説明

N−フェニル−2−ピリミジン−アミン誘導体

【課題】本発明は、新規アミド類、これらのアミド類の製造方法、およびこれらのアミド類の使用を提供する。
【解決手段】式Iの新規アミド類、またはそれらの塩もしくは結晶形、それらの製造方法、並びに、式IVの化合物の製造におけるそれらの使用を提供する。式IVの化合物は、上皮成長因子(EGF)受容体のチロシンキナーゼ活性を阻害し、良性または悪性腫瘍の処置に有用である。また、本発明は、式IVの化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩または結晶形の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規アミド類、これらのアミド類の製造方法、およびこれらのアミド類の使用を提供する。
【発明の概要】
【0002】
特に、本発明は、式I
【化1】

式中、
基R、R、R、RおよびRの1つは、
a)低級アルキル、アミノ;モノ−またはジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;低級アルコキシ−カルボニル;およびアミノ、モノ−またはジ−低級アルキルアミノまたは低級アルカノイルアミノにより置換されている低級アルキルからなる群から選択される基、または
b)ベンジルアミノ;ベンゾイルアミノ;ピロリジニル;ピペリジル;ピペラジニル;ピペラジニル−カルボニル;モルホリニル、チオモルホリニル;およびベンジルアミノ、ベンゾイルアミノ、ハロゲン、ピロリジニル、ピペリジル、4−メチル−ピペラジニル−などのピペラジニル、チオモルホリニルまたはモルホリニルにより置換されている低級アルキルからなる群から選択される非置換または置換されている基、ここで、該置換されている基の置換基は、シアノ;低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキル;トリフルオロメチル;遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ;低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;遊離、アルキル化またはアシル化アミノ;モノ−またはジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;ベンゾイルアミノ;遊離またはエステル化カルボキシ;低級アルコキシカルボニルおよびハロゲンからなる群から選択される、
であり、かつ、
他の4つの基は、独立して、水素、シアノ;低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキル;トリフルオロメチル;遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ;低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;遊離、アルキル化またはアシル化アミノ;モノ−またはジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;ベンゾイルアミノ;遊離またはエステル化カルボキシ;低級アルコキシカルボニルおよびハロゲンであり;
または、
およびR、RおよびR、RおよびR、またはRおよびRは、共に、炭素数4の置換または非置換アルキレン基であり、置換基は、好ましくは、シアノ、非置換またはヒドロキシ−、アミノ−もしくは4−メチル−ピペラジニル−置換低級アルキル、特にメチルなど、トリフルオロメチル、遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ、遊離、アルキル化またはアシル化アミノおよび遊離またはエステル化カルボキシから選択され;
かつ、他の3つの基は、独立して、水素、シアノ;低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキル;トリフルオロメチル;遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ;低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;遊離、アルキル化またはアシル化アミノ;モノ−またはジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;ベンゾイルアミノ;遊離またはエステル化カルボキシ;低級アルコキシカルボニルおよびハロゲンであり;
かつ、基R、RおよびRの1つは、ハロゲン、NH、NO、NHC(O)CF、NHC(O)CH、NHC(NH)NHであり、他の2つの基は、独立して、水素、低級アルキル、低級フッ化アルキル、ベンジルまたはフェニルである;
の新規アミド類、またはそれらの塩もしくは結晶形を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0003】
式Iの化合物は、塩、好ましくは医薬的に許容し得る塩の形態であり得る。
そのような塩は、例えば、酸付加塩(好ましくは有機または無機酸とのもの)として、塩基性窒素原子を有する式IまたはIVの化合物から形成され、特に医薬的に許容し得る塩である。適する無機酸は、例えば、塩酸、硫酸またはリン酸などのハロゲン酸である。適する有機酸は、例えば、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸またはスルファミン酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、グリコール酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルタミン酸またはアスパラギン酸などのアミノ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、シクロヘキサンカルボン酸、アダマンタンカルボン酸、安息香酸、蓚酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、フタル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、桂皮酸、メタン−またはエタン−スルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,5−ナフタレン−ジスルホン酸、2−、3−または4−メチルベンゼンスルホン酸、メチル硫酸、エチル硫酸、ドデシル硫酸、N−シクロヘキシルスルファミン酸、N−メチル−、N−エチル−またはN−プロピル−スルファミン酸、またはアスコルビン酸などの他の有機プロトン酸である。
【0004】
単離または精製のために、例えばピクリン酸塩または過塩素酸塩などの、医薬的に許容され得ない塩を使用することも可能である。治療的使用には、医薬的に許容し得る塩または遊離化合物のみが用いられ(適切ならば、医薬製剤の形態で)、従ってそれらが好ましい。
式Iの好ましい塩は、塩化物、臭化物、メシレート、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩である。
【0005】
用語「低級」は、本願の範囲内では、炭素数7まで(7を含む)、好ましくは4まで(4を含む)の基、好ましくはメチルまたはエチルを示す。
用語「低級フッ化アルキル」は、本願の範囲内では、フッ素により置換されている炭素数7まで(7を含む)、好ましくは4まで(4を含む)の基、好ましくはメチルまたはエチルを示し、モノ、ジまたはトリフルオロ−メチル、トリフルオロ−エチルなどである。
【0006】
用語「ピペラジニル」は、本願の範囲内では、非置換ピペラジニルまたは4−メチル−ピペラジニル−などのN−低級アルキル−ピペラジニルを示す。
ハロゲンは、特に、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、特に、フッ素、塩素または臭素である。
【0007】
エーテル化ヒドロキシは、好ましくは、低級アルコキシである。エステル化ヒドロキシは、好ましくは、低級アルカン酸などの有機カルボン酸またはハロゲン化水素酸などの鉱酸によりエステル化されているヒドロキシであり、例えば、低級アルカノイルオキシ、または特にヨウ素、臭素などのハロゲン、特にフッ素または塩素である。
【0008】
アルキル化アミノは、例えば、メチルアミノなどの低級アルキルアミノ、またはジメチルアミノなどのジ−低級アルキルアミノである。アシル化アミノは、例えば、低級アルカノイルアミノまたはベンゾイルアミノである。
エステル化カルボキシは、例えば、メトキシカルボニルなどの低級アルコキシカルボニルである。
【0009】
好ましくは、Rは、ベンジルアミノ、ベンゾイルアミノ、ハロゲン、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル(例えば、4−メチル−ピペラジニル−)またはモルホリニル、チオモルホリニルにより置換されている低級アルキルであり、該置換されている基の置換基は、シアノ;低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキル;トリフルオロメチル;遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ;低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;遊離、アルキル化またはアシル化アミノ;モノ−またはジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;ベンゾイルアミノ;遊離またはエステル化カルボキシ;低級アルコキシカルボニルおよびハロゲンからなる群から選択される。
【0010】
好ましくは、Rは、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル(例えば、4−メチル−ピペラジニル−)またはモルホリニル、チオモルホリニルにより置換されている低級アルキルであり、該置換されている基の置換基は、低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキルからなる群から選択される。
【0011】
好ましくは、R、R、R、RおよびRは、水素である。
好ましくは、Rは、メチルなどの低級アルキルまたはトリフルオロメチルなどのフッ化アルキルである。
最も好ましくは、Rは(4−メチル−ピペラジニル)−メチルであり、R、R、R、RおよびRは、水素であり、Rは、ハロゲン、NH、NO、NHC(O)CF、NHC(O)CH、NHC(NH)NHであり、Rはメチルである。
【0012】
式Iのアミド類は、下記の方法で製造し得る:
【化2】

