説明

NDGA化合物を包含するカテコールブタンの送達のための経口用製剤

本発明は疾患の治療のための組成物、キット及び方法を提供し、組成物はカテコールブタン、例えばNDGA化合物、例えばNDGA誘導体、例えばテトラ−O−メチルNDGAを含有する。本発明は又、液体、半固体又は固体の形態に関わらず、経口投与経路による動物への本発明の化合物の投与に適する可溶化剤及び賦形剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NDGA化合物を包含するカテコールブタンの送達のための経口用製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、共に2005年1月27日出願の米国仮特許出願第60/647,495号及び第60/647,648号の利益を請求し、これらの出願は参照により全体が本明細書に組み込まれる。本出願は、また、本出願と同時に出願され、そして「動物へのNDGA化合物を包含するカテコールブタンの注射のための製剤」と題された代理人事件番号682714−10WOとして識別される国際特許出願にも関連し、その開示内容はこれにより参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
本出願は疾患、例えば癌又は他の増殖性又は炎症性の疾患、代謝疾患又は神経変性疾患の治療の為の、ヒトのような動物へのNDGA誘導体のようなカテコールブタンの投与のための組成物及び方法に関する。
【0004】
ノルジヒドログアヤレチック酸(NDGA)のようなカテコールブタンは、そのような化合物の腫瘍内注射又は局所適用による実験動物における治療用途について試験されている。例えばJordan等は、米国特許第5,008,294号において第0日にマウス内に皮下移植したヒト乳癌MX−1に対するNDGAの作用を記載している(実施例2)。腫瘍を有するマウスに単回腫瘍内注射で、第1日にNDGAの種々の用量を注射した。別の実験においては、Jordan等は、ヒト乳房腺癌MX−1をマウスに皮内注射し、そして、23日後に、NDGAの局所適用により動物を処置した(実施例7)。
【0005】
フアング(Huang)等は、米国特許第6,214,874号において、NDGAの特定の誘導体(即ちNDGA誘導体)の試験を記載している。1つの実験においては、マウスに不死化マウス細胞ライン、C3細胞を注射し、そして、共にNDGAの誘導体であるMN単独又はGNとの組合せの腫瘍内注射によって処置した。
【0006】
これらのより容易な投与、特に入院の必要を伴わない自己投与を可能にするこれらの抗癌化合物の経口処方が発見されれば望ましいことである。本発明はこれらの望ましい利点を提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的の1つは、NDGA誘導体のような、カテコールブタン及び/又はNDGA化合物の、1以上の新規な経口製剤を提供するものであり、それは、処置を必要とする対象への、そのような製剤の経口投与による疾患の治療のためのものである。
【0008】
本発明の別の1つの目的は、ヒトを含む動物に投与した場合に、安全でより少ない有害副作用を有する上記した製剤を提供することである。
【0009】
本発明の別の1つの目的は、商業的に合理的な期間、安定性を有する上記した1つ以上としての製剤を提供することである。
【0010】
本発明の別の1つの目的は、動物への投与において、循環中において、商業的に合理的な半減期を有する上記した1つ以上としての製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した1つ以上の本発明の目的によれば、以下に例示される本発明の実施形態が提供される。
【0012】
活性な薬学的成分及び製薬上許容しうる担体を含む動物への経口投与のための組成物であって、活性な薬学的成分がカテコールブタンを含み、そして担体が(a)水溶性有機溶媒、ただし水溶性有機溶媒がプロピレングリコールである場合は、プロピレングリコールは白色ワセリン非存在下、キサンタンガム(xanthan gum:xantham gum xanthum gumとしても知られる)非存在下、及び、グリセリン又はグリシンの少なくとも1つの非存在下のものであり、水溶性有機溶媒がポリエチレングリコールである場合は、ポリエチレングリコールはアスコルビン酸又はブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)の非存在下に存在し、そして、ポリエチレングリコールがポリエチレングリコール400である場合は、ポリエチレングリコール400はポリエチレングリコール8000の非存在下に存在するもの;(b)シクロデキストリン;(c)イオン性、非イオン性又は両親媒性の界面活性剤、ただし界面活性剤が非イオン性界面活性剤の場合は非イオン性界面活性剤がキサンタンガムの非存在下に存在するもの;(d)変性セルロース;(e)水不溶性脂質、ただし水不溶性脂質がヒマシ油である場合は、ヒマシ油はミツロウ又はカルナウバロウの非存在下に存在するもの;及び担体(a)〜(e)の何れかの組合せ、からなる群から選択される可溶化剤及び賦形剤の少なくとも1つを含む、組成物。
【0013】
対象における疾患の治療方法であって、(a)本発明の組成物を準備すること;及び(b)前記組成物を前記対象に経口投与することを含み、前記組成物が、有効量の前記活性な薬学的成分を含む、方法。
【0014】
本発明の組成物及びその使用のための説明書を含む疾患の治療のためのキット。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図面の簡単な説明
上記した要旨並びに以下に記載する本発明の詳細な説明は添付する図面と組み合わせて読むことにより良好に理解される。本発明の説明の目的のためには、現時点で好ましい実施形態を図面において示す。しかしながら、本発明は示した厳密な配置及び手段に限定されない。
【0016】
図面は以下の通りである。
【0017】
図1は、図1A及び図1Bを含み、MN処置の後にC−33A細胞ライン及びHeLa細胞ラインについて実施した細胞増殖試験の結果である。図1Aは、MN処置の非存在下において存在した細胞の数を超えたMN処置後に存在した細胞の数の比をグラフで示したものであり、ここでMNはDMSO製剤中0μM〜80μMの範囲の量で提供された。図1BはMN処置非存在下において存在した細胞の数を超えたMN処置後に存在した細胞の数の比をグラフで示したものであり、ここでMNは、HP−β−CD/PEG製剤(「CPE」製剤)中0μM〜80μMの範囲の量で提供した。
【0018】
図2は、図2A及び図2Bを含み、そしてDMSO(図2A)製剤中又はHP−β−CD/PEG製剤中(図2B)におけるMNの種々の濃度の非存在下又は存在下におけるC−33A細胞及びHeLa細胞に関する死細胞の比率に基づいた細胞死の測定をグラフで示したものである。MN濃度は0μM〜80μMの範囲とした。
【0019】
図3は、種々の液体可溶化剤及び/又は賦形剤(「担体」)中のMNの単回500mg/kg量の経口投与後0.5時間、1時間、2時間及び3時間の時点におけるSprague DawleyラットにおけるMNの吸収を示すヒストグラムである。MNは全担体において約60mg/mLの濃度で存在させた。担体は(a)HP−β−CD(500mg/mL)+HPMC(5mg/mL);(b)HP−β−CD(500mg/mL)+CMC(5mg/mL);(c)TPGS(200mg/mL);(d)TPGS(100mg/mL)+PEG 400(50%v/v);(e)Tween(登録商標:以下、省略するが「Tween」は登録商標である。)20;(f)PEG 400(50%v/v)+Tween 20(50%v/v);(g)PEG 400(33%v/v)+Tween 20(33%v/v)+ペパーミント油(33%);(h)ペパーミント油(50%)+PEG 400(50%v/v);(h)ペパーミント油(50%)+Tween 20(50%v/v);(i)ペパーミント油(50%)+ゴマ油(50%);を包含する。
【0020】
図4は、粉末形態、又は、種々の固体担体、即ち(a)MN粉末;(b)凍結乾燥HP−β−CD(81%)+MN(185mg/g);(c)TPGS(20%)+MN(133mg/g);(d)ダイズ油(95%)+ミツロウ(5%)+MN(200mg/g);及び(d)オリーブ油(95%)+ミツロウ(5%)+MN(200mg/g)のMNの単回100mg/kg量の経口投与後0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、4時間、6時間及び8時間の時点におけるビーグル犬によるMNの吸収をグラフで示したものである。
【0021】
図5は、図5A及び図5Bを含み、単回100mg/kg量の経口投与後0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間及び36時間の時点におけるビーグル犬によるグリセロールモノオレイン酸中の非−微粒子化MNの吸収をグラフで示したものである。図5Aは非対数の目盛り上のものである。図5Bは対数目盛り上のものである。
【0022】
図6は、図6A及び図6Bを含み、単回100mg/kg量の経口投与後0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間及び36時間の時点におけるビーグル犬によるグリセロールモノオレイン酸中の微粒子化MNの吸収をグラフで示したものである。図6Aは非対数の目盛り上のものである。図6Bは対数目盛り上のものである。
【0023】
図7は、図7A及び図7Bを含み、そして単回75mg/kg経口量の経口投与後0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、4時間、8時間、12時間、16時間、24時間及び36時間の時点における雄性ビーグル犬による種々の濃度における種々の担体中のMNの血清中濃度をグラフで示したものである。使用した担体の略記法、投与したMNの濃度、及び、絶食又は摂食状態のどちらのイヌに投与したかの指定は図7Bに最も明確に示されている。図7Aは非対数の目盛り上のデータを示す。図7Bは対数目盛り上のデータを示す。
【0024】
図8は、図8A及び図8Bを含み、そして単回75mg/kg経口量の経口投与後0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、4時間、8時間、12時間、16時間、24時間及び36時間の時点における雌性ビーグル犬による種々の濃度における種々の担体中のMNの血清中濃度をグラフで示したものである。使用した担体の略記法、投与したMNの濃度、及び、絶食又は摂食状態のどちらのイヌに投与したかの指定は図8Bに最も明確に示されている。図8Aは非対数の目盛り上のデータを示す。図8Bは対数目盛り上のデータを示す。
【0025】
発明の詳細な説明
本発明は増殖性疾患、例えば癌及び乾癬、高血圧、肥満、糖尿病、I型及びII型、中枢神経系の疾患又は神経変性障害、非限定的に例えば疼痛、アルツハイマー病、卒中及び炎症性疾患、前悪性新生物形成又は形成異常、感染症、例えばウイルス感染症、例えばHIV、HTLV、HPV、HSV、HBV、EBV、水痘帯状疱疹、アデノウイルス、パルボウイルス、JCウイルス等によるものを包含する疾患の治療のための新規な組成物、キット及び方法を提供する。本発明は増殖性疾患、例えば癌及び乾癬、高血圧、肥満、I型及びII型糖尿病、中枢神経系の疾患又は神経変性疾患、例えば疼痛、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、認知症、卒中及び炎症性疾患、前悪性新生物形成又は形成異常、感染症、例えばウイルス感染症、非限定的に例えばヒト免疫不全ウイルス(「HIV」)、ヒトT細胞白血病ウイルス(「HTLV」)、ヒトパピローマウイルス(「HPV」)、単純ヘルペスウイルス(「HSV」)、B型肝炎ウイルス(「HBV」)、エプスタイン・バーウイルス(「EBV」)、水痘帯状疱疹、アデノウイルス、パルボウイルス、ヤコブクロイツフェルトウイルス(「JCウイルス」)等によるものを包含する疾患の治療のための新規な組成物、キット及び方法を提供する。
【0026】
本発明は、特定の製薬上許容しうる可溶化剤中に溶解したNDGA誘導体、例えばMNのようなNDGA化合物を包含するカテコールブタンを含有する新規な組成物を提供するものであり、ここで、他の希釈剤、賦形剤等(「担体」と総称する)と共に疾患の治療の為のヒトのような対象への投与の為に適切である製剤を構成する。このような製剤は経口投与に適している。適当な製薬上許容しうる担体は、(a)DMSO以外の水溶性有機溶媒、例えば、ポリエチレングリコール(「PEG」)、例えばPEG 300、PEG 400又はPEG 400モノラウリン酸、プロピレングリコール(「PG」)、ポリビニルピロリドン(「PVP」)、エタノール、ベンジルアルコール又はジメチルアセトアミド;(b)シクロデキストリン又は修飾シクロデキストリン、例えばヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(「HP−β−CD」)又はスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン(「SBE−β−CD」);(c)イオン性、非イオン性又は両親媒性の界面活性剤、例えば非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸(ポリソルベートとしても知られている)、例えばTween 20又はTween 80として市販されているポリソルベート20及びポリソルベート80、d−アルファ−トコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸(「TPGS」)、グリセロールモノオレイン酸(グリセリルモノオレイン酸としても知られている)、エステル化脂肪酸又はCremophor(登録商標:以下、省略するが「Cremophor」は登録商標である。)ELとして市販されているモル比35:1におけるエチレンオキシドとヒマシ油との間の反応生成物;(d)修飾セルロース、例えばエチルセルロース(「EC」)、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(「HPMC」)、メチルセルロース(「MC」)又はカルボキシメチルセルロース(「CMC」);及び(e)水不溶性脂質、例えばワックス、油又は脂肪乳剤、例えばIntralipid(登録商標:以下、省略するが「Intralipid」は登録商標である。)から選択される少なくとも1つを包含する。好ましくはPGを使用する場合は、これは白色ワセリンの非存在下、キサンタンガムの非存在下、及びグリセリン又はグリシンの少なくとも1つの非存在下において使用する。好ましくは、PEGを使用する場合は、これはアスコルビン酸又はBHTの非存在下に使用し;非イオン性界面活性剤を使用する場合は、それはキサンタンガムの非存在下に使用し;そして油がヒマシ油である場合は、それはミツロウ又はカルナウバロウの非存在下とする。
【0027】
本発明の1つの実施形態において、本明細書に記載した化合物は種々の担体中に溶解するか、溶解して希釈することにより、動物への投与のための経口用液体組成物を形成する。例えば、実施形態の1つの特徴において、本発明の活性な薬学的成分(「API」)化合物は、水溶性有機溶媒、例えばPEG 300、PEG 400又はPEG 400モノラウリン酸(「PEG化合物」)中、又はPG中に溶解する。別の実施形態においては、本明細書に記載した化合物は、修飾シクロデキストリン、例えば、HP−β−CD又はSBE−β−CD中に溶解する。更に別の実施形態においては、本発明の化合物は、PEG化合物及びHP−β−CDを含有する複合製剤中に可溶化及び/又は希釈する。別の実施形態においては、本明細書に記載した化合物は、修飾セルロース、例えばHPMC、CMC又はEC中に溶解する。更に別の実施形態においては、本明細書に記載した化合物は、修飾シクロデキストリンと修飾セルロース、例えばHP−β−CDとHPMC又はHP−β−CDとCMC、の両方を含有する別の複合製剤中に溶解する。
【0028】
更に別の実施形態においては、本明細書に記載した化合物はイオン性、非イオン性又は両親媒性の界面活性剤、例えばTween 20、Tween 80、TPGS又はエステル化脂肪酸に溶解する。例えば本発明の化合物はTPGS単独、又はTween 20単独、又はTPGSとPEG 400、又はTween 20とPEG 400の組合せ中に溶解することができる。
【0029】
別の実施形態においては、本発明の化合物は水不溶性の脂質、例えばワックス、脂肪乳剤、例えばIntralipid、又は油中に溶解する。例えば本発明の化合物はペパーミント油単独中、又はペパーミント油とTween 20及びPEG 400、又はペパーミント油とPEG 400、又はペパーミント油とTween 20、又はペパーミント油とゴマ油の組合せに溶解できる。
【0030】
当然ながら、エチルセルロースは、上記の例においてHPMC又はCMCと置き換えるか、又はその代わりに添加してよく;PEG 300又はPEG 400モノラウリン酸を上記の例においてPEG 400と置き換えるか、又は添加してよく;Tween 80は上記の例においてTween 20と置き換えるか、又は添加してよく;そして、他の油、例えばコーン油、オリーブ油、ダイズ油、ミネラルオイル又はグリセロールを上記の例においてペパーミント油又はゴマ油と置き換えるか、又は添加してよい。
【0031】
更に又、加熱を適用してよく、例えばこれらの組成物の製剤の過程において約30℃〜約90℃の温度まで加熱することにより、本明細書に記載した化合物の溶解を達成するか、又は、本明細書の化合物の均一に分散した懸濁液を得てよい。
【0032】
更に別の実施形態においては、本発明のAPI化合物は何れの担体も伴うことなく、又は、担体を使用しながら、固体として経口投与される。1つの実施形態において、本明細書に記載した化合物を先ず上記した例の場合のように液体担体に溶解し、そして、その後経口用組成物としての投与のための固体組成物とする。例えば本発明の化合物をHP−β−CDのような修飾シクロデキストリン中に溶解し、そして組成物を凍結乾燥して経口投与に適する粉末とする。
【0033】
別の実施形態において、本発明の化合物は、適宜加熱しながらTPGS溶液中に溶解又は懸濁し、均一に分散した溶液又は懸濁液を得る。冷却により、組成物はクリーム状となり、経口投与に適するものとなる。
【0034】
更に別の実施形態においては、本発明の化合物を油に溶解し、そしてミツロウを添加してワックス状の固体組成物を生成する。
【0035】
更に別の実施形態においては、本明細書に記載した化合物をECのような修飾セルロース中に可溶化する。エチルセルロースのような修飾セルロースは使用前にエタノール((「EtOH」)中に希釈できる。
【0036】
本発明は、また、本発明の化合物のための可溶化剤としての水不溶性脂質を提供する。水不溶性脂質は、例えば油並びに混合脂肪乳剤組成物、例えば製造元の推奨により使用されるIntralipid(Pharmacia & Upjohn、現Pfizer)を包含する。例えば、成人の用量は脂肪2g/kg体重/日を超えないように推奨される(Intralipid 10%、20%及び30%で、それぞれ20mL、10mL及び6.7mL/kg)。Intralipid 10%は、1000mL中に、精製ダイズ油100g、精製卵リン脂質12g、無水グリセロール22g、注射用水で全量1000mLとする、を含有するとされている。pHは水酸化ナトリウムを用いて概ねpH8に調整する。Intralipid 20%は、1000mL中に、精製ダイズ油200g、精製卵リン脂質12g、無水グリセロール22g、注射用水で全量1000Lとする、を含有する。pHは水酸化ナトリウムを用いて概ねpH8に調整する。Intralipid 30%は、1000mL中に、精製ダイズ油300g、精製卵リン脂質12g、無水グリセロール16.7g、注射用水で全量1000mLとする、を含有する。pHは水酸化ナトリウムを用いて概ねpH7.5に調節する。Intralipid製品は、25℃未満の制御された室温で保存し、凍結してはならない。
【0037】
一般的に、経口用製剤の調製においては、本明細書に記載した化合物を先ず可溶化した後に他の賦形剤を添加することにより、より高度な安定性を有する組成物を生成する。不安定な製剤は望ましくない。不安定な液体製剤は、結晶性沈殿物又は2相性の溶液を形成する場合が多い。不安定な固体製剤は粒状で塊状の外観を有する場合が多く、しばしば流動性の液体を含有する場合がある。最適な固体製剤は、平滑で均質な外観を有し、融解温度の範囲が狭い。一般的に、製剤中の賦形剤の比率は、安定性に影響する。例えばミツロウのような硬化性が過度に小さい物質は製剤を過度に流動性のものとする。
【0038】
従って、一般的に、本発明の液体製剤の場合は、使用する賦形剤はAPI又は本明細書に記載した化合物、例えばMNの良溶媒でなければならない。換言すれば、賦形剤は過熱することなくAPIを溶解できなければならない。賦形剤は又、それらが安定な溶液、懸濁液又は乳液を形成できるようにAPIとは独立して相互に適合しなければならない。更に又、一般的に、本発明の固体製剤の場合は、使用する賦形剤は塊状物及び非均一な製剤を回避するためにはAPIの良溶媒であることも必要である。望ましくない流動性が高すぎるか非均質な素地(texture)の固体製剤を回避するためには、賦形剤はAPIの非存在下においても平滑で均一な固体を形成できるように相互に適合しなければならない。
【0039】
本発明はまたAPIを含有する製剤と匹敵するが、APIを含有しない「プラセボ」製剤を提供する。これらのプラセボ製剤は、製剤中における種々の成分又は賦形剤の適合性を調べるために有用である。
【0040】
本明細書において使用する用語はその通常の辞書的な意味を有し、そして特段の記載が無い限り当該分野で知られる通りに使用される。特に、本発明は以下の定義を参考にしながら良好に理解できるものであり、これらは本明細書の他の部分で定義される他の用語と共に使用される。
【0041】
濃度、又は用量に言及する際に本明細書において使用される「約」という用語は、±10%〜20%までの特定の数を意味する。
【0042】
用語「活性な薬学的成分」、「API」又は「化合物」への言及は、本明細書においては、本明細書に記載する医薬組成物中に存在する式Iのカテコールブタン、又は、NDGA化合物、例えばNDGA誘導体の1つ以上を意味する。
【0043】
「アルキレンジオキシ」という用語は、本明細書においては、メチレン又は置換されたメチレンジオキシ又はエチレン又は置換されたエチレンジオキシを指す。
【0044】
式I又は式IIにおける−R基の1つに言及する場合の「未置換又は置換されたアミノ酸残基又はその塩」とは、本明細書においては、式I又は式IIにおける芳香族基への自身の連結のために、そのC末端において「H」を減じたものを有するアミノ酸又は置換されたアミノ酸を意味し、ここで、アミノ酸又は置換されたアミノ酸は、非限定的に例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、5−ヒドロキシリジン、4−ヒドロキシプロリン、チロキシン、3−メチルヒスチジン、ε−N−メチルリジン、ε−N,N,N−トリメチルリジン、アミノアジピン酸、γ−カルボキシグルタミン酸、ホスホセリン、ホスホスレオニン、ホスホチロシン、N−メチルアルギニン、N−アセチルリジン及びN,N−ジメチル置換アミノ酸又は上記した何れかの塩、例えば塩化物塩を包含する。
【0045】
本発明において使用するために適する「緩衝液」とは当該分野で知られた従来の何れかの緩衝液であり、例えばトリス、リン酸塩、イミダゾール及び炭酸水素塩を包含する。
【0046】
「担体」とは、本明細書においては、非毒性の固体、半固体又は液体の充填剤、希釈剤、溶媒(vehicle)、賦形剤(excipient)、可溶化剤、カプセル化物質又は何れかの従来の型の製剤用補助剤を指し、活性な薬学的成分以外の組成物の成分の全てを包含する。担体は追加的な物質、例えば水和剤又は乳化剤、又はpH緩衝剤を含有してよい。他の物質、例えば抗酸化剤、湿潤剤、粘度安定剤及び同様の物質を必要に応じて添加してよい。
【0047】
「カテコールブタン」とは本明細書においては、下記式Iの化合物を意味する。
【0048】
【化1】

