説明

KCNQ2/3K+チャンネルに対する親和性を有する置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物及びその医薬中での使用

本発明は、置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物、その製造方法、前記化合物を含有する医薬及び医薬を製造するための前記化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物、その製造方法、前記化合物を含有する医薬及び医薬を製造するための前記化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
痛み、特に神経障害痛の治療は、医学において極めて重要である。有効な痛みの治療に関して世界的規模の需要が存在する。慢性の痛みの状態及び慢性でない痛みの状態を患者本位でかつ目的通りに治療を行うための切迫した需要(これは患者にとって成果がありかつ満足される痛みの治療であると解釈される)は、多数の学問的研究にも現れていて、この学問的研究は最近では適用される鎮痛剤の分野並びに痛覚に対する基礎研究の分野に関して現れている。
【0003】
慢性痛みの病体生理学的特徴は、ニューロンの過剰興奮性にある。このニューロンの興奮性は、Kチャンネルの親和性により決定的に影響を受ける、それというのもこの親和性が細胞の静止膜電位及びそれと共に興奮性閾値を決定的に決定しているためである。分子のサブタイプKCNQ2/3(Kv7.2/7.3)のへテロマーKチャンネルは、中枢(海馬、扁桃体)の及び末梢(背根神経節)の神経系の多様な領域のニューロンにおいて発現されかつその興奮性を調節する。KCNQ2/3 Kチャンネルの活性化は細胞膜の過分極を引き起こし、それに伴い前記ニューロンの電気的興奮性の低下が生じる。KCNQ2/3を発現する前記背根神経節のニューロンは、末梢から脊髄中への侵害受容性の興奮の伝達に関与する(Passmore et al.著, J Neurosci. 2003; 23(18):7227-36)。それに対して、KCNQ2/3アゴニストのレチガビン(Retigabine)について、前臨床的神経障害痛モデル及び炎症性痛モデルの場合の鎮痛についての有効性を検出することができた(Blackburn-Munro及びJensen著, Eur J Pharmacol. 2003; 460(2-3):109-16; Dost et al.著, Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol 2004; 369(4): 382-390)。このKCNQ2/3 Kチャンネルは、痛みを治療するための、特に慢性痛み、神経障害痛、炎症性痛及び筋肉痛(Nielsen et al.著, Eur J Pharmacol. 2004; 487(1-3): 93-103)、殊に神経障害痛及び炎症性痛より成る群から選ばれる痛みの適当な手掛かりになる。
【0004】
さらに、KCNQ2/3 Kチャンネルは、多数の他の疾患、例えば偏頭痛(米国特許第2002/0128277号明細書)、認識疾患(Gribkoff著, Expert Opin Ther Targets 2003; 7(6): 737-748)、不安状態(Korsgaard et al.著, J Pharmacol Exp Ther. 2005, 14(1): 282-92)、てんかん(Wickenden et al.著, Expert Opin Ther Pat 2004; 14(4): 457-469)及び尿失禁(Streng et al.著, J Urol 2004;172: 2054-2058)の治療のための適当な対象である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許2002/0128277号明細書
【非特許文献1】Passmore et al.著, J Neurosci. 2003; 23(18):7227-36
【非特許文献2】Blackburn-Munro及びJensen著, Eur J Pharmacol. 2003; 460(2-3):109-16
【非特許文献3】Dost et al.著, Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol 2004; 369(4): 382-390
【非特許文献4】Nielsen et al.著, Eur J Pharmacol. 2004; 487(1-3): 93-103
【非特許文献5】Gribkoff著, Expert Opin Ther Targets 2003; 7(6): 737-748
【非特許文献6】Korsgaard et al.著, J Pharmacol Exp Ther. 2005, 14(1): 282-92
【非特許文献7】Wickenden et al.著, Expert Opin Ther Pat 2004; 14(4): 457-469
【非特許文献8】Streng et al.著, J Urol 2004;172: 2054-2058
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、特に、医薬において、好ましくは、少なくとも部分的にKCNQ2/3 Kチャンネルにより媒介される障害又は疾患の治療のための医薬において薬理作用物質として適した新規化合物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
意外にも、後記する一般式Iの置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物は痛みの治療のために適しており、KCNQ2/3 Kチャンネルに対して際立った親和性も有し、従って、少なくとも部分的にKCNQ2/3 Kチャンネルにより媒介される障害又は疾患の治療のために適していることが見出された。
【0008】
文献から並びにデーターバンクから、既に置換されたテトラヒドロピロロピラジンは公知である。米国特許第4,188,389号明細書には、鬱病の治療のために適したテトラヒドロピロロピラジンは開示されている。国際公開第9429315号は、ピペラジン環がピペラジン窒素を除いて非置換である抗不安特性を有するテトラヒドロピロロピラジンを開示している。国際公開第2003024967号は、Rに(C=Z)−NH−置換基を有する、ガンの治療のために適しているテトラヒドロピロロピラジンが開示されている。さらに、テトラヒドロピロロピラジンは、データバンクにおいて、例えばCASにおいて生物学的活性の記載はなく掲載されている。
【0009】
本発明の主題は、従って、一般式I
【0010】
【化1】

【0011】
[式中、
、R及びRは、相互に無関係に、水素、C〜C−アルキル(飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);F、Cl、Br、I、CN、NH、NH−C〜C−アルキル、NH−C〜C−アルキル−OH、N(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル−OH)、NH−アリール;NH−アルキルアリール;NH−ヘテロアリール;NO、SH、S−C〜C−アルキル、OH、O−C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル−OH、C(=O)C〜C−アルキル、NHSO〜C−アルキル、NHCO−アリール;NHCOC〜C−アルキル、COH、CHSO−フェニル、CO−C〜C−アルキル、OCF、SCF、CF、ベンジルオキシ、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、フェノキシ、フェニル、ピリジル、アルキルアリール、チエニル又はフリルを示すか、又はR及びR又はR及びRは1つの環を形成しかつ一緒になって
【0012】
【化2】

【0013】
を示し、
及びRは、相互に無関係に、H、F、Cl、Br、I、−CN、NH、NH−C〜C−アルキル、NH−C〜C−アルキル−OH、C〜C−アルキル、N(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル−OH)、NO、SH、S−C〜C−アルキル、S−ベンジル、O−C〜C−アルキル、OH、O−C〜C−アルキル−OH、O−ベンジル、C(=O)C〜C−アルキル、COH、CO−C〜C−アルキル又はベンジルを示し;
【0014】
は、C〜C−アルキル(分枝状又は非分枝状の、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);アリール又はヘテロアリール(非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);又はC〜C−アルキル鎖を介して結合されたアリール又はヘテロアリール(非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)を示し;
4a、R5a及びR6aは、それぞれ無関係に、H又はC〜C−アルキルを示し;
は、(CHC(=O)R;(C=O)(CHNR1112;C(=O)(CH(C=O)R;(CHNHC(=O)Rを示し、
【0015】
その際、mは1、2又は3を示し、
nは1、2、3又は4を示し、
tは1、2、3又は4を示し、
sは1、2、3又は4を示し、
は、C−C−アルキル(飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);又はC−C−アルキル鎖を介して結合しているアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)、(その際、前記アルキル鎖はそれぞれ飽和又は不飽和の、分枝又は非分枝であることができる);NR10を示し;
【0016】
及びR10は、相互に無関係に、H;C−C−アルキル(それぞれ飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、モノ又はポリ置換されたか又は非置換である);アリール又はヘテロアリール(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);ヘテロシクリル又はC〜C−シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和の、モノ又はポリ置換されたか又は非置換である);C(=O)R20;SO13又はC〜C−アルキルを介して結合しているアリール、C〜C−シクロアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロアリール(それぞれモノ又はポリ置換されたか又は非置換である)、(その際、前記アルキル鎖はそれぞれ飽和又は不飽和の、分枝又は非分枝であることができる)を示し;
又は、基R及びR10は一緒になって、CHCHOCHCH、CHCHNR14CHCH又は(CH3−6を示し、
【0017】
11及びR12は、相互に無関係に、H;C−C−アルキル(それぞれ飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、モノ又はポリ置換されたか又は非置換である);ヘテロシクリル又はC〜C−シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和の、モノ又はポリ置換されたか又は非置換である);C(=O)R20;SO13又はC〜C−アルキルを介して結合しているアリール、C〜C−シクロアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロアリール(それぞれモノ又はポリ置換されたか又は非置換である)、(その際、前記アルキル鎖はそれぞれ飽和又は不飽和の、分枝又は非分枝であることができる)を示し;
又は、基R11及びR12は一緒になって、CHCHOCHCH、CHCHNR14CHCH又は(CH3−6を示し、
【0018】
その際、R14は、H;C〜C−アルキル(それぞれ飽和又は不飽和、分枝状又は非分枝状の、モノ又はポリ置換されたか又は非置換である);C〜C−シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和の、モノ又はポリ置換されたか又は非置換である);アリール又はヘテロアリール(それぞれモノ又はポリ置換されたか又は非置換である);C(=O)R13;又はC〜C−アルキルを介して結合しているアリール、C〜C−シクロアルキル又はヘテロアリール(それぞれモノ又はポリ置換されたか又は非置換である)を示し;
【0019】
13は、C−C−アルキル(飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);アリール、ヘテロアリール又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);又はC−C−アルキル鎖を介して結合しているアリール、ヘテロアリール又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)、(その際、前記アルキル鎖はそれぞれ飽和又は不飽和の、分枝又は非分枝であることができる)を示し;
【0020】
20は、C−C−アルキル(飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);アリール、ヘテロアリール又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);NR2122;又はC−C−アルキル鎖を介して結合しているアリール、ヘテロアリール又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)、(その際、前記アルキル鎖はそれぞれ飽和又は不飽和の、分枝又は非分枝であることができる)を示し;
【0021】
21及びR22は、相互に無関係に、C−C−アルキル(飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);アリール、ヘテロアリール又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);又はC−C−アルキル鎖を介して結合しているアリール、ヘテロアリール又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)、(その際、前記アルキル鎖はそれぞれ飽和又は不飽和の、分枝又は非分枝であることができる)を示す]で表わされる置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物、ラセミ体の形態;エナンチオマー、ジアステレオマー、エナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの形態;塩基の形態及び/又は生理学的に許容される酸の塩の形態である。
【0022】
「フェニル」、「フェニルオキシ」、「ベンジル」、「ベンジルオキシ」、「アルキルアリール」との関連で、この概念は、それぞれ非置換の構造も、F、Cl、OCH、CF、OCF、SCF及びCHにより置換された構造も有する。
【0023】
「C〜C−アルキル」、「C〜C−アルキル」及び「C〜C−アルキル」の表現は、本発明の範囲内で、非環式の飽和又は不飽和の、1〜3個のC原子、もしくは1〜5個のC原子、もしくは1〜6個のC原子を有する炭化水素基を有し、前記基は分枝鎖又は直鎖の並びに非置換であるか又はモノ又はポリ置換されていてもよく、つまり、C〜C−アルカニル、C〜C−アルケニル及びC〜C−アルキニル、もしくはC〜C−アルカニル、C〜C−アルケニル及びC〜C−アルキニル、もしくはC〜C−アルカニル、C〜C−アルケニル及びC〜C−アルキニルを包含する。この場合、アルケニルは少なくとも1つのC−C二重結合を有し、アルキニルは少なくとも1つのC−C三重結合を有する。好ましくは、アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、エチレニル(ビニル)、エチニル、プロペニル(−CHCH=CH、−CH=CH−CH、−C(=CH2)−CH)、プロピニル(−CH−C≡CH、−C≡C−CH)、ブテニル、ブチニル、ペンテニル、ペンチニル、ヘキセニル及びヘキシニルを有するグループから選択される。特に、メチル、エチル、n−プロピル及びイソプロピルが有利である。
【0024】
「シクロアルキル」又は「C〜C−シクロアルキル」の表現は、本発明の目的のために、3、4、5、6、7又は8個の炭素原子を有する環式炭化水素を意味し、この場合、前記炭化水素は飽和又は不飽和(しかしながら芳香族ではない)、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されていてもよい。好ましくは、C〜C−シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル及びシクロオクテニルを含むグループから選択される。
【0025】
「ヘテロシクリル」の概念は、1又は2個の炭素原子がヘテロ原子S、N又はOに置き換えられている、3〜8個の環原子を有する飽和又は不飽和(しかしながら芳香族ではない)シクロアルキルを含む。テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラゾリノニル及びピロリジニルのグループからなるヘテロシクリル基が有利である。
【0026】
「アリール」の表現は、本発明の範囲内で、14個までの環原子を有する芳香族炭化水素、特にフェニル及びナフチルを意味する。前記アリール基は、他の飽和、(部分的に)不飽和であるか又は芳香族の環系と縮合されていてもよい。それぞれのアリール基は、不飽和又はモノ又はポリ置換されて存在していてもよく、その際、複数のアリール置換基は同じ又は異なることができ、かつそれぞれ前記アリールの任意でかつ可能な箇所にあることができる。好ましくは、アリールは、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル(前記基はそれぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されていてもよい)を有するグループから選択される。
【0027】
「ヘテロアリール」の表現は、少なくとも1個、場合により2、3、4又は5個のヘテロ原子を有する5員、6員又は7員の、環式の芳香族基を示し、その際、前記ヘテロ原子は、同じ又は異なり、かつ前記ヘテロ環は不飽和であるか又はモノ又はポリ置換されていてもよく;ヘテロシクリルが置換された場合に、この複数の置換基は同じ又は異なり、かつヘテロアリールのそれぞれ任意でかつ可能な箇所に存在することができる。このヘテロシクリルは、14個までの環原子を有する二環式又は多環式の系の一部であることもできる。有利なヘテロ原子は、窒素、酸素及び硫黄である。ヘテロアリール基は、ピロリル、インドリル、フリル(フラニル)、ベンゾフラニル、チエニル(チオフェニル)、ベンゾチエニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾジオキソラニル、ベンゾジオキサニル、フタラジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インダゾリル、プリニル、インドリジニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、カルバゾリル、フェナジニル、又はオキサジアゾリルを有するグループから選択されるのが有利であり、その際、前記一般式Iの化合物との結合は、前記ヘテロアリール基のそれぞれ任意でかつ可能な環員を介して行われることができる。特に、ピリジル、フリル及びチエニルが有利である。
【0028】
「C〜C−アルキルを介して結合されたアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル又はシクロアルキル」の表現及び「C〜C−アルキルを介して結合されたアリール、ヘテロアリール又はシクロアルキル」の表現は、本発明の目的のために、C〜C−アルキル及びアリール又はヘテロアリール又はヘテロシクリル又はシクロアルキルは上記の定義された意味を有し、かつ前記アリール基、又はヘテロアリール基、又はヘテロシクリル基又はシクロアルキル基はC〜C−アルキル基又はC〜C−アルキル基を介して、一般式Iの前記化合物に結合していることを意味する。前記アルキル鎖は、全ての場合に、飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、非置換であるかモノ又はポリ置換されていてもよい。前記アルキル鎖は、非置換であるか又はメチル基で置換された場合が有利である。本発明の範囲内で、特にフェニル、ベンジル及びフェネチルが有利である。
【0029】
「アルキル」、「ヘテロシクリル」及び「シクロアルキル」との関連で、「置換された」の概念は、本発明の範囲内で、水素基がF、Cl、Br、I、−CN、NH、NH−C−アルキル、NH−C〜C−アルキル−OH、C〜C−アルキル、N(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル−OH)、NO、SH、S−C〜C−アルキル、S−ベンジル、O−C〜C−アルキル、OH、O−C〜C−アルキル−OH、=O、O−ベンジル、C(=O)C〜C−アルキル、COH、CO−C〜C−アルキル、フェニル又はベンジルに置き換えられていると解釈され、その際、複数箇所置換された置換基は、異なる又は同じ原子に複数箇所、例えば2箇所又は3箇所置換されたような基、例えばCF又は−CHCFの場合のように同じC原子に3箇所又は−CH(OH)−CH=CH−CHClの場合のように異なる箇所で置換されたと解釈することができる。この多重置換は、同じ又は異なる置換基で行われていてもよい。
【0030】
「アリール」及び「ヘテロアリール」と関連して、本発明の範囲内で、「モノ又はポリ置換された」とは、前記環系の1つの原子又は場合により異なる原子の1個又は数個の水素基が、F、Cl、Br、I、CN、NH、NH−C〜C−アルキル、NH−C〜C−アルキル−OH、N(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル−OH)、NO、SH、S−C〜C−アルキル、OH、O−C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル−OH、C(=O)C〜C−アルキル、C(=O)NHC〜C−アルキル;C(=O)−アリール;C(=O)−N−モルホリン;C(=O)−ピペリジン;(C=O)−ピロリジン;(C=O)−ピペラジン;NHSO〜C−アルキル、NHCOC〜C−アルキル、COH、CHSO−フェニル、CO−C〜C−アルキル、OCF、SCF、CF
【0031】
【化3】

