説明

L−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤

【課題】澄明な液体で、室温(約0〜30℃)で長期間保存しても白濁、沈殿などの現象を生じない、L−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤を提供する。
【解決手段】(A)L−アスコルビン酸脂肪酸エステル、(B)植物ステロール、(C)トコフェロールおよび(D)食品用乳化剤を含有する製剤であって、該製剤100質量%中、(A)L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの含有量が0.5〜5質量%、(B)植物ステロールの含有量が5〜20質量%、(C)トコフェロールの含有量が、総トコフェロール量として、20〜94.4質量%、(D)食品用乳化剤がグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびプロピレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも一種であって、その含有量が0.1〜10質量%であることを特徴とするL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
L−アスコルビン酸脂肪酸エステルは、L−アスコルビン酸に脂肪酸をエステル結合させたものであり、ビタミンC作用、酸化防止作用を有し、且つ親油性なので油脂類や脂肪を含む食品への栄養強化剤、酸化防止剤などとして使用されている。しかし、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルは、その融点が高いこと、更に油脂に対する溶解度が極めて低いことから、その利用には制限があった。
【0003】
この問題を解決する手段として、トコフェロールとビタミンCステアレートを均質混合した製剤を油系食品素材に添加混合する方法(特許文献1参照)、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルをレシチンに溶解させたのち、このものを油脂に溶解させる方法(特許文献2参照)、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ペースト状レシチンおよび中鎖脂肪酸トリグリセライドからなる製剤を油脂に溶解させる方法(特許文献3参照)、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、トコフェロールおよびジグリセリンモノオレイン酸エステルからなる製剤を油脂に溶解させる方法(特許文献4参照)、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステルおよびナタネ油からなる製剤を油脂に溶解させる方法(特許文献5参照)、L−アスコルビン酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、並びに油脂および/またはトコフェロールを含有する組成物(特許文献6参照)などが提案されている。
【0004】
しかし、これらの製剤または組成物は、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの結晶を含むか、または製造後時間の経過と共に白濁、沈殿などの現象を生じるという欠点があり実用上満足できるものではなかった。
【特許文献1】特開昭49−85252号公報
【特許文献2】特開昭55−56193号公報
【特許文献3】特開平6−336443号公報(実施例1)
【特許文献4】特開平9−65864号公報(実施例5)
【特許文献5】特開平9−208986号公報(実施例1)
【特許文献6】特開2005−314519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、澄明な液体で、室温(約0〜30℃)で長期間保存しても白濁、沈殿などの現象を生じない、L−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを、植物ステロール、トコフェロール、並びにグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびプロピレングリコール脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも一種の食品用乳化剤を含有する溶液に溶解することにより、前記目的を達成するL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、(A)L−アスコルビン酸脂肪酸エステル、(B)植物ステロール、(C)トコフェロールおよび(D)食品用乳化剤を含有する製剤であって、該製剤100質量%中、(A)L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの含有量が0.5〜5質量%、(B)植物ステロールの含有量が5〜20質量%、(C)トコフェロールの含有量が、総トコフェロール量として、20〜94.4質量%、(D)食品用乳化剤がグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびプロピレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも一種であって、その含有量が0.1〜10質量%であることを特徴とするL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤、からなっている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤は、澄明な液状で流動性に富み、結晶析出に因る濁り、沈殿などは認められない。更に、室温(約0〜30℃)で6ヶ月間保存しても結晶の析出がなく、安定な溶解状態が保持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(I)製剤の組成
本発明のL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤は、(A)L−アスコルビン酸脂肪酸エステル、(B)植物ステロール、(C)トコフェロール、並びに(D)グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびプロピレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも一種の食品用乳化剤を含有する製剤である。
本発明で用いられる(A)L−アスコルビン酸脂肪酸エステルとしては、例えばL−アスコルビン酸ステアリン酸エステル(食品添加物)およびL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(食品添加物)などが挙げられ、相対的に融点が低いことから、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルが好ましく用いられる。
【0010】
本発明で用いられる(B)植物ステロールとしては、一般にフィトステロールと総称される、植物を基原とするステロール類であれば特に制限はなく、例えばカンペステロール、シトステロール、スチグマステロール、イソフコステロール、ブラシカステロール、グラミステロール、シトロスタジェノール、オブツシホリオール、シクロオイカレノール及びシクロアルテノールなどが挙げられる。本発明においては、ステロール類を一種類で用いても良いし、二種類以上任意に組み合わせて用いても良い。
本発明で用いられる(C)トコフェロールとしては、例えばdl−α−トコフェロール(食品添加物)、d−α−トコフェロール(食品添加物)および抽出トコフェロールなどが挙げられ、好ましくは抽出トコフェロールである。
【0011】
抽出トコフェロールとしては、植物油が精製される過程で副生する脱臭留出物(例えば脱臭スカム、脱臭スラッジまたはホットウエル油など)から回収されるトコフェロールであれば特に制限はなく、例えば、キャノーラ油、ごま油、こめ油、サフラワー油、大豆油、とうもろこし油、なたね油、パーム油、ひまわり油、綿実油、落花生油などの脱臭留出物から分離・精製して得られる、α−、β−、γ−、δ−トコフェロールおよびトコフェロールの同族体であるα−、β−、γ−、δ−トコトリエノールなどを含む混合物が挙げられる。該混合物中の総トコフェロール含有量は約34質量%以上であるのが好ましく、約68質量%以上であるのが特に好ましい。
