説明

NSAID関連潰瘍を発症するリスクがある患者の処置方法

この開示は、NSAID関連潰瘍を発症するリスクがある患者の疾患又は障害を処置する方法であって、それを必要とする前記患者にナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩、及びエソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩を含んでなる単位投与剤形の医薬組成物を投与し、それによって潰瘍を発症する患者のリスクを低下させる方法を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
NSAID関連潰瘍を発症するリスクがある患者の処置方法
この開示は、NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)関連潰瘍を発症するリスクがある患者の疾患又は障害を処置する方法であって、それを必要とする前記患者にナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩、及びエソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩を含んでなる単位投与剤形(unit dosage form)の医薬組成物を前記リスクのある患者に投与し、それによって潰瘍を発症する患者のリスクを低下させる方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
1500万人を超える米国人が疼痛及び/又は炎症を処置するために毎日NSAIDsを服用している。NSAIDsは依然として疼痛及び炎症のキーとなる治療であるが、長期的なNSAID治療には、例えば、出血及び穿孔などの上部胃腸管(upper gastrointestinal)(UGI)潰瘍及び潰瘍合併症の実質的なリスクがある。一般に行なわれているNSAIDの使用では、胃十二指腸潰瘍(GDUs)の累積発現がプラセボの場合には3〜7%であるのに対して、3ヶ月で25〜30%、6ヶ月で45%ほども高いことが報告されている。どんな所与の時間でも、NSAID使用者におけるUGI潰瘍の発生は、30%ほども高いことが推定されている。UGI潰瘍を発症するNSAID使用者に関連するリスクファクターは、次のものを含む:年齢≧50歳、UGI潰瘍若しくは出血の病歴、又は併用するアスピリンの使用。長期的なNSAID使用者における潰瘍の発現の増加に関連するメカニズムは、複雑でありうるが、UGI粘膜の保護メカニズムの低下と相まって、胃酸がこの病変の一因になっていると考えられる。UGI粘膜損傷には、点状出血(petechia)、びらん(erosions)及び潰瘍が含まれる。加えて、一旦粘膜損傷が発生すると、酸は通常の止血及び治癒に障害を生じさせる能力を有する。こうしたファクターは、ある種のNSAIDsの知られている抗血小板作用と相俟って、胃腸管(GI)損傷及び出血のリスクを増大させうる。NSAIDsのUGI作用にはまた、次のものが含まれる:ディスペプシア(dyspepsia)(NSAID治療の患者のうち40%までが経験している)、びらん性食道炎(EE)(通常のNSAID使用者のうち21%が経験している)、及び胃食道逆流症症候群の増加。更に、アスピリンとNSAIDの併用によって、重篤なGI事象のリスクが増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
即放性(immediate-release(IR))のエソメプラゾールマグネシウムと腸溶性コーティングされた(EC)ナプロキセンを含んでなる医薬製剤は、EC−ナプロキセン(腸溶性コーティングされた−ナプロキセン:EC-naproxen)と比較すると、NSAID関連潰瘍を発症するリスクのある患者の潰瘍の発生を低下させることが判明している。こうした製剤はまた、EC−ナプロキセンと比較すると、NSAID関連潰瘍を発症するリスクのある、低用量のアスピリン(LDA)を服用している患者における潰瘍の発生を低下させることが判明している。更に、IRのエソメプラゾールとEC−ナプロキセンのこの新規な製剤を服用している患者は、EC−ナプロキセンを服用している患者と比較して、より長期の処置を継続することができた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一局面では、 この開示は:
単位投与剤形(unit dosage form)の医薬組成物を、それを必要とする前記患者に投与することによってNSAID関連潰瘍を発症するリスクがある患者の疾患又は障害を処置する方法であって、
該医薬組成物が、(a)1つ又は複数の前記単位投与剤形の投与によって少なくとも3.5に前記患者の胃のpHを上昇させるのに十分な量のエソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩、及び(b)治療的に有効な量のナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩を含んでなり;
前記単位投与剤形は、
(i)前記エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩の少なくとも一部分は、周囲媒体(surrounding medium)のpHとは無関係に放出され;そして
(ii)ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩は、周囲媒体のpHが3.5以上であるまで、前記単位投与剤形から放出されないように;
エソメプラゾールとナプロキセンの調整放出(coordinated release)を供給するものであって;
そして単位投与剤形の前記医薬組成物は、潰瘍を発症する前記患者のリスクを低下させる、
ことを含んでなる、上記方法を対象とする。
【0005】
別の局面では、この開示は、
経口投与に適した単位投与剤形の医薬組成物を、患者に投与することによってNSAID関連潰瘍を発症するリスクがある患者の疾患又は障害を処置する方法であって、
該医薬組成物が、
(a)該投与剤形が水溶性媒体に置かれると、pHに無関係に直ちに溶解する、1つ又は複数の単位投与剤形の投与によって少なくとも3.5に患者の胃のpHを上昇させるのに有効な量のエソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩、及び(b)ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩が、3.5未満のpHで、及び約37℃の温度で、水溶性媒体中で実質的に不溶性であるコーティングによって包囲されている、ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩を含んでなり;
そして単位投与剤形の前記医薬組成物は、潰瘍を発症する前記患者のリスクを低下させる、
ことを含んでなる、上記方法を対象とする。
【0006】
更に別の局面では、患者のNSAID関連胃腸潰瘍のリスクは、長期的なNSAIDの処置、患者の年齢(例えば、患者が50歳以上の場合)、NSAIDの処置(短期間又は長期間の処置)の前又は処置の間のアスピリンの投与、又はその任意の組み合わせに関連しうる。
【0007】
更に別の局面では、本明細書中で開示された単位投与剤形の医薬組成物は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍(DU)、胃十二指腸潰瘍、又はその併有を発症する前記患者のリスクを低下させる。
【0008】
更に別の局面では、この疾患又は障害は、例えば、疼痛、炎症、骨関節炎、関節リウマチ、強直性脊椎炎、又はその任意の併有でありうる。
【0009】
別の局面では、本明細書中で開示された単位投与剤形の医薬組成物は、前記患者に毎日、例えば、1日に2回投与される。更なる局面では、本明細書中で開示された単位投与剤形の医薬組成物は、前記患者に、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約4ヶ月間、少なくとも約5ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約7ヶ月間、少なくとも約8ヶ月間、少なくとも約9ヶ月間、少なくとも約10ヶ月間、少なくとも約11ヶ月間、少なくとも約12ヶ月間、少なくとも約18ヶ月間、又は少なくとも約24ヶ月間、例えば、1日に2回投与される。
【0010】
更なる局面では、本明細書中で開示された単位投与剤形の医薬組成物は、投薬量形態が前記患者に経口的に投与されるときには、少なくとも3.5、少なくとも4.0、少なくとも4.5、少なくとも5.0、又は少なくとも5.5に、患者の胃液のpHを上昇させるのに有効な量で、エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩を含んでなることができる。エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩は、約10mg〜約50mgの量、又は約20mgの量の単位投与剤形で存在することができる。他の実施態様では、本明細書中で開示された単位投与剤形の医薬組成物は、例えば、約200mg〜約600mg、約375mg、又は約500mgの量で、ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩を含んでなることができる。
【0011】
なお更なる局面では、医薬組成物は、1日に1回又は1日に2回、患者に投与するために処方される。いくつかの実施態様では、単位投与剤形は、錠剤、連続的送達錠剤製剤(sequential-delivery tablet formulation)、カプセル、ビーズ含有カプセル、又はミニ錠剤でありうる。一局面では、単位投与剤形は、1つのコア(核:core)と2つ以上の層を含んでなる錠剤であって、(i)ナプロキセン又はその製薬学的に許容される塩はこのコアの中にあり;(ii)第一の層は、このコアを取り囲んでおり、そして前記層は水溶性媒体に3.5未満のpHで、及び/又は約37℃の温度で、実質的に不溶性であるコーティングであり;そして(iii)第一の層を取り囲んでいる少なくとも1つの第二の層は、エソメプラゾール又はその製薬学的に許容される塩を含んでなる。いくつかの実施態様では、この第一の層は、例えば、腸溶性コーティング又は時間放出コーティングでありうる。他の実施態様では、単位投与剤形は、薬理学的に不活性な、水溶性コーティング又はフィルムによって包囲されていてもよい。
【0012】
更に他の局面では、本明細書中で開示されている単位投与剤形を、それを必要とする患者に投与すると、前記患者が腸溶性コーティングされたナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩を投与された場合と比較して、前記患者が潰瘍を発症することになるリスクがより大きく減少する。別の実施態様では、本明細書中で開示されている単位投与剤形を投与すると、短期的又は長期的なNSAID、例えば、ナプロキセン又はその製薬学的に許容される塩の毎日の投薬が必要となる患者のコンプライアンスが改善する。
【0013】
別の局面では、単位投与剤形は、1つのコアと、該コアを取り囲んでいる少なくとも1つの第一の層と、該第一の層を取り囲んでいる第二の層とを含んでなる多層錠であって、
(i)該コアは、ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩を含んでなり;
(ii)該第一の層は、1000mlの0.1N HCl中、37℃±0.5℃において75rpmで米国薬局方パドル・メソッド(USP Paddle Method)を用いて試験すると、2時間後に10%未満のナプロキセンを放出するコーティングであり;
(iii)該第二の層は、エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩及び少なくとも1つの賦形剤を含んでなり、
該第二の層は、1000mlの0.1N HCl中、37℃±0.5℃において75rpmで2時間、米国薬局方パドル・メソッドを用いて試験すると、30分後に少なくとも95%溶解する、上記多層錠である。この単位投与剤形は更に、単位投与剤形の最外層を取り囲んでいる、薬理学的に不活性の、水溶性の、例えば、上記において、該不活性コーティング又はフィルムは、水溶性糖を含んでなるコーティング又はフィルムを有していてもよい。
【0014】
更なる局面では、本明細書中で開示されている単位投与剤形を、それを必要とする患者に投与すると、それを必要とする前記患者を腸溶性コーティングされたナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩で処置することと比較して、前記患者の胸焼けに付随する症状がより大きく減少する。
【0015】
更なる局面は、
