説明

ICカード・リード・ライタの接点クリーニングシステムおよび接点クリーニング方法

【課題】保守作業員によるクリーニング作業を必要とせず、クリーニングカードの交換時期を適切に把握することのできる接点クリーニングシステムおよび接点クリーニング方法を提供する。
【解決手段】ICチップ22を実装したクリーニングカード11をICカード・リード・ライタ1のクリーニングカード収納部8に内蔵しておき、定期的にクリーニングカード11をIC接点2の位置に移動させ、IC接点2を当接させてクリーニングを実行する。クリーニングの実行後にICチップ22にクリーニング回数の積算値を記憶させることにより、クリーニングカード11の交換時期を正確に把握できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカード・リード・ライタの接点クリーニングシステムおよび接点クリーニング方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
カード搬送路に取り込まれたICカードの法線方向に沿ってIC接点を接離移動させることによって当該IC接点をICカードに接触させてデータの読み書きを行なうようにしたICカード・リード・ライタが既に公知である。また、この種のカード・リード・ライタのIC接点をクリーニングするためのクリーニングカードとしては、既に、特許文献1に開示されるような接点清掃具が提案されている。
【0003】
この接点清掃具は、カード・リード・ライタのIC接点と対応する領域にクリーニング部材を設けたクリーニングカードをカード搬送路に挿入してIC接点にクリーニング部材を弾接させ、このクリーニングカードの把持部を掴んで前後に移動させることによってクリーニング部材をIC接点に摺接させてIC接点の汚れを除去するものであり、IC接点の実質的なクリーニング作業は全て保守作業員の手作業に委ねられていた。
【0004】
従って、保守作業員によって定期的にIC接点のクリーニング作業を行なう煩わしさがあり、また、使用されるクリーニングカードの交換時期も曖昧となるため、クリーニング部材が汚れたり劣化していると適切なクリーニング作業が行なえなくなるといった不都合があった。
【0005】
この種のクリーニング作業を自動化したものとしては、磁気カードの分野における磁気ヘッドクリーニング機能付カード式料金清算装置が特許文献2として公知である。
【0006】
このカード式料金清算装置は、取引に利用される磁気カードの先端を磁気ヘッドに当て擦りすることによって磁気ヘッドのクリーニングを行うもので、予め設定された取引回数毎あるいは時間間隔毎、もしくは、データの読み込みや書き込みの失敗が確認された際に、その時点で挿入されている磁気カードを往復移動させて磁気カードの先端で磁気ヘッドをクリーニングするように構成されているが、利用者が所有する磁気カードを利用してクリーニング作業を行うため、クリーニングに使用される磁気カードの先端が清浄であるといった保証はなく、また、磁気カードの先端が劣化している場合であっても、その磁気カードをクリーニングに適したものに交換することは容易でない。従って、予め設定された取引回数毎あるいは時間間隔毎にクリーニング作業を行うとしても、クリーニングの際に汚れた磁気カードが挿入されていれば十分なクリーニング効果は得られず、また、データの読み込みや書き込みに際して失敗が発生するような磁気カードは一般に古く、磁気カードの表面も汚れていると考えられるので、データの読み込みや書き込みの失敗が確認された磁気カードを利用してクリーニング作業を行っても十分なクリーニング効果は期待できない。
【0007】
なお、取引に利用されるICカードの側の接点をクリーニングする技術としては、特許文献3に開示される電気接点の接触方法や特許文献4のICカードクリーニング機構が周知である。
【0008】
【特許文献1】特開平6−176207号公報
【特許文献2】特開平1−312686号公報
【特許文献3】特開昭57−20870号公報
【特許文献4】特開平3−40080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の課題は前記従来技術の不都合を改善し、保守作業員による煩雑なクリーニング作業を必要とせず、しかも、使用されるクリーニングカードの交換時期を適切に把握することのできるICカード・リード・ライタの接点クリーニングシステムおよび接点クリーニング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のICカード・リード・ライタの接点クリーニングシステムは、ICカードに接触してデータの読み書きを行なうIC接点と,カード搬送路に取り込まれたICカードの法線方向に沿って前記IC接点を接離移動させるIC接点駆動手段と,前記カード搬送路に沿ってICカードに送りを掛けるICカード移送手段と,前記IC接点駆動手段およびICカード移送手段の駆動制御とデータの読み書き制御を担う制御部とを備えたICカード・リード・ライタと、前記IC接点に接触して該IC接点の汚れを除去する清掃面を備えたクリーニングカードとからなるICカード・リード・ライタの接点クリーニングシステムであり、前記課題を達成するため、特に、
前記クリーニングカードには、前記清掃面からICカードの送り方向にオフセットして前記IC接点に適合したICチップを実装する一方、
前記ICカード・リード・ライタには、前記カード搬送路に連絡するクリーニングカード収納部と,該クリーニングカード収納部と前記カード搬送路との間で前記クリーニングカードを移動させるクリーニングカード移送手段とを配備し、
前記制御部には、前記IC接点のクリーニングタイミングを検知するクリーニングタイミング自動検知手段と,前記クリーニングタイミング検知手段からの指令を受けて前記クリーニングカード移送手段を駆動制御し、前記クリーニングカードを前記クリーニングカード収納部からカード搬送路に送出して該クリーニングカードの清掃面を前記IC接点の対応位置に位置決めした状態で前記IC接点駆動手段を駆動制御して前記IC接点を前記清掃面に複数回接触させるクリーニング動作実行手段と,前記クリーニング動作実行手段の作動終了後に前記クリーニングカード移送手段を駆動制御して前記クリーニングカードのICチップが前記IC接点の対応位置に位置決めされるように前記クリーニングカードに送りを掛けてから前記IC接点駆動手段を駆動制御して前記IC接点をクリーニングカードのICチップに接触させて該ICチップからクリーニング実行回数の積算値を読み込み、該積算値を1インクリメントした値を新たな積算値として該ICチップに書き込む積算値更新処理実行手段と,該積算値更新処理実行手段により更新されたクリーニング実行回数の積算値が予め決められた許容設定値の範囲内にあるか否かを判定する判定手段と,前記判定手段による判定結果が偽となった場合に限って該ICカード・リード・ライタに接続した上位装置にクリーニングカードの交換要求信号を送出する交換要求信号出力手段と,前記積算値更新処理実行手段の作動終了後に前記IC接点駆動手段を駆動制御して前記IC接点をクリーニングカードのICチップから退避させ、前記クリーニングカード移送手段を駆動制御して前記クリーニングカードを前記クリーニングカード収納部に送り返すクリーニングカード収納処理実行手段とを設けたことを特徴とする構成を有する。
【0011】
以上の構成において、ICカード・リード・ライタの制御部に設けられたクリーニングタイミング自動検知手段がIC接点のクリーニングタイミングを検知すると、まず、制御部のクリーニング動作実行手段がクリーニングカード移送手段を駆動制御し、カード搬送路に連絡したクリーニングカード収納部に納められているクリーニングカードをクリーニングカード収納部からカード搬送路に送出し、クリーニングカードの清掃面をICカード・リード・ライタにおけるIC接点の対応位置に位置決めする。
次いで、クリーニング動作実行手段がIC接点駆動手段を駆動制御することでICカード・リード・ライタのIC接点をクリーニングカードの法線方向に接離移動させ、クリーニングカードの清掃面にIC接点を複数回接触させてIC接点のクリーニングを行う。
このようにしてクリーニング動作実行手段の作動が終了すると、制御部の積算値更新処理実行手段がクリーニングカード移送手段を駆動制御し、クリーニングカードのICチップがICカード・リード・ライタのIC接点の対応位置に位置決めされるようにクリーニングカードに送りを掛ける。
