説明

LPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置及びシステム

【課題】高圧ガス設備の設置許可申請等の手続きを不要とすること等が可能なLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置等を提供する。
【解決手段】このターゲット物質供給装置20は、LPPターゲット物質を出射するための噴射口21aが形成されたスリーブ21と、スリーブ21内に摺動可能に嵌入されたプランジャー22と、プランジャー22を押圧することにより、スリーブ21及びプランジャー22によって形成される空間内に充填されたLPPターゲット物質を加圧して、LPPターゲット物質をスリーブ21の噴射口21aから出射させる押圧装置23とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等を露光するために用いられる極端紫外光を発生するLPP(Laser Produced Plasma)型極端紫外(Extreme Ultra Violet:EUV)光源装置においてEUV生成チャンバにLPPターゲット物質を供給するLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体プロセスの微細化に伴って光リソグラフィも微細化が急速に進展しており、次世代においては、100〜70nmの微細加工、更には50nm以下の微細加工が要求されるようになる。例えば、50nm以下の微細加工の要求に応えるべく、波長13nm程度のEUV光源と縮小投影反射光学系(catadioptric system)とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
【0003】
EUV光源としては、レーザビームをターゲットに照射することによって生成するプラズマを用いたLPP(laser produced plasma)光源と、放電によって生成するプラズマを用いたDPP(discharge produced plasma)光源と、軌道放射光を用いたSR(synchrotron radiation)光源との3種類がある。これらの内でも、LPP光源には、プラズマ密度をかなり大きくできるので黒体輻射に近い極めて高い輝度が得られ、ターゲット物質を選択することにより必要な波長帯のみの発光が可能であり、ほぼ等方的な角度分布を持つ点光源であるので光源の周囲に電極等の構造物がなく、2πsteradという極めて大きな捕集立体角の確保が可能であること等の利点がある。そのため、LPP光源は、数十ワット以上のパワーが要求されるEUVリソグラフィ用の光源として有力であると考えられている。
【0004】
図12は、LPP型EUV光源装置の概要を示す模式図である。このEUV光源装置は、EUV光の生成が行われる真空のEUV生成チャンバ101と、ターゲット(標的)を照射するためのレーザ光108を出射するレーザ光源105とを含んでいる。EUV生成チャンバ101の内部には、ターゲット物質を噴射するターゲット噴射装置の一部であるノズル102とターゲット回収筒103とが設置されている。また、EUV生成チャンバ101の一部には、レーザ光108を透過させる窓104が設けられている。さらに、EUV生成チャンバ101の外部には、レーザ光源105から出射されたレーザ光108がターゲット物質を照射するように、該レーザ光108を集束する集光光学系(集光レンズ)106が設置されている。このようなEUV生成チャンバ101において、ノズル102からターゲット物質を噴射すると共に、レーザ光源105から出射されたレーザ光108を、集光レンズ106及び窓104を介してターゲット107に照射する。それによりターゲット物質が励起してプラズマ化され、発生したプラズマからEUV光109が放出される。このEUV光109は、集光ミラー110によって集光され、所定の方向(図12においては、図の手前方向)に導かれる。また、プラズマ化されなかったターゲット物質は、EUV生成チャンバ内における残留量を減らすために、ターゲット回収筒103に回収される。このようなLPP型EUV光源において、波長13.5nm程度のEUV光を得るために、ターゲットとして、液化したキセノン(Xe)や液化した錫(Sn)が用いられる。
【0005】
図13は、ターゲットとして液化したキセノン(Xe)を用いる場合におけるターゲット噴射装置の一部であるノズルを示す断面図である。図13に示すノズルは、ノズル管(圧力容器)11と、ノズル管11の周りを囲むように配置されている冷却壁12とを含んでいる。冷却壁12は冷却装置によって所定の温度に保たれており、ノズル管11及びその内部を例えば−100℃程度に冷却している。また、ノズル管11の内部は、キセノンガスを冷却することにより液化が行われる液化室13となっている。さらに、ノズル管11の図中下側の壁には、キセノンジェットが噴射される噴射口11aが形成されている。なお、ターゲットとして液化した錫(Sn)を用いる場合には、冷却壁12に代えて加熱壁やヒータを用い、ノズル管11及びその内部を例えば250℃程度に加熱する。
【0006】
噴射口11aからキセノンジェットを噴射するためには、液化室13内に高圧ガスを供給して、液体キセノンを加圧する。これにより、液体キセノンがキセノンジェットとして噴射口11aから噴射される。
【0007】
図14は、ターゲット物質に印加される圧力とターゲット物質ジェットの速度との関係を示すグラフである。EUV光を安定して発生させるためには、ターゲット物質ジェットの速度を50〜100m/s程度、好ましくは100m/s以上とすることが求められることが知られている。ターゲット物質ジェットの速度を100m/sとするためには、図14に示すように、ターゲット物質を35MPa程度にまで加圧する必要がある。
【0008】
しかしながら、そのような高い圧力を液化室13内に高圧ガスを供給することで得るためには、次のような問題がある。
第1に、高圧ガス保安法等の法令に則ってガス設備、特定設備等の設置許可申請等を行うことが必要であり、その手続きが煩雑であるという問題がある。
