説明

RAFの阻害剤およびその使用

本発明は、イミダゾオキサゾールおよびイミダゾチアゾール化合物ならびにそれらの合成を提供する。本発明の化合物は、B−RAFV600EなどのRAFキナーゼの活性を阻害し得る。化合物は、癌などの細胞増殖性障害を治療するために有用である。本発明の化合物は、以下の式Iを有し、ここでXは、O、S(O)であり;mは、1から3の整数であり;nは、1から3の整数であり;oは、0から2の整数であり;pは、0から2の整数であり;Zは、水素、結合、−C(O)−、−C(O)NR−、−S(O)−である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
この特許出願は、表題が「RAF Inhibitors and Their Uses」でありかつ発明者としてJean−Marc Lapierre、Yanbin Liu、Manish Tandon、およびMark A.Ashwellがあげられる、2008年12月5日に出願された米国仮特許出願第61/120,198号(この開示は、その全体が参考として本明細書に援用される)からの優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は一般には、薬学的化合物および薬学的組成物に関し、より詳細には、本発明は、RAFの阻害剤およびその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ヒトでは3種のRAFアイソフォーム:A−RAF、B−RAFおよびC−RAFが存在する(非特許文献1)。これらのセリン/トレオニンタンパク質キナーゼは、成長因子、ホルモンおよびサイトカインにより活性化される膜結合型の低分子量Gタンパク質RASの下流にある保存されたシグナル伝達経路の成分である(非特許文献2)。RASはRAF活性化を刺激し、次いでこれは、MEKキナーゼ、続いてERKキナーゼの活性化をもたらす。細胞の状況に応じて、この経路は、転写、代謝および細胞骨格再配置の調節を主に介して細胞増殖、生存および分化などの多様な生物学的機能を媒介する。
【0004】
RAS−RAFシグナル伝達経路は長い間、ヒト癌と関連付けられている。それというのも、ras遺伝子における発癌変異が、ヒト癌全体の少なくとも15%において生じており(非特許文献3)、下流のキナーゼERKが、癌の30%において過剰活性化しているためである(非特許文献4)。しかしながら、10年を超える期間にわたって、RAFタンパク質は癌において、RASの下流にそれが位置するという理由だけで重要であると考えられていた。B−RAFの活性化変異がヒト癌において高い頻度で見出され、B−RAFが悪性疾患の重大な初発因子および促進因子として関与していることが判明すると、この見解は根本的に変えられた。(非特許文献3)。
【0005】
B−RAF癌原遺伝子での活性化変異が、黒色腫の70%、乳頭状甲状腺癌の50%および結腸癌の10%の基礎にある(非特許文献5;および非特許文献6)。これらの変異の約90%が、単一ヌクレオチド置換として生じており、この置換はB−RAFのキナーゼドメインのアミノ酸600の所で、バリンをグルタメートに換えている(V600E)。この変異により、B−RAFの基礎キナーゼ活性が高まり、MEKおよびERKタンパク質の活性化が生じ、最終的には制御されない腫瘍細胞増殖をもたらす。重要なことに、B−RAFおよびRAS変異は通常、同一の腫瘍型では相互に排他的であり、このことは、これらの遺伝子は、同じ発癌シグナル伝達経路上にあり、これらの腫瘍においてRASはB−RAFを活性化する作用を有することを示唆している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】MaraisおよびMarshall. Cancer Surv.(1996年)27巻:101〜125頁
【非特許文献2】RobinsonおよびCobb、Curr. Opin. Cell Biol.(1997年)9巻:180〜186頁
【非特許文献3】Davies,H.ら、Nature(2002年)417号:949〜954頁
【非特許文献4】Allenら、Semin. Oncol.(2003年)30巻:105〜116頁
【非特許文献5】Tuvesonら、Cancer Cell(2003年)4巻:95〜98頁
【非特許文献6】Xing、Endocrine−Related Cancer(2005年):12巻:245〜262頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
最近の研究により、ヒト黒色腫細胞において低分子干渉RNAにより変異体B−RAFをノックダウンすると、MEKキナーゼおよびERKキナーゼの両方が阻害されて、増殖の停止と、最終的にはアポトーシスの促進とが生じることが判明している(Sharmaら、Cancer Res.65巻:2412〜2421頁(2005年);およびWellbrockら、Cancer Res.64巻:2338〜2342頁(2004年))。加えて、変異体B−RAFを標的としている短ヘアピン型RNA異種移植片モデルから得られたデータにより、B−RAF抑制から生じる腫瘍退縮は、誘導性、可逆性であり、かつ緊密に調節されることが示されている(Hoeflichら、Cancer Res.66巻:999〜1006頁(2006年)。まとめると、機能獲得型B−RAFシグナル伝達は、in vivo腫瘍原性に強く関係しており、このことは、B−RAFを癌治療剤のための重要な標的として確認させるものである。
【0008】
本明細書に挙げられている参考文献は、特許請求されている本発明に対する先行技術であるとは認められない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態は、式I:
【0010】
【化1】

の化合物または薬学的に許容されるその塩を提供し、ここで式中、
Xは、O、S(O)であり;
mは、1から3の整数であり;
nは、1から3の整数であり;
oは、0から2の整数であり;
pは、0から2の整数であり;
Zは、水素、結合、−C(O)−、−C(O)NR−、−S(O)−であり;
は、水素、ハロゲン、置換または非置換アルキル、−CN、−COOR、−OR、−NRであり、
およびRは独立に、水素、置換もしくは非置換低級アルキル、−COORまたは−C(O)NRであり;
各Rおよび各Rは独立に、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロシクリルであり、RおよびRは一緒になって、環を形成していてもよく;
は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cフルオロ置換アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cフルオロ置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、(C〜C)アルキル置換ヘテロシクリル、アリール、ハロゲン置換アリール、ヘテロアリールおよびハロゲン置換ヘテロアリールからなる群から独立に選択され;
は、Hまたは(CHO)−P(O)ORORである。
【0011】
一実施形態では、RおよびRは、水素である。
【0012】
一実施形態では、Rは水素である。
【0013】
一実施形態では、m+n=4であり、mがnに等しくない場合、好ましい立体化学配置はRである。
【0014】
一実施形態では、Zは、水素、結合、−C(O)−、−C(O)NR−、−S(O)−であり;Rは、アルキル置換ヘテロシクリルまたはアルキル置換ヘテロアリールである。
【0015】
一実施形態では、Rは、水素、ハロゲン、置換または非置換アルキル、−CN、−COOR、−OR、−NRである。
【0016】
一実施形態では、(R)−3−(5−(2−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェニル二水素ホスフェート;(R)−3−(5−(2−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)フェニル二水素ホスフェート;(R)−(3−(5−(2−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;(R)−(3−(5−(2−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;(R)−((3−(5−(2−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)フェノキシ)メトキシ)メチル二水素ホスフェート;(3−(5−(2−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−4−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;(3−(5−(2−(1−(4−シアノフェニルスルホニル)ピペリジン−4−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;3−(5−(2−(1−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン−4−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェニル二水素ホスフェート;(3−(5−(2−(1−(シクロプロピルスルホニル)ピペリジン−4−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;((3−(5−(2−(1−(シクロプロピルスルホニル)ピペリジン−4−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メトキシ)メチル二水素ホスフェート;(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−4−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;(R)−3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェニル二水素ホスフェート;(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;(R)−((3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メトキシ)メチル二水素ホスフェート;(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;(R)−2−フルオロ−5−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェニル二水素ホスフェート;および(R)−(2−フルオロ−5−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェートからなる群から選択される化合物または薬学的に許容されるその塩がある。
【0017】
本発明の一実施形態は、化合物(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェートまたは薬学的に許容されるその塩を特徴とする。
【0018】
本発明の一実施形態は、プロドラッグを特徴とし、ここで、プロドラッグはin vivoで加水分解されて、請求項1に定義されている式Iの化合物をもたらし、Rは加水分解後にHまたはCHOHである。関連する実施形態では、加水分解前に、Rは、水素または−(CH2O)−P(O)ORORである。
【0019】
本発明の実施形態はまた、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を1種または複数の薬学的に許容される担体または賦形剤と共に含む薬学的組成物を提供する。一実施形態では、薬学的組成物は、第2の化学療法剤をさらに含む。関連実施形態では、第2の化学療法剤は、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミモシン、ゲムシタビン、Ara、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、ドセタキセル、ゴセレリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシド、エトポシド、エポチロン、ナベルビン、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、アムサクリン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン イマタニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ソラフェニブ、スニチニブマレエート、トラスツズマブ、リツキシマブ、セツキシマブおよびベバシズマブからなる群から選択される。他の関連実施形態では、第2の化学療法剤は、タキサン、アロマターゼ阻害剤、アントラサイクリン、微小管標的化薬、トポイソメラーゼ毒薬、標的化モノクローナルもしくはポリクローナル(polyconal)抗体、分子標的もしくは酵素の阻害剤(例えばキナーゼ阻害剤)またはシチジン類似体薬である。さらなる実施形態では、第2の化学療法剤は、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンである。
【0020】
本発明の実施形態はさらに、細胞増殖性障害を治療または予防する方法を提供する。この方法は、それを必要とする被験体に、治療有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を、薬学的に許容される担体と組み合わせて投与することを含み、ここで、前記細胞増殖性障害が治療される。
【0021】
一実施形態では、増殖性障害を伴う細胞は、RAFの変異体または野生型をコードするDNAを含有する。さらなる実施形態では、細胞は構成的に高められたRAF活性を有する。RAFは、A−RAF、B−RAFまたはC−RAFであってよい。一実施形態では、B−RAFは、変異体である;変異体B−RAFは、B−RAFV600Eであってよい。
【0022】
細胞増殖性障害は、前癌性状態または癌であってよい。一実施形態において、細胞増殖性障害は、黒色腫、乳頭状甲状腺癌、結腸癌または先天性母斑である。
【0023】
細胞増殖性障害は、乳癌、肺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、肝細胞癌、脳癌、黒色腫、多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、血液系腫瘍、リンパ系腫瘍、肉腫、癌腫および腺癌を包含する癌であってよい。
【0024】
本発明はさらに、B−RAF活性を調整する方法を提供する。この方法は、B−RAF遺伝子を含有する細胞を、有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩、その類似体または誘導体と接触させる工程を含み、ここで、前記接触させる工程は、B−RAF活性の前記阻害をもたらす。一実施形態では、B−RAF活性は、B−RAFのキナーゼ活性である。一実施形態では、B−RAFは、B−RAFV600Eである。
【0025】
一実施形態では、方法は、式Iの化合物を第2の化学療法剤と組み合わせて投与する工程を特徴とする。関連実施形態では、第2の化学療法剤は、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミノシン、ゲムシタビン、Ara、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、ドセタキセル、ゴセレリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシド、エトポシド、エポチロン、ナベルビン、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、アムサクリン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン イマタニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ソラフェニブ、スニチニブマレエート、トラスツズマブ、リツキシマブ、セツキシマブおよびベバシズマブのうちの1つである。
【0026】
関連実施形態では、第2の化学療法剤は、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンである。この組合せで、乳癌、肺癌、肝臓癌、結腸癌または膵臓癌を有効に治療することができる。
【0027】
本発明の一実施形態は、上記で挙げられた癌性および前癌性状態を包含する細胞増殖性障害を治療する際に使用するための式Iによる医薬品を製造する方法を特徴とする。
【0028】
本発明の他の特徴および利点は、様々な実施例を包含する本明細書中で提供される追加の記載から明らかである。提供される実施例は、本発明を実施する際に有用な様々な成分および手法を例示するものである。これらの実施例は、特許請求されている本発明を制限するものではない。本開示をもとにして、当業者であれば、本発明を実施するのに有用な他の成分および手法を特定して、それを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、式Iの化合物を合成するスキームを示す図である。
【図2】図2は、癌細胞におけるホスホ−ERKに対する式Iの化合物の効果を示す図である。
【図3】図3は、異種移植片マウスモデルにおけるヒト腫瘍(A375)に対する式Iの化合物の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
1.化合物
本発明は、イミダゾオキサゾール化合物および/またはイミダゾチアゾール化合物およびそれらの合成を提供する。
【0031】
一実施形態では、本発明は、式Iの化合物およびそれらの合成を提供する
【0032】
【化2】

