説明

LEDパッケージ

【課題】放熱性に優れたLEDパッケージを提供する。
【解決手段】LED素子が実装された基板と、前記基板の搭載面を有する放熱部材と、前記基板のLED素子実装面の外周縁部に配置された環状の弾性変形部材と、前記弾性変形部材の反基板側の面に配置された押圧部材と、前記押圧部材と前記放熱部材を締結する締結部材と、を備え、前記締結部材の締結力により前記押圧部材と前記放熱部材とが接近し、その接近した状態で、前記押圧部材が前記弾性変形部材を介して前記基板を前記放熱部材に押圧固定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED素子を備えたLEDパッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、窒化ガリウム系化合物半導体を用いて青色光又は紫外線を放射するLED素子と種々の蛍光体とを組み合わせることにより、白色をはじめとするLED素子の発光色とは異なる色の光を発するLEDパッケージが開発されている(特許文献1)。LED素子を用いたこのようなLEDパッケージは、小型、省電力、長寿命等の長所があり、表示用光源や照明用光源として広く用いられている。特に近時では高出力、高輝度のLED素子が開発されてきており、その用途は益々拡大の一途にある。
【0003】
ところで、LED素子内部での電力損失は熱エネルギーに変換されジャンクション温度の上昇原因となるが、LED素子は温度に敏感で、温度が上昇すると結晶の熱じょう乱が激しくなり、多数の電子・正孔対が発生し、正常な動作が得られにくくなる。このため、LED素子が高出力化すると、LED素子の発熱量が増大し、その熱によってLED素子そのものが劣化するという問題が生じる。
【0004】
また、蛍光体も熱に脆弱であり、蛍光体自らの発熱やLED素子からの伝熱によって蛍光体も熱劣化する。このため、熱劣化による蛍光体の発光効率や輝度の低下の解決も急務である。
【0005】
そこで、従来は、このようなLED素子を用いたLEDパッケージの下に放熱板を敷き、ここから熱を発散させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−191197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、従来は、LEDパッケージの基体と放熱板との間にLED素子の封止剤が浸み出すことや、LEDパッケージと放熱板とをねじ止めした場合はねじ止めした一点にしか圧力がかからないこと等に起因して、LEDパッケージと放熱板との密着性が不充分であるため、充分な放熱性が実現できていない。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みなされたものであって、放熱性に優れたLEDパッケージを提供することをその主たる所期課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明に係るLEDパッケージは、LED素子が実装された基板と、前記基板の搭載面を有する放熱部材と、前記基板のLED素子実装面の外周縁部に配置された環状の弾性変形部材と、前記弾性変形部材の反基板側の面に配置された押圧部材と、前記押圧部材と前記放熱部材を締結する締結部材と、を備え、前記締結部材の締結力により前記押圧部材と前記放熱部材とが接近し、その接近した状態で、前記押圧部材が前記弾性変形部材を介して前記基板を前記放熱部材に押圧固定することを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、LED素子が実装された基板が所定の面積を有する面をもって均一な圧力により放熱部材に押圧されるので、LED素子が実装された基板と放熱部材とがむらなく密着する。このため、LED素子から発した熱が放熱部材に伝達しやすくなり、その結果、LEDパッケージの放熱性が向上する。
【0011】
更に、本発明に係るLEDパッケージは、前記LED素子が発した光を受けてそれとは異なる波長の光を発する蛍光体を含有し、前記押圧部材の反基板側の面に配置された波長変換部材と、前記LED素子を封止する封止部材と、を備えるとともに、前記押圧部材が、筒状体をなし、前記放熱部材上に起立して当該放熱部材と密着し、かつ、前記筒状体の内部が、前記弾性変形部材により、前記封止部材が形成された空間と、その外周側に形成された前記封止部材が形成されていない空間とに、液密に仕切られていることが好ましい。
【0012】
