説明

PTPシートの抱き合わせ装置における位置ずれ調整装置

【課題】 様々な種類のPTPシートに容易に対応することができ、作業効率の向上を図ることができるPTPシートの抱き合わせ装置における位置ずれ調整装置
【解決手段】 PTPシート1がポケット部2aを下向きにして搬送される上搬送路34と、PTPシート1がポケット部を上向きにして搬送される下搬送路35と、それら上搬送路と下搬送路の下流側でそれぞれの搬送路を搬送してくるPTPシートを抱き合わせる合流部と、を備える。上搬送路と下搬送路のPTPシートは、合流部までは同一の押送フィンガー15によって同時に搬送される。合流部は、下搬送路に対して出没可能に設けられるとともに、PTPシートの搬送方向と同一方向であって、押送フィンガーの速度よりも速く移動し、その移動途中で押送フィンガーを追い越してPTPシートを送り出す送り爪41を有するPTPシート送り装置40を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1枚ずつ前後に並べて搬送されるPTP(Press Through Pack)シートのうちの2枚のPTPシートを、ポケット部を対向させた状態で重ね合わせるPTPシートの抱き合わせ装置における当該2枚のPTPシートの相対的なずれ量を調整する位置ずれ調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
良く知られているように、PTPシートは、容器(ポケット部)側から中身を押し出して上蓋を破壊し、中身を取り出すようにした包装形態であり、薬品包装における錠剤やカプセルの包装に良く使われる。そして、係るPTPシートは、通常複数個を積層した状態(物品集合体)で包装処理された状態で市販されている。そして、PTPシートを積層するに際し、2枚のPTPシートを、ポケット部を設けた面を対向させると共に、ポケット部の位置を互いにずらせた状態で重ね併せることがある。これにより、一方のPTPシートのポケット部間の空間内に、他方のPTPシートのポケット部が入り込むことで、複数のPTPシートを重ねて構成される物品集合体全体の高さを低く抑えることができる。
【0003】
このように2枚のPTPシートを重ね合わせる装置の一形態として、所定間隔で連続的に同じ姿勢で搬送しているPTPシートを、1枚おきに回転させつつ反転させ、2枚のPTPシートをポケット部の位置を互いにずらせた状態で重ね合わせることができるPTPシートの搬送装置がある。
【0004】
このポケット部の位置を互いにずらせた状態にする装置として、特許文献1に開示された発明がある。この特許文献1に開示された装置(PTPシートの抱き合わせ装置)は、その搬出側にて上下に重なるように平行に配置された上部ガイドと下部ガイドと、それら両ガイドの上に位置するPTPシートを押送するフィンガーと、を備える。上部ガイドには、ポケット部を下にしたPTPシートが位置し、下部ガイドにはポケット部を上にしたPTPシートが位置する。
【0005】
フィンガーは、下部ガイドの下側に設けられたエンドレスチェーンに取り付けられ、そのエンドレスチェーンの回転に伴い移動するものであり、そのフィンガーの上端位置は上部ガイドの上方に突出する。これにより、上部ガイドと下部ガイドのそれぞれにおいて同一の前後のフィンガー間に位置するPTPシートは、その後端縁が共に後方側の同一のフィンガーに接触し押送される。これにより、上下のPTPシートは、一緒に搬送されることになる。
【0006】
このとき、フィンガーのPTPシートの接触する部位を前後に異ならすことで、上下のPTPシートの前後方向の相対位置をずらすことができる。これにより、その後、両ガイドから搬出されて重なったPTPシートは、互いのポケット部が前後方向にずらした状態で抱き合わせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭63−17124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に示すPTPシートの抱き合わせ装置におけるずれ調整装置では、抱き合わせるPTPシートのずれ量は、使用するフィンガーの寸法形状に起因し一意に特定される。そのため、異なる寸法のPTPシートを抱き合わせる場合にそのずれ量が異ならせるためには、それに対応する寸法形状のフィンガーに交換する必要がある。そのため、その交換作業が繁雑となるばかりでなく、係る交換のためのフィンガーを事前に用意・保管しておく管理も煩雑となり汎用性に欠けるという課題がある。また、同じ寸法形状のPTPシートであっても、そりの状態が変わると、厳密には適切なずれ量も変わるが、特許文献1の方式では、柔軟に対応できないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は、(1)PTPシートがポケット部を下向きにして搬送される上搬送路と、PTPシートがポケット部を上向きにして搬送される下搬送路と、それら上搬送路と下搬送路の下流側でそれぞれの搬送路を搬送されてくる前記PTPシートを抱き合わせる合流部と、を備え、前記上搬送路と前記下搬送路のPTPシートは、前記合流部までは同一のアタッチメント(実施形態の押送フィンガー15)によって同時に搬送され、前記合流部は、前記上搬送路または前記下搬送路のいずれか一方に対して出没可能に設けられるとともに、前記PTPシートの搬送方向と同一方向であって、前記アタッチメントの速度よりも速く移動し、その移動途中で前記アタッチメントを追い越して前記PTPシートを送り出す送り爪を有するPTPシート送り手段を設けた。
【0010】