[式中、
Xは、O、S(O)であり;
mは、1から3の整数であり;
nは、1から3の整数であり;
oは、0から2の整数であり;
pは、0から2の整数であり;
Zは、水素、結合、−C(O)−、−C(O)NR−、−S(O)−であり;
は、水素、ハロゲン、置換または非置換アルキル、−CN、−COOR、−OR、−NRであり、
およびRは独立に、水素、置換もしくは非置換低級アルキル、−COORまたは−C(O)NRであり;
各Rおよび各Rは独立に、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロシクリルであり、RおよびRは一緒になって、環を形成していてもよく;
は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cフルオロ置換アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cフルオロ置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、(C〜C)アルキル置換ヘテロシクリル、アリール、ハロゲン置換アリール、ヘテロアリール、(C〜C)アルキル置換ヘテロアリールおよびハロゲン置換ヘテロアリールからなる群から独立に選択され;
は、Hまたは(CHO)−P(O)ORORである]。
【0033】
「アルキル」という用語は、不飽和を伴わずに炭素および水素を含有する基を指す。アルキル基は、直鎖または分枝であってよい。例示的なアルキル基には、限定ではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、t−ブチル、sec−ブチルなどが包含される。アルキル基が範囲で示されていることもあり、したがって例えば、(C〜C)アルキル基は、直鎖または分枝アルキル主鎖(backbone)中に1から6個の炭素原子を有するアルキル基である。置換および非置換アルキル基は独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキル、(C〜C10)アルキル、(C〜C10)アルキルまたは(C〜C10)アルキルであってよい。特に述べられていない限り、「アルキル」という用語は、「シクロアルキル」を包含しない。「低級アルキル」という用語は、非分枝または分枝(C〜C)アルキルを指す。
【0034】
「シクロアルキル」基は、「環部分」に示されている数の炭素原子を有する環式アルキル基を指し、ここで、「環部分」は、縮合環構造、スピロ環構造または架橋環構造としての1個または複数の環構造からなってもよい。例えば、C3からC6シクロアルキル基(例えば、(C〜C)シクロアルキル)は、環中に3から6個の間の炭素原子を有する環構造である。範囲が示されていない場合、シクロアルキルは、3から9個の間の炭素原子((C〜C)シクロアルキル)を環部分に有する。例示的なシクロアルキル基には、これらに限られないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびアダマンチルが包含される。好ましいシクロアルキル基は、3、4、5、6、7、8、9個または3から9個の炭素原子を環構造中に有する。
【0035】
「アリール」という用語は、1、2または3個の芳香環を有する芳香族炭素環式基を指す。例示的なアリール基には、限定ではないが、フェニル、ナフチルなどが包含される。アリール基には、1個または複数の追加の4〜9員を有する非芳香族炭素環式環または複素環式(hetercyclic)環と縮合している1、2または3個の芳香環構造が包含される。縮合アリール基の例には、ベンゾシクロブタニル、インダニル、テトラヒドロナプチレニル(tetrahydronapthylenyl)、1,2,3,4−テトラヒドロフェナントレニル、テトラヒドロアントラセニル、1,4−ジヒドロ−1,4−メタノナフタレニル、ベンゾジオキソリルが包含される。
【0036】
「ヘテロアリール」という用語は、1〜4個のヘテロ原子(窒素、イオウまたは酸素など)を芳香環中に含有する,1、2または3個の芳香環を有するヘテロ芳香族(ヘテロアリール)基を指す。ヘテロアリール基には、4〜9員を有する1個または複数の追加の非芳香環と縮合している、1〜4個のヘテロ原子を含有する1、2または3個の芳香環構造が包含される。芳香環中に単一の種類のヘテロ原子(hetroatom)を含有するヘテロアリール基は、それらが含有するヘテロ原子の種類により示され、したがって、窒素含有ヘテロアリール、酸素含有ヘテロアリールおよびイオウ含有ヘテロアリールは、1個または複数の窒素、酸素またはイオウ原子をそれぞれ含有するヘテロ芳香族基を示す。例示的なヘテロアリール基には、限定ではないが、ピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、キノリル、キナゾリニル、チアゾリル、ベンゾ[b]チオフェニル、フラニル、イミダゾリル、インドリルなどが包含される。
【0037】
「ヘテロシクリル」または「複素環」という用語は、縮合、スピロまたは架橋して、追加の環を形成していてもよい飽和または不飽和のいずれかの安定な非芳香環構造を指す。各複素環は、1個または複数の炭素原子ならびに窒素、酸素およびイオウからなる群から選択される1から4個のヘテロ原子からなる。「ヘテロシクリル」または「複素環」には、安定な非芳香族3〜7員の単環式複素環構造および8〜11員の二環式複素環構造が包含される。ヘテロシクリル基は、任意の環内炭素または窒素原子の所で結合して、安定な構造を作り出していてもよい。好ましい複素環には、3〜7員の単環式複素環(より好ましくは5〜7員の単環式複素環)および8〜10員の二環式複素環が包含される。このような基の例には、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、オキソピペリジニル、オキソピロリジニル、オキソアゼピニル、アゼピニル、イソオキソゾリル(isoxozolyl)、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、ジオキソリル、ジオキシニル、オキサチオリル、ジチオリル、スルホラニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、テタヒドロフロジヒドロフラニル(tetahydrofurodihydrofuranyl)、テトラヒドロピラノジヒドロ−フラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロフロフラニル、テトラヒドロピラノフラン、キヌクリジニル(1−アザビシクロ[2.2.2]オクタニル)およびトロパニル(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタニル)が包含される。
【0038】
置換アルキル、置換シクロアルキル、置換アリールおよび置換ヘテロシクリルという用語は、フッ素、アリール、ヘテロアリール、─O─(C〜C)アルキルおよび─NRからなる群から独立に選択される1個または複数の置換基で置換されている上記で定義された通りのアルキル、シクロアルキル、アリールおよびヘテロシクリル基を指し、ここで、R5およびR6は、水素および─(C〜C)アルキルからなる群から独立に選択される。
【0039】
本発明の化合物の全ての立体異性体は、ラセミ混合物の結晶形態および個々の異性体の結晶形態を包含する混合物で、または純粋な形態もしくは実質的に純粋な形態で企図される。本発明による化合物の定義には、全ての可能な立体異性体(例えば、各不斉中心でのRおよびS配置)およびそれらの混合物が包含される。本発明による化合物の定義には、規定の活性を有するラセミ体および単離された光学異性体が特に包含される。ラセミ体は、例えば、分別結晶化、ジアステレオ異性体誘導体の分離または結晶化、キラルカラムクロマトグラフィーまたは超臨界流体クロマトグラフィーによる分離などの物理的方法により分割することができる。個々の光学異性体は、ラセミ化合物から、例えば光学的に活性な酸での塩形成、それに続く結晶化などの従来の方法により得ることができる。さらに、二重結合の所でのEおよびZ配置などの全ての幾何異性体が、別段に述べられていない限り、本発明の範囲内である。本発明のある種の化合物は、互変異性体形態で存在することがある。化合物のこのような互変異性体形態は全て、別段に述べられていない限り、本発明の範囲内であると考えられる。本発明はまた、類似体または誘導体の1種または複数の位置異性体混合物を包含する。
【0040】
本明細書で使用される場合、「塩」という用語は、薬学的に許容される塩であり、塩酸塩、臭化水素酸塩を包含する酸付加塩、加えて、リン酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、乳酸塩および酒石酸塩などの塩基の付加により形成される塩が包含され得る。塩には、Na、K、Liなどのアルカリ金属カチオン、Mg2+もしくはCa2+などのアルカリ土類金属塩または有機アミン塩が包含されてよい。
【0041】
本明細書で使用される場合、「代謝産物」という用語は、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩、類似体もしくは誘導体の代謝による産物を意味し、これは、本発明の前記化合物と同様の活性をin vivoで示す。
【0042】
本発明の実施形態では、化合物は、RおよびRが水素である式Iの化合物である。
【0043】
本発明の他の実施形態では、化合物は、Rが水素である式Iの化合物である。
【0044】
本発明の他の実施形態では、化合物は、Rが水素、ハロゲン、置換または非置換アルキル、−CN、−COOR、−OR、−NRである式Iの化合物である。
【0045】
本発明の関連実施形態では、RおよびRは独立に、水素、置換もしくは非置換低級アルキル、−COORまたは−C(O)NRである。
【0046】
本発明のさらに他の実施形態では、各Rおよび各Rは独立に、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロシクリルであり、RおよびRは一緒になって、環を形成していてもよい。
【0047】
関連実施形態では、Rは、水素、C〜Cアルキル、C〜Cフルオロ置換アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cフルオロ置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、(C〜C)アルキル置換ヘテロシクリル、アリール、ハロゲン置換アリール、ヘテロアリール、(C〜C)アルキル置換ヘテロアリールおよびハロゲン置換ヘテロアリールからなる群から独立に選択される。
【0048】
本発明の他の実施形態では、化合物は、m+n=4であり、mがnに等しくなく、配置がRである式1の化合物である。本明細書で使用される場合、分子の配置は、その原子の空間配置から生じている永続的な幾何配置(permanent geometry)である。配置は、RまたはSのいずれかであってよく、UIPAC規則に従って定義される。1個を超える不斉原子が分子中に存在する場合、それぞれが、配置RまたはSのいずれかとして定義される。
【0049】
本発明の他の実施形態では、化合物は、Zが水素、結合、−C(O)−、−C(O)NR−、−S(O)−であり;Rがアルキル置換ヘテロシクリルまたはアルキル置換ヘテロアリールである式Iの化合物である。
【0050】
本発明の実施形態では、化合物は、表1に列挙されている化合物1〜24のうちの1つである。
【0051】
本発明の実施形態では、化合物は、(R)−3−(5−(2−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)フェニル二水素ホスフェート;(R)−(3−(5−(2−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;(R)−3−(5−(2−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェニル二水素ホスフェート;(R)−(3−(5−(2−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;(3−(5−(2−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−4−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;3−(5−(2−(1−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン−4−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェニル二水素ホスフェート;3−(5−(2−(1−(シクロプロピルスルホニル)ピペリジン−4−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェニル二水素ホスフェート;(3−(5−(2−(1−(シクロプロピルスルホニル)ピペリジン−4−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;(R)−3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)フェニル二水素ホスフェート;(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;(R)−3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェニル二水素ホスフェート;(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−4−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート(R)−2−フルオロ−5−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェニル二水素ホスフェートまたは薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される。
【0052】
本発明の他の実施形態では、化合物は、(R)−3−(5−(2−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)フェニル二水素ホスフェート;(R)−(3−(5−(2−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;および(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェートまたは薬学的に許容されるその塩からなる群から選択される。
【0053】
ある種の実施形態は、RがHである対応する式Iの化合物のプロドラッグ形態として役立ち得る式Iの化合物を包含する。機械論的な説明に拘束されることは意図していないが、プロドラッグ形態は、加水分解により開裂されて、RがHである対応する化合物を放出することができる。加水分解は、RがHである式Iをもたらす酵素によるか、または酵素によらない経路により生じ得る。別法では、加水分解は、対応するヒドロキシメチレン誘導体をもたらすことができ、これは、続く加水分解で、RがHである化合物の放出をもたらし得る。このような一実施形態では、R7は(CHO)−P(=O)ORORであり、ここで、oは0〜2である。好ましい実施形態では、R4およびR5は水素である。さらなる好ましい実施形態では、oは1であり、RおよびRは水素である。
【0054】
2.本発明の化合物を調製する方法およびそのための中間体
有機分子の調製ならびに保護基の使用を包含する官能基の変換および操作のための標準的な合成方法および手順は、関連する科学文献または当分野の標準的な参考の教科書から入手可能である。いずれか1つまたはいくつかの情報源に限定されないが、有機合成で認知されている参考の教科書には:Smith,M.B.;March,J.March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure、第5版;John Wiley & Sons:New York、2001年;およびGreene,T.W.;Wuts,P.G.M.Protective Groups in Organic Synthesis、第3版;John Wiley & Sons:New York、1999年が包含される。下記の合成方法の記載は、本発明の化合物を調製するための一般手順を説明するために設計したものであって、限定するためのものではない。
【0055】
本発明の化合物は、様々な方法で調製することができ、そのうちのいくつかは、当技術分野で公知である。一般に、本発明の化合物は、市販の出発物質、文献で公知の化合物または容易に調製される中間体から、当業者に公知か、または本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかである標準的な合成方法および手順を使用することにより調製することができる。有機分子の調製ならびに官能基の変換および操作のための標準的な合成方法および手順は、関連する科学文献または当分野の標準的な教科書から入手可能である。本発明で使用される中間体を合成するための詳細は、PCT特許公開WO2004/110990およびWO2006/044869およびWO2007/123892で見出すことができる。
【0056】
本発明のイミダゾオキサゾール化合物およびイミダゾチアゾール化合物を調製する方法は、下記の実施例に記載されており、図1に図説されている。図1では、中間体IIをオキシ塩化リンとピリジン中で反応させ、水でクエンチして、リン酸二水素塩IIIを得る。別法では、化合物IIを初めに、水素化ナトリウムをDMF中で使用して脱プロトン化させ、次いで、ヨウ化テトラブチルアンモニウムの存在下に、適切なリン酸クロロメチルで処理して、中間体IVを得る。リン酸二水素塩Vへの変換は、TFAをDCM中で使用するか、または40〜50℃のアセトン中の水などのより穏やかな条件を使用して達成する。リン酸二水素塩を場合によって、水酸化ナトリウムまたは他の塩基の水溶液を使用してナトリウムまたは他の薬学的に許容される塩に変換する。
【0057】
3.治療方法
本発明の化合物は、癌などの細胞増殖性障害を治療および/または予防するために使用することができる。本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩またはその代謝産物は、1種または複数のRAFタンパク質キナーゼを阻害し得る。したがって、該化合物を、異常なRAS−RAFシグナル伝達により特徴付けられる細胞増殖性障害を治療するために使用することができる。一実施形態では、癌などの細胞増殖性障害の細胞は、変異したB−RAFを内包している。さらなる実施形態では、変異しているB−RAFは、V600E変異を有するB−RAF(B−RAFV600E)である。細胞増殖性障害は、黒色腫、乳頭状甲状腺癌、結腸癌であってよい。
【0058】
本発明はまた、B−RAFV600Eにより特徴付けられる任意の他の状態、例えば、B−RAFV600Eを有する先天性母斑(あざまたはそばかすとして一般には公知)をイミダゾオキサゾール化合物および/またはイミダゾチアゾール化合物で治療する方法を提供する。さらなる実施形態では、本発明を、このような母斑が悪性黒色腫へと進展することを防ぐために予防的に(例えば、皮膚に局所投与)使用することができる。
【0059】
本明細書で使用される場合、「被験体」は、任意の哺乳動物、例えばヒト、霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダであってよい。好ましい態様では、被験体はヒトである。
【0060】
本明細書で使用される場合、「それを必要とする被験体」は、細胞増殖性障害を有する被験体、または、全人口(population at large)と比べて細胞増殖性障害を発症する危険性が高い被験体である。一態様では、それを必要とする被験体は前癌性状態を有する。好ましい態様では、それを必要とする被験体は癌を有する。
【0061】
本明細書で使用される場合、「細胞増殖性障害」という用語は、細胞の非制御または異常な増殖またはその両方が、癌性であり得るか、または癌性ではあり得ない、望ましくない状態または疾患の発症をもたらし得る状態を指す。一態様では、細胞増殖性障害には、非癌性状態、例えば、関節リウマチ;炎症;自己免疫疾患;リンパ球増殖性状態;先端巨大症;リウマチ様脊椎炎;変形性関節症;通風、他の関節炎状態;敗血症;敗血症性ショック;内毒素性ショック;グラム陰性敗血症;毒性ショック症候群;喘息;成人呼吸窮迫症候群;慢性閉塞性肺疾患;慢性肺炎症;炎症性腸疾患;クローン病;乾癬;湿疹;潰瘍性大腸炎;膵臓線維症;肝線維症;急性および慢性腎疾患;過敏性腸症候群;発熱(pyresis);再狭窄;大脳マラリア;発作(stroke)および虚血性損傷;神経外傷;アルツハイマー病;ハンチントン病;パーキンソン病;急性および慢性疼痛;アレルギー性鼻炎;アレルギー性結膜炎;慢性心不全;急性冠動脈症候群;悪液質;マラリア;ハンセン病;リーシュマニア症;ライム病;ライター症候群;急性滑膜炎;筋肉変性、滑液嚢炎;腱炎;腱滑膜炎;ヘルニア様か、破断または脱出した椎間円板症候群;骨化石症;血栓症;再狭窄;珪肺症;肺サルコーシス;骨粗鬆症などの骨吸収疾患;移植片対宿主反応;多発性硬化症;狼瘡;線維筋痛症;AIDSおよび帯状ヘルペス、単純ヘルペスIまたはII、インフルエンザウイルスおよびサイトメガロウイルスなどの他のウイルス性疾患;ならびに糖尿病が包含される。他の態様では、細胞増殖性障害には、前癌または前癌性状態が包含される。他の態様では、細胞増殖性障害には、癌が包含される。治療される様々な癌には、これらに限られないが、乳癌、肺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、肝細胞癌、脳癌、黒色腫、多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、血液系腫瘍およびリンパ系腫瘍が包含され、これには、原発腫瘍部位から離れた他の組織または臓器での転移病変が包含される。治療される癌には、これらに限られないが、肉腫、癌腫および腺癌が包含される。一態様では、「前癌細胞」または「前癌性細胞」は、前癌または前癌性状態である細胞増殖性障害が現れている細胞である。他の態様では、「癌細胞」または「癌性細胞」は、癌である細胞増殖性障害が現れている細胞である。任意の再現性のある測定手段を使用して、癌細胞または前癌性細胞を同定することができる。好ましい態様では、癌細胞または前癌性細胞を、組織試料(例えば、生検試料)の組織学的型別またはグレード評価により同定する。他の態様では、癌細胞または前癌性細胞を、適切な分子マーカーを使用して同定する。
【0062】
「結腸の細胞増殖性障害」は、結腸の細胞に関する細胞増殖性障害である。好ましい態様では、結腸の細胞増殖性障害は、結腸癌である。好ましい態様では、本発明の組成物を使用して、結腸癌または結腸の細胞増殖性障害を治療することができる。一態様では、結腸癌には、結腸の癌の全ての形態が包含される。他の態様では、結腸癌には、散発性および遺伝性結腸癌が包含される。他の態様では、結腸癌には、悪性結腸新生物、上皮内癌、定型類癌腫および非定型類癌腫が包含される。他の態様では、結腸癌には、腺癌、扁平上皮癌および腺扁平上皮癌が包含される。他の態様では、結腸癌は、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌、家族性腺腫様ポリポーシス、ガードナー症候群、ポイツ−ジェガース症候群、ターコット症候群および若年性ポリポーシスからなる群から選択される遺伝性症候群と関連している。他の態様では、結腸癌は、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸癌、家族性腺腫様ポリポーシス、ガードナー症候群、ポイツ−ジェガース症候群、ターコット症候群および若年性ポリポーシスからなる群から選択される遺伝性症候群が原因である。
【0063】