従来公知のLEDパッケージには、例えば、Xicato(シカト)社製のもののように、LED素子が空気により封止されているものもあるが、光の取り出し効率等の観点からは、LED素子はシリコーン樹脂等の封止剤により封止されていることが好ましい。しかし、このような封止剤が放熱部材と押圧部材との間に漏れ出すと、これら部材間での熱伝導性が悪化するので、波長変換部材から発して押圧部材を介して伝わった熱の放熱部材への放熱性が悪化する。
【0013】
これに対して、上記のように、押圧部材(筒状体)の内部が、弾性変形部材により、封止部材が形成された空間と、その外周側に形成された封止部材が形成されていない空間とに液密に仕切られていれば、封止剤が放熱部材と押圧部材との間に漏れ出すことを防止できるので、放熱性の悪化を防ぐことができる。
【0014】
また、LED素子が実装された基板と押圧部材との間に弾性変形部材が介在した状態で、LED素子が実装された基板が放熱部材に押圧されると、締結部材としてねじを用いた場合であっても、LED素子が実装された基板と放熱部材との接合面にかかる圧力は平均化されるので、LED素子が実装された基板と放熱部材とを一定の圧力でむらなく密着させることができる。
【0015】
本発明に係るLEDパッケージが前記波長変換部材を備えている場合、当該LEDパッケージは、前記波長変換部材の反押圧部材側の面に配置された環状の第2弾性変形部材と、前記第2弾性変形部材の反波長変換部材側の面に配置された第2押圧部材と、前記第2押圧部材と前記押圧部材を締結する第2締結部材と、を備え、前記第2締結部材の締結力により前記第2押圧部材と前記押圧部材とが接近し、その接近した状態で、前記第2押圧部材が前記第2弾性変形部材を介して前記波長変換部材を前記押圧部材に押圧固定するように構成されていることが好ましい。
【0016】
このようなものであれば、波長変換部材も押圧部材に押圧されてこれに密着するので、波長変換部材から発した熱が押圧部材を介して放熱部材に伝達しやすくなり、この点からもLEDパッケージの放熱性が向上する。
【0017】
本発明に係るLEDパッケージの用途としては特に限定されないが、例えば、照明装置の光源として用いることができる。本発明に係るLEDパッケージを光源として用いた照明装置としては、例えば、個々の製品間では放射ピークにバラツキがある同一製品の集合から選び出された放射ピークの分布波長領域が互いに異なる複数のLED素子群にそれぞれ属する複数個のLED素子を有する本発明に係るLEDパッケージと、前記複数個のLED素子へ供給する電流値をそれぞれ変化させる電流制御部と、を備えているものが挙げられる。このような照明装置もまた、本発明の1つである。
【0018】
当該照明装置においては、互いに異なる前記LED素子群に属するLED素子が、前記基体上に交互に配置されていることが好ましい。このように同一製品から選び出された放射ピークの分布波長領域が異なるグループに属するLED素子を基体上に交互に配置することにより、各LED素子により励起された波長変換部材の発する光が混ざりやすくなり、当該光が白色光である場合、各白色光の色温度を所定の値に微調整することができる。
【発明の効果】
【0019】
このような構成の本発明によれば、放熱性に優れたLEDパッケージを構築することができ、LED素子や蛍光体の熱劣化を抑制して、長寿命を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係るLEDパッケージの平面図である。
【図2】同実施形態に係るLEDパッケージのAA線縦断面図である。
【図3】同実施形態に係るLEDパッケージのBB線縦断面図である。
【図4】同実施形態に係るLEDパッケージの側面図である。
【図5】同実施形態に係るLEDパッケージの製造工程を示す図(1)である。
【図6】同実施形態に係るLEDパッケージの製造工程を示す図(2)である。
【図7】同実施形態に係るLEDパッケージの製造工程を示す図(3)である。
【図8】同実施形態に係るLEDパッケージの製造工程を示す図(4)である。
【図9】同実施形態における波長変換部材の製造工程(a)〜(c)を示す図である。
【図10】同実施形態における波長変換部材の製造工程(d)〜(f)を示す図である。
【図11】他の実施形態に係るLEDパッケージのAA線縦断面図である。
【図12】本発明に係るLEDパッケージを備えた照明装置の模式的構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態に係るLEDパッケージ1は、図1〜図4に示すように、LED素子2と、LED素子2を封止する封止部材3と、封止部材3の上に重ねて設けられた波長変換部材4とを備えているものであり、これらが放熱板5と基体Cとにより囲まれた空間に収容されている。
