L字型の構成であるプリンタおよび画像読取機の組み合わせ
印字のための媒体を支持するための媒体入力アセンブリと、印字済み媒体を収集するための媒体出力アセンブリと、媒体上に画像を印字するための印刷エンジンとを備えるインクジェットプリンタユニット(2)が提供される。このユニットは、媒体出力アセンブリが画像読取ユニットであって、印字済み媒体が画像読取ユニット(701)の表面上に収集されるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタユニットに関し、さらに詳しくは、多機能画像処理ユニットとして機能すべく画像読取ユニットが組み合わせられているインクジェットプリンタユニットに関する。
【0002】
[同時係属中の出願]
以下の出願が、本件出願の出願人によって本件出願と同時に出願されている。
【表1】
【0003】
これら同時係属中の出願の開示は、参照として本明細書に組み込まれたものとする。上記の出願は、出願時の事件整理番号によって特定されているが、対応する出願番号が割り当てられ次第、事件整理番号をそれら出願番号で置き換える予定である。
【0004】
[関連出願への相互参照]
本件発明の出願人または譲受人によって出願された以下の特許または特許出願は、参照として本明細書に組み込まれたものとする。
【表2】
【0005】
いくつかの出願は、事件整理番号によって列挙されている。これらは、出願番号が明らかになった時点で置き換える予定である。
【背景技術】
【0006】
プリンタユニットは、従来から、1つ以上の関連のコンピュータとやり取りをして、当該関連のコンピュータから送られる制御データにもとづいて画像を生成するために使用されている。画像の品質および画像生成の速度は、プリンタユニットごとにかなり様々である可能性があり、使用されるプリンタユニットの種類に大きく左右される。一般的に言って、高解像度の画像をフルカラーで生成する高速なプリンタユニットは、単色の黒白画像をより遅い速度で生成するプリンタユニットよりも高価である。この点で、特定の状況において使用されるプリンタユニットの種類は、一般に、当該プリンタが引き受ける印字画像の種類ならびに当該特定のプリンタユニットのコストを考慮して選択される。
【0007】
より最近では、従来のプリンタユニットの役割が、とりわけオフィス環境において、さらなる機能の提供へと広がってきている。例えば、オフィス用のプリンタユニットの多くが、従来の印字機能に加えて、通常はコピー機に付随している機能をも提供するように開発されてきている。この点で、文書スキャナなどの画像読取ユニットが、プリンタユニットに典型的なコピー機能をもたらすために、プリンタユニットに組み合わせられる。このような多機能ユニットは、それらが従来は2つ以上の個別のユニットによって実行されていた仕事を達成することができ、したがって2つ以上の個別のユニットを維持することに係るコストを低減し、さらにそのようなユニットを収容するために必要な空間を少なくするため、好評を博するようになっている。
【0008】
残念なことに、そのような多機能のユニットは、典型的には極めて専用のユニットであって、一般的にはオフィス用途に向けられており、したがって寸法およびモジュール性がかなり制限されている。さらに、そのようなユニットは、従来のプリンタユニットから見ると典型的には高価であり、そのようなユニットがプリンタ市場において競合してゆくためには、使用されている印字ユニットおよび/または画像読取ユニットが、一般的には、競争力のある価格が付けられた単一のユニットに比べて標準性に乏しい。このような兼ね合いの結果として、典型的には、多機能ユニットの動作は、印字速度および印字品質について劣ったものになりうる。これに加え、典型的な多機能ユニットは、多機能ユニットの個々の部品を分離または追加可能にすべくシステムの種々の部品を相互に取り付け可能にするための手段を、容易に提供することがない。この点で、このような多機能ユニットの設計におけるモジュール性の欠如のため、プリンタユニットを画像読取ユニットへと取り付けることでプリンタユニットを容易に多機能ユニットへと変化させることができるよう、プリンタユニットと画像読取ユニットとを個別に購入することは不可能である。
【発明の開示】
【0009】
第1の態様において、本発明は、印字のための媒体を支持するための媒体入力アセンブリと、媒体上に画像を印字するための印刷エンジンと、印字済み媒体を収集するための媒体出力アセンブリとを備えるインクジェットプリンタユニットであって、上記媒体出力アセンブリが、印字済み媒体を収集するための表面を備える画像読取ユニットを有しており、上記印刷エンジンが、使用時に上記媒体出力アセンブリが支持面上に平置きされて上記媒体入力アセンブリが上記印刷エンジンから上方に向かって延びるように、上記媒体入力アセンブリと上記媒体出力アセンブリとの間に位置しているインクジェットプリンタユニットを提供する。
【0010】
場合により、上記媒体入力アセンブリおよび上記印刷エンジンが、上記画像読取機に取り付けられ、上記画像読取機が、プリンタユニットを作業面上に支持するように構成される。
【0011】
場合により、上記画像読取機が、上記印刷エンジンから外向きに延び、印字済み媒体が、上記画像読取機の上面に収集される。
【0012】
場合により、上記印刷エンジンが、印字に続いて上記印字済み媒体を上記印刷エンジンから排出するための媒体出口機構を備える。
【0013】
場合により、上記画像読取機の上面が、上記排出された印字済み媒体を捕捉して、該印字済み媒体を収集のために提示するように構成される。
【0014】
場合により、上記画像読取機の上面が、収集のために上記排出された媒体を上記画像読取機の上面で捕捉するため、排出された媒体の前縁に接触するストッパ部材を備える。
【0015】
場合により、上記印刷エンジンが、複数のインク排出ノズルが配置されているページ幅の印字ヘッドを備えており、媒体が上記印字ヘッドを通過して搬送されるときに媒体の表面へとインクが排出される。
【0016】
場合により、上記印字ヘッドがカートリッジ上に設けられ、上記カートリッジを上記印刷エンジンから取り外すことができる。
【0017】
場合により、上記カートリッジが、上記印字ヘッドによる印字のためのインクを貯蔵するため、少なくとも1つのインク貯蔵用リザーバを備える。
【0018】
場合により、上記印刷エンジンがクレードルを備え、上記クレードルが、上記カートリッジを受け入れるように構成される。
【0019】
場合により、上記クレードルが、上記媒体を印字のために上記媒体入力アセンブリから上記印字ヘッドを通過して搬送するための媒体搬送機構を備える。
【0020】
場合により、上記クレードルが、媒体上への上記画像の印字を円滑にするため、上記印字ヘッドおよび上記搬送機構の動作を制御する制御システムを備える。
【0021】
場合により、上記制御システムが、さらに上記画像読取ユニットの動作を制御する。
【0022】
第2の態様において、本発明は、印字のための媒体を支持するための媒体入力アセンブリと、媒体上に画像を印字するための印刷エンジンと、印字済み媒体を収集するための媒体出力アセンブリとを備えるインクジェットプリンタユニットであって、上記媒体出力アセンブリが、印字済み媒体を収集するための表面を備える画像読取ユニットを有しており、上記印刷エンジンが、ページ幅の印字ヘッドを有するインクジェットプリンタユニットを提供する。
【0023】
場合により、上記媒体入力アセンブリおよび上記印刷エンジンが、上記画像読取機に取り付けられ、上記画像読取機が、プリンタユニットを作業面上に支持するように構成される。
【0024】
場合により、上記画像読取機が、上記印刷エンジンから外向きに延び、印字済み媒体が、上記画像読取機の上面に収集される。
【0025】
場合により、上記印刷エンジンが、印字に続いて上記印字済み媒体を上記印刷エンジンから排出するための媒体出口機構を備える。
【0026】
場合により、上記画像読取機の上面が、上記排出された印字済み媒体を捕捉して、該印字済み媒体を収集のために提示するように構成される。
【0027】
場合により、上記画像読取機の上面が、収集のために上記排出された媒体を上記画像読取機の上面で捕捉するため、排出された媒体の前縁に接触するストッパ部材を備える。
【0028】
場合により、上記印刷エンジンが、複数のインク排出ノズルが配置されているページ幅の印字ヘッドを備えており、媒体が上記印字ヘッドを通過して搬送されるときに媒体の表面へとインクが排出される。
【0029】
場合により、上記印字ヘッドがカートリッジ上に設けられ、上記カートリッジを上記印刷エンジンから取り外すことができる。
【0030】
場合により、上記カートリッジが、上記印字ヘッドによる印字のためのインクを貯蔵するため、少なくとも1つのインク貯蔵用リザーバを備える。
【0031】
場合により、上記印刷エンジンがクレードルを備えており、上記クレードルが、上記カートリッジを受け入れるように構成されている。
【0032】
場合により、上記クレードルが、上記媒体を印字のために上記媒体入力アセンブリから上記印字ヘッドを通過して搬送するための媒体搬送機構を備える。
【0033】
場合により、上記クレードルが、媒体上への上記画像の印字を円滑にするため、上記印字ヘッドおよび上記搬送機構の動作を制御する制御システムを備える。
【0034】
場合により、上記制御システムが、さらに上記画像読取ユニットの動作を制御する。
【0035】
第3の態様において、本発明は、画像読取機と一緒に使用するためのインクジェットプリンタユニットであって、印字対象の媒体を支持するための媒体入力アセンブリと、相補的である画像読取機上の固定手段に解除可能に係合するための固定手段とを有する本体と、ページ幅の印字ヘッドと、該印字ヘッドの動作を制御するための制御システムとを備える印刷エンジンとを備えており、上記本体が、上記固定手段が上記相補的である固定手段と解除可能に係合すべく位置するように、上記読取器と入れ子をなすべく形作られているインクジェットプリンタユニットを提供する。
【0036】
場合により、上記本体が、上記画像読取ユニットに設けられた座に受け入れられるように形作られた基部を有する。
【0037】
場合により、上記本体の上記基部が、上記本体を上記画像読取ユニットへと着脱可能に固定するため、上記画像読取ユニットの上記座に設けられた複数の位置決め部材を受け入れるようになっている複数の凹部を備える。
【0038】
場合により、上記本体の上記基部が、上記画像読取ユニットの上記座に設けられた電気コネクタを受け入れるための電気引込口を含んでおり、上記本体が上記画像読取ユニットへと固定されたとき、両者の間のデータおよび電力の伝達を可能にするため上記本体と上記画像読取ユニットとの間に電気経路が形成される。
【0039】
場合により、上記印刷エンジンの上記制御システムが、上記画像読取ユニットの動作を制御し、データが上記電気経路を介して上記制御システムと上記画像読取ユニットとの間を伝達される。
【0040】
場合により、上記本体が、上記電気経路を介して上記画像読取ユニットに動作用の電力を供給する電源を備える。
【0041】
場合により、上記印字ヘッドがカートリッジ上に設けられ、上記カートリッジを上記印刷エンジンから取り外すことができる。
【0042】
場合により、上記カートリッジが、上記印字ヘッドによる印字のためのインクを貯蔵するため、少なくとも1つのインク貯蔵用リザーバを備える。
【0043】
場合により、上記印刷エンジンがクレードルを備えており、上記クレードルが、上記カートリッジを受け入れるように構成されている。
【0044】
場合により、上記クレードルが、上記媒体を印字のために上記媒体入力アセンブリから上記印字ヘッドを通過して搬送するための媒体搬送機構を備える。
【0045】
さらなる態様においては、インクジェットプリンタユニットと一緒に使用するための画像読取ユニットであって、上記プリンタユニットから印字済み媒体を受け取って、該印字済み媒体を読み取りのために提示する媒体読取面と、上記プリンタユニット上の固定手段に解除可能に係合するための相補的な固定手段と、を備えており、上記画像読取機が、上記相補的な固定手段が上記固定手段と解除可能に係合すべく位置するように、上記プリンタユニットと入れ子をなすべく形作られている画像読取ユニットが提供される。
【0046】
さらなる態様においては、画像を媒体表面へと印字するとともに、媒体表面の画像に関する画像情報を読み取って記録するための画像処理装置であって、印字対象の媒体を支持するための媒体入力アセンブリを有するインクジェットプリンタユニットと、ページ幅の印字ヘッドおよび該印字ヘッドの動作を制御するための制御システムを備える印刷エンジンと、上記プリンタユニットから印字済み媒体を受け取って、該印字済み媒体を読み取りのために提示する媒体読取面を有する画像読取ユニットとを備えており、上記インクジェットプリンタユニットが、上記画像読取ユニットに入れ子状に係合し、上記画像読取ユニットに解除可能に固定される画像処理装置が提供される。
【0047】
さらなる態様においては、画像を媒体表面へと印字するとともに、媒体表面の画像に関する画像情報を読み取って記録するための画像処理装置であって、印字対象の媒体を支持するための媒体入力アセンブリを有するインクジェットプリンタユニットと、ページ幅の印字ヘッドおよび該印字ヘッドの動作を制御するための制御システムを備える印刷エンジンと、上記プリンタユニットから印字済み媒体を受け取って、該印字済み媒体を読み取りのために提示する媒体読取面を有する画像読取ユニットとを備えており、上記インクジェットプリンタユニットが、上記画像読取ユニットに入れ子状に係合し、上記画像読取ユニットに解除可能に固定される画像処理装置が提供される。
【0048】
さらなる態様においては、画像を媒体表面へと印字するとともに、媒体表面の画像に関する画像情報を読み取るための画像処理装置であって、印字対象の媒体を支持するための媒体入力アセンブリを有するインクジェットプリンタユニットと、画像読取機と、印字済み媒体を受け取り、上記画像情報を読み取るために該印字済み媒体を上記画像読取機へと提示する媒体読取面とを有する画像読取ユニットと、ページ幅の印字ヘッドおよび該印字ヘッドの動作を制御するための制御システムを備える印刷エンジンとを備えており、上記印字ヘッドが、印字対象の媒体へとインクの個々の滴を排出するための複数のインク排出ノズルを有しており、上記制御システムが、少なくとも毎秒5000万回の判断速度で、上記ノズルのそれぞれがインクの滴を排出するか否かを判断する画像処理装置が提供される。
【0049】
さらなる態様においては、上記本体が座部分を備えており、上記座部分が、内部に上記インクジェットプリンタユニットを受け入れるように形作られている画像読取ユニットが提供される。
【0050】
さらなる態様においては、上記固定手段が、上記座部分に設けられ、上記座部分から延びて上記インクジェットプリンタユニットに設けられた対応する収容部材に係合するようになっている少なくとも1つの位置決め部材を備える画像読取ユニットが提供される。
【0051】
さらなる態様においては、上記収容部材が凹所であって、上記位置決め部材が上記凹所内に受け入れられるように形作られている画像読取ユニットが提供される。
【0052】
さらなる態様においては、電気コネクタが上記座部分に、上記インクジェットプリンタユニットに設けられた対応する電気コネクタに接触すべく設けられており、上記インクジェットプリンタユニットが上記座部分に受け入れられたとき、上記インクジェットプリンタユニットと上記画像読取機との間に、両者の間のデータおよび電力の伝達を可能にするための電気経路が形成される画像読取ユニットが提供される。
【0053】
さらなる態様においては、上記画像読取機がヘッド部を備えており、該ヘッド部が、媒体の表面に形成された画像に関する画像情報を収集するため、媒体の表面に沿って移動するように構成されている画像読取ユニットが提供される。
【0054】
さらなる態様においては、上記画像読取機によって収集された画像情報が、上記画像読取機と一緒に設けられたコントローラに保存される画像読取ユニットが提供される。
【0055】
さらなる態様においては、上記コントローラに保存された画像情報が、処理のために上記電気経路を介して上記インクジェットプリンタユニットへと送られる画像読取ユニットが提供される。
【0056】
さらなる態様においては、上記コントローラが、上記インクジェットプリンタユニットから受け取った制御指令に従って、上記画像読取ユニットの動作を協調させる画像読取ユニットが提供される。
【0057】
さらなる態様においては、画像を媒体表面へと印字するとともに、媒体表面の画像に関する画像情報を読み取るための画像処理装置であって、印字対象の媒体を支持するための媒体入力アセンブリを有するインクジェットプリンタユニットと、画像読取機と、印字済み媒体を受け取って画像情報を読み取るために該印字済み媒体を上記画像読取機へと提示する媒体読取面とを有する画像読取ユニットと、ページ幅の印字ヘッドおよび該印字ヘッドの動作を制御するための制御システムを備える印刷エンジンとを備えており、上記印字ヘッドが、媒体へとインクの個々の滴を排出するため、少なくとも5000個のインク排出ノズルを有する画像処理装置が提供される。
【0058】
さらなる態様においては、上記本体が座部分を備えており、上記座部分が、内部に上記インクジェットプリンタユニットを受け入れるように形作られている画像読取ユニットが提供される。
【0059】
さらなる態様においては、固定手段が、上記座部分に設けられ、上記座部分から延びて上記インクジェットプリンタユニットに設けられた対応する収容部材に係合するようになっている少なくとも1つの位置決め部材を備えている。
【0060】
さらなる態様においては、上記収容部材が凹所であり、上記位置決め部材が上記凹所内に受け入れられるように形作られている画像読取ユニットが提供される。
【0061】
さらなる態様においては、電気コネクタが上記座部分に、上記インクジェットプリンタユニットに設けられた対応する電気コネクタに接触すべく設けられており、上記インクジェットプリンタユニットが上記座部分に受け入れられたとき、上記インクジェットプリンタユニットと上記画像読取機との間に、両者の間のデータおよび電力の伝達を可能にするための電気経路が形成される画像読取ユニットが提供される。
【0062】
さらなる態様においては、上記画像読取機がヘッド部を備えており、該ヘッド部が、媒体の表面に形成された画像に関する画像情報を収集するため、媒体の表面に沿って移動するように構成されている画像読取ユニットが提供される。
【0063】
さらなる態様においては、上記画像読取機によって収集された画像情報が、上記画像読取機と一緒に設けられたコントローラに保存される画像読取ユニットが提供される。
【0064】
さらなる態様においては、上記コントローラに保存された画像情報が、処理のために上記電気経路を介して上記インクジェットプリンタユニットへと送られる画像読取ユニットが提供される。
【0065】
さらなる態様においては、上記コントローラが、上記インクジェットプリンタユニットから受け取った制御指令に従って、上記画像読取ユニットの動作を協調させる画像読取ユニットが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
図1に示すように、本発明が、画像読取ユニット701による画像の読み取り、およびインクジェットプリンタユニット2による画像の印字の両者を行うことができる多目的の画像処理装置1として具現化されている。画像読取ユニット701は、従来のフラットベッドスキャナユニットの形態であってもよく、装置1は、画像読取ユニット701およびインクジェットプリンタユニット2がそれぞれの個々の仕事を組み合わせにおいても、個別にも実行できるように、構成されている。この点において、装置1は、画像読取ユニット、インクジェットプリンタユニット、またはコピー機ユニットとして機能することができ、コピー機ユニットとして機能する場合には、画像読取ユニットおよびインクジェットプリンタユニットの機能が、画像読取ユニットによって読み取った画像を印字すべく組み合わされる。このような多機能システムの動作を提供すべく装置を構成する方法を、後でさらに詳しく説明する。
【0067】
本発明の画像処理装置1は、インクジェットプリンタユニット2および画像読取ユニット701で構成されているため、これらユニットのそれぞれを、まずは個別に説明する。
【0068】
[インクジェットプリンタユニット]
図2に概略的に示されているように、使用時、プリンタユニット2は、スキャンユニット95またはコンピュータシステム102などの外部のソースから受け取った文書を、紙片などの印字媒体上へと印字するように構成されている。この点で、プリンタユニット2は、コンピュータシステム102によって前処理されたデータを受け取るため、後述する方法でユニット2とコンピュータシステム102との間の電気的接続を可能にする手段を含んでいる。一形態においては、外部のコンピュータシステム102が、文書を受信し(ステップ103)、バッファリングし(ステップ104)、ラスタ化し(ステップ106)、次いでプリンタユニット2への伝達のために圧縮する(ステップ108)など、文書の印字に関する種々のステップを実行するようにプログラムされている。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、プリンタユニット2は、文書を外部のコンピュータシステム102から、圧縮された複数レイヤーのページ画像の形態で受け取ることができ、プリンタユニット2内に設けられた制御用電子機器72が、画像をバッファリングし(ステップ110)、次いでさらなる処理のために画像を拡大する(ステップ112)。拡大された連続階調層がディザリングされ(ステップ114)、次いで拡大ステップからの黒レイヤーが、ディザリング済みの連続階調層へと合成される(ステップ116)。さらに、符号化されているデータをレンダリングして(ステップ118)、(所望であれば)人間の目にとって実質的に不可視である赤外インクを使用して印字されるさらなるレイヤーを形成してもよい。黒レイヤー、ディザリング済みの連続階調層、および赤外レイヤーが組み合わされ(ステップ120)、印字のために印字ヘッドへと供給(ステップ122)されるページが形成される。
【0070】
この特定の構成においては、印字すべき文書に関するデータが、テキストおよび線画のための高解像度の2階層マスクレイヤーと、画像および背景色のための中解像度の連続階調カラー画像レイヤーとに分割されている。場合により、画像または一様な色から取り出したカラーデータでテキストまたは線画をテクスチャ化するための中‐高解像度の連続階調テクスチャレイヤーを追加することによって、カラーのテキストをサポートすることができる。この印字アーキテクチャは、これらの連続階調層を、画像データまたは一様色データと称することができる抽象的な「画像」および「テクスチャ」レイヤーに表わすことによって一般化する。このコンテンツにもとづくデータの複数レイヤーへの分割は、当業者であれば理解できるように、基本モードミクスドラスターコンテント(MRC)モードに従っている。MRC基本モードと同様、この印字アーキテクチャは、印字すべき画像が重なり合ういくつかの場合において、中間(折衷)物を作り出す。とくに、一形態においては、すべての重なり合いが、中間物を明示的に具現化するプロセス(衝突回避)において、3レイヤーの表現へと還元される。
【0071】
既に述べたように、データは、主としてソフトウェアベースのコンピュータシステム102によって実行される画像の前処理によって、圧縮された複数レイヤーのページ画像の形態でプリンタユニット2へと送達される。次に、プリンタユニット2が、このデータを、図3にさらに詳しく示されているような主としてハードウェアベースのシステムを使用して処理する。
【0072】
データを受け取ると、ディストリビュータ230が、そのデータを独自の表現からハードウェア特有の表現へと変換し、ハードウェア装置への伝達に関する制限または要件を観察して、データが確実に正しいハードウェア装置へと送られるようにする。ディストリビュータ230は、変換済みのデータを、複数のパイプライン232のうちの適切な1つへと分配する。パイプラインは互いに同一であり、基本的には、印字可能なドット出力一式を生成するため、解凍、スケーリング、およびドット合成の機能を提供している。
【0073】
各パイプライン232は、データを受け取るためのバッファ234を含んでいる。連続階調復元装置236が、カラー連続階調平面を解凍し、マスク復元装置が、モノトーン(テキスト)レイヤーを解凍する。連続階調スケーラ240およびマスクスケーラ242が、当該ページが印字される媒体のサイズを考慮するため、解凍された連続階調平面およびマスク平面をそれぞれスケーリングする。
【0074】
次いで、スケーリングされた連続階調平面が、ディザラ244によってディザリングされる。一形態においては、確率論的分散ドットディザが使用される。クラスタドット(または、振幅変調)ディザと異なり、分散ドット(または、周波数変調)ディザは、眼によって空間的に一体化されたとき、ほぼドット解像度の限界に至る高い空間周波数(すなわち、画像の詳細)を再現すると同時に、それらの完全な色の深さまでの低い空間周波数を再現する。確率論的ディザマトリクスは、画像全体へと貼り付けられたときに好ましくない低周波のパターンが比較的存在しないように、注意深く設計される。したがって、そのサイズは、典型的には、特定の数の強度レベルをサポートするために必要な最小サイズ(例えば、257の強度レベルについて、16×16×8ビット)よりも大きい。
【0075】
次いで、ディザリングされた平面が、印字に適したドットデータをもたらすために、ドット対ドットの基準でドット合成装置246にて合成される。このデータが、データ分散およびドライブ回路248へと送られ、次いで、データ分散およびドライブ回路248が、データを正しいノズルアクチュエータ250へと配布し、次いでノズルアクチュエータ250が、本明細書においてさらに詳しく後述する方法で、インクを正しい時点に正しいノズル252から放出させる。
【0076】
理解されるように、印字のために画像を処理すべくプリンタユニット2において使用されるコンポーネントは、データが提示される方法に大きく依存する。この点で、より多くの処理をプリンタユニット2内で実行することによってコンピュータシステム102への依存を少なくするため、プリンタユニット2において、さらなるソフトウェアおよび/またはハードウェアコンポーネントを使用することが可能であろう。あるいは、プリンタユニット2において使用されるソフトウェアおよび/またはハードウェアコンポーネントを少なくして、プリンタユニット2において実行する処理を少なくし、プリンタユニット2へとデータを伝達する前に画像をより高度に処理するため、コンピュータシステム102に依存してもよい。
【0077】
すべての状況において、上述の仕事を実行するために必要なコンポーネントは、プリンタユニット2の制御用電子機器72に設けられ、そのような電子機器の一実施形態のブロック図が、図4に提示されている。
【0078】
この構成においては、ハードウェアパイプライン232が、小規模オフィス自宅兼オフィス(SOHO)用プリンタエンジンチップ(SoPEC)に具現化されている。図示のとおり、SoPECデバイスは、中央演算処理装置(CPU)サブシステム301、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)サブシステム302、および印刷エンジンパイプライン(PEP)サブシステム303という、3つの個別のサブシステムで構成されている。
【0079】
CPUサブシステム301は、他のサブシステムのすべての様相を制御および設定するCPUを含んでいる。プリンタユニット2のすべての要素の互いのやり取りおよび同期について、後述のとおり全般的なサポートを提供する。また、QAチップ(後述)への低速通信を制御する。さらに、CPUサブシステム301は、汎用入出力(GPIO、モータの制御を含んでいる)、割り込みコントローラユニット(ICU)、LSSマスタ、および汎用タイマーなど、CPUを助けるための種々の周辺装置を含んでいる。CPUサブシステムのシリアル通信ブロック(SCB)が、フルスピードのUSB1.1インターフェイスをホストへと提供するとともに、SoPEC間インターフェイス(ISI)を他のSoPECデバイス(図示されていない)へと提供する。
【0080】
DRAMサブシステム302は、CPU、シリアル通信ブロック(SCB)、およびPEPサブシステム内の各ブロックからの要求を受け付ける。DRAMサブシステム302、とりわけDRAMインターフェイスユニット(DIU)が、種々の要求を仲裁し、いずれの要求がDRAMへのアクセスを勝ち取るべきかを判定する。DIUは、すべての要求者についてDRAMへの充分なアクセスを可能にするよう、設定されたパラメータにもとづいて仲裁をおこなう。さらに、DIUは、ページサイズ、バンク数、およびリフレッシュレートなど、DRAMの実装の詳細が表に出ないようにする。
【0081】
印刷エンジンパイプライン(PEP)サブシステム303は、圧縮されたページをDRAMから受け取り、印字ヘッドと直接通信する印字ヘッドインターフェイス(PHI)へと向けられた所与の印字ラインのための2階層のドットへとレンダリングする。ページ展開パイプラインの第1段は、連続階調デコーダユニット(CDU)、ロスレス2階層デコーダ(LBD)、および必要であればタグエンコーダ(TE)である。CDUが、JPEG圧縮された連続階調(典型的には、CMYK)レイヤーを展開し、LBDが、圧縮された2階層レイヤー(典型的には、K)を展開し、プリンタユニット2がネットページ能力を有する場合には、TEが、後の(典型的には、IRインクまたはKインクでの)レンダリングのためにネットページタグをエンコードする。第1段からの出力は、バッファ一式、すなわち連続階調FIFOユニット(CFU)、スポットFIFOユニット(SFU)、およびタグFIFOユニット(TFU)である。CFUバッファおよびSFUバッファは、DRAMに実装されている。