一態様では、結腸の細胞増殖性障害には、結腸細胞に影響を及ぼす細胞増殖性障害の全ての形態が包含される。一態様では、結腸の細胞増殖性障害には、結腸癌、結腸の前癌性状態、結腸の腺腫様ポリープおよび結腸の異時性病変が包含される。一態様では、結腸の細胞増殖性障害には、腺腫が包含される。一態様では、結腸の細胞増殖性障害は、結腸の過形成、化生および異形成により特徴付けられる。他の態様では、個人に結腸の細胞増殖性障害を発症しやすくし得る前結腸疾患には、前結腸癌が包含される。他の態様では、個人に結腸の細胞増殖性障害を発症しやすくし得る現存する疾患には、クローン病および潰瘍性大腸炎が包含される。一態様では、結腸の細胞増殖性障害は、p53、ras、FAPおよびDCCからなる群から選択される遺伝子での変異に関連している。他の態様では、p53、ras、FAPおよびDCCからなる群から選択される遺伝子に変異が存在することにより、個人は、結腸の細胞増殖性障害を発症する危険性が高い。
【0064】
「皮膚の細胞増殖性障害」は、皮膚の細胞に関する細胞増殖性障害である。一態様では、皮膚の細胞増殖性障害には、皮膚細胞に影響を及ぼす細胞増殖性障害の全ての形態が包含される。一態様では、皮膚の細胞増殖性障害には、皮膚の前癌または前癌性状態、皮膚の良性増殖または病変、黒色腫、悪性黒色腫および皮膚の他の悪性増殖または病変ならびに皮膚以外の身体の組織および臓器での転移病変が包含される。他の態様では、皮膚の細胞増殖性障害には、皮膚の過形成、化生および異形成が包含される。
【0065】
一態様では、治療される癌はAmerican Joint Committee on Cancer(AJCC)TNM分類系に従って病期分類されており、この際、腫瘍(T)は、TX、T1、T1mic、T1a、T1b、T1c、T2、T3、T4、T4a、T4b、T4cまたはT4dのステージに指定され;局所リンパ節(N)は、NX、N0、N1、N2、N2a、N2b、N3、N3a、N3bまたはN3cのステージに指定され;遠隔転移(M)は、MX、M0またはM1のステージに指定される。他の態様では、治療される癌は、American Joint Committee on Cancer(AJCC)分類に従って、ステージI、ステージIIA、ステージIIB、ステージIIIA、ステージIIIB、ステージIIICまたはステージIVとして病期分類されている。他の態様では、治療される癌は、AJCC分類に従ったグレードを、グレードGX(例えば、グレードを指定することができない)、グレード1、グレード2、グレード3またはグレード4として指定されている。他の態様では、治療される癌は、pNX、pN0、PN0(I−)、PN0(I+)、PN0(mol−)、PN0(mol+)、PN1、PN1(mi)、PN1a、PN1b、PN1c、pN2、pN2a、pN2b、pN3、pN3a、pN3bまたはpN3cのAJCC病理分類(pN)に従って病期分類されている。
【0066】
一態様では、治療される癌には、直径約2センチメートル以下であると決定されている腫瘍が包含される。他の態様では、治療される癌には、直径約2から約5センチメートルであると決定されている腫瘍が包含される。他の態様では、治療される癌には、直径約3センチメートル以上であると決定されている腫瘍が包含される。他の態様では、治療される癌には、直径5センチメートルを超えると決定されている腫瘍が包含される。他の態様では、治療される癌は、顕微鏡による外観により、十分に分化、中程度分化、軽度分化(poorly differentiated)または未分化と分類される。他の態様では、治療される癌は、顕微鏡による外観により、有糸分裂数(例えば、細胞分裂量)または核多態性(例えば、細胞変化)に関して分類される。他の態様では、治療される癌は、顕微鏡による外観により、壊死の領域(例えば、死んでいるか、または変性している細胞の領域)と関連していると分類される。一態様では、治療される癌は、異常な核型を有するか、異常な数の染色体を有するか、または外観が異常な1種または複数の染色体を有すると分類される。一態様では、治療される癌は、異数体、三倍体、四倍体であると、または倍数性の変化を有すると分類される。一態様では、治療される癌は、染色体転座または染色体全体の欠失もしくは重複または染色体の一部の欠失、重複もしくは増幅の領域を有すると分類される。
【0067】
一態様では、治療される癌を、DNAサイトメトリー、フローサイトメトリーまたはイメージサイトメトリーにより評価する。一態様では、治療される癌は、細胞分裂の合成期の(例えば、細胞分裂のS期の)細胞の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%を有すると分類される。一態様では、治療される癌は、低いS期の割合または高いS期の割合を有すると分類される。
【0068】
本明細書で使用される場合、「正常細胞」は、「細胞増殖性障害」の一部として分類され得ない細胞である。一態様では、正常細胞は、望ましくない状態または疾患の発症をもたらし得る非制御もしくは異常な増殖またはその両方を欠いている。好ましくは、正常細胞は、正常に機能している細胞周期チェックポイント制御機構を有する。
【0069】
本明細書で使用される場合、「細胞と接触」とは、化合物または他の組成物(composition of matter)が細胞と直接接触しているか、または細胞において所望の生物学的効果を誘導するのに十分に近い状態を指す。
【0070】
本明細書で使用される場合、「候補化合物」は、その化合物が、研究者または臨床家が求めている所望の生物学的または医学的応答を細胞、組織、系、動物またはヒトにおいて顕在化できるかどうかを決定するために、1種または複数のin vitroまたはin vivo生物学的アッセイで試験されているか、または試験される予定の本発明の化合物を指す。一態様では、候補化合物は、式Iの化合物である。好ましい態様では、生物学的または医学的応答は、癌の治療である。他の態様では、生物学的または医学的応答は、細胞増殖性障害の治療または予防である。一態様では、in vitroまたはin vivo生物学的アッセイには、これらに限られないが、酵素活性アッセイ、電気泳動移動度シフトアッセイ、レポーター遺伝子アッセイ、in vitro細胞生死判別アッセイが包含される。
【0071】
本明細書で使用される場合、「単独療法」は、単独の活性化合物または治療化合物をそれを必要とする被験体に投与することを指す。好ましくは、単独療法は、治療有効量の活性化合物を投与することを伴うことになる。例えば、(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェートでの癌単独療法は、治療有効量の(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェートまたは薬学的に許容されるその塩、類似体または誘導体を、癌の治療を必要とする被験体に投与することを含む。単独療法は、複数の活性化合物の組合せを投与し、好ましくは組合せの各成分が治療有効量で存在する併用療法と対比することができる。一態様では、本発明の化合物での単独療法は、所望の生物学的効果をもたらす際に、併用療法よりも有効である。
【0072】
本明細書で使用される場合、「治療すること」は、疾患、状態または障害と闘うのを目的とする、患者の管理およびケアを記載するものであり、症状または合併症の発症を阻止するか、症状または合併症を緩和するか、または疾患、状態または障害を排除するために、本発明の化合物を投与することを包含する。
【0073】
一態様では、癌を治療すると、腫瘍のサイズの縮小が生じる。腫瘍のサイズの縮小は、「腫瘍退縮」と称されることもある。好ましくは、治療後に、腫瘍サイズは、治療前のそのサイズに比較して5%以上縮小し;より好ましくは、腫瘍サイズは、10%以上縮小し;より好ましくは、20%以上縮小し;より好ましくは、30%以上縮小し;より好ましくは、40%以上縮小し;なおより好ましくは、50%以上縮小し;最も好ましくは、75%超またはそれ以上縮小する。腫瘍のサイズは、任意の再現性のある測定手段により測定することができる。好ましい態様では、腫瘍のサイズは、腫瘍の直径として測定することができる。
【0074】
他の態様では、癌を治療すると、腫瘍体積の縮小が生じる。好ましくは、治療後に、腫瘍体積は、治療前のそのサイズに比較して5%以上縮小し;より好ましくは、腫瘍サイズは、10%以上縮小し;より好ましくは、20%以上縮小し;より好ましくは、30%以上縮小し;より好ましくは、40%以上縮小し;なおより好ましくは、50%以上縮小し;最も好ましくは、75%超またはそれ以上縮小する。腫瘍の体積は、任意の再現性のある測定手段により測定することができる。
【0075】
他の態様では、癌を治療すると、腫瘍の数の減少が生じる。好ましくは、治療後に、腫瘍の数は、治療前の数に比較して5%以上減少し;より好ましくは、腫瘍の数は、10%以上減少し;より好ましくは、20%以上減少し;より好ましくは、30%以上減少し;より好ましくは、40%以上減少し;なおより好ましくは、50%以上減少し;最も好ましくは、75%超減少する。腫瘍の数は、任意の再現性のある測定手段により測定することができる。好ましい態様では、腫瘍の数は、肉眼か、または規定の倍率で見ることができる腫瘍をカウントすることにより測定することができる。好ましい態様では、規定の倍率は、2×、3×、4×、5×、10×または50×である。
【0076】
他の態様では、癌を治療すると、原発腫瘍部位から遠隔の他の組織または臓器における転移病変の数の減少が生じる。好ましくは、治療後に、転移病変の数は、治療前の数に比較して5%以上減少し;より好ましくは、転移病変の数は、10%以上減少し;より好ましくは、20%以上減少し;より好ましくは、30%以上減少し;より好ましくは、40%以上減少し;なおより好ましくは、50%以上減少し;最も好ましくは、75%超減少する。転移病変の数は、任意の再現性のある測定手段により測定することができる。好ましい態様では、転移病変の数は、肉眼か、または規定の倍率で見ることができる転移病変をカウントすることにより測定することができる。好ましい態様では、規定の倍率は、2×、3×、4×、5×、10×または50×である。
【0077】
他の態様では、癌を治療すると、担体だけを与えられた集団と比較して、治療された被験体集団の平均生存期間の延長が生じる。好ましくは、平均生存期間は、30日より長く;より好ましくは、60日より長く;より好ましくは、90日より長く;最も好ましくは、120日より長く延長される。集団の平均生存期間の延長は、任意の再現性のある手段により測定することができる。好ましい態様では、集団の平均生存期間の延長は、例えば、集団に対して、活性化合物で治療を開始した後の平均生存期間を算出することにより測定することができる。他の好ましい態様では、集団の平均生存期間の延長はまた、例えば、集団に対して、活性化合物での治療の第1ラウンドが完了した後の平均生存期間を算出することにより測定することもできる。
【0078】
他の態様では、癌を治療すると、未治療の被験体の集団と比較して、治療被験体の集団の平均生存期間の延長が生じる。好ましくは、平均生存期間は、30日より長く;より好ましくは、60日より長く;より好ましくは、90日より長く;最も好ましくは、120日より長く延長される。集団の平均生存期間の延長は、任意の再現性のある手段により測定することができる。好ましい態様では、集団の平均生存期間の延長は、例えば、集団に対して、活性化合物で治療を開始した後の平均生存期間を算出することにより測定することができる。他の好ましい態様では、集団の平均生存期間の延長はまた、例えば、集団に対して、活性化合物での治療の第1ラウンドが完了した後の平均生存期間を算出することにより測定することもできる。
【0079】
他の態様では、癌を治療すると、本発明の化合物ではないまたは薬学的に許容されるその塩、類似体または誘導体ではない薬物での単独療法を受けた集団と比較して、治療被験体の集団の平均生存期間の延長が生じる。好ましくは、平均生存期間は、30日より長く;より好ましくは、60日より長く;より好ましくは、90日より長く;最も好ましくは、120日より長く延長される。集団の平均生存期間の延長は、任意の再現性のある手段により測定することができる。好ましい態様では、集団の平均生存期間の延長は、例えば、集団に対して、活性化合物で治療を開始した後の平均生存期間を算出することにより測定することができる。他の好ましい態様では、集団の平均生存期間の延長はまた、例えば、集団に対して、活性化合物での治療の第1ラウンドが完了した後の平均生存期間を算出することにより測定することもできる。
【0080】
他の態様では、癌を治療すると、担体のみを与えられた集団と比較して、治療被験体の集団の死亡率の低下が生じる。他の態様では、癌を治療すると、未治療の集団と比較して、治療被験体の集団の死亡率の低下が生じる。さらなる態様では、癌を治療すると、本発明の化合物ではないまたは薬学的に許容されるその塩、類似体または誘導体ではない薬物での単独療法を受けた集団と比較して、治療被験体の集団の死亡率の低下が生じる。好ましくは、死亡率は、2%より大きく;より好ましくは、5%より大きく;より好ましくは、10%より大きく;最も好ましくは、25%より大きく低下する。好ましい態様では、治療被験体の集団の死亡率の低下は、任意の再現性のある手段により測定することができる。他の好ましい態様では、集団の死亡率の低下は、例えば、集団に対して、活性化合物で治療を開始した後の単位期間当たりの疾患関連死の平均数を算出することにより測定することができる。他の好ましい態様では、集団の死亡率の低下はまた、例えば、集団に対して、活性化合物での治療の第1ラウンドが完了した後の単位期間当たりの疾患関連死の平均数を算出することにより測定することができる。
【0081】
他の態様では、癌を治療すると、腫瘍増殖速度の低下が生じる。好ましくは、治療後に、腫瘍増殖速度は、治療前の数値に対して少なくとも5%低下し;より好ましくは、腫瘍増殖速度は、少なくとも10%低下し;より好ましくは、少なくとも20%低下し;より好ましくは、少なくとも30%低下し;より好ましくは、少なくとも40%低下し;より好ましくは、少なくとも50%低下し;なおより好ましくは、少なくとも50%低下し;最も好ましくは、少なくとも75%低下する。腫瘍増殖速度は、任意の再現性のある測定手段により測定することができる。好ましい態様では、腫瘍増殖速度を、単位期間当たりの腫瘍直径の変化により測定する。
【0082】
他の態様では、癌を治療すると、腫瘍再増殖の低減が生じる。好ましくは、治療後に、腫瘍再増殖は5%未満であり;より好ましくは、腫瘍再増殖は、10%未満;より好ましくは、20%未満;より好ましくは、30%未満;より好ましくは、40%未満;より好ましくは、50%未満;なおより好ましくは、50%未満;最も好ましくは、75%未満である。腫瘍再増殖は、任意の再現性のある測定手段により測定することができる。好ましい態様では、腫瘍再増殖を、例えば、治療後の先行する腫瘍退縮(prior tumor shirinkage)後からの腫瘍の直径の増大を測定することにより測定する。他の好ましい態様では、腫瘍再増殖の低減は、治療を止めた後に腫瘍が再発し得ないことにより示される。
【0083】
他の態様では、細胞増殖性障害を治療または予防すると、細胞増殖速度の低下が生じる。好ましくは、治療後には、細胞増殖速度は、少なくとも5%;より好ましくは、少なくとも10%;より好ましくは、少なくとも20%;より好ましくは、少なくとも30%;より好ましくは、少なくとも40%;より好ましくは、少なくとも50%;なおより好ましくは、少なくとも50%;最も好ましくは、少なくとも75%低下する。細胞増殖速度は、任意の再現性のある測定手段により測定することができる。好ましい態様では、細胞増殖速度を、例えば、単位期間当たりの組織試料における分裂細胞の数を測定することにより測定する。
【0084】
他の態様では、細胞増殖性障害を治療または予防すると、増殖細胞の割合の低下が生じる。好ましくは、治療の後に、増殖細胞の割合は、少なくとも5%;より好ましくは、少なくとも10%;より好ましくは、少なくとも20%;より好ましくは、少なくとも30%;より好ましくは、少なくとも40%;より好ましくは、少なくとも50%;なおより好ましくは、少なくとも50%;最も好ましくは、少なくとも75%低下する。増殖細胞の割合は、任意の再現性のある測定手段により測定することができる。好ましい態様では、増殖細胞の割合を、例えば、組織試料中の非分裂細胞の数に対して、分裂細胞の数を定量化することにより測定する。他の好ましい態様では、増殖細胞の割合は、有系分裂指数に等しい。
【0085】
他の態様では、細胞増殖性障害を治療または予防すると、細胞増殖の領域または帯のサイズの低減が生じる。好ましくは、治療の後に、細胞増殖の領域または帯のサイズは、治療前のそのサイズに対して少なくとも5%低減し;より好ましくは、少なくとも10%低減し;より好ましくは、少なくとも20%低減し;より好ましくは、少なくとも30%低減し;より好ましくは、少なくとも40%低減し;より好ましくは、少なくとも50%低減し;なおより好ましくは、少なくとも50%低減し;最も好ましくは、少なくとも75%低減する。細胞増殖の領域または帯のサイズは、任意の再現性のある測定手段により測定することができる。好ましい態様では、細胞増殖の領域または帯のサイズは、細胞増殖の領域または帯の直径または幅として測定することができる。
【0086】
他の態様では、細胞増殖性障害を治療または予防すると、異常な外観または形態を有する細胞の数または割合の低減が生じる。好ましくは、治療の後に、異常な形態を有する細胞の数は、治療前のそのサイズに対して少なくとも5%低減し;より好ましくは、少なくとも10%低減し;より好ましくは、少なくとも20%低減し;より好ましくは、少なくとも30%低減し;より好ましくは、少なくとも40%低減し;より好ましくは、少なくとも50%低減し;なおより好ましくは、少なくとも50%低減し;最も好ましくは、少なくとも75%低減する。異常な細胞外観または形態は、任意の再現性のある測定手段により測定することができる。一態様では、異常な細胞形態を、顕微鏡により、例えば、倒立組織培養顕微鏡を使用して測定する。一態様では、異常な細胞形態は、核多態性の形態を取る。
【0087】
本明細書で使用される場合、「選択的に」という用語は、他の集団においてよりもある集団においてより高い頻度で生じる傾向を意味する。一態様では、比較される集団は、細胞集団である。好ましい態様では、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、類似体もしくは誘導体は、癌または前癌性細胞に選択的に作用するが、正常細胞には作用しない。他の好ましい態様では、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、類似体もしくは誘導体は、ある分子標的(例えば、B−RAF)を調整するように選択的に作用する。他の好ましい態様では、本発明は、キナーゼなどの酵素の活性を選択的に阻害する方法を提供する。好ましくは、ある事象が、集団Bと比較して2倍を超える高い頻度で集団Aにおいて生じているならば、その事象は、集団Bに比べて集団Aにおいて選択的に生じている。より好ましくは、ある事象が、5倍を超える高い頻度で集団Aにおいて生じているならば、その事象は選択的に生じる。より好ましくは、ある事象が、集団Bと比較して集団Aにおいて10倍を超える高い頻度で;より好ましくは、50倍を超える;なおより好ましくは、100倍を超える;最も好ましくは、1000倍を超える高い頻度で集団Aにおいて生じているならば、その事象は選択的に生じている。例えば、細胞死が、正常細胞と比較して2倍を超える頻度で癌細胞において生じるならば、細胞死が癌細胞において選択的に生じていると言える。
【0088】
好ましい態様では、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、代謝産物、類似体もしくは誘導体は、分子標的(例えば、B−RAF)の活性を調整する。一態様では、調整とは、分子標的の活性を刺激または阻害することを指す。好ましくは、本発明の化合物は、同じ条件下ではあるが、前記化合物の存在のみを欠いている条件での分子標的の活性に対して少なくとも2倍、分子標的の活性を刺激または阻害しているならば、分子標的の活性を調整している。より好ましくは、本発明の化合物は、同じ条件下ではあるが、前記化合物の存在のみを欠いている条件での分子標的の活性に対して少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、分子標的の活性を刺激または阻害しているならば、分子標的の活性を調整している。分子標的の活性は、任意の再現性のある手段により測定することができる。分子標的の活性は、in vitroまたはin vivoで測定することができる。例えば、分子標的の活性は、in vitroで、酵素活性アッセイまたはDNA結合アッセイにより測定することができるか、または分子標的の活性は、in vivoで、レポーター遺伝子の発現に関するアッセイにより測定することができる。
【0089】
一態様では、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、代謝産物、類似体もしくは誘導体は、該化合物の添加が、同じ条件下ではあるが、前記化合物の存在のみを欠いている条件での分子標的の活性に対して10%を超えて分子標的の活性を刺激または阻害しないならば、分子標的の活性を顕著には調整していない。
【0090】
本明細書で使用される場合、「アイソザイム選択的」という用語は、酵素の第2アイソフォームに比較して、酵素の第1アイソフォームの優先的な阻害または刺激を意味する(例えば、キナーゼアイソザイムベータに比較してのキナーゼアイソザイムアルファの優先的な阻害または刺激)。好ましくは、本発明の化合物は、生物学的効果を達成するのに必要な用量において、少なくとも4倍の差、好ましくは10倍の差、より好ましくは50倍の差を実証している。好ましくは、本発明の化合物は、阻害の範囲にわたって、この差を実証し、この差は、例えば、IC50、即ち、該当する分子標的に対する50%阻害で示される。
【0091】
好ましい実施形態では、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、代謝産物、類似体もしくは誘導体を、それを必要とする細胞または被験体に投与すると、RAFの活性の調整(即ち、刺激または阻害)が生じる。本明細書で使用される場合、RAFの活性は、RAFにより実行される任意の生物学的機能または活性を指す。例えば、RAFの機能には、下流標的タンパク質のリン酸化が包含される。
【0092】
好ましい実施形態では、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、代謝産物、類似体もしくは誘導体を、それを必要とする細胞または被験体に投与すると、ERK1もしくはERK2またはその両方の活性の調整(即ち、刺激または阻害)が生じる。本明細書で使用される場合、ERK1またはERK2の活性は、ERK1またはERK2により行なわれる任意の生物学的機能または活性を指す。例えば、ERK1またはERK2の機能には、下流標的タンパク質のリン酸化が包含される。
【0093】
一態様では、活性化とは、組成物(例えば、タンパク質または核酸)を所望の生物学的機能を行うのに適した状況にすることを指す。一態様では、活性化され得る組成物はまた、非活性化状況も有する。一態様では、活性化された組成物は、阻害または刺激の生物学的機能またはその両方を有することもある。
【0094】
一態様では、上昇は、組成物(例えば、タンパク質または核酸)の所望の生物学的活性の増大を指す。一態様では、上昇は、組成物の濃度の増大を介して生じ得る。
【0095】
本明細書で使用される場合、「細胞周期チェックポイント経路」は、細胞周期チェックポイントを調整することに関与している生化学的経路を指す。細胞周期チェックポイント経路は、細胞周期チェックポイントを含む1種または複数の機能に対して刺激もしくは阻害作用またはその両方の作用を有し得る。細胞周期チェックポイント経路は、その両方が細胞周期チェックポイントを調整するのに寄与する少なくとも2種の組成物、好ましくはタンパク質からなる。細胞周期チェックポイント経路は、細胞周期チェックポイント経路の1つまたは複数のメンバーの活性化を介して活性化され得る。好ましくは、細胞周期チェックポイント経路は、生化学的シグナル伝達経路である。
【0096】
本明細書で使用される場合、「細胞周期チェックポイント調節因子」は、少なくとも部分的に、細胞周期チェックポイントを調整する際に機能し得る組成物を指す。細胞周期チェックポイント調節因子は、細胞周期チェックポイントを含む1つまたは複数の機能に対して、刺激もしくは阻害作用またはその両方の作用を有してよい。一態様では、細胞周期チェックポイント調節因子は、タンパク質である。他の態様では、細胞周期チェックポイント調節因子は、タンパク質ではない。