ここで、式中、R及びRは各々独立して−H、低級アルキル、低級アシル、アルキレンを示すか;又は−RO及び−ROは各々独立して未置換又は置換されたアミノ酸残基又はその塩を示し;R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は各々独立して−H又は低級アルキルを示し;そしてR、R及びRは各々独立して−H、−OH、低級アルコキシ、低級アシルオキシ、未置換又は置換されたアミノ酸残基又はその塩を示すか、又は何れかの2つの隣接する基は一緒になってアルキレンジオキシであってよい。
【0049】
「シクロデキストリン」とは、本明細書においては未修飾シクロデキストリン又は修飾シクロデキストリンを意味し、そして非限定的に、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、及びそれに修飾が加えられた何れかの修飾シクロデキストリン、例えばHP−β−CD又はSBE−β−CDを包含する。シクロデキストリンは、典型的には6(α−シクロデキストリン)、7(β−シクロデキストリン)、8(γ−シクロデキストリン)個の糖、糖当たり3つまでの置換を有し、従って0〜24の一次的置換が可能である(一次的置換とはシクロデキストリン環に直接連結している置換として定義される)。本発明において使用される修飾された、又は未修飾シクロデキストリンは、適切な量及び位置の一次的置換又は他の修飾の何れかを有してよい。
【0050】
NDGAの「誘導体」とは、本明細書においては「NDGA誘導体」を意味する(後述)。
【0051】
用語「疾患」は、本明細書においては本発明の組成物の適用が治療効果をもたらす全ての疾患、状態、感染、症候群又は障害を包含する。そのような「疾患」は、非限定的に例えば、癌、乾癬及び他の増殖性疾患、炎症性障害、例えば、関節リューマチ、骨関節炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、アテローム性動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、高血圧、肥満、糖尿病、疼痛、卒中及び/又は他の神経学的障害又は神経変性の疾患又は状態、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(「ALS」)及び前悪性の状態、例えば上皮内新生物形成又は形成異常、及び感染性疾患を包含する。
【0052】
「GN」又は「テトラ−N,N−ジメチルグリシニルNDGA」又は「テトラジメチルグリシニルNDGA」とは、本明細書においては、固体形態又は溶液の何れかにおける、R14、R15、R16及びR17が各々独立して−O(C=O)CHN(CH又は−O(C=O)CH(CH・Clを示し;そしてR18及びR19が各々−CHを示すような式IIのNDGA誘導体である。
【0053】
「低級アシル」とは、本明細書においては、C−Cアシル、好ましくはC−Cアシルを意味する。
【0054】
「低級アルキル」とは、本明細書においては、C−Cアルキル、好ましくはC−Cアルキルを意味する。
【0055】
「MN」又は「テトラ−O−メチルNDGA」とは、本明細書においては、R14、R15、R16及びR17が各々独立して−OCHを示し、そしてR18及びR19が各々−CHを示すような式IIのNDGA誘導体である。
【0056】
「修飾セルロース」とは、本明細書においては、セルロース分子への1つ以上の修飾を含むセルロース、例えばEC、HPMC、CMC及びMCを意味する。
【0057】
「NDGA」とは本明細書においてはノルジヒドログアヤレチック酸を意味し、そして下記式を有する。
【0058】
【化2】

【0059】
「NDGA化合物」とは、本明細書においては単一の、又は総称的にNDGA、及び/又はNDGA誘導体の何れかの1つ以上を意味する。
【0060】
「NDGA誘導体」とは、本明細書においては下記式IIを有するNDGAの誘導体を意味する。
【0061】
【化3】

