説明

LED固定具及びLED表示板

【課題】被固定部材にLEDを容易に固定する。
【解決手段】固定具10は、孔14にLEDが固定される筒状の本体部11、本体部11の軸線方向の一端側にて外方に突出する抜戻り防止部12、及び本体部11の軸線方向の他端側にて外方に突出する抜出し防止部13を備えている。ここで、板部材の貫通孔に本体部11を挿入した際、防止部12,13で本体部11が貫通孔から抜けないよう板部材に係止される。この挿入のとき、抜戻り防止部12が本体部11の内方に可撓性を有するため、抜戻り防止部12を撓ませることで、本体部11が貫通孔にスムーズに挿入されると共に、抜出し防止部13が板部材を一端側に付勢するため、係止された防止部12,13で板部材が強く挟持され、よって、固定具10が板部材に固定される。従って、本体部11を貫通孔に挿入するだけで固定具10及びLEDを貫通孔内に固定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被固定部材にLEDを固定するためのLED固定具、及びこれを用いたLED表示板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1,2に記載されているように、被固定部材の貫通孔にLEDが固定されたLED表示板が知られている。このようなLED表示板では、例えば図10に示すように、被固定部材3の貫通孔4にLED2を挿入した後、接着硬化性の有する接着剤P等を用いてLED2を被固定部材3に接着することで、貫通孔4にLED2を直接固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−279324号公報
【特許文献2】特開2008−70891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来技術では、接着剤に硬化時間が必要であったり、接着作業が大変であったり等することから、被固定部材の貫通孔にLEDを固定することが困難とされている。
【0005】
そこで、本発明は、被固定部材にLEDを容易に固定することができるLED固定具、及びこれを用いたLED表示板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るLED固定具は、被固定部材にLEDを固定するためのLED固定具であって、筒状を呈し、その孔内にLEDが固定されると共に、被固定部材の貫通孔へ挿入される本体部と、本体部の軸線方向の一端側にて外方に突出するよう設けられ、被固定部材に軸線方向に係止される第1係止部と、本体部の軸線方向の他端側にて外方に突出するよう設けられ、被固定部材に軸線方向に係止される第2係止部と、を備え、第1係止部は、本体部の内方に可撓性を有しており、第2係止部は、一端側に向けて被固定部材を付勢することを特徴とする。
【0007】
このLED固定具では、例えば被固定部材の貫通孔に本体部をその一端側から挿入した場合、第1及び第2係止部によって本体部が貫通孔から抜けないよう被固定部材に係止される。この挿入の際、第1係止部が本体部の内方に可撓性を有するため、第1係止部を内方に撓ませることで、第1係止部で阻害されることなく本体部が貫通孔にスムーズに挿入される。さらに、第2係止部が被固定部材を一端側に付勢するため、第1及び第2係止部で被固定部材が強く挟持されることになり、その結果、本体部が被固定部材に軸線方向に固定されることになる。従って、本体部を被固定部材の貫通孔に挿入するだけで、該貫通孔にLED固定具が固定され、本体部の孔内に固定されたLEDも貫通孔に固定される。すなわち、被固定部材の貫通孔にLEDを容易に固定することが可能となる。
【0008】
ここで、上記作用効果を好適に奏する構成として、具体的には、第1係止部は、本体部の壁部において内方に可撓に設けられ、外方に凸状の爪を含んで構成され、第2係止部は、本体部の壁部において対向する位置に一対設けられ、一端側に向かって拡開するよう突出すると共にその拡開方向に可撓性を有する拡開片を含んで構成されているものが挙げられる。
【0009】
このとき、第1及び第2係止部は、軸線方向回りに互いに90°ずれて配置されていることが好ましい。この場合、例えばLED固定具を一体成形で形成する場合において、上型と下型の抜き方向が好適に考慮されることになる。
