説明

N−(5−クロロ−2−ピリジニル)−2−[[4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]ベンゾイル]アミノ]−5−メトキシ−ベンズアミド、第Xa因子阻害剤の薬学的な塩および多形体

【課題】 新規な第Xa因子阻害剤の薬学的な塩および多形体を提供すること
【解決手段】本発明は、式Iの化合物、及び哺乳動物第Xa因子に対して活性を有する酸を含む塩を提供する。本発明は又、以下の式Iの化合物を製造する方法も対象とする。一実施形態において、この酸は、塩酸、乳酸、マレイン酸、フェノキシ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、アジピン酸、アスコルビン酸、樟脳酸、グルコン酸、燐酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、フマル酸、グリコール酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ゲンチジン酸及びベンゼンスルホン酸からなる群より選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、米国特許法§119(e)の下、2005年11月8日に出願された米国仮出願第60/735,224号(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、第Xa因子阻害剤の新規塩、その多形体、及び第Xa因子阻害剤を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
血流遮断、即ち出血の抑制は、外科的手段によって、又は血管収縮及び凝固の生理的特性によって行われる。本発明は具体的に、血液凝固、並びに外傷、炎症、疾患、先天的欠陥、機能不全又は他の破損後に哺乳動物の血液循環の完全性を維持する上で血液凝固が役立つ方法に関する。血小板及び血液凝固は何れも血流遮断の回復及び血栓性疾患に関係しているが、凝固カスケードの特定成分は、血栓症及び血流遮断における主要な事象である血小板凝集及びフィブリン堆積に関与するプロセスの増幅及び促進に主に寄与している。
【0004】
血餅形成は、フィブリノゲンからフィブリンへの変換に関係しており、フィブリンは網状構造に重合して、外傷後の血流遮断を回復する。類似のプロセスによって、血栓性疾患における血管閉塞が生じる。フィブリノゲンからフィブリンへの変換は、血液凝固カスケードにおける一連の反応の最終生成物であるトロンビンによって触媒される。トロンビンは又、血小板の活性化において主要な役割を担う物質でもあることから、動脈及び静脈血流の両条件下における血栓症に関与している。これらの理由から、トロンビンを効果的に調節することで、血栓症を効果的に調節できる可能性があるとの仮説が立てられている。現在使用されている幾つかの種類の抗凝血剤(即ち、未分別ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパリン様化合物、五糖及びワルファリン)は、直接的又は間接的にトロンビンに作用する。トロンビンの活性の直接的又は間接的な阻害は、臨床開発における種々の抗凝血剤の中心課題にもなっている(Eriksson and Quinlan, Drugs 11:1411−1429, 2006に概説)。
【0005】
トロンビンの前駆物質であるプロトロンビンは、第Xa因子によって活性酵素に変換される。組織因子/第VIIa因子に媒介される第Xa因子生成の局所活性化は、第IXa因子/第VIIIa因子複合体によって増幅され、活性化血小板におけるプロトロンビナーゼの集合を生じる。プロトロンビナーゼ複合体の一部である第Xa因子は、血管系における持続的なトロンビン形成に寄与する唯一の酵素である。第Xa因子は、その前駆物質第X因子の活性化形態であるセリンプロテアーゼであり、カルシウムイオンに結合し、γカルボキシグルタミン酸(GLA)を含有し、ビタミンKに依存する血液凝固因子のメンバーである。フィブリノゲン及びPAR受容体(プロテアーゼ活性化受容体;Coughlin、J.Thrombosis Haemostasis 3:1800−1814, 2005)を含めた種々のタンパク質基質に作用するトロンビンとは異なり、第Xa因子は、単一の生理的基質、即ちプロトロンビンを有すると考えられている。第Xa因子は、1つの分子につき1000個を超える分子のトロンビンを生成することができることから(Mannら、J.Thrombosis.Haemostasis 1:1504−1514, 2003)、トロンビンの形成を間接的に阻害する方法となる、第Xa因子の直接的な阻害が効果的な抗凝血法となる場合がある。この主張は、トロンビンの合成におけるプロトロンビナーゼの重要な役割に基づいているほか、プロトロンビナーゼの阻害が全体的な血小板の凝集及び凝固経路に顕著な作用を及ぼすという事実にも基づいている。
【0006】
第VIIa因子、第IXa因子又は第Xa因子等の活性化プロテアーゼは、それら自体では低いタンパク質分解活性を有する。しかし、補助因子依存性膜結合複合体に集合すると、これらの触媒効率が有意に増加する。この作用は、第Xa因子で最も顕著であり、効率は10倍に増加する(Mannら、Blood 76(1):1−16,1990)。血中に存在する酵素原の濃度が高いこと(プロトロンビンが1.4μMであるのに対し、第Xa因子は150nM)と、活性化の動態から、抗凝血作用を得るには、トロンビンよりも少ない量の第Xa因子が阻害される必要がある。トロンビンよりも治療標的として第Xa因子の方が優れているという仮説の間接的な証拠は、深部静脈血栓症の予防に関する臨床試験に見出すこともできる。整形外科の4つの試験では、アンチトロンビンIII依存性第Xa因子阻害剤であるフォンダパリナックスが、エノキサパリン(トロンビン及び第Xa因子の両方を阻害する低分子量ヘパリン)よりも優れていることが示されている(Turpieら、Archives Internal Medicine 162(16):1833−1840, 2002)。従って、第Xa因子を選択的に阻害する化合物が、in vitro診断薬として、又は特定の血栓性疾患における治療的投与に有用な場合があることが示唆されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0007】
吸血生物に由来するポリペプチドとして、並びに大ポリペプチド型阻害剤でない化合物として報告されている第Xa因子阻害剤は幾つかある。他の第Xa因子阻害剤には、アミジノ置換基を有する窒素含有複素環式化合物等の小分子有機化合物が含まれ、前記化合物の2個の官能基は、その活性部位の2つにおいて第Xa因子に結合することができる。例えば、特許文献2には、末端アミジノ(−C(=CH)−NH)基を有するピラゾール化合物が記載されており;特許文献3には、直鎖又は分岐鎖アルキレン、−C(=O)−又は−S(=O)架橋基を介したナフチル基に結合する塩基性基で置換されるベンズイミダゾール化合物が記載されており;特許文献4には、カルボキサミドアルキレンアミノ架橋を介して3−アミジノフェニル基に結合する4−フェニル−N−アルキルアミジノ−ピペリジン及び4−フェノキシ−N−アルキルアミジノ−ピペリジン基を有する化合物が記載されており;特許文献5には、置換又は非置換スルホンアミド又はカルボキサミド架橋基を介してアミジノナフチル基に結合する4−フェノキシ−N−アルキルアミジノ−ピペリジン基を有する化合物が記載されている。
【0008】
報告されている他の第Xa因子阻害剤には、アミド結合を介して結合するフェニル−アミジノ、フェニル及びハロ−フェニルを含む構造を有する阻害剤が含まれる(特許文献6)。他の第Xa因子阻害剤は、ハロ−フェニルがハロ−ピリジルで置き換えられている(特許文献7及び特許文献8を参照)。特許文献7には、実施例206で同定する特定の第Xa因子阻害化合物が開示されており、本化合物は、特許文献8においても実施例206として開示され、本明細書において式Iの化合物として識別されている。式Iの化合物は、以下の構造によって表される。
【0009】
【化5】

第Xa因子の選択的阻害剤の開発における更なる研究により、本化合物の特定の塩が、遊離塩基化合物自体又は他の塩よりも優れた熱安定度及び加水分解安定度を示し、マレイン酸塩が、測定される最も高い安定度を有するという驚くべき発見が導き出された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第94/13693号パンフレット
【特許文献2】国際公開第98/28269号パンフレット
【特許文献3】国際公開第92/21437号パンフレット
【特許文献4】国際公開第99/10316号パンフレット
【特許文献5】欧州特許第798295号明細書
【特許文献6】米国特許第6,844,367号明細書
【特許文献7】米国特許第6,376,515号明細書
【特許文献8】米国特許第6,835,739号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、先行技術では解決されなかった課題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第Xa因子の選択的阻害剤の開発における更なる研究により、本化合物の特定の塩が、遊離塩基化合物自体又は他の塩よりも優れた熱安定度及び加水分解安定度を示し、マレイン酸塩が、測定される最も高い安定度を有するという驚くべき発見が導き出された。
(要旨)
一実施形態において、本発明は、以下の式Iの化合物:
【0013】
【化6】