【0032】
〜C−アルキル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ベンジルオキシ、フェノキシ、フェニル、ピリジル、アルキルアリール、チエニル又はフリルによってモノ又はポリ、たとえばジ、トリ又はテトラ置換されていることと解釈され、その際、1つの置換基は場合によりそれ自体置換されていてもよいが、他のアリール環又はヘテロアリール環で置換されない。この多重置換は、この場合同じ置換基又は異なる置換基で行われる。「アリール」又は「ヘテロアリール」について、有利な置換基はF、Cl、OCH、CF、OCF、SCF及びCHである。
【0033】
生理学的に許容される酸と形成される塩の概念とは、本発明の範囲内で、それぞれの作用物質と、生理学的に、特にヒト及び/又は哺乳動物に適用する際に許容される無機酸もしくは有機酸との塩であると解釈される。特に、塩酸塩が有利である。生理学的に許容される塩の例は次のものである:塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、マンデル酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、クエン酸、グルタミン酸、1,1−ジオキソ−1,2−ジヒドロ1λ−ベンゾ[d]イソチアゾール−3−オン(サッカリン酸)、モノメチルセバシン酸、5−オキソ−プロリン、ヘキサン−1−スルホン酸、ニコチン酸、2−,3−又は4−アミノ安息香酸、2,4,6−トリメチル−安息香酸、α−リポ酸、アセチルグリシン、馬尿酸、リン酸及び/又はアスパラギン酸。特に、クエン酸及び塩酸が有利である。
【0034】
本発明の範囲内で、一般式I
[式中、
、R及びRは、相互に無関係に、水素、C〜C−アルキル(飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);F、Cl、Br、I、CN、NH、NH−C〜C−アルキル、NH−C〜C−アルキル−OH、N(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル−OH)、NH−アリール;NH−アルキルアリール;NH−ヘテロアリール;NO、SH、S−C〜C−アルキル、OH、O−C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル−OH、C(=O)C〜C−アルキル、NHSO〜C−アルキル、NHCO−アリール;NHCOC〜C−アルキル、COH、CHSO−フェニル、CO−C〜C−アルキル、OCF、SCF、CF、ベンジルオキシ、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、フェノキシ、フェニル、ピリジル、アルキルアリール、チエニル又はフリルを示すか、又はR及びR又はR及びRは1つの環を形成しかつ一緒になって
【0035】
【化4】

【0036】
を示し、
及びRは、相互に無関係に、H、F、Cl、Br、I、−CN、NH、NH−C〜C−アルキル、NH−C〜C−アルキル−OH、C〜C−アルキル、N(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル−OH)、NO、SH、S−C〜C−アルキル、S−ベンジル、O−C〜C−アルキル、OH、O−C〜C−アルキル−OH、O−ベンジル、C(=O)C〜C−アルキル、COH、CO−C〜C−アルキル又はベンジルを示し;
【0037】
は、C〜C−アルキル(分枝状又は非分枝状の、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);アリール又はヘテロアリール(非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);又はC〜C−アルキル鎖を介して結合されたアリール又はヘテロアリール(非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)を示し;
4a、R5a及びR6aは、それぞれ無関係に、H又はC〜C−アルキルを示し;
は、(CHC(=O)R;(C=O)(CHNR1112;C(=O)(CH(C=O)R;(CHNHC(=O)Rを示し、
その際、mは1、2又は3を示し、
nは1、2、3又は4を示し、
tは1、2、3又は4を示し、
sは1、2、3又は4を示し、
は、C−C−アルキル(飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);又はC−C−アルキル鎖を介して結合されたアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)、(その際、前記アルキル鎖はそれぞれ飽和又は不飽和の、分枝又は非分枝であることができる);NR10を示し;
【0038】
及びR10は、相互に無関係に、H;C−C−アルキル(それぞれ飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、モノ又はポリ置換されたか又は非置換である);アリール又はヘテロアリール(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);ヘテロシクリル又はC〜C−シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和の、モノ又はポリ置換されたか又は非置換である);C(=O)R20;SO13又はC〜C−アルキルを介して結合されたアリール、C〜C−シクロアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロアリール(それぞれモノ又はポリ置換されたか又は非置換である)、(その際、前記アルキル鎖はそれぞれ飽和又は不飽和の、分枝又は非分枝であることができる)を示し;
又は、基R及びR10は一緒になって、CHCHOCHCH、CHCHNR14CHCH又は(CH3−6を示し、
【0039】
11及びR12は、相互に無関係に、H;C−C−アルキル(それぞれ飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、モノ又はポリ置換されたか又は非置換である);ヘテロシクリル又はC〜C−シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和の、モノ又はポリ置換されたか又は非置換である);C(=O)R20;SO13又はC〜C−アルキルを介して結合されたアリール、C〜C−シクロアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロアリール(それぞれモノ又はポリ置換されたか又は非置換である)、(その際、前記アルキル鎖はそれぞれ飽和又は不飽和の、分枝又は非分枝であることができる)を示し;
又は、基R11及びR12は一緒になって、CHCHOCHCH、CHCHNR14CHCH又は(CH3−6を示し、
【0040】
その際、R14は、H;C〜C−アルキル(それぞれ飽和又は不飽和、分枝状又は非分枝状の、モノ又はポリ置換されたか又は非置換である);C〜C−シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和の、モノ又はポリ置換されたか又は非置換である);アリール又はヘテロアリール(それぞれモノ又はポリ置換されたか又は非置換である);C(=O)R13;又はC〜C−アルキルを介して結合しているアリール、C〜C−シクロアルキル又はヘテロアリール(それぞれモノ又はポリ置換されたか又は非置換である)を示し;
【0041】
13は、C−C−アルキル(飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);アリール、ヘテロアリール又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);又はC−C−アルキル鎖を介して結合しているアリール、ヘテロアリール又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)、(その際、前記アルキル鎖はそれぞれ飽和又は不飽和の、分枝又は非分枝であることができる)を示し;
【0042】
20は、C−C−アルキル(飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);アリール、ヘテロアリール又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);NR2122;又はC−C−アルキル鎖を介して結合しているアリール、ヘテロアリール又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)、(その際、前記アルキル鎖はそれぞれ飽和又は不飽和の、分枝又は非分枝であることができる)を示し;
【0043】
21及びR22は、相互に無関係に、C−C−アルキル(飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);アリール、ヘテロアリール又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);又はC−C−アルキル鎖を介して結合しているアリール、ヘテロアリール又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)、(その際、前記アルキル鎖はそれぞれ飽和又は不飽和の、分枝又は非分枝であることができる)を示し、
【0044】
「置換されたアルキル」、「置換されたヘテロシクリル」及び「置換されたシクロアルキル」は、1個の水素基のF、Cl、Br、I、−CN、NH、NH−C−C−アルキル、NH−C−C−アルキル−OH、C−C−アルキル、N(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル−OH)、NO、SH、S−C−C−アルキル、S−ベンジル、O−C−C−アルキル、OH、O−C−C−アルキル−OH、=O、O−ベンジル、C(=O)C−C−アルキル、COH、CO−C−C−アルキル、フェニル又はベンジルによる置換を示し、
【0045】
及び「置換されたアリール」及び「置換されたヘテロアリール」は、前記環系の1個又は数個の水素原子が、F、Cl、Br、I、CN、NH、NH−C−C−アルキル、NH−C−C−アルキル−OH、N(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル−OH)、NO、SH、S−C−C−アルキル、OH、O−C−C−アルキル、O−C−C−アルキル−OH、C(=O)−アリール;C(=O)C−C−アルキル、C(=O)NHC−C−アルキル;C(=O)−N−モルホリン;C(=O)−ピペリジン;(C=O)−ピロリジン;(C=O)−ピペラジン;NHSO−C−アルキル、NHCOC−C−アルキル、COH、CHSO−フェニル、CO−C−C−アルキル、OCF、SCF、CF
【0046】
【化5】

【0047】
−C−アルキル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ベンジルオキシ、フェノキシ、フェニル、ピリジル、アルキルアリール、チエニル又はフリルによってモノ又はポリ、たとえばジ、トリ又はテトラ置換されていることを示す]の置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物、ラセミ体の形態;エナンチオマー、ジアステレオマー、エナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの形態;塩基の形態及び/又は生理学的に許容される酸の塩の形態が有利である。
【0048】
は、CHC(=O)R;(C=O)(CHNR1112又はC(=O)(CH(C=O)Rを示し、
その際、mは、1、2又は3を示し、及び
nは、1、2、3又は4を示す
式Iの置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物が有利である。
【0049】
、R及びRは、相互に無関係に、水素又は分枝又は非分枝のC〜C−アルキルを示し、特にHを示す、一般式Iの置換されたテトラヒドロピロロピラジンも有利である。
【0050】
さらに、R及びRは、相互に無関係に、水素又はC〜C−アルキルを示し、特にHを示す、一般式Iの置換されたテトラヒドロピロロピラジンが有利である。
【0051】
は、フェニル、チエニル、フリル、ピリジル又はベンジル(これらは、非置換であるか又はOCH、F、Cl、CH、イソプロピル又は
【0052】
【化6】