尚、トコフェロールとして商業的に販売されている製品には油脂を含むものがあるが、本発明においては、このような態様のトコフェロールも支障なく用いることができる。
【0012】
本発明で用いられる(D)食品用乳化剤は、グリセリン脂肪酸エステル(食品添加物)、ソルビタン脂肪酸エステル(食品添加物)およびプロピレングリコール脂肪酸エステル(食品添加物)からなる群より選ばれる少なくとも一種である。中でも、ソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。ショ糖脂肪酸エステルは製剤の粘度を上昇させ、特に低温での製剤の流動性を極度に悪化させるため、ショ糖脂肪酸エステルの使用は好ましくない。また、レシチンは高温で褐変する性質があり、本発明の製剤が例えば天ぷら油などに添加される場合を考慮すると、レシチンの使用は好ましくない。
【0013】
グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびプロピレングリコール脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば炭素数6〜24の直鎖の飽和脂肪酸(例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸など)または不飽和脂肪酸(例えば、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、α−リノレン酸、アラキドン酸、リシノール酸、縮合リシノール酸など)が挙げられ、好ましくは飽和脂肪酸であり、より好ましくは炭素数16〜18の飽和脂肪酸である。
【0014】
本発明のL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤は、前述のような諸原料を用いてなるものであり、該製剤100質量%中、(A)L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの含有量が約0.5〜5質量%、(B)植物ステロールの含有量が約5〜20質量%、(C)トコフェロールの含有量が総トコフェロール量として約20〜94.4質量%、(D)食品用乳化剤の含有量が約0.1〜10質量%、中でも約0.5〜3質量%であるのが好ましい。
【0015】
本発明の製剤には、目的とする製剤が必要とする性質を損なわない範囲で、油脂を配合することができる。本発明で用いることができる油脂としては、例えばオリーブ油、キャノーラ油、ごま油、こめ油、サフラワー油、大豆油、とうもろこし油、なたね油、ひまわり油、綿実油、落花生油などを食用に適するよう処理したものが挙げられ、好ましくは日本農林規格(JAS)で定める冷却試験の規格を満たすこれらのサラダ油である。本発明においては、油脂を一種類で用いても良いし、二種類以上任意に組み合わせて用いても良い。本発明の製剤100質量%中の油脂の含有量は、通常約50質量%以下、好ましくは約20質量%以下である。
【0016】
(II)製剤の製造方法
本発明の製剤の製造方法に特に制限はなく、自体公知の方法にて行うことができる。以下に、好ましい製剤の製造方法を例示する。例えば、攪拌機、加熱用のジャケットおよび邪魔板などを備えた通常の攪拌・混合槽に植物ステロール、トコフェロールおよび食品用乳化剤を入れ、約100〜160℃に加熱し、溶解する。装備する攪拌機としては、プロペラ型の攪拌翼を装備した汎用の攪拌機であってよく、またTKホモミクサー(プライミクス社製)またはクレアミックス(エムテクニック社製)などの高速回転式分散・乳化機を用いてもよい。次に、溶液の温度を約70℃以上、好ましくは約80〜120℃に保ち、溶液を攪拌しながら、この中にL−アスコルビン酸脂肪酸エステルを加えて溶解する。一連の操作は、攪拌速度を約4000〜8000rpm程度で行えばよく、攪拌時間を約0.5〜3時間程度行えばよい。L−アスコルビン酸脂肪酸エステルが溶解したら溶液を室温まで冷却し、本発明のL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤を得る。
【0017】
上記製造方法において、油脂は、植物ステロール、トコフェロールおよび食品用乳化剤を加熱し、溶解する際に加えてもよいし、または植物ステロール、トコフェロールおよび食品用乳化剤にL−アスコルビン酸脂肪酸エステルを溶解して得られる溶液に加えてもよい。
かくして得られる製剤は、澄明な液状で流動性に富み、結晶析出に因る濁り、沈殿などは認められない。更に、室温(約0〜30℃)で長期間保存しても白濁、沈殿などの現象を生じず、安定な溶解状態が保持される。
【0018】
(III)製剤の使用方法
本発明のL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤を、ビタミンC強化を目的として油脂類や脂肪を含む食品に添加する場合は、L−アスコルビン酸として約200〜400ppmに相当する量を添加することが好ましい。また、酸化防止を目的として油脂に添加する場合は、L−アスコルビン酸として約30〜200ppmに相当する量を添加することが好ましい。
【0019】
実施例
以下に本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0020】
[L−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤の作製]
(1)製剤作製のための原材料
1)L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(DSMニュートリッションジャパン社製)
2)植物ステロール(商品名:理研植物ステロール;理研ビタミン社製)
3)トコフェロールA(商品名:理研Eオイル600;理研ビタミン社製、総トコフェロール含量約51質量%以上)
4)トコフェロールB(商品名:イーミックスD;エーザイ社製、総トコフェロール含量約96質量%以上)
5)ソルビタン脂肪酸エステル(商品名:ポエムS−60V;理研ビタミン社製)
6)大豆白絞油(J‐オイルミルズ社製)
【0021】
(2)製剤の配合
上記原材料を用いて作製したL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤(製剤1〜12)の配合組成を表1および表2に示す。この内、製剤1〜4は本発明に係る実施例であり、製剤5〜12はそれらに対する比較例である。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
(3)製剤の作製
表1および表2に示した配合に基づいて、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル以外の原材料を500mL容ビーカーに入れ、スリーワンモーター(型式:FBL−600;HEIDON社製,羽根径35mm)を用いて、300rpmで攪拌しながら約130℃まで加熱し、溶解した。次に、得られた溶液の温度を約100℃まで下げ、表1および表2に示した配合に基づいて、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルを加え、溶解した。均一な状態の溶液が得られた時点で溶液を室温まで冷却し、L−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤(製剤1〜12)を得た。尚、各製剤の作製量は300gとした。
【0025】
[安定性の評価]
(1)作製直後の製剤の状態
作製直後のL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤(製剤1〜12)の状態を目視にて観察した。更に、光学顕微鏡(型式:BX50;オリンパス社製)にて結晶の有無を観察し、結晶が認められたものについては、存在する結晶の最大径を測定した。尚、該顕微鏡の検出限界は0.3μmである。結果を表3に示す。
【0026】
【表3】

