説明

ICカード用コネクタ

【課題】ICカードが小型化された場合であっても、所謂、二点接触式のコンタクト端子を容易にハウジング部に配置することができること。
【解決手段】二点接触式のコンタクト端子2の各接点部が、側壁部6RWの内側の端面から数えて3番目のコンタクト端子8aiの接点部と4番目のコンタクト端子8aiの接点部との間に配されるようにコンタクト端子2の固定部が、ベース部材6の底面部に配置されるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二点接触式コンタクト端子を備えるICカード用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、PDA、カメラ等の電子機器においては、中央処理装置(CPU)あるいはメモリ用のICが内蔵された、SD(secure digital)カードなどのICカードをその機器にICカード用コネクタを介して装着することにより、各機器における各種の機能拡張が行なわれている。
【0003】
そのようなICカード用コネクタは、例えば、特許文献1にも示されるように、ICカードのコンタクトパッドに電気的に接続されるコンタクト端子を複数個有し、選択的にICカードを収容するハウジング部材を備えている。
【0004】
また、コンタクト端子においては、特許文献1にも示されるように、電子機器の落下等により装備されたICカード用コネクタに衝撃力が作用した場合、ICカードのコンタクトパッドに対する瞬断を防止するために一つのコンタクトパッドに対し二つの接点部を当接させる方式、所謂、二点接触式のコンタクト端子が提案されている。そのような二点接触式のコンタクト端子は、二股に分岐された部分の先端に接点部をそれぞれ有する可動片部と、ICカード用コネクタが配される配線基板の電極部に半田付け固定される固定端子部と、可動片部の一端と固定端子部の一端とを連結する固定部とから構成されている。二点接触式のコンタクト端子は、例えば、その固定部がハウジング部材に形成される溝部に一方向から圧入され固定されることにより、ハウジング部材に固定されることとなる。
【0005】
さらに、ICカードのコンタクトパッドのピッチおよび配置位置が互いに異なる二種類のICカードが選択的に装着されるICカード用コネクタにおいては、コンタクト端子の固定端子部における半田付け作業を容易に行なうために、例えば、特許文献2にも示されるように、各ICカードのコンタクトパッドに電気的に接続されるコンタクト端子が、それぞれ、その接点部が互いに向き合うようにハウジング部材にその固定部が固定されるものが提案されている。
【0006】
【特許文献1】特許第3507434号公報
【特許文献2】特開2001−313128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、ICカードの小型化がさらに進むにつれて、上述のようなICカードのコンタクトパッドの大きさは、狭小となり、ピッチは、より微細となる傾向にある。これにより、ICカードの小型化の要望に対応したより小さいサイズのICカード用コネクタを作製する場合、上述の瞬断対策のために二点接触式のコンタクト端子がハウジング部に配置されるとき、そのコンタクト端子の固定部を互いに平行に配置されるようにその幅方向に一列状に並設することは、固定部の幅がその接点部の幅に比べて大なので困難となる。従って、各コンタクト端子の各固定部を同一方向からハウジング部の溝に圧入する固定方法では、ICカードの小型化の要望に反しICカード用コネクタが却って大型化する虞がある。
【0008】