【0023】
LED素子2は、紫外線や紫色光等の短波長の可視光線を発するものであり、例えば360〜430nmに放射ピークを有するものである。このようなLED素子2は、例えば、サファイア基板や窒化ガリウム基板の上に窒化ガリウム系化合物半導体がn型層、発光層及びp型層の順に積層してなるものである。
【0024】
LED素子2としては、本実施形態においては、同一製品(例えば放射ピークが405nmであるLED素子)であるものの、当該同一製品から選び出された放射ピークのバラツキが異なる第1のLED素子2A(例えば放射ピークが395〜400nmに分布するもの)と第2のLED素子2B(例えば放射ピークが410〜415nmに分布するもの)との2グループが用いられている。
【0025】
LED素子2は、窒化ガリウム系化合物半導体を下にして基板21に半田バンプや金バンプ等(図示しない。)を用いてフリップチップ実装されている。なお、LED素子2は基板21に設けられた配線導体にワイヤボンディングを用いて接続されていてもよい。また、本実施形態では各LED素子2A、2Bとも8個ずつ使用して、同一基板21上に交互(互い違い)に配置してあるが、LED素子2の数はこの限りではなく、目的・用途に応じて適宜変更することができる。
【0026】
基板21は、アルミニウム、銅、アルミナ、窒化アルミニウム等の熱伝導率が高い材料からなるものであり、基板21の上面には、LED素子2が電気的に接続されるための、例えば銀パターン等からなる配線導体(図示しない。)が形成されている。この配線導体が基体C内部に形成された配線層(図示しない。)を介してLEDパッケージ1の外表面に導出されて外部電気回路基板に接続されることにより、LED素子2と外部電気回路基板とが電気的に接続される。
【0027】
封止部材3は、LED素子2を封止するためのものであり、LED素子2から封止部材3へ効率良く光を取り出すためには、透光性及び耐熱性に優れるとともに、LED素子2との屈折率差が小さい、例えばシリコーン樹脂等の透明樹脂からなるものが挙げられる。
【0028】
波長変換部材4は、下部透光板41と上部透光板43との間にスペーサSとともに蛍光層42が挟まれてなる積層体状のものである。
【0029】
蛍光層42は、LED素子2が発した光を受けてそれとは異なる波長の光を発する蛍光体を内部に含有しているものであり、例えば、透光性及び耐熱性に優れた、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、低融点ガラス等からなるマトリックス中に蛍光体が分散しているものが挙げられる。
【0030】
蛍光層42が含有する蛍光体としては特に限定されず、例えば、赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体、黄色蛍光体等が挙げられる。このうち、赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体を併用すると、白色光を発するLEDパッケージ1を構成することができる。
【0031】
スペーサSは、例えば、銅、アルミニウム等の熱伝導率が高い金属からなり、蛍光層42を形成するための貫通孔が設けられた平板状のものである。当該スペーサSにより、蛍光層42の厚さを一定にすることができ、この結果、LEDパッケージ1が発する白色光の色温度のバラツキを抑えることができる。
【0032】
下部透光板41は、蛍光層42の下側に配置されており、例えば、水晶、サファイア、ダイアモンド、石英、窒化アルミニウム等の熱伝導率が高く透光性に優れた材料からなるものである。また、下部透光板41としては、例えば、その表面に銅やアルミニウム等の熱伝導性に優れた金属をライン状や格子状等に蒸着することによって、透光性を担保しながら熱伝導性を向上させたガラス基板を用いることもできる。
【0033】
下部透光板41には、430nm近傍を境界として、光の透過率と反射率とが逆転する誘電体多層膜を形成してもよく、これにより、長波長の可視光線を反射して、紫外線や短波長の可視光線を選択的に透過するローパスフィルタとして用いることができる。
【0034】
上部透光板43は、蛍光層42の上側に重ねて設けられており、下部透光板41と同様に、例えば、水晶、サファイア、ダイアモンド、石英、窒化アルミニウム等の熱伝導率が高く透光性に優れた材料からなるものが用いられる。
