説明

N末端でモノペグ化されたヒト成長ホルモンコンジュゲート、それらの調製のための方法、およびそれらの使用法

本発明は、ポリエチレングリコールのブチルアルデヒド部分をヒト成長ホルモン(hGH)のN末端のフェニルアラニンに結合させることにより調製された、化学的に修飾された該タンパク質を提供する。本発明に従って化学的に修飾されたタンパク質は、未修飾hGHの値よりずっと長く持続するhGH活性を有すると思われ、低減した用量および治療計画による治療回数を可能にする。本発明はまた、成長ホルモンの使用が有益である疾患または障害の治療および/または予防のための使用法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年2月4日に提出された米国特許出願第10/771895号に対する優先権を主張し、同文献を本明細書に記載されているかのようにその全内容において参照として援用する。
【0002】
発明の技術分野
[001]本発明は、hGHおよびそのアゴニスト変異体のペグ化(PEGylation)を含む化学的修飾に関し、それによりヒト成長ホルモン(hGH)の化学的および/または生理学的特性を変えることができる。ペグ化hGHは、増加した血漿滞留時間、減少したクリアランス速度、改善された安定性、減少した抗原性、減少したペグ化の不均一性、またはそれらの組み合わせを有しうる。本発明はまたhGHの修飾のための方法に関する。加えて本発明は、修飾されたhGHを含有する医薬組成物に関する。さらなる態様は、成長および発達の障害の治療のための修飾されたhGHの使用である。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
[002]ヒト成長ホルモン(hGH)は、2つのジスルフィドの架橋で架橋された1本鎖の191アミノ酸を包含するタンパク質であり、そのモノマーの形は分子量22kDaを有する。ヒトGHは下垂体により分泌され、これはまた組み換え遺伝子工学により製造することもできる。hGHは成長することのできるすべての体組織において成長を引き起こす。hGHは人の成長期における成長を促進するだけでなく、正常な体組成、同化作用、および脂質代謝を維持する上で重要な役割を担っている(K. Barneis. And U. Keller, Baillieres Clin. Endocrinlo. Metab. 10:337 (1996))。
【0004】
[003]組み換えhGHは、数年間に市販により入手できるようになった。2つのタイプの治療上有用な組み換えhGH調製剤が市場に出ている:天然のタイプ、例えばGenotropin(登録商標)またはNuropin(登録商標)、およびN末端に付加的なメチオニン残基を伴う類似体、例えばSomatonorm(登録商標)が挙げられる。hGHは、成長ホルモン分泌不全症(GHD)ともいう下垂体機能低下性小人症、またはターナー症候群の患者における身長増加(軸方向の成長)を刺激するために使用されるが、在胎期間に対して低身長で生まれた小児(SGA)における成長不全の長期治療、プラダーウィリー症候群(PWS)、慢性腎不全(CRI)、AIDSによる消耗、及び加齢の患者の治療のためを含む、それ以外の適用もまた示唆された。成人成長ホルモン分泌不全症(aGHD)の患者は様々な問題、例えば脂肪量の増加、除脂肪体重および細胞外液の減少、および骨密度の低下、脂質代謝異常、ならびに心血管の機能不全を含む、体組成の特徴的な変化を有する。これらの問題の多くは、hGH補充療法により改善される(J. Verhelst J and R. Abs. Drugs.;62:2399 (2002))。
【0005】
[004]成長ホルモン(GH)の主な生物学的効果は、若い哺乳動物における成長の促進、およびより年齢の高い哺乳動物の組織の維持である。影響を受ける器官系は、骨格、結合組織、筋肉、および内臓、例えば肝臓、腸、および腎臓を含む。成長ホルモンは、標的細胞の膜上の特異的な受容体との相互作用と通してそれらの効果を及ぼす。hGHは、胎盤性ラクトゲン、プロラクチン、および成長ホルモンのその他の遺伝子および種による変異体を含む相同のホルモンのファミリーの一員である(Nicoll, C. S., et al. (1986) Endocrine Reviews 7: 169)。hGHはこれらの中で、それが広範囲の種に対して特異性を呈し、クローン化した成長ホルモン受容体(somatogenic receptor)(Leung, D. W., et al. [1987] Nature 330; 537)、またはプロラクチン受容体(Boutin, J. M., et al. [1988] Cell; 53: 69)のいずれかと結合するという点で、変わっている。hGHに関するクローン化遺伝子は、大腸菌において分泌型にて発現され(Chang, C. N., et al. [1987] Gene 55:189)、そのDNAおよびアミノ酸配列が報告されている(Goeddel, et al. [1979) Nature 281: 544; Gray, et al. [1985] Gene 39:247)。
【0006】
[005]ヒト成長ホルモン(hGH)は、正常なヒトの成長および発達の調節の多くに関与する。この下垂体性ホルモンは、身長増加(成長促進作用(somatogenesis))、乳汁分泌、マクロファージの活性化、インスリン様効果および特に糖尿病誘発性効果を含む、多数の生物学的効果を呈する(Chawla, R, K. (1983) Ann. Rev. Med. 34, 519; Edwards, C. K. et al. (1988) Science 239, 769; Thomer, M. 0., et al. (1988) J. Clin. Invest. 81:745)。小児における成長ホルモン分泌不全は小人症をもたらすが、この疾患はhGHの体外からの投与により10年以上の間治療が成功してきた。
【0007】
[006]成人においても小児と同様に、hGHは窒素保持の増加および骨格筋の成長の刺激により、そして体脂肪の動員により正常な体組成を維持している。内臓脂肪組織は特にhGHに応答する。増加する脂肪分解に加えて、hGHは体脂肪貯蔵へのトリグリセリドの取り込みを低下させる。IGF−I(インスリン様成長因子−I)およびIGFBP3(インスリン様成長因子結合タンパク質3)の血清濃度は、hGHにより増加する。
【0008】
[007]ヒト成長ホルモン(hGH)は、191アミノ酸から成る単鎖ポリペプチド(分子量 21,500)である。ジスルフィド結合は、53および165の位置、ならびに183および189の位置を架橋する。Niall, Nature, New Biology, 230:90 (1971)。hGHは、特に窒素、リン、カリウムおよびカルシウムの保持による、効力のある同化作用物質である。下垂体切除したラットのGHによる処置は、ラットの成長速度の少なくとも一部を回復することができる。Moore et al., Endocrinology 122:2920-2926 (1988)。その中で下垂体機能低下症(GH欠損)の被験者における最も著しい効果は、骨端軟骨の加速された軸方向の成長、その結果としての身長増加である。Kaplan, Growth Disorders in Children and Adolescents (Springfield, IL: Charles C. Thomas, 1964)。
【0009】
[008]hGHは、軸方向の骨の成長、乳汁分泌、マクロファージの活性化、インスリン様効果および糖尿病誘発性効果、等を含む、様々な動物モデルにおける種々の生理学的および代謝的効果を引き起こす。(R. K. Chawla et al., Annu. Rev. Med. 34:519 (1983); 0. G. P. Isaksson et al., Annu. Rev. Physiol. 47, 483 (1985); C. K. Edwards et al., Science 239, 769 (1988); M. 0. Thomer and M. L. Vance, J. Clin. Invest. 82:745 (1988); J. P. Hughes and H. G. Friesen, Ann. Rev. Physiol. 47:469 (1985))。特に閉経後の女性において、GH分泌は年齢と共に下降することが報告された。Millard et al., Neurobiol. Aging, 11:229-235 (1990); Takahashi et al., Neuroendocrinology M, L6- 137-142 (1987)。Rudman et al., J. Clin. Invest., 67:1361-1369 (1981) およびBlackman, Endocrinology and Aging, 16:981 (1987)もまた参照のこと。さらに、減少した徐脂肪体重、脂肪組織量の拡大、および皮膚の菲薄化を含む、加齢を明示するもののいくつかは、週3回のGH治療により低減させることができるという報告がある。例えばRudman et al., N. Eng. J. Med., 323:1-6 (1990)、および同じ雑誌の発行物におけるDr. Vanceによる付随する論文 (pp. 52-54)を参照のこと。これらの生物学的効果は、hGHおよび特異的な細胞の受容体との間の相互作用に由来する。2つの異なるヒト受容体である、hGH肝臓受容体(D. W. Leung et al., Nature 330:537(1987))、およびヒトプロラクチン受容体(J. M. Boutin et al., Mol. Endocrinology. 3:1455 (1989))がクローン化された。しかしヒト胎盤性ラクトゲン受容体を含むこれ以外のものもあるようである(M. Freemark, M. Comer, G. Komer, and S. Handwerger, Endocrinol. 120:1865 (1987))。これらの相同な受容体は、配列およびサイズのかなり異なる、糖鎖結合した細胞外のホルモン結合ドメイン、1回膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインを含有する。1つまたはそれより多くの受容体が、hGHへの生理学的応答において決定的な役割を担うと考えられている。
【0010】
[009]体内に投与された生理学的に活性なタンパク質は、体内におけるそれらの速いクリアランス速度のために、それらの薬理学的活性を短時間の間しか示すことができないことが、一般に観察されている。さらにこれらのタンパク質の相対的な疎水性が、これらの安定性および/または溶解度を限定すると思われる。
【0011】
[0010] 治療用タンパク質のクリアランス速度を低下させ、安定性を改善し、または抗原性を排除する目的のため、タンパク質を水溶性のポリマーを用いて化学的に修飾するといういくつかの方法が提案された。このタイプの化学的修飾は、タンパク質分解酵素を、タンパク質の基幹そのものとの物理的な接触から効果的に遮断し、それにより変性を防ぐと思われる。ある種の水溶性ポリマーを化学的に結合させることは、その分子の増加した流体力学的容積のために、腎クリアランスを効果的に低減すると思われる。付加的な利点として、ある種の環境下での、治療用タンパク質の安定性および循環時間の増加、溶解度の増加、ならびに免疫原性の低下を含む。ポリ(アルケン酸化物)、特にポリ(エチレングリコール)(PEG)は、治療用タンパク質生成物の調製に使用されてきた、1つのそのような化学的部分である(“ペグ化する”という動詞は、少なくとも1つのPEG分子を結合させることを意味する)。ポリ(エチレングリコール)の結合は、タンパク質分解を防ぐことが示されており、Sada, et al., J. Fermentation Bioengineering 71: 137-139 (1991)、ある種のポリ(エチレングリコール)部分を結合させるための方法を利用することができる。1979年12月18日に発行された米国特許第4,179,337号、 Davis et al., "Non-Immunogenic Polypeptides,";および1977年1月11日に発行された米国特許第4,002,531号、 Royer, "Modifying Enzymes with Polyethylene Glycol and Product Produced Thereby,"を参照のこと。まとめとしては、Abuchowski et al.のEnzymes as Drugs (J. S. Holcerberg and J. Roberts, eds. pp. 367-383 (1981))を参照のこと。
【0012】
[0011]他の水溶性ポリマーも使用されており、例えばエチレングリコール/ポリエチレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(−1,3-ジオキソラン)、ポリ (−1,3,6−トリオキサン)、エチレン/マレイン酸無水物コポリマー、ポリ−アミノ酸(ホモポリマーまたはランダムなコポリマーのいずれか)が挙げられる。
【0013】
[0012]ペグ化された治療用タンパク質の数多くの例が記載されてきた。ADAMGEN(登録商標)、すなわちアデノシンデアミナーゼのペグ化製剤は、重症の複合型免疫不全性疾患の治療用として認可されている。ONCASPAR(登録商標)、すなわちペグ化L−アスパラギナーゼは、過敏症のすべての患者の治療用として認可されている。ペグ化スーパーオキシドジスムターゼは、頭部外傷の治療に関する臨床的試みが行われた。ペグ化α−インターフェロン(米国特許5,738,846、5,382,657)は、肝炎の治療用に認可された;ペグ化グルコセレブロシダーゼおよびペグ化ヘモグロビンは、前臨床検査が行われたことが報告されている。もう1つの例は、IL−6に付加したポリ(エチレングリコール)分子を開示する、“Modified hIL-6(修飾hIL−6)”という表題のEF 0 442 724のペグ化IL−6である。
【0014】
[0013]化学的に修飾されたもう1つの具体的な治療用タンパク質は、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)である。G−CSFは好中性顆粒球の急速な増殖および血流への放出を誘導し、それにより感染と戦う上での治療効果を提供する。1990年12月12日に公開された"Chemically Modified Granulocyte Colony Stimulating Factor"という表題の欧州特許出願EP 0 401 384は、ポリ(エチレングリコール)分子を結合させるG−CSFを調製するための材料および方法について記載している。修飾されたG−CSFおよびその類似体はまた、水溶性のパーティクルポリマー、例えばポリ(エチレングリコール)との共有結合によりコンジュゲート化した様々なG−CSFおよび誘導体の使用について述べている、"Continuous Release Pharmaceutical Compositions Comprising a Polypeptide Covalently Conjugated To A Water Soluble Polymer"という表題の、1992年3月4日に公開されたEP 0 473 268においても報告されている。ヒト顆粒球コロニー刺激因子活性を有する修飾ポリペプチドが、1989年10月4日に公開されたEP 0 335423に報告されている。米国特許5,824,784に提供されているのは、タンパク質またはその類似体をN末端で修飾するための方法、および新規のN末端で化学的に修飾されたG−CSF組成物を含む、結果として得られる組成物である。米国特許5,824,778は化学的に修飾されたG−CSFを開示している。
【0015】
[0014]ポリ(エチレングリコール)に関して、ポリ(エチレングリコール)分子をタンパク質に結合させるために様々な手段が使用されてきた。一般にポリ(エチレングリコール)分子はタンパク質上に見出される反応基を介してタンパク質に接続される。
【0016】
