説明

ICタグ付きボックス及びその製造方法

【課題】本発明の目的は、ICタグの損傷等を防止し、物品の情報管理を高い信頼性又は耐久性をもって行うことができるICタグ付きボックスを提供することである。
【解決手段】ICタグ付きボックス10は、プラスチック材で構成され、第1の面22及び当該第1の面22と隣接する第2の面32と、少なくとも第1の面22に融着され、第1の面22と第2の面32とを連結する連結部34と、融着された第1の面22と連結部34との間に設けられたICタグ40とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグ付きボックス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物流業界においては運搬する物品を管理するために、物品を収容するボックスにICタグ(例えばRFIDタグ)を取り付けて、ボックスの中の物品の情報を管理することが行われている。従来のICタグの取付け方式としては、ICタグをボックスの外側又は内側において粘着材料等を介して取り付けることが知られている(特開2006−176297号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−176297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特開2006−176297号公報等に開示されるような従来のICタグ付きボックスにおいては、ボックスの外側にICタグが取り付けられているため、ボックスを取り扱う間にICタグが損傷又は脱落するおそれがある。特に、ICタグは立体的構造を有しているため、外的要因による損傷又は脱落の可能性は少なくない。そのため、ICタグの損傷等を防止し、物品の情報管理を高い信頼性又は耐久性をもって行うことができるICタグ付きボックスの開発が求められている。
【0005】
よって、本発明の目的は、上記の課題を解決することができるICタグ付きボックス及びその製造方法を提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるICタグ付きボックスの一態様は、プラスチック材で構成されたICタグ付きボックスであって、第1の面及び当該第1の面と隣接する第2の面と、少なくとも前記第1の面に融着され、前記第1の面と前記第2の面とを連結する連結部と、融着された前記第1の面と前記連結部との間に設けられたICタグとを含む。
【0007】
このICタグ付きボックスは、前記連結部は、前記第2の面から連続して設けられ、前記第1の面と融着されていてもよい。
【0008】
このICタグ付きボックスは、前記第1及び第2の面は、ICタグ付きボックスの胴部面であってもよい。
【0009】
このICタグ付きボックスは、前記連結部は、ICタグ付きボックスの内側において前記第1の面に融着されていてもよい。
【0010】
このICタグ付きボックスは、前記ICタグは、ICチップと、当該ICチップに電気的に接続されたアンテナとを含んでもよい。
【0011】
このICタグ付きボックスは、前記ICタグは、前記ICチップ及び前記アンテナを支持する基材をさらに含んでもよい。
【0012】
このICタグ付きボックスは、前記ICタグは、前記ICチップ及びアンテナを覆うように、前記基材の上方に設けられた保護層をさらに含んでもよい。
【0013】
このICタグ付きボックスは、前記基材及び前記保護層の少なくとも一方は、前記プラスチック材よりも融点が低くてもよい。
【0014】
このICタグ付きボックスは、前記基材及び前記保護層の少なくとも一方は、ポリエチレンテレフタレート樹脂であってもよい。
【0015】
このICタグ付きボックスは、前記プラスチック材は、ポリプロピレン樹脂であってもよい。
【0016】
また、本発明にかかるICタグ付きボックスの製造方法の一態様によれば、第1の面と当該第1の面に隣接する第2の面とを有し、プラスチック材で構成されたICタグ付きボックスの製造方法であって、前記第1の面、又は、当該第1の面と前記第2の面とを連結する連結部にICタグを配置するステップと、前記第1の面と前記連結部との間に前記ICタグを設けるように、前記第1の面と前記連結部とを融着するステップとを含む。
【0017】
