説明

N−アリール又はN−ヘテロアリールピペラジン誘導体及びそれを含有する医薬

次の一般式(I):


[式中、Xは置換基を有することもあるフェニル基を示し;Yは水素原子又は置換基を有することもあるフェニル基を示し;R及びRは同一又は異なって、置換基を有することもあるC1−6アルキル基を示すか、又は隣接する窒素原子と一緒になって置換基を有することもある4〜6員の窒素含有複素環を構成してもよく;Zは置換基を有することもあるC6−20アリール基又はヘテロアリール基を示す。]で表されるN−アリール又はN−ヘテロアリールピペラジン誘導体又はその塩、及びこれを有効成分とする医薬。
本発明の医薬は、痛み、炎症、関節炎、咳、喘息、排尿障害、下痢等の消化管運動障害、消化不良、又は掻痒もしくは皮膚疾患の予防及び/又は治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、κ−オピオイド受容体作用を有するN−アリール又はN−ヘテロアリールピペラジン誘導体又はその塩、及びこれを含有する医薬に関する。
【背景技術】
近年、μ−受容体を介した鎮痛作用が解明されるに伴い、優れたμ−受容体作用を示し、鎮痛薬として有用な化合物である4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジン誘導体が開発され、報告されている(特開平13−199959号公報)。しかし、μ−受容体作用薬は、一般に薬物依存性や呼吸抑制などの副作用を示す。
一方、κ−受容体作用薬は、鎮痛剤、利尿剤として、また痒みの治療をはじめ多くの症状の治療用として知られているが、薬物依存性や呼吸抑制などの副作用を示さず、μ−受容体作用薬の一つであるモルヒネとの交差耐性も示さない。また、これまでにκ−受容体アゴニスト活性を有する多数の化合物が報告されており、当該活性を有するピペラジン誘導体としては、鎮痛用のものが代表的である(特開平3−72467号公報)。
そこで、本発明は、優れたκ−受容体作用を有し、かつ薬物依存性及び呼吸抑制などの副作用を示さない、痛み、炎症、関節炎、咳、喘息、排尿障害、下痢等の消化管運動障害、消化不良、又は掻痒もしくは皮膚疾患の予防及び/又は治療に優れた化合物を提供することを目的とする。
【発明の開示】
本発明者は、κ−受容体作用に優れた化合物を得るべく鋭意研究を行った結果、下記一般式(I)で表される新規なN−アリール又はN−ヘテロアリールピペラジン誘導体が、κ−受容体作用を有し、医薬として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の一般式(I):

[式中、Xは置換基を有することもあるフェニル基を示し;Yは水素原子又は置換基を有することもあるフェニル基を示し;R及びRは同一又は異なって、置換基を有することもあるC1−6アルキル基を示すか、又は隣接する窒素原子と一緒になって置換基を有することもある4〜6員の窒素含有複素環を構成してもよく;Zは置換基を有することもあるC6−20アリール基又は置換基を有することもあるヘテロアリール基を示す。]で表されるN−アリール又はN−ヘテロアリールピペラジン誘導体又はその塩、及びこれを有効成分とする医薬を提供するものである。
本発明は、また、次の一般式(II):

[式中、X、Y、R及びRは前記定義の通りであり;Rは水素原子又はC7−26アラルキル基を示す。]で表されるピペラジン誘導体又はその塩を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明のN−アリール又はN−ヘテロアリールピペラジン誘導体は、前記一般式(I)で示されるものであるが、式中、Xで示されるフェニル基が持ち得る置換基としては、ハロゲン原子、ハロゲノC1−6アルキル基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、C1−6アルカノイル基、カルバモイル基、カルボキシル基、カルボキシC1−6アルキル基、C1−6アルカノイルオキシ基、ニトロ基、スルホンアミド基、C1−6アルキルスルホニル基等が挙げられる。
ここで、ハロゲノC1−6アルキル基、C1−6アルキル基、カルボキシC1−6アルキル基及びC1−6アルキルスルホニル基におけるC1−6アルキルとは、C1−6の直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル等が挙げられ、分岐鎖アルキルとしては、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等が挙げられる。
ハロゲノC1−6アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、モノフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ジクロロメチル基、モノクロロメチル基等が挙げられる。カルボキシC1−6アルキル基としては、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基等が挙げられる。C1−6アルキルスルホニル基としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等が挙げられる。
また、C1−6アルコキシ基としては、C1−6の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基が挙げられる。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブトキシ基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
1−6アルカノイル基及びC1−6アルカノイルオキシ基におけるC1−6アルカノイルとしては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル等が挙げられる。
これらフェニル基上の置換基のうちで、ハロゲン原子、ハロゲノC1−6アルキル基、ニトロ基、スルホンアミド基又はC1−6アルキルスルホニル基が好ましく、ハロゲン原子、ハロゲノC1−6アルキル基又はC1−6アルキルスルホニル基がより好ましく、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基又はメチルスルホニル基が特に好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が好ましく、フッ素原子又は塩素原子がより好ましい。置換基の数としては、1〜5個が好ましく、1〜3個がより好ましい。
Yで示されるフェニル基が持ち得る置換基としては、ハロゲン原子、ハロゲノC1−6アルキル基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、C1−6アルカノイル基、カルバモイル基、カルボキシル基、カルボキシC1−6アルキル基、C1−6アルカノイルオキシ基、ニトロ基、スルホンアミド基、C1−6アルキルスルホニル基等が挙げられる。これらの置換基におけるC1−6アルキル、C1−6アルコキシ及びC1−6アルカノイルとしては、前記と同様のものが挙げられる。置換基の数としては、1〜5個が好ましく、1〜3個がより好ましい。
Yとしては、水素原子又は無置換のフェニル基が好ましい。
及びRのC1−6アルキル基としては、C1−6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられる。具体的には、C1−6の直鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が挙げられ、分岐鎖アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。また、これら直鎖又は分岐鎖のアルキル基が持ち得る置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基等が挙げられる。
及びRが隣接する窒素原子と一緒になって構成する4〜6員の窒素含有複素環としては、4〜6員の窒素含有飽和複素環、例えばアゼチジン環、ピロリジン環、ピペリジン環等が挙げられる。これらの環が持ち得る置換基としては、ヒドロキシ基、オキソ基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C1−6アルコキシ基、ヒドロキシC1−6アルコキシ基、カルボキシC1−6アルコキシ基、カルボキシC1−6アルキル基、C1−6アルコキシカルボニルアルキリデン基、カルボキシアルキリデン基、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルキル基、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルキルチオ基、カルボキシC1−6アルキルチオ基、C1−6アルカノイルオキシ基等が挙げられる。これらの置換基におけるC1−6アルキル、C1−6アルコキシ及びC1−6アルカノイルとしては前記と同様のものが挙げられる。C2−6アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基等が挙げられる。C1−6アルキルチオとしては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ等が挙げられる。アルキリデンとしては、メチリデン、エチリデン等が挙げられる。置換基の数としては、1又は2個が好ましい。
Zで示されるC6−20アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。Zで示されるヘテロアリール基とは、N、O及びSから選ばれる1個以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族複環から構成される基を意味し、具体的には、ピロリル基、フリル基、チエニル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ベンゾピロリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾピラゾリル基、ベンゾイソキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基等が挙げられる。置換基の数としては、1〜3個が好ましく、置換位置については特に限定されない。C6−20アリール基又はヘテロアリール基が持ち得る置換基としては、ハロゲン原子、ハロゲノC1−6アルキル基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、C1−6アルカノイル基、カルバモイル基、カルボキシル基、カルボキシC1−6アルキル基、C1−6アルカノイルオキシ基、ニトロ基、スルホンアミド基、スルフィノC1−6アルキル基等が挙げられる。ここで、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ及びC1−6アルカノイルとしては、前記と同様なものが挙げられる。置換基の数としては、1〜3個が好ましく、置換位置については特に限定されない。
本発明のN−アリール又はN−ヘテロアリールピペラジン誘導体の製造中間体は、前記一般式(II)で示されるものであるが、式中、Rで示されるC7−26アラルキル基とは、前記C1−6アルキル基に置換もしくは非置換のC6−20アリール基が置換した基を意味する。置換基及びその数は、上記と同様である。C7−26アラルキル基としては、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基等が挙げられ、これらの中でベンジル基が好ましい。
本発明のN−アリール又はN−ヘテロアリールピペラジン誘導体(I)の塩としては、医薬として許容される塩であれば特に限定されるものではない。例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の有機酸塩;塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩が挙げられる。また、N−アリール又はN−ヘテロアリールピペラジン誘導体(I)は、不斉炭素を有するため立体異性体が存在するが、これらすべての異性体が本発明に包含される。更に、N−アリール又はN−ヘテロアリールピペラジン誘導体(I)は、水和物に代表される溶媒和物として存在していてもよい。
本発明のN−アリール又はN−ヘテロアリールピペラジン誘導体(I)は、例えば製造法1〜3により製造することができる。
[製造法1]

