説明

N−[フェニル(ピロリジン−2−イル)メチル]ベンズアミドおよびN−[(アゼパン−2−イル)フェニルメチル]ベンズアミド誘導体、この調製方法および治療法における使用

本発明は、一般式(I)を有する化合物に関する。式中、nは数1または3を表し;RはH、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニルアルキル、アルケニル、アルキニル基を表し;XはHまたはハロゲン原子およびトリフルオロメチル、アルキルおよびアルコキシ基から選択される1つまたはそれ以上の置換基のいずれかを表し;RはHまたはハロゲン原子およびトリフルオロメチル、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、フェニル、シアノ、アセチル、ベンゾイル、S−アルキル、アルキル−スルホニル、カルボキシルおよびアルコキシカルボニルから選択される1つまたはそれ以上の置換基、または式NR、SONRまたはCONR(式中、RとRは各々Hもしくはアルキルまたはシクロアルキル基を表し、または窒素原子と共に、ピロリジン、ピペリジンまたはモルホリン環を形成する)を有する基を表す。本発明は、また、治療における前記化合物の使用にも関する。


【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は一般式(I)
【0002】
【化2】

(式中、
nは数1または3を表し、
は水素原子、1つまたはそれ以上のフッ素原子により場合によっては置換されている直鎖または分岐の(C−C)アルキル基、(C−C)シクロアルキル基、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル基、1または2つのメトキシ基により場合によっては置換されているフェニル(C−C)アルキル基、(C−C)アルケニル基、または(C−C)アルキニル基を表し、
Xは水素原子またはハロゲン原子およびトリフルオロメチルおよび直鎖または分岐の(C−C)アルキルおよび(C−C)アルコキシ基から選択される1つまたはそれ以上の置換基のいずれかを表し、
は水素原子、またはハロゲン原子およびトリフルオロメチル、直鎖または分岐の(C−C)アルキルおよび(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルキル、フェニル、シアノ、アセチル、ベンゾイル、S(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニル、カルボキシルおよび(C−C)アルコキシカルボニルの基から選択される1つまたはそれ以上の置換基、または一般式NR、SONRまたはCONR(式中、RとRは、相互に独立に、水素原子もしくは直鎖または分岐の(C−C)アルキルまたは(C−C)シクロ−アルキル基を表し、またはこれらを担持する窒素原子と共に、ピロリジン、ピペリジンまたはモルホリン環を形成する)のいずれかを表す)
に対応する化合物に関する。一般式(I)の化合物は、トレオ(1R,2R;1S,2S)またはエリトロ(1S,2R;1R,2S)ラセミ体の形態で、または鏡像異性体の形態で存在し得る;これらは遊離塩基の、または酸付加塩の形態で存在し得る。
【0003】
本発明に記載の化合物の構造に類似の構造の化合物は、アヘン剤受容体についての作用機構により鎮痛薬、利尿薬、抗けいれん薬、麻酔薬、鎮静薬および脳保護薬として米国特許第5,254,569号に述べられている。
【0004】
本発明に記載の化合物はグリシントランスポーターglyt1および/またはglyt2の特異的阻害剤として特別の活性を示す。
【0005】
が水素原子以外である一般式(I)の化合物は下記のスキーム1により示される方法により調製され得る。
【0006】
【化3】

【0007】
トレオまたはエリトロ相対立体配置の、または混合物としての一般式(II)のジアミン(式中、RおよびXは上記に定義されている通りである(Rは水素原子以外である))と、一般式(III)(式中、Yは親電子基、例えばハロゲン原子を表し、Rは上記に定義されている通りである)の活性化された酸または酸クロリドとのカップリングは、当業者に公知の方法を用いて行われる。
【0008】
一般式(I)の純粋なエリトロまたはトレオ化合物は、当業者に公知の方法で、例えば高性能液体クロマトグラフィによる分離により入手され得る。
【0009】
が水素原子以外であり、Xが上記に定義した通りであるn=1に対しては、トレオまたはエリトロの相対立体配置の、または混合物としての一般式(II)のジアミンは、スキーム2の経路Aにより示される方法により調製され得る。
【0010】
J.Chem.Soc.Chem.Commun.,1986,412−413で述べられている方法によれば、PがBocを表すケトンIVはエリトロ/トレオアルコール(X)に還元され、この比は使用される水素化物の性状に依存する。次に、この保護基は、ジクロロメタンとトリフルオロ酢酸の混合物中で標準的な方法により除去される。このように、アミノアルコール(XI)を得、これに対して式RZのハロゲン化誘導体と炭酸カリウムなどの塩基を用いて、N−アルキル化を行って、一般式(XII)の官能基化アミノアルコールを得る。
【0011】
最終的に、Bull.Soc.Chim.Belg.(106),1997,77−84に述べられている方法による標準的なMitsunobuの条件下で、アジ化水素とトリフェニルホスフィンの存在下で一般式(II)のジアミンが得られる。
【0012】
【化4】

【0013】
=CHであり、Xが上記に定義した通りであるn=1に対しては、トレオまたはエリトロの相対立体配置の、または混合物としての一般式(II)のジアミンは、スキーム2の経路BおよびB’によっても、およびスキーム3によっても入手され得る。
【0014】
経路Bによれば、Xが上記に定義した通りであるケトン(IV)を還流ピリジン中でベンジルヒドロキシルアミンヒドロクロリドと反応させて、オキシム(V)の混合物を得、これをトリフルオロ酢酸により脱保護して、遊離のアミン(VI)を得る。
【0015】
通常、このピロリジンのメチル化を還流ホルムアルデヒドおよびギ酸中で行って、化合物(VII)を生産させる。最終的に、アルコール性溶媒中塩酸水溶液の存在下でパラジウム/Cにより触媒される、この化合物の水素化によって、一般式(II)のジアミンが得られる。
【0016】
