説明

N−置換アザインドール類及び使用方法

本発明は、抗癌及び/又は抗炎症活性を有する式IのN−置換アザインドリル化合物、より詳細にはMEKキナーゼ活性を阻害するN−置換アザインドリル化合物に関する。本発明は、哺乳動物における異常な細胞増殖を阻害し又は高増殖性疾患を治療し、又は炎症性疾患を治療するのに有用な組成物及び方法を提供する。本発明はまた哺乳動物細胞、又は関連する病理症状のインビトロ、インサイツ、及びインビボ診断又は治療のために化合物を使用する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その全体を出典明示によりここに援用する2007年6月12日出願の米国仮特許出願第60/943441号の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、抗癌活性を有するN-置換アザインドリル化合物、より詳細にはMEKキナーゼ活性を阻害するN-置換アザインドリル化合物に関する。本発明はまた哺乳動物細胞、又は関連する病理症状のインビトロ、インサイツ及びインビボ診断又は治療のために化合物を使用する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
Rasが細胞外成長シグナルを如何にして伝達するかを理解するための探求において、MAP(マイトジェン活性化タンパク質)キナーゼ(MAPK)経路が膜結合Rasと核の間の重要な経路として現れた。MAPK経路は3種の重要なキナーゼ類、つまりRaf、MEK(MAPキナーゼキナーゼ)及びERK(MAPキナーゼ)を含むリン酸化事象のカスケードを包含する。活性なGTP結合Rasは、Rafキナーゼの活性化及び間接的なリン酸化を生じる。ついで、RafはMEK1及び2の二つのセリン残基をリン酸化する(MEK1対してS218及びS222、MEK2に対してS222及びS226)(Ahn等, Methods in Enzymology 2001, 332, 417-431)。ついで、活性化されたMEKがそのただ既知の基質、MAPキナーゼERK1及び2をリン酸化する。MEKによるERKのリン酸化は、ERK1の場合はY204及びT202で、ERK2の場合はY185及びT183で生じる (Ahn等, Methods in Enzymology 2001, 332, 417-431)。リン酸化.ERKは二量体化し、ついで核に転位置し、そこで蓄積する(Khokhlatchev等, Cell 1998, 93, 605-615)。核内において、ERKは、限定するものではないが、核輸送、シグナル伝達、DNA修復、ヌクレオソーム集合及び転位置、及びmRNAプロセシング及び翻訳を含む幾つかの重要な細胞機能に関与する(Ahn等, Molecular Cell 2000, 6, 1343-1354)。増殖因子での細胞の全体的な処理により、総括すると、ERK1及び2の活性化に至り、これが増殖とある場合には分化を生じる(Lewis等, Adv. Cancer Res. 1998, 74, 49-139)。
【0004】
MAPキナーゼ経路に関与するプロテインキナーゼの遺伝子変異及び/又は過剰発現が制御されない細胞増殖に至り、最終的に増殖性疾患における腫瘍形成に至るという強い証拠が存在している。例えば、ある種の癌は、増殖因子の連続的な生産によるこの経路の連続的な活性化を生じる変異を含んでいる。他の変異は、活性化されたGTP結合Ras複合体の非活性化において欠陥を生じ得、再びMAPキナーゼ経路の活性化を生じる。Rasの変異した発癌型は50%の結腸癌及び>90%の膵臓癌並びに多くの他のタイプの癌に見出されている(Kohl等, Science 1993, 260, 1834-1837)。最近、bRaf変異が60%を越える悪性メラノーマで同定されている(Davies, H. 等, Nature 2002, 417, 949-954)。bRafにおけるこれらの変異は、構成的活性型MAPキナーゼカスケードを生じる。原発性腫瘍試料及び細胞株の研究により膵臓、結腸、肺、卵巣及び腎臓の癌におけるMAPキナーゼ経路の構成的又は過剰な活性化をまた示した(Hoshino, R.等, Oncogene 1999, 18, 813-822)。
【0005】
MEKは、MAPキナーゼカスケード経路における魅力的な治療用標的として現れた。MEKは、Ras及びRafの下流で、MAPキナーゼのリン酸化に高度に特異的である;実際、MEKリン酸化に対する唯一の既知の基質はMAPキナーゼERK1及び2である。MEKの阻害は、幾つかの研究では潜在的な治療的有益性を示した。例えば、小分子MEK阻害剤はヌードマウス異種移植においてヒト腫瘍増殖を阻害し(Sebolt-Leopold等, Nature-Medicine 1999, 5 (7), 810-816);Trachet等, AACR Apr. 6-10, 2002, Poster #5426; Tecle, H. IBC 2.sup.nd International Conference of Protein Kinases, Sep. 9-10, 2002)、動物における静的アロディニアを阻止し(2001年1月25日公開の国際公開第01/05390号)、急性骨髄性白血病細胞の増殖を阻害する(Milella et al., J Clin Invest 2001, 108 (6), 851-859)ことが示された。
【0006】
幾つかの小分子MEK阻害剤はまた例えば国際公開第02/06213号、国際公開第03/077855号及び国際公開第03/077914号において検討されている。様々な増殖性疾患状態、例えばMEKの機能亢進に関連する症状、並びにMEKカスケードによって調節される疾患を治療するための効果的で安全な治療薬としての新規なMEK阻害剤に対する必要性が尚も存在している。
【発明の概要】
【0007】
本発明は一般に抗癌及び/又は抗炎症活性、より詳細にはMEKキナーゼ阻害活性を有する式IのN-置換アザインドリル化合物(及び/又はその溶媒和物、水和物及び/又は塩)に関する。ある種の高増殖性及び炎症性疾患は、例えばタンパク質の変異又は過剰発現によるMEKキナーゼ機能の調節によって特徴付けられる。従って、本発明の化合物及びその組成物は、高増殖性疾患、例えば癌、及び/又は炎症性疾患、例えば関節リウマチの治療において有用である。
【0008】

[上式中、
はCR又はNであり;
はCR又はNであり;
はCR又はNであり;
はCR又はNであり;
ここで、Z、Z、Z、及びZの一又は二はNであり;
、R、R及びRは、H、ハロ、CN、CF、−OCF、−NO、−(CR1415C(=Y)R11、−(CR1415C(=Y)OR11、−(CR1415C(=Y)NR1112、−(CR1415NR1112、−(CR1415OR11、−(CR1415SR11、−(CR1415NR12C(=Y)R11、−(CR1415NR12C(=Y)OR11、−(CR1415NR13C(=Y)NR1112、−(CR1415NR12SO11、−(CR1415OC(=Y)R11、−(CR1415OC(=Y)OR11、−(CR1415OC(=Y)NR1112、−(CR1415OS(O)(OR11)、−(CR1415OP(=Y)(OR11)(OR12)、−(CR1415OP(OR11)(OR12)、−(CR1415S(O)R11、−(CR1415S(O)11、−(CR1415S(O)NR1112、−(CR1415S(O)(OR11)、−(CR1415S(O)(OR11)、−(CR1415SC(=Y)R11、−(CR1415SC(=Y)OR11、−(CR1415SC(=Y)NR1112、C−C12アルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールから独立して選択され;
Wは、