[式中、Wはハロゲン原子を示し;X、Y、Z、R及びRについては式(I)で定義したとおりであり;R5−1はC7−26アラルキル基を示す。]
すなわち、J.Med.Chem.36(1993)2075に記載の方法に準じて合成した化合物(1)と化合物(2)をカップリングさせ化合物(3)とし、化合物(3)を酸化して化合物(4)とした後、化合物(4)とアミン(HNR)とを反応させ、次いで還元し、化合物(5)とする。この化合物(5)を脱アラルキル化した化合物(6)に、種々のハロゲノアリール(7)又はハロゲノヘテロアリール(7)を反応させることにより化合物(I)を得ることができる。なお、化合物(1)は不斉炭素を1つ持つため2種類の光学異性体が存在するが、上記文献記載の方法に従えば2種類の光学異性体をつくり分けることができる。以下各工程に関し、詳細に説明する。
化合物(2)は、市販の試薬を購入するか、又は公知の方法(例えばChem.Pharm.Bull.33(1985)5245)により製造することができる。化合物(1)と化合物(2)とのカップリングは、化合物(2)を対応する酸クロリドに変換した後化合物(1)と反応させるか、又は化合物(1)と化合物(2)とを適当な縮合剤の存在下反応させることにより実施できる。化合物(2)を対応する酸クロリドに変換する際に用いる試薬としては、例えばオキザリルクロリド、チオニルクロリド等を挙げることができる。一方、適当な縮合剤としては、例えばカルボニルジイミダゾール、1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリドン、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシスクシンイミド、ジフェニルホスホリルアジド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド・ハイドロクロリド等が挙げられ、縮合剤の種類によっては適当な塩基、例えば、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基の存在下で反応を行う。これらの反応に使用される溶媒としては、反応に影響を与えなければ特に限定されず、例えばベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロルメタン、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
化合物(3)の酸化は、当業者に知られているスワン酸化、デスマーティン酸化等により実施でき、化合物(4)を得ることができる。
化合物(4)とアミン(HNR)との反応、これに続く還元は、J.Med.Chem.36(1993)2075に記載の方法で実施できる。アミン(HNR)については公知の方法により製造できるものを使用するか、又は後述のアミンの製造法▲1▼〜▲3▼に従って合成したものを使用する。
化合物(5)の脱アラルキル化は、通常、接触水素添加により実施できる。接触水素添加に用いられる触媒の適当な例として、例えばパラジウム−炭素、パラジウム−黒、水酸化パラジウムなどのパラジウム触媒、酸化白金、白金黒などの白金触媒、ラネーニッケルなどのニッケル触媒などを挙げることができる。反応は通常、溶媒の存在下で行われ、溶媒としては反応に影響を与えなければ特に限定はなく、例えばメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミドなどが用いられる。また、反応温度は特に限定されず、通常、室温又は加温下で行えばよい。化合物(6)へのアリール基又はヘテロアリール基の導入については、各々、ハロゲノアリール(7)、ハロゲノヘテロアリール(7)を用いて、Acc.Chem.Res.31,805−818の記載の方法に準じて実施できる。ハロゲノアリール(7)及びハロゲノヘテロアリール(7)のWとしては、例えば塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。
[製造法2]

[式中、W及びR5−1については製造法1で定義したとおりであり;X、Y、Z、R及びRについては式(I)で定義したとおりである。]
本製造法においても式(I)の化合物が製造できる。すなわち化合物(1)から更に脱アラルキル化して化合物(8)とし、この化合物(8)にアリール基又はヘテロアリール基を導入することにより化合物(9)とする。化合物(9)に化合物(2)をカップリングさせ化合物(10)とした後、酸化し(11)、更にアミン(HNR)を反応、次いで還元すると式(I)の化合物が得られる。化合物(8)については、J.Med.Chem.36(1993)2075に記載の方法に従って合成できる。化合物(8)へのアリール基又はヘテロアリール基は、製造法1と同様な方法により導入することができる。化合物(9)と化合物(2)のカップリングは、化合物(2)を対応する酸クロリドに変換した後に化合物(9)と反応させるか、又は化合物(9)と化合物(2)とを適当な縮合剤の存在下反応させることにより化合物(10)が得られる。化合物(2)を対応する酸クロリドに変換する際に用いる試薬、縮合剤、必要に応じて用いる塩基及び反応溶媒としては、製造法1の記載のものと同様である。
化合物(10)を酸化して得られる化合物(11)とアミン(HNR)との反応は、J.Med.Chem.36(1993)2075に記載の方法により実施できる。アミン(HNR)については公知の方法により製造でき、又後述のアミンの製造法▲1▼〜▲3▼に従っても合成できる。
[製造法3]