【0035】
上部透光板43には、430nm付近を境界として、光の反射率と透過率とが逆転する誘電体多層膜を形成してもよく、これにより、紫外線や短波長の可視光線を反射して、長波長の可視光線を選択的に透過するハイパスフィルタとして用いることができる。
【0036】
上部透光板43としてこのようなハイパスフィルタを用いることにより、蛍光体に当たらずに蛍光層42を通過した紫外線や短波長の可視光線は、上部透光板43で反射して戻り、再度、蛍光層42内を進行する。このため、紫外線や短波長の可視光線が蛍光体に当たる確率が向上するので、より多くの紫外線や短波長の可視光線が長波長の可視光線に変換され、その結果、LEDパッケージ1からの発光量が増加する。
【0037】
放熱板5は、LED素子2や蛍光層42から発した熱を放出するためのものであり、LED素子2が実装された基板21が搭載されているとともに、その上には基体Cが起立している。放熱板5は、例えば、銅、アルミニウム等の熱伝導率が高い金属から構成されている。放熱板5には、基板21と嵌合する凹部が形成されており、これにより基板21の位置決めが行われる。
【0038】
基体Cは、筒状をなす第1基体要素6と、第1基体要素1の上に重ねて設けられたリング状の第2基体要素7からなるものである。
【0039】
第1基体要素6は、例えば、銅、アルミニウム等の熱伝導率が高い金属からなる筒状のものである。この第1基体要素6は、ねじB1を介して放熱板5にねじ止めされることにより抜脱不能に固定されている。
【0040】
第1基体要素6には、内側周面から突出して形成された環状をなす押圧部61が形成されている。当該押圧部61と基板21との間にはOリングO1が配置されており、第1基体要素6と放熱板5とがねじB1により締結されることにより、押圧部61と基板21とが互いに近接した状態で、当該押圧部61がOリングO1を介して基板21を押圧し、その結果、基板21が放熱板5を押圧して互いに密着した状態で固定される。
【0041】
当該押圧部61の上端面上には波長変換部材4が配置されており、また、押圧部61には、第1基体要素6の内側周面と外側周面との間を貫通する貫通孔62が設けられている。
【0042】
第1基体要素6の内側周面(押圧部61の先端面)には、銀、アルミニウム、金等の金属メッキ等が施されることにより高反射率の金属薄膜が形成されており、リフレクタとして機能している。当該リフレクタにより、ハイパスフィルタからなる上部透光板43で下方向に反射され、蛍光層42と下部透光板41とを透過した光や、LED素子2から発した光を、蛍光層42に向けて効率的に反射することができる。
【0043】
第2基体要素7は、第1基体要素6と同様な素材からなるリング状のものであり、ねじB2を介して第1基体要素6にねじ止めされることにより抜脱不能に固定されている。第2基体要素7と第1基体要素6との間には波長変換部材4が設置されており、更に、第2基体要素7と波長変換部材4の間にはOリングO2が配置されている。そして、第2基体要素7と第1基体要素6とがねじB2により締結されることにより、第2基体要素7がOリングO2を介して波長変換部材4を押圧し、これにより波長変換部材4が第1基体要素6を押圧して互いに密着した状態で固定される。
【0044】
次に、本実施形態に係るLEDパッケージ1の製造方法について、図5〜図10を参照して説明する。
【0045】
まず、図5に示すように、第1基体要素6と、LED素子2が実装された基板21が仮止めされた放熱板5とを、基板21と押圧部61との間にOリングO1を挟んだ状態で、ねじB1により固定する。
【0046】
次いで、図6に示すように、第1基体要素6の内部に、押圧部61の上端面より膨出する程度に多めに透明樹脂3´を充填する。しかる後、図7に示すように、波長変換部材4を押圧部61の上端面上にその周縁部が載置されるように設置する。すると、余剰の透明樹脂3´は貫通孔62内に流れ込む。
【0047】
続いて、図8に示すように、波長変換部材4の上にOリングO2が介在した状態で第2基体要素7を設置し、第2基体要素7と第1基体要素6とをねじB2により固定し、LEDパッケージ1を完成させる。
【0048】
なお、本実施形態に係るLEDパッケージ1を製造するに際して、波長変換部材4は、例えば、図9及び図10に示すようにして、予め作製しておく。
【0049】
まず、複数個分の下部透光板41(又は上部透光板43)に相当する大きさの大型基板上に、複数個分のスペーサSに相当する大きさの多数の貫通孔S1が設けられた金属板を重ねて配置する(図9(a))。
