HTSテープの製造方法及び連続機械研磨システム
【課題】HTSテープを単一工程で連続的に生産する。
【解決手段】未研磨の金属テープを設け、研磨ステーションおよび水洗ステーションを各々が有する表面処理ユニットを複数個設け、未研磨の金属テープを表面処理ユニットの第1の研磨ステーションに連続的に供給し、金属テープを、連続する複数の表面処理ユニットの各々が、研磨材料と水とを有するスラリの研磨媒質であって研磨材料の粒径が下流側の研磨ステーションほど小さい研磨媒質を用いて、金属テープの表面をさらに研磨し、一連の表面処理ユニットに通し、研磨済みの金属テープを最後の表面処理ユニットから回収し、回収された金属テープの上に緩衝層を形成し、緩衝層の上に高温超伝導体膜を形成する。最後の表面処理ユニットは複数の研磨輪を有し、最後の表面処理ユニットにおけるスラリの研磨媒質中の研磨材料の粒径は0.05μm以下である。
【解決手段】未研磨の金属テープを設け、研磨ステーションおよび水洗ステーションを各々が有する表面処理ユニットを複数個設け、未研磨の金属テープを表面処理ユニットの第1の研磨ステーションに連続的に供給し、金属テープを、連続する複数の表面処理ユニットの各々が、研磨材料と水とを有するスラリの研磨媒質であって研磨材料の粒径が下流側の研磨ステーションほど小さい研磨媒質を用いて、金属テープの表面をさらに研磨し、一連の表面処理ユニットに通し、研磨済みの金属テープを最後の表面処理ユニットから回収し、回収された金属テープの上に緩衝層を形成し、緩衝層の上に高温超伝導体膜を形成する。最後の表面処理ユニットは複数の研磨輪を有し、最後の表面処理ユニットにおけるスラリの研磨媒質中の研磨材料の粒径は0.05μm以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機械研磨の分野に関する。特に、本発明は高温超伝導体(HTS)テープの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤは、変圧器、送電・配電システム、およびモータを含む世界の電力システムの基本的な構成要素を構成している。1986年に斬新なHTS化合物が発見されたことによって、電力産業用の極めて新しい種類のワイヤが開発された。この発見は、1世紀を超えるワイヤ技術において最も根本的な進歩である。しかし、現在までに高性能レベルで製造されているのは、次世代HTSワイヤを製造する際に用いられるHTS被覆テープの短いサンプルだけである。HTS技術が発送電産業で使用できるように商業的に実施可能になるには、HTS被覆テープを連続的に、大きな処理量で製造できるようにする技術を開発する必要がある。
【0003】
代表的なHTSテープは、支持層、緩衝層、およびHTS膜からなる3層積層品である。支持層は通常、ステンレススチールまたはニッケルで構成され、テープに構造の健全性および可とう性を与える。緩衝層は、金属基板とHTS膜との間に配置されて、基板とHTS膜との反応を防止するが、特にHTS膜のエピタキシャル成長用のテンプレートとしての働きが重要である。代表的な緩衝体は、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)または酸化セリウム(CeO2)である。HTS膜はたとえば、イットリウムバリウム酸化銅(YBCO)で形成される。
【0004】
現在、基板は、高い平面度または表面平滑度を得るために公知の機械的、化学的、または電気的手段によって研磨されている。平面度は、集積回路の製造において重要であり、このような電子要素を製造する際に用いられるシリコンウェハ基板の高い表面平滑度を得る要求を満たす多数の方法が開発されている。
【0005】
研磨方法の1種、機械研磨では、回転パッド上に静止した基板を保持し、基板を対応する回転研磨パッドに押し付ける。機械研磨は、化学的に活性の研磨溶剤スラリとともに行うことができる。これは、より高い材料除去率を実現する、一般に化学機械研磨と呼ばれる方法である。
【0006】
研磨スラリは通常、ダイヤモンドや酸化ホウ素等の小さく非常に硬い粒子で構成される。使用される粒子の粒径と、回転速度、所要時間、接触力等の他のパラメータは、除去率を決定し、したがって基板の最終的な粗度を決定する。
【0007】
HTS膜で高電流密度を達成するための主要な要求事項の1つは、基板が非常に平滑であり、表面欠陥が最小限であることである。コーティングが薄膜の形態であるとき(最大で10ミクロン)、基板の表面品質は極めて重要である。金属基板の表面に欠陥があると、空隙や積層隔離や望ましくないテクスチャが生じたり、コーティングが粗くなる恐れがある。さらに、基板表面のこれらの欠陥や粗さは中間の緩衝層を通して伝わり、HTS被覆テープに適用する場合には長期間に渡る最小限の表面欠陥とともに高い平面度が必要とされるHTS膜に欠陥を生じさせる可能性がある。
【0008】
当技術分野ではいくつかの表面研磨技術が公知である。その研磨技術の一つは、「基板の研磨方法およびその研磨装置」という名称の、1999年8月17日付の、クボの米国特許第5938502号(特許文献1)に記載されている。クボは、研磨パッドとスラリとを用いた方法について説明している。この研磨装置は、表面上に研磨パッドを備え回転駆動される台と、研磨される基板を保持する回転可能なキャリアと、スラリを研磨パッドの表面に研磨材として供給するスラリ供給手段とを含んでいる。キャリアによって保持された基板を研磨パッドに押し付けつつ、研磨スラリおよび研磨パッドによって基板が研磨される。クボの研磨技術は、HTS被覆テープに適用するために必要な平滑度を達成するのに数回の工程が必要になることがある。
【0009】
しかし、クボの技術は静止した基板にしか適用できず、連続的に移動する長い長さの基板テープの研磨には適していない。さらに、HTS被覆テープを製造する際、処理量を高めコストを削減するように1回の工程で基板の表面処理を完了することが好ましい。したがって、クボの研磨技術の他の欠点は、この技術が数回の工程を必要とし、したがって、連続的に移動する長い長さの基板テープを研磨する方法に適していないことである。
【0010】
「基板ベルト研磨装置」という名称の、2002年1月8日付のシェンデンの米国特許第6336851号(特許文献2)は、化学機械研磨の原理を用いて半導体ウェハ用の基板が研磨される、可とう性の膜研磨ベルトを記載している。移動する研磨膜を研磨ヘッド内に保持された基板の方へ付勢する流動層が、研磨部材支持アセンブリの表面上に設けられている。ベルトの線形運動によって、ベルトの全幅にわたって一様な研磨が行われ、化学機械研磨が行われる機会がもたらされる。いくつかの構成が開示されている。これらの構成には、研磨中の基板よりも幅の広いベルトと、研磨中の基板を横切るが、基板と研磨ベルトとの間の相対運動を生じさせるベルトと、研磨すべき基板の総面積よりも小さい局所的な研磨領域を有する研磨ベルトキャリアとが含まれる。基板の表面上の小さな領域のみが研磨膜に接触するが、基板に対するキャリアの動きは、記載されている各構成と同様に、全基板表面を一様に研磨するようにプログラムされている。
【0011】
「基板を研磨する装置および方法」という名称の、2001年6月5日付のジャクソン等の米国特許第6241591号(特許文献3)は研磨装置を記載している。一様な圧力分布によって、研磨装置を用いて研磨される半導体基板のエッジエクスクルージョンを少なくでき、したがってダイの歩留まりを高めることができる。
【0012】
「基板研磨装置」という名称の、2001年1月30日付のナガハラの米国特許第6179690号(特許文献4)は、基板が乗せられる回転板と、基板が回転板上で回転する際に基板を横切って移動して基板を研磨する研磨パッドとを含む化学機械研磨装置を記載している。パッドによる材料の除去速度を調節するため、基板に対するパッドの圧力および回転板の回転速度を変えることができる。
【0013】
「精密研磨システム」という名称の、1998年4月21日付のサーファティ(Sarfaty)等の米国特許第5741171号(特許文献5)は、サンプルをサブミクロン範囲内の精度で研磨可能な研磨システムを記載している。この研磨システムは、試験および品質管理検査中にシリコンウェハを研磨する用途に用いるため、半導体分野に応用できる。
【特許文献1】米国特許第5938502号明細書
【特許文献2】米国特許第6336851号明細書
【特許文献3】米国特許第6241591号明細書
【特許文献4】米国特許第6179690号明細書
【特許文献5】米国特許第5741171号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、これらの従来技術の研磨システムはいずれも、HTSテープの製造時に存在する問題、すなわち、連続的に移動する長い材料を単一工程でどのようにして研磨するか、という問題を解決することはできない。
【0015】
本発明の目的は、HTSテープを単一工程で連続的に生産できるHTSテープの製造方法を提供することである。
【0016】
したがって、本発明の一つの目的は、長い長さの金属基板の表面処理を連続的に行うシステムおよび方法を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、1回の研磨工程で、長い長さの超伝導テープで高電流密度を得るのに適した、非常に高品質の基板の表面粗度を形成する研磨システムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のHTSテープの製造方法において用いられる研磨システムは、HTS被覆テープを製造する際に用いられる長い長さの金属基板テープを研磨するのに適した、リール・リール間の、単一工程の連続機械研磨システムである。この研磨システムは、後続の水洗ステーションと組み合わされ、払出しスプールと巻取りスプールとの間を連続的に移動する金属基板テープの軸心に沿って配置された研磨ステーションを各々が有する、複数の表面処理ユニットの例示を含む。金属基板テープは、後続の水洗ステーションと組み合わされた複数の例示された研磨ステーションを移動することによって、一連の研磨作用および洗浄作用を受け、その表面粗度を徐々に低減させるとともに、HTS被覆テープの製造時に使用する緩衝層の堆積が許容される表面平滑度を得る。
【0019】
具体的には、各研磨ステーション内に、研磨材料と水を混合することによって形成されたスラリ等の研磨媒質が分配される、複数の研磨輪が配置されている。各研磨ステーション内で、移動する金属基板テープの一表面は加圧され、研磨輪および研磨媒質に接触している。HTSテープが研磨行程を移動するにつれて、研磨材のサイズや硬度等の方法パラメータを変えることによって、表面の不完全さが徐々に除去されていく。
【0020】
連続する研磨ステーション内に配置された研磨輪の硬度は通常、研磨ステーションの相対位置が研磨システムの前方端(払出しスプール)から研磨システムの後方端(巻取りスプール)までのラインに沿って前進するにつれて、超硬質から、硬質、軟質へと変化する。連続する研磨ステーションで用いられる研磨媒質の粒径は、研磨ステーションの相対位置が研磨システムの前方端から研磨システムの後方端までのラインに沿って前進するにつれて、たとえば、1.0ミクロンから0.3ミクロン、0.05ミクロンへと変化する。このように、金属基板テープは、研磨システムを移動する際に、漸進的段階によって、対応する水洗作用と各々組み合わされた粗から細への複数回の研磨作用を受け、それによって研磨システム内の単一工程で、後続の緩衝層の堆積に適した表面平滑度を得る。
【0021】
金属基板テープが研磨作用および洗浄作用を適切な時間受けるよう制御された移動速度を与えるステップモータで駆動されるテープ送り装置アセンブリによって、金属基板テープは研磨システム内を移動させられる。テープ送り装置アセンブリは、金属基板テープが本発明の研磨システムを通って移動する際の金属基板テープの張力を制御するトルクモータで各々が駆動される、払出しスプールおよび巻取りスプールと連動して動作する。
【0022】
最後に、本発明の高温超伝導体テープの製造方法において用いられる研磨システムは、金属基板テープの仕上がった表面品質を監視する光学式表面粗度測定ゲージを、研磨システムの後方端に含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明による研磨システム100を示している。本発明の研磨システム100は、HTS被覆テープを製造する際に用いられる長い長さの金属基板テープを研磨するのに適した機械研磨システムである。
【0024】
研磨システム100は、スプール110の複数の例示(すなわち、スプール110aおよびスプール110b)を含んでいる。スプール110aは、研磨システム100の入口点に位置する払出しスプールとして働く。スプール110a上に、ステンレススチールや、インコネル等のニッケル合金のような金属で形成された、ある長さの基板テープ124が巻かれている。基板テープ124は非研磨面126および研磨面128を有している。基板テープ124は、高温および真空条件に耐えることができ、通常、幅は3mmから1cmの間であり、長さは数百メートル以上である。基板テープ124は通常、取り扱いの助けになる数メートルの「引出し部」を両端部に有している。基板テープ124は、スプール110aから研磨システム100に通され、研磨システム100の出口点で、巻取りスプールとして働くスプール110bに巻き取られる。各スプール110は、トルクモータによって駆動され、図2Aおよび2Bで詳しく説明する。
【0025】
研磨システム100は、研磨システム100を通して基板テープ124を移動させる駆動機構として働く1組のモータ駆動ベルトであるテープ送り装置をさらに含んでいる。テープ送り装置112はまた、基板テープ124を、スプール110aから第1の例示の研磨ステーション114に導く。テープ送り装置112は、図3Aおよび3Bで詳しく説明する。
【0026】
研磨システム100は、研磨ステーション114の複数の例示、たとえば、研磨ステーション114aや、研磨ステーション114bや、研磨ステーション114cをさらに含んでおり、各研磨ステーション114は、酸化アルミニウムなどの研磨媒質と組み合わされて基板テープ124に接触する1組の研磨輪を含むステンレススチールタンクを含んでいる。さらに、研磨ステーション114内の各研磨輪は、それぞれの研磨輪に対向して基板テープ124に圧力をかける、関連する圧力装置を有している。研磨ステーション114は、図4A、4B、および4Cで詳しく説明する。圧力装置は、図5で詳しく説明する。
【0027】
研磨システム100は、水洗ステーション116の複数の例示、たとえば、水洗ステーション116aや、水洗ステーション116bや、水洗ステーション116cをさらに含んでおり、各水洗ステーション116は、基板テープ124に脱イオン水または標準水道水を加えて研磨媒質を基板テープ124から洗い落とす噴霧器アセンブリを含むステンレススチールタンクを含んでいる。水洗ステーション116は、図6Aおよび6Bで詳しく説明する。
【0028】
研磨システム100は、最終研磨ステーションとして働く研磨ステーション118をさらに含んでおり、研磨ステーション118は、酸化アルミニウムなどの研磨媒質と組み合わされて基板テープ124に接触する複数組の研磨輪を含むステンレススチールタンクを含んでいる。さらに、研磨ステーション118内の各研磨輪は、それぞれの研磨輪に対向して基板テープ124に圧力をかける、関連する圧力装置を有している。研磨ステーション118は、図7で詳しく説明する。
【0029】
研磨システム100は、最終水洗ステーションとして働く水洗ステーション120をさらに含んでおり、水洗ステーション120は、基板テープ124に脱イオン水または標準水道水を加えて研磨媒質を基板テープ124から洗い落とす噴霧器アセンブリを含むステンレススチールタンクを含んでいる。さらに、水洗ステーション120は、研磨媒質の最後の残滓を除去する1組の軟質研磨輪を含んでいる。水洗ステーション120は、図8Aおよび8Bで詳しく説明する。
