説明

PI3キナーゼ阻害剤としてのナフチリジン誘導体

本発明は、ナフチリジン誘導体を用いたPI3キナーゼの活性/機能を阻害する方法に関する。また、本発明は、自己免疫障害、炎症疾患、心血管疾患、神経変性疾患、アレルギー、喘息、膵炎、多臓器機能不全、腎疾患、血小板凝集、癌、精子運動、移植拒絶、移植片拒絶および肺傷害から選択される1またはそれ以上の疾患を、ナフチリジン誘導体の投与により治療する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスホイノシチド3’OHキナーゼファミリー(以後、PI3キナーゼという)、適当には、PI3Kα、PI3Kδ、PI3Kβおよび/またはPI3Kγ、特に、PI3Kαの調節、特に、活性または機能の阻害のためのナフチリジン誘導体の使用に関する。適当には、本発明は、自己免疫障害、炎症疾患、心血管疾患、神経変性疾患、アレルギー、喘息、膵炎、多臓器機能不全、腎疾患、血小板凝集、癌、精子運動、移植拒絶、移植片拒絶および肺傷害から選択される1以上の病態、特に癌の治療における、ナフチリジン誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞膜は、種々のシグナル変換経路に関与することのできる大量のセカンドメッセンジャーを貯蓄する。リン脂質シグナル伝達経路におけるエフェクター酵素の機能および調節に関し、これらの酵素は、膜リン脂質プールからセカンドメッセンジャーを生じる(クラスI PI3キナーゼ(例えば、PI3Kアルファ)は、二重特異性キナーゼ酵素であり、これは、それらが脂質キナーゼ(ホスホイノシチドのリン酸化)ならびに基質としてタンパク質をリン酸化(分子内調節機構としての自己リン酸化を包含する)できることが示されるプロテインキナーゼ活性の両方を示す)。リン脂質シグナル伝達のこれらの酵素は、例えば、下記のスキームIに示されるように、種々の細胞外シグナル、例えば、成長因子、有糸分裂促進物質、インテグリン(細胞−細胞相互作用)ホルモン、サイトカイン、ウイルスおよび神経伝達物質に応答して、また、他のシグナル伝達分子(クロストーク、ここに、原シグナルが、第2段階で細胞内シグナル事象によってシグナルをPI3Ksに伝達するいくつかの平行した経路を活性化することができる)、例えば、小型GTPアーゼ、キナーゼまたはホスファターゼによる細胞内調節によって活性化される。細胞内調節は、また、細胞性癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子の異常型発現または発現欠如の結果として起こることができる。イノシトールリン脂質(ホスホイノシチド)細胞内シグナル伝達経路は、シグナル伝達分子(細胞外リガンド、刺激、受容体二量体化、異種受容体によるトランス活性化(例えば、受容体型チロシンキナーゼ)および原形質膜中に一体化されたG−タンパク質結合型膜貫通型受容体の関与を包含するPI3Kの動員および活性化で開始する。
【0003】
PI3Kは、膜リン脂質PI(4,5)Pをセカンドメッセンジャーとして機能するPI(3,4,5)Pに変換する。PIおよびPI(4)Pは、また、PI3Kの基質でもあり、リン酸化して、各々、PI3PおよびPI(3,4)Pに変換することができる。さらに、これらのホスホイノシチドは、5’−特異的および3’−特異的ホスファターゼによって他のホスホイノシチドに変換することができ、かくして、PI3K酵素的活性は、直接または間接的に、細胞内シグナル伝達経路においてセカンドメッセンジャーとして機能する2つの3’−ホスホイノシチドサブタイプの生成をもたらす(Vanhaesebroeckら、Trends Biochem.Sci.22(7)p.267−72(1997):Leslieら、Chem.Rev.101(8)p.2365−80(2001);Katsoら、Annu.Rev.Cell.Dev.Biol.17p,615−75(2001);およびTokerら、Cell.Mol.Life Sci.59(5)p.761−79(2002))。触媒的サブユニット、その対応する調節サブユニットによる調節、発現パターンおよびシグナル伝達特異的機能によって類別された複数のPI3Kイソ型(p110α、β、δおよびγ)が該酵素反応を行う(Vanhaesebroeck、Exp.Cell.Res.25(1)p.239−54(1999),およびKatsoら、2001,上記)。
【0004】
密接に関連のあるイソ型p110αおよびβは、偏在して発現しているが、δおよびγは、より特異的に造血細胞系、平滑筋細胞、筋細胞および内皮細胞に発現する(Trends Biochem.Sci.22(7) p.267−72(1997)、Vanhaesebroeckら)。それらの発現は、また、細胞、組織の型および刺激ならびに疾患事情に依存して誘導可能な方法で調節されるかもしれない。タンパク質発現の誘導可能性は、タンパク質の合成、ならびに調節サブユニットとの結合によって一部調節されるタンパク質安定化を包含する。
【0005】
今日までに、8個の哺乳動物PI3Kが同定され、配列ホモロジー、構造、結合パートナー、活性化の様式、および基質選択に基づいて、3つの主要クラス(I、IIおよびIII)に分けられた。イン・ビトロで、クラスI PI3Kは、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルイノシトール−4−ホスフェート(PI4P)、およびホスファチジルイノシトール−4,5−ビスホスフェート(PI(4,5)P)をリン酸化して、各々、ホスファチジルイノシトール−3−ホスフェート(PI3P)、ホスファチジルイノシトール−3,4−ビスホスフェート(PI(3,4)P)およびホスファチジルイノシトール−3,4,5−トリスホスフェート(PI(3,4,5)P)を生産することができる。クラスII PI3Kは、PIおよびホスファチジルイノシトール−4−ホスフェートをリン酸化する。クラスIII PI3Kは、PIのみをリン酸化することができる(Vanhaesebrokeckら、1997,上記;Vanhaesebroeckら、1999,上記、およびLeslieら、2001,上記)。
【0006】
スキームI:PI(4,5)P2のPIP3への変換
【化1】

【0007】
上記のスキームAに示されるように、ホスホイノシチジド3−キナーゼ(PI3K)は、イノシトール環の3番目の炭素のヒドロキシルをリン酸化する。PtdInsを生じるホスホイノシチジドの、3,4,5−トリスホスフェート(PtdIns(3,4,5)P)、PtdIns(3,4)PおよびPtdIns(3)Pへのリン酸化は、細胞増殖、細胞分化、細胞成長、細胞サイズ、細胞生存、アポトーシス、接着、細胞運動、細胞移動、走化性、浸潤、細胞骨格再構成、細胞形状変化、小胞輸送および代謝経路に必須のものを包含する種々のシグナル変換経路のためのセカンドメッセンジャーを産生する(Katsoら、2001,上記、およびMol.Med.Today 6(9) p.347−57(2000)、Stein)。G−タンパク質結合型受容体は、小型GTPアーゼ、例えば、GβγおよびRasによるホスホイノシチド3’OH−キナーゼ活性化を仲介し、結果として、PI3Kシグナル伝達は、細胞極性の確立および調整ならびに細胞骨格の動的組織化(これらは、一緒になって、細胞を動かす駆動力を提供する)において中心的役割を果たす。走化性、すなわち、化学誘引物質(ケモカインともいう)の濃度勾配へ向かう方向性のある細胞移動は、多くの重要な疾患、例えば、炎症/自己免疫、神経変性、血管形成、浸潤/転移および創傷治癒に関与する(Immunol.Today 21(6) p.260−4(2000)、Wymanら;Science 287(5455) p.1049−53(2000)、Hirschら;FASEB J. 15(11) p.2019−21(2001)、Hirschら、およびNat.Immunol. 2(2) p.108−15(2001)、Gerardら)。
【0008】
遺伝子的アプローチおよび薬理学的ツールを用いる進歩は、化学誘引物質によって活性化されたG−タンパク質結合型受容体に応答して走化性の媒介となるシグナル伝達および分子経路に対する洞察を提供した。これらのリン酸化したシグナル伝達産物を生じる原因となるPI3−キナーゼは、もともと、ウイルス性癌タンパク質、およびホスファチジルイノシトール(PI)をリン酸化する成長因子受容体チロシンキナーゼおよびそのイノシトール環の3’−ヒドロキシルにおけるリン酸化誘導体と関連した活性として同定された(Panayotouら、Trends Cell Biol. 2 p.358−60(1992))。しかしながら、より近年の生物化学的研究により、クラスI PI3 キナーゼ(例えば、クラスIBイソ型PI3Kγ)が二重特異的キナーゼ酵素(それらが脂質キナーゼおよびプロテインキナーゼ活性の両方を示すことを意味する)であることが明らかにされ、基質として他のタンパク質のリン酸化、ならびに細胞内調節機構として自己リン酸化が可能であることが示された。
【0009】
したがって、PI3−キナーゼ活性化は、細胞成長、分化およびアポトーシスを包含する細胞応答の範囲に関与すると考えられる(Parkerら、Current Biology, 5 p.577−99(1995);Yaoら、Science,267 p.2003−05(1995))。PI3−キナーゼは、白血球活性化のいくつかの態様に関与するようである。p85−結合性PI3−キナーゼ活性は、抗原に応答してT細胞が活性化するための重要な副刺激分子であるCD28の細胞質ドメインと物理的に結合することが示された(Pagesら、Nature, 369 p.327−29(1994);Rudd,Immunity 4 p.527−34(1996))。CD28によるT細胞の活性化は、抗原による活性化の閾値を下げ、増殖応答の規模および持続期間を増加させる。これらの効果は、重要なT細胞成長因子であるインターロイキン−2(IL2)を包含するいくつかの遺伝子の転写増加に関連する(Fraserら、Science 251 p.313−16(1991))。もはやPI3−キナーゼと相互作用できないようなCD28の変異は、IL2産生の開始欠如を導き、そのことは、T細胞活性化におけるPI3−キナーゼのための決定的な役割を示唆する。PI3Kγは、JNK活性のGベータ−ガンマ−依存性調節のメディエーターとして同定され、Gベータ−ガンマは、ヘテロ三量体Gタンパク質のサブユニットである(Lopez−Ilasacaら、J.Biol.Chem.273(5) p.2505−8(1998))。PI3Kが必須の役割を果たす細胞性プロセスには、アポトーシスの抑制、アクチン骨格の再組織化、心筋細胞成長、インスリンによるグリコーゲンシンターゼ刺激、TNFα媒介性好中球プライミングおよびスーパーオキシド発生、および白血球移動および内皮細胞への接着がある。
【0010】
近年(Laffargueら、Immunity 16(3) p.441−51(2002))、PI3Kγが種々のG(i)−結合型受容体を介して、炎症性シグナルを中継すること、およびそのマスト細胞機能、白血球との関連での刺激、免疫学の中心は、例えば、サイトカイン、ケモカイン、アデノシン、抗体、インテグリン、凝集因子、成長因子、ウイルスまたはホルモンを包含することが記載された(J.Cell.Sci.114(Pt 16) p.2903−10(2001)、Lawlorら;Laffargueら、2002,上記、およびCurr.Opinion Cell Biol.14(2) p.203−13(2002)、Stephensら)。
【0011】
酵素ファミリーの個々のメンバーに対する特異的阻害剤は、各酵素の機能を解読するための非常に貴重なツールを提供する。2つの化合物、LY294002およびワートマニン(wortmannin)(下記参照)は、PI3−キナーゼ阻害剤として幅広く使用されている。これらの化合物は、クラスI PI3−キナーゼの4つのメンバー間で区別しないので、非特異的PI3K阻害剤である。例えば、種々のクラスI PI3−キナーゼの各々に対するワートマニンのIC50値は、1−10nMの範囲である。同様に、これらのPI3−キナーゼの各々に対するLY294002のIC50値は、約15−20μMであり(Frumanら、Ann.Rev.Biochem.,67,p.481−507(1998))、また、CK2プロテインキナーゼにおいて5−10μMを有し、ホスホリパーゼにおいてある程度の阻害活性を有する。ワートマニンは、真菌代謝産物であり、PI3Kの触媒ドメインに共有結合することによって、PI3K活性を不可逆的に阻害する。ワートマニンによるPI3K活性の阻害は、細胞外因子に対するその後の細胞性応答を除去する。例えば、好中球は、PI3Kを刺激し、PtdIns(3,4,5)Pを合成することによって、ケモカインfMet−Leu−Phe(fMLP)に応答する。該合成は、侵入する微生物の好中球破壊に関与する呼吸バーストの活性化と相関する。ワートマニンでの好中球の処理は、fMLPによって誘導される呼吸バースト反応を防止する(Thelenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91,p.4960−64(1994))。実際、ワートマニンを用いたこれらの実験、ならびに他の実験的証拠は、造血系の細胞、特に、好中球、単球および他の型の白血球におけるPI3K活性が、急性および慢性炎症に関連する非記憶免疫応答の多くに関与することを示す。
【0012】
【化2】

【0013】
ワートマニンを用いる研究に基づいて、PI3−キナーゼ機能がG−タンパク質結合型受容体を介する白血球シグナル伝達のいくつかの態様にも必要とされるという証拠がある(Thelenら、1994,上記)。さらに、ワートマニンおよびLY294002は、好中球移動をよびスーパーオキシド放出を遮断することが示された。ベンゾフラン誘導体を阻害するシクロオキシゲナーゼは、John M.Januszら、J.Med.Chem.1998;Vol.41,No.18によって開示される。
【0014】
現在、癌遺伝子および腫瘍抑制遺伝子の脱調節が、例えば、細胞成長および増殖の増加または細胞生存の増加によって、悪性腫瘍の形成に寄与することがよく理解されている。また、現在、PI3Kファミリーによって媒介されるシグナル伝達経路が増殖および生存を包含する細胞プロセスのいくつかにおいて中心的役割を有し、これらの経路の脱調節が、幅広いスペクトルのヒトの癌および他の疾患の病因因子であることが知られている(Katsoら、Annual Rev.Cell Dev.Biol.,2001,17:615−617およびFosterら、J.Cell Scicence,2003,116:3037−3040)。
【0015】
クラスI PI3Kは、p110触媒的サブユニットおよび調節サイブユニットからなるヘテロ二量体であり、該ファミリーは、さらに、調節パートナーおよび調節メカニズムに基づいて、クラスIaおよびクラスIb酵素に分けられる。クラスIa酵素は、5つの別個の調節サブユニット(p85α、p55α、p50α、p85β、およびp55γ)と二量体化する3つの別個の触媒的サブユニット(p110α、p110β、およびp110δ)からなり、全ての触媒的サブユニットは、全ての調節サブユニットと相互作用して種々のヘテロ二量体を形成することができる。クラスIa PI3Kは、一般に、活性化された受容体またはアダプタータンパク質、例えば、IRS−1の特異的ホスホ−チロシン残基と調節サブユニットSH2ドメインの相互作用を介して、受容体チロシンキナーゼの成長因子による刺激に応答して活性化される。小型GTPアーゼ(一例として、ras)は、また、受容体チロシンキナーゼ活性化と共に、PI3Kの活性化に関与する。p110αおよびp110βはどちらも、全ての細胞型において構成的に発現されるが、一方、p110δ発現は、白血球集団およびいくつかの上皮細胞に限定される。対照的に、単一のクラスIb酵素は、p101調節サブユニットと相互作用するp110γ触媒的サブユニットからなる。さらに、クラスIb酵素は、G−タンパク質結合型受容体(GPCR)系に応答して活性化され、その発現は白血球に限定されるようである。
【0016】
現在、クラスIa PI3K酵素が幅広い種類のヒトの癌に直接的または間接的に寄与することを示す相当な証拠がある(VivancoおよびSawyers、Nature Review Cancer,2002,2,489−501)。例えば、p110αサブユニットは、いくつかの腫瘍、例えば、卵巣(Shayestehら、Nature Genetics,1999,21:99−102)および子宮頚(Maら、Oncogene,2000,19:2739−2744)の腫瘍において増幅する。より近年には、p110α(PIK3CA遺伝子)内の活性化変異は、種々の他の腫瘍、例えば、結腸および胸部および肺の腫瘍に関連した(Samuelsら、Science,2004,304,554)。p85αにおける腫瘍関連変異は、また、癌、例えば、卵巣および結腸の癌において同定された(Philpら、Cancer Research,2001,61,7426−7429)。直接的な影響に加えて、クラスIa PI3Kの活性化は、例えば、受容体チロシンキナーゼ、GPCR系またはインテグリンのリガンド依存性またはリガンド非依存性活性化によって、シグナル伝達経路の上流で起こる腫瘍発生事象に寄与すると考えられる(Varaら、Cancer Treatment Reviews,2004,30,193−204)。かかる上流でのシグナル伝達経路の例は、PI3K−媒介性経路の活性化を導く種々の腫瘍における受容体チロシンキナーゼErb2の過剰発現(Harariら、Oncogene,2000,19,6102−6114)および癌遺伝子Rasの過剰発現(Kauffmann−Zehら、Nature,1997,385,544−548)を包含する。さらに、クラスIa PI3Kは、種々の下流シグナル伝達事象によって引き起こされる腫瘍発生に間接的に寄与しうる。例えば、PI(3,4,5)P3のPI(4,5)P2への逆変換を触媒するPTEN腫瘍抑制因子ホスファターゼの機能の喪失は、PI(3,4,5)P3のPI3K−媒介性産生の脱調節を介して、非常に幅広い範囲の腫瘍に関連する(SimpsonおよびParsons、Exp.Cell Res.,2001,264,29−41)。さらに、他のPI3K−媒介性シグナル伝達事象の効果の増大は、例えば、AKTの活性化によって、種々の癌に寄与すると考えられる(NicholsonおよびAndeson,Cellular Signaling,2002,14,381−395)。
【0017】
腫瘍細胞における増殖および生存シグナル伝達の媒介における役割に加えて、クラスIa PI3K酵素が腫瘍関連間質細胞におけるその機能を介して腫瘍形成にも寄与する十分な証拠もある。例えば、PI3Kシグナル伝達は、血管新生促進(pro-angiogenic)因子、例えば、VEGFに応答した内皮細胞における血管新生事象の媒介における重要な役割を果たすことが知られている(abidら、Arterioscler,Thromb.Vasc.Biol.,2004,24,294−300)。クラスI PI3K酵素は、また、運動性および移動に関与するので(Sawyer,Expert Opinion investing.Drugs,2004,13,1−19)、PI3K阻害剤は、腫瘍細胞浸潤および転移の阻害を介する治療上の利益を提供すると予想される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Vanhaesebroeckら、Trends Biochem.Sci.22(7)p.267−72(1997)
【非特許文献2】Leslieら、Chem.Rev.101(8)p.2365−80(2001)
【非特許文献3】Katsoら、Annu.Rev.Cell.Dev.Biol.17p,615−75(2001)
【非特許文献4】Tokerら、Cell.Mol.Life Sci.59(5)p.761−79(2002)
【非特許文献5】Vanhaesebroeck、Exp.Cell.Res.25(1)p.239−54(1999)
【非特許文献6】Vanhaesebroeckら、Trends Biochem.Sci.22(7) p.267−72(1997)
【非特許文献7】Stein、Mol.Med.Today 6(9) p.347−57(2000)
【非特許文献8】Wymanら、Immunol.Today 21(6) p.260−4(2000)
【非特許文献9】Hirschら、Science 287(5455) p.1049−53(2000)
【非特許文献10】Hirschら、FASEB J. 15(11) p.2019−21(2001)
【非特許文献11】Gerardら、Nat.Immunol. 2(2) p.108−15(2001)
【非特許文献12】Panayotouら、Trends Cell Biol. 2 p.358−60(1992)
【非特許文献13】Parkerら、Current Biology, 5 p.577−99(1995)
【非特許文献14】Yaoら、Science,267 p.2003−05(1995)
【非特許文献15】Pagesら、Nature, 369 p.327−29(1994)
【非特許文献16】Rudd,Immunity 4 p.527−34(1996)
【非特許文献17】Fraserら、Science 251 p.313−16(1991)
【非特許文献18】Lopez−Ilasacaら、J.Biol.Chem.273(5) p.2505−8(1998)
【非特許文献19】Laffargueら、Immunity 16(3) p.441−51(2002)
【非特許文献20】Lawlorら、J.Cell.Sci.114(Pt 16) p.2903−10(2001)
【非特許文献21】Stephensら、Curr.Opinion Cell Biol.14(2) p.203−13(2002)
【非特許文献22】Frumanら、Ann.Rev.Biochem.,67,p.481−507(1998)
【非特許文献23】Thelenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91,p.4960−64(1994)
【非特許文献24】Katsoら、Annual Rev.Cell Dev.Biol.,2001,17:615−617
【非特許文献25】Fosterら、J.Cell Scicence,2003,116:3037−3040
【非特許文献26】VivancoおよびSawyers、Nature Review Cancer,2002,2,489−501
【非特許文献27】Shayestehら、Nature Genetics,1999,21:99−102)
【非特許文献28】Maら、Oncogene,2000,19:2739−2744
【非特許文献29】Samuelsら、Science,2004,304,554
【非特許文献30】Philpら、Cancer Research,2001,61,7426−7429
【非特許文献31】Varaら、Cancer Treatment Reviews,2004,30,193−204
【非特許文献32】Harariら、Oncogene,2000,19,6102−6114
【非特許文献33】Kauffmann−Zehら、Nature,1997,385,544−548
【非特許文献34】SimpsonおよびParsons、Exp.Cell Res.,2001,264,29−41
【非特許文献35】NicholsonおよびAndeson,Cellular Signaling,2002,14,381−395
【非特許文献36】abidら、Arterioscler,Thromb.Vasc.Biol.,2004,24,294−300
【非特許文献37】Sawyer,Expert Opinion investing.Drugs,2004,13,1−19
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、式(I):
【化3】