経路B’によれば、PがCOEtを表し、Xが上記に定義した通りである一般式(IV)のケトンを還流エタノール中でベンジルヒドロキシルアミンヒドロクロリドと反応させて、オキシム(VIII)の混合物を得、これに対してアルコール性溶媒中塩酸水溶液の存在下でパラジウム/Cにより触媒される水素化を行い、カーバメート(IX)を得る。還流する溶媒、例えばエーテル中で水素化リチウムアルミニウムにより一般式(IX)のカーバメートを還元することによって、一般式(II)のジアミンが得られる。
【0017】
スキーム3によれば、アミノアルコール(XIII)は、J.Org.Chem.,(64),1999,6106−6111で述べられている方法により標準的なMitsunobu条件下でアジド(XIV)に変換される。還流する溶媒、例えばテトラヒドロフラン中でアジドカーバメート(XIV)を水素化リチウムアルミニウムにより還元することによって、一般式(II)のジアミンの混合物が得られる。
【0018】
【化5】

【0019】
が水素原子以外であり、n=3であるトレオまたはエリトロの相対立体配置の一般式(II)のジアミンは、下記のスキーム4により示される方法により調製され得る。
【0020】
【化6】

【0021】
J.Org.Chem.,(58),5,1993,1109−1117で述べられている方法により、Bocが1,1−ジメチルエトキシカルボニル基を表す一般式(XVI)のアゼパンのα−リチウム化をTMEDA(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)の存在下エーテル溶媒、例えばジエチルエーテル中−78℃でsec−ブチルリチウムにより行い、系内で形成されたリチオアミンを一般式(XVII)のベンズアルデヒドと反応させる。このようにして、エリトロ立体配置の一般式(XVIII)のアルコールとトレオ立体配置の一般式(XIX)の環状カーバメートの混合物を入手し得る。
【0022】
次に、混合水素化物、例えば水素化リチウムアルミニウムをエーテル溶媒、例えばテトラヒドロフラン中室温と還流温度の間で作用させることにより、エリトロ立体配置の一般式(XVIII)のカーバメートを一般式(XXII)のエリトロN−メチルアミノアルコールに還元し得る。次に、一般式(XXII)のエリトロアルコールをRがメチル基を表す一般式(II)のエリトロ中間体に2段階で変換する。最初に、塩素化溶媒、例えばジクロロメタン中で、塩基、例えばトリエチルアミンの存在下0℃と室温の間でメシルクロリドを作用させることにより、このアルコール官能基を親電子基、例えばメタンスルホネート基に変換し、次にこの親電子基を密閉媒体、例えばオートクレーブ中のアルコール、例えばエタノール中で−50℃の液化アンモニアと、−50℃と室温の間で反応させる。
【0023】
強塩基、例えば水酸化カリウム水溶液をアルコール、例えばメタノール中で使用して、エリトロ立体配置の一般式(XVIII)のカーバメートを脱保護しても、一般式(XX)の対応するアミノアルコールを入手し得る。同一の加水分解条件下で、一般式(XIX)のトレオ環状カーバメートにより一般式(XX)のトレオアミノアルコールが得られる。
【0024】
次に、Rが上記に定義した通りであるが、水素原子以外であり、Zがハロゲン原子を表す式RZのハロゲン化誘導体を用いるN−アルキル化を塩基、例えば炭酸カリウムの存在下で極性溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド中で室温と100℃の間で行って、一般式(XXI)のアルキル化誘導体を得る。次に、この誘導体を一般式(XXII)のアルコールに関して述べたように処理する。
【0025】
が水素原子を表す一般式(I)の化合物は、Rが場合によっては置換されたフェニルメチル基を表す一般式(I)の化合物から、例えば酸化剤により、またはルイス酸、例えば三臭化ホウ素により、または水素化分解によりこのピペリジン環の窒素を脱保護するか、またはアルケニル基、好ましくはアリルを表す化合物から、Pd゜錯体により脱保護して、Rが水素原子を表す一般式(I)の化合物を与える一般式(I)の化合物から、調製し得る。
【0026】
更に一般式(I)のキラル化合物は、ラセミ化合物をキラルカラムの高性能液体クロマトグラフィ(HLPC)により分離することによっても、またはキラル酸、例えば酒石酸、カンファースルホン酸、ジベンゾイル酒石酸またはN−アセチルロイシンを使用することにより一般式(II)のラセミアミンを分割すること、またはジアステレオ異性体塩をアルコールタイプの溶媒中で分別および優先再結晶することによりにより得られるキラルアミンから出発するか、またはスキーム2の一般式(IV)のキラルケトンから出発する経路B’またはAによるキラル合成によっても、または別法としてはスキーム3の一般式(XIII)のキラルアルコールから出発しても、入手し得る。
【0027】
一般式(IV)のラセミケトンは、Tetrahedron Lett.,(38)(5),1997,783−786;Tetrahedron,(59),2003,1083−1094で述べられている方法により調製され得る。キラルの系列においては、国際特許出願WO03/004468およびJ.Chem.Soc.Perkins Trans I,1987,1465−1471で述べられている方法により、一般式(IV)のケトンまたは一般式(X)および(XIII)のキラルアルコールを調製し得る。J.Org.Chem.,(58),5,1993,1109−1117で述べられている方法により、一般式(XVI)のペルヒドロアゼピンを調製し得る。
【0028】
次の実施例は本発明のいくつかの化合物の調製を示す。微量元素分析とIRおよびNMRスペクトル、およびキラルカラムのHPLCによって、得られる化合物の構造および鏡像異性体純度が確認される。
【0029】
実施例の表題のかっこ中に示される番号は後で示す表の1番目の欄の番号に対応する。
【0030】
化合物の名称においては、ハイフン「−」は語の一部を形成し、アンダーラインマーク「_」は単に改行を示す役割のものである。これは改行がこの箇所において起こらないならば省略されるべきであり、通常のハイフンまたは空白のいずれかにより置き換えられるべきでない。
【実施例1】
【0031】
(化合物1)
トレオ−2−クロロ−N−[(1−メチル−2−ピロリジニル)フェニル−メチル]−3−トリフルオロメチルベンズアミドヒドロクロリド1:1
【0032】
1.1.tert−ブチル2−[(ベンジルオキシ)イミノ](フェニル)メチル]−1−ピロリジンカルボキシレート
100mlの無水エタノールと35mlの1M水酸化ナトリウムに溶解した8.8g(31.36ミリモル)のtert−ブチル2−ベンゾイルオキシピロリジン−1−カルボキシレートおよび5.6g(35.15ミリモル)のベンジルヒドロキシルアミンヒドロクロリドをマグネチックスターラーを備えた1000mlの丸底フラスコの中に導入し、この混合物を16時間還流させる。
