説明

LXRの調節因子

肝臓X受容体(LXR)の活性の調節因子として有用な本発明の化合物、その薬学的に許容される塩、異性体またはプロドラッグを開示する。また、該化合物を含有する医薬組成物および該化合物を使用する方法を開示する。本発明は、核内受容体の活性を調節するための組成物および方法において使用する化合物を提供する。特に本発明の化合物は、肝臓X受容体であるLXRαおよびLXRβ、特にLXRβを調節するのに有用である。一態様では、本発明で提供される化合物は、LXRのアゴニストである。別の態様では、本発明で提供される化合物は、LXRのアンタゴニストである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、肝臓X受容体(LXR)の活性を調節する化合物に関する。本発明はまた、本発明の化合物を含む医薬組成物および肝臓X受容体の活性を調節するためにそれらの組成物を利用する方法を提供する。特に、LXRの活性を調節するためのイミダゾール異性体および誘導体を提供する。
【背景技術】
【0002】
(核内受容体)
核内受容体は、構造的かつ機能的に関連し、例えば、ステロイド、レチノイド、ビタミンDおよび甲状腺ホルモンの受容体である調節タンパク質のスーパーファミリーである(例えば、非特許文献1参照)。これらのタンパク質は、それらの標的遺伝子のプロモータのシス作用エレメントに結合し、受容体のリガンドへの応答における遺伝子発現を調節する。
【0003】
核内受容体は、それらのDNA結合特性に基づいて分類することができる(例えば、上記の非特許文献1および非特許文献2参照)。例えば、あるクラスの核内受容体には、グルココルチコイド、エストロゲン、アンドロゲン、プロゲスチンおよびミネラルコルチコイド受容体が含まれ、これらは逆方向反復として配置されているホルモン応答エレメント(HRE)にホモ二量体として結合する(例えば、上記の非特許文献2参照)。レチノイン酸、甲状腺ホルモン、ビタミンD、脂肪酸/ペルオキシソーム増殖因子(すなわち、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体またはPPAR)およびエクジソンによって活性化される受容体を含む第2のクラスの受容体は、共通のパートナーであるレチノイドX受容体(すなわちRXR、9−シスレチノイン酸受容体としても公知;例えば、非特許文献3および非特許文献4参照)と共にヘテロ二量体としてHREに結合する。
【0004】
RXRは、ホモ二量体としてDNAに結合し、いくつかのさらなる核内受容体がDNAに結合するためのヘテロ二量体性パートナーとして必要とされるという点で、核内受容体の中でも独特である(例えば、非特許文献5参照)。II型核内受容体サブファミリーと呼ばれる後者の受容体には、遺伝子発現の重要な調節因子として確立された受容体、またはそれに関与する多くの受容体が含まれる。
【0005】
RXRα、βおよびγをコードする3つのRXR遺伝子があり(例えば、非特許文献6参照)、これらはすべてII型受容体のいずれともヘテロ二量体化することができるが、インビボではパートナー受容体により異なるRXRサブタイプに対して優先度があると思われる(例えば、非特許文献7参照)。成人の肝臓では、3つのRXRの中でRXRαが最も豊富であり(例えば、非特許文献8参照)、このことは、RXRαがII型核内受容体による調節を伴う肝機能において際立った役割を有し得ることを示唆している。非特許文献9も参照。
【0006】
(LXRαおよびLXRβ
LXRαは、主に肝臓に見出され、腎臓、腸、脾臓および副腎組織では低いレベルで見出される(例えば、非特許文献10参照)。LXRβは、哺乳動物に遍在しており、調査されたほぼすべての組織において見出された。LXRは、天然に生じる特定のコレステロールの酸化誘導体によって活性化される(例えば、Lehmannら(1997年)J. Biol. Chem. 272巻(6):3137〜3140頁参照)。LXRαは、オキシコレステロールによって活性化され、コレステロールの代謝を促進する(Peetら(1998年)Cell 93巻:693〜704頁)。したがってLXRは、例えばコレステロールの代謝において役割を果たすと思われる(例えば、Janowskiら(1996年)Nature 383巻:728〜731頁参照)。
【0007】
核内受容体LXRは、胆汁酸、コレステロールおよびトリグリセリドの代謝の協調制御において、脂質のホメオスタシスを維持するために非常に重要な役割を果たす。LXRおよび胆汁酸/オキシステロールによって調節される遺伝子は、血清コレステロールを低下し、心血管および肝疾患を処置する薬物療法の開発にとって潜在的な標的となっている。LXRにおいて活性を有する化合物は、脂質のホメオスタシスに対して絶大な効果を有することができ、LXRが関与する疾患または障害をより有効に制御することができる。これは、コレステロールのホメオスタシス(チトクロムp450ファミリーの酵素の一員であるCyp7a1を含む)および胆汁酸合成の律速段階に関与する複数の遺伝子の調節、ならびにABC膜輸送体であるABCA1、ABCG1、ABCG5およびABCG8によって達成される。ABCA1は、ApoA−Iなどの脂質が少ないリポタンパク質へのコレステロールおよびリン脂質の流出において非常に重要であり、したがって血漿HDLレベルの増大に寄与する。さらに、ABCG5およびABCG8は、腸管からのコレステロール吸収の低減を媒介し、肝細胞から胆汁へのコレステロールの流出を容易にすると思われる。細胞培養および動物モデル系における研究によって、LXRアゴニストのアテローム生成抑制効果以外に、残念ながら、LXRアゴニストが血漿トリグリセリドレベルおよび肝臓の脂肪生成を増大し、VLDLリポタンパク質粒子の生成増大を促進することが実証されている。Schultzら、Genes & Development 14巻:2831〜2838頁(2000年);Repaら、Genes & Development 14巻:28119〜2830頁(2000年)。望ましくない脂質効果を最小限に抑える戦略には、部分アゴニストでもあるLXRβに選択的な化合物の同定が含まれる。部分アゴニストは、乳房組織におけるエストロゲンシグナル伝達のアンタゴニストおよび子宮におけるアゴニストとして機能する抗エストロゲン薬であるタモキシフェンについて実証された通り、核内受容体の組織特異的な活性化または抑圧を示すことができる。LXRアイソフォーム特異的ヌルマウスの特徴は、LXRαが、肝臓におけるLXR活性の主なメディエーターであることを示している。しかしマクロファージでは、標的遺伝子発現に対するLXRリガンドの効果を媒介するのにLXRβだけで十分である。したがって、LXRαの活性が制限された化合物は、望ましくない肝臓の効果を制限すると同時にアテローム生成抑制活性を有するはずである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Evans、Science(1988年)240巻:889〜895頁
【非特許文献2】EvansおよびGlass、Endocr. Rev.(1994年)15巻:391〜407頁
【非特許文献3】Levinら、Nature(1992年)355巻:359〜361頁
【非特許文献4】Heymanら、Cell(1992年)68巻:397〜406頁
【非特許文献5】Mangelsdorfら、Cell(1995年)83巻:841〜850頁
【非特許文献6】Mangelsdorfら、Genes Dev.(1992年)6巻:329〜344頁
【非特許文献7】Chibaら、Mol. Cell. Biol.(1997年)17巻:3013〜3020頁
【非特許文献8】Mangelsdorfら、Genes Dev.(1992年)6巻:329〜344頁
【非特許文献9】Wanら、Mol. Cell. Biol.(2000年)20巻:4436〜4444頁
【非特許文献10】Willyら、Gene Dev.(1995年)9巻(9):1033〜1045頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
(発明の概要)
したがって本発明者らは、コレステロール代謝およびアテローム発生に対する望ましい効果を高い血漿トリグリセリドレベルおよび肝臓の脂肪生成の増大と切り離すような、LXR核内受容体の活性を調節する化合物、組成物および方法が必要であると認識した。LXRの完全アゴニストは、望ましい効果と望ましくない効果の両方を引き起こすが、本発明は、これら2つを有益に分離し、したがってコレステロール逆輸送の増大と、血漿トリグリセリドおよびLDL−コレステロールに対する有害な効果との間の治療指数が向上した化合物を記載する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、本発明は、肝臓X受容体(LXR)の活性の調節因子として有用な化合物または、個々の異性体もしくは異性体混合物、その同位体、または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0011】
核内受容体の活性を調節するための組成物および方法において使用する化合物を提供する。特に本発明の化合物は、肝臓X受容体であるLXRαおよびLXRβ、特にLXRβを調節するのに有用である。
【0012】
一態様では、本明細書で提供される化合物は、LXRのアゴニストである。別の態様では、本明細書で提供される化合物は、LXRのアンタゴニストである。特定の態様では、低い効率を示すアゴニストはアンタゴニストである。
【0013】
本発明の別の態様は、治療有効量の本発明の化合物、または、個々の異性体もしくは異性体混合物または薬学的に許容されるその塩を、それを必要としている被験体に投与するステップを含む、LXR活性によって調節されるかもしくはそうでなければ影響を受けるか、またはLXR活性が関与する疾患または障害の症状を処置、阻害または改善する方法を対象とする。
【0014】
本発明の別の態様は、コレステロール代謝を調節するのに有効な量の本発明の化合物、または、個々の異性体もしくは異性体混合物または薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む、それを必要としている被験体に対するコレステロール代謝を調節する方法を対象とする。
【0015】
本発明の別の態様は、コレステロールレベルを低下するのに有効な量の本発明の化合物、または、個々の異性体もしくは異性体混合物または薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む、それを必要としている被験体のアテローム性動脈硬化症を予防または処置する方法を対象とする。
【0016】
本発明の別の態様は、核内受容体を、本発明の化合物、または、個々の異性体もしくは異性体混合物または薬学的に許容されるその塩と接触させるステップを含む、それを必要としている被験体に対するLXR活性を調節する方法を対象とする。
【0017】
本発明の別の態様は、治療有効量の本発明の化合物、または、個々の異性体もしくは異性体混合物または薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む、それを必要としている被験体の低コレステロール血症の1つまたは複数の症状を処置、阻害または改善する方法を対象とする。
【0018】
本発明の別の態様は、コレステロールの流出を増大するのに有効な量の本発明の化合物、または、個々の異性体もしくは異性体混合物または薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む、それを必要としている被験体の細胞からのコレステロールの流出を増大する方法を対象とする。
【0019】
本発明の別の態様は、ATP結合カセットA1(ABCA1)およびATP結合カセットG1(ABCG1)の発現を増大するのに有効な量の本発明の化合物、または、個々の異性体もしくは異性体混合物または薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む、それを必要としている被験体の細胞におけるABCA1およびABCG1の発現を増大する方法を対象とする。
【0020】
本発明の別の態様は、治療有効量の本発明の化合物、または、個々の異性体もしくは異性体混合物または薬学的に許容されるその塩を、それを必要としている被験体に投与するステップを含む、コレステロールまたは胆汁酸レベルによって影響を受ける疾患または障害の1つまたは複数の症状を処置、阻害または改善する方法を対象とする。
【0021】
本発明の別の態様は、本発明の化合物、または、個々の異性体もしくは異性体混合物または薬学的に許容されるその塩、および少なくとも1つの薬学的に許容されるキャリアまたは賦形剤を含む医薬組成物を対象とする。
【0022】
本発明の別の態様は、コレステロール逆輸送および炎症シグナル伝達経路を調節するのに有効な量の本発明の化合物、または、個々の異性体もしくは異性体混合物または薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む、それを必要としている被験体のアテローム性動脈硬化症ならびに心筋梗塞および虚血性脳卒中などの関連疾患を含むヒト疾患病理に関与するコレステロール逆輸送および炎症シグナル伝達経路の調節を対象とする。
【0023】
本発明の別の態様は、治療有効量の本発明の化合物、または、個々の異性体もしくは異性体混合物または薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む、それを必要としている被験体の、アテローム性動脈硬化症および糖尿病を含む代謝および免疫不全から生じる疾患ならびに自己免疫障害および疾患の処置を含む、肥満、高血圧、インスリン抵抗性および糖尿病を含む身体の代謝の一群の障害を含むメタボリック症候群の処置を対象とする。
【0024】
本発明の別の態様は、治療有効量の本発明の化合物、または、個々の異性体もしくは異性体混合物または薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む、それを必要としている被験体のアテローム性動脈硬化症、インスリン抵抗性、変形性関節症、脳卒中、高血糖症、脂質異常症、乾癬、加齢およびUV曝露依存性の皮膚のしわ、糖尿病、がん、アルツハイマー病、炎症、免疫学的障害、脂質障害、肥満、黄斑変性症、表皮のバリア機能の乱れを特徴とする状態、表皮もしくは粘膜の分化撹乱もしくは過剰増殖状態、または心血管障害の処置を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(発明の詳細な説明)
一態様では、本発明は、式Iの化合物:
【0026】
【化1】

または薬学的に許容されるその塩を含む(式中、
は、クロロ、フルオロ、メチルまたはトリフルオロメチルであり、
は、Hまたはメチルであり、
は、Hまたはメチルであり、
は、H、クロロ、フルオロまたはメチルであり、
nは、1または2である)。
【0027】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、RおよびRがメチルである化合物である。
【0028】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、Rがクロロまたはフルオロである化合物である。いくつかのかかる実施形態では、RおよびRはメチルである。
【0029】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、Rがフルオロである化合物である。いくつかのかかる実施形態では、Rはクロロまたはフルオロであり、RおよびRはメチルである。
【0030】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、RおよびRがHである化合物である。いくつかのかかる実施形態では、Rはクロロまたはフルオロである。
【0031】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、Rがメチルであり、RがHである化合物である。いくつかのかかる実施形態では、nは2であり、Rはクロロであり、Rはフルオロである。
【0032】
別の態様では、本発明は、先の実施形態のいずれかによる構造式Iの化合物を、1つまたは複数の薬学的に許容されるキャリア、賦形剤または希釈剤と一緒に含む。
【0033】
別の態様では、本発明は、治療有効量の(a)先の実施形態のいずれかによる構造式Iの化合物、または(b)先の実施形態のいずれかによる構造式Iの化合物を、1つもしくは複数の薬学的に許容されるキャリア、賦形剤もしくは希釈剤と一緒に含む医薬組成物を、それを必要としている被験体に投与するステップを含む、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高リポタンパク血症、高トリグリセリド血症、リポジストロフィー、高血糖症、真性糖尿病、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、胆石疾患、尋常性ざ瘡、ざ瘡様の皮膚状態、糖尿病、パーキンソン病、がん、アルツハイマー病、炎症、免疫学的障害、脂質障害、肥満、表皮のバリア機能の乱れを特徴とする状態、表皮もしくは粘膜の分化撹乱もしくは過剰増殖状態、または心血管障害である疾患または障害を処置する方法を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、処置のための疾患または障害は、高コレステロール血症、高リポタンパク血症、高トリグリセリド血症、リポジストロフィー、高血糖症、アテローム性動脈硬化症、真性糖尿病または脂質異常症である。
【0035】
別の実施形態では、本発明は、
【0036】
【数1−1】

【0037】
【数1−2】

から選択される化合物、その同位体または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0038】
別の実施形態では、本発明は、
【0039】
【数2】

から選択される化合物、その同位体または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0040】
別の実施形態では、本発明は、
【0041】
【数3】

から選択される化合物、その同位体または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0042】
別の実施形態では、本発明は、
【0043】
【数4】