並びに塩酸、乳酸、マレイン酸、フェノキシ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、アジピン酸、アスコルビン酸、樟脳酸、グルコン酸、燐酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、フマル酸、グリコール酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ゲンチジン酸及びベンゼンスルホン酸からなる群から選択される酸を含む塩を対象とする。
【0014】
好ましい実施形態において、酸は、塩酸、乳酸、マレイン酸、フェノキシ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、アジピン酸、アスコルビン酸、樟脳酸、グルコン酸、燐酸、酒石酸、クエン酸及びメタンスルホン酸からなる群から選択される。
【0015】
別の好ましい実施形態において、酸は、塩酸、乳酸、マレイン酸、フェノキシ酢酸、プロピオン酸及びコハク酸からなる群から選択される。一実施形態において、塩は、マレイン酸塩又はプロピオン酸塩である。式Iの化合物のマレイン酸塩は、式Iの化合物の1つ以上の窒素原子をプロトン化することにより形成できる可能性があると企図される。一実施形態において、式Iのアミジノ窒素(=NH)は、プロトン化して(=NH)塩を形成する。
【0016】
好ましい一実施形態において、式Iの化合物のマレイン酸塩は、以下の式IIにより表される:
【0017】
【化7】

別の実施形態において、本発明は、結晶多形形態を有する式IIの塩を提供する。好ましい実施形態において、結晶多形形態は、以下の近似固有ピーク位置の少なくとも4つ以上、好ましくは8つを有する粉末X線回折パターンを示す:4.9、9.7、13.8、14.1、15.2、17.6、18.5、20.8、21.6、22.7、24.1、26.3、26.8度2θ。更に別の実施形態において、粉末X線回折パターンは、以下の近似固有ピーク位置を有する:4.9、9.7、11.8、13.8、14.1、15.2、17.6、18.5、19.9、20.8、21.6、22.7、24.1、25.0、26.3、26.8度2θ。本発明は、近似固有ピークが、約±0.2度2θまでの偏差を有することを企図する。更に別の実施形態において、粉末X線回折パターンは、図1に示す粉末X線回折パターンに近似している。他の実施形態において、本発明は、図2に示す示差走査熱量測定パターンに近似した示差走査熱量測定パターンを有する結晶多形形態を有する式IIの塩を提供する。式IIの塩のこの結晶多形は、臨床試験に好適な本化合物の再現可能形態を与える。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、望ましくない血栓症を特徴とする哺乳動物における状態を予防又は治療するための薬学的組成物であって、薬学的に許容される担体、並びに式Iの化合物、式Iの化合物のマレイン酸塩、式IIの塩、又は結晶多形形態を有する式IIの塩を含む治療有効量の塩を含む、薬学的組成物を提供する。別の実施形態において、薬学的組成物は錠剤形態である。更に別の実施形態において、薬学的組成物はカプセル剤形態である。尚別の実施形態において、薬学的組成物はロゼンジ剤形態である。他の実施形態において、薬学的組成物は、輸液、注射又は経皮送達に好適な形態である。
【0019】
幾つかの実施形態において、本発明は、望ましくない血栓症を特徴とする哺乳動物における状態を予防又は治療する方法であって、式Iの化合物、式Iの化合物のマレイン酸塩、式IIの塩、又は結晶多形形態を有する式IIの塩を含む治療有効量の塩を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。別の実施形態において、状態は、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、不安定狭心症、不応性狭心症、血栓溶解療法後又は冠動脈形成術後に発生する閉塞性冠動脈血栓、血栓媒介性脳血管症候群、塞栓性脳卒中、血栓性脳卒中、一過性虚血発作、静脈血栓症、深部静脈血栓症、肺塞栓、凝固障害、播種性血管内凝固、血栓性血小板減少性紫斑病、閉塞性血栓性血管炎、ヘパリン誘発血小板減少に関連した血栓性疾患、体外循環に関連した血栓性合併症、器械使用に関連した血栓症合併症、及び補てつ具の取付けに関連した血栓性合併症からなる群から選択される。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、血液試料の凝固を阻害する方法であって、前記試料を、式Iの化合物、式Iの化合物のマレイン酸塩、式IIの塩、又は結晶多形形態を有する式IIの塩を含む塩と接触させる手順を含む、方法を提供する。
【0021】
更なる実施形態において、本発明は、式Iの化合物を調製する方法であって、LiN(CHを、以下の式IIIの化合物:
【0022】
【化8】

又はその塩と、式Iの化合物を生成する条件下において、接触させることを含む、方法を提供する。
【0023】
幾つかの実施形態において、条件は、求核付加条件であり、非極性非プロトン溶媒の使用を含む。その他幾つかの実施形態において、溶媒は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、ジオキサン、ヘキサン、メチルt−ブチルエーテル、ヘプタン及びシクロヘキサンからなる群から選択される。幾つかの実施形態において、式IIIの化合物の塩は、HCl塩である。
【0024】
幾つかの実施形態において、本発明は、式Iの化合物を調製する方法であって、前記方法が10℃未満の温度にて行われる、方法を提供する。
【0025】
更なる実施形態において、本発明は、式Iの化合物を調製する方法であって、式Iを有する化合物が少なくとも50%の収率で得られる、方法を提供する。別の実施形態において、式Iを有する化合物は、少なくとも65%の収率で得られる。更に別の実施形態において、式Iを有する化合物は、少なくとも75%の収率で得られる。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物をグラム規模又はキログラム規模で製造する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1A】図1Aは、式IIの形態(マレイン酸塩)のX線粉末回折(XRPD)を示す。図1Aは測定した回折パターンを示す。
【図1B】図1Bは、式IIの形態(マレイン酸塩)のX線粉末回折(XRPD)を示す。図1Bは計算上の回折パターンを示す。
【図2A】図2Aはそれぞれ、式IIのマレイン酸塩の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)データを示す。
【図2B】図2Bはそれぞれ、式IIのマレイン酸塩の示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)データを示す。
【図3】図3は、式IIのマレイン酸塩の重量測定水収着(GVS)データを示す。
【図4】図4は、使用した番号付与方式を示す結晶構造データから得た、式IIのマレイン酸塩の分子の2つの図である。非水素原子の異方性原子置換楕円体は、50%確率水準で示されている。水素原子は任意の小半径で示される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(発明の詳細な説明)
米国特許第6,376,515 B2号で考察する通り、式Iの化合物は、強力な第Xa因子阻害剤である。しかし、式Iの化合物は、最適な溶解度も結晶度も示さなかった。式Iの化合物の酢酸塩の調製物は、優れた結晶度を有することが見出されたが、優れた熱安定度及び加水分解安定度を有していなかった。驚き且つ予期外なことに、特定の塩が優れた結晶度並びに熱安定度及び加水分解安定度を有することが見出されており、これらの塩には、一例として、HCl塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フェノキシ酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、アジピン酸塩、アスコルビン酸塩、樟脳酸塩、グルコン酸塩、燐酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メシレート、フマル酸塩、グリコール酸塩、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩、ゲンチジン酸塩及びベンゼンスルホン酸塩が含まれる。
【0029】
具体的に、式IIのマレイン酸塩は、優れた結晶度、熱安定度及び加水分解安定度、並びに純度を示す。本発明の式IIのマレイン酸塩は、哺乳動物における望ましくない血栓症の治療に有用である。
【0030】
I.定義
本明細書で使用される「多形」という用語は、別の結晶形とは異なるが、同じ式を有する物質の結晶形を指す。
【0031】
「治療」又は「治療する」という用語は、被験体、例えば哺乳動物における疾患又は障害の何らかの治療を意味し、以下の処置を包含する:
・ 疾患又は障害を予防又は保護する、即ち、臨床症候が発現しないようにする;
・ 疾患又は障害を阻害する、即ち、臨床徴候の発現を阻止又は抑制する;及び/又は
・ 疾患又は障害を緩和する、即ち、臨床症候を退行させる。
【0032】
本明細書で使用される「予防する」という用語は、治療を必要とする罹患体の予防的治療を意味する。予防的治療は、疾患に罹患する危険性を有する被験体に適切な用量の治療薬を提供し、それによって疾患の発症を実質的に防ぐことによって達成することができる。
【0033】
ヒトの医療においては、「予防」と「抑制」という用語を必ずしも区別できるわけではないことを、当業者は理解するであろう。何故なら、1つ以上の最終誘導事象が認識されず潜在する場合もあれば、或いはその事象の出現からかなり後になるまで被験体において確認されないためである。従って、本明細書で使用される「予防」という用語は、本明細書で定義される「予防」及び「抑制」の両方を包含する「治療」の一要素として意図される。本明細書で使用される「保護」という用語は、「予防」を包含するものとして意図される。
【0034】
「治療有効量」という用語は、薬学的組成物として一般的に送達される本発明の塩の量であって、治療を必要とする被験体に投与した場合に、本明細書で定義される治療を達成するのに十分な量を指す。治療有効量は、治療中の被験体及び状態、被験体の体重及び年齢、状態の重症度、選択した特定の化合物、準拠する投薬計画、投与時期、投与法等により変動し、これらは全て当業者により容易に決定することができる。
【0035】
本明細書で使用される「状態」という用語は、本発明の化合物、塩、組成物及び方法が使用されている疾患状態を指す。
【0036】
本明細書で使用される「血液試料」という用語は、被験体から採取した全血、又は血漿若しくは血清を含めた血液の任意の部分を指す。
【0037】
II.多形化合物
本発明の一実施形態は、式Iの化合物を含む塩である。当業者は、式Iの遊離塩基の他の塩も本発明に有用であることを理解するであろう。これらの他の塩は、必要な熱安定度及び加水分解安定度を提供する無機及び有機酸を使用して調製すりことができ、このような酸には、塩酸、乳酸、マレイン酸、フェノキシ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、アジピン酸、アスコルビン酸、樟脳酸、グルコン酸、燐酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、フマル酸、グリコール酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ゲンチジン酸及びベンゼンスルホン酸が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態において、式IIのマレイン酸塩は、以下の式として表される:
【0038】
【化9】

