説明

ICカード、ICカード用基材、ICカードの製造方法、ICカードの製造装置、凹部形成済ICカード用基材の製造方法、および凹部形成済ICカード用基材の製造装置

【課題】 良品率および生産効率を向上させることができるICカードの製造方法を提供する。
【解決手段】 ICカードの製造方法は、第1板状部材30と、第2板状部材40と、第1板状部材と第2板状部材との間に設けられた接続端子34aを有するアンテナ回路34と、を有するICカード用基材20を第1板状部材側から切削し凹部22を形成する工程と、凹部内における接続端子の露出を検査する工程と、凹部内にICモジュール11を配置する工程と、を備えている。準備されるICカード用基材は、接続端子の第1板状部材側に隣接して設けられたUV発光性樹脂を含んだ発光層24を有している。検査は凹部内にUV光を照射しながら行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部装置とデータの送受信を行うICカード、ICカードの製造方法、およびICカードの製造装置に係り、とりわけ、製造中に不良品を精度良く検出することにより、良品率および生産効率を向上させることができるICカード、ICカードの製造方法、およびICカードの製造装置に関する。
【0002】
また、本発明は、ICモジュールと接続されることによって外部装置とデータの送受信を行うICカードを形成するICカード用基材、並びに、ICモジュールを収納する凹部が形成された凹部形成済ICカード用基材の製造方法および製造装置に係り、とりわけ、製造中に不良品を精度良く検出することにより、良品率および生産効率を向上させることができるICカード用基材、凹部形成済ICカード用基材の製造方法、および凹部形成済ICカード用基材の製造装置に関する。
【背景技術】
【0003】
昨今、リーダ・ライタ等の外部装置と非接触でデータの送受信を行うICカードが広く普及している。ICカードは、一般に、複数の板状部材と板状部材間に配置されたアンテナ回路とを有するICカード用基材と、IC回路を有しアンテナ回路に接続されたICモジュールと、を有している。
【0004】
また、ICモジュールが外部端子を有し、非接触状態だけでなく接触状態においても、外部装置とデータの送受信を行うことができるICカードも普及している。このようなICカードは、「ツーウェイカード」、「デュアルカード」、あるいは「ハイブリッドカード」と呼ばれることもある。
【0005】
このようなICカードは、まず、ICカード用基材を作製し、次に、ICカード用基材を一方の面から切削して凹部を形成するとともに、凹部内にアンテナ回路の接続端子を露出させ、最後に、ICモジュールを凹部内に配置するとともに、接続端子を介してアンテナ回路とICモジュールとを接続することにより、製造され得る(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平9−123654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、ICカード用基材の板状部材は白色系のプラスチックから構成され、アンテナ回路は板状部材とは異なる色を有した銅やアルミニウムから構成されている。したがって、切削加工によってアンテナ回路が凹部内に露出しているか否かは、視覚的に判断することが可能であり、切削加工不良となったICカード用基材をICカードの製造工程中において排除することができるものと考えられていた。
【0007】
しかしながら、最終的に製造されたICカードは、ICモジュールとアンテナ回路との間の導通が取れていない不良品も多数含んでいる。また、近年のICカードの薄型化にともなって、このような不良品の発生は増大する傾向にある。
【0008】
今般、本発明者は、このような不良品の発生原因について鋭意研究を重ねた結果、アンテナ回路を板状部材に固定するための接着層が排除されきれておらず、この接着層によって接続端子とICモジュールとの接続が妨げられている不良品ICカードが、全不良品中に多数含まれている、との知見を得た。アンテナ回路と板状部材との間に介在する接着層は、通常、無色透明であり、接続端子上における接着層の有無を瞬時に視覚的に判断することは困難である。その一方で、ICモジュールを配置する前に、接着層を排除しきれていないICカード用基材を検出し排除することができれば、高良品率かつ高生産効率でICカードを製造することができる。さらに、接着層が排除されきれていないICカード用基材に切削加工を再度施すことができれば、製造歩留まりを向上させることもできる。
【0009】
本発明は、このような知見に基づくものであり、切削加工不良となったICカード用基材を精度良く検出することにより、良品率および生産効率を向上させることができるICカード、ICカード用基材、ICカードの製造方法、ICカードの製造装置、および凹部形成済ICカード用基材の製造方法、凹部形成済ICカード用基材の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、第1板状部材と、前記第1板状部材に積層された第2板状部材と、前記第1板状部材と前記第2板状部材との間に設けられた接続端子を有するアンテナ回路と、前記接続端子の前記第1板状部材側に隣接して設けられUV発光性樹脂を含んだ発光層と、を有するICカード用基材の接続端子を露出させるよう、ICカード用基材を第1板状部材側から切削して凹部を形成する工程と、凹部内にUV光を照射しながら、凹部内における接続端子の露出を検査する工程と、凹部内にICモジュールを配置し、接続端子を介してICモジュールをアンテナ回路に接続させる工程と、を備えたことを特徴とするICカードの製造方法である。このような本発明によれば、凹部内に接続端子が十分露出してない不良品を精度良く検出することができる。また、ICカードの製造方法が、検査する工程とICモジュールを配置する工程との間に設けられ、検査する工程において接続端子が十分に露出していないと判定されたICカード用基材を回収する工程をさらに備えるようにすることもできる。これにより、高生産効率でICカードを製造することができ、また、高良品率で信頼性の高いICカードを製造することができる。
【0011】
また、ICカードの製造方法が、検査する工程において、接続端子上の発光層が十分に切削されていないと判定されたICカード用基材を、再度、切削する工程へ投入するようにすることができる。このような本発明によれば、高製造歩留まりでICカードを製造することができ、これにより、ICカードの製造コストを軽減することができる。
【0012】
さらに、検査する工程において、発光層に含まれたUV発光性樹脂の発光度合に基づいて接続端子上の発光層が十分に切削されているか否かを判定するようにしてもよい。
【0013】
本発明は、第1板状部材と、前記第1板状部材に積層された第2板状部材と、前記第1板状部材と前記第2板状部材との間に設けられた接続端子を有するアンテナ回路と、前記接続端子の前記第1板状部材側に隣接して設けられUV発光性樹脂を含んだ発光層と、を有するICカード用基材の接続端子を露出させるよう、ICカード用基材を第1板状部材側から切削して凹部を形成する切削手段と、凹部内における接続端子の露出を検査する検査手段と、凹部内にICモジュールを配置し、接続端子を介してICモジュールをアンテナ回路に接続させる配置接続手段と、を備え、検査手段は、凹部内にUV光を照射するUV光照射装置を有することを特徴とするICカードの製造装置である。このような本発明によれば、凹部内に接続端子が十分露出してない不良品を精度良く検出することができる。また、ICカードの製造装置が、検査手段により接続端子が十分に露出していないと判定されたICカード用基材を回収する回収手段をさらに備えるようにすることができる。これにより、高生産効率でICカードを製造することができ、また、高良品率で信頼性の高いICカードを製造することができる。
【0014】
また、回収手段が、検査手段により接続端子上の発光層が十分に切削されていないと判定されたICカード用基材を、その他のICカード用基材から分離して回収する回収部を有するようにしてもよい。このような本発明によれば、接続端子上の発光層が十分に切削されていないと判定されたICカード用基材に対して切削加工を再度施すことができる。この場合、高製造歩留まりでICカードを製造することができ、これにより、ICカードの製造コストを軽減することができる。
