説明

III族窒化物半導体発光素子

【課題】 低抵抗であり、かつ平坦性に優れるGeドープn型III 族窒化物半導体層を用いることにより、順方向電圧が低く、かつ優れた発光効率を有するIII 族窒化物半導体発光素子を得る。
【解決手段】 n型またはp型のIII 族窒化物半導体からなる結晶層に接合された発光層を有するIII 族窒化物半導体発光素子において、ゲルマニウム(Ge)が添加され、抵抗率が1×10-1〜1×10-3Ωcmであるn型III 族窒化物半導体層を備えていることを特徴とするIII 族窒化物半導体発光素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲルマニウム(Ge)を変則的に添加(ドーピング)した領域を備えた低抵抗のn型III 族窒化物半導体層を利用したIII 族窒化物半導体発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、III 族窒化物半導体は、短波長の可視光を放射する発光ダイオード(LED)やレーザダイオード(LD)等のpn接合型構造のIII 族窒化物半導体発光素子を構成するための機能材料として利用されている(例えば、特許文献1参照)。例えば、近紫外帯、青色帯、或いは緑色帯の発光を呈するLEDを構成するに際し、n形またはp形の窒化アルミニウム・ガリウム(組成式AlxGayN:0≦x,y≦1、x+y=1)は、クラッド(clad)層を構成するに利用されている(例えば、特許文献2参照)。また、窒化ガリウム・インジウム(組成式GayInzN:0≦y,z≦1、y+z=1)は、活性層(発光層)を構成するのに利用されている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
従来のIII 族窒化物半導体発光素子にあって、発光層には、n型またはp型のIII 族窒化物半導体層が接合させて設けられるが一般的である。高い強度の発光を得るために、ヘテロ(hetero)接合構造の発光部を構成するためである。例えば、ダブルヘテロ(DH)接合構造の発光部を構成するために、発光層は、従来からGayInzN(0≦y,z≦1、y+z=1)等からなり、n型またはp型III 族窒化物半導体層がクラッド(clad)層等として接合されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
例えば、基板と発光層との中間に配置されているn型III 族窒化物半導体層は、従来から、もっぱら、珪素(Si)を添加したIII 族窒化物半導体から構成されている。珪素のドーピング量を調整することによって、制御された抵抗率を有する例えば、n型AlxGayN(0≦x,y≦1、x+y=1)層が利用されている(例えば、特許文献4参照)。
【0005】
しかしながら、低抵抗のn型III 族窒化物半導体層を気相成長しようと、珪素(Si)を多量にドーピングすると、亀裂(crack)が発生する問題があった。(例えば非特許文献2参照)。即ち、珪素をドーピングする従来の技術手段では、低抵抗で、しかも連続性のあるn型III 族窒化物半導体層を安定して得られていない。
【0006】
一方、珪素(Si)以外のn型不純物としては、Geが公知である(例えば、特許文献5参照)。しかし、Siの場合と比較すると、ドーピング効率は低く(非特許文献3参照)、低抵抗のn型III 族窒化物半導体層を得るには不利とされている。また、高濃度にGeをドーピングすると、n型III 族窒化物半導体層の表面には、平坦性を損なう小孔(pit)が発生する難点があった(非特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2000−332364号公報
【特許文献2】特開2003−229645号公報
【特許文献3】特公昭55−3834号公報
【特許文献4】特許第3383242号
【特許文献5】特開平4−170397号公報
【非特許文献1】赤崎 勇著、「III −V族化合物半導体」、1995年5月20日発行、(株)培風館、第13章
【非特許文献2】H. Murakami他、J. Crystal Growth,115(1991)、648
【非特許文献3】3Jpn.J.Appl.Phys.,31(9A)(1992)、2883
【非特許文献4】Group III Nitride Semiconductor Compounds(CLARENDON Press.(OXFORD),1998)、104頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
低抵抗であり、かつ平坦性に優れるGeドープn型III 族窒化物半導体層を用いることにより、順方向電圧が低く、かつ優れた発光効率を有するIII 族窒化物半導体発光素子を得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、n型またはp型のIII 族窒化物半導体からなる結晶層に接合された発光層を有するIII 族窒化物半導体発光素子において、Geが添加され、抵抗率が1×10-1〜1×10-3Ωcmであるn型III 族窒化物半導体層を備えていることを特徴とするIII 族窒化物半導体発光素子を要旨とする。