これにより、一方の搬送路を搬送するPTPシートは、送り爪により押し出されることで他方のPTPシートに対し相対的に前方に位置させることができる。そして、そのように位置ずれを生じさせる前の上搬送路と下搬送路を移動するPTPシートに対しては、同一のアタッチメントで同時に搬送すればよく、ずらす量は、例えばアタッチメントとPTPシート送り手段との位相(タイミング)を変更して相対位置を設定すれば送り出す量を変えることができるので、PTPシートの寸法形状が替わった場合でも、アタッチメントを交換することなく、柔軟に対応できる。なお、そのように位置ずれを生じさせた後で、ポケット部同士を向き合わせた状態で抱き合わせることになり、抱き合わせた後は、一方のポケット部が他方のポケット部の間に入り込んで一体化することから、例えば上記と同じアタッチメントを用いてそのまま片方のPTPシートにのみ接触して押送したとしても、抱き合わさった状態のまま搬送することができる。もちろん、抱き合わせた後は、別の搬送手段で搬送しても良い。
【0011】
(2)前記合流部には、前記上搬送路または前記下搬送路の少なくとも一方に、搬送路に連続して相手側に近づくスロープが設けられるようにするとよい。そのようにすると、相対的に前後にずれたPTPシートは、徐々に接近し、抱き合わせることができる。
【0012】
(3)前記合流部には、前記下搬送路に連続して上り坂のスロープを設けるとともに、そのスロープの下流側に前記上搬送路と同一高さの搬出通路を設け、前記上搬送路の先端と、前記搬出通路との間には空間を設けるとよい。スロープを上昇移動してきたPTPシートは、その空間内を通過して上搬送路を移動してきたPTPシートに当たり、抱き合わせがされる。
【0013】
(4)前記空間の上方には、前記PTPシートの上方への持ち上がりを抑制するガイド部材を設けるとよい。スロープをあがってきたPTPシートは、上搬送路を移動してきたPTPシートを上方に押し上げる方向に力がかかるが、その時ガイド部材に当たり、必要以上に上方に持ち上がって、搬送姿勢が崩れるのが防止できる。
【0014】
(5)前記空間の長さを調整可能とするとよい。実施形態では、上搬送路自体が全体で前後進移動するようにしたが、上搬送路の先端のみが前後進移動し空間の長さを調整できるようにしてもよい。
【0015】
(6)前記送り爪は、ループ状の軌跡をとるようにするとよい。このようすれば、搬送速度の速い/遅いにかかわらず、スムーズな移動でPTPシートを送り出すことができる。なお、このようにループ状ではなく、シリンダ等による往復移動でもよく、その他各種の機構を用いることができる。また、高速運転に対応可能となる。
【発明の効果】
【0016】
ずれ量の調整が無段階に行えるため、様々な種類のPTPシートに容易に対応することができ、段取り代えなどに要する時間を短縮することができ、作業効率の向上を図ることができる。さらに、ずれ量の調整が無段階に行えるため、カールしたPTPシートであっても微調整により、確実に抱き合わせを行うことができる。さらに、PTPシートの搬送方向と同じ方向に移動する送り手段によってずれを調整するため、PTPシートに与えるダメージを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明が用いられるPTPシートの抱き合わせ装置の好適な一形態を示す正面図である。
【図2】PTPシートの一例を示す図である。
【図3】経路切り替え機構を示す図である。
【図4】PTPシートの前後の回転機能を説明する平面図である。
【図5】PTPシートの上下の反転機能を説明する図である。
【図6】本発明に係る位置ずれ調整装置の好適な一実施形態を示す正面図である。
【図7】その作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明が用いられるPTPシートの抱き合わせ装置の好適な一実施形態を示している。この抱き合わせ装置10は、PTPシート1を所定間隔ごとに搬送する搬送装置11を備えている。PTPシート1は、図2に示すように、プラスチックシート2のシート面に複数のポケット部2aを形成し、そのポケット部2aに錠剤3等を収納するとともにそのシート面をアルミフォイル等のシート材4で気密に被覆シールした構造となる。そして、図2(c)に示すように、対となる2枚のPTPシートの一方を180度回転させつつ反転させ、2枚のPTPシート1をポケット部2aの位置を互いにずらせた状態で重ね合わせることができる。また、図2(a)に示すように、PTPシート1の長手方向の一方の端部側に、ポケット部未形成領域5を設けることで、一対のPTPシート1を180度回転させて互いにポケット部2aを向けた状態で重ね合わせると、それぞれのポケット部未形成領域5が反対側に位置することから、重ね合わされたPTPシート群の周縁は、ほぼ一致する。このポケット部未形成領域5は、錠剤3の型番や、商品名(商標)等を印刷・刻印等するのに利用する。もちろん、係るポケット部未形成領域5を設けない形態でもよく、その場合には、図2(d)のように、PTPシート1を重ねた場合に、各シートの周縁位置がずれることになる。
【0019】
搬送装置11は、ポケット部2aを上にした状態でPTPシート1を前後に所定間隔毎に連続して搬送する第1搬送路12を備えている。第1搬送路12は、上流側から順に、上方位置においてPTPシート1を水平に搬送するための第1通路12aと、その第1通路12aに続き下方傾斜状の第2通路12bと、その第2通路12bに続き下方位置においてPTPシート1を水平に搬送するための第3通路12cと、を備えている。これら各通路12a〜12c上のPTPシート1は、押送フィンガー15から搬送力を受けて前進移動する。この押送フィンガー15は、図示省略するエンドレスチェーンに対して一定間隔に取り付けられ、エンドレスチェーンの回転に伴い公転移動する。押送フィンガー15は、その上端が第1通路12aよりも上方に位置し、下端は第3通路12cよりも下方に位置する。これにより、押送フィンガー15は、第1〜第3通路12a〜12cのいずれの位置に位置するPTPシート1も押送可能となる。よって、第1通路12a上に位置するPTPシート1は、その進行方向後側の縁に押送フィンガー15が突き当たると、押送フィンガー15の移動に伴い、前方への搬送力を受け、第1通路12a→第2通路12b→第3通路12c上を順次移動しながら搬送される。