【0015】
さらに、検査手段が、凹部内を撮像する撮像装置と、撮像装置に接続された画像処理装置と、をさらに有するようにしてもよい。
【0016】
さらに、検査手段が、発光層に含まれたUV発光性樹脂の発光度合に基づいて接続端子上の発光層が十分に切削されているか否かを判定するようにしてもよい。
【0017】
本発明は、ICモジュールを受ける凹部を有し、ICモジュールと接続してICカードを形成する凹部形成済ICカード用基材を製造する製造方法であって、第1板状部材と、前記第1板状部材に積層された第2板状部材と、前記第1板状部材と前記第2板状部材との間に設けられた接続端子を有するアンテナ回路と、前記接続端子の前記第1板状部材側に隣接して設けられUV発光性樹脂を含んだ発光層と、を有するICカード用基材の接続端子を露出させるよう、ICカード用基材を第1板状部材側から切削して凹部を形成する工程と、凹部内にUV光を照射しながら、凹部内における接続端子の露出を検査する工程と、を備えたことを特徴とする凹部形成済ICカード用基材の製造方法である。このような本発明によれば、凹部内に接続端子が十分露出してない不良品を精度良く検出することができ、これにより、高生産効率で凹部形成済ICカード用基材を製造することができ、また、高良品率で信頼性の高い凹部形成済ICカード用基材を製造することができる。
【0018】
また、凹部形成済ICカード用基材の製造方法が、検査する工程において、接続端子上の発光層が十分に切削されていないと判定されたICカード用基材を、再度、切削する工程へ投入する工程をさらに備えるようにしてもよい。このような本発明によれば、高製造歩留まりで凹部形成済ICカード用基材およびICカードを製造することができ、これにより、凹部形成済ICカード用基材およびICカードの製造コストを軽減することができる。
【0019】
さらに、検査する工程において、発光層に含まれたUV発光性樹脂の発光度合に基づいて接続端子上の発光層が十分に切削されているか否かを判定するようにしてもよい。
【0020】
本発明は、ICモジュールを受ける凹部を有し、ICモジュールと接続してICカードを形成する凹部形成済ICカード用基材を製造する製造装置であって、第1板状部材と、前記第1板状部材に積層された第2板状部材と、前記第1板状部材と前記第2板状部材との間に設けられた接続端子を有するアンテナ回路と、前記接続端子の前記第1板状部材側に隣接して設けられUV発光性樹脂を含んだ発光層と、を有するICカード用基材の接続端子を露出させるよう、ICカード用基材を第1板状部材側から切削して凹部を形成する切削手段と、凹部内における接続端子の露出を検査する検査手段と、を備え、検査手段は、凹部内にUV光を照射するUV光照射装置を有することを特徴とする凹部形成済ICカード用基材の製造装置である。このような本発明によれば、凹部内に接続端子が十分露出してない不良品を精度良く検出することができ、これにより、高生産効率で凹部形成済ICカード用基材を製造することができ、また、高良品率で信頼性の高い凹部形成済ICカード用基材を製造することができる。
【0021】
また、凹部形成済ICカード用基材の製造装置が、検査手段により接続端子上の発光層が十分に切削されていないと判定されたICカード用基材を、その他のICカード用基材から分離して回収する回収部をさらに備えるようにしてもよい。このような本発明によれば、接続端子上の発光層が十分に切削されていないと判定されたICカード用基材に対して切削加工を再度施すことができる。この場合、高製造歩留まりで凹部形成済ICカード用基材およびICカードを製造することができ、これにより、凹部形成済ICカード用基材およびICカードの製造コストを軽減することができる。
【0022】
さらに、検査手段が、凹部内を撮像する撮像装置と、撮像装置に接続された画像処理装置と、をさらに有するようにしてもよい。
【0023】
さらに、検査手段が、発光層に含まれたUV発光性樹脂の発光度合に基づいて接続端子上の発光層が十分に切削されているか否かを判定するようにしてもよい。
【0024】
本発明は、貫通孔を有する第1板状部材と、第1板状部材に積層された第2板状部材と、第1板状部材と第2板状部材との間に設けられた接続端子であって、少なくとも一部分が第1板状部材の貫通孔に対応して配置された接続端子を有するアンテナ回路と、第1板状部材の貫通孔内に配置され、接続端子を介してアンテナ回路と接続されたICモジュールと、を備え、少なくとも貫通孔近傍におけるアンテナ回路の第1板状部材側に隣接して、UV発光性樹脂を含んだ発光層が設けられていることを特徴とするICカードである。このような構成からなるICカードは、製造中に精度良く不良品が排除され得り、これにより、高良品率かつ高生産効率で製造され得る。
【0025】
本発明は、ICモジュールと接続してICカードを形成するICカード用基材において、第1板状部材と、第1板状部材に積層された第2板状部材と、第1板状部材と第2板状部材との間に設けられた接続端子を有するアンテナ回路と、を備え、少なくとも接続端子の第1板状部材側に隣接して、UV発光性樹脂を含んだ発光層が設けられていることを特徴とするICカード用基材である。このような構成からなるICカード用基材を用いてICカードを製造する場合、製造中に精度良く不良品を排除することができ、これにより、高良品率かつ高生産効率でICカードを製造することができる。
【0026】
本発明は、ICモジュールと接続してICカードを形成するICカード用基材において、貫通孔を有する第1板状部材と、第1板状部材に積層された第2板状部材と、第1板状部材と第2板状部材との間に設けられた接続端子であって、少なくとも一部分が第1板状部材の貫通孔に対応して配置された接続端子を有するアンテナ回路と、を備え、少なくとも貫通孔近傍におけるアンテナ回路の第1板状部材側に隣接して、UV発光性樹脂を含んだ発光層が設けられていることを特徴とするICカード用基材である。このような構成からなるICカード用基材は、製造中に精度良く不良品が排除され得り、これにより、高良品率かつ高生産効率で製造され得る。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ICカードの製造中に、切削加工不良となったICカード用基材を精度良く検出することができるので、ICカードを高良品率かつ高生産効率で製造することができる。これにより、信頼性の高いICカードを安価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0029】
図1乃至図11は本発明によるICカード、ICカード用基材、ICカードの製造方法、ICカードの製造装置、凹部形成済ICカード用基材の製造方法、および凹部形成済ICカード用基材の製造装置の一実施の形態を示す図である。
【0030】
<ICカード、ICカード用基材>
このうち図1はICカード10を示す斜視図であり、図2は図1のII−II線に沿った断面図であり、図3はICカード10のICモジュール11を示す側面図であり、図4はICカード10の凹部形成済ICカード用基材20を示す斜視図であり、図5は図4のV−V線に沿った断面図であり、図6はICカード用基材20を示す分解断面図である。
【0031】
まず、図1乃至6を用いて、本実施の形態におけるICカード10およびICカード用基材20について説明する。
【0032】
図1および図2に示すように、ICカード10は、ICモジュール11と、凹部形成済ICカード用基材20と、を備えている。ここで、凹部形成済ICカード用基材20とは、ICモジュール11を収納するための凹部22が形成されたICカード用基材20のことである。
【0033】
このようなICカード10は、図示しない外部装置(リーダ・ライタ等)と非接触で通信することができ、外部装置からICモジュール11に記憶された情報を読み取ったり、ICモジュール11へ新たな情報を書き込んだりすることができるようになっている。なお、後述するように、本実施の形態においては、ICモジュール11に外部端子13aが設けられており(図1)、この外部端子13aを介した接触状態で、ICカード10と外部装置との間における情報の送受信を行うことも可能となっている。