【0082】
第2段は、ハーフトーン合成ユニット(HCU)であり、連続階調層をディザリングし、得られる2階層ディザ済みレイヤーに位置タグおよび2階層スポットレイヤーを合成する。
【0083】
いくつかの合成の選択肢を、当該SoPECデバイスと一緒に使用されている印字ヘッドに応じて実装することができる。この段階から、最大6チャネルの2階層データが生み出されるが、すべてのチャネルが印字ヘッドに存在していなくてもよい。例えば、印字ヘッドがCMYのみであって、KがCMYチャネルへと押し込まれ、IRが無視されてもよい。あるいは、IRインクが利用できない場合(または、検査の目的の場合)には、エンコードされたタグを、Kで印字してもよい。
【0084】
第3段においては、故障ノズル補償器(DNC)が、色の冗長性および故障ノズルのデータの周囲のドットへの誤差拡散によって、印字ヘッド内の故障ノズルを補償する。
【0085】
得られた2階層6チャネルのドットデータ(典型的には、CMYK、赤外、固定剤)がバッファリングされ、ドットラインライタユニット(DWU)を介してDRAMに保存された線バッファ一式に書き込まれる。
【0086】
最後に、ドットデータが再びDRAMから取り出され、ドットFIFOを介して印字ヘッドインターフェイスへと渡される。ドットFIFOがシステムのクロックレート(pclk)でラインローダユニット(LLU)からデータを受け取る一方で、印字ヘッドインターフェイス(PHI)がFIFOからデータを取り去り、システムのクロックレートの2/3倍の速度で印字ヘッドへと送る。
【0087】
好ましい形態においては、DRAMが、2.5Mバイトのサイズであり、そのうちの約2Mバイトが、圧縮されたページ保存データのために利用可能である。圧縮されたページは、2つ以上のバンドにて受信され、バンドの数がメモリに保存される。ページのバンドが、印字のためにPEPサブシステム303によって消費されたとき、新たなバンドをダウンロードすることができる。新たなバンドは、現在のページまたは次のページのためのものであってもよい。
【0088】
バンドを使用することによって、圧縮されたページの全体がダウンロードされる前に、ページの印字を開始することが可能になるが、データが印字のために常に利用可能であり、あるいはバッファアンダーランが生じることがないよう、注意を払わなければならない。
【0089】
組み込みのUSB1.1デバイスが、ホストPCから圧縮されたページデータおよび制御コマンドを受け付け、DRAM(または、後述のように、マルチSoPECシステムにおける他のSoPECデバイス)へのデータ伝達を促進する。
【0090】
他の実施形態においては、複数のSoPECデバイスを使用することができ、特定の実施例に応じて種々の機能を実行することができる。例えば、いくつかの場合においては、SoPECデバイスを、単に自身の搭載するDRAMのために使用することができる一方で、他のSoPECデバイスを、上述の種々の解凍およびフォーマット機能に向けることができる。これは、プリンタがページの印字を当該ページのすべてのデータを受け取る前に開始し、かつ残りのデータが時間内に受信されない場合に生じうるバッファアンダーランの機会を少なくする。そのメモリバッファ能力のために余分のSoPECデバイスを追加することで、追加のチップの他の能力のいずれもが使用されなくても、バッファリングできるデータの量が2倍になる。
【0091】
各SoPECシステムは、プリンタ機械の品質を保証し、印字の際に印字ヘッドのノズルが損傷しないようインク供給の品質を保証し、印字ヘッドおよび機械が損傷しないようソフトウェアの品質を保証するため、互いに協働するように設計された幾つかの品質保証(QA)装置を有することができる。
【0092】
通常は、各印字SoPECが、最大印字速度などの情報プリンタ属性を保存する関連のプリンタQAを有する。システムにおいて使用されるインクカートリッジも、インク残量などのカートリッジ情報を保存するインクQAチップを含んでいる。印字ヘッドも、ROM(有効には、EEPROM)として機能するように構成され、故障ノズルのマッピングおよび印字ヘッドの特性などの印字ヘッド詳細情報を保存するQAチップを有する。SoPECデバイスのCPUは、場合により、実質的にシリアルEEPROMとして機能するQAチップからプログラムコードを読み込んで実行することができる。最後に、SoPECデバイスのCPUは、論理QAチップ(すなわち、ソフトウェアQAチップ)を動作させる。
【0093】
通常は、システム内のすべてのQAチップが物理的に同一であり、フラッシュメモリの内容のみがお互いを区別している。
【0094】
各SoPECデバイスは、システム認証およびインク使用計算のためのQA装置と通信できる2つのLSSシステムバスを有する。バスごとに多数のQA装置を使用することができ、それらのシステムにおける位置は、プリンタQA装置とインクQA装置とが個別のLSSバスに位置すべきである点を除き、制限はされていない。
【0095】
使用時、論理QAが、残りのインクを割り出すためにインクQAと通信する。インクQAからの回答が、プリンタQAに関して認証される。プリンタQAからの確認そのものが論理QAによって認証され、インクQAからの回答に追加の認証レベルを間接的に加える。
【0096】
印字ヘッドQA以外のQAチップ間で渡されるデータは、デジタル署名によって認証される。好ましい実施形態においては、データについてHMAC‐SHA1認証が使用され、プログラムコードについてRSAが使用されるが、他のスキームを代わりに使用してもよい。
【0097】
理解されるように、このようにしてSoPECデバイスがプリンタユニット2の全体の動作を制御し、基本的なデータ処理の仕事を実行し、印字媒体の取り扱いを促進すべくプリンタユニット2のコンポーネント個々の動作の同期および制御を実行する。本明細書の残りの部分においては、制御用電子機器72という用語が、SoPECデバイス、およびプリンタユニット2の動作を制御すべくプリンタユニット2において使用される他のあらゆる電子機器を指して、使用される。
【0098】
プリンタユニット2は、本発明の画像処理装置1を形成すべくスキャナユニット95に組み合わせられるように意図されているが、分かり易さのため、以下ではプリンタユニット2の構造および動作を、その機能に関してスタンドアロンのユニットとして説明する。
【0099】
図5〜図15は、一般的には本体3、印字のための印字媒体を保持および支持するための媒体入力アセンブリ4、および印字後の印字媒体を収集するための媒体出力アセンブリ5を備えるインクジェットプリンタユニット2を示している。
【0100】
図6により明確に示されているように、本体3の構造は、下部フレームユニット6上へと受け入れられるように形作られた上部フレームユニット7によって形成されている。上部および下部フレームユニット7、6は、一体となって基部8、後部9、およびカバー11が収容される開口10を規定している。開口10が、印刷エンジン70および関連の構成部品を含む内部空洞12へのアクセスを提供している。
【0101】
図11に示されているように、基部8は、下部フレームユニット6の下側に形成されており、プリンタユニット2が自宅またはオフィス環境の机の表面など実質的な水平面に配置されて、スタンドアロンのユニットとして使用される場合に、プリンタユニット2を支持する下面13を有する。この構成において、1つ以上の支持足14が下面13から延び、プリンタユニットをさらに安定させている。支持足14は、プリンタユニットと支持面との間の摩擦接触を増すため、ゴムなどの摩擦誘起材料から製作することができる。画像読取ユニット701を収容すべく基部8を構成する方法は、本明細書においてさらに詳しく後述する。
【0102】
図7に示されているように、本体3の後部9は、下部フレームユニット6および上部フレームユニット7の後面によって規定されている。電源ユニット15が、下部フレームユニット6に形作られた凹所に嵌入し、本体3の後部9に隣接して位置するように構成されている。一形態においては、電源ユニット15は、電源コネクタソケット16を介して外部の電源から電力を受け取って、ユニット内の種々のコンポーネントへと供給できる固定のユニットである。他の形態においては、電源ユニット15が、プリンタユニット2への供給のために電力を貯蔵できる充電式のユニットであってもよく、ユニット15が、必要であれば交換できるようフレームユニット6から取り外し可能であってもよい。さらに、データコネクタソケット17が下部フレームユニット6に形成され、先に述べた方法でプリンタユニット2へとデータおよび制御を提供するため、コンピュータシステム102などの外部のソースへとプリンタユニット2を接続するための手段をもたらしている。データコネクタソケット17は、プリンタユニット2をコンピュータ端末102またはコンピュータ端末102のネットワークに接続して、そこからデータまたはコマンドを受け取ることができるようにする標準的なイーサネットおよびUSBデバイスソケットである。さらには、そのような情報をプリンタユニット2が、上部フレームユニット7の後面のカバープレート20の内側に設けられたWIFIカード18および/またはBluetooth(登録商標)カード19を使用することによって、無線の様相で受信してもよい。これらの構成のそれぞれにおいて、受け取ったすべてのデータが、処理および印字のためにソケット17およびカード18、19からプリンタユニット2の制御システムへと送られる。
【0103】
図5、6、8〜10、および13に示されているように、本体3のカバー11は、上部フレームユニット7へとヒンジで接続された蓋21を備える。蓋21は、湾曲した上面22および斜めの前面23、ならびに上部フレームユニット7の上縁に一致するように形作られた2つの端面24を有する。蓋21は、上面22の後縁に沿って、上部フレームユニット7に枢動可能に接続されている。この枢動接続によって、蓋21を後方へと枢動させて、本体3の内部空洞12へとアクセスを提供することができる。
【0104】
斜めの前面23は、凹所25を自身に形成して有する。凹所25は、ユーザとプリンタユニット2との間のやり取りを可能にするユーザインターフェイスユニット26を収容している。ユーザインターフェイスユニット26は、LCDタッチスクリーンであり、ユーザへと情報を伝えるとともに、ユーザが表示画面上の選択肢を選択することによってプリンタユニット2へと直接情報を入力できるようにしている。ユーザインターフェイスユニット26がユーザへと表示できる情報の種類、およびユーザがプリンタユニットへと入力できる情報の種類は、様々であってもよいが、典型的には、プリンタユニット2内に貯蔵されたインクの状態または紙詰まりの修正の必要性、などに関連でき、さらにはインク再充填手順に関する情報であってもよい。タッチスクリーンLCDの使用は、表示を特定の言語に合わせてプログラムでき、おそらくは当該プリンタユニットが使用される国に特化した個別の印またはテキストをプリンタユニット2上に設ける必要がなくなるため、ユーザインターフェイスとしてとくに有益である。しかしながら、ユーザインターフェイスユニット26が、従来のボタンなど、ユーザとプリンタユニット2とのやり取りを可能にするいくつかある種々の形態であってもよいことを、理解すべきである。
【0105】
さらに、蓋21の斜めの前面23には、プリンタの状態についての視覚表示をユーザに提供する視覚表示ユニット27が設けられている。視覚表示ユニット27は、蓋21の表面に沿って延びており、光源29からの光を放射する細長い管またはパネル28の形態である。視覚表示ユニット27から放射される光の色および/または強度を、ユーザインターフェイスユニット26を参照する必要なくプリンタユニット2の状態についての即座の表示をユーザにもたらすような方法で、制御することができる。
【0106】
視覚表示ユニット27の構成が、図15aおよび15bに示されている。図示のように、ユニット27は、光源29および細長パネル28で構成されている。光源29は、印刷回路基板(PCB)31の表面に配置された3つの発光ダイオード(LED)30の形態である。LED30は、幅広いスペクトルの光をパネル28から放射することができるようにする赤、緑、および青のLEDである。しかしながら、同様の機能を実行するために単一のLEDまたは他の色のLEDも使用可能であることを、理解できる。PCB31は、プリンタユニット2の制御用電子機器72を含んでいる同じPCBであってもよく、あるいは制御用電子機器72の制御のもとでLED30を動作させる適切な電子機器を含んでいる個別のPCBであってもよい。細長パネル28は、LED30からの光をパネルの長さに沿って移動させ、パネルの表面から放射することができる材料で製作されている。パネル28は、LED30から発せられる光を収集するべくLED30を覆って位置する中空の管またはパイプの形態であってもよい。管またはパイプの内表面を、光の一部をパネル28の長さに沿って反射させ、光の一部をパネル28から通過させてパネル28を照射させることができるフィルムでコートしてもよく、パネル28の表面に沿ってユーザがパネル28を容易に視認できるようにする。
【0107】
使用時、LED30のそれぞれを、プリンタユニット2の状態を表わす光をパネル28から発するように制御することができる。例えば、プリンタユニットが待機モードにあることをユーザに知らせるため、パネル28が青色の光を発するように青色のLEDを動作させることができる。印字時には、パネル28から緑色の光を発すべく緑色のLEDを動作させることができ、紙詰まりやプリンタエラーなどの問題の場合には、パネル28から赤色の光を発すべく赤色のLEDを動作させることができる。さらには、装飾的な効果を生み出すため、LEDのそれぞれを、幅広いスペクトルにまたがる種々の色の光を発するため、種々の組み合わせで動作させることができる。光が、単一のLEDがプリンタユニットに設けられる場合のような単なる点光源においてではなく、広い表面積にわたって発せられるため、必要な場合に、ユーザがプリンタの状態を視覚的に感じ取ってプリンタへと注意を向ける可能性がより大きい。このようなシステムは、効率的な作業環境を保証するうえで重要な機能を果たし、さらには審美的に好ましいプリンタユニットをもたらす。
【0108】
印字のためにプリンタユニット2へと印字媒体を供給するため、媒体入力アセンブリ4が、プリンタユニット2の後部9から延びている。媒体入力アセンブリ4は、トレイ部32および媒体支持フラップ33で構成され、トレイ部32および媒体支持フラップ33が協働して、プリンタユニット2による印字のために印字媒体34の1枚以上のシートを受けるための表面を形成している。媒体入力アセンブリ4は、本体3から垂直方向に延びており、使用時に、図14に示され、さらに詳しく後述されるように、印字媒体34のシートが媒体入力アセンブリ4によって垂直向きに支持され、下向きの経路によってプリンタへと引き込まれるように傾けられている。
【0109】
図6により明確に示されているように、媒体入力アセンブリ4のトレイ部32は、上部フレームユニット7と一体に形成され、したがってトレイ部32の後面が、本体3の後部9の一部を形成している。トレイ部32は、一般的に、印字媒体34を受け入れるための受け部を形成しており、媒体34が配置される作用面35と、作用面35の一端に位置して媒体34を直立位置に保持すべく媒体34の縁を受け止めるようになっている媒体支持面36とを含んでいる。さらにトレイ部32は、平行に延びる一対の側壁37、38を含んでおり、これらがプリンタユニット2によって受け入れることができる印字媒体の最大幅を規定している。
【0110】
図14により明確に示されているように、媒体支持面36は、トレイ部32の作用面35に対して鈍角に配置されており、印字のためのトレイ部32から印刷エンジン70への印字媒体34のシートの送達を助けている。作用面35は、印字のための作用面35から印刷エンジン70への印字媒体34のシートの送達を円滑にするため、アイドラローラ39をピッカー機構60と協働させるべく自身に組み込んで有する。媒体支持面36から延伸して隆起した複数の帯40が、媒体支持面36に沿って間隔を空けて配置されており、媒体34の前縁を媒体支持面36の上方に支持している。帯40は、トレイ部32からの媒体34の送達を容易にするため、ピッカー機構60の作用のもとで、媒体34の前縁を帯40の表面に沿ってスライドさせることができるように機能する。帯40の表面上かつピッカー機構60に近接してパッド41が設けられ、複数のシートがトレイ部32の作用面35に支持されている場合に、媒体10の最上位のシートの分離を促進させるための摩擦面をもたらしている。パッド41は、ゴム、フェルト、またはコルク状の材料の形態であってもよい。
【0111】
マージンスライダ42が、一体のフック要素43によってトレイ部32の作用面35へと取り付けられるようになっている。スライダ42を作用面35との係合に保つべく、スライダ42の位置決めラグ(図示されていない)を受け入れるため、溝付きの凹所(図示されていない)を作用面35に設けてもよい。このような構成は、様々な幅の印字媒体34に対応できるよう、スライダ42を、制御された方法で表面35を横切って移動できるようにする。マージンスライダ42は、トレイ部32の全高を延びており、印字媒体34の側縁に当接すべくトレイ部32の作用面35から突き出すように延びる壁部分45を備える。この構成は、媒体のシートが印刷エンジン70へと確実に制御されて送達されるよう、印字媒体34がトレイ部32内において適切に整列するよう保証している。
【0112】
図6に示されているように、トレイ部32の側壁37、38の内面には、媒体支持フラップ33をトレイ部32へと接続できるよう、位置決めラグ46が設けられている。この点に関し、媒体支持フラップ33は、媒体支持フラップ33の一端から延びてラグ46を受け入れる一対の凹状タブ47を含んでおり、これによって媒体支持フラップ33がトレイ部32の上端に固定される。この構成において、媒体支持フラップ33は、媒体支持フラップ33を媒体入力アセンブリ4へと装填された印字媒体34を支持するための(図5に示されているような)展張位置、または媒体支持フラップ33がトレイ部32の上部に収容される梱包および輸送のための格納位置(図示されていない)へと移動させることができるよう、トレイ部32の遠位端を中心として枢動することができる。
【0113】
媒体支持フラップ33は、トレイ部32の長さよりも大きな長さを有する印字媒体34を支持するため、トレイ部32の遠位端を超えて延びる。この構成は、図12に示すように、印字媒体34が実質的に直立位置に確実に保たれるようにする。この点に関し、媒体支持フラップ33の表面には、フラップ33の表面に沿って長手方向に延びる複数の等間隔のフィン要素48が設けられる。フィン要素48のそれぞれは、媒体支持フラップ33の表面から同じ量だけ延び、印字媒体34にトレイ部32の作用面35に連続する平坦な面を提供している。あるいは、媒体支持フラップ33の内表面が、連続成型表面であってもよく、媒体支持フラップ33がプリンタユニット2の梱包または輸送のために折り畳まれたときにトレイ部32の側壁37、38を収容するため、その縁領域に適切な溝を形成して備えることができる。
【0114】
スタンドアロンのユニットとして、プリンタユニット2は、図12に示すように、媒体出力アセンブリ5によって印字済み媒体を収集するようになっている。この構成において、媒体出力アセンブリ5は、プリンタユニット2の前部において本体3の基部8に位置している。媒体出力アセンブリ5は、トレイハウジング50および展張可能な2つの出力トレイで構成される。展張可能な2つの出力トレイは、上側出力トレイ51および下側出力トレイ52であり、この両者は、展張位置にないとき、トレイハウジング50内に保持されている。
【0115】
図6および11示されているように、トレイハウジング50は、下部フレームユニット6の凹所に着脱可能に収容され、プリンタユニット2の後部からプリンタユニット2の前部を僅かに超えて延びている。トレイハウジング50は、上面53および上面53から下方に延びる2つの側壁54、55を有する。上面53の前縁は開いており、トレイハウジング50内に保持された上部および下側出力トレイ51、52へのアクセスを可能にするため、上面53の前縁に凹部56が形成されている。
【0116】
上側出力トレイ51は、2つの側壁54、55によってトレイハウジング50内に収容されて保持されるように形作られている。2つの側壁54、55には、トレイハウジング50の全長にわたって延びる溝(図示されていない)が設けられている。上側出力トレイ51は、これらの溝に受け入れられるように寸法付けられており、上側出力トレイ51の長手縁が溝内を移動することで、トレイ51をトレイハウジング50に対して動かすことができる。溝および上側出力トレイ51の長手縁は、トレイ51をトレイハウジング50から延ばすことができるがトレイハウジング50から取り外すことはできないように構成されている。この構成において、トレイ51は格納位置において、完全にトレイハウジング50の内側に嵌入している。
【0117】
下側出力トレイ50は、上側出力トレイ51に対して同様な方法で構成されている。しかしながら、この構成においては、下側出力トレイ52は、上側出力トレイ51の長手縁に設けられた2つの溝に受け入れられている。図9に示されているように、下側出力トレイ52は、上側トレイの内側で移動することができるよう、上側出力トレイ51よりも小さな幅および厚さを有する。下側出力トレイ52は、格納された状態において、完全に上側出力トレイ51の内側に嵌入するように構成されており、上側出力トレイ51にも、下側出力トレイ52の前縁に設けられたストッパ部材58へとアクセスできるよう、前縁に沿って凹部57が設けられている。下側出力トレイ52および上側出力トレイ51を、上述と同様な方法で、下側出力トレイ52を上側出力トレイ51から伸ばすことができるが、上側トレイから取り外すことはできないようなやり方で、構成してもよい。格納および展張を可能にする他のトレイの構成も可能であり、本発明の技術的範囲に包含されると考えられる。
【0118】
使用の前には、媒体出力アセンブリ5は、図5に示されているように格納状態にある。ユーザがストッパ部材58を把持して下側出力トレイ52を引き伸ばすとき、媒体出力アセンブリ5は、図12に示すような動作位置に至る。この操作によって、媒体出力アセンブリ5の全体が、プリンタユニット2から排出される印字済み媒体を捕捉するため、トレイハウジング50から展張される。印字済み媒体の前縁が、本体3を出た後に、下側出力トレイ52のストッパ部材と接することで捕捉される。媒体出力アセンブリ5の展張の量は、印字される媒体のサイズによって決まる。例えば、印字媒体が、A4サイズの媒体など図12に示されているような長さである場合、印字媒体アセンブリ5を、印字済み媒体を捕捉して保持するために完全に展張させる必要がある。
【0119】
理解されるように、媒体出力アセンブリ5は、プリンタユニット2から取り外しが可能であり、プリンタユニット2が画像処理装置1の一部としてではなく、単独でインクジェットプリンタとして用いられる場合に使用される。画像処理装置を構成する方法については、後でさらに詳しく説明する。
【0120】
既に説明され、図13にも示されているように、本体3の内部空洞12へのアクセスは、カバー11の蓋21を後方へと枢動させることによって可能である。内部の空洞12は、印刷エンジン70、ならびにピッカー機構60の形態である紙ハンドリング機構を収容している。
【0121】
既に述べたように、ピッカー機構60の目的は、印字のために印刷エンジン70へと送達するため、媒体入力アセンブリ4から印字媒体の単一のシートを分離させて搬送することにある。プリンタユニット2は、60ppmに達し、さらには60ppmを超える速度で動作できるため、ピッカーユニットは、このような印字速度を達成するために適した速度で、印字媒体のシートを分離させて印刷エンジン70へと搬送するように構成されている。したがって、ピッカー機構60は、ピッカー本体63から延びるアームの端部に配置されたピッカーローラ61で構成されている。ピッカー本体63は、プリンタユニット2の制御用電子機器72によって制御されるモータ64を含んでいる。ピッカー本体63は、下部フレームユニット6へと枢動可能に取り付けられ、ピッカーローラ61がトレイ部32の作用面35に向かって押し付けられるように、ばねで付勢されている。
【0122】
トレイ部32に印字媒体34が存在しないとき、ピッカーローラ61が押し付けられて、トレイ部32の作用面35に設けられたアイドラローラ39に接する。印字媒体34をトレイ部32に装填するため、媒体34がトレイ部32へと挿入され、ピッカーローラ61の上方に設けられた案内要素66に接触する。この接触によって、ピッカー機構60がトレイ部32の作用面35から離れるように枢動し、印字媒体34を、前縁が媒体支持面36に支持された状態で、ピッカーローラ61とアイドラローラ39との間に収容できるようになる。この構成が、図14に示されている。
【0123】
ピッカーローラ61の表面には、把持手段が設けられており、把持手段は、ローラによる印字媒体34のシートの把持を促進するゴムのコーティングまたは他の同様の種類のコーティング、あるいは表面処理であってもよい。ピッカーローラ61がモータ64の動作のもとで回転すると、ピッカーローラ61に接している印字媒体のシートが、隆起している帯40に沿ってスライドして、印刷エンジン70へと送達される。ピッカー機構60に近接して帯40の表面に設けられたパッド41によって、最も外側のシートが、トレイ部32に存在する他のシートから分離される。この点に関し、最も外側のシートと一緒に移動する媒体のシートは、パッド41上をスライドするときに動きを生じさせる摩擦力よりも大きい摩擦力に直面し、したがって最も外側のシートのみが印刷エンジン70へと送達される。
【0124】
ピッカー機構60が、印字媒体34を分離して、印字媒体の個々のシートを比較的高速での印字のために印刷エンジン70へと搬送するために使用されており、この機能を実行するために使用されるピッカー機構60の種類が様々であってもよく、それらが依然として本発明の技術的範囲に含まれることが、理解できる。
【0125】
本発明によって使用される印刷エンジンアセンブリ70は、一般的には、クレードルユニット71およびカートリッジユニット80という2つの部分で構成されている。
【0126】
図14に示されているように、カートリッジユニット80は、付近を通過する印字媒体34のシートへと印字を行う印字ヘッド集積回路81を収容する本体を有する。カートリッジユニット80の本体は、さらに、インクを保管して印字ヘッド集積回路81へと送達するためのインク取り扱い貯蔵用リザーバ82を収容している。印字ヘッド集積回路81は、インク取り扱い貯蔵用リザーバ82の下方の領域において、印字対象の媒体34の幅にわたって延びるようにカートリッジの本体の外側に沿って配置されたページ幅の印字ヘッド集積回路である。従来のプリンタユニットと対照的に、本発明の印字ヘッド集積回路81は、動作時に所定の位置に固定されており、印字媒体を横切ってスキャンまたは横断を行うことはない。したがって、本発明の印刷エンジンは、従来のプリンタシステムにおいて現在可能である印字速度よりもはるかに高い印字速度を達成できる。印字ヘッド集積回路81を構成および制御する方法は、本明細書においてさらに詳しく後述される。
【0127】
電力およびデータ信号が、印字ヘッド集積回路81の動作を制御するため、クレードルユニット71に位置する制御用電子機器72から供給される。制御用電子機器72は、既に説明したSoPECデバイスを含んでおり、信号は、カートリッジユニット80の本体の周囲に設けられたデータおよび電源コネクタ(図示されていない)を介して、制御用電子機器72からカートリッジユニット80へと伝えられる。カートリッジユニット70をクレードルユニット71へと挿入することで、データおよび電源コネクタが、クレードルユニット71に設けられた対応するデータおよび電源コネクタと対をなし、ユニット71、80間の電力およびデータのやり取りを円滑にする。
【0128】
インク取り扱い貯蔵用リザーバ82は、印字のために種々の種類のインクおよび印字用流体を個別に貯蔵する複数のポリエチレン膜ポケットの形態である。例えば、カートリッジ80に、フルカラー印字のためのシアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックのインク、ならびに特定の印字用途のための赤外インク、およびインクの定着を助けるインク固定剤を貯蔵するための6つの個別のポリエチレン膜リザーバを設けることができる。リザーバ82のそれぞれは、カートリッジユニット80の本体の周囲に形成された再充填ポート(図示されていない)に設けられた対応する導入口と連通できる。したがって、インク再充填ディスペンサを再充填ポートに接触させ、圧力のもとでインクをリザーバ82へと送達することによって、リザーバ82を個々に再充填することができる。既に述べたように、インク再充填ディスペンサに、カートリッジユニット80の本体に設けられた対応する読取器によって読み取られるQAチップを備えてもよい。このようにして、再充填用流体の完全性および品質を保証するため、クレードルユニット71の制御用電子機器72に設けられたSoPECデバイスへと、関連のデータを伝達することができる。再充填を容易にするため、ポリエチレン膜リザーバ82は、充填時に流体を収容すべく膨張し、印字プロセスにおいてインク/流体が消費されるにつれて潰れるように、構成される。
【0129】
リザーバ82に貯蔵されたインクおよび印字用の流体は、特定の色のインクまたは固定剤などの特定の流体を運んで、当該流体を印字ヘッド集積回路81の全長に沿って設けられた正しいインク送出ノズルへと供給できるようにする一連の管路79を介して、印字ヘッド集積回路81へと送達される。これを達成する方法、およびカートリッジユニット80の全体構成が、本件出願の出願人による出願事件整理番号RRA01US〜RRA33USの米国特許出願に記載されており、これらの開示は、すべて参照として本明細書に組み込まれたものとする。上記出願は、それらの出願事件整理番号によって特定されているが、対応する出願番号が割り当てられた時点で、その出願番号にて置き換える予定である。