から選択される化合物、その同位体または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0044】
別の実施形態では、本発明は、2−(1−(3−クロロ−3’−フルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)−5’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル)−2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)プロパン−2−オールである化合物、その同位体または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0045】
別の実施形態では、本発明は、2−(2−(2−(2−クロロ−3−フルオロフェニル)プロパン−2−イル)−1−(3’−フルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)−5’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)プロパン−2−オールである化合物、その同位体または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0046】
別の実施形態では、本発明は、2−(2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1−(3’−フルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)−5’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)プロパン−2−オールである化合物、その同位体または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0047】
別の実施形態では、本発明は、2−(2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1−(3,3’−ジフルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)−5’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)プロパン−2−オールである化合物、その同位体または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0048】
別の実施形態では、本発明は、2−{2−[1−(2,6−ジクロロフェニル)エチル]−1−[3,3’−ジフルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)−5’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]−1H−イミダゾール−4−イル}プロパン−2−オールである化合物、その同位体または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0049】
本明細書に記載の様々な化合物またはそれらの薬学的に許容される塩は、1つまたは複数の不斉中心を含有することができ、したがって鏡像異性体、ジアステレオマーおよび他の立体異性形態などの異性体を生じることができる。かかる形態は、絶対立体化学の観点から(R)−もしくは(S)−、またはアミノ酸については(D)−もしくは(L)−と定義され得る。本発明は、すべてのかかる可能な個々の立体異性体、ならびにそれらのラセミ体および光学的に純粋な鏡像異性形態またはジアステレオマー形態を含むその混合物を含むことを意味する。化合物は、普通はラセミ体として調製され、好都合に使用することができ、またはキラルシントンもしくはキラル試薬を使用して、光学的に活性な(+)および(−)、(R)−および(S)−、もしくは(D)−および(L)−異性体、もしくは対応するジアステレオマーを調製することができ、またはキラルクロマトグラフィーもしくは逆相HPLCなどの従来技術を使用して、ラセミ混合物からそれらを分離することができる。本明細書に記載の化合物が、オレフィン性二重結合または幾何学的不斉性の他の中心を含有する場合、別段特定されない限り、該化合物はEおよびZ幾何異性体の両方を含むことを企図する。
【0050】
本発明はまた、同位体標識化した本発明の化合物を含み、この場合1つまたは複数の原子は、通常自然に見出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有するが同じ原子番号を有する原子によって置き換えられている。本発明の化合物に包含するのに適した同位体の例には、HまたはDおよびHまたはTなどの水素の同位体、11C、13Cおよび14Cなどの炭素の同位体、36Clなどの塩素の同位体、18Fなどのフッ素の同位体、123Iおよび125Iなどのヨウ素の同位体、13Nおよび15Nなどの窒素の同位体、15O、17Oおよび18Oなどの酸素の同位体、32Pなどのリンの同位体、ならびに35Sなどの硫黄の同位体が含まれる。特定の同位体標識化した本発明の化合物、例えば、放射性同位体を組み込んでいる化合物は、薬物および/または基質組織分布研究において有用である。放射性同位元素であるトリチウム、すなわちHおよび炭素−14、すなわち14Cは、組込みが容易であり、検出が迅速な手段であることを考えると、この目的に特に有用である。重水素、すなわちHまたはDなどのより重い同位体による置換は、より高い代謝安定性から生じる治療上の特定の利点、例えばインビボ半減期の増大または必要投与量の低減をもたらすことができ、したがってある環境においては好ましいことがある。11C、18F、15Oおよび13Nなどの陽電子放出同位体による置換は、基質受容体占有率を調査するための陽電子放出断層撮影(PET)研究において有用となり得る。
【0051】
同位体標識化した本発明の化合物は、一般に、当業者に公知の従来技術によって、またはそうでなければ使用される非標識化試薬の代わりに適切な同位体標識化試薬を使用する本明細書に記載の過程に類似の過程によって、調製することができる。
【0052】
(定義)
本明細書で使用される以下の用語および表現は、示した意味を有する。
【0053】
「核内受容体」は、一般に他の転写因子と共に、核内の1つまたは複数の遺伝子の転写を活性化または抑圧する受容体を指す(しかしセカンドメッセンジャーシグナル伝達作用を有することもできる)。核内受容体は、受容体の天然同族リガンドによって活性化される。核内受容体は、膜結合しておらず、普通は細胞質または核において見出される。核内受容体は、様々な内因性小分子、例えばステロイド、レチノイド、ビタミンDおよび甲状腺ホルモンの受容体である調節タンパク質のスーパーファミリーの一員である。これらのタンパク質は、それらの標的遺伝子のプロモータのシス作用エレメントに結合し、リガンドに対して応答して遺伝子発現を調節する。核内受容体は、それらのDNA結合特性に基づいて分類することができる。例えば、グルココルチコイド、エストロゲン、アンドロゲン、プロゲスチンおよびミネラルコルチコイド受容体は、逆方向反復として配置されているホルモン応答エレメント(HRE)にホモ二量体として結合する。別の例は、レチノイン酸、甲状腺ホルモン、ビタミンD、脂肪酸/ペルオキシソーム増殖因子およびエクジソンによって活性化されるものを含む受容体であり、これらは共通のパートナーであるレチノイドX受容体(RXR)と共にヘテロ二量体としてHREに結合する。後者の中では、受容体はLXRである。
【0054】
「肝臓X受容体」または「LXR」は、コレステロール生合成に関与する核内受容体を指す。本明細書で使用される場合、用語LXRは、LXRαおよびLXRβの両方を指し、これら2つの形態のタンパク質は哺乳動物において見出される。肝臓X受容体−αまたはLXRαは、米国特許第5,571,696号、同第5,696,233号および同第5,710,004号、ならびにWillyら(1995年)Gene Dev. 9巻(9):1033〜1045頁に記載の受容体を指す。肝臓X受容体−βまたはLXRβは、Peetら(1998年)Curr. Opin. Genet. Dev. 8巻(5):571〜575頁;Songら(1995年)Ann. N.Y. Acad. Sci. 761巻:38〜49頁;Albertiら(2000年)Gene 243巻(1〜2):93〜103頁;ならびにそれらに引用されている参考文献;ならびに米国特許第5,571,696号、同第5,696,233号および同第5,710,004号に記載の受容体を指す。
【0055】
「薬学的に許容される」は、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応または他の問題もしくは合併症なしにヒトおよび動物の組織と接触させるのに適し、妥当な損益比に見合っており、またはそうでなければ米国食品医薬局によってヒトもしくは飼育動物における使用が許容されるものとして承認を受けている化合物、材料、組成物および/または投薬形態を指す。
【0056】
「薬学的に許容される塩」は、酸付加塩および塩基付加塩の両方を指す。
【0057】
「薬学的に許容される酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的有効性および特性を保持する塩を指し、これらは生物学的にもそれ以外でも望ましくないことがなく、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、および酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などの有機酸を用いて形成される。
【0058】
「塩基付加塩」は、生物学的にもそれ以外でも望ましくないことがなく、遊離酸の生物学的有効性および特性を保持する塩を指す。これらの塩は、遊離酸に無機塩基または有機塩基を付加することによって調製される。無機塩基由来の塩には、それに限定されるものではないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩等が含まれる。好ましい無機塩は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩である。有機塩基由来の塩には、それに限定されるものではないが、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの、第1、第2および第3級アミン、天然に生じる置換アミンを含む置換アミン、環状アミンならびに塩基性イオン交換樹脂の塩が含まれる。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリンおよびカフェインである。
【0059】
「治療有効量」は、被験体に投与される場合、本明細書に記載の疾患または障害の処置を行うのに十分な化合物の量を指す。「治療有効量」を構成する化合物の量は、その化合物、障害およびその重症度、ならびに処置を受ける被験体の年齢に応じて変わるが、当業者によって日常的に決定され得る。
【0060】
「調節」または「調節する」は、機能、状態または障害の処置、予防、抑制、亢進または誘導を指す。例えば、本発明の化合物は、ヒトのアテローム硬化病変からのコレステロールの除去を刺激することによって、アテローム性動脈硬化症を調節することができると思われる。
【0061】
「処置する」または「処置」は、本明細書で使用される場合、被験体、好ましくはヒトにおける本明細書に記載の疾患または障害の処置を包含し、
i.疾患もしくは障害を阻害すること、すなわちその発症発達を抑止すること、または
ii.疾患もしくは障害を軽減すること、すなわち障害の後退を引き起こすこと
を含む。
【0062】
「被験体」は、本明細書に記載の1つまたは複数の疾患および障害に罹患している、またはそれに罹患する潜在性を有する哺乳動物、好ましくはヒトまたはヒトの子どもなどの温血動物を指す。
【0063】
「アテローム性動脈硬化症」は、アテローム性動脈硬化プラークが動脈壁の内層に形成され、アテローム硬化性心血管疾患に至る過程を指す。アテローム硬化性心血管疾患は、関連する医薬分野に携わる医師によって認識され理解され得、この疾患には、それに限定されるものではないが、再狭窄、冠状動脈性心疾患(冠動脈疾患または虚血性心疾患としても公知)、脳血管疾患、例えば、虚血性脳卒中、多発脳梗塞性認知症、および、末梢血管疾患、例えば、間欠性跛行および勃起機能不全が含まれる。
【0064】
「脂質異常症」は、低いおよび/または高いレベルのリポタンパク質の両方を含む、血漿中のリポタンパク質の異常なレベルを指す(例えば、高いレベルの低密度リポタンパク質(LDL)、超低密度リポタンパク質(VLDL)および低レベルの高密度リポタンパク質(HDL))。
【0065】
「EC50」は、特定の試験化合物によって誘導、誘発または増強される特定の応答の最大発現の50%における、用量依存性応答を引き出す、その特定の試験化合物の投与量、濃度または量を指す。
【0066】
「コレステロール」は、細胞膜およびミエリン鞘の必須成分であるステロイドアルコールを指し、本明細書で使用される場合、その一般的な用法を組み込むものである。コレステロールはまた、ステロイドホルモンおよび胆汁酸の前駆体として働く。
【0067】
「トリグリセリド(複数可)」または「TG」は、グリセロール1分子にエステル化された3つの脂肪酸分子を指し、エネルギー生成のために筋細胞によって使用されるか、または脂肪組織に取り込まれ保存される脂肪酸を保存するように働く。
【0068】
「IC50」は、最大応答を測定するアッセイにおいて、LXRαまたはLXRβ活性を含む核内受容体の調節など、その最大応答の50%阻害を達成する特定の試験化合物の量、濃度または投与量を指す。
【0069】
「LXR」または「LXRs」は、LXRαおよびLXRβの両方を指す。
【0070】
「LXRα」(LXRα)は、例えば、選択的スプライスアイソフォームおよび天然に生じるアイソフォームを含む、あらゆる哺乳動物型のかかる受容体を指す。代表的なLXRα種には、それに限定されるものではないが、ラット(Genbankアクセッション番号NM_031627)、マウス(Genbankアクセッション番号BC012646)、およびヒト(GenBankアクセッション番号U22662)型の受容体が含まれる。
【0071】
「LXRβ」(LXRβ)は、例えば、選択的スプライスアイソフォームおよび天然に生じるアイソフォームを含む、あらゆる哺乳動物型のかかる受容体を指す。代表的なLXRβ種には、それに限定されるものではないが、ラット(GenBankアクセッション番号NM_031626)、マウス(Genbankアクセッション番号NM_009473)、およびヒト(GenBankアクセッション番号U07132)型の受容体が含まれる。
【0072】
「肥満の」および「肥満」は、男性では27.8kg/mを超え、女性では27.3kg/mを超えるボディマス指数(BMI)を指す(BMI=体重(kg)/(身長)(m)。
【0073】
(有用性)
本発明の化合物は、価値の高い薬理学的特性を示し、LXRアゴニスト、アンタゴニスト、逆アゴニスト、部分アゴニストおよびアンタゴニストとして特に有用であり、またはLXRαもしくはLXRβに選択的である。本発明の化合物は、コレステロール輸送、コレステロール逆輸送、脂肪酸代謝、コレステロール吸収、コレステロール再吸収、コレステロール分泌、コレステロール排出またはコレステロール代謝の変化に関連するかまたはその合併症から生じる症状を有するものなどの本明細書に記載の疾患または障害の処置に有用である。
【0074】
これらの疾患には、例えば、アテローム性動脈硬化症、アテローム硬化性心血管疾患(例えば、国際公開第WO00/57915号およびWO00/37077号参照)、脂質異常症、高血糖症、インスリン抵抗性、糖尿病、肥満、シンドロームX(米国特許出願第20030073614号、国際公開第WO01/82917号)、皮膚などの末梢組織における過剰の脂質沈着(黄色腫)(例えば、米国特許第6,184,215号および同第6,187,814号参照)、脳卒中、末梢性の閉塞性疾患、記憶喪失(Brain Research(1997年)、752巻、189〜196頁)、視神経および網膜の病理(すなわち、黄斑変性症、網膜色素変性症)、中枢神経または末梢神経系への外傷性損傷の修復(Trends in Neurosciences(1994年)、17巻、525〜530頁)、加齢による変形性過程の予防(American Journal of Pathology(1997年)、151巻、1371〜1377頁)、またはアルツハイマー病(例えば、国際公開第WO00/17334号;Trends in Neurosciences(1994年)、17巻、525〜530頁参照)、糖尿病性神経障害などの疾患において生じる変形性神経障害の予防(例えば、国際公開第WO01/82917号参照)、多発性硬化症(Annals of Clinical Biochem.(1996年)、33巻、No.2、148〜150頁)、および自己免疫疾患(J. Lipid Res.(1998年)、39巻、1740〜1743頁)が含まれる。
【0075】
また、特許請求する化合物および組成物を使用して、ATP結合カセット(ABCA1)の発現を増大し(例えば、国際公開第WO00/78972号参照)、それによって哺乳動物細胞のコレステロール逆輸送を増大する方法を提供する。
【0076】
したがって別の態様では、本発明はまた、治療有効量の本発明の化合物または組成物を被験体に投与するステップを含む、アテローム性動脈硬化症またはアテローム硬化性心血管疾患の臨床徴候によって明示されるかかる疾患を有する被験体におけるアテローム性動脈硬化プラークまたは黄色腫などの組織沈着からコレステロールを除去する方法を含む。さらに本発明は、虚血性心疾患、虚血性脳卒中、多発脳梗塞性認知症および間欠性跛行を含むアテローム硬化性心血管疾患の事象の危険性がある被験体に、予防上有効な量の本発明の化合物または組成物を投与するステップを含む、かかる事象の最初の発生またはその後の発生の危険性を予防または低減する方法も提供する。
【0077】
本発明の化合物はまた、高血糖症およびインスリン抵抗性を低減する方法、すなわち糖尿病を処置する方法(国際公開第WO01/82917号)、ならびに「シンドロームX」を構成する群の病状、状態または障害を含む、糖尿病、高血糖症またはインスリン抵抗性に関連するかまたはそれらの合併症として生じる障害を処置、予防または改善する方法(米国特許出願第20030073614号参照)において使用することができ、該方法は、かかる処置を必要としている被験体に、治療有効量の本発明の化合物または組成物を投与するステップを含む。さらに本発明は、被験体の高血糖症、インスリン抵抗性、糖尿病またはシンドロームXを発症する危険性を予防または低減する方法も提供し、該方法は、かかる事象の危険性がある被験体に、予防上有効な量の本発明の化合物または組成物を投与するステップを含む。
【0078】
真性糖尿病は、一般に糖尿病と呼ばれ、複数の原因因子に由来し、高血糖症と呼ばれる高いレベルの血漿グルコースを特徴とする疾患過程を指す。例えば、LeRoith, D.ら(編)、DIABETES MELLITUS(Lippincott−Raven Publishers、Philadelphia、Pa. U.S.A. 1996年)参照。制御されない高血糖症は、腎症、神経障害、網膜症、高血圧、脳血管疾患および冠状動脈性心疾患を含む大血管性疾患の高い危険性に起因して、高い死亡率および早世率に関連する。したがって、グルコースのホメオスタシスの制御は、糖尿病の処置にとって決定的に重要な手法である。
【0079】
糖尿病には、1型糖尿病(以前はインスリン依存性糖尿病またはIDEMと呼ばれていた)および2型糖尿病(以前はインスリン非依存性糖尿病またはNIDDMと呼ばれていた)の2つの主な形態がある。2型糖尿病は、絶対的ではなく相対的なインスリン欠乏を伴うインスリン抵抗性を特徴とする疾患である。2型糖尿病は、相対的なインスリン欠乏が伴う主たるインスリン抵抗性から、いくらかのインスリン抵抗性を伴う主たるインスリン欠乏までの幅があり得る。インスリン抵抗性とは、インスリンの生物学的作用を発揮する能力が、幅広い濃度範囲にわたって低下していることである。インスリン抵抗性の個体では、身体はこの欠損を補うために異常に多量のインスリンを分泌する。インスリン抵抗性およびグルコースの適切な制御を補うために、不適切な量のインスリンが存在する場合、耐糖能不良の状態が発症する。著しい数の個体において、インスリン分泌がさらに低下し、血漿グルコースレベルが上昇し、糖尿病の臨床的な状態が生じる。2型糖尿病は、主なインスリン感受性組織である筋肉、肝臓および脂肪組織における、グルコースおよび脂質の代謝へのインスリン刺激性調節効果に対する非常に大きい抵抗性に起因し得る。インスリン応答性に対するこの抵抗性は、筋肉内のグルコースの取込み、酸化および保存のインスリンによる活性化の不十分さ、ならびに脂肪組織内の脂肪分解および肝臓内のグルコースの生成および分泌のインスリンによる抑圧の不適切さをもたらす。2型糖尿病では、肥満被験体および非肥満のいくらかの被験体において遊離脂肪酸レベルが高いことが多く、脂質酸化が増大する。
【0080】
アテローム性動脈硬化症の早発ならびに高い率の心血管および末梢血管疾患は、糖尿病被験体の特徴的な特色である。高脂血症は、これらの疾患の重要な増悪因子である。高脂血症は、一般に、血流中の血清脂質、例えばコレステロールおよびトリグリセリドの異常な増加を特徴とする障害であり、アテローム性動脈硬化症および心疾患の発症における重要な危険因子である。脂質代謝の障害の総説については、例えば、Wilson, J.ら(ed.)、Disorders of Lipid Metabolism、Chapter 23、Textbook of Endocrinology、9th Edition (W. B. Sanders Company、Philadelphia、Pa. U.S.A. 1998年)参照。高脂血症は、通常、原発性または二次性高脂血症として分類される。原発性高脂血症は、一般に遺伝的欠損によって引き起こされ、二次性高脂血症は、一般に様々な病状、薬物および食事因子などの他の因子によって引き起こされる。あるいは、高脂血症は、高脂血症の原発的および二次的原因の両方の組合せから生じることもある。高いコレステロールレベルは、冠動脈疾患、狭心症、頸動脈疾患、脳卒中、大脳性動脈硬化症および黄色腫を含むいくつかの病状に関連している。
【0081】
脂質異常症または血漿中のリポタンパク質の異常なレベルは、糖尿病において高い頻度で発生し、糖尿病被験体において冠動脈事象および死亡の高い発生率に主に寄与する因子の1つであることが示されている(例えば、Joslin, E. Ann. Chim. Med.(1927年)、5巻、1061〜1079頁参照)。それ以来、疫学的研究によってそれらの関連が確認され、糖尿病被験体における冠動脈性死亡は、非糖尿病被験体と比較すると数倍高いことが示されている(例えば、Garcia, M. J.ら、Diabetes(1974年)、23巻、105〜11頁(1974年);およびLaakso, M.およびLehto, S.、Diabetes Reviews(1997年)、5巻、No.4、294〜315頁参照)。糖尿病被験体におけるいくつかのリポタンパク質の異常が記載されている(Howard B.ら、Arteriosclerosis(1978年)、30巻、153〜162頁)。
【0082】
さらに本発明は、肥満ならびに肥満の合併症を処置するために本発明の化合物を使用する方法を提供する。肥満は、糖尿病および高脂血症を含む様々な医学的障害に関連している。肥満は、2型糖尿病の発症の公知の危険因子でもある(例えば、Barrett−Conner, E.、Epidemol. Rev.(1989年)、11巻、172〜181頁;およびKnowlerら、Am. J Clin. Nutr.(1991年)、53巻、1543〜1551頁参照)。
【0083】
(投与および処方物)
本発明の化合物は、許容される任意の投与経路によってそれを必要としている被験体に投与することができる。許容される投与経路には、それに限定されるものではないが、頬側、皮膚、子宮頸管内、洞内、気管内、経腸、硬膜外、間質性、腹部内、動脈内、気管支内、嚢内(intrabursal)、脳内、槽内、冠内、皮内、導管内、十二指腸内、硬膜内、表皮内、食道内、胃内、歯肉内、回腸内、リンパ内、髄質内、髄膜内、筋肉内、卵巣内、腹腔内、前立腺内、肺内、洞内(intrasinal)、脊髄内、滑膜内、精巣内、髄腔内、管内、腫瘍内、子宮内、血管内、静脈内、鼻、経鼻胃、経口、非経口、経皮(percutaneous)、硬膜上、直腸、呼吸器(吸入)、皮下、舌下、粘膜下、局所、経皮(transdermal)、経粘膜、経気管、尿管、尿道および膣内が含まれる。
【0084】
本発明の化合物は、任意の許容される固体、半固体、液体または気体の投薬形態で投与され得る。許容される投薬形態には、それに限定されるものではないが、エアロゾル剤、カプセル剤、クリーム剤、乳剤、ガス剤、ゲル剤、粒状物剤、リニメント剤、ローション剤、軟膏剤、ペースト剤、散剤、溶液、懸濁物、シロップ剤および錠剤が含まれる。許容される送達系には、それに限定されるものではないが、生分解性移植片(例えば、ポリ(DL−ラクチド)、ラクチド/グリコリドコポリマーおよびラクチド/カプロラクトンコポリマー)、カプセル剤、圧注器、注腸、吸入器、子宮内デバイス、ネブライザー、パッチ、ポンプおよび坐剤が含まれる。
【0085】
本発明の投薬形態は、本発明の化合物のみから構成することができ、または本発明の化合物は、従来の賦形剤、医薬キャリア、アジュバントおよび/または他の薬品もしくは医薬品と一緒に処方することができる。許容される賦形剤には、それに限定されるものではないが、(a)クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(crosprovidone)、デンプングリコール酸ナトリウム、微結晶性セルロース、デンプンおよびタルクなどの抗接着剤、(b)セルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ラクトース、マルチトール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ソルビトール、デンプン、糖、スクロースおよびキシリトールなどの結合剤、(c)セルロース、シェラック、ゼインおよび腸溶剤などのコーティング剤、(d)セルロース、架橋ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、デンプングリコール酸ナトリウムおよびデンプンなどの崩壊剤、(e)炭酸カルシウム、セルロース、リン酸水素カルシウム、グルコース、ラクトース、マンニトール、ソルビトールおよびスクロースなどの充填剤、(f)矯味矯臭剤、(g)着色剤、(h)ステアリン酸カルシウム、コロイド状二酸化ケイ素、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、水素化植物油、ステアリン酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、鉱油、ポリエチレングリコール、二酸化ケイ素、デンプン、ステアレート、ステアリン酸、タルク、フマル酸ステアリルナトリウム、安息香酸ナトリウムおよび亜鉛などの流動促進剤、(i)ステアリン酸カルシウム、水素化植物油、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ポリエチレングリコール、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン、ステアリン酸およびタルクなどの潤滑剤、ならびに(j)クロロブタノール、クエン酸、システイン、メチオニン、メチルパラベン、フェノール、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、セレン、クエン酸ナトリウム、ソルビン酸、ビタミンA、ビタミンCおよびビタミンEなどの保存剤が含まれる。カプセル剤は、先に列挙した任意の賦形剤を含有することができ、ポリエチレングリコールまたは植物ベースの油などの半固体または液体キャリアをさらに含有することができる。医薬キャリアには、可溶性ポリマー、不溶性または生分解性の天然および合成ポリマーから作られた微粒子、マイクロカプセルまたはミクロスフェア、リポタンパク質、リポソーム、ならびにミセルが含まれる。
【0086】
医薬組成物は、液体、例えばエリキシル剤、シロップ剤、溶液、乳剤、懸濁物の形態、もしくは他の類似の形態であってよく、または使用前に水もしくは他の適切なビヒクルを用いて再構成するための乾燥生成物として提示することもできる。液体調製物は、(a)水、生理食塩水、リンゲル溶液、合成モノもしくはジグリセリドなどの固定油、またはポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の溶媒などの液体希釈剤、(b)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、飽和ポリグリコール化グリセリド、モノグリセリド、脂肪酸エステル、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマー、ステアリン酸ポリオキシル、エトキシ化ヒマシ油およびエトキシ化ヒドロキシステアリン酸などの界面活性剤、懸濁化剤または乳化剤、(c)酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤、(d)エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤、(e)ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤、(f)アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤、(g)等張剤、塩化ナトリウムまたはデキストロース、ならびに甘味剤および矯味矯臭剤、色素および保存剤などの従来の添加物を含有することができる。
【0087】
本発明の医薬組成物は、個々の立体異性体もしくは立体異性体の混合物としての治療有効量の本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩を含有するが、該医薬組成物の残部は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤から構成される。一般に経口投与では、個々の立体異性体もしくは立体異性体の混合物としての本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩は、薬学的に許容される組成物の1重量%〜99重量%を構成し、該組成物の残部は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤から構成される。一般に、個々の立体異性体もしくは立体異性体の混合物としての本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩は、薬学的に許容される組成物の5重量%〜75重量%を構成し、該組成物の残部は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤から構成される。非経口投与では、個々の立体異性体もしくは立体異性体の混合物としての本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩は、薬学的に許容される組成物の0.01重量%〜1重量%を構成する。本発明の投薬形態を調製するための方法は、当業者に公知であり、または明らかとなる。例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences、18th Ed.(Mack Publishing Company、Easton、Pa.、1990年)参照。
【0088】
本発明の化合物の治療有効量は、化合物の活性、代謝安定性、排出速度および作用期間、被験体の年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事および種、化合物の投与様式および時期、アジュバントまたは組成物中のさらなる治療上活性な成分の存在、ならびに治療効果が求められる疾患の重症度を含む様々な因子に応じて変わる。
【0089】
本発明の化合物は、1日約0.1〜約10,000mgの範囲の投与レベルでヒト被験体に投与することができる。体重約70キログラムの正常な成人には、体重1キログラム当たり1日約0.15μg〜約150mgの範囲の投与量で投与することができる。一般に、正常な成人であれば、体重1キログラム当たり1日約0.1mg〜約25mg、または0.5mg〜約10mgが投与される。本発明の化合物は、1つまたは複数の単位用量形態で投与することができる。単位用量は、1日1〜4回または1日2回または1日1回投与することができる。有効用量を記載する別の方法では、経口単位用量は、被験体において約0.05〜20μg/mlまたは約1〜20μg/mlの血清レベルを達成するのに必要な用量である。特定の被験体のための本発明の化合物の最適な用量は、当業者によって決定され得る。
【0090】
本発明の化合物、または個々の異性体もしくは異性体混合物、または薬学的に許容されるその塩は、以下に記載の治療剤の1つまたは複数の投与と同時に、その前に、またはその後に投与することもできる。かかる組み合わせ療法は、本発明の化合物および1つまたは複数のさらなる活性剤を含有する単一の医薬投与処方物の投与、ならびにそれ自体の別個の医薬投与処方物における本発明の化合物および各活性剤の投与を含む。例えば、本発明の化合物およびHMG−CoA還元酵素インヒビターは、錠剤もしくはカプセル剤などの単一の経口投与組成物で一緒に被験体に投与することができ、または各薬剤は、別個の経口投与処方物で投与することができる。別個の投与処方物が使用される場合、本発明の化合物および1つまたは複数のさらなる活性剤は、本質的に同じ時間、すなわち共に、または分離時差を設けて、すなわち逐次的に投与することができ、組み合わせ療法は、これらすべてのレジメンを含むと理解される。
【0091】
一実施形態では、本発明の化合物は、アテローム性動脈硬化症の処置において以下の治療剤の1つまたは複数と組み合わせて使用される。抗高脂血症薬、血漿HDL上昇薬、抗高コレステロール血症薬、コレステロール生合成インヒビター(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチンおよびリバスタチンなどのHMGCoA還元酵素インヒビターなど)、アシル補酵素A:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(acytransferase)(ACAT)インヒビター、プロブコール、ラロキシフェン、ニコチン酸、ナイアシンアミド、コレステロール吸収インヒビター、胆汁酸捕捉剤(sequestrant)(アニオン交換樹脂または第四級アミン(例えば、コレスチラミンまたはコレスチポール)など)、低密度リポタンパク質受容体誘導物質、クロフィブレート、フェノフィブレート、ベザフィブレート(benzofibrate)、シプロフィブレート(cipofibrate)、ゲムフィブロジル(gemfibrizol)、ビタミンB、ビタミンB12、抗酸化ビタミン、β遮断薬、抗糖尿病薬、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、アンギオテンシン変換酵素インヒビター、血小板凝集インヒビター、フィブリノゲン受容体アンタゴニスト、アスピリンまたはフィブリン酸誘導体。
【0092】
別の実施形態では、本発明の化合物は、コレステロール生合成インヒビター、特にHMG−CoA還元酵素インヒビターを用いる処置において以下の治療剤の1つまたは複数と組み合わせて使用される。用語HMG−CoA還元酵素インヒビターは、HMG−CoA還元酵素阻害活性を有する化合物のあらゆる薬学的に許容される塩、エステル、遊離酸およびラクトン形態を含むことを企図し、したがって、かかる塩、エステル、遊離酸およびラクトン形態の使用は、本発明の範囲に含まれる。HMG−CoA還元酵素の阻害活性を有する化合物は、当技術分野で周知のアッセイを使用して容易に同定され得る。例えば、適切なアッセイは、米国特許第4,231,938号およびWO84/02131号に記載または開示されている。適切なHMG−CoA還元酵素インヒビターの例には、それに限定されるものではないが、ロバスタチン(MEVACOR(登録商標)、米国特許第4,231,938号参照)、シンバスタチン(ZOCOR(登録商標)、米国特許第4,444,784号参照)、プラバスタチンナトリウム(PRAVACHOL(登録商標)、米国特許第4,346,227号参照)、フルバスタチンナトリウム(LESCOL(登録商標)、米国特許第5,354,772号参照)、アトルバスタチンカルシウム(LIPITOR(登録商標)、米国特許第5,273,995号参照)、およびリバスタチン(セリバスタチンとしても公知、米国特許第5,177,080号参照)が含まれる。本発明の化合物と組み合わせて使用できるこれらのおよびさらなるHMG−CoA還元酵素インヒビターの構造式は、M. Yalpani、「Cholesterol Lowering Drugs」、Chemistry & Industry、85〜89頁(1996年2月5日)の87頁に記載されている。現在好ましい実施形態では、HMG−CoA還元酵素インヒビターは、ロバスタチンおよびシンバスタチンから選択される。
【0093】
さらなる一実施形態では、本発明の化合物は、所望の標的療法に応じて、1つまたは複数のさらなる活性な糖尿病薬を用いる処置において、以下の治療剤の1つまたは複数と組み合わせて使用される(例えば、Turner, N.ら、Prog. Drug Res.(1998年)、51巻、33〜94頁;Haffner, S.、Diabetes Care(1998年)、21巻、160〜178頁;およびDeFronzo, R.ら(編)、Diabetes Reviews(1997年)、5巻、No.4参照)。いくつかの研究は、経口薬剤を用いた組み合わせ療法の利益について調査している(例えば、Mahler, R.、J. Clin. Endocrinol. Metab.(1999年)、84巻、1165〜71頁;United Kingdom Prospective Diabetes Study Group:UKPDS 28、Diabetes Care(1998年)、21巻、87〜92頁;Bardin, C. W.(ed.)、Current Therapy In Endocrinology And Metabolism、6th Edition(Mosby−−Year Book, Inc.、St. Louis、Mo. 1997年);Chiasson, J.ら、Ann. Intern. Med.(1994年)、121巻、928〜935頁;Coniff, R.ら、Clin. Ther.(1997年)、19巻、16〜26頁;Coniff, R.ら、Am. J. Med.(1995年)、98巻、443〜451頁;Iwamoto, Y.ら、Diabet. Med.(1996年)、13巻、365〜370頁;Kwiterovich, P.、Am. J. Cardiol(1998年)、82巻(12A)、3U〜17U頁参照)。これらの研究は、糖尿病および高脂血症の調節が、第2の薬剤を治療レジメンに追加することによってさらに向上され得ることを示している。
【0094】
さらなる一実施形態では、本発明の化合物は、糖尿病の処置において以下の治療剤の1つまたは複数と組み合わせて使用される。スルホニル尿素(クロルプロパミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、トラザミド、グリブリド、グリクラジド、グリナーゼ、グリメピリドおよびグリピジドなど)、ビグアニド(メトホルミンなど)、チアゾリジンジオン(シグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾンおよびロシグリタゾンなど)、ならびにPPARα、PPARβおよびPPARγの選択的および非選択的アクチベーターなどの関連するインスリン増感剤;デヒドロエピアンドロステロン(DHEAまたはその結合体化硫酸エステルであるDHEA−SO4とも呼ばれる);抗グルココルチコイド;TNFαインヒビター;α−グルコシダーゼインヒビター(アカルボース、ミグリトールおよびボグリボースなど)、プラムリンチド(ヒトホルモンアミリンの合成類似体)、他のインスリン分泌促進物質(レパグリニド、グリキドンおよびナテグリニドなど)、インスリン、ならびにアテローム性動脈硬化症の処置のための前述の治療剤。
【0095】
さらに別の実施形態では、本発明の化合物は、肥満または肥満関連障害の処置において以下の治療剤の1つまたは複数と組み合わせて使用される。かかる薬剤には、それに限定されるものではないが、フェニルプロパノールアミン、フェンテルミン、ジエチルプロピオン、マジンドール、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェントラミン(phentiramine)、βアドレナリン作用性受容体アゴニスト剤;シブトラミン、消化管リパーゼインヒビター(オルリスタットなど)およびレプチンが含まれる。肥満または肥満関連障害の処置に使用される他の薬剤には、神経ペプチドY、エンテロスタチン、コレシストキニン(cholecytokinin)、ボンベシン、アミリン、ヒスタミンH受容体、ドーパミンD受容体調節因子、メラニン細胞刺激ホルモン、コルチコトロピン放出因子、ガラニンおよびγアミノ酪酸(GABA)が含まれる。
【0096】
(合成)
本発明の化合物は、それに限定されるものではないが、以下に記載の方法を含む当業者に周知のいくつかの方法で、または有機合成の技術者に公知の標準技術を適用することによってこれらの方法を改変して調製することができる。化合物は、ChemDraw Ultra 9.0または10.0(CambridgeSoft)を使用して命名した。試薬および出発材料は市販されており、または当業者により周知の技術によって容易に合成される。以下の説明では、図示した式の置換基および/または変数の組合せは、かかる寄与が安定な化合物をもたらす場合にのみ許容されると理解されたい。別段指定されない限り、NMRおよび/または質量スペクトルデータを伴うすべての化合物を調製し、そのNMRおよび質量スペクトルを測定した。
【0097】
【化2】

