説明

PI3K阻害剤とMEK阻害剤の併用

本発明は、ここに記載されたホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3−キナーゼ又はPI3K)の阻害剤とマイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ(MEK)の阻害剤の併用で局所進行又は転移性の固形腫瘍の患者を治療する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、ここに記載されたホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3−キナーゼ又はPI3K)の阻害剤とマイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ(MEK)の阻害剤の併用で局所進行又は転移性固形腫瘍の患者を治療する方法に関する。
【0002】
マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)シグナル伝達カスケードは、腫瘍細胞内において複数の増殖性及び分化シグナルを伝達する。4種のMAPK経路が同定されている:細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)、c−Jun NH末端キナーゼ(JNK)、p38キナーゼ、及びERK5である(Johnson及びLapadat, Science 2002;298(5600):1911-2)。異なった細胞外シグナルがこれらの経路の一又は複数を刺激しうる。
【0003】
RAS/RAF/MAPK/ERK経路は数多くの細胞外シグナルに応答しての細胞増殖及び分化の媒介に主要な役割を担っている。Ras−GTPはRafキナーゼを活性化し、これがついでMEK/ERK経路を活性化し、細胞分化を駆動する(Downward, Nat Rev Cancer. 2003;3(1):11-22)。細胞増殖を調節するためには、活性化ERKsが核に転位置し、数種の重要な転写因子の活性化を通じて遺伝子発現を調節する。RAS/RAF/MEK/ERK経路の異常な調節は、未制御の増殖、浸潤、転移、血管新生、及び減弱したアポトーシスに寄与する。
【0004】
MEKの阻害剤は、RAS/RAF/MEK/ERKシグナル伝達経路からの増殖性シグナルに高度に依存性である腫瘍において最も効果があると予想される。EGFRの変異及び/又は過剰発現並びにKRAS、NRAS、及びBRAF癌遺伝子の変異は多くの癌においてこの経路を活性化する。RASは、全ての固形腫瘍のおよそ30%において変異している(Wellcome Trust Sanger Institute, COSMIC database)。癌遺伝子KRAS変異は膵腺癌(90%)、結腸直腸腺癌(30%−50%)及び非小細胞肺癌(30%)に高頻度で見出されている(Johnson等, Nature 2001;410:1111-1116)。B−RAF癌遺伝子における活性化体細胞変異(例えばB−RAFV600E)が多くの悪性腫瘍で同定され、悪性メラノーマ(60%−80%)、乳頭状甲状腺癌(35%−70%)、結腸直腸癌(約10%)、及び子宮内膜癌(10%−20%)において最も高い頻度で同定されている。B−RAFV600Eによって形質転換された癌細胞は例外的にMEK阻害に感受性である。従って、MEK阻害剤はB−RAFV600E変異を有するメラノーマ及び他の腫瘍において特に臨床的有用性を有している場合がある(Solit, Nature 2006; 441:424-30)。
【0005】
ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)シグナル伝達経路は、例えばヒト上皮増殖因子−2(HER2)、上皮増殖因子レセプター(EGFR)、及びインスリン様増殖因子−1レセプターのような、細胞増殖を刺激し、生存を促進し、アポトーシスを阻害するレセプターチロシンキナーゼの主要な下流エフェクターである。この中枢シグナル伝達経路の異常な調節は、非常に多くの癌タイプにおいて同定されており、様々な機序を通して生じている。該経路は多くの腫瘍タイプにおいて腫瘍抑制因子ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)、つまりPI3Kのキナーゼ活性に対抗するホスファターゼの消失によって構成的に活性化される(Li等, Science 1997;275:1943-7;Steck等, Nat Genet 1997;15:356-62)。PI3Kの下流の標的であるAKTは幾つかの腫瘍タイプにおいて過剰発現され(Staal, Proc Nat Acad Sci USA 1987;84(14):5034-7;Cheng等, Proc Nat Acad Sci USA 1992;89(19):9267-71;Bella-cosa等, Int J Cancer 1995;64(4):280-5)、癌化することが示されている(Aoki等, Proc Nat Acad Sci USA 1998;95(25):14950-5)。クラスIA PI3Kファミリーに属するPI3K−αの活性化変異は多くの異なった腫瘍タイプにおいて観察されている(Bachman等, Cancer Biol Ther 2004;3:772-5;Samuels等, Science 2004;304:554)。
【0006】
これらの活性化変異はPI3K阻害剤によって抑止される効果である癌細胞における増殖及び浸潤を促進することが示されている。併せると、これらのヒト癌の治療法策としてのPI3K経路シグナル伝達の阻害剤を開発する強い理論的根拠を提供する。
【0007】
多くの癌(例えばメラノーマ、結腸直腸、膵臓、卵巣、NSCLC、及び甲状腺癌)ではRAS及びPI3K双方の経路を活性化させる癌遺伝子変異の頻度が高く、オーバーラップする。更に、腫瘍細胞では、一つの活性化された経路の阻害が他の活性化を生じうる;従って、RAS及びPI3K双方の経路の阻害は新しい抗癌方策を表す。よって、MEK及びPI3K阻害の組み合わせは癌の治療に対する刺激的なアプローチ法である。
【0008】
本発明は、ここに記載されたMEK阻害剤と組み合わせて、その双方がPI3Kを阻害するGDC−0941としてもも知られている4-(2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-((4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル)メチル)チエノ[3,2-d]-ピリミジン-4-イル)モルホリン(I)、又は(S)-1-(4-((2-(2-アミノピリミジン-5-イル)-7-メチル-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-2-ヒドロキシ-プロパン-1-オン(II)(米国特許出願公開第2008/0076768号;国際公開第2006/046031号)を用いて局所進行又は転移性固形腫瘍の患者を治療する方法に関する。本発明は更にI又はIIとMEK阻害剤の併用療法に関し、ここで、該阻害剤はGDC−0973/XL−518(III)としても知られている[3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨード-フェニルアミノ)-フェニル]-((S)-3-ヒドロキシ-3-ピペリジン-2-イル-アゼチジン-1-イル)-メタノンである。
【0009】
本発明はI又はII及びIIIでの併用療法を実施するのに有用な併用療法及び投薬レジメンにおいて使用することができるI又はII及びIIIの投薬量に更に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】GDC−0941及びGDC−0973で観察されるインビトロ相乗作用を示している。メラノーマ及びNSCLC細胞株のパネルにおけるGDC−0941及びGDC−0973の併用指数(CI)がプロットされた。各ドットは単一の細胞株を表している。Chou及びTalalay (1984)(Adv. Enz. Regul. 1984 22:27-55)法によれば、<0.3の併用指数は強い相乗作用を示し、<0.7の併用指数は相乗作用を示す。