【0010】
本発明の好適な態様において、n型のIII 族窒化物半導体は、組成式AlxGayInz1-aa(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1で且つ、x+y+z=1である。そしてMは窒素(N)とは別の第V族元素を表し、0≦a<1である。)を有する。さらに、本発明の好適な態様において、Geが添加されたn型窒化物半導体層は、Geの原子濃度を周期的に変化させた領域を含むIII 族窒化物半導体層である。そして、本発明の好適な1態様において、そのGeの原子濃度を周期的に変化させた領域は、Geを添加したIII 族窒化物半導体層と、アンドープ(未添加)のIII 族窒化物半導体層とを交互に周期的に積層させた構造から構成されている。本発明の好適な、もう1つの態様において、Geを添加したIII 族窒化物半導体層の層厚は、アンドープのIII 族窒化物半導体層との層厚以下である。本発明の好適な態様において、Geを添加したIII 族窒化物半導体層のGe原子の濃度は、1×1017cm-3以上で1×1020cm-3以下である。さらに、本発明の好適な、もう1つの態様において、n型III 族窒化物半導体層は基板と発光層の間に配置される。
すなわち、本発明は以下に関する。
(1)n型またはp型のIII 族窒化物半導体からなる結晶層に接合された発光層を有するIII 族窒化物半導体発光素子において、ゲルマニウム(Ge)が添加され、抵抗率が1×10-1〜1×10-3Ωcmであるn型III 族窒化物半導体層を備えていることを特徴とするIII 族窒化物半導体発光素子。
(2)n型のIII 族窒化物半導体が、組成式AlxGayInz1-aa(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1で且つ、x+y+z=1である。そしてMは窒素(N)とは別の第V族元素を表し、0≦a<1である。)を有する(1)に記載のIII 族窒化物半導体発光素子。
(3)Geが添加されたn型窒化物半導体層が、Geの原子濃度を周期的に変化させた領域を含むIII 族窒化物半導体層である(1)または(2)に記載のIII 族窒化物半導体発光素子。
(4)Geの原子濃度を周期的に変化させた領域が、Geを添加したIII 族窒化物半導体層と、アンドープのIII 族窒化物半導体層とを交互に周期的に積層させた構造から構成されている(3)に記載のIII 族窒化物半導体発光素子。
(5)Geを添加したIII 族窒化物半導体層の層厚が、アンドープのIII 族窒化物半導体層の層厚以下である(1)〜(4)のいずれかに記載のIII 族窒化物半導体発光素子。
(6)Geを添加したIII 族窒化物半導体層のGe原子の濃度が、1×1017cm-3以上で1×1020cm-3以下である(1)〜(5)のいずれかに記載のIII 族窒化物半導体発光素子。
(7)n型III 族窒化物半導体層が基板と発光層の間に配置される(1)〜(6)のいずれかに記載のIII 族窒化物半導体発光素子。
(8)Geの原子濃度を周期的に変化させた領域の全体の層厚が、0.1μm以上10μm以下であることを特徴とする(3)〜(7)の何れかに記載のIII 族窒化物半導体発光素子。
(9)Geの原子濃度を周期的に変化させた領域の1周期分の層厚が、1nm以上1000nm以下であることを特徴とする(3)〜(8)の何れかに記載のIII 族窒化物半導体発光素子。
(10)n型またはp型のIII 族窒化物半導体からなる結晶層に接合された発光層を有するIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法であって、Geが添加されたn型III 族窒化物半導体層を成長させる際に、Ge源を反応系に周期的に変化させて供給することを特徴とするIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明のGeドープn型III 族窒化物半導体層は、低抵抗のGe原子高濃度層に発生するピットをGe原子低濃度層が埋めるため、n型III 族窒化物半導体層全体として低抵抗であり、かつ平坦性に優れる。従って、このようなGeドープn型III 族窒化物半導体層を用いた本発明の発光素子は順方向電圧が低く、かつ優れた発光効率を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本願発明に係るGe原子濃度を周期的に変化させた領域を含むn型のIII 族窒化物半導体層は、融点が比較的高く、耐熱性のあるサファイア(α−Al23単結晶)や酸化亜鉛(ZnO)或いは酸化ガリウム・リチウム(組成式LiGaO2)等の酸化物単結晶材料、珪素(Si)単結晶(シリコン)や立方晶或いは六方晶結晶型の炭化珪素(SiC)等のIV族半導体単結晶からなる基板上に形成する。基板材料には、リン化ガリウム(GaP)等のIII −V族化合物半導体単結晶材料も利用できる。発光層からの発光を透過できる、光学的に透明な単結晶材料は基板として有効に利用できる。好ましくは、サファイアである。