ここで、式中、R14、R15、R16及びR17は、各々独立して−OH、低級アルコキシ、低級アシルオキシ、又は未置換又は置換されたアミノ酸残基又は製薬上許容しうるその塩を示し;そしてR18及びR19は、各々独立して−H又は低級アルキルを示し、ここでR14、R15、R16及びR17は、同時に−OHではない。即ち、用語は、NDGAのメチル化誘導体、例えばテトラ−O−メチルNDGA(MN)、トリ−O−メチルNDGA(MN)、ジ−O−メチルNDGA(MN)及びモノ−O−メチルNDGA(MN)、を包含する。或いは、NDGA誘導体は、NDGAのヒドロキシル又はメチル基の水素の1つ以上が置換されている化合物、例えば、R14、R15、R16及びR17が、各々独立して低級アルコキシ、低級アシルオキシ、又はアミノ酸又は置換されたアミノ酸又はその塩を示し;そしてR18及びR19が、各々独立して−H又はアルキル、例えば低級アルキルを示すものであってよい。用語は、例えば、R14、R15、R16及びR17が、各々独立して−OCH又は−O(C=O)CH又は二置換アミノ酸残基、例えばN,N−ジメチル置換アミノ酸残基、例えば−O(C=O)CHN(CH又は−O(C=O)CH(CH・Clを示し;そしてR18及びR19が、各々独立して−H又は低級アルキル、例えば−CH又は−CHCHを示す化合物を包含する。
【0062】
本明細書においては、「比率」、「パーセンテージ」又は符号「%」とは、組成物中に存在する担体の量に基づいた組成物中の示された成分の比率を意味し、何れかの特定の成分に関して示されるとおり重量/重量(w/w)、重量/容量(w/v)又は容量/容量(v/v)によるものであり、これらは全て組成物中に存在する担体の量に基づいている。即ち、異なる型の担体は示される通り100%までの量で存在してよく、これはAPIの存在を排除するものではなく、その量は%として、又は、組成物中に存在する特定のmg数又は存在する特定のmg/g数又は存在する特定のmg/mL数として示してよく、ここで%、mg/g又はmg/mLは組成物中に存在する総担体量に基づいている。特定の種々の担体が組み合わせて存在することにより担体を100%としてよい。
【0063】
「製薬上許容しうる担体」とは本明細書においては、使用される用量及び濃度においてレシピエントに対して非毒性であり、そして製剤中の他の成分と適合性を有する。例えば本発明のカテコールブタン、NDGA化合物又はNDGA誘導体を含有する製剤に対する担体は、好ましくは、酸化剤及びこれらに悪影響を与えることがわかっている他の化合物を包含しない。製薬上許容しうる担体は可溶化剤を含む。適当な製薬上許容しうる担体は、非限定的に、水、ブドウ糖、グリセロール、食塩水、エタノール、緩衝液、Cremaphor EL、リン酸緩衝食塩水、PEG 300、PEG 400、修飾シクロデキストリン及びこれらの組合せ等の、全て上記したものを包含する。
【0064】
「製薬上許容しうる賦形剤」という用語は溶媒、アジュバント又は希釈剤又は他の補助的物質、例えば当該分野における従来品を包含し、これらはパブリックに容易に入手でき、そして使用する用量及び濃度においてレシピエントに対して非毒性であり、そして製剤中の他の成分と適合性を有する。例えば製薬上許容しうる補助的物質は、pH調整剤及び緩衝剤、浸透圧調整剤、安定化剤、湿潤剤等を包含する。
【0065】
用語「可溶化剤」は、本明細書においてはカテコールブタン又はNDGA、例えばNDGA誘導体1つ以上が溶解する組成物を意味する。可溶化剤は、また担体又は製薬上許容しうる担体であってよい。
【0066】
用語「対象」、「宿主」及び「患者」は、本発明の組成物により治療される動物、非限定的に例えば、サル、ヒト、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、哺乳類牧畜動物、哺乳類競技用動物、及び哺乳類愛玩動物、を指すために本明細書においては互換的に使用される。
【0067】
本明細書においてカテコールブタン又はNDGA誘導体に言及する場合の「実質的に精製された」化合物は、カテコールブタン、NDGA化合物又はNDGA誘導体ではない物質(総称して「非NDGA物質」)を実質的に含有しないものである。実質的に含有しないとは、非NDGA物質を少なくとも約50%含有しない、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、更により好ましくは少なくとも約90%、そしてなおより好ましくは少なくとも約95%の非NDGA物質を含有しないことを意味する。
【0068】
本明細書においては、用語「治療」、「治療する」は、所望の薬理学的及び/又は生理学的作用を得ることを指す。作用は、状態又は疾患又はその症状を完全又は部分的に防止する意味において予防的であってよく、及び/又は、状態又は疾患及び/又は状態又は疾患に寄与する有害作用の部分的又は完全な治癒の意味において治療的であってよい。対象の「治療」とは例えば哺乳類、特にヒトにおける疾患の何れかの治療を包含し、そして(a)疾患に罹患しやすいがそれを有するとはまだ診断されていない対象において疾患が発生することを防止すること;(b)疾患が発生又は進行することを抑制すること、例えばその発生を停止させること;及び(c)疾患を緩解(relieving)、緩和(alleviating)又は軽減(ameliorating)すること、例えば疾患の退行(regression)又は鎮静(remission)を誘発することを包含する。
【0069】
本発明を更に説明する前に、本発明は記載した特定の実施形態に限定されず、それ自体当然ながら変動してよいものとする。本明細書において使用した用語類は特定の実施形態を説明する目的のみのためであり限定する意図がないことは、本発明の範囲は添付の請求項によってのみ限定されるためである。
【0070】
ある範囲の値が提示される場合は、その範囲の上限と下限の間の各介在値は、特段の記載がない限り、加減の単位の10分の1まで、そして、その記載された範囲内の何れかの他の記載された又は介在する数値が本発明に包含されるものとする。これらのより小さい範囲の上限及び下限はより小さい範囲内に独立して包含されてよく、そしてまた本発明内に包含され、記載された範囲内の何れかの特定的に除外された範囲の対象となる。記載された範囲が限度の一方又は両方を包含する場合は、これらの包含される限度の何れか又は両方を排除する範囲もまた本発明に包含される。
【0071】
本明細書においては、特段の記載が無い限り、単数型の標記は複数形の対象も包含する。即ち、例えば「ある化合物」とはそのような化合物の複数を包含し、そして「NDGA化合物」に言及する場合は、1つ以上のNDGA化合物、例えばNDGA誘導体および当該分野で知られた同等物への言及を包含する。
【0072】
本明細書において記載した全ての公開物、例えば特許、特許出願及び雑誌記事は、参照により全体が本明細書に組み込まれるそれらに引用されている参考文献を含めて、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0073】
本明細書において考察する公開物は本出願の出願日より前のその開示に関してのみ提示する。本明細書に記載した如何なるものも、本発明が以前の発明によりそのような公開物に先行する資格を有さないことを受け入れるものではない。更に又、提示した公開物の日付は個々に確認する必要がある実際の公開日とは異なる場合がある。本出願のテキスト内で記載した参考文献の引用は請求項の前の文献目録においてより完全に特定されている。
【0074】
以下に記載する本発明は例示のためのみに提示するものであり、本発明を如何様にも制限するものとは解釈すべきでない。
【0075】
カテコールブタンの調製
【0076】
本発明のカテコールブタンは当該分野で知られた何れかの方法により造できる。例えばそのような化合物は米国特許第5,008,294号に記載されているように調製できる。
【0077】
NDGA誘導体の製造
【0078】
NDGAは市販品製造元、例えばAlexis Biochemicals Corp., San Diego,CA,USA(カタログ番号LKT-N5669)又はA.G. Scientific,Inc., San Diego, CA, USA(カタログ番号N1071)又はCayman Chemical Company, Ann Arbor, MI, USA(カタログ番号70300)から購入してよい。
【0079】
NDGA誘導体及びその製剤は、当該分野における何れかの従来法により製造してよい。例えば、NDGA誘導体は米国特許第5,008,294号;米国特許第6,291,524号;フー,ジェイ・アール(Hwu, J.R.)他(1998年);又はマクドナルド,アール・ダブリュ(McDonald, R.W.)他(2001年)に記載の通り製造できる。
【0080】
本発明の1つの実施形態において、NDGA誘導体、テトラ−O−メチルNDGA、別名メソ−1,4−ビス(3,4−ジメトキシフェニル)−2,3−ジメチルブタン、又はMNは、以下の通り製造され、即ち反応フラスコ中のメタノール中にNDGA及び水酸化カリウムを含有する溶液を製造する。次に、ジメチルスルフェートを反応フラスコに添加し、反応を進行させる。反応は最終的には水で急冷(quench)することにより生成物を沈殿させる。沈殿物を濾過により単離し、真空オーブン中で乾燥する。次に化合物を塩化メチレン及びトルエンの溶液中に溶解し、その後アルミナ カラムを通して精製する。ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、固体をイソプロパノール中に再懸濁し、濾過により精製する。濾滓を真空オーブン中で乾燥する。得られたテトラ−O−メチルNDGA(MN)は、イソプロパノール中濾滓を還流、及び、濾過による結晶の再単離により結晶化させる。
【0081】
本発明の一部の実施形態においては、本発明の特定のNDGA誘導体、例えばGN、別名メソ−1,4−ビス[3,4−(ジメチルアミノアセトキシ)フェニル]−(2R,3S)−ジメチルブタン又はテトラ−ジメチルグリシニルNDGA、又はその塩酸塩及びアミノ酸置換基を有する同様の化合物もまた、従来法、例えば米国特許第6,417,234号に記載に従って製造できる。
【0082】
治療用組成物の製造
【0083】
本発明は、活性な薬学的成分(「API」)としてのカテコールブタン、例えばNDGA化合物及びNDGA誘導体、及び、製薬上許容しうる担体又は賦形剤を含む医薬組成物を包含する組成物を提供する。典型的には、本発明の組成物はAPI、即ちカテコールブタン、例えば本明細書に記載するNDGA化合物及びNDGA誘導体を約0.1%〜約99%(less than about 0.1% up to about 99%)を含有し;場合により本発明は約2%〜約90%のAPIを含有する。
【0084】
本発明は更に、カテコールブタン、例えばNDGA化合物、例えばNDGA誘導体、例えばMNが、約1mg/mL〜約200mg/mL、又は約10mg/mL〜約175mg/mL、又は約20mg/mL〜約150mg/mL、又は約30mg/mL〜約125mg/mL、又は約40mg/mL〜約100mg/mL、又は約50mg/mL〜約75mg/mLの濃度で存在するような組成物を提供する。1つの実施形態において、NDGA化合物は、本明細書に記載した組成物中、約1mg/mL、約2mg/mL、約2.5mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約35mg/mL、約40mg/mL、約45mg/mL、約50mg/mL、約55mg/mL、約60mg/mL、約75mg/mL、約80mg/mL、約90mg/mL、約100mg/mL、約120mg/mL、約125mg/mL、約150mg/mL、約175mg/mL又は約200mg/mLの濃度で存在する。
【0085】
本発明は更に、カテコールブタン、例えば、NDGA化合物、例えば、NDGA誘導体、例えば、MNが、約1mg/g〜約250mg/g、又は場合により約20mg/g〜約200mg/g、又は約40mg/g〜約180mg/g、又は約60mg/g〜約160mg/g、又は約80mg/g〜約130mg/g、又は約50mg/g〜約100mg/gの範囲の濃度で存在するような組成物を提供する。1つの実施形態において、本発明の化合物は、約133mg/g、約185mg/g、約200mg/g及び約250mg/gの濃度で本明細書に記載した組成物中に存在する。組成物中のAPIの例示される量は、非限定的に、約20mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約120mg/g、約130mg/g、約140mg/g、約150mg/g、約175mg/g又は200mg/gを包含する。
【0086】
代替として表現すれば、本発明の組成物の別の実施形態は、約0.1mg〜約200mg(less than about 0.1mg up to about 200mg)のAPI、例えば、約10mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約75mg、約100mg又は約200mgのAPIを含有してよい。
【0087】
本発明の1つの実施形態において、API及び担体を含有する組成物が提供され、ここで、APIは、カテコールブタンであり、そして、担体は、APIを溶解するための可溶化剤及び/又は賦形剤を含有し、ここで可溶化剤及び/又は賦形剤は、以下のもの、即ち(a)水溶性有機溶媒、例えばPG(プロピレングリコール)又はPEG(ポリエチレングリコール)化合物、ただし、PEG化合物は、例えばPEG 300、PEG 400又はPEG 400モノラウリン酸であるもの;(b)シクロデキストリン、例えば修飾シクロデキストリン;(c)イオン性、非イオン性又は両親媒性の界面活性剤、例えばTween 20、Tween 80又はTPGS、グリセロールモノオレイン酸及びエステル化脂肪酸;(d)修飾セルロース、例えば、EC、HPMC、MC又はCMC;及び(e)水不溶性の液体、例えば油、ワックス又は脂肪乳剤、例えばIntralipid、ただし組成物がヒマシ油を含有する場合は、それはミツロウ又はカルナウバロウを含有しないもの;及び上記物質(a)〜(e)の混合物の少なくとも1つを含有するが、それより多くを含有してもよい。
【0088】
1つの実施形態において、本発明は、経口投与用に適する液体組成物である上述の組成物を提供する。別の実施形態において、本発明は、経口投与用に適する固体組成物である上述の組成物を提供する。
【0089】
更に別の実施形態において、本発明は、(a)グリセリン又はグリシンの1つ;又は(b)白色ワセリン;又は(c)キサンタンガムを、組成物がプロピレングリコールを含有する場合には含有しないような、上述の組成物を提供する。
【0090】
更に別の実施形態において、本発明は、組成物が非イオン性界面活性剤を含有する場合にキサンタンガムを含有しない上述の組成物を提供する。
【0091】
更に別の実施形態において、本発明は、組成物がPEG 400を含有する場合にPEG 8000又はBHTを含有しない上述の組成物を提供する。
【0092】
好ましい水溶性有機溶媒に属するものは、エタノール、ベンジルアルコール、ジメチルアセトアミド、PVP、PG及びPEG化合物、例えばPEG 300、PEG 400又はPEG 400モノラウリン酸、である。本発明の組成物中のPEG化合物は、約5%〜約100%、又は約5%〜約60%、又は約10%〜約90%、又は約20%〜約80%、又は約30%〜約70%、又は約40%〜約60%の量で存在し、全ての濃度は容量/容量(v/v)の比率で示す。PGは、約2.5%〜約100%(v/v)の濃度で存在してよい。
【0093】
本発明の組成物中のPEG化合物の濃度は、同様に存在している他の可溶化剤又は希釈剤又は賦形剤に依存して変動する。例えば、本発明のPEG 300、PEG 400又はPEG 400モノラウリン酸は、約5%、約10%、約12.5%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%又は約95%の濃度であることができ、これらの濃度は全て容量/容量(v/v)の比率で示す。
【0094】
本発明は、また、修飾シクロデキストリンを含むシクロデキストリン中の、カテコールブタン又はNDGA化合物の組成物を提供する。本明細書に記載するシクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンであってよく、そして、修飾シクロデキストリンは、例えば、HP−β−CD及びSBE−β−CDを包含してよい。1つの実施形態において、本発明の組成物は、修飾シクロデキストリンを約5%〜約80%、又は約10%〜約70%、又は約20%〜約60%、又は約30%〜約50%の濃度で含有し、これらの濃度全ては重量/容量(w/v)の比率で示す。
【0095】
更に別の実施形態においては、修飾シクロデキストリン、例えばHP−β−CDは、組成物中に、約12.5%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%又は約75%の濃度で存在し、これらの濃度全ては、重量/容量(w/v)の比率で示す。
【0096】
単独又は他のものと共に本発明の組成物中で使用してよい別の製薬上許容しうる担体又は賦形剤としては、イオン性、非イオン性又は両親媒性の界面活性剤、例えばCremophor EL、非イオン性界面活性剤であるポリソルベート、例えばTween 20又はTween 80として市販されているポリソルベート20及びポリソルベート80、両親媒性界面活性剤であるTSGS等が挙げられる。適当な界面活性剤の別の例は、非限定的に、グリセロールモノオレイン酸及びエステル化脂肪酸、例えば典型的には植物油のエステル転移で製造されるもの、Gattefosse Corp., Paramus,NJ, USAよりLabrafil(登録商標:以下、省略するが「Labrafil」は登録商標である。)、Labrasol(登録商標:以下、省略するが「Labrasol」は登録商標である。)及びGelucire(登録商標:以下、省略するが「Gelucire」は登録商標である。)のような幾つかの種類及び等級において入手できるものを包含する。界面活性剤は何れかの所望の有効量において、例えば、約1%(v/v)〜約100%(v/v)、好ましくは約9%(v/v)〜約80%(v/v)、より好ましくは約10%(v/v)〜約50%(v/v)の濃度として存在できる。特定の例として、非イオン性界面活性剤の好ましい濃度は、約9%(v/v)〜約100%(v/v)の濃度におけるTween 20、および約33%(v/v)〜約100%(v/v)のTween 80である。界面活性剤の全比率は、容量比率(v/v)である。
【0097】
単独又は他のものと共に本発明の組成物中で使用してよい別の製薬上許容しうる担体又は賦形剤は、修飾セルロース、例えば、EC、HPMC、MC及びCMCである。修飾セルロースは、何れかの望ましい有効量、例えば、約0.1%〜約25%、又は約0.5%〜約7.5%、又は約1.0%〜約5%の濃度において存在できる。特定の例においては、ECは、約5%〜約20%の濃度で存在してよく;HPMCは、約0.5%〜約1%の濃度で存在してよく;MCは、約1%〜約3%の濃度で存在してよく;そして、CMCは、約1%〜約4%の濃度で存在してよい。修飾セルロースの比率は、容量当たりの重量(w/v)である。
【0098】
別の実施形態においては、本発明は、PEG化合物、例えばPEG 400、及び界面活性剤、例えばTween 20を可溶化剤及び/又は賦形剤として含有する上述の組成物を提供する。
【0099】
単独又は他のものと共に本発明の組成物中で使用してよい別の製薬上許容しうる担体又は賦形剤は、水不溶性の脂質、例えば、油、脂肪乳剤又はワックスである。水不溶性液体担体は、何れかの所望の有効量、例えば、約10%〜約100%、又は約15%〜約85%、又は約25%〜約75%の濃度において存在できる。
【0100】
油の非限定的な例は、コーン油、オリーブ油、ペパーミント油、ダイズ油、ゴマ種子油、ミネラルオイル及びグリセロールを包含する。1つの実施形態において、油は、約10%(v/v)〜約100%(v/v)の濃度で存在する。混合脂肪乳剤組成物は、例えば上述のIntralipid 乳剤などが利用できる。種々の実施形態において、混合脂肪乳剤は、約10%(w/v)〜約30%(w/v);そして、好ましくは、約20%(w/v)の濃度において存在してよい。適当なワックスの非限定的な例は、ミツロウ及びカルナウバロウである。1つの実施形態において、ワックスは、約5%(w/w)〜約50%(w/w)の濃度で存在する。
【0101】
水不溶性担体は、水溶性担体、例えばPEG化合物及び界面活性剤、例えばTween20又はTween 80の何れかの1つ以上と組み合わせて使用してよい。別の例として、本発明の組成物は、可溶化剤及び/又は賦形剤、例えば油及び界面活性剤、例えばペパーミント油及びTween 20又は油及びPEG化合物、例えばペパーミント油及びPEG 400の組合せ、を含有する。
【0102】
別の実施形態において、本発明の組成物は、油、界面活性剤及びPEG化合物、例えばペパーミント油、Tween 20及びPEG 400化合物を含有する。
【0103】
別の例として、本発明の組成物は、油、又は油及びワックス、例えばペパーミント油およびゴマ油、ダイズ油及びミツロウ又はオリーブ油及びミツロウの組合せを包含する。ミツロウは、約5%〜50%(w/w)の範囲の濃度において存在してよい。
【0104】
或いは、別の実施形態において、Tween 80は、Tween 20と置き換えてもよく、そしてPEG 300又はPEG 400モノラウリン酸は、PEG 400と置き換えてもよく、そして油の何れかは、ペパーミント油、ダイズ油及びオリーブ油と置き換えてもよい。
【0105】
更に別の賦形剤は、グリセロールモノオレイン酸及び種々の型のエステル化脂肪酸、例えばLabrafil、Labrasol及びGelucire製品を包含する。これらは典型的には、界面活性剤又は乳化剤に分類されるが、Labrasol及びGelucire製品は、生体利用能増強剤としても使用される。
【0106】
Labrafil、特にLabrafil M 1944 CSは、API、例えばMNと共に賦形剤として使用でき、APIは、約5mg/mL〜約500mg/mLの濃度で溶解する。最終生成物は溶液、懸濁液又は固体であってよい。
【0107】
Labrasolは、API、例えばMNと共に賦形剤として使用でき、APIは、約1mg/mL〜約500mg/mLの濃度で溶解する。最終生成物は溶液、懸濁液又は固体であってよい。
【0108】
Gelucire、特にGelucire 44/14は、API、例えばMNと共に賦形剤として使用でき、APIは、約30mg/mL〜約500mg/mLの濃度で溶解する。最終生成物は固体である。
【0109】
グリセリルモノオレイン酸は、API、例えばMNと共に賦形剤として使用でき、APIは、約0.1mg/mL〜約500mg/mLの濃度で溶解する。最終生成物は溶液、懸濁液又は固体であってよい。
【0110】
種々の担体成分の組合せを上述の通りAPIと共に使用してよい。そのような実施形態の1つの非限定的な例は、25%(w/v)PEG 300、30%(w/v)HP−β−CD、担体の平衡としての動物への「注射用水」(「WFI」、即ち製薬業界においてみとめられた等級の水を示すもの)中の10mg/mLのMNの組成物である。この好ましい実施形態においては、HP−β−CDは、6〜8程度(degree)の置換を有するが、他の実施形態における他の置換も上述の通り本発明の範囲に包含される。
【0111】
他の賦形剤及び添加剤、例えば生体利用能増強剤を、本発明の組成物中において担体の何れかと組み合わせて使用してよい。適当な生体利用能増強剤は例えば非限定的に上述のものに加えてオイゲノール、桂皮アルデヒド、レシチン、ナリンゲニン(naringenin)、ナリンギン(naringin)及びピペリン(piperin:piperineとも称する。)を包含する。
【0112】
本明細書に記載したカテコールブタンが、溶解し、そして溶液、懸濁液中に残存するか、又は半固体又は固体形態の組成物内に維持される限り、本明細書に記載した可溶化剤又は希釈剤又は賦形剤の1つ以上を組成物に添加することによりそのような処置を必要とする対象へのそれの送達を最適化してよい。
【0113】
本発明における使用に適する他の製薬上許容しうる担体又は賦形剤は、種々の公開物に記載されている。有用な担体又は賦形剤の例は、例えばジェンナロ,エイ・アール(Gennaro, A.R.)(2003年);アンセル,エイチ・シー(Ansel, H.C.)他(2004年);ロウ,アール・シー(Rowe, R.C.)他(2003年);及びガーグ,エス(Garg, S.)他(2001年)に記載されている。
【0114】
液体形態の組成物は緩衝液を包含してよく、これは、カテコールブタン又はNDGA化合物、例えばNDGA誘導体の所望の用途に従って選択され、そして意図する用途に対して適切な他の物質も包含してよい。適切な緩衝液は当業者が容易に選択できるものであり、その広範な種類は当該分野で知られており、意図する用途に適している。
【0115】
治療方法
【0116】
カテコールブタン、例えばNDGA化合物、例えばNDGA誘導体を含有する組成物はそのようなカテコールブタン又はNDGA化合物又は誘導体が使用できる何れかの数の疾患における処置を必要とする対象において、治療薬として、又は、そのような治療の為に使用できる。
【0117】
本発明は、疾患、例えば増殖性疾患、例えば良性及び悪性の癌、乾癬及び前悪性の状態及び新生物形成、例えば上皮内新生物形成又は形成異常の処置のための方法及び組成物を提供する。本発明は、また、糖尿病、例えばI型及びII型糖尿病、肥満及びそのようなものから生じる合併症、例えば心臓血管疾患、卒中及び高血圧の処置を提供する。本発明は、更に炎症性疾患、例えば関節リューマチ、骨関節炎、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、クローン病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び他の免疫系関連の疾患の処置を提供する。更に、また、本発明は、神経学的疾患、例えば、中枢神経系の疾患および神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、認知症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)及びパーキンソン病の処置を提供する。更に別の実施形態において、本発明は感染症、例えば、転写又は複製のためにSp1結合を必要とするウイルスを包含するウイルス感染症、の処置を提供する。Sp1結合を必要とするこのようなウイルスの例は、HIV、HTLV、HPV、HSV、HBV、EBV、水痘帯状疱疹ウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス及びJCウイルスを包含する。
【0118】
ヒト及び非ヒト動物を包含する種々の動物宿主が、対象となる方法に従って治療可能である。一般的に、そのような宿主は「哺乳類(mammals又はmammalian)」であり、これらの用語は哺乳類に分類される生物、例えば肉食動物目(例えばイヌ及びネコ)、げっ歯類(例えばモルモット及びラット)、及び他の哺乳類、例えばウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、ブタ及び霊長類(例えばヒト、チンパンジー及びサル)を指すために広範に使用される。多くの実施形態において、宿主はヒトである。動物モデルは、ヒトの疾患の処置のためのモデルを提供するなどの実験調査の為に有利である。更に又、本発明は獣医科の医療にも適用される。
【0119】
製剤、用量及び投与経路
【0120】
本発明の1つの実施形態において、本発明の組成物の有効量を宿主に投与し、ここで「有効量」とは、所望の結果を得るために十分な用量を意味する。一部の実施形態においては、例えば所望の結果は、少なくとも、新生物形成又は形成異常の進行の抑制である。
【0121】
本発明は更に、活性な薬学的成分、例えばカテコールブタン、例えばNDGA化合物、例えばNDGA誘導体、例えばMNを、例えばヒトのような動物の体重当たり約1mg/kg〜約600mg/kg(about less than 1mg/kg to about 600mg/kg)の経口用量において動物に投与する組成物を提供する。場合により、動物は、1mg/kg、又は50mg/kg、又は100mg/kg、又は150mg/kg、又は200mg/kg、又は250mg/kg、又は300mg/kg、又は350mg/kg、又は400mg/kg、又は450mg/kg、又は500mg/kg、又は550mg/kgで処置してよい。このような用量は一回、又は数日間、数週間又は数ヶ月にわたり反復して投与してよい。或いは、このような用量は、対象の健康状態、対象の感受性、治療すべき疾患の程度、対象の年齢等に応じてある期間にわたり広げさせて(spread out)よい。
【0122】
1つの実施形態において、本明細書に記載した治療用組成物は、先ず必要に応じて攪拌及び加熱しながら可溶化剤中に活性な薬学的成分を溶解することにより製造する。他の賦形剤を可溶化混合物に添加することにより素地及び安定性の条件に関して所望の割合とする。別の実施形態においては、活性な薬学的成分は、実際は可溶化剤には溶解させず懸濁液中に単に均一に分散させてよい。別の実施形態においては、可溶化された組成物は凍結乾燥し、粉末形態で使用してよい。最終的な経口用組成物は、液体溶液又は懸濁液の形態であってよく、又は、固体の粉末、錠剤又はカプセルの形態であってよい。
【0123】
上述の通り、投与すべき適切な用量は、治療すべき対象、例えば対象の全身健康状態、対象の年齢、疾患の状況又は状態、対象の体重、疾患の程度、例えば腫瘍の大きさ等に応じたものである。一般的に、約0.1mg〜約500mg以下(500mg or less)を小児には投与し、そして約0.1mg〜約5グラム以下(5 grams or less)を成人に投与してよい。活性剤は、単回の、又はより典型的には複数回投与において投与できる。所定の薬剤に対する好ましい用量は種々の手段により当業者が容易に決定できる。他の有効な用量は、用量応答曲線を調製する日常的試行により当業者により容易に決定される。薬剤の量は当然ながら使用する特定の薬剤に応じて変動する。
【0124】
活性剤の投与の頻度は用量の場合と同様に年齢、体重、疾患の状況、健康状態及び患者の応答性に基づいて看護者により決定される。即ち薬剤は一回以上、毎日、毎週、毎月又は慣習的に決定されたように適宜投与してよい。薬剤は間欠的に、例えば数日、数週又は数ヶ月の期間にわたり投与し、その後は一定時間、例えば3又は6ヶ月が経過するまで再投与せず、そしてその後は再度、数日、数週又は数ヶ月の期間にわたり投与してよい。
【0125】
薬学的剤形においては、活性剤は単独又は他の薬学的活性剤又は治療薬、例えば他の小分子、抗体又は蛋白治療薬との適切な付随並びに組合せにおいて投与してよい。
【0126】
更に又、所望により担体又は賦形剤は、補助的物質、例えばpH調整剤及び緩衝剤、浸透圧調整剤、安定化剤、湿潤剤又は乳化剤を少量含有してよい。このような剤形を調製する実際の方法は既知であるか、又は当業者の知る通りである。例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, 20th ed., Mack Publishing Co. Rawlins, EA,(1997年)を参照できる。投与すべき組成物又は製剤は何れの場合においても治療すべき対象において所望の状態を達成するために適切なある量のAPIを含有する。
【0127】
活性剤の複数又は単位用量(multiple or unit doses)を伴ったキットは本発明に包含される。そのようなキットにおいては、カテコールブタン、例えばNDGA化合物、例えばNDGA誘導体を含有する組成物の複数又は単位用量を保持する容器に加えて、目的の病理学的状態を処置する場合の薬剤の使用及びそれに伴う利益を説明した説明書を伴った情報提供用パッケージインサートが包含される。場合により本発明の組成物の投与のためのアプリケーターを各キットに包含させる。
【実施例】
【0128】
以下に記載する実施例は本質的に例示的なものであり、本発明を限定するものと解釈してはならない。
【0129】
実施例1.HP−β−CD及び/又はPEG 300中にMNを含有する製剤。
【0130】
本実施例においては、MNはPCT/US2004/016117に記載の通り調製し、そして、可溶化剤中に可溶化した。得られた溶液は場合により賦形剤及び/又は希釈剤と混合した。可溶化剤及び賦形剤は、互換的に、或いは相互に組み合わせて使用してよい。使用した1つの可溶化剤又は賦形剤はResearch Diagnostics, Inc.より入手可能なエンドトキシン制御のヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(「HP−β−CD」)(カタログ番号RDI-82004HPB、ロット番号H3N188P)(Flanders, NJ, USA)であった。使用した別の可溶化剤又は賦形剤はSpectrum Chemicals, Inc.より入手したPEG 300(カタログ番号P0108、ロット番号TB1228)(Gardena, CA, USA)であった。
【0131】
本発明の1つの実施形態においては、HP−β−CD及びPEG 300は単一の製剤中に存在する。この製剤を製造するためには、MNを先ずPEG 300に溶解してPEG 300中MN溶液(「MN/PEG 300」)を形成した。MN/PEG 300溶液を次に予め製造しておいたHP−β−CD溶液に添加してPEG 300及びHP−β−CD中のMN溶液(以後「CPE」製剤と称する)を形成した。
【0132】
HP−β−CD溶液を調製する際には、体積膨張を考慮しなければならない。例えば40%(w/v)HP−β−CD溶液については、0.7mL/gの体積膨張(即ち添加HP−β−CDグラム当たり水0.7mLが置換される)を考慮しなければならない。
【0133】
可溶化剤及び/又は賦形剤として使用するための40%HP−β−CDの100mL溶液の調製に際して、攪拌棒の入ったガラスビーカー中にWFI65mLを投入した。ビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。約40グラムのHP−β−CDを攪拌中のWFIにゆっくり添加し、その際、スパーテルを用いてビーカーの中央部にHP−β−CDを対向させることによりHP−β−CDの結晶がビーカー壁面に固着するのを防止した。HP−β−CD溶液を約24時間、又は、HP−β−CDが完全に溶解したことが目視により判明するまで攪拌した。得られた溶液は約93mLであった。この溶液に、約7mLのWFIを添加して100mLとし、約40%HP−β−CDの最終溶液を調製した。最終溶液を約1時間攪拌し、遮光下に室温で保存した。修飾シクロデキストリン溶液を調製するこの方法をスケールアップ又はダウンすることにより所望の容量又は濃度を得てよい。他の濃度又は他の修飾シクロデキストリン溶液は、例えばHP−β−CDを、上述の方法において適切な濃度となるように調節された他の修飾シクロデキストリンと置き換えることにより、同様に調製してよい。
【0134】
40%HP−β−CD中、約10mg/mLの濃度のMNの溶液10mlを以下の通り調製した。約10mlの40%HP−β−CD溶液を攪拌棒の入ったガラスビーカーに添加した。ビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。約10mgのMNを、スパーテルを用いてビーカーの中央部における40%HP−β−CDにゆっくり添加した。MN/HP−β−CD混合物を2時間、又は全てのMNが均一に懸濁し、塊状物が存在しなくなるまで攪拌した。MN/40%HP−β−CD混合物は場合により80℃で約30分間(又は、より大容量の溶液が所望の場合は、より長時間、例えば、MN/40%HP−β−CD混合物100mlに対して、80℃にて1時間)又は必要に応じて、より長時間加熱することによりMNが完全に溶解するようにした。白色の背景、次いで暗色の背景に対向させてビーカーを保持し、次に粒状物の存在を探査することにより、未溶解のMNが存在しているかどうかについて、MN/40%HP−β−CD混合物又は溶液を観察した。最終MN/HP−β−CD溶液は、遮光下に室温で保存した。この方法をスケールアップ又はダウンすることによりMNの所望の容量又は濃度を得てよい。他のシクロデキストリン溶液中にMNを含有する製剤は、例えば、上述の方法におけるHP−β−CDを他のシクロデキストリンと置き換えることにより同様に調製してよい。表1に示す結果は7日間より長期間にわたり40%HP−β−CD製剤中1mg/mL及び10mg/mLの濃度において冷却した後にもMNが溶液であり続けたことを明らかにしている。
【0135】
PEG 300中、約25mg/mLの濃度のMNの溶液100mlを以下の通り調製した。約100mlのPEG 300を、攪拌棒を含むガラスビーカーに添加した。ガラスビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。ビーカー壁面にMNが固着するのを防止するためにスパーテルを用いてビーカーの中央部におけるPEG 300に約2.5gのMNをゆっくり添加した。MN/PEG 300混合物を24時間、又は全てのMNが溶解又は均一に懸濁し、塊状物が存在しなくなるまで攪拌した。MN/PEG 300混合物は、場合により60℃で約30分間(又はより大容量の溶液が所望の場合はより長時間、例えば、MN/PEG 300混合物の500mlについては60℃で1時間)又は、必要に応じてより長時間加熱することによりMNが完全に溶解するようにした。白色の背景、次いで暗色の背景に対向させてビーカーを保持し、次に粒状物の存在を探査することにより、未溶解のMNが存在しているかどうか、MN/PEG 300混合物又は溶液を観察した。全てのMNが溶解していることが観察された後、得られたMN/PEG 300溶液を即座に、又は、48時間の有効期限の前、又は結晶又は他の沈殿物が形成する前に使用した。結晶が形成した場合は、全てのMNが溶液中に再溶解するまで、MN/PEG 300溶液を、再度60℃で1時間、高温磁気プレート上で攪拌しながら加熱した。最終MN/PEG 300溶液は遮光下に室温で保存した。この方法をスケールアップ又はダウンすることによりMNの所望の容量又は濃度を得てよい。他のPEG中にMNを含有する製剤は、例えば上述の方法におけるPEG 300をPEG 400又はPEG 400モノラウリン酸と置き換えることにより同様に調製してよい。
【0136】
50%PEG 300(v/v)、20%HP−β−CD(w/v)及び12.5mgのMNを含有する製剤の100mLの保存液(stock solution)は、磁気プレート上の攪拌棒の入ったガラスビーカーに予め調製しておいた40%HP−β−CD溶液(上述の通り調製)50mlを添加し、攪拌棒を中速で攪拌し、予め調製しておいた50mLのMN/PEG 300溶液(上述の通り調製)をゆっくり、例えば約10mL/分の速度で、添加することにより調製した。MN/PEG 300は、それがビーカー壁面に固着するのを防止するため、そして、完全な溶解を確実に行うためにビーカーの中央にピペットを使用して添加した。HP−β−CD溶液へのMN/PEG 300の添加は、最初は白色溶液の状態であったが、連続攪拌により最終的には透明となった。この操作法は適宜スケールアップ又はダウンすることにより、MN/PEG 300及びHP−β−CDの所望の容量及び濃度としてよい。保存液は、0.22μmのPVDF膜、例えばMilliporeより入手可能な予備滅菌された真空駆動型使い捨てボトルトップフィルターメンブレン(カタログ番号SCGV T05 RE)(Billerica,MA,USA)を用いて濾過滅菌した。濾過処置は真空力により駆動し、濾液を予め滅菌した250mL容量のガラスビンに収集した。次にビンを密封し、遮光下に室温で保存した。HP−β−CD中の、MN/PEG 400又はMN/PEG 400モノラウリン酸の保存液は、上述の方法においてPEG 300をPEG 400又はPEG 400モノラウリン酸と置き換えることにより同様に調製できる。
【0137】
上述の態様において調製したMN/PEG 300/HP−β−CD、MN/PEG 400/HP−β−CD又はMN/PEG 400モノラウリン酸/HP−β−CDの保存液はインビトロで使用する前、又は、動物への投与の為に希釈することができる。希釈が必要な場合は、保存液は好ましくは食塩水の代わりにWFIで希釈し、例えば、浸透圧を低く維持する。WFI中の保存液の1:1希釈物100mLを調製するために、約50mLの保存液をガラスバイアルに添加した。約50mLのWFIをバイアル中の50mLの保存液に添加し、希釈された溶液を形成した。ガラスバイアルを閉じ、バイアルを数回振とう反転させることにより希釈された溶液を十分混合した。希釈された溶液を0.22μmのPVDF膜、例えばMilliporeより入手可能な予備滅菌された真空駆動型使い捨てボトルトップフィルターメンブレン(カタログ番号SCGV T05 RE)(Billerica,MA,USA)を用いて濾過滅菌した。濾過処置は真空強制により駆動し、濾液を予め滅菌した250mL容量ガラスビンに収集した。次にビンを密封し、遮光下に室温で保存した。この方法をスケールアップ又はダウンすることにより必要な容量又は希釈度、例えば1:2又は1:4の希釈度としてよい。
【0138】
50%PEG 300及び20%HP−β−CDを含有するプラセボ対照として使用するのに適する製剤は以下のように調製できる。プラセボ又は対照製剤の100mL溶液を調製するために、磁気プレート上の攪拌棒の入ったガラスビーカーに40%HP−β−CD約50mLを添加する。磁気プレートは中速でHP−β−CD溶液を攪拌するように設定する。約50mLのPEG 300を、ビーカーの壁面にPEG 300が固着しないようにビーカーの中央部にピペットを用いて、ガラスビーカー内の50mLのHP−β−CDにゆっくり添加する。混合物を約1時間、又は完全に混合するまで攪拌する。このプラセボ製剤を真空力により駆動される0.22μmのPVDFメンブレンフィルターを用いて濾過滅菌する。濾液を予め滅菌した250mL容量ガラスビンに収集する。ガラスビンを密封し、遮光下に室温で保存した。この処方を必要に応じてスケールアップ又はダウンすることにより所望の濃度及び容量としてよい。更にまた、PEG 300は所望によりPEG 400又はPEG 400モノラウリン酸と置き換えてもよい。
【0139】
HP−β−CD及び/又はPEG 300、PEG 400を含有する製剤中、及び、上記又は同様の方法に従って調製したHP−β−CD及びプロピレングリコール(「PG」)、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)又はTween 80を含有する製剤中のMNの溶解性の結果並びに得られた製剤の特性を表1〜5に示し、表中、Nは「No」、Yは「Yes」を示す。
【0140】
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【0141】
全製剤が4℃で24時間及び5000rpmで5分間の遠心分離に耐容性を示し、目視可能な沈殿物は形成しなかった。50%PEG 300、20%HP−β−CD、12.5mg/mLMNの保存液を含有する製剤は少なくとも4ヶ月、4℃に耐容性を示した。1:1又は1:2希釈度で調製した同じ保存液希釈物もまた少なくとも4ヶ月、4℃に耐容性を示した。
【0142】
【表2】