【0034】
ICカード用基材20は、図6に示すように、第1板状部材30と、第1板状部材30の両面にそれぞれ積層された第2板状部材40および第3板状部材46と、第1板状部材30と第2板状部材40との間に設けられたアンテナ回路34と、を有している。
【0035】
各板状部材30,40,46の積層は、種々の方法を用いることができる。本実施の形態においては、図5に示すように、各板状部材間にポリエステル系の熱可塑性樹脂からなる接着層28,25を設け、熱圧着処理を施すことにより、各板状部材が隣接する板状部材に対して接着固定されている。しかしながら、このような態様は一例であり、当然に、このような態様に限定されるものではない。
【0036】
ICモジュール11を収納するための凹部22は、後述するように、ICカード用基材20に切削加工を施すことによって形成される。図5に示すように、凹部22は、それぞれ切削加工によって形成される第1板状部材30の貫通孔32および第3板状部材46の貫通孔48によって構成される。そして、図2に示されているように、第1板状部材30の貫通孔32および第3板状部材46の貫通孔48は組み合わさってICモジュール11を収納することができるような形状となっている。
【0037】
第1乃至第3の板状部材30,40,46は、一般的に、白色系のPETや紙等からなり、非導電性である。一方、アンテナ回路34は、外部装置と非接触状態で通信する際にアンテナとして機能するものであり、銅やアルミニウム等の導電性材料から構成される。また、アンテナ回路34は、ICモジュール11と電気的に接続(導通)するための一対の接続端子34a,34aを有している。図5に示すように、接続端子34aは第1板状部材30の貫通孔32に対応する部分に配置されており、少なくとも接続端子34aの一部は、凹部22が形成されたICカード用基材20において、凹部22内に露出している。
【0038】
本実施の形態において、アンテナ回路34は、図4に示されているように、コイル状アンテナの形式をとっており、銅やアルミニウム等の導電性材料からなっている。また、図5および図6に示されているように、アンテナ回路34は、接着剤として機能するバインダー樹脂中にUV発光性樹脂を分散させてなる発光層(接着層)24を介し、予め第1板状部材30に接着されている。ここでUV発光性樹脂とは、UV光を照射されると可視光を発光するという特性を有した樹脂である。また、バインダー樹脂としては、例えば、エポキシ系の熱硬化性接着剤を用いることができる。このようなアンテナ回路34を形成された第1板状部材30は、例えば、白色PETに発光層24を介して導電性箔を接着し、次にエッチングして所望の形状とすることにより得られ得る。
【0039】
なお、本実施の形態において、アンテナ回路34がコイル状アンテナからなる例を示したが、これに限られない。非接触状態での通信に用いられる電磁波によっては、例えば、ダイポールアンテナとして機能する、一対の略棒状の導電体によってアンテナ回路が構成されることもある。この場合、導電体の一部部分が、ICモジュール11との接続用の接続端子34aを構成することになる。
【0040】
次に、ICモジュール11について説明する。
【0041】
本願におけるICモジュール11とは、アンテナ回路34と接続されて外部装置と非接触状態で情報の送受信を行うことができる機能を有した要素であり、本実施の形態におけるICモジュール11はこのような機能を達成することができる回路を書き込まれたICチップ15を有している。また、本実施の形態において、ICモジュール11は、アンテナ回路34の接続端子34aと接触して接続するための一対の接続電極(バンプとも呼ぶ)18,18と、上述した外部端子13aが表面に設けられ、外部端子13aをICチップ15に接続させて外部装置との接触状態における通信を可能にするための基板13と、をさらに有している。図5に示すように、基板13は、外部端子13aをICカード10外部に露出させるよう(図2)、ICチップ15の一側に設けられている。一方、バンプ18はICチップ15の他側(基板13が設けられていない側)へ突出するように設けられている。
【0042】
以上のような構成からなるICモジュール11が凹部形成済ICカード用基材20の凹部22内に収納装着され、凹部22の底面に露出したアンテナ回路34の一対の接続端子34aと、凹部22の底面に向けて突出したICモジュール11の一対のバンプ18とがそれぞれ接触して電気的に接続している。また、凹部22内における、ICモジュール11と凹部形成済ICカード用基材20との間の隙間は接着剤等によって埋められていることが好ましい。
【0043】
このようなICカード10においては、通信用の電磁波を発する外部装置にICカード10を接近させることにより、あるいは、外部装置にICカード10を物理的に接触させることにより、情報の送受信、例えば、ICカード10の所有者の認証等を行うことができる。また、ICカード10を外部装置のスロットに挿入し、外部端子34aを介して電気的に接触(接続)した状態で、情報の送受信、例えば、データの書き込みや修正を行うことができる。
【0044】
<ICカード(ICカード用基材)の製造装置および製造方法>
次に、主に図7乃至図11を用いて、本実施の形態におけるICカードの製造装置50および製造方法について説明する。
【0045】
図7はICカードの製造装置50、ICカードの製造方法、ICカード用基材の製造装置52、およびICカード用基材の製造方法を示す概略構成図であり、図8乃至図10は切削手段66および切削工程を説明する図であり、図11は検査手段70および検査工程、並びに切削不良品の回収手段82および回収工程を説明する図である。
【0046】
なお、凹部形成済ICカード用基材の製造装置52および製造方法は、ICカードの製造装置50および製造方法から、ICモジュール11の凹部形成済ICカード用基材20への配置接続手段88および配置工程を除いたものであり、ICカードの製造装置50および製造方法の一部としてこれに含まれる。以下、ICカードの製造装置50および製造方法を説明することによって、ICカード用基材の製造装置52および製造方法についても説明したこととする。
【0047】
[ICカードの製造装置50および製造方法の概略構成]
まず、ICカードの製造装置50および製造方法の概略構成について説明する。
【0048】
図7に示すように、ICカードの製造装置50は、第1板状部材30と、第1板状部材30に積層された第2板状部材40と、第1板状部材30と第2板状部材40との間に設けられた接続端子34aを有するアンテナ回路34と、接続端子34aの第1板状部材30側に隣接して設けられUV発光性樹脂を含んだ発光層24と、を有するICカード用基材20を準備する手段60と、接続端子34aを露出させるように、ICカード用基材20を第1板状部材30側から切削して凹部22を形成する切削手段66と、凹部22内における接続端子34aの露出を検査する検査手段70と、凹部22内にICモジュール11を配置し、接続端子34aを介してICモジュール11をアンテナ回路34に接続させる配置接続手段88と、を備えている。また、ICカードの製造装置50は、検査手段70によって切削不良品と判定されたICカード用基材20を他のICカード用基材20から分離して回収する回収手段82をさらに備えている。
【0049】
一方、ICカードの製造方法は製造装置50に対応して、第1板状部材30と、第1板状部材30に積層された第2板状部材40と、第1板状部材30と第2板状部材40との間に設けられた接続端子34aを有するアンテナ回路34と、接続端子34aの第1板状部材30側に隣接して設けられUV発光性樹脂を含んだ発光層24と、を有するICカード用基材20を準備する工程と、接続端子34aを露出させるように、ICカード用基材20を第1板状部材30側から切削して凹部22を形成する工程と、凹部22内にUV光を照射しながら、凹部22内における接続端子34aの露出を検査する工程と、凹部22内にICモジュールを配置し、接続端子34aを介してICモジュール11をアンテナ回路34aに接続させる工程と、を備えている。また、本実施の形態における製造方法は、製造装置50が回収手段82を備えていることに対応し、検査する工程において接続端子34aが凹部22内に十分露出していないと判定されたICカード用基材を他のICカード用基材と区別して回収する回収工程をさらに有している。これにより、接続端子34aが凹部22内に十分露出していると判定されたICカード用基材20に対してのみICモジュール11が配置されるようになっている。