【0033】
減圧下でこの反応媒体を乾燥するまで蒸発した後、この残渣を水とジクロロメタンにより希釈し、水相を分離し、ジクロロメタンにより抽出する。合わせた有機相を洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で溶媒を留去した後、エチルアセテートとシクロヘキサンの混合物により溶離するシリカゲルのカラムクロマトグラフィによりこの残渣を精製する。
【0034】
このようにして、8グラムの生成物をオイルの形態で得る。
【0035】
1.2.フェニル(2−ピロリジニル)メタノンO−ベンジルオキシム
400mlのジクロロメタン中の30%トリフルオロ酢酸の混合物に溶解した8g(20ミリモル)のtert−ブチル2−[(ベンゾイルオキシ)イミノ]−(フェニル)メチル]−1−ピロリジンカルボキシレートをマグネチックスターラーを備えた500mlの丸底フラスコの中に導入し、この混合物を室温で4時間撹拌する。減圧下で反応媒体を乾燥するまで蒸発した後、この残渣をアンモニア水とジクロロメタンにより希釈し、水相を分離し、ジクロロメタンにより抽出する。合わせた有機相を洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で溶媒を留去した後、ジクロロメタンとメタノールの混合物により溶離するシリカゲルのカラムクロマトグラフィによりこの残渣を精製する。
【0036】
4gの生成物を得る。
【0037】
1.3.(1−メチル−2−ピロリジニル)(フェニル)メタノンO−ベンジルオキシム
4mlのギ酸と37%水性ホルムアルデヒドの混合物(1/1)中の1.2g(4.28ミリモル)のフェニル(2−ピロリジニル)メタノンO−ベンジルオキシムをマグネチックスターラーを備えた50mlの丸底フラスコの中に導入し、この混合物を室温で16時間撹拌する。
【0038】
減圧下で反応媒体を乾燥するまで蒸発した後、この残渣をアンモニア水とジクロロメタンにより希釈し、水相を分離し、ジクロロメタンにより抽出する。合わせた有機相を洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で溶媒を留去した後、ジクロロメタンとメタノールの混合物により溶離するシリカゲルのカラムクロマトグラフィによりこの残渣を精製する。
【0039】
1.05gの生成物を得る。
【0040】
1.4.[(1−メチル−2−ピロリジニル)フェニル)メチルアミン
スパチュラ先端量の10%パラジウム/Cの存在下で20mlのエタノールと10mlの1N塩酸の混合物に溶解した1.05g(3.56ミリモル)の(1−メチル−2−ピロリジニル)−(フェニル)メタノンO−ベンジルオキシムを窒素雰囲気下でParrフラスコに入れる。この反応試剤を水素雰囲気にし、8時間撹拌する。
【0041】
触媒を濾別し、減圧下で濾液を蒸発させた後、この残渣をアンモニア水とジクロロメタンにより希釈し、水相を分離し、ジクロロメタンにより抽出する。合わせた有機相を洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で溶媒を留去した後、オイルの形態で0.54gの生成物を得、これを次の段階で粗製の形態で使用する。
【0042】
1.5.トレオ−2−クロロ−N−[(1−メチル−2−メチルピロリジニル)−フェニルメチル]−3−トリフルオロメチルベンズアミドヒドロクロリド1:1
7mlのジクロロメタン中に0℃で溶解した0.54g(2.84ミリモル)の[(1−メチル−2−ピロリジニル)−フェニル)メチルアミンと0.41gの炭酸カリウムを窒素雰囲気下で100mlの丸底フラスコに入れる。3mlのジクロロメタンに溶解した0.72g(2.97ミリモル)の2−クロロ−3−トリフルオロメチルベンゾイルオキシクロリドの溶液を添加し、この混合物を室温で16時間放置する。
【0043】
この反応混合物を水とジクロロメタンにより希釈し、水相を分離し、ジクロロメタンにより抽出する。合わせた有機相を洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で溶媒を留去した後、ジクロロメタンとメタノールの混合物により溶離するシリカゲルのカラムクロマトグラフィによりこの残渣を精製する。
【0044】
このように、110mgのトレオ−2−クロロ−N−[(1−メチル−2−ピロリジニル)−フェニルメチル]−3−トリフルオロメチルベンズアミドを単離する。
【0045】
この生成物を数mlの2−プロパノールに溶解し、6mlの2−プロパノール中の塩化水素の0.1N溶液を添加し、溶媒の容積を低減させるために、この混合物を減圧下で濃縮する。摩砕後、最終的に0.10gのヒドロクロリドを固体の形態で単離する。
【0046】
融点:96−110℃。
【実施例2】
【0047】
(化合物2)
トレオ−4−アミノ−3,5−ジクロロ−N−[(1−メチル−2−ピロリジニル)フェニルメチル)ベンズアミドヒドロクロリド1:1
50mlのジクロロメタンに溶解した0.975g(4.73ミリモル)の4−アミノ−3,5−ジクロロ安息香酸、0.639g(4.73ミリモル)のヒドロキシベンゾトリアゾールおよび0.906g(4.73ミリモル)の1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチル−カルボジイミドヒドロクロリドをマグネチックスターラーを備えた100mlの丸底フラスコの中に導入する。この混合物を室温で30分間放置し、20mlのジクロロメタンに溶解した0.9g(4.73ミリモル)の[(1−メチル−2−ピロリジニル)フェニル)−メチル]アミンを添加し、この混合物を室温で一晩放置する。
【0048】
水により加水分解し、ジクロロメタンにより希釈した後、水相を分離し、ジクロロメタンにより抽出する。合わせた有機相を洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で溶媒を留去した後、ジクロロメタンとメタノールの混合物により溶離するシリカゲルのカラムクロマトグラフィによりこの残渣を精製する。
【0049】
0.19gのオイル状生成物を得る。
【0050】
この生成物を数mlの2−プロパノールに溶解し、20mlの2−プロパノール中の塩化水素の0.1N溶液を添加し、溶媒の容積を低減させるために、この混合物を減圧下で濃縮する。摩砕後、最終的に0.19gのヒドロクロリドを固体の形態で単離する。
【0051】
融点:155−162℃。
【実施例3】
【0052】