【0053】
でによってモノ又はポリ置換されている);メチル又はtert.−ブチルを示す、一般式Iのテトラヒドロピロロピラジンも有利である。
【0054】
さらに、Rは、CHCHC(=O)R、CHCHCHC(=O)R又はCHCHCHCHC(=O)Rを示し、特にCHCHCHC(=O)Rを示す、一般式Iの置換されたテトラヒドロピロロピラジンが有利である。
【0055】
特に、Rは、C(=O)CH(C=O)R、C(=O)CHCH(C=O)R、C(=O)CHCHCH(C=O)R、特にC(=O)CHCH(C=O)Rを示す、一般式Iの置換されたテトラヒドロピロロピラジンが有利である。
【0056】
はNR10を示し、RはHを示し、
10は、場合によりC〜C−アルキル鎖を介して結合しているアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル又はC〜C−シクロアルキル(これらはそれぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)(その際、前記アルキル鎖はそれぞれ飽和又は不飽和、分枝又は非分枝であることができる);C〜C−アルキル(これは飽和、非置換、分枝状又は非分枝状である)を示すか、
【0057】
又は前記基R及びR10は、一緒になって、CHCHOCHCH、CHCHNR14CHCH、CHCHCHCH又はCHCHCHCHCHを示し、
その際、R14は、H;ベンジル又はフェニル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);C(=O)R13を示す
一般式Iのテトラヒドロピロロピラジンも有利である。
【0058】
特に、Rは、NR10を示し、RはHを示し、かつ
10は、フェニル、ベンジル、フェネチル、メチルチエニル、メチルフリル、メチルピリジル、エチルチエニル、エチルフリル又はエチルピリジル(これらはそれぞれモノ又はポリ置換されている);ピペリジル、ピロリジニル、メチルピペリジル、メチルピロリジニル、エチルピペリジル又はエチルピロリジニル(これらはそれぞれモノ又はポリ置換されている);シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル;プロピル、ブチル又はペンチルを示すか、又は
【0059】
基R及びR10は一緒になって、CHCHOCHCH、CHCHNR14CHCH、CHCHCHCH又はCHCHCHCHCHを示し、
その際、R14は、H;ベンジル又はフェニル(これらはそれぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);C(=O)CHを示す、
一般式Iの置換されたテトラヒドロピロロピラジンが有利である。
【0060】
は、(C=O)CHNR1112、(C=O)CHCHNR1112又は(C=O)CHCHCHNR1112を示し、
及び
11はC(=O)R20を示し、及びR12は、H;C−C−アルキル(分枝状又は非分枝状である);C−C−シクロアルキル、特にH;メチル、エチル、プロピル、ブチル又はシクロプロピルを示し、
【0061】
その際、R20は、NR2122;フェニル、フリル、ベンジル、フェネチル、プロピルフェニル又はシクロプロピル(これらはそれぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);メチル、エチル、プロピル又はブチルを示し、特にNR2122;フェニル、ベンジル、フェネチル又はプロピルフェニル(これらはそれぞれ非置換であるか又はCF、又はCHによってモノ又はポリ置換されている);シクロプロピル(非置換であるか又はフェニルによって置換されている);又はフリルを示し、その際、R21及びR22は好ましくは、相互に無関係に、H又はC−C−アルキルを示し、好ましくはH、CH、tert−ブチル又はイソプロピルを示す、
一般式Iの置換されたテトラヒドロピロロピラジン−誘導体も有利である。
【0062】
さらに特に、次のグループからなるテトラヒドロピロロピラジン−誘導体が有利である
【0063】
【表1】

【0064】

【0065】

【0066】

【0067】

【0068】

【0069】

【0070】

【0071】

【0072】

【0073】

【0074】
本発明による置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物並びにそれぞれ対応する酸、塩基、塩及び溶媒和物は、医薬中の製剤学的作用物質として適している。
【0075】
従って、本発明の他の主題は、一般式I(式中、基R〜Rは上記の意味を有する)の少なくとも1種の本発明による置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物並びに場合により1種以上の薬学的に許容し得る助剤を含有する医薬である。
【0076】
この本発明による医薬は、KCNQ2/3−チャンネルに影響を及ぼすために適しており、かつアゴニスト作用又はアンタゴニスト作用、特にアゴニスト作用により優れている。
【0077】
好ましくは、本発明による医薬は、少なくとも部分的にKCNQ2/3−チャンネルにより媒介される障害又は疾患の治療のために適している。
【0078】
好ましくは、本発明による医薬は、痛み、好ましくは急性痛、慢性痛、神経障害痛、筋肉性痛及び炎症性痛より成る群から選ばれる痛み、偏頭痛;てんかん、不安状態及び尿失禁より成る群から選ばれる1種以上の疾患の治療のために適している。特に好ましくは、本発明による医薬は、痛み、特に好ましくは慢性痛み、神経障害痛、炎症性痛及び筋肉性痛の治療のために適している。
【0079】
さらに、本発明による化合物は、好ましくはてんかんの治療のために適している。
【0080】
本発明の他の主題は、少なくとも部分的にKCNQ2/3−チャンネルにより媒介される障害又は疾患の治療のための医薬を製造するための、少なくとも1種の本発明による置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物並びに場合により1種以上の薬学的に許容し得る助剤の使用である。
【0081】
痛み、好ましくは急性痛、慢性痛、神経障害痛、筋肉性痛及び炎症性痛より成る群から選ばれる痛み;偏頭痛、てんかん、不安状態及び尿失禁の治療のための医薬を製造するための、少なくとも1種の本発明による置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物並びに場合により1種以上の薬学的に許容し得る助剤の使用が有利である。
【0082】
特に、痛み、特に好ましくは慢性痛み、神経障害痛、炎症性痛及び筋肉性痛の治療のための医薬を製造するための、少なくとも1種の本発明による置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物並びに場合により1種以上の薬学的に許容し得る助剤の使用が有利である。さらに特に、てんかんの治療のための医薬の製造のための、少なくとも1種の本発明による置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物並び場合により1種以上の薬学的に許容し得る助剤の使用が有利である。
【0083】
痛みに対するこの有効性は、例えば下記するベネット(Bennett)モデル又はチュング(Chung)モデルにおいて示すことができる。てんかんに対するこの有効性は、例えばDBA/2マウスモデル(De Sarro et al.著, Naunyn-Schmiedeberg’s Arch. Pharmacol. 2001, 363, 330-336)において確認することができる。
【0084】
本発明の他の主題は、本発明による置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物の製造方法である。前記の反応において使用される薬品及び反応成分は市場で入手することができるか、又はそれぞれ当業者に公知の通常の方法により製造することができる。
【0085】
【化7】

【0086】
この場合、場合により置換された2−(1H−ピロロ−1−イル)エタンアミン及び一般式RC(=O)Hのアルデヒドの、
a) 有機酸、例えば酢酸中の溶液を、室温で6〜48時間撹拌するか、
又は
b) アルコール、例えばエタノール又はメタノール中の溶液を、有機酸、例えば酢酸又はクエン酸の添加下で、0〜100℃、好ましくは20℃〜78℃の温度で2〜48時間撹拌するか、
又は
c) 有機溶剤、例えばトルエン、ベンゼン又はDCM中の溶液に、ベンゾトリアゾール及び酸、例えばp−トルエンスルホン酸を添加し、水分離器で還流させる。
【0087】
溶剤の除去後に、残留物を塩基性の水溶液、例えば炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液中に収容し、有機溶剤、例えばDCM、クロロホルム、酢酸エチル又はジエチルエーテルで抽出することができる。それとは別に、前記残留物を有機溶剤、例えば酢酸エチル、DCM、クロロホルム又はジエチルエーテルに収容することもできる。前記有機相を、塩基性の水溶液、例えば炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液で洗浄することができる。
【0088】
=C(=O)(CH(C=O)Rのテトラヒドロピロロピラジンの製造
【0089】
【化8】

【0090】
前記の対応するテトラヒドロピロロピラジンを、有機塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルアミン又はピリジンの添加下で、有機溶剤、例えばDCE又はDCM中で、一般式HOOC(CH(C=O)OC〜C−アルキル(前記式中、C〜C−アルキルはこの場合好ましくはエチル、メチル又はtert−ブチルを示す)の酸と、30〜100℃、好ましくは30〜83℃の温度で、場合により塩基及び場合によりカップリング試薬の使用下で、溶剤、例えばメタノール、DMF又はDCM中で反応させる。塩基として、例えばナトリウムメタノラート、TEA、DIEA又はN−メチルモルホリンを使用することができる。カップリング試薬として、例えばEDCl、HOBt、DCC、CDI、HBTU、DMAP又はホスフィン酸ペンタフルオロフェニルジフェニルを使用するのが適している。この反応時間は1時間〜3日の間で可変である。
【0091】
一般式Cl(O=C)(CH(C=O)C〜C−アルキル又はBr(O=C)(CH(C=O)C〜C−アルキル酸塩化物又は酸臭化物は、溶剤、例えばDCM、ベンゼン、トルエン、THF、DMF、アセトニトリル、ピリジン、ジオキサン、水又は1−メチル−ピロリジン−2−オン又は前記溶剤の混合物中で、塩基、例えばピリジン、DIEA、TEA、N−メチルモルホリン又は炭酸水素ナトリウムの使用下で、場合によりカップリング試薬、例えばDCCの添加下で反応させることができる。
【0092】
前記保護基のC〜C−アルキルは、酸、例えばHCl、トリフルオロ酢酸又はp−トルエンスルホン酸を用いて、場合により適当な有機溶剤、例えばアセトニトリル、ジエチルエーテル、THF、DCM又はトルエン中で、−10〜120℃の温度で脱離することができる。さらに、水性無機塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムを、有機溶剤、例えばメタノール、エタノール、ジオキサン、DCM、THF、ジエチルエーテル中で又は混合物としての前記溶剤中で使用することも可能である。
【0093】
前記の対応するテトラヒドロピロロピラジンは、対応する無水物を、溶剤、例えばDCM、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、アセトン、アセトニトリル、ジオキサン、THF、DMF、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、水、メタノール、エタノール、プロパノール又はi−プロパノール中で、塩基、例えばトリエチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、NaHの添加により、場合により18−クラウン−6、NaOH、KOH、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム又は炭酸カリウムの添加下で、又は酸、例えば硫酸の添加下で、場合によりカップリング試薬、例えばDMAP、DCC又はDICの使用下で反応させることによって、テトラヒドロピロロピラジン−酸−誘導体に変換することもできる。
【0094】
この製造されたテトラヒドロピロロピラジン−酸−誘導体は、塩基、例えばナトリウムメタノラート、N−メチルモルホリン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミン、及びカップリング試薬、例えばEDCI又はCDI、DCC、HBTU、DMAP又はホスフィン酸ペンタフルオロフェニルジフェニル、並びに場合によりヒドロベンゾトリアゾールヒドラートの添加下で、対応するアミンNHR10と、有機溶剤、例えばDMF、DCM又はTHF中で、0〜100℃で、好ましくは20〜69℃で反応させて、RがC(=O)(CH(C=O)NR10を示す化合物に変換される。
【0095】
がC(=O)(CH(C=O)NHを示す化合物の製造のために、ジオキサン中でのNHとの対応する反応を実施する。
【0096】
【化9】

【0097】
他の方法は、対応するテトラヒドロピロロピラジンを一般式HOOC(CH)n(C=O)NR10の構成成分と反応させることよりなる。
【0098】
前記の構成成分は、式NHR10の対応するアミンと、モノアルキルジカルボン酸エステル又はジカルボン酸アルキルエステルクロリド又はジカルボン酸アルキルエステルブロミドとの反応によるか、又は対応するカルボン酸無水物との反応により得られる。
【0099】
モノアルキルジカルボン酸エステルと対応するアミンとの反応は、塩基の使用下で及び場合によりカップリング試薬の使用下で、溶剤、例えばメタノール、DMF又はDCM中で行われる。塩基として、例えばナトリウムメタノラート、TEA、DIEA又はN−メチルモルホリンを使用することができる。カップリング試薬として、例えばEDCl、HOBt、DCC、CDI、HBTU、DMAP又はホスフィン酸ペンタフルオロフェニルジフェニルを使用するのが適している。この反応時間は1時間〜3日の間で可変である。
【0100】
前記ジカルボン酸アルキルエステルクロリド又はジカルボン酸アルキルエステルブロミドは、溶剤、例えばDCM、ベンゼン、トルエン、THF、DMF、アセトニトリル、ピリジン、ジオキサン、水又は1−メチル−ピロリジン−2−オン又はこれらの溶剤の混合物中で、塩基、例えばピリジン、DIEA、TEA、N−メチルモルホリン又は炭酸水素ナトリウムの使用下で、場合によりカップリング試薬、例えばDCCの添加下で反応させる。
【0101】
前記の対応するカルボン酸無水物は、溶剤、例えばDCM、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、アセトン、アセトニトリル、ジオキサン、THF、DMF、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、水、メタノール、エタノール、プロパノール又はi−プロパノール中で、塩基、例えばトリエチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、NaHの添加により、場合により18−クラウン−6、NaOH、KOH、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム又は炭酸カリウムの添加下で、又は酸、例えば硫酸の添加下で、場合によりカップリング試薬、例えばDMAP、DCC又はDICの使用下で、対応する構成成分に変換される。
【0102】
前記の酸構成成分と前記のテトラヒドロピロロピラジンとの引き続くカップリングは、塩基、例えばナトリウムメタノラート、N−メチルモルホリン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミン、及び場合によりカップリング試薬、EDCI、CDI、DCC、HBTU、DMAP又はホスフィン酸ペンタフルオロフェニルジフェニル並びに場合によりヒドロキシベンゾトリアゾールヒドラートの添加下で、有機溶剤、例えばDMF、DCM又はTHF中で、0〜100℃、好ましくは20℃〜69℃で行われ前記化合物に変換される。
【0103】
は(C=O)(CHNR1112を示すテトラヒドロピロロピラジンの製造
【0104】
【化10】

【0105】
前記テトラヒドロピロロピラジンを、有機塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルアミン又はピリジンの添加下で、塩化クロロ酢酸と、40〜100℃、好ましくは40〜83℃の温度で反応させる。前記の対応する生成物は第1級又は第2級アミンと、好ましくはエタノール、n−ブタノール、トルエン又はクロロホルムより成る群から選ばれる反応媒体中で、場合により塩基性の塩、好ましくはNaCO又はKCOの添加下で、場合によりアルカリ金属ハロゲン化物、好ましくはヨウ化カリウム又はヨウ化ナトリウムの添加下で、場合により好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン及び4−ジメチルアミノ−ピリジンより成る群から選ばれる塩基、特に好ましくはトリエチルアミンの添加下で、0〜160℃、好ましくは20〜120℃の温度で反応させる。
【0106】
モノアルキル化されたアミンのアシル化
【0107】
【化11】

【0108】
室温で、一般式R20COOHの前記酸を、塩基、例えばジイソプロピルアミン、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミン及びカップリング試薬、例えばEDCl又はCDIの添加下で、並びに場合によりヒドロキシベンゾトリアゾールヒドラートを、前記の対応するテトラヒドロピロロピラジンと有機溶剤、例えばDCM又はTHF中で、0〜100℃、好ましくは20〜80℃で反応させる。
【0109】
これとは別に、テトラヒドロピロロピラジンを、塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン又はジイソプロピルアミンの添加下で、有機溶剤、例えばDCE又はDCM中で、一般式R20(CO)Cl又はR13SOClの酸塩化物と、0〜100℃、好ましくは20〜80℃の温度で反応させる。
【0110】
【化12】