【0130】
既に述べたように、カートリッジユニット80の印字ヘッド集積回路81は、標準的なA4またはUSレター用紙の幅を有する媒体と等価である最大21.6cmまでの種々の幅の印字媒体に対応するため、約22.4cm(8.8インチ)の幅に広がるように構成されたページ幅の印字ヘッド集積回路である。しかしながら、プリンタユニット2の用途および使用される印字媒体の種類に大きく依存して、ページ幅の印字ヘッド集積回路81を、より大きな幅、またはより小さな幅で製造できることも、理解できる。所望の幅を実現するため、印字ヘッド集積回路81を、それぞれに複数のインク送出ノズルが設けられている1つ以上の集積回路を隣接して取り付けて製作してもよい。
【0131】
次に、ノズルおよび対応するアクチュエータを備える本発明に適した印字ヘッドのノズル機構の種類の例を、図16〜25を参照して説明する。図25は、シリコン基板8015上に形成されたノズル機構801のアレイを示している。ノズル機構801のそれぞれは同一であるが、ノズル機構801のグループへと、異なる色のインクまたは固定剤が供給されるように構成されている。この点に関し、ノズル機構が、列に配置されるとともに、互いにずらされており、印字の際に、単列のノズルにおいて可能な間隔よりも密なインクドット間の間隔を可能にしている。このような構成は、上述のようにノズルに稠密性を与えるようにしている。さらに、複数の列は、(所望であれば)冗長性を可能にし、ノズルあたりの所定の故障率を許容している。
【0132】
各ノズル機構801は、集積回路製造技術の産物である。とりわけ、ノズル機構801が、マイクロ電気機械システム(MEMS)を規定している。
【0133】
分かり易さのため、および説明を容易にするため、単一のノズル機構801の構成および動作を、図16〜24を参照して説明する。
【0134】
インクジェット印字ヘッドチップ81は、0.35ミクロン 1 P4M 12ボルトCMOSマイクロプロセシング電子機器が配置されているシリコンウエハ基板8015を含んでいる。
【0135】
二酸化シリコン(あるいは、ガラス)層8017が、基板8015上に位置している。二酸化シリコン層8017は、CMOS絶縁層を規定している。CMOS最上位金属が、二酸化シリコン層8017上に位置する整列した一対のアルミニウム電極コンタクト層8030を規定している。シリコンウエハ基板8015および二酸化シリコン層8017の両者は、全体として円形の断面(平面において)を有するインク導入チャネル8014を規定すべくエッチングされている。CMOS金属1、CMOS金属2/3、およびCMOS最上位金属のアルミニウム拡散バリア8028が、インク導入チャネル8014の周囲で二酸化シリコン層8017に配置されている。拡散バリア8028は、駆動電極層8017のCMOS酸化皮膜を通っての水酸化物イオンの拡散を防止するように機能する。
【0136】
チッ化シリコンの層の形態であるパッシベーション層8031が、アルミニウムコンタクト層8030および二酸化シリコン層8017を覆って位置している。パッシベーション層8031のうち、コンタクト層8030の上方に位置する各部位は、コンタクト8030へのアクセスを提供するための開口8032を自身に規定して有する。
【0137】
ノズル機構801は、環状のノズル壁8033によって規定されたノズルチャンバー8029を含んでおり、ノズルチャンバー8029は、上端において、ノズル屋根8034および平面において円形である半径方向内側のノズルリム804で終息している。インク導入チャネル8014が、ノズルチャンバー8029と連通している。ノズル壁の下端には、可動シールリップ8040を含む可動リム8010が位置している。囲み壁8038が、可動ノズルを囲んでおり、ノズルが図18に示すように静止しているときに可動リム8010に隣接する静止シールリップ8039を含んでいる。静止シールリップ8039と可動シールリップ8040との間に捕捉されたインクの表面張力によって、流体シール8011が形成されている。これが、チャンバーからのインクの漏れを防止する一方で、囲み壁8038とノズル壁8033との間に低抵抗の結合をもたらしている。
【0138】
図23に最もよく示されているように、放射状に延びる複数の凹所8035が、ノズルリム804の周囲において屋根8034に規定されている。凹所8035は、ノズルリム804を過ぎて逃げ出すインクの結果として半径方向のインク流れを収容すべく機能する。
【0139】
ノズル壁8033は、全体としてU字の形状を有して基部8037においてチッ化シリコン層8031に取り付けられたキャリア8035に取り付けられたレバー構成の一部を形成している。
【0140】
さらにレバー構成は、ノズル壁から延び、横補強梁8022が組み込まれているレバーアーム8018を含んでいる。レバーアーム8018は、チッ化チタン(TiN)から形成され、図19および24に最もよく示されているようにノズル機構の両側に位置している一対の受動梁806に取り付けられている。受動梁806の他端は、キャリア8036に取り付けられている。
【0141】
さらにレバーアーム8018は、TiNから形成されたアクチュエータ梁807に取り付けられている。このアクチュエータ梁への取り付けが、受動梁806への取り付けと比べて、僅かではあるが決定的に高い位置にて行われている点に、注目できる。
【0142】
図16および22に最もよく示されているように、アクチュエータ梁807は、平面において実質的にU字であり、電極809と対向する電極8041との間の電流経路を規定している。電極809および8041のそれぞれは、コンタクト層8030内のそれぞれの点に電気的に接続されている。コンタクト809を介して電気的に接続されると同時に、アクチュエータ梁は、アンカ808へと機械的に係止されている。アンカ808は、ノズル機構の動作時に、図16〜図18の左方へのアクチュエータ梁807の運動を制限するように構成されている。
【0143】
アクチュエータ梁807のTiNは導電性であるが、充分に高い電気抵抗を有しており、電流が電極809および8041の間を通過するとき、自ら発熱する。受動梁806を通って電流が流れることはなく、したがって受動梁806は膨張しない。
【0144】
使用時、静止状態にある装置が、表面張力の作用下でメニスカス803を規定するインク8013によって満たされる。インクは、メニスカスによってチャンバー8029内に保持され、他の何らかの物理的作用が存在しないとき、漏れ出すことはほとんどない。
【0145】
図17に示すように、インクをノズルから発射するため、電流がコンタクト809および8041の間に通され、アクチュエータ梁807を通過する。梁807の抵抗による梁807自身の発熱が、梁の膨張を生じさせる。アクチュエータ梁807の寸法および設計は、膨張の大部分が図16〜18に関して水平方向であることを意味している。左方への膨張はアンカ808によって制限されており、したがってアクチュエータ梁807のレバーアーム8018に近い方の端部が、右方へと駆動される。
【0146】
受動梁806は、相対的に水平方向の柔軟性を欠くため、レバーアーム8018の大きな水平方向の移動を許さない。一方で、受動梁およびアクチュエータ梁のそれぞれのレバーアームへの取り付け点が相対的に変位するため、ねじり運動が引き起こされ、レバーアーム8018が全体として下方へと動かされる。この運動は、実質的に枢動またはヒンジ運動である。しかしながら、真の枢支点が存在していないことが、回転が受動梁806の曲がりによって規定される枢支領域を中心とすることを意味している。
【0147】
レバーアーム8018の下方への運動(および、僅かな回転)が、受動梁806からノズル壁8033までの距離によって増幅される。ノズル壁および屋根の下方への運動が、チャンバー29内の圧力を上昇させ、図17に示すようにメニスカスを隆起させる。インクの表面張力が、この運動による流体シール11の伸張を意味し、インク漏出を許容しないことに注目できる。
【0148】
図18に示すように、適切な時点において駆動電流が停止され、アクチュエータ梁807が速やかに冷却して収縮する。この収縮によって、レバーアームの休止位置への復帰が開始され、結果としてチャンバー8029内の圧力の低下が生じる。隆起したインクの勢いおよびその固有の表面張力の相互作用、ならびにノズルチャンバー8029の上方への運動によって引き起こされる負の圧力が、隆起メニスカスの薄化、および最終的には放出を生じさせ、隣接の印字媒体に接するまで上方へと動き続けるインク滴802を規定する。
【0149】
滴802が離れた直後に、メニスカス803は、図18に示す凹状の形状を形成する。表面張力が、チャンバー8029の圧力を、インクが導入口8014を通って上方へと吸い込まれて、ノズル機構およびインクが図16に示した静止状態に戻るまで、比較的低く保つ。
【0150】
印字ヘッド集積回路81を、印字ヘッド集積回路81の長さおよび必要とされる所望の印字特性に応じて、表面に沿って5000〜100,000個の上述のノズルを配置して有するように構成できる。例えば、幅の狭い媒体については、印字ヘッドの表面に沿って5000個のノズルを配置するだけで所望の印字結果を達成することが可能である場合があるが、幅の広い媒体においては、所望の印字結果を達成するために、印字ヘッドの長さに沿って少なくとも10,000、20,000、または50,000個のノズルを配置する必要がある場合がある。A4またはUSレターのサイズの媒体への1600dpiまたは1600dpi程度でのフルカラー写真品質画像のために、印字ヘッド集積回路81は、各色について13824個のノズルを有することができる。したがって、印字ヘッド集積回路81が4色(C、M、Y、K)で印字を行うことができる場合、印字ヘッド集積回路81は、その表面に沿って約53396個のノズルを配置して有することになる。さらに、印字ヘッド集積回路81が6つの印字用流体(C、M、Y、K、IR、および固定剤)を印字できる場合、印字ヘッド集積回路81の表面に82944個のノズルが設けられることになるであろう。このような構成のすべてにおいて、各ノズルをサポートする電子機器は同じである。
【0151】
次に、印字ヘッド集積回路81において、個々のノズル機構101を制御する方法を、図26〜図29を参照して説明する。
【0152】
図26は、印字ヘッド集積回路81の概要、およびプリンタユニット2の制御用電子機器72に設けたSoPECデバイスへの印字ヘッド集積回路81の接続を示している。上述のとおり、印字ヘッド集積回路81は、各ノズルの発射を行うための繰り返しロジックを含んでいるノズルコアアレイ401、およびノズルの発射を行うためにタイミング信号を生成するためのノズル制御ロジック402を含んでいる。ノズル制御ロジック402が、高速リンクを介してSoPECデバイスからデータを受け取る。
【0153】
ノズル制御ロジック402は、電気コネクタの形態であってもよいリンク407を介して、印字のためにノズルアレイコアへとシリアルデータを送るように構成されている。ノズルアレイコア401についての状態および他の動作上の情報が、やはり電気コネクタに設けることができる他のリンク408を介して、ノズル制御ロジック402へと返信される。
【0154】
ノズルアレイコア401が、図27および28にさらに詳しく示されている。図27において、ノズルアレイコア401がノズル列501のアレイを備えることが見て取れる。アレイは、発射/選択シフトレジスタ502および最大6つのカラーチャネルを含んでおり、それぞれのカラーチャネルが、対応するドットシフトレジスタ503によって表わされている。
【0155】
図28に示されているように、発射/選択シフトレジスタ502は、順方向路発射シフトレジスタ600、逆方向路発射シフトレジスタ601、および選択シフトレジスタ602を含んでいる、各ドットシフトレジスタ503は、奇数ドットシフトレジスタ603および偶数ドットシフトレジスタ604を含んでいる。奇数および偶数ドットシフトレジスタ603および604は、データが一方向において奇数シフトレジスタ603によってクロックされ、次いで逆方向において偶数シフトレジスタ604によってクロックされるように、一端において接続されている。最後の偶数ドットシフトレジスタを除くすべての偶数ドットシフトレジスタの出力が、マルチプレクサ605の1つの入力へと供給される。マルチプレクサのこの入力は、製造後検査の際に信号(corescan)によって選択される。通常の動作においては、corescan信号が、マルチプレクサ605の他方の入力へと供給されるドットデータ入力Dot[x]を選択する。これにより、各色についてのDot[x]が、それぞれのドットシフトレジスタ503へと供給される。
【0156】
次に、1つの列Nを、図28を参照して説明する。図示の実施形態においては、列Nが、6つのドットシフトレジスタのそれぞれのための奇数データ値606および偶数データ値607を備える12のデータ値を含んでいる。さらに列Nは、進み発射シフトレジスタ600からの奇数発射値608、および戻り発射シフトレジスタ601からの偶数発射値609を含んでおり、これらが入力としてマルチプレクサ610へと供給される。マルチプレクサ610の出力は、選択シフトレジスタ602の選択値611によって制御される。選択値がゼロであるとき、奇数発射値が出力され、選択値が1であるとき、偶数発射値が出力される。
【0157】
奇数および偶数データ値606および607のそれぞれが、対応する奇数ドットラッチ612および偶数ドットラッチ613にそれぞれ入力として供給される。
【0158】
各ドットラッチおよびその関連のデータ値が、単位セル614などの単位セルを形成する。単位セルは、図29にさらに詳しく示されている。ドットラッチ612は、奇数ドットシフトレジスタ603の要素を構成しているD型フリップ‐フロップ614によって保持されたデータ値606の出力を受け付けるD型フリップ‐フロップである。フリップ‐フロップ614へと入力されるデータは、奇数ドットシフトレジスタの先の要素の出力から供給される(当該要素がシフトレジスタの第1の要素である場合には、その入力はDot[x]値である)。データは、LsyncLに供給される負のパルスが受け取られたとき、フリップ‐フロップ614の出力からラッチ612へとクロックされる。
【0159】
ラッチ612の出力は、3入力ANDゲート615への入力の1つとして供給される。ANDゲート615への他の入力は、Fr信号(マルチプレクサ610の出力から)およびパルスプロファイル信号Prである。ノズルの発射時期は、パルスプロファイル信号Prによって制御され、例えば、低電力供給のため生じる低電圧条件(着脱式の電源の実施形態において)を考慮に入れるため、長くすることができる。これにより、発射時に各ノズルから比較的一貫した量のインクが効率的に放射されるように保証される。上述の実施形態においては、プロファイル信号Prが各ドットシフトレジスタについて同じであり、複雑さ、コスト、および性能の間のバランスをもたらしている。しかしながら、他の実施形態においては、Pr信号を全体的に印加(すなわち、すべてのノズルについて同じ)することができ、あるいは各単位セルまたは各ノズルに合わせて個々に作製することも可能である。
【0160】
ひとたびデータがラッチ612に装填されると、発射許可信号Frおよびパルスプロファイル信号Prが、ANDゲート615に加えられて重ね合わされ、ロジック1を収容している各ラッチ612について、インクのドットを打ち出すべくノズルを動作させる。
【0161】
各ノズルチャネルについての信号を、以下の表に要約する。
【表3】
【0162】
図29に示されているように、発射信号Frは斜めに引き回されており、現在の列において色の発射を可能にし、次の列の次の色の発射を可能にし、以下同様である。これは、時間をずらした方法で6つの列にわたって分散させることで、電流の需要を平均化している。
【0163】
ドットラッチおよび種々のシフトレジスタを形成しているラッチは、この実施形態においては完全に静的であり、CMOSにもとづいている。ラッチの設計および構成は、集積回路の工学および設計の技術分野の当業者にとって公知であり、したがって本明細書にての詳しい説明は行わない。
【0164】
ノズルの速度は、約60ppmで印字を行うことができるプリンタユニット2について20kHzにもなり、より高速な場合には、それ以上になりうる。印字速度およびppmについての参照がすべて、フルプロセスのカラー画像(スポットカラーではない)で印字されたページを指しており、少なくともページの80%が画像で覆われている必要があることを、理解すべきである。すなわち、60ppmの印字速度とは、毎分60ページの媒体が印字され、ページが、各ページの少なくとも80%を覆うフルプロセスのカラー画像で印字されていることを指している。このように、既存のプリンタユニットとの比較はすべて、この印字要件にもとづいている。このノズル速度の範囲において、印字ヘッド81全体において発射されうるインクの量は、少なくとも毎秒5000万滴である。しかしながら、高速かつ高品質の印字を提供すべくノズルの数が増やされているため、少なくとも毎分1億滴、好ましくは少なくとも毎分3億滴、さらに好ましくは少なくとも毎分10億滴を、送出することができる。したがって、このような速度での印字に対応するため、制御用電子機器72は、ノズルがインクの滴を発射するか否かを、同等の速度で判断できなければならない。この点に関し、いくつかの例では、制御用電子機器72が、ノズルがインクの滴を発射するか否かを、少なくとも毎分5000万回の判断速度で判断できなければならない。これは、少なくとも毎分1億回の判断または少なくとも毎分3億回の判断まで増加する可能性があり、多くの場合には、高速かつ高品質な印字用途において、少なくとも毎分10億回の判断まで増加する可能性がある。
【0165】
本発明のプリンタユニット2においては、印字ヘッドチップ81に設けられた上述の範囲の数のノズルがノズル発射速度印字速度と協働し、少なくとも毎秒50cm2の面積印字速度をもたらし、印字速度に応じ、高速において少なくとも毎秒100cm2、好ましくは少なくとも毎秒200cm2、さらに好ましくは少なくとも毎秒500cm2の面積印字速度をもたらす。このような構成が、媒体の面積を従来のプリンタユニットではこれまで得られなかった速度で印字できるプリンタユニット100を提供する。
【0166】
既に述べたように、上述のノズル機構は、印刷エンジン70の一部を構成するカートリッジユニット80の印字ヘッド集積回路81に形成される。カートリッジユニット80は、機能するために、クレードルユニット71の制御用電子機器72から伝えられるデータおよび電力に依存しており、さらに印字ヘッド集積回路81を印字位置に支持し、印字のために印字媒体を印字ヘッド集積回路81を通って送達するために、クレードルユニット71に依存している。
【0167】
この点に関し、クレードルユニット71が、印刷エンジン70の第2の部分を構成し、上部および下部フレームユニット7、6に設けられた取付具(図示されていない)によって、本体3の内部空洞12に保持されている。この位置において、図13および14に示されているように、クレードルユニット71は、本体3の後部9に設けられたデータコネクタソケット17と電気的に連通しているコネクタ要素73を介して、外部のデータソースからデータを受け取ることができる。コネクタ要素73は、好ましくは、クレードルユニット71に設けられた対応するコネクタに整列するように配置されたフレキシブル印刷回路基板(PCB)である。同様に、電力が、内部空洞12へと延びる電源コンタクト(図示されていない)によって、電源ユニット15からクレードルユニット71へと供給される。クレードルユニット71に、クレードルユニット71へと電力を送達するべく電源コンタクト74につながる適切なコネクタ要素(図示されていない)が設けられる。
【0168】
図14にさらに明確に示されているように、クレードルユニット71は、カートリッジユニット80を受け入れて、両ユニットが一体に組み合わされたときに印刷エンジンアセンブリ70を形成するように形作られている。この構成において、データおよび電力を、既に述べたようにユニット71、80間で伝達することができ、印字ヘッド集積回路81のノズルを、既に述べた方法で制御することができる。
【0169】
クレードルユニット71の本体は、印刷エンジン70を通って紙を搬送するための駆動モータ75、駆動ローラ76、およびピンチローラ77、印字ヘッド集積回路81へとキャッピングおよび他の形式の保守を行うための印字ヘッド保守ユニット78、ならびにプリンタユニット2の全体的な動作を制御するためのSoPECデバイスを含んでいる制御用電子機器72を備える。さらに、クレードルユニットの本体は、採取のために印字済み媒体の印刷エンジン70からの送出を助けるため、出口ローラ86およびアイドラホイール87の形態の媒体出口機構を収容している。
【0170】
駆動モータ75は、双方向能力を有する標準的なブラシレスDCモータである。駆動モータ75は、ギアによって駆動ローラ76に係合し、印字ヘッド集積回路81を通過する印字媒体の送出を制御するため、駆動ローラ76へと駆動の運動を提供する。モータ75による駆動ローラ76の駆動速度は、紙が典型的には60ppmに至り、さらには60ppmを超える所望の速度で印字ヘッド81を通過して送達されるよう、印字媒体の送出制御用電子機器72によって制御される。駆動ローラ76がピンチローラ77と係合し、ローラ76、77が協働して、ピッカー機構60によって供給される印字媒体を捕捉し、印字媒体を印字ヘッド集積回路81を通過して前進させる。
【0171】
さらにクレードルユニット71には、やはりギアによって駆動モータ75に係合する印字ヘッド保守ユニット78が設けられている。印字ヘッド保守ユニット78は、カートリッジユニット80の印字ヘッド集積回路81をキャップする位置へと動かされるようになっているキャッピング要素を含んでいる。そのような場合、プリンタユニット2が休止状態であると判断されたとき、制御用電子機器72が、印字ヘッド保守ユニット78の駆動モータ75との係合を開始させ、印字ヘッド保守ユニット78を印字ヘッド集積回路81とのキャッピング係合へと移動させる。キャッピング係合は、基本的には、印字ヘッド集積回路81のインク送出ノズルの周囲の周辺シールを構成し、インク送出ノズル内に存在するインクからの水分の蒸発を少なくし、インクの乾燥およびノズルの詰まりを防止する。同様に、印字が着手されたと判断されると、制御用電子機器72が印字ヘッド集積回路81からのキャップの取り外しを開始し、印字ヘッド保守ユニット78を図16に示されているような非キャップ位置へと戻すことができるようにする。さらに、印字ヘッド保守ユニット78が、必要に応じて印字ヘッド81の拭き取りまたは吸い取りなど、他の特徴を実行してもよい。
【0172】
紙出口機構85は、印字ヘッド集積回路81の下流においてクレードルユニット70の内側に位置しており、出口ローラ86および複数のアイドラローラ87で構成されている。出口ローラ86は、クレードルユニットを横切って延びる細長い軸によってもたらされている。出口ローラ86は、媒体出力アセンブリ5への送出のため媒体の捕捉を助けるために、軸の全長に沿って等間隔に位置する複数の把持要素を有することができる。出口ローラ86は、適切に配置された駆動ギアを介して、クレードルユニット71の駆動モータ75によって駆動され、クレードルユニット71の制御用電子機器72が、紙出口機構85の動作を、確実にクレードルユニット71の駆動ローラ76の速度およびタイミングに対応する適切な時点および速度で開始されるように制御することができる。
【0173】
紙出口機構85のアイドラホイール87は、出口ローラ86と協働して機能し、印字媒体を捕捉して媒体出力アセンブリ5へと送出する。アイドラローラ87は、クレードルユニット71の内表面へと撓むことができるように接続されており、出口ローラ86と回転接触するように構成されている。図14に示すように、アイドラホイール87は、印字済み媒体を出口ローラ86の作用のもとで媒体出力アセンブリ5へと送達することができるよう、出口ローラ86の表面に接して回転して間に媒体を捕捉するスターホイール91の形態である。この構成は、印字後の印刷エンジン70からの印字済み媒体のシートを取り去る制御を助ける。
【0174】
紙出口機構85が、クレードルユニット71内に収容されるものとして示されているが、紙出口機構をクレードルユニットから離して設け、プリンタユニットの本体3に取り付けてもよいことを、理解すべきである。さらに、紙出口機構85が、スターホイール91を有するものとして示されているが、当業者にとって明らかであるとおり、他の種類のアイドラローラを使用してもよく、それらもやはり本発明の技術的範囲に包含される。
【0175】
図16に示されているように、クレードルユニット71の本体は、導入口67を、ピッカー機構60に近接して印字ヘッド集積回路81の上流に設けて有する。導入口67は、ピッカー機構60によって送達される印字媒体の前縁を受け入れるが、駆動ローラ76およびピンチローラ77に向かって印字媒体の前縁の案内を助ける案内部材69を含んでいる。
【0176】
出口68が、印字媒体に印刷エンジン70から出るための経路を提供するため、印字ヘッド集積回路81紙出口機構の下流においてクレードルユニット71の本体に設けられている。印字ヘッド集積回路81による印字に続いて、印字済み媒体の前縁が、紙出口機構85の作用のもとで、出口68を通って印刷エンジン70から出る。
【0177】
上述の構成において、印刷エンジン70は、媒体入力アセンブリ4から印刷エンジン70を通って媒体出力アセンブリ5へと至る簡潔な印字媒体搬送経路を可能にするため、本体3の内部空洞12の内側に位置している。
【0178】
図14に示されているように、プリンタユニット2を通って前進する際の印字媒体の経路を単純にするため、印刷エンジン70は、本体3の内部空洞12において斜めに配置されている。印刷エンジン70の斜め配置が、印字ヘッド集積回路81の斜め配置をもたらし、結果として斜め配置の印字領域がもたらされ、これが、媒体入力アセンブリ4から印字領域を通って媒体出力アセンブリ5へと通過する際の印字媒体に奥行きの少ない経路をもたらすうえで役にたつ。このような単純であって奥行きの少ない印字媒体の経路は、種々の厚さおよび種類の媒体、すなわち約300gsmにもなる紙を、プリンタユニット2によって印字できるようにし、このような媒体取り扱い能力における可変性は、従来の卓上プリンタユニットにおいて通常欠如していたものである。この構成は、印字媒体がその経路において詰まる可能性を少なくし、定常的な監視および調整を必要とする可能性を少なくし、いくつかの場合には、万一にも媒体が印字ヘッド集積回路81に接触して、補修または交換を必要とする可能性を少なくする。
【0179】
印刷エンジン70の配置角度、したがって印字ヘッド集積回路81の傾斜の角度は、印字媒体10がプリンタユニット2へと供給される角度、とりわけ媒体入力アセンブリ4の傾斜の角度に大きく依存する。図16に示されているように、印字媒体入力アセンブリ4は、水平面の傾斜角度を0°であるとして、正のx軸から反時計周りに測定して約120°の傾斜角度を有する。印字媒体入力アセンブリの傾斜角度は、90°〜160°の間で様々であってもよい。図16に示した構成においては、印刷エンジン70、したがって印字ヘッド集積回路81が、印字媒体入力アセンブリ4の傾斜角度よりも大きい約145度の傾斜角度を有する。したがって、様々な重量および厚さの印字媒体を取り扱うことができる奥行きの少ない印字媒体経路を提供するために、印字ヘッド集積回路81は、印字媒体入力アセンブリの傾斜角度よりも大きい傾斜角度を有するように構成されている。
【0180】
[画像読取ユニット]
画像処理装置1の画像読取ユニット701が、図30に分解図で示されている。理解できるとおり、画像読取ユニット701は、ソースから画像をスキャンするための従来の往復式のページ幅画像読取機702を使用する従来のフラットベッドスキャナユニットに類似している。画像読取機702は、当業者であれば理解できるように、スキャナヘッドアセンブリの形態である。
【0181】
画像読取ユニット701は、一般的に、基部703、フレーム710、および蓋720で構成される。基部703は、画像読取ユニット701の種々の動作要素を含んでいる。画像読取機702は、基部703の一端に位置しており、中央軸704に支持されるとともに、画像を読み取るときに中央軸704に沿って移動する。中央軸704と平行関係に配置されたベルトアセンブリ705を駆動するため、モータ707が基部703に取り付けられている。ベルトアセンブリ705は、画像読取機702に接続されており、モータ707の作用のもとで中央軸704に沿って画像読取機702を移動させ、画像をスキャンすべく画像読取機702が基部703を横断できるようにしている。ベルト引っ張りシステム706が、ベルトアセンブリ705のモータ707から遠位の端部に使用されており、スキャナユニット701の全長にわたって画像読取機702の一貫した動きをもたらすため、ベルトが充分な張力となるよう保証している。
【0182】
画像読取機702およびモータ707は、PCBアセンブリ(一部が隠れている)上に設けられたコントローラ708によって制御される。画像読取機702は、画像読取ユニット701の全長を横切るとき、折り畳まれた構成で示されているフレキシブルPCB709によって、コントローラ708に接続されている。この点に関し、画像読取機702が基部703の長さに沿って移動するとき、フレキシブルPCB709が折り畳まれた構成から引き伸ばされ、画像読取機702がコントローラ708と常に連通しているように保証し、この2つの要素の間でデータおよび電力を伝達できるようにしている。この構成において、読み取られる画像に関する画像情報が、画像読取機702によって収集され、後の処理のためにコントローラ708に記録または保存される。