式中、RないしRは、上記定義の通りであり、Rは、水素、メチル、エチルまたはアリールである。
【0013】
しかしながら、未活性化カルボン酸またはエステルを、式IIの化合物などのアミドへアミンにより直接的に変換するのは困難であり、典型的に高い反応温度(例えば、200℃)または強塩基(ナトリウムメトキシド、ナトリウムアミド、n−ブチルリチウム、水素化ナトリウムまたはグリニャール試薬など)の使用を要する。従って、従来知られているものより効率のよいアミド化方法に対する要望がある。
【0014】
本出願人は、未活性化カルボン酸または式IIの化合物のエステルの、式IIIの化合物による式Iのアミドへの直接的変換は、穏やかな条件下で首尾よく実行し得ることを見いだした。その条件は、
A)Rがメチル、エチルまたはアリールである場合:
1)ルイス酸、
2)非プロトン性有機溶媒、そして、場合により、
3)塩基
の存在下、20℃ないし80℃、好ましくは約40℃の温度で、1時間ないし1日、好ましくは8時間、好ましくは不活性雰囲気下、好ましくは大気圧下、そして生じる生成物の加水分解;または
B)Rが水素である場合:
1)塩化チオニル、
2)非プロトン性有機溶媒、そして、場合により、
3)塩基
の存在下、20℃ないし70℃、好ましくは約45℃の温度で、1時間ないし1日、好ましくは6時間、好ましくは不活性雰囲気下、好ましくは大気圧下、
である。
【0015】
従って、本発明は、他の態様では、式Iの化合物の製造方法を提供する。その方法は、式IIの化合物を、式IIIの化合物と、
A)Rがメチル、エチルまたはアリールである場合:
1)ルイス酸、
2)非プロトン性有機溶媒、そして、場合により、
3)塩基
の存在下、20℃ないし80℃、好ましくは約40℃の温度で、1時間ないし1日、好ましくは8時間、好ましくは不活性雰囲気下、好ましくは大気圧下で反応させ、そして生じる生成物を加水分解する;または
B)Rが水素である場合:
1)塩化チオニル、
2)非プロトン性有機溶媒、そして、場合により、
3)塩基
の存在下で、20℃ないし70℃、好ましくは約45℃の温度で、1時間ないし1日、好ましくは6時間、好ましくは不活性雰囲気下で、好ましくは大気圧下、
反応させることによる。
【0016】
方法A)に適するルイス酸には、Al(低級アルキル)(例えば、AlMe3、AlEt、Al(iBu))、AlCl、AlBr、EtAlCl、MeAlCl、MeAlCl、EtAlClおよび対応するセスキ塩化物が含まれる。好ましくは、ルイス酸は、AlCl、EtAlClまたはEtAlClから選択され、さらにより好ましくは、AlClである。典型的に、ルイス酸は、1ないし4モル当量の量で存在する。AlMe、AlEtおよびAl(iBu)の場合、例えば、2ないし3モル当量、好ましくは約2.5モル当量が存在する;AlCl、AlBr、EtAlCl、MeAlCl、MeAlCl、EtAlClおよび対応するセスキ塩化物の場合、好ましくは1.5ないし3.5当量、好ましくは2.5モル当量が存在する。
塩化チオニルは、好ましくは、方法B)において、1.5ないし10モル当量、好ましくは1.5モル当量の量で存在する。
【0017】
方法A)およびB)を実行するのに適する非プロトン性有機溶媒には、トルエン/アセトニトリル、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アセトニトリル、メシチレンおよびピリジンが含まれる。
方法A)またはB)に好ましい塩基は、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ルチジン、ピリジンまたは三級アミンである。
【0018】
代わりの態様では、本発明は、式Vの化合物を式R14−Hの化合物と反応させることによる、式Iの化合物の製造方法を提供する。
【化3】

式中、
13は、ハロゲンにより置換されている低級アルキルであり、
14は、シアノ;低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキルからなる群から選択される基により置換されていることもあるベンジルアミノ、ベンゾイルアミノ、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニルであり、
は、ベンジルアミノ、ベンゾイルアミノ、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニルにより置換されており、シアノ;低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキルからなる群から選択される基により置換されていることもある低級アルキルである。
【0019】
好ましくは、反応は、THF(テトラヒドロフラン)などの有機溶媒の存在下で、またはアミン溶液R14−H中で直接、実行する。
好ましくは、ピペラジニルは、N−低級−アルキルピペラジン(例えば、N−メチルピペラジン)である。
【0020】
好ましくは、R、R、RおよびRは、独立して、水素、シアノ;低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキル;トリフルオロメチル;遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ;低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;遊離、アルキル化またはアシル化アミノ;モノ−またはジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;ベンゾイルアミノ;遊離またはエステル化カルボキシ;低級アルコキシカルボニルおよびハロゲンである。
【0021】
式Vの化合物は、式II’の化合物を式IIIの化合物と、
【化4】

1)THF(テトラヒドロフラン)などの有機溶媒
2)N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ルチジン、ピリジンまたは三級アミンなどの有機溶媒、
の存在下で反応させることにより得ることができる。
あるいは、生じる式Vの化合物と反応させるために、さらに精製されていない反応培地にR14−Hを直接添加する。
【0022】
THFは、単独で、または総合的溶解力を高めるために他の溶媒と混合して使用できる。
式Iのアミドは、例えば従来通りに、例えば、乾燥するまでまたは殆ど乾燥するまで、式Iのアミドの結晶化または沈殿が起こるまで、濃縮(蒸発など)することで、反応混合物から溶媒を除去することにより;または、例えば塩として、または他の溶媒(アミド化で使用したものと同一または異なり得る)に抽出することにより;そして式Iのアミドの沈殿または結晶化により、反応混合物から形成および単離し得る。式Iのアミドは、再結晶化またはクロマトグラフィーなどの従来の技法で精製し得る。
【0023】
式IIまたはII’の化合物は、当業者に知られる方法により製造し得る。式IIIの化合物は、例えば Fluka、Aldrich または Acros から市販されているか、または当業者に知られる方法により製造し得る。
【0024】
式Iの化合物は、式IV
【化5】