本発明の塩、例えば式IIの塩は、幾つかの異なる結晶形をとることができる。多くの結晶形の1つをとる単一の化合物の能力は、多形と呼ばれる。所定化合物の結晶多形は、互いに同様に結合する同じ原子を含有するという点でその化合物のその他何れかの結晶多形と化学的に同じであるが、その結晶形は異なる。同じ化合物の異なる結晶形は、1つ以上の物理的特性、例えば、安定度、溶解度、融点、かさ密度、流動性、生物学的利用能等に影響を及ぼす可能性がある。
【0039】
多形は、結晶構造(X線回折パターン)、熱的特性(DSC及びTGAにより測定)、安定度、溶解度等によって特性付けられる。X線回折パターンは、固有ピーク±0.2度2θとして表される。式IIの塩の1つの多形は、図1A及び1Bに示すX線回折パターン、図2A及び2Bに示すDSC/TGAデータ、及び図3に示す水収着データ、又はこれらの特徴の2つの組み合わせ、又はこれらの特徴の全てによって特徴付けられる。
【0040】
III.薬学的組成物
本発明の薬学的組成物は、望ましくない血栓症を特徴とする状態の予防、又は前記病体に罹患した被験体の治療に使用することができる。本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容される担体、並びに式Iの化合物、式Iの化合物のマレイン酸塩、式IIの塩、又は結晶多形形態を有する式IIの塩を含む治療許容量の塩から構成される。
【0041】
A.薬学的に許容される担体
本発明の塩の診断用途は、液剤又は懸濁剤等の配合物を一般的に使用する。
【0042】
血栓性障害の管理において、本発明の塩は、経口投与用の錠剤、カプセル剤、ロゼンジ剤若しくはエリキシル剤、坐剤、滅菌液剤若しくは懸濁剤、又は注射投与剤等の組成物で使用される場合もあれば、或いは造形物品に組み込まれる場合もある。治療を必要とする被験体(一般的に哺乳動物被験体)には、最適な有効性を与える本発明の化合物の適切な用量を投与することができる。投与量及び投与法は、被験体毎に異なり、治療中の哺乳動物の種類、その性別、体重、食餌、並行薬物治療、全体的な臨床状態、使用する特定の塩、これらの塩が使用される特定用途等の因子、及び医療業界の当業者が認識する他の因子に依存する。
【0043】
本発明に有用なカプセル剤は、従来の既知のカプセル封入法、例えばStroud等の米国特許第5,735,105号に記載の技法を使用して調製することができる。カプセル剤は一般的に、適切な用量の活性剤を含有する薬学的溶液組成物がカプセル内に収まるのに適した直径及び長さを有するほぼ円筒形の中空シェルである。カプセル剤の外側は、可塑剤、水、ゼラチン、化工デンプン、ガム、カラゲナン及びこれらの混合物を含有してよい。当業者は、どの組成物が好適であるかを理解するであろう。
【0044】
本発明に有用な錠剤は、活性剤に加えて、充填剤、結合剤、圧縮剤、潤滑剤、崩壊剤、着色剤、水、タルク、及び当業者が認識する他の成分を含んでもよい。錠剤は、コアが単層で均質であってもよければ、或いは好ましい放出特性を実現するように多層を有してもよい。場合により本発明の錠剤は、腸溶コーティング等によって被覆される場合がある。当業者は、他の賦形剤が本発明の錠剤に有用であることを理解するであろう。
【0045】
本発明に有用なロゼンジ剤は、適量の活性剤、並びに何れかの充填剤、結合剤、崩壊剤、溶剤、可溶化剤、甘味剤、着色剤、及び当業者が必要と認識するその他何れかの成分を含有する。本発明のロゼンジ剤は、被験体の口に接触すると、溶解して活性成分を放出するように設計されている。当業者は、他の送達方法が本発明に有用であることを認識するであろう。
【0046】
本発明の塩の配合物は、所望の純度を有する塩を、生理学的に許容される担体、賦形剤、安定剤等と混合することによって、保存又は投与用に調製され、持続放出性又は徐放性配合物として提供される場合がある。治療用途に許容される担体又は希釈剤は、医薬分野において周知であり、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., (A.R.Gennaro Ed.1985)に記載されている。このような物質は、使用する投与量及び濃度において受容者に非毒性であり、これには以下の物質が含まれる:緩衝剤(燐酸塩、クエン酸塩、酢酸塩及び他の有機酸塩等)、酸化防止剤(アスコルビン酸等)、低分子量(約10残基未満)ペプチド(ポリアルギニン)、タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン)、親水性ポリマー(ポリビニルピロリジノン等)、アミノ酸(グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸又はアルギニン等)、単糖類、二糖類、及び他の炭水化物(セルロース又はその誘導体、グルコース、マンノース又はデキストリン等)、キレート化剤(EDTA等)、糖アルコール(マンニトール又はソルビトール等)、対イオン(ナトリウム等)、及び/又は非イオン界面活性剤(Tween、Pluronics又はポリエチレングリコール等)。
【0047】
治療投与に使用する本発明の塩の投与配合物は、滅菌されていなければならない。滅菌は、0.2ミクロン膜等の滅菌膜で濾過するか、又は他の常套法によって容易に行うことができる。配合物は一般的に、凍結乾燥形態で、又は水溶液として保存される。本発明の調製物のpHは、一般的に3〜11であり、より好ましくは5〜9であり、最も好ましくは7〜8である。特定の前記賦形剤、担体又は安定剤を使用することで環状ポリペプチド塩が形成されることを理解されたい。好ましい投与経路は注射であるが、以下のような他の投与方法も考えられる:坐剤、植込みペレット剤又は小型シリンダー錠、エアロゾル剤、経口投与配合物(錠剤、カプセル剤及びロゼンジ剤等)並びに局所配合物(軟膏剤、滴剤及び貼付剤等)のような種々の投与形態を使用した静脈内投与(ボーラス及び/又は輸液)、皮下投与、筋肉内投与、結腸内投与、直腸内投与、経鼻投与又は腹膜内投与。本発明の塩は、生分解性ポリマー又は合成シリコン等の不活性材料、例えば、シラスチック、シリコンゴム又は他の市販されるポリマーを使用する場合があるインプラントのような造形物品に組み込むのが望ましい。
【0048】
本発明の塩は、小単層ベシクル、大単層ベシクル及び多層ベシクル等のリポソーム送達系の形態で投与される場合もある。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリン等の種々の脂質から形成してもよい。
【0049】
本発明の塩は、塩分子が結合する抗体、抗体フラグメント、成長因子、ホルモン又は他の標的成分を使用しても送達される場合がある。本発明の塩は、標的にできる薬剤担体等の好適なポリマーにも結合される場合がある。このようなポリマーには、ポリビニルピロリジノン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシ−プロピル−メタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチル−アスパルタミド−フェノール、又はパルミトイル残基で置換されるポリエチレンオキシド−ポリリジンが含まれてもよい。更に、本発明の塩は、薬剤の制御放出を達成するのに有用なある種の生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸とのコポリマー、ポリエプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、及びヒドロゲルの架橋又は両親媒性ブロックコポリマーに結合する場合もある。ポリマー及び半透性ポリマーマトリクスは、弁、ステント、管、プロテーゼ等の造形物品に形成される場合がある。
【0050】
B.投薬
一般的に、約0.5〜500mgの本発明の塩又は塩混合物は、容認される製薬慣行によって必要とされる生理学的に許容されるビヒクル、担体、賦形剤、結合剤、防腐剤、安定剤、着色剤、香味剤等と配合される。これらの組成物における活性成分の量は、指示された範囲の好適投与量が得られる量である。
【0051】
一般的な投与量は、約0.001mg/kg〜約1,000mg/kg、好ましくは約0.01mg/kg〜約100mg/kg、より好ましくは約0.10mg/kg〜約20mg/kgであることが企図される。本発明の化合物は、1日1回又は数回投与される場合があり、他の投薬計画も有用な場合がある。
【0052】
IV.方法
A.望ましくない血栓症を特徴とする疾患状態の予防及び治療
本発明の塩は、哺乳動物における望ましくない血栓症を特徴とする状態を予防又は治療するのに使用でき、これは、式Iの化合物の塩、式Iの化合物のマレイン酸塩、式IIの塩、又は結晶多形形態を有する式IIの塩を治療有効量哺乳動物に投与することによって行われる。前記塩は、単独で使用するか、又は薬学的に許容される賦形剤と共に使用して、望ましくない血栓症を特徴とする状態の発現を予防することができる。予防的治療は、医療及びそれに関連した精神的且つ身体的な犠牲を減らし、並びに罹患体の長期の治療を回避することによって直接的に経費が節減されることから、疾患に罹患する危険性がある被験体に実質的な利益をもたらすことができる。発現を予防できるほど早期に状態が検出されない被験体の場合には、本発明の塩を単独で使用するか、又は薬学的に許容される賦形剤と共に使用して、状態を治療することができる。
【0053】
本発明の好ましい塩は、好適な安定度を示しつつ、凝固パラメータ、血小板及び血小板機能の古典的な尺度に対して許容される作用、並びに前記塩の使用に関連した出血性合併症の許容されるレベルにおいて、血栓症を阻止する能力により特徴付けられる。望ましくない血栓症を特徴とする状態には、動脈及び静脈血管系に関係する状態が含まれる。
【0054】
冠動脈血管系における異常な血栓症は、急性心筋梗塞及び不安定狭心症の主要原因である定着したアテローム斑の破裂の特徴であり、更に、血栓溶解療法又は経皮経管冠動脈形成術(PTCA)によって生じる閉塞性冠動脈血栓症の特徴でもある。
【0055】
静脈血管系における異常な血栓症は、下肢又は腹部領域の大手術を受ける被験体において観察される状態の特徴であり、前記被験体は、多くの場合、静脈血管系の血栓症に罹患しており、それによって罹患下肢への血流減少及び肺動脈塞栓の素因を生じている。異常な血栓症は更に、敗血症性ショック、特定のウイルス感染及び癌の際に両血管系で一般的に生じる播種性血管内凝固障害、即ち、凝固因子の急速な消費及び全身性凝固が存在し、それによって微小血管全体にわたり生命にかかわる血栓が生じ、その結果、広汎性器官不全を生じる状態の特徴でもある。
【0056】
本明細書に開示する通りに選択及び使用される本発明の塩は、以下のような望ましくない血栓症を特徴とする状態の予防又は治療に有用であると考えられる:(a) 心筋梗塞、不安定狭心症、不応性狭心症、血栓溶解療法後又は冠動脈形成術後に発生する閉塞性冠動脈血栓を含めた任意の血栓媒介急性冠動脈症候群の治療;(b) 塞栓性脳卒中、血栓性脳卒中及び一過性虚血発作を含めた任意の血栓媒介性脳血管症候群の治療;(c) 自然に発症する、又は悪性疾患、手術若しくは外傷の状況下で発生する深部静脈血栓症及び肺塞栓を含めた、静脈系に発生する任意の血栓性症候群の治療;(d) 播種性血管内凝固(敗血症性ショック又は他の感染、手術、妊娠、外傷及び悪性腫瘍の状況を含み、多器官不全に関連するかを問わない)、血栓性血小板減少性紫斑病、閉塞性血栓性血管炎、又はヘパリン誘発血小板減少に関連した血栓性疾患を含めた、任意の凝固障害の治療;(e) 体外循環(例えば、腎臓透析、心肺バイパス又は他の酸素添加手順、プラズマフェレーシス)に関連した血栓性合併症の治療;(f) 器械使用(心臓又は他の血管内カテーテル処置、大動脈内バルーンポンプ、冠動脈ステント又は心臓弁)に関連した血栓性合併症の治療;及び(g) 補てつ具の取付けに関連した血栓性合併症の治療。
【0057】
従って、望ましくない血栓症を特徴とする哺乳動物における状態の治療法は、哺乳動物に、治療有効量の本発明の塩を投与することを含む。本発明の塩を使用して治療できると考えられる疾患状態には、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、不安定狭心症、不応性狭心症、血栓溶解療法後又は冠動脈形成術後に発生する閉塞性冠動脈血栓、血栓媒介性脳血管症候群、塞栓性脳卒中、血栓性脳卒中、一過性虚血発作、静脈血栓症、深部静脈血栓症、肺塞栓、凝固障害、播種性血管内凝固、血栓性血小板減少性紫斑病、閉塞性血栓性血管炎、ヘパリン誘発血小板減少に関連した血栓性疾患、体外循環に関連した血栓性合併症、器械使用に関連した血栓症合併症、補てつ具の取付けに関連した血栓性合併症、血栓溶解療法又は経皮経管冠動脈形成術によって生じる閉塞性冠動脈血栓症、静脈血管系における血栓症、播種性血管内凝固障害;凝固因子の急速な消費及び全身性凝固が存在し、それによって微小血管全体にわたり生命にかかわる血栓症を生じ、その結果、広汎性器官不全を生じる状態;出血性脳卒中、腎臓透析、血液酸素添加、及び心臓カテーテル法が含まれるが、これらに限定されない。
【0058】
式Iの化合物のマレイン酸塩、又は式IIの塩は、保存全血の凝固の防止や、試験又は保存のための他の生物試料における凝固の防止等に血液凝固の阻害が必要とされる場合にも使用することができる。従って、本発明の凝固阻害剤は、保存全血、及び血漿凝固因子を含有するか又は含有すると考えられ、血液凝固の阻害が所望される任意の媒体に添加するか又は接触させることができる(例えば、哺乳動物の血液を、人工血管、ステント、整形外科プロテーゼ、及び体外循環システムからなる群から選択される材料と接触させる場合)。
【0059】
ヒト治療に有用であることに加えて、これらの塩は、愛玩動物、外来動物及び家畜(哺乳動物、げっ歯類等を含む)の獣医学治療にも有用であることが企図される。より好ましい動物には、ウマ、イヌ及びネコが含まれる。
【0060】
B.投与
治療用液体配合物は一般的に、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針による突き刺し可能なストッパーを有する静脈注射液バッグ又はバイアルに入れられる。
【0061】
治療有効投与量は、in vitro又はin vivo法の何れかによって決定される場合がある。本発明の各特定塩において、それぞれの測定を行って、必要とされる最適な投与量を決定する場合がある。治療有効投与量の範囲は、投与経路、治療目的、及び被験体の状態によって左右される。皮下注射針による注射の場合、投与量は体液中に送達されると考えられる。他の投与経路の場合、薬理学に周知の方法によって、吸収効率を各化合物について個々に決定しなければならない。従って、治療者は、最適な治療効果を得るために、必要に応じて投与量を調整し、投与経路を変更することが必要な場合もある。有効投与量レベル、即ち、所望の結果を達成するために必要な投与量レベルは、当業者によって容易に決定される。一般的に、塩の適用は、より低い投与量レベルで開始し、所望の効果が得られるまで投与量レベルを増加させる。
【0062】
錠剤、カプセル剤、ロゼンジ剤等に組み込まれる場合がある一般的な補助剤は、結合剤(アカシア、コーンスターチ又はゼラチン等)、及び賦形剤(微結晶性セルロース、崩壊剤、例えばコーンスターチ又はアルギン酸等)、潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム等)、甘味剤(スクロース又はラクトース等)、又は香味剤がある。投与形態がカプセル剤である場合は、前記の物質に加えて、水、生理食塩水又は脂肪油等の液体担体も含有する場合がある。種々の種類の他の物質が、投与単位の物理的形態の被覆剤又は改質剤として使用される場合もある。注射用の滅菌組成物は、従来の製薬慣行に従って配合することができる。例えば、油等のビヒクル又はオレイン酸エチル等の合成脂肪ビヒクル、又はリポソームへの活性化合物の溶解又は懸濁が所望される場合もある。緩衝剤、防腐剤、酸化防止剤等を、容認される医薬慣行に従って組み込んでもよい。
【0063】
C.併用療法
本発明の塩は、他の治療薬又は診断薬と組み合わせて使用される場合もある。特定の好ましい実施形態において、一般的に承認されている医療慣行に従ってこれらの状態に一般的に処方される他の化合物(例えば、抗凝固剤、血栓溶解剤、又は他の抗血栓剤であって、血小板凝集阻害剤、組織プロスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ヘパリン、アスピリン及びワルファリンを包含する)と共に、本発明の塩を同時投与する場合がある。本発明の塩は、相乗的に作用して、成功した血栓溶解療法後の再閉塞を防止し、及び/又は再灌流の時間を短縮する場合がある。これらの塩は、減少した用量の血栓溶解剤を使用することを可能にし、従って、潜在的な出血性副作用を最小限にする場合がある。本発明の塩は、in vivoで、通例は、霊長類、ヒト、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ラット及びマウス等の哺乳動物において、又はin vitroで使用することができる。
【0064】
D.化合物の製造
1.式Iの化合物のマレイン酸塩
式Iの化合物は、種々の無機及び有機酸の塩に変換でき、これには、HCl塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フェノキシ酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、アジピン酸塩、アスコルビン酸塩、樟脳酸塩、グルコン酸塩、燐酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メシレート、フマル酸塩、グリコール酸塩、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩、ゲンチジン酸塩及びベンゼンスルホン酸塩が含まれるが、これらに限定されない。当業者は、他の酸を使用して、本発明に有用な式Iの化合物を含む塩を製造できることを理解するであろう。本発明の塩を本発明の他の塩に容易に変換できることも企図される。
【0065】
塩の熱安定度及び加水分解安定度を評価するために、当業者に既知の試験が行われる。これらの試験は、以下の実施例4に詳細に説明される。
【0066】
幾つかの方法が、前記の塩の製造に有用であり、当業者に既知である。例えば、式Iの化合物と1以上のモル当量の所望の酸とを、塩がそれに不溶性の溶媒又は溶媒混合物中か、又は水のような溶媒中で反応させた後、溶媒を蒸発、蒸留又は凍結乾燥によって除去する。或いは、式Iの化合物を、イオン交換樹脂に通して、所望の塩を形成する場合もあれば、或いは生成物の1つの塩形態を、同じ一般的方法によって別の塩に変換する場合がある。
【0067】
式Iの化合物を、以下に示す手順によって調製した。式Iの化合物のマレイン酸塩を、その優れた結晶度、熱安定度及び加水分解安定度及び高純度により選択した。
【0068】
2.配合物I
式Iの化合物は、数種の方法の何れかによって、グラム規模(1kg未満)又はキログラム規模(1kg超)で製造できる。1つのグラム規模方法は、実施例2に記載されている。別のグラム規模方法については、参考として本明細書で援用される、米国特許第6,844,367 B1号の実施例266に記載されている。
【0069】
或いは、式Iの化合物を、実施例2に記載の手順によって、キログラム規模で製造することもできる。式Iのジメチルアミジンの形成は、脱プロトン化アミンによるシアノ基上での求核攻撃を含み、脱プロトン化アミンは第二級アミン及びアルキルリチウムから形成される。本明細書で使用される「アルキル」という用語は、1〜8個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を指す。当業者は、脱プロトン化アミンを他の方法によって形成することができ、式Iのアミジン官能性の形成を他の種々の方法によって行うことができることを認識するであろう。
【0070】
前記の本発明の方法に有用な溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、ジオキサン、ヘキサン、メチルt−ブチルエーテル、ヘプタン及びシクロヘキサン等の非極性非プロトン溶媒である。更に、脱プロトン化アミンの形成は、10℃未満の温度にて行うことができる。式Iの化合物を形成するためのアミンの求核付加も、10℃未満の温度にて行うことができる。本発明の方法は、他の種々の溶媒、試薬及び反応温度を使用して実施できることを、当業者は認識するであろう。
【0071】
式Iの化合物は、本発明の方法を使用して50%より高い収率で調製することができる。場合によっては、式Iの化合物を65%より高い収率で調製することもできる。或いは、式Iの化合物を75%より高い収率で調製することもできる。
【0072】
更に、式Iの化合物をグラム規模で製造する本発明の方法は、キログラム規模で使用される手順に類似しているが、3400%を超える反応の規模の増加がある。更に、幾つかの手順において、減少した過剰試薬量を使用して、増加した収率が得られる。当業者は、式Iの化合物を、グラム及びキログラム規模の両方において、他の化学方法によって製造できることを認識するであろう。
【実施例】
【0073】
特に記載がない限り、本明細書全体にわたって使用される略語は、以下の意味を有する:
Å = オングストローム
A% = 全面積パーセント
aq.= 水性
cm = センチメートル
d = 二重項
DSC = 示差走査熱量測定
EDTA = エチレンジアミンテトラ酢酸
eq.= 当量
EtOH = エタノール
g = グラム
HPLC = 高性能液体クロマトグラフィー
hr = 時間
Hz = ヘルツ
IR = 赤外線
J = 結合定数
kg = キログラム
kV = キロボルト
L = リットル
LOD = 検出限界
M = モル
m = 多重項
mA = ミリアンペア
Me = メチル
MeO = メトキシ
MeOH = メタノール
mg = ミリグラム
min.= 分
mL = ミリリットル
mm = ミリメートル
MTBE = メチルt−ブチルエーテル
N = 規定の
nM = ナノモル
NMR = 核磁気共鳴
s = 一重項
TDS = 全溶解固形分
TGA = 熱重量分析
THF = テトラヒドロフラン
μM = マイクロモル
(実施例1 式IIの結晶多形塩の調製)
グラム規模の調製
冷却器を取り付けた1500mLの三つ口丸底フラスコに、式Iの遊離塩基化合物(25g、1当量)を充填し、9:1のEtOH/水(500mL)を攪拌しながら添加した。得られたスラリーを70℃に加熱した。マレイン酸(12.77g、2当量)を溶液(100mL、9:1のEtOH/水)として滴下し、50mLを添加した後に、溶液が顕著により清澄になった。マレイン酸溶液の添加が終了したら、温度を80℃に5分間維持した。容器を45℃に緩徐に冷却した後、MTBE 400mLを添加した。溶液を12時間攪拌した。得られた沈殿物を濾過し、真空乾燥させた。式IIの塩を収率45%(14.2g)で回収した。
【0074】
キログラム規模の調製
式Iの化合物(24.6kg)を760L GLMS反応器(反応器A)に充填した。マレイン酸(12.7kg、2.0当量)、エタノール(445kg、18.1部)及び高純度の水(140kg、5.7部)を添加した。反応混合物を22℃(19〜25℃)に調節し、その温度にて約1時間攪拌した後、ポリッシングフィルターを介して、状態調節した780L ハステロイ反応器(反応器B)に移した。追加のエタノール(約45kg)を使用して、反応器Aのポンプ及びラインを、ポリッシングフィルターを介して反応器Bに向かって濯いだ。濾液を、45℃の温グリコール浴(反応器ジャケットの加熱用)の最大温度にて、約140L(5.7容量部)が残るまで真空濃縮した。反応器Bの含有物を、工程間のNMRのために採取し、この工程間のNMRは、エタノールと式IIのモル比が26であることを示した。高純度の水(49kg、2.0部)を反応器Bに充填し、約140L(5.7容量部)のポット容量が得られるまで真空濃縮を再び行った。工程間のNMRは、エタノールと式IIの塩のモル比が14であることを示した。高純度の水(49kg、2.0部)を再び充填し、約140Lのポット容量が得られるまで真空濃縮を再び行った。工程間のNMRは、エタノールと式IIの塩のモル比が5であることを示した。反応器Bの含有物の温後を22℃(19〜25℃)に調節し、スラリーの形成を目視確認した。反応混合物を22℃(19〜25℃)で約2時間攪拌した後、F−53濾布を取り付けた30インチの遠心機で濾過した。高純度の水を2回使用して(それぞれ約30kg)、反応器Bのポンプ及びラインを、ポリッシングフィルターを介して30インチの遠心機に向かって濯いだ。濾過ケーキを工程間のHPLCのために採取し、この工程間のHPLCは、生成物の純度が99.1A%であることを示し、最大不純度は0.26A%であり、従って再結晶は必要なかった。濾過ケーキ(33.1kg)を、40℃の温グリコール浴(反応器ジャケットの加熱用)の最大温度にて、真空乾燥させた。約30.5時間後、工程間のLOD分析は、溶媒含有量0%を示した。乾燥生成物(26.4kg)を排出し、2〜8℃にて保存した。最終生成物の収率は、予想より少し高い85%であった(予想50〜80%)。
【0075】
実施例4に記載の技法を使用して、式IIの塩を特性決定した。式IIの塩のX線回折パターンが図1Aに示され、以下の近似ピーク位置によって特徴付けられる:4.9、9.7、11.8、13.8、14.1、15.2、17.6、18.5、19.9、20.8、21.6、22.7、24.1、25.0、26.3、26.8度2θ。示差走査熱量測定法(DSC、図2Aの図形を参照)を使用して、197〜201℃の融点を測定した。更に、熱重量分析(TGA、図2Bの図形を参照)によって、式IIの塩の100℃における損失重量0.62%を測定した。式IIの塩の水収着は可逆性であり、0.1〜3%の水吸収量を示した(図3)。式IIの塩の純度を、HPLCによって測定される加水分解アミジン分の存在によって測定し、純度は99%超であった。
【0076】
H NMR (DMSO−d): δ 3.0 (s, 3H), 3.2 (s, 3H), 3.82 (s, 3H), 7.2 (d, 1H, J = 9.0
Hz), 7.42 (s, 1H), 7.68 (d, 1H, J = 8.0
Hz), 7.95 − 8.15 (m, 2H), 8.12 (m), 8.18(m, 1H), 8.42 (s, 1H), 9.0 (s, 1H), 11.0 (s, 1H), 11.2 (s, 1H); IR (KBr, cm−1):
3300, 1685, 1600, 1515, 1380, 1270, 1200, 1100, 1050, 880, 800, 710。
【0077】
(実施例2 式Iの化合物の調製)
【0078】
【化10】

