記表示部品の属性名および属性値が表示されており、使用中の開発担当者に変更権限が与えられていない属性値については、属性値変更のためのデータ入力を許可しない。
請求項10に係る本発明は、請求項8に記載のHMI開発支援方法において、前記画面レイアウト編集工程により生成された表示画面には、前記表示部品の属性名および属性値が表示されており、ファイナル指定が設定されている属性値については、属性値変更のためのデータ入力を許可しない。
請求項11に係る本発明は、請求項8〜10のいずれか一項に記載のHMI開発支援方法において、前記画面レイアウト編集工程により生成された表示画面には、前記表示部品の属性名および属性値が表示されており、使用中の開発担当者に変更権限が与えられていない属性値の入力欄は、通常の表示形態と異なる表示形態により表示されている。
請求項12に係る本発明は、請求項8〜11のいずれか一項に記載のHMI開発支援方法において、前記表示部品編集工程は、属性値が設定されている属性と、属性の属性値に対する変更可否を表す情報が付加された共有部品を生成する共有部品生成工程と、前記共有部品から前記表示部品を生成する派生部品生成工程とを備え、前記属性値変更工程は、前記派生部品生成工程によって生成された前記表示部品が有する属性値の変更の可否を判定する。
請求項13に係る本発明は、請求項12に記載のHMI開発支援方法において、前記共有部品生成工程により生成された前記共有部品の各属性について、前記派生部品生成工程によって生成される前記表示部品の属性値を変更することができないファイナル指定を設定することができる。
請求項14に係る本発明は、請求項12または13に記載のHMI開発支援方法において、前記共有部品は、前記共有部品が備えているすべての属性値について変更可否を表す情報が更に付加されており、前記属性値変更工程は、前記派生部品生成工程によって生成された前記表示部品が有する属性値の変更の可否を判定する。
請求項15に係る本発明は、請求項8〜14のいずれか一項に記載の方法をコンピュータにより実行させるHMI開発支援プログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、開発担当者が有するそれぞれの担当内容に応じて、表示部品が有する属性(属性=属性名+属性値)の属性値を変更することが可能であるか否かを、表示部品の属性ごとに設定することができる。この設定を行うことにより、開発担当者が自分の担当外の属性値を変更してしまうことを防止することができる。さらに、この設定を行うことにより、各開発担当者の責任範囲をより明確にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明を適用したHMI開発支援装置の全体構成を示すブロック図である。
【0010】
HMI開発支援装置1は、表示部品編集機能を有する部品エディタ10と、画面レイアウト編集機能を有するレイアウトエディタ20と、プログラム編集機能を有するプログラムエディタ30と、リソース管理DB(データベース)40から構成される。リソース管理DB40は、部品定義管理テーブル41と、部品管理テーブル42と、レイアウト管理テーブル43と、ユーザ管理テーブル44と、画像管理テーブル45と、プログラム管理テーブル46と、テーブル編集部47とを備えている。
【0011】
以上のように構成されたHMI開発支援装置1は、予め定めてある演算処理およびプログラム実行処理を行うCPUと、所定のプログラムおよびデータを記憶する記憶装置と、上記CPUがプログラムを実行するに際して必要なデータを入力する入力装置と、上記CPUがプログラムを実行した結果を表示する表示装置とを含んだコンピュータ(いずれも図示せず)によって実現される。すなわち、図1に示した各ブロックが有するそれぞれの機能は、上記コンピュータのCPUが記憶装置に記憶されている所定のプログラムを実行することによって実現される。また、リソース管理DB40は、いわゆるリレーショナルデータベースであって、ツリー構造で管理されるデータ交換方式のデータは、XML(Extensible Markup Language)のフォーマットで保存されるものとする。なお、上記リソース管理DB40の構成は一例であり、データベースの方式およびデータフォーマットについて制約を課すものでないことは勿論である。
【0012】
なお、本実施の形態においては、HMI開発支援装置1は、1台のコンピュータにより実現しているが、複数台のコンピュータによって実現できることは勿論である。例えば、図1において、部品エディタ10、レイアウトエディタ20、プログラムエディタ30およびリソース管理DB40のそれぞれに対して別個のコンピュータを割り当て、それぞれのコンピュータをネットワークを介して相互に接続しておき、それら複数台のコンピュータを用いてHMI開発支援装置1としての機能を実現するようにしてもよい。
【0013】
以下、HMI開発支援装置1を構成する各ブロックについて説明する。