【0183】
フレーム710は、基部703を覆って嵌入し、フレーム710に設けられて基部703に設けられた対応する凹所712と対をなすラグ711によって、係合状態に保たれるように構成されている。平坦なガラス製パネル713が、基部703とフレーム710との間に挟まれている。ガラス製パネル713は、印字済み媒体のシートを支持し、媒体を画像読取機702による上述の方法での読み取りのために提示するように意図されている。
【0184】
フレーム710の後部には、座部分714が設けられている。座部分714は、床部715と床部715から上方に延びる2組の位置決め要素716とを有する開口した受け部を形成している。位置決め要素716はそれぞれ、隆起した4つの位置決めタブ718によって囲まれた中央の円筒要素717で構成されている。さらに、スペーサ要素719が、座部分の床部715から延びている。位置決め要素716およびスペーサ要素719の目的は、後でさらに詳しく説明する方法でプリンタユニット2を受け入れることにある。
【0185】
蓋720は、ガラス製パネル713のカバーとなるように構成され、ガラス製パネル713を覆っている閉鎖位置と、ガラス製パネル713から離れるように動かされた開放位置との間を枢動すべく、フレーム710へと枢動可能に接続されている。パッド721が蓋720の内表面に設けられ、読み取り対象の物品をガラス製パネル713上の所定の位置に保つよう助けている。この点に関し、蓋720が閉鎖位置にあるとき、読み取り対象の物品がガラス製パネル713上に配置され、パッド721が物品に接触し、物品をガラス製パネル713の表面上の所定の位置に保つ。
【0186】
蓋720の外表面には、蓋720の全長にわたって延びる複数のうね722が設けられており、さらに詳しく後述する方法でプリンタユニット2からの印字済み媒体を収集するために使用される平坦な表面を全体的に規定している。プリンタユニット2からの印字済み媒体の収集を助けるため、端部ストッパ723が、蓋720の外表面に設けられている。
【0187】
蓋720は、蓋720の2つの内側角に設けられた一対のピン(図示されていない)によってフレーム710に取り付けられている。ピンは、フレーム710の外表面に設けられた2つの成形凹所724に収容され、この構成が、蓋720をピンを中心として開放位置と閉鎖位置との間で枢動させることができるようにしている。フレーム710において、蓋720が取り付けられている縁の直近の領域には、フレーム710を中心とする蓋720の枢動を助ける溝付きの領域725が設けられている。
【0188】
上述し図30に示した画像読取ユニット710は、往復式のページ幅ヘッドアセンブリを使用するフラットベッドスキャナであるが、スキャナユニットが、市販されている任意の形態のスキャナユニットであってもよく、すなわち本発明が使用されるスキャナユニットの種類に限定されるものではないことを、理解できる。
【0189】
[多目的画像処理装置]
図1に示した多目的画像処理装置1を形成するため、プリンタユニット2および画像読取ユニット701の両者が、両ユニットを一体に簡単に組み立てることができる方法で構成される。
【0190】
既に記載されているように、画像読取ユニット701の座部分714が、プリンタユニット2の基部8を受け入れるように構成されており、位置決め要素716が、プリンタユニット2を所定の位置に固定するように機能する。
【0191】
図11を参照すると、多目的画像処理装置1を形成すべくプリンタユニット2および画像読取ユニット701を一体に組み立てるため、まずは媒体出力アセンブリ5が、プリンタユニット2の基部8から取り外される。媒体出力アセンブリ5は、プリンタユニット2の基部8に形成された凹部に滑動可能に受け入れているため、画像読取ユニット701への組み立てに先立って、基部から単純に取り外すことができる。2つの受入領域59が、基部8の表面に形成されており、4つの実質的に矩形の凹所を周囲に配置して有する中央の円形の凹所の形態である。
【0192】
次いで、プリンタユニット2を、画像読取ユニット701の座部分714内に配置することができ、座部分714は、プリンタユニット2の基部8の全体形状に一致するように形作られている。プリンタユニット2が座部分714に受け入れられると、プリンタユニット2の基部8に形成された受入部59が、座部分714に設けられた位置決め要素716を受け入れる。この点に関し、隆起タブ718が、受入領域59の対応する実質的に矩形の凹所に受け入れられ、円筒形の要素717が、受入領域59の対応する中央の円形の凹所に受け入れられ、これによってプリンタユニット2が画像読取ユニット701へと、入れ子の構成で解放可能に固定される。座部分714のスペーサ要素719が、プリンタユニット2の基部8に当接して作用し、座部分714内のプリンタユニット2のさらなる支持を提供する。組み立て後の構成の下面が、図31に示されている。
【0193】
この構成において、画像読取ユニット701のコントローラ708を、適切な電気的接続(図示されていない)を介してプリンタユニット2の制御システム72へと直接接続することができる。そのような電気的接続を、画像読取ユニット701のコントローラ708とプリンタユニット2の制御システム702との間のデータの転送を可能にすべくプリンタユニット2の内部空洞12へと延びるよう、円筒要素717の内側に設けることができる。さらに、画像読取ユニット701へと動力を供給するため、電源の接続を、電源ユニット15から同様の方法で設けることができる。この点に関し、画像読取ユニット701を、印字済みの文書から画像を読み取り、この画像を速やかな印字のために処理してプリンタユニット2へと送るように動作させることができる。さらに、制御システム72が、収集した画像データを遠隔のコンピュータシステムなどに、プリンタユニット2に設けられたデータ接続ソケットまたはWIFIカードを介して送信することができる。画像読取ユニット701を、プリンタユニット2に取り付けられたユーザディスプレイユニット26を介して操作することができ、ユーザが、画像読取ユニット701の動作を制御するため、ユーザディスプレイユニット26を介して指令を入力することができる。
【0194】
組み立てられた構成においては、図32〜35に示されるように、画像読取ユニット701の蓋720が、プリンタユニット2から排出された印字済み媒体を収集するため、プリンタユニット2から延伸している。この点に関し、媒体34は、画像読取ユニット701の蓋720の上へと、媒体出口機構85の作用のもとでプリンタユニット2から出る。端部ストッパ723が、媒体34の前縁を収集し、収集のために印字済み媒体を保持する。
【0195】
画像読取ユニット701を使用しての文書からの画像の読み取りおよび記録を容易にするため、文書をガラス製パネル813の表面上に置くことができるよう、蓋720を持ち上げることができる。この構成が、図36に示されている。この点に関し、画像読取ユニット701は、プリンタユニット2とは個別に独立して従来の方法で容易に操作できるように構成されている。
【0196】
本発明を、本発明の例示的な実施形態を参照して図示および説明したが、本発明の技術的範囲および技術的思想から離れることなく、様々な変更が当業者にとって明らかであり、当業者であればそのような変更を容易に行うことができる。したがって、添付の特許請求の範囲の技術的範囲は、本明細書において記載した説明に限定されるものではなく、特許請求の範囲は広く解釈されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0197】
【図1】本発明の一実施形態による多目的画像処理装置の前面斜視図である。
【図2】本発明のプリンタユニットを組み入れている印字システムにおける文書データの流れの概要を示す図である。
【図3】本発明のプリンタユニットの制御システムにおいて使用されるアーキテクチャの一実施形態を示すさらに詳細な概略図である。
【図4】本発明のプリンタユニットにおいて使用される制御システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図5】本発明のプリンタユニットの正面斜視図である。
【図6】図5のプリンタユニットの前面分解斜視図である。
【図7】図5のプリンタユニットの後面斜視図である。
【図8】図5のプリンタユニットの正面図である。
【図9】図5のプリンタユニットの右側面図である。
【図10】図5のプリンタユニットの左側面図である。
【図11】図5のプリンタユニットの底面図である。
【図12】図5のプリンタユニットの正面斜視図であり、媒体出力アセンブリが展張され、媒体が媒体入力アセンブリに装填されていることを示す図である。
【図13】図5のプリンタユニットの正面斜視図であり、プリンタユニットのカバーが開かれ、印刷エンジンが露出していることを示す図である。
【図14】図5のプリンタユニットの側方断面図である。
【図15a】視覚表示ユニットの光源の正面斜視図である。
【図15b】視覚表示ユニット管の正面斜視図である。
【図16】本発明において使用されるインクを排出するための、静止状態にある単一のノズルの垂直断面図である。
【図17】初期動作段階の最中にある図16のノズルの垂直断面図である。
【図18】後期動作段階にある図17のノズルの垂直断面図である。
【図19】図18に示した動作状態にある図16のノズルの斜視部分垂直断面図である。
【図20】図16のノズルの斜視垂直断面である。
【図21】図20のノズルの垂直断面図である。
【図22】図17に示した動作状態にある図16のノズルの斜視部分垂直断面図である。
【図23】図16のノズルの平面図である。
【図24】図16のノズルの平面図であり、レバーアームおよび可動ノズルは分かり易くするため取り除かれた状態を示す図である。
【図25】図16に示した形式の複数のノズル機構を組み入れている印字ヘッドチップの一部分についての、斜視垂直断面図である。
【図26】本発明のプリンタユニットにおいて使用するためのCMOS駆動および制御ブロックを示す概略図である。
【図27】図26のCMOSブロックにおけるノズル列とドットシフトレジスタとの間の関係を示す概略図である。
【図28】単位セルならびにその図27のノズル列およびドットシフトレジスタとの関係を示すさらに詳細な概略図である。
【図29】本発明のプリンタユニットにおける使用に適した単一のプリンタノズルについて、論理を示す回路図である。
【図30】本発明の画像読取ユニットの分解正面斜視図である。
【図31】図1の多目的画像処理装置の底面図である。
【図32】図1の多目的画像処理装置の左側面図である。
【図33】図1の多目的画像処理装置の側方断面図である。
【図34】図1の多目的画像処理装置の拡大側方断面図である。
【図35】図1の多目的画像処理装置の前面斜視図であり、画像読取ユニットの蓋が媒体出力アセンブリとして機能している状態を示す図である。
【図36】図1の多目的画像処理装置の前面斜視図であり、画像読取ユニットの蓋が開かれた状態にあって画像読取ユニットの読取面を露出している状態を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタユニットに関し、さらに詳しくは、多機能画像処理ユニットとして機能すべく画像読取ユニットが組み合わせられているインクジェットプリンタユニットに関する。
【0002】
[同時係属中の出願]
以下の出願が、本件出願の出願人によって本件出願と同時に出願されている。
【表1】
【0003】
これら同時係属中の出願の開示は、参照として本明細書に組み込まれたものとする。上記の出願は、出願時の事件整理番号によって特定されているが、対応する出願番号が割り当てられ次第、事件整理番号をそれら出願番号で置き換える予定である。
【0004】
[関連出願への相互参照]
本件発明の出願人または譲受人によって出願された以下の特許または特許出願は、参照として本明細書に組み込まれたものとする。
【表2】
【0005】
いくつかの出願は、事件整理番号によって列挙されている。これらは、出願番号が明らかになった時点で置き換える予定である。
【背景技術】
【0006】
プリンタユニットは、従来から、1つ以上の関連のコンピュータとやり取りをして、当該関連のコンピュータから送られる制御データにもとづいて画像を生成するために使用されている。画像の品質および画像生成の速度は、プリンタユニットごとにかなり様々である可能性があり、使用されるプリンタユニットの種類に大きく左右される。一般的に言って、高解像度の画像をフルカラーで生成する高速なプリンタユニットは、単色の黒白画像をより遅い速度で生成するプリンタユニットよりも高価である。この点で、特定の状況において使用されるプリンタユニットの種類は、一般に、当該プリンタが引き受ける印字画像の種類ならびに当該特定のプリンタユニットのコストを考慮して選択される。
【0007】
より最近では、従来のプリンタユニットの役割が、とりわけオフィス環境において、さらなる機能の提供へと広がってきている。例えば、オフィス用のプリンタユニットの多くが、従来の印字機能に加えて、通常はコピー機に付随している機能をも提供するように開発されてきている。この点で、文書スキャナなどの画像読取ユニットが、プリンタユニットに典型的なコピー機能をもたらすために、プリンタユニットに組み合わせられる。このような多機能ユニットは、それらが従来は2つ以上の個別のユニットによって実行されていた仕事を達成することができ、したがって2つ以上の個別のユニットを維持することに係るコストを低減し、さらにそのようなユニットを収容するために必要な空間を少なくするため、好評を博するようになっている。
【0008】
残念なことに、そのような多機能のユニットは、典型的には極めて専用のユニットであって、一般的にはオフィス用途に向けられており、したがって寸法およびモジュール性がかなり制限されている。さらに、そのようなユニットは、従来のプリンタユニットから見ると典型的には高価であり、そのようなユニットがプリンタ市場において競合してゆくためには、使用されている印字ユニットおよび/または画像読取ユニットが、一般的には、競争力のある価格が付けられた単一のユニットに比べて標準性に乏しい。このような兼ね合いの結果として、典型的には、多機能ユニットの動作は、印字速度および印字品質について劣ったものになりうる。これに加え、典型的な多機能ユニットは、多機能ユニットの個々の部品を分離または追加可能にすべくシステムの種々の部品を相互に取り付け可能にするための手段を、容易に提供することがない。この点で、このような多機能ユニットの設計におけるモジュール性の欠如のため、プリンタユニットを画像読取ユニットへと取り付けることでプリンタユニットを容易に多機能ユニットへと変化させることができるよう、プリンタユニットと画像読取ユニットとを個別に購入することは不可能である。
【発明の開示】
【0009】
第1の態様において、本発明は、印字のための媒体を支持するための媒体入力アセンブリと、媒体上に画像を印字するための印刷エンジンと、印字済み媒体を収集するための媒体出力アセンブリとを備えるインクジェットプリンタユニットであって、上記媒体出力アセンブリが、印字済み媒体を収集するための表面を備える画像読取ユニットを有しており、上記印刷エンジンが、使用時に上記媒体出力アセンブリが支持面上に平置きされて上記媒体入力アセンブリが上記印刷エンジンから上方に向かって延びるように、上記媒体入力アセンブリと上記媒体出力アセンブリとの間に位置しているインクジェットプリンタユニットを提供する。
【0010】
場合により、上記媒体入力アセンブリおよび上記印刷エンジンが、上記画像読取機に取り付けられ、上記画像読取機が、プリンタユニットを作業面上に支持するように構成される。
【0011】
場合により、上記画像読取機が、上記印刷エンジンから外向きに延び、印字済み媒体が、上記画像読取機の上面に収集される。
【0012】
場合により、上記印刷エンジンが、印字に続いて上記印字済み媒体を上記印刷エンジンから排出するための媒体出口機構を備える。
【0013】
場合により、上記画像読取機の上面が、上記排出された印字済み媒体を捕捉して、該印字済み媒体を収集のために提示するように構成される。
【0014】
場合により、上記画像読取機の上面が、収集のために上記排出された媒体を上記画像読取機の上面で捕捉するため、排出された媒体の前縁に接触するストッパ部材を備える。
【0015】
場合により、上記印刷エンジンが、複数のインク排出ノズルが配置されているページ幅の印字ヘッドを備えており、媒体が上記印字ヘッドを通過して搬送されるときに媒体の表面へとインクが排出される。
【0016】
場合により、上記印字ヘッドがカートリッジ上に設けられ、上記カートリッジを上記印刷エンジンから取り外すことができる。
【0017】
場合により、上記カートリッジが、上記印字ヘッドによる印字のためのインクを貯蔵するため、少なくとも1つのインク貯蔵用リザーバを備える。
【0018】
場合により、上記印刷エンジンがクレードルを備え、上記クレードルが、上記カートリッジを受け入れるように構成される。
【0019】
場合により、上記クレードルが、上記媒体を印字のために上記媒体入力アセンブリから上記印字ヘッドを通過して搬送するための媒体搬送機構を備える。
【0020】
場合により、上記クレードルが、媒体上への上記画像の印字を円滑にするため、上記印字ヘッドおよび上記搬送機構の動作を制御する制御システムを備える。
【0021】
場合により、上記制御システムが、さらに上記画像読取ユニットの動作を制御する。
【0022】
第2の態様において、本発明は、印字のための媒体を支持するための媒体入力アセンブリと、媒体上に画像を印字するための印刷エンジンと、印字済み媒体を収集するための媒体出力アセンブリとを備えるインクジェットプリンタユニットであって、上記媒体出力アセンブリが、印字済み媒体を収集するための表面を備える画像読取ユニットを有しており、上記印刷エンジンが、ページ幅の印字ヘッドを有するインクジェットプリンタユニットを提供する。
【0023】
場合により、上記媒体入力アセンブリおよび上記印刷エンジンが、上記画像読取機に取り付けられ、上記画像読取機が、プリンタユニットを作業面上に支持するように構成される。
【0024】
場合により、上記画像読取機が、上記印刷エンジンから外向きに延び、印字済み媒体が、上記画像読取機の上面に収集される。
【0025】
場合により、上記印刷エンジンが、印字に続いて上記印字済み媒体を上記印刷エンジンから排出するための媒体出口機構を備える。
【0026】
場合により、上記画像読取機の上面が、上記排出された印字済み媒体を捕捉して、該印字済み媒体を収集のために提示するように構成される。
【0027】
場合により、上記画像読取機の上面が、収集のために上記排出された媒体を上記画像読取機の上面で捕捉するため、排出された媒体の前縁に接触するストッパ部材を備える。
【0028】
場合により、上記印刷エンジンが、複数のインク排出ノズルが配置されているページ幅の印字ヘッドを備えており、媒体が上記印字ヘッドを通過して搬送されるときに媒体の表面へとインクが排出される。
【0029】
場合により、上記印字ヘッドがカートリッジ上に設けられ、上記カートリッジを上記印刷エンジンから取り外すことができる。
【0030】
場合により、上記カートリッジが、上記印字ヘッドによる印字のためのインクを貯蔵するため、少なくとも1つのインク貯蔵用リザーバを備える。
【0031】
場合により、上記印刷エンジンがクレードルを備えており、上記クレードルが、上記カートリッジを受け入れるように構成されている。
【0032】
場合により、上記クレードルが、上記媒体を印字のために上記媒体入力アセンブリから上記印字ヘッドを通過して搬送するための媒体搬送機構を備える。
【0033】
場合により、上記クレードルが、媒体上への上記画像の印字を円滑にするため、上記印字ヘッドおよび上記搬送機構の動作を制御する制御システムを備える。
【0034】
場合により、上記制御システムが、さらに上記画像読取ユニットの動作を制御する。
【0035】
第3の態様において、本発明は、画像読取機と一緒に使用するためのインクジェットプリンタユニットであって、印字対象の媒体を支持するための媒体入力アセンブリと、相補的である画像読取機上の固定手段に解除可能に係合するための固定手段とを有する本体と、ページ幅の印字ヘッドと、該印字ヘッドの動作を制御するための制御システムとを備える印刷エンジンとを備えており、上記本体が、上記固定手段が上記相補的である固定手段と解除可能に係合すべく位置するように、上記読取器と入れ子をなすべく形作られているインクジェットプリンタユニットを提供する。
【0036】
場合により、上記本体が、上記画像読取ユニットに設けられた座に受け入れられるように形作られた基部を有する。
【0037】
場合により、上記本体の上記基部が、上記本体を上記画像読取ユニットへと着脱可能に固定するため、上記画像読取ユニットの上記座に設けられた複数の位置決め部材を受け入れるようになっている複数の凹部を備える。
【0038】
場合により、上記本体の上記基部が、上記画像読取ユニットの上記座に設けられた電気コネクタを受け入れるための電気引込口を含んでおり、上記本体が上記画像読取ユニットへと固定されたとき、両者の間のデータおよび電力の伝達を可能にするため上記本体と上記画像読取ユニットとの間に電気経路が形成される。
【0039】
場合により、上記印刷エンジンの上記制御システムが、上記画像読取ユニットの動作を制御し、データが上記電気経路を介して上記制御システムと上記画像読取ユニットとの間を伝達される。
【0040】
場合により、上記本体が、上記電気経路を介して上記画像読取ユニットに動作用の電力を供給する電源を備える。
【0041】
場合により、上記印字ヘッドがカートリッジ上に設けられ、上記カートリッジを上記印刷エンジンから取り外すことができる。
【0042】
場合により、上記カートリッジが、上記印字ヘッドによる印字のためのインクを貯蔵するため、少なくとも1つのインク貯蔵用リザーバを備える。
【0043】
場合により、上記印刷エンジンがクレードルを備えており、上記クレードルが、上記カートリッジを受け入れるように構成されている。
【0044】
場合により、上記クレードルが、上記媒体を印字のために上記媒体入力アセンブリから上記印字ヘッドを通過して搬送するための媒体搬送機構を備える。
【0045】
さらなる態様においては、インクジェットプリンタユニットと一緒に使用するための画像読取ユニットであって、上記プリンタユニットから印字済み媒体を受け取って、該印字済み媒体を読み取りのために提示する媒体読取面と、上記プリンタユニット上の固定手段に解除可能に係合するための相補的な固定手段と、を備えており、上記画像読取機が、上記相補的な固定手段が上記固定手段と解除可能に係合すべく位置するように、上記プリンタユニットと入れ子をなすべく形作られている画像読取ユニットが提供される。
【0046】
さらなる態様においては、画像を媒体表面へと印字するとともに、媒体表面の画像に関する画像情報を読み取って記録するための画像処理装置であって、印字対象の媒体を支持するための媒体入力アセンブリを有するインクジェットプリンタユニットと、ページ幅の印字ヘッドおよび該印字ヘッドの動作を制御するための制御システムを備える印刷エンジンと、上記プリンタユニットから印字済み媒体を受け取って、該印字済み媒体を読み取りのために提示する媒体読取面を有する画像読取ユニットとを備えており、上記インクジェットプリンタユニットが、上記画像読取ユニットに入れ子状に係合し、上記画像読取ユニットに解除可能に固定される画像処理装置が提供される。
【0047】
さらなる態様においては、画像を媒体表面へと印字するとともに、媒体表面の画像に関する画像情報を読み取って記録するための画像処理装置であって、印字対象の媒体を支持するための媒体入力アセンブリを有するインクジェットプリンタユニットと、ページ幅の印字ヘッドおよび該印字ヘッドの動作を制御するための制御システムを備える印刷エンジンと、上記プリンタユニットから印字済み媒体を受け取って、該印字済み媒体を読み取りのために提示する媒体読取面を有する画像読取ユニットとを備えており、上記インクジェットプリンタユニットが、上記画像読取ユニットに入れ子状に係合し、上記画像読取ユニットに解除可能に固定される画像処理装置が提供される。
【0048】
さらなる態様においては、画像を媒体表面へと印字するとともに、媒体表面の画像に関する画像情報を読み取るための画像処理装置であって、印字対象の媒体を支持するための媒体入力アセンブリを有するインクジェットプリンタユニットと、画像読取機と、印字済み媒体を受け取り、上記画像情報を読み取るために該印字済み媒体を上記画像読取機へと提示する媒体読取面とを有する画像読取ユニットと、ページ幅の印字ヘッドおよび該印字ヘッドの動作を制御するための制御システムを備える印刷エンジンとを備えており、上記印字ヘッドが、印字対象の媒体へとインクの個々の滴を排出するための複数のインク排出ノズルを有しており、上記制御システムが、少なくとも毎秒5000万回の判断速度で、上記ノズルのそれぞれがインクの滴を排出するか否かを判断する画像処理装置が提供される。
【0049】
さらなる態様においては、上記本体が座部分を備えており、上記座部分が、内部に上記インクジェットプリンタユニットを受け入れるように形作られている画像読取ユニットが提供される。
【0050】
さらなる態様においては、上記固定手段が、上記座部分に設けられ、上記座部分から延びて上記インクジェットプリンタユニットに設けられた対応する収容部材に係合するようになっている少なくとも1つの位置決め部材を備える画像読取ユニットが提供される。
【0051】
さらなる態様においては、上記収容部材が凹所であって、上記位置決め部材が上記凹所内に受け入れられるように形作られている画像読取ユニットが提供される。
【0052】
さらなる態様においては、電気コネクタが上記座部分に、上記インクジェットプリンタユニットに設けられた対応する電気コネクタに接触すべく設けられており、上記インクジェットプリンタユニットが上記座部分に受け入れられたとき、上記インクジェットプリンタユニットと上記画像読取機との間に、両者の間のデータおよび電力の伝達を可能にするための電気経路が形成される画像読取ユニットが提供される。
【0053】
さらなる態様においては、上記画像読取機がヘッド部を備えており、該ヘッド部が、媒体の表面に形成された画像に関する画像情報を収集するため、媒体の表面に沿って移動するように構成されている画像読取ユニットが提供される。
【0054】
さらなる態様においては、上記画像読取機によって収集された画像情報が、上記画像読取機と一緒に設けられたコントローラに保存される画像読取ユニットが提供される。
【0055】
さらなる態様においては、上記コントローラに保存された画像情報が、処理のために上記電気経路を介して上記インクジェットプリンタユニットへと送られる画像読取ユニットが提供される。
【0056】
さらなる態様においては、上記コントローラが、上記インクジェットプリンタユニットから受け取った制御指令に従って、上記画像読取ユニットの動作を協調させる画像読取ユニットが提供される。
【0057】
さらなる態様においては、画像を媒体表面へと印字するとともに、媒体表面の画像に関する画像情報を読み取るための画像処理装置であって、印字対象の媒体を支持するための媒体入力アセンブリを有するインクジェットプリンタユニットと、画像読取機と、印字済み媒体を受け取って画像情報を読み取るために該印字済み媒体を上記画像読取機へと提示する媒体読取面とを有する画像読取ユニットと、ページ幅の印字ヘッドおよび該印字ヘッドの動作を制御するための制御システムを備える印刷エンジンとを備えており、上記印字ヘッドが、媒体へとインクの個々の滴を排出するため、少なくとも5000個のインク排出ノズルを有する画像処理装置が提供される。
【0058】
さらなる態様においては、上記本体が座部分を備えており、上記座部分が、内部に上記インクジェットプリンタユニットを受け入れるように形作られている画像読取ユニットが提供される。
【0059】
さらなる態様においては、固定手段が、上記座部分に設けられ、上記座部分から延びて上記インクジェットプリンタユニットに設けられた対応する収容部材に係合するようになっている少なくとも1つの位置決め部材を備えている。
【0060】
さらなる態様においては、上記収容部材が凹所であり、上記位置決め部材が上記凹所内に受け入れられるように形作られている画像読取ユニットが提供される。
【0061】
さらなる態様においては、電気コネクタが上記座部分に、上記インクジェットプリンタユニットに設けられた対応する電気コネクタに接触すべく設けられており、上記インクジェットプリンタユニットが上記座部分に受け入れられたとき、上記インクジェットプリンタユニットと上記画像読取機との間に、両者の間のデータおよび電力の伝達を可能にするための電気経路が形成される画像読取ユニットが提供される。
【0062】
さらなる態様においては、上記画像読取機がヘッド部を備えており、該ヘッド部が、媒体の表面に形成された画像に関する画像情報を収集するため、媒体の表面に沿って移動するように構成されている画像読取ユニットが提供される。
【0063】
さらなる態様においては、上記画像読取機によって収集された画像情報が、上記画像読取機と一緒に設けられたコントローラに保存される画像読取ユニットが提供される。
【0064】
さらなる態様においては、上記コントローラに保存された画像情報が、処理のために上記電気経路を介して上記インクジェットプリンタユニットへと送られる画像読取ユニットが提供される。
【0065】
さらなる態様においては、上記コントローラが、上記インクジェットプリンタユニットから受け取った制御指令に従って、上記画像読取ユニットの動作を協調させる画像読取ユニットが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