【0097】
一態様では、癌または細胞増殖性障害を治療すると、細胞死が生じ、好ましくは、細胞死は、集団中の細胞の数の少なくとも10%の低減をもたらす。より好ましくは、細胞死は、少なくとも20%の低減;より好ましくは、少なくとも30%の低減;より好ましくは、少なくとも40%の低減;より好ましくは、少なくとも50%の低減;最も好ましくは、少なくとも75%の低減を意味する。集団における細胞の数は、任意の再現性のある手段により測定することができる。一態様では、集団における細胞の数を、蛍光活性化細胞分取器(FACS)により測定する。他の態様では、集団における細胞の数を、免疫蛍光顕微鏡検査法により測定する。他の態様では、集団における細胞の数を、光学顕微鏡検査法により測定する。他の態様では、細胞死を測定する方法は、Liら、(2003年)Proc Natl Acad Sci U S A. 100巻(5号):2674〜8頁に示されている通りである。一態様では、細胞死は、アポトーシスにより生じる。
【0098】
好ましい態様では、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、代謝産物、類似体もしくは誘導体の有効量は、正常細胞に対して重大な細胞傷害性を有さない。化合物の治療有効量は、治療有効量での化合物の投与が、正常細胞の10%を超える細胞死をもたらさないならば、正常細胞に対して重大な細胞傷害性を有さない。化合物の治療有効量は、治療有効量での化合物の投与が、正常細胞の10%を超える細胞死をもたらさないならば、正常細胞の生存率に重大な影響を有さない。一態様では、細胞死は、アポトーシスにより生じる。
【0099】
一態様では、細胞と本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、代謝産物、類似体もしくは誘導体との接触は、癌細胞において選択的に細胞死を誘発または活性化させる。好ましくは、それを必要とする被験体への本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、代謝産物、類似体もしくは誘導体の投与は、癌細胞において選択的に細胞死を誘発または活性化させる。他の態様では、細胞と本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、代謝産物、類似体もしくは誘導体との接触は、細胞増殖性障害の影響を受けている1種または複数の細胞において選択的に細胞死を誘発する。好ましくは、それを必要とする被験体への本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、代謝産物、類似体もしくは誘導体の投与は、細胞増殖性障害の影響を受けている1種または複数の細胞において選択的に細胞死を誘発する。好ましい態様では、本発明は、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、代謝産物、類似体もしくは誘導体をそれを必要とする被験体に投与することにより癌を治療または予防する方法に関し、ここで、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、代謝産物、類似体もしくは誘導体の投与は、下記のうちの1個または複数をもたらす:細胞周期のG1および/またはS期にある細胞の蓄積、正常細胞において重大な量の細胞死を伴うことのない癌細胞における細胞死を介しての細胞傷害性、少なくとも2の治療指数での動物における抗腫瘍活性および細胞周期チェックポイントの活性化。本明細書で使用される場合、「治療指数」は、有効用量で割った最大許容用量である。
【0100】
当業者であれば、本明細書で論じている公知の技術または同等の技術の詳細な記載に関して一般的な参考テキストを参照することができる。これらのテキストには、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons,Inc.(2005年);Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual(第3版)、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、New York(2000年);Coliganら、Current Protocols in Immunology、John Wiley & Sons、N.Y.;Ennaら、Curret Protocols in Pharmacology、John Wiley & Sons、N.Y.;Finglら、The Pharmacological Basis of Therapeutics(1975年)、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、PA、第18版(1990年)が包含される。勿論これらのテキストはまた、本発明の態様を行うまたは使用する際に参照することもできる。
【0101】
追加的な態様では、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、代謝産物、類似体もしくは誘導体を第2の化学療法剤と組み合わせて投与することができる。第2の化学療法剤は、タキサン、アロマターゼ阻害剤、アントラサイクリン、微小管標的化薬、トポイソメラーゼ毒薬、標的化モノクローナルもしくはポリクローナル抗体、分子標的もしくは酵素の阻害剤(例えば、キナーゼ阻害剤)またはシチジン類似体薬であってよい。好ましい態様では、化学療法剤は、これらに限られないが、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、HERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ)、GLEEVEC(登録商標)(イマチニブ)、TAXOL(登録商標)(パクリタキセル)、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミモシン、araC、5−フルオロウラシル(5−FU)、メトトレキサート(MTX)、TAXOTERE(登録商標)(ドセタキセル)、ZOLADEX(登録商標)(ゴセレリン)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシド、エトポシド、GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン)、エポチロン、ナベルビン、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、アムサクリン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシンもしくはイダルビシンまたはオンラインで得られるAmerican Cancer Society’s Guide to Cancer Drugsに列挙されている薬剤(www.cancer.org/docroot/cdg/cdg_0.aspを参照のこと)であってよい。他の態様では、第2の化学療法剤は、G−CSF(顆粒球コロニー刺激因子)などのサイトカインであってよい。他の態様では、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、代謝産物、類似体もしくは誘導体は、放射線療法と組み合わせて投与してもよい。まだ他の態様では、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、代謝産物、類似体もしくは誘導体は、これらに限られないが、CMF(シクロホスファミド、メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル)、CAF(シクロホスファミド、アドリアマイシンおよび5−フルオロウラシル)、AC(アドリアマイシンおよびシクロホスファミド)、FEC(5−フルオロウラシル、エピルビシンおよびシクロホスファミド)、ACTもしくはATC(アドリアマイシン、シクロホスファミドおよびパクリタキセル)またはCMFP(シクロホスファミド、メトトレキサート、5−フルオロウラシルおよびプレドニゾン)などの標準的な化学療法剤の組合せと組み合わせて投与してもよい。
【0102】
本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、代謝産物、類似体もしくは誘導体は、投与に適した薬学的組成物に組み込むことができる。このような組成物は典型的には、化合物(即ち、活性化合物を包含する)および薬学的に許容される賦形剤または担体を含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される賦形剤」または「薬学的に許容される担体」は、薬学的投与に適合する任意のそして全ての溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを包含することが意図されている。適切な担体は、当分野の標準的な参考テキストである、Remington’s Pharmaceutical Sciencesの最新版に記載されている。このような担体または希釈剤の好ましい例には、これらに限られないが、水、食塩水、リンガー液、デキストロース溶液および5%ヒト血清アルブミンが包含される。薬学的に許容される担体には、ラクトース、石膏、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などのような固体担体が包含される。例示的な液体担体には、シロップ、落花生油、オリーブ油、水などが包含される。同様に、担体または希釈剤には、モノステアリン酸グリセリルもしくはジステアリン酸グリセリル(単独か、またはワックスと共に)、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸メチルなどのような当技術分野で公知の時間遅延物質が包含され得る。当技術分野で公知であるような他の充填剤、賦形剤、香味剤および他の添加剤もまた、本発明による薬学的組成物中に包含されていてよい。リポソームおよび不揮発性油などの非水性ビヒクルも使用することができる。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野で周知である。従来の任意の媒体または薬剤が活性化合物と相容性ではない場合を除き、組成物中でそれらを使用することが企図される。補助的な活性化合物もまた、組成物中に組み込むことができる。
【0103】
一態様では、治療有効量(例えば、腫瘍増殖の阻害、腫瘍細胞の死滅化、細胞増殖性障害の治療または予防などを介して所望の治療効果を達成するのに十分な有効レベル)の本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、代謝産物、類似体もしくは誘導体(活性成分として)を標準的な薬学的担体または希釈剤と従来の手順に従って組み合わせることにより(即ち、本発明の薬学的組成物を製造することにより)調製される適切な剤形で、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、代謝産物、類似体もしくは誘導体を投与する。これらの手順は、所望の調製を達成するために適するように成分を混合、顆粒化および圧縮または溶解することを伴い得る。
【0104】
4.薬学的組成物および製剤
本発明の薬学的組成物を、その意図する投与経路に適合するように製剤化する。投与経路の例には、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所)および経粘膜投与が包含される。非経口、皮内または皮下用途で使用される液剤または懸濁剤には、次の成分が包含され得る:注射用の水、食塩溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの無菌の希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤および塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張度を調節するための薬剤。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調節することができる。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは複数用量用バイアルに封入することができる。
【0105】
本発明の化合物または薬学的組成物は被験体に、化学療法治療のために現在使用されている周知の方法のうちの多くで投与することができる。例えば、癌を治療するためには、本発明の化合物を腫瘍に直接注射するか、血流に注射するか、もしくは体腔に注射するか、または経口摂取するか、またはパッチを用いて皮膚を介して投与することができる。選択される用量は、有効な治療を構成するのに十分であるべきであるが、許容できない副作用をもたらすほど高くあるべきではない。疾患状態(例えば、癌、前癌など)および患者の健康の状況を好ましくは、治療中および治療後の合理的な期間、密に監視すべきである。
【0106】
「治療有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、同定されている疾患または状態を治療、回復または予防するか、または検出可能な治療または阻害効果を示す薬剤の量を指す。効果は、当技術分野で公知の任意のアッセイ方法により検出することができる。被験体のための正確な有効量は、被験体の体重、サイズ、健康;状態の性質および規模;ならびに投与のために選択された治療剤または治療剤の組合せに依存することになる。所与の状況に対する治療有効量は、臨床家の技能および判断の範囲内である日常的な実験により決定することができる。好ましい態様では、治療される疾患または状態は癌である。他の態様では、治療される疾患または状態は、細胞増殖性障害である。
【0107】
いずれの化合物でも、治療有効量を初めに、例えば新生物細胞の細胞培養アッセイで、または動物モデル、通常はラット、マウス、ウサギ、イヌもしくはブタで推定することができる。動物モデルはまた、適切な濃度範囲および投与経路を決定するために使用することもできる。次いで、このような情報を使用して、ヒトでの投与に有用な用量および経路を決定することができる。治療/予防効力および毒性を、標準的な薬学的手順により、細胞培養物または実験動物で、例えば、ED50(集団の50%に治療的に有効な用量)およびLD50(集団の50%に致命的な用量)で決定することができる。毒性作用と治療効果との用量比が、治療指数であり、これは、LD50/ED50の比として表すことができる。大きな治療指数を示す薬学的組成物が好ましい。投与量は、使用される剤形、患者の感受性および投与経路に応じてこの範囲内で変動し得る。
【0108】
投与量および投与を、十分なレベルの活性剤(複数可)を提供するか、または所望の効果を維持するように調節する。考慮され得る要因には、疾患状況の重症度、被験体の全身健康、被験体の年齢、体重および性別、食事、投与時間および頻度、薬物の組合せ(複数可)、治療に対する反応感受性および許容性/応答が包含される。長時間作用性薬学的組成物を、特定の製剤の半減期およびクリアランス速度に応じて3から4日ごとに、毎週、2週ごとに1回投与することができる。
【0109】
本発明の活性な化合物を含有する薬学的組成物を、一般に公知である方法で、例えば従来の混合、溶解、顆粒化、糖剤製造、湿式粉砕、乳化、カプセル封入、包埋または凍結乾燥法によって製造することができる。活性化合物を薬学的に使用することができる製剤へと加工することを容易にする賦形剤および/または補助剤を含む1種または複数の薬学的に許容される担体を使用する従来の方法で、薬学的組成物を製剤化することができる。勿論、適切な製剤は、選択された投与経路に依存する。
【0110】
注射用の使用に適した薬学的組成物には、無菌の水性液剤(水溶性の場合)または分散剤および無菌の注射用液剤または分散剤を即時調製するための無菌の散剤が包含される。静脈内投与では、適切な担体には、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany、N.J.)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)が包含される。いずれの場合も、組成物は、無菌でなければならず、そして容易な注入性(syringeability)が存在する程度に流動性であるべきである。これは、製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されていなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)ならびにそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒体であってよい。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用により、分散剤の場合には、必要な粒径を維持することにより、および界面活性剤を使用することにより維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成され得る。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、塩化ナトリウムを包含することが好ましい。注射用組成物の吸収期間の延長は、組成物に吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを包含させることによりもたらされ得る。
【0111】
無菌の注射用液剤は、必要量の活性化合物を適切な溶媒中に、上記で列挙された成分の1つまたは組合せと共に組み込み、必要な場合、続いて濾過滅菌することにより調製することができる。一般に分散剤は、活性化合物を、基本の分散媒体および上記で列挙された成分から必要とされる他の成分を有する無菌ビヒクル中へ組み込むことにより調製される。無菌の注射用液剤を調製するための無菌散剤の場合、調製方法は、活性成分および任意の追加的な所望の成分の粉末を、予め無菌濾過されたその溶液から得る、真空乾燥および凍結乾燥である。
【0112】
経口組成物は一般に、不活性希釈剤または食用の薬学的に許容される担体を包含する。これらは、ゼラチンカプセルに封入され得るか、または錠剤へと圧縮され得る。経口による治療投与の目的では、活性化合物を賦形剤と共に組み込み、錠剤、トローチ剤またはカプセル剤の形態で使用することができる。経口組成物はまた、うがい薬として使用するために流体担体を使用して調製することもでき、この際、流体担体中の化合物は口中に施与されて、音を立てて吐き出されるか、または飲み込まれる。薬学的に適合性の結合剤および/またはアジュバント物質が、組成物の一部として包含されてよい。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、以下の成分のいずれかまたは同様の性質を有する化合物を含有することができる:微結晶セルロース、トラガカントガムまたはゼラチンなどの結合剤;デンプンまたはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)またはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロテス(Sterotes)などの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動化促進剤;スクロースまたはサッカリンなどの甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジフレーバーなどの香味剤。
【0113】
吸入による投与では、化合物を、適切な噴射剤、例えば、二酸化炭素などの気体を含有する加圧容器もしくはディスペンサーまたは噴霧器から、エアロゾル噴霧の形態で送達する。
【0114】
全身投与もまた、経粘膜手段または経皮手段によってよい。経粘膜投与または経皮投与では、浸透される障壁に適した浸透剤を、製剤において使用する。このような浸透剤は通常、当技術分野で公知であり、例えば、経粘膜投与については、界面活性剤、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体が包含される。経粘膜投与は、鼻噴霧または坐剤の使用を介して達成され得る。経皮投与では、活性化合物を、当技術分野で一般的に公知の軟膏剤(ointment)、軟膏(salve)、ゲル剤、またはクリーム剤中で製剤化する。
【0115】
一態様では、活性化合物を、制御放出製剤など、身体からの迅速な排出に対して化合物を保護する薬学的に許容される担体を用いて調製するが、これには、移植片(implant)およびマイクロカプセル化された送達系が包含される。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。このような製剤を調製する方法は、当業者には明らかである。それらの物質はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.から商業的に入手することもできる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体で感染細胞に対して標的化されたリポソームを包含する)もまた、薬学的に許容される担体として使用することができる。これらは、例えば米国特許第4,522,811号明細書に記載されている通り、当業者に公知の方法に従って調製することができる。
【0116】
投与の容易さおよび投与量の均一性のために、単位剤形(dosage unit form)で、経口または非経口組成物を製剤化することが特に有利である。本明細書で使用される単位剤形は、治療される被験体のための単位投与量として適切な物理的に分離した単位を指し;各単位は、必要とされる薬学的担体と関連して所望の治療効果を生じるように算出された所定の量の活性化合物を含有する。本発明の単位剤形についての詳細は、活性化合物の固有の特徴および達成されるべき特定の治療効果によって規定され、それらに直接的に依存する。
【0117】
治療用途では、本発明に従って使用される薬学的組成物の投与量は、選択される投与量に影響を及ぼす他の要因の中でも薬剤、受容患者の年齢、体重および臨床状態ならびに治療を与える臨床家または担当医の経験および判断に応じて変動する。一般に、用量は、腫瘍の増殖を遅くし、好ましくは退縮させ、また好ましくは癌を完全に退縮させるのに十分であるべきである。投与量は、1日当たり約0.01mg/kgから1日当たり約3000mg/kgの範囲であってよい。好ましい態様では、投与量は、1日当たり約1mg/kgから1日当たり約1000mg/kgの範囲であってよい。一態様では、用量は、約0.1mg/日から約50g/日;約0.1mg/日から約25g/日;約0.1mg/日から約10g/日;約0.1mgから約3g/日;または約0.1mgから約1g/日の範囲で、単回、分割または連続用量(この用量は、患者のkgでの体重、mでの体表面積および年齢で調節することができる)となる。薬剤の有効量は、臨床家または他の有資格観察者により認められるような客観的に同定可能な改善をもたらす量である。例えば、患者における腫瘍の退縮を、腫瘍の直径に関して測定することができる。腫瘍直径の低減は、退縮を示している。退縮はまた、治療を止めた後に腫瘍が再発し得ないことによっても示される。本明細書で使用される場合、「有効な投与量」という用語は、被験体または細胞において所望の生物学的効果を生じる活性化合物の量を指す。
【0118】
薬学的組成物は、容器、パックまたはディスペンサーに、投与指示書と共に包含されていてよい。
【0119】
本明細書中で挙げられた全ての特許、特許出願および参照文献は、その全体が本明細書に参照により援用される。
【実施例】
【0120】
本発明の様々な特徴をさらに説明するために、下記に実施例を提供する。実施例はまた、本発明を実行するための有用な方法を説明している。これらの実施例は、特許請求されている本発明を制限するものではない。
(実施例1)
ビス−ナトリウム(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチルホスフェートの調製
ステップ1:ジ−tert−ブチルリン酸カリウムの調製
【0121】
【化3】