第2に、高圧ガスは危険なものであり、安全確保を容易に行うことができないという問題がある。
第3に、高圧高温バルブ等の高価な設備が必要であり、製造コストが高くなってしまうという問題がある。
そのため、液化室13内において高圧ガスを用いることなくターゲット物質を加圧する技術が望まれている。
【0009】
関連する技術として、特許文献1には、液体金属ターゲットを用いたX線源において、ピストン/シリンダーシステムを電子圧力制御装置で制御することにより、液体金属ターゲットを加圧する技術が掲載されている。しかしながら、特許文献1に掲載されたX線源は、液体金属ターゲットをジェット噴流又はドロップレットとして供給するものではなく、LPP型EUV光源装置とは原理が異なっている。
【特許文献1】特表2004−533105号公報(第5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、高圧ガス設備の設置許可申請等の手続きを不要とすることができ、安全確保を容易にすることができ、製造コストを低減することができるLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点に係るLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置は、LPP型EUV光源装置のEUV生成チャンバにLPPターゲット物質を供給するLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置であって、LPPターゲット物質を出射するための開口が形成されたスリーブと、スリーブ内に摺動可能に嵌入されたプランジャーと、プランジャーを押圧することにより、スリーブ及びプランジャーによって形成される空間内に充填されたLPPターゲット物質を加圧して、LPPターゲット物質をスリーブの開口から出射させる押圧装置とを具備する。
【0012】
また、本発明の第2の観点に係るLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置は、LPP型EUV光源装置のEUV生成チャンバにLPPターゲット物質を供給するLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置であって、LPPターゲット物質を貯蔵するLPPターゲット物質槽と、LPPターゲット物質槽内のLPPターゲット物質に浸され、LPPターゲット物質を出射するための開口が形成されたスリーブと、その一端が、スリーブの開口に結合され、他端が、LPPターゲット物質を出射するための開口を有し、LPPターゲット物質槽の外部に位置するホースと、スリーブ内に摺動可能に嵌入されたプランジャーと、プランジャーを押圧することにより、スリーブ及びプランジャーによって形成される空間内に充填されたLPPターゲット物質を加圧して、LPPターゲット物質をホースの開口から出射させる押圧装置とを具備する。
【0013】
また、本発明の1つの観点に係るLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給システムは、複数の本発明に係るLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置と、複数のLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置のいずれかから出射されたLPPターゲット物質をEUV生成チャンバに出射する多方弁とを具備する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高圧ガスを用いることなくターゲット物質を加圧して出射することができるので、高圧ガス設備の設置許可申請等の手続きを不要とすることができ、安全確保を容易にすることができ、製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明に係るLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置(以下、単に「ターゲット物質供給装置」という。)の構成を原理的に示す断面図である。本発明に係るターゲット物質供給装置は、LPP型EUV光源装置において、EUV光の生成が行われるチャンバ内にターゲット物質を供給するために用いられるものである。
【0016】
図1に示すように、このターゲット物質供給装置20は、スリーブ21と、プランジャー22と、押圧装置23とを含んでいる。
スリーブ21は、例えば、チタン、ステンレス(特に、SUS316、304)等の金属やアルミナセラミック等で構成可能であり、スリーブ21の図中左側の壁には、ターゲット物質を噴射するための噴射口21aが形成されている。
【0017】
プランジャー22は、例えば、チタン、ステンレス(特に、SUS316、304)等の金属やアルミナセラミック等で構成可能であり、スリーブ21内に摺動可能に嵌入されている。
押圧装置23は、ロッド23aを有しており、ロッド23aは、プランジャー22に結合されている。なお、押圧装置23としては、油圧シリンダー、空圧シリンダー、電動シリンダー等を利用することができる。
【0018】
スリーブ21の内壁面及びプランジャー22によって形成される空間内には、ターゲット物質が充填される。押圧装置23は、プランジャー22を図中の左方向に押圧することにより、ターゲット物質を加圧して、ターゲット物質を噴射口21aからプラズマ発生位置の方向に噴射させる。
【0019】
ターゲット物質としては、公知の様々な材料(例えば、錫(Sn)、キセノン(Xe)等)を用いることができる。また、ターゲット物質の状態は、固体(例えば、液体中に分散させた微小な金属粒子)、液体、気体のいずれでも良く、連続流れ(ターゲット噴流)や液滴(ドロップレット)等の公知のいずれの態様でプラズマ発生位置に供給しても良い。ドロップレットを生成する場合には、噴射口21aの近傍にピエゾ素子等の加振装置を追加すれば良い。
【0020】
