ICハンドラ
【課題】大きさの異なる電子部品に、より対応することが可能なICハンドラを提供する。
【解決手段】このICハンドラ1は、電子部品を吸着する吸着ノズル868と、水平面内のX方向およびY方向に各々独立して移動することが可能な8つの移動ユニット89とを備え、各々の移動ユニット89毎に1つの吸着ノズル868を装着可能で、かつ、少なくとも2つの移動ユニット89に対して1つの吸着ノズル868を装着可能なように構成されている。
【解決手段】このICハンドラ1は、電子部品を吸着する吸着ノズル868と、水平面内のX方向およびY方向に各々独立して移動することが可能な8つの移動ユニット89とを備え、各々の移動ユニット89毎に1つの吸着ノズル868を装着可能で、かつ、少なくとも2つの移動ユニット89に対して1つの吸着ノズル868を装着可能なように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ICハンドラに関し、特に、電子部品を吸着する吸着ノズルを備えたICハンドラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を吸着する吸着ノズルを備えたICハンドラが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1では、DUT(被測定デバイス)となる電子部品を吸着して保持する吸着パット(吸着ノズル)を2つ備えたICハンドラが開示されている。この2つの吸着パットは、吸着パット間の距離が固定された状態で1つのデバイスチャックに装着されている。これにより、1つのデバイスチャックで一度に2つのDUTを吸着することが可能である。
【0004】
【特許文献1】特開平9−236635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のICハンドラでは、一度に2つのDUTを吸着可能である一方、2つの吸着パット間の距離が固定されているので、一方の吸着パットに吸着される電子部品の大きさが他方の電子部品に接触してしまうほど大きい場合には、この電子部品を吸着することができない。すなわち、このICハンドラでは、大きさの異なる電子部品に十分に対応することができないという問題点がある。
【0006】
そこで、各吸着ノズルをそれぞれ別々の移動機構に装着することによって、各吸着ノズルを独立して移動させて、吸着ノズル間の距離を変更する構成が考えられる。しかしながら、この構成でも、1つの移動機構に対して1つの吸着ノズルが装着される構造であるため、基準位置で隣接する吸着ノズル間の距離が小さくなり、その結果、対応可能な電子部品の大きさが限定されてしまう。このため、大きさの異なる電子部品に、より対応することが可能なICハンドラが望まれる。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、大きさの異なる電子部品に、より対応することが可能なICハンドラを提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面によるICハンドラは、電子部品を吸着する吸着ノズルと、水平面内の第1方向および第1方向と交差する水平面内の第2方向に各々独立して移動することが可能な複数の移動ユニットとを備え、各々の移動ユニット毎に1つの吸着ノズルを装着可能で、かつ、少なくとも2つの移動ユニットに対して1つの吸着ノズルを装着可能なように構成されている。ここで、本出願において、「ICハンドラ」とは、電子部品の検査のために用いられるものであり、電子部品を所定の検査位置に移載するための部品移載装置を意味する。
【0009】
この一の局面によるICハンドラでは、上記のように、水平面内の第1方向および第1方向と交差する水平面内の第2方向に各々独立して移動することが可能な複数の移動ユニットを設けることによって、1つの移動ユニット毎に1つの吸着ノズルを装着した場合に、各移動ユニットの移動範囲内で各々の吸着ノズルを移動させることができるので、吸着される電子部品間の距離を変更して大きさの異なる電子部品に対応することができる。また、少なくとも2つの移動ユニットに対して1つの吸着ノズルを装着することによって、吸着ノズルの個数が減少されるので、その分、基準位置(吸着ノズルが第1方向および第2方向のいずれにも移動されていない位置)において、隣接する吸着ノズル間の距離を大きくすることができる。その結果、吸着する電子部品のためにより大きいスペースを確保することができるので、大きさの異なる電子部品に、より対応することができる。また、吸着ノズルの個数が減少する分、吸着ノズルにより押圧される部分の数を減らすことができるので、各々の吸着ノズルの押圧力を増加させることができる。これにより、押圧力の駆動源の能力を高めることなく、押圧力を高めることができる。また、1つの移動ユニット毎に1つの吸着ノズルを装着した場合に、各々の吸着ノズルを互いに独立して移動させることによって、異なる間隔で配置された複数種類の検査用ソケットに対応することができる。さらに、少なくとも2つの移動ユニットに対して1つの吸着ノズルを装着することによって、隣接する吸着ノズル間の距離をより大きくすることができるので、各移動ユニットによる移動では対応することができない大きさの間隔で配置された検査用ソケットにも対応することができる。
【0010】
上記一の局面によるICハンドラにおいて、好ましくは、1つの吸着ノズルが装着される少なくとも2つの移動ユニットは、第1方向および第2方向に一体的に移動されるように構成されている。このように構成すれば、装着された吸着ノズルを2つの移動ユニットと一体的に第1方向および第2方向に移動させることができる。
【0011】
上記一の局面によるICハンドラにおいて、好ましくは、少なくとも2つの移動ユニットを連結する連結部材をさらに備え、吸着ノズルは、連結部材を介して少なくとも2つの移動ユニットに装着されている。このように構成すれば、連結部材を用いて、容易に、吸着ノズルを少なくとも2つの移動ユニットに跨るように装着することができる。
【0012】
上記一の局面によるICハンドラにおいて、好ましくは、少なくとも2つの移動ユニットに装着されている吸着ノズルは、1つの移動ユニット毎に装着される吸着ノズルが吸着可能な電子部品の大きさよりも大きい電子部品を吸着可能に構成されている。このように構成すれば、大きさのより大きい電子部品を吸着することができる。すなわち、吸着ノズルを少なくとも2つの移動ユニットに装着することによって、吸着ノズルの個数が減少されて、その分、吸着する電子部品のためにより大きいスペースを確保することができる。これにより、吸着ノズルを、より大きい電子部品を吸着可能に構成すれば、より大きい電子部品に対応可能なICハンドラを得ることができる。
【0013】
上記一の局面によるICハンドラにおいて、好ましくは、吸着ノズルを保持する吸着ノズルヘッドをさらに備え、移動ユニットは、吸着ノズルを第1方向に移動させるための第1方向駆動装置と、吸着ノズルを第2方向に移動させるための第2方向駆動装置とを含み、第1方向駆動装置および第2方向駆動装置の少なくとも一部は、平面的に見て、吸着ノズルヘッドに対して重なるように配置されている。このように構成すれば、移動ユニットおよび吸着ノズルヘッドの平面的な配置スペースが大きくなるのを抑制することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、吸着ノズルを回動させるための回動駆動装置をさらに備え、回動駆動装置の少なくとも一部は、平面的に見て、吸着ノズルヘッドに対して重なるように配置されている。このように構成すれば、回動駆動装置および吸着ノズルヘッドの平面的な配置スペースが大きくなるのを抑制しながら、吸着ノズルを回動させることが可能なICハンドラを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態によるICハンドラの全体構成を示す平面図である。図2〜図11は、図1に示したICハンドラの構成を説明するための図である。図1〜図11を参照して、本発明の一実施形態によるICハンドラ1の構成について説明する。
【0017】
ICハンドラ1は、図1に示すように、試験装置本体2とともに部品試験装置100を構成している。また、ICハンドラ1は、トレイに収納された電子部品を取り出して試験装置本体2の後述するテストヘッド2aに移載する機能を有している。また、ICハンドラ1は、テストヘッド2aにおいて検査された後の検査済み部品を、検査結果に応じて仕分けするように構成されている。
【0018】
また、ICハンドラ1は、平面的に見て、矩形の外形形状を有している。また、ICハンドラ1は、基台1a上に複数のトレイ収納部10〜13と、トレイ移送部20と、部品取出部30と、部品収納部40と、部品供給部50と、部品排出部60と、ヘッドユニット支持部70とを備えている。
【0019】
トレイ収納部には、2つの未検査用トレイ収納部10と、空トレイ収納部11と、2つの良部品トレイ収納部12と、不良部品トレイ収納部13とがある。未検査用トレイ収納部10は、未検査部品が載置されるトレイを収納するように構成されている。空トレイ収納部11は、部品が載置されていない空のトレイを収納するように構成されている。良部品トレイ収納部12は、検査により良品と判断された良部品が載置される良部品トレイを収納するように構成されている。不良部品トレイ収納部13は、検査により不良品と判断された不良部品が載置される不良部品トレイを収納するように構成されている。また、トレイ収納部10〜13は、平面的に見て、ICハンドラ1のY方向の一方端部近傍において、X方向に並列して配置されている。また、基台1a上には、載置される部品を加熱するヒータが配置されたホットプレート14が設けられている。なお、X方向およびY方向は、水平面内において互いに直交する2方向である。
【0020】
また、これらのトレイ収納部10〜13は、それぞれ、複数のトレイを積み重ねた状態で収納可能に構成されている。また、トレイ収納部10〜13は、それぞれ、最上段に位置するトレイだけを基台1a上に露出させ、その他のトレイを基台1aの上面よりも下側に配置させている。具体的には、トレイ収納部10〜13は、それぞれ、図示しないテーブルを有し、テーブルを昇降させることによって、テーブル上に積載された複数のトレイを1つずつ基台1a上に配置させるように構成されている。
【0021】
トレイ移送部20は、トレイ収納部10〜13間で空トレイを搬送する機能を有している。具体的には、トレイ移送部20は、電子部品が取り出されて空になったトレイを未検査用トレイ収納部10から空トレイ収納部11の最上段の位置に移送するように構成されている。また、トレイ移送部20は、空トレイ収納部11の最上段から良部品トレイ収納部12、不良部品トレイ収納部13の最上段に空トレイを移送するように構成されている。これにより、各トレイ収納部12、13において所定数の検査済み部品で満たされたトレイの上に空のトレイを重ねて載置することが可能である。また、トレイ移送部20は、後述するレール部材支持フレーム341の下方を通過してX方向に延び、後述するレール部材32の下方に位置するレール部材21と、図示しない駆動装置によって駆動されて、レール部材21に沿ってX方向に移動可能なヘッド部22とを有している。また、トレイ移送部20は、ヘッド部22に設けられたバキュームパッド(図示せず)により最上段に配置された空トレイを吸着した状態でヘッド部22をX方向に移動することによって、トレイをX方向に並列された他のトレイ収納部に移送するように構成されている。
【0022】
部品取出部30は、未検査部品を未検査用トレイ収納部10、11のトレイから取り出して部品供給部50の後述するシャトル51上に移載する機能を有している。また、部品取出部30は、Y方向に延び、一方がレール部材支持フレーム341に支持される2つのレール部材31と、X方向に延びるように形成され、両端部をそれぞれレール部材31に支持された支持部材32と、支持部材32に取り付けられたヘッド部33とを有している。支持部材32は、図示しない駆動装置により駆動されて、左右のレール部材31に沿ってY方向に直線移動するように構成されている。ヘッド部33は、不図示の駆動装置により駆動されて、支持部材32に沿ってX方向に直線移動するように構成されている。また、ヘッド部33には、電子部品を吸着可能な吸着ノズルユニット34が4つ搭載されている。そして、部品取出部30は、ヘッド部33をX方向およびY方向に移動させながら、4つの吸着ノズルユニット34の内一つ置いて隣接する2つの吸着ノズルユニット34を下降上昇させて同時に吸着した2つの未検査部品を、未検査用トレイ収納部10の最上段のトレイから部品受取位置51a(図1参照)に位置するシャトル51上の所定位置に、2回に分けて計4つの未検査部品を移載するように構成されている。なお、常温より高い所定の温度で検査をする必要のある部品については、未検査用トレイ収納部10から直接、シャトル51上へ移載することはせず、電子部品を一旦ホットプレート14上に載置し、載置後所定時間以上経過し所望の温度に昇温した電子部品を吸着ノズルユニット34で吸着し、部品受取位置51aに位置するシャトル51上へ移載する。
【0023】
部品収納部40は、検査済み部品を部品排出部60の後述するシャトル61上から取り出してトレイ収納部12あるいは13のいずれかのトレイに移載する機能を有している。また、部品収納部40は、Y方向に延び、一方がレール部材支持フレーム341に支持される2つのレール部材41と、X方向に延びるように形成され、両端部をそれぞれレール部材41に支持された支持部材42と、支持部材42に取り付けられたヘッド部43とを有している。支持部材42は、不図示の駆動装置により駆動されて、左右のレール部材41に沿ってY方向に直線移動するように構成されている。ヘッド部43は、不図示の駆動装置により駆動されて、支持部材42に沿ってX方向に直線移動するように構成されている。また、ヘッド部43には、電子部品を吸着可能な吸着ノズルユニット44が4つ搭載されている。そして、部品収納部40は、ヘッド部43をX方向およびY方向に移動させながら、吸着ノズルユニット44により吸着した検査済み部品を、部品受渡位置61aに位置するシャトル61からトレイ収納部12、13の最上段に位置するいずれかのトレイに移載するように構成されている。具体的には、部品収納部40は、検査の結果、良部品と判断された電子部品をシャトル61から良部品トレイ収納部12のトレイに移載し、不良部品と判断された電子部品をシャトル61から不良部品トレイ収納部13のトレイに移載するように構成されている。
【0024】