であり;
、R及びRはH又はC−Cアルキルから独立して選択され;
あるいは、R及びRはそれらが結合する炭素原子と共に、O、S及びNから選択される0−1のヘテロ原子を有する3−6員飽和環を形成し、ここで、該環は、ハロ、CN、CF、−OCF、C−Cアルキル、−OH、−O(C−Cアルキル)から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
は、−OR11、−NR1112、及び−S(O)11から選択され;Xが−OR11であるとき、該−OR11及びRは場合によってはそれらが結合する窒素原子と共に、O、S及びNから選択される0−2の更なるヘテロ原子を有する4−7員飽和又は不飽和環を形成し、ここで該環は場合によってはハロ、CN、CF、−OCF、−NO、オキソ、−Si(C−Cアルキル)、−(CR1920C(=Y’)R16、−(CR1920C(=Y’)OR16、−(CR1920C(=Y’)NR1617、−(CR1920NR1617、−(CR1920OR16、−(CR1920−SR16、−(CR1920NR16C(=Y’)R17、−(CR1920NR16C(=Y’)OR17、−(CR1920NR18C(=Y’)NR1617、−(CR1920NR17SO16、−(CR1920OC(=Y’)R16、−(CR1920OC(=Y’)OR16、−(CR1920OC(=Y’)NR1617、−(CR1920OS(O)(OR16)、−(CR1920OP(=Y’)(OR16)(OR17)、−(CR1920OP(OR16)(OR17)、−(CR1920S(O)R16、−(CR1920S(O)16、−(CR1920S(O)NR1617、−(CR1920S(O)(OR16)、−(CR1920S(O)(OR16)、−(CR1920SC(=Y’)R16、−(CR1920SC(=Y’)OR16、−(CR1920SC(=Y’)NR1617、及びR21から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
はアリール又はヘテロアリールであり;
は、H、C−Cアルキル、ハロ、CN、CF、−O(C−Cアルキル)、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−SO(C−Cアルキル)、−COH、−CO(C−Cアルキル)、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)(C−Cアルキル)、−NHSO(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)SO(C−Cアルキル)、−SONH、−SONH(C−Cアルキル)、及び−SON(C−Cアルキル)から選択され;
11、R12及びR13は、独立してH、C−C12アルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり,
あるいは、R11及びR12は、それらが結合する窒素原子と共に、O、S及びNから選択される0−2のヘテロ原子を有する3−8員の飽和、不飽和又は芳香族環を形成し、ここで、該環は、ハロ、CN、CF、−OCF、−NO、C−Cアルキル、−OH、−SH、−O(C−Cアルキル)、−S(C−Cアルキル)、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−SO(C−Cアルキル)、−COH、−CO(C−Cアルキル)、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)(C−Cアルキル)、−NHSO(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)SO(C−Cアルキル)、−SONH、−SONH(C−Cアルキル)、−SON(C−Cアルキル)、−OC(O)NH、−OC(O)NH(C−Cアルキル)、−OC(O)N(C−Cアルキル)、−OC(O)O(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−Cアルキル)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−Cアルキル)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)O(C−Cアルキル)、及び−N(C−Cアルキル)C(O)O(C−Cアルキル)から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
14及びR15は、H、C−C12アルキル、アリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、及びヘテロアリールから独立して選択され;
各nは独立して0、1、2、3、4、5、又は6から選択され;
Yは独立してO、NR11、又はSであり;
ここで、R、R、R、R、R、R、X、X、R11、R12、R13、R14、及びR15の各上記アルキル,アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、ハロ、CN、CF、−OCF、−NO、オキソ、−Si(C−Cアルキル)、−(CR1920C(=Y’)R16、−(CR1920C(=Y’)OR16、−(CR1920C(=Y’)NR1617、−(CR1920NR1617、−(CR1920OR16、−(CR1920SR16、−(CR1920NR16C(=Y’)R17、−(CR1920NR16C(=Y’)OR17、−(CR1920NR18C(=Y’)NR1617、−(CR1920NR17SO16、−(CR1920OC(=Y’)R16、−(CR1920OC(=Y’)OR16、−(CR1920OC(=Y’)NR1617、−(CR1920OS(O)(OR16)、−(CR1920OP(=Y’)(OR16)(OR17)、−(CR1920OP(OR16)(OR17)、−(CR1920S(O)R16、−(CR1920S(O)16、−(CR1920S(O)NR1617、−(CR1920S(O)(OR16)、−(CR1920S(O)(OR16)、−(CR1920SC(=Y’)R16、−(CR1920SC(=Y’)OR16、−(CR1920SC(=Y’)NR1617、及びR21から独立して選択される一又は複数の基で独立して置換されていてもよく;
各R16、R17及びR18は独立してH、C−C12アルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、上記アルキル,アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールは、ハロ、CN、−OCF、CF、−NO、C−Cアルキル、−OH、−SH、−O(C−Cアルキル)、−S(C−Cアルキル)、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−SO(C−Cアルキル)、−COH、−CO(C−Cアルキル)、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)(C−Cアルキル)、−NHSO(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)SO(C−Cアルキル)、−SONH、−SONH(C−Cアルキル)、−SON(C−Cアルキル)、−OC(O)NH、−OC(O)NH(C−Cアルキル)、−OC(O)N(C−Cアルキル)、−OC(O)O(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−Cアルキル)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−Cアルキル)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)O(C−Cアルキル)、及び−N(C−Cアルキル)C(O)O(C−Cアルキル)から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
あるいはR16及びR17は、それらが結合する窒素原子と共に、O、S及びNから選択される0−2のヘテロ原子を有する3−8員の飽和、不飽和又は芳香族環を形成し、ここで、上記環は、ハロ、CN、−OCF、CF、−NO、C−Cアルキル、−OH、−SH、−O(C−Cアルキル)、−S(C−Cアルキル)、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−SO(C−Cアルキル)、−COH、−CO(C−Cアルキル)、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)(C−Cアルキル)、−NHSO(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)SO(C−Cアルキル)、−SONH、−SONH(C−Cアルキル)、−SON(C−Cアルキル)、−OC(O)NH、−OC(O)NH(C−Cアルキル)、−OC(O)N(C−Cアルキル)、−OC(O)O(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−Cアルキル)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−Cアルキル)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)O(C−Cアルキル)、及び−N(C−Cアルキル)C(O)O(C−Cアルキル)から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
19及びR20は、H、C−C12アルキル、−(CH−アリール、−(CH−カルボシクリル、−(CH−ヘテロシクリル、及び−(CH−ヘテロアリールから独立して選択され;
21はC−C12アルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、R21の各メンバーは、ハロ、オキソ、CN、−OCF、CF、−NO、C−Cアルキル、−OH、−SH、−O(C−Cアルキル)、−S(C−Cアルキル)、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−SO(C−Cアルキル)、−COH、−CO(C−Cアルキル)、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)(C−Cアルキル)、−NHSO(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)SO(C−Cアルキル)、−SONH、−SONH(C−Cアルキル)、−SON(C−Cアルキル)、−OC(O)NH、−OC(O)NH(C−Cアルキル)、−OC(O)N(C−Cアルキル)、−OC(O)O(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−Cアルキル)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−Cアルキル)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)O(C−Cアルキル)、及び−N(C−Cアルキル)C(O)O(C−Cアルキル)から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
各Y’は独立してO、NR22、又はSであり;
22はH又はC−C12アルキルである]。
【0009】
本発明は、式Iの化合物(及び/又はその溶媒和物、水和物及び/又は塩)及び担体(薬学的に許容可能な担体)を含有する組成物(例えば薬学的組成物)を含む。本発明はまた第二化学療法予備/又は第二抗炎症剤を更に含有する、式Iの化合物(及び/又はその溶媒和物、水和物及び/又は塩)及び担体(薬学的に許容可能な担体)を含有する組成物(例えば薬学的組成物)を含む。本発明は、哺乳動物(例えばヒト)における異常な細胞増殖を阻害し、又は高増殖性疾患を治療するのに有用である。本発明はまた哺乳動物(例えばヒト)における炎症性疾患を治療するのにも有用である。
【0010】
本発明は、哺乳動物(例えばヒト)における異常細胞増殖を阻害し又は高増殖性疾患を治療する方法であって、式Iの化合物(及び/又はその溶媒和物及び塩)又はその組成物の治療的有効量を、単独で又は第二化学療法剤と併用して上記哺乳動物に投与することを含む方法を含む。
【0011】
本発明は、哺乳動物(例えばヒト)における炎症性疾患を治療する方法であって、式Iの化合物(及び/又はその溶媒和物及び塩)又はその組成物の治療的有効量を、単独で又は第二抗炎症剤と併用して上記哺乳動物に投与することを含む方法を含む。
【0012】
本発明は、哺乳動物細胞、生物、又は関連する病理症状のインビトロ、インサイツ、及びインビボ診断又は治療のために本化合物を使用する方法を含む。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のある実施態様を詳細に参照するが、その例を添付の構造及び式で例証する。本発明を列挙する実施態様に関連して説明するが、それらは本発明をその実施態様に限定することを意図するものではないことは理解されよう。それどころか、本発明は特許請求の範囲によって定まる本発明の範囲に含まれうるあらゆる代替例、変形例、及び均等物を包含することが意図される。当業者であれば、本発明の実施において使用されうるここに記載のものと同様な又は均等な多くの方法及び材料が分かるであろう。本発明は記載された方法及び材料に決して限定されるものではない。援用された文献、特許及び類似の資料の一又は複数が、限定するものではないが定義された用語、用語使用法、記載技術等を含む本願と異なるか又は矛盾する場合は、本願が優先する。
【0014】
定義
ここで使用される「アルキル」なる用語は、1から12の炭素原子の飽和又は分枝鎖一価炭化水素基を意味する。アルキル基の例には、限定されないが、メチル(Me,−CH)、エチル(Et,−CHCH)、1−プロピル(n−Pr,n−プロピル,−CHCHCH)、2−プロピル(i−Pr,i−プロピル,−CH(CH)、1−ブチル(n−Bu,n−ブチル,−CHCHCHCH)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu,i−ブチル,−CHCH(CH)、2−ブチル(s−Bu,s−ブチル,−CH(CH)CHCH)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu,t−ブチル,−C(CH)、1−ペンチル(n−ペンチル,−CHCHCHCHCH)、2−ペンチル(−CH(CH)CHCHCH)、3−ペンチル(−CH(CHCH)、2−メチル−2−ブチル(−C(CHCHCH)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH)CH(CH)、3−メチル−1−ブチル(−CHCHCH(CH)、2−メチル−1−ブチル(−CHCH(CH)CHCH)、1−ヘキシル(−CHCHCHCHCHCH)、2−ヘキシル(−CH(CH)CHCHCHCH)、3−ヘキシル(−CH(CHCH)(CHCHCH))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CHCHCHCH)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CH(CH)CHCH)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CHCH(CH)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH)(CHCH)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CHCH)CH(CH)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CHCH(CH)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH)C(CH、1−ヘプチル、1−オクチル等々が含まれる。
【0015】
「アルケニル」なる用語は、少なくとも一の不飽和部位、つまり炭素−炭素sp二重結合を有する2から12の炭素原子の直鎖状又は分枝鎖状の一価炭化水素を意味し、ここで、アルケニル基は「シス」及び「トランス」配向、又は「E」及び「Z」配向を有する基を含む。例には、限定されないが、エチレニル又はビニル(−CH=CH)、アリル(−CHCH=CH)等々が含まれる。
「アルキニル」なる用語は、少なくとも一の不飽和部位、つまり炭素−炭素sp三重結合を有する2から12の炭素原子の直鎖状又は分枝状一価炭化水素基を意味する。例には、限定されないが、エチニル(−C≡CH)、プロピニル(プロパルギル,−CHCoCH)等々が含まれる。
【0016】
「炭素環」、「カルボシクリル」、「炭素環式環」及び「シクロアルキル」という用語は、単環として3から12の炭素原子を単環式環として、又は7から12の炭素原子を二環式環として有する一価の非芳香族の飽和又は部分的に不飽和の環を意味する。7から12の原子を有する二環式炭素環は、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]又は[6,6]系として配置され得、9又は10の環原子を有する二環式炭素環は、ビシクロ[5,6]又は[6,6]系として、又はビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン及びビシクロ[3.2.2]ノナンのような架橋系として配置され得る。単環式炭素環の例には、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペンタ−1−エニル、1−シクロペンタ−2−エニル、1−シクロペンタ−3−エニル、シクロヘキシル、1−シクロヘキサ−1−エニル、1−シクロヘキサ−2−エニル、1−シクロヘキサ−3−エニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシル等々が含まれる。
【0017】
「アリール」は、親芳香族環系の単一炭素原子から一つの水素原子を取り除くことによって誘導される6−18の炭素原子の一価芳香族炭化水素基を意味する。幾つかのアリール基は「Ar」として例示構造において表される。アリールは飽和、部分的不飽和環、又は芳香族炭素環又は複素環式環に縮合した芳香族環を含む二環式基を含む。典型的なアリール基には、限定されないが、ベンゼン(フェニル)、置換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、インデニル、インダニル、1,2−ジヒドロナフタレン、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル等々が含まれる。
【0018】
「複素環」、「ヘテロシクリル」及び「複素環式環」なる用語は、ここでは交換可能に使用され、少なくとも一の環原子が、窒素、酸素及び硫黄から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子がCであり、一又は複数の環原子は以下に記載の一又は複数の置換基で独立して置換されていてもよい、3から18の環原子の飽和又は部分的不飽和(つまり、環内に一又は複数の二重及び/又は三重結合を有する)炭素環式基を意味する。複素環は、3から7の環員(2から6の炭素原子とN、O、P、及びSから選択される1から4のヘテロ原子)を有する単環、又は7から10の環員(4から9の炭素原子とN、O、P、及びSから選択される1から6のヘテロ原子)を有する二環、例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、又は[6,6]系でありうる。複素環はPaquette, Leo A.; "Principles of Modern Heterocyclic Chemistry" (W.A. Benjamin, New York, 1968)、特に1、3、4、6、7、及び9章;"The Chemistry of Heterocyclic Compounds, A series of Monographs" (John Wiley & Sons, New York, 1950 to present)、特に13、14、16、19、及び28巻;及びJ. Am. Chem. Soc. (1960) 82:5566に記載されている。「ヘテロシクリル」はまた複素環基に飽和、部分的不飽和環、又は芳香族炭素環又は複素環式環が縮合した基を含む。複素環式環の例には、限定されないが、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、2−ピロイル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、及びアザビシクロ[2.2.2]ヘキサニルが含まれる。スピロ部分がまたこの定義の範囲内に含まれる。環原子がオキソ(=O)部分で置換されている複素環基の例はピリミジノイル及び1,1−ジオキソ−チオモルホリニルである。
【0019】
「ヘテロアリール」なる用語は、5員又は6員の環の一価芳香族基を意味し、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される一又は複数のヘテロ原子を含む5−18原子の縮合環系(少なくとも一が芳香族)を含む。ヘテロアリール基の例は、ピリジニル(例えば2−ヒドロキシピリジニルを含む)、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、ピリミジニル(例えば4−ヒドロキシピリミジニルを含む)、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シノリニル、インダゾリニル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、及びフロピリジニルである。
【0020】
複素環又はヘテロアリール基は、それが可能な場合、炭素(炭素連結)又は窒素(窒素連結)結合でありうる。例を挙げると、限定ではないが、炭素結合複素環又はヘテロアリールはピリジンの2、3、4、5、又は6位、ピリダジンの3、4、5、又は6位、ピリミジンの2、4、5、又は6位、ピラジンの2、3、5、又は6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロール又はテトラヒドロピロールの2、3、4、又は5位、オキサゾール、イミダゾール又はチアゾールの2、4、又は5位、イソオキサゾール、ピラゾール、又はイソチアゾールの3、4、又は5位、アジリジンの2又は3位、アゼチジンの2、3、又は4位、キノリンの2、3、4、5、6、7、又は8位、又はイソキノリンの1、3、4、5、6、7、又は8位で結合する。
【0021】
例を挙げると、限定ではないが、窒素結合複素環又はヘテロアリールは、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−インダゾールの1位、イソインドール又はイソインドリンの2位、モルホリンの4位、及びカルバゾール、又はβ−カルボリンの9位で結合する。
「ハロ」なる用語は、F、Cl、Br又はIを意味する。ヘテロアリール又はヘテロシクリルに存在するヘテロ原子は酸化形態、例えばN→O、S(O)及びS(O)を含む。
【0022】
「治療する」及び「治療」なる用語は、治癒的処置と、目的が例えば癌の発症又は広がりのような望まれない生理学的変化又は疾患を防止し又は遅延させる(少なくする)ことである予防的又は防止的手段の双方を意味する。この発明の目的では、有益な又は所望の臨床結果は、限定するものではないが、検出可能であれ検出不可能であれ、徴候の軽減、疾患の程度の低減、疾患の安定化(つまり悪化しない)状態、疾患進行の遅延又は緩徐化、疾患状態の回復又は緩和、及び寛解(部分的又は完全)を含む。「治療」は、治療を受けない場合に予想される生存率と比較して生存を延長することを意味しうる。治療を必要とするものは、既に症状又は疾患を持つ者並びに症状又は疾患になりやすい者又は症状又は疾患が防止される者を含む。
【0023】
「治療的に有効な量」なる語句は、(i)特定の疾病、症状、又は疾患を治療し又は予防する、又は(ii)特定の疾病、症状、又は疾患の一又は複数の徴候を減弱にし、寛解させ、又は除く、又は(iii)ここに記載された特定の疾病、症状、又は疾患の一又は複数の徴候の発症を予防し又は遅延させる、本発明の化合物の量を意味する。癌の場合、薬剤の治療的に有効な量は、癌細胞の数を減少させ;腫瘍サイズを減少させ;周辺器官への癌細胞の浸潤を阻害し(つまり、ある程度まで遅くさせ、好ましくは停止させ);腫瘍転移を阻害し(つまり、ある程度まで遅くさせ、好ましくは停止させ);腫瘍増殖をある程度まで阻害し;及び/又は癌に伴う徴候の一又は複数をある程度軽減しうる。薬剤が増殖を防止し、及び/又は存在する癌細胞を死滅させうる程度まで、それは細胞分裂阻害性及び/又は細胞毒性でありうる。癌治療では、効能は、例えば無増悪期間(TTP)を評価し、及び/又は奏功率(RR)を決定することにより測定することができる。
【0024】
「異常細胞増殖」及び「過剰増殖疾患」なる用語はこの出願では交換可能に使用される。ここで使用される「異常細胞増殖」は、特に断らない限り、正常な調節機構に独立である(例えば接触阻止の喪失)細胞増殖を意味する。これは、例えば(1)変異したチロシンキナーゼを発現させ又はレセプターチロシンキナーゼの過剰発現によって増殖する腫瘍細胞(腫瘍);(2)異常なチロシンキナーゼ活性化が生じる他の増殖性疾患の良性及び悪性細胞;(3)レセプターチロシンキナーゼにより増殖する任意の腫瘍;(4)異常なセリン/スレオニンキナーゼ活性化により増殖する任意の腫瘍;及び(5)異常なセリン/スレオニンキナーゼ活性化が生じる他の増殖性疾患の良性及び悪性細胞の異常な増殖を含む。
【0025】
「癌」及び「癌性」という用語は、典型的には調節されない細胞増殖により特徴付けられる哺乳動物における生理学的状態を意味するか記述するものである。癌の例には、これらに限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病又はリンパ性腫瘍が含まれる。このような癌のより特定な例には、扁平上皮細胞癌(例えば上皮扁平細胞癌)、肺癌、例えば小細胞肺癌、非小細胞肺癌(「NSCLC」)、肺の腺癌及び肺の扁平上皮癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃癌(gastric又はstomach)、例えば胃腸癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝腫瘍、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌(kidney又はrenal)、前立腺癌、陰門癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、並びに頭頸部癌が含まれる。
【0026】
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化合物である。化学療法剤の例には、エルロチニブ(Tarceva(登録商標),Genentech/OSI Pharm.)、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)Millennium Pharm.)、フルベストラント(FASLODEX(登録商標),AstraZeneca)、スーテント(SU11248,Pfizer)、レトロゾール(FEMARA(登録商標),Novartis)、イマチニブメシル酸塩(GLEEVEC(登録商標),Novartis)、PTK787/ZK222584(Novartis)、オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標),Sanofi)、5−FU(5−フルオロウラシル)、ロイコボリン、ラパマイシン(Sirolimus,RAPAMUNE(登録商標),Wyeth)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標),GSK572016,Glaxo Smith Kline)、ロナファーニブ(SCH66336)、ソラフェニブ(BAY43−9006,Bayer Labs)、及びゲフィチニブ(IRESSA(登録商標),AstraZeneca)、AG1478、AG1571(SU5271;Sugen)、アルキル化剤、例えばチオテパ及びCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミド;スルホン酸アルキル、例えばブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ、及びウレドパ;エチレンイミン及びメチラメラミン、例えばアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチロメラミン;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成アナログトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成アナログを含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成アナログ、KW−2189及びCB1−TM1を含む);エロイテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムヌスチン(ranimnustine);抗生物質、例えばエネジン抗生物質(例えばカリケアマイシン、特にカリケアマイシンγ1I及びカリケアマイシンωI1(Agnew,Chem Intl.Ed.Engl.,(1994)33:183−186);ダイネミシン、例えばダイネミシンA;ビスホスホネート、例えばクロドロネート;エスペラマイシン;並びにネオカルジノスタチン発色団及び関連色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オートラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)(ドキソルビシン)、モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダラルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾトシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗物質、例えば、メトトレキセート及び5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸アナログ、例えばデノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート、プリンアナログ、例えばフルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えばアンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロキシウリジン;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎薬、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸リプレニッシャー、例えばフロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシノイド、例えばメイタンシン及びアンサミトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products,Eugene,OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン、スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT−2毒素、ベラクリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばTAXOL(登録商標)(パクリタキセル;Bristol−Myers Squibb Oncology,Princeton,NJ)、ABRAXANE(登録商標)(Cremophor−free)、パクリタキセルのアルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,Illinois)、及びTAXOTERE(登録商標)(ドセタキセル;Rhone−Poulenc Rorer,Antony,France);クロラムブシル;GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン);6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金アナログ、例えばシスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)(ビノレルビン);ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELODA(登録商標));イバンドロネート;CPT−I1;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えばレチノイン酸;及び上記の何れかの薬学的に許容可能な塩、酸及び誘導体が含まれる。
【0027】
「化学療法剤」の定義にまた含まれるものは、(i)腫瘍に対するホルモン作用を調節し又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)、例えばタモキシフェン(例えばNOLVADEX(登録商標);シフェンクエン酸塩)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTON(登録商標)(トレミフェンクエン酸塩);(ii)副腎においてエストロゲン生産を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)−イミダゾール類、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(メゲストロール酢酸エステル)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン;Pfizer)、フォルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール;Novartis)、及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール;AstraZeneca);(iii)抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;並びにトロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);(iv)プロテインキナーゼ阻害剤;(v)脂質キナーゼ阻害剤;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に例えばPKC−α、Ralf及びH−Rasのような異常な細胞増殖に関与するシグナリ伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの;(vii);リボザイム、例えばVEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標))及びHER2発現阻害剤;(viii)ワクチン、例えば遺伝子療法ワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)、及びVAXID(登録商標);PROLEUKIN(登録商標)rIL−2;LURTOTECAN(登録商標)のようなトポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;(ix)抗血管新生剤、例えばベバシズマブ(AVASTIN(登録商標),Genentech);及び(x)上記の何れかの薬学的に許容可能な塩、酸及び誘導体である。
【0028】
この出願で使用される「炎症性疾患」なる用語には、限定するものではないが、関節リウマチ、アテローム硬化症、鬱血性心不全、炎症性腸疾患、肺の慢性閉塞性肺疾患、肝臓及び腎臓の線維症、クローン病、及び皮膚疾患、例えば乾癬、湿疹、及び強皮症が含まれる。
「抗炎症剤」は炎症の治療に有用な化合物である。抗炎症剤の例には、Enbrel(登録商標)、Remicade(登録商標)、Humira(登録商標)及びKineret(登録商標)のような注入可能なタンパク質治療剤が含まれる。
【0029】
この出願で使用される「プロドラッグ」なる用語は、より活性な親形態に酵素的に又は加水分解により活性化され又は転換されうる本発明の化合物の前駆体又は誘導体形態を意味する。例えば、Wilman, "Prodrugs in Cancer Chemotherapy" Biochemical Society Transactions, 14, pp. 375-382, 615th Meeting Belfast (1986)及びStella等, "Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery," Directed Drug Delivery, Borchardt等編, pp. 247-267, Humana Press (1985)を参照のこと。この発明のプロドラッグには、限定するものではないが、より活性な細胞毒性のない薬物に転換され得るエステル含有プロドラッグ、ホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、サルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β-ラクタム含有プロドラッグ、置換されていてもよいフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ、置換されていてもよいフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5−フルオロシトシン及び他の5−フルオロウリジンプロドラッグが含まれる。この発明における使用のためにプロドラッグ形態に誘導体化されうる細胞毒性剤の例には、限定するものではないが、本発明の化合物及び上に記載したような化学療法剤が含まれる。
【0030】
「代謝物」は、所定の化合物又はその塩の体内で代謝によって生産される産物である。化合物の代謝物は、当該分野で知られた常套的な技術を使用して同定することができ、その活性はここに記載されたもののような試験を使用して決定される。かかる産物は、投与された化合物の例えば酸化、ヒドロキシル化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド、エステル化、エステル分解、酵素切断等々から生じうる。従って、本発明は、本発明の化合物をその代謝産物を生じせしめるのに十分な時間の間、哺乳動物と接触させることを含む方法によって生産される化合物を含む本発明の化合物の代謝物を含む。
「リポソーム」は、哺乳動物への薬剤(例えばここに開示されたPI3キナーゼ阻害剤及び場合によっては化学療法剤)のデリバリーに有用な様々なタイプの脂質、リン脂質及び/又は界面活性剤からなる小胞である。リポソームの成分は、一般に、生体膜の脂質配置と同様に二層構造で配されている。
【0031】
「パッケージ挿入物」なる用語は、効能、使用法、用量、投与、禁忌及び/又はかかる治療用製品の使用に関する注意についての情報を含む、治療用製品の市販パッケージに常套的に含まれる指示を意味するために使用される。
「キラル」なる用語は、鏡像対に重ね合わせできない分子を意味する一方、「アキラル」なる用語は、その鏡像対に重ね合わせ可能である分子を意味する。
【0032】
「立体異性体」なる用語は、同一の化学的構成及び連結性を有しているが、単結合回りの回転によって相互転換され得ない空間におけるその原子の異なった配向を有している化合物を意味する。
「ジアステレオマー」は、二以上のキラル中心を有し、その分子が互いの鏡像ではない立体異性体を意味する。ジアステレオマーは、異なった物理的特性、例えば融点、沸点、スペクトル特性、及び反応性を有している。ジアステレオマーの混合物は、例えば結晶化、電気泳動及びクロマトグラフィーのような高分解能分析手順下で分離しうる。
「エナンチオマー」は互いに重ねることができない鏡像である化合物の二つの立体異性体を意味する。
【0033】
ここで使用される立体化学の定義及び慣習は一般にS. P. Parker編, McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (1984) McGraw-Hill Book Company, New York;及びEliel, E.及びWilen, S., "Stereochemistry of Organic Compounds", John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994に従う。本発明の化合物は、非対称又はキラル中心を含み得、よって異なった立体異性形態で存在する。限定するものではないが、ジアステレオマー、エナンチオマー及びアトロプ異性体、並びにラセミ混合物のようなその混合物を含む本発明の化合物のあらゆる立体異性体形態が本発明の一部を形成する。多くの有機化合物は光学的に活性な形態で存在する、つまり、それらは直線偏光の面を回転させる能力を有している。光学的に活性な化合物を記述する場合、接頭辞D及びL、又はR及びSは、そのキラル中心の回りの分子の絶対配置を示すために使用される。接頭辞d及びl又は(+)及び(−)は化合物による直線偏光の回転の符号を示すために使用され、(−)又はdは化合物が左旋性であることを意味する。(+)又はdの接頭辞の化合物は右旋性である。所定の化学構造に対して、これらの立体異性体は、それらが互いに鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体は、エナンチオマーとも称されることがあり、そのような異性体の混合物はしばしばエナンチオマー混合物と呼ばれる。エナンチオマーの50:50混合物はラセミ混合物又はラセミ体と呼ばれ、化学反応又はプロセスに立体選択又は立体特異性がなかった場合に生じうる。「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」なる用語は、光学活性を欠いている2つのエナンチオマー種の等モル混合物を意味する。
【0034】
「互変異性体」又は「互変異性形態」なる用語は、低エネルギー障壁を介して相互転換可能な異なったエネルギーの構造異性体を意味する。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピー互変異性体としても知られる)は、ケト−エノール及びイミン−エナミン異性化のようなプロトンの移動を介する相互変換を含む。原子価互変異性体は結合電子の幾らかの再構築による相互変換を含む。
【0035】
ここで使用される「薬学的に許容可能な塩」なる語句は、本発明の化合物の薬学的に許容可能な有機又は無機塩を意味する。例示的な塩には、限定されるものではないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸ホスフェート、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸シトレート、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、 パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシル酸塩」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、パモ酸塩(つまり、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))塩、アルカリ金属(例えば、ナトリウム及びカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)塩、及びアンモニウム塩が含まれる。薬学的に許容可能な塩は、アセテートイオン、スクシネートイオン又は他の対イオンのような他の分子を含みうる。対イオンは親化合物上の電荷を安定化する任意の有機又は無機部分でありうる。更に、薬学的に許容可能な塩は、その構造中に一を越える荷電原子を有しうる。複数の荷電原子が薬学的に許容可能な塩の一部である場合は、複数の対イオンを有しうる。よって、薬学的に許容可能な塩は一又は複数の荷電原子及び/又は一又は複数の対イオンを有しうる。
【0036】
本発明の化合物が塩基である場合、所望の薬学的に許容可能な塩は、当該分野で利用できる任意の適切な方法、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、リン酸等のような無機酸で、又は例えば酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、例えばグルクロン酸又はガラクツロン酸、αヒドロキシ酸、例えばクエン酸又は酒石酸、アミノ酸、例えばアスパラギン酸又はグルタミン酸、芳香族酸、例えば安息香酸又はケイ皮酸、スルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸又はエタンスルホン酸等のような有機酸での遊離塩基の処理によって調製することができる。
【0037】
本発明の化合物が酸である場合、所望の薬学的に許容可能な塩は、任意の適切な方法、例えば無機又は有機塩基、例えばアミン(第1級、第2級又は第3級)、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物等での遊離酸の処理によって調製することができる。適切な塩を例証する例には、限定されないが、アミノ酸、例えばグリシン及びアルギニン、アンモニア、第1級、第2級、及び第3級アミン、及び環状アミン、例えばピペリジン、モルホリン及びピペラジンから誘導される有機塩基、及びナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム及びリチウムから誘導される無機塩が含まれる。
【0038】
「薬学的に許容可能な」なる語句は、物質又は組成物が、製剤を構成する他の成分、及び/又はそれで治療されている哺乳動物と、化学的に及び/又は毒物学的に適合性がなければならないことを示している。
「溶媒和物」は一又は複数の溶媒分子と本発明の化合物の結合体又は複合体を意味する。溶媒和物を形成する溶媒の例には、限定されないが、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、及びエタノールアミンが含まれる。「水和物」なる用語は、溶媒分子が水である複合体を意味する。
【0039】
「保護基」なる用語は、化合物の他の官能基を反応させながら特定の官能性をブロックし又は保護するためによく用いられる置換基を意味する。例えば、「アミノ保護基」は、化合物のアミノ官能性をブロックし又は保護するアミノ基に結合される置換基である。適切なアミノ保護基には、アセチル、トリフルオロアセチル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)及び9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が含まれる。同様に、「ヒドロキシ保護基」は、ヒドロキシ官能性をブロックし又は保護するヒドロキシ基の置換基を意味する。適切な保護基にはアセチル及びシリルが含まれる。「カルボキシ保護基」はカルボキシ官能性をブロックし又は保護するカルボキシ基の置換基を意味する。一般的なカルボキシ保護基には、フェニルスルホニルエチル、シアノエチル、2−(トリメチルシリル)エチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、2−(p−トルエンスルホニル)エチル、2−(p−ニトロフェニルスルフェニル)エチル、2−(ジフェニルホスフィノ)−エチル、ニトロエチル等が含まれる。保護基とその用途の一般的な記載については、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, New York, 1991を参照のこと。
【0040】
「この発明の化合物」及び「本発明の化合物」及び「式Iの化合物」なる用語は、特段示さない限り、式Iの化合物及びその立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝物、塩(例えば薬学的に許容可能な塩)及びプロドラッグを含む。
本発明は、キナーゼ阻害剤として有用な、特にMEKキナーゼ阻害剤として有用な上記の式IのN−置換アザインドリル化合物を提供する。本発明は、式I−a、I−b、I−c、I−d、I−e、I−f、I−g、I−h、I−i、及びI−jの化合物を含み、他の全ての変数は式Iに定義された通りである。