本発明に係るターゲット物質供給装置によれば、従来のターゲット物質供給装置と異なり、高圧ガスを用いる必要がない。そのため、高圧ガス設備の設置許可申請等の手続きを不要とすることができ、安全確保を容易にすることができ、製造コストを低減することができる。
また、ターゲット物質が圧縮性を有しなければ、押圧装置23の押圧力をゼロにすることにより、ターゲット物質の噴射を高圧ガスを用いた場合よりも短時間で停止することができる。
【0021】
なお、図1においては、ターゲット物質を図中の横方向(ここでは、左方向)に噴射することとしているが、本発明に係るターゲット物質供給装置を図中反時計方向に90°回転させることにより、ターゲット物質を図中の下方向に噴射するようにしても良い。
【0022】
図2は、本発明に係るターゲット物質供給装置を用いたLPP型EUV光源装置の概要を示す模式図である。このLPP型EUV光源装置は、EUV光の生成が行われる真空のEUV生成チャンバ1と、ターゲット(標的)を照射するためのレーザ光8を出射するレーザ光源5とを含んでいる。EUV生成チャンバ1には、ターゲット物質供給装置20とターゲット回収筒3とが設置されている。また、EUV生成チャンバ1の一部には、レーザ光8を透過させる窓4が設けられている。さらに、EUV生成チャンバ1の外部には、レーザ光源5から出射されたレーザ光8がターゲット物質を照射するように、該レーザ光8を集束する集光光学系(集光レンズ)6が設置されている。このようなEUV生成チャンバ1において、ターゲット物質供給装置20からターゲット物質を噴射すると共に、レーザ光源5から出射されたレーザ光8を、集光レンズ6及び窓4を介してターゲット7に照射する。それによりターゲット物質が励起してプラズマ化され、発生したプラズマからEUV光9が放出される。このEUV光9は、集光ミラー10によって集光され、所定の方向(図2においては、図の手前方向)に導かれる。また、プラズマ化されなかったターゲット物質は、EUV生成チャンバ内における残留量を減らすために、ターゲット回収筒3に回収される。このようなLPP型EUV光源において、波長13.5nm程度のEUV光を得るために、ターゲットとして、液化したキセノン(Xe)や液化した錫(Sn)が用いられる。
【0023】
次に、本発明の第1の実施形態に係るターゲット物質供給装置について説明する。
図3は、本実施形態に係るターゲット物質供給装置の構成を示す断面図である。図3に示すように、このターゲット物質供給装置は、スリーブ26と、プランジャー27と、押圧装置28とを含んでいる。
【0024】
スリーブ26の図中右側の壁には、ターゲット物質を噴射するための噴射口26aが形成されている。
プランジャー27は、スリーブ26内に摺動可能に嵌入されている。
【0025】
押圧装置28は、ロッド28aを有しており、ロッド28aは、スリーブ26の図中左側の壁に形成された開口26bを通過して、プランジャー27に結合されている。なお、押圧装置28としては、油圧シリンダー、空圧シリンダー、電動シリンダー等を利用することができる。
【0026】
スリーブ26の内壁面及びプランジャー27によって形成される空間内には、ターゲット物質が充填される。押圧装置28は、プランジャー22を図中の右方向に押圧することにより、ターゲット物質を加圧して、ターゲット物質を噴射口26aからプラズマ発生位置の方向に噴射させる。
【0027】
本実施形態に係るターゲット物質供給装置によれば、従来のターゲット物質供給装置と異なり、高圧ガスを用いる必要がない。そのため、高圧ガス設備の設置許可申請等の手続きを不要とすることができ、安全確保を容易にすることができ、製造コストを低減することができる。
また、ターゲット物質が圧縮性を有しなければ、押圧装置28の押圧力をゼロにすることにより、ターゲット物質の噴射を高圧ガスを用いた場合よりも短時間で停止することができる。
【0028】
次に、本発明の第2の実施形態に係るターゲット物質供給装置について説明する。
図4は、本実施形態に係るターゲット物質供給装置の構成を示す断面図である。図4に示すように、このターゲット物質供給装置は、スリーブ26と、押圧装置28と、プランジャー36とを含んでいる。
【0029】
プランジャー36は、スリーブ26内に摺動可能に嵌入されている。プランジャー36の外周部には、スリーブ26とプランジャー36との間をシールするための環状のシール材(例えば、Oリング等)37、38が取り付けられている。
【0030】
押圧装置28は、ロッド28aを有しており、ロッド28aは、スリーブ26の図中左側の壁に形成された開口26bを通過して、プランジャー36に結合されている。
【0031】
スリーブ26の内壁面及びプランジャー36によって形成される空間内には、ターゲット物質が充填される。押圧装置28は、プランジャー36を図中の右方向に押圧することにより、ターゲット物質を加圧して、ターゲット物質を噴射口26aからプラズマ発生位置の方向に噴射させる。
【0032】
本実施形態に係るターゲット物質供給装置によれば、スリーブ26とプランジャー36との間をシールするためのシール材37、38がプランジャー36の外周部に取り付けられているので、ターゲット物質がスリーブ26とプランジャー36との間隙から漏れることを防止することができるとともに、プランジャー36の摺動をより容易にすることができる。
【0033】
なお、本実施形態においては、2つのシール材36、37をプランジャー36の外周部に取り付けることとしているが、1つのシール材をプランジャー36の外周部に取り付けることとしても良いし、3つ以上のシール材をプランジャー36の外周部に取り付けることとしても良い。
【0034】
次に、本発明の第3の実施形態に係るターゲット物質供給装置について説明する。
図5は、本実施形態に係るターゲット物質供給装置の構成を示す断面図である。図5に示すように、このターゲット物質供給装置は、プランジャー27と、押圧装置28と、スリーブ31と、ホース34とを含んでいる。
【0035】
スリーブ31の図中右側の壁には開口31aが、図中左側の壁には開口31bが、それぞれ形成されている。
プランジャー27は、スリーブ31内に摺動可能に嵌入されている。
