説明

PAMの使用

医薬化合物を製造するための、PAMまたはそれらの機能的フラグメントもしくは誘導体の使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PAM(Myc関連タンパク質)の使用に関する。本発明のその他の形態は、医薬のスクリーニング方法、および、痛みを治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
痛みは、実際の、または潜在的な組織のダメージに反応して起こる複雑で主観的な感覚であり、それに対する感情的な応答である。急性の痛みは、潜在的な、または実際の外傷を示す生理学的なシグナルである。慢性の痛みは、体性性(器質性)または心因性のいずれかであり得る。慢性の痛みはしばしば、自律神経性の徴候を伴うか、または、その後に自律神経性の徴候が続くため、場合によっては、うつ状態に陥る。
【0003】
体性性の痛みは、侵害受容性、炎症性、または、神経障害性によるものと考えられる。侵害受容性疼痛は、体性または内臓の痛みを感じる神経線維の継続的な活性化と同じと判断されている。神経障害性の痛みは、神経系の機能障害から生じる;末梢神経系、CNS、または、その両方における異常な体性感覚のプロセスによって持続すると考えられている。(痛みのメカニズムの総論については、例えば、ScholzおよびWoolf,2002年;JuliusおよびBasbaum,2001年,WoolfおよびMannion,1999年;Wood,J.D.,2000年;WoolfおよびSalter,2000年を参照)。
【0004】
慢性の痛みは、個人が被る、加えて社会的、経済的な途方もない費用を発生させる。現存する薬理学的な痛みの治療は、有効性と安全性の両方に関してはなはだ満足のいくものではない。
【0005】
これまで、痛みの治療には、2つのクラスの鎮痛薬が主として用いられている:非オピオイド鎮痛薬、大部分がアセトアミノフェンとNSAID(非ステロイド系抗炎症薬)、および、オピオイド(麻酔性)アゴニスト(ここにおいて、「オピオイド」は、CNS中の特異的なオピオイド受容体に結合し、アゴニスト作用を生じさせる天然または合成物質の一般名称である)。遺憾ながら、両方の鎮痛薬クラスであるオピオイドおよび非オピオイドは、いくつかの不要な副作用がある。オピオイドの最も重篤な副作用は、呼吸器系を阻害する可能性と、長期の治療の後に依存症になる可能性である(Schaible H.G.,Vanegas H.,2000年)。一方で、非オピオイドの主要なクラスであるNSAIDは、多種多様な潰瘍や出血のような胃腸の合併症、加えて腎臓障害を誘導する可能性がある(Schaible H.G.,Vanegas H.,2000年)。米国では毎年、従来のNSAIDによって引き起こされる重度の胃腸の合併症のために約16,000人の患者が死亡していると推測されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最先端の痛みの治療に関連する深刻な欠点を考慮すると、痛みを調節する薬物の新規のクラスの多大な必要性がある。特別には、急速に進む痛みの神経生物学の理解と、最先端の治療の欠点がない有効な治療を提供するという未だ満たされていない臨床上の必要性との間にある大きなギャップを考慮すると、新規の鎮痛薬のクラスに関する新しい標的の発見に努力を向ける必要がある。従って、本発明の目的は、痛みを調節する薬物の新しいクラスを開発し、提供する新しい手段を提供することである。
【0007】
この目的は、痛みを調節する医薬化合物を製造するための、PAMまたはそれらの機能
的フラグメントもしくは誘導体の使用によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、侵害受容過程におけるPAMの関連と、その痛みを減少させる能力を初めて実証した発明者等の発見に基づく。機能的な、という用語は、PAMが、細胞内のcAMPレベルを低める、または、ACと相互作用する能力を意味し;より好ましくは、この用語は、PAMが、AC活性を阻害する、さらにより好ましくはその痛みを減少させる能力能力を意味する。
【0009】
PAMのフラグメントは、対応する野生型より短いあらゆるポリペプチドもしくはポリヌクレオチド、例えば、登録番号ACC39928(配列番号1)、NP_055872、NM_015057、AF075587(配列番号2)に記載の配列のいずれか一つに記載のホモサピエンス(hs)PAMより短いあらゆるポリペプチドもしくはポリヌクレオチド、または、登録番号NT_024524.11に記載の配列の24679861〜24962245位のポリヌクレオチド(配列番号3)より短いあらゆるポリペプチドもしくはポリヌクレオチドであり得る。
【0010】
PAMまたはPAMフラグメントの誘導体としては、PAMの機能を有するアミノ酸もしくはヌクレオチド配列のあらゆる改変体、または、化学的もしくは生物学的な改変のようなその他のあらゆる種類の改変体が可能であり、例えば、ポリペプチドもしくはポリヌクレオチドを安定化すること(例えばホスホロチオエート修飾)、または、ポリペプチドもしくはポリヌクレオチドの所定の細胞への特異的なターゲティングを可能にすること、または、その細胞への進入もしくは細胞による摂取を容易にすること(例えば細胞浸透性のホスホペプチド、または、例えばアンテナペディア/ペネトラチン、TAT、およびシグナル−ペプチドベースの配列に基づく細胞浸透性のペプチドベクターへのカップリング;または、特異的なトランスポーターもしくはインポーターに関するリガンドの一部へのカップリング)が挙げられる。
【0011】
PAMまたはそれらのフラグメントもしくは誘導体は、ポリペプチド、または、ポリヌクレオチドのいずれかの形態で用いることができる。それらの必要な部位へのターゲティングと細胞への進入を確実にする、または、容易にするのに適した改変または添加剤が有用である。一方で、それらの脊髄へのターゲティングを確実にするために、適切なカテーテルなどを用いた脊髄内への適用のような局所的な適用なども考えられる。その他の有用な添加剤としては、それらの安定化等のための塩、緩衝液などが挙げられる。
【0012】
PAMポリヌクレオチドまたはそれらのフラグメントもしくは誘導体は、例えば、細胞内の発現を確実にする、好ましくは細胞へのターゲティングも確実にする適切なベクターに挿入することができる。細胞型に特異的な発現は、当業界で既知のニューロン特異的な遺伝子の適切なプロモーター/エンハンサーを用いて確実にすることができる。また、PAMのオリゴヌクレオチドの使用も可能である。
【0013】
本発明は、発明者等の脊髄および後根神経節(DRG)内での感作メカニズムにおけるPAMの驚くべき関連を初めて実証した研究に基づく。
【0014】
PAM(Myc関連タンパク質)は、510kDaの巨大タンパク質である。PAMのタンパク質、ゲノムおよびコードポリヌクレオチド配列は当業界で既知であり、例えば、NCBI(National Centre for Biotechnology Information;National Library of Medicine,Building 38A,ベセスダ,メリーランド州20894,米国;www.ncbi.nhm.nih.gov)データベースより、登録番号AAC39928(コード配列;配列番号1)、AF075587(タンパク質配列;配列番号2)で公けに利用可能である。ヒトPAMは、染色体13q22上に位置する;そのゲノム配列は、NT_024524.11(始点:24679861位;終点:24962245位;配列番号3)で、公けに利用可能である。あるいは、これらのタンパク質およびコード配列は、KIAA0916、タンパク質登録番号NP_055872(タンパク質配列)、および、NM_015057(コード配列)で、公けに利用可能である。
【0015】
ラットPAMについて、以下のEST−クローンをコードする配列が公けに利用可能である:
AW921303(hscDNAのbp960〜1394に対応する;配列番号4)
AW918711(hscDNAのbp8188〜8632に対応する;配列番号5)
BQ201485(hscDNAのbp8966〜9633に対応する;配列番号6)
BE112881(hscDNAのbp10311〜10830に対応する;配列番号7)
AW441131(hscDNAのbp13569〜14152に対応する;配列番号8)
BF409872(hscDNAのbp13569〜14807に対応する;配列番号9)。
【0016】
PAMはもともと、MycのN末端における転写活性化ドメインと特異的に相互作用する能力によって同定された(Guo Q.等,1998年)。PAMは近年、強力なAC活性阻害剤と説明されているが(Scholich K.,Pierre S.,Patel T.B.:Protein associated with Myc(PAM)is a potent inhibitor of adenylyl cyclase. J.Biol.Chem.2001年12月14日;276(50):47583〜9)、侵害受容過程および感作におけるそれらの機能に関する証拠は未だ示されていない。
【0017】
むしろ、PAMは、シナプス前部の成長の調節において役割を果たすと考えられている:PAMのmRNAは、海馬、歯状回および小脳などの特定の解剖学的な領域で高度に発現されることがわかっている。成体ラットおよびマウスの脳におけるPAMおよびMyc発現の両方は、小脳の成熟したプルキンエ細胞、ならびに、海馬の顆粒および錐体細胞に限定される(Ruppert C.等,1986年;Yang H.等,2002年)。しかしながら、これら細胞型のいずれも、痛みのプロセシングおよび感作に関与することはわかっていない。
【0018】
ショウジョウバエにおけるPAM相同体(highwire)、および、C.エレガンスにおけるPAM相同体(rpm−1)は、シナプス前終末の組織化(Zhen等,2000年)、シナプスの成長の調節(Wan等,2000年)、シナプス形成、ならびに、軸索成長およびターゲティング(Schaefer等,2000年)において重要な役割を果たすことが示されている。これらの発見により、highwire、rpm−1およびそれらの哺乳動物相同体PAMは、シナプスの成長の負の調節因子として作用する可能性があるという仮説に至った(Chang等,2000年;Jin Y.2002年)。それに沿って、小脳、海馬および歯状回におけるPAM発現の劇的な増加が、これら構造体における主要なシナプス形成期の際に観察された(Yang等,2002年)。
