説明

IFNAR2を標的とするための方法と組成物

抗IFNAR2モノクローナル抗体、及び当該抗体を用いるための方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本出願は、米国特許法規則1.53(b)(1)に基づき出願した非仮出願であり、米国特許法119条(e)に基づき、2005年6月22日に出願の米国仮特許出願第60/692786号の優先権を主張するものであり、その基礎出願の内容を出典明記により本明細書中に援用する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、抗I型インターフェロンレセプター抗体の分野に関するものであり、より詳細には、I型インターフェロンのI型インターフェロンレセプター複合体の第二成分(IFNAR2)への結合を阻害する抗I型インターフェロンレセプター抗体に関する。
【0003】
(発明の背景)
I型インターフェロン(IFN)は、多種多様な細胞型に対して多面的な効果を有するサイトカインである。IFNは、抗ウイルス活性で最も知られているが、抗菌作用、抗原虫作用、免疫調節作用及び細胞増殖制御作用も有している。I型インターフェロンには、インターフェロン-α(IFN-α)及びインターフェロン-β(IFN-β)が含まれる。IFN-βには一種類のポリペプチドしか存在しないが、ヒトインターフェロン-α(hIFN-α)には、少なくとも23種類のポリペプチドを有する異種ファミリーが存在する(J. Interferon Res., 13: 443-444 (1993))。hIFN-αのサブタイプの間では、70%以上のアミノ酸配列相同性を示し、hIFN-βと約25%のアミノ酸同一性を有する。hIFN-αとhIFN-βは、共通のレセプターを共有している。
【0004】
hIFN-αレセプター複合体の2つの成分が同定されている。第一hIFN-αレセプター(hIFNAR1)のcDNAは、63kDのレセプタータンパク質をコードしている(Uze等, Cell, 60: 225-234 (1990)において報告される)。このレセプターは、広範囲にわたってグリコシル化されていることにより、ゲル電気泳動において、より大きい135kDのタンパク質として移動する。第2のインターフェロンレセプターであるhIFNAR2(hIFN-αβR ロング)は、hIFNAR1と関連して機能的シグナル複合体を媒介する、115kDのタンパク質である(Domanski等, J. Biol. Chem., 270: 21606-21611 (1995)において報告される)。IFNAR2の変異体であるIFN-α/βレセプター(hIFN-αβR ショート)は、I型hIFNに結合できるが、hIFNAR1と結合した場合、機能的な複合体を形成できない、55kDのタンパク質である(Novick等, Cell, 77: 391-400 (1994)において報告される)。このIFN-α/βレセプターは、hIFNAR2の選択的スプライシング変異体であると思われる。
【0005】
プロセシングされていないhIFNAR1発現産物は、上記のUze等による文献の229頁、図5に示されるように、409残基からなる細胞外ドメイン(ECD)、21残基からなる膜貫通ドメイン及び100残基からなる細胞内ドメインを含む557アミノ酸で構成されている。IFNAR1の細胞外ドメインは、2つのドメイン、ドメイン1及びドメイン2で構成されており、3-プロリンモチーフにより分けられている。ドメイン1とドメイン2の間には、19%の配列同一性と50%の配列ホモロジーがある(上記Uze等)。それぞれのドメイン(D200)は、約200残基から成り、さらに約100アミノ酸から成る2つの同種サブドメイン(SD100)に分けることができる。プロセシングされていないhIFNAR2発現産物は、Domanski等による文献(J. Biol. Chem., 37: 21606-21611 (1995))の21608頁、図1に示されるように、217残基からなる細胞外ドメイン(ECD)、21残基からなる膜貫通ドメイン及び250残基からなる長い細胞質尾部を含む515アミノ酸で構成されている。
【0006】
IFNAR1遺伝子ノックアウトマウスを用いることにより、IFNAR1は全てのI型IFNへの応答(Muller等, Science, 264: 1918-1921 (1994)及びCleary等, J. Biol. Chem., 269: 18747-18749 (1994))及び種特異的IFNシグナル伝達の媒介(Constantinescu等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91: 9602-9606 (1994))に必須であることが示されている。
Benoit等による文献(J. Immunol., 150: 707-716 (1993))では、抗IFNAR1mAbである64G12が報告され、IFN-α2(IFN-αA)及びIFN-αBのDaudi細胞への結合を阻害すること及びDaudi細胞に対するIFN-α2、IFN-β及びIFN-ω(IFN-αII1)の抗ウイルス活性を阻害することが明らかとなった。Benoit等は、64G12がIFNAR1のドメイン1に存在するエピトープを認識することも報告している。Eid及びToveyによる文献(J. Interferon Cytokine Res., 15: 205-211 (1995))では、64G12は、Daudi細胞からの交差結合されたIFN-α2-レセプター複合体を免疫沈降させられないことが報告された。
【0007】
Colamonici及びDomanskiによる文献(J. Biol. Chem., 268: 10895-10899 (1993))には、抗IFNAR2mAb(「IFNaRβ1mAb」として表示される)が、IFN-α2(IFN-αA)のDaudi細胞及びU-266細胞への結合を阻害すること、及び、MTT細胞増殖アッセイを用いて、異なるI型インターフェロンのDaudi細胞に対する抗増殖活性を阻害することが報告されている。
I型インターフェロン-インターフェロンレセプターの相互作用に干渉する、他の様々な抗体もまた開示されている。例えば、米国特許第5516515号、同第5919453号、同第5643749号、同第5821078号、同第5886153号、同第6458932号、同第6136309号、同第6713609号、同第6787634号、国際公開第9320187号、国際公開第96/33735号、欧州特許第0822830号、欧州特許第495907号、国際公開第95/07716号、国際公開第96/34096号、欧州特許第0537166号B1、欧州特許第588177号A2、欧州特許第588177号B1、国際公開第9741229号、欧州特許第927252号、欧州特許第676413号B1、国際公開第2004/093908号、国際公開第2004/094473号及び米国公開特許第2003/0018174号、米国公開特許第2003/0166228号参照。
【0008】
様々な疾患におけるI型インターフェロン経路の役割が、解明されつつある。これらの疾患には、多数の免疫複合体調節異常の徴候が含まれる。例えば、Schmidt & Ouyang, Lupus (2004), 13:348-352参照。この重要な経路を標的とし、調節するのに有効な組成物や方法が有益であることは明らかである。ここに提供される発明は、そのような組成物及び方法に関する。
ここで引用される特許出願及び特許公開を含む全ての文献は、出典明記によりその全体が援用される。
【0009】
(発明の開示)
本発明は、IFNAR2に結合可能な新規の抗体及び/又はI型インターフェロンレセプター複合体の第二成分(IFNAR2)を介した、I型IFNシグナル伝達に関連する生物学的活性を調節する新規の抗体を提供する。
ある態様において、本発明は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託番号PTA-6242、PTA-6243又はPTA-6244として寄託されたハイブリドーマ細胞系により産生される抗体のHC-HVR1、HC-HVR2、HC-HVR3、LC-HVR1、LC-HVR2及びLC-HVR3配列からなる群から選択される、少なくとも1、2、3、4、5又は全ての高頻度可変(HVR)配列を含む、ヒトIFNAR2に特異的に結合する単離された免疫グロブリンポリペプチドを提供する。例えば、ある態様において、本発明は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託番号PTA-6242、PTA-6243又はPTA-6244として寄託されたハイブリドーマ細胞系により産生される抗体のHC-HVR1、HC-HVR2、HC-HVR3、LC-HVR1、LC-HVR2及びLC-HVR3配列からなる群から選択される、少なくとも1、2、3、4、5又は全ての高頻度可変(HVR)配列を含む、ヒトIFNAR2に特異的に結合する単離された抗体を提供する。ある実施態様において、本発明は、HC-HVR1、HC-HVR2及びHC-HVR3からなる群から選択される、少なくとも1、2又は全てのHC-HVR、及びLC-HVR1、LC-HVR2及びLC-HVR3からなる群から選択される、少なくとも1、2又は全てのLC-HVRを含む、単離された抗体を提供する。ある実施態様において、本発明の単離された抗体のHVR配列は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託番号PTA-6242として寄託されたハイブリドーマ細胞系により産生される抗体のHVRである。ある実施態様において、本発明の単離された抗体のHVR配列は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託番号PTA-6243として寄託されたハイブリドーマ細胞系により産生される抗体のHVR配列である。ある実施態様において、本発明の単離された抗体のHVR配列は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託番号PTA-6244として寄託されたハイブリドーマ細胞系により産生される抗体のHVR配列である。
【0010】
ある態様において、本発明は、ヒトIFNAR2に特異的に結合する、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託番号PTA-6242、PTA-6243又はPTA-6244として寄託されたハイブリドーマ細胞系により産生される抗体の重鎖及び/又は軽鎖の可変ドメイン配列を含む単離された免疫グロブリンポリペプチドを提供する。例えば、本発明は、ヒトIFNAR2に特異的に結合する、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託番号PTA-6242、PTA-6243又はPTA-6244として寄託されたハイブリドーマ細胞系により産生される抗体の重鎖及び/又は軽鎖の可変ドメイン配列を含む単離された抗体を提供する。ある実施態様において、単離された抗体は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託番号PTA-6242として寄託されたハイブリドーマ細胞系により産生される抗体の重鎖及び/又は軽鎖の可変ドメイン配列を含む。ある実施態様において、単離された抗体は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託番号PTA-6243として寄託されたハイブリドーマ細胞系により産生される抗体の重鎖及び/又は軽鎖の可変ドメイン配列を含む。ある実施態様おいて、単離された抗体は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託番号PTA-6244として寄託されたハイブリドーマ細胞系により産生される抗体の重鎖及び/又は軽鎖の可変ドメイン配列を含む。
【0011】
ある態様において、本発明は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託番号PTA-6242、PTA-6243又はPTA-6244として寄託されたハイブリドーマ細胞系の抗体コード化配列によりコードされるIFNAR2抗体を提供する。
ある態様において、本発明は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託番号PTA-6242、PTA-6243及び/又はPTA-6244として寄託されたハイブリドーマ細胞系により産生される抗体と同じヒトIFNAR2上のエピトープに結合する単離された抗体を提供する。
ある態様において、本発明は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託番号PTA-6242、PTA-6243及び/又はPTA-6244として寄託されたハイブリドーマ細胞系により産生される抗体と、ヒトIFNAR2への結合において競合する単離された抗体を提供する。
【0012】
本発明の抗体の一つの実施態様において、本発明の抗体はヒト白血球インターフェロンの抗ウイルス活性を阻害する。
本発明の抗体の一つの実施態様において、抗体はヒトインターフェロンαの抗ウイルス活性を阻害する。
【0013】
本発明の抗体の一つの実施態様において、少なくとも約10μg/mlの全長IgG型の抗体は、約0.5U/mlから約1000U/mlのヒト白血球インターフェロンによる抗ウイルス活性の少なくとも約25%、40%、50%、75%又は90%を阻害する。ある実施態様では、白血球インターフェロンは約10U/mlである。
本発明の抗体の一つの実施態様において、少なくとも約10μg/mlの全長IgG型の抗体は、約1000U/mlのインターフェロンαによる抗ウイルス活性の少なくとも約25%、40%、50%、75%又は90%を阻害する。
本発明の抗体の一つの実施態様において、少なくとも約0.01、0.04、0.1、0.4、1.1、3.3、10又は20μg/mlの全長IgG型の抗体は、約25U/mlのインターフェロンβによる抗ウイルス活性の少なくとも約25%、40%、50%、75%又は90%を阻害する。ある実施態様では、抗体濃度は少なくとも約10μg/mlである。一つの実施態様では、少なくとも約10μg/mlの全長IgG型の本発明の抗体は、約25U/mlのインターフェロンβによる抗ウイルス活性の少なくとも約25%を阻害する。
【0014】
本発明の抗体の一つの実施態様において、抗体の全長IgG型は、約300pM又はそれ以上の結合親和性でヒトIFNAR2に特異的に結合する。ある実施態様において、結合親和性は、約280pM又はそれ以上である。ある実施態様において、結合親和性は、約200pM又はそれ以上である。ある実施態様において、結合親和性は、約100pM又はそれ以上である。ある実施態様において、結合親和性は、約60pM又はそれ以上である。
ある実施態様において、本発明の抗体は、実質的に同等の抗体力価でインターフェロンα及びインターフェロンβの抗ウイルス活性を阻害する。
ある実施態様において、本発明の抗体は、インビトロでの第1のI型インターフェロン(例えば、インターフェロンα)及び第2のI型インターフェロン(例えば、インターフェロンβ)による抗ウイルス活性の阻害において、実質的に同等の効果を有する。例えば、ある実施態様において、本発明の抗体の同等量は、第1のI型インターフェロン及び第2のI型インターフェロンによる抗ウイルス活性の少なくとも約50%、75%、85%、90%又は95%を阻害することができ、前記インターフェロンは、WISH細胞バイオアッセイにおいて、それぞれ抗ウイルス活性におけるおおよそ最適の量で投与され(以下の実施例で述べられている)、前記第2のI型インターフェロンは、インターフェロンβである。ある実施態様において、第1のI型インターフェロンは、インターフェロンαである。ある実施態様において、第1のI型インターフェロンは、白血球インターフェロンである。
【0015】
本発明の抗体は、様々な形態を取り得る。例えば、本発明の抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体又はヒト抗体であってもよい。ある実施態様において、本発明の抗体は、ヒト抗体ではなく、その例として、ゼノマウス(xenomouse、例えば、国際公開第96/33735号において述べられている)において産生された抗体ではない。本発明の抗体は、全長抗体又はその断片(例えば、抗原結合成分を含む断片)であってもよい。
ある実施態様において、本発明の抗体は、ATCC寄託番号HB-12426、12427及び/又は12428を有するハイブリドーマ細胞系で産生される抗体、もしくは1993年に刊行されたJournal of Biological Chemistry, Volume 268 の10895頁から10899頁に記載されるIFNAR2抗体、又はPCT公報国際公開第96/33735号、国際公開第96/34096号、国際公開第9741229号、欧州特許第588177号B1、同第927252号、同第676413号、及び/又は米国特許第6458932号及び同第6136309号において開示される単離されたIFNAR2抗体ではない。
ある実施態様において、本発明の抗体は、ATCC寄託番号HB-12426、12427及び/又は12428を有するハイブリドーマ細胞系で産生される抗体、もしくは1993年に刊行されたJournal of Biological Chemistry, Volume 268 の10895頁から10899頁に記載されるIFNAR2抗体、又はPCT公報国際公開第96/33735号、国際公開第96/34096号、国際公開第9741229号、欧州特許第588177号B1、同第927252号、同第676413号、及び/又は米国特許第6458932号及び同第6136309号において開示される単離されたIFNAR2抗体とヒトIFNAR2への結合において競合しない。
ある実施態様において、本発明の抗体は、ATCC寄託番号HB-12426、12427及び/又は12428を有するハイブリドーマ細胞系で産生される抗体、もしくは1993年に刊行されたJournal of Biological Chemistry, Volume 268 の10895頁から10899頁に記載されるIFNAR2抗体、又はPCT公報国際公開第96/33735号、国際公開第96/34096号、国際公開第9741229号、欧州特許第588177号B1、同第927252号、同第676413号、及び/又は米国特許第6458932号及び同第6136309号において開示される単離されたIFNAR2抗体と同じエピトープには結合しない。
【0016】
ある態様において、本発明は、一又は複数の本発明の抗体及び担体を含有する組成物を提供する。ある実施態様において、前記担体は薬学的に許容される。
ある態様において、本発明は、本発明の免疫グロブリンポリペプチド(例えば、抗体)をコードする核酸を提供する。
ある態様において、本発明は、本発明の核酸を含むベクターを提供する。
ある態様において、本発明は、本発明の核酸又はベクターを含む宿主細胞を提供する。ベクターは、どのようなタイプであってもよく、例えば発現ベクターのような組み換えベクターが挙げられる。どのような種類の宿主細胞でも用いることができる。ある実施態様において、宿主細胞は、原核細胞であり、例えば大腸菌が挙げられる。ある実施態様において、宿主細胞は、真核細胞であり、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のような哺乳動物細胞が挙げられる。
【0017】
ある態様において、本発明は、本発明の抗体の製造方法を提供する。例えば、本発明は、抗IFNAR2抗体(ここで定義されるように、その全長及び断片が含まれる)の製造方法を提供し、その方法は、適切な宿主細胞において、前記抗体(その断片を含む)をコードする本発明の組み換えベクターを発現させ、前記抗体を回収することを含む。
ある態様において、本発明は、容器;及び容器内に収容される組成物を具備し、前記組成物が一又は複数の本発明の抗体を含有する製造品を提供する。ある実施態様において、前記組成物は、本発明の核酸を含有する。ある実施態様において、組成物は、本発明の免疫グロブリンポリペプチド(例えば、抗体)に加え、担体をさらに含有し、その担体はいくつかの実施態様において薬学的に許容される。ある実施態様において、本発明の製造品は、対象への組成物(例えば、抗体)の投与に関する説明書をさらに具備する。
ある態様において、本発明は、一又は複数の本発明の抗体を含有する組成物を中に収容する第一の容器;とバッファーを収容する第二の容器とを具備するキットを提供する。ある実施態様において、前記バッファーは薬学的に許容される。ある実施態様において、組成物は抗体に加え、担体をさらに含有し、その担体はいくつかの実施態様において薬学的に許容される。ある実施態様において、キットは、対象への組成物(例えば、抗体)の投与に関する説明書をさらに具備する。
【0018】
ある態様において、本発明は、細胞増殖性疾患や免疫(自己免疫のような)疾患などの疾患の治療的及び/又は予防的処置のための薬剤の製造における、本発明の抗体の使用を提供する。
ある態様において、本発明は、細胞増殖性疾患や免疫(自己免疫のような)疾患などの疾患の治療的及び/又は予防的処置のための薬剤の製造における、本発明の核酸の使用を提供する。
ある態様において、本発明は、細胞増殖性疾患や免疫(自己免疫のような)疾患などの疾患の治療的及び/又は予防的処置のための薬剤の製造における、本発明の発現ベクターの使用を提供する。
ある態様において、本発明は、細胞増殖性疾患や免疫(自己免疫のような)疾患などの疾患の治療的及び/又は予防的処置のための薬剤の製造における、本発明の宿主細胞の使用を提供する。
ある態様において、本発明は、細胞増殖性疾患や免疫(自己免疫のような)疾患などの疾患の治療的及び/又は予防的処置のための薬剤の製造における、本発明の製造品の使用を提供する。
ある態様において、本発明は、細胞増殖性疾患や免疫(自己免疫のような)疾患などの疾患の治療的及び/又は予防的処置のための薬剤の製造における、本発明のキットの使用を提供する。
【0019】
本発明は、I型インターフェロン/IFNAR2シグナル伝達軸の調節異常に関連する疾患の調節に有用な方法及び組成物を提供する。このシグナル経路は、多様な生物学的かつ生理学的機能に関与している。本発明の抗体は、この経路を調節可能であり、したがって、一又は複数のこれらの生物学的かつ生理学的機能における異常に関連した状態を調節するのに有用である。したがって、ある態様において、本発明は、本発明の抗体を対象に投与し、その結果、病的状態が治療されることを含む方法を提供する。
ある態様において、本発明は、IFN-α、β及び/又はIFNAR2の過剰発現及び/又は異常に高いレベルの活性に関連した疾患又は状態の治療のための方法であって、本発明の抗体の有効量を対象に投与し、疾患/状態が治療されることを含む方法を提供する。ある実施態様において、前記対象は哺乳動物である。ある実施態様において、前記対象はヒトである。
【0020】
本発明の方法及び組成物は、IFN-α、β及び/又はIFNAR2の過剰発現及び/又は異常に高いレベルの活性に関連した様々な疾患を治療するために用いることができる。例えば、ある実施態様において、本発明の方法又は組成物により治療された疾患は、自己免疫疾患、例えばインスリン依存性糖尿病(IDDM);全身性エリテマトーデス(SLE)(例えば、ループス腎炎を含みうる)、自己免疫性甲状腺炎、シェーグレン症候群、乾癬、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病)、関節リウマチ及びIgA腎炎が挙げられる。
ある態様において、本発明は、細胞又は組織におけるI型インターフェロン/IFNAR2シグナル伝達を阻害する方法であって、細胞又は組織を有効量の本発明の抗体に接触させることにより、細胞又は組織におけるI型インターフェロン/IFNAR2シグナル伝達を阻害することを含む方法を提供する。
ある態様において、本発明は、対象におけるI型インターフェロン/IFNAR2細胞シグナル伝達の調節異常に関連した病的状態を治療する方法であって、有効量の本発明の抗体を対象に投与し、前記状態が治療されることを含む方法を提供する。ある実施態様において、前記病的状態は、I型インターフェロン/IFNAR2発現の上方調節に関連している。
【0021】
本発明の方法は、あらゆる適切な病理学的状態、例えばI型インターフェロン/IFNAR2シグナル伝達経路の調節異常に関連した細胞及び/又は組織に作用するために用いることができる。ある実施態様において、本発明の方法の標的の細胞は、免疫細胞である。ある実施態様において、前記免疫細胞は、T-細胞、B-細胞又は単球である。
ある実施態様において、本発明の抗体によるI型インターフェロン/IFNAR2細胞シグナル伝達の阻害は、Tyk2、Jak1、Stat1及び/又はStat2を介したシグナル伝達の阻害に関連する。ある実施態様において、本発明の抗体によるI型インターフェロン/IFNAR2細胞シグナル伝達の阻害は、ISRE複合体の形成の阻害に関連する。ある実施態様において、本発明の抗体によるI型インターフェロン/IFNAR2細胞シグナル伝達の阻害は、インターフェロンにより調節される遺伝子(例えば、Mx-1、MHCI、CD69、Fas)の発現の阻害に関連する。