【0036】
押圧装置28は、ロッド28aを有しており、ロッド28aは、開口31bを通過して、プランジャー27に結合されている。
【0037】
スリーブ31の開口31aには、ホース34の一端が結合されている。ホース34は、EUV生成チャンバ1に形成された開口1aを通過して、EUV生成チャンバ1の内部まで延在している。また、ホース34の他端には、ターゲット物質を噴射するための噴射口34aが形成されている。このように、スリーブ31の内部とEUV生成チャンバ1の内部とは、ホース34により連通されている。
【0038】
スリーブ31の内壁面及びプランジャー27によって形成される空間内には、ターゲット物質が充填される。押圧装置28は、プランジャー27を図中の右方向に押圧することにより、ターゲット物質を加圧して、ターゲット物質を噴射口34aからプラズマ発生位置の方向に噴射させる。
【0039】
本実施形態に係るターゲット物質供給装置によれば、ターゲット物質をホース34を介してEUV生成チャンバ1の内部に噴射させることができるので、スリーブ31をEUV生成チャンバ1の外部に配置することが可能となる。これにより、ターゲット物質供給装置のメンテナンスやスリーブ31内へのターゲット物質の補給等が容易となる。
【0040】
なお、ドロップレットを生成する場合には、ホース34にピエゾ素子等の加振装置を追加すれば良い。
【0041】
次に、本発明の第4の実施形態に係るターゲット物質供給装置について説明する。本実施形態は、ターゲット物質として加熱液化した金属(例えば、錫(Sn)等)を用いるものである。
【0042】
図6は、本実施形態に係るターゲット物質供給装置の構成を示す断面図である。図6に示すように、このターゲット物質供給装置は、スリーブ26と、プランジャー27と、押圧装置28と、ヒータ39とを含んでいる。
【0043】
ヒータ39は、スリーブ26の外壁に取り付けられており、スリーブ26を加熱及び/又は保温することにより、スリーブ26内部のターゲット物質を加熱及び/又は保温する。なお、ヒータ39としては、例えば、加熱装置によって所定の温度に保たれた加熱壁を用いることもでき、また、電流等の印加を受けて発熱する発熱素子等を用いることもできる。
【0044】
ターゲット物質をスリーブ26の外部において加熱液化した後にスリーブ26に充填する場合には、ヒータ39は、スリーブ26を保温することにより、スリーブ26内部のターゲット物質を保温することができる。また、ターゲット物質を固体の状態でスリーブ26に充填する場合には、ヒータ39は、スリーブ26を加熱し保温することにより、スリーブ26内部のターゲット物質を加熱液化し保温することができる。
【0045】
なお、本実施形態においては、ヒータ39をスリーブ26の外壁に取り付けることとしているが、熱効率を上げるために、ヒータ39をスリーブ26の壁内に埋め込むこととしても良いし、ヒータ39をスリーブ26内部のターゲット物質が充填されている空間内に配置することとしても良い。
【0046】
また、ターゲット物質として加熱液化した金属を用いる場合には、ターゲット物質の酸化が生じ易いので、ターゲット物質ができるだけ酸素と接触しないことが好ましい。従って、スリーブ26内を真空引きした後又はスリーブ26内の空気を不活性ガスで置換した後にスリーブ26内にターゲット物質を充填するか、空気中でターゲット物質を充填し、十分真空排気した後、真空のまま、または不活性ガスを充填後に加熱・溶融することが好ましい。
【0047】
さらに、先に説明した第3の実施形態におけるホース34(図5参照)をスリーブ26に取り付ける場合には、ホース34をもヒータ39により加熱及び/又は保温することが好ましい。
【0048】
また、本実施形態においては、ターゲット物質として加熱液化した金属を用いているが、ターゲット物質として冷却液化したガス(例えば、キセノン(Xe)等)を用いる場合には、ヒータ39に代えて、クーラを用いれば良い。なお、クーラとしては、例えば、冷却装置によって所定の温度に保たれた冷却壁を用いることもでき、また、電流等の印加を受けて低温になる素子(例えば、ペルチェ素子等)等を用いることもできる。
【0049】
次に、本発明の第5の実施形態に係るターゲット物質供給装置について説明する。
図7は、本実施形態に係るターゲット物質供給装置の構成を示す断面図である。図7に示すように、このターゲット物質供給装置は、スリーブ41と、プランジャー42と、押圧装置43とを含んでいる。
【0050】
スリーブ41の図中下側の壁には噴射口41aが、図中上側の壁には開口41bが、図中右側の壁には開口41cが、それぞれ形成されている。
プランジャー42は、スリーブ41内に摺動可能に嵌入されている。
【0051】
押圧装置43は、ロッド43aを有しており、ロッド43aは、スリーブ41の図中上側の壁に形成された開口41bを通過して、プランジャー42に結合されている。
スリーブ41の内壁面及びプランジャー42によって形成される空間内には、ターゲット物質が充填される。押圧装置43は、プランジャー42を図中の下方向に押圧することにより、ターゲット物質を加圧して、ターゲット物質を噴射口41aからプラズマ発生位置の方向に噴射させる。
【0052】
押圧装置43がプランジャー42を図中の下方向に押圧する際、スリーブ41の図中右側の壁に形成された開口41cの下端よりも図中高い位置に存在するターゲット物質、不活性ガス、空気等は、開口41cからスリーブ41の外部に排出される。これにより、スリーブ41の内壁面及びプランジャー42によって形成される空間内から不活性ガス、空気等を排出して、スリーブ41の内壁面及びプランジャー42によって形成される空間内がターゲット物質のみで充填されるようにすることができる。また、開口41cを形成する位置を図中上下方向の所望の位置とすることにより、スリーブ41の内壁面及びプランジャー42によって形成される空間に充填されるターゲット物質の量を所望の量とすることができる。
【0053】