[0015]アミノ基、例えばリジン残基上またはN末端のアミノ基は、そのような結合に都合がよい。例えばRoyer (米国特許第4,002,531号、上に記載)は、ポリ(エチレングリコール)分子の酵素への結合のために還元的アルキル化を使用したと述べている。Chamow et al., Bioconjugate Chem. 5: 133-140 (1994)は、還元的アルキル化を介してモノメトキシポリ(エチレングリコール)アルデヒドを用いてのCD4イムノアドヘシンの修飾を報告している。同著者らは、ペグ化の程度をコントロールできる条件下で、50%のCD4―IgがMePEG修飾されたと報告している。同文献137ページ。同著者らはまた同文献において、修飾CD4−Ig(タンパク質gp 120に対して)のin vitro の結合能力は、MePEG化の程度に相関した比率で減少したと報告している。1990年2月27日に発行された米国特許第4,904,584号、Shawは、反応性のアミノ基を介してのポリ(エチレングリコール)分子の結合に関する、タンパク質中の一定数のリジン残基の修飾に関する。
【0017】
[0016]WO 93/00109は、3日またはそれより多くの日数の間、継続的な有効な血漿GH濃度を維持することを包含する、哺乳動物または鳥類のGH応答性組織を刺激するための方法に関する。そのような血漿濃度を達成する1つの方法は、マクロ分子の物質、例えばPEG(ポリエチレングリコール)とカップルさせたGHの使用によるものであると述べられている。マクロ分子の物質とのカップリングは、改善された半減期をもたらすと述べられている。ペグ化ヒト成長ホルモンは、WO 93/00109において、mPEGアルデヒド−5000およびmPEG N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル(mPEG−NHS−5000)を使用して報告された。mPEG−NHSの使用は、hGHの多重にペグ化された形での不均一な混合物を得ることになった。WO 93/00109はまた、システインhGH変異体をペグ化するためのmPEG−マレイミドの使用を開示している。
【0018】
[0017]WO 99/03887は、ペグ化されたシステイン変異体成長ホルモンを開示している。BT−005と呼ばれるこのコンジュゲートは、成長不ホルモン分泌不全ラットにおける体重増加を刺激する上でより有効であり、そしてhGHより長い半減期を有することを意図する。
【0019】
[0018]ペグ化ヒト成長ホルモンはまた、カルボキシメチル化したPEGのスクシンイミジルエステルを用いて、Clark et al.(Journal of Biological Chemistry 271:21969-21977, 1996)にて報告された。Clarkらは、第1級アミンに対して選択的にコンジュゲート化するmPEG−NHS−5000を用いての、増大したサイズのhGHの誘導体について記載している。PEG修飾のレベルの増加は、その受容体へのアフィニティーを低下させ、細胞に基づいたアッセイにおけるEC50を1500倍まで上昇させた。Olson et al., Polymer Preprints38:568-569, 1997は、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)PEGおよびスクシンイミジルプロピオネート(SPA)PEGの使用は、多重にペグ化されたhGH種を得ることになると開示している。
【0020】
[0019]WO 94/20069は、経肺送達のための製剤の一部分としてペグ化hGHを開示している。
[0020]米国特許4,179,337は、生理学的に活性な非免疫原性の水溶性ポリペプチドコンジュゲートを得るための、酵素およびホルモンをペグ化する方法を開示している。GHはペグ化するホルモンの一例として述べられている。
【0021】
[0021]EP 458064 A2は、ソマトトロピン中に導入されたまたは天然に存在するシステイン残基のペグ化を開示している。EP 458064 A2はさらに、野生型ウシソマトトロピンの102−112残基に位置すると言われるオメガループと呼ばれるループ中に2つのシステイン残基を組み込むことについて述べている。より具体的にはEP 458064 A2は、ウシソマトトロピンの102番から112番の残基の各々SerからCysへ、およびTyrからCysへの置換を開示している。
【0022】
[0022]WO 95/11987は、親分子に存在する、または部位特異的変異誘発により導入されたいずれかのシステイン残基のチオ基へのPEGの結合を提案している。WO 95/11987は、プロテアーゼであるネキシン−1のペグ化に関するが、hGHおよびその他のタンパク質の一般的なペグ化も同様に提案している。
【0023】
[0023]WO 99/03887は、例えば、25番セリン残基への付加的なcysの挿入、および導入されたシステイン残基にPEGを結合させることにより修飾された成長ホルモンを開示している。
【0024】
[0024]WO 00/42175は、PEGの結合のためのフリーのシステイン残基を含有するタンパク質を作成するための方法に関する。WO 00/42175は、hGHの以下の変異タンパク質:T3C、S144CおよびT148C、ならびにそのシステインのペグ化について開示している。
【0025】
[0025]WO 97/11178(ならびにUS 5849535、US 6004931、およびUS 6022711)は、hGHのアゴニストまたはアンタゴニストとしてのGH変異体の使用に関する。WO 97/11178はまた、リジンのペグ化、およびリジンの導入または置換(例えばK168AおよびK172R)を含むhGHのペグ化を開示している。WO 97/11178はまた、置換 G120Kを開示している。
【0026】
[0026]WO 03/044056は、分枝鎖40K PEGアルデヒドhGHコンジュゲートを含む、様々なペグ化hGH種を開示している。
[0027]ペグ化hGHのこれまでの報告は複数のPEGの結合を必要としており、これは望ましくない不均一な生成物を得ることになるが、記載されている腎臓濾過のカットオフ値である70K分子量より大きな流体力学的体積を得るためである(Knauf, M.J. et al, J. Biol. Chem. 263: 15064-15070, 1988)。
【0027】
[0028]rhGHの現行の投与は毎日、長期間の間行われ、そのためより低頻度の投与が大いに望まれることになる。より長い循環半減期を有するhGH分子は、必要な投与回数を減らすことになり、付随する治療効果の向上を伴う、より至適な治療上のhGHレベルを提供する可能性もあるだろう。
【発明の開示】
【0028】
[0029]hGHをペグ化するいくつかの試みにもかかわらず、実現可能な商業製品であるための適当な特性を備えたペグ化hGH分子に対する、満たされていない必要性が今なお存在している。本発明は、他のPEG−hGHコンジュゲートを上回る利点を提供する、大部分がhGHのN末端のフェニルアラニンに結合した単一のPEGを有するPEG−hGHコンジュゲートを提供する。mPEGアルデヒド−5000またはmPEG N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル(mPEG−NHS−5000)を用いて、α−またはε−のアミノ部位(N末端およびhGH中の9つのリジン)に複数の低分子量(5Kd)のPEGを結合させることについて、WO 93/00109、Clark et al. (Journal of Biological Chemistry 271:21969-21977, 1996、および Olson et al. (Polymer Preprints 38:568-569, 1997)に記載された。この方法は不均一な集団を得ることになる。例えば、9つのリジンを有するhGHは、10個の結合したPEGを有する一部の分子、9個を有する一部の分子、8個を有する一部の分子、7個を有する一部の分子、6個を有する一部の分子、5個を有する一部の分子、4個を有する一部の分子、3個を有する一部の分子、2個を有する一部の分子、1個を有する一部の分子、0個を有する一部の分子、を有すると思われる。そしていくつかのPEGを有する分子の内でも、別々の分子ではPEGは同じ位置に結合していないと思われる。この結果としての不均一性は、治療用生成物の開発の際に、コンジュゲートの作成、精製、および特徴づけを困難にし、費用がかかる、非常に再現性が悪いという不利な点となる。もう1つのアプローチ(WO 00/42175)は、PEGの結合のためにフリーのシステイン残基を含有するhGH変異体を使用するものであった。しかしこのアプローチは、正しくないペアのジスルフィド結合を有する、正しく折りたたまれていないタンパク質を生じ、そしてシステインの一部またはすべてに結合したPEGを有する、不均一なペグ化生成物を得ることになり得る。複数の部位に結合した多重のPEGを有することは、PEGおよび多様な部位との間により不安定な結合を有する分子をもたらすと思われ、この分子は異なる比率で解離するようになる可能性がある。このことは、生成物の薬物動態を正確に予測することを困難にし、不正確な投与を行う結果となる。不均一な生成物はまた、治療生成物に関する規定の認可を得る上で、望ましくない問題を抱えることにもなる。
【0029】
[0030]したがって、単一の部位に結合した単一のPEGを有するペグ化hGH分子を有することは望ましいことであろう。本発明はいくつかの方法においてこの必要性に取り組むものである。
【0030】
発明の概要
[0031]本発明は、化学的に修飾されたhGHおよびそのアゴニスト変異体に関し、これらは、減少したクリアランス速度、増加した血漿滞留時間、増加した安定性、改善された溶解度、および減少した抗原性より選択されるがこれに限定されない、少なくとも1つの改善された化学的または生理学的特性を有する。したがってより詳細に以下に記載するように、本発明は、hGHおよびそのアゴニスト変異体を含むがこれに限定されないポリペプチドを化学的に修飾すること、ならびにポリ(エチレングリコール)のブチルアルデヒド部分を用いての具体的な修飾に関するいくつかの側面を有する。
【0031】
[0032]本発明はまた、化学的に修飾されたhGHおよびそのアゴニスト変異体を生成する方法に関する。特に本発明は、N末端への結合より高い選択性を結果的に得られる、ブチルアルデヒドを用いて化学的に修飾されたhGHを生成する方法に関する。
【0032】
[0033]本発明はまた、化学的に修飾されたhGHおよびそのアゴニスト変異体を、単独でまたは別の治療薬と組み合わせて包含する組成物に関する。
[0034]本発明はまた、本発明の化学的に修飾されたhGHおよびそのアゴニスト変異体を、単独でまたは別の治療薬と併用して、GH治療が有用である障害および/または疾患の予防および/または治療において使用することに関する。
【0033】
詳細な説明
[0041]hGHおよびそのアゴニスト変異体は、米国特許4,658,021(メチオニルヒト成長ホルモン −Met−1−191 hGH)および米国特許5,633,352に記載されている、組み換えタンパク質のファミリーの一員である。これらの組み換え産生物および使用法は、米国特許4,342,832、4,601,980;米国特許 4,898,830;米国特許5,424,199;および米国特許5,795,745に詳述されている。
【0034】
[0042]ホスト細胞、例えば組み換え遺伝子技術を用いることにより形質転換またはトランスフェクションした大腸菌および動物の細胞により産生される、あらゆる精製、単離されたhGHまたはそのアゴニスト変異体を、本発明において使用してよい。さらなるhGH変異体については、米国特許6,143,523、および1992年1月11日に公開されたWO 92/09690に記載されている。それらの中で、形質転換した大腸菌により産生されるhGHまたはそのアゴニスト変異体が特に好ましい。そのようなhGHまたはそのアゴニスト変異体は、高い純度および均一性を有する多量の製造にて得てよい。例えば上記のhGHまたはそのアゴニスト変異体は、米国特許4,342,832、4,601,980;米国特許4,898,830;米国特許5,424,199;および米国特許5,795,745に開示された方法に従って調製してよい。“以下のアミノ酸配列を実質的に有する”という用語は、hGHまたはそのアゴニスト変異体の機能において何の不利な非類似性の原因ともならない限り、上記のアミノ酸配列が、1つまたはそれより多くのアミノ酸の変化(欠失、付加、挿入または置換)を含んでもよいことを意味する。少なくとも1つのリジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ペアでないシステイン残基、フリーのN末端のα−アミノ基、またはフリーのC末端のカルボキシル基が含まれるアミノ酸配列を実質的に有する、hGHまたはそのアゴニスト変異体を使用することが、より好ましい。
【0035】
[0043]“hGHポリペプチドまたはhGHタンパク質”という用語は、本明細書において使用する場合、成長期において、そして正常な体組成、同化作用および脂質代謝を維持する上で成長を促進することを特徴とするすべてのhGHポリペプチド、好ましくは哺乳類の種由来のもの、より好ましくはヒトおよびネズミ科の種由来のもの、同様にそれらの変異体、類似体、オーソログ、相同体、および誘導体、ならびにそれらのフラグメントを包含する。好ましくは“hGHポリペプチドまたはhGHタンパク質”という用語は、配列番号1のhGHポリペプチド、ならびに本質的に同じ生物学的活性(成長期において、そして正常な体組成、同化作用および脂質代謝を維持する上で成長を促進する)を本質的に呈する、その変異体、相同体および誘導体をいう。より好ましくは“hGHポリペプチドまたはhGHタンパク質”という用語は、配列番号1のポリペプチドをいう。
【0036】
[0044]“hGHポリペプチド変異体”という用語は本明細書で使用する場合、同一種由来であるが、基準hGHポリペプチドとは異なるポリペプチドをいう。一般に、基準のものと変異体のアミノ酸配列は全体としてほとんど類似し、多くの領域において同一であるように差異は限定される。好ましくはhGHポリペプチドは、基準hGHポリペプチド、好ましくは配列番号1のhGHポリペプチドと、少なくとも70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である。照会(query)アミノ酸配列と少なくとも例えば95%“同一の”アミノ酸配列を有するポリペプチドにより、対象ポリペプチド配列が、照会アミノ酸配列の100個の各アミノ酸当たり5個までのアミノ酸の変更を含んでよいこと以外は、対象ポリペプチドのアミノ酸配列が照会配列と同一であることを意図する。基準配列からのこれらの変更は、基準アミノ酸配列のアミノ末端もしくはカルボキシル末端の位置で、またはこれら両末端の位置の間のあらゆるところ、すなわち基準配列中の残基の間に個別に、または基準配列内の1つまたはそれより多くの連続する基においてのいずれかに散在して起こってもよい。照会配列は、基準配列の全アミノ酸配列でもよいし、または上に記載したように特定されたあらゆるフラグメントでもよい。
【0037】
[0045]そのようなhGHポリペプチド変異体は、天然に起こる変異体、例えばある器官の染色体上の所定の遺伝子座を占有するhGHのいくつか異なる形の1つによりコードされる天然に起こる対立遺伝子の変異体、または1つの最初の転写物を起源とする天然に起こるスプライシングの変異体によりコードされるアイソフォームでもよい。あるいは、hGHポリペプチド変異体は天然に起こることは知られていない、そして当該技術分野に公知の突然変異技術を用いて作成することのできる変異体でもよい。
【0038】
[0046]1つまたはそれより多くのアミノ酸を、生物学的機能を実質的に失うことなく、生態活性なペプチドまたはタンパク質のN末端またはC末端から欠失してよいことは、当該技術分野において公知である(例えばRon et al., (1993), Biol Chem., 268 2984-2988を参照のこと;同開示を本明細書によりその全内容において参照として援用する)。
【0039】
