説明

PET用放射性トレーサーとしての18F標識葉酸

本発明は、フッ素−18が葉酸またはその誘導体のグルタミン酸部分と共有結合している新しい18F−葉酸放射性医薬品、その調製の方法、ならびに、癌および炎症性疾患および自己免疫疾患の診断および治療のモニタリングにおけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素−18が葉酸またはその誘導体のグルタミン酸部分に共有結合している新しい18F−葉酸放射性医薬品、その調製の方法、ならびに、癌および炎症性疾患および自己免疫疾患の診断およびモニタリングならびにそれらの治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
診断剤または治療剤などエフェクター部分の送達のための細胞特異的な標的化は広範に研究されている分野であり、非侵襲性の診断的および/または治療的な医学的用途の開発につながっている。とりわけ、γ線または光子としての電磁放射線を放射する放射性材料または放射線を放射する粒子を用いる核医学の手順および治療の分野では、特定の組織の可視化、疾患の見極めおよび/または治療的処置の効果のモニタリングのための高いシグナル強度、または、他の(例えば健康な)組織における放射線傷害のリスクなく適切な線量の電離放射線を特定の罹患部位に送達するための高線量のいずれかを達成するために、標的となる細胞または組織においてこうした放射性材料を選択的に局在化させることが必要である。したがって、細胞特異的な構造体、および、とりわけ、それぞれの生物学的媒体により特異的に標的化できる受容体、抗原、ハプテンなど、腫瘍(すなわち癌)または炎症性疾患および自己免疫疾患の場合に存在する構造体を決定し見極めることは、極めて重要な関心事である。
【0003】
葉酸受容体(FR、folate receptor)は、このような構造体の1つとして同定されている。FRは、高親和性(K<10−9M)の膜結合タンパク質である。正常な組織および器官においては、FR発現は、FRが上皮細胞の管腔表面に主に生じるごくわずかな器官(例えば、腎臓、肺、脈絡膜叢および胎盤)に高度に限定されていることから、循環血中には葉酸が供給されない。FR−αは、上皮性腫瘍(例えば、卵巣、子宮頸部、子宮内膜、乳房、直腸結腸、腎臓、肺、鼻咽頭の腫瘍)など多種多様な特定の細胞型上で過剰発現することが多く、FR−βは、白血病細胞(急性骨髄性白血病(AML)のおよそ70%はFR−β陽性である)中で過剰発現することが多い。したがって、両方とも、選択的な腫瘍標的化用の有益な腫瘍マーカーとして使用できる(ElnakatおよびRatnam、Adv. Drug Deliv. Rev.、2004、56、1067〜84頁)(非特許文献1)。加えて、FR−βアイソフォームは、活性化している(休止していない)マクロファージ上で見出されている。活性化マクロファージは、例えば、関節リウマチ、乾癬、クローン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、アテローム性硬化症、糖尿病、変形性関節炎、糸球体腎炎、感染症など、炎症性の病態に関与している。
【0004】
文献では、炎症部位の検出/局在化用の葉酸ベースの画像化剤ならびにこうした疾患の葉酸受容体標的化療法のいくつかの前臨床試験が報告されている。最近では、FolateScanを用いた、関節リウマチ患者における画像化試験の結果を報告する臨床試験が発表されている(Turkら、Arthritis and Rheumatism、2002、45、1947〜1955頁(非特許文献2);Paulosら、Adv. Drug Deliv. Rev.、2004、56、1205〜1217頁(非特許文献3);Chenら、Arthritis Research & Therapy、2005、7、310〜317頁(非特許文献4);Hattoriら、Biol. & Pharm. Bull.、2006、29、1516〜1520頁(非特許文献5);Chandrasekaら、J. Biomed. Mat. Res.、パートA、2007、82、92〜103頁(非特許文献6);Vargheseら、Mol. Pharmaceutics、2007、4、679〜685頁(非特許文献7);Lowら、Discovery and development of folic-acid-based receptor targeting for imaging and therapy of cancer and inflammatory diseases、2008、41、120〜129頁(非特許文献8);Mattesonら、Clinical and Experimental Rheumatology、2009、27、253〜259頁(非特許文献9))。
【0005】
こうして、ベンゾイルアミノ部分を介しグルタミン酸と接合しているプテリジン骨格をベースにした葉酸およびその誘導体は、葉酸受容体を有している細胞集団に治療剤および/または診断剤を送達するための標的化剤として、正常細胞との比較でそのような細胞中における治療剤および/または診断剤の選択的な集中を達成することを目的に、過去15年にわたって集中的に研究されている。
【0006】
多様な葉酸誘導体および接合体が公知であり(前)臨床的に評価されているが、そうした物質としては以下が挙げられる:葉酸放射性医薬品(LeamonおよびLow、Drug Discov. Today、2001、6、44〜51頁(非特許文献10);米国特許第4,276,280号(特許文献1))、フッ化葉酸化学療法薬(米国特許第4,628,090号(特許文献2))、化学療法剤との葉酸接合体(LeamonおよびReddy、Adv. Drug Deliv. Rev.、2004、56、1127〜41頁(非特許文献11);Leamonら、Bioconjugate Chem.、2005、16、803〜11頁(非特許文献12))、タンパク質およびタンパク質毒素との葉酸接合体(Wardら、J. Drug Target.、2000、8、119〜23頁(非特許文献13);Leamonら、J. Biol. Chem.、1993、268、24847〜54頁(非特許文献14);LeamonおよびLow、J. Drug Target.、1994、2、101〜12頁(非特許文献15))、アンチセンス・オリゴヌクレオチドとの葉酸接合体(Liら、Pharm. Res.、1998、15、1540〜45頁(非特許文献16);ZhaoおよびLee、Adv. Drug Deliv. Rev.、2004、56、1193〜204頁(非特許文献17))、リポソームとの葉酸接合体(LeeおよびLow、Biochim. Biophys. Acta-Biomembr.、1995、1233、134〜44頁(非特許文献18);Gabizonら、Adv. Drug Deliv. Rev.、2004、56、1177〜92頁(非特許文献19))、ハプテン分子との葉酸接合体(Paulosら、Adv. Drug Deliv. Rev.、2004、56、1205〜17頁(非特許文献20))、MRI造影剤との葉酸接合体(Kondaら、Magn. Reson. Mat. Phys. Biol. Med.、2001、12、104〜13頁(非特許文献21))など。
【0007】
葉酸放射性医薬品は、癌および炎症性疾患および自己免疫疾患の治療の診断および有効性の評価の改善にとってとりわけ非常に有用である可能性がある。これには、治療応答の見極めおよび/または予測、ならびに、結果として放射線量測定法の改善が含まれると考えられる。放射性画像化に適した典型的な可視化の手法は当技術分野で公知であり、このような手法としては、ポジトロン放出型断層撮影法(PET)、プラナー法または単一光子放出型コンピューター断層撮影法(SPECT)による画像化、γ−カメラ、シンチレーションなどが挙げられる。
【0008】
PETおよびSPECTは両方とも、最適な標的部位の活性を画像化、マッピングおよび測定するために放射性トレーサーを使用する。ただし、PETでは、近くにサイクロトロンが必要なポジトロン放出核種を使用するのに対し、SPECTでは、発電システムにより入手可能な単一光子放出核種を使用することから、その使用はより簡便になり得る。しかし、SPECTはPETと比較して感度が低く、アプローチが少数であることに加え、定量化法が不足している。PETの場合、ポジトロンの消滅の結果、十分発達している定量化法の基礎となる511keVの2本のγ線がもたらされる。したがって、PETは、脳および他の器官におけるリガンドまたは代謝基質の局所的な取込みおよび親和性を評価するための最も洗練された機能的画像化技術の1つであり、ひいては、代謝活性に基づく画像化の手段となる。この画像化は、例えば、ポジトロン放出同位体を対象に投与することにより達成され、この同位体が放射性の崩壊を起こす際、ポジトロン/電子消滅により生じるγ線がPETスキャナーにより検出される。
【0009】
PETに有用な適当な同位体の選択において考慮が必要な要素としては、以下が挙げられる:患者への投与に先立ち診断用組成物を調製すること(場合により、薬学上許容される担体中で)を可能にする、ポジトロン放出同位体の十分な半減期、および、PETスキャンによる体外測定を可能にする十分な活性を得るための十分な残存半減期。さらに、適当な同位体は、不要な放射線への患者の暴露を制限するために、十分に短い半減期を有するべきである。典型的には、PETに適した放射性医薬品は、ガリウムまたは銅などの金属同位体に基づくものであってもよい。しかし、これら2つは、金属を捕捉するためのキレート剤を必要とし、立体特性および化学特性に影響を及ぼす可能性がある。あるいは、放射性医薬品は、構造をほとんど変化させない共有結合型の同位体に基づくものであってもよい。共有結合に使用されPETスキャンに適していると考えられる放射性核種は、典型的には、11C(約20分)、13N(約10分)、15O(約2分)、18F(約110分)など、半減期の短い同位体である。
【0010】
今日までに、多数のキレート・ベースの葉酸放射性医薬品が合成され、葉酸受容体陽性腫瘍の画像化用の診断剤として効果的であると評価されている。最も広範に研究されている誘導体は、SPECT用に111Inおよび99mTc(Siegelら、J. Nucl. Med.、2003、44、700頁(非特許文献22);Muellerら、J. Organomet. Chem.、2004、689、4712頁(非特許文献23))、または、PET用に68Ga(Mathiasら、Nucl. Med. Biol.、2003、30(7)、725頁(非特許文献24))のいずれかで標識されたものであった。しかし、前記のものは全て、典型的には、そのグルタミン酸部分を介して葉酸と結合する適当なキレート剤を必要とする。
【0011】
したがって、共有結合型の同位体を有する葉酸放射性医薬品は、非常に関心が高いと思われる。とりわけ、18F標識葉酸放射性医薬品は、前述の要件を全て満たすと考えられるその優れた画像化特性から、PET画像化に最も適していると考えられる。他の適当な放射性核種(11C、13N、15O)と比較して18Fは非常に有用であるが、その理由は、半減期がおよそ110分と長く、また、ポジトロン・エネルギーが最も低いポジトロンを放出することにより崩壊することから、高分解能PETを用いて最も鮮やかな画像を得ることが可能になるからである。さらに、18Fの半減期の方が長いことから、より複雑な合成、および、放射化学設備をもたないPETセンターへのサテライト配布(satellite distribution)も可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,276,280号
【特許文献2】米国特許第4,628,090号
【特許文献3】WO2006/071754号
【特許文献4】WO2008/098112号
【特許文献5】WO2008/125613号
【特許文献6】WO2008/125615号
【特許文献7】WO2008/125617号
【特許文献8】米国特許第4,298,735号
【特許文献9】英国特許第1501119号
【特許文献10】4,202,976
【特許文献11】WO2008/052788号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】ElnakatおよびRatnam、Adv. Drug Deliv. Rev.、2004、56、1067〜84頁
【非特許文献2】Turkら、Arthritis and Rheumatism、2002、45、1947〜1955頁
【非特許文献3】Paulosら、Adv. Drug Deliv. Rev.、2004、56、1205〜1217頁
【非特許文献4】Chenら、Arthritis Research & Therapy、2005、7、310〜317頁
【非特許文献5】Hattoriら、Biol. & Pharm. Bull.、2006、29、1516〜1520頁
【非特許文献6】Chandrasekaら、J. Biomed. Mat. Res.、パートA、2007、82、92〜103頁
【非特許文献7】Vargheseら、Mol. Pharmaceutics、2007、4、679〜685頁
【非特許文献8】Lowら、Discovery and development of folic-acid-based receptor targeting for imaging and therapy of cancer and inflammatory diseases、2008、41、120〜129頁
【非特許文献9】Mattesonら、Clinical and Experimental Rheumatology、2009、27、253〜259頁
【非特許文献10】LeamonおよびLow、Drug Discov. Today、2001、6、44〜51頁
【非特許文献11】LeamonおよびReddy、Adv. Drug Deliv. Rev.、2004、56、1127〜41頁
【非特許文献12】Leamonら、Bioconjugate Chem.、2005、16、803〜11頁
【非特許文献13】Wardら、J. Drug Target.、2000、8、119〜23頁
【非特許文献14】Leamonら、J. Biol. Chem.、1993、268、24847〜54頁
【非特許文献15】LeamonおよびLow、J. Drug Target.、1994、2、101〜12頁
【非特許文献16】Liら、Pharm. Res.、1998、15、1540〜45頁
【非特許文献17】ZhaoおよびLee、Adv. Drug Deliv. Rev.、2004、56、1193〜204頁
【非特許文献18】LeeおよびLow、Biochim. Biophys. Acta-Biomembr.、1995、1233、134〜44頁
【非特許文献19】Gabizonら、Adv. Drug Deliv. Rev.、2004、56、1177〜92頁
【非特許文献20】Paulosら、Adv. Drug Deliv. Rev.、2004、56、1205〜17頁
【非特許文献21】Kondaら、Magn. Reson. Mat. Phys. Biol. Med.、2001、12、104〜13頁
【非特許文献22】Siegelら、J. Nucl. Med.、2003、44、700頁
【非特許文献23】Muellerら、J. Organomet. Chem.、2004、689、4712頁
【非特許文献24】Mathiasら、Nucl. Med. Biol.、2003、30(7)、725頁
【非特許文献25】Bettioら、J. Nucl. Med.、2006、47(7)、1153頁
【非特許文献26】Rossら、Bioconjugate Chem.、2008、19、2402頁
【非特許文献27】B. Hartら、J. Med. Chem.、39、1996、56〜65頁
【非特許文献28】A. Vidal-Crosら、J. Org. Chem.、54、498頁、1989
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、現在までに、131I(60日)および125I(8日:米国特許第4,276,280号(特許文献1)、米国特許第4,298,735号(特許文献8))および75Se(120日:英国特許第1501119号(特許文献9)、4,202,976(特許文献10))など半減期がはるかに長い同位体で標識されている葉酸誘導体についての報告はほとんどないことに加え、18F標識葉酸誘導体は、文献中でほんの数件報告されているのみである(Bettioら、J. Nucl. Med.、2006、47(7)、1153頁(非特許文献25);Rossら、Bioconjugate Chem.、2008、19、2402頁(非特許文献26);WO2006/071754号(特許文献3);WO2008/098112号(特許文献4);WO2008/125613号(特許文献5);WO2008/125615号(特許文献6);WO2008/125617号(特許文献7))。さらに、こうした方法論の中には、わずか5%未満の低い放射化学的収率しか得られない時間のかかる放射性合成(Bettioら、J. Nucl. Med.、2006、47(7)、1153頁(非特許文献25))、または、分子画像化目的の場合の望ましくない薬物動態(Rossら、Bioconjugate Chem.、2008、19、2402頁(非特許文献26))などの欠点をもつものがある。したがって、癌および炎症性疾患および自己免疫疾患の診断および治療を改善するための、腫瘍の代謝の画像化に適した特異的な放射性医薬品が未だに必要である。
【0015】
出願人らは、今回、フッ素−18が葉酸またはその誘導体のグルタミン酸部分に結合している新しい18F標識葉酸放射性医薬品を製造するための効率的かつ多用途な方法を見出した。本発明の方法は、ヒトにおける臨床適用への期待にかなう、所望の18F−葉酸を良好な収率で得られる、高度に有効なものである。加えて、この新しい放射性合成は自動合成モジュールにおいて適用可能であり、これにより、GMPガイドラインの要件を満たす迅速かつ簡便な標識化手順が可能になる。予備的なin−vitro試験およびin−vivo試験により、FR陽性腫瘍の強力な診断剤としてのその適合性が示唆された。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、第1の態様では、フッ素−18が葉酸またはその誘導体のグルタミン酸部分に結合している新しい18F−葉酸放射性医薬品(本明細書においては以後、本発明の化合物とも呼ぶ)を指向している。
【0017】
特定の一実施形態では、この新しい葉酸放射性医薬品は、式I
【0018】
【化1】

[式中、
Pは、プテロイル基またはその誘導体であり、
、Xは、互いに独立に、C、N、O、Sであり、
、Rは、互いに独立に、H、または、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C14アリールまたはC〜C14ヘテロアリールであり、互いに独立に、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されており、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−SO−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、
、Zは、互いに独立に、Hまたは18Fであるが、ただし、ZおよびZの一方は18Fである]
の化合物である。
【0019】
別の特定の実施形態では、この新しい葉酸放射性医薬品は、式II
【0020】
【化2】

[式中、
〜Xは、互いに独立に、CまたはNであり、
およびRは、互いに独立に、H、Hal、−OR’、−NR’’R’’’、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C12アルカノイル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、(C〜C12アルコキシ)カルボニルおよび(C〜C12アルキルアミノ)カルボニルであり(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルであり、R’’およびR’’’は、H、ホルミル、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されている、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルから互いに独立に選択される)、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、
、Rは、互いに独立に、H、ホルミル、トリフルオロアセチル、イミノメチル、ニトロソ、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されている、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルであり、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、あるいは、RとRとは一緒になってXとXとの間でCまたはC架橋を形成し、
は、H、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C12アルカノイル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、(C〜C12アルコキシ)カルボニルおよび(C〜C12アルキルアミノ)カルボニルであり、
mは、0または1であり、
pは、0、1または2であり、
qは1〜7の値を有し、
、Xは、互いに独立に、C、N、O、Sであり、
、Rは、互いに独立に、H、または、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C14アリールまたはC〜C14ヘテロアリールであり、互いに独立に、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されており、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−SO−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、
、Zは、互いに独立に、Hまたは18Fであるが、ただし、ZおよびZの一方は18Fである]
の化合物である。
【0021】
さらなる一態様では、本発明は、その調製の方法を指向している。
【0022】
別の態様では、本発明は、本発明の化合物の医薬組成物を指向している。
【0023】
また別の態様では、本発明は、in vitroまたはin vivoでの癌および炎症性疾患および自己免疫疾患の診断ならびに治療のモニタリングにおける使用を指向している。
【0024】
一実施形態では、本発明は、葉酸受容体を発現している細胞または細胞集団の診断画像化のための本発明の化合物の使用に関する。
【0025】
より具体的には、本発明は、葉酸受容体を発現している細胞または細胞集団の診断画像化の方法を包含し、こうした方法としては、例えば、組織試料中の葉酸受容体を発現している細胞(例えば、腫瘍細胞または活性化マクロファージ)をin vitro検出する方法が挙げられる。そのような方法は、in vivoで実施することもできる。
【0026】
したがって、さらなる一実施形態では、本発明は、癌および炎症性疾患および自己免疫疾患の診断画像化および/または治療のモニタリングを必要とする対象への簡便で有効な投与のための本発明の化合物の使用に関する。本発明の方法の対象は、好ましくは、動物またはヒトなどの哺乳動物、好ましくはヒトである。
【0027】
そうした本発明の方法は、癌および炎症性疾患および自己免疫疾患の診断または治療の任意の他の方法と組み合わせて実施してもよく、そのような方法としては、すでに開発済の他の診断剤および/または治療剤を使用する方法、ならびに、X線コンピューター断層撮影法(CT)、核磁気共鳴画像法(MRI)、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、単一光子放出型コンピューター断層撮影法(SPECT)、光学的画像化および超音波を利用する方法が挙げられる。
【0028】
本発明の他の特徴および利点は、以下のその詳細な説明から、また、特許請求の範囲から、明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】γ−[18F]化合物の合成経路を示す図である。
【図2】葉酸受容体陽性の組織におけるγ−[18F]フルオロ葉酸の特異的な取込みを示すグラフである。
【図3】対象条件および遮断条件下でγ−[18F]フルオロ葉酸を用いた全身PETスキャンの代表的な一連の正規化水平スライス画像である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、第1の態様では、フッ素−18が葉酸またはその誘導体のグルタミン酸部分に結合している新しい18F−葉酸放射性医薬品(本明細書においては以後、本発明の化合物とも呼ぶ)を指向している。
【0031】
用語「葉酸」は、本明細書中で使用する場合、ペプチド結合によりグルタミン酸(またはその誘導体)に連結している、プテロイル基をベースにした化合物を含む。用語「プテロイル」は、本明細書中で使用する場合、アミノベンゾイル部分と結合しているピリミジン縮合複素環を表す。本明細書中で使用する場合、「ピリミジン縮合複素環」は、さらなる5員または6員の複素環と融合した結果、プテリジン(すなわち6−6融合複素環)またはピロロピリミジン二環(bicycle)(すなわち6−5融合複素環)となっているピリミジンを包含する。ピリミジン縮合複素環の誘導体としては、インドール、およびイソインドール、キノリンおよびイソキノリンなどの炭素環誘導体が挙げられる。本明細書中で使用する場合、「アミノベンゾイル部分と結合しているピリミジン縮合複素環」は、三環の融合環系、すなわち、アミノベンゾイル部分のアミノ基がピリミジン縮合複素環と共にさらなる融合環を形成した結果、6−6−6、6−6−5、6−5−6または6−5−5の融合複素環となっているものも包含する。葉酸の好ましい代表例は、本明細書中で使用する場合、葉酸骨格をベースにしたもの、すなわち、プテロイル−グルタミン酸、N−[4−[[(2−アミノ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−6−プテリジニル)メチル]アミノ]ベンゾイル]−L−(またはD−)グルタミン酸およびその誘導体であり、場合により置換されている、葉酸、フォリン酸、プテロポリグルタミン酸、5,10−メテニル−5,6,7,8−テトラヒドロフォレート、および、テトラヒドロプテリン、ジヒドロフォレート、テトラヒドロフォレートなどの葉酸受容体結合プテリジン、ならびにそのデアザおよびジデアザ類似体を包含する。葉酸、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸および5−ホルミル−(6S)−テトラヒドロ葉酸は、本発明の化合物に使用される好ましい基本構造体である。用語「デアザ」および「ジデアザ」類似体は、天然に存在する葉酸構造体中の1つまたは2つの窒素原子に置換されている炭素原子を有する、当技術分野で認識されている類似体を指す。例えば、デアザ類似体としては、1−デアザ類似体、3−デアザ類似体、5−デアザ類似体、8−デアザ類似体および10−デアザ類似体が挙げられる。ジデアザ類似体としては、例えば、1,5−ジデアザ類似体、5,10−ジデアザ類似体、8,10−ジデアザ類似体および5,8−ジデアザ類似体が挙げられる。好ましいデアザ類似体化合物としては、N−[4−[2−[(6R)−2−アミノ−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−4−オキサピリド[2,3−d]ピリミジン−6−イル]エチル]ベンゾイル]−L−グルタミン酸(ロメトレキソール)およびN−[4−[1−[(2,4−ジアミノ−6−プテリジニル)メチル]プロピル]ベンゾイル]−L−グルタミン酸(エダトレキセート)が挙げられる。
【0032】
より具体的には、この新しい葉酸放射性医薬品は、式I
【0033】
【化3】

[式中、
Pは、プテロイル基またはその誘導体であり、
、Xは、互いに独立に、C、N、O、Sであり、
、Rは、互いに独立に、H、または、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C14アリールまたはC〜C14ヘテロアリールであり、互いに独立に、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されており、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−SO−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、
、Zは、互いに独立に、Hまたは18Fであるが、ただし、ZおよびZの一方は18Fである]
の化合物である。
【0034】
別の特定の実施形態では、この新しい葉酸放射性医薬品は、式II
【0035】
【化4】

[式中、
〜Xは、互いに独立に、CまたはNであり、
およびRは、互いに独立に、H、Hal、−OR’、−NR’’R’’’、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C12アルカノイル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、(C〜C12アルコキシ)カルボニルおよび(C〜C12アルキルアミノ)カルボニルであり(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルであり、R’’およびR’’’は、H、ホルミル、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されている、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルから互いに独立に選択される)、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、
、Rは、互いに独立に、H、ホルミル、トリフルオロアセチル、イミノメチル、ニトロソ、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されている、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルであり、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、あるいは、RとRとは一緒になってXとXとの間でCまたはC架橋を形成し、
は、H、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C12アルカノイル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、(C〜C12アルコキシ)カルボニルおよび(C〜C12アルキルアミノ)カルボニルであり、
mは、0または1であり、
pは、0、1または2であり、
qは1〜7の値を有し、
、Xは、互いに独立に、C、N、O、Sであり、
、Rは、互いに独立に、H、または、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C14アリールまたはC〜C14ヘテロアリールであり、互いに独立に、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されており、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−SO−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、
、Zは、互いに独立に、Hまたは18Fであるが、ただし、ZおよびZの一方は18Fである]
の化合物である。
【0036】
省略形「N」および「C」は全ての可能な飽和度を表すこと、すなわち、Nは、−NH−結合および−N=結合を包含し、Cは、−CH−結合および−CH=結合を包含することは理解される。
【0037】
さらに、(H)は、示してある環上(すなわち、X、C6、C7およびX上)の全てのH置換基を表すことも理解される。例えば、q=5の場合は、完全飽和した非置換型の類似体(X=X=N、p=0)、または、q=7の場合は、完全飽和した非置換型の5,8−ジデアザ類似体(X=X=C、p=0)、q=1の場合は、完全に不飽和な類似体で、X=X=N、p=0である。
【0038】
さらに、エナンチオマー、ジアステレオ異性体、回転異性体、互変異性体およびラセミ化合物を含め、式Iの化合物の全ての異性体は本発明の一部であるものと企図していることも理解される。本発明は、光学的に純粋な形態および混合物(ラセミ混合物など)の形態の立体異性体を包含する。異性体は、光学的に純粋な、もしくは光学的に濃縮された出発物質を反応させること、または、式Iの化合物の異性体を分離することのいずれかにより、従来の手法を用いて調製できる。このことは、式I(およびそれに次ぐ複数の式)の化合物中に存在する任意のアミノ酸基(天然のL体または非天然のD体で存在する場合がある)に特異的に適用される。特定の一実施形態では、他に明記しない限り、用語「グルタミン酸」または「グルタミン酸部分」は、常に、天然のL異性体および非天然のD異性体の両方を指す。
【0039】
別の特定の実施形態では、この新しい葉酸放射性医薬品は、式IIIa、IIIb、IVaまたはIVb
【0040】
【化5】

