説明

Hippophae抽出物を含む口腔ケア組成物

Hippophae抽出物を含む口腔ケア組成物、並びに炎症を軽減する方法、歯肉炎を抑制する方法、口腔の衛生状態を改善する方法、または哺乳類の全身の健康状態を維持または増進する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2007年1月10日に出願された米国特許出願第11/621,846号に基づく優先権を主張し、その内容は本明細書中に参照として援用される。
【背景技術】
【0002】
[0002] 歯周病は口腔における細菌の集積に関連する。歯肉炎は、歯周病の初期段階であり、そして歯肉線上の、柔らかく、粘り気があり、無色の細菌のフィルムであるプラークの蓄積によって引き起こされる歯肉の炎症を特徴とする。適切なブラッシング及びフロッシングによって定期的に除去されない場合、プラークは歯と歯肉の上に蓄積する傾向があり、時間とともに歯肉炎を悪化させ、そして歯周炎などのより重い歯周病に至る。歯周炎は、除去されなかったプラークが固まって結石(歯石)になる場合に起こると考えられており、歯周靱帯に影響を及ぼし、結果的に骨の破壊及び歯の喪失に至る。
【0003】
[0003] アメリカの成人のほぼ80%は、何らかの歯周病を有する。歯周病は、習慣的なブラッシング、フロッシング、及び専門的な歯の清掃を含む、きわめて簡単な歯の衛生管理によって、一般に治療及び最小化することができる。しかし、この衛生習慣は必ずしも厳格には従われない。よって、成人集団において、歯周病は比較的多く存在する。
【0004】
[0004] よって、歯磨剤などの口腔ケア組成物の抗歯肉炎活性を高めることが望ましく、それにより定期的な歯のブラッシングが治療及び歯周病の発症の撲滅に最大の効果を与えられる可能性がある。プラーク及び口腔の疾患に効果的に対抗する口腔ケア組成物が継続的に必要とされている。くわえて、天然成分を含有する口腔組成物が望ましい。
【発明の概要】
【0005】
[0005] ある態様において、本発明は、約0.001から約20%のHippophae抽出物及び許容可能な担体を含む口腔組成物を提供する。
[0006] 他の態様において、本発明は、約0.001から約20%のHippophae抽出物及び許容可能な担体を含む組成物を口腔表面に適用することを含む、炎症を軽減し、そして歯肉炎を抑制する方法を提供する。
【0006】
[0007] 他の態様において、本発明は、約0.001から約20%のHippophae抽出物及び許容可能な担体を含む組成物を口腔表面へ適用することを含む、口腔衛生を改善する方法を提供する。
【0007】
[0008] 他の態様において、本発明は、ある期間継続して少なくとも1日1回、約0.001から約20%のHippophae抽出物及び許容可能な担体を含む組成物を哺乳類の口腔表面へ適用することを含む、哺乳動物の全身の健康状態を維持または増進する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0009] 本開示全体において用いられる場合、ある範囲は、その範囲内にあるそれぞれの値及びすべての値を記載するための省略表現である。その範囲内にあるいずれの値も、範囲の末端として選択することができる。くわえて、本開示において引用されるすべての参照文献は、その全内容が参照として本明細書に援用される。そのような参照文献において提供される定義が本発明の定義との間で一致しない場合は、本発明の定義が本明細書において支配的である。
【0009】
[0010] ある態様において、本発明は、抗炎症及び抗歯肉炎という利益を提供する口腔ケア組成物に関する。本発明は、歯磨剤組成物に関して特に有用である。
[0011] ある態様において、Hippophae抽出物は、口腔ケア組成物中に見いだされる従来の成分と共に提供される。Hippophae抽出物成分及び他の成分は、本明細書に記載される。
【0010】
[0012] Hippophae属の植物には、Hippophae rhamnoides("サジー(common sea buckthorn)"または"シーベリー(sea berry)")、Hippophae salicifolia("ヤナギハサジー(willow-leaved sea buckthorn)")、Hippophae tibetana("チベットサジー(Tibetan sea buckthorn)")、並びに、例えば、Hippophae goniocarpa、Hippophae neurocarpa、Hippophae turkistanica、Hippophae caucasica、及びHippophae mongolicaなどの他の変種が含まれる。
【0011】