【0050】
以下、各工程について順に詳述していく。
【0051】
[ICカード用基材を準備する工程]
本実施の形態においては、第1板状部材30と、第2板状部材40と、第3板状部材とが、接着層25,28を介して熱圧着されることによりICカード用基材20が製造される。
【0052】
具体的には、まず、一対の接続端子34a,34aを有するアンテナ回路34がUV発光性樹脂を含んだ発光層24を介して積層された第1板状部材30を準備する。本実施の形態においては、上述したように、発光層24は接着剤として機能するバインダー中にUV発光性樹脂を含有させて構成されており、アンテナ回路34を第1板状部材30に接着する接着層として機能する。このような第1板状部材30は、上述したように、第1板状部材30上に発光層24を介して導電性箔を接着し、次に、エッチングにより導電性箔をアンテナ回路34状に形成することによって、得られ得る。
【0053】
次に、アンテナ回路34を挟むようにして第2板状部材40を第1板状部材30に重ね合わせるとともに、第3板状部材46を第1板状部材30の第2板状部材40が設けられていない側に重ね合わせる。また、各板状部材30,40,46間には、熱可塑性樹脂からなる接着剤が供給されている。接着剤としては、例えば、液体状の接着剤やシート状の接着剤を用いることができる。
【0054】
図6に示すように、このように重ね合わされた第1乃至第3の板状部材30,40,46が、本実施の形態におけるICカード用基材準備手段(ICカード用基材を準備する手段)60を構成する熱圧着機61へ供給される。熱圧着機61は、第1乃至第3の板状部材30,40,46を加熱しながら押圧する。これにより、各板状部材30,40,46間に設けられた接着剤は一旦溶融し、その後、温度の低下にともなって各板状部材同士をそれぞれ融着させる接着層25,28を形成するようになる(図5)。
【0055】
このようにしてICカード用基材20が製造され、製造されたICカード用基材20は、第1板状部材30と、第1板状部材30に積層された第2板状部材40と、第1板状部材30と第2板状部材40との間に設けられた接続端子34aを有するアンテナ回路34と、を備えており、UV発光性樹脂を含んだ発光層24が、接続端子34a含んだアンテナ回路34の第1板状部材30側に隣接して設けられている。
【0056】
[切削工程]
次に、切削工程について説明する。
【0057】
本実施の形態において、切削手段66は、切削刃としてエンドミル67が取り付けられたフライス盤から構成されている。周知のようにエンドミル67を用いたフライス加工を行った場合、凹部22の底面を略平らにすることができる。
【0058】
エンドミル67は、アンテナ回路34の接続端子34aに対応する部分であって、接続端子34aを基準として第1板状部材30側のICカード用基材20表面から切削を開始する。すなわち、図8に示すように、本実施の形態においては、エンドミル67が、ICカード用基材20の第3板状部材46側から切削を開始して接続端子34aに向けて削り込んでいき、第3板状部材46に貫通孔48が形成されるとともに第1板状部材30に貫通孔32が形成される。このようにして、エンドミル67が接続端子34aまで削り込み、凹部22内に接続端子34aが露出することになる。
【0059】
以上のようにして凹部形成済みのICカード用基材20が製造され、製造された凹部形成済みのICカード用基材20は、貫通孔32を有する第1板状部材30と、第1板状部材30に積層された第2板状部材40と、第1板状部材30と第2板状部材40との間に設けられた接続端子34aであって、一部分が第1板状部材30の貫通孔32に対応して配置された接続端子34aを有するアンテナ回路34と、を備えている。また、貫通孔32近傍におけるアンテナ回路34(接続端子34a)と第1板状部材30側との間に、UV発光性樹脂を含有するとともに接着層として機能する発光層24が設けられている。
【0060】
なお、上述したように、貫通孔32,48によってICモジュール11を収納するための凹部22が形成される。したがって、貫通孔32,48は、用いられるICモジュール11の形状を考慮して形成されなければならない。
【0061】
ところで、接続端子34aは、厚みが40μm程度しかない非常に薄いものもある。さらに、各板状部材30,40,46自体の厚みや、前工程における熱圧着機61の押圧力が変動することも考えられる。このため、図8に示すように、エンドミル67の削り込みが接続端子34aの手前の発光層24までしか至らない場合や、図9に示すように、接続端子34aを過ぎて第2板状部材40まで削り込んでしまうこともある。図8および図9に示すようなICカード用基材20は、次に説明する検査工程において、切削不良品として検出されるようになっている。
【0062】
[検査工程]
次に、検査工程について説明する。
【0063】
この検査工程は、切削工程において形成された凹部22内に、アンテナ回路34の接続端子34aが十分に露出しているか否かを検査する工程である。
【0064】
まず、検査手段70について詳述する。
【0065】
図11に示すように、検査手段70は、凹部形成済ICカード用基材20の凹部22内にUV光を照射するUV光照射装置71と、凹部22内を撮像する撮像装置81と、撮像装置81に接続された画像処理装置80と、を有している。
【0066】
このうちUV光照射装置71は、図11に示されているように、UV光源73と、凹部形成済ICカード用基材20の上方に配置されたUV光照射部材72と、UV光源73とUV光照射部材72とを接続してUV光源73からUV光照射部材72までUV光を案内(誘導)する案内部材74と、を有している。UV光照射部材72はリング状からなり、周状にUV光を照射することができるようになっている。本実施の形態において、案内部材74は、光ファイバーから構成されている。
【0067】
また、本実施の形態において、UV光照射装置71は、UV光照射部材72に連結され、UV光を照射される凹部形成済ICカード用基材20に向けて延びる遮光部材75をさらに有している。遮光部材75は凹部22内に照射される外光量を調整するためのものであり、所謂遮光カーテンや、単なる紙、厚紙、段ボール紙等を用いることができる。本実施の形態においては、段ボール紙を用いて遮光部材75を形成している。
【0068】
本実施の形態において、撮像装置81は8ビット256階調のCCDカメラから構成されており、画素ごとの明るさ(白および黒の間における濃淡の程度)を0〜255までの256段階で評価することができるようになっている。図11に示されているように、この撮像装置81は、検査対象となる凹部形成済ICカード用基材20の凹部22の直上に配置されるようになっている。また、撮像装置81はリング状のUV光照射部材72の中心上方に配置されている。したがって、撮像装置81は、周囲からUV光を照射される凹部22を直上から撮像することができるようになっている。
【0069】
一方、本実施の形態において、画像処理装置80はディスプレイ80aを有している。画像処理装置80は、撮像装置81から信号を受信し、ディスプレイ80aに映像を映し出すとともに、CCDカメラ(撮像装置81)によって撮像された画素ごとの明るさに基づき、接続端子34aが凹部22内に十分露出しているか否かを判定するようになっている。
【0070】
なお、後述するように、検査手段70は不良品回収手段82に接続されており、検査手段70の画像処理装置80から不良品回収手段82のシーケンサ83に検査結果が送信されるようになっている。
【0071】
次に、このような検査手段70を用いた検査方法について説明する。
【0072】
本実施の形態においては、図11に示すように、凹部22を形成されたICカード用基材20が搬送手段69によって搬送されてくる。凹部形成済ICカード用基材20の凹部22が撮像装置81の直下にいたると、搬送手段69による凹部形成済ICカード用基材20の送り込みが停止する。