[0047]hGHポリペプチドの一部のアミノ酸配列を、タンパク質の構造または機能への有意な影響を伴わずに変えることができることもまた、当業者に容認されるだろう。そのような突然変異は、活性にほとんど影響を及ぼさないように当該技術分野において公知の一般的な規則に従って選択された、欠失、挿入、反転、繰り返し、および置換を含む。例えば表現型的にサイレントなアミノ酸の置換を行う方法に関する手引書が、Bowie et al. (1990), Science 247:1306-1310(本明細書によりその全内容において参照として援用する)にて提供されており、同文献において同著者らは、変化に対するアミノ酸配列の抵抗性を研究するための2つの主要なアプローチがあることを示している。
【0040】
[0048]第1の方法は、突然変異が天然の選択により受容、または拒絶のいずれかとされる、進化の過程に依存する。第2のアプローチは、クローン化hGHにより具体的な位置にアミノ酸の変化を導入するための遺伝子工学、および機能性を維持している配列を同定するための選択またはスクリーニングを使用する。これらの研究は、タンパク質がアミノ酸の置換に驚くほど抵抗性があることを明らかにした。同著者らはさらに、どのアミノ酸の変化がタンパク質のある種の位置で受け入れられそうであるかについて示した。例えば、(構造上)最も埋もれているアミノ酸残基は非極性の側鎖を必要とするが、一方では表面の側鎖のわずかな特徴しか一般に保存されていない。その他のそのような表現型的にサイレントな置換は、Bowie et al. (1990) 上記文献、および同文献に引用された参考文献に記載されている。
【0041】
[0049]保存的な置換として典型的に認められるのは、脂肪族アミノ酸であるAla、Val、LeuおよびPheの間である残基の別な残基への置換;ヒドロキシル残基であるSerおよびThrの交換、酸性残基であるAspおよびGluの交換、アミド残基であるAsnおよびGln間の置換、塩基性残基であるLysおよびArg間の交換、ならびに芳香族残基であるPhe、Tyr間の置き換えである。加えてアミノ酸の以下のグループは一般に均等な変化を示す:(1) Ala、Pro、Gly、Glu、Asp、Gln、Asn、Ser、Thr;(2)Cys、Ser、Tyr、Thr;(3)Val、Ile、Leu、Met、Ala、Phe;(4)Lys、Arg、His;(5) Phe,Tyr、Trp、Hisが挙げられる。
【0042】
[0050]hGHポリペプチドという用語はまた、hGHの類似体、オーソログ、および/または種の相同体によりコードされるすべてのhGHポリペプチドを包括的に含む。本明細書で使用する場合、“hGH類似体”という用語は、各有機体において同じ機能を行うが、有機体の起源が共通して有していた起源の構造を基点としなかった、異なるそして関連のない有機体のhGHをいう。というよりhGH類似体は別々に発生し、その後進化して同じ機能(または類似の機能)を行うようになった。換言すれば、hGH類似体ポリペプチドは、まったく異なるアミノ酸配列を有するが、同じ生物学的活性、すなわち成長期において、そして正常な体組成、同化作用および脂質代謝を維持する上で成長の促進を行うポリペプチドである。本明細書で使用する場合“hGHオーソログ”という用語は、それらの配列が、ある起源の種における共通の相同なhGHを介して互いに関連するが、進化して互いに異なるようになった、2つの異なる種のhGHをいう。本明細書で使用する場合“hGH相同体”という用語は、各有機体において同じ機能を行い、有機体の起源が共通して有していた起源の構造を基点とする、異なる有機体のhGHをいう。換言すればhGH相同体ポリペプチドは、同じ生物学的活性、すなわち成長期において、そして正常な体組成、同化作用および脂質代謝を維持する上で成長の促進を行う、きわめて類似するアミノ酸配列を有するポリペプチドである。好ましくは、hGHポリペプチド相同体は、基準hGHポリペプチド、好ましくは配列番号1のhGHポリペプチドに対して、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を呈するポリペプチドとして定義してよい。
【0043】
[0051]このように本発明に従ってのhGHポリペプチドは以下のものでよい。例えば:(i)1つもしくはそれより多くのアミノ酸残基が保存的または非保存的なアミノ酸残基(好ましくは保存的なアミノ酸残基)で置換されており、そしてそのような置換されたアミノ酸残基は、遺伝子コードによりコードされていてもそうでなくてもよいもの:あるいは(ii)1つまたはそれより多くのアミノ酸残基が置換基を含むもの:あるいは(iii)hGHポリペプチドが別の化合物、例えばポリペプチドの半減期を増加する化合物(例えばポリエチレングリコール)と融合しているもの:あるいは(iv)付加的なアミノ酸、例えばIg Fc融合領域のペプチド、またはリーダー配列もしくは分泌配列、またはポリペプチドもしくはプロタンパク質配列の上術の形態への精製のために使用される配列、がポリペプチドの上術の形態と融合しているもの、が挙げられる。
【0044】
[0052]hGHポリペプチドはモノマーまたは多量体でよい。多量体はダイマー、トリマー、テトラマー、または少なくとも5つのモノマーポリペプチドユニットを包含する多量体でよい。多量体はまたホモダイマーまたはヘテロダイマーでもよい。本発明の多量体は、疎水性、親水性、イオン性のおよび/または共有的な会合(または結合)により得られるものでよいし、ならびに/または、例えばリポソームの形成により間接的に連結されていてもよい。一例において共有結合は、hGHポリペプチドまたはそのフラグメントを含有する融合タンパク質中に含有された不均一な配列間に存在する(例えば米国特許第5,478,925号を参照のこと。同開示を本明細書によりその全内容において参照として援用する。)もう1つの例において、hGHポリペプチドまたはそのフラグメントは、hGHポリペプチド、または不均一なポリペプチドのいずれかでよい1つまたはそれより多くのポリペプチドと、ペプチドリンカー 例えば米国特許第5,073,627号(本明細書により参照として援用する)に記載されているものを通して結合する。多量体hGHポリペプチドを調製するためのもう1つの方法は、WO 94/10308の技術を含む当業者に公知の技術を用いて得られる、タンパク質の多量体化を促進することが知られているロイシンジッパーまたはイソロイシンジッパーのポリペプチド配列と融合したhGHポリペプチドの使用を含む。もう1つの例においてhGHポリペプチドは、Flag(登録商標)ポリペプチド配列を含有する融合hGHポリペプチド中に含有されるFlag(登録商標)ポリペプチド配列との間の相互作用により会合させてもよい。hGH多量体はまた、当該技術分野に公知の化学的技術、例えば当該技術分野において公知のリンカー分子およびリンカー分子の長さの至適化技術(例えば米国特許5,478,925を参照のこと)、多量体に含有されることが所望されるポリペプチドの配列内に位置するシステイン残基間に1つもしくはそれより多くの分子間の架橋を形成する当該技術分野における公知の技術(例えば米国特許5,478,925を参照のこと)、hGHポリペプチドのC末端もしくはN末端へのシステインもしくはビオチンの付加、そして1つもしくはそれより多くのこれらの修飾ポリペプチドを含有する多量体を生成するための技術(例えば米国特許5,478,925を参照のこと)、またはhGH多量体を含有するリポソームを製造する30の技術のいずれか(例えば米国特許第5,478,925号を参照のこと)、を用いて製造してよい。以上の開示をそれらの全内容において参照として援用する。
【0045】
[0053]本明細書で使用する場合“hGHポリペプチドフラグメント”という用語は、hGHポリペプチド、好ましくは配列番号1のポリペプチドのアミノ酸配列の一部の連続する区間を包含する、あらゆるペプチドまたはポリペプチドをいう。
【0046】
[0054]より具体的には、hGHポリペプチドフラグメントは、本発明に従ってhGHポリペプチドの少なくとも6、少なくとも8から10、より好ましくは12、15、20、25、30、35、40、50、60、75、100、125、150、175、191の連続するアミノ酸を包含する。hGHポリペプチドフラグメントは付加的に、少なくとも6のアミノ酸を包含するhGHポリペプチドの亜属(sub-genuses)として記載してよく、ここで“少なくとも6”は、6、および配列番号1のポリペプチドを含むhGHポリペプチドのC末端アミノ酸を表す整数との間のあらゆる整数として定義する。さらに含まれるものとして、それらのN末端およびC末端の位置の用語でさらに特定される、上に記載したような少なくとも6のアミノ酸の長さのhGHポリペプチドフラグメントの種である。個々の種として“hGHポリペプチドフラグメント”という用語により包含されるのはまた、N末端およびC末端の位置により特に特定してよい、上に記載したような少なくとも6アミノ酸の長さのすべてのhGHポリペプチドフラグメントである。すなわち、配列リストまたは本発明のあらゆる所定のアミノ酸配列上の、少なくとも6の連続するアミノ酸残基の長さのフラグメントが占有することのできるN末端およびC末端の位置の各々の組み合わせが、本発明に含まれる。
【0047】
[0055] あるいは、本発明のポリペプチドフラグメントの上記の種は、式“aからb”により記載してもよいことに特に言及しておく;この場合“a”はポリヌクレオチドの最もN末端よりのアミノ酸の位置に等しく、“b”は最もC末端よりのアミノ酸の位置に等しい;そしてさらにここで“a”は1、およびhGHポリヌクレオチド配列のアミノ酸の数から6を引いた数の間の整数に等しく、“b”は7、およびhGHポリヌクレオチド配列のアミノ酸の数の間の整数に等しい;そしてここで“a”は“b”より少なくとも6小さい整数である。
【0048】
[0056]上記のhGHポリペプチドフラグメントは、上記の記載を用いて直ちに認識することができるため、単に本明細書を不必要に長くしない目的のため、個々には列記しない。さらに上記のフラグメントは必ずしもhGHの生物学的活性を有する必要はない、しかしこれらの活性を有するポリペプチドは、例えばイムノアッセイにおいて、エピトープのマッピング、エピトープのタギングにおいて、ワクチンとして、および分子量のマーカーとして有用となるであろう故、そのような活性を有するペプチドは本発明の好ましい態様である。上記のフラグメントはまた、ポリペプチドの特定の部分に対する抗体を生成するために使用してもよい。
【0049】
[0057]“hGHポリペプチドフラグメント”という用語によりまた包括的に含まれるものとして、hGHポリペプチドのドメインがある。そのようなドメインは、ロイシンジッパー、へリックス−ターン−へリックスモチーフ、翻訳後修飾部位、例えばグリコシル化部位、ユビキチン化部位、アルファへリックス、およびベータシート、コードされたタンパク質の分泌を方向付けるシグナルペプチドをコードするシグナル配列、転写の調節に関与する配列、例えばホメオボックス、酸性のストレッチ、酵素活性部位、基質結合部位、および酵素による開裂部位を含むがこれらに限定されない直鎖状または構造的なモチーフおよびサイン(signature)を、結果的に包含してよい。そのようなドメインは、特定の生物学的活性、例えばDNAまたはRNAの結合、タンパク質の分泌、転写の調節、酵素活性、基質結合活性、等...を表してよい。
【0050】
[0058]一つのドメインは一般に3および191の間のアミノ酸を包含する。より好ましい態様において、ドメインは6および191の間のあらゆる整数であるアミノ酸の数を包含する。ドメインは、抗hGH抗体を生成するためのhGHポリペプチドの調製について本明細書に開示されたものを含めて、当業者に公知のあらゆる方法を用いて合成してよい。特定の生物学的活性を伴うドメインを構成するアミノ酸を決定する方法は、変異誘発試験、および検査する生物学的活性を決定するためのアッセイを含む。
【0051】
[0059]本発明の内容において特に好ましいフラグメントは、実質的な生物学的活性を保持している、すなわち成長期において、そして正常な体組成、同化作用および脂質代謝を維持する上で成長を促進するhGHポリペプチドである。
【0052】
[0060]あるいは本発明のポリペプチドは、データベース中のモチーフ、ドメイン、および/またはサインについて、当業者に公知のあらゆるコンピューターによる方法を用いてスキャンしてもよい。探索可能なデータベースは、Prosite (Hofmann et al., (1999) Nucl. Acids Res. 27:215-219; Bucher and Bairoch (1994) Proceedings 2nd International Conference on Intelligent Systems for Molecular Biology. Altman et al, Eds., pp53-61, AAAIPress, Menlo Park), Pfam (Sonnhammer et al., (1997) Proteins28(3):405-20; Henikoff et al., (2000) Nucleic Acids Res. 28(1):228-30; Bateman et al., (2000) Nucleic Acids Res. 28(1):263-6), Blocks (Henikoff et al., (2000) Electrophoresis 21(9):1700-6), Print (Attwood et al., (1996) Nucleic Acids Res. 24(1):182-8), Prodom (Sonnhammer and Kahn (1994) Protein Sci. 3(3):482-92; Corpet et al. (2000) Nucleic Acids Res.28(1):267-9), Sbase (Pongor et al. (1993) Protein Eng. 6(4):391-5; Murvai et al., (2000) Nucleic Acids Res. 28(1):260-2), Smart (Schultz et al., (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 95, 5857-5864), Dali/FSSP (Holm and Sander (1996) Nucleic Acids Res. 24(1):206-9 ; Holm and Sander (1997) Nucleic Acids Res. 25(1):231-4 ; Holm and Sander (1999) Nucleic Acids Res. 27(1):244-7), HSSP (Sander and Schneider (1991) Proteins 9(1):56-68.), CATH (Orengo et al., (1997) Structure5(8):1093-108; Pearl et al., (2000) Biochem. Soc. Trans. 28(2):269-75), SCOP (Murzin et al., (1995) J. Mol. Biol. 247(4):536-40; Lo Conte et al., (2000) Nucleic Acids Res. 28(1):257-9), COG (Tatusov et al., (1997) Science 278, 631 :637 ; Tatusov et al., (2000) Nucleic Acids Res. 28(1):33-6), specific family databases and derivatives thereof (Nevill-Manning et al., (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 95, 5865-5871; Yona et al., (1999) Proteins 37(3):360-78; Attwood et al., (2000) Nucleic Acids Res. 28(1):225-7)を含み、これらの開示の各々を本明細書によりそれらの全内容において参照として援用する。利用可能なデータベースに関するまとめとして、Nucleic Acid Research (2000)の第28巻の1号を参照のこと、同開示を本明細書によりその全内容において参照として援用する。
【0053】
