説明

MXD3遺伝子の発現阻害による肥満の抑制

【課題】 肥満抑制剤の候補物質を同定する方法を提供すること。
【解決手段】 試験物質を細胞と接触させ,細胞におけるMXD3遺伝子の発現を測定し,そして,試験物質と接触させたときに接触させていないときと比較してMXD3遺伝子の発現が抑制されている場合に,その試験物質を肥満抑制剤の候補物質として選択することにより,肥満抑制剤の候補物質を選択する方法が開示される。好ましくは,試験物質と細胞との接触は,ゼブラフィッシュに試験物質を投与することにより行う。この方法により同定された物質は,肥満の抑制剤ならびに中性脂肪の低下剤の有効成分として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,肥満抑制剤のスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満は体重や体脂肪が増加した状態であるが,放置すると血管障害,糖尿病,脂質異常症,高血圧症等を発症し重大な合併症により死に至る病態である。食事療法,運動療法,薬物療法,行動療法,外科療法等が試みられているが,治療効果は不十分である。この中でも薬物療法は,現時点で膵臓リパーゼ阻害薬,選択的セロトニン/ノルエピネフリン再取り込み阻害薬,ノルアドレナリン作用薬等,その標的分子が限られており,臨床的効果も限界がある。
【0003】
従来の治療法には,多くの重大な問題点が認められる。食事療法,運動療法,行動療法などは,有効性において多くの問題点を残している。外科療法は,手術によるリスクや術後の合併症や副作用が問題点となる。薬物療法は限られた薬理ターゲット分子による治療であるため,有効性や副作用に深刻な問題点を残している。今後薬物療法の有効性を改善し,深刻な副作用を軽減するためには,新しい治療遺伝子を標的にした治療戦略の開発が不可欠である。
【0004】
その発現を阻害することにより肥満を抑制することができるということが発見されている遺伝子としては,MITF(microphthalmia transcription factor)がある。また,肥満に関連した遺伝子として,遺伝子RPL19,POMC,PC2,Prolactin,Leptin Rec.,HSG P25L2G_lが報告されている(WO2001/029071)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2001/029071
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は,肥満抑制剤のスクリーニング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは,体重増加や脂肪増加とMXD3遺伝子の発現との間に相関があること,およびその発現機能を阻害することにより,肥満の重要な病態指標である体重,体脂肪,血清中性脂肪の増加を抑制することを見出した。
【0008】
すなわち,本発明は,肥満抑制剤の候補物質を選択する方法であって,
試験物質を細胞と接触させ,
細胞におけるMXD3遺伝子の発現を測定し,そして,
試験物質と接触させたときに接触させていないときと比較してMXD3遺伝子の発現が抑制されている場合に,その試験物質を肥満抑制剤の候補物質として選択する,
の各工程を含む方法を提供する。
【0009】
別の観点においては,本発明は,肥満抑制剤の候補物質を選択する方法であって,
ゼブラフィッシュに試験物質を投与し,
MXD3遺伝子の発現を測定し,そして,
試験物質を投与したときに投与していないときと比較してMXD3遺伝子の発現が抑制されている場合に,その試験物質を肥満抑制剤の候補物質として選択する,
の各工程を含む方法を提供する。
【0010】
さらに別の観点においては,本発明は,MXD3遺伝子に対するアンチセンス・オリゴヌクレオチド,MXD3遺伝子に対するリボザイム,MXD3遺伝子に対するsiRNAからなる群より選択される物質を有効成分として含有する肥満抑制剤を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスクリーニング方法により選択された物質は,肥満の抑制,体重増加の抑制,中性脂肪の低下作用を有する薬剤の候補物質として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は,肥満誘導したゼブラフィッシュにおけるMXD3遺伝子の発現量を示す。
