説明

PSA方式の窒素ガス発生装置を利用する有機ハロゲン化合物を含む廃棄物の加熱処理方法及び加熱処理装置

【課題】加熱炉から排出された排ガスを循環させると共に、炉内の酸素濃度を一定範囲内に調整することにより、ダイオキシン類の発生を防止しつつ、土壌等に含まれる有機ハロゲン化合物を効率よく分解するための加熱処理方法及び加熱処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】加熱炉の排ガスを、排ガス処理装置を経てPSA方式の窒素ガス発生装置の吸気口に接続し、排ガス中の窒素ガスを回収及び分離する。これにより、加熱炉内で酸素を消費する一酸化炭素を除去することができる。そして、窒素ガス中の酸素濃度が0.01容量%以上3容量%以下、より好ましくは0.1容量%以上1容量%以下となるように、排ガス循環経路内に空気を導入させるか又は酸素ガスを供給する。空気量又は酸素量は、酸素濃度計の測定値に応じて空気導入装置又は酸素弁の開度を制御することにより調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PCB等の有機塩素系化合物をはじめとする有機ハロゲン化合物を含む固形物を加熱分解する処理方法及び処理装置であって、加熱炉から排出される排ガスからPSA方式の窒素ガス発生装置によって窒素ガスを回収及び精製して再利用することを特徴とする廃棄物の加熱処理装置、及びその様な加熱処理装置を用いる廃棄物の加熱処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機塩素系農薬やPCB(ポリ塩化ビフェニール)等の有機塩素系化合物で汚染された土壌等は、以前は主に埋立て処分がなされていた。このため、埋立地周辺の土壌や地下水の二次汚染を防止するため、安全に無害化処理する技術の確立が急がれている。
【0003】
有機塩素系化合物等の有機ハロゲン化合物で汚染された土壌等を無害化するための方法の一つとしては、汚染土壌等を加熱又は燃焼処理することにより有機ハロゲン化合物を分解し、土壌等を無害化する技術が知られている。
【0004】
その様な技術の一つとして、有機塩素系化合物で汚染された土壌等に石炭、石油等の硫黄化合物含有体を添加後、熱分解炉において加熱処理し、発生したガスを再燃焼させる処理方法が、特許文献1に開示されている。
【0005】
また、ダイオキシン類による汚染土壌を400〜600℃で加熱してダイオキシン類を蒸発させ、蒸発したダイオキシン類を分解炉で熱分解する処理方法が、特許文献2に開示されている。
【0006】
有機塩素系化合物による汚染土壌等を加熱又は焼却処理する場合、効率的に分解又は燃焼処理される必要があるだけでなく、ダイオキシン類の発生を防止することも重要である。このためには、ダイオキシン類の分解温度である800℃以上で汚染土壌等を加熱処理するか、低酸素雰囲気中で加熱処理する必要がある。
【0007】
しかし、却炉内に空気を強制的に導入させる加圧酸化型加熱炉を用いても、加熱炉内に存在する土壌等の全体を均一に800℃以上に維持することは困難である。また、低酸素雰囲気中における加熱処理と比較して、エネルギー消費量も多く、高温による設備の損傷も問題となる。
【0008】
ここで、有機ハロゲン化合物に汚染された汚染物質を、高濃度窒素を用いた低酸素雰囲気中で加熱分解する処理方法が、特許文献3に開示されている。この特許文献3には、PSA(Pressure Swing Adsorption)方式の窒素発生装置によって得られた高濃度窒素ガスを加熱炉に供給し、炉内を酸素濃度3%以下の低酸素雰囲気とすることも開示されている。
【特許文献1】特開平9−192641号公報
【特許文献2】特開2000−279942号公報
【特許文献3】特開2006−55738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
有機塩素化合物を燃焼分解させる方法においては、処理装置から排出される排ガス量が多く、後段の排ガス処理装置等が大きくなると共に、系外に排出される排ガスも非常に多量であった。また、低酸素雰囲気下での間接加熱炉を利用することで、排ガス量を極端に減少させることができるものの、依然として系外に排ガスを排出しているものである。そして、昨今では、環境問題への配慮から、ダイオキシン等の有機塩素化合物を無害化しつつ、系外へ排出する排ガス量を低減することが望まれている。
【0010】
一方、加熱炉内の酸素濃度を3%以下に調整するためには、特許文献3の処理方法において加熱炉内に高濃度窒素を過剰に供給すれば足りるが、窒素供給量を多くすれば窒素供給費用がその分上昇し、処理コストが高くなる。また、系外に排出するガス量も増加することとなり、環境への負荷も増加することとなる。
【0011】
また、有機物の種類によっては低酸素雰囲気中で有機物が分解せず、炉内で炭化してしまうため、炭化した有機物に目的とする有機塩素化合物が分解されずに吸着され、処理済み土壌等とともに排出されるおそれもあった。このため、処理対象物が有機物を多く含むものであれば、加熱炉内の酸素濃度を単に3%以下に調整するだけでは炉内が無酸素状態となりやすく、土壌等に含まれる有機物が炭化して有機ハロゲン化合物を吸着しやすくなる。
【0012】
さらに、加熱炉内に一酸化炭素及び二酸化炭素が発生するが、一酸化炭素は炉内で酸素と反応して二酸化炭素に変化する(下記化学式を参照)。
【0013】
【化1】

【0014】
