説明

IHクッキングヒータ

【課題】食品に熱を効率よく伝えることができるIHクッキングヒータを提供する。
【解決手段】加熱庫112は、前面に取り付けられた扉と、扉を前後方向に摺動可能に取り付けるためのレールユニットと、加熱庫112の内部に収容された食品載置用トレイ108と、食品載置用トレイ108の上側に配置された上ヒータ222と、食品載置用トレイ108の下側に配置された下ヒータ226と、を含み、食品載置用トレイ108と下ヒータ226との間に下カバー183を設け、下カバー183は上記下ヒータ226を平坦な面で覆っており、下ヒータ226で発生した熱は、下カバー183の平坦な面から上記食品載置用トレイ108に向けて均等になるように放射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、IHクッキングヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被加熱調理容器を載置する天板側にIHヒータを配置した加熱調理器において、蒸気発生装置により発生させた蒸気を用いて食品を加熱調理する加熱庫を備えたものがある(例えば、特許第4179252号(特許文献1)参照)。
【0003】
上記加熱調理器では、加熱庫の下部に蒸気発生装置を配置し、水供給手段から供給された水を蒸気発生装置により加熱することにより発生させた蒸気を加熱庫内に供給している。
【0004】
しかしながら、上記構成の加熱調理器では、家庭用システムキッチンのようにケーシングの大きさに制限がある場合、電子部品を含む制御部が加熱庫の近傍に配置されるため、加熱調理時に高熱になる加熱庫からの熱伝導により制御部が高温状態になって信頼性が低下したり、故障の原因となったりするという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4179252号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明の課題は、食品に熱を効率よく伝えることができるIHクッキングヒータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明のIHクッキングヒータは、
ケーシングと、
上記ケーシングの上面に配置されたIHヒータと、
上記ケーシングの前面に開口を有する加熱庫と、
上記ケーシングの上面の前面側に配置された天面操作部と、
上記ケーシングの前面に引き出し式に設けられた前面操作パネルと、
上記ケーシングの上面の後面側に設けられた排気口と、
を備えたIHクッキングヒータであって、
上記加熱庫は、
前面に取り付けられた扉と、
上記扉を前後方向に摺動可能に取り付けるためのレールユニットと、
上記加熱庫の内部に収容された食品載置用トレイと、
上記食品載置用トレイの上側に配置された上ヒータと、
上記食品載置用トレイの下側に配置された下ヒータと、
を含み、
上記食品載置用トレイと上記下ヒータとの間に下カバーを設け、
上記下カバーは上記下ヒータを平坦な面で覆っており、上記下ヒータで発生した熱は、上記下カバーの平坦な面から上記食品載置用トレイに向けて均等になるように放射される
ことを特徴とする。
【0008】
また、一実施形態のIHクッキングヒータでは、
上記上ヒータと上記食品載置用トレイとの間に上カバーを設け、
上記上カバーは上記上ヒータを平坦な面で覆っており、上記上ヒータで発生した熱は、上記上カバーの平坦な面から上記食品載置用トレイに向けて均等になるように放射される。
【0009】
また、一実施形態のIHクッキングヒータでは、
上記食品載置用トレイは、周辺部以外に複数の凹凸が形成される。
【0010】
また、一実施形態のIHクッキングヒータでは、
上記下カバーの平坦な面から上記食品載置用トレイに載置された食品までの距離は、均等である。
【発明の効果】
【0011】
以上より明らかなように、この発明のIHクッキングヒータによれば、食品に熱を効率よく伝えることができるIHクッキングヒータを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態の加熱調理器の一例としてIHクッキングヒータの正面斜め上方から見た斜視図である。
【図2】図2は上記IHクッキングヒータの蒸気発生装置の斜視図である。
【図3】図3は上記蒸気発生装置の上面図である。
【図4】図4は上記蒸気発生装置の側面図である。
【図5】図5は図3のV−V線から見た断面模式図である。
【図6】図6は上記蒸気発生装置のポットの側面図である。
【図7】図7は上記ポットの上蓋の側面図である。
【図8】図8は上記ポットの上蓋の下面図である。
【図9】図9は上記ポットの上蓋に把手を付けた状態の下面図である。
【図10】図10は上記ポットの縦断面図である。
【図11】図11は上記ポットのフロート収納部内に内蔵されるフロートの側面図である。
【図12】図12はこの発明の第2実施形態の加熱調理器の一例としてIHクッキングヒータを組み込んだシステムキッチンの斜視図である。
【図13】図13は上記IHクッキングヒータの正面斜め上方から見た斜視図である。
【図14】図14は上記IHクッキングヒータの正面から見た断面模式図である。
【図15】図15は上記IHクッキングヒータ内の内部構造を示す上方から見た模式図である。
【図16】図16は図15のA−A線から見た断面模式図である。
【図17】図17は図15のB−B線から見た断面模式図である。
【図18】図18は上記IHクッキングヒータの制御ブロック図である。
【図19】図19は上記ポットの斜視図である。
【図20】図20は上記IHクッキングヒータのポットの把手の斜視図である。
【図21】図21は上記ポットの把手の上面図である。
【図22】図22は上記ポットの把手の正面図である。
【図23】図23は上記ポットを収納する収納部の要部の斜視図である。
【図24】図24は上記収納部の要部の断面図である。
【図25】図25はバネ板の斜視図である。
【図26】図26は上記蒸気発生装置の収納部と接続部の側面図である。
【図27】図27は上記接続部の断面図である。
【図28】図28は上記接続部にポットのノズルが接続された状態を示す断面図である。
【図29】図29は上記IHクッキングヒータの制御装置の空焚き検知の動作を説明するフローチャートである。
【図30】図30は上記蒸気発生装置のサーモスタットの他の取り付け例を示す収納部と接続部の側面図である。
【図31】図31は図30に示すサーモスタットと取付板の下面図である。
【図32】図32はこの発明の第3実施形態の加熱調理器の一例としてIHクッキングヒータの要部の配置を示す平面模式図である。
【図33】図33はこの発明の第4実施形態の加熱調理器の一例としてIHクッキングヒータの要部の配置を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の加熱調理器を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0014】
〔第1実施形態〕
図1はこの発明の第1実施形態の加熱調理器の一例としてIH(電磁誘導加熱)クッキングヒータの正面斜め上方から見た斜視図を示している。このIHクッキングヒータは、図1に示すように、ケーシング1の上面に設けられたトッププレート2に、前面側に調理用誘導加熱装置の一例としての2つのIHヒータ3A,3Bを所定の間隔をあけて配置すると共に、そのIHヒータ3A,3Bの中間かつ後面側に電気加熱ヒータ3Cを配置している。トッププレート2の後面側の略右半分に吸気口5を設け、トッププレート2の後面側の略左半分に排気口6を設けている。また、トッププレート2の前面側に天面操作部4を配置している。ここで、「前面側」とは、加熱庫12の開口側であり、「後面側」とは、加熱庫12の開口側と反対の側である。
【0015】
また、上記ケーシング1の前面側には、前面パネル10の右側に蒸気発生装置11を配置すると共に、前面パネル10の左側に加熱庫12を配置している。蒸気発生装置11と加熱庫12の前面側には、図示しないレールユニットにより前後方向に摺動可能に取り付けられた把手付きドア13を備えている。なお、把手付きドア13の開閉機構は、レールユニットを用いたスライド式以外の開閉機構を用いてもよい。
【0016】
上記前面パネル10の加熱庫12の開口の周囲にパッキン(図示せず)が取り付けられており、把手付きドア13を閉じた状態で、そのパッキンにより加熱庫12の開口の周囲がシールされる。なお、把手付きドア13を閉じた状態では、蒸気発生装置11の前面側と把手付きドア13との間には、通風用の隙間を設けている。
【0017】
図2は上記IHクッキングヒータの蒸気発生装置11の斜視図を示している。この蒸気発生装置11は、図2に示すように、耐熱樹脂製の上部ケーシング21と、水タンクの一例としてのポット30が上部ケーシング21に収納された状態でポット30のノズル32(図7に示す)が接続される接続部26と、ポット30を加熱するヒータ部22とを備えている。このヒータ部22は、金属製の底板23に取り付けられ、加熱部分が底板23から円錐台形状に突出している。
【0018】
上記ポット30は、耐熱樹脂製の上蓋31と、その上蓋31と一体に設けられた蒸気吹出用のノズル32(図7に示す)と、上蓋31が取り付けられた金属製の加熱容器35と、加熱容器35に取り付けられた耐熱樹脂製の環状の把手50とを有する。
【0019】
また、上記上部ケーシング21の前面側に、挿入口24aを有する耐熱樹脂製の枠部24を取り付けている。上部ケーシング21の後面側に、挿入口24a側から吸い込んだ空気を上部ケーシング21の後方に排気する冷却ファン(図示せず)を取り付けてもよいが、その冷却ファンの代わりに、加熱庫の後面側に配置された冷却ファン(図15に示す236)で兼ねてもよい。