【0030】
引き続き図1を参照すると、研磨システム100のすべての要素は、スプール110aとスプール110bとの間に形成された基板テープ124の軸に沿って一列に配置されている。具体的には、基板テープ124は、スプール110aから解かれ、テープ送り装置112に通され、続けて第1の研磨ステーション114(すなわち、研磨ステーション114a)に通され、続けて第1の水洗ステーション116(すなわち、水洗ステーション116a)に通され、続けて第2の研磨ステーション114(すなわち、研磨ステーション114b)に通され、続けて第2の水洗ステーション116(すなわち、水洗ステーション116b)に通され、続けて第3の研磨ステーション114(すなわち、研磨ステーション114c)に通され、続けて第3の水洗ステーション116(すなわち、水洗ステーション116c)に通され、続けて研磨ステーション118に通され、最後に水洗ステーション120に通されて、スプール110b上に至る。
【0031】
スプール110aとテープ送り装置112との間に、案内輪130が配置されている。同様に、水洗ステーション120とスプール110bとの間に、案内輪132が配置されている。案内輪130および132は、基板テープ124の研磨面128と接触し、基板テープ124が研磨システム100に沿って移動する際に基板テープ124を支持し案内するのを助ける。案内輪130および132は、基板テープ124の研磨面128に損傷を与えない材料で形成されており、このような材料にはテフロン(登録商標)または軟質ゴムが含まれる。
【0032】
最後に、研磨システム100は、案内輪132とスプール110bとの間に配置され、基板テープ124の研磨面128に向けられた粗度モニタ122を任意に含んでいる。粗度モニタ122は、基板テープ124の研磨面128に対するモニタ122の位置を調整できるように、3軸調整可能ステージ(不図示)上に取り付けられている。粗度を所要の精度で測定できるように、基板テープ124と粗度モニタ122との間の距離は適切に設定される。粗度モニタ122は、研磨システム100の出口点に品質検査機構を構成している。粗度モニタ122は、上方を通過する表面の粗度を測定できるように構成された、オプティカル・ディメンジョンズLLC製のレーザーチェック(LASERCHECK)装置等の、光学式表面粗度測定ゲージである。本発明の研磨システム100の場合、粗度モニタ122は、基板テープ124の研磨面128の平均表面粗度を出力する。
【0033】
図2Aおよび2Bはそれぞれ、本発明の研磨システム100の払出しスプール(すなわち、スプール110a)および巻取りスプール(すなわち、スプール110b)として使用するのに適したスプール110の側面図および正面図である。スプール110は、回転可能な軸214によってモータ212に機械的に連結されたリール210を含んでいる。リール210は、基板テープ124が上に巻き取られるリールである。リール210の直径および幅は、基板テープ124の寸法に応じて異なる。モータ212は、オリエンタル・モータ5TK20GN等の、通常のトルクモータである。モータ212が設置されると、スプール110aによってかけられるトルクは、スプール110bによってかけられるトルクと逆向きになり、基板テープ124がスプール110aから解かれ、研磨システム100を通って移動し、その後スプール110b上に巻き取られる際に、基板テープ124に適切な張力がかけられる。
【0034】
図3A、3B、および3Cはそれぞれ、テープ送り装置112の側面図、平面図、および端面図を示している。テープ送り装置112は、本発明の研磨システム100内のテープ送り装置として使用するのに適した基板テープ駆動機構である。テープ送り装置112は、金属基板テープ124が、研磨システム100内で生じる研磨作用、および洗浄作用を適切な時間受けるよう制御された移動速度を与える。
【0035】
図3Aを参照すると、テープ送り装置112は、通常のプリー314および通常のプリー316の周りにループを形成するベルト312をさらに含むベルトアセンブリ310を含んでいる。さらに、テープ送り装置112は、通常のプリー322および通常のプリー324の周りにループを形成するベルト320をさらに含むベルトアセンブリ318を含んでいる。ベルトアセンブリ310とベルトアセンブリ318は、図3Aおよび3Cに示されているように、ベルト312の外側表面がベルト320の外側表面に面するように、互いに並列に積み重ねられた状態で配置されている。
【0036】
図3A、3B、および3Cを参照すると、ベルトアセンブリ310とベルトアセンブリ318は、機械的駆動アセンブリ326によって機械的に連結されており、オリエンタルM540-401-115モータ等の通常のステップモータであるモータ328によって回転駆動される。駆動アセンブリ326は、動作時に、ベルトアセンブリ310がベルトアセンブリ318と反対方向に回転するように、様々なベルト、プリー、および歯車(不図示)を従来どおりに使用して構成されている。たとえば、ベルトアセンブリ310のプリー314および316が反時計回りに回転すると、ベルトアセンブリ318のプリー322および324は時計回りに回転する。
【0037】
動作時に、基板テープ124がテープ送り装置112を通して送られると、図3Aおよび3Cに示されているように、ベルトアセンブリ310のベルト312の外側表面が基板テープ124の非研磨面126と接触し、ベルトアセンブリ318のベルト320の外側表面が基板テープ124の研磨面128と接触する。その結果、ベルトアセンブリ310とベルトアセンブリ318との間の間隔は、基板テープ124の厚さに依存する。ベルト312およびベルト320によって基板テープ124にかけられる圧力は、ベルト312およびベルト320の回転によって、基板テープ124がテープ送り装置112を移動するのに十分な摩擦力を生じさせる。
【0038】
図4A、4B、および4Cはそれぞれ、本発明の研磨システム100内で使用されるのに適した機械研磨装置である研磨ステーション114の側面図、平面図、および端面図である。
【0039】
研磨ステーション114は、ステンレススチールで形成されたタンク414内に配置された研磨装置アセンブリ410およびスラリディスペンサ412を含んでいる。タンク414は、基板テープ124が通過できる入口スロット416および出口スロット418を有している。基板テープ124がスロットを通過する際に基板テープ124から余分なスラリを除去するように、たとえばシリコンゴムやフェルトで形成されたスキージ(不図示)が入口スロット416および出口スロット418に挿入されている。
【0040】
研磨装置アセンブリ410は、両端部がタンク414の互いに向かい合う壁を貫通し、研磨輪420をタンク414内に懸架している、回転可能な軸422上に取り付けられた研磨輪420を含んでいる。同様に、研磨装置アセンブリ410は、両端部がタンク414の互いに向かい合う壁を貫通し、研磨輪424をタンク414内に懸架している、回転可能な軸426上に取り付けられた研磨輪424を含んでいる。設置時には、研磨アセンブリ410の研磨輪420と研磨輪424は、タンク414を通過する基板テープ124の軸に沿って一列に設置される。さらに、研磨アセンブリ410の研磨輪420と研磨輪424とは、基板テープ124の研磨面128と接触するように同一平面上に設置される。
【0041】
研磨輪420および研磨輪424の直径は、たとえば4インチである。研磨輪420および研磨輪424は、「ショアA硬度」が85を超えるか、または機能的に同等の材料の、ボストンフェルト製等のダイヤモンド硬質フェルト研磨輪である。あるいは、研磨輪420および研磨輪424は、研磨輪がどの研磨ステーション内で動作するか、すなわち、研磨ステーション114a、114b、114c、118のいずれで動作するかに応じて、「ショアA硬度」が35から85の範囲の、ボストンフェルト製等の純フェルトで形成された硬質フェルト研磨輪でもよい。ショア硬度は、ばね圧子による押込みに対する材料の抵抗の、よく知られた尺度である。ショア硬度スケールは、単位なしの0から100の間の生値であり、この数が大きいほど抵抗も大きくなり、すなわち、材料は硬くなる。適切なショア硬度を有する材料で置き換えることができる。
【0042】
通常のモータ428は軸422を回転駆動し、その結果研磨輪420を回転駆動する。モータ428は、軸422の回転運動をプリー(不図示)によって軸426に伝達するベルト430によって、さらに軸426を駆動し、その結果研磨輪424を駆動する。モータ428はたとえば、1600rpmまでの回転速度が可能な、デイトン 5K984Dモータ等の通常の0.5馬力のモータである。図4Bは、駆動機構の一例を示しているに過ぎず、当業者には、軸422および軸426は他の従来の手段によって回転駆動できることが理解されよう。
【0043】
研磨装置アセンブリ410は、圧力アセンブリ432の複数の例示、たとえば、研磨輪420に関連する圧力アセンブリ432aや、研磨輪424に関連する圧力アセンブリ432bをさらに含んでいる。動作時には、基板テープ124は、圧力アセンブリ432aと研磨輪420との間に挟まれ、かつ圧力アセンブリ432bと研磨輪424との間に挟まれる。その結果、圧力アセンブリ432aおよび圧力アセンブリ432bは、基板テープ124の非研磨面126に圧力をかけ、非研磨面126は次に研磨輪420および研磨輪424のそれぞれに対向して基板テープ124の研磨面128に圧力を伝達する。圧力アセンブリ432は、図5で詳しく説明する。
【0044】
スラリディスペンサ412は、第1の出口436および第2の出口438にスラリを供給する入口434をさらに含んでいる。入口434はタンク414の壁を貫通し、研磨輪420の方に向けられた出口436と、研磨輪424の方に向けられた出口438とにスラリを供給する。動作時には、スラリ状の研磨媒質が、スラリディスペンサ412によって、たとえば毎分60mlの調節された流量で、タンク414の中にポンプ注入される(ポンプは不図示)。ポンプは通常、毎分17mlから17リットルの間の流量を与えることができる。研磨媒質は続いて、それぞれ出口436および出口438を介して、研磨輪420および研磨輪424上に供給される。研磨媒質はたとえば、酸化アルミニウム粉末と水とを1対15に混合して形成されたスラリである。酸化アルミニウム粉末の粒径は、研磨ステーション、すなわち、研磨ステーション114a、114b、114cのどれであるかに応じて、1.0ミクロンから0.05ミクロンの範囲である。最後に、タンク414の底部に配置された出口440は、研磨媒質を再循環させる出口を形成している。
【0045】
図5は、図4A、4B、および4Cに示されている研磨ステーション114内で使用するのに適した圧力装置である圧力アセンブリ432の側面図である。圧力アセンブリ432は、たとえば研磨ステーション114のタンク414の互いに向かい合う壁に設置時に両端部が接続される、ステンレススチール製のプレート510を含んでいる。プレート510の厚さは、圧力アセンブリ432が負荷を受けているときに、プレート510に生じるたわみが無視できる程度の厚さである。プレート510は、それぞれ第1のねじ516および第2のねじ518が通過する、第1のすきま穴512および第2のすきま穴514を有している。すきま穴512およびすきま穴514の直径は、ねじ516およびねじ518がプレート510を通過するときに自由に動くのに十分な大きさである。ねじ516およびねじ518は、ブロック520の第1のブロック面522、すなわちプレート510の方を向いたブロック520の表面にねじを切ることで、ブロック520との機械的な結合を可能にする、2インチ10−32ねじ等の通常のねじである。ブロック520の第2のブロック面524は、ブロック520が設置時に接触する基板テープ124の方を向いている。ブロック520は、基板テープ124の非研磨面126に損傷を与えないテフロン等の低摩擦材料で形成されている。ブロック520の寸法は、たとえば、幅2インチ、長さ2.75インチ、厚さ1インチである。ねじ516の頭部には標準座金526が水平に取り付けられている。さらに、座金526とプレート510との間にばね528が配置されている。同様に、ねじ518の頭部には標準座金530が水平に取り付けられており、座金530とプレート510との間にばね532が配置されている。ばね528およびばね532は、最大ばね力がたとえば2205ポンドであり、ねじ516およびねじ518を通過させるのに十分な大きさの内径を有する通常のばねである。最後に、調整ねじ534がねじ516とねじ518との間に配置され、プレート510をねじ貫通している。調整ねじ534のねじ付き端部は、図5に示されているように、プレート510を通過した後、プレート510とブロック520のブロック面522との間に配置されたばね536を通過し、ブロック520のブロック面522に接触する。調整ねじ534は、1.5インチ長、3/8インチ6−32ねじ等の通常の小ねじである。ばね536は、最大ばね力がたとえば2205ポンドであり、調整ねじ534を通過させるのに十分な大きさの内径を有する通常のばねである。
【0046】
引き続き図5を参照すると、ブロック520は、プレート510を通過する際に自由に動くことができるねじ516およびねじ518によって、基本的にプレート510から懸架されている。ばね528およびばね532は、それぞれ座金526および座金530に上向きの力を与え、それによって、ブロック520を、研磨ステーション114のタンク414内で静的機械基準をなすプレート510の方へ引く引張り作用を生じさせる。ばね536は、弛緩状態(すなわち、調整ねじ534が引込み位置にある状態)にあるときは、ブロック520のブロック面522がプレート510と接触するのを妨げる。一方、調整ねじ534は、そのねじ付き端部がブロック520のブロック面に接触するように調整されると、ばね528およびばね532に逆向きの力を与え、それによって、ブロック520はプレート510から押し離され、基板テープ124の非研磨面126に接触させられる。圧力アセンブリ432は、1平方インチ当たり1000ポンドの最大圧力を与えることができるが、通常、1平方インチ当たり0ポンドから300ポンドの範囲内に設定される。負荷センサ(不図示)が、ブロック520の中央付近に配置されており、圧力アセンブリ432によって基板テープ124にかけられる圧力を監視できるように、ケーブル(不図示)を通して外部読取りディスプレイに接続されている。負荷センサは、たとえばセンソテック(Sensotec) モデル 53 AL131等の簡素なボタンセンサである。
【0047】
図6Aおよび6Bはそれぞれ、本発明の研磨システム100内で使用するのに適した基板テープ洗浄機構である水洗ステーション116の側面図および端面図である。
【0048】
水洗ステーション116は、ステンレススチールで形成されたタンク612内に配置された噴霧器アセンブリ610の複数の例示、たとえば、噴霧器アセンブリ610aや噴霧器アセンブリ610bを含んでいる。タンク612は、基板テープ124が通過できる入口スロット614および出口スロット616を有している。基板テープ124がスロットを通過するときに基板テープ124から余分の水を除去するように、フェルトで形成されたスキージ(不図示)が入口スロット614および出口スロット616に挿入されている。
【0049】