【0022】
本発明の方法は、さらなるステップ/薬剤を含みうる。例えば、ある実施態様において、患者はステロイド(例えば、自己免疫疾患のため)も投与されうる。
ある態様において、本発明の抗体は、細胞障害剤のような毒素に連結している。これらの分子は、ステロイドのような添加剤/促進剤と組み合わせて製剤化されうるか、又は投与されうる。
ある態様において、本発明は、試料を本発明の抗体と接触させることを含む、試料中のIFNAR2の存在を検出する方法を提供する。
ある態様において、本発明は、本発明の抗体を組織細胞試験試料と接触させることにより試料中のIFNAR2レベルを測定し、前記抗体と結合したIFNAR2が前記試料中のIFNAR2の存在及び/又は量を示すことを含む疾患の診断方法を提供する。ある態様において、本発明は、本発明の抗体を組織細胞試験試料と接触させることにより試料中のI型インターフェロン/IFNAR2生物学的活性レベルを測定し、対照試料と比較して前記試料中の前記生物学的活性の減少が、前記試験試料中のI型インターフェロン/IFNAR2生物学的活性の存在及び/又は増加を示すことを含む疾患の診断方法を提供する。
他の態様において、本発明は、本発明の抗体を組織細胞試験試料と接触させることにより試料中のIFNAR2レベルを測定し、前記試料中のIFNAR2の量を決定することを含む、個体が疾患となる危険を有するかどうかを決定する方法であって、前記試験試料中のIFNAR2レベルが試験試料と同じ細胞起源の正常組織を含む対照試料と比較して高いことが、前記個体が疾患となる危険を有することの指標となる方法を提供する。
【0023】
本発明の方法の一実施態様において、IFNAR2レベルは、試験試料中における抗体に結合したIFNAR2の量により示されたIFNAR2ポリペプチドの量を基に測定される。前記方法において用いられる抗体は、選択的に、検出可能に標識されるか、固体支持体に固定されるか、又は同様のものでありうる。本発明の方法の一実施態様において、I型インターフェロン/IFNAR2の生物学的活性の阻害の程度は、例えばTyk2、Jak1、Stat1及び/又はStat2を介したシグナル伝達の阻害;ISRE複合体形成の阻害、及び/又はIFNにより調節される遺伝子の発現の阻害により、I型インターフェロン/IFNAR2経路を介したシグナル伝達に関連した生物学的活性の程度に基づき決定される。
ある態様において、本発明は、本発明の抗体を体液中、例えば血液中のIFNAR2へ結合させる方法を提供する。
【0024】
さらにもう一つの態様において、本発明は、IFNAR2を発現する細胞に本発明の抗体を結合させる方法であって、前記抗体がIFNAR2に結合するのに適し、それらの結合を許容する条件下で前記細胞を前記抗体に接触させることを含む方法に関する。ある実施態様において、細胞上のIFNAR2への前記抗体の結合は、IFNAR2の生物学的機能を阻害する。ある実施態様において、前記抗体は、IFNAR2とそのリガンドとの相互作用を阻害しない。ある実施態様において、前記抗体は、細胞上のIFNAR2分子に結合し、他の分子がIFNAR2分子に結合するのを阻害する。
ある態様において、本発明は、治療的薬剤の標的を宿主におけるIFNAR2関連組織とする方法であって、前記治療的薬剤を本発明の抗体と連結させた形体で宿主に投与し、前記薬剤が宿主におけるIFNAR2関連組織を標的とすることを含む方法を提供する。ある実施態様において、IFNAR2に結合する抗体は、例えばIFNAR2が細胞表面上に存在する場合、細胞上に局在するIFNAR2に特異的に(インビトロ又はインビボのいずれか一方において)結合しうる。
【0025】
(発明を実施するための形態)
一般的技術
特に示さない限り、本発明の実施には、当業者の技量内にある分子生物学(組換え技術を含む)、細菌学、細胞生物学、生化学、及び免疫学の一般的な技術を用いる。このような技術は、文献、例えば「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」第2版(Sambrook等, 1989);「Oligonucleotide Synthesis」(M. J. Gait編, 1984);「Animal Cell Culture」(R. I. Freshney編, 1987);「Methods in Enzymology」(Academic Press, Inc.);「Current Protocols in Molecular Biology」(F. M. Ausubel等編, 1987, 及び定期更新物);「PCR:The Polymerase Chain Reaction」(Mullis等編, 1994);「A Practical Guide to Molecular Cloning」(Perbal Bernard V., 1988;「Phage Display: A Laboratory Manual」(Barbas等、2001)に十分に説明されている。
【0026】
定義
本明細書において使用する「I型インターフェロン」及び「ヒトI型インターフェロン」という用語は、ヒト及び合成インターフェロンα、インターフェロンω及びインターフェロンβクラスの範疇に含まれ、且つ共通の細胞レセプターに結合する全ての種類の天然ヒト及び合成インターフェロンと定義される。天然ヒトインターフェロンαは、高度の構造相同性を有する個別の遺伝子によってコードされる、23以上の密接に関連するタンパク質を含む(Weissmann及びWeber, Prog. Nucl. Acid. Res. Mol. Biol., 33:251(1986); J. Interferon Res., 13:443-444 (1993))。ヒトIFN-α座位は2つのサブファミリーを含む。第一のサブファミリーは、IFN-αA(IFN-α2)、IFN-αB(IFN-α8)、IFN-αC(IFN-α10)、IFN-αD(IFN-α1)、IFN-αE(IFN-α22)、IFN-αF(IFN-α21)、IFN-αG(IFN-α5)、IFN-α16、IFN-α17、IFN-α4、IFN-α6、IFN-α7、及びIFN-αH(IFN-α14)をコードする遺伝子、及び少なくとも80%の相同性を有する偽遺伝子を含む、少なくとも14の機能的な非対立遺伝子から構成される。第二のサブファミリーであるαII又はωは、IFN-α遺伝子と70%の相同性を示す少なくとも5の偽遺伝子及び1の機能的な遺伝子(ここでは「IFN-αII1」又は「IFN-ω」と示す)を含む(Weissmann及びWeber (1986))。ヒトIFN-βは通常、単一のコピー遺伝子によってコードされると考えられている。
【0027】
本明細書において使用する「第1のヒトインターフェロンα(hIFN-α)レセプター」、「IFN-αR」、「hIFNAR1」、「IFNAR1」、及び「Uze鎖」という用語は、Uze等によるCell, 60:225-234 (1990)によってクローニングされた557のアミノ酸レセプタータンパク質を意味し、これには、Uze等による文献の229頁の図5に示されるように、409の残基からなる細胞外ドメイン、21の残基からなる膜貫通ドメイン、及び100の残基からなる細胞間ドメインが含まれる。一実施態様では、前記の用語は、IFNAR1の細胞外ドメイン(ECD)(又はECDの断片)を含むIFNAR1の断片を含む。
本明細書において使用する「第2のヒトインターフェロンα(hIFN-α)レセプター」、「IFN-αβR」、「hIFNAR2」、「IFNAR2」、及び「Novic鎖」という用語は、Domanski等によるJ. Biol. Chem., 37:21606-21611 (1995)によってクローニングされた515のアミノ酸レセプタータンパク質を意味し、これには、Domanski等による文献の21608頁の図1に示されるように、217の残基からなる細胞外ドメイン、21の残基からなる膜貫通ドメイン、及び250の残基からなる細胞間ドメインが含まれる。一実施態様では、前記の用語は、IFNAR2の細胞外ドメイン(ECD)(又はECDの断片)を含むIFNAR2の断片と、免疫グロブリン配列の少なくとも1つに融合したIFNAR2 ECD等のIFNAR2の可溶性形態を含む。
【0028】
「単離された」抗体とは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたものである。その自然環境の汚染成分とは、抗体の診断又は治療的な使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。一実施態様では、タンパク質は、(1)例えばローリー法で測定した場合95%を越える抗体、一部の実施態様では99重量%を超えるまで、(2)例えばスピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15のN末端あるいは内部アミノ酸配列の残基を得るのに充分なほど、あるいは、(3)例えばクーマシーブルーあるいは銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS-PAGEにより均一になるまで充分なほど精製される。抗体の自然環境の少なくとも一の成分が存在しないため、単離された抗体には、組換え細胞内のインサイツでの抗体が含まれる。しかしながら、通常は、単離された抗体は少なくとも一の精製工程により調製される。
【0029】
本明細書で使用する「抗IFNAR2抗体」という用語は、IFNAR2に対する結合能を有する抗体を指す。
本明細書において、「IFNAR2に対するI型インターフェロンの結合を遮断する」特性又は能力を有する本発明の抗体とは、INFNAR2に結合すると、1以上のI型インターフェロンに対するIFNAR2の結合能を失わせるか、又は削除することができる抗IFNAR2抗体を意味する。
【0030】
ここで用いる「実質的に類似」、「実質的に同じ」、「等価な」、又は「実質的に等価な」という句は、当業者が2つの数値(例えば、分子に関連するもの、及び参照/比較分子に関連する他のもの)の差異に、該値(例えばKd値、抗ウイルス効果等)によって測定される生物学的性質上わずかに又は全く生物学的及び/又は統計学的有意差がないと認められるほど、2つの数値が有意に類似していることを意味する。前記2つの値間の差異は、参照/比較分子の値の好ましくは約50%以下、好ましくは約40%以下、好ましくは約30%以下、好ましくは約20%以下、好ましくは約10%以下である。
【0031】
ここで用いる「実質的に減少」、又は「実質的に異なる」という句は、当業者が2つの数値(一般に、分子に関連するもの、及び参照/比較分子に関連する他のもの)の差異に、該値(例えばKd値、HAMA応答、抗ウイルス活性)によって測定される生物学的性質上統計学的に有意であると認められるほど、2つの数値が有意に異なっていることを意味する。前記2つの値間の差異は、参照/比較分子の値の、好ましくは約10%より大きく、好ましくは約20%より大きく、好ましくは約30%より大きく、好ましくは約40%より大きく、好ましくは約50%より大きい。
一般的に「結合親和性」は、分子(例えば抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば抗原)との間の非共有結合的な相互作用の総合的な強度を意味する。特に明記しない限り、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば抗体と抗原)間の1:1相互作用を反映する内因性結合親和性を意味する。一般的に、分子XのそのパートナーYに対する親和性は、解離定数(Kd)として表される。親和性は、本明細書中に記載のものを含む当業者に公知の共通した方法によって測定することができる。低親和性抗体は抗原にゆっくり結合して素早く解離する傾向があるのに対し、高親和性抗体は抗原により密接により長く結合したままとなる。結合親和性の様々な測定方法が当分野で公知であり、それらの何れかを本発明のために用いることができる。以下に具体的な例示的実施態様を記載する。
【0032】
一実施態様では、本発明の「Kd」又は「Kd値」は、段階的な力価の非標識抗原の存在下で、最小濃度の(125I)-標識抗原にてFabを均衡化して、抗Fab抗体コートプレートと結合した抗原を捕獲することによって抗原に対するFabの溶液結合親和性を測定する以下のアッセイで示されるような(Chen,等, (1999) J. Mol Biol 293:865-881)、所望の抗体のFab型(バージョン)とその抗原を用いて実行される放射性標識した抗原結合アッセイ(RIA)で測定される。アッセイの条件を決めるために、ミクロタイタープレート(Dynex)を5μg/mlの捕獲抗Fab抗体(Cappel Labs)を含む50mM炭酸ナトリウム(pH9.6)にて一晩コートして、その後2%(w/v)のウシ血清アルブミンを含むPBSにて室温(およそ23℃)で2〜5時間、ブロックする。非吸着プレート(Nunc#269620)に、100pM又は26pMの[125I]抗原を段階希釈した所望のFabと混合する(例えば、Presta等, (1997) Cancer Res. 57: 4593-4599の抗VEGF抗体、Fab-12の評価と一致する)。ついで所望のFabを一晩インキュベートする;しかし、インキュベーションは確実に平衡状態に達するまでに長時間(例えば65時間)かかるかもしれない。その後、混合物を捕獲プレートに移し、室温で(例えば1時間)インキュベートする。そして、溶液を取り除き、プレートを0.1%のTween20を含むPBSにて8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μl/ウェルの閃光物質(MicroScint-20; Packard)を加え、プレートをTopcountγ計測器(Packard)にて10分間計測する。最大結合の20%か又はそれ以下濃度のFabを選択してそれぞれ競合結合測定に用いる。他の実施態様によると、〜10反応単位(RU)の固定した抗原CM5チップを用いて25℃のBIAcoreTM-2000又はBIAcoreTM-3000(BIAcore, Inc., Piscataway, NJ)にて表面プラズモン共鳴アッセイを行ってKd又はKd値を測定する。簡単に言うと、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5, BIAcore Inc.)を、提供者の指示書に従ってN-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシニミド(NHS)で活性化した。抗原を10mM 酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(〜0.2μM)に希釈し、結合したタンパク質の反応単位(RU)がおよそ10になるように5μl/分の流速で注入した。抗原の注入後、反応しない群をブロックするために1Mのエタノールアミンを注入した。動力学的な測定のために、2倍の段階希釈したFab(0.78nMから500nM)を25℃、およそ25μl/分の流速で0.05%Tween20(PBST)を含むPBSに注入した。会合及び解離のセンサーグラムを同時にフィットさせることによる単純一対一ラングミュア結合モデル(simple one-to-one Langmuir binding model) (BIAcore Evaluationソフトウェアバージョン3.2)を用いて、会合速度(Kon)と解離速度(Koff)を算出した。平衡解離定数(Kd)をKoff/Kon比として算出した。例として、Chen, Y.,等, (1999) J. Mol Biol 293:865-881を参照。しかしながら、上記の表面プラスモン共鳴アッセイによる結合速度が10−1−1を上回る場合、結合速度は、好ましくは分光計、例えば、流動停止を備えた分光光度計(stop-flow equipped spectrophometer)(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM-Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)で測定される、漸増濃度の抗原の存在下にて、PBS(pH7.2)、25℃の、20nMの抗抗原抗体(Fab型)の蛍光放出強度(励起=295nm;放出=340nm、帯域通過=16nm)における増加又は減少を測定する蛍光消光技術を用いて測定される。
【0033】
また、本発明の「結合速度」又は「会合の速度」又は「会合速度」又は「kon」は、〜10反応単位(RU)の固定した抗原CM5チップを用いて25℃のBIAcoreTM-2000又はBIAcoreTM-3000(BIAcore, Inc., Piscataway, NJ)を用いた前述と同じ表面プラズモン共鳴アッセイにて測定される。簡単に言うと、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5, BIAcore Inc.)を、提供者の指示書に従ってN-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシニミド(NHS)で活性化した。抗原を10mM 酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(〜0.2μM)に希釈し、結合したタンパク質の反応単位(RU)がおよそ10になるように5μl/分の流速で注入した。その後、反応しない群をブロックするために1Mのエタノールアミンを注入した。抗原の注入後、反応しない群をブロックするために1Mのエタノールアミンを注入した。動力学的な測定のために、2倍の段階希釈したFab(0.78nMから500nM)を25℃、およそ25μl/分の流速で0.05%Tween20(PBST)を含むPBSに注入した。会合及び解離のセンサーグラムを同時にフィットさせることによる単純一対一ラングミュア結合モデル(simple one-to-one Langmuir binding model) (BIAcore Evaluationソフトウェアバージョン3.2)を用いて、会合速度(Kon)と解離速度(Koff)を算出した。平衡解離定数(Kd)をKoff/Kon比として算出した。例として、Chen, Y.,等, (1999) J. Mol Biol 293:865-881を参照。しかし、上記の表面プラスモン共鳴アッセイによる結合速度が10−1−1を上回る場合、分光計、例えば、流動停止を備えた分光光度計(stop-flow equipped spectrophometer)(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM-Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)で測定される、漸増濃度の抗原の存在下にて、PBS(pH7.2)、25℃の、20nMの抗抗原抗体(Fab型)の蛍光放出強度(励起=295nm;放出=340nm、帯域通過=16nm)における増加又は減少を測定する蛍光消光技術を用いて結合速度を測定するのが好ましい。本発明の「Kd」又は「Kd値」は、一実施態様では、段階的な力価の非標識抗原の存在下で、最小濃度の(125I)-標識抗原にてFabを均衡化して、抗Fab抗体コートプレートと結合した抗原を捕獲することによって抗原に対するFabの溶液結合親和性を測定する以下のアッセイで示されるような(Chen,等, (1999) J. Mol Biol 293:865-881)、所望の抗体のFab型(バージョン)とその抗原を用いて実行される放射性標識した抗原結合アッセイ(RIA)で測定される。アッセイの条件を決めるために、ミクロタイタープレート(Dynex)を5μg/mlの捕獲抗Fab抗体(Cappel Labs)を含む50mM炭酸ナトリウム(pH9.6)にて一晩コートして、その後2%(w/v)のウシ血清アルブミンを含むPBSにて室温(およそ23℃)で2〜5時間、ブロックする。非吸着プレート(Nunc#269620)に、100pM又は26pMの[125I]抗原を段階希釈した所望のFabと混合する(例えば、Presta等, (1997) Cancer Res. 57: 4593-4599の抗VEGF抗体、Fab-12の評価と一致する)。ついで所望のFabを一晩インキュベートする;しかし、インキュベーションは確実に平衡状態に達するまでに長時間(例えば65時間)かかるかもしれない。その後、混合物を捕獲プレートに移し、室温で(例えば1時間)インキュベートする。そして、溶液を取り除き、プレートを0.1%のTween20を含むPBSにて8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μl/ウェルの閃光物質(MicroScint-20; Packard)を加え、プレートをTopcountγ計測器(Packard)にて10分間計測する。最大結合の20%か又はそれ以下濃度のFabを選択してそれぞれ競合結合測定に用いる。他の実施態様によると、〜10反応単位(RU)の固定した抗原CM5チップを用いて25℃のBIAcoreTM-2000又はBIAcoreTM-3000(BIAcore, Inc., Piscataway, NJ)にて表面プラズモン共鳴アッセイを行ってKd又はKd値を測定する。簡単に言うと、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5, BIAcore Inc.)を、提供者の指示書に従ってN-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシニミド(NHS)で活性化した。抗原を10mM 酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(〜0.2μM)に希釈し、結合したタンパク質の反応単位(RU)がおよそ10になるように5μl/分の流速で注入した。反応しない群をブロックするために1Mのエタノールアミンを注入した。動力学的な測定のために、2倍の段階希釈したFab(0.78nMから500nM)を25℃、およそ25μl/分の流速で0.05%Tween20(PBST)を含むPBSに注入した。会合及び解離のセンサーグラムを同時にフィットさせることによる単純一対一ラングミュア結合モデル(simple one-to-one Langmuir binding model) (BIAcore Evaluationソフトウェアバージョン3.2)を用いて、会合速度(Kon)と解離速度(Koff)を算出した。平衡解離定数(Kd)をKoff/Kon比として算出した。例として、Chen, Y.,等, (1999) J. Mol Biol 293:865-881を参照。しかしながら、上記の表面プラスモン共鳴アッセイによる結合速度が10−1−1を上回る場合、結合速度は、好ましくは分光計、例えば、流動停止を備えた分光光度計(stop-flow equipped spectrophometer)(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM-Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)で測定される、漸増濃度の抗原の存在下にて、PBS(pH7.2)、25℃の、20nMの抗抗原抗体(Fab型)の蛍光放出強度(励起=295nm;放出=340nm、帯域通過=16nm)における増加又は減少を測定する蛍光消光技術を用いて測定される。
【0034】
一実施態様では、本発明の「結合速度」又は「会合の速度」又は「会合速度」又は「kon」は、〜10反応単位(RU)の固定した抗原CM5チップを用いて25℃のBIAcoreTM-2000又はBIAcoreTM-3000(BIAcore, Inc., Piscataway, NJ)を用いた前述と同じ表面プラズモン共鳴アッセイにて測定される。簡単に言うと、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5, BIAcore Inc.)を、提供者の指示書に従ってN-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシニミド(NHS)で活性化した。抗原を10mM 酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/ml(〜0.2μM)に希釈し、結合したタンパク質の反応単位(RU)がおよそ10になるように5μl/分の流速で注入した。その後、反応しない群をブロックするために1Mのエタノールアミンを注入した。抗原の注入後、反応しない群をブロックするために1Mのエタノールアミンを注入した。動力学的な測定のために、2倍の段階希釈したFab(0.78nMから500nM)を25℃、およそ25μl/分の流速で0.05%Tween20(PBST)を含むPBSに注入した。会合及び解離のセンサーグラムを同時にフィットさせることによる単純一対一ラングミュア結合モデル(simple one-to-one Langmuir binding model) (BIAcore Evaluationソフトウェアバージョン3.2)を用いて、会合速度(Kon)と解離速度(Koff)を算出した。平衡解離定数(Kd)をKoff/Kon比として算出した。例として、Chen, Y.,等, (1999) J. Mol Biol 293:865-881を参照。しかし、上記の表面プラスモン共鳴アッセイによる結合速度が10−1−1を上回る場合、分光計、例えば、流動停止を備えた分光光度計(stop-flow equipped spectrophometer)(Aviv Instruments)又は撹拌キュベットを備えた8000シリーズSLM-Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)で測定される、漸増濃度の抗原の存在下にて、PBS(pH7.2)、25℃の、20nMの抗抗原抗体(Fab型)の蛍光放出強度(励起=295nm;放出=340nm、帯域通過=16nm)における増加又は減少を測定する蛍光消光技術を用いて結合速度を測定するのが好ましい。