[0061]“hGHポリペプチドフラグメント”という用語はまた、エピトープを保有するフラグメントを包括的に含む。これらのエピトープは、抗原エピトープでも、または抗原エピトープおよび免疫原性エピトープの双方でもよい。免疫原性エピトープは、ポリペプチドが免疫原である場合にin vivoにおいて抗体応答を生ずるタンパク質の一部として定義する。他方、抗体が結合するポリペプチドの領域を抗原エピトープとして定義する。エピトープは空間的なコンフォメーションにおけるわずか3アミノ酸程度しか包含しないことも可能であり、これはエピトープに独特のものである。一般にはエピトープは少なくとも6アミノ酸、およびより頻繁には少なくとも8−10のそのようなアミノ酸から成る。
【0054】
[0062]本発明に従ってのhGHエピトープを保有するフラグメントは、その長さが6アミノ酸およびhGHポリペプチドの全長の間であるあらゆるフラグメント、好ましくは6および50アミノ酸の間のフラグメントであってよい。エピトープを保有するフラグメントは、(サブグループとしての)連続するアミノ酸残基の数、または上に記載したような(種としての)具体的なN末端およびC末端の位置、のいずれかにより特定してよい。
【0055】
[0063]エピトープとして機能するフラグメントは、あらゆる従来の手段により生成してよい(例えばHoughten (1985), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:5131-5135 および米国特許4,631,21を参照のこと。これらの開示を本明細書によりそれらの全内容において参照として援用する)。エピトープを構成するアミノ酸を決定するための方法は、X線結晶学、二次元核磁気共鳴、およびエピトープマッピング、例えばGeysen et al., (1984), Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81:3998-4002;PCT出願 WO 84/03564およびWO 84/03506(これらの開示を本明細書によりそれらの全内容において参照として援用する)により記載されているPepscan法を含む。もう1つの例は、Jameson and Wolf, (1988), Comp. Appl. Biosci. 4:181-186(前記参考文献をその全内容において参照として援用する)のアルゴリズムである。このJameson - Wolf 抗原分析は、例えば初期設定パラメータを用いるコンピュータプログラムPROTEAN(Version 4.0 Windows, DNASTAR, Inc.)を用いて行ってよい。
【0056】
[0064]本発明はまた、上に記載したようなN末端およびC末端の位置により特定されるあらゆるhGHフラグメントの種、またはアミノ酸残基のサイズにより特定されるサブグループのあらゆるフラグメントを除外するものとして提供する。上に記載したようなN末端およびC末端の位置により、またはアミノ酸残基のサイズにより特定されるあらゆる数のフラグメントは、個々の種として除外してよい。本発明はまた同様の様式において、あらゆるhGHドメインまたはエピトープ保有フラグメントを除外するものとして提供する。
【0057】
[0065]本発明のhGHポリペプチドは、あらゆる適切な方法で調製することができる。そのようなhGHポリペプチドおよびそれらのフラグメントは、当業者に公知の技術を用いて、天然の材料から精製する、化学的に合成する、in vitro 翻訳技術もしくはhGH cDNAを発現することのできる組み換え細胞における発現を含む組み換え技術により生成する、またはこれらの方法を組み合わせてもよい。(例えばタンパク質を精製するための様々な方法に関する“Methods in Enzymology, Academic Press, 1993”;タンパク質の化学的合成に関するCreighton, (1983) Proteins: Structures and Molecular Principles, W.H. Freeman & Co. 2nd Ed., T. E., New York;および Hunkapiller et al., (1984) Nature. 310(5973): 105-11 、ならびに組み換え技術に関するDavis et al. (1986) Basic Methods in Molecular Biology, ed., Elsevier Press, NY を参照のこと。これらの開示をそれらの全内容において参照として援用する)。本発明のポリペプチドは好ましくは単離された形で提供し、部分的にまたは好ましくは実質的に精製してよい。
【0058】
[0066]“基準のポリヌクレオチドと少なくともx%の同一性を有するポリヌクレオチド”、および“基準のポリペプチドとの少なくともx%の同一性を有するポリペプチド” という用語は、その残基(各々ヌクレオチドまたはアミノ酸)の配列が、以下に定義するように各々前記の基準のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列と比較して、xに等しいまたはxより高い同一性の比率(パーセント)を呈する、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを包括的に含む。
【0059】
[0067]この同一性の比率は、比較ウィンドウ全体の2つのポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の最適なアライメントの後に決定し、この場合比較ウィンドウ中のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の部分は、配列のアライメントを最適化するために、1つまたはそれより多くの残基の付加または欠失を包含してよい。比較ウィンドウは、あるいくつかの位置(残基、または残基の挿入/欠失に対応するギャップのいずれか)を含有してよく、この位置の数がウィンドウのサイズに対応する。各ウィンドウの位置は、以下の状態の1つを表してよい。
【0060】
1°/アライメントした第1の配列上のこの位置に、ある残基(ヌクレオチドまたはアミノ酸)があり、アライメントした第2の配列上の同じ位置に異なる残基がある、換言すれば第2の配列は、第1の配列と比較してこの位置に置換された残基を有する。
【0061】
2°/アライメントした第1の配列上のこの位置に、ある残基(ヌクレオチドまたはアミノ酸)があり、アライメントした第2の配列上の同じ位置に同じ残基がある。
3°/アライメントした第1の配列上のこの位置に、ある残基(ヌクレオチドまたはアミノ酸)があり、アライメントした第2の配列上の同じ位置には残基がない、換言すれば第2の配列は、第1の配列と比較してこの位置の欠失を表す。
【0062】
上に定義した第1の分類に属する比較ウィンドウ内の位置の数をR1と呼ぶ。
上に定義した第2の分類に属する比較ウィンドウ内の位置の数をR2と呼ぶ。
上に定義した第3の分類に属する比較ウィンドウ内の位置の数をR3と呼ぶ。
【0063】
[0068]同一性の比率(%id)は、以下の式:
【0064】
【化1】

【0065】
のいずれかにより計算してよい。
[0069]比較するための配列のアライメントは、当該技術分野に公知の様々な配列比較のアルゴリズムおよびプログラムのいずれかを用いて行ってよい。そのようなアルゴリズムおよびプログラムは、以下;TBLASTN、BLASTP、FASTA、TFASTA、FASTDB、WU−BLAST、Gapped−BLAST、PSI−BLAST (Pearson and Lipman, (1988), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444-2448; Altschul et al., (1990), J. Mol. Biol. 215:403-410; Altschul et al., (1993), Nature hGHtics 3:266-272; Altschul et al., (1997), Nuc. Acids Res. 25:3389-3402; Thompson et al., (1994), Nuc. Acids Res.. 22:4673-4680; Higgins et al., (1996), Meth. Enzymol. 266:383-402; Brutlag et al. (1990) Comp. App. Biosci. 6:237-245; Jones and Swindells, (2002) Trends Biochem Sci 27:161-4; Olsen et al. (1999) Pac Symp Biocomput; 302-13、を含むが決してこれらに限定されることはない。これらの開示をそれらの全内容において参照として援用する。
【0066】
[0070]特定の態様においてSmith-Waterman 法は、スコアリングマトリックス、例えばPAM、PAM250を用いて、または好ましくはBLOSUMマトリックス、例えばBLOSUM60またはBLOSUM62を用いて、そして初期設定パラメータ(Gap Opening Penalty=10 およびGap Extension Penalty=1)を用いて、または初期設定パラメータより好ましくは優れたユーザーの特定のパラメータを用いて使用する。
【0067】
[0071]もう1つの特定の態様においてタンパク質および核酸の配列は、初期設定パラメータを用いて、またはユーザーにより提供された修飾されたパラメータを用いて、the Basic Local Alignment Search Tool (“BLAST”)プログラムを使用してアライメントする。好ましくは使用するスコアリングマトリックスは、BLOSUM62マトリックス(Gonnet et al., (1992), Science 256:1443-1445; Henikoff and Henikoff, (1993), Proteins 17:49-61、これらの開示を本明細書によりそれらの全内容において参照として援用する)。これより好ましいものではないが、PAMマトリックスまたはPAM250マトリックスもまた使用してよい(例えばSchwartz and Dayhoff, (1978), eds., Matrices for Detecting Distance Relationships: Atlas of Protein Sequence and Structure, Washington: National Biomedical Research Foundationを参照のこと、この開示を本明細書によりその全内容において参照として援用する)。
【0068】
[0072]なおもう1つの特定の態様において、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの配列は、Brutlag et al. (1990)(上に記載)のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュータプログラムを使用してアライメントする。DNA配列のFASTDBアライメントにおいて使用する好ましいパラメータは以下のとおりである:Matrix=Unitary, k-tuple=4, Mismatch Penalty= 1, Joining Penalty=30, Randomization Group Length=0, Cutoff Score= 1, Gap Penalty=5, Gap Size Penalty 0.05, Window Size=500または対象ヌクレオチド配列の長さ(どちらか短いほう)。FASTDBアミノ酸アライメントに使用する好ましいパラメータは以下のとおりである:Matrix=PAM 0, k-tuple=2, Mismatch Penalty= 1, Joining Penalty=20, Randomization Group25Length=0, Cutoff Score= 1, Window Size=sequence length, Gap Penalty=5, Gap Size Penalty=0.05, Window Size=500 または対象ヌクレオチド配列の長さ(どちらか短いほう)。
【0069】
[0073]本発明に従ってポリ(エチレングリコール)を、hGHまたはそのアゴニスト変異体のアミノ酸残基を通して共有結合する。いくつかの異なる官能基、リンカー、立体配置および分子量を有する様々な活性化ポリ(エチレングリコール)は当業者に公知であり、それらを使用してPEG−hGHコンジュゲートまたはPEG−hGHアゴニスト変異体コンジュゲートを作製してよい(総説としてRoberts M.J. et al., Adv. Drug Del. Rev.54:459-476, 2002、 Harris J.M. et al., Drug Delivery Sytems 40:538-551, 2001を参照のこと)。本発明は、アルデヒド化学を使用し、ブチリルアルデヒドリンカー部分を使用して、N末端へのPEG部分の選択性を方向付ける方法に関する。ブチリルアルデヒドリンカーはアセトアルデヒドリンカーと比較して、増加したN末端特異性を結果的に得られる(表1および図1)。
【0070】
[0074]本発明の1つの態様は、式Iまたは式IIの構造:
【0071】
【化2】

【0072】
[式中
nは1および10の間の整数である;
mは1および10の間の整数である;
Rはヒト成長ホルモン、メチオニル成長ホルモン、またはヒト成長ホルモン変異体である]。
を有するヒト成長ホルモン−PEGコンジュゲートである。
【0073】
[0075]特定の態様において、nは1および5の間であり、mは1および5の間である。
[0076]式Iの特定の態様において:nは1であり、mは1である;nは1であり、mは2である;nは1であり、mは3である;nは1であり、mは4である;nは1であり、mは5である;nは1であり、mは6である;nは1であり、mは7である;nは1であり、mは8である;nは1であり、mは9である;nは1であり、mは10である;nは2であり、mは1である;nは2であり、mは2である;nは2であり、mは3である;nは2であり、mは4である;nは2であり、mは5である;nは2であり、mは6である;nは2であり、mは7である;nは2であり、mは8である;nは2であり、mは9である;nは2であり、mは10である;nは3であり、mは1である;nは3であり、mは2である;nは3であり、mは3である;nは3であり、mは4である;nは3であり、mは5である;nは3であり、mは6である;nは3であり、mは7である;nは3であり、mは8である;nは3であり、mは9である;nは3であり、mは10である;nは4であり、mは1である;nは4であり、mは2である;nは4であり、mは3である;nは4であり、mは4である;nは4であり、mは5である;nは4であり、mは6である;nは4であり、mは7である;nは4であり、mは8である;nは4であり、mは9である;nは4であり、mは10である;nは5であり、mは1である;nは5であり、mは2である;nは5であり、mは3である;nは5であり、mは4である;nは5であり、mは5である;nは5であり、mは6である;nは5であり、mは7である;nは5であり、mは8である;nは5であり、mは9である;nは5であり、mは10である;nは6であり、mは1である;nは6であり、mは2である;nは6であり、mは3である;nは6であり、mは4である;nは6であり、mは5である;nは6であり、mは6である;nは6であり、mは7である;nは6であり、mは8である;nは6であり、mは9である;nは6であり、mは10である;nは7であり、mは1である;nは7であり、mは2である;nは7であり、mは3である;nは7であり、mは4である;nは7であり、mは5である;nは7であり、mは6である;nは7であり、mは7である;nは7であり、mは8である;nは7であり、mは9である;nは7であり、mは10である;nは8であり、mは1である;nは8であり、mは2である;nは8であり、mは3である;nは8であり、mは4である;nは8であり、mは5である;nは8であり、mは6である;nは8であり、mは7である;nは8であり、mは8である;nは8であり、mは9である;nは8であり、mは10である;nは9であり、mは1である;nは9であり、mは2である;nは9であり、mは3である;nは9であり、mは4である;nは9であり、mは5である;nは9であり、mは6である;nは9であり、mは7である;nは9であり、mは8である;nは9であり、mは9である;nは9であり、mは10である;nは10であり、mは1である;nは10であり、mは2である;nは10であり、mは3である;nは10であり、mは4である;nは10であり、mは5である;nは10であり、mは6である;nは10であり、mは7である;nは10であり、mは8である;nは10であり、mは9である;nは10であり、mは10である。