各噴霧器アセンブリ610は、通常のスプレーノズル620に水を供給する入口618を含んでいる。具体的には、噴霧器アセンブリ610aは、スプレーノズル620aに水を供給する入口618aを、噴霧器アセンブリ610bは、スプレーノズル620bに水を供給する入口618bを含んでいる。入口618aおよび入口618bは、タンク612の壁を貫通し、通常75psi未満の圧力を有する水道水や脱イオン水などの水洗水源に接続されている。噴霧器アセンブリ610aおよび噴霧器アセンブリ610bは、図6Bに示されているように、スプレーノズル620aとスプレーノズル620bとが互いに対向するように、タンク612内で互いに1800に向けられ、かつ基板テープ124が間を通過できるように、十分な間隔が取られている。動作時には、基板テープ124の表面から研磨媒質の残滓を洗い落とすために、水洗水が噴霧器アセンブリ610aおよび噴霧器アセンブリ610bによってタンク612内に放出され、基板テープ124上に向けられる。最後に、タンク612の底部に配置された出口622は、水洗水を排出する排水口を形成している。
【0050】
図7は、本発明の研磨システム100内で使用するのに適した機械研磨装置である研磨ステーション118の平面図である。
【0051】
研磨ステーション118は、図4に記載されているように研磨装置アセンブリ410の複数の例示を含んでいる。たとえば、研磨ステーション118は、モータ428aによって駆動される研磨輪420aおよび研磨輪424aを有する研磨装置アセンブリ410aと、モータ428bによって駆動される研磨輪420bおよび研磨輪424bを有する研磨装置アセンブリ410bと、モータ428cによって駆動される研磨輪420cおよび研磨輪424cを有する研磨装置アセンブリ410cとを含んでいる。図示を簡単にするために、各研磨輪に関連する圧力アセンブリ432は図7には示されていない。
【0052】
図7は、駆動機構の一例を示しているに過ぎず、当業者には、他の従来の手段、たとえば複数のベルトを有する単一のモータ428によって、複数の研磨輪が回転駆動され得ることが理解されよう。
【0053】
研磨装置アセンブリ410a、研磨装置アセンブリ410b、および研磨装置アセンブリ410cは、ステンレススチールで形成されたタンク710内に配置されている。タンク710は、基板テープ124が通過できる入口スロット712および出口スロット714を有している。基板テープ124がスロットを通過するときに、基板テープ124から余分のスラリを除去するように、シリコンゴムおよびフェルトで形成されたスキージ(不図示)が入口スロット712および出口スロット714に挿入されている。
【0054】
研磨装置アセンブリ410aの研磨輪420aおよび研磨輪424a、研磨装置アセンブリ410bの研磨輪420bおよび研磨輪424b、研磨装置アセンブリ410cの研磨輪420cおよび研磨輪424cは、設置時には、すべて、タンク710を通過する基板テープ124の軸に沿って一列に設置される。さらに、すべての研磨輪は、それらが基板テープ124の研磨面128に接触するように、同一平面上に配置される。
【0055】
研磨ステーション118は、図4に記載されているような、研磨媒質を研磨輪上に向けるスラリディスペンサ412の複数の例示をさらに含んでいる。しかし、図を簡単にするために、スラリディスペンサ412の複数の例示は図7には示されていない。同様に、タンク710は、図4に記載されているような、研磨媒質を再循環させる1つまたは2つ以上の出口を有している。この場合も、図を簡単にするために、出口は図7には示されていない。
【0056】
図8Aおよび8Bはそれぞれ、本発明の研磨システム100内で使用するのに適した基板テープ洗浄機構である水洗ステーション120の側面図および平面図である。
【0057】
水洗ステーション120は、ステンレススチールで形成され、基板テープ124が通過できる入口スロット812および出口スロット814を有するタンク810を含んでいる。基板テープ124がスロットを通過するときに基板テープ124から余分の水を除去するように、シリコンゴムおよびフェルトで形成されたスキージ(不図示)が入口スロット812および出口スロット814に挿入されている。タンク810内には、図6Aおよび6Bに記載されたような、入口およびスプレーノズルを有する噴霧器アセンブリ610と同一の噴霧器アセンブリ830の複数の例示と組み合わされた、研磨装置アセンブリ816が配置されている。たとえば、水洗ステーション120は、噴霧器アセンブリ830a、噴霧器アセンブリ830b、噴霧器アセンブリ830c、および噴霧器アセンブリ830dを含んでいる。
【0058】
研磨装置アセンブリ816は、両端部がタンク810の互いに向かい合う壁を貫通して研磨輪818をタンク810内に懸架させる回転可能な軸820上に取り付けられた研磨輪818を含んでいる。同様に、研磨装置アセンブリ816は、両端部がタンク810の互いに向かい合う壁を貫通して研磨輪824をタンク810内に懸架させる回転可能な軸824上に取り付けられた研磨輪822を含んでいる。設置時には、研磨アセンブリ816の研磨輪818および研磨輪822は、タンク810を通過する基板テープ124の軸に沿って一列に設置される。しかし、研磨装置アセンブリ816の研磨輪818と研磨輪822とは、タンク810内の同じ水平面上には配置されない。その代わりに、研磨輪818と研磨輪822とは、基板テープ124の互いに反対側に配置されている。具体的には、図8Aに示されているように、研磨輪818は、設置時に基板テープ124の非研磨面126に接触し、研磨輪822は、設置時に基板テープ124の研磨面128に接触する。
【0059】
研磨輪818および研磨輪822は、「ショアA硬度」が30から40の範囲の、ボストンフェルト軟質輪等の軟質研磨輪である。通常のモータ826は、軸820を回転駆動し、その結果研磨輪818を回転駆動する。モータ826は、軸820の回転運動をプリー(不図示)によって軸824に伝達するベルト828によって、さらに軸824を駆動し、その結果研磨輪822を駆動する。モータ826はたとえば、1600rpmまでの回転速度が可能な、デイトン 5K984Dモータ等の、通常の0.5馬力モータである。図8Bは、駆動機構の一例を示しているに過ぎず、当業者には、軸820ないし軸824は他の従来の手段によって回転駆動されることが理解されよう。
【0060】
図4A、4B、および4Cに記載された研磨装置アセンブリ410とは異なり、研磨装置アセンブリ816は、図5に記載された圧力アセンブリ432の例示を含んでいない。
【0061】
各噴霧器アセンブリ830の入口は、タンク810の壁を貫通し、入口に対応するスプレーノズルに水を供給し、各入口は、通常75psi未満の圧力を有する水道水や脱イオン水などの水洗水源に接続されている。噴霧器アセンブリ830aおよび噴霧器アセンブリ830bは、図8Aに示されているように、それらのスプレーノズルが互いに対向するように、タンク810内で互いに1800に向けられ、かつ基板テープ124が間を通過できるように、十分な間隔が取られている。噴霧器アセンブリ830cは、そのスプレーノズルが研磨輪818と基板テープ124の非研磨面126との接触点に向く角度に向けられている。同様に、噴霧器アセンブリ830dは、図8Aに示されているように、そのスプレーノズルが研磨輪822と基板テープ124の研磨面128との接触点に向く角度に向けられている。
【0062】
動作時には、基板テープ124の表面から研磨媒質の残滓を洗い落とすために、水洗水が噴霧器アセンブリ830a、噴霧器アセンブリ830b、噴霧器アセンブリ830c、および噴霧器アセンブリ830dによってタンク810内に放出され、基板テープ124上に向けられる。最後に、タンク810の底部に配置された出口832および出口834は、水洗水を排出する排水口を形成している。
【0063】
動作時には、図1を参照すると分かるように、研磨ステーション114a、研磨ステーション114b、研磨ステーション114c、研磨ステーション118、および水洗ステーション120内の各研磨輪として、以下の表1の硬度を有する研磨輪が選択され、各研磨輪が設置される。さらに、研磨ステーション114a、研磨ステーション114b、研磨ステーション114c、および研磨ステーション118に供給されるスラリ内の研磨媒質の粒径は、以下の表1に従って選択される。
【0064】
【表1】
【0065】
引き続き図1から図8Bを参照して、研磨システム100の動作を以下に説明する。ある長さの基板テープ124が巻かれたスプール110aのリール210が、研磨システム100の前方端に取り付けられている。基板テープ124の引出し部は、ベルト312とベルト320との間でテープ送り装置112に通され(図3A、3B、および3C)、その間ずっと基板テープ124は案内輪130に当たっている。基板テープ124の引出し部は、研磨ステーション114aにその入口スロット416を介して通され、その後、その研磨装置アセンブリ410に通され、最後にその出口スロット418に通される。基板テープ124の引出し部は次に、水洗ステーション116aにその入口スロット614を介して通され、その後、噴霧器アセンブリ610の複数の例示のごく近くを通過し、最後に水洗ステーション116aの出口スロット616に通される。基板テープ124の引出し部は次に、研磨ステーション114bにその入口スロット416を介して通され、その後その研磨装置アセンブリ410に通され、最後にその出口スロット418に通される。基板テープ124の引出し部は次に、水洗ステーション116bにその入口スロット614を介して通され、その後、噴霧器アセンブリ610の複数の例示のごく近くを通過し、最後に水洗ステーション116aの出口スロット616に通される。基板テープ124の引出し部は次に、研磨ステーション114cにその入口スロット416を介して通され、その後その研磨装置アセンブリ410に通され、最後にその出口スロット418に通される。基板テープ124の引出し部は次に、水洗ステーション116cにその入口スロット614を介して通され、その後、噴霧器アセンブリ610の複数の例示のごく近くを通過し、最後に水洗ステーション116aの出口スロット616に通される。基板テープ124の引出し部は次に、研磨ステーション118にその入口スロット712を介して通され、その後その研磨装置アセンブリ410の複数の例示に通され、最後にその出口スロット714に通される。基板テープ124の引出し部は次に、水洗ステーション120にその入口スロット812を介して通され、その後、噴霧器アセンブリ830の複数の例示のごく近くを通過し、最後に水洗ステーション116aの出口スロット814に通される。最後に、基板テープ124の引出し部はスプール110bに掛けられ、その間ずっと、基板テープ124は案内輪132に当たっており、基板テープ124の張力は、スプール110aのモータ212およびスプール110bのモータ212のトルクを調整することによって設定される。張力は、基板テープ124を研磨できる平坦度を維持するのに十分であり、しかも基板テープ124に破断点に至る応力をかけないようなレベルに設定されている。
【0066】
基板テープ124を研磨ステーション100のすべての要素に通した後、水洗ステーション116a、水洗ステーション116b、水洗ステーション116c、および水洗ステーション120に水を供給する水源が作動させられる。さらに、研磨ステーション114aのスラリディスペンサ412、研磨ステーション114bのスラリディスペンサ412、および研磨ステーション114cのスラリディスペンサ412にスラリを供給するスラリポンプ(不図示)が作動させられ、すべての流量がポンプ制御装置によって調整される。同様に、研磨ステーション118のスラリディスペンサ412の複数の例示にスラリを供給するスラリポンプが作動させられ、流量がポンプ制御装置によって調整される。すべての場合に、流量は、所望の結果を達成するのに最適な供給量の研磨媒質が各研磨輪に存在するように設定される。
【0067】
水洗水および研磨媒質を流し始めると、研磨システム100内のすべてのモータが作動させられる。具体的には、研磨ステーション114aのモータ428が作動させられ、研磨ステーション114bのモータ428が作動させられ、研磨ステーション114cのモータ428が作動させられ、研磨ステーション118のモータ428の複数の例示が作動させられる。さらに、スプール110aのモータ212およびスプール110bのモータ212が作動させられる。最後に、テープ送り装置112のモータ328が作動させられる。テープ送り装置112のベルト312およびベルト320によって基板テープ124にかけられる圧力は、テープ送り装置112のベルト312およびベルト320の回転によって、基板テープ124が研磨システム100を移動するのに十分な摩擦力を生じさせる。基板テープ124の移動速度は、基板テープ124が様々な研磨作用および水洗作用を、適切な時間受けるように制御された移動速度を与えるように、テープ送り装置112の速度を調整することによって設定される。移動速度は約0.1cm/分から約1.5cm/分の範囲、好ましくは約0.15cm/分から約0.5cm/分の範囲で変えることができる。代表的な移動速度はたとえば、0.2cm/分から約0.4cm/分である。
【0068】
続いて、研磨システム100全体にわたって配置された研磨輪に対する基板テープ124の圧力は、研磨ステーション114a内の圧力アセンブリ432の各例示の調整ねじ534を調整し、研磨ステーション114b内の圧力アセンブリ432の各例示の調整ねじ534を調整し、研磨ステーション114c内の圧力アセンブリ432の各例示の調整ねじ534を調整し、研磨ステーション118内の圧力アセンブリ432の各例示の調整ねじ534を調整することによって設定される。すべての場合に、圧力は、各ブロック520に内蔵された負荷センサによって圧力を監視することで、1平方インチ当たり0ポンドから300ポンドの範囲内に設定される。
【0069】
続いて、粗度モニタ122が作動させられ、基板テープ124と粗度モニタ122との間の距離が粗度を必要な精度で測定するのに適切な距離になるように、粗度モニタ122の位置が3軸調整可能ステージによって手動調整される。水洗水および研磨媒質を流し始め、すべてのモータを作動させると、基板テープ124は、研磨システム100を通って移動し、複数の研磨作用および水洗作用を連続的に受けるようになる。具体的には、基板テープ124は、研磨ステーション114aおよび水洗ステーション116aによって第1の研磨・水洗作用を受ける。研磨輪の硬度および研磨媒質の粒径は表1に示されているとおりであり、したがって、この第1の研磨イベントは研磨システム100内で最も激しい研磨作用と考えられる。
【0070】
次に、基板テープ124は、研磨ステーション114bおよび水洗ステーション116bを通過し、次に研磨ステーション114cおよび水洗ステーション116cを通過し、次に研磨ステーション118を通過することによって、一連の、すなわちより穏やかな研磨作用とそれに続く水洗作用を受ける。研磨ステーション114b、研磨ステーション114c、および研磨ステーション118の研磨輪の硬度および研磨媒質の粒径は、表1に示されているとおりであり、したがって、これらの研磨作用は研磨ステーション114aの研磨作用よりも穏やかであると考えられる。
【0071】
最後に、基板テープ124は、水洗と研磨の両方の機能を備えるが研磨媒質は存在しない水洗ステーション120によって、最後の研磨・水洗作用を受ける。研磨輪の硬度は表1に示されているとおりであり、したがって、この研磨作用は、研磨システム100内で最も穏やかであると考えられ、基板テープ124の研磨面128に最も微細で平滑な表面品質を与える。
【0072】
このように、基板テープ124は、研磨システム100を移動する際に、漸進的段階によって、最初は粗く、次に中間的な、その後細かい、対応する水洗作用と各々組み合わされた研磨作用を受け、それによって、研磨システムを1回通過するだけで、後続の緩衝層の堆積に適した表面平滑度を得る。
【0073】