部品エディタ10は、部品担当者によって利用される。部品エディタ10を用いることにより、部品定義管理テーブル41に格納されている表示部品の定義の追加、変更および削除を行うことができる。部品エディタ10は、XMLで表現される部品定義を開発担当者(以下、ユーザという)が直接編集するものであってもよいし、XMLの内容を表形式に変換してユーザに提示し、表の項目をユーザが変更する形態のものであってもよい。
【0014】
プログラムエディタ30は、機能担当者によって利用される。ユーザはプログラムエディタ30を用いてプログラムを作成し、各画面(場面)および各部品の動作ないし機能を実装する。作成したプログラムはプログラム管理テーブル46に格納される。
【0015】
次に、レイアウトエディタ20について説明する。
図2は、レイアウトエディタ20の表示画面を例示したものである。レイアウトエディタ20の表示画面は、レイアウト表示部20Aと、開発情報表示部20Bと、ユーザ名表示部20Cと、動作モード表示部20Dから構成される。
【0016】
レイアウト表示部20Aには、編集対象となっているHMIの画面イメージが表示される。図示しない入力装置によって、レイアウト表示部20Aに表示されている複数の表示部品から1つを選択することができる。選択された部品は、部品の輪郭線を強調して表示したり、表示色を変更するなどして、選択されていることを表示させる。本実施の形態では、部品21のように、選択された部品の四隅に黒い四角形を表示することにより、部品が選択されていることを表わしている。さらに、図示しない入力装置によって、新しい表示部品を追加したり、選択中の表示部品を削除することができる。
【0017】
開発情報表示部20Bには、レイアウト表示部20Aにおいて選択した表示部品の開発情報が表示される。開発情報表示部20Bは、属性名表示列200Aと属性値表示列200Bから構成される。開発情報表示部20Bの1行が、表示部品の1つの属性と対応しており、属性名表示列200Aには属性の名称が、属性値表示列200Bには属性の値が表示される。また、属性値表示列200Bに表示されている属性値は、後述する場合を除き、図示しない入力装置によって変更が可能である。属性値を変更した場合、その結果はレイアウト表示部20Aに即座に反映される。例えば図2において、行201に示す属性“width”は、選択中の表示部品21の横幅を表しており、その値は“80”となっている。この数値を入力装置によって“160”に変更すると、レイアウト表示部20Aに表示されている部品21は、横幅が現在の2倍になって表示される。
【0018】
レイアウトエディタ20は、利用開始時に、ユーザ名を問い合わせる。図示しない入力装置によってユーザ名が入力されると、ユーザ表示部20Cには入力したユーザ名が表示される。また、レイアウトエディタ20は、ユーザ管理テーブル44(図1参照)を用いて、ユーザ名に対応する「ユーザ種別」を取得し、その「ユーザ種別」に応じた「動作モード」に移行する。動作モード表示部20Dには、現在の動作モードが表示されている。本実施の形態では、レイアウト担当者用のデザイナーモードと、機能担当者用のプログラマモードと、部品担当者用のパーツメーカモードという3つの「動作モード」が存在する。
【0019】
表示部品の定義を行う際に、表示部品の属性1つ1つに対して、その属性値を変更することが可能な「ユーザ種別」を指定することができる。レイアウトエディタ20の「動作モード」と表示部品の属性に付加された変更可能な「ユーザ種別」情報とが一致しない場合、レイアウトエディタ20は属性値の変更を許可しない。例えば、部品21の属性“style”(行203)は、プログラマモードでのみ変更可能である、という定義がなされているとする。したがって、現在の「動作モード」はデザイナーモードであるので、開発情報表示部20Bから属性203の属性値を変更することができない。このとき、行203の属性値入力欄について、変更可能な属性順の表示形態と異なった表示とすることにより、この属性値が変更不可能であることをユーザに知らせることができる。本実施の形態では、属性値の入力欄を網掛け表示しているが、他の表示例として背景色を変化させたり、特定の記号を表示してもよい。
【0020】
表示部品の定義を作成する際に、属性1つ1つについてその種別を指定する必要がある。指定可能な種別としては、例えば整数や文字列、画像などが挙げられるが、それに加え、属性の種別として他の部品を指定することができる。このような属性は、行202あるいは行204に示すように、属性名の左側に「+」あるいは「−」の記号が表示され、且つ、属性値として部品の名前が表示される。表示されている記号が「+」のとき、図示しない入力装置から指示を与えることで、入れ子になっている部品の属性を展開して表示することができる。このとき、表示されている記号「+」は「−」に変わり、以降の行に入れ子になっている部品の属性が行205〜行207のように階層的に表示される。表示されている記号が「−」のとき、図示しない入力装置から所定の指示(例えば、マウスクリック)を与えることで、展開されている属性を非表示にすることができる。展開されている属性を非表示にすると、記号が「−」から「+」に変わる。
【0021】
