説明

N−アセチルコルヒノールを調製する工程及びこのような工程で使用される中間体

アロコルヒチン若しくは式(I)のそれのエステル誘導体からの又は式(II)のZD6126アルコールからのZD6126フェノール(1)の調製用の工程であって、ここで、R及びRは、その説明で定義されるようなものである。また、請求するものは、中間体、それらの調製用の工程、及び、ZD6126フェノールの製造における中間体の使用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ZD6126アルコール(ZD6126 Alcohol)又はアロコルヒチン(allocolchicine)若しくはそれのエステル誘導体からN−((S)−3−ヒドロキシ−9,10,11−トリメトキシ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,c]シクロヘプテン−5−イル)−アセトアミド(以後、ZD6126フェノール(ZD6126 Phenol))を合成するための工程に、このような工程で使用される中間体に、このような中間体の製造用の工程に、及び、ZD6126フェノールの製造における前記の中間体の使用に、関する。
【0002】
ZD6126 Phenolは、N−アセチルコルヒノール(N-acetylcolchinol):
【0003】
【化9】

としてもまた知られると共に(5S)−5−(アセチルアミノ)−9,10,11−トリメトキシ−6,7−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,c]シクロヘプテン−3−イル=二水素ホスファート又はN−アセチルコルヒノール−O−ホスファート(以後、ZD6126):
【0004】
【化10】

(効力のある血管の標的指向型の作用薬)の合成に有用な中間体である。
【背景技術】
【0005】
ZD6126は、特許文献1(例1)に記載されている。ZD61626が、脈管の閉塞及び拡張性の腫瘍の壊死に至る腫瘍の血管系を選択的に崩壊させることが、報告されてきた(非特許文献1)。従って、ZD6126は、癌の処置に有用なものである。
【0006】
特許文献1は、ZD6126フェノールを与えるために、(b)アルカリ性の過酸化水素での結果として生じるヒドロキシケトンの中間体の処理が後に続く、100℃での又は100℃付近の温度で塩酸を使用する酸加水分解(a)を含むコルヒチンからのZD6126フェノールの合成を記載する。これは、スキームA
【0007】
【化11】

に図解される。
【0008】
非特許文献2は、19%の全体的な収率に至る、ステップ(a)について79%及びステップ(b)について25%の、この合成についての収率を報告する。これは、明らかに、大規模での使用のための理想的な合成よりも少ないものである。
【0009】
従って、ZD6126フェノールの調製についての代替の工程に対する要望がある。
【0010】
従って、アロコルヒチン又はそれのエステル誘導体は、コルヒチンから調製されることもある。例えば、アロコルヒチンそれ自体を、メタノール中におけるナトリウムメトキシドでのコルヒチンの処理によって、90%の収率で調製することができる(非特許文献3)。
【0011】
非特許文献4は、ある一定のベンジル型の第二級又は第三級アルコール類の、その対応するフェノールへの小規模の転換を記載する。
【特許文献1】国際公開第99/02166号パンフレット
【非特許文献1】Davis,P.D.,Hill,S.A.,Galbraith,S.M.,et al.,Proc.Am.Assoc.Cancer Res.,2000;41:329
【非特許文献2】Santavy,F.,Collect.Czech.Chem.Commun.,1949,14,532−535
【非特許文献3】Fernholz,V.,Justus Liebigs Ann.,1950,568,63−72
【非特許文献4】Boger et al.,J.Org.Chem.1986,51,5436−5439
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、驚くべきことに75%(コルヒチンから67%)の高い収率を与える、アロコルヒチン又はそれのエステル誘導体からアルコール(ここで定義されるZD6126アルコール)を介して、ZD6126フェノールの合成のための新規な工程に関係する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第一の態様に従って、式(II):
【0014】
【化12】

のZD6126アルコールからZD6126フェノールの調製のための工程が、提供されるが、ここでは、Rは、各々独立に、水素、C1−4のアルキル又はアリールであるが、その工程は、酸触媒及び酸化剤と式(II)の前記のZD6126アルコールを反応させることを含む:。
【0015】
についての特定の値は、C1−4のアルキルである。Rについてのより詳しい値は、水素、メチル、エチル、ブチル、t−ブチル、及びフェニルである。本発明の一つの態様においては、両方のRが、メチルである。本発明の別の態様においては、基Rの一方又は両方が、水素であることができる。
【0016】
ここに記載した反応に用いる特定の酸化剤は、過酸化物、ヒドロペルオキシド、又はペルオキシ酸である。より詳しくは、その酸化剤は、水溶液、例えば、10から60%(重量/体積)までの過酸化物を含有する溶液、として便利に使用される、過酸化水素である。ある実施形態においては、ZD6126アルコールに対して過剰のモルの、例えば、おおよそ3以上の過剰のモルの、酸化剤が、使用される。
【0017】
ある範囲の酸が、その反応に用いる有効な酸触媒であることが、示されてきた。ここに記載した反応に用いる特定の酸触媒は、例えば、硫酸のような無機酸並びにカルボン酸及びスルホン酸のような有機酸を含む。特定の有機カルボン酸及びスルホン酸は、例えば、アリール又は脂肪族のカルボン酸又はスルホン酸を含む。適切なアリールカルボン酸又はスルホン酸は、例えば、一個以上のカルボン酸又はスルホン酸基によって置換されたベンゼンを含むと共に、ここでは、そのベンゼンは、自由選択で、例えば、C1−4のアルキル、ヒドロキシ、及びハロゲノから選択された一個以上の置換基によって、さらに置換される。適切な脂肪族のカルボン酸又はスルホン酸は、例えば、
一個以上のカルボン酸又はスルホン酸基を担持する、C1−6のアルカン又はC2−6のアルケンのような飽和の又は不飽和の脂肪族基を含むと共に、ここでは、その脂肪族基は、自由選択で、例えば、ハロゲノ及びヒドロキシから選択された一個以上の置換基によって、さらに置換される。特定の酸触媒は、例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、又は、トルエンスルホン酸を含む。より詳しくは、その酸触媒は、C1−4のアルカンスルホン酸又はアリールスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸又はパラ−トルエンスルホン酸のような、スルホン酸である。特定の酸触媒は、メタンスルホン酸である。適切には、ZD6126アルコールに対する酸触媒のモルの比は、おおよそ、等モルのものである。
【0018】
評価しておいた酸触媒の例を、表1に示す。
【0019】
【表1】

ここでは、pTSAは、パラ−トルエンスルホン酸である。
【0020】
注釈:[1]水和の水として存在する水
[2]メタンスルホン酸が、30%(重量/体積)までの水を含有する水溶液として使用された。
【0021】
その反応は、溶媒の存在下で便利に実行される。その反応に用いる適切な溶媒は、例えば、キシレン、トルエン、クロロベンゼン、若しくはトリフルオロトルエンのような芳香族の溶媒;酢酸ブチルのようなエステル;テトラヒドロフラン若しくはメチル=tert−ブチル=エーテルのようなエーテル;又は、それら溶媒の二つ以上の混合物を含む。
【0022】
各々のRがZD6126フェノールへのメチルである、式(II)のZD6126アルコールの転換について調査しておいた溶媒の例を、表2に示す。
【0023】
【表2】