研磨輪の硬度および研磨媒質の粒径は表1に示されているものに限らず、製品用途に応じて他の組合せが可能であることに留意されたい。
【0074】
図9は、HTS被覆テープを製造する際に用いられる長い長さの金属基板テープを研磨するのに適した機械研磨システムである研磨システム100を動作させる、本発明による方法900を示している。方法900は以下の各ステップを含む。
【0075】
ステップ910:払出しスプールを取り付ける。
【0076】
このステップでは、ユーザは研磨システム100内のスプール110aのリール210を取り付ける。リール210には基板テープ124が巻かれている。方法900はステップ912に進む。
【0077】
ステップ912:基板テープをテープ送り装置に通す。
【0078】
このステップでは、ユーザは基板テープ124の引出し部をテープ送り装置112のベルト312とベルト320との間でテープ送り装置112に通す(図3A、3B、および3C)。基板テープ124は、その間ずっと案内輪130に当たっている。方法900はステップ914に進む。
【0079】
ステップ914:基板テープを研磨ステーションおよび水洗ステーションに通す。
【0080】
このステップでは、ユーザは、基板テープ124の引出し部を研磨ステーション114aに、その入口スロット416を介して通し、次にその研磨装置アセンブリ410に通し、最後にその出口スロット418に通す。ユーザは次に、基板テープ124の引出し部を水洗ステーション116aに、その入口スロット614を介して通し、次に噴霧器アセンブリ610の複数の例示のごく近くを通過させ、最後にその出口スロット616に通す。ユーザは次に、基板テープ124の引出し部を研磨ステーション114bに、その入口スロット416を介して通し、次にその研磨装置アセンブリ410に通し、最後にその出口スロット418に通す。ユーザは次に、基板テープ124の引出し部を水洗ステーション116bに、その入口スロット614を介して通し、次に噴霧器アセンブリ610の複数の例示のごく近くを通過させ、最後にその出口スロット616に通す。ユーザは次に、基板テープ124の引出し部を研磨ステーション114cに、その入口スロット416を介して通し、次にその研磨装置アセンブリ410に通し、最後にその出口スロット418に通す。ユーザは次に、基板テープ124の引出し部を水洗ステーション116cに、その入口スロット614を介して通し、その後、噴霧器アセンブリ610の複数の例示のごく近くを通過させ、最後にその出口スロット616に通す。ユーザは次に、基板テープ124の引出し部を研磨ステーション118に、その入口スロット712を介して通し、その後その研磨装置アセンブリ410の複数の例示に通し、最後にその出口スロット714に通す。ユーザは次に、基板テープ124の引出し部を水洗ステーション120にその入口スロット812を介して通し、次に噴霧器アセンブリ830の複数の例示のごく近くを通過させ、研磨装置アセンブリ816に通し、最後にその出口スロット814に通す。方法900はステップ916に進む。
【0081】
ステップ916:基板テープを巻取りスプールに掛ける。
【0082】
このステップでは、ユーザは基板テープ124をスプール110bに掛ける。基板テープ124は、その間ずっと案内輪132に当たっている。方法900はステップ918に進む。
【0083】
ステップ918:テープの張力を設定する。
【0084】
このステップでは、ユーザは、払出しスプールおよび巻取りスプールに対するトルクを調整することによって、基板テープ124の張力を設定する。具体的には、スプール110aのモータ212およびスプール110bのモータ212のトルクを調整することによって張力を設定する。張力は、基板テープ124を研磨できる平坦度を維持するのに十分であり、しかも基板テープ124に破断点に至る応力をかけないようなレベルに設定される。方法900はステップ920に進む。
【0085】
ステップ920:水洗ステーションに水をポンプ注入する。
【0086】
このステップでは、ユーザは、水洗ステーション116a、水洗ステーション116b、水洗ステーション116c、および水洗ステーション120に水を供給する水源を作動させる。方法900はステップ922に進む。
【0087】
ステップ922:スラリポンプを作動させ、流量を調整する。
【0088】
このステップでは、ユーザは、研磨ステーション114aのスラリディスペンサ412にスラリを供給するスラリポンプを作動させ、ポンプ制御装置によって流量を調整する。次に、ユーザは、研磨ステーション114bのスラリディスペンサ412にスラリを供給するスラリポンプを作動させ、ポンプ制御装置によって流量を調整する。次に、ユーザは、研磨ステーション114cのスラリディスペンサ412にスラリを供給するスラリポンプを作動させ、ポンプ制御装置によって流量を調整する。次に、ユーザは、研磨ステーション118のスラリディスペンサ412の複数の例示にスラリを供給するスラリポンプを作動させ、ポンプ制御装置によって流量を調整する。すべての場合に、流量は、所望の結果を達成するのに最適な供給量の研磨媒質が各研磨輪に存在するように設定される。方法900はステップ924に進む。
【0089】
ステップ924:研磨システムを作動させる。
【0090】
このステップでは、ユーザは研磨ステーション114aのモータ428、研磨ステーション114bのモータ428、研磨ステーション114cのモータ428、研磨ステーション118のモータの複数の例示を作動させる。さらに、ユーザはスプール110aのモータ212およびスプール110bのモータ212を作動させる。最後に、ユーザはテープ送り装置112のモータ328を作動させる。方法900はステップ826に進む。
【0091】
ステップ926:基板テープの移動速度を設定する。
【0092】
このステップでは、ユーザは、基板テープ124が研磨作用および水洗作用を適切な時間受けるように制御された移動速度を得るように、テープ送り装置112の速度を調整することによって基板テープ124の移動速度を設定する。代表的な移動速度はたとえば、7分当たり1.0インチである。方法900はステップ928に進む。
【0093】
ステップ928:基板テープ圧力装置を調整する。
【0094】
このステップでは、ユーザは、研磨ステーション114a内の圧力アセンブリ432の各例示の調整ねじ534を調整し、研磨ステーション114b内の圧力アセンブリ432の各例示の調整ねじ534を調整し、研磨ステーション114c内の圧力アセンブリ432の各例示の調整ねじ534を調整し、研磨ステーション118内の圧力アセンブリ432の各例示の調整ねじ534を調整することによって、研磨輪に対する基板テープ124の圧力を設定する。すべての場合に、圧力は、ブロック520に内蔵された負荷センサによって圧力を監視することで、1平方インチ当たり0ポンドから300ポンドの範囲内に設定される。このセンサに接続されたケーブルは、ユーザによる監視を可能にするように外部ディスプレイに読取り値を出力する。
【0095】
ステップ930:粗度モニタを作動させる。
【0096】
このステップでは、ユーザは粗度モニタ122を作動させる。方法900はステップ932に進む。
【0097】
ステップ932:粗度モニタを調整する。
【0098】
このステップでは、ユーザは粗度モニタの位置を3軸調整可能ステージによって手動調整する。具体的には、粗度モニタ122は、基板テープ124と粗度モニタ122との間の距離がたとえば1インチになるように調整される。方法はステップ934に進む。
【0099】
ステップ934:完了時に研磨システムを停止させる。
【0100】
このステップでは、基板テープ124の全長が研磨システム100の作用を受けたときに、ユーザは研磨システム100内のすべてのモータ、ポンプ、および水供給源を止め、巻取りスプールを取り外す。具体的には、ユーザは、基板テープ124の全長が巻かれたスプール110bのリール210を取り外す。方法900は終了する。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】HTS被覆テープを製造する際に用いられる長い長さの金属基板テープを研磨するのに適した、本発明の研磨システムの高レベルのダイアグラム図である。
【図2A】本発明の研磨システム内の払出しスプールおよび巻取りスプールとして使用するのに適したスプールの側面図である。
【図2B】本発明の研磨システム内の払出しスプールおよび巻取りスプールとして使用するのに適したスプールの正面図である。
【図3A】本発明の研磨システム内のテープ送り装置として使用するのに適した基板テープ駆動機構の側面図である。
【図3B】本発明の研磨システム内のテープ送り装置として使用するのに適した基板テープ駆動機構の平面図である。
【図3C】本発明の研磨システム内のテープ送り装置として使用するのに適した基板テープ駆動機構の端面図である。
【図4A】本発明の研磨システム内の研磨ステーションとして使用するのに適した機械研磨装置の側面図である。
【図4B】本発明の研磨システム内の研磨ステーションとして使用するのに適した機械研磨装置の平面図である。
【図4C】本発明の研磨システム内の研磨ステーションとして使用するのに適した機械研磨装置の端面図である。
【図5】図4A、4B、および4Cに示されている研磨ステーション内で使用するのに適した加圧装置の側面図である。
【図6A】本発明の研磨システム内の水洗ステーションとして使用するのに適した基板テープ洗浄機構の側面図である。
【図6B】本発明の研磨システム内の水洗ステーションとして使用するのに適した基板テープ洗浄機構の端面図である。
【図7】本発明の研磨システム内の最終研磨ステーションとして使用するのに適した機械研磨装置の平面図である。
【図8A】本発明の研磨システム内の最終水洗ステーションとして使用するのに適した基板テープ洗浄機構の側面図である。
【図8B】本発明の研磨システム内の最終水洗ステーションとして使用するのに適した基板テープ洗浄機構の平面図である。
【図9】本発明の研磨システムの動作方法を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0102】
100 研磨システム
110,110a,110b スプール
112 テープ送り装置
114,114a,114b,114c 研磨ステーション
116,116a,116b,116c 水洗ステーション
118 研磨ステーション
120 水洗ステーション
122 粗度モニタ
124 基板テープ
126 非研磨面
128 研磨面
130,132 案内輪
【技術分野】
【0001】
本発明は機械研磨の分野に関する。特に、本発明は高温超伝導体(HTS)テープの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤは、変圧器、送電・配電システム、およびモータを含む世界の電力システムの基本的な構成要素を構成している。1986年に斬新なHTS化合物が発見されたことによって、電力産業用の極めて新しい種類のワイヤが開発された。この発見は、1世紀を超えるワイヤ技術において最も根本的な進歩である。しかし、現在までに高性能レベルで製造されているのは、次世代HTSワイヤを製造する際に用いられるHTS被覆テープの短いサンプルだけである。HTS技術が発送電産業で使用できるように商業的に実施可能になるには、HTS被覆テープを連続的に、大きな処理量で製造できるようにする技術を開発する必要がある。
【0003】
代表的なHTSテープは、支持層、緩衝層、およびHTS膜からなる3層積層品である。支持層は通常、ステンレススチールまたはニッケルで構成され、テープに構造の健全性および可とう性を与える。緩衝層は、金属基板とHTS膜との間に配置されて、基板とHTS膜との反応を防止するが、特にHTS膜のエピタキシャル成長用のテンプレートとしての働きが重要である。代表的な緩衝体は、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)または酸化セリウム(CeO2)である。HTS膜はたとえば、イットリウムバリウム酸化銅(YBCO)で形成される。
【0004】
現在、基板は、高い平面度または表面平滑度を得るために公知の機械的、化学的、または電気的手段によって研磨されている。平面度は、集積回路の製造において重要であり、このような電子要素を製造する際に用いられるシリコンウェハ基板の高い表面平滑度を得る要求を満たす多数の方法が開発されている。
【0005】
研磨方法の1種、機械研磨では、回転パッド上に静止した基板を保持し、基板を対応する回転研磨パッドに押し付ける。機械研磨は、化学的に活性の研磨溶剤スラリとともに行うことができる。これは、より高い材料除去率を実現する、一般に化学機械研磨と呼ばれる方法である。
【0006】
研磨スラリは通常、ダイヤモンドや酸化ホウ素等の小さく非常に硬い粒子で構成される。使用される粒子の粒径と、回転速度、所要時間、接触力等の他のパラメータは、除去率を決定し、したがって基板の最終的な粗度を決定する。
【0007】
HTS膜で高電流密度を達成するための主要な要求事項の1つは、基板が非常に平滑であり、表面欠陥が最小限であることである。コーティングが薄膜の形態であるとき(最大で10ミクロン)、基板の表面品質は極めて重要である。金属基板の表面に欠陥があると、空隙や積層隔離や望ましくないテクスチャが生じたり、コーティングが粗くなる恐れがある。さらに、基板表面のこれらの欠陥や粗さは中間の緩衝層を通して伝わり、HTS被覆テープに適用する場合には長期間に渡る最小限の表面欠陥とともに高い平面度が必要とされるHTS膜に欠陥を生じさせる可能性がある。
【0008】
当技術分野ではいくつかの表面研磨技術が公知である。その研磨技術の一つは、「基板の研磨方法およびその研磨装置」という名称の、1999年8月17日付の、クボの米国特許第5938502号(特許文献1)に記載されている。クボは、研磨パッドとスラリとを用いた方法について説明している。この研磨装置は、表面上に研磨パッドを備え回転駆動される台と、研磨される基板を保持する回転可能なキャリアと、スラリを研磨パッドの表面に研磨材として供給するスラリ供給手段とを含んでいる。キャリアによって保持された基板を研磨パッドに押し付けつつ、研磨スラリおよび研磨パッドによって基板が研磨される。クボの研磨技術は、HTS被覆テープに適用するために必要な平滑度を達成するのに数回の工程が必要になることがある。
【0009】
しかし、クボの技術は静止した基板にしか適用できず、連続的に移動する長い長さの基板テープの研磨には適していない。さらに、HTS被覆テープを製造する際、処理量を高めコストを削減するように1回の工程で基板の表面処理を完了することが好ましい。したがって、クボの研磨技術の他の欠点は、この技術が数回の工程を必要とし、したがって、連続的に移動する長い長さの基板テープを研磨する方法に適していないことである。
【0010】
「基板ベルト研磨装置」という名称の、2002年1月8日付のシェンデンの米国特許第6336851号(特許文献2)は、化学機械研磨の原理を用いて半導体ウェハ用の基板が研磨される、可とう性の膜研磨ベルトを記載している。移動する研磨膜を研磨ヘッド内に保持された基板の方へ付勢する流動層が、研磨部材支持アセンブリの表面上に設けられている。ベルトの線形運動によって、ベルトの全幅にわたって一様な研磨が行われ、化学機械研磨が行われる機会がもたらされる。いくつかの構成が開示されている。これらの構成には、研磨中の基板よりも幅の広いベルトと、研磨中の基板を横切るが、基板と研磨ベルトとの間の相対運動を生じさせるベルトと、研磨すべき基板の総面積よりも小さい局所的な研磨領域を有する研磨ベルトキャリアとが含まれる。基板の表面上の小さな領域のみが研磨膜に接触するが、基板に対するキャリアの動きは、記載されている各構成と同様に、全基板表面を一様に研磨するようにプログラムされている。