【0013】
Geを添加(ドーピング)した領域を含むn型のIII 族窒化物半導体層は、好適には組成式AlxGayInz1-aa(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1で且つ、x+y+z=1である。そしてMは窒素とは別の第V族元素を表し、0≦a<1である。)から構成される。ここで、上記組成式におけるMとしては、P、As、Sb等が挙げられる。
【0014】
結晶基板と、その上に形成するIII 族窒化物半導体層とで格子ミスマッチ(mismatch)がある場合、そのミスマッチを緩和して、結晶性に優れる上層をもたらす低温緩衝層或いは高温緩衝層を介在させて積層するのが得策である。緩衝層は、例えば、窒化アルミニウム・ガリウム(組成式AlxGayInzN:0≦x,y,z≦1で且つ、x+y+z=1)等から構成できる。
【0015】
本発明に係わるGe原子濃度を周期的に変化させた領域を含むn型III 族窒化物半導体層は、有機金属化学的気相堆積法(MOCVD、MOVPEまたはOMVPEなどと略称される。)、分子線エピタキシャル法(MBE)法、ハロゲン(halogen)気相成長法、ハイドライド(水素化物)気相成長法等の気相成長手段に依り形成できる。これらの中でも、MOCVD法が好ましい。
【0016】
MOCVD法では、キャリアガスとして水素(H2)または窒素(N2)、III 族原料であるGa源としてトリメチルガリウム(TMG)またはトリエチルガリウム(TEG)、Al源としてトリメチルアルミニウム(TMA)またはトリエチルアルミニウム(TEA)、In源としてトリメチルインジウム(TMI)またはトリエチルインジウム(TEI)、窒素源としてアンモニア(NH3)またはヒドラジン(N24)などが用いられる。
【0017】
Geの添加源としては、ゲルマンガス(GeH4)や、テトラメチルゲルマニウム(分子式:(CH34Ge)やテトラエチルゲルマニウム((C254Ge)等の有機Ge化合物を利用できる。MBE法では、元素状のGeもドーピング源として利用できる。
【0018】
MOCVD法では、Ge原子濃度を周期的に変化させた領域を含むn型III 族窒化物半導体層は、サファイア基板上に、(CH34Geを使用して、900℃以上、1250℃以下で形成することが好ましい。
【0019】
前記Ge原子濃度を周期的に変化させた領域を含むn型III 族窒化物半導体層の抵抗率は1×10-1〜1×10-3Ωcmが適する。好ましくは、1×10-2〜3×10-3Ωcmであり、さらに好ましくは3×10-2〜5×10-3Ωcmである。抵抗率が1×10-1Ωcmより大きいと高抵抗化してしまい、素子の駆動電圧が上昇するので好ましくない。また、1×10-3Ωcmより小さいと小孔(pit)が発生し、平坦性が損なわれるため好ましくない。
【0020】
前記Ge原子濃度を周期的に変化させた領域を含むn型III 族窒化物半導体層の抵抗率は、気相成長過程において、Geドーピング源と、他の原料ガスとの混合比率により所定の範囲の値に設定することが出来る。また、混合比率ではなく、成長温度、成長圧力、周期膜厚等を調整することにより所定の範囲の値に設定しても良い。
【0021】
Ge原子濃度を周期的に変化させた領域は、III 族窒化物半導体層の気相成長時にGeのドーピング源の気相成長反応系への供給量を経時的に、周期的に変化させて形成する。例えば、Geのドーピング源を気相成長領域へ供給せずに、アンドープの薄層を形成した後、気相成長領域へ多量のGeドーピング源を瞬時に供給して、Ge原子を高い濃度で含む薄層を形成する。このGeドーピング源の気相成長反応系への供給量を増減させれば、Ge原子濃度を周期的に変化させた領域を形成できる。また、Ge原子濃度を低濃度とする薄層を成長した後、Ge原子を高濃度に添加するに適する様に、V/III 比率等の成長条件が調整できる迄、成長中断し、Ge原子を高濃度に含む薄層を接合させて設けて形成する。
【0022】
Ge原子を高濃度に含むn型III 族窒化物半導体薄層と、それよりもGe原子濃度を小とするn型III 族窒化物半導体薄層とを、交互に周期的に積層させて、Ge原子濃度を周期的に変化させた領域を形成する場合にあって、Ge原子濃度を周期的に変化させた領域の全体の層厚は、0.1μm以上10μm以下が適する。好ましくは、0.3μm以上5μm以下であり、さらに好ましくは、0.5μm以上3μm以下である。層厚が0.1μm未満になると低抵抗のn型III 族窒化物半導体層が得られ難くなる。また、10μm超にしても得られる効果は変わらない。
【0023】