【0019】
齧歯類における脳の発達の際に、PAM発現は、誕生直後に開始し、最初の2週間の間中アップレギュレートされ、その後、PAM発現は、成人期の間中高いレベルを保つ(Yang等,2002年)。これまで、脊髄およびDRGにおけるPAMの発現および調節、ならびに、痛みの感作メカニズムおよび調節におけるその機能についてはわかっていない。
【0020】
これまで、ヒトPAMは、サイクリックAMP(cAMP)シグナル伝達の強力な調節因子であり、数種のアデニリルシクラーゼ(AC;E.C.4.6.1.1)アイソフォームの酵素活性をナノモル濃度で阻害する(Scholich等,2001年)ことが実証されている。
【0021】
遍在的なサイクリックAMP(cAMP)のセカンドメッセンジャーシステムは、細胞外の刺激を細胞内のシグナルおよび応答に翻訳する様々なシグナル変換メカニズムの一つである。細胞外の刺激を受けると、Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、三量体GTP結合調節タンパク質(Gタンパク質)を介して細胞質膜に結合した酵素またはイオンチャンネルを調節する。GPCRによって活性が調節される酵素の一つは、アデニリルシクラーゼ(AC)、cAMP生成酵素である。このようにして、入ってくる細胞外の刺激は、細胞内のメディエイターであるサイクリックAMPの細胞内の濃度に影響を与える。cAMPレベルの上昇は、タンパク質キナーゼA(PKA)を刺激し、特異的な細胞内の標的タンパク質をリン酸化し、それによってそれらの活性を改変することによって細胞に影響を与える。
【0022】
それぞれのタイプの細胞は、特徴的な一連のGPCR、これらGPCRによって調節される酵素、アデニリルシクラーゼ(AC)の特異的なサブセットおよび標的タンパク質を有し、これらは、比較的非特異的な、または一般的に生じるプレイヤー(例えば遍在的なcAMP)と共に作用して、各細胞が、入ってくる細胞外シグナルに対してそれらに特有の応答を生じさせるようにできる。例えば、サイクリックAMP(cAMP)セカンドメッセンジャーは、シナプス形成性の調節において主要な役割を果たすことがわかっている(Bailey等,1996年;Xia等,1997年;Brandon等,1997年);一方で、cAMPは、代謝プロセスおよび細胞の増殖に関与する。このようにして、遍在的なcAMPメッセンジャーシステムの役割と、その様々な成分は、様々な組織および細胞型の様々な特殊化に従って多様である。
【0023】
本発明のさらなる形態は、痛みの調節のための、PAMまたはそれらの機能的フラグメントもしくは誘導体の使用に関する。この調節は、好ましくは軽減または予防または全体的な抑制である。
【0024】
その上、本発明は、痛みを調節する化合物を同定するためのPAMまたはそれらの機能的フラグメントもしくは誘導体の使用を包含する。上記調節する化合物は、好ましくはPAMを活性化する化合物である。より好ましくは、それらは、痛みを予防する、減らす、または、止める能力を有する。
【0025】
上記化合物は、例えば、それらの以下の能力によって同定することが可能である;
a)PAMの機能を活性化または増強する能力(すなわち、その、細胞内cAMPレベルを低める能力、ACのようなその他のファクター(特にAC)と相互作用する能力、ACを阻害する能力、または、その痛みの感覚を低める能力)、または、
b)PAMをRNAレベルで活性化する能力(すなわち、PAM転写の活性化、または、転写物の安定化によって)、または、
c)PAMをタンパク質レベルで活性化する(すなわち、PAMの翻訳またはその翻訳後プロセシングの活性化によって;PAMの翻訳後修飾調節によって、または、その安定の活性化もしくはその分解の阻害によって)。
【0026】
この観点で、PAM(または、そのフラグメントまたはそれらの誘導体)は、ポリペプチド、または、オリゴもしくはポリヌクレオチドのいずれかとして用いることができる。
【0027】
本発明のその他の形態は、十分な量のPAMまたはそれらの機能的フラグメントもしくは誘導体を個体に投与することを含む、痛みを減らす方法に関する。
【0028】
投与は、PAMの作用部位(DRGまたは脊髄)へのターゲティングを可能にする方法で適切に予備的に行われるべきであり、例えば、必要な部位へのPAM誘導体またはそれらをターゲティングする製剤の全身投与、または、PAMまたはそれらのフラグメントもしくは誘導体の局所的な(例えば脊髄内の)適用によってなされる。
【0029】
本発明のその他の形態は、痛みを調節、および/または、予防するのに有用な医薬をスクリーニングする方法に関し、以下の工程を含む:
a.2つのサンプルを提供する工程、
b。PAMまたはそれらの機能的フラグメントもしくは誘導体を含む1つのサンプルと、化合物とを接触させる工程、
c.化合物の存在下で、PAM活性を決定する工程、
d.化合物の非存在下で、PAM活性を決定する工程、および、
e.c)によるPAM活性と、d)によるPAM活性とを比較する工程。
【0030】
PAMは、本発明の様々な形態に係る特定の目的が実現されるようなあらゆる配列から得られたものが利用可能である。好ましくは、PAMは、ヒトPAMである。
【0031】
本発明の様々な形態に関して、PAMが、単離されたポリペプチド、または、オリゴもしくはポリヌクレオチドである場合も好ましい。本発明の様々な形態の環境で「単離された」とは、自然源から少なくとも部分的に精製されているか、または、組換えPAM(これらは当然ながら、精製されていてもよいし、または部分的に精製されていてもよい)を意味する。
【0032】
アッセイとは、生物学的プロセスをモニターすることができるあらゆるタイプの分析方法のことである。薬物のスクリーニングで使用するためには、このようなアッセイは、再現可能でなければならず、好ましくは拡張可能で、頑強でもある。このようなアッセイは、好ましくは、化学物質の、痛みを調節する(好ましくは減少させる)および/または痛みを予防する能力に関するハイスループットスクリーニングに適している。このアッセイのタイプは、例えば用いられるPAMのタイプ(ポリペプチドまたはポリヌクレオチドのいずれか)と、「読み出し」、すなわちPAM活性が測定される方法によって様々である(以下を参照)。
【0033】
このようなアッセイの様々なタイプが一般的に当業界で既知であり、商業的な供給元から市販されている。適切なアッセイは、標識された構成要素と標識されていない構成要素との相互作用を測定するための(例えば、PAMまたはそれらのフラグメントは、標識することができ、それらのACとの相互作用は、モニターすることができる)、放射性同位体分析、または、蛍光分析、例えば蛍光偏光分析を包含する(例えば、パンベラ(Panvera)、パーキン・エルマー・ライフサイエンス(Perkin−Elmer life sciences)(例えばLANCE)、または、パッカード・バイオサイエンス(Packard BioScience)(例えば、HTRFまたはアルファスクリーン(ALPHAscreen)TM)によって商業的に供給されているもの)。
【0034】
さらなる例としては、細胞に基づくアッセイが挙げられ、この場合、細胞系は、対象の組換えタンパク質を、安定して(誘導的に、または非誘導的に;染色体の、またはエピソームの)、または、一時的に発現する。これらのアッセイは、例えばレポーター遺伝子アッセイを含み、この場合、特定のプロモーター、または、シグナル変換カスケードの構成要素のシグナル伝達経路の調節が、レポーター酵素の活性に従って測定され、このレポーター酵素の発現は、前記特定のプロモーターの制御下にある。このタイプのアッセイにとって、組換え細胞系は、それ自体が調査されるか、または、調査中のシグナル伝達カスケードによって調節される特定のプロモーターの制御下に、レポーター遺伝子が含まれるように構築されていなければならない。適切なレポーター酵素は、当業界で一般的に既知であり、ホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ(例えば、パッカード・リージェント(Packard Reagents)より市販されている)、β−ガラクトシダーゼが挙げられる。適切な細胞系は、アッセイ目的に応じて様々であるが、たいていは、トランスフェクトが簡単であり、培養が簡単な細胞系が挙げられ、例えばHeLa、COS、CHO、NIH−3T3などである。
【0035】
細胞内イオン濃度を測定するアッセイとしては、例えばFLIPR(蛍光測定イメージングプレートリーダー、モレキュラーデバイス(Molecular Devices)から市販されている)アッセイが挙げられ、この場合、冷却CCDカメラと連結されたアルゴンレーザー光源は、384ウェルプレートで、細胞(例えば、ニューロンの細胞、または、例えば、組換えもしくは自然に特定のイオンチャンネルを発現する細胞などの細胞)内で、一過性のイオンシグナル(例えばCa2+など)を同時測定することを可能にする。FLIPRアッセイは、例えば、Fluo−3、Fluo−4のような所定の蛍光色素を用いた細胞内のカルシウムのモニタリング、または、BCECFもしくはBCPCFもしくは特異的なFLIPRアッセイキットを用いた細胞内のpHのモニタリング、または、例えばDiBACもしくは特異的なFLIPRアッセイキットを用いた膜電位の変化の検出、または、膜の分極のモニタリングを可能にする。その他の細胞内のイオン、例えば亜鉛またはナトリウムをモニタリングするために、当業界で既知のその他の色素を用いることができる。その他のタイプのアッセイ、および、その他のタイプの読み出しは、一般的に当業者既知である。
【0036】
cAMPレベルの測定のためには、例えばアルファスクリーン、蛍光偏光法またはHTRF技術が適切である。
【0037】
