PCSK9を調節するためのRNAアンタゴニスト化合物
本発明は、PCSK9の発現を調節する化合物、組成物および方法を提供する。特に、本発明は、PCSK9をコードする標的核酸とハイブリダイズ可能なオリゴマー化合物、例えばオリゴヌクレオチド化合物、および、かかるオリゴマー化合物を調製する方法に関する。本オリゴヌクレオチド化合物がPCSK9の発現を調節することを示し、またそれらの医薬、ならびに高コレステロール血症および関連障害の処置におけるそれらの使用を開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PCSK9の発現を調節する化合物、組成物および方法を提供する。特に、本発明は、PCSK9をコードする標的核酸とハイブリダイズ可能なオリゴマー化合物、例えば、オリゴヌクレオチド化合物、およびかかるオリゴマー化合物を調製する方法に関する。それらのオリゴヌクレオチド化合物はPCSK9の発現を調節することを示し、それらの医薬、ならびに高コレステロール血症および関連障害の処置におけるそれらの使用を開示する。
【背景技術】
【0002】
プロタンパク質転換酵素であるサブチリシン/ケキシン(kexin)9a型(PCSK9)は、サブチラーゼ(subtilase)のプロテイナーゼKサブファミリーのメンバーである。PCSK9遺伝子(NARC-1)は、高レベルの低密度リポタンパク質(LDL)、キサントマス(xhantomas)、および高頻度の冠動脈心疾患によって特徴付けられている常染色体優性遺伝高コレステロール血症(ADH)に関与する第3の遺伝子座として同定された。他の2つの遺伝子座はアポリポタンパク質-B(Apo-B)およびLDL受容体(LDLR)である。PCSK9はLDL受容体経路の天然の阻害剤として働き、両遺伝子はステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)を介してコレステロール細胞内容物およびスタチンが欠乏することによって調節される。PCSK9 mRNAおよびタンパク質レベルは、食物摂取、インスリンおよび細胞コレステロールレベルによって調節される(Costet et al., J. Biol. Chem. January 2006)。
【0003】
ヒトPCSK9をコードするヒトNARC1 mRNA(cDNA)配列は、配列番号2(NCBIアクセッション番号NM_174936)として示している。
【0004】
ヒトPCSK9ポリペプチド配列(新生)は配列番号1(NCBIアクセッション番号NP_777596)として示している。そのポリペプチドは残基1-30間にシグナルペプチドを有し、翻訳と同時に切断されプロタンパク質(配列番号2の31-692)が産生し、次にプロテアーゼにより切断されて配列番号2のアミノ酸83-692に対応する成熟タンパク質が産生する。グリコシル化部位は残基533に特徴付けされている。
【0005】
Parkら(J. Biol. Chem. 279, pp50630-50638, 2004)は、PCSK9の過剰発現によりLDLRタンパク質が減少し、その結果、血漿LDLコレステロールの増加が起こることを開示しており、PCSK9機能の阻害剤は、LDLRタンパク質レベルを増加させ得、血漿からのLDLクリアランスを促進し得ることを示唆している。
【0006】
Rashidら(2005, PNAS 102, No 15, pp5374-5379)は、PCSK9欠損ノックアウトマウスは増加したLDLRタンパク質、これにより引き起こされた増加した循環リポタンパク質クリアランスおよび減少した血漿コレステロールレベルを表すことを開示し、PCSK9の阻害剤は高コレステロール血症の処置に有用であり得、PCSK9の阻害剤とスタチンにはLDLRを増強し、血漿コレステロールを減少させる相乗作用があり得ることを示唆している。
【0007】
国際公開第01/57081号パンフレットはNARC-1ポリヌクレオチド配列を開示し、NARC-1ポリヌクレオチド配列を用いてアンチセンス核酸を設計することができ、かかるアンチセンス核酸は修飾ヌクレオチドまたは塩基、例えばペプチド核酸を含み得ることを開示している。
【0008】
国際公開第2004/097047号パンフレットは、ADHに関係するPCSK9の2つの変異体を開示しており、かかるPCSK9変異体のアンチセンスまたはRNAiを用いてADHを処置し得ることが示唆されている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的
本発明は、高コレステロール血症および関連障害を処置するためのPCSK9核酸に対して標的化されたオリゴマー化合物、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドに基づく治療学的解決法を提供する。本発明者らは、PCSK9標的核酸に対して標的化されたオリゴマー化合物のうち、それらの相補的結合パートナーに対して増強された親和性を有するヌクレオチド類似体、例えばロックド核酸(Locked Nucleic Acid)(LNA)ヌクレオチド類似体を用いると、PCSK9(NARC1)発現の非常に効果的な調節、特に下方制御が起こることを発見した。
【0010】
発明の概要
本発明は、哺乳類、例えばヒトPCSK9の発現を調節することが可能なオリゴマー化合物を提供する。
【0011】
本発明は、合計10-50核酸塩基の連続(contiguous)核酸塩基配列からなるまたは含む10-50核酸塩基長のオリゴマーを提供し、ここで、その連続核酸塩基配列は、哺乳類PCSK9をコードする核酸の対応する領域に対して、少なくとも80%の相同性を有する、例えば、PCSK9ポリペプチドをコードする核酸に存在する対応する配列に対して、少なくとも85%の相同性を有する、例えば、少なくとも90%の相同性を有する、例えば、少なくとも95%の相同性を有する、例えば、少なくとも97%の相同性を有する、例えば、100%の相同性を有する(例えば相補的である)。
【0012】
本発明は、本発明によるオリゴマーを含むコンジュゲート、例えば、オリゴマーの核酸塩基配列に加え、本発明のオリゴマーに共有結合している少なくとも1つの非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分を含むコンジュゲートをさらに提供する。
【0013】
本発明は、合計10-50、例えば10-30核酸塩基の配列からなる化合物(例えばオリゴマー)を提供し、その化合物は少なくとも8 連続核酸塩基のサブ配列を含み、ここでそのサブ配列はPCSK9ポリペプチドをコードする天然哺乳類核酸に存在する連続配列に対応し、そのサブ配列はPCSK9ポリペプチドをコードする対応する核酸と比較して1以下のミスマッチを含み得る。
【0014】
本化合物は、そのサブ配列に隣接する5'フランキング核酸塩基配列、または3'フランキング配列、または5'と3'の両方のフランキング配列をさらに含んでもよく、ここで、そのフランキング配列は合計2〜42の核酸塩基ユニット、例えば2〜22の核酸塩基ユニットからなり、そのサブ配列と結合した場合に、その結合した連続核酸塩基配列、すなわち、そのサブ配列およびそのフランキング配列からなる配列は、PCSK9ポリペプチドをコードする核酸に存在する対応する配列に対して、少なくとも80%の相同性を有する、例えば、少なくとも85%の相同性を有する、例えば、少なくとも90%の相同性を有する、例えば、少なくとも95%の相同性を有する、例えば、少なくとも97%の相同性を有する、例えば、100%の相同性を有する。
【0015】
本発明は、医薬に使用するための本発明によるオリゴマーをさらに提供する。
【0016】
哺乳類細胞または組織においてPCSK9発現を調節する方法であって、その哺乳類細胞または組織を本発明の1以上のオリゴマー化合物または組成物と接触させることを含む方法をさらに提供する。典型的には、PCSK9の発現は抑制される、または減少する。
【0017】
また、PCSK9発現に関係する疾患または症状、例えば高コレステロール血症または関連障害を有するまたは罹患しやすい疑いのある哺乳動物、例えばヒトを、治療的または予防的有効量の本発明の1以上のオリゴマー化合物または組成物を投与することによって処置する方法も開示する。
【0018】
さらに、PCSK9発現を抑制するために、およびPCSK9活性に関係する疾患、例えば高コレステロール血症および/または関連障害を処置するためにオリゴマー化合物を用いる方法を提供する。
【0019】
本発明は、本発明のオリゴマーまたはコンジュゲート、および製薬的に許容される希釈剤、担体、塩またはアジュバントを含む医薬組成物を提供する。
【0020】
本発明はまた、本発明によるオリゴマー化合物、およびさらに、血清コレステロールレベルを調節することができる化合物、例えば、アポリポタンパク質B(Apo-B100)のモジュレーター、特にApo-B核酸標的に標的化されたアンチセンスオリゴヌクレオチド(オリゴマー)を含む医薬組成物も提供する。
【0021】
本発明は、患者における、i)血清コレステロールレベルを減少させる、またはii)血清LDL-コレステロールレベルを減少させる、またはiii)HDL/LDL比を改善する方法であって、本発明によるオリゴマーまたはコンジュゲートまたは医薬組成物を患者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0022】
本発明は、患者における血漿トリグリセリドを低下させる方法であって、本発明によるオリゴマーまたはコンジュゲートまたは医薬組成物を患者に投与して血清トリグリセリドレベルを減少させる工程を含む方法を提供する。
【0023】
本発明は、患者における肥満を処置する方法であって、本発明によるオリゴマーまたはコンジュゲートまたは医薬組成物を処置を必要とする患者に投与して患者の体重を減少させる工程を含む方法を提供する。
【0024】
本発明は、患者における高コレステロール血症または関連障害を処置する方法であって、本発明によるオリゴマーまたはコンジュゲートまたは医薬組成物を、高コレステロール血症または関連障害の処置を必要とする患者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0025】
本発明は、患者におけるインスリン耐性を処置する方法であって、本発明によるオリゴマーまたはコンジュゲートまたは医薬組成物を処置を必要とする患者に投与して、患者のインスリンに対する感受性を増大させる工程を含む方法を提供する。
【0026】
本発明は、患者におけるII型糖尿病を処置する方法であって、本発明によるオリゴマーまたはコンジュゲートまたは医薬組成物をII型糖尿病に罹患した患者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0027】
本発明は、代謝障害、例えば、メタボリックシンドローム、糖尿病またはアテローム性動脈硬化症を処置する方法であって、本発明によるオリゴマーまたはコンジュゲートまたは医薬組成物を必要とする患者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0028】
本発明は、以下からなる群から選択される疾患または障害の処置のための、本発明によるオリゴマーまたはコンジュゲートを提供する:高コレステロール血症または関連障害、炎症性疾患または障害、関節炎、喘息、アルツハイマー病、代謝疾患または障害、メタボリックシンドローム、糖尿病およびアテローム性動脈硬化症。
【0029】
関連出願
本出願は米国仮出願第60/828,735号および第60/972,932号の優先権を主張し、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
さらに、本出願は米国仮出願第60/977,409号の優先権を主張し、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
発明の詳細な説明
PCSK9を標的とするオリゴマー
本発明は、哺乳類PCSK9、例えば配列番号1に示すPCSK9タンパク質をコードする核酸分子、および哺乳類PCSK9をコードするかかる核酸分子の天然アレル変異体の機能を調節するのに用いるために、オリゴマー化合物(本明細書においてオリゴマーと称する)、特にアンチセンスオリゴヌクレオチドを採用する。
【0031】
一実施形態において、本化合物は、哺乳類PCSK9をコードする対応する核酸に対して、少なくとも80%の相同性を有する、例えば、核酸標的配列、例えば、PCSK9ポリペプチドをコードするmRNA、例えば、配列番号2、またはそれらの天然アレル変異体の対応する領域(例えばセンスまたは好ましくはアンチセンス鎖)に対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、93と1/3%、93.75%、94%、95%、96%または少なくとも97%相補的である、例えば少なくとも98%相補的、例えば100%相補的である。
【0032】
哺乳類PCSK9は、好ましくは霊長類、ヒト、サル、チンパンジー;齧歯類、ラット、マウスおよびウサギからなる群において選択される;好ましくは、哺乳類PCSK9はヒトPCSK9である。
【0033】
本オリゴマーは、典型的には、連続核酸塩基配列を含むまたはからなる。
【0034】
一実施形態において、本オリゴマーの核酸塩基配列は連続核酸塩基配列からなる。
【0035】
サブ配列およびフランキング配列
一実施形態において、本オリゴマー化合物は、少なくとも8、例えば、少なくとも10、例えば、少なくとも12、例えば、少なくとも13、例えば、少なくとも14連続核酸塩基の少なくとも1つのコアサブ配列を含み、ここでそのサブ配列はPCSK9ポリペプチドをコードする天然哺乳類核酸、例えばヒトPCSK9(そのcDNA配列は配列番号2に示している)に存在する連続配列に対応し、ここでそのサブ配列は対応する哺乳類核酸と比較して1以下のミスマッチを含み得る。
【0036】
適切なサブ配列は、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18および配列番号19からなる群から選択される核酸配列、または表2および3に示す(アンチセンス)配列の群から選択される配列、および図17に示す強調表示した(網掛けした)(ヒトとマウスPCSK9 mRNA間で相補性の)配列の配列(の相補体)の1つに存在する連続配列に対応する配列から選択され得る。
【0037】
好ましいサブ配列は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、または配列番号8のいずれか、最も好ましくは配列番号3または配列番号4に存在する同等の(equivalent)ヌクレオチド配列に対応する、少なくとも8、例えば、少なくとも10、例えば、少なくとも12、例えば、少なくとも13、例えば、少なくとも14連続核酸塩基を含む、またはからなる。
【0038】
本化合物は、そのサブ配列に連続する5'フランキング核酸塩基配列、または3'フランキング配列、または5'および3'フランキング配列の両方をさらに含み得、ここでそのフランキング配列は合計2〜22核酸塩基ユニットからなり、そのサブ配列と結合した場合、その結合した連続核酸塩基配列、すなわちそのサブ配列およびそのフランキング配列からなる配列は、PCSK9ポリペプチドをコードする核酸、例えば、配列番号2、またはそれらの天然アレル変異体に存在する対応する配列(例えば、センスまたは好ましくはアンチセンス鎖)に対して、少なくとも80%の相同性を有する、例えば少なくとも85%の相同性、例えば少なくとも90%の相同性、例えば少なくとも95%の相同性、例えば少なくとも97%の相同性、例えば100%の相同性を有する。
【0039】
フランキング配列は、合計2〜22核酸塩基ユニット、例えば3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21核酸塩基、または例えば、4〜12核酸塩基、または例えば、2〜10核酸塩基、例えば、5〜10核酸塩基、または5〜8核酸塩基、例えば、7〜9核酸塩基からなり得る。
【0040】
一実施形態において、そのフランキング配列は5'からそのサブ配列までの少なくとも2核酸塩基ユニットから構成される(comprise of)。
【0041】
一実施形態において、そのフランキング配列は5'からそのサブ配列までの1〜6核酸塩基ユニットを含む。
【0042】
一実施形態において、そのフランキング配列は、3'からそのサブ配列までの少なくとも2核酸塩基ユニットから構成される。
【0043】
一実施形態において、そのフランキング配列は、3'からそのサブ配列までの1〜6核酸塩基ユニットを含む。
【0044】
それぞれのフランキング配列の配列はそれぞれ連続配列を形成するのが好ましい。
【0045】
結合した連続核酸塩基配列
結合した連続核酸塩基配列、すなわち、サブ配列および存在するならばフランキング配列からなる配列は、PCSK9ポリペプチドをコードする核酸、例えば、配列番号2、またはそれらの天然アレル変異体に存在する対応する配列に対して、少なくとも80%の相同性を有する、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも97%、例えば100%の相同性を有する。
【0046】
一実施形態において、3'フランキング配列および/または5'フランキング配列は、独立して、1〜10核酸塩基、例えば、2、3、4、5、6、7、8、または9核酸塩基、例えば、2〜6核酸塩基、例えば、3または4核酸塩基を含み得、または、からなり得、それらは一実施形態において、ヌクレオチド類似体、例えばLNAユニットであり得、または別の実施形態において、ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体の組合せであり得る。
【0047】
核酸塩基領域およびコンジュゲート
核酸塩基の連続配列(すなわち核酸塩基配列)からなる本発明の化合物は、非核酸塩基成分、例えば、本明細書において称するコンジュゲートをさらに含み得ることが認識されるであろう。
【0048】
従って、一実施形態において、本発明の化合物はポリヌクレオチド領域、すなわち核酸塩基領域、およびさらなる非核酸塩基領域の両方を含み得る。核酸塩基配列からなる本発明の化合物を言及する場合、その化合物は非核酸塩基成分、例えばコンジュゲート成分を含み得る。
【0049】
あるいは、本発明の化合物は完全に(連続)核酸塩基領域からなり得る。
【0050】
一実施形態において、核酸塩基部分および/またはサブ配列は、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14および少なくとも15連続ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体から選択され、それらは好ましくは標的核酸に対して相補的であるが、上記のように、PCSK9ポリペプチドをコードする核酸、例えば、配列番号2またはそれらの天然アレル変異体に存在する対応する配列に対して1または2のミスマッチを含み得る。
【0051】
一実施形態において、本発明による化合物は、22核酸塩基以下、例えば、20核酸塩基以下、例えば、18核酸塩基以下、例えば、15、16または17核酸塩基からなり、必要に応じて1以上の非核酸塩基要素とコンジュゲートしている。
【0052】
RNAアンタゴニスト
哺乳類PCSK9(標的)をコードする核酸は、センスまたはアンチセンス配向、好ましくはセンス配向であり得、例えば、(cDNA同等物の)PCSK9 mRNAであり得る。
【0053】
好ましい一実施形態において、本化合物は、標的タンパク質をコードする遺伝子のRNA転写物である標的核酸、例えば、mRNAまたはmRNA前駆体を標的としてもよく、以下からなる群から選択される化合物の形態であり得る:アンチセンス阻害剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、miRNA、リボザイムおよびオリゴザイム。
【0054】
本発明の化合物は、RNAアンタゴニスト、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNA、好ましくはアンチセンスオリゴヌクレオチドであることが非常に好ましい。
【0055】
適切には、アンチセンスオリゴヌクレオチドがPCSK9遺伝子を発現する細胞に導入される場合、PCSK9 mRNAレベルの減少が起こり、細胞におけるPCSK9の発現レベルの減少が起こる。
【0056】
PCSK9 mRNAを標的とするオリゴマーは、標的mRNA核酸、例えば、5'非翻訳リーダー、エクソン、イントロンおよび3'非翻訳末端に沿ったいずれかの部位にハイブリダイズし得る。しかしながら、PCSK9 mRNAを標的とするオリゴマーは、標的核酸の成熟mRNA形態にハイブリダイズするのが好ましい。
【0057】
アンチセンス阻害剤として設計する場合、例えば、本発明のオリゴヌクレオチドは標的核酸に結合し、その同族(cognate)タンパク質の発現を調節する。好ましくは、かかる調節により、通常の発現レベルと比較して少なくとも10%または20%の発現の阻害、より好ましくは通常の発現レベルと比較して少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%の阻害が生じる。適切には、5〜25nMの濃度の本発明の化合物を用いた場合にかかる調節が見られる。異なる実施形態における同様の場合、発現の阻害は、100%未満、例えば、98%阻害未満、95%阻害未満、90%阻害未満、80%阻害未満、例えば、70%阻害未満である。発現レベルの調節は、タンパク質レベルの測定によって、例えば、SDS-PAGEに次いで標的タンパク質に対する適切な抗体を用いたウェスタンブロットを行うなどの方法によって測定する。あるいは、発現レベルの調節は、mRNAのレベルを測定することによって、例えばノーザン・ブロットまたは定量的RT-PCRによって測定することができる。mRNAレベルを介して測定する場合、適切な用量、例えば5〜25nM濃度を用いる場合の下方制御レベルは、一実施形態において、典型的には本発明の化合物の非存在下における通常レベルの10-20%のレベルである。
【0058】
好ましくは本発明による化合物はアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0059】
例えばsiRNAの産生において、本発明の化合物は相補的配列の二本鎖、すなわち二本鎖オリゴヌクレオチドからなり得ることが認識され、ここで二本鎖の配列のそれぞれは本発明の化合物に沿って規定されるとおりである。典型的には、かかるsiRNAは、典型的には、どちらの末端にも2ヌクレオチドの3'オーバーハングを有する、2つの相補的な短いRNA(または同等の核酸塩基)配列、例えば21〜23ヌクレオチド長配列から構成される。イン・ビボにおける更新(update)を促進するために、siRNAはコンジュゲートされ得る、例えば、ステロール、例えばコレステロール群とコンジュゲートされ得る(典型的には片方または両方の鎖の3'または5'末端において)。siRNAはヌクレオチド類似体、例えば、国際公開第2005/073378号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)に記載のようなLNAを含み得る。
【0060】
本発明の一局面において、本化合物は本質的に二本鎖ではない、例えばsiRNAではない。
【0061】
一実施形態において、本発明の化合物はRNA(ユニット)を含まない。
【0062】
オリゴマー(または連続核酸塩基配列)の長さは、標的の阻害が起こる長さによって決定されるであろう。標的との完全なマッチにおいて、8塩基という短さの連続ヌクレオチド配列またはオリゴマーで十分であり得るが、一般にはより長い、例えば10または12、好ましくは12-16塩基であろう。オリゴマーの最大サイズは、因子、例えば生産費用および簡便性、そのオリゴマーを操作して標的mRNAを担持する細胞へそのオリゴマーを導入できるかどうか、さらに所望の結合親和性および標的特異性などの因子によって決定されるであろう。長すぎる場合、増加した数のミスマッチに望まずして耐える場合があり、これにより非特異的結合が生じ得る。
【0063】
本発明の化合物(オリゴマーまたはオリゴマー化合物)は、10〜50核酸塩基、例えば10〜30核酸塩基、例えば、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28または29核酸塩基からなるまたは構成される。
【0064】
特に好ましい化合物は、約10〜約30核酸塩基、または12〜25核酸塩基を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、一実施形態において、13-18核酸塩基、例えば、13、14、15、16または17核酸塩基を含むアンチセンス化合物である。一実施形態において、本発明によるオリゴマーは22以下の核酸塩基からなる。一実施形態において、本発明の化合物は20未満の核酸塩基を含むのが好ましい。
【0065】
一実施形態において、本発明によるオリゴマーは、22以下の核酸塩基、例えば、20以下の核酸塩基、例えば、18以下の核酸塩基、例えば、15、16または17核酸塩基からなり、必要に応じて1以上の非核酸塩基要素、例えばコンジュゲートとコンジュゲートしている。
【0066】
一実施形態において、本オリゴマーまたは連続核酸塩基配列は10〜22核酸塩基長を有する。
【0067】
一実施形態において、本オリゴマーまたは連続核酸塩基配列は10〜18核酸塩基長を有する。
【0068】
一実施形態において、本オリゴマーまたは連続核酸塩基配列は10〜16核酸塩基長を有する。
【0069】
一実施形態において、本オリゴマーまたは連続核酸塩基配列は12〜16核酸塩基長を有する。
【0070】
一実施形態において、本オリゴマーまたは連続核酸塩基配列は12〜14核酸塩基長を有する。
【0071】
一実施形態において、本オリゴマーまたは連続核酸塩基配列は14〜16核酸塩基長を有する。
【0072】
一実施形態において、本オリゴマーまたは連続核酸塩基配列は14〜18核酸塩基長を有する。
【0073】
一実施形態において、本オリゴマーまたは連続核酸塩基配列は14、15または16核酸塩基長を有する。
【0074】
一実施形態において、本オリゴマーまたは連続核酸塩基配列は10〜14核酸塩基長、例えば、10、11、12、13または13核酸塩基長を有する。米国特許仮出願第60/977,409号において記載されているように、かかる短いオリゴヌクレオチド、すなわち「ショートマー(shortmer)」は、イン・ビボにおける標的の下方制御に驚く程影響している。
【0075】
好ましい配列
本発明の標的配列は、非限定的な一実施形態において、以下のように同定され得る。第1の工程において、標的遺伝子における保存されている領域を同定する。それらの保存されている領域のうち、多形性を有する配列はいずれも、この領域の標的配列に結合するよう設計されたオリゴマーの結合特異性および/または親和性に影響する可能性があるので、通常除外される(特別な目的で必要でない限り)。パリンドロームまたは繰り返し配列を有する領域はいずれも通常除外される。次いで、残りの領域を解析し、適切な長さ(例えば、本明細書において称するオリゴマー/連続核酸塩基配列の長さ)、例えば10-50核酸塩基、好ましくは10-25核酸塩基、より好ましくは10、11、12、13、14、15または16核酸塩基の候補標的配列を同定する。コンピューター解析に基づいて、ダイマーまたはヘアピン構造などの構造を形成しやすい標的配列は通常除外される。
【0076】
好ましくはこれらの候補標的配列は、動物界を通して、または少なくとも前臨床試験に必要そうな動物の間で高度の配列相同性を示す。このことは、動物モデルにおいて試験すべき、同定されたオリゴマー配列、および対応するオリゴマー、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用を可能にする。特に有用なのは、ヒト、チンパンジー、イヌ、ラット、マウス、最も好ましくはヒトおよびマウス(および/またはラット)において保存されている標的配列である。
【0077】
適切な核酸塩基配列、例えば、本発明のオリゴマーのモチーフ配列は、本明細書において表3に提供されている。
【0078】
一実施形態において、連続核酸塩基配列は、表3に示す核酸配列に存在する連続ヌクレオチド配列、例えば、配列番号40〜配列番号393;配列番号30〜配列番号39;配列番号3、4および5からなる群から選択される連続ヌクレオチド配列である。
【0079】
他の好ましいオリゴヌクレオチドは、配列番号40〜配列番号393;配列番号30〜配列番号39;配列番号3、4および5からなる群からの配列から選択される10、11、12、13、14、15および16の連続的な(continuous)(例えば連続)核酸塩基の配列を含む。
【0080】
本発明のいくつかの好ましいオリゴマー、および核酸塩基配列は表2に示されている。
【0081】
一実施形態において、核酸塩基部分(例えば連続核酸塩基配列)は、以下の配列の1つから選択される、または含む:配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18および配列番号19、または一実施形態において、それらのサブ配列、例えば、10、11、12、13、14、15および16の連続的な(例えば連続)核酸塩基のサブ配列。
【0082】
一実施形態において、連続核酸塩基配列は以下からなる群から選択される核酸配列に存在する連続ヌクレオチド配列である:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38および配列番号39、または、一実施形態において、それらのサブ配列、例えば、10、11、12、13、14、15および16の連続的な(例えば連続)核酸塩基のサブ配列。
【0083】
一実施形態において、連続核酸塩基またはオリゴマーは以下からなる群から選択される:配列番号10、配列番号20、配列番号11、配列番号9、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28および配列番号29、または、一実施形態においてそれらのサブ配列、例えば、10、11、12、13、14、15および16の連続的な(例えば連続)核酸塩基のサブ配列。
【0084】
一実施形態において、核酸塩基部分は以下の配列の1つから選択される、または含む:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8(好ましくは配列番号3および配列番号4)、または、一実施形態において、それらのサブ配列、例えば、10、11、12、13、14、15および16の連続的な(例えば連続)核酸塩基のサブ配列。
【0085】
他の好ましいオリゴヌクレオチドは、配列番号9、10および11からなる群からの配列から選択される、10、11、12、13、14、15および16の連続的な(例えば連続)核酸塩基の配列を含む。本発明のさらに好ましい局面は、配列番号9、10または11からなるまたは構成される化合物を対象とする。
【0086】
一実施形態において、特定のギャップマー(gapmer)オリゴヌクレオチド配列、例えば、結合がホスホロチオエート結合である場合の本明細書において提供するもの(例えば配列番号9、10および11)、を言及する際に、特にヌクレオチド類似体ユニット、例えばLNAユニット間の結合のために、別の結合、例えば、本明細書に開示の結合を用いることができる、例えばリン酸塩結合を用いることができることは、当業者には理解できるであろう。同様に、特定のギャップマーオリゴヌクレオチド配列、例えば本明細書にて提供のもの(例えば配列番号9、10および11)を言及する際に、C残基を5'メチル修飾シトシンと注釈している場合、一実施形態において、オリゴヌクレオチドに存在する1以上のCsは非修飾C残基であり得る。
【0087】
一実施形態において、核酸塩基配列は以下からなる群から選択される配列である配列または選択される配列に対応する配列からなるまたは構成される:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8、またはその配列に存在する少なくとも12、13、14、15、または16連続(consecutive)核酸塩基の連続配列、ここで本化合物に存在するヌクレオチドは対応するヌクレオチド類似体によって置換され得、またその化合物はその選択された配列に対して1、2、または3ミスマッチを含み得る。
【0088】
一実施形態において、本発明による化合物は、配列番号3または同等の核酸塩基配列からなる、または構成される。
【0089】
一実施形態において、本発明による化合物は、配列番号4または同等の核酸塩基配列からなる、または構成される。
【0090】
一実施形態において、本発明による化合物は、配列番号5または同等の核酸塩基配列からなる、または構成される。
【0091】
一実施形態において、本発明による化合物は、配列番号6または同等の核酸塩基配列からなる、または構成される。
【0092】
一実施形態において、本発明による化合物は、配列番号7または同等の核酸塩基配列からなる、または構成される。
【0093】
一実施形態において、本発明による化合物は、配列番号8または同等の核酸塩基配列からなる、または構成される。
【0094】
一実施形態において、本発明による化合物は、配列番号9からなる、または構成される。
【0095】
一実施形態において、本発明による化合物は、配列番号10からなる、または構成される。
【0096】
一実施形態において、本発明による化合物は、配列番号11からなる、または構成される。
【0097】
一実施形態において、本発明による化合物は、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38または配列番号39からなる、または構成される。
【0098】
本発明の他のオリゴマーは、上記に列挙した配列番号または実施例において参照される化合物番号の1つから選択される、10、11、12、13、14、15および16の連続的な(例えば連続)核酸塩基の配列を含む。
【0099】
本発明の他のオリゴマーは、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18および配列番号19、または表2または表3に示す(アンチセンス)配列からなる群からの配列から選択される10、11、12、13、14、15および16の連続的な(例えば連続)核酸塩基の配列を含む。
【0100】
本発明の他のオリゴマーは、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号47、配列番号49、配列番号54、配列番号56、配列番号118、配列番号136および配列番号139からなる群からの配列から選択される10、11、12、13、14、15および16の連続的な(例えば連続)核酸塩基の配列を含む。
【0101】
好ましい化合物は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8、または好ましくは配列番号3および配列番号4からなる群から選択される配列に存在するヌクレオチド配列に対応する10、11、12、13、14、15または16の連続的な(例えば連続)核酸塩基からなる。
【0102】
さらなる好ましい化合物は米国特許仮出願第60/828,735号の表2および表3、米国特許仮出願第60/972,932号の表4に示されている。これらの出願はこれにより本明細書に特に組み込まれる(本明細書に記載の実施形態の特定のリストにおいて参照される)。
【0103】
適切には、本発明によるオリゴマーは、上記の配列番号の配列の1つからなる、または構成される。
【0104】
相補性およびミスマッチ
一実施形態において、本発明の化合物は、PCSK9ポリペプチド、例えば、配列番号2またはそれらの天然アレル変異体をコードする核酸に存在する対応する配列の対応する(連続)領域に100%相補的な(連続)核酸塩基配列からなる。
【0105】
しかしながら、一実施形態において、本発明の化合物は好ましくは、PCSK9ポリペプチドをコードする核酸、例えば、配列番号2またはそれらの天然アレル変異体に存在する配列の対応する領域に対して、4より多い、例えば、3より多い、例えば、2より多い、例えば、1より多いミスマッチを含まない。
【0106】
サブ配列が8または9核酸塩基からなる場合、好ましくは、配列番号2またはそれらの天然アレル変異体の対応する領域と最大で1つのミスマッチのみを含み得る、例えば、ミスマッチがなくてもよい。しかしながら、少なくとも10、例えば、少なくとも11核酸塩基、例えば、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14または少なくとも15核酸塩基の、より長いサブ配列において、さらなるミスマッチが導入され得る、例えば、配列番号2またはそれらの天然アレル変異体の対応する領域と合計1、2、3または4のミスマッチがサブ配列に導入されうる。しかしながら、上記のように少なくとも10の核酸塩基の、より長いサブ配列に関して、サブ配列は少なくとも8核酸塩基の少なくともコア連続配列を含み得、ここでそのコア連続配列において、PCSK9ポリペプチドをコードする核酸、例えば、配列番号2、またはそれらの天然アレル変異体に存在する配列の対応する領域と最大で1つのみのミスマッチが許容され、好ましくはミスマッチを含まない。
【0107】
一実施形態において、化合物は、核酸標的配列、例えば、PCSK9ポリペプチドをコードするmRNA、例えば、配列番号2の対応する領域に対して、少なくとも80%、例えば、少なくとも85%、例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも91%、例えば、少なくとも92%、例えば、少なくとも93%、例えば、少なくとも93と1/3%、例えば、少なくとも93.75%、例えば、少なくとも94%、例えば、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%または少なくとも97%相補的、例えば、100%相補的である。
【0108】
化合物が治療作用を発揮することができる原理を参照すると、本発明の標的はPCSK9ポリペプチドをコードする核酸、例えば、配列番号2またはそれらの天然アレル変異体に存在する対応する配列に由来するmRNAであり得る。
【0109】
ヌクレオチドのみからなる好ましいヌクレオチド配列モチーフまたはヌクレオチド配列を参照する場合、その配列によって規定される本発明の化合物は、その配列に存在する1以上のヌクレオチドのかわりに、オリゴヌクレオチド/標的二本鎖のTmを上昇させる対応するヌクレオチド類似体、例えば、LNAユニットまたは他のヌクレオチド類似体、例えば、以下に記載のヌクレオチド類似体、特にLNAおよび/または2'置換ヌクレオチド(2'修飾)を含み得ることが認識されるであろう。
【0110】
ヌクレオチド類似体
一実施形態において、オリゴマーに存在する少なくとも1つの核酸塩基は、5-メチルシトシン、イソシトシン、プソイドイソシトシン(pseudoisocytosine)、5-ブロモウラシル、5-プロピニルウラシル、6-アミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、ジアミノプリンおよび2-クロロ-6-アミノプリンからなる群から選択される修飾核酸塩基である。
【0111】
ヌクレオチドのみからなる好ましいヌクレオチド配列モチーフまたはヌクレオチド配列を参照する場合、その配列により規定される本発明のオリゴマーは、その配列に存在する1以上のヌクレオチドのかわりに、オリゴマー/標的二本鎖の二本鎖安定性/Tmを上昇させる対応するヌクレオチド類似体(すなわち親和性増大ヌクレオチド類似体)、例えば、LNAユニットまたは他のヌクレオチド類似体を含み得ることが認識されるであろう。
【0112】
さらに、ヌクレオチド類似体はイン・ビボにおいて、オリゴマーの安定性を増大させ得る。
【0113】
オリゴマー核酸塩基配列、例えば、LNAまたは2'-置換糖、好ましくはLNAに、親和性増大ヌクレオチド類似体を組み込むと、特異的に結合するオリゴヌクレオチドのサイズを減少させることができ、また非特異的または異所性の結合が起こる前にオリゴヌクレオチドのサイズの上限を減少させることもできる。親和性増大ヌクレオチド類似体は、オリゴマーの核酸塩基配列に挿入した場合に、親和性増大ヌクレオチド類似体のかわりにDNAヌクレオチドを含む同等のオリゴマーと比較して、相補的RNA(例えばmRNA標的)と二本鎖を形成した際のオリゴマーのTm上昇がおこるものである。
【0114】
適切な好ましいヌクレオチド類似体の例は、国際特許出願第PCT/DK2006/000512号に提供されている、または参照されている。
【0115】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのそのヌクレオチド類似体は2'-MOE-RNAである、例えば、2、3、4、5、6、7または8の2'-MOE-RNA核酸塩基ユニットである。
【0116】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのそのヌクレオチド類似体は、2'-フルオロDNAである、例えば、2、3、4、5、6、7または8の2'-フルオロ-DNA核酸塩基ユニットである。
【0117】
本発明のオリゴマーにおいて用いられ得るヌクレオチド類似体の具体例は、例えばFreier&Altmann; Nucl. Acid Res., 1997, 25, 4429-4443およびUhlmann; Curr. Opinion in Drug Development, 2000, 3(2), 293-213およびスキーム1に記載されている:
【化1】
【0118】
「LNA」なる用語は「ロックド核酸」として知られる二環式ヌクレオチド類似体を意味する。それはLNAモノマーを意味する場合もあり、または「LNAオリゴヌクレオチド」の文脈において用いる場合、1以上のかかる二環式ヌクレオチド類似体を含有するオリゴヌクレオチドを意味する場合もある。本発明のオリゴヌクレオチド化合物において用いるLNAは好ましくは以下の一般式の構造を有する:
【化2】
[式中、XおよびYは-O-、-S-、-N(H)-、N(R)-、-CH2-または-CH-(二重結合の一部の場合)、-CH2-O-、-CH2-S-、-CH2-N(H)-、-CH2-N(R)-、-CH2-CH2-または-CH2-CH-(二重結合の一部の場合)、-CH=CH-からなる群から独立して選択され、ここでRは水素およびC1-4-アルキルから選択され;ZおよびZ*はヌクレオシド間結合、末端基または保護基から独立して選択され;Bは天然または非天然ヌクレオチド塩基部分を構成し;不斉基はいずれかの配向にて見られ得る]。
【0119】
好ましくは、本発明のオリゴマーに用いられるLNAは以下のいずれかの式による少なくとも1つのLNAユニットを含む:
【化3】