(化合物3)
トレオ−N−[(1−アリル−2−ピロリジニル)フェニルメチル)−2−クロロ−3−トリフルオロメチルベンズアミド1:1
【0053】
3.1.tert−ブチル エリトロ−2−[ヒドロキシ(フェニルメチル)−1−ピロリジンカルボキシレート
110mlのテトラヒドロフランに−70℃で溶解した3g(10.89ミリモル)のtert−ブチル2−ベンゾイルオキシ−1−ピロリジン−カルボキシレートを窒素雰囲気下でマグネチックスターラーを備えた250mlの三ツ口フラスコに入れる。29ml(43.58ミリモル)のトルエン中の水素化ジイソブチルアルミニウムの1.5M溶液を滴加する。この混合物を−70℃で2時間放置し、温度を−20℃まで上昇させる。次に、この混合物を50mlのメタノールにより慎重に加水分解する。減圧下でこの反応合物を蒸発した後、この残渣を1N塩酸とジクロロメタンにより希釈し、水相を分離し、ジクロロメタンにより抽出する。合わせた有機相を洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で溶媒を留去した後、tert−ブチルエリトロ−2−[ヒドロキシ(フェニルメチル]−1−ピロリジンカルボキシレートジアステレオ異性体を主として含有する2.8gの混合物を得、この生成物を次の段階で粗製の形態で使用する。
【0054】
3.2.エリトロ−フェニル(2−ピロリジニル)メタノールトリフルオロ−アセテート
75mlのジクロロメタンと30mlのトリフルオロ酢酸の混合物に溶解した5g(21.99ミリモル)のtert−ブチルエリトロ−2−[ヒドロキシ−(フェニルメチル]−1−ピロリジンカルボキシレートをマグネチックスターラーを備えた250mlの丸底フラスコに入れ、この混合物を撹拌する。これを室温で2時間放置する。
【0055】
この反応混合物を減圧下で蒸発させる。エリトロ−フェニル(2−ピロリジニル)メタノールトリフルオロアセテートを含有する5gの混合物を得、この生成物を次の段階で粗製の形態で使用する。
【0056】
3.3.エリトロ−(1−アリル−2−ピロリジニル)フェニル)メタノール
50mlのアセトニトリルに溶解した5g(17.16ミリモル)のエリトロ−フェニル(2−ピロリジニル)−メタノールトリフルオロアセテート、5.9g(43ミリモル)の炭酸カリウムおよび1.8ml(20.6ミリモル)のアリルブロミドをマグネチックスターラーを備えた250mlの丸底フラスコに入れ、この混合物を室温で16時間撹拌する。
【0057】
減圧下で反応媒体を乾燥するまで蒸発した後、この残渣をアンモニア水とジクロロメタンにより希釈し、水相を分離し、ジクロロメタンにより抽出する。合わせた有機相を洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で溶媒を留去した後、ジクロロメタンとメタノールの混合物により溶離するシリカゲルのカラムクロマトグラフィによりこの残渣を精製する。
【0058】
このようにして、エリトロ−(1−アリル−2−ピロリジニル)フェニル)メタノールを含有する1.1gの混合物を得る。
【0059】
3.4.エリトロ−[(1−アリル−2−ピロリジニル)フェニル)メチル]−アミン
15mlのテトラヒドロフランに溶解した1.1g(5.06ミリモル)のエリトロ−1−(アリル−2−ピロリジニル)−フェニルメタノールと1.6g(6.07ミリモル)のトリフェニルホスフィンをマグネチックスターラーを備えた100mlの三ツ口フラスコの中に窒素雰囲気下で導入する。ベンゼン中の6mlのアジ化水素酸の1M溶液(6ミリモル)を添加する。10mlのテトラヒドロフラン中の1.09ml(0.56ミリモル)のジソプロピルカルボジイミドの溶液をこの溶液に滴加する。この混合物を40℃で16時間加熱し、次に1.3g(5.06ミリモル)のトリフェニルホスフィンを添加し、この混合物を30分間撹拌し、次に0.6mlの水を添加し、撹拌を6時間継続する。
【0060】
生成する混合物を1N塩酸により加水分解し、クロロホルムにより希釈する。この水相をアンモニア水により塩基性とし、クロロホルムにより数回抽出する。合わせた有機相を洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で溶媒を留去した後、トレオ−[(1−アリル−2−ピロリジニル)フェニルメチル]アミンを含有する1gの橙色オイルを得、この生成物を次の段階で粗製の形態で使用する。
【0061】
3.5.トレオ−N−[(1−アリル−2−ピロリジニル)フェニルメチル]−2−クロロ−3−トリフルオロメチルベンズアミド
実施例1.5に述べた手順によって、1g(4.62ミリモル)のトレオ−[(1−アリル−2−ピロリジニル)フェニル)メチル]アミン、1.13g(4.62ミリモル)の2−クロロ−3−トリフルオロメチルベンゾイルオキシクロリドおよび0.64g(4.62ミリモル)の炭酸カリウムから出発して、結晶化する20mgのオイルを得る。
【0062】
融点:117−123℃。
【実施例4】
【0063】
(化合物4)
3−(アミノスルホニル)−4−クロロ−N−[(S)−[(2S)−1−メチル−2−ピロリジニル](フェニル)メチル]ベンズアミドヒドロクロリド1:1
【0064】
4.1.エチル2−[(ベンジルオキシ)イミノ]フェニルメチル−1−ピロリジンカルボキシレート
30mlのエタノールに溶解した1.36g(5.5ミリモル)のエチル2−ベンゾイルオキシ−1−ピロリジン−カルボキシレートをマグネチックスターラーを備えた100mlの丸底フラスコの中に入れ、1.75g(10.96ミリモル)のベンジルヒドロキシルアミンヒドロクロリドを添加し、この混合物を12時間還流させる。減圧下で溶媒を留去した後、この残渣をエチルアセテートに溶かし、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で蒸発させる。1.95gの黄色オイルを得、この生成物をエチルアセテートとシクロヘキサンの混合物により溶離するシリカゲルのカラムクロマトグラフィによりこの残渣を精製する。
【0065】
1.56gの生成物を得る。
【0066】
4.2.エチル(S)−2−[(S)−アミノ(フェニル)メチル]−1−ピロリジンカルボキシレートとエチル[フェニル−(2−ピロリジニル)メチル]カーバメート
1.56g(4.43ミリモル)のエチル[(ベンゾイルオキシ)イミノ]−フェニルメチル−1−ピロリジンカルボキシレートを250mlのParrフラスコ中の40mlのエタノールと8mlの1N塩酸の中に導入し、0.15gの10%パラジウム/Cを添加し、この混合物を水素雰囲気下に7時間置く。
