説明

ICタグ、ICタグ付シート、ICタグ付シートの製造方法、およびICタグ付シートの製造装置

【課題】 ICチップの電極と導電体との間の接続電気抵抗値を小さくし、かつそのばらつきを抑制することができるICタグ付シートの製造方法を提供する。
【解決手段】 ICタグ付シートの製造方法は、1枚の帯状に延びる導電体22が積層された帯状に延びる非導電体シート20を準備する工程と、帯状に延びる導電体22を長手方向に沿って切断し、導電体形成済シート18を形成する工程と、導電体形成済シート18の導電体22上にICチップ26を順次配置する工程と、を備えている。ICタグ付シートの製造方法は、ICチップ26を導電体22上に配置する前に、非導電体シート20上の導電体22の表面粗さを調整する工程をさらに備えている。導電体22の表面粗さは予め設定された範囲内に調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部のリーダ・ライタと非接触でデータの授受を行うことができるICタグ、並びに、複数のICタグを有するICタグ付シート、ICタグ付シートの製造方法、およびICタグ付シートの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部のリーダ・ライタと非接触でデータの授受を行うICタグは、一対の電極を有するICチップと、ICチップの一対の電極にそれぞれ電気的に接続された一対の拡大電極と、を有している。一対の拡大電極は、ICタグが外部のリーダ・ライタと非接触でデータの送受信を行う際に、アンテナとして機能する。そして、通常、このようなICタグは基材シート上に支持されている。
【0003】
一方、アンテナ回路に接続されることによりはじめて外部のリーダ・ライタと非接触でデータの授受を行うことができるようになるICタグもある。このICタグはインターポーザーと呼ばれるものであり、このインターポーザーも、一対の電極を有するICチップと、ICチップの一対の電極にそれぞれ電気的に接続された一対の拡大電極と、を有している。そして、このインターポーザーにおいて、一対の拡大電極は、アンテナとして機能するアンテナ回路との接続端子として機能する。すなわち、アンテナ回路とICチップの電極は、一対の拡大電極を介して電気的に接続される。本願においては、インターポーザーを含んだ概念としてICタグという用語を用いる。
【0004】
このようなインターポーザーを含むICタグは、通常、以下のようにして製造される。まず、基材シート上に基材シートの長手方向に沿って配置された多数対の導電体を設け、導電体形成済シートを製造する。その後、各対の導電体間にICチップを連続して配置することによりICタグ付シートを製造する。最後に、このICタグ付シートをICチップ毎に断裁し、導電体を拡大電極として機能させることによってICタグが得られる。なおここで、ICタグ付シートとは、ICチップ毎に断裁することによりICタグを得ることができるシートである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ICタグ付シートを製造する際に、ICチップの電極と導電体とが確実に電気的に接続されていないと、最終的に得られるICタグが外部のリーダ・ライタと非接触でデータの授受を行うことができない。また、ICチップの電極と導電体とが電気的に接続されていたとしても、その接続電気抵抗値が大きければ、ICタグの送受信感度等の性能が悪くなる。さらに、ICチップの電極と導電体との接続電気抗抵値がばらつけば、得られるICタグの品質もばらついてしまう。
【0006】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、ICチップの電極と導電体との間の接続電気抵抗値を小さくし、かつそのばらつきを抑制することができるICタグ付シートの製造方法およびICタグ付シートの製造装置を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、ICチップの電極と導電体(拡大電極)との間の接続電気抵抗値が小さく、かつそのばらつきが抑制されているICタグおよびICタグ付シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
今般、本願発明者らは鋭意研究を重ねた結果、ICチップの電極の平坦な先端面に対面する導電体の表面粗さを調整しておくことにより、ICチップと導電体との間における接続電気抵抗値を小さくしかつそのばらつきを抑制することができる、との知見を得た。本願発明は、このような知見に基づくものである。
【0009】
本発明は、1枚の帯状に延びる導電体が積層された帯状に延びる非導電体シートを準備する工程と、非導電体シート上の導電体の表面粗さを調整する工程と、帯状に延びる導電体を長手方向に沿って切断し、帯状に延びる非導電体シートと非導電体シート上に設けられ非導電体シートの長手方向に延びて互いに離間する一対の導電体とを有する導電体形成済シートを形成する工程と、導電体形成済シートの導電体上にICチップを順次配置する工程と、を備えたことを特徴とするICタグ付シートの製造方法である。
【0010】
本発明は、帯状に延びる非導電体シートと、非導電体シート上に設けられ非導電体シートの長手方向に延びて互いに離間する一対の導電体と、を有する導電体形成済シートを準備する工程と、導電体形成済シートの導電体の表面粗さを調整する工程と、導電体形成済シートの導電体上にICチップを順次配置する工程と、を備えたことを特徴とするICタグ付シートの製造方法である。
【0011】