処理対象物が有機物を多く含むものであっても、加熱炉から排出される排ガスは、再び加熱炉内へと導入し、大気中に放出する排ガス量をできるだけ削減することが好ましいが、単に排ガスを循環させるだけでは、一酸化炭素によって酸素が消費され、炉内が無酸素状態になりやすいという問題が生じる。
【0015】
そこで本発明は、処理対象物が汚染物質である有機ハロゲン化合物以外の有機物を含まない場合、加熱炉の排ガス中から窒素ガスだけ分離し加熱炉へと循環させることにより、ダイオキシン類の発生を防止しつつ、系外へ排出される排ガス量を最小限に抑制するための有機ハロゲン化合物に汚染された土壌等の加熱処理装置、及びそのような加熱処理装置を用いる加熱処理方法を提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明は、処理対象物の有機物含量に拘わらず、加熱炉の排ガス中から窒素ガスだけ分離した後、一定の濃度範囲となるように酸素を添加して加熱炉へと循環させることにより、ダイオキシン類の発生を防止しつつ、系外へ排出される排ガス量を最小限に抑制するための有機ハロゲン化合物に汚染された土壌等の加熱処理装置、及びそのような加熱処理装置を用いる加熱処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願第一発明は、有機ハロゲン化合物以外の有機物を含まない廃棄物を加熱処理する処理方法及び処理装置であって、加熱炉の排ガスをPSA方式の窒素ガス発生装置へと供給し、排ガス中から窒素ガスを回収及び精製し、加熱炉へと循環させることを特徴とする。
【0018】
具体的に、本願第一発明は、
有機ハロゲン化合物以外の有機物を含まない廃棄物を加熱処理する加熱炉と、
前記加熱炉の排ガス出口から排ガス洗浄装置を経て、前記加熱炉へと接続する排ガス循環経路と、
前記排ガス循環経路に窒素ガスを供給するPSA方式の窒素ガス発生装置とを備える廃棄物加熱処理装置を用いる廃棄物加熱処理方法において、
前記排ガス循環経路の排ガス洗浄装置下流を前記窒素ガス発生装置の吸気口に接続し、かつ、前記窒素ガス発生装置の窒素ガス排出口を前記加熱炉へと至る前記排ガス循環経路に接続することにより、窒素ガスを回収及び精製して前記排ガス循環経路理の前記窒素ガス発生装置下流に供給することを特徴とする処理方法に関する(請求項1)。
【0019】
また、本願第一発明は
有機ハロゲン化合物を含み、有機物含量が低い廃棄物を加熱処理する加熱炉と、
前記加熱炉の排ガス出口から排ガス洗浄装置を経て、前記加熱炉へと接続する排ガス循環経路と、
前記排ガス循環経路に窒素ガスを供給するPSA方式の窒素ガス発生装置とを備える廃棄物加熱処理装置であって、
前記循環経路の排ガス洗浄装置下流を前記窒素ガス発生装置の吸気口に接続し、かつ、前記窒素ガス発生装置の窒素ガス排出口を前記加熱炉へと至る前記排ガス循環経路に接続することにより、排ガス中から窒素ガスを回収及び精製して前記排ガス循環経路の前記窒素ガス発生装置下流に供給することを特徴とする処理装置に関する(請求項9)。
【0020】
加熱炉からの排ガスをPSA方式の窒素ガス発生装置へと供給することにより、排ガス中の97%以上を占める窒素ガスを循環再利用することができるため、系外へ排出する排ガス量を極端に抑制することができる。
【0021】
PSA方式の窒素ガス発生装置は、通常空気から窒素ガスを分離して高純度窒素ガスとして供給するものであるが、本発明では窒素ガス濃度97%以上である加熱炉からの排ガスから窒素ガスを分離し、高純度窒素ガスを加熱炉へと供給するために、従来の排ガス循環型加熱分解装置と比較して窒素ガス発生装置の運転負荷を非常に小さくすることができる。
【0022】
次に、本願第二発明は、有機ハロゲン化合物を含む廃棄物を加熱処理する処理方法及び処理装置であって、還元加熱炉の排ガスをPSA方式の窒素ガス発生装置へと供給し、排ガス中から窒素ガスを回収及び精製し、還元加熱炉内で酸素ガスを消費する一酸化炭素を除去した上で、窒素ガスに還元加熱炉内で有機ハロゲン化合物を還元状態で熱分解するのに適した濃度範囲となるよう、排ガス循環経路に空気をリークすることによって酸素を添加し、還元加熱炉へと循環させることを特徴とする。
【0023】
具体的に、本願第二発明は、
有機ハロゲン化合物を含む廃棄物を加熱処理する加熱炉と、
前記加熱炉の排ガス出口から排ガス洗浄装置を経て、前記加熱炉へと接続する排ガス循環経路と、
前記排ガス循環経路に窒素ガスを供給するPSA方式の窒素ガス発生装置と、
前記排ガス循環経路に排ガス循環経路に空気を導入するためのリーク弁と、
前記排ガス循環経路内の排ガス中の酸素濃度を計測する酸素濃度計とを備える廃棄物加熱処理装置を用いる廃棄物加熱処理方法において、
前記循環経路の前記排ガス洗浄装置下流に前記窒素ガス発生装置、前記リーク弁及び前記酸素濃度計を順に配し、
前記排ガス循環経路の排ガス洗浄装置下流を前記窒素ガス発生装置の吸気口に接続し、かつ、前記窒素ガス発生装置の窒素ガス排出口を前記加熱炉へと至る前記排ガス循環経路に接続することにより、窒素ガスを回収及び精製して前記排ガス循環経路の前記窒素ガス発生装置下流に供給すると共に、
前記リーク弁の開度を前記酸素濃度計の測定値に応じて調整することにより、前記排ガス循環経路から前記加熱炉へと供給される排ガス中の酸素濃度を0.01容量%以上3容量%以下に調整することを特徴とする処理方法に関する(請求項2)。
【0024】
また、本願第ニ発明は、
有機ハロゲン化合物を含む廃棄物を加熱処理する加熱炉と、
前記加熱炉の排ガス出口から排ガス洗浄装置を経て、前記加熱炉へと接続する排ガス循環経路と、
前記排ガス循環経路に窒素ガスを供給するPSA方式の窒素ガス発生装置と、
前記排ガス循環経路に排ガス循環経路に空気を導入するためのリーク弁と、