【0020】
上記上部ケーシング21と底板23と枠部24でポット30を収納するための収納部を構成している。
【0021】
また、上記上部ケーシング21の後面側に、取付板41を介してポット検知部の一例としてのリミットスイッチ42を取り付けている。ポット30の上蓋31に設けられた突部31aによりアーム44が後方に押されて、アーム44の後端によりリミットスイッチ42の検知レバー43が押されることにより、ポット30が上部ケーシング21に収納されたことを検知する。
【0022】
上記ポット30を上部ケーシング21内に挿入口24aから挿入するとき、上部ケーシング21の上側に設けられた案内部40によって、接続部26との接続位置に向けてポット30のノズル32(図7に示す)を上下方向かつ左右方向に案内する。
【0023】
また、上部ケーシング21の上側かつ後面側に、長方形状のバネ板用基部45を長手方向が左右方向に沿うように取り付けている。バネ板用基部45の両端に前方に延びるバネ板46,46を設けている。このバネ板46,46の先端側に、半円弧状に下方に湾曲した湾曲部46a,46a(図3に示す)を設けている。そして、ポット30が上部ケーシング21内に収納された状態で、バネ板46,46の湾曲部46a,46aの下端が、ポット30の上蓋31を当接して、ポット30を下方に押さえ付ける。なお、上部ケーシング21の上側には、湾曲部46a,46aが通る略長方形状の穴21d,21e(図3に示す)を設けている。
【0024】
図3は蒸気発生装置11の上面図を示しており、図4は蒸気発生装置11の側面図を示している。図3,図4に示すように、上部ケーシング21の上側に設けられた案内部40は、挿入口24a側から接続部26側に向かって低くなっている上側テーパ面21a(図4に示す)と、その上側テーパ面21aの両側に設けられ、互いの間隔が接続部26側に向かって徐々に狭くなる両側テーパ面21b,21c(図3に示す)とを有する。また、図4に示すように、ヒータ部22の近傍に、ヒータ部22の温度を検出するヒータ部温度センサ29と、通電遮断部の一例としてのサーモスタット20を取り付けている。ヒータ部温度センサ29により検出されたヒータ部22の温度に基づいて、昇温検知部70によりヒータ部22の所定期間における昇温変化量を検知する。
【0025】
また、図5は図3のV−V線から見た断面模式図を示している。なお、図5では、接続部26は省略している。
【0026】
図5に示すように、上部ケーシング21の挿入口の下側に、前板25をヒータ部22により加熱される金属部分に対して非接触に配置している。前板25の上面が、ヒータ部22の上面と略同じ高さになるようにしている。これにより、ポット30の挿入経路に段差がないので、ポット30(図2に示す)をスムーズに上部ケーシング21内に挿入できる。
【0027】
なお、前板25の形状はこれに限らず、ヒータ部22により加熱される金属部分に対して非接触に配置されたものであればよい。
【0028】
図6は把手50が取り付けられた加熱容器35に上蓋31を取り付けた状態のポット30の側面図を示している。図6に示すように、有底の円筒形状の加熱容器35の側面には、縦方向に所定の間隔をあけて第1水位目盛35aとその第2水位目盛35bとを周方向に設けている。加熱調理時は、この第1水位目盛35aとその第2水位目盛35bとの間の水位となるように、加熱容器35に水を入れる。また、上蓋31の上面に、把手50が取り付けられた位置に対して半径方向反対側に向かって延びるノズル基部33を設け、そのノズル基部33先端からさらに外方に延びるノズル32を設けている。この実施形態では、加熱容器35に2つの第1,第2水位目盛35a,35bを設けたが、加熱容器の水位目盛は1つでもよい。
【0029】
図6に示すように、ポット30のノズル32の先端が向いている方向と逆の側に把手50を設けることによって、把手50を手に持ってポット30を上部ケーシング21(図2に示す)に挿入するときに、ノズル32の先端が上部ケーシング21の奥に向くので、ノズル32が案内部40(図2に示す)に案内されやすくなる。また、ポット30の把手50の少なくとも上側を加熱容器35の上端よりも高くしているので、把手50を手に持ってポット30を上部ケーシング21から出したり入れたりするときに、手が加熱容器35に触れることがなく、やけどしにくい。
【0030】
図7は上蓋31の側面図を示している。図7に示すように、上側にノズル基部33が設けられた円板形状の上蓋31の外周に、環状溝部31cを設けている。この環状溝部31cにOリング(図示せず)を嵌合させて、上蓋31と加熱容器35との間をシールする。ノズル32の下側に係止部32aを設けている。この上蓋31の係止部32aが図6に示す加熱容器35の突起35cに係止する。
【0031】
また、図8は上蓋31の下面図を示しており、上蓋31の下側中央から下方に延びる円筒状のフロート収納部34を立設している(図7参照)。また、上蓋31のノズル32近傍の外周に突部31aを設け、上蓋31のノズル32と反対の側に、把手50と干渉しないように切り欠き31bを設けている。この切り欠き31bの位置に、加熱容器35に取り付けられた把手50の基部50aが配置される(図9参照)。
【0032】
図10はポット30の縦断面図を示している。図10に示すように、ノズル32の蒸気通路32bは、ノズル基部33に設けられた通路33aを介して加熱容器35内の空間に連通している。また、フロート収納部34内に、上下方向に移動可能に中空のフロート60を配置している。フロート60の上部に磁石65を内蔵している。また、フロート収納部34の下端に環状のストッパー36を取り付けて、フロート60がフロート収納部34内から飛び出すのを防いでいる。
【0033】
また、環状の把手50の加熱容器35側に設けられた固定用の穴51にねじ(図示せず)を挿通して、加熱容器35のねじ穴35dに螺合することにより、把手50を加熱容器35に固定する。このとき、把手50の固定用の穴51と反対の側に設けられた貫通穴52に、ねじ締め作業時にドライバーの先端を通す。
【0034】
図11は上蓋31のフロート収納部34に内蔵されるフロート60の側面図を示し、このフロート60は、下側よりも上側がやや小径の円錐台形状の中空のフロート本体61と、そのフロート本体61の上側に設けられた磁石収納部62と、フロート本体61の下側を密閉する蓋64とを有している。このフロート本体61の下側かつ径方向に対向する2箇所に、外方に向かって突出する突部63,63を設けている。この突部63,63は、図10に示すフロート収納部34に設けられたスリット34aによって上下方向に案内される。
【0035】
上記構成のポット30において、加熱容器35内に所定量の水を入れると、フロート収納部34内でフロート60が浮き上がり、フロート60の上端が上蓋31のノズル基部34を形成している部分に当接する。この状態でポット30を上部ケーシング21に挿入すると、フロート60内の磁石65の磁力によって、図4に示すリードスイッチ取付板47に取り付けられた水検知部の一例としてのリードスイッチ28がオンする。これにより、ポット30内に所定量の水が入っていることを検知できる。
【0036】
上記構成のIHクッキングヒータによれば、ポット30内に必要量の水を入れたポット30を、把手50を持って収納部(21,23,24)に収納した後、ヒータ部22によりポット30を加熱することによりポット30内の水を沸騰させる。そうして、ポット30内で発生した蒸気をノズル32,接続部26を介して加熱庫12(図3に示す)に供給する。この加熱庫12では、ポット30から供給された蒸気と、シーズヒータなどの熱源により食品を加熱調理する。
【0037】
上記構成のIHクッキングヒータによれば、ケーシング1の上面側に調理用誘導加熱装置(右IHヒータ3A,左IHヒータ3B)を備え、調理用誘導加熱装置を制御する図示しない制御部(図15の180,210参照)を、ケーシング1内の加熱庫12の側方に配置している。そして、ケーシング1内の加熱庫12と制御部との間に水タンクとしてのポット30を配置することよって、ポット30内の水の断熱作用により、簡単な構成で加熱庫12から制御部への熱伝導を低減することができ、信頼性を向上できる。ポット30内の水は、略100℃の沸点を越える温度にならないため、それよりも高温の加熱庫12に対しては、ポット30内の水により熱伝導が低減する。
【0038】
また、右IHヒータ103A,左IHヒータ103B,中央IHヒータ103Cを制御する制御部は、特に駆動回路が発熱して温度が高くなるため、加熱庫12から制御部への熱伝導の低減による効果が高い。
【0039】
また、ケーシング1内のポット30が配置された加熱庫12と制御部との間に冷却用の空気が流れる風通路を設けることによって、ポット30内の水の断熱作用と相俟って加熱庫12から制御部への熱伝導をより効果的に低減できる。また、ポット30内の水が無くなっても、冷却用の空気が風通路を流れることにより、加熱庫12から制御部への熱伝導を低減できる。
【0040】
また、ケーシング1内には、風通路と制御部との間を仕切部(図示せず)で遮って、風通路側から制御部側への熱風の侵入を防ぐと共に、加熱庫12から制御部への熱伝導を低減している。また、この仕切部により風通路内の空気の流れをスムーズに案内することにより、冷却効率を高めることが可能となる。なお、この仕切部に断熱性を有する材料を用いるか、または、別体の断熱材を仕切部と共に配置することにより、加熱庫12から制御部への熱伝導をさらに低減できる。
【0041】