【0020】
搬送装置11は、第3通路12cの上方に、第2搬送路13を備えている。この第2搬送路13は、上流側に配置され、第1搬送路12の第1通路12aとほぼ同じ高さに設定された渡り通路13aと、その渡り通路13aの下流側に配置された上り通路13bと、を備えている。上り通路13bは、全体に上り坂(下流側に行くに従って徐々に高くなる上方傾斜状)の搬送面を持つ。そして、上り通路13bの上流側端部は渡り通路13aの下流側端部と近接・接触或いは一部重複しており、渡り通路13a上を搬送されるPTPシート1は、そのままスムーズに上り通路13b上へ移行する。
【0021】
第1通路12a上を搬送されるPTPシート1は、シャッター14を備えた搬送路切り替え機構により、第2通路12bと、第2搬送路13(渡り通路13a)のいずれかに送られる。シャッター14は、その上端面が第1通路12aとほぼ同一平面上に位置し、図3に示すように、PTPシート1の搬送方向に沿って往復直線移動する。この往復直線移動は、例えば、駆動モータの出力をオシレーティングドライブに与え、往復回転するオシレーティングドライブの出力軸を利用することで、高速に動作させることができる。もちろん、駆動モータ自体を正逆回転させても良いし、その他各種の駆動源・動力変換機構を用いることができる。
【0022】
図3に示すように、シャッター14は、上記の往復移動に下流側の先端部14aが第1通路12aの下側に位置する開状態と、第2通路12bの上方を覆うように突出する閉状態をとる。閉状態のときには、シャッター14の先端部14aは、その先端が渡り通路13aに至る。これにより、開状態のときには第1通路12a上を移動するPTPシート1は、そのまま第2通路12bに沿って下降移動して第3通路12cに至るが、閉状態のときにはシャッター14により第2通路12bへ進む道が遮断されているので、そのシャッター14の先端部14a上を進み、渡り通路13a上へ導かれる。よって、係るシャッター14の開状態と閉状態の切り替えに伴い、搬送経路の切り替えが行われる。そして、係る切り替えは、往復直線運動であるので、高速に行える。また、経路の切り替えは、前後に搬送されるPTPシート1に対し、1つずつ交互に行う。
【0023】
また、第2搬送路13の上流側端部と、第3通路12cとの間は、PTPシート1の高さよりも広い間隔になるように調整されている。これにより、第1通路12aから第2通路12bを経て第3通路12c上に至ったPTPシート1は、上方に位置する第2搬送路13に接触することなく、第3通路12c上をそのまま前進移動することができる。
【0024】
第2搬送路13上のPTPシート1に対する搬送力は、渡り通路13a上では押送フィンガー15から与え、上り通路13b上ではその上方に配置したヤグラコンベア16から与えるようにしている。つまり、第1通路12aから渡り通路13aまでは、同じ押送フィンガー15により搬送される。そして、上り通路13bは、その搬送面が徐々に高くなるので、途中で押送フィンガー15による搬送力がなくなり、その後はヤグラコンベア16からの搬送力を受けて移動する。
【0025】
ヤグラコンベア16は、前後に配置された一対のスプロケット17に掛け渡された無端状の牽引手段たるエンドレスチェーン18と、このエンドレスチェーン18にその全周に対して等間隔で取り付けられた複数の作動ロッド19と、その作動ロッド19の先端に取り付けられた抑え部材20並びに押送部材21を備えている。各作動ロッド19は、エンドレスチェーン18の回転面と平行な面内に配置され、エンドレスチェーン18の回転移動に追従して公転移動するが、エンドレスチェーン18の回転軌跡と直交方向に移動可能になっている。さらにヤグラコンベア16は、エンドレスチェーン18と平行な平面内にループ状の案内通路(カム)22を設け、その案内通路に作動ロッド19の基端(抑え部材20等を取り付けた側と反対側)に取り付けたカムフロア23を連携させる。これにより、作動ロッド19は、案内通路22の軌跡に沿って移動する。つまり、作動ロッド19の先端(押送部材21等)位置が、図1中二点鎖線で示す軌跡で移動する。具体的には、上り通路13bの搬送面の上昇に同期して作動ロッド19も上昇し、上り通路13bの下流側に連続して配置される水平な回転案内通路25の上では、若干下がった位置で平行移動する軌跡をとる。
【0026】
作動ロッド19の配置ピッチは、押送フィンガー15の配置ピッチの2倍に設定しており、各作動ロッド19(押送部材21)が、押送フィンガー15の同位置(若干後方)で同期して移動するように制御される。これにより、1つおきに渡り通路13aから上り通路13bの入口側まで押送フィンカー15にて搬送されてきたPTPシート1は、押送部材21からの搬送力を受けて、上り通路13bの搬送面に沿って上昇しながら前進移動する。もちろん作動ロッド19の配置ピッチは、本実施形態のように2倍にするものに限られず、各種の設定が可能である。
【0027】