【0067】
触媒を濾別し、減圧下で濾液した後、この残渣をアンモニア水とジクロロメタンにより希釈し、水相を分離し、ジクロロメタンにより抽出する。合わせた有機相を洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で溶媒を留去した後、エチル(S)−2−[(S)−アミノ(フェニル)メチル]−1−ピロリジンカルボキシレートとエチル[フェニル−(2−ピロリジニル)メチル]カーバメートを含んでなる1gの混合物を得、この生成物を次の段階で粗製の形態で使用する。
【0068】
4.3.[(S)−[(2S)−(1−メチル−2−ピロリジニル)]フェニル−メチル]アミン
20mlの無水エーテルに0℃で溶解したエチル(S)−2−[(S)−アミノ(フェニル)メチル]−1−ピロリジンカルボキシレートとエチル[フェニル(2−ピロリジニル)メチル]カーバメートを含んでなる1g(4ミリモル)の混合物を窒素雰囲気下でマグネチックスターラーを備えた100mlの丸底フラスコの中に導入する。0.8g(21ミリモル)の水素化リチウムアルミニウムを小分けして添加し、この混合物を5時間還流させる。
【0069】
冷却後、この混合物を0.8mlの水、0.8mlの15%水酸化ナトリウムおよび2.4mlの水により順次治療する。
【0070】
セライト(登録商標)により濾過した後、この濾液を減圧下で濃縮する。得られる残渣(0.7g)をジクロロメタン、メタノールおよびアンモニア水の混合物により溶離するシリカゲルのカラムクロマトグラフィにより精製する。0.12gの生成物を黄色オイルの形態で得る。
【0071】
4.4.3−(アミノスルホニル)−4−クロロ−N−[(S)−[(2S)−1−メチル−2−ピロリジニル](フェニル)メチル]ベンズアミドヒドロクロリド1:1
実施例2の述べた手順によって、0.12g(0.63ミリモル)の[(S)−[(2S)−(1−メチル−2−ピロリジニル)]フェニルメチル]アミン、0.12g(0.63ミリモル)の1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチル−カルボジイミドヒドロクロリド、0.085g(0.63ミリモル)のヒドロキシベンゾトリアゾールおよび0.14g(0.63ミリモル)の4−クロロ−3−スルホニル安息香酸から出発し、後処理とジクロロメタンとメタノールの勾配を付けたシリカゲルのクロマトグラフィによる精製後、0.12gの3−(アミノスルホニル)−4−クロロ−N−[(S)−[(2S)−1−メチル−2−ピロリジニル](フェニル)メチル]ベンズアミドを得る。
【0072】
この生成物を数mlの2−プロパノールに溶解し、20mlの2−プロパノール中の塩化水素の0.1N溶液を添加し、溶媒の容積を低減させるために、この混合物を減圧下で濃縮する。摩砕後、最終的に0.09gのヒドロクロリドを白色固体の形態で単離する。
【0073】
融点:165−170℃。
【実施例5】
【0074】
(化合物5)
エリトロ−4−アミノ−3−クロロ−N−[1−メチル−2−ピロリジニル]−(フェニル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)ベンズアミドヒドロクロリド1:1
【0075】
5.1.エチルエリトロ−[アジド(フェニル)メチル]−1−ピロリジン−カルボキシレート
150mlのテトラヒドロフランに0℃で溶解した2.9g(11.6ミリモル)のエチルトレオ−[ヒドロキシ(フェニル)−メチル]−1−ピロリジンカルボキシレートをマグネチックスターラーを備えた500mlの丸底フラスコの中にアルゴン雰囲気下で導入する。4.57g(17.4ミリモル)のトリフェニルホスフィンと35ミリモルのトルエン中のアジ化水素酸の溶液を添加する。2.74ml(17.4ミリモル)のエチルアジドジカルボキシレートを滴加し、この混合物を24時間撹拌する。
【0076】
1N水酸化ナトリウムを添加し、この混合物をエチルアセテートに溶かす。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で蒸発する。10gの残渣を得、シクロヘキサンとエチルアセテートの勾配付きのシリカゲルのクロマトグラフィにより精製する。このように、1.17gのエチルエリトロ−[アジド(フェニル)メチル]−1−ピロリジンカルボキシレートを得る。
【0077】
5.2.エリトロ−[(1−メチル−2−ピロリジニル)フェニル)メチル]−アミン
0.8g(21.32ミリモル)の水素化リチウムアルミニウムをアルゴン下でマグネチックスターラーを備えた100mlの三ツ口フラスコ中の25mlのテトラヒドロフランに入れ、10mlのテトラヒドロフラン中の1.17g(4.26ミリモル)のエチルエリトロ−[アジド(フェニル)メチル]−1−ピロリジンカルボキシレートの溶液を添加し、この混合物を70℃で2時間加熱する。
【0078】
冷却後、この混合物を0.8mlの水、0.8mlの15%水酸化ナトリウムおよび2.4mlの水により順次処理する。
【0079】
セライト(登録商標)により濾過した後、この濾液を減圧下で蒸発させ、この残渣をジクロロメタン、メタノールおよびアンモニア水の混合物によるシリカゲルのクロマトグラフィによって精製する。このようにして、0.16gのエリトロ−[(1−メチル−2−ピロリジニル)フェニル)−メチル]アミンと0.15gの[メチルフェニル(2−ピロリジニル)メチル]アミンを得る。
【0080】
5.3.エリトロ−4−アミノ−3−クロロ−N−[1−メチル−2−ピロリジニル](フェニル)メチル]−5−(トリフルオロメチル)−ベンズアミドヒドロクロリド1:1
実施例2に述べた手順によって、0.073g(0.38ミリモル)のエリトロ−(1−メチル−2−ピロリジニル)]フェニル)メチル]アミン、0.074g(0.38ミリモル)の1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチル−カルボジイミドヒドロクロリド、0.052g(0.38ミリモル)のヒドロキシベンゾトリアゾールおよび0.092g(0.63ミリモル)の4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチル安息香酸から出発し、後処理とジクロロメタンとメタノールの勾配を付けたシリカゲルのクロマトグラフィにより精製後、0.089gのエリトロ−4−アミノ−3−クロロ−N−[1−メチル−2−ピロリジニル](フェニル)メチル]−5−(トリフルオロ−メチル)ベンズアミドを得る。
【0081】