また、ケーシング1内の風通路に配置された図示しない冷却ファンにより、ポット30の前面側から吸い込んだ空気をポット30の後方に風通路を介して排気することによって、加熱庫12の風通路側およびポット30周囲の空気が高温になるのを抑えて、加熱庫12を冷却できると共に加熱庫12から制御部への熱伝導をより効果的に低減できる。また、熱風がポット30の前面側から前方に吹き出して人がやけどするのを防止できる。
【0042】
また、ポット30をケーシング1の前面側から着脱可能にすることによって、ケーシング1の上面を平坦にして調理用加熱装置であるIHヒータの配置が容易になる。
【0043】
上記IHクッキングヒータでは、収納部(21,23,24)が目線よりも下にあっても、ポット30を収納部(21,23,24)に挿入しやすく、ポット30が確実に収納部(21,23,24)に収納されるので、ポット30が傾いたりして空だきになるのを防止することができる。また、ポット30の把手50を持って収納部(21,23,24)にポット30の出し入れをするので、手などをやけどする虞れがない。したがって、蒸気発生装置11のポット30が取り外し可能なIHクッキングヒータにおいて、操作性と安全性を向上できる。
【0044】
また、蒸気発生装置11において、挿入口24a側から接続部26側に向かって低くなっている案内部40の上側テーパ面21aにより、挿入口24aから挿入されるポット30のノズルを上下方向に案内すると共に、互いの間隔が接続部26側に向かって徐々に狭くなる案内部40の両側テーパ面21b,21cにより、ポット30のノズル32を左右方向に案内することによって、接続部26との接続位置に向けてポット30のノズル32を容易に導くことができる。また、ポット30のノズル32と接続部26との位置が決まることにより、ポット30のヒータ部22との相対的な位置関係も決まり、ポット30を収納部(21,23,24)に確実に収納することができる。
【0045】
また、収納部(21,23,24)に収納されるポット30のノズル32に追従するように上下方向移動可能に接続部26を配置することによって、製作上のばらつきによってポット30のノズルと接続部26との接続位置がずれても、接続部26がノズル位置に追従して確実に接続することができる。
【0046】
また、収納部(21,23,24)の挿入口24aの下側に、ヒータ部22により加熱される金属部分に対して非接触に前板25を配置することによって、ポット30の出し入れ時に手などのやけどを確実に防止することができる。
【0047】
また、ポット30が収納部(21,23,24)に収納されたか否かをリミットスイッチ42により検知することによって、ポット30が収納部(21,23,24)に収納されていないときや、ポット30が傾いたりして収納部(21,23,24)の正しい位置に収納されていないときに、ヒータ部22への通電を止めることができ、安全性を向上できる。
【0048】
また、ポット30内の水位が予め設定された水位以上であるか否かをリードスイッチ28により検知することによって、調理に必要な水量があるか確認でき、調理途中で水切れにより空だきになるのを防止することができる。また、最初からポット30内に水がない場合の空だきも防止することができる。
【0049】
また、ヒータ部温度センサ29(図4に示す)により検出されたヒータ部22の温度に基づいて、昇温検知部70により予め設定された期間における昇温変化量を検知することによって、ポット30をヒータ部22により加熱してポット30内の水を昇温するときに、ヒータ部22の昇温変化量に基づいて、ポット30内に水が適量入れられた状態であるか、または、ポット30の底部全体がヒータ部22に接しているかなどを判断することが可能となる。例えば、ポット30が正しく収納部に収納されずに傾いていたり、ポット30の底部とヒータ部22との間に異物が挟まっていたりして、ポット30の底部とヒータ部22との間に隙間があいている場合、ヒータ部22の熱がポット30に十分に伝わらず、ヒータ部22の昇温変化量が正常加熱時よりも大きくなる。
【0050】
また、例えば、ポット30の空だきによりヒータ部22が異常過熱したときに、サーモスタット20(図4に示す)によりヒータ部22の通電を遮断することができ、安全性が向上する。
【0051】
また、冷却ファンにより収納部(21,23,24)の挿入口24a側から吸い込んだ空気を収納部(21,23,24)の後方の排気口6などから外部に風通路を介して排気することによって、ポット30をヒータ部22により加熱するときに収納部(21,23,24)内の空気が高温になるのを抑えて、熱風が収納部(21,23,24)の挿入口24aから前側に吹き出して人がやけどするのを防止することができる。また、ポット30をヒータ部22により加熱するときにポット30やヒータ部22を除く収納部(21,23,24)の部材およびその周囲の部材が高温になるのを抑えることができる。
【0052】
また、上記第1実施形態では、案内部40が上部ケーシング21の上側に一体に形成されているが、収納部と別体の案内部を設けてもよい。
【0053】
また、上記第1実施形態では、案内部40の上側に設けられた上側テーパ面21aと両側テーパ面21b,21cを有する案内部40により、ポット30のノズル32を案内したが、案内部はこれに限らず、ポットを収納部内に挿入口から挿入するとき、接続部との接続位置に向けてポットのノズルを上下方向かつ左右方向に案内するものであればよい。
【0054】
また、上記第1実施形態では、接続部26を上下方向移動可能に配置したが、上下方向だけでなく左右方向にも移動可能としてもよく、収納部に収納されるポットのノズルに追従するように揺動可能に配置されていてもよい。
【0055】
また、上記蒸気発生装置11の収納部(21,23,24)の挿入口が前方に面するように、ケーシング1内に蒸気発生装置11を配置すると共に、加熱庫12の開口が前方に面するように、ケーシング1内の蒸気発生装置11の側方に加熱庫12を配置することによって、蒸気発生装置11と加熱庫12をケーシング1の前面側に横方向に並べることが可能となり、ケーシング1の上面を平坦にしてコンロなどを配置可能にすると共に、ケーシング1の高さを低くでき、高さに制限のあるJIS(日本工業規格)のシステムキッチンなどに容易に適合できる。
【0056】
また、上記蒸気発生装置11の収納部と加熱庫12をケーシング1内の前面側に配置し、ケーシング1の上面側に調理用加熱装置(3A,3B,)を配置して、家庭用システムキッチンに適した加熱調理器を実現できる。
【0057】
また、上記ケーシング1の前面側に設けられた1つの把手付きドア13で、蒸気発生装置11の収納部の挿入口と加熱庫12の開口を同時に開閉することによって、部品点数を低減できると共に、加熱庫12を用いた加熱調理中に収納部に収納されたポット30をむやみに取り出すことが少なくなるので、安全性が向上する。
【0058】
〔第2実施形態〕
図12はこの発明の第2実施形態の加熱調理器の一例としてIHクッキングヒータを組み込んだシステムキッチンの斜視図を示している。
【0059】
図12に示すように、このシステムキッチン300は、キャビネット301の上側に、調理器用凹部303を除いて天板302を配置し、調理器用凹部303内にIHクッキングヒータ100を載置している。IHクッキングヒータ100のトッププレート102に、調理用誘導加熱装置の一例としての右IHヒータ103A,左IHヒータ103Bおよび中央IHヒータ103Cを配置している。
【0060】
また、図13は上記IHクッキングヒータ100の正面斜め上方から見た斜視図を示している。このIHクッキングヒータ100は、図13に示すように、ケーシング101の上面に設けられたトッププレート102に、前面側に2つの右IHヒータ103A,左IHヒータ103Bを所定の間隔をあけて配置すると共に、その右IHヒータ103A,左IHヒータ103Bの中間かつ後面側に中央IHヒータ103Cを配置している。トッププレート102の後面側かつ右側に吸気口105を設け、トッププレート102の後面側かつ左側に排気口106を設けている。さらに、トッププレート102の後面側の略中央に排気口107を設けている。また、トッププレート102の前面側に天面操作部104を配置している。ここで、「前面側」とは、加熱庫112の開口側であり、「後面側」とは、加熱庫112の開口側と反対の側である。
【0061】
また、上記ケーシング101の前面パネル110の中央(やや右側)に、水タンクの一例としてのポット130が収納された蒸気発生装置111を配置すると共に、前面パネル110の左側に、トレイ108を収納する加熱庫112を配置している。さらに、前面パネル110の右側に、操作部180aと表示部180bを有する引き出し式の前面操作パネル180を配置している。この前面操作パネル180は、加熱庫112の操作用であって、下端側を軸に前後方向に回動自在に支持されている。加熱庫112を使用しないときは、前面操作パネル180は、ケーシング101内に収まっている。
【0062】
蒸気発生装置111と加熱庫112の前面側には、レールユニット114,114により前後方向に摺動可能に取り付けられた扉の一例としての把手付きドア113を備えている。なお、把手付きドア113の開閉機構は、レールユニットを用いたスライド式以外の開閉機構を用いてもよい。
【0063】
上記前面パネル110の加熱庫112の開口の周囲にパッキン(図示せず)が取り付けられており、把手付きドア113を閉じた状態で、そのパッキンにより加熱庫112の開口の周囲がシールされる。なお、把手付きドア113を閉じた状態では、蒸気発生装置111の前面側と把手付きドア113との間には、通風用の隙間を設けている。なお、把手付きドア113に、前方からの空気を蒸気発生装置111に供給するための風通路を設けてもよい。