本発明は、帯状に延びる非導電体シートと、非導電体シート上に設けられ非導電体シートの長手方向に沿って配置された多数対の導電体と、を有する導電体形成済シートを準備する工程と、導電体形成済シートの導電体の表面粗さを調整する工程と、導電体形成済シートの導電体上にICチップを順次配置する工程と、を備えたことを特徴とするICタグ付シートの製造方法である。
【0012】
本発明は、前記導電体の表面粗さを調整する工程において、導電体の表面粗さを予め設定した範囲内となるように調整することを特徴とするICタグ付シートの製造方法である。
【0013】
本発明は、前記導電体の表面粗さを調整する工程において、導電体の表面粗さをRa0.2〜0.5μmの範囲内となるように調整することを特徴とするICタグ付シートの製造方法である。
【0014】
本発明は、前記導電体の表面粗さを調整する工程において、導電体にエンボス加工を施すことにより、あるいは導電体を部分的に溶融させることにより、あるいは導電体を研磨することにより、導電体の表面粗さを調整することを特徴とするICタグ付シートの製造方法である。
【0015】
本発明は、前記導電体の表面粗さを調整する工程において、導電体の表面粗さを調整前よりも粗くすることを特徴とするICタグ付シートの製造方法である。
【0016】
本発明は、少なくとも一部分の表面粗さがRa0.2〜0.5μmの範囲内となっている導電体を帯状に延びる非導電体シートに積層して、帯状に延びる非導電体シートと、非導電体シート上に設けられ非導電体シートの長手方向に延びて互いに離間する一対の導電体と、を有する導電体形成済シートを準備する工程と、導電体形成済シートの導電体上にICチップを順次配置する工程と、を備えたことを特徴とするICタグ付シートの製造方法である。
【0017】
本発明は、帯状に延びる非導電体シートと、非導電体シート上に設けられ、非導電体シートの長手方向に延びて互いに離間する一対の導電体と、導電体上に設けられるとともに、一対の導電体とそれぞれ電気的に接続させられた一対の電極を有する複数のICチップと、を備え、導電体のICチップに面する側の表面粗さがRa0.2〜0.5μmの範囲内であることを特徴とするICタグ付シートである。
【0018】
本発明は、帯状に延びる非導電体シートと、非導電体シート上に設けられ、非導電体シートの長手方向に沿って配置された多数対の導電体と、導電体上に設けられるとともに、各対の導電体とそれぞれ電気的に接続させられた一対の電極を有する複数のICチップと、を備え、導電体のICチップに面する側の表面粗さがRa0.2〜0.5μmの範囲内であることを特徴とするICタグ付シートである。
【0019】
本発明は、一対の拡大電極と、一対の拡大電極にそれぞれ電気的に接続させられた一対の電極を有するICチップと、を備え、拡大電極のICチップに面する側の表面粗さがRa0.2〜0.5μmの範囲内であることを特徴とするICタグである。
【0020】
本発明は、1枚の帯状に延びる導電体が積層された帯状に延びる非導電体シートを準備する手段と、非導電体シート上の導電体の表面粗さを調整する手段と、帯状に延びる導電体を長手方向に沿って切断する手段であって、導電体を切断することによって、帯状に延びる非導電体シートと非導電体シート上に設けられ非導電体シートの長手方向に延びて互いに離間する一対の導電体とを有する導電体形成済シートを形成する手段と、導電体形成済シートの導電体上にICチップを順次配置する手段と、を備えたことを特徴とするICタグ付シートの製造装置である。
【0021】
本発明は、帯状に延びる非導電体シートと、非導電体シート上に設けられ非導電体シートの長手方向に延びて互いに離間する一対の導電体と、を有する導電体形成済シートを準備する手段と、導電体形成済シートの導電体の表面粗さを調整する手段と、導電体形成済シートの導電体上にICチップを順次配置する手段と、を備えたことを特徴とするICタグ付シートの製造装置である。
【0022】
本発明は、帯状に延びる非導電体シートと、非導電体シート上に設けられ非導電体シートの長手方向に沿って配置された多数対の導電体と、を有する導電体形成済シートを準備する手段と、導電体形成済シートの導電体の表面粗さを調整する手段と、導電体形成済シートの導電体上にICチップを順次配置する手段と、を備えたことを特徴とするICタグ付シートの製造装置である。
【0023】
本発明は、前記導電体の表面粗さを調整する手段は、導電体の表面粗さを予め設定された範囲内となるように調整することを特徴とするCタグ付シートの製造装置である。
【0024】
本発明は、前記導電体の表面粗さを調整する手段は、導電体の表面粗さをRa0.2〜0.5μmの範囲内となるように調整することを特徴とするICタグ付シートの製造装置である。
【0025】
本発明は、前記導電体の表面粗さを調整する手段は、導電体にエンボス加工を施すエンボス加工機、あるいは導電体を部分的に溶融させる溶融装置、あるいは導電体を研磨する研磨装置からなることを特徴とするICタグ付シートの製造装置である。
【0026】
本発明は、前記導電体の表面粗さを調整する手段は、導電体の表面粗さを調整前よりも粗くするように調整することを特徴とするICタグ付シートの製造装置である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によるICタグ付シートの製造方法およびICタグ付シートの製造装置によれば、ICチップの電極と導電体(拡大電極)との間の接続電気抵抗値が小さく、かつそのばらつきが抑制されているICタグおよびICタグ付シートを得ることができる。
【0028】
また、本発明によるICタグおよびICタグ付シートによれば、ICチップの電極と導電体(拡大電極)との間の接続電気抵抗値を小さくし、かつそのばらつきを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0030】