グラム規模の調製
THF(4.67kg、10.3部)中の式Fの化合物(455g、1.0当量)のスラリーを調製し、10℃未満に調節した。リチウムジメチルアミドを以下のように調製した:ヘキシルリチウム(2.3N/ヘキサン、2.45L、5.5当量)をジメチルアミン溶液(2N/THF、2.8L、5.5当量)に添加し、10℃未満に維持した。式Fの化合物を含有するスラリーに、リチウムジメチルアミド溶液を充填し、10℃未満のポット温度を維持した。反応の進行を工程間のHPLCによって監視し、式Fの化合物の量が1.0A%未満であることを確認した。脱イオン水(6.6kg、14.51部)中のNaHCO(490g、1.1部、5.7当量)及びNaCO(490g、1.1部、4.5当量)の緩衝液を調製し、この水溶液に前記の反応混合物を移し、5℃未満に維持した。生成物が沈殿し、得られたスラリーを12時間にわたり20℃に調節した。この固形物を濾過し、得られた湿ったケーキを脱イオン水3.5kg(7.7部)で洗浄した。固形物を粗いフリットガラスベンチフィルターで濾過し、冷たい(0〜5℃)無水エタノール(628g、1.4部)で前方へ濯いだ。生成物を30〜35℃にて乾燥させた。乾燥生成物を458g(収率73%)で得た。
【0079】
キログラム規模の調製
THF(251kg、8.0部)中の式Fの化合物(31.5kg、1.0当量)のスラリーを、780L ハステロイ反応器(反応器A)において調製し、0℃(−3〜3℃)に調節した。THF(161.0kg、5.0当量)中の2M ジメチルアミン、及びTHF(63kg、2部)を、1900L GLMS反応器(反応器B)に充填し、最大攪拌下に0℃(−3〜3℃)に調節した。ヘキシルリチウム(2.3M、97.2kg、4.5当量)を、最大温度10℃に維持しながら反応器Bに緩徐に充填した。THF(3.2kg)を使用して、ポンプ及びラインを反応器Bに向かって濯いだ。反応器Bの含有物を、0℃(−3〜3℃)に調節した後、反応器Aに移し、その間、反応器Aの温度を10℃以下に維持した。THF(31.4kg、1.0部)を使用して、反応器Bのポンプ及びラインを前方へ濯いだ。反応器Aの含有物を0℃(−3〜3℃)に調節し、HPLCによって反応の終了が確認されるまで(1〜2時間)、この温度にて攪拌した。約1時間の攪拌後に、工程間のHPLC分析が、0 A%の出発物質残留を示した(工程間の基準:最大1A%)。反応器Aの含有物を、−5℃(−8〜−3℃)に調節した。水を使用して反応器の工程間の洗浄を行った。前もって調製した2つの水溶液[水(236kg、7.5部)中のNaHCO(35.0kg、1.1部)、及び水(236kg、7.5部)中のNaCO(35.0kg、1.1部)]を反応器Bに充填し、−3℃(0〜6℃)に調節した。反応器Aの含有物を、絶縁ラインを介して反応器Bに移し、反応器Bの温度を−8℃〜最大5℃に維持した。反応器Aのポンプ及びラインを、冷たい[−5℃(−8〜−3℃)]THF(31.4kg、1.0部)で前方へ濯いだ。反応器Bの含有物を、22℃(19〜25℃)に調節し、約3時間攪拌した。スラリー形成を目視確認し、F−16濾布を取り付けた30インチの遠心機で、反応器Bの含有物を濾過した。飲料水(63kg、2部)を使用して、F−16濾布を取り付けた30インチの遠心機で、反応器Bのポンプ及びラインを前方へ濯いだ。湿った濾過ケーキ(66.5kg)を反応器Bに戻し、飲料水(1005kg、32部)中で22℃(19〜25℃)にて約1時間にわたりスラリー洗浄に付した。生成物を30インチの遠心機で濾過し(工程間の洗浄及びF−53濾布の取り付け後)、反応器Bのライン及びポンプを、飲料水(63kg、2部)で前方へ濯いだ。濯ぎ水をTDSによる試験のために採取し、それは0.46%であることがわかった。反応器Bのポンプ、ライン及び湿った濾過ケーキを、冷たい[0℃(−3〜3℃)]エタノール(44kg、1.39部)で更に濯いだ。湿った濾過ケーキを、35℃の水浴(反応器ジャケットの加熱用)の最大温度にて真空乾燥させた。工程間のLODは、約24時間の乾燥後に0%であり、生成物(24.8kg)を収率76.7%で排出した。HPLCは、98%純度を示し、脱塩素不純物は1.14%であった。
【0080】
(実施例3 式Fの化合物の調製)
手順1.2−ニトロ−N−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−5−メトキシ−ベンズアミド(C)の合成
【0081】
【化11】