(a)1つ又は複数の単位投与剤形を投与する際、少なくとも3.5、少なくとも4.0、少なくとも4.5、少なくとも5.0、又は少なくとも5.5に患者の胃のpHを上昇させるのに有効な量で、投薬量形態が水溶性媒体中に置かれた場合に、pHに無関係に、直ちに溶解するエソメプラゾール又はその製薬学的に許容される塩、
及び
(b)ナプロキセン又はその製薬学的に許容される塩が、3.5未満のpH、及び約37℃の温度で水溶性媒体に実質的に不溶性であるコーティングによって包囲されている、ナプロキセン又はその製薬学的に許容される塩、
を含んでなる、
経口投与に適した単位投与剤形の医薬組成物を患者に投与することによって、NSAID関連潰瘍を発症する危険のある患者の疾患又は障害を処置する方法を対象とする。いくつかの実施態様では、本明細書中で開示されている単位投与形態を、それを必要とする患者に投与することによって、前記患者のディスペプシア(dyspepsia)に関連する症状を、前記患者を腸溶性コーティングされたナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩で処置することと比較して、より大きな程度減少する。
【0016】
本明細書中で使用されうる略語及び/又は特殊な用語は、表1及びそれに続くテキストに記載されている。
【0017】
本明細書中に記載されている定義は、引用によって本明細書中に組み込まれるあらゆる特許、特許出願、及び/又は特許出願公開に記載されている定義に優先する。
【0018】
【表1】

【0019】
用語“リスクのある患者(at risk patient)”とは、年齢≧50歳、UGI潰瘍又は出血の病歴、及び/又はアスピリンの同時使用に起因するNSAID関連潰瘍のリスクのある患者を意味する。一実施態様では、リスクのある患者は、50歳より上か、50歳に
等しい年齢に起因するNSAID関連潰瘍のリスクのある患者である。別の実施態様では、リスクのある患者は、アスピリンの同時使用に起因するNSAID関連潰瘍のリスクのある患者である。更に別の実施態様では、リスクのある患者は、UGI潰瘍又は出血の病歴に起因するNSAID関連潰瘍のリスクのある患者である。
【0020】
用語“鏡像異性的に純粋な(enantiomerically pure)”とは、それに含まれる2つの可能性のあるエナンチオマーの全体量の中で命名されたエナンチオマーを少なくとも約75%含んでいる化合物を意味する。特定の実施態様では、“鏡像異性的に純粋な”とは、それに含まれる2つの可能性のあるエナンチオマーの全体量の中で命名されたエナンチオマーを少なくとも約90%含んでいる化合物を意味する。更に特定の実施態様では、“鏡像異性的に純粋な”とは、それに含まれる2つの可能性のあるエナンチオマーの全体量の中で命名されたエナンチオマーを少なくとも約95%含んでいる化合物を意味する。その上更に特定の実施態様では、“鏡像異性的に純粋な”とは、それに含まれる2つの可能性のあるエナンチオマーの全体量の中で命名されたエナンチオマーを少なくとも約96%含んでいる化合物を意味する。その上更なる実施態様では、“鏡像異性的に純粋な”とは、それに含まれる2つの可能性のあるエナンチオマーの全体量の中で命名されたエナンチオマーを少なくとも約97%含んでいる化合物を意味する。その上なお更なる実施態様では、“鏡像異性的に純粋な”とは、それに含まれる2つの可能性のあるエナンチオマーの全体量の中で命名されたエナンチオマーを少なくとも約98%含んでいる化合物を意味する。その上なお更なる実施態様では、“鏡像異性的に純粋な”とは、それに含まれる2つの可能性のあるエナンチオマーの全体量の中で命名されたエナンチオマーを少なくとも約99%含んでいる化合物を意味する。別の実施態様では、“鏡像異性的に純粋な”とは、それに含まれる2つの可能性のあるエナンチオマーの全体量の中で命名されたエナンチオマーを少なくとも約99.9%含んでいる化合物を意味する。
【0021】
用語“低用量アスピリン(low dose aspirin)”とは、アスピリンが≦325mgである投薬量を意味する。
【0022】
本明細書中で使用される際には、用語“製薬学的に許容される(pharmaceutically acceptable)”とは、“製薬学的に許容される”と認定されているサブジェクトマターが適切であり、患者/被験者への投与に関して適切であり、生理学的に許容されることを意味する。例えば、用語“製薬学的に許容される塩(pharmaceutically acceptable salt(s))”とは、適切かつ生理学的に許容される塩を示す。
【0023】
語句“ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩”とは、ナプロキセンの遊離塩基、ナプロキセンの製薬学的に許容される塩(複数を含む)、及び/又はナプロキセンの遊離塩基とナプロキセンの少なくとも1つの製薬学的に許容される塩の混合物を意味する。
【0024】
語句“エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩”とは、エソメプラゾールの遊離塩基、エソメプラゾールの製薬学的に許容される塩(複数を含む)、及び/又はエソメプラゾールの遊離塩基とエソメプラゾールの少なくとも1つの製薬学的に許容される塩の混合物を意味する。
【0025】
本明細書中で使用される際には、用語“単位投与剤形(unit dosage form)”(又は“単位用量形態(unit dose form)”とは、薬物投与のための単一の実在物(single entity)を意味する。例えば、エソメプラゾールとナプロキセンの双方を含んでいる単一の錠剤又はカプセルは、単位投与剤形である。この開示の単位投与剤形によって、胃のpHが上昇し、胃十二指腸粘膜上のナプロキセンの有害な作用が減少するように連続的な薬物放出が提供され、例えば、このエソメプラゾールが最初に放出され、そしてナプロキセンの放出は、GI管のpHが3.5以上に上昇するまで遅延される。“単位投与剤形”(又は“単位用量形態”)はまた、“固定投与剤形(fixed dosage form)”(又は“固定用量形態(fixed dose form)”)又は固定投与合剤(fixed dosage combination)(又は“固定用量合剤(fixed dose combination)”)とも呼ばれることもありえ、あるいはどちらを使っても変わりはない。
【0026】
ナプロキセン、若しくはその製薬学的に許容される塩及び/又はエソメプラゾール、若しくはその製薬学的に許容される塩の投与量に関して、それぞれ、用語“約”は、当技術の範囲内で許容される特定の認定された投与量からの変動を示す意図である。
【0027】
本明細書中に列挙されているpH値及び/又は範囲に関して、用語“約”は、実質的に記載の数と同じ結果を達成しうる記載の数の上下の変動を確保する意図である。
【0028】
語句“実質的にフリー(substantially free)”と連動して使用されている用語・数値に関して、該用語は、実質的に記載の数と同じ結果を達成しうる記載の数の上下の変動を確保する意図である。
【0029】
語句“実質的にフリー(substantially free)”とは、約95%〜約99.99%フリーであることを意味する。一実施態様では、実質的にフリーとは、約95%フリーであることを意味する。別の実施態様では、用語、実質的にフリーとは、約96%フリーであることを意味する。更に別の実施態様では、用語、実質的にフリーとは、約97%フリーであることを意味する。その上別の実施態様では、用語、フリーとは、実質的に、約98%フリーであることを意味する。更なる実施態様では、更なる実施態様では、用語、実質的にフリーとは、約99%フリーであることを意味する。その上更なる実施態様では、用語、実質的にフリーとは、約99.99%フリーであることを意味する。
【0030】
この開示では、種々の記載範囲は、それぞれ、各範囲の記載した最低及び最高値の間のそれぞれの数値パラメーターを含むように連続的であることを意図している。例えば、約1〜約4の範囲には、約1と1(about1,1)、約2と2(about2,2)、約3と3(about 3,3)、約4と4(about 4, and 4)が含まれる。
【0031】
一実施態様は、
(a)1つ又は複数の前記単位投与剤形の投与によって少なくとも3.5に前記患者の胃のpHを上昇させるのに十分な量のエソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩、及び
(b)治療的に有効な量のナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩、を含む単位投与剤形の医薬組成物を、それを必要とする前記患者に投与することによって、NSAID関連潰瘍を発症するリスクのある患者における疾患又は障害を処置することを含んでなる方法であって、
(i)前記エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩の少なくとも一部分は、周囲媒体のpHに無関係に放出され;そして
(ii)ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩は、周囲媒体のpHが3.5以上になるまで前記単位投与剤形から放出されないように、
前記単位投与剤形が、エソメプラゾールとナプロキセンの調整放出を供給し、
そして単位投与剤形の前記医薬組成物は、潰瘍を発症する前記患者のリスクを低下させることを含んでなる、
上記方法を対象とする。こうした医薬組成物は、米国特許番号第6,926,907号中に記載されており、該米国特許は引用によって全体として本明細書中に組み込まれる。
【0032】
別の実施態様は、
(a)1つ又は複数の前記単位投与剤形の投与によって少なくとも3.5に前記患者の胃のpHを上昇させるのに十分な量のエソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩、及び
(b)治療的に有効な量のナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩、
を含む単位投与剤形の医薬組成物を、それを必要とする前記患者に投与することによって、長期的なNSAID処置を必要とし、かつNSAID関連潰瘍を発症するリスクのある患者における疾患又は障害を処置する方法であって、
(i)前記エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩の少なくとも一部分は、周囲媒体のpHに無関係に放出され;そして
(ii)ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩は、周囲媒体のpHが3.5以上になるまで前記単位投与剤形から放出されないように、
前記単位投与剤形が、エソメプラゾールとナプロキセンの調整放出を供給し、
そして単位投与剤形の前記医薬組成物は、潰瘍を発症する前記患者のリスクを低下させることを含んでなる、
上記方法を対象とする。
【0033】
更に別の実施態様は、
(a)1つ又は複数の前記単位投与剤形の投与によって少なくとも3.5に前記患者の胃のpHを上昇させるのに十分な量のエソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩、及び
(b)治療的に有効な量のナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩、
を含む単位投与剤形の医薬組成物を、それを必要とする前記患者に投与することによって、NSAID関連潰瘍を発症するリスクのある患者における骨関節炎、関節リウマチ及び強直性脊椎炎の兆候及び症状を処置することを含んでなる方法であって、
(i)前記エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩の少なくとも一部分は、周囲媒体のpHに無関係に放出され;そして
(ii)ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩は、周囲媒体のpHが3.5以上になるまで前記単位投与剤形から放出されないように、
前記単位投与剤形が、エソメプラゾールとナプロキセンの調整放出を供給し、
そして単位投与剤形の前記医薬組成物は、潰瘍を発症する前記患者のリスクを低下させることを含んでなる、
上記方法を対象とする。
【0034】
その上更に別の実施態様は、
(a)1つ又は複数の前記単位投与剤形の投与によって少なくとも3.5に前記患者の胃のpHを上昇させるのに十分な量のエソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩、及び
(b)治療的に有効な量のナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩、を含む単位投与剤形の医薬組成物を、