部品供給部50は、部品受取位置51aで受け取った未検査部品を部品受渡位置51b(図2参照)、51cまで移送する機能を有している。また、部品供給部50は、4つの未検査部品を載置可能なシャトル51と、Y方向に延びるレール部材52とを有している。シャトル51は、不図示の駆動装置により駆動されて、レール部材52に沿ってY方向に直線移動するように構成されている。これにより、部品供給部50は、所定のタイミングで4つの未検査部品を互いに接触させることなく部品受取位置51aから部品受渡位置51b(図2参照)または51cまで搬送することが可能である。また、部品供給部50は、シャトル51をY方向に移動する際に、図示しない真空装置を駆動することによって、載置する未検査部品がシャトル51上で位置ずれするのを防止するように構成されている。
【0025】
部品排出部60は、部品受取位置61b、61c(図2参照)で受け取った検査済み部品を部品受渡位置61a(図1参照)まで移送する機能を有している。また、部品排出部60は、4つの検査済み部品を載置可能なシャトル61と、Y方向に延びるレール部材62とを有している。シャトル61は、不図示の駆動装置により駆動されて、レール部材62に沿ってY方向に直線移動するように構成されている。これにより、部品排出部60は、所定のタイミングで4つの検査済み部品を互いに接触させることなく部品受取位置61bまたは61c(図2参照)から部品受渡位置61aまで搬送することが可能である。また、部品排出部60は、シャトル61をY方向に移動する際に、図示しない真空装置を駆動することによって、載置する検査済み部品がシャトル61上で位置ずれするのを防止するように構成されている。
【0026】
ヘッドユニット支持部70は、部品供給部50のシャトル51により部品受渡位置51b(図2参照)または51cまで移送された未検査部品を互いに接触させることなく4つ同時に、基台1a表面に露出された試験装置本体2の後述するテストヘッド2aに移載するように構成されている。さらに、ヘッドユニット支持部70は、テストヘッド2a上の検査済み部品を互いに接触させることなく4つ同時に、部品受取位置61bまたは61c(図2参照)に位置する部品排出部60のシャトル61に移載するように構成されている。また、ヘッドユニット支持部70は、Y方向に延びる一対のレール部材71と、X方向に延びるように形成された支持部材72と、2つのヘッドユニット80および90とを有している。一対のレール部材71は、基台1aのX方向側の両端部近傍に配置されている。支持部材72は、X方向側の両端部近傍がそれぞれレール部材71に支持されているとともに、不図示の駆動装置により駆動されて、レール部材71に沿ってY方向に直線移動するように構成されている。また、支持部材72は、X方向に延びる2つのレール部材72aおよび72bを有している。
【0027】
ヘッドユニット80および90は、それぞれ、支持部材72を挟むように支持部材72のY方向の両側に配置されている。また、ヘッドユニット80は、支持部材72のレール部材72aに摺動可能に設けられ、不図示の駆動装置により駆動されて、レール部材72aに沿ってX方向に直線移動するように構成されている。ヘッドユニット90は、支持部材72のレール部材72bに摺動可能に設けられ、不図示の駆動装置により駆動され、レール部材72bに沿ってX方向に直線移動するように構成されている。すなわち、ヘッドユニット80および90は、支持部材72の移動に伴ってY方向に一体的に移動するとともに、X方向に互いに独立して移動するように構成されている。
【0028】
また、ヘッドユニット80は、図2に示すように、ヘッドユニット90により移載された電子部品がテストヘッド2aで検査されている最中に、部品受渡位置51bのシャトル51上から未検査部品を取り出して、基台1aの表面に設けられた撮像装置1b上を通過するようにX方向に移動するように構成されている。また、ヘッドユニット90は、図1に示すように、ヘッドユニット80により移載された電子部品がテストヘッド2aで検査されている間に、部品受渡位置51cのシャトル51上から未検査部品を取り出して、基台1aの表面に設けられた撮像装置1c上を通過するようにX方向に移動するように構成されている。これにより、ヘッドユニット80、90の一方によりテストヘッド2aに移載された電子部品が検査されている間に、ヘッドユニット80、90に吸着された電子部品を撮像装置1b、あるいは撮像装置1cにより撮像して、電子部品の位置ずれを確認することが可能である。また、ヘッドユニット80および90は、互いに同様の構成を有している。このため、以下では、ヘッドユニット80の詳細な構成について説明し、ヘッドユニット90については詳細な説明を省略する。
【0029】
ヘッドユニット80は、図3〜図5に示すように、ベース部材81(図1および図2参照)と、ユニット支持部82(図3および図4参照)と、8つのX方向駆動装置83と、8つのY方向駆動装置84と、4つのR軸駆動装置85と、4つのヘッド部86と、吸着用負圧供給部87(図3参照)と、2つの下方撮像装置88とを備えている。また、1つのX方向駆動装置83と、1つのY方向駆動装置84とにより、1つの移動ユニット89が構成されている。すなわち、ヘッドユニット80において、レール部材72aに移動可能に取り付けられたベース部材81に、8つの移動ユニット89が搭載されている。なお、X方向駆動装置83は、本発明の「第1方向駆動装置」の一例であり、Y方向駆動装置84は、本発明の「第2方向駆動装置」の一例である。また、R軸駆動装置85は、本発明の「回動駆動装置」の一例であり、ヘッド部86は、本発明の「吸着ノズルヘッド」の一例である。後述するようにヘッド部86は主に、筒部861、プーリ851b、軸部862、2つのアダプタ863、864、ヘッド部材865、吸着ノズル保持部材866、吸着ノズル868、およびR軸駆動装置85とからなる。
【0030】
ユニット支持部82は、図3〜図8に示すように、ベースプレート821(図3および図4参照)と、水平プレート822と、垂直プレート823と、後述のX方向ボールネジ軸832bを支持する軸支持部824(図8参照)とを有している。ベースプレート821は、Z方向に延びるボールネジ821a(図3参照)やガイドレール(図示しない)などからなる昇降駆動部821bにより、ベース部材81に対して昇降可能に構成されている。また、ベースプレート821は、下端部において図示しないアングル部材を介して水平プレート822に取り付けられている。そして、ベースプレート821がZ方向に昇降されることによって、水平プレート822を介して、X方向駆動装置83およびY方向駆動装置84からなる8つの移動ユニット89と、4つのR軸駆動装置85と、4つのヘッド部86と、2つの下方撮像装置88とが一体的に昇降される。
【0031】
水平プレート822は、平板形状を有し、平面的に見て、ベースプレート821の下側に重なるように配置されている。また、水平プレート822は、図9に示すように、Y方向側の両端部およびY方向側の中央部に下側に突出する突起部822aを有している。3つの突起部822aは、それぞれ、X方向に延びるように形成されている。
【0032】
垂直プレート823は、図3〜図8に示すように、水平プレート822のX方向側の両側側面に取り付けられ、Y方向に延びるように形成されている。また、垂直プレート823は、図8に示すように、水平プレート822の厚みよりも大きい高さを有し、水平プレート822の下面よりも下方に突出するように配置されている。また、軸支持部824は、図8に示すように、水平プレート822のX方向側の中央部において、水平プレート822の下面から下方に突出するように設けられている。また、軸支持部824は、Y方向に延びるように形成されている。
【0033】
8つのX方向駆動装置83は、それぞれ、同様の構成を有しており、各X方向駆動装置83は、吸着ノズル868(図11参照)を水平プレート822に対してX方向に移動させる機能を有している。また、8つのX方向駆動装置83は、図8および図9に示すように、それぞれ、X方向スライド部831(図9参照)と、X方向駆動機構部832と、X方向移動部材833と、X方向ボールナット834とから構成されている。
【0034】
X方向スライド部831は、図9に示すように、X方向に延びるX方向ガイドレール831aと、X方向ガイドレール831aに摺動可能なX方向スライダ831bとを有している。X方向ガイドレール831aは、全体で4本設けられており、水平プレート822のY方向側の両端部に設けられた突起部822aの下面にそれぞれ1本ずつ配置され、中央部の突起部822aの下面に2本配置されている。また、X方向ガイドレール831aは、水平プレート822のX方向の略全長にわたって設けられている。また、X方向ガイドレール831aは、1つのX方向駆動装置83について2本ずつ用いられる。具体的には、図9に示すように、Y1方向側の2本のX方向ガイドレール831aは、Y1方向側でX方向に並列して配置される4つのX方向駆動装置83により兼用され、Y2方向側の2本のX方向ガイドレール831aは、Y2方向側でX方向に並列して配置される4つのX方向駆動装置83により兼用される。X方向スライダ831bは、1つのX方向駆動装置83につき2つずつ設けられている。また、X方向スライダ831bは、X方向ガイドレール831aの両側側面に設けられたX方向に延びる溝部に係合する一対の爪部を有しており、爪部が溝部に係合した状態でX方向ガイドレール831aに対してX方向にスライドするように構成されている。また、X方向スライダ831bは、X方向ガイドレール831aによりY方向への移動が規制されるとともに、爪部が溝部に係合することによってZ方向への移動が規制されている。
【0035】
各X方向駆動機構部832は、それぞれ、X方向モータ832aと、X方向に延びるX方向ボールネジ軸832bと、2つのプーリ832c(図8参照)と、タイミングベルト832d(図8参照)とを有している。X方向モータ832aは、図7に示すように、サーボモータからなり、水平プレート822のX方向側の両端部近傍において、平面的に見て、水平プレート822に重なるように上側に配置されている。具体的には、水平プレート822のX方向側の両端部近傍に、それぞれ4つずつのX方向モータ832aがY方向に並列して配置されている。また、X方向モータ832aは、図7および図8に示すように、取付板832eを介して垂直プレート823に固定されている。
【0036】
X方向ボールネジ軸832bは、図8および図9に示すように、平面的に見て、水平プレート822の下側に重なるように配置されている。また、X方向ボールネジ軸832bは、X方向に2列、Y方向に4本ずつ並列して配置されている。具体的には、X方向ボールネジ軸832bは、図9に示すように、2本のX方向ガイドレール831aの間に2本ずつ配置されている。また、X方向ボールネジ軸832bは、図8に示すように、一方端部近傍を垂直プレート823に回動可能に支持され、他方端部を軸支持部824に回動可能に支持されている。2つのプーリ832cは、それぞれ、X方向モータ832aの出力軸およびX方向ボールネジ軸832bの一方端部に取り付けられている。タイミングベルト832dは、2つのプーリ832cに掛け渡されている。また、2つのプーリ832cおよびタイミングベルト832dは、カバー832fにより覆われている。上記のような構成により、X方向駆動機構部832は、X方向モータ832aの回転駆動を2つのプーリ832cおよびタイミングベルト832dを介して、X方向ボールネジ軸832bに伝達するように構成されている。これにより、X方向ボールネジ軸832bを回転させることが可能である。
【0037】
X方向移動部材833は、図9に示すように、X方向側から見て矩形形状を有し、2つのX方向スライダ831bの下側に吊り下げられるように配置されている。また、各X方向移動部材833は、それぞれ、平面的に見て、水平プレート822の下側に重なるように配置されている。また、X方向移動部材833は、中空形状に形成されている。X方向移動部材833の中空部には油受け900が挿入配置され、両端が垂直プレート823に保持されている。また、X方向移動部材833は、図8および図9に示すように、Y方向に2列、X方向に4つずつ並列して配置されている。また、X方向移動部材833は、図9に示すように、Y方向側の両端部がX方向スライダ831bに固定されている。これにより、X方向移動部材833は、2つのX方向スライダ831bを介してX方向ガイドレール831aに吊り下げられた状態となる。
【0038】
X方向ボールナット834は、X方向ボールネジ軸832bに螺合するように構成されている。また、X方向ボールナット834は、全体で8つ設けられており、各X方向ボールナット834は、それぞれ、別々のX方向ボールネジ軸832bに螺合されている。また、各X方向ボールナット834は、それぞれ、別々のX方向移動部材833に取り付けられて保持されている。これにより、各X方向ボールネジ軸832bを回転させることによって、各X方向ボールナット834を介して、X方向ガイドレール831aに吊り下げられた各X方向移動部材833を水平プレート822に対して互いに独立してX方向に移動させることが可能となる。
【0039】
8つのY方向駆動装置84は、それぞれ、同様の構成を有しており、各Y方向駆動装置84は、吸着ノズル868(図11参照)を水平プレート822に対してY方向に移動させる機能を有している。また、8つのY方向駆動装置84は、図8および図9に示すように、X方向移動部材833の下面に取り付けられX方向移動部材833と一体化されてX方向に移動する各支持部材841に、Y方向スライド部842(図8参照)が取り付けられている。8つのY方向駆動装置84は、それぞれ、Y方向スライド部842(図8参照)と、Y方向駆動機構部843と、Y方向ボールナット844と、Y方向に移動可能なヘッド取付部材845とから構成されている。
【0040】
支持部材841は、図8に示すように、Y方向側から見て略U字形状を有し、開口部が下方向を向くように配置されている。また、Y方向移動部材となるヘッド取付部材845は、平面的に見てX方向移動部材833に重なるように配置されている。
【0041】
Y方向スライド部842は、図8に示すように、クロスローラ方式に構成され、Y方向に延び、支持部材841の一部と見なすことができる外側スライダ842aと、内側スライダ842bと、図示しない円柱形状の軸部材とを有している。外側スライダ842aは、Y方向に延びるように形成され、Y方向から見て下方に延びる支持部材841の両端部下面に取り付けられ固着されている。また、外側スライダ842aの内側の側面には、Y方向に延びるV字形状の溝部が形成されている。内側スライダ842bは、Y方向に延びるように形成され、ヘッド取付部材845に取り付けられている。また、内側スライダ842bは、外側スライダ842aに隣接して配置され、内側スライダ842bの外側の側面には、外側スライダ842aの溝部に対向するようにY方向に延びるV字形状の溝部が形成されている。また、外側スライダ842aおよび内側スライダ842bは、対向する溝部の間にY方向に延びる円柱形状の軸部材(図示せず)を挟み込むように配置されている。これにより、内側スライダ842bは、外側スライダ842aに対してY方向に摺動可能となる。また、軸部材をV字形状の溝部により両側から挟み込むことによって、外側スライダ842aおよび内側スライダ842bは互いにZ方向にずれるのが規制される。