【図2】図2は,MXD3遺伝子特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与した肥満誘導ゼブラフィッシュの体重の変化を示す。
【図3】図3は,MXD3遺伝子特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与した肥満誘導ゼブラフィッシュの血漿中性脂肪値を示す。
【図4】図4は,MXD3遺伝子特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与した肥満誘導ゼブラフィッシュの脂肪組織量を示す。
【図5】図5は,MXD3遺伝子特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与した肥満誘導ゼブラフィッシュにおけるCAV,CD36およびアジポネクチンb遺伝子の発現量を示す。
【図6】図6は,MXD3遺伝子特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与した肥満誘導ゼブラフィッシュにおけるPPARGおよびCEBPA遺伝子の発現量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明においては,ゼブラフィッシュに肥満誘導を行うと腹腔内脂肪組織内のMXD3遺伝子発現量が増加し,食事制限を行うと低下することが見いだされた。また,下記の実施例に示されるように,肥満誘導したゼブラフィッシュにMXD3遺伝子に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与すると,体重増加や腹腔内脂肪組織量の増加が抑制され,脂肪組織関連遺伝子発現量が減少することが見いだされた。これらの結果から,MXD3遺伝子は肥満の治療標的となりうること,およびMXD3遺伝子の発現の抑制を指標として,肥満抑制剤の候補物質を同定しうることが明らかとなった。
【0014】
MXD3は,MAD3またはMGC2383とも称され,Mycスーパーファミリーに属する転写制御因子である。ヒトのMXD3の遺伝子および蛋白質の配列はNCBI: NM_001142935.1に記載されている。この蛋白質は,補因子MAXとともにヘテロダイマーを形成し,標的遺伝子のプロモータに結合してその転写を調節する。MAX−MXD3複合体を解離させると細胞増殖の制御が異常となるため,MXD3は腫瘍発生に関与することが示唆されている。これまで,MXD3遺伝子または蛋白質の発現と肥満や脂肪細胞の増殖との関連性についての示唆はない。
【0015】
スクリーニング方法
1つの観点においては,本発明は,多様な試験物質から,肥満抑制剤の候補物質をスクリーニングする方法を提供する。この方法は,試験物質が試験管内または細胞内でMXD3遺伝子の発現を阻害する能力を測定することにより評価することができる。試験物質がMXD3遺伝子の発現を阻害する能力は,試験物質をMXD3遺伝子を発現する細胞と接触させて,MXD3のmRNA量または蛋白質量を測定することにより評価することができる。試験物質と接触させたときに,接触させないときと比較してMXD3遺伝子の発現が抑制されれば,その試験物質は肥満抑制剤の候補物質であると考えられる。
【0016】
試験物質は,種々の合成または天然の化合物ライブラリー,コンビナトリアルライブラリー,オリゴヌクレオチドライブラリー,ペプチドライブラリー等のライブラリーから得ることができる。また,細菌,真菌類,藻類,植物,動物等の天然物からの抽出物やその部分精製物を試験物質として用いてもよい。
【0017】
MXD3遺伝子の発現を測定するためには,RT-PCR法,RNA増幅法,ISH(in situ hybridization)法,ISP(in situ PCR)法,レーザーマイクロダイセクション法,レーザーキャプチャーマイクロダイセクション法(LCM)などの,当該技術分野においてよく知られる遺伝子発現分析法を用いることができる。また,MXD3の蛋白質量は,抗MXD3抗体を用いるELISA法やウエスタンブロット法などにより測定することができる。ヒト,ラット,マウス,ゼブラフィッシュなどのMXD3蛋白質およびこれをコードする遺伝子の配列は公表されている。
【0018】
MXD3遺伝子を発現する細胞としては,各種の組織に由来する初代培養組織や培養細胞株などの任意のものを用いることができる。MXD3遺伝子を強制発現させるよう遺伝子組換えされた細菌,酵母,昆虫細胞,動物細胞等を用いてもよい。