【0111】
12はC(O)R20を示すこの生成物を、同様にテトラヒドロピロロピラジンとグリシン−誘導体との反応により得ることもできる。前記グリシン−誘導体は、塩基及び場合によりカップリング試薬の使用下で、溶剤、例えばメタノール、DMF又はDCM中でのグリシン−アルキルエステルと一般式R20(CO)OHの対応する酸との反応により得ることができる。塩基として、例えばナトリウムメタノラート、TEA、DIEA又はN−メチルモルホリンを使用することができる。カップリング試薬として、例えばEDCl、HOBt、DCC、CDI、HBTU、DMAP又はホスフィン酸ペンタフルオロフェニルジフェニルを使用するのが適している。この反応時間は1時間〜3日の間で可変である。
【0112】
このグリシン−アルキルエステルは、一般式R20(CO)Cl又はR20(CO)Brの対応する酸塩化物又は酸臭化物と反応させることもできる。前記カルボン酸塩化物又はカルボン酸臭化物は、溶剤、例えばDCM、ベンゼン、トルエン、THF、DMF、アセトニトリル、ピリジン、ジオキサン、水又は1−メチル−ピロリジン−2−オン又はこれらの溶剤の混合物中で、塩基、例えばピリジン、DIEA、TEA、N−メチルモルホリン又は炭酸水素ナトリウムの使用下で、場合によりカップリング試薬、例えばDCCの添加下で反応させる。
【0113】
前記アルキルエステルは、酸、例えばHCl、トリフルオロ酢酸又はp−トルエンスルホン酸を用いて、場合により適当な有機溶剤、例えばアセトニトリル、ジエチルエーテル、THF、DCM又はトルエン中で、−10〜120℃の温度で分解される。さらに、水性無機塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムを、有機溶剤、例えばメタノール、エタノール、ジオキサン、DCM、THF、ジエチルエーテル中で又は混合物としての前記溶剤中で使用することも可能である。
【0114】
グリシン−誘導体と対応するテトラヒドロピロロピラジンとのカップリングは、塩基の使用下で及び場合によりカップリング試薬の使用下で、溶剤、例えばメタノール、DMF又はDCM中で行われる。塩基として、例えばナトリウムメタノラート、TEA、DIEA又はN−メチルモルホリンを使用することができる。カップリング試薬として、例えばEDCl、HOBt、DCC、CDI、HBTU、DMAP又はホスフィン酸ペンタフルオロフェニルジフェニルを使用するのが適している。この反応時間は1時間〜3日の間で可変である。
【0115】
モノアルキル化されたアミンの尿素
【0116】
【化13】

【0117】
前記の対応するテトラヒドロピロロピラジン(R11=H)を、有機溶剤、例えばDCE、DCM、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、エタノール、アセトン、ジエチルエーテル、石油エーテル、ジオキサン又はTHF中で、一般式OCNR21のイソシアナートと、20℃〜110℃の温度で反応させて、RがC(=O)CHNR11(C=O)NHR21を示す化合物にする。
【0118】
前記の同じ生成物は、対応するテトラヒドロピロロピラジンと、官能化されたグリシン−構成成分との反応により得られる。
【0119】
前記グリシン−構成成分は、グリシン又はN−アルキルグリシンと、一般式OCNR21のイソシアナートとの、溶剤、例えばジオキサン、水、アセトン、ジエチルエーテル又はアセトニトリル又は前記溶剤の混合物中で、塩基、例えばトリエチルアミン、NaOH、KOH又はKCOの添加下で得られる。
【0120】
前記の両方の構成成分のカップリングは、塩基、例えばナトリウムメタノラート、N−メチルモルホリン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミン、及び場合によりカップリング試薬、例えばEDCI、CDI、DCC、HBTU、DMAP又はホスフィン酸ペンタフルオロフェニルジフェニル並びに場合によりヒドロキシベンゾトリアゾールヒドラートの添加下で、有機溶剤、例えばDMF、DCM又はTHF中で、0〜100℃、好ましくは20℃〜69℃で実施される。
【0121】
はCHC(=O)Rを示すテトラヒドロピロロピラジンの製造
【0122】
【化14】

【0123】
前記テトラヒドロピロロピラジンは、有機溶剤、例えばアセトニトリル、ベンゼン、トルエン、エタノール、DMF、THF又はジオキサン中で、塩基、例えば炭酸カリウム、NaOH、KOH、ナトリウムアミド、ナトリウムエタノラート、カリウム−tert−ブチラート、ナトリウムアミド、水素化ナトリウム、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンの添加下で、ブロモ酢酸エチルエステルと20℃〜160℃で反応させる。前記エステルは、酸、例えばHCl、トリフルオロ酢酸又はp−トルエンスルホン酸を用いて、場合により適当な有機溶剤、例えばアセトニトリル、ジエチルエーテル、THF、DCM又はトルエン中で、−10〜120℃の温度で分解することができる。
【0124】
さらに、水性無機塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムを、有機溶剤、例えばメタノール、ジオキサン、DCM、THF、ジエチルエーテル中で又は混合物としての前記溶剤中で使用することも可能である。
【0125】
はCH(C=O)NR10を示すテトラヒドロピロロピラジンの製造
【0126】
【化15】

【0127】
このテトラヒドロピロロピラジン−酸−誘導体は、塩基、例えばジイソプロピルアミン、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミン、及びカップリング試薬、例えばEDCI又はCDI、並びに場合によりヒドロベンゾトリアゾールヒドラートの添加下で、対応するアミンNHR10と、有機溶剤、例えばDCM又はTHF中で、0〜100℃で、好ましくは20〜69℃で反応させて、RがCH(C=O)NR10を示す化合物に変換することができる。
【0128】
がCH(C=O)NHを意味する化合物の製造のために、ジオキサン中でのNHとの対応する反応を実施する。
【0129】
前記の反応は、さらに、例えば圧力、温度、保護ガス雰囲気又は成分の添加順序に関してそれぞれ当業者に通常に公知の条件下で実施することができる。場合により、それぞれの条件下で当業者により簡単な予備試験により最適な方法実施を決定することができる。
【0130】
前記した全ての方法並びにそれぞれの中間生成物又は最終生成物の精製及び/又は単離も、部分的に又は完全に不活性雰囲気下で、好ましくは窒素雰囲気又はアルゴン雰囲気下で実施することができる。
【0131】
前記の本発明による置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物は、遊離塩基、遊離酸の形態でも、それぞれ対応する塩、特に生理学的に許容される塩の形態でも単離することができる。
【0132】
前記のそれぞれの本発明による置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物の遊離塩基は、例えば無機又は有機酸、好ましくは塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、炭酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、マンデル酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、グルタミン酸又はアスパラギン酸との反応により、対応する塩、好ましくは生理学的に許容できる塩に変換することができる。
【0133】
それぞれの本発明による置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物の遊離塩基は、同様に遊離酸又は糖代用物、例えばサッカリン、シクラマート又はアセスルファムの塩を用いて、対応する生理学的に許容できる塩に変換することができる。
【0134】
対応して、本発明による置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物の遊離酸は、適当な塩基と反応させることにより、対応する生理学的に許容できる塩の形に変換することができる。例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩[NHxR4-x]+(式中、x=0、1、2、3又は4、Rは線状鎖又は分枝鎖のC1〜C4−アルキル基を示す)が挙げられる。
【0135】
前記の本発明による置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物は、場合により、適当な酸、適当な塩基又は前記化合物の塩と同様に、当業者に公知の通常の方法により、溶媒和物の形で、好ましくは水和物の形で得ることができる。
【0136】
本発明による置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物は、その製造によりその立体異性体の混合物の形で、好ましくはそのラセミ体又はその多様なエナンチオマー及び/又はジアステレオマーの他の混合物の形で得られる場合に限り、これらは当業者に公知の通常の方法により分離及び場合により単離することができる。例えば、クロマトグラフィーによる分離法、特に常圧下又は高圧下での液体クロマトグラフィー法、好ましくはMPLC法及びHPLC法、並びに分別晶出の方法を挙げることができる。この場合、特に個々のエナンチオマーは、例えばキラル固定相でのHPLCを用いるか又はキラル酸、例えば(+)−酒石酸、(−)−酒石酸又は(+)−10−ショウノウスルホン酸を用いる晶出を用いて形成されたジアステレオマーの塩を相互に分離することができる。
【0137】
本発明による医薬は、液状、半固体又は固体の医薬剤形として、例えば注射溶液、滴剤、液剤、シロップ剤、スプレー剤、懸濁剤、錠剤、パッチ剤、カプセル剤、プラスター、坐剤、軟膏、クリーム、ローション剤、ゲル、エマルション、エアロゾルの形で又は多粒子の形で、例えばペレット又は顆粒剤の形、場合によりタブレットに圧縮成形され、カプセルに充填され又は液体中に懸濁されて存在しかつそれ自体も投与することができる。少なくとも1種の本発明による置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物の他に、本発明による医薬は、通常の他の生理学的に許容される製剤学的助剤、好ましくは担持剤、充填剤、溶剤、希釈剤、界面活性物質、着色剤、保存剤、崩壊剤、離型剤、滑剤、香料及び結合剤からなるグループから選択することができる製剤学的助剤を含有する。
【0138】
生理学的に許容される助剤の選択並びにその使用されるべき量は、前記医薬が、経口、皮下、腸管外、静脈内、腹腔内、皮内、筋肉内、点鼻、バッカル、直腸又は局所、例えば皮膚、粘膜及び目の感染に対して適用されるかどうかに依存する。経口適用のために、好ましくは錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、顆粒剤、ペレット剤、滴剤、液剤及びシロップ剤の形の調製物が適しており、腸管外、局所及び吸入適用のために、溶液、懸濁液、容易に再構築可能な乾燥調製物並びにスプレー剤が適している。
【0139】
場合により皮膚浸透を促進する薬剤を添加されている溶解した形のデポー剤の形又はプラスターの形での本発明による医薬中に使用される本発明による置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物は、適当な経皮適用調製物として存在することができる。
【0140】
経口又は経皮適用することができる調製物は、それぞれ本発明による置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物を遅延放出することもできる。
【0141】
本発明による医薬の製造は、従来の技術から公知の通常の手段、装置、手法及び方法を用いて、例えば“Remingtons Pharmaceutical Sciences”, 編者A.R. Gennaro, 第17版, Mack Publishing Company, Easton, Pa, 1985, 特に第8部、第76章〜第93章に記載されているように行われる。対応する記載はこれにより本願明細書に援用され、この開示の一部と見なされる。
【0142】
本発明によるそれぞれの置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物の患者に投与すべき量は可変であることができ、例えば患者の体重又は年齢並びに適用種類、適応症及び疾患の重度に依存する。通常では、患者の体重1kg当たり、少なくとも1種のこのような本発明による化合物0.005〜100mg、好ましくは0.05〜75mgが適用される。
【0143】
次に、実施例を用いて本発明を説明する。この説明は単なる例示にすぎず、全般的な発明思想を制限するものではない。
【実施例】
【0144】
この実施例中で、基R4a、R5a及びR6aは、それぞれHを示す。
【0145】
2−(1H−ピロロ−1−イル)エタンアミンの合成
ピロール(0.06mol)のアセトニトリル(33ml)中の溶液に、NaOH(9.4g、0.23mol)及び硫酸水素テトラブチルアンモニウム(0.8g;2.36mmol)を添加し、室温で30分間撹拌した。2−クロロエチルアミン塩酸塩(8.2g;0.07mol)を添加した後に、24時間還流下で加熱した。冷却後に、不溶性の無機残留物を濾別し、この溶剤を減圧下で除去した。粗製生成物が得られ、この粗製生成物をさらに精製することなしに次の反応のために使用した。
【0146】
1−アリール−1,2,3,4−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピラジンの合成
【0147】
【化16】

【0148】
方法A
2−(1H−ピロール−1−イル)エタンアミン(0.1mol)及び対応するアルデヒド(0.1mol)の酢酸(250ml)中の溶液を、室温で48時間撹拌した。反応が完了した後に、前記溶剤を回転蒸発器で除去し、この残留物を炭酸ナトリウム水溶液(10%)中に収容し、DCMで抽出した。引き続き、この有機相をMgSOで乾燥し、真空中で濃縮した。
【0149】
精製を、中性Alによるカラムクロマトグラフィーによるか、又は2−プロパノールで洗浄するか、又は2−プロパノール/n−ヘキサンで晶析することにより行った。
【0150】
方法B
2−(1H−ピロール−1−イル)エタンアミン(0.05mol)及び対応するアルデヒド(0.05mol)のエタノール(25ml)中の溶液に酢酸(0.3ml)を添加し、10分間還流下で加熱した。引き続き、室温でさらに1時間後撹拌した。この反応混合物を回転蒸発器で濃縮し、酢酸エチル中に収容した。この有機相を、NaHCO溶液で洗浄し、MgSOにより乾燥し、濃縮した。
【0151】
精製は、中性のAlを用いるカラムクロマトグラフィーにより行った。
【0152】
【化17】