【0010】
また、本体部の孔を構成する内面は、一端側に向かって狭まるようなテーパ面又は段付きテーパ面であることが好ましい。この場合、種々の大きさのLEDをも本体部の他端側から孔に挿入するだけで確実に固定することができる。
【0011】
また、樹脂によって形成されて成り、その樹脂色がLEDの光の指向性に応じて設定されていることが好ましい。この場合、例えば固定されるLEDに指向性の高い砲弾タイプを用いる場合、光を吸収する黒色に樹脂色が設定される。これにより、LEDの光(以下、「LED光」という)の指向性を強調させ、LED光を鮮明に見せることができる。また、例えば固定されるLEDに指向性の低い拡散タイプ(逆円錐タイプ)を用いる場合、白色又は乳白色の樹脂色が設定される。これにより、LED固定具の内部でLED光を乱反射させ、LED光を大きく見せることができる。
【0012】
また、本発明に係るLED表示板は、上記LED固定具と、被固定部材としての板部材と、LED固定具で板部材に固定されたLEDと、を備えたことを特徴とする。
【0013】
このLED表示板においても、板部材にLEDを容易に固定することができるという上記効果と同様な効果を奏する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被固定部材にLEDを容易に固定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態のLED表示板を示す正面図である。
【図2】図1のII−II線に沿っての断面図である。
【図3】(a)は本実施形態のLED固定具を示す斜視図であり、(b)は図3(a)のLED固定具の上面図である。
【図4】(a)は図3(a)のLED固定具の一部を断面化して示す正面図であり、(b)は図3(a)のLED固定具の一部を断面化して示す側面図である。
【図5】本実施形態のLED固定具を用いてLEDを固定する場合を説明するための図4(a)の断面に対応する断面図である。
【図6】本実施形態のLED固定具を用いてLEDを固定する場合を説明するための図4(b)の断面に対応する断面図である。
【図7】本実施形態のLED固定具の成形を説明するための図である。
【図8】他の実施形態のLED固定具を示す断面図である。
【図9】さらに他の実施形態のLED固定具を示す断面図である。
【図10】従来のLED表示板を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は本実施形態のLED表示板を示す正面図、図2は図1のII−II線に沿っての一部断面図である。図1に示すように、本実施形態のLED(Light Emitting Diode)表示板1は、例えば看板等に用いられる発光表示板である。このLED表示板1では、複数のLED2が板部材3の複数の貫通孔4のそれぞれにLED固定具10で固定されており、各LED2の点灯と消灯とが適宜制御されることで、板部材3の表面3a上にて例えばセグメント方式で文字や数字や絵が発光表示される。
【0018】
LED2は、発光源として機能するものである。図2に示すように、このLED2は、例えばφ3〜7mmの円柱状外形を呈しており、LED光の出射面2aの中央に形成された逆円錐状の凹部2bを有している。つまり、ここでのLED2は、LED光の指向性が低くLED光が拡散されるよう構成された拡散型(逆円錐型)とされている。また、LED2では、その各端子2cが収縮チューブ2dで覆われており、これにより、その防水性が高められている。
【0019】
なお、適用可能なLED2としては、拡散型のものに限定されず、出射面が出射方向に凸形状の砲弾型のものや、その外形が平たい(扁平な)マウント型のものでもよく、様々なLED2を適用してもよい。
【0020】
板部材3は、例えば厚さが1〜5mmのアルミ合金で形成されている。この板部材3では、孔開け加工が施されて貫通孔4が複数形成されている。具体的には、板部材3には、その表面3a及び裏面3bに開口する貫通孔4がマトリクス状に複数設けられている。なお、この板部材3は、その他の金属で形成してもよく、樹脂で形成してもよい。また、貫通孔4の直径は、φ5〜12mmが好ましく、ここでは、φ8〜9mmとされている。
【0021】