[式中、X、Y及びZについては式(I)で定義したとおりであり;nは1〜3の整数を示す。]
化合物(I−2)、化合物(I−3)、化合物(I−4)、化合物(I−5)及び化合物(I−6)については本製造法に従い合成できる。すなわち製造法1又は製造法2により製造した化合物(I−1)を適当な酸化反応により酸化して化合物(I−2)を得る。酸化反応としては、スワン酸化、デスマーティン酸化等が挙げられる。化合物(I−2)に、当業者に知られたホーナー・エモンズのオレフィン化試薬を反応させることにより化合物(I−3)を製造できる。化合物(I−4)は、化合物(I−3)を塩基性条件下で加水分解することで製造できる。使用する塩基としては、水酸化ナトリウム、カリウムtert−ブトキシド等が挙げられる。化合物(I−3)から化合物(I−5)への変換は、適当な還元反応で行うことができ、例えば触媒存在下の接触水素添加による還元が挙げられ、接触水素添加に用いられる触媒の適当な例として、例えばパラジウム−炭素、パラジウム−黒、水酸化パラジウムなどのパラジウム触媒、酸化白金、白金黒などの白金触媒、ラネーニッケルなどのニッケル触媒などが挙げられる。化合物(I−6)は、化合物(I−3)を塩基性条件下で加水分解することで製造できる。使用する塩基としては、水酸化ナトリウム、カリウムtert−ブトキシド等を挙げることができる。
製造法1〜3で用いるアミン(HNR)は、以下の製造法▲1▼〜▲3▼により製造できる。
[製造法▲1▼]

[式中、Pはアミンの保護基を、Qはハロゲン原子又はR−スルホニルオキシ基(Rは低級アルキル基又は低級アルキル基で置換されたフェニル基を示す。)を、Rは低級アルキル基を示し;nは1〜3の整数、mは1〜4の整数を示す。]
本製造法においては、化合物(12)と化合物(13)を反応させ化合物(14)とした後、保護基を除去してアミン(HNR)(15)とする。化合物(12)及び化合物(13)は公知の方法で製造が可能である。保護基のPとしては、例えばT.W.Green and P.G.M.Wnts.,Protective Group in Organic Synthesis,John Wiley & Sons Inc.,New York,1999に記載のものが挙げられる。化合物(13)のQとしては、例えば塩素、臭素、ヨウ素、メシルオキシ基、トシルオキシ基などが挙げられる。この反応は、適当な溶媒中、塩基存在下で実施でき、化合物(13)の種類によっては相関移動触媒を用いてもよい。使用される溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル等が挙げられる。また、用いる塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド等が挙げられる。反応温度は特に限定されない。化合物(14)の脱保護は一般的な方法で実施できる。
[製造法▲2▼]

[式中、P、Q、R、n及びmは前記定義のとおりである。]
本製造法においては、化合物(12)をメシル化し化合物(16)とした後、化合物(16)をN,N−ジメチルホルムアミド中、チオ酢酸カリウムと反応させチオアセテート体(17)に誘導する。化合物(17)に化合物(13)を反応させて化合物(18)として、最後に脱保護を行い、アミン(HNR)(19)とする。化合物(12)のメシル化は、メシルクロライドを用いることにより公知の方法で実施できる。化合物(18)は、化合物(13)を用い、Tetrahedron Letter 40(1999)1101−1102に記載の方法に準じて製造できる。化合物(13)のQとしては、例えば塩素、臭素、ヨウ素、メシルオキシ基、トシルオキシ基などが挙げられる。化合物(18)の脱保護は一般的な方法で実施でき、化合物(19)を得ることができる。
[製造法▲3▼]