【0143】
【表3】

【0144】
【表4】

【0145】
【表5】

【0146】
同様に、MNはエタノール、PVP(ポリビニルピロリドン)、プロピレングリコール又はグリセロールを包含する水溶性有機溶媒のような他の可溶化剤中に可溶化してもよい。
【0147】
実施例2.培養物中の腫瘍細胞の増殖及び細胞死に対するDMSO中又は複合PEG 300/HP−β−CD製剤中のMNの作用
【0148】
10%(w/v)HP−β−CD及び25%(v/v)PEG 300中のMN(以下「CPE製剤」と称する)、30%(w/v)HP−β−CD及び25%(v/v)PEG 300中のMN(以下、「CPE25/30製剤」と称する)、及び、27%(w/v)HP−β−CD及び33%(v/v)PEG 300中のMN(以下、「CPE33/27製剤」と称する)の2種の腫瘍細胞ライン、即ちHPV−18陽性ヒト子宮頸癌細胞ラインHeLa及びHPV陰性ヒト子宮頸癌細胞ラインC−33Aにおける細胞死及び増殖に対する作用を試験した。両方の腫瘍細胞ラインを、漸増量のMN:0μM、20μM、40μM、60μM及び80μMで、DMSO又はCPE製剤と共に72時間処置した。各製剤は総量1%の増殖培地(10%ウシ胎児血清、1mMピルビン酸ナトリウム、1×非必須アミノ酸溶液及び1000IU/mLペニシリン/1000μg/mLストレプトマイシン溶液を添加したL−グルタミン含有最小必須培地)に添加した。対照細胞を同じ条件下に増殖させ、未処置のまま放置した。処置又は未処置の72時間後、各試料中の細胞の総数及び生細胞の数をトリパンブルー色素排除法により計数した。各試料の細胞増殖速度及び死細胞の比率を分析した。この実験の結果を図1、図2及び表6〜12に示す。
【0149】
図1は、C−33A細胞及びHeLa細胞の処置について、DMSO製剤又はCPE製剤の何れかにおけるMNの漸増濃度に対してプロットした処置細胞数/未処置細胞数の比をグラフで示したものである。図2は、2種の癌細胞ライン、即ち培養物中のC−33A及びHeLa細胞の処置について、DMSO製剤又はCPE製剤の何れかにおけるMNの漸増濃度に対してプロットした死細胞の比率をグラフで示したものである。
【0150】
結果は、未処置対照と比較した場合に、試験した腫瘍細胞ラインの両方に対して、死細胞の%で測定した場合、MN非存在下のDMSO単独が顕著な抗増殖作用及びある程度の毒性作用を有していることを示している。これとは対照的に、未処置対照と比較した場合に2種の腫瘍細胞ラインに対してCPE製剤単独は抗増殖作用及び極めて僅かな毒性作用を有している。
【0151】
細胞増殖速度は、同製剤における非MN処置の対照(すなわち0μg/mLまたはMNの0μg)と比較した場合に、DMSO製剤又はCPE製剤の何れかにおけるMNの処置後、両方の細胞ラインにおいて低減していた。実際、抗増殖作用はCPE製剤中ではMNの用量依存性であるように思われた。CPE製剤においては、例えば、約20μM又は7.2μg/mLのMNが両方の腫瘍細胞タイプに対して細胞増殖の約50%抑制をもたらすのに十分であることがわかった。CPE製剤中のMNの濃度を更に増大させると、両方の細胞タイプに対して抗増殖作用が更に増大した。
【0152】
一般的に、DMSO製剤又はCPE製剤のいずれかにおけるより高用量のMNは、C−33A細胞及びHeLa細胞の両方に対して細胞死のより高い比率を誘導した。しかしながら、DMSO製剤中のMNはCPE製剤中のMNの相当する濃度よりも細胞に対してより高毒性であった。DMSO製剤中で試験したMNの最高濃度(80μM又は28.7μg/mL)は、細胞集団の約40%において細胞死を促進したが、CPE製剤中のMNの同濃度は、本実験においては細胞集団の僅か約20%のみにおいて細胞死を促進した。
【0153】
これらの結果は両方の細胞ラインにおいて再現性があるとわかった。本試験のデータはCPE製剤中のMNはDMSO製剤中のMNと同様に細胞の増殖を停止させる能力を有している一方、DMSO製剤よりも低い細胞毒性を誘発することを示している。
【0154】
経時的なCPE製剤の有効性を試験するために連続した時点からデータを収集した。データによれば、2〜8℃で保存した12ヶ月の期間の後、CEP製剤は新規製造時と同様に有効であることを示していた。細胞の生存率はCPE製剤を保存した12ヶ月にわたって同様に留まった。細胞死及び増殖速度は同じ範囲内に留まった。
【0155】
元のCPE製剤を新規CPE25/30製剤と比較するためにデータを収集した。経時的な製剤の有効性を試験するため、並びに、新しい製剤が過古いものと比較してどの程度良好に機能するかを試験するために、0及び3ヶ月において試験を実施した。データはCPE25/30製剤は元のCPE製剤と同様に腫瘍細胞の増殖の抑制において有効であることを示している。細胞生存率は、CPE製剤又はCPE25/30製剤の何れかを用いて薬剤の種々の濃度で処置したHeLa細胞の間で同様であった。細胞死及び増殖は経時的に見た場合でさえも同じ範囲内に留まった。
【0156】
HeLa細胞に対してゼロ時点において、元のCPE製剤をCPE33/27製剤と比較しながら情報を収集した。データは、CPE33/27がHeLa細胞に対し、細胞生存率、死細胞の比率及び増殖速度において、ある程度の影響を有していることを示していた。
【0157】
【表6】

【0158】
【表7】

【0159】
【表8】

【0160】
【表9】

【0161】
【表10】

【0162】
【表11】

【0163】
【表12】

【0164】
実施例3.MNの複数のロットを使用して同じ結果を得ることができる。
【0165】
種々のロットの薬剤の有効性を示すためにMNの種々のロットを試験した。HeLa細胞を漸増量のMN:0μM、20μM、40μM、60μM及び80μMで、CPE製剤と共に72時間処置した。各製剤は総量1%の増殖培地(10%ウシ胎児血清、1mMピルビン酸ナトリウム、1×非必須アミノ酸溶液及び1000IU/mLペニシリン/1000μg/mLストレプトマイシン溶液を添加したL−グルタミン含有最小必須培地)に添加した。対照細胞を同じ条件下で増殖させ、未処置のまま放置した。処置又は未処置の72時間後、各試料中の細胞の総数及び生細胞の数をトリパンブルー色素排除法により計数した。各試料中の細胞増殖速度及び死細胞の比率を分析した。この実験の結果を表13及び14に示す。これらの結果は使用したMNのロットに関わらず、薬剤の有効性が同様に留まっていることを示している。
【0166】
【表13】