イオンチャンネル活性(これは、例えば細胞内のイオン濃度を制御するため、細胞内のイオン濃度の測定に用いることができる)の測定のためには、例えば、膜電位感応性アッセイおよび色素を用いることができ、例えば、DiBAC、または、FLIPR技術に基づくモレキュラーデバイスの膜電位分析キット;FLIPR技術を用いたミトコンドリア膜の分極を測定するJC−1色素;細胞内のカルシウム濃度測定のための、Fluo−3、Fluo−4のようなイオン感応性色素、または、モレキュラーデバイスのカルシウム分析キット;細胞内のナトリウムを測定するための、ナトリウム感受性色素(例えばモレキュラープローブス製);細胞内のカリウム濃度を決定するための、パッチ−クランピングに基づくアッセイ、または、原子吸光分光分析法に基づくルビジウムイオン流出測定などを用いることができる。さらに、細胞内の特定の変化および状態を検出するための自動装置および分析方法は当業者既知であり、例えばアキュメン・バイオサイエンス(ACUMEN bioscience)製のアキュメン(Acumen)検出器(適切に標識された目的物の分布の3次元再構築を可能にする蛍光ベースのレーザースキャニングリーダー)が挙げられる。
【0038】
PAMポリペプチドは、好ましくは配列番号2に記載の配列を含む、または、それからなるポリペプチドであるか、または、配列番号1または3に記載の配列を含む、または、それからなるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドである。
【0039】
PAMポリヌクレオチドは、好ましくは、配列番号1または3に記載の配列を含む、または、それからなるポリヌクレオチドであるか、または、上記のポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズできる配列を含む、または、それからなるポリヌ
クレオチドである。
【0040】
ストリンジェンシーとは、2本の一本鎖の核酸分子のハイブリダイゼーションまたはアニールの特異性に影響を与える反応条件を説明する。ストリンジェンシー、すなわち反応の特異性は、特に、反応に用いられる温度と緩衝液条件に依存する:ストリンジェンシー、すなわち特異性は、例えば、反応温度を高める、および/または、反応緩衝液のイオン強度を低めることによって増加させることができる。低いストリンジェント条件(すなわち低い反応およびハイブリダイゼーション特異性)とは、例えば、室温で、2×SSC溶液中で、ハイブリダイゼーションが行われる場合に生じる。高いストリンジェンシー条件は、例えば、68℃、0.1×SSC、および、0.1%SDS溶液中でのハイブリダイゼーション反応を含む。
【0041】
本発明の様々な形態の範囲内のストリンジェンシー条件下におけるハイブリダイゼーションは、好ましくは、以下のように理解される:
1)標識されたプローブと解析しようとする核酸サンプルとを、65℃で、または、オリゴヌクレオチドプローブの場合、オリゴヌクレオチドとサンプルとからなる二本鎖のアニーリング温度または融解温度より5℃低い温度で(アニーリング温度および融解温度は、以下では同義語とする)一晩、50mMトリス(pH7.5)、1MのNaCl、1%SDS、10%硫酸デキストラン、0.5mg/mlの変性サケまたはニシン精子DNA中で、ハイブリダイズする。
2)2×SSC中で、室温で10分間洗浄する。
3)1×SSC/0.1%SDS中で、65℃(または、オリゴヌクレオチドの場合:アニーリング温度より5℃低い温度)で、30分間洗浄する。
4)0.1×SSC/0.1%SDS中で、65℃(または、オリゴヌクレオチドの場合:アニーリング温度より5℃低い温度)で、30分間洗浄する。
【0042】
ハイブリダイゼーションプローブとしての使用するためのオリゴヌクレオチドは、ポリヌクレオチドであり、好ましくはDNAフラグメントであって、長さが、15〜30個、好ましくは20個のヌクレオチドを有する。アニーリング温度は、式Tm=2×(A+Tの数)+4×(G+Cの数)℃に従って決定される。
【0043】
2×SSC、または、0.1×SSC(または、その他のあらゆる種類のSSC希釈液)を製造するためには、例えば、20×SSC溶液を適宜希釈する。20×SSCは、3MのNaCl/0.3Mクエン酸Na×2H2Oからなる。
【0044】
ハイブリダイゼーション反応を行う前に、上記ポリヌクレオチドは、必要に応じて、電気泳動による分離を行った後に(次に:サザンブロット(DNA)、または、ノーザンブロット(RNA))、または、電気泳動による分離を行わないで(次に:スロットまたはドットブロット)、適切なメンブレン(例えばナイロンまたはニトロセルロースメンブレン)にトランスファーする。ハイブリダイゼーションは、適切に標識されたプローブを用いて行われる。適切な標識技術は、例えば、放射性標識、または、蛍光色素を用いた標識である。上記プローブは、一本鎖ポリリボまたはポリデスオキシリボヌクレオチドであり、自然状態では一本鎖であるか、または、通常は二本鎖で変性によって一本鎖にされる。このプローブは、DNAまたはRNAサンプル(これらも一本鎖状態である)に、塩基対形成によって結合する。
【0045】
PAMフラグメントは、好ましくは上記の配列番号1、2または3に含まれるフラグメントであり、その誘導体は、好ましくは、上記の配列番号1、2もしくは3、または、それらのフラグメントから得られる。
【0046】
それらの機能的フラグメントまたは誘導体は、好ましくは、アデニリルシクラーゼ(AC)活性、より好ましくはACのI、VまたはVI型の活性を阻害することができる。
【0047】
本発明の様々な形態の好ましい実施形態によれば、PAMの機能的フラグメントまたは誘導体は、ヒトPAM配列の、好ましくは配列番号2に記載のヒトPAM配列の、アミノ酸400〜1400、好ましくは446〜1062、499〜1065または1028〜1231、より好ましくは1000〜1300、さらにより好ましくは1000〜1100、さらにより好ましくは1028〜1065を含む、もしくは、それからなり、または、それらが上記それぞれのポリヌクレオチドフラグメントによってコードされる場合、特別には、配列番号2もしくは3に記載の配列に含まれる場合である。
【0048】
PAMの機能的フラグメントまたは誘導体が、ポリヌクレオチドである場合、それらは、上記のポリペプチドフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含む、または、それからなる場合が好ましい。より特定には、それらが、ヒトPAMcdsの1482〜3332位(アミノ酸446〜1062をコードする)、または、1641〜3341(アミノ酸498〜1066をコードする)、または、3228〜3839(アミノ酸1038〜1231をコードする)を含む、または、それからなる場合が好ましい。上記フラグメントが得られるヒトPAMcdsが、配列番号2に記載の配列を有する場合がさらにより好ましい。
【0049】
痛みを調節する化合物を同定するための本発明の方法の好ましい一実施形態によれば、PAMを発現する細胞、好ましくは組換えPAMを発現する細胞が用いられる。
【0050】
上記細胞は、あらゆるタイプの細胞が可能であり、例えば、真核性または原核性の単細胞生物(例えば細菌、例えばE.coli、または、酵母、例えばS.ポンベ(S.pombe)またはS.セレビジエ(S.cerevisiae))、または、多細胞生物から得られた細胞系(例えばHeLa、COS、NIH−3T3、CHOなど)が挙げられ、なかでも哺乳動物細胞系が好ましい。
【0051】
その他の好ましい実施形態によれば、改変されていない状態と比較して低いPAM活性を有する改変された細胞が用いられる。この方法において、このような細胞は、それらの痛みを調節する(好ましくは減少させる)および/または痛みを予防する能力に関して試験しようとする化学物質が、低められた、または完全に止められたPAM活性を増強する、または回復させることができる場合、試験することができる。
【0052】
上記改変は、あらゆるタイプの改変(安定な、または、一過性の、好ましくは安定な)が可能であり、それにより、PAM活性(すなわち、それらの細胞内cAMPレベルを低める能力、ACのようなその他のファクター、特別にはACと相互作用する能力、ACを阻害する能力、または、痛みの感覚を低める能力)の減少、PAM転写物の定常状態レベルの減少(すなわち、PAM転写の活性化、または、転写物の安定化によって)、または、PAMタンパク質の定常状態レベルの減少(すなわち、PAMの翻訳、または、その翻訳後プロセシングの活性化によって;PAMの翻訳後修飾の調節によって、または、その安定化の活性化によって、または、その分解の阻害によって)が起こる。これは、例えば、PAMの優性の負変異体、PAMのアンチセンスオリゴヌクレオチド、RNAiコンストラクトを用いることによって、機能的またはゲノムPAMノックアウト(これらは、例えば誘導型が可能である)を生成することによって、または、当業界既知のその他の適切な技術によって達成することができる。上記の技術の総論としては、例えば、以下を参照:Current protocols in Molecularbiology(2000年)J.G.Seidman,Chapter23,Supplement52,ジョン・ワイリー&サンズ社(John Wiley and Sons,Inc.);Gene Targeting:a practical approach(1995年),編集者:A.L.Joyner,IRLプレス(IRL Press);Genetic Manipulation of Receptor Expression and Function,2000年;Antisense Therapeutics,1996年;Scherr等,2003年。好ましい実施形態によれば、PAMノックアウト細胞が用いられる。ノックアウトを作製するのに適した細胞系は当業界周知であり、例えば、Current protocols in Molecular Biology(2000年)J.G.Seidman,Chapter23,Supplement52,ジョン・ワイリー&サンズ社;または、Gene Targeting a practical approach.(1995年)編集者.A.L.Joyner,IRLプレスが挙げられる。
【0053】