我々は、驚くべきことに、芳香族の溶媒におけるZD6126アルコールの相対的に低い溶解度にもかかわらず、このような溶媒は、ZD6126フェノールの高い収率を提供することを見出してきた。それに応じて、ある実施形態においては、その溶媒は、芳香族の溶媒、例えば、トルエン、トリフルオロトルエン、クロロベンゼン、又はキシレンであるが、より詳しくは、その溶媒は、トルエン、クロロベンゼン、又はキシレンであるが、なおより詳しくは、その溶媒は、トルエン若しくはクロロベンゼン又はそれらの混合物である。
【0024】
その反応の完了では、その反応は、チオ硫酸ナトリウムのような適切な失活剤(quenching agent)を添加することによって過剰な酸化剤を取り除くために、失活させられる(quench)こともある。
【0025】
その反応は、上昇した温度、例えば、約50℃のような30から70℃までで、適切に実行される。
【0026】
本発明のこの態様の特定の実施形態において、各々のRは、メチルのようなC1−4のアルキルである;その酸触媒は、(自由選択で、少量の水の存在下で)メタンスルホン酸及びパラ−トルエンスルホン酸から選択される;その酸化剤は、過酸化水素のような上文に定義したようなものである;及び、ここでは、その反応は、上文に定義したような溶媒、特にトルエン若しくはクロロベンゼン又はそれらの混合物から選択された芳香族の溶媒中で、実行される。
【0027】
便利に、ZD6126フェノールへのZD6126アルコールの変換は、上昇した温度、例えば50℃で、酸化剤、より詳しくは過酸化水素、及び、酸触媒、より詳しくは、メタンスルホン酸、の二重の付加によって成し遂げられる。二重の付加の用語によっては、ZD6126アルコールを含有する反応混合物へのその酸触媒及び酸化剤の実質的に同時の付加が、意味される。適切には、その二重の付加は、約同じ時間にZD6126アルコールへ別個の供給原料としてその酸触媒及び酸化剤を添加することによって、実行される。二重の付加のこの意味は、ある一定の環境下で有害なものであることもある、酸及び酸化剤の予備混合物を調製する必要を回避する。
【0028】
我々は、出発原料として使用されるZD6126アルコールを、高い収率でアロコルヒチン又はそれのエステル誘導体から調製することができることを見出してきた。アロコルヒチン又はそれのエステル誘導体からのZD6126フェノールの調製は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0029】
本発明の第二の態様に従って、アロコルヒチン又は式(I):
【0030】
【化13】

のそれのエステル誘導体からのZD6126フェノールの調製用の工程が、提供されるが、ここでは、Rは、水素、C1−6のアルキル、又はアリールである;その工程は、
a)式(II):
【0031】
【化14】

の、ここでは、Rは、各々独立に、水素、C1−4のアルキル、又はアリールである、ZD6126アルコールを形成するために一つ以上のエーテル性の溶媒中で;前記のアロコルヒチン又は式(I)のそれのエステル誘導体を適切な有機金属の試薬及び/又は適切な還元剤と反応させること、及び
b)式(II)のZD6126アルコールを酸触媒及び酸化剤と反応させること
を含む:。
【0032】
疑念の回避のために、“適切な有機金属の試薬及び/又は適切な還元剤”の句は、導入される二つのRの基が、同じもの又は異なるものであるように、選択されることもある。
【0033】
この明細書においては、“アリール”の用語は、窒素、酸素、又は硫黄から独立に選択された0から5個のヘテロ原子を含有する4−10員の芳香族の単環式又は二環式の環を指すが、ここでは、前記のアリールは、自由選択で置換されることもある。“アリール”についての適切な自由選択の置換基は、ハロ、C1−6のアルキル、C1−6のアルコキシを含む。“アリール”の例は、フェニル;ハロ、C1−6のアルキル、又はC1−6のアルコキシによって置換されたフェニル;及び、ある一定の複素環式芳香族化合物、例えば、ピリジル
を含む。特定の場合には、“アリール”は、フェニルを指す。
【0034】
この明細書においては、“アルキル”の用語は、直鎖の及び分岐鎖のアルキル基の両方を含むが、しかし、“プロピル”のような個々のアルキル基への参照は、直鎖のバージョンのみについて、具体的なものである。例えば、“C1−6のアルキル”及び“C1−4のアルキル”は、プロピル、イソプロピル、及び、t−ブチルを含む。しかしながら、‘プロピル’のような個々のアルキル基への参照は、直鎖のバージョンのみについて具体的なものである共に、‘イソプロピル’のような個々の分岐鎖のアルキル基への参照は、分岐鎖のバージョンのみについて具体的なものである。“C1−6のアルキル”及び“C1−4のアルキル”の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、及びt−ブチルを含む。“ハロ”の用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを指す。“C1−6のアルコキシ”の例は、メトキシ、エトキシ、及びプロポキシを含む。
【0035】
特に、アロコルヒチン又はそれのエステル誘導体からのZD6126アルコールの形成においては、そのアロコルヒチン又はそれのエステル誘導体は、好ましくは周囲より下の反応温度を維持する、>3モル当量のその適切な有機金属の試薬及び/又は適切な還元剤へ添加される。
【0036】
式(I)の化合物において、Rが、メチルであるとき、これは、アロコルヒチンである。ある実施形態においては、Rは、C1−6のアルキル又はアリールである。適切には、Rは、C1−4のアルキルである。別の態様においては、Rは、メチル又はエチルである。さらなる態様においては、Rは、メチルである。
【0037】
についての特定の値は、C1−4のアルキルのような、上文に定義したようなものである。より詳しくは、Rについての値は、水素、メチル、エチル、ブチル、t−ブチル、及びフェニルである。本発明の一つの態様においては、両方のRは、メチルである。本発明の別の態様においては、基Rの一方又は両方が、水素であることができる。
【0038】
適切な有機金属の試薬は、C1−4のアルキル又はアリールであるR基を導入するものである。ここに記載した反応に用いる適切な有機金属の試薬の例は、式R−Xの化合物を含むが、ここでは、Rは、上文に定義したようなものであると共に、Xは、リチウム又は塩化、臭化、若しくはヨウ化マグネシウムのようなハロゲン化マグネシウムである。特定の有機金属の試薬は、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、塩化メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、塩化エチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム、ブチルリチウム、及び、フェニルリチウムを含む。より詳しくは、有機金属の試薬は、メチルリチウム又はエチルリチウムから選択される。なおより詳しくは、その有機金属の試薬は、メチルリチウムである。
【0039】
適切な還元剤は、水素であるR基を導入するものである。ここに記載した反応に用いる適切な還元剤の例は、例えば、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、ホウ水素化ナトリウム、又は、ボラン還元剤、例えば、ボラン−テトラヒドロフラン又はボラン−硫化ジメチルの複合体(complex)である。
【0040】
本発明の一つの態様においては、一つ以上の適切な有機金属の試薬は、ステップa)で使用される。これは、第三級のZD6126アルコールに帰着する。
【0041】
本発明の別の態様においては、適切な有機金属の試薬及び適切な還元剤は、ステップa)で使用される。第一の例においては、アロコルヒチン又は式(I)のそれのエステル誘導体は、ここではRは、C1−6のアルキル又はアリールであるが、一当量の適切な有機金属の試薬、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、塩化メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、塩化エチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム、ブチルリチウム、又は、フェニルリチウムとの反応によって、ケトンへと転換される。そして、そのケトンは、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、又は、ホウ水素化ナトリウムのような適切な還元剤との反応によって、ZD6126アルコールへ転換される。これは、第二級のZD6126アルコールに帰着する。
【0042】
本発明のさらなる態様においては、一つ以上の適切な還元剤は、ステップa)で使用される。これは、第一級のZD6126アルコールに帰着する。
【0043】
当業者は、Rが、水素であるとき、式(I)の化合物が、第一級のZD6126アルコールを与えるために、還元剤と反応させられることを認識することになる。それに応じて、アロコルヒチン又は式(I)のそれのエステルを、単独で有機金属の試薬と反応させるとき、Rは、C1−6のアルキル又はアリールである。
【0044】
本発明の別の態様においては、ステップa)は、アルカリ金属のハロゲン化物の存在下で行われるかもしれない。我々は、アルカリ金属のハロゲン化物の使用が、ZD6126アルコールの収率を改善することができることを見出してきた。特定のアルカリ金属のハロゲン化物は、塩化リチウム又は臭化リチウムである。より詳しいアルカリ金属のハロゲン化物は、臭化リチウムである。
【0045】
ここに記載した反応に用いる特定のエーテル性の溶媒は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジエトキシメタン、2−エトキシエチルエーテル、2−メトキシエチルエーテル、及び、ジメトキシエタン、又は、これらの溶媒の一つ以上の混合物である。様々なエーテル性の溶媒に行われるステップa)についての収率が、表3に与えられる。便利に、ここに記載した反応に使用されるエーテル性の溶媒は、テトラヒドロフラン及びジエトキシメタンの混合物である。別の態様においては、より詳しくは、ここに記載した反応に使用されるエーテル性の溶媒は、ジエチルエーテルである。別の態様においては、より詳しくは、ここに記載した反応に使用されるエーテル性の溶媒は、2−エトキシエチルエーテルである。別の態様においては、より詳しくは、ここに記載した反応に使用されるエーテル性の溶媒は、2−メトキシエチルエーテルである。別の態様においては、より詳しくは、ここに記載した反応に使用されるエーテル性の溶媒は、ジメトキシエタンである。別の態様においては、より詳しくは、ここに記載した反応に使用されるエーテル性の溶媒は、テトラヒドロフランである。
【0046】
【表3】