抑え部材20は、シリコン系やウレタン系のゴム等の摩擦抵抗の比較的大きい材質から構成され、上り通路13bを移動中のPTPシート1には非接触の状態になるが、回転案内通路25上では上述したように若干下降することから抑え部材20がPTPシート1(ポケット部2a)に接触し、そのPTPシート1を所定の圧力で回転案内通路25に抑え付ける。なお、抑え部材20がPTPシート1を抑える所定の圧力は、PTPシート1の反り(PTPシート1は、プラスチックシート2とシート材4を熱接着して一体化されるが、両者の熱収縮率の違い等から、反りを生じることがある)による弾力性を利用することもできるので、あまり大きな力は必要が無く、PTPシート1にダメージを与えにくい。
【0028】
回転案内通路25は、超高分子量ポリエチレンのソリジュール等の比較的摩擦抵抗の低い材質から構成されているので、抑え部材20により所定の圧力で抑え付けられたPTPシート1は、抑え部材20の前進移動に追従して回転案内通路25の搬送面上を滑りながら移動する。
【0029】
作動ロッド19は、自転可能となっており、回転案内通路25の上方に設けられた第1ガイド部26aにガイドされて180度回転し、第2ガイド部26bにガイドされて180度回転する。これにより、図4に示すように、作動ロッド19の先端に設けられた抑え部材20と押送部材21は、回転案内通路25上で180度回転する。これにともない、抑え部材20により所定圧力で抑えられたPTPシート1も180度回転して前後が反転する。また、当初はPTPシート1の進行方向後側縁部に接触する姿勢から反転してPTPシート1の進行方向前側縁部に接触する姿勢になる。なお、回転案内通路25上では、PTPシート1はすでに抑え部材20にて抑えられているため、抑え部材20の移動に追従して移動することができるので、押送部材21がPTPシート1の前側に位置してもPTPシート1の搬送には問題がない。また、上記の押送部材21の回転をスムーズに案内するため、押送部材21の左右両側の下端は下方に突出する凸部21aとなり、その凸部21aが回転案内通路25上に設けた所定軌跡のガイド溝25aに入り込み係るガイド溝25aに沿って移動することで、180度の回転がスムーズに行われる。また、水平平面内での回転であるので、間欠運転することなく連続搬送中に係る処理が行えるので、高速処理が可能となる。
【0030】
回転案内通路25の下流側の先端部25bは、二股状に突出しており、この二股状の先端部25bの位置までPTPシート1は抑え部材20にて押圧されながら搬送される。この先端部25bの下方には、移し替え装置30が配置されている。この移し替え装置30は、下方所定位置を回転中心として所定角度範囲内で正逆回転(揺動)するアーム31と、そのアーム31の上端近傍に連携した回転軸32を中心に正回転する吸着ノズル33と、を備えている。吸着ノズル33は、図5(a)に示すように吸着ノズル33の吸着面33aが上方を向いた吸着姿勢から、時計方向に回転し(図5(b),(c)参照)、図5(d)に示すように吸着面33aが下方を向いた搬出姿勢に至る。その後同一方向に回転を続け、元の吸着姿勢に復帰する。ここでは、この時計方向の回転を正回転とする。また、この回転に併せてアーム31も回転する。具体的には、アーム31の上端が回転案内通路25の先端部25bの下方直近位置と、その位置から図1中時計方向に回転し実線で示す下流側に進んだ位置との間を往復回転移動する。
【0031】
そして、アーム31の上端が先端部25bの下方直近位置に来たときに、図5(a)に示すように吸着ノズル33が吸着姿勢になるように制御され、吸着ノズル33の吸着面33aがPTPシート1に接触する。バルブを開いて吸着ノズル33の吸引を開始しているので、係る接触により吸着面33aにPTPシート1を吸着保持することができる。また、図4に示すように、吸着ノズル33は、横一列に3個設けてあり、PTPシート1を3点でしっかりと吸着することができる。
【0032】
このように吸着ノズル33がPTPシート1を吸着した状態を保持しながら、アーム31を図1中時計方向に回転しつつ、図5(a)〜(d)に示すように吸着ノズル33が回転して吸着ノズル33が下を向いた排出姿勢に遷移する。これにより、PTPシート1は、ポケット部2aが下を向くようになり、上下が反転するとともに、搬送方向に沿って先端部25bの位置から所定距離だけ前方に移動する。
【0033】
この状態で、吸引バルブを閉じて吸引を停止すると、吸着ノズル33によるPTPシート1への吸着が解除され、図5(e)に示すように、PTPシート1は吸着ノズル33から離れて下方に落下する。本実施形態では、図1,図5に示すように、第3通路12cの下流側区間(回転案内通路25の先端部25bに重なる位置位から下流側の領域)である下搬送路34の上方に、上搬送路35を設けている。下搬送路34は、第3通路12cと連続して一つの搬送装置の一部分ともいえる。そして、上記の吸着ノズル33から落下したPTPシート1は、この上搬送路35上に供給される。
【0034】
上搬送路35は、下搬送路34の上に所定の距離をおいて重なるようにして平行に配置され、その高さ位置は、第1通路12aとほぼ同じにしている。これにより、押送フィンガー15の上端は、上搬送路35の搬送面よりも上方に突出し、上搬送路35上に落下供給されたPTPシート1も押送し、搬送することができる。もちろん、押送フィンガー15は、第3通路12cに連続する下搬送路34上のPTPシート1も第3通路12cから連続して押送し、搬送する。そして、これら両通路34,35上でのPTPシート1の搬送は、そのPTPシート1の進行方向後側の縁部に接触する押送フィンガー15からの搬送力を受けて前進移動するので、例えば、上搬送路35に供給されたPTPシート1は、前後の押送フィンガー15間のどの位置に供給されたとしても、後側の押送フィンガー15に接触するまでは、その位置をとどめ、押送フィンガー15に接触した後、押送フィンガー15と共に前進移動する。よって、図1,図5(e)に示すように、下搬送路34と上搬送路35とで、同じ押送フィンガー15間にPTPシート1が位置する場合、後方側の押送フィンガー15にて2つのPTPシート1が一緒に搬送される。このとき、係る同一の押送フィンガー15で搬送される下搬送路34と上搬送路35上の各PTPシート1は、後端縁がそろった状態となり、上下に重なった状態で搬送される。よって、この下搬送路34,上搬送路35から搬出することで、上下のPTPシート1は、ポケット部2a同士が向いた状態で重なる。詳細な構成は後述する。