【0153】
方法C
2(1H−ピロール−1−イル)エタンアミン(8.5g、77.2mmol)のDCM(250ml)中の溶液に、まずトリエチルアミン(19.5ml、140mmol)を添加し、0℃に冷却した。引き続き、対応する酸塩化物(84.9mmol)を添加し、室温で一晩中撹拌した。この反応バッチを減圧下で乾燥のために濃縮した。この残留物を、DCM(150ml)中に収容し、NaOH水溶液(1M、150ml)で洗浄し、乾燥のために濃縮した。この得られたアミドをシリカゲル(展開剤DCM/MeOH、95:5)を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0154】
POCl(50ml)に、対応するアミド(50.7mmol)を室温で添加し、2時間還流下で加熱した。室温に冷却した後、乾燥のために濃縮し、得られた残留物をDCM(300ml)中に収容し、NHOH水溶液(10%、300ml)で洗浄した。この有機相を硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、引き続き乾燥のために濃縮した。この生成したイミンの精製を、シリカゲル(展開剤:MeOH中のDCM/7M NH、95:5)を用いるカラムクロマトグラフィーにより行った。
【0155】
前記イミン(22.6mmol)のMeOH/(10:1、150ml)中の溶液に、ゆっくりとNaBH(2.57g、67.8mmol)を添加し、室温で一晩中撹拌した。この反応は未だに不完全であった(DCコントロール)ので、さらにNaBH(0.86g、22.6mmol)を添加し、新たに一晩中撹拌した。この反応バッチを、引き続き濃縮し、この残留物をNHOH(10%、450ml)中に収容し、DCM(450ml)で抽出した。この有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。この粗製生成物をシリカゲルを用いるカラムクロマトグラフィーにより精製した(展開剤:MeOH中のDCM/7M NH、98:2)。
【0156】
実施例化合物の合成のために、次のテトラヒドロピロロピラジンを使用した:
【0157】
【表2】

【0158】

【0159】

【0160】

【0161】

【0162】
塩化マロン酸モノエチルエステル又は塩化コハク酸モノエチルエステルを用いたN−アシル化
【0163】
【化18】

【0164】
CaCl−乾燥管を備えた丸底フラスコ中に、対応する1−アリール−テトラヒドロピロロピラジン(12.0mmol)を添加し、DCE(40ml)中に溶かした。この極めて良好に撹拌した溶液に、TEA(前記酸塩化物に対して1.2〜2mol当量)を添加し、引き続き対応する酸塩化物1.2〜2mol当量(1−アリールテトラヒドロピロロピラジンに対して)を添加し、前記丸底フラスコを窒素でパージし、この反応バッチを2〜4時間軽度に加熱した(約40℃、DCコントロール)。
【0165】
反応が完了した後、前記溶液をDCEで希釈(約25ml)し、水で2回抽出した(2×10ml)。この水相を、さらにDCEで2回抽出し(2×10ml)、この合わせた有機相をMgSOで乾燥し、真空中で濃縮した。この粗製生成物を、さらに精製することなしに次の反応のために使用した。
【0166】
収率:80〜90%
塩化マロン酸モノエチルエステル又は塩化コハク酸モノエチルエステルのアシル化の粗製生成物(約10mmol)は、エタノール/水及びNaOH(12ml/3ml/1.2mol当量固体NaOH、前記エステルに対して)からなる混合物中に溶かし、窒素雰囲気下で室温で、前記反応が完了するまで撹拌した(DCコントロール)。前記エタノールを真空中で除去し、生じた油状物を水(約20ml)中に溶かし、酢酸エチルか又はジエチルエーテルで洗浄した。この塩基性の水相を回転蒸発器中で有機溶剤の残りを除去し、氷浴中で10℃未満にまで冷却した後に3%の水性HClで酸性化し(約pH4〜6、それぞれ計算されたlogD値に応じて)及びDCM(2×25ml)で抽出した。MgSOで乾燥した後に、溶剤を減圧下で除去した。
【0167】
この精製を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、展開剤クロロホルム)によるか、又はクロロホルム中に溶解させるか、又は前記粗製生成物をクロロホルム中に溶解させ、シリカゲルを添加し、引き続き濾過することにより行った。この残留物を、引き続き2−プロパノール/n−ヘキサンから再結晶させた。
【0168】
収率:35%−定量的
マロン酸誘導体又はコハク酸誘導体のアミド化
【0169】
【化19】

【0170】
自動化された合成法
加熱及び撹拌する手段を備えた反応器(6×8マトリックス)中で、Cavro RSP 9000ロボットシステムを用いて、まず対応するマロン酸誘導体又はコハク酸誘導体の溶液(250μmol、DCE中で0.1〜0.2M、1.25〜2.5ml)を円錐状のねじ式ふたを備えたガラス管中に装入した。この溶液は、真空乾燥庫中で乾燥されたこの対応するマロン酸誘導体又はコハク酸誘導体を、1.05mol当量の1,1’−カルボニル−ジイミダゾールとDCE中で混合し、引き続き水不含で室温で1.5時間放置した。引き続き、この溶液を0.1〜0.2モルの溶液が生じるまで希釈した。
【0171】
この溶液に対応するアミン(275μmol、0.5M、0.55ml)を添加し、この反応容器を閉鎖した。この反応は、原則として室温で実施し、芳香族アミンだけは60℃に加熱しなければならなかった。
【0172】
後処理のために、まずKCO溶液(水中5%、1ml)及び引き続き水(1ml)で洗浄した。引き続くDC制御の場合に、まだ痕跡程度のアミンが確認された場合に、まずHCl溶液(水中3%、1ml)で、引き続きKCO溶液(水中5%、1ml)及びそれに引き続き水(1ml)で洗浄した。
【0173】
この有機相をエタノールで希釈し(0.5ml)、風袋計量されたガラス管に移した。この溶剤を引き続き真空中で一定重量になるまで除去した。
【0174】
モノアルキル化されたアミンの合成
【0175】
【化20】

【0176】
CaCl−乾燥管を備えた丸底フラスコ中に、対応する1−アリール−テトラヒドロピロロピラジン(72mmol)を添加し、DCE(200ml)中に溶かした。この極めて良好に撹拌した溶液に、TEA(前記酸塩化物に対して2mol当量)を添加し、引き続き塩化クロロ酢酸1.2mol当量(前記1−アリールテトラヒドロピロロピラジンに対して)を添加し、前記丸底フラスコを窒素でパージし、この反応バッチを2〜4時間軽度に加熱した(約40℃、DCコントロール)。
【0177】
反応が完了した後、前記溶液をDCEで希釈(約120ml)し、水で2回抽出した(2×10ml)。この水相を、さらにDCEで2回抽出し(2×50ml)、この合わせた有機相をMgSOで乾燥し、真空中で濃縮した。この粗製生成物を、さらに精製することなしに次の反応のために使用した。
【0178】
CaCl−乾燥管を備えた100mlの丸底フラスコ中に、対応する1−アリール−テトラヒドロピロロピラジン(8〜12mmol)及び対応する第1級アミン(20〜30ml、約25〜40mol当量)を合わせて添加した。この反応バッチを、室温で一晩中完全に反応するまで撹拌した。過剰量のアミンを真空中で除去し、残留した油状物をジエチルエーテル(50ml)中に収容し、酢酸で2回(水中3%、それぞれ50ml)抽出した。この合わせた水相を氷浴中で冷却し、NaCO溶液(水中10%)で約pH8〜9に調節した。引き続き、それぞれDCM50mlで5回抽出し、この合わせた有機相を水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空中で濃縮した。一般に、前記生成物はさらに精製することなしにさらに使用することができた。いくつかの場合には、カラムクロマトグラフィーにより精製した(シリカゲル、CHCl3)。収率:50〜75%。
【0179】
モノアルキル化されたアミンのアシル化
【0180】
【化21】

【0181】
自動化された合成法
加熱及び撹拌のための手段を備えた反応器(6×8マトリックス)中で、Cavro RSP 9000ロボットシステムを用いて、まず対応するモノアルキル化されたアミンの溶液(250μmol、DCE中で0.1〜0.2M、1.25〜2.5ml)を円錐状のねじ式ふたを備えたガラス管中に装入し、引き続き、最初にTEAの溶液(500μmol、DCE中で1M、0.5ml)及び引き続き対応するカルボン酸塩化物の溶液(275μmol、DCE中で0.5M、0.55ml)を添加し、閉鎖し、室温で完全に反応するまで撹拌した(DCコントロール)。
【0182】
この精製を、Cavro RSP 9000ロボットシステムを用いて行った。精製のために、まずKCO溶液(水中5%、1ml)をピペットで添加し、カルボン酸の残りを除去した。引き続き前記有機相を水(1ml)で洗浄した。DC制御によりなおカルボン酸の痕跡が検出された場合には、トリス−(アミノエチル)−アミン−スカベンジャー樹脂を使用した。場合により存在する痕跡程度の1−アリール−テトラヒドロピロロピラジンの分離のために、前記有機相をHCl溶液(水中3%、1ml)及び引き続きKCO溶液(水中5%、1ml)で洗浄した。この有機相をエタノールで希釈し(0.5ml)、風袋計量されたガラス管に移した。この溶剤を引き続き真空中で一定重量になるまで除去した。
【0183】
モノアルキル化されたアミンのスルホニル化
【0184】
【化22】

【0185】
自動化された合成法
加熱及び撹拌のための手段を備えた反応器(6×8マトリックス)中で、Cavro RSP 9000ロボットシステムを用いて、まず対応するモノアルキル化されたアミンの溶液(250μmol、DCE中で0.1〜0.2M、1.25〜2.5ml)を円錐状のねじ式ふたを備えたガラス管中に装入し、引き続き、最初にTEAの溶液(500μmol、DCE中で1M、0.5ml)及び引き続き対応するスルホン酸塩化物の溶液(275μmol、DCE中で0.5M、0.55ml)を添加し、閉鎖し、室温で完全に反応するまで撹拌した(DCコントロール)。
【0186】
この精製を、Cavro RSP 9000ロボットシステムを用いて行った。精製のために、まずKCO溶液(水中5%、1ml)をピペットで添加し、スルホン酸の残りを除去した。引き続き前記有機相を水(1ml)で洗浄した。DC制御によりなおスルホン酸の痕跡が検出された場合には、トリス−(アミノエチル)−アミン−スカベンジャー樹脂を使用した。場合により存在する痕跡程度の1−アリール−テトラヒドロピロロピラジンの分離のために、前記有機相をHCl溶液(水中3%、1ml)及び引き続きKCO溶液(水中5%、1ml)で洗浄した。この有機相をエタノールで希釈し(0.5ml)、風袋計量されたガラス管に移した。この溶剤を引き続き真空中で一定重量になるまで除去した。
【0187】
モノアルキル化されたアミンの尿素
【0188】
【化23】

【0189】
加熱及び撹拌のための手段を備えた反応器(6×8マトリックス)中で、Cavro RSP 9000ロボットシステムを用いて、まず対応するモノアルキル化されたアミンの溶液(250μmol、DCE中で0.1〜0.2M、1.25〜2.5ml)を円錐状のねじ式ふたを備えたガラス管中に装入し、引き続き、対応するイソシアナートの溶液(250μmol、0.5M、0.5ml)を添加し、閉鎖し、室温で完全に反応するまで撹拌し(DCコントロール)、場合によりさらにイソシアナート溶液を添加した。
【0190】
この精製を、Cavro RSP 9000ロボットシステムを用いて行った。場合により存在する痕跡程度の1−アリール−テトラヒドロピロロピラジンの分離のために、前記有機相をHCl溶液(水中3%、1ml)及び引き続きまずKCO溶液(水中5%、1ml)で、次いで水(1ml)で洗浄した。この有機相をエタノールで希釈し(0.5ml)、風袋計量されたガラス管に移した。この溶剤を引き続き真空中で一定重量になるまで除去した。
【0191】
1−アリールテトラヒドロピロロピラジン−骨核のN−アルキル化
【0192】
【化24】

【0193】
ピロロピラジン(10mmol)、アセトニトリル(10ml)、微粉末のKCO及び前記ハロゲンアルカンの混合物を撹拌しながらかつ窒素雰囲気下で、前記ピロロピラジンが完全に反応するまで還流下で加熱した(DCコントロール、約1〜2h)。引き続き、この溶剤を回転蒸発器で完全に除去した。この残留物をクロロホルム中に収容し(約10ml)、水で洗浄した(約5ml)。この有機相を、MgSOで乾燥し、真空中で濃縮した。この粗製生成物を、さらに精製することなしに次の反応のために使用した。
【0194】
収率:80〜90%
N−アルキル化された1−アリールテトラヒドロピロロピラジンのアミド化
【0195】
【化25】

【0196】
自動化された合成法
加熱及び撹拌する手段を備えた反応器(6×8マトリックス)中で、Cavro RSP 9000ロボットシステムを用いて、まず対応するマロン酸誘導体又はコハク酸誘導体の溶液(250μmol、DCE中で0.1〜0.2M、1.25〜2.5ml)を円錐状のねじ式ふたを備えたガラス管中に装入した。この溶液は、真空乾燥庫中で乾燥された対応するマロン酸誘導体又はコハク酸誘導体を、1.05mol当量の1,1−カルボニル−ジイミダゾールとDCE中で混合し、引き続き水不含で室温で1.5時間放置した。引き続き、この溶液を0.1〜0.2モルの溶液が生じるまで希釈した。
【0197】
この溶液に対応するアミン(275μmol、0.5M、0.55ml)を添加し、この反応容器を閉鎖した。この反応は、原則として室温で実施し、芳香族アミンだけは60℃に加熱しなければならなかった。
【0198】
後処理のために、まずKCO溶液(水中5%、1ml)及び引き続き水(1ml)で洗浄した。引き続くDC生後の場合に、まだ痕跡程度のアミンが確認された場合に、まずHCl溶液(水中3%、1ml)で、引き続きKCO溶液(水中5%、1ml)及びそれに引き続き水(1ml)で洗浄した。
【0199】
この有機相をエタノールで希釈し(0.5ml)、風袋計量されたガラス管に移した。この溶剤を引き続き真空中で一定重量になるまで除去した。
【0200】
2−[1−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル)−3,4−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−N−(3−トリフルオロメチル−ベンジル)−アセトアミド 8
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) d ppm 2.69 - 2.96 (m, 2 H) 2.96 - 3.16 (m, 2 H) 3.86 - 4.09 (m, 1 H) 4.14 - 4.28 (m, 5 H) 4.35 (m, 2 H) 4.51 (s, 1 H) 5.17 (br. s., 1 H) 5.90 (t, J=3.02 Hz, 1 H) 6.62 (br. s., 1 H) 6.77 (d, J = 8.31 Hz, 1 H) 6.86 (dd, J = 8.31, 1.51 Hz, 1 H) 6.92 (d, J = 2.27 Hz, 1 H) 7.49 - 7.63 (m, 4 H) 8.62 (t, J = 6.04 Hz, 1 H)
次の実施例を、上記の手法により合成し、HPLCにより精製した。分析をHPLC−MSで行った。全ての場合において、この質量をESI−MSにより検出し、純度は85%を上回っていた。
【0201】
【表3】