この生成物を数mlの2−プロパノールに溶解し、20mlの2−プロパノール中の塩化水素の0.1N溶液を添加し、溶媒の容積を低減させるために、この混合物を減圧下で濃縮する。摩砕後、最終的に0.07gのヒドロクロリドを白色固体の形態で単離する。
【0082】
融点:130−140℃。
【実施例6】
【0083】
(化合物6)
3−(アミノスルホニル)−4−クロロ−N−[(R)−[(2S)−1−メチル−2−ピロリジニル](フェニル)メチル]ベンズアミドヒドロクロリド1:1
実施例5の合成方法を用い、キラルトレオアミノアルコールのエチル(2S)−2−[2−(S)−ヒドロキシ(フェニル)メチル]−1−ピロリジンカルボキシレートから出発して、0.12gの3−(アミノスルホニル)−4−クロロ−N−[(R)−[(2S)−1−メチル−2−ピロリジニル](フェニル)メチル]ベンズアミドヒドロクロリド1:1を得る。
【0084】
融点:190−192℃。
【実施例7】
【0085】
(化合物7)
エリトロ−2−クロロ−N−[(R)−[(2S)−1−メチル−2−アゼパニル]−(フェニル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミドヒドロクロリド1:1
【0086】
7.1.tert−ブチル2−[ヒドロキシ(フェニル)メチル]−1−アゼパン−カルボキシレート
30mlの無水エーテルに−75℃で溶解した5g(25.09ミリモル)のtert−ブチル1−アゼパンカルボキシレートと3.8ml(25.09ミリモル)のテトラメチレンジアミンをアルゴン雰囲気下でマグネチックスターラーを備えた250mlの三ツ口フラスコの中に入れる。21ml(27.60ミリモル)のシクロヘキサン中の1.3Msec−ブチルリチウムを滴加する。温度を3時間かけて−50℃まで上昇させる(溶液A)。
【0087】
3.8ml(37.63ミリモル)の10mlの無水エーテル中のベンズアルデヒド(溶液B)をアルゴン雰囲気下でマグネチックスターラーを備えた250mlの丸底フラスコの中に入れる。この2つの溶液を−75℃まで冷却し、温度を制御しながら、溶液Aを溶液Bの中に導入する。この添加の終わりで、この混合物を室温まで温め、一晩撹拌する。
【0088】
飽和塩化アンモニウム溶液により加水分解した後、この水相を分離し、エチルアセテートにより抽出する。合わせた有機相を洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で溶媒を留去した後、エチルアセテートとシクロヘキサンの混合物により溶離するシリカゲルのカラムクロマトグラフィによりこの残渣を精製する。
【0089】
このようにして、2gのtert−ブチル2−[ヒドロキシ(フェニル)メチル]−1−アゼパン−カルボキシレートを得る。
【0090】
7.2.(1−メチル−2−アゼパニル)フェニルメタノール
1.2g(32.74ミリモル)の水素化リチウムアルミニウムをマグネチックスターラーを付け、コンデンサーを搭載した100mlの二口フラスコ中の10mlのテトラヒドロフランに窒素雰囲気下で懸濁させる。10mlのテトラヒドロフラン中の2g(6.55ミリモル)のtert−ブチル2−[ヒドロキシ(フェニル)メチル]−1−アゼパンカルボキシレートの溶液を滴加し、混合物を5時間還流させる。
【0091】
冷却後、5.5mlの0.1M酒石酸ナトリウムのカリウムの溶液を添加し、この混合物を室温で一晩撹拌する。
【0092】
不溶性物質を減圧下で濾別し、テトラヒドロフランによりすすいだ後、濾液を減圧下で濃縮する。1.36gのオイルを得、この生成物をジクロロメタン、メタノールおよびアンモニア水の混合物により溶離するシリカゲルのカラムクロマトグラフィにより精製する。
【0093】
0.95gの(1−メチル−2−アゼパニル)フェニルメタノールを得る。
【0094】
7.3.[(1−メチル−2−アゼパニル)フェニル)メチル]アミン
20mlのジクロロメタンに0℃で溶解した0.95g(4.33ミリモル)の(1−メチル−2−アゼパニル)フェニル)メタノールと0.6ml(4.33ミリモル)のトリエチルアミンをマグネチックスターラーを備えた100mlの丸底フラスコに窒素雰囲気下で入れる。0.34mlのメシルクロリドを添加し、この混合物を室温で3時間撹拌する。
【0095】
溶媒を減圧下で留去した後、この残渣を20mlのエタノールに溶かし、−50℃まで冷却したオートクレーブ中の液化アンモニアの溶液に添加する。オートクレーブを閉じ、この混合物を室温で48時間撹拌する。
【0096】
この反応混合物を水とジクロロメタンにより希釈する。水相をジクロロメタンにより3回抽出する。合わせた有機相を洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で溶媒を留去した後、1.7gの[(1−メチル−2−アゼパニル)フェニル)メチル]アミンを得、この生成物を次の段階で粗製の形態で使用する。
【0097】
7.4.エリトロ−2−クロロ−N−(1−メチル−2−アゼパニル)(フェニル)−メチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミドヒドロクロリド1:1
実施例2に述べた手順によって、1.7g(7.79ミリモル)の[(1−メチル−2−アゼパニル)フェニル)メチル]アミン、1.49g(7.79ミリモル)の1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドヒドロクロリド、1.05g(7.79ミリモル)のヒドロキシベンゾトリアゾールおよび1.74g(7.79ミリモル)の2−クロロ−3−トリフルオロ安息香酸から出発し、後処理とシリカゲルのクロマトグラフィにより精製後、0.8gのエリトロ−2−クロロ−N−(1−メチル−2−アゼパニル)(フェニル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミドを得る。
【0098】
この生成物を数mlの2−プロパノールに溶解し、20mlの2−プロパノール中の塩化水素の0.1N溶液を添加し、溶媒の容積を低減させるために、この混合物を減圧下で濃縮する。摩砕後、最終的に0.48gのヒドロクロリドを固体の形態で単離する。
【0099】
融点:124−126℃。
【0100】
下記の表1は本発明の多数の化合物の化学構造と融点を示す。「塩」の欄中、「−」は塩基の形態の化合物を表し、「HCl」はヒドロクロリドを表し、「tfa」はトリフルオロアセテートを表す。
【0101】
化合物7はエリトロ(7.5)とトレオ(2.5)の混合物の形態で存在する。
【0102】
【表1】


【0103】