[式中、Yは-O-、-S-、-NH-、またはN(RH)であり;ZおよびZ*はヌクレオシド間結合、末端基または保護基から独立して選択され;Bは天然または非天然ヌクレオチド塩基部分を構成し、RHは水素およびC1-4-アルキルから選択される]。
【0120】
好ましくは、本発明のオリゴマー化合物、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドにおいて用いられるロックド核酸(LNA)は、国際特許出願第PCT/DK2006/000512号のスキーム2に示されるいずれかの式によるロックド核酸(LNA)ユニットを含む少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
【0121】
好ましくは、本発明のオリゴマーに用いるLNAは-O-P(O)2-O-、-O-P(O,S)-O-、-O-P(S)2-O-、-S-P(O)2-O-、-S-P(O,S)-O-、-S-P(S)2-O-、-O-P(O)2-S-、-O-P(O,S)-S-、-S-P(O)2-S-、-O-PO(RH)-O-、O-PO(OCH3)-O-、-O-PO(NRH)-O-、-O-PO(OCH2CH2S-R)-O-、-O-PO(BH3)-O-、-O-PO(NHRH)-O-、-O-P(O)2-NRH-、-NRH-P(O)2-O-、 NRH-CO-O-から選択されるヌクレオシド間結合を含み、ここでRHは水素およびC1-4-アルキルから選択される。
【0122】
特に好ましいLNAユニットをスキーム2に示す:
【化4】
【0123】
「チオ-LNA」なる用語は、上記一般式において少なくとも1つのXまたはYがSまたは-CH2-S-から選択されるロックドヌクレオチドを含む。チオ-LNAはベータ-Dおよびアルファ-L-立体配置の両方の形態であり得る。
【0124】
「アミノ-LNA」なる用語は、上記の一般式において少なくとも1つのXまたはYが-N(H)-、N(R)-、CH2-N(H)-および-CH2-N(R)-から選択され、ここでRが水素およびC1-4-アルキルから選択される、ロックドヌクレオチドを含む。アミノ-LNAはベータ-Dおよびアルファ-L-立体配置の両方の形態であり得る。
【0125】
「オキシ-LNA」なる用語は、上記の一般式において少なくとも1つのXまたはYが-O-または-CH2-O-を表すロックドヌクレオチドを含む。オキシ-LNAはベータ-Dおよびアルファ-L-立体配置の両方の形態であり得る。
【0126】
「ena-LNA」なる用語は、上記の一般式においてYが-CH2-O-であるロックドヌクレオチド(ここで-CH2-O-の酸素原子は塩基Bに対して2'位に結合している)を含む。
【0127】
好ましい実施形態において、LNAはベータ-D-オキシ-LNA、アルファ-L-オキシ-LNA、ベータ-D-アミノ-LNAおよびベータ-D-チオ-LNA、特にベータ-D-オキシ-LNAから選択される。
【0128】
好ましくは、LNAを含む本発明による化合物、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドにおいて、LNA C残基は全て5'メチル-シトシンである。
【0129】
好ましくは、本発明の化合物、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドのLNAユニットは、1以上の以下のものから選択される:D-ベータまたはL-アルファ立体配置またはそれらの組み合わせのいずれかの形態の、チオ-LNA、アミノ-LNA、オキシ-LNA、ena-LNAおよび/またはアルファ-LNA。ベータ-D-オキシ-LNAは、本発明のオリゴマー化合物において用いるのに好ましいLNAである。チオ-LNAも、本発明のオリゴマー化合物において用いるのに好ましい可能性がある。アミノ-LNAも本発明のオリゴマー化合物において用いるのに好ましい可能性がある。オキシ-LNAも本発明のオリゴマー化合物において用いるのに好ましい可能性がある。Ena-LNAも本発明のオリゴマー化合物において用いるのに好ましい可能性がある。アルファ-LNAも本発明のオリゴマー化合物において用いるのに好ましい可能性がある。
【0130】
本発明の化合物、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドにおいて用いられるロックド核酸(LNA)は、国際特許出願第PCT/DK2006/000512号のスキーム1に示す一般式の構造を有する。「チオ-LNA」、「アミノ-LNA」、「オキシ-LNA」、「ena-LNA」、「アルファ-L-LNA」、「LNA誘導体」、「ロックドヌクレオチド」および「ロックド核酸塩基」なる用語は、国際特許出願第PCT/DK2006/000512号に規定されているようにも用いられる。
【0131】
適切には、オリゴマーの核酸塩基配列または連続核酸塩基配列がPCSK9標的配列の対応する領域にたいして完全には相補的でない場合に、一実施形態において、オリゴマーが親和性増大ヌクレオチド類似体を含む場合は、かかるヌクレオチド類似体は、PCSK9標的におけるそれらの対応するヌクレオチドとの相補体を形成する。
【0132】
よって、そのオリゴマーは、天然ヌクレオチド(好ましくは2'-デオキシヌクレオチド(本明細書において一般に「DNA」と称する)であるが、リボヌクレオチド(本明細書において一般に「RNA」と称する)もあり得る)の単純配列を含み得、またはからなり得、または1以上のヌクレオチド「類似体」を含み得る(場合により完全に1以上のヌクレオチド「類似体」からなり得る)。
【0133】
ヌクレオチド「類似体」は糖および/または塩基および/またはリン酸塩部分の修飾により生じる天然DNAまたはRNAヌクレオチドの変異体である。「核酸塩基」なる用語は、天然(DNAまたはRNAタイプ)ヌクレオチドならびにそれらのかかる「類似体」を包括するために用いられ得る。類似体は原則的に、オリゴヌクレオチドの文脈において天然ヌクレオチドに対して単に「サイレント」または「同等(equivalent)」であり得る、すなわち、そのオリゴヌクレオチドがPCSK9発現に対して作用する際に何ら機能的影響を有さない。かかる「同等」類似体は、例えば、それらがより簡単にまたは安価に製造することができる、または保管または製造条件においてより安定である、またはタグまたは標識を表すものであっても、依然として有用であり得る。しかしながら、好ましくは、その類似体は、オリゴマーが発現を阻害するように作用する際に、例えば、標的に対する増大した結合親和性、および/または細胞内ヌクレアーゼに対する増大した耐性、および/または細胞内への輸送の増大した簡便性を生ずることによる機能的効果を有するであろう。
【0134】
ヌクレオチドのかかる修飾の例には、2'-置換基を生じさせる、または、結合親和性を促進し、おそらくいくつかの増大したヌクレアーゼ耐性も提供する架橋(bridged)(ロックド核酸)構造を生じさせる、糖部分の修飾;通常のリン酸ジエステルから、ヌクレアーゼによる攻撃に対してより耐性のもの、例えば、ホスホロチオエートまたはボラノホスフェート(これら2つはリボヌクレアーゼHにより切断可能であり、PCSK9発現の調節におけるアンチセンス阻害経路も可能とする)までのヌクレオチド間結合の修飾が含まれる。
【0135】
いくつかの実施形態において、オリゴマーは3-8ヌクレオチド類似体、例えば6または7ヌクレオチド類似体を含む。圧倒的にもっとも好ましい実施形態において、ヌクレオチド類似体の少なくとも1つはロックド核酸(LNA)である;例えばヌクレオチド類似体の少なくとも3または少なくとも4、または少なくとも5、または少なくとも6、または少なくとも7、または8は、LNAであり得る。いくつかの実施形態において、全てのヌクレオチド類似体はLNAであり得る。
【0136】
いくつかの実施形態において、本発明のオリゴマー内の本明細書にて言及される領域AおよびCに存在するヌクレオチド類似体は、例えば以下から独立して選択される:2'-O-アルキル-RNAユニット、2'-アミノ-DNAユニット、2'-フルオロ-DNAユニット、LNAユニット、アラビノ核酸(ANA)ユニット、2'-フルオロ-ANAユニット、HNAユニット、INA(インターカレート核酸)ユニットおよび2'MOEユニット。また、本発明のオリゴマーに存在するヌクレオチド類似体は全て同様に塩基変化を許容するものであると考えられる。
【0137】
2'-O-メトキシエチル-RNA(2'MOE)、2'-フルオロ-DNAモノマーおよびLNAは好ましいヌクレオチド類似体であり、よって本発明のオリゴヌクレオチドはこれらの3タイプの類似体から独立して選択されるヌクレオチド類似体を含み得、または3タイプから選択される類似体のうち1つのみを含み得る。
【0138】
本発明による化合物は、一実施形態において、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8、または好ましくは配列番号3または配列番号4から選択される配列からなるまたは含む化合物である。ここで、一実施形態において、その化合物に存在するヌクレオチドは、対応するヌクレオチド類似体により置換され得、ここでその化合物はその選択された配列に対して1、2または3のミスマッチを含み得る。
【0139】
好ましい本発明による化合物は、配列番号3または4からなるまたは構成されるものであり、ここでそれらは少なくとも1つの核酸類似体を含有し、ここで一実施形態において、LNAユニットは別の対応するヌクレオチド類似体により置換され得、またここでその化合物は選択された配列に対して1、2または3のミスマッチを含み得る。
【0140】
オリゴヌクレオチド/標的核酸標的のTmを、同等のヌクレオチドと比較して増加させるヌクレオチド類似体が好ましい。
【0141】
好ましくは、本発明による化合物は、少なくとも1つのヌクレオチド類似体、例えば、ロックド核酸(LNA)ユニット、例えば、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチド類似体、例えば、ロックド核酸(LNA)ユニット、好ましくは4〜9ヌクレオチド類似体、例えば、LNAユニット、例えば、6-9ヌクレオチド類似体、例えば、LNAユニット、最も好ましくは6、7または8ヌクレオチド類似体、例えば、LNAユニットを含む。
【0142】
LNAなる用語は、PCT出願第PCT/DK2006/000512号(参照により本明細書に組み込まれる)において規定されているように用いられる。
【0143】
好ましくはLNAユニットは、少なくとも1つのベータ-D-オキシ-LNAユニット、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ベータ-D-オキシ-LNAユニットを含む。本発明の化合物、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1タイプより多いLNAユニットを含み得る。適切には、本化合物はベータ-D-オキシ-LNA、および1以上の以下のLNAユニットの両方を含み得る:D-ベータまたはL-アルファ立体配置またはそれらの組み合わせにおける、チオ-LNA、アミノ-LNA、オキシ-LNA、ena-LNAおよび/またはアルファ-LNA。
【0144】
好ましくは、本化合物、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドは、両方のヌクレオチド類似体、例えばLNAユニットおよびDNAユニットを含み得る。好ましくは、核酸塩基、例えばLNAおよびDNAユニットの合わせた合計は、10-20、例えば、14-20、例えば、15-18、例えば、15、16または17核酸塩基ユニットであり、または本明細書にて称するショートマーである。好ましくは本発明のオリゴマー化合物に存在するDNAに対するヌクレオチド類似体の比率は、0.3〜1、より好ましくは0.4〜0.9、例えば0.5〜0.8である。
【0145】
好ましくは、本発明の化合物、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドは、合計10-25、または12-25ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド類似体からなり、ここでその化合物は少なくとも8ヌクレオチドのサブ配列またはヌクレオチド類似体を含み、そのサブ配列は、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18および配列番号19からなる群から選択される配列内に位置する(すなわち対応する)。
【0146】
本発明の一局面において、ヌクレオチド(および/またはヌクレオチド類似体)はホスホロチオエート基によって互いに連結する。本発明の興味深い実施形態は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8からなる群から選択される化合物を対象とし、ここでそれぞれの化合物内のそれぞれの結合基はホスホロチオエート基である。かかる修飾は下付のSにより示している。
【0147】
本明細書において参照する表は、本発明の化合物の核酸塩基配列をさらに提供する。
【0148】
さらなる実施形態において、本発明の化合物、例えば本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、13、14、15、16、17、18、19、20または21核酸塩基を含み得る、またはからなり得る。
【0149】
好ましくは、本発明による化合物、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15ヌクレオチド類似体、例えば、LNAユニット、特に4、5、6、7、8、9または10ヌクレオチド類似体、例えば、LNAユニット、例えば、1-10ヌクレオチド類似体、例えば、LNAユニット、例えば、2-8ヌクレオチド類似体、例えば、LNAユニットを含む、またはからなる。
【0150】
リボヌクレアーゼHの動員
サブ配列または結合した核酸塩基配列は、7、8または9核酸塩基を含む、少なくとも7核酸塩基残基、例えば、少なくとも8または少なくとも9核酸塩基残基の連続的な(連続)配列を含み、哺乳類PCSK9をコードするポリヌクレオチドのそれぞれに対応する相補的標的RNAと二本鎖を形成する場合、リボヌクレアーゼHを動員することができるもの、例えばDNAヌクレオチドが好ましい。
【0151】
リボヌクレアーゼHを動員することができる連続配列のサイズは、より大きい、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18 、19または20核酸塩基ユニットであり得る。
【0152】
リボヌクレアーゼHを動員することができる連続配列は、本明細書に記載のギャップマーの文脈において称される領域Bであり得る。
【0153】
欧州特許出願公開第1222309号明細書は、リボヌクレアーゼH活性を測定するためのイン・ビトロにおける方法を提供しており、それはリボヌクレアーゼHを動員する能力を決定するのに用いられ得る。化合物は、相補的RNA標的を与えられた時に、欧州特許出願公開第1222309号明細書の実施例91-95に提供されている方法論を用いて測定して、2'置換を有さず、オリゴヌクレオチド内の全てのヌクレオチド間にホスホロチオエート結合基を有する同等のDNAのみのオリゴヌクレオチドの少なくとも1%、例えば、少なくとも5%、例えば、少なくとも10%の初速度(pmol/l/分)、または20%未満の初速度を有する場合に、リボヌクレアーゼHを動員することが可能であると見なされる。
【0154】
化合物は、相補的RNA標的およびリボヌクレアーゼHを与えられた時に、欧州特許出願公開第1222309号明細書の実施例91-95に提供されている方法論によって測定されたそのリボヌクレアーゼHの初速度(pmol/l/分)が、2'置換を有さず、オリゴヌクレオチド内の全てのヌクレオチド間にホスホロチオエート(phosphiothioate)結合基を有する同等のDNAのみのオリゴヌクレオチドを用いて測定された初速度の1%未満、例えば、5%未満、例えば、10%未満または20%未満である場合に、リボヌクレアーゼHを動員する能力が実質的にないと見なされる。
【0155】
しかしながら、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、非リボヌクレアーゼHが媒介する標的mRNAの分解を介して、例えば、翻訳の立体障害によって、または他の方法によって機能し得るとも認識される。
【0156】
本発明の化合物は、ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体の両方を含む核酸塩基配列を含み得、ギャップマー、ヘッドマー(headmer)またはミックスマー(mixmer)の形態であり得る。
【0157】
ヘッドマーは5'末端のヌクレオチド類似体の連続鎖、および3'末端に向けて続くリボヌクレアーゼHによって認識および切断可能なDNAまたは修飾核酸塩基ユニットの連続鎖(例えば少なくとも7のかかる核酸塩基)により規定され、テイルマー(tailmer)はリボヌクレアーゼHによって認識および切断可能な5'末端のDNAまたは修飾モノマーの連続鎖(例えば、少なくとも7のかかる核酸塩基)、および3'末端に向けて続くヌクレオチド類似体の連続鎖により規定される。本発明による他のキメラは、リボヌクレアーゼHにより認識および切断可能なDNAまたは修飾モノマーとヌクレオチド類似体の交互の組成からなるミックスマーと呼ばれる。いくつかのヌクレオチド類似体は、リボヌクレアーゼH結合および切断を媒介することも可能であり得る。α-L-LNAはリボヌクレアーゼH活性をある程度動員するので、ギャップマーコンストラクトのためにリボヌクレアーゼHにより認識および切断可能なDNAまたは修飾モノマーのより小さいギャップが要求される可能性があり、ミックスマーコンストラクトにおいてより高い柔軟性が導入され得る。
【0158】
ギャップマー
好ましくは、本発明の化合物はギャップマーであるアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0159】
好ましくは、ギャップマーは、式(5'-3')A-B-C(および必要に応じてD)の(ポリ)核酸塩基配列を含む;ここでA(5'領域)は、少なくとも1つのヌクレオチド類似体、例えば少なくとも1つのLNAユニット、例えば、1-6ヌクレオチド類似体、例えば、LNAユニット、好ましくは2-5ヌクレオチド類似体、例えば、2-5 LNAユニット、例えば、3または4ヌクレオチド類似体、例えば、3または4 LNAユニットからなる、または構成される;B(中央ドメイン)は、好ましくは直接Aの3'に接し(すなわち連続)、少なくとも1つのDNA糖ユニット、例えば、1-12 DNAユニット、好ましくは4-12 DNAユニット、より好ましくは6-10 DNAユニット、例えば、7-10 DNAユニット、最も好ましくは8、9または10 DNAユニットからなるまたは含む;C(3'領域)は好ましくは直接Bの3'に接し、少なくとも1つのヌクレオチド類似体、例えば、少なくとも1つのLNAユニット、例えば、1-6ヌクレオチド類似体、例えば2-5ヌクレオチド類似体、例えば、2-5 LNAユニット、最も好ましくは3または4ヌクレオチド類似体、例えば、3または4 LNAユニットからなる、または構成される。好ましいギャップマー設計は国際公開第2004/046160号パンフレットに開示されている。
【0160】
好ましいギャップマー設計には以下の場合が含まれる:
A 3または4連続ヌクレオチド類似体からなる
B リボヌクレアーゼHを動員することができる7-10連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなる
C 3または4連続ヌクレオチド類似体からなる
D 存在する場合、1つのDNAヌクレオチドからなる。
【0161】
または、
A 3連続ヌクレオチド類似体からなる
B リボヌクレアーゼHを動員することができる9連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなる
C 3連続ヌクレオチド類似体からなる
D 存在する場合、1つのDNAヌクレオチドからなる。
【0162】
または、
A 4連続ヌクレオチド類似体からなる
B リボヌクレアーゼHを動員することができる8連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなる
C 4連続ヌクレオチド類似体からなる
D 存在する場合、1つのDNAヌクレオチドからなる。
【0163】
または、
A 2連続ヌクレオチド類似体からなる
B リボヌクレアーゼHを動員することができる8連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなる
C 3連続ヌクレオチド類似体からなる
D 存在する場合、1つのDNAヌクレオチドからなる。
【0164】
または、
A 3連続ヌクレオチド類似体からなる
B リボヌクレアーゼHを動員することができる8連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなる
C 2連続ヌクレオチド類似体からなる
D 存在する場合、1つのDNAヌクレオチドからなる。
【0165】
または、
A 2連続ヌクレオチド類似体からなる
B リボヌクレアーゼHを動員することができる8連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなる
C 2連続ヌクレオチド類似体からなる
D 存在する場合、1つのDNAヌクレオチドからなる。
【0166】
中央ドメイン(B)におけるDNAヌクレオチドは、1以上において置換され得、またはさらには全てのDNAヌクレオチドが、リボヌクレアーゼHを動員することができるヌクレオチド類似体を含む、核酸塩基によって置換され得る。
【0167】
ギャップマー設計に関する上記の実施形態において、ギャップ領域「B」はあるいは、リボヌクレアーゼHを動員することができる7、8、9または10連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基であり得る。
【0168】
ギャップマーオリゴヌクレオチドにおいて、上記の中央ドメイン(B)内にはミスマッチが何も存在せず、好ましくはDNAユニットを含むまたはからなる中央ドメインの、少なくとも7の連続的な核酸塩基、例えば、7、8または9または10の連続的な核酸塩基の最短の鎖内に存在するのが非常に好ましい。
【0169】
ギャップマーオリゴヌクレオチドにおいて、あらゆるミスマッチはギャップマーの5'または3'末端に向けて位置するのが好ましい。それ故、標的mRNAに対してミスマッチを含むギャップマーオリゴヌクレオチドにおいて、かかるミスマッチが5'(A)および/または3'(C)領域のいずれかに位置し、および/またはそのミスマッチがそのギャップマーオリゴヌクレオチドと標的分子の5'または3'ヌクレオチドユニット間に存在するのが好ましい。
【0170】
好ましくは、式A-B-Cのギャップマーは、オリゴマー化合物の3'領域(C)の末端の1以上のDNA糖残基、例えば、1-3 DNA糖残基、1-2 DNA糖残基、最も好ましくは1 DNA糖残基などからなるまたは構成される、好ましくはからなるさらなる領域Dをさらに含む。
【0171】
ショートマー
米国特許仮出願第60/977409号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)は、「ショートマー」オリゴヌクレオチドを言及しており、それらは、一実施形態において特に、本発明による好ましいオリゴマー化合物である。
【0172】
一実施形態において、オリゴマーは合計10、11、12、13または14核酸塩基ユニットの連続核酸塩基配列からなり、ここで連続核酸塩基配列は式(5'-3')A-B-C、または必要に応じてA-B-C-Dにより表される。ここで:Aは1、2または3 LNAユニットからなる;Bは相補的RNA分子(例えば、mRNA標的)と二本鎖を形成する際にリボヌクレアーゼHを動員することができる7、8または9連続核酸塩基ユニットからなる;Cは1、2または3 LNAユニットからなる。存在する場合、Dは単一DNAユニットからなる。一実施形態においては、領域Dは存在しない。一実施形態において、Aは1 LNAユニットからなる。一実施形態において、Aは2 LNAユニットからなる。一実施形態において、Aは3 LNAユニットからなる。一実施形態において、Cは1 LNAユニットからなる。一実施形態において、Cは2 LNAユニットからなる。一実施形態において、Cは3 LNAユニットからなる。一実施形態において、Bは7核酸塩基ユニットからなる。一実施形態において、Bは8核酸塩基ユニットからなる。一実施形態において、Bは9核酸塩基ユニットからなる。一実施形態において、Bは1-9 DNAユニット、例えば、2、3、4、5、6、7または8 DNAユニットから構成される。一実施形態において、Bは複数のDNAユニットからなる。一実施形態において、Bはアルファ-L立体配置である少なくとも1つのLNAユニット、例えば、アルファ-L-立体配置の2、3、4、5、6、7、8または9 LNAユニットから構成される。一実施形態において、Bは少なくとも1つのアルファ-L-オキシLNAユニットから構成され、またはここで全てのアルファ-L-立体配置のLNAユニットはアルファ-L-オキシLNAユニットである。一実施形態において、A-B-Cの核酸塩基数は以下からなる群から選択される:1-8-2、2-8-1、2-8-2、3-8-3、2-8-3、3-8-2。一実施形態において、A-B-Cの核酸塩基数は以下からなる群から選択される:1-9-1、1-9-2、2-9-1、2-9-2、3-9-2および2-9-3。一実施形態において、A-B-Cの核酸塩基数は以下からなる群から選択される:2-7-1、1-7-2、2-7-2、3-7-3、2-7-3、3-7-2、3-7-4および4-7-3。一実施形態において、AおよびCの両方はそれぞれ2つのLNAユニットからなり、Bは8核酸塩基ユニット、好ましくはDNAユニットからなる。一実施形態において、AおよびCのLNAユニットは、ベータ-Dおよびアルファ-L立体配置またはそれらの組み合わせのいずれかのオキシ-LNA、チオ-LNAおよびアミノ-LNAから独立して選択される。一実施形態において、AおよびCのLNAユニットはベータ-D-オキシ-LNAである。一実施形態において、ヌクレオシド間結合は独立して以下からなる群から選択される:リン酸ジエステル、ホスホロチオエートおよびボラノホスフェート。一実施形態において、オリゴマーは少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む。一実施形態において、DNAユニットに隣接する、またはDNAユニット間のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である。一実施形態において、少なくとも1対の連続LNAユニット間の結合、例えば、領域AまたはCの2 LNAユニット間の結合はリン酸ジエステル結合である。一実施形態において、連続LNAユニット間の結合、例えば、領域AおよびCの2 LNAユニット間の結合は、リン酸ジエステル結合である。一実施形態において、全てのヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である。
【0173】
適切なヌクレオシド間結合には、国際特許出願第PCT/DK2006/000512号明細書に記載のもの、例えば国際特許出願第PCT/DK2006/000512号明細書の34頁の第一段落に記載のヌクレオシド間結合が含まれる。
【0174】
上記に記載の適切な硫黄(S)含有ヌクレオシド間結合が好ましい場合がある。ホスホロチオエートヌクレオチド間結合も、特にギャップマーのギャップ領域(B)において好ましい。ホスホロチオエート結合もフランキング領域(AおよびC、およびCからDへの結合、およびD)に用いることができる。
【0175】
しかしながら、特に、例えばヌクレオチド類似体の使用により領域AおよびC内のヌクレオシド間結合がエンドヌクレアーゼ分解から保護される場合、例えば、領域AおよびCがLNA核酸塩基を含む場合に、領域A、BおよびCは、ホスホロチオエート、例えばリン酸ジエステル結合以外のヌクレオシド間結合を含み得る。
【0176】
標的RNAのリボヌクレアーゼH切断を可能にするために、オリゴマー内の核酸塩基間結合は、リン酸ジエステル、ホスホロチオエートまたはボラノホスフェートであり得る。ホスホロチオエートは、改善されたヌクレアーゼ耐性および他の理由、例えば製造の簡便性において好ましい。
【0177】
本発明のオリゴマーの一局面において、核酸塩基(ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド類似体)はホスホロチオエート基によって互いに連結する。
【0178】
いくつかの実施形態において、領域Aは、2つのヌクレオチド類似体ユニット、またはヌクレオチド類似体ユニットおよび領域Bの核酸塩基ユニット間に少なくとも1つのリン酸ジエステル結合を含む。いくつかの実施形態において、領域Cは2つのヌクレオチド類似体ユニット、またはヌクレオチド類似体ユニットおよび領域Bの核酸塩基ユニット間に少なくとも1つのリン酸ジエステル結合を含む。
【0179】
いくつかの実施形態において、領域Cはヌクレオチド類似体ユニットおよび領域Dの核酸塩基ユニット間に少なくとも1つのリン酸ジエステル結合を含む。
【0180】
いくつかの実施形態において、領域Aの3'ヌクレオチド類似体および領域Bの5'核酸塩基間の核酸塩基間結合はリン酸ジエステルである。
【0181】
いくつかの実施形態において、領域Bの3'核酸塩基および領域Cの5'ヌクレオチド類似体間の核酸塩基間結合はリン酸ジエステルである。
【0182】
いくつかの実施形態において、領域Aの5'末端における2つの隣接するヌクレオチド類似体間の核酸塩基間結合はリン酸ジエステルである。
【0183】
いくつかの実施形態において、領域Cの3'末端における2つの隣接するヌクレオチド類似体間の核酸塩基間結合はリン酸ジエステルである。
【0184】
いくつかの実施形態において、領域Aの3'末端における2つの隣接するヌクレオチド類似体間の核酸塩基間結合はリン酸ジエステルである。
【0185】
いくつかの実施形態において、領域Cの5'末端における2つの隣接するヌクレオチド類似体間の核酸塩基間結合はリン酸ジエステルである。
【0186】
いくつかの実施形態において、領域Aは4ヌクレオチド長類似体を有し、領域Aの2つの中間のヌクレオチド類似体間の核酸塩基間結合は、リン酸ジエステルである。
【0187】
いくつかの実施形態において、領域Cは4ヌクレオチド長類似体を有し、領域Cの2つの中間のヌクレオチド類似体間の核酸塩基間結合はリン酸ジエステルである。
【0188】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物に存在するヌクレオチド類似体間の全ての核酸塩基間結合はリン酸ジエステルである。
【0189】
いくつかの実施形態において、例えば、上記の実施形態において、適切であるが具体的に示されていないのであるが、全ての残りの核酸塩基間結合は、リン酸ジエステルまたはホスホロチオエート、またはそれらの混合のいずれかである。
【0190】
いくつかの実施形態において、全ての核酸塩基間結合基はホスホロチオエートである。
【0191】
特定のギャップマーオリゴヌクレオチド配列、例えば、本明細書において提供するものを言及する場合、一実施形態において、結合がホスホロチオエート結合である場合、特にヌクレオチド類似体、例えば、LNAユニット間の結合において、別の結合、例えば本明細書において開示するものが用いられ得る、例えばリン酸塩(リン酸ジエステル)結合が用いられ得ると理解されるであろう。同様に、特定のギャップマーオリゴヌクレオチド配列、例えば本明細書において提供するものを言及する場合、C残基が5'メチル修飾シトシンと注釈される場合は、一実施形態において、オリゴヌクレオチドに存在する1以上のCsは被修飾のC残基であり得る。
【0192】
本発明の化合物の同定および調製法:
標的の発現を調節する本発明の化合物は、実験によって、または標的の配列情報および所望の標的に対してオリゴマー化合物をいかに最適に設計するかについての技術知識に基づく合理的な設計によって、同定され得る。これらの化合物の配列は、本発明の好ましい実施形態である。同様に、これらの好ましいオリゴマー化合物が相補的である標的内の配列モチーフ(「ホットスポット」と称する)は標的化に好ましい部位である。
【0193】
多くの場合において、イン・ビボにおいて、または臨床においてPCSK9発現または活性を調節するのに有効な、オリゴマー化合物、例えばLNAオリゴヌクレオチドの同定は、標的遺伝子の配列情報(例えば、配列番号2)に基づく。しかしながら、当業者であれば、かかるオリゴマー化合物は経験的な試験によっても同定できることを理解できるであろう。好ましい実施形態のものと比較して、例えば、より低い配列相同性、より多いまたはより少ない修飾のヌクレオチド、またはより長いまたはより短い長さ、を有するにもかかわらず臨床的処置に反応を示すオリゴマー化合物も、本発明の範囲内である。実施例において、経験的な試験を行う適切な方法を提供する。
【0194】
好ましい一実施形態において、本発明の化合物は、ヒトおよびマウスの両方、またはヒトおよびラットの両方、またはヒトおよびサルの両方、またはヒト、マウスおよびサルの、またはヒト、ラットおよびサルのPCSK9をコードする核酸に100%相補的な、少なくとも10、例えば、少なくとも11、例えば、少なくとも12、例えば、少なくとも14、例えば、少なくとも16、例えば、少なくとも18、例えば、12、13、14、15、16、17または18連続核酸塩基を有する、サブ配列または結合した連続核酸塩基配列を含む。一実施形態において、本化合物のポリ核酸塩基配列は、ヒトおよびマウスの両方、またはヒトおよびラットの両方、またはヒトおよびサルの両方、またはヒト、マウスおよびサルの、またはヒト、ラットおよびサルのPCSK9をコードする核酸に100%相補的である。一実施形態において、上記の1より多い哺乳類種に100%相補的な本発明の化合物を言及する場合、1以上の配列間に1または2のミスマッチが存在し得るが、ミスマッチが存在しないのが好ましい。図17はヒトおよびマウスのPCSK9ポリペプチドをコードするヒトおよびマウスのそれぞれの核酸間のアライメントを示す。表1は、NCBI遺伝子バンクアクセッション番号により提供される適切なPCSK9ポリヌクレオチドおよび対応するポリペプチドを提供する。他の哺乳類種からの特定の既知のアレル変異体および既知の相同体は、表1にて参照する配列を用いてBLAST検索を行うことにより容易に同定され得る。
【0195】
【表1】
【0196】
アミノ酸およびポリヌクレオチド相同性は、標準的設定を用いるClustalWアルゴリズムを用いて決定され得る:http://www.ebi.ac.uk/emboss/align/index.htmlを参照のこと、方法:EMBOSS::water(local):Gap Open = 10.0、Gap extend = 0.5、Blosum 62(タンパク質)。またはヌクレオチド配列にはDNAfullを用いる。図17に示されるように、かかるアライメントは、ヒトおよび異なる哺乳類種、例えばサル、マウスおよび/またはラットからのPCSK9をコードする核酸の領域を同定するためにも用いることができ、ここでその領域は、ヒトPCSK9標的核酸と、異なる哺乳類種に存在する対応する核酸の両方を標的とするオリゴヌクレオチドの設計が可能な十分な長さの核酸相補性を有する、例えば、ヒトからのPCSK9をコードする核酸と、異なる哺乳類種からのPCSK9をコードする核酸の両方に100%相補的な、少なくとも10、例えば、少なくとも12、例えば、少なくとも14、例えば、少なくとも16、例えば、少なくとも18、例えば、12、13、14、15、16、17または18連続核酸塩基を有する。
【0197】
定義
本発明のオリゴマー化合物(またはサブ配列または結合した連続核酸塩基配列)と哺乳類PCSK9をコードする核酸、例えば本明細書に開示するもの(配列番号2を含む)間の「相同性」を決定する際、相同性の決定は、本発明の化合物の対応する核酸塩基配列と哺乳類PCSK9(または標的核酸)をコードする核酸の対応する領域との単純なアライメントによって行うことができ、相同性は、アライメントした塩基数をカウントし、本発明の化合物の連続塩基の合計数で割り、100を掛けることによって決定する。かかる比較において、ギャップが存在する場合、かかるギャップは、ギャップ内の核酸塩基数が本発明の核酸塩基配列および標的核酸間で異なる領域、というよりむしろ単なるミスマッチであるのが好ましい。
【0198】
「に位置する」および「に対応する」なる用語は、オリゴマーの核酸塩基配列または連続核酸塩基配列と、核酸標的、例えばPCSK9標的タンパク質をコードするmRNA、例えば配列番号2、またはその核酸標的の逆の相補体のいずれかの同等のヌクレオチド配列との間の比較を意味する。ヌクレオチド類似体は、それらの同等または対応するヌクレオチドと直接比較する。
【0199】
「対応するヌクレオチド類似体」および「対応するヌクレオチド」なる用語は、ヌクレオチド類似体およびヌクレオチドの核酸塩基が同一であることを示すことを意図する。例えば、ヌクレオチドの2-デオキシリボースユニットがアデニンと連結している場合、「対応するヌクレオチド類似体」は、アデニンに連結するペントースユニット(2-デオキシリボースと異なる)を含有する。
【0200】
核酸塩基の配列に関して「連続的な」なる用語は、「連続」なる用語と互いに置き換えることができる。
【0201】
「核酸塩基」なる用語は、ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体の両方を包括する総称として用いられる。核酸塩基配列は、少なくとも2つのヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体を含む配列である。一実施形態において、核酸塩基配列はヌクレオチドのみ、例えばDNAユニットのみから構成され得、別の実施形態において、核酸塩基配列はヌクレオチド類似体のみ、例えば、LNAユニットのみから構成され得る。
【0202】
「核酸」なる用語は、2以上のヌクレオチドの共有結合によって形成された分子と定義する。
【0203】
「核酸」および「ポリヌクレオチド」なる用語は本明細書において互換的に用いられる。
【0204】
以下の用語は国際特許出願第PCT/DK2006/000512号明細書に規定されているように用いられる:「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド類似体」、「に位置する」、「に対応する」、「対応するヌクレオチド類似体」および「対応するヌクレオチド」、「核酸塩基」、「核酸」および「ポリヌクレオチド」、「本発明の化合物」の文脈において用いる場合の「化合物」、「オリゴマー化合物」、「オリゴヌクレオチド」、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」、および「オリゴ」、「ユニット」、「LNA」、「少なくとも1つ」、「結合基」、「コンジュゲート」、「製薬的に許容される塩」、「C1-4-アルキル」、「遺伝子」、「RNAアンタゴニスト」、「mRNA」、「相補的」、「ミスマッチ」。
【0205】
本明細書において用いる場合、「標的核酸」なる用語は、哺乳類PCSK9ポリペプチド、例えばヒトPCSK9をコードするDNA、例えば配列番号2、マウス、ラット、チンパンジーおよび/またはサルPCSK9をコードする核酸またはそれらの天然変異体、およびそれらに由来するRNA核酸、好ましくはmRNA、例えばmRNA前駆体であるが好ましくは成熟mRNAを意味する。一実施形態において、例えば、研究または診断において用いる場合、「標的核酸」は、上記DNAまたはRNA核酸標的に由来するcDNAまたは合成オリゴヌクレオチドであり得る。本発明によるオリゴマー化合物は、好ましくは標的核酸にハイブリダイズすることができる。
【0206】
「それらの天然変異体」なる用語は、規定の分類学的グループ、例えば、哺乳類、例えば、マウス、ラット、サル、チンパンジーおよび好ましくはヒトに天然に存在する、核酸配列のPCSK9ポリペプチドの変異体を意味する。典型的には、ポリヌクレオチドの「天然変異体」を意味する場合、この用語は、例えば染色体転座または複製により、NARC1遺伝子座、またはNARC-1遺伝子座に直接由来する遺伝子座に見られる、PCSK9をコードするゲノムDNA、およびRNA、例えばそれらに由来するmRNAの変異体も包括し得る。特定のポリペプチド配列、例えば配列番号1を言及する場合、この用語は、例えば翻訳と同時の、または翻訳後の修飾、例えば、シグナルペプチド切断、タンパク質切断、グリコシル化などによって加工され得るタンパク質の天然形態も含む。
【0207】
本発明による化合物は、線状分子である、または線状分子として合成されるのが好ましい。
【0208】
「結合基」なる用語は、2つのヌクレオチド、2つのヌクレオチド類似体、および、ヌクレオチドとヌクレオチド類似体などを一緒に共有結合させることができる基を意味することを意図している。具体的かつ好ましい例には、リン酸塩基およびホスホロチオエート基が含まれる。
【0209】
本文脈において、「コンジュゲート」なる用語は、本明細書に記載の化合物(すなわちヌクレオチド類似体の配列を含む化合物)と、1以上の非ヌクレオチド/非ヌクレオチド類似体、または非ポリヌクレオチド部分との共有結合によって形成されるヘテロ分子を示すことを意図する。非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分の例には、高分子物質、例えばタンパク質、脂肪酸鎖、糖残基、糖タンパク質、ポリマー、またはそれらの組み合わせが含まれる。典型的には、タンパク質は標的タンパク質の抗体であり得る。典型的なポリマーはポリエチレングリコールであり得る。本発明の化合物が核酸塩基配列からなる場合、一実施形態において、非核酸塩基部分、例えば上記のコンジュゲートをさらに含み得る。
【0210】
「少なくとも1つ」なる用語は、1より大きい、または1と等しい整数を含む、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20など。
【0211】
一実施形態において、例えば、本発明の化合物の核酸またはタンパク質標的を言及する場合、「少なくとも1つ」なる用語は、「少なくとも2つ」および「少なくとも3つ」および「少なくとも4つ」なる語を含み、同様に「少なくとも2つ」なる用語は、「少なくとも3つ」および「少なくとも4つ」なる語を含み得る。
【0212】