次いで、積算値更新処理実行手段がIC接点駆動手段を駆動制御し、ICカード・リード・ライタのIC接点をクリーニングカードのICチップに接触させて当該ICチップからクリーニング実行回数の積算値(但し、初期値は0)を読み込み、この積算値を1インクリメントした値を新たな積算値としてクリーニングカードのICチップに書き込む。
そして、制御部の判定手段が、更新後の積算値が予め決められた許容設定値の範囲内にあるか否かを判定し、積算値が許容設定値の範囲を超えている場合には、交換要求信号出力手段が作動して、ICカード・リード・ライタに接続した上位装置にクリーニングカードの交換要求信号を送出する(積算値が許容設定値の範囲内にあれば交換要求信号出力手段は作動しない)。
また、制御部に設けられたクリーニングカード収納処理実行手段は、積算値更新処理実行手段の作動終了後にIC接点駆動手段を駆動制御してIC接点をクリーニングカードのICチップから退避させ、更に、クリーニングカード移送手段を駆動制御して、クリーニングカードをクリーニングカード収納部に送り返す。
以上に述べた通り、クリーニングタイミング自動検知手段がIC接点のクリーニングタイミングを検知した時点で自動的にICカード・リード・ライタのクリーニングカード収納部からクリーニングカードを送出し、クリーニングカードの清掃面にICカード・リード・ライタのIC接点を当接させて該IC接点をクリーニングするようにしているので、保守作業員によるIC接点のクリーニング作業が不要となる。
しかも、1回のクーニング作業が行われる度にクリーニング実行回数の積算値がクリーニングカードのICチップに更新して書き込まれ、積算値の値すなわちクリーニングカードの繰り返し利用回数が予め決められた許容設定値の範囲を超えると、ICカード・リード・ライタに接続した上位装置にクリーニングカードの交換要求信号が自動的に送出されるので、クリーニングカードの交換時期を適切に把握することが可能となる。
また、クリーニングカードは、ICカード・リード・ライタのカード搬送路に連絡したクリーニングカード収納部に納められているので、利用者が所有するカードや取引に利用されるカードを流用してカード・リード・ライタの接点をクリーニングするものとは相違し、クリーニングカードの清掃面を清浄に保つことが容易であり、しかも、このクリーニングカードは利用者に貸与して取引に利用されるものではないので、必要に応じて簡単に交換することができる。この結果、IC接点のクリーニングに適したクリーニングカードを常に使用することが可能となり、安定したクリーニング効果が期待できる。
【0012】
更に、積算値更新処理実行手段の駆動制御によってIC接点がクリーニングカードのICチップに接触してからクリーニングカード収納処理実行手段の駆動制御によってIC接点がクリーニングカードのICチップから退避するまでの間に、当該IC接点を介してクリーニングカードのICチップとの間でテスト通信を行ない、このテスト通信で異常が検出された場合に限って上位装置に接点異常のアラーム信号を送出するアラーム信号出力手段を制御部に併設してもよい。
【0013】
IC接点のクリーニング作業を行った直後にテスト通信を行なうことにより、ICカード・リード・ライタ側のIC接点の異常の発生、つまり、汚れ等に起因するものではなく、クリーニングのみでは対処し得ない異常、例えば、接点の損傷や磨耗による異常の発生を的確に検知することができる。
【0014】
また、外部から入力されるクリーニングカード交換指令を受けてクリーニングカード移送手段とICカード移送手段を駆動制御し、クリーニングカードをカード搬送路から排出した後、カード搬送路への新たなクリーニングカードの挿入を検知してICカード移送手段とクリーニングカード移送手段を駆動制御し、クリーニングカードをクリーニングカード収納部に送り込むクリーニングカード交換処理実行手段を制御部に併設することが望ましい。
【0015】
クリーニングカード交換処理実行手段はクリーニングカードの交換作業を容易に行なうためのものであり、クリーニングカード交換指令を受け付ける入力部は、上位装置からの指令を受け付けるものであってもよいし、あるいは、ICカード・リード・ライタの側に実装されたスイッチ等であっても構わない。
【0016】
更に、ICカードの搬送過程とICカードに対するデータの読み書きの過程を除いた時間帯でのみクリーニング動作実行手段と積算値更新処理実行手段の作動を許容する動作制限手段を制御部に併設するようにする。
【0017】
取引に必要とされるICカードの搬送処理やICカードに対するデータの読み書きの処理を優先して行なうことで、ICカード・リード・ライタを利用した取引を円滑に行うことができる。
【0018】
また、クリーニングタイミング自動検知手段は、クリーニング動作実行手段の最終作動時刻からの経過時間と予め設定されたメンテナンス周期とを比較し、経過時間がメンテナンス周期に達した時点でクリーニングタイミングを検知するものでもよいし、あるいは、クリーニング動作実行手段の最終作動時刻からのICカードの取引回数と予め設定された許容取引回数とを比較し、取引回数が許容取引回数に達した時点でクリーニングタイミングを検知するものでもよいし、または、IC接点とICカードとの間の通信異常の発生に基いてクリーニングタイミングを検知するものでもよく、更には、これらの条件の何れかが成立することを以ってクリーニングタイミングを検知するものであっても構わない。
【0019】
前述した通り、IC接点のクリーニングに適したクリーニングカードを常に使用することが可能であるから、予め設定されたメンテナンス周期毎(時間間隔毎),予め設定された許容取引回数毎(取引回数毎),通信異常の発生時(データの読み込みや書き込みに際して失敗が発生した場合)の何れをクリーニングタイミングとした場合であっても、IC接点のクリーニング作業を適切に行うことができる。
【0020】
本発明のICカード・リード・ライタの接点クリーニング方法は、ICカードに接触してデータの読み書きを行なうIC接点にクリーニングカードの清掃面を当接させて該IC接点の汚れを除去するようにしたICカード・リード・ライタの接点クリーニング方法であり、前記と同様の課題を達成するため、特に、
前記IC接点に適合したICチップを前記清掃面からICカードの送り方向にオフセットして実装したクリーニングカードを前記カード搬送路に連絡するクリーニングカード収納部に予め収納しておき、
前記IC接点のクリーニングの要不要を該ICカード・リード・ライタの制御部によって判定させ、IC接点のクリーニングが必要な場合に限り、前記クリーニングカードを前記クリーニングカード収納部からカード搬送路に送出し、該クリーニングカードの清掃面を前記IC接点の対応位置に位置決めした状態で該クリーニングカードの法線方向に沿って前記IC接点を接離移動させて前記清掃面に前記IC接点を複数回接触させて該IC接点のクリーニングを行ない、
その後、前記クリーニングカードのICチップが前記IC接点の対応位置に位置決めされるように前記クリーニングカードに送りを掛けてから前記IC接点をクリーニングカードのICチップに接触させ、該ICチップからクリーニング実行回数の積算値を読み込んで該積算値を1インクリメントした値を新たな積算値として該ICチップに書き込み、
前記IC接点をクリーニングカードのICチップから退避させて前記クリーニングカードを前記クリーニングカード収納部に送り返すと共に、
前記更新されたクリーニング実行回数の積算値が予め決められた許容設定値の範囲内にあるか否かを前記制御部によって判定し、クリーニング実行回数の積算値が許容設定値の範囲を超えた場合に限って、該ICカード・リード・ライタに接続した上位装置にクリーニングカードの交換要求信号を送出するようにしたことを特徴とする構成を有する。
【0021】
ICカード・リード・ライタの制御部がIC接点のクリーニングの必要性を認識した時点で自動的にICカード・リード・ライタのクリーニングカード収納部からクリーニングカードを送出し、クリーニングカードの清掃面にICカード・リード・ライタのIC接点を当接させて該IC接点をクリーニングするようにしているので、保守作業員によるIC接点のクリーニング作業が不要となる。