それを必要とする前記患者に投与することによって、長期的なNSAID処置を必要とし、かつNSAID関連潰瘍を発症するリスクのある患者における骨関節炎、関節リウマチ及び強直性脊椎炎の兆候及び症状を処置することを含んでなる方法であって、
(i)前記エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩の少なくとも一部分は、周囲媒体のpHに無関係に放出され;そして
(ii)ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩は、周囲媒体のpHが3.5以上になるまで前記単位投与剤形から放出されないように、
前記単位投与剤形が、エソメプラゾールとナプロキセンの調整放出を供給し、
そして単位投与剤形の前記医薬組成物は、潰瘍を発症する前記患者のリスクを低下させることを含んでなる、
上記方法を対象とする。
【0035】
更なる実施態様では、本明細書中に開示されている医薬組成物によって処置される前記疾患又は障害は、疼痛及び炎症から選択される。
【0036】
更に別の実施態様では、本明細書中に開示されている医薬組成物によって処置される前記疾患又は障害は、骨関節炎、関節リウマチ、強直性脊椎炎及びその併有から選択される。
【0037】
その上更なる実施態様では、NSAID関連潰瘍を発症するリスクのある前記患者は、≧50歳である。
【0038】
その上更に別の実施態様では、NSAID関連潰瘍を発症するリスクのある前記患者は、UGI潰瘍又は出血の病歴を有している。
【0039】
その上なお更に別の実施態様では、前記患者は低用量のアスピリンを服用している。
【0040】
その上なお更なる実施態様では、単位投与剤形での前記医薬組成物は、胃十二指腸潰瘍を発症する前記患者のリスクを低下させる。
【0041】
その上なお更なる実施態様では、単位投与剤形での前記医薬組成物は、十二指腸潰瘍を発症する前記患者のリスクを低下させる。
【0042】
更なる実施態様では、単位投与剤形での前記医薬組成物は、胃潰瘍を発症する前記患者のリスクを低下させる。
【0043】
更に別の実施態様では、単位投与剤形の前記医薬組成物を、NSAID処置を必要な患者に投与すると、腸溶性コーティングされたナプロキセン(EC−ナプロキセン(EC-naproxen))を投与した、NSAID処置を必要とする患者と比較して、胃潰瘍を発症する患者がより少ないという結果になった。
【0044】
別の実施態様では、単位投与剤形の前記医薬組成物を、NSAID処置を必要な患者に投与すると、約1%〜約12%の前記患者が胃潰瘍を発症するという結果になった。
【0045】
更に別の実施態様では、EC−ナプロキセンを、NSAID処置を必要な患者に投与すると、約17%〜約31%の前記患者が胃潰瘍を発症するという結果になった。
【0046】
更に別の 実施態様では、単位投与剤形の前記医薬組成物を、NSAID処置を必要とする患者に投与すると、EC−ナプロキセンを投与した、NSAID処置を必要とする患者と比較して、より少ない患者が十二指腸潰瘍を発症するという結果になった。
【0047】
別の実施態様では、単位投与剤形の前記医薬組成物を、NSAID処置を必要とする患者に投与すると、約0%〜約2%の前記患者が十二指腸潰瘍を発症するという結果になった。
【0048】
更に別の実施態様では、EC−ナプロキセンを、NSAID処置を必要とする患者に投与すると、約3.5%〜約8%の前記患者が十二指腸潰瘍を発症するという結果になった。
【0049】
更に別の実施態様では、NSAID処置を必要とする患者に、単位投与剤形の前記医薬組成物と低用量アスピリンを投与すると、EC−ナプロキセンと低用量アスピリンを投与した患者と比較して、より少ない患者が胃潰瘍を発症するという結果になった。
【0050】
別の実施態様では、単位投与剤形の前記医薬組成物と低用量アスピリンを、NSAID処置を必要とする患者に投与すると、約0%〜約9%の前記患者が胃潰瘍を発症するという結果になった。
【0051】
更に別の実施態様では、EC−ナプロキセンと低用量アスピリンを、NSAID処置を必要とする患者に投与すると、約20%〜約38%の前記患者が胃潰瘍を発症するという結果になった。
【0052】
更に別の実施態様では、単位投与剤形の前記医薬組成物と低用量アスピリンを、NSAID処置を必要とする患者に投与すると、EC−ナプロキセンと低用量アスピリンを患者に投与したのと比較して、より少ない患者が胃十二指腸潰瘍を発症するという結果になった。
【0053】
別の実施態様では、単位投与剤形の前記医薬組成物と低用量アスピリンを、NSAID処置を必要とする患者に投与すると、約1.0%〜約10%の前記患者が胃十二指腸潰瘍を発症するという結果になった。
【0054】
更に別の実施態様では、EC−ナプロキセンと低用量アスピリンを、NSAID処置を必要とする患者に投与すると、約23%〜約42%の前記患者が胃十二指腸潰瘍を発症するという結果になった。
【0055】
更にその上更なる実施態様では、前記患者は、EC−ナプロキセンで処置するのと比較して、単位投与剤形の前記医薬組成物ではより長期間にわたって処置された。
【0056】
更に別の実施態様では、長期にわたる処置では患者のコンプライアンスが、EC−ナプロキセンと比較して本明細書中に開示されている医薬組成物では改善される。
【0057】
その上更に更なる実施態様では、単位投与剤形の前記医薬組成物は、少なくとも1つのコアと、少なくとも1つの、第一の層と第二の層を含んでなる多層錠であって、
(i)前記コアは、ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩を含んでなり;
(ii)前記第一の層は、周囲媒体のpHが約3.5以上にあると、ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩を少なくとも放出し始め;そして
(iii)前記第二の層は、エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩であり、前記エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩は、約0以上のpHで放出する、上記の多層錠である。
【0058】
更なる実施態様では、前記エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩は、約1以上のpHで前記多層錠から放出される。
【0059】
その上更なる実施態様では、前記エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩は、約0〜約2のpHで前記多層錠から放出される。
【0060】
更にその上更なる実施態様では、エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩は、0〜2のpHで放出される。
【0061】
その上更なる実施態様では、前記多層錠に含まれる前記エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩の少なくとも一部分は、腸溶性コーティングでコートされていない。
【0062】
更にその上更なる実施態様では、前記多層錠の前記第一の層は、腸溶性コーティングされている。
【0063】
その上なお更なる実施態様では、前記多層錠は、重炭酸ナトリウムが実質的に含まれていない。
【0064】
別の実施態様では、この第一の層は、周囲媒体のpHが、約4.0、4.5、5.0又はそれより高いときに、ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩を少なくとも放出し始めるコーティングである。
【0065】
更なる実施態様では、前記多層錠の前記第一の層は、周囲媒体のpHが、約4.0以上であるときに、ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩を放出し始める。
【0066】
更にその上なお更なる実施態様では、前記多層錠の前記第一の層は、周囲媒体のpHが約4.5以上であるときに、ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩を放出し始める。
【0067】
その上更なる実施態様では、前記多層錠の前記第一の層は、周囲媒体のpHが約5.0以上であるときに、ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩を放出し始める。
【0068】
その上なお更なる実施態様では、胃のpHを上昇させるのに十分なエソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩の量は、20mgである。
【0069】
別の実施態様では、エソメプラゾールは、鏡像異性的に純粋である。
【0070】
なお更に別の実施態様では、治療的に有効な量のナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩は、375mg及び500mgから選択される。
【0071】
その上なお更なる実施態様では、治療的に有効な量のナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩は、375mgである。
【0072】
その上なお更なる実施態様では、治療的に有効な量のナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩は、500mgである。
【0073】
別の実施態様では、ナプロキセンは遊離塩基として存在しうる。
【0074】
更に別の実施態様では、ナプロキセンは、ナプロキセンの製薬学的に許容される塩、例えば、ナプロキセンナトリウムの等価量で存在しうる。
【0075】
更なる実施態様では、エソメプラゾールは、マグネシウム塩として存在しうる。
【0076】
更なる実施態様では、エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩は、約15mgのエソメプラゾールを提供する量で存在しうる。
【0077】
なお更に別の実施態様では、エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩は、約30mgのエソメプラゾールを提供する量で存在しうる。
【0078】
一実施態様では、単位投与剤形の医薬組成物は、約500mgの前記ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩、及び約20mgの前記エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩を含んでなる。
【0079】
別の実施態様では、単位投与剤形の医薬組成物は、約500mgの前記ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩、及び約30mgの前記エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩を含んでなる。
【0080】
更に別の 実施態様では、単位投与剤形の医薬組成物は、約500mgの前記ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩、及び約15mgの前記エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩を含んでなる。
【0081】
更に別の実施態様では、単位投与剤形の医薬組成物は、約375mgの前記ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩、及び約15mgの前記エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩を含んでなる。
【0082】
なお更に別の実施態様では、単位投与剤形の医薬組成物は、約375mgの前記ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩、及び約20mgの前記エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩を含んでなる。
【0083】
更なる実施態様では、単位投与剤形の医薬組成物は、約375mgの前記ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩、及び約30mgの前記エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩を含んでなる。
【0084】