【0042】
各Y方向駆動機構部843は、それぞれ、Y方向モータ843aと、Y方向に延びるY方向ボールネジ軸843bと、2つのプーリ843c(図9参照)と、タイミングベルト843d(図9参照)とを有している。Y方向モータ843aは、図7に示すように、サーボモータからなり、水平プレート822のY方向側の両端部近傍に配置されている。具体的には、水平プレート822のY方向側の両端部近傍それぞれにおいて、2つのY方向モータ843aが平面的に見て、水平プレート822に重なるように上側に並列して配置され、他の2つのY方向モータ843aが平面的に見て水平プレート822に重なるように下側に配置されている。より詳細には、水平プレート822のY方向側の両端部近傍それぞれにおいて、X方向側の略中央部で2つのY方向モータ843aが水平プレート822の上側に配置され、水平プレート822のX方向側の両端部近傍でそれぞれ1つずつのY方向モータ843aが水平プレート822の下側に配置されている。また、水平プレート822の下側に配置されたY方向モータ843aは、図8に示すように、支持部材841に隣接して配置されている。また、Y方向モータ843aは、図7および図9に示すように、取付板843eを介してX方向移動部材833に固定されている。
【0043】
Y方向ボールネジ軸843bは、図8および図9に示すように、略U字形状の支持部材841に囲まれる位置に配置されるとともに、平面的に見て、X方向移動部材833の下側に重なるように配置されている。また、Y方向ボールネジ軸843bは、Y方向に2列、X方向に4本ずつ並列して配置されている。また、Y方向ボールネジ軸843bは、図9に示すように、両端部近傍を支持部材841の壁状に下方に延びる部分に回動可能に支持されている。2つのプーリ843cは、それぞれ、Y方向モータ843aの出力軸およびY方向ボールネジ軸843bの一方端部に取り付けられている。タイミングベルト843dは、2つのプーリ843cに掛け渡されている。上記のような構成により、Y方向駆動機構部843は、Y方向モータ843aの回転駆動を2つのプーリ843cおよびタイミングベルト843dを介して、Y方向ボールネジ軸843bに伝達するように構成されている。これにより、Y方向ボールネジ軸843bを回転させることが可能である。
【0044】
Y方向ボールナット844は、Y方向ボールネジ軸843bに螺合するように構成されている。また、Y方向ボールナット844は、全体で8つ設けられており、各Y方向ボールナット844は、それぞれ、別々のY方向ボールネジ軸843bに螺合されている。
【0045】
ヘッド取付部材845は、図8および図10に示すように、Y方向から見て略T字形状を有しており、Y方向に延びるように形成されている。また、ヘッド取付部材845は、X方向側の中央部の凸部が上側に位置するように配置され、凸部上端面がY方向ボールナット844に固着されている。また、ヘッド取付部材845の凸部の両側側面には、それぞれ内側スライダ842bが取り付けられている。これにより、ヘッド取付部材845は、Y方向スライド部842により支持部材841に吊り下げられた状態となる。これにより、各Y方向ボールネジ軸843bを回転させることによって、各内側スライダ842bとともに各Y方向ボールナット844に一体化された各ヘッド取付部材845を、X方向移動部材833に対して互いに独立してY方向に移動させることが可能となる。
【0046】
ヘッド部86を構成するR軸駆動装置85は、それぞれ、同様の構成を有しており、それぞれの下側に配置された吸着ノズル868(図11参照)を、互いに独立して吸着ノズル868の中心軸R(図11参照)を回動中心として回動させる機能を有している。また、各R軸駆動装置85は、図11に示すように、それぞれ、R方向モータ851aと、2つのプーリ851bと、タイミングベルト851cとを有している。R方向モータ851aは、サーボモータからなり、ヘッド取付部材845よりも下側に配置されている。具体的には、R方向モータ851aは、ヘッド取付部材845よりも下側で、ヘッド部86の後述する筒部861に隣接して配置されている。また、R方向モータ851aは、図3〜図5および図11に示すように、取付板851dを介してヘッド部86の後述する筒部861に取り付けられている。2つのプーリ851bは、図11に示すように、それぞれ、R方向モータ851aの出力軸およびヘッド部86の後述する軸部862に取り付けられている。また、軸部862に取り付けられたプーリ851bは、平面的に見て、筒部861に重なるように配置されている。タイミングベルト851cは、2つのプーリ851bに掛け渡されている。上記のような構成により、R軸駆動装置85は、R方向モータ851aの回転駆動を2つのプーリ851bおよびタイミングベルト851cを介して、後述する軸部862に伝達するように構成されている。これにより、軸部862を介して吸着ノズル868を中心軸Rを回動中心として回動させることが可能である。
【0047】
ここで、本実施形態では、1つのヘッド部86は、図4に示すように、X方向に隣接する2つの移動ユニット89に跨って装着されている。具体的には、ヘッド部86は、X方向に隣接する2つのヘッド取付部材845を連結する連結プレート86aを有し、1つの連結プレート86aを介して、1つのヘッド部86がヘッド取付部材845に取り付けられている。すなわち、吸着ノズル868(図11参照)は、2つの移動ユニット89に対して1つ装着されている。このため、X方向に隣接する2つの移動ユニット89のヘッド取付部材845は、X方向およびY方向に一体的に移動するように構成されている。より詳細には、1つの連結プレート86aに取り付けられる2つの移動ユニット89のX方向駆動装置83のX方向モータ832aは、それぞれ同期して回転するとともに、2つの移動ユニット89のY方向駆動装置84のY方向モータ843aも、それぞれ同期して回転し同時に停止する。あるいは、一方の移動ユニット89のX方向モータ832aおよびY方向モータ843aのみ作動し、他方の移動ユニット89のX方向モータ832a、Y方向モータ843aは、X方向ボールナット834、Y方向ボールナット844の移動によるX方向ボールネジ軸832b、Y方向ボールネジ軸843bの回転に伴い、自由に回転する。このように各モータが動作することで、X方向に隣接する2つの移動ユニット89のX方向移動部材833は、X方向に一体的に移動し、X方向に隣接する2つの移動ユニット89のヘッド取付部材845は、Y方向に一体的に移動する。これにより、4つのヘッド部86は、互いに独立してX方向およびY方向に移動可能である。なお、連結プレート86aは、本発明の「連結部材」の一例である。また、図6に示すように、1つのヘッド部86を1つの移動ユニット89毎に装着した場合には、8つのヘッド部86を互いに独立してX方向およびY方向に移動することが可能である。
【0048】
また、1つのヘッド部86を2つの移動ユニット89に装着することによって、各移動ユニット89に1つずつヘッド部が装着されている場合に比べて、隣接するヘッド部86間の距離が大きくなるので、各ヘッド部86を配置することができるスペースが大きくなる。これにより、各移動ユニット89に1つずつヘッド部を装着する場合に比べて、各ヘッド部86の大きさを大きくすることが可能である。そのため、本実施形態では、ヘッド部86は、各移動ユニット89に1つずつヘッド部を装着する場合に装着可能なヘッド部の大きさよりも大きくなるように構成されている。具体的には、ヘッド部86のX方向およびY方向の幅がそれぞれ大きくなっている。これにより、ヘッド部86の機械的強度が高められるので、吸着する電子部品をテストヘッド2aの検査用ソケットに押圧する際の押圧力を高めることが可能である。また、ヘッド部86の数が少なくなる分、昇降駆動部821bによる押圧力を少数のヘッド部86に集約させることができるので、押圧力を高めることが可能である。また、隣接するヘッド部86の間隔が大きくなることによって、吸着する電子部品間の距離が大きくなるので、吸着する電子部品のためにより大きいスペースを確保可能である。このため、本実施形態では、吸着ノズル868は、各移動ユニット89に1つずつヘッド部を装着した場合に吸着ノズルが吸着可能な電子部品の大きさよりも大きい電子部品を吸着することが可能に構成されている。
【0049】
また、ヘッド部86は、平面的に見て、X方向駆動装置83のX方向移動部材833およびY方向駆動装置84のヘッド取付部材845に対して重なるように配置されている。また、ヘッド部86は、吸着ノズル868を保持する機能を有している。また、ヘッド部86は、筒部861と、軸部862と、2つのアダプタ863、864と、ヘッド部材865と、吸着ノズル保持部材866とを有している。
【0050】
筒部861は、平面的に見て、略矩形形状を有し、中空の筒状に形成されている。また、筒部861は、ヘッド取付部材845の下面に取り付けられ、平面的に見て、ヘッド取付部材845に重なる位置に配置されている。軸部862は、筒部861に挿入され、筒部861内で軸受部867により筒部861に対して回動可能に支持されている。また、軸部862の下端部近傍には、R軸駆動装置85のプーリ851bが取り付けられている。これにより、R方向モータ851aを駆動させることによって、プーリ851bを介して軸部862を回動させることが可能である。また、軸部862の下には、円柱状のアダプタ863が配置され、アダプタ863の下には、円柱状のアダプタ864が配置されている。
【0051】
ヘッド部材865は、八角形の外形形状を有し、アダプタ864の下に設けられている。また、ヘッド部材865は、平面的に見て、軸部862に取り付けられたR軸駆動装置85のプーリ851bに重なるように配置されている。また、ヘッド部材865は、中空の筒状に形成されている。また、ヘッド部材865の内部には、吸着ノズル保持部材866が挿入されるとともに、吸着ノズル保持部材866には吸着ノズル868が挿入されている。さらに、水平プレート822と、X方向ボールネジ軸832bと、X方向移動部材833と、支持部材841と、Y方向ボールネジ軸843bと、ヘッド取付部材845と、軸部862に取り付けられたR軸駆動装置85のプーリ851bを含むヘッド部86とは、平面的に見て、互いに重なるように配置されている。また、吸着ノズル868は、平面的に見て、軸部862に取り付けられたR軸駆動装置85のプーリ851bに重なる位置に配置されている。
【0052】
また、吸着ノズル保持部材866および吸着ノズル868は、ヘッド部材865に対して上下方向(Z方向)に一体的に摺動可能とされている。また、ヘッド部材865の内部において吸着ノズル保持部材866の上端部に圧縮コイルバネ869が設けられている。これにより、吸着ノズル868が電子部品を介して後述するテストヘッド2aの検査用ソケットに押圧される際の、吸着ノズル868への下側からの反力に対して、バフィング機能(衝撃緩和機能)が働くようになっている。また、吸着ノズル868は、軸部862が回動されることによって、軸部862、アダプタ863、864、ヘッド部材865および吸着ノズル保持部材866と一体的に中心軸Rを回動中心として回動されるように構成されている。また、吸着ノズル868は、中空の筒状に形成されており、内部の負圧により下端部で吸引力が作用するように構成されている。これにより、吸着ノズル868の下端部で電子部品を吸着することが可能である。吸着ノズル868の内部には、吸着用負圧供給部87(図3参照)から供給される負圧がヘッド部材865のエア通路865a(図11参照)などを介して到達されるように構成されている。
【0053】
上記のような構成により、4つの吸着ノズル868は、それぞれ互いに独立して、ユニット支持部82に対してX方向およびY方向に移動可能であるとともに、それぞれ互いに独立して各々の中心軸Rを回動中心として回動可能である。これにより、各吸着ノズル868により吸着される電子部品が位置ずれしている場合でも、各吸着ノズル868を独立に移動および回動させて、電子部品の位置をテストヘッド2aの検査用ソケットの位置に精度よく合わせることが可能である。
【0054】
2つの下方撮像装置88は、それぞれ、シャトル51、61の電子部品載置位置の確認およびテストヘッド2aの検査用ソケットの位置を確認するために用いられる。
【0055】
試験装置本体2は、ICハンドラ1に着脱可能に構成されており、装着時にはICハンドラ1の下側に重なるように配置されている。試験装置本体2は、テストヘッド2aを有し、テストヘッド2aには4つの検査用ソケット(図示せず)が設けられている。また、試験装置本体2は、4つの検査用ソケットに押圧された電子部品について検査を行うように構成されている。
【0056】
次に、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態によるICハンドラ1の動作について説明する。
【0057】
まず、部品取出部30の4つの吸着ノズルユニット34により、未検査用トレイ収納部10の最上段のトレイから2つの電子部品が吸着されて取り出される。そして、取り出された2つの未検査部品は、部品取出部30により、移動されて図1に示す部品受取位置51aに位置するシャトル51上の所定位置に載置される。この動作が2回繰り返されることによって、シャトル51上に4つの未検査部品が載置される。その後、部品供給部50により、シャトル51が図2に示す部品受渡位置51bに移送される。この際、ヘッドユニット90は、テストヘッド2aの上方に位置し、ヘッドユニット90に吸着された電子部品について検査が実施されている。なお、ヘッドユニット80がテストヘッド2aの上方に位置し、ヘッドユニット80に吸着された電子部品について検査が実施されている場合には、シャトル51は、部品受渡位置51cに移送される。また、シャトル51が移送される際には、真空装置が駆動されてシャトル51上の電子部品の位置ずれが防止される。
【0058】