【0064】
また、前面パネル110の加熱庫112の開口の下側に、長手方向が加熱庫112と同じ長さの吸気口109を設けている。この吸気口109は、把手付きドア113の空気通路(図示せず)を介して前面側から吸い込まれた空気が、加熱庫112の下側全体を冷却した後、排気口106から排出される。
【0065】
上記前面パネル110の蒸気発生装置111近傍の下側に高温注意ランプ237を配置している。
【0066】
図14はIHクッキングヒータ100の正面から見た断面模式図を示している。図14において、図13と同一の構成部には同一参照番号を付している。
【0067】
図14に示すように、ケーシング101の略左側半分に配置された加熱庫112の開口を除く周囲を、下側断熱材171と上側断熱材172と右側断熱材173と左側断熱材174と背面側断熱材(図示せず)で覆っている。また、加熱庫112の上側に上ヒータ222を配置し、その上ヒータ222の下側を、複数の蒸気吹出穴(図16の181a)が設けられた上カバー181で覆っている。一方、加熱庫112の下側に下ヒータ226を配置し、その下ヒータ226の上側を下カバー183で覆っている。
【0068】
また、加熱庫112の右側の蒸気発生装置111には、ポット130の底部を加熱するヒータ部122を配置している。この蒸気発生装置111は、バネ板や接続部およびポットを除いて第1実施形態の蒸気発生装置11と略同一の構成をしている。
【0069】
図15はIHクッキングヒータ100のケーシング101内の内部構造を示す上方から見た模式図を示している。図15に示すように、加熱庫112内にトレイ108が収納され、加熱庫112の右側の蒸気発生装置111の上部ケーシング121内にポット130が収納されている。上部ケーシング121の後面側に、ポット130のノズル(図示せず)が接続される接続部126を配置している。そして、接続部126に蒸気供給用配管194の一端を接続し、蒸気供給用配管194の他端を加熱庫112に接続している。
【0070】
また、蒸気発生装置111の右側かつ前面側に前面操作パネル180を配置し、その前面操作パネル180の後面側に、駆動回路ブロック210を配置している。この駆動回路ブロック210は、図14に示す右IHヒータ103A,左IHヒータ103Bおよび中央IHヒータ103Cを駆動する。ケーシング101内の加熱庫112,蒸気発生装置111を含む左空間と、前面操作パネル180,駆動回路ブロック210を含む右側空間とを仕切部115により仕切っている。
【0071】
また、加熱庫112の後面側かつ左コーナー部近傍に、加熱庫112用の排気ファン229を配置している。また、加熱庫112の後面側かつ右側に、蒸気発生装置111用の冷却ファン236を配置している。この冷却ファン236によって、蒸気発生装置111の前方から吸い込んだ空気を風通路を介して排気口107(図13に示す)から外部に排気する。なお、加熱庫用の排気ファンは複数あってもよく、また、蒸気発生装置の前方から吸い込んだ空気を風通路を介して外部に排気するための冷却ファンは複数あってもよい。
【0072】
図16は図15のA−A線から見た断面模式図を示している。なお、図16において、図13と同一の構成部には同一の参照番号を付している。
【0073】
図16に示すように、加熱庫112の上側に配置された上ヒータ222を、複数の蒸気吹出穴181aが設けられた上カバー181で覆って、上ヒータ収納部182を形成している。一方、加熱庫112の下側に配置した下ヒータ226を下カバー183で覆って、下ヒータ収納部184を形成している。上ヒータ収納部182の右側側方(図16の紙面の垂直方向上側)に設けられた蒸気供給口187に、蒸気供給用配管194(図15に示す)の一端を接続している。
【0074】
加熱庫112の上ヒータ収納部182と下ヒータ収納部184で挟まれた庫内空間の背面側に排気ダクト185の一端を接続し、排気ダクト185の他端を排気口106に接続している。この排気ダクト185内の加熱庫112側に排気ファン229を配置し、排気ファン229の下流側に脱煙脱臭用の触媒186を配置している。この脱煙脱臭用の触媒186は、白金またはパラジウムをニッケル合金やセラミックに添加したものである。
【0075】
図16に示すように、加熱庫112内のトレイ108上に載置された食品は、上カバー181からの輻射熱と下カバー183からの輻射熱、および、複数の蒸気吹出穴181aから吹き出した100℃以上の過熱水蒸気により加熱調理される。このとき、食品表面に供給されて付着した過熱水蒸気が食品表面で凝縮して大量の凝縮潜熱を食品に与えるので、食品に熱を効率よく伝えることができる。
【0076】
図17は図15のB−B線から見た断面模式図を示している。図17に示すように、加熱庫112の側方に配置されたヒータ部122により、ポット130の底部を加熱する。そして、ヒータ部122の加熱によりポット130内の水が沸騰して発生した蒸気は、蒸気供給用配管194を介して加熱庫112の上ヒータ収納部182内に供給される。上ヒータ収納部182に供給された蒸気は、上ヒータ222(図16に示す)によりさらに加熱された過熱水蒸気となって、図16に示す上カバー181の蒸気吹出穴181aから庫内に供給される。ここで、過熱水蒸気とは、100℃以上の過熱状態にまで加熱された水蒸気を意味する。
【0077】
また、冷却ファン236によって、ヒータ部122とポット130を含む蒸気発生装置111(図15に示す)の前方から吸い込んだ空気を風通路を介して排気口107から外部に排気する。
【0078】
図18は上記IHクッキングヒータ100の制御ブロック図を示している。このIHクッキングヒータ100は、ヒータ部122を制御するヒータ制御部200aと、ポット130の空焚きか否かを検知する空焚き検知部200bを有する制御装置200を備えている。この制御装置200は、マイクロコンピュータと入出力回路などからなり、操作部201からの入力信号を受けると共に、表示部202と報知部203を制御する。操作部201は、図13に示す天面操作部104や前面操作パネル180の操作部180aを含むと共に、表示部202は、天面操作部104の表示や前面操作パネル180の表示部180bを含む。また、報知部203は、音声により使用者に操作内容や警報などを知らせる。
【0079】
また、IHクッキングヒータ100は、右IHヒータ103Aの温度を検出する右IH温度センサ212と、左IHヒータ103Bの温度を検出する左IH温度センサ214と、中央IHヒータ103Cの温度を検出する中央IH温度センサ216とを備えている。制御装置200は、右IH温度センサ212の検出温度に基づいて駆動回路211を制御して、駆動回路211により右IHヒータ103Aを駆動する。また、制御装置200は、左IH温度センサ214の検出温度に基づいて駆動回路213を制御して、駆動回路213により左IHヒータ103Bを駆動する。また、制御装置200は、中央IH温度センサ216の検出温度に基づいて駆動回路215を制御して、駆動回路215により中央IHヒータ103Cを駆動する。また、制御装置200は、冷却ファン駆動回路217を制御して、右IHヒータ103A,左IHヒータ103B,中央IHヒータ103Cおよび駆動回路211,213,215を冷却するための冷却ファン218を駆動する。なお、IHヒータおよび駆動部を冷却する冷却ファンは複数あってもよい。
【0080】
また、IHクッキングヒータ100は、上ヒータ収納部182(図16に示す)内の雰囲気の温度を検出する上ヒータ温度センサ223と、下ヒータ収納部184(図16に示す)の雰囲気の温度を検出する下ヒータ温度センサ227と、加熱庫112(図16に示す)の庫内温度を検出する庫内温度センサ224とを備えている。制御装置200は、上ヒータ温度センサ223の検出温度と下ヒータ温度センサ227の検出温度および庫内温度センサ224の検出温度に基づいて、上ヒータ駆動回路221と下ヒータ駆動回路225を制御して、上ヒータ222と下ヒータ226を夫々駆動する。また、制御装置200は、排気ファン駆動回路228を制御して排気ファン229を駆動する。
【0081】
さらに、IHクッキングヒータ100は、ヒータ部122の温度を検出するヒータ部温度センサ233と、接続部126(図15に示す)と蒸気供給用配管194(図15に示す)を含む蒸気経路内の温度を検出する蒸気温度センサ234とを備えている。制御装置200は、ヒータ部温度センサ233の検出温度と蒸気温度センサ234の検出温度に基づいて、ヒータ部駆動回路231を制御して、ポット130(図17に示す)をヒータ部122により加熱する。また、制御装置200は、冷却ファン駆動回路235を制御して、冷却ファン236を駆動する。
【0082】
ここで、ヒータ部温度センサ233は、第1実施形態の図4に示す温度センサ29と同様の箇所に配置されている。また、蒸気温度センサ234は、図27に示す接続部本体192内に配置されている。
【0083】
また、制御装置200は、ヒータ部温度センサ233の検出温度に基づいて高温注意ランプ237をオンオフする。ヒータ部温度センサ233の検出温度が所定温度以上のときは、制御装置200により高温注意ランプ237をオンすることによって、蒸気発生装置111の構成部が高温であることを使用者に知らせて、やけどを防止できる。
【0084】
図19は上記ポット130の斜視図を示している。このポット130は、把手150と上蓋131を除いて第1実施形態の図6〜図11に示すポット30と同様の構成をしている。
【0085】