5−メトキシ−2−ニトロ安息香酸(A)(25.0kg、1.0当量)、2−アミノ−5−クロロピリジン(B)(16.3kg、1.0当量)、及びアセトニトリル(87.5kg、3.5部)を、380L GLMS反応器に充填した。反応混合物を22℃(19〜25℃)に調節し、無水ピリジン(30.0kg、3.0当量)を添加した。ポンプ及びラインをアセトニトリル(22.5kg、0.9部)で前方へ濯ぎ、反応器の含有物を19〜22℃の温度に調節した。25℃(22〜28℃)の温度を維持しながら、オキシ塩化燐(23.3kg、1.20当量)を、計量型ポンプを介して反応器の含有物に添加した。温度を25℃(22〜28℃)に維持しながら、計量型ポンプ及びラインを、アセトニトリル(12.5kg、0.5部)で前方へ濯いだ。約1/3のPOClの添加後に、反応混合物は一般的に、スラリーから透明溶液になった。添加の終了時に、それは濁った。添加の終了後に、反応混合物を25℃(22〜28℃)で約1時間攪拌し、その際に、HPLC分析は反応の終了を確認した。溶液を15℃(12〜18℃)に冷却し、反応温度を12〜30℃に維持しながら、飲料水(156.3kg、6.25部)を緩徐に充填した。次に、反応混合物を22℃(19〜25℃)に調節し、発熱が止むまで約5時間攪拌した。スラリーの形成を目視確認し、反応器の含有物を、F−19濾布を取り付けた圧力ヌッツェで濾過した。反応器、ポンプ及びラインを、飲料水で2回(それぞれ62.5kg、2.5部)、圧力ヌッツェ上で前方へ洗浄した。濾液はpH値7を有していた。50℃の水浴(反応器ジャケットの加熱用)の最大温度にて、生成物(41.8kg)を真空乾燥させた。約12時間後に、工程間のLOD分析は、溶媒含有量0.72%を示した。乾燥生成物(C)(34.4kg)を、HPLCにより88.2%収率及び99.1%純度で排出した。
【0082】
手順2.2−アミノ−N−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−5−メトキシ−ベンズアミド(D)の合成
【0083】
【化12】