図3,4は、本実施形態のLED固定具を示す各図である。LED固定具10は、板部材3の貫通孔4にLED2を固定し取り付けるためのものである。このLED固定具10は、図3,4に示すように、円筒状の本体部11と、本体部11において軸線G方向の一端側(図示下側:以下、単に「一端側」という)に一体で設けられた抜戻り防止部12と、本体部11において軸線G方向の他端側(図示上側:以下、単に「他端側」という)に一体で設けられた抜出し防止部13と、備えている。
【0022】
本体部11は、図4に示すように、その孔14内にLED2が他端側から挿入され固定されると共に、その一端側から板部材3の貫通孔4内へ挿入されるものである。この本体部11の孔14を構成する内面15は、一端側に向かって狭まるような段付きテーパ面とされ、ここでは、2段の段付きテーパ面とされている。具体的には、内面15は、一端側に行くに従って内側に傾斜する傾斜面15a,15a,15aが、軸線G方向と直交する面15b,15bで連結されように構成されている。
【0023】
また、本体部11の一端側の角部には、先細りとなるよう面取り面16が形成されている。さらに、本体部11において他端から軸線G方向に所定長の領域には、フランジ17が設けられており、本体部11の肉厚が厚くされている。
【0024】
抜戻り防止部12は、本体部11の外方に突出するよう設けられており、貫通孔4に挿入された本体部11が抜け戻らないよう板部材3に軸線G方向に係止される第1係止部として機能するものである。また、抜戻り防止部12は、本体部11の内方に可撓性(バネ機能)を有している。この抜戻り防止部12は、本体部11の壁部18において対向する位置に一対設けられており、爪20を含んでいる。
【0025】
爪20は、一端側を上にするU字状の空間(スリット)Sが壁部18に形成されるようにして成り、内方に可撓性を有している。換言すると、爪20にあっては、壁部18に形成された矩形状の孔内において、一端側に連続し該一端側を基端部19a(図3(a)参照)として片持ち状に設けられ、この基端部19aを中心に径方向内側に撓むようになっている。また、この爪20は、外方に凸状となるよう設けられている。ここでは、爪20は、一端側にテーパ面20aを有する山型に構成されている。
【0026】
図3(a),図4(a)に示すように、抜出し防止部13は、本体部11の外方に突出するよう設けられており、貫通孔4に挿入された本体部11が抜け出ないよう板部材3に軸線G方向に係止される第2係止部として機能するものである。また、抜出し防止部13は、かかる係止状態において板部材3を一端側に向けて付勢する付勢部としても機能する。
【0027】
この抜出し防止部13は、本体部11の壁部18において対向する位置に一対設けられている。また、ここでの抜出し防止部13は、上記抜戻り防止部12に対し軸線G方向視で周方向に重ならないよう構成されており、抜戻り防止部12と軸線G方向回りに互いに90°ずれて配置されている。具体的には、抜出し防止部12における周方向中心と抜出し防止部13における周方向中心とが、互いに90°ずれて配置されている。なお、この「90°」とは、略90°を含み、製造上の誤差やバラツキを含んでいる。この抜出し防止部13は、拡開片21を含んでいる。
【0028】
拡開片21は、本体部11の壁部から一端側に向かって拡開するよう突出し、羽状に広がった態様とされている。この拡開片21は、本体部11のフランジ17に連結され、軸線G方向に沿っての長さが本体部11の中央部に至る程度とされている。これにより、図4(a)に示すように、フランジ17との連結部分を基端部21aとして、拡開方向Aに可撓性(バネ機能)を有している。
【0029】
この拡開片21は、所定厚さTの板状を呈している。ここでの拡開片21の所定厚さTは、フランジ17における肉厚t及び軸線G方向の所定長lよりも小さくされている。これにより、拡開片21が拡開方向Aに撓むことで折損することが防止されている。換言すると、フランジ17における肉厚t及び軸線G方向の所定長lが拡開片21の所定厚さTよりも厚くされ、よって、拡開片21は折損防止機能を有している。
【0030】