前記排ガス循環経路内の排ガス中の酸素濃度を計測する酸素濃度計とを備える廃棄物加熱処理装置であって、
前記循環経路に前記窒素ガス発生装置、前記リーク弁及び前記酸素濃度計を順に配し、
前記排ガス循環経路の排ガス洗浄装置下流を前記窒素ガス発生装置の吸気口に接続し、かつ、前記窒素ガス発生装置の窒素ガス排出口を前記加熱炉へと至る前記排ガス循環経路に接続することにより、排ガス中から窒素ガスを回収及び精製して前記排ガス循環経路の前記窒素ガス発生装置下流に供給すると共に、
前記リーク弁の開度を前記酸素濃度計の測定値に応じて調整することにより、前記排ガス循環経路から前記加熱炉へと供給される排ガス中の酸素濃度を0.01容量%以上3容量%以下に調整することを特徴とする処理装置に関する(請求項10)。
【0025】
廃棄物中に汚染物質である有機ハロゲン化合物以外の有機物が存在する場合、有機物は加熱炉内で燃焼し、一酸化炭素及び二酸化炭素が発生するが、一酸化炭素は炉内で酸素と反応して二酸化炭素に変化する。このため、加熱炉内の酸素濃度を単に3%以下に調整するだけでは、炉内が無酸素状態となりやすくなる。無酸素状態で有機物が炉内に供給されると、有機物は炭化され、この生成した炭化物が処理対象たる有機ハロゲン化合物の一部を吸着するため、有機ハロゲン化合物の一部は分解されることなく加熱処理後の廃棄物と共に炉外へ排出されるおそれがある。
【0026】
そこで、本願第ニ発明の廃棄物加熱処理方法及び廃棄物加熱処理装置は、排ガス循環経路にPSA方式の窒素ガス発生装置を直結することにより、浄化処理後の排ガス循環経路内を流れる排ガス中の窒素ガスを回収及び精製し、排ガス循環経路内の一酸化炭素等を除去する。そして、一旦排ガス循環経路内を窒素ガスだけとした上で、酸素濃度計で排ガス中の酸素濃度を計測しながらリーク弁の開度を調整し、排ガス循環経路内の酸素ガス濃度を、0.01容量%以上3容量%以下の範囲内に調整する。
【0027】
この排ガス中の窒素ガス回収及び空気リークによる酸素濃度調整により、系外に排出される排ガス量を最低限に抑制しつつ、加熱炉内の雰囲気を有機ハロゲン化合物の還元加熱分解に適した酸素濃度に常時維持することが可能である。
【0028】
なお、酸素濃度が低いほどダイオキシン類を発生させずに有機ハロゲン化合物を分解しやすいという点から酸素濃度は1容量%以下であることがより好ましい。
【0029】
次に、本願第三発明は、有機ハロゲン化合物を含む廃棄物を加熱処理する処理方法及び処理装置であって、還元加熱炉の排ガスをPSA方式の窒素ガス発生装置へと供給し、排ガス中から窒素ガスを回収及び精製し、還元加熱炉内で酸素ガスを消費する一酸化炭素を除去した上で、窒素ガスに還元加熱炉内で有機ハロゲン化合物を還元状態で熱分解するのに適した濃度範囲となるよう、排ガス循環経路に酸素ガスを供給し、還元加熱炉へと循環させることを特徴とする。
【0030】
具体的に、本願第三発明は、
有機ハロゲン化合物を含む廃棄物を加熱処理する加熱炉と、
前記加熱炉の排ガス出口から排ガス洗浄装置を経て、前記加熱炉へと接続する排ガス循環経路と、
前記排ガス循環経路に窒素ガスを供給するPSA方式の窒素ガス発生装置と、
前記排ガス循環経路に酸素ガスを供給する酸素ガス供給装置と、
前記排ガス循環経路内の排ガス中の酸素濃度を計測する酸素濃度計とを備える廃棄物加熱処理装置を用いる廃棄物加熱処理方法において、
前記排ガス循環経路の排ガス洗浄装置下流を前記窒素ガス発生装置の吸気口に接続し、かつ、前記窒素ガス発生装置の窒素ガス排出口を前記加熱炉へと至る前記排気ガス循環経路に接続することにより、窒素ガスを回収及び精製して前記排ガス循環経路の前記窒素ガス発生装置下流に供給すると共に、
前記酸素ガス供給装置から前記排ガス循環経路へと供給される酸素量を前記酸素濃度計の測定値に応じて調整することにより、前記排ガス循環経路から前記加熱炉へと供給される排ガス中の酸素濃度を0.01容量%以上3容量%以下に調整することを特徴とする処理方法に関する(請求項3)。
【0031】
また、本願第三発明は、
有機ハロゲン化合物を含む廃棄物を加熱処理する加熱炉と、
前記加熱炉の排ガス出口から排ガス洗浄装置を経て、前記加熱炉へと接続する排ガス循環経路と、
前記排ガス循環経路に窒素ガスを供給するPSA方式の窒素ガス発生装置と、
前記排ガス循環経路に酸素ガスを供給する酸素ガス供給装置と、
前記排ガス循環経路内の排ガス中の酸素濃度を計測する酸素濃度計とを備える廃棄物加熱処理装置であって、
前記排ガス循環経路の排ガス洗浄装置下流を前記窒素ガス発生装置の吸気口に接続し、かつ、前記窒素ガス発生装置の窒素ガス排出口を前記加熱炉へと至る前記排気ガス循環経路に接続することにより、窒素ガスを回収及び精製して前記排ガス循環経路の前記窒素ガス発生装置下流に供給すると共に、
前記酸素ガス供給装置から前記排ガス循環経路へと供給される酸素量を前記酸素濃度計の測定値に応じて調整することにより、前記排ガス循環経路から前記加熱炉へと供給される排ガス中の酸素濃度を0.01容量%以上3容量%以下に調整することを特徴とする処理装置に関する(請求項11)。
【0032】
本願第三発明の廃棄物加熱処理方法及び廃棄物加熱処理装置は、本願第二発明と同様に、排ガス循環経路にPSA方式の窒素ガス発生装置を直結することにより、浄化処理後の排ガス循環経路内を流れる排ガス中の窒素ガスを回収及び精製し、排ガス循環経路内の一酸化炭素等を除去する。そして、一旦排ガス循環経路内を窒素ガスだけにした上で、酸素濃度計で排ガス中の酸素濃度を計測しながら酸素ガス供給装置から排ガス循環経路に供給する酸素量を調整することにより、排ガス循環経路内の酸素ガス濃度を、0.01容量%以上3容量%以下の範囲内に調整する。