また、押圧装置43を作動させてプランジャー42の図中下端が開口41cの下端よりも図中上方に位置するようにプランジャー42を図中上方に移動させた後に、開口41cからターゲット物質をスリーブ41内に補給することができる。これにより、プランジャー42をスリーブ41から引き抜くことなく、ターゲット物質をスリーブ41内に補給することが可能となる。
【0054】
次に、本発明の第6の実施形態に係るターゲット物質供給装置について説明する。
図8は、本実施形態に係るターゲット物質供給装置の構成を示す断面図である。図8に示すように、このターゲット物質供給装置は、スリーブ46と、プランジャー47と、押圧装置48と、センサ49と、排気管50と、バルブ51と、バルブ開閉装置52とを含んでいる。
【0055】
スリーブ46の図中下側の壁には噴射口46aが形成されている。
プランジャー47は、スリーブ46内に摺動可能に嵌入されている。
【0056】
押圧装置48は、ロッド48aを有しており、ロッド48aは、プランジャー47に結合されている。
スリーブ46の内壁面及びプランジャー47によって形成される空間内には、ターゲット物質が充填される。押圧装置48は、プランジャー47を図中の下方向に押圧することにより、ターゲット物質を加圧して、ターゲット物質を噴射口46aからプラズマ発生位置の方向に噴射させる。
【0057】
センサ49は、プランジャー47の図中下端に埋め込まれており、プランジャー47の図中下面とターゲット物質が接触したか否かを検出する。なお、センサ49としては、例えば、熱電対等を利用することができる。
排気管50の一端は、プランジャー47の下面と面一になるように、プランジャー47に埋め込まれており、他端には、バルブ開閉装置52によって開閉可能なバルブ51が設けられている。
【0058】
バルブ開閉装置52は、押圧装置43がプランジャー42を図中の下方向に押圧する際に、センサ49がプランジャー47の図中下面とターゲット物質が接触したことを検出するまでは、バルブ51を開放する。これにより、スリーブ46の壁面、ターゲット物質の液面、及び、プランジャー42の下面で形成される空間内の不活性ガス等は、押圧装置43の押圧力により、排気管50及びバルブ51を介して、スリーブ46の外部に排出される。その後、バルブ開閉装置52は、センサ49がプランジャー47の図中下面とターゲット物質が接触したことを検出すると、バルブ51を閉じる。これにより、スリーブ46の壁面及びプランジャー42の下面で形成される空間内のターゲット物質が排気管50及びバルブ51を介してスリーブ46の外部に排出されることを防止することができる。
【0059】
なお、本実施形態においては、スリーブ46の壁面、ターゲット物質の液面、及び、プランジャー42の下面で形成される空間内の不活性ガス等が押圧装置43の押圧力によりスリーブ46の外部に排出されることとしているが、排気管50の図中上端に排気ポンプを取り付けることにより、ターゲット物質の液面、及び、プランジャー42の下面で形成される空間内の不活性ガス等が排気ポンプによりスリーブ46の外部に排出されることとしても良い。
【0060】
次に、本発明の第7の実施形態に係るターゲット物質供給装置について説明する。本実施形態は、ターゲット物質として加熱液化した金属(例えば、錫(Sn)等)を用いるものである。
【0061】
図9は、本実施形態に係るターゲット物質供給装置の構成を示す断面図である。図9に示すように、このターゲット物質供給装置は、スリーブ56と、プランジャー57と、押圧装置58と、ターゲット物質槽59と、ホース60と、ヒータ61と、給気管62と、排気管63とを含んでいる。
【0062】
ターゲット物質槽59内には、ターゲット物質が貯蔵されており、そのターゲット物質内に、スリーブ56が浸されている。ターゲット物質槽59の図中上方の壁には、給気管62及び排気管63が、ターゲット物質槽59内部とターゲット物質槽59外部とを連通するように設けられている。不活性ガスをターゲット物質の液面及びターゲット物質槽59の内壁面によって形成される空間内に給気管62を介して給気し、ターゲット物質の液面及びターゲット物質槽59の内壁面によって形成される空間内の空気をターゲット物質槽59の外部に排気管63を介して排気することにより、ターゲット物質の液面及びターゲット物質槽59の内壁面によって形成される空間内の空気を不活性ガスで置換することができる。なお、ターゲット物質の液面及びターゲット物質槽59の内壁面によって形成される空間内の空気を不活性ガスで置換することに代えて、ターゲット物質の液面及びターゲット物質槽59の内壁面によって形成される空間内を真空引きするようにしても良い。
【0063】
ヒータ61は、ターゲット物質槽59の外壁に取り付けられており、ターゲット物質槽59を加熱及び/又は保温することにより、ターゲット物質槽59内部のターゲット物質を加熱及び/又は保温する。なお、ヒータ61をターゲット物質槽59の壁内又はターゲット物質槽59の内部に配置してもよい。また、ヒータ61に代えて、又は、ヒータ61に加えて、ターゲット物質槽59内に投げ込み型のヒータを配置するようにしても良い。
【0064】
スリーブ56の図中右側の壁には開口が形成されており、その開口には、ホース60の一端が結合されている。ホース60は、ターゲット物質槽59の図中右側の壁に形成された開口59aを通過して、ターゲット物質槽59の外部まで延在している。また、ホース60の他端には、ターゲット物質を噴射するための噴射口60aが形成されている。このように、スリーブ56の内部とターゲット物質槽59の外部とは、ホース60により連通されている。
【0065】
プランジャー57は、スリーブ56内に摺動可能に嵌入されている。
押圧装置58は、ロッド58aを有しており、ロッド58aは、ターゲット物質槽59の図中左側の壁に形成された開口59bを通過して、プランジャー57に結合されている。
【0066】
スリーブ56の内壁面及びプランジャー57によって形成される空間内は、ターゲット物質によって満たされる。押圧装置58は、プランジャー57を図中の右方向に押圧することにより、ターゲット物質を加圧して、ターゲット物質を噴射口60aからプラズマ発生位置の方向に噴射させる。
【0067】