図5は、本実施形態のLED固定具の成形を説明するための図である。図5(a)に示すように、LED固定具10は、樹脂による一体成形で製造されている。具体的には、まず、上型C1と下型C2とから成る金型Cを用意し、これら上型C1と下型C2とを積層配置する。これにより、上記LED固定具10の外形形状に対応する空間を、上型C1と下型C2との間に形成する。そして、この空間に溶融樹脂Wを射出し、溶融樹脂Wが固化した後、図5(b)に示すように、上型C1と下型C2とを上下方向を型抜き方向として開く。これにより、LED固定具10が一体成形で形成されこととなる。
【0031】
ここで、LED固定具10を形成する樹脂の種類は、コスト条件、耐水性条件、及び成形条件に少なくとも基づいて設定されている。具体的には、コスト条件を重視する場合には、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ABS樹脂、PVC(塩化ビニル)等が用いられる。耐水性条件を重視する場合には、PVC、PE、PP、ABS樹脂、エラストマが用いられる。成形条件を重視する場合には、PP、PE、ABS樹脂、ナイロン樹脂、POM(ポリアセタール)、エラストマが用いられる。ここでのLED固定具10を形成する樹脂としては、POMが用いられている。
【0032】
また、LED固定具10の樹脂色は、LED光の指向性に応じて設定されている。ここでは、上記のようにLED2が拡散型とされているため、LED光を大きく見せるべく、白色又は乳白色の樹脂色が設定されている。
【0033】
次に、上述したLED固定具10を用いて板部材3の貫通孔4にLED2を固定する場合について図6,7を参照しつつ説明する。なお、板部材3においては、LED光の出射方向側の主面を表面3aとし、その反対側の主面を裏面3bとしている。
【0034】
まず、板部材3の貫通孔4に対しLED固定具10を押し込むように挿入して固定する。具体的には、図6(a)及び図7(a)に示すように、裏面3bを挿入面として、貫通孔4に本体部11を一端側から同軸に進入させて挿入する。このとき、上述したように、本体部11の一端側の角部に面取り面16が形成されているため、スムーズに本体部11が貫通孔4に進入する。また、本体部11の進入と共に、爪20のテーパ面20aが貫通孔4の内面に接触して爪20が内方に押圧され、該爪20が内方へ撓む(図6(a)参照)。
【0035】
そして、図6(b)に示すように、爪20が露出するまで本体部11の一端側が貫通孔4から挿出したとき、爪20が撓んだ状態から復帰し、その結果、本体部11が抜け戻らないように板部材3の表面3aに爪20が軸線G方向に係止される。
【0036】
併せて、図7(b)に示すように、拡開片21が裏面3bと接触し、本体部11が抜け出ないように拡開片21が裏面3bに軸線G方向に係止される。これと共に、拡開片21においては、拡がるように撓むことから、撓んだ状態から戻ろうとする弾性力(復元力)が働く。よって、拡開片21は、かかる弾性力でもって裏面3bを一端側に付勢することになる。その結果、爪20と拡開片21とが協働し、これらで板部材3が強く挟持されることになり、板部材3に対しLED固定具10が軸線G方向(板部材3の厚さ方向)に締め付けられるようにして固定される。
【0037】
そして、板部材3に固定されたLED固定具10の孔14に対し、その他端側からLED2を同軸に挿入する。これにより、LED2にあっては、段付きテーパ状の内面15でもって係止されて嵌合され、LED固定具10の本体部11に固定(保持)される。その結果、板部材3の貫通孔4にLED2が固定されることになる。
【0038】
以上、本実施形態では、本体部11の一端側に設けられた抜戻り防止部12が内方に撓むため、該抜戻り防止部12で阻害されることなくスムーズに本体部11が貫通孔4に挿入される。さらに、抜出し防止部13が板部材3の裏面3bを付勢するため、板部材3に係止された抜戻り防止部12及び抜出し防止部13によって板部材3がその厚さ方向に強く挟持されることとなり、厚さ方向に締め付けられるよう本体部11が板部材3に固定されることとなる。
【0039】
従って、本実施形態によれば、LED固定具10を板部材3の貫通孔4に挿入するだけで(つまり、ワンタッチで)、LED固定具10を貫通孔4に固定することができる。そして、このLED固定具10の孔14にLED2を挿入するだけで(つまり、ワンタッチで)、LED2をLED固定具10に固定することができる。すなわち、LED2を板部材3の貫通孔4に容易に固定して取り付けることが可能となる。
【0040】