【0035】
ここで使用される「ベクター」という用語は、それが結合している他の核酸を輸送することのできる核酸分子を意味するものである。一つのタイプのベクターは「プラスミド」であり、これは付加的なDNAセグメントが結合されうる円形の二重鎖DNAループを意味する。他の型のベクターはファージベクターである。他の型のベクターはウイルスベクターであり、付加的なDNAセグメントをウイルスゲノムへ結合させうる。所定のベクターは、それらが導入される宿主細胞内において自己複製することができる(例えば、細菌の複製開始点を有する細菌ベクターとエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノム中に組み込まれ、宿主ゲノムと共に複製する。更に、所定のベクターは、それらが作用可能に結合している遺伝子の発現を指令し得る。このようなベクターはここでは「組換え発現ベクター」(又は単に「組換えベクター」)と呼ぶ。一般に、組換えDNA技術で有用な発現ベクターはしばしばプラスミドの形をとる。本明細書では、プラスミドが最も広く使用されているベクターの形態であるので、「プラスミド」と「ベクター」を相互交換可能に使用する場合が多い。
【0036】
ここで交換可能に使用される「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを意味し、DNA及びRNAが含まれる。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチド又は塩基、及び/又はそれらの類似体(アナログ)、又はDNAもしくはRNAポリメラーゼにより、もしくは合成反応によりポリマー中に取り込み可能な任意の基質とすることができる。ポリヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体を含み得る。
【0037】
「抗体」(Ab)及び「免疫グロブリン」(Ig)は、同じ構造的特徴を有する糖タンパク質である。抗体は、特定の抗原に対して結合特異性を示すが、免疫グロブリンは、抗体と、一般に抗原特異性を欠く抗体様分子の双方を含む。後者の種類のポリペプチドは、例えばリンパ系では低レベルで、骨髄腫では高レベルで産出される。
「抗体」及び「免疫グロブリン」なる用語は、最も広義で相互に交換可能に使用され、モノクローナル抗体(例えば、全長又は無傷のモノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、一価抗体、多価抗体、多重特異性抗体(例えば、所望の生物活性を示す限り二重特異性抗体)が含まれ、さらにある種の抗体断片(ここに詳細に記載されるもの)も含まれ得る。抗体は、キメラ、ヒト、ヒト化及び/又は親和成熟したものであってよい。
【0038】
その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、抗体(免疫グロブリン)は異なるクラスが割り当てられる。免疫グロブリンには5つの主なクラスがある:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgM、更にそれらは、IgG、IgG、IgA、及びIgA等のサブクラス(アイソタイプ)に分かれる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元立体配位はよく知られており、例えば、Abbas等.Cellular and Mol. Immunology, 第4版(2000)に概説されている。抗体は、抗体と1以上の他のタンパク質又はペプチドとの共有結合性又は非共有結合性の会合により形成された融合大分子の一部であり得る。
「完全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、ほぼインタクトな形態の抗体を指し、以下に定義するような抗体断片は意味しない。この用語は、特にFc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。
【0039】
「抗体断片」は完全な抗体の一部のみを含んでなるものであり、その一部は、完全な抗体に存在する場合のその一部に通常関連する機能の少なくとも一、好ましくはその機能のほとんどないしはすべてを保持することが好ましい。一実施態様では、抗体断片は完全な抗体の抗原結合部位を含んでなるために、抗原結合能を有する。他の実施態様では、抗体断片は、例えばFc領域を含んでなるものは、完全な抗体に存在する場合のFc領域に通常関連する生物学的な機能、例えばFcRn結合、抗体半減期の調節、ADCC機能及び補体結合の少なくとも一を保持する。一実施態様では、抗体断片は、完全な抗体と実質的に類似したインビボ半減期を有する一価性抗体である。例えば、このような抗体断片は、インビボ安定性を断片に与えることができるFc配列に結合した抗原結合アームを含んでもよい。
【0040】
ここで使用される「モノクローナル抗体」なる用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団に含まれる個々の抗体は、少量で存在しうる自然に生じる可能性がある突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的には含むポリクローナル抗体調製物とは異なり、各モノクローナル抗体は抗原の単一の決定基に対するものである。
ここでモノクローナル抗体は、特に「キメラ」抗体を含み、それは特定の種由来又は特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体において、対応する配列に一致する又は類似する重鎖及び/又は軽鎖の一部であり、残りの鎖は、所望の生物学的活性を表す限り、抗体断片のように他の種由来又は他の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体において、対応する配列に一致するか又は類似するものである(米国特許第4816567号;及びMorrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855(1984))。
【0041】
非ヒト(例えばマウス)の抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。一実施態様では、ヒト化抗体は、レシピエントの高頻度可変領域の残基が、マウス、ラット、ウサギ又は所望の特異性、親和性及び/又は能力を有する非ヒト霊長類のような非ヒト種(ドナー抗体)からの高頻度可変領域の残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。例として、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、もしくはドナー抗体にも見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は抗体の特性をさらに洗練するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいは実質的に全ての高頻度可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいは実質的に全てのFRが、ヒト免疫グロブリン配列のものである少なくとも一又は典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むであろう。また、ヒト化抗体は、場合によっては免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部も含む。さらなる詳細については、Jones等, Nature 321:522-525(1986);Riechmann等, Nature 332:323-329(1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596(1992)を参照のこと。また次の文献とそこに引用されている文献を参考のこと:Vaswani及びHamilton, Ann. Allergy, Asthma & Immunol. 1:105-115 (1998);Harris, Biochem. Soc. Transactions 23:1035-1038 (1995);Hurle及びGross, Curr. Op. Biotech. 5:428-433 (1994)。
【0042】
ここで使用される「高頻度可変領域」、「HVR」又は「HV」なる用語は、配列において高頻度可変であり、及び/又は構造的に定まったループを形成する抗体可変ドメインの領域を意味する。「HVR」又は「HV」の前の「HC」及び「LC」という文字は、それぞれ重鎖及び軽鎖のHVR又はHVを指す。一般に、抗体は6つの高頻度可変領域を含み;VHに3つ(H1、H2、H3)、VLに3つ(L1、L2、L3)である。多数の高頻度可変領域の描写が使用され、ここに含まれる。カバット相補性決定領域(CDR)は配列変化に基づいており、最も一般的に使用されている(Kabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5版 Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991))。Chothiaは、代わりに構造的ループの位置に言及している(Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。AbM高頻度可変領域は、カバットCDRとChothia構造的ループの間の妥協を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアにより使用される。「接触」高頻度可変領域は、利用できる複合体結晶構造の分析に基づく。これら高頻度可変領域のそれぞれからの残基を以下に示す。
カバットループ AbM Chothia 接触
L1 L24-L34 L24-L34 L26-L32 L30-L36
L2 L50-L56 L50-L56 L50-L52 L46-L55
L3 L89-L97 L89-L97 L91-L96 L89-L96
H1 H31-H35B H26-H35B H26-H32 H30-H35B
(カバット番号付け)
H1 H31-H35 H26-H35 H26-H32 H30-H35
(Chothia番号付け)
H2 H50-H65 H50-H58 H53-H55 H47-H58
H3 H95-H102 H95-H102 H96-H101 H93-H101
【0043】
「フレームワーク」又は「FR」残基は、ここで定義する高頻度可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
抗体の「可変領域」又は「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖又は軽鎖のアミノ末端ドメインを意味する。これらのドメインは一般に抗体の最も可変の部分であり、抗原結合部位を含む。
「ヒト抗体」は、ヒトによって生産される抗体のアミノ酸配列に相当するアミノ酸配列を有するもの、及び/又はここに開示されたヒト抗体を作製する任意の技術を使用して製造されたものである。ヒト抗体のこの定義は、特に非ヒト抗原結合残基を含んでなるヒト化抗体を除く。
【0044】
「親和成熟」抗体とは、その改変を有していない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性に改良を生じせしめる、その一又は複数のHVRにおいて一又は複数の改変を持つものである。一実施態様では、親和成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル又はピコモルの親和性を有する。親和成熟抗体は、当該分野において知られている手順によって生産される。Marks等, Bio/Technology, 10:779-783(1992)は、VH及びVLドメインシャッフリングによる親和成熟について記載している。CDR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘導は、Barbas等, Proc Nat Acad. Sci, USA 91:3809-3813(1994);Schier等, Gene, 169:147-155(1995);Yelton等, J. Immunol.155:1994-2004(1995);Jackson等, J. Immunol.154(7):3310-9(1995);及びHawkins等, J. Mol. Biol.226:889-896(1992)に記載されている。
「阻止(ブロック)」抗体又は「アンタゴニスト」抗体とは、結合する抗原の生物学的活性を阻害するか又は低下させる抗体である。好ましい阻止抗体又はアンタゴニスト抗体は、抗原の生物学的活性を、ほぼ又は完全に阻害する。
本明細書において使用する「アゴニスト」抗体は、対象とするポリペプチドの機能活性の少なくとも一つを模倣する抗体である。
「疾患」とは、本発明の抗体を用いた治療が有益である任意の状態である。これには、慢性及び急性の疾患、又は対象疾患に哺乳動物がかかりやすい病的状態を含む疾病が含まれる。ここで治療される疾患の非限定的例には、炎症性疾患、免疫性疾患及びその他のインターフェロンに関連する疾患が含まれる。
【0045】
ここで「自己免疫疾患」とは、個体自身の組織から生じ、個体自身の組織に対する非悪性の疾病又は疾患のことである。ここでの自己免疫疾患は、悪性又は癌性の疾病又は状態、特にB細胞リンパ腫、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、ヘアリー細胞白血病及び慢性骨髄芽球性白血病を除く。自己免疫疾病又は疾患の例には、限定されるものではないが、炎症反応、例えば乾癬及び皮膚炎(例えばアトピー性皮膚炎)を含む炎症性皮膚病;全身性強皮症及び硬化症;炎症性腸疾患(例えばクローン病及び潰瘍性大腸炎)に関連した反応;呼吸困難症候群(成人性呼吸困難症候群;ARDSを含む);皮膚炎;髄膜炎;脳炎;ブドウ膜炎;大腸炎;糸球体腎炎;アレルギー病状、例えば湿疹及び喘息及びT細胞の浸潤に関連した他の病状及び慢性炎症反応;アテローム性動脈硬化症;白血球接着不全症;関節リウマチ;全身性エリテマトーデス(SLE)(ループス腎炎、皮膚ループスを含むがこれらに限定されない);真性糖尿病(例えば、I型真性糖尿病又はインシュリン依存性真性糖尿病);多発性硬化症;レノー症候群;自己免疫甲状腺炎;橋本甲状腺炎;アレルギー性脳脊髄炎;シェールゲン症候群;若年発症糖尿病;及び結核に典型的に見出されるサイトカイン及びTリンパ球により媒介される急性及び遅延型高血圧に関連した免疫反応、サルコイドーシス、多発性筋炎、肉芽種症及び血管炎;悪性貧血(アジソン病);白血球血管外遊出に関連した疾病;中枢神経系(CNS)炎症性疾患;多臓器損傷症候群;溶血性貧血(限定されるものではないが、クリオグロブリン血症又はクームズ陽性貧血を含む);重症筋無力症;抗原抗体複合体媒介性疾病;抗糸球体基底膜疾患;抗リン脂質症候群;アレルギー性神経炎;クレーブス病;ランベルト-イートン筋無力症症候群;類天疱瘡;天疱瘡;自己免疫多腺性内分泌障害;ライター病;スティフマン症候群;ベーチェット病;巨細胞性動脈炎;免疫複合体腎炎;IgA腎症;IgM多発性神経障害;免疫血小板減少性紫斑病(ITP)又は自己免疫血小板減少病等が含まれる。
「細胞増殖不全」及び「増殖不全」という用語は、ある程度の異常な細胞増殖に関連する障害を指す。
【0046】
ここで使用される「治療」とは、治療される個体又は細胞の自然の経過を変化させる試みにおける臨床的介入を意味し、予防のため、又は臨床病理経過中に実施することができる。治療の所望する効果には、疾患の発症又は再発の予防、症状の緩和、疾病の任意の直接的又は間接的な病理学的結果の減少、炎症及び/又は組織/器官の損傷の防止又は減少、疾病の進行速度の低減、病状の回復又は緩和、及び寛解又は予後の改善が含まれる。一部の実施態様では、本発明の抗体は、疾病又は疾患の進行を遅延化させるために使用される。
【0047】
「有効量」とは、所望される治療的又は予防的結果を達成するのに必要な期間、必要な用量での有効量を意味する。
本発明の物質/分子の「治療的有効量」は、病状、年齢、性別、個体の体重、及び個体に所望する反応を引き出すための物質/分子の能力等の要因に応じて変わり得る。また、治療的有効量とは、物質/分子の任意の毒性又は有害な影響を、治療的に有益な効果が上回る量である。「予防的有効量」は、所望する予防的結果を達成するのに必要な期間、用量で有効な量を意味する。必ずではないが、典型的には、予防的用量は、疾病の前又は初期の段階に患者に使用されるために、予防的有効量は治療的有効量よりも少ない。
ここで使用される「細胞障害剤」なる用語は、細胞の機能を阻害又は阻止し、及び/又は細胞破壊をもたらす物質を意味する。
【0048】
概略的方法
概して、本発明は、I型インターフェロン活性の部分的又は全体的遮断が所望される免疫媒介性障害の治療に有用な抗IFNAR2抗体を提供する。一実施態様では、本発明の抗IFNAR2抗体は、上記のような自己免疫疾患の治療に使用される。別の実施態様では、ここに提供される抗IFNAR2抗体は、移植片拒絶又は移植片対宿主病の治療に使用される。本発明の抗IFNAR2抗体は、その独特の特性により、患者の免疫抑制に標的とするレベルの効果を上げるのに特に有用である。緊急な処置を必要とする患者に対し、I型インターフェロンの活性を広いスペクトルに亘って消失させる本発明の抗IFNAR2抗体を使用して、望ましくない免疫応答を可能な限り緩和させることができる。免疫抑制を維持する必要のある患者に、I型インターフェロンの1以上の(全てでなくてよい)種を遮断するか、又はI型インターフェロンの複数の異なる種を様々な程度に遮断する本発明の抗IFNAR2を使用し、患者の免疫系を部分的に損なうことにより、望ましくない免疫応答のリスクを軽減することができ、その一方で、患者のI型インターフェロン媒介性免疫の一部の成分を無傷で残すことにより、感染症等の望ましくない副作用を防止することができる。
【0049】
別の態様では、本発明の抗IFNAR2抗体を、IFNAR2の検出及び単離を行うため、例えば、細胞集団におけるIFNAR2レセプターの密度及び分布の決定、並びにIFNAR2発現に基づく細胞選別を含む、様々な細胞種類及び組織におけるIFNAR2発現の検出を行うための試薬として使用できる。また別の態様では、本抗IFNAR2抗体は、課題の抗体と類似のI型インターフェロン遮断活性パターンを有するIFNAR2アンタゴニストの開発に有用である。例えば、本発明の抗IFNAR2抗体を使用して、同じIFNAR2結合特性及び/又は抗ウイルス遮断能を有するほかの抗体を決定及び同定することができる。更なる実施例として、本発明の抗IFNAR2抗体を使用して、線形及び立体エピトープを含め、ここに例証する抗体とほぼ同じIFNAR2のエピトープ(一又は複数)に結合する他の抗IFNAR2抗体を同定することができる。本発明の抗IFNAR2抗体は、I型インターフェロンのIFNAR2に対する結合の遮断に同様の製薬的効果を示すIFNAR2の小分子アンタゴニストをスクリーニングするための、IFNAR2シグナル伝達アッセイに使用することができる。
候補抗体の生成は、ハイブリドーマ技術、及び結合分子のファージディスプレイライブラリのスクリーニング等の、本明細書に記載の技術を含め、当技術分野において常套的な技術を用いて達成することができる。これらの方法は従来技術において確立されている。
【0050】
簡潔に説明すると、本発明の抗IFNAR2抗体は、一又は複数の所望の活性を有する合成抗体クローンをスクリーニングするために、コンビナトリアルライブラリを用いて作製することができる。原則として、合成抗体クローンは、ファージコートタンパク質と融合した抗体可変領域(Fv)の種々の断片を表示するファージを有するファージライブラリをスクリーニングすることによって選択される。このようなファージライブラリは、所望される抗原に対するアフィニティークロマトグラフィーによって選別される。所望される抗原と結合することができるFv断片を発現するクローンは抗原に吸収され、それによってライブラリーの非結合クローンから分離される。次いで、この結合クローンを抗原から溶出することができ、抗原吸収/溶出のサイクルを繰り返すことによってさらに濃縮することができる。本発明の任意の抗IFNAR2抗体は、対象のファージクローンを選択するために適切な抗原スクリーニング手法を設計し、続いて対象のファージクローン由来のFv配列、及びKabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, NIH Publication 91-3242, Bethesda MD (1991), vols. 1-3に記載の適切な定常領域(Fc)配列を用いて完全長抗IFNAR2抗体クローンを構築することにより、得ることができる。国際公開第03/102157号パンフレット及びその引用文献も参照されたい。
【0051】
一実施態様では、本発明の抗IFNAR2抗体はモノクローナルである。また、ここに提供される抗IFNAR2抗体のFab、Fab'、Fab'-SH及びF(ab')断片、並びにそれらの変形形態も本発明の範囲に含まれる。これらの抗体断片は、酵素消化等の常套的な手段により作製することができるか、又は組換え技術により生成することができる。このような抗体断片は、キメラ、ヒト又はヒト化とすることができる。これらの断片は、本明細書に定める診断及び治療の目的に有用である。
モノクローナル抗体は、ほぼ同種の抗体の集団から得ることができる。つまり、集団を構成する個々の抗体は、少量だけ存在する可能性のある天然に発生する突然変異を別にすれば同一である。従って、形容詞「モノクローナル」とは、別個の抗体の混合物ではないという抗体の特性を示す。
本発明の抗IFNAR2モノクローナル抗体は、Kohler等、Nature, 256:495 (1975)によって最初に開示されたハイブリドーマ法を含む、従来技術に既知の様々な方法を用いて作製することができるか、或いは組換えDNA法によって作製することができる(例えば、米国特許第4816567号)。
【0052】
ベクター、宿主細胞及び組換え方法
本発明の抗体の組み換え生成のために、コードする核酸を単離して、更なるクローニング(DNAの増幅)又は発現のために複製ベクターに挿入する。抗体をコードするDNAは従来の手順で簡単に単離し、配列決定される(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いて)。多くのベクターが利用可能である。用いる宿主細胞にある程度依存してベクターを選択する。一般的に、好適な宿主細胞は原核生物又は真核生物(一般的に哺乳動物)由来の細胞である。
【0053】
原核生物の宿主細胞を用いた抗体生成
ベクターの構築
本発明の抗体のポリペプチド成分をコードしているポリヌクレオチド配列は標準的な組換え技術を使用して得ることができる。所望のポリヌクレオチド配列はハイブリドーマ細胞のような抗体産生細胞から単離し配列決定することができる。あるいは、ポリヌクレオチドはヌクレオチド合成機又はPCR法を使用して合成することができる。ひとたび得られると、ポリペプチドをコードしている配列は原核生物宿主中で異種ポリヌクレオチドを複製し、発現することが可能な組換えベクター中に挿入される。当該分野において入手でき知られている多くのベクターを本発明の目的のために使用することができる。適切なベクターの選択は、主として、ベクターに挿入される核酸のサイズとベクターで形質転換される特定の宿主に依存する。各ベクターは、機能(異種性ポリヌクレオチドの増幅又は発現ないしその両方)及び属する特定の宿主細胞への適合性に応じて、様々な成分を含む。一般的に、限定するものではないが、ベクター成分には複製起源、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボゾーム結合部位(RBS)、シグナル配列、異種性核酸挿入及び転写終末配列が含まれる。
【0054】