【0041】
本発明の一実施態様では、RはH、−OR11、又はC−Cアルキルであり、他の全ての変数は、式I、I−b、I−c、I−d、I−h、I−i、又はI−jにおいて定義された通りである。
本発明の他の実施態様において、Rは、H、−OR11であり、ここで、R11はC−Cアルキル、又はC−Cアルキルであり;他の全ての変数は式I、I−b、I−c、I−d、I−h、I−i、又はI−jに定義された通りである。
本発明の他の実施態様において、Rは、H、メチル、又は−OEtであり;他の全ての変数は式I、I−b、I−c、I−d、I−h、I−i、又はI−jに定義された通りである。
本発明の一実施態様では、RはH、−OR11、又はC−Cアルキルであり、他の全ての変数は式I、I−a、I−c、I−d、I−f、I−g、又はI−jに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
本発明の他の実施態様において、RはH、C−Cアルキル、又は−OR11であり、ここで、R11はC−Cアルキルであり;他の全ての変数は式I、I−a、I−c、I−d、I−f、I−g、又はI−jに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
本発明の他の実施態様において、RはH、メチル、又は−OEtであり;他の全ての変数は式I、I−a、I−c、I−d、I−f、I−g、又はI−jに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
本発明の一実施態様では、RはH、メチル又は−Clであり;他の全ての変数は式I、I−a、I−b、I−d、I−e、I−g、又はI−iに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
本発明の一実施態様では、RはH、ハロ、CF、−OR11、又はC−Cアルキルで、一又は複数のハロで置換されていてもよいものであり;他の全ての変数は式I、I−a、I−b、I−c、I−e、I−f、又はI−hに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
本発明の他の実施態様において、RはH、ハロ、CF、C−Cアルキルで、一又は複数のハロで置換されていてもよいもの、又はR11がC−Cアルキルである−OR11であり;他の全ての変数は式I、I−a、I−b、I−c、I−e、I−f、又はI−hに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
本発明の他の実施態様において、RはH、Cl、Br、F、メチル、エチル、CHF、CF、又は−OEtであり;他の全ての変数は式I、I−a、I−b、I−c、I−e、I−f、又はI−hに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
本発明の他の実施態様において、RはCl、Br、F、メチル、エチル、CHF、又はCFであり;他の全ての変数は式I、I−a、I−b、I−c、I−e、I−f、又はI−hに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
本発明の一実施態様では、RはH又はC−Cアルキルであり;他の全ての変数は式I、又はI−aからI−Jに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
本発明の他の実施態様において、RはH又はメチルであり;他の全ての変数は式I、I−aからI−jに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
本発明の他の実施態様において、RはHであり;他の全ての変数は式I、I−aからI−jに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
本発明の他の実施態様において、Rはメチルであり;他の全ての変数は式I、I−aからI−Jに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
本発明の一実施態様では、RはH又はC−Cアルキルであり;他の全ての変数は式I、I−aからI−Jに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
本発明の他の実施態様において、RはH又はメチルであり;他の全ての変数は式I、I−aからI−Jに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
本発明の一実施態様では、RはH又はC−Cアルキルであり;他の全ての変数は式I、I−aからI−Jに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
本発明の他の実施態様において、RはH又はメチルであり;他の全ての変数は式I、I−aからI−Jに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
本発明の他の実施態様において、R及びRは、それらが結合する炭素原子と共にシクロプロピル又はシクロブチル環を形成する。
本発明の一実施態様では、XはOR11であり;他の全ての変数は式I又はI−aからI−Jに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
本発明の一実施態様では、XはOR11であり、ここでR11はHであり;他の全ての変数は式I又はI−aからI−Jに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
本発明の他の実施態様において、XはOR11であり、ここで、R11はハロ、CN、CF、−OCF、オキソ、−(CR1920C(=Y’)R16、−(CR1920C(=Y’)OR16、−(CR1920C(=Y’)NR1617、−(CR1920NR1617、−(CR1920OR16、−(CR1920SR16、−(CR1920NR16C(=Y’)R17、−(CR1920NR16C(=Y’)OR17、−(CR1920NR18C(=Y’)NR1617、−(CR1920NR17SO16、−(CR1920OC(=Y’)R16、−(CR1920OC(=Y’)OR16、−(CR1920OC(=Y’)NR1617、−(CR1920OS(O)(OR16)、−(CR1920S(O)R16、−(CR1920S(O)16、−(CR1920S(O)NR1617、−(CR1920S(O)(OR16)、−(CR1920S(O)(OR16)、−(CR1920SC(=Y’)R16、−(CR1920SC(=Y’)OR16、−(CR1920SC(=Y’)NR1617、及びR21から独立して選択される一又は複数の基で置換されたC−C12アルキル(例えばC−Cアルキル)であり;他の全ての変数は式I又はI−aからI−Jに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
【0042】
本発明の一実施態様では、Xは、