(a)MeAl、トルエン、0℃〜80℃;(b)i.ブロモピルビン酸エチル、NaHCO、THF、70〜80℃;ii.AcOH、トルエンまたはTFA、EtOH、80℃;(c)RMgBr、THFまたはTHF/CHCl、0℃〜室温;(d)KCO、PdCl(dppf)、DME/HO、80℃。
【0098】
一般に、式(0036)の化合物を、まず、トリメチルアルミニウムの存在下で式(0032)のアニリンを2−(フェニル)−2−メチルプロパンニトリル(0031)と反応させて、標準の単離手順後に式(0033)の化合物を得ることによって調製する(スキーム1)。その後のステップで、アミジン(0033)を、α−ブロモピルビン酸エチルなどのハロエステルに塩基条件下において高温で曝露し、その後エタノール中トリフルオロ酢酸などの脱水条件に曝すことによって、標準の単離手順後に式(0034)の1H−イミダゾールを得る。次いで、式(0034)の化合物を、エステルからカルビノールなどへの官能基変換に供する。次いで、パラジウム媒介性カップリング反応、例えば鈴木反応において、式(0035)の化合物を(2−フルオロ−6−(スルホニル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)メタノール(0017)(以下のスキーム2参照)と反応させて、標準の単離手順後に式(0036)の化合物を得る。
【0099】
【化3】

a)i.THF中1.0MのLHMDS;ii.RSNa、還流;b)BH−THF、0℃−還流;c)mCPBA、CHCl;d)PdCl(dppf)、ビス(ピナコレート)ジボロン、KOAc、DMSO、80℃。
【0100】
(スキーム2:ステップ2a)
(4−ブロモ−2−フルオロ−6−(メチルチオ)安息香酸の調製)
【0101】
【化4】