[式中、R及びnは前記と同じものを示す。]
本製造法においては、化合物(20)を還元して化合物(21)とし、次いでホーナー・エモンズのオレフィン化試薬を用いて化合物(22)を得る。最後にベンジル基を除去すると同時にオレフィンの還元を行い、アミン(HNR)(23)とする。
化合物(20)については、Synthesis 10(1998)1491−1495に記載の方法に従い合成できる。化合物(20)の還元は、例えばDIBALH還元により実施できる。ベンジル基の除去及びオレフィンの還元は、例えば化合物(22)の接触水素添加により行うことができ、接触水素添加に用いる触媒、反応溶媒及び反応温度については、製造法1の記載と同様である。
本発明化合物(I)の単離・精製は、常法、例えば洗浄、抽出、再結晶、クロマトグラフィー等により行うことができる。また、塩への変換も常法に従って行うことができる。また、ラセミ化合物は適当な原料化合物を用いることにより、あるいは一般的なラセミ分割法[例えば、一般的な光学活性酸(酒石酸等)とのジアステレオマー塩に導き、光学分割する方法など]により立体化学的に純粋な異性体に導くことができる。
本発明化合物(I)は、後記試験例に示すように、優れたκ−オピオイド受容体作用を有し、痛み、炎症、関節炎、咳、喘息、下痢等の消化管運動障害、消化不良、又は掻痒もしくは皮膚疾患の予防又は/及び治療用の医薬として有用である。
本発明化合物(I)をこのような医薬として用いる場合は、当該技術分野で公知の固体又は液体の担体と混合し、非経口投与、経口投与又は外部投与に適した医薬組成物(医薬製剤)とすればよい。医薬製剤としては、例えば注射剤、吸入剤、シロップ剤、乳剤等の液剤、錠剤、カプセル剤、粒剤等の固形剤、軟膏、坐剤等の外用剤などが挙げられる。また、これらの製剤には必要に応じて助剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、吸収促進剤、界面活性剤等の通常使用される添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては注射用蒸留水、リンゲル液、グルコース、ショ糖シロップ、ゼラチン、食用油、カカオ脂、ステアリン酸マグネシウム、タルク等が挙げられる。
本発明化合物(I)を、医薬として使用する場合の投与量は、投与方法、患者の年齢、体重、容態等によって異なるが、成人患者に対して経口投与の場合1日あたり0.1〜1000mgとすることが好ましい。なお、本発明化合物(I)は、ヒトに限らず、他の哺乳動物について獣医学的薬剤として利用することもできる。
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、もとより本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
参考例1
[4−ベンジル−2−(ヒドロキシメチル)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)]ピペラジン
1−ベンジル−3−(ヒドロキシメチル)ピペラジン10gをテトラヒドロフラン(100mL)とトリエチルアミン(11mL)中に溶解し、−10℃にてジフェニルアセチルクロリド13gのテトラヒドロフラン溶液(100mL)を15分かけて滴下した後、室温で2時間攪拌した。反応後、水(50mL)を加え有機層を分離し、更に水層を酢酸エチルで抽出し先の有機層と合わせて水洗、乾燥した。溶媒を減圧濃縮して得た残渣をエーテルより結晶化して、無色結晶の標記目的物質10.5gを得た。収率:54%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):0.60−2.03(2H,m),2.25(0.6H,dd),2.67(1H,d),2.80(0.4H,d),2.98(1H,d),3.24−4.02(7H,m),4.52(0.4H,d),4.69(0.6H,s),5.19(0.6H,s),5.35(0.4H,s),7.14−7.39(15H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):401.m.p.:160−161℃
参考例2
[4−ベンジル−2−ホルミル−1−(2,2−ジフェニルアセチル)]ピペラジン
オギザリルクロリド(0.9m)の無水塩化メチレン(30mL)溶液に−60℃下でジメチルスルホキシド(1.4mL)の無水塩化メチレン溶液(20mL)を加え30分攪拌した。その後[4−ベンジル−2−(ヒドロキシメチル)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)]ピペラジン(3.4g)の無水塩化メチレン溶液(30mL)を15分かけて滴下し、同じく−60℃で窒素気流下2時間半攪拌した。次にトリエチルアミン(6mL)を加え、温度を−20℃まで上げて30分攪拌後、水(60mL)を加える。室温に戻してからクロロホルムで抽出し、水洗、乾燥後、溶媒を減圧濃縮して淡黄色油状物として標記目的物質3.3gを得た。収率:99%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.04−1.23(2H,m),1.76−2.28(2H,m),3.10−3.83(5H,m),5.18(1H,s),5.28(1H,m),7.09−7.40(15H,m),9.72(1H,s).MS(FAB(M+H))(m/z):399.
参考例3
[4−ベンジル−2−[(3S)−3−ヒドロキシテトラヒドロ−1H−ピロール−1−イル]メチル−1−(2,2−ジフェニルアセチル)]ピペラジン
(3S)−ピロリジノール(0.28g)のメタノール溶液(10mL)に室温下、[4−ベンジル−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−2−ホルミル]ピペラジン(1g)のメタノール溶液(15mL)を加え、飽和メタノール塩酸でpHの値を6とした後、30分攪拌した。次にシアノトリヒドロほう酸ナトリウム(0.38g)を加え室温で12時間攪拌した。反応液を減圧濃縮後、5%の炭酸ナトリウム水溶液(100mL)を加え酢酸エチルで抽出し、水洗、乾燥後した。溶媒を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製を行い淡黄色油状物として標記目的物質0.7gを得た。収率:55%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.55−2.17(6H,m),2.02−3.68(10H,m),4.21(1H,s),4.53−4.84(1H,m),5.14−5.29(1H,m),7.11−7.37(15H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):470.
参考例4
[2−[(3S)−3−ヒドロキシテトラヒドロ−1H−ピロール−1−イル]メチル−1−(2,2−ジフェニルアセチル)]ピペラジン
[4−ベンジル−2−[(3S)−3−ヒドロキシテトラヒドロ−1H−ピロール−1−イル]メチル−1−(2,2−ジフェニルアセチル)]ピペラジン(0.5g)のテトラヒドロフラン(10mL)、水(10mL)の混合溶媒中に濃塩酸(1mL)と10%パラジウム炭素(0.2g)を加え、室温下1気圧にて6時間水素接触還元した。反応後、触媒を濾別し濾液を減圧濃縮して、残渣に水(20mL)と5%炭酸ナトリウム水溶液(20mL)を加えてクロロホルムで抽出し、水洗、乾燥後、溶媒を減圧濃縮して淡黄色油状物として標記目的物質0.4gを得た。収率:93%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.20−1.29(1H,m),1.66−3.48(14H,m),3.64−3.75(1H,m),4.40(1H,s),4.89−5.44(1H,m),7.04−7.42(10H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):380.
参考例5
3−(ヒドロキシメチル)−1−フェニルピペラジン
2−(ヒドロキシメチル)ピペラジン0.95gのトルエン20ml溶液にナトリウムtert−ブトキシド(1.45g)、ブロモベンゼン(0.57g)、ジクロロビス(トリ−オルト−トルイルホスフィン)パラジウム(II)(0.14g)を加え、8時間攪拌した。冷後、反応混液をセライトで濾過し、トルエンにて洗浄後、濾液および洗液を減圧留去した。次いで残渣油状物をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製を行い淡黄色油状物として標記目的物質0.05gを得た。収率:7%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):2.40−2.83(5H,m),2.95−3.20(3H,m),3.40−3.77(4H,m),6.80−7.00(3H,m),7.20−7.35(2H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):193.
参考例6
[2−(ヒドロキシメチル)−4−フェニル−1−(2,2−ジフェニルアセチル)]ピペラジン
3−(ヒドロキシメチル)−1−フェニルピペラジ(0.1g)の無水テトラヒドロフラン(20mL)溶液にトリエチルアミン(0.5mL)を加え、室温攪拌下ジフェニルアセチルクロリド(0.25g)を少量ずつ1分かけて加え、更に室温にて4時間攪拌した。次いで反応混液中に水を加え、酢酸エチルにて抽出し、水洗、芒硝乾燥後減圧留去した。次に、この残渣にメタノール(5mL)/ジオキサン(5mL)の混合溶媒に溶解し、更に1N水酸化ナトリウム水溶液(5mL)を加え、室温で1.5時間攪拌した。次いで反応混液中に水を加え、酢酸エチルにて抽出後、水洗、芒硝乾燥、溶媒の減圧留去を行った後、残渣油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製を行い淡黄色油状物として標記目的物質0.047gを得た。収率:23%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):2.35−4.20(9H,m),4.60(0.4H,d),4.72−4.82(0.6H,br),5.25(0.6H,s),5.50(0.4H,s),6.78−6.93(3H,m),7.14−7.42(12H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):387.
参考例7
[(2S)−4−ベンジル−2−[(3S)−3−ヒドロキシテトラヒドロ−1(2H)−ピリジニル]メチル−1−(2,2−ジフェニルアセチル)]ピペラジン
(3S)−3−ヒドロキシピペリジン塩酸塩0.5gのメタノール溶液10mlに室温下、[(2S)−4−ベンジル−2−ホルミル−1−(2,2−ジフェニルアセチル)]ピペラジン1gのトリエチルアミン溶液0.5mlを加え、飽和メタノール塩酸でペーハーの値を6とした後、30分攪拌した。次にシアノトリヒドロほう酸ナトリウム0.38gを加え室温で18時間攪拌した。反応液を減圧濃縮後、5%の炭酸ナトリウム水溶液50mlを加え酢酸エチルで抽出し、水洗、乾燥後した。溶媒を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製を行い淡黄色油状物として標記目的物質0.5gを得た。収率:44%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.19−1.68(5H,m),1.72−2.40(5H,m),3.09−3.39(2H,m),3.45−3.90(3H,m),4.53−4.83(1H,m),5.17(1H,m),7.13−7.49(15H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):484.
参考例8
1−[(2S)−2−[[(3S)−3−ヒドロキシテトラヒドロ−1(2H)−ピリジニル]メチル]テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−2,2−ジフェニル−1−エタノン
[(2S)−4−ベンジル−2−[(3S)−3−ヒドロキシテトラヒドロ−1(2H)−ピリジニル]メチル−1−(2,2−ジフェニルアセチル)]ピペラジン0.4gのテトラヒドロフラン14ml、水14mlの混合溶媒中に濃塩酸0.7mlと10%パラジウム炭素0.1gを加え、室温下1気圧にて2時間水素接触還元した。反応後、触媒を濾別し濾液を減圧濃縮して、残渣に水15mlと5%炭酸ナトリウム水溶液15mlを加えてクロロホルムで抽出し、水洗、乾燥後、溶媒を減圧濃縮して無色粉末として標記目的物質0.3gを得た。収率:97%
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.37−2.02(3H,m),2.16−3.20(13H,m),3.52−3.95(2H,m),4.48−4.88(1H,m),5.09−5.29(1H,m),7.06−7.44(10H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):394.m.p.:147−151℃.
【実施例1】
1−[(2R)−2−[[(3S)−3−ヒドロキシテトラヒドロ−1H−ピロール−1−イル]メチル]−4−(1,3−チアゾル−2−イル)テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−2,2−ジフェニル−1−エタノン
1−[(2S)−2−[[(3S)−3−ヒドロキシテトラヒドロ−1H−ピロール−1−イル]メチル]テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−2,2−ジフェニル−1−エタノン(0.3g)の1,2,4−トリメチルベンゼン(5mL)溶液にナトリウムtert−ブトキシド(0.1g)、2−ブロモチアゾール(0.7g)、ジクロロビス(トリ−オルト−トルイルホスフィン)パラジウム(II)(0.03g)を加え、170℃で4時間攪拌した。冷後、水(30mL)を加え酢酸エチルで抽出し、水洗、乾燥後、溶媒を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製を行い淡黄色油状物として標記目的物質0.14gを得た。収率:38%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.23−4.34(14H,m),4.65−5.01(1H,m),5.17−5.28(1H,m),6.56(1H,d),7.09−7.41(11H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):463.
【実施例2】
1−[[(2R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(1,3−チアゾル−2−イル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジノン
オギザリルクロリド(0.033mL)の無水塩化メチレ(3mL)溶液に−40℃でジメチルスルホキシド(0.054mL)の無水塩化メチレン溶液(1mL)を加え30分攪拌した。その後1−[(2R)−2−[[(3S)−3−ヒドロキシテトラヒドロ−1H−ピロール−1−イル]メチル]−4−(1,3−チアゾル−2−イル)テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−2,2−ジフェニル−1−エタノン(0.14g)の無水塩化メチレン溶液(3mL)を滴下し、同じく−40℃で窒素気流下2時間攪拌した。次にトリエチルアミン(0.2mL)を加え、温度を−20℃まで上げて30分攪拌後、水(3mL)を加える。室温に戻してからクロロホルムで抽出し、水洗、乾燥後、溶媒を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製を行い淡黄色油状物として標記目的物質0.087gを得た。収率:63%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.58−1.68(1H,m),2.38(2H,t),2.69−3.29(8H,m),3.75−4.13(3H,m),4.68−5.04(1H,m),5.22(1H,s),6.58(1H,d),7.11−7.39(11H,m).
MS(FAB(M+H))(m/z):461.
【実施例3】
2−[1−[[(2R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(1,3−チアゾル−2−イル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジニリデン]酢酸エチル
ジエチルホスホノ酢酸エチル(0.05g)のテトラヒドロフラン溶液(4mL)に氷冷下、水素化ナトリウム油性(60%)(0.01g)を加え15分攪拌し、続いて1−[[(2R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(1,3−チアゾル−2−イル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジノン(0.092g)のテトラヒドロフラン溶液(4mL)を加えた後、70℃で1時間加熱した。反応液に飽和食塩水(8mL)を加え、酢酸エチルで抽出し、水洗、乾燥後、溶媒を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製を行い淡黄色油状物として標記目的物質0.068gを得た。収率:50%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.17−1.39(3H,m),2.35−4.33(16H,m),4.67−5.33(2H,m),5.76(1H,s),6.49−6.64(1H,m),7.10−7.42(11H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):531.
【実施例4】
2−[1−[[(2R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(1,3−チアゾル−2−イル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジニリデン]酢酸
2−[1−[[(2R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(1,3−チアゾル−2−イル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジニリデン]酢酸エチル(0.068g)をメタノール(3mL)、ジオキサン(3mL)、1規定水酸化ナトリウム(3mL)に溶解させ、40℃で2時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣に水(10mL)を加え、2%クエン酸水溶液でpHの値を5〜6としてからクロロホルムで抽出し、溶媒を減圧濃縮し、残渣をエーテルにより結晶化させて淡黄色不安定粉末の標記目的物質0.053gを得た。収率:75%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):2.27−4.14(14H,m),4.68−5.86(3H,m),6.51−6.67(1H,m),7.04−7.44(11H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):503.
【実施例5】
2−(3,4−ジクロルフェニル)−1−[(2R)−2−[[(3S)−3−ヒドロキシテトラヒドロ−1H−ピロール−1−イル]メチル]−4−(1,3−チアゾル−2−イル)テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−1−エタノン
実施例1と同様に行うことにより、2−(3,4−ジクロルフェニル)−1−[(2S)−2−[[(3S)−3−ヒドロキシテトラヒドロ−1H−ピロール−1−イル]メチル]テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−1−エタノン(0.29g)から、淡黄色油状物の標記目的化合物0.1gを得た。収率:28%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.66−3.46(12H,m),3.56−4.97(6H,m),6.60(1H,d),7.03−7.57(4H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):455.
【実施例6】
1−[[(2R)−1−[2−(3,4−ジクロルフェニル)アセチル]−4−(1,3−チアゾル−2−イル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジノン
実施例2と同様に行うことにより、2−(3,4−ジクロルフェニル)−1−[(2R)−2−[[(3S)−3−ヒドロキシテトラヒドロ−1H−ピロール−1−イル]メチル]−4−(1,3−チアゾル−2−イル)テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル])−1−エタノン(0.1g)から、淡黄色油状物の標記目的化合物0.06gを得た。収率:58%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.68−3.04(12H,m),3.57−4.17(4H,m),6.97(1H,d),6.92−7.55(4H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):453.
【実施例7】
2−[1−[[(2R)−1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−4−(1,3−チアゾル−2−イル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジニリデン]酢酸エチル
実施例3と同様に行うことにより、1−[[(2R)−1−[2−(3,4−ジクロルフェニル)アセチル]−4−(1,3−チアゾル−2−イル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジノン(0.05g)から、淡黄色油状物の標記目的物質0.04gを得た。収率:64%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.19−1.37(3H,m),1.60−5.04(18H,m),5.76(1H,s),6.94−7.54(4H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):523.
【実施例8】
2−[1−[[(2R)−1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−4−(1,3−チアゾル−2−イル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジニリデン]酢酸
実施例4と同様に行うことにより、2−[1−[[(2R)−1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−4−(1,3−チアゾル−2−イル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジニリデン]酢酸エチル(0.04g)から、淡黄色不安定粉末の標記目的物質0.03gを得た。収率:80%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):2.12−5.16(18H,m),5.45−5.85(1H,m),6.60(1H,s),6.92−7.49(4H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):495.
【実施例9】
2−(3,4−ジクロルフェニル)−1−[(2R)−2−[(3−ヒドロキシピペリジノ)メチル]−4−(1,3−チアゾル−2−イル)テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−1−エタノン
実施例1と同様に行うことにより、2−(3,4−ジクロルフェニル)−1−[(2S)−2−[(3−ヒドロキシピペリジノ)メチル]テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−1−エタノン(0.4g)から、淡黄色油状物の標記目的物質0.13gを得た。収率:26%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.37−1.99(4H,m),2.10−2.72(5H,m),2.88−3.41(3H,m),3.52−4.15(5H,m),4.29−4.96(1H,m),6.60(1H,s),7.00−7.47(4H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):469.
【実施例10】
1−[(2R)−2−[(3−ヒドロキシピペリジノ)メチル]−4−(1,3−チアゾル−2−イル)テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−エタノン
実施例1と同様に行うことにより、1−[(2S)−2−[(3−ヒドロキシピペリジノ)メチル]テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−エタノン(0.063g)から、淡黄色油状物の標記目的物質0.01gを得た。収率:13%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.35−3.20(15.5H,m),3.65−4.82(5.5H,m),6.58−7.72(6Hm).MS(APCI(M+H))(m/z):469.
【実施例11】
1−[(2R)−2−[[(3−ヒドロキシピペリジノ)メチル]−4−(2−ピラジル)テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−2,2−ジフェニル−1−エタノン
実施例1と同様に行うことにより、1−[(2R)−2−[[(3−ヒドロキシピペリジノ)メチル]テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−2,2−ジフェニル−1−エタノン(1.5g)から、淡黄色油状物の標記目的物質0.4gを得た。収率:22%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.41−3.29(15H,m),3.68−5.02(4H,m),5.21(1H,s),7.13−7.41(10H,m),7.84(1H,d),8.02(1H,s),8.10(1H,d).
MS(FAB(M+H))(m/z):472.
【実施例12】
1−[(2R)−2−[[(3S)−3−ヒドロキシテトラヒドロ−1H−ピロール−1−イル]メチル]−4−(2−ピラジル)テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−2,2−ジフェニル−1−エタノン
実施例1と同様に行うことにより、1−[(2S)−2−[[(3S)−3−ヒドロキシテトラヒドロ−1H−ピロール−1−イル]メチル]テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−2,2−ジフェニル−1−エタノン(0.7g)から、淡黄色油状物の標記目的物質0.3gを得た。収率:36%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.60−3.29(13H,m),3.76−5.00(4H,m),5.24(1H,d),7.02−7.43(10H,m),7.83(1H,d),8.00(1H,t),8.14(1H,t).MS(FAB(M+H))(m/z):458.
【実施例13】
1−[2−[[(3S)−3−ヒドロキシテトラヒドロ−1H−ピロール−1−イル]メチル]−4−(2−ピリミジル)テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−2,2−ジフェニル−1−エタノン
実施例1と同様に行うことにより、1−[2−[[(3S)−3−ヒドロキシテトラヒドロ−1H−ピロール−1−イル]メチル]テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−2,2−ジフェニル−1−エタノン(0.1g)から、淡黄色油状物の標記目的物質0.012gを得た。収率:10%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.63−3.30(13H,m),3.62−5.34(4H,m),6.50(1H,q),7.08−7.47(10H,m),8.25−8.33(2H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):458.
【実施例14】
2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−[(2R)−2−[[(3S)−3−ヒドロキシテトラヒドロ−1H−ピロール−1−イル]メチル]−4−(1,3−チアゾル−2−イル)テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−1−エタノン
実施例1と同様に行うことにより、2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−[(2S)−2−[[(3S)−3−ヒドロキシテトラヒドロ−1H−ピロール−1−イル]メチル]テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−1−エタノン(0.63g)から、淡黄色油状物の標記目的化合物0.26gを得た。収率:34%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.89−5.31(19H,m),6.64−7.73(6H,m),7.03−7.57(4H,m).MS(APCI(M+H))(m/z):455.
【実施例15】
2−[1−[[(2R)−1−[2−[4−(トリフルオロメチル)フェニルアセチル]−4−(1,3−チアゾル−2−イル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジニリデン]酢酸エチル