このICタグ付きボックスの製造方法は、前記ICタグとして、ICチップと、当該ICチップに電気的に接続されたアンテナと、前記ICチップ及び前記アンテナを支持する基材と、前記ICチップ及びアンテナを覆うように、前記基材の上方に設けられた保護層と、を含むICタグを用意するステップと、前記プラスチック材として、前記基材及び前記保護層の少なくとも一方よりも融点が高い材料を用意するステップと、前記配置ステップは、前記ICタグを、前記第1の面又は前記連結部のいずれか一方に粘着材料によって固定することを含み、前記融着ステップは、前記連結部と少なくとも前記第1の面とを、前記基材及び前記保護層の少なくとも一方の融点よりも高い温度で加熱することを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態に係るICタグ付きボックスの斜視図である。
【図2】ICタグの一例を示す図である。
【図3】本実施形態に係るICタグ付きボックスをより具体的に説明するための図である。
【図4】本実施形態に係るICタグ付きボックスをより具体的に説明するための図である。
【図5】本実施形態に係るICタグ付きボックスの製造方法を示す図である。
【図6】本実施形態に係るICタグ付きボックスの製造方法を示す図である。
【図7】本実施形態に係るICタグ付きボックスの第1変形例を示す図である。
【図8】本実施形態に係るICタグ付きボックスの第2変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、発明の実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
(1)ICタグ付きボックス
まず、図1〜図4を参照して本実施形態に係るICタグ付きボックスを説明する。図1は、本実施形態に係るICタグ付きボックスの斜視図であり、図2はICタグの一例を示す図である。また、図3及び図4はそれぞれ、本実施形態に係るICタグ付きボックスをより具体的に説明するための図である。
【0021】
図1に示すように、ICタグ付きボックス10は、所定の情報を管理するためのICタグ40を備え、物品を内部に収容できる状態に組立可能であり、また、使用しないときには折り畳み可能なものである。本実施形態に係るICタグ付きボックス10は、プラスチック材(例えば熱可塑性プラスチック材)で構成されており、プラスチックダンボール又はプラスチックコンテナと呼ぶこともできる。プラスチックの材料は限定されるものではないが、例えばポリプロピレン(PP)樹脂が挙げられ、発泡性ポリプロピレン樹脂(例えば低発泡性ポリプロピレン樹脂)を使用することができる。ポリプロピレン樹脂は、比較的熱伝導率が低く、限られた部分のみを溶融することが容易であるため、後述するように所定部分を融着してボックスを構成する形態に非常に適している。
【0022】
図2に示すように、ICタグ40は、例えばIC(集積回路(Integrated Circuit))チップ42と、ICチップ42の外部端子(図示しない)に電気的に接続されたアンテナ(配線)44と、を含む。ICタグ40は、例えばRFID(Radio Frequency Identification)タグであってもよい。図2に示すように、ICチップ42及びアンテナ44は外部に露出された状態であってもよいし、又はICチップ42及びアンテナ44の全部又は一部が絶縁性カバーにより被覆されていてもよい。なお、ICタグ40の形態はこれらに限定されるものではなく、例えば後述する図7及び図8に示す形態等、様々な形態を採ることができる。
【0023】
図1及び図3に示すように、ICタグ付きボックス10は、複数の胴部面22,23,32,33と、複数の胴部面のそれぞれに隣接して設けられた頂部面26,27,36,37と、頂部面とは反対側において複数の胴部面のそれぞれに隣接して設けられた底部面28,29,38,39と、隣接する胴部面23,33を連結する連結部24と、隣接する胴部面22,32を連結する連結部34と、を含む。本実施形態において胴部面とは、ICタグ付きボックス10がボックス状に組み立てられたときに、物品を収容可能なように筒形状を構成するための面を指し、当該筒形状の一方側には頂部面、他方には底部面が設けられる。頂部面及び底部面は、ICタグ付きボックス10がボックス状に組み立てられたときに、筒形状の一端及び他端を塞ぐように構成され、頂部面はボックスの蓋を担い、また底部面はボックスの底を担うことができる。なお、これら胴部面、頂部面、底部面及び連結部は、独立した複数の板状のプラスチック材が連結されて構成されてもよいし、1つの板状のプラスチック材で一体的に構成されていてもよい。
【0024】