表示部品の属性の種別として他の部品を指定する場合について、さらに具体的に説明する。例えば、図3(後に詳述する)において、部品定義ID100にはbuttonという名前の部品が定義されている。このbuttonの属性colorは、属性の種別がcolorとなっている。このcolorという属性の種別は、部品定義IDが101として定義されている部品を指す。
【0022】
部品の属性として画像データを指定する場合、行207(図2参照)のように属性値として画像IDが使用される。画像IDは、後述する画像管理テーブル(図7参照)に格納されている値である。
【0023】
図3は、表示部品の定義が格納されている部品定義管理テーブル41の構成例である。部品の定義がXML形式で格納されている。1つのcomponentDescriptionタグが1つの表示部品定義と対応しており、このタグのname属性が表示部品の名前となっている。また、このcomponentDescriptionタグ以下に存在するpropertyDefタグは、表示部品の属性を表している。propertyDefタグのname属性、type属性、permission属性がそれぞれ属性の名前、属性の種別、変更権限のあるユーザ種別を意味する。
【0024】
図4は、表示部品が格納されている部品管理テーブル42の構成例である。本テーブルには、共有部品および他の部品の属性値として使用される部品が格納されている。共有部品とは、部品を作成する際のひな形として使用することができる部品のことを指す。通常、表示部品の属性には具体的な値を指定する必要があるが、共有部品の場合は全ての属性に値が与えられていなくてもよい。共有部品を元に作成された部品は、共有部品に指定された属性値が初期値として設定されている。そのため、属性値が与えられていない属性についてのみ具体的な値を指定するだけで部品として使用することができる。属性のほとんどが同一値でごく一部の属性のみ値が異なる複数の部品を、共有部品を利用することで簡潔に表現することができる。また、共有部品において既に属性値が与えられている属性であっても、共有部品を元に部品を作成した際、異なる値を設定することができる。
【0025】
部品管理テーブル42に格納されている1つのcomponentタグが1つの表示部品と対応しており、このタグのname属性が表示部品の名前となっている。他に、componentDescription属性もしくはref属性のいずれかを指定する必要がある。componentDescription属性では、この表示部品の元となる部品定義の名称を指定する。ref属性では、この表示部品の元となる共有部品を指定する。
【0026】
componentタグ以下に存在するpropertyタグでは、表示部品の属性値を設定している。propertyタグ1つが属性1つと対応しており、name属性で属性の名称を、value属性で属性値を指定する。propertyタグで指定した属性の種類が他の部品として定義されている場合は、value属性の代わりにref属性で部品管理テーブル中の他の部品を参照する。
【0027】
共有部品のcomponentタグおよびpropertyタグには、final属性を付加することができる。この属性はtrueまたはfalseの値を持つ。ref属性で共有部品を参照した際に、参照先の部品の属性のうち、propertyタグのfinal属性がtrueに設定されているものについては、値を変更することができない。すなわち、共有部品で指定されている値しか使用することができない。また、componentタグのfinal属性をtrueに設定すると、この共有部品の全ての属性について、参照元による値の変更が禁じられる。
【0028】
図5は、画面レイアウトデータが格納されているレイアウト管理テーブル43の構成例である。sceneタグ1つが1つの画面と対応している。sceneタグ以下には、1つ以上のformタグまたはcomponentタグ、または両方のタグが含まれる。componentタグが表示部品を表し、formタグは1つ以上の表示部品をグループとして扱うためのタグである。formタグ以下には1つ以上のcomponentタグが含まれる。
【0029】
formタグにはref属性を付加することができる。ref属性を用いると、他のformタグを元に新しいformタグを作成することができる。これにより、あるformタグとほとんど同一ながら一部のみ異なるformタグを作成することが容易に行える。共有部品と同様に、本テーブル中のformタグ、componentタグ、propertyタグにはfinal属性を付加することができる。final属性の値がtrueであった場合、他のformタグをref属性に指定して新しいformタグを作成する際に、属性値の変更が禁止される。
【0030】
図6は、ユーザデータが格納されているユーザ管理テーブル44の構成例である。各行が1人のユーザに対応している。ユーザ種別の列には各ユーザの開発分担が格納されている。本実施の形態においては、ユーザ種別はdesigner、programmer、partsmakerのいずれかの値をとる。
【0031】
図7は、画像データが格納されている画像管理テーブル45の構成例である。画像管理テーブル45に格納されている各画像データにはIDが割り振られており、部品の属性として画像データを用いる際は、部品あるいは画面データのXMLに画像のIDを記述する。