PAM活性は、例えば、その(または、そのフラグメントおよび誘導体の)ACと相互作用する、または、ACを不活性化する能力によって直接測定してもよいし、または、例えば、その(または、そのフラグメントおよび誘導体の)細胞内のcAMPレベルを低める能力、ニューロン内のイオン濃度を調節する能力、または、その痛みの感覚を調節する、特別には減少させる能力によって間接的に決定してもよい。上記のパラメーターを測定するのに適した技術は当業界周知である(上記も参照):cAMPレベルは、例えば、HTRFまたはアルファスクリーンTMによって測定することができ、イオン濃度は、例えば、パッチ−クランピングまたは適切な色素によって推定することができ、痛みの感覚は、例えば、ホルマリン試験、または、機械刺激もしくは温熱性痛覚過敏の試験、または、ホットプレート試験などによって測定することができる。
【0054】
本発明のその他の形態は、痛みを調節する化合物を同定する方法に関し、以下を含む:
a)試験化合物として、PAMの活性を調節する化合物を選択すること、および、
b)前記試験化合物を被検体に投与して、痛みが調節されているかどうかを測定すること。
【0055】
被検体は、痛みを知覚する能力を有するあらゆる被検体が可能であり、好ましくは哺乳動物であり、すなわちヒト以外の哺乳動物またはヒト(すなわち、患者の研究の範囲内で)のいずれかである。
【0056】
以下で、本発明を実施例と図によってより詳細に説明する。しかしながら、これら実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0057】
実施例:PAM発現パターンおよび機能の調査
1.動物切片標本の製造:
野生型スプラギー・ダーレー(Sprague Dawley)ラットを、チャールス・リバー・ウィガ社(Charles River Wiga GmbH,ズルツフェルト,ドイツ)から購入した。実験の前は、動物は、えさと水を自由に摂取できるようにした。それらを環境と光を制御した部屋(24+0.5℃)で維持した。各動物は、1回の実験のみで用いられた。全ての実験において、意識のある動物を研究するための倫理ガイドラインに従い、その手法は、地域倫理委員会で認証された。殺した後に、成体ラットを、0.1Mリン酸緩衝食塩水(PBS,pH7.2)中の4%パラホルムアルデヒドで、1時間潅流することによって固定した。組織を、クライオスタットを用いて、水平面で厚さ14〜16μmの切片標本にした。切片標本を、スーパーフロスト・プラス・スライド(Superfrost Plus Slides)(フィッシャー・サイエンティフィック社(Fisher Scientific Co.),ピッツバーグ,ペンシルベニア州)にマウントし、使用するまで−80℃で保存した。
【0058】
2.リボプローブの製造:
リボプローブを、これまで説明した通りにして作成した(Yang等,2002年)。ラットPAMのアンチセンス、および、センスリボプローブを、プラスミドをHindIII(アンチセンス)およびBamHI(センス)で線状化した後に、それぞれT7およびT3ポリメラーゼを用いて得た(Yang等,2002年を参照)。インビトロでの転写を、製造元(プロメガ(Promega),マディソン,ウィスコンシン州)の推奨に従って、[35S]UTP−αS(ICN,アーバイン,カリフォルニア州)、線状化したPAMcDNA、NTPの存在下で、37℃で1時間行った。RNAの転写物を、RNAプローブ精製キット(Pequlab,エルランゲン,ドイツ)を用いて精製した。
【0059】
3.インサイチュハイブリダイゼーション:
インサイチュハイブリダイゼーションを、前述した通りに行った(Yang等,2002年):切片標本を、0.1Mリン酸緩衝食塩水(pH7.2)中の4%パラホルムアルデヒドで固定し、0.25%無水酢酸と0.1Mトリエタノールアミンで前処理し、0.2×SSCでリンスし、アルコール濃度を連続的に高めて脱水させた。切片標本を、プレハイブリダイゼーション溶液(50%脱イオン化ホルムアミド、0.6M塩化ナトリウム、10mMトリスHCl(pH7.6)、50mMのEDTA、0.025%ピロリン酸ナトリウム、0.02%フィコール、0.02%BSA、0.02%ポリビニルピロリドン、10mMのDTT、および、熱変性させた異種核酸(0.005%の酵母tRNA、タイプX、0.05%の酵母全RNA、タイプI、0.05%サケ精巣DNA、タイプIII))で、室温で2時間プレハイブリダイズさせ;ハイブリダイゼーション溶液(2.5×106cpm/切片標本)、50%脱イオン化ホルムアミド、および、50%ハイブリダイゼーション緩衝液[0.6M塩化ナトリウム、10mMトリスHCl(pH7.6)、50mMのEDTA、0.025%ピロリン酸ナトリウム、0.02%フィコール、0.02%BSA、0.02%ポリビニルピロリドン、熱変性させた異種核酸(0.005%の酵母tRNA、タイプX、0.005%の酵母全RNA、タイプI、0.05%サケ精巣DNA、タイプIII)、100mMのDTT、0.0005%ポリアデニル酸、10%硫酸デキストランを含む]中で、50℃で一晩、リボプローブとハイブリダイズさせた。切片標本を、RT(室温)で、2×、1×、0.5×SSCでリンスした。20μg/mlのRNアーゼA(シグマ,セントルイス,ミズーリ州)中で消化させた後、切片標本を、室温で、1×RNアーゼ緩衝液、2×、1×、0.5×SSC中で、および、45℃で、0.1×SSC中で一晩洗浄した。切片標本をアルコール濃度を連続的に高めて脱水させ、コダック(Kodak)のバイオマックスMRフィルム(Biomax MR film)(コダック,ロチェスター,ニューヨーク州)に−80℃で3〜7日間露光した。
【0060】
4.抗体の生成、および、免疫蛍光法による染色:
ヒトPAMのアミノ酸残基135〜153および4601〜4614(それぞれ配列番号1に対応する)からなるペプチド(バイオトレンド(BioTrend),ケルン,ドイツ)を用いて、抗血清をウサギで商業的に生成させた。その抗血清を、標準的な手法に従って、バイオトレンド(ケルン,ドイツ)で商業的に生産させた。脊髄とDRGの切片におけるPAMの分布をモニターするために、切片を、0.1%トリトンX−100中で5分間浸透させた。切片を、PBS中の3%BSA中で1時間ブロッキングし、次に、抗PAM抗血清(1:50希釈)と共に1時間インキュベートした。続いて、これを、3%BSAを含むPBS中のFITC標識したヤギ抗ウサギ抗体と共にインキュベートした。次に、切片をPBSで洗浄し、フルオマウント(fluoromount)TMを用いてマウントした。
【0061】
5.RT-PCR:
ラットの脊髄およびDRGからの全RNAを、グアニジンイソチオシアネート/フェノール/クロロホルム抽出によって単離した(ChomczynskiおよびSacchi,1987年)。全RNA2μgを、0.6μMのそれぞれのオリゴ(dT)プライマーとアニールし、逆転写酵素(プロメガ,マディソン,ウィスコンシン州)を用いて37℃で30分間逆転写した。次に、即座にcDNAを増幅に用いた。ラットGADPHの増幅に用いられるオリゴヌクレオチドプライマーは、5’−GAAGGGTGGGGCCAAAAG−3’(センス;配列番号10)、および、5’−GGATGCAGGGATGATGTTCT−3’(アンチセンス;配列番号11;Trajkovic等,2000年)であった。ACアイソフォームを増幅するためのプライマーを、Bek等によって公開されているようにして選択した(Bek等,2001年)。ラットPAMのためのプライマーは、5’−GGTGGTGAAGCTCGCTGTGATGCT−3’(センス;配列番号12)、および、5’−CGTGTGAGCATTTCTGCACACTCC−3’(アンチセンス;配列番号13)であった。そのPCR産物は、ヒトPAMcDNAヌクレオチド13692〜14064に対応する。それに対応するラット配列は、ESTクローンAW441131(配列番号8)から得た。半定量PCRのために、SAWDAY DNAポリメラーゼ(Peqlab,エルランゲン,ドイツ)を用いた。最初の95℃で5分間での変性工程の後に、95℃で1分間、55℃で30秒間、および、72℃で10秒間の30サイクルを行い、その後に、最終の72℃で10分の伸長工程を行った。定量PCRを、TaqmanTMシステムおよび試薬(アプライド・バイオシステムズ,ヴァイターシュタット,ドイツ)を製造元の説明書に従って用いて行った。
【0062】
6.全長PAMの精製:
以前に公開されたように、ただし数箇所を改変してPAM精製を行った(Scholich等。2001年)。簡単に言えば、HeLa細胞を、10%ウシ胎仔血清と1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEM培地中で増殖させた。40個の150mm培養皿の密集した細胞を、1×PBS、1mMのEDTAを用いて回収し、400×gで5分間沈殿させた。細胞を、125mMのNaCl、20μg/mlのアプロチニン、20μg/mlのロイペプチン、1mMのベンズアミジン、5μg/mlのダイズトリプシンインヒビターを含むTED緩衝液(50mMトリスHCl(pH8.0)、1mMのEDTA、1mMのDTT)に再懸濁させ、超音波破砕を2×5秒間行い溶解させた。ホモジネートを、27000×gで、4℃で30分間で遠心分離し、上清を、Q−セファロースXK16カラム(アマシャム・ファルマシア(Amersham Pharmacia),ピスカタウェイ,ニュージャージー州)にローディングし、製造元の説明書に従って、TED中で、150〜350mMのNaClの濃度勾配で溶出させた。標準的な手法に従ってウェスタンブロッティングで分画を解析した;陽性の分画をプールし、そのNaCl濃度を1Mに調節した。次に、タンパク質を、フェニル−セファロースXK16カラム(アマシャム・ファルマシア,ピスカタウェイ,ニュージャージー州)にローディングし、製造元の説明書に従って、TED中の300mMのNaClで洗浄した。流出液分画および洗浄分画にPAMが含まれていた。それらをプールし、製造元の説明書に従って、セントリコン(Centricon)50(アミコン(Amicon),ビバリー,マサチューセッツ州)を用いて緩衝液を上述の100mMのNaClを含むTED緩衝液で交換した。次に、タンパク質を、モノS(Mono S)5/5FPLCカラム(アマシャム・ファルマシア,ピスカタウェイ,ニュージャージー州)にローディングし、製造元の説明書に従って、ローディング緩衝液(TED中、100mMのNaCl)で洗浄した。流出液を回収し、モノQ(Mono Q)5/5FPLCカラム(アマシャム・ファルマシア,ピスカタウェイ,ニュージャージー州)にアプライした。タンパク質を、TED中の150〜400mMのNaClの濃度勾配で溶出させた。陽性の分画をプールし、セントリコン(Centricon)50(アミコン(Amicon),ビバリー,マサチューセッツ州)を用いて緩衝液を50mMトリスHCl(pH8.0)、1mMのDTTと交換し、−80℃で保存したで。保存したPAMは、3週間以内に用いた。