しかも、1回のクーニング作業が行われる度にクリーニング実行回数の積算値がクリーニングカードのICチップに更新して書き込まれ、積算値の値すなわちクリーニングカードの繰り返し利用回数が予め決められた許容設定値の範囲を超えると、ICカード・リード・ライタに接続した上位装置にクリーニングカードの交換要求信号が自動的に送出されるので、クリーニングカードの交換時期を適切に把握することが可能となる。
また、クリーニングカードは、ICカード・リード・ライタのカード搬送路に連絡したクリーニングカード収納部に納められているので、利用者が所有するカードや取引に利用されるカードを流用してカード・リード・ライタの接点をクリーニングするものとは相違し、クリーニングカードの清掃面を清浄に保つことが容易であり、このクリーニングカードは取引に利用されるものではないので、必要に応じて簡単に交換することができる。この結果、IC接点のクリーニングに適したクリーニングカードを常に使用することが可能となり、安定したクリーニング効果が期待できる。
【0022】
更に、IC接点をクリーニングカードのICチップに接触させてから退避させるまでの間に、IC接点を介してクリーニングカードのICチップと制御部の間でテスト通信を行ない、このテスト通信で異常が検出された場合に限って上位装置に接点異常のアラーム信号を送出するようにしてもよい。
【0023】
IC接点のクリーニング作業を行った直後にテスト通信を行なうことにより、ICカード・リード・ライタ側のIC接点の異常の発生、つまり、汚れ等に起因するものではなく、クリーニングのみでは対処し得ない異常、例えば、接点の損傷や磨耗による異常の発生を的確に検知することができる。
【0024】
また、外部からのクリーニングカード交換指令によりクリーニングカードをカード搬送路から排出すると共に、カード搬送路への新たなクリーニングカードの挿入を検知してクリーニングカードをクリーニングカード収納部に送り込むようにすることが望ましい。
【0025】
クリーニングカード交換指令は上位装置からICカード・リード・ライタの制御部に入力してもよいし、あるいは、ICカード・リード・ライタの側にスイッチ等を実装してクリーニングカード交換指令を入力するようにしても構わない。
【0026】
更に、ICカードの搬送過程とICカードに対するデータの読み書きの過程を除いた時間帯でのみIC接点のクリーニングと積算値の読み込み及び書き込みを許容するようにする。
【0027】
取引に必要とされるICカードの搬送処理やICカードに対するデータの読み書きの処理を優先して行なうことで、ICカード・リード・ライタを利用した取引を円滑に行うことができる。
【0028】
また、制御部は、IC接点のクリーニングが最後に行なわれてからの経過時間と予め設定されたメンテナンス周期とを比較し、経過時間が前記メンテナンス周期に達した時点でIC接点のクリーニングの必要性を認識するようにしてもよいし、あるいは、IC接点のクリーニングが最後に行なわれてからのICカードの取引回数と予め設定された許容取引回数とを比較し、取引回数が許容取引回数に達した時点でIC接点のクリーニングの必要性を認識するようにしてもよいし、または、IC接点とICカードとの間に通信異常が発生した時点でIC接点のクリーニングの必要性を認識するようにしてもよく、更には、これらの条件の何れかが成立することを以ってクリーニングの必要性を認識するようにしても構わない。
【0029】
IC接点のクリーニングに適したクリーニングカードを常に使用することが可能であるから、予め設定されたメンテナンス周期毎(時間間隔毎),予め設定された許容取引回数毎(取引回数毎),通信異常の発生時(データの読み込みや書き込みに際して失敗が発生した場合)の何れに基いてクリーニングの必要性を認識する場合であっても、IC接点のクリーニング作業を適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明のICカード・リード・ライタの接点クリーニングシステムおよび接点クリーニング方法によれば、ICカード・リード・ライタの制御部がIC接点のクリーニングの必要性を認識した時点で自動的にICカード・リード・ライタのクリーニングカード収納部からクリーニングカードを送出し、クリーニングカードの清掃面にICカード・リード・ライタのIC接点を当接させて該IC接点をクリーニングするようにしているので、保守作業員によるIC接点のクリーニング作業が不要となる。
しかも、1回のクーニング作業が行われる度にクリーニング実行回数の積算値がクリーニングカードのICチップに更新して書き込まれ、積算値の値すなわちクリーニングカードの繰り返し利用回数が予め決められた許容設定値の範囲を超えると、ICカード・リード・ライタに接続した上位装置にクリーニングカードの交換要求信号が自動的に送出されるので、クリーニングカードの交換時期を適切に把握することが可能となる。
また、クリーニングカードは、ICカード・リード・ライタのカード搬送路に連絡したクリーニングカード収納部に納められているので、利用者が所有するカードや取引に利用されるカードを流用してカード・リード・ライタの接点をクリーニングするものとは相違し、クリーニングカードの清掃面を清浄に保つことが容易であり、このクリーニングカードは利用者に貸与して取引に利用されるものではないので、必要に応じて簡単に交換することができる。この結果、IC接点のクリーニングに適したクリーニングカードを常に使用することが可能となり、安定したクリーニング効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について具体例を挙げて説明する。
【0032】
図1は本発明の接点クリーニングシステムおよび接点クリーニング方法を適用した一実施形態のICカード・リード・ライタの構成を簡略化して示した機能ブロック図、図2は同実施形態のICカード・リード・ライタの制御部のハードウェア構成の概略を示したブロック図、また、図3は同実施形態の接点クリーニングシステムの一部を構成するクリーニングカードの構成について示した平面図である。
【0033】
この実施形態のICカード・リード・ライタ1は、図1に示されるように、使用対象となるICカード(図示せず)に接触してデータの読み書きを行なうIC接点2と、カード挿入口3を介してICカード・リード・ライタ1のカード搬送路4に取り込まれたICカードの法線方向に沿ってIC接点2を接離移動させるアクチュエータSOL1からなるIC接点駆動手段と、カード搬送路4に沿ってICカードに送りを掛ける搬送ローラ5,5およびピンチローラ6,6と搬送ローラ5,5の駆動源であるモータM1によって構成されるICカード移送手段と、IC接点駆動手段として機能するアクチュエータSOL1およびICカード移送手段の駆動源であるモータM1の駆動制御とデータの読み書き制御を担う制御部7(図2参照)とを備える。
【0034】
IC接点2,カード挿入口3,カード搬送路4,IC接点駆動手段およびICカード移送手段等の構成に関しては既に公知であるので詳細な説明は省略する。
【0035】
この実施形態では前述の公知要素に加え、更に、図1に示されるようにクリーニングカード11を収納するクリーニングカード収納部8がカード搬送路4に連絡してICカード・リード・ライタ1の内部に設けられ、クリーニングカード収納部8とカード搬送路4との間でクリーニングカード11を移動させる搬送ローラ9,9およびピンチローラ10,10と搬送ローラ9,9の駆動源であるモータM2によって構成されるクリーニングカード移送手段がICカード・リード・ライタ1に併設されている。図1中の符号11’でクリーニングカード11の収納位置を示す。この実施形態においては、搬送ローラ9,9およびピンチローラ10,10とモータM2からなるクリーニングカード移送手段のみでクリーニングカード11に十分な送りを掛けることは困難であるので、クリーニングカード11の搬送に際しては、カード搬送路4に沿ってICカードに送りを掛ける搬送ローラ5,5およびピンチローラ6,6とモータM1によって構成されるICカード移送手段も、実質的なクリーニングカード移送手段として機能させるようにしている。従って、広い意味では、搬送ローラ5,5およびピンチローラ6,6とモータM1もクリーニングカード移送手段の構成要素である。
【0036】
制御部7は、図2に示されるように、マイクロプロセッサ12と、マイクロプロセッサ12の制御プログラムを格納したROM13と、各種データの一時記憶あるいは長期的な記憶に利用されるRAM14および不揮発性メモリ15と、ワークステーション等によって構成される上位装置20に接続してデータや信号の入出力を行なうための入出力インターフェイス16によって構成される。