【0033】
この排ガス中の窒素ガス回収及び酸素供給装置からの酸素ガス供給によっても、系外に排出される排ガス量を最低限に抑制しつつ、加熱炉内の雰囲気を有機ハロゲン化合物の還元加熱分解に適した酸素濃度に常時維持することが可能である。
【0034】
なお、酸素濃度が低いほどダイオキシンを発生させずにハロゲン化合物を分解しやすいという点から、本願第三発明においても酸素濃度は1容量%以下であることがより好ましい。
【0035】
また、廃棄物中に有機ハロゲン化合物以外の有機物が存在しないことが判明している場合には、加熱炉内の酸素濃度を特に制御する必要がないため、酸素濃度計の測定値に応じて排ガス循環経路内の酸素濃度を調整する構成を有しない本願第一発明の加熱処理方法及び加熱処理装置で対処可能である。
【0036】
前記加熱炉はロータリーキルンであり、管板と内筒との間にガスシールボックスを設置すると共に、前記排ガス循環経路の排ガス洗浄装置下流から分岐して前記ガスシールボックスへと接続する第一排ガス分岐経路を設置することにより、前記ガスシールボックスから前記加熱炉内への空気流入を防止することが好ましい(請求項4,12)。
【0037】
炉内の処理対象物を均一に加熱処理できる観点から、加熱炉はロータリーキルンであることが好ましいが、ロータリーキルンでは管板と内筒との間から空気が侵入しやすい。このため、管板と内筒との間にガスシールボックスを設置し、かつ、該ガスシールボックスへと排ガス循環経路を分岐させて接続することにより、リーク弁又は酸素供給経路以外の経路からの空気侵入を防止することが、排ガス量を削減する上で好ましい。また、排ガス循環経路及び加熱炉内の酸素濃度を正確に制御する上でも好ましい。
【0038】
前記加熱炉の処理物投入口内に上部ダンパ及び下部ダンパを設置して両ダンパ間を気密部分として形成すると共に、前記排ガス循環経路の排ガス洗浄装置下流から分岐して前記気密部分へと接続する第二排ガス分岐経路を設置することにより、前記処理物投入口から前記加熱炉内への空気流入を防止することが好ましい(請求項5,13)。
【0039】
加熱炉の処理物投入口内には、通常ダンパが設置され、処理物を投入するときにはダンパを開き、それ以外はダンパが閉じられている。ダンパを閉じている場合、ダンパによって加熱炉内への空気リークは防止されるが、完全に気密性を確保することは困難である。このため、処理物投入口内に上部ダンパと下部ダンパを設置し、これら二つのダンパで仕切られた空間を気密部分とし、かつ、この気密部分へと排ガス循環経路を分岐させて接続することにより、処理物投入口から加熱炉内への空気侵入を防止することが、排ガス量を削減する上でも、排ガス循環経路及び加熱炉内の酸素濃度を正確に制御する上でも好ましい。
【0040】
前記加熱炉は、炉内温度を制御しやすい間接加熱式の加熱炉であることが好ましい(請求項6,14)。
【0041】
前記排ガス洗浄装置は、バグフィルター、湿式洗浄装置及び吸着装置から選択される1種又は2種以上の組み合わせであることが好ましい(請求項7,15)。
【0042】
前記処理対象物は、不燃物である土壌、汚泥又は瓦礫であることが好ましい(請求項8,16)。
【発明の効果】
【0043】
本願第一発明の廃棄物加熱処理方法及び加熱処理装置は、PSA方式の窒素ガス発生装置を用いて加熱炉の窒素ガスを回収及び精製し加熱炉へと循環再利用することにより、有機塩素化合物を効率よく加熱分解すると共に、系外に排出する排ガスの量を極端に低減することができるという、従来の加熱処理方法及び加熱処理装置にはない作用効果を有する。
【0044】
また、本願第二発明及び本願第三発明は、さらに、酸素濃度を調整した後、加熱炉へと循環させることにより、廃棄物中に有機ハロゲン化合物以外の有機物が存在する場合であっても、有機物の炭化を防止することにより、有機ハロゲン化合物の一部が加熱分解されずに系外に排出されることを防止するという、従来の加熱処理方法及び加熱処理装置にはない作用効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下に、本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、これらに限定されない。
【0046】
(実施の形態1)
本願第ニ発明の廃棄物加熱処理装置の基本的構成の一例を、図1に示す。図1に示す廃棄物加熱処理装置では、まず処理物投入口20から有機ハロゲン化合物に汚染された土壌、汚泥、瓦礫等の処理物を加熱炉1に投入する。この場合、処理物は前処理として乾燥処理していることが好ましい。また、適宜粉砕処理等して粒度を小さくしておくことも好ましい。
【0047】
まず、加熱炉1を加熱すると共にオイルスクラバー5を運転し、ブロワ6を作動させる。また、窒素ガス発生装置10を作動させ、加熱炉1に窒素を供給する。加熱炉1内の空気は経路A〜C及び活性炭吸着塔7を通じて系外へ放出される。こうして、加熱炉1の内部の空気が窒素に置換され、低酸素雰囲気に晒される。
【0048】
なお、窒素ガス発生装置としてはPSA方式の窒素ガス発生装置の他、窒素ガスボンベ等も使用することができる。また、不活性ガスとして、アルゴンガス等を使用してもよい。
【0049】
次に、熱媒体供給装置(図示せず)から間接加熱装置2に高温ガスを通じ、加熱炉1の内部を400℃〜600℃、より好ましくは450℃〜550℃に加熱する。加熱炉1が充分に加熱された時点で、被処理物を処理物等入口20から加熱炉1内に投入される。加熱炉1内に投入された被処理物は加熱処理されながら加熱炉内を移動する。