式中、RないしRは、上記定義の通りであり、
基R'、R'およびR'の1つは、
【化6】

式中、
10は、4−ピペラジニル、1−メチル−1H−ピロリル、アミノ−またはアミノ−低級アルキル−置換フェニル(ここで、各場合のアミノ基は、遊離、アルキル化またはアシル化されている)、5員環の炭素原子で結合している1H−インドリルまたは1H−イミダゾリル、または環の炭素原子で結合しており、非置換または窒素原子で酸素により置換されている、非置換または低級アルキル−置換ピリジルであり、R11およびR12は、相互に独立して水素または低級アルキルである、
であり、
他の2つの基は、独立して、水素、低級アルキル(例えばメチル)、ベンジルまたはフェニルである;
の化合物、またはそれらの医薬的に許容し得る塩または結晶形の製造に使用し得る。
【0025】
式IVの化合物は、塩、好ましくは、上記の通りの医薬的に許容し得る塩の形態であり得る。
好ましい塩は、例えば、塩化物、臭化物、メシレート、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩である。
【0026】
式IVの化合物は、上皮成長因子(EGF)受容体のチロシンキナーゼ活性を阻害し、なかんずく、良性または悪性腫瘍の処置に有用である。それらは、腫瘍退縮をもたらし、転移の拡大および微小転移の成長を防止することができる。特に、それらは、上皮の過剰増殖(乾癬)の処置に、上皮特性を有する新生物(例えば、乳癌)および白血病の処置に使用できる。加えて、式IVの化合物は、タンパク質キナーゼの関与を前提とする、免疫系の疾患および炎症の処置に有用である。式IVの化合物は、タンパク質キナーゼによるシグナル伝達の関与を前提とする、中枢または末梢神経系の疾患の処置にも使用し得る。
【0027】
従って、他の態様では、本発明は、式Iの化合物からの式IVの化合物の製造方法、および式IV(式中、RないしR'は、本明細書に記載の通りである)の化合物を製造するための式Iの化合物の使用を提供する。
【0028】
本発明は、式IVの化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩または結晶形の製造方法に関する。その方法は、本明細書に記載の通りの式Iの化合物を、式VII
【化7】

式中、
10は、4−ピラジニル、1−メチル−1H−ピロリル、アミノ−またはアミノ−低級アルキル−置換フェニル(ここで、各場合のアミノ基は、遊離、アルキル化またはアシル化されている)、5員環の炭素原子で結合している1H−インドリルまたは1H−イミダゾリル、または環の炭素原子で結合しており、窒素原子で非置換または酸素により置換されている、非置換または低級アルキル−置換ピリジル(例えば、3−ピリジル)であり、R11およびR12は、相互に独立して水素または低級アルキルである、
の化合物と、従来の方法で反応させることによる。
【0029】
好ましくは第1工程で、式Iの化合物を、本明細書に記載の通りの式IIおよびIIIの化合物から製造する。
【0030】
本発明はまた、式IVの化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩または結晶形の製造方法にも関する。その方法は、基Rが−NHC(NH)NHである本明細書に記載の通りの式Iの化合物を、式VI
【化8】

式中、
10は、4−ピラジニル、1−メチル−1H−ピロリル、アミノ−またはアミノ−低級アルキル−置換フェニル(ここで、各場合のアミノ基は、遊離、アルキル化またはアシル化されている)、5員環の炭素原子で結合している1H−インドリルまたは1H−イミダゾリル、または環の炭素原子で結合しており、窒素原子で非置換または酸素により置換されている、非置換または低級アルキル−置換ピリジル(例えば、3−ピリジル)であり、R11は、水素または低級アルキルである、
の化合物と、従来の方法で反応させることによる。
【0031】
好ましくは、反応は、n−ブタノールなどの極性有機溶媒中で実行する。
好ましくは、R10は3−ピリジルであり、R11はメチルである。
【0032】
ある実施態様では、RがNHC(NH)NHであり、Rがメチルであり、Rが水素である式Iの化合物を、例えば3−ジメチルアミノ−1−(3−ピリジル)−2−プロペン−1−オンにより、R'が4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミノであり、R'がメチルであり、そしてR'が水素である、式IVの化合物に処理し得る。これは、EP564409の実施例21に記載の通り、式IVの化合物に相応する。RがBrであり、Rがメチルであり、Rが水素である式Iの化合物を、例えば4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミン(例えば、Chempacific から入手し得る)と、Pd(0)またはPd(II)の存在下、ホスフィンリガンドの存在下で処理して、をR'が4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミノであり、R'がメチルであり、R'が水素である、式IVの化合物を生じ得る。
【0033】
他の実施態様では、RがNOであり、Rがメチルであり、そしてRが水素である式Iの化合物は、例えば、当業者に知られる標準的方法を使用して、RがNHであり、Rがメチルであり、そしてRが水素である、式Iの化合物に変換し得る。Rがハロゲン、NHC(O)CFまたはNHC(O)CH、好ましくはBrであり、Rがメチルであり、そしてRが水素である式Iの化合物は、例えば、当業者に知られる標準的方法を使用して、RがNHであり、Rがメチルであり、Rが水素である化合物に変形し得る。RがNHであり、Rがメチルであり、そしてRが水素である式Iの化合物は、例えば、RがNHC(NH)NHであり、Rがメチルであり、そしてRが水素である、式Iの化合物に変形し得る。
【0034】
従って、本発明は、式IVの化合物の製造方法を提供する。この方法では、第1工程で上述の通りに、好ましくはAlCl、Al(低級アルキル)、例えばAlMe、AlEt、Al(iBu)、またはSOClの存在下で、式IIおよびIIIの化合物から式Iの化合物を製造し、そして第2工程で、式Iの化合物を式IVの化合物と従来の方法により反応させる。好ましくは、該方法は、R、R、R、RおよびR'が水素であり、Rが(4−メチル−ピペラジニル)−メチルであり、R'が4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミノであり、そしてR'がメチルである式IVの化合物の製造のために提供する。
【0035】
本発明の方法は、式IVの化合物、好ましくは、R、R、R、RおよびR'が水素であり、Rが(4−メチル−ピペラジニル)−メチルであり、R'が4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミノであり、そしてR'がメチルである式IVの化合物の、過去に文献に(例えばEP564409中)、記載されたものより能率的かつ収量が高いやり方での合成を可能にする。高価なカップリング試薬を使用しなくてもよい。先行技術より少ない工程数と組み合わされた高い処理量は、有意に低い製造コストをもたらすであろう。以前に記載された合成では、変異誘発性の中間体が形成され得る。本発明の方法では、全中間体は、AMES試験(変異誘発性の特定試験;the OECD Guideline for Testing of Chemicals, 471: Bacterial Reverse Mutation Test, Adopted July 21, 1997 に従って実施する)で陰性を示す。このことは、変異誘発性中間体が形成されないことを強く示し、これは、職業上の健康の有意な改善であろう。さらに、これらの方法は、例えば放射性標識化合物の合成を可能にする。
【0036】
以下は、例示のみとしての本発明の方法の説明である。
【表1】