【0037】
IC接点駆動手段として機能するアクチュエータSOL1は、アクチュエータ駆動回路19と入出力回路17を介して制御部7のマイクロプロセッサ12によって駆動制御され、ICカード移送手段の駆動源であるモータM1とクリーニングカード移送手段の駆動源であるモータM2の各々は、モータ駆動回路18と入出力回路17を介して制御部7のマイクロプロセッサ12によって駆動制御される。
【0038】
また、使用対象となるICカードへのデータの読み書き制御も、IC接点2および入出力回路17を介してマイクロプロセッサ12によって行われる。ICカードに対するデータの読み書きに関しては既に公知である。
【0039】
計時手段23は年月日および時刻を計時するためのもので、独立した時計装置で構成してもよいし、あるいは、マイクロプロセッサ12のマシンクロックを分周してカウントアップされるカウンタ等で構成してもよい。
【0040】
また、不揮発性メモリ15の記憶領域の一部は、ICカードからのデータの読み込みや書き込みの回数を記憶するための取引回数記憶レジスタC1,ICカードとの間でのデータの読み込みや書き込みにエラーが発生したことを記憶する通信エラー記憶フラグF,最終クリーニングの実行日時を記憶するクリーニング実行時刻記憶レジスタTc,IC接点2のメンテナンス周期の設定値を記憶するメンテナンス周期記憶レジスタTs、および、IC接点2のクリーニングが必要となるICカードの利用回数を記憶する許容取引回数記憶レジスタCuとして機能する。
【0041】
接点クリーニングシステムの一部を構成するクリーニングカード11は、図3に示されるように、この実施形態におけるICカード・リード・ライタ1が取り扱うICカードと同等の寸法を有し、その上面側には、ICカード・リード・ライタ1のIC接点2に接触して埃や汚れを除去するための清掃面21が設けられ、更に、清掃面21からICカードの送り方向(図3中で上下方向/図1中で左右方向)にオフセットして、IC接点2に適合したICチップ22が実装されている。ICチップ22は、取引用のICカードに実装されるICチップと同等の構造を有するもので、データの読み書き及びデータの更新や上書きが可能となっている。また、清掃面21はクリーニングカード11の本体と一体でもよいし、あるいは、貼着,コーティング,塗布等の手段でクリーニングカード11上に形成しても構わないが、その素材としては、IC接点2を押し付けることによってIC接点2の汚れや異物を除去できるものを選択的に用いる。
【0042】
図4〜図7は、ROM13に格納された制御プログラムに従って制御部7のマイクロプロセッサ12が実行する処理の概略について示したフローチャートである。
【0043】
次に、図4〜図7を参照して、クリーニングタイミング自動検知手段,クリーニング動作実行手段,積算値更新処理実行手段,判定手段,交換要求信号出力手段,クリーニングカード収納処理実行手段,アラーム信号出力手段,クリーニングカード交換処理実行手段,動作制限手段として機能するマイクロプロセッサ12の処理動作について具体的に説明する。
【0044】
ICカード・リード・ライタ1に電源が投入されると、まず、動作制限手段として機能するマイクロプロセッサ12は、ICカード・リード・ライタ1が運用中であるのかアイドル中であるのかを判定する(ステップS1)。ICカード・リード・ライタ1が運用中であるのかアイドル中であるのかは、例えば、マイクロプロセッサ12が計時手段23から現在時刻を読み出し、この現在時刻が、不揮発性メモリ15にパラメータとして設定された営業時間の範囲に含まれるか否かで判定され得る。
【0045】
ステップS1の判定結果が偽となった場合、つまり、ICカード・リード・ライタ1が運用中である場合には、マイクロプロセッサ12は、カード挿入口3に挿入されたICカードをカード搬送路4内に取り込んだり、処理済のICカードをカード挿入口3に送り返したりするためのモータM1の駆動制御(ステップS2,ステップS3)や、ICカードからのデータの読み込みや書き込み及び其の際に必要とされるアクチュエータSOL1の駆動制御(ステップS4,ステップS5)を、ROM13の制御プログラムに従って従来と同様にして実行する。
【0046】
但し、この実施形態では、ICカードからのデータの読み込みや書き込みを行った場合に不揮発性メモリ15の取引回数記憶レジスタC1の値を1インクリメントし(ステップS6)、また、ICカードとの間のデータの読み込みや書き込みでエラーが発生した場合に不揮発性メモリ15の通信エラー記憶フラグFをセットするようにしており(ステップS7,ステップS8)、この点が従来のものと異なる。
【0047】
一方、ステップS1の判定結果が真となり、現時点でICカードの搬送処理やICカードに対するデータの読み書きの処理が行なわれていないこと、つまり、ICカード・リード・ライタ1がアイドル中であることが明らかとなった場合には、クリーニングカード交換処理実行手段として機能するマイクロプロセッサ12が、上位装置20からのクリーニングカード交換指令の入力の有無を判定する(ステップS9)。
【0048】
そして、クリーニングカード交換指令の入力が検知されなければ、クリーニングカード11の交換に関わる処理は現時点では必要のないことを意味するので、更に、クリーニングタイミング自動検知手段として機能するマイクロプロセッサ12が、現在の年月日を含む時刻のデータTnを時計手段23から読み込み、最終クリーニングの実行日時Tcを不揮発性メモリ15のクリーニング実行時刻記憶レジスタから読み込み、ICカードに対して行われたデータの読み込みや書き込みの回数つまり取引の実行回数C1を不揮発性メモリ15の取引回数記憶レジスタから読み込み、IC接点2のクリーニングを行わずにICカードの利用を許容する許容取引回数の設定値Cuを不揮発性メモリ15の許容取引回数記憶レジスタから読み込み、IC接点2のメンテナンス周期Tsを不揮発性メモリ15のメンテナンス周期記憶レジスタから読み込んで、RAM14に一時記憶する(以上、ステップS13)。
【0049】
次いで、クリーニングタイミング自動検知手段として機能するマイクロプロセッサ12は、現在の年月日を含む時刻のデータTnから最終クリーニングの実行日時Tcを減じた値すなわち前回にクリーニング動作を実行した時刻から現在までの経過時間が、メンテナンス周期Tsに達しているか否かを判定し(ステップS14)、メンテナンス周期Tsに達していなければ、前回にクリーニング動作を実行してからのICカードに対する取引の実行回数C1が許容取引回数の設定値Cuに達しているか否かを判定する(ステップS15)。そして、取引の実行回数C1が許容取引回数の設定値Cuに達していなければ、クリーニングタイミング自動検知手段として機能するマイクロプロセッサ12は、更に、ICカードに対するデータの読み込みや書き込みで発生する通信エラーの発生を記憶する通信エラー記憶フラグFがセットされているか否かを判定する(ステップS16)。
【0050】
ここで、ステップS16の判定結果が偽となった場合、つまり、前回にクリーニング動作を実行した時刻から現在までの経過時間がメンテナンス周期Tsに達しておらず、前回にクリーニング動作を実行してからのICカードに対する取引の実行回数C1も許容取引回数の設定値Cuに達しておらず、かつ、ICカードに対するデータの読み込みや書き込みでの通信エラーの発生も記憶されていなければ、クリーニングタイミング自動検知手段として機能するマイクロプロセッサ12は、現時点では未だIC接点2のクリーニングを行う必要はないものと判定する。この場合、マイクロプロセッサ12は再びステップS1の判定処理へと移行して、前記と同様の処理を繰り返し実行する。
【0051】
一方、ステップS14〜ステップS16に至る何れかの判定処理の結果が真となり、前回にクリーニング動作を実行した時刻から現在までの経過時間がメンテナンス周期Tsに達したか、あるいは、前回にクリーニング動作を実行してからのICカードに対する取引の実行回数C1が許容取引回数の設定値Cuに達したか、もしくは、ICカードに対するデータの読み込みや書き込みでの通信エラーの発生が記憶されていることが明らかとなった場合には、クリーニングタイミング自動検知手段として機能するマイクロプロセッサ12は、IC接点2のクリーニングを直ちに行う必要があるものと判定し、クリーニングカード11を利用したIC接点2のクリーニング作業を開始する。つまり、この実施形態においては、ステップS14〜ステップS16における真の判定結果がクリーニング動作実行手段に対する実質的な動作開始指令として機能する。