図1乃至図3は本発明によるICタグ、ICタグ付シート、ICタグ付シートの製造方法、およびICタグ付シートの製造装置の一実施の形態を示す図である。
【0031】
このうち図1はICタグ10およびICタグ付シート15を示す断面図であり、図2はICタグ10を示す斜視図であり、図3はICタグ付シートの製造方法およびICタグ付シートの製造装置50を示す概略図である。なお、図1は図3のI−I線に沿った断面を示している。
【0032】
まず、ICタグ10およびICタグ付シート15について説明する。
【0033】
図1および図3に示すように、ICタグ付シート15は、帯状に延びる非導電体シート(基材シートとも呼ぶ)20と、非導電体シート20上に設けられ、非導電体シート20の長手方向に延びて互いに離間する一対の導電体22と、導電体22上に設けられるとともに、一対の導電体22とそれぞれ電気的に接続させられた一対の電極26a,26aを有する複数のICチップ26と、を備えている。このようなICタグ付シート15をICチップ26毎に断裁し(例えば、図3における二点鎖線に沿って断裁し)、導電体22から拡大電極24を形成することにより、個々のICタグ10が得られる。
【0034】
図3に示すように、ICタグ付シート15を断裁することによって得られるICタグ10は、非導電体シート20と、非導電体シート20上に設けられた一対の拡大電極24,24と、一対の拡大電極24,24にそれぞれ電気的に接続させられた一対の電極26a,26aを有するICチップ26と、を備えている。一般に、ICチップ26の大きさは非常に微小であり、また、ICチップ26の電極26aの先端面は非常に平滑な平坦面となっている。
【0035】
なお、上述したように、本願におけるICタグ10とは、それ自体が外部のリーダ・ライタとの間において非接触でデータの授受を行なうことができる非接触ICタグだけでなく、アンテナ回路に接続して用いられるインターポーザーも含んだ概念として用いられる。ICタグ10をインターポーザーとして用いる場合、図2に示すように、閉ループ状回路からなり一対の接点34a,34aを有するアンテナ回路34を準備しておき、インターポーザーの一対の拡大電極24,24をアンテナ回路34の各接点34a,34aにそれぞれ電気的に接続させることにより、リーダ・ライタを用いてICチップ26に情報を記録したり、あるいはICチップ26に記録された情報を読みとったりすることができるようになる。なお、図2に示すように、アンテナ回路34は、通常、非導電性のPETや紙上に形成されている。
【0036】
図1に示すように、ICチップ26は接着剤30を介して導電体22(拡大電極24)上に固定されており、また、ICチップ26の先端が平坦な一対の電極26a,26aは導電体22(拡大電極24)に電気的に接続されている。また本実施の形態において、導電体22(拡大電極24)のICチップ26に面する側の表面粗さがRa0.2〜0.5μmの範囲内となっている。なお本願における表面粗さRaとは、JIS B0601にしたがった測定値を意味する。後述する実施例において明らかとなるように、表面粗さがRa0.2〜0.5μmの範囲内となっている場合、導電体22(拡大電極24)とICチップ26の電極26aとの間における接続電気抵抗値を小さくし、かつ接続電気抵抗値のばらつきを抑制することができる。
【0037】
なお、本実施の形態において、ICタグ付シート15が、非導電体シート20と一対の導電体22,22とICチップ26とを備えている例を示したが、これに限られず、ICチップ26の欠けや割れを防止するための保護層をICチップ26上に設ける等、適宜変更することができる。
【0038】
次に、ICタグ付シートの製造方法およびICタグ付シートの製造装置50について、特に図3を用いて説明する。
【0039】
なお、図3において、左側が上流側の工程で、右側が下流側の工程となっている。
【0040】
図3に示すように、ICタグ付シートの製造装置50は、1枚の帯状に延びる導電体22が積層された帯状に延びる非導電体シート20を準備する手段52と、非導電体シート20上の導電体22の表面粗さを調整する手段54と、帯状に延びる導電体22を長手方向に沿って切断する手段56と、導電体形成済シート18の導電体22上にICチップ26を順次配置する手段58と、を備えている。なお、導電体形成済シート18とは、後述するようにICタグ付シートの製造途中に得られるものであり、本実施の形態における導電体形成済シート18は、帯状に延びる非導電体シート20と、非導電体シート20上に設けられ非導電体シート20の長手方向に延びて互いに離間する一対の導電体22と、を有している。
【0041】
以下、各工程について詳述していく。
【0042】
まず帯状に延びる非導電体シート20が連続的に供給され、その長手方向に沿うようにして一対のニップローラー62,62間へと送られるとともに、帯状に延びる導電体22が連続的に供給されて一対のニップローラー62,62間へと送られる。この間、非導電体シート20と導電体22との間に図示しない加圧接着タイプの接着剤が塗布される。その後、非導電体シート20と導電体22とが一対のニップローラー62,62によって圧着されることにより、非導電体シート20と導電体22とは互いに接着固定され、導電体22が非導電体シート20上に積層される。本実施の形態において、導電体22の幅と非導電体シート20の幅とは同一になっている。
【0043】
このようにして、1枚の帯状に延びる導電体22が積層された帯状に延びる非導電体シート20が準備され、そして供給されていく。すなわち、本実施の形態において、1枚の帯状に延びる導電体22が積層された帯状に延びる非導電体シート20を準備する手段52は、加圧接着タイプの接着剤を供給する手段、およびニップローラー62から構成されている。