【0050】
次いで、貫通孔S1に内に、蛍光体が分散した樹脂組成物42を所定量充填する(図9(b)〜(c))。
【0051】
その後、スペーサS上に複数個分の上部透光板43(又は下部透光板41)に相当する大きさの大型基板を重ねて配置する(図10(d))。
【0052】
そして、必要に応じて加熱等して樹脂組成物42を硬化させることにより、下部透光板41と上部透光板43との間にスペーサSとともに蛍光層42が挟まれてなる波長変換部材4の複数個分が一体となった積層体を得ることができる(図10(e))。
【0053】
このようにして得られた積層体を切断して、一個ずつ切り離すことにより、複数個の波長変換部材4を一度に作製することができる(図10(f))。
【0054】
このような実施形態に係るLEDパッケージ1であれば、LED素子2が実装された基板21が放熱板5に押圧されてこれに密着するので、LED素子2から発した熱が放熱板5に伝達しやすくなり、LEDパッケージ1の放熱性が向上する。また、波長変換部材4も第1基体要素6に押圧されてこれに密着するので、波長変換部材4から発した熱が第1基体要素6を介して放熱板5に伝達しやすくなり、この点からもLEDパッケージ1の放熱性が向上する。
【0055】
また、OリングO1が第1基体要素6と基板21との間隙を閉塞することにより、透明樹脂3´が、OリングO1により仕切られた外側の空間に流れ出し、第1基体要素6と放熱板5との接合部に到達し、第1基体要素6と放熱板5との間に滲み出して、その結果、第1基体要素6と放熱板5との間に介在する透明樹脂3´が第1基体要素6から放熱板5への熱の伝達を妨げるような事態を防ぐことができる。
【0056】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0057】
例えば、波長変換部材4は、下部透光板41と上部透光板43との間にスペーサSとともに蛍光層42が挟まれてなる積層体状のものでなくてもよく、例えば、下部透光板41及びスペーサSを用いずに、上部透光板43を基板としてポッティング等の手法により蛍光層42が形成されてなるものであってもよい。
【0058】
また、図11に示すように、第1基体要素6の内側周面(押圧部61の先端面)とスペーサSの内側周面とが連続して、光射出方向に向かうほど拡開するテーパ面等の傾斜面を形成していてもよい。
【0059】
そして、この際、第1基体要素6の内側周面(押圧部61の先端面)に金属薄膜を設け、一方、スペーサSを金属や白色の樹脂等から構成し、当該傾斜面をリフレクタとして機能させることにより、LEDパッケージ1からの光の取り出し効率を向上させることができる。
【0060】
本発明に係るLEDパッケージ1は調光機能を備えた照明装置10の光源として用いることができる。そして、このような照明装置10としては、図12に示すように、LEDパッケージ1に加えて、電源12と、電流調整回路14A、14Bと、制御装置15と、を備えたものが挙げられる。なお、ここで、LEDパッケージ1としては、白色光を発するものが用いられる。
【0061】
電源12は、その電圧がLED素子2A、2Bの降下電圧より大きいものである。
【0062】
電流調整回路14A、14Bは、例えば、トランジスタやCMOS、専用のチップ等を利用してなるものであり、電流制御部153から発した制御信号の値に応じた電流I、IでLED素子3A、3Bを駆動して、電流I、Iの量やその比を調整するものである。
【0063】
制御装置15は、CPUやメモリ、A/D変換器、D/A変換器等を有したデジタル乃至アナログ電気回路で構成されたもので、専用のものであってもよいし、一部又は全部にパソコン等の汎用コンピュータを利用するようにしたものであってもよい。また、CPUを用いず、アナログ回路のみで前記各部としての機能を果たすように構成してもよいし、物理的に一体である必要はなく、有線乃至無線によって互いに接続された複数の機器からなるものであってもよい。そして前記メモリに所定のプログラムを格納し、そのプログラムにしたがってCPUやその周辺機器を協働動作させることによって、少なくとも、色温度受付部151、光量受付部152、電流制御部153としての機能を発揮するように構成してある。
【0064】
色温度受付部151は、例えば、ダイヤルを備えていて、ダイヤルを回すことにより2800〜3200Kの間で選択された色温度値を有する色温度データを受け付けるものである。
【0065】