一般には、レプリコン及び宿主細胞と適合性のある種に由来するコントロール配列を含んでいるプラスミドベクターが、宿主細胞と関連して使用される。そのベクターは、通常、複製開始点並びに形質転換細胞において表現型の選択を提供可能なマーキング配列を有する。例えば、一般的に大腸菌は、大腸菌種由来のプラスミドであるpBR322を用いて形質転換する。pBR322はアンピシリン(Amp)及びテトラサイクリン(Tet)耐性のコード遺伝子を含んでいるため、形質転換細胞を容易に同定することができる。pBR322、その誘導体又は他の微生物プラスミド又はバクテリオファージも外来性タンパク質を発現する微生物によって使用可能なプロモーターを含むか、含むように変更される。特定の抗体の発現に使用されるpBR322誘導体の例はCarter等の米国特許第5648237号に詳細に記載されている。
また、レプリコン及び宿主微生物と適合性のあるコントロール配列を含んでいるファージベクターを、これらの宿主との関連でトランスフォーミングベクターとして使用することができる。例えば、λGEM.TM.-11のようなバクテリオファージを、大腸菌LE392のような感受性の宿主細胞を形質転換するために使用できる組換えベクターを作製する際に利用することができる。
【0055】
本発明の発現ベクターは各ポリペプチド成分をコードする2又はそれ以上のプロモーター-シストロン(翻訳単位)対を含みうる。プロモーターはその発現を調節するシストロンの上流(5')に位置している非翻訳配列である。原核生物のプロモーターは典型的には誘導性と構成的との二つのクラスのものがある。誘導性プロモーターは、例えば栄養分の有無又は温度の変化のような、培養条件の変化に応答してその調節下でシストロンの転写レベルを増大させるように誘導するプロモーターである。
様々な潜在的宿主細胞によって認識されるプロモーターが非常にたくさん公知となっている。選択したプロモーターを、制限酵素消化によって供給源DNAからプロモーターを除去し、本発明のベクター内に単離したプロモーターを挿入することによって軽鎖又は重鎖をコードするシストロンDNAに作用可能に連結することができる。天然プロモーター配列と多くの異種プロモーターの双方を、標的遺伝子の増幅及び/又は発現を生じさせるために使用することができる。ある実施態様では、天然の標的ポリペプチドプロモーターと比較して、一般的に発現する標的遺伝子をより多く転写させ、効率をよくするので、異種プロモーターが有用である。
【0056】
原核生物宿主での使用に好適なプロモーターには、PhoAプロモーター、βガラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系及びハイブリッドプロモーター、例えばtac又はtrcプロモーターが含まれる。しかし、細菌中で機能性である他のプロモーター(例えば他の既知の細菌又はファージプロモーター)も好適である。そのヌクレオチド配列は発表されており、よって当業者は、任意の必要とされる制限部位を供給するリンカー又はアダプターを使用して標的軽鎖及び重鎖をコードするシストロンにそれらを作用可能に結合させることができる(Siebenlist等 (1980) Cell 20:269)。
本発明の一態様では、組換えベクター内の各シストロンは、膜を貫通して発現されるポリペプチドの転写を誘導する分泌シグナル配列成分を含む。一般に、シグナル配列はベクターの成分でありうるか、ベクター中に挿入される標的ポリペプチドDNAの一部でありうる。この発明の目的のために選択されるシグナル配列は宿主細胞によって認識されプロセシングされる(つまりシグナルペプチダーゼにより切断される)ものでなければならない。異種ポリペプチドに天然のシグナル配列を認識せずプロセシングする原核生物宿主細胞に対しては、シグナル配列は、例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、Ippあるいは熱安定性エンテロトキシンII(STII)リーダー、LamB、PhoE、PelB、OmpA及びMBPからなる群から選択される原核生物シグナル配列によって置換される。一実施態様では、発現系の双方のシストロンに使用されるシグナル配列はSTIIシグナル配列又はその変異体である。
【0057】
他の態様では、本発明による免疫グロブリンは宿主細胞の細胞質内で産生されるので、各シストロン内に分泌シグナル配列の存在は必要でない。この点において、免疫グロブリン軽鎖及び重鎖は発現され、折り畳まれ、集合して細胞質内に機能的免疫グロブリンを形成する。ジスルフィド結合形成に好適な細胞質条件を示し、発現したタンパク質サブユニットを好適に折り畳み、集合することができる宿主系が存在する(例として大腸菌trxB系)。Proba及びPluckthun Gene, 159:203 (1995)。
本発明の抗体は、発現されるポリペプチド成分の量的な比を変更することにより、分泌されて適切に集合体化(アセンブル)された本発明の抗体の産出を最大化することができる発現系を用いても生成することができる。このような変更は、少なくとも部分的にはポリペプチド成分の翻訳強度を同時に変更することにより行われる。
【0058】
翻訳の強度を変更するための一つの技術は、Simmons等による米国特許第5840523号に開示されている。この方法は、シストロン内の翻訳開始領域(TIR)の変異体を利用する。任意のTIRについて、一連のアミノ酸又は核酸配列変異体を一定の範囲の翻訳強度を有するように作成することができ、これにより特定の鎖に所望の発現レベルが得られるようにこの因子を調節する便利な手段が提供される。TIR変異体は、アミノ酸配列を変更しうるコドンの変化を起こす常套的な変異原性技術により生成することができるが、ヌクレオチド配列におけるサイレント変化の方が好ましい。TIRにおける変更は、例えば、シャイン・ダルガノ配列の数又はスペーシングの変更、並びにシグナル配列の変更を含みうる。変異シグナル配列を生成するための一つの方法は、シグナル配列のアミノ酸配列を変更しない(つまり、変化がサイレントである)コード化配列の始めに「コドンバンク」を生成することである。これは、各コドンの3番目のヌクレオチド位置を変更することにより達成することができる。加えて、いくつかのアミノ酸、例えばロイシン、セリン、及びアルギニンは、1番目及び2番目の位置を複数有しており、これによって前記バンクの作製が複雑になり得る。変異原性の方法は、Yansura等(1992)METHODS: A Companion to Methods in Enzymol. 4:151-158に詳細に記載されている。
【0059】
好ましくは、含有される各シストロンについて一定の範囲のTIR強度を有する一組のベクターを生成する。この限定された組により、各鎖の発現レベル、及び種々のTIR強度の組み合わせにおける所望の抗体産物の産出を比較することができる。TIR強度は、Simmons等による米国特許第5840523号に詳細に記載されているレセプター遺伝子の発現レベルを定量化することにより決定することができる。翻訳強度の比較に基づいて、所望の個々のTIRを選択し、本発明の発現ベクターコンストラクトと組み合わせる。
本発明の抗体を発現するのに適した原核生物宿主細胞には、古細菌及び真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性生物が含まれる。有用な細菌の例には、エシェリキア属(例えば大腸菌)、バシラス属(例えば枯草菌)、エンテロバクター属、シュードモナス種(例えば緑膿菌)、ネズミチフス菌、霊菌(Serratia marcescans)、クレブシエラ属、プロテウス属、赤痢菌、根粒菌、ビトレオシラ(Vitreoscilla)又はパラコッカス(Paracoccus)が含まれる。一実施態様では、グラム陰性菌が使用される。一実施態様では、大腸菌細胞が本発明の宿主として使用される。大腸菌株の例として、遺伝子型W3110 ΔfhuA (ΔtonA) ptr3 lac Iq lacL8 ΔompTΔ(nmpc-fepE) degP41 kanR を有する33D3株(米国特許第5,639,635号)を含むW3110株 (Bachmann, Cellular and Molecular Biology, vol. 2 (Washington, D.C.: American Society for Microbiology, 1987), 1190-1219頁;ATCC寄託番号27,325)及びその誘導体が含まれる。また、大腸菌294 (ATCC 31,446), 大腸菌B, 大腸菌λ 1776 (ATCC 31,537)及び大腸菌RV308(ATCC 31,608) など、他の株及びその誘導体も好適である。この例は限定的なものでなく例示的なものである。定義した遺伝子型を有する上記の何れかの細菌の誘導体の構築方法は当業者に公知であり、例として, Bass等, Proteins, 8:309-314 (1990)に記載されている。一般的に、細菌細胞中でのレプリコンの複製能を考慮して適した細菌を選択することが必要である。pBR322、pBR325、pACYC177、又はpKN410のようなよく知られたプラスミドを使用してレプリコンを供給する場合、例えば、大腸菌、セラシア属、又はサルモネラ種を宿主として好適に用いることができる。典型的に、宿主細胞は最小量のタンパク質分解酵素を分泌しなければならず、望ましくは更なるプロテアーゼインヒビターを細胞培養中に導入することができる。
【0060】
抗体産生
上述した発現ベクターで宿主細胞を形質転換又は形質移入し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するのに適するように修飾された通常の栄養培地中で培養する。
形質転換とは、DNAを原核生物宿主中に導入し、そのDNAを染色体外要素として、又は染色体組込みによって複製可能にすることを意味する。使用される宿主細胞に応じて、形質転換はそのような細胞に適した標準的技術を使用してなされる。塩化カルシウムを用いるカルシウム処理は実質的な細胞壁障害を含む細菌細胞のために一般に使用される。形質転換のための他の方法はポリエチレングリコール/DMSOを用いる。さらに別の方法はエレクトロポレーションである。
本発明のポリペプチドを生産するために使用される原核生物細胞は当該分野で知られ、選択された宿主細胞の培養に適した培地中で増殖させられる。好適な培地の例には、ルリア培地(LB)プラス必須栄養分サプリメントが含まれる。ある実施態様では、培地は発現ベクターを含む原核生物細胞の増殖を選択的に可能にするために、発現ベクターの構成に基づいて選択される選択剤をまた含む。例えば、アンピシリンがアンピシリン耐性遺伝子を発現する細胞の増殖用培地に加えられる。
【0061】
炭素、窒素及び無機リン酸源の他に任意の必要なサプリメントを、単独で、又は複合窒素源のような他のサプリメント又は培地との混合物として導入される適切な濃度で含有させられうる。場合によっては、培養培地はグルタチオン、システイン、シスタミン、チオグリコレート、ジチオエリトリトール及びジチオトレイトールからなる群から選択される一又は複数の還元剤を含みうる。
原核生物宿主細胞は適切な温度で培養される。例えば、大腸菌の増殖に対しては、好適な温度は約20℃から約39℃、好ましくは約25℃から約37℃の範囲、好ましくは約30℃である。培地のpHは、主として宿主生物に応じて、約5から約9の範囲の任意のpHでありうる。大腸菌に対しては、pHは約6.8から約7.4、又は約7.0とすることができる。
本発明の発現ベクターに誘導性プロモーターが用いられる場合、プロモーターの活性に適する条件下でタンパク質発現を誘導する。本発明の一態様では、ポリペプチドの転写制御のためにPhoAプロモーターが用いられる。したがって、形質転換した宿主細胞を誘導のためにリン酸限定培地で培養する。一実施態様では、リン酸限定培地はC.R.A.P培地である(例として、Simmons等, J. Immunol. Methods (2002), 263:133-147を参照)。様々な他の誘導因子は用いるベクターコンストラクトに応じて当業者に知りうるように用いてよい。
【0062】
一実施態様では、発現された本発明のポリペプチドは宿主細胞の細胞膜周辺中に分泌され、そこから回収される。タンパク質の回収は、一般的には浸透圧ショック、超音波処理又は溶解のような手段によって典型的には微生物を破壊することを含む。ひとたび細胞が破壊されると、細胞片又は全細胞を遠心分離又は濾過によって除去することができる。タンパク質は、例えばアフィニティー樹脂クロマトグラフィーによって更に精製することができる。あるいは、タンパク質は培養培地に輸送しそこで分離することができる。細胞を培養物から除去することができ、培養上清は濾過され、生成したタンパク質の更なる精製のために濃縮される。発現されたポリペプチドを更に単離し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)及びウェスタンブロットアッセイ法のような一般的に知られている方法を使用して同定することができる。
本発明の一態様では、抗体産生は発酵法によって多量に受け継がれる。組換えタンパク質の生産には様々な大規模流加発酵法を利用することができる。大規模発酵は少なくとも1000リットルの容量、好ましくは約1000から100000リットルの容量である。これらの発酵槽は、酸素と栄養分、特にグルコース(好ましい炭素/エネルギー源)を分散させる撹拌翼を使用する。小規模発酵とは一般におよそ100リットル以下の容積で、約1リットルから約100リットルの範囲でありうる発酵槽での発酵を意味する。
【0063】
発酵法では、タンパク質の発現の誘導は、典型的には、細胞が適切な条件下にて、初期定常期に細胞があるステージで、所望の密度、例えば約180−220のOD550まで増殖したところで開始される。当該分野で知られ上述されているように、用いられるベクターコンストラクトに応じて、様々なインデューサーを用いることができる。細胞を誘導前の短い時間の間、増殖させてもよい。細胞は通常約12−50時間の間、誘導されるが、更に長い又は短い誘導時間としてもよい。
本発明のポリペプチドの生産収量と品質を改善するために、様々な発酵条件を変更することができる。例えば、分泌される抗体ポリペプチドの正しい組み立てとフォールディングを改善するために、例えばDsbタンパク質(DsbA、DsbB、DsbC、DsbD及び/又はDsbG)又はFkpA(シャペロン活性を持つペプチジルプロピルシス、トランス-イソメラーゼ)のようなシャペロンタンパク質を過剰発現する更なるベクターを用いて宿主原核細胞を同時形質転換させることができる。シャペロンタンパク質は細菌宿主細胞中で生産される異種性タンパク質の適切な折り畳みと溶解性を容易にすることが実証されている。Chen等 (1999) J Bio Chem 274:19601-19605;Georgiou等, 米国特許第6083715号;Georgiou等, 米国特許第6027888号;Bothmann及びPluckthun (2000) J. Biol. Chem. 275:17100-17105;Ramm及びPluckthun (2000) J. Biol. Chem. 275:17106-17113;Arie等 (2001) Mol. Microbiol. 39:199-210。
【0064】
発現された異種タンパク質(特にタンパク分解を受けやすいもの)のタンパク質分解を最小にするために、タンパク質分解酵素を欠くある種の宿主株を本発明に用いることができる。例えば、原核生物宿主細胞株を改変して、プロテアーゼIII、OmpT、DegP、Tsp、プロテアーゼI、プロテアーゼMi、プロテアーゼV、プロテアーゼVI及びその組合せのような既知の細菌プロテアーゼをコードしている遺伝子に遺伝子突然変異を生じさせることができる。幾つかの大腸菌プロテアーゼ欠損株が利用でき、例えば、上掲のJoly等 (1998);Georgiou等, 米国特許第5264365号;Georgiou等, 米国特許第5508192号;Hara等 (1996) Microbial Drug Resistance 2:63-72に記載されている。
ある実施態様では、タンパク質溶解性酵素を欠損した、一以上のシャペロンタンパク質を過剰発現するプラスミドで形質転換した大腸菌株を本発明の発現系の宿主細胞として用いる。
【0065】
抗体精製
一実施態様では、ここで生成される抗体タンパク質を更に精製することにより、更なるアッセイ及び使用のためにほぼ同種の調製物を得る。当分野で公知の標準的なタンパク質精製方法を用いることができる。以下の方法は好適な精製手順の例である:免疫親和性又はイオン交換カラムによる分画化、エタノール沈降法、逆相HPLC、シリカ又はDEAEなどの陽性交換樹脂によるクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、硫酸アンモニウム沈降法及び、例えばSephadex G-75を用いたゲル濾過法。
一態様では、固形層に固定したプロテインAを本発明の抗体産物の免疫親和性精製法に用いる。プロテインAは抗体のFc領域に高い親和性で結合する黄色ブドウ球菌から単離した41kDの細胞壁タンパク質である。Lindmark 等 (1983) J. Immunol. Meth. 62:1-13。プロテインAを固定した固形層は、ガラス又はシリカ表面、或いは孔を調節したガラスカラム又はケイ酸カラムを含むカラムとすることができる。ある方法では、カラムは非特異的な混入物の接着をできるだけ防ぐように、グリセロールなどの試薬でコートされる。
精製の初めの工程では、上記に記載のように細胞培養物からの調製物をプロテインA固定固形層に適応し、プロテインAに対象とする抗体を特異的に結合させることができる。ついで、固形層を洗浄して、固形層に非特異的に結合した混入物を除去する。最後に、対象とする抗体を溶出により固形層から除去する。
【0066】
真核生物の宿主細胞を用いた抗体の生成
一般的に、ベクターは、限定するものではないが、以下の一以上を含む:シグナル配列、複製起点、一以上のマーカ遺伝子、エンハンサー因子、プロモーター及び転写終末因子。
(i) シグナル配列成分
真核生物の宿主細胞に用いるベクターは、シグナル配列あるいは成熟タンパク質あるいは対象とするポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドを含んでいてもよい。通常選択された異種シグナル配列は宿主細胞によって認識され加工される(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。哺乳動物細胞での発現においては、哺乳動物のシグナル配列並びにウイルス分泌リーダー、例えば単純ヘルペスgDシグナルが利用できる。
このような前駆体領域のDNAは、多価抗体をコードするDNAに読み取り枠を一致させて結合される。
【0067】
(ii) 複製開始点
一般には、哺乳動物の発現ベクターには複製開始点成分は不要である。例えば、SV40開始点は典型的にはただ初期プロモーターを有しているために用いられる。
(iii) 選択遺伝子成分
発現及びクローニングベクターは、選択可能マーカーとも称される選択遺伝子を含む。典型的な選択遺伝子は、(a)アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートあるいはテトラサイクリンのような抗生物質あるいは他の毒素に耐性を与え、(b)必要があれば栄養要求性欠陥を補い、又は(c)複合培地から得られない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。
選択方法の一例では、宿主細胞の成長を抑止する薬物が用いられる。異種性遺伝子で首尾よく形質転換した細胞は、薬物耐性を付与するタンパク質を生産し、よって選択工程を生存する。このような優性選択の例は、薬剤ネオマイシン、ミコフェノール酸及びハイグロマイシンを使用する。
【0068】
哺乳動物細胞に適切な選択可能なマーカーの他の例は、抗体核酸を捕捉することのできる細胞成分を同定することを可能にするもの、例えばDHFR、チミジンキナーゼ、メタロチオネインI及びII、霊長類メタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ等々である。
例えば、DHFR選択遺伝子によって形質転換された細胞は、先ず、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトリキセート(Mtx)を含む培地において形質転換物の全てを培養することで同定される。野生型DHFRを用いた場合の好適な宿主細胞は、例えば、DHFR活性に欠陥のあるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)株化細胞 (例として、ATCC CRL-9096)を含む。
あるいは、抗体をコードするDNA配列、野生型DHFRタンパク質、及びアミノグリコシド3'-ホスホトランスフェラーゼ(APH)のような他の選択可能マーカーで形質転換あるいは同時形質転換した宿主細胞(特に、内在性DHFRを含む野生型宿主)は、カナマイシン、ネオマイシンあるいはG418のようなアミノグリコシド抗生物質のような選択可能マーカーの選択剤を含む培地中での細胞増殖により選択することができる。米国特許第4965199号を参照のこと。
【0069】
(iv) プロモーター成分
発現及びクローニングベクターは通常、宿主生物体によって認識され、対象のポリペプチドをコードする核酸(例えば抗体)に作用可能に結合しているプロモーターを含む。真核生物のプロモーター配列が知られている。実質的に全ての真核生物の遺伝子が、転写開始部位からおよそ25ないし30塩基上流に見出されるATリッチ領域を有している。多数の遺伝子の転写開始位置から70ないし80塩基上流に見出される他の配列は、Nが任意のヌクレオチドであるCNCAAT領域である。大部分の真核生物遺伝子の3'末端には、コード配列の3'末端へのポリA尾部の付加に対するシグナルであるAATAAA配列がある。これらの配列は全て真核生物の発現ベクターに適切に挿入される。
哺乳動物の宿主細胞におけるベクターからの抗体ポリペプチドの転写は、例えば、ポリオーマウイルス、伝染性上皮腫ウイルス、アデノウイルス(例えばアデノウイルス2)、ウシ乳頭腫ウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス及びサルウイルス40(SV40)のようなウイルスのゲノムから得られるプロモーター、異種性哺乳動物プロモーター、例えばアクチンプロモーター又は免疫グロブリンプロモーター、或いは熱ショックプロモーターによって、このようなプロモーターが宿主細胞系に適合し得る限り、調節されうる。
SV40ウイルスの初期及び後期プロモーターは、SV40ウイルスの複製起点を更に含むSV40制限断片として簡便に得られる。ヒトサイトメガロウイルスの最初期プロモーターは、HindIIIE制限断片として簡便に得られる。ベクターとしてウシ乳頭腫ウイルスを用いて哺乳動物宿主中でDNAを発現させる系が、米国特許第4419446号に開示されている。この系の変形例は米国特許第4601978号に開示されている。単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼプロモーターの制御下におけるマウス細胞内のヒトβインターフェロンcDNAの発現に関するReyes等、Nature 297:598-601 (1982)も参照されたい。あるいは、ラウス肉腫ウイルス長末端反復をプロモーターとして使用することができる。
【0070】
(v) エンハンサーエレメント成分
より高等の真核生物による本発明の抗体ポリペプチドをコードしているDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによってしばしば増強され得る。哺乳動物遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が現在知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン及びインスリン)。しかしながら、典型的には、真核細胞ウイルス由来のエンハンサーが用いられるであろう。例としては、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(100−270塩基対)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー及びアデノウイルスエンハンサーが含まれる。真核生物プロモーターの活性化のための増強要素については、Yaniv, Nature, 297:17-18 (1982)もまた参照のこと。エンハンサーは、抗体ポリペプチドコード配列の5'又は3'位でベクター中にスプライシングされうるが、通常プロモーターから5'位に位置している。
【0071】
(vi) 転写終末成分
また、真核生物宿主細胞に用いられる発現ベクターは、典型的には、転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列を含む。このような配列は、真核生物又はウイルスのDNA又はcDNAの5'、時には3'の非翻訳領域から一般に取得できる。これらの領域は、抗体をコードしているmRNAの非翻訳部分にポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。一つの有用な転写終結成分はウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。国際公開第94/11026号とそこに開示された発現ベクターを参照のこと。