【0074】
[0077]特定の態様は、以下の構造:
【0075】
【化3】

【0076】
[式中Rはヒト成長ホルモン、メチオニルヒト成長ホルモン、またはヒト成長ホルモン変異体である]
を有するヒト成長ホルモン−PEGコンジュゲートである。
【0077】
[0078]本発明のもう1つの特定の態様は、ヒト成長ホルモンが配列番号1のアミノ酸を包含する、または該アミノ酸から成るヒト成長ホルモン−PEGコンジュゲートである。
[0079]本発明の具体的な態様は、ポリエチレングリコールの80%、より好ましくは81%、より好ましくは82%、より好ましくは83%、より好ましくは84%、より好ましくは85%、より好ましくは86%、より好ましくは87%、より好ましくは88%、より好ましくは89%、より好ましくは90%、より好ましくは91%、より好ましくは92%、より好ましくは93%、より好ましくは94%、より好ましくは95%、より好ましくは96%、より好ましくは97%、より好ましくは98%より多くが、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ末端のフェニルアラニンとコンジュゲート化されたヒト成長ホルモン−PEGコンジュゲートである。
【0078】
[0080]本発明のもう1つの具体的な態様は、ポリエチレングリコールの90%より多くが、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ末端のフェニルアラニンとコンジュゲート化されたヒト成長ホルモン−PEGコンジュゲートである。
【0079】
[0081]本発明のもう1つの具体的な態様は、ポリエチレングリコールの95%より多くが、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ末端のフェニルアラニンとコンジュゲート化されたヒト成長ホルモン−PEGコンジュゲートである。
【0080】
[0082]本発明のもう1つの具体的な態様は、ポリエチレングリコールの98%より多くが、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ末端のフェニルアラニンとコンジュゲート化されたヒト成長ホルモン−PEGコンジュゲートである。
【0081】
[0083]本発明において使用するポリ(エチレングリコール)は、いかなる特定の形または分子量の範囲にも制限されない。ポリ(エチレングリコール)の分子量は、約500および約100,000ダルトンの間でよい。“約”という用語は、ポリエチレングリコールの調製物において、一部の分子は記述された分子量より大きく、一部はより小さい、そして記述された分子量は平均の分子量をいうことを示している。ポリマー、例えばポリ(エチレングリコール)に伴うある程度の多分散が存在することは理解される。多分散性の低いPEGを使用することが好ましい。通例、分子量約500から約60,000のPEGを使用する。本発明の具体的なPEG分子量の範囲は、約1,000から約40,000である。もう1つの具体的な態様において、PEG分子量は約5,000より大きく約40,000までである。もう1つの具体的な態様において、PEG分子量は約20,000から約40,000である。所望の治療上の側面(例えば所望の徐放性の期間、もしあるなら生物学的活性における効果、治療タンパク質に対するポリエチレンの抗原性およびその他の公知の影響の程度または欠損)に依存して、これ以外のサイズを使用してもよい。例えばポリエチレングリコールは、平均分子量 約200、500、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10,000、10,500、11,000、11,500、12,000、12,500、13,000、13,500、14,000、14,500、15,000、15,500、16,000、16,500、17,000、17,500、18,000、18,500、19,000、19,500、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、45,000、50,000、55,000、60,000、65,000、70,000、75,000、80,000、85,000、90,000、95,000、または100,000ダルトンを有してよい。
【0082】
[0084]もう1つの態様においてポリ(エチレングリコール)は、結合するPEG部分を1つまたはそれより多く有する分枝鎖PEGである(米国特許5,932,462;米国特許5,342,940;米国特許5,643,575;米国特許5,919,455;米国特許6,113,906;米国特許5,183,660; Kodera Y., Bioconjugate Chemistry 5:283-288 (1994);およびWO 02/09766を参照のこと)。好ましい態様において、分枝鎖PEGの各ポリ(エチレングリコール)の分子量は、約5,000−20,000である。具体的な態様において、分枝鎖PEGの各ポリ(エチレングリコール)の分子量は約20,000である。
【0083】
[0085]ポリ(アルキレン酸化物)、特にポリ(エチレングリコール)は、末端の反応基を介してhGHまたはそのアゴニスト変異体に結合し、この反応基は、PEGおよびタンパク質間に連結部分(スペーサー)を残していても残していなくてもよい。本発明のhGHコンジュゲートまたはそのアゴニスト変異体のコンジュゲートを形成するため、ポリマー 例えばポリ(アルキレン酸化物)は、そのような用語が当業者に公知であるような、活性型に変換する。この反応基は例えば末端の反応基であり、これがタンパク質およびポリ(エチレングリコール)の化学的部分の間の結合を仲介する。典型的には1つまたは双方の末端のポリマーのヒドロキシル末端の基(すなわちアルファ末端およびオメガ末端のヒドロキシル基)を、共有結合のコンジュゲートを可能にする反応性の官能基に変換する。この方法をしばしば“活性化”といい、反応基を有するポリ(エチレングリコール)生成物を本明細書において以下、“活性化ポリ(エチレングリコール)”という。具体的な態様において、ポリマーの末端のヒドロキシル末端の基の1つは、非反応性の基を用いて変換またはキャップ(cap)する。具体的な態様において、ポリマーの末端のヒドロキシル末端の基は、メチル基で変換またはキャップする。本明細書において使用する場合、“mPEG”という用語は、1つの末端をメチル基でキャップされたPEGをいう。mPEGは構造的には
CH3O-(CH2CH2O)n-H
と表すことができる。
【0084】
[0086]αおよびε双方の連結基を含有するポリマーを、“ビス−活性化ポリ(アルキレン酸化物)”といい、“二官能基の”という。α末端およびε末端のヒドロキシルに同じ反応基を含有するポリマーを、時に“ホモ二官能基の”または“ホモビス−活性化”という。α末端およびε末端のヒドロキシルに異なる反応基を含有するポリマーを、時に“ヘテロ二官能基の”(例えばWO 01/26692を参照のこと)または“ヘテロビス−活性化”という。1つの反応基を含有するポリマーを、“モノ−活性化”ポリアルキレン酸化物、または“一官能基の”ポリアルキレン酸化物という。その他の実質的に非抗原性のポリマーも、同様に“活性化”または“官能基化”する。
【0085】
[0087]このように活性化ポリマーは、タンパク質の化学的部分、例えばα−またはβ−のアミノ基、カルボキシル基、またはチオール基と、ポリ(エチレングリコール)との間の結合を仲介するのに適する。ビス−活性化ポリマーはこの様式で、2つのタンパク質分子または1つのタンパク質分子と反応して、そしてもう1つの態様における反応性の小分子も反応して、架橋を通してタンパク質ポリマーコンジュゲートまたはタンパク質−小分子コンジュゲートを効果的に形成することができる。
【0086】
[0088]本発明の1つの好ましい態様において、第二級アミンまたはアミドの連結は、hGHまたはそのアゴニスト変異体のN末端のリジンのα−アミノ基またはε−アミノ基、および活性化PEGを用いて形成する。本発明のもう1つの好ましい側面において、第二級アミンの連結は、hGHまたはそのアゴニスト変異体のN末端の第一級α−アミノ基または第一級ε−アミノ基、および単鎖または分枝鎖のPEGのアルデヒドとの間に、適切な還元剤、例えばChamow et al., Bioconjugate Chem. 5: 133-140 (1994)、米国特許第4,002,531号、WO 90/05534、および米国特許第5,824,784号に記載されているような、NaCNBH、NaBH、ピリジンボラン等を用いての還元的アルキル化により形成する。
【0087】
[0089]好ましい態様において、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも81%、好ましくは少なくとも82%、好ましくは少なくとも83%、好ましくは少なくとも84%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも86%、好ましくは少なくとも87%、好ましくは少なくとも88%、好ましくは少なくとも89%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも91%、好ましくは少なくとも92%、好ましくは少なくとも93%、好ましくは少なくとも94%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%、好ましくは少なくとも97%、そして最も好ましくは少なくとも98%のポリ(エチレングリコール)が、アミノ末端のαアミノ基に存在する。
【0088】
[0090]ペグ化反応ともいうコンジュゲート化反応は、歴史的には過剰モルのポリマーを用いて溶液中で、ポリマーがタンパク質のどこに結合するのかには構わずに行われた。しかしそのような一般的な技術は、十分な生体活性を保持しながら生体活性なタンパク質を非抗原性ポリマーとコンジュゲート化させるためには典型的には不適当であることが証明された。hGHまたはそのアゴニスト変異体の生体活性を維持するための1つの方法は、ポリマーとのカップリングの方法において、hGHまたはそのアゴニスト変異体の受容体結合部位(1つまたは複数)に関与する反応基でのコンジュゲート化を実質的に避けることである。本発明のもう1つの側面は、保持された活性の高レベルを維持しながら、ポリ(エチレングリコール)をhGHまたはそのアゴニスト変異体とコンジュゲート化させる方法を提供することである。
【0089】
[0091]共有結合を通しての化学的修飾は、生物学的に活性な物質と活性化ポリ(エチレングリコール)との反応において、一般に受け入れられる適切な条件下で行ってよい。コンジュゲート化反応は、hGHまたはそのアゴニスト変異体を不活性化してしまうことを避けるため、比較的マイルドな条件下で行う。マイルドな条件には、反応溶液のpHを3から10の範囲に、そして反応温度を約0°−37℃の範囲内に維持することを含む。hGHまたはそのアゴニスト変異体中の反応性のアミノ酸残基がフリーのアミノ基を有する場合、上術の修飾は好ましくは、リン酸、MES、クエン酸、酢酸、コハク酸、またはHEPESの各バッファーを含む適切なバッファー(pH3から10)の非限定的リストにおいて、1−48時間、4°−37℃で行う。PEGアルデヒドのような試薬でN末端アミノ基を標的とする場合、pH4−7に好ましくは維持する。活性化ポリ(エチレングリコール)は、hGHまたはそのアゴニスト変異体のフリーのアミノ基の数のモル量の、約0.01−100倍、好ましくは約0.01−2.5倍にて使用してよい。これとは反対に、hGHまたはそのアゴニスト変異体中の反応性のアミノ酸残基がフリーのカルボキシル基を有する場合、上術の修飾は好ましくは約3.5から約5.5のpHで行い、例えばポリ(オキシエチレンジアミン)による修飾は、カルボジイミド(pH4−5)の存在下、1−24時間、4°−37℃で行う。活性化ポリ(エチレングリコール)は、hGHまたはそのアゴニスト変異体のフリーのカルボキシル基の数のモル量の、0.01−300倍にて使用してよい。
【0090】
[0092]独立した態様において、コンジュゲート化反応に含まれるポリマーの量の上限は、高分子量の種の実質的な量を形成することなく、すなわちhGHまたはそのアゴニスト変異体の1分子当たり約1本より多くのポリマー鎖を含有するコンジュゲートが約20%より多くなることなく、活性化ポリマーと、hGHまたはそのアゴニスト変異体を反応させることのできる程度に、約1:1を上回る。例えば、本発明のこの側面において、あらゆる高分子量の種から後に単離することのできる所望のコンジュゲートの有意な量を形成するために、約6:1までの比率を使用することができると考えられる。
【0091】
[0093]本発明のもう1つの側面において、二官能基の活性化PEG誘導体を使用して、複数のhGHまたはそのアゴニスト変異体の分子がPEGを介して架橋される、ポリマーのhGHまたはそのアゴニスト変異体−PEG分子を製造してもよい。本明細書に記載する反応条件は、有意な量の未修飾のhGHまたはそのアゴニスト変異体を結果的に得ることになるが、未修飾のhGHまたはそのアゴニスト変異体は、さらなるコンジュゲート化反応のため今後のバッチ中に、容易に再利用することができる。本発明の方法は、高分子量の種、およびhGHまたはそのアゴニスト変異体の1分子当たり1本より多くのポリマー鎖を含有する種(単数または複数)を、驚くほどわずかしか、すなわち約30%未満、そしてより好ましくは約10%未満しか製造しない。これらの反応条件は、活性化ポリマーが標的に対して数倍モル過剰にて存在する、ポリマーのコンジュゲート化反応として典型的に使用する条件とは対照的である。本発明の他の側面においてポリマーは、hGHまたはそのアゴニスト変異体の1当量当たり約0.1から約50等量の量で存在する。本発明の他の側面においてポリマーは、hGHまたはそのアゴニスト変異体の1当量当たり約1から約10等量の量で存在する。
【0092】
[0094]本発明のコンジュゲート化反応は、モノ−PEG−hGHコンジュゲートおよびジ−PEG−hGHコンジュゲート、未反応のhGH、未反応のポリマー、および通常約20%未満の高分子量の種を含有する反応混合液またはプールを、初めに提供する。高分子量の種は、1つまたはそれより多くのポリマー鎖を含有するコンジュゲート、および/またはポリマー化したPEG−hGHまたはそのアゴニスト変異体の種を含有するコンジュゲートを含む。未反応の種および高分子量の種を除去した後、モノ−ポリマーおよびジ−ポリマー−hGHまたはそのアゴニスト変異体のコンジュゲートを主として含有する組成物を回収する。ほとんどの部分としてのコンジュゲートが1本のポリマー鎖を含むという事実を考慮すれば、このコンジュゲートは実質的に均一である。これらの修飾されたhGHまたはそのアゴニスト変異体は、標準的なFDC−P1細胞増殖アッセイ(Clark et al. Journal of Biological Chemistry 271:21969-21977, 1996)、受容体結合アッセイ (米国特許5,057,417)、または下垂体切除したラットの成長 (Clark et al. Journal of Biological Chemistry 271:21969-21977, 1996)を用いて測定した場合、天然または未修飾のhGHまたはそのアゴニスト変異体に伴うin vitro の生物学的活性の、少なくとも約0.1%を有する。しかし本発明の好ましい側面において、修飾されたhGHまたはそのアゴニスト変異体はin vitro の生物学的活性の約25%を有する、より好ましくは修飾されたhGHまたはそのアゴニスト変異体は、in vitro の生物学的活性の約50%を有する、より好ましくは修飾されたhGHまたはそのアゴニスト変異体はin vitro の生物学的活性の約75%を有する、そして最も好ましくは修飾されたhGHまたはそのアゴニスト変異体は均等のまたは改善されたin vitro の生物学的活性を有する。