適切には、その反応は、周囲より下の、例えば20℃より下の、特に0℃以下で、例えば−5℃未満で、温度で実行される。
【0047】
特定の実施形態においては、そのアロコルヒチン又は式(I)のそれのエステル誘導体は、その有機金属の試薬を含有する反応容器に添加される。適切には、そのアロコルヒチンは、その有機金属の試薬及びそのエーテル性の溶媒を含有する反応混合物へ添加される。その反応混合物は、その有機金属の試薬の添加及びその後の反応の間に、例えばかき混ぜることによって、攪拌されることもある。便利に、そのアロコルヒチン又は式(I)のそれのエステル誘導体は、適切な溶媒、例えば、テトラヒドロフランのようなエーテル性の溶媒中で、溶液又はスラリーとしてその有機金属の試薬へ添加される。我々は、驚くべきことに、その有機金属の試薬へのそのアロコルヒチンの添加が、そのアロコルヒチンへその有機金属のものを添加することと比較して、望ましくないケトンの副産物の形成を顕著に減少させることを、見出してきた。その減少した副産物の形成は、その有機金属の試薬が、メチルリチウムであるとき、特に注意を払われる。
【0048】
その工程のステップb)は、ZD6126フェノールに加えて本発明の第一の態様に関係して記載したようなカルボニル化合物を形成するための酸触媒された酸化性の転位である。特定の酸化剤及び酸触媒は、本発明の第一の態様に関係して上文に記載したようなもの、例えば、過酸化水素及びメタンスルホン酸である。
【0049】
適切には、その反応は、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、トリフルオロトルエン、メチル=tert−ブチル=エーテル、酢酸ブチル、若しくは、テトラヒドロフラン、及び、特にトルエン、キシレン、クロロベンゼン、若しくはトリフルオロトルエンのような芳香族の溶媒、より詳しくは、クロロベンゼン若しくはトルエン、又は、それらの混合物のような、本発明の第一の態様に関係して上文に記載したような溶媒の存在下で、実行される。
【0050】
ZD6126フェノールへのアロコルヒチン又は式(I)のそれのエステル誘導体の転換は、ステップa)の後に続くZD6126アルコールを単離することなく、一つの段階で果たされることもある。あるいは、本発明の第二の態様に従った工程は、二つの連続的な段階で実行されることもあるが、ここでは、ZD6126アルコールが、その工程のステップb)においてZD6126フェノールへの転換より先に、単離される。
【0051】
便利に、ステップa)で調製されるような、ZD6126アルコールのエーテル性溶液は、共沸蒸留によって、トルエン(又は他の適切な溶媒)中の溶液に転換される。そして、ZD6126フェノールへのZD6126アルコールの直接的な変換は、本発明の第一の態様に関係して上文に記載したような、上昇した温度、例えば50℃で、酸化剤、より詳しくは過酸化水素、及び、酸触媒、より詳しくはメタンスルホン酸、の添加によって、成し遂げられる。適切には、その酸及び酸化剤は、上文に記載したような酸及び酸化剤の二重の付加の手順によって、ZD6126アルコールへ添加される。
【0052】
本発明のこの態様の特定の実施形態においては、
a)上文で定義したような式(II)のZD6126アルコールを、ここでは各々のRがC1−4のアルキル(特にメチル)であるが、形成するために、
テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジエトキシメタン、2−エトキシエチルエーテル、2−メトキシエチルエーテル、及び、ジメトキシエタン、又は、これらの溶媒の一つ以上の混合物から選択された一つ以上のエーテル性の溶媒(特に、テトラヒドロフラン及びジエトキシメタン又はそれらの混合物から選択された溶媒)中で、
前記のアロコルヒチン又は上文で定義したような式(I)のそれのエステル誘導体を、ここではRはC1−4のアルキル(特に、メチル)であるが、メチルリチウム、塩化メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、塩化エチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム、ブチルリチウム、及び、フェニルリチウム(特にメチルリチウム);から選択された適切な有機金属の試薬と反応させること、並びに
b)式(II)の前記のZD6126アルコールを、酸触媒(特に、メタンスルホン酸)及び酸化剤(特に、過酸化水素)と反応させること
を含む:が、
且つ、ここでは、ステップb)が、トルエン、クロロベンゼン、及びキシレンから選択された芳香族の溶媒(特に、その溶媒は、トルエン若しくはクロロベンゼン又はそれらの混合物である)中で実行される、
ZD6126フェノールの調製用の工程が、提供される。適切には、ステップa)において、その有機金属の試薬は、メチルリチウムであると共に、そのアロコルヒチン又は式(I)のそれのエステル誘導体は、そのメチルリチウムを含む反応混合物へ添加される。適切には、その工程のステップb)において、その酸及び酸化剤は、上文に記載したような酸及び酸化剤の二重の付加の手順によって、ZD6126アルコールへ添加される。
【0053】
本発明のさらなる態様においては、ZD6126アルケン、ZD6126ヒドロペルオキシド、及び、ZD6126の反応性の二量体は、その反応の副産物(及び可能な中間体)によって、知られる。本発明は、これらの化合物の各々を、ZD6126フェノールへと転換することができることを証明してきた。このように、これらの化合物は、本発明のさらなる特徴として提供される。
【0054】
【化15】