【0167】
【表14】

【0168】
実施例4.修飾セルロース中のMNの溶解性
【0169】
可溶化剤及び/又は賦形剤として使用するための50%HP−β−CD(w/v)及び0.5%ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(「HPMC」)(w/v)の10mLの溶液の調製に際して、攪拌棒の入ったガラスビーカー中に5.9mLのWFIを投入した。ビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。5グラムのHP−β−CDを攪拌中のWFIにゆっくり添加し、その際、スパーテルを用いてビーカーの中央部にHP−β−CDを指向させた。HP−β−CD溶液を約24時間、又は、HP−β−CDが完全に溶解したことが目視により判明するまで攪拌した。得られた溶液は約9.4mLであった。この溶液に約0.6mLのWFIを添加して10mLとし、50%HP−β−CD溶液(w/v)を調製した。50ミリグラムのHPMCを50%HP−β−CD溶液に添加し、約1時間、又はHPMCが溶解したことが目視により判明するまで攪拌した。最終溶液を約1時間攪拌し、次に遮光下に室温で保存した。修飾セルロースを含有する修飾シクロデキストリンを調製するこの方法をスケールアップ又はダウンすることによりHP−β−CD/HPMC溶液の所望の容量又は濃度を得てよい。他の修飾シクロデキストリン/修飾セルロース溶液は、例えば上述の方法において、HP−β−CDを他の修飾シクロデキストリンと、又は、HPMCを他の修飾セルロースと置き換えることにより、同様に調製してよい。
【0170】
50%HP−β−CD/0.5%HPMC中約10mg/mLで濃度の10mLのMN溶液を以下の通り調製した。約10mLの50%HP−β−CD/0.5%HPMC溶液を攪拌棒の入ったガラスビーカーに添加した。ビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。約100mgのMNを、スパーテルを用いてビーカーの中央部における50%HP−β−CD/0.5%HPMCにゆっくり添加した。MN/50%HP−β−CD/0.5%HPMC混合物を24時間、又は全てのMNが均一に懸濁し、塊状物が存在しなくなるまで攪拌した。MN/50%HP−β−CD/0.5%HPMC混合物は約90℃で約30分間(又はより大容量の溶液が所望の場合はより長時間、例えば、500mLのMN/50%HP−β−CD/0.5%HPMC混合物については90℃にて1時間)又は必要に応じてより長時間加熱することによりMNが完全に溶解するようにした。白色の背景、次いで暗色の背景に対向させてビーカーを保持し、次に粒状物の存在を探査することにより、未溶解のMNが存在しているかどうか、MN/50%HP−β−CD/0.5%HPMC混合物を観察した。最終MN50%HP−β−CD/0.5%HPMC溶液は遮光下に室温で保存した。MNは90℃で加熱した場合には1mg/mL及び10mg/mLの濃度でこの50%HP−β−CD/0.5%HPMC製剤中で溶解しており、冷却後も溶液として留まり、室温における安定性は7日間より長期間であった。MNはこの同じ製剤中50mg/mL濃度においては90℃でさえも溶解しなかった。
【0171】
上述の方法をスケールアップ又はダウンすることによりMNの所望の容量又は濃度を得てよい。他のシクロデキストリン/セルロース溶液中にMNを含有する製剤は、例えば上述の方法におけるHP−β−CDを他のシクロデキストリンと置き換えることにより、又はHPMCを他の修飾セルロースと置き換えることにより同様に調製してよい。
【0172】
可溶化剤及び/又は賦形剤として使用するためのエタノール(w/v)中5%エチルセルロース(「EC」)の10mLの溶液の調製に際して、攪拌棒の入ったガラスビーカー中に10mLの100%エチルアルコール(「EtOH」)を投入し、円形Tefron(登録商標:以下、省略するが「Tefron」は登録商標である。)カバーにより被覆した。ビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。500ミリグラムのECを攪拌中のエタノールにゆっくり添加し、その際、スパーテルを用いてビーカーの中央部にECを指向させることにより、EC粉末がビーカー壁面に固着するのを防止した。EC溶液を約2時間、又は、ECが完全に溶解したことが目視により判明するまで攪拌した。最終溶液は遮光下に室温で保存した。
【0173】
修飾セルロース溶液を調製するこの方法をスケールアップ又はダウンすることにより所望の容量又は濃度を得てよい。他の修飾セルロース溶液は、例えば上記した方法において、ECを他の修飾セルロースと置き換えることにより、同様に調製してよい。
【0174】
5%EC(w/v)中の約20mg/mL(w/v)の濃度のMNの溶液(「EC製剤」)10mLを以下の通り調製した。上述の通り調製した約10mLの5%EC溶液を攪拌棒の入ったガラスビーカーに添加した。ビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定し、円形Tefronカバーで被覆した。約200mgのMNを、スパーテルを用いてビーカーの中央部における5%EC製剤にゆっくり添加することによりビーカー壁面にMNが固着するのを防止した。MN/EC混合物を2時間、又は全てのMNが溶解又は均一に懸濁し、塊状物が存在しなくなるまで攪拌した。MN/EC混合物は約60℃で約30分間(又はより大容量の溶液が所望の場合はより長時間、例えば500mLのMN/EC混合物については60℃にて1時間)又は必要に応じてより長時間加熱することによりMNが完全に溶解するようにした。白色の背景、次いで暗色の背景に対向させてビーカーを保持し、次に粒状物の存在を探査することにより、未溶解のMNが存在しているかどうかについて、MN/EC混合物又は溶液を観察した。最終MN/EC溶液は遮光下に室温で保存した。
【0175】
上述の方法をスケールアップ又はダウンすることによりMNの所望の容量又は濃度を得てよく、そして加熱温度はMNの溶解を達成するために上昇又は低下させてよい。他の修飾セルロース、例えばHPMC、MC及びCMCの溶液中にMNを含有する製剤も同様に調製してよい。修飾セルロース中のMNの溶解性の結果を表15に示す。
【0176】
結果は、試験した何れの濃度においても、又は90℃までの加熱によっても2.3%(w/v)HPMC中にMNが可溶ではなかったことを示している。MNは10mg/mL濃度において1%(w/v)HPMC中で懸濁液を形成した。この懸濁液は、2日間未満(less than 2 days)は室温で安定であった。
【0177】
HP−β−CD(50%w/v)及びHPMC(0.5%w/v)の存在下では、MNは90℃で可溶化し、1mg/mL及び10mg/mLの濃度で、冷却時も溶液中に留まった。これらの溶液は、7日間を超えて(more than 7 days)室温で安定であった。MNは同じHP−β−CD(50%w/v)及びHPMC(0.5%w/v)組成物中において、50mg/mLの濃度では、90℃に加熱した場合でさえも溶解しなかった。
【0178】
別の実験において、MNは、加熱なしでのHP−β−CD(50%w/v)及びHPMC(0.5%w/v)組成物中においては、試験した全濃度、即ち1mg/mL、10mg/mL、20mg/mL及び50mg/mLにおいて、懸濁液を形成した。これらの懸濁液は7日間を超えて室温で安定であった。
【0179】
表15の結果はまた、熱を適用することなくEC製剤中において1mg/mLでMNが可溶であり、室温で3日間を超えて安定であったことを示している。MNは40℃において10mg/mLの濃度で可溶であり、そして冷却後も溶液状態に留まり、この溶液は3日間を超えて室温で安定であった。MNは60℃において20mg/mLの濃度でEC製剤中に可溶であり、そして冷却後も溶液状態に留まり、この溶液は3日間を超えて室温で安定であった。30mg/mL濃度のMNは60℃でEC製剤中において可溶であったが、冷却により溶液状態に留まることはできなかった。50mg/mL又は100mg/mLレベルのようなより高濃度のMNは90℃でEC製剤中において可溶であったが、冷却により溶液状態に留まることはできなかった。
【0180】
Nはまた10mg/mL及び20mg/mLのレベルで1%の低粘度CMC中で懸濁液を形成した。これらの懸濁液は2日間未満室温で安定であった。
【0181】
【表15】

【0182】
実施例5.水不溶性脂質及び水溶性有機溶媒中のMNの溶解性
【0183】
ゴマ油中約50mg/mLの濃度のMNの10mLの溶液を以下の通り調製した。約10mLのゴマ油を攪拌棒の入ったガラスビーカーに添加した。ビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。約500mgのMNを、スパーテルを用いてビーカーの中央部におけるゴマ油にゆっくり添加することによりビーカー壁面にMNが着するのを防止した。MN/ゴマ油混合物を約2時間、又は全てのMNが溶解又は均一に懸濁し、塊状物が存在しなくなるまで攪拌した。MN/ゴマ油混合物は約60℃で約30分間(又はより大容量の溶液が所望の場合はより長時間、例えば、500mLのMN/ゴマ油混合物については60℃で1時間)又は必要に応じてより長時間加熱することによりMNが完全に溶解するようにした。白色の背景、次いで暗色の背景に対向させてビーカーを保持し、次に粒状物の存在を探査することにより、未溶解のMNが存在しているかどうかについて、MN/ゴマ油混合物又は溶液を観察した。結晶が形成した場合は、全てのMNが溶解して溶液に戻るまで、MN/ゴマ油溶液を高温磁気プレート上で攪拌しながら再度60℃で1時間加熱した。最終MN/ゴマ油溶液は遮光下に室温で保存した。
【0184】
上述の方法をスケールアップ又はダウンすることによりMNの所望の容量又は濃度を得てよく、そして加熱温度はMNの溶解を達成するために上昇又は低下させてよい。他の水不溶性脂質中にMNを含有する製剤は、例えば、上述した方法においてゴマ油をコーン油、オリーブ油、ダイズ油、ペパーミント油又は他の可溶化剤及びこれらの組合せと置き換えることにより同様に調製してよい。結果を表16に示す。
【0185】
95%オリーブ油及び5%ミツロウ中約200mg/gの濃度の10gのMNの混合物を以下の通り調製した。約7.6mLのオリーブ油を攪拌棒の入ったガラスビーカーに添加した。ビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。約2gのMNを、スパーテルを用いてビーカーの中央部におけるオリーブ油にゆっくり添加することによりビーカー壁面にMNが固着するのを防止した。MN/オリーブ油混合物を約2時間、又は全てのMNが溶解又は均一に懸濁し、塊状物が存在しなくなるまで攪拌した。MN/オリーブ油混合物は、必要に応じて60℃で約30分間(又はより大容量の溶液が所望の場合はより長時間、例えば、500mLのMN/オリーブ油混合物については60℃で1時間)又は必要に応じてより長時間加熱することによりMNが完全に溶解するようにした。白色の背景、次いで暗色の背景に対向させてビーカーを保持し、次に、粒状物の存在を探査することにより、未溶解のMNが存在しているかどうかについて、MN/オリーブ油混合物を観察した。結晶が形成した場合は、全てのMNが溶解して溶液に戻るまで、MN/オリーブ油溶液を高温磁気プレート上で攪拌しながら再度、60℃で約1時間加熱した。約400mgの白色ミツロウを攪拌棒の入ったガラスビーカーに添加した。ビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。ミツロウを約50℃で約30分間(より大量を要する場合はより長時間)、又は全ミツロウが融解するまで加熱した。次にMN/オリーブ油溶液を約400mgの融解ミツロウに添加し、約50℃で約30分間、又は全MN/オリーブ油/ミツロウ混合物が溶解又は均一に混合されるまで攪拌加熱した。ビーカーから攪拌棒を取り出し、MN/オリーブ油/ミツロウ混合物を冷却した。最終MN/オリーブ油/ミツロウ混合物は遮光下に室温で保存した。
【0186】
この方法をスケールアップ又はダウンすることによりMNの所望の容量又は濃度を得てよい。他の水不溶性脂質中にMNを含有する製剤は、例えば、上記した方法におけるオリーブ油をコーン油、ゴマ油、ダイズ油、ペパーミント油、レシチン又は他の可溶化剤及びこれらの組合せと置き換えることにより、そしてミツロウをパラフィン、PEG 3350又は他の硬化剤及びこれらの組合せと置き換えることにより、同様に調製してよい。又所望により、担体の何れかと組み合わせて、生体利用能増強剤、例えばオイゲノール、桂皮アルデヒド、レシチン、ナリンゲニン、ナリンギン及びピペリン等を包含してよい。結果を表16に示す。
【0187】
85%ゴマ油及び15%Tween 20中、約60mg/mLの濃度の10mLのMNの溶液を以下の通り調製した。約8.5mLのゴマ油を攪拌棒の入ったガラスビーカーに添加した。ビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。約1.5mLのTween 20をビーカーの中央部にゆっくり添加した。約600mgのMNを、スパーテルを用いてビーカーの中央部におけるゴマ油/Tween 20混合物にゆっくり添加することによりビーカー壁面にMNが付着するのを防止した。MN/ゴマ油/Tween 20混合物は、約2時間、或いはすべてのMNが溶解、または均一に懸濁し、塊状物がなくなるまで、撹拌した。MN/ゴマ油/Tween 20混合物は60℃で約30分間(又はより大容量の溶液が所望の場合はより長時間、例えば、500mLのMN/ゴマ油/Tween 20混合物については60℃で1時間)又は、必要に応じてより長時間加熱することによりMNが完全に溶解するようにした。白色の背景、次いで暗色の背景に対向させてビーカーを保持し、次に粒状物の存在を探査することにより、未溶解のMNが存在しているかどうかについて、MN/ゴマ油/Tween 20混合物を観察した。最終MN/ゴマ油/Tween 20溶液は遮光下に室温で保存した。保存中結晶が形成した場合は、MN/ゴマ油/Tween 20溶液は、全てのMNが溶解して溶液に戻るまで、高温磁気プレート上で攪拌しながら再度60℃に加熱できる。
【0188】
この方法をスケールアップ又はダウンすることによりMNの所望の容量又は濃度を得てよく、そして加熱温度はMNの溶解を達成するために上昇又は低下させてよい。非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤、水溶性有機溶媒と組み合わされた他の水不溶性脂質中にMNを含有する製剤は、例えば、上述の方法におけるゴマ油又はTween 20をコーン油、オリーブ油、ダイズ油、ペパーミント油、Tween 80、TPGS、レシチン、PEG 300、PEG 400、PEG 400モノラウリン酸、グリセロール、PVP、PG又は他の可溶化剤及びこれらの組合せと置き換えることにより同様に調製してよい。水不溶性脂質中のMNの溶解性の結果を表16に示す。
【0189】
非イオン性、イオン性又は両親媒性の界面活性剤、又は、水溶性有機溶媒と組み合わせた他の水不溶性脂質中にMNを含有する製剤は、例えば、上述の方法におけるゴマ油をコーン油、オリーブ油、ダイズ油、ペパーミント油又はミネラルオイルで置き換え、そして、Tween 20をTween 80、TPGS、レシチン、PEG 300、PEG 400、PEG 400モノラウリン酸、グリセロール、PVP、PG又は他の可溶化剤及びこれらの組合せと置き換えることにより、同様に調製してよい。水不溶性脂質中のMNの溶解性及びそのような組成物の安定性の結果を表16に示す。本明細書における透明な液体の溶液に関する安定性とは、それが溶液中で結晶化沈殿を形成するまでの時間を指す。安定な溶液は透明であり、長期間にわたり粒状物を含有しないものである。
【0190】
表16は、例えばMNが100mg/mLまでの濃度における60℃での加熱時にコーン油中で可溶であり、そして、100mg/mLのレベルを除き、より低濃度のMNは冷却後に溶液状態に留まり、溶液は、1及び10mg/mL濃度において3日間を超えて安定であり、20、40及び50mg/mLのレベルにおいて3日間未満、そして60mg/mLのレベルでは1日間未満、安定であることを示している。更に、MNは、30mg/mLのレベルでは60℃においてオリーブ油中で可溶であったが、冷却後は溶液状態に留まることはできなかった。
【0191】
ゴマ油中において、MNは10mg/mLのレベルでは室温で可溶であった。60℃においては、MNは50mg/mLの濃度まで可溶であり、冷却後も溶液状態に留まった。10mg/mL及び20mg/mL溶液は室温で3日間を超えて安定であり、30mg/mL溶液は室温で3日間未満安定であり、そして50mg/mL溶液は室温で1日間未満安定であった。
【0192】
ペパーミント油中において、MNは、1mg/mL〜125mg/mLの範囲で可溶であった。20mg/mLまでの濃度においては、MNは加熱することなく可溶であった。これらの組成物は、3日間を超えて(more than 3 days)室温で安定であった。MNは40℃での加熱により125mg/mLレベルまでのより高濃度において可溶であり、そして冷却後も溶液状態に留まった。ペパーミント油中のMNのこれらのより高濃度のもののうち、40mg/mL組成物は3日間を超えて室温で安定であった。
【0193】
Nは、また、60℃での加熱により50mg/mLまでの濃度においてダイズ油中で可溶であった。これらのうち、10mg/mLの濃度のみが、冷却時に溶液状態に留まり、そしてこの溶液は7日間を超えて安定に留まった。
【0194】
Nは、また、60℃にて加熱した時は、200mg/mLまでの濃度においてミネラルオイル中に可溶であった。10mg/mL及び50mg/mLの組成物は冷却時も溶液状態に留まった。これらのうち、10mg/mL溶液は室温で7日間を超えて安定であった。
【0195】
50%ペパーミント油と50%PEG 300の組合せにおいて、MNは、35℃で加熱した時は、125mg/mLまで可溶であった。40mg/mL〜60mg/mLのレベルでは、冷却後もMNは溶液状態に留まり、そして室温では7日間を超えて安定であった。60%ペパーミント油と40%PEG 300の組合せにおいて、MNは、40℃での加熱時は60mg/mLで可溶であり、そして、冷却時も溶液状態に留まった。この組成物は室温では3日間を超えて安定であった。
【0196】
ペパーミント油を、各々50%でPEG 400と組合せた場合、MNは、40℃での加熱時に125mg/mLまで可溶であった。40mg/mL及び60mg/mLのMN濃度においては、化合物は冷却時も溶液状態に留まり、そして組成物は室温で7日間を超えて安定であった。60%ペパーミント油と40%PEG 400の組合せにおいて、MNは、40℃加熱時は60mg/mLで可溶であった。
【0197】
50%ペパーミント油と50%Tween 20の組合せにおいて、MNは、40℃で加熱して試験をした125mg/mLまで可溶であった。これらのうち、40mg/mL及び60mg/mL濃度で、冷却後もMNは溶液状態に留まった。
【0198】
各々50%のペパーミント油とゴマ油のような他の組み合わせにおいて、MNは試験した60mg/mL濃度まで可溶であった。MNは、室温で20mg/mLにおいて可溶であり、組成物は室温では3日間を超えて安定であった。MNの40mg/mL及び60mg/mLの溶液は冷却時に溶液状態に留まり、そして室温で3日間を超えて安定であった。
【0199】
33%ペパーミント油、33%Tween 20及び33%PEG 400を含有する更に別の組合せにおいて、MNは40℃加熱時、60mg/mLで可溶であり、冷却時も溶液状態に留まった。これらの組成物は3日間を超えて安定であった。
【0200】
表16も、また、例えば、MNがダイズ油中で可溶化でき、ミツロウと合わせた場合にワックス状固体とすることができることを示している。更に、また、MNはオリーブ油中でも可溶化でき、そして組成物をワックス状固体に変換するためにミツロウを添加できる。
【0201】
【表16−1】