【0093】
[0095]本発明の方法は好ましくは、ポリマー 対 hGHまたはそのアゴニスト変異体のむしろ限定された比率を含む。このようにhGHまたはそのアゴニスト変異体のコンジュゲートは、1本のポリマー鎖のみを含有する種に主に限定されることが発見された。さらにhGHまたはそのアゴニスト変異体の反応基へのポリマーの結合は、より高い過剰モルのポリマーリンカーを使用する場合に比して、実質的によりランダム性が低い。反応プール中に存在する未修飾のhGHまたはそのアゴニスト変異体は、コンジュゲート化反応を停止させた後、イオン交換クロマトグラフィーまたはサイズ排除クロマトグラフィーまたは類似の分離技術を用いて、今後の反応に再利用することができる。
【0094】
[0096]ポリ(エチレングリコール)修飾されたhGHまたはそのアゴニスト変異体、すなわち本発明に従って化学的に修飾されたタンパク質は、タンパク質の生成に使用する従来の方法、例えば透析、塩析、限界濾過、イオン交換クロマトグラフィー、親水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、ゲルクロマトグラフィー、および電気泳動により、反応混合液から精製してよい。イオン交換クロマトグラフィーは、未反応のポリ(エチレングリコール)およびhGHまたはそのアゴニスト変異体を除去する上で特に有効である。本発明のさらなる態様において、モノ−ポリマーおよびジ−ポリマー−hGHまたはそのアゴニスト変異体の種を反応混合液から単離して、高分子量の種、および未修飾のhGHまたはそのアゴニスト変異体を除去する。分離は、約0.5−10mg/mLのhGHまたはそのアゴニスト変異体−ポリマーコンジュゲートを含有するバッファー中の混合した種を、カラムにかけることにより達成することができる。適切な溶液はpH 約4から約10を有する。この溶液は好ましくは、KCl、NaCl、KHPO、KHPO、NaHPO、NaHPO、NaHCO、NaBO、CHCOH、およびNaOHより選択される1つまたはそれより多くのバッファー用の塩を含有する。
【0095】
[0097]反応バッファーに依存して、hGHまたはそのアゴニスト変異体とポリマーとのコンジュゲートの溶液は、あらゆる未反応のポリマーを除去するために、最初にバッファー交換/限界濾過を行わなければならない。例えば、PEG−hGHまたはそのアゴニスト変異体のコンジュゲート溶液は、低分子量カットオフ(10,000から30,000ダルトン)膜を通して限界濾過を行い、ほとんどの望ましくない材料、例えば未反応のポリマー、もし含まれていれば界面活性剤、等を除去することができる。
【0096】
[0098]所望の種を含有するプールにコンジュゲートを分画するには、好ましくはイオン交換クロマトグラフィーの媒体を用いて行う。そのような媒体は、ある程度予測できる形で変化する電荷の差異により、PEG−hGHまたはそのアゴニスト変異体のコンジュゲートを選択的に結合することができる。例えば、hGHまたはそのアゴニスト変異体の表面電荷は、タンパク質の表面上の利用可能な荷電した基の数により決定される。これらの荷電した基は典型的には、ポリ(アルキレン酸化物)ポリマーが結合することのできるポイントとなる。したがってhGHまたはそのアゴニスト変異体のコンジュゲートは、選択的な単離を可能とする他の種とは異なる電荷を有することになる。
【0097】
[0099]強い極性の陰イオンまたは陽イオン交換樹脂、例えば各々第四級アミン樹脂またはスルホプロピル樹脂を、本発明の方法のために使用する。イオン交換樹脂は特に好ましい。本発明の使用に適する、市販により入手可能な陽イオン交換樹脂を含む非限定的リストは、SP-hitrap(登録商標)、SP Sepharose HP(登録商標)、およびSP Sepharose(登録商標)のfast flow(高流速)である。他の適切な陽イオン交換樹脂、例えばSおよびCM樹脂もまた使用することができる。本発明の使用に適する、市販により入手可な陰イオン交換樹脂を含む陰イオン交換樹脂の非限定的リストは、Q-hitrap(登録商標)、Q Sepharose HP(登録商標)、および Q sepharos(登録商標)のfast flowである。他の適切な陰イオン交換樹脂、例えばDEAE樹脂もまた使用することができる。
【0098】
[00100]例えば、陰イオンまたは陽イオン交換樹脂は、好ましくは従来の手段によりカラムに詰め、平衡化する。ポリマーとコンジュゲート化したhGHまたはそのアゴニスト変異体の溶液と等しいpHおよび重量モル浸透圧濃度を有するバッファーを使用する。溶出バッファーは好ましくは、KCl、NaCl、KHPO、KHPO、NaHPO、NaHPO、NaHCO、NaBO、および(NH)COより選択される1つまたはそれより多くの塩を含有する。次にコンジュゲートを含有する溶液を、カラムに保持されない未反応のポリマーおよび一部の高分子量の種と共に、カラムに吸着させる。サンプルをカラムにのせ終わったら、塩濃度を増加させながらの溶出バッファーの濃度勾配を行い、ポリアルキレン酸化物とコンジュゲート化したhGHまたはそのアゴニスト変異体の所望の分画を溶出させる。溶出させ、プールした分画は、陽イオンまたは陰イオン交換樹脂のステップ後、好ましくは一様なポリマーコンジュゲートに限定される。次にコンジュゲート化されなかったあらゆるhGHまたはそのアゴニスト変異体を、従来技術によりカラムから逆洗させることができる。所望であればモノおよび多重にペグ化されたhGHまたはそのアゴニスト変異体の種を、さらなるイオン交換クロマトグラフィーまたはサイズ排除クロマトグラフィーにより互いからさらに分離することができる。
【0099】
[00101]塩濃度またはpHを増加させながらの複数回の均一濃度の(isocratic)ステップを利用する技術を使用することもできる。濃度を増加させながらの複数回の均一濃度の溶出ステップでは、ジ−、次にモノ−hGHまたはそのアゴニスト変異体−ポリマーコンジュゲートの連続的な溶出が得られることになる。
【0100】
[00102]溶出のための温度範囲は、約4℃および約25℃の間である。好ましくは溶出は、約4℃から約22℃までの温度で行う。例えばPEG−hGHまたはそのアゴニスト変異体の分画の溶出は、280nmのUV吸光度により検出する。分画の採集は、シンプルな時間溶出プロフィールにより達成してよい。
【0101】
[00103]ポリ(エチレングリコール)ポリマーを、hGHまたはそのアゴニスト変異体の部分とコンジュゲート化する方法において、界面活性剤を使用することができる。適切な界面活性剤は、イオン性タイプの物質、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む。他のイオン性界面活性剤 例えばドデシル硫酸リチウム、第四級アンモニウム化合物、タウロコール酸、カプリル酸、デカンスルホン酸、等もまた使用することができる。非イオン性界面活性剤もまた使用することができる。例えばポリ(オキシエチレン)ソルビタン(Tweens)、ポリ(オキシエチレン)エーテル(Tritons)のような材料を使用することができる。Neugebauer, A Guide to the Properties and Uses of Detergents in Biology and Biochemistry (1992) Calbiochem Corp.をまた参照のこと。本発明の方法において使用する界面活性剤の唯一の制限は、hGHまたはそのアゴニスト変異体の実質的に不可逆的な変性の原因とならない、そしてポリマーのコンジュゲート化を完全に阻害することのない条件下および濃度でそれらを使用することである。界面活性剤は、反応混合液中に約0.01−0.5%;好ましくは0.05−0.5%、そして最も好ましくは約0.075−0.25%の量で存在するものとする。界面活性剤の混合したものもまた考慮してよい。
【0102】
[00104]界面活性剤は、ポリマーのコンジュゲート化の方法の間に、一時的、可逆的な保護システムを提供すると考えられている。界面活性剤は、リジンに基づいたまたはアミノ末端に基づいたコンジュゲート化の促進を可能とする一方で、選択的にポリマーのコンジュゲート化を妨げる上で有効であることが示された。
【0103】
[00105]本発明のポリ(エチレングリコール)修飾されたhGHまたはそのアゴニスト変異体は、より持続的な薬理学的効果を有するが、この効果はin vivoの延長された半減期に起因すると思われる。
【0104】
[00106]本発明のもう1つの態様は、本発明のポリ(エチレングリコール)修飾されたhGHまたはそのアゴニスト変異体の治療有効量を、単独でまたは別の治療薬と併用して、それを必要とする患者に投与することを包含する、GH、好ましくはhGHの使用が有益である疾患または障害の予防および/または治療のための方法に関する。本発明はまた、GH、好ましくはhGHの使用が有益である疾患または障害の予防および/または治療のための医薬剤の製造における、本発明のポリ(エチレングリコール)修飾されたhGHまたはそのアゴニスト変異体の使用に関する。加えて本発明はまた、GH、好ましくはhGHの使用が有益である疾患または障害の予防および/または治療のための、本発明のポリ(エチレングリコール)修飾されたhGHまたはそのアゴニスト変異体を包含する医薬的組成物に関する。
【0105】
[00107]GHの使用が有益である疾患または障害は、成長ホルモン分泌不全症(GHD)、成人成長ホルモン分泌不全症(aGHD)、ターナー症候群、在胎期間に対して低身長で生まれた小児(SGA)における成長不全、プラダーウィリー症候群(PWS)、慢性腎不全(CRI)、AIDSによる消耗、加齢、末期の腎不全、嚢胞性線維症、勃起機能不全、HIV脂肪異栄養症、線維筋痛症、骨粗しょう症、記憶障害、鬱、クローン病、骨格の形成異常、外傷性脳傷害、クモ膜下出血、Noonan症候群、ダウン症候群、特発性低身長症(ISS)、末期腎疾患(ESRD)、超低出生体重児(VLBW)、骨髄幹細胞の救済、メタボリック症候群、グルココルチコイドミオパチー、小児のグルココルチコイド治療に起因する低身長、および未熟児の低身長のキャッチアップ成長不全、を含むがこれに限定されない。
【0106】
[00108]本発明のより具体的な態様において、本発明のポリ(エチレングリコール)修飾されたhGHまたはそのアゴニスト変異体を、GHD、aGHD、SGA、PWS、ターナー症候群およびCRIから成る群より選択される障害または疾患の予防および/または治療において使用する。
【0107】
[00109]本発明のもう1つのより具体的な態様において、本発明のポリ(エチレングリコール)修飾されたhGHまたはそのアゴニスト変異体を、特発性低身長症、超低出生体重児、外傷性脳傷害、メタボリック症候群、およびNoonan症候群から成る群より選択される障害または疾患の予防および/または治療において使用する。
【0108】
[00110]本発明のもう1つの態様は、本発明のポリ(エチレングリコール)修飾されたhGHまたはそのアゴニスト変異体を、単独で、または別の治療薬および少なくとも1つの医薬的に受容可能な賦形剤もしくは担体と組み合わせて包含する医薬組成物に関する。本発明のポリ(エチレングリコール)修飾されたhGHまたはそのアゴニスト変異体は次に、患者にそれらを投与するために、医薬的に受容可能な希釈剤、等張溶液を調製するための物質、pH調整剤、等を含有する医療用薬剤中に製剤化してよい。
【0109】
[00111]上記の薬剤は治療の目的に依存して、皮下、筋肉内、静脈内、経肺、皮膚内、または経口により投与してよい。用量はまた、治療する患者の障害の種類および状態に基づいてよいが、標準的には成人に対して注射により0.1mおよび5mgの間、経口投与では0.1mgおよび50mgの間である。
【0110】
[00112]本明細書で使用する場合、本発明のポリ(エチレングリコール)修飾されたhGHまたはそのアゴニスト変異体は、別の治療薬と併用して使用してよい。本明細書において使用する場合、化合物Aおよび1つまたはそれより多くのその他の治療薬についていう “併用”、“併用した”および“〜と併用して”という用語は、以下を意味し、そしてまさに言及し、含むことを意図する:
−治療を必要とする患者へのAおよび治療薬(単数または複数)のそのような併用の同時投与、この場合そのような成分は1つの剤形中に合剤化され、その剤形から前記成分が実質的に同じ時間に前記患者に放出される。
【0111】
−治療を必要とする患者へのAおよび治療薬(単数または複数)のそのような併用の実質的同時投与、この場合そのような成分は、実質的に同じ時間に前記患者により摂取される別個の剤形中に互いに分けて製剤化され、その場合前記成分は実質的に同じ時間に前記患者に放出される
−治療を必要とする患者へのAおよび治療薬(単数または複数)のそのような併用の連続投与、この場合そのような成分は、各投与間に有意な時間間隔をおいて前記患者により連続した時間に摂取される別個の剤形中に互いに分けて製剤化され、その場合前記成分は実質的に異なる時間に前記患者に放出される;そして
−治療を必要とする患者へのAおよび治療薬(単数または複数)のそのような併用の連続投与、この場合そのような成分は、コントロールされた様式で前記成分を放出する1つの剤形中に合剤化され、その場合これらの成分は、前記患者により同じおよび/または異なる時間に、同時に、連続して、および/または重複して投与される。
【0112】
[00113]Aと併用して使用してよいその他の治療薬、それらの医薬的に受容可能な塩および/またはそれらの誘導体の形の適切な例は、以下を含むが決してこれらに限定されることはない:アロマターゼ阻害薬 例えばエキセメスタン、フォルメスタン、アタメスタン、ファドロゾール、レトロゾール、ボロゾール、およびアナストロゾール;フィブリン酸誘導体(例えばフェノフィブレート、クロフィブレート、ゲミフィブロジル、ベザシブレートおよびシプロフィブレート)およびニコチン酸誘導体 例えばアシピモックスを含む脂肪酸の調節薬;ビグアニド剤 例えばメトホルミンを含むがこれに限定されないインスリン抵抗性改善薬、PPARガンマインスリン抵抗性改善薬、およびチアゾロデニオン剤(thiazolodeniones) 例えばトログリタゾンおよびロシグリタゾン、トログリタゾン、5−[[4−[3,4−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−2H−]−ベンゾピラン−2−イル)メトキシ]フェニル]メチル3−2,4−チアゾリジネジオン V411(DIABII, Glaucanin)、ピグオリタゾン(ACTOS、AD 4833、U 72107、U 72107A、U 72107E、ZACTOS)化学名:2,4−チアゾリジネジオン、5−[[4−[2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ]フェニル]メチル]−、一塩酸塩、(a/−);ロシグリタゾン(Avandia,BRL 49653, BRL 49653C) 化学名:2,4チアゾリジネジオン、5−[[4−[2−(メチル−2−ピリジニルアミノ)エトキシ]フェニル]メチル];25ベキサロテン−経口(LGD 1069 経口、ターグレチン(Targretin) 経口、ターグレチン、ターグレチン(Targretyn) 経口、ターグレキシン(Targrexin) 経口)化学名: 4−[1−(3,5,5,8,8−ペンタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)エチル]安息香酸; ZD 2079、(ICI D 2079) (化学名: R)−N−[2−4−(カルボキシメチル)30フェノキシ]エチル)−N−(2−ヒドロキシ−2−フェネチル)塩化アンモニウム:ネトグリタゾン、(イサグリタゾン(Isaglitazone)、MCC 555、RWJ 241947) (化学名:5−[6(2−フルオロベンジルオキシ)ナフタレン−2−イルメチル]チアゾリジン−2,4−ジオン);INS(D−キロ-イノシトール) (化学名:D−1,2,3,4,5,6−ヘキササヒドロキシシクロヘキサン)、ON 2344(DRF 2593);デキスリポタム(Dexlipotam)、化学名:5(R)−(1,2−ジチオラン−3−イル) pentaloic 35 acid; HQL 975、化学名:3−[4− [2−(5−メチル−2−フェニルオキサゾル−4−イル)エトキシ]フェニル]−2(S)−(プロピオルアミノ)プロピオン酸;YM 268、化学名:5,5’−メチレン−ビス(1,4−フェニレン)ビスメチレンビス(チアゾリジン−2,4−ジオン)。