【0073】
この状態で、撮像装置81によって凹部形成済ICカード用基材20の凹部22内の映像が撮像され、凹部22内の映像が画像処理装置80のディスプレイ80aに映し出される。このとき、UV光照射装置71によってUV光が、撮像対象である凹部22に周囲から照射されている。また、遮光部材75と凹部形成済ICカード用基材20との隙間、および撮像装置81とUV光照射部材72との隙間から外光が調整された量だけ入り込んでくる。したがって、切削加工が所望の仕上がりとなっており、凹部22内に接続端子34aが十分露出している場合(図8)には、外光により、白色系の板状部材46,30,40とは異なる色調を有する銅やアルミニウムからなる接続端子34aの露出を視覚的に確認することができる。一方、図9に示すように、接続端子34aが発光層24に覆われた状態になっている場合には、発光層24内に介在するUV発光性樹脂が、UV光照射部材72からのUV光の照射によって可視光を発光する。したがって、発光層24の発光度合に基づき発光層24が十分切削されていないことを視覚的に判断することができる。さらに、図10に示すように、接続端子34aを全て削り取ってしまった場合、あるいはエンドミル67の削り込みが発光層24まで至らず凹部22が第1板状部材30までで止まっている場合、ディスプレイ80aに映し出されるのはすべて同一色系からなる板状部材30,40,46だけである。従って、接続端子34aの露出がないことを視覚的に判断することができる。
【0074】
本実施の形態においては、画像処理装置80が、撮像装置81から送信されてくる画素ごとの明るさに基づいて、接続端子34aが凹部22内に十分露出しているか否かを自動的に検査するようになっている。
【0075】
ここで「接続端子34aが凹部22内に十分露出している」とは、予定された領域全域にわたって接続端子34aが露出していることを指し示すものではない。最終的に得られるICカード10に求められている品質や、その後処理工程等によっては、予定された領域の大部分または一部分に接続端子34aが露出していれば十分であることもあり、領域全域にわたって接続端子34aが露出していることが必ずしも必要とはならない。
【0076】
具体的な検査方法としては、例えば、凹部22内の接続端子34aが露出すべき領域を検査対象領域Rとし(図11)、この領域R内における各画素の平均階調と予め設定した基準階調との比較結果に基づいて、あるいは、予め設定された基準階調以下または以上の階調であると評価された画素数と予め設定された基準画素数との比較結果に基づいて判定すること等が考えられる。
【0077】
本実施の形態における画像処理装置80は、発光層24内におけるUV発光性樹脂の含有量や、遮光部材75の構成によって入り込んでくる外光量を調整することにより、撮像装置81から送信されてくる信号に基づき、発光層24を190から210階調程度として、白色系PETからなる各板状部材30,40,46を160〜180階調程度として、接続端子34aを150階調以下として検出することができるようになっている。このため、画像処理装置80は、検査対象領域Rに接続端子34aが十分露出しているか否かだけでなく、接続端子34aが十分露出していない場合には、発光層34aおよび各板状部材30,40,46のどちらが検査対象領域Rに露出しているのかも判定するようになっている。
【0078】
また、このような画像処理装置80による検査に併せて、オペレータが、ディスプレイ80aに映し出される映像に基づいて、接続端子34aの露出を目視検査することが好ましい。
【0079】
このようにして凹部形成済ICカード用基材20の検査が終了すると、該凹部形成済ICカード用基材20は搬送手段69によって送り出され、次に続く凹部形成済ICカード用基材20が撮像装置81の直下に入るまで搬送される。その後、搬送手段69による搬送と検査手段70による検査とが繰り返される。
【0080】
[回収工程]
次に、回収工程について詳述する。
【0081】
回収工程は、検査工程において接続端子34aが凹部22内に十分露出していないと判定された(切削不良品と判定された)凹部形成済ICカード用基材20を、ICモジュール11を配置する工程に先だってラインから取り除く工程である。これにより、接続端子34aが凹部22内に十分露出している凹部形成済ICカード用基材20のみに対して、その後の処理を施すことになり、生産効率的に非常に好ましい。
【0082】
まず、検査手段70によって切削不良品と判定された凹部形成済ICカード用基材20を、その他の良品凹部形成済ICカード用基材20から分離して回収する回収手段82について説明する。
【0083】
図11に示すように、回収手段82は、検査手段70の画像処理装置80に接続され、画像処理装置80から検査結果についての情報を受け取るシーケンサ83と、シーケンサ83にそれぞれ接続された再修正品回収部84および廃棄品回収部85と、を有している。再修正品回収部84および廃棄品回収部85は、搬送手段69の搬送経路に沿って検査手段70の下流側に設けられている。そして、再修正品回収部84および廃棄品回収部85は、搬送手段69の送り込み停止時に検査済みの凹部形成済ICカード用基材20の停止位置に対面する位置に配置されている。また、各回収部84,85は、シーケンサ83に接続された押圧装置84a,85aと、搬送手段69を挟んで押圧装置84a,85aに対向して配置された回収箱84b,85bと、を有している。
【0084】
次に、このような回収手段82を用い、不良品と判定された凹部形成済ICカード用基材を回収する方法について説明する。
【0085】
検査を終えた凹部形成済ICカード用基材20は、UV光照射部材72および撮像装置81の下方から下流側へと搬送手段69によって送り出される。同時に、検査手段70の画像処理装置80から検査結果がシーケンサ83に送信される。上述したように、搬送手段69は間欠的に凹部形成済ICカード用基材20を搬送している。具体的には、検査対象となる凹部形成済ICカード用基材20が撮像装置81の直下に到達する度に、検査が終了するまで搬送を停止するようになっている。そして、検査済の凹部形成済ICカード用基材20は、搬送手段69による送り込みの停止にともない、まず、再修正品回収部84に対面する位置に停止し、次に、廃棄品回収部85に対面する位置に停止する。
【0086】
検査手段70によって検査対象領域R(図11)の大部分を発光層24が占めている判定された(言い換えると、接続端子34a上の発光層24が十分に切削されていないと判定された)凹部形成済ICカード用基材20が再修正品回収部84に対応する位置に停止した場合、シーケンサ83から再修正品回収部84の押圧部材84aに駆動信号が送信される。駆動信号が送信されると、再修正品回収部84の押圧部材84aは、対面する凹部形成済ICカード用基材20を押圧して搬送手段69から排除する(押し出す)。排除された凹部形成済ICカード用基材20は、搬送手段69に隣接して設けられた再修正品回収部84の回収箱84bに回収される。
【0087】
一方、発光層24が十分に切削されていないと判定された凹部形成済ICカード用基材以外の凹部形成済ICカード用基材(すなわち、検査手段70により、検査対象領域R(図11)に接続端子34aが十分露出していると判定された凹部形成済ICカード用基材、および検査対象領域Rに接続端子34aが十分露出しておらず、かつ検査対象領域Rの大部分を白色系の樹脂が占めていると判定された凹部形成済ICカード用基材)は、再修正品回収部84に回収されることなく、搬送手段69によって再修正品回収部84から廃棄品回収部85へと搬送されていく。
【0088】
検査手段70によって検査対象領域Rに白色系の樹脂があると判定された凹部形成済ICカード用基材20が廃棄品回収部85に対応する位置に停止した場合、シーケンサ83から廃棄品回収部85の押圧部材85aに駆動信号が送信される。駆動信号が送信されると、破棄品回収部85の押圧部材85aは、対面する凹部形成済ICカード用基材20を押圧して搬送手段69から排除する(押し出す)。排除された凹部形成済ICカード用基材20は、搬送手段69に隣接して設けられた廃棄品回収部85の回収箱85bに回収される。
【0089】