本発明に記載の化合物を治療的に活性な物質として価値を実証する一連の薬理学的試験にかけた。
【0104】
天然ヒトトランスポーターglyt1を発現するSK−N−MC細胞中のグリシン輸送の試験
この試験化合物の存在下、または不在下で組み込まれる放射活性を測定することにより、天然ヒトトランスポーターglyt1を発現するSK−N−MC細胞(ヒト神経上皮性細胞)中の[14C]グリシンの取り込みを試験する。0.02%のフィブロネクチンで前治療したプレート中でこの細胞を単層として48時間培養する。実験日に、この培地を除去し、Krebs−HEPES緩衝液([4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)によりこの細胞をpH7.4で洗浄する。緩衝液(コントロールバッチ)または種々の濃度での試験化合物のいずれかまたは10mMグリシン(非特異的取り込みの定量)の存在下37℃で10分間予備インキュベーションした後、10μMの[14C]グリシン(比活性度112mCi/ミリモル)を添加する。インキュベーションを37℃で10分間継続し、pH7.4のKrebs−HEPES緩衝液により2回洗浄することにより、この反応をクエンチする。次に、100μlの液体シンチレーション物質を添加し、1時間撹拌した後、この細胞により組み込まれる放射活性を評価する。Microbeta Tri−Lux(商標)カウンターで計数を行う。コントロールバッチと10mMのグリシンを受け取ったバッチにより組み込まれる放射活性の差により定義されるグリシンの特異的取り込みを50%だけ低下させる化合物の濃度である、IC50によりこの化合物の効能を求める。
【0105】
この試験においては本発明に記載の化合物は約0.01から10μMのIC50を有する。
【0106】
マウス脊髄ホモジネート中でのグリシンの輸送の試験
試験対象の化合物の存在下または不在下で組み込まれる放射活性を測定することにより、トランスポーターglyt2による[14C]グリシンの取り込みをマウス脊髄ホモジネート中で試験する。
【0107】
この動物(実験日において体重20から25gのオスのOF1 Iffa Credoマウス)を安楽死させた後、各動物の脊髄を迅速に取り出し、秤量し、氷上で貯蔵した。この試料をpH7.4のKrebs−HEPES緩衝液([4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)中で25ml/g・組織の比率でホモゲナイズする。
【0108】
pH7.4のKrebs−HEPES緩衝液と、種々の濃度の試験化合物または10mMのグリシンの存在下で50μlのホモジネートを25℃で10分間予備インキュベーションして、非特異的取り込みを求める。次に、[14C]グリシン(比活性=112mCi/ミリモル)を25℃で10分かけて10μMの最終濃度まで添加する。この反応を真空濾過によりクエンチし、Microbeta Tri−Lux(商標)カウンターで計数することにより、放射活性を固体シンチレーションにより評価する。コントロールバッチと10mMのグリシンを受け取ったバッチにより組み込まれる放射活性の差により定義されるグリシンの特異的取り込みを50%だけ低下させる能力のある濃度であるIC50によりこの化合物の効能を求める。
【0109】
この試験においては本発明に記載の化合物は、約0.01から10μMのIC50を有する。
【0110】
本発明に記載の化合物について行われた試験の結果は、本発明に記載の化合物が脳に存在するグリシントランスポーターglyt1と脊髄中に存在するglyt2の阻害剤であるということを示す。
【0111】
これらの結果は、本発明に記載の化合物が認知症と関連する行動障害、精神病、特に統合失調症(欠損型および増殖型)および神経安定薬により誘起される急性または慢性の錐体外経路系症状の治療、種々の形態の不安、パニック発作、恐怖症、強迫神経症障害の治療、摂食精神病的うつ病を含む種々の形態のうつ病の治療、アルコール乱用またはアルコール離れにより生じる障害、性的行動障害、摂食障害の治療、および偏頭痛の治療に使用され得るということを示唆する。
【0112】
更に、本発明に記載の化合物は、リウマチおよび急性脊髄病変における有痛性筋肉拘縮の治療、延髄または脳起源のけいれん性拘縮の治療、軽度ないし中度の強さの急性および亜急性痛みの対症治療、強いおよび/または慢性的な痛み、神経性の痛みおよび難治性痛みの治療、神経変性起源の、または神経安定薬により誘起されるパーキンソン疾患およびパーキンソン様症状の治療、別な抗てんかん治療に加えて、または単剤治療での単純なまたは複雑な症状の部分的な一次および二次の全般的てんかん、混合型および他のてんかん症候群の治療、睡眠時無呼吸の治療、および神経保護に使用され得る。
【0113】
従って、本発明の主題は、有効な用量の本発明の少なくとも1つの化合物を塩基または医薬的に許容される塩または溶媒和物の形態で、適切な場合には好適な賦型剤との混合物として含有する医薬組成物でもある。
【0114】
上記の賦型剤は医薬用剤形と所望の投与方式により選択される。
【0115】
このように、本発明の医薬組成物は、経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、局所、気管内、鼻腔内、経皮、直腸または眼球内の投与用に意図され得る。
【0116】
この単位投与形は、例えば錠剤、ゲルカプセル、顆粒、粉末、経口または注射用溶液またはサスペンジョン、経皮的パッチまたは座薬であり得る。ポマード、ローションおよび点眼薬は局所用投与用に想定され得る。
【0117】
前記単位形は、ガレン薬形によれば体重1kg当たり0.01から20mgの活性成分の1日当たりの投与を可能とするように服用される。
【0118】
錠剤を調製するためには、希釈剤、例えばラクトース、微結晶性セルロースまたはでんぷん、および製剤補助剤、例えばバインダー(ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、滑剤、例えばシリカ、および潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、グリセリルトリベヘネートまたはナトリウムステアリルフマレートからなることを得る医薬用ビヒクルが微粉化された、または非微粉化された活性成分に添加される。湿潤剤または界面活性剤、例えばナトリウムラウリルサルフェートも添加され得る。
【0119】
製剤法は直接打錠、乾式顆粒化、湿式顆粒化または熱融解であり得る。
【0120】