【0011】
「基板を研磨する装置および方法」という名称の、2001年6月5日付のジャクソン等の米国特許第6241591号(特許文献3)は研磨装置を記載している。一様な圧力分布によって、研磨装置を用いて研磨される半導体基板のエッジエクスクルージョンを少なくでき、したがってダイの歩留まりを高めることができる。
【0012】
「基板研磨装置」という名称の、2001年1月30日付のナガハラの米国特許第6179690号(特許文献4)は、基板が乗せられる回転板と、基板が回転板上で回転する際に基板を横切って移動して基板を研磨する研磨パッドとを含む化学機械研磨装置を記載している。パッドによる材料の除去速度を調節するため、基板に対するパッドの圧力および回転板の回転速度を変えることができる。
【0013】
「精密研磨システム」という名称の、1998年4月21日付のサーファティ(Sarfaty)等の米国特許第5741171号(特許文献5)は、サンプルをサブミクロン範囲内の精度で研磨可能な研磨システムを記載している。この研磨システムは、試験および品質管理検査中にシリコンウェハを研磨する用途に用いるため、半導体分野に応用できる。
【特許文献1】米国特許第5938502号明細書
【特許文献2】米国特許第6336851号明細書
【特許文献3】米国特許第6241591号明細書
【特許文献4】米国特許第6179690号明細書
【特許文献5】米国特許第5741171号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、これらの従来技術の研磨システムはいずれも、HTSテープの製造時に存在する問題、すなわち、連続的に移動する長い材料を単一工程でどのようにして研磨するか、という問題を解決することはできない。
【0015】
本発明の目的は、HTSテープを単一工程で連続的に生産できるHTSテープの製造方法を提供することである。
【0016】
したがって、本発明の一つの目的は、長い長さの金属基板の表面処理を連続的に行うシステムおよび方法を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、1回の研磨工程で、長い長さの超伝導テープで高電流密度を得るのに適した、非常に高品質の基板の表面粗度を形成する研磨システムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のHTSテープの製造方法において用いられる研磨システムは、HTS被覆テープを製造する際に用いられる長い長さの金属基板テープを研磨するのに適した、リール・リール間の、単一工程の連続機械研磨システムである。この研磨システムは、後続の水洗ステーションと組み合わされ、払出しスプールと巻取りスプールとの間を連続的に移動する金属基板テープの軸心に沿って配置された研磨ステーションを各々が有する、複数の表面処理ユニットの例示を含む。金属基板テープは、後続の水洗ステーションと組み合わされた複数の例示された研磨ステーションを移動することによって、一連の研磨作用および洗浄作用を受け、その表面粗度を徐々に低減させるとともに、HTS被覆テープの製造時に使用する緩衝層の堆積が許容される表面平滑度を得る。
【0019】
具体的には、各研磨ステーション内に、研磨材料と水を混合することによって形成されたスラリ等の研磨媒質が分配される、複数の研磨輪が配置されている。各研磨ステーション内で、移動する金属基板テープの一表面は加圧され、研磨輪および研磨媒質に接触している。HTSテープが研磨行程を移動するにつれて、研磨材のサイズや硬度等の方法パラメータを変えることによって、表面の不完全さが徐々に除去されていく。
【0020】
連続する研磨ステーション内に配置された研磨輪の硬度は通常、研磨ステーションの相対位置が研磨システムの前方端(払出しスプール)から研磨システムの後方端(巻取りスプール)までのラインに沿って前進するにつれて、超硬質から、硬質、軟質へと変化する。連続する研磨ステーションで用いられる研磨媒質の粒径は、研磨ステーションの相対位置が研磨システムの前方端から研磨システムの後方端までのラインに沿って前進するにつれて、たとえば、1.0ミクロンから0.3ミクロン、0.05ミクロンへと変化する。このように、金属基板テープは、研磨システムを移動する際に、漸進的段階によって、対応する水洗作用と各々組み合わされた粗から細への複数回の研磨作用を受け、それによって研磨システム内の単一工程で、後続の緩衝層の堆積に適した表面平滑度を得る。
【0021】
金属基板テープが研磨作用および洗浄作用を適切な時間受けるよう制御された移動速度を与えるステップモータで駆動されるテープ送り装置アセンブリによって、金属基板テープは研磨システム内を移動させられる。テープ送り装置アセンブリは、金属基板テープが本発明の研磨システムを通って移動する際の金属基板テープの張力を制御するトルクモータで各々が駆動される、払出しスプールおよび巻取りスプールと連動して動作する。
【0022】
最後に、本発明の高温超伝導体テープの製造方法において用いられる研磨システムは、金属基板テープの仕上がった表面品質を監視する光学式表面粗度測定ゲージを、研磨システムの後方端に含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明による研磨システム100を示している。本発明の研磨システム100は、HTS被覆テープを製造する際に用いられる長い長さの金属基板テープを研磨するのに適した機械研磨システムである。
【0024】
研磨システム100は、スプール110の複数の例示(すなわち、スプール110aおよびスプール110b)を含んでいる。スプール110aは、研磨システム100の入口点に位置する払出しスプールとして働く。スプール110a上に、ステンレススチールや、インコネル等のニッケル合金のような金属で形成された、ある長さの基板テープ124が巻かれている。基板テープ124は非研磨面126および研磨面128を有している。基板テープ124は、高温および真空条件に耐えることができ、通常、幅は3mmから1cmの間であり、長さは数百メートル以上である。基板テープ124は通常、取り扱いの助けになる数メートルの「引出し部」を両端部に有している。基板テープ124は、スプール110aから研磨システム100に通され、研磨システム100の出口点で、巻取りスプールとして働くスプール110bに巻き取られる。各スプール110は、トルクモータによって駆動され、図2Aおよび2Bで詳しく説明する。
【0025】
研磨システム100は、研磨システム100を通して基板テープ124を移動させる駆動機構として働く1組のモータ駆動ベルトであるテープ送り装置をさらに含んでいる。テープ送り装置112はまた、基板テープ124を、スプール110aから第1の例示の研磨ステーション114に導く。テープ送り装置112は、図3Aおよび3Bで詳しく説明する。
【0026】
研磨システム100は、研磨ステーション114の複数の例示、たとえば、研磨ステーション114aや、研磨ステーション114bや、研磨ステーション114cをさらに含んでおり、各研磨ステーション114は、酸化アルミニウムなどの研磨媒質と組み合わされて基板テープ124に接触する1組の研磨輪を含むステンレススチールタンクを含んでいる。さらに、研磨ステーション114内の各研磨輪は、それぞれの研磨輪に対向して基板テープ124に圧力をかける、関連する圧力装置を有している。研磨ステーション114は、図4A、4B、および4Cで詳しく説明する。圧力装置は、図5で詳しく説明する。
【0027】
研磨システム100は、水洗ステーション116の複数の例示、たとえば、水洗ステーション116aや、水洗ステーション116bや、水洗ステーション116cをさらに含んでおり、各水洗ステーション116は、基板テープ124に脱イオン水または標準水道水を加えて研磨媒質を基板テープ124から洗い落とす噴霧器アセンブリを含むステンレススチールタンクを含んでいる。水洗ステーション116は、図6Aおよび6Bで詳しく説明する。
【0028】
研磨システム100は、最終研磨ステーションとして働く研磨ステーション118をさらに含んでおり、研磨ステーション118は、酸化アルミニウムなどの研磨媒質と組み合わされて基板テープ124に接触する複数組の研磨輪を含むステンレススチールタンクを含んでいる。さらに、研磨ステーション118内の各研磨輪は、それぞれの研磨輪に対向して基板テープ124に圧力をかける、関連する圧力装置を有している。研磨ステーション118は、図7で詳しく説明する。
【0029】
研磨システム100は、最終水洗ステーションとして働く水洗ステーション120をさらに含んでおり、水洗ステーション120は、基板テープ124に脱イオン水または標準水道水を加えて研磨媒質を基板テープ124から洗い落とす噴霧器アセンブリを含むステンレススチールタンクを含んでいる。さらに、水洗ステーション120は、研磨媒質の最後の残滓を除去する1組の軟質研磨輪を含んでいる。水洗ステーション120は、図8Aおよび8Bで詳しく説明する。
【0030】
引き続き図1を参照すると、研磨システム100のすべての要素は、スプール110aとスプール110bとの間に形成された基板テープ124の軸に沿って一列に配置されている。具体的には、基板テープ124は、スプール110aから解かれ、テープ送り装置112に通され、続けて第1の研磨ステーション114(すなわち、研磨ステーション114a)に通され、続けて第1の水洗ステーション116(すなわち、水洗ステーション116a)に通され、続けて第2の研磨ステーション114(すなわち、研磨ステーション114b)に通され、続けて第2の水洗ステーション116(すなわち、水洗ステーション116b)に通され、続けて第3の研磨ステーション114(すなわち、研磨ステーション114c)に通され、続けて第3の水洗ステーション116(すなわち、水洗ステーション116c)に通され、続けて研磨ステーション118に通され、最後に水洗ステーション120に通されて、スプール110b上に至る。
【0031】
スプール110aとテープ送り装置112との間に、案内輪130が配置されている。同様に、水洗ステーション120とスプール110bとの間に、案内輪132が配置されている。案内輪130および132は、基板テープ124の研磨面128と接触し、基板テープ124が研磨システム100に沿って移動する際に基板テープ124を支持し案内するのを助ける。案内輪130および132は、基板テープ124の研磨面128に損傷を与えない材料で形成されており、このような材料にはテフロン(登録商標)または軟質ゴムが含まれる。
【0032】
最後に、研磨システム100は、案内輪132とスプール110bとの間に配置され、基板テープ124の研磨面128に向けられた粗度モニタ122を任意に含んでいる。粗度モニタ122は、基板テープ124の研磨面128に対するモニタ122の位置を調整できるように、3軸調整可能ステージ(不図示)上に取り付けられている。粗度を所要の精度で測定できるように、基板テープ124と粗度モニタ122との間の距離は適切に設定される。粗度モニタ122は、研磨システム100の出口点に品質検査機構を構成している。粗度モニタ122は、上方を通過する表面の粗度を測定できるように構成された、オプティカル・ディメンジョンズLLC製のレーザーチェック(LASERCHECK)装置等の、光学式表面粗度測定ゲージである。本発明の研磨システム100の場合、粗度モニタ122は、基板テープ124の研磨面128の平均表面粗度を出力する。
【0033】
図2Aおよび2Bはそれぞれ、本発明の研磨システム100の払出しスプール(すなわち、スプール110a)および巻取りスプール(すなわち、スプール110b)として使用するのに適したスプール110の側面図および正面図である。スプール110は、回転可能な軸214によってモータ212に機械的に連結されたリール210を含んでいる。リール210は、基板テープ124が上に巻き取られるリールである。リール210の直径および幅は、基板テープ124の寸法に応じて異なる。モータ212は、オリエンタル・モータ5TK20GN等の、通常のトルクモータである。モータ212が設置されると、スプール110aによってかけられるトルクは、スプール110bによってかけられるトルクと逆向きになり、基板テープ124がスプール110aから解かれ、研磨システム100を通って移動し、その後スプール110b上に巻き取られる際に、基板テープ124に適切な張力がかけられる。
【0034】
図3A、3B、および3Cはそれぞれ、テープ送り装置112の側面図、平面図、および端面図を示している。テープ送り装置112は、本発明の研磨システム100内のテープ送り装置として使用するのに適した基板テープ駆動機構である。テープ送り装置112は、金属基板テープ124が、研磨システム100内で生じる研磨作用、および洗浄作用を適切な時間受けるよう制御された移動速度を与える。
【0035】
図3Aを参照すると、テープ送り装置112は、通常のプリー314および通常のプリー316の周りにループを形成するベルト312をさらに含むベルトアセンブリ310を含んでいる。さらに、テープ送り装置112は、通常のプリー322および通常のプリー324の周りにループを形成するベルト320をさらに含むベルトアセンブリ318を含んでいる。ベルトアセンブリ310とベルトアセンブリ318は、図3Aおよび3Cに示されているように、ベルト312の外側表面がベルト320の外側表面に面するように、互いに並列に積み重ねられた状態で配置されている。
【0036】
図3A、3B、および3Cを参照すると、ベルトアセンブリ310とベルトアセンブリ318は、機械的駆動アセンブリ326によって機械的に連結されており、オリエンタルM540-401-115モータ等の通常のステップモータであるモータ328によって回転駆動される。駆動アセンブリ326は、動作時に、ベルトアセンブリ310がベルトアセンブリ318と反対方向に回転するように、様々なベルト、プリー、および歯車(不図示)を従来どおりに使用して構成されている。たとえば、ベルトアセンブリ310のプリー314および316が反時計回りに回転すると、ベルトアセンブリ318のプリー322および324は時計回りに回転する。
【0037】
動作時に、基板テープ124がテープ送り装置112を通して送られると、図3Aおよび3Cに示されているように、ベルトアセンブリ310のベルト312の外側表面が基板テープ124の非研磨面126と接触し、ベルトアセンブリ318のベルト320の外側表面が基板テープ124の研磨面128と接触する。その結果、ベルトアセンブリ310とベルトアセンブリ318との間の間隔は、基板テープ124の厚さに依存する。ベルト312およびベルト320によって基板テープ124にかけられる圧力は、ベルト312およびベルト320の回転によって、基板テープ124がテープ送り装置112を移動するのに十分な摩擦力を生じさせる。
【0038】
図4A、4B、および4Cはそれぞれ、本発明の研磨システム100内で使用されるのに適した機械研磨装置である研磨ステーション114の側面図、平面図、および端面図である。
【0039】
研磨ステーション114は、ステンレススチールで形成されたタンク414内に配置された研磨装置アセンブリ410およびスラリディスペンサ412を含んでいる。タンク414は、基板テープ124が通過できる入口スロット416および出口スロット418を有している。基板テープ124がスロットを通過する際に基板テープ124から余分なスラリを除去するように、たとえばシリコンゴムやフェルトで形成されたスキージ(不図示)が入口スロット416および出口スロット418に挿入されている。
【0040】