一方、検査手段70により検査対象領域Rに接続端子34aが十分露出していると判定された凹部形成済ICカード用基材は、廃棄品回収部85に回収されることなく、搬送手段69によって廃棄品回収部85から次工程(本実施の形態においては、ICモジュール11を配置する工程)へと搬送されていく。
【0090】
すなわち、回収工程において切削不良品が回収手段82によって回収され、凹部22内に接続端子34aが十分に露出していると判定された凹部形成済ICカード用基材20のみが次工程へと送り込まれる。
【0091】
また、本実施の形態においては、接続端子34a上の発光層24が十分に切削されていないと判定された凹部形成済ICカード用基材が、その他の凹部形成済ICカード用基材と区別されて再修正品回収部84に回収されるようになっている。再修正品回収部84に回収された凹部形成済ICカード用基材20は、切削量が足りなかっただけであり、切削加工を再度施すことにより良品として使用可能になる。本実施の形態においては、再修正品回収部84に回収された凹部形成済ICカード用基材20を、図示しない再投入手段(ロボットアームやベルトコンベア)を用い、再度、切削工程へ戻すようになっている(再投入工程)。
【0092】
[ICモジュールを配置する工程]
次に、ICモジュールを配置する工程について説明する。
【0093】
本実施の形態において、凹部22内にICモジュール11を配置し、接続端子34aを介してICモジュール11をアンテナ回路34に接続させる配置接続手段88は、ICモジュール11を吸着して搬送する吸着ノズル89と、凹部形成済ICカード用基材20の凹部22内に接着剤を供給する接着剤供給装置90と、凹部22内に供給された接着剤を硬化させる接着剤硬化装置91と、を有している(図7)。
【0094】
まず、ICモジュールの配置接続工程に搬送されてきた凹部形成済ICカード用基材20の凹部22に、接着剤供給装置90から接着剤が供給される(図7)。本実施の形態において、接着剤は、非導電性バインダー樹脂中に導電性粒子等を分散させてなる異方性導電性接着剤が用いられている。
【0095】
この動作に併せて、吸着ノズル89は、順次供給されるICモジュール11を1つずつ吸着して凹部形成済ICカード用基材20の凹部22上まで搬送する。その後、吸着ノズル89が降下し、接着剤を供給された凹部形成済ICカード用基材20の凹部22内にICモジュール11を押圧して嵌め込む。このとき、ICモジュール11の一対のバンプ18,18が、凹部22内に露出したアンテナ回路34の一対の接続端子34a,34aに直接、あるいは異方性導電性接着剤の導電性粒子を介してそれぞれ電気的に接続される。なお、異方性導電性接着剤のバインダー樹脂は非導電性であるため、バンプ同士(接続端子)が導通してしまうことはない。
【0096】
その後、接着剤硬化装置91によって、ICモジュール11と凹部形成済ICカード用基材20との間に介在する接着剤が硬化され、ICモジュール11が凹部形成済ICカード用基材20の凹部22内に固定される。なお、接着剤硬化装置91の態様は、用いられる接着剤の種類に応じて選定され、例えば、接着剤が熱硬化性樹脂からなる場合には、接着剤硬化装置91は加熱機構を有するようになる。
【0097】
以上のようにしてICカード10が製造され、製造されたICカード10は、貫通孔32を有する第1板状部材30と、第1板状部材30に積層された第2板状部材40と、第1板状部材30と第2板状部材40との間に設けられた接続端子34aであって、一部分が第1板状部材30の貫通孔32に対応して配置された接続端子34aを有するアンテナ回路34と、第1板状部材30の貫通孔32内に配置され、接続端子34aを介してアンテナ回路34と接続されたICモジュール11と、を備えている。また、貫通孔32近傍におけるアンテナ回路34(接続端子34a)と第1板状部材30との間に、UV発光性樹脂を含んだ発光層24が介在している。
【0098】
<作用効果>
以上のように本実施の形態によれば、ICカード用基材20に内蔵されたアンテナ回路34の接続端子34aの第1板状部材30側に隣接して、UV発光性樹脂を含んだ発光層24が設けられており、このICカード用基材20の第1板状部材30側の表面から接続端子34aまで切削してICモジュール20を収納する凹部22を形成している。そして、凹部22内における接続端子34aの露出を、UV光を照射しながら検査するようになっている。したがって、接続端子34a上の発光層24が十分に切削されきれていない凹部形成済ICカード用基材20が検査工程に持ち込まれると、接続端子34a上の発光層24(UV発光性樹脂)がUV光に反応して発光する。これにより、接着層が無色透明であることに起因してこれまで視覚的に検出することが困難であった接続端子34a上への接着層の残存を、接着層として機能する発光層24(UV発光性樹脂)の発光度合に基づいて精度良く検出することができる。一方、切削手段66が発光層24まで削り込まなかった場合や、接続端子34aまで削り取ってしまった場合には、接続端子34aが露出するだろう位置に、接続端子34aとは異なる色を有した板状部材30,40,46が露出することになる。したがって、このような場合も、視覚的に検出することができる。すなわち、本実施の形態によれば、検査工程において、凹部22内に接続端子34aが十分露出していない不良品を精度良く検出することができる。
【0099】
また、本実施の形態によれば、接続端子34aが十分露出していないと判定された凹部形成済ICカード用基材を回収手段82によって回収するようになっている。したがって、不良品である凹部形成済ICカード用基材に対してその後の加工が施されないため高生産効率でICカード10を製造することができ、また、高良品率で信頼性の高いICカード10を製造することができる。
【0100】
さらに本実施の形態によれば、接続端子34a上の発光層24が十分に切削されていないと判定された凹部形成済ICカード用基材が、その他の凹部形成済ICカード用基材と分離されて、再修正品回収部84に回収されるようになっており、再修正品回収部84に回収された凹部形成済ICカード用基材は、再度、切削工程へ投入されるようになっている。すなわち、一旦不良品として判定された凹部形成済ICカード用基材20をそのまま廃棄せず、再加工を施して修正するようになっている。したがって、高い製造歩留まりでICカード10を製造することができ、これにより、ICカード10の製造コストを軽減することができる。
【0101】
<変形例>
上記の実施の形態に関し、本発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。以下、変形例の一例について説明する。
【0102】
[ICカード用基材の構成についての変形例]
まず、ICカード用基材20の構成についての変形例を説明する。
【0103】
上述した実施の形態においては、第3板状部材46、UV発光性樹脂を含んだ発光層24を介してアンテナ回路34が接着された第1板状部材30、第2板状部材40の順で積層してICカード用基材20を作製し、ICカード用基材20の第3板状部材46側から切削して、第2板状部材40と第1板状部材30との間に設けられた接続端子34aを露出させるようにしているが、これに限られない。接続端子34aの切削開始側(第1板状部材30側)にUV発光性樹脂を含んだ発光層24が隣接して配置されていれば、接続端子34a上方に残存した無色透明の接着層を検出することができるからである。このような変形例の一例を、図12乃至図14に示す。
【0104】
なお、図12乃至図14は、ICカード用基材20の変形例を示す図であり、(a)は分解断面図を示し、(b)は切削方法を説明する断面図である。図12乃至図14において、図1乃至図11に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付すとともに、重複する詳細な説明は省略する。
【0105】
図12(a)、(b)においては、切削開始側から見て、第3板状部材46、第1板状部材30、第2板状部材40の順で積層されており、アンテナ回路34は第1板状部材30と第2板状部材40との間であって第2板状部材40上に形成されている。また、この変形例においては、第1板状部材30と第2板状部材40とが、UV発光性樹脂を含有するとともに接着層として機能する発光層24を介して互いに接着固定されるようになっている。このような構成からなるICカード用基材20においても、上述した検査方法を用いて、接続端子34a上の発光層24が十分切削されているか否かを、精度良く判定することができる。