以上の問題点を考慮し、本発明は、二点接触式コンタクト端子を備えるICカード用コネクタであって、ICカードが小型化された場合であっても、所謂、二点接触式のコンタクト端子を容易にハウジング部に配置することができるICカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明に係るICカード用コネクタは、複数の電極部を有するICカードが選択的に装着されるカード収容部を有するベース部材と、ベース部材に配され、装着されたICカードの一つの電極部に当接し電気的に接続される接点部およびベース部材に固定される固定部を有する第1のコンタクト端子と、第1のコンタクト端子に隣接してベース部材に配され、装着されたICカードの他の一つの共通の電極部に当接し電気的に接続される二股状に分岐した部分の先端に位置する複数の接点部を有する分岐部およびベース部材に固定される固定部を有する第2のコンタクト端子と、を備え、第2のコンタクト端子の複数の接点部が第1のコンタクト端子の接点部に隣接するように第2のコンタクト端子の固定部のベース部材に対する取り付け位置が、第1のコンタクト端子の固定部のベース部材に対する取り付け位置に対し向かい合う位置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るICカード用コネクタによれば、第2のコンタクト端子の複数の接点部が第1のコンタクト端子の接点部に隣接するように第2のコンタクト端子の固定部のベース部材に対する取り付け位置が、第1のコンタクト端子の固定部のベース部材に対する取り付け位置に対し向かい合う位置であるのでICカードが小型化された場合であっても、所謂、二点接触式のコンタクト端子を容易にハウジング部に配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図2は、本発明に係るICカード用コネクタの第1実施例の外観を示す。
図2において、ICカード用コネクタは、矢印Wが示す方向、即ち、その幅方向に沿って配列される複数のコンタクト端子8ai(i=1〜6)、コンタクト端子2およびコンタクト端子12を有し、ICカードMSDを着脱可能に収容するベース部材6と、ベース部材6全体を覆いICカードMSDのカード収容室24をベース部材6と協働して形成するカバー部材4と、装着されるICカードMSDを選択的にカード収容室24内に保持する状態(ロック状態)またはICカードMSDを排出する状態(アンロック状態)とするイジェクト機構部14(図1参照)と、を主な要素として含んで構成されている。
【0012】
ICカードMSDは、例えば、microSDカード(商標)(サンディスク社製)とされ、例えば、厚さ約1mm、縦横の寸法がそれぞれ約12mm、約15mmに設定されている。また、ICカードMSDは、後述されるコンタクト端子8aiの配列に対応して電極部としての複数のコンタクトパッドが一方の表面部に一列に所定の間隔で形成されている。また、その両側部のうちの一方には、切欠部が形成されている。切欠部が形成される一方の側面には、その側面に傾斜部により連なり他方の側面に対して平行に内側に向かう段差部が形成されている。従って、段差部に連なって形成される部分の幅は、その前端に向けて他の部分の幅に比して若干狭く形成されている。
【0013】
ベース部材6は、例えば、電気的絶縁性を有する樹脂材料により成形されており、所定の電子機器内部の配線基板PBの電極部に対応してその基板上配置されている。ベース部材6は、図1に示されるように、上述のコンタクト端子8ai、コンタクト端子2およびコンタクト端子12の各接点部に対応した位置に開口部6Hを有する底面部と、その底面部における両側部をそれぞれ形成する側壁部6RWおよび6LWと、側壁部6RWの一端と側壁部6LWの一端とを連結する端子固定壁部6BWとから構成されている。
【0014】
端子固定壁部6BWは、コンタクト端子8aiの固定部がそれぞれ圧入される溝6Gi(i=1〜6)を所定の間隔で複数個有している。
【0015】
薄板状のコンタクト端子8aiは、図1に示されるように、配線基板PBの電極部に半田付固定される半田付端子部と、ICカードMSDのコンタクトパッドに当接し電気的に接続される接点部を有する接続端子部と、弾性を有し半田付端子部と接続端子部とを連結する固定部とを含んで構成されている。
【0016】
各コンタクト端子8aiの固定部は、図1に示される矢印PF1の示す方向から上述の各溝6Giに圧入される。これにより、各コンタクト端子8aiは、側壁部6RWおよび6LWに対し略平行に所定の間隔で配列されることとなる。なお、側壁部6RW側から数えて3番目のコンタクト端子8aiと4番目のコンタクト端子8aiとの間の相互間距離と、4番目のコンタクト端子8aiと5番目のコンタクト端子8aiとの間の相互間距離とは、互いに等しく、かつ、他のコンタクト端子8ai相互間距離に比して大に設定されている。