であり;他の全ての変数は式I又はI−aからI−Jに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
【0043】
本発明の他の実施態様において、Xは、

であり;他の全ての変数は式I又はI−aからI−iに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
【0044】
本発明の他の実施態様において、XはOR11であり、ここで、R11は、ハロ、CN、CF、−OCF、−NO、オキソ、−(CR1920C(=Y’)R16、−(CR1920C(=Y’)OR16、−(CR1920C(=Y’)NR1617、−(CR1920NR1617、−(CR1920OR16、−(CR1920SR16、−(CR1920NR16C(=Y’)R17、−(CR1920NR16C(=Y’)OR17、−(CR1920NR18C(=Y’)NR1617、−(CR1920NR17SO16、−(CR1920OC(=Y’)R16、−(CR1920OC(=Y’)OR16、−(CR1920OC(=Y’)NR1617、−(CR1920OS(O)(OR16)、−(CR1920S(O)R16、−(CR1920S(O)16、−(CR1920S(O)NR1617、−(CR1920S(O)(OR16)、−(CR1920S(O)(OR16)、−(CR1920SC(=Y’)R16、−(CR1920SC(=Y’)OR16、−(CR1920SC(=Y’)NR1617、及びR21から独立して選択される一又は複数の基で置換されていてもよいヘテロシクリル(例えば4員から6員のヘテロシクリル)であり;他の全ての変数が式I又はI−aからI−Jに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
【0045】
本発明の他の実施態様において、XはOR11であり、ここで、R11は、4員から6員の1つの窒素環原子を有するヘテロシクリルであり。ここで該ヘテロシクリルは、ハロ、CN、CF、−OCF、−NO、オキソ、−(CR1920C(=Y’)R16、−(CR1920C(=Y’)OR16、−(CR1920C(=Y’)NR1617、−(CR1920NR1617、−(CR1920OR16、−(CR1920SR16、−(CR1920NR16C(=Y’)R17、−(CR1920NR16C(=Y’)OR17、−(CR1920NR18C(=Y’)NR1617、−(CR1920NR17SO16、−(CR1920OC(=Y’)R16、−(CR1920OC(=Y’)OR16、−(CR1920OC(=Y’)NR1617、−(CR1920OS(O)(OR16)、−(CR1920S(O)R16、−(CR1920S(O)16、−(CR1920S(O)NR1617、−(CR1920S(O)(OR16)、−(CR1920S(O)(OR16)、−(CR1920SC(=Y’)R16、−(CR1920SC(=Y’)OR16、−(CR1920SC(=Y’)NR1617、及びR21から独立して選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;他の全ての変数は式I又はI−aからI−Jに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
【0046】
本発明の他の実施態様において、Xは、