[0013] Hippophae抽出物は、果実、葉、根、茎、及び種を含む植物のあらゆる部分に由来してよい。主として、Hippophae抽出物は抗炎症特性を有するものとして記載されてきており、そして報告によれば、ビタミンA及び他のカロテン、ビタミンE及び他のトコフェロール、フラビノイド、ビタミンC、ビタミンB1及びB2、並びにビタミンKの優れた供給源である。Hippophae抽出物はまた、必須脂肪酸、植物ステロール、リグナン、及びミネラルが豊富であることも示されている。
【0012】
[0014] 本明細書で用いられる場合、固体材料または液体材料について"抽出する"または"抽出"とは、その材料を適切な溶媒と接触させ、その材料から抽出されることが望まれる物質(単数または複数)を取り出すことを意味する。材料が固体である場合、それは、破片や過剰なワックスが取り除かれ、そして次いで細かい小片に壊され、そして粉末状まで破砕されまたはすりつぶされた後、溶媒と接触させてよい。抽出は、当業者に知られた常法によって、例えば、固体材料をホルダー中に保持し、そして溶媒がその材料を通って流れるSoxhlet装置などの抽出装置を使用することによって;溶媒と材料を一緒に混ぜ合わせ、そして次いで、濾過によってまたは静置とデカンテーションなどによって、液層と固層または2以上の不混和液層に分離することによって、行うことができる。抽出物の調製は、他の常法、例えば超臨界抽出(例えばCO2を用いた超臨界流体抽出)、蒸気蒸留、またはひまわりオイルまたはアボカドオイルなどの媒体を用いることなどによって行うことができる。
【0013】
[0015] 本明細書で用いられる場合、"抽出物"とは抽出から得られた固体または液体の材料を意味する。本発明の口腔ケア組成物において用いられる天然抽出物の活性成分は再現性があり、安定な品質であり、そして微生物学的安全性を有することが望ましい。Hippophae抽出物を含む本発明のために有用な天然抽出物には、葉、実、パルプ、種、茎、根、またはこれらのいずれかの混合物を含む、植物のあらゆる部分から作製することができる。
【0014】
[0016] ある態様において、本発明の組成物は、約0.001から約20%のHippophae抽出物を含む。他の態様において、この組成物は約0.002から約15%、約0.005%から約12%、約0.01%から約10%、または約0.015%から約5%のHippophae抽出物を含む。
【0015】
[0017] GC−MSを用いた脂肪酸分布の分析決定及びHPLCを用いたビタミンEの分析決定を、別々の抽出工程及び植物の部分によって得られたサンプルにおいて行った。表1に示す以下の範囲によれば、脂肪酸分布はパルプ及び種子油について特徴的である。
【0016】
【表1】

【0017】
[0018] ビタミンE濃度は約800 mg/100 gから約2600 mg/100 gの範囲であり、この場合パルプフルーツオイルはさらなる含有量を示した。
[0019] 本発明の好ましい態様は、許容可能な担体中にHippophae抽出物を含む組成物を対象とする。本明細書全体において用いられる場合、"許容可能な担体"は"許容可能なビヒクル"と相互に交換可能であり、そしてHippophae抽出物と妥当な利益/リスク比に見合うように組み合わせて、特定のそして望ましい投与形態を達成する担体を意味する。一般に、許容可能な担体は、抽出物を実質的に分解させるべきでなく、またそうでなくとも悪影響を与えるべきでない。くわえて、許容可能な担体は、適用され得る口腔表面に悪影響を与えないものでなければならず、あるいは患者の口腔表面への投与のために許容可能なものである。歯磨剤などの口腔ケア組成物において用いられる従来の担体及びビヒクルは、当業者に知られており、そして本発明において使用できる。
【0018】
[0020] 本明細書において用いられる場合"口腔表面"とは、患者の口腔粘膜を意味し、歯、歯肉、口蓋、舌、及び口腔内の他の組織が含まれる。
[0021] ある態様において、本発明は歯磨剤組成物を対象とする。本発明の歯磨剤組成物には、これらに限定されるものではないが:練り歯磨き、歯磨きゲル、歯磨き剤、歯磨き粉、マウスウォッシュ、及びマウスリンスが含まれてよい。ある態様において、歯磨剤は練り歯磨きである。他の態様において、この組成物は、デンタルフロスまたはデンタルテープに染み込ませ、または沈着させることができる。そのような態様において、この組成物には、例えばマイクロクリスタリンワックスなどのワックスがさらに含まれてよい。ある態様において、そのようなワックスは、組成物の約1%から約18%の量で、他の態様において約5%から約15%の量で、他の態様において約8%から約13%の量で存在する。
【0019】