【0044】
ところで、導電体22はアルミや銅等の箔からなり、その厚さは5μmから30μmである。そして、導電体22に用いられるアルミや銅等の箔は、例えば、圧延加工によって製造される。圧延加工によって製造された箔の表面は一般的に平滑であり、とりわけ表面粗さがRa0.10μm程度(0.05〜0.15μm)の圧延泊が広く用いられている。一方、非導電体シート20は非導電性材料、例えば、紙やPET等からなり、その厚さは10μmから200μmである。
【0045】
次に、導電体22が積層された帯状に延びる非導電体シート20は、非導電体シート20上の導電体22の表面粗さを調整する工程へ送り込まれる。本実施の形態において、非導電体シート20上の導電体22の表面粗さを調整する手段54は、表面に微小な凹凸を設けられたエンボスロール64と、エンボスロール64に対向して配置された受けロール66と、を有するエンボス加工機63から構成されている。
【0046】
導電体22を積層された非導電体シート20は、エンボス加工機63のエンボスロール64と受けロール66との間に送り込まれ、エンボス加工を施される。図3に示すように、このときエンボスロール64側を導電体22が通過し、受けロール66側を非導電体シート20が通過するようになっている。エンボス加工を施された導電体22にはエンボスロール64表面の微小な凹凸が転写され、これにより、導電体22の表面粗さは粗くなされる。本実施の形態においては、エンボスロール加工を施されることによって、導電体22の表面粗さがRa0.2〜0.5μmの範囲内に調整されるようになっている。このようにして、非導電体シート20上の導電体22の表面粗さがRa0.2〜0.5μmの範囲内となるように調整されていく。
【0047】
なお、受けロール66を受け台に変更することが可能であり、また、これにともなって、エンボスロール64を導電体22に向かって進退自在なエンボスプレスに変更することも可能である。
【0048】
その後、導電体22を積層された非導電体シート20は、帯状に延びる導電体22を長手方向に沿って切断する工程へ送り込まれる。導電体22を切断する手段56は、例えば、カッターや旋盤用の切削バイト等から構成することができる。
【0049】
図3に示すように、導電体22を積層された非導電体シート22が切断手段56へ送られていき、この送られてきた非導電体シート20上の導電体22に切断手段56を押し当てることにより、導電体22が切断され、導電体22の送り方向に直交する幅方向の略中央にスリット28が送り方向に沿って形成される。これにより、導電体22は一対に分断され、また、このスリット28の幅はICチップ26の電極26a,26a間の離間間隔より小さくなっている(図1)。また、切断手段56による切断はいわゆるハーフカットであり、切断手段56の刃先は導電体22を貫通して非導電体シート20まで入り込むが、導電体22と非導電体シート20との積層体の全厚みを切り込むのではなく、導電体22のみが分断され、非導電体シート20は分断されることはない。このようにして、帯状に延びる非導電体シート20と、非導電体シート20上に設けられ非導電体シート20の長手方向に延びて互いに離間する一対の導電体22と、を有する導電体形成済シート18が形成され、次工程へと供給されていく。
【0050】
次に、導電体形成済シート18は、導電体形成済シート18の導電体22上にICチップ26を順次配置する工程へと送り込まれる。本実施の形態において、ICチップ26を配置する手段58は、ICチップ26を吸着保持して導電体22上まで搬送し、導電体22上に配置する吸着ノズル68を有している。また、図3に示されているように、ICタグ付シートの製造装置50は、ICチップ26を配置する手段58の上流側に設けられ、接着剤30を供給する接着剤供給手段57と、ICチップ26を配置する手段58の下流側に設けられ、接着剤30を硬化させるとともにICチップ26の電極26aを導電体22に電気的に接続させる固定手段59と、をさらに備えている。
【0051】
図3に示すように、導電体形成済シート18は接着剤供給手段57の下方へと送り込まれ、接着剤供給手段57により導電体22上へ接着剤30を供給される。なお、接着剤供給手段57としては、ディスペンサーやスクリーン印刷機等を用いることができる。
【0052】
次に、吸着ノズル68によって、ICチップ26の各電極26aがそれぞれ異なる導電体22上に配置されるようにICチップ26が位置決めされ、その後、位置決めされたICチップ26が導電体22上に配置される。このとき、ICチップ26と導電体22との間には接着剤30が介在しており、ICチップ26は導電体22上に仮固定された状態となる。
【0053】
次に、固定手段59により、ICチップ26が導電体22に向けて押圧されながら、ICチップ26と導電体22との間に介在する接着剤30が硬化させられる。これにより、ICチップ26が導電体22上に固定される。また同時に、ICチップ26の電極26と導電体22との間に介在する接着剤30を押し退け、ICチップ26の電極26aが導電体22に接触して電気的に接続される。
【0054】
本実施の形態において、接着剤30は非導電性の熱硬化性樹脂からなっている。したがって、接着剤供給手段57により、接着剤30が導電体形成済シート18のスリット30を跨いで両側の導電体22上に塗布されたとしても、一対の導電体22,22同士を導通させてしまうことはない。また、固定手段59は、用いられる接着剤の種類によって決定され、熱硬化性樹脂からなる接着剤を採用している本実施の形態においては加熱機構を有する押圧装置を用いることができる。この固定手段59を用いて、ICチップ26の電極26aと導電体22とを接触させる、すなわち、電気的に接続させる(導通させる)とともに、その状態において熱硬化性樹脂からなる接着剤を加熱して硬化させることができる。