【表16−2】

【表16−3】

【表16−4】

【0202】
表17は水溶性有機溶媒EtOH、PG、PEG 300、PEG 400、PEG 400モノラウリン酸、グリセロール、PVP及びこれらの特定の組合せ中における、MNの溶解性に関して得られた結果を示す。
【0203】
【表17】

【0204】
実施例6.非イオン性界面活性剤中のMNの溶解性
【0205】
可溶化剤及び/又は賦形剤として使用するための、20%TPGS(w/v)の10mLの溶液の調製に際して、攪拌棒の入ったガラスビーカー中に8mLのWFIを投入した。ビーカーを、高温磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。WFIを約95℃にて5分間、加熱した。2gのTPGSを別のガラスビーカーに添加し、40℃で15分間、又は、全てのTPGSが融解するまで、加熱した。融解したTPGSをビーカーの中央部にTPGSを指向させるためにスパーテルを用いながら、沸騰間近のWFIにゆっくり添加することにより、TPGSがビーカー壁面に固着することを防止した。20%TPGS溶液を約24時間、又は、TPGSが完全に溶解したことが目視により判明するまで攪拌した。次に最終溶液を遮光下に室温で保存した。
【0206】
TPGSを調製するこの方法をスケールアップ又はダウンすることによりTPGS溶液の所望の容量又は濃度を得てよい。他のTPGS溶液は、上述した方法において、他の非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤、両親媒性界面活性剤、水溶性有機溶媒又は他の可溶化剤と組み合わせて同様に調製してよい。結果を表18に示す。
【0207】
Tween 20中、約60mg/mLの濃度のMNの10mLの溶液を以下の通り調製した。約10mLのTween 20を攪拌棒の入ったガラスビーカーに添加した。ビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。約600mgのMNを、スパーテルを用いてビーカーの中央部におけるTween 20にゆっくり添加することによりビーカー壁面にMNが固着するのを防止した。MN/Tween 20混合物を2時間、又は全てのMNが溶解又は均一に懸濁し、塊状物が存在しなくなるまで攪拌した。MN/Tween 20混合物は約60℃で約30分間(又はより大容量の溶液が所望の場合はより長時間、例えば500mLのMN/Tween 20混合物については60℃ 1時間)又は必要に応じてより長時間加熱することによりMNが完全に溶解するようにした。白色の背景、次いで暗色の背景に対向させてビーカーを保持し、次に粒状物の存在を探査することにより、未溶解のMNが存在しているかどうかについて、MN/Tween 20混合物又は溶液を観察した。最終MN/Tween 20溶液は遮光下に室温で保存した。保存中に結晶が形成した場合は、全てのMNが溶解して溶液に戻るまで、MN/Tween 20溶液を高温磁気プレート上で攪拌しながら再度60℃にて約1時間加熱した。
【0208】
この方法をスケールアップ又はダウンすることにより、MNの所望の容量又は濃度を得てよく、そして、加熱温度は、MNの溶解を達成するために上昇又は低下させてよい。他の非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤又は両親媒性界面活性剤中にMNを含有する製剤は、例えば、上述の方法におけるTween 20をTween 80又は他の可溶化剤及びこれらの組合せと置き換えることにより同様に調製してよい。Tween 20、Tween 80及びTween 20とPEG 400との組合せにおけるMNの溶解性の結果を表18に示す。
【0209】
表18は、MNが室温において1mg/mLの濃度でTween 20及びTween 80に可溶であることを示している。Tween 20溶液中のMN(以下、「MN/Tween 20」称する)は7日間を超えて室温で安定であり、Tween 80溶液中のMN(以下、「MN/Tween 80」と称する)は観察3日間を超えて安定であった。より高濃度のMNも、50℃でTween 20又はTween 80に可溶であった。更に又、MNはTween 20中で60mg/mLまで、及び、Tween 80中で50mg/mLまでの濃度において冷却後も溶液状態に留まったが、Tween 20中での80mg/mL及び100mg/mLのレベルでは冷却時に不溶性となった。10mg/mL及び20mg/mLのMN/Tween 20溶液は7日間を超えて室温で安定であると観察された。40mg/mL及び80mg/mLのMN/Tween 20溶液は3日間未満室温で安定であると観察された。MN/Tween 80溶液については、10mg/mL溶液は3日間を超えて室温で安定であるように観察されたが、50mg/mL溶液は1日間未満の室温で安定であった。
【0210】
結果は又、MNは50%Tween 20と50%PEG 400の組合せにおいては65℃での加熱時に試験したMNの60mg/mL濃度まで安定であったことを示している。MNは冷却によっても、これらの製剤中で溶液状態に留まり、溶液は3日間を超えて室温で安定であった。
【0211】
PEG 400とTween 20の組合せを種々の加熱温度、熱を加えた時間の長さ、冷却の方法及び時間及び添加した薬剤濃度において試験した。
【0212】
10mLの溶液の調製は、ガラスビーカーに10mLのグリセロールモノオレイン酸(以下、「Glymo」と称する)を添加することにより開始した。ビーカーを磁気プレート上に置き、攪拌棒を中速で攪拌するように設定した。これを30分間、60℃にて加熱することにより薬剤を溶解した。白色の背景、次いで暗色の背景に対向させてビーカーを保持し、次に粒状物の存在を探査することにより、未溶解のMNが存在しているかどうかについて、混合物を観察した。Glymo混合物を加熱しながら室温に冷却し、混合物を懸濁液とした。これを遮光下に室温で保存した。懸濁液は2週間安定に留まり、その後分離し始めた。振とうにより再結合(recombine)した。
【表18−1】

【表18−2】

【表18−3】

【表18−4】

【表18−5】

【表18−6】

【0213】
実施例7.
【0214】
実施例6の47.5%(v/v)Tween 20、47.5%(v/v)PEG 400、2.5%(w/v)PEG 3350、2.5%(w/v)ミツロウ(表18参照)の融解点を、以下の通り(表19)MNの数種の濃度について測定した。
【0215】
【表19】

【0216】
実施例8.HP−β−CD中にMNを含有する凍結乾燥製剤
【0217】
HP−β−CD中の、約185mg/g(w/w)の濃度の120mgのMN凍結乾燥粉末を以下の通り調製した。等モル量のHP−β−CD及びMNを使用してHP−β−CDとMNの間の複合体形成比率を増大させた。約98mgのHP−β−CD及び約22.2mgのMNを、1.5mL容量のポリプロピレン試験管中で混合した。約0.2mLのWFIを、HP−β−CD/MN粉末混合物の入ったポリプロピレン試験管内の混合物に添加し、1分間、回転混合することにより水中のHP−β−CD/MNの懸濁液を形成した。HP−β−CD/MN懸濁液を24時間−20℃で凍結した。次に、HP−β−CD/MN懸濁液を60℃にて約2時間、真空下に、1400rpmで遠心分離し、懸濁液から水を全て除去した。HP−β−CD/MN複合体の乾燥粉末は約120mgの重量であった。このHP−β−CD/MN粉末複合体を次に水又は他の可溶化剤に溶解又は再懸濁した。最終MN/HP−β−CD粉末複合体を遮光下に室温で保存した。この方法をスケールアップ又はダウンすることによりMNの所望の容量又は濃度を得てよい。他のシクロデキストリンにMNを含有する製剤は、例えば、上述の方法におけるHP−β−CDを他のシクロデキストリンと置き換えることにより同様に調製してよい。表1に示す結果は、約81.5%のHP−β−CD及び18.5%のMNからなるHP−β−CD/MN懸濁液の凍結乾燥後にHP−β−CD/MNの粉末複合体が得られたことを示している。
【0218】
HP−β−CD/HPMC中、約150mg/g(w/w)の濃度のMNの凍結乾燥粉末400mgを以下の通り調製した。上述の通り調製した、約1mLの50%HP−β−CD/0.5%HPMC溶液を、1.5mL容量のポリプロピレン試験管に添加した。約60mgのMNを、HP−β−CD/HPMC懸濁液の入ったポリプロピレン試験管に添加し、1分間回転混合することによりHP−β−CD/HPMC/MN懸濁液を調製した。HP−β−CD/HPMC/MN懸濁液を、24時間−20℃で凍結した。次にHP−β−CD/HPMC/MN懸濁液を約5時間60℃の真空下に1400rpmで遠心分離し、懸濁液から水を全て除去した。HP−β−CD/HPMC/MN複合体の乾燥粉末は約400mgの重量であった。このHP−β−CD/HPMC/MN粉末複合体を、次に水又は他の可溶化剤に溶解又は再懸濁した。最終MN/HP−β−CD/HPMC粉末複合体を遮光下に室温で保存した。この方法をスケールアップ又はダウンすることにより、MNの所望の容量又は濃度を得てよい。他のシクロデキストリン/セルロース溶液中にMNを含有する製剤は、例えば、上述の方法におけるHP−β−CDを他のシクロデキストリンと置き換えることにより、又は、HPMCを他の修飾セルロースと置き換えることにより、同様に調製してよい。表15に示す結果は、約84%のHP−β−CD、1%のHPMC及び15%のMNからなるHP−β−CD/HPMC/MN懸濁液の凍結乾燥後にHP−β−CD/HPMC/MNの粉末複合体が得られたことを示している。
【0219】
実施例9.液体製剤の経口処置時のスプラーグドーリー(Sprague Dawley)ラットにおけるMNの吸収。
【0220】
雄性ラット10群(群当たりn=5)(齢=8〜10週)に、単回500mg/kg用量となるよう、賦形剤中のMNを経口胃管栄養により曝露し、最適な経口液体賦形剤を調べた。動物は投薬前一夜絶食させた。試験した賦形剤/製剤は、表19に示す通りの、前述の通り調製した製剤(a)HP−β−CD+HPMC;(b)HP−β−CD+CMC;(c)TPGS;(d)TPGS+PEG 400;(e)Tween 20;(f)PEG 400+Tween 20;(g)PEG 400+Tween 20+ペパーミント油;(h)ペパーミント油+PEG 400;(i)ペパーミント油+Tween 20;(j)ペパーミント油+ゴマ油、であった。血液は、投与前、投与後0.5、1、2及び3時間の時点において、頸静脈を介して各動物から採取した。血清中のMN濃度はLC/MS/MSにより測定し、ここでLCは液体クロマトグラフィー、MSは質量分析を意味する。この方法はLCにより分離され、次に、2連続試行(two consecutive rounds)のMSにより検出及び定量されるMNを分析する。
【0221】
図3及び表21に示す通り、MNの吸収は、賦形剤の製剤の間で変動していた。吸収は、PEG 400+Tween 20で最高値であり、その次に高値は、PEG 400+Tween 20+ペパーミント油、その次に高値はペパーミント油+Tween 20、その次に高値はペパーミント油+PEG 400、その次に高値はペパーミント油+ゴマ油、その次に高値又はそれと同等がTween 20、その次に高値又はそれと同等がHP−β−CD+CMC、その次に高値がHP−β−CD+HPMC、その次に高値がTPGS、その次に高値がTPGS+PEG 400であった。
【0222】
表21において、以下の4種の製剤、即ち、HP−β−CD+HPMC、HP−β−CD+CMC、TPGS及びTPGS+PEG 400が安定な懸濁液として示されている。これらの懸濁液を「安定」と指定するために使用した基準は、懸濁液がその内容物の沈殿を示さなかった(成分が懸濁液からビーカー底面に沈降しなかった)こととした。ラット試験における他の製剤は、透明な液体の溶液であり、懸濁液ではなく、そして如何なる浮遊成分も有していなかった。
【0223】
【表20】

【0224】
【表21】

【0225】
実施例10.経口投与時のビーグル犬におけるMNの吸収
【0226】
イヌ5群(群当たりn=2、雄1匹及び雌1匹)(齢=約6〜9ヶ月)に単回100mg/kg用量となるよう、賦形剤中のMNを曝露し、最適な経口固体賦形剤を調べた。賦形剤中のMNの組成物を、サイズ12の硬ゼラチンカプセルにカプセル封入した後に経口投与した。動物は、投薬前一夜絶食させた。試験した賦形剤/製剤は、表19に示す通りであり、(a)賦形剤を用いることなくMNをカプセル封入;(b)HP−β−CD;(c)TPGS;(d)ダイズ油+ミツロウ;及び(e)オリーブ油+ミツロウとした。血液は投与前、投与後0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、4時間、6時間及び8時間の時点において頸静脈を介して各動物から採取した。血清中のMN濃度は、タンデム型質量分析と組み合わせた液体クロマトグラフィー(LC/MS/MS)により測定した。
【0227】
図4に示す通り、MNの吸収は、賦形剤/製剤に応じて変動していた。吸収はオリーブ油+ミツロウを含有する製剤で最高値であり、その次に高値はHP−β−CDを含有するもの、その次に高値はTPGSを含有するもの、その次に高値はダイズ油+ミツロウを含有するもの、その次に高値は賦形剤を用いないMNであった。
【0228】
上記の実施例はMNを用いて説明したが、他のNDGA誘導体又は他のカテコールブタンも、適切な濃度を達成するために重量及び容量を適宜調整しながらその代替としてよい。
【0229】
実施例11.イヌへの経口投与後の微粒子化及び非−微粒子化MNの薬物動態の測定のための試料の採取
【0230】
本試験の目的はビーグル犬において、経口胃管栄養投与を介して微粒子化又は非−微粒子化形態において投与した場合のMNの薬物動態プロファイルを評価することであった。試験品は、60mg/mLでグリセロールモノステアリン酸中に調製した。試験計画は表22に総括する通りである。
【0231】
【表22】

【0232】
血液(約2mL)は投与前及び投与後0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間及び36時間において、抗凝固剤を含有しないMonoject 2mL レッドトップチューブ(red top tube)内に頸静脈から採取した。
【0233】
両方の製剤の投与後にMNの吸収が起こった。平均の薬物動態パラメーターは、表23に示す通りであり、表中、Cmaxは吸収されたMNの最大濃度であり、AUCは吸収された総MNに関する曲線の下部の面積を示す。吸収は非−微粒子化MNと比較して微粒子化MNの投与の後で高くなった。しかしながら、濃度曲線は、非−微粒子化MNの投与後の動物間でより一貫している傾向があった(それぞれ非対数及び対数目盛りの図5A及び5Bは非−微粒子化MNの吸収を示し;そしてそれぞれ非対数及び対数の目盛りの図6A及び6Bは微粒子化MNの吸収を示す)。
【0234】
【表23】

【0235】
実施例11.ビーグル犬におけるMNの2種の製剤の、経口摂食/絶食、IV/経口薬物動態の比較
【0236】
本試験の目的は、摂食状態又は絶食状態下での経口投与(胃管栄養またはカプセルによる)又はIVで投与された、予備製剤化MNの単回75mg/kg投与後に達成された血清中濃度を評価することであった。雌雄各々3匹のイヌにグリセロールモノオレイン酸(以下、「Glymo」と称する)中のEM−1421、Tween 20/PEG 400/ナリンギン(以下、「TPN」と称する)中のMN、又は50%PEG 300中の、20%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPβCD)(以下、「CPE」と称する)中のMNを投与した。Glymo及びTPNは、図7B及び8Bの凡例に示す通り非濃縮(60mg/mL)又は濃縮(300mg/mL)の状態でも投与した。
【0237】
全動物は試験期間中を通じて生存した。臨床観察事項は下痢、嘔吐及び運動失調を包含していた(運動失調はIV投与後の雌1匹において発生し、約1時間持続した)。
【0238】
製剤及び状態によりMNの血清中濃度は大きく変動した。表24はこれらの所見を総括するものである。血清中濃度は、濃縮Glymo又はTPN投与後に最低となった。Cmaxは、TPN投与後に最高となった(非濃縮、絶食状態)(表24及び図7A及び8A、非対数目盛りであり、それぞれ雄及び雌イヌに経口投与されたMNの血清中濃度を示す)。AUCはGlymo投与(非濃縮、絶食状態)後に最高となった(表24及び図7B及び8B、対数目盛りであり、それぞれ雄及び雌イヌに経口投与されたMNの血清中濃度を示す)。Glymoの経口投与(非濃縮、絶食状態)後に達成されたAUCは、IV投与を100%とみなした場合に、IV投与後に達成されたAUCの35%(雄)及び47%(雌)であった(表24)。
【0239】
【表24】

【0240】
実施例12.ラットにおけるMNの経口(胃管栄養)反復投与の薬物動態試験
【0241】
本試験の目的は、10種の賦形剤製剤中のMNの500mg/kg用量の薬物動態に対する情報を提供することであった。50匹のCrl:(CD)SD雄性及び雌性ラットを群当たり雌雄各5匹ずつのラットの10投与群に割り付けた。以下の対象群に投与した以下の担体を有する試料を調製した(表25)。
【0242】
【表25】