【0037】
上記の全て、特に、N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミンである式IVの化合物が好ましい。N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミン(「イマチニブ」[国際一般名]としても知られる)およびその使用、特に抗腫瘍剤としての使用は、1993年10月6日に公開された欧州特許出願EP−A−0564409の実施例21、および多くの他国における対応出願および特許、例えば米国特許第5,521,184号および日本特許第2706682号に記載されている。他に好ましいのは、2000年5月10日に公開された欧州特許出願第998473号に記載の4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミドメタンスルホン酸塩のβ結晶形である。
【0038】
用語「4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミド」には、欧州特許出願第998473号に記載のβ結晶形が含まれる。
非常に好ましくは、式IVの化合物は、医薬的に許容し得る塩の形態、特にそのモノメシレート塩形態のものである。
【0039】
式IVの化合物は、特許出願EP0564409A1およびWO99/03854に、特に化合物の請求項および実施例の最終生成物に総括的かつ具体的に開示されており、これらの公開を参照して、最終生成物、医薬製剤および特許請求の範囲の主題を本願に組み込む。同様に、それらにおいて開示されている相応する立体異性体並びに相応する多型(例えば結晶多型)が含まれる。
【0040】
従って、さらなる態様では、本発明は、式IVの化合物、特に4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミドまたはその医薬的に許容し得る塩またはその結晶形を合成するための、式Iの化合物の使用に関する。
【0041】
さらに、本発明は、
a)1またはそれ以上の医薬的に許容し得る賦形剤、
b)少なくとも1の医薬的に活性な式IVの化合物、および
c)0.00001%ないし5重量%、好ましくは0.00001%ないし0.1%、最も好ましくは0.0001%ないし0.1%の、少なくとも1の式Iの化合物、
を含む医薬組成物に関する。
【0042】
本発明は特に、4−(4−メチルピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル]−ベンズアミドまたはその医薬的に許容し得る塩またはその結晶形を含む医薬組成物、特に錠剤に関する。
【0043】
好ましくは、c)は、Rが(4−メチル−ピペラジニル)−メチルであり、R、R、R、RおよびRが水素であり、RがBr、Cl、NH、NO、NHC(O)CF、NHC(O)CHまたはNHC(NH)NHであり、そしてRがメチルである式Iの化合物、またはそれらの塩である。
【0044】
1またはそれ以上の医薬的に許容し得る賦形剤は、組成物中に存在し得る。例えば、従来使用されるもの、例えば、(1.1)少なくとも1つの結合剤、例えば微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(1.2)少なくとも1つの崩壊剤、例えばクロスリンクポリビニルピロリジノン、例えば Crospovidone(商標)、(1.3)少なくとも1つの流動促進剤、例えばコロイダル二酸化ケイ素、(1.4)少なくとも1つの潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、および/または(1.5)基本的な被覆、である。本発明による錠剤では、微結晶性セルロースが結合剤として使用される。
【実施例】
【0045】
実施例A:式IVのイマチニブ(4−[(4−メチル−1−ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]フェニル]ベンズアミド)メタンスルホン酸塩、β結晶形のカプセル
イマチニブ(遊離塩基)100mgに相応する、標題指定の化合物(=SALT I)119.5mgを活性物質として含有するカプセル剤を以下の組成で製造する。組成物はまた、Rが(4−メチル−ピペラジニル)−メチルであり、R、R、R、RおよびRが水素であり、RがBr、Cl、NH、NO、NHC(O)CF、NHC(O)CH、NHC(NH)NHであり、そしてRがメチルである、式Iの化合物も含有する。
【0046】
【表2】