は、水素又はC1−3のアルキルであると共に、Rは、常に一つの炭素だけ、それを形成したC1−4のアルキルのR基よりも短いものである。例えば、前記のRが、メチルであったとすれば、Rは、水素である。Rが、エチルであったとすれば、Rは、メチルである。Rが、プロピルであったとすれば、Rは、エチルであるなど。
【0055】
当業者は、ZD6126アルコールにおける少なくとも一つのRが、C1−4のアルキルである限り、ZD6126アルケンが、形成されないことになることを、認識すると思われる。しかしながら、ZD6126フェノールへのZD6126アルコールの転換は、たとえRが、決してC1−4のアルキルであることがないとしても、起こることになる。
【0056】
上文に述べたように、本発明の一つの態様においては、ZD6126フェノールへのアロコルヒチン又はそれのエステル誘導体の転換が、ZD6126アルコールの単離無しに、一つの段階で果たされることもある。これは、それが、その工程のステップa)及びb)が、単一の反応容器において実行されることを許容するという利点を有する。本発明の別の態様においては、アロコルヒチン又はそれのエステル誘導体は、ステップa)の後に続けて固体として単離される、ZD6126アルコールへと転換される。本発明のさらなる態様においては、ZD6126アルコールは、単一の段階でZD6126フェノールへと転換される。
【0057】
本発明の別の態様においては、ZD6126アルコールは、単離される、ZD6126ヒドロペルオキシドへと転換される。本発明のさらなる態様においては、ZD6126ヒドロペルオキシドは、ZD6126フェノールへと転換される。
【0058】
本発明の別の態様においては、ZD6126アルコールは、単離される、ZD6126アルケンへと転換される。本発明のさらなる態様においては、ZD6126アルケンは、ZD6126フェノールへと転換される。
【0059】
本発明の別の態様においては、ZD6126アルコールは、単離される、ZD6126の反応性の二量体へと転換される。本発明のさらなる態様においては、ZD6126の反応性の二量体は、ZD6126フェノールへと転換される。
【0060】
ここに記載したある一定の中間体は、新規なものであると共に、本発明の別の態様として提供される。
【0061】
本発明の別の態様に従って、Rが、両方ともメチルであること又は両方とも水素であることができないことを条件として、(上に描いたような)式(II)のZD6126アルコールが、提供される。
【0062】
本発明の別の態様に従って、式(II)のZD6126アルコールの調製用の工程が、提供されるが、ここでは、Rは、各々独立に、水素、C1−4のアルキル、又は、アリールであるが、その工程は、(上に描いたような−アロコルヒチン又はそれのエステル誘導体)式(I)の化合物を、一つ以上のエーテル性の溶媒において、適切な有機金属の試薬及び/又は適切な還元剤と反応させることを含む。この反応についての適切な試薬、溶媒、及び、条件は、本発明の第二の態様に従った工程のステップ(a)に関係して、ここに記載したようなものである。
【0063】
本発明の別の態様に従って、ZD6126フェノールの調製用の工程における式(II)のZD6126アルコールの使用が、提供される。
【0064】
本発明の別の態様に従って、式(III):
【0065】
【化16】

のZD6126アルケンが、提供されるが、ここでは、Rは、水素、C1−4のアルキル、又は、アリールであると共に、Rは、水素、又は、C1−3のアルキルである。
【0066】
本発明の別の態様に従って、式(II)のZD6126アルコールを反応させることを含む(上に描いたような)式(III)のZD6126アルケンの調製用の工程が、提供されるが、ここでは、少なくとも一つのR基は、酸触媒を備えたC1−4のアルキルである。適切な酸触媒は、本発明の第一の態様に関係して上文に定義されたようなもの、例えばメタンスルホン酸である。その反応は、適切な溶媒、例えば、テトラヒドロフランのようなエーテルの存在下で、便利に実行される。その反応は、上昇した温度、例えば30から70℃まで、例えば約60℃で、適切に実行される。
【0067】
本発明の別の態様に従って、ZD6126フェノールの調製用の工程における式(III)のZD6126アルケンの使用が、提供される。
【0068】
本発明の別の態様に従って、(上に描いたような)式(III)のZD6126アルケンを酸触媒及び酸化剤と反応させることを含む、ZD6126フェノールの調製用の工程が、提供される。
【0069】
この反応に用いる適切な酸触媒及び酸化剤は、本発明の第一の態様に関係して上文に定義したようなものである。例えば、適切な酸触媒は、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、又は、トルエンスルホン酸を含む。特定の酸触媒は、メタンスルホン酸である。適切な酸化剤の例は、過酸化物、特に過酸化水素を含む。その反応は、適切な溶媒、例えば、クロロベンゼン若しくはトルエン又はそれらの混合物のような芳香族の溶媒中で、便利に実行される。適切には、その反応は、上昇した温度、例えば30から70℃まで、例えば約50℃で、実行される。
【0070】
本発明の別の態様に従って、式(IV):
【0071】
【化17】