Geを高濃度に含むn型III 族窒化物半導体層の層厚とGeを低濃度に含むn型III 族窒化物半導体層の層厚の合計、すなわち、周期層厚は、1nm以上1000nm以下が適する。好ましくは、4nm以上400nm以下、さらに好ましくは、6nm以上100nm以下である。層厚の合計が1nm未満になるとGeドープ層を周期的に積層する効果が得られ難くなる。また、1000nm超では、ピットの形成が抑制できないか、もしくは、高抵抗化してしまうおそれがある。
【0024】
すなわち、1周期中の高濃度Geドープ層が低濃度Geドープ層より厚い場合、ピット形成が抑制できず平坦性が得られ難い。一方、1周期中の低濃度Geドープ層が高濃度Geドープ層と同等かそれ以上厚い場合は、平坦性は良好になる。したがって、低濃度Geドープ層の厚さは、Geをドーピングした薄層の層厚以上とするのが望ましい。Ge原子濃度をより小とするため、アンドープのn型III 族窒化物半導体薄層から構成すると、Ge原子を高濃度に含むn型III 族窒化物半導体薄層の表面に存在するピットを埋め尽くす効果がさらに高まり、表面の平坦なGeドープIII 族窒化物半導体薄層を得るのに有効となる。
【0025】
ただし、低濃度層を厚くしすぎると、高抵抗化してしまい、良好なn型III 族窒化物半導体層が得られ難くなる。すなわち、低濃度層が大であると、順方向電圧(所謂、Vf)もしくは閾値電圧(所謂、Vth)の低いIII 族窒化物半導体発光素子を得るに不利である。従って、Ge原子濃度の低いn型III 族窒化物半導体薄層の層厚は、500nm以下とするのが妥当である。また、低濃度層のGe濃度が小であり、キャリア濃度が低い場合である程、層厚を薄くするのが望ましい。
【0026】
積層させる周期数は、1以上で10000以下が適する。好ましくは10以上で1000以下、さらに好ましくは、20以上で200以下である。たとえば、層厚を10nmとする高濃度GeドープGaN薄層と、層厚を10nmとする低濃度GeドープGaN層との接合体を一周期として、100周期に亘り積層させて、合計で厚さを2μmとするGe原子濃度を周期的に変化させた領域を形成する。
【0027】
Geを高濃度に含むn型III 族窒化物半導体層の層厚は、0.5nm以上500nm以下が適する。好ましくは、2nm以上200nm以下、さらに好ましくは、3nm以上50nm以下である。層厚が0.5nm未満になるとGeドープが十分されず高抵抗化してしまい易い。また、500nm超では、低濃度層でピットが埋まりきらないか、もしくは、埋めるために低濃度層を十分厚くすると、やはり、高抵抗化してしまうおそれがある。
【0028】
また、Geを低濃度に含むn型III 族窒化物半導体層の層厚は、0.5nm以上500nm以下が適する。好ましくは、2nm以上200nm以下、さらに好ましくは、3nm以上50nm以下である。層厚が0.5nm未満になるとGeドープ層で形成するピットを十分埋められず平坦性が損なわれるおそれがある。よって、Geを高濃度に含むn型III 族窒化物半導体層の層厚より厚いことが好ましい。ただし、500nm超では、高抵抗化してしまうので好ましくない。
【0029】
Geを高濃度に含むn型III 族窒化物半導体層の内部のGe原子の濃度は、5×1017cm-3以上1×1020cm-3以下とするのが適する。好ましくは、1×1018cm-3以上3×1019cm-3以下、さらに好ましくは、3×1018cm-3以上2×1019cm-3以下である。Geを高濃度に含むn型III 族窒化物半導体層の内部のGe原子の濃度は、必ずしも一定でなくても良く、濃度を連続的もしくは不連続に変化させても良い。
【0030】
Geを低濃度に含むn型III 族窒化物半導体層の内部のGe原子の濃度は、Geを高濃度に含むn型III 族窒化物半導体層の内部のGe原子濃度より低濃度であり、かつ、下記の分析法による定量下限界以上2×1019cm-3以下とするのが適する。好ましくは、定量下限界以上1×1019cm-3以下、さらに好ましくは、定量下限界以上5×1018cm-3以下であり、むしろ、ドーピングしない方が好ましい。また、Geを低濃度に含むn型III 族窒化物半導体層の内部のGe原子濃度は、必ずしも一定でなくても良く、濃度を連続的もしくは不連続に変化させても良い。Ge原子の濃度を2×1019cm-3超とすると、表面の小孔の密度が急激に増加するため好ましくない。
【0031】
Ge原子の濃度は、例えば、2次イオン質量分析法(SIMS)で測定できる。これは、試料の表面に1次イオンを照射することにより、イオン化して飛び出した元素を質量分析する手法であり、特定の元素の深さ方向の濃度分布を観察かつ定量できる。III 族窒化物半導体層中に存在するGe元素についてもこの手法などが有効である。
【0032】
高濃度Geドープ層の濃度を5×1017cm-3以上とすると、順方向電圧の低いLEDを構成するに貢献できる。一方で、1×1020cm-3とすると、Ge原子濃度を周期的に変化させた領域の全体のキャリア濃度は、概ね(3〜4)×1019cm-3である。この原子濃度を超えてGeをドーピングすると、表面の小孔の密度が急激に増加するため好ましくはない。
【0033】