【0052】
ステップS14〜ステップS16に至る何れかの判定処理の結果が真となってクリーニングタイミング自動検知手段からの動作開始指令が検知された場合、クリーニング動作実行手段として機能するマイクロプロセッサ12は、まず、クリーニングカード移送手段の駆動源であるモータM2を入出力回路17およびモータ駆動回路18を介して駆動制御することでクリーニングカード移送手段の搬送ローラ9,9を図1中で時計方向に回転させ、更に、ICカード移送手段の駆動源であるモータM1を入出力回路17およびモータ駆動回路18を介して駆動制御することでICカード移送手段の搬送ローラ5,5を図1中で時計方向に回転させて、クリーニングカード収納部8の収納位置11’に留め置かれているクリーニングカード11に送りを掛け、クリーニングカード11をクリーニングカード収納部8からカード搬送路4に送出し、クリーニングカード11の清掃面21をIC接点2の直下に位置決めする(ステップS17)。
【0053】
次いで、クリーニング動作実行手段として機能するマイクロプロセッサ12は、クリーニングカード11の清掃面21をIC接点2の直下に位置決めした状態を保持したまま、IC接点駆動手段として機能するアクチュエータSOL1を入出力回路17およびアクチュエータ駆動回路19を介して駆動制御し、IC接点2をクリーニングカード11の法線方向に複数回往復移動させ、清掃面21にIC接点2を繰り返し接触させてIC接点2の汚れを除去するクリーニング動作を実行した後(ステップS18)、IC接点2を清掃面21から法線方向に離間させて当初の退避位置に復帰させ、一連のクリーニング動作を終了する(ステップS19)。
【0054】
このようにしてクリーニング動作実行手段の作動が完了すると、次いで、積算値更新処理実行手段として機能するマイクロプロセッサ12が、クリーニングカード移送手段の駆動源であるモータM2とICカード移送手段の駆動源であるモータM1を入出力回路17およびモータ駆動回路18を介して駆動制御し、搬送ローラ9,9および搬送ローラ5,5を図1中で時計方向に回転させてクリーニングカード11に送りを掛け(ICチップ22が図1中で清掃面21よりも左側にオフセットして実装されている場合)、あるいは、搬送ローラ9,9および搬送ローラ5,5を図1中で反時計方向に回転させてクリーニングカード11に送りを掛け(ICチップ22が図1中で清掃面21よりも右側にオフセットして実装されている場合)、クリーニングカード11のICチップ22をIC接点2の直下に位置決めする(ステップS20)。
【0055】
次いで、積算値更新処理実行手段として機能するマイクロプロセッサ12は、IC接点駆動手段として機能するアクチュエータSOL1を入出力回路17およびアクチュエータ駆動回路19を介して駆動制御し、IC接点2をクリーニングカード11の法線方向に移動させてIC接点2をクリーニングカード11のICチップ22に接触させ、アラーム信号出力手段として機能するマイクロプロセッサ12が、IC接点2を介してICチップ22との間でのテスト通信を実行する(以上、ステップS21)。
【0056】
このステト通信は、マイクロプロセッサ12がICチップ22にテストデータを書き込んでから当該テストデータを改めてICチップ22から読み込み当初のテストデータとの一致不一致を判定するようにして行ってもよいし(リード/ライトのテスト)、あるいは、ICチップ22に書き込まれているテストデータを予め不揮発性メモリ15にも記憶させておき、ICチップ22からテストデータの読み込みを行なった結果と不揮発性メモリ15に記憶されているテストデータとの一致不一致を判定するようにして行ってもよい(リードのみのテスト)。
【0057】
次いで、アラーム信号出力手段として機能するマイクロプロセッサ12は、テスト通信で異常が検出されたか否かを判定する(ステップS22)。
【0058】
テスト通信が正常に行なわれてステップS22の判定結果が真となった場合には、IC接点2に異常はなく、ICチップ22とマイクロプロセッサ12との間でのデータ通信が可能であることを意味するので、積算値更新処理実行手段として機能するマイクロプロセッサ12が、ICチップ22からクリーニング実行回数の積算値C2(未使用時の初期値は0)を読み込み(ステップS23)、この積算値C2の値を1インクリメントして更新し(ステップS24)、この値を新たな積算値C2としてICチップ22に上書きして書き込む(ステップS25)。
【0059】
次いで、マイクロプロセッサ12は、不揮発性メモリ15のクリーニング実行時刻記憶レジスタTcに現在の年月日を含む時刻のデータTnを書き込んで最後のクリーニング動作が実行された年月日および時刻として改めて記憶させると共に(ステップS26)、最後のクリーニング実行後にICカードを用いて行われるデータの読み込みや書き込みの回数を記憶する取引回数記憶レジスタC1の値を0に初期化し(ステップS27)、更に、読み込みや書き込みのエラーの発生を記憶する通信エラー記憶フラグFの値をリセットする初期化処理を実行する(ステップS28)。
【0060】
次いで、判定手段として機能するマイクロプロセッサ12は、クリーニングカード11の連続使用回数として予め定められた許容設定値Ccの値を不揮発性メモリ15から読み出し、積算値更新処理実行手段により更新されたクリーニング実行回数の積算値C2が許容設定値Ccの範囲内にあるか否かを判定する(ステップS29)。
【0061】
クリーニング実行回数の積算値C2が許容設定値Ccの範囲内にあれば、このクリーニングカード11は交換時期に達しておらず、この時点でクリーニングカード11を交換する必要はないので、クリーニングカード収納処理実行手段として機能するマイクロプロセッサ12が、IC接点駆動手段として機能するアクチュエータSOL1を入出力回路17およびアクチュエータ駆動回路19を介して駆動制御し、IC接点2をクリーニングカード11の法線方向に移動させてIC接点2をクリーニングカード11のICチップ22から初期位置に退避させ(ステップS32)、更に、クリーニングカード移送手段の駆動源であるモータM2とICカード移送手段の駆動源であるモータM1を入出力回路17およびモータ駆動回路18を介して駆動制御し、搬送ローラ9,9および搬送ローラ5,5を図1中で反時計方向に回転させてクリーニングカード11に送りを掛け、クリーニングカード11をクリーニングカード収納部8の収納位置11’に向けて送り返す(ステップS33)。
【0062】
これに対し、ステップS22の判定結果が偽となった場合、つまり、IC接点2とICチップ22との間のテスト通信で異常が検知された場合には、IC接点2の接触状態等に異常があり、IC接点2とICチップ22との間でのデータ通信が適切に行い難い状況にあることを意味するので、アラーム信号出力手段として機能するマイクロプロセッサ12が作動し、ICカード・リード・ライタ1に接続した上位装置20に入出力インターフェイス16を介して接点異常のアラーム信号を送出する(ステップS31)。この場合、ICチップ22からのクリーニング実行回数の読み込みやクリーニング実行回数の更新等に関わるステップS23〜ステップS29の処理は非実行とされ、IC接点2をクリーニングカード11のICチップ22から退避させてクリーニングカード11をクリーニングカード収納部8の収納位置11’に送り返すために必要とされるステップS32,ステップS33の処理のみが前記と同様にして実行されることになる。接点異常のアラーム信号を受信した上位装置20の側では、IC接点2に異常があることを示すメッセージをディスプレイ上に表示して保守作業員等に知らせ、復旧作業の実施を促す。
IC接点2のクリーニング作業を行った直後にテスト通信を行なうようにしているので、保守作業員は、この異常がIC接点2の汚れ等に起因した単純な通信不良ではなく、ICカード・リード・ライタ1側のIC接点2の異常、つまり、IC接点2の損傷や磨耗による異常の発生であることを的確に把握することができる。
【0063】