【0050】
加熱に伴って有機塩素系化合物等の有機ハロゲン化合物や、その他の有機物が熱分解され、塩素ガス等のハロゲンガス、一酸化炭素及び二酸化炭素等のガスが発生する。また、処理物自体からも空気及び水蒸気が放出される。
【0051】
加熱炉内に発生したガス等は、排ガス出口3から排出され、経路Aを経てバグフィルター4に供給され、排ガス中の固形微粒子等が除去される。その後、排ガスは経路Bを経てオイルスクラバー5に供給される。バグフィルター4としては、高温バグフィルターを使用することが好ましい。
【0052】
オイルスクラバー5では、洗浄油と排ガスが接触することにより、排ガス中の有機性ガス等が洗浄油によって除去される。同時に、排ガスの温度も低下し、水蒸気の一部は水分として洗浄油に混入する。洗浄油に混入した水分は、油水分離装置8で分離され、無害化された後、系外へ排出される。オイルスクラバー5としては、散油式オイルスクラバー又は油中曝気式オイルスクラバーが好ましく、洗浄油を50℃以下に冷却する冷却装置を備えることがより好ましい。
【0053】
水分を分離した洗浄油は、有機ハロゲン化合物分解装置9へと回収される。ここでは、洗浄油にナトリウム分散体が添加され、洗浄油中に溶解している有機ハロゲン化合物が分解される。
【0054】
次に、洗浄油は、洗浄油中に残存するナトリウム分散体を水で中和する中和装置10へと供給される。その後、中和処理後の洗浄油から廃アルカリ水を分離する廃水分離装置11へと供給され、廃アルカリ水は系外へ排出される。そして、洗浄油はオイルスクラバー5に回収される。
【0055】
なお、油水分離装置8、有機ハロゲン化合物分解装置9、中和装置10及び廃水分離装置11は、すべて任意の構成である。
【0056】
オイルスクラバー5に使用する洗浄油は、炭化水素油であれば特に限定されず、例えば、炭素数8〜15、好ましくは10〜12の炭化水素油を使用できる。このような炭化水素としは、有機ハロゲン化合物を溶解しやすく、安価なノルマルパラフィン系の炭化水素油が好ましい。
【0057】
オイルスクラバー5で洗浄された排ガスは、経路Cとブロワ6を経由して経路Dへと供給され、運転当初は経路D出口の弁12を開き、活性炭吸着塔7で吸着処理した後、系外に排出される。加熱炉1内部の空気が排出された後は弁12を閉じ、排ガスは経路Eを経てPSA方式の窒素ガス発生装置13の吸気口14へと供給される。
【0058】
ここで、本願第ニ発明におけるPSA方式の窒素ガス発生装置13の作用効果を、図2を参照しながら説明する。経路Eから吸気口14へと供給された排ガスは、三方弁21を通じて吸着剤23へと供給される。三方弁21及び吸着剤23は2個ずつ設置されており、タイマー22によって、2個の三方弁21が交互に開くように調整させる。
【0059】
吸着剤23は、ゼオライトや活性炭の微細孔を有するものである。昇圧→吸着→減圧→パージ(排気)というサイクルが繰り返されることによって、窒素ガスと窒素以外のガス(酸素、一酸化炭素、二酸化炭素等)は、吸着剤23に対する吸着力の違いを利用して分離される。分離された窒素は、窒素ガス排出口15から排出され、経路F及び経路Gを通じて加熱炉1へと循環される。
【0060】
排ガス中の窒素以外のガスは、減圧工程時にパージ弁16から排気される。通常、パージ弁16からは酸素が排気されるが、本願第二発明の廃棄物加熱処理装置では、排ガス中の一酸化炭素や二酸化炭素等も排気される。このように、加熱炉1内に再循環させると炉内の酸素を消費する排ガス循環経路内の一酸化炭素は、PSA方式の窒素ガス発生装置によって完全に除去できる。また、空気から窒素ガスを分離する場合と比較して、PSA方式の窒素ガス発生装置1の運転効率も高い。
【0061】
なお、ここで説明したPSA方式の窒素ガス発生装置の作用効果は、本願第三発明の廃棄物加熱処理装置についても同じである。
【0062】
次に、経路F以降について説明する。経路Fには窒素ガスのみが通気することになるが、窒素ガスのみを加熱炉1に循環させれば炉内が無酸素状態となる。処理対象物にもよるが、有機物を多量に含む被処理物においては、有機物が炭化し、生成した炭化物が有機ハロゲン化合物を吸着するため、有機ハロゲン化合物が完全に分解されることなく、土壌と共に排出されるおそれがある。そこで、リーク弁17を開き、経路Gに微量の空気をリークさせ、加熱炉1に循環させる排ガス(すなわち、窒素ガス)に酸素を供給する。
【0063】
リーク弁17は、排ガス循環経路の加熱炉1手前に設置した酸素濃度計18が測定する経路G内酸素濃度が0.01容量%未満であれば開度を大きくし、3容量%を超えれば開度を小さくして、経路G内の酸素濃度を0.01容量%以上3容量%以下、より好ましくは0.1容量%以上1容量%以下に制御する。これによって、加熱炉内の酸素濃度を有機ハロゲン化合物の燃焼に最適な状態に維持することができる。
【0064】
なお、酸素濃度計18がシーケンサ(図示せず)に接続され、酸素濃度に基づいてシーケンサがリーク弁17の開閉を調整することが好ましい。
【0065】
加熱処理が終了し、浄化された処理物は、加熱炉1内部に設置されているパドルや搬送用スクリュー等(図示せず)によって、順次急冷装置19へと回収され、その後系外へ排出される。
【0066】
なお、酸素濃度計18がシーケンサ(図示せず)に接続され、測定した酸素濃度に基づき、シーケンサが弁17の開閉を調整することが好ましい。
【0067】
(実施の形態2)