図1に示すように、本発明が、画像読取ユニット701による画像の読み取り、およびインクジェットプリンタユニット2による画像の印字の両者を行うことができる多目的の画像処理装置1として具現化されている。画像読取ユニット701は、従来のフラットベッドスキャナユニットの形態であってもよく、装置1は、画像読取ユニット701およびインクジェットプリンタユニット2がそれぞれの個々の仕事を組み合わせにおいても、個別にも実行できるように、構成されている。この点において、装置1は、画像読取ユニット、インクジェットプリンタユニット、またはコピー機ユニットとして機能することができ、コピー機ユニットとして機能する場合には、画像読取ユニットおよびインクジェットプリンタユニットの機能が、画像読取ユニットによって読み取った画像を印字すべく組み合わされる。このような多機能システムの動作を提供すべく装置を構成する方法を、後でさらに詳しく説明する。
【0067】
本発明の画像処理装置1は、インクジェットプリンタユニット2および画像読取ユニット701で構成されているため、これらユニットのそれぞれを、まずは個別に説明する。
【0068】
[インクジェットプリンタユニット]
図2に概略的に示されているように、使用時、プリンタユニット2は、スキャンユニット95またはコンピュータシステム102などの外部のソースから受け取った文書を、紙片などの印字媒体上へと印字するように構成されている。この点で、プリンタユニット2は、コンピュータシステム102によって前処理されたデータを受け取るため、後述する方法でユニット2とコンピュータシステム102との間の電気的接続を可能にする手段を含んでいる。一形態においては、外部のコンピュータシステム102が、文書を受信し(ステップ103)、バッファリングし(ステップ104)、ラスタ化し(ステップ106)、次いでプリンタユニット2への伝達のために圧縮する(ステップ108)など、文書の印字に関する種々のステップを実行するようにプログラムされている。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、プリンタユニット2は、文書を外部のコンピュータシステム102から、圧縮された複数レイヤーのページ画像の形態で受け取ることができ、プリンタユニット2内に設けられた制御用電子機器72が、画像をバッファリングし(ステップ110)、次いでさらなる処理のために画像を拡大する(ステップ112)。拡大された連続階調層がディザリングされ(ステップ114)、次いで拡大ステップからの黒レイヤーが、ディザリング済みの連続階調層へと合成される(ステップ116)。さらに、符号化されているデータをレンダリングして(ステップ118)、(所望であれば)人間の目にとって実質的に不可視である赤外インクを使用して印字されるさらなるレイヤーを形成してもよい。黒レイヤー、ディザリング済みの連続階調層、および赤外レイヤーが組み合わされ(ステップ120)、印字のために印字ヘッドへと供給(ステップ122)されるページが形成される。
【0070】
この特定の構成においては、印字すべき文書に関するデータが、テキストおよび線画のための高解像度の2階層マスクレイヤーと、画像および背景色のための中解像度の連続階調カラー画像レイヤーとに分割されている。場合により、画像または一様な色から取り出したカラーデータでテキストまたは線画をテクスチャ化するための中‐高解像度の連続階調テクスチャレイヤーを追加することによって、カラーのテキストをサポートすることができる。この印字アーキテクチャは、これらの連続階調層を、画像データまたは一様色データと称することができる抽象的な「画像」および「テクスチャ」レイヤーに表わすことによって一般化する。このコンテンツにもとづくデータの複数レイヤーへの分割は、当業者であれば理解できるように、基本モードミクスドラスターコンテント(MRC)モードに従っている。MRC基本モードと同様、この印字アーキテクチャは、印字すべき画像が重なり合ういくつかの場合において、中間(折衷)物を作り出す。とくに、一形態においては、すべての重なり合いが、中間物を明示的に具現化するプロセス(衝突回避)において、3レイヤーの表現へと還元される。
【0071】
既に述べたように、データは、主としてソフトウェアベースのコンピュータシステム102によって実行される画像の前処理によって、圧縮された複数レイヤーのページ画像の形態でプリンタユニット2へと送達される。次に、プリンタユニット2が、このデータを、図3にさらに詳しく示されているような主としてハードウェアベースのシステムを使用して処理する。
【0072】
データを受け取ると、ディストリビュータ230が、そのデータを独自の表現からハードウェア特有の表現へと変換し、ハードウェア装置への伝達に関する制限または要件を観察して、データが確実に正しいハードウェア装置へと送られるようにする。ディストリビュータ230は、変換済みのデータを、複数のパイプライン232のうちの適切な1つへと分配する。パイプラインは互いに同一であり、基本的には、印字可能なドット出力一式を生成するため、解凍、スケーリング、およびドット合成の機能を提供している。
【0073】
各パイプライン232は、データを受け取るためのバッファ234を含んでいる。連続階調復元装置236が、カラー連続階調平面を解凍し、マスク復元装置が、モノトーン(テキスト)レイヤーを解凍する。連続階調スケーラ240およびマスクスケーラ242が、当該ページが印字される媒体のサイズを考慮するため、解凍された連続階調平面およびマスク平面をそれぞれスケーリングする。
【0074】
次いで、スケーリングされた連続階調平面が、ディザラ244によってディザリングされる。一形態においては、確率論的分散ドットディザが使用される。クラスタドット(または、振幅変調)ディザと異なり、分散ドット(または、周波数変調)ディザは、眼によって空間的に一体化されたとき、ほぼドット解像度の限界に至る高い空間周波数(すなわち、画像の詳細)を再現すると同時に、それらの完全な色の深さまでの低い空間周波数を再現する。確率論的ディザマトリクスは、画像全体へと貼り付けられたときに好ましくない低周波のパターンが比較的存在しないように、注意深く設計される。したがって、そのサイズは、典型的には、特定の数の強度レベルをサポートするために必要な最小サイズ(例えば、257の強度レベルについて、16×16×8ビット)よりも大きい。
【0075】
次いで、ディザリングされた平面が、印字に適したドットデータをもたらすために、ドット対ドットの基準でドット合成装置246にて合成される。このデータが、データ分散およびドライブ回路248へと送られ、次いで、データ分散およびドライブ回路248が、データを正しいノズルアクチュエータ250へと配布し、次いでノズルアクチュエータ250が、本明細書においてさらに詳しく後述する方法で、インクを正しい時点に正しいノズル252から放出させる。
【0076】
理解されるように、印字のために画像を処理すべくプリンタユニット2において使用されるコンポーネントは、データが提示される方法に大きく依存する。この点で、より多くの処理をプリンタユニット2内で実行することによってコンピュータシステム102への依存を少なくするため、プリンタユニット2において、さらなるソフトウェアおよび/またはハードウェアコンポーネントを使用することが可能であろう。あるいは、プリンタユニット2において使用されるソフトウェアおよび/またはハードウェアコンポーネントを少なくして、プリンタユニット2において実行する処理を少なくし、プリンタユニット2へとデータを伝達する前に画像をより高度に処理するため、コンピュータシステム102に依存してもよい。
【0077】
すべての状況において、上述の仕事を実行するために必要なコンポーネントは、プリンタユニット2の制御用電子機器72に設けられ、そのような電子機器の一実施形態のブロック図が、図4に提示されている。
【0078】
この構成においては、ハードウェアパイプライン232が、小規模オフィス自宅兼オフィス(SOHO)用プリンタエンジンチップ(SoPEC)に具現化されている。図示のとおり、SoPECデバイスは、中央演算処理装置(CPU)サブシステム301、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)サブシステム302、および印刷エンジンパイプライン(PEP)サブシステム303という、3つの個別のサブシステムで構成されている。
【0079】
CPUサブシステム301は、他のサブシステムのすべての様相を制御および設定するCPUを含んでいる。プリンタユニット2のすべての要素の互いのやり取りおよび同期について、後述のとおり全般的なサポートを提供する。また、QAチップ(後述)への低速通信を制御する。さらに、CPUサブシステム301は、汎用入出力(GPIO、モータの制御を含んでいる)、割り込みコントローラユニット(ICU)、LSSマスタ、および汎用タイマーなど、CPUを助けるための種々の周辺装置を含んでいる。CPUサブシステムのシリアル通信ブロック(SCB)が、フルスピードのUSB1.1インターフェイスをホストへと提供するとともに、SoPEC間インターフェイス(ISI)を他のSoPECデバイス(図示されていない)へと提供する。
【0080】
DRAMサブシステム302は、CPU、シリアル通信ブロック(SCB)、およびPEPサブシステム内の各ブロックからの要求を受け付ける。DRAMサブシステム302、とりわけDRAMインターフェイスユニット(DIU)が、種々の要求を仲裁し、いずれの要求がDRAMへのアクセスを勝ち取るべきかを判定する。DIUは、すべての要求者についてDRAMへの充分なアクセスを可能にするよう、設定されたパラメータにもとづいて仲裁をおこなう。さらに、DIUは、ページサイズ、バンク数、およびリフレッシュレートなど、DRAMの実装の詳細が表に出ないようにする。
【0081】
印刷エンジンパイプライン(PEP)サブシステム303は、圧縮されたページをDRAMから受け取り、印字ヘッドと直接通信する印字ヘッドインターフェイス(PHI)へと向けられた所与の印字ラインのための2階層のドットへとレンダリングする。ページ展開パイプラインの第1段は、連続階調デコーダユニット(CDU)、ロスレス2階層デコーダ(LBD)、および必要であればタグエンコーダ(TE)である。CDUが、JPEG圧縮された連続階調(典型的には、CMYK)レイヤーを展開し、LBDが、圧縮された2階層レイヤー(典型的には、K)を展開し、プリンタユニット2がネットページ能力を有する場合には、TEが、後の(典型的には、IRインクまたはKインクでの)レンダリングのためにネットページタグをエンコードする。第1段からの出力は、バッファ一式、すなわち連続階調FIFOユニット(CFU)、スポットFIFOユニット(SFU)、およびタグFIFOユニット(TFU)である。CFUバッファおよびSFUバッファは、DRAMに実装されている。
【0082】
第2段は、ハーフトーン合成ユニット(HCU)であり、連続階調層をディザリングし、得られる2階層ディザ済みレイヤーに位置タグおよび2階層スポットレイヤーを合成する。
【0083】
いくつかの合成の選択肢を、当該SoPECデバイスと一緒に使用されている印字ヘッドに応じて実装することができる。この段階から、最大6チャネルの2階層データが生み出されるが、すべてのチャネルが印字ヘッドに存在していなくてもよい。例えば、印字ヘッドがCMYのみであって、KがCMYチャネルへと押し込まれ、IRが無視されてもよい。あるいは、IRインクが利用できない場合(または、検査の目的の場合)には、エンコードされたタグを、Kで印字してもよい。
【0084】
第3段においては、故障ノズル補償器(DNC)が、色の冗長性および故障ノズルのデータの周囲のドットへの誤差拡散によって、印字ヘッド内の故障ノズルを補償する。
【0085】
得られた2階層6チャネルのドットデータ(典型的には、CMYK、赤外、固定剤)がバッファリングされ、ドットラインライタユニット(DWU)を介してDRAMに保存された線バッファ一式に書き込まれる。
【0086】
最後に、ドットデータが再びDRAMから取り出され、ドットFIFOを介して印字ヘッドインターフェイスへと渡される。ドットFIFOがシステムのクロックレート(pclk)でラインローダユニット(LLU)からデータを受け取る一方で、印字ヘッドインターフェイス(PHI)がFIFOからデータを取り去り、システムのクロックレートの2/3倍の速度で印字ヘッドへと送る。
【0087】
好ましい形態においては、DRAMが、2.5Mバイトのサイズであり、そのうちの約2Mバイトが、圧縮されたページ保存データのために利用可能である。圧縮されたページは、2つ以上のバンドにて受信され、バンドの数がメモリに保存される。ページのバンドが、印字のためにPEPサブシステム303によって消費されたとき、新たなバンドをダウンロードすることができる。新たなバンドは、現在のページまたは次のページのためのものであってもよい。
【0088】
バンドを使用することによって、圧縮されたページの全体がダウンロードされる前に、ページの印字を開始することが可能になるが、データが印字のために常に利用可能であり、あるいはバッファアンダーランが生じることがないよう、注意を払わなければならない。
【0089】
組み込みのUSB1.1デバイスが、ホストPCから圧縮されたページデータおよび制御コマンドを受け付け、DRAM(または、後述のように、マルチSoPECシステムにおける他のSoPECデバイス)へのデータ伝達を促進する。
【0090】
他の実施形態においては、複数のSoPECデバイスを使用することができ、特定の実施例に応じて種々の機能を実行することができる。例えば、いくつかの場合においては、SoPECデバイスを、単に自身の搭載するDRAMのために使用することができる一方で、他のSoPECデバイスを、上述の種々の解凍およびフォーマット機能に向けることができる。これは、プリンタがページの印字を当該ページのすべてのデータを受け取る前に開始し、かつ残りのデータが時間内に受信されない場合に生じうるバッファアンダーランの機会を少なくする。そのメモリバッファ能力のために余分のSoPECデバイスを追加することで、追加のチップの他の能力のいずれもが使用されなくても、バッファリングできるデータの量が2倍になる。
【0091】
各SoPECシステムは、プリンタ機械の品質を保証し、印字の際に印字ヘッドのノズルが損傷しないようインク供給の品質を保証し、印字ヘッドおよび機械が損傷しないようソフトウェアの品質を保証するため、互いに協働するように設計された幾つかの品質保証(QA)装置を有することができる。
【0092】
通常は、各印字SoPECが、最大印字速度などの情報プリンタ属性を保存する関連のプリンタQAを有する。システムにおいて使用されるインクカートリッジも、インク残量などのカートリッジ情報を保存するインクQAチップを含んでいる。印字ヘッドも、ROM(有効には、EEPROM)として機能するように構成され、故障ノズルのマッピングおよび印字ヘッドの特性などの印字ヘッド詳細情報を保存するQAチップを有する。SoPECデバイスのCPUは、場合により、実質的にシリアルEEPROMとして機能するQAチップからプログラムコードを読み込んで実行することができる。最後に、SoPECデバイスのCPUは、論理QAチップ(すなわち、ソフトウェアQAチップ)を動作させる。
【0093】
通常は、システム内のすべてのQAチップが物理的に同一であり、フラッシュメモリの内容のみがお互いを区別している。
【0094】
各SoPECデバイスは、システム認証およびインク使用計算のためのQA装置と通信できる2つのLSSシステムバスを有する。バスごとに多数のQA装置を使用することができ、それらのシステムにおける位置は、プリンタQA装置とインクQA装置とが個別のLSSバスに位置すべきである点を除き、制限はされていない。
【0095】
使用時、論理QAが、残りのインクを割り出すためにインクQAと通信する。インクQAからの回答が、プリンタQAに関して認証される。プリンタQAからの確認そのものが論理QAによって認証され、インクQAからの回答に追加の認証レベルを間接的に加える。
【0096】
印字ヘッドQA以外のQAチップ間で渡されるデータは、デジタル署名によって認証される。好ましい実施形態においては、データについてHMAC‐SHA1認証が使用され、プログラムコードについてRSAが使用されるが、他のスキームを代わりに使用してもよい。
【0097】
理解されるように、このようにしてSoPECデバイスがプリンタユニット2の全体の動作を制御し、基本的なデータ処理の仕事を実行し、印字媒体の取り扱いを促進すべくプリンタユニット2のコンポーネント個々の動作の同期および制御を実行する。本明細書の残りの部分においては、制御用電子機器72という用語が、SoPECデバイス、およびプリンタユニット2の動作を制御すべくプリンタユニット2において使用される他のあらゆる電子機器を指して、使用される。
【0098】
プリンタユニット2は、本発明の画像処理装置1を形成すべくスキャナユニット95に組み合わせられるように意図されているが、分かり易さのため、以下ではプリンタユニット2の構造および動作を、その機能に関してスタンドアロンのユニットとして説明する。
【0099】
図5〜図15は、一般的には本体3、印字のための印字媒体を保持および支持するための媒体入力アセンブリ4、および印字後の印字媒体を収集するための媒体出力アセンブリ5を備えるインクジェットプリンタユニット2を示している。
【0100】
図6により明確に示されているように、本体3の構造は、下部フレームユニット6上へと受け入れられるように形作られた上部フレームユニット7によって形成されている。上部および下部フレームユニット7、6は、一体となって基部8、後部9、およびカバー11が収容される開口10を規定している。開口10が、印刷エンジン70および関連の構成部品を含む内部空洞12へのアクセスを提供している。
【0101】
図11に示されているように、基部8は、下部フレームユニット6の下側に形成されており、プリンタユニット2が自宅またはオフィス環境の机の表面など実質的な水平面に配置されて、スタンドアロンのユニットとして使用される場合に、プリンタユニット2を支持する下面13を有する。この構成において、1つ以上の支持足14が下面13から延び、プリンタユニットをさらに安定させている。支持足14は、プリンタユニットと支持面との間の摩擦接触を増すため、ゴムなどの摩擦誘起材料から製作することができる。画像読取ユニット701を収容すべく基部8を構成する方法は、本明細書においてさらに詳しく後述する。
【0102】
図7に示されているように、本体3の後部9は、下部フレームユニット6および上部フレームユニット7の後面によって規定されている。電源ユニット15が、下部フレームユニット6に形作られた凹所に嵌入し、本体3の後部9に隣接して位置するように構成されている。一形態においては、電源ユニット15は、電源コネクタソケット16を介して外部の電源から電力を受け取って、ユニット内の種々のコンポーネントへと供給できる固定のユニットである。他の形態においては、電源ユニット15が、プリンタユニット2への供給のために電力を貯蔵できる充電式のユニットであってもよく、ユニット15が、必要であれば交換できるようフレームユニット6から取り外し可能であってもよい。さらに、データコネクタソケット17が下部フレームユニット6に形成され、先に述べた方法でプリンタユニット2へとデータおよび制御を提供するため、コンピュータシステム102などの外部のソースへとプリンタユニット2を接続するための手段をもたらしている。データコネクタソケット17は、プリンタユニット2をコンピュータ端末102またはコンピュータ端末102のネットワークに接続して、そこからデータまたはコマンドを受け取ることができるようにする標準的なイーサネットおよびUSBデバイスソケットである。さらには、そのような情報をプリンタユニット2が、上部フレームユニット7の後面のカバープレート20の内側に設けられたWIFIカード18および/またはBluetooth(登録商標)カード19を使用することによって、無線の様相で受信してもよい。これらの構成のそれぞれにおいて、受け取ったすべてのデータが、処理および印字のためにソケット17およびカード18、19からプリンタユニット2の制御システムへと送られる。
【0103】
図5、6、8〜10、および13に示されているように、本体3のカバー11は、上部フレームユニット7へとヒンジで接続された蓋21を備える。蓋21は、湾曲した上面22および斜めの前面23、ならびに上部フレームユニット7の上縁に一致するように形作られた2つの端面24を有する。蓋21は、上面22の後縁に沿って、上部フレームユニット7に枢動可能に接続されている。この枢動接続によって、蓋21を後方へと枢動させて、本体3の内部空洞12へとアクセスを提供することができる。
【0104】
斜めの前面23は、凹所25を自身に形成して有する。凹所25は、ユーザとプリンタユニット2との間のやり取りを可能にするユーザインターフェイスユニット26を収容している。ユーザインターフェイスユニット26は、LCDタッチスクリーンであり、ユーザへと情報を伝えるとともに、ユーザが表示画面上の選択肢を選択することによってプリンタユニット2へと直接情報を入力できるようにしている。ユーザインターフェイスユニット26がユーザへと表示できる情報の種類、およびユーザがプリンタユニットへと入力できる情報の種類は、様々であってもよいが、典型的には、プリンタユニット2内に貯蔵されたインクの状態または紙詰まりの修正の必要性、などに関連でき、さらにはインク再充填手順に関する情報であってもよい。タッチスクリーンLCDの使用は、表示を特定の言語に合わせてプログラムでき、おそらくは当該プリンタユニットが使用される国に特化した個別の印またはテキストをプリンタユニット2上に設ける必要がなくなるため、ユーザインターフェイスとしてとくに有益である。しかしながら、ユーザインターフェイスユニット26が、従来のボタンなど、ユーザとプリンタユニット2とのやり取りを可能にするいくつかある種々の形態であってもよいことを、理解すべきである。
【0105】
さらに、蓋21の斜めの前面23には、プリンタの状態についての視覚表示をユーザに提供する視覚表示ユニット27が設けられている。視覚表示ユニット27は、蓋21の表面に沿って延びており、光源29からの光を放射する細長い管またはパネル28の形態である。視覚表示ユニット27から放射される光の色および/または強度を、ユーザインターフェイスユニット26を参照する必要なくプリンタユニット2の状態についての即座の表示をユーザにもたらすような方法で、制御することができる。
【0106】
視覚表示ユニット27の構成が、図15aおよび15bに示されている。図示のように、ユニット27は、光源29および細長パネル28で構成されている。光源29は、印刷回路基板(PCB)31の表面に配置された3つの発光ダイオード(LED)30の形態である。LED30は、幅広いスペクトルの光をパネル28から放射することができるようにする赤、緑、および青のLEDである。しかしながら、同様の機能を実行するために単一のLEDまたは他の色のLEDも使用可能であることを、理解できる。PCB31は、プリンタユニット2の制御用電子機器72を含んでいる同じPCBであってもよく、あるいは制御用電子機器72の制御のもとでLED30を動作させる適切な電子機器を含んでいる個別のPCBであってもよい。細長パネル28は、LED30からの光をパネルの長さに沿って移動させ、パネルの表面から放射することができる材料で製作されている。パネル28は、LED30から発せられる光を収集するべくLED30を覆って位置する中空の管またはパイプの形態であってもよい。管またはパイプの内表面を、光の一部をパネル28の長さに沿って反射させ、光の一部をパネル28から通過させてパネル28を照射させることができるフィルムでコートしてもよく、パネル28の表面に沿ってユーザがパネル28を容易に視認できるようにする。
【0107】
使用時、LED30のそれぞれを、プリンタユニット2の状態を表わす光をパネル28から発するように制御することができる。例えば、プリンタユニットが待機モードにあることをユーザに知らせるため、パネル28が青色の光を発するように青色のLEDを動作させることができる。印字時には、パネル28から緑色の光を発すべく緑色のLEDを動作させることができ、紙詰まりやプリンタエラーなどの問題の場合には、パネル28から赤色の光を発すべく赤色のLEDを動作させることができる。さらには、装飾的な効果を生み出すため、LEDのそれぞれを、幅広いスペクトルにまたがる種々の色の光を発するため、種々の組み合わせで動作させることができる。光が、単一のLEDがプリンタユニットに設けられる場合のような単なる点光源においてではなく、広い表面積にわたって発せられるため、必要な場合に、ユーザがプリンタの状態を視覚的に感じ取ってプリンタへと注意を向ける可能性がより大きい。このようなシステムは、効率的な作業環境を保証するうえで重要な機能を果たし、さらには審美的に好ましいプリンタユニットをもたらす。
【0108】
印字のためにプリンタユニット2へと印字媒体を供給するため、媒体入力アセンブリ4が、プリンタユニット2の後部9から延びている。媒体入力アセンブリ4は、トレイ部32および媒体支持フラップ33で構成され、トレイ部32および媒体支持フラップ33が協働して、プリンタユニット2による印字のために印字媒体34の1枚以上のシートを受けるための表面を形成している。媒体入力アセンブリ4は、本体3から垂直方向に延びており、使用時に、図14に示され、さらに詳しく後述されるように、印字媒体34のシートが媒体入力アセンブリ4によって垂直向きに支持され、下向きの経路によってプリンタへと引き込まれるように傾けられている。
【0109】
図6により明確に示されているように、媒体入力アセンブリ4のトレイ部32は、上部フレームユニット7と一体に形成され、したがってトレイ部32の後面が、本体3の後部9の一部を形成している。トレイ部32は、一般的に、印字媒体34を受け入れるための受け部を形成しており、媒体34が配置される作用面35と、作用面35の一端に位置して媒体34を直立位置に保持すべく媒体34の縁を受け止めるようになっている媒体支持面36とを含んでいる。さらにトレイ部32は、平行に延びる一対の側壁37、38を含んでおり、これらがプリンタユニット2によって受け入れることができる印字媒体の最大幅を規定している。
【0110】
図14により明確に示されているように、媒体支持面36は、トレイ部32の作用面35に対して鈍角に配置されており、印字のためのトレイ部32から印刷エンジン70への印字媒体34のシートの送達を助けている。作用面35は、印字のための作用面35から印刷エンジン70への印字媒体34のシートの送達を円滑にするため、アイドラローラ39をピッカー機構60と協働させるべく自身に組み込んで有する。媒体支持面36から延伸して隆起した複数の帯40が、媒体支持面36に沿って間隔を空けて配置されており、媒体34の前縁を媒体支持面36の上方に支持している。帯40は、トレイ部32からの媒体34の送達を容易にするため、ピッカー機構60の作用のもとで、媒体34の前縁を帯40の表面に沿ってスライドさせることができるように機能する。帯40の表面上かつピッカー機構60に近接してパッド41が設けられ、複数のシートがトレイ部32の作用面35に支持されている場合に、媒体10の最上位のシートの分離を促進させるための摩擦面をもたらしている。パッド41は、ゴム、フェルト、またはコルク状の材料の形態であってもよい。
【0111】
マージンスライダ42が、一体のフック要素43によってトレイ部32の作用面35へと取り付けられるようになっている。スライダ42を作用面35との係合に保つべく、スライダ42の位置決めラグ(図示されていない)を受け入れるため、溝付きの凹所(図示されていない)を作用面35に設けてもよい。このような構成は、様々な幅の印字媒体34に対応できるよう、スライダ42を、制御された方法で表面35を横切って移動できるようにする。マージンスライダ42は、トレイ部32の全高を延びており、印字媒体34の側縁に当接すべくトレイ部32の作用面35から突き出すように延びる壁部分45を備える。この構成は、媒体のシートが印刷エンジン70へと確実に制御されて送達されるよう、印字媒体34がトレイ部32内において適切に整列するよう保証している。
【0112】
図6に示されているように、トレイ部32の側壁37、38の内面には、媒体支持フラップ33をトレイ部32へと接続できるよう、位置決めラグ46が設けられている。この点に関し、媒体支持フラップ33は、媒体支持フラップ33の一端から延びてラグ46を受け入れる一対の凹状タブ47を含んでおり、これによって媒体支持フラップ33がトレイ部32の上端に固定される。この構成において、媒体支持フラップ33は、媒体支持フラップ33を媒体入力アセンブリ4へと装填された印字媒体34を支持するための(図5に示されているような)展張位置、または媒体支持フラップ33がトレイ部32の上部に収容される梱包および輸送のための格納位置(図示されていない)へと移動させることができるよう、トレイ部32の遠位端を中心として枢動することができる。
【0113】
媒体支持フラップ33は、トレイ部32の長さよりも大きな長さを有する印字媒体34を支持するため、トレイ部32の遠位端を超えて延びる。この構成は、図12に示すように、印字媒体34が実質的に直立位置に確実に保たれるようにする。この点に関し、媒体支持フラップ33の表面には、フラップ33の表面に沿って長手方向に延びる複数の等間隔のフィン要素48が設けられる。フィン要素48のそれぞれは、媒体支持フラップ33の表面から同じ量だけ延び、印字媒体34にトレイ部32の作用面35に連続する平坦な面を提供している。あるいは、媒体支持フラップ33の内表面が、連続成型表面であってもよく、媒体支持フラップ33がプリンタユニット2の梱包または輸送のために折り畳まれたときにトレイ部32の側壁37、38を収容するため、その縁領域に適切な溝を形成して備えることができる。
【0114】