この実施形態では、クリーニングカード交換処理実行手段や積算値更新処理実行手段として機能するマイクロプロセッサ12の処理、および、アラーム信号出力手段として機能するマイクロプロセッサ12の処理(ステップS17〜ステップS26,ステップS31)の実行が許容されるのは、ICカードの搬送過程やICカードに対するデータの読み書きの過程を除いた時間帯、つまり、ステップS1の判定結果が真となってICカード・リード・ライタ1がアイドル中であることが明らかとなった場合だけであるから、取引に必要とされるICカードの搬送処理やICカードに対するデータの読み書きの処理を優先して行うことが可能であり、ICカードを利用した取引を円滑に行うことができる。
【0064】
また、前述したステップS29の判定結果が偽となった場合、つまり、クリーニング実行回数の積算値C2が許容設定値Ccの範囲を超えていた場合には、このクリーニングカード11が交換時期に達していることを意味するので、更に、交換要求信号出力手段として機能するマイクロプロセッサ12が作動し、ICカード・リード・ライタ1に接続した上位装置20に入出力インターフェイス16を介してクリーニングカードの交換要求信号を送出してから(ステップS30)、前記と同様にして、ステップS32,ステップS33の処理を実行して、IC接点2をクリーニングカード11のICチップ22から退避させてクリーニングカード11をクリーニングカード収納部8の収納位置11’に送り返す。クリーニングカードの交換要求信号を受信した上位装置20の側ではクリーニングカード11の交換が必要となったことを示すメッセージをディスプレイ上に表示して保守作業員等に知らせ、これを確認した保守作業員等が上位装置20のキーボード等を操作してクリーニングカードの交換を指示すると、上位装置20の内部処理によってクリーニングカード交換指令が生成され、このクリーニングカード交換指令が入出力インターフェイス16を介してICカード・リード・ライタ1の制御部7に入力される。
【0065】
そして、クリーニングカード交換指令の入力は、クリーニングカード交換処理実行手段として機能するマイクロプロセッサ12によってステップS9の判定処理で検出される。
【0066】
クリーニングカード交換指令の入力を検知したマイクロプロセッサ12は、クリーニングカード移送手段の駆動源であるモータM2を入出力回路17およびモータ駆動回路18を介して駆動制御することでクリーニングカード移送手段の搬送ローラ9,9を図1中で時計方向に回転させ、更に、ICカード移送手段の駆動源であるモータM1を入出力回路17およびモータ駆動回路18を介して駆動制御することでICカード移送手段の搬送ローラ5,5を図1中で時計方向に回転させて、クリーニングカード収納部8の収納位置11’に留め置かれているクリーニングカード11に送りを掛けてクリーニングカード11をカード挿入口3に排出し(ステップS10)、クリーニング実行回数の積算値が0である新たなクリーニングカード11の挿入を待つ待機状態に入る。
【0067】
そして、新たなクリーニングカード11を準備した保守作業員等が新たなクリーニングカード11をカード挿入口3に挿入すると、カード挿入口3の近傍に設置された図示しないカード挿入センサによってクリーニングカード11の挿入が検知され(ステップS11)、クリーニングカード交換処理実行手段として機能するマイクロプロセッサ12が、クリーニングカード移送手段の駆動源であるモータM2とICカード移送手段の駆動源であるモータM1を入出力回路17およびモータ駆動回路18を介して駆動制御し、搬送ローラ9,9および搬送ローラ5,5を図1中で反時計方向に回転させて新たに挿入されたクリーニングカード11に送りを掛け、クリーニングカード11をクリーニングカード収納部8に取り込んで収納位置11’に保持する(ステップS12)。
【0068】
上位装置20からのクリーニングカード交換指令を受けてクリーニングカード交換処理実行手段を作動させる代わりに、ICカード・リード・ライタ1の側に実装されたスイッチ等を利用してマイクロプロセッサ12にクリーニングカード交換指令を入力するようにしてもよい。
クリーニングカード交換指令の読み込みが許容されるのは、ICカードの搬送過程やICカードに対するデータの読み書きの過程を除いた時間帯、つまり、ステップS1の判定結果が真となってICカード・リード・ライタ1がアイドル中であることが明らかとなった場合だけであるから、ICカード・リード・ライタ1の側に実装されたスイッチ等が営業時間中に顧客等の手で誤操作された場合であっても、取引に必要とされるICカードの搬送処理やICカードに対するデータの読み書きの処理に割り込んで不用意にクリーニングカード11の交換に関わる処理が開始される心配はない。
【0069】
また、ICカード移送手段を構成する搬送ローラ5,5を駆動するモータM1とクリーニングカード移送手段を構成する搬送ローラ9,9を駆動するモータM2を必ずしも独立的に設ける必要はなく、何れか一方のモータ例えばモータM1とクラッチ機構との組み合わせで同等の機能を達成することが可能である。
前述した通り、クリーニングカード11の搬送に関わる処理とICカードの搬送に関わる処理はトレードオフの関係で実行されるので、搬送ローラ5,5とモータM1とを常時接続とし、搬送ローラ9,9とモータM1をクラッチ経由で接続するようにすれば、ICカードの取り扱いに関わる通常の処理でクラッチを非接続状態としてクリーニングカード11をクリーニングカード収納部8に留め置いたままICカードのみに送りを掛け、また、クリーニングの実施と其の後のクリーニングカード11の回収、および、使用済みのクリーニングカード11の排出と新たなクリーニングカード11の挿入に関わる処理に際してのみクラッチを接続状態として搬送ローラ5,5と搬送ローラ9,9を同方向に同期回転させクリーニングカード11に送りを掛けるようにすれば、前記と全く同様の処理動作が可能である。
【0070】
また、図1に例示した実施形態ではIC接点2とクリーニングカード11の収納位置11’とが大きく離間しているので、搬送ローラ9,9およびピンチローラ10,10とモータM2からなるクリーニングカード移送手段のみでクリーニングカード11に送りを掛けるだけではクリーニングカード11の清掃面21やICチップ22をIC接点2の下に位置決めしたり、使用済みのクリーニングカード11をカード挿入口3に排出したり、カード挿入口3から新たに挿入される未使用のクリーニングカード11を収納位置11’に取り込むのに十分な送り量を得ることはできないが、これは飽くまでハードウェアの設計上の問題であり、クリーニングカード収納部8をIC接点2の近傍に設置した場合、あるいは、クリーニングカード11の左端部(図1中で左側の端部)に冗長的な長さを持たせた場合では、搬送ローラ5,5およびピンチローラ6,6とモータM1によって構成されるICカード移送手段をクリーニングカード移送手段として利用するまでもなく、搬送ローラ9,9およびピンチローラ10,10とモータM2からなるクリーニングカード移送手段のみでクリーニングカード11の位置決めや回収および排出と新たなクリーニングカード11の取り込みに関わる処理を実行することが可能である。
【0071】
以上に述べた通り、本実施形態においては、クリーニングタイミング自動検知手段として機能するCPU12(制御部7)がIC接点2のクリーニングタイミングを検知した時点、つまり、ステップS14〜ステップS16に至る何れかの判定結果が真となって、前回にクリーニング動作を実行した時刻から現在までの経過時間がメンテナンス周期Tsに達したことが確認されるか、あるいは、前回にクリーニング動作を実行してからのICカードに対する取引の実行回数C1が許容取引回数の設定値Cuに達したことが確認されるか、もしくは、ICカードに対するデータの読み込みや書き込みで発生する通信エラーの発生が通信エラー記憶フラグFに記憶されていることが確認されるかした場合に、自動的にICカード・リード・ライタ1のクリーニングカード収納部8からクリーニングカード11が送出され、クリーニングカード11の清掃面21にIC接点2を当接させてIC接点2のクリーニング作業が行われるようになっているので、保守作業員によるIC接点2のクリーニング作業は不要である。
【0072】
しかも、1回のクーニング作業が行われる度にクリーニング実行回数の積算値C2がクリーニングカード11のICチップ22に更新して書き込まれ、積算値C2の値すなわちクリーニングカードの繰り返し利用回数が予め決められた許容設定値Ccの範囲を超えると、ICカード・リード・ライタ1に接続した上位装置20にクリーニングカード11の交換要求信号が自動的に送出され、クリーニングカード11の交換を要求するメッセージが上位装置20側のディスプレイに表示されるので、保守作業員は、クリーニングカード11の交換時期を適切に把握することができる。