【0072】
(vii) 宿主細胞の選択及び形質転換
ここに記載のベクター中のDNAをクローニングあるいは発現させるために適切な宿主細胞は、脊椎動物の宿主細胞を含む本明細書中に記載の高等真核生物細胞を含む。培養(組織培養)中での脊椎動物細胞の増殖は常套的な手順になっている。有用な哺乳動物宿主株化細胞の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株 (COS-7, ATCC CRL1651);ヒト胚腎臓株(293又は懸濁培養での増殖のためにサブクローン化された293細胞、Graham等, J. Gen Virol., 36:59 (1977));ハムスター乳児腎細胞(BHK, ATCC CCL10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO, Urlaub等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980));マウスのセルトリ細胞(TM4, Mather, Biol. Reprod., 23:243-251 (1980));サルの腎細胞 (CV1 ATCC CCL70);アフリカミドリザルの腎細胞(VERO-76, ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞 (HELA, ATCC CCL2);イヌ腎細胞 (MDCK, ATCC CCL34);バッファーローラット肝細胞 (BRL3A, ATCC CRL1442);ヒト肺細胞 (W138, ATCC CCL75);ヒト肝細胞 (Hep G2, HB8065);マウス乳房腫瘍細胞 (MMT060562, ATCC CCL51);TRI細胞(Mather等, Annals N.Y. Acad. Sci., 383:44-68 (1982));MRC5細胞;FS4細胞;及びヒト肝癌株(HepG2)である。
宿主細胞は、抗体生産のために上述の発現又はクローニングベクターで形質転換され、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードしている遺伝子を増幅するために適切に修飾された常套的栄養培地で培養される。
【0073】
(viii) 宿主細胞の培養
本発明の抗体を産生するために用いられる宿主細胞は種々の培地において培養することができる。市販培地の例としては、ハム(Ham)のF10(Sigma)、最小必須培地((MEM),(Sigma)、RPMI-1640(Sigma)及びダルベッコの改良イーグル培地((DMEM),Sigma)が宿主細胞の培養に好適である。また、Ham等, Meth. Enz. 58:44 (1979), Barnes等, Anal. Biochem. 102:255 (1980), 米国特許第4767704号;同4657866号;同4927762号;同4560655号;又は同5122469号;国際公開第90/03430号;国際公開第87/00195号;又は米国再発行特許第30985号に記載された何れの培地も宿主細胞に対する培地として使用できる。これらの培地には何れもホルモン及び/又は他の成長因子(例えばインシュリン、トランスフェリン、又は表皮成長因子)、塩類(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びリン酸塩)、バッファー(例えばHEPES)、ヌクレオチド(例えばアデノシン及びチミジン)、抗生物質(例えば、GENTAMYCINTM薬)、微量元素(最終濃度がマイクロモル範囲で通常存在する無機化合物として定義される)及びグルコース又は等価なエネルギー源を必要に応じて補充することができる。任意の他の必要な補充物質もまた当業者に知られている適当な濃度で含むことができる。培養条件、例えば温度、pH等々は、発現のために選ばれた宿主細胞について過去に用いられているものであり、当業者には明らかであろう。
【0074】
(ix) 抗体の精製
組換え技術を用いる場合、抗体は細胞内で生成され、又は培地内に直接分泌される。抗体が細胞内に生成された場合、第1の工程として、宿主細胞か溶解された断片の何れにしても、粒子状の細片が、例えば遠心分離又は限外濾過によって除去される。抗体が培地に分泌された場合は、そのような発現系からの上清を、一般的には先ず市販のタンパク質濃縮フィルター、例えばAmicon又はPelliconの限外濾過装置を用いて濃縮する。PMSFなどのプロテアーゼ阻害剤を上記の任意の工程に含めて、タンパク質分解を阻害してもよく、また抗生物質を含めて外来性の汚染物の成長を防止してもよい。
【0075】
細胞から調製した抗体組成物は、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、及びアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製でき、アフィニティークロマトグラフィーは一般に許容可能な精製技術である。プロテインA等のアフィニティー試薬の適合性は、抗体中に存在する免疫グロブリンFc領域の種及びアイソタイプに依存する。プロテインAは、ヒトγ1、γ2、又はγ4重鎖に基づく抗体の精製に用いることができる(Lindmark等, J. immunol. Meth. 62: 1-13 (1983))。プロテインGは、全てのマウスアイソタイプ及びヒトγ3に推奨されている(Guss等, EMBO J. 5: 16571575 (1986))。アフィニティーリガンドが結合されるマトリクスはアガロースであることが最も多いが、他の材料も使用可能である。孔制御ガラスやポリ(スチレンジビニル)ベンゼン等の機械的に安定なマトリクスは、アガロースで達成できるものより早い流速及び短い処理時間を可能にする。抗体がC3ドメインを含む場合、Bakerbond ABXTM樹脂(J.T. Baker, Phillipsburg, NJ)が精製に有用である。イオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、ヘパリンでのクロマトグラフィー、アニオン又はカチオン交換樹脂上でのSEPHAROSETMクロマトグラフィー(ポリアスパラギン酸カラム)、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、及び硫酸アンモニウム沈殿法も、回収される多価抗体に応じて利用可能である。
任意の予備的精製工程に続いて、目的の抗体及び混入物を含む混合液を、例えばpH約2.5−4.5、一般的には低塩濃度(例として、約0−0.25M塩)の溶出緩衝液を用いて低pH疎水性作用クロマトグラフィーにより、必要な精製ステップを更に行う。
一般に、研究、試験及び臨床用に使用される抗体を調製するための技術及び方法は従来技術において既に確立されており、上記と合致している及び/又は対象とする特定の抗体について当業者により適切とみなされることに注意されたい。
【0076】
活性アッセイ
本発明の抗体は、従来技術に既知の様々なアッセイにより、その物理的/化学的特性及び生物学的機能について特徴付けることができる。
精製された抗体は、N末端配列決定、アミノ酸分析、非変性サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、質量分析、イオン交換クロマトグラフィー及びパパイン消化を含むがこれらに限定されない一連のアッセイにより、更に特徴付けることができる。
必要に応じて、抗体の生物学的活性が分析される。一部の実施態様では、本発明の抗体の抗原結合活性について試験する。従来技術に既知の、本発明に使用可能な抗原結合アッセイには、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、蛍光イムノアッセイ、及びプロテインAイムノアッセイ等のあらゆる直接的又は競合的結合アッセイを含むがこれらに限定されない。
【0077】
一実施態様では、本発明は、全てではないが幾つかのエフェクター機能を有する変更された抗体を考慮し、この抗体は、抗体のインビボ半減期が重要であり、更に特定のエフェクター機能(補体又はADCCなど)が不要又は有害である多くの用途の好ましい候補となる。特定の実施態様では、抗体のFc活性を測定して、所望の特性だけが維持されていることを確認する。インビボ及び/又はインビトロ細胞障害アッセイを行って、CDC及び/又はADCC活性の減少/枯渇を確認することができる。例えば、Fcレセプター(FcR)結合アッセイを行って、抗体がFcγR結合を欠損している(すなわちADCC活性を欠損していると思われる)が、FcRn結合能は維持していることを確認することができる。ADCCを仲介する第一細胞であるNK細胞は、FcγRIIIのみを発現し、その一方で単核細胞はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血系細胞でのFcR発現については、Ravetch及びKinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991)の464頁の表3に要約されている。対象とする分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの一例は、米国特許第5500362号又は同第5821337号に記載されている。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、又は加えて、対象とする分子のADCC活性は、例えばClynes 等のPNAS (USA) 95:652-656 (1998)に開示されているような動物モデルにおいてインビボに評価することができる。また、C1q結合アッセイを行って、抗体がC1qに結合できない、つまりCDC活性を欠損していることを確認してもよい。補体活性化を評価するために、例えばGazzano-Santoro等、J. Immunol. Methods 202:163 (1996)に記載のように、CDCアッセイを行ってもよい。また、FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期測定を、当分野で公知の方法を用いて行うことができる。
【0078】
ヒト化抗体
本発明は、ヒト化抗体を含む。非ヒト抗体をヒト化するための様々な方法が従来技術に既知である。例えば、ヒト化抗体は、非ヒトのソースからそれに導入された一以上のアミノ酸残基を有することができる。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば「重要な」残基と呼ばれ、一般に「重要な」可変ドメインに由来する。ヒト化は、基本的にヒト抗体の該当する配列を高頻度可変領域配列で置換することにより、Winter及び共同研究者(Jones等(1986)Nature 321:522-525;Riechmann等(1988)Nature, 332:323-327;Verhoeyen等(1988)Science 239:1534-1536)の方法に従って実施される。よって、このような「ヒト化」抗体は、インタクトなヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されたキメラ抗体(米国特許第4816567号)である。実際には、ヒト化抗体は典型的には幾つかの高頻度可変領域残基が、及び場合によっては幾つかのFR残基が齧歯類抗体の類似する部位由来の残基によって置換されたヒト抗体である。
【0079】
ヒト化抗体の作製に使用されるヒト可変ドメインの選択は、軽鎖及び重鎖いずれも、抗原性を減らすために重要である。いわゆる「最良に適合する(ベストフィット)」方法によれば、齧歯類抗体の可変ドメインの配列を、既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリー全体に対してスクリーニングする。次いで、齧歯類の配列に最も近いヒト配列を、ヒト化抗体のヒトフレームワークとして受け入れる(Sims等(1993)J. Immunol. 151:2296; Chothia等(1987)J. Mol. Biol. 196:901)。別の方法では、軽鎖又は重鎖の特定のサブグループの全ヒト抗体のコンセンサス配列から得られた特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークを複数の異なるヒト化抗体に使用することができる(Carter等(1992)Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285; Presta等(1993)J. Immunol., 151:2623)。
更には、抗体は、抗原に対する高い親和性及びその他の望ましい生物学的特性を保持してヒト化されることが一般に好ましい。この目的を達成するために、一方法では、親の配列及びヒト化配列の三次元モデルを用いて、親配列及び様々な概念上のヒト化産物を分析するプロセスにより、ヒト化抗体を調製する。三次元免疫グロブリンモデルは一般に利用可能であり、当技術分野の当業者に周知である。選択された候補免疫グロブリン配列の、有望な三次元立体配置的構造を図解及び表示するコンピュータプログラムが利用可能である。このような表示を検査することにより、候補免疫グロブリン配列が機能する際に残基が果たすと思われる役割を分析することができ、つまり候補免疫グロブリンの、その抗原に対する結合能に影響する残基を分析することができる。このように、レシピエント及び重要な配列からFR残基を選択して組み合わせることにより、所望の抗体特性、例えば標的とする抗原に対する親和性の増大を達成することができる。一般に、高頻度可変領域残基は、抗原の結合に対する影響に、直接的に且つ最も有意に関わっている。
【0080】
抗体変異体
一態様では、本発明は、Fc領域を含むFcポリペプチドのインターフェースに変更を含む抗体を提供し、この場合前記変更によりヘテロ二量体化が促進及び/又は増長される。これらの変更には、第1のFcポリペプチドへの隆起の導入及び第2のFcポリペプチドへの空洞の導入を含み、前記隆起が前記空洞に配置可能であることにより、第1及び第2のFcポリペプチドの複合が促進される。このような変更を有する抗体の生成方法は、米国特許第5731168号に記載のように、従来技術に既知である。
一部の実施態様では、ここで記載の抗体のアミノ酸配列の修飾を考察する。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性が改善されることが望ましい。抗体のアミノ酸配列変異体は、適当なヌクレオチド変化を抗体核酸に導入することにより、又はペプチド合成により調製される。そのような修飾は、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基の欠失、及び/又は挿入及び/又は置換を含む。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせは、最終コンストラクトに達するまでなされるが、その最終コンストラクトは所望の特徴を有する。アミノ酸変化は、配列を作製する時点で対象とする抗体のアミノ酸配列に導入してもよい。
突然変異のための好ましい位置にある抗体の特定の残基又は領域の同定のために有用な方法は、Cunningham及びWells (1989) Science 244:1081-1085に記載されているように「アラニンスキャンニング突然変異誘発」と呼ばれる。ここで、標的残基の残基又は基が同定され(例えば、arg、asp、his、lys及びglu等の荷電残基)、中性又は負荷電アミノ酸(例えばアラニン又はポリペプチドアニリン)に置換され、アミノ酸と抗原との相互作用に影響を及ぼす。次いで置換に対する機能的感受性を示すこれらのアミノ酸の位置は、置換部位において又はそれに対して更に又は他の置換を導入することにより精密にされる。即ち、アミノ酸配列変異を導入する部位は予め決定されるが、変異自体の性質は予め決める必要はない。例えば、与えられた部位における変異の性能を分析するために、alaスキャンニング又はランダム突然変異誘発を標的コドン又は領域で実施し、発現された免疫グロブリンを所望の活性についてスクリーニングする。
【0081】
アミノ酸配列挿入は、1残基から100以上の残基を含むポリペプチドの長さの範囲のアミノ-及び/又はカルボキシル末端融合物、並びに一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入物を含む。末端挿入物の例は、N-末端メチオニル残基を持つ抗体又は細胞障害ポリペプチドに融合した抗体を含む。抗体分子の他の挿入変異体は、抗体の血清半減期を向上させる酵素(例えばADEPT)又はポリペプチドの抗体のN-又はC-末端への融合物を含む。
他の型の変異体はアミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、異なる残基によって置換された抗体分子に少なくとも一つのアミノ酸残基を有する。置換突然変異について最も対象となる部位は高度可変領域を含むが、FR変化も考慮される。保存的置換は、「好ましい置換」と題して表Aに示す。これらの置換により生物学的活性に変化が生じる場合、表Aに「例示的置換」と称した又はアミノ酸の分類を参照して以下に更に記載するような、より実質的な変化を導入し、生成物をスクリーニングしてよい。
【0082】
表A

【0083】
抗体の生物学的性質における実質的な修飾は、(a)置換領域のポリペプチド骨格の構造、例えばシート又は螺旋配置、(b)標的部位の分子の電荷又は疎水性、又は(c)側鎖の嵩を維持するそれらの効果において実質的に異なる置換を選択することにより達成される。アミノ酸は、その側鎖の特性の類似性に従ってグループ化することができる(A. L. Lehninger, in Biochemistry, second ed., pp. 73-75, Worth Publishers, New York (1975)):
(1)無極性:Ala (A), Val (V), Leu (L), Ile (I), Pro (P), Phe (F), Trp (W), Met (M)
(2)無電荷極性:Gly (G), Ser (S), Thr (T), Cys (C), Tyr (Y), Asn (N), Gln (Q)
(3)酸性:Asp (D), Glu (E)
(4)塩基性:Lys (K), Arg (R), His(H)
別法では、天然に生じる残基は共通の側鎖特性に基づいて群に分けることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性の親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響する残基:Gly、Pro; 及び
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類に交換することを必要とするであろう。このような置換された残基も、保存的置換部位か、更に好ましくは残存する(非保存的)部位に、導入することができる。
【0084】
一つの種類の置換による変異体は、親抗体(例えばヒト化抗体又はヒト抗体)の一以上の高頻度可変領域残基を置換することを含む。一般に、更なる開発用に選択される結果として得られた変異体の生物学的特性は、それらが生成された親抗体と比べて変更(例えば改善)される。このような置換による変異体を生成する便利な方法では、ファージディスプレイを用いた親和性成熟を使用する。簡単には、複数の高頻度可変領域部位(例えば6〜7の部位)を変異させることにより、各部位に可能な全てのアミノ酸置換を生じさせる。このようにして生成された抗体は、各粒子内にパッケージングされたファージコートタンパク質(例えば、M13の遺伝子III産物)の少なくとも一部への融合物として、糸状のファージ粒子から表示される。次いで、ファージディスプレイされた変異体は、本明細書に開示されるように、その生物的活性(例えば結合親和性)についてスクリーニングされる。修飾のための候補高頻度可変領域部位を同定するために、系統的変異導入法(例えばアラニンスキャニング)を行って、抗原結合に有意に貢献する高頻度可変領域残基を同定することができる。別法として、又は付加的に、抗原-抗体複合体の結晶構造を分析することにより、抗体と抗原との接触点を同定することが有効である。このような接触残基隣接残基は、従来技術に既知の技術による置換の候補であり、それにはここに説明するものが含まれる。そのような変異体が生成されたら、本明細書に記載のものを含む従来技術に既知の技術を用いて変異体パネルのスクリーニングを行い、更なる開発のために一以上の関連アッセイにおいて優れた特性を有する抗体を選択することができる。
【0085】
従来技術に既知の様々な方法により、本抗体の、アミノ酸配列変異体をコードする核酸分子を調製した。これらの方法は、天然源からの単離(天然に生じるアミノ酸配列変異体の場合)又はオリゴヌクレオチド媒介性(又は部位特異的)突然変異による調製、PCR突然変異誘発、及び前もって調製された変異体又は抗体の非変異バージョンのカセット変異導入法を含むが、これらに限定されない。
本発明の抗体のFc領域に一以上のアミノ酸修飾を導入することにより、Fc領域変異体を生成することが望ましい場合がある。Fc領域変異体は、ヒンジシステインのアミノ酸位置を含む一以上のアミノ酸位置に一のアミノ酸修飾(例えば置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4のFc領域)を含みうる。
本明細書及び従来技術の教示によれば、一部の実施態様では、本発明の抗体は、対応する野生型の抗体と比較した場合、例えばFc領域内に、一以上の変更を有すると考えられる。それでも、これらの抗体は、その野生型の同等物と比較した場合、治療的有効性に必要なほぼ同一の特性を保持している。例えば、国際公開第99/51642号等に記載されているように、Fc領域に、C1q結合及び/又は補体依存性細胞障害性(CDC)に変化(つまり効果の改善又は低減)をもたらす特定の変更を実施することが考慮される。Fc領域の変異体の他の例に関し、Ducan及びWinterによるNature 322:738-40 (1998);米国特許第5648260号;同第5624821号;及び国際公開第94/29351号も参照されたい。
【0086】
免疫コンジュゲート
別の態様では、本発明は、化学療法剤、薬剤、成長阻害剤、毒素(例えば、細菌、糸状菌、植物又は動物由来の酵素活性性毒素、又はその断片)、又は放射性同位体(すなわち放射性コンジュゲート)などの細胞障害剤にコンジュゲートした抗体を含んでなる、免疫コンジュゲート又は抗体-薬剤コンジュゲート(ADC)を提供する。
細胞障害性又は細胞分裂停止性の薬剤、すなわち癌治療における腫瘍細胞を殺す又は阻害するための薬剤の局部運搬に抗体-薬剤コンジュゲートを用いると(Syrigos及びEpenetos (1999) Anticancer Research 19:605-614;Niculescu-Duvaz and Springer (1997) Adv. Drg Del. Rev. 26:151-172;米国特許第4975278号)、腫瘍への薬剤成分の標的とする運搬とそこでの細胞内集積が可能となるものであり、この非コンジュゲート薬物作用剤の全身性投与により正常細胞並びに除去しようとする腫瘍細胞への毒性が容認できないレベルとなりうる(Baldwin等, (1986) Lancet pp. (Mar. 15, 1986):603-05;Thorpe, (1985) 「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review,」 in Monoclonal Antibodies '84: Biological And Clinical Applications, A. Pinchera等 (編), pp. 475-506)。これによって、最小限の毒性で最大限の効果を求める。ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体はこの方策に有用であるとして報告されている(Rowland等, (1986) Cancer Immunol. Immunother., 21:183-87)。この方法に用いる薬物には、ダウノマイシン、ドキソルビジン、メトトレキサート及びビンデジンが含まれる(Rowland等, (1986)、上掲)。抗体-毒素コンジュゲートに用いる毒素には、ジフテリア毒素などの細菌性毒素、ゲルダナマイシン(Mandler等(2000) Jour. of the Nat. Cancer Inst. 92(19):1573-1581;Mandler等(2000) Bioorganic & Med. Chem. Letters 10:1025-1028;Mandler等(2002) Bioconjugate Chem. 13:786-791)、メイタンシノイド(欧州特許第1391213号;Liu等, (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:8618-8623)、及びカリケアマイシン(Lode等 (1998) Cancer Res. 58:2928;Hinman等 (1993) Cancer Res. 53:3336-3342)などのリシン、小分子毒素などの植物毒が含まれる。該毒素は、チューブリン結合、DNA結合又はトポイソメラーゼ阻害を含む機能によりその細胞障害性及び細胞分裂停止性の効果に影響しうる。ある種の細胞障害性剤は、大きな抗体又はタンパク質レセプターリガンドにコンジュゲートした場合に、不活性又は活性が低減する傾向がある。