よって、本実施形態のLED固定具10を使用することで、孔開け加工がなされた既存の基板等の板部材3に対しても、簡単にLED2取り付けて固定することができる。これにより、作業が困難なために製作不能であったLED表示板の製作も、新規の板部材を要することなく低コストで実現可能となる。
【0041】
ここで、上型C1及び下型C2を用いてLED固定具10を一体成形する場合においては、かかる成形上、これら上型C1及び下型C2の抜き方向を考慮する必要がある。この点、本実施形態では、上述したように、抜戻り防止部12及び抜出し防止部13が、軸線G方向回りに互いに90°ずれて配置されている。よって、本実施形態のような抜戻り防止部12及び抜出し防止部13を備えたLED固定具10でも、上型C1及び下型C2を用いて一体成形で形成する際、上型C1及び下型C2を好適に上下に開くことができ、精度よく一体成形を行うことが可能となる。
【0042】
また、本実施形態では、上述したように、本体部11の孔14を構成する内面15が、一端側に向かって狭まるような段付きテーパ面とされている。よって、例えば製造メーカや仕様の相異等によってLED2のサイズ(径)が種々異なるとしても、LED2を孔内に挿入するだけでLED2を孔14に確実に固定することができる。
【0043】
特に、本実施形態のように、LED2が収縮チューブ2dで覆われている場合、収縮チューブ2dを含むLED2のサイズはばらつき易いため、サイズが種々異なるLED2を孔14に確実に固定するという上記作用効果が効果的に発揮される。
【0044】
また、本実施形態のLED固定具10は、上述したように、LED光の指向性が低いことから、その樹脂色が白色又は乳白色に設定されている。これにより、LED固定具10の内部でLED光を乱反射させ、LED光を大きく見せることが可能となる。
【0045】
なお、LED固定具10の樹脂色は、LED光の指向性に応じて設定されていればよく、例えば砲弾タイプがLED2として用いられてLED光の指向性が高くされている場合には、黒色に設定される。この場合、LED光の指向性を強調させ、LED光を鮮明に見せることができる。つまり、本実施形態においては、成形色を適宜設定することにより、LED2の明るさに関する見え方を調整することが可能となる。
【0046】
なお、接着硬化性の有する接着剤PによってLED2を板部材3に固定する従来のLED固定(図10参照)では、接着剤Pが経年劣化するため、時間の経過と共にLED2の信頼性(例えば固定性、防水性及び腐食性)が低下してしまうという問題もある。これに対し、本実施形態では、LED2の固定に際し接着剤Pを不要にでき、信頼性の低下を抑制することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態では、上述したように、本体部11において爪20の周辺に空間(スリット)Sが形成されていることから、撓む爪20が本体部11に接触するのを抑制することができる。よって、爪20が有する可撓性を充分に発揮させることが可能となる。
【0048】
また、本実施形態では、上述したように、本体部11の一端側の角部に面取り面16が形成されているため、本体部11を一端側から貫通孔4へとスムーズに進入させることができる。さらに、このように面取り面16が形成されると、LED2の発光面が拡がるようになり、LED2を明るく見せることも可能となる。
【0049】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明に係るLED固定具及びLED表示板は、実施形態に係る上記LED固定具10及びLED表示板1に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0050】
例えば上記実施形態のLED固定具10では、本体部11の孔14を構成する内面15を段付きテーパ状としたが、図8(a)に示すように、内面15をテーパ状としてもよい。この場合においても、サイズが種々異なるLED2を孔14に確実に固定するという上記作用効果が奏される。また、図8(b)に示すように、内面15を傾斜させずに軸線G方向に沿う形状としてもよい。この場合、例えば本体部11の材質に起因する弾性力でもって孔14にLED2が保持され固定される。
【0051】