【0063】
7.組換えGsαの発現および精製:
ヘキサヒスチジルタグを有する構成的に活性なGsαのQ213L突然変異体(Gsα*)を、発現させ、Graziano等,1991年で説明されている通りに精製した。Gsα*の最大活性化を確認するために、AC活性分析で使用する前に、MgCl2(25mM)の存在下で、30分間、Gタンパク質を、1μMのGTPγSとインキュベートした。
【0064】
8.アデニリルシクラーゼ活性アッセイ(AC活性アッセイ):
脊髄を、25mMのHepes(pH7.4)、1mMのEGTA中で溶解させ、KassisおよびFishmanによって説明された通りに細胞膜を調製した。アリコートを使用するまで−80℃で保存した。AC活性分析を、以前に説明された通りに、容積100μlで、室温で15分間、100μMのMgCl2の存在下で行った(Patel等,2002年)。Gsα*(80nM)、または、フォルスコリン(100μM)を用いて、膜中のAC酵素活性(タンパク質10μg)を刺激した。
【0065】
9.PAMのアンチセンス、および、センスオリゴヌクレオチドの脊髄における搬送:
ラットを、ケタミン(60mg/kg,腹腔内)と、ミダゾラム(0.5〜1mg/kg,腹腔内)で麻酔した。椎骨Th13からL3までの脊柱の上で皮膚を切開した。L2〜3周辺の筋肉組織を取り除いた。L3の棘突起を除去し、L2で椎弓切除術を施した。次に、ポリエチレン製カテーテル(ID0.28mm、OD0.61mm)を、カテーテルの先端がTh9〜10に達するように硬膜外腔に挿入した。カテーテルをシアノアクリレート系接着剤で固定し、頚部の領域で外部に露出させ、皮膚を縫合した。
【0066】
10.PAMオリゴヌクレオチドの注入:
オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)の配列を、以下のようにラットPAM配列から選択した。センス:5’−GACTGGTTTAGCAATGGC−3’(配列番号14)、アンチセンス:5’−GCCATTGCTAAACCAGTC−3’(配列番号15)、および、3つの突然変異(3M−as;突然変異は下線で示した)を含むアンチセンスODN:5’−GCATTGCTAAACAGT−3’(配列番号16)。外科手術の3日後に、ラットを「自由行動系」(CMA,ストックホルム,スウェーデン)の状態に置き、アンチセンス(n=5)、または、センス(n=5)オリゴヌクレオチド(人工髄液中、2.5mg/ml)をカテーテルを通じて、微量注入ポンプ(CMA,ストックホルム,スウェーデン)を用いて、0.05〜0.1μl/分の低速で、100時間注入した。
【0067】
11.ホルマリン試験:
注入を止めた後15分以内に、ホルマリン試験を行った。5%ホルムアルデヒド溶液50μlを、1本の後肢の背面の皮下に(s.c.)注射した。ホルマリン注射の直後に開始して、1分間のインターバルで60分間まで、フリンチ行動をカウントした。5分間のインターバルのフリンチ行動を、1分あたりの平均フリンチ行動として要約した。グループ間の侵害受容の挙動を比較するために、フリンチ行動の、1時間の観察期間の第二相の合計を、スチューデントのt検定で処理した。αを0.05に設定した。
【0068】
ホルマリン試験の最後にラットを殺し、腰髄および後根神経節(DRG)を切り出し、液体窒素中で急速冷凍し、さらなる解析まで−80℃で保存した。PAM発現を決定するために、脊髄切片を、上記の抗PAM抗体を用いて免疫組織化学的に解析した。
【0069】
12.ザイモサン誘発性の炎症;
炎症を誘発させるために、0.03Mのリン酸緩衝食塩水(PBS,pH7.5)30μ
lに懸濁したザイモサンA2.5mg(シグマ,セントルイス,ミズーリ州)を、右の後肢の足底の中央部の領域に皮下注射した。このような足底内部へのザイモサン注射は、信頼できる温熱性および機械刺激痛覚過敏ラットのモデルを誘導することがわかっている(MellerおよびGebhart,1997年)。ラットを、ザイモサン注射の24〜96時間後に、深いイソフルラン麻酔下で心臓穿刺を行うことにより殺した。腰髄および後根神経節(DRG)を切り出し、液体窒素中で急速冷凍し、さらなる解析まで−80℃で保存した。
【0070】
13.結果:
上記の発明者等によるRT−PCR、免疫組織化学およびインサイチュハイブリダイゼーションを用いた実験で、PAMは、成体ラットの脊髄の感覚ニューロン、同様に、後根神経節(DRG)で発現されることがが初めて実証された。RT−PCRによれば、PAMのmRNAは、脊髄と後根神経節とで発達を通して(E14〜成体)同様のレベルで検出された。PAM発現は、ウェスタンブロットおよびRT−PCRで示されるように、ラットのザイモサン処理の24〜48時間後にアップレギュレートされる。
【0071】
脊髄とDRGで発現される主要なアデニリルシクラーゼアイソフォームは、それぞれAC5および6型、ならびに、AC4および6型である。脊髄をザイモサン処理した後は、ACアイソフォーム発現における主要な変化は観察されなかった。従って、脊髄およびDRGからの膜調製物におけるGαsによって刺激されたAC活性は、PAMによって阻害された。その結果として、成体ラットにおいて、PAMに対するセンスオリゴヌクレオチドではなくアンチセンスでの処理により、ホルマリンで誘発される足のフリンチ行動が増加したことを発見した。従って、PAMに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理したラットの脊髄におけるcAMPの蓄積は、コントロールラットと比較して上昇した。
【0072】
精製されたPAMを脊髄溶解産物へ添加することにより、コントロールとザイモサン処理動物からの脊髄溶解産物のGαsで刺激されたAC活性が阻害された(図5b)。30nMのGαsで刺激されたAC活性は、コントロール動物の脊髄溶解産物において50%、ザイモサンで96時間処理されたラットから得られた溶解産物で70%減少した。
【0073】
脊髄でPAMが発現されるかどうかを測定するために、第一のインサイチュハイブリダイゼーションを行った。これにより、成体ラットの脊髄の白質ではなく灰白質の至る所に、PAMのmRNAに関する明らかなシグナルが検出された(図1)。脊髄およびDRGでPAMを発現する細胞集団をより正確に明らかにするために、ヒトPAMのアミノ酸残基135〜153および4601〜4614に対応するペプチドを用いて、PAMに対する抗体を作成した。免疫組織化学的な解析により、PAMは、抗GFAP免疫反応性ではなく、抗NeuN免疫反応性と共存することが明らかになった(図2a)。より特定には、PAM発現は、後角ニューロンで優勢に検出されたが(図2a)、ニューロンではない細胞集団では極めてわずかなPAM発現しか示さなかった。特に、DRGニューロンでは、高いPAM発現を検出することができた(図2b)。ここで、PAMの免疫反応性は、軸索に、同様に、直径が大きいニューロンと小さいニューロンの両方の細胞体に存在していた(図2b)。興味深いことに、抗ヒストン抗体で共染色することによって実証されたように、細胞の核では、PAMは検出されなかった(図2b)。脊髄でも観察されるように、GFAP発現細胞では、PAM発現は、検出されなかった。
【0074】
ラットおよびマウスの発達中に、脳におけるPAM発現は差異的に調節されるために(Yang等,2002年)、発明者等は、ラットの脊髄およびDRGの発達中にPAMのmRNA発現も変化するかどうかを調査した。この目的を達成するために、PAMのmRNA発現を、定量RT−PCRを用いて決定した。PAMのmRNAは、後期胚形成期(E16)から、誕生直後まで(P0.5;図3)、脊髄とDRGで高度に発現されることを発見した。興味深いことに、発現は、誕生直後に胚発生の30〜40%に減少し、続いて、成人期中は一定を保った(図3)。
【0075】
次に、脊髄におけるPAM発現は、侵害受容の刺激によって調節されるかどうかを試験した。そこで、成体ラットの後肢へのザイモサンおよびホルマリン注射の後に、脊髄のPAM発現をモニターした。ザイモサン処理の24および48時間後に、PAMのmRNAが約2倍アップレギュレートされた(図4a)。それにより、ザイモサン注射の24時間後に、PAM発現は、タンパク質レベルでアップレギュレートされ、96時間上昇し続けた(図4b)。ザイモサン注射の96時間後に、PAMのmRNA発現は減少した。このPAMのmRNA発現における減少は、タンパク質レベルには反映されていなかった(図4aおよびbを比較)。特に、ラットの脊髄においても、ホルマリン注射の1時間後にPAMのmRNAがアップレギュレートされた(図4c)。
【0076】
PAMは、アデニリルシクラーゼ1、5および6型の強力な阻害剤であることがわかっているため(Scholich等,2001年)、PAMが、脊髄およびDRG溶解産物中でAC活性を阻害できるかどうかを調ベた。脊髄において、2種の主要なACアイソフォームが半定量RT−PCRにより検出された。これらのACアイソフォームは、5および6型である(図5a)。特に、アイソフォームはいずれも、ナノモル濃度のPAMで阻害される(Scholich等,2001年)。ザイモサン注射の24〜96時間後に、脊髄におけるACアイソフォーム発現パターンは、有意に改変されなかった。興味深いことに、ホルマリン注射の1時間後に、ACアイソフォーム発現におけるシフトが検出された(図5a)。AC5型のmRNAは、ダウンレギュレートされ、AC3および9型のmRNAはアップレギュレートされる。
【0077】
上記の実験により示されたように、精製されたPAMを脊髄溶解産物へ添加することにより、脊髄調製物において、Gαsで刺激されたAC活性が阻害された。30nMのPAMの添加により、Gαsで刺激されたAC活性が、コントロール動物の脊髄溶解産物において49%減少した(図5b)。ザイモサン注射の96時間後の、ラットから得られた脊髄溶解産物におけるGαsで刺激されたAC活性は、PAMの阻害に対して、未処理動物と比較して高い感受性を示した(30nMで、70%阻害;図5b)。それに対して、ホルマリンで1時間処理された動物からの脊髄溶解産物におけるPAMによるAC活性の阻害の程度は、より少なかった(30nMで25%阻害;図5b)。