図1及び図3に示す例では、ICタグ付きボックス10は、それぞれ独立した第1及び第2のプラスチック板20,30が連結して構成されている。具体的には、第1のプラスチック板20が、複数の胴部面22,23と、複数の胴部面のそれぞれから連続して設けられた複数の頂部面26,27と、頂部面とは反対側において複数の胴部面のそれぞれから連続して設けられた底部面28,29と、胴部面23から連続して設けられた連結部24とを含み、また、第2のプラスチック板30が、複数の胴部面32,33と、複数の胴部面のそれぞれから連続して設けられた複数の頂部面36,37と、頂部面とは反対側において複数の胴部面のそれぞれから連続して設けられた底部面38,39と、胴部面33から連続して設けられた連結部34とを含み、連結部24が胴部面33に融着される一方で、連結部34が胴部面22に融着されることにより、第1のプラスチック板20と第2のプラスチック板30とが連結される。各プラスチック板において、複数の面及び連結部のうち、隣接する部分の境界には、図3の二点鎖線で示されるような折目が形成されており、当該折目に従ってプラスチック材を折り曲げ加工することにより、ボックス状に組み立てることができる。
【0025】
図1に示すように、連結部34は、第1の面としての胴部面22に融着され、胴部面22と胴部面32とを連結し、かかる融着された胴部面22と連結部34との間にICタグ40が設けられている。図4に示す例では、第2のプラスチック板30の表面を第1のプラスチック板20の表面に対向させて配置し、連結部34の裏面が第1のプラスチック板20の胴部面22に対向するように、連結部34と胴部面32との境界である折目が折り曲げられ、連結部34の当該裏面と胴部面22とが融着され、両者間にICタグ40が設けられている。このように、ボックスの形成工程において必要である胴部面22,32の連結のために用いられる連結部34を少なくとも利用してICタグ40の取り付けを行うことにより、ICタグ40の取付けに伴うボックスの設計変更を行うことなく、ICタグ40の取付けを行うことが可能になる。したがって、比較的簡易な構成を備えるICタグ付きボックス10を提供することができる。
【0026】
また、図1に示す例では、ICタグ40が融着された胴部面22と連結部34との間に設けられている。すなわち、ICタグ40がICタグ付きボックス10の胴部に設けられるので、ICタグ付きボックス10の搬送時にリーダーによるICタグの情報読取作業を容易に行うことができる。あるいは、かかる形態とは別に、ボックスの組立態様によっては、連結部34が頂部面又は底部面に融着され、かかる融着された頂部面又は底部面との間にICタグ40が設けられていてもよい。すなわち、ICタグ付きボックス10が、ICタグ付きボックス10がボックス状に組み立てられたときの蓋や底の部分に設けられてもよい。
【0027】
また、図1に示すように、ICタグ40は、平面視において、胴部面22及び連結部34のいずれからも外側にはみ出ることがないように設けられ、ボックスの外側及び内側から視認不可能となるように設けられる。これにより、外的環境からICタグ40を確実に保護することができ、ICタグが脱落又は損傷することがなくなり、ICタグ40による物品の情報管理を高い信頼性又は耐久性をもって行うことができる。
【0028】
また、図1に示すように、連結部34は、ICタグ付きボックス10の内側において胴部面22に融着されていてもよい。これにより、連結部34が、ボックスの外側に露出することがなくなるので、例えばICタグ付きボックス10が搬送時等において他のボックスと接触すること等により、連結部34と胴部面22とが剥離することが防止され、ICタグ40の脱落又は損傷を防止することができる。あるいは、かかる形態とは別に、連結部34は、ICタグ付きボックス10の外側において胴部面22に融着されても構わない。
【0029】
以上のとおり、本実施形態に係るICタグ付きボックス10によれば、プラスチック材で構成されており、第1の面(例えば胴部面22)及び当該第1の面と隣接する第2の面(例えば胴部面32)と、少なくとも第1の面に融着され、第1の面と第2の面とを連結する連結部34と、融着された第1の面と連結部34との間に設けられたICタグ40を含むので、比較的簡易な構成を有しながらも、ICタグの脱落又は損傷を効果的に防止することができる。よって、物流・生産工程・資産管理等において非常に有益なICタグ付きボックスを提供することができる。
【0030】
