説明

PBX内線電話機の履歴発信方式

【課題】使用者が局線捕捉を意識しなくても、着信履歴あるいは発信履歴を利用して正しく発信できるようにしたPBX内線電話機の着信履歴発信方式を提供すること。
【解決手段】主装置2は端末(PBX内線電話機)1を収容し公衆網3を介して着信および発信の交換を行う。端末1は履歴発信機能を有する。着信時、端末1のメモリ12は、公衆網3より通知される発信者番号とともに着信時の局線を示す局線アクセス番号を記憶する。履歴発信時、端末1の制御部11は、端末状態に応じて、メモリ12から呼び出した発信者番号の前に前記局線アクセス番号を付加して主装置2に通知する。主装置2は、端末1から通知された局線アクセス番号に基づいて局線捕捉し、発信者番号を発信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PBX内線電話機の履歴発信方式に関し、特に、使用者が局線捕捉を意識しなくても、着信履歴あるいは発信履歴を利用して正しく発信できるようにしたPBX内線電話機の履歴発信方式に関する。
【背景技術】
【0002】
PBX内線電話機には履歴発信機能を備えたものがある。この履歴発信機能を利用すれば相手電話番号をいちいち入力する必要がなく、着信履歴あるいは発信履歴を表示させて選択操作することで簡単に発信できる。図7は、従来の着信履歴発信の動作の概略説明図である。
【0003】
まず、相手電話機(発信者番号「03-5370-XXXX」)から公衆網(電話網)3および主装置2を通してPBX内線電話機(以下、端末と称する。)1に着信があると、公衆網3を介して通知される発信者番号「03-5370-XXXX」は端末1内のメモリに着信履歴として記憶される。
【0004】
端末1より着信履歴発信を行う場合、着信履歴表示より「03-5370-XXXX」を選択して発信を行う。このとき、局線捕捉状態でなければ、局線アクセス番号、例えば「0」により局線を捕捉した後に発信者番号が送出されるようにする必要がある。
【特許文献1】特開2002−77360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、局線捕捉を行うことなく、履歴発信機能を利用して発信を行うと誤接続が生じることがあるという課題がある。例えば、上記例で端末1が局線捕捉状態にないにも拘わらず局線捕捉を行わずに、着信履歴表示より単に「03-5370-XXXX」を選択して発信を行うと、最初の番号「0」は局線アクセス番号であると認識されてこれにより局線捕捉がなされ、続く「35370XXXX」が発信者番号として誤ダイヤルされてしまう。
【0006】
本発明は、上記課題を解決し、使用者が局線捕捉を意識しなくても、着信履歴あるいは発信履歴を利用して正しく発信できるようにしたPBX内線電話機の着信履歴発信方式を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、PBX内線電話機を収容し公衆網を介して着信および発信の交換を行う主装置を備え、PBX内線電話機は着信時に通知される発信者番号を記憶し、該発信者番号に基づいて発信を行う履歴発信機能を有するPBX内線電話機の履歴発信方式において、前記PBX内線電話機は、着信時、前記公衆網を介して通知される発信者番号および着信時の局線を示す局線アクセス番号を記憶するメモリと、履歴発信時、前記PBX内線電話機の状態に応じて、前記メモリから呼び出した発信者番号の前に前記局線アクセス番号を付加して前記主装置に通知する制御部を備え、前記主装置は、前記PBX内線電話機から通知された局線アクセス番号に基づいて局線捕捉し、発信者番号を発信する制御部を備えた点に第1の特徴がある。
【0008】
また、本発明は、前記PBX内線電話機の制御部が、履歴発信時、前記PBX内線電話機が空き状態、あるいは内線捕捉状態にある場合には、前記メモリから呼び出した発信者番号の前に局線アクセス番号を付加して前記主装置に通知し、局線捕捉状態にある場合には、前記メモリから呼び出した発信者番号だけを前記主装置に通知する点に第2の特徴がある。
【0009】
また、本発明は、前記PBX内線電話機が、履歴発信時、発信者番号と局線アクセス番号または局線捕捉状態である旨とを表示する表示部を備えた点に第3の特徴がある。
【0010】
さらに、本発明は、前記メモリが、さらに前記PBX内線電話機からの発信時、相手先番号および該発信時の局線アクセス番号を記憶し、前記PBX内線電話機の制御部は、履歴発信時、前記PBX内線電話機の状態に応じて、前記メモリから呼び出した相手先番号の前に発信時の局線アクセス番号を付加して前記主装置に通知し、前記主装置の制御部は、前記PBX内線電話機から通知された発信時の局線アクセス番号に基づいて局線捕捉し、相手先番号を発信する点に第4の特徴がある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、着信履歴あるいは発信履歴を利用して発信を行う際に、PBX内線電話機の状態に応じて、局線アクセス番号が自動的に付加されるので、使用者が局線捕捉を意識しなくても局線捕捉が行われ、着信履歴あるいは発信履歴を利用して正しく発信できるようになる。