次に、ヘッドユニット80が部品受渡位置51bの上方に移動され、ヘッドユニット80の4つの吸着ノズル868により、シャトル51に載置された未検査部品が吸着されて取り出される。そして、ヘッドユニット80がX方向に移動されて基台1aのX方向側の略中央に配置される。この際、ヘッドユニット80が撮像装置1bの上方を通過することによって、4つの吸着ノズル868に吸着されている4つの電子部品が撮像されて部品の位置ずれが検知される。そして、他方のヘッドユニット90側の電子部品の検査が終了されて検査済み部品が上昇されると、ヘッドユニット80は、図1に示すように、支持部材72のY方向の移動に伴いヘッドユニット90と一体的にY方向に移動されてテストヘッド2aの上方に配置される。これによりヘッドユニット90は、X方向右手の部品受取位置61bの上方に、あるいはX方向左手の部品受渡位置51cに、それぞれ移動可能となる。なお、ヘッドユニット80、90の各下方撮像装置88は、工場出荷時や定期点検時、あるいは各検査ロットの検査開始時等におけるICハンドラーの調整において、部品受渡位置51b、51cにおけるシャトル51上のマークの検出、部品受取位置61b、61cにおけるシャトル61上のマークの検出に使用され、不図示の各駆動装置による駆動制御におけるレール部材52、62上でのシャトル51、61の移動量が、各ヘッドユニット80、90に対応して調整される。さらに、各検査ロットの検査開始時に、ヘッドユニット80、90の各下方撮像装置88は、テストヘッド2aの4つの検査用ソケットの位置をヘッドユニット80、90に対応させて検出し、検出結果が不図示の制御装置のメモリに記憶される。
【0059】
その後、吸着された電子部品の位置ずれの検知結果に基づいて、検出され記憶されたテストヘッド2aの4つの検査用ソケットの位置(この場合はヘッドユニット80の下方撮像装置88により検出されたデータ)に一致するように、吸着された各電子部品の位置および向きが修正される。具体的には、位置ずれの検知結果に基づいて、各電子部品を、2つの移動ユニット89の2つのX方向駆動装置83が連動して、あるいは一方のみ作動してX方向に移動させ、2つのY方向駆動装置84が連動して、あるいは一方のみ作動してY方向に移動させるとともに、1つのR軸駆動装置85により回動させることによって、互いに独立して4つの電子部品の位置および向きが調整される。そして、昇降駆動部821bにより、4つの吸着ノズル868がユニット支持部82と一体的に下降されて、各吸着ノズル868の下端部に吸着された電子部品がそれぞれ対応する検査用ソケットに押圧される。
【0060】
検査が終了すると、4つの吸着ノズル868は、それぞれ検査済み部品を吸着したままユニット支持部82と一体的に上昇される。そして、支持部材72のY方向の移動に伴い、テストヘッド2aの上方に向けY方向に移動するヘッドユニット90と一体的にヘッドユニット80がY方向に移動する。その後、ヘッドユニット80は、図2に示すように、X方向に移動されて部品受取位置61cの上方に配置される。そして、4つの吸着ノズル868に吸着された4つの検査済み部品が部品受取位置61cに位置するシャトル61上の所定位置に移載される。その後、シャトル61は、図1に示す部品受渡位置61aに移動され、シャトル61上の検査済み部品は、部品収納部40の吸着ノズルユニット44により吸着されて取り出される。そして、検査済み部品は、部品収納部40において検査結果に応じた各トレイ収納部12あるいは13に振り分けられる。これらの一連の動作は、ヘッドユニット80側および90側の両方で並行して行われる。ヘッドユニット90の場合には、ヘッドユニット80に吸着された電子部品の検査中に、ヘッドユニット90は、X方向右手に移動して部品受取位置61bの上方において部品受取位置61bに位置するシャトル61に検査済み部品を移載し、この移載後、X方向左手に移動して部品受渡位置51cでシャトル51上から未検査部品を吸着する。吸着後、支持部材70のX方向中央に移動し、ヘッドユニット80において検査が終了し、4つの吸着ノズルユニット89が、それぞれ検査済み部品を吸着したまま上昇したタイミングで、ヘッドユニット90は、ヘッドユニット80と一体的にY方向に移動し、テストヘッド2aの上方で停止する。
【0061】
上記の一連の動作の途中で未検査用トレイ収納部10の最上段のトレイが空になると、トレイ移送部20により空のトレイが空トレイ収納部11の最上段に移送される。また、トレイ収納部12あるいは13の最上段のトレイが検査済み部品で満たされると、トレイ移送部20により、空トレイ収納部11から最上段のトレイが満たされたトレイ収納部12あるいは13の最上段に空のトレイが移送される。
【0062】
本実施形態では、上記のように、X方向およびY方向に各々独立して移動することが可能な8つの移動ユニット89を設け、図6、図10に示すように、1つの移動ユニット89毎に1つの吸着ノズル868を装着することで、サイズは小さいが8つの電子部品を同時に検査することができる。また、図1〜図5、図11、図12に示すように、連結プレート86aを介装させることで、2つの移動ユニット89に対して1つの吸着ノズル868を装着することによって、吸着ノズル868の個数が減少されるので、その分、基準位置(吸着ノズル868がX方向およびY方向のいずれにも移動されていない位置)において、隣接する吸着ノズル868間の距離を大きくすることができる。その結果、吸着する電子部品のためにより大きいスペースを確保することができるので、数は少なくなるがサイズが大きい電子部品を同時に検査することができる。また、吸着ノズル868の個数が減少する分、吸着ノズル868により押圧される部分の数を減らすことができるので、各々の吸着ノズル868の押圧力を増加させることができる。これにより、押圧力の駆動源の能力を高めることなく、押圧力を高めることができる。なお、吸着ノズル868への電子部品の吸着ずれは、8つの電子部品を同時に検査する前者の場合も、4つの電子部品を同時に検査する後者の場合もともに、撮像装置1b、1cによる部品認識をすることで補正が可能であり、各電子部品を検査用ソケットに対し正しい位置とすることができる。さらに、複数の検査用ソケットが異なる間隔で配置されている場合にも、下方撮像装置88を使用してそれぞれの検査用ソケットの位置認識をすることで、各電子部品を検査用ソケットに対し正しい位置とすることができる。
【0063】
また、本実施形態では、2つの移動ユニット89を連結する連結プレート86aを設け、吸着ノズル868を、連結プレート86aを介して2つの移動ユニット89に装着することによって、連結プレート86aを用いて、容易に、吸着ノズル868を2つの移動ユニット89に跨るように装着することができる。
【0064】
また、本実施形態では、吸着ノズル868を2つの移動ユニット89に装着することによって、吸着ノズル868の個数が減少されて、その分、吸着する電子部品のためにより大きいスペースを確保することができる。さらに2つの移動ユニット89に装着されている吸着ノズル868のサイズを大きくすることで、吸着ノズル868が吸着可能な電子部品をより大きいものとすることができる。これにより、より大きい電子部品に対応可能なICハンドラ1を得ることができる。
【0065】
また、本実施形態では、吸着ノズル868を保持するヘッド部86と、吸着ノズル868をX方向に移動させるためのX方向駆動装置83と、吸着ノズル868をY方向に移動させるためのY方向駆動装置84とを設け、X方向駆動装置83のX方向移動部材833およびY方向駆動装置84のヘッド取付部材845を、平面的に見て、ヘッド部86に対して重なるように配置することによって、移動ユニット89および吸着ノズル868ヘッドの平面的な配置スペースが大きくなるのを抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態では、軸部862に取り付けられたR軸駆動装置85のプーリ851bを、平面的に見て、吸着ノズル868に対して重なるように配置することによって、R軸駆動装置85および吸着ノズル868の平面的な配置スペースが大きくなるのを抑制することができる。
【0067】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0068】
たとえば、本実施形態では、ヘッドユニットに8つの移動ユニットを設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、複数の移動ユニットであれば、8つ以外の複数の移動ユニットを設けてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、図12に示すように、X方向に隣接する2つのヘッド取付部材を1つの連結プレートで連結する構成を示したが、本発明はこれに限らず、図13に示すように、Y方向に隣接する2つのヘッド取付部材を1つの連結プレートで連結する構成であってもよい。また、図14に示すように、4つのヘッド取付部材を1つの連結プレートで連結する構成であってもよいし、図15に示すように、8つすべてのヘッド取付部材を1つの連結プレートで連結する構成であってもよい。さらに、上記以外の個数のヘッド取付部材を1つの連結プレートで連結する構成であってもよいし、2つのヘッド取付部材を1つの連結プレートで連結し、4つのヘッド取付部材を他の1つの連結プレートで連結するなど、異なる個数の組み合わせであってもよい。
【0070】
また、本実施形態では、連結部材の一例としての連結プレートを介して、移動ユニットにヘッド部を取り付ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、連結プレートを設けずに、ヘッド部を直接的に複数の移動ユニットに取り付ける構成であってもよい。
【0071】
また、本実施形態では、各移動ユニットに1つずつヘッド部を装着する場合に比べて、ヘッド部の大きさを大きくする構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、各移動ユニットに1つずつヘッド部を装着する場合と同じ大きさのヘッド部に構成してもよいし、各移動ユニットに1つずつヘッド部を装着する場合に比べて、ヘッド部の大きさを小さくする構成であってもよい。
【0072】
また、本実施形態では、吸着ノズルを、各移動ユニットに1つずつヘッド部を装着した場合に吸着ノズルが吸着可能な電子部品の大きさよりも大きい電子部品を吸着可能に構成する例を示したが、本発明はこれに限らず、各移動ユニットに1つずつヘッド部を装着した場合に吸着ノズルが吸着可能な電子部品の大きさ以下の大きさの電子部品しか吸着することができない吸着ノズルを設ける構成であってもよい。
【0073】
また、本実施形態では、ヘッドユニットの複数のヘッド部を一体的に昇降させる構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、各ヘッド部を互いに独立して昇降させる構成であってもよい。
【0074】
また、本実施形態では、移動ユニットの一例として、X方向(Y方向)モータ、X方向(Y方向)ボールネジ軸およびX方向(Y方向)ボールナットを用いて吸着ノズルを移動させる移動ユニットを示したが、本発明はこれに限らず、永久磁石およびコイルを用いて吸着ノズルを移動させるリニアモータ方式の移動ユニットであってもよい。
【0075】
また、本実施形態では、部品取出部および部品収納部のヘッド部にそれぞれ4つの吸着ノズルユニットを設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、それぞれに1つの吸着ノズルユニットを設けてもよいし、4つ以外の複数の吸着ノズルユニットを設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施形態によるICハンドラの全体構成を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるICハンドラの全体構成を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態によるICハンドラのヘッドユニットを示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態によるICハンドラのヘッドユニットを示す側面図である。
【図5】本発明の一実施形態によるICハンドラのヘッドユニットを示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態によるICハンドラのヘッドユニットを示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態によるICハンドラのヘッドユニットの構成を説明するための斜視図である。
【図8】図7の300−300線に沿った断面図である。
【図9】図7の400−400線に沿った断面図である。
【図10】本発明の一実施形態によるICハンドラのヘッドユニットの構成を説明するための斜視図である。
【図11】本発明の一実施形態によるICハンドラのヘッド部を示す断面図である。
【図12】本発明の一実施形態によるICハンドラを説明するための図である。
【図13】本発明の一実施形態によるICハンドラの変形例を説明するための図である。
【図14】本発明の一実施形態によるICハンドラの変形例を説明するための図である。
【図15】本発明の一実施形態によるICハンドラの変形例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0077】
1 ICハンドラ
83 X方向駆動装置(第1方向駆動装置)
84 Y方向駆動装置(第2方向駆動装置)
85 R軸駆動装置(回動駆動装置)
86 ヘッド部(吸着ノズルヘッド)
86a 連結プレート(連結部材)
89 移動ユニット
868 吸着ノズル
【技術分野】
【0001】
この発明は、ICハンドラに関し、特に、電子部品を吸着する吸着ノズルを備えたICハンドラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を吸着する吸着ノズルを備えたICハンドラが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1では、DUT(被測定デバイス)となる電子部品を吸着して保持する吸着パット(吸着ノズル)を2つ備えたICハンドラが開示されている。この2つの吸着パットは、吸着パット間の距離が固定された状態で1つのデバイスチャックに装着されている。これにより、1つのデバイスチャックで一度に2つのDUTを吸着することが可能である。
【0004】
【特許文献1】特開平9−236635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のICハンドラでは、一度に2つのDUTを吸着可能である一方、2つの吸着パット間の距離が固定されているので、一方の吸着パットに吸着される電子部品の大きさが他方の電子部品に接触してしまうほど大きい場合には、この電子部品を吸着することができない。すなわち、このICハンドラでは、大きさの異なる電子部品に十分に対応することができないという問題点がある。
【0006】