カプセル剤は、成分を混合し、混合物をサイズ1のハードゼラチンカプセルに充填することにより製造する。
【0047】
実施例1
N−(4−メチル−3−ブロモ−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンズアミドの製造:
トリメチルアルミニウム(トルエン中2M、15.0ml)の溶液を、30分間かけて、トルエン(20ml)中の3−ブロモ−4−メチル−アニリン(2.15g、11.5mmol)および4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−安息香酸メチルエステル(2.87g、11.5mmol)の溶液に、40℃で、アルゴン雰囲気下で添加する。気体の放出が終わった後、反応混合物を0℃に冷却する前に、30分間撹拌し、冷却水性1N NaOH(100ml)とトルエン(100ml)に分配する。有機層を水性飽和NHCl(100ml)および水性飽和NaCl(100ml)で抽出する。有機層を真空で濃縮し、表題化合物4.69g(HPLCにより97領域%)を淡黄色結晶として得る。
【0048】
4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−安息香酸メチルエステルは、以下のように得られる:
4−ホルミル−安息香酸メチルエステル(10.0g、61mmol)のメタノール溶液(100ml)を、1−メチルピペラジン(6.7g、67mmol)および硫化炭素担持白金(5%)(0.5g)で連続的に処理する。生じる溶液を90℃で加熱し、水素の取込が完了するまで、4時間にわたり、5バールの水素圧に付す。反応混合物を室温に冷却し、Celite のパッドで濾過する。メタノールを減圧下で除去し、トルエン(100ml)で置き換える。生じる有機溶液を水性HCl(2N、2x50ml)で抽出する。水層を濃縮水性NaOH(30%)で処理し、pHを12に設定し、トルエン(2x50ml)で逆抽出する。合わせた有機層を真空で濃縮し、4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−安息香酸メチルエステル12.9g(85%)を淡黄色油状物として得る。それを減圧下での蒸留によりさらに精製する。
【0049】
実施例2A
N−(4−メチル−3−ニトロ−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンズアミドの製造:
トリメチルアルミニウム溶液(トルエン中2M、1.3ml、2.6mmol)を、5分間かけて、トルエン(3.0ml)中の3−ニトロ−4−メチル−アニリン(152mg、1.00mmol)および4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−安息香酸メチルエステル(248mg、1.00mmol)の溶液に、45℃で、アルゴン雰囲気下で添加する。気体の放出が終わった後、濃茶色の反応混合物を、0℃に冷却する前に30分間撹拌する。酒石酸カリウム−ナトリウムの水性飽和溶液(20ml)、t−ブチルメチルエーテル(15ml)および塩化メチレン(10ml)を連続的に添加する。有機層を分離し、水性飽和NaHCO(10ml)および水性飽和NaCl(10ml)で洗浄する。水相をt−ブチルメチルエーテル(2x15ml)で逆抽出する。有機相を合わせ、MgSOで乾燥させ、真空で濃縮し、表題化合物383mg(HPLCにより96領域%)を淡黄色結晶として得る。
【0050】
実施例2B:
N−(4−メチル−3−ニトロ−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンズアミドの製造:
3−ニトロ−4−メチル−アニリン10.95g(72mmol)のトルエン溶液80mlに、トリイソブチルアルミニウム(ヘキサン中28%)の溶液66.5ml(61mmol)を、30分間かけて、0℃で添加し、続いて4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−安息香酸メチルエステル(14.9g、60mmol)のトルエン溶液(30ml)を1時間の間に0℃で、アルゴン雰囲気下で添加する。12時間室温で撹拌した後、別量のトリイソブチルアルミニウム(66.5ml(61mmol))を、濃茶色の反応混合物に添加する。混合物をさらに6時間撹拌し、次いでさらに2つの少量のトリイソブチルアルミニウム(各々18ml、18mmol)を添加し、数時間室温で撹拌を継続する。硫酸とNaOHによる酸性と塩基性の後処理の後、合わせた有機トルエン相を真空で蒸発させ、茶色の粗生成物を得る。それをt−ブチルメチルエーテルから結晶化し、表題化合物を茶色がかった黄色の結晶として得る:第1収量(11.65g)、第2収量(3.8g)および第3収量(1.2g)、まとめて16.65g(75.3%)。
【0051】
実施例2C:
N−(4−メチル−3−ニトロ−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンズアミドの製造:
4−メチル−3−ニトロアニリン(30.0g、0.197mol)を、テトラヒドロフラン(120ml)およびN−エチル−N,N−ジイソプロピル−アミンの混合物に、23−25℃で、5ないし10分間かけて添加する。この溶液に、テトラヒドロフラン(35ml)に溶解したクロロメチル−ベンゾイルクロリド(38.4g、0.20mol)を、60−65分間かけて、温度を25−30℃に維持しながら添加する。反応混合物をこの温度で30分間撹拌し、次いでN−メチルピペラジン(138.2g、1.38mol)に、60ないし90分にわたり、温度を25−30℃に維持しながら添加する。生じる懸濁液をこの温度で60分間撹拌する。テトラヒドロフランを、50℃、減圧下で蒸留する。蒸留の終わりに、温度を45−48℃に合わせ、水(300ml)を45−60分間かけてこの温度で添加する。生じる懸濁液を23℃に冷却し、60分間撹拌する。懸濁液を濾過し、濾過ケークを水(225ml)で洗浄し、真空で乾燥させ、表題化合物69.2g(理論値の95%)をオフホワイト色粉末として得る(HPLCにより99.5領域%)。
【0052】
あるいは、テトラヒドロフランの半量を減圧下で留去し、残渣を水(300ml)に20−25℃の温度で30分間かけて添加することにより、中間体N−(4−メチル−3−ニトロ−フェニル)−4−クロロメチル−ベンズアミドを単離する。さらに30分間0−5℃で撹拌した後、懸濁液を濾過し、水(200ml)で洗浄し、真空で乾燥させる。中間体をテトラヒドロフラン(150ml)に溶解し、N−メチルピペラジン(138.2g、1,38mol)に60ないし90分間かけて、温度を25−30℃に維持しながら添加する。表題化合物は、上記方法に従って単離できる。
【0053】
実施例3
N−(4−メチル−3−トリフルオロアセトイミダート−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンズアミド:
トリメチルアルミニウム溶液(トルエン中2M、1.25ml、2.5mmol)を5分間かけて、3−トリフルオロアセトイミダート−4−メチル−アニリン(218mg、1.00mmol)および4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−安息香酸メチルエステル(248mg、1.00mmol)のトルエン溶液(3.0ml)に、0℃で、アルゴン雰囲気下で添加する。気体の放出が終わった後、反応混合物を0℃に冷却する前に、3時間23℃で撹拌する。酒石酸カリウム−ナトリウムの水性飽和溶液(20ml)およびt−ブチルメチルエーテル(40ml)を連続的に添加する。有機相を分離し、水性飽和NaHCO(20ml)および水性飽和NaCl(20ml)で洗浄する。t−ブチルメチルエーテル(2x20ml)で水相を逆抽出する。有機相を合わせ、MgSOで乾燥させ、真空で濃縮し、表題化合物458mg(HPLCにより94領域%)を白色結晶として得る。
【0054】
実施例4
N−(3−アミノ−4−メチル−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンズアミドの製造:
0℃、アルゴン雰囲気下のAlCl(1000mg、7.5mmol)のトルエン溶液(3ml)およびアセトニトリル(3.0ml)を、3−アミノ−4−メチル−アニリン(470mg、6.0mmol)のトルエン溶液(6ml)で滴下して処理する。生じる茶色の溶液を40℃に加熱する。4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−安息香酸メチルエステル(745mg、3.0mmol)のトルエン溶液(2ml)を、30分間かけて滴下して添加する。生じる混合物を40℃で8時間撹拌し、次いで0℃に冷却する。水性飽和酒石酸カリウム−ナトリウム(30ml)および水性飽和NaHCO(40ml)およびt−ブチルメチルエーテル(60ml)を連続的に添加する。有機相を分離し、水性飽和NaClで洗浄する。水相をt−ブチルメチルエーテルで逆抽出する。有機相を合わせ、MgSOで乾燥させ、真空で濃縮する。フラッシュクロマトグラフィー(SiO、CHCl/MeOH90:10+1%aq.NH)により精製し、表題化合物825mg(75%)を黄色がかった結晶として得る。
【0055】
実施例5
N−(4−メチル−3−ニトロ−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンズアミドの製造:
塩化チオニル(53.3g、448mmol)を、15分間かけて、トルエン(300ml)中の4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−安息香酸(70.0g、299mmol)の懸濁液に、0℃で添加する。添加の終わりに、反応混合物を23℃で45分間かけて加熱する。過剰のSOClを、トルエンとの共蒸留により、減圧下、40℃で除去する。蒸留の終わりに、生じる懸濁液を0℃に冷却し、塩化ベンゾイルを濾取し、トルエン(2x50ml)で洗浄し、真空、45℃で、終夜乾燥させる。収量:55.0g、塩化ベンゾイルの二塩酸塩をベースとして理論値の79%、白色固体。次いで、乾燥塩化ベンゾイル(55g)をトルエン(100ml)に再懸濁する。4−メチル−3−ニトロアニリン(22.75g、145mmol)およびピリジン(34.4g、435mmol)のトルエン溶液(60ml)を、滴下して、23℃で、15分間かけて添加する。生じる橙−茶色の反応混合物を45℃で加熱し、6時間撹拌する。懸濁液を濾過し、濾過ケークをトルエン(300ml)およびアセトン(350ml)で連続的に洗浄し、次いで水(350ml)に懸濁する。水性NaOH(30%)を、懸濁液のpHが11に達し、安定するまで添加する。濾過する前に、懸濁液をさらに1時間40℃で撹拌する。濾過ケークを水(5x50ml)で洗浄し、真空で乾燥させ、表題化合物51.3g(96%)をベージュ色結晶として得る(HPLCにより、98.7領域%)。
【0056】
4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−安息香酸の製造:
4−ホルミル−安息香酸(10.0g、67mmol)のメタノール懸濁液(100ml)を、1−メチルピペラジン(7.3g、73mmol)および硫化炭素担持白金(5%)(1g)で連続的に処理する。次いで、生じる懸濁液を80℃で加熱し、水素の取込が完了するまで、20時間にわたり、5バールの水素圧に付す。反応混合物を室温に冷却し、Celite のパッドを通して濾過する。水(20ml)を使用して反応器をすすぎ、反応混合物の冷却中に壁に結晶化する4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−安息香酸の一部を溶解する。生じる水性溶液を以前に用いた Celite のパッドで濾過する。合わせた濾液を真空で濃縮し、EtOH/HO9:1v/v中で結晶化し、4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−安息香酸10.9g(70%)を無色結晶として得る。
【0057】
実施例6
N−(3−グアニジノ−4−メチル−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンズアミドの製造:
実施例4と同様のやり方で、トルエン(300ml)中の3−グアニジノ−4−メチル−アニリン(2.51g、11.5mmol)および4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−安息香酸(70.0g、299mmol)から、塩化チオニル(53.3g、448mmol)の存在下で、12.1g(89%)の表題化合物を類無色(pale colorless)の結晶として得る。
【0058】
実施例7
4−ジクロロメチル−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミドの製造:
4−メチル−N−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イル)−ベンゼン−1,3−ジアミン(2.00gmg、7.21mmol)のトルエン懸濁液(22ml)に、45℃、アルゴン雰囲気下で、4−ジクロロメチル−安息香酸メチルエステル(1.90g、8.67mmol)およびAlMe(トルエン中2M、12.6ml、25.2mmol)を連続的に添加する。生じる茶色の溶液を45℃で3.5時間にわたり撹拌する。次いで、反応混合物を0℃に冷却し、粗生成物の沈殿を引き起こすロッシェル塩の飽和水性溶液(70ml)をゆっくりと添加することにより、クエンチする。t−ブチルメチルエーテル(150ml)および塩化メチレン(100ml)を連続的に懸濁液に添加し、次いでそれを水性飽和NaHCO(100ml)および水性飽和NaCl(100ml)で洗浄する。水相をt−ブチルメチルエーテル(100ml)で逆抽出する。合わせた有機相に含有される粗生成物を吸引濾取し、t−ブチルメチルエーテルで洗浄し、真空で乾燥させる。収量:表題化合物3.35g、理論値の84%、ベージュ色結晶として(HPLC:91領域%)。
【0059】
実施例8
N−(3−グアニジノ−4−メチル−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンズアミドの製造:
実施例4に類似のやり方で、トルエン(22ml)中の3−グアニジノ−4−メチル−アニリン(1.00g、6.09mmol)および4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−安息香酸メチルエステル(1.50g、6.04mmol)並びにアセトニトリル(6ml)から、AlCl(2.0g、15.0mmol)の存在下、40℃で、表題化合物1.26g(55%)を類無色の結晶として得る。
【0060】
実施例9
4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミドの製造:
N−(3−グアニジノ−4−メチル−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンズアミド(30g、79mmol)のn−ブタノール懸濁液(150ml)を、120℃、窒素雰囲気下で、3−ジメチルアミノ−1−ピリジン−3−イル−プロペノン(15.3g、87mmol)で処理する。生じる懸濁液を150℃で5時間加熱する。反応混合物は均一な濃橙色溶液になり、n−ブタノール(130ml)の蒸留によりジメチルアミンを除去する。蒸留中にn−ブタノール(20ml)を添加する。酢酸ブチル(60ml)を滴下して100℃で添加し、溶液を1時間以内に0℃に冷却し、0℃で16時間撹拌する。生じる濃橙色の懸濁液を吸引濾取し、単離される固体をn−ブタノール(2x50ml)および水(2x50ml)で洗浄し、真空で、60℃で乾燥させる。収量:表題化合物36.4g、理論値の93%、オフホワイト色結晶として(HPLCにより99.6領域%)。
【0061】
実施例10
4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−(4−ピリジン−3−イル−ピリミジン−2−イルアミノ)−フェニル]−ベンズアミドの製造:
4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミン(172.2mg、1.0mmol)、N−(3−ブロモ−4−メチル−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンズアミド(402.4mg、1.0mmol)およびナトリウムtert.−ブチラート(144.2mg、1.5mmol)の混合物に、rac−BINAP(31.2mg、0.050mmol)およびPd(dba)CHCl(13mg、0.013mmol)の混合物を、アルゴン下で添加する。キシレン3mlを添加した後、懸濁液を10分間超音波処理し、次いで5時間還流下で撹拌する。室温に冷却した後、水(10ml)を濃茶色の油状物に添加し、生成物を4回塩化メチレン(各10ml)で抽出する。合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥させ、真空で濃縮する。茶色の油状物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、メタノール)により精製する。生成物の淡黄色固体を塩化メチレンに溶解し、濾過し、真空で濃縮する。収量:表題化合物484.3mg、理論値の72%(HPLCにより、99.9領域%)。生成物は、典型的にだいたい10%の異性体を含有する。それは、分取逆相クロマトグラフィーにより排除できる。
【0062】
実施例11
N−(3−アミノ−4−メチル−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンズアミドの製造:
N−(4−メチル−3−ニトロ−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンズアミド(100g、260mmol)のn−ブタノール溶液(1l)を、炭素担持白金(5%)(1.0g)で処理する。生じる懸濁液を70℃に加熱し、水素の取込が完了するまで、6時間にわたり、0.2バールの圧力で水素を加える。反応混合物を室温に冷却し、濾過する。n−ブタノールを使用して触媒を洗浄する。この溶液は、実施例12に適する。単離のために、生成物を3分の1に減らし、0℃に冷却することにより結晶化する(HPLC:98.0領域%)。
【0063】
あるいは、N−(4−メチル−3−ニトロ−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンズアミド(60g、163mmol)のエタノール90%溶液(300ml)を、室温、窒素雰囲気下で、炭素担持白金(5%)(6.0g)および蟻酸カリウム(68.5g、814mmol)で連続的に処理する。生じる懸濁液を80℃で16時間にわたり加熱する。反応混合物を70℃で Celite パッド上で濾過する。エタノール90%(150ml)および水(150ml)を使用して反応器をすすぐ。真空、外部温度60℃での蒸留により、合わせた濾液からエタノールを除去する。粗生成物は、水性濃縮物から油状物として蒸留中に分離し、その後の2時間以内の23℃への冷却の際に結晶化する。それを吸引濾過し、エタノール(200ml)で洗浄し、真空で乾燥させる。収量:表題化合物55g、理論値の99%、黄色がかった結晶として(HPLC:98.0領域%)。
【0064】
実施例12
N−(3−グアニジノ−4−メチル−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンズアミドの製造:
N−(3−アミノ−4−メチル−フェニル)−4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ベンズアミド(50g、144mmol)のn−ブタノール懸濁液(300ml)を、85℃で、濃縮水性HClでpHが2.5に達するまで(HCl37%、35g)、そしてシアナミド(12.1g、288mmol)水溶液(12ml)で30分間かけて、連続的に処理する。生じる反応混合物を85℃で20時間撹拌する。その間に、出発物質は溶解し、所望の生成物が溶液から二塩酸塩として結晶化する。反応中に濃HCl(37%、6.3g)を添加し、pHを2.5に維持する。次いで反応混合物を1.5時間以内に室温に冷却させる。生成物を吸引濾取し、n−ブタノール(3x50ml)で洗浄し、真空で、60℃で乾燥させる。収量 二塩酸塩60.7g、理論値の93%(HPLCにより99領域%)。
【0065】
二塩酸塩を水(250ml)に35℃で溶解する。NaOH(2N、150ml)の水性溶液を添加し、溶液のpHが13.2に上昇する。所望の生成物は、水性溶液から油状物として分離し、0℃に冷却すると結晶化する。1時間、0℃での撹拌の後、生成物を濾取し、KCO(5.5g/L、2x50ml)の水性溶液で洗浄し、真空で、50℃で乾燥させる。収量:表題化合物41.2g、中間体二塩酸塩をベースとして、理論値の89%、ベージュ色結晶として(HPLCにより98.7領域%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