【0019】
1つの好ましい態様においては,試験物質をゼブラフィッシュに投与して,MXD3遺伝子の発現を調べる。ゼブラフィッシュ(属名Danio,例えばDanio rerio)とはインド原産の小型の熱帯魚である。主要臓器・組織の発生・構造などがヒトと良く似ているうえ,身体が透明であるため各種臓器および血管の形態を肉眼で観察することができるため,モデル動物として新薬候補化合物のスクリーニングに用いるのに適している。
【0020】
本発明の方法には,通常の飼育条件で飼育したゼブラフィッシュを用いてもよく,あるいは,高脂肪餌を与えて肥満誘導したモデルゼブラフィッシュを用いてもよい。試験物質をゼブラフィッシュに投与する方法としては,候補物質が水溶性である場合には飼育水中に溶解すればよく,水不溶性である場合には適当な界面活性剤との複合体またはエマルジョンの形で飼育水中に懸濁すればよい。あるいは,ゼブラフィッシュの餌に混ぜて経口投与してもよく,注射などにより非経口投与してもよい。
【0021】
本発明のスクリーニング方法にゼブラフィッシュを用いることの利点は,試験物質がMXD3遺伝子の発現に及ぼす影響を測定できると同時に,毒性試験も行うことができることである。さらに,体重の変化,脂肪組織量の変化,心臓などの各種臓器の形態や機能の変化,各種マーカー遺伝子の発現量も測定することができる。
【0022】
このようにして,本発明のスクリーニング方法により選択された物質は,肥満の抑制,体重増加の抑制,中性脂肪の低下作用を有する薬剤の候補物質として有用である。
【0023】
肥満抑制剤
別の観点においては,本発明は,MXD3遺伝子の発現を阻害する物質を有効成分として含有する肥満抑制剤を提供する。遺伝子の発現を阻害しうる阻害剤としては,例えば,
アンチセンスオリゴヌクレオチド,リボザイム,RNA干渉(RNAi)を引き起こす分子(例えば,dsRNA,siRNA,shRNA,miRNA)等の,MXD3遺伝子の発現(転写および/または翻訳)の抑制剤を挙げることができる。このような核酸は,MXD3の既知のヌクレオチド配列情報に基づいて容易に設計し製造することができ,MXD3遺伝子またはMXD3をコードするmRNAに結合しその発現を阻害することができる。アンチセンス,リボザイム技術およびRNAi技術を用いて遺伝子発現を制御する一般的方法,またはこのようにして外因性遺伝子を発現させる遺伝子治療方法は当該技術分野においてよく知られている。
【0024】
アンチセンスオリゴヌクレオチドとは,MXD3をコードするmRNAと相補的な配列を有する核酸分子またはその誘導体を表す。アンチセンスオリゴヌクレオチドは,mRNAと特異的に結合し,転写および/または翻訳を阻害することにより蛋白質の発現を阻害する。結合はワトソン・クリックまたはフーグスティーン型の塩基対相補性によるものでもよく,トリプレックス形成によるものでもよい。
【0025】
リボザイムとは,標的とする核酸配列を切断しうる触媒的特性を有するRNA分子を表す。リボザイムは,一般に,エンドヌクレアーゼ,リガーゼまたはポリメラーゼ活性を示す。種々の二次構造のリボザイム,例えばハンマーヘッドタイプおよびヘアピンタイプのリボザイムが知られている。RNA干渉(RNAi)とは,二本鎖RNA分子を用いて標的遺伝子をサイレンシングする手法をいう。
【0026】
本発明の肥満抑制剤は,被験者にそのまま投与することも可能であるが,通常,医薬で用いられる担体を用いて製剤して投与する。製剤に用いる担体としては,製剤分野で常用されるいずれのものをも用いることができ,例えば,滅菌水,生理食塩水,賦形剤,安定剤,酸化防止剤,緩衝剤,界面活性剤,結合剤等が好ましく用いられる。さらに,本発明の肥満抑制剤をマイクロカプセルや高分子ゲル中に封入して,徐放性製剤としてもよい。本発明の肥満抑制剤の投与経路としては,経口投与,静脈内投与,皮内投与,皮下投与,筋肉内投与,体腔内投与等が挙げられる。投与量は,肥満抑制剤の種類や投与経路,疾患の程度等に応じて適宜選択されるが,通常,0.1μg〜1000mg/Kg,好ましくは,1μg〜10mg/Kgである。
【実施例】
【0027】
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが,本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0028】