【0087】
ゼバリン(ZEVALIN)(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン(ibritumomab tiuxetan), Biogen/Idec)は正常及び悪性のBリンパ球の細胞表面上にみられるCD20抗原に対するマウスIgG1κモノクローナル抗体と111In又は90Y放射性同位体とがチオウレアリンカーキレート剤にて結合した抗体-放射性同位体コンジュゲートである(Wiseman等 (2000) Eur. Jour. Nucl. Med. 27(7):766-77;Wiseman等 (2002) Blood 99(12):4336-42;Witzig等 (2002) J. Clin. Oncol. 20(10):2453-63;Witzig等 (2002) J. Clin. Oncol. 20(15):3262-69)。ゼバリンはB細胞非ホジキン性リンパ球(NHL)に対して活性を有するが、投与によってほとんどの患者に重症で長期の血球減少を引き起こす。カリケアマイシンに連結したhuCD33抗体からなる抗体薬剤コンジュゲートであるマイロターグ(MYLOTARG)(登録商標)(ゲムツズマブオゾガミシン(gemtuzumab ozogamicin), Wyeth Pharmaceuticals)は、急性骨髄性白血病の治療用注射剤として2000年に認可された(Drugs of the Future (2000) 25(7):686;米国特許第4970198号;同第5079233号;同第5585089号;同第5606040号;同第5693762号;同第5739116号;同第5767285号;同第5773001号)。ジスルフィドリンカーSPPを介してメイタンシノイド薬剤分子DM1と連結しているhuC242抗体からなる抗体薬剤コンジュゲートであるカンツズマブメルタンシン(Cantuzumab mertansine)(Immunogen, Inc.)を、CanAgを発現する癌、例として大腸、膵臓、胃などの治療について試験する。メイタンシノイド薬剤分子DM1と連結している抗前立腺特異的膜抗原(PSMA)モノクローナル抗体からなる抗体薬剤コンジュゲートであるMLN-2704(Millennium Pharm., BZL Biologics, Immunogen Inc.)は、前立腺癌の潜在的治療用に試験する。アウリスタチン(auristatin)ペプチド、アウリスタチンE(AE)及びモノメチルアウリスタチン(MMAE)、ドラスタチン(dolastatin)の合成類似体は、キメラモノクローナル抗体cBR96(癌細胞上のルイスYに特異的)及びcAC10(血液系悪性腫瘍上のCD30に特異的)(Doronina等 (2003) Nature Biotechnology 21(7):778-784)にコンジュゲートしており、治療的開発段階にある。
【0088】
免疫コンジュゲートの生成に有用な化学治療薬を本明細書中(上記)に記載した。用いることのできる酵素活性毒素及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、(緑膿菌からの)外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォーディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、モモルディカ・チャランチア(momordica charantia)インヒビター、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サパオナリア・オフィシナリス(sapaonaria officinalis)インヒビター、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)及びトリコテセン(tricothecene)が含まれる。例として1993年10月28日に公開の国際公開第93/21232号を参照のこと。放射性コンジュゲート抗体の生成には、様々な放射性ヌクレオチドが利用可能である。例としては、212Bi、131I、131In、90Y及び186Reが含まれる。抗体及び細胞障害剤の複合体は、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオナート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCL等)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベレート等)、アルデヒド(グルタルアルデヒド等)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン等)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン等)、ジイソシアネート(トリエン2,6-ジイソシアネート等)、及びビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン等)を用いて作成できる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta等, Science 238: 1098 (1987)に記載されているように調製することができる。カーボン-14-標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体への抱合のためのキレート剤の例である。国際公開94/11026参照。
抗体のコンジュゲートと一又は複数の小分子毒素、例えばカリケアマイシン、メイタンシノイド、ドラスタチン、アウロスタチン、トリコセン(trichothene)及びCC1065、及び毒性活性を有するこれらの毒素の誘導体が、ここで考察される。
【0089】
メイタンシン及びメイタンシノイド
いくつかの実施態様では、イムノコンジュゲートは、一又は複数のメイタンシノイド分子にコンジュゲートした本発明の抗体を含んでなる。
メイタンシノイドは、チューブリン重合を阻害するように作用する分裂阻害剤である。メイタンシンは、最初、東アフリカシラブMaytenus serrataから単離されたものである(米国特許第3896111号)。その後、ある種の微生物がメイタンシノイド類、例えばメイタンシノール及びC-3メイタンシノールエステルを生成することが発見された(米国特許第4151042号)。合成メイタンシノール及びその誘導体及び類似体は、例えば米国特許第4137230号;同4248870号;同4256746号;同4260608号;同4265814号;同4294757号;同4307016号;同4308268号;同4308269号;同4309428号;同4313946号;同4315929号;同4317821号;同4322348号;同4331598号;同4361650号;同4364866号;同4424219号;同4450254号;同4362663号;及び同4371533号に開示されている。
メイタンシノイド薬剤成分は、(i) 発酵又は化学修飾、発酵産物の誘導体化によって調製するために相対的に利用可能である(ii) 抗体に対する非ジスルフィドリンカーによる共役に好適な官能基による誘導体化に従う、(iii) 血漿中で安定、そして(iv) 様々な腫瘍細胞株に対して有効であるため、抗体薬剤コンジュゲートの魅力的な薬剤成分である。
【0090】
メイタンシノイド薬剤分子の例示的な実施態様には、以下の構造を有するDM1;DM3及びDM4が含まれる。メイタンシノイドを含有する免疫コンジュゲート、その作製方法及びそれらの治療用途は、例えば米国特許第5208020号、同5416064号、欧州特許第0425235号B1に開示されており、その開示は出典を明示してここに取り込まれる。Liu等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:8618-8623(1996)には、ヒト結腸直腸癌に対するモノクローナル抗体C242に結合するDM1と命名されたメイタンシノイドを含有する免疫コンジュゲートが記載されている。前記コンジュゲートは培養された結腸癌細胞に対して高い細胞障害性を有することが見出されており、インビボ腫瘍成長アッセイにおいて抗腫瘍活性を示す。Chari等, Cancer Research, 52:127-131(1992)には、メイタンシノイドが、ジスルフィド結合を介して、ヒト結腸癌株化細胞の抗原に結合するマウス抗体A7、又はHER-2/neuオンコジーンに結合する他のマウスモノクローナル抗体TA.1に結合している免疫コンジュゲートが記載されている。TA.1-メイタンシノイドコンジュゲートの細胞障害性はヒト乳癌株化細胞SK-BR-3におけるインビトロで試験され、細胞当たり3×10HER-2表面抗原が発現した。薬剤コンジュゲートにより、遊離のメイタンシノイド剤に類似した細胞障害度が達成され、該細胞障害度は、抗体分子当たりのメイタンシノイド分子の数を増加させることにより増加する。A7-メイタンシノイドコンジュゲートはマウスにおいては低い全身性細胞障害性を示した。
【0091】
抗体-メイタンシノイドコンジュゲートは、抗体又はメイタンシノイド分子のいずれの生物学的活性もほとんど低減することなく、メイタンシノイド分子に抗体を化学的に結合させることにより調製される。例えば、米国特許第5208020号(この開示内容は出典明記により特別に組み込まれる)を参照。1分子の毒素/抗体は、裸抗体の使用において細胞障害性を高めることが予期されているが、抗体分子当たり、平均3−4のメイタンシノイド分子が結合したものは、抗体の機能又は溶解性に悪影響を与えることなく、標的細胞に対する細胞障害性を向上させるといった効力を示す。メイタンシノイドは当該技術分野でよく知られており、公知の技術で合成することも、天然源から単離することもできる。適切なメイタンシノイドは、例えば米国特許第5208020号、及び他の特許、及び上述した特許ではない刊行物に開示されている。好ましいメイタンシノイドは、メイタンシノール、及び種々のメイタンシノールエステル等の、メイタンシノール分子の芳香環又は他の位置が修飾されたメイタンシノール類似体である。
例えば、米国特許第5208020号又は欧州特許第0425235号B1、Chari等, Cancer Research, 52:127-131(1992)、及び2004年10月8日に出願の米国特許出願番号10/960,602(これらの開示内容は出典明記により特別に組み込まれる)に開示されているもの等を含め、抗体-メイタンシノイドコンジュゲートを作製するために、当該技術で公知の多くの結合基がある。リンカー成分SMCCを含んでなる抗体-メイタンシノイドコンジュゲートは、2004年10月8日に出願の米国公開特許第10/960602号に開示されるように調製されうる。結合基には、上述した特許に開示されているようなジスルフィド基、チオエーテル基、酸不安定性基、光不安定性基、ペプチターゼ不安定性基、又はエステラーゼ不安定性基が含まれるが、ジスルフィド及びチオエーテル基が好ましい。更なる結合基を本願明細書中に記載し、例示する。
【0092】
抗体とメイタンシノイドとのコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCL)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン-2,6-ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。特に好ましいカップリング剤には、ジスルフィド結合により提供されるN-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルチオ)ペンタノアート(SPP)及びN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)(Carlsson等, Biochem. J. 173:723-737[1978])が含まれる。
リンカーは結合の種類に応じて、種々の位置でメイタンシノイド分子に結合し得る。例えば、従来からのカップリング技術を使用してヒドロキシル基と反応させることによりエステル結合を形成することができる。反応はヒドロキシル基を有するC-3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC-14位、ヒドロキシル基で修飾されたC-15位、及びヒドロキシル基を有するC-20位で生じる。好ましい実施態様において、結合はメイタンシノール又はメイタンシノールの類似体のC-3位で形成される。
【0093】
アウリスタチン類及びドラスタチン類
いくつかの実施態様では、イムノコンジュゲートは、ドラスタチン又はドロスタチンペプチジル類似体及び誘導体、アウリスタチン(auristatin) (米国特許第5635483号;同第5780588号)にコンジュゲートした本発明の抗体を含んでなる。ドラスタチン及びアウリスタチンは、微小管動態、GTP加水分解及び核と細胞の分割を妨げ(Woyke 等 (2001) Antimicrob. Agents and Chemother. 45(12): 3580-3584)、抗癌活性(米国特許第5663149号)及び抗真菌性活性(Pettit 等 (1998) Antimicrob. Agents Chemother. 42:2961-2965)を有することが示されている。ドラスタチン又はアウリスタチン薬剤成分は、ペプチジル薬剤分子のN(アミノ)末端又はC(カルボキシル)末端により抗体に接着しうる(国際公開第02/088172号)。
例示的なアウリスタチンの実施態様は、N末端連結モノメチルアウリスタチン薬剤成分DE及びDFを含み、"Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands"、2004年11月5日に出願の米国公開特許第10/983340号に開示される。この開示内容は出典明記によってその全体が特別に組み込まれる。
【0094】
例示的なアウリスタチンの実施態様はMMAE及びMMAFである。それ以外の例示的実施態様には、MMAE又はMMAF、及び様々なリンカー成分(後述で更に説明)であるAb-MC-vc-PAB-MMAF、Ab-MC-vc-PAB-MMAE、Ab-MC-MMAE及びAb-MC-MMAFが含まれる。
一般的に、ペプチドベースの薬剤成分は、2以上のアミノ酸及び/又はペプチド断片間でペプチド結合を形成することによって調製されうる。このようなペプチド結合は、例えば、ペプチド化学の分野において周知の液相合成方法に従って調製することができる(E. Schroder and K. Lubke, "The Peptides", volume 1, pp 76-136, 1965, Academic Pressを参照)。アウリスタチン/ドラスタチン薬剤成分は、US 5635483; US 5780588;Pettit 等 (1989) J. Am. Chem. Soc. 111: 5463-5465;Pettit 等 (1998) Anti-Cancer Drug Design 13:243-277;Pettit, G.R., 等 Synthesis, 1996, 719-725;及びPettit 等 (1996) J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1 5:859-863の方法に従って調製されうる。また、Doronina (2003) Nat Biotechnol 21(7): 778-784; "Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands"、2004年11月5日に出願の米国公開特許第10/983340号も参照のこと。これらは出典明記によってその全体が本願明細書中に組み込まれる(例えば、リンカー及びモノメチルバリン化合物、例えばMMAE及びリンカーにコンジュゲートしたMMAFの調整方法を開示している)。
【0095】
カリケアマイシン
他の実施態様では、イムノコンジュゲートは、一又は複数のカリケアマイシン分子と結合した本発明の抗体を含んでなる。抗生物質のカリケアマイシンファミリーはサブ-ピコモルの濃度で二重鎖DNA破壊を生じることができる。カリケアマイシンファミリーのコンジュゲートの調製については、米国特許第5712374号、同5714586号、同5739116号、同5767285号、同5770701号、同5770710号、同5773001号、同5877296号(全て、American Cyanamid Company)を参照のこと。使用可能なカリケアマイシンの構造類似体には、限定するものではないが、γ、α、α、N-アセチル-γ、PSAG及びθ(Hinman等, Cancer Research, 53:3336-3342(1993)、Lode等 Cancer Research, 58:2925-2928(1998)及び上述したAmerican Cyanamidの米国特許)が含まれる。抗体が結合可能な他の抗腫瘍剤は、葉酸代謝拮抗薬であるQFAである。カリケアマイシン及びQFAは双方共、細胞内に作用部位を有し、原形質膜を容易に通過しない。よって抗体媒介性インターナリゼーションによるこれらの薬剤の細胞への取込により、細胞障害効果が大きく向上する。
【0096】
他の細胞障害剤
本発明の抗体と結合可能な他の抗腫瘍剤には、BCNU、ストレプトゾイシン、ビンクリスチン及び5-フルオロウラシル、米国特許第5053394号、同5770710号に記載されており、集合的にLL-E33288複合体として公知の薬剤のファミリー、並びにエスペラマイシン(esperamicine)(米国特許第5877296号)が含まれる。
使用可能な酵素活性毒及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合性活性断片、外毒素A鎖(シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa))、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン(sarcin)、アレウライツ・フォルディイ(Aleurites fordii)プロテイン、ジアンシン(dianthin)プロテイン、フィトラッカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)プロテイン(PAPI、PAPII及びPAP-S)、モモルディカ・キャランティア(momordica charantia)インヒビター、クルシン(curcin)、クロチン、サパオナリア(sapaonaria)オフィシナリスインヒビター、ゲロニン(gelonin)、マイトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン、エノマイシン及びトリコセセンス(tricothecenes)が含まれる。例えば、1993年10月28日公開の国際公開第93/21232号を参照のこと。
本発明は、抗体と核酸分解活性を有する化合物(例えばリボヌクレアーゼ又はDNAエンドヌクレアーゼ、例えばデオキシリボヌクレアーゼ;DNアーゼ)との間に形成される免疫コンジュゲートをさらに考察する。
【0097】
腫瘍を選択的に破壊するため、抗体は高い放射性を有する原子を含有してよい。放射性コンジュゲートした抗体を生成するために、種々の放射性同位体が利用される。例には、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212及びLuの放射性同位体が含まれる。コンジュゲートが検出に使用される場合、それはシンチグラフィー研究用の放射性原子、例えばtc99m又はI123、又は核磁気共鳴(NMR)映像(磁気共鳴映像、mriとしても公知)用のスピン標識、例えばヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン又は鉄を含有し得る。
放射又は他の標識が、公知の方法でコンジュゲートに導入される。例えば、ペプチドは生物合成されるか、又は水素の代わりにフッ素-19を含む適切なアミノ酸前駆体を使用する化学的なアミノ酸合成により合成される。標識、例えばtc99m又はI123、Re186、Re188及びIn111は、ペプチドのシステイン残基を介して結合可能である。イットリウム-90はリジン残基を介して結合可能である。IODOGEN法(Fraker等(1978) Biochem. Biophys. Res. Commun. 80:49-57)は、ヨウ素-123の導入に使用することができる。他の方法の詳細は、「Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy」(Chatal, CRC Press 1989)に記載されている。
【0098】
抗体と細胞障害剤のコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCL)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トリエン-2,6-ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta等, Science 238:1098(1987)に記載されているようにして調製することができる。炭素-14標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレン-トリアミン五酢酸(MX-DTPA)が抗体に放射性ヌクレオチドをコンジュゲートするためのキレート剤の例である。国際公開第94/11026号を参照されたい。リンカーは細胞中の細胞障害剤の放出を容易にするための「切断可能リンカー」であってよい。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ過敏性リンカー、光不安定性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカーが使用され得る(Chari等, Cancer Research, 52:127-131(1992);米国特許第5208020号)。
本発明の化合物は、限定するものではないが、架橋剤:市販されている(例えば、Pierce Biotechnology, Inc., Rockford, IL., U.S.Aより)BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、及びスルホ-SMPB、及びSVSB (succinimidyl-(4-ビニルスルホン)安息香酸塩)にて調製したADCが特に考えられる。2003-2004 Applications Handbook and Catalogの467-498頁を参照。
【0099】
抗体薬剤コンジュゲートの調製
本発明の抗体薬剤コンジュゲート(ADC)において、抗体(Ab)を、リンカー(L)を介して、一つ以上の薬剤部分(D)、例えば抗体につき約1〜約20の薬剤部分にコンジュゲートする。式IのADCはいくつかの手段、当業者に公知の有機化学反応、状態及び試薬を用いて調製されうる:(1) 共有結合の後に薬剤部分Dと反応してAb-Lを形成するための、二価のリンカー試薬を用いた抗体の求核基の反応;及び(2) 共有結合の後に抗体の求核基と反応してD-Lを形成するための、二価のリンカー試薬を用いた薬剤部分の求核基の反応、が含まれる。ADCを調製するための更なる方法は本願明細書中に記載される。
Ab−(L−D)p I
リンカーは、一つ以上のリンカー成分から成ってもよい。例示的なリンカー成分は、6-マレイミドカプロイル(「MC」)、マレイミドプロパノイル(「MP」)、バリン-シトルリン(「val-cit」)、アラニン-フェニルアラニン(「ala-phe」)、p-アミノベンジルオキシカルボンイル(「PAB」)、N-スクシンイミジル4(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(「SPP」)、N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1カルボキシレート(「SMCC」)、及びN-スクシンイミジル(4-イオド-アセチル)アミノ安息香酸エステル(「SIAB」)を含む。更なるリンカー成分は当分野で公知であり、そのいくつかは本願明細書において、記述される。また、"Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands"、2004年11月5日に出願した米国公開特許第10/983340号を参照。その内容は出典明記により本願明細書に組み込まれる。