【図2】NCI−H2122(NSCLC、K−RasG12C)変異異種移植モデルにおけるGDC−0973及びGDC−0941の併用を示す。NCI−H2122細胞(ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)+マトリゲル中に10×10)をヌードマウス(nu/nu)に接種し、〜240mmの平均体積まで腫瘍を樹立させた。ついで、ビヒクル(白抜き円、細かい破線、n=10)、GDC−0941(50mg/kg、QD、PO;半分塗りつぶしたボックス、破線、n=5)、GDC−973(5mg/kg、QD、PO;塗りつぶした三角、大きな破線、n=5)、又はGDC−0941及びGDC−0973の併用(塗りつぶした菱形、実線、n=5)を投与して治療を開始した。動物の腫瘍のノギス測定及び動物の体重を試験中にわたって3−4日毎に取り、腫瘍体積を計算し(TV=[L×(W)]/2)、プロット+/−SEMした。腫瘍成長阻害パーセントはビヒクルコントロールに対する各治療群の曲線下面積(AUC)を計算することによって計算した。スチューデントt検定を21日のデータについて実施し、p値により有意性を決定した。
【図3】A2058(メラノーマ、B−RafV600E、PTENnull)変異異種移植モデルにおけるGDC−0973及びGDC−0941の併用を示す。A2058細胞(ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)+マトリゲル中に10×10)をヌードマウス(nu/nu)に接種し、〜190mmの平均体積まで腫瘍を樹立した。(A)ついで、ビヒクル(白抜き円、細かい破線、n=7)、GDC−0941(30mg/kg、QD、PO;半分塗りつぶしたボックス、破線、n=7)、GDC−973(6mg/kg、QD、PO;塗りつぶした三角、大きな破線、n=7)、又はGDC−0941及びGDC−0973の併用(塗りつぶした菱形、実線、n=7)を投与して治療を開始した。(B)ついで、ビヒクル(白抜き円、細かい破線、n=7)、GDC−0941(100mg/kg、QD、PO;半分塗りつぶしたボックス、破線、n=7)、GDC−973(10mg/kg、QD、PO;塗りつぶした三角、大きな破線、n=7)、又はGDC−0941及びGDC−0973の併用(塗りつぶした菱形、実線、n=7)を投与して治療を開始した。動物の腫瘍のノギス測定及び動物の体重を試験中にわたって3−4日毎に取り、腫瘍体積を計算し(TV=[L×(W)]/2)、プロット+/−SEMした。腫瘍成長阻害パーセントはビヒクルコントロールに対する各治療群の曲線下面積(AUC)を計算することによって計算した。スチューデントt検定を21日のデータについて実施し、p値により有意性を決定した。
【図4】(A)FaDu(下咽頭扁平細胞癌)異種移植モデルにおけるGDC−0941及びGDC−0973の併用を示す。(A)ついで、ビヒクル(白抜き円))、GDC−0941(100mg/kg、QD、PO;塗りつぶした三角)、GDC−973(5mg/kg、QD、PO;塗りつぶした四角)、又はGDC−0941及びGDC−0973の併用(塗りつぶした菱形、実線、n=7)を投与して治療を開始した。(B)SKOV−4(卵巣)異種移植モデル。ついで、ビヒクル(白抜き円)、GDC−0941(100mg/kg、QD、PO;塗りつぶした三角)、GDC−0973(10mg/kg、QD、PO;塗りつぶした四角)、又はGDC−0941及びGDC−0973の併用(塗りつぶした菱形)を投与して治療を開始した。動物の腫瘍のノギス測定及び動物の体重を試験中にわたって3−4日毎に取り、腫瘍体積を計算し(TV=[L×(W)]/2)、プロット+/−SEMした。腫瘍成長阻害パーセントはビヒクルコントロールに対する各治療群の曲線下面積(AUC)を計算することによって計算した。スチューデントt検定を21日のデータについて実施し、p値により有意性を決定した。
【図5】(A)MOLM−16(急性骨髄性白血病)異種移植モデルにおけるGDC−0941及びGDC−0973の併用を示す。##A2058細胞(ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)+マトリゲル中に10×10)をヌードマウス(nu/nu)に接種し、〜190mmの平均体積まで腫瘍を樹立した。(A)ついで、ビヒクル(白抜き円))、GDC−0941(100mg/kg、QD、PO;塗りつぶした三角)、GDC−973(10mg/kg、QD、PO;塗りつぶした四角)、又はGDC−0941及びGDC−0973の併用(塗りつぶした菱形、実線、n=7)を投与して治療を開始した。(B)MX−1(トリプル陰性乳癌)異種移植モデル。ついで、ビヒクル(白抜き円)、GDC−0941(100mg/kg、QD、PO;塗りつぶした三角)、GDC−0973(5mg/kg、QD、PO;塗りつぶした四角)、又はGDC−0941及びGDC−0973の併用(塗りつぶした菱形)を投与して治療を開始した。動物の腫瘍のノギス測定及び動物の体重を試験中にわたって3−4日毎に取り、腫瘍体積を計算し(TV=[L×(W)]/2)、プロット+/−SEMした。腫瘍成長阻害パーセントはビヒクルコントロールに対する各治療群の曲線下面積(AUC)を計算することによって計算した。スチューデントt検定を21日のデータについて実施し、p値により有意性を決定した。
【図6】GDC−0973及びGDC−0941の併用に対する投薬スキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、その例が付随する構造及び式に例証される本発明の所定の実施態様が詳細に参照される。本発明は、列挙する実施態様について記載されるが、それらの実施態様は、本発明を限定することを意図するものではないことが理解される。反対に、本発明は、本発明の範囲に含まれうる全ての代替例、変形例及び均等物を包含するものである。当業者であれば、本発明の実施に使用されうるここに記載のものに類似し又は均等な多くの方法及び材料を認識するであろう。本発明は、記載された方法及び材料には決して限定されない。援用された文献、特許、及び類似の資料の一又は複数が、限定しないが、定義された用語、用語の使用法、記載された技術等を含み、この出願と異なるか又はこの出願に矛盾する場合は、この出願が優先する。
【0012】
この明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、「含有する」、「含有してなる」、「含む」及び「含んでなる」という語は、述べられた特徴、整数、成分、又は工程の存在を特定することを意図し、一又は複数の他の特徴、整数、成分、工程、又はその群の存在又は付加を排除するものではない。
【0013】
「治療する」及び「治療」なる用語は、治癒的処置と、目的が例えば癌の増殖、発症又は広がりのような望まれない生理学的変化又は疾患を防止し又は遅延させる(少なくする)ことである予防的又は防止的手段の双方を意味する。治療を必要とする者は、既に疾患を持つ者並びに疾患になりやすい者又は疾患が防止されるべき者を含む。この発明の目的では、有益な又は所望の臨床結果は、限定するものではないが、検出可能であれ検出不可能であれ、徴候の軽減、疾患の程度の低減、疾患の安定化(つまり悪化しない)状態、疾患進行の遅延又は緩徐化、疾患状態の回復又は緩和、及び寛解(部分的であろうと完全であろうと)を含む。「治療する」及び「治療」は、治療を受けない場合に予想される生存率と比較して生存を延長することをまた意味しうる。治療を必要とする者は、既に症状又は疾患を持つ者並びに症状又は疾患になりやすい者又は症状又は疾患が防止されるべき者を含む。
【0014】
「局所進行又は転移性固形腫瘍」なる用語は、メラノーマ、非小細胞肺癌(「NSCLC」)、結腸直腸癌、膵臓癌、乳癌及び卵巣癌を含む。
【0015】
「代謝産物」は、特定の化合物又はその塩の体内で代謝を通して生産される産物である。化合物の代謝産物は、当該技術分野で知られた常套的な技術を使用して同定することができ、その活性はここに記載されたもののような試験を使用して決定される。かかる産物は、例えば投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド、エステル化、エステル分解、酵素切断等々から生じうる。従って、本発明は、この発明の化合物をその代謝産物を生じせしめるのに十分な時間の間、哺乳動物と接触させることを含む方法によって生産される化合物を含む本発明の化合物の代謝産物を含む。
【0016】
ここで使用される「薬学的に許容可能な塩」なる語句は、本発明の化合物の薬学的に許容可能な有機又は無機塩を意味する。例示的な塩には、限定されるものではないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸ホスフェート、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸シトレート、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシレート」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(つまり、1,1’-メチレン-ビス(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))塩が含まれる。薬学的に許容可能な塩は、アセテートイオン、スクシネートイオン又は他の対イオンのような他の分子を含みうる。対イオンは親化合物上の電荷を安定化する任意の有機又は無機部分でありうる。更に、薬学的に許容可能な塩は、その構造中に一を越える荷電原子を有しうる。複数の荷電原子が薬学的に許容可能な塩の一部である場合は、複数の対イオンを有しうる。よって、薬学的に許容可能な塩は一又は複数の荷電原子及び/又は一又は複数の対イオンを有しうる。
【0017】
本発明の化合物が塩基である場合、所望の薬学的に許容可能な塩は、当該技術分野で利用できる任意の適切な方法、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、リン酸等のような無機酸で、又は例えば酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、例えばグルクロン酸又はガラクツロン酸、αヒドロキシ酸、例えばクエン酸又は酒石酸、アミノ酸、例えばアスパラギン酸又はグルタミン酸、芳香族酸、例えば安息香酸又はケイ皮酸、スルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸又はエタンスルホン酸等のような有機酸での遊離塩基の処理によって調製することができる。塩基性の薬学的化合物から薬学的に有用な又は許容可能な塩を形成するのに適していると一般に考えられる酸は、例えば、Stahl等, Camille(編) Handbook of Pharmaceutical Salts. Properties, Selection and Use. (2002) Zurich: Wiley-VCH;S. Berge等, Journal of Pharmaceutical Sciences (1977) 66(1) 1 19;Gould, International J. of Pharmaceutics (1986) 33 201 217;Anderson等, The Practice of Medicinal Chemistry (1996), Academic Press, New York; Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18版, (1995) Mack Publishing Co., Easton PA;及びThe Orange Book (Food & Drug Administration, Washington, D.C.のウェブサイト)に記載されている。
【0018】
本発明の化合物が酸である場合、所望の薬学的に許容可能な塩は、任意の適切な方法、例えば無機又は有機塩基、例えばアミン(第1級、第2級又は第3級)、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物等での遊離酸の処理によって調製することができる。適切な塩の例証する例は、限定されないが、アミノ酸、例えばグリシン及びアルギニン、アンモニア、第1級、第2級、及び第3級アミン、及び環状アミン、例えばピペリジン、モルホリン及びピペラジンから誘導される有機塩、及びナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム及びリチウムから誘導される無機塩を含む。
【0019】
「薬学的に許容可能な」なる語句は、物質又は組成物が、製剤を構成する他の成分、及び/又はそれで治療されている哺乳動物と、化学的に及び/又は毒物学的に適合性がなければならないことを示している。
【0020】
「溶媒和物」は一又は複数の溶媒分子と本発明の化合物の物理的結合体又は複合体を意味する。本発明の化合物は未溶媒和並びに溶媒和形態で存在しうる。溶媒和物を形成する溶媒の例に、限定されないが、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、及びエタノールアミンを含む。「水和物」なる用語は、溶媒分子が水である複合体を意味する。この物理的結合は、水素結合を含む様々な度合いのイオン及び共有結合を含む。ある場合には、溶媒和物は、例えば一又は複数の溶媒分子が結晶性固形物の結晶格子に取り込まれている場合に分離することができる。溶媒和物の調製は一般に、例えばCaira等, J. Pharmaceutical Sci., 93(3), 601 611 (2004)に知られている。溶媒和物、半溶媒和物、水和物等の同様の調製法は、van Tonder等, AAPS PharmSciTech., 5(1), article 12 (2004);及びBingham等, Chem. Commun., 603 604 (2001)に記載されている。典型的な非限定的方法は、雰囲気温度よりも高い温度で所望の量の所望の溶媒(有機又は水又はその混合物)に本発明の化合物を溶解させ、ついで標準的な方法によって単離される結晶を形成するのに十分な割合で溶液を冷却することを含む。分析技術、例えばIR分光法は、溶媒和物(又は水和物)としての結晶中における溶媒(又は水)の存在を示す。
【0021】
ヒト腫瘍プロファイリング及びそれらが最初に開発された疾患の歴史を変えた標的治療剤の開発に至る小分子及び大分子薬剤デザインにおける最近の進歩にかかわらず、腫瘍学における標的化剤の全成功率はしかし尚かなり低く、これは、多くの癌の多様性並びに複数の重複性経路及び多くの分子経路間のクロストークを含む標的が作用する複雑な経路によって部分的に説明されうる。
【0022】
この問題に対する一つのアプローチ法は、MAPK/ERK経路及びPI3K/AKT/mTOR経路の双方を標的とするように、標的薬剤の組合せで腫瘍を治療することである。これらは、多くの腫瘍において増殖を独立して一緒に駆動し、通常は多くのゲノム事象によって腫瘍において活性化される経路である。このアプローチ法は二重の利点を有している:複数の発癌事象によって駆動される腫瘍における初期の腫瘍奏効率を増加させ、並びに何れかの薬剤単独で生じうる獲得抵抗率を減少させる潜在性を有している。これは、活性化代償性経路の阻害のためであり、これがついで何れかの薬剤単独で見られる活性に対して組合せの活性を延長するであろう。
【0023】
PI3K−AKT経路活性化は数タイプの癌に関係している(Ward等, Chem Biol 2003;10:207-13;Cantley, In: The Harvey Lectures, Series 100, 2004-2005. Hobo-ken: John Wiley and Sons Inc.,2006:103-22)。PI3Kのp110αにおける活性化及びトランスフォーミング変異は一般に腫瘍において見出されている(Bachman等, Cancer Biol Ther 2004; 3:772-5;Samuels等, Science 2004;304:554;Karakas等, Br J Cancer 2006; 94:455-9)。また、該経路はレセプターチロシンキナーゼシグナル伝達、RAS変異、又はホスファターゼPTENの消失によって数多くのタイプの癌において活性化される(Cantley, Science 2002;296:1655-7)。
【0024】
これらの経路の何れかを標的とするとシグナル伝達を個々に減弱することができ、幾つかの動物モデルにおいて効果があることが示されている(Folkes等, J Med Chem 2008;51:5522-32;Hoeflich等, Clin Cancer Res, 2009 15(14):4649-4664))。しかしながら、多くの腫瘍では、しばしばメラノーマ、肺癌、及び結腸直腸癌に見られるように、RAS及びPI3K経路の同時の活性化を伴う腫瘍におけるように、細胞増殖及び生存は複数のエフェクター経路を通して駆動される。これらの場合では、これらの経路の双方を標的とすることは、何れかの経路を単独で標的とするよりも有意により効果があることが非臨床的に示されている。例えば、MEK及びPI3K阻害剤は、単剤の場合と比較して肺癌又は乳癌のKRAS変異マウスモデルにおいて改善された併用効果が証明されている(Engelman等, Nat Med 2008;14:1351-6;Hoeflich等, Clin Cancer Res, 2009 15(14):4649-4664))。MEK阻害剤とPI3K阻害剤のインビトロ及びインビボ併用効果を証明する非臨床データは本明細書及びその内容が出典明示によりここに援用される米国特許出願公開第2009/0098135号に記載されている。非臨床モデルは、PI3K及びMEK経路双方の阻害が特にRAF及びRAS変異遺伝子型において改善された効果を生じる。よって、MEK(例えばGDC−0973)及びPI3K(例えばGDC−0941)阻害剤の組合せ局所進行又は転移性固形腫瘍のRAS/RAF変異患者において特に有益である。
【0025】
本発明は、その内容の全体が出典明示によりここに援用される米国特許出願公開第2009/0156576号に記載されたMEK阻害剤と組み合わせて、その双方がPI3Kを阻害するGDC−0941としても知られている4-(2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-((4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル)メチル)チエノ[3,2-d]-ピリミジン-4-イル)モルホリン(I)、又は(S)-1-(4-((2-(2-アミノピリミジン-5-イル)-7-メチル-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-2-ヒドロキシ-プロパン-1-オン(II)(米国特許出願公開第2008/0076768号;国際公開第2006/046031号)で局所進行又は転移性固形腫瘍の患者を治療する方法に関する。

【0026】
GDC−0941又はIIは、米国特許出願公開第2008/0076768号、米国特許出願公開第2008/0207609号、米国特許出願公開第2008/0207611号及び米国特許出願公開第2009/0131429号(これらの内容はその全体が出典明示によりここに援用される)に記載された方法に従って調製されうる。
【0027】
GDC−0973/XL−518(III)を含む、ここでの方法において記載された局所進行又は転移性固形腫瘍の患者を治療するために、PI3K阻害剤のGDC−0941と組み合わせるのに有用なMEK阻害剤は以下の表1に列挙する。GDC−0973/XL−518を含む表1のMEK阻害剤は、米国特許出願公開第2009/0156576号に記載された方法に従って調製されうる。

【0028】
本発明の一実施態様では、ここに記載されたMEK阻害剤と組み合わせて、PI3K阻害剤のGDC−0941としても知られている4-(2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-((4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル)メチル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)モルホリンで局所進行又は転移性固形腫瘍の患者を治療する方法が提供される。
【0029】
本発明の他の実施態様では、GDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤と組み合わせてGDC−0941を同時に患者に投与することを含む局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法が提供される。
【0030】
本発明の一実施態様では、ここに記載されたMEK阻害剤と組み合わせて、PI3K阻害剤の(S)-1-(4-((2-(2-アミノピリミジン-5-イル)-7-メチル-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-2-ヒドロキシプロパン-1-オン(II)で局所進行又は転移性固形腫瘍の患者を治療する方法が提供される。
【0031】
本発明の他の実施態様では、GDC−0973/XL−518を含む、表1から選択されるMEK阻害剤と組み合わせて、IIを患者に同時に投与することを含む局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法が提供される。
【0032】
本発明の他の実施態様では、GDC−0941(I)及びGDC−0973/XL−518(III)を患者に同時に投与することを含む局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法に関する。
【0033】
他の実施態様では、本発明は、II及びGDC−0973/XL−518(III)を患者に同時に投与することを含む局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法に関する。
【0034】
本発明の他の実施態様では、GDC−0973/XL−518(III)を含む、表1から選択されるMEK阻害剤と組み合わせて、GDC−0941(I)を患者に同時に投与することを含む局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、上記患者が、該患者にGDC−0941及びGDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤の双方が連続21日間投与され、次の連続7日間はGDC−0941又はGDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤が投与されない28日サイクルにある方法が提供される。
【0035】
本発明の他の実施態様では、GDC−0973/XL−518を含む、表1から選択されるMEK阻害剤と組み合わせて、GDC−0941を患者に同時に投与することを含む局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、上記患者が、該患者にGDC−0941及びGDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤の双方が連続14日間投与され、次の連続14日間はGDC−0941又はGDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤が投与されない28日サイクルにある方法が提供される。
【0036】
本発明の他の実施態様では、GDC−0973/XL−518を含む、表1から選択されるMEK阻害剤と組み合わせて、GDC−0941を患者に同時に投与することを含む局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、上記患者が、該患者にGDC−0941及びGDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤の双方が連続21日間投与され、次の連続7日間はGDC−0941又はGDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤が投与されない28日サイクルにある方法が提供される。
【0037】
本発明の他の実施態様では、GDC−0941及びGDC−0973/XL−518を患者に同時に投与することを含む局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、上記患者が、該患者にGDC−0941及びGDC−0973/XL−518の双方が連続14日間投与され、次の連続14日間はGDC−0941又はGDC−0973/XL−518が投与されない28日サイクルにある方法が提供される。
【0038】
本発明の他の実施態様では、II及びGDC−0973/XL−518を患者に同時に投与することを含む局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、上記患者が、該患者にII及びGDC−0973/XL−518の双方が連続14日間投与され、次の連続14日間はII又はGDC−0973/XL−518が投与されない28日サイクルにある方法が提供される。
【0039】
本発明の他の実施態様では、GDC−0973/XL−518を含む表1から選択される20mg、40mg又は60mgのMEK阻害剤と組み合わせて、80mg、100mg、130mg又は180mgのGDC−0941又はIIを同時に患者に投与することを含む局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法が提供される。
【0040】
本発明の他の実施態様では、80mg、100mg、130mg又は180mgのGDC−0941又はII及び20mg、40mg又は60mgのGDC−0973/XL−518を同時に患者に投与することを含む局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法が提供される。
【0041】
本発明の他の実施態様では、GDC−0973/XL−518(III)を含む、表1から選択される20mg、40mg又は60mgのMEK阻害剤と組み合わせて、80mg、100mg、130mg又は180mgのGDC−0941又はIIを患者に同時に投与することを含む局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、上記患者が、該患者にGDC−0941又はII及びGDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤の双方が連続21日間投与され、次の連続7日間はGDC−0941又はII又はGDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤が投与されない28日サイクルにある方法が提供される。
【0042】
本発明の他の実施態様では、GDC−0973/XL−518を含む、表1から選択される20mg、40mg又は60mgのMEK阻害剤と組み合わせて、80mg、100mg、130mg又は180mgのGDC−0941又はIIを患者に同時に投与することを含む局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、上記患者が、該患者にGDC−0941又はII及びGDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤の双方が連続14日間投与され、次の連続14日間はGDC−0941又はII又はGDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤が投与されない28日サイクルにある方法が提供される。
【0043】
本発明の他の実施態様では、80mg、100mg、130mg又は180mgのGDC−0941又はII及び20mg、40mg又は60mgのGDC−0973/XL−518を患者に同時に投与することを含む局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、上記患者が、該患者にGDC−0941又はII及びGDC−0973/XL−518の双方が連続21日間投与され、次の連続7日間はGDC−0941又はII又はGDC−0973/XL−518が投与されない28日サイクルにある方法が提供される。
【0044】
本発明の他の実施態様では、80mg、100mg、130mg又は180mgのGDC−0941又はII及び20mg、40mg又は60mgのGDC−0973/XL−518を患者に同時に投与することを含む局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、上記患者が、該患者にGDC−0941又はII及びGDC−0973/XL−518の双方が連続14日間投与され、次の連続14日間はGDC−0941又はII又はGDC−0973/XL−518が投与されない28日サイクルにある方法が提供される。
【0045】
本発明の他の実施態様では、ここに記載されたMEK阻害剤と組み合わせて、PI3Kの阻害剤GDC−0941としても知られている4-(2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-((4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル)メチル)チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-イル)モルホリンでRAS/RAF変異の局所進行又は転移性固形腫瘍の患者を治療する方法が提供される。
【0046】
本発明の他の実施態様では、ここに記載されたMEK阻害剤と組み合わせて、PI3Kの阻害剤(S)-1-(4-((2-(2-アミノ-ピリミジン-5-イル)-7-メチル-4-モルホリノチエノ[3,2-d]ピリミジン-6-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)-2-ヒドロキシプロパン-1-オン(II)でRAS/RAF変異の局所進行又は転移性固形腫瘍の患者を治療する方法が提供される。
【0047】
本発明の他の実施態様では、GDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤と組み合わせてGDC−0941又はIIを患者に同時に投与することを含むRAS/RAF変異の局所進行又は転移性固形腫瘍の患者を治療する方法が提供される。
【0048】
本発明の他の実施態様では、GDC−0941又はII及びGDC−0973/XL−518を患者に同時に投与することを含むRAS/RAF変異の局所進行又は転移性固形腫瘍の患者を治療する方法が提供される。
【0049】
本発明の他の実施態様では、治療剤組合わせを併用製剤として又は交互に哺乳動物に投与することを含む局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、治療剤組合わせは、治療的に有効な量の式I又はIIの化合物、又はI又はIIの薬学的に許容可能な塩と、治療的に有効な量の式IIIの化合物、又はIIIの薬学的に許容可能な塩を含み、上記局所進行又は転移性固形腫瘍がRAS/RAF/MEK/ERK経路の異常な調節を受けている方法が提供される。
【0050】
本発明の他の実施態様では、治療剤組合わせを併用製剤として又は交互に哺乳動物に投与することを含む局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、治療剤組合わせは、治療的に有効な量の式I又はIIの化合物、又はI又はIIの薬学的に許容可能な塩と、治療的に有効な量の式IIIの化合物、又はIIIの薬学的に許容可能な塩を含み、上記局所進行又は転移性固形腫瘍がRAS又はRAF遺伝子の変異を発現する方法が提供される。
【0051】
本発明の他の実施態様では、治療剤組合わせを併用製剤として又は交互に哺乳動物に投与することを含む局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、治療剤組合わせは、治療的に有効な量の式I又はIIの化合物、又はI又はIIの薬学的に許容可能な塩と、治療的に有効な量の式IIIの化合物、又はIIIの薬学的に許容可能な塩を含み、上記局所進行又は転移性固形腫瘍がPI3Kシグナル伝達経路の異常な調節を受けている方法が提供される。
【0052】
本発明の他の実施態様では、治療剤組合わせを併用製剤として又は交互に哺乳動物に投与することを含む局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、治療剤組合わせは、治療的に有効な量の式I又はIIの化合物、又はI又はIIの薬学的に許容可能な塩と、治療的に有効な量の式IIIの化合物、又はIIIの薬学的に許容可能な塩を含み、上記局所進行又は転移性固形腫瘍がPI3K又はAktを過剰発現し、例えば、上記局所進行又は転移性固形腫瘍がPI3K遺伝子を過剰発現し、又は上記局所進行又は転移性固形腫瘍が腫瘍抑制因子ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)の消失を示す方法が提供される。
【0053】
本発明の他の実施態様では、治療剤組合わせを併用製剤として又は交互に哺乳動物に投与することを含む局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、治療剤組合わせは、治療的に有効な量の式I又はIIの化合物、又はI又はIIの薬学的に許容可能な塩と、治療的に有効な量の式IIIの化合物、又はIIIの薬学的に許容可能な塩を含み、上記局所進行又は転移性固形腫瘍が、膵臓腺癌、結腸直腸腺癌、非小細胞肺癌、悪性メラノーマ、乳頭状甲状腺癌、乳癌、卵巣癌及び子宮内膜癌からなる群から選択される方法が提供される。
【0054】
本発明の他の実施態様では、GDC−0973/XL−518を含む、表1から選択されるMEK阻害剤と組み合わせて、GDC−0941又はIIを患者に同時に投与することを含むRAS/RAF変異の局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、上記患者が、該患者にGDC−0941又はII及びGDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤の双方が連続21日間投与され、次の連続7日間はGDC−0941又はII又はGDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤が投与されない28日サイクルにある方法が提供される。
【0055】
本発明の他の実施態様では、GDC−0973/XL−518を含む、表1から選択されるMEK阻害剤と組み合わせて、GDC−0941又はIIを患者に同時に投与することを含むRAS/RAF変異の局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、上記患者が、該患者にGDC−0941又はII及びGDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤の双方が連続14日間投与され、次の連続14日間はGDC−0941又はII又はGDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤が投与されない28日サイクルにある方法が提供される。
【0056】
本発明の他の実施態様では、GDC−0973/XL−518を含む、表1から選択されるMEK阻害剤と組み合わせて、GDC−0941又はIIを患者に同時に投与することを含むRAS/RAF変異の局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、上記患者が、該患者にGDC−0941又はII及びGDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤の双方が連続21日間投与され、次の連続7日間はGDC−0941又はII又はGDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤が投与されない28日サイクルにある方法が提供される。
【0057】
本発明の他の実施態様では、GDC−0941又はII及びGDC−0973/XL−518を患者に同時に投与することを含むRAS/RAF変異の局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、上記患者が、該患者にGDC−0941又はII及びGDC−0973/XL−518の双方が連続14日間投与され、次の連続14日間はGDC−0941又はII又はGDC−0973/XL−518が投与されない28日サイクルにある方法が提供される。
【0058】
本発明の他の実施態様では、GDC−0973/XL−518を含む、表1から選択される20mg、40mg又は60mgのMEK阻害剤と組み合わせて、80mg、100mg、130mg又は180mgのGDC−0941又はIIを患者に同時に投与することを含むRAS/RAF変異の局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法が提供される。
【0059】
本発明の他の実施態様では、80mg、100mg、130mg又は180mgのGDC−0941又はII及び20mg、40mg又は60mgのGDC−0973/XL−518を患者に同時に投与することを含むRAS/RAF変異の局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法が提供される。
【0060】
本発明の他の実施態様では、GDC−0973/XL−518を含む、表1から選択される20mg、40mg又は60mgのMEK阻害剤と組み合わせて、80mg、100mg、130mg又は180mgのGDC−0941又はIIを患者に同時に投与することを含むRAS/RAF変異の局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、上記患者が、該患者にGDC−0941又はII及びGDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤の双方が連続21日間投与され、次の連続7日間はGDC−0941又はII又はGDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤が投与されない28日サイクルにある方法が提供される。
【0061】
他の態様では、本発明は、GDC−0973/XL−518を含む、表1から選択される20mg、40mg又は60mgのMEK阻害剤と組み合わせて、80mg、100mg、130mg又は180mgのGDC−0941又はIIを患者に同時に投与することを含むRAS/RAF変異の局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、上記患者が、該患者にGDC−0941又はII及びGDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤の双方が連続14日間投与され、次の連続14日間はGDC−0941又はII又はGDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤が投与されない28日サイクルにある方法に関する。
【0062】
本発明の他の実施態様では、80mg、100mg、130mg又は180mgのGDC−0941又はII及び20mg、40mg又は60mgのGDC−0973/XL−518を患者に同時に投与することを含むRAS/RAF変異の局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、上記患者が、該患者にGDC−0941又はII及びGDC−0973/XL−518の双方が連続21日間投与され、次の連続7日間はGDC−0941又はII又はGDC−0973/XL−518が投与されない28日サイクルにある方法が提供される。
【0063】
本発明の他の実施態様では、80mg、100mg、130mg又は180mgのGDC−0941又はII及び20mg、40mg又は60mgのGDC−0973/XL−518を患者に同時に投与することを含むRAS/RAF変異の局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法であって、上記患者が、該患者にGDC−0941又はII及びGDC−0973/XL−518の双方が連続14日間投与され、次の連続14日間はGDC−0941又はII又はGDC−0973/XL−518が投与されない28日サイクルにある方法が提供される。
【0064】
他の態様では、本発明の治療方法は、様々な薬学的に許容可能な塩及び/又は薬学的組成物の形態で、GDC−0941又はII及びGDC−0973/XL−518を含む表1から選択されるMEK阻害剤を投与することを含むものを含む。
【0065】
PI3K阻害剤GDC−0941(I)、II及びGDC−0973/XL−518(II)を含む表1のもののようなここに記載のMEK阻害剤は、そのあらゆる立体異性体、幾何異性体、互変異性体、代謝産物及び薬学的に許容可能な塩を含む。
【0066】
本発明の薬学的組成物は薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を更に含有しうる。
【0067】













































































【0068】
局所進行又は転移性固形腫瘍の患者におけるRAS/RAF変異状態は、例えば上述のBRaf(例えば、BRafV600E)、NRas又はKRas変異の有無を確認するために当該技術分野で知られている方法を使用して患者からの腫瘍組織試料から決定することができる。
【0069】
本発明のPI3K阻害剤GDC−0941及びGDC−0973/XL518を含むMEK阻害剤は、非溶媒和形態並びに水、エタノール等の薬学的に許容可能な溶媒との溶媒和形態で存在し得、本発明は溶媒和形態及び非溶媒和形態の双方を包含することが意図される。
【0070】
本発明のPI3K阻害剤GDC−0941及びGDC−0973/XL518を含むMEK阻害剤はまた異なった互変異性体形態で存在し得、そのような全形態が本発明の範囲内に包含される。「互変異性体」又は「互変異性形態」なる用語は、低いエネルギー障壁を介して相互に転換可能である異なるエネルギーの構造異性体を意味する。例えば、プロトン互変異性体(プロトン移行互変異性体としても知られている)は、プロトンの移動を介する相互変換、例えば、ケト−エノール異性及びイミン−エナミン異性を包含する。原子価互変異性体は、結合電子の幾つかの再編成による相互変換を包含する。
【0071】
本発明のPI3K阻害剤GDC−0941及びGDC−0973/XL518を含むMEK阻害剤はまた同位体標識され得、つまり、一又は複数の原子が天然に通常見出される原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置換される。特定される任意の特定の原子の全ての同位体が本発明の化合物、及びその用途の範囲にあると考えられる。PI3K阻害剤GDC−0941及びGDC−0973/XL518を含むMEK阻害剤に導入することができる例示的な同位体は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、及びヨウ素の同位体、例えばH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、32P、33P、35S、18F、36Cl、123I及び125Iを含む。ある種の同位体標識された本発明の化合物(例えばH及び14Cで標識されたもの)は化合物及び/又は基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム標識(H)及び炭素−14(14C)同位体は、その調製の容易性及び検出性のために有用である。更に、重水素(H)のようなより重い同位体との置換は、より大なる代謝安定性から生じる所定の診断上の利点(例えば、増加したインビボ半減期又は減少した投薬必要量)をもたらし得、よってある状況下では好ましい場合がある。陽電子放出同位体、例えば15O、13N、11C及び18Fは、基質レセプター占有率を調べるための陽電子放出断層撮影(PET)研究に有用である。同位体標識された本発明の化合物は、非同位体標識試薬を同位体標識試薬に置換することによって一般に調製することができる。
【0072】
本発明のPI3K阻害剤GDC−0941及びGDC−0973/XL518を含むMEK阻害剤は、GDC−0941を含有する薬学的組成物及びGDC−0973/XL518を含むMEK阻害剤を含有する薬学的組成物の形態で投与され得、ここで、上記薬学的組成物は一又は複数の薬学的に許容可能な担体、流動促進剤、希釈剤、又は賦形剤を含有する。
【0073】
適切な担体、希釈剤、及び賦形剤は、当業者によく知られており、炭水化物、ロウ、水溶性及び/又は膨潤性ポリマー、親水性又は疎水性物質、ゼラチン、油、溶媒、水等の物質を含む。使用される特定の担体、希釈剤又は賦形剤は、本発明の化合物が適用される手段及び目的に依存するであろう。溶媒は、一般には、哺乳動物に投与した際に安全(GRAS)であると当業者に認識されている溶媒に基づいて選択される。一般に、安全な溶媒は非毒性の水性溶媒、例えば水、及び水に可溶性又は混和性である他の非毒性溶媒である。適切な水性溶媒は、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えばPEG400、PEG300)等及びその混合物を含む。また組成物は、一又は複数のバッファー、安定剤、界面活性剤、湿潤剤、滑剤、乳化剤、懸濁剤、保存料、抗酸化剤、不透明化剤、流動促進剤、加工助剤、着色料、甘味料、香料、フレーバー剤、及び薬物(すなわち、本発明の化合物又はその薬学的組成物)を見栄え良く提供するための又は薬学的製品(すなわち、医薬)の製造を補助するための他の既知の添加剤を含みうる。
【0074】
組成物は、常套的な溶解及び混合手順を使用して調製することができる。例えば、バルク薬剤物質(すなわち、本発明の化合物又は本化合物の安定化形態(例えばシクロデキストリン誘導体又は他の既知の複合体形成剤との複合体)を、上述の一又は複数の賦形剤の存在下で適切な溶媒に溶解させる。
【0075】
薬学的組成物はここに詳細に記載する投与経路に適したものを含む。組成物は簡便には単位投薬形態で提供され得、薬学の技術分野でよく知られている方法の何れかによって調製することができる。一般に技術及び製剤化は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18版 (1995)Mack Publishing Co., Easton, PAに見出される。かかる方法は、活性成分を、一又は複数の補助成分を構成する担体と一緒にする工程を含む。一般に、製剤は、活性成分を、液体担体又は細かに分断された固形担体又はその双方と均一かつ密に混合し、ついで必要ならば生成物を成形することにより、調製される。
【0076】
この発明の範囲にまた入るものは、上述のレジメンに従って、GDC−0941及びGDC−0973/XL−518を含むここに記載のMEK阻害剤のインビボ代謝産物の組み合わせで局所進行又は転移性固形腫瘍の患者を治療する方法である。そのような産物は、例えば投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド、エステル化、エステル分解、酵素的開裂等から生じうる。
【実施例】
【0077】
本発明を例証するために、次の実施例を含める。しかしながら、これらの実施例は発明を限定するものではなく、発明を実施する方法を示唆することを意味するだけのものであることが理解されなければならない。
【0078】
実施例1:4日のCellTiterGlo生存率アッセイを使用するメラノーマ及びNSCLC細胞株のセットにおけるGDC−0941及びGDC−0973のインビトロ併用効果
相乗作用を計算するChou及びTalalay(1984)法を利用するプログラムであるCalcusynを使用して、併用指数を計算し、よって相乗作用のレベルを決定した(図1)。≦0.3の併用指数値によって示される強い相乗作用が、その約60%がBRAFに発癌性変異を有するメラノーマ細胞株の大半において観察された。≦0.7の併用指数値によって示される相乗作用、又は強い相乗作用が、その約半分がKRASに発癌性変異を有するNSCLC細胞株の一つを除く全てにおいて観察された。
【0079】
実施例2:NCI−H2122(NSCLC、KRASG12C、PI3K/PTEN WT)及びA2058(メラノーマ、BRAFV600E、PTENnull)異種移植モデルにおける治療剤としてのGDC−0973及びGDC−0941
これらのモデルの双方は単剤としてのGDC−0973又はGDC−0941に対して中程度の感受性を示す;しかし、何れの単独の薬剤にも優れた感受性を有しておらず、腫瘍成長の遅延を生じるが、静止又は退縮を生じない。従って、MEK及びPI3Kの双方に対する経路活性は各モデルにおいて明らかであり、これらの関連モデルを作製してMEK及びPI3K阻害剤の組み合わせを試験する。NCI−H2122腫瘍を有する動物をGDC−0973(5mg/kg、一日)、GDC−0941(50mg/kg、一日)又は組み合わせで治療した。NCI−H2122腫瘍は単剤GDC−0973に対して感受性を示し、5mg/kg QDアームで57%の腫瘍増殖阻害(ビヒクルコントロールに対するTGI)であった(図2)。同様に、NCI−H2122腫瘍はまた単剤GDC−0941に感受性であり、30mg/kgアームで73%のTGIであった(図2)。GDC−0973及びGDC−0941の組合せは、双方の用量レベルで何れの単剤に対しても顕著な効果の改善を示し、98%のTGI、又は腫瘍静止を生じた(図2)。二つの薬剤の組み合わせに対して中程度の用量のGDC−0973又はGDC−0941を比較するスチューデントt検定は、抗腫瘍効果が統計的に有意であったことを明らかにしている(21日目にそれぞれスチューデントt検定p=0.032、p=0.046;図2)。GDC−0973及びGDC−0941は、単独で、及び併用で投与されたとき、1日10mg/kgのGDC−0973と1日100mg/kgのGDC−0941の高用量においてさえ十分に耐容性を示した(データは示さず)。これらのデータは、GDC−0973及びGDC−0941が組み合わせて使用される場合、NCI−H2122 NSCLC異種移植モデルにおける腫瘍成長に有意な影響を有していることを示している。
【0080】
実施例3:A2058腫瘍を有する動物における中程度及び高用量のGDC−0973(6及び10mg/kg、1日)及びGDC−0941(30及び100mg/kg、1日)並びに低用量と高用量の組み合わせ
NCI−H2122と同様に、A2058腫瘍は単剤GDC−0973に対して中程度の感受性を示し、6mg/kgで41%、10mg/kgで62%のTGIであった(それぞれ図3A及びB)。同様に、A2058腫瘍は単剤 GDC−0941に対してまた中程度の感受性であり、30mg/kgで18%、100mg/kgで56%のTGIであった(それぞれ図3A及びB)。GDC−0973及びGDC−0941の併用は何れの単剤に対しても顕著な効果の改善を生じ、低用量で69%のTGI、高用量で90%のTGIの改善を生じ、腫瘍静止に近づいている(ぞれぞれ図3A及びB)。二つの薬剤の組み合わせに対して中程度の用量のGDC−0973又はGDC−0941を比較するスチューデントt検定は、抗腫瘍効果が統計的に有意であったことを明らかにしている(17日目にそれぞれp=0.048、p=0.008)。同様に、組み合わせに対して高用量のGDC−0973又はGDC−0941の比較は有意差を明らかにした(17日目にそれぞれp=0.001、p=0.004のスチューデントt検定)。GDC−0973及びGDC−0941の組合せはマウスに対して如何なる明らかな副作用も生じなかった。
【0081】
実施例4:何れかの単剤GDC−0973又はGDC−0941又はその二つの組み合わせを用いたFaDu(HNSCC)腫瘍を有する動物の治療
FaDu腫瘍は、41%の腫瘍増殖阻害パーセント(%TGI)で1日5mg/kgのGDC−0973に対して中程度の感受性を示す(図4A)。同様に、FaDu腫瘍は、33%の%TGIで100mg/kgのGDC−0941に対して中程度の応答性を示す(図4A)。これらの同じ用量のGDC−0973及びGDC−0941の組合せは何れかの単剤に対して顕著な効果の改善を生じ、96%TGIまでの%TGIの改善を生じる(図4A)。改善された併用の効果は単剤GDC−0973及びGDC−0941に対して統計的に有意であった(18日目にそれぞれp=0.0281及びp=0.0034)。
【0082】
実施例5:何れかの単剤GDC−0973(10mg/kg、一日)又はGDC−0941(100mg/kg、一日)又はその二つの組み合わせを用いたSKOV−3(卵巣)腫瘍を有する動物の治療
SKOV−3腫瘍は、51%の%TGIで100mg/kgのGDC−0941に対して中程度の応答を示す(図4B)。これらの同じ用量のGDC−0973及びGDC−0941の組合せは何れかの単剤に対して顕著な効果の改善を生じ、91%TGIまでの%TGIの改善を生じる(図4B)。改善された併用の効果は単剤GDC−0973及びGDC−0941に対して統計的に有意であった(22日目にそれぞれp=0.0017及びp=0.0283)。
【0083】
実施例6:何れかの単剤GDC−0973又はGDC−0941又はその二つの組み合わせを用いたMOLM−16(AML)腫瘍を有する動物の治療
MOLM−16腫瘍は、57%の腫瘍増殖阻害パーセント(%TGI)で10mg/kgの単剤GDC−0973に対して感受性を示す(図5)。同様に、MOLM−16腫瘍は、40%の%TGIで100mg/kgのGDC−0973に対して中程度の応答を示す(図5)。これらの同じ用量のGDC−0973及びGDC−0941の組合せは何れかの単剤に対して顕著な効果の改善を生じ、96%TGIまでの%TGIの改善を生じる(図5)。改善された併用の効果は単剤GDC−0973及びGDC−0941に対して統計的に有意であった(11日目にそれぞれp=0.0381及びp=0.0158)。
【0084】
実施例7:局所進行又は転移性固形腫瘍の患者に併用して投与された場合のGDC−0973及びGDC−0941の安全性及び耐容性研究
この研究では、RAS/RAF野生型、変異、又は未知である局所進行又は転移性固形腫瘍の患者において、組み合わせて投与されるGDC−0973(5mg又は25mgカプセル)及びGDC−0941(15mg又は50mgカプセル)の毎日の経口投与を21日間、続いて研究薬剤なしの7日が続く。アーカイブ腫瘍標本が全ての患者から得られ、BRAF、NRAS又はKRAS変異状態及びPI3K変異/PI3K増幅/PTENタンパク質状態が確認又は決定される。全ての患者はPDバイオマーカー及び抗腫瘍活性の潜在的な初期の読み取りとして連続的FDG−PET画像診断を受ける。治療は、1年間まで、又は疾患進行、許容できない毒性又は任意の他の中断基準を満たすまで継続する。同時のGDC−0973及びGDC−0941投与は、図6a及び6bの次の投薬スキームの一つに従って28日サイクルの連続21日の間、QD(1日1回)である。交互投薬レジメン及びスケジュールは、GDC−0973及びGDC−0941双方で14日と続いて14日GDC−0973及びGDC−0941双方を止め又は間欠投与スケジュール(例えばQ2D(2日毎)及びQ4D(4日毎)でありうる。表1−A及び1−Bは、GDC−0973及びGDC−0941の同時の経口投与に対する別の治療スケジュールを示す。
【0085】
(その局所進行又は転移性癌に対して)4以下の全身性療法を前に受けたRAS/RAF変異の局所進行又は転移性固形腫瘍の更なる患者が、表1−A及び1−Bの治療スケジュール及び図6a及び6bの投薬スキームの一つで更なる安全性、PK及びPDデータを集めるために登録される。PDバイオマーカー分析のための治療前及び治療後の腫瘍バイオプシー試料を全患者から集める。全ての患者は抗腫瘍活性の潜在的な初期の読み取りとして連続的FDG−PET画像診断を受ける。変異状態はアーカイブ腫瘍組織試料の強制収集から遡及的に決定される。

【0086】
疾患状態を固形腫瘍の治療効果判定基準(RECIST)を使用して評価する(Therasse等, New guidelines to evaluate the response to treatment in solid tumors. J Natl Cancer Inst 2000;92:205-16)。腫瘍状態は、RECISTに従って完全奏効、部分奏効、安定疾患、又は進行性疾患として分類される。客観的奏効率は、RECISTに従い、最初の証拠文献後≧4週で画像ベース評価又は繰り返し物理検査によって確認される。
【0087】
上記の説明は発明の原理を単に例示するものと考えられる。更に、数多くの変形及び変更が当業者には直ぐに明らかであるので、発明を上に記載した正確な構成及び方法に限定することは望まれない。従って、あらゆる適切な変形例及び均等物が本発明の範囲に入ると考えられうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所進行又は転移性固形腫瘍の患者の治療方法において、治療剤組合わせを併用製剤として又は交互に哺乳動物に投与することを含み、ここで、治療剤組合わせが治療的に有効な量の式I又はIIの化合物、又はI又はIIの薬学的に許容可能な塩と、治療的に有効な量の式IIIの化合物、又はIIIの薬学的に許容可能な塩を含む方法。


【請求項2】
上記治療剤組合わせが化合物I及びIIIを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記治療剤組合わせが化合物II及びIIIを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記患者に80mg、100mg、130mg又は180mgのI又はII及び20mg、40mg、又は60mgのIIIが同時に投与される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
上記患者に式I又はIIの化合物が式IIIの化合物との併用で投与され、上記患者が、該患者に式I又はIIの化合物と式IIIの化合物の双方が連続21日間投与され、次の7日間は式I、II又はIIIの化合物は投与されない28日サイクルにある請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記患者に式I又はIIの化合物が式IIIの化合物との併用で投与され、上記患者が、該患者に式I又はIIの化合物と式IIIの化合物の双方が連続14日間投与され、次の14日間は式I、II又はIIIの化合物は投与されない28日サイクルにある請求項1に記載の方法。
【請求項7】
局所進行又は転移性固形腫瘍の治療のための、請求項1に記載の式IIIの化合物と組み合わせての請求項1に記載の式I又はIIの化合物の使用。
【請求項8】
明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−507415(P2013−507415A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533589(P2012−533589)
【出願日】平成22年10月11日(2010.10.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065149
【国際公開番号】WO2011/054620
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(306021192)エフ・ホフマン−ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト (58)
【Fターム(参考)】