そこで、各吸着ノズルをそれぞれ別々の移動機構に装着することによって、各吸着ノズルを独立して移動させて、吸着ノズル間の距離を変更する構成が考えられる。しかしながら、この構成でも、1つの移動機構に対して1つの吸着ノズルが装着される構造であるため、基準位置で隣接する吸着ノズル間の距離が小さくなり、その結果、対応可能な電子部品の大きさが限定されてしまう。このため、大きさの異なる電子部品に、より対応することが可能なICハンドラが望まれる。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、大きさの異なる電子部品に、より対応することが可能なICハンドラを提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面によるICハンドラは、電子部品を吸着する吸着ノズルと、水平面内の第1方向および第1方向と交差する水平面内の第2方向に各々独立して移動することが可能な複数の移動ユニットとを備え、各々の移動ユニット毎に1つの吸着ノズルを装着可能で、かつ、少なくとも2つの移動ユニットに対して1つの吸着ノズルを装着可能なように構成されている。ここで、本出願において、「ICハンドラ」とは、電子部品の検査のために用いられるものであり、電子部品を所定の検査位置に移載するための部品移載装置を意味する。
【0009】
この一の局面によるICハンドラでは、上記のように、水平面内の第1方向および第1方向と交差する水平面内の第2方向に各々独立して移動することが可能な複数の移動ユニットを設けることによって、1つの移動ユニット毎に1つの吸着ノズルを装着した場合に、各移動ユニットの移動範囲内で各々の吸着ノズルを移動させることができるので、吸着される電子部品間の距離を変更して大きさの異なる電子部品に対応することができる。また、少なくとも2つの移動ユニットに対して1つの吸着ノズルを装着することによって、吸着ノズルの個数が減少されるので、その分、基準位置(吸着ノズルが第1方向および第2方向のいずれにも移動されていない位置)において、隣接する吸着ノズル間の距離を大きくすることができる。その結果、吸着する電子部品のためにより大きいスペースを確保することができるので、大きさの異なる電子部品に、より対応することができる。また、吸着ノズルの個数が減少する分、吸着ノズルにより押圧される部分の数を減らすことができるので、各々の吸着ノズルの押圧力を増加させることができる。これにより、押圧力の駆動源の能力を高めることなく、押圧力を高めることができる。また、1つの移動ユニット毎に1つの吸着ノズルを装着した場合に、各々の吸着ノズルを互いに独立して移動させることによって、異なる間隔で配置された複数種類の検査用ソケットに対応することができる。さらに、少なくとも2つの移動ユニットに対して1つの吸着ノズルを装着することによって、隣接する吸着ノズル間の距離をより大きくすることができるので、各移動ユニットによる移動では対応することができない大きさの間隔で配置された検査用ソケットにも対応することができる。
【0010】
上記一の局面によるICハンドラにおいて、好ましくは、1つの吸着ノズルが装着される少なくとも2つの移動ユニットは、第1方向および第2方向に一体的に移動されるように構成されている。このように構成すれば、装着された吸着ノズルを2つの移動ユニットと一体的に第1方向および第2方向に移動させることができる。
【0011】
上記一の局面によるICハンドラにおいて、好ましくは、少なくとも2つの移動ユニットを連結する連結部材をさらに備え、吸着ノズルは、連結部材を介して少なくとも2つの移動ユニットに装着されている。このように構成すれば、連結部材を用いて、容易に、吸着ノズルを少なくとも2つの移動ユニットに跨るように装着することができる。
【0012】
上記一の局面によるICハンドラにおいて、好ましくは、少なくとも2つの移動ユニットに装着されている吸着ノズルは、1つの移動ユニット毎に装着される吸着ノズルが吸着可能な電子部品の大きさよりも大きい電子部品を吸着可能に構成されている。このように構成すれば、大きさのより大きい電子部品を吸着することができる。すなわち、吸着ノズルを少なくとも2つの移動ユニットに装着することによって、吸着ノズルの個数が減少されて、その分、吸着する電子部品のためにより大きいスペースを確保することができる。これにより、吸着ノズルを、より大きい電子部品を吸着可能に構成すれば、より大きい電子部品に対応可能なICハンドラを得ることができる。
【0013】
上記一の局面によるICハンドラにおいて、好ましくは、吸着ノズルを保持する吸着ノズルヘッドをさらに備え、移動ユニットは、吸着ノズルを第1方向に移動させるための第1方向駆動装置と、吸着ノズルを第2方向に移動させるための第2方向駆動装置とを含み、第1方向駆動装置および第2方向駆動装置の少なくとも一部は、平面的に見て、吸着ノズルヘッドに対して重なるように配置されている。このように構成すれば、移動ユニットおよび吸着ノズルヘッドの平面的な配置スペースが大きくなるのを抑制することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、吸着ノズルを回動させるための回動駆動装置をさらに備え、回動駆動装置の少なくとも一部は、平面的に見て、吸着ノズルヘッドに対して重なるように配置されている。このように構成すれば、回動駆動装置および吸着ノズルヘッドの平面的な配置スペースが大きくなるのを抑制しながら、吸着ノズルを回動させることが可能なICハンドラを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態によるICハンドラの全体構成を示す平面図である。図2〜図11は、図1に示したICハンドラの構成を説明するための図である。図1〜図11を参照して、本発明の一実施形態によるICハンドラ1の構成について説明する。
【0017】
ICハンドラ1は、図1に示すように、試験装置本体2とともに部品試験装置100を構成している。また、ICハンドラ1は、トレイに収納された電子部品を取り出して試験装置本体2の後述するテストヘッド2aに移載する機能を有している。また、ICハンドラ1は、テストヘッド2aにおいて検査された後の検査済み部品を、検査結果に応じて仕分けするように構成されている。
【0018】
また、ICハンドラ1は、平面的に見て、矩形の外形形状を有している。また、ICハンドラ1は、基台1a上に複数のトレイ収納部10〜13と、トレイ移送部20と、部品取出部30と、部品収納部40と、部品供給部50と、部品排出部60と、ヘッドユニット支持部70とを備えている。
【0019】
トレイ収納部には、2つの未検査用トレイ収納部10と、空トレイ収納部11と、2つの良部品トレイ収納部12と、不良部品トレイ収納部13とがある。未検査用トレイ収納部10は、未検査部品が載置されるトレイを収納するように構成されている。空トレイ収納部11は、部品が載置されていない空のトレイを収納するように構成されている。良部品トレイ収納部12は、検査により良品と判断された良部品が載置される良部品トレイを収納するように構成されている。不良部品トレイ収納部13は、検査により不良品と判断された不良部品が載置される不良部品トレイを収納するように構成されている。また、トレイ収納部10〜13は、平面的に見て、ICハンドラ1のY方向の一方端部近傍において、X方向に並列して配置されている。また、基台1a上には、載置される部品を加熱するヒータが配置されたホットプレート14が設けられている。なお、X方向およびY方向は、水平面内において互いに直交する2方向である。
【0020】
また、これらのトレイ収納部10〜13は、それぞれ、複数のトレイを積み重ねた状態で収納可能に構成されている。また、トレイ収納部10〜13は、それぞれ、最上段に位置するトレイだけを基台1a上に露出させ、その他のトレイを基台1aの上面よりも下側に配置させている。具体的には、トレイ収納部10〜13は、それぞれ、図示しないテーブルを有し、テーブルを昇降させることによって、テーブル上に積載された複数のトレイを1つずつ基台1a上に配置させるように構成されている。
【0021】
トレイ移送部20は、トレイ収納部10〜13間で空トレイを搬送する機能を有している。具体的には、トレイ移送部20は、電子部品が取り出されて空になったトレイを未検査用トレイ収納部10から空トレイ収納部11の最上段の位置に移送するように構成されている。また、トレイ移送部20は、空トレイ収納部11の最上段から良部品トレイ収納部12、不良部品トレイ収納部13の最上段に空トレイを移送するように構成されている。これにより、各トレイ収納部12、13において所定数の検査済み部品で満たされたトレイの上に空のトレイを重ねて載置することが可能である。また、トレイ移送部20は、後述するレール部材支持フレーム341の下方を通過してX方向に延び、後述するレール部材32の下方に位置するレール部材21と、図示しない駆動装置によって駆動されて、レール部材21に沿ってX方向に移動可能なヘッド部22とを有している。また、トレイ移送部20は、ヘッド部22に設けられたバキュームパッド(図示せず)により最上段に配置された空トレイを吸着した状態でヘッド部22をX方向に移動することによって、トレイをX方向に並列された他のトレイ収納部に移送するように構成されている。
【0022】
部品取出部30は、未検査部品を未検査用トレイ収納部10、11のトレイから取り出して部品供給部50の後述するシャトル51上に移載する機能を有している。また、部品取出部30は、Y方向に延び、一方がレール部材支持フレーム341に支持される2つのレール部材31と、X方向に延びるように形成され、両端部をそれぞれレール部材31に支持された支持部材32と、支持部材32に取り付けられたヘッド部33とを有している。支持部材32は、図示しない駆動装置により駆動されて、左右のレール部材31に沿ってY方向に直線移動するように構成されている。ヘッド部33は、不図示の駆動装置により駆動されて、支持部材32に沿ってX方向に直線移動するように構成されている。また、ヘッド部33には、電子部品を吸着可能な吸着ノズルユニット34が4つ搭載されている。そして、部品取出部30は、ヘッド部33をX方向およびY方向に移動させながら、4つの吸着ノズルユニット34の内一つ置いて隣接する2つの吸着ノズルユニット34を下降上昇させて同時に吸着した2つの未検査部品を、未検査用トレイ収納部10の最上段のトレイから部品受取位置51a(図1参照)に位置するシャトル51上の所定位置に、2回に分けて計4つの未検査部品を移載するように構成されている。なお、常温より高い所定の温度で検査をする必要のある部品については、未検査用トレイ収納部10から直接、シャトル51上へ移載することはせず、電子部品を一旦ホットプレート14上に載置し、載置後所定時間以上経過し所望の温度に昇温した電子部品を吸着ノズルユニット34で吸着し、部品受取位置51aに位置するシャトル51上へ移載する。
【0023】
部品収納部40は、検査済み部品を部品排出部60の後述するシャトル61上から取り出してトレイ収納部12あるいは13のいずれかのトレイに移載する機能を有している。また、部品収納部40は、Y方向に延び、一方がレール部材支持フレーム341に支持される2つのレール部材41と、X方向に延びるように形成され、両端部をそれぞれレール部材41に支持された支持部材42と、支持部材42に取り付けられたヘッド部43とを有している。支持部材42は、不図示の駆動装置により駆動されて、左右のレール部材41に沿ってY方向に直線移動するように構成されている。ヘッド部43は、不図示の駆動装置により駆動されて、支持部材42に沿ってX方向に直線移動するように構成されている。また、ヘッド部43には、電子部品を吸着可能な吸着ノズルユニット44が4つ搭載されている。そして、部品収納部40は、ヘッド部43をX方向およびY方向に移動させながら、吸着ノズルユニット44により吸着した検査済み部品を、部品受渡位置61aに位置するシャトル61からトレイ収納部12、13の最上段に位置するいずれかのトレイに移載するように構成されている。具体的には、部品収納部40は、検査の結果、良部品と判断された電子部品をシャトル61から良部品トレイ収納部12のトレイに移載し、不良部品と判断された電子部品をシャトル61から不良部品トレイ収納部13のトレイに移載するように構成されている。
【0024】
部品供給部50は、部品受取位置51aで受け取った未検査部品を部品受渡位置51b(図2参照)、51cまで移送する機能を有している。また、部品供給部50は、4つの未検査部品を載置可能なシャトル51と、Y方向に延びるレール部材52とを有している。シャトル51は、不図示の駆動装置により駆動されて、レール部材52に沿ってY方向に直線移動するように構成されている。これにより、部品供給部50は、所定のタイミングで4つの未検査部品を互いに接触させることなく部品受取位置51aから部品受渡位置51b(図2参照)または51cまで搬送することが可能である。また、部品供給部50は、シャトル51をY方向に移動する際に、図示しない真空装置を駆動することによって、載置する未検査部品がシャトル51上で位置ずれするのを防止するように構成されている。
【0025】
部品排出部60は、部品受取位置61b、61c(図2参照)で受け取った検査済み部品を部品受渡位置61a(図1参照)まで移送する機能を有している。また、部品排出部60は、4つの検査済み部品を載置可能なシャトル61と、Y方向に延びるレール部材62とを有している。シャトル61は、不図示の駆動装置により駆動されて、レール部材62に沿ってY方向に直線移動するように構成されている。これにより、部品排出部60は、所定のタイミングで4つの検査済み部品を互いに接触させることなく部品受取位置61bまたは61c(図2参照)から部品受渡位置61aまで搬送することが可能である。また、部品排出部60は、シャトル61をY方向に移動する際に、図示しない真空装置を駆動することによって、載置する検査済み部品がシャトル61上で位置ずれするのを防止するように構成されている。
【0026】
ヘッドユニット支持部70は、部品供給部50のシャトル51により部品受渡位置51b(図2参照)または51cまで移送された未検査部品を互いに接触させることなく4つ同時に、基台1a表面に露出された試験装置本体2の後述するテストヘッド2aに移載するように構成されている。さらに、ヘッドユニット支持部70は、テストヘッド2a上の検査済み部品を互いに接触させることなく4つ同時に、部品受取位置61bまたは61c(図2参照)に位置する部品排出部60のシャトル61に移載するように構成されている。また、ヘッドユニット支持部70は、Y方向に延びる一対のレール部材71と、X方向に延びるように形成された支持部材72と、2つのヘッドユニット80および90とを有している。一対のレール部材71は、基台1aのX方向側の両端部近傍に配置されている。支持部材72は、X方向側の両端部近傍がそれぞれレール部材71に支持されているとともに、不図示の駆動装置により駆動されて、レール部材71に沿ってY方向に直線移動するように構成されている。また、支持部材72は、X方向に延びる2つのレール部材72aおよび72bを有している。
【0027】