開発中のI PPARアゴニストは以下を含む:レグリタザル(JTT 501、PNU 182716、PNU 716) (化学名:イソキサゾリジエン−3,5−ジオン、i 4−[[4−(2−フェニル−5−メチル)−1,3−オキサゾリル]エトキシフェニル−4]メチル−、 (4RS)); I(RP 297、化学名:10 5−(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イルメチル)−2−メトキシ−N−[4−(トリフルオロメチル)ベンジルベンズアミド;R 119702(CI 1037、CS 011) 化学名:(/−)−5−[4−(5−メトキシ−1Hベンゾイミダゾル−2−イルメトキシ)ベンジル]チアゾリン−2,4−ジオン;塩酸塩; 15 DRF 2189、化学名:5−[[4−[2−(1−インドリル)エトキシ]フェニル]メチル]チアゾリジン−2,4−ジオン;コルチゾル合成阻害薬、例えばケトコナゾール、エコナゾールまたはミコナゾール;成長ホルモン、例えばソマトロピンまたはソマトノルム、およびそれらの誘導体、例えばヒト成長ホルモン融合タンパク質 例えばALBUTROPIN;ポリエチレングリコール成長ホルモン 例えばシステイン−ペグ化成長ホルモン、BT 005(Bolder BioTechnology Inc.);成長ホルモン分泌促進薬、例えばSM 130686(Sumitomo)、カプロモレリン(capromorelin)(Pfizer)、メカセルミン (Fujisawa)、セルモレリン(Salk Institute, Bio-Technology General)、ソマトレム、ソマトメジン(C Llorente; Pharmacia Corporation)、エキサモレリン(examorelin)、タビモレリン(tabimorelin);CP 464709(Pfizer)、LY 426410および LY 444711(Lilly);WO2002057241に開示されているような 8-(アミノアルコキシイミノ)−8H−ジベンゾ[a,e]トリアゾロ [4,5−c]シクロヘプテン類、WO2002056873に開示されているような2−置換ジベンゾ[a,e]1,2,3−トリアゾロ[4,5−c][7]アヌレン−8−オン類、米国特許第4,411,890号および公開広報 WO 89/07110、WO 89/07111に記載されているような成長ホルモン放出ペプチド GHRP−6およびGHRP−1、WO 93/04081に記載されているようなB−HT920、ヘキサレリンおよびGHRP−2、または成長ホルモン放出ホルモン(GHRH、またはGRFともいう)およびその類似体、IGF−1およびIGF−2を含むソマトメジン、およびそれらの誘導体 例えばソマトカイン−すなわちインスリン様成長因子−1およびその結合タンパク質であるBP−3の組み換え融合体、アルファ−2−アドレナリン作用性アゴニスト 例えばクロニジン、キシラジン、デトミジンおよびメデトミジン、またはセレトニン5HTIDアゴニスト 例えばスルニトリプタン(surnitriptan)、またはソマトスタチンまたはその放出を阻害する物質 例えばフィソスチグミンおよびピリドスチグミン、ThGRF 1−44(Theratechnologies);L 165166 (Merck & Company);WO9858947に記載されているようなジペプチド誘導体、ジペプチジルペプチダーゼIVの阻害薬 例えばUS6521644、WO95/15309およびWO98/19998に記載されているようなアミノ−アシルピロリジンニトリル;ベータ−アミノ複素環式ジペプチジルペプチダーゼ阻害薬 例えばUS20030100563およびWO2003082817に記載されているもの; US20030055261、US20030040483、EP 18 072、EP 83 864、WO 89/07110、WO 89/01711、WO 89/10933、WO 88/9780、WO 83/02272、WO 91/18016、WO 92/01711、WO 93/04081、WO 9514666、EP0923539、米国特許第5,206,235号、5,283,241号、5,284,841号、5,310,737号、5,317,017号、5,374,721号、5,430,144号、5,434,261号、5,438,136号、5,494,919号、5,494,920号、5,492,916号、5,536,716号、および5,578,593号、WO 94/13696、WO 94/19367、WO 95/03289、WO 95/03290、WO 95/09633、WO 95/11029、WO 95/12598、WO 95/13069、WO 95/14666、WO 95/16675、WO 95/16692、WO 95/17422、WO 95/17423、WO 95/34311、およびWO 96/02530に記載されているような成長ホルモン放出化合物、US5804578、US5783582、WO2004007468に記載されているようなピペリジン、ピロリジンおよびヘキサヒドロ−1H−アジピン、アミドスピロピペリジン、例えばWO0104119に記載されているもの、US6329383に記載されているような2−[(5,6-ジメチル−2−ベンゾイミダゾリル)アミノ]−4−ヒドロキシ−6−メチル−5−ピリミジン酢酸(2)および2−[(5,6−ジメチル−2−ベンゾイミダゾリル)アミノ]−4−ヒドロキシ−6−メチル−5−ピリミジン酢酸、エチルエステルを含む2−アミノ−5−ピリミジン酢酸化合物、EP1155014に記載されているようなベンゾイミダゾール、米国特許4,411,890のGRFに関するペプチジル化合物類似体およびペプチド、ゴナドトロピン放出ホルモンのアンタゴニスト 例えばWO0170228、WO0170227、WO0170228、WO0069433、WO0004013、W0995156、WO9951595、WO9951231−4、WO9941251−2、WO9921557、WO9921553に記載されているのもの、およびWO0053602、WO0053185、WO0053181、WO0053180、WO0053179、WO0053178、US6288078に記載されているような6−アザインドール化合物;IGF−1分泌促進薬;インスリン様成長因子−2(IGF−2またはソマトメジンA)およびIGF−2分泌促進薬;ミオスタチンアンタゴニストおよび繊維芽細胞成長因子受容体−3(FGFR−3)チロシンキナーゼを阻害する化合物、が挙げられる。
【0113】
[00114]含まれるポリマー物質はまた、好ましくは室温で水溶性である。そのようなポリマーの非限定的リストは、ポリ(アルキレン酸化物)ホモポリマー、例えばポリ(エチレングリコール)またはポリ(プロピレングリコール)、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、それらのコポリマーおよびそれらのブロックコポリマーを含む、ただしブロックコポリマーの水溶性は維持されるものとする。
【0114】
[00115]PEGを基本とするポリマーに代わるものとして、実際上非抗原性の材料 例えばデキストラン、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(ビニルアルコール)、炭化水素を基本とするポリマー、等を使用することができる。実際にこれらのポリマー物質のα末端およびε末端の基の活性化は、ポリ(アルキレン酸化物)を変換するために使用したものと同様の様式で達成することができ、したがって当業者には明らかであろう。当業者は、前述のリストが単に説明のためであり、本明細書に記載した特質を有するすべてのポリマー材が考慮されることを了解するだろう。本発明の目的のため、“実際上非抗原性の”は、哺乳動物において非毒性であり、感知可能な免疫原性応答を起さないものとして当該技術分野において理解されている、すべての材料を意味する。
【0115】
(定義)
[00116]以下に略語のリスト、および本明細書において互変姓を持って使用される際の対応する意味を挙げる:
g グラム(単数または複数)
mg ミリグラム(単数または複数)
mlまたはmL ミリリットル(単数または複数)
RT 室温
PEG ポリ(エチレングリコール)
[00117]本開示において引用したすべての公開広報、特許、特許出願の全内容を、各々個々の公開広報、特許、特許出願が参照として援用するために具体的に個別に示されているかのように、本明細書において参照として援用する。
【0116】
[00118]前述の発明は、理解を明確にする目的で説明および実施例という方法で幾分詳細に記載したが、本発明の精神および範囲から離れずに変更および修飾を行うことができることは、本発明の意図を考慮して、当業者には容易に理解できるだろう。以下の実施例は例示の目的のためのみに提供しており、上術の広範囲の用語にて記載した本発明の範囲を限定する意図はない。
【0117】
[00119]以下の実施例において、hGHは配列番号1のものである。hGHまたはそのアゴニスト変異体のポリペプチドのファミリーの他のメンバーもまた、以下の実施例の例示するのと同様の様式でペグ化することができるものと理解される。
【実施例】
【0118】
(実施例1)
(分枝鎖の40,000MW PEG−ブチルアルデヒドhGH)
【0119】
【化4】

【0120】
[00120]本実施例は、還元的アルキル化によりN末端でモノペグ化されたhGHの実質的に均一な調製物の製造のための方法を実証する。およそ40,000MWのメトキシ−分枝鎖PEG−ブチルアルデヒド試薬(Shearwater Corp.)は、N末端の第一級アミンのpK値 対 リジン残基のε−アミノの位置の第一級アミンのpK値の相対的な差異を利用することにより、hGHのN末端の還元的アミノ化を経て選択的にカップルした。25mM Hepes(Sigma Chemical, St. Louis, MO)pH7.0、(所望により25mM MES(Sigma Chemical, St. Louis, MO)pH6.0、10mM 酢酸ナトリウム(Sigma Chemical, St. Louis, MO)pH4.5)中に10mg/mLで溶かしたhGHタンパク質をメトキシ−PEG−ブチルアルデヒドと反応させ、またM−PEG−ALD(Shearwater Corp., Huntsville, AL)を添加することにより、M−PEG−ALDと反応させ、相対的PEG:hGHモル比 2:1を得た。反応は、HO中に溶かしたストック1M NaCNBH(Sigma Chemical, St. Louis, MO)を最終濃度10−50mMまで添加することにより触媒とした。反応は、暗所、室温で18−24時間行った。1M Tris(Sigma Chemical, St. Louis, MO) 〜pH7.6を、50mMの最終Tris濃度となるように添加することにより、または直後の精製用の適当なバッファー中に希釈することにより、反応を停止させた。
【0121】
[00121]表1は、サイズ排除クロマトグラフィーにより決定された、40K分枝鎖PEG−アルデヒドおよび40K分枝鎖PEG−ブチルアルデヒドに関する、多重にペグ化された種、モノペグ化コンジュゲート、未反応のPEGの比率(パーセント)、および最終生成物の収率を示す。PEG−ブチルアルデヒドはPEG−アルデヒドに比して、増加したモノペグ化コンジュゲート、減少したレベルの未反応のPEG、および増加した最終収率という結果を得られる。
【0122】
【表1】

【0123】
(実施例2)
(直鎖状30,000MW PEG−ブチリルアルデヒドhGH)
[00122]メトキシ−直鎖状30,000MW PEG−ブチリルアルデヒド試薬を、実施例1に記載した方法を用いてhGHのN末端にカップルさせる。
【0124】
(実施例3)
(直鎖状20,000MW PEG−ブチリルアルデヒドhGH)
[00123]メトキシ−直鎖状20,000MW PEG−ブチリルアルデヒド試薬を、実施例1に記載した方法を用いてhGHのN末端にカップルさせる。
【0125】
(実施例4)
(ペグ化hGHの精製)
[00124]ペグ化hGH種を、1回のイオン交換クロマトグラフィーのステップを用いて、反応混合液から>95%(SEC分析)に精製した。
【0126】
(陰イオン交換クロマトグラフィー)
[00125]ペグ化hGH種を、1回の陰イオン交換クロマトグラフィーのステップを用いて、反応混合液から>95%(SEC分析)に精製した。モノペグ化hGHを、未修飾のhGH、および多重にペグ化されたhGH種から、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて精製した。典型的な20KブチリルアルデヒドhGH反応混合液(5−100mgタンパク質)を、上に記載したように、25mM HEPES、pH 7.3(バッファーA)にて平衡化したQ-Sepharose Hitrap カラム(1もしくは5mL)(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)、または Q-Sepharose fast flow カラム(26/20、70mLベッド容積)(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)上で精製した。反応混合液はバッファーAで5−10倍に希釈し、2.5mL/分の流速でカラムにかけた。カラムは、カラム容積の8倍量のバッファーAで洗浄した。その後様々なhGH種を、カラム容積の80−100倍量のバッファーA、および0−100mM 直線的NaClの濃度勾配にて、溶出させた。溶出液は280nm(A280)の吸光度によりモニターし、5mLの分画にて集めた。分画を、(実施例15で評価するように)ペグ化の程度、例えばモノ、ジ、トリ、等としてプールした。次にプール溶液をCentriprep YM10 濃縮装置(Amicon, Technology Corporation, Northborough, MA)にて0.5−5mg/mLに濃縮した。プール溶液のタンパク質濃度をA280により吸光係数 0.78を用いて決定した。
【0127】
(陽イオン交換クロマトグラフィー)
[00126]陽イオン交換クロマトグラフィーは、10 mM 酢酸ナトリウム pH 4.0(バッファーB)にて平衡化した、SP Sepharose高速(high performance)カラム(Pharmacia XK 26/20, 70ml ベッド容積)で行った。反応混合液はバッファーBで10倍に希釈し、5mL/分の流速でカラムにかけた。次にカラム容積の5倍量のバッファーBで、続いてカラム容積の5倍量の12%バッファーC(10mM 酢酸バッファー pH4.5、1M NaCl)で洗浄した。その後、PEG−hGH種をカラム容積の20倍量の12から27% バッファーCの直線的濃度勾配にてカラムより溶出させた。溶出液は280nmでモニターし、10mLの分画にて集めた。分画を、ペグ化の程度(モノ、ジ、トリ、等)に従ってプールし、10mM 酢酸塩 pH4.5バッファーに交換し、Amicon YM10膜をセットした攪拌セル中で1−5mg/mLに濃縮した。プール溶液のタンパク質濃度はA280により吸光係数 0.78を用いて決定する。
【0128】
(実施例5)
(生化学的特徴づけ)
[00127]精製したペグ化hGHのプール溶液を、非還元的SDS−PAGE、非変性サイズ排除クロマトグラフィー、およびペプチドマッピングにより特徴づけを行った。
【0129】
(サイズ排除高速液体クロマトグラフィー)(SEC−HPLC)
(非変性SEC−HPLC)