[式中、R2は、置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール環であり;
R1は、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、水素、C3−C7シクロアルキル、置換C3−C7シクロアルキル、アミノ、置換アミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、アルコキシ、C1−6アルキルおよび置換C1−6アルキルからなる群から選択され;
R3およびR4は、水素、ハロゲン、アシル、アミノ、置換アミノ、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、置換C3−7シクロアルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル、置換C3−7ヘテロシクロアルキル、アルキルカルボキシ、アリールアミノ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールシクロアルキル、置換アリールシクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、ニトロ、アシルオキシおよびアリールオキシからなる群から各々独立して選択され;
mおよびnは、1および2から選択される整数である]
で示される新規化合物またはその医薬上許容される塩に関する。
【0020】
本発明は、また、有効量の式(I)の化合物を必要とする対象に投与することを特徴とする癌の治療方法に関する。
【0021】
本発明は、また、有効量の式(I)の化合物を必要とする対象に投与することを特徴とする、自己免疫障害、炎症疾患、心血管疾患、神経変性疾患、アレルギー、喘息、膵炎、多臓器機能不全、腎疾患、血小板凝集、精子運動、移植拒絶、移植片拒絶および肺傷害からなる群から選択される1以上の病態を治療する方法に関する。
【0022】
本発明には、さらなる有効成分と共に、本発明のPI3キナーゼ阻害化合物を共投与する方法が包含される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、式(I)の化合物に関する。本発明の式(I)の化合物は、1つまたはそれ以上のPI3キナーゼを阻害する。適当には、式(I)の化合物はPI3Kαを阻害する。また、本発明の範囲内に含まれる化合物は、PI3Kδ、PI3KβおよびPI3Kγから選択される1つまたはそれ以上のPI3キナーゼを阻害する
【0024】
適当には、本発明はまた、R1が、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択される、式(I)の化合物に関する。
【0025】
本発明の式(I)の化合物は、式(I)(A):
【化4】

[式中:
R2が、置換されていてもよい、式(II)、(III)、(IV)、および(V):
【化5】

からなる群から選択される環系であり;
R1が、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
R3およびR4が、水素、ハロゲン、アシル、アミノ、置換アミノ、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、置換C3−7シクロアルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル、置換C3−7ヘテロシクロアルキル、アルキルカルボキシ、アリールアミノ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールシクロアルキル、置換アリールシクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、ニトロ、アシルオキシおよびアリールオキシから各々独立して選択され;
mおよびnが、1および2から選択される整数であり;
XがCまたはNであり;YがC、O、NまたはSである:
ただし、式(V)の少なくとも1つのYは炭素以外である]
で示される化合物および/またはその医薬上許容される塩を含む。
【0026】
適当には、本発明の式(I)の化合物は、式(I)(B):
【化6】

[式中:
R2は、上記の式(V)および(III)からなる群から選択される置換されていてもよい環系であり;
R1は、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
R3およびR4は、水素、ハロゲン、アシル、アミノ、置換アミノ、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、置換C3−7シクロアルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル、置換C3−7ヘテロシクロアルキル、アルキルカルボキシ、アリールアミノ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールシクロアルキル、置換アリールシクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、ニトロ、アシルオキシ、およびアリールオキシからなる群から各々独立して選択され;
mおよびnは、1および2から選択される整数である;
XはCまたはNであり;YはC、O、NまたはSである:
ただし、式(V)の少なくとも1つのYは炭素以外である]
で示される化合物および/またはその医薬上許容される塩を含む。
【0027】
適当には、本発明の式(I)の化合物は、式(I)(C):
【化7】

[式中:
R2は、上記と同意義の式(III)で示される置換されていてもよい環であり;
R1は、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
R3およびR4は、水素、ハロゲン、アシル、アミノ、置換アミノ、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、置換C3−7シクロアルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル、置換C3−7ヘテロシクロアルキル、アルキルカルボキシ、アリールアミノ、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールシクロアルキル、置換アリールシクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、ニトロ、アシルオキシ、およびアリールオキシからなる群から各々独立して選択され;
mおよびnは、1および2から選択される整数である]
で示される化合物および/またはその医薬上許容される塩を含む。
【0028】
適当には、本発明は、R3およびR4が水素である、式(I)(C)の化合物を含む。
【0029】
適当には、本発明の式(I)の化合物は、式(I)(D):
【化8】

[式中:
R2は、上記と同意義の式(V)で示される置換されていてもよい環であり;
R1は、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
R3およびR4は、水素、ハロゲン、アシル、アミノ、置換アミノ、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、置換C3−7シクロアルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル、置換C3−7ヘテロシクロアルキル、アルキルカルボキシ、アリールアミノ、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールシクロアルキル、置換アリールシクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、ニトロ、アシルオキシ、およびアリールオキシからなる群から各々独立して選択され;
mおよびnは、1および2から選択される整数である]
で示される化合物および/またはその医薬上許容される塩を含む。
【0030】
適当には、本発明の式(I)の化合物は、式(I)(E):
【化9】

[式中:
R2は、置換されていてもよいヘテロアリール環であり;
R1は、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
R3およびR4は、水素、ハロゲン、アシル、アミノ、置換アミノ、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、置換C3−7シクロアルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル、置換C3−7ヘテロシクロアルキル、アルキルカルボキシ、アリールアミノ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールシクロアルキル、置換アリールシクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、ニトロ、アシルオキシ、およびアリールオキシからなる群から各々独立して選択され;
mおよびnは、1および2から選択される整数である:
ただし、式(V)の少なくとも1つのYは炭素以外である]
で示される化合物および/またはその医薬上許容される塩を含む。
【0031】
適当には、本発明の式(I)の化合物は、式(I)(F):
【化10】

[式中:
R2は、式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)および(X):
【化11】

からなる群から選択される置換されていてもよい環系であり;
R1は、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
R3およびR4は、水素、ハロゲン、アシル、アミノ、置換アミノ、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、置換C3−7シクロアルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル、置換C3−7ヘテロシクロアルキル、アルキルカルボキシ、アリールアミノ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールシクロアルキル、置換アリールシクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、ニトロ、アシルオキシ、およびアリールオキシからなる群から各々独立して選択され;
mおよびnは、1および2から選択される整数であり;
XはCまたはNであり;YはC、O、NまたはSである:
ただし、式(V)〜(X)の各々において、少なくとも1つのXまたはYは炭素以外である]
で示される化合物および/またはその医薬上許容される塩を含む。
【0032】
適当には、本発明はまた、R2が置換されていてもよい式(III)である、式(I)の化合物に関する。
適当には、本発明はまた、R3およびR4が水素である、式(I)の化合物に関する。
【0033】
適当には、本発明はまた、下記式:
【化12】

[式中:
R1は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、水素、C3−7シクロアルキル、置換C3−7シクロアルキル、アミノ、置換アミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、アルコキシ、C1−6アルキルおよび置換C1−6アルキルからなる群から選択され;
R3およびR4は、水素、ハロゲン、アシル、アミノ、置換アミノ、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、置換C3−7シクロアルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル、置換C3−7ヘテロシクロアルキル、シアノ、ヒドロキシルおよびアルコキシから各々独立して選択され;
R5は、水素、ハロゲン、アシル、アミノ、置換アミノ、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、置換C3−7シクロアルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル、置換C3−7ヘテロシクロアルキル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、ニトロから各々独立して選択され;
nは0〜2であり、mは0〜2であり;
R6は、−SONR80R85または−NR85SOR80であり、ここに、R85は、水素、C1−3アルキル、置換C1−3アルキルおよびシクロプロピルから選択され;R80は、C1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、C3−C7ヘテロシクロアルキル、置換C1−C6アルキル、置換C3−C7シクロアルキル、置換C3−C7ヘテロシクロアルキル;5員環と縮合していてもよく、またはC1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、ハロゲン、アミノ、置換アミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、オキソまたは−(CHCOOHからなる群から選択される1〜5個の置換基により置換されていてもよいアリール、または5員環と縮合していてもよく、またはC1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、ハロゲン、アミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、オキソ、または−(CHCOOH(ここに、nは1〜2である)からなる群から選択される1〜5個の基で置換されているヘテロアリールからなる群から選択される]
で示される式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩に関する。
【0034】
適当には、本発明は、R1が、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルおよび置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される、式(I)(G)で示される化合物に関する。
【0035】
適当には、本発明はまた、下記式:
【化13】

[式中:
R1は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、水素、C3−7シクロアルキル、置換C3−7シクロアルキル、アミノ、置換アミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノアルコキシ、C1−6アルキルおよび置換C1−6アルキルからなる群から選択され;
R5は、水素、ハロゲン、アシル、アミノ、置換アミノ、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシから各々独立して選択され;
mは0〜1であり;
R6は−SONR80R85であり、ここに、R85は、水素、C1−3アルキル、置換C1−3アルキルおよびシクロプロピルから選択され;R80は、C1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、C3−C7ヘテロシクロアルキル、置換C1−C6アルキル、置換C3−C7シクロアルキル、置換C3−C7ヘテロシクロアルキル;5員環と縮合していてもよく、またはC1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、ハロゲン、アミノ、置換アミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、オキソまたは−(CHCOOHからなる群から選択される1〜5個の基により置換されていてもよいアリール;または5員環と縮合していてもよく、またはC1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、ハロゲン、アミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、オキソ、または−(CHCOOH(nは0〜2である)からなる群から選択される1〜5個の基により置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択される]
で示される式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩に関する。
【0036】
適当には、本発明は、R1が、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルおよび置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される、式(I)(H)の化合物に関する。
【0037】
適当には、本発明はまた、下記式:
【化14】