研磨装置アセンブリ410は、両端部がタンク414の互いに向かい合う壁を貫通し、研磨輪420をタンク414内に懸架している、回転可能な軸422上に取り付けられた研磨輪420を含んでいる。同様に、研磨装置アセンブリ410は、両端部がタンク414の互いに向かい合う壁を貫通し、研磨輪424をタンク414内に懸架している、回転可能な軸426上に取り付けられた研磨輪424を含んでいる。設置時には、研磨アセンブリ410の研磨輪420と研磨輪424は、タンク414を通過する基板テープ124の軸に沿って一列に設置される。さらに、研磨アセンブリ410の研磨輪420と研磨輪424とは、基板テープ124の研磨面128と接触するように同一平面上に設置される。
【0041】
研磨輪420および研磨輪424の直径は、たとえば4インチである。研磨輪420および研磨輪424は、「ショアA硬度」が85を超えるか、または機能的に同等の材料の、ボストンフェルト製等のダイヤモンド硬質フェルト研磨輪である。あるいは、研磨輪420および研磨輪424は、研磨輪がどの研磨ステーション内で動作するか、すなわち、研磨ステーション114a、114b、114c、118のいずれで動作するかに応じて、「ショアA硬度」が35から85の範囲の、ボストンフェルト製等の純フェルトで形成された硬質フェルト研磨輪でもよい。ショア硬度は、ばね圧子による押込みに対する材料の抵抗の、よく知られた尺度である。ショア硬度スケールは、単位なしの0から100の間の生値であり、この数が大きいほど抵抗も大きくなり、すなわち、材料は硬くなる。適切なショア硬度を有する材料で置き換えることができる。
【0042】
通常のモータ428は軸422を回転駆動し、その結果研磨輪420を回転駆動する。モータ428は、軸422の回転運動をプリー(不図示)によって軸426に伝達するベルト430によって、さらに軸426を駆動し、その結果研磨輪424を駆動する。モータ428はたとえば、1600rpmまでの回転速度が可能な、デイトン 5K984Dモータ等の通常の0.5馬力のモータである。図4Bは、駆動機構の一例を示しているに過ぎず、当業者には、軸422および軸426は他の従来の手段によって回転駆動できることが理解されよう。
【0043】
研磨装置アセンブリ410は、圧力アセンブリ432の複数の例示、たとえば、研磨輪420に関連する圧力アセンブリ432aや、研磨輪424に関連する圧力アセンブリ432bをさらに含んでいる。動作時には、基板テープ124は、圧力アセンブリ432aと研磨輪420との間に挟まれ、かつ圧力アセンブリ432bと研磨輪424との間に挟まれる。その結果、圧力アセンブリ432aおよび圧力アセンブリ432bは、基板テープ124の非研磨面126に圧力をかけ、非研磨面126は次に研磨輪420および研磨輪424のそれぞれに対向して基板テープ124の研磨面128に圧力を伝達する。圧力アセンブリ432は、図5で詳しく説明する。
【0044】
スラリディスペンサ412は、第1の出口436および第2の出口438にスラリを供給する入口434をさらに含んでいる。入口434はタンク414の壁を貫通し、研磨輪420の方に向けられた出口436と、研磨輪424の方に向けられた出口438とにスラリを供給する。動作時には、スラリ状の研磨媒質が、スラリディスペンサ412によって、たとえば毎分60mlの調節された流量で、タンク414の中にポンプ注入される(ポンプは不図示)。ポンプは通常、毎分17mlから17リットルの間の流量を与えることができる。研磨媒質は続いて、それぞれ出口436および出口438を介して、研磨輪420および研磨輪424上に供給される。研磨媒質はたとえば、酸化アルミニウム粉末と水とを1対15に混合して形成されたスラリである。酸化アルミニウム粉末の粒径は、研磨ステーション、すなわち、研磨ステーション114a、114b、114cのどれであるかに応じて、1.0ミクロンから0.05ミクロンの範囲である。最後に、タンク414の底部に配置された出口440は、研磨媒質を再循環させる出口を形成している。
【0045】
図5は、図4A、4B、および4Cに示されている研磨ステーション114内で使用するのに適した圧力装置である圧力アセンブリ432の側面図である。圧力アセンブリ432は、たとえば研磨ステーション114のタンク414の互いに向かい合う壁に設置時に両端部が接続される、ステンレススチール製のプレート510を含んでいる。プレート510の厚さは、圧力アセンブリ432が負荷を受けているときに、プレート510に生じるたわみが無視できる程度の厚さである。プレート510は、それぞれ第1のねじ516および第2のねじ518が通過する、第1のすきま穴512および第2のすきま穴514を有している。すきま穴512およびすきま穴514の直径は、ねじ516およびねじ518がプレート510を通過するときに自由に動くのに十分な大きさである。ねじ516およびねじ518は、ブロック520の第1のブロック面522、すなわちプレート510の方を向いたブロック520の表面にねじを切ることで、ブロック520との機械的な結合を可能にする、2インチ10−32ねじ等の通常のねじである。ブロック520の第2のブロック面524は、ブロック520が設置時に接触する基板テープ124の方を向いている。ブロック520は、基板テープ124の非研磨面126に損傷を与えないテフロン等の低摩擦材料で形成されている。ブロック520の寸法は、たとえば、幅2インチ、長さ2.75インチ、厚さ1インチである。ねじ516の頭部には標準座金526が水平に取り付けられている。さらに、座金526とプレート510との間にばね528が配置されている。同様に、ねじ518の頭部には標準座金530が水平に取り付けられており、座金530とプレート510との間にばね532が配置されている。ばね528およびばね532は、最大ばね力がたとえば2205ポンドであり、ねじ516およびねじ518を通過させるのに十分な大きさの内径を有する通常のばねである。最後に、調整ねじ534がねじ516とねじ518との間に配置され、プレート510をねじ貫通している。調整ねじ534のねじ付き端部は、図5に示されているように、プレート510を通過した後、プレート510とブロック520のブロック面522との間に配置されたばね536を通過し、ブロック520のブロック面522に接触する。調整ねじ534は、1.5インチ長、3/8インチ6−32ねじ等の通常の小ねじである。ばね536は、最大ばね力がたとえば2205ポンドであり、調整ねじ534を通過させるのに十分な大きさの内径を有する通常のばねである。
【0046】
引き続き図5を参照すると、ブロック520は、プレート510を通過する際に自由に動くことができるねじ516およびねじ518によって、基本的にプレート510から懸架されている。ばね528およびばね532は、それぞれ座金526および座金530に上向きの力を与え、それによって、ブロック520を、研磨ステーション114のタンク414内で静的機械基準をなすプレート510の方へ引く引張り作用を生じさせる。ばね536は、弛緩状態(すなわち、調整ねじ534が引込み位置にある状態)にあるときは、ブロック520のブロック面522がプレート510と接触するのを妨げる。一方、調整ねじ534は、そのねじ付き端部がブロック520のブロック面に接触するように調整されると、ばね528およびばね532に逆向きの力を与え、それによって、ブロック520はプレート510から押し離され、基板テープ124の非研磨面126に接触させられる。圧力アセンブリ432は、1平方インチ当たり1000ポンドの最大圧力を与えることができるが、通常、1平方インチ当たり0ポンドから300ポンドの範囲内に設定される。負荷センサ(不図示)が、ブロック520の中央付近に配置されており、圧力アセンブリ432によって基板テープ124にかけられる圧力を監視できるように、ケーブル(不図示)を通して外部読取りディスプレイに接続されている。負荷センサは、たとえばセンソテック(Sensotec) モデル 53 AL131等の簡素なボタンセンサである。
【0047】
図6Aおよび6Bはそれぞれ、本発明の研磨システム100内で使用するのに適した基板テープ洗浄機構である水洗ステーション116の側面図および端面図である。
【0048】
水洗ステーション116は、ステンレススチールで形成されたタンク612内に配置された噴霧器アセンブリ610の複数の例示、たとえば、噴霧器アセンブリ610aや噴霧器アセンブリ610bを含んでいる。タンク612は、基板テープ124が通過できる入口スロット614および出口スロット616を有している。基板テープ124がスロットを通過するときに基板テープ124から余分の水を除去するように、フェルトで形成されたスキージ(不図示)が入口スロット614および出口スロット616に挿入されている。
【0049】
各噴霧器アセンブリ610は、通常のスプレーノズル620に水を供給する入口618を含んでいる。具体的には、噴霧器アセンブリ610aは、スプレーノズル620aに水を供給する入口618aを、噴霧器アセンブリ610bは、スプレーノズル620bに水を供給する入口618bを含んでいる。入口618aおよび入口618bは、タンク612の壁を貫通し、通常75psi未満の圧力を有する水道水や脱イオン水などの水洗水源に接続されている。噴霧器アセンブリ610aおよび噴霧器アセンブリ610bは、図6Bに示されているように、スプレーノズル620aとスプレーノズル620bとが互いに対向するように、タンク612内で互いに1800に向けられ、かつ基板テープ124が間を通過できるように、十分な間隔が取られている。動作時には、基板テープ124の表面から研磨媒質の残滓を洗い落とすために、水洗水が噴霧器アセンブリ610aおよび噴霧器アセンブリ610bによってタンク612内に放出され、基板テープ124上に向けられる。最後に、タンク612の底部に配置された出口622は、水洗水を排出する排水口を形成している。
【0050】
図7は、本発明の研磨システム100内で使用するのに適した機械研磨装置である研磨ステーション118の平面図である。
【0051】
研磨ステーション118は、図4に記載されているように研磨装置アセンブリ410の複数の例示を含んでいる。たとえば、研磨ステーション118は、モータ428aによって駆動される研磨輪420aおよび研磨輪424aを有する研磨装置アセンブリ410aと、モータ428bによって駆動される研磨輪420bおよび研磨輪424bを有する研磨装置アセンブリ410bと、モータ428cによって駆動される研磨輪420cおよび研磨輪424cを有する研磨装置アセンブリ410cとを含んでいる。図示を簡単にするために、各研磨輪に関連する圧力アセンブリ432は図7には示されていない。
【0052】
図7は、駆動機構の一例を示しているに過ぎず、当業者には、他の従来の手段、たとえば複数のベルトを有する単一のモータ428によって、複数の研磨輪が回転駆動され得ることが理解されよう。
【0053】
研磨装置アセンブリ410a、研磨装置アセンブリ410b、および研磨装置アセンブリ410cは、ステンレススチールで形成されたタンク710内に配置されている。タンク710は、基板テープ124が通過できる入口スロット712および出口スロット714を有している。基板テープ124がスロットを通過するときに、基板テープ124から余分のスラリを除去するように、シリコンゴムおよびフェルトで形成されたスキージ(不図示)が入口スロット712および出口スロット714に挿入されている。
【0054】
研磨装置アセンブリ410aの研磨輪420aおよび研磨輪424a、研磨装置アセンブリ410bの研磨輪420bおよび研磨輪424b、研磨装置アセンブリ410cの研磨輪420cおよび研磨輪424cは、設置時には、すべて、タンク710を通過する基板テープ124の軸に沿って一列に設置される。さらに、すべての研磨輪は、それらが基板テープ124の研磨面128に接触するように、同一平面上に配置される。
【0055】
研磨ステーション118は、図4に記載されているような、研磨媒質を研磨輪上に向けるスラリディスペンサ412の複数の例示をさらに含んでいる。しかし、図を簡単にするために、スラリディスペンサ412の複数の例示は図7には示されていない。同様に、タンク710は、図4に記載されているような、研磨媒質を再循環させる1つまたは2つ以上の出口を有している。この場合も、図を簡単にするために、出口は図7には示されていない。
【0056】
図8Aおよび8Bはそれぞれ、本発明の研磨システム100内で使用するのに適した基板テープ洗浄機構である水洗ステーション120の側面図および平面図である。
【0057】
水洗ステーション120は、ステンレススチールで形成され、基板テープ124が通過できる入口スロット812および出口スロット814を有するタンク810を含んでいる。基板テープ124がスロットを通過するときに基板テープ124から余分の水を除去するように、シリコンゴムおよびフェルトで形成されたスキージ(不図示)が入口スロット812および出口スロット814に挿入されている。タンク810内には、図6Aおよび6Bに記載されたような、入口およびスプレーノズルを有する噴霧器アセンブリ610と同一の噴霧器アセンブリ830の複数の例示と組み合わされた、研磨装置アセンブリ816が配置されている。たとえば、水洗ステーション120は、噴霧器アセンブリ830a、噴霧器アセンブリ830b、噴霧器アセンブリ830c、および噴霧器アセンブリ830dを含んでいる。
【0058】
研磨装置アセンブリ816は、両端部がタンク810の互いに向かい合う壁を貫通して研磨輪818をタンク810内に懸架させる回転可能な軸820上に取り付けられた研磨輪818を含んでいる。同様に、研磨装置アセンブリ816は、両端部がタンク810の互いに向かい合う壁を貫通して研磨輪824をタンク810内に懸架させる回転可能な軸824上に取り付けられた研磨輪822を含んでいる。設置時には、研磨アセンブリ816の研磨輪818および研磨輪822は、タンク810を通過する基板テープ124の軸に沿って一列に設置される。しかし、研磨装置アセンブリ816の研磨輪818と研磨輪822とは、タンク810内の同じ水平面上には配置されない。その代わりに、研磨輪818と研磨輪822とは、基板テープ124の互いに反対側に配置されている。具体的には、図8Aに示されているように、研磨輪818は、設置時に基板テープ124の非研磨面126に接触し、研磨輪822は、設置時に基板テープ124の研磨面128に接触する。
【0059】
研磨輪818および研磨輪822は、「ショアA硬度」が30から40の範囲の、ボストンフェルト軟質輪等の軟質研磨輪である。通常のモータ826は、軸820を回転駆動し、その結果研磨輪818を回転駆動する。モータ826は、軸820の回転運動をプリー(不図示)によって軸824に伝達するベルト828によって、さらに軸824を駆動し、その結果研磨輪822を駆動する。モータ826はたとえば、1600rpmまでの回転速度が可能な、デイトン 5K984Dモータ等の、通常の0.5馬力モータである。図8Bは、駆動機構の一例を示しているに過ぎず、当業者には、軸820ないし軸824は他の従来の手段によって回転駆動されることが理解されよう。
【0060】
図4A、4B、および4Cに記載された研磨装置アセンブリ410とは異なり、研磨装置アセンブリ816は、図5に記載された圧力アセンブリ432の例示を含んでいない。
【0061】
各噴霧器アセンブリ830の入口は、タンク810の壁を貫通し、入口に対応するスプレーノズルに水を供給し、各入口は、通常75psi未満の圧力を有する水道水や脱イオン水などの水洗水源に接続されている。噴霧器アセンブリ830aおよび噴霧器アセンブリ830bは、図8Aに示されているように、それらのスプレーノズルが互いに対向するように、タンク810内で互いに1800に向けられ、かつ基板テープ124が間を通過できるように、十分な間隔が取られている。噴霧器アセンブリ830cは、そのスプレーノズルが研磨輪818と基板テープ124の非研磨面126との接触点に向く角度に向けられている。同様に、噴霧器アセンブリ830dは、図8Aに示されているように、そのスプレーノズルが研磨輪822と基板テープ124の研磨面128との接触点に向く角度に向けられている。