式中、
基R、R、R、RおよびRの1つは、
a)低級アルキル、アミノ;モノ−またはジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;低級アルコキシ−カルボニル;およびアミノ、モノ−またはジ−低級アルキルアミノまたは低級アルカノイルアミノにより置換されている低級アルキルからなる群から選択される基、または
b)ベンジルアミノ;ベンゾイルアミノ;ピロリジニル;ピペリジル;ピペラジニル;ピペラジニル−カルボニル;モルホリニル、チオモルホリニル;およびベンジルアミノ、ベンゾイルアミノ、ハロゲン、ピロリジニル、ピペリジル、4−メチル−ピペラジニル−などのピペラジニル、チオモルホリニルまたはモルホリニルにより置換されている低級アルキルからなる群から選択される非置換または置換されている基、ここで、該置換されている基の置換基は、シアノ;低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキル;トリフルオロメチル;遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ;低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;遊離、アルキル化またはアシル化アミノ;モノ−またはジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;ベンゾイルアミノ;遊離またはエステル化カルボキシ;低級アルコキシカルボニルおよびハロゲンからなる群から選択される、
であり、かつ、
他の4つの基は、独立して、水素、シアノ;低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキル;トリフルオロメチル;遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ;低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;遊離、アルキル化またはアシル化アミノ;モノ−またはジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;ベンゾイルアミノ;遊離またはエステル化カルボキシ;低級アルコキシカルボニルおよびハロゲンであり;
または、
およびR、RおよびR、RおよびR、またはRおよびRは、共に、炭素数4の置換または非置換アルキレン基であり、置換基は、好ましくは、シアノ、非置換またはヒドロキシ−、アミノ−もしくは4−メチル−ピペラジニル−置換低級アルキル、特にメチルなど、トリフルオロメチル、遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ、遊離、アルキル化またはアシル化アミノおよび遊離またはエステル化カルボキシから選択され;
かつ、他の3つの基は、独立して、水素、シアノ;低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキル;トリフルオロメチル;遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ;低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;遊離、アルキル化またはアシル化アミノ;モノ−またはジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;ベンゾイルアミノ;遊離またはエステル化カルボキシ;低級アルコキシカルボニルおよびハロゲンであり;
かつ、基R、RおよびRの1つは、ハロゲン、NH、NO、NHC(O)CF、NHC(O)CHまたはNHC(NH)NHであり、他の2つの基は、水素、低級アルキル、低級フッ化アルキル、ベンジルまたはフェニルである;
の化合物、またはそれらの塩もしくは結晶形。
【請求項2】
がハロゲン、NH、NO、NHC(O)CF、NHC(O)CHまたはNHC(NH)NHであり、Rがメチルであり、Rが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がBrまたはNHC(NH)NHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、ベンジルアミノ、ベンゾイルアミノ、ハロゲン、ピロリジニル、ピペリジル、4−メチル−ピペラジニル−などのピペラジニル、チオモルホリニルまたはモルホリニルにより置換されている低級アルキルであり、該置換されている基の置換基は、シアノ;低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキル;トリフルオロメチル;遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ;低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;遊離、アルキル化またはアシル化アミノ;モノ−またはジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;ベンゾイルアミノ;遊離またはエステル化カルボキシ;低級アルコキシカルボニルおよびハロゲンからなる群から選択される、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
が(4−メチル−ピペラジニル)−メチルである、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
が(4−メチル−ピペラジニル)−メチルであり、R、R、RおよびRが水素である、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
塩が、塩化物、臭化物、メシレート、酢酸塩またはトリフルオロ酢酸塩から選択される、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
式I
【化2】