いくつかの実施態様では、本明細書中に開示した医薬組成物の単位投与剤形は、エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩、ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩、カルナウバワックス、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、酸化鉄イエロー(iron oxide yellow)、モノステアリン酸グリセリル、ヒプロメロース、酸化鉄ブラック(iron oxide black)、ステアリン酸マグネシウム、メタクリル酸共重合体分散物(methacrylic acid copolymer dispersion)、メチルパラベン、ポリソルベート80、ポリデキストロース、ポリエチレングリコール、ポビドン、プロピレングリコール、プロピルパラベン、二酸化チタン、及びクエン酸トリエチルを含んでなることができる。
【0085】
その上更なる実施態様では、単位投与剤形の医薬組成物は、ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩を含むコアと、周囲媒体のpHが約3.5以上であるとき、少なくともナプロキセンを放出することを開始するコーティングを含む第一の層と、エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩を含む第二の層とを含んでなる多層錠であって、前記エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩の少なくとも一部分は、腸溶性コーティングによって包囲されていない、上記多層錠である。
【0086】
一実施態様では、エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩の少なくとも約95%は、腸溶性コーティングによって包囲されていない。
【0087】
別の実施態様では、エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩の少なくとも約99%は、腸溶性コーティングによって包囲されていない。更に別の実施態様では、エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩の少なくとも約99.5%は、腸溶性コーティングによって包囲されていない。
【0088】
更に別の実施態様では、この多層錠は、重炭酸ナトリウムを実質的に含まない。
【0089】
更に別の実施態様では、この多層錠は、完全に(すなわち、100%)重炭酸ナトリウムが含まない。
【0090】
一実施態様では、本明細書中で開示したこの医薬組成物の投与レジメンは、1日に2回である。
【0091】
別の実施態様では、投与量は、少なくとも約10時間の期間で分離することができる。
【0092】
別の実施態様では、単位投与剤形の医薬組成物は、患者が食事を摂取する前に、例えば、食事摂取の約30〜60分前に与えられる。
【0093】
別の実施態様では、この開示の医薬組成物は、短期間、あるいはより長い期間にわたって、例えば、長期的に患者に治療的に投与することができる。
【0094】
更に別の実施態様では、EC−ナプロキセンを中止するのと比較して、単位投与剤形の前記医薬組成物での処置を中止したNSAID処置を必要とする患者はより少ない。
【0095】
更に別の実施態様では、少なくとも1つの上部胃腸管の有害な事象によって、NSAID処置を必要とする前記患者の約1%〜約9%が、単位投与剤形の前記医薬組成物での処置を中止することに追い込まれた。
【0096】
その上更に別の実施態様では、少なくとも1つの上部胃腸管の有害な事象によって、NSAID処置を必要とする前記患者の約8%〜約17%がEC−ナプロキセンでの処置を中止することに追い込まれた。
【0097】
その上更なる実施態様では、少なくとも1つの上部胃腸の有害な事象によって、NSAID処置を必要とする前記患者の約8%〜約17%がEC−ナプロキセンでの処置を中止することに追い込まれたに対し、NSAID処置を必要とする前記患者の約1%〜約9%が単位投与剤形の前記医薬組成物での処置を中止することに追い込まれた。
【0098】
更に別の実施態様では、患者は、≧60歳であり、そして単位投与剤形を患者に投与すると、腸溶性コーティングされたナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩で処置された≧60歳の患者と比較して、胃潰瘍を発症する患者の70〜100%の相対リスク減少があるという結果になった。
【0099】
なお更に別の実施態様では、患者は≧60歳であり、そして単位投与剤形を患者に投与すると、腸溶性コーティングされたナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩で処置された≧60歳の患者と比較して、胃潰瘍を発症する患者の89.2%の相対リスク減少があるという結果になった。
【0100】
更なる実施態様では、患者の年齢が60〜69歳であり、そして単位投与剤形を患者に投与すると、腸溶性コーティングされたナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩で処置された60〜69歳の年齢の患者と比較して、胃潰瘍を発症する患者の86.4%の相対リスク減少があるという結果になった。
【0101】
なお更なる実施態様では、患者は、≧70歳であり、そして単位投与剤形を患者に投与すると、腸溶性コーティングされたナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩で処置された≧70歳の患者と比較して、胃潰瘍を発症する患者の100%の相対リスク減少があるという結果になった。
【0102】
本明細書中に開示した医薬組成物には、例えば、当技術分野の標準的である方法に従って(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th ed., A Oslo editor, Easton, Pa. (1980)参照)作製することができる錠剤及びカプセルが含まれるが、それらに限定されない。
【0103】
適切な担体には、水;塩溶液;アルコール;アラビアゴム;植物油;ベンジルアルコール;ポリエチレングリコール;ゼラチン;乳糖、アミロース又はスターチなどの炭水化物;ステアリン酸マグネシウム;タルク;ケイ酸;パラフィン;香油;脂肪酸エステル;ヒドロキシメチルセルロース;ポリビニルピロリドン;カルナウバワックス;コロイド状二酸化ケイ素;クロスカルメロースナトリウム;モノステアリン酸グリセリル;ヒプロメロース;メタクリル酸共重合体分散物(methacrylic acid copolymer dispersion);メチルパラベン;ポリソルベート80;ポリデキストロース;ポビドン;プロピレングリコール;プロピルパラベン;二酸化チタン;及びクエン酸トリエチルが含まれるが、それらに限定されない。
【0104】
本明細書中で開示した医薬組成物は滅菌し、そして所望であれば、例えば、例として、保存剤;安定剤;緩衝剤;着色剤;及び矯味矯臭剤などの補助剤と混和することができる。
【0105】
一実施態様では、本明細書中で開示した医薬組成物を含んでなる少なくとも1つの層は、標準的なコーティング手法を用いて塗布することができる。この層物質は、有機若しくは水溶性溶媒中に溶解又は分散させることができる。層物質には、例えば、1つ又は複数の次の物質が含まれるが、それらに限定されない:メタクリル酸共重合体、シェラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルローストリメリテート、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、及び/又は他の適切なポリマー。第一の層が溶解するpHは、選択されるポリマー又はポリマーの組み合わせ及び/又はペンダント基の比率によって制御することができる。例えば、ポリマーフィルムの溶解特性は、遊離のカルボキシル基のエステル基に対する比率によって変わりうる。この層はまた、例えば、クエン酸トリエチル、フタル酸ジブチル、トリアセチン、ポリエチレングリコール、ポリソルベート又は他の可塑剤などの製薬学的に許容される可塑剤を含むことができる。例えば、分散剤、着色剤、抗接着剤(anti-adhering)、及び消泡剤などの添加剤もまた使用されうる。
【0106】
一実施態様では、本明細書中に開示した医薬組成物は、二層又は多層錠の形でありうる。二層錠では、錠剤の1つの部分/層は、エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩を適切な賦形剤、溶解補助剤、滑沢剤、増量剤などと一緒に必要な用量で含み;そして錠剤の第二の部分/層は、他の賦形剤、溶解剤、滑沢剤、増量剤などと一緒に必要な用量のNSAIDを含む。
【0107】
別の実施態様では、ナプロキセンの部分/層は、少なくとも約3.5以上のpHで溶解するポリマーコーティングによって包囲されている。
【0108】
更に別の 実施態様では、ナプロキセンの部分/層は、少なくとも約4以上のpHで溶解するポリマーコーティングによって包囲されている。
【0109】
ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩は、スラッギング、低せん断又は高せん断造粒、湿式造粒、又は流動層造粒などの方法によって造粒することができる。こうした方法のうち、スラッギングは、一般に硬度がより低く、破砕性がより大きい錠剤を作製する。低せん断造粒、高せん断造粒、湿式造粒及び流動層造粒は、一般に硬度が高く、破砕性がより低い錠剤を作製する。
【実施例】
【0110】
実施の効果
実施例
本発明は更に、次の実施例で明確化する。実施例は、例示のみのために与えられていることが理解されるべきである。上記のディスカッション及び実施例から、当技術分野の当業者であれば、本発明の本質的な特徴を確認することができ、そしてその精神及び範囲を逸脱することなく本発明を様々な使用及び条件に調節するために様々な変更及び改変をすることができる。その結果として、本発明は下記に述べられている例示的な実施例によって限定されることはなく、本明細書に添付する請求項によって定義されている。
【0111】
実施例1
即時放出(IR)エソメプラゾール(20mg)と腸溶性コーティングされた(EC)ナプロキセン(500mg)の連続送達を提供することを意図している単一錠剤製剤であるPN400、又はEC−ナプロキセン(500mg)のみのどちらかを、NSAID関連潰瘍を発症するリスクのある被験者に投与した後に、胃潰瘍(GUs)の発生率を評価するための、6ヶ月にわたる、第III相・無作為化・二重盲検・並行群間・対照比較多施設試験
【0112】
方法論:
6ヶ月にわたる、2つの無作為化・第III相・二重盲検・並行群間対照比較多施設試験(以後、試験A及び試験Bと呼ぶ)において、少なくとも6か月にわたって毎日NSAID治療が必要と思われる、骨関節炎(OA)、関節リウマチ(RA)、強直性脊椎炎又は他の医学的状態(複数を含む)に罹患している、H.ピロリ陰性(H. pylori-negative)の男性、又は妊娠していない、母乳育児をしていない女性の被験者が登録され、該被験者は、
(i)年齢が18〜49歳であり、過去5年以内に実証された、合併症を伴わない胃潰瘍又は十二指腸潰瘍(出血、血餅又は穿孔を伴っていない認識できる深さで直径が少なくとも3mmの粘膜破損)の病歴を有するか、又は
(ii)年齢が50歳以上(こうした被験者は5年以内に、実証された、合併症を伴わない胃又は十二指腸潰瘍の病歴を必要としなかった)であるか、どちらかであった。
【0113】
適格性のある被験者を、無作為に1:1とし、PN400(EC−ナプロキセン500mg/即時放出エソメプラゾール20mg)1日2回(bid)(朝食又は1日の最初の食事の30〜60分前に1回投薬、そして夕食の30〜60分前に他の投薬)、あるいはEC−ナプロキセン500mg、1日2回(朝食又は1日の最初の食事の30〜60分前に1回投薬そして夕食の30〜60分前に他の投薬)のどちらかを与え、6ヶ月にわたって無作為に低容量アスピリン(LDA)使用の有無(Yes/No)によるか、又は胃十二指腸潰瘍(GDU)が内視鏡検査によって確認されるまで層別した。プライマリーエンドポイントは、1、3及び6ヶ月で内視鏡検査によって決定した胃潰瘍(GU)(認識できる深さで直径≧3mm)の発生率である。LDAを用いて患者の20〜25%におけるGU発生率の事後プール解析(post-hoc pooled analysis)が行われた。内視鏡検査による十二指腸潰瘍(DU)の発生率、当初から指定された(pre-specified)NSAID関連上部胃腸管有害事象(UGI AEs)、及び安全性は、第2のエンドポイントであった。この試験は、スクリーニング来院(Screening Visit)、14日間の未承認薬物(disallowed medications)の休薬期間、第2のスクリーニング/ベースライン内視鏡検査来院、そして6ヶ月にわたり最高4回までの外来患者来院で構成されるか、又はGUs又はDUsが内視鏡検査によって確認されるまでであった。GU、DU又は食道潰瘍が発見された場合には、試験薬物を中止し、そして被験者はその試験を中止し、そして適切な薬物療法で潰瘍を処置した。被験者は、6ヶ月来院の計画評価がすべて行われるか、あるいは、有効性の主要エンドポイント(GUは内視鏡検査によって確認された)が6ヶ月前に到達した場合に、試験は終了したと判断した。