【0032】
図8は、レイアウトエディタ20において部品を選択した際の処理手順を示すフローチャートである。まずステップS10において、選択した部品に対応するcomponentタグをレイアウト管理テーブル43から取得する。次のステップS11から、ステップS10で取得したcomponentタグに含まれる全属性についての処理ループが始まる。すなわち、全属性についての処理を終えていない場合は、ステップS11において否定判定がなされてステップS12に進む。
【0033】
ステップS12では、componentタグに含まれる属性のうち未だ選択したことのない属性を1つ選択する。ステップS13では、開発情報表示部20Bに選択した属性が既に表示されているか否かを確認する。ステップS13で肯定判定がなされるとステップS11に戻る。ステップS13で否定判定がなされるとステップS14に進む。ステップS14では、選択された属性においてvalue属性で値が指定されているのか、ref属性で他の部品を参照しているのかを確認する。value属性が用いられている場合はステップS15に進み、開発情報表示部20Bへ属性の名称と値を追加してステップS11へ戻る。一方、ref属性が用いられている場合はステップS16に進み、属性の名称と値に加えて展開可能であることを示す「+」記号を付けて開発情報表示部20Bへ追加した後、ステップS11へ戻る。
【0034】
ステップS11で肯定判定がなされるとステップS17へ進む。ステップS17では、取得しているcomponentタグがcomponentDescription属性またはref属性のどちらを使用しているかを確認し、componentDescription属性であればステップS19へ、ref属性であればステップS18へ進む。ステップS18では、部品管理テーブル42からref属性で使用していた共有部品のcomponentタグを取得し、ステップS11へ戻る。ステップS19では、部品定義管理テーブル42からcomponentDescription属性で使用していた部品定義のcomponentDescriptionタグを取得し、ステップS20へ進む。ステップS20では、取得したcomponentDescriptionタグに含まれる全ての属性について、permission属性で指定されている変更可能なユーザ種別を確認し、現在のレイアウトエディタ20の動作モードを比較する。動作モードとpermission属性値が異なっていれば、その属性は変更禁止となるので、開発情報表示部20の属性値部分を網掛け表示にする。ステップS21では、これまでリストに追加してきた全ての属性について、final属性が「true」となっていたかどうかを判定する。final属性が「true」であった属性は変更禁止となるので、ステップS20と同様に、開発情報表示部20の属性値部分を網掛け表示にする。
【0035】
(第1の実施の形態による作用・効果)
上述した第1の実施の形態によるHMI開発支援装置によれば、次の作用効果を得ることができる。
(1)各々の属性について、属性値を変更できるユーザ種別を指定できるようにした。その結果、ユーザが自分の担当外の属性を変更してしまうことがなくなる。
【0036】
(2)属性値を変更できない場合は、属性値の表示方法を変更するようにした。その結果、ある属性が自分の責任範囲にあるのかを、ユーザ自身が容易に判断することができる。
【0037】
<第2の実施の形態>
上述した第1の実施の形態では、レイアウトエディタ20において、変更不可能な属性を網掛けや強調表示などの通常とは異なる表示形式としていたが、このような属性を表示しないようにしてもよい。また、属性値として他の部品が入れ子となっている場合に、この部品の属性が全て変更不可能であれば、入れ子となっている属性は非表示となる。
【0038】
(第2の実施の形態による作用・効果)
上述した第2の実施の形態によるHMI開発支援装置によれば、第1の実施の形態によるHMI開発支援装置で得られる作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
属性値を変更できない場合は、属性の存在をユーザに知らせないようにした。その結果、レイアウトエディタ20における開発情報表示部20Bの表示が簡素化され、操作性が向上する。
【0039】
<その他の実施の形態>
次のような変形も本発明の範囲内である。
【0040】
(1)上述した実施の形態において、表示部品は全てcomponentタグで表現したが、ボタンやラベルのようなごく基本的な表示部品については、標準で用意されているものとし、buttonタグやlabelタグのように独自のタグを用いるようにしてもよい。このようにすることで、XMLの記述内容がより明確になる。
【0041】
(2)上述した実施の形態において、変更不可能な属性は網掛け表示を行っているが、permission属性によって動作モードが指定されているために変更不可能な属性と、final属性がtrueであるために変更不可能な属性とで表示方法を変えてもよい。この場合、参照している共有部品の指定によって変更が禁じられているのか、動作モードの指定によって変更が禁じられているのかを容易に区別することができる。