実施例1 肥満誘導ゼブラフィッシュにおける腹腔内脂肪組織のMXD3遺伝子発現
ゼブラフィッシュ成魚(AB系統,受精後4ヶ月齢,オス)に,1匹あたりアルテミア60mg/日をエサとして与え(肥満誘導),1週間後と2ヶ月後の腹腔内脂肪を回収した。さらに肥満誘導2ヶ月後,食事制限実験として,アルテミア2.5mg/日に減らした状態にして2週間飼育し,腹腔内脂肪を回収した。回収した脂肪組織からRNeasy Lipid Tissue Mini Kit(キアゲン社)を用いて,total RNAを精製,Super Script III(インビトロジェン社)を用いて,cDNAを合成し,MXD3遺伝子発現量を定量的PCR法にて測定した。
【0029】
ゼブラフィッシュMXD3遺伝子特異的モルフォリノアンチセンスオリゴヌクレオタイドの配列は,National Center for Biotechnology Informationに掲載されている,LOCUS NM_201056 MAX dimerization protein 3 (mxd3)を使用し,プライマーをデザインし,PCR実験に使用した。
mxd3プライマーの配列情報
フォワードプライマー:CCACAGCTACTCTACCTCGGAT(配列番号1)
リバースプライマー:GTAAGGCTGTTCTGTGATAATGATGGT(配列番号2)
【0030】
結果を図1に示す。overfed 1Wは肥満誘導1週間目,overfed 2Wは肥満誘導2ヶ月目,overfed + diet restrictionは肥満誘導を2ヶ月処理したのち,2週間の食事制限を行った実験動物群である。これらのMXD3遺伝子発現量は,ハウスキーピング遺伝子であるACTIN,BETAの発現量で正規化した相対値で示される。図1に示すように,MXD3遺伝子発現量は,肥満誘導2ヶ月目(overfed 2M)では,肥満誘導1週間に比較し,約4倍の有意な増加を認め,食事制限では減少する傾向を示した。
【0031】
以上の結果から,肥満誘導を行うと腹腔内脂肪組織内のMXD3遺伝子発現量は増加し,食事制限を行うと低下することが明らかとなった。
【0032】
実施例2 MXD3遺伝子発現抑制が腹腔内脂肪組織量および脂肪組織関連遺伝子発現量に及ぼす影響
ゼブラフィッシュ成魚(AB系統あるいはrose系統,受精後4ヶ月齢,メス)の腹腔内に,1kg体重あたり100mg量の,ゼブラフィッシュMXD3遺伝子特異的モルフォリノアンチセンスオリゴヌクレオチドを,リポフェクション法を用いて腹腔内投与した。
【0033】
ゼブラフィッシュMXD3遺伝子特異的モルフォリノアンチセンスオリゴヌクレオチドの配列は,National Center for Biotechnology Informationに掲載されている,LOCUS NM_201056 MAX dimerization protein 3 (mxd3),mRNAの転写開始点に結合する相補的配列とした。MXD3モルフォリノアンチセンスオリゴヌクレオチドの配列情報は下記のとおりである。
GATGTTGCACGTATTTACCTCCATT(配列番号3)
【0034】
比較対照群として,ゼブラフィッシュには存在しない遺伝子を標的としたコントロールモルフォリノアンチセンスオリゴヌクレオチドを同様の方法を用いて腹腔内投与した。コントロールモルフォリノアンチセンスオリゴヌクレオチドの配列情報は下記のとおりである。
CCTCTTACCTCAGTTACAATTTATA(配列番号4)
【0035】
リポフェクション法には,リポフェクタミン2000(インビトロジェン社)の試薬を用いた。各腹腔内投与は週に1回,day1, 7, 14, 21に行い,その期間,肥満誘導としてゼブラフィッシュのエサであるアルテミアを,1日60mg投与した。
【0036】
毎週1回,身長と体重を測定した結果,MXD3遺伝子発現抑制群では,肥満誘導時の体重増加が有意に抑制された(図2)。身長については差を認めなかった。
【0037】
また,3週間後の血漿中の中性脂肪値をLタイプワコー TG・H(和光純薬)を用いて測定した。図3に結果を示す。normal fedは通常飼育動物群,overfedは肥満誘導群である。MXD3遺伝子発現抑制により,血漿中の中性脂肪の量が減少した。摂食量については差を認めなかった。
【0038】