スタンドアロンのユニットとして、プリンタユニット2は、図12に示すように、媒体出力アセンブリ5によって印字済み媒体を収集するようになっている。この構成において、媒体出力アセンブリ5は、プリンタユニット2の前部において本体3の基部8に位置している。媒体出力アセンブリ5は、トレイハウジング50および展張可能な2つの出力トレイで構成される。展張可能な2つの出力トレイは、上側出力トレイ51および下側出力トレイ52であり、この両者は、展張位置にないとき、トレイハウジング50内に保持されている。
【0115】
図6および11示されているように、トレイハウジング50は、下部フレームユニット6の凹所に着脱可能に収容され、プリンタユニット2の後部からプリンタユニット2の前部を僅かに超えて延びている。トレイハウジング50は、上面53および上面53から下方に延びる2つの側壁54、55を有する。上面53の前縁は開いており、トレイハウジング50内に保持された上部および下側出力トレイ51、52へのアクセスを可能にするため、上面53の前縁に凹部56が形成されている。
【0116】
上側出力トレイ51は、2つの側壁54、55によってトレイハウジング50内に収容されて保持されるように形作られている。2つの側壁54、55には、トレイハウジング50の全長にわたって延びる溝(図示されていない)が設けられている。上側出力トレイ51は、これらの溝に受け入れられるように寸法付けられており、上側出力トレイ51の長手縁が溝内を移動することで、トレイ51をトレイハウジング50に対して動かすことができる。溝および上側出力トレイ51の長手縁は、トレイ51をトレイハウジング50から延ばすことができるがトレイハウジング50から取り外すことはできないように構成されている。この構成において、トレイ51は格納位置において、完全にトレイハウジング50の内側に嵌入している。
【0117】
下側出力トレイ50は、上側出力トレイ51に対して同様な方法で構成されている。しかしながら、この構成においては、下側出力トレイ52は、上側出力トレイ51の長手縁に設けられた2つの溝に受け入れられている。図9に示されているように、下側出力トレイ52は、上側トレイの内側で移動することができるよう、上側出力トレイ51よりも小さな幅および厚さを有する。下側出力トレイ52は、格納された状態において、完全に上側出力トレイ51の内側に嵌入するように構成されており、上側出力トレイ51にも、下側出力トレイ52の前縁に設けられたストッパ部材58へとアクセスできるよう、前縁に沿って凹部57が設けられている。下側出力トレイ52および上側出力トレイ51を、上述と同様な方法で、下側出力トレイ52を上側出力トレイ51から伸ばすことができるが、上側トレイから取り外すことはできないようなやり方で、構成してもよい。格納および展張を可能にする他のトレイの構成も可能であり、本発明の技術的範囲に包含されると考えられる。
【0118】
使用の前には、媒体出力アセンブリ5は、図5に示されているように格納状態にある。ユーザがストッパ部材58を把持して下側出力トレイ52を引き伸ばすとき、媒体出力アセンブリ5は、図12に示すような動作位置に至る。この操作によって、媒体出力アセンブリ5の全体が、プリンタユニット2から排出される印字済み媒体を捕捉するため、トレイハウジング50から展張される。印字済み媒体の前縁が、本体3を出た後に、下側出力トレイ52のストッパ部材と接することで捕捉される。媒体出力アセンブリ5の展張の量は、印字される媒体のサイズによって決まる。例えば、印字媒体が、A4サイズの媒体など図12に示されているような長さである場合、印字媒体アセンブリ5を、印字済み媒体を捕捉して保持するために完全に展張させる必要がある。
【0119】
理解されるように、媒体出力アセンブリ5は、プリンタユニット2から取り外しが可能であり、プリンタユニット2が画像処理装置1の一部としてではなく、単独でインクジェットプリンタとして用いられる場合に使用される。画像処理装置を構成する方法については、後でさらに詳しく説明する。
【0120】
既に説明され、図13にも示されているように、本体3の内部空洞12へのアクセスは、カバー11の蓋21を後方へと枢動させることによって可能である。内部の空洞12は、印刷エンジン70、ならびにピッカー機構60の形態である紙ハンドリング機構を収容している。
【0121】
既に述べたように、ピッカー機構60の目的は、印字のために印刷エンジン70へと送達するため、媒体入力アセンブリ4から印字媒体の単一のシートを分離させて搬送することにある。プリンタユニット2は、60ppmに達し、さらには60ppmを超える速度で動作できるため、ピッカーユニットは、このような印字速度を達成するために適した速度で、印字媒体のシートを分離させて印刷エンジン70へと搬送するように構成されている。したがって、ピッカー機構60は、ピッカー本体63から延びるアームの端部に配置されたピッカーローラ61で構成されている。ピッカー本体63は、プリンタユニット2の制御用電子機器72によって制御されるモータ64を含んでいる。ピッカー本体63は、下部フレームユニット6へと枢動可能に取り付けられ、ピッカーローラ61がトレイ部32の作用面35に向かって押し付けられるように、ばねで付勢されている。
【0122】
トレイ部32に印字媒体34が存在しないとき、ピッカーローラ61が押し付けられて、トレイ部32の作用面35に設けられたアイドラローラ39に接する。印字媒体34をトレイ部32に装填するため、媒体34がトレイ部32へと挿入され、ピッカーローラ61の上方に設けられた案内要素66に接触する。この接触によって、ピッカー機構60がトレイ部32の作用面35から離れるように枢動し、印字媒体34を、前縁が媒体支持面36に支持された状態で、ピッカーローラ61とアイドラローラ39との間に収容できるようになる。この構成が、図14に示されている。
【0123】
ピッカーローラ61の表面には、把持手段が設けられており、把持手段は、ローラによる印字媒体34のシートの把持を促進するゴムのコーティングまたは他の同様の種類のコーティング、あるいは表面処理であってもよい。ピッカーローラ61がモータ64の動作のもとで回転すると、ピッカーローラ61に接している印字媒体のシートが、隆起している帯40に沿ってスライドして、印刷エンジン70へと送達される。ピッカー機構60に近接して帯40の表面に設けられたパッド41によって、最も外側のシートが、トレイ部32に存在する他のシートから分離される。この点に関し、最も外側のシートと一緒に移動する媒体のシートは、パッド41上をスライドするときに動きを生じさせる摩擦力よりも大きい摩擦力に直面し、したがって最も外側のシートのみが印刷エンジン70へと送達される。
【0124】
ピッカー機構60が、印字媒体34を分離して、印字媒体の個々のシートを比較的高速での印字のために印刷エンジン70へと搬送するために使用されており、この機能を実行するために使用されるピッカー機構60の種類が様々であってもよく、それらが依然として本発明の技術的範囲に含まれることが、理解できる。
【0125】
本発明によって使用される印刷エンジンアセンブリ70は、一般的には、クレードルユニット71およびカートリッジユニット80という2つの部分で構成されている。
【0126】
図14に示されているように、カートリッジユニット80は、付近を通過する印字媒体34のシートへと印字を行う印字ヘッド集積回路81を収容する本体を有する。カートリッジユニット80の本体は、さらに、インクを保管して印字ヘッド集積回路81へと送達するためのインク取り扱い貯蔵用リザーバ82を収容している。印字ヘッド集積回路81は、インク取り扱い貯蔵用リザーバ82の下方の領域において、印字対象の媒体34の幅にわたって延びるようにカートリッジの本体の外側に沿って配置されたページ幅の印字ヘッド集積回路である。従来のプリンタユニットと対照的に、本発明の印字ヘッド集積回路81は、動作時に所定の位置に固定されており、印字媒体を横切ってスキャンまたは横断を行うことはない。したがって、本発明の印刷エンジンは、従来のプリンタシステムにおいて現在可能である印字速度よりもはるかに高い印字速度を達成できる。印字ヘッド集積回路81を構成および制御する方法は、本明細書においてさらに詳しく後述される。
【0127】
電力およびデータ信号が、印字ヘッド集積回路81の動作を制御するため、クレードルユニット71に位置する制御用電子機器72から供給される。制御用電子機器72は、既に説明したSoPECデバイスを含んでおり、信号は、カートリッジユニット80の本体の周囲に設けられたデータおよび電源コネクタ(図示されていない)を介して、制御用電子機器72からカートリッジユニット80へと伝えられる。カートリッジユニット70をクレードルユニット71へと挿入することで、データおよび電源コネクタが、クレードルユニット71に設けられた対応するデータおよび電源コネクタと対をなし、ユニット71、80間の電力およびデータのやり取りを円滑にする。
【0128】
インク取り扱い貯蔵用リザーバ82は、印字のために種々の種類のインクおよび印字用流体を個別に貯蔵する複数のポリエチレン膜ポケットの形態である。例えば、カートリッジ80に、フルカラー印字のためのシアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックのインク、ならびに特定の印字用途のための赤外インク、およびインクの定着を助けるインク固定剤を貯蔵するための6つの個別のポリエチレン膜リザーバを設けることができる。リザーバ82のそれぞれは、カートリッジユニット80の本体の周囲に形成された再充填ポート(図示されていない)に設けられた対応する導入口と連通できる。したがって、インク再充填ディスペンサを再充填ポートに接触させ、圧力のもとでインクをリザーバ82へと送達することによって、リザーバ82を個々に再充填することができる。既に述べたように、インク再充填ディスペンサに、カートリッジユニット80の本体に設けられた対応する読取器によって読み取られるQAチップを備えてもよい。このようにして、再充填用流体の完全性および品質を保証するため、クレードルユニット71の制御用電子機器72に設けられたSoPECデバイスへと、関連のデータを伝達することができる。再充填を容易にするため、ポリエチレン膜リザーバ82は、充填時に流体を収容すべく膨張し、印字プロセスにおいてインク/流体が消費されるにつれて潰れるように、構成される。
【0129】
リザーバ82に貯蔵されたインクおよび印字用の流体は、特定の色のインクまたは固定剤などの特定の流体を運んで、当該流体を印字ヘッド集積回路81の全長に沿って設けられた正しいインク送出ノズルへと供給できるようにする一連の管路79を介して、印字ヘッド集積回路81へと送達される。これを達成する方法、およびカートリッジユニット80の全体構成が、本件出願の出願人による出願事件整理番号RRA01US〜RRA33USの米国特許出願に記載されており、これらの開示は、すべて参照として本明細書に組み込まれたものとする。上記出願は、それらの出願事件整理番号によって特定されているが、対応する出願番号が割り当てられた時点で、その出願番号にて置き換える予定である。
【0130】
既に述べたように、カートリッジユニット80の印字ヘッド集積回路81は、標準的なA4またはUSレター用紙の幅を有する媒体と等価である最大21.6cmまでの種々の幅の印字媒体に対応するため、約22.4cm(8.8インチ)の幅に広がるように構成されたページ幅の印字ヘッド集積回路である。しかしながら、プリンタユニット2の用途および使用される印字媒体の種類に大きく依存して、ページ幅の印字ヘッド集積回路81を、より大きな幅、またはより小さな幅で製造できることも、理解できる。所望の幅を実現するため、印字ヘッド集積回路81を、それぞれに複数のインク送出ノズルが設けられている1つ以上の集積回路を隣接して取り付けて製作してもよい。
【0131】
次に、ノズルおよび対応するアクチュエータを備える本発明に適した印字ヘッドのノズル機構の種類の例を、図16〜25を参照して説明する。図25は、シリコン基板8015上に形成されたノズル機構801のアレイを示している。ノズル機構801のそれぞれは同一であるが、ノズル機構801のグループへと、異なる色のインクまたは固定剤が供給されるように構成されている。この点に関し、ノズル機構が、列に配置されるとともに、互いにずらされており、印字の際に、単列のノズルにおいて可能な間隔よりも密なインクドット間の間隔を可能にしている。このような構成は、上述のようにノズルに稠密性を与えるようにしている。さらに、複数の列は、(所望であれば)冗長性を可能にし、ノズルあたりの所定の故障率を許容している。
【0132】
各ノズル機構801は、集積回路製造技術の産物である。とりわけ、ノズル機構801が、マイクロ電気機械システム(MEMS)を規定している。
【0133】
分かり易さのため、および説明を容易にするため、単一のノズル機構801の構成および動作を、図16〜24を参照して説明する。
【0134】
インクジェット印字ヘッドチップ81は、0.35ミクロン 1 P4M 12ボルトCMOSマイクロプロセシング電子機器が配置されているシリコンウエハ基板8015を含んでいる。
【0135】
二酸化シリコン(あるいは、ガラス)層8017が、基板8015上に位置している。二酸化シリコン層8017は、CMOS絶縁層を規定している。CMOS最上位金属が、二酸化シリコン層8017上に位置する整列した一対のアルミニウム電極コンタクト層8030を規定している。シリコンウエハ基板8015および二酸化シリコン層8017の両者は、全体として円形の断面(平面において)を有するインク導入チャネル8014を規定すべくエッチングされている。CMOS金属1、CMOS金属2/3、およびCMOS最上位金属のアルミニウム拡散バリア8028が、インク導入チャネル8014の周囲で二酸化シリコン層8017に配置されている。拡散バリア8028は、駆動電極層8017のCMOS酸化皮膜を通っての水酸化物イオンの拡散を防止するように機能する。
【0136】
チッ化シリコンの層の形態であるパッシベーション層8031が、アルミニウムコンタクト層8030および二酸化シリコン層8017を覆って位置している。パッシベーション層8031のうち、コンタクト層8030の上方に位置する各部位は、コンタクト8030へのアクセスを提供するための開口8032を自身に規定して有する。
【0137】
ノズル機構801は、環状のノズル壁8033によって規定されたノズルチャンバー8029を含んでおり、ノズルチャンバー8029は、上端において、ノズル屋根8034および平面において円形である半径方向内側のノズルリム804で終息している。インク導入チャネル8014が、ノズルチャンバー8029と連通している。ノズル壁の下端には、可動シールリップ8040を含む可動リム8010が位置している。囲み壁8038が、可動ノズルを囲んでおり、ノズルが図18に示すように静止しているときに可動リム8010に隣接する静止シールリップ8039を含んでいる。静止シールリップ8039と可動シールリップ8040との間に捕捉されたインクの表面張力によって、流体シール8011が形成されている。これが、チャンバーからのインクの漏れを防止する一方で、囲み壁8038とノズル壁8033との間に低抵抗の結合をもたらしている。
【0138】
図23に最もよく示されているように、放射状に延びる複数の凹所8035が、ノズルリム804の周囲において屋根8034に規定されている。凹所8035は、ノズルリム804を過ぎて逃げ出すインクの結果として半径方向のインク流れを収容すべく機能する。
【0139】
ノズル壁8033は、全体としてU字の形状を有して基部8037においてチッ化シリコン層8031に取り付けられたキャリア8035に取り付けられたレバー構成の一部を形成している。
【0140】
さらにレバー構成は、ノズル壁から延び、横補強梁8022が組み込まれているレバーアーム8018を含んでいる。レバーアーム8018は、チッ化チタン(TiN)から形成され、図19および24に最もよく示されているようにノズル機構の両側に位置している一対の受動梁806に取り付けられている。受動梁806の他端は、キャリア8036に取り付けられている。
【0141】
さらにレバーアーム8018は、TiNから形成されたアクチュエータ梁807に取り付けられている。このアクチュエータ梁への取り付けが、受動梁806への取り付けと比べて、僅かではあるが決定的に高い位置にて行われている点に、注目できる。
【0142】
図16および22に最もよく示されているように、アクチュエータ梁807は、平面において実質的にU字であり、電極809と対向する電極8041との間の電流経路を規定している。電極809および8041のそれぞれは、コンタクト層8030内のそれぞれの点に電気的に接続されている。コンタクト809を介して電気的に接続されると同時に、アクチュエータ梁は、アンカ808へと機械的に係止されている。アンカ808は、ノズル機構の動作時に、図16〜図18の左方へのアクチュエータ梁807の運動を制限するように構成されている。
【0143】
アクチュエータ梁807のTiNは導電性であるが、充分に高い電気抵抗を有しており、電流が電極809および8041の間を通過するとき、自ら発熱する。受動梁806を通って電流が流れることはなく、したがって受動梁806は膨張しない。
【0144】
使用時、静止状態にある装置が、表面張力の作用下でメニスカス803を規定するインク8013によって満たされる。インクは、メニスカスによってチャンバー8029内に保持され、他の何らかの物理的作用が存在しないとき、漏れ出すことはほとんどない。
【0145】
図17に示すように、インクをノズルから発射するため、電流がコンタクト809および8041の間に通され、アクチュエータ梁807を通過する。梁807の抵抗による梁807自身の発熱が、梁の膨張を生じさせる。アクチュエータ梁807の寸法および設計は、膨張の大部分が図16〜18に関して水平方向であることを意味している。左方への膨張はアンカ808によって制限されており、したがってアクチュエータ梁807のレバーアーム8018に近い方の端部が、右方へと駆動される。
【0146】
受動梁806は、相対的に水平方向の柔軟性を欠くため、レバーアーム8018の大きな水平方向の移動を許さない。一方で、受動梁およびアクチュエータ梁のそれぞれのレバーアームへの取り付け点が相対的に変位するため、ねじり運動が引き起こされ、レバーアーム8018が全体として下方へと動かされる。この運動は、実質的に枢動またはヒンジ運動である。しかしながら、真の枢支点が存在していないことが、回転が受動梁806の曲がりによって規定される枢支領域を中心とすることを意味している。
【0147】
レバーアーム8018の下方への運動(および、僅かな回転)が、受動梁806からノズル壁8033までの距離によって増幅される。ノズル壁および屋根の下方への運動が、チャンバー29内の圧力を上昇させ、図17に示すようにメニスカスを隆起させる。インクの表面張力が、この運動による流体シール11の伸張を意味し、インク漏出を許容しないことに注目できる。
【0148】
図18に示すように、適切な時点において駆動電流が停止され、アクチュエータ梁807が速やかに冷却して収縮する。この収縮によって、レバーアームの休止位置への復帰が開始され、結果としてチャンバー8029内の圧力の低下が生じる。隆起したインクの勢いおよびその固有の表面張力の相互作用、ならびにノズルチャンバー8029の上方への運動によって引き起こされる負の圧力が、隆起メニスカスの薄化、および最終的には放出を生じさせ、隣接の印字媒体に接するまで上方へと動き続けるインク滴802を規定する。
【0149】
滴802が離れた直後に、メニスカス803は、図18に示す凹状の形状を形成する。表面張力が、チャンバー8029の圧力を、インクが導入口8014を通って上方へと吸い込まれて、ノズル機構およびインクが図16に示した静止状態に戻るまで、比較的低く保つ。
【0150】
印字ヘッド集積回路81を、印字ヘッド集積回路81の長さおよび必要とされる所望の印字特性に応じて、表面に沿って5000〜100,000個の上述のノズルを配置して有するように構成できる。例えば、幅の狭い媒体については、印字ヘッドの表面に沿って5000個のノズルを配置するだけで所望の印字結果を達成することが可能である場合があるが、幅の広い媒体においては、所望の印字結果を達成するために、印字ヘッドの長さに沿って少なくとも10,000、20,000、または50,000個のノズルを配置する必要がある場合がある。A4またはUSレターのサイズの媒体への1600dpiまたは1600dpi程度でのフルカラー写真品質画像のために、印字ヘッド集積回路81は、各色について13824個のノズルを有することができる。したがって、印字ヘッド集積回路81が4色(C、M、Y、K)で印字を行うことができる場合、印字ヘッド集積回路81は、その表面に沿って約53396個のノズルを配置して有することになる。さらに、印字ヘッド集積回路81が6つの印字用流体(C、M、Y、K、IR、および固定剤)を印字できる場合、印字ヘッド集積回路81の表面に82944個のノズルが設けられることになるであろう。このような構成のすべてにおいて、各ノズルをサポートする電子機器は同じである。
【0151】
次に、印字ヘッド集積回路81において、個々のノズル機構101を制御する方法を、図26〜図29を参照して説明する。
【0152】
図26は、印字ヘッド集積回路81の概要、およびプリンタユニット2の制御用電子機器72に設けたSoPECデバイスへの印字ヘッド集積回路81の接続を示している。上述のとおり、印字ヘッド集積回路81は、各ノズルの発射を行うための繰り返しロジックを含んでいるノズルコアアレイ401、およびノズルの発射を行うためにタイミング信号を生成するためのノズル制御ロジック402を含んでいる。ノズル制御ロジック402が、高速リンクを介してSoPECデバイスからデータを受け取る。
【0153】
ノズル制御ロジック402は、電気コネクタの形態であってもよいリンク407を介して、印字のためにノズルアレイコアへとシリアルデータを送るように構成されている。ノズルアレイコア401についての状態および他の動作上の情報が、やはり電気コネクタに設けることができる他のリンク408を介して、ノズル制御ロジック402へと返信される。
【0154】
ノズルアレイコア401が、図27および28にさらに詳しく示されている。図27において、ノズルアレイコア401がノズル列501のアレイを備えることが見て取れる。アレイは、発射/選択シフトレジスタ502および最大6つのカラーチャネルを含んでおり、それぞれのカラーチャネルが、対応するドットシフトレジスタ503によって表わされている。
【0155】
図28に示されているように、発射/選択シフトレジスタ502は、順方向路発射シフトレジスタ600、逆方向路発射シフトレジスタ601、および選択シフトレジスタ602を含んでいる、各ドットシフトレジスタ503は、奇数ドットシフトレジスタ603および偶数ドットシフトレジスタ604を含んでいる。奇数および偶数ドットシフトレジスタ603および604は、データが一方向において奇数シフトレジスタ603によってクロックされ、次いで逆方向において偶数シフトレジスタ604によってクロックされるように、一端において接続されている。最後の偶数ドットシフトレジスタを除くすべての偶数ドットシフトレジスタの出力が、マルチプレクサ605の1つの入力へと供給される。マルチプレクサのこの入力は、製造後検査の際に信号(corescan)によって選択される。通常の動作においては、corescan信号が、マルチプレクサ605の他方の入力へと供給されるドットデータ入力Dot[x]を選択する。これにより、各色についてのDot[x]が、それぞれのドットシフトレジスタ503へと供給される。
【0156】
次に、1つの列Nを、図28を参照して説明する。図示の実施形態においては、列Nが、6つのドットシフトレジスタのそれぞれのための奇数データ値606および偶数データ値607を備える12のデータ値を含んでいる。さらに列Nは、進み発射シフトレジスタ600からの奇数発射値608、および戻り発射シフトレジスタ601からの偶数発射値609を含んでおり、これらが入力としてマルチプレクサ610へと供給される。マルチプレクサ610の出力は、選択シフトレジスタ602の選択値611によって制御される。選択値がゼロであるとき、奇数発射値が出力され、選択値が1であるとき、偶数発射値が出力される。
【0157】
奇数および偶数データ値606および607のそれぞれが、対応する奇数ドットラッチ612および偶数ドットラッチ613にそれぞれ入力として供給される。
【0158】
各ドットラッチおよびその関連のデータ値が、単位セル614などの単位セルを形成する。単位セルは、図29にさらに詳しく示されている。ドットラッチ612は、奇数ドットシフトレジスタ603の要素を構成しているD型フリップ‐フロップ614によって保持されたデータ値606の出力を受け付けるD型フリップ‐フロップである。フリップ‐フロップ614へと入力されるデータは、奇数ドットシフトレジスタの先の要素の出力から供給される(当該要素がシフトレジスタの第1の要素である場合には、その入力はDot[x]値である)。データは、LsyncLに供給される負のパルスが受け取られたとき、フリップ‐フロップ614の出力からラッチ612へとクロックされる。
【0159】
ラッチ612の出力は、3入力ANDゲート615への入力の1つとして供給される。ANDゲート615への他の入力は、Fr信号(マルチプレクサ610の出力から)およびパルスプロファイル信号Prである。ノズルの発射時期は、パルスプロファイル信号Prによって制御され、例えば、低電力供給のため生じる低電圧条件(着脱式の電源の実施形態において)を考慮に入れるため、長くすることができる。これにより、発射時に各ノズルから比較的一貫した量のインクが効率的に放射されるように保証される。上述の実施形態においては、プロファイル信号Prが各ドットシフトレジスタについて同じであり、複雑さ、コスト、および性能の間のバランスをもたらしている。しかしながら、他の実施形態においては、Pr信号を全体的に印加(すなわち、すべてのノズルについて同じ)することができ、あるいは各単位セルまたは各ノズルに合わせて個々に作製することも可能である。
【0160】
ひとたびデータがラッチ612に装填されると、発射許可信号Frおよびパルスプロファイル信号Prが、ANDゲート615に加えられて重ね合わされ、ロジック1を収容している各ラッチ612について、インクのドットを打ち出すべくノズルを動作させる。
【0161】
各ノズルチャネルについての信号を、以下の表に要約する。
【表3】
【0162】
図29に示されているように、発射信号Frは斜めに引き回されており、現在の列において色の発射を可能にし、次の列の次の色の発射を可能にし、以下同様である。これは、時間をずらした方法で6つの列にわたって分散させることで、電流の需要を平均化している。
【0163】
ドットラッチおよび種々のシフトレジスタを形成しているラッチは、この実施形態においては完全に静的であり、CMOSにもとづいている。ラッチの設計および構成は、集積回路の工学および設計の技術分野の当業者にとって公知であり、したがって本明細書にての詳しい説明は行わない。
【0164】
ノズルの速度は、約60ppmで印字を行うことができるプリンタユニット2について20kHzにもなり、より高速な場合には、それ以上になりうる。印字速度およびppmについての参照がすべて、フルプロセスのカラー画像(スポットカラーではない)で印字されたページを指しており、少なくともページの80%が画像で覆われている必要があることを、理解すべきである。すなわち、60ppmの印字速度とは、毎分60ページの媒体が印字され、ページが、各ページの少なくとも80%を覆うフルプロセスのカラー画像で印字されていることを指している。このように、既存のプリンタユニットとの比較はすべて、この印字要件にもとづいている。このノズル速度の範囲において、印字ヘッド81全体において発射されうるインクの量は、少なくとも毎秒5000万滴である。しかしながら、高速かつ高品質の印字を提供すべくノズルの数が増やされているため、少なくとも毎分1億滴、好ましくは少なくとも毎分3億滴、さらに好ましくは少なくとも毎分10億滴を、送出することができる。したがって、このような速度での印字に対応するため、制御用電子機器72は、ノズルがインクの滴を発射するか否かを、同等の速度で判断できなければならない。この点に関し、いくつかの例では、制御用電子機器72が、ノズルがインクの滴を発射するか否かを、少なくとも毎分5000万回の判断速度で判断できなければならない。これは、少なくとも毎分1億回の判断または少なくとも毎分3億回の判断まで増加する可能性があり、多くの場合には、高速かつ高品質な印字用途において、少なくとも毎分10億回の判断まで増加する可能性がある。
【0165】
本発明のプリンタユニット2においては、印字ヘッドチップ81に設けられた上述の範囲の数のノズルがノズル発射速度印字速度と協働し、少なくとも毎秒50cm2の面積印字速度をもたらし、印字速度に応じ、高速において少なくとも毎秒100cm2、好ましくは少なくとも毎秒200cm2、さらに好ましくは少なくとも毎秒500cm2の面積印字速度をもたらす。このような構成が、媒体の面積を従来のプリンタユニットではこれまで得られなかった速度で印字できるプリンタユニット100を提供する。
【0166】
既に述べたように、上述のノズル機構は、印刷エンジン70の一部を構成するカートリッジユニット80の印字ヘッド集積回路81に形成される。カートリッジユニット80は、機能するために、クレードルユニット71の制御用電子機器72から伝えられるデータおよび電力に依存しており、さらに印字ヘッド集積回路81を印字位置に支持し、印字のために印字媒体を印字ヘッド集積回路81を通って送達するために、クレードルユニット71に依存している。
【0167】