【0042】
(3)共有部品で設定された属性値を参照元で再設定している場合、属性の表示形式を変更してもよい。このようにすることで、属性値が標準の値から変更されているのかどうかを判断することが容易になる。
【0043】
(4)上述した実施の形態ではXMLを用いたが、HTML形式などの他のマークアップ言語を使用することも可能である。また、独自のバイナリ形式によってデータを保存することもできる。
【0044】
(5)上述した実施の形態における属性値の変更可否判定方法を、プログラムエディタ30で利用してもよい。例えば、属性値を変更するプログラム文を記述した際に、変更不可能な属性値であることを画面に表示する等の利用方法が挙げられる。
【0045】
(6)上述してきた各表示態様を制御するためのプログラムは、着脱自在な記録媒体を介してHMI開発支援装置1に読み込むことが可能である。さらに、コンピュータで読み込み可能な形式のプログラムを有するコンピュータプログラム製品を介して、HMI開発支援装置1に必要なプログラムを読み込むことが可能である。あるいは、図示しない通信回線を介して、HMI開発支援装置1に必要なプログラムを読み込むことが可能である。さらに、インターネット等を介して改良したプログラムの提供を受けることも可能である。
【0046】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【0047】
以上説明した実施の形態における各構成要素と特許請求の範囲の各構成要素との対応関係は以下の通りである。
表示部品編集機能を有する部品エディタ10は表示部品編集手段に相当し、画面レイアウト編集機能を有するレイアウトエディタ20は画面レイアウト編集手段および属性値変更手段に相当する。
【0048】
なお、以上の対応関係の説明は一例であり、権利解釈に際して何ら拘束されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明を適用したHMI開発支援装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】レイアウトエディタ20の表示画面例を示す図である。
【図3】表示部品の定義が格納されている部品定義管理テーブル41の構成例を示す図である。
【図4】表示部品が格納されている部品管理テーブル42の構成例を示す図である。
【図5】画面レイアウトデータが格納されているレイアウト管理テーブル43の構成例を示す図である。
【図6】ユーザデータが格納されているユーザ管理テーブル44の構成例を示す図である。
【図7】画像データが格納されている画像管理テーブル45の構成例を示す図である。
【図8】レイアウトエディタ20において部品を選択した際の処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1 HMI開発支援装置
10 部品エディタ
20 レイアウトエディタ
30 プログラムエディタ
40 リソース管理DB
41 部品定義管理テーブル
42 部品管理テーブル
43 レイアウト管理テーブル
44 ユーザ管理テーブル
45 画像管理テーブル
46 プログラム管理テーブル
47 テーブル編集部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の開発担当者が各自の表示画面を用いてヒューマン・マシン・インタフェースを開発するためのHMI開発支援装置であって、
複数の属性と、各属性の属性値に対する開発担当者ごとの変更権限の有無とを表す情報が付加された表示部品を生成する表示部品編集手段と、
前記表示部品をレイアウトすることによりヒューマン・マシン・インタフェースに係る表示画面を生成する画面レイアウト編集手段とを備え、
前記画面レイアウト編集手段は、前記表示部品が有する属性の属性値を変更する属性値変更手段を含み、それぞれの開発担当者ごとに設定されているユーザ種別情報に基づいて前記属性値の変更の可否を判定する、
ことを特徴とするHMI開発支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載のHMI開発支援装置において、
前記画面レイアウト編集手段により生成された表示画面には、前記表示部品の属性名および属性値が表示されており、使用中の開発担当者に変更権限が与えられていない属性値については、属性値変更のためのデータ入力を許可しない、
ことを特徴とするHMI開発支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載のHMI開発支援装置において、
前記画面レイアウト編集手段により生成された表示画面には、前記表示部品の属性名および属性値が表示されており、ファイナル指定が設定されている属性値については、属性値変更のためのデータ入力を許可しない、
ことを特徴とするHMI開発支援装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のHMI開発支援装置において、
前記画面レイアウト編集手段により生成された表示画面には、前記表示部品の属性名および属性値が表示されており、使用中の開発担当者に変更権限が与えられていない属性値の入力欄は、通常の表示形態と異なる表示形態により表示されている、