【0078】
DRGにおいて、優勢に発現されたACアイソフォームは、AC4および6型である(図5a)。DRG溶解産物におけるGαsで刺激されたAC活性は、脊髄溶解産物と比較して30nMのPAMの存在下で32%減少した(図5b)。
【0079】
脊髄の侵害受容伝達におけるPAMの可能性のある役割を試験するために、ホルマリン分析を行う前に、動物に、PAMのセンスおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドを、腰髄内へのカテーテルにより注入した。免疫組織化学で観察されたように、脊髄ニューロンにおいて、PAM発現は減少した(図6a)。PAMのアンチセンスオリゴヌクレオチドの注入により、ホルマリン注射後の侵害刺激反応が、PAMのセンス処理と比較して顕著に増加した(p=0.007;図6bおよびc)。PAMのアンチセンス処理ラットにおける痛覚過敏には、足をなめる挙動、および噛みつき挙動の増加が伴った。PAMは、AC活性阻害剤であるため(Scholich等,2001年)、センスおよびアンチセンスODNで処理されたラットの脊髄溶解産物における、基礎的なGαsおよびフォルスコリン刺激によるAC活性を測定した。この実験により、アンチセンスで処理したラットにおいて、基礎的なAC活性の顕著な増加(20.7%)が示された(表1)。それに対して、Gαsおよびフォルスコリン刺激によるAC活性において顕著な変化は検出されず、これは、ODN処理によってACの総量が変化しなかったことを示す(表1)。
【0080】
上記の実験より、PAMは、脊髄とDRGニューロンの両方の細胞体と軸索に局在化していることが示された(図2a,b)。細胞核では、ほんのわずかな免疫活性しか検出できず、これは、ニューロンおよびガン細胞系において、PAMに関する機能が異なることを示している。
【0081】
持続的な侵害受容の刺激の後の中枢性感作は、脊髄におけるニューロンおよびシナプスの変化に基づく(WoolfおよびCostigan 1999年;WoolfおよびSalter2000年;JiおよびWoolf 2001年)。発明者等による、PAMは、脊髄およびDRGの感覚ニューロンで発現されるという発見により、PAMは、脊髄の侵害受容過程の際のシナプスの変化に関与する可能性があるという新たな仮説が構築された。上記の、PAMは、侵害受容の刺激の後にアップレギュレートされるという発見(図4a)は、この、脊髄の侵害受容過程の際のシナプスの変化においてPAMは役割を果たす可能性があるという仮説を裏付けている。
【0082】
さらに、発明者等の、PAMは、脊髄およびDRGの知覚神経で発現されるという驚くべき発見により、同様に、脊髄およびDRGにおいて、PAMは、AC活性を阻害することができるかどうかという疑問に至った。
【0083】
上記の実験より、PAMは、脊髄調製物におけるGαsで刺激されたAC活性の有力な阻害剤であることが初めて示された(図5b)。AC活性は、30nMのPAMを添加した後に、50%減少した。抑制性Gタンパク質のαサブユニット、Gαiを用いて匹敵する阻害を達成するために、200〜800nMのGαiを用いなければならない(Wittpoth等,1999年)。ザイモサンで96時間処理された動物の脊髄調製物において、PAMの阻害作用はいっそう強く(図5b)、ザイモサン注射の後に、脊髄における内因性PAMの量が上昇したことで説明することができる(図4a,b)。ホルマリンで処理した動物からの脊髄調製物におけるGαsで刺激されたAC活性の阻害(25%阻害)は、コントロール動物またはザイモサンで処理した動物と比較してそれほど顕著ではなかった(それぞれ50%および75%)。
【0084】
特に、ホルマリンで1時間処理した動物において、ACアイソフォーム発現におけるシフトを観察した(図5a)。AC3および9型はアップレギュレートされるが、AC5型は、ダウンレギュレートされた。これまで、PAMが、AC3および9型の阻害剤であるかどうかはわかっていない。それゆえに、これらアイソフォームは、PAMによって阻害されないか、または、試験されたPAM濃度が、阻害作用を達成するには低すぎる可能性がある。PAMは、510kDaの巨大タンパク質であるため、30nMを超えるPAM濃度を試験することは技術的に不可能である。それにもかかわらず、図5bに示される用量反応曲線によれば、試験された脊髄調製物において、より高いPAM濃度により、Gαsで刺激されたAC活性のより強い阻害が引き起こされる可能性がある。
【0085】
興味深いことに、PAMは、DRGにおいて、脊髄調製物においてより有効性が弱いAC酵素活性の阻害剤であった。脊髄およびDRG調製物においてPAMの阻害効率が異なるのは、観察されたACアイソフォーム発現の差による可能性が最も高い。脊髄で発現される主要なACアイソフォームは、5および6型であり、いずれもPAMによって強く阻害される(図5a;(Scholich等,2001年))。DRGにおいて、AC4および6型は、優勢なACアイソフォームである(図5a)。PAMがAC4型を阻害するかどうかはわかっていないため、このアイソフォームは、PAMによって阻害されないか、または、それに加えて、試験されたPAM濃度が、阻害作用を達成するには低すぎる。しかしながら、図5bに示される用量反応曲線によれば、DRG調製物において、より高いPAM濃度により、Gαsで刺激されたAC活性のより強い阻害が引き起こされる可能
性が高いようである。
【0086】
しかしながら、最も驚くべきことは、PAM活性は、試験動物の侵害受容の挙動に影響を与えるという発見であった:これは、基礎的なAC活性における顕著な増加(表1)、および、より重要なことは、ホルマリン注射後、侵害刺激反応がPAMのセンス処理と比較して顕著に増加したこと(図6bおよびc)、その際、脊髄におけるPAMの内因性の発現は、動物にPAMのアンチセンスオリゴヌクレオチドを注入することによって減少したこと(図6a)を示す発明者等の実験によって初めて実証された。
【0087】
14.PAMの鎮痛作用の測定
上述したPAMの鎮痛作用に関する証拠は、例えば、以下の仮想的実験によって裏付けることができるだろう:例えば急性の痛みのホルマリンモデルにおけるPAMの鎮痛作用は、例えば、アミノ酸残基1028〜1065に対応するペプチドの髄腔内への適用によって直接決定することができるだろう。このペプチドは、酵母ツーハイブリッドシステムとAC活性分析で測定されるように、PAM−アデニリルシクラーゼの相互作用に介在できることが発見された最小の領域を示す。このペプチドは、バイオポーター(bioporter)リポフェクション試薬(Peqlab,ドイツで市販されている)との複合体として適用され得る。このアプローチにより、ペプチドを組織に進入させ、ACに対する生理学的なPAMの作用を模擬することが可能になる。
【0088】
文献
Bailey C.H., Bartsch D., Kandel E.R.: Toward a molecular definition of long-term memory storage. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1996 Nov 26;93(24):13445-52;
Brandon E.P., Idzerda R.L., McKnight G.S.: PKA isoforms, neural pathways, and behaviour: making the connection. Curr. Opin. Neurobiol. 1997 Jun;7(3):397-403;
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【0089】
Patel T.B., Wittpoth C., Barbier A.J., Yigzaw Y. and Scholich K. (2002) Functional analyses of type V adenylyl cyclase. Methods Enzymol 345, 160-187. Snyder S.H.(1985) Adenosine as a neuromodulator. Annu Rev Neurosci 8, 103-124.
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上に列挙した文献は、この参照により開示に含まれる。
【0090】
実験方法に関する標準的な文献:
特に他の規定がない限り、実験方法は、以下の標準的な文献で列挙された標準的な方法に従って行われた、または、行うことができる:
Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual. Second edition.
Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY.545 pp or Current Protocols in Molecular Biology;
Current Protocols in Molecular Biology; regularly updated, e.g. Volume 2000; John Wiley & Sons, Inc; Editors: Fred M. Ausubel, Roger Brent, Robert Eg. Kingston, David D. Moore, J.G. Seidman, John A. Smith, Kevin Struhl.
Current Protocols in Human Genetics; regularly uptdated, e.g. Volume 2003; John Wiley & Sons, Inc; Editors: Nicholas C. Dracopoli, Honathan L. Haines, Bruce R. Korf, Cynthia C. Morton, Christine E. Seidman, J.G. Seigman, Douglas R. Smith.