冷却器を取り付けた500mLの丸底フラスコに、4−ブロモ−2,6−ジフルオロ安息香酸(16.0g、67.5mmol)および無水THF(110mL)を添加した。反応フラスコを氷浴中で冷却した後、1.0Mのリチウムビス−(トリメチルシリル)アミド(74mL、1.1当量)を滴下添加した。反応懸濁物を室温で20分間撹拌した後、ナトリウムチオメトキシド(5.21g、74.2mmol)を添加した。反応溶液を還流状態で3時間撹拌した。希HCl水溶液で反応物の一定分量をクエンチ(quench)し、GCMSを実施した後、反応が完了したと決定付けた。実測値m/z=265、267親イオン。冷却した反応混合物をHOでクエンチし、EtOAc(200mL)で希釈した。反応混合物を分離漏斗に移し、1.0NのHCl水溶液を添加してpH=2〜3の溶液を得た。酢酸エチル層を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、中間体6−フルオロ−4−ブロモ−2−メチルスルファニル−安息香酸14.6g(収率81%)をワックス状の白色固体として得た。H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.18 (s, 1H), 7.12 (dd, J = 8 Hz, 1H), 2.49 (s, 3H);GCMSm/z=265、267[M]
【0102】
あるいは、中間体6−フルオロ−4−ブロモ−2−メチルスルファニル−安息香酸を、以下の通り調製した。
【0103】
20Lのフラスコに、ジメチルホルムアミド(14.5L、10.0体積)を入れ、その後水酸化ナトリウム(293.7g、1.2当量)を入れ、反応塊を−15〜−10℃に冷却した。4−ブロモ−2,6−ジフルオロ安息香酸(1450g、1.0当量)を、−15〜−10℃で10〜15分かけて添加し、さらに10〜15分間撹拌した。ナトリウムチオメトキシド(514.6g、1.2当量)を、−10〜−5℃で5〜10分かけて添加した。添加が完了したら、反応物の温度を45〜60分かけて25〜28℃に上昇させ、その温度で1.5〜2時間維持した。次いで、反応物の温度を30〜60分かけて60〜65℃に上昇させ、反応が完了したと見なされるまで、60〜65℃で5時間維持した。次いで反応混合物を20〜25℃に冷却し、冷却した(5〜10℃)2NのHCl溶液(水30.3L中12NのHCl5.045L)でクエンチした。クエンチした後、酢酸エチル(14.5L、10体積)を添加し、混合物を10〜15分間撹拌した。各相を分離し、水層を酢酸エチル(7.25L、5体積)で抽出した。二相を分離し、混合有機層をブライン溶液(水3.625L中NaCl725g)で洗浄した。各相を分離し、有機層を水(5.0体積、7.25L)で洗浄した。各相を分離し、有機層を硫酸ナトリウム(1450g)で乾燥させた。有機層を濾過して硫酸ナトリウムを除去し、次いで酢酸エチル(2.9L、2体積)で洗浄した。有機層を、減圧下において45〜50℃/30〜40mmHgで約1〜1.2体積に濃縮し、石油エーテル(7.25L、5体積)を40〜45℃で15〜20分かけて添加した。溶液を20〜25分かけて20〜25℃に冷却した。固体を濾過し、石油エーテル(2.9L、2.0体積)で洗浄し、生成物を真空下において25〜28℃、0.4〜0.7mbarで乾燥させて、中間体6−フルオロ−4−ブロモ−2−メチルスルファニル−安息香酸1410g(87%、99.40面積%)を得た。
【0104】
(ステップ2b)
((4−ブロモ−2−フルオロ−6−(メチルチオ)フェニル)メタノールの調製)
【0105】
【化5】

冷却器を取り付け、Nでパージした500mLの丸底フラスコに、6−フルオロ−4−ブロモ−2−メチルスルファニル−安息香酸(14.6g、55.0mmol)および無水THF(70mL)を添加した。反応溶液を0℃に冷却した後、THF中1.0MのBH−THF(83mL、1.5当量)溶液を滴下添加した。反応溶液を室温で撹拌し、次いで還流状態でさらに2時間撹拌した。反応溶液を冷却した後、1:1のHO/THF溶液でクエンチした。反応溶液を、EtOAc(100mL)と共に分離漏斗に移し、KCO水溶液を添加した。酢酸エチル相を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。粗生成物を、110gのSiOカラムを介して溶媒勾配100%Hx〜55%EtOAcを使用してクロマトグラフにかけた。精製した標題生成物を、固体白色ワックスとして得た(13.7g、収率99%)。H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.13 (s, 1H), 7.06 (dd, J = 8 Hz, J = 2 Hz, 1H), 4.77 (s, 2H), 2.51 (s, 3H), 2.20−2.05 (br s, 1H);GCMSm/z=251、253[M]
【0106】
あるいは、中間体(4−ブロモ−2−フルオロ−6−(メチルチオ)フェニル)メタノールを、以下の通り調製した。
【0107】
20Lのフラスコに、4−ブロモ−2−フルオロ−6−(メチルチオ)安息香酸(1400g、1.0当量)を入れ、その後窒素下でTHF(14L、10体積)を入れた。この溶液に、25〜28℃で30〜45分かけてボラン−ジメチルスルフィド錯体(802.41g、1000mL)を添加した。反応温度を、30〜45分かけて60〜65℃に上昇させ、HPLCによって<1%の4−ブロモ−2−フルオロ−6−(メチルチオ)安息香酸が示されるまで(約3〜4時間)、その温度を維持した。反応が完了したら、混合物を30〜40分かけて10〜15℃に冷却した。次いで反応物を、10〜15℃で1〜1.5時間かけてメタノール(2.1L、1.5体積)でクエンチした。次いで反応塊を、真空下において40〜50℃/0.4〜0.7mbarで1〜1.5体積に濃縮した。得られた混合物を、DCM(8.4L、6体積)に溶解した。有機層を塩化アンモニウム溶液(水2.8L中NHCl560g、2体積)で洗浄した。各相を分離し、有機層を、10%NaHCO溶液(2.8L、2体積)、飽和ブライン溶液(2.1L、1.5体積)および水(4.2L、3体積)で洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム(700g)で乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過によって除去し、DCM(2.8L、2体積)で洗浄した。有機層を、真空下において40〜45℃/0.4〜0.7mbarで1〜1.2体積に濃縮して生成物を得、それを真空下において45〜50℃/0.4〜0.7mbarで乾燥させた。標題生成物を、収率90%(1200g)、90.07面積%で得た。
【0108】
(ステップ2c)
((4−ブロモ−2−フルオロ−6−(メタンスルホニル)フェニル)−メタノールの調製)
【0109】
【化6】

500mLのフラスコに、(4−ブロモ−2−フルオロ−6−(メチルチオ)フェニル)メタノール(13.7g、54.6mmol)および無水ジクロロメタン(125mL)を添加した。溶液を氷浴中で0〜3℃に冷却し、その後3−クロロ過安息香酸(最大77%、Aldrich)(18.8g、2当量)を少しずつ(portionwise)添加した。次いで、反応溶液を室温に温め、それを18時間維持した。次いで、反応物を真空中で濃縮してジクロロメタンを除去し、残渣を分離漏斗に入れて酢酸エチルおよび1MのNaOH水溶液で洗浄した。酢酸エチル層を分離し、1MのNaOH水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(Biotage、65×200mmのSiOカラム、勾配溶出100%ヘキサン〜90%酢酸エチル)によって精製した。適切な画分を混合し、真空中で濃縮して、標題化合物を無色半結晶固体として収量8.1g(52%)で得た。H NMR (400 MHz, DMSO−d) δ 7.98 (dd, J = 8 Hz, 1H), 7.91 (s, 1H), 5.45 (t, J = 8 Hz , 1H), 4.88 (dd, J = 8 Hz , J = 2 Hz, 2H), 3.42 (s, 3H); 19F NMR (400 MHz, DMSO−d) δ −111.8 ppm;GCMSm/z=283、285[M]
【0110】
(ステップ2d)
((2−フルオロ−6−(メチルスルホニル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)メタノールの調製)
【0111】
【化7】

乾燥Nでパージした100mLの丸底フラスコに、(4−ブロモ−2−フルオロ−6−(メタンスルホニル)フェニル)−メタノール(1.98g、6.99mmol)、ビス(ピナコレート)ジボロン(2.13g、1.2当量)、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(560mg、10mol%)、炭酸カリウム(2.06g、3当量)およびDMSO(25mL)を秤量して入れた。得られた懸濁物を、90℃で3時間撹拌した。反応溶液の一定分量は、LCMS分析によって測定すると、出発臭化物をそれ以上含有していないことが見出された。冷却した反応懸濁物を、酢酸エチル(50mL)および水(50mL)で希釈し、セライトパッド付きブフナー漏斗を介して濾過した。得られた濾液を分離漏斗に移し、有機相を分離した。水相を酢酸エチルで抽出し、混合酢酸エチル相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(Biotage SP−1、40gのSiOカラム、勾配溶出100%ヘキサン〜60%酢酸エチル)によって精製して、透明な粘性油を得た。生成物を、ジクロロメタンに溶解することによって非晶質白色粉末として単離し、ヘキサンを添加すると再沈殿が生じた。標題化合物を固体白色粉末として、収量1.9g(収率82%)で単離した。H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.28 (s, 1H), 7.79 (d, J = 8 Hz, 1H), 5.03 (d, J = 8 Hz, 2H), 3.23 (s, 3H) 3.05 (t, J = 8 Hz, 1H), 1.35 (s, 6H); 19F NMR (400 MHz, CDCl) δ −116.3 ppm。
【0112】
あるいは、中間体(2−フルオロ−6−(メチルスルホニル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)メタノールを、以下の通り調製した。
【0113】
撹拌棒、温度プローブ、還流冷却器および窒素注入口を備えた500mLのジャケット付き反応器に、メチルテトラヒドロフラン(tetrahydroran)(MeTHF)(75mL、5体積)を入れ、その後酢酸カリウム(5.2g、52.98mmol、1当量)および(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)(322mg;597.3μmol、0.01125当量)およびビス(ピナコレート)ジボロン(17.51g、68.95mmol、1.3当量)を入れた。反応フラスコを排気して150Torr未満にし、次いで窒素を再充填した。この脱気手順を3回反復した。Pd(OAc)(94.2mg;419.6μmol、0.0075当量)を反応器に入れ、反応フラスコを150Torr未満に排気し、次いで窒素を再充填し、その順序を3回反復した。得られたスラリーを20〜25℃で15分間熟成させた。15分間の熟成が完了したら、スラリーを内部温度80℃まで加熱した。反応器中の混合物をその温度に加熱しながら、別個のフラスコに(4−ブロモ−2−フルオロ−6−(メタンスルホニル)フェニル)−メタノール(15.03g、53.09mmol、1当量)を入れ、その後MeTHF(75ml、5体積)を入れた。得られた溶液を、窒素を表面下で起泡させることによって使用前に少なくとも15分間脱気した。触媒混合物が還流状態に達したら、MeTHF中(4−ブロモ−2−フルオロ−6−(メタンスルホニル)フェニル)−メタノールの脱気溶液を、反応物に一度に添加し、反応させた。反応は一般に、基質の添加後、完了するまで約20時間かかる。完了したら(一般に<0.75RAPの出発材料)、反応物を20〜25℃に冷却した。RTにしたら、反応物をMeTHF(75ml、5体積)で希釈し、5wt%のNaCl溶液(7.5体積、110ml)で少なくとも15分間洗浄した。各相を分離し、生成物を豊富に含む上層のMeTHF流を、セライトを介して濾過して、不溶性パラジウム残渣を除去した。セライトケーキをMeTHF(75ml、5体積)で洗浄した。反応物を官能化シリカ(30当量)で処理して、パラジウムおよび色を除去した。スラリーを少なくとも60分間撹拌し、次いで濾過してシリカを除去した。使用したシリカをMeTHF(5体積、75ml)で洗浄した。混合有機相を水(5体積、75ml)で洗浄した。有機相を真空下(60〜70Torr、浴温度30℃)で蒸留して5体積(75mL)にした。75mlの目印に達したら、蒸留を停止し、ヘプタン(75ml、5体積)を反応溶液に滴下添加した。ヘプタン約35mlを添加した後、生成物が溶液から結晶化し始めた。添加が完了したら、生成物を濾過によって単離し、湿潤ケーキをMeTHF−ヘプタン(1:9)溶液(2×75ml)で洗浄し、50℃で乾燥させた。標題生成物を、白色固体13.64g(収率78%)、99.58面積%で得た。
【実施例】
【0114】
(実施例1)
(2−(1−(3−クロロ−3’−フルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)−5’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル)−2−(2−(2−フルオロフェニル)プロパン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)プロパン−2−オール)
【0115】
【化8】

(実施例1a)
(2−(2−フルオロフェニル)−2−メチルプロパンニトリルの調製)
【0116】
【化9】

乾燥Nでパージし、添加漏斗を取り付けた500mLの3つ口丸底フラスコに、2−フルオロフェニルアセトニトリル(11.0g、81.4mmol)および無水THF(70mL)を添加した。反応溶液を−10℃に冷却した後、THF中1.0Mのカリウムtert−ブトキシド溶液(195mL、2.4モル当量)を滴下添加した。反応溶液を−10℃で20分間撹拌した後、ヨードメタン(15.2mL、244mmol)を添加した。反応溶液を、室温に温めながら4時間撹拌した。反応溶液を、NHCl水溶液を添加することによってクエンチし、EtOAc(200mL)で希釈した。有機相を分離し、NHCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、240gのSiOカラムによりBiotage SP−1で溶媒勾配100%Hx〜50%EtOAcを使用してクロマトグラフにかけて、標題生成物10.1g(収率76%)を得た。GCMSm/z=163[M]
【0117】
(実施例1b)
(N−(4−ブロモフェニル)−2−(2−フルオロフェニル)−2−メチルプロパンイミドアミドの調製)
【0118】
【化10】

オーブンで乾燥させNでパージし、添加漏斗を取り付けた250mLの丸底フラスコに、4−ブロモアニリン(7.31g、42.5mmol)および無水トルエン(40mL)を添加した。反応溶液に、0℃で2.0MのMeAl(32mL、1.5mol当量)溶液を添加した。反応溶液を0℃で30分間撹拌し、次いで2−(2−フルオロフェニル)−2−メチルプロパンニトリル(7.62g、46.7mmol)のトルエン(25mL)溶液を、反応フラスコに添加した。反応溶液を90℃で5時間撹拌した。冷却した反応溶液を、酒石酸ナトリウムカリウム水溶液でクエンチした。20分静置した後、有機相を分離し、酒石酸ナトリウムカリウム溶液で洗浄した。有機溶液を1NのHCl水溶液(100mL×3)で抽出した。混合HCl水溶液を、1NのNaOH水溶液を添加することによって中和し、ジクロロメタン(200mL×2)で抽出した。ジクロロメタン生成物溶液をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、標題化合物(5.5g、収率39%)を得た。GCMSm/z=334、336[M]
【0119】
(実施例1c)
(1−(4−ブロモフェニル)−2−(2−(2−フルオロフェニル)プロパン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルの調製)
【0120】
【化11】

冷却器を取り付けた250mLの丸底フラスコに、N−(4−ブロモフェニル)−2−(2−フルオロフェニル)−2−メチルプロパンイミドアミド(5.0g、15mmol)、無水THF(80mL)、NaHCO(2.52g、30mmol)および90%ブロモピルビン酸エチル(1.90mL、15.1mmol)を添加した。反応混合物を70℃で2時間撹拌した後、LCMSによって分析した。冷却した反応混合物をデカントし、真空中で濃縮した。残渣をトルエン(65mL)および酢酸(1.8mL)に溶解した。溶液を還流状態で1時間撹拌した。冷却した溶液をHO(150mL×3)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、SiOカラムで100%Hx〜70%EtOAcの勾配を使用してクロマトグラフにかけて、精製された標題化合物(4.3g、収率67%)を得た。LCMS(ES):m/z=431.3、433.3[M+H]
【0121】
(実施例1d)
(2−(1−(4−ブロモフェニル)−2−(2−(2−フルオロフェニル)プロパン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)プロパン−2−オールの調製)
【0122】
【化12】

乾燥Nでパージし、添加漏斗を取り付けた250mLの丸底フラスコに、EtO中3.0MのMeMgBr(12mL、3.7当量)溶液を添加した。フラスコを0℃に冷却した後、1−(4−ブロモフェニル)−2−(2−(2−フルオロフェニル)プロパン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチル(4.22g、9.78mmol)の無水ジクロロメタン(80mL)溶液を滴下添加した。反応溶液を室温に温めながら1時間かけて撹拌した。反応溶液を、NHCl水溶液を添加することによってクエンチした。混合物を分離漏斗に注ぎ、ジクロロメタン層を分離し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、40gのSiOカラムで勾配100%Hx〜70%EtOAcを使用してクロマトグラフにかけて、標題化合物(3.19g、収率78%)を得た。LCMS(ES):m/z=417.3、419.3[M+H]
【0123】
(実施例1)
(2−(1−(3’−フルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)−5’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル)−2−(2−(2−フルオロフェニル)プロパン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)プロパン−2−オールの調製)
【0124】
【化13】