【0012】
また、履歴発信時、発信者番号と局線アクセス番号または局線捕捉状態である旨とをPBX内線電話機に表示させることにより、使用者は通話相手先とともに内線捕捉状態を容易に認識できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を説明する。図1は、本発明が適用される電話交換システムを示すブロック図であり、基本的には図7と同様に、端末1を収容する主装置2が公衆網3に接続された構成を有する。
【0014】
端末1は、端末全体の制御を行う制御部11、着信時に発信者番号を履歴情報として記憶し、さらに着信時の局線アクセス番号を記憶するメモリ12、発信時に相手先番号などを表示する表示部13、履歴発信キーを含む操作部14、および主装置2と接続するための入出力インタフェース(I/F)15を備える。その他、送話器、受話器なども備えるが図示省略している。
【0015】
着信時、メモリ12に発信者番号を履歴情報として記憶することにより、着信時に得られた発信者番号に基づく着信履歴発信を行うことができるが、発信時、相手先番号を履歴情報としてメモリ12に記憶すれば、発信時に得られた相手先番号に基づく発信履歴発信も行うことができる。
【0016】
主装置2は、主装置全体の制御を行う制御部21、交換における各種設定情報を記憶するためのデータベース22、端末1や局線等外部機器を接続するための入出力I/F23を備える。データベース22には、局線に対応して局線アクセス番号も記憶されている。
【0017】
端末1において操作部14が操作されてその状態が変化したとき、主装置1から端末1に、図2に示すように、端末1の状態が通知される(S1)。ここで通知される端末1の状態には、空き状態、内線捕捉状態、内線通話状態、局線捕捉状態、局線通話状態などがある。これにより、端末1は、自装置の現在の状態を認識できる。
【0018】
図3は、相手端末から端末1へ着信があった時の動作を示す図である。着信時、主装置2には相手端末から公衆網3を介して発信者番号が通知される(S2)。制御部21は、着信した局線に対応する局線アクセス番号をデータベース22から読み出す(S3)。これにより読み出された局線アクセス番号は、入出力I/F23を介して、公衆網3から通知された発信者番号とともに端末1に通知される(S4)。
【0019】
端末1のメモリ12は、主装置2から通知された発信者番号を着信履歴情報として記憶し、さらに通知された局線アクセス番号を記憶する(S5)。
【0020】
図4は、端末1から相手端末へ発信した時の動作を示す図である。端末1において操作部14が操作されて局線発信および相手先番号がダイヤルされると、それらの情報は主装置2の制御部21に送出される(S6)。表示部13には相手先番号が表示部13に表示され、局線が捕捉されればその旨も表示される。
【0021】
制御部21は、局線を捕捉し、相手先番号をダイヤル発信させるとともに、データベース22から発信中の局線の局線アクセス番号を読み出す(S7)。これにより読み出された局線アクセス番号は相手先番号とともに、入出力I/F23を介して端末1へ通知される(S8)。
【0022】
端末1のメモリ12は、主装置2から通知された相手先番号を発信履歴情報として記憶し、さらに局線アクセス番号を記憶する(S9)。
【0023】
以上のようにして、端末1のメモリ12は、着信時には公衆網から通知される発信者番号と局線アクセス番号を記憶し、発信時には端末1でダイヤルされた相手先番号と局線アクセス番号を記憶する。
【0024】
図5は、端末1からの履歴発信の動作を示す図である。端末1において操作部14が操作されて表示部13の着信履歴あるいは発信履歴の表示に基づく履歴発信操作が行われると(S10)、端末1が空き状態にあれば、制御部11は、メモリ12から局線アクセス番号と該当する履歴情報、すなわち発信者番号または相手先番号(以下、履歴ダイヤルと称す。)を呼び出し(S11)、履歴ダイヤルの前に局線アクセス番号を付加して主装置2に送出する(S12)。
【0025】
主装置1は、端末1から送出された局線アクセス番号に該当する局線を捕捉し、続いて履歴ダイヤルを発信する。このとき、端末1の表示部13に履歴ダイヤルとともに局線アクセス番号を表示させたり、履歴ダイヤルとともに局線捕捉状態になった旨の表示を行わせたりすることができる。履歴ダイヤルの表示と局線アクセス番号の表示、履歴ダイヤルの表示と局線捕捉状態になった旨の表示は別個の手段(LCDとLEDなど)でもよい。
【0026】
上記は端末1が空き状態の場合であるが、端末1が内線捕捉状態にある場合も同様に端末1から局線アクセス番号が先頭に付加された履歴ダイヤルが主装置2に通知され、主装置2は、通知された局線アクセス番号で局線を捕捉し、履歴ダイヤルを発信する。