なおMXD3遺伝子発現の抑制は,day 21の段階で,腹腔内臓器を摘出し,蛋白質を抽出して,ウェスタンブロット法にて確認した。MXD3 MO投与群ではMXD3蛋白質量の減少が認められた。
【0039】
蛍光色素の1種であるナイルレッドは,脂肪組織を特異的に染色することが知られている。rose系統のゼブラフィッシュを用いた場合,ナイルレッド染色によって,腹腔内の脂肪量を蛍光量にて測定できる。MXD3 MOを腹腔内投与し,肥満誘導3週間後のゼブラフィッシュに対して,ナイルレッド染色を行った結果,MXD3 MO群ではコントロールと比較してその蛍光量が1/4に減弱していた(図4)。
【0040】
さらに,腹腔内脂肪組織を剔出し,その組織に存在しているmRNAの量を定量的PCR法で測定したところ,図5に示すように,脂肪細胞のマーカー遺伝子であるCaveolin(CAV),CD36,Adiponectin b遺伝子の発現量の減少を認めた。
【0041】
また,脂肪前駆細胞から成熟脂肪細胞への分化を誘導するPeroxisome Proliferator−Activated Receptor−Gamma(PPARG),CCAAT/Enhancer−binding protein,alpha(CEBPA)遺伝子の発現量も減少していた(図6)。
これらの遺伝子の定量的PCRに用いたプライマー配列は下記のとおりである。
CAV
フォワードプライマー:GAAGGAGAGGATGGCGAAGAAG(配列番号5)
リバースプライマー:GAAGGAGAGGATGGCGAAGAAG(配列番号6)
CD36
フォワードプライマー:CGATGAGACGGCCAAAATGTTCA(配列番号7)
リバースプライマー:CCCAGAAATATTGCCGAACCAGTT(配列番号8)
Adiponectin b
フォワードプライマー:CTACTTCTTCACGTACCATCTGACC(配列番号9)
リバースプライマー:CATGATGGCCTTGTCGTTCTTGT(配列番号10)
PPARG
フォワードプライマー: TCCACAGCTACCAGTCCAGATC(配列番号11)
リバースプライマー:CAGCGTCACCTGGTCGTTCA(配列番号12)
CEBPA
フォワードプライマー:GTACCTAGTCCGCACCACCAG(配列番号13)
リバースプライマー:CTGTACTCGGTGCTGTTCTTGT(配列番号14)
【0042】
以上の結果から,MXD3遺伝子の発現を阻害することにより,肥満誘導における体重増加,血漿中の中性脂肪量の増加が抑制され,腹腔内脂肪組織量および脂肪組織関連遺伝子発現量が減少し,前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化が抑制されたことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は,肥満抑制剤の候補物質のスクリーニングならびに肥満抑制剤の治療に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肥満抑制剤の候補物質を選択する方法であって,
試験物質を細胞と接触させ,
細胞におけるMXD3遺伝子の発現を測定し,そして,
試験物質と接触させたときに接触させていないときと比較してMXD3遺伝子の発現が抑制されている場合に,その試験物質を肥満抑制剤の候補物質として選択する,
の各工程を含む方法。
【請求項2】
肥満抑制剤の候補物質を選択する方法であって,
ゼブラフィッシュに試験物質を投与し,
MXD3遺伝子の発現を測定し,そして,
試験物質を投与したときに投与していないときと比較してMXD3遺伝子の発現が抑制されている場合に,その試験物質を肥満抑制剤の候補物質として選択する,
の各工程を含む方法。
【請求項3】
MXD3遺伝子に対するアンチセンス・オリゴヌクレオチド,MXD3遺伝子に対するリボザイム,MXD3遺伝子に対するsiRNAからなる群より選択される物質を有効成分として含有する肥満抑制剤。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−55755(P2011−55755A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208272(P2009−208272)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(304026696)国立大学法人三重大学 (270)
【Fターム(参考)】