[00128]様々な結合化学、サイズ、リンカーおよび幾何学的構造のメトキシ−PEGと、hGHとの反応、陰イオン交換クロマトグラフィーによる精製プール溶液、ならびに最終精製物を、非変性SEC−HPLCを用いて評価した。分析的な非変性SEC−HPLCは、カラム、Superdex 200 7.8mm×30cm (Amersham Bioscience, Piscataway, NJ)のカラムを用いて、20mM リン酸バッファー pH7.2、150mM NaCl中で、流速0.5mL/分(所望によりTosohaas G4000PWXL Amersham Bioscience, Piscataway, NJ)にて行った。ペグ化は、より早い保持時間へのシフトに至るタンパク質の流体力学的容積を大きく増加させる。新しい種は、未修飾hGHと共にPEGアルデヒドhGH反応混合物中に観察された。これらのペグ化された種およびペグ化されていない種を、Q−Sepharoseクロマトグラフィー上で分離し、その結果得られた精製モノPEG−アルデヒドhGH種は、その後非変性SECで1本のピークとして溶出されることが示された(>95% 純度)。Q−Sepharoseクロマトグラフィーのステップは、フリーのPEG、hGH、および多重にペグ化されたhGH種を、モノペグ化hGHから効果的に除去した。
【0130】
(変性SEC−HPLC)
[00129]ブチリルアルデヒドポリエチレングリコールのhGHとの反応、陰イオン交換クロマトグラフィーによる精製、および最終精製物を、変性SEC−HPLCを用いて評価する。分析的な変性SEC−HPLCは、Tosohaas 3000SWXL カラム 7.8mm×30cm (Tosohaas Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)を用いて、100mM リン酸バッファー pH6.8、0.1% SDS中で、流速 0.8mL/分にて行った。ペグ化はタンパク質の流体力学的容積を大きく増加させ、より早い保持時間へと変化させる。ペグ化された種およびペグ化されていない種を、Q−Sepharoseクロマトグラフィー上で分離する。
【0131】
(SDS PAGE/PVDF転写)
[00130]SDS−PAGEを使用して、PEGブチリルアルデヒドのhGHとの反応、および精製最終生成物を評価した。SDS−PAGEは、1mm厚の10−20% Trisトリシンゲル(Invitrogen, Carlsbad, CA)上で、還元的条件および非還元的条件下で行い、Novex Colloidal Coomassie(登録商標) G-250 染色キット(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いて染色した。バンドは、その後のN末端配列の同定のためPVDF膜上にブロットする。
【0132】
(分析的な陰イオン交換HPLC)
[00131]PEGブチリルアルデヒド/hGH反応混合液、陰イオン交換クロマトグラフィーによる精製分画、および最終精製物を、分析的な陰イオン交換HPLCを用いて評価した。分析的な陰イオン交換HPLCは、Tosohaas Q5PWまたはDEAE−PW 陰イオン交換カラム、7.5mm×75mm (Tosohaas Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ) を用いて、50 mM Tris ph 8.6中で、流速 1mL/分にて行った。サンプルは5−200mM NaClの直線勾配にて溶出させた。
【0133】
(N末端の配列およびペプチドマッピング)
[00132]自動化エドマン分解化学を用いて、NH−末端のタンパク質配列を決定した。Applied Biosystems Model 494 Procise シーケンサ(Perkin Elmer, Wellesley, MA)を分解に使用した。各RTH−AA誘導体は、Perkin Elmer/Brownlee 2.1 mm 内径 PTH−C18カラムに接続したApplied Biosystems Model 140C PTH アナライザを使用するオンライン様式のRP−HPLC分析により同定した。
【0134】
[00133] トリプシン消化は1mg/mLの材料の濃度で行い、典型的には50μgの材料を1回の消化に使用した。トリプシンは、トリプシン 対 PEG−hGH比が1:30(w/w)となるように加えた。Trisバッファーは30mM、pH7.5とする。サンプルを室温で16±0.5時間インキュベーションした。反応は、消化溶液1mL当たり1N HCl 50μLを加えて停止させた。自動サンプル測定器にサンプルを設置する前に、6.25% アセトニトリル中に最終濃度 0.25mg/mlとなるようにサンプルを希釈した。アセトニトリルを最初に(19.8% アセトニトリルとなるように)加え、緩やかに混合した後、水を最終容積(出発容積の4倍量)になるように加えた。余分の消化溶液を取り出し、1週間まで−20℃で保存してもよい。
【0135】
[00134]分析にはWaters Alliance 2695 HPLCシステムを使用したが、他のシステムでも同様の結果が得られるはずである。使用したカラムは、5μm粒度のAstec C-4 ポリマーの25cm×4.6mmカラムであった。実験は周囲温度で、1回のサンプル当たり典型的には50μgのタンパク質をカラムにかけた。バッファーAは水中の0.1% トリフルオロ酢酸であり;バッファーBはアセトニトリル中の0.085%トリフルオロ酢酸である。勾配は以下のとおりとした:
【0136】
【表2】

【0137】
[00135]カラムを、ヒートジャケットを使用して40℃に加熱する。ピークはWaters 996 PDA検出器を使用して検出し、210および300nm間のデータを集積した。得られた214nmのクロマトグラムをサンプルの分析用に使用した。
【0138】
[00136]トリプシンによるマッピングを、hGH、40K分枝鎖PEG−アルデヒド、および40K分枝鎖PEG−ブチリルアルデヒドについて行った(図1)。N末端のトリプシンによるフラグメントをT−1とした。非ペグ化hGHと比較してのT−1の存在の比率(パーセント)を、表2に示す。このデータは、PEG−ブチリルアルデヒドの使用によるN末端での98%より多くのPEG修飾と比較して、PEG−アルデヒドを使用すると、PEG修飾の90%がN末端にあり、残りは明らかにいくつかの可能なリジン残基の1つと連結していることを示唆する。
【0139】
【表3】

【0140】
(実施例6)
(薬物動態学的試験)
(ラットの体重増量)
[00137]Taconic Labsにて下垂体切除した雌Sprague Dawleyラットを、7から11日間成長速度についてプレスクリーニングした。ラットは8群に分けた。1群は、毎日、または第0日および第6日のいずれかにビヒクルの皮下投与を行ったラットから成る。2群は、毎日GH(30μg/ラット/用量)の皮下投与を行った。3群は、第0日および第6日にGH(180μg/ラット/用量)の皮下投与を行った。4群は、第0日および第6日に40k分枝鎖PEG−ブチリルアルデヒドhGH(180μg/ラット/用量)の皮下投与を行った。下垂体切除したラットは、試験中、少なくとも隔日に体重測定により体重の増量をモニターした。図3および図4。
【0141】
(ラットの頸骨の長さ)
[00138]11日間体重増量試験の動物を第11日に屠殺し、左側頸骨を切除し、X線照射し、ノギスを用いて骨長を測定した。図5。
【0142】
(IGF−1試験)
[00139]6日間体重増量試験の動物を使用した。血液サンプルは試験中の様々な時間に採血し、血清IGF−1レベルをELISAにより決定した。図6。
【0143】
(血清生化学試験)
[00140]11日間体重増量試験の動物を使用して、表3に示すように、第0日および第6日の1.8mg/kgの累積的投与後、第7日に血清生化学値を評価した。
【0144】
【表4】

【0145】
[00141]第11日の血液尿素窒素濃度は、hGH処置およびPHA−794428処置した動物において、ビヒクル群と比較して同程度まで有意に(p<0.10)減少した。このことは、高められた成長の間の新たなタンパク質合成の結果としての増加した窒素の利用を示す。
【0146】
(薬物動態学的試験)
[00142]薬物動態学的試験を、正常な、カテーテル挿入した雄Sprague Dawleyラットで行った。注入は、1群当たり6頭のラットを用いて、100μg/kg/ラットのGHまたはPEG−GHの単回皮下ボーラス投与として行った。血液サンプルは、関連するPKパラメータの評価に適当なように1日から5日間にわたり採取した。GHおよびPEG−GHの血液レベルを、各サンプリングについてイムノアッセイによりモニターした。
【0147】
(hGHイムノアッセイ)
[00143]マウスおよびカニクイザル(cynomolgus monkey)の血漿中のhGHおよびペグ化hGHのタンパク質濃度レベルを、hGH AutoDELFIAキット蛍光イムノアッセイ(PerkinElmer)を用いて決定した。ラットおよびヒトのIGF−1レベルを、イムノアッセイキット(Diagnostic System Laboratories)によりモニターした。
【0148】
(ヒト以外の霊長類における実施例1のhGH−PEGコンジュゲートに関する非コンパートメント薬物動態学的特性)
[00144]実施例1のhGH−PEGコンジュゲートをカニクイザルに、0.18mg/kg 静脈内(iv)または皮下(sc)のボーラス注射として投与した(表4)。PKパラメータはn=3の動物のデータの平均値を用いて決定した。血漿濃度は、AutoDELFIAキット蛍光イムノアッセイ(PerkinElmer)、およびPEG−GHコンジュゲートについて予め決定しておいた標準曲線を用いて測定した。
【0149】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】[0035]図1は、hGHおよび40K分枝鎖ブチリルアルデヒドhGHまたは40K分枝鎖アルデヒドhGHの反応の、トリプシンマップ分析のHPLC曲線である。上のパネルは、40K分枝鎖ブチリルアルデヒドhGHのトリプシンによるマッピングである。真ん中のパネルは、40K分枝鎖アルデヒドhGHのトリプシンによるマッピングである。下のパネルは非ペグ化hGHのトリプシンによるマッピングである。T1はN末端のトリプシンによるフラグメントである。
【図2】[0036]図2は、ヒト成長ホルモンのアミノ酸配列を示す(配列番号1)。
【図3】[0037]図3は、ラットの体重増量アッセイにおける40K分枝鎖ブチルアルデヒドhGHの効能を示す。下垂体切除した雌Sprague-Dawleyラットを4−5週齢(100−125g)でHarlan Labsより購入した。動物用ケージに入れて、動物を80°Fの一定の室温に維持し、ラットのベースラインの成長を確立するため、4−10日間毎日体重測定した。第0日に開始し、その後コントロール群のラット(〜100g)に毎日〜0.3mg/kg hGH(黒丸)、またはPBS(白丸)の皮下注射を、11日間連続して行った。40K分枝鎖ブチルアルデヒドhGH検査群(黒四角)には第0日および6日に、1.8mg/kgのPHA−794428を各々単回投与した。各群8−10頭の動物とした。平均の成長+/−SEMをプロットした。
【図4】[0038]図4は、ラットにおける40K分枝鎖ブチルアルデヒドhGHの用量に応答した成長促進効果を示す。この効能試験は、40K分枝鎖ブチルアルデヒドhGHの様々な単回用量を投与したこと(第0日のみ)、および試験を6日間追跡したことを除いて、図3に記載したものと同様の様式で行った。コントロール群は、0.3mg/kg hGH(黒丸)、またはPBS(白丸)のいずれかの1日1回の注射を、6日間連続投与した。40K分枝鎖ブチリルアルデヒドhGHは、1.8mg/kg(黒四角)、0.6mg/kg(白四角)、0.2mg/kg(黒三角)、または0.067mg/kg(白三角)にて投与した。各群8頭の動物とした
【図5】[0039]図5は、40K分枝鎖ブチルアルデヒドhGHに応答した頚骨の成長を示す。下垂体切除したラットを図3に記載したように処置した。第11日に動物を屠殺し、左側頸骨を切除し、X線照射し、ノギスを用いて骨長を測定した。平均の長さ+/−SEMをプロットする。星印はコントロール群との有意差を示す(p<0.05)。
【図6】[0040]図6は、6日間効能試験に関する血漿IGF−1レベルを示す。動物は図4に記載したように処置した。血液サンプルを様々な時間に採取し、ELISAにより血清IGF−1レベルを決定した。プロットは平均+/−SEMである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iまたは式IIの構造を有する、ポリ(エチレングリコール)修飾されたhGH:
【化1】

[式中
nは1および10の間の整数である;
mは1および10の間の整数である;
Rはヒト成長ホルモン、またはメチオニル成長ホルモンである]
の治療有効量を、単独でまたは別の治療薬と併用して、それを必要とする患者に投与することを包含する、成長ホルモンの使用が有益である疾患または障害の予防および/または治療のための方法であって、ここで成長ホルモンの使用が有益である前記疾患または障害が、勃起機能不全、HIV脂肪異栄養症、線維筋痛症、骨粗しょう症、記憶障害、鬱、クローン病、骨格の形成異常、外傷性脳傷害、クモ膜下出血、Noonan症候群、ダウン症候群、特発性低身長症(ISS)、末期腎疾患(ESRD)、超低出生体重児(VLBW)、骨髄幹細胞の救済、メタボリック症候群、グルココルチコイドミオパチー、小児のグルココルチコイド治療に起因する低身長、および未熟児の低身長のキャッチアップ成長不全、から成る群より選択される前記方法。
【請求項2】
GHの使用が有益である前記疾患または障害が、特発性低身長症、超低出生体重児、外傷性脳傷害、メタボリック症候群、Noonan症候群から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
nが4に等しく、mが3に等しい、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記のポリ(エチレングリコール)修飾されたhGHが、nが4に等しく、mが3に等しい式Iの構造を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ヒト成長ホルモンが配列番号1のアミノ酸配列を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリエチレングリコールの90%より多くが、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ末端のフェニルアラニンにコンジュゲート化する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリエチレングリコールの95%より多くが、配列番号1のアミノ酸配列のアミノ末端のフェニルアラニンにコンジュゲート化する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
各mPEGが約20kDaの分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
別の治療薬、および少なくとも1つの医薬的に受容可能な担体と組み合わせての、式Iまたは式IIのヒト成長ホルモン−PEGコンジュゲート:
【化2】

[式中
nは1および10の間の整数である;
mは1および10の間の整数である;
Rはヒト成長ホルモン、またはメチオニル成長ホルモンである]
を包含する組成物。
【請求項10】
前記のポリ(エチレングリコール)修飾されたhGHが、nが4に等しく、mが3に等しい式Iの構造を有する、請求項9に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−520544(P2007−520544A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551943(P2006−551943)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000171
【国際公開番号】WO2005/079838
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(502427323)ファルマシア・コーポレーション (67)
【Fターム(参考)】