[0022] 許容可能な担体に有用な材料には、これらに限定されるものではないが:接着剤、粘度調整剤、希釈剤、界面活性剤、発泡調整剤(foam modulator)、ペルオキシド活性化剤、ペルオキシド安定化剤(peroxide stability agent)、研磨剤、pH調整剤、保湿剤、口当たりをよくする薬剤(mouth feel agent)、甘味剤、フレーバー剤、着色剤、及びこれらの組合せが含まれる。ある態様において、本発明の口腔ケア組成物を調製するために使用可能な担体は、その中に保湿剤を含有する水層を含むだろう。保湿剤は、例えば、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、及び/または200〜1000の範囲の分子量のプロピレングリコールであってよいが、他の保湿剤及びこれらの混合物を使用してもよい。本明細書におけるソルビトールへの言及は、典型的には70%水溶液として市販されている材料をいう。
【0020】
[0023] 水は、本発明の歯磨剤組成物の典型的には少なくとも約10重量%、そして一般的には約25重量%から約70重量%の量で存在する。歯磨剤が練り歯磨きである場合、その調製に使用される水は、脱イオン化されそして有機物の不純物を含まないものであってよい。本明細書で定義される水の量には、ソルビトールなどの他の材料と共に導入されるものに加えて添加される遊離水が含まれる。一態様において、歯磨剤組成物は少なくとも約7のpHを有する。
【0021】
[0024] 本発明の歯磨剤組成物は、様々な任意の歯磨剤成分を含有してよい。以下に記載のように、そのような任意の成分には、これらに限定されるものではないが:増粘剤、カルシウムイオン供与体、界面活性剤、フッ化物イオン供給源、合成陰イオン性ポリカルボキシレート、フレーバー剤、研磨剤、追加の抗歯垢剤、及び着色剤が含まれてよい。
【0022】
[0025] 本発明の組成物に用いられ得る増粘剤(thickening agent)または増粘剤(thickener)には、天然及び合成のガム及びコロイドが含まれ、その例には、カラギーナン(リッチモス(rich moss))、キサンタンガム、及びカルボキシメチルセルロースナトリウム、でんぷん、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びヒドロキシルエチルセルロースが含まれる。無機物の増粘剤には、増粘剤として機能する非晶質シリカ化合物が含まれ、例えばCab-o-Silを含む商標で入手可能なコロイド状シリカ化合物、Cabot Corporationによって製造されLenape Chemical, Bound Brook, New Jersey, USAによって流通されるヒュームドシリカ; J. M. Huber Chemicals Division, Havre deGrace, Maryland, USAからのZeodent 165;及びDavidson Chemical Division of W.R. Grace Corporation, Baltimore, Maryland, USAから入手可能なSylodent 15としても知られるSylox 15が含まれる。ある態様において、増粘剤は一般に歯磨剤組成物中に約0.1重量%から約10重量%の量で存在し;他の態様においては約0.5重量%から約4重量%で存在する。
【0023】
[0026] ある態様において、本発明の口腔ケア組成物は、カルシウムイオン供与体をさらに含む。本明細書において用いられる場合、"カルシウムイオン供与体"という語は、カルシウムイオンを提供可能なあらゆる化合物を意味する。本発明に適したカルシウムイオン供与体の例には、例えばグリセロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、酸化カルシウム、またはこれらの混合物などのカルシウム塩が含まれる。ある態様において、カルシウムイオン供与体はグリセロリン酸カルシウムである。ある態様において、カルシウムイオン供与体は、沈降炭酸カルシウムである。
【0024】
[0027] ある態様において、カルシウムイオン供与体は、約0.001から約60%の量で、別の態様において約0.05から約58%の量で、及び他の態様において約0.08から約55%の量で存在する。
【0025】
[0028] 界面活性剤を、予防作用の増強を達成し、及び/または歯磨剤組成物を美容上より受け入れやすくするために、本発明の組成物において使用することができる。本発明に有用な界面活性剤は、組成物に洗浄特性及び発泡特性を与える洗浄材料である。
【0026】
[0029] 非イオン性界面活性剤などの他の界面活性剤を用いることもできるが、界面活性剤はしばしば陰イオン性である。適切な界面活性剤の例には、水素化ココナッツオイル脂肪酸のモノ硫酸化モノグリセリドのナトリウム塩などの高級脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸の水溶性塩;ラウリル硫酸ナトリウムなどの高級アルキル硫酸;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸;ラウリルスルホ酢酸ナトリウムなどの高級アルキルスルホ酢酸;1,2-ジヒドロキシプロパンスルホン酸の高級脂肪酸エステル;及び脂肪酸、アルキル、またはアシルラジカル中に12〜16個の炭素を有するものなどの低級脂肪族アミノカルボン酸化合物の実質的に飽和した高級脂肪族アシルアミド;などが含まれる。最後に言及したアミドの例には、N-ラウリルサルコシン、並びにN-ラウリル、N-ミリストイル、またはN-パルミトイルサルコシンのナトリウム塩、カリウム塩、及びエタノールアミン塩が含まれる。