本明細書において用いる場合、「製薬的に許容される塩」なる用語は、本明細書において同定する化合物の所望の生物学的活性を保持し、最小の望ましくない毒性作用を示す塩を意味する。かかる塩の非限定的な例は、有機アミノ酸と形成され得、また塩基付加塩は、金属カチオン、例えば、亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム、ナトリウム、カリウムなどと、または、アンモニア、/V,/V-ジベンジルエチレン-ジアミン、D-グルコサミン、テトラエチルアンモニウムまたはエチレンジアミンから形成されたカチオンと形成され得;または(a)と(b)の組み合わせ(c);例えば、亜鉛タンニン酸塩などがある。
【0213】
本文脈において、「C1-4-アルキル」なる用語は、直線のまたは分枝の飽和炭化水素鎖を意味することを意図しており、ここでその鎖は、1-4の炭素原子、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルを有する。
【0214】
本明細書において用いる場合、「遺伝子」なる用語は、エキソン、イントロン、非コーディング5'および3'領域、調節エレメントおよび現在知られている全てのそれらの変異体、解明され得るさらなるあらゆる変異体を含む遺伝子を意味する。
【0215】
本明細書において用いる場合、「RNAアンタゴニスト」なる用語は、いずれかの形態のRNA(mRNA前駆体、mRNA、miRNA、siRNAなどを含む)を標的とするオリゴヌクレオチドを意味する。
【0216】
「関連障害」なる用語は、高コレステロール血症を言及する場合、以下からなる群から選択される1以上の症状を意味する:アテローム性動脈硬化症、高脂血症、HDL/LDLコレステロール平衡異常、脂質代謝異常、例えば、家族性複合型高脂血症(FCHL)、後天性高脂血症、スタチン耐性高コレステロール血症、冠動脈疾患(CAD)、および冠動脈心疾患(CHD)。
【0217】
一実施形態において、「オリゴマー化合物」なる用語は、例えば標的核酸への水素結合による結合によってヒトにおいて所望の治療効果を誘導することができるオリゴヌクレオチドを意味する。本明細書において開示するオリゴマー化合物は、非治療用途、例えば、診断用途を有し得るとも認識される。
【0218】
本明細書において用いる場合、「調節」なる用語は、遺伝子発現の増加(刺激)または減少(阻害)のいずれかを意味する。本発明において、阻害は遺伝子発現の調節の好ましい形態であり、mRNAは好ましい標的である。
【0219】
本明細書において用いる場合、「ハイブリダイゼーション」は水素結合を意味し、相補的ヌクレオチド塩基間のワトソン-クリック、ホルスタイン(Holstein)、逆ホルスタイン水素結合などであり得る。ワトソンとクリックはおよそ50年前に、デオキシリボ核酸(DNA)が2本の鎖の相対する相補的核酸塩基間に形成された水素結合によってらせん状の立体構造にまとまった2本の鎖から構成されることを示した。一般にDNAに見られる4つの核酸塩基は、グアニン(G)、アデニン(A)、チミン(T)およびシトシン(C)であり、そのうちG核酸塩基はCと対になり、A核酸塩基はTと対になる。RNAにおいては、核酸塩基チミンは核酸塩基ウラシル(U)に置き換えられ、T核酸塩基と同様にAと対になる。標準的な二本鎖形成に関与する核酸塩基の化学基は、ワトソン-クリックの形態を構成する。フーグスティーン(Hoogsteen)は2〜3年後に、プリン核酸塩基(GおよびA)は、それらのワトソン-クリック形態に加えてフーグスティーン形態を有し、これは二本鎖の外側から認識でき、水素結合を介してピリミジンオリゴヌクレオチドと結合するのに利用され、これにより三重らせん構造が形成されることを示した。
【0220】
本発明の化合物は、標的核酸、例えばmRNAにハイブリダイズすることができるのが非常に好ましい。
【0221】
好ましい一実施形態において、オリゴヌクレオチドは、標的核酸、例えば、対応するPCSK9 mRNAにハイブリダイズし、少なくとも37℃、例えば、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも55℃、または少なくとも60℃のTmを有する二本鎖を形成することができる。一局面において、Tmは37℃〜80℃、例えば、50〜70℃、または40〜60℃、または40〜70℃である。一実施形態において、Tmは80℃より低く、例えば、70℃より低い、または60℃より低い、または50℃より低い。
【0222】
Tmの測定
10mMリン酸ナトリウム/100mM NaCl/0.1nM EDTA中、本化合物3μMの溶液(pH 7.0)を、10 mMリン酸ナトリウム/100mM NaCl/0.1nM EDTA中、3μM濃度のその相補体DNAまたはRNAオリゴヌクレオチド(pH 7.0)と、90℃にて1分間混合し、室温まで冷ました。次いで、1℃/分の加熱速度において25〜95℃の範囲にて260nMの吸光度を測定し、二本鎖の融解曲線を決定した。Tmは融解曲線の第一誘導体の最大値として測定する。
【0223】
コンジュゲート
本発明の一実施形態において、本オリゴマー化合物はリガンド/コンジュゲートと連結し、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドの細胞内取り込みを増大させるのに用いられ得る。国際特許出願第PCT/DK2006/000512号明細書は適切なリガンドおよびコンジュゲートを提供している。
【0224】
本発明はまた、本明細書に記載の本発明による化合物、および、その化合物に共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分を含むコンジュゲートを提供する。それ故に、本明細書に記載のような、本発明の化合物が特定の核酸からなる一実施形態において、本化合物は、その化合物に共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分(例えば1以上のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体を含まない)も含み得る。
【0225】
用途
本発明のオリゴマー化合物は、例えば、診断、治療および予防のための研究試薬として利用することができる。
【0226】
LNAを利用する利益のいくつか、およびLNAおよびLNAオリゴヌクレオチドを調製および精製する方法は、国際出願第PCT/DK2006/000512号明細書に開示されている。
【0227】
本発明のオリゴマー化合物、例えば、本発明のオリゴヌクレオチド化合物を含有するLNAも、診断、治療および予防のための研究試薬として利用することができる。
【0228】
研究において、かかるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞および実験動物におけるPCSK9遺伝子の合成を特異的に阻害するのに用いられ得、これにより、標的の機能解析または治療介入における標的としての有用性の評価が促進される。
【0229】
診断において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ノーザン・ブロット、イン・サイチュハイブリダイゼーションまたは同様の技術による、細胞および組織におけるPCSK9発現の検知および定量化に用いられ得る。
【0230】
治療において、PCSK9の発現を調節することにより治療することができる疾患または障害を有する疑いのある動物またはヒトは、本発明によるアンチセンス化合物を投与することにより処置する。PCSK9の発現に関係する疾患または症状を有する疑いのある、または罹患しやすい疑いのある、動物、特にマウスおよびラット、ならびにヒトを、本発明の1以上のアンチセンス化合物または組成物の治療的または予防的有効量を投与することにより処置する方法をさらに提供する。
【0231】
本発明による医薬組成物は、異常なレベルのPCSK9に関係する症状、例えば、高コレステロール血症および関連疾患の処置に用いることができる。
【0232】
適切な用量、処方、投与経路、組成、剤形、他の治療剤との組み合わせ、プロドラッグ形態も、国際特許出願第PCT/DK2006/000512号明細書に提供されているが、癌の処置のみに特に適用可能な国際特許出願第PCT/DK2006/000512号明細書の局面が本発明の治療/医薬組成物および方法に適切でない場合もあることは認識すべきである。
【0233】
本発明はまた、本明細書に記載の化合物またはコンジュゲートまたはコンジュゲート、および製薬的に許容される希釈剤、担体またはアジュバントを含む医薬組成物も提供する。国際特許出願第PCT/DK2006/000512号明細書は、適切な好ましい製薬的に許容される希釈剤、担体およびアジュバントを提供している。
【0234】
1つより多い活性成分を含む医薬組成物
本発明による医薬組成物は、高コレステロール血症および/または関連障害の処置に有用であることが示されているものを含む、他の活性成分をさらに含み得る。
【0235】
そのような分類の化合物の1つはスタチンである。スタチンは、高コレステロール血症のために心臓脈管疾患の危険性のある人々のコレステロールレベルを低下させる医薬として用いられる脂質低下薬の分類を形成するHMG-CoAリダクターゼ阻害剤である。それらはコレステロール合成の速度を決定する酵素である酵素HMG-CoAリダクターゼを阻害することによって作用する。肝臓におけるこの酵素の阻害はLDL-レセプターを刺激し、これにより血流からのLDLの増大したクリアランスが起こり、血中コレステロールレベルが減少する。スタチンの例には、アトルバスタチン(Atorvastatin)(商標)、セリバスタチン(Cerivastatin)(商標)、フルバスタチン(Fluvastatin)(商標)、ロバスタチン(Lovastatin)(商標)、メバスタチン(Mevastatin)(商標)、ピタバスタチン(Pitavastatin)(商標)、プラバスタチン(Pravastatin)(商標)、ロスバスタチン(Rosuvastatin)(商標)およびシンバスタチン(Simvastatin)(商標)が含まれる。本発明の化合物とスタチンの併用により、スタチンの用量を減少させることが可能となり得、それ故に、常用量のスタチンに関連する副作用、例えば、筋肉痛、筋痙攣、胃腸症状、肝臓酵素の乱れ(derangement)、筋炎、ミオパシー、横紋筋融解症(骨格筋の病的破壊)(筋破壊産物が腎臓を損傷する場合に急性腎不全を引き起こし得る)などが克服され得る。
【0236】
両親媒性カルボン酸の分類であるフィブラートは、スタチンとフィブラートの併用において増加した頻度の横紋筋融解症が報告されているにもかかわらず、スタチンの使用としばしば組み合わせられる別の分類の化合物である。本発明による組成物はそれ故にフィブラート、および必要に応じてスタチンをさらに含み得る。
【0237】
本発明による組成物は、アポリポタンパク質B(Apo-B)のモジュレーター、特にApo-Bの機能の発現を低下させることができる薬剤をさらに含み得る。適切には、Apo-Bモジュレーターは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えばオリゴマー)、例えば、国際公開第00/97662号、第03/11887号および第2004/44181号パンフレットに開示されているものであり得る。好ましい組合せはISIS化合物301012(配列番号13として示す)との組み合わせである。
【0238】
本発明による組成物は、FABP4発現のモジュレーター、例えば、FABP4を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えばオリゴマー)をさらに含み得、その組成物はFABP4およびPSCK9発現の両方の同時下方制御に用いられ得、血清コレステロールの観点において相乗効果が生じ、よって高コレステロール血症および/または関連障害を処置する際に有利である。本発明の化合物およびFABP4モジュレーター、例えば本明細書に言及するアンチセンスオリゴヌクレオチドの両方を含むかかる組成物も、スタチンをさらに含み得る。米国特許仮出願第60/969,016号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)は適切なFABP4モジュレーターを開示している。
【0239】
本組成物は、ヌクレオチド類似体、例えば、国際特許出願第PCT/DK2006/000481号明細書(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されているものを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを含み得ることも認識されたい。国際特許出願第PCT/DK2006/000481号明細書において開示された、または好ましいとして強調された特異的LNAオリゴヌクレオチドは、本発明による医薬組成物における使用に特に適している。
【0240】
本発明はまた、複数部分のキットを提供し、ここで、第一の部分は本発明による化合物、コンジュゲートおよび/または医薬組成物を含み、さらなる部分はApo-BまたはFABP4の発現を低下させることができるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。それ故に、その複数部分のキットは本明細書において言及される処置法に用いられ得、その方法は、第一の部分およびさらなる部分の両方を、同時にまたは一方の後に他方を投与することを含むことを認識されたい。
【0241】
医療的方法および使用
異常なレベルのPCSK9に関連し得、またそれ故に本発明による組成物、コンジュゲートおよび化合物を用いて処置し得るさらなる症状には、以下からなる群から選択される障害が含まれる:高リポタンパク血症、家族性高リポタンパク血症3型(家族性異常ベータリポタンパク血症)および家族性高アルファリポタンパク血症;高脂血症、混合型高脂血症、多種リポタンパク質型高脂血症、および家族性複合型高脂血症;高トリグリセリド血症、家族性高トリグリセリド血症、および家族性リポタンパク質リパーゼ;高コレステロール血症、スタチン耐性高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、多遺伝子性高コレステロール血症、および家族性欠損アポリポタンパク質B;心臓脈管障害(アテローム性動脈硬化症および冠動脈疾患など);血栓症;末梢血管疾患および肥満。
【0242】
異常なレベルのPCSK9に関係し得、またそれ故に本発明による組成物、コンジュゲートおよび化合物を用いて処置され得るさらなる症状には、以下からなる群から選択される障害が含まれる:フォン・ギールケ(von Gierke)病(I型糖尿病);リポジストロフィー(先天性および後天性型);クッシング(Cushing)症候群;性的発育不全低身長症(sexual ateloitic dwarfism)(成長ホルモン単独欠損症);真性糖尿病;甲状腺機能亢進症;高血圧;神経性食欲不振症;ウェルナー(Werner)症候群;急性間欠性ポルフィリン症;原発性胆汁性肝硬変;肝外胆管閉塞;急性肝炎;肝細胞腫;全身性エリトマトーデス;単クローン性ガンマグロブリン血症(骨髄腫、多発性骨髄腫、マクログロブリン血症およびリンパ腫など);内分泌疾患;肥満;ネフローゼ症候群;メタボリックシンドローム;炎症;甲状腺機能低下症;尿毒症(高尿酸血症);不能;閉塞性肝疾患;突発性高カルシウム血症;異常グロブリン血症(dysqlobulinemia);上昇したインスリンレベル;シンドロームX;デュプイトラン(Dupuytren)拘縮;AIDS;およびアルツハイマー病および認知症。
【0243】
本発明は、血管内皮へのコレステロール粒子の結合を阻害する方法であって、PCSK9発現調節に十分な量の本発明の化合物を個体に投与する工程を含む方法をさらに提供し、その結果として、本発明はまた、以下の危険性を減じる方法であって、同様にPCSK9発現の阻害に十分な量の本発明の化合物を個体に投与する工程を含む方法を提供する:(i)コレステロール粒子の酸化;(ii)血管内皮への単球結合;(iii)単球のマクロファージへの分化;(iv)マクロファージによる酸化された脂質30粒子の取り込みおよびサイトカインの放出(IL-l、TNF-アルファ、TGF-ベータを含むがこれらに限定されない);(v)線維状の線維脂肪の病変および炎症の血小板形成;(vi)血餅を生じる内皮の病変;および(vii)心筋梗塞または卒中を生じる血餅。
【0244】
本発明はまた、アルコール依存、喫煙、経口避妊薬の使用、グルココルチコイドの使用、ベータ-アドレナリン遮断薬の使用、またはイソトレチノイン(13-シスレチノイン酸)の使用に伴う高脂血症を減じる方法であって、PCSK9発現を阻害するのに十分な量の本発明の化合物を個体に投与する工程を含む方法を提供する。
【0245】
本発明は、本明細書に開示のいずれかのおよびあらゆる症状を処置するための医薬の製造における本発明の化合物の使用をさらに提供する。
【0246】
概説すると、本発明の一局面は、異常なレベルのPCSK9に関係する症状に罹患している、または罹患しやすい哺乳動物を処置する方法であって、PCSK9に標的化された、1以上のLNAユニットを含む治療上有効量のオリゴヌクレオチドを哺乳動物に投与することを含む方法を対象とする。
【0247】
本発明の興味深い局面は、上記に記載の症状の処置のための医薬の調製における、本明細書において規定される化合物、または本明細書に規定されるコンジュゲートの使用を対象とする。
【0248】
本発明の方法は、好ましくは異常なレベルのPCSK9により引き起こされる疾患に対する処置または予防のために用いられる。
【0249】
さらに、本明細書に記載の発明は、疾患を防ぐまたは処置する方法であって、かかる治療を必要とするヒトに治療上有効量のPCSK9を調節するオリゴヌクレオチド化合物(高用量のオリゴマーを含むがこれに限定されない)を投与すること含む方法を包括する。本発明は、PCSK9を調節するオリゴヌクレオチド化合物の短期間の投与を行うことをさらに包括する。
【0250】
本発明の一実施形態において、オリゴヌクレオチド化合物はリガンド/コンジュゲートに連結している。これはアンチセンスオリゴヌクレオチドの細胞内取り込みを増大させる方法である。
【0251】
本発明のオリゴヌクレオチド化合物はまた、活性原体、例えば、アスピリン、イブプロフェン、サルファ剤、糖尿病薬、抗菌または抗生物質にコンジュゲートし得る。
【0252】
言い換えると、本発明はさらに、異常なレベルのPCSK9を処置する方法であって、本明細書に規定される化合物、または本明細書に規定されるコンジュゲートまたは本明細書に規定される医薬組成物を必要とする患者に投与することを含み、さらなる化学療法薬を投与することをさらに含む方法を対象とする。そのさらなる投与は、さらなる化学療法薬が本発明の化合物とコンジュゲートするように、医薬組成物中に存在するように、または分離した形態にて投与されるように行われ得る。
【0253】
本発明はまた、医薬として使用するための、本明細書に規定される化合物、組成物またはコンジュゲートに関する。
【0254】
本発明はさらに、異常なレベルのPCSK9を処置するための医薬の製造における、本明細書に規定される化合物、組成物またはコンジュゲートの使用に関する。典型的には、異常なレベルのPCSK9は、高コレステロール血症および関連障害、例えば、アテローム性動脈硬化症または高脂血症の形態である、またはそれらを引き起こす、またはそれらによって特徴付けられる。
【0255】
さらに、本発明は、高コレステロール血症および関連障害、例えば、アテローム性動脈硬化症および高脂血症から選択される疾患または症状に罹患した対象を処置する方法であって、本明細書に規定される医薬組成物を必要とする対象に投与する工程を含む方法に関する。好ましくは、医薬組成物は経口投与される。
【0256】
関連疾患の例にはまた、種々のタイプのHDL/LDLコレステロール平衡異常;脂質代謝異常、例えば、家族性複合型高脂血症(FCHL)、後天性高脂血症、スタチン耐性高コレステロール血症;冠動脈疾患(CAD)、冠動脈心疾患(CHD)、アテローム性動脈硬化症が含まれる。
【0257】
本発明による組成物がApo-B100またはFABP4発現のモジュレーター、例えば、ApoB-100またはFABP4を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドも含む場合、その組成物はPCSK9およびApoB-100(またはFABP4)の両方の発現の同時下方制御において用いられ得、血清コレステロールの観点において相乗効果が起こり、それ故高コレステロール血症および/または関連障害を処置する場合に有利となることが認識される。本発明の化合物およびApoBまたはFABP4モジュレーター、例えば本明細書にて言及されるアンチセンスオリゴヌクレオチドの両方を含むかかる組成物はまた、スタチンをさらに含み得る。
【0258】
本発明の実施形態。以下のリストは、本明細書および特許請求の範囲において言及される他の実施形態と組み合わせられ得る本発明のいくつかの非限定的な局面を示す:
1. 合計10-50核酸塩基の連続配列からなる化合物であって、その連続核酸塩基配列が哺乳類PCSK9をコードする核酸の対応する領域に対して少なくとも80%の相同性を有する化合物。
【0259】
2. 実施形態1に記載の化合物であって、合計10-30核酸塩基の連続配列からなり、少なくとも8連続核酸塩基のサブ配列を含み、そのサブ配列は哺乳類PCSK9をコードする核酸に存在する連続配列に対応し、そのサブ配列が該哺乳類PCSK9をコードする核酸に存在する対応する配列と比較して1以下のミスマッチを含み得る化合物。
【0260】
3. 実施形態1または2に記載の化合物であって、哺乳類PCSK9をコードする前記核酸が、以下からなる群から選択される哺乳動物に天然に存在する化合物:齧歯類、マウス、ラット、霊長類、ヒト、サルおよびチンパンジー。
【0261】
4. 実施形態1または2に記載の化合物であって、哺乳類PCSK9をコードする前記核酸がヒトに天然に存在する化合物。
【0262】
5. 実施形態2-4のいずれかに記載の化合物であって、前記サブ配列と連続する5'および/または3'フランキング核酸塩基配列を含み、そのフランキング配列は合計2-22核酸塩基ユニットからなり、そのサブ配列と結合すると、その結合した連続核酸塩基配列が、哺乳類PCSK9をコードする前記核酸の対応する配列に対して、少なくとも80%の相同性を有する、例えば、少なくとも85%の相同性を有する、例えば、少なくとも90%の相同性を有する、例えば、少なくとも95%の相同性を有する、例えば、少なくとも97%の相同性を有する、例えば、100%の相同性を有する、化合物。
【0263】
6. 実施形態2-5のいずれかに記載の化合物であって、前記サブ配列または結合した核酸塩基配列が、少なくとも7核酸塩基残基の連続配列を含み、その連続配列は、哺乳類PCSK9をコードする前記核酸に対応する相補的な標的RNAと二本鎖を形成する際に、リボヌクレアーゼHを動員することができる、化合物。
【0264】
7. 実施形態6に記載の化合物であって、前記サブ配列または結合した核酸塩基配列が、少なくとも8、少なくとも9または少なくとも10核酸塩基残基の連続配列から構成され、その連続配列は、哺乳類PCSK9をコードする前記核酸に対応する相補的標的RNAと二本鎖を形成する際に、リボヌクレアーゼHを動員することができる、化合物。
【0265】
8. 前述のいずれかの実施形態に記載の化合物であって、前記サブ配列が、少なくとも9または少なくとも10核酸塩基長、例えば、少なくとも12核酸塩基または少なくとも14核酸塩基長、例えば、14または16核酸塩基長である、化合物。
【0266】
9. 前述の実施形態のいずれかに記載の化合物であって、哺乳類PCSK9をコードする前記核酸が配列番号2またはその天然変異体である、化合物。
【0267】
10. 前述の実施形態のいずれかに記載の化合物であって、22核酸塩基以下、例えば、20核酸塩基以下、例えば、18核酸塩基以下からなり、必要に応じて1以上の非核酸塩基化合物とコンジュゲートしている、化合物。
【0268】
11. 実施形態10に記載の化合物であって、13、14、15、16または17核酸塩基のいずれかからなり、必要に応じて1以上の非核酸塩基化合物とコンジュゲートしている、化合物。
【0269】
12. 前述の実施形態のいずれかに記載の化合物であって、哺乳類PCSK9をコードする核酸の対応する領域に対して3以下のミスマッチから構成される、化合物。
【0270】
13. 前述の実施形態のいずれかに記載の化合物であって、前記サブ配列または結合した連続核酸塩基配列が、以下からなる群から選択される核酸配列に存在する配列に対応する、化合物:配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18および配列番号19または表2、3および/または表4、5または6に存在する配列。
【0271】
14. 実施形態13に記載の化合物であって、前記サブ配列が、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8からなる群から選択される核酸配列に存在する配列に対応する、化合物。
【0272】
15. アンチセンスオリゴヌクレオチドである、前述の実施形態のいずれかに記載の化合物。
【0273】
16. 実施形態15に記載の化合物であって、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、結合された合計12-25核酸塩基からなり、そのオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、哺乳類PCSK9をコードする核酸の対応する領域に対して少なくとも80%の相同性を有する、例えば、少なくとも85%の相同性を有する、例えば、少なくとも90%の相同性を有する、例えば、少なくとも95%の相同性を有する、例えば、少なくとも97%の相同性を有する、例えば、100%の相同性を有する、化合物。
【0274】
17. 前述の実施形態のいずれかに記載の化合物であって、その化合物、前記サブ配列、前記結合した連続核酸塩基配列および/または前記フランキング配列が、少なくとも1つのヌクレオチド類似体を含む、化合物。
【0275】
18. 実施形態17に記載の化合物であって、その化合物、前記サブ配列、前記結合した連続核酸塩基配列および/または前記フランキング配列が、合計2-10ヌクレオチド類似体、例えば、5-8ヌクレオチド類似体を含む、化合物。
【0276】
19. 前述の実施形態のいずれかに記載の化合物であって、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体の両方の核酸塩基を含む、ギャップマー、ヘッドマー、テイルマーまたはミックスマーである、化合物。
【0277】
20. 実施形態19に記載の化合物であって、その化合物、前記サブ配列、または前記結合した連続核酸塩基配列が、5'から3'方向に、式A-B-C、および必要に応じて式A-B-C-Dのギャップマーであり、ここで:
Aは、少なくとも1つのヌクレオチド類似体、例えば、1-6のヌクレオチド類似体、好ましくは2-5のヌクレオチド類似体、好ましくは2、3または4のヌクレオチド類似体、例えば、3または4の連続ヌクレオチド類似体からなり、または構成され;
Bは、リボヌクレアーゼHを動員することができる少なくとも5の連続核酸塩基、例えば、リボヌクレアーゼHを動員することができる1-12、または6-10、または7-9、例えば、8連続核酸塩基からなり、または含み;および
Cは、少なくとも1つのヌクレオチド類似体、例えば、1-6のヌクレオチド類似体、好ましくは2-5のヌクレオチド類似体、好ましくは2、3または4のヌクレオチド類似体、例えば、3または4の連続ヌクレオチド類似体からなり、または構成され;および
Dは、存在するならば、1以上のDNAヌクレオチド、例えば、1-3または1-2 DNAヌクレオチドからなる、または構成される、好ましくはからなる。
【0278】
21. 実施形態20に記載の化合物であって、ここで:
Aは、3または4の連続ヌクレオチド類似体からなり;
Bは、リボヌクレアーゼHを動員することができる8または9または10の連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなり;
Cは、3または4の連続ヌクレオチド類似体からなり;
Dは、存在するならば、1つのDNAヌクレオチドからなる。
【0279】
22. 実施形態20に記載の化合物であって、ここで:
Aは、3の連続ヌクレオチド類似体からなり;
Bは、リボヌクレアーゼHを動員することができる9の連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなり;
Cは、3の連続ヌクレオチド類似体からなり;
Dは、存在するならば、1つのDNAヌクレオチドからなる。
【0280】
23. 実施形態20に記載の化合物であって、ここで:
Aは、3の連続ヌクレオチド類似体からなり;
Bは、リボヌクレアーゼHを動員することができる10の連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなり;
Cは、3の連続ヌクレオチド類似体からなり;
Dは、存在するならば、1つのDNAヌクレオチドからなる。
【0281】
24. 実施形態20-23に記載の化合物であって、領域AおよびCが前記5'および3'フランキング領域に対応し、領域Bが前記サブ配列に対応する、化合物。
【0282】
25. BがDNA核酸塩基を含むまたはからなる、実施形態20-24のいずれかに記載の化合物。
【0283】
26. 少なくとも1つのヌクレオチド類似体がロックド核酸(LNA)ユニットである、実施形態17-25のいずれかに記載の化合物。
【0284】
27. 1-10のLNAユニット、例えば、2-8のヌクレオチドLNAユニットを含む、実施形態26に記載の化合物。
【0285】
28. 実施形態27に記載の化合物であって、その化合物に存在する全てのヌクレオチド類似体がLNAユニットである化合物。
【0286】
29. 実施形態26-28のいずれかに記載の化合物であって、各LNAが、D-βおよびL-α立体配置またはそれらの組み合わせのいずれかの、オキシ-LNA、チオ-LNAおよびアミノ-LNAから独立して選択される、化合物。
【0287】
30. LNAが全てβ-D-オキシ-LNAである、実施形態29に記載の化合物。
【0288】
31. 前述の実施形態のいずれかに記載の化合物であって、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体に存在する少なくとも1つの核酸塩基が、以下なる群から選択される修飾核酸塩基である、化合物:5-メチルシトシン、イソシトシン、プソイドイソシトシン、5-ブロモウラシル、5-プロピニルウラシル、6-アミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、ジアミノプリンおよび2-クロロ-6-アミノプリン。
【0289】
32. 少なくとも50℃のTmにおいて対応する哺乳類PCSK9 mRNAとハイブリダイズする、前述の実施形態のいずれかに記載の化合物。
【0290】
33. 80℃以下のTmにおいて対応する哺乳類PCSK9 mRNAとハイブリダイズする、前述の実施形態のいずれかに記載の化合物。
【0291】
34. 前述の実施形態のいずれかに記載の化合物であって、核酸塩基配列が、配列番号9、配列番号10、配列番号11、または表2または3および/または表4、5、または6に存在する配列からなる群から選択される配列である配列、または対応する配列からなり、または構成され、その化合物に存在するヌクレオチドが、対応するヌクレオチド類似体により置換され得、その化合物が、前記の選択された配列に対して1、2または3のミスマッチを含み得、および必要に応じてホスホロチオエート以外の結合基が用いられ得る、化合物。
【0292】
35. 配列番号9、配列番号10および配列番号11、または表2または3および/または表4、5、または6に存在する配列からなる群から選択される配列からなる、実施形態34に記載の化合物。
【0293】
36. 実施形態1-35のいずれかに記載の化合物、およびその化合物と共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分を含むコンジュゲート。
【0294】
37. 実施形態1-35のいずれかに規定の化合物、または実施形態36に規定のコンジュゲート、および製薬的に許容される希釈剤、担体、塩またはアジュバントを含む医薬組成物。
【0295】
38. 前記化合物がプロドラッグとして構成されている、37に記載の医薬組成物。
【0296】
39. 抗炎症性化合物および/または抗ウイルス化合物をさらに含む、実施形態37-38のいずれかに記載の医薬組成物。
【0297】
40. 血清コレステロールを低下させることができる、少なくとも1つのさらなる薬剤をさらに含む、実施形態39に記載の医薬組成物。
【0298】
41. 少なくとも1つのさらなる薬剤がスタチンまたはフィブロゲン(fibrogen)である、実施形態40に記載の医薬組成物。
【0299】
42. 少なくとも1つのさらなる薬剤がアポリポタンパク質 B-100(Apo-B)のモジュレーターである、実施形態40または41に記載の医薬組成物。
【0300】
43. Apo-Bのモジュレーターがアンチセンスオリゴヌクレオチドである、実施形態42に記載の医薬組成物。
【0301】
44. 実施形態1-35のいずれかに規定の化合物、または実施形態36に規定のコンジュゲートの、高コレステロール血症または関連障害を処置するための医薬の製造における使用。
【0302】
45. 高コレステロール血症または関連障害を処置する方法であって、実施形態1-35の1つに規定の化合物、または実施形態36に規定のコンジュゲート、または実施形態37-43のいずれかに規定の医薬組成物を、必要とする患者に投与することを含む方法。
【0303】
46. 細胞または組織におけるPCSK9の発現を阻害する方法であって、細胞または組織を、PCSK9の発現が阻害されるように、実施形態1-35の1つに規定の化合物、または実施形態36に規定のコンジュゲート、または実施形態37-43のいずれかに規定の医薬組成物と接触させる工程を含む方法。
【0304】
47. PCSK9遺伝子の発現を調節する方法であって、遺伝子発現が調節されるように、遺伝子または遺伝子からのRNAを、実施形態1-35の1つに規定される化合物、または実施形態36に規定されるコンジュゲート、または実施形態37-43のいずれかに規定される医薬組成物と接触させることを含む方法。
【0305】
48. 哺乳動物における血清コレステロールレベルを調節する方法であって、血清コレステロールレベルが調節されるように、細胞または組織を、実施形態1-35の1つに規定の化合物、または実施形態36に規定のコンジュゲート、または実施形態37-43のいずれかに規定の医薬組成物と接触させる工程を含む方法。
【0306】
【表2】
表2:特異的化合物/LNAアンチセンスオリゴヌクレオチドの設計。実施例および図面において参照される番号は、化合物番号を意味することに注意されたい。上の表は、化合物番号、および配列表に用いられている対応する配列番号、および同様に配列表に参照されているモチーフの配列番号を提供している。本発明によるさらなるオリゴマー配列モチーフは表3に示している。
【図面の簡単な説明】
【0307】
【図1】図1は、PCSK9とLDLrの相互作用を表す図を示す:PCSK9はLDL受容体(LDLr)の発現を変化させる。LDLrは肝細胞の側底面に発現し、ApoB-100と相互作用し、これにより血漿LDLの取り込み、およびおそらく新生VLDLの取り込みが可能となる。リポタンパク質を含有するApoB-100の細胞内部移行には、ARH(常染色体劣性遺伝高コレステロール血症)アダプタータンパク質が要求される。PCSK9はLDLrの翻訳後発現を変化させる。PCSK9およびLDLr遺伝子は低レベルの細胞内コレステロールにおいて上方制御され、このことは両遺伝子がHMGCoAリダクターゼ阻害剤(スタチン)の間接的な標的であることを示している(Lambert et al. 2006, TRENDS in Endocrinology and Metabolism, 17:79-81)。
【図2】0.04、0.2、1、5、10または25nMのリポフェクタミン(Lipofectamine)およびLNAオリゴヌクレオチド化合物番号:262または338によるトランスフェクションから24時間後のHuh-7細胞におけるPCSK9 mRNA発現。データはGapdhに対して標準化されており、モック対照と比較して表している。
【図3】0.04、0.2、1、5または10nMのリポフェクタミンおよびLNAオリゴヌクレオチド化合物番号:98または101によるトランスフェクトから24時間後のHuh-7細胞におけるPCSK9 mRNA発現。データはGapdhに対して標準化されており、モック対照と比較して表している。
【図4】0.04、0.2、1、5、10または25nMのリポフェクタミンおよびLNAオリゴヌクレオチド化合物番号:9、16または18によるトランスフェクトから24時間後のHuh-7細胞におけるPCSK9 mRNA発現。データはGapdhに対して標準化されており、モック対照と比較して表している。
【図5】ネズミ肝細胞癌細胞株Hepa 1-6におけるイン・ビトロ結果:0.04、0.2、1、5、10または25nMのリポフェクタミンおよびLNAオリゴヌクレオチド化合物番号:262および338によるトランスフェクトから24時間後のHuh-7細胞におけるPCSK9 mRNA発現。データはGapdhに対して標準化されており、モック対照と比較して表している。
【図6】0.04、0.2、1、5、10または25nMのリポフェクタミンおよびLNAオリゴヌクレオチド化合物番号:98および101によるトランスフェクトから24時間後のHuh-7細胞におけるPCSK9 mRNA発現。データはGapdhに対して標準化されており、モック対照と比較して表している。
【図7】メスC57BL/6マウスにおけるLNAオリゴヌクレオチドのイン・ビボ検査:0、3、7、10および14日目に、5、10または15 mg/kgの化合物番号:98、101または317を投与した後の肝臓におけるPCSK9 mRNA発現。16日目にマウスを屠殺し、肝臓をPCSK9 mRNA発現についてqPCRにより検査した。データは平均±SDを表し、生理食塩水グループと比較して表している。
【図8】0、3、7、10および14日目に尾静脈注射により10mg/kg/用量の化合物番号:98または101を投与したC57BL/6メスマウスについて屠殺日の16日目に測定した総血清、VLDL+LDLおよびHDLコレステロール。
【図9】屠殺日の16日目に肝臓を採取し、実施例13に記載のようにウェスタンブロットによりLDL受容体タンパク質レベルについて分析した。
【図10】NMRIメスマウス:0、3、7、10および14日目に10 mg/kgの化合物番号:98または101を投与した後の肝臓におけるPCSK9 mRNA発現。16日目にマウスを屠殺し、肝臓をqPCRによりPCSK9 mRNA発現について検査した。データは平均±SDを表し、生理食塩水グループと比較して表している。
【図11】屠殺時(16日目)に採取した血液からの血清中総コレステロール
【図12】屠殺日の16日目に肝臓を採取し、実施例13に記載のようにウェスタンブロットによってLDL受容体タンパク質レベルについて分析した。
【図13】高脂肪食(HFD)のメスおよびオスC57BL/6における有効性の研究:0、3、7、10および14日目に10または15mg/kgの化合物番号:98、101または317を投与した後の肝臓におけるPCSK9 mRNA発現。16日目にマウスを屠殺し、肝臓をqPCRによってPCSK9 mRNA発現について検査した。メスマウスは高脂肪食(HFD)を5ヶ月間与えた後、LNAオリゴヌクレオチドにより処置し、オスマウスはHFDを1ヶ月間与えた後、処置した。データは平均±SDを表し、生理食塩水グループと比較して表している。
【図14】肝臓を屠殺日の16日目に採取し、実施例13に記載のように、ウェスタンブロットによってLDL受容体タンパク質レベルについて分析した。
【図15】C57BL/6メスマウスにおける13-mer LNAオリゴヌクレオチドの試験:0、2および4日目に15 mg/kgの化合物番号:9、16、18または98を投与した後の肝臓におけるPCSK9 mRNA発現。6日目にマウスを屠殺し、肝臓をqPCRによってPCSK9 mRNA発現について検査した。データはGapdhに対して標準化されており、生理食塩水グループと比較して平均±SDにて表している。
【図16】血清中の種々のリポタンパク質画分、HDL、VLDLおよびLDLの分布。リポタンパク質はSebiaゲル上において分離し、スダンブラック(Sudan Black)染色およびデンシトメトリー分析(Molecular Imager FX)を用いて定量した。データは平均±SDとして表し、n=5である。
【図17】図17は、ヒト(NM_174936)とマウス(NM_153565)のPCSK9コード核酸間のClustal W局所配列アライメントを示し、ヒトおよびマウスPCSK9標的核酸の両方に相補的なオリゴマー化合物を設計するのに十分な配列相同性を有する領域を示し(アライメントしたヌクレオチド間の縦線により示す)、網掛けした領域はオリゴヌクレオチドをヒトおよびマウスの両方のPCSK9活性へ標的化するのに好ましい領域(好ましくは少なくとも12の一連の保存されている残基)を示し、下線をひいた領域は特に好ましい領域である。
【発明を実施するための形態】
【0308】
実施例
【実施例1】
【0309】
モノマー合成
LNAモノマー構成要素およびそれらの誘導体は、以下の公開媒体およびそこに引用されている参考文献に従って調製したので、参照されたい:
国際公開第03/095467 A1号パンフレット
D. S. Pedersen, C. Rosenbohm, T. Koch(2002)Preparation of LNA Phosphoramidites, Synthesis 6, 802-808.
M. D. Sorensen、L. Kvaerno、T. Bryld、A. E. Hakansson、B. Verbeure、G. Gaubert、P. Herdewijn、J. Wengel (2002) α-L-ribo-configured Locked Nucleic Acid (α-l-LNA): Synthesis and Properties, J. Am. Chem. Soc., 124、2164-2176.
S. K. Singh, R. Kumar, J. Wengel (1998) Synthesis of Novel Bicyclo[2.2.1] Ribonucleosides: 2'-Amino- and 2'-Thio-LNA Monomeric Nucleosides, J. Org. Chem. 1998, 63, 6078-6079.