この錠剤はプレーンであるか、糖被覆された、例えばサッカロースにより被覆された、または種々のポリマーまたは他の好適な材料により被覆され得る。これらは、被膜中で使用されるポリマーマトリックスまたは特定のポリマーによって活性成分の急速な放出、持続的な放出、または遅延された放出が可能となるように設計され得る。
【0121】
ゲルカプセルを調製するためには、活性成分を乾燥医薬用ビヒクル(単純混合、乾式または湿式顆粒化、または熱融解)、液体または半固体医薬用ビヒクルと混合する。
【0122】
このゲルカプセルは、フィルム被膜付きまたは無しで硬質または軟質であって、急速な活性、持続的な活性、または遅延された活性(例えば、腸溶性の形態のために)を有することを得る。
【0123】
シロップまたはエリキシル剤の形態の組成物、またはドロップの形態の投与用の組成物は、甘味料、好ましくはカロリーの無い甘味料、防腐剤としてメチルパラベンまたはプロピルパラベン、香味料および染料と一緒に活性成分を含有し得る。
【0124】
この水分散性の粉末および顆粒は、活性成分を分散剤または湿潤剤との混合物またはポリビニルピロリドンなどの分散剤として、また甘味料および調味料との混合物としても含有し得る。
【0125】
直腸投与には、直腸温度で融解するバインダー、例えばココアバターまたはポリエチレングリコールにより調製される座薬が使用される。
【0126】
薬理学的に適合性の分散剤および/または湿潤剤、例えばプロピレングリコールまたはブチレングリコールを含有する水性サスペンジョン、等張性塩溶液または注射用無菌溶液が非経口的投与に使用される。
【0127】
この活性成分は、場合によっては1つまたはそれ以上の担体または添加物と共に、または別法としてはポリマーマトリックスまたはシクロデキストリン(経皮的パッチ、徐放性の形態)と共にマイクロカプセルの形態でも配合され得る。
【0128】
本発明による局所用組成物は皮膚と適合性のある媒体を含んでなる。これらは、特にクリームまたはゲル、ミクロエマルジョンまたはエアロゾルの外観を有する水性、アルコール性または水性−アルコール性の溶液、ゲル、オイル中水エマルジョンまたは水中オイルエマルジョンの形態のものであり、または別法としてはイオン性および/または非イオン性の脂質を含有する小胞性ディスパージョンの形態のものであり得る。これらのガレン薬形は考慮対象の分野の通常の方法により調製される。
【0129】
最後に、本発明による医薬組成物は、一般式(I)の化合物と一緒に、上記に示した障害および疾患の治療に有用であり得る他の活性成分を含有し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(式中、
nは数1または3を表し、
は水素原子、1つまたはそれ以上のフッ素原子により場合によっては置換されている直鎖または分岐の(C−C)アルキル基、(C−C)シクロアルキル基、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル基、1または2つのメトキシ基により場合によっては置換されているフェニル(C−C)アルキル基、(C−C)アルケニル基、または(C−C)アルキニル基を表し、
Xは水素原子、またはハロゲン原子およびトリフルオロメチルおよび直鎖または分岐の(C−C)アルキルおよび(C−C)アルコキシ基から選択される1つまたはそれ以上の置換基のいずれかを表し、
は水素原子、またはハロゲン原子およびトリフルオロメチル、直鎖または分岐の(C−C)アルキルおよび(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルキル、フェニル、シアノ、アセチル、ベンゾイル、S(C−C)アルキル、(C−C)アルキルスルホニル、カルボキシルおよび(C−C)アルコキシカルボニルの基から選択される1つまたはそれ以上の置換基、または一般式NR、SONRまたはCONR(式中、RとRは、相互に独立に、水素原子もしくは直鎖または分岐の(C−C)アルキルまたは(C−C)シクロ−アルキル基を表し、またはこれらを担持する窒素原子と共に、ピロリジン、ピペリジンまたはモルホリン環を形成する)のいずれかを表す)
に対応する、塩基または酸付加塩の形態の化合物。
【請求項2】
トレオ相対立体配置(1S,2S;1R,2R)のものであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
(1S,2S)立体配置のものであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
(1R,2R)立体配置のものであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
エリトロ相対立体配置(1S,2R;1R,2S)のものであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
(1R,2S)立体配置のものであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
(1S,2R)立体配置のものであることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか一つに記載の化合物からなることを特徴とする、薬剤。
【請求項9】
賦型剤と組み合わされて請求項1から5のいずれか一つに記載の化合物を含有することを特徴とする、医薬組成物。
【請求項10】
認知症と関連する行動障害、精神病、種々の形態の不安、パニック発作、恐怖症、強迫神経症障害、種々の形態のうつ病、アルコール乱用またはアルコール離脱により生じる障害、性的行動障害、摂食障害および偏頭痛を治療するための薬剤を調製するのための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項11】
拘縮、痛み、パーキンソン疾患およびパーキンソン様症状、てんかん、混合型および別な抗てんかん治療に加えて、または単剤療法における他のてんかん症候群、および睡眠時無呼吸を治療するためおよび神経保護のための薬剤を調製するための、請求項1に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2007−508362(P2007−508362A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534801(P2006−534801)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002644
【国際公開番号】WO2005/037785
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】