780L ハステロイ反応器に、化合物C(33kg、1.0当量)、5%白金炭素(硫化、0.33kg、0.010部)及びジクロロメタン(578kg、17.5部)を充填した。攪拌を開始し、反応器含有物を22℃(19〜25℃)に調節した。反応器を約30psiの水素で加圧し、反応混合物を28℃(25〜31℃)に徐々に加熱した。HPLCにより反応が終了するまで、反応器含有物の水素化を約30psiで28℃(25〜31℃;最大31℃)において行った。16.5時間後、出発物質の消失(0.472 A%)を確認した後に、反応が終了したと考えられた。反応器の含有物を、8インチのスパークラーフィルター中に準備した状態調節したセライトパッド(20〜55kgのジクロロメタンで状態調節した0.2〜0.5kgのセライト)を通って循環させて、白金触媒を除去した。反応器及びセライト床を、ジクロロメタンで2回(それぞれ83kg、2.5部)前方へ濯いだ。濾液を、570L GLMS反応器に移し、大気圧下に約132L(4容量部)に濃縮した。エタノール(69kg、21.部)を充填し、濃縮を大気圧下に継続して、約99L(3容量部)にした。工程間のNMRは、ジクロロメタン含有量が39%であることを示した。エタノール(69kg、2.1部)を再び充填し、再び濃縮を継続して、約99L(3容量部)にした。工程間のNMRは、ジクロロメタン含有量が5%であることを示した。次に、反応混合物を3℃(0〜6℃)に調節し、約1時間攪拌し、得られたスラリーを、F−19濾布を取り付けたジャケット付き圧力ヌッツェで濾過した。反応器、ポンプ及びラインを、冷たい[3℃(0〜6℃)]エタノール(26kg、0.8部)で前方へ濯いだ。湿った濾過ケーキ(36.6kg)を、50℃の水浴(反応器ジャケットの加熱用)の最大温度にて、40〜50℃において真空乾燥させた。12.5時間後のLOD分析は、溶媒含有量0.1%を示した。乾燥生成物(D)(26.4kg)を収率89.5%で排出した。HPLCは、98.4 A%純度、脱塩素不純物0.083%を示した。
【0084】
手順3.N−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−2−(4−シアノ−ベンゾイル−アミノ)−5−メトキシ−ベンズアミドヒドロクロリド(F)の合成
【0085】
【化13】