C. Rosenbohm, S. M. Christensen, M. D. Sorensen, D. S. Pedersen, L. E. Larsen, J. Wengel, T. Koch (2003) Synthesis of 2'-amino-LNA: a new strategy, Org. Biomol. Chem. 1, 655-663.
D. S. Pedersen, T. Koch (2003) Analogues of LNA (Locked Nucleic Acid). Synthesis of the 2'-Thio-LNA Thymine and 5-Methyl Cytosine Phosphoramidites, Synthesis 4, 578-582.
【実施例2】
【0310】
オリゴヌクレオチド合成
オリゴヌクレオチドは、Expedite 8900/MOSS synthesizer(複数オリゴヌクレオチド合成系(Multiple Oligonucleotide Synthesis System))上で1μmolまたは15μmolスケールにおいてホスホラミダイト法を用いて合成した。より大きなスケールの合成については、Akta Oligo Pilotを用いた。合成(DMT-on)の終わりに、水性アンモニアを用いて室温において1-2時間かけてオリゴヌクレオチドを固体支持体から切断し、65℃にて4時間さらに脱保護した。オリゴヌクレオチドは逆相HPLC(RP-HPLC)によって精製した。DMT基を除去した後、オリゴヌクレオチドをAE-HPLC、RP-HPLCおよびCGEによって特徴決定し、分子量をESI-MSによってさらに確認した。さらなる詳細については以下を参照のこと。
【0311】
LNA-固体支持体の調製:
LNAスクシニルヘミエステルの調製
5'-O-Dmt-3'-ヒドロキシ-LNA モノマー(500mg)、無水コハク酸(1.2当量)およびDMAP(1.2当量)をDCM(35mL)に溶解させた。反応物を室温にて一晩撹拌した。0.1 MのNaH2PO4(pH 5.5)(2×)および塩水(1×)によって抽出した後、有機層をさらに無水Na2SO4により乾燥させ、濾過し、蒸発させた。ヘミエステル誘導体を得(収率95%)、さらなる精製をせずに用いた。
【0312】
LNA-支持体の調製
上記にて調製したヘミエステル誘導体(90μmol)を最小量のDMFに溶解させ、DIEAおよびpyBOP(90μmol)を加え、1分間一緒に混合した。このように予め活性化した混合物をマニュアルの合成装置のLCAA-CPG(500Å、網目サイズ80-120、300 mg)と合わせ、撹拌した。室温に1.5時間おいた後、支持体を濾過して回収し、DMF、DCMおよびMeOHにより洗浄した。乾燥した後、負荷を測定すると57μmol/gであった(F.Eckstein編、「Oligonucleotides and Analogues A Practical Approach」、Oxford:IRL Press、1991: 13-14の、Tom Brown、Dorcas J.S.Brown、「Modern machine-aided methods of oligodeoxyribonucleotide synthesis」を参照のこと)。
【0313】
オリゴヌクレオチドの伸長
ホスホラミダイト(A(bz)、G(ibu)、5-メチル-C(bz))またはT-β-シアノエチルホスホラミダイト)のカップリングを、アセトニトリル中0.1 Mの5'-O-DMT-保護アミダイトの溶液およびアクチベーターとしてアセトニトリル中のDCI(4,5-ジシアノイミダゾール)(0.25M)を用いて行う。塩化キサンタン(アセトニトリル:ピリジン10%中0.01M)を用いてチオレーション(thiolation)を行う。残りの試薬はオリゴヌクレオチド合成に典型的に用いられるものである。供給元が提供するプロトコールを便利よく最適化した。
【0314】
RP-HPLCによる精製:
カラム: Xterra RP18
流速: 3 mL/分
緩衝液: 0.1 M酢酸アンモニウムpH 8およびアセトニトリル
【0315】
略称
DMT: ジメトキシトリチル
DCI: 4,5-ジシアノイミダゾール
DMAP: 4-ジメチルアミノピリジン
DCM: ジクロロメタン
DMF: ジメチルホルムアミド
THF: テトラヒドロフラン
DIEA: N,N-ジイソプロピルエチルアミン
PyBOP:ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウム
Bz: ベンゾイル
Ibu: イソブチリル
【実施例3】
【0316】
オリゴヌクレオチド化合物の設計
表2および3(下記)を参照。大文字はリボヌクレオチドユニットを示し、下付の「s」は2'-O-メチル-修飾リボヌクレオチドユニットを表す。
【0317】
本発明の一実施形態において、配列番号:3および4は、少なくとも3LNAヌクレオチド、例えば配列番号:3および4のように6(7または8LNA)ヌクレオチドを含有する。
【実施例4】
【0318】
ヒトまたはラット血漿におけるLNA化合物の安定性
LNAオリゴヌクレオチドの安定性をヒトまたはラットからの血漿において試験した(マウス、サルまたはイヌ血漿もあり得る)。45μl血漿に、オリゴヌクレオチド5μlを加える(終濃度20μM)。それらのオリゴを血漿において0-96時間にわたる時間37℃にてインキュベートする(血漿を96時間までヌクレアーゼ活性について試験し、ヌクレアーゼ切断パターンに相違は示されない)。示された時間にサンプルを液体窒素において急速に冷凍した。血漿中2μl(40pmolにあたる)のオリゴヌクレオチドを、水15μlおよび6×ローディング色素(Invitrogen)3μlを加えて希釈した。マーカーとして10 bpのラダー(Invitrogen 10821-015)を用いる。1μlラダーに、6×ローディング色素1μlおよび水4μlを加えた。サンプルを混合し、65℃に10分間加熱し、前泳動ゲルに装填し(16%アクリルアミド、7 M UREA、1×TBE、50ワットにて1時間の前泳動)、50-60ワットにて2.5時間本泳動した。次にゲルを1×TBE中の1×SyBR gold(molecular probes)により15分間染色した。バンドをホスホイメージャー(phosphoimager)(Biorad)を用いて可視化した。
【実施例5】
【0319】
イン・ビトロモデル:細胞培養
標的核酸の発現に対するアンチセンス化合物の効果は、様々な細胞型のいずれかにおいて試験することができ、ただしその標的核酸が測定可能なレベルにあることを条件とする。標的は、内因的に、または前記核酸をコードする核酸の一時的なもしくは安定なトランスフェクションにより発現させることができる。
【0320】
標的核酸の発現レベルは、例えば、ノーザン・ブロット分析、定量的PCR、リボヌクレアーゼプロテクションアッセイを用いて、ルーチン的に測定することができる。以下の細胞型は例証を目的として提供しているが、他の細胞型もルーチン的に用いられており、ただし選択された細胞型において標的が発現されることを条件とする。
【0321】
細胞は以下に記載する適切な培地において培養し、37℃、湿度95-98%、5%CO2において維持した。細胞を毎週2-3回ルーチン的に継代した。
【0322】
Huh-7:ヒト肝臓細胞株Huh-7はATCCから購入し、10%FBS+Glutamax I+非必須アミノ酸類+ゲンタマイシンを含むEagle MEM(Sigma)において培養した。
【実施例6】
【0323】
イン・ビトロモデル:アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置
細胞培養およびトランスフェクション:6ウェルプレート中の10%FBS、Glutamax Iおよびゲンタマイシンを補足した成長培地に37℃(5%CO2)においてHuh-7およびHepa 1-6細胞を播種した。細胞が60-70%コンフルエントになった時点に、リポフェクタミン2000(5μg/mL)を用いて種々の濃度のオリゴヌクレオチド(0.04−25nM)により2複製ずつ細胞をトランスフェクトした。トランスフェクションは基本的にDeanら(1994, JBC 269:16416-16424)により報告された通りに行った。簡単に説明すると、細胞をOptiMEM中のリポフェクタミンとともに10分間インキュベートし、次いでオリゴヌクレオチドを1ウェルにつき合計量0.5mLのトランスフェクションミックスに加えた。4時間後、そのトランスフェクションミックスを除去し、細胞を洗浄し、37℃にておおよそ20時間成長させた(適切な成長培地におけるmRNA分析およびタンパク質分析)。次いで細胞をタンパク質およびRNA分析のために収穫した。
【実施例7】
【0324】
イン・ビトロモデル:RNAの抽出およびcDNA合成
トータルRNAの単離
トータルRNAをRNeasy mini kit(Qiagen)を用いて単離した。細胞をPBSにより洗浄し、1%メルカプトエタノールを補足した細胞溶解緩衝液(Cell Lysis Buffer)(RTL, Qiagen)を直接ウェルに加えた。数分後、サンプルを製造者の説明書に従って処理した。
【0325】
ファーストストランドの合成
ファーストストランドの合成は、OmniScript Reverse Transcriptase kitまたはM-MLV Reverse transcriptase(基本的に製造者(Ambion)による記載の通り)のいずれかを用いて製造者(Qiagen)の説明書に従って行った。OmniScript Reverse Transcriptaseを用いる場合、各サンプルの0.5μgのトータルRNAを12μlに調整し、0.2μlポリ(dT)12-18(0.5μg/μl)(Life Technologies)、2μl dNTPミックス(各5mM)、2μl 10×RT緩衝液、0.5μl RNAguard(商標)RNase Inhibitor(33ユニット/mL、Amersham)および1μl OmniScript Reverse Transcriptaseと混合し、次いで37℃にて60分間インキュベーションし、93℃にて5分間加熱して失活させた。
【0326】
ファーストストランド合成を無作為のデカマーおよびM-MLV-Reverse Transcriptase(基本的に製造者(Ambion)による記載の通り)を用いて行う場合、各サンプルの0.25μgのトータルRNAをH2O中10.8μlに調整した。デカマー2μlおよびdNTPミックス2μl(それぞれ2.5mM)を加えた。サンプルを70℃に3分間加熱し、氷水において直ちに冷却し、(10×RT緩衝液2μl;M-MLV Reverse Transcriptase 1μl;RNAase inhibitor 0.25μl)を含有するミックス3.25μlを加えた。cDNAを42℃にて60分間合成し、次いで95℃にて10分間熱失活工程を行い、最後に4℃に冷却した。
【実施例8】
【0327】
イン・ビトロおよびイン・ビボモデル:リアルタイムPCRによるPCSK9発現のオリゴヌクレオチド阻害の分析
PCSK9発現のアンチセンス調節は当分野において既知の様々な方法においてアッセイすることができる。例えばPCSK9 mRNAレベルは、例えばノーザン・ブロット分析、競合的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、またはリアルタイムPCRによって定量化することができる。リアルタイム定量PCRが現在好ましい。RNA分析はトータル細胞RNAまたはmRNA上において行うことができる。
【0328】
RNA単離およびRNA分析、例えばノーザン・ブロット分析の方法は当分野において日常的であり、例えばJohn WileyとSonsの「Current Protocols in Molecular Biology」に記載されている。
【0329】
リアルタイム定量(PCR)は、BioRADから入手可能な市販のiQ Multi-Color Real Time PCR Detection Systemを用いて簡便に行うことができる。リアルタイム定量PCRは当業者によく知られている技術であり、例えばHeid et al. Real time quantitative PCR, Genome Research (1996), 6: 986-994に教示されている。
【0330】
PCSK9 mRNAレベルのリアルタイム定量PCR分析
処置および非処置サンプルにおいて相対的なヒトPCSK9 mRNAレベルを決定するために、作製されたcDNAを、Bio-RadのiCyclerまたはApplied Biosystemsの7500 Fast Real-Time PCR Systemを用いる定量的PCR分析に用いた。
【0331】
10倍希釈したcDNA 8μlを、Platinum qPCR Supermix-UDG(Invitrogen)29.5μl、H2O 19.2μlおよび20×ヒトPCSK9またはGAPDH TaqMan gene expression assay(Applied Biosystems)3.0μlを含有するミックス52μlに加えた。各サンプルは2複製分解析した。PCRプログラム:95℃を20秒間、次いで95℃、3秒、60℃、30秒の40サイクル。
【0332】
マウスPCSK9:マウスPCSK9発現をマウスPCSK9またはGAPDH TaqMan gene expression assay(Applied Biosystems)を用いて定量する。10倍希釈cDNA 8μlをPlatinum qPCR Supermix-UDG(Invitrogen)29.5μl、H2O 19.2μlおよび20×マウスPCSK9またはGAPDH TaqMan gene expression assay(Applied Biosystems)3.0μlを含有するミックス52μlに加える。各サンプルは2複製分解析する。PCRプログラム:95℃、20秒間、次いで95℃、3秒、60℃、30秒の40サイクル。
【0333】
PCSK9 mRNA発現をQ-PCRを用いて同様に定量化したマウスGapdh mRNAに標準化する。
【0334】
非処置のヒト肝細胞株(Huh-7)(5倍希釈、PCSK9およびGapdhの両方を発現する)から合成された2倍希釈のcDNAを用いて、アッセイのための標準曲線を作成する。相対的な量のPCSK9 mRNAを、計算した閾値サイクルからiCycler iQ Real Time Detection Systemソフトウェアを用いて決定した。
【実施例9】
【0335】
イン・ビトロ分析:細胞培養物(ヒト肝細胞 Huh-7)における用量反応/ヒトPCSK9発現のアンチセンス阻害
本発明に従い、ヒトPCSK9 mRNAの種々の領域を標的とするように一連のオリゴヌクレオチドを設計した。表2を参照のこと。ヒト肝細胞(Huh-7細胞)において、化合物番号:9、16、18、98、101、262、301、317、323、338、341(図1-4)の脂質支援型の取り込みの後に、PCSK9 mRNAをノックダウンする能力についてオリゴヌクレオチド化合物を評価した。実施例5-8に記載のように実験を行った。結果は、全ての化合物について25nMにおいて非常に強力な下方制御(60から80%以上)を示した。
【実施例10】
【0336】
イン・ビトロ分析:細胞培養における用量反応(ネズミ肝細胞 Hepa 1-6)/ネズミPCSK9発現のアンチセンス阻害
本発明に従って、ネズミPCSK9 mRNAの種々の領域を標的とするように一連のオリゴヌクレオチドを設計した(表2を参照のこと)。ネズミ肝細胞(Hepa 1-6)において、化合物番号:98、101、262および338(図5-6)の脂質支援型の取り込みの後に、PCSK9 mRNAをノックダウンする能力についてオリゴヌクレオチド化合物を評価した。実施例5-8に記載のように実験を行った。結果は、全ての化合物について25nMにおいて非常に強力な下方制御(60%以上)を示した。
【実施例11】
【0337】
マウス血清におけるコレステロールレベル
血清中における全コレステロールレベルをABX Pentra社の電量分析Cholesterol CPを用いて測定した。コレステロールを酵素加水分解および酸化の後に測定する。水20μLを血清3μLに加えた。試薬240μLを加え、15分以内にコレステロール含量を500nMの波長にて測定する。各動物における測定は2複製分行った。標準曲線をABX DiagnosticsのMulti Calを用いて作成した。
【0338】
種々のリポタンパク質分類(VLDL/LDLおよびHDL)におけるコレステロールレベルを超遠心分離法により血清中にて測定した。血清を1.067 g/mlの密度に調整し、他のリポタンパク質からHDLが分離するようにした。おおよそ400.000 g、15℃にて4時間遠心分離した後、各画分(上部および下部)における総コレステロール(ABX Pentra)を測定する。
【実施例12】
【0339】
マウス肝臓におけるLDL受容体タンパク質レベル
ウェスタンブロット
肝臓サンプルを液体窒素において急速に冷凍し、分析するまで−80℃にて保存した。組織30mgを解凍し、Halt Protease inhibitor cocktail(Pierce)を補足したT-per Tissue Protein Extraction buffer(Pierce)300μl中にてホモジナイズした。
【0340】
全タンパク質をBCA protein assay kit(Pierce)により、アルブミン標準を用い、製造者のプロトコールに従って測定した。
【0341】
各サンプルからの全タンパク質25μgを4×LDS sample buffer(NuPAGE、Invitrogen)を含む4-12%ビス-Trisゲル上に装填した。MOPS(Invitrogen)中、130Vにて2時間ゲルを泳動した。標準的プロトコール(XCell II Blot Module、Invitrogen)に従い、ブロッティングモジュールを用いてタンパク質バンドをPVDF膜上にブロットした。膜を1×PBS中5%スキムミルク粉において一晩ブロッキングした。免疫検出において、ブロッキング溶液において1:1000希釈のポリクローナルヤギ-抗-マウス-LDLR抗体(R&D Systems)および1:2000希釈のモノクローナルマウス-抗-チューブリン抗体(NeoMarkers)の一次抗体とともに膜を一晩インキュベートした。その後、1:2000希釈のHRP/抗-ヤギ抗体および1:2000希釈のHRP/抗-マウス抗体(Dako)の二次抗体溶液において2時間インキュベーションした。LDLRおよびチューブリンのバンドをChemiluminescence ECL+detection kit(Amersham)およびVersaDoc5000 imaging system(Bio-Rad)を用いて可視化した。
【実施例13】
【0342】
Sebiaゲルを用いて測定した血清中のリポタンパク質分類組成
バルビタール緩衝液におけるアガロースゲル電気泳動を用いて電荷によってリポタンパク質を分離する。これは、リポタンパク質プロファイルの臨床分析のための原法の1つである。ゲルは通常、親油性の色素、例えば、スダンブラックにより染色する。色素は、脂質の種類によって区別しないであろうから、色素をコレステロールエステルおよびトリグリセリド間で区別することができないので、この方法は「一般的なリポタンパク質プロファイル」を提供するのに限定される。しかしながら、少ないサンプル体積、高再現性、および個々の動物におけるリポタンパク質プロファイル(脂質/バンドの比率のような)の変化に従う可能性によって、アガロースゲルはリポタンパク質分析に有用なツールである。分析は、質の高いゲルおよび特殊化した電気泳動設備(Lipoprotein+Lp(a) agarose gel electrophoresis、Sebia、France)において行う。血清はマウスの血液から遠心分離によって単離し、リポタンパク質はSebiaゲル上にて分離し、スダンブラック染色を用い、次いでゲルをスキャニングし(Molecular Imager FX)、Quantity Oneソフトウェアによりデンシトメトリー設定を用いて分析して定量化した。
【実施例14】
【0343】
イン・ビボ分析:C57BL/6メスマウスにおける種々のLNAオリゴヌクレオチドの用量反応。
本発明に従い、ネズミPCSK9 mRNAの種々の領域を標的とするように一連のオリゴヌクレオチドを設計した。これらのオリゴヌクレオチドのうち3つを、肝臓におけるPCSK9 mRNAの下方制御、血清コレステロールの減少および肝臓のLDL受容体タンパク質の増加を行う能力について評価した。
【0344】
メスのC57BL/6に、2.5、5、または10 mg/kgのオリゴヌクレオチドまたは生理食塩水を0、3、7、10および14日目に投与し(i.v.)、初めの投与処置から16日後に屠殺した。qPCRによるPCSK9 mRNA発現の分析のために肝臓を採取した(実施例8に記載のように)。化合物番号98および101を投与した後、PCSK9 mRNA発現は用量依存的に下方制御された(図7)。
【0345】
血清を調製するために屠殺時に血液を採取し、血清コレステロールを実施例11に記載のように測定した。化合物番号98は減少した血清総コレステロールおよび減少した(約30%)レベルのVLDL+LDLコレステロールの傾向を示し、HDL-コレステロールには効果を示さなかった(図8)。
【0346】
PCSK9 mRNAの下方制御は、肝細胞の表面上に存在するLDL受容体数に効果を有することが期待された。ウェスタンブロットを用いて肝臓におけるLDL受容体タンパク質を試験した(実施例12)。化合物番号98により生理食塩水群と比較して約80%のLDL受容体タンパク質の増加が生じた(図9)。
【実施例15】
【0347】
イン・ビボ分析:メスのNMRIマウスにおけるPCSK9を下方制御するLNAオリゴヌクレオチドの効力。
ネズミPCSK9 mRNAの異なる領域を標的とする2つのオリゴヌクレオチドを、PCSK9 mRNA発現の下方制御、血清総コレステロールの減少およびLDL受容体タンパク質レベルの増加を行う能力について試験した。
【0348】
メスのNMRIマウスに、0、2、4日目に10 mg/kg/用量のLNAオリゴヌクレオチドまたは生理食塩水を投与し(i.v.)、6日目に屠殺した。肝臓をqPCRによるPCSK9 mRNA 発現の分析のために採取した(実施例8に記載のように)。PCSK9 mRNA発現は、化合物番号98を投与した後に約70%減少し、化合物番号101を投与した後に約30%減少した(図10)。この下方制御の効果を肝臓におけるLDL受容体タンパク質レベルについて観察した;化合物番号98 および101を投与した後、それぞれ約50%および40%増加した(図11)。このLDL受容体の増加により、化合物番号98および101についてそれぞれ55%および15%の血清中コレステロールの減少が起こった(図12)。
【実施例16】
【0349】
イン・ビボ分析:投与前に高脂肪食(HFD)を1または5ヶ月間与えたC57BL/6においてPCSK9 mRNA発現を減少させるLNAオリゴヌクレオチドの効力。
メスのC57BL/6マウスに高脂肪食(HFD)(60エネルギー%脂肪)を5ヶ月間与え、オスのC57BL/6にHFDを1ヶ月間与えた後、10または15mg/kgのLNAオリゴヌクレオチドを、0、3、7、10、14日目に与え、16日目に屠殺した。肝臓をqPCRによるPCSK9 mRNA発現の分析のために採取した(実施例8に記載のように)。化合物番号98および317を投与したことにより、メスマウスにおいては、PCSK9 mRNA発現(実施例8に記載のようにqPCRにより分析した)の、それぞれ約80および60%の下方制御が起こり、オスマウスにおいては両化合物について約85%の下方制御が起こった(図13)。(実施例12に記載の)ウェスタンブロットにより測定されたLDL受容体タンパク質レベルは、メスのHFDマウスにおいて、化合物番号98の投与後約2-3倍増加し、化合物番号317に投与後20%増加した。オスマウスにおいては、15mg/kg/用量の化合物番号98により、2.5倍増大したLDL受容体タンパク質レベルが生じたが、一方化合物番号317はLDL受容体タンパク質レベルに対して軽い効果しか有さなかった(図14)。
【実施例17】
【0350】
イン・ビボ分析:メスのNMRIマウスにおいてPCSK9 mRNA発現を減少させる13-mer LNAオリゴヌクレオチドの効力。
メスのMNRIマウスに0、2および4日目に15mg/kgを投与し、6日目に屠殺した。qPCRによるPCSK9 mRNA発現について実施例8に記載のように分析するために肝臓を採取した。13-merオリゴヌクレオチド;化合物番号9、16および18によりそれぞれ90%、70%および85%のPCSK9 mRNA発現の減少が起こり、14-mer化合物番号98により80%のPCSK9 mRNAの減少が得られた(図15)。血清中の種々のリポタンパク質分類の分布を、実施例13に記載のようにSebiaゲル上において分離した後に決定した。種々の分類間の分布(各群につき100%に設定し、その群の他のリポタンパク質と比較して表している)を化合物番号9、16、18および98について試験した。全てのリポタンパク質において化合物番号18について最も高い効果が観察され(VLDLおよびLDLについて生理食塩水と比較してそれぞれ50%および65%の減少。結果としてHDLは60%増加した)、化合物番号98は、生理食塩水と比較してVLDLを30%、LDLを約10%減少させ、結果としてHDLは20%増加した(図16)。
【0351】
表3:PCSK9を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば、LNAアンチセンスオリゴヌクレオチドの合成のためのさらなる主な目的の配列
【表3−1】
【表3−2】
【表3−3】
【表3−4】
【表3−5】
【表3−6】
【表3−7】
【表3−8】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PCSK9の発現を調節する化合物、組成物および方法を提供する。特に、本発明は、PCSK9をコードする標的核酸とハイブリダイズ可能なオリゴマー化合物、例えば、オリゴヌクレオチド化合物、およびかかるオリゴマー化合物を調製する方法に関する。それらのオリゴヌクレオチド化合物はPCSK9の発現を調節することを示し、それらの医薬、ならびに高コレステロール血症および関連障害の処置におけるそれらの使用を開示する。
【背景技術】
【0002】
プロタンパク質転換酵素であるサブチリシン/ケキシン(kexin)9a型(PCSK9)は、サブチラーゼ(subtilase)のプロテイナーゼKサブファミリーのメンバーである。PCSK9遺伝子(NARC-1)は、高レベルの低密度リポタンパク質(LDL)、キサントマス(xhantomas)、および高頻度の冠動脈心疾患によって特徴付けられている常染色体優性遺伝高コレステロール血症(ADH)に関与する第3の遺伝子座として同定された。他の2つの遺伝子座はアポリポタンパク質-B(Apo-B)およびLDL受容体(LDLR)である。PCSK9はLDL受容体経路の天然の阻害剤として働き、両遺伝子はステロール調節エレメント結合タンパク質(SREBP)を介してコレステロール細胞内容物およびスタチンが欠乏することによって調節される。PCSK9 mRNAおよびタンパク質レベルは、食物摂取、インスリンおよび細胞コレステロールレベルによって調節される(Costet et al., J. Biol. Chem. January 2006)。
【0003】
ヒトPCSK9をコードするヒトNARC1 mRNA(cDNA)配列は、配列番号2(NCBIアクセッション番号NM_174936)として示している。
【0004】
ヒトPCSK9ポリペプチド配列(新生)は配列番号1(NCBIアクセッション番号NP_777596)として示している。そのポリペプチドは残基1-30間にシグナルペプチドを有し、翻訳と同時に切断されプロタンパク質(配列番号2の31-692)が産生し、次にプロテアーゼにより切断されて配列番号2のアミノ酸83-692に対応する成熟タンパク質が産生する。グリコシル化部位は残基533に特徴付けされている。
【0005】
Parkら(J. Biol. Chem. 279, pp50630-50638, 2004)は、PCSK9の過剰発現によりLDLRタンパク質が減少し、その結果、血漿LDLコレステロールの増加が起こることを開示しており、PCSK9機能の阻害剤は、LDLRタンパク質レベルを増加させ得、血漿からのLDLクリアランスを促進し得ることを示唆している。
【0006】
Rashidら(2005, PNAS 102, No 15, pp5374-5379)は、PCSK9欠損ノックアウトマウスは増加したLDLRタンパク質、これにより引き起こされた増加した循環リポタンパク質クリアランスおよび減少した血漿コレステロールレベルを表すことを開示し、PCSK9の阻害剤は高コレステロール血症の処置に有用であり得、PCSK9の阻害剤とスタチンにはLDLRを増強し、血漿コレステロールを減少させる相乗作用があり得ることを示唆している。
【0007】
国際公開第01/57081号パンフレットはNARC-1ポリヌクレオチド配列を開示し、NARC-1ポリヌクレオチド配列を用いてアンチセンス核酸を設計することができ、かかるアンチセンス核酸は修飾ヌクレオチドまたは塩基、例えばペプチド核酸を含み得ることを開示している。
【0008】
国際公開第2004/097047号パンフレットは、ADHに関係するPCSK9の2つの変異体を開示しており、かかるPCSK9変異体のアンチセンスまたはRNAiを用いてADHを処置し得ることが示唆されている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的
本発明は、高コレステロール血症および関連障害を処置するためのPCSK9核酸に対して標的化されたオリゴマー化合物、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドに基づく治療学的解決法を提供する。本発明者らは、PCSK9標的核酸に対して標的化されたオリゴマー化合物のうち、それらの相補的結合パートナーに対して増強された親和性を有するヌクレオチド類似体、例えばロックド核酸(Locked Nucleic Acid)(LNA)ヌクレオチド類似体を用いると、PCSK9(NARC1)発現の非常に効果的な調節、特に下方制御が起こることを発見した。
【0010】
発明の概要
本発明は、哺乳類、例えばヒトPCSK9の発現を調節することが可能なオリゴマー化合物を提供する。
【0011】
本発明は、合計10-50核酸塩基の連続(contiguous)核酸塩基配列からなるまたは含む10-50核酸塩基長のオリゴマーを提供し、ここで、その連続核酸塩基配列は、哺乳類PCSK9をコードする核酸の対応する領域に対して、少なくとも80%の相同性を有する、例えば、PCSK9ポリペプチドをコードする核酸に存在する対応する配列に対して、少なくとも85%の相同性を有する、例えば、少なくとも90%の相同性を有する、例えば、少なくとも95%の相同性を有する、例えば、少なくとも97%の相同性を有する、例えば、100%の相同性を有する(例えば相補的である)。
【0012】
本発明は、本発明によるオリゴマーを含むコンジュゲート、例えば、オリゴマーの核酸塩基配列に加え、本発明のオリゴマーに共有結合している少なくとも1つの非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分を含むコンジュゲートをさらに提供する。
【0013】
本発明は、合計10-50、例えば10-30核酸塩基の配列からなる化合物(例えばオリゴマー)を提供し、その化合物は少なくとも8 連続核酸塩基のサブ配列を含み、ここでそのサブ配列はPCSK9ポリペプチドをコードする天然哺乳類核酸に存在する連続配列に対応し、そのサブ配列はPCSK9ポリペプチドをコードする対応する核酸と比較して1以下のミスマッチを含み得る。
【0014】
本化合物は、そのサブ配列に隣接する5'フランキング核酸塩基配列、または3'フランキング配列、または5'と3'の両方のフランキング配列をさらに含んでもよく、ここで、そのフランキング配列は合計2〜42の核酸塩基ユニット、例えば2〜22の核酸塩基ユニットからなり、そのサブ配列と結合した場合に、その結合した連続核酸塩基配列、すなわち、そのサブ配列およびそのフランキング配列からなる配列は、PCSK9ポリペプチドをコードする核酸に存在する対応する配列に対して、少なくとも80%の相同性を有する、例えば、少なくとも85%の相同性を有する、例えば、少なくとも90%の相同性を有する、例えば、少なくとも95%の相同性を有する、例えば、少なくとも97%の相同性を有する、例えば、100%の相同性を有する。
【0015】
本発明は、医薬に使用するための本発明によるオリゴマーをさらに提供する。
【0016】
哺乳類細胞または組織においてPCSK9発現を調節する方法であって、その哺乳類細胞または組織を本発明の1以上のオリゴマー化合物または組成物と接触させることを含む方法をさらに提供する。典型的には、PCSK9の発現は抑制される、または減少する。
【0017】
また、PCSK9発現に関係する疾患または症状、例えば高コレステロール血症または関連障害を有するまたは罹患しやすい疑いのある哺乳動物、例えばヒトを、治療的または予防的有効量の本発明の1以上のオリゴマー化合物または組成物を投与することによって処置する方法も開示する。
【0018】
さらに、PCSK9発現を抑制するために、およびPCSK9活性に関係する疾患、例えば高コレステロール血症および/または関連障害を処置するためにオリゴマー化合物を用いる方法を提供する。
【0019】
本発明は、本発明のオリゴマーまたはコンジュゲート、および製薬的に許容される希釈剤、担体、塩またはアジュバントを含む医薬組成物を提供する。
【0020】
本発明はまた、本発明によるオリゴマー化合物、およびさらに、血清コレステロールレベルを調節することができる化合物、例えば、アポリポタンパク質B(Apo-B100)のモジュレーター、特にApo-B核酸標的に標的化されたアンチセンスオリゴヌクレオチド(オリゴマー)を含む医薬組成物も提供する。
【0021】
本発明は、患者における、i)血清コレステロールレベルを減少させる、またはii)血清LDL-コレステロールレベルを減少させる、またはiii)HDL/LDL比を改善する方法であって、本発明によるオリゴマーまたはコンジュゲートまたは医薬組成物を患者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0022】
本発明は、患者における血漿トリグリセリドを低下させる方法であって、本発明によるオリゴマーまたはコンジュゲートまたは医薬組成物を患者に投与して血清トリグリセリドレベルを減少させる工程を含む方法を提供する。
【0023】
本発明は、患者における肥満を処置する方法であって、本発明によるオリゴマーまたはコンジュゲートまたは医薬組成物を処置を必要とする患者に投与して患者の体重を減少させる工程を含む方法を提供する。
【0024】
本発明は、患者における高コレステロール血症または関連障害を処置する方法であって、本発明によるオリゴマーまたはコンジュゲートまたは医薬組成物を、高コレステロール血症または関連障害の処置を必要とする患者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0025】
本発明は、患者におけるインスリン耐性を処置する方法であって、本発明によるオリゴマーまたはコンジュゲートまたは医薬組成物を処置を必要とする患者に投与して、患者のインスリンに対する感受性を増大させる工程を含む方法を提供する。
【0026】
本発明は、患者におけるII型糖尿病を処置する方法であって、本発明によるオリゴマーまたはコンジュゲートまたは医薬組成物をII型糖尿病に罹患した患者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0027】
本発明は、代謝障害、例えば、メタボリックシンドローム、糖尿病またはアテローム性動脈硬化症を処置する方法であって、本発明によるオリゴマーまたはコンジュゲートまたは医薬組成物を必要とする患者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0028】
本発明は、以下からなる群から選択される疾患または障害の処置のための、本発明によるオリゴマーまたはコンジュゲートを提供する:高コレステロール血症または関連障害、炎症性疾患または障害、関節炎、喘息、アルツハイマー病、代謝疾患または障害、メタボリックシンドローム、糖尿病およびアテローム性動脈硬化症。
【0029】
関連出願
本出願は米国仮出願第60/828,735号および第60/972,932号の優先権を主張し、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
さらに、本出願は米国仮出願第60/977,409号の優先権を主張し、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
発明の詳細な説明
PCSK9を標的とするオリゴマー
本発明は、哺乳類PCSK9、例えば配列番号1に示すPCSK9タンパク質をコードする核酸分子、および哺乳類PCSK9をコードするかかる核酸分子の天然アレル変異体の機能を調節するのに用いるために、オリゴマー化合物(本明細書においてオリゴマーと称する)、特にアンチセンスオリゴヌクレオチドを採用する。
【0031】
一実施形態において、本化合物は、哺乳類PCSK9をコードする対応する核酸に対して、少なくとも80%の相同性を有する、例えば、核酸標的配列、例えば、PCSK9ポリペプチドをコードするmRNA、例えば、配列番号2、またはそれらの天然アレル変異体の対応する領域(例えばセンスまたは好ましくはアンチセンス鎖)に対して、少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、93と1/3%、93.75%、94%、95%、96%または少なくとも97%相補的である、例えば少なくとも98%相補的、例えば100%相補的である。
【0032】
哺乳類PCSK9は、好ましくは霊長類、ヒト、サル、チンパンジー;齧歯類、ラット、マウスおよびウサギからなる群において選択される;好ましくは、哺乳類PCSK9はヒトPCSK9である。
【0033】
本オリゴマーは、典型的には、連続核酸塩基配列を含むまたはからなる。
【0034】
一実施形態において、本オリゴマーの核酸塩基配列は連続核酸塩基配列からなる。
【0035】
サブ配列およびフランキング配列
一実施形態において、本オリゴマー化合物は、少なくとも8、例えば、少なくとも10、例えば、少なくとも12、例えば、少なくとも13、例えば、少なくとも14連続核酸塩基の少なくとも1つのコアサブ配列を含み、ここでそのサブ配列はPCSK9ポリペプチドをコードする天然哺乳類核酸、例えばヒトPCSK9(そのcDNA配列は配列番号2に示している)に存在する連続配列に対応し、ここでそのサブ配列は対応する哺乳類核酸と比較して1以下のミスマッチを含み得る。
【0036】
適切なサブ配列は、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18および配列番号19からなる群から選択される核酸配列、または表2および3に示す(アンチセンス)配列の群から選択される配列、および図17に示す強調表示した(網掛けした)(ヒトとマウスPCSK9 mRNA間で相補性の)配列の配列(の相補体)の1つに存在する連続配列に対応する配列から選択され得る。
【0037】
好ましいサブ配列は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、または配列番号8のいずれか、最も好ましくは配列番号3または配列番号4に存在する同等の(equivalent)ヌクレオチド配列に対応する、少なくとも8、例えば、少なくとも10、例えば、少なくとも12、例えば、少なくとも13、例えば、少なくとも14連続核酸塩基を含む、またはからなる。
【0038】
本化合物は、そのサブ配列に連続する5'フランキング核酸塩基配列、または3'フランキング配列、または5'および3'フランキング配列の両方をさらに含み得、ここでそのフランキング配列は合計2〜22核酸塩基ユニットからなり、そのサブ配列と結合した場合、その結合した連続核酸塩基配列、すなわちそのサブ配列およびそのフランキング配列からなる配列は、PCSK9ポリペプチドをコードする核酸、例えば、配列番号2、またはそれらの天然アレル変異体に存在する対応する配列(例えば、センスまたは好ましくはアンチセンス鎖)に対して、少なくとも80%の相同性を有する、例えば少なくとも85%の相同性、例えば少なくとも90%の相同性、例えば少なくとも95%の相同性、例えば少なくとも97%の相同性、例えば100%の相同性を有する。
【0039】
フランキング配列は、合計2〜22核酸塩基ユニット、例えば3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21核酸塩基、または例えば、4〜12核酸塩基、または例えば、2〜10核酸塩基、例えば、5〜10核酸塩基、または5〜8核酸塩基、例えば、7〜9核酸塩基からなり得る。
【0040】
一実施形態において、そのフランキング配列は5'からそのサブ配列までの少なくとも2核酸塩基ユニットから構成される(comprise of)。
【0041】
一実施形態において、そのフランキング配列は5'からそのサブ配列までの1〜6核酸塩基ユニットを含む。
【0042】
一実施形態において、そのフランキング配列は、3'からそのサブ配列までの少なくとも2核酸塩基ユニットから構成される。
【0043】
一実施形態において、そのフランキング配列は、3'からそのサブ配列までの1〜6核酸塩基ユニットを含む。
【0044】
それぞれのフランキング配列の配列はそれぞれ連続配列を形成するのが好ましい。
【0045】
結合した連続核酸塩基配列
結合した連続核酸塩基配列、すなわち、サブ配列および存在するならばフランキング配列からなる配列は、PCSK9ポリペプチドをコードする核酸、例えば、配列番号2、またはそれらの天然アレル変異体に存在する対応する配列に対して、少なくとも80%の相同性を有する、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも97%、例えば100%の相同性を有する。
【0046】
一実施形態において、3'フランキング配列および/または5'フランキング配列は、独立して、1〜10核酸塩基、例えば、2、3、4、5、6、7、8、または9核酸塩基、例えば、2〜6核酸塩基、例えば、3または4核酸塩基を含み得、または、からなり得、それらは一実施形態において、ヌクレオチド類似体、例えばLNAユニットであり得、または別の実施形態において、ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体の組合せであり得る。
【0047】
核酸塩基領域およびコンジュゲート
核酸塩基の連続配列(すなわち核酸塩基配列)からなる本発明の化合物は、非核酸塩基成分、例えば、本明細書において称するコンジュゲートをさらに含み得ることが認識されるであろう。
【0048】
従って、一実施形態において、本発明の化合物はポリヌクレオチド領域、すなわち核酸塩基領域、およびさらなる非核酸塩基領域の両方を含み得る。核酸塩基配列からなる本発明の化合物を言及する場合、その化合物は非核酸塩基成分、例えばコンジュゲート成分を含み得る。
【0049】
あるいは、本発明の化合物は完全に(連続)核酸塩基領域からなり得る。
【0050】
一実施形態において、核酸塩基部分および/またはサブ配列は、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14および少なくとも15連続ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体から選択され、それらは好ましくは標的核酸に対して相補的であるが、上記のように、PCSK9ポリペプチドをコードする核酸、例えば、配列番号2またはそれらの天然アレル変異体に存在する対応する配列に対して1または2のミスマッチを含み得る。
【0051】
一実施形態において、本発明による化合物は、22核酸塩基以下、例えば、20核酸塩基以下、例えば、18核酸塩基以下、例えば、15、16または17核酸塩基からなり、必要に応じて1以上の非核酸塩基要素とコンジュゲートしている。
【0052】
RNAアンタゴニスト
哺乳類PCSK9(標的)をコードする核酸は、センスまたはアンチセンス配向、好ましくはセンス配向であり得、例えば、(cDNA同等物の)PCSK9 mRNAであり得る。
【0053】
好ましい一実施形態において、本化合物は、標的タンパク質をコードする遺伝子のRNA転写物である標的核酸、例えば、mRNAまたはmRNA前駆体を標的としてもよく、以下からなる群から選択される化合物の形態であり得る:アンチセンス阻害剤、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、miRNA、リボザイムおよびオリゴザイム。
【0054】
本発明の化合物は、RNAアンタゴニスト、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNA、好ましくはアンチセンスオリゴヌクレオチドであることが非常に好ましい。
【0055】
適切には、アンチセンスオリゴヌクレオチドがPCSK9遺伝子を発現する細胞に導入される場合、PCSK9 mRNAレベルの減少が起こり、細胞におけるPCSK9の発現レベルの減少が起こる。
【0056】
PCSK9 mRNAを標的とするオリゴマーは、標的mRNA核酸、例えば、5'非翻訳リーダー、エクソン、イントロンおよび3'非翻訳末端に沿ったいずれかの部位にハイブリダイズし得る。しかしながら、PCSK9 mRNAを標的とするオリゴマーは、標的核酸の成熟mRNA形態にハイブリダイズするのが好ましい。
【0057】
アンチセンス阻害剤として設計する場合、例えば、本発明のオリゴヌクレオチドは標的核酸に結合し、その同族(cognate)タンパク質の発現を調節する。好ましくは、かかる調節により、通常の発現レベルと比較して少なくとも10%または20%の発現の阻害、より好ましくは通常の発現レベルと比較して少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%の阻害が生じる。適切には、5〜25nMの濃度の本発明の化合物を用いた場合にかかる調節が見られる。異なる実施形態における同様の場合、発現の阻害は、100%未満、例えば、98%阻害未満、95%阻害未満、90%阻害未満、80%阻害未満、例えば、70%阻害未満である。発現レベルの調節は、タンパク質レベルの測定によって、例えば、SDS-PAGEに次いで標的タンパク質に対する適切な抗体を用いたウェスタンブロットを行うなどの方法によって測定する。あるいは、発現レベルの調節は、mRNAのレベルを測定することによって、例えばノーザン・ブロットまたは定量的RT-PCRによって測定することができる。mRNAレベルを介して測定する場合、適切な用量、例えば5〜25nM濃度を用いる場合の下方制御レベルは、一実施形態において、典型的には本発明の化合物の非存在下における通常レベルの10-20%のレベルである。
【0058】
好ましくは本発明による化合物はアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0059】
例えばsiRNAの産生において、本発明の化合物は相補的配列の二本鎖、すなわち二本鎖オリゴヌクレオチドからなり得ることが認識され、ここで二本鎖の配列のそれぞれは本発明の化合物に沿って規定されるとおりである。典型的には、かかるsiRNAは、典型的には、どちらの末端にも2ヌクレオチドの3'オーバーハングを有する、2つの相補的な短いRNA(または同等の核酸塩基)配列、例えば21〜23ヌクレオチド長配列から構成される。イン・ビボにおける更新(update)を促進するために、siRNAはコンジュゲートされ得る、例えば、ステロール、例えばコレステロール群とコンジュゲートされ得る(典型的には片方または両方の鎖の3'または5'末端において)。siRNAはヌクレオチド類似体、例えば、国際公開第2005/073378号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)に記載のようなLNAを含み得る。
【0060】
本発明の一局面において、本化合物は本質的に二本鎖ではない、例えばsiRNAではない。
【0061】
一実施形態において、本発明の化合物はRNA(ユニット)を含まない。
【0062】
オリゴマー(または連続核酸塩基配列)の長さは、標的の阻害が起こる長さによって決定されるであろう。標的との完全なマッチにおいて、8塩基という短さの連続ヌクレオチド配列またはオリゴマーで十分であり得るが、一般にはより長い、例えば10または12、好ましくは12-16塩基であろう。オリゴマーの最大サイズは、因子、例えば生産費用および簡便性、そのオリゴマーを操作して標的mRNAを担持する細胞へそのオリゴマーを導入できるかどうか、さらに所望の結合親和性および標的特異性などの因子によって決定されるであろう。長すぎる場合、増加した数のミスマッチに望まずして耐える場合があり、これにより非特異的結合が生じ得る。
【0063】
本発明の化合物(オリゴマーまたはオリゴマー化合物)は、10〜50核酸塩基、例えば10〜30核酸塩基、例えば、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28または29核酸塩基からなるまたは構成される。
【0064】
特に好ましい化合物は、約10〜約30核酸塩基、または12〜25核酸塩基を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、一実施形態において、13-18核酸塩基、例えば、13、14、15、16または17核酸塩基を含むアンチセンス化合物である。一実施形態において、本発明によるオリゴマーは22以下の核酸塩基からなる。一実施形態において、本発明の化合物は20未満の核酸塩基を含むのが好ましい。
【0065】
一実施形態において、本発明によるオリゴマーは、22以下の核酸塩基、例えば、20以下の核酸塩基、例えば、18以下の核酸塩基、例えば、15、16または17核酸塩基からなり、必要に応じて1以上の非核酸塩基要素、例えばコンジュゲートとコンジュゲートしている。
【0066】
一実施形態において、本オリゴマーまたは連続核酸塩基配列は10〜22核酸塩基長を有する。
【0067】
一実施形態において、本オリゴマーまたは連続核酸塩基配列は10〜18核酸塩基長を有する。
【0068】
一実施形態において、本オリゴマーまたは連続核酸塩基配列は10〜16核酸塩基長を有する。
【0069】
一実施形態において、本オリゴマーまたは連続核酸塩基配列は12〜16核酸塩基長を有する。
【0070】
一実施形態において、本オリゴマーまたは連続核酸塩基配列は12〜14核酸塩基長を有する。
【0071】
一実施形態において、本オリゴマーまたは連続核酸塩基配列は14〜16核酸塩基長を有する。
【0072】
一実施形態において、本オリゴマーまたは連続核酸塩基配列は14〜18核酸塩基長を有する。
【0073】
一実施形態において、本オリゴマーまたは連続核酸塩基配列は14、15または16核酸塩基長を有する。
【0074】
一実施形態において、本オリゴマーまたは連続核酸塩基配列は10〜14核酸塩基長、例えば、10、11、12、13または13核酸塩基長を有する。米国特許仮出願第60/977,409号において記載されているように、かかる短いオリゴヌクレオチド、すなわち「ショートマー(shortmer)」は、イン・ビボにおける標的の下方制御に驚く程影響している。
【0075】
好ましい配列
本発明の標的配列は、非限定的な一実施形態において、以下のように同定され得る。第1の工程において、標的遺伝子における保存されている領域を同定する。それらの保存されている領域のうち、多形性を有する配列はいずれも、この領域の標的配列に結合するよう設計されたオリゴマーの結合特異性および/または親和性に影響する可能性があるので、通常除外される(特別な目的で必要でない限り)。パリンドロームまたは繰り返し配列を有する領域はいずれも通常除外される。次いで、残りの領域を解析し、適切な長さ(例えば、本明細書において称するオリゴマー/連続核酸塩基配列の長さ)、例えば10-50核酸塩基、好ましくは10-25核酸塩基、より好ましくは10、11、12、13、14、15または16核酸塩基の候補標的配列を同定する。コンピューター解析に基づいて、ダイマーまたはヘアピン構造などの構造を形成しやすい標的配列は通常除外される。
【0076】
好ましくはこれらの候補標的配列は、動物界を通して、または少なくとも前臨床試験に必要そうな動物の間で高度の配列相同性を示す。このことは、動物モデルにおいて試験すべき、同定されたオリゴマー配列、および対応するオリゴマー、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用を可能にする。特に有用なのは、ヒト、チンパンジー、イヌ、ラット、マウス、最も好ましくはヒトおよびマウス(および/またはラット)において保存されている標的配列である。
【0077】
適切な核酸塩基配列、例えば、本発明のオリゴマーのモチーフ配列は、本明細書において表3に提供されている。
【0078】
一実施形態において、連続核酸塩基配列は、表3に示す核酸配列に存在する連続ヌクレオチド配列、例えば、配列番号40〜配列番号393;配列番号30〜配列番号39;配列番号3、4および5からなる群から選択される連続ヌクレオチド配列である。
【0079】
他の好ましいオリゴヌクレオチドは、配列番号40〜配列番号393;配列番号30〜配列番号39;配列番号3、4および5からなる群からの配列から選択される10、11、12、13、14、15および16の連続的な(continuous)(例えば連続)核酸塩基の配列を含む。
【0080】
本発明のいくつかの好ましいオリゴマー、および核酸塩基配列は表2に示されている。
【0081】
一実施形態において、核酸塩基部分(例えば連続核酸塩基配列)は、以下の配列の1つから選択される、または含む:配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18および配列番号19、または一実施形態において、それらのサブ配列、例えば、10、11、12、13、14、15および16の連続的な(例えば連続)核酸塩基のサブ配列。
【0082】
一実施形態において、連続核酸塩基配列は以下からなる群から選択される核酸配列に存在する連続ヌクレオチド配列である:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38および配列番号39、または、一実施形態において、それらのサブ配列、例えば、10、11、12、13、14、15および16の連続的な(例えば連続)核酸塩基のサブ配列。
【0083】
一実施形態において、連続核酸塩基またはオリゴマーは以下からなる群から選択される:配列番号10、配列番号20、配列番号11、配列番号9、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28および配列番号29、または、一実施形態においてそれらのサブ配列、例えば、10、11、12、13、14、15および16の連続的な(例えば連続)核酸塩基のサブ配列。
【0084】
一実施形態において、核酸塩基部分は以下の配列の1つから選択される、または含む:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8(好ましくは配列番号3および配列番号4)、または、一実施形態において、それらのサブ配列、例えば、10、11、12、13、14、15および16の連続的な(例えば連続)核酸塩基のサブ配列。
【0085】
他の好ましいオリゴヌクレオチドは、配列番号9、10および11からなる群からの配列から選択される、10、11、12、13、14、15および16の連続的な(例えば連続)核酸塩基の配列を含む。本発明のさらに好ましい局面は、配列番号9、10または11からなるまたは構成される化合物を対象とする。
【0086】
一実施形態において、特定のギャップマー(gapmer)オリゴヌクレオチド配列、例えば、結合がホスホロチオエート結合である場合の本明細書において提供するもの(例えば配列番号9、10および11)、を言及する際に、特にヌクレオチド類似体ユニット、例えばLNAユニット間の結合のために、別の結合、例えば、本明細書に開示の結合を用いることができる、例えばリン酸塩結合を用いることができることは、当業者には理解できるであろう。同様に、特定のギャップマーオリゴヌクレオチド配列、例えば本明細書にて提供のもの(例えば配列番号9、10および11)を言及する際に、C残基を5'メチル修飾シトシンと注釈している場合、一実施形態において、オリゴヌクレオチドに存在する1以上のCsは非修飾C残基であり得る。
【0087】
一実施形態において、核酸塩基配列は以下からなる群から選択される配列である配列または選択される配列に対応する配列からなるまたは構成される:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8、またはその配列に存在する少なくとも12、13、14、15、または16連続(consecutive)核酸塩基の連続配列、ここで本化合物に存在するヌクレオチドは対応するヌクレオチド類似体によって置換され得、またその化合物はその選択された配列に対して1、2、または3ミスマッチを含み得る。
【0088】
一実施形態において、本発明による化合物は、配列番号3または同等の核酸塩基配列からなる、または構成される。
【0089】
一実施形態において、本発明による化合物は、配列番号4または同等の核酸塩基配列からなる、または構成される。
【0090】
一実施形態において、本発明による化合物は、配列番号5または同等の核酸塩基配列からなる、または構成される。
【0091】
一実施形態において、本発明による化合物は、配列番号6または同等の核酸塩基配列からなる、または構成される。
【0092】
一実施形態において、本発明による化合物は、配列番号7または同等の核酸塩基配列からなる、または構成される。
【0093】
一実施形態において、本発明による化合物は、配列番号8または同等の核酸塩基配列からなる、または構成される。
【0094】
一実施形態において、本発明による化合物は、配列番号9からなる、または構成される。
【0095】
一実施形態において、本発明による化合物は、配列番号10からなる、または構成される。
【0096】
一実施形態において、本発明による化合物は、配列番号11からなる、または構成される。
【0097】
一実施形態において、本発明による化合物は、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38または配列番号39からなる、または構成される。
【0098】
本発明の他のオリゴマーは、上記に列挙した配列番号または実施例において参照される化合物番号の1つから選択される、10、11、12、13、14、15および16の連続的な(例えば連続)核酸塩基の配列を含む。
【0099】
本発明の他のオリゴマーは、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18および配列番号19、または表2または表3に示す(アンチセンス)配列からなる群からの配列から選択される10、11、12、13、14、15および16の連続的な(例えば連続)核酸塩基の配列を含む。
【0100】
本発明の他のオリゴマーは、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号47、配列番号49、配列番号54、配列番号56、配列番号118、配列番号136および配列番号139からなる群からの配列から選択される10、11、12、13、14、15および16の連続的な(例えば連続)核酸塩基の配列を含む。
【0101】
好ましい化合物は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8、または好ましくは配列番号3および配列番号4からなる群から選択される配列に存在するヌクレオチド配列に対応する10、11、12、13、14、15または16の連続的な(例えば連続)核酸塩基からなる。
【0102】
さらなる好ましい化合物は米国特許仮出願第60/828,735号の表2および表3、米国特許仮出願第60/972,932号の表4に示されている。これらの出願はこれにより本明細書に特に組み込まれる(本明細書に記載の実施形態の特定のリストにおいて参照される)。
【0103】
適切には、本発明によるオリゴマーは、上記の配列番号の配列の1つからなる、または構成される。
【0104】
相補性およびミスマッチ
一実施形態において、本発明の化合物は、PCSK9ポリペプチド、例えば、配列番号2またはそれらの天然アレル変異体をコードする核酸に存在する対応する配列の対応する(連続)領域に100%相補的な(連続)核酸塩基配列からなる。
【0105】
しかしながら、一実施形態において、本発明の化合物は好ましくは、PCSK9ポリペプチドをコードする核酸、例えば、配列番号2またはそれらの天然アレル変異体に存在する配列の対応する領域に対して、4より多い、例えば、3より多い、例えば、2より多い、例えば、1より多いミスマッチを含まない。
【0106】
サブ配列が8または9核酸塩基からなる場合、好ましくは、配列番号2またはそれらの天然アレル変異体の対応する領域と最大で1つのミスマッチのみを含み得る、例えば、ミスマッチがなくてもよい。しかしながら、少なくとも10、例えば、少なくとも11核酸塩基、例えば、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14または少なくとも15核酸塩基の、より長いサブ配列において、さらなるミスマッチが導入され得る、例えば、配列番号2またはそれらの天然アレル変異体の対応する領域と合計1、2、3または4のミスマッチがサブ配列に導入されうる。しかしながら、上記のように少なくとも10の核酸塩基の、より長いサブ配列に関して、サブ配列は少なくとも8核酸塩基の少なくともコア連続配列を含み得、ここでそのコア連続配列において、PCSK9ポリペプチドをコードする核酸、例えば、配列番号2、またはそれらの天然アレル変異体に存在する配列の対応する領域と最大で1つのみのミスマッチが許容され、好ましくはミスマッチを含まない。
【0107】
一実施形態において、化合物は、核酸標的配列、例えば、PCSK9ポリペプチドをコードするmRNA、例えば、配列番号2の対応する領域に対して、少なくとも80%、例えば、少なくとも85%、例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも91%、例えば、少なくとも92%、例えば、少なくとも93%、例えば、少なくとも93と1/3%、例えば、少なくとも93.75%、例えば、少なくとも94%、例えば、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%または少なくとも97%相補的、例えば、100%相補的である。
【0108】
化合物が治療作用を発揮することができる原理を参照すると、本発明の標的はPCSK9ポリペプチドをコードする核酸、例えば、配列番号2またはそれらの天然アレル変異体に存在する対応する配列に由来するmRNAであり得る。
【0109】
ヌクレオチドのみからなる好ましいヌクレオチド配列モチーフまたはヌクレオチド配列を参照する場合、その配列によって規定される本発明の化合物は、その配列に存在する1以上のヌクレオチドのかわりに、オリゴヌクレオチド/標的二本鎖のTmを上昇させる対応するヌクレオチド類似体、例えば、LNAユニットまたは他のヌクレオチド類似体、例えば、以下に記載のヌクレオチド類似体、特にLNAおよび/または2'置換ヌクレオチド(2'修飾)を含み得ることが認識されるであろう。
【0110】
ヌクレオチド類似体
一実施形態において、オリゴマーに存在する少なくとも1つの核酸塩基は、5-メチルシトシン、イソシトシン、プソイドイソシトシン(pseudoisocytosine)、5-ブロモウラシル、5-プロピニルウラシル、6-アミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、ジアミノプリンおよび2-クロロ-6-アミノプリンからなる群から選択される修飾核酸塩基である。
【0111】
ヌクレオチドのみからなる好ましいヌクレオチド配列モチーフまたはヌクレオチド配列を参照する場合、その配列により規定される本発明のオリゴマーは、その配列に存在する1以上のヌクレオチドのかわりに、オリゴマー/標的二本鎖の二本鎖安定性/Tmを上昇させる対応するヌクレオチド類似体(すなわち親和性増大ヌクレオチド類似体)、例えば、LNAユニットまたは他のヌクレオチド類似体を含み得ることが認識されるであろう。
【0112】
さらに、ヌクレオチド類似体はイン・ビボにおいて、オリゴマーの安定性を増大させ得る。
【0113】
オリゴマー核酸塩基配列、例えば、LNAまたは2'-置換糖、好ましくはLNAに、親和性増大ヌクレオチド類似体を組み込むと、特異的に結合するオリゴヌクレオチドのサイズを減少させることができ、また非特異的または異所性の結合が起こる前にオリゴヌクレオチドのサイズの上限を減少させることもできる。親和性増大ヌクレオチド類似体は、オリゴマーの核酸塩基配列に挿入した場合に、親和性増大ヌクレオチド類似体のかわりにDNAヌクレオチドを含む同等のオリゴマーと比較して、相補的RNA(例えばmRNA標的)と二本鎖を形成した際のオリゴマーのTm上昇がおこるものである。
【0114】
適切な好ましいヌクレオチド類似体の例は、国際特許出願第PCT/DK2006/000512号に提供されている、または参照されている。
【0115】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのそのヌクレオチド類似体は2'-MOE-RNAである、例えば、2、3、4、5、6、7または8の2'-MOE-RNA核酸塩基ユニットである。
【0116】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのそのヌクレオチド類似体は、2'-フルオロDNAである、例えば、2、3、4、5、6、7または8の2'-フルオロ-DNA核酸塩基ユニットである。
【0117】
本発明のオリゴマーにおいて用いられ得るヌクレオチド類似体の具体例は、例えばFreier&Altmann; Nucl. Acid Res., 1997, 25, 4429-4443およびUhlmann; Curr. Opinion in Drug Development, 2000, 3(2), 293-213およびスキーム1に記載されている:
【化1】
【0118】
「LNA」なる用語は「ロックド核酸」として知られる二環式ヌクレオチド類似体を意味する。それはLNAモノマーを意味する場合もあり、または「LNAオリゴヌクレオチド」の文脈において用いる場合、1以上のかかる二環式ヌクレオチド類似体を含有するオリゴヌクレオチドを意味する場合もある。本発明のオリゴヌクレオチド化合物において用いるLNAは好ましくは以下の一般式の構造を有する:
【化2】
[式中、XおよびYは-O-、-S-、-N(H)-、N(R)-、-CH2-または-CH-(二重結合の一部の場合)、-CH2-O-、-CH2-S-、-CH2-N(H)-、-CH2-N(R)-、-CH2-CH2-または-CH2-CH-(二重結合の一部の場合)、-CH=CH-からなる群から独立して選択され、ここでRは水素およびC1-4-アルキルから選択され;ZおよびZ*はヌクレオシド間結合、末端基または保護基から独立して選択され;Bは天然または非天然ヌクレオチド塩基部分を構成し;不斉基はいずれかの配向にて見られ得る]。
【0119】
好ましくは、本発明のオリゴマーに用いられるLNAは以下のいずれかの式による少なくとも1つのLNAユニットを含む:
【化3】
[式中、Yは-O-、-S-、-NH-、またはN(RH)であり;ZおよびZ*はヌクレオシド間結合、末端基または保護基から独立して選択され;Bは天然または非天然ヌクレオチド塩基部分を構成し、RHは水素およびC1-4-アルキルから選択される]。
【0120】
好ましくは、本発明のオリゴマー化合物、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドにおいて用いられるロックド核酸(LNA)は、国際特許出願第PCT/DK2006/000512号のスキーム2に示されるいずれかの式によるロックド核酸(LNA)ユニットを含む少なくとも1つのヌクレオチドを含む。
【0121】
好ましくは、本発明のオリゴマーに用いるLNAは-O-P(O)2-O-、-O-P(O,S)-O-、-O-P(S)2-O-、-S-P(O)2-O-、-S-P(O,S)-O-、-S-P(S)2-O-、-O-P(O)2-S-、-O-P(O,S)-S-、-S-P(O)2-S-、-O-PO(RH)-O-、O-PO(OCH3)-O-、-O-PO(NRH)-O-、-O-PO(OCH2CH2S-R)-O-、-O-PO(BH3)-O-、-O-PO(NHRH)-O-、-O-P(O)2-NRH-、-NRH-P(O)2-O-、 NRH-CO-O-から選択されるヌクレオシド間結合を含み、ここでRHは水素およびC1-4-アルキルから選択される。
【0122】
特に好ましいLNAユニットをスキーム2に示す:
【化4】
【0123】
「チオ-LNA」なる用語は、上記一般式において少なくとも1つのXまたはYがSまたは-CH2-S-から選択されるロックドヌクレオチドを含む。チオ-LNAはベータ-Dおよびアルファ-L-立体配置の両方の形態であり得る。
【0124】
「アミノ-LNA」なる用語は、上記の一般式において少なくとも1つのXまたはYが-N(H)-、N(R)-、CH2-N(H)-および-CH2-N(R)-から選択され、ここでRが水素およびC1-4-アルキルから選択される、ロックドヌクレオチドを含む。アミノ-LNAはベータ-Dおよびアルファ-L-立体配置の両方の形態であり得る。
【0125】
「オキシ-LNA」なる用語は、上記の一般式において少なくとも1つのXまたはYが-O-または-CH2-O-を表すロックドヌクレオチドを含む。オキシ-LNAはベータ-Dおよびアルファ-L-立体配置の両方の形態であり得る。
【0126】
「ena-LNA」なる用語は、上記の一般式においてYが-CH2-O-であるロックドヌクレオチド(ここで-CH2-O-の酸素原子は塩基Bに対して2'位に結合している)を含む。
【0127】
好ましい実施形態において、LNAはベータ-D-オキシ-LNA、アルファ-L-オキシ-LNA、ベータ-D-アミノ-LNAおよびベータ-D-チオ-LNA、特にベータ-D-オキシ-LNAから選択される。
【0128】
好ましくは、LNAを含む本発明による化合物、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドにおいて、LNA C残基は全て5'メチル-シトシンである。
【0129】
好ましくは、本発明の化合物、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドのLNAユニットは、1以上の以下のものから選択される:D-ベータまたはL-アルファ立体配置またはそれらの組み合わせのいずれかの形態の、チオ-LNA、アミノ-LNA、オキシ-LNA、ena-LNAおよび/またはアルファ-LNA。ベータ-D-オキシ-LNAは、本発明のオリゴマー化合物において用いるのに好ましいLNAである。チオ-LNAも、本発明のオリゴマー化合物において用いるのに好ましい可能性がある。アミノ-LNAも本発明のオリゴマー化合物において用いるのに好ましい可能性がある。オキシ-LNAも本発明のオリゴマー化合物において用いるのに好ましい可能性がある。Ena-LNAも本発明のオリゴマー化合物において用いるのに好ましい可能性がある。アルファ-LNAも本発明のオリゴマー化合物において用いるのに好ましい可能性がある。
【0130】
本発明の化合物、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドにおいて用いられるロックド核酸(LNA)は、国際特許出願第PCT/DK2006/000512号のスキーム1に示す一般式の構造を有する。「チオ-LNA」、「アミノ-LNA」、「オキシ-LNA」、「ena-LNA」、「アルファ-L-LNA」、「LNA誘導体」、「ロックドヌクレオチド」および「ロックド核酸塩基」なる用語は、国際特許出願第PCT/DK2006/000512号に規定されているようにも用いられる。
【0131】
適切には、オリゴマーの核酸塩基配列または連続核酸塩基配列がPCSK9標的配列の対応する領域にたいして完全には相補的でない場合に、一実施形態において、オリゴマーが親和性増大ヌクレオチド類似体を含む場合は、かかるヌクレオチド類似体は、PCSK9標的におけるそれらの対応するヌクレオチドとの相補体を形成する。
【0132】
よって、そのオリゴマーは、天然ヌクレオチド(好ましくは2'-デオキシヌクレオチド(本明細書において一般に「DNA」と称する)であるが、リボヌクレオチド(本明細書において一般に「RNA」と称する)もあり得る)の単純配列を含み得、またはからなり得、または1以上のヌクレオチド「類似体」を含み得る(場合により完全に1以上のヌクレオチド「類似体」からなり得る)。
【0133】
ヌクレオチド「類似体」は糖および/または塩基および/またはリン酸塩部分の修飾により生じる天然DNAまたはRNAヌクレオチドの変異体である。「核酸塩基」なる用語は、天然(DNAまたはRNAタイプ)ヌクレオチドならびにそれらのかかる「類似体」を包括するために用いられ得る。類似体は原則的に、オリゴヌクレオチドの文脈において天然ヌクレオチドに対して単に「サイレント」または「同等(equivalent)」であり得る、すなわち、そのオリゴヌクレオチドがPCSK9発現に対して作用する際に何ら機能的影響を有さない。かかる「同等」類似体は、例えば、それらがより簡単にまたは安価に製造することができる、または保管または製造条件においてより安定である、またはタグまたは標識を表すものであっても、依然として有用であり得る。しかしながら、好ましくは、その類似体は、オリゴマーが発現を阻害するように作用する際に、例えば、標的に対する増大した結合親和性、および/または細胞内ヌクレアーゼに対する増大した耐性、および/または細胞内への輸送の増大した簡便性を生ずることによる機能的効果を有するであろう。
【0134】
ヌクレオチドのかかる修飾の例には、2'-置換基を生じさせる、または、結合親和性を促進し、おそらくいくつかの増大したヌクレアーゼ耐性も提供する架橋(bridged)(ロックド核酸)構造を生じさせる、糖部分の修飾;通常のリン酸ジエステルから、ヌクレアーゼによる攻撃に対してより耐性のもの、例えば、ホスホロチオエートまたはボラノホスフェート(これら2つはリボヌクレアーゼHにより切断可能であり、PCSK9発現の調節におけるアンチセンス阻害経路も可能とする)までのヌクレオチド間結合の修飾が含まれる。
【0135】
いくつかの実施形態において、オリゴマーは3-8ヌクレオチド類似体、例えば6または7ヌクレオチド類似体を含む。圧倒的にもっとも好ましい実施形態において、ヌクレオチド類似体の少なくとも1つはロックド核酸(LNA)である;例えばヌクレオチド類似体の少なくとも3または少なくとも4、または少なくとも5、または少なくとも6、または少なくとも7、または8は、LNAであり得る。いくつかの実施形態において、全てのヌクレオチド類似体はLNAであり得る。
【0136】
いくつかの実施形態において、本発明のオリゴマー内の本明細書にて言及される領域AおよびCに存在するヌクレオチド類似体は、例えば以下から独立して選択される:2'-O-アルキル-RNAユニット、2'-アミノ-DNAユニット、2'-フルオロ-DNAユニット、LNAユニット、アラビノ核酸(ANA)ユニット、2'-フルオロ-ANAユニット、HNAユニット、INA(インターカレート核酸)ユニットおよび2'MOEユニット。また、本発明のオリゴマーに存在するヌクレオチド類似体は全て同様に塩基変化を許容するものであると考えられる。
【0137】
2'-O-メトキシエチル-RNA(2'MOE)、2'-フルオロ-DNAモノマーおよびLNAは好ましいヌクレオチド類似体であり、よって本発明のオリゴヌクレオチドはこれらの3タイプの類似体から独立して選択されるヌクレオチド類似体を含み得、または3タイプから選択される類似体のうち1つのみを含み得る。
【0138】
本発明による化合物は、一実施形態において、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8、または好ましくは配列番号3または配列番号4から選択される配列からなるまたは含む化合物である。ここで、一実施形態において、その化合物に存在するヌクレオチドは、対応するヌクレオチド類似体により置換され得、ここでその化合物はその選択された配列に対して1、2または3のミスマッチを含み得る。
【0139】
好ましい本発明による化合物は、配列番号3または4からなるまたは構成されるものであり、ここでそれらは少なくとも1つの核酸類似体を含有し、ここで一実施形態において、LNAユニットは別の対応するヌクレオチド類似体により置換され得、またここでその化合物は選択された配列に対して1、2または3のミスマッチを含み得る。
【0140】
オリゴヌクレオチド/標的核酸標的のTmを、同等のヌクレオチドと比較して増加させるヌクレオチド類似体が好ましい。
【0141】
好ましくは、本発明による化合物は、少なくとも1つのヌクレオチド類似体、例えば、ロックド核酸(LNA)ユニット、例えば、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチド類似体、例えば、ロックド核酸(LNA)ユニット、好ましくは4〜9ヌクレオチド類似体、例えば、LNAユニット、例えば、6-9ヌクレオチド類似体、例えば、LNAユニット、最も好ましくは6、7または8ヌクレオチド類似体、例えば、LNAユニットを含む。
【0142】
LNAなる用語は、PCT出願第PCT/DK2006/000512号(参照により本明細書に組み込まれる)において規定されているように用いられる。
【0143】
好ましくはLNAユニットは、少なくとも1つのベータ-D-オキシ-LNAユニット、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10ベータ-D-オキシ-LNAユニットを含む。本発明の化合物、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドは、1タイプより多いLNAユニットを含み得る。適切には、本化合物はベータ-D-オキシ-LNA、および1以上の以下のLNAユニットの両方を含み得る:D-ベータまたはL-アルファ立体配置またはそれらの組み合わせにおける、チオ-LNA、アミノ-LNA、オキシ-LNA、ena-LNAおよび/またはアルファ-LNA。
【0144】
好ましくは、本化合物、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドは、両方のヌクレオチド類似体、例えばLNAユニットおよびDNAユニットを含み得る。好ましくは、核酸塩基、例えばLNAおよびDNAユニットの合わせた合計は、10-20、例えば、14-20、例えば、15-18、例えば、15、16または17核酸塩基ユニットであり、または本明細書にて称するショートマーである。好ましくは本発明のオリゴマー化合物に存在するDNAに対するヌクレオチド類似体の比率は、0.3〜1、より好ましくは0.4〜0.9、例えば0.5〜0.8である。
【0145】
好ましくは、本発明の化合物、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドは、合計10-25、または12-25ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド類似体からなり、ここでその化合物は少なくとも8ヌクレオチドのサブ配列またはヌクレオチド類似体を含み、そのサブ配列は、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18および配列番号19からなる群から選択される配列内に位置する(すなわち対応する)。
【0146】
本発明の一局面において、ヌクレオチド(および/またはヌクレオチド類似体)はホスホロチオエート基によって互いに連結する。本発明の興味深い実施形態は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8からなる群から選択される化合物を対象とし、ここでそれぞれの化合物内のそれぞれの結合基はホスホロチオエート基である。かかる修飾は下付のSにより示している。
【0147】
本明細書において参照する表は、本発明の化合物の核酸塩基配列をさらに提供する。
【0148】
さらなる実施形態において、本発明の化合物、例えば本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、13、14、15、16、17、18、19、20または21核酸塩基を含み得る、またはからなり得る。
【0149】
好ましくは、本発明による化合物、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15ヌクレオチド類似体、例えば、LNAユニット、特に4、5、6、7、8、9または10ヌクレオチド類似体、例えば、LNAユニット、例えば、1-10ヌクレオチド類似体、例えば、LNAユニット、例えば、2-8ヌクレオチド類似体、例えば、LNAユニットを含む、またはからなる。
【0150】
リボヌクレアーゼHの動員
サブ配列または結合した核酸塩基配列は、7、8または9核酸塩基を含む、少なくとも7核酸塩基残基、例えば、少なくとも8または少なくとも9核酸塩基残基の連続的な(連続)配列を含み、哺乳類PCSK9をコードするポリヌクレオチドのそれぞれに対応する相補的標的RNAと二本鎖を形成する場合、リボヌクレアーゼHを動員することができるもの、例えばDNAヌクレオチドが好ましい。
【0151】
リボヌクレアーゼHを動員することができる連続配列のサイズは、より大きい、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18 、19または20核酸塩基ユニットであり得る。
【0152】
リボヌクレアーゼHを動員することができる連続配列は、本明細書に記載のギャップマーの文脈において称される領域Bであり得る。
【0153】
欧州特許出願公開第1222309号明細書は、リボヌクレアーゼH活性を測定するためのイン・ビトロにおける方法を提供しており、それはリボヌクレアーゼHを動員する能力を決定するのに用いられ得る。化合物は、相補的RNA標的を与えられた時に、欧州特許出願公開第1222309号明細書の実施例91-95に提供されている方法論を用いて測定して、2'置換を有さず、オリゴヌクレオチド内の全てのヌクレオチド間にホスホロチオエート結合基を有する同等のDNAのみのオリゴヌクレオチドの少なくとも1%、例えば、少なくとも5%、例えば、少なくとも10%の初速度(pmol/l/分)、または20%未満の初速度を有する場合に、リボヌクレアーゼHを動員することが可能であると見なされる。
【0154】
化合物は、相補的RNA標的およびリボヌクレアーゼHを与えられた時に、欧州特許出願公開第1222309号明細書の実施例91-95に提供されている方法論によって測定されたそのリボヌクレアーゼHの初速度(pmol/l/分)が、2'置換を有さず、オリゴヌクレオチド内の全てのヌクレオチド間にホスホロチオエート(phosphiothioate)結合基を有する同等のDNAのみのオリゴヌクレオチドを用いて測定された初速度の1%未満、例えば、5%未満、例えば、10%未満または20%未満である場合に、リボヌクレアーゼHを動員する能力が実質的にないと見なされる。
【0155】
しかしながら、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、非リボヌクレアーゼHが媒介する標的mRNAの分解を介して、例えば、翻訳の立体障害によって、または他の方法によって機能し得るとも認識される。
【0156】
本発明の化合物は、ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体の両方を含む核酸塩基配列を含み得、ギャップマー、ヘッドマー(headmer)またはミックスマー(mixmer)の形態であり得る。
【0157】
ヘッドマーは5'末端のヌクレオチド類似体の連続鎖、および3'末端に向けて続くリボヌクレアーゼHによって認識および切断可能なDNAまたは修飾核酸塩基ユニットの連続鎖(例えば少なくとも7のかかる核酸塩基)により規定され、テイルマー(tailmer)はリボヌクレアーゼHによって認識および切断可能な5'末端のDNAまたは修飾モノマーの連続鎖(例えば、少なくとも7のかかる核酸塩基)、および3'末端に向けて続くヌクレオチド類似体の連続鎖により規定される。本発明による他のキメラは、リボヌクレアーゼHにより認識および切断可能なDNAまたは修飾モノマーとヌクレオチド類似体の交互の組成からなるミックスマーと呼ばれる。いくつかのヌクレオチド類似体は、リボヌクレアーゼH結合および切断を媒介することも可能であり得る。α-L-LNAはリボヌクレアーゼH活性をある程度動員するので、ギャップマーコンストラクトのためにリボヌクレアーゼHにより認識および切断可能なDNAまたは修飾モノマーのより小さいギャップが要求される可能性があり、ミックスマーコンストラクトにおいてより高い柔軟性が導入され得る。
【0158】
ギャップマー
好ましくは、本発明の化合物はギャップマーであるアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0159】
好ましくは、ギャップマーは、式(5'-3')A-B-C(および必要に応じてD)の(ポリ)核酸塩基配列を含む;ここでA(5'領域)は、少なくとも1つのヌクレオチド類似体、例えば少なくとも1つのLNAユニット、例えば、1-6ヌクレオチド類似体、例えば、LNAユニット、好ましくは2-5ヌクレオチド類似体、例えば、2-5 LNAユニット、例えば、3または4ヌクレオチド類似体、例えば、3または4 LNAユニットからなる、または構成される;B(中央ドメイン)は、好ましくは直接Aの3'に接し(すなわち連続)、少なくとも1つのDNA糖ユニット、例えば、1-12 DNAユニット、好ましくは4-12 DNAユニット、より好ましくは6-10 DNAユニット、例えば、7-10 DNAユニット、最も好ましくは8、9または10 DNAユニットからなるまたは含む;C(3'領域)は好ましくは直接Bの3'に接し、少なくとも1つのヌクレオチド類似体、例えば、少なくとも1つのLNAユニット、例えば、1-6ヌクレオチド類似体、例えば2-5ヌクレオチド類似体、例えば、2-5 LNAユニット、最も好ましくは3または4ヌクレオチド類似体、例えば、3または4 LNAユニットからなる、または構成される。好ましいギャップマー設計は国際公開第2004/046160号パンフレットに開示されている。
【0160】
好ましいギャップマー設計には以下の場合が含まれる:
A 3または4連続ヌクレオチド類似体からなる
B リボヌクレアーゼHを動員することができる7-10連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなる
C 3または4連続ヌクレオチド類似体からなる
D 存在する場合、1つのDNAヌクレオチドからなる。
【0161】
または、
A 3連続ヌクレオチド類似体からなる
B リボヌクレアーゼHを動員することができる9連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなる
C 3連続ヌクレオチド類似体からなる
D 存在する場合、1つのDNAヌクレオチドからなる。
【0162】
または、
A 4連続ヌクレオチド類似体からなる
B リボヌクレアーゼHを動員することができる8連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなる
C 4連続ヌクレオチド類似体からなる
D 存在する場合、1つのDNAヌクレオチドからなる。
【0163】
または、
A 2連続ヌクレオチド類似体からなる
B リボヌクレアーゼHを動員することができる8連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなる
C 3連続ヌクレオチド類似体からなる
D 存在する場合、1つのDNAヌクレオチドからなる。
【0164】
または、
A 3連続ヌクレオチド類似体からなる
B リボヌクレアーゼHを動員することができる8連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなる
C 2連続ヌクレオチド類似体からなる
D 存在する場合、1つのDNAヌクレオチドからなる。
【0165】
または、
A 2連続ヌクレオチド類似体からなる
B リボヌクレアーゼHを動員することができる8連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなる
C 2連続ヌクレオチド類似体からなる
D 存在する場合、1つのDNAヌクレオチドからなる。
【0166】
中央ドメイン(B)におけるDNAヌクレオチドは、1以上において置換され得、またはさらには全てのDNAヌクレオチドが、リボヌクレアーゼHを動員することができるヌクレオチド類似体を含む、核酸塩基によって置換され得る。
【0167】
ギャップマー設計に関する上記の実施形態において、ギャップ領域「B」はあるいは、リボヌクレアーゼHを動員することができる7、8、9または10連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基であり得る。
【0168】
ギャップマーオリゴヌクレオチドにおいて、上記の中央ドメイン(B)内にはミスマッチが何も存在せず、好ましくはDNAユニットを含むまたはからなる中央ドメインの、少なくとも7の連続的な核酸塩基、例えば、7、8または9または10の連続的な核酸塩基の最短の鎖内に存在するのが非常に好ましい。
【0169】
ギャップマーオリゴヌクレオチドにおいて、あらゆるミスマッチはギャップマーの5'または3'末端に向けて位置するのが好ましい。それ故、標的mRNAに対してミスマッチを含むギャップマーオリゴヌクレオチドにおいて、かかるミスマッチが5'(A)および/または3'(C)領域のいずれかに位置し、および/またはそのミスマッチがそのギャップマーオリゴヌクレオチドと標的分子の5'または3'ヌクレオチドユニット間に存在するのが好ましい。
【0170】
好ましくは、式A-B-Cのギャップマーは、オリゴマー化合物の3'領域(C)の末端の1以上のDNA糖残基、例えば、1-3 DNA糖残基、1-2 DNA糖残基、最も好ましくは1 DNA糖残基などからなるまたは構成される、好ましくはからなるさらなる領域Dをさらに含む。
【0171】
ショートマー
米国特許仮出願第60/977409号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)は、「ショートマー」オリゴヌクレオチドを言及しており、それらは、一実施形態において特に、本発明による好ましいオリゴマー化合物である。
【0172】
一実施形態において、オリゴマーは合計10、11、12、13または14核酸塩基ユニットの連続核酸塩基配列からなり、ここで連続核酸塩基配列は式(5'-3')A-B-C、または必要に応じてA-B-C-Dにより表される。ここで:Aは1、2または3 LNAユニットからなる;Bは相補的RNA分子(例えば、mRNA標的)と二本鎖を形成する際にリボヌクレアーゼHを動員することができる7、8または9連続核酸塩基ユニットからなる;Cは1、2または3 LNAユニットからなる。存在する場合、Dは単一DNAユニットからなる。一実施形態においては、領域Dは存在しない。一実施形態において、Aは1 LNAユニットからなる。一実施形態において、Aは2 LNAユニットからなる。一実施形態において、Aは3 LNAユニットからなる。一実施形態において、Cは1 LNAユニットからなる。一実施形態において、Cは2 LNAユニットからなる。一実施形態において、Cは3 LNAユニットからなる。一実施形態において、Bは7核酸塩基ユニットからなる。一実施形態において、Bは8核酸塩基ユニットからなる。一実施形態において、Bは9核酸塩基ユニットからなる。一実施形態において、Bは1-9 DNAユニット、例えば、2、3、4、5、6、7または8 DNAユニットから構成される。一実施形態において、Bは複数のDNAユニットからなる。一実施形態において、Bはアルファ-L立体配置である少なくとも1つのLNAユニット、例えば、アルファ-L-立体配置の2、3、4、5、6、7、8または9 LNAユニットから構成される。一実施形態において、Bは少なくとも1つのアルファ-L-オキシLNAユニットから構成され、またはここで全てのアルファ-L-立体配置のLNAユニットはアルファ-L-オキシLNAユニットである。一実施形態において、A-B-Cの核酸塩基数は以下からなる群から選択される:1-8-2、2-8-1、2-8-2、3-8-3、2-8-3、3-8-2。一実施形態において、A-B-Cの核酸塩基数は以下からなる群から選択される:1-9-1、1-9-2、2-9-1、2-9-2、3-9-2および2-9-3。一実施形態において、A-B-Cの核酸塩基数は以下からなる群から選択される:2-7-1、1-7-2、2-7-2、3-7-3、2-7-3、3-7-2、3-7-4および4-7-3。一実施形態において、AおよびCの両方はそれぞれ2つのLNAユニットからなり、Bは8核酸塩基ユニット、好ましくはDNAユニットからなる。一実施形態において、AおよびCのLNAユニットは、ベータ-Dおよびアルファ-L立体配置またはそれらの組み合わせのいずれかのオキシ-LNA、チオ-LNAおよびアミノ-LNAから独立して選択される。一実施形態において、AおよびCのLNAユニットはベータ-D-オキシ-LNAである。一実施形態において、ヌクレオシド間結合は独立して以下からなる群から選択される:リン酸ジエステル、ホスホロチオエートおよびボラノホスフェート。一実施形態において、オリゴマーは少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む。一実施形態において、DNAユニットに隣接する、またはDNAユニット間のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である。一実施形態において、少なくとも1対の連続LNAユニット間の結合、例えば、領域AまたはCの2 LNAユニット間の結合はリン酸ジエステル結合である。一実施形態において、連続LNAユニット間の結合、例えば、領域AおよびCの2 LNAユニット間の結合は、リン酸ジエステル結合である。一実施形態において、全てのヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である。
【0173】
適切なヌクレオシド間結合には、国際特許出願第PCT/DK2006/000512号明細書に記載のもの、例えば国際特許出願第PCT/DK2006/000512号明細書の34頁の第一段落に記載のヌクレオシド間結合が含まれる。
【0174】
上記に記載の適切な硫黄(S)含有ヌクレオシド間結合が好ましい場合がある。ホスホロチオエートヌクレオチド間結合も、特にギャップマーのギャップ領域(B)において好ましい。ホスホロチオエート結合もフランキング領域(AおよびC、およびCからDへの結合、およびD)に用いることができる。
【0175】
しかしながら、特に、例えばヌクレオチド類似体の使用により領域AおよびC内のヌクレオシド間結合がエンドヌクレアーゼ分解から保護される場合、例えば、領域AおよびCがLNA核酸塩基を含む場合に、領域A、BおよびCは、ホスホロチオエート、例えばリン酸ジエステル結合以外のヌクレオシド間結合を含み得る。
【0176】
標的RNAのリボヌクレアーゼH切断を可能にするために、オリゴマー内の核酸塩基間結合は、リン酸ジエステル、ホスホロチオエートまたはボラノホスフェートであり得る。ホスホロチオエートは、改善されたヌクレアーゼ耐性および他の理由、例えば製造の簡便性において好ましい。
【0177】
本発明のオリゴマーの一局面において、核酸塩基(ヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド類似体)はホスホロチオエート基によって互いに連結する。
【0178】
いくつかの実施形態において、領域Aは、2つのヌクレオチド類似体ユニット、またはヌクレオチド類似体ユニットおよび領域Bの核酸塩基ユニット間に少なくとも1つのリン酸ジエステル結合を含む。いくつかの実施形態において、領域Cは2つのヌクレオチド類似体ユニット、またはヌクレオチド類似体ユニットおよび領域Bの核酸塩基ユニット間に少なくとも1つのリン酸ジエステル結合を含む。
【0179】
いくつかの実施形態において、領域Cはヌクレオチド類似体ユニットおよび領域Dの核酸塩基ユニット間に少なくとも1つのリン酸ジエステル結合を含む。
【0180】
いくつかの実施形態において、領域Aの3'ヌクレオチド類似体および領域Bの5'核酸塩基間の核酸塩基間結合はリン酸ジエステルである。
【0181】
いくつかの実施形態において、領域Bの3'核酸塩基および領域Cの5'ヌクレオチド類似体間の核酸塩基間結合はリン酸ジエステルである。
【0182】
いくつかの実施形態において、領域Aの5'末端における2つの隣接するヌクレオチド類似体間の核酸塩基間結合はリン酸ジエステルである。
【0183】
いくつかの実施形態において、領域Cの3'末端における2つの隣接するヌクレオチド類似体間の核酸塩基間結合はリン酸ジエステルである。
【0184】
いくつかの実施形態において、領域Aの3'末端における2つの隣接するヌクレオチド類似体間の核酸塩基間結合はリン酸ジエステルである。
【0185】
いくつかの実施形態において、領域Cの5'末端における2つの隣接するヌクレオチド類似体間の核酸塩基間結合はリン酸ジエステルである。
【0186】
いくつかの実施形態において、領域Aは4ヌクレオチド長類似体を有し、領域Aの2つの中間のヌクレオチド類似体間の核酸塩基間結合は、リン酸ジエステルである。
【0187】
いくつかの実施形態において、領域Cは4ヌクレオチド長類似体を有し、領域Cの2つの中間のヌクレオチド類似体間の核酸塩基間結合はリン酸ジエステルである。
【0188】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物に存在するヌクレオチド類似体間の全ての核酸塩基間結合はリン酸ジエステルである。
【0189】
いくつかの実施形態において、例えば、上記の実施形態において、適切であるが具体的に示されていないのであるが、全ての残りの核酸塩基間結合は、リン酸ジエステルまたはホスホロチオエート、またはそれらの混合のいずれかである。
【0190】
いくつかの実施形態において、全ての核酸塩基間結合基はホスホロチオエートである。
【0191】
特定のギャップマーオリゴヌクレオチド配列、例えば、本明細書において提供するものを言及する場合、一実施形態において、結合がホスホロチオエート結合である場合、特にヌクレオチド類似体、例えば、LNAユニット間の結合において、別の結合、例えば本明細書において開示するものが用いられ得る、例えばリン酸塩(リン酸ジエステル)結合が用いられ得ると理解されるであろう。同様に、特定のギャップマーオリゴヌクレオチド配列、例えば本明細書において提供するものを言及する場合、C残基が5'メチル修飾シトシンと注釈される場合は、一実施形態において、オリゴヌクレオチドに存在する1以上のCsは被修飾のC残基であり得る。
【0192】
本発明の化合物の同定および調製法:
標的の発現を調節する本発明の化合物は、実験によって、または標的の配列情報および所望の標的に対してオリゴマー化合物をいかに最適に設計するかについての技術知識に基づく合理的な設計によって、同定され得る。これらの化合物の配列は、本発明の好ましい実施形態である。同様に、これらの好ましいオリゴマー化合物が相補的である標的内の配列モチーフ(「ホットスポット」と称する)は標的化に好ましい部位である。
【0193】
多くの場合において、イン・ビボにおいて、または臨床においてPCSK9発現または活性を調節するのに有効な、オリゴマー化合物、例えばLNAオリゴヌクレオチドの同定は、標的遺伝子の配列情報(例えば、配列番号2)に基づく。しかしながら、当業者であれば、かかるオリゴマー化合物は経験的な試験によっても同定できることを理解できるであろう。好ましい実施形態のものと比較して、例えば、より低い配列相同性、より多いまたはより少ない修飾のヌクレオチド、またはより長いまたはより短い長さ、を有するにもかかわらず臨床的処置に反応を示すオリゴマー化合物も、本発明の範囲内である。実施例において、経験的な試験を行う適切な方法を提供する。
【0194】
好ましい一実施形態において、本発明の化合物は、ヒトおよびマウスの両方、またはヒトおよびラットの両方、またはヒトおよびサルの両方、またはヒト、マウスおよびサルの、またはヒト、ラットおよびサルのPCSK9をコードする核酸に100%相補的な、少なくとも10、例えば、少なくとも11、例えば、少なくとも12、例えば、少なくとも14、例えば、少なくとも16、例えば、少なくとも18、例えば、12、13、14、15、16、17または18連続核酸塩基を有する、サブ配列または結合した連続核酸塩基配列を含む。一実施形態において、本化合物のポリ核酸塩基配列は、ヒトおよびマウスの両方、またはヒトおよびラットの両方、またはヒトおよびサルの両方、またはヒト、マウスおよびサルの、またはヒト、ラットおよびサルのPCSK9をコードする核酸に100%相補的である。一実施形態において、上記の1より多い哺乳類種に100%相補的な本発明の化合物を言及する場合、1以上の配列間に1または2のミスマッチが存在し得るが、ミスマッチが存在しないのが好ましい。図17はヒトおよびマウスのPCSK9ポリペプチドをコードするヒトおよびマウスのそれぞれの核酸間のアライメントを示す。表1は、NCBI遺伝子バンクアクセッション番号により提供される適切なPCSK9ポリヌクレオチドおよび対応するポリペプチドを提供する。他の哺乳類種からの特定の既知のアレル変異体および既知の相同体は、表1にて参照する配列を用いてBLAST検索を行うことにより容易に同定され得る。
【0195】
【表1】
【0196】
アミノ酸およびポリヌクレオチド相同性は、標準的設定を用いるClustalWアルゴリズムを用いて決定され得る:http://www.ebi.ac.uk/emboss/align/index.htmlを参照のこと、方法:EMBOSS::water(local):Gap Open = 10.0、Gap extend = 0.5、Blosum 62(タンパク質)。またはヌクレオチド配列にはDNAfullを用いる。図17に示されるように、かかるアライメントは、ヒトおよび異なる哺乳類種、例えばサル、マウスおよび/またはラットからのPCSK9をコードする核酸の領域を同定するためにも用いることができ、ここでその領域は、ヒトPCSK9標的核酸と、異なる哺乳類種に存在する対応する核酸の両方を標的とするオリゴヌクレオチドの設計が可能な十分な長さの核酸相補性を有する、例えば、ヒトからのPCSK9をコードする核酸と、異なる哺乳類種からのPCSK9をコードする核酸の両方に100%相補的な、少なくとも10、例えば、少なくとも12、例えば、少なくとも14、例えば、少なくとも16、例えば、少なくとも18、例えば、12、13、14、15、16、17または18連続核酸塩基を有する。
【0197】
定義
本発明のオリゴマー化合物(またはサブ配列または結合した連続核酸塩基配列)と哺乳類PCSK9をコードする核酸、例えば本明細書に開示するもの(配列番号2を含む)間の「相同性」を決定する際、相同性の決定は、本発明の化合物の対応する核酸塩基配列と哺乳類PCSK9(または標的核酸)をコードする核酸の対応する領域との単純なアライメントによって行うことができ、相同性は、アライメントした塩基数をカウントし、本発明の化合物の連続塩基の合計数で割り、100を掛けることによって決定する。かかる比較において、ギャップが存在する場合、かかるギャップは、ギャップ内の核酸塩基数が本発明の核酸塩基配列および標的核酸間で異なる領域、というよりむしろ単なるミスマッチであるのが好ましい。
【0198】
「に位置する」および「に対応する」なる用語は、オリゴマーの核酸塩基配列または連続核酸塩基配列と、核酸標的、例えばPCSK9標的タンパク質をコードするmRNA、例えば配列番号2、またはその核酸標的の逆の相補体のいずれかの同等のヌクレオチド配列との間の比較を意味する。ヌクレオチド類似体は、それらの同等または対応するヌクレオチドと直接比較する。
【0199】
「対応するヌクレオチド類似体」および「対応するヌクレオチド」なる用語は、ヌクレオチド類似体およびヌクレオチドの核酸塩基が同一であることを示すことを意図する。例えば、ヌクレオチドの2-デオキシリボースユニットがアデニンと連結している場合、「対応するヌクレオチド類似体」は、アデニンに連結するペントースユニット(2-デオキシリボースと異なる)を含有する。
【0200】
核酸塩基の配列に関して「連続的な」なる用語は、「連続」なる用語と互いに置き換えることができる。
【0201】
「核酸塩基」なる用語は、ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体の両方を包括する総称として用いられる。核酸塩基配列は、少なくとも2つのヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体を含む配列である。一実施形態において、核酸塩基配列はヌクレオチドのみ、例えばDNAユニットのみから構成され得、別の実施形態において、核酸塩基配列はヌクレオチド類似体のみ、例えば、LNAユニットのみから構成され得る。
【0202】
「核酸」なる用語は、2以上のヌクレオチドの共有結合によって形成された分子と定義する。
【0203】
「核酸」および「ポリヌクレオチド」なる用語は本明細書において互換的に用いられる。
【0204】
以下の用語は国際特許出願第PCT/DK2006/000512号明細書に規定されているように用いられる:「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド類似体」、「に位置する」、「に対応する」、「対応するヌクレオチド類似体」および「対応するヌクレオチド」、「核酸塩基」、「核酸」および「ポリヌクレオチド」、「本発明の化合物」の文脈において用いる場合の「化合物」、「オリゴマー化合物」、「オリゴヌクレオチド」、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」、および「オリゴ」、「ユニット」、「LNA」、「少なくとも1つ」、「結合基」、「コンジュゲート」、「製薬的に許容される塩」、「C1-4-アルキル」、「遺伝子」、「RNAアンタゴニスト」、「mRNA」、「相補的」、「ミスマッチ」。
【0205】
本明細書において用いる場合、「標的核酸」なる用語は、哺乳類PCSK9ポリペプチド、例えばヒトPCSK9をコードするDNA、例えば配列番号2、マウス、ラット、チンパンジーおよび/またはサルPCSK9をコードする核酸またはそれらの天然変異体、およびそれらに由来するRNA核酸、好ましくはmRNA、例えばmRNA前駆体であるが好ましくは成熟mRNAを意味する。一実施形態において、例えば、研究または診断において用いる場合、「標的核酸」は、上記DNAまたはRNA核酸標的に由来するcDNAまたは合成オリゴヌクレオチドであり得る。本発明によるオリゴマー化合物は、好ましくは標的核酸にハイブリダイズすることができる。
【0206】
「それらの天然変異体」なる用語は、規定の分類学的グループ、例えば、哺乳類、例えば、マウス、ラット、サル、チンパンジーおよび好ましくはヒトに天然に存在する、核酸配列のPCSK9ポリペプチドの変異体を意味する。典型的には、ポリヌクレオチドの「天然変異体」を意味する場合、この用語は、例えば染色体転座または複製により、NARC1遺伝子座、またはNARC-1遺伝子座に直接由来する遺伝子座に見られる、PCSK9をコードするゲノムDNA、およびRNA、例えばそれらに由来するmRNAの変異体も包括し得る。特定のポリペプチド配列、例えば配列番号1を言及する場合、この用語は、例えば翻訳と同時の、または翻訳後の修飾、例えば、シグナルペプチド切断、タンパク質切断、グリコシル化などによって加工され得るタンパク質の天然形態も含む。
【0207】
本発明による化合物は、線状分子である、または線状分子として合成されるのが好ましい。
【0208】
「結合基」なる用語は、2つのヌクレオチド、2つのヌクレオチド類似体、および、ヌクレオチドとヌクレオチド類似体などを一緒に共有結合させることができる基を意味することを意図している。具体的かつ好ましい例には、リン酸塩基およびホスホロチオエート基が含まれる。
【0209】
本文脈において、「コンジュゲート」なる用語は、本明細書に記載の化合物(すなわちヌクレオチド類似体の配列を含む化合物)と、1以上の非ヌクレオチド/非ヌクレオチド類似体、または非ポリヌクレオチド部分との共有結合によって形成されるヘテロ分子を示すことを意図する。非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分の例には、高分子物質、例えばタンパク質、脂肪酸鎖、糖残基、糖タンパク質、ポリマー、またはそれらの組み合わせが含まれる。典型的には、タンパク質は標的タンパク質の抗体であり得る。典型的なポリマーはポリエチレングリコールであり得る。本発明の化合物が核酸塩基配列からなる場合、一実施形態において、非核酸塩基部分、例えば上記のコンジュゲートをさらに含み得る。
【0210】
「少なくとも1つ」なる用語は、1より大きい、または1と等しい整数を含む、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20など。
【0211】
一実施形態において、例えば、本発明の化合物の核酸またはタンパク質標的を言及する場合、「少なくとも1つ」なる用語は、「少なくとも2つ」および「少なくとも3つ」および「少なくとも4つ」なる語を含み、同様に「少なくとも2つ」なる用語は、「少なくとも3つ」および「少なくとも4つ」なる語を含み得る。
【0212】
本明細書において用いる場合、「製薬的に許容される塩」なる用語は、本明細書において同定する化合物の所望の生物学的活性を保持し、最小の望ましくない毒性作用を示す塩を意味する。かかる塩の非限定的な例は、有機アミノ酸と形成され得、また塩基付加塩は、金属カチオン、例えば、亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム、ナトリウム、カリウムなどと、または、アンモニア、/V,/V-ジベンジルエチレン-ジアミン、D-グルコサミン、テトラエチルアンモニウムまたはエチレンジアミンから形成されたカチオンと形成され得;または(a)と(b)の組み合わせ(c);例えば、亜鉛タンニン酸塩などがある。
【0213】
本文脈において、「C1-4-アルキル」なる用語は、直線のまたは分枝の飽和炭化水素鎖を意味することを意図しており、ここでその鎖は、1-4の炭素原子、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルを有する。
【0214】
本明細書において用いる場合、「遺伝子」なる用語は、エキソン、イントロン、非コーディング5'および3'領域、調節エレメントおよび現在知られている全てのそれらの変異体、解明され得るさらなるあらゆる変異体を含む遺伝子を意味する。
【0215】
本明細書において用いる場合、「RNAアンタゴニスト」なる用語は、いずれかの形態のRNA(mRNA前駆体、mRNA、miRNA、siRNAなどを含む)を標的とするオリゴヌクレオチドを意味する。
【0216】
「関連障害」なる用語は、高コレステロール血症を言及する場合、以下からなる群から選択される1以上の症状を意味する:アテローム性動脈硬化症、高脂血症、HDL/LDLコレステロール平衡異常、脂質代謝異常、例えば、家族性複合型高脂血症(FCHL)、後天性高脂血症、スタチン耐性高コレステロール血症、冠動脈疾患(CAD)、および冠動脈心疾患(CHD)。
【0217】
一実施形態において、「オリゴマー化合物」なる用語は、例えば標的核酸への水素結合による結合によってヒトにおいて所望の治療効果を誘導することができるオリゴヌクレオチドを意味する。本明細書において開示するオリゴマー化合物は、非治療用途、例えば、診断用途を有し得るとも認識される。
【0218】
本明細書において用いる場合、「調節」なる用語は、遺伝子発現の増加(刺激)または減少(阻害)のいずれかを意味する。本発明において、阻害は遺伝子発現の調節の好ましい形態であり、mRNAは好ましい標的である。
【0219】
本明細書において用いる場合、「ハイブリダイゼーション」は水素結合を意味し、相補的ヌクレオチド塩基間のワトソン-クリック、ホルスタイン(Holstein)、逆ホルスタイン水素結合などであり得る。ワトソンとクリックはおよそ50年前に、デオキシリボ核酸(DNA)が2本の鎖の相対する相補的核酸塩基間に形成された水素結合によってらせん状の立体構造にまとまった2本の鎖から構成されることを示した。一般にDNAに見られる4つの核酸塩基は、グアニン(G)、アデニン(A)、チミン(T)およびシトシン(C)であり、そのうちG核酸塩基はCと対になり、A核酸塩基はTと対になる。RNAにおいては、核酸塩基チミンは核酸塩基ウラシル(U)に置き換えられ、T核酸塩基と同様にAと対になる。標準的な二本鎖形成に関与する核酸塩基の化学基は、ワトソン-クリックの形態を構成する。フーグスティーン(Hoogsteen)は2〜3年後に、プリン核酸塩基(GおよびA)は、それらのワトソン-クリック形態に加えてフーグスティーン形態を有し、これは二本鎖の外側から認識でき、水素結合を介してピリミジンオリゴヌクレオチドと結合するのに利用され、これにより三重らせん構造が形成されることを示した。
【0220】
本発明の化合物は、標的核酸、例えばmRNAにハイブリダイズすることができるのが非常に好ましい。
【0221】
好ましい一実施形態において、オリゴヌクレオチドは、標的核酸、例えば、対応するPCSK9 mRNAにハイブリダイズし、少なくとも37℃、例えば、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも55℃、または少なくとも60℃のTmを有する二本鎖を形成することができる。一局面において、Tmは37℃〜80℃、例えば、50〜70℃、または40〜60℃、または40〜70℃である。一実施形態において、Tmは80℃より低く、例えば、70℃より低い、または60℃より低い、または50℃より低い。
【0222】
Tmの測定
10mMリン酸ナトリウム/100mM NaCl/0.1nM EDTA中、本化合物3μMの溶液(pH 7.0)を、10 mMリン酸ナトリウム/100mM NaCl/0.1nM EDTA中、3μM濃度のその相補体DNAまたはRNAオリゴヌクレオチド(pH 7.0)と、90℃にて1分間混合し、室温まで冷ました。次いで、1℃/分の加熱速度において25〜95℃の範囲にて260nMの吸光度を測定し、二本鎖の融解曲線を決定した。Tmは融解曲線の第一誘導体の最大値として測定する。
【0223】
コンジュゲート
本発明の一実施形態において、本オリゴマー化合物はリガンド/コンジュゲートと連結し、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドの細胞内取り込みを増大させるのに用いられ得る。国際特許出願第PCT/DK2006/000512号明細書は適切なリガンドおよびコンジュゲートを提供している。
【0224】
本発明はまた、本明細書に記載の本発明による化合物、および、その化合物に共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分を含むコンジュゲートを提供する。それ故に、本明細書に記載のような、本発明の化合物が特定の核酸からなる一実施形態において、本化合物は、その化合物に共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分(例えば1以上のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体を含まない)も含み得る。
【0225】
用途
本発明のオリゴマー化合物は、例えば、診断、治療および予防のための研究試薬として利用することができる。
【0226】
LNAを利用する利益のいくつか、およびLNAおよびLNAオリゴヌクレオチドを調製および精製する方法は、国際出願第PCT/DK2006/000512号明細書に開示されている。
【0227】
本発明のオリゴマー化合物、例えば、本発明のオリゴヌクレオチド化合物を含有するLNAも、診断、治療および予防のための研究試薬として利用することができる。
【0228】
研究において、かかるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞および実験動物におけるPCSK9遺伝子の合成を特異的に阻害するのに用いられ得、これにより、標的の機能解析または治療介入における標的としての有用性の評価が促進される。
【0229】
診断において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ノーザン・ブロット、イン・サイチュハイブリダイゼーションまたは同様の技術による、細胞および組織におけるPCSK9発現の検知および定量化に用いられ得る。
【0230】
治療において、PCSK9の発現を調節することにより治療することができる疾患または障害を有する疑いのある動物またはヒトは、本発明によるアンチセンス化合物を投与することにより処置する。PCSK9の発現に関係する疾患または症状を有する疑いのある、または罹患しやすい疑いのある、動物、特にマウスおよびラット、ならびにヒトを、本発明の1以上のアンチセンス化合物または組成物の治療的または予防的有効量を投与することにより処置する方法をさらに提供する。
【0231】
本発明による医薬組成物は、異常なレベルのPCSK9に関係する症状、例えば、高コレステロール血症および関連疾患の処置に用いることができる。
【0232】
適切な用量、処方、投与経路、組成、剤形、他の治療剤との組み合わせ、プロドラッグ形態も、国際特許出願第PCT/DK2006/000512号明細書に提供されているが、癌の処置のみに特に適用可能な国際特許出願第PCT/DK2006/000512号明細書の局面が本発明の治療/医薬組成物および方法に適切でない場合もあることは認識すべきである。
【0233】
本発明はまた、本明細書に記載の化合物またはコンジュゲートまたはコンジュゲート、および製薬的に許容される希釈剤、担体またはアジュバントを含む医薬組成物も提供する。国際特許出願第PCT/DK2006/000512号明細書は、適切な好ましい製薬的に許容される希釈剤、担体およびアジュバントを提供している。
【0234】
1つより多い活性成分を含む医薬組成物
本発明による医薬組成物は、高コレステロール血症および/または関連障害の処置に有用であることが示されているものを含む、他の活性成分をさらに含み得る。
【0235】
そのような分類の化合物の1つはスタチンである。スタチンは、高コレステロール血症のために心臓脈管疾患の危険性のある人々のコレステロールレベルを低下させる医薬として用いられる脂質低下薬の分類を形成するHMG-CoAリダクターゼ阻害剤である。それらはコレステロール合成の速度を決定する酵素である酵素HMG-CoAリダクターゼを阻害することによって作用する。肝臓におけるこの酵素の阻害はLDL-レセプターを刺激し、これにより血流からのLDLの増大したクリアランスが起こり、血中コレステロールレベルが減少する。スタチンの例には、アトルバスタチン(Atorvastatin)(商標)、セリバスタチン(Cerivastatin)(商標)、フルバスタチン(Fluvastatin)(商標)、ロバスタチン(Lovastatin)(商標)、メバスタチン(Mevastatin)(商標)、ピタバスタチン(Pitavastatin)(商標)、プラバスタチン(Pravastatin)(商標)、ロスバスタチン(Rosuvastatin)(商標)およびシンバスタチン(Simvastatin)(商標)が含まれる。本発明の化合物とスタチンの併用により、スタチンの用量を減少させることが可能となり得、それ故に、常用量のスタチンに関連する副作用、例えば、筋肉痛、筋痙攣、胃腸症状、肝臓酵素の乱れ(derangement)、筋炎、ミオパシー、横紋筋融解症(骨格筋の病的破壊)(筋破壊産物が腎臓を損傷する場合に急性腎不全を引き起こし得る)などが克服され得る。
【0236】
両親媒性カルボン酸の分類であるフィブラートは、スタチンとフィブラートの併用において増加した頻度の横紋筋融解症が報告されているにもかかわらず、スタチンの使用としばしば組み合わせられる別の分類の化合物である。本発明による組成物はそれ故にフィブラート、および必要に応じてスタチンをさらに含み得る。
【0237】
本発明による組成物は、アポリポタンパク質B(Apo-B)のモジュレーター、特にApo-Bの機能の発現を低下させることができる薬剤をさらに含み得る。適切には、Apo-Bモジュレーターは、アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えばオリゴマー)、例えば、国際公開第00/97662号、第03/11887号および第2004/44181号パンフレットに開示されているものであり得る。好ましい組合せはISIS化合物301012(配列番号13として示す)との組み合わせである。
【0238】
本発明による組成物は、FABP4発現のモジュレーター、例えば、FABP4を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えばオリゴマー)をさらに含み得、その組成物はFABP4およびPSCK9発現の両方の同時下方制御に用いられ得、血清コレステロールの観点において相乗効果が生じ、よって高コレステロール血症および/または関連障害を処置する際に有利である。本発明の化合物およびFABP4モジュレーター、例えば本明細書に言及するアンチセンスオリゴヌクレオチドの両方を含むかかる組成物も、スタチンをさらに含み得る。米国特許仮出願第60/969,016号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)は適切なFABP4モジュレーターを開示している。
【0239】
本組成物は、ヌクレオチド類似体、例えば、国際特許出願第PCT/DK2006/000481号明細書(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されているものを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを含み得ることも認識されたい。国際特許出願第PCT/DK2006/000481号明細書において開示された、または好ましいとして強調された特異的LNAオリゴヌクレオチドは、本発明による医薬組成物における使用に特に適している。
【0240】
本発明はまた、複数部分のキットを提供し、ここで、第一の部分は本発明による化合物、コンジュゲートおよび/または医薬組成物を含み、さらなる部分はApo-BまたはFABP4の発現を低下させることができるアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。それ故に、その複数部分のキットは本明細書において言及される処置法に用いられ得、その方法は、第一の部分およびさらなる部分の両方を、同時にまたは一方の後に他方を投与することを含むことを認識されたい。
【0241】
医療的方法および使用
異常なレベルのPCSK9に関連し得、またそれ故に本発明による組成物、コンジュゲートおよび化合物を用いて処置し得るさらなる症状には、以下からなる群から選択される障害が含まれる:高リポタンパク血症、家族性高リポタンパク血症3型(家族性異常ベータリポタンパク血症)および家族性高アルファリポタンパク血症;高脂血症、混合型高脂血症、多種リポタンパク質型高脂血症、および家族性複合型高脂血症;高トリグリセリド血症、家族性高トリグリセリド血症、および家族性リポタンパク質リパーゼ;高コレステロール血症、スタチン耐性高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、多遺伝子性高コレステロール血症、および家族性欠損アポリポタンパク質B;心臓脈管障害(アテローム性動脈硬化症および冠動脈疾患など);血栓症;末梢血管疾患および肥満。
【0242】
異常なレベルのPCSK9に関係し得、またそれ故に本発明による組成物、コンジュゲートおよび化合物を用いて処置され得るさらなる症状には、以下からなる群から選択される障害が含まれる:フォン・ギールケ(von Gierke)病(I型糖尿病);リポジストロフィー(先天性および後天性型);クッシング(Cushing)症候群;性的発育不全低身長症(sexual ateloitic dwarfism)(成長ホルモン単独欠損症);真性糖尿病;甲状腺機能亢進症;高血圧;神経性食欲不振症;ウェルナー(Werner)症候群;急性間欠性ポルフィリン症;原発性胆汁性肝硬変;肝外胆管閉塞;急性肝炎;肝細胞腫;全身性エリトマトーデス;単クローン性ガンマグロブリン血症(骨髄腫、多発性骨髄腫、マクログロブリン血症およびリンパ腫など);内分泌疾患;肥満;ネフローゼ症候群;メタボリックシンドローム;炎症;甲状腺機能低下症;尿毒症(高尿酸血症);不能;閉塞性肝疾患;突発性高カルシウム血症;異常グロブリン血症(dysqlobulinemia);上昇したインスリンレベル;シンドロームX;デュプイトラン(Dupuytren)拘縮;AIDS;およびアルツハイマー病および認知症。
【0243】
本発明は、血管内皮へのコレステロール粒子の結合を阻害する方法であって、PCSK9発現調節に十分な量の本発明の化合物を個体に投与する工程を含む方法をさらに提供し、その結果として、本発明はまた、以下の危険性を減じる方法であって、同様にPCSK9発現の阻害に十分な量の本発明の化合物を個体に投与する工程を含む方法を提供する:(i)コレステロール粒子の酸化;(ii)血管内皮への単球結合;(iii)単球のマクロファージへの分化;(iv)マクロファージによる酸化された脂質30粒子の取り込みおよびサイトカインの放出(IL-l、TNF-アルファ、TGF-ベータを含むがこれらに限定されない);(v)線維状の線維脂肪の病変および炎症の血小板形成;(vi)血餅を生じる内皮の病変;および(vii)心筋梗塞または卒中を生じる血餅。
【0244】
本発明はまた、アルコール依存、喫煙、経口避妊薬の使用、グルココルチコイドの使用、ベータ-アドレナリン遮断薬の使用、またはイソトレチノイン(13-シスレチノイン酸)の使用に伴う高脂血症を減じる方法であって、PCSK9発現を阻害するのに十分な量の本発明の化合物を個体に投与する工程を含む方法を提供する。
【0245】
本発明は、本明細書に開示のいずれかのおよびあらゆる症状を処置するための医薬の製造における本発明の化合物の使用をさらに提供する。
【0246】
概説すると、本発明の一局面は、異常なレベルのPCSK9に関係する症状に罹患している、または罹患しやすい哺乳動物を処置する方法であって、PCSK9に標的化された、1以上のLNAユニットを含む治療上有効量のオリゴヌクレオチドを哺乳動物に投与することを含む方法を対象とする。
【0247】
本発明の興味深い局面は、上記に記載の症状の処置のための医薬の調製における、本明細書において規定される化合物、または本明細書に規定されるコンジュゲートの使用を対象とする。
【0248】
本発明の方法は、好ましくは異常なレベルのPCSK9により引き起こされる疾患に対する処置または予防のために用いられる。
【0249】
さらに、本明細書に記載の発明は、疾患を防ぐまたは処置する方法であって、かかる治療を必要とするヒトに治療上有効量のPCSK9を調節するオリゴヌクレオチド化合物(高用量のオリゴマーを含むがこれに限定されない)を投与すること含む方法を包括する。本発明は、PCSK9を調節するオリゴヌクレオチド化合物の短期間の投与を行うことをさらに包括する。
【0250】
本発明の一実施形態において、オリゴヌクレオチド化合物はリガンド/コンジュゲートに連結している。これはアンチセンスオリゴヌクレオチドの細胞内取り込みを増大させる方法である。
【0251】
本発明のオリゴヌクレオチド化合物はまた、活性原体、例えば、アスピリン、イブプロフェン、サルファ剤、糖尿病薬、抗菌または抗生物質にコンジュゲートし得る。
【0252】
言い換えると、本発明はさらに、異常なレベルのPCSK9を処置する方法であって、本明細書に規定される化合物、または本明細書に規定されるコンジュゲートまたは本明細書に規定される医薬組成物を必要とする患者に投与することを含み、さらなる化学療法薬を投与することをさらに含む方法を対象とする。そのさらなる投与は、さらなる化学療法薬が本発明の化合物とコンジュゲートするように、医薬組成物中に存在するように、または分離した形態にて投与されるように行われ得る。
【0253】
本発明はまた、医薬として使用するための、本明細書に規定される化合物、組成物またはコンジュゲートに関する。
【0254】
本発明はさらに、異常なレベルのPCSK9を処置するための医薬の製造における、本明細書に規定される化合物、組成物またはコンジュゲートの使用に関する。典型的には、異常なレベルのPCSK9は、高コレステロール血症および関連障害、例えば、アテローム性動脈硬化症または高脂血症の形態である、またはそれらを引き起こす、またはそれらによって特徴付けられる。
【0255】
さらに、本発明は、高コレステロール血症および関連障害、例えば、アテローム性動脈硬化症および高脂血症から選択される疾患または症状に罹患した対象を処置する方法であって、本明細書に規定される医薬組成物を必要とする対象に投与する工程を含む方法に関する。好ましくは、医薬組成物は経口投与される。
【0256】
関連疾患の例にはまた、種々のタイプのHDL/LDLコレステロール平衡異常;脂質代謝異常、例えば、家族性複合型高脂血症(FCHL)、後天性高脂血症、スタチン耐性高コレステロール血症;冠動脈疾患(CAD)、冠動脈心疾患(CHD)、アテローム性動脈硬化症が含まれる。
【0257】
本発明による組成物がApo-B100またはFABP4発現のモジュレーター、例えば、ApoB-100またはFABP4を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドも含む場合、その組成物はPCSK9およびApoB-100(またはFABP4)の両方の発現の同時下方制御において用いられ得、血清コレステロールの観点において相乗効果が起こり、それ故高コレステロール血症および/または関連障害を処置する場合に有利となることが認識される。本発明の化合物およびApoBまたはFABP4モジュレーター、例えば本明細書にて言及されるアンチセンスオリゴヌクレオチドの両方を含むかかる組成物はまた、スタチンをさらに含み得る。
【0258】
本発明の実施形態。以下のリストは、本明細書および特許請求の範囲において言及される他の実施形態と組み合わせられ得る本発明のいくつかの非限定的な局面を示す:
1. 合計10-50核酸塩基の連続配列からなる化合物であって、その連続核酸塩基配列が哺乳類PCSK9をコードする核酸の対応する領域に対して少なくとも80%の相同性を有する化合物。
【0259】
2. 実施形態1に記載の化合物であって、合計10-30核酸塩基の連続配列からなり、少なくとも8連続核酸塩基のサブ配列を含み、そのサブ配列は哺乳類PCSK9をコードする核酸に存在する連続配列に対応し、そのサブ配列が該哺乳類PCSK9をコードする核酸に存在する対応する配列と比較して1以下のミスマッチを含み得る化合物。
【0260】
3. 実施形態1または2に記載の化合物であって、哺乳類PCSK9をコードする前記核酸が、以下からなる群から選択される哺乳動物に天然に存在する化合物:齧歯類、マウス、ラット、霊長類、ヒト、サルおよびチンパンジー。
【0261】
4. 実施形態1または2に記載の化合物であって、哺乳類PCSK9をコードする前記核酸がヒトに天然に存在する化合物。
【0262】
5. 実施形態2-4のいずれかに記載の化合物であって、前記サブ配列と連続する5'および/または3'フランキング核酸塩基配列を含み、そのフランキング配列は合計2-22核酸塩基ユニットからなり、そのサブ配列と結合すると、その結合した連続核酸塩基配列が、哺乳類PCSK9をコードする前記核酸の対応する配列に対して、少なくとも80%の相同性を有する、例えば、少なくとも85%の相同性を有する、例えば、少なくとも90%の相同性を有する、例えば、少なくとも95%の相同性を有する、例えば、少なくとも97%の相同性を有する、例えば、100%の相同性を有する、化合物。
【0263】
6. 実施形態2-5のいずれかに記載の化合物であって、前記サブ配列または結合した核酸塩基配列が、少なくとも7核酸塩基残基の連続配列を含み、その連続配列は、哺乳類PCSK9をコードする前記核酸に対応する相補的な標的RNAと二本鎖を形成する際に、リボヌクレアーゼHを動員することができる、化合物。
【0264】
7. 実施形態6に記載の化合物であって、前記サブ配列または結合した核酸塩基配列が、少なくとも8、少なくとも9または少なくとも10核酸塩基残基の連続配列から構成され、その連続配列は、哺乳類PCSK9をコードする前記核酸に対応する相補的標的RNAと二本鎖を形成する際に、リボヌクレアーゼHを動員することができる、化合物。
【0265】
8. 前述のいずれかの実施形態に記載の化合物であって、前記サブ配列が、少なくとも9または少なくとも10核酸塩基長、例えば、少なくとも12核酸塩基または少なくとも14核酸塩基長、例えば、14または16核酸塩基長である、化合物。
【0266】
9. 前述の実施形態のいずれかに記載の化合物であって、哺乳類PCSK9をコードする前記核酸が配列番号2またはその天然変異体である、化合物。
【0267】
10. 前述の実施形態のいずれかに記載の化合物であって、22核酸塩基以下、例えば、20核酸塩基以下、例えば、18核酸塩基以下からなり、必要に応じて1以上の非核酸塩基化合物とコンジュゲートしている、化合物。
【0268】
11. 実施形態10に記載の化合物であって、13、14、15、16または17核酸塩基のいずれかからなり、必要に応じて1以上の非核酸塩基化合物とコンジュゲートしている、化合物。
【0269】
12. 前述の実施形態のいずれかに記載の化合物であって、哺乳類PCSK9をコードする核酸の対応する領域に対して3以下のミスマッチから構成される、化合物。
【0270】
13. 前述の実施形態のいずれかに記載の化合物であって、前記サブ配列または結合した連続核酸塩基配列が、以下からなる群から選択される核酸配列に存在する配列に対応する、化合物:配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18および配列番号19または表2、3および/または表4、5または6に存在する配列。
【0271】
14. 実施形態13に記載の化合物であって、前記サブ配列が、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8からなる群から選択される核酸配列に存在する配列に対応する、化合物。
【0272】
15. アンチセンスオリゴヌクレオチドである、前述の実施形態のいずれかに記載の化合物。
【0273】
16. 実施形態15に記載の化合物であって、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、結合された合計12-25核酸塩基からなり、そのオリゴヌクレオチドの核酸塩基配列が、哺乳類PCSK9をコードする核酸の対応する領域に対して少なくとも80%の相同性を有する、例えば、少なくとも85%の相同性を有する、例えば、少なくとも90%の相同性を有する、例えば、少なくとも95%の相同性を有する、例えば、少なくとも97%の相同性を有する、例えば、100%の相同性を有する、化合物。
【0274】
17. 前述の実施形態のいずれかに記載の化合物であって、その化合物、前記サブ配列、前記結合した連続核酸塩基配列および/または前記フランキング配列が、少なくとも1つのヌクレオチド類似体を含む、化合物。
【0275】
18. 実施形態17に記載の化合物であって、その化合物、前記サブ配列、前記結合した連続核酸塩基配列および/または前記フランキング配列が、合計2-10ヌクレオチド類似体、例えば、5-8ヌクレオチド類似体を含む、化合物。
【0276】
19. 前述の実施形態のいずれかに記載の化合物であって、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体の両方の核酸塩基を含む、ギャップマー、ヘッドマー、テイルマーまたはミックスマーである、化合物。
【0277】
20. 実施形態19に記載の化合物であって、その化合物、前記サブ配列、または前記結合した連続核酸塩基配列が、5'から3'方向に、式A-B-C、および必要に応じて式A-B-C-Dのギャップマーであり、ここで:
Aは、少なくとも1つのヌクレオチド類似体、例えば、1-6のヌクレオチド類似体、好ましくは2-5のヌクレオチド類似体、好ましくは2、3または4のヌクレオチド類似体、例えば、3または4の連続ヌクレオチド類似体からなり、または構成され;
Bは、リボヌクレアーゼHを動員することができる少なくとも5の連続核酸塩基、例えば、リボヌクレアーゼHを動員することができる1-12、または6-10、または7-9、例えば、8連続核酸塩基からなり、または含み;および
Cは、少なくとも1つのヌクレオチド類似体、例えば、1-6のヌクレオチド類似体、好ましくは2-5のヌクレオチド類似体、好ましくは2、3または4のヌクレオチド類似体、例えば、3または4の連続ヌクレオチド類似体からなり、または構成され;および
Dは、存在するならば、1以上のDNAヌクレオチド、例えば、1-3または1-2 DNAヌクレオチドからなる、または構成される、好ましくはからなる。
【0278】
21. 実施形態20に記載の化合物であって、ここで:
Aは、3または4の連続ヌクレオチド類似体からなり;
Bは、リボヌクレアーゼHを動員することができる8または9または10の連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなり;
Cは、3または4の連続ヌクレオチド類似体からなり;
Dは、存在するならば、1つのDNAヌクレオチドからなる。
【0279】
22. 実施形態20に記載の化合物であって、ここで:
Aは、3の連続ヌクレオチド類似体からなり;
Bは、リボヌクレアーゼHを動員することができる9の連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなり;
Cは、3の連続ヌクレオチド類似体からなり;
Dは、存在するならば、1つのDNAヌクレオチドからなる。
【0280】
23. 実施形態20に記載の化合物であって、ここで:
Aは、3の連続ヌクレオチド類似体からなり;
Bは、リボヌクレアーゼHを動員することができる10の連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなり;
Cは、3の連続ヌクレオチド類似体からなり;
Dは、存在するならば、1つのDNAヌクレオチドからなる。
【0281】
24. 実施形態20-23に記載の化合物であって、領域AおよびCが前記5'および3'フランキング領域に対応し、領域Bが前記サブ配列に対応する、化合物。
【0282】
25. BがDNA核酸塩基を含むまたはからなる、実施形態20-24のいずれかに記載の化合物。
【0283】
26. 少なくとも1つのヌクレオチド類似体がロックド核酸(LNA)ユニットである、実施形態17-25のいずれかに記載の化合物。
【0284】
27. 1-10のLNAユニット、例えば、2-8のヌクレオチドLNAユニットを含む、実施形態26に記載の化合物。
【0285】
28. 実施形態27に記載の化合物であって、その化合物に存在する全てのヌクレオチド類似体がLNAユニットである化合物。
【0286】
29. 実施形態26-28のいずれかに記載の化合物であって、各LNAが、D-βおよびL-α立体配置またはそれらの組み合わせのいずれかの、オキシ-LNA、チオ-LNAおよびアミノ-LNAから独立して選択される、化合物。
【0287】
30. LNAが全てβ-D-オキシ-LNAである、実施形態29に記載の化合物。
【0288】
31. 前述の実施形態のいずれかに記載の化合物であって、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体に存在する少なくとも1つの核酸塩基が、以下なる群から選択される修飾核酸塩基である、化合物:5-メチルシトシン、イソシトシン、プソイドイソシトシン、5-ブロモウラシル、5-プロピニルウラシル、6-アミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、ジアミノプリンおよび2-クロロ-6-アミノプリン。
【0289】
32. 少なくとも50℃のTmにおいて対応する哺乳類PCSK9 mRNAとハイブリダイズする、前述の実施形態のいずれかに記載の化合物。
【0290】
33. 80℃以下のTmにおいて対応する哺乳類PCSK9 mRNAとハイブリダイズする、前述の実施形態のいずれかに記載の化合物。
【0291】
34. 前述の実施形態のいずれかに記載の化合物であって、核酸塩基配列が、配列番号9、配列番号10、配列番号11、または表2または3および/または表4、5、または6に存在する配列からなる群から選択される配列である配列、または対応する配列からなり、または構成され、その化合物に存在するヌクレオチドが、対応するヌクレオチド類似体により置換され得、その化合物が、前記の選択された配列に対して1、2または3のミスマッチを含み得、および必要に応じてホスホロチオエート以外の結合基が用いられ得る、化合物。
【0292】
35. 配列番号9、配列番号10および配列番号11、または表2または3および/または表4、5、または6に存在する配列からなる群から選択される配列からなる、実施形態34に記載の化合物。
【0293】
36. 実施形態1-35のいずれかに記載の化合物、およびその化合物と共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分を含むコンジュゲート。
【0294】
37. 実施形態1-35のいずれかに規定の化合物、または実施形態36に規定のコンジュゲート、および製薬的に許容される希釈剤、担体、塩またはアジュバントを含む医薬組成物。
【0295】
38. 前記化合物がプロドラッグとして構成されている、37に記載の医薬組成物。
【0296】
39. 抗炎症性化合物および/または抗ウイルス化合物をさらに含む、実施形態37-38のいずれかに記載の医薬組成物。
【0297】
40. 血清コレステロールを低下させることができる、少なくとも1つのさらなる薬剤をさらに含む、実施形態39に記載の医薬組成物。
【0298】
41. 少なくとも1つのさらなる薬剤がスタチンまたはフィブロゲン(fibrogen)である、実施形態40に記載の医薬組成物。
【0299】
42. 少なくとも1つのさらなる薬剤がアポリポタンパク質 B-100(Apo-B)のモジュレーターである、実施形態40または41に記載の医薬組成物。
【0300】
43. Apo-Bのモジュレーターがアンチセンスオリゴヌクレオチドである、実施形態42に記載の医薬組成物。
【0301】
44. 実施形態1-35のいずれかに規定の化合物、または実施形態36に規定のコンジュゲートの、高コレステロール血症または関連障害を処置するための医薬の製造における使用。
【0302】
45. 高コレステロール血症または関連障害を処置する方法であって、実施形態1-35の1つに規定の化合物、または実施形態36に規定のコンジュゲート、または実施形態37-43のいずれかに規定の医薬組成物を、必要とする患者に投与することを含む方法。
【0303】
46. 細胞または組織におけるPCSK9の発現を阻害する方法であって、細胞または組織を、PCSK9の発現が阻害されるように、実施形態1-35の1つに規定の化合物、または実施形態36に規定のコンジュゲート、または実施形態37-43のいずれかに規定の医薬組成物と接触させる工程を含む方法。
【0304】
47. PCSK9遺伝子の発現を調節する方法であって、遺伝子発現が調節されるように、遺伝子または遺伝子からのRNAを、実施形態1-35の1つに規定される化合物、または実施形態36に規定されるコンジュゲート、または実施形態37-43のいずれかに規定される医薬組成物と接触させることを含む方法。
【0305】
48. 哺乳動物における血清コレステロールレベルを調節する方法であって、血清コレステロールレベルが調節されるように、細胞または組織を、実施形態1-35の1つに規定の化合物、または実施形態36に規定のコンジュゲート、または実施形態37-43のいずれかに規定の医薬組成物と接触させる工程を含む方法。
【0306】
【表2】
表2:特異的化合物/LNAアンチセンスオリゴヌクレオチドの設計。実施例および図面において参照される番号は、化合物番号を意味することに注意されたい。上の表は、化合物番号、および配列表に用いられている対応する配列番号、および同様に配列表に参照されているモチーフの配列番号を提供している。本発明によるさらなるオリゴマー配列モチーフは表3に示している。
【図面の簡単な説明】
【0307】
【図1】図1は、PCSK9とLDLrの相互作用を表す図を示す:PCSK9はLDL受容体(LDLr)の発現を変化させる。LDLrは肝細胞の側底面に発現し、ApoB-100と相互作用し、これにより血漿LDLの取り込み、およびおそらく新生VLDLの取り込みが可能となる。リポタンパク質を含有するApoB-100の細胞内部移行には、ARH(常染色体劣性遺伝高コレステロール血症)アダプタータンパク質が要求される。PCSK9はLDLrの翻訳後発現を変化させる。PCSK9およびLDLr遺伝子は低レベルの細胞内コレステロールにおいて上方制御され、このことは両遺伝子がHMGCoAリダクターゼ阻害剤(スタチン)の間接的な標的であることを示している(Lambert et al. 2006, TRENDS in Endocrinology and Metabolism, 17:79-81)。
【図2】0.04、0.2、1、5、10または25nMのリポフェクタミン(Lipofectamine)およびLNAオリゴヌクレオチド化合物番号:262または338によるトランスフェクションから24時間後のHuh-7細胞におけるPCSK9 mRNA発現。データはGapdhに対して標準化されており、モック対照と比較して表している。
【図3】0.04、0.2、1、5または10nMのリポフェクタミンおよびLNAオリゴヌクレオチド化合物番号:98または101によるトランスフェクトから24時間後のHuh-7細胞におけるPCSK9 mRNA発現。データはGapdhに対して標準化されており、モック対照と比較して表している。
【図4】0.04、0.2、1、5、10または25nMのリポフェクタミンおよびLNAオリゴヌクレオチド化合物番号:9、16または18によるトランスフェクトから24時間後のHuh-7細胞におけるPCSK9 mRNA発現。データはGapdhに対して標準化されており、モック対照と比較して表している。
【図5】ネズミ肝細胞癌細胞株Hepa 1-6におけるイン・ビトロ結果:0.04、0.2、1、5、10または25nMのリポフェクタミンおよびLNAオリゴヌクレオチド化合物番号:262および338によるトランスフェクトから24時間後のHuh-7細胞におけるPCSK9 mRNA発現。データはGapdhに対して標準化されており、モック対照と比較して表している。
【図6】0.04、0.2、1、5、10または25nMのリポフェクタミンおよびLNAオリゴヌクレオチド化合物番号:98および101によるトランスフェクトから24時間後のHuh-7細胞におけるPCSK9 mRNA発現。データはGapdhに対して標準化されており、モック対照と比較して表している。
【図7】メスC57BL/6マウスにおけるLNAオリゴヌクレオチドのイン・ビボ検査:0、3、7、10および14日目に、5、10または15 mg/kgの化合物番号:98、101または317を投与した後の肝臓におけるPCSK9 mRNA発現。16日目にマウスを屠殺し、肝臓をPCSK9 mRNA発現についてqPCRにより検査した。データは平均±SDを表し、生理食塩水グループと比較して表している。
【図8】0、3、7、10および14日目に尾静脈注射により10mg/kg/用量の化合物番号:98または101を投与したC57BL/6メスマウスについて屠殺日の16日目に測定した総血清、VLDL+LDLおよびHDLコレステロール。
【図9】屠殺日の16日目に肝臓を採取し、実施例13に記載のようにウェスタンブロットによりLDL受容体タンパク質レベルについて分析した。
【図10】NMRIメスマウス:0、3、7、10および14日目に10 mg/kgの化合物番号:98または101を投与した後の肝臓におけるPCSK9 mRNA発現。16日目にマウスを屠殺し、肝臓をqPCRによりPCSK9 mRNA発現について検査した。データは平均±SDを表し、生理食塩水グループと比較して表している。
【図11】屠殺時(16日目)に採取した血液からの血清中総コレステロール
【図12】屠殺日の16日目に肝臓を採取し、実施例13に記載のようにウェスタンブロットによってLDL受容体タンパク質レベルについて分析した。
【図13】高脂肪食(HFD)のメスおよびオスC57BL/6における有効性の研究:0、3、7、10および14日目に10または15mg/kgの化合物番号:98、101または317を投与した後の肝臓におけるPCSK9 mRNA発現。16日目にマウスを屠殺し、肝臓をqPCRによってPCSK9 mRNA発現について検査した。メスマウスは高脂肪食(HFD)を5ヶ月間与えた後、LNAオリゴヌクレオチドにより処置し、オスマウスはHFDを1ヶ月間与えた後、処置した。データは平均±SDを表し、生理食塩水グループと比較して表している。
【図14】肝臓を屠殺日の16日目に採取し、実施例13に記載のように、ウェスタンブロットによってLDL受容体タンパク質レベルについて分析した。
【図15】C57BL/6メスマウスにおける13-mer LNAオリゴヌクレオチドの試験:0、2および4日目に15 mg/kgの化合物番号:9、16、18または98を投与した後の肝臓におけるPCSK9 mRNA発現。6日目にマウスを屠殺し、肝臓をqPCRによってPCSK9 mRNA発現について検査した。データはGapdhに対して標準化されており、生理食塩水グループと比較して平均±SDにて表している。
【図16】血清中の種々のリポタンパク質画分、HDL、VLDLおよびLDLの分布。リポタンパク質はSebiaゲル上において分離し、スダンブラック(Sudan Black)染色およびデンシトメトリー分析(Molecular Imager FX)を用いて定量した。データは平均±SDとして表し、n=5である。
【図17】図17は、ヒト(NM_174936)とマウス(NM_153565)のPCSK9コード核酸間のClustal W局所配列アライメントを示し、ヒトおよびマウスPCSK9標的核酸の両方に相補的なオリゴマー化合物を設計するのに十分な配列相同性を有する領域を示し(アライメントしたヌクレオチド間の縦線により示す)、網掛けした領域はオリゴヌクレオチドをヒトおよびマウスの両方のPCSK9活性へ標的化するのに好ましい領域(好ましくは少なくとも12の一連の保存されている残基)を示し、下線をひいた領域は特に好ましい領域である。
【発明を実施するための形態】
【0308】
実施例
【実施例1】
【0309】
モノマー合成
LNAモノマー構成要素およびそれらの誘導体は、以下の公開媒体およびそこに引用されている参考文献に従って調製したので、参照されたい:
国際公開第03/095467 A1号パンフレット
D. S. Pedersen, C. Rosenbohm, T. Koch(2002)Preparation of LNA Phosphoramidites, Synthesis 6, 802-808.
M. D. Sorensen、L. Kvaerno、T. Bryld、A. E. Hakansson、B. Verbeure、G. Gaubert、P. Herdewijn、J. Wengel (2002) α-L-ribo-configured Locked Nucleic Acid (α-l-LNA): Synthesis and Properties, J. Am. Chem. Soc., 124、2164-2176.
S. K. Singh, R. Kumar, J. Wengel (1998) Synthesis of Novel Bicyclo[2.2.1] Ribonucleosides: 2'-Amino- and 2'-Thio-LNA Monomeric Nucleosides, J. Org. Chem. 1998, 63, 6078-6079.
C. Rosenbohm, S. M. Christensen, M. D. Sorensen, D. S. Pedersen, L. E. Larsen, J. Wengel, T. Koch (2003) Synthesis of 2'-amino-LNA: a new strategy, Org. Biomol. Chem. 1, 655-663.
D. S. Pedersen, T. Koch (2003) Analogues of LNA (Locked Nucleic Acid). Synthesis of the 2'-Thio-LNA Thymine and 5-Methyl Cytosine Phosphoramidites, Synthesis 4, 578-582.
【実施例2】
【0310】
オリゴヌクレオチド合成
オリゴヌクレオチドは、Expedite 8900/MOSS synthesizer(複数オリゴヌクレオチド合成系(Multiple Oligonucleotide Synthesis System))上で1μmolまたは15μmolスケールにおいてホスホラミダイト法を用いて合成した。より大きなスケールの合成については、Akta Oligo Pilotを用いた。合成(DMT-on)の終わりに、水性アンモニアを用いて室温において1-2時間かけてオリゴヌクレオチドを固体支持体から切断し、65℃にて4時間さらに脱保護した。オリゴヌクレオチドは逆相HPLC(RP-HPLC)によって精製した。DMT基を除去した後、オリゴヌクレオチドをAE-HPLC、RP-HPLCおよびCGEによって特徴決定し、分子量をESI-MSによってさらに確認した。さらなる詳細については以下を参照のこと。
【0311】
LNA-固体支持体の調製:
LNAスクシニルヘミエステルの調製
5'-O-Dmt-3'-ヒドロキシ-LNA モノマー(500mg)、無水コハク酸(1.2当量)およびDMAP(1.2当量)をDCM(35mL)に溶解させた。反応物を室温にて一晩撹拌した。0.1 MのNaH2PO4(pH 5.5)(2×)および塩水(1×)によって抽出した後、有機層をさらに無水Na2SO4により乾燥させ、濾過し、蒸発させた。ヘミエステル誘導体を得(収率95%)、さらなる精製をせずに用いた。
【0312】
LNA-支持体の調製
上記にて調製したヘミエステル誘導体(90μmol)を最小量のDMFに溶解させ、DIEAおよびpyBOP(90μmol)を加え、1分間一緒に混合した。このように予め活性化した混合物をマニュアルの合成装置のLCAA-CPG(500Å、網目サイズ80-120、300 mg)と合わせ、撹拌した。室温に1.5時間おいた後、支持体を濾過して回収し、DMF、DCMおよびMeOHにより洗浄した。乾燥した後、負荷を測定すると57μmol/gであった(F.Eckstein編、「Oligonucleotides and Analogues A Practical Approach」、Oxford:IRL Press、1991: 13-14の、Tom Brown、Dorcas J.S.Brown、「Modern machine-aided methods of oligodeoxyribonucleotide synthesis」を参照のこと)。
【0313】
オリゴヌクレオチドの伸長
ホスホラミダイト(A(bz)、G(ibu)、5-メチル-C(bz))またはT-β-シアノエチルホスホラミダイト)のカップリングを、アセトニトリル中0.1 Mの5'-O-DMT-保護アミダイトの溶液およびアクチベーターとしてアセトニトリル中のDCI(4,5-ジシアノイミダゾール)(0.25M)を用いて行う。塩化キサンタン(アセトニトリル:ピリジン10%中0.01M)を用いてチオレーション(thiolation)を行う。残りの試薬はオリゴヌクレオチド合成に典型的に用いられるものである。供給元が提供するプロトコールを便利よく最適化した。
【0314】
RP-HPLCによる精製:
カラム: Xterra RP18
流速: 3 mL/分
緩衝液: 0.1 M酢酸アンモニウムpH 8およびアセトニトリル
【0315】
略称
DMT: ジメトキシトリチル
DCI: 4,5-ジシアノイミダゾール
DMAP: 4-ジメチルアミノピリジン
DCM: ジクロロメタン
DMF: ジメチルホルムアミド
THF: テトラヒドロフラン
DIEA: N,N-ジイソプロピルエチルアミン
PyBOP:ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-ピロリジノ-ホスホニウム
Bz: ベンゾイル
Ibu: イソブチリル
【実施例3】
【0316】
オリゴヌクレオチド化合物の設計
表2および3(下記)を参照。大文字はリボヌクレオチドユニットを示し、下付の「s」は2'-O-メチル-修飾リボヌクレオチドユニットを表す。
【0317】
本発明の一実施形態において、配列番号:3および4は、少なくとも3LNAヌクレオチド、例えば配列番号:3および4のように6(7または8LNA)ヌクレオチドを含有する。
【実施例4】
【0318】
ヒトまたはラット血漿におけるLNA化合物の安定性
LNAオリゴヌクレオチドの安定性をヒトまたはラットからの血漿において試験した(マウス、サルまたはイヌ血漿もあり得る)。45μl血漿に、オリゴヌクレオチド5μlを加える(終濃度20μM)。それらのオリゴを血漿において0-96時間にわたる時間37℃にてインキュベートする(血漿を96時間までヌクレアーゼ活性について試験し、ヌクレアーゼ切断パターンに相違は示されない)。示された時間にサンプルを液体窒素において急速に冷凍した。血漿中2μl(40pmolにあたる)のオリゴヌクレオチドを、水15μlおよび6×ローディング色素(Invitrogen)3μlを加えて希釈した。マーカーとして10 bpのラダー(Invitrogen 10821-015)を用いる。1μlラダーに、6×ローディング色素1μlおよび水4μlを加えた。サンプルを混合し、65℃に10分間加熱し、前泳動ゲルに装填し(16%アクリルアミド、7 M UREA、1×TBE、50ワットにて1時間の前泳動)、50-60ワットにて2.5時間本泳動した。次にゲルを1×TBE中の1×SyBR gold(molecular probes)により15分間染色した。バンドをホスホイメージャー(phosphoimager)(Biorad)を用いて可視化した。
【実施例5】
【0319】
イン・ビトロモデル:細胞培養
標的核酸の発現に対するアンチセンス化合物の効果は、様々な細胞型のいずれかにおいて試験することができ、ただしその標的核酸が測定可能なレベルにあることを条件とする。標的は、内因的に、または前記核酸をコードする核酸の一時的なもしくは安定なトランスフェクションにより発現させることができる。
【0320】
標的核酸の発現レベルは、例えば、ノーザン・ブロット分析、定量的PCR、リボヌクレアーゼプロテクションアッセイを用いて、ルーチン的に測定することができる。以下の細胞型は例証を目的として提供しているが、他の細胞型もルーチン的に用いられており、ただし選択された細胞型において標的が発現されることを条件とする。
【0321】
細胞は以下に記載する適切な培地において培養し、37℃、湿度95-98%、5%CO2において維持した。細胞を毎週2-3回ルーチン的に継代した。
【0322】
Huh-7:ヒト肝臓細胞株Huh-7はATCCから購入し、10%FBS+Glutamax I+非必須アミノ酸類+ゲンタマイシンを含むEagle MEM(Sigma)において培養した。
【実施例6】
【0323】
イン・ビトロモデル:アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処置
細胞培養およびトランスフェクション:6ウェルプレート中の10%FBS、Glutamax Iおよびゲンタマイシンを補足した成長培地に37℃(5%CO2)においてHuh-7およびHepa 1-6細胞を播種した。細胞が60-70%コンフルエントになった時点に、リポフェクタミン2000(5μg/mL)を用いて種々の濃度のオリゴヌクレオチド(0.04−25nM)により2複製ずつ細胞をトランスフェクトした。トランスフェクションは基本的にDeanら(1994, JBC 269:16416-16424)により報告された通りに行った。簡単に説明すると、細胞をOptiMEM中のリポフェクタミンとともに10分間インキュベートし、次いでオリゴヌクレオチドを1ウェルにつき合計量0.5mLのトランスフェクションミックスに加えた。4時間後、そのトランスフェクションミックスを除去し、細胞を洗浄し、37℃にておおよそ20時間成長させた(適切な成長培地におけるmRNA分析およびタンパク質分析)。次いで細胞をタンパク質およびRNA分析のために収穫した。
【実施例7】
【0324】
イン・ビトロモデル:RNAの抽出およびcDNA合成
トータルRNAの単離
トータルRNAをRNeasy mini kit(Qiagen)を用いて単離した。細胞をPBSにより洗浄し、1%メルカプトエタノールを補足した細胞溶解緩衝液(Cell Lysis Buffer)(RTL, Qiagen)を直接ウェルに加えた。数分後、サンプルを製造者の説明書に従って処理した。
【0325】
ファーストストランドの合成
ファーストストランドの合成は、OmniScript Reverse Transcriptase kitまたはM-MLV Reverse transcriptase(基本的に製造者(Ambion)による記載の通り)のいずれかを用いて製造者(Qiagen)の説明書に従って行った。OmniScript Reverse Transcriptaseを用いる場合、各サンプルの0.5μgのトータルRNAを12μlに調整し、0.2μlポリ(dT)12-18(0.5μg/μl)(Life Technologies)、2μl dNTPミックス(各5mM)、2μl 10×RT緩衝液、0.5μl RNAguard(商標)RNase Inhibitor(33ユニット/mL、Amersham)および1μl OmniScript Reverse Transcriptaseと混合し、次いで37℃にて60分間インキュベーションし、93℃にて5分間加熱して失活させた。
【0326】
ファーストストランド合成を無作為のデカマーおよびM-MLV-Reverse Transcriptase(基本的に製造者(Ambion)による記載の通り)を用いて行う場合、各サンプルの0.25μgのトータルRNAをH2O中10.8μlに調整した。デカマー2μlおよびdNTPミックス2μl(それぞれ2.5mM)を加えた。サンプルを70℃に3分間加熱し、氷水において直ちに冷却し、(10×RT緩衝液2μl;M-MLV Reverse Transcriptase 1μl;RNAase inhibitor 0.25μl)を含有するミックス3.25μlを加えた。cDNAを42℃にて60分間合成し、次いで95℃にて10分間熱失活工程を行い、最後に4℃に冷却した。
【実施例8】
【0327】
イン・ビトロおよびイン・ビボモデル:リアルタイムPCRによるPCSK9発現のオリゴヌクレオチド阻害の分析
PCSK9発現のアンチセンス調節は当分野において既知の様々な方法においてアッセイすることができる。例えばPCSK9 mRNAレベルは、例えばノーザン・ブロット分析、競合的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、またはリアルタイムPCRによって定量化することができる。リアルタイム定量PCRが現在好ましい。RNA分析はトータル細胞RNAまたはmRNA上において行うことができる。
【0328】
RNA単離およびRNA分析、例えばノーザン・ブロット分析の方法は当分野において日常的であり、例えばJohn WileyとSonsの「Current Protocols in Molecular Biology」に記載されている。
【0329】
リアルタイム定量(PCR)は、BioRADから入手可能な市販のiQ Multi-Color Real Time PCR Detection Systemを用いて簡便に行うことができる。リアルタイム定量PCRは当業者によく知られている技術であり、例えばHeid et al. Real time quantitative PCR, Genome Research (1996), 6: 986-994に教示されている。
【0330】
PCSK9 mRNAレベルのリアルタイム定量PCR分析
処置および非処置サンプルにおいて相対的なヒトPCSK9 mRNAレベルを決定するために、作製されたcDNAを、Bio-RadのiCyclerまたはApplied Biosystemsの7500 Fast Real-Time PCR Systemを用いる定量的PCR分析に用いた。
【0331】
10倍希釈したcDNA 8μlを、Platinum qPCR Supermix-UDG(Invitrogen)29.5μl、H2O 19.2μlおよび20×ヒトPCSK9またはGAPDH TaqMan gene expression assay(Applied Biosystems)3.0μlを含有するミックス52μlに加えた。各サンプルは2複製分解析した。PCRプログラム:95℃を20秒間、次いで95℃、3秒、60℃、30秒の40サイクル。
【0332】
マウスPCSK9:マウスPCSK9発現をマウスPCSK9またはGAPDH TaqMan gene expression assay(Applied Biosystems)を用いて定量する。10倍希釈cDNA 8μlをPlatinum qPCR Supermix-UDG(Invitrogen)29.5μl、H2O 19.2μlおよび20×マウスPCSK9またはGAPDH TaqMan gene expression assay(Applied Biosystems)3.0μlを含有するミックス52μlに加える。各サンプルは2複製分解析する。PCRプログラム:95℃、20秒間、次いで95℃、3秒、60℃、30秒の40サイクル。
【0333】
PCSK9 mRNA発現をQ-PCRを用いて同様に定量化したマウスGapdh mRNAに標準化する。
【0334】
非処置のヒト肝細胞株(Huh-7)(5倍希釈、PCSK9およびGapdhの両方を発現する)から合成された2倍希釈のcDNAを用いて、アッセイのための標準曲線を作成する。相対的な量のPCSK9 mRNAを、計算した閾値サイクルからiCycler iQ Real Time Detection Systemソフトウェアを用いて決定した。
【実施例9】
【0335】
イン・ビトロ分析:細胞培養物(ヒト肝細胞 Huh-7)における用量反応/ヒトPCSK9発現のアンチセンス阻害
本発明に従い、ヒトPCSK9 mRNAの種々の領域を標的とするように一連のオリゴヌクレオチドを設計した。表2を参照のこと。ヒト肝細胞(Huh-7細胞)において、化合物番号:9、16、18、98、101、262、301、317、323、338、341(図1-4)の脂質支援型の取り込みの後に、PCSK9 mRNAをノックダウンする能力についてオリゴヌクレオチド化合物を評価した。実施例5-8に記載のように実験を行った。結果は、全ての化合物について25nMにおいて非常に強力な下方制御(60から80%以上)を示した。
【実施例10】
【0336】
イン・ビトロ分析:細胞培養における用量反応(ネズミ肝細胞 Hepa 1-6)/ネズミPCSK9発現のアンチセンス阻害
本発明に従って、ネズミPCSK9 mRNAの種々の領域を標的とするように一連のオリゴヌクレオチドを設計した(表2を参照のこと)。ネズミ肝細胞(Hepa 1-6)において、化合物番号:98、101、262および338(図5-6)の脂質支援型の取り込みの後に、PCSK9 mRNAをノックダウンする能力についてオリゴヌクレオチド化合物を評価した。実施例5-8に記載のように実験を行った。結果は、全ての化合物について25nMにおいて非常に強力な下方制御(60%以上)を示した。
【実施例11】
【0337】
マウス血清におけるコレステロールレベル
血清中における全コレステロールレベルをABX Pentra社の電量分析Cholesterol CPを用いて測定した。コレステロールを酵素加水分解および酸化の後に測定する。水20μLを血清3μLに加えた。試薬240μLを加え、15分以内にコレステロール含量を500nMの波長にて測定する。各動物における測定は2複製分行った。標準曲線をABX DiagnosticsのMulti Calを用いて作成した。
【0338】
種々のリポタンパク質分類(VLDL/LDLおよびHDL)におけるコレステロールレベルを超遠心分離法により血清中にて測定した。血清を1.067 g/mlの密度に調整し、他のリポタンパク質からHDLが分離するようにした。おおよそ400.000 g、15℃にて4時間遠心分離した後、各画分(上部および下部)における総コレステロール(ABX Pentra)を測定する。
【実施例12】
【0339】
マウス肝臓におけるLDL受容体タンパク質レベル
ウェスタンブロット
肝臓サンプルを液体窒素において急速に冷凍し、分析するまで−80℃にて保存した。組織30mgを解凍し、Halt Protease inhibitor cocktail(Pierce)を補足したT-per Tissue Protein Extraction buffer(Pierce)300μl中にてホモジナイズした。
【0340】
全タンパク質をBCA protein assay kit(Pierce)により、アルブミン標準を用い、製造者のプロトコールに従って測定した。
【0341】
各サンプルからの全タンパク質25μgを4×LDS sample buffer(NuPAGE、Invitrogen)を含む4-12%ビス-Trisゲル上に装填した。MOPS(Invitrogen)中、130Vにて2時間ゲルを泳動した。標準的プロトコール(XCell II Blot Module、Invitrogen)に従い、ブロッティングモジュールを用いてタンパク質バンドをPVDF膜上にブロットした。膜を1×PBS中5%スキムミルク粉において一晩ブロッキングした。免疫検出において、ブロッキング溶液において1:1000希釈のポリクローナルヤギ-抗-マウス-LDLR抗体(R&D Systems)および1:2000希釈のモノクローナルマウス-抗-チューブリン抗体(NeoMarkers)の一次抗体とともに膜を一晩インキュベートした。その後、1:2000希釈のHRP/抗-ヤギ抗体および1:2000希釈のHRP/抗-マウス抗体(Dako)の二次抗体溶液において2時間インキュベーションした。LDLRおよびチューブリンのバンドをChemiluminescence ECL+detection kit(Amersham)およびVersaDoc5000 imaging system(Bio-Rad)を用いて可視化した。
【実施例13】
【0342】
Sebiaゲルを用いて測定した血清中のリポタンパク質分類組成
バルビタール緩衝液におけるアガロースゲル電気泳動を用いて電荷によってリポタンパク質を分離する。これは、リポタンパク質プロファイルの臨床分析のための原法の1つである。ゲルは通常、親油性の色素、例えば、スダンブラックにより染色する。色素は、脂質の種類によって区別しないであろうから、色素をコレステロールエステルおよびトリグリセリド間で区別することができないので、この方法は「一般的なリポタンパク質プロファイル」を提供するのに限定される。しかしながら、少ないサンプル体積、高再現性、および個々の動物におけるリポタンパク質プロファイル(脂質/バンドの比率のような)の変化に従う可能性によって、アガロースゲルはリポタンパク質分析に有用なツールである。分析は、質の高いゲルおよび特殊化した電気泳動設備(Lipoprotein+Lp(a) agarose gel electrophoresis、Sebia、France)において行う。血清はマウスの血液から遠心分離によって単離し、リポタンパク質はSebiaゲル上にて分離し、スダンブラック染色を用い、次いでゲルをスキャニングし(Molecular Imager FX)、Quantity Oneソフトウェアによりデンシトメトリー設定を用いて分析して定量化した。
【実施例14】
【0343】
イン・ビボ分析:C57BL/6メスマウスにおける種々のLNAオリゴヌクレオチドの用量反応。
本発明に従い、ネズミPCSK9 mRNAの種々の領域を標的とするように一連のオリゴヌクレオチドを設計した。これらのオリゴヌクレオチドのうち3つを、肝臓におけるPCSK9 mRNAの下方制御、血清コレステロールの減少および肝臓のLDL受容体タンパク質の増加を行う能力について評価した。
【0344】
メスのC57BL/6に、2.5、5、または10 mg/kgのオリゴヌクレオチドまたは生理食塩水を0、3、7、10および14日目に投与し(i.v.)、初めの投与処置から16日後に屠殺した。qPCRによるPCSK9 mRNA発現の分析のために肝臓を採取した(実施例8に記載のように)。化合物番号98および101を投与した後、PCSK9 mRNA発現は用量依存的に下方制御された(図7)。
【0345】
血清を調製するために屠殺時に血液を採取し、血清コレステロールを実施例11に記載のように測定した。化合物番号98は減少した血清総コレステロールおよび減少した(約30%)レベルのVLDL+LDLコレステロールの傾向を示し、HDL-コレステロールには効果を示さなかった(図8)。
【0346】
PCSK9 mRNAの下方制御は、肝細胞の表面上に存在するLDL受容体数に効果を有することが期待された。ウェスタンブロットを用いて肝臓におけるLDL受容体タンパク質を試験した(実施例12)。化合物番号98により生理食塩水群と比較して約80%のLDL受容体タンパク質の増加が生じた(図9)。
【実施例15】
【0347】
イン・ビボ分析:メスのNMRIマウスにおけるPCSK9を下方制御するLNAオリゴヌクレオチドの効力。
ネズミPCSK9 mRNAの異なる領域を標的とする2つのオリゴヌクレオチドを、PCSK9 mRNA発現の下方制御、血清総コレステロールの減少およびLDL受容体タンパク質レベルの増加を行う能力について試験した。
【0348】
メスのNMRIマウスに、0、2、4日目に10 mg/kg/用量のLNAオリゴヌクレオチドまたは生理食塩水を投与し(i.v.)、6日目に屠殺した。肝臓をqPCRによるPCSK9 mRNA 発現の分析のために採取した(実施例8に記載のように)。PCSK9 mRNA発現は、化合物番号98を投与した後に約70%減少し、化合物番号101を投与した後に約30%減少した(図10)。この下方制御の効果を肝臓におけるLDL受容体タンパク質レベルについて観察した;化合物番号98 および101を投与した後、それぞれ約50%および40%増加した(図11)。このLDL受容体の増加により、化合物番号98および101についてそれぞれ55%および15%の血清中コレステロールの減少が起こった(図12)。
【実施例16】
【0349】
イン・ビボ分析:投与前に高脂肪食(HFD)を1または5ヶ月間与えたC57BL/6においてPCSK9 mRNA発現を減少させるLNAオリゴヌクレオチドの効力。
メスのC57BL/6マウスに高脂肪食(HFD)(60エネルギー%脂肪)を5ヶ月間与え、オスのC57BL/6にHFDを1ヶ月間与えた後、10または15mg/kgのLNAオリゴヌクレオチドを、0、3、7、10、14日目に与え、16日目に屠殺した。肝臓をqPCRによるPCSK9 mRNA発現の分析のために採取した(実施例8に記載のように)。化合物番号98および317を投与したことにより、メスマウスにおいては、PCSK9 mRNA発現(実施例8に記載のようにqPCRにより分析した)の、それぞれ約80および60%の下方制御が起こり、オスマウスにおいては両化合物について約85%の下方制御が起こった(図13)。(実施例12に記載の)ウェスタンブロットにより測定されたLDL受容体タンパク質レベルは、メスのHFDマウスにおいて、化合物番号98の投与後約2-3倍増加し、化合物番号317に投与後20%増加した。オスマウスにおいては、15mg/kg/用量の化合物番号98により、2.5倍増大したLDL受容体タンパク質レベルが生じたが、一方化合物番号317はLDL受容体タンパク質レベルに対して軽い効果しか有さなかった(図14)。
【実施例17】
【0350】
イン・ビボ分析:メスのNMRIマウスにおいてPCSK9 mRNA発現を減少させる13-mer LNAオリゴヌクレオチドの効力。
メスのMNRIマウスに0、2および4日目に15mg/kgを投与し、6日目に屠殺した。qPCRによるPCSK9 mRNA発現について実施例8に記載のように分析するために肝臓を採取した。13-merオリゴヌクレオチド;化合物番号9、16および18によりそれぞれ90%、70%および85%のPCSK9 mRNA発現の減少が起こり、14-mer化合物番号98により80%のPCSK9 mRNAの減少が得られた(図15)。血清中の種々のリポタンパク質分類の分布を、実施例13に記載のようにSebiaゲル上において分離した後に決定した。種々の分類間の分布(各群につき100%に設定し、その群の他のリポタンパク質と比較して表している)を化合物番号9、16、18および98について試験した。全てのリポタンパク質において化合物番号18について最も高い効果が観察され(VLDLおよびLDLについて生理食塩水と比較してそれぞれ50%および65%の減少。結果としてHDLは60%増加した)、化合物番号98は、生理食塩水と比較してVLDLを30%、LDLを約10%減少させ、結果としてHDLは20%増加した(図16)。
【0351】
表3:PCSK9を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば、LNAアンチセンスオリゴヌクレオチドの合成のためのさらなる主な目的の配列
【表3−1】
【表3−2】
【表3−3】
【表3−4】
【表3−5】
【表3−6】
【表3−7】
【表3−8】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合計10-50核酸塩基の連続核酸塩基配列を含む10-50核酸塩基長のオリゴマーであって、該連続核酸塩基配列が哺乳類PCSK9をコードする核酸の対応する領域に対して少なくとも80%の相同性を有するオリゴマー。
【請求項2】
連続核酸塩基配列が、哺乳類PCSK9をコードする核酸の対応する領域に対して3以下、例えば、2以下のミスマッチを含む、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項3】
連続核酸塩基配列が、哺乳類PCSK9をコードする核酸の対応する領域に対して1以下のミスマッチを含む、請求項2に記載のオリゴマー。
【請求項4】
連続核酸塩基配列が、哺乳類PCSK9をコードする核酸の対応する領域に対してミスマッチを含まない(例えば相補的である)、請求項3に記載のオリゴマー。
【請求項5】
オリゴマーの核酸塩基配列が連続核酸塩基配列からなる、請求項1〜4のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項6】
哺乳類PCSK9をコードする核酸が、齧歯類PCSK9をコードする核酸、例えば、マウスPCSK9またはラットPCSK9、非ヒト霊長類PCSK9、例えば、チンパンジーPCSK9、またはイヌPCSK9からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項7】
哺乳類PCSK9をコードする核酸が、ヒトPCSK9ヌクレオチド配列、例えば、配列番号2、またはその天然アレル変異体である、請求項1〜6のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項8】
連続核酸塩基配列が、ヒトPCSK9核酸配列および非ヒト哺乳類PCSK9核酸配列、例えば請求項6に記載のPCSK9核酸配列、の両方の対応する領域に対して相補的である、請求項1〜7のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項9】
連続核酸塩基配列が、ヒトPCSK9核酸配列およびマウスPCSK9核酸配列の両方の対応する領域に対して相補的である、請求項1〜8のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項10】
連続核酸塩基配列が、相補的PCSK9標的RNAと二本鎖を形成する際にリボヌクレアーゼHを動員することができる、少なくとも6核酸塩基残基の連続サブ配列を含む、請求項1〜9のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項11】
連続核酸塩基配列が、相補的PCSK9標的RNAと二本鎖を形成する際に、リボヌクレアーゼHを動員することができる、少なくとも7、例えば、少なくとも8、少なくとも9または少なくとも10核酸塩基残基の連続サブ配列から構成される、請求項10に記載のオリゴマー。
【請求項12】
連続サブ配列が、相補的PCSK9標的RNAと二本鎖を形成する際にリボヌクレアーゼHを動員することができる、少なくとも9または少なくとも10核酸塩基長、例えば、少なくとも12核酸塩基または少なくとも14核酸塩基長、例えば、14、15または16核酸塩基残基である、請求項10または11のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項13】
1以上の非核酸塩基化合物とコンジュゲートしている、請求項1〜12のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項14】
10〜22核酸塩基長を有する、請求項1〜13のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項15】
12〜18核酸塩基長を有する、請求項1〜13のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項16】
14、15または16核酸塩基長を有する、請求項1〜13のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項17】
10、11、12、13または14核酸塩基長を有する、請求項1〜13のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項18】
一本鎖である、請求項1〜17のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項19】
連続核酸塩基配列が、少なくとも1つの親和性増大ヌクレオチド類似体を含む、請求項1〜18のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項20】
連続核酸塩基配列が、合計2、3、4、5、6、7、8、9または10の親和性増大ヌクレオチド類似体、例えば、5〜8の親和性増大ヌクレオチド類似体を含む、請求項19に記載のオリゴマー。
【請求項21】
残りの核酸塩基が、DNAヌクレオチドおよびRNAヌクレオチドからなる群から選択される、、好ましくはDNAヌクレオチドである、少なくとも1つの親和性増大ヌクレオチド類似体を含む、請求項1〜20のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項22】
5'から3'の方向に式A-B-C、必要に応じて式A-B-C-Dの核酸塩基の配列から構成される、請求項1〜21のいずれかに記載のオリゴマーであって、ここで:
Aは、少なくとも1つのヌクレオチド類似体、例えば、1、2、3、4、5または6のヌクレオチド類似体、好ましくは2-5のヌクレオチド類似体、好ましくは2、3または4のヌクレオチド類似体、最も好ましくは2、3または4の連続ヌクレオチド類似体からなりまたは構成され;
Bは、(相補的RNA分子例えばPCSK9 mRNA標的と二本鎖を形成する際に)リボヌクレアーゼHを動員することができる少なくとも5の連続核酸塩基、例えばDNA核酸塩基、例えば、リボヌクレアーゼHを動員することができる5、6、7、8、9、10、11または12の連続核酸塩基、またはリボヌクレアーゼHを動員することができる6-10の、または7-9の、例えば、8の連続核酸塩基からなりまたは含み;
Cは、少なくとも1つのヌクレオチド類似体、例えば、1、2、3、4、5、または6のヌクレオチド類似体、好ましくは2-5のヌクレオチド類似体、例えば、2、3または4のヌクレオチド類似体、最も好ましくは2、3または4の連続ヌクレオチド類似体からなりまたは構成され;
Dは、存在する場合、1以上のDNAヌクレオチド、例えば1-3または1-2のDNAヌクレオチドからなるまたは構成される、好ましくはからなる。
【請求項23】
領域Aが2、3または4の連続ヌクレオチド類似体からなるまたは構成される、請求項22に記載のオリゴマー。
【請求項24】
領域Bが、相補的RNA例えばPCSK9 mRNA標的と二本鎖を形成する際にリボヌクレアーゼHを動員することができる、7、8、9または10の連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなるまたは構成される、請求項22または23に記載のオリゴマー。
【請求項25】
領域Cが2、3または4の連続ヌクレオチド類似体からなるまたは構成される、請求項22〜24のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項26】
領域Dが、存在する場合、1または2のDNAヌクレオチドからなる、請求項22〜25のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項27】
Aが、3の連続ヌクレオチド類似体からなりまたは構成され;
Bが、相補的RNA例えばPCSK9 mRNA標的と二本鎖を形成する際にリボヌクレアーゼHを動員することができる、7、8、9または10の連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなりまたは構成され;
Cが、3の連続ヌクレオチド類似体からなりまたは構成され;
Dが、存在する場合、1または2のDNAヌクレオチドからなる、
請求項22〜26のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項28】
連続核酸塩基配列が、10、11、12、13または14の核酸塩基からなり、ここで;
Aが、1、2または3の連続ヌクレオチド類似体からなり;
Bが、相補的RNA例えばPCSK9 mRNA標的と二本鎖を形成する際にリボヌクレアーゼHを動員することができる、7、8または9の連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなり;
Cが、1、2または3の連続ヌクレオチド類似体からなり;
Dが、存在する場合、1つのDNAヌクレオチドからなる、
請求項22に記載のオリゴマー。
【請求項29】
Bが、アルファ-L立体配置にある少なくとも1つのLNA核酸塩基、例えばα-L-オキシLNAを含む、請求項22〜28のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項30】
前記ヌクレオチド類似体が独立してまたは集合して以下からなる群から選択される、請求項1〜29のいずれかに記載のオリゴマー:ロックド核酸(LNA)ユニット;2'-O-アルキル-RNAユニット、2'-OMe-RNAユニット、2'-アミノ-DNAユニット、2'-フルオロ-DNAユニット、PNAユニット、HNAユニット、およびINAユニット。
【請求項31】
全てのヌクレオチド類似体がLNAユニットである、請求項30に記載のオリゴマー。
【請求項32】
1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のLNAユニット、例えば、2〜8のヌクレオチドLNAユニットを含む、請求項1〜31のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項33】
LNAが、ベータ-Dおよびアルファ-L立体配置またはそれらの組み合わせのいずれかの、オキシ-LNA、チオ-LNAおよびアミノ-LNAから独立して選択される、請求項29〜32のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項34】
LNAが全てβ-D-オキシ-LNAである、請求項33に記載のオリゴマー。
【請求項35】
前記ヌクレオチド類似体または領域AおよびCの核酸塩基がβ-D-オキシ-LNAである、請求項22-34のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項36】
オリゴマーに存在する少なくとも1つの核酸塩基が、5-メチルシトシン、イソシトシン、プソイドイソシトシン、5-ブロモウラシル、5-プロピニルウラシル、6-アミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、ジアミノプリンおよび2-クロロ-6-アミノプリンからなる群から選択される修飾核酸塩基である、請求項1〜35のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項37】
少なくとも40℃、例えば、少なくとも50℃のTmによって、対応する哺乳類PCSK9 mRNAとハイブリダイズする、請求項1〜36のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項38】
80℃以下の、例えば70℃以下のTmによって、対応する哺乳類PCSK9 mRNAとハイブリダイズする、請求項1〜37のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項39】
ヌクレオシド間結合が、以下からなる群から独立して選択される、請求項1〜38のいずれかに記載のオリゴマー:リン酸ジエステル、ホスホロチオエートおよびボラノホスフェート。
【請求項40】
少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む、請求項39に記載のオリゴマー。
【請求項41】
DNAもしくはRNAユニットに隣接する、またはDNAもしくはRNAユニット間の、または領域B内のヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエート結合である、請求項40に記載のオリゴマー。
【請求項42】
少なくとも1対の連続ヌクレオチド類似体間の結合が、リン酸ジエステル結合である、請求項40または41に記載のオリゴマー。
【請求項43】
連続ヌクレオチド類似体間の全ての結合が、リン酸ジエステル結合である、請求項40または41に記載のオリゴマー。
【請求項44】
全てのヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエート結合である、請求項40に記載のオリゴマー。
【請求項45】
連続的な核酸塩基配列が、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18および配列番号19からなる群から選択される核酸配列に存在する連続ヌクレオチド配列に対応する、請求項1〜44のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項46】
連続的な核酸塩基配列が、配列番号40〜配列番号393からなる群から選択される核酸配列に存在する連続ヌクレオチド配列である、請求項1〜45のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項47】
連続的な核酸塩基配列が、以下からなる群から選択される核酸配列に存在する連続ヌクレオチド配列である、請求項1〜46のいずれかに記載のオリゴマー:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38および配列番号39。
【請求項48】
以下からなる群から選択される、請求項1〜47のいずれかに記載のオリゴマー:配列番号10、配列番号20、配列番号11、配列番号9、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28および配列番号29。
【請求項49】
請求項1〜48のいずれかに記載のオリゴマーおよび該化合物に共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分を含むコンジュゲート。
【請求項50】
請求項1〜48のいずれかに記載のオリゴマーまたは請求項49に記載のコンジュゲート、および製薬的に許容される希釈剤、担体、塩またはアジュバントを含む医薬組成物。
【請求項51】
オリゴマーがプロドラッグとして構成される、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項52】
以下からなる群から選択されるさらなる治療剤をさらに含む、請求項50または51に記載の医薬組成物:Apo-B-100(アンチセンス)オリゴマー、FABP4(アンチセンス)オリゴマー、スタチン、フィブラート、チアゾリジンジオン、抗炎症性化合物および抗ウイルス性化合物。
【請求項53】
以下からなる群から選択される疾患または障害を処置するための医薬の製造における、請求項1〜48のいずれかに記載のオリゴマー、または請求項49に記載のコンジュゲートの使用:高コレステロール血症または関連障害、炎症性疾患または障害、関節炎、喘息、アルツハイマー病、代謝疾患または障害、メタボリックシンドローム、糖尿病およびアテローム性動脈硬化症。
【請求項54】
以下からなる群から選択される疾患または障害の処置のための、請求項1〜48のいずれかに記載のオリゴマー、または請求項49に記載のコンジュゲート:高コレステロール血症または関連障害、炎症性疾患または障害、関節炎、喘息、アルツハイマー病、代謝疾患または障害、メタボリックシンドローム、糖尿病およびアテローム性動脈硬化症。
【請求項55】
炎症性障害、例えば、関節炎、喘息またはアルツハイマー病を処置する方法であって、請求項1〜48の1つに記載のオリゴマー、または請求項49に記載のコンジュゲート、または請求項50〜52のいずれかに記載の医薬組成物を、必要とする患者に投与することを含む方法。
【請求項56】
高コレステロール血症または関連障害を処置する方法であって、請求項1〜48の1つに記載のオリゴマー、または請求項49に記載のコンジュゲート、または請求項50〜52のいずれかに記載の医薬組成物を、必要とする患者に投与することを含む方法。
【請求項57】
細胞または組織におけるPCSK9の発現を減少させるまたは阻害する方法であって、PCSK9の発現が減少するまたは阻害されるように、細胞または組織を、請求項1-48の1つに記載の化合物、または請求項49に記載のコンジュゲート、または請求項50〜52のいずれかに記載の医薬組成物と接触させる工程を含む方法。
【請求項58】
患者において(i)血清コレステロールレベルを減少させる、またはii)血清LDLコレステロールレベルを減少させる、またはiii)HDL/LDL比を改善する方法であって、請求項1〜48の1つに記載のオリゴマー、または請求項49に記載のコンジュゲート、または請求項50〜52のいずれかに記載の医薬組成物を患者に投与する工程を含む方法。
【請求項59】
患者において血漿トリグリセリドを低下させる方法であって、血清トリグリセリドレベルが減少するように、請求項1〜48の1つに記載のオリゴマー、または請求項49に記載のコンジュゲート、または請求項50〜52のいずれかに記載の医薬組成物を、患者に投与する工程を含む方法。
【請求項60】
患者における肥満を処置する方法であって、患者の体重が減少するように、請求項1〜48の1つに記載のオリゴマー、または請求項49に記載のコンジュゲート、または請求項50〜52のいずれかに記載の医薬組成物を、処置を必要とする患者に投与する工程を含む方法。
【請求項61】
患者におけるインスリン耐性を処置する方法であって、患者のインスリン感受性が増大するように、請求項1〜48の1つに記載のオリゴマー、または請求項49に記載のコンジュゲート、または請求項50〜52のいずれかに記載の医薬組成物を、処置を必要とする患者に投与する工程を含む方法。
【請求項62】
患者におけるII型糖尿病を処置する方法であって、請求項1〜48の1つに記載のオリゴマー、または請求項49に記載のコンジュゲート、または請求項50〜52のいずれかに記載の医薬組成物を、患者に投与する工程を含む方法。
【請求項63】
代謝障害、例えば、メタボリックシンドローム、糖尿病またはアテローム性動脈硬化症を処置する方法であって、請求項1〜48の1つに記載の化合物、または請求項49に記載のコンジュゲート、または請求項50〜52のいずれかに記載の医薬組成物を、必要とする患者に投与することを含む方法。
【請求項1】
合計10-50核酸塩基の連続核酸塩基配列を含む10-50核酸塩基長のオリゴマーであって、該連続核酸塩基配列が哺乳類PCSK9をコードする核酸の対応する領域に対して少なくとも80%の相同性を有するオリゴマー。
【請求項2】
連続核酸塩基配列が、哺乳類PCSK9をコードする核酸の対応する領域に対して3以下、例えば、2以下のミスマッチを含む、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項3】
連続核酸塩基配列が、哺乳類PCSK9をコードする核酸の対応する領域に対して1以下のミスマッチを含む、請求項2に記載のオリゴマー。
【請求項4】
連続核酸塩基配列が、哺乳類PCSK9をコードする核酸の対応する領域に対してミスマッチを含まない(例えば相補的である)、請求項3に記載のオリゴマー。
【請求項5】
オリゴマーの核酸塩基配列が連続核酸塩基配列からなる、請求項1〜4のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項6】
哺乳類PCSK9をコードする核酸が、齧歯類PCSK9をコードする核酸、例えば、マウスPCSK9またはラットPCSK9、非ヒト霊長類PCSK9、例えば、チンパンジーPCSK9、またはイヌPCSK9からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項7】
哺乳類PCSK9をコードする核酸が、ヒトPCSK9ヌクレオチド配列、例えば、配列番号2、またはその天然アレル変異体である、請求項1〜6のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項8】
連続核酸塩基配列が、ヒトPCSK9核酸配列および非ヒト哺乳類PCSK9核酸配列、例えば請求項6に記載のPCSK9核酸配列、の両方の対応する領域に対して相補的である、請求項1〜7のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項9】
連続核酸塩基配列が、ヒトPCSK9核酸配列およびマウスPCSK9核酸配列の両方の対応する領域に対して相補的である、請求項1〜8のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項10】
連続核酸塩基配列が、相補的PCSK9標的RNAと二本鎖を形成する際にリボヌクレアーゼHを動員することができる、少なくとも6核酸塩基残基の連続サブ配列を含む、請求項1〜9のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項11】
連続核酸塩基配列が、相補的PCSK9標的RNAと二本鎖を形成する際に、リボヌクレアーゼHを動員することができる、少なくとも7、例えば、少なくとも8、少なくとも9または少なくとも10核酸塩基残基の連続サブ配列から構成される、請求項10に記載のオリゴマー。
【請求項12】
連続サブ配列が、相補的PCSK9標的RNAと二本鎖を形成する際にリボヌクレアーゼHを動員することができる、少なくとも9または少なくとも10核酸塩基長、例えば、少なくとも12核酸塩基または少なくとも14核酸塩基長、例えば、14、15または16核酸塩基残基である、請求項10または11のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項13】
1以上の非核酸塩基化合物とコンジュゲートしている、請求項1〜12のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項14】
10〜22核酸塩基長を有する、請求項1〜13のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項15】
12〜18核酸塩基長を有する、請求項1〜13のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項16】
14、15または16核酸塩基長を有する、請求項1〜13のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項17】
10、11、12、13または14核酸塩基長を有する、請求項1〜13のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項18】
一本鎖である、請求項1〜17のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項19】
連続核酸塩基配列が、少なくとも1つの親和性増大ヌクレオチド類似体を含む、請求項1〜18のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項20】
連続核酸塩基配列が、合計2、3、4、5、6、7、8、9または10の親和性増大ヌクレオチド類似体、例えば、5〜8の親和性増大ヌクレオチド類似体を含む、請求項19に記載のオリゴマー。
【請求項21】
残りの核酸塩基が、DNAヌクレオチドおよびRNAヌクレオチドからなる群から選択される、、好ましくはDNAヌクレオチドである、少なくとも1つの親和性増大ヌクレオチド類似体を含む、請求項1〜20のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項22】
5'から3'の方向に式A-B-C、必要に応じて式A-B-C-Dの核酸塩基の配列から構成される、請求項1〜21のいずれかに記載のオリゴマーであって、ここで:
Aは、少なくとも1つのヌクレオチド類似体、例えば、1、2、3、4、5または6のヌクレオチド類似体、好ましくは2-5のヌクレオチド類似体、好ましくは2、3または4のヌクレオチド類似体、最も好ましくは2、3または4の連続ヌクレオチド類似体からなりまたは構成され;
Bは、(相補的RNA分子例えばPCSK9 mRNA標的と二本鎖を形成する際に)リボヌクレアーゼHを動員することができる少なくとも5の連続核酸塩基、例えばDNA核酸塩基、例えば、リボヌクレアーゼHを動員することができる5、6、7、8、9、10、11または12の連続核酸塩基、またはリボヌクレアーゼHを動員することができる6-10の、または7-9の、例えば、8の連続核酸塩基からなりまたは含み;
Cは、少なくとも1つのヌクレオチド類似体、例えば、1、2、3、4、5、または6のヌクレオチド類似体、好ましくは2-5のヌクレオチド類似体、例えば、2、3または4のヌクレオチド類似体、最も好ましくは2、3または4の連続ヌクレオチド類似体からなりまたは構成され;
Dは、存在する場合、1以上のDNAヌクレオチド、例えば1-3または1-2のDNAヌクレオチドからなるまたは構成される、好ましくはからなる。
【請求項23】
領域Aが2、3または4の連続ヌクレオチド類似体からなるまたは構成される、請求項22に記載のオリゴマー。
【請求項24】
領域Bが、相補的RNA例えばPCSK9 mRNA標的と二本鎖を形成する際にリボヌクレアーゼHを動員することができる、7、8、9または10の連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなるまたは構成される、請求項22または23に記載のオリゴマー。
【請求項25】
領域Cが2、3または4の連続ヌクレオチド類似体からなるまたは構成される、請求項22〜24のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項26】
領域Dが、存在する場合、1または2のDNAヌクレオチドからなる、請求項22〜25のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項27】
Aが、3の連続ヌクレオチド類似体からなりまたは構成され;
Bが、相補的RNA例えばPCSK9 mRNA標的と二本鎖を形成する際にリボヌクレアーゼHを動員することができる、7、8、9または10の連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなりまたは構成され;
Cが、3の連続ヌクレオチド類似体からなりまたは構成され;
Dが、存在する場合、1または2のDNAヌクレオチドからなる、
請求項22〜26のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項28】
連続核酸塩基配列が、10、11、12、13または14の核酸塩基からなり、ここで;
Aが、1、2または3の連続ヌクレオチド類似体からなり;
Bが、相補的RNA例えばPCSK9 mRNA標的と二本鎖を形成する際にリボヌクレアーゼHを動員することができる、7、8または9の連続DNAヌクレオチドまたは同等の核酸塩基からなり;
Cが、1、2または3の連続ヌクレオチド類似体からなり;
Dが、存在する場合、1つのDNAヌクレオチドからなる、
請求項22に記載のオリゴマー。
【請求項29】
Bが、アルファ-L立体配置にある少なくとも1つのLNA核酸塩基、例えばα-L-オキシLNAを含む、請求項22〜28のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項30】
前記ヌクレオチド類似体が独立してまたは集合して以下からなる群から選択される、請求項1〜29のいずれかに記載のオリゴマー:ロックド核酸(LNA)ユニット;2'-O-アルキル-RNAユニット、2'-OMe-RNAユニット、2'-アミノ-DNAユニット、2'-フルオロ-DNAユニット、PNAユニット、HNAユニット、およびINAユニット。
【請求項31】
全てのヌクレオチド類似体がLNAユニットである、請求項30に記載のオリゴマー。
【請求項32】
1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のLNAユニット、例えば、2〜8のヌクレオチドLNAユニットを含む、請求項1〜31のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項33】
LNAが、ベータ-Dおよびアルファ-L立体配置またはそれらの組み合わせのいずれかの、オキシ-LNA、チオ-LNAおよびアミノ-LNAから独立して選択される、請求項29〜32のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項34】
LNAが全てβ-D-オキシ-LNAである、請求項33に記載のオリゴマー。
【請求項35】
前記ヌクレオチド類似体または領域AおよびCの核酸塩基がβ-D-オキシ-LNAである、請求項22-34のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項36】
オリゴマーに存在する少なくとも1つの核酸塩基が、5-メチルシトシン、イソシトシン、プソイドイソシトシン、5-ブロモウラシル、5-プロピニルウラシル、6-アミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、ジアミノプリンおよび2-クロロ-6-アミノプリンからなる群から選択される修飾核酸塩基である、請求項1〜35のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項37】
少なくとも40℃、例えば、少なくとも50℃のTmによって、対応する哺乳類PCSK9 mRNAとハイブリダイズする、請求項1〜36のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項38】
80℃以下の、例えば70℃以下のTmによって、対応する哺乳類PCSK9 mRNAとハイブリダイズする、請求項1〜37のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項39】
ヌクレオシド間結合が、以下からなる群から独立して選択される、請求項1〜38のいずれかに記載のオリゴマー:リン酸ジエステル、ホスホロチオエートおよびボラノホスフェート。
【請求項40】
少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む、請求項39に記載のオリゴマー。
【請求項41】
DNAもしくはRNAユニットに隣接する、またはDNAもしくはRNAユニット間の、または領域B内のヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエート結合である、請求項40に記載のオリゴマー。
【請求項42】
少なくとも1対の連続ヌクレオチド類似体間の結合が、リン酸ジエステル結合である、請求項40または41に記載のオリゴマー。
【請求項43】
連続ヌクレオチド類似体間の全ての結合が、リン酸ジエステル結合である、請求項40または41に記載のオリゴマー。
【請求項44】
全てのヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエート結合である、請求項40に記載のオリゴマー。
【請求項45】
連続的な核酸塩基配列が、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18および配列番号19からなる群から選択される核酸配列に存在する連続ヌクレオチド配列に対応する、請求項1〜44のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項46】
連続的な核酸塩基配列が、配列番号40〜配列番号393からなる群から選択される核酸配列に存在する連続ヌクレオチド配列である、請求項1〜45のいずれかに記載のオリゴマー。
【請求項47】
連続的な核酸塩基配列が、以下からなる群から選択される核酸配列に存在する連続ヌクレオチド配列である、請求項1〜46のいずれかに記載のオリゴマー:配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38および配列番号39。
【請求項48】
以下からなる群から選択される、請求項1〜47のいずれかに記載のオリゴマー:配列番号10、配列番号20、配列番号11、配列番号9、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28および配列番号29。
【請求項49】
請求項1〜48のいずれかに記載のオリゴマーおよび該化合物に共有結合した少なくとも1つの非ヌクレオチドまたは非ポリヌクレオチド部分を含むコンジュゲート。
【請求項50】
請求項1〜48のいずれかに記載のオリゴマーまたは請求項49に記載のコンジュゲート、および製薬的に許容される希釈剤、担体、塩またはアジュバントを含む医薬組成物。
【請求項51】
オリゴマーがプロドラッグとして構成される、請求項50に記載の医薬組成物。
【請求項52】
以下からなる群から選択されるさらなる治療剤をさらに含む、請求項50または51に記載の医薬組成物:Apo-B-100(アンチセンス)オリゴマー、FABP4(アンチセンス)オリゴマー、スタチン、フィブラート、チアゾリジンジオン、抗炎症性化合物および抗ウイルス性化合物。
【請求項53】
以下からなる群から選択される疾患または障害を処置するための医薬の製造における、請求項1〜48のいずれかに記載のオリゴマー、または請求項49に記載のコンジュゲートの使用:高コレステロール血症または関連障害、炎症性疾患または障害、関節炎、喘息、アルツハイマー病、代謝疾患または障害、メタボリックシンドローム、糖尿病およびアテローム性動脈硬化症。
【請求項54】
以下からなる群から選択される疾患または障害の処置のための、請求項1〜48のいずれかに記載のオリゴマー、または請求項49に記載のコンジュゲート:高コレステロール血症または関連障害、炎症性疾患または障害、関節炎、喘息、アルツハイマー病、代謝疾患または障害、メタボリックシンドローム、糖尿病およびアテローム性動脈硬化症。
【請求項55】
炎症性障害、例えば、関節炎、喘息またはアルツハイマー病を処置する方法であって、請求項1〜48の1つに記載のオリゴマー、または請求項49に記載のコンジュゲート、または請求項50〜52のいずれかに記載の医薬組成物を、必要とする患者に投与することを含む方法。
【請求項56】
高コレステロール血症または関連障害を処置する方法であって、請求項1〜48の1つに記載のオリゴマー、または請求項49に記載のコンジュゲート、または請求項50〜52のいずれかに記載の医薬組成物を、必要とする患者に投与することを含む方法。
【請求項57】
細胞または組織におけるPCSK9の発現を減少させるまたは阻害する方法であって、PCSK9の発現が減少するまたは阻害されるように、細胞または組織を、請求項1-48の1つに記載の化合物、または請求項49に記載のコンジュゲート、または請求項50〜52のいずれかに記載の医薬組成物と接触させる工程を含む方法。
【請求項58】
患者において(i)血清コレステロールレベルを減少させる、またはii)血清LDLコレステロールレベルを減少させる、またはiii)HDL/LDL比を改善する方法であって、請求項1〜48の1つに記載のオリゴマー、または請求項49に記載のコンジュゲート、または請求項50〜52のいずれかに記載の医薬組成物を患者に投与する工程を含む方法。
【請求項59】
患者において血漿トリグリセリドを低下させる方法であって、血清トリグリセリドレベルが減少するように、請求項1〜48の1つに記載のオリゴマー、または請求項49に記載のコンジュゲート、または請求項50〜52のいずれかに記載の医薬組成物を、患者に投与する工程を含む方法。
【請求項60】
患者における肥満を処置する方法であって、患者の体重が減少するように、請求項1〜48の1つに記載のオリゴマー、または請求項49に記載のコンジュゲート、または請求項50〜52のいずれかに記載の医薬組成物を、処置を必要とする患者に投与する工程を含む方法。
【請求項61】
患者におけるインスリン耐性を処置する方法であって、患者のインスリン感受性が増大するように、請求項1〜48の1つに記載のオリゴマー、または請求項49に記載のコンジュゲート、または請求項50〜52のいずれかに記載の医薬組成物を、処置を必要とする患者に投与する工程を含む方法。
【請求項62】
患者におけるII型糖尿病を処置する方法であって、請求項1〜48の1つに記載のオリゴマー、または請求項49に記載のコンジュゲート、または請求項50〜52のいずれかに記載の医薬組成物を、患者に投与する工程を含む方法。
【請求項63】
代謝障害、例えば、メタボリックシンドローム、糖尿病またはアテローム性動脈硬化症を処置する方法であって、請求項1〜48の1つに記載の化合物、または請求項49に記載のコンジュゲート、または請求項50〜52のいずれかに記載の医薬組成物を、必要とする患者に投与することを含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17−1】
【図17−2】
【図17−3】
【図17−4】
【図17−5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17−1】
【図17−2】
【図17−3】
【図17−4】
【図17−5】
【公表番号】特表2010−505432(P2010−505432A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531824(P2009−531824)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060703
【国際公開番号】WO2008/043753
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(504013269)サンタリス ファーマ アー/エス (29)
【氏名又は名称原語表記】SANTARIS PHARMA A/S
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060703
【国際公開番号】WO2008/043753
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(504013269)サンタリス ファーマ アー/エス (29)
【氏名又は名称原語表記】SANTARIS PHARMA A/S
【Fターム(参考)】
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