Ge原子の濃度を周期的に変動させた領域は、n型III 族窒化物半導体層の内部の何れにも配置できる。例えば、結晶基板の表面に直接、接合させて設けられる。また、結晶基板の表面に設けた緩衝層上に接合させて設けられる。結晶基板或いは緩衝層等に近接する、n型III 族窒化物半導体層の下方に、Ge原子の濃度を周期的に変動させた領域を設ければ、結晶性に優れるn型III 族窒化物半導体層が得られる。Ge原子の濃度を周期的に変動させる領域を設けることにより、結晶基板との格子ミスマッチに基づくミスフィット転位等の層の上方への伝搬が抑止されるからである。この場合は、周期層厚を0.5μmから5μmと厚くしてもよい。
【0034】
Ge原子の濃度を周期的に変動させた領域では、下方から貫通して来る転位の上層への伝搬を抑制できる。このため、Ge原子の濃度を周期的に変動させた領域をn型III 族窒化物半導体層の上方に、発光層を形成するための下地層として設けると、結晶性に優れる発光層を形成するに効果がある。従って、ひいては、高い発光強度のIII 族窒化物半導体発光素子を得るに貢献できる。
【0035】
発光層としては、好ましくは量子井戸構造、さらに好ましくは多重量子井戸構造とすることができる。
【0036】
p型層は通常0.01〜1μmの厚さで、発光層に接しているpクラッド層と正極を形成するためのpコンタクト層からなる。pクラッド層とpコンタクト層は兼ねることができる。pクラッド層は、GaN、AlGaNなどを用いて形成し、pドーパントとしてMgをドープする。電極とのコンタクトを取ることが容易なように、最表面を高キャリア濃度の層として形成することが望ましいが、大方の層においては高抵抗であっても構わない。つまり、ドーパントの量を減量しても問題はないし、ドーパントの活性化を阻害するとされている水素を含んでいても問題はない。むしろ、素子とした場合の逆耐圧が向上するので望ましい。
【0037】
pクラッド層に関しても、組成や格子定数の異なる層を、交互に複数回積層して形成しても良い。その際、積層する層によって組成のほか、ドーパントの量や膜厚などを変化させても良い。
【0038】
pコンタクト層は、GaN、AlGaN、InGaNなどを用いることができ、不純物としてMgをドープする。MgをドープしたIII 族窒化物半導体は、通常反応炉から取り出したままでは高抵抗であるが、アニール処理、電子線照射処理、マイクロ波照射処理など、活性化の処理を施すことでp伝導性を示すとされているが、前述したとおり、活性化処理を施さずに利用できる場合もある。
【0039】
また、pコンタクト層としてp型不純物をドープした燐化ホウ素を用いることもできる。p型不純物をドープした燐化ホウ素は、上記のようなp型化のための処理を一切行わなくてもp導電性を示す。
【0040】
これらの下地層、発光層およびp型層を構成するIII 族窒化物半導体の成長方法も特に限定されず、n型層と同様にMBE、MOCVD、HVPEなどの周知の方法を周知の条件で用いることができる。中でも、MOCVD法が好ましい。
【0041】
負極は、各種組成および構造の負極が周知であり、これら周知の負極を何ら制限なく用いることができる。nコンタクト層と接する負極用のコンタクト材料としては、Al、Ti、Ni、Auなどのほか、Cr、W、Vなどを用いることができる。負極全体を多層構造としてボンディング性などを付与することができることは言うまでもない。特に、最表面をAuで覆うことは、ボンディングをしやすくするためには好ましい。
【0042】
正極も、各種組成および構造の正極が周知であり、これら周知の正極を何ら制限なく用いることができる。
【0043】
透光性の正極材料としては、Pt、Pd、Au、Cr、Ni、Cu、Coなどを含んでも良い。また、その一部が酸化されている構造とすることで、透光性が向上することが知られている。反射型の正極材料としては、上記の材料の他に、Rh、Ag,Alなどを用いることができる。
【0044】
これらの正極は、スパッタリングや真空蒸着などの方法で形成することができる。特にスパッタリングを用いると、スパッタリングの条件を適切に制御することで、電極膜を形成した後にアニール処理を施さなくともオーミック接触を得ることができ、好適である。
【0045】
発光素子の構造としては、反射型の正極を備えたフリップチップ型の素子としても良いし、透光性の正極や格子型、櫛型の正極を備えたフェイスアップ型の素子としても良い。
【実施例】
【0046】
実施例1
サファイア基板上に形成された,本発明に係るGeドープ層を具体的に説明する。
【0047】
図1に本実施例に記載のエピタキシャル積層構造体21の断面構造を模式的に示す。
【0048】
エピタキシャル積層構造体は、一般的な減圧MOCVD手段を利用して以下の手順で形成した。先ず、(0001)−サファイア基板1を、高周波(RF)誘導加熱式ヒータで成膜温度に加熱される半導体用高純度グラファイト製のサセプタ(susceptor)上に載置した。載置後、ステンレス鋼製の気相成長反応炉内に窒素ガスを流通し、炉内をパージした。
【0049】