【0062】
動作時には、基板テープ124の表面から研磨媒質の残滓を洗い落とすために、水洗水が噴霧器アセンブリ830a、噴霧器アセンブリ830b、噴霧器アセンブリ830c、および噴霧器アセンブリ830dによってタンク810内に放出され、基板テープ124上に向けられる。最後に、タンク810の底部に配置された出口832および出口834は、水洗水を排出する排水口を形成している。
【0063】
動作時には、図1を参照すると分かるように、研磨ステーション114a、研磨ステーション114b、研磨ステーション114c、研磨ステーション118、および水洗ステーション120内の各研磨輪として、以下の表1の硬度を有する研磨輪が選択され、各研磨輪が設置される。さらに、研磨ステーション114a、研磨ステーション114b、研磨ステーション114c、および研磨ステーション118に供給されるスラリ内の研磨媒質の粒径は、以下の表1に従って選択される。
【0064】
【表1】
【0065】
引き続き図1から図8Bを参照して、研磨システム100の動作を以下に説明する。ある長さの基板テープ124が巻かれたスプール110aのリール210が、研磨システム100の前方端に取り付けられている。基板テープ124の引出し部は、ベルト312とベルト320との間でテープ送り装置112に通され(図3A、3B、および3C)、その間ずっと基板テープ124は案内輪130に当たっている。基板テープ124の引出し部は、研磨ステーション114aにその入口スロット416を介して通され、その後、その研磨装置アセンブリ410に通され、最後にその出口スロット418に通される。基板テープ124の引出し部は次に、水洗ステーション116aにその入口スロット614を介して通され、その後、噴霧器アセンブリ610の複数の例示のごく近くを通過し、最後に水洗ステーション116aの出口スロット616に通される。基板テープ124の引出し部は次に、研磨ステーション114bにその入口スロット416を介して通され、その後その研磨装置アセンブリ410に通され、最後にその出口スロット418に通される。基板テープ124の引出し部は次に、水洗ステーション116bにその入口スロット614を介して通され、その後、噴霧器アセンブリ610の複数の例示のごく近くを通過し、最後に水洗ステーション116aの出口スロット616に通される。基板テープ124の引出し部は次に、研磨ステーション114cにその入口スロット416を介して通され、その後その研磨装置アセンブリ410に通され、最後にその出口スロット418に通される。基板テープ124の引出し部は次に、水洗ステーション116cにその入口スロット614を介して通され、その後、噴霧器アセンブリ610の複数の例示のごく近くを通過し、最後に水洗ステーション116aの出口スロット616に通される。基板テープ124の引出し部は次に、研磨ステーション118にその入口スロット712を介して通され、その後その研磨装置アセンブリ410の複数の例示に通され、最後にその出口スロット714に通される。基板テープ124の引出し部は次に、水洗ステーション120にその入口スロット812を介して通され、その後、噴霧器アセンブリ830の複数の例示のごく近くを通過し、最後に水洗ステーション116aの出口スロット814に通される。最後に、基板テープ124の引出し部はスプール110bに掛けられ、その間ずっと、基板テープ124は案内輪132に当たっており、基板テープ124の張力は、スプール110aのモータ212およびスプール110bのモータ212のトルクを調整することによって設定される。張力は、基板テープ124を研磨できる平坦度を維持するのに十分であり、しかも基板テープ124に破断点に至る応力をかけないようなレベルに設定されている。
【0066】
基板テープ124を研磨ステーション100のすべての要素に通した後、水洗ステーション116a、水洗ステーション116b、水洗ステーション116c、および水洗ステーション120に水を供給する水源が作動させられる。さらに、研磨ステーション114aのスラリディスペンサ412、研磨ステーション114bのスラリディスペンサ412、および研磨ステーション114cのスラリディスペンサ412にスラリを供給するスラリポンプ(不図示)が作動させられ、すべての流量がポンプ制御装置によって調整される。同様に、研磨ステーション118のスラリディスペンサ412の複数の例示にスラリを供給するスラリポンプが作動させられ、流量がポンプ制御装置によって調整される。すべての場合に、流量は、所望の結果を達成するのに最適な供給量の研磨媒質が各研磨輪に存在するように設定される。
【0067】
水洗水および研磨媒質を流し始めると、研磨システム100内のすべてのモータが作動させられる。具体的には、研磨ステーション114aのモータ428が作動させられ、研磨ステーション114bのモータ428が作動させられ、研磨ステーション114cのモータ428が作動させられ、研磨ステーション118のモータ428の複数の例示が作動させられる。さらに、スプール110aのモータ212およびスプール110bのモータ212が作動させられる。最後に、テープ送り装置112のモータ328が作動させられる。テープ送り装置112のベルト312およびベルト320によって基板テープ124にかけられる圧力は、テープ送り装置112のベルト312およびベルト320の回転によって、基板テープ124が研磨システム100を移動するのに十分な摩擦力を生じさせる。基板テープ124の移動速度は、基板テープ124が様々な研磨作用および水洗作用を、適切な時間受けるように制御された移動速度を与えるように、テープ送り装置112の速度を調整することによって設定される。移動速度は約0.1cm/分から約1.5cm/分の範囲、好ましくは約0.15cm/分から約0.5cm/分の範囲で変えることができる。代表的な移動速度はたとえば、0.2cm/分から約0.4cm/分である。
【0068】
続いて、研磨システム100全体にわたって配置された研磨輪に対する基板テープ124の圧力は、研磨ステーション114a内の圧力アセンブリ432の各例示の調整ねじ534を調整し、研磨ステーション114b内の圧力アセンブリ432の各例示の調整ねじ534を調整し、研磨ステーション114c内の圧力アセンブリ432の各例示の調整ねじ534を調整し、研磨ステーション118内の圧力アセンブリ432の各例示の調整ねじ534を調整することによって設定される。すべての場合に、圧力は、各ブロック520に内蔵された負荷センサによって圧力を監視することで、1平方インチ当たり0ポンドから300ポンドの範囲内に設定される。
【0069】
続いて、粗度モニタ122が作動させられ、基板テープ124と粗度モニタ122との間の距離が粗度を必要な精度で測定するのに適切な距離になるように、粗度モニタ122の位置が3軸調整可能ステージによって手動調整される。水洗水および研磨媒質を流し始め、すべてのモータを作動させると、基板テープ124は、研磨システム100を通って移動し、複数の研磨作用および水洗作用を連続的に受けるようになる。具体的には、基板テープ124は、研磨ステーション114aおよび水洗ステーション116aによって第1の研磨・水洗作用を受ける。研磨輪の硬度および研磨媒質の粒径は表1に示されているとおりであり、したがって、この第1の研磨イベントは研磨システム100内で最も激しい研磨作用と考えられる。
【0070】
次に、基板テープ124は、研磨ステーション114bおよび水洗ステーション116bを通過し、次に研磨ステーション114cおよび水洗ステーション116cを通過し、次に研磨ステーション118を通過することによって、一連の、すなわちより穏やかな研磨作用とそれに続く水洗作用を受ける。研磨ステーション114b、研磨ステーション114c、および研磨ステーション118の研磨輪の硬度および研磨媒質の粒径は、表1に示されているとおりであり、したがって、これらの研磨作用は研磨ステーション114aの研磨作用よりも穏やかであると考えられる。
【0071】
最後に、基板テープ124は、水洗と研磨の両方の機能を備えるが研磨媒質は存在しない水洗ステーション120によって、最後の研磨・水洗作用を受ける。研磨輪の硬度は表1に示されているとおりであり、したがって、この研磨作用は、研磨システム100内で最も穏やかであると考えられ、基板テープ124の研磨面128に最も微細で平滑な表面品質を与える。
【0072】
このように、基板テープ124は、研磨システム100を移動する際に、漸進的段階によって、最初は粗く、次に中間的な、その後細かい、対応する水洗作用と各々組み合わされた研磨作用を受け、それによって、研磨システムを1回通過するだけで、後続の緩衝層の堆積に適した表面平滑度を得る。
【0073】
研磨輪の硬度および研磨媒質の粒径は表1に示されているものに限らず、製品用途に応じて他の組合せが可能であることに留意されたい。
【0074】
図9は、HTS被覆テープを製造する際に用いられる長い長さの金属基板テープを研磨するのに適した機械研磨システムである研磨システム100を動作させる、本発明による方法900を示している。方法900は以下の各ステップを含む。
【0075】
ステップ910:払出しスプールを取り付ける。
【0076】
このステップでは、ユーザは研磨システム100内のスプール110aのリール210を取り付ける。リール210には基板テープ124が巻かれている。方法900はステップ912に進む。
【0077】
ステップ912:基板テープをテープ送り装置に通す。
【0078】
このステップでは、ユーザは基板テープ124の引出し部をテープ送り装置112のベルト312とベルト320との間でテープ送り装置112に通す(図3A、3B、および3C)。基板テープ124は、その間ずっと案内輪130に当たっている。方法900はステップ914に進む。
【0079】
ステップ914:基板テープを研磨ステーションおよび水洗ステーションに通す。
【0080】
このステップでは、ユーザは、基板テープ124の引出し部を研磨ステーション114aに、その入口スロット416を介して通し、次にその研磨装置アセンブリ410に通し、最後にその出口スロット418に通す。ユーザは次に、基板テープ124の引出し部を水洗ステーション116aに、その入口スロット614を介して通し、次に噴霧器アセンブリ610の複数の例示のごく近くを通過させ、最後にその出口スロット616に通す。ユーザは次に、基板テープ124の引出し部を研磨ステーション114bに、その入口スロット416を介して通し、次にその研磨装置アセンブリ410に通し、最後にその出口スロット418に通す。ユーザは次に、基板テープ124の引出し部を水洗ステーション116bに、その入口スロット614を介して通し、次に噴霧器アセンブリ610の複数の例示のごく近くを通過させ、最後にその出口スロット616に通す。ユーザは次に、基板テープ124の引出し部を研磨ステーション114cに、その入口スロット416を介して通し、次にその研磨装置アセンブリ410に通し、最後にその出口スロット418に通す。ユーザは次に、基板テープ124の引出し部を水洗ステーション116cに、その入口スロット614を介して通し、その後、噴霧器アセンブリ610の複数の例示のごく近くを通過させ、最後にその出口スロット616に通す。ユーザは次に、基板テープ124の引出し部を研磨ステーション118に、その入口スロット712を介して通し、その後その研磨装置アセンブリ410の複数の例示に通し、最後にその出口スロット714に通す。ユーザは次に、基板テープ124の引出し部を水洗ステーション120にその入口スロット812を介して通し、次に噴霧器アセンブリ830の複数の例示のごく近くを通過させ、研磨装置アセンブリ816に通し、最後にその出口スロット814に通す。方法900はステップ916に進む。
【0081】
ステップ916:基板テープを巻取りスプールに掛ける。
【0082】
このステップでは、ユーザは基板テープ124をスプール110bに掛ける。基板テープ124は、その間ずっと案内輪132に当たっている。方法900はステップ918に進む。
【0083】
ステップ918:テープの張力を設定する。
【0084】
このステップでは、ユーザは、払出しスプールおよび巻取りスプールに対するトルクを調整することによって、基板テープ124の張力を設定する。具体的には、スプール110aのモータ212およびスプール110bのモータ212のトルクを調整することによって張力を設定する。張力は、基板テープ124を研磨できる平坦度を維持するのに十分であり、しかも基板テープ124に破断点に至る応力をかけないようなレベルに設定される。方法900はステップ920に進む。
【0085】
ステップ920:水洗ステーションに水をポンプ注入する。
【0086】
このステップでは、ユーザは、水洗ステーション116a、水洗ステーション116b、水洗ステーション116c、および水洗ステーション120に水を供給する水源を作動させる。方法900はステップ922に進む。
【0087】
ステップ922:スラリポンプを作動させ、流量を調整する。
【0088】
このステップでは、ユーザは、研磨ステーション114aのスラリディスペンサ412にスラリを供給するスラリポンプを作動させ、ポンプ制御装置によって流量を調整する。次に、ユーザは、研磨ステーション114bのスラリディスペンサ412にスラリを供給するスラリポンプを作動させ、ポンプ制御装置によって流量を調整する。次に、ユーザは、研磨ステーション114cのスラリディスペンサ412にスラリを供給するスラリポンプを作動させ、ポンプ制御装置によって流量を調整する。次に、ユーザは、研磨ステーション118のスラリディスペンサ412の複数の例示にスラリを供給するスラリポンプを作動させ、ポンプ制御装置によって流量を調整する。すべての場合に、流量は、所望の結果を達成するのに最適な供給量の研磨媒質が各研磨輪に存在するように設定される。方法900はステップ924に進む。
【0089】
ステップ924:研磨システムを作動させる。
【0090】
このステップでは、ユーザは研磨ステーション114aのモータ428、研磨ステーション114bのモータ428、研磨ステーション114cのモータ428、研磨ステーション118のモータの複数の例示を作動させる。さらに、ユーザはスプール110aのモータ212およびスプール110bのモータ212を作動させる。最後に、ユーザはテープ送り装置112のモータ328を作動させる。方法900はステップ826に進む。
【0091】
ステップ926:基板テープの移動速度を設定する。
【0092】
このステップでは、ユーザは、基板テープ124が研磨作用および水洗作用を適切な時間受けるように制御された移動速度を得るように、テープ送り装置112の速度を調整することによって基板テープ124の移動速度を設定する。代表的な移動速度はたとえば、7分当たり1.0インチである。方法900はステップ928に進む。
【0093】
ステップ928:基板テープ圧力装置を調整する。
【0094】
このステップでは、ユーザは、研磨ステーション114a内の圧力アセンブリ432の各例示の調整ねじ534を調整し、研磨ステーション114b内の圧力アセンブリ432の各例示の調整ねじ534を調整し、研磨ステーション114c内の圧力アセンブリ432の各例示の調整ねじ534を調整し、研磨ステーション118内の圧力アセンブリ432の各例示の調整ねじ534を調整することによって、研磨輪に対する基板テープ124の圧力を設定する。すべての場合に、圧力は、ブロック520に内蔵された負荷センサによって圧力を監視することで、1平方インチ当たり0ポンドから300ポンドの範囲内に設定される。このセンサに接続されたケーブルは、ユーザによる監視を可能にするように外部ディスプレイに読取り値を出力する。
【0095】
ステップ930:粗度モニタを作動させる。
【0096】