【0202】
実施例化合物76〜82、87、88及び92の合成
4−オキソ−4−(3−(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ)ブタン酸(S1)の合成
無水コハク酸7.54g(75.4mmol)のエーテル(89ml)中の懸濁液に、(3−(トリフルオロメチル)フェニル)メチルアミン15.0g(85.6mmol)のエーテル(18ml)中の溶液を30分間にわたり滴加し、引き続き室温で72時間撹拌した。生じた沈殿物を吸引濾過し、これをエーテルで後洗浄した。残留物を乾燥し、引き続きエーテルから晶析させた。前記の晶析生成物のSC(EE/MeOH 2:1)により、4−オキソ−4−(3−(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ)ブタン酸(S1)13.2g(47.9mmol、64%)が得られた。
【0203】
4−オキソ−4−(1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)エチルアミノ)ブタン酸(S2)の合成
無水コハク酸2.33g(23.3mmol)のエーテル(28ml)中の懸濁液に、1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)エチルアミン5.0g(26.5mmol)のエーテル(6ml)中の溶液を30分間にわたり滴下した。引き続き、室温で72時間撹拌した。生じた沈殿物を吸引濾過し、真空中で40℃で1時間乾燥させた。この残留物のSC(EE/MeOH 1:4)により、4−オキソ−4−(1−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)エチルアミノ)ブタン酸3.68g(12.7mmol、55%)が得られた(S2)。
【0204】
(E)−2−(3−(2−フルオロフェニル)アクリルアミド)酢酸S7の合成
a) (E)−2−(3−(2−フルオロフェニル)アクリルアミド)酢酸メチルエステルの合成
2’−フルオロケイ皮酸(3.3g、20.0mmol)のDCE(60ml)中の溶液に、CDI(3.9g、24.0mmol)を添加し、この反応混合物を室温で2時間撹拌した。引き続き、グリシンメチルエステル塩酸塩(2.76g、22.0mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(4.37ml、25.0mmol)を添加し、室温でさらに5時間撹拌した。次いで、DCM(20ml)で希釈し、水で洗浄した。前記有機相を、MgSOで乾燥し、真空中で濃縮した。この残留物を用いたSC(DCE/エタノール 20:1)により、(E)−2−(3−(2−フルオロフェニル)アクリルアミド)酢酸メチルエステル2.4g(10.1mmol、51%)が得られた。
【0205】
b) (E)−2−(3−(2−フルオロフェニル)アクリルアミド)酢酸の合成
(E)−2−(3−(2−フルオロフェニル)アクリルアミド)酢酸−メチルエステル(2.34g、9.9mmol)のエタノール(50ml)中の溶液に、水酸化ナトリウム(400mg、10.0mmol)の水(2ml)中の溶液を添加した。この反応溶液を室温で1h撹拌し、引き続き真空中で濃縮した。この残留物を水に収容し、酢酸エチルで2回洗浄した。次いで、この水相を3%塩酸で注意深くpH4に調節し、これを酢酸エチルで抽出した。この有機相を真空中で濃縮し、残留物として、(E)−2−(3−(2−フルオロフェニル)アクリルアミド)酢酸(S7)1.22g(5.5mmol、55%)が得られた。
【0206】
2−アミノ−1−(1−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)エタノン A23
a) tert−ブチル2−オキソ−2−(1−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)エチルカルバマートの合成
Boc−グリシン(1.2g、6.7mmol)のDCE(20ml)中の溶液に、DCI(1.1g、7.0mmol)を添加し、室温で100分間撹拌した。引き続き、1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン(A2)(1.3g、6.7mmol)を添加し、室温でさらに2時間撹拌した。その後で50℃で2時間加熱した。引き続き、Boc−グリシンイミダゾリド(450mg、2mmol)を添加し、これを2時間還流下で加熱した。室温に冷却した後に、連続して5%炭酸ナトリウム水溶液、5%クエン酸水溶液、水及びブラインで洗浄した。有機相を、MgSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。前記残留物を用いるSC(DCE)により、tert−ブチル2−オキソ−2−(1−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)エチルカルバマート1.4g(4.1mmol、61%)が得られた。
【0207】
b) 2−アミノ−1−(1−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)エタノンの合成
tert−ブチル2−オキソ−2−(1−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ−[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)エチルカルバマート(1.6g、4.6mmol)のDCM(20ml)の溶液にTFA(20ml)を添加し、室温で1時間撹拌した。引き続き、冷却(氷浴)しながら水で希釈し、20%炭酸カリウム水溶液でpH10に調節した。この水相を塩化ナトリウムで飽和し、引き続きクロロホルムで抽出した。有機相を、MgSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。SC(DCE/EtOH/濃水性NH 5:1:0.06)により、2−アミノ−1−(1−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)エタノン(A23)298mg(1.2mmol、26%)が得られた。
【0208】
アシル化反応
方法A
対応するブタン酸誘導体(S1又はS2)(1.0mmol)のTHF(8ml)中の溶液に、対応するテトラヒドロピロロピラジン(1.1mmol)、NEt(263μl、1.9mmol)及びHATU(380mg、1.0mmol)を添加した。この反応溶液を室温で2日間撹拌し、引き続き真空中で濃縮した。SC(EE/DCM 1:9→1:1)により粗製生成物を精製した。
【0209】
方法B
対応する酸(1.68mmol)のDCM(27ml)中の溶液にCDI(286mg、1.76mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。引き続き、対応するアミン(1.68mmol)を添加し、室温でさらに16時間撹拌した。その後で、4N塩化アンモニウム水溶液を添加し、この相を分離した。この水相を、DCMでさらに2回抽出した。この有機相を合わせ、1M炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空中で濃縮した。この粗製生成物をSC(酢酸エチル)で精製した。
【0210】
方法C
対応するアミン構成成分(0.7mmol)のDCM(20ml)中の溶液に、対応する酸(1.05mmol及びPS−ジイミド(1.18g、約1.4mmol)を添加した。引き続き、室温で2時間振盪させた。その後で前記樹脂を濾別し、DCM及びMeOHで数回後洗浄した。この濾液を真空中で濃縮した。この残留物を用いたSC(DCE/エタノール 20:1)により、対応する生成物が得られた。
実施例化合物76〜82の合成
【0211】
【化26】

【0212】
【表4】

【0213】


【0214】
実施例化合物87及び88の合成
【0215】
【化27】

【0216】
【表5】

【0217】
実施例化合物92の合成
【0218】
【化28】

【0219】
【表6】

【0220】
実施例化合物83〜86、89及び90の合成
【0221】
【化29】

【0222】
4−オキソ−4−(1−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)ブタン酸(S3)の合成
無水コハク酸(176mg、1.76mmol)のMeCN(28ml)中の懸濁液に、1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン(A2)(396mg、2.0mmol)及びNEt(277μl、2.0mmol)を添加し、室温で16時間撹拌した。引き続き、EE(30ml)で希釈し、2N塩酸(2×5ml)で洗浄した。有機相を、MgSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。この得られた残留物をEE(50ml)中に収容し、新たに2N塩酸(20ml)で、引き続き飽和炭酸ナトリウム水溶液(2×30ml)で洗浄した。再びこの有機相を、MgSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。この残留物を用いたSC(EE/MeOH 3:1)により、4−オキソ−4−(1−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)ブタン酸(S3)230mg(0.77mmol、44%)が得られた。
【0223】
4−(1−メチル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)−4−オキソブタン酸 S4の合成
無水コハク酸(558mg、5.6mmol)のTHF(10ml)中の懸濁液に、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン(A21)(190mg、1.4mmol)のTHF(10ml)中の溶液を30分間にわたり滴加した。引き続き室温で2時間撹拌し、真空中で濃縮した。この残留物をクロロホルムで収容し、水及びブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、真空中で濃縮した。その際、4−(1−メチル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)−4−オキソブタン酸(S4)257mg(0.92mmol、54%)が得られた。
【0224】
3−オキソ−3−(1−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)プロパン酸 5Sの合成
【0225】
【化30】

【0226】
a) 3−オキソ−3−(1−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)プロパン酸メチルエステルの合成
1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン(A2)(1.5g、7.6mmol)及びNEt(1.27ml、9.1mmol)のDCM(35ml)中の溶液に、強力に撹拌及び冷却(氷浴)しながら、メチル−マロニル−クロリド(852μl、7.9mmol)のDCM(5ml)中の溶液を滴加した。引き続き、室温で60分間後撹拌した。次いで、水及びブラインで洗浄し、この有機相をMgSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。SC(クロロホルム/酢酸エチル 10:1)により、3−オキソ−3−(1−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)プロパン酸メチルエステル1.26g(4.2mmol、55%)が得られた。
【0227】
b) 3−オキソ−3−(1−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)プロパン酸の合成
3−オキソ−3−(1−フェニル−3,4−ジヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)プロパン酸メチルエステル(41.26g、55%)のエタノール(20ml)中の溶液に、水酸化カリウム(260mg、4.6mmol)の水(10ml)中の溶液を添加した。この反応溶液を室温で3時間撹拌し、引き続き真空中で濃縮した。
【0228】
この残留物を水に収容し、酢酸エチルで2回洗浄した。次いで、この水相を20%塩酸でpH4に調節し、これをジクロロメタンで抽出した。前記有機相を真空中で濃縮し、その際、残留物として、3−オキソ−3−(1−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)プロパン酸(S5)1.03g(3.8mmol、86%)が得られた。
【0229】
アシル化
対応する酸S3、S4又はS5(1.68mmol)のDCM(27ml)中の溶液にCDI(286mg、1.76mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。引き続き、対応するアミン(1.68mmol)を添加し、室温でさらに16時間撹拌した。その後で、4N塩化アンモニウム水溶液を添加し、この相を分離した。この水相を、DCMでさらに2回抽出した。この有機相を合わせ、1M炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空中で濃縮した。この粗製生成物をSC(酢酸エチル)で精製した。
【0230】
【表7】



【0231】
実施例化合物91の合成
【0232】
【化31】

【0233】
2−(1−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)酢酸
a) 2−(1−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)酢酸メチルエステルの合成
1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン(1.0g、5.0mmol)、2−ブロモ酢酸エチルエステル(587μl、5.3mmol)及び炭酸カリウム(1.74g、12.6mmol)のアセトニトリル(20ml)中の混合物を、2時間還流しながら加熱した。その後で、水(10ml)及びEE(20ml)を添加し、15分間撹拌し、前記相を分離した。前記有機相を、MgSOで乾燥し、真空中で濃縮した。残留物として2−(1−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)酢酸メチルエステル1.38gが得られ、これはさらに精製することなしに次の工程に使用した。
【0234】
b) 2−(1−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)酢酸の合成
2−(1−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)酢酸メチルエステル(粗製生成物1.38g、約5.04mmol)のエタノール(20ml)の溶液に、水酸化カリウム(300mg、5.3mmol)の水(10ml)中の溶液を添加した。この反応溶液を室温で3時間撹拌し、引き続き真空中で濃縮した。
【0235】
この残留物を水に収容し、EEで2回洗浄した。次いで、この水相を20%塩酸でpH4に調節し、これをジクロロメタンで抽出した。前記有機相を真空中で濃縮し、その際、残留物として、2−(1−フェニル−3,4−ジヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)酢酸950mg(3.7mmol、74%)が得られた。
【0236】
アシル化
前記酸S6(1.68mmol)のDCM(27ml)中の溶液にCDI(286mg、1.76mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。引き続き、対応するアミン(1.68mmol)を添加し、室温でさらに16時間撹拌した。その後で、4N塩化アンモニウム水溶液を添加し、この相を分離した。この水相を、DCMでさらに2回抽出した。この有機相を合わせ、1M炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空中で濃縮した。この粗製生成物をSC(酢酸エチル)で精製した。
【0237】
【表8】

【0238】
生物学的データ
「膜電位感受性色素(voltage sensitive dyes)」の使用下での蛍光アッセイ
ヒトKCNQ2/3チャンネルを発現するCHO−K1−細胞を、細胞培養フラスコ(例えば80cmのTCフラスコ、Nunc)中で、MEMアルファ媒体(MEM Alpha Medium)(1×、液状、Invitrogen、#22571)、10%牛胎児血清(FCS)(Invitrogen、#10270-106、熱により不活性化)及び必要な選択抗生物質と共に、37℃、5%CO及び95%空気湿度で接着性に培養した。
【0239】
測定のために播種する前に、前記細胞をCa2+/Mg2+なしの1×DPBS緩衝液(例えば、Invitrogen、#14190-094)で洗浄し、Accutase(PAA Laboratories、#L11-007)を用いて培養容器の底部から剥離させた(37℃で15分間Accutaseと一緒にインキュベーション)。次に存在する細胞数の決定を、CASYTM細胞カウンター(モデルTCC、Schaerfe System)を用いて実施し、引き続き20000細胞/ウェル/前記培養基100μlを、タイプCorningTM CellBINDTMの96ウェル−測定プレート(Flat Clear Bottom Black Polystyrene Microplates, #3340)上に播種した。その後に、室温で通気なし又は空気湿度の調節なしで1時間のインキュベーションを行い、37℃、5%CO及び95%空気湿度での24時間のインキュベーションを続けた。
【0240】
膜電位アッセイキット(RedTM Bulk format part R8123 for FLIPR, Molecular DevicesTM)からの電位感受性蛍光染料を、膜電位アッセイキットのレッドコンポーネントA(Membrane Potential Assay Kit Red Component A)の容器の内容物を細胞外緩衝液(PS緩衝液、120mM NaCl、1mM KCl、10mM HEPES、2mM CaCl、2mM MgCl、10mM グルコース;pH7.4)200ml中に溶かすことにより準備した。培養基を除去した後に、前記細胞をES緩衝液200μlで洗浄し、引き続き上記の染料溶液100μlで覆い、室温で45分間光遮断下でインキュベーションした。
【0241】
この蛍光測定を、BMG Labtech FLUOstarTM装置又はBMG Labtech POLARstarTM装置を用いて実施した(525nmエクシケーション、560nmエミッション、ボトムレッドモード)。染料−インキュベーションの後に、試験すべき物質50μlを所望の濃度で、又は対照の目的でES緩衝液50μlを測定プレートの別々のキャビティ中に添加し、室温で30分間光遮断下でインキュベートした。引き続き、5分間染料の蛍光強度を測定し、規定された一定の時点で、それぞれのウェルの蛍光値Fを決定した。それに基づいて、それぞれのウェル中に100mM KCl溶液(最終濃度92mM)15μlの添加を行った。前記の蛍光の変化を、引き続き、全ての適切な測定値が得られるまで(特に5〜30分間)測定した。KCl適用後の規定された時点で、この場合に蛍光ピークの時点が生じる蛍光値Fを測定する。
【0242】
算出のために、前記蛍光強度Fを蛍光強度Fと比較し、そこから目標化合物のカリウムチャンネルに関するアゴニスト活性を決定した。FとFとはこのために次のように比較した:
【0243】
【数1】