式中、
基R、R、R、RおよびRの1つは、
a)低級アルキル、アミノ;モノ−またはジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;低級アルコキシ−カルボニル;およびアミノ、モノ−またはジ−低級アルキルアミノまたは低級アルカノイルアミノにより置換されている低級アルキルからなる群から選択される基、または
b)ベンジルアミノ;ベンゾイルアミノ;ピロリジニル;ピペリジル;ピペラジニル;ピペラジニル−カルボニル;モルホリニル、チオモルホリニル;およびベンジルアミノ、ベンゾイルアミノ、ハロゲン、ピロリジニル、ピペリジル、4−メチル−ピペラジニル−などのピペラジニル、チオモルホリニルまたはモルホリニルにより置換されている低級アルキルからなる群から選択される非置換または置換されている基、ここで、該置換されている基の置換基は、シアノ;低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキル;トリフルオロメチル;遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ;低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;遊離、アルキル化またはアシル化アミノ;モノ−またはジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;ベンゾイルアミノ;遊離またはエステル化カルボキシ;低級アルコキシカルボニルおよびハロゲンからなる群から選択される、
であり、かつ、
他の4つの基は、独立して、水素、シアノ;低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキル;トリフルオロメチル;遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ;低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;遊離、アルキル化またはアシル化アミノ;モノ−またはジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;ベンゾイルアミノ;遊離またはエステル化カルボキシ;低級アルコキシカルボニルおよびハロゲンであり;
または、
およびR、RおよびR、RおよびR、またはRおよびRは、共に、炭素数4の置換または非置換アルキレン基であり、置換基は、好ましくは、シアノ、非置換またはヒドロキシ−、アミノ−もしくは4−メチル−ピペラジニル−置換低級アルキル、特にメチルなど、トリフルオロメチル、遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ、遊離、アルキル化またはアシル化アミノおよび遊離またはエステル化カルボキシから選択され;
かつ、他の3つの基は、独立して、水素、シアノ;低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキル;トリフルオロメチル;遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ;低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;遊離、アルキル化またはアシル化アミノ;モノ−またはジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;ベンゾイルアミノ;遊離またはエステル化カルボキシ;低級アルコキシカルボニルおよびハロゲンであり;
かつ、基R、RおよびRの1つは、ハロゲン、NH、NO、NHC(O)CF、NHC(O)CH、NHC(NH)NHであり、他の2つの基は、水素、低級アルキル、フッ化低級アルキル、ベンジルまたはフェニルである;
の化合物、またはそれらの塩もしくは結晶形の製造方法であって、
式II
【化3】

の化合物を、式III
【化4】

のアミンと、
A)R=メチル、エチルまたはアリールの場合:
1)Al(低級アルキル)、AlCl、EtAlCl、MeAlCl、MeAlCl、EtAlClまたは対応するセスキ塩化物から選択されるルイス酸、
2)有機溶媒、そして、場合により、
3)塩基
の存在下で反応させ、そして生じる生成物を加水分解する;または
B)R=水素の場合:
1)塩化チオニル、
2)有機溶媒、そして、場合により、
3)塩基
の存在下で反応させる、
方法。
【請求項9】
A)のルイス酸が、AlMe、AlEt、AliBu、AlCl、EtAlClおよびEtAlClから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
方法が20℃ないし80℃の温度で実行される、請求項8または請求項9に記載の方法。
【請求項11】
、R、R、RおよびRが水素であり、Rが(4−メチル−ピペラジニル)−メチルであり、Rがハロゲン、NH、NO、NHC(O)CF、NHC(O)CHまたはNHC(NH)NHであり、Rがメチルである、請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
式I
【化5】