のZD6126ヒドロペルオキシドが、提供されるが、ここでは、Rは、各々独立に、水素、C1−4のアルキル、又はアリールである。
【0072】
本発明の別の態様に従って、便利には溶媒の存在下で、式(II)のZD6126アルコールを酸触媒及び酸化剤と反応させることを含む、(上に描いたような)式(IV)のZD6126ヒドロペルオキシドの調製用の工程が、提供される。この反応に用いる適切な酸触媒及び酸化剤は、本発明の第一の態様に関係して上文に定義したようなものである。例えば、適切な酸触媒は、メタンスルホン酸を含む。適切な酸化剤の例は、過酸化物、特に過酸化水素を含む。適切な溶媒は、例えば、酢酸ブチルのようなエステル、又は特に、酢酸ブチル及び水のようなエステル及び水の混合物である。適切には、その反応は、これが、ZD6126フェノールよりもZD6126ヒドロペルオキシドの形成に好都合であるので、30℃以下の温度で実行される。
【0073】
本発明の別の態様に従って、(上に描いたような)式(IV)のZD6126ヒドロペルオキシドの調製用の工程が、提供されるが、ここでは、少なくとも一つのR基は、便利には溶媒の存在下で、式(III)のZD6126アルケンを酸化剤と反応させることを含む、C1−4のアルキルである。適切な酸化剤は、本発明の第一の態様に関係して上文に定義したようなもの、例えば、過酸化水素のような過酸化物である。この反応に用いる適切な溶媒は、例えば、トルエン若しくはクロロベンゼン又はそれらの混合物のような上文に定義したような芳香族の溶媒である。
【0074】
本発明の別の態様に従って、ZD6126フェノールの調製用の工程における式(IV)のZD6126ヒドロペルオキシドの使用が、提供される。
【0075】
本発明の別の態様に従って、(上に描いたような)式(IV)のZD6126ヒドロペルオキシドを酸触媒と反応させることを含む、ZD6126フェノールの調製用の工程が、提供される。適切な酸触媒は、本発明の第一の態様に関係して上文に定義したようなもの、例えばメタンスルホン酸である。その反応は、便利には、適切な溶媒、例えば、トルエン若しくはクロロベンゼン又はそれらの混合物のような上文に定義したような芳香族の溶媒の存在下で実行される。適切には、その反応は、上昇した温度、例えば30から70℃まで、例えば約50℃で、実行される。
【0076】
本発明の別の態様に従って、式(V):
【0077】
【化18】