0℃で、激しく撹拌されているホスホン酸ジ−tert−ブチル(40.0g、206.2mmol)およびKHCO(12.6g)の水(178ml)中の混合物に、微粉末KMnOを少量ずつ50分にわたって加えた(注;激しい発熱反応、効果的な冷却が重要である)。添加の後に、混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、60℃で15分間加熱した。副生成物MnOを濾別した。濾液を炭(3.2g)と一緒に沸騰させることにより脱色し、濾過した。濾液をさらに精製することなく、次の反応に持ち越した。
【0122】
ステップ2:リン酸水素ジ−tert−ブチルの調製
【0123】
【化4】

ステップ1から得られた溶液に、濃塩酸(16ml)を0℃で撹拌しながら徐々に加えた。生成物を沈殿させ、濾過により集め、真空下で一晩乾燥させると、リン酸水素ジ−tert−ブチル28.3gが白色の針状物として得られた。
【0124】
ステップ3:ジ−tert−ブチルクロロメチルホスフェートの調製
【0125】
【化5】

リン酸水素ジ−tert−ブチル(24.9g、133.3mmol)、NaHCO(39.9g、533.3mmol)および硫酸水素テトラ−n−ブチルアンモニウム(4.0g、13.3mmol)の水(1000ml)中の混合物に、ジクロロメタン(623ml)を加えた。混合物を0℃で20分間撹拌し、次いで、クロロ硫酸クロロメチル(23.5g、160mmol)のジクロロメタン(370ml)溶液を激しく撹拌しながら加えた。生じた混合物を室温で一晩(20時間)撹拌した。有機層を分離し、ブライン(500ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮すると、ジ−tert−ブチルクロロメチルホスフェート14.0gが無色のオイルとして得られた。H NMR(DMSO−d6) 400MHz δ 5.72(d,J=15.5Hz,2H),1.14(s,18H)。
【0126】
ステップ4:(R)−ジ−tert−ブチル(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)−ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチルホスフェートの調製
【0127】
【化6】