【0244】
物質がアゴニスト活性を有しているかどうかを決定するために、例えば、
【0245】
【数2】

【0246】
を、対照細胞の
【0247】
【数3】

【0248】
と比較することができる。
【0249】
【数4】

【0250】
は、前記反応バッチに、試験すべき物質の代わりに、緩衝剤溶液だけを添加し、蛍光強度の値F1Kを決定し、カリウムイオンを前記したのと同様に添加し、蛍光強度のF2Kを測定することにより算出した。次いで、F2KとF1Kとを次のように差し引き計算した:
【0251】
【数5】

【0252】
【数6】


【0253】
【数7】

【0254】
よりも大きい場合に、物質がカリウムチャンネルに関するアゴニスト活性を有する:
【0255】
【数8】

【0256】
【数9】


【0257】
【数10】

【0258】
との比較とは無関係に、目標化合物の用量の増加と共に
【0259】
【数11】

【0260】
の増加が観察できる場合には、前記目標化合物のアゴニスト活性に関しても推論される。
【0261】
EC50値とIC50値との計算は、「Prism 4」(GraphPad SoftwareTM)のソフトウェアを用いて実施した。
【0262】
例示的に、次の化合物を調査した:
表1:BMG AG%@10μmol/EC50値
【0263】
【表9】

【0264】
電圧固定測定法
前記物質のKCNQ2/3アゴニスト作用を電気生理学的に測定するために、安定にトランスフェクションされたhKCNQ2/3CHO−K1セルラインに関して電圧固定(voltage-clamp)法においてパッチクランプ(patch-clamp)測定(Hamill et al.著, 1981)を実施した。ギガシールの形成後に、前記細胞をまず−60mVの阻止電圧でクランプした。引き続き、消極する電圧飛躍(Spannungssprunge)を+20mVの電位にまで適用し(インクリメント:20mV、時間:1秒)、KCNQ2/3タイプの電流の機能表現を確認した。前記物質試験を−40mVの電位で行った。各細胞に関して、まず、−40mVでレチガビン(10μM)により誘導された電流増加をポジティブ対照として記録した。レチガビン効果を完全に洗い流した後(時間80s)に、前記試験物質を適用した。
【0265】
Hamill OP, Marty A, Neher E, Sakmann B, Sigworth FJ.著: Improved patch-clamp techniques for high-resolution current recording from cells and cell-free membrane patches. Pflugers Arch. 1981 Aug; 391(2):85-100.
例示的に、次の化合物を調査した:
表2:MAN rel. Eff. @10 μmol
【0266】
【表10】

【0267】
ベネットモデル(Bennett Modell):マウスに関する又はラットに関する神経障害痛
神経障害痛における有効性に関するこの調査は、ベネットモデル(chronic constriction injury; Bennett及びXie, 1988, Pain 33: 87-107)で試験した。
【0268】
体重140〜160gのスプラーグドリー(Sprague-Dawley)ラットに、ナルコレン−麻酔のもとで、右坐骨神経の4つの緩い結紮を行った。体重16〜18gのNMRIマウスに、ケタベット−ロムプン−麻酔のもとで、右坐骨神経の3つの緩い結紮を行った。これらの動物は、損傷された神経から刺激される脚に神経過敏を発症し、この神経過敏は1週間の回復期間の後で約4週間にわたり、4℃の冷たい金属プレートを用いて数値化した(寒冷アロディニア)。これらの動物を前記プレート上で2minの時間観察し、損傷された脚の逃避反応の数を測定した。物質投与前の値に関して、物質作用を1時間の期間にわたり4回の時点(投与後の約15、30、45、60min)で測定し、生じた曲線下面積(AUC)並びに個々の測定時点に対する寒冷−アロディニアの阻害率を付形剤対照に対する作用(AUC)及び出発値に対する作用(個々の測定点)をパーセンテージで表した。このグループサイズはn=10であり、抗アロディニア作用の有意性(*=p<0.05)は、繰り返し測定及びボンフェローニ(Bonferroni)によるポストホック(post hoc)分析を用いる分散分析によって決定した。
【0269】
例示的に、実施例2の化合物の活性をベネットモデル(Bennett-Modell)で試験した(i.v.適用)。10mg/kgの用量で、40%MPEが測定された。
チュングモデル(Chung-Modell):脊椎神経結紮によるモノ神経障害痛
動物:市場の飼育業者(Janvier, Genest St. Isle, フランス国)からのオスのスプラーグドリーラット(Sprague Dawley Ratten)(140〜160g)を12:12時間の明暗リズムのもとに保持した。これらの動物は餌及び水道水を自由に与えられた。前記の動物の供給及び手術の間に、1週間の休止期間を設けた。これらの動物は、手術後に4〜5週間の期間にわたり数回試験され、その際、少なくとも1週間の休止期間を設けた。
【0270】
モデルの記載:ペントバルビタール麻酔(Narcoren(R)、60mg/kg i.p.、Merial GmbH, Hallbergmoos, ドイツ国)のもとで、脊柱傍の筋肉部分及びL5腰部の脊椎骨の左側の脊髄プロセスの一部を除去することにより、左側のL5、L6脊髄神経を露出させた。この脊髄神経L5及びL6を注意深く離し、固定結紮具で結紮した(NC-silk black,USP 5/0, metric 1, Braun Melsungen AG, Melsungen, ドイツ国)(Kim and Chung 1992)。結紮後に、筋肉及び隣接する組織を縫合し、この傷を金属クリップで閉じた。
【0271】
数週間の回復期間の後に、前記の動物を機械的アロディニアの測定のために針金の床部を備えたケージ内に置いた。同側性及び/又は対側性の後ろ脚に関して、電気的なフォン・フレイ(von Frey)フィラメント(Somedic AB, Malmoe、スウェーデン国)を用いて逃避閾値を測定した。5回の刺激の中央値を測定時点とした。前記の動物を、試験物質溶液又は付形剤溶液の適用後の異なる時間の前後の30分間試験した。これらのデータを、最大可能作用率(%MPE)として、単独の動物(=0%MPE)投与前試験及び独立したSham対照グループ(=100%MPE)の試験値から決定した。これとは別に、逃避閾値をグラムで示した。
【0272】
統計的評価:ED50値及び95%信頼範囲を、片対数の回帰分析により最大作用の時点で決定した。これらのデータは、繰り返し測定及びボンフェローニ(Bonferroni)によるポストホック(post hoc)分析を用いた分散分析により分析した。このグループサイズは通常ではn=10であった。
【0273】
対照:Kim,S.H.及びChung,J.M.著, An experimental model for peripheral neuropathy produced by segmental spinal nerve ligation in the rat, Pain, 50 (1992) 355-363.
例示的に、実施例2の化合物の活性をチュングモデル(Chung-Modell)で試験した(i.v.適用)。2.8mg/kgのED50が測定された。
【0274】
カラムクロマトグラフィーの固定相として、E. Merck (Darmstadt)社のシリカゲル60(粒子サイズ0.040〜0.063mm)を使用した。
【0275】
省略記号:
aq. 水性
ブライン NaCl飽和水溶液
CDI 1,1’−カルボニルジイミダゾール
d 日
DCC N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM ジクロロメタン
DCE 1,2−ジクロロエタン
DIC 塩化ジイソプロピルアミノエチル塩酸塩
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
EE 酢酸エチルエステル
エーテル ジエチルエーテル
ges. 飽和
h 時間
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム−ヘキサフルオロホスファート
HBTU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム−ヘキサフルオロホスファート’
Lsg 溶液
m/z 質量/電荷比
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
min 分
MS 質量分析
NEtトリエチルアミン
PS−ジイミド 次の構造を有するポリマー結合したカルボジイミド:
【0276】
【化32】

【0277】
負荷量0.9〜1.4mmol/g
粒子サイズ75〜150μm
RT 室温 23±7℃
SC シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

[式中、
、R及びRは、相互に無関係に、水素、C〜C−アルキル(飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);F、Cl、Br、I、CN、NH、NH−C〜C−アルキル、NH−C〜C−アルキル−OH、N(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル−OH)、NH−アリール;NH−アルキルアリール;NH−ヘテロアリール;NO、SH、S−C〜C−アルキル、OH、O−C〜C−アルキル、O−C〜C−アルキル−OH、C(=O)C〜C−アルキル、NHSO〜C−アルキル、NHCO−アリール;NHCOC〜C−アルキル、COH、CHSO−フェニル、CO−C〜C−アルキル、OCF、CF、ベンジルオキシ、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、フェノキシ、フェニル、ピリジル、アルキルアリール、チエニル又はフリルを示すか、又はR及びR又はR及びRは1つの環を形成しかつ一緒になって
【化2】

を示し、
及びRは、相互に無関係に、H、F、Cl、Br、I、−CN、NH、NH−C〜C−アルキル、NH−C〜C−アルキル−OH、C〜C−アルキル、N(C〜C−アルキル)、N(C〜C−アルキル−OH)、NO、SH、S−C〜C−アルキル、S−ベンジル、O−C〜C−アルキル、OH、O−C〜C−アルキル−OH、O−ベンジル、C(=O)C〜C−アルキル、COH、CO−C〜C−アルキル又はベンジルを示し;
は、C〜C−アルキル(分枝状又は非分枝状の、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);アリール又はヘテロアリール(非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);又はC〜C−アルキル鎖を介して結合されたアリール又はヘテロアリール(非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)を示し;
4a、R5a及びR6aは、それぞれ無関係に、H又はC〜C−アルキルを示し;
は、(CHC(=O)R;(C=O)(CHNR1112;C(=O)(CH(C=O)R;(CHNHC(=O)Rを示し、
その際、mは1、2又は3を示し、
nは1、2、3又は4を示し、
tは1、2、3又は4を示し、
sは1、2、3又は4を示し、
は、C−C−アルキル(飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);又はC−C−アルキル鎖を介して結合されたアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)、(その際、前記アルキル鎖はそれぞれ飽和又は不飽和の、分枝又は非分枝であることができる);NR10を示し;
及びR10は、相互に無関係に、H;C−C−アルキル(それぞれ飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、モノ又はポリ置換されたか又は非置換である);アリール又はヘテロアリール(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);ヘテロシクリル又はC〜C−シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和の、モノ又はポリ置換されたか又は非置換である);C(=O)R20;SO13又はC〜C−アルキルを介して結合されたアリール、C〜C−シクロアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロアリール(それぞれモノ又はポリ置換されたか又は非置換である)、(その際、前記アルキル鎖はそれぞれ飽和又は不飽和の、分枝又は非分枝であることができる)を示し;
又は、基R及びR10は一緒になって、CHCHOCHCH、CHCHNR14CHCH又は(CH3−6を示し、
11及びR12は、相互に無関係に、H;C−C−アルキル(それぞれ飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、モノ又はポリ置換されたか又は非置換である);ヘテロシクリル又はC〜C−シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和の、モノ又はポリ置換されたか又は非置換である);C(=O)R20;SO13又はC〜C−アルキルを介して結合されたアリール、C〜C−シクロアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロアリール(それぞれモノ又はポリ置換されたか又は非置換である)、(その際、前記アルキル鎖はそれぞれ飽和又は不飽和の、分枝又は非分枝であることができる)を示し;
又は、基R11及びR12は一緒になって、CHCHOCHCH、CHCHNR14CHCH又は(CH3−6を示し、
その際、R14は、H;C〜C−アルキル(それぞれ飽和又は不飽和、分枝状又は非分枝状の、モノ又はポリ置換されたか又は非置換である);C〜C−シクロアルキル(それぞれ飽和又は不飽和の、モノ又はポリ置換されたか又は非置換である);アリール又はヘテロアリール(それぞれモノ又はポリ置換されたか又は非置換である);C(=O)R13;又はC〜C−アルキルを介して結合しているアリール、C〜C−シクロアルキル又はヘテロアリール(それぞれモノ又はポリ置換されたか又は非置換である)を示し;
13は、C−C−アルキル(飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);アリール、ヘテロアリール又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);又はC−C−アルキル鎖を介して結合しているアリール、ヘテロアリール又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)、(その際、前記アルキル鎖はそれぞれ飽和又は不飽和の、分枝又は非分枝であることができる)を示し;
20は、C−C−アルキル(飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);アリール、ヘテロアリール又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);NR2122;又はC−C−アルキル鎖を介して結合しているアリール、ヘテロアリール又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)、(その際、前記アルキル鎖はそれぞれ飽和又は不飽和の、分枝又は非分枝であることができる)を示し;
21及びR22は、相互に無関係に、C−C−アルキル(飽和又は不飽和の、分枝状又は非分枝状の、非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);アリール、ヘテロアリール又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);又はC−C−アルキル鎖を介して結合しているアリール、ヘテロアリール又はC−C−シクロアルキル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)、(その際、前記アルキル鎖はそれぞれ飽和又は不飽和の、分枝又は非分枝であることができる)を示す]で表わされる置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物、ラセミ体の形態;エナンチオマー、ジアステレオマー、エナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの形態;塩基の形態及び/又は生理学的に許容される酸の塩の形態。
【請求項2】
は、CHC(=O)R;(C=O)(CHNR1112又はC(=O)(CH(C=O)Rを示し、
その際、mは、1、2又は3を示し、及び
nは、1、2、3又は4を示す、
請求項1記載の置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物。
【請求項3】
「置換されたアルキル」、「置換されたヘテロシクリル」及び「置換されたシクロアルキル」は、1個の水素基のF、Cl、Br、I、−CN、NH、NH−C−C−アルキル、NH−C−C−アルキル−OH、C−C−アルキル、N(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル−OH)、NO、SH、S−C−C−アルキル、S−ベンジル、O−C−C−アルキル、OH、O−C−C−アルキル−OH、=O、O−ベンジル、C(=O)C−C−アルキル、COH、CO−C−C−アルキル、フェニル又はベンジルによる置換を示し、
「置換されたアリール」及び「置換されたヘテロアリール」は、前記環系の1個又は数個の水素原子が、F、Cl、Br、I、CN、NH、NH−C−C−アルキル、NH−C−C−アルキル−OH、N(C−C−アルキル)、N(C−C−アルキル−OH)、NO、SH、S−C−C−アルキル、OH、O−C−C−アルキル、O−C−C−アルキル−OH、C(=O)−アリール;C(=O)C−C−アルキル、C(=O)NHC−C−アルキル;C(=O)−N−モルホリン;C(=O)−ピペリジン;(C=O)−ピロリジン;(C=O)−ピペラジン;NHSO−C−アルキル、NHCOC−C−アルキル、COH、CHSO−フェニル、CO−C−C−アルキル、OCF、CF
【化3】