表3から明らかなように、実施例、比較例の各製剤共に澄明な溶液で、作製直後の製剤の状態ではそれらの間に差は認められなかった。
【0027】
(2)室温保存1ヶ月後の状態
作製したL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤(製剤1〜12)各250gを500mL容ガラス製広口瓶に入れ、上部を窒素ガスで置換した後密封し、室温で保存した。試験開始から1ヶ月経過後、各製剤の状態を目視にて観察した。更に、光学顕微鏡(型式:BX50;オリンパス社製)にて結晶の有無を観察し、結晶が認められたものについては、存在する結晶の最大径を測定した。結果を表4に示す。
【0028】
【表4】

表4から明らかなように、室温保存1ヵ月後においても、実施例の製剤はいずれも澄明な溶液で、作製直後の製剤の状態を保持していたのに対して、比較例の製剤はいずれも結晶の析出が観察された。
【0029】
(3)室温保存3ヶ月後の状態
作製したL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤(製剤1〜4)各250gを500mL容ガラス製広口瓶に入れ、上部を窒素ガスで置換した後密封し、室温で保存した。試験開始から3ヶ月経過後、各製剤の状態を目視にて観察した。更に、光学顕微鏡(型式:BX50;オリンパス社製)にて結晶の有無を観察し、結晶が認められたものについては、存在する結晶の最大径を測定した。結果を表5に示す。
【0030】
【表5】