Current Protocols in Protein Science; regularly updated, e.g. Volume 2003; John Wiley & Sons, Inc; Editors: John E. Coligan, Ben M.Dunn, Hidde L. Ploegh, David W. Speicher, Paul T. Wingfield.
Molecular Biology of the Cell; third edition; Alberts, B., Bray, D., Lewis, J., Raff, M., Roberts, K., Watson, J.D.; Garland Publishing, Inc. New York & London, 1994;
Gene Targeting: a practical approach (1995), Editor: A.L. Joyner, IRL Press
Genetic Manipulation of Receptor Expression and Function; D. Accili, Wiley-Liss., USA, 2000; ISBN: 0-471-35057-5.
Antisense Therapeutics, S. Agrawal, Humana Press, USA, 1996, ISBN: 0-89603-305-8.
【0091】
用いられた略語:
AC、アデニリルシクラーゼ;Gsα、アデニリルシクラーゼの促進性Gタンパク質のαサブユニット、Gαs*、Gαsの構成的に活性な(Q213L)突然変異体;Gαi、抑制性Gタンパク質Giのαサブユニット;Gβγ、ヘテロ三量体Gタンパク質のβγサブユニット;PAM、Myc関連タンパク質;RCC1、染色体凝縮の調節因子;TED、50mMトリスHCl(pH8.0)、1mMのEDTA、1mMのDTT;ODN、オリゴデオキシヌクレオチド;RT、室温;
【0092】
〔図面〕
図1:PAMは、脊髄ニューロンで高度に発現される。脊髄の水平切片標本を用いたインサイチュハイブリダイゼーションを、上述したように、ラットPAMに対するセンスまたはアンチセンスプローブとハイブリダイズさせた。
図2:PAMは、DRGニューロンで、同様に、ラット脊髄中のニューロンの細胞で発現される。
パネルA:ラットの脊髄切片標本の免疫組織化学的な解析。切片標本を、抗PAM抗体(緑)、および、抗NeuNまたは抗GFAP(赤)で染色し、ニューロンまたはグリア細胞をそれぞれ可視化した。両方のシグナルの重ね合わせは、右のパネルに示される。対物を20×に拡大した。
パネルB:ラットDRG切片標本の免疫組織化学的な解析。切片標本を、抗PAM抗体(緑)、および、抗Neu68、抗ヒストンまたは抗GFAP(赤)で染色し、それぞれニューロン、核またはグリア細胞を可視化した。両方のシグナルの重ね合わせは、右のパネルに示される。対物を40×に拡大した(ただし、ヒストン染色は、63×に拡大した)。
図3:PAMは、DRGおよび脊髄において、異なる発生段階で差異的に発現される。定量RT−PCR(TaqmanTM)を用いて、16日齢のラット胎児(E16)、出生後の日数が0.5(P0.5)、3(P3)、5(P5)、9(P9)のラット、および、成体ラットの脊髄およびDRGのRNA(40ng)中のPAMを検出した。少なくとも3回の決定の平均±SEMを示す。
【0093】
図4:PAMは、ラットの脊髄において、ザイモサンおよびホルマリン処理の後にアッ
プレギュレートされた。
パネルA:コントロール動物、または、ザイモサンで処理して24時間、48時間および96時間後の動物からの脊髄のRNA(40ng)を用いたRT−PCR解析。下部のパネルは、7回の実験の平均±SEMを示す。スチューデントのt検定:*p<0.001。
パネルB:コントロール動物、または、ザイモサンで処理して24時間、48時間および96時間後の動物のラットの脊髄溶解産物(40μg)を用いた、抗PAM抗体および抗ERK1/2を用いた、7%SDS−PAGEゲルを用いたウェスタンブロット解析。
パネルC:コントロール動物、または、ホルマリンで1時間処理した動物からの脊髄のRNA(40ng)を用いた定量RT−PCR解析。
【0094】
図5:PAMは、脊髄溶解産物中でGαsで刺激されたAC活性を阻害する。
パネルA:RT−PCRを用いて、脊髄およびDRGのRNA(40ng)におけるACアイソフォーム発現を決定した。
パネルB:材料および方法で説明したように、脊髄またはDRGの溶解産物(10μg)を、80nMのGαsの存在下で、AC活性に関して分析した。三連で行われた少なくとも3回の測定の平均±SEMを示す。
図6:PAMに対するアンチセンスODNの髄腔内への適用により、侵害受容の挙動が増加する。
パネルA:説明されているように、成体ラットに、センスおよびアンチセンスODNを髄腔内投与した。ホルマリン処理の後に、脊髄を除去し、抗PAM抗体(緑)、または、抗NeuN(赤)を用いて免疫組織学的な解析で処理した。
パネルB:材料の章において説明されているように、センスまたはアンチセンスODNで処理した動物のホルマリンアッセイ。
1時間にわたるフリンチ行動の合計を示す。少なくとも4回の測定の平均±SEを示す。
パネルC:材料の章において説明されているように、センスまたはアンチセンスODNで処理した動物のホルマリンアッセイ。
1時間にわたるフリンチ行動の回数を示す。少なくとも4回の測定の平均±SEを示す。
【0095】
図7:NCBI登録番号AAC39928(タンパク質配列;配列番号1)。AF075587(コード配列;配列番号2)による、ヒトPAMのタンパク質、ゲノムおよびコードヌクレオチド配列。ヒトPAMは、染色体13q22上に位置する;そのゲノム配列は、NT_024524.11(始点:24679861位;終点:24962245位;配列番号3)で公開された形で利用可能である;
図7Cは、24679861〜24962245位の連続した配列を示す。
図8:ラットPAMに関するEST−クローンをコードする配列:
図8A:AW921303(hscDNAのbp960〜1394に対応する;配列番号4)
図8B:AW918711(hscDNAのbp8188〜8632に対応する;配列番号5)
図8C:BQ201485(hscDNAのbp8966〜9633に対応する;配列番号6)
図8D:BE112881(hscDNAのbp10311〜10830に対応する;配列番号7)
図8E:AW441131(hscDNAのbp13569〜14152に対応する;配列番号8)
図8F:BF409872(hscDNAのbp13569〜14807に対応する)。(配列番号9)
【0096】
図9:Guo等,1988年/Grossberger等,JBC 1999年、および、Scholich等,JBC 2001年)によるヒトPAMのドメイン構造の概観。
図10:ラットPAM RT PCRのためのPCRのためのプライマー。
図11:ラットPAM発現を阻害するためのアンチセンスオリゴデスオキシヌクレオチド、および、コントロールオリゴヌクレオチド。
図12:本発明の環境で使用するための、様々なPAMhsポリペプチド。これらのポリペプチドは、配列番号2に記載のポリペプチドから得られたフラグメントである。
【0097】
図13:本発明の環境で使用するための、異なるPAMhsポリヌクレオチド。
図13A:hsPamcDNAのヌクレオチドの1317〜4366位を含む、配列番号17に記載のタンパク質フラグメントをコードするcDNA配列(配列番号24);
図13B:hsPamcDNAのヌクレオチドの1482〜3332位を含む、配列番号18に記載のタンパク質フラグメントをコードするcDNA配列(配列番号25);
図13C:hsPamcDNAのヌクレオチドの1641〜3341位を含む、配列番号19に記載のタンパク質フラグメントをコードするcDNA配列(配列番号26);
図13D:hsPamcDNAのヌクレオチドの3142〜4046位を含む、配列番号20に記載のタンパク質フラグメントをコードするcDNA配列(配列番号27);
図13E:hsPamcDNAのヌクレオチドの3142〜3446位を含む、配列番号21に記載のタンパク質フラグメントをコードするcDNA配列(配列番号28);
図13F:hsPamcDNAのヌクレオチドの3228〜3839位を含む、配列番号22に記載のタンパク質フラグメントをコードするcDNA配列(配列番号29);
図13G:hsPamcDNAのヌクレオチドの3228〜3341位を含む、配列番号23に記載のタンパク質フラグメントをコードするcDNA配列(配列番号30);
図14:上記の発見に係る脊髄およびDRGのニューロンにおけるPAMシグナル伝達経路の仮説を示す概観。
【0098】
表1
アンチセンス処理ラットの脊髄溶解産物において、基礎的なAC活性は上昇する。上述したように、脊髄溶解産物(20μg)を、80nMのGαs、または、100μMのフォルスコリンの非存在下、または存在下でAC活性に関して分析した。グループあたり少なくとも3匹のラットからの脊髄溶解産物の平均AC活性±SEM(それぞれ三連で2回測定された)を示す(ns=有意差なし)。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】PAMは、脊髄ニューロンで高度に発現される。
【図2A】PAMは、DRGニューロンで、同様に、ラット脊髄中のニューロンの細胞で発現される。
【図2B】PAMは、DRGニューロンで、同様に、ラット脊髄中のニューロンの細胞で発現される。
【図3】PAMは、DRGおよび脊髄において、異なる発生段階で差異的に発現される。
【図4】PAMは、ラットの脊髄において、ザイモサンおよびホルマリン処理の後にアップレギュレートされた。
【図5】PAMは、脊髄溶解産物中でGαsで刺激されたAC活性を阻害する。
【図6】PAMに対するアンチセンスODNの髄腔内への適用により、侵害受容の挙動が増加する。
【図6−1】図6の続きである。
【図7】NCBI登録番号AAC39928(タンパク質配列;配列番号1)、AF075587(コード配列;配列番号2)による、ヒトPAMのタンパク質、ゲノムおよびコードヌクレオチド配列である。
【図7−1】図7の続きである。
【図7−2】図7−1の続きである。
【図7−3】図7−2の続きである。
【図7−4】図7−3の続きである。
【図7−5】図7−4の続きである。
【図7−6】図7−5の続きである。
【図7−7】図7−6の続きである。
【図7−8】図7−7の続きである。
【図7−9】図7−8の続きである。
【図7−10】図7−9の続きである。
【図7−11】図7−10の続きである。
【図7−12】図7−11の続きである。
【図7−13】図7−12の続きである。
【図7−14】図7−13の続きである。
【図7−15】図7−14の続きである。
【図7−16】図7−15の続きである。
【図7−17】図7−16の続きである。
【図7−18】図7−17の続きである。
【図7−19】図7−18の続きである。
【図7−20】図7−19の続きである。
【図7−21】図7−20の続きである。
【図7−22】図7−21の続きである。
【図7−23】図7−22の続きである。
【図7−24】図7−23の続きである。
【図7−25】図7−24の続きである。
【図7−26】図7−25の続きである。
【図7−27】図7−26の続きである。
【図7−28】図7−27の続きである。
【図7−29】図7−28の続きである。
【図7−30】図7−29の続きである。
【図7−31】図7−30の続きである。
【図7−32】図7−31の続きである。
【図7−33】図7−32の続きである。
【図7−34】図7−33の続きである。
【図7−35】図7−34の続きである。
【図7−36】図7−35の続きである。
【図7−37】図7−36の続きである。
【図7−38】図7−37の続きである。
【図7−39】図7−38の続きである。
【図7−40】図7−39の続きである。
【図7−41】図7−40の続きである。
【図7−42】図7−41の続きである。
【図7−43】図7−42の続きである。
【図7−44】図7−43の続きである。
【図7−45】図7−44の続きである。
【図7−46】図7−45の続きである。
【図7−47】図7−46の続きである。
【図7−48】図7−47の続きである。
【図7−49】図7−48の続きである。
【図7−50】図7−49の続きである。
【図7−51】図7−50の続きである。
【図7−52】図7−51の続きである。
【図7−53】図7−52の続きである。
【図7−54】図7−53の続きである。
【図7−55】図7−54の続きである。
【図7−56】図7−55の続きである。
【図7−57】図7−56の続きである。
【図7−58】図7−57の続きである。
【図7−59】図7−58の続きである。
【図7−60】図7−59の続きである。
【図7−61】図7−60の続きである。
【図7−62】図7−61の続きである。
【図7−63】図7−62の続きである。
【図7−64】図7−63の続きである。
【図7−65】図7−64の続きである。
【図7−66】図7−65の続きである。
【図7−67】図7−66の続きである。
【図7−68】図7−67の続きである。
【図7−69】図7−68の続きである。
【図7−70】図7−69の続きである。
【図8】ラットPAMに関するEST−クローンをコードする配列である。
【図8−1】図8の続きである。
【図9】Guo等,1988年/Grossberger等,JBC 1999年、および、Scholich等,JBC 2001年)によるヒトPAMのドメイン構造の概観である。
【図10】ラットPAMRT−PCRのためのPCRプライマーである。
【図11】ラットPAM発現を阻害するためのアンチセンスオリゴデゾキシヌクレオチド、および、コントロールオリゴヌクレオチドである。
【図12】本発明の環境で使用するための、様々なPAMhsポリペプチド。これらのポリペプチドは、配列番号2に記載のポリペプチドから得られたフラグメントである。
【図12−1】図12の続きである。
【図13】本発明の環境で使用するための、異なるPAMhsポリヌクレオチドである。
【図13−1】図13の続きである。
【図13−2】図13−1の続きである。
【図14】上記の発見によるPAMシグナル伝達である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬化合物を製造するための、PAMまたはそれらの機能的フラグメントもしくは誘導体の使用。
【請求項2】
痛みの調節のための、PAMまたはそれらの機能的フラグメントもしくは誘導体の使用。
【請求項3】
痛みを調節する化合物を同定するための、PAMまたはそれらの機能的フラグメントもしくは誘導体の使用。
【請求項4】
十分な量のPAMまたはそれらの機能的フラグメントもしくは誘導体を、個体に投与することを含む、痛みを軽減する方法。
【請求項5】
医薬品として使用するための、PAMまたはそれらの機能的フラグメントもしくは誘導体。
【請求項6】
痛みを予防または治療するための医薬品として使用するための、PAMまたはそれらの機能的フラグメントもしくは誘導体。
【請求項7】