図19に示すように、ポット130は、耐熱樹脂製の上蓋131と、上蓋131が取り付けられた有底の円筒形状の金属製の加熱容器135と、加熱容器135に取り付けられた耐熱樹脂製の環状の把手150とを有する。また、上蓋131の上面に、把手150が取り付けられた位置に対して半径方向反対側に向かって延びるノズル基部133を設け、そのノズル基部133先端からさらに外方に延びる蒸気吹出用のノズル132を設けている。上蓋131とノズル基部133およびノズル132は、耐熱樹脂により一体成形されている。
【0086】
また、上蓋131の上面に、把手150とノズル132とを通る中心線に対して線対称の位置に2つの凹部131b(図19では1つのみを示す)を設け、その各凹部131b近傍かつノズル132側に突部131cを夫々設けている。ポット130の上蓋131に設けられた突部131aによりリミットスイッチ(図2に示す42)の検知レバー(図2に示す43)が押される。
【0087】
上記加熱容器135の側面には、縦方向に所定の間隔をあけて第1水位目盛135aとその第2水位目盛135bとを周方向に設けている。この実施形態では、加熱容器135に2つの第1,第2水位目盛135a,135bを設けたが、加熱容器の水位目盛は1つでもよい。
【0088】
また、図20は上記ポット130の把手150の斜視図を示し、図21は把手150の上面図を示し、図22は把手150の正面図を示している。なお、図20において、151は固定用の穴、152はねじを通す貫通穴である。
【0089】
図20,図21,図22に示すように、把手150は、加熱容器135(図19に示す)の外周の円筒面に沿って湾曲した形状の把手基部150aと、その把手基部150aと一体に形成された把手環状部150bとを有する。そして、把手基部150aの加熱容器135側に対向する面の4つのコーナー近傍に突起の一例としてのリブ153を夫々設けている。
【0090】
上記ポット130の把手基部150aの加熱容器135側に対向する面に設けた複数のリブ153により把手150と加熱容器135とが線接触した状態で加熱容器135に把手150を取り付けることによって、加熱容器135の熱が把手150に伝わりにくく、把手150が高温にならないので、ポット130の着脱をより安全に行うことができると共に、把手150を樹脂で成形しても、長時間の空焚きが発生したときに把手150の融解を防止できる。
【0091】
なお、この第2実施形態では、ポット130の把手基部150aの加熱容器135側に対向する面にリブ153を設けたが、ポットの加熱容器側に対向する面に、把手と加熱容器とが点接触するような複数の突起を設けてもよい。
【0092】
図23は図19に示すポット130を収納する収納部の要部の斜視図を示している。この第2実施形態の収納部は、上部ケーシング121を除いて第1実施形態の図2に示す収納部(上部ケーシング21と底板23と枠部24)と同様の構成をしている。第1実施形態と異なる点は、上部ケーシング121に設けられたバネ部材の一例としてのバネ板146,146と、より大型のリードスイッチ取付板147である。
【0093】
図23に示すように、上部ケーシング121の上側かつ後面側に立設された固定部121f,121fに、バネ板146,146を夫々取り付けている。このバネ板146,146の先端側に、半円弧状に下方に屈曲したV字屈曲部(図25に示す146d,146e)を設けている。そして、ポット130(図19に示す)が上部ケーシング121内に収納された状態で、バネ板146,146の係合凸部の一例としてのV字屈曲部の下端が、ポット130の上蓋131を当接して、バネ板146,146が弾性変形しながらポット130を下方に押さえ付ける。なお、上部ケーシング121の上側には、バネ板146,146のV字屈曲部が通る略長方形状の穴121e(図23では1つのみを示す)を夫々設けている。
【0094】
上記収納部にポット130が収納されるとき、バネ板146,146のV字屈曲部は、上蓋131の上面に接触しながら、上蓋131の突部131cを乗り越えた後に凹部131bに係合する。
【0095】
上部ケーシング121の上側に設けられたバネ板146,146によって、収納部に収納されたポット130を下方に向かって付勢することによって、ポット130の底部とヒータ部122(図14に示す)との接触が確実になり、ヒータ部122とポット130との熱伝導が向上する。なお、ヒータ部により加熱されるポットの部分は、ポットの底部のみに限らず、例えば下側側面も加熱するような構成であってもよい。
【0096】
図24は上記収納部の上部ケーシング121内にポット130が挿入された状態の要部の断面図を示している。バネ板146のV字屈曲部が、上部ケーシング121の穴121eを通ってポット130の上蓋131に設けられた凹部131bに係合している。
【0097】
上記ポット130が収納部に収納された状態でポット130の上部に設けられた凹部131bにバネ板146,146のV字屈曲部(係合凸部)が係合することによって、バネ板146,146よりポット130を下方に向かって付勢しつつ、ポット130の前後左右の位置決めが可能となり、ポット130とヒータ部122(図14に示す)とを所定の位置関係で確実に接触させることができる。なお、ポットの上部に設けられた凸部にバネ部材の係合凹部が係合してもよい。
【0098】
図25はバネ板146,146の斜視図を示している。このバネ板146は、ねじ穴146gを有する取付部146aと、その取付部146aから下方に屈曲する屈曲部146bと、屈曲部146bから屈曲して前方に延びる弾性変形部146cと、弾性変形部146cの先端から下方前方に屈曲する屈曲部146dと、その屈曲部146dの下端から上方前方に屈曲する屈曲部146eと、屈曲部146eの上端から前方に延びる先端部146fとを有する。このバネ板146,146は、弾性変形部146cで主に弾性変形する。
【0099】
この第2実施形態では、バネ部材としてバネ板146,146を用いたが、バネ部材はこれ限らず、他の形態のバネ部材を用いてもよい。
【0100】
また、図26は上記蒸気発生装置111の収納部と接続部126の側面図を示している。
【0101】
この蒸気発生装置111は、図26に示すように、ポット130(図19に示す)と、耐熱樹脂製の上部ケーシング121と、ポット130が上部ケーシング121に収納された状態でポット130のノズル132(図19に示す)が接続される接続部126と、ポット130を加熱するヒータ部122と、このヒータ部122が取り付けられた金属製の底板123と、上部ケーシング121の前面側に、挿入口124aを有する耐熱樹脂製の枠部124とを備えている。このヒータ部122の加熱部分は、底板123から円錐台形状に突出している。上部ケーシング121と底板123と枠部124で、ポット130を収納する収納部を構成している。この実施形態では、ヒータ部122が取り付けられる底板123には、耐熱性を考慮してステンレス鋼が用いられている。
【0102】
ポット130(図19に示す)を上部ケーシング121内に挿入口124aから挿入するとき、上部ケーシング121の上側に設けられた案内部140によって、接続部126との接続位置に向けてポット130のノズル132(図19に示す)を上下方向かつ左右方向に案内する。
【0103】
上記接続部126の通路内(図27に示す収納部192a内)に蒸気温度センサ234を配置している。この蒸気温度センサ234は、接続部126と蒸気供給用配管194(図15に示す)を含む蒸気経路内の雰囲気の温度を検出する。
【0104】
図27は上記接続部126の断面図を示しており、191はポット130のノズル132(図19に示す)を案内する挿入口191cを有するノズル案内部、192はノズル案内部191に接続された収納部192aとその収納部192aに連なる配管接続部192bを有する接続部本体、193は接続部本体192の収納部192a内に配置された逆流防止弁の一例としての弁体である。ノズル案内部191は、前方に向かって拡径する漏斗形状の受部191aと、その受部191aの後面側に設けられたフランジ部191bとを有する。この弁体19の上部に、ノズル案内部191から接続部本体192の配管接続部192bへの通路の方向に対して直交する軸部(図示せず)を設け、その軸部により弁体193自体を回動自在に支持する。また、弁体193は、ねじコイルばね(図示せず)によりノズル案内部191側に付勢されている。また、配管接続部192bに蒸気供給用配管194の一端を接続している。
【0105】
そして、図28に示すように、接続部126にポット130(図19に示す)のノズル132が接続されると、ノズル案内部191側に付勢されていた弁体193は、上部を中心に矢印R1の方向に回動して接続部126の通路が開く。
【0106】
上記ポット130のノズル132が接続部126に接続されていないときに、接続部126に設けられた弁体193により接続部126の通路を閉鎖するので、ポット130を収納部(121,123,124)から外しても、加熱庫112(図13〜図15に示す)からの熱風が収納部に逆流することがなく、使用者がやけどをしたり、収納部の上部ケーシング121などが高熱で破損したりするのを防止できる。
【0107】
図29は上記IHクッキングヒータ100の制御装置200の空焚き検知の動作を説明するフローチャートを示している。以下、図29にしたがって制御装置200の空焚き検知の動作を説明する。
【0108】
まず、蒸気を用いたグリル調理がスタートすると、図29に示すステップS1でポット130が収納されているか否かを判定する。ここで、第1実施形態のリミットスイッチ42と同等のポット検知部を用いて、ポット130が収納部(121,123,124)に収納されているか否かを検知する。
【0109】