780L ハステロイ反応器に、4−シアノベンゾイルクロリド(E)(17.2kg、1.1当量)及びTHF(92kg、3.5部)を充填した。反応器の含有物を22℃(19〜25℃)で、全固形物が溶解するまで攪拌した。得られた溶液を、下部受け器に移し、反応器をTHF(26kg、1部)で前方へ濯いだ。化合物D(26.4kg、1当量)、THF(396kg、15部)及びピリジン(2.90kg、0.4当量)を、清浄反応器に充填した。ポンプ及びラインをTHF(34kg、1.3部)で前方へ濯いだ。計量型ポンプを介して、4−シアノベンゾイルクロリド/THF溶液を反応器に充填し、温度を30℃以下に維持し、THF(約10kg)で前方へ濯いだ。得られた黄色スラリーを、22℃(19〜25℃)で約2時間攪拌した。2時間後に行った工程間のHPLCは、式Dの化合物の含有量0%を示し、反応の終了を示した。F−19濾布を取り付けた圧力ヌッツェでスラリーを濾過した。反応器、ポンプ、ライン及び湿ったケーキを、エタノールで3回(それぞれ約15kg)濯いだ。湿った濾過ケーキ(65.4kg)を排出し、反応器に戻して、エタノール(317kg、12部)中において22℃(19〜25℃)で約1時間にわたりスラリー洗浄した。スラリーを圧力ヌッツェで濾過し、反応器、ポンプ、ライン及び湿った濾過ケーキを、エタノールで2回(それぞれ約15kg)及びTHFで2回(それぞれ約15kg)濯いだ。湿った濾過ケーキを、40℃の温グリコール浴(反応器ジャケットの加熱用)の最大温度にて真空乾燥させた。14.5時間乾燥させた後に、LODは0.75%であった。乾燥物質を粉砕して(スクリーン0.125インチ)、生成物31.8kgを得て、これを更に10.5時間真空乾燥させた。乾燥後のLODは1.8%であり、生成物(31.5kg)を収率74.8%(予想60〜90%)で排出した。HPLCは100%純度を示した。
【0086】
(実施例4 塩の選別)
一次選別
3mLの10%(水性)THF混合物中の遊離塩基20mgに、エタノール1mL中の酸1.1当量を添加した。混合物を2時間振とうした後、t−ブチルメチルエーテル2mLを添加して、沈殿を誘発し、更に2時間振とうした。次に、試料を濾過し、乾燥させた後、分析して、これらの純度、結晶度及び安定度を評価した。以下の表1に結果を示し、試験した酸を列記する。
【0087】
【表1】

+++:結晶形態、相転移なし、高純度;++:非晶質、幾らかの相転移、中〜高純度;
+:殆ど又は全く結晶性なし、より低い結晶形態への相転移、低純度;−:沈殿なし。
【0088】
二次選別
幾つかの塩形態の二次評価を、以下に記載の方法によって行い、結果を、表5及び図1A、1B、2A、2B及び3に要約する。
【0089】
示差走査熱量測定(DSC)
50位自動試料採取器を取り付けたTA計測器Q1000によって、DSCデータを収集した。エネルギー及び温度校正標準はインジウムであった。試料を、10℃/分の速度で25〜350℃に加熱した。30mL/分での窒素パージを、試料上に維持した。特に記載がない限り、1〜3mgの試料を使用し、全ての試料を密閉アルミニウムパンにおいてクリンピングした。
【0090】
熱重量分析(TGA)
ニッケル/アルメルで校正され、10℃/分の走査速度で操作されるTA計測器Q500 TGAによって、TGAデータを収集した。60mL/分での窒素パージを、試料上に維持した。一般的に10〜20mgの試料を、前もって風袋計量した白金るつぼに装填した。
【0091】
XRPD(X線粉末回折)
CuKα放射線(40kV、40mA)、θ−θゴニオメータ、自動発散及び受取りスリット、グラファイト二次モノクロメータ及びシンチレーションカウンターを使用してSiemens D5000回折計によって、X線粉末回折パターンを収集した。計測器は、認定コランダム標準(NIST 1976)を使用して性能検査する。
【0092】
周囲条件下で試験される試料を、粉末を使用して平板試料として調製した。研磨ゼロバックグラウンド(510)シリコンウエハに切り込んだ空洞に、約35mgの試料を緩く詰める。分析の間に、試料をそれ自身の面内で回転させた。データ収集の詳細は、以下の表2における方法に関して示されている。
【0093】
【表2】

EVA(評価ソフトウェア)を使用してKα成分を除去した後に、Cu Kα(λ=1.5406Å)を使用して回折データを記録し、WIN−INDEXを使用してITO法によって粉末図形を表示し、WIN−METRICを使用して原格子定数を精密化した。
【0094】
単結晶XRD(X線回折)
Oxford Cryosystems Cryostream冷却装置を備えたBruker AXS 1K SMART CCD回折計によって、データを収集した。SHELXS又はSHELXDプログラムを使用して構造を解析し、Bruker AXS SHELXTLスイートの一部としてのSHELXLプログラムで精密化した。特に記載がない限り、炭素に結合する水素原子は、幾何学的に配置され、ライディング等方性置換パラメータで精密化することが可能にされた。ヘテロ原子に結合する水素原子は、差分フーリエ合成において位置決定され、等方性置換パラメータで自由に精密化することが可能にされた。
【0095】
重量測定水蒸気収着(GVS)試験
全ての試料を、Hiden IGASorp水分収着分析器作動CFRSorpソフトウェアで処理した。試料の大きさは一般的に10mgであった。水分吸着脱着等温線を以下に概説するように行った(2走査が1全サイクルを与える)。全ての試料を、典型的な室湿度及び温度(40%RH、25℃)で充填/取出した。全ての試料を、GVS後のXRPD分析によって分析した。標準等温線を、25℃、0〜90%RH範囲おいて10%RH間隔で得た。式IIの塩は、優れた水分安定度を示した。
【0096】
溶解度
これは、溶媒(水)0.25mLに充分な塩を懸濁させて、塩の親遊離形態の最大最終濃度(10mg/mL以上)を得ることによって測定した。懸濁液を25℃にて24時間平衡化した後、pH検査し、ガラス繊維C96ウェルプレートで濾過した。次に、濾液を101倍に希釈した。約0.1mg/mLでDMSOに溶解した標準を基準にして、HPLCによって定量化した。種々の容量の、標準、希釈及び非希釈試料を注入した。溶解度を、標準導入におけるピーク最大と同じ保持時間において見出されたピーク面積の積分によって算出した。濾板に充分な固形物が存在する場合、XRPDを、相転移、水化物形成、非晶質化、結晶化等について一般的に検査した。
【0097】
酢酸塩は10mg/mL以上の溶解度を生じ、マレイン酸塩は約2.05mg/mL〜約2.27mg/mLの溶解度を生じた。
【0098】
pKa測定
これは、D−PAS付属装置を有するSirius GlpKa計測器で行った。測定は、水中でUVによって、及びメタノールと水との混合物中で25℃において電位差測定によって、行った。滴定媒質は、0.15M KClで調節されたイオン濃度であった。メタノールと水との混合物において見出された数値を、Yasuda−Shedlovsky外挿法によって0%補助溶媒に補正した。Refinement Proソフトウェア、Ver.1.0を使用して、データを精密化した。ACD pKa予測ソフトウェア、Ver.8.08を使用して、pKa値の予測を行った。式IIの塩のデータを以下の表3に示す。
【0099】
【表3】

LogP測定
これは、オクタノール対ISA水の3つの比率を使用してSirius GlpKa計測器での電位差滴定によって行って、Log P、Log Pion、及びLog D値を得た。Refinement Proソフトウェア、Ver.1.0を使用して、データを精密化した。LogPの予測は、ACD Ver.8.08及びSyracuse KNOWWIN Ver.1.67ソフトウェアを使用して行った。マレイン酸塩のデータを以下の表4に示す。
【0100】
【表4】

カールフィッシャー水測定
Hydranal Coulomat AG試薬及びアルゴンパージを使用して、Mettler Toledo DL39電量計によって、水分を測定した。水の浸入を防ぐためにスバシールに連接された白金TGAパン上に秤量された固形物として、試料を容器に導入した。1滴定につき約10mgの試料を使用し、各分析を二重に行った。
【0101】
安定度
試料を57℃の温度及び7%室湿度に暴露した後に、安定度の測度として、加水分解アミジン分を、HPLC(Agilent HP1100)(保持時間34分)によって測定した。試料溶媒はメタノールであり、0.1%トリフルオロ酢酸の移動相調節剤を使用した。データを3、6及び10日後に収集し、但し、プロピオン酸塩に関するデータは0、3及び8日目に収集した。結果を表5に、酸加水分解生成物の割合として示し、主ピークのパーセンテージとして表す。全ての他の不純物ピークは、計算において無視した。
【0102】
【表5】