ヘッドユニット80および90は、それぞれ、支持部材72を挟むように支持部材72のY方向の両側に配置されている。また、ヘッドユニット80は、支持部材72のレール部材72aに摺動可能に設けられ、不図示の駆動装置により駆動されて、レール部材72aに沿ってX方向に直線移動するように構成されている。ヘッドユニット90は、支持部材72のレール部材72bに摺動可能に設けられ、不図示の駆動装置により駆動され、レール部材72bに沿ってX方向に直線移動するように構成されている。すなわち、ヘッドユニット80および90は、支持部材72の移動に伴ってY方向に一体的に移動するとともに、X方向に互いに独立して移動するように構成されている。
【0028】
また、ヘッドユニット80は、図2に示すように、ヘッドユニット90により移載された電子部品がテストヘッド2aで検査されている最中に、部品受渡位置51bのシャトル51上から未検査部品を取り出して、基台1aの表面に設けられた撮像装置1b上を通過するようにX方向に移動するように構成されている。また、ヘッドユニット90は、図1に示すように、ヘッドユニット80により移載された電子部品がテストヘッド2aで検査されている間に、部品受渡位置51cのシャトル51上から未検査部品を取り出して、基台1aの表面に設けられた撮像装置1c上を通過するようにX方向に移動するように構成されている。これにより、ヘッドユニット80、90の一方によりテストヘッド2aに移載された電子部品が検査されている間に、ヘッドユニット80、90に吸着された電子部品を撮像装置1b、あるいは撮像装置1cにより撮像して、電子部品の位置ずれを確認することが可能である。また、ヘッドユニット80および90は、互いに同様の構成を有している。このため、以下では、ヘッドユニット80の詳細な構成について説明し、ヘッドユニット90については詳細な説明を省略する。
【0029】
ヘッドユニット80は、図3〜図5に示すように、ベース部材81(図1および図2参照)と、ユニット支持部82(図3および図4参照)と、8つのX方向駆動装置83と、8つのY方向駆動装置84と、4つのR軸駆動装置85と、4つのヘッド部86と、吸着用負圧供給部87(図3参照)と、2つの下方撮像装置88とを備えている。また、1つのX方向駆動装置83と、1つのY方向駆動装置84とにより、1つの移動ユニット89が構成されている。すなわち、ヘッドユニット80において、レール部材72aに移動可能に取り付けられたベース部材81に、8つの移動ユニット89が搭載されている。なお、X方向駆動装置83は、本発明の「第1方向駆動装置」の一例であり、Y方向駆動装置84は、本発明の「第2方向駆動装置」の一例である。また、R軸駆動装置85は、本発明の「回動駆動装置」の一例であり、ヘッド部86は、本発明の「吸着ノズルヘッド」の一例である。後述するようにヘッド部86は主に、筒部861、プーリ851b、軸部862、2つのアダプタ863、864、ヘッド部材865、吸着ノズル保持部材866、吸着ノズル868、およびR軸駆動装置85とからなる。
【0030】
ユニット支持部82は、図3〜図8に示すように、ベースプレート821(図3および図4参照)と、水平プレート822と、垂直プレート823と、後述のX方向ボールネジ軸832bを支持する軸支持部824(図8参照)とを有している。ベースプレート821は、Z方向に延びるボールネジ821a(図3参照)やガイドレール(図示しない)などからなる昇降駆動部821bにより、ベース部材81に対して昇降可能に構成されている。また、ベースプレート821は、下端部において図示しないアングル部材を介して水平プレート822に取り付けられている。そして、ベースプレート821がZ方向に昇降されることによって、水平プレート822を介して、X方向駆動装置83およびY方向駆動装置84からなる8つの移動ユニット89と、4つのR軸駆動装置85と、4つのヘッド部86と、2つの下方撮像装置88とが一体的に昇降される。
【0031】
水平プレート822は、平板形状を有し、平面的に見て、ベースプレート821の下側に重なるように配置されている。また、水平プレート822は、図9に示すように、Y方向側の両端部およびY方向側の中央部に下側に突出する突起部822aを有している。3つの突起部822aは、それぞれ、X方向に延びるように形成されている。
【0032】
垂直プレート823は、図3〜図8に示すように、水平プレート822のX方向側の両側側面に取り付けられ、Y方向に延びるように形成されている。また、垂直プレート823は、図8に示すように、水平プレート822の厚みよりも大きい高さを有し、水平プレート822の下面よりも下方に突出するように配置されている。また、軸支持部824は、図8に示すように、水平プレート822のX方向側の中央部において、水平プレート822の下面から下方に突出するように設けられている。また、軸支持部824は、Y方向に延びるように形成されている。
【0033】
8つのX方向駆動装置83は、それぞれ、同様の構成を有しており、各X方向駆動装置83は、吸着ノズル868(図11参照)を水平プレート822に対してX方向に移動させる機能を有している。また、8つのX方向駆動装置83は、図8および図9に示すように、それぞれ、X方向スライド部831(図9参照)と、X方向駆動機構部832と、X方向移動部材833と、X方向ボールナット834とから構成されている。
【0034】
X方向スライド部831は、図9に示すように、X方向に延びるX方向ガイドレール831aと、X方向ガイドレール831aに摺動可能なX方向スライダ831bとを有している。X方向ガイドレール831aは、全体で4本設けられており、水平プレート822のY方向側の両端部に設けられた突起部822aの下面にそれぞれ1本ずつ配置され、中央部の突起部822aの下面に2本配置されている。また、X方向ガイドレール831aは、水平プレート822のX方向の略全長にわたって設けられている。また、X方向ガイドレール831aは、1つのX方向駆動装置83について2本ずつ用いられる。具体的には、図9に示すように、Y1方向側の2本のX方向ガイドレール831aは、Y1方向側でX方向に並列して配置される4つのX方向駆動装置83により兼用され、Y2方向側の2本のX方向ガイドレール831aは、Y2方向側でX方向に並列して配置される4つのX方向駆動装置83により兼用される。X方向スライダ831bは、1つのX方向駆動装置83につき2つずつ設けられている。また、X方向スライダ831bは、X方向ガイドレール831aの両側側面に設けられたX方向に延びる溝部に係合する一対の爪部を有しており、爪部が溝部に係合した状態でX方向ガイドレール831aに対してX方向にスライドするように構成されている。また、X方向スライダ831bは、X方向ガイドレール831aによりY方向への移動が規制されるとともに、爪部が溝部に係合することによってZ方向への移動が規制されている。
【0035】
各X方向駆動機構部832は、それぞれ、X方向モータ832aと、X方向に延びるX方向ボールネジ軸832bと、2つのプーリ832c(図8参照)と、タイミングベルト832d(図8参照)とを有している。X方向モータ832aは、図7に示すように、サーボモータからなり、水平プレート822のX方向側の両端部近傍において、平面的に見て、水平プレート822に重なるように上側に配置されている。具体的には、水平プレート822のX方向側の両端部近傍に、それぞれ4つずつのX方向モータ832aがY方向に並列して配置されている。また、X方向モータ832aは、図7および図8に示すように、取付板832eを介して垂直プレート823に固定されている。
【0036】
X方向ボールネジ軸832bは、図8および図9に示すように、平面的に見て、水平プレート822の下側に重なるように配置されている。また、X方向ボールネジ軸832bは、X方向に2列、Y方向に4本ずつ並列して配置されている。具体的には、X方向ボールネジ軸832bは、図9に示すように、2本のX方向ガイドレール831aの間に2本ずつ配置されている。また、X方向ボールネジ軸832bは、図8に示すように、一方端部近傍を垂直プレート823に回動可能に支持され、他方端部を軸支持部824に回動可能に支持されている。2つのプーリ832cは、それぞれ、X方向モータ832aの出力軸およびX方向ボールネジ軸832bの一方端部に取り付けられている。タイミングベルト832dは、2つのプーリ832cに掛け渡されている。また、2つのプーリ832cおよびタイミングベルト832dは、カバー832fにより覆われている。上記のような構成により、X方向駆動機構部832は、X方向モータ832aの回転駆動を2つのプーリ832cおよびタイミングベルト832dを介して、X方向ボールネジ軸832bに伝達するように構成されている。これにより、X方向ボールネジ軸832bを回転させることが可能である。
【0037】
X方向移動部材833は、図9に示すように、X方向側から見て矩形形状を有し、2つのX方向スライダ831bの下側に吊り下げられるように配置されている。また、各X方向移動部材833は、それぞれ、平面的に見て、水平プレート822の下側に重なるように配置されている。また、X方向移動部材833は、中空形状に形成されている。X方向移動部材833の中空部には油受け900が挿入配置され、両端が垂直プレート823に保持されている。また、X方向移動部材833は、図8および図9に示すように、Y方向に2列、X方向に4つずつ並列して配置されている。また、X方向移動部材833は、図9に示すように、Y方向側の両端部がX方向スライダ831bに固定されている。これにより、X方向移動部材833は、2つのX方向スライダ831bを介してX方向ガイドレール831aに吊り下げられた状態となる。
【0038】
X方向ボールナット834は、X方向ボールネジ軸832bに螺合するように構成されている。また、X方向ボールナット834は、全体で8つ設けられており、各X方向ボールナット834は、それぞれ、別々のX方向ボールネジ軸832bに螺合されている。また、各X方向ボールナット834は、それぞれ、別々のX方向移動部材833に取り付けられて保持されている。これにより、各X方向ボールネジ軸832bを回転させることによって、各X方向ボールナット834を介して、X方向ガイドレール831aに吊り下げられた各X方向移動部材833を水平プレート822に対して互いに独立してX方向に移動させることが可能となる。
【0039】
8つのY方向駆動装置84は、それぞれ、同様の構成を有しており、各Y方向駆動装置84は、吸着ノズル868(図11参照)を水平プレート822に対してY方向に移動させる機能を有している。また、8つのY方向駆動装置84は、図8および図9に示すように、X方向移動部材833の下面に取り付けられX方向移動部材833と一体化されてX方向に移動する各支持部材841に、Y方向スライド部842(図8参照)が取り付けられている。8つのY方向駆動装置84は、それぞれ、Y方向スライド部842(図8参照)と、Y方向駆動機構部843と、Y方向ボールナット844と、Y方向に移動可能なヘッド取付部材845とから構成されている。
【0040】
支持部材841は、図8に示すように、Y方向側から見て略U字形状を有し、開口部が下方向を向くように配置されている。また、Y方向移動部材となるヘッド取付部材845は、平面的に見てX方向移動部材833に重なるように配置されている。
【0041】
Y方向スライド部842は、図8に示すように、クロスローラ方式に構成され、Y方向に延び、支持部材841の一部と見なすことができる外側スライダ842aと、内側スライダ842bと、図示しない円柱形状の軸部材とを有している。外側スライダ842aは、Y方向に延びるように形成され、Y方向から見て下方に延びる支持部材841の両端部下面に取り付けられ固着されている。また、外側スライダ842aの内側の側面には、Y方向に延びるV字形状の溝部が形成されている。内側スライダ842bは、Y方向に延びるように形成され、ヘッド取付部材845に取り付けられている。また、内側スライダ842bは、外側スライダ842aに隣接して配置され、内側スライダ842bの外側の側面には、外側スライダ842aの溝部に対向するようにY方向に延びるV字形状の溝部が形成されている。また、外側スライダ842aおよび内側スライダ842bは、対向する溝部の間にY方向に延びる円柱形状の軸部材(図示せず)を挟み込むように配置されている。これにより、内側スライダ842bは、外側スライダ842aに対してY方向に摺動可能となる。また、軸部材をV字形状の溝部により両側から挟み込むことによって、外側スライダ842aおよび内側スライダ842bは互いにZ方向にずれるのが規制される。
【0042】
各Y方向駆動機構部843は、それぞれ、Y方向モータ843aと、Y方向に延びるY方向ボールネジ軸843bと、2つのプーリ843c(図9参照)と、タイミングベルト843d(図9参照)とを有している。Y方向モータ843aは、図7に示すように、サーボモータからなり、水平プレート822のY方向側の両端部近傍に配置されている。具体的には、水平プレート822のY方向側の両端部近傍それぞれにおいて、2つのY方向モータ843aが平面的に見て、水平プレート822に重なるように上側に並列して配置され、他の2つのY方向モータ843aが平面的に見て水平プレート822に重なるように下側に配置されている。より詳細には、水平プレート822のY方向側の両端部近傍それぞれにおいて、X方向側の略中央部で2つのY方向モータ843aが水平プレート822の上側に配置され、水平プレート822のX方向側の両端部近傍でそれぞれ1つずつのY方向モータ843aが水平プレート822の下側に配置されている。また、水平プレート822の下側に配置されたY方向モータ843aは、図8に示すように、支持部材841に隣接して配置されている。また、Y方向モータ843aは、図7および図9に示すように、取付板843eを介してX方向移動部材833に固定されている。
【0043】
Y方向ボールネジ軸843bは、図8および図9に示すように、略U字形状の支持部材841に囲まれる位置に配置されるとともに、平面的に見て、X方向移動部材833の下側に重なるように配置されている。また、Y方向ボールネジ軸843bは、Y方向に2列、X方向に4本ずつ並列して配置されている。また、Y方向ボールネジ軸843bは、図9に示すように、両端部近傍を支持部材841の壁状に下方に延びる部分に回動可能に支持されている。2つのプーリ843cは、それぞれ、Y方向モータ843aの出力軸およびY方向ボールネジ軸843bの一方端部に取り付けられている。タイミングベルト843dは、2つのプーリ843cに掛け渡されている。上記のような構成により、Y方向駆動機構部843は、Y方向モータ843aの回転駆動を2つのプーリ843cおよびタイミングベルト843dを介して、Y方向ボールネジ軸843bに伝達するように構成されている。これにより、Y方向ボールネジ軸843bを回転させることが可能である。
【0044】
Y方向ボールナット844は、Y方向ボールネジ軸843bに螺合するように構成されている。また、Y方向ボールナット844は、全体で8つ設けられており、各Y方向ボールナット844は、それぞれ、別々のY方向ボールネジ軸843bに螺合されている。