であり;他の全ての変数は式I又はI−aからI−Jに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
本発明の他の実施態様において、Xは、

であり;他の全ての変数は式I又はI−aからI−Jに定義された通りであり、又は上に定義された通りである。
【0047】
本発明の一実施態様では、Xは−OR11であり、該−OR11及びRは、それらが結合する窒素原子と共同して、O、S及びNから選択される0−2の更なるヘテロ原子を有する5−7員の飽和又は不飽和環状環を形成し;ここで、該環状環は、場合によっては、ハロ、CN、CF、−OCF、−NO、オキソ、−(CR1920C(=Y’)R16、−(CR1920C(=Y’)OR16、−(CR1920C(=Y’)NR1617、−(CR1920NR1617、−(CR1920OR16、−(CR1920−SR16、−(CR1920NR16C(=Y’)R17、−(CR1920NR16C(=Y’)OR17、−(CR1920NR18C(=Y’)NR1617、−(CR1920NR17SO16、−(CR1920OC(=Y’)R16、−(CR1920OC(=Y’)OR16、−(CR1920OC(=Y’)NR1617、−(CR1920OS(O)(OR16)、−(CR1920S(O)R16、−(CR1920S(O)16、−(CR1920S(O)NR1617、−(CR1920S(O)(OR16)、−(CR1920S(O)(OR16)、−(CR1920SC(=Y’)R16、−(CR1920SC(=Y’)OR16、−(CR1920SC(=Y’)NR1617、及びR21から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;他の全ての変数は式I又はI−aからI−Jに定義された通りであり又は上に定義された通りである。
【0048】
本発明の他の実施態様において、Xは−OR11であり、該−OR11及びRはそれらが結合する窒素原子と共同して、O、S及びNから選択される0−2の更なるヘテロ原子を有する5−6員の飽和環状環を形成し、ここで、該環状環は、場合によっては、ハロ、CN、CF、−OCF、−NO、オキソ、−(CR1920C(=Y’)R16、−(CR1920C(=Y’)OR16、−(CR1920C(=Y’)NR1617、−(CR1920NR1617、−(CR1920OR16、−(CR1920−SR16、−(CR1920NR16C(=Y’)R17、−(CR1920NR16C(=Y’)OR17、−(CR1920NR18C(=Y’)NR1617、−(CR1920NR17SO16、−(CR1920OC(=Y’)R16、−(CR1920OC(=Y’)OR16、−(CR1920OC(=Y’)NR1617、−(CR1920OS(O)(OR16)、−(CR1920S(O)R16、−(CR1920S(O)16、−(CR1920S(O)NR1617、−(CR1920S(O)(OR16)、−(CR1920S(O)(OR16)、−(CR1920SC(=Y’)R16、−(CR1920SC(=Y’)OR16、−(CR1920SC(=Y’)NR1617、及びR21から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;他の全ての変数は式I又はI−aからI−Jに定義された通りであるか、又は上に定義された通りである。
【0049】
本発明の他の実施態様において、Wは

であり;他の全ての変数は式I又はI−aからI−Jに定義された通りであるか又は上に定義された通りである。
本発明の他の実施態様において、Xが−S(O)11であり、他の全ての変数は式I、I−a、I−b、I−c、I−d、I−e、I−f、I−g、I−h、I−i、又はI−jに定義された通りであるか、又は上に定義された通りである。
本発明の他の実施態様において、Xは−S(O)11であり、ここでR11はH又はメチルであり;他の全ての変数は式II、I−a、I−b、I−c、I−d、I−e、I−f、I−g、I−h、I−i、又はI−jに定義された通りであるか、又は上に定義された通りである。
【0050】
本発明の一実施態様では、Xはアリール(例えばフェニル)であり、ここで、該アリールは場合によっては、ハロ、CN、CF、−OCF、−NO、オキソ、−Si(C−Cアルキル)、−(CR1920C(=Y’)R16、−(CR1920C(=Y’)OR16、−(CR1920C(=Y’)NR1617、−(CR1920NR1617、−(CR1920OR16、−(CR1920−SR16、−(CR1920NR16C(=Y’)R17、−(CR1920NR16C(=Y’)OR17、−(CR1920NR18C(=Y’)NR1617、−(CR1920NR17SO16、−(CR1920OC(=Y’)R16、−(CR1920OC(=Y’)OR16、−(CR1920OC(=Y’)NR1617、−(CR1920OS(O)(OR16)、−(CR1920S(O)R16、−(CR1920S(O)16、−(CR1920S(O)NR1617、−(CR1920S(O)(OR16)、−(CR1920S(O)(OR16)、−(CR1920SC(=Y’)R16、−(CR1920SC(=Y’)OR16、−(CR1920SC(=Y’)NR1617、及びR21から独立して選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;他の全ての変数は式I、I−aからI−i、II−aからII−i、又はIII−aからIII−iに定義された通りであるか、又は上に定義された通りである。
【0051】
本発明の他の実施態様において、X

であり;他の全ての変数は式I、I−aからI−Jに定義された通りであるか、又は上に定義された通りである。
【0052】
本発明の他の実施態様において、X

であり;他の全ての変数は式I、I−aからI−Jに定義された通りであるか、又は上に定義された通りである。
本発明の一実施態様では、XはH、メチル又は−Clであり;他の全ての変数は式I、I−aからI−Jに定義された通りであるか、又は上に定義された通りである。
【0053】
本発明の他の実施態様は実施例5−9に記載される化合物と以下の化合物を含む:

【0054】
式Iの化合物の調製
式IのN−置換アザインドリル化合物は反応スキーム1及び実施例として以下に記載れた手順に従って又は当該分野で知られた方法によって調製される。出発材料及び様々な中間体は市販供給者から得られ、市販の化合物から調製され、又はよく知られた合成方法によって調製されうる。
【0055】
例えば、式I−bの6−アザ−N−置換インドール類はスキーム1で概説される合成経路を使用して調製することができる。
スキーム1