【0055】
なお、用いられる接着剤30は非導電性接着剤に限られず、異方性導電性接着剤や通常の導電性接着剤を用いることができる。ただし、導電性接着剤を用いる場合には、一対の導電体22,22同士を導通させてしまわないように塗布しなければならない。また、用いられる接着剤30は熱硬化性樹脂からなる接着剤に限られず、熱可塑性樹脂やUV硬化性樹脂からなる接着材を用いることができる。ただし、熱硬化性樹脂以外の接着剤を用いる場合には、用いられる接着剤を硬化させることができるよう固定手段59を選択しなければならない。例えば、熱可塑性樹脂からなる接着剤30を用いる場合、固定手段59は接着剤30を迅速に硬化させるために接着剤30を冷却する機能を有していることが好ましい。また、UV硬化性樹脂からなる接着剤30を用いる場合、固定手段59は接着剤30を硬化させるために接着剤30にUV光を照射する機能を有している必要がある。
【0056】
このようにして、帯状に延びる非導電体シート20と、非導電体シート20上に設けられ、非導電体シート20の長手方向に延びて互いに離間する一対の導電体22,22と、導電体22上に設けられるとともに、一対の導電体22,22とそれぞれ電気的に接続させられた一対の電極26a,26aを有する複数のICチップ26と、を備え、導電体22のICチップ26に面する側の表面粗さがRa0.2〜0.5μmの範囲内であるICタグ付シート15を製造することができる。また、このICタグ付シート15をICチップ26毎に断裁する、例えば、図3における二点鎖線に沿って断裁することにより、一対の拡大電極24,24と、一対の拡大電極24,24にそれぞれ電気的に接続させられた一対の電極26a,26aを有するICチップ26と、を備え、拡大電極24の表面粗さがRa0.2〜0.5μmの範囲内であるICタグ10を得ることができる。
【0057】
このようなICタグ付シート15において、ICチップ26に対面する導電体22の表面は、表面粗さがRa0.2〜0.5μmの範囲内となるように調整されている。後述する実施例からも理解できるように、表面粗さがこの範囲にある場合、ICチップ26の平坦状の電極26aを確実に導電体22に接触させることができ、その接続電気抵抗値を小さくし、かつその接続電気抵抗値のばらつきを低減することができる。このような顕著な効果を奏することができる理由の一つとして考えられるのは、互いに非常に平滑な接触表面を形成された導電体22とICチップ26の電極26aとを接触させるよりも、どちらか一方を他方に比べて粗くしておいた方が、導電体22とICチップ26が間に介在する接着剤30を押し退けて接触しやくすくなるということである。
【0058】
以上のように本実施の形態によれば、簡単な製造方法により、性能が良好でかつ性能ばらつきが低減されたICタグ10、すなわち、品質および信頼性がともに高いICタグ10、およびこのようなICタグ10を得ることができるICタグ付シート15が製造される。
【0059】
なお、本実施の形態においては、エンボス加工を施すことにより、導電体22の表面粗さをRa0.2〜0.5μmの範囲内となるように調整する例を示したが、これに限られない。以下、図4および図5を用いて導電体22の表面粗さを調整する方法の変形例を説明する。なお、図4および図5に示す変形例においては、表面粗さを調整する手段54が異なるのみであり、その他は図1乃至図3に示す実施の形態と略同一である。同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0060】
図4に示す変形例において、表面粗さを調整する手段54は、導電体22を部分的に溶融させる溶融装置70からなっている。溶融装置70は、表面に設けられた微小突起と表面温度を上昇させることができる加熱機構72aとを有する加熱押圧ロール72と、加熱押圧ロール72に対向して設けられた受けロール66と、を有している。本変形例においては、導電体22を積層された非導電体シート20が加熱押圧ロール72と受けロール66との間に送り込まれ、加熱押圧ロール72の微小突起が導電体22に当接するとともに、微小突起に接触する部分において導電体22を部分的に加熱して溶融させることにより、導電体22の表面を粗くするようになっている。このような変形例によれば、加熱機構72aの温度を調節することにより、導電体の表面粗さを容易に調整することができる。
【0061】
なお、図4に示す変形例において、受けロール66を受け台に変更することが可能であり、また、これにともなって、加熱押圧ロール72を導電体22に向かって進退自在な加熱押圧プレスに変更することも可能である。
【0062】
一方、図5に示す変形例において、表面粗さを調整する手段54は、エメリーペーパー等の研磨材82aを取り付けられ、導電体22上で研磨材82aを回転および/または往復動および/または振動させる研磨材保持部材82と、研磨材保持部材82に対向して配置された受け台84と、を有する研磨装置80からなっている。本変形例においては、研磨材82aで導電体22を研磨することによって導電体22の表面粗度を調整することができる。この変形例においては、研磨材82aを適宜変更することによって、導電体22の表面粗さを所望の粗さに調整することができる。また、本変形例によれば、元々の導電体22の表面粗さが所望の粗さより粗い場合に、導電体22の表面粗さの値を小さくすること、すなわち、表面粗さを調整前よりも平滑にするように調整することも可能である。
【0063】
また、図3乃至図5に示す例において、粗さ調整を導電体22の全面に施す例を示したが、これに限られず、ICチップ26の電極26aに対面する部分について粗さ調整が施される限りにおいて、導電体22を部分的に粗さ調整するようにしてもよい。