気相成長反応炉内に、窒素ガスを8分間に亘って流通させた後、誘導加熱式ヒータを作動させ、基板1の温度を、10分間で室温から600℃に昇温した。基板1の温度を600℃に保ったまま、水素ガスと窒素ガスを流通させて、気相成長反応炉内の圧力を1.5×104パスカル(Pa)とした。この温度および圧力下で2分間、放置して、基板1の表面をサーマルクリーニング(thermal cleaning)した。サーマルクリーニングの終了後、気相成長反応炉内への窒素ガスの供給を停止した。水素ガスの供給は継続させた。
【0050】
その後、水素雰囲気中で、基板1の温度を1120℃に昇温させた。1120℃で温度が安定したのを確認した後、トリメチルアルミニウム(TMAl)の蒸気を随伴する水素ガスを8分30秒間、気相成長反応炉内へ供給した。これより、気相成長反応炉の内壁に以前より付着していた窒素(N)を含む堆積沈着物の分解により生じる窒素(N)原子と反応させて、サファイア基板1上に、数nmの厚さの窒化アルミニウム(AlN)薄膜2を付着させた。TMAlの蒸気を随伴する水素ガスの気相成長反応炉内への供給を停止しAlN薄膜2の成長を終了させた後、4分間待機し、気相成長炉内に残ったTMAlを完全に排出した。
【0051】
続いて、アンモニア(NH3)ガスを気相成長反応炉内に供給し始めてから4分が経過した後、アンモニアガスの流通を続けながら、サセプタの温度を1040℃に降温した。サセプタの温度が1040℃になったのを確認した後、暫時、温度が安定するのを待ち、トリメチルガリウム(TMGa)の気相成長反応炉内への供給を開始し、アンドープのGaN層3を1時間に亘って成長させた。アンドープGaN層3の層厚は2μmとした。
【0052】
次に、ウェーハ温度を1120℃に上昇し、温度が安定させたところで、テトラメチルゲルマニウム((CH34Ge)を18秒間流通、その後18秒間流通を停止した。このサイクルを100回繰り返し、2.0μmのGe濃度が周期的に変化するGeドープGaN層4を形成した。
【0053】
GeドープGaN層4の成長を終了した後、誘導加熱式ヒータへの通電を停止して、基板1の温度を、室温迄、約20分間で降温した。降温中は、気相成長反応炉内の雰囲気を窒素のみから構成した。基板1の温度が室温まで降温したのを確認して、積層構造体を気相成長反応炉より外部へ取り出した。
【0054】
その結果、ホール測定によるキャリア濃度が7×1018cm-3であったGeドープGaN層については、ピット密度が200個/cm2以下の表面が平坦なN型GaN層を得た。このGeドープGaN層の抵抗率は8×10-3Ωcmであった。また、SIMS分析の結果、高濃度Geドープ層のGe濃度は1.2×1019cm-3であり、低濃度Geドープ層のGe濃度は、1×1018cm-3であった。また、その周期層厚は20nmであった。
実施例2
実施例1において、テトラメチルゲルマニウム以下((CH34Ge)を18秒間流通、その後18秒間流通を停止のサイクルを100回繰り返し、2.0μmのGe濃度が周期的に変化するGeドープGaN層4を形成した事以外は実施例1と同様の条件でGeドープGaN層を形成した。
【0055】
その結果、ホール測定によるキャリア濃度は2×1019cm-3、ピット密度が400個/cm2となった。このGeドープGaN層の抵抗率は2.5×10-3Ωcmであった。また、SIMS分析の結果、高濃度Geドープ層のGe濃度は4×1019cm-3であり、低濃度Geドープ層のGe濃度は、3×1018cm-3であった。その周期層厚は20nmであった。
【0056】
上記の実施例1、2のように、Geを含むガスの供給量(単位mol/分)を制御することにより、GeドープGaN層の抵抗率を変化させることが出来る。なお、この実施例では、Geを含む原料ガスの供給量を制御したが、同時に供給する原料ガスの供給量を制御してもよく、また両者の混合比を制御して抵抗率を変化させても良い。また、ドーパント原料が結晶に取り込まれる効率が変化する条件(例えば、温度や圧力)を変化させることで抵抗率を制御することも可能である。
【0057】
また、コンタクト層全体を平均した抵抗率を制御させることは、高濃度ドープ層と低濃度ドープ層の膜厚を制御することでも可能である。
実施例3
実施例1のGeドープGaN層上に発光層を積層し、III 族窒化物半導体発光ダイオードを構成する場合を例にして本発明を具体的に説明する。
【0058】
図2に本実施例に記載のLEDを作製するためのエピタキシャル積層構造体22の断面構造を模式的に示す。
【0059】
実施例1と同様にGeドープGaN層を積層した後、1060℃で、アンドープn型Al0.07Ga0.93Nクラッド層5を堆積した。このクラッド層5の層厚は12.5nmとした。
【0060】
次に、基板1の温度を730℃として、Al003Ga0.97Nからなる障壁層6aと、In0.25Ga0.75Nよりなる井戸層6bとを含む5周期構造の多重量子井戸構造発光層6をアンドープn型Al0.07Ga0.93Nクラッド層5上に設けた。多重量子井戸構造の発光層6にあっては、先ず、Al003Ga0.97N障壁層6aをアンドープn型Al0.07Ga0.93Nクラッド層5に接合させて設けた。