【0114】
臨床ラボラトリー安全性試験、バイタル・サイン(vital signs)の測定、及び内視鏡検査がスクリーニング来院及びそれぞれの追跡調査来院(Follow-up Vist)時に行われた。加えて、被験者には、ディスペプシアの重症度評価(SODA)表、及び胸焼け症状の有無を、及びベースライン時(無作為化の日)及びそれぞれのベースライン後の来院の時点でディスペプシア及び関連する胃腸管(GI)症状を評価した。6ヶ月の治療を終了した被験者、GUのため中止した被験者、又は時期尚早で中止した被験者は、内視鏡検査の最後の来院(GU又はDUに罹患している患者を除く)、SODA及びディスペプシアの全体的処置評価(Overall Treatment for Dyspepsia)(OTE−DP)質問票、及び胸焼け評価のために戻った。
【0115】
被験者の数(計画及び解析):
試験A:438人の被験者が無作為に選ばれ、434人の被験者が処置され、そして333人の被験者がこの試験を終了した。434人の被験者からのこのデータを有効性があるか否かのために解析した。
試験B:423人の被験者が無作為に選ばれ、420人の被験者が処置され、そして304人の被験者がこの試験を終了した。420人の被験者からのこのデータを有効性があるか否かのために解析した。
【0116】
本試験で登録された患者全体における集団(DEMOGRAPHICS ITT POPULATION):
試験A:
およそ69%が女性であり、84%が白人であった。平均年齢は、およそ61歳であり、双方の処置群の約半分の被験者の年齢は、50〜59歳であり、また約半分の被験者の年齢は≧60歳であり;<50歳の年齢の被験者はパーセントは低かった(<3%)。大部分(>85%)は、非喫煙者であった。人口動態特徴における処置の間で問題とされる相違はなかった。2つの処置群はまた、潰瘍病歴及びNSAID使用のベースライン特性に関して類似していた。PN400処置群のうちおよそ7%、そしてEC−ナプロキセン群のうちおよそ6%が、5年以内に潰瘍を報告した。PN400被験者のうちおよそ24%、そしてEC−ナプロキセン被験者のうちおよそ24%が、無作為化時にLDAを使用していた。OAは最も頻繁にNSAID使用の理由を報告した。2つの処置群の間で根底にある病因の分布においてわずかな相違があった。NSAID使用の場合の“他の(other)”症状の大半は、背痛、慢性背痛、腰痛(low back pain)(49人の対象中)であった。LDA使用者のうち、PN400処置群中89%が、そしてEC−ナプロキセン処置群中78%が、81mgの投薬を受け、そしてPN400処置群中8%が、そしてEC−ナプロキセン処置群中20%が、325mgの投薬を受けた。
【0117】
試験B:
およそ2/3が女性であり、そして89%が白人であった。平均年齢は、およそ60歳であり、双方の処置群の約半分の被験者の年齢は、50〜59歳であり、また約半分は≧60であり;<50の年齢の被験者は、パーセントは低かった(<3%)。大部分(およそ82%)は、非喫煙者であった。人口動態特徴における処置の間で問題とされる相違はなかった。2つの処置群は、大半のベースライン特性に関して類似していた。PN400被験者のうちおよそ22%、そしてEC−ナプロキセン被験者のうち24%が、無作為化時にLDAを使用していた。PN400処置群のうちおよそ9%、そしてEC−ナプロキセン群のうちおよそ11%が、5年以内に潰瘍を報告した。OAは最も頻繁にNSAID使用の理由を報告した。2つの処置群の間で根底にある病因の分布においてわずかな相違があった。NSAID使用の場合の“他の(other)”症状の大半は、背痛、慢性背痛、又は腰痛(low back pain)(42人の被験者中)であった。LDA使用者のうち、PN
400処置群中80%が、そしてEC−ナプロキセン処置群中77%が、81mgの投薬を受け、そしてPN400処置群中17%が、そしてEC−ナプロキセン処置群中20%が、325mgの投薬を受けた。
【0118】
診断及び選択基準(criteria for inclusion):
被験者は、少なくとも18歳であり、少なくとも6ヶ月間毎日NSAID療法が必要であると思われる医学的状態を有する男性か、又は妊娠していない、母乳育児をしていない女性であり、50歳未満の場合には、過去5年以内にGU又はDUの実証された病歴を有している。適格な被験者は、ヘリコバクター・ピロリ陰性で、かつベースライン時、GU又はDUを有していなかった。
【0119】
試験物質、投与量、及び投与方式
Patheon Pharmaceuticals, Inc. (Cincinnati, OH)によって製造され、そしてEC−ナプロキセン500mgとIRエソメプラゾール20mgを含むPN400錠剤(22.3mgのエソメプラゾールマグネシウム・三水和物塩として存在する)を、経口的に1日2回投与した。
【0120】
参照療法、投与量、及び投与方式
EC−ナプロキセン500mg錠剤(Patheon Pharmaceuticals, Inc., Cincinnati, OHによって製造された)が経口的に1日2回投与された。
【0121】
ウインドウズアクセス(VISIT WINDOWS):
有効性解析のために、胃又は十二指腸潰瘍が観察された月を決定するのに使用したウインドウズアクセスは次のとおりである:(1)1ヶ月のアクセスは、30±6日の計画アクセス日を含んでいた(実際の試験日に基づくウインドウズアクセスは1〜36日であった);(2)3ヶ月のアクセスは、90±12日の計画アクセス日を含んでいた(実際の試験日に基づくウインドウズアクセスは37〜108日であった);及び(3)6ヶ月のアクセスは、180±12日の計画アクセス日を含んでいた(実際の試験日に基づくウインドウズアクセスは109≧日であった。この試験のウインドウズは、6ヶ月の処置期間の間中の観察の月を決定するのに使用された。
【0122】
目的(OBJECTIVES):
第一(Primary):
PN400はNSAID関連GUsを発症するリスクのある被験者におけるGUsのリスクを減少させるのに有効であることを示すこと。
【0123】
第二(Secondary):
(1)PN400はNSAID関連潰瘍を発症するリスクのある被験者におけるGUsのリスクを減少させるのに有効であることを決定すること。
(2)SODA表及びOTE−DPによるスコアによって測定されたPN400で処置した被験者のUGI症状を、EC−ナプロキセンで処置した被験者のUGI症状に対して比較すること。
(3)PN400で処置した被験者の胸焼け症状をEC−ナプロキセンで処置した被験者の胸焼け症状と比較すること。
(4)PN400の安全性及び忍容性を、EC−ナプロキセンの安全性及び忍容性に対して評価すること。
【0124】
その他:
各処置群内のGDUsの発生率に関して、LDA(≦325mg)との併用使用の作用を評価すること。
【0125】
評価のクライテリア(CRITERIA FOR EVALUATION):
有効性:
有効性は、スクリーニング時、そして1、3及び6ヶ月来院時の胃十二指腸内視鏡検査、そして試験の間中の患者報告アウトカム(PRO)質問票に基づいて評価した。
【0126】
安全性:
安全性は、有害事象(AEs)、重篤なAEs(SAEs)、臨床検査値の評価(clinical laboratory evaluations)、バイタル・サイン、及び身体検査(physical examinations)をモニタリングすることによって評価した。
【0127】
統計的方法:
統計的解析及びデータ一覧表は、すべて、SAS(登録商標)システム・バージョン9.1又はそれ以上を用いて完成した。別途指定しない限り、統計試験は、すべて、両側検定であり(2-sided)、そして統計的有意差は、5%水準で試験された。
【0128】
解析集団:
次の解析集団が使用された:
・治療意図集団(Intent-to-treat(ITT)population):試験薬物を少なくとも1用量与えられ、スクリーニング来院で内視鏡検査によって、潰瘍は検出されなかったすべての無作為化被験者。
・パー・プロトコル集団(Per-protocol(PP)population):有効性の評価に影響を与え、少なくとも70%の全体の処置コンプライアンスを有するほど大きくプロトコールに違反しないITT集団におけるすべての被験者。PP集団から除外された被験者は、処置コードの盲検解除前に明らかにし、そして除外理由を文書化した。
・安全性集団(Safety population):少なくとも1用量の試験薬物を与えられたすべての無作為化被験者。
【0129】
サンプルサイズ:
試験A及び試験Bに従って、処置群につき200人の被験者のサンプルサイズを、PN400で処置された被験者の5%と比較して、EC−ナプロキセンで処置された被験者の15%が6ヶ月の試験存続期間にわたってGUを有するであろうと仮定して、基準とした。EC−ナプロキセン及びPN400の間の差を検出するために、両側検定の有意水準5%、そして検出力90%で、計算値はフィッシャーの正確確立検定(Fisher's exact test)を用いた。
【0130】
有効性及び忍容性(tolerability):
プライマリー有効性エンドポイントは、試験処置の6ヶ月中にGUsを発症する被験者の割合である。1、3及び6ヶ月でのGUsの観察された累積発生率を、各処置群ごとに、それに関連する95%信頼区間(CI)で集計した。処置群は、無作為化の時点でLDAの使用の有無(Yes/No)によって層別したコクラン・マンテル・ヘンツェル(Cochran-Mantel-Haenszel(CMH))検定を用いて比較した。
【0131】
加えて、GUsを発症する被験者の割合を、カプラン・マイヤー法(Kaplan-Meier method)を用いて推定した。投薬された試験薬物の第一日から胃潰瘍の確認の日までのGUになる時間を算出し、又はGUが発症していない場合には、6ヶ月の内視鏡評価の日か、又は最後の評価の日に審査した。このカプラン・マイヤー推定及び月ごとのデータの再編成の場合の相当する95%CIを、1、3、及び6ヶ月の時点の処置群によって算出した。GUsを発症する被験者の累積割合のカプラン・マイヤー時間−事象曲線を処置群によってプロットした。無作為化の時点でLDA使用の有無(Yes/No))によって層別したログランク検定を生存曲線の処置群の間の差を考査するのに用いた。
【0132】
無作為化の時点でLDAの使用の有無(Yes/No)と併用して6ヶ月にわたる処置の間のGDUsを発症する被験者の割合の推定・観察を処置群の間で、そしてプライマリー有効性エンドポイントと同様な方法で、各処置群内で集計した。処置群の間のLDA使用の作用の十分な評価力を得るために、統計的推定検定が試験A及び試験Bからのプールされたデータを用いて行われた。
【0133】
併用する薬物を治療薬物の種類、及び世界保健機構薬物分類(the World Health Organization Drug classification (March, 2007))を用いて薬物一般名によって表にした。アセトアミノフェン及び/又は液体制酸剤を服用している被験者のパーセンテージを、各処置ごとに表にした。液体制酸剤及びアセトアミノフェン使用の処置の相違を、無作為化の時点でLDA使用の有無(Yes/No)との調整をするコクラン・マンテル・ヘンツェル(CMH)検定を用いて解析した。被験者ごとに服薬した全体の錠剤/オンス及び被験者ごとに服薬した平均の錠剤/オンスを処置群によって各薬物ごとに集計した。
【0134】
試験薬物曝露は、試験薬物治療の日数、被験者につき投薬された全投与量、及びそれぞれの被験者の場合の月ごとに投薬された平均投与量によって評価し、そして記述統計学を用いて集計した。試験薬物曝露の存続期間はまた、≦1ヶ月(日数≦36)、1〜3ヶ月(36<日数≦108)、及び3〜6ヶ月(日数>108)に分類し、そして処置群ごとに表にした。
【0135】
被験者につき各来院の場合の処置コンプライアンス(treatment compliance)は、被験者が試験されているときの来院の間の計画投与量から除外された全投与量のパーセンテージとして定義された。被験者につき試験薬物の全存続期間にわたる処置コンプライアンスは、処置期間の間の計画投与量から除外された全投与量として定義された。各来院及び全体の処置コンプライアンスは、<50%、50%〜<70%、及び≧70%と分類され、そして処置群ごとに集計した。全体の処置コンプライアンスは、記述統計学を用いて集計した。
【0136】
キーとなるセカンダリーの有効性及び忍容性のエンドポイントは、下記のものであった:1.当初から指定されたNSAID関連UGIAEs又はDUsを有する被験者の割合;2.NSAID関連UGIAEs又はDUsのための試験を中止する被験者の割合;及び3.試験処置の6ヶ月の間中にDUsを発症する被験者の割合。