のZD6126の反応性の二量体が、提供されるが、ここでは、Rは、各々独立に、水素、C1−4のアルキル、又はアリールである。
【0078】
本発明の別の態様に従って、ZD6126アルコールを酸化剤及び酸触媒と反応させることを含む、(上に描いたような)式(V)のZD6126の反応性の二量体の調製用の工程が、提供される。
【0079】
適切な酸化剤は、過酸化水素のような本発明の第一の態様に関係して上文に定義したようなものである。適切な酸触媒は、本発明の第一の態様に関係して上文に定義したようなもの、例えばメタンスルホン酸である。その反応は、便利には、適切な溶媒、例えば、トルエン若しくはクロロベンゼン又はそれらの混合物のような芳香族の溶媒の存在下で実行される。適切には、その反応は、上昇した温度、例えば30から70℃まで、例えば約40℃で、実行される。ある実施形態においては、その反応は、その酸化剤及び酸触媒をZD6126アルコールへ添加した直後に、例えば、その酸及び酸化剤を添加した後、10分以内に、適切には5分未満で、失活させられる。適切な失活剤は、周知のものであるが、例えば、その酸化剤が、過酸化水素であるとき、チオ硫酸ナトリウムが、使用されることもある。
【0080】
本発明の別の態様に従って、ZD6126フェノールの調製用の工程におけるZD6126の反応性の二量体の使用が、提供される。
【0081】
本発明の別の態様に従って、(上に描いたような)式(V)のZD6126の反応性の二量体を酸触媒及び酸化剤と反応させることを含む、ZD6126フェノールの調製用の工程が、提供される。この反応に用いる適切な酸触媒及び酸化剤は、本発明の第一の態様に関係して上文に定義したようなものである。例えば、適切な酸触媒は、メタンスルホン酸を含む。適切な酸化剤の例は、過酸化物、特に過酸化水素を含む。その反応は、便利には、溶媒、例えば、トルエン若しくはクロロベンゼン又はそれらの混合物のような上文に定義したような芳香族の溶媒の存在下で実行される。適切には、その反応は、30から70℃までの、例えば約50℃の、温度で、実行される。
【0082】
ここに記載した反応の生産物は、当技術に周知の且つここに例で図解するような、従来の方法を使用して、単離されることもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0083】
[例]
今、本発明を、これらの例に記載されたものと類似の当業者に知られた標準的な技術が、適当な場合には、使用されることもある、及び、特に指定しない限り、
(i)蒸発を、真空中で回転式蒸発器によって、実行した、及び、精密検査の手順を、濾過による乾燥剤のような残留する固体の取り除きの後に、実行した;
(ii)全ての反応を、特に指定しない限り、無水の条件下で工業銘柄の溶媒で、典型的には18−25℃の範囲における、周囲温度での不活性な雰囲気の下で実行した;
(iii)式(I)の最終生成物の構造を、核(一般には陽子の)磁気共鳴(NMR)及び質量スペクトルの技術によって、概ね確認した;磁気共鳴の化学シフトの値を、デルタの尺度(テトラメチルシランから低磁場側のppm)で(特に指定しない限り)重水素化したジメチルスルホキシド中で測定した;陽子のデータが、特に指定しない限り、引用される;スペクトルを、Bruker DRX500スペクトロメーターに記録した;及び、ピークの多重度を、以下のように示す:s,一重線;d,二重線;dd,二重の二重線;t.三重線;tt,三重の三重線;q,四重線;tq,三重の四重線;m,多重線;br,幅広い;LCMSを、Waters ZQ Mass Spec Detectorに記録した、LCカラムは、SB C8 150mm×3.0mm3.5um(Agilent Zorbax)であった、Diode Array Detectorを備えたHP1100での検出;特に指定しない限り、引用した質量イオンは、[M+H]である;
(iv)以下に続く略語が、上文又は下文に使用されることもある:
THF テトラヒドロフラン;
BuOAc 酢酸ブチル;及び
eq. 当量;並びに
(v)相対容積(Rel. Vols)(又は容積(Vols))の用語は、グラム単位の主要な反応の基質の量に対する、ミリリットル単位の使用される溶媒の相対的な量を指す:、
以下に続く限定しない例において図解することにする。
【実施例1】
【0084】
[例1]
ZD6126アルコール(ここでは、Rは、式(II)において両方ともメチルである)へのアロコルヒチン
<−5℃におけるジエトキシメタン及びTHF(3相対容積)中のメチルリチウムの攪拌された溶液(3M溶液の4モル当量)へ、1時間にわたって、添加したものは、THF中のアロコルヒチンのスラリー(3−7相対容積)であった。さらなる1時間の後(又は、アロコルヒチンが、HPLCによって残留しなかったとき)、その混合物を、最初に水性のTHF(THFで1相対容積まで調合された3モル当量の水)で、そして水(4相対容積)で、処理した。そして、トルエン(15相対容積)を添加し、水性の層を、取り除いた。その混合物を、さらに水(3×2相対容積)で洗浄し、そして、混合物を、5相対容積の容積まで減圧下で蒸留した。さらなる投入量のトルエン(20相対容積)を、その混合物へ添加し、それを、約10相対容積の容積まで減圧下でさらに蒸留した。そして、その混合物を、冷却し、その固体を、濾過し、トルエン(2相対容積)で洗浄し、そして、50℃における真空オーブン中で乾燥させた。ZD6126アルコールの単離された収率は、85%であった。:MS,382[M−OH]−(100%);δppm(500MHz,DMSO−D)1.46(3H,s,CHC),1.49(3H,s,CHC),1.89(3H,s,COC),1.89(1H,m,CH),2.04(1H,m,CH),2.15(1H,m,CH),2.47(1H,m,CH),3.51(3H,s,OC),3.78(3H,s,OC),3.83(3H,s,OC),4.59(1H,m,CH−NH),6.77(1H,s,Ar−H),7.24(1H,d,J8,Ar−H),7.37(1H,dd,J8,2,Ar−H),7.57(1H,d,J2,Ar−H),8.45(1H,d,J8.5,NH)。
【0085】
[例2]
ZD6126フェノールへのアロコルヒチン
<−5℃におけるジエトキシメタン及びTHF(3相対容積)中のメチルリチウムの攪拌された溶液(3M溶液の4モル当量)へ、1時間にわたって添加したものは、THF中のアロコルヒチンのスラリーであった(3−7相対容積)。さらなる1時間の後(又は、アロコルヒチンが、HPLCによって残留しなかったとき)、その混合物を、最初に水性のTHF(THFで1相対容積まで調合された3モル当量の水)で、そして水(4相対容積)で、処理した。そして、トルエン(15相対容積)を添加し、水性の層を、取り除いた。その混合物を、さらに水(3×2相対容積)で洗浄し、そして、混合物を、5相対容積の容積まで減圧下で蒸留した。さらなる投入量のトルエン(20相対容積)を、その混合物へ添加し、それを、おおよそ18相対容積の容積まで減圧下でさらに蒸留した。
【0086】
上からの混合物へ、50℃で、攪拌と共に、1時間にわたって同時に添加したのは、メタンスルホン酸(1モル当量)及び過酸化水素(3モル当量)であった。さらなる1時間の後に続けて、その混合物を、チオ硫酸ナトリウム溶液(1M,3モル当量)の添加によって、失活させ、20℃まで冷却した。水酸化カリウム(49%(重量/体積),7モル当量)を添加し、それら層を、下側の水性の層を保持して、分離した。この溶液へ添加したのは、水(1.7容積)及びBuOAc(17容積)であったが、そのpHを、塩酸(2.5M)の添加によって、7まで調節した。それら層を、今回は、上側の有機層を保持して、再度分離し、その有機層を、水の洗浄液(4.25容積)で洗浄した。そして、BuOAcの溶液の容積を、減圧下の蒸留によって、おおよそ8.5相対容積まで減少させた。ヘプタン(8.5相対容積)を、おおよそ80℃で添加し、その混合物を、4時間にわたって0℃まで冷却した。その固体を、濾過し、ヘプタン及びBuOAcの混合物(各々の1.7相対容積)で、そしてヘプタン(3.4容積)で洗浄し、且つ、最後に、50℃における真空オーブン中で乾燥させた。アロコルヒチンからのZD6126フェノールの全体的な単離された収率は、おおよそ75%であった。ZD6126フェノールについてのデータ:MS 358[M+H](75%),299[M−NHCOMe](100%);δppm(500MHz,DMSO−D)1.82−1.90(1H,m,CH),1.88(3H,s,COC),2.04−2.17(2H,m,C),2.47(1H,dd,J11.5,5,CH),3.46(3H,s,OC),3.77(3H,s,OC),3.82(3H,s,OC),4.44−4.50(1H,m,CH−NH),6.69(1H,dd,J8.5,2,Ar−H),6.74(1H,s,Ar−H),6.77(1H,d,J2.5),7.12(1H,d,J8.5),9.40(1H,s,OH)。
【0087】
[例3]
ZD6126フェノールへのZD6126アルコール(ここでは、Rは、式(II)において両方ともメチルである)