50mLの丸底フラスコに、2−(1−(4−ブロモフェニル)−2−(2−(2−フルオロフェニル)プロパン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)プロパン−2−オール(380mg、911μmol)、DME(25mL)およびHO(6mL)を添加した。溶液を、Nで10分間スパージした後、(2−フルオロ−6−(メチルスルホニル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)メタノール(360mg、1.09mmol)、炭酸カリウム(380mg、2.73mmol)およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(74mg、91μmol)を添加した。反応混合物を80℃で2時間撹拌した。冷却した反応溶液をEtOAc(30mL)で希釈し、セライトパッド付きブフナー漏斗で濾過した。濾液をNHCl水溶液(150mL×2)で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(Biotage SP−1、25gのSiOカラム、勾配溶出5%EtOAc〜100%EtOAc)によって精製して、標題化合物(100mg、収率20%)を得た。H−NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.02 (d, J = 2 Hz, 1H), 7.51 (dd, J = 2 Hz, J = 10 Hz, 1H), 7.29 (d, J = 9 2H), 7.08−7.16 (mult, 1H), 6.85−6.92 (mult, 3H), 6.77−6.84 (mult, 2H), 6.65 (s, 1H), 5.09 (d, J = 6 Hz, 2H), 3.35 (s, 1H), 3.30 (2, 3H), 3.02 (t, J = 6 Hz, 1H), 1.72 (s, 6H), 1.62 (s, 6H); 19F NMR (400 MHz, CDCl) δ −112.1, −113.5 ppm;LCMS(ES)m/z=541.3[M+H]、563.2[M+Na]
【0125】
(実施例2〜8)
以下の化合物のすべてを、適切なアニリンおよび2−(フェニル)−2−メチルプロパンニトリルを使用して、実施例1に記載のものと同様にして生成した。市販されていない場合には、当業者に容易に明らかな標準技術を使用してニトリルを生成した。
【0126】
【数5−1】

【0127】
【数5−2】

化合物2は、以下のNMRの特徴を有する。1H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.02 (s, 1H), 7.56 − 7.49 (m, 1H), 7.35 (d, J = 2.0, 1H), 7.12 − 6.96 (m, 3H), 6.68 (d, J = 8.2, 1H), 6.66 − 6.60 (m, 1H), 6.56 (s, 1H), 5.08 (d, J = 5.4, 2H), 3.36 (s, 1H), 3.29 (s, 3H), 2.92 (t, J = 7.0, 1H), 2.07 (s, 3H), 1.97 (d, J = 2.4, 3H), 1.72 (d, J = 7.4, 3H), 1.59 (s, 6H)。
【0128】
化合物3は、以下のNMRの特徴を有する。1H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.00 (m, 1H), 7.57 (d, J = 2.1, 1H), 7.55 − 7.49 (m, 1H), 7.13 (s, 1H), 7.11 (s, 1H), 7.07 (dd, J = 8.3, 2.1, 1H), 7.01 − 6.95 (m, 1H), 6.81 (d, J = 8.3, 1H), 6.59 (s, 1H), 5.09 (d, J = 5.4, 2H), 3.30 (s, 3H), 3.26 (m, 1H), 2.89 (t, J = 7.0, 1H), 2.06 (s, 3H), 1.92 (s, 3H), 1.61 (s, 3H), 1.59 (s, 3H)。
【0129】
化合物4は、以下のNMRの特徴を有する。1H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.97 (s, 1H), 7.47 (dd, J = 10.0, 1.8, 1H), 7.31 − 7.20 (m, 2H), 7.00 (d, J = 8.3, 2H), 6.92 − 6.71 (m, 3H), 6.65 (s, 1H), 5.08 (dd, J = 7.0, 1.6, 2H), 3.29 (s, 3H), 3.27 (s, 1H), 2.90 (t, J = 7.0, 1H), 1.82 (s, 6H), 1.60 (s, 6H)。
【0130】
化合物5は、以下のNMRの特徴を有する。1H−NMR (400 MHz, DMSO−d6) δ 7.89−7.90 (mult, 1H), 7.82−7.85 (mult, 1H), 7.52 (d, J = 8.6 Hz,2H), 7.16 (d, J = 8.6 Hz 2H), 7.07−7.09 (mult, 2H), 6.94−6.98 (mult, 1H), 6.80 (s, 1H), 5.55 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 4.93−4.95 (mult, 2H), 4.65 (s, 1H), 3.45 (s, 3H), 1.96 (s, 6H), 1.45 (s, 6H)。
【0131】
化合物6は、以下のNMRの特徴を有する。1H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.97 (s, 1H), 7.46 (dd, J = 9.9, 1.8, 1H), 7.23 − 7.18 (m, 1H), 7.12 (dd, J = 10.3, 1.9, 1H), 6.97 (ddd, J = 23.4, 9.0, 4.0, 2H), 6.88 − 6.79 (m, 2H), 6.61 (s, 1H), 5.08 (d, J = 5.4, 2H), 3.30 (s, 3H), 3.27 − 3.23 (m, 1H), 2.92 (t, J = 6.9, 1H), 1.61 (s, 12H)。
【0132】
化合物7は、以下のNMRの特徴を有する。1H−NMR (DMSO−d6, 400 MHz) δ 7.95−7.90 (m, 2H), 7.62 (dd, 1H, J = 11, 1.5 Hz), 7.33 (dd, 1H, J = 9.5, 1.5 Hz), 7.13−7.08 (m, 3H), 6.85 (s, 1H), 6.80−6.70 (m, 1H), 5.57 (t, 1H, J = 5.3 Hz), 4.95 (d, 2H, J = 4.3 Hz), 4.71 (s, 1H), 3.47 (s, 3H), 1.85 (s, 6H), 1.46 (s, 6H)。
【0133】
化合物8は、以下のNMRの特徴を有する。1H−NMR (DMSO−d6, 400 MHz) δ 7.96−7.90 (m, 2H), 7.49 (dd, 1H, J = 11, 1.5 Hz), 7.34 (dd, 1H, J = 9.5, 1.5 Hz), 7.20−7.10 (m, 1H), 7.05−6.94 (m, 2H), 6.90−6.75 (m, 3H), 5.57 (t, 1H, J = 5.3 Hz), 4.94 (d, 2H, J = 4.3 Hz), 4.70 (s, 1H), 3.47 (s, 3H), 1.68 (s, 6H), 1.47 (s, 6H)。
【0134】
(実施例9)
(2−(2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1−(3,3’−ジフルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)−5’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)プロパン−2−オール)
【0135】
【化14】

(実施例9a)
(2−(2,6−ジクロロフェニル)−2−メチルプロパンニトリルの調製)
【0136】
【化15】

カリウムtert−ブトキシドの1M溶液(403mL、403mmol)に、−66℃(アセトン/ドライアイス)で、無水THF(150mL)中2−(2,6−ジクロロフェニル)アセトニトリル(25.0g、134mmol)をゆっくり添加した。混合物を−66℃で20分間撹拌した。次いで、ヨードメタン(33.6mL、538mmol)を−66℃で25分かけて滴下添加した。この段階で、溶液は発熱性となり、多量の淡黄色沈殿物が観察された。懸濁物を−60℃で30分間撹拌した。反応混合物を氷水200mLでクエンチし、エーテル(3×150mL)で抽出した。有機層を混合し、ブライン150mLで洗浄し、NaSOで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した。粗生成物(30g、黄色油)を、カラムクロマトグラフィー(ISCO、330gのシリカ、ヘキサン中20%EtOAc)によって精製して、2−(2,6−ジクロロフェニル)−2−メチルプロパンニトリル(28.2g、132mmol、収率98%)を淡黄色がかった油として得た。H−NMR (CDCl, 400 MHz) δ 7.35 (d, 2H, J = 8.03 Hz ), 7.16 (t, 1H, J = 8.0 Hz), 2.09 (s, 6H); 13C−NMR (CDCl, 126 MHz) δ 134.6, 133.8, 131.4, 129.0, 124.1, 38.6, 29.2;MSm/e214.10(M+H);HPLC(XBridge 5μ C18 4.6×50mm、4mL/分、溶媒A:0.2%HPOと10%MeOH/水、溶媒B:0.2%HPOと90%MeOH/水、4分にわたり0〜100%Bの勾配):3.16分。
【0137】
(実施例9b)
(N−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(2,6−ジクロロフェニル)−2−メチルプロパンイミドアミドの調製)
【0138】
【化16】

2−(2,6−ジクロロフェニル)−2−メチルプロパンニトリル(20g、93mmol)および4−ブロモ−2−フルオロアニリン(28.4g、149mmol)を、無水o−キシレン(200mL)に溶解し、N下で100℃に加熱した。トルエン(140mL、280mmol)中トリメチルアルミニウム(2M)を、2.5時間かけて滴下添加すると同時に(1分当たり約0.9mL)、反応混合物を100℃で撹拌した。添加後、反応混合物を100℃で30分間撹拌し、次いで−5℃に冷却した。反応混合物を、酒石酸カリウムナトリウム(水100mL中20g)で非常に注意深くクエンチした(注意:ガスおよび熱形成)。反応混合物を、セライト545を介して濾過した。濾液を、1NのHCl(4×70mL)で洗浄した。水層を2NのNaOHで中和し、EtOAc(4×100mL)で抽出した。有機層を混合し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮して、粗生成物24gを得た。粗生成物を、MTBE72mLおよびヘキサン240mLを用いて再結晶化させて、N−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(2,6−ジクロロフェニル)−2−メチルプロパンイミドアミド(17.5g、43.3mmol、収率46.4%)を白色固体として得た(純度:99%)。H−NMR (MeOD, 400 MHz) δ 7.42 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.30 (m, 2H), 7.16 (t, 1H, J = 8.0 Hz), 6.93 (t, 1H, J = 8.0 Hz), 2.11 (s, 6H); 13C−NMR (DMSO−d, 100 MHz) δ 166.5, 156.1, 153.7, 140.6, 138.5, 135.9, 131.4, 128.6, 128.0, 125.7, 119.5, 112.9, 50.0, 29.2;MSm/e403.09(M+H);HPLC(XBridge 5μ C18 4.6×50mm、4mL/分、溶媒A:0.2%HPOと10%MeOH/水、溶媒B:0.2%HPOと90%MeOH/水、4分にわたり0〜100%Bの勾配):2.32分。
【0139】
(実施例9c)
(1−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−4−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルの調製)
【0140】
【化17】

トルエン(180mL)およびTHF(180mL)中N−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(2,6−ジクロロフェニル)−2−メチルプロパンイミドアミド(48.0g、119mmol)、KCO(41.0g、297mmol)の混合物に、THF24mL中3−ブロモ−2−オキソプロパン酸エチル(23.3mL、166mmol)の溶液を55℃で50分かけてゆっくり添加した。反応混合物を55℃で1.5時間維持した。白色スラリーが観察された。反応混合物を5℃に冷却した。HCl(0.5N、450mL)を滴下添加した(エンドポイントpH=9〜10)。添加後、懸濁物を0℃に冷却した。固体を濾過によって集め、水(2×50mL)で洗浄し、次いで60℃の真空オーブンで終夜乾燥させた。1−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−4−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチル(59g、114mmol、収率96%)を白色固体として得た。H−NMR (CDCl, 400 MHz) δ 7.11 (m, 3H), 6.96 (m, 2H), 6.72 (t, 1H, J = 8.28 Hz), 4.35 (m, 2H), 4.25 (d, 1H, J = 10.5 Hz), 3.80 (d, 1H, J = 10.8 Hz), 1.98 (s, 3H), 1.93 (s, 3H), 1.38 (t, 3H, J = 7.03 Hz); 13C−NMR (CDCl, 126 MHz) δ 173.0, 171.5, 159.8, 157.8, 137.3, 135.7, 132.1, 131.1, 128.1, 127.4, 125.6, 122.2, 120.1, 93.5, 62.5, 45.5, 30.2, 14.0;MSm/e517.05(M+H);HPLC(XBridge 5μ C18 4.6×50mm、4mL/分、溶媒A:0.2%HPOと10%MeOH/水、溶媒B:0.2%HPOと90%MeOH/水、4分にわたり0〜100%Bの勾配):2.74分。
【0141】
(実施例9d)
(1−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチルの調製)
【0142】
【化18】

EtOH(200mL)中1−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−4−ヒドロキシ−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチル(38g、73mmol)の混合物に、TFA(25.0g、220mmol)を添加した。その後、混合物を95℃に加熱した。2.5時間後、HPLC分析によって、<1%のアルコール中間体が残っているのが示された。混合物をCHCl300mLで希釈し、氷浴で約5℃に冷却した。混合物を1NのNaOH(120mL)で中和し、有機層を分離した。水層をCHCl(2×100mL)で抽出した。混合有機層をロータリーエバポレーターで濃縮して、粗材料を得た。EtOH(5mL/1g)中で再結晶化させて、1−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチル32gをオフホワイト色の固体として得た(収率86%)。H−NMR (DMSO−d, 400 MHz) δ 7.92 (s, 1H), 7.16 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.22 (m, 3H), 7.11(m, 1H), 7.04 (t, 1H, J = 12.0 Hz), 4.25 (q, 2H, J = 8.0 Hz), 1.94 (s, 6H), 1.27 (t, 3H, J = 8.0 Hz);MSm/e502.68(M+H);HPLC(XBridge 5μ C18 4.6×50mm、4mL/分、溶媒A:0.2%HPOと10%MeOH/水、溶媒B:0.2%HPOと90%MeOH/水、4分にわたり0〜100%Bの勾配):3.87分。
【0143】
(実施例9e)
(2−(1−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)プロパン−2−オールの調製)
【0144】
【化19】

氷/塩浴(−15〜−17℃)で冷却したTHF120mL中臭化メチルマグネシウム(60.0mL、180mmol、エーテル中3M)の混合物に、CHCl65mLおよびTHF87mL中1−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチル(30g、60mmol)の溶液を、45分かけてゆっくり添加した。内部温度を注意深く0℃未満に維持した。さらに2×20mLのCHClを使用して、残りの材料をその後洗浄した。反応混合物の温度を、1時間撹拌しながら0℃未満に維持した。次いで、反応混合物をCHCl100mLで希釈し、飽和NHClをゆっくり添加した。得られた混合物をCHCl(2×80mL)で抽出した。有機層を混合し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮して、2−(1−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)プロパン−2−オール(28.5g、58.6mmol、収率98%)を白色固体として得た。H−NMR (CDCl, 400 MHz) δ 7.13 (dd, 1H, J = 9.03, 2.01 Hz), 7.09 (s, 1H), 7.07 (s, 1H), 6.93 (m, 2H), 6.75 (t, 1H, J = 8.16 Hz ), 6.55 (s, 1H), 3.18 (s, 1H), 2.00 (s, 6H), 1.58 (s, 6H); 13C−NMR (CDCl, 126 MHz) δ 158.1, 156.1, 154.5, 147.8, 139.3, 135.7, 131.3, 130.3, 127.8, 126.9, 122.7, 119.8, 115.1, 68.7, 44.8, 31.1, 29.9;MSm/e485.05(M+H);HPLC(XBridge 5μ C18 4.6×50mm、4mL/分、溶媒A:0.2%HPOと10%MeOH/水、溶媒B:0.2%HPOと90%MeOH/水、4分にわたり0〜100%Bの勾配):2.78分。
【0145】
(実施例9)
(2−(2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1−(3,3’−ジフルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)−5’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)プロパン−2−オールの調製)
【0146】
【化20】

1Lの3つ口丸底フラスコに、窒素下で2−(1−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)プロパン−2−オール(12.0g、24.7mmol)、[2−フルオロ−6−メタンスルホニル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−メタノール(9.78g、29.6mmol)、KCO(10.2g、74mmol)、DME(120mL)および水(12mL)を添加した。混合物を60℃に加熱し、次いで1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)塩化物複合体(4.06g、4.94mmol)を窒素下で添加した。反応混合物を80℃へ30分間加熱した。得られた暗色混合物を氷浴で冷却し、CHCl200mLと水200mLにおいて分離した。有機層を混合し、NaSOで乾燥させた。濃縮した後、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ISCO、330gのシリカ、ヘキサン中0%〜100%EtOAc)によって精製して、粗生成物(収率85%)12.79gを淡黄色固体として得た。
【0147】
粗生成物9.5gをアセトン(80mL)に65℃で溶解することによって、最結晶化を実施した。得られた溶液を5時間かけてゆっくり25℃に冷却し、次いで0℃へさらに30分間冷却した。結晶は45℃で形成し始めた。固体を濾過によって集め、冷却したアセトンですすいだ。45℃のオーブンにおいて真空下で14時間乾燥させた後、純粋な生成物4.9gを得た。さらなる結晶生成物を収集するために、母液を約10mLに濃縮し、シリカパッドを通過させた。EtOAc(100mL)を使用して、化合物を溶出した。濾液を真空下で濃縮して、粗固体を得た。粗固体を、先の手順に従ってアセトン中で再結晶化させて、生成物2.5gをさらに得た。最結晶化後の2種類の収集物の混合収集物は、収率78%であった。H−NMR (DMSO−d, 400 MHz) δ 7.94 (m, 2H), 7.63 (dd, 1H, J = 11.29, 1.51 Hz), 7.34 (d, 1H, J = 9.54 Hz), 7.14 (m, 3H), 7.05 (m, 1H), 6.83 (s, 1H), 5.58 (t, 2H, J = 5.27 Hz), 4.96 (d, 2H, J = 4.27 Hz), 4.70(s, 1H), 3.46 (s, 3H), 1.96 (s, 6H), 1.45 (s, 6H);MSm/e609.16(M+H);HPLC(XBridge 5μ C18 4.6×50mm、4mL/分、溶媒A:0.2%HPOと10%MeOH/水、溶媒B:0.2%HPOと90%MeOH/水、4分にわたり0〜100%Bの勾配):2.56分。
【0148】
あるいは、実施例9を以下の通り調製した。
【0149】
1Lの3つ口丸底フラスコに、窒素下でメチルテトラヒドロフラン(「MeTHF」、6.9kg)、2−(1−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)プロパン−2−オール(1.994kg、4.1モル)および(2−フルオロ−6−(メチルスルホニル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)メタノール(1.38kg、4.19モル)を添加した。すべての固体が溶解するまで、混合物を23℃で15分間撹拌した。15分経過したら、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)(0.022kg、0.041モル)およびPd(OAc)(0.01kg、0.045モル)を、表面下のラインを介してスラリーとして添加した。添加が完了したら、混合物をさらなるMeTHF(1.65kg)ですすいだ。得られた混合物を80Torr未満まで排気し、窒素を再充填した。この過程をさらに2回反復した。脱気順序が完了した後、反応混合物を少なくとも15分間撹拌し、透明黄金色物質を観察した。別個の反応容器に、水酸化カリウム(0.352kg)の水(10.00kg)溶液を調製し、使用前に少なくとも15分間、その溶液を窒素ガスでスパージすることによって脱気した。KOH溶液(10.35kg)を、真空によって反応器に移した。反応温度は、20℃〜29℃の公知の発熱を示した。添加が完了したら、得られた二相性混合物を、一連の圧力スイングによって脱気した。混合物を45〜50℃の間に温め、少なくとも2時間撹拌した。2時間経過した後、反応混合物をHPLCによって分析すると、反応が完了したことが示された。反応混合物を23℃に冷却し、撹拌を停止した。混合物を30分間かけて分離させ、下層の使用済みKOH流を除去した。生成物を豊富に含む有機層を、1分当たり約0.1kgでチオ尿素官能化シリカゲル(0.782kg)(Silicycle)のカラムを通過させて、パラジウムを除去した。生成物を豊富に含む有機相を、5%NaHCO溶液(5体積)で洗浄し、各相を分離した。有機相を水(5体積)で洗浄し、有機相と水相を分離した。
【0150】
生成物を豊富に含む有機相を、精製濾過(polish filtered)して透明な反応容器に入れ、次いで真空下(80Torr、Tジャケット=60℃)で約8体積(約16L)に濃縮した。規定の体積になったら、反応混合物を25℃に冷却した。規定の温度になったら、反応混合物に2−(2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1−(3,3’−ジフルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)−5’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)プロパン−2−オール(0.5%、0.008kg)をシードとして入れた(seeding)。得られたスラリーを25℃で約18時間撹拌した。18時間が経過したら、反応混合物を真空下(150Torr、Tジャケット=60℃)で約8Lに濃縮した。規定の体積になったら、反応混合物を50℃に加熱し、酢酸イソプロピル(IPAc、13.90kg)を90分の間に反応器に添加した。添加が完了したら、反応混合物を25℃へ3時間冷却した。規定の温度になったら、反応混合物を室温で約16時間撹拌した。16時間経過したら、反応混合物を濾過し、脱液し、さらなるIPAc(10.4kg)で洗浄した。フィルターケーキを、乾燥窒素流の下、フィルター上で吸引によって乾燥させて、白色固体を得た。白色固体を乾燥機に移し、完全真空下において50℃で乾燥させて、生成物2.03kgを得た(収率81%、99.40AP、98wt%)。
【0151】
(実施例10)
(2−(2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1−(3,3’−ジフルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)−5’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)[(13CD]プロパン−2−オール)
【0152】
【化21】