実施例3と同様に行うことにより、1−[[(2R)−1−[2−[4−(トリフルオロメチル)フェニルアセチル]]−4−(1,3−チアゾル−2−イル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジノン(0.12g)から、淡黄色油状物の標記目的物質0.08gを得た。収率:59%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.25−1.37(7.5H,m),2.44−5.03(15.5H,m),5.77(0.5H,brs),6.61(0.5H,brs),7.17−7.58(5H,m).MS(APCI(M+H))(m/z):523.
【実施例16】
2−[1−[[(2R)−1−[2−[4−(トリフルオロメチル)フェニルアセチル]]−4−(1,3−チアゾル−2−イル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジニリデン]酢酸
実施例4と同様に行うことにより、2−[1−[[(2R)−1−[2−[4−(トリフルオロメチル)フェニルアセチル]]−4−(1,3−チアゾル−2−イル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジニリデン]酢酸エチル(0.08g)から、淡黄色不安定粉末の標記目的物質0.02gを得た。収率:20%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):
1.22−5.63(19H,m),6.60−6.62(0.5HH,m),7.18−7.71(5.5H,m).MS(APCI(M+H))(m/z):495.
【実施例17】
1−[(2R)−2−[(3−ヒドロキシピペリジノ)メチル]−4−(1,3−チアゾル−2−イル)テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−2,2−ジフェニル−1−エタノン
実施例1と同様に行うことにより、1−[(2R)−2−[[(3−ヒドロキシピペリジノ)メチル]テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−2,2−ジフェニル−1−エタノン(1.0g)から、淡黄色油状物の標記目的物質0.6gを得た。収率:49%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.40−3.29(15H,m),3.66−4.10(3H,m),4.63−5.27(2H,m),6.56(1H,t),7.11−7.48(11H,m).MS(APCI(M+H))(m/z):477.
【実施例18】
1−[[(2R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(1,3−チアゾル−2−イル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピペリジノン
実施例2と同様に行うことにより、1−[(2R)−2−[(3−ヒドロキシピペリジノ)メチル]−4−(1,3−チアゾル−2−イル)テトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−2,2−ジフェニル−1−エタノン(0.33g)から淡黄色油状物の標記目的物質0.17gを得た。収率:54%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.24−1.91(8H,m),2.32−3.19(12H,m),3.75−5.21(4H,m),6.57(1H,d,J=3.4Hz),7.15(1H,d,J=3.4Hz),7.16−7.40(10H,m).MS(APCI(M+H))(m/z):475.
【実施例19】
2−[1−[[(2R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(1,3−チアゾル−2−イル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピペリジニリデン]酢酸エチル
実施例3と同様に行うことにより、1−[[(2R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(1,3−チアゾル−2−イル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピペリジノン(0.16g)から淡黄色油状物の標記目的物質0.10gを得た。収率:55%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.16−1.30(3H,m),1.66−1.69(2H,m),2.26−4.19(16H,m),4.69−5.72(3H,m),6.54−6.58(1H,m),7.13−7.47(11H,m).MS(APCI(M+H))(m/z):545.
【実施例20】
2−[1−[[(2R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(1,3−チアゾル−2−イル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピペリジニル]酢酸エチル
2−[1−[[(2R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(1,3−チアゾル−2−イル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピペリジニリデン]酢酸エチル(0.1g)のメタノール溶液中に10%パラジウム炭素(0.2g)を加え、室温下1気圧にて6時間水素接触還元した。反応後、触媒を濾別し濾液を減圧濃縮して、残渣に水(20mL)と5%炭酸ナトリウム水溶液(20mL)を加えてクロロホルムで抽出し、水洗、乾燥後、溶媒を減圧濃縮して淡黄色油状物として標記目的物質0.01gを得た。収率:14%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):0.99−1.19(1H,m),1.20−1.27(3H,m),1.51−3.36(15H,m),3.74−4.16(5H,m),4.68−4.95(1H,m),5.20−5.49(1H,m),6.55−6.87(1H,m),7.13−7.36(11H,m).MS(APCI(M+H))(m/z):547.
【実施例21】
2−[1−[[(2R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(1,3−チアゾル−2−イル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピペリジニル]酢酸
実施例4と同様に行うことにより、2−[1−[[(2R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(1,3−チアゾル−2−イル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピペリジニル]酢酸エチル(0.01g)から白色不安定粉末の標記目的物質0.01gを得た。収率:95%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.25−4.17(18H,m),5.41−5.66(2H,m),6.58−6.60(1H,m),7.12−7.39(12H,m).MS(APCI(M+H))(m/z):519.
【実施例22】
3−[1−[[1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(2−ピリジニル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジニル]プロパン酸エチル
参考例3と同様に行うことにより、[1−(2,2−ジフェニルアセチル)−2−ホルミル−4−(2−ピリジニル)]ピペラジン(0.07g)と3−(3−ピロリジニル)プロパン酸エチル(0.07g)から淡黄色油状物の標記目的物質0.06gを得た。収率:65%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.20−1.37(3H,m),1.40−4.93(20H,m),5.17−5.35(1H,m),6.54−6.70(2H,m),7.10−7.53(11H,m),8.02−8.16(1H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):541.
【実施例23】
3−[1−[[1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(2−ピリジニル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジニル]プロパン酸
実施例4と同様に行うことにより、3−[1−[[1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(2−ピリジニル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジニル]プロパン酸エチル(0.06g)から白色不安定粉末の標記目的物質0.05gを得た。収率:96%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.40−5.58(22H,m),6.52−6.68(2H,m),7.12−7.51(11H,m),8.04−8.15(1H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):513.
【実施例24】
2−[[1−[[1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(2−ピリジニル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジニル]オキシ]酢酸メチル
参考例3と同様に行うことにより、[1−(2,2−ジフェニルアセチル)−2−ホルミル−4−(2−ピリジニル)]ピペラジン(0.07g)と2−(3−ピロリジニルオキシ)酢酸メチル(0.07g)から淡黄色油状物の標記目的物質0.01gを得た。収率:10%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.16−4.95(18H,m),3.73(3H,s),5.18−5.37(1H,m),6.54−6.74(2H,m),7.13−7.57(11H,m),8.03−8.18(1H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):529.
【実施例25】
2−[[1−[[1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(2−ピリジニル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジニル]オキシ]酢酸
実施例4と同様に行うことにより、2−[[1−[[1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(2−ピリジニル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジニル]オキシ]酢酸メチル(0.01g)から白色不安定粉末の標記目的物質0.01gを得た。収率:91%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.60−5.30(20H,m),6.39−6.66(2H,m),6.90−7.48(11H,m),7.96−8.15(1H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):515.
【実施例26】
2−[[1−[[1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(2−ピリジニル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジニル]スルファニル]酢酸メチル
参考例3と同様に行うことにより、1−(2,2−ジフェニルアセチル)−2−ホルミル−4−(2−ピリジニル)]ピペラジン0.07gと2−(3−ピロリジニルスルファニル)酢酸メチル(0.07g)から淡黄色油状物の標記目的物質0.03gを得た。収率:29%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.45−4.97(18H,m),3.73(3H,s),5.18−5.32(1H,m),6.52−6.76(2H,m),7.10−7.54(11H,m),8.03−8.17(1H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):545.
【実施例27】
2−[[1−[[1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(2−ピリジニル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジニル]スルファニル]酢酸
実施例4と同様に行うことにより、2−[[1−[[1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(2−ピリジニル)ヘキサヒドロ−2−ピラジニル]メチル]−3−ピロリジニル]スルファニル]酢酸メチル(0.03g)から白色不安定粉末の標記目的物質0.03gを得た。収率:92%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.72−6.01(20H,m),6.51−6.70(2H,m),7.13−7.55(11H,m),8.03−8.19(1H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):531.
【実施例28】
1−[2−[[(3S)−3−ヒドロキシテトラヒドロ−1H−ピロール−1−イル]メチル]−4−フェニルテトラヒドロ−1(2H)−ピラジニル]−2,2−ジフェニル−1−エタノン
参考例3と同様に行うことにより、[1−(2,2−ジフェニルアセチル)−2−ホルミル−4−フェニル]ピペラジン(0.04g)と3(S)−ピロリジノール(0.02g)から淡黄色油状物の標記目的物質0.01gを得た。収率:22%。
H−NMR(CDCl)δ(ppm):1.68−3.86(14H,m),3.99−4.37(1H,m),4.64−4.97(1H,m),5.20−5.34(1H,m),6.78−6.92(2H,m),7.14−7.41(13H,m).MS(FAB(M+H))(m/z):456.
試験例1 κ−オピオイド受容体親和性試験
ヒトκ−オピオイド受容体がエンコードされたプラスミドをCHO細胞に、Tris−HClバッファー(pH7.4)を用いる標準的な方法で恒常的形質転換したうちの膜の部分を用いた。その膜の30μgを0.6nM[H]DPNとともに25℃で1時間インキュベートした。測定は、マグアイヤらの方法(Eur.J.Pharmacol.,213;219−225,1992)で被験薬のκ−オピオイド受容体親和性を測定した。試験結果を表1に示す。