なお、図1に示す例では、連結部34が、第2の面(例えば胴部面32)から連続して設けられ、第1の面(例えば胴部面22)に融着される形態を説明したが、かかる形態とは別に、連結部34が第1の面(例えば胴部面22)及び第2の面(例えば胴部面32)から独立して設けられ、第1及び第2の面(例えば胴部面22,32)の両方に融着されて第1の面と第2の面とを連結するようにしてもよい。その場合には、かかる融着された第1の面と連結部34との間、及び第2の面と連結部34との間の一方又は双方にICタグ40を設けることができる。
【0031】
また、図1に示す例では、ICタグ付きボックス10は、矩形形状の4つの胴部面(胴部面22,23,32,34)を有する構成を例示したが、胴部面の数又は平面形状はこれに限定されるものではない。
【0032】
(2)ICタグ付きボックスの製造方法
次に、図5及び図6は本実施形態に係るICタグ付きボックスの製造方法を示す図である。以下、図1〜図6を参照して本実施形態に係るICタグ付きボックスの製造方法を説明する。
【0033】
まず、図2に示すようにICタグ40を用意し、また図3に示すようにプラスチック材を用意する。図3に示す例では、プラスチック材として、第1及び第2のプラスチック板20,30を用意する。各プラスチック板20,30には、所定の加工により複数の面及び連結部のうち、隣接する部分の境界に折目(図3では二点鎖線で示されている。)を形成する。なお、ICタグ40を取り付けるプラスチック材の形態は、第1及び第2のプラスチック材20,30の例に限定されるものではない。また、ICタグ40及びプラスチック材のその他の形態は、上記ICタグ付きボックスの記載において説明した内容を適用することができる。
【0034】
次に、図4及び図5に示すように、第1の面としての胴部面22又は連結部34にICタグ40を配置する。例えば、図4に示す例では、第2のプラスチック板30の連結部34にICタグ40を配置する。ICタグ40は必要があれば粘着材料(図示しない)を介して連結部34に固定してもよい。粘着材料の形態は限定されず、例えばシート状をなす両面粘着シート又はフィルムであってもよいし、流動性を有するものであってもよい。ICタグ40を連結部34に固定した後、連結部34を折目に沿って折り曲げ加工し、連結部34のICタグ40側の面が、第1のプラスチック板20の第2の面としての胴部面22に対向するように配置する。
【0035】
あるいは、ICタグ40を第1の面としての胴部面22又は連結部34に配置する前に、連結部34を折目に沿って折り曲げ加工し、連結部34の面のうち第1のプラスチック板20の第2の面としての胴部面22に対向する側に、ICタグ40を配置してもよい。
【0036】
次に、図5及び図6に示すように、第1の面としての胴部面22と、ICタグ40が配置された連結部34とを対向させて、胴部面22と連結部34との間にICタグ40を設けるように、胴部面22と連結部34とを融着する。具体的には、まず、胴部面22及び連結部34のそれぞれ互いに対向する側の表面22a,34aを加熱して、当該表面22a,34aを溶融させる。胴部面22及び連結部34の加熱条件は同等であることが好ましい。例えば図5に示すように、胴部面22及び連結部34を両者の表面22a,34aが離間した状態で対向するように配置し、かかる状態で両者の表面22a,34aに熱風を吹きつける。加熱条件としては、プラスチック材の表面が溶融する温度及び時間であれば限定されるものではないが、例えばプラスチック材がポリプロピレン樹脂からなる場合には、加熱温度200℃〜250℃程度、加熱時間数秒とすることができる。そして、上述したように胴部面22及び連結部34に熱を加えつつ、あるいは熱を加えた後、胴部面22及び連結部34を互いに接触する方向(図5及び図6の矢印の向き)に加圧する。こうして、胴部面22と連結部34との間にICタグ40を設けるように、胴部面22の表面22aと、連結部34の表面34aとを融着することができる。
【0037】
なお、プラスチック材の連結に際し、連結部が複数設けられている場合には、他の連結部(例えば連結部24)も同様の工程で加工することができる。
【0038】
こうして、図1に示すように、プラスチック材からなるICタグ付きボックス10であって、第1の面としての胴部面22と連結部34との間にICタグ40が設けられたICタグ付きボックス10を製造することができる。
【0039】
以上のプロセスによれば、同じプラスチック材の異なる部分の表面を互いに融着させるので、別途の接着材料が不要であり、プロセスが簡単でありまた部品点数を少なくすることができる。また、互いに融着される材料は同一材料であるため、加熱条件(融着条件)が同じであり、容易により強固な連結を達成することができる。したがって、ICタグ40をより確実にプラスチック材に取り付けることができる。