このステップでは、ユーザは粗度モニタ122を作動させる。方法900はステップ932に進む。
【0097】
ステップ932:粗度モニタを調整する。
【0098】
このステップでは、ユーザは粗度モニタの位置を3軸調整可能ステージによって手動調整する。具体的には、粗度モニタ122は、基板テープ124と粗度モニタ122との間の距離がたとえば1インチになるように調整される。方法はステップ934に進む。
【0099】
ステップ934:完了時に研磨システムを停止させる。
【0100】
このステップでは、基板テープ124の全長が研磨システム100の作用を受けたときに、ユーザは研磨システム100内のすべてのモータ、ポンプ、および水供給源を止め、巻取りスプールを取り外す。具体的には、ユーザは、基板テープ124の全長が巻かれたスプール110bのリール210を取り外す。方法900は終了する。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】HTS被覆テープを製造する際に用いられる長い長さの金属基板テープを研磨するのに適した、本発明の研磨システムの高レベルのダイアグラム図である。
【図2A】本発明の研磨システム内の払出しスプールおよび巻取りスプールとして使用するのに適したスプールの側面図である。
【図2B】本発明の研磨システム内の払出しスプールおよび巻取りスプールとして使用するのに適したスプールの正面図である。
【図3A】本発明の研磨システム内のテープ送り装置として使用するのに適した基板テープ駆動機構の側面図である。
【図3B】本発明の研磨システム内のテープ送り装置として使用するのに適した基板テープ駆動機構の平面図である。
【図3C】本発明の研磨システム内のテープ送り装置として使用するのに適した基板テープ駆動機構の端面図である。
【図4A】本発明の研磨システム内の研磨ステーションとして使用するのに適した機械研磨装置の側面図である。
【図4B】本発明の研磨システム内の研磨ステーションとして使用するのに適した機械研磨装置の平面図である。
【図4C】本発明の研磨システム内の研磨ステーションとして使用するのに適した機械研磨装置の端面図である。
【図5】図4A、4B、および4Cに示されている研磨ステーション内で使用するのに適した加圧装置の側面図である。
【図6A】本発明の研磨システム内の水洗ステーションとして使用するのに適した基板テープ洗浄機構の側面図である。
【図6B】本発明の研磨システム内の水洗ステーションとして使用するのに適した基板テープ洗浄機構の端面図である。
【図7】本発明の研磨システム内の最終研磨ステーションとして使用するのに適した機械研磨装置の平面図である。
【図8A】本発明の研磨システム内の最終水洗ステーションとして使用するのに適した基板テープ洗浄機構の側面図である。
【図8B】本発明の研磨システム内の最終水洗ステーションとして使用するのに適した基板テープ洗浄機構の平面図である。
【図9】本発明の研磨システムの動作方法を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0102】
100 研磨システム
110,110a,110b スプール
112 テープ送り装置
114,114a,114b,114c 研磨ステーション
116,116a,116b,116c 水洗ステーション
118 研磨ステーション
120 水洗ステーション
122 粗度モニタ
124 基板テープ
126 非研磨面
128 研磨面
130,132 案内輪
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属テープを単一工程により連続して多段階表面研磨することを含む、HTSテープの製造方法であって、
a]未研磨の金属テープを設けることと、
b]研磨ステーションおよび水洗ステーションを各々が有する表面処理ユニットを複数個設けることと、
c]前記未研磨の金属テープを前記表面処理ユニットの第1の研磨ステーションに連続的に供給することと、
d]前記金属テープを、連続する複数の前記表面処理ユニットの各々が、研磨材料と水とを有するスラリの研磨媒質であって該研磨材料の粒径が下流側の研磨ステーションほど小さい研磨媒質を用いて、前記金属テープの表面をさらに研磨する、一連の表面処理ユニットに通すことと、
e]研磨済みの前記金属テープを最後の前記表面処理ユニットから回収することと、
f]回収された前記金属テープの上に緩衝層を形成することと、
g]前記緩衝層の上に高温超伝導体膜を形成することと、
を有し、
前記最後の表面処理ユニットは複数の研磨輪を有し、該最後の表面処理ユニットにおける前記スラリの研磨媒質中の前記研磨材料の粒径は0.05μm以下である、方法。
【請求項2】
前記金属テープは、送りリールから前記表面処理ユニットに供給され、巻取りリールによって前記表面処理ユニットから回収され、かつ、前記金属テープが前記表面処理ユニットを通って移動する際に、前記金属テープの選択された張力を維持するように、前記両リールが同調されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属テープは、ニッケルテープ、およびニッケル合金テープからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属テープは、約0.2cm/分から約0.4cm/分の範囲の速度で前記表面処理ユニットを通って移動する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属テープは、約0.15cm/分から約0.5cm/分の範囲の速度で前記表面処理ユニットを通って移動する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属テープは、約0.1cm/分から約1.5cm/分の範囲の速度で前記表面処理ユニットを通って移動する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記金属テープの表面処理に用いられるスラリの研磨媒質は、酸化アルミニウムの水スラリである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記スラリの研磨媒質中の研磨材料と水との比は約1:10から約1:20の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記スラリの研磨媒質中の研磨材料と水との比は約1:14から約1:16の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記各研磨ステップにおけるスラリの研磨媒質の流量は約0.017リットル/分から約17リットル/分である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記各研磨ステップにおけるスラリの研磨媒質の流量は約0.05リットル/分から約5リットル/分である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記各研磨ステップにおけるスラリの研磨媒質の流量は約0.01リットル/分から約1リットル/分である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
最初の研磨ステップにおけるスラリの研磨媒質中の前記研磨材料のショアA硬度は85を超え、粒径は約0.3μmから約1.0μmの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
第2の研磨ステップにおけるスラリの研磨媒質中の前記研磨材料のショアA硬度は約55から約65の間であり、粒径は約0.05μmから約0.3μmの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
最終の研磨ステップにおけるスラリの研磨媒質中の前記研磨材料のショアA硬度は約55から約65の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
HTS被覆テープを製造する際に用いられる長い長さの金属基板テープを研磨するのに適した、リール・リール間の単一工程の連続機械研磨システムであって、払出しスプールと巻取りスプールとの間を連続的に移動する金属基板テープの軸に沿って後続の水洗ステーションと組み合わされて各々が配置され、最後の研磨ステーションは複数の研磨輪を有する複数の研磨ステーションを有し、これによって、前記金属基板テープは、研磨材料と水とを有するスラリの研磨媒質であって、該研磨媒質の研磨材料の粒径が下流側の研磨ステーションほど小さく、かつ前記最後の研磨ステーションにおける前記研磨材料の粒径が0.05μm以下である研磨媒質を用いた一連の研磨作用および水洗作用を受け、表面粗度を徐々に減じるとともに、HTS被覆テープの製造時に緩衝層を堆積させるために許容される表面平滑度を得る連続機械研磨システム。
【請求項1】
金属テープを単一工程により連続して多段階表面研磨することを含む、HTSテープの製造方法であって、
a]未研磨の金属テープを設けることと、
b]研磨ステーションおよび水洗ステーションを各々が有する表面処理ユニットを複数個設けることと、
c]前記未研磨の金属テープを前記表面処理ユニットの第1の研磨ステーションに連続的に供給することと、
d]前記金属テープを、連続する複数の前記表面処理ユニットの各々が、研磨材料と水とを有するスラリの研磨媒質であって該研磨材料の粒径が下流側の研磨ステーションほど小さい研磨媒質を用いて、前記金属テープの表面をさらに研磨する、一連の表面処理ユニットに通すことと、
e]研磨済みの前記金属テープを最後の前記表面処理ユニットから回収することと、
f]回収された前記金属テープの上に緩衝層を形成することと、
g]前記緩衝層の上に高温超伝導体膜を形成することと、
を有し、
前記最後の表面処理ユニットは複数の研磨輪を有し、該最後の表面処理ユニットにおける前記スラリの研磨媒質中の前記研磨材料の粒径は0.05μm以下である、方法。
【請求項2】
前記金属テープは、送りリールから前記表面処理ユニットに供給され、巻取りリールによって前記表面処理ユニットから回収され、かつ、前記金属テープが前記表面処理ユニットを通って移動する際に、前記金属テープの選択された張力を維持するように、前記両リールが同調されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属テープは、ニッケルテープ、およびニッケル合金テープからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属テープは、約0.2cm/分から約0.4cm/分の範囲の速度で前記表面処理ユニットを通って移動する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属テープは、約0.15cm/分から約0.5cm/分の範囲の速度で前記表面処理ユニットを通って移動する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属テープは、約0.1cm/分から約1.5cm/分の範囲の速度で前記表面処理ユニットを通って移動する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記金属テープの表面処理に用いられるスラリの研磨媒質は、酸化アルミニウムの水スラリである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記スラリの研磨媒質中の研磨材料と水との比は約1:10から約1:20の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記スラリの研磨媒質中の研磨材料と水との比は約1:14から約1:16の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記各研磨ステップにおけるスラリの研磨媒質の流量は約0.017リットル/分から約17リットル/分である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記各研磨ステップにおけるスラリの研磨媒質の流量は約0.05リットル/分から約5リットル/分である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記各研磨ステップにおけるスラリの研磨媒質の流量は約0.01リットル/分から約1リットル/分である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
最初の研磨ステップにおけるスラリの研磨媒質中の前記研磨材料のショアA硬度は85を超え、粒径は約0.3μmから約1.0μmの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
第2の研磨ステップにおけるスラリの研磨媒質中の前記研磨材料のショアA硬度は約55から約65の間であり、粒径は約0.05μmから約0.3μmの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
最終の研磨ステップにおけるスラリの研磨媒質中の前記研磨材料のショアA硬度は約55から約65の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
HTS被覆テープを製造する際に用いられる長い長さの金属基板テープを研磨するのに適した、リール・リール間の単一工程の連続機械研磨システムであって、払出しスプールと巻取りスプールとの間を連続的に移動する金属基板テープの軸に沿って後続の水洗ステーションと組み合わされて各々が配置され、最後の研磨ステーションは複数の研磨輪を有する複数の研磨ステーションを有し、これによって、前記金属基板テープは、研磨材料と水とを有するスラリの研磨媒質であって、該研磨媒質の研磨材料の粒径が下流側の研磨ステーションほど小さく、かつ前記最後の研磨ステーションにおける前記研磨材料の粒径が0.05μm以下である研磨媒質を用いた一連の研磨作用および水洗作用を受け、表面粗度を徐々に減じるとともに、HTS被覆テープの製造時に緩衝層を堆積させるために許容される表面平滑度を得る連続機械研磨システム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【公開番号】特開2008−23710(P2008−23710A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212110(P2007−212110)
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【分割の表示】特願2002−569346(P2002−569346)の分割
【原出願日】平成14年3月4日(2002.3.4)
【出願人】(503050711)アイジーシー−スーパーパワー、リミテッド ライアビリティー カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】IGC−SUPERPOWER, LLC
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【分割の表示】特願2002−569346(P2002−569346)の分割
【原出願日】平成14年3月4日(2002.3.4)
【出願人】(503050711)アイジーシー−スーパーパワー、リミテッド ライアビリティー カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】IGC−SUPERPOWER, LLC
【Fターム(参考)】
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