【0106】
また、上述した実施の形態においては、3枚の板状部材30,40,46を用いてICカード用基材20を構成した例を示したが、これに限られない、図13および図14に示すように2枚の板状部材30,40によって、あるいは4枚以上の板状部材によってICカード用基材20を構成するようにしてもよい。
【0107】
図13に示す変形例においては、切削開始側から見て、第1板状部材30、第2板状部材40の順で積層されており、アンテナ回路34は第1板状部材30と第2板状部材40との間であって第1板状部材30上に形成されている。また、アンテナ回路34は、UV発光性樹脂を含有するとともに接着層として機能する発光層24を介して第1板状部材30に接着固定されている。図14に示す変形例においては、切削開始側から、第1板状部材30、第2板状部材40の順で積層されており、アンテナ回路34は第2板状部材40上に形成されている。また、第1板状部材30と第2板状部材40とが、UV発光性樹脂を含有するとともに接着層として機能する発光層24を介して互いに接着固定されるようになっている。図13および図14に示されているような構成からなるICカード用基材20においても、上述した検査方法を用いて、接続端子34a上の発光層24が十分切削されているか否かを、精度良く判定することができる。
【0108】
さらに、接着剤として機能するバインダー樹脂中にUV発光性樹脂を含有させてなる発光層24を例示してきたが、これに限られず、発光層24とは別に、各要素間を接着するための接着層を設けるようにしてもよい。例えば、接続端子34aの第1板状部材30側(切削開始側)の表面上にUV発光性樹脂を含有した塗料を予め塗布しておき、この塗料によって発光層24を形成することができる。このような例は、図12および図14に示されたICカード用基材20に適用することができる。さらに、シート状の接着剤を用いる場合には、シート状接着剤の接続端子に面する側の表面にUV発光性樹脂を含有した塗料を予め塗り付けておき、接続端子34aの第1板状部材30側に隣接した発光層を形成するようにしてもよい。
【0109】
さらに、上述した実施の形態においては、UV発光性樹脂を含有するとともに接着層として機能する発光層24を介して導電性箔を第1板状部材30に接着し次にエッチングすることによって形成されたアンテナ回路34を例示した。しかしながら、アンテナ回路34の接続端子34aの切削開始側にUV発光性樹脂を含んだ発光層24が配置されている限りにおいて、アンテナ回路34の構成を種々変形することができる。例えば、アンテナ回路34の接続端子34a以外の部分をコイル巻きした導線によって形成してもよい。一方、アンテナ回路34の接続端子34aは種々の形状を有するようにすることができ、ICモジュール11とアンテナ回路34との導通を取ることが可能な範囲において、接続端子34aの一部分のみが凹部22(第1板状部材30の貫通孔32)内に露出するようにしてもよい。またさらに、上述した図12および図14に示すICカード用基材20においては、第2板状部材40上に導電性インキを印刷することによってアンテナ回路34を形成することもできる。
【0110】
さらに、上述した実施の形態においては、アンテナ回路34が第1板状部材30の一方の面上に形成された例を示した。しかしながら、アンテナ回路34の接続端子34aの切削開始側にUV発光性樹脂を含んだ発光層24が配置されている限りにおいて、アンテナ回路34の構成を種々変形することができる。例えば、図6に示すICカード用基材20の層構成において、アンテナ回路34のコイル部分を第1板状部材30の両側の面上に形成する、すなわちコイル部分を2つ設けるようにしてもよい。この場合、アンテナ回路34(ICカード10)の通信能力を増強することができる。
【0111】
さらに、上述した実施の形態においては、各板状部材30,40,46が同サイズの平板からなる例を示したが、これに限られない。例えば、各板状部材の大きさが異なってもよい。また、板状部材は平板に限られるものではなく、縁部が突出した断面略コ字状あるいは断面L字状を有する略板材を板状部材として用いることもできる。この場合、突出した縁部の内方に他の板状部材を配置するようにしてもよい。
【0112】
[ICモジュールの構成についての変形例]
さらに、上述した実施の形態において、ICモジュール11が外部端子13aを有し、製造されたICカード10が接触状態で外部装置と通信することができるようになっている例を示したが、これに限られない。外部端子13aを有さないICモジュール11に対しても、すなわち、得られたICカード10が非接触状態でのみ外部装置と通信することができるようなICモジュール11に対しても、本発明を適用することができる。
【0113】
また、上述した実施の形態において、ICモジュール11の接続電極18がICチップ15に突設されたバンプからなる例を示したが、これに限られない。例えば、接続電極18が基板13(図3)の下面に突設されてもよい。
【0114】
[回収工程および再投入工程についての変形例]
さらに、上述した実施の形態においては、接続端子34a上の発光層24が十分に切削されていないと判定された凹部形成済ICカード用基材が、その他の切削不良品と区別されて回収手段82の再修正品回収部84に回収され(回収工程)、再修正品回収部84に回収された凹部形成済ICカード用基材20が切削工程へ再投入されるようになっている(再投入工程)例を示したが、これに限られない。再修正品回収部84に回収される凹部形成済ICカード用基材20の割合が少ない等の事情がある場合には、製造装置50,52および製造装置制御の複雑性を考慮して、発光層24が残存した不良品凹部形成済ICカード用基材とその他の不良品凹部形成済ICカード用基材とに区別することなく回収手段82が切削不良品を回収し、再投入工程を省略するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明によるICカードの一実施の形態を示す斜視図。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図。
【図3】ICカードのICモジュールを示す側面図。
【図4】ICカードの凹部形成済ICカード用基材を示す斜視図。
【図5】図4のV−V線に沿った断面図。
【図6】ICカード用基材を示す分解断面図。
【図7】本発明によるICカードの製造装置、ICカードの製造方法、ICカード用基材の製造装置、およびICカード用基材の製造方法の一実施の形態を示す概略構成図。
【図8】切削手段および切削工程を説明する図。
【図9】切削手段および切削工程を説明する図。
【図10】切削手段および切削工程を説明する図。
【図11】検査手段および検査工程、並びに回収手段および回収工程を説明する図。
【図12】ICカード用基材の変形例を示す図。
【図13】ICカード用基材の変形例を示す図。
【図14】ICカード用基材の変形例を示す図。
【符号の説明】
【0116】
10 ICカード
11 ICモジュール
13a 外部端子
20 ICカード用基材(凹部形成済ICカード用基材)
22 凹部
24 発光層
30 第1板状部材
32 貫通孔
34 アンテナ回路
34a 接続端子
50 ICカードの製造装置
52 ICカード用基材(凹部形成済ICカード用基材)の製造装置
60 ICカード用基材を準備する手段
66 切削手段
70 検査手段
71 UV光照射装置
81 撮像装置
82 画像処理装置
82 回収手段
84 回収部(再修正品回収部)
88 配置接続手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1板状部材と、前記第1板状部材に積層された第2板状部材と、前記第1板状部材と前記第2板状部材との間に設けられた接続端子を有するアンテナ回路と、前記接続端子の前記第1板状部材側に隣接して設けられUV発光性樹脂を含んだ発光層と、を有するICカード用基材の前記接続端子を露出させるよう、前記ICカード用基材を前記第1板状部材側から切削して凹部を形成する工程と、