そして、ステップS1でポット130が収納されているときは、ステップS2に進む一方、ポット130が収納されていないときは、ステップS9にスキップする。
【0110】
次に、ステップS2で加熱庫112の上ヒータ222と下ヒータ226をオンし、ステップS3に進んで蒸気発生装置111のヒータ部122をオンする。
【0111】
次に、ステップS4に進み、蒸気温度センサ234により接続部126と蒸気供給用配管194を含む蒸気経路内の雰囲気の温度を検出する。
【0112】
そして、ステップS5に進み、蒸気経路内の温度が判定温度(例えば130℃)以上か否かを判定して、蒸気経路内の温度が判定温度以上のときは、ステップS6に進む。
【0113】
次に、ステップS6でポット130が収納されているか否かを判定して、ポット130が収納されているときは、空焚き状態であるとしてステップS7に進む一方、ポット130が収納されていないときは、ステップS9にスキップする。
【0114】
次に、ステップS7で蒸気発生装置111のヒータ部122をオフし、ステップS8に進み、空焚き状態を報知する。ここで、空焚き状態であることを天面操作部104や前面操作パネル180に表示したり、報知部203により音声で使用者に知らせたりする。
【0115】
一方、ステップS5で蒸気経路内の温度が判定温度未満のときは、ステップS10に進み。運転停止指令が有るか否かを判定して、運転停止指令が有るときは、ステップS12に進む。一方、ステップS10で運転停止指令がないときは、ステップS4に戻る。
【0116】
次に、ステップS12で蒸気発生装置111のヒータ部122をオフし、加熱庫112の上ヒータ222と下ヒータ226をオフした後、蒸気調理が終了する。
【0117】
また、ステップS9では、蒸気を用いないグリル調理を継続するか否かを判定して、例えばグリル調理を継続してもよい条件を満足したり、使用者が調理継続の操作をしたりしたときは、そのままグリル調理を継続する。ここで、グリル調理とは、加熱庫112を用いた調理のことである。
【0118】
一方、ステップS9でグリル調理を継続しないと判定したときは、ステップS11に進み、加熱庫112の上ヒータ222と下ヒータ226をオフした後、蒸気調理が終了する。
【0119】
上記制御装置200のヒータ制御部200aは、蒸気温度センサ234による空焚き判定と並行して、ヒータ部温度センサ233により検出されたヒータ部122の温度が予め決められた上限温度(例えば140℃)以上か否かを判定し、ヒータ部122の温度が上限温度以上のときはヒータ部122をオフする。
【0120】
上記制御装置200の空焚き検知の動作は、第1実施形態のIHクッキングヒータにおいて同様に適用することができる。
【0121】
上記構成のIHクッキングヒータ100によれば、ケーシング101内の加熱庫112と制御部(180,210)との間に水タンクとしてのポット130を配置することよって、ポット130内の水の断熱作用により、簡単な構成で加熱庫112から制御部(180,210)への熱伝導を低減することができ、信頼性を向上できる。
【0122】
また、右IHヒータ103A,左IHヒータ103B,中央IHヒータ103Cを制御する制御部(180,210)は、特に駆動回路が発熱して温度が高くなるため、加熱庫112から制御部(180,210)への熱伝導の低減による効果が高い。
【0123】
また、ケーシング101内のポット130が配置された加熱庫112と制御部(180,210)との間に冷却用の空気が流れる風通路を設けることによって、ポット130内の水による断熱作用と相俟って加熱庫112から制御部(180,210)への熱伝導をより効果的に低減できる。また、ポット130内の水が無くなっても、冷却用の空気が風通路を流れることにより、加熱庫112から制御部(180,210)への熱伝導を低減できる。
【0124】
また、ケーシング101内には、風通路と制御部(180,210)との間を仕切部115で遮って、風通路側から制御部側への熱風の侵入を防ぐと共に、加熱庫112から制御部(180,210)への熱伝導を低減している。また、この仕切部115により風通路内の空気の流れをスムーズに案内することにより、冷却効率を高めることが可能となる。なお、この仕切部115に断熱性を有する材料を用いるか、または、別体の断熱材を仕切部と共に配置することにより、加熱庫112から制御部(180,210)への熱伝導をさらに低減できる。
【0125】
また、ケーシング101内の風通路に配置された冷却ファン236により、ポット130の前面側から吸い込んだ空気をポット130の後方に風通路を介して排気することによって、加熱庫112の風通路側およびポット130周囲の空気が高温になるのを抑えて、加熱庫112を冷却できると共に加熱庫112から制御部(180,210)への熱伝導をより効果的に低減できる。また、熱風がポット130の前面側から前方に吹き出して人がやけどするのを防止できる。
【0126】
また、ポット130をケーシング101の前面側から着脱可能にすることによって、ケーシング101の上面を平坦にして調理用誘導加熱装置であるIHヒータの配置が容易になる。
【0127】
上記構成によれば、ポット130内で発生した蒸気をノズル132を介して吹き出し、食品を調理するための加熱庫112に供給するとき、接続部126(図15に示す)と蒸気供給用配管194(図15に示す)を含む蒸気経路の接続部126側に設けられた蒸気温度センサ234により検出された蒸気経路内の雰囲気の温度は略100℃である。そして、ポット130内の水がなくなって空焚き状態になると、ポット130内からの蒸気発生がなくなり、加熱庫112から蒸気経路を介して過熱水蒸気の逆流が起きて蒸気経路内の雰囲気の温度が100℃を越える高温となる。このときの蒸気経路内の雰囲気の温度を蒸気温度センサ234により検出して、空焚き検知部200bは、検出された蒸気経路内の雰囲気の温度に基づいて、ポット130の空焚きか否かを検知する。これにより、蒸気発生装置111のポット130が取り外し可能な加熱調理器において、簡単な構成で空焚きを確実に検知することができる。
【0128】
また、上記ポット130が収納部(121,123,124)に収納された状態のときに空焚き検知部200bにより空焚きか否かを判定することにより、蒸気温度センサ234により検出された蒸気経路内の雰囲気の温度に基づいて確実な空焚き検知ができる。
【0129】
また、上記ヒータ制御部200aは、ヒータ部温度センサ233により検出されたヒータ部122の温度が予め決められた上限温度以上のとき、ヒータ部122をオフすることによって、ヒータ部122の異常温度上昇を抑制し、ヒータ部122およびその周辺部の異常過熱による破損を防止できる。
【0130】
また、上記空焚き検知部200bにより、ヒータ制御部200aによりヒータ部122をオンしてポット130を加熱しているとき、かつ、蒸気温度センサ234により検出された蒸気経路内の雰囲気の温度が予め設定された判定温度以上のとき、かつ、ポット検知部がポット130が収納部(121,123,124)に収納されていると検知したとき、ポット130の空焚きを検知することによって、より確実な空焚き検知ができる。
【0131】
また、上記空焚き検知部200bがポット130の空焚きを検知したとき、ヒータ制御部200aによりヒータ部122をオフすることによって、ポット130やヒータ部122およびその周辺部の異常過熱による破損を防止できる。
【0132】
図30は上記蒸気発生装置111のサーモスタット220の他の取り付け例を示しており、図31は図30に示すサーモスタット220と取付板310の下面図を示している。図30において、図26と同一の構成部には同一参照番号を付している。
【0133】
図30に示すように、固定部材の一例としてのステンレス製の底板123にヒータ部122を固定している。また、ステンレス製の底板123よりも熱伝導性のよい材料(例えばアルミニウム)からなる取付板310を底板123に取り付けている。この取付板310は、ヒータ部122に2箇所で線接触するリブ311(図30では1つのみを示す)と、そのリブ311に離間して後面側に設けられた放熱部311dとを有している。なお、取付板310のリブは、ヒータ部122に2箇所で点接触するものであってもよい。
【0134】
上記取付板310のリブ311と放熱部311dとの間に通電遮断部の一例としてのサーモスタット220を取り付けている。サーモスタット220は、ヒータ部122の温度に相当する取付板310の温度が予め設定された上限温度(例えば140℃)以上になると、ヒータ部122の通電を遮断する。
【0135】
図30,図31に示すように、取付板310は、長方形状の板状の基部310aと、その基部310aから前方かつ斜め下方に延びる屈曲部310bと、その屈曲部310bの下端から前方に延びる先端部310cと、基部310aの後端側から上方に屈曲して延びる放熱部310dとを有している。また、取付板310の基部310aの下面側にサーモスタット220を固定している。取付板310の基部310aとサーモスタット220は、図示しないねじにより底板123に固定されている。
【0136】