【0137】
こうしたエンドポイントの解析は順に行なわれ、そして階層固定シークエンス試験アプローチは多重比較のために調整するのに用いた。こうしたエンドポイントは、指定のシークエンスで一旦p値が0.05を超えると、シークエンス内で更にダウンしたエンドポイントは統計学的有意差は求めないという規則で試験された。第一の2つのキーとなるセカンダリー(忍容性)エンドポイントの処置比較が、無作為化の時点で低用量アスピリン使用の有無(Yes/No)との調整をするCMH検定を用いて行われた。GUs及びDUsの双方を発症する被験者は、GUsを発症する被験者はコンプリーター(completers)と考えられるので、DUssによる中止としてカウントしなかった。6ヶ月の間中、DUsを発症する被験者の割合を、プライマリー有効性エンドポイントと同じ方法で解析した。
【0138】
キーではないセカンダリー有効性及び忍容性のエンドポイントには次のものが含まれた:・胸焼け質問書に基づいて症状を解消した被験者の割合;
・OTE−DP質問票に基づく応答;
・それぞれのSODAサブスケールに基づくベースラインからの平均変化;及び
・いずれかのAEによって(DUを含む)試験から打ち切られた被験者の割合。
【0139】
これらは、それぞれ、CMH検定、改変Wilcoxon rank-sum (Van Elteren)検定、ANCOVA、及びCMH検定を用いて解析した。加えて、GUs及び/又はDUsを発症する被験者の割合をプライマリーエンドポイントと同じ方法で解析した。解析はすべて、無作為化の時点のLDAの使用の調整をした。
【0140】
安全性:
すべてのAEsは、MedDRA(医薬品規制用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities))による好ましい用語にコードし、そして器官別大分類(SOC)によって分類した。すべての試験治療下での発現AEs(treatment-emergent AEs)の発生率の集計、試験治療関連AEs(treatment-related AEs)、SAEs、及び試験薬物中止につながるAEsが準備された。試験治療下での発現AEsはまた、最大重症度によって、そして服用投与量の四分位数によって要約した。
【0141】
それぞれの通院時のバイタル・サイン、スクリーニング時の心電図、及びスクリーニング時の身体検査所見、及び最終来院時の好ましくない変化が処置ごとに要約され、列挙した。臨床検査値及び各来院時のベースラインからの変化を、記述統計学を用いて処置群ごとに要約した。ベースラインからポストベースライン(post-baseline)(ポストベースラインサンプルから最も異常な値)までの検査値のシフトを表にした。臨床的に意味のある検査の異常な値に属する分離した表が作成された。
【0142】
結果:
概説:
ベースライン人口動態は、試験Aと試験B群の間で同様であった。患者のおよそ82%がOAを有しており、そして6%がRAを有していた。6ヶ月にわたってGUsの観察された累積的発生率は、PN400群において、EC−ナプロキセン群に対して有意により低かった(双方の試験の場合 P<0.001(表2参照)。試験A+試験Bにおいては854人の被験者のうち、201人が、LDAを併用していた;LDA併用者におけるGUsの発生率は、PN400群において、EC−ナプロキセン群に対してより低かった[3.0%対28.4%、それぞれ、P<0.001](表3参照)。試験A+試験Bにおいては、854人の全被験者のうちで201人のLDA併用者のうちで、LDA併用者におけるGDUsの発生率は、PN400群において、EC−ナプロキセン群に対してより低かった[4.0%対32.4%、それぞれ、P<0.001](表4参照)。試験A+試験B 被験者(n=854)中で非LDA使用者(n=653)におけるGUsの発生率は、PN400群において、EC−ナプロキセン群に対してより低かった[6.4%対22.2%、P<0.001](表5参照)。試験A及び試験Bのプールされた解析では、PN400が年齢にかかわらずEC−ナプロキセンに対して有意に低いGU発生率に関連していることが示された。(表6参照)。PN400で処置された患者におけるGUsの相対的なリスク減少(RRR)は、50〜59歳の患者では64.9%(95%信頼区間[CI]39.0、79.8)であり、≧60歳の患者では89.2%(95%[CI]75.6、95.3)であった。
【0143】
有害事象(AEs)の試験治療関連AEs、及びSAEsの全発生率は、処置群の間で同様であるが、ディスペプシアを含む当初から指定されたUGI AEs(表9のUGIAEsのリスト参照)は、PN400群においては、発生する頻度はより少ない。実際は、PN400で処置した患者は、PN400での処置の6ヶ月後に3つの患者ドメインすべてにおけるSODAスコアが、EC−ナプロキセンに対して顕著に改善したことを報告した(表8参照)。例えば、SODA質問票の疼痛強度ドメインに関して、PN400患者は、早くも1ヶ月通院で、EC−ナプロキセン患者と比較して、有意により多い改善を示した。最小2乗平均(LS means)における差は、それぞれ次の通院時で増加し、6ヶ月時(最後の観察を繰り越して)の最小2乗平均疼痛スコアが、試験Aでは、PN400群において−5.51であり、EC−ナプロキセン群において−0.15ポイントであり(p<0.001)、そして試験Bでは、PN400群において−2.64であり、EC−ナプロキセン群において0.09ポイント(p=0.004)であった。SODA疼痛強度及び非疼痛性強度の場合には、最小2乗平均(LS mean)変化の負の値は、改善を意味している。SODA満足度の場合には、最小2乗平均(LS mean)変化の正の値は、改善を意味している。
【0144】
PN400はまた、胸焼け解消の有意なより高い割合、そしてEC−ナプロキセンに対してPN400のOTE−DPスケールにおけるより大きな応答に関連している(表8参照)。OTE−DP質問票では、PN400群の被験者は、EC−ナプロキセン群の被験者と比較して、有意なより高い改善を示し、PN400群では、“改善(better)”応答がより高いパーセンテージであり、“悪化(worse)”応答がより低いパーセンテージである。それぞれのポストベースラインの通院時の胸焼けの解消は、胸焼け質問票上で重症度評価“なし(None)”と定義された。ベースライン及びポストベースラインの時点の胸焼け重症度を有する被験者だけが、この解析に含められた。各時点での処置群間の比較がCMH検定を用いて、ベースライン時にLDA使用によって層別されたベースライン重症度を考慮してなされた。表10によって、ベースライン症状の重症度及び来院ごとの胸焼け解消が示されている。早期の時点から(1ヶ月)、PN400処置は、EC−ナプロキセンに比較して、有意により高い解消割合を示した。胸焼け解消の差は、試験期間中不変であった。
【0145】
OTE−DPとSODAの間の相互関係のあるプールされたデータの予備的な評価に基づくと、PN400のSODAスコアのベースラインからの変化は臨床的に適切である。忍容性の解析によって、PN400群における当初から指定されたUGI AEs/DUsのため、中止する患者はEC−ナプロキセン群に対してより少ないことが示された(試験A:PN400 3.2% 対 EC−ナプロキセン 12%、p<0.001;試験B:PN400 4.8% 対 EC−ナプロキセン 11.0%、p=0.009)(表7参照)。AE(DUを含む)による中止割合は、PN400群において、EC−ナプロキセン群に対して、有意により低い(試験A:PN400 7% 対 EC−ナプロキセン 16%、p=0.004;試験B:PN400 11% 対 EC−ナプロキセン 18%、p=0.029)。
【0146】
PN400は、EC−ナプロキセンと比較して有意に改善されたUGI忍容性に関連しており、このことは、患者報告アウトカム(Patient Reported Outcomes)(PROs)及びNSAID関連UGI AEs/DUsによる中止の割合によって判断される。PN400は、GI非忍容性を比較対照すると、リスクのある患者に治療選択を提供し、より長いNSAID利用パターンを与えることができる。
【0147】
ディスカッション:
この試験により、長期的なNSAID処置を必要とし、NSAID関連潰瘍のリスクのある被験者に6ヶ月中、1日2回の処置で、EC−ナプロキセンを服用している被験者に対して、PN400を服用している被験者におけるGUsの発生が臨床的に意味のある減少がなされることが示された。この差は、早くも1ヶ月の治療で明らかとなり、試験中ずっと持続した。PN400処置はまた、6ヶ月にわたる処置を通してEC−ナプロキセンと比較して、有意により低いDUsの発生率をもたらすという結果になった。
【0148】
胃の副作用を最小にすることは、心臓血管予防のために更にLDAを服薬している長期的なNSAID使用者において特に重要である。この試験結果は、更にLDAを服薬している被験者おいて、PN400がEC−ナプロキセンを上回るベネフィットが持続されることを示している。
【0149】
PN400はまた、EC−ナプロキセンと比較してより高い忍容性があり、このことは、当初から指定されたNSAID関連UGI AEsの発生率の低下、胸焼け解消の割合の増加、UGI AEs又はDUsによる中止がより少ないこと、SODA及びOTE−DPによって判断される患者報告アウトカムの改善によって示されている。
【0150】
PN400は、一般的に安全であり、かつ高い忍容性があった。全AE割合は、処置群間で同様であった。GIAE割合は、EC−ナプロキセンによって処置された被験者と比較して、PN400によって処置された被験者の間でより低かった。この差は、主としてUGI AEsの差によるものであった。PN400の平均処置存続期間は、EC−ナプロキセンと比較してより長かったが、AEsの発生率は、曝露の存続期間の増加に伴って増加しなかった。PN400の安全性及び忍容性プロフィールの改善はまた、(i)EC−ナプロキセンの被験者(42%)と比較してGU又はDUを発症せずに、又は(ii)EC−ナプロキセンの被験者(48%)と比較してGUを発症せずに、6ヶ月の処置を終了するPN400の被験者(71%)の高い割合によって示された
【0151】
この試験結果に基づくと、PN400は、GUs及び/又はDUsの双方の発生率を有意に減少させ、そしてEC−ナプロキセンと比較してより優れたUGI安全性プロフィールを提供した。そういうものとして、PN400は、NSAID関連GUs及び/又はDUsのリスクのある被験者のための、安全であり、かつ高い忍容性のある、治療選択であるように見える。
【0152】
サマリー(Summary):
これらの試験結果によって、NSAID関連潰瘍のリスクのある被験者に6ヶ月にわたってPN400を用いて1日2回処置することが、EC−ナプロキセン単独で処置することと比較して次のことがもたらされることが示された:
【0153】
・1、3及び6ヶ月の間、胃潰瘍の観察された累積的発生率は、EC−ナプロキセンだけと比較して、PN400でより低かった;
・LDAを併用している、及びしていない被験者におけるNSAID関連GU(s)に罹患している被験者の、有意により低い割合;
・少なくとも1つの当初から指定されたNSAID関連UGI AE又はDUに罹患している被験者の、有意により低い割合;
・当初から指定されたNSAID関連UGI AE又はDUのため中止する被験者の、有意により低い割合;
・NSAID関連DUsに罹患している被験者の、有意により低い割合;
・LDA使用、潰瘍病歴、年齢<60歳及び≧60歳、性、人種又は民族性とは無関係に、GUに罹患している被験者のより低い割合の傾向;
・胸焼けが解消した被験者の有意により高い割合;
・OTE−DPによって判断される、有意により良好なディスペプシアに対する全体の処置効果;
・疼痛のSODAドメイン、非疼痛性症状及び被験者の満足度によって判断される、有意に改善されたディスペプシア症状;そして
・AE又はDUによって被験者が処置を中止する、有意により低い割合。
【0154】
【表2】

【0155】
【表3】

【0156】
【表4】

【0157】
【表5】

【0158】
【表6】

【0159】
【表7】

【0160】
【表8】

【0161】
【表9】

【0162】
【表10】

【0163】
ディスペプシアの重症度評価(SODA)表
SODA表は、ベースラインの時点、及びそれぞれのその後の通院試験の時点で終了した。この質問票は、自記式であり、ディスペプシア関連健康状態の多次元尺度である。ゲップ(burping/belching)、胸焼け、鼓脹、おなら、酸味、吐き気及び口臭を含む、ディスペプシア及び関連GI症状は、NSAIDsを服薬している患者によって通例報告されており、そして処置の効果、生活のコスト及び質に顕著に影響を与えている。ディスペプシア及び関連GI症状を取り込むために、このSODA表は開発され、そしてNSAID患者で使用するためにその妥当性が検証された。SODA表を含む3つの尺度の中で判断されるコンセプトは、ディスペプシア疼痛強度、非疼痛性症状、及びディスペプシア関連健康状態に関する満足度である。