(2−(1−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−イル[(13CD]プロパン−2−オールの調製)
【0153】
【化22】

オーブンで乾燥させたマグネシウム(86mg、3.52mmol)および無水ジエチルエーテル(3.20mL)を、アルゴン下でオーブン乾燥させた25mLの14/20丸底フラスコに移した。[13CD]−ヨードメタン(467mg、3.20mmol)を室温で添加し、33℃で1時間撹拌した。視覚的徴候によってグリニャール試薬が形成されることが示された(透明懸濁物が、起泡および発熱を伴う濁った混合物に変化した)。溶液を室温に冷却し、無水ジクロロメタン(2.60mL)中1−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−カルボン酸エチル(400mg、0.800mmol)の冷却した溶液(氷/水浴)に、カニューレを介してアルゴン下で移した。グリニャール試薬を調製したフラスコを、無水エーテル(2×400μL)ですすぎ、エチルエステルを含有するフラスコに、カニューレを介して移した。反応混合物をゆっくり室温に温め、1時間撹拌した。HPLC分析によって、<0.3%の出発材料の存在が示された。反応物を0℃に冷却し、無水ジクロロメタン(800μL)で希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液(8mL)をゆっくり注意深く添加することによってクエンチした。二層を分離し、水層をジクロロメタン(3×4mL)で抽出した。混合有機抽出物を真空中で濃縮して、粗生成物443.5mgを白色固体として得た。前述の粗生成物を、類似の反応から得た244.3mg(白色固体)と混合した。混合生成物を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(Isco RediSepカートリッジ、12g)によって精製し、ヘキサン中10〜20%EtOAcで溶出した。30mL画分を集めた。画分を、TLC(シリカ、50%EtOAc、50%ヘキサン、R=0.41)およびHPLCによって調べた。純粋な生成物を含有する画分を混合し、真空中で濃縮して、生成物531.2mgを白色固体として得た(収率90%)。H−NMR (400 MHz, CDOD) δ ppm: 6.47−7.58(m, 7H), 2.01(br s, 6H).HPLC:(YMC ODS−AQ、3μm、150×4.6mm、移動相A=HO中0.05%TFA、移動相B=ACN中0.05%TFA、0分で50%B、9分で95%B、15分で95%B、15.5分で50%B。流速=1ml/分)T=9.23分(220nmにおいて、化学的純度=98.8%)、LCMS(+イオン)m/z=487(0%)、493(59%)、495(100%)、497(47%)、498(8%)。
【0154】
(2−(2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1−(3,3’−ジフルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)−5’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)[(13CD]プロパン−2−オールの調製)
【0155】
【化23】

アルゴン下の25mLの14/20丸底フラスコに、2−(1−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)[(13CD]プロパン−2−オール(0.283g、0.572mmol)、(2−フルオロ−6−(メチルスルホニル)−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)メタノール(0.227g、0.686mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン−パラジウム(II)二塩化物ジクロロメタン複合体(0.094g、0.114mmol)、炭酸カリウム(0.237g、1.716mmol)、DME(4.30mL)および水(0.215mL)(予めアルゴンでスパージ)を添加した。混合物を、80℃へ1時間加熱した。HPLCおよびLCMS分析によって、出発材料が消費されたことが示された。反応混合物を氷水浴で冷却し、ジクロロメタン(10mL)と水(10mL)に分離した。水層をジクロロメタン(3×10mL)で抽出した。混合有機抽出物を真空中で濃縮して、643.6mgを暗色半固体として得た。
【0156】
予め2−(2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1−(3,3’−ジフルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)−5’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)[(13CD]プロパン−2−オールの調製のための類似の反応を行って、暗色固体462.3mgを得た。両方の実験からの粗生成物を混合し、ジクロロメタンに溶解し、シリカゲル上に予め吸収させた後、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(Isco RediSepカートリッジ、80g)によって精製した。フラッシュカラムを、ヘキサン中25〜50%EtOAcで溶出した。30mL画分を集めた。画分を、TLC(シリカ、50%EtOAc、50%ヘキサン、R=0.09)およびHPLCによって調べた後、純粋な生成物を含有する画分を混合し、真空中で濃縮して、2−(2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1−(3,3’−ジフルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)−5’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)[(13CD]プロパン−2−オール468.3mgを黄色固体として得た。
【0157】
この材料を、65℃のアセトン(4mL)において再結晶化することによってさらに精製し、5時間かけて25℃にゆっくり冷却し(40℃で結晶が生じ始めた)、次いで0℃へさらに30分間冷却した。固体を濾過によって集め、冷却したアセトンですすぎ、真空中で乾燥させて、標題化合物66.2mgをオフホワイト色の固体として得た。
【0158】
この第1の再結晶化からの母液を濃縮し、先に概説の手順と同じ手順を使用して、最少量のアセトン(1mL)から残渣を再結晶化させて、第2の収集物である結晶生成物276.4mgをオフホワイト色の固体として得た。
【0159】
第2の再結晶化からの母液を濃縮し、分取HPLC、T=15.0分(分取HPLC条件:Synergi Hydro−RPカラム、4μ、80Å、21.2×250mm、移動相A=HO、移動相B=ACN、0分で30%B、25分で100%B。流速=16.0ml/分。UV220nmにおける)によって精製した。
【0160】
3つの精製した単離物を混合して、2−(2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1−(3,3’−ジフルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)−5’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)[(13CD]プロパン−2−オール401.1mgを薄黄色固体として得た(収率64%)。H−NMR (400 MHz, DMSO−d)) δ ppm: 7.86−7.96(m, 2H), 7.62 (dd, J=11.33 Hz, 2.01 Hz, 1H), 7.33(dd, J=8.31 Hz, 1.76 Hz, 1H), 7.09−7.19(m, 3H), 6.99−7.09(m, 1H), 6.81(s, 1H), 5.53−5.62(m, 1H), 4.89−4.99(m, 2H), 4.67(t, J=3.15 Hz, 1H), 3.45 (s, 3H), 2.08 (残存アセトン、8 mol%), 1.95(s, 6H). 13C−NMR (400 MHz, D6−DMSO) 29.61(t, J=109.88 Hz)。
【0161】
HPLC:(YMC ODS−AQ、3μm、150×4.6mm、移動相A=HO中0.05%TFA、移動相B=ACN中0.05%TFA、0分で50%B、9分で95%B、15分で95%B、15.5分で50%B。流速=1ml/分)、T=9.66分(220nmにおいて、化学的純度=99.8%)。LCMS(+イオン)m/z=609(0%)、617(100%)、618(31%)、619(74%)、620(22%)、621(16%)、622(4.3%)、623(1.3%)。
【0162】
(実施例11〜20)
以下の化合物を、2−(フェニル)−2−メチルプロパンニトリルの代わりに様々なフェニルアセトニトリル試薬を出発材料として代用して、実施例1に記載のものと同様にして生成した。
【0163】
【数6−1】

【0164】
【数6−2】

【0165】
【数6−3】

(実施例21)
(化合物21の実施例)
【0166】
【化24】

1Lのフラスコに、2,6−ジクロロフェニルアセトニトリル25.0g(134mmol)および無水THF250mLを秤量して入れた。得られた溶液を−70℃に冷却し、THF中1.0Mのカリウムtert−ブトキシド(1.0M)134mLを添加した後、ヨードメタン(1.0当量)8.4mLを添加した。反応物を−70℃で1時間撹拌し、次いで室温へ3時間温めた。反応物を真空中で濃縮してTHFを除去し、次いで分離漏斗に入れて酢酸エチルおよび1MのHClで洗浄した。酢酸エチルを分離し、亜硫酸水素塩、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(Biotage、300gのSiO、1時間にわたり勾配溶出100%ヘキサン〜10%酢酸エチル)によって精製した。適切な画分を混合し、真空中で濃縮して、GCにより約99%の純度で、所望の生成物を無色油として得た。収量12.2g(45%)。H NMR (CDCl, 400 MHz) δ 7.36(d, J = 8 Hz, 2H), 7.22(t, J = 8 Hz, 1H), 4.84(q, J = 7 Hz, 1H), 1.07(d, J = 7 Hz, 3H)。
【0167】
化合物21を、適切なアニリンおよび2−(フェニル)プロパンニトリルを出発材料として使用して、実施例1に記載のものと同様にして生成した。
【0168】
【数7】