【0027】
端末1が既に局線捕捉状態にある場合には、端末1から主装置2への局線アクセス番号の通知は不要である。この場合には、局線アクセス番号を付加することなく履歴ダイヤルだけを端末1から主装置2へ通知し、主装置2は、通知された履歴ダイヤルを発信する。なお、端末1が内線通話状態や局線通話状態にある場合には履歴発信操作を無効とする。
【0028】
図6は、本発明による着信履歴発信動作をまとめた概略説明図である。まず、相手端末(発信者番号「03-5370-XXXX」)から公衆網3および主装置2を通して端末1に着信があると、主装置2は発信者番号「03-5370-XXXX」とともに局線アクセス番号、例えば「9」を端末1に通知する。端末1は、通知されたに発信者番号「03-5370-XXXX」を着信履歴情報として記憶し、さらに局線アクセス番号「9」を記憶する。
【0029】
端末1より着信履歴発信を行う場合、着信履歴表示より「03-5370-XXXX」を選択して発信を行う。このとき、端末1が空き状態あるいは内線捕捉状態にあれば、局線アクセス番号「9」が着信履歴の発信者番号「03-5370-XXXX」の前に付加されて端末1から主装置2に通知される。主装置2は、局線アクセス番号「9」で局線捕捉し、発信者番号「035370XXXX」を発信する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明が適用される電話交換システムを示すブロック図である。
【図2】主装置から端末へ端末状態を通知する動作を示す図である。
【図3】相手端末から端末への着信時の動作を示す図である。
【図4】端末から相手端末への発信時の動作を示す図である。
【図5】端末からの履歴発信の動作を示す図である。
【図6】本発明による着信履歴発信動作をまとめた概略説明図である。
【図7】従来の着信履歴発信動作の概略説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1・・・端末、2・・・主装置、3・・・公衆網、11,21・・・制御部、12・・・メモリ、13・・・表示部、14・・・操作部、15,23・・・入出力I/F、23・・・データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PBX内線電話機を収容し公衆網を介して着信および発信の交換を行う主装置を備え、PBX内線電話機は着信時に通知される発信者番号を記憶し、該発信者番号に基づいて発信を行う履歴発信機能を有するPBX内線電話機の履歴発信方式において、
前記PBX内線電話機は、着信時、前記公衆網を介して通知される発信者番号および着信時の局線を示す局線アクセス番号を記憶するメモリと、履歴発信時、前記PBX内線電話機の状態に応じて、前記メモリから呼び出した発信者番号の前に前記局線アクセス番号を付加して前記主装置に通知する制御部を備え、
前記主装置は、前記PBX内線電話機から通知された局線アクセス番号に基づいて局線捕捉し、発信者番号を発信する制御部を備えたことを特徴とするPBX内線電話機の履歴発信方式。
【請求項2】
前記PBX内線電話機の制御部は、履歴発信時、前記PBX内線電話機が空き状態、あるいは内線捕捉状態にある場合には、前記メモリから呼び出した発信者番号の前に局線アクセス番号を付加して前記主装置に通知し、局線捕捉状態にある場合には、前記メモリから呼び出した発信者番号だけを前記主装置に通知することを特徴とする請求項1に記載のPBX内線電話機の履歴発信方式。
【請求項3】
前記PBX内線電話機は、履歴発信時、発信者番号と局線アクセス番号または局線捕捉状態である旨とを表示する表示部を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のPBX内線電話機の履歴発信方式。
【請求項4】
前記メモリは、さらに前記PBX内線電話機からの発信時、相手先番号および該発信時の局線アクセス番号を記憶し、前記PBX内線電話機の制御部は、履歴発信時、前記PBX内線電話機の状態に応じて、前記メモリから呼び出した相手先番号の前に発信時の局線アクセス番号を付加して前記主装置に通知し、前記主装置の制御部は、前記PBX内線電話機から通知された発信時の局線アクセス番号に基づいて局線捕捉し、相手先番号を発信することを特徴とする請求項1に記載のPBX内線電話機の履歴発信方式。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−186493(P2006−186493A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−375790(P2004−375790)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000000181)岩崎通信機株式会社 (133)
【Fターム(参考)】