図30,図31に示すサーモスタット220により、ヒータ部122の温度に相当する取付板310の温度が予め設定された上限温度以上になると、ヒータ部122の通電を遮断する。この取付板310のリブ311,311によりヒータ部122と取付板310が2箇所で線接触するので、組立時に各部材にばらつきがあっても確実にヒータ部122と取付板310とを接触させて、ヒータ部122と取付板310との間の熱抵抗を低くできる。また、ステンレス製の底板123にサーモスタット220を取り付けた場合よりも熱伝導性のよい材料(例えばアルミニウム)からなる取付板310にヒータ部122の熱が応答性よく伝わり、サーモスタット220による異常温度上昇時の通電遮断動作を早くでき、安全性が向上する。さらに、サーモスタット220による異常温度上昇時の応答性をよくしても、正常の使用時には、取付板310のリブ311に離間して設けられた放熱部310dにより取付板310の熱が放熱されて取付板310の温度を下げることにより、通電遮断する上限温度の設定を、余裕を持たせて高くすることなく、上限温度をなるべく低い値に設定でき、ヒータ部122などを早めに保護することができる。
【0137】
このように、蒸気温度センサ234を用いた空焚き検知部200bによる過熱防止と、ヒータ部温度センサ233を用いたヒータ部122の過熱防止と、サーモスタット220による異常温度上昇時の通電遮断動作とによる三重の保護手段により、安全性の極めて高いIHクッキングヒータ100を実現することができる。
【0138】
上記構成の第2実施形態のIHクッキングヒータ100は、第1実施形態のIHクッキングヒータと同様の効果を有する。
【0139】
また、上記蒸気発生装置111の収納部(121,123,124)の挿入口が前方に面するように、ケーシング101内に蒸気発生装置111を配置すると共に、加熱庫112の開口が前方に面するように、ケーシング101内の蒸気発生装置111の側方に加熱庫112を配置することによって、蒸気発生装置111と加熱庫112をケーシング101の前面側に横方向に並べることが可能となり、ケーシング101の上面を平坦にしてコンロなどを配置可能にすると共に、ケーシング101の高さを低くでき、高さに制限のあるJIS(日本工業規格)のシステムキッチンなどに容易に適合できる。
【0140】
また、上記蒸気発生装置111の収納部(121,123,124)と加熱庫112をケーシング101内の前面側に配置し、ケーシング101の上面側に調理用加熱装置(103A,103B,103C)を配置して、家庭用システムキッチンに適した加熱調理器を実現できる。
【0141】
また、上記ケーシング101の前面側に設けられた1つの把手付きドア113で、蒸気発生装置111の収納部(121,123,124)の挿入口と加熱庫112の開口を同時に開閉することによって、部品点数を低減できると共に、加熱庫112を用いた加熱調理中に収納部(121,123,124)に収納されたポット130をむやみに取り出すことが少なくなるので、安全性が向上する。
【0142】
また、上記第2実施形態では、案内部140が上部ケーシング121の上側に一体に形成されているが、収納部と別体の案内部を設けてもよい。
【0143】
また、上記第2実施形態では、案内部140の上側に設けられた案内部140により、ポット130のノズル132を案内したが、案内部はこれに限らず、ポットを収納部内に挿入口から挿入するとき、接続部との接続位置に向けてポットのノズルを上下方向かつ左右方向に案内するものであればよい。
【0144】
また、上記第2実施形態では、調理用誘導加熱装置として3つのIHヒータを用いたが、1または2のIHヒータを用いた加熱調理器にこの発明を適用してもよいし、IHヒータでなく、電気コンロやガスコンロなどを調理用加熱装置として用いた加熱調理器にこの発明を適用してもよい。
【0145】
〔第3実施形態〕
図32はこの発明の第3実施形態の加熱調理器の一例としてIHクッキングヒータ400の要部の配置を示す平面模式図を示している。図33において、下方が前面側、上方が後面側である。この第3実施形態のIHクッキングヒータ400は、水タンクとポンプと蒸気発生装置を除いて第2実施形態のIHクッキングヒータ100と同一の構成をしており、同一構成部には同一参照番号を付している。
【0146】
図32に示すように、水タンク430をケーシング401の前面側から着脱可能にしている。この水タンク430内に貯えられた水は、ポンプ499を介して加熱庫412内に配置された蒸気発生装置422に供給される。また、前面操作パネル部180と駆動回路ブロック210とで調理用誘導加熱装置(IHヒータ)を制御するための制御部を構成している。また、ケーシング401内の水タンク430が配置された加熱庫412と制御部(180,210)との間に冷却用の空気が流れる風通路を設けている。このケーシング401内の風通路の後面側に冷却ファン436を配置している。
【0147】
ここで、上記風通路は、水タンク430の前面側の挿入口から後面側の冷却ファン436までの空間であり、水タンク430が挿入された状態では、前方から吸い込まれた空気は、少なくとも水タンク430の周囲を通って後方に流れる。このとき、水タンク430の挿入口は、把手付きドア413により加熱庫412の開口と同時に閉じられた状態であるが、把手付きドア413とケーシング401との隙間や、把手付きドア413に設けられた通路を介して空気が上記風通路に流入する。
【0148】
上記構成のIHクッキングヒータ400によれば、ケーシング401内の加熱庫412と制御部(180,210)との間に水タンク430を配置することよって、水タンク430内の水の断熱作用により、簡単な構成で加熱庫412から制御部(180,210)への熱伝導を低減することができ、信頼性を向上できる。
【0149】
また、調理用誘導加熱装置(IHヒータ)を制御する制御部(180,210)は、特に駆動回路が発熱して温度が高くなるため、加熱庫112から制御部(180,210)への熱伝導の低減による効果が高い。
【0150】
また、ケーシング401内の水タンク430が配置された加熱庫412と制御部(180,210)との間に冷却用の空気が流れる風通路を設けることによって、水タンク430内の水による断熱作用と相俟って加熱庫412から制御部(180,210)への熱伝導をより効果的に低減できる。また、水タンク430内の水が無くなっても、冷却用の空気が風通路を流れることにより、加熱庫412から制御部(180,210)への熱伝導を低減できる。
【0151】
また、ケーシング401内の風通路と制御部(180,210)との間を仕切部(図示せず)で遮って、風通路側から制御部側への熱風の侵入を防ぐと共に、加熱庫412から制御部(180,210)への熱伝導を低減している。また、この仕切部の形状などを最適化して、仕切部の側面に沿って風通路内の空気の流れをスムーズに案内することにより、冷却効率を高めることが可能となる。なお、この仕切部に断熱性を有する材料を用いるか、または、別体の断熱材を仕切部と共に配置することにより、加熱庫412から制御部(180,210)への熱伝導をさらに低減できる。
【0152】
また、ケーシング401内の風通路に配置された冷却ファン436により、水タンク430の前面側から吸い込んだ空気を水タンク430の後方に風通路を介して排気することによって、加熱庫412の風通路側および水タンク430周囲の空気が高温になるのを抑えて、加熱庫412を冷却できると共に加熱庫412から制御部(180,210)への熱伝導をより効果的に低減できる。また、熱風がポット430の前面側から前方に吹き出して人がやけどするのを防止できる。
【0153】
また、水タンク430をケーシング401の前面側から着脱可能にすることによって、ケーシング401の上面を平坦にして調理用誘導加熱装置であるIHヒータの配置が容易になる。
【0154】
また、第1,第2実施形態と同様、ケーシング401の前面側に設けられた1つの扉の一例としての把手付きドア413で、水タンク430の挿入口と加熱庫412の開口を同時に開閉することによって、部品点数を低減でき、構造を簡略化できる。
【0155】
〔第4実施形態〕
図33はこの発明の第4実施形態の加熱調理器の一例としてIHクッキングヒータ500の要部の配置を示す平面模式図を示している。図33において、下方が前面側、上方が後面側である。この第4実施形態のIHクッキングヒータ500は、水タンクとポンプと蒸気発生装置を除いて第2実施形態のIHクッキングヒータ100と同一の構成をしており、同一構成部には同一参照番号を付している。
【0156】
この第4実施形態のIHクッキングヒータ500と第3実施形態のIHクッキングヒータ400との違いは、蒸気発生装置522が加熱庫512内に配置されていない点である。すなわち、蒸気発生装置522は、加熱庫512の右側面に配置されている。
【0157】
図33に示すように、水タンク530をケーシング501の前面側から着脱可能にしている。この水タンク530内に貯えられた水は、ポンプ599を介して加熱庫512の右側面近傍に配置された蒸気発生装置522に供給される。また、前面操作パネル部180と駆動回路ブロック210とで調理用誘導加熱装置(IHヒータ)を制御するための制御部を構成している。また、ケーシング501内の水タンク530が配置された加熱庫512と制御部(180,210)との間に冷却用の空気が流れる風通路を設けている。このケーシング501内の風通路の後面側に冷却ファン536を配置している。
【0158】
ここで、上記風通路は、水タンク530の前面側の挿入口から後面側の冷却ファン536までの空間であり、水タンク530が挿入された状態では、前方から吸い込まれた空気は、少なくとも水タンク530の周囲を通って後方に流れる。このとき、水タンク530の挿入口は、把手付きドア513により加熱庫512の開口と同時に閉じられた状態であるが、把手付きドア513とケーシング501との隙間や、把手付きドア513に設けられた通路を介して空気が上記風通路に流入する。
【0159】
上記構成のIHクッキングヒータ500によれば、ケーシング501内の加熱庫512と制御部(180,210)との間に水タンク530を配置することよって、水タンク530内の水の断熱作用により、簡単な構成で加熱庫512から制御部(180,210)への熱伝導を低減することができ、信頼性を向上できる。