【0073】
また、クリーニングカード11は、ICカード・リード・ライタ1のカード搬送路4に連絡したクリーニングカード収納部8に納められているので、利用者が所有するカードや取引に利用されるカードを流用してカード・リード・ライタ1の接点をクリーニングする従来のものとは相違し、クリーニングカード11の清掃面21を清浄に保つことが容易であり、しかも、このクリーニングカード11は利用者に貸与して取引に利用されるものではないので、必要に応じて簡単に交換することができる。この結果、IC接点2のクリーニングに適したクリーニングカード11を常に使用することが可能となり、安定したクリーニング効果が期待できる。
【0074】
しかも、クリーニングタイミング自動検知手段として機能するCPU12(制御部7)がIC接点2のクリーニングタイミングを検知することが許容されるのはステップS1の判定結果が真となってICカード・リード・ライタ1がアイドル中であることが明らかとなった場合だけに制限されており、この結果、クリーニングカード11の送りやクリーニングに関わる処理動作、つまり、クリーニングカード交換処理実行手段や積算値更新処理実行手段の作動が許容されるのもアイドル状況下のみとなり、取引に必要とされるICカードの搬送処理やICカードに対するデータの読み書きの処理を優先して行うことができるので、ICカードを利用した取引の効率が低下するといった弊害は発生しない。
【0075】
更に、IC接点2の異常を検知するためのテスト通信はIC接点2のクリーニング作業を行った直後に行なうようにしているので(ステップS17〜ステップS21参照)、保守作業員は、この異常がIC接点2の汚れ等に起因した単純な通信不良ではなく、ICカード・リード・ライタ1側のIC接点2の異常、つまり、通常のクリーニングでは解消し得ないIC接点2の損傷や磨耗による異常の発生であることを的確に把握することができる。
【0076】
更に、クリーニング実行回数の積算値C2はクリーニングカード11側のICチップ22に書き込まれるようになっているので、管理体制の不備等で新旧のクリーニングカード11が混じり合ってしまったような場合であっても各クリーニングカード11毎のクリーニング実行回数をクリーニングカード11毎に的確に識別することができ、仮に、使用済みのクリーニングカード11を誤ってICカード・リード・ライタ1に投入してしまったような場合であっても、このクリーニングカード11が改めて再使用された時点、つまり、ステップS29の判定処理が実施された時点で、このクリーニングカード11が使用に適したものでないことを直ちに検知して、クリーニングカードの交換要求信号を上位装置20に送出することができる。このため、クリーニングカード11の管理の不備等によるクリーニング異常の発生を未然に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
ICカード・リード・ライタのIC接点のクリーニングの他、ICカード・リード・ライタの構成部品である搬送ローラのクリーニング、更には、ICカード・リード・ライタと類似する構造を有する磁気読み取りヘッド,イメージ読み取りセンサ等のように定期的に清掃が必要な部品、または、異常発生時に清掃が必要な部品に対しても本発明の主要部を転用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の接点クリーニングシステムおよび接点クリーニング方法を適用した一実施形態のICカード・リード・ライタの構成を簡略化して示した機能ブロック図である。
【図2】同実施形態のICカード・リード・ライタの制御部のハードウェア構成の概略を示したブロック図である。
【図3】同実施形態の接点クリーニングシステムの一部を構成するクリーニングカードの構成について示した平面図である。
【図4】制御部のマイクロプロセッサが実行する処理の概略について示したフローチャートである。
【図5】制御部のマイクロプロセッサが実行する処理の概略について示したフローチャートの続きである。
【図6】制御部のマイクロプロセッサが実行する処理の概略について示したフローチャートの続きである。
【図7】制御部のマイクロプロセッサが実行する処理の概略について示したフローチャートの続きである。
【符号の説明】
【0079】
1 ICカード・リード・ライタ
2 IC接点
3 カード挿入口
4 カード搬送路
5 搬送ローラ(ICカード移送手段の一部)
6 ピンチローラ(ICカード移送手段の一部)
7 制御部
8 クリーニングカード収納部
9 搬送ローラ(クリーニングカード移送手段の一部)
10 ピンチローラ(クリーニングカード移送手段の一部)
11 クリーニングカード
11’ クリーニングカードの収納位置
12 マイクロプロセッサ(クリーニングタイミング自動検知手段,クリーニング動作実行手段,積算値更新処理実行手段,判定手段,交換要求信号出力手段,クリーニングカード収納処理実行手段,アラーム信号出力手段,クリーニングカード交換処理実行手段,動作制限手段)
13 ROM
14 RAM
15 不揮発性メモリ
16 入出力インターフェイス
17 入出力回路
18 モータ駆動回路
19 アクチュエータ駆動回路
20 上位装置
21 清掃面
22 ICチップ
23 計時手段
SOL1 アクチュエータ(IC接点駆動手段)
M1 モータ(ICカード移送手段の一部)
M2 モータ(クリーニングカード移送手段の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードに接触してデータの読み書きを行なうIC接点と,カード搬送路に取り込まれたICカードの法線方向に沿って前記IC接点を接離移動させるIC接点駆動手段と,前記カード搬送路に沿ってICカードに送りを掛けるICカード移送手段と,前記IC接点駆動手段およびICカード移送手段の駆動制御とデータの読み書き制御を担う制御部とを備えたICカード・リード・ライタと、前記IC接点に接触して該IC接点の汚れを除去する清掃面を備えたクリーニングカードとからなるICカード・リード・ライタの接点クリーニングシステムであって、
前記クリーニングカードには、前記清掃面からICカードの送り方向にオフセットして前記IC接点に適合したICチップを実装する一方、
前記ICカード・リード・ライタには、前記カード搬送路に連絡するクリーニングカード収納部と,該クリーニングカード収納部と前記カード搬送路との間で前記クリーニングカードを移動させるクリーニングカード移送手段とを配備し、
前記制御部には、前記IC接点のクリーニングタイミングを検知するクリーニングタイミング自動検知手段と,前記クリーニングタイミング検知手段からの指令を受けて前記クリーニングカード移送手段を駆動制御し、前記クリーニングカードを前記クリーニングカード収納部からカード搬送路に送出して該クリーニングカードの清掃面を前記IC接点の対応位置に位置決めした状態で前記IC接点駆動手段を駆動制御して前記IC接点を前記清掃面に複数回接触させるクリーニング動作実行手段と,前記クリーニング動作実行手段の作動終了後に前記クリーニングカード移送手段を駆動制御して前記クリーニングカードのICチップが前記IC接点の対応位置に位置決めされるように前記クリーニングカードに送りを掛けてから前記IC接点駆動手段を駆動制御して前記IC接点をクリーニングカードのICチップに接触させて該ICチップからクリーニング実行回数の積算値を読み込み、該積算値を1インクリメントした値を新たな積算値として該ICチップに書き込む積算値更新処理実行手段と,該積算値更新処理実行手段により更新されたクリーニング実行回数の積算値が予め決められた許容設定値の範囲内にあるか否かを判定する判定手段と,前記判定手段による判定結果が偽となった場合に限って該ICカード・リード・ライタに接続した上位装置にクリーニングカードの交換要求信号を送出する交換要求信号出力手段と,前記積算値更新処理実行手段の作動終了後に前記IC接点駆動手段を駆動制御して前記IC接点をクリーニングカードのICチップから退避させ、前記クリーニングカード移送手段を駆動制御して前記クリーニングカードを前記クリーニングカード収納部に送り返すクリーニングカード収納処理実行手段とを設けたことを特徴とするICカード・リード・ライタの接点クリーニングシステム。