【0045】
ヘッド取付部材845は、図8および図10に示すように、Y方向から見て略T字形状を有しており、Y方向に延びるように形成されている。また、ヘッド取付部材845は、X方向側の中央部の凸部が上側に位置するように配置され、凸部上端面がY方向ボールナット844に固着されている。また、ヘッド取付部材845の凸部の両側側面には、それぞれ内側スライダ842bが取り付けられている。これにより、ヘッド取付部材845は、Y方向スライド部842により支持部材841に吊り下げられた状態となる。これにより、各Y方向ボールネジ軸843bを回転させることによって、各内側スライダ842bとともに各Y方向ボールナット844に一体化された各ヘッド取付部材845を、X方向移動部材833に対して互いに独立してY方向に移動させることが可能となる。
【0046】
ヘッド部86を構成するR軸駆動装置85は、それぞれ、同様の構成を有しており、それぞれの下側に配置された吸着ノズル868(図11参照)を、互いに独立して吸着ノズル868の中心軸R(図11参照)を回動中心として回動させる機能を有している。また、各R軸駆動装置85は、図11に示すように、それぞれ、R方向モータ851aと、2つのプーリ851bと、タイミングベルト851cとを有している。R方向モータ851aは、サーボモータからなり、ヘッド取付部材845よりも下側に配置されている。具体的には、R方向モータ851aは、ヘッド取付部材845よりも下側で、ヘッド部86の後述する筒部861に隣接して配置されている。また、R方向モータ851aは、図3〜図5および図11に示すように、取付板851dを介してヘッド部86の後述する筒部861に取り付けられている。2つのプーリ851bは、図11に示すように、それぞれ、R方向モータ851aの出力軸およびヘッド部86の後述する軸部862に取り付けられている。また、軸部862に取り付けられたプーリ851bは、平面的に見て、筒部861に重なるように配置されている。タイミングベルト851cは、2つのプーリ851bに掛け渡されている。上記のような構成により、R軸駆動装置85は、R方向モータ851aの回転駆動を2つのプーリ851bおよびタイミングベルト851cを介して、後述する軸部862に伝達するように構成されている。これにより、軸部862を介して吸着ノズル868を中心軸Rを回動中心として回動させることが可能である。
【0047】
ここで、本実施形態では、1つのヘッド部86は、図4に示すように、X方向に隣接する2つの移動ユニット89に跨って装着されている。具体的には、ヘッド部86は、X方向に隣接する2つのヘッド取付部材845を連結する連結プレート86aを有し、1つの連結プレート86aを介して、1つのヘッド部86がヘッド取付部材845に取り付けられている。すなわち、吸着ノズル868(図11参照)は、2つの移動ユニット89に対して1つ装着されている。このため、X方向に隣接する2つの移動ユニット89のヘッド取付部材845は、X方向およびY方向に一体的に移動するように構成されている。より詳細には、1つの連結プレート86aに取り付けられる2つの移動ユニット89のX方向駆動装置83のX方向モータ832aは、それぞれ同期して回転するとともに、2つの移動ユニット89のY方向駆動装置84のY方向モータ843aも、それぞれ同期して回転し同時に停止する。あるいは、一方の移動ユニット89のX方向モータ832aおよびY方向モータ843aのみ作動し、他方の移動ユニット89のX方向モータ832a、Y方向モータ843aは、X方向ボールナット834、Y方向ボールナット844の移動によるX方向ボールネジ軸832b、Y方向ボールネジ軸843bの回転に伴い、自由に回転する。このように各モータが動作することで、X方向に隣接する2つの移動ユニット89のX方向移動部材833は、X方向に一体的に移動し、X方向に隣接する2つの移動ユニット89のヘッド取付部材845は、Y方向に一体的に移動する。これにより、4つのヘッド部86は、互いに独立してX方向およびY方向に移動可能である。なお、連結プレート86aは、本発明の「連結部材」の一例である。また、図6に示すように、1つのヘッド部86を1つの移動ユニット89毎に装着した場合には、8つのヘッド部86を互いに独立してX方向およびY方向に移動することが可能である。
【0048】
また、1つのヘッド部86を2つの移動ユニット89に装着することによって、各移動ユニット89に1つずつヘッド部が装着されている場合に比べて、隣接するヘッド部86間の距離が大きくなるので、各ヘッド部86を配置することができるスペースが大きくなる。これにより、各移動ユニット89に1つずつヘッド部を装着する場合に比べて、各ヘッド部86の大きさを大きくすることが可能である。そのため、本実施形態では、ヘッド部86は、各移動ユニット89に1つずつヘッド部を装着する場合に装着可能なヘッド部の大きさよりも大きくなるように構成されている。具体的には、ヘッド部86のX方向およびY方向の幅がそれぞれ大きくなっている。これにより、ヘッド部86の機械的強度が高められるので、吸着する電子部品をテストヘッド2aの検査用ソケットに押圧する際の押圧力を高めることが可能である。また、ヘッド部86の数が少なくなる分、昇降駆動部821bによる押圧力を少数のヘッド部86に集約させることができるので、押圧力を高めることが可能である。また、隣接するヘッド部86の間隔が大きくなることによって、吸着する電子部品間の距離が大きくなるので、吸着する電子部品のためにより大きいスペースを確保可能である。このため、本実施形態では、吸着ノズル868は、各移動ユニット89に1つずつヘッド部を装着した場合に吸着ノズルが吸着可能な電子部品の大きさよりも大きい電子部品を吸着することが可能に構成されている。
【0049】
また、ヘッド部86は、平面的に見て、X方向駆動装置83のX方向移動部材833およびY方向駆動装置84のヘッド取付部材845に対して重なるように配置されている。また、ヘッド部86は、吸着ノズル868を保持する機能を有している。また、ヘッド部86は、筒部861と、軸部862と、2つのアダプタ863、864と、ヘッド部材865と、吸着ノズル保持部材866とを有している。
【0050】
筒部861は、平面的に見て、略矩形形状を有し、中空の筒状に形成されている。また、筒部861は、ヘッド取付部材845の下面に取り付けられ、平面的に見て、ヘッド取付部材845に重なる位置に配置されている。軸部862は、筒部861に挿入され、筒部861内で軸受部867により筒部861に対して回動可能に支持されている。また、軸部862の下端部近傍には、R軸駆動装置85のプーリ851bが取り付けられている。これにより、R方向モータ851aを駆動させることによって、プーリ851bを介して軸部862を回動させることが可能である。また、軸部862の下には、円柱状のアダプタ863が配置され、アダプタ863の下には、円柱状のアダプタ864が配置されている。
【0051】
ヘッド部材865は、八角形の外形形状を有し、アダプタ864の下に設けられている。また、ヘッド部材865は、平面的に見て、軸部862に取り付けられたR軸駆動装置85のプーリ851bに重なるように配置されている。また、ヘッド部材865は、中空の筒状に形成されている。また、ヘッド部材865の内部には、吸着ノズル保持部材866が挿入されるとともに、吸着ノズル保持部材866には吸着ノズル868が挿入されている。さらに、水平プレート822と、X方向ボールネジ軸832bと、X方向移動部材833と、支持部材841と、Y方向ボールネジ軸843bと、ヘッド取付部材845と、軸部862に取り付けられたR軸駆動装置85のプーリ851bを含むヘッド部86とは、平面的に見て、互いに重なるように配置されている。また、吸着ノズル868は、平面的に見て、軸部862に取り付けられたR軸駆動装置85のプーリ851bに重なる位置に配置されている。
【0052】
また、吸着ノズル保持部材866および吸着ノズル868は、ヘッド部材865に対して上下方向(Z方向)に一体的に摺動可能とされている。また、ヘッド部材865の内部において吸着ノズル保持部材866の上端部に圧縮コイルバネ869が設けられている。これにより、吸着ノズル868が電子部品を介して後述するテストヘッド2aの検査用ソケットに押圧される際の、吸着ノズル868への下側からの反力に対して、バフィング機能(衝撃緩和機能)が働くようになっている。また、吸着ノズル868は、軸部862が回動されることによって、軸部862、アダプタ863、864、ヘッド部材865および吸着ノズル保持部材866と一体的に中心軸Rを回動中心として回動されるように構成されている。また、吸着ノズル868は、中空の筒状に形成されており、内部の負圧により下端部で吸引力が作用するように構成されている。これにより、吸着ノズル868の下端部で電子部品を吸着することが可能である。吸着ノズル868の内部には、吸着用負圧供給部87(図3参照)から供給される負圧がヘッド部材865のエア通路865a(図11参照)などを介して到達されるように構成されている。
【0053】
上記のような構成により、4つの吸着ノズル868は、それぞれ互いに独立して、ユニット支持部82に対してX方向およびY方向に移動可能であるとともに、それぞれ互いに独立して各々の中心軸Rを回動中心として回動可能である。これにより、各吸着ノズル868により吸着される電子部品が位置ずれしている場合でも、各吸着ノズル868を独立に移動および回動させて、電子部品の位置をテストヘッド2aの検査用ソケットの位置に精度よく合わせることが可能である。
【0054】
2つの下方撮像装置88は、それぞれ、シャトル51、61の電子部品載置位置の確認およびテストヘッド2aの検査用ソケットの位置を確認するために用いられる。
【0055】
試験装置本体2は、ICハンドラ1に着脱可能に構成されており、装着時にはICハンドラ1の下側に重なるように配置されている。試験装置本体2は、テストヘッド2aを有し、テストヘッド2aには4つの検査用ソケット(図示せず)が設けられている。また、試験装置本体2は、4つの検査用ソケットに押圧された電子部品について検査を行うように構成されている。
【0056】
次に、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態によるICハンドラ1の動作について説明する。
【0057】
まず、部品取出部30の4つの吸着ノズルユニット34により、未検査用トレイ収納部10の最上段のトレイから2つの電子部品が吸着されて取り出される。そして、取り出された2つの未検査部品は、部品取出部30により、移動されて図1に示す部品受取位置51aに位置するシャトル51上の所定位置に載置される。この動作が2回繰り返されることによって、シャトル51上に4つの未検査部品が載置される。その後、部品供給部50により、シャトル51が図2に示す部品受渡位置51bに移送される。この際、ヘッドユニット90は、テストヘッド2aの上方に位置し、ヘッドユニット90に吸着された電子部品について検査が実施されている。なお、ヘッドユニット80がテストヘッド2aの上方に位置し、ヘッドユニット80に吸着された電子部品について検査が実施されている場合には、シャトル51は、部品受渡位置51cに移送される。また、シャトル51が移送される際には、真空装置が駆動されてシャトル51上の電子部品の位置ずれが防止される。
【0058】
次に、ヘッドユニット80が部品受渡位置51bの上方に移動され、ヘッドユニット80の4つの吸着ノズル868により、シャトル51に載置された未検査部品が吸着されて取り出される。そして、ヘッドユニット80がX方向に移動されて基台1aのX方向側の略中央に配置される。この際、ヘッドユニット80が撮像装置1bの上方を通過することによって、4つの吸着ノズル868に吸着されている4つの電子部品が撮像されて部品の位置ずれが検知される。そして、他方のヘッドユニット90側の電子部品の検査が終了されて検査済み部品が上昇されると、ヘッドユニット80は、図1に示すように、支持部材72のY方向の移動に伴いヘッドユニット90と一体的にY方向に移動されてテストヘッド2aの上方に配置される。これによりヘッドユニット90は、X方向右手の部品受取位置61bの上方に、あるいはX方向左手の部品受渡位置51cに、それぞれ移動可能となる。なお、ヘッドユニット80、90の各下方撮像装置88は、工場出荷時や定期点検時、あるいは各検査ロットの検査開始時等におけるICハンドラーの調整において、部品受渡位置51b、51cにおけるシャトル51上のマークの検出、部品受取位置61b、61cにおけるシャトル61上のマークの検出に使用され、不図示の各駆動装置による駆動制御におけるレール部材52、62上でのシャトル51、61の移動量が、各ヘッドユニット80、90に対応して調整される。さらに、各検査ロットの検査開始時に、ヘッドユニット80、90の各下方撮像装置88は、テストヘッド2aの4つの検査用ソケットの位置をヘッドユニット80、90に対応させて検出し、検出結果が不図示の制御装置のメモリに記憶される。
【0059】
その後、吸着された電子部品の位置ずれの検知結果に基づいて、検出され記憶されたテストヘッド2aの4つの検査用ソケットの位置(この場合はヘッドユニット80の下方撮像装置88により検出されたデータ)に一致するように、吸着された各電子部品の位置および向きが修正される。具体的には、位置ずれの検知結果に基づいて、各電子部品を、2つの移動ユニット89の2つのX方向駆動装置83が連動して、あるいは一方のみ作動してX方向に移動させ、2つのY方向駆動装置84が連動して、あるいは一方のみ作動してY方向に移動させるとともに、1つのR軸駆動装置85により回動させることによって、互いに独立して4つの電子部品の位置および向きが調整される。そして、昇降駆動部821bにより、4つの吸着ノズル868がユニット支持部82と一体的に下降されて、各吸着ノズル868の下端部に吸着された電子部品がそれぞれ対応する検査用ソケットに押圧される。
【0060】
検査が終了すると、4つの吸着ノズル868は、それぞれ検査済み部品を吸着したままユニット支持部82と一体的に上昇される。そして、支持部材72のY方向の移動に伴い、テストヘッド2aの上方に向けY方向に移動するヘッドユニット90と一体的にヘッドユニット80がY方向に移動する。その後、ヘッドユニット80は、図2に示すように、X方向に移動されて部品受取位置61cの上方に配置される。そして、4つの吸着ノズル868に吸着された4つの検査済み部品が部品受取位置61cに位置するシャトル61上の所定位置に移載される。その後、シャトル61は、図1に示す部品受渡位置61aに移動され、シャトル61上の検査済み部品は、部品収納部40の吸着ノズルユニット44により吸着されて取り出される。そして、検査済み部品は、部品収納部40において検査結果に応じた各トレイ収納部12あるいは13に振り分けられる。これらの一連の動作は、ヘッドユニット80側および90側の両方で並行して行われる。ヘッドユニット90の場合には、ヘッドユニット80に吸着された電子部品の検査中に、ヘッドユニット90は、X方向右手に移動して部品受取位置61bの上方において部品受取位置61bに位置するシャトル61に検査済み部品を移載し、この移載後、X方向左手に移動して部品受渡位置51cでシャトル51上から未検査部品を吸着する。吸着後、支持部材70のX方向中央に移動し、ヘッドユニット80において検査が終了し、4つの吸着ノズルユニット89が、それぞれ検査済み部品を吸着したまま上昇したタイミングで、ヘッドユニット90は、ヘッドユニット80と一体的にY方向に移動し、テストヘッド2aの上方で停止する。