【0035】
そして、本実施形態では、吸着ノズル33がPTPシート1を吸着した後、上下を反転するまでの間にアーム31も回転して進行方向前方に移動させるようにしたので、押送フィンガー15が高速に移動したとしても、1つ後の押送フィンガー間に落下供給することができる。つまり、本実施形態では、搬送路切り替え機構により第1通路12aを搬送されるPTPシート1を1つおきに第2通路12b側と第2搬送路13側に進路が切り替わるので、第2通路12bさらには第3通路12cから下搬送路34を進むPTPシート1は、押送フィンガー15間に1つおきで搬送され、空きのある押送フィンガー15で搬送されてきたPTPシート1は、第2搬送路13を進み、その搬送途中で前後が180度回転され、移し替え装置30で上下が反転された後、上搬送路35に供給されるが、このとき、第1通路12aにおいて1つ後を搬送されてきたPTPシート1を搬送する押送フィンガー15の手前に落下供給される。
【0036】
また、吸引バルブを切ってから実際にはがれるまでに時間差がある。アーム31が回転してPTPシート1を前方に移動することで、確実にフィンガー間にPTPシート1を供給することができる。また、吸引バルブを閉じるタイミングは、進角制御を行い、搬送速度に合わせて適宜のタイミングで行うようにしている。
【0037】
なお、移し替え装置30は、排出姿勢に遷移した吸着ノズル35からPTPシート1が落下した後の所定のタイミングで、アーム31を逆方向に回転させ、そのアーム31の上端が先端部25bの下方直近位置に復帰させると共に、吸着ノズル35をさらに正回転させて図5(a)に示す吸着姿勢に復帰させ、次のPTPシートの移し替えに備える。なお、PTPシート1が落下した後の所定のタイミングは、実際には、時間制御等により行う。
【0038】
また、上述した形態では、抑え部材20は、その下面が平坦面となり、ポケット部2aに接触し、PTPシート1を抑えるようにしたが、抑え部材20の下面のPTPシート1との接触の形状を、適宜の形状の凹凸(例えば、平面が十字状の凸部)にし、PTPシート1のプラスチックシート2のポケット部2aの未形成の領域に接触して抑えるようにしても良い。さらには、そのように抑え付けるのではなく、例えば、ポケット部2aの側面に接触可能な係合部(例えば平面が十字状の凸部等)を設け、その係合部がポケット部間の空間に入り込み、作動ロッド19の前進移動に伴い係合部がポケット部2aの側面に当たり、前方に搬送したり、作動ロッド19の回転(時点)に伴い、係合部も回転することで、ポケット部2aに引っかけてPTPシート1を回転させるようにしてもよい。十字状等の平面形状を採ることで、回転中にPTPシート1が変位する(回転中心がずれる)こともないとともに、回転前後でも安定して搬送することができる。
【0039】
また、上述した形態では、シャッターの開閉に伴いPTPシート1の搬送経路の切替を行うようにしたが、シャッター切替方式以外の搬送経路を切り替えるようにともよいのはもちろんであるが、シャッター切替方式を用いる場合でも、上記の実施形態のように、シャッターを通過したPTPシートを上方へ振分けているが、下方へ振分けるようにしても良い。
【0040】
図6,図7は、本発明に係る位置ずれ調整装置の好適な一実施形態を示している。この位置ずれ調整装置は、上述したPTPシートの抱き合わせ装置の搬出側に組み込まれるものである。もちろん、本発明が適用される抱き合わせ装置は、上述したものに限ることはなく、特許文献1の装置に本発明を置き換えて実現しても良いし、その他各種の構成のものを用いることができる。
【0041】
上述したように、回転案内通路25上を搬送されるPTPシート1は、移し替え装置30にてその上下の向きが反転され、ポケット部2aが下の状態で上搬送路35に移し替えられる。そして、この上搬送路35は、ポケット部2aが上の状態のPTPシート1を搬送する下搬送路34の上側に所定距離をおいて重なるように配置されており、両搬送路34,35上のPTPシート1は、同じ押送フィンガー15にて搬送可能となる。
【0042】
そして、本実施形態では、押送フィンガー15の前面、すなわち、下搬送路34と上搬送路35上のPTPシート1に接触する面は、垂直面となる。これにより、同一の押送フィンガー15にて搬送される上下のPTPシート1は、その後端位置が一致した状態で、下搬送路34,上搬送路35上をそれぞれ搬送されることになる。
【0043】
下搬送路34の下流側には、進行方向後方に行くにつれてその進路が徐々に上昇する上り坂のスロープ36と、そのスロープ36に続く水平な搬出通路37が連続して設けられている。搬出通路37の高さ位置は、上搬送路35と同じ位置にしている。そして、押送フィンガー15は、搬出通路37まで移動するように設定される。これにより、下搬送路34,スロープ36並びに搬出通路37の搬送面は、連続しているので、下搬送路34上のPTPシート1は、押送フィンガー15により搬出通路37に至るまで搬送される。
【0044】
また、上搬送路35の先端35aと搬出通路37との間には、所定の空間が形成されている。これにより、スロープ36の上方が開口され、スロープ36に沿って上昇移動してきたPTPシート1は、その開口部位を通過して搬出通路37に至る。このとき、上搬送路45を移動してきたPTPシート1に接触し、これを押し上げることで、互いにポケット部を向いた状態で抱き合わせることができる。
【0045】
さらに、この開口部位の上方を含み上搬送路35と搬出通路37の上方所定領域には、上ガイド38が設けられる。この上ガイド38は、スロープ36に沿って上昇してきたPTPシート1や、係る上昇してきたPTPシート1に持ち上げられる上搬送路35を移動してきたPTPシート1が必要以上に上方に持ち上がってしまうのを抑制する。
【0046】
また、上搬送路35の先端35aの下方領域には、下搬送路34(スロープ36)を移動するPTPシート1の移動速度を速めるPTPシート送り装置40を備えている。このPTPシート送り装置40は、下搬送路34上のPTPシート1の後縁に接触可能な送り爪41と、その送り爪41を所定の軌跡で駆動させる駆動機構とを備える。この駆動機構は、送り爪41の下端に連結された作動ロッド42と、その作動ロッド42の下端に取り付けられた第1連結台43と、作動ロッド42の中間地点に設けられた第2連結台44を備える。第1連結台43の連結点43aは、図示省略のリンク機構及びまたはカム機構等の所望の動力伝達手段(さらに駆動源を含む)により図中符号S1で示す小さい円形の軌跡で円運動をし、第2連結台44の連結点44aは、図示省略のリンク機構により図中符号S2で示す大きい円形の軌跡で円運動をする。
【0047】
つまり、下側のS1の軌跡が、送り爪41の上下方向の移動を制御し、上側のS2の軌跡が、送り爪41の前後方向の移動を制御する。いずれも円形の軌跡の半径が、移動量を制御し、回転速度が送り爪41の移動速度を制御する。よって、それらの軌跡にとって移動させる駆動系を、押送フィンガー15の移動に同期をとって行う。
【0048】
作動ロッド42は、この2つの連結点43a,44aにて所定の駆動系に支持されると共に、係る2つの地点でそれぞれの軌跡S1,S2で動作することから、その作動ロッド42の上端に連結された送り爪41は、図6中左側の二点鎖線で示す位置(基準位置)から徐々に前方上方に移動し実線で示すように最上方位置に至り、その後さらに前進移動すると徐々に下降移動する。この後、図示省略するが、送り爪41は下降移動しながら後退し最下点に至るとその後は上昇移動しながらさらに後退移動し、図示する左側の二点鎖線の位置に復帰する。つまり、送り爪41(上方部位)は、ループ状の軌跡で移動する。
【0049】
そして、送り爪41の前方への移動速度は、押送フィンガー15の移動速度よりも速くしている。さらに、送り爪41は、上述したように前後進移動と共に昇降移動もするので、基準位置に位置する場合には、送り爪41の上端は下搬送路34の搬送面よりも下方に位置する。最上方位置に位置する送り爪41は、下搬送路34の搬送面よりも上方に突出する。また、送り爪41は、その前方への移動の途中で押送フィンガー15を追い越すように制御される。具体的には、送り爪41の上端は、押送フィンガー15の後方側で下搬送路34の搬送面より上方に突出し、その後押送フィンガー15を追い越すことで、下搬送路34上を搬送されるPTPシート1は、当初は押送フィンガー15から搬送力を受け、その後にこの送り爪41により搬送力を受ける。そして、送り爪41の方が押送フィンガー15よりも高速に移動することから、送り爪41による搬送力を受けた下搬送路34上のPTPシート1は、押送フィンガーよりも前方に押し出されることになる。よって、下搬送路34を移動するPTPシート1は、当該押送フィンガー15により搬送される上側のPTPシート1よりも相対的に前方にずれた位置に送り出されることになり、その状態でスロープ36を上ることになる。
【0050】
次に、図7を用いて上記の作用を説明しつつ、その機能を説明する。図7(a)に示すように、送り爪41が基準位置に位置する場合、その上端は下搬送路34の搬送面よりも下に位置しているので、その上方に位置する押送フィンガー15で同時に搬送される上下のPTPシート1は、その前後方向の位置があった状態となる。
【0051】
次いで、図7(b)に示すように、送り爪41が最上方位置に至った際には、押送フィンガー15を追い越して前側に位置すると共に、その送り爪41の上端は下搬送路34の搬送面の上方に突出する。これにより、下搬送路34上のPTPシート1は、押送フィンガー15よりも速く進む送り爪41によって前方に送り出され、上搬送路35を移動するPTPシート1よりも前方に位置し、上下のPTPシート1は、相対的に前後方向に位置がずらされる。そして、この状態で前に送り出されたPTPシート1は、そのままスロープ36を上る。このスロープ36を上るための搬送力も、少なくとも途中までは送り爪41から受けるので、上記のように前方に進んだ状態のまま上昇移動する。
【0052】
そして、このようにスロープ36に沿って上昇移動したPTPシート1は、上搬送路35を移動するPTPシート1に接触し、抱き合わせられる。このとき、その抱き合わさった両PTPシートは、送り爪41の作用により相対的に前後に所定距離だけずれているので、ポケット部2aも前後にずれており、互いに相手のポケット部間に入り込むことができる。
【0053】
そのように抱き合わされた上下のPTPシート1は、搬出通路37に至る。このとき、送り爪41は、例えば図7(c)に示すように、その上端が下降しPTPシート1の搬送面よりも下方に位置し、当該送り爪41からPTPシート1への搬送力は解除される。また、上搬送路35を移動してきたPTPシート1は、搬出通路37に至っても押送されてきた押送フィンガー15の搬送力を受け、そのまま搬送される。また、前後に所定ピッチだけずらされた下側のPTPシート1は、押送フィンガー15と非接触となるが、上側のPTPシートとポケット部2aを介して互いに嵌っているため、その上側のPTPシートと一体となって(押送フィンガー15からの搬送力をその上側のPTPシートを介して受けて)前進移動する。