【0064】
さらに、本実施の形態において、導電体22の表面粗さを調整した後、導電体22を切断して、導電体形成済シート18を製造する例を示したが、これに限られない。図6に示すように、導電体22を切断した後に、導電体22の表面粗さを調整するようにしてもよい。なお、図6に示す変形例においては、表面粗さを調整する工程の順番が異なるだけであり、その他は図1乃至図3に示す実施の形態と略同一である。同一部分には同一符号を付して詳細な説明は書略する。
【0065】
図6に示す変形例においては、帯状に延びる非導電体シート20と、非導電体シート20上に設けられ非導電体シート20の長手方向に延びて互いに離間する一対の導電体22,22と、を有する導電体形成済シート18を準備する工程と、導電体形成済シート20の導電体22の表面粗さをRa0.2〜0.5μmの範囲内となるように調整する工程と、導電体形成済シート18の導電体22上にICチップ26を順次配置する工程と、によってICタグ付シート15が製造される。また、本変形例において、ICタグ付シート15を製造する装置50は、帯状に延びる非導電体シート20と、非導電体シート20上に設けられ非導電体シート20の長手方向に延びて互いに離間する一対の導電体22,22と、を有する導電体形成済シート18を準備する手段53と、導電体22の表面粗さを調整する手段54と、導電体形成済シート18の導電体22上にICチップ26を順次配置する手段58と、を備えている。このうち、導電体形成済シート18を準備する手段53は、上述した1枚の帯状に延びる導電体が積層された帯状に延びる非導電体シートを準備する手段52に、帯状に延びる導電体を長手方向に沿って切断する手段56を加えることによって構成されている。
【0066】
さらに、本実施の形態において、非導電体シート20上に積層された導電体22の表面粗さを調整する例を示してきたが、これに限られない。少なくとも一部分の表面粗さがRa0.2〜0.5μmの範囲内となっている導電体22を準備しておき、この導電体22をニップローラー62(図3乃至図6)に送り込んで非導電体シート20上に積層するようにしてもよい。この場合、図3乃至図6における表面粗さを調整する工程を省略することができる。これにより、ICタグ付シートの製造方法は、少なくとも一部分の表面粗さがRa0.2〜0.5μmの範囲内となっている導電体22を帯状に延びる非導電体シート20に積層して、帯状に延びる非導電体シート20と、非導電体シート20上に設けられ非導電体シート20の長手方向に延びて互いに離間する一対の導電体22と、を有する導電体形成済シート18を準備する工程と、導電体形成済シート18の導電体22上にICチップ26を順次配置する工程と、から構成される。なお、表面粗さがRa0.2〜0.5μmの範囲内となっている導電体22の「少なくとも一部分」とは、当然に、後に配置されるICチップ26の電極26aに対面する部分に対応する。
【0067】
さらに、図6を用いて説明した変形例において、非導電体シート20上に導電体22を積層し、次に、切断する手段56を用いて導電体22を分断することによって導電体形成済シート18を形成する例を示したが、これに限られない。予め分断された一対の帯状に延びる導電体22,22を、例えばニップローラー62を用い、非導電体シート18上に積層してもよい。この場合においても、非導電体シート18上に積層される導電体22の表面粗さが少なくとも一部分においてRa0.2〜0.5μmの範囲内となっていれば、表面粗さを調整する工程を省略することができる。
【0068】
またさらに、非導電体シート20上に印刷機により導電性インキを印刷することにより、あるいはエッチング装置により金属箔をエッチングすることにより、あるいは転写装置により金属箔を非導電体シートに転写することにより、導電体形成済シート18を製造するようにしてもよい。これらの方法を用いた場合、図7に示すように、帯状に延びる非導電体シート20の幅方向に離間して対をなす導電体22を、非導電体シート20の長手方向に沿って連続して多数対配置することもできる。すなわち、印刷機、エッチング装置、または転写装置を用いることにより、帯状に延びる非導電体シート20と、非導電体シート20上に設けられ非導電体シート20の長手方向に沿って配置された多数対の導電体22と、を有する導電体形成済シート18を製造することができる。そして、上述した手段を用いて、多数対の導電体22の表面粗さを調整し、次に、各対の導電体22,22上にICチップ26を順次配置していくことにより、ICタグ付シート10を製造することができる。このような方法により得られるICタグ付シート10は、図8に示すように、帯状に延びる非導電体シート20と、非導電体シート20上に設けられ、非導電体シート20の長手方向に沿って配置された多数対の導電体22と、導電体22上に設けられるとともに、各対の導電体22,22とそれぞれ電気的に接続させられた一対の電極26a,26aを有する複数のICチップ26と、を備え、導電体22のICチップ26に面する側の表面粗さは予め設定された範囲内、例えば、Ra0.2〜0.5μmの範囲内となっている。
【0069】
なお、当然に、図4乃至図8を用いて説明した変形例のいずれか複数を組み合わせて、図1乃至図3を用いて説明した実施の形態に適用することも可能である。
【実施例】
【0070】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
【0071】
(実施例1)