【0061】
上記の一連の動作の途中で未検査用トレイ収納部10の最上段のトレイが空になると、トレイ移送部20により空のトレイが空トレイ収納部11の最上段に移送される。また、トレイ収納部12あるいは13の最上段のトレイが検査済み部品で満たされると、トレイ移送部20により、空トレイ収納部11から最上段のトレイが満たされたトレイ収納部12あるいは13の最上段に空のトレイが移送される。
【0062】
本実施形態では、上記のように、X方向およびY方向に各々独立して移動することが可能な8つの移動ユニット89を設け、図6、図10に示すように、1つの移動ユニット89毎に1つの吸着ノズル868を装着することで、サイズは小さいが8つの電子部品を同時に検査することができる。また、図1〜図5、図11、図12に示すように、連結プレート86aを介装させることで、2つの移動ユニット89に対して1つの吸着ノズル868を装着することによって、吸着ノズル868の個数が減少されるので、その分、基準位置(吸着ノズル868がX方向およびY方向のいずれにも移動されていない位置)において、隣接する吸着ノズル868間の距離を大きくすることができる。その結果、吸着する電子部品のためにより大きいスペースを確保することができるので、数は少なくなるがサイズが大きい電子部品を同時に検査することができる。また、吸着ノズル868の個数が減少する分、吸着ノズル868により押圧される部分の数を減らすことができるので、各々の吸着ノズル868の押圧力を増加させることができる。これにより、押圧力の駆動源の能力を高めることなく、押圧力を高めることができる。なお、吸着ノズル868への電子部品の吸着ずれは、8つの電子部品を同時に検査する前者の場合も、4つの電子部品を同時に検査する後者の場合もともに、撮像装置1b、1cによる部品認識をすることで補正が可能であり、各電子部品を検査用ソケットに対し正しい位置とすることができる。さらに、複数の検査用ソケットが異なる間隔で配置されている場合にも、下方撮像装置88を使用してそれぞれの検査用ソケットの位置認識をすることで、各電子部品を検査用ソケットに対し正しい位置とすることができる。
【0063】
また、本実施形態では、2つの移動ユニット89を連結する連結プレート86aを設け、吸着ノズル868を、連結プレート86aを介して2つの移動ユニット89に装着することによって、連結プレート86aを用いて、容易に、吸着ノズル868を2つの移動ユニット89に跨るように装着することができる。
【0064】
また、本実施形態では、吸着ノズル868を2つの移動ユニット89に装着することによって、吸着ノズル868の個数が減少されて、その分、吸着する電子部品のためにより大きいスペースを確保することができる。さらに2つの移動ユニット89に装着されている吸着ノズル868のサイズを大きくすることで、吸着ノズル868が吸着可能な電子部品をより大きいものとすることができる。これにより、より大きい電子部品に対応可能なICハンドラ1を得ることができる。
【0065】
また、本実施形態では、吸着ノズル868を保持するヘッド部86と、吸着ノズル868をX方向に移動させるためのX方向駆動装置83と、吸着ノズル868をY方向に移動させるためのY方向駆動装置84とを設け、X方向駆動装置83のX方向移動部材833およびY方向駆動装置84のヘッド取付部材845を、平面的に見て、ヘッド部86に対して重なるように配置することによって、移動ユニット89および吸着ノズル868ヘッドの平面的な配置スペースが大きくなるのを抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態では、軸部862に取り付けられたR軸駆動装置85のプーリ851bを、平面的に見て、吸着ノズル868に対して重なるように配置することによって、R軸駆動装置85および吸着ノズル868の平面的な配置スペースが大きくなるのを抑制することができる。
【0067】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0068】
たとえば、本実施形態では、ヘッドユニットに8つの移動ユニットを設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、複数の移動ユニットであれば、8つ以外の複数の移動ユニットを設けてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、図12に示すように、X方向に隣接する2つのヘッド取付部材を1つの連結プレートで連結する構成を示したが、本発明はこれに限らず、図13に示すように、Y方向に隣接する2つのヘッド取付部材を1つの連結プレートで連結する構成であってもよい。また、図14に示すように、4つのヘッド取付部材を1つの連結プレートで連結する構成であってもよいし、図15に示すように、8つすべてのヘッド取付部材を1つの連結プレートで連結する構成であってもよい。さらに、上記以外の個数のヘッド取付部材を1つの連結プレートで連結する構成であってもよいし、2つのヘッド取付部材を1つの連結プレートで連結し、4つのヘッド取付部材を他の1つの連結プレートで連結するなど、異なる個数の組み合わせであってもよい。
【0070】
また、本実施形態では、連結部材の一例としての連結プレートを介して、移動ユニットにヘッド部を取り付ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、連結プレートを設けずに、ヘッド部を直接的に複数の移動ユニットに取り付ける構成であってもよい。
【0071】
また、本実施形態では、各移動ユニットに1つずつヘッド部を装着する場合に比べて、ヘッド部の大きさを大きくする構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、各移動ユニットに1つずつヘッド部を装着する場合と同じ大きさのヘッド部に構成してもよいし、各移動ユニットに1つずつヘッド部を装着する場合に比べて、ヘッド部の大きさを小さくする構成であってもよい。
【0072】
また、本実施形態では、吸着ノズルを、各移動ユニットに1つずつヘッド部を装着した場合に吸着ノズルが吸着可能な電子部品の大きさよりも大きい電子部品を吸着可能に構成する例を示したが、本発明はこれに限らず、各移動ユニットに1つずつヘッド部を装着した場合に吸着ノズルが吸着可能な電子部品の大きさ以下の大きさの電子部品しか吸着することができない吸着ノズルを設ける構成であってもよい。
【0073】
また、本実施形態では、ヘッドユニットの複数のヘッド部を一体的に昇降させる構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、各ヘッド部を互いに独立して昇降させる構成であってもよい。
【0074】
また、本実施形態では、移動ユニットの一例として、X方向(Y方向)モータ、X方向(Y方向)ボールネジ軸およびX方向(Y方向)ボールナットを用いて吸着ノズルを移動させる移動ユニットを示したが、本発明はこれに限らず、永久磁石およびコイルを用いて吸着ノズルを移動させるリニアモータ方式の移動ユニットであってもよい。
【0075】
また、本実施形態では、部品取出部および部品収納部のヘッド部にそれぞれ4つの吸着ノズルユニットを設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、それぞれに1つの吸着ノズルユニットを設けてもよいし、4つ以外の複数の吸着ノズルユニットを設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施形態によるICハンドラの全体構成を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるICハンドラの全体構成を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態によるICハンドラのヘッドユニットを示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態によるICハンドラのヘッドユニットを示す側面図である。
【図5】本発明の一実施形態によるICハンドラのヘッドユニットを示す斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態によるICハンドラのヘッドユニットを示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態によるICハンドラのヘッドユニットの構成を説明するための斜視図である。
【図8】図7の300−300線に沿った断面図である。
【図9】図7の400−400線に沿った断面図である。
【図10】本発明の一実施形態によるICハンドラのヘッドユニットの構成を説明するための斜視図である。
【図11】本発明の一実施形態によるICハンドラのヘッド部を示す断面図である。
【図12】本発明の一実施形態によるICハンドラを説明するための図である。
【図13】本発明の一実施形態によるICハンドラの変形例を説明するための図である。
【図14】本発明の一実施形態によるICハンドラの変形例を説明するための図である。
【図15】本発明の一実施形態によるICハンドラの変形例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0077】
1 ICハンドラ
83 X方向駆動装置(第1方向駆動装置)
84 Y方向駆動装置(第2方向駆動装置)
85 R軸駆動装置(回動駆動装置)
86 ヘッド部(吸着ノズルヘッド)
86a 連結プレート(連結部材)
89 移動ユニット
868 吸着ノズル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を吸着する吸着ノズルと、
水平面内の第1方向および前記第1方向と交差する水平面内の第2方向に各々独立して移動することが可能な複数の移動ユニットとを備え、
各々の前記移動ユニット毎に1つの前記吸着ノズルを装着可能で、かつ、少なくとも2つの前記移動ユニットに対して1つの前記吸着ノズルを装着可能なように構成されている、ICハンドラ。
【請求項2】
1つの前記吸着ノズルが装着される前記少なくとも2つの移動ユニットは、前記第1方向および前記第2方向に一体的に移動されるように構成されている、請求項1に記載のICハンドラ。
【請求項3】
前記少なくとも2つの移動ユニットを連結する連結部材をさらに備え、
前記吸着ノズルは、前記連結部材を介して前記少なくとも2つの移動ユニットに装着されている、請求項1または2に記載のICハンドラ。
【請求項4】
前記少なくとも2つの移動ユニットに装着されている前記吸着ノズルは、1つの前記移動ユニット毎に装着される吸着ノズルが吸着可能な電子部品の大きさよりも大きい電子部品を吸着可能に構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のICハンドラ。
【請求項5】
前記吸着ノズルを保持する吸着ノズルヘッドをさらに備え、
前記移動ユニットは、前記吸着ノズルを前記第1方向に移動させるための第1方向駆動装置と、前記吸着ノズルを前記第2方向に移動させるための第2方向駆動装置とを含み、
前記第1方向駆動装置および前記第2方向駆動装置の少なくとも一部は、平面的に見て、前記吸着ノズルヘッドに対して重なるように配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のICハンドラ。
【請求項6】
前記吸着ノズルを回動させるための回動駆動装置をさらに備え、
前記回動駆動装置の少なくとも一部は、平面的に見て、前記吸着ノズルヘッドに対して重なるように配置されている、請求項5に記載のICハンドラ。
【請求項1】
電子部品を吸着する吸着ノズルと、
水平面内の第1方向および前記第1方向と交差する水平面内の第2方向に各々独立して移動することが可能な複数の移動ユニットとを備え、
各々の前記移動ユニット毎に1つの前記吸着ノズルを装着可能で、かつ、少なくとも2つの前記移動ユニットに対して1つの前記吸着ノズルを装着可能なように構成されている、ICハンドラ。
【請求項2】
1つの前記吸着ノズルが装着される前記少なくとも2つの移動ユニットは、前記第1方向および前記第2方向に一体的に移動されるように構成されている、請求項1に記載のICハンドラ。
【請求項3】
前記少なくとも2つの移動ユニットを連結する連結部材をさらに備え、
前記吸着ノズルは、前記連結部材を介して前記少なくとも2つの移動ユニットに装着されている、請求項1または2に記載のICハンドラ。
【請求項4】
前記少なくとも2つの移動ユニットに装着されている前記吸着ノズルは、1つの前記移動ユニット毎に装着される吸着ノズルが吸着可能な電子部品の大きさよりも大きい電子部品を吸着可能に構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のICハンドラ。
【請求項5】
前記吸着ノズルを保持する吸着ノズルヘッドをさらに備え、
前記移動ユニットは、前記吸着ノズルを前記第1方向に移動させるための第1方向駆動装置と、前記吸着ノズルを前記第2方向に移動させるための第2方向駆動装置とを含み、
前記第1方向駆動装置および前記第2方向駆動装置の少なくとも一部は、平面的に見て、前記吸着ノズルヘッドに対して重なるように配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のICハンドラ。
【請求項6】
前記吸着ノズルを回動させるための回動駆動装置をさらに備え、
前記回動駆動装置の少なくとも一部は、平面的に見て、前記吸着ノズルヘッドに対して重なるように配置されている、請求項5に記載のICハンドラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−156575(P2010−156575A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333951(P2008−333951)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
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