【0054】
PTPシート送り装置40は、位相(タイミング)を変更して押送フィンガー15との相対位置を設定すれば送り出す量を変えることができる。また、軌跡S1の径を調整することで、送り爪41の上下方向の移動量の調整をすることができると共に、軌跡S2の径を調整することで送り爪41の前後方向の移動距離を調整できる。また、軌跡S1,S2の相対的な位置関係をずらすだけで、送り爪41の移動軌跡を変更できる。よって、PTPシート1の寸法形状(外寸・ポケット部)等が変更される場合には、係る調整をすることで同じ送り爪41ひいてはPTPシート送り装置40を用いて対応することができる。
【0055】
また、上述した実施形態では、PTPシート送り装置40を下搬送路34の下方に設け、PTPシート1を下搬送路34に続く上りのスロープ36を上昇させて上下のPTPシートを抱き合わせるようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、それとは逆に上搬送路35の上方にPTPシート送り装置を設け、上側のPTPシートを送り出し、相対的に前方に位置するようにしても良い。
【0056】
また、上記の実施形態では、スロープ36は、上り坂とし、下搬送路34に連続して設けたが、それとは逆に上搬送路35に連続した下り坂としても良い。スロープの設置箇所と、PTPシート送り装置の設置位置は、いずれの場合も取り得る。
【0057】
なお、本発明の位置ずれ調整装置が組み込まれる抱き合わせ装置としては、例えば、以下の示すようなものを用いることができる。もちろん、他の抱き合わせ装置にも適用できるのは言うまでもない。
【0058】
(1)PTPシートを一定間隔ごとに搬送する第1搬送手段と、その第1搬送手段の上方に配置される第2搬送手段と、前記第1搬送手段で搬送される前記PTPシートを1枚おきに前記第2搬送手段へ移し替える経路切り替え手段と、前記第2搬送手段上を搬送されるPTPシートを、搬送面上で滑らせて前進移動させながらその搬送面内で回転させて前後の向きを変更する方向回転手段と、その前後の向きが回転された前記PTPシートを、反転させるとともに、前記第1搬送手段で搬送されてきたPTPシートの上方に供給する反転供給手段と、を備えるようにした。反転供給手段は、実施形態では、移し替え装置30に対応する。PTPシートを、ピックアップしたりすることなく、第2搬送路の搬送面上を滑らせて移動させながら回転させて向きを変更するため、間欠駆動でない連続搬送や高速運転に対応することができる。
【0059】
(2)前記方向回転手段は、前記搬送面の摩擦抵抗よりも大きい摩擦抵抗の材質で構成される抑え部材と、その抑え部材にて前記PTPシートを搬送面に向けて抑え付けた状態で、その抑え部材を前記PTPシートの搬送方向に移動しつつ180度回転する機構と、を備えるとよい。大きい摩擦抵抗の材質は、例えば、シリコン系やウレタン系のゴムで構成することができる。特に、ゴム系とすると、弾力性もあるため、PTPシートを抑えたとしても、PTPシートに対するダメージ(ポケット部のつぶれ等)が抑制できるので好ましい。PTPシートを抑え部材で抑え付けると、摩擦抵抗が大きいため抑え部材の移動に伴いPTPシートを移動させることができる。よって、抑え部材が回転すれば、PTPシートも回転し、抑え部材が前進移動すればPTPシートも前進移動し、確実かつスムーズな回転等が行える。抑え部材を搬送方向に移動しつつ180度回転させる機構は、作動ロッド19を所定の軌跡で移動(公転・自転)させるヤグラコンベア16や、その移動を案内する回転案内通路25等により実現される。
【0060】
(3)前記搬送面のうち、前記方向回転手段により回転する領域は、低摩擦抵抗の材質で構成されるとよい。低摩擦抵抗の材質は、例えば、超高分子量ポリエチレンや、ポリアセタールや、4フッ化エチレン等を用いることができる。
【0061】
(4)上記の(2)または(3)の発明を前提とし、前記第2搬送手段の搬送路は、上流側が徐々に上昇する上り坂となり、その上り坂に続いて水平面を有し、その水平面の領域で前記方向回転手段による回転を行うようにし、前記第2搬送手段におけるPTPシートへ与える搬送力は、少なくとも前記上り坂の領域では前記PTPシートの進行方向後縁に接触して前方へ付勢する押送部材により行い、前記水平面における前記抑え部材が前記PTPシートを抑えている間は、その抑え部材により行うようにするとよい。上り坂は、実施形態の上り通路13bに対応する。実施形態に示すように、上り坂(上り通路13b)のさらに上流側に別の形態の通路があるのは妨げない。つまり、上り坂が第2搬送手段における最上流部(入口側・搬入側)にある必要性はなく、PTPシートを回転させる水平面に至る前に上り坂があればよい。押送部材と抑え部材は、実施形態のように一体に連結されていてもよいし、別に分離形成されていてもよい。また、上り坂の領域で押送部材によりPTPシートを搬送するが、その後も搬送するのを妨げない。
【0062】
(5)上記の(4)の発明を前提とし、前記押送部材と前記抑え部材は、ループ状の案内路に沿って周回する支持部材に一体に連結され、その支持部材と共に公転移動し、前記PTPシートに対して前記押送部材により搬送している区間では、前記抑え部材は前記PTPシート1から離反し、前記水平面の所定位置で前記抑え部材が前記PTPシートに接近移動して前記PTPシートを抑えるようにするとよい。支持部材は、実施形態では作動ロッド19に対応する。実施形態のように押送部材と抑え部材が一体に連結されていると、それらの駆動系を共通化できるので、構成並びに制御が簡易となるので好ましい。また、PTPシートを180度回転させると、押送部材はPTPシートの前側に位置してしまいPTPシートに対して搬送力を与えることができなくなるが、抑え部材により抑え付けた状態で当該抑え部材が前進移動することでPTPシートを搬送することができるので問題ない。