−C−アルキル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ベンジルオキシ、フェノキシ、フェニル、ピリジル、アルキルアリール、チエニル又はフリルによってモノ又はポリ、たとえばジ、トリ又はテトラ置換されていることを示す、請求項1又は2記載の置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物、ラセミ体の形態;エナンチオマー、ジアステレオマー、エナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、個々のエナンチオマー又はジアステレオマーの形態;塩基の形態及び/又は生理学的に許容される酸の塩の形態。
【請求項4】
、R及びRは、相互に無関係に、水素又はC〜C−アルキル(分枝状又は非分枝状である)を示し、特にHを示す、請求項1、2又は3のいずれか1つに記載の置換されたテトラヒドロピロロピラジン。
【請求項5】
及びRは、相互に無関係に、水素又はC〜C−アルキルを示し、特にHを示す、請求項1、2又は3のいずれか1つに記載の置換されたテトラヒドロピロロピラジン。
【請求項6】
は、フェニル、チエニル、フリル、ピリジル又はベンジル(これらは、非置換であるか又はOCH、F、Cl、CH、イソプロピル又は
【化4】

によってモノ又はポリ置換されている);メチル又はtert.−ブチルを示す、請求項1、2又は3のいずれか1つに記載の置換されたテトラヒドロピロロピラジン。
【請求項7】
は、CHCHC(=O)R、CHCHCHC(=O)R又はCHCHCHCHC(=O)Rを示し、特にCHCHCHC(=O)Rを示す、請求項1又は3記載の置換されたテトラヒドロピロロピラジン。
【請求項8】
は、C(=O)CHCH(C=O)Rを示す、請求項1又は3記載の置換されたテトラヒドロピロロピラジン。
【請求項9】
はNR10を示し、RはHを示し、
10は、場合によりC〜C−アルキル鎖を介して結合しているアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル又はC〜C−シクロアルキル(これらはそれぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている)(その際、前記アルキル鎖はそれぞれ飽和又は不飽和、分枝又は非分枝であることができる);C〜C−アルキル(これは飽和、非置換、分枝状又は非分枝状である)を示すか、
又は前記基R及びR10は、一緒になって、CHCHOCHCH、CHCHNR14CHCH、CHCHCHCH又はCHCHCHCHCHを示し、
その際、R14は、H;ベンジル又はフェニル(それぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);C(=O)R13を示す、
請求項1、3、7又は8のいずれか1つに記載の置換されたテトラヒドロピロロピラジン。
【請求項10】
は、NR10を示し、RはHを示し、かつ
10は、フェニル、ベンジル、フェネチル、メチルチエニル、メチルフリル、メチルピリジル、エチルチエニル、エチルフリル又はエチルピリジル(これらはそれぞれモノ又はポリ置換されている);ピペリジル、ピロリジニル、メチルピペリジル、メチルピロリジニル、エチルピペリジル又はエチルピロリジニル(これらはそれぞれモノ又はポリ置換されている);シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル;プロピル、ブチル又はペンチルを示すか、又は
基R及びR10は一緒になって、CHCHOCHCH、CHCHNR14CHCH、CHCHCHCH又はCHCHCHCHCHを示し、
その際、R14は、H;ベンジル又はフェニル(これらはそれぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);C(=O)CHを示す、
請求項9記載の置換されたテトラヒドロピロロピラジン。
【請求項11】
は、(C=O)CHNR1112、(C=O)CHCHNR1112又は(C=O)CHCHCHNR1112を示し、
及び
11はC(=O)R20を示し、及びR12は、H;C−C−アルキル(分枝状又は非分枝状である);C−C−シクロアルキル、特にH;メチル、エチル、プロピル、ブチル又はシクロプロピル,を示し、
その際、R20は、NR2122;フェニル、フリル、ベンジル、フェネチル、フェネテニル、プロピルフェニル又はシクロプロピル(これらはそれぞれ非置換であるか又はモノ又はポリ置換されている);メチル、エチル、プロピル又はブチルを示し、
特にNR2122;フェニル、ベンジル、フェネチル又はプロピルフェニル(これらはそれぞれ非置換であるか又は1箇所又は数箇所CF、又はCHで置換された);シクロプロピル(非置換であるか又はフェニルによって置換されている);又はフリルを示し、
その際、
21及びR22は好ましくは、相互に無関係に、H又はC−C−アルキルを表し、好ましくはH、CH、tert−ブチル又はイソプロピルを示す、
請求項1又は3のいずれか1項記載の置換されたテトラヒドロピロロピラジン−誘導体。
【請求項12】
次の群:
【表1】











から選ばれる、請求項1記載のテトラヒドロピロロピラジン−誘導体。
【請求項13】
請求項1記載の少なくとも1種の置換されたテトラヒドロピロロピラジン誘導体を、場合によりラセミ体;エナンチオマー、ジアステレオマー、エナンチオマー又はジアステレオマーの混合物、個々のエナンチオマー又はジアステレオマー;塩基及び/又は生理学的に許容される酸の塩の形態で含有し、並びに場合により適当な添加剤及び/又は助剤及び/又は場合により他の作用物質を含有する、医薬。
【請求項14】
痛み、好ましくは急性痛、慢性痛、神経障害痛、筋肉性痛及び炎症性痛より成る群から選ばれる痛みを治療するための医薬を製造するための、請求項1記載の置換されたテトラヒドロピロロピラジン化合物の使用。
【請求項15】
てんかん、偏頭痛、不安状態及び尿失禁を治療するための医薬を製造するための、請求項1記載の化合物の使用。
【請求項16】
請求項1記載の一般式Ia(式中、RはC(=O)(CH(C=O)Rを示す)のテトラヒドロピロロピラジン−誘導体の製造方法において、
【化5】

その際、
a) 前記の対応するテトラヒドロピロロピラジンを、有機塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルアミン又はピリジンの添加下で、有機溶剤、例えばDCE又はDCM中で、一般式HOOC(CH(C=O)OC〜C−アルキル(前記式中、C〜C−アルキルは好ましくはエチル、メチル又はtert−ブチルを示す)の酸と、30〜100℃、好ましくは30〜83℃の温度で、場合により塩基、例えばナトリウムメタノラート、TEA、DIEA又はN−メチルモルホリンの使用下で、及び場合によりカップリング試薬、例えばEDCl、HOBt、DCC、CDI、HBTU、DMAP又はホスフィン酸ペンタフルオロフェニルジフェニルの使用下で、溶剤、例えばメタノール、DMF又はDCM中で、1時間〜3日間で反応させる、
b) 保護基のC〜C−アルキルを、酸、例えばHCl、トリフルオロ酢酸又はp−トルエンスルホン酸を用いて、場合により適当な有機溶剤、例えばアセトニトリル、ジエチルエーテル、THF、DCM又はトルエン中で、又は水性無機塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムを用いて、有機溶剤、例えばメタノール、エタノール、ジオキサン、DCM、THF、ジエチルエーテル又は混合物としてのこれらの溶剤中で、ー10〜120℃の温度で脱離させるか、
又は
脱保護された前記のテトラヒドロピロロピラジン−酸は、工程a及びbを省略して、対応する無水物を、溶剤、例えばDCM、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、アセトン、アセトニトリル、ジオキサン、THF、DMF、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、水、メタノール、エタノール、プロパノール又はi−プロパノール中で、塩基、例えばトリエチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、NaHの添加により、場合により18−クラウン−6、NaOH、KOH、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム又は炭酸カリウムの添加下で、又は酸、例えば硫酸の添加下で、場合によりカップリング試薬、例えばDMAP、DCC又はDICの使用下で反応させることによって得られ、
c) 前記テトラヒドロピロロピラジンを、塩基、例えばナトリウムメタノラート、N−メチルモルホリン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミン、及び場合によりカップリング試薬、例えばEDCI又はCDI、DCC、HBTU、DMAP又はホスフィン酸ペンタフルオロフェニルジフェニル並びに場合によりヒドロキシベンゾトリアゾールヒドラートの添加下で、対応するアミンNHR10と、有機溶剤、例えばDMF、DCM又はTHF中で、0〜100℃、好ましくは20℃〜69℃で反応させる、
請求項1記載の一般式Ia(式中、RはC(=O)(CH(C=O)Rを示す)のテトラヒドロピロロピラジン−誘導体の製造方法。
【請求項17】
は(C=O)(CHNR1112を示す、請求項1記載のテトラヒドロピロロピラジンの製造において、
【化6】

前記テトラヒドロピロロピラジンを、有機塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルアミン又はピリジンの添加下で、塩化クロロ酢酸と、40〜100℃、好ましくは40〜83℃の温度で反応させ、この生じた生成物を第1級アミン又は第2級アミンと、反応媒体、例えばエタノール、n−ブタノール、トルエン又はクロロホルム中で、場合により塩基性塩、好ましくはNaCO又はKCOの添加下で、場合によりアルカリ金属ハロゲン化物、好ましくはヨウ化カリウム又はヨウ化ナトリウムの添加下で、場合により塩基、好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン及び4−ジメチルアミノ−ピリジン、特に好ましくはトリエチルアミンの添加下で、0〜160℃、好ましくは20〜120℃の温度で反応させる、
は(C=O)(CHNR1112を示す、請求項1記載のテトラヒドロピロロピラジンの製造方法。
【請求項18】
はC(=O)CHNR11C(=O)R20を示す、請求項1記載のテトラヒドロピロロピラジンの製造において、
【化7】

グリシン−アルキルエステルを一般式R20(CO)OHの対応する酸と、塩基、例えばナトリウムメタノラート、TEA、DIEA又はN−メチルモルホリンの使用下で、場合によりカップリング試薬、例えばEDCl、HOBt、DCC、CDI、HBTU、DMAP又はホスフィン酸ペンタフルオロフェニルジフェニルの使用下で、溶剤、例えばメタノール、DMF又はDCM中で、1時間〜3日間反応させるか、
又は
前記グリシン−アルキルエステルを一般式R0(CO)Cl又はR20(CO)Brの対応する酸塩化物又は酸臭化物と、適当な溶剤、例えばDCM、ベンゼン、トルエン、THF、DMF、アセトニトリル、ピリジン、ジオキサン、水又は1−メチル−ピロリジン−2−オン又は前記溶剤の混合物中で、塩基、例えばピリジン、DIEA、TEA、N−メチルモルホリン又は炭酸水素ナトリウムの使用下で、場合によりカップリング試薬、例えばDCCの添加下で反応させ、
前記の方法のひとつにより製造されたアルキルエステルを、酸、例えばHCl、トリフルオロ酢酸又はp−トルエンスルホン酸を用いて、場合により適当な有機溶剤、例えばアセトニトリル、ジエチルエーテル、THF、DCM又はトルエン中で、又は水性無機塩基、例えば水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムを用いて、有機溶剤、例えばメタノール、エタノール、ジオキサン、DCM、THF、ジエチルエーテル又は混合物としてのこれらの溶剤中で、ー10〜120℃の温度で脱離させ、
及び
この生じたグリシン誘導体を、対応するテトラヒドロピロロピラジンと、塩基、例えばナトリウムメタノラート、TEA、DIEA又はN−メチルモルホリンの使用下で、場合によりカップリング試薬、例えばEDCl、HOBt、DCC、CDI、HBTU、DMAP又はホスフィン酸ペンタフルオロフェニルジフェニルの使用下で、溶剤、例えばメタノール、DMF又はDCM中で、1時間〜3日の反応時間内でカップリングさせる、
はC(=O)CHNR11C(=O)R20を示す、請求項1記載のテトラヒドロピロロピラジンの製造方法。

【公表番号】特表2010−506869(P2010−506869A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532715(P2009−532715)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/008957
【国際公開番号】WO2008/046582
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(390035404)グリュネンタール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (127)
【Fターム(参考)】