図3に示されている製造装置および製造方法を用いて、ICタグ付シートを製造した。接着剤は非導電性の熱硬化性樹脂からなるものを採用した。導電体は圧延加工によって厚さ7μmに圧延されたアルミ箔であって、製造ロットの異なる複数のアルミ箔を用いた。導電体の表面粗さを調整する工程においては、導電体の表面粗さがRa0.2〜0.5μmの範囲内となるよう、導電体の表面粗さを調整した。なお、表面粗さの調整は、表面粗さがRa0.2〜0.5μmの範囲内でばらつくよう、意図的に条件を種々変更しながら行った。
【0072】
ICタグ付シートを断裁して多数のICタグを製造した。このようにして製造されたICタグから10個のICタグを抜き取り、抜き取ったICタグについて、導電体の表面粗さ、およびICチップの電極と拡大電極との間の接続電気抵抗値を測定した。なお、接続電気抵抗値は、各ICタグの一対の拡大電極間の電気抵抗値を測定し、この測定値から余分な抵抗値(ICチップの電極間の理論抵抗値あるいはICチップの電極間の事前に測定しておいた実測測定値等)を引くことによって算出した。測定結果を表1に示す。
【0073】
(比較例1)
図3に示されている製造装置および製造方法を用いて、ICタグ付シートを製造した。ただし、比較例1においては、導電体の表面粗さを調整する手段を用いず、すなわち、導電体の表面粗さを調整する工程を省いて、ICタグ付シートを製造した。接着剤および導電体についての条件は上述の実施例1と同一条件とした。
【0074】
ICタグ付シートを断裁して多数のICタグを製造した。このようにして製造されたICタグから10個のICタグを抜き取り、抜き取ったICタグについて、導電体の表面粗さ、およびICチップの電極と拡大電極との間の接続電気抵抗値を測定した。測定結果を表1に示す。
【表1】

【0075】
表1中には、各サンプルの表面粗さおよび接続電気抵抗値とともに、表面粗さの標準偏差、並びに、接続電気抵抗値の平均値および標準偏差も記載している。
【0076】
表1に示されているように、接続電気抵抗値の平均値が低くかったのは実施例1であった。また、接続電気抵抗値のばらつきが抑制されてその標準偏差が小さくなったのも実施例1であった。
【0077】
一方、比較例1の各サンプルの表面粗さはばらつきが小さかった。実施例1と比較例1とを比べると、表面粗さの標準偏差は比較例1の方が小さい値となっているにもかかわらず、接続電気抵抗値の標準偏差は実施例1の方が小さい値となっている。
【0078】
これらの結果から、導電体の表面粗さをRa0.2〜0.5μmの範囲内に調整した場合、ICチップの電極と導電体との間における接続電気抵抗値を小さくすることができるとともに、ICチップの電極と導電体との間における接続電気抵抗値のばらつきを小さくすることができることが理解される。また、導電体の表面粗さがRa0.5μm以下であれば、視覚的に目立ってしまうことはなかった。さらに、圧延箔を元材料として調整する際に、調整作業を容易かつ短時間で行うことができ、調整作業を加えることによりICタグ付シートの生産効率を悪化させてしまうこともない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明によるICタグおよびICタグ付シートの一実施の形態を示す断面図。
【図2】ICタグをアンテナ回路とともに示す斜視図。
【図3】ICタグ付シートの製造方法およびICタグ付シートの製造装置を示す概略図。
【図4】ICタグ付シートの製造方法およびICタグ付シートの製造装置の変形例を示す概略図。
【図5】ICタグ付シートの製造方法およびICタグ付シートの製造装置の変形例を示す概略図。
【図6】ICタグ付シートの製造方法およびICタグ付シートの製造装置の変形例を示す概略図。
【図7】導電体形成済シートの変形例を示す斜視図。
【図8】ICタグ付シートの変形例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0080】
10 ICタグ
15 ICタグ付シート
18 導電体形成済シート
20 非導電体シート
22 導電体
24 拡大電極
26 ICチップ
26a 電極
50 製造装置
52 導電体を積層された非導電体シートを準備する手段
53 導電体形成済シートを準備する手段
54 表面粗さを調整する手段
56 導電体を切断する手段
58 ICチップを配置する手段
63 エンボス加工機
70 溶融装置
80 研磨装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の帯状に延びる導電体が積層された帯状に延びる非導電体シートを準備する工程と、
非導電体シート上の導電体の表面粗さを調整する工程と、
帯状に延びる導電体を長手方向に沿って切断し、帯状に延びる非導電体シートと非導電体シート上に設けられ非導電体シートの長手方向に延びて互いに離間する一対の導電体とを有する導電体形成済シートを形成する工程と、
導電体形成済シートの導電体上にICチップを順次配置する工程と、を備えたことを特徴とするICタグ付シートの製造方法。
【請求項2】
帯状に延びる非導電体シートと、非導電体シート上に設けられ非導電体シートの長手方向に延びて互いに離間する一対の導電体と、を有する導電体形成済シートを準備する工程と、
導電体形成済シートの導電体の表面粗さを調整する工程と、
導電体形成済シートの導電体上にICチップを順次配置する工程と、を備えたことを特徴とするICタグ付シートの製造方法。
【請求項3】
帯状に延びる非導電体シートと、非導電体シート上に設けられ非導電体シートの長手方向に沿って配置された多数対の導電体と、を有する導電体形成済シートを準備する工程と、
導電体形成済シートの導電体の表面粗さを調整する工程と、
導電体形成済シートの導電体上にICチップを順次配置する工程と、を備えたことを特徴とするICタグ付シートの製造方法。
【請求項4】