【0100】
いくつかの実施態様では、リンカーはアミノ酸残基を含みうる。例示的なアミノ酸リンカー成分には、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド又はペンタペプチドなどがある。例示的なジペプチドは、バリン-シトルリン(vc又はval-cit)、アラニン-フェニルアラニン(af又はala-phe)を含む。例示的なトリペプチドは、グリシン-バリン-シトルリン(gly-val-cit)及びグリシン-グリシン-グリシン(gly-gly-gly)を含む。アミノ酸リンカー成分を含んでなるアミノ酸残基は、天然に生じるもの、並びに微量のアミノ酸及び非天然に生じるアミノ酸類似体、例えばシトルリンを含む。アミノ酸リンカー成分は設定され、特に酵素、例えば腫瘍関連プロテアーゼ、カテプシンB、C及びD又はプラスミンプロテアーゼによる酵素的切断の選択性に最適化できる。
【0101】
例示的なリンカー構成成分の構造を以下に示す(ここで、波形の線はADCの他の構成成分への共有結合の部位を示す):



【0102】
更なる例示的なリンカー構成成分及び略号は以下のものを含む(ここで、抗体(Ab)及びリンカーが示されており、pは1〜約8である):



【0103】
抗体上の求核基には、限定するものでなく、以下のものを含む:(i) N末端アミン基、(ii) 側鎖アミン基、例えばリシン、(iii) 側鎖チオール基、例えばシステイン、及び(iv) 抗体がグリコシル化される糖水酸基又はアミノ基。アミン、チオール及び水酸基は、求核であり、反応して、リンカー部分上の求電子性の群及びリンカー試薬により共有結合を形成することができる:(i) 活性エステル、例えばNHSエステル、HOBtエステル、ハロギ酸及び酸ハロゲン化物;(ii) アルキル及びベンジルハライド、例えばハロアセトアミド;(iii) アルデヒド、ケトン、カルボキシル及びマレイミド群、が含まれる。特定の抗体は、還元しうる鎖間ジスルフィド、すなわちシステイン架橋を有する。抗体は、還元剤、例えばDTT(ジチオトレイトール)による処置によって、リンカー試薬を用いたコンジュゲート反応を行ってもよい。ゆえに、各々のシステイン架橋は、理論的には、2の反応性のチオール求核基を形成する。チオールにアミンを転換させる2-イミノチオラン(トラウトの試薬)を用いてリシンを反応させることによって抗体に付加的な求核基を導入することができる。反応性のチオール基は、1、2、3、4又はそれ以上のシステイン残基を導入する(例えば、一又は複数の非天然のシステインアミノ酸残基を含んでなる変異体抗体を調製する)ことによって抗体(又は、その断片)に導入されてもよい。
【0104】
また、本発明の抗体薬剤コンジュゲートは、抗体を修飾して求電子性の部分を導入する(リンカー試薬又は薬剤上の求核置換基と反応させることができる)ことによって生成してもよい。グリコシル化された抗体の糖質を、例えば過ヨウ素酸塩酸化剤を用いて酸化して、リンカー試薬又は薬剤部分のアミン基と反応するアルデヒド又はケトン基を形成させてもよい。生じたイミンシッフ塩基群が安定結合を形成するか、又は例えば安定アミン結合を形成させるホウ化水素試薬によって、還元してもよい。一実施態様では、ガラクトースオキシダーゼ又はナトリウムメタ過ヨウ素酸塩の何れかによるグリコシル化抗体の炭水化物部分の反応により、薬剤(Hermanson, Bioconjugate Techniques)上の適当な基と反応することができるタンパク質のカルボニル(アルデヒド及びケトン)基が生じうる。他の実施態様では、N末端セリン又はスレオニン残基を含んでいるタンパク質はナトリウムメタ過ヨウ素酸塩と反応して、第一のアミノ酸の代わりにアルデヒドを生成する(Geoghegan & Stroh, (1992) Bioconjugate Chem. 3:138-146;US 5362852)。このようなアルデヒドは、薬剤部分又はリンカー求核基と反応することができる。
【0105】
同様に、薬剤部分上の求核基には、限定するものではないが、以下のものを含む:反応して、リンカー部分及びリンカー試薬上の求電子性の基と共有結合することができるアミン、チオール、ヒドロキシル、ヒドラジド、オキシム、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボン酸エステル及びアリールヒドラジド基:(i) 活性エステル(例えばNHSエステル、HOBtエステル、ハロギ酸及び酸ハロゲン化物);(ii) アルキル及びベンジルハライド、例えばハロアセトアミド;(iii) アルデヒド、ケトン、カルボキシル及びマレイミド基、が含まれる。
別法として、抗体及び細胞障害剤を含有する融合タンパク質は、例えば組換え技術又はペプチド合成により作製される。DNAの長さは、コンジュゲートの所望する特性を破壊しないリンカーペプチドをコードする領域により離間しているか、又は互いに隣接しているコンジュゲートの2つの部分をコードする領域をそれぞれ含有する。
他の実施態様において、腫瘍の事前ターゲティングに利用するために、「レセプター」(例えばストレプトアビジン)に抗体をコンジュゲートし、ここで抗体-レセプターコンジュゲートを患者に投与し、続いて清澄剤を使用し、循環から非結合コンジュゲートを除去し、細胞障害剤(例えば放射性ヌクレオチド)にコンジュゲートする「リガンド」(例えばアビジン)を投与する。
【0106】
抗体(Ab)-MC-MMAEは、本明細書中に提供される何れかの抗体と以下のMC-MMAEとのコンジュゲートにより調製されうる。抗体は、pH8.0の500mM ホウ酸ナトリウムと500mM 塩化ナトリウムに溶解して、過剰量の100mM ジチオトレイトール(DTT)で処理した。37℃で30分インキュベートした後、Sephadex G25樹脂で溶出することによって、バッファーを交換して、1mM DTPAを含むPBSにて溶出した。溶液の280nmの吸光度とDTNB (Aldrich, Milwaukee, WI)と反応させて412nmの吸光度の測定によるチオール濃度から減少した抗体濃度を決定することによって、チオール/Ab値を調べる。PBSに溶解した減少した抗体を氷上で冷やす。薬剤リンカー試薬であるマレイミドカプロイル-モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、すなわちMC-MMAEをDMSOに溶解して、濃度がわかっているアセトニトリルと水にて希釈して、冷やした減少した抗体2H9を含むPBSに添加する。およそ1時間後に、過剰量のマレイミドを添加して反応を止め、反応していない抗体チオール基を覆った。反応混合物を遠心限外濾過によって、濃縮し、2H9-MC-MMAEを精製して、PBSのG25樹脂による溶出によって、脱塩して、無菌条件下で0.2mmのフィルターに濾過して、保存のために凍結した。
【0107】
抗体-MC-MMAFは、Ab-MC-MMAEの調製のためのプロトコールによるMC-MMAFと本明細書において、提供される何れかの抗体とのコンジュゲートにより調製されうる。
抗体-MC-val-cit-PAB-MMAEは、Ab-MC-MMAEの調製のためのプロトコールによるMC-val-cit-PAB-MMAEと本明細書において、提供される何れかの抗体とのコンジュゲートにより調製される。
抗体-MC-val-cit-PAB-MMAFは、Ab-MC-MMAEの調製のためのプロトコールによるMC-val-cit-PAB-MMAFと本明細書において、提供される何れかの抗体とのコンジュゲートにより調製される。
抗体-SMCC-DM1は、以下のSMCC-DM1と本明細書において、提供される何れかの抗体とのコンジュゲートにより調製される。精製された抗体は、(スクシンイミジル4(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC、Pierce Biotechnology, Inc) で誘導体化して、SMCCリンカーを導入する。具体的には、50mM リン酸カリウム/50mM 塩化ナトリウム/2mM EDTA、pH6.5中で、7.5モル等量のSMCC(DMSO中に20mM、6.7mg/mL)にて20mg/mLの抗体を処理した。室温のアルゴン下で2時間撹拌した後に、反応混合物を、50mM リン酸カリウム/50mM 塩化ナトリウム/2mM EDTA、pH6.5にて平衡化したSephadex G25カラムにてろ過する。抗体を含有する分画をプールして、アッセイする。
【0108】
このようにして調製される抗体-SMCCは、50mM リン酸カリウム/50mM 塩化ナトリウム/2mM EDTA、pH6.5で希釈して、最終濃度およそ10mg/mlとし、10mMのDM1の溶液を含むジメチルアセトアミドにて反応させる。反応は、16.5時間、室温、アルゴン下にて撹拌して行う撹拌して行う。コンジュゲート反応混合物は、pH6.5の1×PBSによるSephadex G25ゲル濾過カラム(1.5×4.9cm)にろ過する。252nmと280nmの吸光度で測定されるように、抗体に対するDM1薬剤の比率(p)はおよそ2〜5でありうる。
Ab-SPP-DM1は、本明細書中で提供される何れかの抗体と以下のSPP-DM1とのコンジュゲートにより調製される。精製された抗体は、ジチオピリジル基を導入するために、N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエートによって、誘導体化される。NaCl(50mM)及びEDTA(1mM)を含有する44.7mLの50mM リン酸カリウムバッファー(pH6.5)中の抗体(376.0mg、8mg/mL)を、SPP(2.3mL エタノール中に5.3のモル等量)にて処理した。室温、アルゴン下にて90分間インキュベートした後、抗応混合物を、35mMのクエン酸ナトリウム、154mM NaCl、2mM EDTAにて平衡化したSephadex G25カラムにろゲル濾過する。抗体含有分画をプールして、アッセイした。抗体の修飾の程度は、上記の通りに決定される。
【0109】
抗体-SPP-Py(およそ10mmolの解放可能な2-チオピリジン基)を上記の35mM クエン酸ナトリウムバッファー、pH6.5にて希釈して、およそ2.5mg/mLの終濃度にした。次いで、DM1(1.7等量、17mmole)を含む3.0mMのジメチルアセトアミド(DMA、最終反応混合物中3%v/v)を抗体溶液に添加する。およそ20時間、室温、アルゴン下にて反応を行う。反応物を、35mM クエン酸ナトリウム、154mM NaCl、pH6.5にて平衡化したセファクリルS300ゲル濾過カラム(5.0cm×90.0cm、1.77L)に流す。流速はおよそ5.0mL/分でよく、65の分画(各々20.0mL)を回収する。抗体分子当たりの結合されるDM1薬剤分子の数(p')は、252nm及び280nmの吸光度を測定して決定し、抗体当たりのDM1薬剤成分をおよそ2〜4としてもよい。
抗体-BMPEO-DM1は、本明細書中に示される何れかの抗体と以下のBMPEO-DM1とのコンジュゲートにより調製される。抗体を、ビスマレイミド試薬BM(PEO)4 (Pierce Chemical)にて修飾して、抗体の表面上の反応していないマレイミド基を除去する。これは、BM(PEO)4を50%のエタノール/水混合液に10mMの濃度になるまで溶解して、およそ1.6mg/ml(10マイクロモル)の濃度でリン酸緩衝食塩水に抗体を含有する溶液に10倍のモル過剰量を加え、1時間反応させて、抗体-リンカー中間生成物である2H9-BMPEOを形成させることにより達成される。150mMのNaClバッファーと0mMのクエン酸塩、pH6のゲル濾過(HiTrap column, Pharmacia)によって、過剰なBM(PEO)4を取り除く。およそ10倍のモル過剰DM1を、ジメチルアセトアミド(DMA)に溶解して、2H9-BMPEO中間生成物に加える。また、ジメチルホルムアミド(DMF)を用いて薬剤成分試薬を溶解してもよい。反応混合物を終夜反応させて、PBSでゲル濾過ないし透析を行って反応していないDM1を取り除く。PBSのS200カラムによるゲル濾過を用いて、高分子量凝集塊を取り除いて、精製された2H9-BMPEO-DM1に供給する。
【0110】
抗体誘導体
本発明の抗体を更に変更し、従来技術に既知で容易に入手可能な非タンパク質性成分を更に含有させる。一実施態様では、抗体の誘導体化に適した成分は、水溶性ポリマーである。水溶性ポリマーの非限定的な例には、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールの共重合体、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/マレイン無水物共重合体、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムな共重合体)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールホモポリマー、プロリプロピレンオキシド/エチレンオキシド共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール(例えばグリセロール)、ポリビニルアルコール、及びそれらの混合物が含まれる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水に対する適性を有しており、製造するのに有利である。ポリマーは任意の分子量を有することができ、分枝していてもしていなくともよい。抗体に付着しているポリマーの数は変動し、複数のポリマーが付着している場合、それらは同じ分子であるか、又は異なる分子である。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/又は種類は、改善される抗体の特定の特性又は機能、抗体誘導体が決まった条件の下に治療に使用されるかどうか等を含むがこれらに限定されない検討材料に基づいて決定される。
【0111】
薬学的製剤
本発明の抗体を含んでなる治療用製剤は、所望の純度を持つ抗体と、場合によっては生理学的に許容される担体、賦形剤又は安定化剤を混合することにより(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osool, A. Ed. (1980))、水溶液、凍結乾燥又は他の乾燥製剤の形態に調製されて保存される。許容される担体、賦形剤又は安定化剤は、用いられる用量と濃度でレシピエントに非毒性であり、ホスフェート、シトレート、ヒスチジン及び他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存料(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド、ベンズエトニウムクロリド;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール等の糖;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);及び/又はTWEENTM、PLURONICSTM又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。
【0112】
ここでの製剤は、治療される特定の徴候のために必要ならば一以上の活性化合物、好ましくは互いに悪影響を与えない相補的活性を持つものも含んでよい。そのような分子は、好適には、意図する目的のために有効な量で組み合わされて存在する。
また活性成分は、例えばコアセルベーション技術あるいは界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メタクリル酸メチル)マイクロカプセルに、コロイド状ドラッグデリバリー系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ-粒子及びナノカプセル)に、あるいはマクロエマルションに捕捉させてもよい。このような技術は、Remington's Pharmaceutical sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に開示されている。
インビボ投与に使用される製剤は無菌でなければならない。これは、滅菌濾過膜を通して濾過することにより容易に達成される。
【0113】
徐放性調合物を調製してもよい。徐放性調合物の好ましい例は、本発明の免疫グロブリンを含む疎水性固体ポリマーの半透性マトリクスを含み、そのマトリクスは成形物、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリクスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3773919号)、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOTTM(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフィア)、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシブチル酸が含まれる。エチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコール酸等のポリマーは、分子を100日以上かけて放出することを可能にするが、ある種のヒドロゲルはタンパク質をより短い時間で放出する。カプセル化された抗体が体内に長時間残ると、37℃の水分に暴露された結果として変性又は凝集し、生物活性を喪失させ免疫原性を変化させるおそれがある。合理的な戦略を、関与するメカニズムに応じて安定化のために案出することができる。例えば、凝集機構がチオ-ジスルフィド交換による分子間S-S結合の形成であることが見いだされた場合、安定化はスルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥させ、水分含有量を制御し、適当な添加剤を使用し、また特定のポリマーマトリクス組成物を開発することによって達成されうる。
【0114】
使用
本発明の抗体を、例えば、インビトロ、エクスビボ及びインビボの治療法に用いてもよい。本発明の抗体をアンタゴニストとして使用し、インビトロ、エキソビボ及び/又はインビボにおいて、特定の抗原活性を部分的又は完全に遮断することができる。更に、本発明の少なくともいくつかの抗体は、他の種由来の抗原活性を中和することができる。従って、本発明の抗体を使用することにより、抗原を含む細胞培養物、或いはヒト被験者又は本発明の抗体と交差反応する抗原を有する他の哺乳類の被験体(例えばチンバンジー、ヒヒ、マモセット、カニクイザル及びアカゲザル、ブタ又はマウス)において特定の抗原活性を阻害することができる。一実施態様では、本発明の抗体は、抗体に抗原を接触させて抗原活性を阻害することにより、抗原活性を阻害するために使用することができる。一実施態様では、抗原はヒトタンパク質分子である。
一実施態様では、本発明の抗体は、抗原活性が有害な疾患に罹患している被験体の抗原を阻害する方法に使用することができる。この方法では、本発明の抗体を被験体に投与することにより、被験体の抗原活性を阻害する。一実施態様では、抗原はヒトタンパク質分子であり、被験体はヒト被験者である。或いは、被験体は、本発明の抗体が結合する抗原を発現している哺乳動物とすることができる。更には、対象は、(例えば、抗原の投与によるか、又は抗原導入遺伝子の発現により)抗原が導入された哺乳動物でもよい。本発明の抗体は、治療的目的のためにヒト被験者に投与することができる。更に、獣医学的な目的のために、又はヒトの疾病の動物モデルとして、当該抗体に交差反応する抗原を発現する非ヒト哺乳動物(例えば霊長類、ブタ又はマウス)に本発明の抗体を投与することができる。動物モデルに関して言えば、このようなモデルは、本発明の抗体の治療有効性を評価するために有用であり得る(例えば、投与量及び時間経過の試験)。本発明の抗体は、I型インターフェロン/IFNAR2の異常発現及び/又は活性に関連する疾病、障害又は症状を、治療、阻害、進行を遅延、再発を予防/遅延、寛解、或いは予防に使用することができ、前記疾病、障害又は症状には炎症、自己免疫及びその他の免疫性障害が含まれるがこれらに限定されない。
【0115】
一態様では、本発明の阻止(ブロック、遮断)抗体はIFNAR2に特異的であり、IFNAR2を用いたリガンド-レセプター相互作用による遮断又は妨害によりIFNAR2活性を阻害し、それによって対応するシグナル伝達経路及びその他関連分子又は細胞イベントを阻害する。本発明はまた、リガンド結合を必ずしも防止しない(又は部分的にのみ防止する)が、レセプター活性を有意に妨害し、よって通常リガンド結合により開始されるあらゆる反応を阻害するレセプター特異性抗体を特色とする。
ある実施態様では、一の細胞障害性剤とコンジュゲートした抗体を含んでなる免疫コンジュゲートを患者に投与する。いくつかの実施態様では、免疫コンジュゲート及び/又はそれが結合する抗原が細胞に内在化されていると、結合する標的細胞を殺す際の免疫コンジュゲートの治療効果が増す。一実施態様において、細胞障害性剤は標的細胞内の核酸を標的とするか又は妨げる。このような細胞障害性剤の例には、本明細書に記載の何れかの化学療法剤(例えばメイタンシノイド、又はカリケアマイシン)、放射性同位元素、又はRNA分解酵素ないしDNAエンドヌクレアーゼが含まれる。
【0116】
本発明の抗体は、単独で、又は、他の組成物と組み合わせて治療に用いることができる。例えば、本発明の抗体は、他の抗体、及び/又はアジュバント/治療薬(例えばステロイド)と同時に投与してもよい。例えば、本発明の抗体は、治療計画において、例えば炎症性、自己免疫性及びその他の免疫学的障害を含む、本明細書に記載するいずれかの疾病の治療において、抗炎症薬及び/又は消毒薬と組み合わせてもよい。上記の併用治療には、併用投与(2以上の作用剤が同じか又は別の製剤に包含される)及び別々の投与、別々の場合には、本発明の抗体は補助治療(一又は複数)の前及び/又はその後に投与することができる。
本発明の抗体(及び補助治療薬)は、非経口的、皮下、腹膜内、肺内、鼻腔内、そして、必要に応じて局所の治療のために、病巣内投与を含む任意の好適な手段によって投与することができる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹膜内、又は皮下的な投与を含む。加えて、抗体を、特に抗体の用量を減少して、パルス注入によって好適に投与する。投与が短期のものであるか長期のものであるかにある程度依存して、任意の好適な経路、例えば、静脈内又は皮下注射などの注射によって投与することができる。
本発明の抗体組成物は、医学的実用性に合わせた様式で調製し、1回分に分けて、投与される。ここで考慮する要因は、治療する特定の疾患、治療する特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、疾患の原因、薬剤の運搬部位、投与の方法、投与の日程計画、及び医師が知る他の因子を含む。必要ではないが場合によっては、問題の疾患を予防するか又は治療するために一般に用いられる一つ以上の作用剤と抗体とを調製する。そのような他の作用剤の有効量は、製剤中の本発明の抗体の量、疾患の型又は治療、及び上記の他の因子に依存する。これらは、一般的に、ここに記載されるものと同じ用量及び投与経路で、又はここに記載される用量の1〜99%で、或いは経験的/臨床的に適切と判断される任意の用量及任意の投与経路で、用いられる。
【0117】
疾患の予防又は治療のために、本発明の抗体の好適な用量は(単独で用いる場合、又は化学療法剤などの他の作用剤と組み合わせて用いる場合)、治療する疾患のタイプ、抗体のタイプ、疾患の重症度及び経過、抗体を予防目的で投与するか治療目的で投与するか、以前の治療法、患者の病歴及び抗体への応答性、及び担当医師の判断に依存するであろう。抗体は一時的又は一連の治療にわたって好適に患者に投与される。疾患のタイプ及び重症度に応じて、約1μg/kg〜15mg/kg(例えば0.1mg/kg〜10mg/kg)の抗体を、例えば一以上の分割投与又は連続注入による患者投与の初期候補用量とすることができる。ある典型的な1日量は、上記の要因に応じて、約1μg/kg〜100mg/kg以上の範囲であろう。症状に応じて、数日間以上にわたる繰り返し投与は、通常、所望の疾患症状の抑制が得られるまで持続する。抗体の用量の例は、約0.05mg/kg〜約10mg/kgの範囲であろう。ゆえに、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg又は10mg/kgの一以上の用量を(又はそれらを組み合わせて)患者に投与してもよい。このような用量は、間欠的に、例えば週ごと又は3週ごとに投与してもよい(例えば患者に約2〜約20、例えば約6用量の抗体が投与される)。初期のより高い負荷投与量の後、一以上のより低い用量を投与してもよい。例示的用量療法は、約4mg/kgの初期負荷投与量の後、約2mg/kgの毎週の維持用量抗体を投与することを含む。しかしながら、他の投与計画が有効かもしれない。この治療の進行は、従来技術及びアッセイにより容易にモニターすることができる。