この点に関し、クレードルユニット71が、印刷エンジン70の第2の部分を構成し、上部および下部フレームユニット7、6に設けられた取付具(図示されていない)によって、本体3の内部空洞12に保持されている。この位置において、図13および14に示されているように、クレードルユニット71は、本体3の後部9に設けられたデータコネクタソケット17と電気的に連通しているコネクタ要素73を介して、外部のデータソースからデータを受け取ることができる。コネクタ要素73は、好ましくは、クレードルユニット71に設けられた対応するコネクタに整列するように配置されたフレキシブル印刷回路基板(PCB)である。同様に、電力が、内部空洞12へと延びる電源コンタクト(図示されていない)によって、電源ユニット15からクレードルユニット71へと供給される。クレードルユニット71に、クレードルユニット71へと電力を送達するべく電源コンタクト74につながる適切なコネクタ要素(図示されていない)が設けられる。
【0168】
図14にさらに明確に示されているように、クレードルユニット71は、カートリッジユニット80を受け入れて、両ユニットが一体に組み合わされたときに印刷エンジンアセンブリ70を形成するように形作られている。この構成において、データおよび電力を、既に述べたようにユニット71、80間で伝達することができ、印字ヘッド集積回路81のノズルを、既に述べた方法で制御することができる。
【0169】
クレードルユニット71の本体は、印刷エンジン70を通って紙を搬送するための駆動モータ75、駆動ローラ76、およびピンチローラ77、印字ヘッド集積回路81へとキャッピングおよび他の形式の保守を行うための印字ヘッド保守ユニット78、ならびにプリンタユニット2の全体的な動作を制御するためのSoPECデバイスを含んでいる制御用電子機器72を備える。さらに、クレードルユニットの本体は、採取のために印字済み媒体の印刷エンジン70からの送出を助けるため、出口ローラ86およびアイドラホイール87の形態の媒体出口機構を収容している。
【0170】
駆動モータ75は、双方向能力を有する標準的なブラシレスDCモータである。駆動モータ75は、ギアによって駆動ローラ76に係合し、印字ヘッド集積回路81を通過する印字媒体の送出を制御するため、駆動ローラ76へと駆動の運動を提供する。モータ75による駆動ローラ76の駆動速度は、紙が典型的には60ppmに至り、さらには60ppmを超える所望の速度で印字ヘッド81を通過して送達されるよう、印字媒体の送出制御用電子機器72によって制御される。駆動ローラ76がピンチローラ77と係合し、ローラ76、77が協働して、ピッカー機構60によって供給される印字媒体を捕捉し、印字媒体を印字ヘッド集積回路81を通過して前進させる。
【0171】
さらにクレードルユニット71には、やはりギアによって駆動モータ75に係合する印字ヘッド保守ユニット78が設けられている。印字ヘッド保守ユニット78は、カートリッジユニット80の印字ヘッド集積回路81をキャップする位置へと動かされるようになっているキャッピング要素を含んでいる。そのような場合、プリンタユニット2が休止状態であると判断されたとき、制御用電子機器72が、印字ヘッド保守ユニット78の駆動モータ75との係合を開始させ、印字ヘッド保守ユニット78を印字ヘッド集積回路81とのキャッピング係合へと移動させる。キャッピング係合は、基本的には、印字ヘッド集積回路81のインク送出ノズルの周囲の周辺シールを構成し、インク送出ノズル内に存在するインクからの水分の蒸発を少なくし、インクの乾燥およびノズルの詰まりを防止する。同様に、印字が着手されたと判断されると、制御用電子機器72が印字ヘッド集積回路81からのキャップの取り外しを開始し、印字ヘッド保守ユニット78を図16に示されているような非キャップ位置へと戻すことができるようにする。さらに、印字ヘッド保守ユニット78が、必要に応じて印字ヘッド81の拭き取りまたは吸い取りなど、他の特徴を実行してもよい。
【0172】
紙出口機構85は、印字ヘッド集積回路81の下流においてクレードルユニット70の内側に位置しており、出口ローラ86および複数のアイドラローラ87で構成されている。出口ローラ86は、クレードルユニットを横切って延びる細長い軸によってもたらされている。出口ローラ86は、媒体出力アセンブリ5への送出のため媒体の捕捉を助けるために、軸の全長に沿って等間隔に位置する複数の把持要素を有することができる。出口ローラ86は、適切に配置された駆動ギアを介して、クレードルユニット71の駆動モータ75によって駆動され、クレードルユニット71の制御用電子機器72が、紙出口機構85の動作を、確実にクレードルユニット71の駆動ローラ76の速度およびタイミングに対応する適切な時点および速度で開始されるように制御することができる。
【0173】
紙出口機構85のアイドラホイール87は、出口ローラ86と協働して機能し、印字媒体を捕捉して媒体出力アセンブリ5へと送出する。アイドラローラ87は、クレードルユニット71の内表面へと撓むことができるように接続されており、出口ローラ86と回転接触するように構成されている。図14に示すように、アイドラホイール87は、印字済み媒体を出口ローラ86の作用のもとで媒体出力アセンブリ5へと送達することができるよう、出口ローラ86の表面に接して回転して間に媒体を捕捉するスターホイール91の形態である。この構成は、印字後の印刷エンジン70からの印字済み媒体のシートを取り去る制御を助ける。
【0174】
紙出口機構85が、クレードルユニット71内に収容されるものとして示されているが、紙出口機構をクレードルユニットから離して設け、プリンタユニットの本体3に取り付けてもよいことを、理解すべきである。さらに、紙出口機構85が、スターホイール91を有するものとして示されているが、当業者にとって明らかであるとおり、他の種類のアイドラローラを使用してもよく、それらもやはり本発明の技術的範囲に包含される。
【0175】
図16に示されているように、クレードルユニット71の本体は、導入口67を、ピッカー機構60に近接して印字ヘッド集積回路81の上流に設けて有する。導入口67は、ピッカー機構60によって送達される印字媒体の前縁を受け入れるが、駆動ローラ76およびピンチローラ77に向かって印字媒体の前縁の案内を助ける案内部材69を含んでいる。
【0176】
出口68が、印字媒体に印刷エンジン70から出るための経路を提供するため、印字ヘッド集積回路81紙出口機構の下流においてクレードルユニット71の本体に設けられている。印字ヘッド集積回路81による印字に続いて、印字済み媒体の前縁が、紙出口機構85の作用のもとで、出口68を通って印刷エンジン70から出る。
【0177】
上述の構成において、印刷エンジン70は、媒体入力アセンブリ4から印刷エンジン70を通って媒体出力アセンブリ5へと至る簡潔な印字媒体搬送経路を可能にするため、本体3の内部空洞12の内側に位置している。
【0178】
図14に示されているように、プリンタユニット2を通って前進する際の印字媒体の経路を単純にするため、印刷エンジン70は、本体3の内部空洞12において斜めに配置されている。印刷エンジン70の斜め配置が、印字ヘッド集積回路81の斜め配置をもたらし、結果として斜め配置の印字領域がもたらされ、これが、媒体入力アセンブリ4から印字領域を通って媒体出力アセンブリ5へと通過する際の印字媒体に奥行きの少ない経路をもたらすうえで役にたつ。このような単純であって奥行きの少ない印字媒体の経路は、種々の厚さおよび種類の媒体、すなわち約300gsmにもなる紙を、プリンタユニット2によって印字できるようにし、このような媒体取り扱い能力における可変性は、従来の卓上プリンタユニットにおいて通常欠如していたものである。この構成は、印字媒体がその経路において詰まる可能性を少なくし、定常的な監視および調整を必要とする可能性を少なくし、いくつかの場合には、万一にも媒体が印字ヘッド集積回路81に接触して、補修または交換を必要とする可能性を少なくする。
【0179】
印刷エンジン70の配置角度、したがって印字ヘッド集積回路81の傾斜の角度は、印字媒体10がプリンタユニット2へと供給される角度、とりわけ媒体入力アセンブリ4の傾斜の角度に大きく依存する。図16に示されているように、印字媒体入力アセンブリ4は、水平面の傾斜角度を0°であるとして、正のx軸から反時計周りに測定して約120°の傾斜角度を有する。印字媒体入力アセンブリの傾斜角度は、90°〜160°の間で様々であってもよい。図16に示した構成においては、印刷エンジン70、したがって印字ヘッド集積回路81が、印字媒体入力アセンブリ4の傾斜角度よりも大きい約145度の傾斜角度を有する。したがって、様々な重量および厚さの印字媒体を取り扱うことができる奥行きの少ない印字媒体経路を提供するために、印字ヘッド集積回路81は、印字媒体入力アセンブリの傾斜角度よりも大きい傾斜角度を有するように構成されている。
【0180】
[画像読取ユニット]
画像処理装置1の画像読取ユニット701が、図30に分解図で示されている。理解できるとおり、画像読取ユニット701は、ソースから画像をスキャンするための従来の往復式のページ幅画像読取機702を使用する従来のフラットベッドスキャナユニットに類似している。画像読取機702は、当業者であれば理解できるように、スキャナヘッドアセンブリの形態である。
【0181】
画像読取ユニット701は、一般的に、基部703、フレーム710、および蓋720で構成される。基部703は、画像読取ユニット701の種々の動作要素を含んでいる。画像読取機702は、基部703の一端に位置しており、中央軸704に支持されるとともに、画像を読み取るときに中央軸704に沿って移動する。中央軸704と平行関係に配置されたベルトアセンブリ705を駆動するため、モータ707が基部703に取り付けられている。ベルトアセンブリ705は、画像読取機702に接続されており、モータ707の作用のもとで中央軸704に沿って画像読取機702を移動させ、画像をスキャンすべく画像読取機702が基部703を横断できるようにしている。ベルト引っ張りシステム706が、ベルトアセンブリ705のモータ707から遠位の端部に使用されており、スキャナユニット701の全長にわたって画像読取機702の一貫した動きをもたらすため、ベルトが充分な張力となるよう保証している。
【0182】
画像読取機702およびモータ707は、PCBアセンブリ(一部が隠れている)上に設けられたコントローラ708によって制御される。画像読取機702は、画像読取ユニット701の全長を横切るとき、折り畳まれた構成で示されているフレキシブルPCB709によって、コントローラ708に接続されている。この点に関し、画像読取機702が基部703の長さに沿って移動するとき、フレキシブルPCB709が折り畳まれた構成から引き伸ばされ、画像読取機702がコントローラ708と常に連通しているように保証し、この2つの要素の間でデータおよび電力を伝達できるようにしている。この構成において、読み取られる画像に関する画像情報が、画像読取機702によって収集され、後の処理のためにコントローラ708に記録または保存される。
【0183】
フレーム710は、基部703を覆って嵌入し、フレーム710に設けられて基部703に設けられた対応する凹所712と対をなすラグ711によって、係合状態に保たれるように構成されている。平坦なガラス製パネル713が、基部703とフレーム710との間に挟まれている。ガラス製パネル713は、印字済み媒体のシートを支持し、媒体を画像読取機702による上述の方法での読み取りのために提示するように意図されている。
【0184】
フレーム710の後部には、座部分714が設けられている。座部分714は、床部715と床部715から上方に延びる2組の位置決め要素716とを有する開口した受け部を形成している。位置決め要素716はそれぞれ、隆起した4つの位置決めタブ718によって囲まれた中央の円筒要素717で構成されている。さらに、スペーサ要素719が、座部分の床部715から延びている。位置決め要素716およびスペーサ要素719の目的は、後でさらに詳しく説明する方法でプリンタユニット2を受け入れることにある。
【0185】
蓋720は、ガラス製パネル713のカバーとなるように構成され、ガラス製パネル713を覆っている閉鎖位置と、ガラス製パネル713から離れるように動かされた開放位置との間を枢動すべく、フレーム710へと枢動可能に接続されている。パッド721が蓋720の内表面に設けられ、読み取り対象の物品をガラス製パネル713上の所定の位置に保つよう助けている。この点に関し、蓋720が閉鎖位置にあるとき、読み取り対象の物品がガラス製パネル713上に配置され、パッド721が物品に接触し、物品をガラス製パネル713の表面上の所定の位置に保つ。
【0186】
蓋720の外表面には、蓋720の全長にわたって延びる複数のうね722が設けられており、さらに詳しく後述する方法でプリンタユニット2からの印字済み媒体を収集するために使用される平坦な表面を全体的に規定している。プリンタユニット2からの印字済み媒体の収集を助けるため、端部ストッパ723が、蓋720の外表面に設けられている。
【0187】
蓋720は、蓋720の2つの内側角に設けられた一対のピン(図示されていない)によってフレーム710に取り付けられている。ピンは、フレーム710の外表面に設けられた2つの成形凹所724に収容され、この構成が、蓋720をピンを中心として開放位置と閉鎖位置との間で枢動させることができるようにしている。フレーム710において、蓋720が取り付けられている縁の直近の領域には、フレーム710を中心とする蓋720の枢動を助ける溝付きの領域725が設けられている。
【0188】
上述し図30に示した画像読取ユニット710は、往復式のページ幅ヘッドアセンブリを使用するフラットベッドスキャナであるが、スキャナユニットが、市販されている任意の形態のスキャナユニットであってもよく、すなわち本発明が使用されるスキャナユニットの種類に限定されるものではないことを、理解できる。
【0189】
[多目的画像処理装置]
図1に示した多目的画像処理装置1を形成するため、プリンタユニット2および画像読取ユニット701の両者が、両ユニットを一体に簡単に組み立てることができる方法で構成される。
【0190】
既に記載されているように、画像読取ユニット701の座部分714が、プリンタユニット2の基部8を受け入れるように構成されており、位置決め要素716が、プリンタユニット2を所定の位置に固定するように機能する。
【0191】
図11を参照すると、多目的画像処理装置1を形成すべくプリンタユニット2および画像読取ユニット701を一体に組み立てるため、まずは媒体出力アセンブリ5が、プリンタユニット2の基部8から取り外される。媒体出力アセンブリ5は、プリンタユニット2の基部8に形成された凹部に滑動可能に受け入れているため、画像読取ユニット701への組み立てに先立って、基部から単純に取り外すことができる。2つの受入領域59が、基部8の表面に形成されており、4つの実質的に矩形の凹所を周囲に配置して有する中央の円形の凹所の形態である。
【0192】
次いで、プリンタユニット2を、画像読取ユニット701の座部分714内に配置することができ、座部分714は、プリンタユニット2の基部8の全体形状に一致するように形作られている。プリンタユニット2が座部分714に受け入れられると、プリンタユニット2の基部8に形成された受入部59が、座部分714に設けられた位置決め要素716を受け入れる。この点に関し、隆起タブ718が、受入領域59の対応する実質的に矩形の凹所に受け入れられ、円筒形の要素717が、受入領域59の対応する中央の円形の凹所に受け入れられ、これによってプリンタユニット2が画像読取ユニット701へと、入れ子の構成で解放可能に固定される。座部分714のスペーサ要素719が、プリンタユニット2の基部8に当接して作用し、座部分714内のプリンタユニット2のさらなる支持を提供する。組み立て後の構成の下面が、図31に示されている。
【0193】
この構成において、画像読取ユニット701のコントローラ708を、適切な電気的接続(図示されていない)を介してプリンタユニット2の制御システム72へと直接接続することができる。そのような電気的接続を、画像読取ユニット701のコントローラ708とプリンタユニット2の制御システム702との間のデータの転送を可能にすべくプリンタユニット2の内部空洞12へと延びるよう、円筒要素717の内側に設けることができる。さらに、画像読取ユニット701へと動力を供給するため、電源の接続を、電源ユニット15から同様の方法で設けることができる。この点に関し、画像読取ユニット701を、印字済みの文書から画像を読み取り、この画像を速やかな印字のために処理してプリンタユニット2へと送るように動作させることができる。さらに、制御システム72が、収集した画像データを遠隔のコンピュータシステムなどに、プリンタユニット2に設けられたデータ接続ソケットまたはWIFIカードを介して送信することができる。画像読取ユニット701を、プリンタユニット2に取り付けられたユーザディスプレイユニット26を介して操作することができ、ユーザが、画像読取ユニット701の動作を制御するため、ユーザディスプレイユニット26を介して指令を入力することができる。
【0194】
組み立てられた構成においては、図32〜35に示されるように、画像読取ユニット701の蓋720が、プリンタユニット2から排出された印字済み媒体を収集するため、プリンタユニット2から延伸している。この点に関し、媒体34は、画像読取ユニット701の蓋720の上へと、媒体出口機構85の作用のもとでプリンタユニット2から出る。端部ストッパ723が、媒体34の前縁を収集し、収集のために印字済み媒体を保持する。
【0195】
画像読取ユニット701を使用しての文書からの画像の読み取りおよび記録を容易にするため、文書をガラス製パネル813の表面上に置くことができるよう、蓋720を持ち上げることができる。この構成が、図36に示されている。この点に関し、画像読取ユニット701は、プリンタユニット2とは個別に独立して従来の方法で容易に操作できるように構成されている。
【0196】
本発明を、本発明の例示的な実施形態を参照して図示および説明したが、本発明の技術的範囲および技術的思想から離れることなく、様々な変更が当業者にとって明らかであり、当業者であればそのような変更を容易に行うことができる。したがって、添付の特許請求の範囲の技術的範囲は、本明細書において記載した説明に限定されるものではなく、特許請求の範囲は広く解釈されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0197】
【図1】本発明の一実施形態による多目的画像処理装置の前面斜視図である。
【図2】本発明のプリンタユニットを組み入れている印字システムにおける文書データの流れの概要を示す図である。
【図3】本発明のプリンタユニットの制御システムにおいて使用されるアーキテクチャの一実施形態を示すさらに詳細な概略図である。
【図4】本発明のプリンタユニットにおいて使用される制御システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図5】本発明のプリンタユニットの正面斜視図である。
【図6】図5のプリンタユニットの前面分解斜視図である。
【図7】図5のプリンタユニットの後面斜視図である。
【図8】図5のプリンタユニットの正面図である。
【図9】図5のプリンタユニットの右側面図である。
【図10】図5のプリンタユニットの左側面図である。
【図11】図5のプリンタユニットの底面図である。
【図12】図5のプリンタユニットの正面斜視図であり、媒体出力アセンブリが展張され、媒体が媒体入力アセンブリに装填されていることを示す図である。
【図13】図5のプリンタユニットの正面斜視図であり、プリンタユニットのカバーが開かれ、印刷エンジンが露出していることを示す図である。
【図14】図5のプリンタユニットの側方断面図である。
【図15a】視覚表示ユニットの光源の正面斜視図である。
【図15b】視覚表示ユニット管の正面斜視図である。
【図16】本発明において使用されるインクを排出するための、静止状態にある単一のノズルの垂直断面図である。
【図17】初期動作段階の最中にある図16のノズルの垂直断面図である。
【図18】後期動作段階にある図17のノズルの垂直断面図である。
【図19】図18に示した動作状態にある図16のノズルの斜視部分垂直断面図である。
【図20】図16のノズルの斜視垂直断面である。
【図21】図20のノズルの垂直断面図である。
【図22】図17に示した動作状態にある図16のノズルの斜視部分垂直断面図である。
【図23】図16のノズルの平面図である。
【図24】図16のノズルの平面図であり、レバーアームおよび可動ノズルは分かり易くするため取り除かれた状態を示す図である。
【図25】図16に示した形式の複数のノズル機構を組み入れている印字ヘッドチップの一部分についての、斜視垂直断面図である。
【図26】本発明のプリンタユニットにおいて使用するためのCMOS駆動および制御ブロックを示す概略図である。
【図27】図26のCMOSブロックにおけるノズル列とドットシフトレジスタとの間の関係を示す概略図である。
【図28】単位セルならびにその図27のノズル列およびドットシフトレジスタとの関係を示すさらに詳細な概略図である。
【図29】本発明のプリンタユニットにおける使用に適した単一のプリンタノズルについて、論理を示す回路図である。
【図30】本発明の画像読取ユニットの分解正面斜視図である。
【図31】図1の多目的画像処理装置の底面図である。
【図32】図1の多目的画像処理装置の左側面図である。
【図33】図1の多目的画像処理装置の側方断面図である。
【図34】図1の多目的画像処理装置の拡大側方断面図である。
【図35】図1の多目的画像処理装置の前面斜視図であり、画像読取ユニットの蓋が媒体出力アセンブリとして機能している状態を示す図である。
【図36】図1の多目的画像処理装置の前面斜視図であり、画像読取ユニットの蓋が開かれた状態にあって画像読取ユニットの読取面を露出している状態を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットプリンタユニットであって、
印字のための媒体を支持するための媒体入力アセンブリと、
媒体上に画像を印字するための印刷エンジンと、
印字済み媒体を収集するための媒体出力アセンブリと
を備えており、
前記媒体出力アセンブリが、印字済み媒体を収集するための表面を備える画像読取ユニットを有しており、
前記印刷エンジンが、使用時に前記媒体出力アセンブリが支持面上に平置きされて前記媒体入力アセンブリが前記印刷エンジンから上方に向かって延びるように、前記媒体入力アセンブリと前記媒体出力アセンブリとの間に位置している、インクジェットプリンタユニット。
【請求項2】
前記媒体入力アセンブリおよび前記印刷エンジンが、前記画像読取機に取り付けられ、前記画像読取機が、前記プリンタユニットを作業面上に支持するように構成されている、請求項1に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項3】
前記画像読取機が、前記印刷エンジンから外向きに延びており、印字済み媒体が、前記画像読取機の上面に収集される、請求項2に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項4】
前記印刷エンジンが、印字に続いて前記印字済み媒体を前記印刷エンジンから排出するための媒体出口機構を備える、請求項3に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項5】
前記画像読取機の上面が、前記排出された印字済み媒体を捕捉して、前記印字済み媒体を収集のために提示するように構成されている、請求項4に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項6】
前記画像読取機の上面が、収集のために前記排出された媒体を前記画像読取機の上面で捕捉するため、排出された媒体の前縁に接触するストッパ部材を備える、請求項5に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項7】
前記印刷エンジンが、複数のインク排出ノズルが配置されているページ幅の印字ヘッドを備えており、媒体が前記印字ヘッドを通過して搬送されるときに媒体の表面へとインクが排出される、請求項4に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項8】
前記印字ヘッドがカートリッジ上に設けられ、前記カートリッジを前記印刷エンジンから取り外すことができる、請求項7に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項9】
前記カートリッジが、前記印字ヘッドによる印字のためのインクを貯蔵するため、少なくとも1つのインク貯蔵用リザーバを備える、請求項8に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項10】
前記印刷エンジンがクレードルを備えており、前記クレードルが、前記カートリッジを受け入れるように構成されている、請求項8に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項11】
前記クレードルが、前記媒体を印字のために前記媒体入力アセンブリから前記印字ヘッドを通過して搬送するための媒体搬送機構を備える、請求項10に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項12】
前記クレードルが、媒体上への前記画像の印字を円滑にするため、前記印字ヘッドおよび前記搬送機構の動作を制御する制御システムを備える、請求項11に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項13】
前記制御システムが、さらに前記画像読取ユニットの動作を制御する、請求項12に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項14】
インクジェットプリンタユニットであって、
印字のための媒体を支持するための媒体入力アセンブリと、
媒体上に画像を印字するための印刷エンジンと、
印字済み媒体を収集するための媒体出力アセンブリと
を備えており、
前記媒体出力アセンブリが、印字済み媒体を収集するための表面を備える画像読取ユニットを有しており、
前記印刷エンジンが、ページ幅の印字ヘッドを有する、インクジェットプリンタユニット。
【請求項15】
前記媒体入力アセンブリおよび前記印刷エンジンが、前記画像読取機に取り付けられ、前記画像読取機が、前記プリンタユニットを作業面上に支持するように構成されている、請求項14に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項16】
前記画像読取機が、前記印刷エンジンから外向きに延びており、印字済み媒体が、前記画像読取機の上面に収集される、請求項15に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項17】
前記印刷エンジンが、印字に続いて前記印字済み媒体を前記印刷エンジンから排出するための媒体出口機構を備える、請求項16に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項18】
前記画像読取機の上面が、前記排出された印字済み媒体を捕捉して、前記印字済み媒体を収集のために提示するように構成されている、請求項17に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項19】
前記画像読取機の上面が、収集のために前記排出された媒体を前記画像読取機の上面で捕捉するため、排出された媒体の前縁に接触するストッパ部材を備える、請求項18に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項20】
前記印刷エンジンが、複数のインク排出ノズルが配置されているページ幅の印字ヘッドを備えており、媒体が前記印字ヘッドを通過して搬送されるときに媒体の表面へとインクが排出される、請求項17に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項21】
前記印字ヘッドがカートリッジ上に設けられ、前記カートリッジを前記印刷エンジンから取り外すことができる、請求項20に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項22】
前記カートリッジが、前記印字ヘッドによる印字のためのインクを貯蔵するため、少なくとも1つのインク貯蔵用リザーバを備える、請求項21に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項23】
前記印刷エンジンがクレードルを備えており、前記クレードルが、前記カートリッジを受け入れるように構成されている、請求項21に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項24】
前記クレードルが、前記媒体を印字のために前記媒体入力アセンブリから前記印字ヘッドを通過して搬送するための媒体搬送機構を備える、請求項23に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項25】
前記クレードルが、媒体上への前記画像の印字を円滑にするため、前記印字ヘッドおよび前記搬送機構の動作を制御する制御システムを備える、請求項24に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項26】
前記制御システムが、さらに前記画像読取ユニットの動作を制御する、請求項25に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項27】
画像読取機と一緒に使用するためのインクジェットプリンタユニットであって、
印字対象の媒体を支持するための媒体入力アセンブリと、相補的である画像読取機上の固定手段に解除可能に係合するための固定手段とを有する本体と、
ページ幅の印字ヘッドと、前記印字ヘッドの動作を制御するための制御システムとを備える印刷エンジンと
を備えており、