【請求項2】
前記積算値更新処理実行手段の駆動制御によって前記IC接点がクリーニングカードのICチップに接触してから前記クリーニングカード収納処理実行手段の駆動制御によって前記IC接点がクリーニングカードのICチップから退避するまでの間に、前記IC接点を介して前記クリーニングカードのICチップとの間でテスト通信を行ない、このテスト通信で異常が検出された場合に限って前記上位装置に接点異常のアラーム信号を送出するアラーム信号出力手段を前記制御部に併設したことを特徴とする請求項1記載のICカード・リード・ライタの接点クリーニングシステム。
【請求項3】
外部から入力されるクリーニングカード交換指令を受けて前記クリーニングカード移送手段とICカード移送手段を駆動制御し、前記クリーニングカードを前記カード搬送路から排出すると共に、前記カード搬送路への新たなクリーニングカードの挿入を検知して前記ICカード移送手段とクリーニングカード移送手段を駆動制御し、前記クリーニングカードを前記クリーニングカード収納部に送り込むクリーニングカード交換処理実行手段を前記制御部に併設したことを特徴とする請求項1または請求項2記載のICカード・リード・ライタの接点クリーニングシステム。
【請求項4】
ICカードの搬送過程とICカードに対するデータの読み書きの過程を除いた時間帯でのみ前記クリーニング動作実行手段と積算値更新処理実行手段の作動を許容する動作制限手段を前記制御部に併設したことを特徴とする請求項1,請求項2または請求項3記載のICカード・リード・ライタの接点クリーニングシステム。
【請求項5】
前記クリーニングタイミング自動検知手段は、前記クリーニング動作実行手段の最終作動時刻からの経過時間と予め設定されたメンテナンス周期とを比較し、前記経過時間が前記メンテナンス周期に達した時点でクリーニングタイミングを検知することを特徴とした請求項1,請求項2,請求項3または請求項4記載のICカード・リード・ライタの接点クリーニングシステム。
【請求項6】
前記クリーニングタイミング自動検知手段は、前記クリーニング動作実行手段の最終作動時刻からのICカードの取引回数と予め設定された許容取引回数とを比較し、前記取引回数が前記許容取引回数に達した時点でクリーニングタイミングを検知することを特徴とした請求項1,請求項2,請求項3または請求項4記載のICカード・リード・ライタの接点クリーニングシステム。
【請求項7】
前記クリーニングタイミング自動検知手段は、前記IC接点とICカードとの間の通信異常の発生に基いてクリーニングタイミングを検知することを特徴とした請求項1,請求項2,請求項3または請求項4記載のICカード・リード・ライタの接点クリーニングシステム。
【請求項8】
前記クリーニングタイミング自動検知手段は、前記クリーニング動作実行手段の最終作動時刻からの経過時間が予め設定されたメンテナンス周期に達した場合と、前記クリーニング動作実行手段の最終作動時刻からのICカードの取引回数が予め設定された許容取引回数に達した場合と、前記IC接点とICカードとの間に通信異常が発生した場合においてクリーニングタイミングを検知することを特徴とした請求項1,請求項2,請求項3または請求項4記載のICカード・リード・ライタの接点クリーニングシステム。
【請求項9】
ICカードに接触してデータの読み書きを行なうIC接点にクリーニングカードの清掃面を当接させて該IC接点の汚れを除去するようにしたICカード・リード・ライタの接点クリーニング方法であって、
前記IC接点に適合したICチップを前記清掃面からICカードの送り方向にオフセットして実装したクリーニングカードを前記カード搬送路に連絡するクリーニングカード収納部に予め収納しておき、
前記IC接点のクリーニングの要不要を該ICカード・リード・ライタの制御部によって判定させ、IC接点のクリーニングが必要な場合に限り、前記クリーニングカードを前記クリーニングカード収納部からカード搬送路に送出し、該クリーニングカードの清掃面を前記IC接点の対応位置に位置決めした状態で該クリーニングカードの法線方向に沿って前記IC接点を接離移動させて前記清掃面に前記IC接点を複数回接触させて該IC接点のクリーニングを行ない、
その後、前記クリーニングカードのICチップが前記IC接点の対応位置に位置決めされるように前記クリーニングカードに送りを掛けてから前記IC接点をクリーニングカードのICチップに接触させ、該ICチップからクリーニング実行回数の積算値を読み込んで該積算値を1インクリメントした値を新たな積算値として該ICチップに書き込み、
前記IC接点をクリーニングカードのICチップから退避させて前記クリーニングカードを前記クリーニングカード収納部に送り返すと共に、
前記更新されたクリーニング実行回数の積算値が予め決められた許容設定値の範囲内にあるか否かを前記制御部によって判定し、クリーニング実行回数の積算値が許容設定値の範囲を超えた場合に限って、該ICカード・リード・ライタに接続した上位装置にクリーニングカードの交換要求信号を送出するようにしたことを特徴とするICカード・リード・ライタの接点クリーニング方法。
【請求項10】
前記IC接点をクリーニングカードのICチップに接触させてから退避させるまでの間に、前記IC接点を介して前記クリーニングカードのICチップと前記制御部の間でテスト通信を行ない、このテスト通信で異常が検出された場合に限って前記上位装置に接点異常のアラーム信号を送出するようにしたことを特徴とする請求項9記載のICカード・リード・ライタの接点クリーニング方法。
【請求項11】
外部からのクリーニングカード交換指令により前記クリーニングカードを前記カード搬送路から排出すると共に、前記カード搬送路への新たなクリーニングカードの挿入を検知して前記クリーニングカードを前記クリーニングカード収納部に送り込むようにしたことを特徴とする請求項9または請求項10記載のICカード・リード・ライタの接点クリーニング方法。
【請求項12】
ICカードの搬送過程とICカードに対するデータの読み書きの過程を除いた時間帯でのみIC接点のクリーニングと積算値の読み込み及び書き込みを許容するようにしたことを特徴とする請求項9,請求項10または請求項11記載のICカード・リード・ライタの接点クリーニング方法。
【請求項13】
前記制御部は、前記IC接点のクリーニングが最後に行なわれてからの経過時間と予め設定されたメンテナンス周期とを比較し、前記経過時間が前記メンテナンス周期に達した時点で該IC接点のクリーニングの必要性を認識することを特徴とした請求項9,請求項10,請求項11または請求項12記載のICカード・リード・ライタの接点クリーニング方法。
【請求項14】
前記制御部は、前記IC接点のクリーニングが最後に行なわれてからのICカードの取引回数と予め設定された許容取引回数とを比較し、前記取引回数が前記許容取引回数に達した時点で該IC接点のクリーニングの必要性を認識することを特徴とした請求項9,請求項10,請求項11または請求項12記載のICカード・リード・ライタの接点クリーニング方法。
【請求項15】
前記制御部は、前記IC接点とICカードとの間に通信異常が発生した時点で該IC接点のクリーニングの必要性を認識することを特徴とした請求項9,請求項10,請求項11または請求項12記載のICカード・リード・ライタの接点クリーニング方法。
【請求項16】
前記制御部は、前記IC接点のクリーニングが最後に行なわれてからの経過時間が予め設定されたメンテナンス周期に達した場合と、前記IC接点のクリーニングが最後に行なわれてからのICカードの取引回数が予め設定された許容取引回数に達した場合と、前記IC接点とICカードとの間に通信異常が発生した場合において該IC接点のクリーニングの必要性を認識することを特徴とした請求項9,請求項10,請求項11または請求項12記載のICカード・リード・ライタの接点クリーニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−282266(P2008−282266A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127001(P2007−127001)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】