化合物11は、以下のNMRの特徴を有する。1H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.10 (d, J = 1.2, 1H), 7.59 (dd, J = 9.9, 1.8, 1H), 7.47 − 7.37 (m, 2H), 7.24 (dd, J = 5.3, 3.2, 2H), 7.13 (dd, J = 8.3, 2.1, 1H), 7.05 (d, J = 8.4, 1H), 6.89 (s, 1H), 5.10 (d, J = 4.4, 2H), 4.09 (s, 2H), 3.30 (s, 3H), 3.25 (d, J = 17.4, 1H), 2.86 (s, 1H), 1.63 (s, 6H)。
【0169】
化合物12は、以下のNMRの特徴を有する。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.06 (d, J = 8.7, 2H), 7.99 − 7.86 (m, 1H), 7.70 (d, J = 8.3, 1H), 7.58 (m, 3H), 7.40 (t, J = 7.6, 1H), 7.21 (d, J = 7.7, 1H), 7.13 (s, 1H), 5.57 (t, J = 5.3, 1H), 4.95 (d, J = 4.7, 2H), 4.81 (s, 1H), 4.13 (s, 2H), 3.45 (s, 3H), 1.46 (s, 6H)。
【0170】
化合物13は、以下のNMRの特徴を有する。1H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.10 (s, 1H), 7.71 (d, J = 2.0, 1H), 7.60 (dd, J = 9.9, 1.8, 1H), 7.49 (dd, J = 8.2, 2.1, 1H), 7.22 (d, J = 8.2, 1H), 7.12 (dd, J = 8.6, 6.1, 1H), 6.96 (dd, J = 8.5, 2.6, 1H), 6.89 − 6.78 (m, 2H), 5.10 (s, 2H), 4.05 (s, 2H), 3.31 (s, 3H), 3.00 (s, 1H), 2.77 (s, 1H), 1.63 (2, J = 5.5, 6H)。
【0171】
化合物14は、以下のNMRの特徴を有する。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 7.85 (t, J = 4.5, 2H), 7.70 (dd, J = 11.4, 1.8, 1H), 7.50 (dd, J = 8.3, 1.7, 1H), 7.35 (t, J = 8.2, 1H), 7.09 (dd, J = 8.8, 2.6, 1H), 7.03 − 6.80 (m, 3H), 5.35 (t, J = 5.3, 1H), 4.73 (d, J = 4.1, 2H), 4.56 (s, 1H), 3.80 (s, 2H), 3.38 (t, J = 6.4, 1H), 3.23 (s, 3H), 1.21 (s, 6H)。
【0172】
化合物15は、以下のNMRの特徴を有する。1H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.11 (d, J = 1.2, 1H), 7.72 − 7.53 (m, 3H), 7.28 (dd, J = 18.0, 4.9, 5H), 7.15 (dd, J = 8.3, 2.1, 1H), 7.05 (d, J = 8.4, 1H), 6.96 (s, 1H), 5.09 (s, 2H), 4.12 (s, 2H), 3.30(s, 3H), 3.28 (s, 1H), 2.93 (s, 1H), 1.64 (s, 6H)。
【0173】
化合物16は、以下のNMRの特徴を有する。1H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.09 (s, 1H), 7.60 (dd, J = 9.9, 1.8, 1H), 7.39 (m, 2H), 7.23 (t, J = 8, 1H), 7.18 − 7.06 (m, 2H), 7.00 (m, 1H), 6.89 − 6.81 (m, 2H), 5.10 (dd, J = 7.0, 1.6, 2H), 4.06 (s, 2H), 3.30 (s, 3H), 2.92 (t, J = 7.0, 1H), 2.70 (s, 1H), 1.64 (s, 6H)。
【0174】
化合物17は、以下のNMRの特徴を有する。1H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.10 (s, 1H), 7.64 − 7.55 (m, 3H), 7.25 (m, 2H), 7.16 − 7.00 (m, 3H), 6.92 (s, 1H), 6.81 (d, J = 7.5, 1H), 5.08 (dd, J = 7.1, 1.7, 2H), 4.02 (s, 2H), 3.28 (s, 3H), 2.90 (t, J = 7.1, 1H), 2.76 (s, 1H), 2.16 (d, J = 8.6, 3H), 1.64 (s, 6H)。
【0175】
化合物18は、以下のNMRの特徴を有する。1H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.12 (s, 1H), 7.70 − 7.59 (m, 3H), 7.45 (d, J = 8.4, 2H), 7.24 (d, J = 8.0, 2H), 7.16 − 7.07 (m, 1H), 6.85 (s, 1H), 5.10 (d, J = 5.6, 2H), 4.31 (s, 2H), 3.30 (s, 3H), 3.07 (s, 1H), 2.94 (t, J = 7.0, 1H), 1.55 (s, 6H)。
【0176】
化合物19は、以下のNMRの特徴を有する。1H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.11 (d, J = 1.1, 1H), 7.62 (ddd, J = 12.0, 8.4, 1.8, 3H), 7.28−7.26 (m, 3H), 6.97 (s, 1H), 6.93 − 6.76 (m, 2H), 5.09 (s, 2H), 4.14 (s, 2H), 3.29 (br s, 4H), 2.91 (s, 1H), 1.65 (s, 6H)。
【0177】
化合物20は、以下のNMRの特徴を有する。1H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.08 (d, J = 1.1, 1H), 7.57 (dd, J = 9.9, 1.8, 1H), 7.38 (ddd, J = 10.3, 9.2, 2.0, 2H), 7.23 − 7.17 (m, 2H), 7.18 − 7.01 (m, 3H), 6.89 (d, J = 0.7, 1H), 5.09 (s, 2H), 4.14 (s, 2H), 3.37 (s, 1H), 3.30 (s, 3H), 2.92 (s, 1H), 1.64 (s, 6H)。
【0178】
化合物21は、以下のNMRの特徴を有する。1H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.97 (s, 1H), 7.47 (dd, J = 9.8, 1.6, 1H), 7.18 (d, J = 10.6, 1H), 7.12 − 7.04 (m, 2H), 6.96 (d, J = 7.9, 2H), 6.90 − 6.81 (m, 1H), 6.79 (s, 1H), 5.13 (s, 2H), 4.94 (q, J = 7.0, 1H), 3.82 (s, 1H), 3.39 (d, J = 24.5, 1H), 3.36 (s, 3H), 1.81 (d, J = 7.1, 3H), 1.63 (s, 6H)。
【0179】
LXR(LXRαおよびLXRβ)の活性を調節する生物学的活性を有する化合物を同定するために化合物を試験する上で、標準の生理的、薬理学的および生化学的手順を利用することができる。かかるアッセイには、例えば、結合アッセイ、蛍光偏光アッセイ、FRETベースのコアクチベーターリクルートメントアッセイなどの生化学アッセイ(一般に、Glickmanら、J. Biomolecular Screening(2002年)、7巻、No.1、3〜10頁参照)、ならびに共トランスフェクションアッセイ、LBD−Gal4キメラの使用およびタンパク質−タンパク質相互反応アッセイを含む細胞ベースのアッセイ(Lehmann.ら、J. Biol Chem.(1997年)、272巻、No.6、3137〜3140頁参照)が含まれる。
【0180】
本発明の化合物は、PCT公開WO2007/002563号に開示のものなどの、当技術分野で過去に開示されている化合物を上回る予想外の利点を示す。本化合物は、以下に記載のものなどのアッセイ(複数可)において、ヒト全血における高い効力および低いLXRα効率を伴う望ましい部分LXRアゴニストの特徴を有することが示されている。さらに、本発明の化合物はまた、ヒト肝臓ミクロソームアッセイにおいて代謝安定性を示す。かかる化合物は、本明細書に論じられている1つまたは複数の疾患または障害の処置、阻害または改善においてより有用となるはずである。
【0181】
(実施例A)
(シンチレーション近接アッセイ(SPA))
SPAアッセイによって、LXRα−RXRαまたはLXRβ−RXRαヘテロ二量体へのH−24,25−エポキシコレステロールの結合によって生じた放射性シグナルを測定する。このアッセイの基礎は、シンチラントを含有するSPAビーズを使用することによって、受容体との結合により標識化リガンドがビーズに近接すると、標識からのエネルギーがシンチラントを刺激して発光するというものである。この光は、標準マイクロプレートシンチレーションリーダーを使用して測定される。リガンドが受容体に結合する能力は、化合物が、その受容体について公知の親和性を有する放射標識化リガンドと競合し得る度合いを評価することによって測定することができる。
(必要な材料)
1.標識:H−24,25−エポキシ−コレステロール(NEN Life Science Products/Perkin Elemer))
2.LXRα溶解物:粗溶解物として生成された、共に6−HISタグを伴うバキュロウイルスで発現したLXRα/RXRヘテロ二量体
3.LXRβ溶解物:粗溶解物として生成された、共に6−HISタグを伴うバキュロウイルスで発現したLXRβ/RXRヘテロ二量体
4. SPAビーズ:Ysi銅His−タグSPAビーズ(Amersham)
5.プレート:非結合表面384−ウェルプレート(Corning)
6.タンパク質溶解物希釈緩衝液:(20mMのトリス−HCl、pH7.9、500mMのNaCl、5mMのイミダゾール)
7.2×SPA緩衝液:(40mMのKHPO/KHPO、pH7.3、100mMのNaCl、0.05%Tween20、20%グリセロール、4mMのEDTA)
8.2×SPA緩衝液w/oEDTA:(40mMのKHPO/KHPO、pH7.3、100mMのNaCl、0.05%Tween20、20%グリセロール)。
【0182】
(ストック溶液)
0.5MのKHPO/KHPO、pH7.3
0.5MのEDTA、pH8.0
5MのNaCl
10%Tween−20
グリセロール。
【0183】
(タンパク質溶解物の調製)
ヒトRXRα(アクセッション番号NM_002957)、LXRα(アクセッション番号U22662)およびLXRβ(アクセッション番号U07132)についてのバキュロウイルス発現プラスミドを、標準の手順に従って適切な全長cDNAをpBacPakhis2ベクター(Clontech、CA)にクローニングすることによって生成した。pBAcPakhis2ベクターポリリンカー内への該cDNAの挿入によって、pBacPakhis1に存在するN末端ポリHisタグに対するcDNAのインフレーム融合物を作成した。正確なクローニングを、制限酵素マッピングおよび/または配列決定によって確認した。
【0184】
1Lサイズのスピナーフラスコ1個当たり総体積500mL中で、健康なSf9昆虫細胞を27℃において約1.25×10/mlの密度で感染させ、標準条件下で培養することによって細胞溶解物を調製した。LXRα溶解物を調製するために、昆虫細胞に、LXRα発現カセットをM.O.I.2.0で、RXR発現カセットをM.O.I.約1.0で共トランスフェクトした。LXRβ溶解物を調製するために、昆虫細胞に、LXRβ発現カセットをM.O.I.約2.0で、RXR発現カセットをM.O.I.約1.0で共トランスフェクトした。どちらの場合も、細胞を絶えず振とうしながら27℃で48時間インキュベートし、その後収集した。
【0185】
インキュベーション後、細胞を遠心分離によって収集し、ペレット化した。細胞ペレットを、新たに調製した2体積の氷冷抽出緩衝液(20mMのトリス、pH8.0、10mMのイミダゾール、400mMのNaCl、抽出緩衝液10ml当たりEDTAフリープロテアーゼインヒビター錠剤(Rocheカタログ番号1836170)1個を含有)に再懸濁した。
【0186】
細胞を、Dounceホモジナイザーを使用して氷上でゆっくりホモジナイズして、80〜90%の細胞溶解を達成した。そのホモジネートを、予冷したローター(Ti50もしくはTi70、または同等物)中、45,000rpmにおいて4℃で30分間、遠心分離にかけた。上清の一定分量をドライアイス上で凍結させ、定量化および品質管理まで−80℃で凍結保存した。溶解物の一定分量をSPAアッセイで試験して、ロット間の一貫性を確実にし、Ni−NTA樹脂(Qiagen)を使用して精製した後、SDS−PAGE分析を介して、タンパク質の濃度および発現レベルについて調整し、その後スクリーニングアッセイにおいて使用した。
【0187】
(スクリーニング試薬の調製)
H]24,25−エポキシコレステロール(EC)溶液:単一の384ウェルプレート(または400ウェル)について、[H]EC(比活性76.5Ci/mmol、濃度3.2mCi/mL)21μLを、2×SPA緩衝液4.4mLに添加して、最終濃度200nMにした。さらなる384ウェルプレートごとに、さらなる[H]EC19.1μLを、さらなる2×SPA緩衝液4.0mLに添加した。ウェル中の[H]ECの最終濃度は50nMであった。
【0188】
LXRα溶解物(先の通り調製した)を、タンパク質溶解物希釈緩衝液で希釈した。384ウェルプレート(または200ウェル)1個当たり、希釈したLXRα溶解物1400μLを調製し、希釈したLXRα溶解物1120μLを、さらなる384ウェルプレートごとに調製した。
【0189】
LXRβ溶解物(先の通り調製した)を、タンパク質溶解物希釈緩衝液で希釈した。384ウェルプレート(または200ウェル)1個当たり、希釈したLXRβ溶解物1400μLを調製し、希釈したLXRβ溶解物1120μLを、さらなる384ウェルプレートごとに調製した。
【0190】
SPAビーズ溶液:384ウェルプレート(または400ウェル)について、2×SPA緩衝液w/oEDTA3.75mL、HO2.25mLおよびYsi HisタグSPAビーズ1.5mL(使用前に十分にボルテックスした)を、一緒に混合した。さらなる384ウェルプレートごとに、さらなる2×SPA緩衝液w/oEDTA3.5mL、HO2.1mLおよびYsi HisタグSPAビーズ1.4mLを、一緒に混合した。
【0191】
(手順)
各化合物の適切な希釈物を96ウェルプレート内で調製し、384ウェルプレートの適切なウェル中にウェル1個当たり3.5μlをピペットで入れた。
【0192】
H]EC9.1μLを、該マルチウェルプレートの行2〜23の各ウェルに添加した。
【0193】
希釈したLXRα溶解物5μlを、該マルチウェルプレートの行2〜23の奇数列の各ウェルに添加した。
【0194】
希釈したLXRβ溶解物5μLを、該マルチウェルプレートの行2〜23の偶数列の各ウェルに添加した。
【0195】
SPAビーズ溶液17.5μLを、該マルチウェルプレートの行2〜23の各ウェルに添加した。
【0196】
該プレートを透明なシーラーでカバーし、インキュベーター内に環境温度で約30分間置いた。
【0197】
インキュベーション後、プレートを、プログラムnABASE3H_384DPMを使用する発光プレートリーダー(MicroBeta、Wallac)を使用して分析した。nABASE3H_384DPMについての設定は、以下の通りであった。
【0198】
計数モード:DPM
試料の種類:SPA
ParaLuxモード:低バックグラウンド
計数時間:30秒
LXRαおよびLXRβについてのアッセイを同じ様式で実施した。決定したKiは、少なくとも2つの独立な用量応答実験の平均を表す。化合物ごとの結合親和性を、一部位競合(one site competition)式を使用する非線形回帰分析によって決定して、IC50を決定することができる。
Y=下限値(bottom)+(上限値(top)−下限値)/(1+10X−logIC50
次いでKiを、以下のチェンおよびプルソフ式を使用して算出する。
Ki=IC50/(1+[リガンド濃度]/リガンドのKd)
このアッセイでは、一般に、リガンド濃度=50nMであり、受容体に対するECのKdは、飽和結合により決定すると200nMになる。
【0199】
本発明の化合物は、このアッセイで試験した場合、LXRαおよび/またはLXRβとの結合能を示した。
【0200】
(実施例B)
(共トランスフェクションアッセイ)
細胞ベースのアッセイにおいて、化合物がLXRの転写活性を活性化または阻害する能力を測定するために、共トランスフェクションアッセイを使用した。LXRは、RXRとのヘテロ二量体として機能することが示されている。共トランスフェクションアッセイのために、LXRαおよびLXRβの発現プラスミドを、LXR−RXRヘテロ二量体により結合される1コピーのDNA配列を含有するルシフェラーゼレポータープラスミド(LXRE;Willy, P.ら、1995年)と共に、一過性トランスフェクションによって哺乳動物細胞中に別個に導入する。LXRは、内因性RXRと共にヘテロ二量体化する。トランスフェクトした細胞をLXRアゴニストで処理すると、LXRの転写活性が増加し、これはルシフェラーゼ活性の増加によって測定される。同様に、LXRアンタゴニストの活性は、化合物がLXRアゴニストの活性を競合的に阻害する能力を決定することによって測定することができる。
【0201】
(必要な材料)
CV−1アフリカミドリザル腎臓細胞
全長LXRα(pCMX−hLXRαまたはLXRβ(pCMX−hLXRβ)を含む共トランスフェクション発現プラスミド、レポータープラスミド(LXREx1−Tk−ルシフェラーゼ)、および対照(pCMX−ガラクトシダーゼ発現ベクター)(Willeyら、Genes & Development 9巻:1033〜1045頁(1995年))
FuGENE6(Roche)などのトランスフェクション試薬
1×細胞溶解緩衝液:
22.4mMのトリシン、pH8.0
0.56mMのEGTA、pH8.0
5.6mMのMgSO
0.6%Triton X−100
5.6%グリセロール。
【0202】
10×ルシフェラーゼ基質溶液:
10mMのHEPES、pH6.5
2.75mMのD−ルシフェリン
0.75mMの補酵素A
3.7mMのATP
96mMのDTT。
【0203】
(スクリーニング試薬の調製)
CV−1細胞を、トランスフェクション当日に70%〜80%の集密度を達成するために、T−175フラスコまたは500cmディッシュ内に入れることによって、実験の24時間前に調製した。トランスフェクトする細胞の数を、スクリーニングするプレートの数によって決定した。384ウェルプレートの各ウェルには、約8,000個の細胞が必要である。DNAトランスフェクション試薬を、該試薬に提供された指示に従って、必要なプラスミドDNAをカチオン性脂質トランスフェクション試薬FuGENE6(Roche)と混合することによって調製した。最適なDNA量を、トランスフェクトする細胞株および容器のサイズによって経験的に決定した。T175cmのフラスコごとに、合計20μgのDNA、60μlのFugene 6および1mlのOptimemを混合し添加した。次いで、細胞を37℃で少なくとも5時間インキュベートして、スクリーニング細胞を調製した。
【0204】
ルシフェラーゼアッセイ試薬を、使用前に、
10×ルシフェラーゼ基質溶液1部、
1×細胞溶解緩衝液9部
を混合することによって調製した。
【0205】
(手順)
アッセイプレートを、384ウェルプレートのウェル1個当たり化合物5μLを分注して、10μMの最終化合物濃度および0.5%以下のDMSOを達成することによって調製した。培地をスクリーニング細胞から除去し、その細胞をトリプシン処理し、遠心分離により収集した細胞を計数し、体積約45μLで、先の通り調製した384ウェルアッセイプレート内のウェル1個当たり細胞約8000個の密度でプレートに入れた。化合物およびスクリーニング細胞の両方(総体積50μL)を含有するアッセイプレートを、37℃で20時間インキュベートした。
【0206】
化合物と共にインキュベーションした後、培地を細胞から除去し、ルシフェラーゼアッセイ試薬(30μL/ウェル)を添加した。環境温度で約2分経過した後、アッセイプレートを、ルミノメーター(インジェクター搭載型PE Biosystems Northstarリーダー、または同等物)で読み取った。
【0207】
LXR/LXRE共トランスフェクションアッセイを使用して、効力についてはEC50/IC50値を確立し、効率については活性百分率または阻害百分率を確立することができる。効率は、高対照((N−(3−((4−フルオロフェニル)−(ナフタレン−2−スルホニル)アミノ)プロピル)−2,2−ジメチルプロピオンアミド))または低対照(DMSO/ビヒクル)に対する化合物の活性を定義するものである。用量応答曲線は、濃度が1/2LOG単位で異なる10点曲線から作成する。各点は、384ウェルプレートからのデータの4つのウェルの平均を表す。
【0208】
このアッセイからのデータを次式にフィットさせ、それからEC50値を明らかにすることができる。
Y=下限値+(上限値−下限値)/(1+10((logEC50−X)*傾き)
したがってEC50/IC50は、アゴニストまたはアンタゴニストが、上限値(最大)と下限値(ベースライン)との中間である応答を誘発する濃度と定義される。表されるEC50/IC50値は、少なくとも2つ、普通は3つの独立な実験の平均である。アゴニストについての相対的効率または対照%の決定は、各用量応答実験において個別に測定される(((N−(3−((4−フルオロフェニル)−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ)プロピル)−2,2−ジメチルプロピオンアミド)によって達成される最大応答との比較によって行われる。
【0209】
アンタゴニストアッセイのために、LXRアゴニストを、384ウェルプレートの各ウェルに添加して、応答を誘発することができる。したがって、アンタゴニストごとの阻害%は、アゴニスト活性の阻害の測定値である。この実施例では、阻害が100%であれば、特定濃度のLXRアゴニストの活性が、DMSOのみの存在下におけるアッセイの活性と定義されるベースラインレベルまで低減されたことを示す。
【0210】
本発明の化合物を、直前に記載のLXRαアッセイで試験し、対照化合物の25%以下の効率を有することが示された。
【0211】
本発明の化合物を、直前に記載のLXRβアッセイで試験し、対照化合物の30%以上の効率を有することが示された。
【0212】
(実施例C)
(ヒト全血アッセイ)
ヒト全血を、EDTAを含有する試験管に採取し、一定分量0.5mLを、96ウェルブロック内で、0.5%DMSO中適切な連続希釈の試験化合物とすぐに混合した。化合物を、一定の揺動により37℃において4時間、血液と共にインキュベートした。インキュベーション後、細胞をABI核酸精製溶解溶液(Applied Biosystemsカタログ番号4305895)で溶解し、−80℃で凍結させた。細胞溶解後、すべてのRNAを、ABI6100RNAプレップステーションを使用して、製造者によって提供されたプロトコルに従って精製した。cDNAを合成し、ABI Prism 7900HT Sequence Detection SystemでSYBR−Green Quantitative PCR(Q−PCR)を使用し、Quanta Bioscience Incの試薬(Quanta Bioscienceカタログ番号95047および95055)を使用して、mRNAを定量化した。
【0213】
【表2−1】