【0027】
[0030] 界面活性剤は、本発明の歯磨剤組成物中に、ある態様において約0.3重量%から約5重量%、別の態様において約0.5重量%から約2重量%の量で存在する。
[0031] 非イオン性界面活性剤も、本発明の歯磨剤組成物において利用してよい。そのような材料には、例えば、Polyoxamer 407、Steareth 30、Polysorbate 20、及びPEG-40ひまし油などの非アニオン性ポリオキシエチレン界面活性剤;及びコカミドプロピルベタイン(テゴバイン(tegobaine))及びコカミドプリピルベタインラウリルグルコシドなどの両性界面活性剤;エチレンオキシドとそのエチレンオキシドと反応性で長い炭化水素鎖(例えば、約12から約20の炭素原子の脂肪族鎖)を有する様々な水素含有化合物との縮合生成物であって、この縮合生成物(エトキサマー(ethoxamer))が、ポリ(エチレンオキシド)と脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪アミド、及び他の脂肪族部分との縮合生成物並びにプロピレンオキシド及びポリプロピレンオキシド(例えば、PluronicTM材料)との縮合生成物などの、親水性ポリオキシエチレン部分を有するもの、が含まれる。
【0028】
[0032] 本発明の組成物が歯磨剤組成物である場合、組成物は、約25 ppmから約5000 ppmのフッ化物イオンを供給するために十分な量で、フッ化物イオンの供給源またはフッ素供給成分を含有してもよい。好ましいフッ化物イオン供給源には、可溶性アルカリ金属塩などの無機フッ化物塩;例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、モノフルオロリン酸ナトリウム;及びフッ化第一スズなどのフッ化スズが含まれる。
【0029】
[0033] フッ化物化合物に加えて、本発明の口腔ケア組成物には、ピロリン酸塩などの抗結石剤が含まれてもよい。抗結石剤には、Na4P2O7、K4P2O7、Na2K2P2O7、Na2H2P2O7、及びK2H2P2O7などのジアルカリ金属またはテトラアルカリ金属ピロリン酸塩が含まれてよい。他の使用可能な抗結石剤には、ヘキサメタリン酸ナトリウムなどの長鎖ポリリン酸、及びトリメタリン酸ナトリウムなどの環状リン酸が含まれる。ある態様において、これらの薬剤は、約1重量%から約5重量%の濃度で歯磨剤組成物に含まれる。
【0030】
[0034] 抗菌剤は、本発明の組成物において有用であり得る追加の活性剤である。存在するのであれば、ある態様において、抗菌剤は組成物の約0.2重量%から約1重量%の量で存在する。そのような有用な抗菌剤には、ハロゲン化ジフェニルエーテル、例えばトリクロサン(2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル)などのフェノール性またはビスフェノール性化合物に基づく非陽イオン性抗菌剤が含まれる。
【0031】
[0035] 合成陰イオン性ポリカルボキシレートも、歯磨剤組成物内のいずれかの抗菌剤、抗結石剤、または他の活性剤について効果を増強する薬剤として、本発明の歯磨剤組成物中で使用することができる。そのような陰イオン性ポリカルボキシレートは、その遊離酸の形で、または、ある態様において、部分的にまたはより好ましくは完全に中和された水溶性または水膨潤性(水和可能(hydratable)、ゲル形成性)アルカリ金属塩(例えば、カリウム塩及びナトリウム塩)またはアンモニウム塩の形で、一般に使用される。本発明のある態様には、無水マレイン酸またはマレイン酸と、別の重合可能なエチレン系不飽和モノマー、好ましくはメチルビニルエステル無水マレイン酸であって約30000から約1800000、より好ましくは約30000から約700000の分子量を有するもの、との1:4:1の共重合体が含まれる。これらの共重合体の例は、GAF CorporationからGantrezの商標名で入手可能である;例えば、AN139(分子量=500000)、AN119(分子量=250000);S-97医薬品グレード(分子量=700000)、AN169(分子量=1200000-1800000)、及びAN179(分子量=1800000以上)。ある態様において、ポリマーはS-97医薬品グレード(分子量=700000)である。本発明の態様において有用なポリマーのさらなる例には、Gaffer et al.の米国特許第5,344,641号に記載のものなどのポリマーが含まれる。
【0032】