光量受付部152は、例えば、ダイヤルを備えていて、ダイヤルを回すことにより選択された光量値(明るさ)を有する光量データを受け付けるものである。
【0066】
電流制御部153は、色温度受付部151から色温度データを、光量受付部152から光量データを、それぞれ取得して、当該色温度データ及び光量データに基づき制御信号を生成し、当該制御信号を各電流調整回路14A、14Bに出力して電流I、Iを調節するものである。
【0067】
このように構成された照明装置10は、LEDパッケージ1に取り付けられたLED素子2A、2Bが発光色にバラツキがあるものであっても、照明装置10から発する白色光の色温度を所定の値に微調整することができる。このため、複数個の照明装置10のいずれからも同じ色温度の白色光が発するように微調整することができるので、多数の照明装置10から均一な色温度の白色光を射出させることが求められる用途に好適に用いることができる。
【0068】
なお、前記実施形態においては、放射ピークにバラツキがある同一製品のLED素子2A、2Bが同一基板21上に実装されているが、2種類以上の異なる製品から構成されたLED素子2群が同一基板21上に実装されていてもよい。
【0069】
その他、本発明は上記の各実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、前述した種々の構成の一部又は全部を適宜組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1・・・LEDパッケージ
2・・・LED素子
21・・・基板
5・・・放熱板(放熱部材)
6・・・第1基体要素(押圧部材)
7・・・第2基体要素(第2押圧部材)
B1・・・ねじ(締結部材)
B2・・・ねじ(第2締結部材)
O1・・・Oリング(弾性変形部材)
O2・・・Oリング(第2弾性変形部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED素子が実装された基板と、
前記基板の搭載面を有する放熱部材と、
前記基板のLED素子実装面の外周縁部に配置された環状の弾性変形部材と、
前記弾性変形部材の反基板側の面に配置された押圧部材と、
前記押圧部材と前記放熱部材を締結する締結部材と、を備え、
前記締結部材の締結力により前記押圧部材と前記放熱部材とが接近し、その接近した状態で、前記押圧部材が前記弾性変形部材を介して前記基板を前記放熱部材に押圧固定することを特徴とするLEDパッケージ。
【請求項2】
前記LED素子が発した光を受けてそれとは異なる波長の光を発する蛍光体を含有し、前記押圧部材の反基板側の面に配置された波長変換部材と、
前記LED素子を封止する封止部材と、を備えるとともに、
前記押圧部材が、筒状体をなし、前記放熱部材上に起立して当該放熱部材と密着し、かつ、
前記筒状体の内部が、前記弾性変形部材により、前記封止部材が形成された空間と、その外周側に形成された前記封止部材が形成されていない空間とに、液密に仕切られている請求項1記載のLEDパッケージ。
【請求項3】
前記波長変換部材の反押圧部材側の面に配置された環状の第2弾性変形部材と、
前記第2弾性変形部材の反波長変換部材側の面に配置された第2押圧部材と、
前記第2押圧部材と前記押圧部材を締結する第2締結部材と、を備え、
前記第2締結部材の締結力により前記第2押圧部材と前記押圧部材とが接近し、その接近した状態で、前記第2押圧部材が前記第2弾性変形部材を介して前記波長変換部材を前記押圧部材に押圧固定する請求項1又は2記載のLEDパッケージ。
【請求項4】
個々の製品間では放射ピークにバラツキがある同一製品の集合から選び出された放射ピークの分布波長領域が互いに異なる複数のLED素子群にそれぞれ属する複数個のLED素子を有する請求項1、2又は3記載のLEDパッケージと、
前記複数個のLED素子へ供給する電流値をそれぞれ変化させる電流制御部と、を備えていることを特徴とする照明装置。
【請求項5】
互いに異なる前記LED素子群に属するLED素子が、前記基板上に交互に配置されている請求項4記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−74274(P2013−74274A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214632(P2011−214632)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(596099446)シーシーエス株式会社 (121)
【Fターム(参考)】