トルエン中のZD6126アルコールの攪拌した混合物(20相対容積)へ、50℃で、1時間にわたって同時に添加したものは、メタンスルホン酸(1モル当量)及び過酸化水素(3モル当量)であった。さらなる1時間の後に続けて、その混合物を、チオ硫酸ナトリウム溶液(1M,3モル当量)の添加によって、失活させ、20℃まで冷却した。水酸化カリウム(49%(重量/体積),7モル当量)を添加し、それら層を、下側の水性の層を保持して、分離した。この溶液へ添加したのは、水(1.7容積)及びBuOAc(17容積)であったが、そのpHを、塩酸(2.5M)の添加によって、7まで調節した。それら層を、今回は、上側の有機層を保持して、再度分離し、その有機層を、水(4.25容積)で洗浄した。そして、BuOAcの溶液の容積を、減圧下の蒸留によって、おおよそ8.5相対容積まで減少させた。そして、ヘプタン(8.5相対容積)を、おおよそ80℃で添加し、その混合物を、4時間にわたって0℃まで冷却した。その固体を、濾過し、ヘプタン及びBuOAcの混合物(各々の1.7相対容積)で、そしてヘプタン(3.4容積)で洗浄し、そして、50℃における真空オーブン中で乾燥させた。ZD6126アルコールからの、ZD6126フェノールの単離された収率は、85.1%であった。;ZD6126フェノールのNMR及び質量スペクトルの特性付けのデータを、例2に記載したようなものであった。
【0088】
[例4]
式(III)のZD6126アルケン(ここでは、Rは、メチルであると共にRは、水素である)へのZD6126アルコール(ここでは、Rは、式(II)において両方ともメチルである)
THF中のZD6126アルコールの攪拌された混合物(20相対容積)へ、60℃で、添加したものは、メタンスルホン酸(0.3モル当量)であった。その混合物を、9時間の間攪拌し、そして、重炭酸ナトリウム(0.35モル当量)の添加によって失活させた。水(6容積)を、相分離を引き起こすために塩化ナトリウム(固体)をその後に続けて、添加した。上側の有機相を分離し且つ飽和の食塩水で洗浄し、且つ、その溶媒を、固体としてZD6126アルケンを提供するために、減圧下で取り除いた。ZD6126アルコールからのZD6126アルケンの単離された収率は、おおよそ84%であった。:MS 382[M+H](75%),323[M−NHCOMe](100%);δppm(500MHz,DMSO−D)1.91(3H,s,CC),2.05(2 H,m,2×CH),2.16(3H,s,CO),2.18(2H,m,2×CH),3.51(3H,s,OC),3.79(3H,s,OC),3.84(3H,s,OC),4.60(1H,ddd,J12.5,3.5,3.5,CH−NH),5.14(1H,d,J1.5,=C),5.48(1H,d,J1. 5,=C),6.79(1H,s,Ar−H),7.31(1H,d,J8,Ar−H),7.43(1H,dd,J8,2,Ar−H),7.52(1H,d,J2,Ar−H),8.45(1H,d,J8.5,NH)。
【0089】
[例5]
式(IV)のZD6126ヒドロペルオキシド(ここでは、Rは、両方ともメチルである)へのZD6126アルコール(ここでは、Rは、式(II)において両方ともメチルである)
BuOAc(20相対容積)中のZD6126アルコールのスラリーへ、窒素下において、30℃で、添加したものは、水中のメタンスルホン酸(70%重量/体積,1モル当量)であったが、30%重量/体積の過酸化水素(4モル当量)を、1時間にわたって添加した。2時間後に、その混合物を、20℃まで冷却し、その白色の固体を、濾過した。その固体を、ジクロロメタン、メタノール、及び、熱い酢酸エチルの混合物に溶解させ、そして、飽和の水性の重炭酸ナトリウム溶液、水、そして、飽和の食塩水の溶液で洗浄した。その有機の溶液を、約72%の収率で、白色の結晶質の固体としてのZD6126ヒドロペルオキシドを与えるために、蒸発させた。[M+H]:実測値 416.2103 C2329NOについての計算値 416.2073;δppm(500MHz,DMSO−D)1.5(3H,s,CHC)1.5(s,3H,CHC)1.8(1H, m)1.9(3H,s,COC)2.0(1H,m)2.1(1H,m)2.5(1H,m)3.5(3H,s,OC)3.8(3H,s,OC)3.8(3H,s,OC)4.6(1H,ddd,J11.5,8,8,CN)6.8(1H,s,Ar−H)7.3(1H,d,J8,Ar−H)7.3(1H,dd,J8,2,Ar−H)7.4(1Hd,J2,Ar−H)8.4(1H,d,J8.5,Ar−H)11.0(1H,s,OH);δppm(126MHz,DMSO−D6 22.7,26.4,26.5,30.2,38.9,48.2,55.9,60.6,60.8,82.2,108.1,120.1,123.3,124.3,129.0,132.5,135.0,139.6,140.6,144.3,150.4,152.5,168.6。
【0090】
[例6]
ZD6126フェノールへのZD6126アルケン(ここでは、式(IV)において、Rは、メチルであると共にRは、水素である)
トルエン(20相対容積)中のZD6126アルケンの急速に攪拌した溶液へ、50℃で、1時間にわたって同時に添加したものは、メタンスルホン酸(1モル当量)及び過酸化水素(3モル当量)であった。さらなる1時間の後に続けて、その混合物を、チオ硫酸ナトリウム溶液(1M,3モル当量)の添加によって、失活させ、20℃まで冷却した。水酸化カリウム(49%(重量/体積),7モル当量)を、添加したと共に、それら層を、下側の水性の層を保持して、分離した。この溶液へは、添加したものは、水(1.7容積)及びBuOAc(17容積)であったが、そのpHを、塩酸(2.5M)の添加によって、7まで調節した。それら層を、今回は、上側の有機層を保持して、再度分離し、その有機層を、水で洗浄した(4.25容積)。そして、BuOAc溶液の容積は、減圧下での蒸留によって、おおよそ8.5相対容積まで減少させた。そして、ヘプタン(8.5相対容積)を、おおよそ80℃で添加し、その混合物を、4時間にわたって0℃まで冷却した。その固体を、濾過し、ヘプタン及びBuOAcの混合物(各々の1.7相対容積)で、そしてヘプタン(3.4容積)で洗浄し、そして、50℃における真空オーブン中で乾燥させた。ZD6126フェノールの収率は、84%であった。ZD6126フェノールについての特徴付けのデータは、例2に記載したようなものであった。
【0091】
[例7]
式(V)のZD6126の反応性の二量体(ここでは、Rは、両方ともメチルである)に対するZD6126アルコール(ここでは、Rは、式(II)において両方ともメチルである)
クロロベンゼン(10相対容積)中のZD6126アルコールの攪拌した溶液へ、40℃で、パラ−トルエンスルホン酸(70%(重量/体積)の水溶液の0.40当量)及び50%(重量/体積)の過酸化水素(1.6当量)を、30分にわたって添加した。そして、その混合物を、チオ硫酸ナトリウム溶液(1M,3モル当量)の添加によって、直ちに失活させた。その有機溶液は、HPLCによって測定されるような、おおよそ24%の収率でZD6126の反応性の二量体を含有していた。単離の概略的な方法:その混合物を、水酸化カリウム(49%,7モル当量)、そして水(1.7容積)で、洗浄した。そして、残留する有機溶液を、蒸発させ、ZD6126の反応性の二量体を、予備的なHPLCによって、残留物から単離した。MS 797[M+H](100%),382(10%);δppm(126MHz,DMSO−D6)22.6,26.2,27.2,30.1,38.7,48.1,55.8,60.4,60.6,81.6,108.0,120.2,123.2,124.2,128.9,132.6,134.8,139.5,140.5,143.9,150.3,152.4,168.2;δppm(500MHz,DMSO−D6)1.5(6H,s,CHC),1.6(6H,s,CHC),1.80(m,2H),1.90(6H,s,COC),2.0(2H,m,CH),2.2(2H,m,CH),2.5(2H,m,CH),3.5(6H,s,OC),3.8(6H,s,OC),3.8(6H,s,OC),4.6(2H,ddd,J12,8.5,7.5,CH−NH)6.8(2H,s,Ar−H),7.3(2H,d,J8,Ar−H),7.3(2H,dd,J8,2,Ar−H),7.5(2H,d,J2,Ar−H),8.4(2H,d,J8.5,NH)。
【0092】
[例8]
ZD6126フェノールへの式(IV)のZD6126ヒドロペルオキシド(ここでは、Rは、両方ともメチルである)
トルエン(20相対容積)中のZD6126ヒドロペルオキシドの急速に攪拌した溶液へ、50℃で、5分にわたって添加したものは、メタンスルホン酸(2モル当量)であった。さらなる1時間の後に続けて、その混合物を、チオ硫酸ナトリウム溶液(2M,3モル当量)及び飽和の重炭酸ナトリウム溶液(2相対容積)の添加によって、失活させ、一晩中周囲条件で攪拌しておいた。そして、その固体を、濾過し、水(10相対容積)及びトルエン(10相対容積)で洗浄し、そして、90%の収率でZD6126フェノールを与えるために、乾燥させた。ZD6126フェノールについての特徴付けのデータは、上の例2に記載したようなものであった。
【0093】
[例9]
ZD6126フェノールへの式(V)のZD6126の反応性の二量体(ここでは、Rは、両方ともメチルである)
トルエン(25相対容積)中のZD6126に反応性の二量体の急速に攪拌した溶液へ、50℃で、3分にわたって同時に添加したものは、メタンスルホン酸(2モル当量)及び過酸化水素(6モル当量)であった。さらなる2時間の後に続けて、その混合物を、トリエチルアミンの添加によって中和し、そして、エタノール(30容積)で希釈した。ZD6126フェノールへの転換は、HPLC分析によって測定されるような、82%であった。ZD6126フェノールについての特徴付けのデータは、上で例に記載したようなものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)
【化1】