【0056】
式(1)の化合物は文献に記載されている発表された方法を使用して調製することができる。適切な官能基が存在する場合、式(2)及び(3)の化合物は、置換、酸化、還元、又は開裂反応を用いる一又は複数の標準的な合成法によって更に誘導体化されうることが理解される。
【0057】
本発明の化合物を、以下に記載されるように、MEK活性及び活性化を阻害するその能力(一次アッセイ)及び増殖細胞に対するその生物学的効果(二次アッセイ)について試験する。実施例1のMEK活性アッセイにおいて5μM未満(好ましくは1μM未満、より好ましくは0.5μM)のIC50、実施例2のMEK活性化アッセイにおいて5μM未満(好ましくは0.1μM未満、より好ましくは0.01μM未満)のIC50、実施例3の細胞増殖アッセイにおいて10μM未満(好ましくは5μM未満、より好ましくは0.5μM未満)のEC50、及び/又は実施例4のERKリン酸化アッセイにおいて10μM未満(好ましくは1μM未満、より好ましくは0.1μM未満)のEC50を有する化合物は、MEK阻害剤として有用である。
【0058】
本発明は、式Iの化合物(及び/又は溶媒和物及び/又はその塩)及び担体(薬学的に許容可能な担体)を含有する組成物を含む。本発明はまた式Iの化合物(及び/又は溶媒和物及び/又はその塩)及び担体(薬学的に許容可能な担体)を含有し、ここに記載されたもののような第二の化学療法剤を更に含有する組成物を含む。本組成物は、哺乳動物(例えばヒト)において異常細胞増殖を阻害し又は過剰増殖疾患を治療するために有用である。本組成物はまた哺乳動物(例えばヒト)において炎症性疾患を治療するために有用である。
本発明は、哺乳動物(例えばヒト)における異常細胞増殖を阻害し又は過剰増殖疾患を治療する方法であって、式Iの化合物(及び/又は溶媒和物及び/又はその塩)又はその組成物を上記哺乳動物に投与することを含む方法を含む。本発明にまた含まれるものは、哺乳動物(例えばヒト)における炎症性疾患を治療する方法であって、式Iの化合物(及び/又は溶媒和物及び/又はその塩)又はその組成物を上記哺乳動物に投与することを含む方法である。
【0059】
本発明は、哺乳動物(例えばヒト)における異常細胞増殖を阻害し又は過剰増殖疾患を治療する方法であって、式Iの化合物(及び/又は溶媒和物及び/又はその塩)又はその組成物を、ここに記載されたもののような第二の化学療法剤と組み合わせて、上記哺乳動物に投与することを含む方法を含む。本発明にまた哺乳動物(例えばヒト)における炎症性疾患を治療する方法であって、式Iの化合物(及び/又は溶媒和物及び/又はその塩)又はその組成物を、ここに記載されたもののような第二の抗炎症剤と組み合わせて、上記哺乳動物に投与することを含む方法を含む。
本発明は、哺乳動物細胞、生物、又は関連する病理症状のインビトロ、インサイツ、及びインビボ診断又は治療のための本化合物の使用方法を含む。
【0060】
本発明の化合物(以下、「活性化合物」)の投与は、作用部位への化合物の送達を可能にする任意の方法によって行うことができる。これは、経口経路、十二指腸内経路、非 経口注入(静脈内、皮下、筋肉内、血管内又はインヒュージョン)、局所、吸入及び直腸投与を含む。
【0061】
投与される活性化合物の量は、治療される患者、疾患又は症状の重篤度、投与速度、化合物の性質及び処方する医師の裁量に依存する。しかしながら、有効な用量は、単一又は分割投薬で、約0.001から約100mg/kg体重/日、好ましくは約1から約35mg/kg/日の範囲である。70kgのヒトの場合、これは、約0.05から7g/日、好ましくは約0.05から約2.5g/日になる。上記範囲の下限以下の用量レベルが十分以上である場合がある一方、更に多い用量を、如何なる有害な副作用を生じないで用いることができる場合もあるが、但し、そのような多くの用量は一日を通しての投与のために幾つかの少量の用量に先ず分けられる。
活性化合物は、単独の治療剤として、又は例えばここに記載されているもののような一又は複数の化学療法剤又は抗炎症剤との併用で投与されうる。かかる併用治療は、個々の治療成分の同時、逐次又は別個の投薬によって達成されうる。
【0062】
薬学的組成物は、例えば、錠剤、カプセル、丸薬、粉剤、徐放製剤として経口投与に、滅菌溶液、懸濁液又はエマルジョンとして非経口注入に、軟膏又はクリームとして局所投与に、又は坐薬として直腸内投与に適した形態でありうる。薬学的組成物は、正確な用量の単一投与に適した単位投薬形態でありうる。薬学的組成物は一般的な薬学的担体又は賦形剤と活性成分としての本発明に係る化合物を含む。また、それは他の医薬又は薬学的薬剤、担体、アジュバント等を含みうる。
非経口投与形態の例は、滅菌水溶液、例えば水性プロピレングリコール又はデキストロース溶液中の活性化合物の溶液又は懸濁液を含む。かかる投薬形態は、所望されるならば、適切に緩衝されうる。
【0063】
適切な薬学的担体は、不活性な希釈剤又はフィラー、水及び様々な有機溶媒を含む。薬学的組成物は、所望されるならば、香味料、バインダー、賦形剤等のような更なる成分を含みうる。よって、経口投与では、クエン酸のような様々な賦形剤を含む錠剤を、澱粉、アルギン酸及びある種の複合ケイ酸塩のような様々な崩壊剤と、またスクロース、ゼラチン及びアカシアのようなバインダー剤と共に用いることができる。更に、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクのような潤滑剤がしばしば錠剤化目的に有用である。同様のタイプの固形組成物はソフト及びハード充填ゼラチンカプセルで用いることもできる。従って、好ましい材料は、ラクトース又は乳糖及び高分子量のポリエチレングリコールを含む。水性懸濁液又はエリキシル剤が経口投与に対して望ましい場合は、その中の活性化合物を、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、又はそれらの組合せのような希釈剤と一緒に、様々な甘味料又は香味料、着色物質又は染料、及び所望される場合は乳化剤又は懸濁剤と組み合わせることができる。
特定量の活性化合物を用いて様々な薬学的組成物を調製する方法は当業者に知られ、又は明らかであろう。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Ester, Pa., 15.sup.版(1975)を参照のこと。
【実施例】
【0064】
略語
DCM ジクロロメタン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMF ジメチルホルムアミド
EDCI 1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート
HCl 塩酸
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
MeOH メタノール
NaHCO 重炭酸ナトリウム
NaOH 水酸化ナトリウム
Si−SPE プレパックドIsolute(登録商標)シリカフラッシュクロマトグラフィーカートリッジ
THF テトラヒドロフラン
【0065】
一般的実験条件
H NMRスペクトルは、三重共鳴5mmプローブを備えたVarian Unity Inova(400MHz)分光計を使用して室温で記録した。化学シフトはテトラメチルシランに対するppmで表している。次の略語を使用した:br=ブロードシグナル,s=一重線,d=二重線,dd=二重の二重線,t=三重線,q=四重線,m=多重線。
【0066】
保持時間(R)と関連する質量イオンを決定するための高速液体クロマトグラフィー−質量分析(LCMS)実験は次の方法の一つを使用して実施した。
【0067】
方法A:実験は、ダイオードアレイ検出器を備えたヒューレットパッカードHP1100LCシステムに連結されたWaters Micromass ZQ四極子質量分析計で実施される。Higgins Clipeus 5ミクロンC18 100×3.0mmカラム及び1ml/分の流量を使用する。初期溶媒系は0.1%のギ酸を含む95%の水(溶媒A)と0.1%のギ酸を含む5%のアセトニトリル(溶媒B)を最初の一分に、続いて次の14分に対して5%の溶媒A及び95%の溶媒Bまでの勾配であった。最終の溶媒系は更に5分間一定に保った。
【0068】
方法B:実験は、Phenomenex Luna C18(2)30×4.6mmカラム及び2ml/分の流量を使用し、ダイオードアレイ検出器及び100ポジション自動サンプラーを備えたヒューレットパッカードHP1100 LCシステムに連結されたWaters Platform LC四極子質量分析計で実施される。溶媒系は、最初の0.5分は95%の溶媒A及び5%の溶媒Bで、続いて次の4分に対して5%の溶媒A及び95%の溶媒Bまでの勾配であった。最終の溶媒系は更に0.50分間一定に保った。
【0069】
方法C:実験は、ダイオードアレイ検出器を備えたShimadzu LC−10AD VP LCシステムに連結したShimadzu LCMS−2010A液体クロマトグラフィー質量分析計で実施される。Kromasil 100 5ミクロン C18 50×4.6mmカラム及び2.5ml/分の流量を使用する。初期溶媒系は0.05%のトリフルオロ酢酸を含む100%の水(溶媒A)と0.05%のトリフルオロ酢酸を含む0%のアセトニトリル(溶媒B)で、続いて7分に対して10%の溶媒A及び90%の溶媒Bまでの勾配であった。最終の溶媒系は更に3分間一定に保った。
【0070】
マイクロ波実験は、共に再現性及び制御をもたらす単一モードの共鳴器及び動的場チューニングを使用するPersonal Chemistry Emrys Initiator(商標)又はOptimizer(商標)を使用して実施した。40−250℃の温度を達成でき、20barまでの圧力に達しうる。
【0071】
実施例1 MEKアッセイ(MEK活性アッセイ)
昆虫細胞中で発現された構成的に活性化されたヒト変異体MEK1を、62.5nMのキナーゼアッセイの最終濃度で酵素活性源として使用する。
アッセイは、基質として大腸菌中で生産された組換えGST−ERK1を使用して50μMのATPの存在下で30分の間実施する。基質のリン酸化を検出し、Cisbioによって供給されるHTRF試薬を使用して定量する。これらはアロフィコシアニン(XL665)に結合した抗GST抗体及びユーロピウム−クリプテートに結合した抗ホスホ(Thr202/Tyr204)ERK抗体からなる。抗ホスホ抗体はThr202及びTyr204上に二重にリン酸化したERK1を認識する。双方の抗体がERK1に結合している場合(つまり、基質がリン酸化されている場合)、クリプテートからアロフィコシアニンへのエネルギー移動が340nmでの励起後に生じ、生産されるリン酸化基質の量に比例する蛍光が発せられることになる。蛍光はマルチウェル蛍光光度計を使用して検出される。
化合物は、アッセイバッファーへの添加前にDMSOで希釈され、アッセイでの最終DMSO濃度は1%である。
IC50は、所定の化合物がコントロールの50%阻害を達成する濃度として定義される。IC50値はXLfitソフトウェアパッケージ(バージョン2.0.5)を使用して計算される。
実施例6、7、及び9の化合物は、実施例1に記載したアッセイで5μM未満のIC50を示した。
【0072】
実施例2 bRafアッセイ(MEK活性化アッセイ)
昆虫細胞中で発現された構成的に活性化されたbRaf変異体を酵素活性源として使用する。
アッセイは、基質として大腸菌中で生産された組換えGST−MEK1を使用して2000μMのATPの存在下で30分の間実施する。基質のリン酸化を検出し、HTRFを使用して定量し、試薬はCisbioによって供給される。これらはアロフィコシアニン(XL665)に結合した抗GST抗体及びユーロピウム−クリプテートに結合した抗ホスホ(Ser217/Ser221)MEK抗体からなる。抗ホスホ抗体はSer217及びSer221上に二重にリン酸化されるかSer217に単一にリン酸化されたMEKを認識する。双方の抗体がMEKに結合している場合(つまり、基質がリン酸化されている場合)、クリプテートからアロフィコシアニンへのエネルギー移動が340nmでの励起後に生じ、生産されるリン酸化基質の量に比例する蛍光が発せられることになる。蛍光はマルチウェル蛍光光度計を使用して検出される。
化合物は、アッセイバッファーへの添加前にDMSOで希釈され、アッセイでの最終DMSO濃度は1%である。
IC50は、所定の化合物がコントロールの50%阻害を達成する濃度として定義される。IC50値はXLfitソフトウェアパッケージ(バージョン2.0.5)を使用して計算される。
【0073】
実施例3 細胞増殖アッセイ
次の細胞株を使用する細胞増殖アッセイにおいて化合物を試験する:
HCT116 ヒト結腸直腸癌(ATCC)
A375 ヒト悪性メラノーマ(ATCC)
双方の細胞株を、5%CO加湿インキュベーター中において37℃で10%のFCSを補填したDMEM/F12(1:1)培地(Gibco)中に維持する。
細胞を96ウェルプレートに2000細胞/ウェルで播種し、24時間後に0.83%のDMSO中の異なった濃度の化合物にさらす。細胞を更に72時間増殖させ、等容量のCellTiter−Glo試薬(Promega)を各ウェルに添加する。これは細胞を溶解させ、マルチウェルルミノメータを使用して検出できる放出されたATPの量に比例する(従ってウェル中の細胞数に比例する)発光シグナルを生じる。
EC50は、所定の化合物がコントロールの50%阻害を達成する濃度として定義される。IC50値はXLfitソフトウェアパッケージ(バージョン2.0.5)を使用して計算される。
【0074】
実施例4 ホスホ−ERK細胞ベースアッセイ
次の細胞株を使用する細胞ベースのホスホ−ERKELISAにおいて化合物を試験する:
HCT116 ヒト結腸直腸癌(ATCC)
A375 ヒト悪性メラノーマ(ATCC)
双方の細胞株を、5%CO加湿インキュベーター中において37℃で10%のFCSを補填したDMEM/F12(1:1)培地(Gibco)中に維持する。
細胞を96ウェルプレートに2000細胞/ウェルで播種し、24時間又は2時間の間増殖させ、ホルムアルデヒド(最終2%)で固定し、メタノールで透過処理する。TBST−3%BSAでのブロッキング後、固定した細胞を4℃で一晩一次抗体(ウサギ由来の抗ホスホERK)と共にインキュベートする。細胞をヨウ化プロピジウム(DNA蛍光染料)と共にインキュベートし、細胞性P−ERKの検出を蛍光Alexa Fluor488染料(分子プローブ)に結合した抗ウサギ二次抗体を使用して実施する。蛍光をレーザースキャンマイクロプレートサイトメーターAcumen Explorer(TTP Labtech)を使用して分析し、Alexa Fluor488シグナルをPIシグナル(細胞数に比例)に対して正規化する。
EC50は、所定の化合物がベースラインと最大応答の半分のシグナルを達成する濃度として定義される。EC50値はXLfitソフトウェアパッケージ(バージョン2.0.5)を使用して計算される。
【0075】
実施例5
(4−メチル−ピリジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル

THF(12.5ml)中のジ−tert−ブチルジカルボナート(11.1g,50.9mmol)の溶液に、THF(37.5ml)中の4−アミノ−3−ピコリン(5.0g,46.2mmol)を加えた。得られた反応混合物を室温で3時間撹拌した後、真空濃縮して残留物を得た。該残留物をヘプタンで粉砕して、得られた白色固形物(7.34g,74%)を濾過によって集め、真空乾燥させた。LCMS(方法B):R=1.61分,M+H=209。
【0076】
1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル

−40℃でアルゴン雰囲気下で無水THF(30ml)中の(4−メチル−ピリジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(3.5g,16.8mmol)の溶液に、tert−ブチルリチウム(20.7ml,ペンタン中1.7M,35.2mmol)を加えた。反応混合物を−40℃に1時間維持した後、THF(30ml)中のシュウ酸ジエチル(2.5ml,18.5mmol)の溶液を15分の間にわたって加えた。0℃で2時間撹拌後に、反応を室温まで温め、ついで更に19時間撹拌した。2NのHCl(110ml)を注意しながら反応混合物に加え、これをついで還流下で2時間加熱した。冷却後、ジクロロメタン(100ml)を反応混合物に加え、水性相をpH8に調節し、有機相を分離した。水性相をジクロロメタン(2×50ml)で洗浄し、組み合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濃縮して淡褐色の固形物を得た。その物質を酢酸エチルで粉砕し、ついで得られた固形物を濾過によって集めて所望の生成物をベージュ色の固形物として得た(586mg,18%)。LCMS(方法B):R=1.89分,M+H=190。
【0077】
1−(2−フルオロ−4−ヨード−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸エチル

DMF(15ml)中の1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸メチル(0.81g,4.26mmol)の懸濁液にカリウムtert−ブトキシド(0.72g,6.39mmol)を加えた。得られた赤褐色の懸濁液を40分間撹拌した後、DMF(5ml)中の2−フルオロ−4−ヨードベンジルブロミド(2.01g,6.39mmol)の溶液を10分かけて滴下して加えた。ついで、懸濁液を35分間60℃に加熱した後、室温で18時間撹拌した。反応混合物を真空濃縮し、得られた残留物をジクロロメタン(40ml)と水(30ml)の間で分配し、有機層を分離した。水性層をジクロロメタン(2×25ml)で抽出し、組み合わせた有機抽出物をブライン(30ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、真空濃縮して残留物を得た。該残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Si−SPE,ジクロロメタン:酢酸エチル100:0から50:50から0:100、ついでジクロロメタン:メタノール90:10から80:20)によって精製して、表題化合物を薄いクリーム色の固形物(0.83g,46%)として得た。LCMS(方法B):R=2.58分,M+H=425。
【0078】
1−(2−フルオロ−4−ヨード−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸ナトリウム

1−(2−フルオロ−4−ヨード−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸メチル(0.46g,1.09mmol)のメタノール(4ml)溶液に、1Mの水酸化ナトリウム水溶液(1.4ml,1.40mmol)を加え、反応を還流下で1.5時間加熱した。反応混合物を真空濃縮し、トルエン(15ml)、メタノール(15ml)、トルエン(15ml)及びジクロロメタンと共沸させて、表題粗化合物をロウ状の白色固形物(0.50g,定量的収量)として得た。LCMS(方法B):R=2.11分,(M−H)=395;M+H=397。
【0079】
1−(2−フルオロ−4−ヨード−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸((R)−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメトキシ)−アミド

EDCI(259mg,1.08mmol)及びHOBt(204mg,1.51mmol)を、THF(7ml)中の1−(2−フルオロ−4−ヨード−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸ナトリウム(494mg,1.08mmol)の懸濁液に加えた。該懸濁液を1分間穏やかに温めた後、THF(3ml)中のO−((R)−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメチル)−ヒドロキシルアミン(222mg,1.51mmol)の溶液と、ついでDIPEA(0.19ml,1.10mmol)を添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌し、酢酸エチル(60ml)中に注ぎ、0.1MのHCl(10ml)、飽和NaHCO溶液(10ml)及びブライン(10ml)で逐次洗浄した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、真空濃縮して残留物を得た。ジクロロメタン中での残留物の粉砕により表題化合物を薄いクリーム色の固形物(0.433g,76%)として得た。LCMS(方法B):R=2.32分,(M−H)=524,M+H=526。
【0080】
1−(2−フルオロ−4−ヨード−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸((R)−2,3−ジヒドロキシ−プロポキシ)−アミド

1−(2−フルオロ−4−ヨード−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸((R)−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメトキシ)−アミド(29mg,0.06mmol)を0.067Mのメタノール性HCl溶液(2.3ml,0.15mmol)に溶解させ、室温で1.5時間撹拌した。反応混合物を真空濃縮した後トルエン(2×15ml)と共沸させた。フラッシュクロマトグラフィー(NH−SPE,ジクロロメタン、酢酸エチル,20:80 メタノール:ジクロロメタン,5:35:60 トリエチルアミン:メタノール:ジクロロメタン)による精製後にアセトニトリル中で粉砕して生成物をクリーム色の固形物(13mg,49%)として得た。LCMS(方法A):R=4.53分,(M−H)=484,M+H=486。H NMR(CDOD):3.60(2H,m),3.85(1H,m),3.91(1H,dd,J=10.2,6.8Hz),4.02(1H,dd,J=10.2,3.8Hz),5.93(2H,s),6.66(1H,t,J=8.0Hz),7.13(1H,s),7.43(1H,dd,J=8.0,1.6Hz),7.52(1H,dd,J=9.7,1.6Hz),7.80(1H,d,J=5.5Hz),8.22(1H,d,br,J=5.5Hz),8.97(1H,s)。
【0081】
実施例6
1−(2−フルオロ−4−ヨード−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸シクロプロピルメトキシ−アミド

HATU(67mg,0.18mmol)とトリエチルアミン(50mL,0.35mmol)を、DMF(500mL)中の1−(2−フルオロ−4−ヨード−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸ナトリウム(49mg,0.12mmol)及びO−シクロプロピルメチル−ヒドロキシルアミン塩酸塩(21.8mg,0.178mmol)の溶液に加えた。反応混合物を室温で18時間撹拌した後、更に11mg(0.09mmol)のO−シクロプロピルメチル−ヒドロキシルアミン塩酸塩,33mg(0.09mmol)のHATU,及び50mL(0.35mmol)のトリエチルアミンを加えた。撹拌を更に18時間継続した後、反応混合物を酢酸エチル(15mL)に注いだ。有機層を飽和NaHCOとブライン(10mL)の1:1溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、黄色油を得た。粗生成物を逆相HPLCによって精製して表題化合物を白色粉末(TFA塩,39mg,57%)として得た。LCMS(方法C):R=3.17分,M+H=466。H NMR(DMSO−D):δ=0.21(m,2H),0.51(m,2H),1.00(m,1H),3,60(d,J=7.2Hz,2H),5.96(s,2H),6.61(t,J=8.0Hz,1H),7.33(s,1H),7.47(dd,J=8.0,1.2Hz,1H),7.68(dd,J=9.6,1.6Hz,1H),8.24(d,J=6.4Hz,1H),8.43(d,J=6.4Hz,1H),9.52(s,1H)。
【0082】
実施例7
1−(2−フルオロ−4−ヨードベンジル)−N−(2−ヒドロキシエトキシ)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボキシアミド

1−(2−フルオロ−4−ヨードベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸エチル(78mg,0.183mmol)のメタノール(1.0ml)溶液に1NのNaOH(0.19ml)と水(0.66ml)を加えた。反応混合物を90℃で1時間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、残留物をトルエンと共に共沸させて白色固形物を得た。固形物をDMF(2.0ml)に溶解させ、ついで、O−(2−ビニルオキシ−エチル)−ヒドロキシルアミン(23mg,0.220mmol)及びHATU(104mg,0.275mmol)を加えた。反応混合物を室温で窒素下で18時間撹拌した。水(20ml)を加え、混合物を酢酸エチル(20ml)で2回抽出した。酢酸エチル溶液を組合せ、水(10ml)で一回、ブライン(10ml)で一回洗浄し、MgSOで乾燥させ、粗油まで濃縮した。粗油をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して88mgの油を得た。該油をエタノール(2.0ml)に溶解させ、1Nの水性HCl(0.4ml)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、粗油まで濃縮し、RPHPLCによって精製して表題化合物を白色粉末として得た(TFA塩,29mg,31%)。LCMS(方法C):R=2.17分,M+H=456。H NMR(DMSO−D):δ=3.56(t,J=4.8Hz,2H),3.86(t,J=4.8Hz,2H),5.97(s,2H),6.62(t,J=8.0Hz,1H),7.36(s,1H),7.48(dd,J=8.0Hz,1.2Hz,1H),7.68(dd,J=10Hz,1.6Hz,1H),8.24(d,J=6Hz,1H),8.44(d,J=6.4Hz,1H),9.51(s,1H),12.33(s,1H)。
【0083】
実施例8
1−(4−エチニル−2−フルオロ−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸((R)−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメトキシ)−アミド

酢酸パラジウム(II)(1.5mg,5mmol)を、ピペリジン(0.5ml)中の1−(2−フルオロ−4−ヨード−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸((R)−2,2−ジメチル−[1,3]−ジオキソラン−4−イルメトキシ)−アミド(55mg,0.11mmol),トリメチルシリルアセチレン(138ml,1.0mmol)及びトリフェニルホスフィン(3mg,10mmol)の混合物に加えた。得られた混合物を10秒間、マイクロ波照射下で150℃で加熱した。反応混合物を酢酸エチル(35ml)で希釈し、水(10ml)とついでブライン(10ml)で逐次洗浄した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空濃縮して残留物を得た。残留物をメタノール(5ml)に溶解させ、それに炭酸カリウム(29mg,0.21mmol)を加え、得られた懸濁液を室温で2時間撹拌した。反応混合物を濾過し、真空濃縮し、ついで酢酸エチル(25ml)と水(20ml)の間で分配した。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空濃縮して、残留物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(Si−SPE,ジクロロメタン:酢酸エチル,100:0から70:30から40:60から0:100)による精製によって、表題化合物を黄色固形物(30mg,68%)として得た。LCMS(方法B):R=2.21分,(M−H)=422,M+H=424。
【0084】
1−(4−エチニ−ル−2−フルオロ−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸((R)−2,3−ジヒドロキシ−プロポキシ)−アミド

1−(4−エチニル2−フルオロ−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸((R)−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメトキシ)−アミド(30mg,0.07mmol)を0.067Mのメタノール性HCl溶液(3ml,0.20mmol)に溶解させ、室温で1.5時間撹拌した。反応混合物を真空濃縮した後トルエン(2×15ml)と共に共沸させ、固形残留物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(NH−SPE,ジクロロメタン、酢酸エチル,20:80メタノール:ジクロロメタン,5:35:60トリエチルアミン:メタノール:ジクロロメタン)による固形残留物の精製と続くアセトニトリル中の粉砕により、生成物をクリーム色の固形物として得た(5mg,18%)。LCMS(方法A):R=4.03分,(M−H)=382,M+H=384。H NMR(CDOD):3.58(1H,s),3.60(2H,m),3.85(1H,m),3.91(1H,dd,J=10.2,6.8Hz),4.03(1H,dd,J=10.2,3.8Hz),5.97(2H,s),6.84(1H,t,J=7.9Hz),7.11(1H,s),7.16(1H,dd,J=7.9,1.5Hz),7.21(1H,dd,J=10.8,1.5Hz),7.76(1H,d,J=5.6Hz),8.22(1H,d,br,J=5.6Hz),8.93(1H,s)。
【0085】
実施例9
4−ブロモ−1−(2−フルオロ−4−ヨード−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸メチル及び4−ブロモ−1−(2−フルオロ−4−ヨード−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸tert−ブチル

DMF(10ml)中の4−ブロモ−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸メチル(0.59g,2.31mmol)の懸濁液にカリウムtert−ブトキシド(0.39g,3.47mmol)を加えた。赤褐色の懸濁液を30分撹拌した後、DMF(4ml)中の臭化2−フルオロ−4−ヨードベンジル(1.24g,3.93mmol)の溶液を10分かけて滴下して加えた。ついで、懸濁液を60℃に45分間加熱した後、室温で18時間撹拌した。反応混合物を真空濃縮して残留物を得た。該残留物をジクロロメタン(30ml)と水(30ml)のm間で分配し、有機層を分離した。水性層をジクロロメタン(2×25ml)で抽出し、組み合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空濃縮して残留物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(Si−SPE,ジクロロメタン:酢酸エチル100:0から60:40から40:60から0:100、ついでジクロロメタン:メタノール90:10から80:20)による得られた残留物の精製によって、表題化合物(メチルエステル/エステル交換tert−ブチルエステル)の1:2混合物をロウ状の黄色固形物(0.21g,18%)として得、これを更なる精製なしに使用した。
【0086】
4−ブロモ−1−(2−フルオロ−4−ヨード−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸ナトリウム

メタノール(4ml)中の4−ブロモ−1−(2−フルオロ−4−ヨード−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸メチル/tert−ブチル(0.21g,0.41mmol)の溶液に1Mの水酸化ナトリウム水溶液(0.54ml,0.54mmol)を加え、反応を還流下で1時間加熱した。反応混合物を真空濃縮した後、トルエン(15ml)、メタノール(15ml)、トルエン(15ml)及びジクロロメタンと共沸させ、粗表題化合物をロウ状の白色固形物(0.23g,定量的収量)として得た。LCMS(方法B):R=3.24分,(M−H)=473,475;M+H=475,477。
【0087】
4−ブロモ−1−(2−フルオロ−4−ヨード−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸((R)−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメトキシ)−アミド

EDCI(99mg,0.52mmol)及びHOBt(78mg,0.58mmol)を、THF(4ml)中の4−ブロモ−1−(2−フルオロ−4−ヨード−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸ナトリウム(0.23g,0.41mmol)の懸濁液に添加した。該懸濁液を1分間穏やかに温めた後、THF(1ml)中のO−((R)−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメチル)−ヒドロキシルアミン(85mg,0.58mmol)の溶液とついでDIPEA(73ml,0.42mmol)を加えた。反応混合物を室温で70時間撹拌し、酢酸エチル(40ml)に注いだ後、0.1MHCl(10ml)、飽和NaHCO溶液(10ml)及びブライン(10ml)で逐次洗浄した。有機層を分離し、ついで硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空濃縮して、固形残留物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(Si−SPE,ジクロロメタン:酢酸エチル100:0から70:30から40:60から0:100)による残留物の精製によって表題化合物をロウ状白色固形物(0.17g,68%)として得た。LCMS(方法B):R=3.51分,M+H=604,606。
【0088】
4−ブロモ−1−(2−フルオロ−4−ヨード−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸((R)−2,3−ジヒドロキシ−プロポキシ)−アミド