【0118】
製造品
本発明の他の態様では、上記の疾患の治療、予防及び/又は診断に有用な物質を含む製造品が提供される。該製造品は容器と該容器上又は該容器に付随するラベル又はパッケージ挿入物を具備する。好適な容器には、例えば、ビン、バイアル、シリンジ等々が含まれる。容器は、様々な材料、例えばガラス又はプラスチックから形成されうる。容器は、症状を治療、予防及び/又は診断するのに有効な組成物を収容し、滅菌アクセスポートを有しうる(例えば、容器は皮下注射針が貫通可能なストッパーを有するバイアル又は静脈内投与溶液バッグでありうる)。組成物中の少なくとも一つの活性剤は本発明の抗体である。ラベル又はパッケージ挿入物は、組成物が選択された症状の治療に使用されることを示す。更に、製造品は、(a)本発明の抗体を含有する組成物を中に収容する第一の容器;と(b)更なる細胞障害剤又はそれ以外の治療薬を含有する組成物を中に収容する第二の容器とを含みうる。本発明のこの実施態様における製造品は、組成物を特定の症状の治療に使用することができることを示しているパッケージ挿入物を更に含む。あるいは、もしくは付加的に、製造品は、薬学的に許容されるバッファー、例えば注射用の静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー液及びデキストロース溶液を含む第二の(又は第三の)容器を更に具備してもよい。更に、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業上及び使用者の見地から望ましい他の材料を含んでもよい。
【0119】
以下は、本発明の方法及び組成物の例である。上記に示す一般的な説明により、様々な他の実施態様が実施しうることは理解される。
【実施例】
【0120】
(材料と方法)
IFNAR2に対する抗体の生成
IFNAR2に対する抗体は、原則的に2003年1月23日に公開された米国公開特許第2003-0018174号に記載されるように生成された。
mAbの親和性の決定
BiosensorCM5チップ(BiocoreカタログナンバーBR-1000-14;ヌーシャテル、スイス)が、Biocore3000機器での結合親和性アッセイに用いられた。CHO細胞で産生された、IgG1に融合したヒトインターフェロン抗体レセプター2(IFNAR2)ECDタンパク質(IFNAR2.ECD.IgG1)のチップ上への固定化は10mM酢酸ナトリウムpH4.8バッファーを用いて行われた。レセプターβ鎖に対する抗体が、このアッセイにおいて検体として用いられた。それぞれの抗体は、PBS−0.05%Tween20TMの1/3段階希釈法により500nMから0.69nMの範囲に希釈された。濃度の高い2つの検体については、37℃、60分の解離速度で結合を行った。それぞれの検体の注入の間に、チップは、20mMの塩酸を2回注入して再構築された。KDは、1:1(Langmuir)結合モデルを用いると共に、反応速度論Ka/Kdを適用することにより測定した。
【0121】
抗ウイルスアッセイ
下記のプロトコールの実験は、インターフェロンが媒介する抗ウイルス活性及びこの活性を中和する様々な抗体を評価するために行われた。ECMV反応性の細胞系(例えば、WISH細胞系)は、組織培養においてそのウイルスにより死滅する。ECMVとのインキュベーション中にインターフェロン(IFN)が存在すると、細胞はウイルスによる死滅から保護される。抗IFNレセプター抗体の中和活性は、その抗体をインターフェロンと共に組織培養液中に添加することにより評価することができる。抗体の中和活性は、インターフェロンの保護活性を阻害する能力に基づいて測定することができた。
【0122】
材料:(下記の全ての体積計算は、1リットルの最終総体積の調製物に対応する)
WISH線維芽細胞(ヒト)FIBROBLAST MEDIA
メディウム:Eagle’s MEM(ATCC#30-2003) 900ml
(予め、非必須アミノ酸、2mM L-グルタミン酸、1mMピルビン酸、 及び1500mg/L重炭酸Naが含まれている。)
10% ウシ胎児血清(FCS)(加熱非活性化型) 100ml
10mM HEPES 10ml (1M)
1×ペニシリン/ストレプトマイシン 10ml
メディウムD DMEM(高グルタミン酸) 900ml
10% FCS (HI) 100ml
0.4% 重炭酸ナトリウム 53ml (7.5%)
4mM HEPES 4ml (1M)
40mM L-グルタミン 20ml (200mM)
ペニシリン/ストレプトマイシン(1×) 10ml (10×)
バイオアッセイメディウム
DMEM (高グルタミン酸) 900ml
2% FCS (HI) 100ml
0.4% 重炭酸ナトリウム 53ml (7.5%)
4mM HEPES 4ml (1M)
40mM L-グルタミン 20ml (200mM)
ペニシリン/ストレプトマイシン(1×) 10ml (10×)
EMCウイルス(マウス脳心筋炎、ATC VR-129B)、−80℃で保存、1mlアリコート(力価は〜3.25×10 PFU/ml)で保存。
クリスタルバイオレット溶液(0.5%)
96-ウェル平底プレート
12-ウェルマルチウェルプレートウォッシャーマニホールド/真空フィルターシステム
【0123】
方法:
線維芽細胞は、FIBROBLASTメディウムで培養した。
1日目:
1.線維芽細胞を、2×10細胞/ml(100μl/ウェル)で96-ウェルプレートのメディウムD中に播種し、37℃、5%COで18−24時間培養した。
2日目:
1.メディウムDによるIFNの希釈物(例えば、IFN-a(ジェネンテック社内で製造、又はPBL(ピスカタウェイ、ニュージャージー)から購入のいずれか)及び白血球IFN(Sigma(登録商標);セントルイス、MO))は、中和抗体の存在下もしくは非存在下で実施された。100μlのそれぞれの希釈物が、それぞれのウェル(最終体積200μl)に添加された。次いで、プレートを37℃、5%COで18−24時間培養した。
3日目:
1.全てのウェルから、メディウムD(セット/グラフのデータに示されている+/−IFNAR2Ab希釈物)を除去するために吸引した。バイオアッセイメディウムは、それぞれのウェルに添加された(100μl/ウェル)。
2.対照のウェルを除く全てのウェルは、EMCウイルスにて抗原刺激された。
(100μlEMC/ウェル→バイオアッセイメディウムにおいて最終体積200μl)
WISH細胞:
1ml中に5μl=1MOI
それぞれのプレートにウイルスが必要とされる(100μl/ウェル=7ml)
6965μlのバイオアッセイメディウム中の35μl(希釈していないウイルス)
3.細胞は、再度37℃、5%COで18−24時間(ウイルス専用のインキュベーターで)培養した。
4日目:
1.メディウムは、吸引及び0.5%クリスタルバイオレット(290μl/ウェル)で10−30分間染色され、その後、蒸留水で洗浄した(2回)。
2.プレートは、染色後、540nmで読み取った。
【0124】
(結果)
抗ウイルスバイオアッセイにおけるIFNAR2抗体によるインターフェロンの中和
IFNAR2に対して生成された抗体は、ウイルスにて抗原刺激されたWISH線維芽細胞に関して1000U/mlのIFN-αの抗ウイルス作用を中和する能力について試験された。抗体1922及び抗体1923のデータは、表Aに示されており、グラフを用いて図1に描かれている。コントロール実験は、(i)IFN-α存在下での細胞増殖;(ii)IFN-α及び既知の抗IFN-α遮断抗体存在下での細胞増殖;(iii)非刺激細胞の増殖(すなわち、I型インターフェロンの添加なし);(iv)ウイルス非存在下の細胞増殖、からなる。第3の抗体である抗体1924もまた、インターフェロン-α中和能について試験された。抗体1924は、同じ抗体濃度で試験された抗体1922及び抗体1923よりも弱い活性であったが、インターフェロン-αを中和する能力を有していた(データ未掲載)。抗体1924は、Chuntharapai等, J. Immunol. (1999), 163:766-773(表1の「3B2」と称される抗体)において一般的に特徴付けられている。抗体1924を発現するハイブリドーマ細胞系は、以下に示すように、現在はATCCに寄託されている。

【0125】
IFNAR2に対して生成された抗体もまた、ヒト白血球インターフェロンの抗ウイルス活性を中和する能力について、ウイルスにて抗原刺激されたWISH線維芽細胞に関して様々な濃度において試験された。抗体1922のデータは、表Bに示されており、グラフを用いて図2に描かれている。抗体1923のデータは、表Cに示されており、グラフを用いて図3に描かれている。コントロール実験は、(i)インターフェロンα2(1000U/ml、Sigma)存在下での細胞増殖;(ii)インターフェロンα2(1000U/ml、Sigma)及びAb1922又はAb1923(10μg/ml)存在下での細胞増殖;(iii)IFN-γ(10U/ml;PBL)存在下での細胞増殖;(iv)IFN-γ(10U/ml)及び抗体1922又は抗体1923(10μg/ml)存在下での細胞増殖;(v)非刺激の細胞増殖(すなわち、I型インターフェロンの添加なし);(vi)ウイルス非存在下の細胞増殖、からなる。
【0126】

【0127】

【0128】
抗体は、IFN-βの抗ウイルス保護作用を中和する能力について試験された。IFN-α(1000U/ml)もしくはIFN-β(25U/ml)に対して、10μg/mlの濃度で試験された抗体1922又は抗体1923のデータは、以下の表D及び図4に示されている。コントロール実験は、(i)IFN-αのみ存在下での細胞の生存;(ii)IFN-βのみ存在下での細胞増殖;(iii)非刺激細胞の生存;(iv)ウイルス非存在下の細胞の生存、からなる。

【0129】
抗体1922は、IFN-β(PBL,カタログナンバー1400-2)の抗ウイルス保護作用を中和する能力について、ある範囲のインターフェロン濃度に対して試験された。データは、以下の表E及び図5に示されている。コントロール実験は、(i)IFN-α(1000U/ml)のみ存在下での細胞の生存;(ii)IFN-α(1000U/ml)及び抗体1922(10μg/ml)存在下での細胞の生存;(iii)非刺激細胞の生存;(iv)ウイルス非存在下の細胞の生存、からなる。

【0130】
抗体1922及び抗体1923は、IFN-β(PBL,カタログナンバー1400-2)の抗ウイルス保護作用を中和する能力について、ある範囲の抗体濃度に対して試験された。抗体1922のデータは、以下の表F及び図6に示されている。抗体1923のデータは、以下の表G及び図7に示されている。コントロール実験は、(i)IFN-α(1000U/ml)存在下での細胞増殖;(ii)IFN-α及びAb1922(表F)、又はIFN-β及びAb1922(表G)存在下での細胞の生存;(iii)非刺激細胞の生存;(iv)ウイルス非存在下の細胞の生存、からなる。
【0131】


【0132】
バイオコア分析により評価された抗体のIFNAR2に対する結合親和性
Ab1922及びAb1923のヒトIFNAR2.ECD.IgG1に対する結合親和性が、バイオコアにより測定された。マウスIgG1及びIgG2aに対する結合は観察されなかったが、Ab1922及びAb1923は、IFNAR2に対して高い結合親和性を示した。

【0133】
下記のハイブリドーマは、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、12301 Parklawn Drive, Rockville, MD, USA(ATCC)に寄託されている。
細胞系 ATCC寄託番号 寄託日
抗体1922(1C7.8.8) PTA-6242 2004年10月5日
抗体1923(2B4.10.6) PTA-6243 2004年10月5日
抗体1924(3B2.5.7) PTA-6244 2004年10月5日
これらの寄託は、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約及びその規則(ブダペスト条約)の規定に従って行われた。これは、寄託の日付から30年間、寄託の生存可能な培養が維持されることを保証するものである。寄託物はブダペスト条約の条項に従い、またジェネンテク社とATCCとの間の合意に従い、ATCCから入手することができ、これは、どれが最初であろうとも、関連した米国特許の発行時又は任意の米国又は外国特許出願の公開時に、寄託培養物の後代を永久かつ非制限的に入手可能とすることを保証し、米国特許法第122条及びそれに従う特許庁長官規則(特に参照番号886OG638の37CFR第1.14条を含む)に従って権利を有すると米国特許商標庁長官が決定した者に子孫を入手可能とすることを保証するものである。
本出願の譲受人は、寄託した培養物が、適切な条件下で培養されていた場合に死亡もしくは損失又は破壊されたならば、通知時に培養物を同一の他のものと即座に取り替えることに同意する。寄託物質の入手可能性は、特許法に従いあらゆる政府の権限下で認められた権利に違反して、本発明を実施するライセンスであるとみなされるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】図1は、抗体1922及び抗体1923の中和作用をある範囲のインターフェロンα濃度に対して評価したWISH-インターフェロンバイオアッセイのデータを、グラフを用いて示している。
【図2】図2は、抗体1922の中和作用を評価したWISH-インターフェロンバイオアッセイのデータを、グラフを用いて示している。作用は、ある範囲のヒト白血球インターフェロン濃度又はある範囲の抗体濃度に対して評価した。
【図3】図3は、抗体1923の中和作用を評価したWISH-インターフェロンバイオアッセイのデータを、グラフを用いて示している。作用は、ある範囲のヒト白血球インターフェロン濃度又はある範囲の抗体濃度に対して評価した。
【図4】図4は、抗体1922及び抗体1923のインターフェロンα又はインターフェロンβに対する中和作用を評価したWISH-インターフェロンバイオアッセイのデータを、グラフを用いて示している。
【図5】図5は、抗体1922の中和作用をある範囲のインターフェロンβ濃度に対して評価したWISH-インターフェロンバイオアッセイのデータを、グラフを用いて示している。
【図6】図6は、抗体1922の中和作用をある範囲の抗体濃度に対して評価したWISH-インターフェロンバイオアッセイのデータを、グラフを用いて示している。
【図7】図7は、抗体1923の中和作用をある範囲の抗体濃度に対して評価したWISH-インターフェロンバイオアッセイのデータを、グラフを用いて示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託番号PTA-6242、PTA-6243又はPTA-6244として寄託されたハイブリドーマ細胞系により産生される抗体のHC-HVR1、HC-HVR2、HC-HVR3、LC-HVR1、LC-HVR2及びLC-HVR3からなる群から選択される、少なくとも1の高頻度可変(HVR)配列を含んでなり、ヒトインターフェロンαレセプター2(IFNAR2)を結合する単離された抗体。
【請求項2】
アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託番号PTA-6242、PTA-6243又はPTA-6244として寄託されたハイブリドーマ細胞系により産生される抗体の重鎖及び/又は軽鎖の可変ドメイン配列を含んでなり、ヒトインターフェロンαレセプター2(IFNAR2)を結合する単離された抗体。
【請求項3】
アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託番号PTA-6242、PTA-6243又はPTA-6244として寄託されたハイブリドーマ細胞系により産生される抗体のHC-HVR1、HC-HVR2、HC-HVR3、LC-HVR1、LC-HVR2及びLC-HVR3からなる群から選択される、少なくとも1の高頻度可変(HVR)配列を含んでなり、ヒトインターフェロンαレセプター2(IFNAR2)を結合する免疫グロブリンポリペプチド。
【請求項4】
アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託番号PTA-6242、PTA-6243又はPTA-6244として寄託されたハイブリドーマ細胞系により産生される抗体の重鎖及び/又は軽鎖の可変ドメイン配列を含んでなり、ヒトインターフェロンαレセプター2(IFNAR2)を結合する免疫グロブリンポリペプチド。
【請求項5】
アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託番号PTA-6242、PTA-6243又はPTA-6244として寄託されたハイブリドーマ細胞系により産生される抗体と同じヒトIFNAR2上のエピトープに結合する単離された抗体。
【請求項6】
アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託番号PTA-6242、PTA-6243又はPTA-6244として寄託されたハイブリドーマ細胞系により産生される抗体と、ヒトIFNAR2への結合において競合する単離された抗体。
【請求項7】
ヒト白血球インターフェロンの抗ウイルス活性を阻害する、請求項1から6のいずれか一に記載の抗体。
【請求項8】
ヒトインターフェロンαの抗ウイルス活性を阻害する、請求項1から7のいずれか一に記載の抗体。
【請求項9】
少なくとも約10μg/mlの全長IgG型の抗体が、約0.5U/mlから約1000U/mlのヒト白血球インターフェロンによる抗ウイルス活性の少なくとも約25%を阻害する、請求項1から8のいずれか一に記載の抗体。
【請求項10】
白血球インターフェロンが約10U/mlである、請求項9に記載の抗体。
【請求項11】
少なくとも約10μg/mlの全長IgG型の抗体が、約1000U/mlのインターフェロンαによる抗ウイルス活性の少なくとも約25%を阻害する、請求項1から10のいずれか一に記載の抗体。
【請求項12】
少なくとも約0.01μg/mlの全長IgG型の抗体が、約25U/mlのインターフェロンβによる抗ウイルス活性の少なくとも約25%を阻害する、請求項1から11のいずれか一に記載の抗体。
【請求項13】
抗体濃度が少なくとも約10μg/mlである、請求項12に記載の抗体。
【請求項14】
少なくとも約10μg/mlの全長IgG型の抗体が、約25U/mlのインターフェロンβによる抗ウイルス活性の少なくとも約25%を阻害する、請求項1から13のいずれか一に記載の抗体。
【請求項15】
抗体の全長IgG型が、300pM又はそれ以上の結合親和性でヒトIFNAR2に特異的に結合する、請求項1から14のいずれか一に記載の抗体。
【請求項16】
結合親和性が280pM又はそれ以上である、請求項15に記載の抗体。
【請求項17】
結合親和性が200pM又はそれ以上である、請求項16に記載の抗体。
【請求項18】
結合親和性が100pM又はそれ以上である、請求項17に記載の抗体。
【請求項19】
結合親和性が60pM又はそれ以上である、請求項18に記載の抗体。
【請求項20】
抗体が、実質的に同等の抗体力価でインターフェロンα及びインターフェロンβの抗ウイルス活性を阻害する、請求項1から19のいずれか一に記載の抗体。
【請求項21】
等量の抗体が第1のI型インターフェロン及び第2のI型インターフェロンによる抗ウイルス活性の少なくとも75%を阻害することができ、このときの該インターフェロンがWISH細胞バイオアッセイにおいてそれぞれ最適な抗ウイルス量で投与されるものであって、該第2のI型インターフェロンがインターフェロンβである、請求項1から20のいずれか一に記載の抗体。
【請求項22】
第1のI型インターフェロンがインターフェロンαである、請求項21に記載のIFNAR2抗体。
【請求項23】
第1のI型インターフェロンがヒト白血球インターフェロンである、請求項21に記載のIFNAR2抗体。
【請求項24】
ATCC寄託番号HB-12426、12427及び/又は12428を有するハイブリドーマ細胞系によって産生される抗体、もしくは1993年に刊行されたJournal of Biological Chemistry, Volume 268 の10895頁から10899頁に記載されるIFNAR2抗体、又はPCT公報国際公開第96/33735号、国際公開第96/34096号、国際公開第9741229号、欧州特許第588177号B1、同第927252号、同第676413号、及び/又は米国特許第6458932号及び同第6136309号において開示される単離されたIFNAR2抗体ではない、請求項1から23のいずれか一に記載の抗体。
【請求項25】
ATCC寄託番号HB-12426、12427及び/又は12428を有するハイブリドーマ細胞系によって産生される抗体、もしくは1993年に刊行されたJournal of Biological Chemistry, Volume 268 の10895頁から10899頁に記載されるIFNAR2抗体、又はPCT公報国際公開第96/33735号、国際公開第96/34096号、国際公開第9741229号、欧州特許第588177号B1、同第927252号、同第676413号、及び/又は米国特許第6458932号及び同第6136309号において開示される単離されたIFNAR2抗体とヒトIFNAR2への結合において競合しない、請求項1から24のいずれか一に記載の抗体。
【請求項26】
ATCC寄託番号HB-12426、12427及び/又は12428を有するハイブリドーマ細胞系で産生される抗体、もしくは1993年に刊行されたJournal of Biological Chemistry, Volume 268 の10895頁から10899頁に記載されるIFNAR2抗体、又はPCT公報国際公開第96/33735号、国際公開第96/34096号、国際公開第9741229号、欧州特許第588177号B1、同第927252号、同第676413号、及び/又は米国特許第6458932号及び同第6136309号において開示される単離されたIFNAR2抗体と同じエピトープには結合しない、請求項1から25のいずれか一に記載の抗体。
【請求項27】
アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託番号PTA-6242、PTA-6243又はPTA-6244として寄託されたハイブリドーマ細胞系の抗体コード配列によってコードされるIFNAR2抗体。
【請求項28】
請求項1から27のいずれか一に記載の抗体をコードする核酸分子。
【請求項29】
請求項1から28のいずれか一に記載の抗体をコードする核酸配列を含んでなる宿主細胞。
【請求項30】
請求項1から29のいずれか一に記載のIFNAR2抗体を産生することができる細胞系。
【請求項31】
抗体が産生される条件下にて抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を培養することを含んでなる、請求項1から30のいずれか一に記載の抗体の製造方法。
【請求項32】
有効量の請求項1から31のいずれか一に記載の抗体と担体とを含んでなる組成物。
【請求項33】
請求項1から32のいずれか一に記載の抗体と試料とを接触させることを含んでなる、試料中のIFNAR2の存在を診断する方法。
【請求項34】
有効量の請求項1から33のいずれか一に記載の抗体を患者に投与することを含んでなる、IFN-α、β及び/又はIFNAR2の発現に関連した疾患又は状態の治療のための方法。
【請求項35】
前記患者が哺乳動物の患者である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記患者がヒトである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記疾患が自己免疫疾患である、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記疾患が、インスリン依存性糖尿病(IDDM);全身性エリテマトーデス(例えば、ループス腎炎を含みうる)、自己免疫性甲状腺炎、シェーグレン症候群、乾癬、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病)、関節リウマチ及びIgA腎炎からなる群から選択される、請求項37に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−543335(P2008−543335A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518315(P2008−518315)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/023993
【国際公開番号】WO2007/002096
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(596168317)ジェネンテック・インコーポレーテッド (372)
【氏名又は名称原語表記】GENENTECH,INC.
【Fターム(参考)】