(R)−3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノール(2.0g、3.85mmol)、水素化ナトリウム(0.185g、7.69mmol)およびヨウ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(0.42g、1.15mmol)のN,N−ジメチルホルミド(dimethylformide)(15ml)中の混合物を室温で10分間撹拌した。この混合物に、ジ−tert−ブチルクロロメチルホスフェート(1.29g、5.0mmol)のN,N−ジメチルホルミド(5ml)溶液を加えた。生じた混合物を室温で24時間撹拌した。溶媒を真空下で除去した。残渣をジクロロメタン(100ml)に入れ、水(100ml×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによりシリカゲルで精製すると、(R)−ジ−tert−ブチル(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチルホスフェート1.60gがオレンジ色の固体として得られた。H NMR(DMSO−d) 400MHz δ 8.14−8.05(m,2H),7.88(d,J=2.6Hz,1H),7.43(t,J=8.1Hz,1H),7.32−7.27(m,2H),7.16−7.08(m,2H),6.63(d,J=2.2Hz,1H),6.46(d,J=5.1Hz,1H),5.62(d,J=11.7Hz,2H),4.00−3.90(m,1H),3.93(s,3H),3.78−3.70(m,1H),3.50−3.42(m,1H),2.57(br. t,J=10.1Hz,1H),2.43(br. t,J=10.3Hz,1H),1.98−1.80(m,2H),1.66−1.52(m,1H),1.37(s,18H),1.35−1.30(m,1H); LCMS M+H=743。
【0128】
ステップ4の代替の方法
(R)−3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノール(31.56g、0.0606mol、1.0当量)およびCsCO(39.49g、0.121mol、2.0当量)をフラスコに投入した。DMF(126ml、4体積)を加えた。混合物を室温で5分間撹拌した。化合物ジ−tert−ブチルクロロメチルホスフェートのDMF(63ml、3.7体積)溶液を混合物に10分で滴加した。生じた混合物を室温で24時間撹拌した。反応が完了した(HPLC:出発物質のAUC0.17%)。EtOAc(285ml)を加えた。混合物を激しく撹拌しながら12℃に冷却した。水(380ml)を10分で加えたが、その間、温度を22℃未満に維持した。混合物を10分間撹拌した。2層を分離した。水性相をEtOAc(285ml)で抽出した。合わせた有機相をブライン(115ml)で洗浄した。溶液を乾燥するまで蒸発させると、粗製の明赤色のオイル生成物(55g、>100%)が得られたが、次のステップのためにさらに精製することはなかった。
【0129】
ステップ5:(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェートの調製
【0130】
【化7】