ジクロロメタン(1.5ml)中の4−ブロモ−1−(2−フルオロ−4−ヨード−ベンジル)−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン−2−カルボン酸((R)−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキソラン−4−イルメトキシ)−アミド(40mg,66mmol)の溶液をSCX−2SPEカートリッジに充填した。所望の化合物をメタノール中のアンモニア溶液を用いてカートリッジから溶離させて残留物を得た。該残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Si−SPE、酢酸エチル,ジクロロメタン:メタノール90:10から80:20)により更に精製して、表題化合物を薄い黄色ガム(5mg,13%)として得た。LCMS(方法A):R=3.51分,(M−H)=562,564,M+H=564,566。H NMR(CDOD):3.62(2H,m),3.89(1H,m),3.94(1H,dd,J=10.2,6.4Hz),4.05(1H,dd,J=10.2,3.7Hz),5.92(2H,s),6.63(1H,t,J=8.0Hz),7.04(1H,s),7.40(1H,dd,J=8.0,1.6Hz),7.49(1H,dd,J=9.7,1.6Hz),8.29(1H,s),8.79(1H,s)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:

[上式中、
はCR又はNであり;
はCR又はNであり;
はCR又はNであり;
はCR又はNであり;
ここで、Z、Z、Z、及びZの一又は二はNであり;
、R、R及びRは、H、ハロ、CN、CF、−OCF、−NO、−(CR1415C(=Y)R11、−(CR1415C(=Y)OR11、−(CR1415C(=Y)NR1112、−(CR1415NR1112、−(CR1415OR11、−(CR1415SR11、−(CR1415NR12C(=Y)R11、−(CR1415NR12C(=Y)OR11、−(CR1415NR13C(=Y)NR1112、−(CR1415NR12SO11、−(CR1415OC(=Y)R11、−(CR1415OC(=Y)OR11、−(CR1415OC(=Y)NR1112、−(CR1415OS(O)(OR11)、−(CR1415OP(=Y)(OR11)(OR12)、−(CR1415OP(OR11)(OR12)、−(CR1415S(O)R11、−(CR1415S(O)11、−(CR1415S(O)NR1112、−(CR1415S(O)(OR11)、−(CR1415S(O)(OR11)、−(CR1415SC(=Y)R11、−(CR1415SC(=Y)OR11、−(CR1415SC(=Y)NR1112、C−C12アルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、及びヘテロアリールから独立して選択され;
Wは、

であり;
、R及びRはH又はC−Cアルキルから独立して選択され;
あるいは、R及びRはそれらが結合する炭素原子と共に、O、S及びNから選択される0−1のヘテロ原子を有する3−6員飽和環を形成し、ここで、該環は、ハロ、CN、CF、−OCF、C−Cアルキル、−OH、−O(C−Cアルキル)から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
は、−OR11、−NR1112、及び−S(O)11から選択され;Xが−OR11であるとき、該−OR11及びRは場合によってはそれらが結合する窒素原子と共に、O、S及びNから選択される0−2の更なるヘテロ原子を有する4−7員飽和又は不飽和環を形成し、ここで該環は場合によってはハロ、CN、CF、−OCF、−NO、オキソ、−Si(C−Cアルキル)、−(CR1920C(=Y’)R16、−(CR1920C(=Y’)OR16、−(CR1920C(=Y’)NR1617、−(CR1920NR1617、−(CR1920OR16、−(CR1920−SR16、−(CR1920 NR16C(=Y’)R17、−(CR1920NR16C(=Y’)OR17、−(CR1920NR18C(=Y’)NR1617、−(CR1920NR17SO16、−(CR1920OC(=Y’)R16、−(CR1920OC(=Y’)OR16、−(CR1920OC(=Y’)NR1617、−(CR1920OS(O)(OR16)、−(CR1920OP(=Y’)(OR16)(OR17)、−(CR1920OP(OR16)(OR17)、−(CR1920S(O)R16、−(CR1920S(O)16、−(CR1920S(O)NR1617、−(CR1920S(O)(OR16)、−(CR1920S(O)(OR16)、−(CR1920SC(=Y’)R16、−(CR1920SC(=Y’)OR16、−(CR1920SC(=Y’)NR1617、及びR21から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
はアリール又はヘテロアリールであり;
は、H、C−Cアルキル、ハロ、CN、CF、−O(C−Cアルキル)、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−SO(C−Cアルキル)、−COH、−CO(C−Cアルキル)、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)(C−Cアルキル)、−NHSO(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)SO(C−Cアルキル)、−SONH、−SONH(C−Cアルキル)、及び−SON(C−Cアルキル)から選択され;
11、R12及びR13は、独立してH、C−C12アルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり,
あるいは、R11及びR12は、それらが結合する窒素原子と共に、O、S及びNから選択される0−2のヘテロ原子を有する3−8員の飽和、不飽和又は芳香族環を形成し、ここで、該環は、ハロ、CN、CF、−OCF、−NO、C−Cアルキル、−OH、−SH、−O(C−Cアルキル)、−S(C−Cアルキル)、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−SO(C−Cアルキル)、−COH、−CO(C−Cアルキル)、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)(C−Cアルキル)、−NHSO(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)SO(C−Cアルキル)、−SONH、−SONH(C−Cアルキル)、−SON(C−Cアルキル)、−OC(O)NH、−OC(O)NH(C−Cアルキル)、−OC(O)N(C−Cアルキル)、−OC(O)O(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−Cアルキル)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−Cアルキル)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)O(C−Cアルキル)、及び−N(C−Cアルキル)C(O)O(C−Cアルキル)から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
14及びR15は、H、C−C12アルキル、アリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル,及びヘテロアリールから独立して選択され;
各nは独立して0、1、2、3、4、5、又は6から選択され;
Yは独立してO、NR11、又はSであり;
ここで、R、R、R、R、R、R、X、X、R11、R12、R13、R14、及びR15の各上記アルキル,アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、ハロ、CN、CF、−OCF、−NO、オキソ、−Si(C−Cアルキル)、−(CR1920C(=Y’)R16、−(CR1920C(=Y’)OR16、−(CR1920C(=Y’)NR1617、−(CR1920NR1617、−(CR1920OR16、−(CR1920SR16、−(CR1920NR16C(=Y’)R17、−(CR1920NR16C(=Y’)OR17、−(CR1920NR18C(=Y’)NR1617、−(CR1920NR17SO16、−(CR1920OC(=Y’)R16、−(CR1920OC(=Y’)OR16、−(CR1920OC(=Y’)NR1617、−(CR1920OS(O)(OR16)、−(CR1920OP(=Y’)(OR16)(OR17)、−(CR1920OP(OR16)(OR17)、−(CR1920S(O)R16、−(CR1920S(O)16、−(CR1920S(O)NR1617、−(CR1920S(O)(OR16)、−(CR1920S(O)(OR16)、−(CR1920SC(=Y’)R16、−(CR1920SC(=Y’)OR16、−(CR1920SC(=Y’)NR1617、及びR21から独立して選択される一又は複数の基で独立して置換されていてもよく;
各R16、R17及びR18は独立してH、C−C12アルキル、C−Cアルケニル、C−C アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、上記アルキル,アルケニル、アルキニル,カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールは、ハロ、CN、−OCF、CF、−NO、C−Cアルキル、−OH、−SH、−O(C−Cアルキル)、−S(C−Cアルキル)、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−SO(C−Cアルキル)、−COH、−CO(C−Cアルキル)、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)(C−Cアルキル)、−NHSO(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)SO(C−Cアルキル)、−SONH、−SONH(C−Cアルキル)、−SON(C−Cアルキル)、−OC(O)NH、−OC(O)NH(C−Cアルキル)、−OC(O)N(C−Cアルキル)、−OC(O)O(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−Cアルキル)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−Cアルキル)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)O(C−Cアルキル),及び−N(C−Cアルキル)C(O)O(C−Cアルキル)から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
あるいはR16及びR17は、それらが結合する窒素原子と共に、O、S及びNから選択される0−2のヘテロ原子を有する3−8員の飽和、不飽和又は芳香族環を形成し、ここで、上記環は、ハロ、CN、−OCF、CF、−NO、C−Cアルキル、−OH、−SH、−O(C−Cアルキル)、−S(C−Cアルキル)、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−SO(C−Cアルキル)、−COH、−CO(C−Cアルキル)、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)(C−Cアルキル)、−NHSO(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)SO(C−Cアルキル)、−SONH、−SONH(C−Cアルキル)、−SON(C−Cアルキル)、−OC(O)NH、−OC(O)NH(C−Cアルキル)、−OC(O)N(C−Cアルキル)、−OC(O)O(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−Cアルキル)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−Cアルキル)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)O(C−Cアルキル)、及び−N(C−Cアルキル)C(O)O(C−Cアルキル)から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
19及びR20は、H、C−C12アルキル、−(CH−アリール、−(CH−カルボシクリル、−(CH−ヘテロシクリル、及び−(CH−ヘテロアリールから独立して選択され;
21はC−C12アルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールであり、ここで、R21の各メンバーは、ハロ、オキソ、CN、−OCF、CF、−NO、C−Cアルキル、−OH、−SH、−O(C−Cアルキル)、−S(C−Cアルキル)、−NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、−SO(C−Cアルキル)、−COH、−CO(C−Cアルキル)、−C(O)NH、−C(O)NH(C−Cアルキル)、−C(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)(C−Cアルキル)、−NHSO(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)SO(C−Cアルキル)、−SONH、−SONH(C−Cアルキル)、−SON(C−Cアルキル)、−OC(O)NH、−OC(O)NH(C−Cアルキル)、−OC(O)N(C−Cアルキル)、−OC(O)O(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−Cアルキル)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)NH(C−Cアルキル)、−NHC(O)N(C−Cアルキル)、−NHC(O)O(C−Cアルキル),及び−N(C−Cアルキル)C(O)O(C−Cアルキル)から選択される一又は複数の基で置換されていてもよく;
各Y’は独立してO、NR22、又はSであり;
22はH又はC−C12アルキルである]
及びその塩から選択される化合物。
【請求項2】
式I−a:

から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式I−b:

から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式I−c:

から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
式I−d:

から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
式I−e:

から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
式I−f:

から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
式I−g:

から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
式I−h:

から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
式I−i:

から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
式I−j:

から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項12】


から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項13】


から選択される請求項11に記載の化合物。
【請求項14】


から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
がH、メチル又は−Clから選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
がH、メチル、又は−OEtから選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
がH、メチル、又は−OEtから選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
がHから選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
が、Cl、Br、F、メチル、エチル、CHF、又はCFから選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
がHである請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
がH又はメチルである請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
がH又はメチルである請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
及びRは、それらが結合する炭素原子と共にシクロプロピル又はシクロブチル環を形成する請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
請求項1に記載の化合物と薬学的に許容可能な担体を含有する薬学的組成物。
【請求項25】
更なる化学療法剤を更に含有する請求項24に記載の薬学的組成物。
【請求項26】
更なる抗炎症剤を更に含有する請求項24に記載の薬学的組成物。
【請求項27】
哺乳動物における異常細胞増殖を阻害し又は高増殖性疾患を治療する方法において、上記哺乳動物に請求項24又は25に記載の薬学的組成物の治療的有効量を投与することを含む方法。
【請求項28】
哺乳動物における炎症性疾患を治療する方法において、上記哺乳動物に請求項24又は26に記載の薬学的組成物の治療的有効量を投与することを含む方法。
【請求項29】
上記哺乳動物に上記更なる薬剤を逐次的に又は連続的に投与することを更に含む請求項27又は28に記載の方法。

【公表番号】特表2010−529204(P2010−529204A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512323(P2010−512323)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/066570
【国際公開番号】WO2008/157179
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(509012625)ジェネンテック, インコーポレイテッド (357)
【Fターム(参考)】