ことを特徴とするHMI開発支援装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のHMI開発支援装置において、
前記表示部品編集手段は、
属性値が設定されている属性と、属性の属性値に対する変更可否を表す情報が付加された共有部品を生成する共有部品生成手段と、
前記共有部品から前記表示部品を生成する派生部品生成手段とを備え、
前記属性値変更手段は、前記派生部品生成手段によって生成された前記表示部品が有する属性値の変更の可否を判定する、
ことを特徴とするHMI開発支援装置。
【請求項6】
請求項5に記載のHMI開発支援装置において、
前記共有部品生成手段により生成された前記共有部品の各属性について、前記派生部品生成手段によって生成される前記表示部品の属性値を変更することができないファイナル指定を設定することができる、
ことを特徴とするHMI開発支援装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載のHMI開発支援装置において、
前記共有部品は、前記共有部品が備えているすべての属性値について変更可否を表す情報が更に付加されており、
前記属性値変更手段は、前記派生部品生成手段によって生成された前記表示部品が有する属性値の変更の可否を判定する、
ことを特徴とするHMI開発支援装置。
【請求項8】
複数の開発担当者が各自の表示画面を用いてヒューマン・マシン・インタフェースを開発するためのHMI開発支援方法として、
複数の属性と、各属性の属性値に対する開発担当者ごとの変更権限の有無とを表す情報が付加された表示部品を生成する表示部品編集工程と、
前記表示部品をレイアウトすることによりヒューマン・マシン・インタフェースに係る表示画面を生成する画面レイアウト編集工程と、
前記表示部品が有する属性の属性値を変更する際に、開発担当者ごとに設定されているユーザ種別情報に基づいて前記属性値の変更の可否を判定する属性値変更工程と、
を備えたことを特徴とするHMI開発支援方法。
【請求項9】
請求項8に記載のHMI開発支援方法において、
前記画面レイアウト編集工程により生成された表示画面には、前記表示部品の属性名および属性値が表示されており、使用中の開発担当者に変更権限が与えられていない属性値については、属性値変更のためのデータ入力を許可しない、
ことを特徴とするHMI開発支援方法。
【請求項10】
請求項8に記載のHMI開発支援方法において、
前記画面レイアウト編集工程により生成された表示画面には、前記表示部品の属性名および属性値が表示されており、ファイナル指定が設定されている属性値については、属性値変更のためのデータ入力を許可しない、
ことを特徴とするHMI開発支援方法。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか一項に記載のHMI開発支援方法において、
前記画面レイアウト編集工程により生成された表示画面には、前記表示部品の属性名および属性値が表示されており、使用中の開発担当者に変更権限が与えられていない属性値の入力欄は、通常の表示形態と異なる表示形態により表示されている、
ことを特徴とするHMI開発支援方法。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか一項に記載のHMI開発支援方法において、
前記表示部品編集工程は、
属性値が設定されている属性と、属性の属性値に対する変更可否を表す情報が付加された共有部品を生成する共有部品生成工程と、
前記共有部品から前記表示部品を生成する派生部品生成工程とを備え、
前記属性値変更工程は、前記派生部品生成工程によって生成された前記表示部品が有する属性値の変更の可否を判定する、
ことを特徴とするHMI開発支援方法。
【請求項13】
請求項12に記載のHMI開発支援方法において、
前記共有部品生成工程により生成された前記共有部品の各属性について、前記派生部品生成工程によって生成される前記表示部品の属性値を変更することができないファイナル指定を設定することができる、
ことを特徴とするHMI開発支援方法。
【請求項14】
請求項12または13に記載のHMI開発支援方法において、
前記共有部品は、前記共有部品が備えているすべての属性値について変更可否を表す情報が更に付加されており、
前記属性値変更工程は、前記派生部品生成工程によって生成された前記表示部品が有する属性値の変更の可否を判定する、
ことを特徴とするHMI開発支援方法。
【請求項15】
請求項8〜14のいずれか一項に記載の方法をコンピュータにより実行させることを特徴とするHMI開発支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−157580(P2009−157580A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334172(P2007−334172)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】