本願第ニ発明の廃棄物加熱処理装置の基本的構成の別の一例を、図3に示す。図3に示す廃棄物加熱処理装置では、加熱炉1はロータリーキルンであり、管板と内筒との間にガスシールボックス30が設置されている。そして、経路Gから分岐した経路H(第一排ガス分岐経路)がガスシールボックス30に接続されている。それ以外は、すべて図1に示した廃棄物加熱処理装置と同じである。
【0068】
ロータリーキルンは、図4に示す内筒31を回転させながら加熱処理を行うため、処理物を均一に加熱することができる反面、内筒31と管板32との間に隙間が存在するため、この隙間から陰圧の内筒31内へと空気がリークしやすい。空気のリーク量が多いと、加熱炉1内の酸素濃度を0.01容量%以上3容量%以下に調整することが困難となる。このリークを防止するための手段として、テフロン(登録商標)製等のガスパッキン33とボックス34を設置することが知られている。
【0069】
本実施の形態では、加熱炉1内の酸素濃度を排ガス循環経路に設置されているリーク弁17によって正確に制御するため、経路Gを通じて加熱炉1へと供給する排ガスを、経路Hを通じてボックス34内にも供給する。これにより、ガスパッキン33を通じて微量の空気がロータリーキルン内にリークすることを可能な限り防止することができる。
【0070】
(実施の形態3)
本願第ニ発明の廃棄物加熱処理装置の基本的構成のさらに別の一例を、図5に示す。図5に示す廃棄物加熱処理装置では、加熱炉1の処理物投入口が二重密閉型処理物投入口40となっており、内部に上部ダンパ41と下部ダンパ42が設置されている。上部ダンパ41と下部ダンパ42との間に形成される気密空間がダンパ間気密部分43となっている。そして、経路I(第二排ガス分岐経路)を通じてダンパ間気密部分43内に排ガス循環経路内の排ガスが供給される。それ以外は、すべて図1に示した廃棄物処理装置と同じである。
【0071】
処理物を投入する際には上部ダンパ41と下部ダンパ42を開き、処理物の投入が終われば上部ダンパ41と下部ダンパ42を閉じる。なお、図5には示していないが、上部ダンパ41と下部ダンパ42は、モータの動力によって回転又は移動し、開閉自在となっている。
【0072】
二重密閉型処理物投入口40からは、土壌等の大量の処理物を断続的に加熱炉内に投入する必要がある。また、加熱炉1で処理物の加熱処理を行うときには、二重密閉型処理物投入口40もある程度高温になる。このため、上部ダンパ41と下部ダンパ42を完全な気密構造とすることは非常に困難である。
【0073】
本実施の形態では、加熱炉1内の酸素濃度を排ガス循環経路に設置されているリーク弁17によって正確に制御するため、経路Gを通じて加熱炉1へと供給する排ガスを、経路Iを通じて二重密閉型処理物投入口40のダンパ間気密部分43内にも供給する。これにより、二重密閉型処理物投入口40を通じて微量の空気が加熱炉1内にリークすることを可能な限り防止することができる。
【0074】
なお、本実施の形態では、二重密閉型処理物投入口40に処理物を搬送するために使用されるコンベヤは、密閉型コンベアであることが好ましい。
【0075】
(実施の形態4)
次に、本願第三発明の廃棄物加熱処理装置の基本的構成の一例を、図6に示す。図6に示す廃棄物加熱処理装置では、酸素弁50を開くことによって、酸素供給装置51からの酸素ガスを経路Gに供給する。これ以外は、すべて図1に示した廃棄物加熱処理装置と同じである。
【0076】
酸素弁50は、排ガス循環経路の加熱炉1手前に設置した酸素濃度計18が測定する経路G内酸素濃度が0.01容量%未満であれば開度を大きくし、3容量%を超えれば開度を小さくして、経路G内の酸素濃度を0.01容量%以上3容量%以下、より好ましくは0.1容量%以上1容量%以下に制御する。これによって、実施の形態1〜3の廃棄物加熱処理装置と同様、加熱炉内の酸素濃度を有機ハロゲン化合物の燃焼に最適な状態に維持することができる。
【0077】
酸素発生装置51としては、酸素ガスボンベやPSA方式の酸素ガス発生装置等を使用することができる。
【0078】
また、図5に示す廃棄物加熱処理装置に、実施の形態2と同様のガスシールボックスを設け、経路Gから分岐した経路Hを接続してもよく、実施の形態3と同様の二重密閉型処理物投入口を設け、経路Gから分岐した経路Iをダンパ間気密部分43へ接続してもよい。その作用効果は、上述した通りである。
【0079】
なお、本実施の形態でも、二重密閉型処理物投入口に処理物を搬送するために使用されるコンベヤは、密閉型コンベアであることが好ましい。
【0080】
上述した実施の形態1〜4においては、PSA方式の窒素ガス発生装置からの窒素ガスを直接加熱炉に供給する方法を採用したが、これに限定されず、間にバッファータンクを配し、窒素ガス発生装置からの窒素ガスを一度バッファータンク内に貯蔵する構成としてもよい。
【0081】
また、上述した実施の形態1〜4においては、全てPSA方式の窒素ガス発生装置から加熱炉への窒素供給配管に酸素濃度計及び酸素供給弁を設ける構成としたが、これに限定されない。被処理物に汚染物質である有機塩素系化合物等の有機ハロゲン化合物以外の有機物が含まれない(ほとんど含まれない場合も含む)場合は炭化物が生成しにくく、また、生成したとしても有機塩素化合物の無害化に与える影響が小さいため、加熱炉内に供給する窒素ガス中の酸素濃度を調整する必要がない。このような場合には、これらの機器を設けずに、加熱炉にPSA方式の窒素ガス発生装置からの窒素のみを供給する本願第一発明の加熱処理装置を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