試験例2 摘出モルモット回腸標本での作用
体重400g前後のHartley系雄性モルモットを用いた。回盲から胃幽門側部へ15〜30cmの回腸を摘出し、アウエルバッハ神経叢を含む縦走筋標本を作製し、岡らの方法(Eur.J.Pharmacol.,77;137−141,1982)を用いて回腸収縮に対する抑制作用として、被験薬のオピオイド受容体アゴニスト活性を測定した。アゴニスト活性の大きさは50%収縮抑制濃度で示した。なお、被験薬がオピオイドアゴニストであることは、選択的κ−オピオイド拮抗薬であるnor−BNI(nor−Binaltorphimine dihydrochloride)による拮抗で確認した。試験結果を表2に示す。

【産業上の利用可能性】
本発明化合物(I)は、κ−オピオイド受容体作用を有し、痛み、炎症、関節炎、咳、喘息、排尿障害、下痢等の消化管運動障害、消化不良、又は掻痒もしくは皮膚疾患の予防及び/又は治療用の医薬として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(I):

[式中、Xは置換基を有することもあるフェニル基を示し;Yは水素原子又は置換基を有することもあるフェニル基を示し;R及びRは同一又は異なって、置換基を有することもあるC1−6アルキル基を示すか、又は隣接する窒素原子と一緒になって置換基を有することもある4〜6員の窒素含有複素環を構成してもよく;Zは置換基を有することもあるC6−20アリール基又は置換基を有することもあるヘテロアリール基を示す。]で表されるN−アリール又はN−ヘテロアリールピペラジン誘導体又はその塩。
【請求項2】
Xがハロゲン原子、ハロゲノC1−6アルキル基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、C1−6アルカノイル基、カルバモイル基、カルボキシル基、カルボキシC1−6アルキル基、C1−6アルカノイルオキシ基、ニトロ基、スルホンアミド基及びC1−6アルキルスルホニル基から選ばれる1〜5個の置換基を有することもあるフェニル基を示し;Yが水素原子であるか又はハロゲン原子、ハロゲノC1−6アルキル基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、C1−6アルカノイル基、カルバモイル基、カルボキシル基、カルボキシC1−6アルキル基、C1−6アルカノイルオキシ基、ニトロ基、スルホンアミド基及びC1−6アルキルスルホニル基から選ばれる1〜5個の置換基を有することもあるフェニル基を示し;R及びRが同一又は異なって、置換基を有することもあるC1−6アルキル基であるか、又は隣接する窒素原子と一緒になって、ヒドロキシ基、オキソ基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C1−6アルコキシ基、ヒドロキシC1−6アルコキシ基、カルボキシC1−6アルコキシ基、カルボキシC1−6アルキル基、C1−6アルコキシカルボニルアルキリデン基、カルボキシアルキリデン基、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルキル基、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルキルチオ基、カルボキシC1−6アルキルチオ基及びC1−6アルカノイルオキシ基から選ばれる1〜2個の置換基を有することもある4〜6員の窒素含有複素環を構成してもよく;Zがハロゲン原子、ハロゲノC1−6アルキル基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、C1−6アルカノイル基、カルバモイル基、カルボキシル基、カルボキシC1−6アルキル基、C1−6アルカノイルオキシ基、ニトロ基、スルホンアミド基及びスルフィノC1−6アルキル基から選ばれる1〜3個の置換基を有することもあるフェニル基もしくはナフチル基又はピロリル基、フリル基、チエニル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ベンゾピロリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾピラゾリル基、ベンゾイソキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キナゾリニル基もしくはキノキサリニル基を示すものである請求項1記載のN−アリール又はN−ヘテロアリールピペラジン誘導体又はその塩。
【請求項3】
Xがハロゲン原子、ハロゲノC1−6アルキル基及びC1−6アルキルスルホニル基から選ばれる1〜3個の置換基を有することもあるフェニル基を示し;Yが水素原子又はフェニル基を示すものである請求項1記載のN−アリール又はN−ヘテロアリールピペラジン誘導体又はその塩。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載のN−アリール又はN−ヘテロアリールピペラジン誘導体又はその塩を有効成分とする医薬。
【請求項5】
痛み、炎症、関節炎、咳、喘息、排尿障害、消化管運動障害、消化不良、又は掻痒もしくは皮膚疾患の予防及び/又は治療剤である請求項4記載の医薬。
【請求項6】
次の一般式(II):