(R)−ジ−tert−ブチル(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチルホスフェート(1.68g、2.26mmol)のジクロロメタン(34ml)中の0℃の溶液にトリフルオロ酢酸(2.61ml、34.0mmol)を滴加した。混合物を室温で45分間(または出発物質が消失するまで)撹拌した。溶媒を真空下で除去した。残渣をエチルエーテル(100ml)中で2時間撹拌した。生成物を遠心分離により集め、真空下で一晩乾燥させると、表題化合物1.50gがオレンジ色の固体として得られた。粗製生成物を精製することなく、ステップ6でそのまま使用した。H NMR(DMSO−d) 400MHz δ 8.13−8.08(m,2H),7.89(d,J=2.2Hz,1H),7.42(t,J=7.9Hz,1H),7.34−7.24(m,3H),7.17−7.12(m,1H),6.63(d,J=2.2Hz,1H),6.52(d,J=5.5Hz,1H),5.58(d,J=11.7Hz,2H),4.40−3.90(m,1H),3.93(s,3H),3.75−3.68(m,1H),3.48−3.40(m,1H),2.60(br. t,J=10.1Hz,1H),2.55−2.45(m,1H),1.96−1.82(m,2H),1.67−1.55(m,1H),1.46−1.34(m,1H); LCMS M+H=631。
【0131】
ステップ5の代替の方法
粗製(R)−ジ−tert−ブチル(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチルホスフェート(28.15g、0.0326mol)のアセトン(120ml)溶液を500mLフラスコに投入した。水(120ml)を撹拌しながら加えた。濁った混合物を50℃に18時間加熱した。白色の結晶質の生成物が沈殿した。次いで、混合物を55℃まで24時間加熱した。反応は完了した(HPLCにより監視)。反応混合物を20℃に冷却し、3時間撹拌し、漏斗で濾過した。ケークを水(3×120ml)で洗浄し、次いで、アセトン(3×120ml)で洗浄した。濾過用漏斗を室内減圧(house vacuum)でさらに3時間維持した。緑色がかった固体を真空炉(80℃/20トル)で6時間乾燥させると、所望の生成物(17.2g)が得られた。
【0132】
ステップ6:ビス−ナトリウム(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチルホスフェートの調製
【0133】
【化8】

撹拌棒を備えたフラスコ中の(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート(2.93g、4.65mmol)に、水酸化ナトリウム(558mg、13.95mmol)の水(30ml)溶液を加えた。透明な溶液が生じるまで(30分)、生じた混合物を撹拌した。透明な溶液を、500mlフラスコに移した。撹拌している間に、アセトン200mlを徐々に加えた。生じた懸濁液を10分間撹拌し、次いで、撹拌することなく1時間放置した。液体をフラスコからデカンテーションして、廃棄した。残渣に、アセトン(200ml)を加えた。溶液を2時間激しく撹拌した。固体生成物を遠心分離により集めた。この固体を水30mlに溶かし、アセトン200mlを撹拌しながら加えた。10分間撹拌した後に、懸濁液を撹拌することなく2時間放置し、液体をデカンテーションした。残渣に、アセトン(200ml)を加え、生じた混合物を2時間撹拌した。固体を遠心分離により集め、真空下、45℃で24時間乾燥させると、2.30gがオレンジ色の固体として得られた。H NMR(DO) 400MHz δ 7.63(d,J=5.9Hz,1H),7.59(s,1H),7.54(d,J=2.3Hz,1H),7.40(d,J=1.2Hz,1H),7.22(t,J=8.0Hz,1H),7.10(dd,J=8.2 2.0Hz,1H),6.96(s,1H),6.86(d,J=7.8Hz,1H),6.45(s,1H),6.16(d,J=5.5Hz,1H),5.34(d,J=8.6Hz,2H),3.73(s,3H),3.59−3.48(m,1H),3.41(br. d,J=9.4Hz,1H),3.22(br. d,J=11.3Hz,1H),2.66−2.54(m,1H),2.40−2.28(m,1H),1.78−1.62(m,2H),1.53−1.38(m,1H),1.30−1.19(m,1H); LCMS M+H=631;C2524PS・2.6Na・0.6TFA・0.4アセトンの元素分析、算出値、42.23%C、3.54%H、14.38%N、実測値、42.22%C、3.80%H、14.27%N。
(実施例2)
(R)−3−(5−(3−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)フェニル)イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)フェニル二水素ホスフェートの調製
【0134】
【化9】

(R)−3−(5−(3−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)フェニル)イミダゾ−[2,1−b]チアゾール−6−イル)フェノール(0.322g、0.569mmol)のピリジン(2.0mL)中の0℃の溶液に、POCl3(0.104mL、1.14mmol)を加えた。添加の後に、混合物を室温で2時間撹拌し、次いで、水2mLを加えた。生じた混合物を一晩撹拌し、1NのHCl溶液を使用して、PH=1〜2まで酸性化した。固体を遠心分離により集め、逆相HPLCにより、調節剤としてギ酸を使用して精製した。黄色の固体(110mg)が得られた。融点239〜245℃;H NMR(DMSO−d) 400MHz δ 8.70(bs,1 H),8.11(d,J=5.6Hz,1 H),7.77−7.75(m,2 H),7.38−7.56(m,2 H),7.42(m,3 H),7.37−7.35(m,1 H),7.22−7.21(m. 2 H),6.46(d,J=5.2Hz,1 H), 3.95(bs,1 H),3.72(d,J=10Hz,1 H),3.46(d,J=12Hz,1 H),2.52(m,1 H),2.34(t,J=9.6Hz,1 H),1.87(m,2 H),1.60−1.57(m,1 H),1.43−1.37(m,1 H); ; 31P NMR(DMSO−d) 400MHz δ −5.201; LCMS M+H=647。
(実施例3)
RAF活性の測定
材料:RAFキナーゼおよび抗ホスホMEK1/2抗体はUpstate(Charlottesville、VA)からのものであった。使用されたRAF基質は、全長N末端GST−MEK−1であり、これを、E.coliで発現させ、HPLCにより自家精製した。全てのタンパク質を等分し、−80℃で貯蔵した。リン酸緩衝食塩水(PBS)中のSuperblock(商標)遮断試薬はPierce(cat.#37515)からのものであった。ATPはRoche(cat.#19035722)からのものであった。アルカリホスファターゼ標識ヤギ抗ウサギ抗体はPierce(cat.#31340)からのものであった。
【0135】
方法:全てのRAFの生化学的アッセイを、20mMのMOPS、5mMのEGTA、37.5mMのMgCl2、1mMのDTTおよび50μMのATPを含有するアッセイ緩衝液を使用して行った。6.25ng/ウェルの変異体B−RAFおよび7.5ng/ウェルのMEK−1が最終アッセイ条件には存在した。1%のDMSOおよび最終濃度よりも3倍高い濃度の試験化合物20μlを含有するアッセイ緩衝液中で、化合物を連続希釈し、ポリプロピレンV−ウェル反応プレートに加えた。ビヒクル対照ウェルには、試験ウェルと同じ濃度のDMSOのみを有する緩衝液を与えた。迅速に連続して、基質20μl(0.45ng/μl MEK−1)を、続いて、酵素20μl(0.375ng/μl 変異体B−RAF)を加えた。これらの反応プレートを室温で30分間インキュベートした。MEK−1の捕捉を、反応混合物50μlを非特異的タンパク質捕捉に対して設計されているNunc Maxisorp(商標)マイクロプレートに移すことにより開始した。室温でのMEK−1の30分捕捉の後に、このプレートをTBST(6×200μL/ウェル)で洗浄して、反応を完全に停止させた。次いで、プレートを、リン酸緩衝食塩水(PBS)中のSuperblock(商標)遮断試薬100μl/ウェルを加えることにより1時間遮断した。プレートを再び、TBST(200μl/ウェルで6回)で洗浄し、続いて、Pierce Superblock(PBS)中で1:1000希釈されたUpstate抗ホスホMEK1/2 70μl/ウェルを加えた。60分のインキュベーションの後に、このプレートをTBST(200μl/ウェルで6回)で洗浄し、Superblock中1:4000で調製された二次抗体(Pierce Alkaline Phosphatase標識ヤギ抗ウサギ)70μlを加えた。室温で45分インキュベートした後に、マイクロプレートのウェルをTBST(200μl/ウェルで6回)で洗浄し、その後、Attophos(商標)蛍光アルカリホスファターゼ基質100μl/ウェルを、製造者の指示書(JBL Scientific)に従って加えた。蛍光をPerkin Elmer Envisionマルチラベルリーダーで、次のフィルターを使用して読み取った:励起フィルター:CFP430nM、放射フィルター:放射フィルター579nM。
【0136】
本発明の化合物は、RAFキナーゼの阻害を介して、MEKのリン酸化を阻止する。本発明の一定の化合物でのRAF/MEK/ERK経路阻害データを表1に示す。
(実施例4)
エレクトロブロッティング読取りを伴う細胞ベースのリン酸化アッセイ
本発明の化合物を、一般には全てのアイソフォーム、野生型および変異体両方のRAFキナーゼ(A−RAF、B−RAFおよびC−RAF)ならびに特にはヒト癌細胞における変異体B−RAF(V600E)を阻害するその能力に関してスクリーニングした。A375は、ヒト癌で見出される最も共通したB−RAF変異−V600Eを内包するヒト黒色腫細胞系である。このアッセイにおけるRAFキナーゼを阻害する化合物の能力は、MEKおよびERKリン酸化の低減と相関しており、したがって、潜在的なin vivo治療活性の直接的な指標である。
【0137】
材料:ATCCからのA375細胞を37℃、5%CO2で、10%ウシ胎児血清、ペニシリン/ストレプトマイシンおよびファンギゾン(Invitrogen)を追加されたDMEM培地中で維持した。
【0138】
方法:試験化合物をDMSO中に溶かし、1:1000で希釈した。A375細胞を6ウェル組織培養プレートに1ウェル当たり5〜8×10で播種し、37℃で24時間培養した。細胞を化合物と共に1時間インキュベートし、その後、EPage(商標)添加バッファー(Invitrogen)で溶解した。溶解産物を8%EPage(商標)ゲル上で電気泳動させ、ポリビニリデンジフルオリド膜に移した。一次および二次抗体と共にインキュベートした後に、免疫染色されたタンパク質を検出し、Odyssey赤外イメージャー(LI−COR)により定量化した。分析を非線形回帰により行い、用量応答曲線を生じさせた。算出されたIC50値は、ホスホ−MEKおよびホスホ−ERKレベルにおいて50%の低減をもたらす試験化合物の濃度であった。使用された一次抗体は、抗MEK(Stressgen)、抗ERK(BD Biosciences)、抗ホスホ−ERKおよび抗ホスホ−MEK(Cell Signaling)であった。使用された二次抗体は、IRDYE800抗ウサギ、IRDYE800抗マウス(Rockland)、AlexaFluor680抗マウスおよびAlexaFluro680抗ウサギ(Invitrogen)であった。
【0139】
図2は、癌細胞中のホスホ−ERKに対する式Iの化合物の効果を示している。A375細胞を0、12、37、111、333および1000nMの示されている化合物で1時間処理した。ホスホ−ERKおよび全ERKのレベルを、免疫ブロット法によりアクセスした(accessed)。
【0140】
本発明の化合物は、ホスホ−MEKおよびホスホ−ERKのレベルを、RAFキナーゼの阻害を介して低減する。本発明の一定の化合物でのRAF/MEK/ERK経路阻害データを、図2および表1に示す。
(実施例5)
細胞増殖阻害アッセイ
本発明の化合物を、様々な癌細胞系に対する活性に関して試験した。このアッセイにおける細胞増殖を阻害する化合物の能力は、代謝活性な細胞において見出されるデヒドロゲナーゼ酵素活性の低減と相関している。
【0141】
材料:ATCCからの広範に多様な癌細胞を37℃、5%COで、10%ウシ胎児血清、ペニシリン/ストレプトマイシンおよびファンギゾン(Invitrogen)を追加されたDMEM培地中で維持した。NCM460(Incell)、正常な結腸上皮細胞系およびヒト乳房上皮細胞(Cambrex)を37℃、5%COで、それぞれDMEMおよびHEBM培地(Cambrex)中で維持した。
【0142】
方法:試験化合物をDMSO中で溶解し300×まで希釈し、次いで、1:40にDMEM中で希釈した。細胞を96ウェル組織培養プレートに1ウェル当たり1〜5×10で播種し、37℃で24時間培養した。細胞を試験化合物と共に72時間インキュベートし、続いて、テトラゾリウム化合物(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、内塩;MTS)および電子結合試薬、フェナジンメトスルフェート(PMS)と共に4時間インキュベートした。MTSが、細胞中のデヒドロゲナーゼにより化学的に還元されてホルマザンになった。ホルマザンの吸光度の測定を、ENVISION(商標)(Perkin Elmer)マイクロプレートリーダーを使用して492nmで評価した。算出IC50値は、吸光度の50%低下をもたらす試験化合物の濃度である。
【0143】
本発明の化合物は、様々な癌細胞の増殖を阻害する。本発明の一定の化合物でのデータを表2および表3に示す。
(実施例6)
化合物活性のパターンについての観察
酵素阻害および細胞系阻害の予期せぬパターンにより、式Iの一定の化合物は、プロドラッグであると考えられる。さらに、これらの化合物は意外にも、溶解度の劇的な増大を示すので、有効な治療組成物へのその製剤化能力を助長する。
【0144】
化合物15および16は、化合物14の共通する親構造を共有するという点で化合物14の類似体であり、それらは親構造のフェノール系酸素に結合しているホスフェートまたはメチルホスフェートを有する。表Iに示されている通り、チアゾール化合物15および16は、化合物14よりも変異体B−RAFの阻害においてかなり効力が劣る。詳細には、化合物15は、化合物14に対して約400倍のIC50の上昇を示し、化合物16は、約193倍の上昇を示す。しかしながら、同様のパターンは、表Iにも示されている通り細胞ベースのERK阻害データでは現れず、これらは、EC50においてそれぞれ約2および4倍離れている。同様の効果が、オキサゾール類似体:化合物17、18および19で見られる。例えば、化合物19は、化合物17に対してB−RAF IC50の365上昇を示し、EC50にはほとんど変化を示さない。
【0145】
in−vivo対in vitro活性での上記不一致についての説明は、化合物15、16、18および19は、A375細胞により代謝またはそうでなければ変換されて、それぞれ化合物14および17をもたらすプロドラッグとして作用しているということである。
【0146】
図3に示されている通り、化合物17および19は、異種移植片癌モデルにおいてその抗腫瘍活性を維持する(測定の詳細は実施例7に示されている)。化合物17を160mg/kgで腹膜内(IP)注射し、化合物19を300mg/kg(mmole/kgで表した場合は等用量、塩成分を考慮)でIP注射した。
【0147】
化合物17および19は、図3の異種移植片モデルにおいて同等に有効であるようであり、化合物19は、さらに潜在的な利点を有する。表4で分かるように、化合物19は、生物学的に該当するpHで、またはその付近で、水溶液中で劇的により高い溶解度を有する。したがって、化合物19は、製剤化がより容易である可能性がある(例えば、静脈内溶液を調製するために、または当技術分野で公知の他の送達方法のために)。溶解度測定についての詳細は、実施例8に示す。
(実施例7)
無胸腺マウスにおける異種移植片モデルのプロトコル
マウス異種移植片モデルを、Jacobら、Gene Ther Mol Biol 2004年;8巻:213〜219頁およびWilhelmら、Cancer Research 2004年;64巻:7099〜7109頁の方法に従って行った。
【0148】
動物のケア 6週齢の雌のNCr nu/nuマウスをTaconic Farms、Germantown、NYから購入し、1〜2週間順応させた。マウスを無菌のマイクロアイソレーターケージに1ケージ当たりマウス5匹で収容し、食餌と水を自由に摂らせた。全ての実験手順および外科的処置は、ArQule’s Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)によって認められた。
【0149】
腫瘍細胞系およびモデル 癌腫細胞系を、American Type Tissue Culture(ATCC)、(Manassas、Va)から入手し、推奨される通りに増殖させた。マウスに、無菌のハンクス平衡塩類溶液(HBSS)0.1ml中の2.5〜10×10細胞を右上側腹部に皮下移植した。化合物の投与を、腫瘍サイズが75から200mgの間の範囲に及んだときに開始した。腫瘍測定および体重を、電子キャリパーおよび天秤を用いて、週に2から3回集めた。腫瘍重量(mg)を式:長さ×(幅))/2から算出し;この式をまた、単位密度1mg=1mmと仮定して腫瘍体積を算出するために使用することができる。阻害パーセントまたは腫瘍増殖阻害(TGI)パーセントを、次の式:1−[治療されたものの平均腫瘍値/対照の平均腫瘍値]×100を使用して算出した。>30%致死率および/または>20%の正味体重低下をもたらした治療は、毒性と考え得る。
(実施例8)
様々なpHでの平衡溶解度決定のためのプロトコル
化合物の溶解度を、従来の振盪フラスコ法により決定した。固体化合物の一定部分を所望のpHの適切な緩衝液と混合し、室温(約25℃)で6〜24時間振盪することにより平衡化させた。下記の水性緩衝液をpH対照のために使用した:0.1NのHCl pH=1.2、50mMの乳酸緩衝液pH=3.0、50mMの酢酸緩衝液pH=5.0および100mMのリン酸緩衝液pH7.4。平衡化の後に、試料を0.45umフィルターで濾過し、標準溶液の較正曲線に対してHPLC/UVにより分析した。
(実施例9)
本発明の例示的な化合物とc−Met阻害剤との組合せ
別段に述べられていない限り、次の材料および方法を、本明細書に記載の生物学的アッセイに適用する。細胞培養物および試薬:癌細胞系を、10%ウシ胎児血清、100単位/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび2mMのL−グルタミンを含有するDMEM培地またはRPMI培地中で培養した。
【0150】
細胞増殖分析。細胞生存をMTSアッセイにより決定した。簡略には、細胞を96ウェルプレートに1ウェル当たり2000〜10000細胞で播種し、完全増殖培地中で24時間培養し、次いで、様々な薬物および薬物組合せで72時間処理した。MTSを加え、4時間インキュベートし、続いて、マイクロプレートリーダーを使用して570nmで細胞生存率を評価した。データを未処理の対照に対して正規化し、Microsoft Excelで分析した。
【0151】
本明細書に記載の研究は、本明細書に示されている式Iの化合物、即ち、(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート、V600E変異体B−Raf阻害剤を、c−Met受容体チロシンキナーゼの低分子量阻害剤である(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5,−ジオンと組み合わせて使用した。
【0152】
一連の遺伝子型および組織起源を包含する55種のヒト癌細胞系のパネルを72時間MTS細胞傷害性アッセイで、幅広い範囲の化合物濃度にわたって調べた。化合物(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェートおよび(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンは、72時間MTSアッセイのためにチェッカーボードの3倍希釈物で構成された。
【0153】
本実施例では、2種の独立した実験を並行して行った。Chouアルゴリズムを使用して、下記に示されている通りの併用指数(CI)を算出した。
【0154】
【数1】