[0036] 存在する場合、陰イオン性ポリカルボキシレートは、歯磨剤組成物内のいずれかの抗菌剤、抗結石剤、または他の活性剤の有効性の望ましい増強を達成するために効果的な量が使用されるべきである。一般に、陰イオン性ポリカルボキシレートは、歯磨剤組成物中に約0.05重量%から約4重量%、より好ましくは組成物の約0.5重量%から約2.5重量%の量で存在する。
【0033】
[0037] 本発明の口腔ケア組成物には、例えば約20ミクロンまでの平均粒子径を有する沈降シリカなどの、研磨剤が含まれてよい。そのような化合物の例には、J.M.Hubert Chemical Division(Havre deGrace, Maryland, USA)によって販売されるZeodent 115、及びW.R.Grace and Company(USA)のDavison Chemical Divisionによって販売されるSilodent 783が含まれる。
【0034】
[0038] 他の有用な歯磨研磨剤には、これらに限定されるものではないが:メタリン酸、メタリン酸カリウム、リン酸トリカルシウム、リン酸二水和ジカルシウム、ケイ酸アルミニウム、か焼アルミナ、ベントナイト、及び他のシリカ材料、またはこれらの組合せが含まれる。本発明において有用な研磨材料の具体的態様には、例えば、ある態様においては約100 cc/100 gシリカ未満、他の態様においては約45 cc/100 gシリカから約70 cc/100 gシリカ未満の範囲のオイル吸収値(oil absorption value)を有する沈降非晶質シリカ及びシリカゲルが含まれる。これらのシリカは、約3ミクロンから約12ミクロンの平均粒子径を有し、そして5重量%のスラリーとして測定した場合pHが約4から約10であるコロイド状粒子である。
【0035】
[0039] オイル吸収値は、ASTM Rub-Out Method D281を用いて測定した。本発明の口腔ケア組成物中に存在する場合、低オイル吸収値のシリカ研磨剤は、ある態様において約5重量%から約40重量%の濃度で、他の態様において約10重量%から約30重量%の濃度で存在する。
【0036】
本発明において使用可能な低吸収シリカ研磨剤の例には、W.R. Grace and Company(Baltimore, Maryland, USA)の一部門であるDavidson ChemicalによってSylodent XWAの商標名で販売されているもの;及びコロイド状シリカから成り、29重量%の水分含量を有し、平均して直径約7から約10ミクロンであり、そして70 cc/100 gシリカ未満のオイル吸収を有する、シリカヒドロゲルであるSylodent 650 XWAが含まれる。
【0037】
[0040] 本発明の口腔ケア組成物には、1以上のフレーバー剤が含まれてもよい。本発明に有用なフレーバー剤には、以下に限定されるものではないが:精油、並びに様々なフレーバーのアルデヒド、エステル、アルコール、及び同様の材料が含まれる。精油の例には、これらに限定されるものではないが、スペアミント、ペパーミント、冬緑、ササフラス、クローブ、セージ、ユーカリ、マジョラム、シナモン、生姜、レモン、ライム、グレープフルーツ、ぶどう、オレンジ、りんご、洋なし、桃、いちご、チェリー、バニラ、ミスワク(miswak)、コーラ、杏、メロン、バナナ、コーヒー、ココア、パパイヤ、マンゴー、キウイ、パイナップル、メントール、及び蜂蜜のオイルが含まれる。メントール、カルボン、及びアネトールといった化学品もまた有用である。
【0038】
[0041] ある態様において、フレーバー剤は歯磨剤組成物中に約0.05重量%から約5重量%;他の態様において約0.1重量%から約3重量%;他の態様において約0.5重量%から約1.5重量%の範囲の濃度で包含される。
【0039】
[0042] 他の様々な材料が本発明の口腔ケア組成物の中に包含されてもよい。これらの材料には、これらに限定されるものではないが:硝酸カリウムなどの脱過敏剤(desensitizer);過酸化水素、過酸化カルシウム、過酸化尿素などの増白剤;保存料;シリコン;色素または染料などの着色剤;及びクロロフィル化合物が含まれてよい。例えばサッカリンナトリウムなどの甘味剤も、ある態様において約0.001から0.5%の量で、他の態様において0.002から0.3%の量で含まれてよい。
【0040】
[0043] さらに、他の活性剤も本組成物中に追加で含まれてよい。そのような活性剤には、これらに限定されるものではないが:抗酸化剤、ビタミン、及び他の植物抽出物が含まれてよい。例には、これらに限定されるものではないが:カモミール、セージ、ティーツリー、アーモンド、エキナセア、ベリー、ごぼう、エルダーベリー、亜麻仁、生姜、朝鮮人参、緑茶、ヒドラスチス、またはアロエが含まれる。この組成物には、例えばキトサンなどの追加のポリマーがさらに含まれてよい。これらの追加の活性剤は、存在する場合、いくつかの態様において組成物中に約0.001から約5%の量で、他の態様において約0.005から約3%の量で、さらに他の態様において約0.01から約1%の量で含まれる。