上述したように、本発明の有機ハロゲン化合物を含む廃棄物を加熱処理する処理方法及び処理装置は、系外に排出される排気ガス量を極端に抑制することができる。また、本願第二発明及び本願第三発明では、加熱炉内の酸素濃度を、有機塩素系化合物等の有機ハロゲン化合物の加熱分解に最適な濃度範囲に調整することができる。これによって、ダイオキシン類の発生を防止しつつ、効率的に処理対象物中の有機ハロゲン化合物を加熱分解することができる。
【0083】
このように、本発明の有機ハロゲン化合物を含む廃棄物を加熱処理する処理方法及び処理装置は、有機塩素系化合物等の有機ハロゲン化合物によって汚染された土壌、汚泥、瓦礫等の無害化処理を目的とする環境保全分野や廃棄物処理分野で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】実施の形態1の廃棄物加熱処理装置の一例を示す構成図である。
【図2】PSA方式の窒素ガス発生装置の構造を示す模式図である。
【図3】実施の形態2の廃棄物加熱処理装置の一例を示す構成図である。
【図4】実施の形態2の加熱炉の構造を示す一部拡大図である。
【図5】実施の形態3の廃棄物加熱処理装置の一例を示す構成図である。
【図6】実施の形態4の廃棄物加熱処理装置の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0085】
1:加熱炉
2:間接加熱装置
3:排ガス出口
4:バグフィルター
5:オイルスクラバー
6:ブロア
7:活性炭吸着塔
8:油水分離装置
9:有機ハロゲン化合物分解装置
10:中和装置
11:廃水分離装置
12:弁
13:PSA方式の窒素ガス発生装置
14:吸気口
15:窒素ガス排出口
16:パージ弁
17:リーク弁
18:酸素濃度計
19:急冷装置
20:処理物投入口
21:三方弁
22:タイマー
23:吸着剤
30:ガスシールボックス
31:内筒
32:管板
33:ガスパッキン
34:ボックス
35:内筒の回転中心
40:二重密閉式処理物投入口
41:上部ダンパ
42:下部ダンパ
43:ダンパ間気密部分
50:酸素弁
51:酸素発生装置
A〜I:経路(排ガス経路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機ハロゲン化合物以外の有機物を含まない廃棄物を加熱処理する加熱炉と、
前記加熱炉の排ガス出口から排ガス洗浄装置を経て、前記加熱炉へと接続する排ガス循環経路と、
前記排ガス循環経路に窒素ガスを供給するPSA方式の窒素ガス発生装置とを備える廃棄物加熱処理装置を用いる廃棄物加熱処理方法において、
前記排ガス循環経路の排ガス洗浄装置下流を前記窒素ガス発生装置の吸気口に接続し、かつ、前記窒素ガス発生装置の窒素ガス排出口を前記加熱炉へと至る前記排ガス循環経路に接続することにより、窒素ガスを回収及び精製して前記排ガス循環経路の前記窒素ガス発生装置下流に供給することを特徴とする処理方法。
【請求項2】
加熱炉と、
前記加熱炉の排ガス出口から排ガス洗浄装置を経て、前記加熱炉へと接続する排ガス循環経路と、
前記排ガス循環経路に窒素ガスを供給するPSA方式の窒素ガス発生装置と、
前記排ガス循環経路に空気を導入するための空気導入装置と、
前記排ガス循環経路内の排ガス中の酸素濃度を計測する酸素濃度計とを備える廃棄物加熱処理装置を用いる廃棄物加熱処理方法において、
前記循環経路の前記排ガス洗浄装置下流に前記窒素ガス発生装置、前記空気導入装置及び前記酸素濃度計を順に配し、
前記排ガス循環経路の排ガス洗浄装置下流を前記窒素ガス発生装置の吸気口に接続し、かつ、前記窒素ガス発生装置の窒素ガス排出口を前記加熱炉へと至る前記排ガス循環経路に接続することにより、窒素ガスを回収及び精製して前記排ガス循環経路の前記窒素ガス発生装置下流に供給すると共に、
前記空気導入装置から前記排ガス経路内への空気導入量を前記酸素濃度計の測定値に応じて調整することにより、前記排ガス循環経路から前記加熱炉へと供給される排ガス中の酸素濃度を0.01容量%以上3容量%以上に調整することを特徴とする処理方法。
【請求項3】
有機ハロゲン化合物を含む廃棄物を加熱処理する加熱炉と、
前記加熱炉の排ガス出口から排ガス洗浄装置を経て、前記加熱炉へと接続する排ガス循環経路と、
前記排ガス循環経路に窒素ガスを供給するPSA方式の窒素ガス発生装置と、
前記排ガス循環経路に酸素ガスを供給する酸素ガス供給装置と、
前記排ガス循環経路内の排ガス中の酸素濃度を計測する酸素濃度計とを備える廃棄物加熱処理装置を用いる廃棄物加熱処理方法において、
前記排ガス循環経路の排ガス洗浄装置下流を前記窒素ガス発生装置の吸気口に接続し、かつ、前記窒素ガス発生装置の窒素ガス排出口を前記加熱炉へと至る前記排気ガス循環経路に接続することにより、窒素ガスを回収及び精製して前記排ガス循環経路の前記窒素ガス発生装置下流に供給すると共に、
前記酸素ガス供給装置から前記排ガス循環経路へと供給される酸素量を前記酸素濃度計の測定値に応じて調整することにより、前記排ガス循環経路から前記加熱炉へと供給される排ガス中の酸素濃度を0.01容量%以上3容量%以上に調整することを特徴とする処理方法。
【請求項4】
前記加熱炉がロータリーキルンであり、管板と内筒との間にガスシールボックスを設置すると共に、前記排ガス循環経路の排ガス洗浄装置下流から分岐して前記ガスシールボックスへと接続する第一排ガス分岐経路を設置することにより、前記ガスシールボックスから前記加熱炉内への空気流入を防止する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の廃棄物加熱処理方法。
【請求項5】