(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェートと(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンとの併用データを表5に示す。癌細胞系のアイデンティティおよび組織起源を示す。結果は、(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェートと(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンとの組合せは、NCI−H52(NSCLC)、MDA−MB−231(乳房)、SNU475(肝臓)を包含する多くの細胞系およびPC3(前立腺)細胞系において相乗的細胞傷害性をもたらし、多くの他の細胞系において相加的細胞傷害性を示したことを示している。
【0155】
【表1−1】

【0156】
【表1−2】

【0157】
【表1−3】

【0158】
【表1−4】

【0159】
【表1−5】

【0160】
【表1−6】

【0161】
【表1−7】

【0162】
【表2】

【0163】
【表3−1】

【0164】
【表3−2】

【0165】
【表3−3】

【0166】
【表4】

【0167】
【表5−1】

【0168】
【表5−2】

上記の論述は、本発明の様々な例示的実施形態を開示しているが、当業者であれば、本発明の真の範囲から逸脱することなく、本発明の利点の一部を達成する様々な変更を成し得ることは明らかなはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化10】

の化合物または薬学的に許容されるその塩であって、式中、
Xは、O、S(O)であり;
mは、1から3の整数であり;
nは、1から3の整数であり;
oは、0から2の整数であり;
pは、0から2の整数であり;
Zは、水素、結合、−C(O)−、−C(O)NR−、−S(O)−であり;
は、水素、ハロゲン、置換または非置換アルキル、−CN、−COOR、−OR、−NRであり、
およびRは独立に、水素、置換もしくは非置換低級アルキル、−COORまたは−C(O)NRであり;
各Rおよび各Rは独立に、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロシクリルであり、RおよびRは一緒になって、環を形成していてもよく;
は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cフルオロ置換アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cフルオロ置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、(C〜C)アルキル置換ヘテロシクリル、アリール、ハロゲン置換アリール、ヘテロアリール、(C〜C)アルキル置換ヘテロアリールおよびハロゲン置換ヘテロアリールからなる群から独立に選択され;
は、Hまたは(CHO)−P(O)ORORである、
化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
およびRが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
m+n=4であり、mがnに等しくない場合、好ましい配置はRである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Zが水素、結合、−C(O)−、−C(O)NR−、−S(O)−であり;Rがアルキル置換ヘテロシクリルまたはアルキル置換ヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
(R)−3−(5−(2−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェニル二水素ホスフェート;(R)−3−(5−(2−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)フェニル二水素ホスフェート;(R)−(3−(5−(2−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;(R)−(3−(5−(2−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;(R)−((3−(5−(2−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)フェノキシ)メトキシ)メチル二水素ホスフェート;(3−(5−(2−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−4−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;(3−(5−(2−(1−(4−シアノフェニルスルホニル)ピペリジン−4−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;3−(5−(2−(1−(4−フルオロフェニルスルホニル)ピペリジン−4−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェニル二水素ホスフェート;(3−(5−(2−(1−(シクロプロピルスルホニル)ピペリジン−4−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;((3−(5−(2−(1−(シクロプロピルスルホニル)ピペリジン−4−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メトキシ)メチル二水素ホスフェート;(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−4−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;(R)−3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェニル二水素ホスフェート;(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;(R)−((3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メトキシ)メチル二水素ホスフェート;(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;(R)−2−フルオロ−5−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェニル二水素ホスフェート;および(R)−(2−フルオロ−5−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェートからなる群から選択される化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
(R)−3−(5−(2−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]チアゾール−6−イル)フェニル二水素ホスフェート;(R)−(3−(5−(2−(1−(4−クロロフェニルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェート;および(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェートからなる群から選択される化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項8】
化合物(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェートまたは薬学的に許容されるその塩。
【請求項9】
in vivoで加水分解されて、請求項1に記載の式Iの化合物をもたらすプロドラッグであって、Rは、前記加水分解後にHまたはCHOHである、プロドラッグ。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩を、1種または複数の薬学的に許容される担体または賦形剤と共に含む薬学的組成物。
【請求項11】
第2の化学療法剤をさらに含む、請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記第2の化学療法剤が、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミモシン、ゲムシタビン、Ara、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、ドセタキセル、ゴセレリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシド、エトポシド、エポチロン、ナベルビン、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、アムサクリン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン イマタニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ソラフェニブ、スニチニブマレエート、トラスツズマブ、リツキシマブ、セツキシマブおよびベバシズマブからなる群から選択される、請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
前記第2の化学療法剤が、タキサン、アロマターゼ阻害剤、アントラサイクリン、微小管標的化薬、トポイソメラーゼ毒薬、標的化モノクローナルもしくはポリクローナル抗体、分子標的もしくは酵素の阻害剤(例えばキナーゼ阻害剤)またはシチジン類似体薬からなる群から選択される、請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記第2の化学療法剤が、(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンである、請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
前記式Iの化合物が、(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェートである、請求項14に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
細胞増殖性障害を治療または予防する方法であって、前記細胞増殖性障害を伴う細胞を有する被験体に、前記細胞増殖性障害が治療される治療有効量の請求項1から5のいずれかに記載の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を、薬学的に許容される担体と組み合わせて投与する工程を含む方法。
【請求項17】
増殖性障害を伴う前記細胞が、RAFをコードするDNAを含有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記RAFが、A−RAF、B−RAFまたはC−RAFである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記RAFが、B−RAFである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記B−RAFが野生型である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記B−RAFが変異体である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記B−RAF変異体がB−RAFV600Eである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記細胞が、構成的に高いRAF活性を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記細胞増殖性障害が、前癌性状態である、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記細胞増殖性障害が癌である、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記細胞増殖性障害が黒色腫である、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
前記細胞増殖性障害が乳頭状甲状腺癌である、請求項16に記載の方法。
【請求項28】
前記細胞増殖性障害が結腸癌である、請求項16に記載の方法。
【請求項29】
前記細胞増殖性障害が、乳癌、肺癌、結腸直腸癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、肝細胞癌、脳癌、黒色腫、多発性骨髄腫、慢性骨髄性白血病、血液系腫瘍、リンパ系腫瘍、肉腫、癌腫および腺癌のうちの1つである、請求項16に記載の方法。
【請求項30】
前記細胞増殖性障害が先天性母斑である、請求項16に記載の方法。
【請求項31】
前記化合物または薬学的に許容されるその塩を、第2の化学療法剤と組み合わせて投与する、請求項16に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の化学療法剤が、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミノシン、ゲムシタビン、Ara、5−フルオロウラシル、メトトレキサート、ドセタキセル、ゴセレリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシド、エトポシド、エポチロン、ナベルビン、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、ミトキサントロン、アムサクリン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン イマタニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ソラフェニブ、スニチニブマレエート、トラスツズマブ、リツキシマブ、セツキシマブおよびベバシズマブからなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第2の化学療法剤が(−)−トランス−3−(5,6−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2,1−ij]キノリン−1−イル)−4(1H−インドール−3−イル)ピロリジン−2,5−ジオンである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記式Iの化合物が(R)−(3−(5−(2−(1−(1−メチル−1H−ピラゾール−3−イルスルホニル)ピペリジン−3−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−6−イル)フェノキシ)メチル二水素ホスフェートである、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記癌が、乳癌、肺癌、肝臓癌、結腸癌または膵臓癌である、請求項33に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−511021(P2012−511021A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539749(P2011−539749)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/066826
【国際公開番号】WO2010/065893
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(501054229)アークル インコーポレイテッド (17)
【Fターム(参考)】