【0243】
Nの各製剤を3種類、胃管栄養により経口投与した。MNの60mg/mL濃度のものを、最近の体重に基づいて投与量8.33mL/kgで投与した。ラットは一夜絶食後に初回用量(試験第1日)を与え、その後72時間の休薬(回復)期間を設けた。試験第5日(DS5)において、被験品の二回目の用量を非絶食ラットに投与し、その後1週間の休薬(回復)期間を設けた。DS6において、ラットを高脂肪食餌(標準食餌中には約5%であるのに対して、約10%脂肪含有)下においた。DS12において、非絶食ラットに三回目の投薬を行った。ラットは生存率については毎日少なくとも2回、そして、臨床観察及び全身外観については毎週、馴化期間中観察した。ラットは又、投薬前及び投与後の最初の4時間の適切な時間間隔において、そして、投薬の第1日の通常の労働日の終了時において、そして投薬の翌日は約2時間において、臨床観察、死亡について検査を行った。これらの観察は非投薬日及び投薬期間後の期間中は一日一回記録した。体重は馴化期間中に少なくとも毎週、投薬中は毎日、そして、屠殺時終末体重として記録した。摂餌量の数値は、投薬期間中に毎週、そして屠殺時(残余飼料量)に記録した。試験第1日、第5日及び第12日において、血液試料(各々約0.5mL)を試験に割り付けた各ラットの側方尾部静脈を介して採取した。各採血時は、生データとして記録した。血液試料は各ラットより試験第1、2および12日において、以下の時点、即ち、投薬前、投薬後15分及び投薬後1及び4時間に採取した。試料を血清分離試験管に移し、遠心分離した。得られた血清をプロトコル番号、試験依頼者の試験番号、ラット番号、群番号、投薬量、試験日、採取間隔、採取日、種、世代及び保存条件を標記されたポリプロピレン試験管に移した。全試料をドライアイス上で即時凍結し、分析のための出荷時まで凍結状態に維持した(−68〜−78℃)。
【0244】
全ラットは予定された屠殺時まで生存した。PEG 400/Tween 20/ペパーミント油を投与した雌ラット5匹(群IX)中4匹において尿染色腹部体毛が観察された。この兆候はDS2〜3に生じたが、持続しなかった。軟質又は液状の糞がPEG 400/Tween 20/ペパーミント油(群IX)を投与したラットを除き各群において少なくとも数匹において生じた唯一の臨床観察所見であった。全群とも試験期間中平均的な体重増加を示した。高脂肪食餌を与えた場合DS6〜13の雄性及び雌性のラットの体重増加は標準的食餌を与えた場合のDS1〜6の場合よりも常時低値であった。体重増加は一般的には低値の体重増加を示したPEG 400/Tween 20及びPEG 400/Tween 20/PEG 3350/ミツロウの投薬群(それぞれ群I及びX)におけるDS6〜13の雌ラットを除き、群間で同程度であった。絶対的及び相対的な摂餌量の数値は試験期間中を通じて群間で同程度であった。被験品製剤に関連する肉眼的患部は剖検時には観察されなかった。MNの吸収は全溶媒で認められた。高脂肪食餌のラットの血中濃度は標準的食餌又は絶食後に観察されたものよりも常時高値であった。高脂肪食餌投与後では、最高吸収量はPEG 400/Tween 20/ナリンギン群において観察された。標準食餌投与後では、最高吸収量はPEG 400/Tween 20/ナリンギン群において観察された。絶食状態後では、最高吸収量はPEG 400/Tween 20/ペパーミント油群において観察された。最高曝露レベルは、一般的に投薬後1時間以内に到達するが、例外としてグリセロールモノオレイン酸製剤は投薬後4時間の時点において上昇し続けている。
【0245】
結論として、全被験品製剤は耐容性を示し、死亡例は無く、そして全群とも体重増加を示した。軟質及び液状の糞は最も共通した臨床観察所見であったが、何れの溶媒においても摂餌量に影響は無かった。MN血中濃度は高脂肪食餌をラットに与えた場合には常時高値を示した。最高曝露はグリセロールモノオレイン酸を除き、投薬後1時間以内に認められた。
【0246】
実施例13.健康男性被験者8人における14C−標識MNのヒト第0相3元クロスオーバーマイクロドース薬物動態試験
【0247】
本試験は摂食及び絶食条件下における単回経口投薬又は単回静脈内投薬(表26においてそれぞれ用法A−C)の何れかとしての治療量未満の用量としてヒトに投与された場合のMNの吸収量を評価するために設計された。試験は健康男性被験者の目標集団における3期クロスオーバー試験設計とし、投薬の間の少なくとも7日間の最小期間により各々が分離された約35時間よりなる3つの試験期間で構成されていた。各試験期間の過程の間、薬物動態用の血液試料を投薬後の特定の時点において採取し、尿は所定の時間間隔で採取した。被験者は投薬後24時間において試験の特定の処置を完了した後に、退院させた。
【0248】
本試験においてMNは100μgの量でヒトに投与した。MNは14C(100μg当たり3.3kBq)で僅かに標識し、健康ボランティアに投与した。MNの各経口用量はサイズ0のゼラチンカプセル中、0.1mgの14C標識したMN及び376.8mgのグリセロールモノオレイン酸からなるものとした。MNの単回静脈内注入は瞬時大量注入法の為に1mLに水で希釈した0.1mg/mLの14C標識したMN、30%(w/v)HP−β−CD及び25%(v/v)PEGからなるものとした。各被験者から血液及び尿を採取した後、試料は14C含有量について加速器質量分析装置(AMS)を用いて分析することによりTmaxにおけるMNの最高濃度(Cmax)、試験の採血時点まで(AUC0−t)及び全て(AUC0−∞)におけるMNの全ての吸収を表す全曲線下面積(AUC)、各試料の終末相半減期(T1/2)、及び、MNのIV投薬と比較した場合のMNの経口投与の相対的及び全ての生体利用能(Frel及びF)を求めた。14Cに関する薬物動態パラメーターの平均±SD値を表26に示す。MNのベースライン水準は投薬間の期間後に対象に残存するMNに関して補正することにより、何れかの後の投薬に対してMNの水準が誇張されないようにした。

【表26】

【0249】
経口用量に関しては、総14Cに関するCmax値は高脂肪朝食後の14C標識MN100μg経口投与後(Cmax=5.94±1.33pmol/L)のほうが一夜絶食後の経口投与後(Cmax=9.29±1.40pmol/L)よりも低値であった。Tmaxは絶食よりも摂食においてより遅延した。摂食投与被験者においては、Tmax、即ちCmaxの時間は高度に変動性であり、投薬後1.5〜24時間の範囲であり、そして絶食被験者においては、Tmaxは一般的に投薬後1時間に起こっていた(範囲0.50〜2.00時間)。AUC0−t値は絶食被験者よりも摂食投与被験者において一般的に低値であった。
【0250】
静脈内投薬後には、最高濃度(Cmax=10.31±1.77pmol/L)が10被験者中8例において初回サンプリング時(投薬後0.08時間)に予測どおり観察された。2被験者においては、Tmaxは投薬後0.17時間であった。総14C血漿中濃度に関するAUC0−t値は、摂食投与被験者における単回経口投薬後のほうが静脈内投薬後よりも僅かに低値であった。逆に、相当するAUC0−t値は絶食被験者における単回経口投薬後のほうが静脈内投与後よりも僅かに高値であった。
【0251】
試験製剤は経口及び静脈内投与の両方において十分耐容性が示された。重篤又は重度な有害事象は観察されず、そして何れの対象も試験投与に関連する有害事象による中断はなかった。生命徴候又はECGにおいて臨床上有意な変化は観察されなかった。
【0252】
本試験に関する結論において、MNの見かけの吸収は摂食及び絶食状態において経口投与後に極めて高値であった。摂食の存在下においては、吸収の速度及び程度は絶食状態と比較して低値であり、Cmax時の時間は、摂食時の投与において延長された。これらの結論は14C標識MNの経口投与用量が吸収前に分解されないという推定に基づいて行われている。
【0253】
実施例14.水溶性有機溶媒中のMNの溶解性に関する追加試験
【0254】
表27に示した水溶性有機溶媒の組合せ中のMNの溶解性を48時間評価した。室温での2、24及び48時間のインキュベーション後、逆相HPLC(「RP−HPLC」)により試料を分析することによりMNの溶解性を定量した。MN試料を調製するために、アセトンに溶解した200μLの100mg/mLのMNを1.5mLのポリプロピレンマイクロ試験管に投入した。試料が完全に乾燥するまで48時間溶媒を室温で蒸発させた。
【0255】
水混和性の有機溶媒の製剤を15mLのポリプロピレン遠心管中に調製した。各製剤10mLを調整した。各溶媒は25℃におけるその対応する密度を用いた重量に基づいて添加した。短時間混合後、各製剤を0.45μm界面活性剤非含有酢酸セルロース(「SFCA」)フィルターを介して濾過し、新しい15mL試験管内に回収した。製剤は使用時まで室温で保存した。
【0256】
各製剤の組合せ(表27、Benz=ベンジルアルコール;Crem=Cremophor EL;DMA=ジメチルアセトアミド;T80=Tween 80)400μLをマイクロ試験管に添加し、50mg/MLMNの最高溶解性とした。MN溶解性は室温での2、24および48時間インキュベーション時にRP−HPLCにより評価した。各時点において、試料を13000rpmで2分間遠心分離することにより存在する固体のMNをペレット化した。表27に示す通り、試験した製剤条件の半分超が10mg/ML超の濃度までMNを可溶化することができた。2及び48時間におけるグリセロール中のMNの溶解性は検出不可能であった。
【0257】
【表27】

【0258】
実施例15.水性溶液中のMNの溶解性
【0259】
ヒドロキシプロピルHP−β−CD又はスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン(SE−β−CD)(Captisol(登録商標:以下、省略するが「Captisol」は登録商標である。)、CyDex, Inc., Lenexa, KS, USA)の何れかを含有する水溶液中のMNの溶解の溶解性を実施例14における上述した室温において最大48時間評価した。10検体のHP−β−CD及びSE−β−CDの50%溶液を容積に対する重量基準(weight to volume basis)で調製した。試料中で使用するMNは、実施例14に記載する通り調製した。1.0g〜5.0gの各化合物を、分析用天秤(OHAUS Analytical Plus Balance)上の10mLのメスフラスコに計量投入した。各試料を注射用水(WFI)で10mLに定容(q.s.)した。40℃で1時間インキュベートした後、調製物を0.45μmのSFCAフィルターで濾過して新しい15mL試験管に採取した。調製物は使用時まで室温で保存した。
【0260】
表28に示す通り、WFI、0.9%の食塩水、5%のブドウ糖(DSW)中のMNの溶解性は、本試験の過程を通して、RP−HPLCの定量限界未満であった。HP−β−CD及びCaptisolの濃度及び時間の関数として増大したMN溶解性が注目される。
【0261】
【表28】

【0262】
水混和性溶媒を用いた20種超の製剤条件は、10mg/mLを超える(greater than 10mg/mL)濃度にまでMNを可溶化することができた。WFI、0.9%食塩水、D5W中のMNの溶解性は、RP−HPLC法の検出限界未満であった。MNの溶解性はHP−β−CD及びCaptisolの濃度及び時間の関数として増大する。
【0263】
実施例16.ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン中におけるMNの溶解性
【0264】
HP−β−CDの種々の濃度におけるMNの水溶解性をHiguchi及びConnors(1965年)により報告された方法により評価した。つまり、MNを正確に計量し、その水溶性を超過した量において添加し、48時間漸増濃度(0〜350mmol/L)のHP−β−CDの水溶液と共に室温で穏やかに回転(〜12rpm)させた。次にMN/HP−β−CD溶液を0.45μmSFCAフィルターで濾過し、RP−HPLCにより分析した。
【0265】
大部分の薬剤/シクロデキストリン複合体は包接複合体であると考えられたが、シクロデキストリンは、非包接複合体及びミセル様構造を介して薬剤を溶解できる複合体凝集塊を形成することも知られている。位相−溶解性のプロファイルは、包接複合体の形成を確認するものではなく、シクロデキストリンの漸増濃度が薬剤の溶解性にどのように影響するかを説明するのみであった。MN/HP−β−CD複合体の形成は、非直線的であったが、化学量論的な(並びに安定性定数の)厳密な測定は、本実施例の実験では検討しなかったものの、NMR又は電位差測定のような他の手段により測定可能である。
【0266】
実施例17.HP−β−CD/PEG 300緩衝溶液中におけるMNの溶解性
【0267】
15mM緩衝溶液中における10mg/mLのMN(75:25の、40%のHP−β−CD:40mg/mLのMN PEG 300の比で調製)の安定性を60℃でのインキュベートの後に評価した。
【0268】
HP−β−CDの緩衝40%溶液を、容積に対する重量基準で調製した。試料中で使用するMNは実施例14に記載する通り調製した。2.0gのHP−β−CDを、分析用天秤(OHAUS Analytical Plus Balance)上の5mLのメスフラスコに計量投入した。100mMの緩衝溶液の1mLを、各フラスコに添加した。各試料を、WFIで5mLに定容した。40℃で1時間インキュベートした後、調製物を、0.45μmのSFCAフィルターで濾過して新しい15mLの試験管に採取した。調製物は使用時まで室温で保存した。
【0269】
750μLの40%HP−β−CD緩衝溶液を、1.5mLのポリプロピレン マイクロチューブに投入した。250μLの40mg/mLのMN PEG 300を、各マイクロチューブに添加することにより、MNの10mg/mLの溶解性を可能とした。試料チューブを穏やかに反転させた後、各溶液のpHをOrion、420A型pHメーター(Model 420A pH meter)を用いて測定した。最初のアリコットを、RP−HPLC分析用に採取した。次に、被験試料を、Precision 60℃ インキュベーター内に投入した。MN安定性は、RP−HPLCで評価した。各時点において、試料を13000rpmで2分間遠心分離することにより、固体MNをペレット化した。
【0270】
表29に示す通り、種々のMN溶液の濃度の僅かな低下が、60℃での14日インキュベーション後に観察された。RP−HPLCデータは、MNの濃度の低下の程度に相応する試料不純物の増大を明らかにしなかった。しかしながら、pH依存性の変化が、MN不純物で観察されたが、これらの不純物は総ピーク面積の0.1%未満を構成するのみであった。インキュベーション期間中の見かけの試料のpHの変化が観察された場合でもそれは僅かであった(表29)。
【0271】
【表29】

【0272】
Nの回収量の損失によって示される、見かけの試料pH又は緩衝液とは無関係の均一な安定性低下が60℃での14日インキュベーション後に観察された。
【0273】
実施例18.11〜14mg/mLのPEG 300/HP−β−CD溶液中におけるMNの安定性
【0274】
製造仕様書を裏付けるために、本試験では、種々のMNの標的濃度におけるPEG 300/HP−β−CDの組み合わせの24時間室温安定性を調べた。MN保存液の保存液試料を、以下の通り60℃で33〜56mg/mLの薬剤濃度において、100%PEG 300中に調製した。
【0275】
60℃で少なくとも2時間インキュベートした後、MN大量(bulk)製剤を、実施例14及び17に記載の手順を用いてPEG 300中に、33、44、48、52、55及び56mg/mL(w/w)の濃度に可溶化した。44mg/mL超(above 44 mg/mL)のMNの完全な可溶化のためには激しく回転混合することが必要であった。MN保存液を0.45μmのSFCAフィルターを通して濾過し、調製30分以内に使用した。別個に、40%(w/v)HP−β−CDの溶液を滅菌WFI中で調整し、濾過した。40%HP−β−CD保存液及びMN/PEG 300保存液の組合せを、1.5mLのポリプロピレンマイクロチューブ内で混合した。MNの安定性は、室温での2及び24時間のインキュベート時にRP−HPLCにより評価した。
【0276】
N保存液の必要量を40%HP−β−CDに添加することにより表30に示す薬剤及び賦形剤の最終濃度とした。試料を室温で穏やかに(〜12rpm)回転させた。インキュベートの2及び24時間時に、試料を13000rpmで2分間遠心分離し、50μLのアプリコットをRP−HPLC分析用に取り除いた。標的MN又は製剤とは関係なく、24時間インキュベーション後は溶解性における変化が観察された場合でもそれは僅かであった(表30)。
【0277】
【表30】

【0278】
25%のPEG 300及び30%のHP−β−CDの最終濃度に製剤された11〜14mg/mLのMNを含有する被験試料は、室温で24時間のインキュベーション後、安定であった。
【0279】
実施例19.40mg/mLのMN/PEG 300の安定性
【0280】
100%のPEG 300に溶解した40mg/mLのMNの安定性を、30℃、45℃及び60℃における24時間までのインキュベーションで評価した。PEG 300中の40mg/mLのMNの保存液は、実施例18に記載の手順に従って60℃で調製した。その後、アプリコットを取り除いて適温でインキュベートした。インキュベーションの全過程中、450rpmで試料を回転させた。全体を通じて目視観察及びRP−HPLCデータの収集を行った。表31に示す通り、30℃で6時間のインキュベーション後、40mg/mLのMN/PEG 300製剤において微小な結晶が観察され、24時間後にはより顕著となった。結晶の形成には、可溶性MNの消失が伴っていた(表32)。45℃及び60℃でインキュベートした40mg/mLのMN/PEG 300の試料は、目視観察及びRP−HPLC分析で試験したところ24時間インキュベートベーション後に安定であった(表31及び32)。何れのインキュベーション温度においても不純物ピークの量又はタイプで変化は観察されなかった。
【0281】
【表31】