【0164】
このSODAには17の質問が含まれており、5分で終了することができる。これについては疼痛強度及び非疼痛性症状ドメインにおける質問のために7日のリコール期間が使用される。この質問には、“過去7日の間に、平均して…”又は、“過去7日の間に、あなたの悪化…はどのくらい激しかったか”のように表現されている。満足度ドメインの質問は、回答者に、彼らが彼らの腹部不快感の“現在のレベル(present level)”についてどのくらい満足又は不満足であるか質問するように表現されている。
【0165】
ベースラインの時点及びそれぞれのベースライン後の通院の時点でSODAスコア、及び3つのサブスケール(疼痛強度、非疼痛性症状及び満足度)のためのベースラインからの変化を、記述統計学を用いて1、3及び6ヶ月の時点での処置群によって表にした。各時点でのベースラインからの平均変化が、主要な有効性解析(main effect)として無作為化の時点の処置及びLDA使用の有無(Yes/No)を用い、そしてベースラインスコアを共変量としてANCOVAモデルを使用して処置群間で比較された。各処置群の最小二乗平均(LSM)及び95%CIsと共に処置群間のLSMsの差が算出された。ベースライン及びベースライン後のスコアの双方を有する被験者だけが、ANCOVAに含まれた。試験薬物の最後の投薬日の10日を越える日の後、SODAの最後の評価日のために、SODAスコアを各サブスケールの解析から除外した。直前に計測した値による補完法(last-observation-carried-forward imputation approach)を使用した。
【0166】
胸焼け評価
ベースラインの時点及び処置期間の間の1、3及び6ヶ月の時点で、被験者に通院の前の7日以内の胸焼け症状に関する下記の質問がなされた:
過去7日間を通して、あなたの胸焼け症状を次の中から評価してください;
・なし:症状がない
・軽度:症状に気づくが、容易に耐えられる
・中等度:通常活動(睡眠を含む)の妨害を引き起こすのに十分な不快症状
・重度:通常活動(睡眠を含む)を行なうことができないほどの身体機能を奪う症状(incapacitating symptom)。
【0167】
胸焼けは、胃又は首に向かう胸の低部から生じる灼熱感と定義された。
【0168】
各ベースライン後の通院の時点での胸焼け解消は、胸焼け重症度質問で“なし(none)”の回答として定義された。胸焼けが解消した被験者の割合を、1、3、及び6ヶ月の時点でのベースライン重症度及び処置群によって表にした。処置群は、ベースライン胸焼け重症度及び無作為化の時点でのLDA使用の有無(Yes/No)によって層別したCMH検定を用いて比較した。階層クロス(cross-strata)のセル中の被験者の数があまりにも少ない場合には、ベースライン胸焼けだけをCMH検定において層別した。ベースラインとベースライン後の回答の双方を有する被験者が、この解析に含まれた。試験薬物の最後の投薬日の10日を越える日の後、胸焼けの最後の評価日のために、この胸焼け重症度をこのエンドポイントの解析から除外した。
【0169】
ディスペプシアの場合の全処置(OTE−DP)
OTE−DPは、当初はマクマスター大学(McMaster University)で開発された変化のグローバル評価(Global Ratings of Change)質問票に基づき開発され、その二次的著作物(derivative work)と見なされる。これは下記を含む質問から成っている:“処置を開始して以来、あなたの上部腹部疼痛及び/又は不快感に何らかの変化がありましたか?”応答は“改善(Better)”、“同じ(the Same)”、又は“悪化(Worse)”としてランク付けをすることができる。フォローアップ質問では、応答には“同じ(the Same)”以外の何かがあるかどうか尋ねられる。
【0170】
このOTE−DPは、終了するのにおよそ2分かかり、そして最後のSODA処理(SODA administration)の時点で行なわれた。4又は5回目の通院での内視鏡検査によって潰瘍が確認された被験者は、通院の後48時間以内に試験スタッフとの電話による評価を終了することができる。6ヶ月通院を終了したすべての被験者は、最後の内視鏡検査の前に他のすべての評価を含むOTE−DPを終了することになった。
【0171】
OTE−DP質問票に関するそれぞれの3つのありうる応答(“改善(Better)”、“同じ(Same)”、“悪化(Worse))、及び“改善(Better)”及び“悪化(Worse)”評価のフォローアップ応答を有する被験者のパーセンテージを、処置群ごとに表にした。応答分布の処置群間の差は、無作為化の時点でLDA使用の有無(Yes/No)によって層別して、改変Wilcoxon rank-sum(Van Elteren)検定を用いて解析された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位投与剤形の医薬組成物を、それを必要とする前記患者に投与することによってNSAID関連潰瘍を発症するリスクがある患者の疾患又は障害を処置する方法であって、
該医薬組成物が、a)1つ又は複数の前記単位投与剤形の投与によって少なくとも3.5に前記患者の胃のpHを上昇させるのに十分な量のエソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩、及びb)治療的に有効な量のナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩を含んでなり;
前記単位投与剤形は、
(i)前記エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩の少なくとも一部分は、周囲媒体のpHとは無関係に放出され;そして
(ii)ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩は、周囲媒体のpHが3.5以上であるまで、前記単位投与剤形から放出されないように;
エソメプラゾールとナプロキセンの調整放出を供給するものであって;
そして単位投与剤形の前記医薬組成物は、潰瘍を発症する前記患者のリスクを低下させる、
ことを含んでなる、上記方法。
【請求項2】
前記患者が長期的なNSAID処置を必要とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記疾患又は障害が疼痛及び炎症から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記疾患又は障害が、骨関節炎、関節リウマチ、強直性脊椎炎、及びその併有から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記患者が低用量アスピリンを服薬している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記医薬組成物が、前記患者が胃十二指腸潰瘍を発症するリスクを低下させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記医薬組成物が、前記患者が十二指腸潰瘍を発症するリスクを低下させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記医薬組成物が、前記患者が胃潰瘍を発症するリスクを低下させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記患者が、EC−ナプロキセンでの処置と比較して、単位投与剤形の前記医薬組成物でより長く処置される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
単位投与剤形の前記医薬組成物が、少なくとも約1ヶ月間、1日2回、前記患者に投与される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
単位投与剤形の前記医薬組成物が、少なくとも約3ヶ月間、1日2回、前記患者に投与される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
単位投与剤形の前記医薬組成物が、少なくとも約6ヶ月間、1日2回、前記患者に投与される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
単位投与剤形の前記医薬組成物は、少なくとも1つのコアと、少なくとも1つの、第一の層と第二の層を含んでなる多層錠であって、
(a)前記コアは、ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩を含んでなり;
(b)前記第一の層は、周囲媒体のpHが約3.5以上にあると、ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩を少なくとも放出し始めるコーティングであり;そして
(c)前記第二の層は、エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩であり、前記エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩は、約0以上のpHで放出する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩が、約1以上のpHで放出される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩が、約0〜約2のpHで放出される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩の少なくとも一部分が、腸溶性コーティングでコートされていない、請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第一の層が、腸溶性コーティングされている、請求項13〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記多層錠が、重炭酸ナトリウムを実質的に含んでいない、請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記第一の層が、周囲媒体のpHが約4.0以上であるときに、ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩を放出し始める、請求項13〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記第一の層が、周囲媒体のpHが約4.5以上であるときに、ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩を放出し始める、請求項13〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
胃のpHを上昇させるのに十分なエソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩の量が20mgである、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
治療的に有効な量のナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩が、375mg及び500mgから選択される、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
治療的に有効な量のナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩が、375mgである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
治療的に有効な量のナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩が、500mgである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
経口投与に適した単位投与剤形の医薬組成物を、患者に投与することによってNSAID関連潰瘍を発症するリスクがある患者の疾患又は障害を処置する方法であって、
該医薬組成物が、
(a)該投与剤形が水溶性媒体に置かれると、pHに無関係に直ちに溶解する、1つ又は複数の単位投与剤形の投与によって少なくとも3.5に患者の胃のpHを上昇させるのに有効な量のエソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩、
及び