[式中、X、Y、R及びRは前記定義の通りであり;Rは水素原子又はC7−26アラルキル基を示す。]で表されるピペラジン誘導体又はその塩。
【請求項7】
Xがハロゲン原子、ハロゲノC1−6アルキル基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、C1−6アルカノイル基、カルバモイル基、カルボキシル基、カルボキシC1−6アルキル基、C1−6アルカノイルオキシ基、ニトロ基、スルホンアミド基及びC1−6アルキルスルホニル基から選ばれる1〜5個の置換基を有することもあるフェニル基を示し;Yが水素原子であるか又はハロゲン原子、ハロゲノC1−6アルキル基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、C1−6アルカノイル基、カルバモイル基、カルボキシル基、カルボキシC1−6アルキル基、C1−6アルカノイルオキシ基、ニトロ基、スルホンアミド基及びC1−6アルキルスルホニル基から選ばれる1〜5個の置換基を有することもあるフェニル基を示し;R及びRが同一又は異なって、置換基を有することもあるC1−6アルキル基であるか、又は隣接する窒素原子と一緒になって、ヒドロキシ基、オキソ基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C1−6アルコキシ基、ヒドロキシC1−6アルコキシ基、カルボキシC1−6アルコキシ基、カルボキシC1−6アルキル基、C1−6アルコキシカルボニルアルキリデン基、カルボキシアルキリデン基、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルキル基、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシカルボニルC1−6アルキルチオ基、カルボキシC1−6アルキルチオ基及びC1−6アルカノイルオキシ基から選ばれる1〜2個の置換基を有することもある4〜6員の窒素含有複素環を示すものである請求項6記載のピペラジン誘導体又はその塩。
【請求項8】
Xがハロゲン原子、ハロゲノC1−6アルキル基及びC1−6アルキルスルホニル基から選ばれる1〜3個の置換基を有することもあるフェニル基を示し;Yが水素原子又はフェニル基を示すものである請求項6記載のピペラジン誘導体又はその塩。

【国際公開番号】WO2004/074277
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【発行日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502674(P2005−502674)
【国際出願番号】PCT/JP2004/001052
【国際出願日】平成16年2月3日(2004.2.3)
【出願人】(305004457)久光メディカル株式会社 (6)
【Fターム(参考)】