前記加熱炉の処理物投入口内に上部ダンパ及び下部ダンパを設置して両ダンパ間を気密部分として形成すると共に、前記排ガス循環経路の排ガス洗浄装置下流から分岐して前記気密部分へと接続する第二排ガス分岐経路を設置することにより、前記処理物投入口から前記加熱炉内への空気流入を防止する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の廃棄物加熱処理方法。
【請求項6】
前記排ガス洗浄装置がバグフィルター、湿式洗浄装置及び吸着装置から選択される1種又は2種以上の組み合わせである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の廃棄物加熱処理方法。
【請求項7】
前記処理対象物が土壌、汚泥又は瓦礫である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の廃棄物加熱処理方法。
【請求項8】
有機ハロゲン化合物以外の有機物を含まない廃棄物を加熱処理する加熱炉と、
前記加熱炉の排ガス出口から排ガス洗浄装置を経て、前記加熱炉へと接続する排ガス循環経路と、
前記排ガス循環経路に窒素ガスを供給するPSA方式の窒素ガス発生装置とを備える廃棄物加熱処理装置であって、
前記循環経路の排ガス洗浄装置下流を前記窒素ガス発生装置の吸気口に接続し、かつ、前記窒素ガス発生装置の窒素ガス排出口を前記加熱炉へと至る前記排ガス循環経路に接続することにより、排ガス中から窒素ガスを回収及び精製して前記排ガス循環経路の前記窒素ガス発生装置下流に供給することを特徴とする処理装置。
【請求項9】
有機ハロゲン化合物を含む廃棄物を加熱処理する加熱炉と、
前記加熱炉の排ガス出口から排ガス洗浄装置を経て、前記加熱炉へと接続する排ガス循環経路と、
前記排ガス循環経路に窒素ガスを供給するPSA方式の窒素ガス発生装置と、
前記排ガス循環経路に空気を導入するための空気導入装置と、
前記排ガス循環経路内の排ガス中の酸素濃度を計測する酸素濃度計とを備える廃棄物加熱処理装置であって、
前記循環経路に前記窒素ガス発生装置、前記空気導入装置及び前記酸素濃度計を順に配し、
前記排ガス循環経路の排ガス洗浄装置下流を前記窒素ガス発生装置の吸気口に接続し、かつ、前記窒素ガス発生装置の窒素ガス排出口を前記加熱炉へと至る前記排ガス循環経路に接続することにより、排ガス中から窒素ガスを回収及び精製して前記排ガス循環経路の前記窒素ガス発生装置下流に供給すると共に、
前記空気導入装置から前記排ガス循環経路内へと導入される空気導入量を前記酸素濃度計の測定値に応じて調整することにより、前記排ガス循環経路から前記加熱炉へと供給される排ガス中の酸素濃度を0.01容量%以上3容量%以上に調整することを特徴とする処理装置。
【請求項10】
有機ハロゲン化合物を含む廃棄物を加熱処理する加熱炉と、
前記加熱炉の排ガス出口から排ガス洗浄装置を経て、前記加熱炉へと接続する排ガス循環経路と、
前記排ガス循環経路に窒素ガスを供給するPSA方式の窒素ガス発生装置と、
前記排ガス循環経路に酸素ガスを供給する酸素ガス供給装置と、
前記排ガス循環経路内の排ガス中の酸素濃度を計測する酸素濃度計とを備える廃棄物加熱処理装置であって、
前記排ガス循環経路の排ガス洗浄装置下流を前記窒素ガス発生装置の吸気口に接続し、かつ、前記窒素ガス発生装置の窒素ガス排出口を前記加熱炉へと至る前記排気ガス循環経路に接続することにより、窒素ガスを回収及び精製して前記排ガス循環経路の前記窒素ガス発生装置下流に供給すると共に、
前記酸素ガス供給装置から前記排ガス循環経路へと供給される酸素量を前記酸素濃度計の測定値に応じて調整することにより、前記排ガス循環経路から前記加熱炉へと供給される排ガス中の酸素濃度を0.01容量%以上3容量%以上に調整することを特徴とする処理装置。
【請求項11】
前記加熱炉がロータリーキルンであり、管板と内筒との間にガスシールボックスを備えると共に、前記排ガス循環経路の排ガス洗浄装置下流に前記排ガス循環経路から分岐して前記ガスシールボックスへと接続する第一排ガス分岐経路を備えることにより、前記ガスシールボックスから前記加熱炉内への空気流入を防止する請求項8乃至10のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項12】
前記加熱炉の処理物投入口内に上部ダンパ及び下部ダンパを設置して両ダンパ間を気密部分として形成すると共に、前記排ガス循環経路の排ガス洗浄装置下流に前記排ガス循環経路から分岐して前記気密部分へと接続する第二排ガス分岐経路を備えることにより、前記処理物投入口から前記加熱炉内への空気流入を防止する請求項8乃至11のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項13】
前記加熱炉が間接加熱式の加熱炉である請求項8乃至12のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項14】
前記排ガス洗浄装置がバグフィルター、湿式洗浄装置及び吸着装置から選択される1種又は2種以上の組み合わせである請求項8乃至13のいずれか1項に記載の処理装置。
【請求項15】
前記処理対象物が土壌、汚泥又は瓦礫である請求項8乃至14のいずれか1項に記載の処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−272534(P2008−272534A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−188419(P2006−188419)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Fターム(参考)】