【0040】
(3)変形例
図7及び図8は、本実施形態に係るICタグ付きボックスの変形例を説明するための図であり、具体的にはICタグの変形例を示す図である。
【0041】
図7はICタグの第1の変形例を示す図である。本変形例では、ICタグ50は、
上述したICチップ42及びアンテナ44のほかに、ICチップ42及びアンテナ44を支持する基材52をさらに含む。このようなICタグ50はいわゆるインレイと呼ぶことができる。
【0042】
基材52は、上述したプラスチック材よりも融点が低い材料であってもよい。例えばプラスチック材としてポリプロピレン樹脂を用いた場合、基材52としてポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を用いることができる。基材52の厚さは限定されるものではないが、ICチップ42及びアンテナ44を支持するために適する厚さにすればよく、例えば50μm〜100μm程度であってもよい。
【0043】
本変形例にかかるICタグ付きボックスの製造方法は、上述したICタグ付きボックスの製造方法のICタグ40に代えて、本変形例に係るICタグ50を適用して行うことができる。ICタグ50を第1の面としての胴部面22又は連結部34に配置する場合、ICタグ50の基材52側を胴部面22又は連結部34に接触するように配置することができる。あるいは、逆向き、すなわちICタグ50の基材52側とは反対側を胴部面22又は連結部34に接触するように配置してもよい。このように逆向きにICタグ50を胴部面22又は連結部34に配置した場合、胴部面22及び連結部34を融着する工程において、ICチップ42及びアンテナ44が基材52によって覆われた状態になるので、ICチップ42及びアンテナ44を熱風から保護することができる。よって、ICチップ42及びアンテナ44の損傷又は両者の接触不良を防止することができ、信頼性の高いプロセスを実現することができる。
【0044】
図8はICタグの第2の変形例を示す図である。本変形例では、ICタグ60は、
上述したICチップ42、アンテナ44、基材52のほかに、ICチップ42及びアンテナ44を覆うように基材52の上方に設けられた保護層54をさらに含む。ICタグ60もいわゆるインレイと呼ぶことができる。
【0045】
保護層60は、上述したプラスチック材よりも融点が低い材料であってもよい。例えばプラスチック材としてポリプロピレン樹脂を用いた場合、保護層54としてポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を用いることができる。保護層54の厚さは限定されるものではないが、例えばICチップ42及びアンテナ44を製造プロセスに起因する外的影響から保護できる厚さにすればよく、例えば30μm〜100μm(例えば50μm)程度であってもよい。また、保護層54は基材52と同一の厚さを有していてもよい。
【0046】
本変形例にかかるICタグ付きボックスの製造方法は、上述したICタグ付きボックスの製造方法のICタグ40に代えて、本変形例に係るICタグ60を適用して行うことができる。ICタグ60を第1の面としての胴部面22又は連結部34に配置する場合、ICタグ60の基材52側を胴部面22又は連結部34に接触するように配置することができる。この場合、基材52におけるICチップ42及びアンテナ44とは反対側の面を、粘着材料を介して胴部面22又は連結部34に固定してもよい。その後、胴部面22及び連結部34を、基材52及び保護層54の少なくとも一方(例えば基材52及び保護層54の両方)の融点よりも高い温度で加熱する。言い換えれば、胴部面22及び連結部34を、プラスチック材が溶融する程度の温度で加熱する。こうして、胴部面22と連結部34との間にICタグ60を設けるように、胴部面22の表面と、連結部34の表面とを融着する。
【0047】
これによれば、ICチップ42、アンテナ44及び基材52が保護層54によって覆われた状態になるので、融着工程における加熱(例えば熱風)から保護することができる。よって、ICチップ42及びアンテナ44の損傷又は基材52の変形(例えば熱膨張に起因する変形)に起因するICチップ42とアンテナ44との電気的接触不良を防止することができ、信頼性の高いプロセスを実現することができる。
【0048】