【0160】
また、調理用誘導加熱装置(IHヒータ)を制御する制御部(180,210)は、特に駆動回路が発熱して温度が高くなるため、加熱庫112から制御部(180,210)への熱伝導の低減による効果が高い。
【0161】
また、ケーシング501内の水タンク530が配置された加熱庫512と制御部(180,210)との間に冷却用の空気が流れる風通路を設けることによって、水タンク530内の水による断熱作用と相俟って加熱庫512から制御部(180,210)への熱伝導をより効果的に低減できる。また、水タンク530内の水が無くなっても、冷却用の空気が風通路を流れることにより、加熱庫512から制御部(180,210)への熱伝導を低減できる。
【0162】
また、ケーシング501内の風通路と制御部(180,210)との間を仕切部(図示せず)で遮って、風通路側から制御部側への熱風の侵入を防ぐと共に、加熱庫512から制御部(180,210)への熱伝導を低減している。また、この仕切部の形状などを最適化して、仕切部の側面に沿って風通路内の空気の流れをスムーズに案内することにより、冷却効率を高めることが可能となる。なお、この仕切部に断熱性を有する材料を用いるか、または、別体の断熱材を仕切部と共に配置することにより、加熱庫512から制御部(180,210)への熱伝導をさらに低減できる。
【0163】
また、ケーシング501内の風通路に配置された冷却ファン536により、水タンク530の前面側から吸い込んだ空気を水タンク530の後方に風通路を介して排気することによって、加熱庫512の風通路側および水タンク530周囲の空気が高温になるのを抑えて、加熱庫512を冷却できると共に加熱庫512から制御部(180,210)への熱伝導をより効果的に低減できる。また、熱風がポット530の前面側から前方に吹き出して人がやけどするのを防止できる。
【0164】
また、水タンク530をケーシング501の前面側から着脱可能にすることによって、ケーシング501の上面を平坦にして調理用誘導加熱装置であるIHヒータの配置が容易になる。
【0165】
また、第1,第2実施形態と同様、ケーシング501の前面側に設けられた1つの扉の一例としての把手付きドア513で、水タンク530の挿入口と加熱庫512の開口を同時に開閉することによって、部品点数を低減でき、構造を簡略化できる。
【0166】
なお、上記IHクッキングヒータ500において、蒸気発生装置522を加熱庫512の右側面近傍に配置したが、図33の点線で示すように、蒸気発生装置を加熱庫の背面側または右側面近傍に配置してもよい。
【0167】
この発明の加熱調理器では、クッキングヒータ(IHヒータや電気ヒータなどの電気コンロまたはガスコンロを用いたものを含む)などにおいて、スチームまたは過熱水蒸気を用いることによって、ヘルシーな調理を行うことができる。例えば、この発明の加熱調理器では、温度が100℃以上の過熱水蒸気あるいは飽和水蒸気を食品表面に供給し、食品表面に付着した過熱水蒸気あるいは飽和水蒸気が凝縮して大量の凝縮潜熱を食品に与えるので、食品に熱を効率よく伝えることができ、食品表面がパリッと焼き上がり、仕上がりのより調理ができる。また、凝縮水が食品表面に付着して塩分や油分が凝縮水と共に滴下することにより、食品中の塩分や油分を低減できる。さらに、加熱庫内は過熱水蒸気あるいは飽和水蒸気が充満して無酸素状態となることにより、食品の酸化を抑制した調理が可能となる。
【0168】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記第1〜4実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0169】
1…ケーシング
2…トッププレート
3A,3B…IHヒータ
3C…電気加熱ヒータ
4…天面操作部
5…吸気口
6…排気口
10…前面パネル
11…蒸気発生装置
12…加熱庫
13…把手付きドア
20…サーモスタット
21…上部ケーシング
22…ヒータ部
23…底板
24…枠部
24a…挿入口
25…前板
26…接続部
28…リードスイッチ
29…ヒータ部温度センサ
30…ポット
31…上蓋
32…ノズル
33…ノズル基部
34…フロート収納部
35…加熱容器
36…ストッパー
40…案内部
41…取付板
42…リミットスイッチ
43…検知レバー
44…アーム
45…押板用基部
46…バネ板
47…リードスイッチ取付板
50…把手
60…フロート
61…フロート本体
62…磁石収納部
63…突部
64…蓋
70…昇温検知部
100…IHクッキングヒータ
101…ケーシング
102…トッププレート
103A…右IHヒータ
103B…左IHヒータ
103C…中央IHヒータ
104…天面操作部
105…吸気口
106…排気口
107…排気口
108…トレイ
110…前面パネル
111…蒸気発生装置
112…加熱庫
113…把手付きドア
115…仕切部
121…上部ケーシング
122…ヒータ部
123…底板
124…枠部
124a…挿入口
126…接続部
130…ポット
131…上蓋
131a…突部
131b…凹部
131c…凸部
132…ノズル
133…ノズル基部
135…加熱容器
140…案内部
146…バネ板
147…リードスイッチ取付板
150…把手
150a…把手基部
150b…把手環状部
153…リブ
171…下側断熱材
172…上側断熱材
173…右側断熱材
174…左側断熱材
180…前面操作パネル
180a…操作部
180b…表示部
181…上カバー
181a…蒸気吹出穴
182…上ヒータ収納部
183…下カバー
184…下ヒータ収納部
185…排気ダクト
186…脱煙脱臭用の触媒
187…蒸気供給口
194…蒸気供給用配管
200…制御装置
200a…ヒータ制御部
200b…空焚き検知部
210…駆動回路ブロック
201…操作部
202…表示部
203…報知部
212…右IH温度センサ
214…左IH温度センサ
216…中央IH温度センサ
211…駆動回路
213…駆動回路
215…駆動回路
217…冷却ファン駆動回路
218…冷却ファン
221…上ヒータ駆動回路
222…上ヒータ
223…上ヒータ温度センサ
224…庫内温度センサ
225…下ヒータ駆動回路
226…下ヒータ
227…下ヒータ温度センサ
228…排気ファン駆動回路
229…排気ファン
231…ヒータ部駆動回路
233…ヒータ部温度センサ
234…蒸気温度センサ
235…冷却ファン駆動回路
236…冷却ファン
237…高温注意ランプ
300…システムキッチン
301…キャビネット
302…天板
303…調理器用凹部
310…取付板
311…リブ
311d…放熱部
400…IHクッキングヒータ
401…ケーシング
412…加熱庫
413…把手付きドア
422…蒸気発生装置
430…水タンク
436…冷却ファン
499…ポンプ
500…IHクッキングヒータ
501…ケーシング
512…加熱庫
513…把手付きドア
522…蒸気発生装置
530…水タンク
536…冷却ファン
599…ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
上記ケーシングの上面に配置されたIHヒータと、
上記ケーシングの前面に開口を有する加熱庫と、
上記ケーシングの上面の前面側に配置された天面操作部と、
上記ケーシングの前面に引き出し式に設けられた前面操作パネルと、
上記ケーシングの上面の後面側に設けられた排気口と、
を備えたIHクッキングヒータであって、
上記加熱庫は、
前面に取り付けられた扉と、
上記扉を前後方向に摺動可能に取り付けるためのレールユニットと、
上記加熱庫の内部に収容された食品載置用トレイと、
上記食品載置用トレイの上側に配置された上ヒータと、
上記食品載置用トレイの下側に配置された下ヒータと、
を含み、
上記食品載置用トレイと上記下ヒータとの間に下カバーを設け、
上記下カバーは上記下ヒータを平坦な面で覆っており、上記下ヒータで発生した熱は、上記下カバーの平坦な面から上記食品載置用トレイに向けて均等になるように放射されることを特徴とするIHクッキングヒータ。
【請求項2】
上記上ヒータと上記食品載置用トレイとの間に上カバーを設け、
上記上カバーは上記上ヒータを平坦な面で覆っており、上記上ヒータで発生した熱は、上記上カバーの平坦な面から上記食品載置用トレイに向けて均等になるように放射されることを特徴とする請求項1に記載のIHクッキングヒータ。
【請求項3】
上記食品載置用トレイは、周辺部以外に複数の凹凸が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のIHクッキングヒータ。
【請求項4】
上記下カバーの平坦な面から上記食品載置用トレイの複数の凸部までの距離は、均等であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1つに記載のIHクッキングヒータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate


【公開番号】特開2013−50299(P2013−50299A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−229435(P2012−229435)
【出願日】平成24年10月17日(2012.10.17)
【分割の表示】特願2009−48200(P2009−48200)の分割
【原出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】