【0063】
(6)上記の(5)の発明を前提とし、前記押送部材は、前記搬送路側の先端に爪部を設け、前記第2搬送手段の搬送面のうち、少なくとも前記PTPシートの回転を行う領域では、前記爪部が挿入されるガイド溝が設けられ、そのガイド溝は、前記抑え部材と共に回転する前記押送部材の前記爪部の移動軌跡に応じたものとするとよい。爪部は、実施形態では凸部21aに対応する。爪部がガイド溝内に沿って移動するので、押送部材の回転がスムーズに行える。
【0064】
(7)前記第1搬送手段の搬送路は、上流側の第1通路と、その第1通路に連続する下り坂からなる第2通路と、その第2通路に連続する第3通路を備え、前記経路切り替え手段は、前記第1通路の先端側から下流側に突出して前記第2通路へのPTPシートの移動を阻止する閉位置と、前記第1通路の先端から非突出で前記第2通路へのPTPシートの移動を許容する開位置との間で往復直線移動するシャッターを備え、前記シャッターが閉位置のときに、前記第1通路上のPTPシートが、前記シャッターを経て前記第2搬送手段へ移動するものとするとよい。直線運動によるシャッターの開閉動作であるので、高速に行うことができ、経路切り替えが高速運転・連続搬送に対応できる。
【0065】
(8)前記第3通路の下流側上方位置に第4通路(上搬送路)を設け、前記反転供給手段は、前記第2搬送手段の下流側端部に位置するPTPシートを保持し、その保持したPTPシートを反転すると共に、進行方向前方に移動させて前記第4通路上に供給するものであり、前記第1搬送手段は、フィンガーコンベアからなり、前記フィンガーコンベアの押送フィンガーは、前記第3通路上のPTPシートと前記第4通路上のPTPシートを同時に搬送可能とするとよい。反転したPTPシートを第4通路上に供給するに際し、前方に移動させることから、PTPシートの搬送速度(押送フィンガーの移動速度)が速くても確実に所定のフィンガー間に供給できる。また、第4通路に供給されたPTPシートは、最終的には、後続の押送フィンガーに当たり、搬送が再び開始されるため、供給は比較的ラフに行うことができる。しかも、第1搬送手段の第3通路を搬送されてきたPTPシートと、同じ押送フィンガーで第4通路上のPTPシートを搬送することで、両PTPシートの後端を揃えることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 PTPシート
11 搬送装置
12 第1搬送路(第1搬送手段)
12a 第1通路
12b 第2通路
12c 第3通路
13 第2搬送路(第2搬送手段)
13a 渡り通路
13b 上り通路
15 押送フィンガー
19 作動ロッド(支持部材)
20 抑え部材
21 押送部材
22 案内通路(ループ状の案内路)
25 回転案内通路
25a ガイド溝
30 移し替え装置
34 下搬送路
35 上搬送路
40 PTPシート送り装置
41 送り爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PTPシートがポケット部を下向きにして搬送される上搬送路と、
PTPシートがポケット部を上向きにして搬送される下搬送路と、
それら上搬送路と下搬送路の下流側でそれぞれの搬送路を搬送されてくる前記PTPシートを抱き合わせる合流部と、を備え、
前記上搬送路と前記下搬送路のPTPシートは、前記合流部までは同一のアタッチメントによって同時に搬送され、
前記合流部は、前記上搬送路または前記下搬送路のいずれか一方に対して出没可能に設けられるとともに、前記PTPシートの搬送方向と同一方向であって、前記アタッチメントの速度よりも速く移動し、その移動途中で前記アタッチメントを追い越して前記PTPシートを送り出す送り爪を有するPTPシート送り手段を設けた
ことを特徴とするPTPシートの抱き合わせ装置における位置ずれ調整装置。
【請求項2】
前記合流部には、前記上搬送路または前記下搬送路の少なくとも一方に、搬送路に連続して相手側に近づくスロープを設けたことを特徴とする請求項1に記載のPTPシートの抱き合わせ装置における位置ずれ調整装置。
【請求項3】
前記合流部には、前記下搬送路に連続して上り坂のスロープを設けるとともに、そのスロープの下流側に前記上搬送路と同一高さの搬出通路を設け、
前記上搬送路の先端と、前記搬出通路との間には空間を設けたことを特徴とする請求項1に記載のPTPシートの抱き合わせ装置における位置ずれ調整装置。
【請求項4】
前記空間の上方には、前記PTPシートの上方への持ち上がりを抑制するガイド部材を設けたこと特徴とする請求項3に記載のPTPシートの抱き合わせ装置における位置ずれ調整装置。
【請求項5】
前記空間の長さを調整可能としたことを特徴とする請求項3または4に記載のPTPシートの抱き合わせ装置における位置ずれ調整装置。
【請求項6】
前記送り爪は、ループ状の軌跡をとることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のPTPシートの抱き合わせ装置における位置ずれ調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−51761(P2011−51761A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203807(P2009−203807)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】