スリーブ56の図中上方の壁には、開口56aが形成されており、押圧装置58がプランジャー57を図中右方向に押圧する際、スリーブ56の内壁面及びプランジャー57によって形成される空間内に存在するターゲット物質、不活性ガス、空気等は、開口56aからスリーブ56の外部に排出される。これにより、スリーブ56の内壁面及びプランジャー57によって形成される空間内から不活性ガス、空気等を排出して、スリーブ56の内壁面及びプランジャー57によって形成される空間内がターゲット物質のみで充填されるようにすることができる。
【0068】
本実施形態によれば、スリーブ56やプランジャー57に熱が均一に伝わり易いので、スリーブ56やプランジャー57の設計を容易にすることが可能となる。
【0069】
なお、本実施形態においては、ターゲット物質として加熱液化した金属を用いているが、ターゲット物質として冷却液化したガス(例えば、キセノン(Xe)等)を用いる場合には、ヒータ61に代えて、クーラを用いれば良い。
【0070】
次に、本発明の第8の実施形態に係るターゲット物質供給装置について説明する。本実施形態は、ターゲット物質として加熱液化した金属(例えば、錫(Sn)等)を用いるものである。
【0071】
図10は、本実施形態に係るターゲット物質供給装置の構成を示す断面図である。図10に示すように、このターゲット物質供給装置は、スリーブ66と、プランジャー67と、押圧装置68と、ヒータ69と、圧力センサ70と、温度センサ71と、速度センサ72と、演算装置73と、ヒータ制御装置74とを含んでいる。
【0072】
スリーブ66の図中右側の壁には、ターゲット物質を噴射するための噴射口66aが形成されている。
プランジャー67は、スリーブ66内に摺動可能に嵌入されている。
【0073】
押圧装置68は、ロッド68aを有しており、ロッド68aは、スリーブ66の図中左側の壁に形成された開口66bを通過して、プランジャー67に結合されている。
【0074】
スリーブ66の内壁面及びプランジャー67によって形成される空間内には、ターゲット物質が充填される。押圧装置68は、プランジャー67を図中右方向に押圧することにより、ターゲット物質を加圧して、ターゲット物質を噴射口66aからプラズマ発生位置の方向に噴射させる。速度センサ72は、噴射口66aからプラズマ発生位置の方向に噴射されたターゲット物質の流速を測定し、速度測定信号を演算装置73に出力する。
【0075】
ヒータ69は、スリーブ66の外壁に取り付けられており、スリーブ66を加熱及び/又は保温することにより、スリーブ66内部のターゲット物質を加熱及び/又は保温する。
【0076】
圧力センサ70及び温度センサ71は、スリーブ66の図中右方向の壁に配置されており、スリーブ66の内壁面及びプランジャー67によって形成される空間内のターゲット物質の圧力及び温度をそれぞれ測定し、圧力測定信号及び温度測定信号を演算装置73にそれぞれ出力する。
【0077】
LPP型EUV光源装置において安定したEUV光を得るためには、噴射口66aから噴射されるターゲット物質の速度が安定していることが望ましいが、噴射口66aから噴射されるターゲット物質の速度は、スリーブ66内のターゲット物質の圧力によって変化し得る。また、噴射口66aから噴射されるターゲット物質の速度は、ターゲット物質の粘性によっても変化し得るが、ターゲット物質の粘性は、ターゲット物質の温度によって変化し得る。
【0078】
そこで、演算装置73は、圧力センサ70からの圧力測定信号に基づいて、スリーブ66内のターゲット物質の圧力が所望の圧力となるように、制御信号を押圧装置68に出力して、押圧装置68を制御する。あるいは、演算装置73は、速度センサ72からの速度測定信号に基づいて、噴射口66aから噴射されるターゲット物質の速度が所望の速度となるように、制御信号を押圧装置68に出力して、押圧装置68を制御する。さらに、演算装置73は、温度センサ71からの温度測定信号に基づいて、スリーブ66内のターゲット物質の温度が所望の温度となるように、制御信号をヒータ制御装置74に出力して、ヒータ制御装置74を制御する。ヒータ制御装置74は、演算装置73からの制御信号に基づいて、ヒータ69を制御する。
【0079】
なお、本実施形態においては、噴射口66aから噴射されるターゲット物質の速度、並びにスリーブ66の内壁面及びプランジャー67によって形成される空間内のターゲット物質の圧力及び温度を測定することとしているが、これらの内のいずれか1つ又は2つだけを測定するようにしても良い。また、スリーブ66の内壁面及びプランジャー67によって形成される空間内のターゲット物質の圧力及び温度に代えて、スリーブ66の壁の圧力及び温度を測定するようにしても良い。また、複数の圧力センサ及び/又は複数の温度センサを用いて、ターゲット物質及び/又はスリーブ66の複数箇所の圧力及び/又は温度を測定するようにしても良い。
【0080】
本実施形態に係るターゲット物質供給装置によれば、噴射口66aから噴射されるターゲット物質の速度、若しくは、スリーブ66の内壁面及びプランジャー67によって形成される空間内のターゲット物質の圧力及び/又は温度を制御して、噴射口66aから噴射されるターゲット物質の速度を安定させることにより、安定したEUV光を得ることが可能となる。
【0081】
なお、本実施形態においては、ターゲット物質として加熱液化した金属を用いているが、ターゲット物質として冷却液化したガス(例えば、キセノン(Xe)等)を用いる場合には、ヒータ69及びヒータ制御装置74に代えて、クーラ及びクーラ制御装置を用いれば良い。
【0082】
次に、本発明の一実施形態に係るターゲット物質供給システムについて説明する。
図11は、本実施形態に係るターゲット物質供給システムの構成を示す図である。図11に示すように、このターゲット物質供給システムは、本発明に係るターゲット物質供給装置81、82と、3方弁83とを含んでいる。
【0083】
3方弁83は、ターゲット物質供給装置81、82のいずれか一方(又は両方)から噴射されるターゲット物質をプラズマ発生位置の方向に噴射する。
【0084】
本実施形態に係るターゲット物質供給システムによれば、ターゲット物質供給装置81、82のいずれか一方のスリーブ内のターゲット物質が噴射され尽くしてしまいターゲット物質を補充する必要が生じた場合であっても、他方のターゲット物質供給装置から噴射されるターゲット物質をプラズマ発生位置の方向に引き続き噴射することができる。これにより、ターゲット物質供給装置81、82のいずれか一方にターゲット物質を補充している間もEUV光の発生を継続して行うことが可能となる。
【0085】
なお、本実施形態においては、2つのターゲット物質供給装置81、82を3方弁83に取り付けることとしているが、3つ以上のターゲット物質供給装置を多方弁に取り付けることとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、半導体ウエハ等を露光する極端紫外光を発生するLPP型EUV光源装置のEUV生成チャンバにターゲット物質を供給するターゲット物質供給装置及びシステムにおいて利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係るLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置の構成を原理的に示す断面図である。
【図2】図1のLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置を用いたLPP型EUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置を示す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置を示す断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係るLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置を示す断面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態に係るLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置を示す断面図である。
【図8】本発明の第6の実施形態に係るLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置を示す断面図である。
【図9】本発明の第7の実施形態に係るLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置を示す断面図である。
【図10】本発明の第8の実施形態に係るLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置を示す断面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給システムを示す模式図である。
【図12】従来のLPP型EUV光源装置の構成を示す模式図である。
【図13】従来のLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置の一部であるノズルを示す断面図である。
【図14】ターゲット物質の圧力と噴射速度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0088】
1、101…EUV生成チャンバ、1a、26b、31a、31b、41b、41c、56a、59a、59b…開口、3、103…ターゲット回収筒、4、104…窓、5、105…レーザ光源、6、106…集光レンズ、7、107…ターゲット噴流、8、108…レーザ光、9、109…EUV光、10、110…集光ミラー、11…ノズル管、11a、21a、26a、34a、41a、46a、60a、66a…噴射口、12…冷却壁、13…液化室、20、81、82…ターゲット物質供給装置、21、26、31、41、46、56、66…スリーブ、22、27、36、42、47、57、67…プランジャー、23、28、43、48、58、68…押圧装置、23a、28a、43a、48a、58a、68a…ロッド、34、60…ホース、37、38…シール材、39、61、69…ヒータ、49…センサ、50…排気管、51…バルブ、52…バルブ開閉装置、59…ターゲット物質槽、62…給気管、63…排気管、70…圧力センサ、71…温度センサ、72…速度センサ、73…演算装置、74…ヒータ制御装置、83…3方弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LPP型EUV光源装置のEUV生成チャンバにLPPターゲット物質を供給するLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置であって、
LPPターゲット物質を出射するための開口が形成されたスリーブと、
前記スリーブ内に摺動可能に嵌入されたプランジャーと、
前記プランジャーを押圧することにより、前記スリーブ及び前記プランジャーによって形成される空間内に充填されたLPPターゲット物質を加圧して、LPPターゲット物質を前記スリーブの開口から出射させる押圧装置と、
を具備するLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置。
【請求項2】
その一端が前記スリーブの開口に結合され、他端にLPPターゲット物質を出射するための開口が形成されたホースを更に具備する、請求項1記載のLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置。
【請求項3】
前記ホースが、LPP型EUV光源装置のEUV生成チャンバに形成された開口を通過するように配置されている、請求項2記載のLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置。
【請求項4】
前記スリーブの外壁、壁内、及び/又は、前記スリーブの内部に配置され、前記スリーブ及び前記プランジャーによって形成される空間内に充填されたLPPターゲット物質を加熱及び/又は保温するための加熱手段を更に具備する、請求項1〜3のいずれか1項記載のLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置。
【請求項5】
前記スリーブの外壁、壁内、及び/又は、前記スリーブの内部に配置され、前記スリーブ及び前記プランジャーによって形成される空間内に充填されたLPPターゲット物質を冷却及び/又は保温するための冷却手段を更に具備する、請求項1〜3のいずれか1項記載のLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置。
【請求項6】
前記スリーブの前記プランジャーが摺接する壁に、前記スリーブ及び前記プランジャーによって形成される空間内のガスを排出し、及び/又は、前記スリーブ及び前記プランジャーによって形成される空間内にLPPターゲット物質を補充するための第2の開口が形成されている、請求項1〜5のいずれか1項記載のLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置。
【請求項7】
前記プランジャーに埋め込まれ、前記スリーブ及び前記プランジャーによって形成される空間内のガスを排出するための排気管を更に具備する、請求項1〜6のいずれか1項記載のLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置。
【請求項8】
前記プランジャーのLPPターゲット物質を押圧する面とLPPターゲット物質とが接触したか否かを検出するためのセンサと、
前記排気管に取り付けられたバルブと、
前記センサが前記プランジャーのLPPターゲット物質を押圧する面とLPPターゲット物質とが接触したことを検出するまでは前記バルブを開放し、前記センサが前記プランジャーのLPPターゲット物質を押圧する面とLPPターゲット物質とが接触したことを検出した後は前記バルブを閉じるバルブ制御装置と、
を更に具備する、請求項7記載のLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置。
【請求項9】
LPP型EUV光源装置のEUV生成チャンバにLPPターゲット物質を供給するLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置であって、
LPPターゲット物質を貯蔵するLPPターゲット物質槽と、
前記LPPターゲット物質槽内のLPPターゲット物質に浸され、LPPターゲット物質を出射するための開口が形成されたスリーブと、
その一端が、前記スリーブの開口に結合され、他端が、LPPターゲット物質を出射するための開口を有し、前記LPPターゲット物質槽の外部に位置するホースと、
前記スリーブ内に摺動可能に嵌入されたプランジャーと、
前記プランジャーを押圧することにより、前記スリーブ及び前記プランジャーによって形成される空間内に充填されたLPPターゲット物質を加圧して、LPPターゲット物質を前記ホースの開口から出射させる押圧装置と、
を具備する、LPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置。
【請求項10】
前記LPPターゲット物質槽の外壁、壁内、及び/又は、前記LPPターゲット物質槽の内部に配置され、前記LPPターゲット物質槽内に貯蔵されたLPPターゲット物質を加熱及び/又は保温するための加熱手段を更に具備する、請求項9記載のLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置。
【請求項11】
前記LPPターゲット物質槽の外壁、壁内、及び/又は、前記LPPターゲット物質槽の内部に配置され、前記LPPターゲット物質槽内に貯蔵されたLPPターゲット物質を冷却及び/又は保温するための冷却手段を更に具備する、請求項9記載のLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置。
【請求項12】
前記押圧装置が、油圧シリンダー、空圧シリンダー、又は、電動シリンダーである、請求項1〜11のいずれか1項記載のLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置。
【請求項13】
前記プランジャーの外周部に取り付けられ、前記スリーブと前記プランジャーとの間をシールする少なくとも1つのシール材を更に具備する、請求項1〜12のいずれか1項記載のLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置。
【請求項14】
前記スリーブ及び前記プランジャーによって形成される空間内に充填されたLPPターゲット物質の温度、圧力、及び/又は、出射されたLPPターゲット物質の速度を検出するための少なくとも1つのセンサと、
前記センサからの検出信号に基づいて、前記押圧装置、前記加熱手段、及び/又は、前記冷却手段を制御する処理部と、
を更に具備する、請求項1〜13のいずれか1項に記載のLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置。
【請求項15】
複数の請求項1〜14のいずれか1項に記載のLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置と、
前記複数のLPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給装置のいずれかから出射されたLPPターゲット物質をEUV生成チャンバに出射する多方弁と、
を具備する、LPP型EUV光源装置用ターゲット物質供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−193014(P2008−193014A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28728(P2007−28728)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】