[式中、
〜Xは、互いに独立に、CまたはNであり、
およびRは、互いに独立に、H、Hal、−OR’、−NR’’R’’’、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C12アルカノイル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、(C〜C12アルコキシ)カルボニルおよび(C〜C12アルキルアミノ)カルボニルであり(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルであり、R’’およびR’’’は、H、ホルミル、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されている、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルから互いに独立に選択される)、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、
、Rは、互いに独立に、H、ホルミル、トリフルオロアセチル、イミノメチル、ニトロソ、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されている、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルであり、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、あるいは、RとRとは一緒になってXとXとの間でCまたはC架橋を形成し、
は、H、CN、Hal、NO、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C12アルカノイル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、(C〜C12アルコキシ)カルボニルまたは(C〜C12アルキルアミノ)カルボニルであり、
mは、0または1であり、
pは、0、1または2であり、
qは1〜7の値を有し、
、Xは、互いに独立に、C、N、O、Sであり、
、Rは、互いに独立に、H、または、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C14アリールまたはC〜C14ヘテロアリールであり、互いに独立に、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されており、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−SO−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよい(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)]
の化合物である。
【0041】
好ましくは、RおよびRは、互いに独立に、H、アルキル、−OR、−NR’’R’’’、より好ましくは−OR’、−NR’’R’’’であってもよい[式中、R’はHまたはC〜Cアルキルを表し、R’’およびR’’’は、互いに独立に、H、ホルミル、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されている、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルから選択される)、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよい(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)。
【0042】
好ましくは、Rは、H、ホルミル、C〜C12アルキルまたはC〜C12アルカノイルである。
【0043】
好ましくは、Rは、H、ホルミル、ニトロソ、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルカノイルである。
【0044】
好ましくは、RとRとは一緒になってXとXとの間でCまたはC架橋を形成する。
【0045】
好ましくは、Rは、H、CN、Hal、NO、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C12アルカノイルまたは(C〜C12アルコキシ)カルボニル、より好ましくは、H、CN、Hal、NOまたはC〜Cアルキルである。
【0046】
好ましくは、XおよびXは、C、N、O、最も好ましくはOである。
【0047】
好ましくは、RおよびRは、H、または、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルまたはC〜C14アリールであり、互いに独立に、置換されていないか、または、少なくとも1つのHalにより置換されており、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−SO−、−CH=CH−により独立に置き換えられていてもよい。特定の一実施形態では、RaおよびRbは独立に、天然または非天然のアミノ酸を表していてもよい。
【0048】
用語「天然アミノ酸」は、天然のタンパク質中で見られる天然のL−アミノ酸(Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Ser、Thr、Lys、Arg、Asp、Asn、Glu、Gln、Cys、Met、Phe、Tyr、Pro、TrpおよびHis)の1つならびにそのポリマー体を示す。好ましい天然アミノ酸としては、グルタミン酸およびそのポリマー体(ポリグルタミン酸など)が挙げられる。用語「非天然アミノ酸」は、天然のα−アミノ酸の光学異性体(D−グルタミン酸など)ならびに改変された天然のα−アミノ酸(その化学誘導体またはポリマー体など)の両方を指す。そのような改変の例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:(i)官能基の導入により生じる官能基変換(アルキル化、エステル化、ハロゲン化またはアミノ化など)、酸化、還元、付加または解離、(ii)糖化合物(単糖、二糖、オリゴ糖もしくは多糖)または脂質化合物の導入、(iii)リン酸化、(iv)ビオチニル化など。具体例としては、例えば、ヒドロキシプロリン、α−カルボキシグルタメート、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムおよびO−ホスホセリン;N−アルキル、好ましくはN−メチルアミノ酸、例えば、N−メチルバリン、N−メチルイソロイシン、N−メチルロイシン、N−メチルアラニン;アミノ酸骨格にメチレン残基が付加された化合物、例えば、ホモセリン、ホモロイシン、ホモイソロイシン、ホモリシン、または、アミノ酸骨格からメチレン残基が除去された化合物、例えば、ノルバリン(Nva)、ノルロイシン(NIe);オルニチン(2,5−ジアミノペンタン酸)、シトルリン(2−アミノ−5−(カルバモイルアミノ)ペンタン酸)、ジアミノ酪酸(DAB)、2−メチル−アラニンが挙げられる。
【0049】
当業者は、本発明に関して他の多数の非天然アミノ酸を合成および利用できることを認識する。
【0050】
本発明の化合物の特定の一実施形態としては、例えば、化合物[式中、
(a)X〜XはNであり、RはNYであり、RはOであり、RはYであり、mは1であり、pは、0もしくは1であり、qは1もしくは3であるか、または
(b)X〜XはNであり、RはNYであり、RはNHであり、RはYであり、mは1であり、pは、0であり、qは1である]
が挙げられる。
【0051】
したがって、さらなる特定の一実施形態では、本発明は、例えば、式Va、Vb、VIaまたはVIb
【0052】
【化6】

[式中、
、Xは、互いに独立に、C、N、O、Sであり、
、Rは、互いに独立に、H、または、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C14アリールまたはC〜C14ヘテロアリールであり、互いに独立に、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されており、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−SO−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、
、Yは、互いに独立に、H、ホルミル、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されている、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルから選択され、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、
は、H、ホルミル、トリフルオロアセチル、ニトロソ、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されている、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルから選択され、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよい(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)]
の化合物を指向している。
【0053】
好ましくは、Yは、H、ホルミル、ニトロソ、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルカノイルである。
【0054】
別の特定の実施形態では、本発明は、式VIIa、VIIb、VIIIaまたはVIIIb
【0055】
【化7】

[式中、
、Xは、互いに独立に、C、N、O、Sであり、
、Rは、互いに独立に、H、または、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C14アリールまたはC〜C14ヘテロアリールであり、互いに独立に、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されており、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−SO−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、
、Yは、互いに独立に、H、ホルミル、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されている、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルから選択され、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、
は、H、ホルミル、イミノメチル、ニトロソ、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C12アルカノイル、ハロ置換されたC〜C12アルカノイルであり、
は、H、ホルミル、トリフルオロアセチル、ニトロソ、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されている、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルから選択され、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、あるいは
とYとは一緒になって、それらが結合している2個のN原子の間でCまたはC架橋を形成する]
を有する式1による化合物に関する。
【0056】
好ましくは、Yは、H、ホルミル、ニトロソ、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルカノイルである。
【0057】
別の特定の実施形態では、本発明は、式IXa、IXb、XaまたはXb
【0058】
【化8】

[式中、
、Xは、互いに独立に、C、N、O、Sであり、
、Rは、互いに独立に、H、または、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C14アリールもしくはC〜C14ヘテロアリールであり、互いに独立に、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されており、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−SO−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、
、Yは、互いに独立に、H、ホルミル、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されている、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルから選択され、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、
は、H、ホルミル、イミノメチル、ニトロソ、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C12アルカノイル、ハロ置換されたC〜C12アルカノイルであり、
は、H、ホルミル、トリフルオロアセチル、ニトロソ、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されている、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルから選択され、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、あるいは
とYとは一緒になって、それらが結合している2個のN原子の間でCまたはC架橋を形成する]
を有する式1による化合物に関する。
【0059】
好ましくは、Yは、H、ホルミル、ニトロソ、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルカノイルである。
【0060】
用語「アルキル」は、単独で、または組み合わせて使用する場合、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなど、1〜12個の炭素原子を含有する直鎖または分枝状のアルキル基を指す。より好ましいアルキル基は、1〜8個、より好ましくは1〜4個の炭素原子を含有する。
【0061】
本明細書中で使用する場合、用語「アルケニル」は、単独で、または他の基と組み合わせて、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、t−ブチレン、sec−ブチレン、イソブチレン、アミレン、イソアミレン、ペンチレン、イソペンチレン、へキシレンなど、2〜12個の炭素原子を含有する直鎖または分枝状のアルキル基を指す。好ましいアルケニル基は、2〜6個の炭素原子を含有する。
【0062】
用語「アルキニル」は、本明細書中で使用する場合、1つまたは複数の炭素間三重結合を有する、炭素原子の直鎖または分枝鎖を指す。好ましいアルキニル基は、2〜12個、より好ましくは2〜6個の炭素原子を含有する。
【0063】
用語「アルコキシ」は、本明細書中で使用する場合、酸素で置換されている上に定義のアルキル(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシなど)を指す。
【0064】
用語「アルカノイル」は、本明細書中で使用する場合、ホルミル、または、カルボニルで末端が置換されている上に定義のアルキル(アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイルなど)を指す。
【0065】
用語「アルキルアミノ」は、本明細書中で使用する場合、窒素で置換されている上に定義のアルキルを指し、モノアルキルアミノ(メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、tert−ブチルアミノなど)およびジアルキルアミノ(ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルプロピルアミノなど)の両方を包含する。
【0066】
用語「ハロ」は、本明細書中で使用する場合、任意の17族元素を指し、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードおよびアスタチン(アスタチノ)を包含する。
【0067】
用語「(C〜C)シクロアルキル」は、単独で、または他の基と組み合わせて本明細書中で使用する場合、合計3〜6個の炭素から成る一環を有する飽和または部分的に不飽和の環状炭化水素基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど)を包含する。
【0068】
用語「(C〜C14)アリール」は、単独で、または他の基と組み合わせて本明細書中で使用する場合、単環および二環の芳香族基(フェニル、ナフチル、アントラセニルなど)を指す。
【0069】
用語「(C〜C14)ヘテロアリール」は、単独で、または他の基と組み合わせて本明細書中で使用する場合、N、OおよびSから選択される1、2または3個の環ヘテロ原子を含有し、残りの環原子がCである少なくとも1つの芳香環を有する単環基または二環基(ピリジル、フリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、チエニル、キノリニル、インドリル、チアゾリルなど)を意味する。
【0070】
さらなる一態様では、本発明は、本発明の化合物を合成する方法も提供する。18F部分は崩壊性があることから、その導入は、可能な限り合成の遅い段階で行うべきであることは明らかである。したがって、出願人らは、本発明の化合物は、(i)適切に保護されたグルタミン酸部分中の標識すべき位置を活性化させること、(ii)活性化したグルタミン酸をプテロイン酸またはその誘導体と連結させること、および(iii)最後に、この活性化基を18Fで置換することを含む方法による有効な様式で入手できることを見出した。必要に応じ、ステップ(i)および(ii)を入れ替えてもよい。
【0071】
出発物質としてフッ化グルタメート残基を使用し、次いでプテロイル基とカップリングさせる合成経路を用いて、基準化合物としての19F標識化合物を得てもよいが、18F標識グルタミン酸を用い(例えば、WO2008/052788号(特許文献11)を参照のこと)、次いでプテロイル基と連結させる類似の合成は、反応ステップに時間がかかる(例えば、労力を要する作業および精製手順)ため、18F同位体の半減期に関して不利である。
【0072】
グルタミン酸部分の活性化は、γ位で求核置換を起こしやすい任意の公知の活性化基Aを導入することにより達成できる。このような活性化基としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:トシレート、メシレート、ブロシレート、フルオロスルホネート、トリフレート、ノナフレート、1〜10個の炭素原子を有するアルコキシ、6〜12個の炭素原子を有するアリールオキシ、トリフルオルアセテート、ニトロ、ブロモ、クロロ、ヨードなど、好ましくは、メシレート、トシレート、ノシレートおよび他のスルホネート、スルホニウム塩およびヨードニウム塩。
【0073】
一実施形態では、フッ素−18による活性化基の置換反応およびそれに次ぐ脱保護は、ワンポット法で溶液中にて実施できる。
【0074】
別の実施形態では、活性化した前駆体を直接またはリンカーにより固体担体と結合させ、フッ素−18を用いた反応により、標識された化合物が溶液中で得られることになる。
【0075】
適当な固体担体は、この方法において使用されることになる任意の溶媒中で溶解しないがリンカーおよび/または活性化した前駆体が共有結合できる、任意の適当な固相担体であってもよい。適当な固体担体の例としては、ポリスチレンなどのポリマー(例えばポリエチレングリコールでブロック・グラフト処理されていてもよい)、ポリアクリルアミド、またはポリプロピレン、または、そのようなポリマーでコーティングされたガラスもしくはシリコンが挙げられる。固体担体は、ビーズもしくはピンなどの小さい離散粒子の形態で、または、カートリッジの内部表面上もしくは微細加工した容器上のコーティングとして存在してもよい。必要に応じてリンカーを使用するが、このリンカーは、反応性を最大化するために固体担体構造から反応部位を十分に離すように働く任意の適当な有機基であってもよい。適切には、リンカーは、最大4つのアリール基(適切にはフェニル)および/またはC(1〜16)アルキル(好ましくはC(1〜6)アルキル)またはC(1〜16)ハロアルキル(好ましくはC(1〜6)ハロアルキル)、典型的にはC(1〜16)フルオロアルキル(好ましくはC(1〜6)フルオロアルキル)またはC(1〜16)アルコキシまたはC(1〜16)ハロアルコキシ(好ましくはC(1〜6)アルコキシまたはC(1〜6)ハロアルコキシ)、典型的にはC(1〜16)フルオロアルコキシ(好ましくはC(1〜6)フルオロアルコキシ)、および、場合により、アミド基またはスルホンアミド基など1〜4つのさらなる官能基を含む。
【0076】
担体に結合した活性化前駆体のフッ素−18での処理は、Na18F、K18F、Cs18F、テトラアルキルアンモニウム18Fフッ化物、テトラアルキルホスホニウム18Fフッ化物または電気化学的に結合した18Fフッ化物など、任意の適当な18F源での処理により達成できる。フッ化物の反応性を高めるため、4,7,13,16,21,24ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8,8,8]ヘキサコサンなどの相間移動触媒を加えてから、非プロトン性溶媒中で、または、非プロトン性溶媒と、立体障害のあるアルコール(tert.−ブタノール、tert.−アミルアルコールなど)とを組み合わせたものの中で、反応を実施してもよい。フッ素−18での処理は、適切には、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2ジメトキシエタン、スルホラン、N−メチルピロリジニネオン(methylpyrolidinineone)などの適当な有機溶媒の存在下で、15℃〜180℃の温度、好ましくは高温にて達成される。反応終了時に、溶媒に溶解している18F標識化合物を濾過により固相から簡便に分離する。
【0077】
さらなる一態様では、本発明は、診断画像化を必要とする対象への簡便で有効な投与のための本発明の葉酸放射性医薬品の使用を提供する。
【0078】
したがって、本発明は、葉酸受容体を発現している細胞または細胞集団の診断画像化の方法であって、少なくとも1つの本発明の葉酸放射性医薬品を診断画像化量で投与するステップと、前記細胞または細胞集団の診断画像を得るステップとを含む方法を提供する。
【0079】
そのような画像化は、葉酸受容体を発現している細胞または細胞集団に対してin vitroまたはin vivoで実施できる。
【0080】
したがって、本発明は、組織試料中の、葉酸受容体を発現している細胞をin vitro検出する方法であって、前記組織試料を、少なくとも1つの本発明の葉酸放射性医薬品と有効量にて十分な時間および条件下で接触させて結合を生じさせることと、そのような結合をPET画像化により検出することとを含む方法を提供する。
【0081】
さらなる一態様では、本発明は、癌および炎症性疾患および自己免疫疾患の診断画像化または治療のモニタリングを必要とする対象への簡便で有効な投与のための本発明の葉酸放射性医薬品の使用を提供する。
【0082】
別の態様では、本発明は、診断および治療を同時に実施する方法であって、その必要がある対象に、診断上有効量の少なくとも1つの本発明の葉酸放射性医薬品を、治療活性剤(therapeutically active)と組み合わせて投与するステップと、治療の経過を追跡するために前記組織の診断画像を得るステップとを含む方法を提供する。
【0083】
本発明の方法の対象は、好ましくは、動物またはヒトなどの哺乳動物、好ましくはヒトである。
【0084】
投与量は、診断または治療の形態など、所望の効果の性質、治療の種類および頻度、診断機器、調製物の施用の形態、ならびに、投与を受ける者の年齢、体重、栄養および状態、併用治療の種類(あれば)によって決まる。
【0085】
しかし、最も好ましい投与量は、当業者であれば理解し決定できるように、過度の実験を行うことなく個々の対象に合わせることができる。これには、典型的には、標準的な用量の調節、例えば、患者の体重が軽い場合に用量を減らすことなどが含まれる。
【0086】
治療は、最適量を下回る比較的少量で開始でき、最適効果を達成するためにこれを増やしてもよい。
【0087】
PETスキャナーにおける画像化の手順は、放射性トレーサーの投与後、数分から2〜4時間以内に行われる。スケジュールは、画像化標的、および、放射性トレーサーの動態、ならびに所望の情報によって決まる。
【0088】
本発明の葉酸放射性医薬品の好ましい投与経路は、静脈内注射によるものである。
【0089】
注射に適した形態としては、前述の本発明の葉酸放射性医薬品の滅菌済の水溶液または分散系が挙げられる。典型的には、この放射性医薬品は、生理緩衝液の形で製剤化されることになる。
【0090】
この葉酸放射性医薬品は、当技術分野で認識されている任意の手法による滅菌を行うことができ、このような手法としては、抗菌剤または抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどの添加が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、この医薬品には投与前に滅菌濾過を行って、余分な滅菌剤の必要を排除する。
【0091】
注射用の溶液としては、好ましい単位投与量は、約0.01mL〜約10mLである。静脈内投与後、放射線標識試薬が対象に投与されて、十分な量の投与用量が最適な標的化領域中に蓄積した後、必要に応じ、数分から2〜4時間以内にin vivoでの器官または腫瘍の画像化を行うことができる。
【0092】
本発明の葉酸放射性医薬品は、対象から採取した組織生検試料中の、葉酸受容体を発現している細胞のin vitro検出に使用することもできる。したがって、さらなる一実施形態では、本発明は、組織試料中の、葉酸受容体を発現している細胞(例えば腫瘍細胞)をin vitro検出する方法であって、前記組織試料を、本発明の葉酸放射性医薬品と有効量にて十分な時間および条件下で接触させて結合を生じさせることと、そのような結合を画像化法により検出することとを含む方法を提供する。
【0093】
試料は、当業者に公知の手順、例えば、組織生検試料または体液の収集、気管または肺の試料の吸引などにより収集できる。
【0094】
試験対象となる組織試料としては、腫瘍細胞、上皮細胞、腎臓、消化管系または肝胆系他など、葉酸受容体を発現している細胞を含有すると思われる任意の組織が挙げられる。試料は、例えばミクロトームで切片化して、顕微鏡による検査および観察を容易にできる。試料は、本発明の葉酸放射性医薬品の1つでのインキュベーションの前または後のいずれかに適切な固定液で固定して、試料組織の組織学的品質を高めることもできる。
【0095】
本発明の葉酸放射性医薬品を細胞上の葉酸受容体と結合させるのに十分な時間および条件としては標準的な組織培養条件が挙げられ、すなわち、試料をin vitroで培養してから、生理的培地中で本発明の複合体または組成物の1つでインキュベートできる。そのような条件は当業者には周知である。あるいは、試料を固定してから、等張性緩衝液または生理緩衝液中にて本発明の葉酸放射性医薬品でインキュベートすることもできる。
【0096】
全ての適用について、本発明の化合物は、使用することになる場所で、またはその近くで調製することが好都合である。
【0097】
本明細書中で開示および特許請求してある全ての化合物および/または方法は、本開示に照らせば、過度の実験を行うことなく作製および実行できる。本発明の範囲から逸脱することなく本発明に変化を加えることができることは、当業者には自明であろう。本明細書中に記載の例は、例証となるように意図したものであって網羅的なものではなく、したがって、例証した例は、本発明を限定するものとは決して見なされるべきでない。
【0098】

材料および方法
Varian Mercury Plus200(200MHz)分光計を用いて、核磁気共鳴スペクトルを記録した。化学シフトは、100万分率(ppm)で、テトラメチルシラン(0.00 ppm)との比較で報告する。実験の部では、H−NMRスペクトルの説明に以下の省略形を使用する:一重線(s)、二重線(d)、三重線(t)、多重線(m)、二重の二重線(dd)。複雑な多重線の化学シフトは、その発生の範囲として得られる。Bruker FTMS4.7T BioAPEXII(ESI)分光計を用いてHR−ESI−MSを記録した。
【0099】
水感受性反応(water sensitive reaction)を、火炎乾燥したガラス容器中でアルゴン下にて実施した。反応を、薄層クロマトグラフィー(TLC、EM Science 0.25mm厚を用いて実施、プレコーティングされたシリカゲル60F−254ガラスで支持されたプレート)またはHPLCによりモニターした。調節可能な吸収検出装置L−7400を備えたMerck−Hitachi L−7000システムを用いてHPLCを実施した。以下の溶媒系(1mL/分):溶媒A:0.05M NaH2PO4水溶液、32%NaOHでpH7.0に調節、溶媒B:MeOH800ml/0.05M NaHPO 200ml、1mL/分;0分、100%A;0〜30分、100→0%Aを用い、Nucleosilカラム(C18、5μm、4×250mm、Macherey Nagel)で分析HPLCを実施した。230nmでUV検出。試料20mgを水1000ml中のNaHCO 20gおよびKHCO 20gから成る緩衝液に溶解した。全ての化学薬品は、別に記載のない限り、供給されたままの状態で使用した。
【0100】
以下のとおりの勾配を用い、RP18カラム、Gemini 5μ C18、250×10mmを用いてγ−[18F]フルオロ葉酸の半分取HPLC精製を実施した。溶媒A=0.05Mリン酸緩衝液(5%メタノール)、B=メタノール、0〜35分:A:100%→40%、35〜40分:A:40%→20%、50〜60分:A:20%→100%。流速:4ml/分。
【0101】
n.c.a.[18F]フッ化物の作製。Cyclone18/9サイクロトロン(IBA、ベルギー)での18O(p,n)18F核反応により、n.c.a.[18F]フッ化物を作製した。液体標的2.1mlを用い、同位体的に97%濃縮されている[18O]水を16MeVの陽子線により照射した。ヘリウム流を用い、[18F]フッ化物/[18O]水溶液を、標的から、マニピュレーターを備えた合成ホットセルに移した。
【0102】
陰イオン交換カートリッジ上で捕捉された[18F]フッ化物を、メタノール(0.7ml)中のテトラブチルアンモニウム水酸化物溶液を用いて、10mlの密封反応槽中に直接溶出させた。真空および窒素流により、85〜90℃で溶媒を除去した。次に、乾燥アセトニトリル0.8〜1.0mlを3回加え、蒸発により乾燥させた。
【0103】
γ−フルオロ葉酸の参照基準は、例えば、B. Hartら、J. Med. Chem.、39、1996、56〜65頁(非特許文献27)により合成できる。β−フルオロ葉酸の参照基準は、例えば、A. Vidal-Crosら、J. Org. Chem.、54、498頁、1989(非特許文献28)により合成できる類似のβ−フルオログルタミン酸を用いて、同文献と同様に合成できる。
【0104】
実験:
γ−[18F]フルオロ葉酸の合成(図1による)
例1: 4−メタンスルホニルオキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル−2−メチルエステルの合成(ステップa)
乾燥ジクロロメタン200ml中の4−ヒドロキシピロリジン−1,2−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル−2−メチルエステル(Bachemから購入)10.0gに、塩化メタンスルホニル4mlを加えた。この混合物を0℃に冷却し、トリエチルアミン17mlを加えた。この混合物を室温に温めた。2時間後、ジクロロメタン500mlを加えた。この混合物を1M 冷HCl 500mlで、さらに、冷水500mlで2回、洗浄した。有機層を蒸発により乾燥させると油が得られ、メチル−tert−ブチルエーテル100mlを加えることによりこれを4℃で結晶化させた。この結晶を吸引により取り出し、メチル−tert−ブチルエーテル25mlで2回洗浄してから真空下にて35℃で乾燥させると、4−メタンスルホニルオキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル−2−メチルエステル9.27gが得られた。H−NMR(CDCl,TMSが内部標準、200MHz):δ=5.27(m,1H,C(γ)−H)、4.44(m,1H,C(α)−H)、3.78(m,2H,C(δ)−H)、3.75(s,3H,OCH)、3.05(s,3H,SOCH)、2.62(m,1H,C(β)−H)、2.19〜2.33(m,1H,C(β)−H’)、1.46、1.42(2つのs,9H,OtBu)。13C−NMR(CDCl,TMSが内部標準、200MHz):δ=172.7、153.3、80.9、77.9、57.4、52.5、52.2、38.7、37.5、28.2。HR−MS:m/z[M+Na]+C1221NNaOSの計算値:346.0931;実測値:346.0933。
【0105】
例2: 4−メタンスルホニルオキシ−5−オキソ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル−2−メチルエステルの合成(ステップb)
酢酸エチル4000ml中の4−メタンスルホニルオキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル−2−メチルエステル99.8gに、水4000ml中の264過ヨウ素酸ナトリウムおよび塩化ルテニウム(III)3.2gを加えた。この混合物を室温で96時間激しく撹拌した。濾過の後、水層を分離し、酢酸エチル1400mlで2回抽出した。酢酸エチル層を合わせ、イソプロパノール863mlを加えた。30分間の撹拌後、硫酸マグネシウムを加えて濾過により除去してから、残留物を蒸発により乾燥させた。シリカゲル60 1kgおよび酢酸エチル/n−ヘキサン4.5:5.5を用いたフラッシュ・クロマトグラフィーにより、残留物を精製した。無色の結晶32.8gが得られ、これを室温にてメチル−tert−ブチルエステル100mlで処理した。4℃に冷却後、結晶を吸引により取り出し、メチル−tert−ブチルエステルで洗浄してから、40℃、真空中で一晩乾燥させると、4−メタンスルホニルオキシ−5−オキソ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル−2−メチルエステル28.9gが得られた。H−NMR(CDCl,TMSが内部標準、200MHz):δ=5.28〜5.38(m,1H,C(γ)−H)、4.65〜4.70(m,1H,C(α)−H)、3.82(s,3H,OCH)、3.30(s,3H,SOCH)、2.38〜2.70(m,2H,C(β)−H2)、1.52(s,9H,OtBu)。13C−NMR(CDCl,TMSが内部標準、200MHz):δ=170.7、167.6、148.8、85.1、75.2、55.3、53.2、40.0、29.3、27.9。HR−MS:m/z[M+Na]+C1219NNaOSの計算値:360.0724;実測値:360.0728。
【0106】
例3: 2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−メタンスルホニルオキシ−ペンタンジカルボン酸ジメチルエステルの合成(ステップc)
ジクロロメタン354ml中の4−メタンスルホニルオキシ−5−オキソ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸−1−tert−ブチルエステル−2−メチルエステル28.3gに、メタノール71mlおよび炭酸カリウム0.58gを加えた。この混合物を室温で3時間撹拌した。濾過の後、濾液を真空中で蒸発させてから、クロマトグラフィー(シリカゲル60 90g、溶媒CHCl:MeOH、99:1〜95:5)により油性の残留物を精製すると、無色の油としての2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−メタンスルホニルオキシ−ペンタンジカルボン酸ジメチルエステル9.8gが得られた。H−NMR(CDCl,TMSが内部標準、200MHz):δ=5.3(s,1H,NH)、5.14〜5.20(m,1H,C(γ)−H)、4.50(m,1H,C(α)−H)、3.81(s,3H,OCH)、3.78(s,3H,OCH)、3.15(s,3H,SOCH)、2.32〜2.64(m,2H,C(β)−H)、1.45(s,9H,OtBu)。13C−NMR(CDCl,TMSが内部標準、200MHz):δ=171.5、169.1、74.4、74.1、52.9、52.7、50.0、39.2、34.2、28.5。HR−MS:m/z[M+Na]+C1323NNaOSの計算値:392.0986;実測値:392.0981。
【0107】
例4: 2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−メタンスルホニルオキシ−ペンタンジカルボン酸ジメチルエステルの脱保護(ステップd)
ジクロロメタン10ml中の2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−メタンスルホニルオキシ−ペンタンジカルボン酸ジメチルエステル1gの溶液にトリフルオロ酢酸10mlを加えて、室温で30分間撹拌した。この混合物を蒸発により乾燥させてから残留物を真空中で乾燥させると油性の残留物1.8gが得られ、これを、さらに精製することなく、例5に記載のN−N,N−ジメチルアミノメチレン−10−ホルミル−γ−メタンスルホニルオキシ−葉酸ジメチルエステルの合成に直接使用した。DC(CHCl/MeOH、9:1、ニンヒドリン)、Rf=0.29。
【0108】
例5: N−N,N−ジメチルアミノメチレン−10−ホルミル−γ−メタンスルホニルオキシ−葉酸ジメチルエステルの合成(ステップe)
N,N−ジメチルホルムアミド100ml中のN,N,N−ジメチルアミノメチレン−10−ホルミルプテロイン酸1.07gに、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(=HBTU)1.03gおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミン0.93mlを加えた。5分後、無水のN,N−ジメチルホルムアミド10ml中の粗2−アミノ−4−メタンスルホニルオキシ−ペンタンジカルボン酸ジメチルエステルトリフルオロアセテート(例4で得られた粗生成物)1.8gの溶液を加えた。この混合物を室温で18時間撹拌してから、真空中で蒸発により乾燥させた。残留物をジクロロメタン50mlに溶解し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液10mlで3回、5%クエン酸10mlで3回、水10mlで3回洗浄した。ジクロロメタン層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、これを蒸発により乾燥させると、淡黄色の泡1.2gが得られ、これをクロマトグラフィー(シリカゲル60 120g、溶出剤ジクロロメタン/メタノール95:5)により精製すると、黄色の残留物0.3gが得られ、これをクロマトグラフィー(シリカゲル60 30g、溶出剤ジクロロメタン/メタノール95:5)によりさらに精製すると、N−N,N−ジメチルアミノメチレン−10−ホルミル−γ−メタンスルホニルオキシ−葉酸ジメチルエステル(Ms=SOCH)0.16gが得られた。HPLC:94.1%領域(230nmでUV検出)、DC(ジクロロメタン/メタノール85:15)、Rf=0.49。H−NMR(DMSO−d,TMSが内部標準、200MHz):δ=11.99(bs,1H,N−H)、8.82、8.78 8.71(3つのs,3H,CHNMe,CHO,C(7)−H)、7.86(d,2H,C(1’,5’)、Pte)、7.60(d,2H,C(2’,4’)、Pte)、5.24〜5.33(m,s,3H,C(6)−H,C(γ)−H)、4.53〜4.67(m,1H,C(α)−H)、3.64(s,3H,OMe)、3.60(s,3H,OMe)、3.24(s,3H,NCH)、3.21(s,3H,NCH)、3.08(s,3H,SOCH)、2.58〜2.29(m,2H,C(β)−H)。HR−MS:m/z[M+Na]+C2630NaO10Sの計算値:669.1698;実測値:669.1706。
【0109】
例6: N,N,N−ジメチルアミノメチレン−10−ホルミル−γ−メタンスルホニルオキシ−葉酸ジメチルエステルの18Fフッ素化によるγ−[18F]フルオロ葉酸の合成およびそれに次ぐ脱保護(ステップfおよびg)
乾燥テトラブチルアンモニウム[18F]フッ化物に、アセトニトリル0.25ml中の前駆体N,N,N−ジメチルアミノメチレン−10−ホルミル−γ−メタンスルホニルオキシ−葉酸ジメチルエステル(5.2mg)を加えた。この混合物を35分間かけて80〜85℃に加熱した。冷却後、水9mlを加え、この混合物を逆相カートリッジ(Sep−Pak(登録商標)C18plus、Waters AG)に通した。水10mlでカートリッジを3回洗浄してから、窒素流により2分乾燥させた。18F標識した保護化合物をアセトニトリル2.5mlで別の10mlの密封反応槽中に溶出させた。アセトニトリルの体積を、減圧、窒素流および80〜90℃のわずかな加温の条件下で、0.1mlに減らした。
【0110】
加水分解(ステップg)用に、1M NaOH溶液0.5mlを加え、この混合物を20分間かけて50℃に加熱した。冷却後、1M HCl溶液0.5mlにより、この混合物を中和させた。HPLC溶媒A2.0mlを加えると、半分取HPLC精製用の最終的な注入体積が得られた。生成画分のHPLC溶媒を、減圧、窒素流、90℃の条件下で蒸発させた。製剤化用に、乾燥生成物に注射用水および0.15Mリン酸緩衝液を加え、この混合物を、滅菌済フィルターを通して、滅菌済で発熱物質不含のバイアルに入れた。
【0111】
例7: γ−[18F]フルオロ葉酸を用いたin vivo試験およびex vivo試験。
γ−[18F]フルオロ葉酸を、KB腫瘍異種移植片を有している雄のNMRI nu/nuマウスを用いたex vivoでの生体内分布試験において施用した。約2MBqの放射性トレーサーを各動物の体内に注射した。遮断群では、放射性トレーサーの10分前に天然葉酸200μgを注射した。注射の105分後、動物を屠殺した。葉酸受容体陽性のKB腫瘍は、放射性トレーサーの高度の特異的取込みを示し、特異的遮断の比率は90.0%である。さらに、葉酸受容体を発現することが公知である腎臓においては、特異的遮断率86.0%の高度の特異的取込みも見られた。
【0112】
図2は、腫瘍および腎臓などの葉酸受容体陽性の組織におけるγ−[18F]フルオロ葉酸の高度の特異的取込みを示すものである(各組織について2本の棒線を示してあるが、左の棒線は対照群の取込みを表し、右の棒線は遮断群の取込みを表す)。
【0113】
KB腫瘍異種移植片を有している雄のNMRI nu/nuマウスにおいて、γ−[18F]フルオロ葉酸を用いたin vivoでのPET画像化を実施した。約10MBqの放射性トレーサーを各動物の体内に注射した。遮断群では、放射性トレーサーの10分前に天然葉酸200μgを注射した。PETスキャン画像は、注射後75分〜105分に取得した。
【0114】
γ−[18F]フルオロ葉酸を用いたPET試験から、KB腫瘍異種移植片の優れた画像が得られた。さらに、取込みは高度に特異的であり、天然葉酸により遮断された。腎皮質においては、放射性トレーサーの高度に特異的な取込みも見られたが、腎髄質において取込みは一切見られなかった。このパターンは、葉酸受容体の生理的分布と一致しており、γ−[18F]フルオロ葉酸の高度な特異性を指摘している。腫瘍および腎臓での特異的な取込みに加えて、γ−[18F]フルオロ葉酸は、肝細胞中での放射能蓄積も示している。
【0115】
図3は、対象条件および遮断条件下でγ−[18F]フルオロ葉酸を用いた全身PETスキャンの代表的な一連の正規化水平スライス画像を示すものである。丸付き矢印は腫瘍部位を示し、四角付き矢印は腎臓を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、
Pは、プテロイル基またはその誘導体であり、
、Xは、互いに独立に、C、N、O、Sであり、
、Rは、互いに独立に、H、または、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C14アリールまたはC〜C14ヘテロアリールであり、互いに独立に、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されており、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−SO−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、
、Zは、互いに独立に、Hまたは18Fであるが、ただし、ZおよびZの一方は18Fである]
の化合物。
【請求項2】
式II
【化2】

[式中、
〜Xは、互いに独立に、CまたはNであり、
およびRは、互いに独立に、H、Hal、−OR’、−NR’’R’’’、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C12アルカノイル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、(C〜C12アルコキシ)カルボニルおよび(C〜C12アルキルアミノ)カルボニルであり(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルであり、R’’およびR’’’は、H、ホルミル、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されている、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルから互いに独立に選択される)、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、
、Rは、互いに独立に、H、ホルミル、トリフルオロアセチル、イミノメチル、ニトロソ、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されている、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルであり、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、あるいは、RとRとは一緒になってXとXとの間でCまたはC架橋を形成し、
は、H、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C12アルカノイル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、(C〜C12アルコキシ)カルボニルおよび(C〜C12アルキルアミノ)カルボニルであり、
mは、0または1であり、
pは、0、1または2であり、
qは1〜7の値を有し、
、Xは、互いに独立に、C、N、O、Sであり、
、Rは、互いに独立に、H、または、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C14アリールまたはC〜C14ヘテロアリールであり、互いに独立に、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されており、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−SO−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、
、Zは、互いに独立に、Hまたは18Fであるが、ただし、ZおよびZの一方は18Fである]
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式IIIa、IIIb、IVaまたはIVb
【化3】

[式中、
〜Xは、互いに独立に、CまたはNであり、
およびRは、互いに独立に、H、Hal、−OR’、−NR’’R’’’、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C12アルカノイル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、(C〜C12アルコキシ)カルボニルおよび(C〜C12アルキルアミノ)カルボニルであり(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルであり、R’’およびR’’’は、H、ホルミル、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されている、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルから互いに独立に選択される)、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、
、Rは、互いに独立に、H、ホルミル、トリフルオロアセチル、イミノメチル、ニトロソ、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されている、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルであり、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、あるいは、RとRとは一緒になってXとXとの間でCまたはC架橋を形成し、
は、H、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C12アルカノイル、C〜C12アルケニル、C〜C12アルキニル、(C〜C12アルコキシ)カルボニルまたは(C〜C12アルキルアミノ)カルボニルであり、
mは、0または1であり、
pは、0、1または2であり、
qは1〜7の値を有し、
、Xは、互いに独立に、C、N、O、Sであり、
、Rは、互いに独立に、H、または、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキル、C3〜C6シクロアルキル、C5〜C14アリールまたはC5〜C14ヘテロアリールであり、互いに独立に、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されており、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−SO−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよい(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)]
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
およびRが、互いに独立に、H、アルキル、−OR’、−NHR’である(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルを表す)、請求項1〜3のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項5】
が、H、ホルミル、C1〜C12アルキルまたはC1〜C12アルカノイルである、請求項1〜4のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項6】
が、H、ホルミルまたはメチルである、請求項1〜5のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項7】
が、H、ホルミル、ニトロソ、C〜Cアルキル、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルカノイルである、請求項1〜6のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項8】
が、H、ホルミルまたはメチルである、請求項1〜7のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項9】
が、H、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C12アルカノイル、(C〜C12アルコキシ)カルボニルまたは(C〜C12アルキルアミノ)カルボニルである、請求項1〜8のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項10】
が、Hである、請求項1〜9のいずれか一つに記載の化合物。
【請求項11】
式Va、Vb、VIaまたはVIb
【化4】

[式中、
、Xは、互いに独立に、C、N、O、Sであり、
、Rは、互いに独立に、H、または、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C14アリールまたはC〜C14ヘテロアリールであり、互いに独立に、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されており、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−SO−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、
、Yは、互いに独立に、H、ホルミル、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されている、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルから選択され、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、
は、H、ホルミル、トリフルオロアセチル、ニトロソ、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されている、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルから選択され、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよい(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)]
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
式VIIa、VIIb、VIIIaまたはVIIIb
【化5】

[式中、
、Xは、互いに独立に、C、N、O、Sであり、
、Rは、互いに独立に、H、または、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C14アリールまたはC〜C14ヘテロアリールであり、互いに独立に、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されており、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−SO−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、
pは、0、1または2であり、
、Yは、互いに独立に、H、ホルミル、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されている、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルから選択され、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、
は、H、ホルミル、イミノメチル、ニトロソ、C〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ、C〜C12アルカノイル、ハロ置換されたC〜C12アルカノイルであり、
は、H、ホルミル、トリフルオロアセチル、ニトロソ、置換されていないか、または、少なくとも1つのCN、HalもしくはNOにより置換されている、直鎖もしくは分枝状のC〜C12アルキルから選択され、このとき、組み込まれており隣接していないCH基の1つまたは複数は、−O−、−CO−、−CO−O−、−CO−NR’−、−CH=CH−、−C≡C−により独立に置き換えられていてもよく(このとき、R’はHまたはC〜Cアルキルである)、あるいは
とYとは一緒になって、それらが結合している2個のN原子の間でCまたはC架橋を形成する]
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
葉酸受容体を発現している細胞または細胞集団のin vitroまたはin vivoでの診断画像化のための、請求項1〜12のいずれか一つに記載の化合物の使用。
【請求項14】
診断画像化を必要とする対象への簡便で有効な投与のための、請求項1〜12のいずれか一つに記載の化合物の使用。
【請求項15】
葉酸受容体を発現している細胞または細胞集団の診断画像化の方法であって、少なくとも1つの請求項1〜12のいずれか一つに記載の化合物を診断画像化量で投与するステップと、前記細胞または細胞集団の診断画像を得るステップとを含む方法。
【請求項16】
前記診断画像化が、in vitroまたはin vivoで、葉酸受容体を発現している細胞または細胞集団について実施される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
組織試料中の葉酸受容体を発現している細胞をin vitro検出する方法であって、前記組織試料を、請求項1〜12のいずれか一つに記載の化合物と有効量にて十分な時間および条件下で接触させて結合を生じさせるステップと、そのような結合をPET画像化により検出するステップとを含む方法。
【請求項18】
対象を診断画像化またはモニタリングする方法であって、(i)少なくとも1つの請求項1〜12のいずれか一つに記載の化合物を診断画像化量で投与するステップと、(ii)少なくとも1つの前記化合物に由来するシグナルを検出することによりPETを用いて診断画像化を実施するステップとを含む方法。
【請求項19】
対象における癌および炎症性疾患および自己免疫疾患の治療をモニタリングする方法であって、(i)その必要がある対象に、少なくとも1つの請求項1〜12のいずれか一つに記載の化合物を診断画像化量で治療活性剤と組み合わせて投与するステップと、(ii)癌および炎症性疾患および自己免疫疾患の治療の経過を追跡するために、少なくとも1つの前記化合物に由来するシグナルを検出することによりPETを用いて診断画像化を実施するステップとを含む方法。
【請求項20】
癌および炎症性疾患および自己免疫疾患の診断または治療の任意の他の方法と組み合わせて用いられる、請求項15〜19のいずれか一つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−505186(P2012−505186A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530508(P2011−530508)
【出願日】平成21年10月12日(2009.10.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063258
【国際公開番号】WO2010/040854
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(511089837)メルク・アンド・コンパニー (1)
【Fターム(参考)】