各mRNAの量を、ΔΔCT法(Michael W. Pfaffl. A new mathematical model for relative quantification in real−time RT−PCR. Nucleic Acids Research、2001年、29巻、No.9e45)によって決定し、2つの対照mRNA、すなわちリボソームタンパク質L−30(L−30)およびβ−2−ミクログロブリン(B2M)の量に対して正規化した。試験化合物によるABCA1およびABCG1の誘導を、参照化合物である2−(4−(5−(5−シアノ−1−(2,4−ジフルオロベンジル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル)チオフェン−2−イル)−3−メチルフェニル)酢酸の百分率としてグラフ化し、効力(EC50)および活性(%MAX)を、XLFitソフトウェアを使用して等式y=A+((B−A)/(1+((C/x)^D)))に従って、対数変換した化合物濃度の関数としてシグモイド型応答曲線にフィットすることによって算出した。完全LXRαおよびLXRβパンアゴニストである2−(4−(5−(5−シアノ−1−(2,4−ジフルオロベンジル)−6−オキソ−4−(トリフルオロメチル)−1,6−ジヒドロピリジン−2−イル)チオフェン−2−イル)−3−メチルフェニル)酢酸(EC501〜2μM)を参照化合物として使用し、その最大活性を100%と定義した。
【0214】
本発明の化合物を、直前に記載のアッセイで試験し、一般に1,000nM未満、好ましくは100nM未満、より好ましくは20nM未満の効力を有することが示された。
【0215】
(実施例D)
(ヒトミクロソームにおけるハイスループット(HT)代謝安定性)
代謝安定性アッセイは、ヒト肝臓ミクロソームを使用して10分間インキュベーションした後、インビトロでのCYP媒介性代謝安定性を評価する。
【0216】
試験化合物を、100パーセントDMSO中3.5mMのストック溶液として受け取る。化合物を希釈して、1.4%DMSOを含有する50μMアセトニトリル(ACN)溶液を作成し、次いでそれを、ヒト肝臓ミクロソームを用いるインキュベーションのために、100×ストック溶液として使用する。各化合物を二連で試験する。化合物、NADPHおよび肝臓ミクロソームの溶液を、インキュベーションのために以下の3つのステップで混合する。
1)肝臓ミクロソーム懸濁物152μl、100mMのNaP、pH7.4、5mMのMgCl緩衝液中タンパク質濃度1.1mg/mlを、37℃で予め温める。
2)50μMの化合物(98.6%ACN、1.4%DMSO)1.7μlを、同じ試験管に添加し、37℃で5分間、予めインキュベートする。
3)100mMのNaP、pH7.4中、予め温めた10mMのNADPH溶液17μlを添加することによって、反応を開始する。
【0217】
反応成分を十分に混合し、75μlをクエンチ/停止溶液150μlにすぐに移す(0時点、T)。反応物を37℃で10分間インキュベートし、次いでさらなる一定分量75μlをクエンチ溶液150μlに移す。100μMのDMNを含有するアセトニトリル(注入品質管理のためのUV標準)をクエンチ溶液として使用して、代謝反応を停止させる。
【0218】
クエンチした混合物を、Allegra X−12遠心分離機、SX4750ローター(Beckman Coulter Inc.、カリフォルニア州フラートン)により、1500rpm(約500×g)で15分間遠心分離にかけて、変性ミクロソームをペレット化する。次いで、親化合物およびその代謝産物の混合物を含有する体積90μlの上清抽出物を、UV−LC/MS−MS分析のために別個の96ウェルプレートに移して、混合物中に残っている親化合物の百分率を決定する。
【0219】
(UV−LC/MS−MS試料分析−構造的完全性の事前分析)
代謝安定性、構造的完全性の事前分析を使用して、アッセイする化合物の純度を評価する。化合物を、3.5mMのDMSO溶液57μlとして96ウェルプレートに入れる。3.5mMの化合物のDMSOストック溶液を、等体積のアセトニトリル、イソプロパノールおよびMilliQ−HOを含有する溶液で18倍希釈する。得られた溶液(200μM)を、Thermo LCQ Deca XP Plusイオントラップ質量分析計のLC−UV/MSによって、Waters Sentry 2.1mmのガードカラムを備えたWaters XBridge C18、5μm、2×50mmカラムおよび以下の表に記載のLC条件を使用して、注入5μlおよび流速1ml/分により構造的完全性について分析する。得られたデータは、220nmのUV吸収による純度を反映している。純度が50%を超える化合物についての結果だけを報告する。
【0220】
【表3】

構造的完全性の事前分析のための移動相:(A)98%水、2%アセトニトリルと10mMの酢酸アンモニウム;(B)10%水、90%アセトニトリルと10mMの酢酸アンモニウム。
【0221】
(試料分析−インキュベートした試料)
MS/MS条件の最適化を、加熱エレクトロスプレー(H−ESI)源を備えたThermo TSQ Quantum三連四重極質量分析計で自動注入によって実施して、SRM遷移およびそれらの対応する衝突エネルギー値を得る。1:1のメタノール:水中20μMの濃度の化合物溶液を、流速90μL/分で注入し、次いで流速50μL/分で移動相と混合した後、上記供給源に導入する。すべての化合物を、まず移動相AおよびB(50%Aおよび50%B)を使用して最適化し、必要に応じて移動相CおよびD(やはり50:50組成物を用いる)を使用する。極性、SRM遷移および衝突エネルギーを含む最適化したパラメーターを、Microsoft Accessデータベースに保存する。
【0222】
自動注入から得られる質量分析条件を使用して、代謝安定性アッセイからのインキュベーション試料を分析する。注入体積は5μlであり、流速は0.8ml/分である。使用する勾配を、以下の表に示す。すべての試料を、まず移動相AおよびBを使用する勾配により注入する。必要に応じて(例えば、クロマトグラフィーによる理由のため)、試料を、移動相CおよびDを使用する同じ勾配により再注入する。すべてのLC−MS/MS分析パラメーターを、生データファイルに電子的に取り込む。
【0223】
【表4】

反応試料分析のための移動相:(A)98%水、2%アセトニトリルと0.1%ギ酸;(B)2%水、98%アセトニトリルと0.1%ギ酸;(C)水中0.1%水酸化アンモニウム;(D)アセトニトリル中0.1%水酸化アンモニウム。
【0224】
Xcalibur(商標)ソフトウェアを用いてピーク積分を実施する。残りの百分率の算出は、化合物ごとにT10分の試料のLC−MS/MSピーク面積をT0分の試料のLC−MS/MSピーク面積と比較することによって実施する。
【0225】
本発明の化合物を、直前に記載のアッセイで試験し、10分において80%を超える残りの親化合物を有することが示された。
【0226】
以下の表1は、LXRαのEC50および効率を測定するLXR/LXRE共トランスフェクションアッセイ、参照化合物に対する、LXRに結合しABCA1遺伝子発現を誘導する化合物の能力を測定するヒト全血アッセイ(hWBA)、ならびにミクロソーム代謝安定性アッセイの結果を示す。EC50値は、Aが≦100nMであり、Bが101nM〜<1,000nMであり、Cが>1,000nMである範囲において得られる。
【0227】
【表1−1】

【0228】
【表1−2】

【0229】
【表1−3】

先の代表的なデータは、本発明の化合物の予想外の望ましい部分LXRアゴニストの特徴、ヒト全血における高い効力、低いLXRα効率およびヒト肝臓ミクロソームアッセイにおける代謝安定性を、PCT公開WO2007/002563号に開示の化合物などの当技術分野で過去に開示されている化合物と比較して示すものである。
【0230】
(実施例E)
(カニクイザルにおけるインビボ効力およびABCG1の最大誘導)
本発明の化合物をカニクイザルに経口投与して、血液細胞中のLXR標的遺伝子であるABCG1のmRNAを誘導するそれらの化合物の能力について試験した。
【0231】
試験化合物を、0.5%カルボキシメチルセルロース(CMC、Sigma)および2%Tween 80(Sigma)中、研和によって処方した。各処理群は、試験開始時にそれぞれ3.0〜6.0kgの体重の3匹の雄性サルを含んでいた。試験化合物を、ビヒクル中、毎朝新しく処方し、前夜絶食させた動物に、強制経口投与(po gavage)によって7AM〜7:30AMの間に投与した。ベースラインの血液細胞mRNAの決定のために、EDTA乾燥コーティング試験管に静脈血1mlを採取し、カルシウムまたはマグネシウムを含まないダルベッコリン酸緩衝食塩水1体積と、核酸精製溶解溶液(Applied Biosystems,Inc.)2体積を添加した。試料を、RNAの単離および分析の前に−80℃で凍結させた。試験化合物を、ベースラインの試料採取後に投与した。投与の5時間後、静脈血を採取し、RNAを決定するために先の通り処理した。追加の血液0.5mlをさらに採取し、化合物の血漿濃度について分析した。
【0232】
RNA単離。凍結した試料を室温で解凍し、次いで氷上に置いた。全RNAを、製造者の指示(ABIマニュアル番号4332809Rev.B)に従って、組込み済みのプロトコルを使用して、ABI6100により単離した。
【0233】
cDNAの合成およびQ−PCR反応。Quanta Biosciences,Inc.製のqScript cDNA合成キットを使用して、それぞれの全RNA試料から第1鎖cDNAを作成した。20μlでの反応を、96ウェルのEppendorf AG twin−tec PCRプレート中、MJ Research,Inc.モデルPTC−200DNA Engineで実施した。反応ごとに全RNA約500ngを使用した。反応物は、以下の通り構成されていた。5×q−Script反応ミックス4μlとヌクレアーゼフリー水3〜5μlとq−Script逆転写酵素1μlとインプットRNA10〜12μl。それらを混合した後、反応物を室温で2分間、3750rpmで遠心分離にかけ、MJ Researchサーモサイクラー中、「q−Script」プロトコル(25℃で5分間、その後42℃で30分間、次いで85℃で5分間)を実施した。各反応物を、ヌクレアーゼフリー水30μlで希釈し、SYBR−green Q−PCRですぐに使用するか、または−20℃で保存した。SYBR−Green Q−PCR反応を、以下の通り実施した。LXR標的遺伝子、ABCG1および内部標準正規化遺伝子であるリボソームタンパク質L30の反応混合物を、検証済み順方向/逆方向プライマーのセット[ABCG1(X−Mmul−ABCG1−F1およびX−Mmul−ABCG1−R1);リボソームタンパク質L30(SYBR−hL30−F1およびSYBR−hL30−R1)]を使用して調製した。これらのプライマーのセットの配列に関する情報は、L30(プライマーバンク番号4506631a1)については「プライマーバンク」のウェブサイト(http://pga.mgh.harvard.edu/primerbank/index.html)から、ABCG1(Mmul_ABCG1.TaqMan F1/R1)についてはExelixis,Inc.(USA、カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)から得た。
【0234】
【化25】

SYBR−Green反応物を以下の通りアセンブルした。反応1回当たり、2×PowerSYBR(登録商標)Green Supermix(Applied Biosystemsカタログ番号4367659)10μlと、10μMの遺伝子特異的順方向/逆方向プライマーミックス(プライマーの最終濃度は、それぞれ500nMである)2μlと、水4μlを、希釈したRT反応物4μlと一緒に混合した。反応ミックスを、室温で2分間、3750rpmで遠心分離にかけ、Applied Biosystemsモデル7900HT SDS−Taqman Systemにかけた。
【0235】
相対的なmRNA量の算出、ならびにインビボ化合物効力および最大活性。ABCG1のmRNAの相対的な量を、二次導関数比較Ct法(2−ΔΔCt)を使用して算出した。リボソームタンパク質L30のmRNAに対して正規化した後、定量化を得た。各試料を二連で試験し、算出には平均Ctを使用した。
【0236】
カニクイザルにおける化合物のインビボ効力の算出。投与の5時間後におけるそれぞれ個々の動物の、血漿中の試験化合物の濃度を、すべての投与群について投与の5時間後における動物ごとの、血液細胞中のABCG1のmRNAの誘導倍率対ベースラインに対してプロットした。すべての投与群からのデータは、各化合物について、同じプロット上に含まれていた。各化合物についてのインビボ効力(EC50)およびABCG1のmRNAの最大誘導を、シグモイド用量応答式(Graphpad Prism 4.03ソフトウェア)を使用して非線形曲線フィッティングによって決定した。
【0237】
LC/MS/MSによる血漿化合物濃度の定量化。以下は、カニクイザルの血漿中の試験化合物を定量化するために使用したタンデム質量分析(LC/MS/MS)ベース生体分析法による液体クロマトグラフィーの詳細である。
【0238】
試験化合物のLC/MS/MS分析を、1〜5000nMの範囲の標準曲線に対して実施した。平方の逆数(1/x)によって重み付けした線形回帰で標準曲線をフィットした。標準物を単一複製物で分析した。品質管理用試料を、生物学的ブランクマトリックス中、標準曲線範囲内の3つの濃度で調製し、分析用の各セット内の複製物として分析した。QCが75%を超えると決定された濃度は、それらの名目値の20%以内であった。
【0239】
試料の調製を、Janus 8チップおよびJanus Mini 96チップの自動リキッドハンドラーで実施した。インビボ研究からの一定分量(50μL)の生物学的マトリックス(血漿)および標準/QC試料を、200nMの2つの内部標準(IS)を含有する未調整のpH9.2の水中1M炭酸アンモニウム(50μL)で処理し、その後メチルt−ブチルエーテル(MTBE)300μLで処理し、40充填−排出チップ反復(fill−expel tip repetition)を用いて約3分間液体−液体抽出(LLE)することによって分離した。次いで、水層および有機層を、3900rpmで2分間、遠心分離にかけた。最上有機層である抽出溶媒MTBE(250μL)を取り出して、別の清浄な96ウェルプレートに入れ、窒素蒸発器内に40℃で15分間置いて乾燥させた。一定分量(100μL)を使用して、1:1のアセトニトリル/水からなる移動相で乾燥抽出物を再構成した。一定分量10μLを、まずTurboflow高速液体クロマトグラフィー(HTLC)抽出カラム上に注入し、次いでLC/MS/MSベース分析のために第2の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)カラム上に溶出した。
【0240】
すべての分析で使用したLCシステムは、分析中に試料を10℃に維持する冷却スタックを備えた、8つのShimadzu LC10ADポンプと2つのSCL−10AVPシステム制御装置(USA、メリーランド州コロンビア)および双腕CTC Analytics HTS PALオートサンプラー(スイス)からなるAria TX−2(Thermo Scientific、USA、マサチューセッツ州ウォルサム)HPLCシステムであった。HPLCオンライン抽出カラムは、Cyclone−P混合ポリマー(0.5×50mm、50μMの粒子、Thermo Scientific、USA、マサチューセッツ州ウォルサム)とし、これを室温で維持した。使用したHPLC C18分析カラムは、XBridge C18(2.1mm×50mm、5μMの粒子、Waters Corporation、USA、マサチューセッツ州ミルフォード)とし、これを室温で維持した。水中0.1%ギ酸(A)およびアセトニトリル中0.1%ギ酸(B)からなる移動相を、流速1.5mL/分でHTLCオンライン抽出カラムに通液し、0.5mL/分でHPLC C18分析カラムに通液した。これらの流速は、0.5〜1.0分の移送ステップ中で変化する。試験化合物および内部標準の保持時間を記録した。全分析時間は5.0分であった。勾配を以下の表にまとめる。
【0241】
【表5】

【0242】
【表6】

【0243】
【表7】

すべての分析で使用した質量分析計は、正イオンおよび負イオン化モードの両方で操作される、加熱エレクトロスプレーインターフェースを備えたFinnigan Quantum Ultraタンデム質量分析計(Thermo Scientific、USA、マサチューセッツ州ウォルサム)であった。超高純度(UHP)窒素を、シースガスおよび補助ガスとして、シースガスについては流速55psiで、補助ガスについては25単位で使用した。脱溶媒和温度は350℃であり、供給源温度は350℃であった。各分析物の検出を、選択反応モニタリング(SRM)によって達成した。正イオン化モードを使用して、試験化合物および内部標準を定量化した。四重極2の衝突セル中、圧力1.5×10−3torrのUHPアルゴンを維持した。本発明の化合物およびその内部標準についてモニタした遷移を記録した。
【0244】
カニクイザルにおける試験化合物のインビボ効力、および投与の5時間後の血漿化合物濃度対投与の5時間後のmRNA誘導倍率のプロットから得られたABCG1の最大誘導を、以下の表2に示す。
【0245】
【表2−2】

本発明の実施例4および9は、カニクイザルにおける投与後、当技術分野で公知の化合物よりも約4〜60倍強力である。同様に、実施例4および9は、当技術分野で公知の化合物では約12倍であるのと比較して、最大約6倍および9倍まで血中のABCG1のmRNAを誘導し、したがってカニクイザルの血液において部分LXR活性を示す。
【0246】
本明細書に記載の実施例および実施形態は、単に例示目的であり、様々な改変または変更がそれらに照らして当業者には提案され、本願の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲に組み込まれることを理解されたい。本明細書に引用したすべての刊行物、特許文書および特許出願文書は、あらゆる目的で参照によって本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
【数8−1】

【数8−2】

から選択される、化合物、その同位体または薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
【数9】

から選択される、請求項1に記載の化合物、その同位体または薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
【数10】

から選択される、請求項1に記載の化合物、その同位体または薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
【数11】

から選択される、請求項1に記載の化合物、その同位体または薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
2−(1−(3−クロロ−3’−フルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)−5’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル)−2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)プロパン−2−オールである化合物、その同位体または薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
2−(2−(2−(2−クロロ−3−フルオロフェニル)プロパン−2−イル)−1−(3’−フルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)−5’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)プロパン−2−オールである化合物、その同位体または薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
2−(2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1−(3’−フルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)−5’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)プロパン−2−オールである化合物、その同位体または薬学的に許容されるその塩。
【請求項8】
2−(2−(2−(2,6−ジクロロフェニル)プロパン−2−イル)−1−(3,3’−ジフルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)−5’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル)−1H−イミダゾール−4−イル)プロパン−2−オールである化合物、その同位体または薬学的に許容されるその塩。
【請求項9】
2−{2−[1−(2,6−ジクロロフェニル)エチル]−1−[3,3’−ジフルオロ−4’−(ヒドロキシメチル)−5’−(メチルスルホニル)ビフェニル−4−イル]−1H−イミダゾール−4−イル}プロパン−2−オールである化合物、その同位体または薬学的に許容されるその塩。
【請求項10】
請求項1から9に記載の化合物および1つまたは複数の薬学的に許容されるキャリアを含む、組成物。
【請求項11】
疾患または障害を処置する方法であって、治療有効量の請求項1から9に記載の化合物を、処置を必要としている被験体に投与するステップを含み、該疾患または障害は、アテローム性動脈硬化症、インスリン抵抗性、変形性関節症、脳卒中、高血糖症、脂質異常症、乾癬、加齢およびUV曝露関連の皮膚のしわ、糖尿病、がん、アルツハイマー病、炎症、免疫学的障害、脂質障害、肥満、黄斑変性症、表皮のバリア機能の乱れを特徴とする状態、表皮もしくは粘膜の分化撹乱もしくは過剰増殖状態、または心血管障害である、方法。
【請求項12】
前記疾患または障害が、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、アルツハイマー病または脂質異常症である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記疾患または障害がアテローム性動脈硬化症である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記疾患または障害が糖尿病である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記疾患または障害がアルツハイマー病である、請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2012−528180(P2012−528180A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513215(P2012−513215)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/036211
【国際公開番号】WO2010/138598
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(312005304)エグゼリクシス パテント カンパニー エルエルシー (1)
【出願人】(510149389)ブリストル−マイヤーズ・スクイブ・カンパニー (5)
【Fターム(参考)】