【0061】
Al003Ga0.97N障壁層6aは、トリメチルアルミニウム(TMAl)をアルミニウム源とし、トリエチルガリウム(TEGa)をガリウム源として成長させた。層厚は8nmとし、アンドープとした。
【0062】
In0.25Ga0.75N井戸層6bは、トリエチルガリウム(TEGa)をガリウム源とし、トリメチルインジウム(TMIn)をインジウム源として成長させた。層厚は、2.5nmとし、アンドープとした。
【0063】
多重量子井戸構造からなる発光層6上には、マグネシウム(Mg)をドーピングしたp型Al0.07Ga0.93Nクラッド層7を形成した。層厚は10nmとした。p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層7上には、更に、Mgをドーピングしたp型GaNコンタクト層8を形成した。Mgのドーピング源には、ビスーシクロペンタジエニルMg(bis−Cp2Mg)を用いた。Mgは、p型GaNコンタクト層8の正孔濃度が8×1017cm-3となる様に添加した。p型GaNコンタクト層8の層厚は100nmとした。
【0064】
p型GaNコンタクト層8の成長を終了した後、誘導加熱式ヒータへの通電を停止して、基板1の温度を、室温迄、約20分間で降温した。降温中は、気相成長反応炉内の雰囲気を窒素のみから構成した。基板1の温度が室温まで降温したのを確認して、積層構造体22を気相成長反応炉より外部へ取り出した。この時点で、上記のp型GaNコンタクト層8は、p型キャリア(Mg)を電気的に活性化するためのアニール処理を行わなくても、既に、p型の伝導性を示した。
【0065】
次いで、公知のフォトリソグラフィー技術及び一般的なドライエッチング技術を利用して、n型オーミック電極9を形成する予定の領域に限り、高GeドープGaN層4の表面を露出させた。露出させたGeドープn型GaN層4の表面には、表面側をチタン(Ti)および金(Au)を積層したn型オーミック電極9を形成した。残置した積層構造体22の表面をなすp型GaNコンタクト層8の表面の全域には、一般的な真空蒸着手段、及び公知のフォトリソグラフィー手段等を利用して、表面側から順に、ニッケル(Ni)及び金(Au)を積層させたp型オーミック電極10を形成した。
【0066】
ついで、350μm角の平面視で正方形のLEDチップ(chip)(図示せず)に切断し、リードフレーム(図示せず)上に載置し、金導線(図示せず)をリードフレームに結線して、リードフレームよりLEDチップ(図示せず)へ素子駆動電流を通流できる様にした。
【0067】
リードフレームを介してn型及びp型オーミック電極9,10間に順方向に素子駆動電流を通流させた。順方向電流を20mAとした際の順方向電圧は3.5Vであった。また、20mAの順方向電流を通流した際の出射される青色帯発光の中心波長は460nmであった。また、一般的な積分球を使用して測定される発光の強度は、5mWに達し、高い強度の発光をもたらすIII 族窒化物半導体LEDがもたらされた。
実施例4
実施例2で作製される積層構造体を用いる以外は、実施例3と同様にしてIII 族窒化物半導体発光素子を作製した。実施例3と同様に順方向電圧および発光強度を測定したところ、3.5Vおよび4.8mWであった。また、青色帯発光の中心波長は455nmであった。
比較例1
実施例1において、(CH34Geを流通する層と流通しない層を交互に積層する代わりに、(CH34Geを連続的に流通してGeドープN型GaN層11を2.0μm形成した以外は、実施例1と同様の構造を形成したエピタキシャル積層構造体23の断面構造を図3に模式的に示す。
【0068】
その結果、キャリア濃度を1×1019cm-3に合わせた場合、ピット密度は1×106cm-3と極めて高い密度で発生し、平坦な表面が得られなかった。
比較例2
実施例3の構造に対して、テトラメチルゲルマニウム(以下(CH34Ge)を18秒間流通、その後18秒間流通を停止した。このサイクルを100回繰り返し、2.0μmのGe濃度が周期的に変化するGeドープGaN層4を形成する代わりに、比較例1と同様に(CH34Geを連続的に流通してGeドープN型GaN層11を2.0μm形成した。その後、実施例3と同様の条件でn型クラッド層5,多重量子井戸構造発光層6,p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層7およびp型GaNコンタクト層8を形成し、さらに、実施例3と同様の条件で電極の形成,リードフレーム上への載置,結線を行い、LEDを作製した(図4 LEDを作製するためのエピタキシャル積層構造24)。その結果、順方向電流20mA通電時の特性として、一般的な積分球を使用して測定される発光の強度は、0.4mWと低い強度の発光しか得られなかった。
比較例3