[式中:
R1は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、水素、C3−7シクロアルキル、置換C3−7シクロアルキル、アミノ、置換アミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノアルコキシ、C1−6アルキルおよび置換C1−6アルキルからなる群から選択され;
R5は、水素、ハロゲン、アシル、アミノ、置換アミノ、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシから各々独立して選択され;
mは0〜1であり;
R6は−NR85SOR80であり、ここに、R85は、水素、C1−3アルキル、置換C1−3アルキルおよびシクロプロピルから選択され;R80は、C1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、C3−C7ヘテロシクロアルキル、置換C1−C6アルキル、置換C3−C7シクロアルキル、置換C3−C7ヘテロシクロアルキル5員環と縮合していてもよく、またはC1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、ハロゲン、アミノ、置換アミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、オキソまたは−(CHCOOHからなる群から選択される1〜5個の基により置換されていてもよいアリール;または5員環と縮合していてもよく、またはC1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、ハロゲン、アミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、オキソ、または−(CHCOOH(nは0〜2である)からなる群から選択される1〜5個の置換基により置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択される]
で示される式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩に関する。
【0038】
適当には、本発明は、R1が、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルおよび置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される、式(I)(J)で示される化合物に関する。
【0039】
適当には、本発明は、R85が水素である、式(I)(G)、(I)(H)または(I)(J)の化合物を含む。
【0040】
本発明はまた、式:(I)、(I)(A)、(I)(B)、(I)C)、(I)(D)、(I)(E)、(I)(F)、(I)(G)、(I)(H)または(I)(J)で示される家具物を必要とするヒトに投与することを含む、癌の治療方法に関する。
【0041】
適当には、本発明は:
{5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−2−フラニル}メタノール、
2−アミノ−N,N−ジメチル−5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド、
2−アミノ−5−[7−フルオロ−8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−N,N−ジメチル−3−ピリジンスルホンアミド、
5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド、
2−(3−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)−8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン、
5−{8−[3−(アミノスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イル}−3−ピリジンスルホンアミド、
5−[8−(1H−ピラゾール−4−イル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド、
5−{8−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イル}−3−ピリジンスルホンアミド、
5−(8−{3−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}−1,5−ナフチリジン−2−イル)−3−ピリジンスルホンアミド、
5−{8−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イル}−3−ピリジンスルホンアミド、
5−(8−{4−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}−1,5−ナフチリジン−2−イル)−3−ピリジンスルホンアミド、
2−アミノ−5−{8−[3−(アミノスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イル}−N,N−ジメチル−3−ピリジンスルホンアミド、
2−アミノ−N,N−ジメチル−5−[8−(1H−ピラゾール−4−イル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド、
2−アミノ−N,N−ジメチル−5−(8−{4−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}−1,5−ナフチリジン−2−イル)−3−ピリジンスルホンアミド、
2−アミノ−N,N−ジメチル−5−{8−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イル}−3−ピリジンスルホンアミド、
2−アミノ−N,N−ジメチル−5−{8−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イル}−3−ピリジンスルホンアミド、
2−アミノ−N,N−ジメチル−5−(8−{3−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}−1,5−ナフチリジン−2−イル)−3−ピリジンスルホンアミド、
5−[8−(3−シアノフェニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド、
3−{6−[5−(アミノスルホニル)−3−ピリジニル]−1,5−ナフチリジン−4−イル}ベンズアミド、
5−[8−(3−{[(メチルスルホニル)アミノ]メチル}フェニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド、
5−[8−(2−メチル−4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド、
5−[8−(1H−インダゾール−5−イル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド、
5−[8−(1H−インダゾール−6−イル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド、
5−{8−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イル}−3−ピリジンスルホンアミド、
5−[8−(1−ベンゾフラン−2−イル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド、
N−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−[8−(2−フラニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド、
N−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−[8−(1,3−チアゾール−2−イル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド、
N−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−[8−(1,3−チアゾール−5−イル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド、
N−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−[8−(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド、
N−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−[8−(1,3−オキサゾール−2−イル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド、
N−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−[8−(3−チエニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド、
N−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−[8−(4−メチル−1−ピペラジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド、
N−(5−{8−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イル}−3−ピリジニル)ベンゼンスルホンアミド、
5−[8−(1−ベンゾフラン−2−イル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−ピリジンスルホンアミド、
N−{2−クロロ−5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド、
N−(2−クロロ−5−{8−[3−(メチルスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イル}−3−ピリジニル)ベンゼンスルホンアミド、
N−{5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド、
N−{5−[8−(1−ベンゾフラン−2−イル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−2−クロロ−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド、
N−(5−{8−[3−(メチルスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イル}−3−ピリジニル)ベンゼンスルホンアミド、
2,4−ジフルオロ−N−{5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド、
N−{5−[8−(1−ベンゾフラン−2−イル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド、
N−(2−クロロ−5−{8−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イル}−3−ピリジニル)ベンゼンスルホンアミド、
N−[5−(8−{4−[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}−1,5−ナフチリジン−2−イル)−3−ピリジニル]ベンゼンスルホンアミド、
N−[5−(8−{3−[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}−1,5−ナフチリジン−2−イル)−3−ピリジニル]ベンゼンスルホンアミド、
N−{5−[8−(4−モルホリニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド、
N−{2−(メチルオキシ)−5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド、
N−{2−(メチルオキシ)−5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジニル}シクロプロパンスルホンアミド,および
N−{5−[8−(4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド;
からなる群から選択される化合物および/またはその医薬上許容される塩を含む。
【0042】
本発明は、また、有効量の式(I)の化合物および/またはその医薬上許容される塩、および抗微小管剤、白金配位錯体、アルキル化剤、抗生物質剤、トポイソメラーゼII阻害剤、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼI阻害剤、ホルモンおよびホルモン類似物、シグナル変換経路阻害剤、非受容体型チロシンキナーゼ血管新生阻害剤、免疫治療剤、プロアポトーシス剤、および細胞周期シグナル伝達阻害剤からなる群から選択される1つなどの少なくとも1つの抗新生物剤を必要とする対象に共投与することを特徴とする、癌の治療方法に関する。
【0043】
本発明は、また、有効量の式(I)の化合物および/またはその医薬上許容される塩、および受容体チロシンキナーゼ阻害剤、非受容体型チロシンキナーゼ阻害剤、SH2/SH3ドメイン遮断剤、セリン/スレオニンキナーゼ阻害剤、ホスホチジルイノシトール−3キナーゼ阻害剤、ミオイノシトールシグナル伝達阻害剤、およびRasオンコジーン阻害剤からなる群から選択される1つなどの少なくとも1つのシグナル変換経路阻害剤を必要とする対象に共投与することを特徴とする癌の治療方法に関する。
【0044】
本明細書中で使用される場合、「有効量」なる語は、例えば研究者または臨床医によって、調べられている組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を顕在化する薬物または医薬の量を意味する。さらに、「治療上有効量」なる語は、かかる量を投与されない対応する対象と比較した場合、疾患、障害または副作用の改善された治療、治癒、予防または改善、あるいは疾患または障害の進行速度の減少をもたらすいずれかの量を意味する。該用語は、また、正常な生理学的機能を増加させるのに有効な量をその範囲に包含する。
【0045】
式(I)の化合物は、本発明の医薬組成物に含まれる。
【0046】
定義
「置換アミノ」なる語は、本明細書中で使用される場合、−NR30R40(ここに、各R30およびR40は独立して、水素、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、アシル、C3−C7シクロアルキルを含む群から選択され、ここに、R30およびR40の少なくとも1つは、水素ではない)を意味する。
【0047】
「アシル」なる語は、本明細書中で使用される場合、別記しない限り、−C(O)(アルキル)、−C(O)(シクロアルキル)、−C(O)(アリール)または−C(O)(ヘテロアリール)(ここに、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアリールおよびアリールは置換されていてもよい)を意味する。
【0048】
「アリール」なる語は、本明細書中で使用される場合、別記しない限り、芳香族の炭化水素環系を意味する。該環系は、単環であっても、縮合多環(例えば、二環、三環など)であってもよい。種々の具体例において、単環式アリール環は、C5−C10、またはC5−C7、またはC5−C6であり、ここに、これらの炭素数は、該環系を形成する炭素原子の数を示す。C6環系、すなわち、フェニル環が適当なアリール基である。種々の具体例において、多環式環は、二環式アリール基であり、ここに、適当な二環式アリール基は、C8−C12、またはC9−C10である。10個の炭素原子を有するナフチル環は、適当な多環式アリール基である。
【0049】
「ヘテロアリール」なる語は、本明細書中で使用される場合、別記しない限り、炭素原子および少なくとも1個のヘテロ原子を含有する芳香環系を意味する。ヘテロアリールは、単環であっても、多環であってもよい。単環式ヘテロアリール基は、1〜4個のヘテロ原子を環中に有していてもよく、一方、多環式ヘテロアリールは、1〜10個のヘテロ原子を含有していてもよい。多環式ヘテロアリール環は、縮合、スピロまたは架橋環接合を含有していてもよく、例えば、二環式ヘテロアリールは、多環式ヘテロアリールである。二環式ヘテロアリール環は、8〜12個のメンバー原子を含有しうる。単環式ヘテロアリール環は、5〜8個のメンバー原子(炭素およびヘテロ原子)を含有していてもよい。例示的ヘテロアリール基は、限定するものではないが、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、フラン、イミダゾール、インドール、イソチアゾール、オキサゾール、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、キノリン、キナゾリン、キノキサリン、チアゾール、およびチオフェンを包含する。
【0050】
「単環式ヘテロアリール」なる語は、本明細書中で使用される場合、別記しない限り、1−5個の炭素原子および1−4個のヘテロ原子を含有する単環式ヘテロアリール環を意味する。
「アルキルカルボキシ」なる語は、本明細書中で使用される場合、別記しない限り、−(CHCOOR80[ここに、R80は水素またはC1−C6アルキルであり、nは0−6である]を意味する。
【0051】
「アルコキシ」なる語は、本明細書中で使用される場合、−OCH、−OCHCHおよび−OC(CHを包含する−O(アルキル)を意味し、ここに、アルキルは本明細書の記載通りである。
「アルキルチオ」なる語は、本明細書中で使用される場合、−SCH、−SCHCHを包含する−S(アルキル)を意味し、ここに、アルキルは本明細書の記載通りである。
【0052】
「シクロアルキル」なる語は、本明細書中で使用される場合、別記しない限り、非芳香族の不飽和または飽和環状または多環式C−C12を意味する。
シクロアルキルおよび置換シクロアルキル置換基の例は、本明細書中で使用される場合、シクロヘキシル、アミノシクロヘキシル、シクロブチル、アミノシクロブチル、4−ヒドロキシ−シクロヘキシル、2−エチルシクロヘキシル、プロピル4−メトキシシクロヘキシル、4−メトキシシクロヘキシル、4−カルボキシシクロヘキシル、シクロプロピル、アミノシクロペンチル、およびシクロペンチルを包含する。
【0053】
「ヘテロシクロアルキル」なる語は、本明細書中で使用される場合、少なくとも1つの炭素および少なくとも1つのヘテロ原子を含有する非芳香族の不飽和または飽和単環式または多環式の複素環を意味する。例示的単環式複素環は、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジンおよびモルホリンを包含する。例示的多環式複素環は、キヌクジリジンを包含する。
【0054】
「置換」なる語は、本明細書中で使用される場合、別記しない限り、対象の化学基が、水素、ハロゲン、尿素、C1−C6アルキル、アミノ、トリフルオロメチル、−(CHCOOH、C3−C7シクロアルキル、置換アミノ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、アリールシクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アリールオキシ、アシルオキシ、アシル、アシルアミノ、アミノアシル、アリールアミノ、ニトロ、オキソ、−CO50、−SO70、−NR50SO70、−NR50C(O)R75および−CONR5560からなる群から選択される1〜5個、適当には1〜3個の置換基を有し、ここに、R50およびR55は独立して、水素、アルキルおよびC3−C7シクロアルキルから選択され、R55およびR60は、所望により、ヘテロシクロアルキル環を形成することができ、nは0〜6であり、R75は、C1−C6アルキル、C3−7シクロアルキル、置換C3−7シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アミノ、置換アミノ、アリールアミノ、C3−C7ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシおよび置換C3−C7ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、各R60およびR70は独立して、C1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、置換C3−C7ヘテロシクロアルキル、C3−C7ヘテロシクロアルキル、ハロゲン、アミノ、置換アミノ、アリールアミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、オキソ、−(CHCOOH、5員環に縮合していてもよいか、またはC1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、ハロゲン、アミノ、置換アミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、オキソおよび−(CHCOOHからなる群から選択される1〜5個の基で置換していてもよいアリール、および5員環と縮合していてもよいか、またはC1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、ハロゲン、アミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、オキソおよび−(CHCOOHからなる群から選択される1〜5個の基で置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択される。
【0055】
「置換」なる語は、R60、R70、R75、「アリールアミノ」および「アリールオキシ」の定義に言及する場合、対象の化学基が水素、C1−C6アルキル、置換C1−C6アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、−(CHCOOH、アミノ、置換アミノ、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アリールオキシ、アシルオキシ、アシル、アシルアミノおよびニトロ(ここに、nは0−6である)からなる群から選択される1〜5個、適当には1〜3個の置換基を有することを意味する。
【0056】
「アシルオキシ」なる語は、本明細書中で使用される場合、−OC(O)アルキルを意味し、ここに、アルキルは本明細書中に記載の通りである。本明細書中で使用される場合、アシルオキシ置換基の例は、−OC(O)CH、−OC(O)CH(CHおよび−OC(O)(CHCHを包含する。
【0057】
「アシルアミノ」なる語は、本明細書中で使用される場合、−N(H)C(O)アルキル、−N(H)C(O)(シクロアルキル)を意味し、ここに、アルキルは本明細書中に記載の通りである。N−アシルアミノ置換基の例は、本明細書中で使用される場合、−N(H)C(O)CH、−N(H)C(O)CH(CHおよび−N(H)C(O)(CHCHを包含する。
【0058】
「アミノアシル」なる語は、本明細書中で使用される場合、−C(O)N(アルキル)、−C(O)N(シクロアルキル)(ここに、アルキルは上記と同意義であり、nは1〜2である)を意味する。
「アリールオキシ」なる語は、本明細書中で使用される場合、−O(アリール)、−O(置換アリール)、−O(ヘテロアリール)または−O(置換ヘテロアリール)を意味する。
【0059】
「アリールアミノ」なる語は、本明細書中で使用される場合、−NR80(アリール)、−NR80(置換アリール)、−NR80(ヘテロアリール)または−NR80(置換ヘテロアリール)を意味し、ここに、R80は、H、C1−6アルキルまたはC3−C7シクロアルキルである。
「ヘテロ原子」なる語は、本明細書中で使用される場合、酸素、窒素または硫黄を意味する。
【0060】
「ハロゲン」なる語は、本明細書中で使用される場合、ブロミド、ヨージド、クロリドおよびフルオリドから選択される置換基を意味する。
【0061】
「−(CH」、「−(CH」などの語によって定義されるアルキル鎖を包含する全ての炭素鎖における「アルキル」なる語およびその誘導体は、本明細書中で使用される場合、直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和炭化水素鎖を意味し、別記しない限り、炭素鎖は1〜12個の炭素原子を含有する。
【0062】
「置換アルキル」は、本明細書中で使用される場合、ハロゲン、トリフルオロメチル、アルキルカルボキシ、アミノ、置換アミノ、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルチオ、アリールオキシ、アシルオキシ、アシル、アシルアミノ、カルバメート、尿素、スルホンアミド、C3−7シクロヘテロアルキル、C3−7シクロアルキルおよびニトロからなる群から選択される1〜6個の置換基により置換されているアルキルを意味する。
【0063】
アルキルおよび置換アルキル置換基の例は、本明細書中で使用される場合、−CH、−CH−CH、−CH−CH−CH、−CH(CH、−CH−CH−C(CH、−CH−CF、−C≡C−C(CH、−C≡C−CH−OH、シクロプロピルメチル、−CH−C(CH−CH−NH、−C≡C−C、−C≡C−C(CH−OH、−CH−CH(OH)−CH(OH)−CH(OH)−CH(OH)−CH−OH、ピペリジニルメチル、メトキシフェニルエチル、−C(CH、−(CH−CH、−CH−CH(CH、−CH(CH)−CH−CH、−CH=CH、および−C≡C−CHを包含する。
【0064】
「治療」なる語およびその派生語によって、本明細書中で使用される場合、予防および治療的療法を意味する。予防的療法は、罹ったことのある疾患、または曝されうる疾患からヒトを保護する慣例の処置を意味する。予防的処置ともいう。
【0065】
「共投与」なる語およびその派生語によって、本明細書中で使用される場合、本明細書に記載のPI3キナーゼ阻害化合物およびさらなる有効成分の同時投与、または別々の連続的な投与いずれかを意味する。さらなる有効成分なる語は、本明細書中で使用される場合、治療を必要とする患者に投与した場合、有益な特性を示すか、または示すことが知られているいずれかの化合物または治療剤を包含する。適当には、同時に投与しない場合、該化合物は、互いに密接した時間で投与される。さらに、化合物が同じ剤形で投与されるか否かは問題ではない。例えば、1の化合物を局所投与し、別の化合物を経口投与してもよい。
【0066】
「化合物」なる語は、本明細書中で使用される場合、該化合物の全ての異性体を包含する。かかる異性体の例は、エナンチオマー、互変体、回転異性体を包含する。
「点線」の結合が2つの原子間に描かれた式(V)において、かかる結合は単結合または二重結合のいずれかであることができることを意味する。かかる結合を含有する環系は、芳香族または非芳香族であることができる。
【0067】
本明細書中に記載のある種の化合物は、1以上のキラル原子を含有していてもよく、あるいは、2個のエナンチオマーとして存在することができ、または2以上のジアステレオ異性体として存在することができる。したがって、本発明の化合物は、エナンチオマー/ジアステレオ異性体ならびに精製したエナンチオマー/ジアステレオ異性体の混合物、またはエナンチオマー的/ジアステレオ異性体的に豊富な混合物を包含する。また、本発明の範囲内には、上記の式IまたはIIによって示される化合物の個々の異性体、ならびにそのいずれかの全体的または部分的に平衡化した混合物が包含される。本発明は、また、上記の式で示される化合物の個々の異性体を、1以上のキラル中心が逆転したその異性体との混合物として包含する。さらに、可能な互変体の例は、ヒドロキシ置換基の代わりにオキソ置換基である。また、上記のように、全ての互変体および互変体混合物は、式IまたはIIの化合物の範囲内に包含されると理解される。
【0068】
式(I)の化合物は、本発明の医薬組成物中に含まれる。−COOHまたは−OH基が存在する場合、医薬上許容されるエステル、例えば、−COOHの場合、メチル、エチル、ピバロイルオキシメチルなど、および−OHの場合、アセテートマレエートなど、および徐放性放出またはプロドラッグ処方として使用する場合、溶解性または加水分解特性を修飾するために当該分野で知られているエステルを使用することができる。
【0069】
今回、本発明の化合物がホスファトイノシチド(phosphatoinositides)3−キナーゼ(PI3Ks)、特に、PI3Kαの阻害剤であることが見出された。ホスファトイノシチド3−キナーゼ(PI3K)酵素が本発明の化合物によって阻害される場合、PI3Kは、酵素的、生物学的および/または薬理学的効果を発揮することができない。したがって、本発明の化合物は、自己免疫障害、炎症疾患、心血管疾患、神経変性疾患、アレルギー、喘息、膵炎、多臓器機能不全、腎疾患、血小板凝集、癌、精子運動、移植拒絶、移植片拒絶および肺傷害、特に癌の治療に有用である。
【0070】
式(I)の化合物は、ホスファトイノシチド3−キナーゼ(PI3K)、適当には、ホスファトイノシチド3−キナーゼ(PI3Kα)の活性の調節、特に阻害に適当である。したがって、本発明の化合物は、また、PI3Kによって媒介される障害の治療にも有用である。該治療には、ホスファトイノシチド3−キナーゼの調節、特に、阻害またはダウンレギュレーションが含まれる。
【0071】
適当には、本発明の化合物は、多発性硬化症、乾癬、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、肺炎症、血栓症、または脳感染/炎症、例えば、髄膜炎または脳炎、アルツハイマー病、ハンチントン病、CNS外傷、卒中または虚血状態、心血管疾患、例えば、アテローム性動脈硬化症、心肥大、心筋細胞機能不全、血圧上昇または血管収縮から選択される障害の治療のための医薬の製造のために使用される。
【0072】
適当には、式(I)の化合物は、自己免疫疾患または炎症疾患、例えば、多発性硬化症、乾癬、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、肺炎症、血栓症、または脳感染/炎症、例えば、髄膜炎または脳炎の治療に有用である。
【0073】
適当には、式(I)の化合物は、多発性硬化症、アルツハイマー病、ハンチントン病、CNS外傷、卒中または虚血状態を包含する神経変性疾患の治療に有用である。
【0074】
適当には、式(I)の化合物は、心血管疾患、例えば、アテローム性動脈硬化症、心肥大、心筋細胞機能不全、血圧上昇または血管収縮の治療に有用である。
【0075】
適当には、式(I)の化合物は、慢性閉塞性肺疾患、アナフィラキシーショック、繊維症、乾癬、アレルギー疾患、喘息、卒中、虚血状態、虚血再潅流、血小板凝集/活性化、骨格筋萎縮/肥大、癌組織における白血球動員、血管形成、浸潤転移、特に、メラノーマ、カポジ肉腫、急性および慢性細菌およびウイルス感染、敗血症、移植拒絶、移植片拒絶、糸球体硬化症、糸球体腎炎、進行性腎線維症、肺における内皮および上皮傷害、および肺気道炎症の治療に有用である。
【0076】
本発明の医薬上活性な化合物、特に、選択的に、またはPI3Kδ、PI3Kβおよび/またはPI3Kγの1以上と共にPI3Kαを阻害する該化合物は、PI3キナーゼ阻害剤として活性であるので、それらは、癌の治療における治療上有用性を示す。
【0077】
適当には、本発明は、ヒトを包含する哺乳動物における癌を治療する方法に関し、ここに、癌は、脳(神経膠腫)、神経膠芽腫、白血病、Bannayan−Zonana症候群、Cowden病、Lhermitte−Duclos病、胸部、炎症性乳癌、Wilm’s腫瘍、Ewing’s肉腫、横紋筋肉腫、上衣腫、髄芽腫、結腸、頭および頸、腎臓、肺、肝臓、黒色腫、卵巣、膵臓、前立腺、肉腫、骨肉腫、骨巨細胞腫および甲状腺癌から選択される。
【0078】
適当には、本発明は、ヒトを包含する哺乳動物において癌を治療する方法に関し、ここに、癌は、リンパ芽球T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞型白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫、巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核芽球性白血病、前骨髄性白血病および赤白血病から選択される。
【0079】
適当には、本発明は、ヒトを包含する哺乳動物において癌を治療する方法に関し、ここに、癌は、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫および濾胞性リンパ腫から選択される。
【0080】
適当には、本発明は、ヒトを包含する哺乳動物において癌を治療する方法に関し、ここに、癌は、神経芽細胞腫、膀胱癌、尿路上皮細胞癌、肺癌、外陰癌、子宮頚癌、子宮内膜癌、腎臓癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、鼻咽頭癌、口腔内(buccal)癌、口腔癌、GIST(消化管間質腫瘍)および精巣癌から選択される。
【0081】
式(I)の化合物を癌の治療のために投与する場合、「共投与」なる語およびその派生語は、本明細書中で使用される場合、本明細書中に記載のPI3キナーゼ阻害化合物、および化学療法および放射線治療を包含する癌の治療において有用であることが知られているさらなる活性成分の同時投与、または別々の連続的な投与のいずれかの方法を意味する。さらなる活性成分なる語は、本明細書中で使用される場合、癌の治療を必要とする患者に投与した場合に有益な特性を示す、または示すことが知られているいずれかの化合物または治療剤を包含する。好ましくは、投与が同時でない場合、化合物は互いに密接した時間間隔で投与される。さらに、化合物が同じ剤形で投与されるか否かは問題ではない。例えば、1の化合物を局所投与し、別の化合物を経口投与してもよい。
【0082】
典型的には、治療されている感受性腫瘍に対して活性を有するいずれかの抗新生物剤を、本発明において、癌の治療において共投与してもよい。かかる剤の例は、V.T.DevitaおよびS.Hellman(編者)によるCancer Principles and Practice of Oncology,第6版(2001年2月15日),Lippincott Williams & Wilkins Publishersにおいて見出すことができる。当業者は、関連する薬剤および癌の特定の特徴に基づいて、剤のどの組み合わせが有用であるかを認識できるであろう。本発明において有用な典型的な抗新生物剤は、限定するものではないが、抗微小管剤、例えば、ジテルペノイドおよびビンカアルカロイド;白金配位錯体;アルキル化剤、例えば、ニトロゲンマスタード、オキサザホスホリン、アルキルスルホネート、ニトロソウレア、およびトリアゼン;抗生物質剤、例えば、アントラサイクリン、アクチノマイシンおよびブレオマイシン;トポイソメラーゼII阻害剤、例えば、エピポドフィロトキシン;代謝拮抗剤、例えば、プリンおよびピリミジン類似体および抗葉酸塩化合物;トポイソメラーゼI阻害剤、例えば、カンプトセシン;ホルモンおよびホルモン類似物;シグナル変換経路阻害剤;非受容体型チロシンキナーゼ血管新生阻害剤;免疫治療剤;プロアポトーシス剤;および細胞周期シグナル伝達阻害剤を包含する。
【0083】
本発明のAKT阻害化合物と併用または共投与するためのさらなる有効成分(抗新生物剤)の例は、化学療法剤である。
【0084】
抗微小管または抗有糸分裂剤は、細胞周期のMまたは有糸分裂期の間の腫瘍細胞の微小管に対して活性のある周期特異的剤である。抗微小管剤の例は、限定するものではないが、ジテルペノイドおよびビンカアルカロイドを包含する。
【0085】
天然供給源から由来するジテルペノイドは、細胞周期のG/M期に作用する周期特異的抗癌剤である。ジテルペノイドは、微小管のβ−チューブリンサブユニットを該タンパク質に結合することによって安定化すると考えられる。次いで、タンパク質の分解は、有糸分裂が拘束されていることによって阻害されるようであり、その後に細胞死が続く。ジテルペノイドの例は、限定するものではないが、パクリタキセルおよびその類似のドセタキセルを包含する。
【0086】
パクリタキセル、すなわち、(2R,3S)−N−ベンゾイル−3−フェニルイソセリンとの5β,20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサ−ヒドロキシタキサ−11−エン−9−オン4,10−ジアセテート2−ベンゾエート13−エステルは、タイヘイヨウイチイ(Pacific yew)の木であるTaxus brevifoliaから単離された天然ジテルペン産物であり、注射用溶液TAXOL(登録商標)として市販されている。それは、テルペンのタキサンファミリーのメンバーである。それは、1971年に、Waniらによって初めて単離され(J.Am.Chem,Soc.,93:2325.1971)、彼らは、その構造を化学的かつX線結晶学的方法によって特徴付けた。その活性に関する1のメカニズムは、パクリタキセルのチューブリン結合能に関係し、それにより、癌細胞成長を阻害する。Schiffら、Proc.Natl,Acad,Sci.USA,77:1561−1565(1980);Schiffら、Nature,277:665−667(1979);Kumar,J.Biol,Chem,256:10435−10441(1981)。いくつかのパクリタキセル誘導体の合成および抗癌活性の概説に関しては、D.G.I.Kingstonら、Studies in Organic Chemistry vol.26,タイトル「New trends in Natural Products Chemistry 1986」,Attaur−Rahman,P.W.Le Quesne,Eds.(Elsevier,Amsterdam,1986) pp219−235を参照のこと。
【0087】
パクリタキセルは、アメリカ合衆国において難治性の卵巣癌の治療における臨床的使用のために(Markmanら、Yale Journal of Biology and Medicine,64:583,1991;McGuireら、Ann.lntem,Med.,111:273,1989)、および乳癌の治療のために(Holmesら、J.Nat.Cancer Inst.,83:1797,1991)に承認されている。それは、皮膚における腫瘍(Einzigら、Proc.Am.Soc.Clin.Oncol.,20:46)ならびに頭および頸の癌腫(Forastireら、Sem.Oncol.,20:56,1990)の治療のための潜在的な候補物質である。該化合物は、また、多嚢胞性腎疾患(Wooら、Nature,368:750.1994)、肺癌およびマラリアの治療の可能性を示す。パクリタキセルでの患者の治療は、閾値濃度(50nM)を超える投与期間に関連した骨髄抑制(多細胞系統,Ignoff,R.J.ら、Cancer Chemotherapy Pocket Guide,1998)をもたらす(Kearns,C.M.ら、Seminars in Oncology,3(6) p.16−23,1995)。
【0088】
ドセタキセル、5β−20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサヒドロキシタキサ−11−エン−9−オン4−アセテート2−ベンゾエートとの(2R,3S)−N−カルボキシ−3−フェニルイソセリン,N−tert−ブチルエステル,13−エステル三水和物は、注射溶液TAXOTEREとして市販されている。ドセタキセルは、乳癌の治療に必要とされる。ドセタキセルは、ヨーロッパイチイの木の針葉から抽出された天然前駆体10−デアセチル−バッカチンIIIを用いて調製される、パクリタキセル(上を参照)の半合成誘導体である。ドセタキセルの用量規定毒性は、好中球減少である。
【0089】
ビンカアルカロイドは、ツルニチニチソウ由来の周期特異性抗新生物剤である。ビンカアルカロイドは、チューブリンに特異的に結合することによって、細胞周期のM期(有糸分裂)で作用する。結果として、結合型チューブリン分子は、微小管中に重合することができない。有糸分裂は、中期に阻止されると考えられ、その後に細胞死がもたらされる。ビンカアルカロイドの例は、限定するものではないが、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビンを包含する。
【0090】
ビンブラスチン、硫酸ビンカロイコブラスチンは、注射溶液VELBANとして市販されている。それは、第一に、睾丸癌およびホジキン病を包含する種々のリンパ腫ならびにリンパ球性および組織球性リンパ腫の治療において必要とされるが、種々の充実性腫瘍の二次治療としての可能性が示される。骨髄抑制は、ビンブラスチンの用量規定副作用である。
【0091】
ビンクリスチン、ビンカロイコブラスチン,22−オキソ−,サルフェートは、注射溶液ONCOVINとして市販されている。ビンクリスチンは、急性白血病の治療に必要とされ、また、ホジキンおよび非ホジキン悪性リンパ腫の治療方針において使用が見出された。脱毛および神経学的影響は、ビンクリスチンの最も一般的な副作用であり、それほどではないが、骨髄抑制および胃腸粘膜炎影響が起こる。
【0092】
ビノレルビン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−C’−ノルビンカロイコブラスチン[R−(R,R)−2,3−ジヒドロキシブタンジオエート(1:2)(塩)]は、酒石酸ビノレルビンの注射溶液(NAVELBINE)として市販されており、半合成ビンカアルカロイドである。ビノレルビンは、単一薬剤として、または他の化学療法剤、例えば、シスプラスチンと組み合わせて、種々の充実性腫瘍、特に、非小細胞肺癌、進行した乳癌、およびホルモン難治性前立腺癌の治療において必要とされる。骨髄抑制は、ビノレルビンの最も一般的な用量規定副作用である。
【0093】
白金配位錯体は、非周期特異性抗癌剤であり、DNAと相互作用する。白金錯体は、腫瘍細胞に侵入し、アクア化し、DNAと鎖内および鎖間架橋を形成し、それにより、腫瘍に対し不利益な生物学的影響を引き起こす。白金配位錯体の例は、限定するものではないが、シスプラチンおよびカルボプラチンを包含する。
【0094】
シスプラチン、シス−ジアミンジクロロ白金は、注射溶液PLATINOLとして市販されている。シスプラチンは、主に、転移性睾丸および卵巣癌ならびに進行性膀胱癌の治療に必要とされる。シスプラチンの一次用量規定副作用は、水和および利尿によって調節されうる腎臓毒性、および内耳神経毒性である。
【0095】
カルボプラチン、白金ジアミン[1,1−シクロブタン−ジカルボキシレート(2−)−O,O’]は、注射溶液PARAPLATINとして市販されている。カルボプラチンは、主として進行性卵巣癌腫の一次および二次治療において必要とされる。骨髄抑制は、カルボプラチンの用量規定毒性である。
【0096】
アルキル化剤は、非周期特異性抗癌剤であり、強い親電子物質である。典型的には、アルキル化剤は、アルキル化によって、リン酸基、アミノ基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基およびイミダゾール基などのDNA分子の求核性基を介してDNAに対する共有結合を形成する。かかるアルキル化は、核酸機能を崩壊し、それにより、細胞死に導く。アルキル化剤の例は、限定するものではないが、シクロホスファミド、メルファランおよびクロラムブシルなどのナイトロジェンマスタード、ブスルファンなどのスルホン酸アルキル、カルムスチンなどのニトロソウレア、およびダカルバジンなどのトリアゼンを包含する。
【0097】
シクロホスファミド、2−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ−2H−1,3,2−オキサザホスホリン2−オキシド一水和物は、注射溶液または錠剤として、CYTOXANとして市販されている。シクロホスファミドは、単一薬剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫および白血病の治療において必要とされる。脱毛、吐き気、嘔吐および白血球減少は、シクロホスファミドの最も一般的な用量規定副作用である。
【0098】
メルファラン、4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]−L−フェニルアラニンは、注射溶液または錠剤として、ALKERANとして市販されている。メルファランは、多発性骨髄腫および卵巣の切除不能上皮癌腫の待機的治療に必要とされる。骨髄抑制は、メルファランの最も一般的な用量規定副作用である。
【0099】
クロラムブシル、4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]ベンゼンブタン酸は、LEUKERAN錠剤として市販されている。クロラムブシルは、慢性リンパ球性白血病、およびリンパ肉腫、巨大濾胞性リンパ腫およびホジキン病などの悪性リンパ腫の待機的治療に必要とされる。骨髄抑制は、クロラムブシルの最も一般的な用量規定副作用である。
【0100】
ブスルファン、1,4−ブタンジオールジメタンスルホネートは、MYLERAN錠剤として市販されている。ブスルファンは、慢性骨髄性白血病の待機的治療に必要とされる。骨髄抑制は、ブスルファンの最も一般的な用量規定副作用である。
【0101】
カルムスチン、1,3−[ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソウレアは、単一バイアルの凍結乾燥製品として、BiCNUとして市販されている。カルムスチンは、単一薬剤として、または脳腫瘍、多発性骨髄腫、ホジキン病、および非ホジキンリンパ腫のための他の薬剤と組み合わせて、待機的治療に必要とされる。骨髄抑制の遅延は、カルムスチンの最も一般的な用量規定副作用である。
【0102】
ダカルバジン、5−(3,3−ジメチル−1−トリアゼノ)−イミダゾール−4−カルボキサミドは、単一バイアル製品として、DTIC−Domeとして市販されている。ダカルバジンは、転移性悪性黒色腫の治療に必要とされ、ホジキン病の二次治療のための他の薬剤と組み合わせて使用される。吐き気、嘔吐および食欲不振は、ダカルバジンの最も一般的な用量規定副作用である。
【0103】
抗生物質抗新生物剤は、周期特異性薬剤であり、DNAに結合または介在する。典型的には、かかる作用は、安定なDNA複合体または鎖分解をもたらし、それが核酸の通常の機能を崩壊し、その結果、細胞死に導く。抗生物質抗新生物剤の例は、限定するものではないが、ダクチノマイシンなどのアクチノマイシン、ダウノルビシンおよびドキソルビシンなどのアントラサイクリン、およびブレオマイシンを包含する。
【0104】
ダクチノマイシンは、アクチノマイシンDとしても知られ、COSMEGENとして注射可能形態で市販されている。ダクチノマイシンは、Wilm腫瘍および横紋筋肉腫の治療に必要とされる。吐き気、嘔吐および食欲不振は、ダクチノマイシンの最も一般的な用量規定副作用である。
【0105】
ダウノルビシン、(8S−シス−)−8−アセチル−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−lyxo−ヘキソピラノシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−1−メトキシ−5,12ナフタセンジオン塩酸塩は、リポソーム注射可能形態としてDAUNOXOMEまたは注射液としてCERUBIDINEとして市販されている。ダウノルビシンは、急性非リンパ球性白血病および進行性HIV関連カポジ肉腫の治療において軽減誘導のために必要とされる。骨髄抑制は、ダウノルビシンの最も一般的な用量規定副作用である。
【0106】
ドキソルビシン、(8S,10S)−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−lyxo−ヘキソピラノシル)オキシ]−8−グリコロイル,7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−1−メトキシ−5,12ナフタセンジオン塩酸塩は、注射可能形態として、RUBEXまたはADRIAMYCIN RDFとして市販されている。ドキソルビシンは、主として、急性リンパ芽球性白血病および急性骨髄芽急性白血病の治療に必要とされるが、いくつかの充実性腫瘍およびリンパ腫の治療においても有用な成分である。骨髄抑制は、ドキソルビシンの最も一般的な用量規定副作用である。
【0107】
ブレノマイシン、Streptomyces verticillusの株から単離された細胞毒性グリコペプチド抗生物質の混合物は、BLENOXANEとして市販されている。ブレオマイシンは、単一薬剤として、または他の薬剤と組み合わせて、扁平上皮細胞癌腫、リンパ腫、および睾丸癌腫の待機的治療として必要とされる。肺および皮膚毒性は、ブレオマイシンの最も一般的な用量規定副作用である。
【0108】
トポイソメラーゼII阻害剤は、限定するものではないが、エピポドフィロトキシンを包含する。
エピポドフィロトキシンは、マンドレーク植物に由来する周期特異性抗新生物剤である。エピポドフィロトキシンは、典型的には、トポイソメラーゼIIおよびDNAと三重複合体を形成し、DNA鎖崩壊を引き起こすことによって、細胞周期のSおよびG期において細胞に影響を及ぼす。鎖崩壊が蓄積し、次いで細胞死が起こる。エピポドフィロトキシンの例は、限定するものではないが、エトポシドおよびテニポシドを包含する。
【0109】
エトポシド、4’−デメチル−エピポドフィロトキシン 9[4,6−0−(R)−エチリデン−β−D−グルコピラノシド]は、注射溶液またはカプセルとして、VePESIDとして市販されており、一般に、VP−16として知られている。エトポシドは、単一薬剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて、睾丸癌および非小細胞肺癌の治療において必要とされる。骨髄抑制は、エトポシドの最も一般的な用量規定副作用である。白血球減少の発生は、血小板減少より重篤な傾向にある。
【0110】
テニポシド、4’−デメチル−エピポドフィロトキシン 9[4,6−0−(R)−テニリデン−β−D−グルコピラノシド]は、注射溶液として、VUMONとして市販されており、一般に、VM−26として知られている。テニポシドは、単一薬剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて、子供の急性白血病の治療において必要とされる。骨髄抑制は、テニポシドの最も一般的な用量規定副作用である。テニポシドは、白血球減少および血小板減少の両方を誘導することができる。
【0111】
代謝拮抗抗新生物剤は、DNA合成を阻害することによって、またはプリンもしくはピリミジン塩基合成を阻害し、それによりDNA合成を制限することによって、細胞周期のS期(DNA合成)に作用する周期特異性抗新生物剤である。結果として、S期が進行せず、その結果、細胞死が起こる。代謝拮抗抗新生物剤の例は、限定するものではないが、フルオロウラシル、メトトレキサート、シタラビン、メルカプトプリン、チオグアニンおよびゲムシタビンを包含する。
【0112】
5−フルオロウラシル、5−フルオロ−2,4−(1H,3H)ピリミジンジオンは、フルオロウラシルとして市販されている。5−フルオロウラシルの投与は、チミジレート合成の阻害を導き、また、RNAおよびDNAの両方に組み込まれる。その結果、典型的には、細胞死が起こる。5−フルオロウラシルは、単一薬剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて、胸部、結腸、直腸、胃および膵臓の癌腫の治療において必要とされる。骨髄抑制および粘膜炎は、5−フルオロウラシルの用量規定副作用である。他のフルオロピリミジン類似体は、5−フルオロデオキシウリジン(フロクスウリジン)および5−フルオロデオキシウリジン一リン酸を包含する。
【0113】
シタラビン、4−アミノ−1−β−D−アラビノフラノシル−2(1H)−ピリミジノンは、CYTOSAR−Uとして市販されており、一般に、Ara−Cとして知られている。シタラビンは、成長しているDNA鎖中へのシタラビンの末端組み込みによって、DNA鎖伸長を阻害することにより、S期での細胞周期特異性を示すと考えられる。シタラビンは、単一薬剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて、急性白血病の治療において必要とされる。他のシチジン類似体は、5−アザシチジンおよび2’,2’−ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)を包含する。シタラビンは、白血球減少、血小板減少および粘膜炎を誘導する。
【0114】
メルカプトプリン、1,7−ジヒドロ−6H−プリン−6−チオン一水和物は、PURINETHOLとして市販されている。メルカプトプリンは、今だ特定されていないメカニズムによってDNA合成を阻害することにより、S期での細胞周期特異性を示す。メルカプトプリンは、単一薬剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて、急性白血病の治療において必要とされる。骨髄抑制および胃腸粘膜炎は、高用量でのメルカプトプリンの予想される副作用である。有用なメルカプトプリン類似体は、アザチオプリンである。
【0115】
チオグアニン、2−アミノ−1,7−ジヒドロ−6H−プリン−6−チオンは、TABLOIDとして市販されている。チオグアニンは、今だ特定されていないメカニズムによってDNA合成を阻害することにより、S期での細胞周期特異性を示す。チオグアニンは、単一薬剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて、急性白血病の治療において必要とされる。白血球減少、血小板減少および貧血を包含する骨髄抑制は、チオグアニン投与の最も一般的な用量規定副作用である。しかしながら、胃腸の副作用が起こり、用量が制限されることがある。他のプリン類似体は、ペントスタチン、エリスロヒドロキシノニルアデニン、フルダラビンホスフェート、およびクラドリビンを包含する。
【0116】
ゲムシタビン、2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロシチジン一塩酸塩(β−異性体)は、GEMZARとして市販されている。ゲムシタビンは、G1/S境界を経る細胞の進行を阻害することによって、S期での細胞周期特異性を示す。ゲムシタビンは、局所的進行性の非小細胞肺癌の治療においてシスプラチンと組み合わせて用いられ、局所的進行性の膵臓癌の治療において単独で用いられる。白血球減少、血小板減少および貧血を包含する骨髄抑制は、ゲムシタビン投与の最も一般的な用量規定副作用である。
【0117】
メトトレキサート、N−[4[[(2,4−ジアミノ−6−プテリジニル)メチル]メチルアミノ]ベンゾイル]−L−グルタミン酸は、メトトレキサートナトリウムとして市販されている。メトトレキサートは、プリンヌクレオチドおよびチミジレートの合成に必要なジヒドロ葉酸還元酵素の阻害によって、DNA合成、修復および/または複製を阻害することにより、S期で特異的に細胞周期影響を示す。メトトレキサートは、単一薬剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて、絨毛癌、髄膜白血病、非ホジキンリンパ腫、および胸部、頭部、頚部、卵巣および膀胱の癌腫の治療において必要とされる。骨髄抑制(白血球減少、血小板減少および貧血)および粘膜炎は、メトトレキサート投与の予想される副作用である。
【0118】
カンプトテシンおよびカンプトテシン誘導体を包含するカンプトテシンは、トポイソメラーゼI阻害剤として入手可能であるか、または開発下にある。カンプトテシン細胞毒活性は、そのトポイソメラーゼI阻害活性に関連すると考えられる。カンプトテシンの例は、限定するものではないが、イリノテカン、トポテカン、および下記の7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20−カンプトテシンの種々の光学形態を包含する。
【0119】
イリノテシンHCl、(4S)−4,11−ジエチル−4−ヒドロキシ−9−[(4−ピペリジノピペリジノ)カルボニルオキシ]−1H−ピラノ[3’,4’,6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H,12H)−ジオン塩酸塩は、注射溶液CAMPTOSARとして市販されている。
【0120】
イリノテカンは、その活性な代謝産物SN−38と共に、トポイソメラーゼI−DNA複合体に結合するカンプトテシンの誘導体である。トポイソメラーゼI:DNA:イリノテカンまたはSN−38三重複合体と複製酵素との相互作用によって引き起こされる修復不可能な二重鎖崩壊の結果として、細胞毒性が起こると考えられる。イリノテカンは、結腸または直腸の転移性癌の治療のために必要とされる。イリノテカンHClの用量規定副作用は、好中球減少を包含する骨髄抑制、および下痢を包含するGI影響である。
【0121】
トポテカンHCl、(S)−10−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−エチル−4,9−ジヒドロキシ−1H−ピラノ[3’,4’,6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14−(4H,12H)−ジオン一塩酸塩は、注射溶液HYCAMTINとして市販されている。トポテカンは、トポイソメラーゼI−DNA複合体に結合するカンプトテシンの誘導体であり、DNA分子のねじれひずみに応答してトポイソメラーゼIによって引き起こされる一本鎖崩壊の再ライゲーションを防ぐ。トポテカンは、卵巣癌および小細胞肺癌の転移性癌腫の二次治療に必要とされる。トポテカンHClの用量規定副作用は、骨髄抑制、主として好中球減少である。
【0122】
また、ラセミ混合物(R,S)形態ならびにRおよびSエナンチオマーを包含する現在開発中の下記の式A:
【化15】