式中、
基R、R、RおよびRは、独立して、水素、シアノ;低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキル;トリフルオロメチル;遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ;低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;遊離、アルキル化またはアシル化アミノ;モノ−またはジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;ベンゾイルアミノ;遊離またはエステル化カルボキシ;低級アルコキシカルボニルおよびハロゲンであるか;または
およびR、またはRおよびRは、共に、炭素数4の置換または非置換アルキレン基であり、置換基は、好ましくはシアノ、非置換またはヒドロキシ−、アミノ−もしくは4−メチル−ピペラジニル−置換低級アルキル、特にメチルなど、トリフルオロメチル、遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ、遊離、アルキル化またはアシル化アミノおよび遊離またはエステル化カルボキシから選択され;
かつ、他の3つの基は、独立して、水素、シアノ;低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキル;トリフルオロメチル;遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ;低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;遊離、アルキル化またはアシル化アミノ;モノ−またはジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;ベンゾイルアミノ;遊離またはエステル化カルボキシ;低級アルコキシカルボニルおよびハロゲンであり;
そして、Rは、ベンジルアミノ、ベンゾイルアミノ、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニルにより置換されており、シアノ;低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキルからなる群から選択される基により置換されていることもある低級アルキルであり;
そして、基R、RおよびRの1つは、ハロゲン、NH、NO、NHC(O)CF、NHC(O)CH、NHC(NH)NHであり、他の2つの基は、水素、低級アルキル、フッ化低級アルキル、ベンジルまたはフェニルである、
の化合物、またはそれらの塩もしくは結晶形の製造方法であって、
式V
【化6】

の化合物を、式R14−Hの化合物
式中、R13はハロゲンにより置換されている低級アルキルであり、そして、
14は、シアノ;低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキルからなる群から選択される基により置換されていることもあるベンジルアミノ、ベンゾイルアミノ、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニルである、
またはそれらの塩と反応させる、方法。
【請求項13】
式中、R14−HがN−メチルピペラジンであり、
13がハロゲンにより置換されているメチルであり、そして、
、R、R、RおよびRが水素であり、Rが(4−メチル−ピペラジニル)−メチルであり、RがBr、Cl、NH、NO、NHC(O)CF、NHC(O)CHまたはNHC(NH)NHであり、そしてRがメチルである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
式IV
【化7】

式中、
基R、R、R、RおよびRの1つは、
a)低級アルキル、アミノ;モノ−またはジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;低級アルコキシ−カルボニル;およびアミノ、モノ−またはジ−低級アルキルアミノまたは低級アルカノイルアミノにより置換されている低級アルキルからなる群から選択される基、または
b)ベンジルアミノ;ベンゾイルアミノ;ピロリジニル;ピペリジル;ピペラジニル;ピペラジニル−カルボニル;チオモルホリニル、モルホリニル;およびベンジルアミノ、ベンゾイルアミノ、ハロゲン、ピロリジニル、ピペリジル、4−メチル−ピペラジニル−などのピペラジニル、チオモルホリニルまたはモルホリニルにより置換されている低級アルキルからなる群から選択される非置換または置換されている基、ここで、該置換されている基の置換基は、シアノ;低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキル;トリフルオロメチル;遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ;低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;遊離、アルキル化またはアシル化アミノ;モノ−またはジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;ベンゾイルアミノ;遊離またはエステル化カルボキシ;低級アルコキシカルボニルおよびハロゲンからなる群から選択される、
であり、かつ、
他の4つの基は、独立して、水素、シアノ;低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキル;トリフルオロメチル;遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ;低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;遊離、アルキル化またはアシル化アミノ;モノ−またはジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;ベンゾイルアミノ;遊離またはエステル化カルボキシ;低級アルコキシカルボニルおよびハロゲンであり;
または、
およびR、RおよびR、RおよびR、またはRおよびRは、共に、炭素数4の置換または非置換アルキレン基であり、置換基は、好ましくは、シアノ、非置換またはヒドロキシ−、アミノ−もしくは4−メチル−ピペラジニル−置換低級アルキル、特にメチルなど、トリフルオロメチル、遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ、遊離、アルキル化またはアシル化アミノおよび遊離またはエステル化カルボキシから選択され;
かつ、他の3つの基は、独立して、水素、シアノ;低級アルキル;ヒドロキシ−またはアミノ−置換低級アルキル;トリフルオロメチル;遊離、エーテル化またはエステル化ヒドロキシ;低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;遊離、アルキル化またはアシル化アミノ;モノ−またはジ−低級アルキルアミノ;低級アルカノイルアミノ;ベンゾイルアミノ;遊離またはエステル化カルボキシ;低級アルコキシカルボニルおよびハロゲンであり;
基R'、R'およびR'の1つは、
【化8】

式中、
10は、4−ピペラジニル、1−メチル−1H−ピロリル、アミノ−またはアミノ−低級アルキル−置換フェニル(ここで、各場合のアミノ基は、遊離、アルキル化またはアシル化されている)、5員環の炭素原子で結合している1H−インドリルまたは1H−イミダゾリル、または環の炭素原子で結合しており、非置換または窒素原子で酸素により置換されている、非置換または低級アルキル−置換ピリジルであり、R11およびR12は、相互に独立して水素または低級アルキルである、
であり、
他の2つの基は、水素、低級アルキル、ベンジルまたはフェニルである、
の化合物、またはそれらの医薬的に許容し得る塩もしくは結晶形の製造のための、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の式Iの化合物の使用。
【請求項15】
、R、R、RおよびR'が水素であり、Rが(4−メチル−ピペラジニル)−メチルであり、R'が4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミノであり、R'がメチルである式IVの化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩もしくは結晶形の製造のための、R、R、R、RおよびRが水素であり、Rが(4−メチル−ピペラジニル)−メチルであり、RがBr、Cl、NH、NO、NHC(O)CF、NHC(O)CHまたはNHC(NH)NHであり、Rがメチルである式Iの化合物の請求項14に記載の使用。
【請求項16】
式Iの化合物からの、式IVの化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩または結晶形の製造方法。
【請求項17】
式IIおよびIIIの化合物からの、式IVの化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩または結晶形の製造方法であって、第1工程で式Iの化合物を請求項8ないし13のいずれかに従い製造し、第2工程で従来の方法で式Iの化合物を式IVの化合物に反応させる、方法。
【請求項18】
、R、R、RおよびR'が水素であり、Rが(4−メチル−ピペラジニル)−メチルであり、R'が4−(3−ピリジル)−2−ピリミジンアミノであり、そしてR'がメチルである式IVの化合物またはそれらの医薬的に許容し得る塩または結晶形の製造のための、請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項19】
a)1またはそれ以上の医薬的に許容し得る賦形剤、および、
b)少なくとも1の医薬的に活性な式IVの化合物、および
c)0.00001%ないし5重量%の、少なくとも1の式Iの化合物、
を含む医薬組成物。
【請求項20】
b)が、(4−[(4−メチル−1−ピペラジン−1−イルメチル)−N−[4−メチル−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]フェニル]ベンズアミド)またはその医薬的に許容し得る塩または結晶形であり、そして、
c)が、少なくとも1の、Rが(4−メチル−ピペラジニル)−メチルであり、R、R、R、RおよびRが水素であり、Rがハロゲン、NH、NO、NHC(O)CF、NHC(O)CHまたはNHC(NH)NHであり、Rがメチルである式Iの化合物またはそれらの塩または結晶形である、
請求項19に記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2010−138194(P2010−138194A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51939(P2010−51939)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【分割の表示】特願2003−565987(P2003−565987)の分割
【原出願日】平成15年2月6日(2003.2.6)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】