のZD6126アルコールからのZD6126フェノール
【化2】

の調製用の工程であって、Rは、各々独立に、水素、C1−4のアルキル、又はアリールであり、
当該工程は、
該式(II)のZD6126アルコールを酸触媒及び酸化剤と反応させること
を含む、工程。
【請求項2】
前記酸触媒は、スルホン酸である、請求項1に記載の工程。
【請求項3】
前記酸触媒は、メタンスルホン酸である、請求項1に記載の工程。
【請求項4】
前記反応は、芳香族の溶媒、エステル、及びエーテルから選択された溶媒の存在下で実行される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の工程。
【請求項5】
前記反応は、トルエン及びクロロベンゼン又は該溶媒の二つ以上の混合物から選択された芳香族の溶媒において実行される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の工程。
【請求項6】
アロコルヒチン又は式(I)
【化3】





のそれのエステル誘導体からのZD6126フェノール
【化4】

の調製用の工程であって、Rは、水素、C1−6のアルキル、又はアリールであり、
当該工程は、
a)式(II)
【化5】

のZD6126アルコールを形成するために、一つ以上のエーテル性の溶媒において、該アロコルヒチン又は式(I)のそれのエステル誘導体を適切な有機金属の試薬及び/又は適切な還元剤と反応させることを含み、Rは、水素、C1−4のアルキル、又はアリールであり、且つ、
当該工程は、
b)式(II)のZD6126アルコールを酸触媒及び酸化剤と反応させること
を含む、工程。
【請求項7】
は、C1−4のアルキル又はアリールである、請求項6に記載の工程。
【請求項8】
当該工程のステップa)における前記アロコルヒチン又は式(I)のそれのエステル誘導体は、適切な有機金属の試薬と反応させられると共に、Rは、C1−4のアルキル、又はアリールである、請求項6に記載の工程。
【請求項9】
当該工程のステップa)における前記有機金属の試薬は、式R−Xの化合物から選択され、Rは、請求項6で定義されるようなものであると共にXは、ハロゲン化マグネシウム又はリチウムである、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の工程。
【請求項10】
ステップa)における前記有機金属の試薬は、メチルリチウムである、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の工程。
【請求項11】
前記一つ以上のエーテル性の溶媒は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジエトキシメタン、2−エトキシエチルエーテル、2−メトキシエチルエーテル、及び、ジメトキシエタン、又は、該溶媒の一つ以上の混合物から選択される、請求項6乃至10のいずれか一項に記載の工程。
【請求項12】
ステップa)において、前記アロコルヒチン又は式(I)のそれのエステル誘導体は、前記有機金属の試薬を含む反応混合物へ添加される、請求項6乃至11のいずれか一項に記載の工程。
【請求項13】
前記有機金属の試薬は、メチルリチウムである、請求項12に記載の工程。
【請求項14】
ステップb)における前記酸触媒は、スルホン酸である、請求項6乃至13のいずれか一項に記載の工程。
【請求項15】
ステップb)における前記酸触媒は、メタンスルホン酸である、請求項14に記載の工程。
【請求項16】
当該工程のステップb)においては、芳香族の溶媒、エステル、及びエーテルから選択された溶媒の存在下で実行される、請求項6乃至15のいずれか一項に記載の工程。
【請求項17】
当該工程のステップb)においては、トルエン及びクロロベンゼン又は前記溶媒の二つ以上の混合物から選択された芳香族の溶媒の存在下で実行される、請求項6乃至15のいずれか一項に記載の工程。
【請求項18】
当該工程は、式(II)のZD6126アルコールの単離無しに、一つの段階で果たされる、請求項6乃至17のいずれか一項に記載の工程。
【請求項19】
は、C1−4のアルキルである、請求項6乃至18のいずれか一項に記載の工程。
【請求項20】
は、両方ともメチルである又は両方とも水素であることはあり得ないことを条件として備えた、請求項1に記載の式(II)のZD6126アルコール
【請求項21】
一つ以上のエーテル性の溶媒において、アロコルヒチン又は請求項6に記載の式(I)のそれのエステル誘導体を、適切な有機金属の試薬及び/又は適切な還元剤と反応させることを含む、請求項6に記載の式(II)のZD6126アルコールの調製用の工程。
【請求項22】
ZD6126フェノールの調製用の工程における請求項1に記載の式(II)のZD6126アルコールの使用。
【請求項23】
式(III)
【化6】

のZD6126アルケンであって、Rは、水素、C1−4のアルキル又はアリールであると共にRは、水素又はC1−3のアルキルである、ZD6126アルケン。
【請求項24】
請求項1に記載の式(II)のZD6126アルコールを酸触媒と反応させることを含み、少なくとも一つのR基は、C1−4アルキル基である、請求項23に記載の式(III)のZD6126アルケンの調製用の工程。
【請求項25】
請求項23に記載の式(III)のZD6126アルケンを酸触媒及び酸化剤と反応させることを含む、ZD6126フェノールの調製用の工程。
【請求項26】
式(IV)
【化7】

のZD6126ヒドロペルオキシドであって、Rは、各々独立に、水素、C1−4のアルキル、又はアリールである、ZD6126ヒドロペルオキシド。
【請求項27】
請求項1に記載の式(II)のZD6126アルコールを酸触媒及び酸化剤と反応させることを含む、請求項26に記載の式(IV)のZD6126ヒドロペルオキシドの調製用の工程。
【請求項28】
請求項26に記載の式(IV)のZD6126ヒドロペルオキシドを酸触媒と反応させることを含む、ZD6126フェノールの調製用の工程。
【請求項29】
式(V)
【化8】

のZD6126の反応性の二量体であって、Rは、各々独立に、水素、C1−4のアルキル、又はアリールである、ZD6126の反応性の二量体。

【公表番号】特表2007−519629(P2007−519629A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546312(P2006−546312)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【国際出願番号】PCT/GB2004/005389
【国際公開番号】WO2005/061436
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(306010370)アンジオジーン ファーマスーティカルズ リミテッド (4)
【Fターム(参考)】