また、融着工程において、基材52及び保護層54の少なくとも一方の融点よりも高い温度で加熱するので、少なくとも保護層54が溶けてICチップ42及びアンテナ44を保護層54及び基材52によって封止する又は封止状態に近い状態にすることができる。したがって、ICチップ42及びアンテナ44を外的影響からより確実に保護することができ、より信頼性の高いICタグ付きボックスを提供することができる。
【0049】
上記発明の実施形態を通じて説明された実施例や応用例は、用途に応じて適宜に組み合わせて、又は変更若しくは改良を加えて用いることができ、本発明は上述した実施形態の記載に限定されるものではない。そのような組み合わせ又は変更若しくは改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0050】
10…ICタグ付きボックス
22…胴部面(第1の面)
32…胴部面(第2の面)
34…連結部
40,50,60…ICタグ
42…ICチップ
44…アンテナ
52…基材
54…保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック材で構成されたICタグ付きボックスであって、
第1の面及び当該第1の面と隣接する第2の面と、
少なくとも前記第1の面に融着され、前記第1の面と前記第2の面とを連結する連結部と、
融着された前記第1の面と前記連結部との間に設けられたICタグと
を含む、ICタグ付きボックス。
【請求項2】
前記連結部は、前記第2の面から連続して設けられ、前記第1の面と融着されている、請求項1記載のICタグ付きボックス。
【請求項3】
前記第1及び第2の面は、ICタグ付きボックスの胴部面である、請求項1又は2記載のICタグ付きボックス。
【請求項4】
前記連結部は、ICタグ付きボックスの内側において前記第1の面に融着されている、請求項1から3のいずれかに記載のICタグ付きボックス。
【請求項5】
前記ICタグは、ICチップと、当該ICチップに電気的に接続されたアンテナとを含む、請求項1から4のいずれかに記載のICタグ付きボックス。
【請求項6】
前記ICタグは、前記ICチップ及び前記アンテナを支持する基材をさらに含む、請求項5記載のICタグ付きボックス。
【請求項7】
前記ICタグは、前記ICチップ及びアンテナを覆うように、前記基材の上方に設けられた保護層をさらに含む、請求項6記載のICタグ付きボックス。
【請求項8】
前記基材及び前記保護層の少なくとも一方は、前記プラスチック材よりも融点が低い、請求項7記載のICタグ付きボックス。
【請求項9】
前記基材及び前記保護層の少なくとも一方は、ポリエチレンテレフタレート樹脂である、請求項7又は8記載のICタグ付きボックス。
【請求項10】
前記プラスチック材は、ポリプロピレン樹脂である、請求項1から9のいずれかに記載のICタグ付きボックス。
【請求項11】
第1の面と当該第1の面に隣接する第2の面とを有し、プラスチック材で構成されたICタグ付きボックスの製造方法であって、
前記第1の面、又は、当該第1の面と前記第2の面とを連結する連結部にICタグを配置するステップと、
前記第1の面と前記連結部との間に前記ICタグを設けるように、前記第1の面と前記連結部とを融着するステップと
を含む、ICタグ付きボックスの製造方法。
【請求項12】
前記ICタグとして、ICチップと、当該ICチップに電気的に接続されたアンテナと、前記ICチップ及び前記アンテナを支持する基材と、前記ICチップ及びアンテナを覆うように、前記基材の上方に設けられた保護層と、を含むICタグを用意するステップと、
前記プラスチック材として、前記基材及び前記保護層の少なくとも一方よりも融点が高い材料を用意するステップと、
前記配置ステップは、前記ICタグを、前記第1の面又は前記連結部のいずれか一方に粘着材料によって固定することを含み、
前記融着ステップは、前記連結部と少なくとも前記第1の面とを、前記基材及び前記保護層の少なくとも一方の融点よりも高い温度で加熱することを含む、請求項11記載のICタグ付きボックスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−189018(P2010−189018A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33025(P2009−33025)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000191984)森村商事株式会社 (4)
【出願人】(391065781)第一大宮株式会社 (9)
【Fターム(参考)】