(b)ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩が、3.5未満のpHで、及び約37℃の温度で、水溶性媒体中で実質的に不溶性であるコーティングによって包囲されている、ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩
を含んでなり;
そして単位投与剤形の前記医薬組成物は、潰瘍を発症する前記患者のリスクを低下させる、
ことを含んでなる、上記方法。
【請求項26】
該リスクが長期的なNSAID処置に関連する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
該リスクが患者の年齢に関連する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
該リスクが、長期的なNSAID処置、及びNSAID処置の前若しくはNSAID処置の間の低用量アスピリンの投与に関連する、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
該方法が、胃十二指腸潰瘍の発生のリスクを低下させる、請求項25〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
該方法が、十二指腸潰瘍の発生のリスクを低下させる、請求項25〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
該患者が、疼痛、炎症、骨関節炎、関節リウマチ、強直性脊椎炎、及びその併有から選択される疾患又は障害のために処置される、請求項25〜30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
該投与剤形が患者に経口投与されるとき、エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩が、患者の胃液のpHを少なくとも3.5に上昇させるのに十分な量で存在する、請求項25〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩が、10mg〜50mgの量で存在する、請求項25〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩が、20mgの量で存在する、請求項25〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩の量が、200mg〜600mgである、請求項25〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩の量が、375mgである、請求項25〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩の量が、500mgである、請求項25〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
該医薬組成物が、患者に1日2回投与されるように製剤化される、請求項25〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
単位投与剤形の前記医薬組成物が、少なくとも約1ヶ月間、1日2回、前記患者に投与される、請求項25〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
単位投与剤形の前記医薬組成物が、少なくとも約3ヶ月間、1日2回、前記患者に投与される、請求項25〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
単位投与剤形の前記医薬組成物が、少なくとも約6ヶ月間、1日2回、前記患者に投与される、請求項25〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
単位投与剤形が錠剤である、請求項25〜41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
単位投与剤形がビーズ又はミニ錠剤を含むカプセルである、請求項25〜41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
単位投与剤形が、1つのコアと2つ以上の層を含んでなる錠剤であり、
上記において、
(a)ナプロキセン又はその製薬学的に許容される塩はこのコアの中にあり;
(b)第一の層は、このコアを包囲しており、そして前記層は水溶性媒体に3.5未満のpHで、及び約37℃の温度で、実質的に不溶性であるコーティングであり;そして
(c)エソメプラゾール又はその製薬学的に許容される塩を含んでなる少なくとも1つの第二の層は、第一の層のコーティングを包囲している、請求項25〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
単位投与剤形が、1つのコアと、該コアを包囲している少なくとも1つの第一の層と、該第一の層を包囲している第二の層とを含んでなる多層錠であり、
上記において、
(a)該コアは、ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩を含んでなり;
(b)該第一の層は、1000mlの0.1N HCl中、37℃±0.5℃において75rpmで米国薬局方パドル・メソッドを用いて試験すると、2時間後に10%未満のナプロキセン又はその製薬学的に許容される塩を放出するコーティングであり;そして
(c)該第二の層は、エソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩及び少なくとも1つの賦形剤を含んでなり;
該第二の層は、1000mlの0.1N HCl中、37℃±0.5℃において75rpmで2時間、米国薬局方パドル・メソッドを用いて試験すると、30分後に少なくとも95%溶解する、請求項25〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
単位投与剤形が更に、単位投与剤形の最外層を包囲している、薬理学的に不活性の水溶性のコーティング又はフィルムを含んでなる、請求項25〜44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
不活性のコーティング又はフィルムが、水溶性糖を含んでなる、請求項47に記載の方法。
【請求項48】
単位投与剤形の投与が、腸溶性被覆されたナプロキセン又はその製薬学的に許容される塩での処置と比較して、潰瘍のリスクを減少させるのにより有効である、請求項25〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
請求項1に記載の単位投与剤形の投与によって、ナプロキセン又はその製薬学的に許容される塩の高頻度の毎日投与を必要とする患者のコンプライアンスを改善することを含んでなる、方法。
【請求項50】
請求項1に記載の単位投与剤形の投与によって、ナプロキセン又はその製薬学的に許容される塩の長期間の毎日投与を必要とする患者のコンプライアンスを改善することを含んでなる、方法。
【請求項51】
経口投与に適した単位投与剤形の医薬組成物を、患者に投与することによってNSAID関連潰瘍を発症するリスクがある患者の疾患又は障害を処置することを含んでなる方法であって、
該医薬組成物が、
(a)該投与剤形が水溶性媒体に置かれると、pHに無関係に直ちに溶解する、1つ又は複数の単位投与剤形の投与によって少なくとも3.5に患者の胃のpHを上昇させるのに有効な量のエソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩、
及び
(b)ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩が、3.5未満のpHで、及び約37℃の温度で、水溶性媒体中で実質的に不溶性であるコーティングによって包囲されている、ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩
を含んでなり;そして
単位投与剤形の前記医薬組成物は、前記患者の胸焼け関連症状を減少させる、
ことを含んでなる、上記方法。
【請求項52】
単位投与剤形の投与が、腸溶性コーティングされたナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩で前記患者を処置することと比較して、前記患者の胸焼けに関連する症状をより大幅に減少させる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
単位投与剤形の前記医薬組成物が、少なくとも約1ヶ月間、1日2回、前記患者に投与される、請求項51又は52に記載の方法。
【請求項54】
単位投与剤形の前記医薬組成物が、少なくとも約3ヶ月間、1日2回、前記患者に投与される、請求項51又は52に記載の方法。
【請求項55】
単位投与剤形の前記医薬組成物が、少なくとも約6ヶ月間、1日2回、前記患者に投与される、請求項51又は52に記載の方法。
【請求項56】
経口投与に適した単位投与剤形の医薬組成物を、患者に投与することによってNSAID関連潰瘍を発症するリスクがある患者の疾患又は障害を処置することを含んでなる方法であって、
該医薬組成物が、
(a)該投与剤形が水溶性媒体に置かれると、pHに無関係に直ちに溶解する、1つ又は複数の単位投与剤形の投与によって少なくとも3.5に患者の胃のpHを上昇させるのに有効な量のエソメプラゾール、又はその製薬学的に許容される塩、
及び
(b)ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩が、3.5未満のpHで、及び約37℃の温度で、水溶性媒体中で実質的に不溶性であるコーティングによって包囲されている、ナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩
を含んでなり;そして
前記医薬組成物は、前記患者のディスペプシアに関連する症状を減少させる、
ことを含んでなる、上記方法。
【請求項57】
単位投与剤形の患者への投与が、腸溶性被覆されたナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩で前記患者を処置することと比較して、該患者のディスペプシアに関連する症状をより大幅に減少させる、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
単位投与剤形の前記医薬組成物が、少なくとも約1ヶ月間、1日2回、前記患者に投与される、請求項55又は56に記載の方法。
【請求項59】
単位投与剤形の前記医薬組成物が、少なくとも約3ヶ月間、1日2回、前記患者に投与される、請求項55又は56に記載の方法。
【請求項60】
単位投与剤形の前記医薬組成物が、少なくとも約6ヶ月間、1日2回、前記患者に投与される、請求項55又は56に記載の方法。
【請求項61】
前記潰瘍が胃潰瘍であり、前記患者の年齢が≧60であり、そして前記単位投与剤形の前記患者への投与が、腸溶性被覆されたナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩で処置される年齢≧60の患者と比較して、70〜100%の胃潰瘍を発症する前記患者の相対的リスク減少をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項62】
前記潰瘍が胃潰瘍であり、前記患者の年齢が≧60であり、そして前記単位投与剤形の前記患者への投与が、腸溶性被覆されたナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩で処置される年齢≧60の患者と比較して、70〜100%の胃潰瘍を発症する前記患者の相対的リスク減少をもたらす、請求項25に記載の方法。
【請求項63】
前記単位投与剤形の前記患者への投与が、腸溶性被覆されたナプロキセン、又はその製薬学的に許容される塩で処置される年齢≧60の患者と比較して、89.2%の胃潰瘍を発症する前記患者の相対的リスク減少をもたらす、請求項61又は62に記載の方法。

【公表番号】特表2012−531409(P2012−531409A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517454(P2012−517454)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【国際出願番号】PCT/SE2010/050712
【国際公開番号】WO2010/151216
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【出願人】(503440004)ポーゼン インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】