前記導電体の表面粗さを調整する工程において、導電体の表面粗さを予め設定した範囲内となるように調整することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のICタグ付シートの製造方法。
【請求項5】
前記導電体の表面粗さを調整する工程において、導電体の表面粗さをRa0.2〜0.5μmの範囲内となるように調整することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のICタグ付シートの製造方法。
【請求項6】
前記導電体の表面粗さを調整する工程において、導電体にエンボス加工を施すことにより、あるいは導電体を部分的に溶融させることにより、あるいは導電体を研磨することにより、導電体の表面粗さを調整することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のICタグ付シートの製造方法。
【請求項7】
前記導電体の表面粗さを調整する工程において、導電体の表面粗さを調整前よりも粗くすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のICタグ付シートの製造方法。
【請求項8】
少なくとも一部分の表面粗さがRa0.2〜0.5μmの範囲内となっている導電体を帯状に延びる非導電体シートに積層して、帯状に延びる非導電体シートと、非導電体シート上に設けられ非導電体シートの長手方向に延びて互いに離間する一対の導電体と、を有する導電体形成済シートを準備する工程と、
導電体形成済シートの導電体上にICチップを順次配置する工程と、を備えたことを特徴とするICタグ付シートの製造方法。
【請求項9】
帯状に延びる非導電体シートと、
非導電体シート上に設けられ、非導電体シートの長手方向に延びて互いに離間する一対の導電体と、
導電体上に設けられるとともに、一対の導電体とそれぞれ電気的に接続させられた一対の電極を有する複数のICチップと、を備え、
導電体のICチップに面する側の表面粗さがRa0.2〜0.5μmの範囲内であることを特徴とするICタグ付シート。
【請求項10】
帯状に延びる非導電体シートと、
非導電体シート上に設けられ、非導電体シートの長手方向に沿って配置された多数対の導電体と、
導電体上に設けられるとともに、各対の導電体とそれぞれ電気的に接続させられた一対の電極を有する複数のICチップと、を備え、
導電体のICチップに面する側の表面粗さがRa0.2〜0.5μmの範囲内であることを特徴とするICタグ付シート。
【請求項11】
一対の拡大電極と、
一対の拡大電極にそれぞれ電気的に接続させられた一対の電極を有するICチップと、を備え、
拡大電極のICチップに面する側の表面粗さがRa0.2〜0.5μmの範囲内であることを特徴とするICタグ。
【請求項12】
1枚の帯状に延びる導電体が積層された帯状に延びる非導電体シートを準備する手段と、
非導電体シート上の導電体の表面粗さを調整する手段と、
帯状に延びる導電体を長手方向に沿って切断する手段であって、導電体を切断することによって、帯状に延びる非導電体シートと非導電体シート上に設けられ非導電体シートの長手方向に延びて互いに離間する一対の導電体とを有する導電体形成済シートを形成する手段と、
導電体形成済シートの導電体上にICチップを順次配置する手段と、を備えたことを特徴とするICタグ付シートの製造装置。
【請求項13】
帯状に延びる非導電体シートと、非導電体シート上に設けられ非導電体シートの長手方向に延びて互いに離間する一対の導電体と、を有する導電体形成済シートを準備する手段と、
導電体形成済シートの導電体の表面粗さを調整する手段と、
導電体形成済シートの導電体上にICチップを順次配置する手段と、を備えたことを特徴とするICタグ付シートの製造装置。
【請求項14】
帯状に延びる非導電体シートと、非導電体シート上に設けられ非導電体シートの長手方向に沿って配置された多数対の導電体と、を有する導電体形成済シートを準備する手段と、
導電体形成済シートの導電体の表面粗さを調整する手段と、
導電体形成済シートの導電体上にICチップを順次配置する手段と、を備えたことを特徴とするICタグ付シートの製造装置。
【請求項15】
前記導電体の表面粗さを調整する手段は、導電体の表面粗さを予め設定された範囲内となるように調整することを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載のICタグ付シートの製造装置。
【請求項16】
前記導電体の表面粗さを調整する手段は、導電体の表面粗さをRa0.2〜0.5μmの範囲内となるように調整することを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載のICタグ付シートの製造装置。
【請求項17】
前記導電体の表面粗さを調整する手段は、導電体にエンボス加工を施すエンボス加工機、あるいは導電体を部分的に溶融させる溶融装置、あるいは導電体を研磨する研磨装置からなることを特徴とする請求項12乃至16のいずれか一項に記載のICタグ付シートの製造装置。
【請求項18】
前記導電体の表面粗さを調整する手段は、導電体の表面粗さを調整前よりも粗くするように調整することを特徴とする請求項12乃至17のいずれか一項に記載のICタグ付シートの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−318267(P2006−318267A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−141141(P2005−141141)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】