【0282】
【表32】

【0283】
30℃で6時間のインキュベーション後、40mg/mLのMN/PEG 300製剤において微小結晶が観察された。24時間後、より多くの結晶が観察され、そして、RP−HPLC分析により測定した場合に、>5%の可溶性MNが消失していた。
【0284】
45℃及び60℃でインキュベートした40mg/mLのMN/PEG 300試料は目視観察及びRP−HPLCにより評価した場合、24時間のインキュベーション後に安定であった。
【0285】
上記した実施形態はその広範な発明上の概念から逸脱することなく変更できることは当業者の知る通りである。従って、本発明は開示した特定の実施形態に限定されず、添付する請求項により定義される本発明の精神及び範囲内の変更を包含することを意図している。
【0286】
参考文献
アンセル,エイチ・シー(Ansel, H.C.)他(2004年) Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems eds., 8th ed., Lippincott Williams & Wilkins.
ガーグ,エス(Garg, S.)他(2001年) Compendium of Pharmaceutical Excipients for Vaginal Formulations. Pharmaceutical Technol. Drug Delivery. Sept. 1, 2001, pp.14-24.
ジェンナロ,エイ・アール(Gennaro, A.R.)(2003年) Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th ed., with Facts and Comparisons: DrugfactsPlus. Lippincott Williams & Williams.
ヒグチ,ティ(Higuchi T)およびコナーズ,ケイエイ(Connors KA)(1965年) "Phase solubility techniques", Adv Anal Chem Instr. 4, 117-212.
フー,ジェイ・アール(Hwu, J.R.)他(1998年) Antiviral activities of methylated nordihydroguaiaretic acids. 1. Synthesis, structure identification, and inhibition of Tat-regulated HIV transactivation. J. Med. Chem. 41: 2994-3000.
マクドナルド,アール・ダブリュ(McDonald, R.W.)他(2001年) Synthesis and anticancer activity of nordihydroguaiaretic acid (NDGA) and analogues. Anti-Cancer Drug Design 16: 261-270.
ロウ,アール・シー(Rowe, R.C.)他eds. (2003年) Handbook of Pharmaceutical Excipients. 4th edition. Pharmaceutical Press and American Pharmaceutical Association.
【図面の簡単な説明】
【0287】
【図1A】MN処置の後にC−33A細胞ライン及びHeLa細胞ラインについて実施した細胞増殖試験の結果を示し、図1Aは、MN処置の非存在下において存在した細胞の数を超えたMN処置後に存在した細胞の数の比を示すグラフであり、ここでMNはDMSO製剤中0μM〜80μMの範囲の量で提供された。
【図1B】MN処置の後にC−33A細胞ライン及びHeLa細胞ラインについて実施した細胞増殖試験の結果を示し、図1BはMN処置非存在下において存在した細胞の数を超えたMN処置後に存在した細胞の数の比を示すグラフであり、ここでMNは、HP−β−CD/PEG製剤(「CPE」製剤)中0μM〜80μMの範囲の量で提供した。
【図2A】DMSO製剤中におけるMNの種々の濃度の非存在下又は存在下におけるC−33A細胞及びHeLa細胞に関する死細胞の比率に基づいた細胞死の測定を示すグラフであり、MN濃度は0μM〜80μMの範囲とした。
【図2B】HP−β−CD/PEG製剤中におけるMNの種々の濃度の非存在下又は存在下におけるC−33A細胞及びHeLa細胞に関する死細胞の比率に基づいた細胞死の測定を示すグラフであり、MN濃度は0μM〜80μMの範囲とした。
【図3】種々の液体可溶化剤及び/又は賦形剤(「担体」)中のMNの単回500mg/kg量の経口投与後0.5時間、1時間、2時間及び3時間の時点におけるSprague DawleyラットにおけるMNの吸収を示すヒストグラムであり、MNは全担体において約60mg/mLの濃度で存在させた。担体は(a)HP−β−CD(500mg/mL)+HPMC(5mg/mL);(b)HP−β−CD(500mg/mL)+CMC(5mg/mL);(c)TPGS(200mg/mL);(d)TPGS(100mg/mL)+PEG 400(50%v/v);(e)Tween 20;(f)PEG 400(50%v/v)+Tween 20(50%v/v);(g)PEG 400(33%v/v)+Tween 20(33%v/v)+ペパーミント油(33%);(h)ペパーミント油(50%)+PEG 400(50%v/v);(h)ペパーミント油(50%)+Tween 20(50%v/v);(i)ペパーミント油(50%)+ゴマ油(50%);を包含する。
【図4】粉末形態、又は、種々の固体担体、即ち(a)MN粉末;(b)凍結乾燥HP−β−CD(81%)+MN(185mg/g);(c)TPGS(20%)+MN(133mg/g);(d)ダイズ油(95%)+ミツロウ(5%)+MN(200mg/g);及び(d)オリーブ油(95%)+ミツロウ(5%)+MN(200mg/g)のMNの単回100mg/kg量の経口投与後0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、4時間、6時間及び8時間の時点におけるビーグル犬によるMNの吸収を示すグラフ。
【図5A】単回100mg/kg量の経口投与後0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間及び36時間の時点におけるビーグル犬によるグリセロールモノオレイン酸中の非−微粒子化MNの吸収を非対数の目盛上に示すグラフ。
【図5B】単回100mg/kg量の経口投与後0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間及び36時間の時点におけるビーグル犬によるグリセロールモノオレイン酸中の非−微粒子化MNの吸収を対数の目盛上に示すグラフ。
【図6A】単回100mg/kg量の経口投与後0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間及び36時間の時点におけるビーグル犬によるグリセロールモノオレイン酸中の微粒子化MNの吸収を非対数の目盛上に示すグラフ。
【図6B】単回100mg/kg量の経口投与後0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、4時間、8時間、12時間、24時間及び36時間の時点におけるビーグル犬によるグリセロールモノオレイン酸中の微粒子化MNの吸収を対数の目盛上に示すグラフ。
【図7A】単回75mg/kg経口量の経口投与後0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、4時間、8時間、12時間、16時間、24時間及び36時間の時点における雄性ビーグル犬による種々の濃度における種々の担体中のMNの血清中濃度の非対数の目盛上のデータを示すグラフであり、使用した担体の略記法、投与したMNの濃度、及び、絶食又は摂食状態のどちらのイヌに投与したかの指定は図7Bに最も明確に示した。
【図7B】単回75mg/kg経口量の経口投与後0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、4時間、8時間、12時間、16時間、24時間及び36時間の時点における雄性ビーグル犬による種々の濃度における種々の担体中のMNの血清中濃度の対数の目盛上のデータを示すグラフであり、使用した担体の略記法、投与したMNの濃度、及び、絶食又は摂食状態のどちらのイヌに投与したかの指定を最も明確に示した。
【図8A】単回75mg/kg経口量の経口投与後0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、4時間、8時間、12時間、16時間、24時間及び36時間の時点における雌性ビーグル犬による種々の濃度における種々の担体中のMNの血清中濃度の非対数の目盛上のデータを示すグラフであり、使用した担体の略記法、投与したMNの濃度、及び、絶食又は摂食状態のどちらのイヌに投与したかの指定は図8Bに最も明確に示した。
【図8B】単回75mg/kg経口量の経口投与後0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、4時間、8時間、12時間、16時間、24時間及び36時間の時点における雌性ビーグル犬による種々の濃度における種々の担体中のMNの血清中濃度の対数の目盛上のデータを示すグラフであり、使用した担体の略記法、投与したMNの濃度、及び、絶食又は摂食状態のどちらのイヌに投与したかの指定を最も明確に示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性な薬学的成分及び製薬上許容しうる担体を含む動物への経口投与のための組成物であって、活性な薬学的成分がカテコールブタンを含み、そして担体が(a)水溶性有機溶媒、ただし水溶性有機溶媒がプロピレングリコールである場合は、プロピレングリコールは白色ワセリン非存在下、キサンタンガム非存在下、及び、グリセリン又はグリシンの少なくとも1つの非存在下のものであり、水溶性有機溶媒がポリエチレングリコールである場合は、ポリエチレングリコールはアスコルビン酸又はブチル化ヒドロキシトルエンの非存在下に存在し、そして、ポリエチレングリコールがポリエチレングリコール400である場合は、ポリエチレングリコール400はポリエチレングリコール8000の非存在下に存在するもの;(b)シクロデキストリン;(c)イオン性、非イオン性又は両親媒性の界面活性剤、ただし界面活性剤が非イオン性界面活性剤の場合は非イオン性界面活性剤がキサンタンガムの非存在下に存在するもの;(d)変性セルロース;(e)水不溶性脂質、ただし水不溶性脂質がヒマシ油である場合は、ヒマシ油はミツロウ又はカルナウバロウの非存在下に存在するもの;及び担体(a)〜(e)の何れかの組合せ、からなる群から選択される可溶化剤及び賦形剤の少なくとも1つを含む、組成物。
【請求項2】
約0.1mg〜約200mgの前記活性な薬学的成分を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
約10mg、約20mg、約25mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約75mg、約100mg又は約200mgの前記活性な薬学的薬剤を含む請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記活性な薬学的成分が、約1mg/mL〜約200mg/mL、又は約1mg/g〜約250mg/gの濃度で存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記活性な薬学的成分が、約1mg/mL、約2mg/mL、約2.5mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約12.5mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約40mg/mL、約50mg/mL、約55mg/mL、約60mg/mL、約75mg/mL、約100mg/mL、約125mg/mL、約150mg/mL又は約175mg/mLの濃度で存在する請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記活性な薬学的成分が、約20mg/g、約50mg/g、約75mg/g、約100mg/g、約120mg/g、約130mg/g、約140mg/g、約150mg/g、約175mg/g又は約200mg/gの濃度で存在する請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記水溶性有機溶媒が、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、エチルアルコール、ベンジルアルコール及びジメチルアセトアミドからなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記担体が、ポリエチレングリコールを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリエチレングリコールが、約5%(v/v)〜約100%(v/v)の濃度で存在する請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリエチレングリコールが、約20%(v/v)〜約80%(v/v)の濃度で存在する請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリエチレングリコールが、約50%(v/v)の濃度で存在する請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリエチレングリコールが、約40%(v/v)の濃度で存在する請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリエチレングリコールが、約33%(v/v)の濃度で存在する請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
前記ポリエチレングリコールが、PEG 300である請求項8に記載の組成物。
【請求項15】
前記PEG 300が、約10%(v/v)、約20%(v/v)、約30%(v/v)、約40%(v/v)又は約50%(v/v)の濃度で存在する請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記ポリエチレングリコールが、PEG 400である請求項8に記載の組成物。
【請求項17】
前記PEG 400が、約10%(v/v)、約20%(v/v)、約30%(v/v)、約40%(v/v)又は約50%(v/v)の濃度で存在する請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記ポリエチレングリコールが、PEG 400モノラウリン酸である請求項8に記載の組成物。
【請求項19】
前記PEG 400モノラウリン酸が、約20%(v/v)〜約50%(v/v)の濃度で存在する請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記担体が、未修飾シクロデキストリン又は修飾シクロデキストリンを含む請求項1又は8に記載の組成物。
【請求項21】
前記修飾シクロデキストリンが、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン及びスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンからなる群から選択される請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記修飾シクロデキストリンが、約5%(w/v)〜約80%(w/v)の濃度で存在する請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
前記修飾シクロデキストリンが、約15%(w/v)、約20%(w/v)、約25%(w/v)、約30%(w/v)、約35%(w/v)、約40%(w/v)又は約50%(w/v)の濃度で存在する請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記担体が、界面活性剤を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記界面活性剤が、約5%(v/v)〜約100%(v/v)の濃度で存在する請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記界面活性剤が、約30%(v/v)、約40%(v/v)又は約50%(v/v)の濃度で存在する請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記担体が、ポリソルベート、コハク酸d−アルファ−トコフェリルポリエチレングリコール1000、エステル化脂肪酸、及びエチレンオキシドとヒマシ油の35:1モル比の反応生成物からなる群から選択される界面活性剤を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
前記界面活性剤が、ポリソルベート20及びポリソルベート80からなる群から選択される請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
前記界面活性剤が、ポリソルベート20である請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記担体が、ポリエチレングリコール及び界面活性剤を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
前記ポリエチレングリコールが、PEG 300及びPEG 400からなる群から選択される請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記界面活性剤が、ポリソルベート20である請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記界面活性剤が、エステル化脂肪酸である請求項24に記載の組成物。
【請求項34】
前記担体が、修飾セルロースを含む請求項1記載の組成物。
【請求項35】
前記修飾セルロースが、エチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記修飾セルロースが、約0.1%(w/v)〜約10%(w/v)の濃度で存在する請求項34に記載の組成物。
【請求項37】
前記担体が、水不溶性脂質を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項38】
前記水不溶性脂質が、油、ワックス及び脂肪乳剤の少なくとも1つからなる群から選択されるが、但し、前記組成物がヒマシ油を含有する場合は、それはミツロウ又はカルナウバロウを含有しない請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記水不溶性脂質が、脂肪乳剤である請求項37に記載の組成物。
【請求項40】
前記脂肪乳剤が、約10%〜約30%の濃度で存在する請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記脂肪乳剤が、約20%の濃度で存在する請求項39に記載の組成物。
【請求項42】
前記水不溶性脂質が、油である請求項33に記載の組成物。
【請求項43】
前記油が、コーン油、オリーブ油、ペパーミント油、ダイズ油、ゴマ油、ミネラルオイル及びグリセロールからなる群から少なくとも1つ選択される請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
前記油が、約10%〜約100%の濃度で存在する請求項42に記載の組成物。
【請求項45】
前記油が、ペパーミント油である請求項42に記載の組成物。
【請求項46】
ゴマ油を含む請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
ポリソルベート20を含む請求項42に記載の組成物。
【請求項48】
ポリエチレングリコールを含む請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
ポリエチレングリコールを含む請求項42に記載の組成物。
【請求項50】
前記ポリエチレングリコールが、PEG 300及びPEG 400からなる群から選択される請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
ポリエチレングリコールが、PEG 300及びPEG 400からなる群から選択される請求項49に記載の組成物。
【請求項52】
前記カテコールブタンが、下記式(I):
【化1】

[式中、R及びRは、各々独立して−H、低級アルキル、低級アシル、アルキレンを示すか;又は、−RO及び−ROは各々独立して未置換又は置換されたアミノ酸残基又はその塩を示し;R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、各々独立して−H又は低級アルキルを示し;そしてR、R及びRは、各々独立して−H、−OH、低級アルコキシ、低級アシルオキシ、未置換又は置換されたアミノ酸残基又はその塩を示すか、又は何れかの2つの隣接する基は共にアルキレンジオキシであってよい]、
に示す構造を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項53】
前記カテコールブタンが、NDGA化合物である請求項1に記載の組成物。
【請求項54】
前記NDGA化合物が、下記式(II):
【化2】

[式中、R14、R15、R16及びR17は、各々独立して−OH、低級アルコキシ、低級アシルオキシ又は未置換又は置換されたアミノ酸残基又は製薬上許容しうるその塩を示し;そして、R18及びR19は、各々独立して−H又は低級アルキルを示す]、
に示す構造を有する請求項53記載の組成物。
【請求項55】
前記R14、R15、R16及びR17が、各々独立して低級アルコキシを示す請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
前記R14、R15、R16及びR17が、各々独立して−OCHを示す請求項54に記載の組成物。
【請求項57】
前記R14、R15、R16及びR17が、各々独立して低級アシルオキシを示す請求項54に記載の組成物。
【請求項58】
前記R14、R15、R16及びR17が、各々独立して−O(C=O)CHを示す請求項54に記載の組成物。
【請求項59】
前記R14、R15、R16及びR17が、各々独立して置換されたアミノ酸残基を示す請求項54に記載の組成物。
【請求項60】
前記R14、R15、R16及びR17が、各々独立してN,N−ジメチル置換アミノ酸残基を示す請求項54に記載の組成物。
【請求項61】
前記R14、R15、R16及びR17が、各々独立して置換されたアミノ酸残基の塩を示す請求項54に記載の組成物。
【請求項62】
前記R14、R15、R16及びR17が、各々独立して置換されたアミノ酸残基の塩化物を示す請求項54に記載の組成物。
【請求項63】
前記R14、R15、R16及びR17が、各々独立して置換されたアミノ酸残基又はその塩を示し、そして置換されたアミノ酸残基又は塩が、−O(C=O)CHN(CH又は−O(C=O)CH(CH・Clである請求項54に記載の組成物。
【請求項64】
前記R18及びR19が、各々独立して低級アルキルを示す請求項54に記載の組成物。
【請求項65】
前記R18及びR19が、各々独立して−CHを示す請求項54に記載の組成物。
【請求項66】
前記R14、R15、R16及びR17が、各々同時に−OHでない請求項54に記載の組成物。
【請求項67】
前記NDGA化合物が、NDGAのメチル化誘導体である請求項53に記載の組成物。
【請求項68】
前記NDGA化合物が、テトラ−O−メチルNDGA(MN)、トリ−O−メチルNDGA(MN)、ジ−O−メチルNDGA(MN)及びモノ−O−メチルNDGA(MN)からなる群から選択される請求項67に記載の組成物。
【請求項69】
前記活性な薬学的成分がテトラ−O−メチルNDGAである請求項1に記載の組成物。
【請求項70】
対象における疾患の治療方法であって、(a)請求項1に記載の組成物を準備すること;及び(b)前記組成物を前記対象に経口投与することを含み、前記組成物が、有効量の前記活性な薬学的成分を含む、方法。
【請求項71】
前記疾患が、増殖性疾患である請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記増殖性疾患が、癌である請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記増殖性疾患が、乾癬である請求項71に記載の方法。
【請求項74】
前記疾患が、高血圧である請求項70に記載の方法。
【請求項75】
前記疾患が、肥満である請求項76に記載の方法。
【請求項76】
前記疾患が、糖尿病である請求項70に記載の方法。
【請求項77】
前記疾患が、中枢神経系疾患又は神経変性疾患である請求項70に記載の方法。
【請求項78】
前記疾患が、疼痛である請求項70に記載の方法。
【請求項79】
前記疾患が、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、認知症又はパーキンソン病である請求項70に記載の方法。
【請求項80】
前記疾患が、卒中である請求項70に記載の方法。
【請求項81】
前記疾患が、炎症性疾患である請求項70に記載の方法。
【請求項82】
前記炎症性疾患が、慢性関節リューマチ、骨関節炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、アテローム性動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び多発性硬化症からなる群から選択される請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記疾患が、前悪性新生物形成又は形成異常である請求項70に記載の方法。
【請求項84】
前記疾患が、上皮内新生物形成である請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記疾患が、感染症である請求項70に記載の方法。
【請求項86】
前記感染症が、ウイルス感染症である請求項70に記載の方法。
【請求項87】
前記ウイルスが、HIV、HTLV、HPV、HSV、HBV、EBV、水痘帯状疱疹ウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス又はJCウイルスからなる群から選択される請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記組成物を、前記対象のkg体重当たりの前記活性な薬学的成分を約10mgから、前記対象のkg体重当たりの前記活性な薬学的成分を約600mgの範囲の用量で投与する請求項70に記載の方法。
【請求項89】
前記組成物を週当たり一回以上投与する請求項70に記載の方法。
【請求項90】
前記組成物を月当たり一回以上投与する請求項70に記載の方法。
【請求項91】
請求項1に記載の組成物及びその使用のための説明書を含む疾患の治療のためのキット。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate


【公表番号】特表2008−528610(P2008−528610A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553234(P2007−553234)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/002806
【国際公開番号】WO2006/081363
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(505431064)エリモス・ファーマスーティカルズ・エルエルシー (6)
【住所又は居所原語表記】930 MAIN CAMPUS DRIVE, SUITE 100, RALEIGH, NORTH CAROLINA 27606, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】