医薬化合物は、痛みを予防または治療するための化合物である、請求項1に記載の使用。
【請求項8】
化合物は、痛みを軽減するか、または止める、請求項3に記載の使用。
【請求項9】
痛みを調節、および/または、予防するのに有用な医薬をスクリーニングする方法であって、
a.2つのサンプルを提供する工程、
b.PAMまたはそれらの機能的フラグメントもしくは誘導体を含む1つのサンプルと、化合物とを接触させる工程、
c.化合物の存在下で、PAM活性を測定する工程、
d.化合物の非存在下で、PAM活性を測定する工程、および、
e.c)によるPAM活性と、d)によるPAM活性とを比較する工程
を含む、上記方法。
【請求項10】
PAMは、ヒトPAMである、請求項1、2、3もしくは8のいずれか一項に記載の使用、または、請求項4もしくは9のいずれか一項に記載の方法、または、請求項5もしくは6に記載のPAM。
【請求項11】
PAMは、単離されたポリペプチドまたはポリヌクレオチドである、請求項1、2、3もしくは8のいずれか一項に記載の使用、または、請求項4もしくは9のいずれか一項に記載の方法、または、請求項5もしくは6に記載のPAM。
【請求項12】
PAMはポリペプチドである、請求項11に記載の使用、方法またはPAM。
【請求項13】
PAMは、配列番号2に記載の配列またはそれらのフラグメントを含む、または、それからなるポリペプチドまたはそれらの機能的フラグメント、または、配列番号1に記載の配列またはそれらのフラグメントを含む、または、それからなるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドまたはそれらの機能的フラグメントである、請求項11または12に記載の使用、方法またはPAM。
【請求項14】
PAMはポリヌクレオチドである、請求項11に記載の使用、方法またはPAM。
【請求項15】
PAMは、配列番号1に記載のPAMの機能的フラグメントをコードする配列、または、その配列の一部を含む、または、それからなるポリヌクレオチド、または、該ポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズできる配列を含む、または、それからなるポリヌクレオチドである、請求項11に記載の使用、方法またはPAM。
【請求項16】
機能的フラグメントまたは誘導体は、アデニリルシクラーゼ活性を阻害することができる、請求項1〜15のいずれか一項に記載の使用、方法またはPAM。
【請求項17】
アデニリルシクラーゼは、アデニリルシクラーゼI、VまたはVI型である、請求項16に記載の使用、方法またはPAM。
【請求項18】
機能的フラグメントは、ヒトPAMの、好ましくは配列番号2に記載のヒトPAMの、アミノ酸400〜1400、好ましくは446〜1062、499〜1065または1028〜1231、より好ましくは1000〜1300、さらにより好ましくは1000〜1100、さらにより好ましくは1028〜1065を含む、または、それからなる、請求項1〜17のいずれか一項に記載の使用、方法またはPAM。
【請求項19】
フラグメントは、配列番号17〜23に記載のポリペプチドのいずれか一つを含む、または、それからなる、請求項16に記載の使用、方法またはPAM。
【請求項20】
PAMを発現する、好ましくは組換えPAMを発現する細胞が用いられる、請求項9に記載の方法。
【請求項21】
その改変されていない状態と比較して低いPAM活性を有する改変された細胞が用いられる、請求項9に記載の方法。
【請求項22】
PAMノックアウト細胞が用いられる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
PAM活性は、直接測定される、請求項9、20または21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
PAM活性の測定は、それらのアデニレートシクラーゼと相互作用する能力、好ましくはアデニレートシクラーゼを不活性化する能力に関する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
PAM活性は、間接的に測定される、請求項9、20または21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
痛みを調節する化合物を同定する方法であって、
a.試験化合物として、PAMの活性を調節する化合物を選択すること、および、
b.上記試験化合物を被検体に投与して、痛みが調節されているかどうかを測定すること
を含む、上記方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6−1】
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【図7】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図7−4】
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【図7−5】
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【図7−6】
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【図7−7】
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【図7−8】
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【図7−9】
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【図7−10】
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【図7−11】
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【図7−12】
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【図7−13】
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【図7−14】
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【図7−15】
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【図7−16】
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【図7−17】
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【図7−18】
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【図7−19】
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【図7−20】
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【図7−21】
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【図7−22】
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【図7−23】
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【図7−24】
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【図7−25】
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【図7−26】
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【図7−27】
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【図7−28】
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【図7−29】
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【図7−30】
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【図7−31】
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【図7−32】
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【図7−33】
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【図7−34】
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【図7−35】
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【図7−36】
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【図7−37】
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【図7−38】
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【図7−39】
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【図7−40】
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【図7−41】
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【図7−42】
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【図7−43】
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【図7−44】
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【図7−45】
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【図7−46】
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【図7−47】
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【図7−48】
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【図7−49】
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【図7−50】
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【図7−51】
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【図7−52】
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【図7−53】
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【図7−54】
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【図7−55】
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【図7−56】
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【図7−57】
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【図7−58】
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【図7−59】
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【図7−60】
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【図7−61】
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【図7−62】
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【図7−63】
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【図7−64】
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【図7−65】
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【図7−66】
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【図7−67】
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【図7−68】
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【図7−69】
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【図7−70】
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【図8】
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【図8−1】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図12−1】
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【図13】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−513060(P2007−513060A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529720(P2006−529720)
【出願日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004513
【国際公開番号】WO2004/105785
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】