【0041】
[0044] くわえて、本発明の組成物を含むデンタルフロスを対象とする態様においては、ワックスがさらに存在してよい。本明細書において使用される場合、"含む"には、混ぜ合わせること、表面を覆うこと、染み込ませること、沈着させること、吸着させることなどが含まれる。
【0042】
[0045] ある態様において、本発明は、治療効果を有する、例えばアフタ性口内炎(canker sore)、損傷、及び他の口の痛み、並びに口腔表面の腫れ及び炎症に対する緩和を提供する、口用のペーストまたは口用のゲル及びスプレーなどの口腔ケア組成物を対象とする。そのような態様において、追加の成分には、例えばベンゾカイン、リドカイン、プロカイン、テトラカイン、またはトリドカイン(tridocaine)などの局所麻酔薬が含まれてよい。
【0043】
[0046] 存在する場合、全ての追加の材料は、それらの確立された量で、そして好ましくはそれらの所望の利益を与えるが口腔ケア組成物自体について望まれる特性及び性質に実質的に悪影響を与えない量で、口腔ケア組成物の中に包含される。
【0044】
[0047] 歯磨剤の調製は当該技術分野においてよく知られており、そして例えば米国特許第3,966,863号;第3,980,767号;第4,328,205号;及び第4,358,437号に記載されている。より具体的には、本発明の歯磨剤を調製するため、一般に、保湿剤(例えば、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、及び/またはポリエチレングリコール)は、従来のミキサー中で撹拌しながら水中に拡散される。その拡散の中にカルボキシメチルセルロース(CMC)、カラギーナン、またはキサンタンガムなどの有機増粘剤;いずれかの陰イオン性ポリカルボキシレート;フッ化ナトリウム抗齲蝕剤などのいずれかの塩;及びいずれかの甘味剤が添加される。
【0045】
[0048] 得られた混合物は、均質なゲル層が形成されるまで撹拌される。このゲル層の中に、TiO2などの利用される色素が添加され、そして組成物のpHを調節するために必要ないずれかの酸または塩基がさらに添加される。これらの成分は、均質な層が得られるまで混ぜ合わされる。
【0046】
[0049] 混合物は次いで、高速/減圧ミキサーへ移され、そこにおいてZeodent 165などの無機増粘剤及び界面活性剤成分が混合物へ添加される。いずれかの利用される研磨剤がこの時に添加される。トリクロサンなどの水不溶性抗菌剤は、歯磨剤中に含まれるようにフレーバーオイル中に可溶化され、そしてその溶液は界面活性剤と共に混合物へ添加され、次いで高速で約5から約30分、約20から約50 mmHg、具体的には30 mmHgの減圧下で混ぜ合わされる。得られた生成物は、均質で、半固体状で、押し出し可能な(extrudable)ペーストまたはゲル生成物である。
【0047】
[0050] 他の態様において、本発明は、Hippophae抽出物を含む組成物を口腔表面へ適用することを含む、炎症を軽減し、そして歯肉炎を抑制する方法を提供する。
[0051] 他の態様において、本発明は、Hippophae抽出物を含む組成物を口腔表面へ適用することを含む、口腔衛生を改善する方法を提供する。
【0048】
[0052] 本明細書において用いられる場合、"適用する"には、口腔ケアに通常関連する行為が含まれ、そして例えば、手でこすること(rubbing)または軽くたたくこと(dabbing)、スポンジまたは歯科用の道具などの器具でこすること、ブラッシングすること、水で洗浄すること、すすぐこと、スプレーすること、ふき取ること、塗ること、フロッシングすること、うがいすること、表面にフィルムまたはストリップを置くこと、埋め込むこと、及び噛むことが含まれる。
【0049】
[0053] 以下の実施例は、限定するためではなく、例として、本発明の範囲内の態様をさらに記載し、そして示す。実施例は、単に例示の目的で提示されるものであり、本発明の限定として解釈されるべきでない。というのも、これら実施例の多くの変形は、本発明の思想と範囲から逸脱することなく可能であるためである。
【実施例】
【0050】
[0054] 以下は、本発明のパラメータの範囲内で調製された口腔ケア組成物の実施例である。これらの組成物は、習慣的に使用された場合、歯の掃除において、及び使用者に様々な利益を提供する点において有効である。
【0051】
実施例1
[0055] 以下の成分の歯磨剤組成物を調製する:
【0052】
【表2】

【0053】
実施例2
[0056] 以下の成分の歯磨剤組成物を調製する:
【0054】
【表3】

【0055】
実施例3
[0057] 以下の成分の歯磨剤組成物を調製する:
【0056】
【表4】

【0057】
実施例4
[0058] 以下の成分のデンタルフロス組成物を調製する:
【0058】
【表5】

【0059】
実施例5
[0059] 以下の成分のマウスウォッシュ組成物を調製する:
【0060】
【表6】

【0061】
[0060] 上記の態様をその広い発明概念から逸脱せずに変化させることができることが、当業者によって理解される。したがって、本発明は開示された特定の態様には限定されないと理解され、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の思想と範囲内の変更に及ぶことが意図される。例えば、本発明は様々な組成物のための様々な携帯用の形態において使用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約0.001から約20%のHippophae抽出物;及び
(b)許容可能な担体
を含む、口腔ケア組成物。
【請求項2】
抽出物がHippophae rhamnoidesの抽出物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
カルシウムイオン供与体をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
Hippophae抽出物が約0.002から約15%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
Hippophae抽出物が約0.005から約12%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
カルシウムイオン供与体が約0.001から約60%の量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
カルシウムイオン供与体がカルシウム塩である、請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
カルシウムイオン供与体が、グリセロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、酸化カルシウム、またはこれらの混合物から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
歯磨剤、ロゼンジ、ガム、ペースト、ゲル、可溶性フィルムまたは非可溶性フィルムの形をとる、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
練り歯磨きの形をとる、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
マウスウォッシュまたはマウスリンスの形をとる、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の組成物を含む、デンタルフロス。
【請求項13】
ワックスをさらに含む、請求項12に記載のデンタルフロス組成物。
【請求項14】
フッ化物イオン供給源をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
界面活性剤をさらに含む、請求項9に記載の歯磨剤組成物。
【請求項16】
抗酸化剤、ビタミン、植物抽出物、またはこれらの混合物から選択される活性剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール及び、これらの混合物から選択される保湿剤を約5%から約75%さらに含む、請求項9に記載の歯磨剤組成物。
【請求項18】
抗結石剤もしくは抗菌剤、またはこれらの混合物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
陰イオン性ポリカルボキシレートポリマーをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
請求項1に記載の組成物を口腔表面へ適用することを含む、口腔組織の炎症を軽減する方法。
【請求項21】
請求項1に記載の組成物を口腔表面へ適用することを含む、歯肉炎を抑制する方法。
【請求項22】
請求項1に記載の組成物を口腔表面へ適用することを含む、歯垢の蔓延を軽減する方法。
【請求項23】
一定の期間継続して少なくとも1日に1回、請求項1に記載の組成物を口腔表面へ適用することを含む、哺乳類の全身の健康状態を維持または増進する方法。

【公表番号】特表2010−515749(P2010−515749A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545668(P2009−545668)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/050690
【国際公開番号】WO2008/086457
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】