前記本体が、前記固定手段が前記相補的である固定手段と解除可能に係合すべく位置するように、前記読取器と入れ子をなすべく形作られている、インクジェットプリンタユニット。
【請求項28】
前記本体が、前記画像読取ユニットに設けられた座に受け入れられるように形作られた基部を有する、請求項27に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項29】
前記本体の前記基部が、前記本体を前記画像読取ユニットへと着脱可能に固定するため、前記画像読取ユニットの前記座に設けられた複数の位置決め部材を受け入れるようになっている複数の凹部を備える、請求項28に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項30】
前記本体の前記基部が、前記画像読取ユニットの前記座に設けられた電気コネクタを受け入れるための電気引込口を含んでおり、前記本体が前記画像読取ユニットへと固定されたとき、両者の間のデータおよび電力の伝達を可能にするため前記本体と前記画像読取ユニットとの間に電気経路が形成される、請求項29に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項31】
前記印刷エンジンの前記制御システムが、前記画像読取ユニットの動作を制御し、データが前記電気経路を介して前記制御システムと前記画像読取ユニットとの間を伝達される、請求項30に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項32】
前記本体が、前記電気経路を介して前記画像読取ユニットに動作用の電力を供給する電源を備える、請求項30に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項33】
前記印字ヘッドがカートリッジ上に設けられ、前記カートリッジを前記印刷エンジンから取り外すことができる、請求項27に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項34】
前記カートリッジが、前記印字ヘッドによる印字のためのインクを貯蔵するため、少なくとも1つのインク貯蔵用リザーバを備える、請求項32に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項35】
前記印刷エンジンがクレードルを備えており、前記クレードルが、前記カートリッジを受け入れるように構成されている、請求項33に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項36】
前記クレードルが、前記媒体を印字のために前記媒体入力アセンブリから前記印字ヘッドを通過して搬送するための媒体搬送機構を備える、請求項34に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項37】
インクジェットプリンタユニットと一緒に使用するための画像読取ユニットであって、
前記プリンタユニットから印字済み媒体を受け取って、前記印字済み媒体を読み取りのために提示する媒体読取面と、
前記プリンタユニット上の固定手段に解除可能に係合するための相補的な固定手段と
を備えており、
前記画像読取機が、前記相補的な固定手段が前記固定手段と解除可能に係合すべく位置するように、前記プリンタユニットと入れ子をなすべく形作られている画像読取ユニット。
【請求項38】
画像を媒体表面へと印字するとともに、媒体表面の画像に関する画像情報を読み取って記録するための画像処理装置であって、
印字対象の媒体を支持するための媒体入力アセンブリを有するインクジェットプリンタユニットと、
ページ幅の印字ヘッドおよび前記印字ヘッドの動作を制御するための制御システムを備える印刷エンジンと、
前記プリンタユニットから印字済み媒体を受け取って、前記印字済み媒体を読み取りのために提示する媒体読取面を有する画像読取ユニットと、
を備えており、
前記インクジェットプリンタユニットが、前記画像読取ユニットに入れ子状に係合し、前記画像読取ユニットに解除可能に固定されている、画像処理装置。
【請求項39】
画像を媒体表面へと印字するとともに、媒体表面の画像に関する画像情報を読み取って記録するための画像処理装置であって、
印字対象の媒体を支持するための媒体入力アセンブリを有するインクジェットプリンタユニットと、
ページ幅の印字ヘッドおよび前記印字ヘッドの動作を制御するための制御システムを備える印刷エンジンと、
前記プリンタユニットから印字済み媒体を受け取って、前記印字済み媒体を読み取りのために提示する媒体読取面を有する画像読取ユニットと、
を備えており、
前記インクジェットプリンタユニットが、前記画像読取ユニットに入れ子状に係合し、前記画像読取ユニットに解除可能に固定されている、画像処理装置。
【請求項40】
画像を媒体表面へと印字するとともに、媒体表面の画像に関する画像情報を読み取るための画像処理装置であって、
印字対象の媒体を支持するための媒体入力アセンブリを有するインクジェットプリンタユニットと、
画像読取機と、印字済み媒体を受け取り前記画像情報を読み取るために前記印字済み媒体を前記画像読取機へと提示する媒体読取面とを有する画像読取ユニットと、
ページ幅の印字ヘッドおよび前記印字ヘッドの動作を制御するための制御システムを備える印刷エンジンと
を備えており、
前記印字ヘッドが、印字対象の媒体へとインクの個々の滴を排出するための複数のインク排出ノズルを有しており、
前記制御システムが、少なくとも毎秒5000万回の判断速度で、前記ノズルのそれぞれがインクの滴を排出するか否かを判断する画像処理装置。
【請求項41】
前記本体が座部分を備えており、前記座部分が、内部に前記インクジェットプリンタユニットを受け入れるように形作られている、請求項39に記載の画像読取ユニット。
【請求項42】
前記固定手段が、前記座部分に設けられ、前記座部分から延びて前記インクジェットプリンタユニットに設けられた対応する収容部材に係合するようになっている少なくとも1つの位置決め部材を備える、請求項40に記載の画像読取ユニット。
【請求項43】
前記収容部材が凹所であり、前記位置決め部材が前記凹所内に受け入れられるように形作られている、請求項41に記載の画像読取ユニット。
【請求項44】
電気コネクタが前記座部分に、前記インクジェットプリンタユニットに設けられた対応する電気コネクタに接触すべく設けられており、前記インクジェットプリンタユニットが前記座部分に受け入れられたとき、前記インクジェットプリンタユニットと前記画像読取機との間に、両者の間のデータおよび電力の伝達を可能にするための電気経路が形成される、請求項40に記載の画像読取ユニット。
【請求項45】
前記画像読取機がヘッド部を備えており、前記ヘッド部が、媒体の表面に形成された画像に関する画像情報を収集するため、媒体の表面に沿って移動するように構成されている、請求項43に記載の画像読取ユニット。
【請求項46】
前記画像読取機によって収集された画像情報が、前記画像読取機と一緒に設けられたコントローラに保存される、請求項44に記載の画像読取ユニット。
【請求項47】
前記コントローラに保存された画像情報が、処理のために前記電気経路を介して前記インクジェットプリンタユニットへと送られる、請求項45に記載の画像読取ユニット。
【請求項48】
前記コントローラが、前記インクジェットプリンタユニットから受け取った制御指令に従って、前記画像読取ユニットの動作を協調させる、請求項45に記載の画像読取ユニット。
【請求項49】
画像を媒体表面へと印字するとともに、媒体表面の画像に関する画像情報を読み取るための画像処理装置であって、
印字対象の媒体を支持するための媒体入力アセンブリを有するインクジェットプリンタユニットと、
画像読取機と、印字済み媒体を受け取って画像情報を読み取るために前記印字済み媒体を前記画像読取機へと提示する媒体読取面とを有する画像読取ユニットと、
ページ幅の印字ヘッドおよび前記印字ヘッドの動作を制御するための制御システムを備える印刷エンジンと
を備えており、
前記印字ヘッドが、媒体へとインクの個々の滴を排出するため、少なくとも5000個のインク排出ノズルを有する、画像処理装置。
【請求項50】
前記本体が座部分を備えており、前記座部分が、内部に前記インクジェットプリンタユニットを受け入れるように形作られている、請求項48に記載の画像読取ユニット。
【請求項51】
前記固定手段が、前記座部分に設けられ、前記座部分から延びて前記インクジェットプリンタユニットに設けられた対応する収容部材に係合するようになっている少なくとも1つの位置決め部材を備える、請求項49に記載の画像読取ユニット。
【請求項52】
前記収容部材が凹所であり、前記位置決め部材が前記凹所内に受け入れられるように形作られている、請求項50に記載の画像読取ユニット。
【請求項53】
電気コネクタが前記座部分に、前記インクジェットプリンタユニットに設けられた対応する電気コネクタに接触すべく設けられており、前記インクジェットプリンタユニットが前記座部分に受け入れられたとき、前記インクジェットプリンタユニットと前記画像読取機との間に、両者の間のデータおよび電力の伝達を可能にするための電気経路が形成される、請求項49に記載の画像読取ユニット。
【請求項54】
前記画像読取機がヘッド部を備えており、前記ヘッド部が、媒体の表面に形成された画像に関する画像情報を収集するため、媒体の表面に沿って移動するように構成されている、請求項52に記載の画像読取ユニット。
【請求項55】
前記画像読取機によって収集された画像情報が、前記画像読取機と一緒に設けられたコントローラに保存される、請求項53に記載の画像読取ユニット。
【請求項56】
前記コントローラに保存された画像情報が、処理のために前記電気経路を介して前記インクジェットプリンタユニットへと送られる、請求項54に記載の画像読取ユニット。
【請求項57】
前記コントローラが、前記インクジェットプリンタユニットから受け取った制御指令に従って、前記画像読取ユニットの動作を協調させる、請求項54に記載の画像読取ユニット。
【請求項1】
インクジェットプリンタユニットであって、
印字のための媒体を支持するための媒体入力アセンブリと、
媒体上に画像を印字するための印刷エンジンと、
印字済み媒体を収集するための媒体出力アセンブリと
を備えており、
前記媒体出力アセンブリが、印字済み媒体を収集するための表面を備える画像読取ユニットを有しており、
前記印刷エンジンが、使用時に前記媒体出力アセンブリが支持面上に平置きされて前記媒体入力アセンブリが前記印刷エンジンから上方に向かって延びるように、前記媒体入力アセンブリと前記媒体出力アセンブリとの間に位置している、インクジェットプリンタユニット。
【請求項2】
前記媒体入力アセンブリおよび前記印刷エンジンが、前記画像読取機に取り付けられ、前記画像読取機が、前記プリンタユニットを作業面上に支持するように構成されている、請求項1に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項3】
前記画像読取機が、前記印刷エンジンから外向きに延びており、印字済み媒体が、前記画像読取機の上面に収集される、請求項2に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項4】
前記印刷エンジンが、印字に続いて前記印字済み媒体を前記印刷エンジンから排出するための媒体出口機構を備える、請求項3に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項5】
前記画像読取機の上面が、前記排出された印字済み媒体を捕捉して、前記印字済み媒体を収集のために提示するように構成されている、請求項4に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項6】
前記画像読取機の上面が、収集のために前記排出された媒体を前記画像読取機の上面で捕捉するため、排出された媒体の前縁に接触するストッパ部材を備える、請求項5に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項7】
前記印刷エンジンが、複数のインク排出ノズルが配置されているページ幅の印字ヘッドを備えており、媒体が前記印字ヘッドを通過して搬送されるときに媒体の表面へとインクが排出される、請求項4に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項8】
前記印字ヘッドがカートリッジ上に設けられ、前記カートリッジを前記印刷エンジンから取り外すことができる、請求項7に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項9】
前記カートリッジが、前記印字ヘッドによる印字のためのインクを貯蔵するため、少なくとも1つのインク貯蔵用リザーバを備える、請求項8に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項10】
前記印刷エンジンがクレードルを備えており、前記クレードルが、前記カートリッジを受け入れるように構成されている、請求項8に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項11】
前記クレードルが、前記媒体を印字のために前記媒体入力アセンブリから前記印字ヘッドを通過して搬送するための媒体搬送機構を備える、請求項10に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項12】
前記クレードルが、媒体上への前記画像の印字を円滑にするため、前記印字ヘッドおよび前記搬送機構の動作を制御する制御システムを備える、請求項11に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項13】
前記制御システムが、さらに前記画像読取ユニットの動作を制御する、請求項12に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項14】
インクジェットプリンタユニットであって、
印字のための媒体を支持するための媒体入力アセンブリと、
媒体上に画像を印字するための印刷エンジンと、
印字済み媒体を収集するための媒体出力アセンブリと
を備えており、
前記媒体出力アセンブリが、印字済み媒体を収集するための表面を備える画像読取ユニットを有しており、
前記印刷エンジンが、ページ幅の印字ヘッドを有する、インクジェットプリンタユニット。
【請求項15】
前記媒体入力アセンブリおよび前記印刷エンジンが、前記画像読取機に取り付けられ、前記画像読取機が、前記プリンタユニットを作業面上に支持するように構成されている、請求項14に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項16】
前記画像読取機が、前記印刷エンジンから外向きに延びており、印字済み媒体が、前記画像読取機の上面に収集される、請求項15に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項17】
前記印刷エンジンが、印字に続いて前記印字済み媒体を前記印刷エンジンから排出するための媒体出口機構を備える、請求項16に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項18】
前記画像読取機の上面が、前記排出された印字済み媒体を捕捉して、前記印字済み媒体を収集のために提示するように構成されている、請求項17に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項19】
前記画像読取機の上面が、収集のために前記排出された媒体を前記画像読取機の上面で捕捉するため、排出された媒体の前縁に接触するストッパ部材を備える、請求項18に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項20】
前記印刷エンジンが、複数のインク排出ノズルが配置されているページ幅の印字ヘッドを備えており、媒体が前記印字ヘッドを通過して搬送されるときに媒体の表面へとインクが排出される、請求項17に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項21】
前記印字ヘッドがカートリッジ上に設けられ、前記カートリッジを前記印刷エンジンから取り外すことができる、請求項20に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項22】
前記カートリッジが、前記印字ヘッドによる印字のためのインクを貯蔵するため、少なくとも1つのインク貯蔵用リザーバを備える、請求項21に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項23】
前記印刷エンジンがクレードルを備えており、前記クレードルが、前記カートリッジを受け入れるように構成されている、請求項21に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項24】
前記クレードルが、前記媒体を印字のために前記媒体入力アセンブリから前記印字ヘッドを通過して搬送するための媒体搬送機構を備える、請求項23に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項25】
前記クレードルが、媒体上への前記画像の印字を円滑にするため、前記印字ヘッドおよび前記搬送機構の動作を制御する制御システムを備える、請求項24に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項26】
前記制御システムが、さらに前記画像読取ユニットの動作を制御する、請求項25に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項27】
画像読取機と一緒に使用するためのインクジェットプリンタユニットであって、
印字対象の媒体を支持するための媒体入力アセンブリと、相補的である画像読取機上の固定手段に解除可能に係合するための固定手段とを有する本体と、
ページ幅の印字ヘッドと、前記印字ヘッドの動作を制御するための制御システムとを備える印刷エンジンと
を備えており、
前記本体が、前記固定手段が前記相補的である固定手段と解除可能に係合すべく位置するように、前記読取器と入れ子をなすべく形作られている、インクジェットプリンタユニット。
【請求項28】
前記本体が、前記画像読取ユニットに設けられた座に受け入れられるように形作られた基部を有する、請求項27に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項29】
前記本体の前記基部が、前記本体を前記画像読取ユニットへと着脱可能に固定するため、前記画像読取ユニットの前記座に設けられた複数の位置決め部材を受け入れるようになっている複数の凹部を備える、請求項28に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項30】
前記本体の前記基部が、前記画像読取ユニットの前記座に設けられた電気コネクタを受け入れるための電気引込口を含んでおり、前記本体が前記画像読取ユニットへと固定されたとき、両者の間のデータおよび電力の伝達を可能にするため前記本体と前記画像読取ユニットとの間に電気経路が形成される、請求項29に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項31】
前記印刷エンジンの前記制御システムが、前記画像読取ユニットの動作を制御し、データが前記電気経路を介して前記制御システムと前記画像読取ユニットとの間を伝達される、請求項30に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項32】
前記本体が、前記電気経路を介して前記画像読取ユニットに動作用の電力を供給する電源を備える、請求項30に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項33】
前記印字ヘッドがカートリッジ上に設けられ、前記カートリッジを前記印刷エンジンから取り外すことができる、請求項27に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項34】
前記カートリッジが、前記印字ヘッドによる印字のためのインクを貯蔵するため、少なくとも1つのインク貯蔵用リザーバを備える、請求項32に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項35】
前記印刷エンジンがクレードルを備えており、前記クレードルが、前記カートリッジを受け入れるように構成されている、請求項33に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項36】
前記クレードルが、前記媒体を印字のために前記媒体入力アセンブリから前記印字ヘッドを通過して搬送するための媒体搬送機構を備える、請求項34に記載のインクジェットプリンタユニット。
【請求項37】
インクジェットプリンタユニットと一緒に使用するための画像読取ユニットであって、
前記プリンタユニットから印字済み媒体を受け取って、前記印字済み媒体を読み取りのために提示する媒体読取面と、
前記プリンタユニット上の固定手段に解除可能に係合するための相補的な固定手段と
を備えており、
前記画像読取機が、前記相補的な固定手段が前記固定手段と解除可能に係合すべく位置するように、前記プリンタユニットと入れ子をなすべく形作られている画像読取ユニット。
【請求項38】
画像を媒体表面へと印字するとともに、媒体表面の画像に関する画像情報を読み取って記録するための画像処理装置であって、
印字対象の媒体を支持するための媒体入力アセンブリを有するインクジェットプリンタユニットと、
ページ幅の印字ヘッドおよび前記印字ヘッドの動作を制御するための制御システムを備える印刷エンジンと、
前記プリンタユニットから印字済み媒体を受け取って、前記印字済み媒体を読み取りのために提示する媒体読取面を有する画像読取ユニットと、
を備えており、
前記インクジェットプリンタユニットが、前記画像読取ユニットに入れ子状に係合し、前記画像読取ユニットに解除可能に固定されている、画像処理装置。
【請求項39】
画像を媒体表面へと印字するとともに、媒体表面の画像に関する画像情報を読み取って記録するための画像処理装置であって、
印字対象の媒体を支持するための媒体入力アセンブリを有するインクジェットプリンタユニットと、
ページ幅の印字ヘッドおよび前記印字ヘッドの動作を制御するための制御システムを備える印刷エンジンと、
前記プリンタユニットから印字済み媒体を受け取って、前記印字済み媒体を読み取りのために提示する媒体読取面を有する画像読取ユニットと、
を備えており、
前記インクジェットプリンタユニットが、前記画像読取ユニットに入れ子状に係合し、前記画像読取ユニットに解除可能に固定されている、画像処理装置。
【請求項40】
画像を媒体表面へと印字するとともに、媒体表面の画像に関する画像情報を読み取るための画像処理装置であって、
印字対象の媒体を支持するための媒体入力アセンブリを有するインクジェットプリンタユニットと、
画像読取機と、印字済み媒体を受け取り前記画像情報を読み取るために前記印字済み媒体を前記画像読取機へと提示する媒体読取面とを有する画像読取ユニットと、
ページ幅の印字ヘッドおよび前記印字ヘッドの動作を制御するための制御システムを備える印刷エンジンと
を備えており、
前記印字ヘッドが、印字対象の媒体へとインクの個々の滴を排出するための複数のインク排出ノズルを有しており、
前記制御システムが、少なくとも毎秒5000万回の判断速度で、前記ノズルのそれぞれがインクの滴を排出するか否かを判断する画像処理装置。
【請求項41】
前記本体が座部分を備えており、前記座部分が、内部に前記インクジェットプリンタユニットを受け入れるように形作られている、請求項39に記載の画像読取ユニット。
【請求項42】
前記固定手段が、前記座部分に設けられ、前記座部分から延びて前記インクジェットプリンタユニットに設けられた対応する収容部材に係合するようになっている少なくとも1つの位置決め部材を備える、請求項40に記載の画像読取ユニット。
【請求項43】
前記収容部材が凹所であり、前記位置決め部材が前記凹所内に受け入れられるように形作られている、請求項41に記載の画像読取ユニット。
【請求項44】
電気コネクタが前記座部分に、前記インクジェットプリンタユニットに設けられた対応する電気コネクタに接触すべく設けられており、前記インクジェットプリンタユニットが前記座部分に受け入れられたとき、前記インクジェットプリンタユニットと前記画像読取機との間に、両者の間のデータおよび電力の伝達を可能にするための電気経路が形成される、請求項40に記載の画像読取ユニット。
【請求項45】
前記画像読取機がヘッド部を備えており、前記ヘッド部が、媒体の表面に形成された画像に関する画像情報を収集するため、媒体の表面に沿って移動するように構成されている、請求項43に記載の画像読取ユニット。
【請求項46】
前記画像読取機によって収集された画像情報が、前記画像読取機と一緒に設けられたコントローラに保存される、請求項44に記載の画像読取ユニット。
【請求項47】
前記コントローラに保存された画像情報が、処理のために前記電気経路を介して前記インクジェットプリンタユニットへと送られる、請求項45に記載の画像読取ユニット。
【請求項48】
前記コントローラが、前記インクジェットプリンタユニットから受け取った制御指令に従って、前記画像読取ユニットの動作を協調させる、請求項45に記載の画像読取ユニット。
【請求項49】
画像を媒体表面へと印字するとともに、媒体表面の画像に関する画像情報を読み取るための画像処理装置であって、
印字対象の媒体を支持するための媒体入力アセンブリを有するインクジェットプリンタユニットと、
画像読取機と、印字済み媒体を受け取って画像情報を読み取るために前記印字済み媒体を前記画像読取機へと提示する媒体読取面とを有する画像読取ユニットと、
ページ幅の印字ヘッドおよび前記印字ヘッドの動作を制御するための制御システムを備える印刷エンジンと
を備えており、
前記印字ヘッドが、媒体へとインクの個々の滴を排出するため、少なくとも5000個のインク排出ノズルを有する、画像処理装置。
【請求項50】
前記本体が座部分を備えており、前記座部分が、内部に前記インクジェットプリンタユニットを受け入れるように形作られている、請求項48に記載の画像読取ユニット。
【請求項51】
前記固定手段が、前記座部分に設けられ、前記座部分から延びて前記インクジェットプリンタユニットに設けられた対応する収容部材に係合するようになっている少なくとも1つの位置決め部材を備える、請求項49に記載の画像読取ユニット。
【請求項52】
前記収容部材が凹所であり、前記位置決め部材が前記凹所内に受け入れられるように形作られている、請求項50に記載の画像読取ユニット。
【請求項53】
電気コネクタが前記座部分に、前記インクジェットプリンタユニットに設けられた対応する電気コネクタに接触すべく設けられており、前記インクジェットプリンタユニットが前記座部分に受け入れられたとき、前記インクジェットプリンタユニットと前記画像読取機との間に、両者の間のデータおよび電力の伝達を可能にするための電気経路が形成される、請求項49に記載の画像読取ユニット。
【請求項54】
前記画像読取機がヘッド部を備えており、前記ヘッド部が、媒体の表面に形成された画像に関する画像情報を収集するため、媒体の表面に沿って移動するように構成されている、請求項52に記載の画像読取ユニット。
【請求項55】
前記画像読取機によって収集された画像情報が、前記画像読取機と一緒に設けられたコントローラに保存される、請求項53に記載の画像読取ユニット。
【請求項56】
前記コントローラに保存された画像情報が、処理のために前記電気経路を介して前記インクジェットプリンタユニットへと送られる、請求項54に記載の画像読取ユニット。
【請求項57】
前記コントローラが、前記インクジェットプリンタユニットから受け取った制御指令に従って、前記画像読取ユニットの動作を協調させる、請求項54に記載の画像読取ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図15b】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15a】
【図15b】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【公表番号】特表2007−535420(P2007−535420A)
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549772(P2006−549772)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001788
【国際公開番号】WO2005/071937
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(303024600)シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド (150)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【国際出願番号】PCT/AU2004/001788
【国際公開番号】WO2005/071937
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(303024600)シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド (150)
【Fターム(参考)】
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