で示されるカンプトテシン誘導体は、化学名「7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20(R,S)−カンプトテシン(ラセミ混合物)」または「7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20(R)−カンプトテシン(Rエナンチオマー)」または「7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20(S)−カンプトテシン(Sエナンチオマー)によって知られている。かかる化合物ならびに関連化合物は、製造法も含め、米国特許第6,063,923号、第5,342,947号、第5,559,235号、第5,491,237号および出願中の米国特許出願第08/977,217号(1997年11月24日出願)に記載されている。
【0123】
ホルモンおよびホルモン類似体は、ホルモンと癌の成長および/または成長不足との間に関係がある癌の治療に有用な化合物である。癌治療に有用なホルモンおよびホルモン類似体の例は、限定するものではないが、子供の悪性リンパ腫および急性白血病の治療に有用なプレドニソンおよびプレドニソロンなどのアドレノコルチコステロイド;アミノグルテチミドおよび他のアロマターゼ阻害剤、例えば、アナストロゾール、レトラゾール、ボラゾール、および副腎皮質癌およびエストロゲン受容体を含有するホルモン依存性乳癌の治療に有用なエキセメスタン;プロゲストリン(progestrin)、例えば、ホルモン依存性乳癌および子宮内膜癌の治療に有用な酢酸メゲストロール;エストロゲン、アンドロゲン、および抗アンドロゲン、例えば、前立腺癌および良性前立腺肥大の治療に有用なフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、酢酸シプロテロンおよび5α−レダクターゼ、例えば、フィナステリドおよびデゥタステリド(dutasteride);抗エストロゲン、例えば、ホルモン依存性乳癌および他の感受性癌の治療に有用なタモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェン、ならびに米国特許第5,681,835号、第5,877,219号および第6,207,716号に記載のような選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERMS);および前立腺癌の治療のための性腺刺激ホルモン放出性ホルモン(GnRH)および黄体形成ホルモン(LH)および/または卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を刺激するその類似体、例えば、LHRHアゴニストおよびアンタゴニスト、例えば、酢酸ゴセレリンおよびルプロリドを包含する。
【0124】
シグナル変換経路阻害剤は、細胞内変換を喚起する化学的過程を遮断または阻害する阻害剤である。本明細書中で使用される場合、該変化は、細胞増殖または分化である。本発明において有用なシグナル変換阻害剤は、受容体チロシンキナーゼ、非受容体チロシンキナーゼ、SH2/SH3ドメインブロッカー、セリン/スレオニンキナーゼ、ホスホチジルイノシトール−3キナーゼ、myo−イノシトールシグナル伝達、およびRasオンコジーンの阻害剤を包含する。
【0125】
いくつかのプロテインチロシンキナーゼは、細胞成長の調節に関与する種々のタンパク質における特定のチロシル残基のリン酸化を触媒する。かかるプロテインチロシンキナーゼは、受容体または非受容体キナーゼとして幅広く分類することができる。
【0126】
受容体チロシンキナーゼは、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメインおよびチロシンキナーゼドメインを有する膜貫通型タンパク質である。受容体チロシンキナーゼは、細胞成長の調節に関与し、一般に、成長因子受容体と呼ばれる。例えば過剰発現または変異による、これらのキナーゼの多くの不適当または制御されない活性化、すなわち、異常型のキナーゼ成長因子受容体活性は、制御されない細胞成長をもたらすことが示された。したがって、かかるキナーゼの異常な活性は、悪性組織成長に関連している。結果として、かかるキナーゼの阻害剤は、癌治療法を提供することができた。成長因子受容体は、例えば、表皮成長因子受容体(EGFr)、血小板由来成長因子受容体(PDGFr)、erbB2、erbB4、血管内皮成長因子受容体(VEGFr)、免疫グロブリン様および表皮成長因子相同ドメインを有するチロシンキナーゼ(TIE−2)、インスリン成長因子−I(IGFI)受容体、マクロファージコロニー刺激因子(cfms)、BTK、ckit、cmet、繊維芽細胞成長因子(FGF)受容体、Trk受容体(TrkA、TrkBおよびTrkC)、エフリン(eph)受容体、およびRETプロトオンコジーンを包含する。いくつかの成長受容体阻害剤は、開発中であり、リガンドアンタゴニスト、抗体、チロシンキナーゼ阻害剤およびアンチセンスオリゴヌクレオチドを包含する。成長因子受容体および成長因子受容体機能を阻害する薬剤は、例えば、Kath,John C.,Exp.Opin.Ther.Patents(2000)10(6):803−818;Shawverら、DDT Vol2,No.2 February 1997;およびLofts,F.J.ら、”Growth factor receptors as targets”,New Molecular Targets for Cancer Chemotherapy,Workman,PaulおよびKerr,David編,CRC press 1994,Londonに記載されている。
【0127】
成長因子受容体キナーゼではないチロシンキナーゼは、非受容体チロシンキナーゼと称される。本発明において有用な非受容体チロシンキナーゼは、抗癌薬の標的または潜在的標的であり、cSrc、Lck、Fyn、Yes、Jak、cAbl、FAK(焦点接着キナーゼ)、Brutonsチロシンキナーゼ、およびBcr−Ablを包含する。かかる非受容体キナーゼおよび非受容体チロシンキナーゼ機能を阻害する薬剤は、Sinh,S.およびCorey,S.J.,(1999) Journal of Hematotherapy and Stem Cell Research 8 (5):465−80;およびBolen,J.B.,Brugge,J.S.,(1997)Annual review of Immunology.15:371−404に記載されている。
【0128】
SH2/SH3ドメインブロッカーは、PI3−K p85サブユニット、Srcファミリーキナーゼ、アダプター分子(Shc、Crk、Nck、Grb2)およびRas−GAPを包含する種々の酵素またはアダプタータンパク質において結合しているSH2またはSH3ドメインを崩壊する薬剤である。抗癌薬の標的としてのSH2/SH3ドメインは、Smithgall,T.E.(1995),Journal of Pharmacological and Toxicological Methods.34(3)125−32において考察されている。
【0129】
セリン/スレオニンキナーゼの阻害剤は、MAPキナーゼカスケードブロッカーを包含し、それは、Rafキナーゼ(rafk)、マイトジェンまたは細胞外調節キナーゼ(MEKs)、および細胞外調節キナーゼ(ERKs)のブロッカー;およびPKC(アルファ、ベータ、ガンマ、イプシロン、ミュー、ラムダ、イオータ、ゼータ)のブロッカーを包含するプロテインキナーゼCファミリーメンバーのブロッカー、IkBキナーゼファミリー(IKKa、IKKb)、PKBファミリーキナーゼ、aktキナーゼファミリーメンバー、およびTGFベータ受容体キナーゼのブロッカーを包含する。かかるセリン/スレオニンキナーゼおよびその阻害剤は、Yamamoto,T.,Taya,S.,Kaibuchi,K.,(1999),Journal of Biochemistry.126(5)799−803;Brodt,P,Samani,A.,およびNavab,R.(2000),Biochemical Pharmacology,60.1101−1107;Massague,J.,Weis−Garcia,F.(1996)Cancer Surveys.27:41−64;Philip,P.A.,およびHarris,A.L.(1995),Cancer Treatment and Research. 78:3−27,Lackey,K.ら、Bioorganic and Medicinal Chemistryletters,(10),2000,223−226;米国特許第6,268,391号;およびMartinez−Iacaci,L.ら、Int.J.Cancer(2000),88(1),44−52に記載されている。
【0130】
PI3−キナーゼ、ATM、DNA−PKおよびKuのブロッカーを包含するホスホチジルイノシトール−3キナーゼファミリーのメンバーの阻害剤は、また、本発明において有用でありうる。かかるキナーゼは、Abraham,R.T.(1996),Current Opinion in Immunology.8(3)412−8;Canman,C.E.,Lim,D.S.(1998),Oncogene 17(25)3301−3308;Jackson,S.P.(1997),International Journal of Biochemistry and Cell Biology.29(7):935−8;およびZhong,H.ら、Cancer res,(2000)60(6),1541−1545において考察されている。
【0131】
また、本発明は、ミオイノシトールシグナル伝達阻害剤、例えば、ホスホリパーゼCブロッカーおよびミオイノシトール類似物に関する。かかるシグナル阻害剤は、Powis,G.およびKozikowski A.、(1994)New Molecular Targets for Cancer Chemotherapy ed.,Paul Workman and David Kerr,CRC press 1994,Londonにおいて記載されている。
【0132】
シグナル変換経路阻害剤の別の群は、Rasオンコジーンの阻害剤である。かかる阻害剤は、ファルネシルトランスフェラーゼ、ゲラニルゲラニルトランスフェラーゼおよびCAAXプロテアーゼの阻害剤、ならびにアンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイムおよび免疫療法を包含する。かかる阻害剤は、野生型変異体rasを含有する細胞においてras活性化を遮断し、それにより、抗増殖剤として作用することが示された。Rasオンコジーン阻害は、Scharovsky,O.G.,Rozados,V.R.,Gervasoni,S.I.Matar,P.(2000),Journal of Biomedical Science.7(4)292−8;Ashby,M.N.(1998),Current Opinion in Lipidology.9(2)99−102;およびBioChim.Biophys.Acta,(1989)1423(3):19−30において考察されている。
【0133】
上記のように、受容体キナーゼリガンド結合に対する抗体アンタゴニストもまた、シグナル変換阻害剤として作用しうる。該群のシグナル変換経路阻害剤は、受容体チロシンキナーゼの細胞外リガンド結合ドメインに対するヒト化抗体の使用を包含する。例えば、Imclone C225 EGFR特異的抗体(Green,M.C.ら、Monoclonal Antibody Therapy for Solid Tumors,Cancer Treat.Rev.,(2000),26(4),269−286参照)、Herceptin(登録商標)erbB2抗体(Tyrosine kinase Signalling in Breast cancer:erbB Family Receptor Tyrosine Kniases,Breast cancer Res.,2000,2(3),176−183参照)、および2CB VEGFR2特異的抗体(Brekken,R.A.ら、Selective Inhibition of VEGFR2 Activity by a monoclonal Anti−VEGF antibody blocks tumor growth in mice,Cancer Res.(2000)60,5117−5124参照)がある。
【0134】
非受容体キナーゼ脈管形成阻害剤もまた、本発明において有用でありうる。脈管形成関連VEGFRおよびTIE2の阻害剤は、シグナル変換阻害剤に関して上記で考察されている(どちらの受容体も受容体チロシンキナーゼである)。erbB2およびEGFRの阻害剤は、脈管形成、主にVEGF発現を阻害することが示されたので、一般に、脈管形成はerbB2/EGFRシグナル伝達に関係する。したがって、非受容体チロシンキナーゼ阻害剤は、本発明の化合物と組み合わせて使用してもよい。例えば、VEGFR(受容体チロシンキナーゼ)を認識しないが、そのリガンドに結合する抗−VEGF抗体、脈管形成を阻害するであろうインテグリン(アルファ、ベータ)の小型分子阻害剤、エンドスタチンおよびアンジオスタチン(非−RTK)もまた、開示される化合物と組み合わせて有用であることが分かる(Bruns CJら、(2000),Cancer Res.,60:2926−2935;Schreiber AB,Winkler MEおよびDerynck R.(1986),Science,232:1250−1253; Yen Lら、(2000),Oncogene 19:3460−3469参照)。
【0135】
免疫治療方法において使用される薬剤もまた、式(I)の化合物と組み合わせて有用でありうる。免疫応答を生じるための多くの免疫学的方策がある。これらの方策は、一般に、腫瘍ワクチン化の領域にある。免疫学的アプローチの効力は、小型分子阻害剤を用いるシグナル伝達経路の組み合わせた阻害を通して大いに増強されうる。erbB2/EGFRに対する免疫学的/腫瘍ワクチンアプローチの考察は、Reilly RTら、(2000),Cancer Res.60:3569−3576;およびChen Y,Hu D,Eling DJ,Robbins JおよびKipps TJ.(1998),Cancer Res.58:1965−1971において見出される。
【0136】
プロアポトーシス管理において用いられる薬剤(例えば、bcl−2アンチセンスオリゴヌクレオチド)もまた、本発明の組み合わせにおいて使用されうる。タンパク質のBcl−2ファミリーのメンバーは、アポトーシスを阻害する。したがって、bcl−2のアップレギュレーションは、化学耐性に関連する。研究により、表皮成長因子(EGF)がbcl−2ファミリーの抗−アポトーシスメンバー(すなわち、mcl−1)を刺激することが示された。したがって、腫瘍においてbcl−2の発現をダウンレギュレーションすることが計画された方策、すなわち、Genta’s G3139 bcl−2アンチセンスオリゴヌクレオチドは、臨床上の利益を明らかにし、現在、第II/III相試験にある。bcl−2に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド法を用いるかかるプロアポトーシス法は、Water JSら、(2000),J.Clin.Oncol.18:1812−1823;およびKitada Sら、(1994),Antisense Res.Dev.4:71−79において考察されている。
【0137】
細胞周期シグナル伝達阻害剤は、細胞周期の調節に関与する分子を阻害する。サイクリン依存性キナーゼ(CDK)と呼ばれるプロテインキナーゼのファミリー、およびサイクリンと名付けられたタンパク質のファミリーとのそれらの相互作用は、真核生物の細胞周期の進行を調節する。種々のサイクリン/CDK複合体の協調的な活性化および不活性化は、細胞周期の正常な進行に必要である。細胞周期シグナル伝達のいくつかの阻害剤は、開発下にある。例えば、CDK2、CDK4およびCDK6を包含するサイクリン依存性キナーゼの例およびその阻害剤が、例えば、Rosaniaら、Exp.Opin.Ther.Patents(2000)10(2):215−230に記載されている。
【0138】
一の具体例において、本発明の癌治療法は、式Iの化合物および/またはその医薬上許容される塩と、少なくとも1つの抗新生物剤、例えば、抗微小管剤、白金配位錯体、アルキル化剤、抗生物質剤、トポイソメラーゼII阻害剤、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼI阻害剤、ホルモンおよびホルモン類似物、シグナル変換経路阻害剤、非受容体チロシンキナーゼ脈管形成阻害剤、免疫治療剤、プロアポトーシス剤、および細胞周期シグナル伝達阻害剤からなる群から選択される抗新生物剤との共投与を包含する。
【0139】
本発明の医薬上活性な化合物は、PI3キナーゼ阻害剤、特に、PI3Kαを調節/阻害する化合物として活性であるので、癌の治療に有用である。本発明の医薬上活性な化合物は、また、PI3Kδ、PI3Kβおよび/またはPI3Kγの1以上に対して活性であるので、それらは、自己免疫障害、炎症疾患、心血管疾患、神経変性疾患、アレルギー、喘息、膵炎、多臓器機能不全、腎疾患、血小板凝集、精子運動、移植拒絶、移植片拒絶および肺傷害から選択される病態の治療において治療上の有用性を示す。
【0140】
式(I)の化合物を自己免疫障害、炎症疾患、心血管疾患、神経変性疾患、アレルギー、癌、喘息、膵炎、多臓器機能不全、腎疾患、血小板凝集、精子運動、移植拒絶、移植片拒絶および肺傷害から選択される病態の治療のために投与する場合、「共投与」なる語およびその派生語は、本明細書中で使用される場合、本明細書に記載のPI3キナーゼ阻害化合物、および自己免疫障害、癌、炎症疾患、心血管疾患、神経変性疾患、アレルギー、喘息、膵炎、多臓器機能不全、腎疾患、血小板凝集、精子運動、移植拒絶、移植片拒絶および/または肺傷害の治療に有用であることが知られているさらなる有効成分の同時投与、または別々の連続的な投与いずれかを意味する。
【0141】
生物学的アッセイ
PI3Kアルファリードシーカー(Leadseeker)SPAアッセイ
本発明の化合物は、下記のアッセイにしたがって試験した。
実施例の化合物を試験し、PI3Kαに対する活性が見出された。IC50は、約1nM〜10μMの範囲であった。化合物の多くが、500nM以下であり;最も活性な化合物は、10nM以下であった。
実施例1の化合物を、本明細書に記載のアッセイに従って試験し、少なくとも1回の実験操作で、PI3Kαに対するIC50値:40nMを示した。
実施例2の化合物を、本明細書に記載のアッセイに従って試験し、少なくとも1回の実験操作で、PI3Kαに対するIC50値:3nMを示した。
実施例5の化合物を、本明細書に記載のアッセイに従って試験し、少なくとも1回の実験操作で、PI3Kαに対するIC50値:31nMを示した。
実施例9の化合物を、本明細書に記載のアッセイに従って試験し、少なくとも1回の実験操作で、PI3Kαに対するIC50値:27nMを示した。
実施例11の化合物を、本明細書に記載のアッセイに従って試験し、少なくとも1回の実験操作で、PI3Kαに対するIC50値:6nMを示した。
実施例32の化合物を、本明細書に記載のアッセイに従って試験し、少なくとも1回の実験操作で、PI3Kαに対するIC50値:50nMを示した。
【0142】
アッセイの原理
SPAイメージングビーズは、シンチラント(scintillant)を含有するミクロスフェアであり、可視スペクトルの赤領域において発光する。結果として、これらのビーズは、理論的にはViewluxなどのCCDイメージャーでの使用に適する。該系に用いられるリードシーカービーズは、ポリエチレンイミンと結合したポリスチレンビーズである。アッセイ混合物に加えられた場合、該ビーズは基質(PIP2)および生産物(PIP3)の両方に吸着する。吸着したP33−PIP3は、シグナル増加を引き起こし、ADUs(アナログ−デジタル変換単位)として測定される。このプロトコールは、His−p110/p85 PI3Kアルファを用いるアッセイのためのPEI−PSリードシーカービーズの使用を詳述する。
【0143】
アッセイプロトコール
固体化合物を典型的には、384ウェル平底低容量プレート(Greiner 784075)の全てのウェル(カラム6および18を除く)中に、0.1μlの100%DMSOと共に入れる。該化合物を、プレートのカラム1からカラム12まで、およびカラム13からカラム24まで連続希釈し(100%DMSO中で3倍)、カラム6および18はDMSOのみを含有するままにしておき、各試験化合物の11濃度を得る。
【0144】
アッセイバッファーは、MOPS(pH6.5)、CHAPSおよびDTTを含有する。PI3KアルファおよびPIP2(L−アルファ−D−myo−ホスファチジルイノシトール4,5−ビスホスフェート[PI(4,5)P2]3−O−ホスホ結合型D(+)−sn−1,2−ジ−O−オクタノイルグリセリル,CellSignals #901)を混合し、化合物を含有するプレート中で30分間インキュベート後、P33−ATPおよびMgCl(Zoomを用いて加えられる試薬)を添加して反応を開始する。酵素不含ウェル(カラム18)は、典型的に、低対照を決定するために用いる。PBS/EDTA/CHAPS中におけるPEI−PSリードシーカービーズを加えて(Multidropによる)反応をクエンチし、プレートを少なくとも1時間(典型的には一晩)インキュベートした後、遠心分離する。Viewlux検出器を用いてシグナルを決定し、次いで、濃度応答曲線の構築のために、曲線フィッティングソフトウェア(Activity Base)中にインポートする。高対照(C1,カラム6中の0.1μl DMSO、列A−P)および低対照(C2,カラム18中の5μlのバッファー中40uM PIP2,列A−P)に相対的な活性阻害パーセントを、100*(1−(U1−C2)/(C1−C2))を用いて算出した。50%阻害を生じる試験化合物の濃度を等式:
y=((Vmax*x)/(K+x))+Y2
(式中、”K”はIC50に等しい)
を用いて決定した。IC50値をpIC50値、すなわち、モル濃度における−logIC50に変換した。
【0145】
細胞アッセイ
1日目
・昼前に細胞を播種する。
・透明平底96ウェルプレート(f.v.105μl)中、10K細胞/ウェル。
・最後のカラムの最後の4つのウェルに培地だけを入れる。
・37℃インキュベーター中に一晩置く。
化合物プレート
・ポリプロピレン丸底96ウェルプレート中、1プレートにつき8化合物、各11点滴定(3x連続希釈)、最後のカラムにDMSO(細胞上0.15%f.c.)を調製する。
・最初のウェル中に15μl、残りに10μl DMSO;最初のウェルから5μlを取り、次のウェルに混合し、プレートを横切って続ける(最後のカラムを除く);ホイル蓋で閉じ、4℃で置く。
【0146】
2日目
・溶解バッファー阻害剤(4℃/−20℃)および化合物プレート(4℃)を取り出し、ベンチ上で解凍し;1x Tris洗浄バッファー(WB)を作成して、プレートウォッシャーのリサーバーを満たし、ベンチサプライを充電し(MiliQを用いる)、遠心機の電源を入れて冷やす。
・MSDプレートをブロックする。
・20mlの3%ブロッキング溶液/プレート(20ml WB中における600mgブロッカーA)を作成し、150μl/ウェルを加え、RTで少なくとも1時間インキュベートする。
・化合物を加える(ブロッキングしながら)。
・各化合物プレートに、1ウェルにつき300μlの生育培地(RPMI w/Q,10%FBS)を加える(化合物の682x希釈)。
・5μlの化合物希釈液を二連プレート上の各ウェル(f.v.110μl)に加える。
・37℃インキュベーター中、30分間置く
・ライゼートを作成する。
・MSD溶解バッファーを調製し;10mlにつき、200μlのプロテアーゼ阻害剤溶液、各100μlのホスファターゼ阻害剤I&IIを加える(使用するまで氷上で維持する)。
・インキュベーション後、プレートを取り出し、プレートウォッシャーで培地を吸引し、冷PBSで1回洗浄し、1ウェルにつき80μlのMSD溶解バッファーを加え;振盪機上、4℃で30分間インキュベートする。
・冷却下、2500rpmで10分間スピンし;使用するまで、プレートを4℃の遠心機中に放置する。
・AKT二連アッセイ
・プレートを洗浄し(プレートウォッシャー中、200μl/ウェルWBで4回);ペーパータオル上でプレートを軽くたたいて吸水させる。
・60μlのライゼート/ウェルを加え、振盪機上、RTで1時間インキュベートする。
・インキュベーションの間、検出Ab(3ml/プレート;2ml WBおよび1mlブロッキング溶液w/Ab 10nMにて)を調製し;上記の洗浄工程を繰り返す。
・25μlのAb/ウェルを加え、振盪機上、RTで1時間インキュベートし;上記の洗浄工程を繰り返す。
・150μl/ウェルの1xリードバッファー(4xストックをddH2O中で希釈する,20ml/プレート)を加え、すぐに読み取る。
・分析
・各化合物濃度にて、データポイントの全てを観察する。
・最も高い阻害剤濃度由来のデータポイントは、DMSO対照の70%以上でなければならない。
・二連で実施したIC50は、互いに2倍以内でなければならない(サマリーテンプレートにおいてフラッグを立てない)。
・Y minは、ゼロより大きくなければならない。両方のminにレッドフラッグが立てられた場合(>35)、化合物を不活性と記載する(IC50=>最大用量)。1つのminのみにレッドフラッグが立てられた場合、まだ50であるが、IC50と記載する。
・曲線から30%以上離れたいずれのデータポイントも考慮しない。
【0147】
細胞成長/死アッセイ:
BT474、HCC1954およびT−47D(ヒト胸部)を5%COインキュベーター中37℃で、10%胎仔ウシ血清を含有するRPMI−1640中、培養した。アッセイの2から3日前に、細胞をT75フラスコ(Falcon #353136)に分け、アッセイのために採取する時に約70−80%コンフルエンスになる密度で設定した。細胞を、0.25%トリプシン−EDTA(Sigma #4049)を用いて採取した。細胞のカウントは、Trypan Blue排除染色を用いて細胞懸濁で行った。次いで、細胞を384ウェル黒色平底ポリスチレン(Greiner #781086)中、1ウェルにつき48μlの培養培地中、1,000細胞/ウェルにて播種した。全プレートを5%COにて37℃で一晩置き、次の日に試験化合物を加えた。0日(t=0)測定のために、1プレートをCellTiter−Glo(Promega #G7573)で処理し、下記のように読み取った。試験化合物を透明底ポリプロピレン384ウェルプレート(Greiner#781280)中、連続2倍希釈を用いて調製した。これらの希釈液4μlを105μlの培養培地に加え、溶液を混合後、これらの希釈液2μlを細胞プレートの各ウェルに加えた。全ウェル中におけるDMSO最終濃度は0.15%であった。細胞を37℃、5%COにて72時間インキュベートした。化合物と共に72時間インキュベーション後、各プレートを展開し、読み取った。CellTiter−Glo試薬をアッセイプレートに、ウェル中の細胞培養容量と等量を用いて加えた。プレートを約2分間振盪し、室温で約30分間インキュベートし、化学発光シグナルをAnalyst GT(Molecular Devices)リーダー上で読み取った。結果は、t=0のパーセントで表し、化合物濃度に対してプロットした。細胞成長阻害は、各化合物について、XLfitソフトウェアを用いる4または6パラメーター曲線フィットで用量応答をフィッティングし、t=0としてY minおよびDMSO対照としてY maxを用いて、細胞成長の50%を阻害した濃度(gIC50)を決定することによって決定された。バックグラウンド補正のために、細胞不含ウェル由来の値を全ての試料から差し引いた。
【0148】
付加的な参考文献:
本発明の化合物は、また、PI3Kα、PI3Kδ、PI3KβおよびPI3Kγにおける阻害活性を決定するために、下記の参考文献におけるアッセイにしたがって試験することができる。
全PI3Kイソ型について:
1. ヒトクラスIaホスホイノシチド3−キナーゼイソ型のクローニング、発現、精製および特徴付け:Meier,T.I.;Cook,J.A.;Thomas,J.E.;Radding,J.A.;Horn,C.;Lingaraj,T.;Smith,M.C.Protein Expr.Purif.,2004,35(2),218
2. ホスホイノシチドキナーゼおよびホスファターゼ活性の検出のための比較蛍光偏光アッセイ:Drees,B.E.;Weipert,A.;Hudson,H.;Ferguson,C.G.;Chakravartyl.;Prestwich,G.D.Comb.Chem.High Throughput.Screen.,2003,6(4),321
PI3Kγについて:WO2005/011686 A1
【0149】
本発明の範囲内の医薬上活性な化合物は、その必要のある哺乳動物、特にヒトにおいて、PI3キナーゼ阻害剤として有用である。
【0150】
したがって、本発明は、PI3キナーゼ阻害に関連する疾患、特に、自己免疫障害、炎症疾患、心血管疾患、神経変性疾患、アレルギー、喘息、膵炎、多臓器機能不全、腎疾患、血小板凝集、癌、精子運動、移植拒絶、移植片拒絶および肺傷害、ならびにPI3キナーゼ調節/阻害を必要とする他の状態を治療する方法であって、式(I)の有効化合物またはその医薬上許容される塩を投与することを特徴とする方法を提供する。式(I)の化合物は、また、PI3阻害剤として作用するその能力のために、上記の病態を治療する方法を提供する。該薬物は、必要とする患者に、限定するものではないが、静脈内、筋内、経口、皮下、皮内および非経口を包含するいずれかの好都合な投与経路によって投与されうる。
【0151】
本発明の医薬上活性な化合物は、好都合な剤形、例えば、カプセル、錠剤、または注射可能な製剤に組み込まれる。固形または液体医薬担体を用いる。固形担体は、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム二水和物、白土、シュークロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸を包含する。液体担体は、シロップ、落花生油、オリーブ油、セーラインおよび水を包含する。同様に、担体または希釈剤は、いずれかの持続放出材料、例えば、単独またはワックスと組み合わせたモノステアリン酸グリセリル、またはジステアリン酸グリセリルを包含する。固形担体の量は、幅広く変化するが、好ましくは、投与単位あたり約25mg〜約1gである。液体担体を用いる場合、調製物は、シロップ、エリキシル、エマルジョン、ソフトゼラチンカプセル、滅菌注射液、例えば、アンプル、または水性もしくは非水性液体懸濁の形態である。
【0152】
医薬調製物は、錠剤形態の場合、混合、造粒、および必要により圧縮を含む、または適宜、成分を混合、充填および溶解して所望の経口または非経口産物を得て、薬剤師の通常の技術にしたがって作成される。
【0153】
上記の医薬投与単位における本発明の医薬上活性な化合物の投与量は、0.001−100mg/kg、好ましくは0.001−50mg/kgから選択される、効力があって非毒性の活性化合物の量である。PI3K阻害剤を必要とするヒト患者を治療する場合、選択された投与量を好ましくは、1日に1−6回経口または非経口投与する。非経口投与の好ましい形態は、局所、直腸、経皮、注射および注入によって連続的な投与を包含する。ヒト投与のための経口投与単位は、好ましくは、0.05〜3500mgの活性化合物を含有する。より低量を用いる経口投与が好ましい。しかしながら、患者に安全かつ好都合な場合、高投与量での非経口投与もまた用いることができる。
【0154】
投与すべき最適な投与量は、当業者によって容易に決定されることができ、使用される特定のPI3キナーゼ阻害剤、調製物の強度、投与様式、および病態の進行度によって変化する。患者の年齢、体重、食事および投与時間を包含する治療されている特定の患者に依存する付加的な因子は、投与量を調整する必要性をもたらす。
【0155】
ヒトを包含する哺乳動物においてPI3キナーゼ阻害活性を誘導する本発明の方法は、かかる活性を必要とする対象に、有効なPI3キナーゼ調節/阻害量の本発明の医薬上活性な化合物を投与することを含む。
本発明は、また、PI3キナーゼ阻害剤として使用するための医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
本発明は、また、治療において使用するための医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
【0156】
本発明は、また、自己免疫障害、炎症疾患、心血管疾患、神経変性疾患、アレルギー、喘息、膵炎、多臓器機能不全、腎疾患、血小板凝集、癌、精子運動、移植拒絶、移植片拒絶および肺傷害の治療において使用するための医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
【0157】
本発明は、また、式(I)の化合物および医薬上許容される担体を含むPI3阻害剤として使用するための医薬組成物を提供する。
【0158】
本発明は、また、自己免疫障害、炎症疾患、心血管疾患、神経変性疾患、アレルギー、喘息、膵炎、多臓器機能不全、腎疾患、血小板凝集、癌、精子運動、移植拒絶、移植片拒絶および肺傷害の治療において使用するための、式(I)の化合物および医薬上許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0159】
本発明の化合物を本発明にしたがって投与する場合、許容されない毒物学的影響は予想されない。
さらに、本発明の医薬上活性な化合物は、PI3キナーゼ阻害剤と併用した場合に有用性があることが知られている化合物を包含するさらなる有効成分と共に共投与することができる。
【0160】
さらに工夫することなく、当業者は、上記の記載を用いて、本発明を完全に利用することができると確信する。したがって、下記の実施例は、単なる例示として解釈されるべきであり、如何なる方法においても本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0161】
実験の詳細
以下の実施例の化合物は、スキーム1またはその類似法により、容易に調製される。
【0162】
【化16】

【0163】
【化17】

【0164】
【化18】

【0165】
実施例1
{5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−2−フラニル}メタノール
【化19】

a)2−(メチルオキシ)−8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン
6−(メチルオキシ)−1,5−ナフチリジン−4−イルトリフルオロメタンスルホネート(16.2mmol;WO2006017326を参照)、4−ピリジニルボロン酸(19.5mmol)、およびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.487mmol)の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20.0mL)および1,4−ジオキサン(80.0mL)中混合物を、100℃で22時間加熱した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(300mL)および水(100mL)に注ぎ、有機層を酢酸エチル(4×300mL)で抽出した。合した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を1N塩酸(250mL)中に溶解し、ジクロロメタン(3×170mL)で洗浄した。水層を、6N水酸化ナトリウム水溶液(約45mL)を注意深く滴下して、生成物が溶液から沈殿するまで塩基性化した。固体を濾過し、水(3×50mL)で洗浄し、減圧下で一定量になるまで乾燥して、標題生成物を褐色固体として得た(62%)。
MS(ES)+m/e238[M+H]
【0166】
b)8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−オール
2−(メチルオキシ)−8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン(10.0mmol)、6N塩酸(20.0mL)、および1,4−ジオキサン(20.0mL)の溶液を、100℃で40時間加熱し、ついで、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチルで沈殿させ、酢酸エチル洗浄液(3×20mL)で濾過して、標題生成物の二HCl塩を褐色固体として得た(定量的)。
MS(ES)+m/e224[M+H]
【0167】
c)8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート
8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−オール二塩酸塩(10.0mmol)のピリジン(40.0mL)中混合物を0℃に冷却した。無水トリフルオロメタンスルホン酸(15.2mmol)を反応混合物に滴下した。ついで、冷却浴を除去し、混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、さらに無水トリフルオロメタンスルホン酸(15.2mmol)を滴下した。ついで、冷却浴を除去し、混合物を室温で4時間撹拌した。この手順を1回以上繰り返して、反応を完了させた。反応物を水(5mL)でクエンチし、和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)中にゆっくりと注いだ。有機層を酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(80−100%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、標題生成物を黄色固体として得た(87%)。
MS(ES)+m/e356[M+H]
【0168】
d){5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−2−フラニル}メタノール
8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(0.310mmol)、[5−({[(t−ブチル)(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−2−フラニル]ボロン酸(0.372mmol)、およびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.009mmol)の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(0.4mL)および1,4−ジオキサン(1.6mL)中混合物を、100℃で19時間加熱した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5mL)中に注ぎ、有機層を酢酸エチル(3×5mL)で抽出した。合した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル)により精製して、標題生成物を黄色固体として得た(21%)。
MS(ES)+m/e304[M+H]
【0169】
実施例2
2−アミノ−N,N−ジメチル−5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド
【化20】

a)2−アミノ−5−ブロモ−3−ピリジンスルホニルクロライド
クロロスルホン酸(58mL)の冷却(0℃)溶液に、強く撹拌しながら、5−ブロモ−2−ピリジンアミン(86.7mmol)を加えた。ついで、反応混合物を3時間加熱還流した。室温に冷却し、反応混合物を氷(約100g)に強く撹拌しながら注いだ。得られた黄色沈殿を吸引濾過により回収し、冷水および石油エーテルで洗浄して、標題化合物を橙黄色固体として得た(18.1g、77%収率)。
MS(ES)+m/e272.8[M+H]
【0170】
b)2−アミノ−5−ブロモ−N,N−ジメチル−3−ピリジンスルホンアミド
2−アミノ−5−ブロモ−3−ピリジンスルホニルクロライド(92.1mmol)の乾燥1,4−ジオキサン(92mL)中冷却(0℃)懸濁液に、ピリジン(101.3mmol)、ついで、ジメチルアミンのTHF(101.3mmol)中2M溶液を加えた。反応物を室温で2時間加温し、50℃で1時間加熱し、ついで、室温に冷却した。2時間撹拌した後、沈殿を濾過により回収し、少量の冷却水で洗浄した。沈殿物を、減圧下で一定量になるまで乾燥して、14.1g(55%)の標題化合物を白色固体として得た。
MS(ES)+m/e279.8,282.0[M+H]
【0171】
c)2−アミノ−N,N−ジメチル−5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド
2−アミノ−5−ブロモ−N,N−ジメチル−3−ピリジンスルホンアミド(0.366mmol)、ビス(ピナコレート)ジボラン(0.450mmol)、酢酸カリウム(0.844mmol)、およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.008mmol)の1,4−ジオキサン(3.0mL)中混合物を、100℃で15時間加熱した。さらにビス(ピナコレート)ジボラン(0.112mmol)およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.004mmol)を加え、反応混合物を100℃で2.5時間加熱した。反応混合物に、8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(0.281mmol)、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.008mmol)、および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1.1mL)を加えた。混合物に120℃で30分間マイクロ波を照射した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(75mL)に注ぎ、有機層を酢酸エチル(3×60mL)で抽出した。合した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル)により精製して、標題生成物を黄色固体として得た(45%)。
MS(ES)+m/e407[M+H]
【0172】
実施例3
2−アミノ−5−[7−フルオロ−8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−N,N−ジメチル−3−ピリジンスルホンアミド
【化21】

a)7−フルオロ−2−(メチルオキシ)−8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン
8−ブロモ−7−フルオロ−2−(メチルオキシ)−1,5−ナフチリジン(1.95mmol;WO2006002047を参照)、4−ピリジニルボロン酸(2.33mmol)、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.058mmol)の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(3.0mL)および1,4−ジオキサン(12.0mL)中混合物を、100℃で17時間加熱した。さらに4−ピリジニルボロン酸(2.33mmol)およびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.058mmol)を加え、反応混合物を100℃で23時間加熱した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(125mL)に注ぎ、有機層を、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(30−60%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、標題生成物を白色固体として得た(75%)。
MS(ES)+m/e256[M+H]
【0173】
b)7−フルオロ−8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−オール
7−フルオロ−2−(メチルオキシ)−8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン(1.45mmol)、6N塩酸(5.0mL)、および1,4−ジオキサン(5.0mL)の溶液を、100℃で21時間加熱し、ついで、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチルで沈殿させ、酢酸エチル洗浄液(3×10mL)で濾過して、標題生成物の二HCl塩を黄色粉末として得た(91%)。
MS(ES)+m/e242[M+H]
【0174】
c)7−フルオロ−8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート
実施例1cを調製するのに用いた方法に従って、7−フルオロ−8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−オールを用いて標題化合物を黄色固体として得た(12%)。
MS(ES)+m/e374[M+H]
【0175】
d)2−アミノ−5−[7−フルオロ−8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−N,N−ジメチル−3−ピリジンスルホンアミド
実施例2bを調製するのに用いた方法に従って、7−フルオロ−8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネートを用いて標題化合物を黄色固体として得た(44%)。
MS(ES)+m/e425[M+H]
【0176】
実施例4
5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド
【化22】

5−ブロモ−3−ピリジンスルホンアミド(0.439mmol)、ビス(ピナコレート)ジボラン(0.540mmol)、酢酸カリウム(1.01mmol)、およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.010mmol)の1,4−ジオキサン(3.0mL)中混合物に120℃で40分間マイクロ波を照射した。反応混合物に、8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(0.338mmol)、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.010mmol)、および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1.2mL)を加えた。混合物に120℃で30分間マイクロ波を照射した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(75mL)に注ぎ、有機層を、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル、ついで、0−10%メタノール/酢酸エチル)および逆相HPLC(15−30%アセトニトリル/0.1%TFA含有水)で精製して、標題生成物を象牙色固体として得た(32%)。
MS(ES)+m/e364[M+H]
【0177】
実施例5
2−(3−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)−8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン
【化23】

a)4−ブロモ−3−フェニル−1H−ピラゾール
3−フェニル−1H−ピラゾール(2.98g、20.67mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(40ml)中溶液を、N−ブロモスクシニミド(3.68g、20.67mmol)で処理し、ついで、室温にて1時間撹拌した。反応物を減圧下で蒸発させ、得られた残渣をエタノール(15ml)中に溶解し、水(100ml)で希釈して、粗生成物を沈殿させた。固体を濾過により回収し、吸気して乾燥した。生成物を、アセトニトリル−水から再結晶して精製して、標題化合物(4.19g、91%)を白色固体として得た。
MS(ES)+m/e224[M+H]
【0178】
b)4−ブロモ−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−3−フェニル−1H−ピラゾール
4−ブロモ−3−フェニル−1H−ピラゾール(4.15g、18.6mmol)およびピリジン(4.5ml、55.8mmol)の無水ジクロロメタン(40ml)中溶液を、p−トルエンスルホニルクロライド(4.26g、22.3mmol)で処理し、ついで、室温にて二日間撹拌した。反応物を減圧下で蒸発させ、得られた残渣を酢酸エチル中に溶解した。有機溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液およびブラインで2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ついで、減圧下で蒸発させた。粗残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中5%酢酸エチル)により精製し、ついで、所望のフラクションを濃縮して、標題化合物(6.90g、98%)を白色固体として得た。
MS(ES)+m/e378[M+H]
【0179】
c)2−(3−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)−8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン
4−ブロモ−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−3−フェニル−1H−ピラゾール(0.53mmol)、ビス(ピナコレート)ジボラン(0.64mmol)、酢酸カリウム(1.59mmol)、およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.0265mmol)の1,4−ジオキサン(3.0mL)中混合物に、120℃で30分間マイクロ波を照射した。反応混合物に、8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(0.64mmol)および飽和炭酸カリウム水溶液(1mL)を加えた。混合物に、120℃で1時間マイクロ波を照射した。水酸化ナトリウム(2mL、6N水溶液)を混合物に加え、反応物を70時間(週末の間)室温にて撹拌した。反応物を濾過し、沈殿をジクロロメタン、水、および酢酸エチルで洗浄した。濾液層を分離し、有機層をブライン(5mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。沈殿および残渣の両方を、逆相HPLC(5−70%アセトニトリル/0.1%NHOH含有水)で精製した。ついで、逆相HPLC(5−70%アセトニトリル/0.1%TFA含有水)で精製し、中和して、標題化合物を灰白色固体として得た(15%)。
MS(ES)+m/e350[M+H]
【0180】
実施例6
5−{8−[3−(アミノスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イル}−3−ピリジンスルホンアミド
【化24】

a)3−[6−(メチルオキシ)−1,5−ナフチリジン−4−イル]ベンゼンスルホンアミド
6−(メチルオキシ)−1,5−ナフチリジン−4−イルトリフルオロメタンスルホネート(1.78mmol;WO2006017326を参照)、3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド(1.87mmol)、およびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.089mmol)の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1mL)および1,4−ジオキサン(3mL)中混合物を、100℃で6時間加熱した。反応物を室温に冷却し、沈殿を反応物から濾過して、淡黄色固体を得た。濾液を、水(20mL)および酢酸エチル(100mL)で希釈した。得られた沈殿は純粋でなかったので、50mL酢酸エチル中に溶解した。有機層を合し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗残渣を、ジクロロメタンでトリチュレートして、標題化合物を白色固体として得た(55%)。
MS(ES)+m/e316[M+H]
【0181】
b)3−(6−ヒドロキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)ベンゼンスルホンアミド
3−[6−(メチルオキシ)−1,5−ナフチリジン−4−イル]ベンゼンスルホンアミド(0.98mmol)、6N塩酸(2mL)、および1,4−ジオキサン(2mL)の溶液を、100℃で66時間加熱した。反応物を減圧下で濃縮して、標題化合物の二HCl塩を白色固体として得た。この粗物質を次の工程に用いた。
MS(ES)+m/e302[M+H]
【0182】
c)8−[3−(アミノスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート
無水トリフルオロメタンスルホン酸(1.18mmol)を、3−(6−ヒドロキシ−1,5−ナフチリジン−4−イル)ベンゼンスルホンアミドビス−塩酸塩(0.98mmol)のピリジン(5mL)中溶液に、窒素雰囲気下室温にて加えた。反応物を2時間撹拌し、ついで、さらに無水トリフルオロメタンスルホン酸(0.4mL)を加えた。反応物をさらに1時間撹拌し、ついで、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル(20mL)および水(20mL)で処理した。有機層をブライン(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(Analogix IF280、10−90%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、標題生成物を黄色固体として得た(80%)。
MS(ES)+m/e434[M+H]
【0183】
d)5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3−ピリジンスルホンアミド
5−ブロモ−3−ピリジンスルホンアミド(6.33mmol)、ビス(ピナコレート)ジボラン(6.96mmol)、酢酸カリウム(18.99mmol)、およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.32mmol)の1,4−ジオキサン(15mL)中混合物に120℃で40分間マイクロ波を照射した。反応物をセライトにより濾過し、ジオキサンで洗浄し、濾液を減圧下で濃縮して、標題化合物を褐色固体として得た(定量的)。MS(ES)+m/e203[M+H](酸)。別法として、残渣を、ジクロロメタンでトリチュレートして精製して、淡褐色固体を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm8.76(s,2H),8.22(s,1H),7.45(brs,2H),1.13(s,12H)
【0184】
e)5−{8−[3−(アミノスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イル}−3−ピリジンスルホンアミド
8−[3−(アミノスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(0.37mmol)、5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3−ピリジンスルホンアミド(0.44mmol)、およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.019mmol)の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1mL)および1,4−ジオキサン(3mL)中混合物を、100℃で18時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、水(10mL)および酢酸エチル(20mL)で希釈した。有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をジクロロメタンでトリチュレートして、標題化合物を褐色固体として得た(37%)。
MS(ES)+m/e442[M+H]
【0185】
以下の化合物を、実施例6の化合物を調製するのに用いた一般法に従って調製した:
【表1】

【0186】
実施例12
2−アミノ−5−{8−[3−(アミノスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イル}−N,N−ジメチル−3−ピリジンスルホンアミド
【化25】

2−アミノ−5−ブロモ−N,N−ジメチル−3−ピリジンスルホンアミド(0.357mmol)、ビス(ピナコレート)ジボラン(0.425mmol)、酢酸カリウム(1.07mmol)、およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.0184mmol)の1,4−ジオキサン(3.0mL)中混合物に、120℃で30分間マイクロ波を照射した。反応混合物に、8−[3−(アミノスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(0.357mmol)および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1mL)を加えた。混合物に、120℃で1時間マイクロ波を照射した。沈殿を濾過し、ジクロロメタンおよび水で洗浄した。濾液層を分離し、有機層を減圧下で濃縮した。沈殿および残渣の両方を、逆相HPLC(5−70%アセトニトリル/0.1%NHOH含有水)で精製して、標題化合物を白色固体として得た(19%)。
MS(ES)+m/e485[M+H]
【0187】
以下の化合物を、実施例12の化合物を調製するのに用いた一般法に従って調製した:
【表2】

【0188】
実施例18
5−[8−(3−シアノフェニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド
【化26】

a)8−クロロ−1,5−ナフチリジン−2−オール
8−クロロ−2−(メチルオキシ)−1,5−ナフチリジン(12g、61.7mmol)のジオキサン中4MHCl(150mL)の混合物を、シールしたチューブ中で合し、100℃で20時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、ついで、減圧下で濃縮した。残渣を減圧オーブン(80℃)で一晩乾燥して、標題化合物の二HCl塩を得た。
MS(ES)+m/e181[M+H]。この粗生成物を直接次の工程に用いた。
【0189】
b)8−クロロ−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート
8−クロロ−1,5−ナフチリジン−2−オールビス−塩酸塩(15.64g、61.7mmol)および炭酸カリウム(29.8g、216mmol、無水顆粒)のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(250mL)中混合物に、窒素雰囲気下、室温にて、N−フェニルトリフルオロメタンスルホンイミド(23.14g、64.8mmol)を加えた。反応物を、室温にて3時間撹拌した。反応物を濾過して懸濁液から除去した。濾液を400mL水に注ぎ、生成物をエーテル(2×350mL)で抽出した。合した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(Analogix IF280、0−40%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、標題化合物を白色固体として得た(11.13g、58%)。
MS(ES)+m/e313[M]
【0190】
c)5−(8−クロロ−1,5−ナフチリジン−2−イル)−3−ピリジンスルホンアミド
8−クロロ−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(4.51mmol)、5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3−ピリジンスルホンアミド(4.51mmol)、およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.226mmol)の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(4mL)および1,4−ジオキサン(12mL)中混合物を、100℃で2時間加熱した。反応物を室温に冷却し、水(20mL)および酢酸エチル(130mL)で希釈した。ついで、混合物を濾過し、濾液層を分離した。有機層をブライン(20mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ジクロロメタン(3mL)から沈殿させ、標題化合物を桃色固体として得た(23%)。
MS(ES)+m/e321[M]
【0191】
d)5−[8−(3−シアノフェニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド
5−(8−クロロ−1,5−ナフチリジン−2−イル)−3−ピリジンスルホンアミド(0.37mmol)、(3−シアノフェニル)ボロン酸(0.41mmol)、およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.019mmol)の飽和炭酸カリウム水溶液(1mL)および1,4−ジオキサン(3mL)中の混合物に、120℃で45分間マイクロ波を照射した。反応物を室温に冷却し、水(10mL)および酢酸エチル(30mL)で希釈した。有機層をブライン(5mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をジクロロメタンでトリチュレートして、標題化合物を桃色固体として得た(37%)。
MS(ES)+m/e388[M+H]
【0192】
以下の化合物を、実施例18の化合物を調製するのに用いた一般法に従って調製した:
【表3】

【0193】
実施例26
N−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−[8−(2−フラニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド
【化27】

a)5−ブロモ−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−ピリジンスルホンアミド
2,4−ジフルオロアニリン(40.96mmol)の無水ピリジン(82mL)中桃色溶液に、窒素雰囲気下0℃で、5−ブロモピリジン−3−スルホニルクロライド塩酸塩(20.48mmol)を4分にわたって加えた。HClガスが発生した。橙色反応混合物を0℃で10分間撹拌し、ついで、室温に加温した。反応物を室温にて20分間撹拌し、ついで、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチル(200mL)中に溶解し、飽和炭酸ナトリウム水溶液(100mL)で希釈した。層を分離し、有機層をブライン(50mL)で洗浄した。合した水層を酢酸エチル(100mL)で洗浄した。合した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。固体を5mL酢酸エチルでトリチュレートして、標題化合物を象牙色固体として得た(59%)。
トリチュレーションにより得られた濾液を、シリカゲルクロマトグラフィー(Analogix IF280、0−40%酢酸エチル/ヘキサン)により精製した。所望のフラクションを減圧下で濃縮し、固体を酢酸エチルでトリチュレートして、第2のバッチの標題化合物を白色固体として得た(16%)。
MS(ES)+m/e348.8,350.9[M+H]
【0194】
b)N−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3−ピリジンスルホンアミド
シールした圧力チューブ中で、5−ブロモ−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−ピリジンスルホンアミド(5.73mmol)、ビス(ピナコレート)ジボラン(6.30mmol)、酢酸カリウム(17.18mmol)、およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.29mmol)の1,4−ジオキサン(29mL)中混合物を、100℃で5時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、ついで、セライトにより濾過した。セライトのパッドを、酢酸エチル(100mL)で洗浄し、濾液を減圧下で濃縮して、褐色固体を得た。褐色固体をCHClでトリチュレートして、標題生成物を白色固体として得た(84%)。
MS(ES)+m/e314.9[M+H](酸);H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm11.98(s,0.34H),10.41(s,0.65H),8.88(s,1H),8.85(d,J=2.53Hz,1H),8.21(t,J=1.89Hz,1H),7.10−7.25(m,2H),6.86−7.07(m,1H),1.32(s,12H)
【0195】
c)5−(8−クロロ−1,5−ナフチリジン−2−イル)−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−ピリジンスルホンアミド
シールした圧力チューブ中で、8−クロロ−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(2.62mmol)、N−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3−ピリジンスルホンアミド(2.62mmol)、およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.131mmol)の飽和NaHCO水溶液(3.3mL)および1,4−ジオキサン(9.8mL)中赤色懸濁を、100℃で30分間撹拌した。反応物を室温に冷却した。反応混合物を、20mL水および100mL酢酸エチルで、分液漏斗で希釈した。水層を20mL酢酸エチルで洗浄した。合した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、明褐色固体を得た。固体をジクロロメタンでトリチュレートして、標題化合物を白色固体として得た(74%)。
MS(ES)+m/e433.1[M]
【0196】
d)N−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−[8−(2−フラニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド
シールした圧力チューブ中で、5−(8−クロロ−1,5−ナフチリジン−2−イル)−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−ピリジンスルホンアミド(0.231mmol)、2−(トリブチルスタンニル)フラン(0.276mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.012mmol)の1,4−ジオキサン(1mL)中混合物を、100℃で18時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、反応混合物を減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(Analogix IF280、12gシリカ、10−100%EtOAc/ヘキサン)で精製して、標題生成物を黄色固体として得た(62%)。
MS(ES)+m/e465[M+H]
【0197】
以下の化合物を、実施例26の化合物を調製するのに用いた一般法に従って調製した。いくらかのアナログを、反応混合物から濾過し、沈殿を回収するか、または逆相HPLCまたはトリチュレーションにより精製することにより回収した。
【表4】

【0198】
実施例31
N−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−[8−(3−チエニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド
【化28】

オーブンで乾燥し、シールした圧力チューブ中で、5−(8−クロロ−1,5−ナフチリジン−2−イル)−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−ピリジンスルホンアミド(0.23mmol)、3−チオフェンボロン酸(0.35mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.0023mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(0.00924mmol)、および無類リン酸カリウム(0.46mmol)の無水n−ブタノール(0.46mL)中混合物を、100℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した。反応溶液を、シリカゲルの薄層パッドで溶出液として酢酸エチルを用いて濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(Analogix IF280、5−100%酢酸エチル/ヘキサン)、ついで、逆相HPLC(Gilson、MeCN/HO+0.1%NHOH)により精製して、標題化合物を白色固体として得た(3%)。
MS(ES)+m/e481[M+H]
【0199】
実施例32
N−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−[8−(4−メチル−1−ピペラジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジンスルホンアミド
【化29】

5−(8−クロロ−1,5−ナフチリジン−2−イル)−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−ピリジンスルホンアミド(0.277mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.011mmol)、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンタン(0.024mmol)、およびリン酸カリウム(0.444mmol)の1,4−ジオキサン(2.0mL)中混合物に、N−メチルピペラジン(0.416mmol)を加えた。反応混合物を、シールしたチューブ中で、100℃で21時間撹拌し、この時点で、さらにトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.0055mmol)、9,9−ジメチル−4,5−ビス(diフェニルホスフィノ)キサンタン(0.012mmol)、リン酸カリウム(0.222mmol)、およびN−メチルピペラジン(0.208mmol)を加えた。反応混合物を100℃で23時間撹拌し、冷却し、酢酸エチルで希釈した。反応混合物をセライトにより濾過し、酢酸エチルで洗浄し、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(100%酢酸エチル、ついで、0−10%メタノール/ジクロロメタン)により精製して、標題化合物を橙色固体として得た(51%)。
MS(ES)+m/e497[M+H]
【0200】
実施例33
N−{2−クロロ−5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド
【化30】

a)3−アミノ−5−ブロモ−2−クロロピリジン
5−ブロモ−2−クロロ−3−ニトロピリジン(84.2mmol)の濃HCl(90mL)中撹拌懸濁液に、SnCl・2HO(266mmol)を2時間にわたって加えた(反応混合物は非常に発熱した)。反応混合物を室温にて18時間撹拌し、氷に注ぎ、6NのNaOH(300mL)で塩基性化した。得られたスラリーを濾過し、水で洗浄し、減圧下で乾燥して、標題化合物を灰白色固体として得た(89%)。
MS(ES)m/e206.7(M+H)
【0201】
b)N−(5−ブロモ−2−クロロ−3−ピリジニル)ベンゼンスルホンアミド
3−アミノ−5−ブロモ−2−クロロピリジン(24mmol)のジクロロメタン(50mL)中撹拌溶液に、ピリジン(37mMmol)、ついで、ベンゼンスルホニルクロライド(35mmol)を5分にわたって加えた。反応混合物を室温にて18時間撹拌し、ついで、減圧下で蒸発させて乾燥した。残渣を、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(15%ヘキサン/ジクロロメタン、ついで、15%ヘキサン中0−5%酢酸エチル/ジクロロメタン)。溶媒を蒸発させ、生成物を沈殿させた。得られたスラリーをヘキサンで希釈し、濾過し、減圧下で乾燥して、標題化合物(34%)を白色固体として得た。30%の出発アミンを含有するさらなる生成物(2.6g)を得た。
MS(ES)m/e346.7(M+H)
【0202】
c)N−[2−クロロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3−ピリジニル]ベンゼンスルホンアミド
N−(5−ブロモ−2−クロロ−3−ピリジニル)ベンゼンスルホンアミド(1.27mmol)、ビス(ピナコレート)ジボラン(1.39mmol)、酢酸カリウム(3.80mmol)、およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.063mmol)の無水1,4−ジオキサン(3mL)中混合物を、100℃で66時間撹拌した。反応は完了しておらず、さらに100℃で28時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、セライトにより濾過し、濾過パッドを酢酸エチル(15mL)で洗浄し、ついで、濾液を減圧下で濃縮した。ジクロロメタン中の褐色残渣をトリチュレートして、50mgの灰白色固体を得、これは、LCMSによると、所望の生成物または出発物質ではなかった。トリチュレーションから得られた濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(Analogix IF280、10−60%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、標題化合物を白色固体として得た(71%)。
MS(ES)+m/e313.0[M+H](対応する酸);H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm1.31(s,12H),7.51−7.62(m,2H),7.66(d,J=1.26Hz,1H),7.69(d,J=8.34Hz,2H),7.85(d,J=1.77Hz,1H),8.37(d,J=1.77Hz,1H),10.38(s,1H)
【0203】
d)N−{2−クロロ−5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド
シールした圧力チューブで、N−[2−クロロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3−ピリジニル]ベンゼンスルホンアミド(0.225mmol)、8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(0.225mmol)、およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.011mmol)の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1mL)および1,4−ジオキサン(3mL)中混合物を、100℃で20分間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(100mL)および水(50mL)で希釈した。層を分離し、水層を酢酸エチル(2×25mL)で逆抽出した。合した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、褐色残渣を得た。ジクロロメタン(約1mL)を残渣に加え、得られた沈殿を、濾過により回収して、標題化合物を黄色固体として得た(25%)。
MS(ES)+m/e474[M]
【0204】
実施例34
N−(2−クロロ−5−{8−[3−(メチルスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イル}−3−ピリジニル)ベンゼンスルホンアミド
【化31】

a)2−(メチルオキシ)−8−[3−(メチルスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン
実施例6aを調製するのに用いた方法に従って、3−メチルスルホニルフェニルボロン酸を用い、シリカゲルクロマトグラフィー(5−70%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、標題化合物を淡黄色固体として得た(98%)。
MS(ES)+m/e315[M+H]
【0205】
b)8−[3−(メチルスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−オール
実施例6bを調製するのに用いた方法に従って、2−(メチルオキシ)−8−[3−(メチルスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジンを用いて、標題化合物の二HCl塩を灰白色固体として得た。
MS(ES)+m/e301[M+H]
【0206】
c)8−[3−(メチルスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート
実施例6cを調製するのに用いた方法に従って、8−[3−(メチルスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−オールビス−塩酸塩を用いて、標題化合物を灰白色固体として得た(51%)。
MS(ES)+m/e433[M+H]
【0207】
d)N−(2−クロロ−5−{8−[3−(メチルスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イル}−3−ピリジニル)ベンゼンスルホンアミド
8−[3−(メチルスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(0.28mmol)、N−[2−クロロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3−ピリジニル]ベンゼンスルホンアミド(0.28mmol)、およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.014mmol)の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1mL)および1,4−ジオキサン(3mL)中混合物を、100℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(100mL)および水(50mL)で希釈し、ついで、飽和塩化アンモニウム水溶液で中和(pH7)した。層を分液漏斗で分離し、水層を酢酸エチル(2×25mL)で逆抽出した。合した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、褐色固体を得た。ジクロロメタンでトリチュレートして、標題化合物を灰白色固体として得た(40%)。
MS(ES)+m/e551[M]
【0208】
以下の化合物を、実施例34の化合物を調製するのに用いた一般法に従って調製した:
【表5】

【0209】
実施例37
N−{5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド
【化32】

a)N−(5−ブロモ−3−ピリジニル)ベンゼンスルホンアミド
500mLの丸底フラスコで、5−ブロモ−3−ピリジンアミン(173mmol)、トリエチルアミン(381mmol)、およびジクロロメタン(150mL)を合した。反応混合物を0℃に冷却し、ベンゼンスルホニルクロライド(381mmol)をゆっくりと加えて、褐色溶液を得た。反応混合物を室温にて1時間撹拌し、77%のビス−スルホニル化生成物および17%の所望のモノ−スルホニル化生成物を得た。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をメタノールでトリチュレートし、固体を濾過して、白色固体を得た。
この固体を、1:1メタノール:6N水酸化ナトリウム水溶液中に懸濁し、室温にて3時間撹拌した。反応混合物をLCMSで分析すると、84%の所望のモノ−スルホニル化生成物が確認された。反応混合物を減圧下で濃縮し、6NのHClで中和した。形成した沈殿を濾過し、乾燥して、灰白色固体を得た。固体をメタノールでトリチュレートして、濾過し、乾燥して、透明な所望の生成物を灰白色固体として得た(99%収率)。
ESMS m/e315.0[M+H]
【0210】
b)N−[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3−ピリジニル]ベンゼンスルホンアミド
N−(5−ブロモ−3−ピリジニル)ベンゼンスルホンアミド(80mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−bi−1,3,2−ジオキサボロラン(96mmol)、PdCl−(dppf)・CHCl(3.19mmol)、および酢酸カリウム(319mmol)を、オーブンで乾燥したスターラーバーおよび還流コンデンサーを備えた500mLの丸底フラスコに窒素雰囲気下で加えた。1,4−ジオキサン(400mL)を加え、反応混合物を100℃で18時間撹拌した。LCMSにより反応混合物を分析すると、出発物質の変換が完了していることが確認された(LCMSにより89%ボロン酸)。反応混合物を室温に冷却し、ついで、減圧下で濃縮して、黒色残渣を得た。残渣を水(250mL)中に懸濁し、酢酸エチル(4×150mL)で抽出した。合した有機層を硫酸ナトリウムおよび脱色カーボンで乾燥し、セライトのパッドで濾過し、減圧下で濃縮して、橙色固体を得た。固体をジクロロメタンでトリチュレートし、吸引濾過で回収し、減圧下で乾燥して、白色固体を得た(61%収率)。
ESMS m/e:278.9(ボロン酸)[M+H]+
【0211】
c)N−{5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド
シールした圧力チューブで、N−[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3−ピリジニル]ベンゼンスルホンアミド(0.591mmol)、8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(0.563mmol)、およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.028mmol)の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1mL)および1,4−ジオキサン(3mL)中混合物を、100℃で30分間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(20mL)および水(10mL)で希釈し、3滴の6N塩酸で中和した。水層を酢酸エチル(10mL)で逆抽出した。合した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、灰白色固体を得た。ジクロロメタンでトリチュレートして、標題化合物を象牙色固体として得た(68%)。
MS(ES)+m/e440[M+H]
【0212】
実施例38
N−(5−{8−[3−(メチルスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イル}−3−ピリジニル)ベンゼンスルホンアミド
【化33】

シールした圧力チューブ中で、8−[3−(メチルスルホニル)フェニル]−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(0.23mmol)、N−[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3−ピリジニル]ベンゼンスルホンアミド(0.24mmol)、およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.012mmol)の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1mL)および1,4−ジオキサン(3mL)中混合物を、100℃で30分間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(20mL)および水(10mL)で希釈し、ついで、3滴の6NのHCl溶液で中和した。層を分液漏斗で分離し、水層を酢酸エチル(10mL)で逆抽出し、合した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、褐色固体を得た。ジクロロメタンでトリチュレートして、標題化合物を灰白色固体として得た(57%)。
MS(ES)+m/e517[M+H]
【0213】
以下の化合物を、実施例38の化合物を調製するのに用いた一般法に従って調製した:
【表6】

【0214】
実施例41
2,4−ジフルオロ−N−{5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド
【化34】

a)N−(5−ブロモ−3−ピリジニル)−2,4−ジフルオロベンゼンスルホンアミド
3−アミノ−5−ブロモピリジン(107.4mmol)の乾燥ピリジン(100mL)中の冷却(0℃)撹拌溶液に、2,4−ジフルオロベンゼンスルホニルクロライド(112.8mmol)を3分にわたって加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、減圧下で蒸発させて乾燥した。残渣を水(400mL)および酢酸エチル(400mL)で希釈した。有機層を水およびブラインで洗浄し、合した水層を酢酸エチル(100mL)で抽出した。合した抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を煮沸酢酸エチル(200mL)中に溶解し、ついで、冷凍庫に2日間置いた。2つのクロップの固体を、濾過により得、これを合し、煮沸35%酢酸エチル/ヘキサンでトリチュレートした。室温に冷却した後、沈殿を濾過により回収し、乾燥して一定の重量にして、27.2gのN−(5−ブロモ−3−ピリジニル)−2,4−ジフルオロベンゼンスルホンアミドを明橙色固体として得た。
MS(ES)m/e351.0(M+H)
【0215】
b)2,4−ジフルオロ−N−[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3−ピリジニル]ベンゼンスルホンアミド
オーブンで乾燥したシールしたチューブで、N−(5−ブロモ−3−ピリジニル)−2,4−ジフルオロベンゼンスルホンアミド(4.15mmol)、ビス(ピナコレート)ジボラン(4.57mmol)、酢酸カリウム(12.46mmol)、およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.208mmol)の無水1,4−ジオキサン(11mL)中混合物を100℃で22時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、ついで、セライトにより濾過した。セライトのパッドを酢酸エチル(15mL)で洗浄し、濾液を減圧下で濃縮して、褐色残渣を得た。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(Analogix IF280、50−100%酢酸エチル/ヘキサン、ついで、10%メタノール/酢酸エチル)により精製して、標題化合物を淡黄色固体として得た(58%)。
MS(ES)+m/e314.7[M+H](対応するボロン酸);H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm10.95(s,1H),8.45(dd,J=10.74,1.89Hz,2H),7.90(td,J=8.59,6.32Hz,1H),7.67−7.75(m,1H),7.50−7.64(m,1H),7.28(td,J=8.78,2.15Hz,1H),1.29(s,12H)
【0216】
c)2,4−ジフルオロ−N−{5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド
実施例37cの方法に従って、2,4−ジフルオロ−N−[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3−ピリジニル]ベンゼンスルホンアミドを用い、シリカゲルクロマトグラフィー(0−7%メタノール/酢酸エチル)により精製して、標題化合物を灰白色固体として得た。1滴のメタノールを加え、固体を減圧濾過で回収して、標題化合物を白色固体として得た(70%)。
MS(ES)+m/e476[M+H]
【0217】
実施例42
N−[5−(8−{4−[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}−1,5−ナフチリジン−2−イル)−3−ピリジニル]ベンゼンスルホンアミド
【化35】

a)N−[5−(8−クロロ−1,5−ナフチリジン−2−イル)−3−ピリジニル]ベンゼンスルホンアミド
8−クロロ−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(4.80mmol)、N−[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3−ピリジニル]ベンゼンスルホンアミド(4.80mmol)、およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.24mmol)の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(6ml)および1,4−ジオキサン(18ml)中懸濁液を、100℃で30分間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、水(40mL)および酢酸エチル(150mL)で希釈し、ついで、6滴の6NのHCl水溶液で中和した。新たに形成した沈殿を濾過し、濾液を分離した。水層を酢酸エチル(20mL)で逆抽出した。合した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮して橙色固体を得た。ジクロロメタンでトリチュレートして、標題化合物を淡黄色固体として得た(46%)。
MS(ES)+m/e397[M]
【0218】
b)N−[5−(8−{4−[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}−1,5−ナフチリジン−2−イル)−3−ピリジニル]ベンゼンスルホンアミド
N−[5−(8−クロロ−1,5−ナフチリジン−2−イル)−3−ピリジニル]ベンゼンスルホンアミド(0.302mmol)、4−((N,N−ジメチルアミノ)メチル)フェニルボロン酸塩酸塩(0.333mmol)、およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.015mmol)の飽和炭酸カリウム水溶液(1mL)および1,4−ジオキサン(3mL)中混合物を、100℃で4時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(20mL)および水(10mL)で希釈し、ついで、3滴の6NのHCl水溶液で中和した。水層を酢酸エチル(10mL)で逆抽出した。合した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。逆相HPLC(10−70%アセトニトリル/0.1%NHOH含有水)で精製して、標題化合物を黄色固体として得た(46%)。
MS(ES)+m/e496[M+H]
【0219】
以下の化合物を、実施例42の化合物を調製するのに用いた一般法に従って調製した:
【表7】

【0220】
実施例44
5−[8−(1−ベンゾフラン−2−イル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−ピリジンスルホンアミド
【化36】

a)8−(1−ベンゾフラン−2−イル)−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート
実施例34cの調製に用いた方法に従ってベンゾフラン−2−ボロン酸を用いて標題化合物を白色固体として得た(40%)。
MS(ES)+m/e395[M+H]
【0221】
b)5−[8−(1−ベンゾフラン−2−イル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−ピリジンスルホンアミド
8−(1−ベンゾフラン−2−イル)−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(0.24mmol)、N−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3−ピリジンスルホンアミド(0.25mmol)、およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.012mmol)の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(0.5mL)および1,4−ジオキサン(1.5mL)中混合物を、100℃で66時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、水(20mL)および酢酸エチル(100mL)で希釈し、層を分液漏斗で分離し、水層を酢酸エチル(2×50mL)で逆抽出した。合した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、暗黄色褐色固体を得た。ジクロロメタンでトリチュレートして、標題化合物を黄色固体として得た(77%)。
MS(ES)+m/e515[M+H]
【0222】
実施例45
N−{5−[8−(4−モルホリニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド
【化37】

N−[5−(8−クロロ−1,5−ナフチリジン−2−イル)−3−ピリジニル]ベンゼンスルホンアミド(0.378mmol)、モルホリン(0.756mmol)、およびトリエチルアミン(0.756mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中混合物を、65℃で12時間加熱した。反応混合物を、逆相HPLC(10−50%アセトニトリル/0.1%TFA含有水)で直接精製した。生成物フラクションを回収し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を酢酸エチルで抽出した。有機層を減圧下で濃縮し、ついで、メタノール、ジクロロメタン、およびエーテルから濃縮して、標題化合物を黄色固体として得た(45mg)。
MS(ES)+m/e448[M+H]
【0223】
実施例46
N−{5−[8−(4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド
【化38】

N−[5−(8−クロロ−1,5−ナフチリジン−2−イル)−3−ピリジニル]ベンゼンスルホンアミド(0.252mmol)、4−ピペリジノール(0.504mmol)、および炭酸ナトリウム(0.756mmol)の無水1,4−ジオキサン(3mL)中溶液を、85℃で72時間加熱した。反応混合物を、逆相HPLC(10−50%アセトニトリル/0.1%TFA含有水)により直接精製した。生成物フラクションを、酢酸エチルで洗浄し、水層を1N炭酸水素ナトリウム水溶液で、pH約6.5−7.5に中和し、10%メタノール/酢酸エチルで3回抽出した。合した有機層を減圧下で濃縮し、ついで、最終生成物を酢酸エチル/ヘキサンから沈殿させて単離し、ついで、濾過により回収して、標題化合物を黄色固体として得た(60mg)。
MS(ES)+m/e462[M+H]
【0224】
実施例47
N−{2−(メチルオキシ)−5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド
【化39】

a)5−ブロモ−2−メトキシ−3−ニトロピリジン
5−ブロモ−2−クロロ−3−ニトロピリジン(86mmol)のメタノール(75mL)中撹拌溶液に、0℃で、25wt%ナトリウムメトキシドのメタノール(87mmol)およびメタノール(20mL)中溶液を、10分にわたって滴下した。0℃で1時間撹拌した後、室温に加温し、18時間撹拌した。反応物を減圧下で濃縮して約半分の容量にし、ついで、氷水(約500mL)に注いだ。得られた沈殿を濾過し、冷水で洗浄し、減圧下で乾燥して、標題生成物(98%)を淡黄色固体として得た。
MS(ES)+m/e233.2[M+H]
【0225】
b)3−アミノ−5−ブロモ−2−メトキシピリジン
5−ブロモ−2−メトキシ−3−ニトロピリジン(82mmol)の酢酸エチル(300mL)中溶液に、塩化スズ(II)二水和物(328mmol)を加えた。反応物を撹拌し、3時間還流した(最初に発熱し、約10分後に収まり、加熱浴を一時的に除去した)。室温に冷却した後、反応混合物を減圧下で濃縮して、淡黄色スラリーを得た。スラリーを、6N水酸化ナトリウム水溶液(300mL)、氷(300mL)、およびジクロロメタン(300mL)に注ぎ、ほぼ溶解するまで2時間撹拌した。少量の不溶性物質を濾過し、有機相を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、褐色油を得た。ヘキサンでトリチュレートし、濾過し、減圧下で濃縮して、標題生成物(81%)を淡緑色固体として得た。
MS(ES)+m/e202.8[M+H]
【0226】
c)N−[5−ブロモ−2−(メチルオキシ)−3−ピリジニル]ベンゼンスルホンアミド
3−アミノ−5−ブロモ−2−メトキシピリジン(24.63mmol)およびピリジン(161mmol)のジクロロメタン(40mL)中撹拌溶液に、ベンゼンスルホニルクロライド(35.1mmol)を加えた。反応混合物を室温にて18時間撹拌し、ついで、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(85−90%ジクロロメタン/ヘキサン)、ついで、生成物をヘキサンでトリチュレートして精製し、濾過し、減圧下で濃縮して、標題生成物(64%)を白色固体として得た。
MS(ES)+m/e342.8[M+H]
【0227】
d)N−{2−(メチルオキシ)−5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジニル}ベンゼンスルホンアミド
N−[5−ブロモ−2−(メチルオキシ)−3−ピリジニル]ベンゼンスルホンアミド(0.874mmol)、ビス(ピナコレート)ジボラン(0.918mmol)、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(0.044mmol)、および酢酸カリウム(2.62mmol)の無水1,4−ジオキサン(8mL)中溶液を、100℃で3時間撹拌した。反応混合物を冷却し、8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イルトリフルオロメタンスルホネート(0.918mmol)および炭酸水素ナトリウム(2.62mmol)を加え、得られた混合物を100℃で1時間加熱した。反応混合物をセライトおよび硫酸ナトリウムを通して濾過し、シリカゲルカートリッジに直接置いた。残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(10−100%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、所望の生成物を油性フィルムとして得た。物質を酢酸エチルに溶解し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を減圧下で濃縮し、ついで、ジクロロメタン/ヘキサン(3/1)でトリチュレートし、濾過した。固体をヘキサンで洗浄し、乾燥し、標題化合物を象牙色固体として得た(125mg)。
MS(ES)+m/e470[M+H]
【0228】
実施例48
N−{2−(メチルオキシ)−5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジニル}シクロプロパンスルホンアミド
【化40】

a)N−[5−ブロモ−2−(メチルオキシ)−3−ピリジニル]シクロプロパンスルホンアミド
5−ブロモ−2−(メチルオキシ)−3−ピリジンアミン(8.13mmol)の無水ピリジン(20mL)中溶液を、ニートのシクロプロパンスルホニルクロライド(9.75mmol)で処理し、ついで、室温にて20時間撹拌した。得られたスラリーを減圧下で濃縮して、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(30%ヘキサン/ジクロロメタン)により精製した。合した所望のフラクションを減圧下で濃縮して、標題化合物(60%)を象牙色固体として得た。
MS(ES)+m/e306.9,309.0[M+H]
【0229】
b)N−{2−(メチルオキシ)−5−[8−(4−ピリジニル)−1,5−ナフチリジン−2−イル]−3−ピリジニル}シクロプロパンスルホンアミド
実施例47dを調製するのに用いた方法に従って、N−[5−ブロモ−2−(メチルオキシ)−3−ピリジニル]シクロプロパンスルホンアミドを用いて、標題化合物を黄色固体として得た。この固体を酢酸エチル/メタノール(3/1)でトリチュレートし、濾過した。固体をヘキサンで洗浄し、減圧下で乾燥して、標題化合物を黄褐色固体として得た(85mg)。
MS(ES)+m/e434[M+H]
【0230】
例示的カプセル組成物
本発明を投与するための経口投与形態は、標準的な2ピースハードゼラチンカプセルに下記の表Iに示される割合の成分を充填することによって製造される。
【0231】
【表8】

【0232】
例示的注射可能な非経口組成物
本発明を投与するための注射可能な形態は、1.5重量%の実施例1の化合物を水中における10容量%のプロピレングリコール中で攪拌することによって製造される。
【0233】
例示的錠剤組成物
下記の表IIに示されるようなシュークロース、硫酸カルシウム二水和物およびPI3K阻害剤を示される割合で、10%ゼラチン溶液と共に、混合および造粒する。湿った顆粒をスクリーンし、乾燥させ、デンプン、タルクおよびステアリン酸と混合し、スクリーンし、打錠する。
【0234】
【表9】

【0235】
本発明の好ましい具体例を上記に例示するが、本発明は、本明細書中に開示される正確な指示に限定されることなく、添付の請求の範囲の範囲内にある全ての修飾に対する権利が保障されると理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、R2は、置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール環であり;
R1は、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、水素、C3−C7シクロアルキル、置換C3−C7シクロアルキル、アミノ、置換アミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、アルコキシ、C1−6アルキルおよび置換C1−6アルキルからなる群から選択され;
R3およびR4は、水素、ハロゲン、アシル、アミノ、置換アミノ、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、置換C3−7シクロアルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル、置換C3−7ヘテロシクロアルキル、アルキルカルボキシ、アリールアミノ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールシクロアルキル、置換アリールシクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、ニトロ、アシルオキシおよびアリールオキシからなる群から各々独立して選択され;
mおよびnは、1および2から選択される整数である]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
R2が、置換されていてもよい式(II)、(III)、(IV)および(V):
【化2】

からなる群から選択される環系であり;
R1が、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群から選択され;
R3およびR4が、水素、ハロゲン、アシル、アミノ、置換アミノ、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、置換C3−7シクロアルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル、置換C3−7ヘテロシクロアルキル、アルキルカルボキシ、アリールアミノ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、アリールシクロアルキル、置換アリールシクロアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、ニトロ、アシルオキシおよびアリールオキシから各々独立して選択され;
mおよびnが、1および2から選択される整数であり;
XがCまたはNであり;YがC、O、NまたはSである:
ただし、式(V)の少なくとも1つのYは炭素以外である、
請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項3】
R2が、式(V)および(III)から選択される置換されていてもよい環系である、請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項4】
R2が置換されていてもよい式(III)である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
R3およびR4が水素である、請求項1〜4いずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
式:
【化3】

[式中、R1は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アミノ、置換アミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、アルコキシ、C1−6アルキルおよび置換C1−6アルキルからなる群から選択され;
R3およびR4は、水素、ハロゲン、アシル、アミノ、置換アミノ、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、置換C3−7シクロアルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル、置換C3−7ヘテロシクロアルキル、シアノ、ヒドロキシルおよびアルコキシから各々独立して選択され;
R5は、水素、ハロゲン、アシル、アミノ、置換アミノ、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、C3−7シクロアルキル、置換C3−7シクロアルキル、C3−7ヘテロシクロアルキル、置換C3−7ヘテロシクロアルキル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、ニトロから各々独立して選択され;
nは0〜2であり、mは0〜2であり;
R6は、−SONR80R85または−NR85SOR80であり、ここに、R85は、水素、C1−3アルキル、置換C1−3アルキルおよびシクロプロピルから選択され;R80は、C1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、C3−C7ヘテロシクロアルキル、置換C1−C6アルキル、置換C3−C7シクロアルキル、置換C3−C7ヘテロシクロアルキル;5員環と縮合していてもよく、またはC1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、ハロゲン、アミノ、置換アミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、オキソまたは−(CHCOOHからなる群から選択される1〜5個の置換基により置換されていてもよいアリール、または5員環と縮合していてもよく、またはC1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、ハロゲン、アミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、オキソ、または−(CHCOOH(ここに、nは1〜2である)からなる群から選択される1〜5個の基で置換されているヘテロアリールからなる群から選択される]
で示される、請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項7】
式:
【化4】

[式中:
R1は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アミノ、置換アミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノアルコキシ、C1−6アルキルおよび置換C1−6アルキルからなる群から選択され;
R5は、水素、ハロゲン、アシル、アミノ、置換アミノ、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシから各々独立して選択され;
mは0〜1であり;
R6は−SONR80R85であり、ここに、R85は、水素、C1−3アルキル、置換C1−3アルキルおよびシクロプロピルから選択され;R80は、C1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、C3−C7ヘテロシクロアルキル、置換C1−C6アルキル、置換C3−C7シクロアルキル、置換C3−C7ヘテロシクロアルキル;5員環と縮合していてもよく、またはC1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、ハロゲン、アミノ、置換アミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、オキソまたは−(CHCOOHからなる群から選択される1〜5個の基により置換されていてもよいアリール;または5員環と縮合していてもよく、またはC1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、ハロゲン、アミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、オキソ、または−(CHCOOH(nは0〜2である)からなる群から選択される1〜5個の基により置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択される]
で示される、請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項8】
式:
【化5】

[式中:
R1は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、アミノ、置換アミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノアルコキシ、C1−6アルキルおよび置換C1−6アルキルからなる群から選択され;
R5は、水素、ハロゲン、アシル、アミノ、置換アミノ、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシから各々独立して選択され;
mは0〜1であり;
R6は−NR85SOR80であり、ここに、R85は、水素、C1−3アルキル、置換C1−3アルキルおよびシクロプロピルから選択され;R80は、C1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、C3−C7ヘテロシクロアルキル、置換C1−C6アルキル、置換C3−C7シクロアルキル、置換C3−C7ヘテロシクロアルキル5員環と縮合していてもよく、またはC1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、ハロゲン、アミノ、置換アミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、オキソまたは−(CHCOOHからなる群から選択される1〜5個の基により置換されていてもよいアリール;または5員環と縮合していてもよく、またはC1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル、ハロゲン、アミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシル、アルコキシ、オキソ、または−(CHCOOH(nは0〜2である)からなる群から選択される1〜5個の置換基により置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択される]
で示される、請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項9】
R1が、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され;
R5が、水素、ハロゲン、アミノ、置換アミノ、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、アルコキシから各々独立して選択され;
mが0〜1であり;
R6が−SONR80R85であり、ここに、R85は水素であり;R80は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールからなる群から選択される、請求項7記載の化合物。
【請求項10】
R1が、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され;
R5が、水素、ハロゲン、アミノ、置換アミノ、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、アルコキシから各々独立して選択され;
mが0〜1であり;
R6が−SONR80R85であり、ここに、R85は水素であり;R80は、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールからなる群から選択される、請求項7記載の化合物。
【請求項11】
請求項1〜10いずれか一項記載の化合物および医薬上許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項12】
治療上有効量の請求項1記載の式(I)で示される化合物および/またはその医薬上許容される塩を必要とするヒトに投与することを特徴とする、ヒトにおいて1以上のホスファトイノシチド3−キナーゼ(PI3Ks)を阻害する方法。
【請求項13】
治療上有効量の請求項1記載の化合物をヒトに投与することを特徴とする、ヒトにおける自己免疫障害、炎症疾患、心血管疾患、神経変性疾患、アレルギー、喘息、膵炎、多臓器機能不全、腎疾患、血小板凝集、癌、精子運動、移植拒絶、移植片拒絶および肺傷害からなる群から選択される1以上の病態を治療する方法。
【請求項14】
請求項1記載の化合物および/またはその医薬上許容される塩、および抗微小管剤、白金配位錯体、アルキル化剤、抗生物質剤、トポイソメラーゼII阻害剤、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼI阻害剤、ホルモンおよびホルモン類似物、シグナル変換経路阻害剤、非受容体型チロシンキナーゼ血管新生阻害剤、免疫治療剤、プロアポトーシス剤、および細胞周期シグナル伝達阻害剤からなる群から選択される1つなどの少なくとも1つの抗新生物剤の共投与を特徴とする癌の治療方法。
【請求項15】
病態が多発性硬化症、乾癬、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、肺炎症、血栓症、脳感染/炎症、髄膜炎および脳炎からなる群から選択される請求項13記載の方法。
【請求項16】
病態がアルツハイマー病、ハンチントン病、CNS外傷、卒中、および虚血状態からなる群から選択される請求項13記載の方法。
【請求項17】
病態がアテローム性動脈硬化症、心肥大、心筋細胞機能不全、血圧上昇および血管収縮からなる群から選択される請求項13記載の方法。
【請求項18】
病態が慢性閉塞性肺疾患、アナフィラキシーショック、繊維症、乾癬、アレルギー疾患、喘息、卒中、虚血再潅流、血小板凝集/活性化、骨格筋萎縮/肥大、癌組織における白血球動員、血管形成、浸潤転移、メラノーマ、カポジ肉腫、急性および慢性細菌およびウイルス感染、敗血症、移植拒絶、移植片拒絶、糸球体硬化症、糸球体腎炎、進行性腎線維症、肺における内皮および上皮傷害、および肺気道炎症からなる群から選択される請求項13記載の方法。
【請求項19】
病態が癌である、請求項13記載の方法。
【請求項20】
癌が、脳腫瘍(グリオーマ)、膠芽細胞腫、白血病、バナヤン−ゾナナ症候群、カウデン病、レーミッテ・ダクロス病、乳癌、炎症性乳癌、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、上衣腫、髄芽腫、結腸癌、頭頸部癌、腎臓、肺癌、肝臓、メラノーマ、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、骨肉腫、骨巨細胞腫、甲状腺癌からなる群から選択される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
病態が、卵巣癌、膵臓癌、乳癌、前立腺癌および白血病から選択される、請求項19記載の方法。
【請求項22】
PI3キナーゼがPI3αである請求項12記載の方法。
【請求項23】
PI3キナーゼがPI3γである請求項12記載の方法。
【請求項24】
PI3キナーゼがPI3δである請求項12記載の方法。
【請求項25】
請求項1記載の化合物および/またはその医薬上許容される塩を、医薬組成物で投与する、請求項12記載の方法。

【公表番号】特表2010−529031(P2010−529031A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510476(P2010−510476)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/065021
【国際公開番号】WO2008/150827
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(591002957)グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (341)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
【Fターム(参考)】