式IIの塩に関する結晶データ
全ての実験を、Oxford Cryosystems Cryostream 冷却装置を備えたBruker−Nonius Kappa CCD回折計で行う。構造を一般的に、SIR−97又はSHELXS−97で解析し、SHELXL−97で精密化する。特に記載がない限り、水素原子は、幾何学的に配置され、等方性置換パラメータで精密化することが可能にされる。以下の表(表6及び表7)には、式IIの塩についての結晶データ及び構造精密化を示す。
【0103】
【表6】

【0104】
【表7】

以上において前記の発明を、理解を明確にするために、図示及び実施例により幾分詳細に説明してきたが、当業者は、特許請求の範囲内で特定の変更及び改変が行われる場合があることを認識するであろう。更に、本明細書に示した各文献は、それぞれの文献が個別に参考として援用されるのと同様に、全体が参考として援用される。
【0105】
好ましい実施形態において、本発明は、例えば、以下を提供する。
(項1)
式I:
【化1】

の化合物並びに塩酸、乳酸、マレイン酸、フェノキシ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、アジピン酸、アスコルビン酸、樟脳酸、グルコン酸、燐酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、フマル酸、グリコール酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ゲンチジン酸及びベンゼンスルホン酸からなる群から選択される酸を含む塩。
(項2)
前記酸が、塩酸、乳酸、マレイン酸、フェノキシ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、アジピン酸、アスコルビン酸、樟脳酸、グルコン酸、燐酸、酒石酸、クエン酸及びメタンスルホン酸からなる群から選択される、上記項1に記載の塩。
(項3)
前記酸が、塩酸、乳酸、マレイン酸、フェノキシ酢酸、プロピオン酸及びコハク酸からなる群から選択される、上記項1に記載の塩。
(項4)
前記酸がマレイン酸である、上記項1に記載の塩。
(項5)
前記酸がプロピオン酸である、上記項1に記載の塩。
(項6)
前記塩が式II:
【化2】

により表わされる、上記項4に記載の塩。
(項7)
結晶多形形態を有する、上記項6に記載の塩。
(項8)
4.9、9.7、13.8、14.1、15.2、17.6、18.5、20.8、21.6、22.7、24.1、26.3、26.8度2θから選択される少なくとも4つの近似固有ピーク位置を有する粉末X線回折パターンを有する、上記項7に記載の塩。
(項9)
4.9、9.7、11.8、13.8、14.1、15.2、17.6、18.5、19.9、20.8、21.6、22.7、24.1、25.0、26.3、26.8度2θから選択される少なくとも8つの近似固有ピーク位置を有する粉末X線回折パターンを有する、上記項7に記載の塩。
(項10)
図1に示す粉末X線回折パターンに近似した粉末X線回折パターンを有する、上記項7に記載の塩。
(項11)
図2に示す示差走査熱量測定パターンに近似した示差走査熱量測定を有する、上記項7に記載の塩。
(項12)
望ましくない血栓症を特徴とする哺乳動物における状態を予防又は治療するための薬学的組成物であって、薬学的に許容される担体、及び治療有効量の上記項1〜11の何れか1項に記載の塩を含む、薬学的組成物。
(項13)
錠剤形態の、上記項12に記載の薬学的組成物。
(項14)
カプセル剤形態の、上記項12に記載の薬学的組成物。
(項15)
ロゼンジ剤形態の、上記項12に記載の薬学的組成物。
(項16)
輸液、注射又は経皮送達に好適な形態の、上記項12に記載の薬学的組成物。
(項17)
望ましくない血栓症を特徴とする哺乳動物における状態を予防又は治療するための方法であって、治療有効量の上記項1〜11の何れか1項に記載の塩を、該哺乳動物に投与することを含む、方法。
(項18)
前記状態が、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、不安定狭心症、不応性狭心症、血栓溶解療法後又は冠動脈形成術後に発生する閉塞性冠動脈血栓、血栓媒介性脳血管症候群、塞栓性脳卒中、血栓性脳卒中、一過性虚血発作、静脈血栓症、深部静脈血栓症、肺塞栓、凝固障害、播種性血管内凝固、血栓性血小板減少性紫斑病、閉塞性血栓性血管炎、ヘパリン誘発血小板減少に関連した血栓性疾患、体外循環に関連した血栓性合併症、器械使用に関連した血栓症合併症、及び補てつ具の取付けに関連した血栓性合併症からなる群から選択されるメンバーである、上記項17に記載の方法。
(項19)
血液試料の凝固を阻害するための方法であって、該試料を、上記項1〜11の何れか1項に記載の塩と接触させる工程を含む、方法。
(項20)
式I:
【化3】

の化合物を調製する方法であって、LiN(CHを、式III:
【化4】

の化合物又はその塩と、式Iの化合物を形成する条件下において、接触させる工程を含む、方法。
(項21)
式IIIの化合物の前記塩がHCl塩である、上記項20に記載の方法。
(項22)
前記条件が、非極性非プロトン溶媒を使用することを含む、上記項20に記載の方法。
(項23)
前記溶媒が、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、ジオキサン、ヘキサン、メチルt−ブチルエーテル、ヘプタン及びシクロヘキサンからなる群から選択されるメンバーである、上記項22に記載の方法。
(項24)
前記条件が、前記方法を10℃未満の温度にて行うことを含む、上記項20に記載の方法。
(項25)
式Iの化合物が少なくとも50%の収率で得られる、上記項20に記載の方法。
(項26)
式Iの化合物が少なくとも65%の収率で得られる、上記項20に記載の方法。
(項27)
式Iの化合物が少なくとも75%の収率で得られる、上記項20に記載の方法。
(項28)
式Iの化合物がグラム規模又はキログラム規模で調製される、上記項20に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化3】

の化合物を調製する方法であって、LiN(CHを、式III:
【化4】

の化合物又はその塩と、式Iの化合物を形成する条件下において、接触させる工程を含む、方法。
【請求項2】
式IIIの化合物の前記塩がHCl塩である、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記条件が、非極性非プロトン溶媒を使用することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒が、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、ジオキサン、ヘキサン、メチルt−ブチルエーテル、ヘプタン及びシクロヘキサンからなる群から選択されるメンバーである、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記条件が、前記方法を10℃未満の温度にて行うことを含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
式Iの化合物が少なくとも50%の収率で得られる、請求項に記載の方法。
【請求項7】
式Iの化合物が少なくとも65%の収率で得られる、請求項に記載の方法。
【請求項8】
式Iの化合物が少なくとも75%の収率で得られる、請求項に記載の方法。
【請求項9】
式Iの化合物がグラム規模又はキログラム規模で調製される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
望ましくない血栓症を特徴とする哺乳動物における状態を予防又は治療するための薬学的組成物であって、薬学的に許容される担体、及び治療有効量の
式I:
【化3A】

の化合物並びに塩酸、乳酸、マレイン酸、フェノキシ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、アジピン酸、アスコルビン酸、樟脳酸、グルコン酸、燐酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、フマル酸、グリコール酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ゲンチジン酸及びベンゼンスルホン酸からなる群から選択される酸を含む塩
を含む、薬学的組成物。
【請求項11】
錠剤形態の、請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
カプセル剤形態の、請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
ロゼンジ剤形態の、請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
輸液、注射又は経皮送達に好適な形態の、請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
望ましくない血栓症を特徴とする哺乳動物における状態を予防又は治療するための組成物であって、
式I:
【化3B】

の化合物並びに塩酸、乳酸、マレイン酸、フェノキシ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、アジピン酸、アスコルビン酸、樟脳酸、グルコン酸、燐酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、フマル酸、グリコール酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ゲンチジン酸及びベンゼンスルホン酸からなる群から選択される酸を含む塩
を含む、組成物。
【請求項16】
前記状態が、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、不安定狭心症、不応性狭心症、血栓溶解療法後又は冠動脈形成術後に発生する閉塞性冠動脈血栓、血栓媒介性脳血管症候群、塞栓性脳卒中、血栓性脳卒中、一過性虚血発作、静脈血栓症、深部静脈血栓症、肺塞栓、凝固障害、播種性血管内凝固、血栓性血小板減少性紫斑病、閉塞性血栓性血管炎、ヘパリン誘発血小板減少に関連した血栓性疾患、体外循環に関連した血栓性合併症、器械使用に関連した血栓症合併症、及び補てつ具の取付けに関連した血栓性合併症からなる群から選択されるメンバーである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
血液試料の凝固を阻害するための方法であって、該試料を、
式I:
【化3C】

の化合物並びに塩酸、乳酸、マレイン酸、フェノキシ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、アジピン酸、アスコルビン酸、樟脳酸、グルコン酸、燐酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、フマル酸、グリコール酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ゲンチジン酸及びベンゼンスルホン酸からなる群から選択される酸を含む塩
と接触させる工程を含む、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−246323(P2012−246323A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−204757(P2012−204757)
【出願日】平成24年9月18日(2012.9.18)
【分割の表示】特願2008−540190(P2008−540190)の分割
【原出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(500287639)ミレニアム ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (98)
【氏名又は名称原語表記】MILLENNIUM PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】