表5から明らかなように、室温保存3ヵ月後においても、実施例の製剤はいずれも澄明な溶液で、作製直後の製剤の状態を保持していた。
【0031】
(4)室温保存6ヶ月後の状態
作製したL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤(製剤1〜4)各250gを500mL容ガラス製広口瓶に入れ、上部を窒素ガスで置換した後密封し、室温で保存した。試験開始から6ヶ月経過後、各製剤の状態を目視にて観察した。更に、光学顕微鏡(型式:BX50;オリンパス社製)にて結晶の有無を観察し、結晶が認められたものについては、存在する結晶の最大径を測定した。結果を表6に示す。
【0032】
【表6】

表6から明らかなように、室温保存6ヵ月後においても、実施例の製剤はいずれも澄明な溶液で、作製直後の製剤の状態を保持していた。
【実施例2】
【0033】
[L−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤の作製]
(1)製剤作製のための原材料
1)L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル(DSMニュートリッションジャパン社製)
2)植物ステロール(商品名:理研植物ステロール;理研ビタミン社製)
3)トコフェロール(商品名:理研Eオイル600;理研ビタミン社製、総トコフェロール含量約51質量%以上)
4)グリセリン脂肪酸エステル(商品名:エマルジーP−100;理研ビタミン社製)
5)ソルビタン脂肪酸エステル(商品名:ポエムS−60V;理研ビタミン社製)
6)プロピレングリコール脂肪酸エステル(商品名:リケマールPS−100;理研ビタミン社製)
7)大豆白絞油(J‐オイルミルズ社製)
【0034】
(2)製剤の配合
上記原材料を用いて作製したL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤(製剤13〜17)の配合組成を表7に示す。製剤13〜17は本発明に係る実施例である。
【0035】
【表7】

【0036】
(3)製剤の作製
表7に示す配合量を採用した他は、実施例1と同様にして、L−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤(製剤13〜17)を得た。
【0037】
[安定性の評価]
(1)作製直後の製剤の状態
作製直後のL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤(製剤13〜17)の状態を目視にて観察した。更に、光学顕微鏡(型式:BX50;オリンパス社製)にて結晶の有無を観察し、結晶が認められたものについては、存在する結晶の最大径を測定した。尚、該顕微鏡の検出限界は0.3μmである。結果を表8に示す。
【0038】
【表8】

表8から明らかなように、実施例の製剤はいずれも澄明な溶液であった。
【0039】
(2)室温保存1ヶ月後の状態
作製したL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤(製剤13〜17)について、実施例1と同様にして室温で1ヶ月間保存し、目視および光学顕微鏡で結晶の有無を観察した。結果を表9に示す。
【表9】

表9から明らかなように、室温保存1ヵ月後においても、実施例の製剤はいずれも澄明な溶液で、作製直後の製剤の状態を保持していた。
【0040】
(3)室温保存3ヶ月後の状態
作製したL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤(製剤13〜17)について、実施例1と同様にして室温で3ヶ月間保存し、各製剤の状態を目視および光学顕微鏡にて観察した。結果を表10に示す。
【0041】
【表10】

表10から明らかなように、室温保存3ヵ月後においても、実施例の製剤はいずれも澄明な溶液で、作製直後の製剤の状態を保持していた。
【0042】
(4)室温保存6ヶ月後の状態
作製したL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤(製剤13〜17)について、実施例1と同様にして室温で6ヶ月間保存し、各製剤の状態を目視および光学顕微鏡にて観察した。結果を表11に示す。
【0043】
【表11】

表11から明らかなように、室温保存6ヵ月後においても、実施例の製剤はいずれも澄明な溶液で、作製直後の製剤の状態を保持していた。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明のL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤は、栄養強化剤、酸化防止剤などとして、油脂類や脂肪を含む食品、医薬品または化粧品に使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)L−アスコルビン酸脂肪酸エステル、(B)植物ステロール、(C)トコフェロールおよび(D)食品用乳化剤を含有する製剤であって、該製剤100質量%中、(A)L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの含有量が0.5〜5質量%、(B)植物ステロールの含有量が5〜20質量%、(C)トコフェロールの含有量が、総トコフェロール量として、20〜94.4質量%、(D)食品用乳化剤がグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびプロピレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも一種であって、その含有量が0.1〜10質量%であることを特徴とするL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤。

【公開番号】特開2008−169254(P2008−169254A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−1828(P2007−1828)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(390010674)理研ビタミン株式会社 (236)
【Fターム(参考)】