説明

RF−ID

【課題】 自動搬送設備での安定した動作を確保し、また、RF−ID自体の堅牢性を確保したRF−IDを得る。
【解決手段】 送受信用アンテナ1とICチップからなるICモジュール2が、樹脂材料10にてモールドされた非接触でデータの送受信を行うRF−IDにおいて、前記送受信用アンテナ1の外郭部、および内側部に質量調整用金属リング3aおよび31aが配置されたRF−IDとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で、データの読み出しや書き込みを行うRF−ID(Radio Frequency Identifier)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のRF−IDは、送受信用アンテナとICモジュールとを、ポリ塩化ビニルやポリエチレンテレフタレート等のプラスチック樹脂材料にて挟み込み、ホットメルト或いは熱硬化型接着剤などを用いて貼り合わせて封止し、完成していた。
【0003】
図3に、従来のRF−IDの説明図を示す。図3に示す従来のRF−IDは、送受信用アンテナ11とICモジュール21とが、 樹脂材料100にてモールドされた形状である。
【0004】
これに関する技術が、特許文献1に記載されている。特許文献1には、非磁性体の外殻リングを有する非接触型IDタグについて記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003ー196634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のRF−IDには、以下の問題点があった。自動販売機などの自動搬送設備において、IDタグ通過線路内の落下輸送が、RF−ID自体の重量不足により安定に行われないという問題点があった。例えば、すでに使用されていた、金属材料からなるコインをRF−IDに置き換えた場合、前記コインに比べて、RF−IDの重量は軽い場合が多く、輸送時の落下等の不具合が生じていた。
【0007】
従って、本発明の課題は、自動搬送設備での安定した動作を確保し、また、RF−ID自体の堅牢性を確保したRF−IDを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、送受信用アンテナとICチップからなるICモジュールが、樹脂材料でモールドされた非接触でデータの送受信を行うRF−IDにおいて、前記送受信用アンテナの外郭部及び/もしくは内側部に質量調整用の金属のリングが配置されたRF−IDである。
【0009】
また、本発明は、前記質量調整用の金属のリングは非磁性体からなるRF−IDである。
【0010】
また、本発明は、送受信用アンテナとICチップからなるICモジュールと樹脂材料にてモールドされた非接触でデータの送受信を行うRF−IDにおいて、前記送受信用アンテナの外郭部、および内側部にわたって、質量調整用部材が配置されたRF−IDである。
【0011】
また、本発明は、前記質量調整用部材は金属材料の個片と樹脂材料との混合体からなるRF−IDである。
【0012】
また、本発明は、前記質量調整用部材は金属材料の粉末と樹脂材料との混合体からなるRF−IDである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、自動搬送設備で安定した動作を確保し、またRF−ID自体の堅牢性を確保したRF−IDを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態によるRF−IDについて説明する。本発明のRF−IDは、送受信用アンテナとICチップからなるICモジュールが、樹脂材料にてモールドされた非接触でデータの送受信を行うRF−IDにおいて、前記送受信用アンテナの外郭部あるいは内側部もしくは両側に質量調整用の金属のリングが配置されたRF−IDである。
【0015】
前記質量調整用の金属のリングは非磁性体であることが望ましい。ここで、例えば、材質として、真鍮か、あるいは、りん青銅、あるいは非磁性ステンレスが用いられる。
【0016】
また、本発明のRF−IDは、送受信用アンテナとICチップからなるICモジュールと樹脂材料にてモールドされた非接触でデータの送受信を行うRF−IDにおいて、前記送受信用アンテナの外郭部、および内側部にわたって、質量調整用部材が配置されたRF−IDである。ここで、 前記質量調整用部材は、金属材料の個片と樹脂材料との混合体とする。あるいは、前記質量調整用部材は、金属材料の粉末と樹脂材料との混合体とする。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態によるRF−IDの説明図である。図1(a)は、送受信用アンテナの外郭部に質量調整用金属リング3a、および内側部に質量調整用金属リング31aを配置した例を示し、図1(b)は、送受信用アンテナの外郭部、および内側部にわたって、質量調整用の部材3bを配置した例を示す。
【0018】
図1(a)に示すように、RF−IDは、送受信用アンテナ1とICチップからなるICモジュール2とが、樹脂材料10にてモールドされているが、送受信用アンテナ1の外郭部には質量調整用金属リング3aが、また、送受信用アンテナ1の内側部には質量調整用金属リング31aが配置されて、重量を調整している。ここで、質量調整用金属リング3a,31aは、送受信用のデータのやり取りに支障がない材料として、非磁性の真鍮を用いた。
【0019】
図1(b)に示すように、RF−IDは、送受信用アンテナ1とICチップからなるICモジュール2とが樹脂材料10にてモールドされているが、送受信用アンテナ1の外郭部、および内側部にわたって、質量調整用部材3bが配置されている。ここで、質量調整用部材3bは、真鍮の金属球と樹脂材料との混合体とした。真鍮の金属球と樹脂材料との重量%は、70%対30%とした。
【0020】
図2は、本発明によるRF−IDの使用方法の説明図である。 図2(a)は、RF−IDを落下させて搬送する使用方法の例を示し、図2(b)は、RF−IDを液体中の沈める使用方法の例を示す。
【0021】
図2(a)に示す使用方法は、RF−ID5を搬送路8を落下させて搬送する使用方法である。また、図2(b)に示す使用方法は、RF−ID6を液体中に沈めてデータをRFリーダライタ4にて送受信する使用方法である。ここで、RF−ID6の質量が液体の密度に相当する質量よりも、充分大きくなることが必要であり、先に説明した質量調整用部材にてRF−ID6の質量を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態によるRF−IDの説明図。図1(a)は、送受信用アンテナの外郭部に質量調整用金属リングおよび内側部に質量調整用金属リングを配置した例を示す図、図1(b)は、送受信用アンテナの外郭部、および内側部にわたって、質量調整用の部材を配置した例を示す図。
【図2】本発明によるRF−IDの使用方法の説明図。図2(a)は、RF−IDを落下させて搬送する使用方法の説明図、図2(b)は、RF−IDを液体中の沈める使用方法の説明図。
【図3】従来のRF−IDの説明図。
【符号の説明】
【0023】
1,11 送受信用アンテナ
2,21 ICモジュール
3a,31a 質量調整用金属リング
3b 質量調整用部材
4 RFリーダライタ
5,6 RF−ID
7 パソコン
8 搬送路
10,100 樹脂材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送受信用アンテナと、ICチップからなるICモジュールが、樹脂材料にてモールドされた非接触でデータの送受信を行うRF−IDにおいて、前記送受信用アンテナの外郭部あるいは内側部に質量調整用の金属のリングが配置されたことを特徴とするRF−ID。
【請求項2】
前記質量調整用の金属のリングは、非磁性体であることを特徴とする請求項1に記載のRF−ID。
【請求項3】
送受信用アンテナと、ICチップからなるICモジュールと、樹脂材料にてモールドされた非接触でデータの送受信を行うRF−IDにおいて、前記送受信用アンテナの外郭部、および内側部にわたって、質量調整用部材が配置されたことを特徴とするRF−ID。
【請求項4】
前記質量調整用部材は、金属材料の個片と、樹脂材料との混合体であることを特徴とする請求項3に記載のRF−ID。
【請求項5】
前記質量調整用部材は、金属材料の粉末と樹脂材料との混合体であることを特徴とする請求項3に記載のRF−ID。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−209621(P2006−209621A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−23314(P2005−23314)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】