【0017】
各コンタクト端子8aiの接続端子部の接点部は、それぞれ、上述のICカードMSDの複数のコンタクトパッドにおける対応する1つのコンタクトパッドに当接するものとされる。
【0018】
各コンタクト端子8aiの半田付端子部は、図4に示されるように、端子固定壁部6BWの端面から外部に向けて突出している。
【0019】
上述の3番目のコンタクト端子8aiと4番目のコンタクト端子8aiとの間には、電源ライン用のコンタクト端子2が配されている。
【0020】
コンタクト端子2は、配線基板PBの電極部に半田付固定される半田付端子部と、ICカードMSDのコンタクトパッドに当接し電気的に接続される接点部を二股状に分岐した部分の先端に有する接続端子部と、弾性を有し半田付端子部と接続端子部とを連結する固定部とを含んで構成されている。
【0021】
各コンタクト端子2の接続端子部の接点部は、図1に示されるように、二点接触式とされ、上述のICカードMSDの複数のコンタクトパッドにおける1つの共通のコンタクトパッドに当接するものとされる。二股状に分岐した部分の先端に位置する各接点部は、4番目のコンタクト端子8aiに隣接する一方の接点部の位置が他方の接点部の位置よりも端子固定壁部6BWに近い位置となるように形成されている。
【0022】
コンタクト端子2の半田付端子部は、図1に示されるように、ベース部材6におけるカードスロット側の切欠部を形成する端面から外部に向けて突出している。
【0023】
コンタクト端子2の固定部は、図1における矢印PF2の示す方向、即ち、ICカードMSDの挿入方向に沿ってベース部材6に形成される所定の溝に圧入される。その所定の溝は、ベース部材6の底面部における切欠部と上述の開口部6Hとの間の部分に形成されている。
【0024】
また、上述の4番目のコンタクト端子8aiと5番目のコンタクト端子8aiとの間には、接地ライン用のコンタクト端子12がコンタクト端子2に対し略平行に配されている。
【0025】
コンタクト端子12は、配線基板PBの電極部に半田付固定される半田付端子部と、ICカードMSDのコンタクトパッドに当接し電気的に接続される接点部を二股状に分岐した部分の先端に有する接続端子部と、弾性を有し半田付端子部と接続端子部とを連結する固定部とを含んで構成されている。
【0026】
隣接するコンタクト端子8aiの接点部相互間に配される各コンタクト端子12の接続端子部の接点部は、図1および図5に示されるように、二点接触式とされ、上述のICカードMSDの複数のコンタクトパッドにおける1つの共通のコンタクトパッドに当接するものとされる。二股状に分岐した部分の先端に位置する各接点部は、上述の4番目のコンタクト端子8aiに隣接する一方の接点部の位置が他方の接点部の位置よりも端子固定壁部6BWに近い位置となるように形成されている。
【0027】
コンタクト端子12の半田付端子部は、図5に示されるように、ベース部材6におけるカードスロット側の切欠部を形成する端面から外部に向けて突出している。
【0028】
コンタクト端子12の固定部は、図1における矢印PF2の示す方向、即ち、ICカードMSDの挿入方向に沿ってベース部材6に形成される所定の溝に圧入される。その所定の溝は、ベース部材6の底面部における切欠部と上述の開口部6Hとの間の部分に形成されている。
【0029】
ベース部材6における端子固定壁部6BWに対向する部分には、図2における矢印Iが示すICカードMSDの着脱方向に沿ってICカードMSDが通過するカードスロットの一部を形成する開口が形成されている。
【0030】
従って、二点接触式のコンタクト端子2および12の各接点部がコンタクト端子8aiの接点部相互間に並設されるように、コンタクト端子2および12の固定部をそれぞれ、容易にベース部材6の底面部上に配置することができる。
【0031】
ベース部材6における双方の側壁部6RWおよび6LWの外面部には、それぞれ、後述するカバー部材4の係合孔に係合される爪部6Rn、6Lnが複数個、所定の間隔で形成されている。
【0032】
ベース部材6における側壁部6RWの内側部分には、図1に示されるように、イジェクト機構部14が配されている。イジェクト機構部14は、側壁部6RWに沿ってベース部材6に形成されたガイド溝(不図示)に案内されベース部材6に対し移動可能なイジェクタ部材10と、イジェクタ部材10と端子固定壁部6BWとの間に配されイジェクタ部材10を側壁部6RWの端部の内面側に向けて付勢する弾性部材としてのコイルスプリング18と、イジェクタ部材10を選択的にベース部材6に対しロック状態あるいはアンロック状態とするイジェクタ部材制御機構部とを含んで構成されている。
【0033】
例えば、樹脂材料で成形されたイジェクタ部材10は、図1に示されるように、イジェクタ部材制御機構部の一部を構成するムレバー20の一端を案内する案内部と、その一方の端部に形成され装着される上述のICカードMSDの傾斜部および段差部を受けるカード受部10Aと、を含んで構成されている。
【0034】
イジェクタ部材10は、図1に示されるように、そのカード受部10Aが上述のカードスロットに対向するようにベース部材6の側壁部6RWの内側に摺動可能に配される。
【0035】
イジェクタ部材10の案内部は、カムレバー20の一端を案内する一連のレバー案内溝から構成されている。レバー案内溝の途中には、カムレバー20の一端が選択的に係合されるカム面を有するハートカム要素が形成されている。
【0036】
上述の案内部に隣接する部分には、コイルスプリング18の一方の端部が挿入される凹部が設けられている。そのコイルスプリング18の他方の端部は、図1に示されるように、ベース部材6の端子固定壁部6BWの内面に当接している。
【0037】
カード受部10Aは、カード収容室24内に挿入されたICカードMSDの傾斜部および段差部が当接する当接面を有している。
【0038】
イジェクタ部材制御機構部は、上述の案内部と、一方の端部が側壁部6RWの端部に揺動可能に支持され、他方の端部がその案内部のレバー案内溝に沿って摺動する門形状のカムレバー20と、カムレバー20の先端をレバー案内溝の案内面に対し付勢するカム押え部材4PP(図2参照)とを含んで形成されている。
【0039】
ベース部材6における側壁部6LWの内側部分には、カード収容室24内のICカードMSDの有無を検出し検出出力を送出する検出用端子16および22が設けられている。また、検出用端子16と一体に固定用タブ16aが設けられている。従って、検出用端子16の湾曲部がカード収容室24内のICカードMSDの側面部により押圧される場合、検出用端子16および22におけるそれぞれの接点部が互いに当接し、検出用端子16および22は、ICカードMSDが収容されたことをあらわす検出出力を配線基板PBに対し送出することとなる。
【0040】
ベース部材6全体を覆いICカードMSDのカード収容室24を形成するカバー部材4は、図2に示されるように、例えば、金属製の薄板材料により成形されている。門形の断面形状を有するカバー部材4は、ベース部材6の側壁部6RW、6LWをそれぞれ覆う一対の側面部と、双方の側面部に連なりカード収容室24の上方を形成する平坦面部とを含んで構成されている。
【0041】
各側面部には、それぞれ、図4に示されるように、ベース部材6の各爪部6Ln,6Rnに対応して係合孔4Laが複数個形成されている。各係合孔4Laの周縁は、各爪部66Ln,6Rnに係合されている。また、各側面部には、配線基板PBに固定されるフランジ4Fが一体に形成されている。
【0042】
その平坦面部における一方の端部は、円弧形の切欠部を有している。平坦面部における他方の端部側には、上述の各コンタクト端子8ai、コンタクト端子2、および、コンタクト端子12の接続端子部の接点部に対向して複数の略長方形のスリット部4Si(i=1〜8)が互いに略平行に形成されている。平坦面における側壁部6LW側には、ICカードMSDの排出時におけるICカードMSDの急峻な飛び出しを抑制するブレーキ片4BPが形成されている。
【0043】
このような構成において、図3および図4に示されるように、ICカードMSDがカード収容室24に挿入されイジェクタ部材10のカード受部10Aに係合された後、イジェクタ部材10がコイルスプリング18の付勢力に抗してICカードMSDとともに押圧されるとき、カムレバー20の他方の端部がレバー案内溝の所定のカム面に係合され保持されることにより,イジェクタ部材制御機構部がイジェクタ部材10をベース部材6に対しロック状態とする。これにより、ICカードMSDが、カード収容室24内で保持され、ICカードMSDのコンタクトパッドとコンタクト端子8ai、コンタクト端子2および12の接続端子部の接点部が電気的に接続される。
【0044】
一方、ICカードMSDがカード収容室24から取り外される場合、装填されたICカードMSDが押圧されて若干さらに押し込まれる。これにより、カムレバー20の他方の端部が上述のカム面から解放され,イジェクタ部材制御機構部がイジェクタ部材10をベース部材6に対しアンロック状態とする。従って、コイルスプリング18の復元力によってイジェクタ部材10が側壁部6RWの端部に向けて移動せしめられるとともに、ICカードMSDの一端が外部に向けて排出されることとなる。
【0045】
図6は、本発明に係るカード用コネクタの第2実施例の外観を示す。
【0046】
図2に示される例においては、上述の3番目のコンタクト端子8aiと4番目のコンタクト端子8aiとの間、および、4番目のコンタクト端子8aiと5番目のコンタクト端子8aiとの間に、それぞれ、二点接触式のコンタクト端子2およびコンタクト端子12が配置されているが、その代わりに、図6に示される例においては、図7に示されるように、ベース部材26の側壁部26RWから3番目のコンタクト端子8aiと4番目のコンタクト端子8aiとの間、および、側壁部26RWから6番目のコンタクト端子8aiと7番目のコンタクト端子8aiとの間に、それぞれ、コンタクト端子28および30が設けられるものとされる。
【0047】
なお、図6乃至図9に示される例においては、上述の図1および図2に示される例において同一とされる構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0048】
ベース部材26は、例えば、電気的絶縁性を有する樹脂材料により成形されており、所定の電子機器内部の配線基板PBの電極部に対応してその基板上配置されている。ベース部材26は、図7に示されるように、上述のコンタクト端子8ai、コンタクト端子28およびコンタクト端子30の各接点部に対応した位置に開口部26Hを有する底面部と、その底面部における両側部をそれぞれ形成する側壁部26RWおよび26LWと、コンタクト端子8aiの固定部がそれぞれ圧入される溝26Gi(i=1〜8)を所定の間隔で複数個有し、側壁部26RWの一端と側壁部26LWの一端とを連結する端子固定壁部26BWとから構成されている。
【0049】
各コンタクト端子8aiの固定部は、図7に示される矢印PF1の示す方向から上述の各溝26Giに圧入される。これにより、各コンタクト端子8aiは、側壁部26RWおよび26LWに対し略平行に所定の間隔で配列されることとなる。なお、側壁部26RW側から数えて3番目のコンタクト端子8aiと4番目のコンタクト端子8aiとの間の相互間距離と、6番目のコンタクト端子8aiと7番目のコンタクト端子8aiとの間の相互間距離とは、互いに等しく、かつ、他のコンタクト端子8ai相互間距離に比して大に設定されている。
【0050】
側壁部26RW側から数えて1番目から3番目、5番目、7番目、および8番目の各コンタクト端子8aiの接続端子部の接点部は、それぞれ、上述のICカードMSDの複数のコンタクトパッドにおける対応する1つのコンタクトパッドに当接するものとされる。
【0051】
各コンタクト端子8aiの半田付端子部は、図9に示されるように、端子固定壁部26BWの端面から外部に向けて突出している。
【0052】
上述の3番目のコンタクト端子8aiと4番目のコンタクト端子8aiとの間には、電源ライン用のコンタクト端子28が配されている。
【0053】
コンタクト端子28は、配線基板PBの電極部に半田付固定される半田付端子部と、ICカードMSDの一つのコンタクトパッドに当接し電気的に接続される接点部を有する接続端子部と、弾性を有し半田付端子部と接続端子部とを連結する固定部とを含んで構成されている。
【0054】
隣接するコンタクト端子8aiの接点部相互間に配されるコンタクト端子28の接続端子部の接点部は、図7に示されるように、隣接する4番目のコンタクト端子8aiの接続端子部の接点部と協働して二点接触式となるように、上述のICカードMSDの複数のコンタクトパッドにおける対応する1つの共通のコンタクトパッドにコンタクト端子8aiの接続端子部の接点部とともに当接するものとされる。
【0055】
コンタクト端子28の半田付端子部は、図7に示されるように、ベース部材26におけるカードスロット側の切欠部を形成する端面から外部に向けて突出している。
【0056】
コンタクト端子28の固定部は、図7における矢印PF2の示す方向、即ち、ICカードMSDの挿入方向に沿ってベース部材26に形成される所定の溝に圧入される。その所定の溝は、ベース部材26における切欠部と上述の開口部26Hとの間の部分に形成されている。
【0057】
また、上述の6番目のコンタクト端子8aiと7番目のコンタクト端子8aiとの間には、接地ライン用のコンタクト端子30がコンタクト端子28に対し略平行に配されている。
【0058】
コンタクト端子30は、配線基板PBの電極部に半田付固定される半田付端子部と、ICカードMSDの一つのコンタクトパッドに当接し電気的に接続される接点部を有する接続端子部と、弾性を有し半田付端子部と接続端子部とを連結する固定部とを含んで構成されている。
【0059】
隣接するコンタクト端子8aiの接点部相互間に配される各コンタクト端子30の接続端子部の接点部は、図7に示されるように、上述の隣接する6番目のコンタクト端子8aiの接続端子部の接点部と協働して二点接触式となるように、上述のICカードMSDの複数のコンタクトパッドにおける対応する1つの共通のコンタクトパッドに当接するものとされる。
【0060】
コンタクト端子30の半田付端子部は、図7および図9に示されるように、ベース部材26におけるカードスロット側の切欠部を形成する端面から外部に向けて突出している。
【0061】
コンタクト端子30の固定部は、図7における矢印PF2の示す方向、即ち、ICカードMSDの挿入方向に沿ってベース部材26に形成される所定の溝に圧入される。その所定の溝は、ベース部材26における切欠部と上述の開口部26Hとの間の部分に形成されている。
【0062】
ベース部材26における端子固定壁部26BWに対向する部分には、ICカードMSDの着脱方向に沿ってICカードMSDが通過するカードスロットの一部を形成する開口が形成されている。
【0063】
従って、二点接触式の一つのコンタクト端子を二つのコンタクト端子で協働して形成するように、コンタクト端子8aiおよびコンタクト端子28、コンタクト端子8aiおよびコンタクト端子30をそれぞれ、容易にベース部材26上に配置することができる。
【0064】
ベース部材26における双方の側壁部26RWおよび26LWの外面部には、それぞれ、後述するカバー部材4の係合孔に係合される爪部26Rn、26Lnが複数個、所定の間隔で形成されている。
【0065】
斯かる構成において、図8および図9に示されるように、ICカードMSDがカード収容室32に挿入されイジェクタ部材10のカード受部10Aに係合された後、イジェクタ部材10がコイルスプリング18の付勢力に抗してICカードMSDとともに押圧されるとき、カムレバー20の他方の端部がレバー案内溝の所定のカム面に係合され保持されることにより,イジェクタ部材制御機構部がイジェクタ部材10をベース部材26に対しロック状態とする。これにより、ICカードMSDが、カード収容室32内で保持され、ICカードMSDの各コンタクトパッドとコンタクト端子8ai、コンタクト端子28および30の接続端子部の接点部が電気的に接続される。
【0066】
一方、ICカードMSDがカード収容室32から取り外される場合、装填されたICカードMSDが押圧されて若干さらに押し込まれる。これにより、カムレバー20の他方の端部が上述のカム面から解放され,イジェクタ部材制御機構部がイジェクタ部材10をベース部材6に対しアンロック状態とする。従って、コイルスプリング18の復元力によってイジェクタ部材10が側壁部6RWの端部に向けて移動せしめられるとともに、ICカードMSDの一端が外部に向けて排出されることとなる。
【0067】
なお、上述の本発明に係るICカード用コネクタの各実施例においては、ICカードとしてmicroSDカード(商標)のコンタクトパッドの配列に対応するように電源用および接地用コンタクト端子がそれぞれ配置されているが、斯かる例に限られることなく、例えば、microSDカード(商標)と類似した形状を有するMMCmicroカード(商標)(サンディスク社製)、あるいは他のICカードのコンタクトパッドの配列に対応するように電源用および接地用コンタクト端子がそれぞれ配置されてもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係るICカード用コネクタの第1実施例においてカバー部材が外された状態でベース部材の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明に係るICカード用コネクタの第1実施例の外観を示す斜視図である。
【図3】図2に示される例において、ICカードが装着された状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示される例における平面図である。
【図5】図4におけるV−V線に沿って示される断面図である。
【図6】本発明に係るICカード用コネクタの第2実施例の外観を示す斜視図である。
【図7】本発明に係るICカード用コネクタの第2実施例においてカバー部材が外された状態でベース部材の構成を概略的に示す斜視図である。
【図8】図6に示される例において、ICカードが装着された状態を示す斜視図である。
【図9】図8におけるIX−IX線に沿って示される断面図である。
【符号の説明】
【0069】
2、12、28、30 コンタクト端子
6 ベース部材
8ai コンタクト端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極部を有するICカードが選択的に装着されるカード収容部を有するベース部材と、
前記ベース部材に配され、前記装着されたICカードの一つの電極部に当接し電気的に接続される接点部および前記ベース部材に固定される固定部を有する第1のコンタクト端子と、
前記第1のコンタクト端子に隣接して前記ベース部材に配され、前記装着されたICカードの他の一つの共通の電極部に当接し電気的に接続される二股状に分岐した部分の先端に位置する複数の接点部を有する分岐部および前記ベース部材に固定される固定部を有する第2のコンタクト端子と、を備え、
前記第2のコンタクト端子の複数の接点部が前記第1のコンタクト端子の接点部に隣接するように該第2のコンタクト端子の固定部の前記ベース部材に対する取り付け位置が、
該第1のコンタクト端子の固定部の前記ベース部材に対する取り付け位置に対し向かい合う位置であることを特徴とするICカード用コネクタ。
【請求項2】
複数の電極部を有するICカードが選択的に装着されるカード収容部を有するベース部材と、
前記ベース部材に配され、前記装着されたICカードの一つの電極部に当接し電気的に接続される接点部および前記ベース部材に固定される固定部を有する第1のコンタクト端子と、
前記第1のコンタクト端子に隣接して前記ベース部材に配され、前記装着されたICカードの前記一つの共通の電極部に該第1のコンタクト端子の接点部とともに当接し電気的に接続される接点部および前記ベース部材に固定される固定部を有する第2のコンタクト端子と、を備え、
前記第2のコンタクト端子の接点部が前記第1のコンタクト端子の接点部に隣接するように該第2のコンタクト端子の固定部の前記ベース部材に対する取り付け位置が、該第1のコンタクト端子の固定部の前記ベース部材に対する取り付け位置に対し向かい合う位置であることを特徴とするICカード用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−273152(P2007−273152A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−94944(P2006−94944)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】