また、抜戻り防止部12を、図9に示すように、可撓アーム19及び爪20を含んで構成してもよい。すなわち、可撓アーム19は、抜戻り防止部12における可撓性に関して支配的な要素であって、一端側を上にするU字状の空間(スリット)Sが壁部18に形成されるようにして成り、軸線G方向に延びている。この可撓アーム19は、その基端部19aを中心に径方向内側に撓むようになっている。爪20は、抜戻り防止部12における板部材3との係止に関して支配的な要素であって、可撓アーム19の外面において外方に凸状となるよう設けられている。
【0052】
なお、LED固定具10の材質として蓄光材を用い、光をためて発光する特性をLED固定具10に付与してもよい。或いは、LED固定具10の材質として蛍光材を用い、光を受けることで発光する特性をLED固定具10に付与してもよい。これらの場合、LED2に波長の短いLED光(例えば青色のLED光や紫外線等)を出射するものを用いると、かかる特性を好適に発揮させることができる。
【0053】
ちなみに、本発明のLED固定具の対象となる被固定部材は、上記板部材3に限定されるものでない。つまり、本発明のLED固定具は、照明ライト、育成ライト、イルミネーション、LEDアレイ、LED信号、ディスプレイ、バックライト等においてLEDを固定し取り付けるためのものとして用いることができる。
【符号の説明】
【0054】
1…LED表示板、2…LED、3…板部材(被固定部材)、4…貫通孔、10…LED固定具、11…本体部、12…抜戻り防止部(第1係止部)、13…抜出し防止部(第2係止部)、14…孔、15…内面、20…爪、21…拡開片、G…軸線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被固定部材にLEDを固定するためのLED固定具であって、
筒状を呈し、その孔内に前記LEDが固定されると共に、前記被固定部材の貫通孔へ挿入される本体部と、
前記本体部の軸線方向の一端側にて外方に突出するよう設けられ、前記被固定部材に前記軸線方向に係止される第1係止部と、
前記本体部の前記軸線方向の他端側にて外方に突出するよう設けられ、前記被固定部材に前記軸線方向に係止される第2係止部と、を備え、
前記第1係止部は、前記本体部の内方に可撓性を有しており、
前記第2係止部は、前記一端側に向けて前記被固定部材を付勢することを特徴とするLED固定具。
【請求項2】
前記第1係止部は、前記本体部の壁部において内方に可撓に設けられ、外方に凸状の爪を含んで構成され、
前記第2係止部は、前記本体部の壁部において対向する位置に一対設けられ、前記一端側に向かって拡開するよう突出すると共にその拡開方向に可撓性を有する拡開片を含んで構成されていることを特徴とする請求項1記載のLED固定具。
【請求項3】
前記第1及び第2係止部は、前記軸線方向回りに互いに90°ずれて配置されていることを特徴とする請求項2記載のLED固定具。
【請求項4】
前記本体部の前記孔を構成する内面は、前記一端側に向かって狭まるようなテーパ面又は段付きテーパ面であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載のLED固定具。
【請求項5】
樹脂によって形成されて成り、その樹脂色が前記LEDの光の指向性に応じて設定されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載のLED固定具。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項記載のLED固定具と、前記被固定部材としての板部材と、前記LED固定具で前記板部材に固定されたLEDと、を備えたことを特徴とするLED表示板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−267861(P2010−267861A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118767(P2009−118767)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(592154488)やまと興業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】