前記凹部内にUV光を照射しながら、前記凹部内における前記接続端子の露出を検査する工程と、
前記凹部内にICモジュールを配置し、前記接続端子を介して前記ICモジュールを前記アンテナ回路に接続させる工程と、を備えたことを特徴とするICカードの製造方法。
【請求項2】
前記検査する工程と前記ICモジュールを配置する工程との間に設けられ、前記検査する工程において前記接続端子が十分に露出していないと判定されたICカード用基材を回収する工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のICカードの製造方法。
【請求項3】
前記検査する工程において、前記接続端子上の前記発光層が十分に切削されていないと判定されたICカード用基材を、再度、前記切削する工程へ投入する工程をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のICカードの製造方法。
【請求項4】
前記検査する工程において、前記発光層に含まれた前記UV発光性樹脂の発光度合に基づいて前記接続端子上の前記発光層が十分に切削されているか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のICカードの製造方法。
【請求項5】
第1板状部材と、前記第1板状部材に積層された第2板状部材と、前記第1板状部材と前記第2板状部材との間に設けられた接続端子を有するアンテナ回路と、前記接続端子の前記第1板状部材側に隣接して設けられUV発光性樹脂を含んだ発光層と、を有するICカード用基材の前記接続端子を露出させるよう、前記ICカード用基材を前記第1板状部材側から切削して凹部を形成する切削手段と、
前記凹部内における前記接続端子の露出を検査する検査手段と、
前記凹部内にICモジュールを配置し、前記接続端子を介して前記ICモジュールを前記アンテナ回路に接続させる配置接続手段と、を備え、
前記検査手段は、前記凹部内にUV光を照射するUV光照射装置を有することを特徴とするICカードの製造装置。
【請求項6】
前記検査手段により前記接続端子が十分に露出していないと判定されたICカード用基材を回収する回収手段をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載のICカードの製造装置。
【請求項7】
前記回収手段は、前記検査手段により前記接続端子上の前記発光層が十分に切削されていないと判定されたICカード用基材を、その他のICカード用基材から分離して回収する回収部を有することを特徴とする請求項5または6に記載のICカードの製造装置。
【請求項8】
前記検査手段は、前記凹部内を撮像する撮像装置と、前記撮像装置に接続された画像処理装置と、をさらに有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載のICカードの製造装置。
【請求項9】
前記検査手段は、前記発光層に含まれた前記UV発光性樹脂の発光度合に基づいて前記接続端子上の前記発光層が十分に切削されているか否かを判定するようになっていることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項に記載のICカードの製造装置。
【請求項10】
ICモジュールを受ける凹部を有し、ICモジュールと接続してICカードを形成する凹部形成済ICカード用基材を製造する製造方法であって、
第1板状部材と、前記第1板状部材に積層された第2板状部材と、前記第1板状部材と前記第2板状部材との間に設けられた接続端子を有するアンテナ回路と、前記接続端子の前記第1板状部材側に隣接して設けられUV発光性樹脂を含んだ発光層と、を有するICカード用基材の前記接続端子を露出させるよう、前記ICカード用基材を前記第1板状部材側から切削して凹部を形成する工程と、
前記凹部内にUV光を照射しながら、前記凹部内における前記接続端子の露出を検査する工程と、を備えたことを特徴とする凹部形成済ICカード用基材の製造方法。
【請求項11】
前記検査する工程において、前記接続端子上の前記発光層が十分に切削されていないと判定されたICカード用基材を、再度、前記切削する工程へ投入する工程をさらに備えたことを特徴とする請求項10に記載の凹部形成済ICカード用基材の製造方法。
【請求項12】
前記検査する工程において、前記発光層に含まれた前記UV発光性樹脂の発光度合に基づいて前記接続端子上の前記発光層が十分に切削されているか否かを判定することを特徴とする請求項10または11に記載の凹部形成済ICカード用基材の製造方法。
【請求項13】
ICモジュールを受ける凹部を有し、ICモジュールと接続してICカードを形成する凹部形成済ICカード用基材を製造する製造装置であって、
第1板状部材と、前記第1板状部材に積層された第2板状部材と、前記第1板状部材と前記第2板状部材との間に設けられた接続端子を有するアンテナ回路と、前記接続端子の前記第1板状部材側に隣接して設けられUV発光性樹脂を含んだ発光層と、を有するICカード用基材の前記接続端子を露出させるよう、前記ICカード用基材を前記第1板状部材側から切削して凹部を形成する切削手段と、
前記凹部内における前記接続端子の露出を検査する検査手段と、を備え、
前記検査手段は、前記凹部内にUV光を照射するUV光照射装置を有することを特徴とする凹部形成済ICカード用基材の製造装置。
【請求項14】
前記検査手段により前記接続端子上の前記発光層が十分に切削されていないと判定されたICカード用基材を、その他のICカード用基材から分離して回収する回収部をさらに備えたことを特徴とする請求項13に記載の凹部形成済ICカード用基材の製造装置。
【請求項15】
前記検査手段は、前記凹部内を撮像する撮像装置と、前記撮像装置に接続された画像処理装置と、をさらに有することを特徴とする請求項13または14に記載の凹部形成済ICカード用基材の製造装置。
【請求項16】
前記検査手段は、前記発光層に含まれた前記UV発光性樹脂の発光度合に基づいて前記接続端子上の前記発光層が十分に切削されているか否かを判定するようになっていることを特徴とする請求項13乃至15のいずれか一項に記載の凹部形成済ICカード用基材の製造装置。
【請求項17】
貫通孔を有する第1板状部材と、
前記第1板状部材に積層された第2板状部材と、
前記第1板状部材と前記第2板状部材との間に設けられた接続端子であって、少なくとも一部分が前記第1板状部材の前記貫通孔に対応して配置された接続端子を有するアンテナ回路と、
前記第1板状部材の前記貫通孔内に配置され、前記接続端子を介して前記アンテナ回路と接続されたICモジュールと、を備え、
少なくとも前記貫通孔近傍における前記アンテナ回路の前記第1板状部材側に隣接して、UV発光性樹脂を含んだ発光層が設けられていることを特徴とするICカード。
【請求項18】
ICモジュールと接続してICカードを形成するICカード用基材において、
第1板状部材と、
前記第1板状部材に積層された第2板状部材と、
前記第1板状部材と前記第2板状部材との間に設けられた接続端子を有するアンテナ回路と、を備え、
少なくとも前記接続端子の前記第1板状部材側に隣接して、UV発光性樹脂を含んだ発光層が設けられていることを特徴とするICカード用基材。
【請求項19】
ICモジュールと接続してICカードを形成するICカード用基材において、
貫通孔を有する第1板状部材と、
前記第1板状部材に積層された第2板状部材と、
前記第1板状部材と前記第2板状部材との間に設けられた接続端子であって、少なくとも一部分が前記第1板状部材の前記貫通孔に対応して配置された接続端子を有するアンテナ回路と、を備え、
少なくとも前記貫通孔近傍における前記アンテナ回路の前記第1板状部材側に隣接して、UV発光性樹脂を含んだ発光層が設けられていることを特徴とするICカード用基材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−11981(P2007−11981A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195285(P2005−195285)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】