実施例3において、テトラメチルゲルマニウム(以下(CH34Ge)を18秒間流通、その後18秒間流通を停止のサイクルを100回繰り返し、2.0μmのGe濃度が周期的に変化するGeドープGaN層4を形成する代わりに、Siを均一に7×1018cm-3ドープしたGaN層12を積層した。その後、実施例3と同様の条件でアンドープAlGaNクラッド層5,多重量子井戸構造発光層6,p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層7およびp型GaNコンタクト層8を形成し、さらに、実施例3と同様の条件で電極の形成,リードフレーム上への載置,結線を行い、LEDを作製した(図5 LEDを作製するためのエピタキシャル積層構造25)。その結果、順方向電流を20mAとした際の順方向電圧は3.5Vであった。また、20mAの順方向電流を通流した際の出射される青色帯発光の中心波長は460nmであった。順方向電流20mA通電時の特性として、一般的な積分球を使用して測定される発光の強度は、4mWとGeドープをGaN層4に用いた時より20%減の発光強度になった。
【産業上の利用可能性】
【0069】
Geドープn型III 族窒化物半導体層を用いた本発明の発光素子は順方向電圧が低く、かつ優れた発光効率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】エピタキシャル積層構造体21の断面構造を模式的に示す。
【図2】エピタキシャル積層構造体22の断面構造を模式的に示す。
【図3】エピタキシャル積層構造体23の断面構造を模式的に示す。
【図4】LEDを作製するためのエピタキシャル積層構造24。
【図5】LEDを作製するためのエピタキシャル積層構造25。
【符号の説明】
【0071】
1 基板
2 AlN薄膜層
3 アンドープGaN層
4 GeドープGaN層
6 多重量子井戸構造発光層
7 p型AlGaNクラッド層
8 p型GaNコンタクト層
9 n型オーミック電極
10 p型オーミック電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
n型またはp型のIII 族窒化物半導体からなる結晶層に接合された発光層を有するIII 族窒化物半導体発光素子において、ゲルマニウム(Ge)が添加され、抵抗率が1×10-1〜1×10-3Ωcmであるn型III 族窒化物半導体層を備えていることを特徴とするIII 族窒化物半導体発光素子。
【請求項2】
n型のIII 族窒化物半導体が、組成式AlxGayInz1-aa(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1で且つ、x+y+z=1である。そしてMは窒素(N)とは別の第V族元素を表し、0≦a<1である。)を有する請求項1に記載のIII 族窒化物半導体発光素子。
【請求項3】
Geが添加されたn型窒化物半導体層が、Geの原子濃度を周期的に変化させた領域を含むIII 族窒化物半導体層である請求項1または2に記載のIII 族窒化物半導体発光素子。
【請求項4】
Geの原子濃度を周期的に変化させた領域が、Geを添加したIII 族窒化物半導体層と、アンドープのIII 族窒化物半導体層とを交互に周期的に積層させた構造から構成されている請求項3に記載のIII 族窒化物半導体発光素子。
【請求項5】
Geを添加したIII 族窒化物半導体層の層厚が、アンドープのIII 族窒化物半導体層の層厚以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体発光素子。
【請求項6】
Geを添加したIII 族窒化物半導体層のGe原子の濃度が、1×1017cm-3以上で1×1020cm-3以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体発光素子。
【請求項7】
n型III 族窒化物半導体層が基板と発光層の間に配置される請求項1〜6のいずれか1項に記載のIII 族窒化物半導体発光素子。
【請求項8】
Geの原子濃度を周期的に変化させた領域の全体の層厚が、0.1μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項3〜7の何れか1項に記載のIII 族窒化物半導体発光素子。
【請求項9】
Geの原子濃度を周期的に変化させた領域の1周期分の層厚が、1nm以上1000nm以下であることを特徴とする請求項3〜8の何れか1項に記載のIII 族窒化物半導体発光素子。
【請求項10】
n型またはp型のIII 族窒化物半導体からなる結晶層に接合された発光層を有するIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法であって、Geが添加されたn型III 族窒化物半導体層を成長させる際に、Ge源を反応系に周期的に変化させて供給することを特徴とするIII 族窒化物半導体発光素子の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate