説明

RFIDタグ付きロゴ板およびRFIDシステム

【課題】本発明は、RFIDタグ付きロゴ板およびRFIDシステムに関し、ロゴが金属製であってもアンテナ特性の劣化を抑制することを目的とする。
【解決手段】RFIDタグ付きロゴ板2は、金属製のロゴ2bが表面側に形成された表面化粧板2aの裏面側に管理物品を管理するためのRFIDタグ3を設け、RFIDタグ3は基板3aに識別情報を記憶保持するタグ回路部6とこのタグ回路部6に電気的に接続されたタグアンテナ部7とを備え、基板3aのタグアンテナ部7を実装した実装面が表面化粧板2aよりも肉厚の樹脂層26を介して表面化粧板2aに貼付されている。また、基板3aの実装面と反対の裏面は基板3aよりも肉厚の樹脂層27を介して管理物品の樹脂製の外表面に両面接着テープなどにより貼付される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産管理、物流管理、物品管理などに用いられるRFID(Radio Frequency IDentification)タグ付きロゴ板およびRFIDシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
RFIDタグは、タグアンテナ部と個別の識別情報を記憶することができるタグ回路部とを備えているので、このRFIDタグを用いて生産管理、物流管理、物品管理などを行うRFIDシステムが提案されている。すなわち、RFIDシステムはRFIDタグとこのRFIDタグを読み取るリーダライタとを備え、RFIDタグを管理物品の銘板に貼り付けておけば、リーダライタによりRFIDタグを読み取ることにより、個々の管理物品の所在を確認でき、管理物品を管理することができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特表2002−536726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来例におけるRFIDシステムでは、銘板に付けられたRFIDタグを読み取るため、管理物品の背面または下面にある銘板を探す必要があった。そこで、管理物品のロゴが形成される表面化粧板にRFIDタグを貼り付けることで、上記銘板を探す手間を省き管理の効率化を図ることも考えられる。
【0004】
しかしながら、ロゴが金属で形成されている場合、RFIDタグのアンテナ特性が劣化し、これによってリーダライタとRFIDタグの交信が適切に行われず、読み取り性能が低下する。すなわち、RFIDタグはタグアンテナ部を介してリーダライタと交信するものであるが、ロゴが金属で形成されている場合には、この金属の影響により上記タグアンテナ部のアンテナ特性が劣化するという課題があった。
【0005】
そこで本発明は、ロゴが金属製であってもアンテナ特性の劣化を抑制することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明のRFIDタグ付きロゴ板は、金属製のロゴが表面に形成された表面化粧板の裏面側に管理物品を管理するためのRFIDタグを設けたものであって、RFIDタグは基板に識別情報を記憶保持するタグ回路部とこのタグ回路部に電気的に接続されたタグアンテナ部とを備え、基板のタグアンテナ部を実装した実装面が表面化粧板よりも肉厚の樹脂層を介して表面化粧板に貼付されていることを特徴とする。これにより所期の目的を達成するものである。
【0007】
また、本発明のRFIDシステムは、上記したRFIDタグ付きロゴ板と、このRFIDタグ付きロゴ板に設けられているRFIDタグの管理物品に係る識別情報を読み取るリーダライタと、管理物品に係る識別情報と場所情報とを関連付けした所在情報を管理する情報処理装置とを備え、RFIDタグ付きロゴ板を管理物品の前面側の外表面に取り付けて管理物品の所在管理を行う構成としたことを特徴とする。これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明のRFIDタグ付きロゴ板は、金属製のロゴが表面側に形成された表面化粧板の裏面側に管理物品を管理するためのRFIDタグを設けたものであって、RFIDタグは基板に識別情報を記憶保持するタグ回路部とこのタグ回路部に電気的に接続されたタグアンテナ部とを備え、基板のタグアンテナ部を実装した実装面が表面化粧板よりも肉厚の樹脂層を介して表面化粧板に貼付されているので、ロゴまたは表面化粧板とタグアンテナ部との間に一定の距離を設けることができ、ロゴまたは表面化粧板が金属製であっても、この金属の影響によりタグアンテナ部のアンテナ特性が劣化するのを抑えることができる。これにより、ロゴまたは表面化粧板が金属製であっても、アンテナ特性の劣化を抑制することができる。
【0009】
また、本発明のRFIDシステムは、上記したRFIDタグ付きロゴ板と、このRFIDタグ付きロゴ板に設けられているRFIDタグの管理物品に係る識別情報を読み取るリーダライタと、管理物品に係る識別情報と場所情報とを関連付けした所在情報を管理する情報処理装置とを備え、RFIDタグ付きロゴ板を管理物品の前面側の外表面に取り付けて管理物品の所在管理を行う構成としたので、ロゴまたは表面化粧板が金属製であっても、この金属の影響によりタグアンテナ部のアンテナ特性が劣化するのを抑え、リーダライタとRFIDタグの交信が適切に行われ、RFIDタグの場所も見つけやすいため管理物品の所在管理を効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
(実施の形態)
まず、図1、図2を参照しながら、本発明の実施の形態におけるRFIDシステムについて説明する。ここでは、管理物品1が工場40(製造会社も含む)から出荷され、各地域(例えば、図2中の地域A、地域B)の販売店(個人の店や量販店を含む)などを介して各顧客の家に納品される場合の管理物品1の所在管理を例として説明する。
【0012】
図1は本発明の実施の形態におけるRFIDシステム5の概略構成図、図2は同RFIDシステム5の電気的なブロック図である。
【0013】
図1に示すように、管理物品1の前面側には会社名、商品名、タイトル名など、文字を組み合わせて個性的な書体に図案化したロゴ2bが必ず設けられていることに着眼し、このロゴ2bが形成される表面化粧板2aの裏面側に管理物品1を管理するためのRFIDタグ3を設けたRFIDタグ付きロゴ板2を取り付けている。
【0014】
すなわち、図1および図2に示すように、RFIDシステム5では、RFIDタグ付きロゴ板2を各管理物品1の前面側の外表面1aに設けている。そして、工場40から出荷される全ての管理物品1の商品情報を情報処理装置である管理装置41のデータベース41a(以下、データベースを「DB」という)に登録した後、各地域の販売店43に向けて管理物品1が出荷される。各地域の販売店43では、ネットワーク42を介して商品情報のデータを販売店43の情報処理装置44(例えば、パーソナルコンピュータなど)により取得し、この商品情報のデータに基づいて管理物品1を照合し、管理物品1の商品情報とこの管理物品1が所在する場所情報とを関連付けした所在情報を作成してDB44aで管理する。
【0015】
販売店43では、顧客情報(住所などの場所情報、電話番号などの連絡先情報など)と顧客商品情報(各顧客に納品した商品情報)とを関連付けした管理物品1の所在情報を情報処理装置44により作成し、情報処理装置44が備えたDB44aで所在情報を管理する。販売店43では、情報処理装置44のDB44aに保存している管理物品1の所在情報を検索することにより、管理物品1の場所を簡単に知ることができる。
【0016】
販売店43では、店員が荷受または管理物品1を展示する際に管理物品1のRFIDタグ付きロゴ板2にリーダライタ4を近づけ、リーダライタ4によりRFIDタグ付きロゴ板2に設けられているRFIDタグ3を読み取る。また、管理物品1が購入者である顧客の家に管理物品1が納品されたときにも、店員が納品した管理物品1のRFIDタグ付きロゴ板2にリーダライタ4を近づけ、RFIDタグ付きロゴ板2に設けられているRFIDタグ3をリーダライタ4により読み取る。そして、店員は販売店43に戻ってから情報処理装置44にリーダライタ4を接続し、顧客の家でリーダライタ4により読み取りした管理物品1の商品情報を情報処理装置44に読み取らせてDB44aに記憶されている所在情報を更新する。リーダライタ4と情報処理装置44とは有線または無線により接続される。リーダライタ4はメモリ4aを備え、このメモリ4aにリーダライタ4が読み取りした管理物品1の商品情報を記憶する。これにより、リーダライタ4を単独で使用することができ、携帯も容易となる。
【0017】
このようにして、販売店43は、どの地域のどの家に何の管理物品1が存在するかの所在情報を効率化よく管理することができる。
【0018】
また、顧客から管理物品1の廃棄依頼があった場合、販売店43の店員は情報処理装置44のDB44aにより顧客の場所を検索し、検索した場所にある家を訪問して管理物品1を回収する。このとき、店員は管理物品1のRFIDタグ付きロゴ板2に設けられているRFIDタグ3をリーダライタ4により読み取る。そして、店員は販売店43に戻ってから情報処理装置44にリーダライタ4を接続し、リーダライタ4のメモリ4aに記憶した商品情報(回収した管理物品1の商品情報)を制御部8を介して情報処理装置44に読み取らせ、情報処理装置44のDB44aに記憶されている所在情報を更新する。すなわち、情報処理装置44では、DB44aの回収済みまたは修理済みを示す情報が所在情報に付加され、管理物品1の所在管理に係る履歴情報も保存される。これにより、修理、回収をする必要がない管理物品1を確認し、適切な対応を行うことができる。
【0019】
また、管理物品1を回収する製造会社指定のリサイクル業者や他の回収業者で行った場合にも、各業者がリーダライタ4によりRFIDタグ付きロゴ板2に設けられているRFIDタグ3を読み取り、管理物品1の所在情報に回収済みの情報を付加して履歴管理を行う。そして、販売店43で管理されている所在情報とリサイクル業者や他の回収業者で回収された管理物品1の所在情報(修理情報を含む)とを連携させれば、管理物品1のさらに詳細な所在管理を行うことができる。
【0020】
このように本実施の形態では、管理物品1の所在管理を行うときに、店員や関係業者は、重量の重い冷蔵庫などの場所を移動させて、背面や下面に貼付されている銘板を探して管理物品1の商品情報を確認するなどの手間が省け、管理物品1の前面側にあるRFIDタグ付きロゴ板2を容易に見つけることができる。そして、RFIDタグ付きロゴ板2に設けられているRFIDタグ3をリーダライタ4を近づけて簡単に読み取ることができる。これにより、リーダライタ4で読み取るRFIDタグ3の場所も見つけやすく管理物品1の所在管理を効率よく行うことができる。
【0021】
もし、製造会社などで管理物品1の修理を要する事態が発生し、管理物品1(例えば、特定の製造番号のもの)を回収、部品交換をする必要が発生した場合であっても、工場40からの出荷先である各地域の各販売店43に連絡すれば、各販売店43は管理物品1の所在情報を管理しているので、この所在情報を利用して早期に対応することができる。すなわち、各販売店43の店員は情報処理装置44のDB44aで管理されている所在情報を利用して、管理物品1がどの地域のどの家に納品されているかを知り、対象となる各家を訪問して修理対象となる管理物品1の回収、部品交換、修理を迅速に行うことができる。これにより、購入者は管理物品1を安全に安心して使用することができる。
【0022】
具体的には、各管理物品1に取り付けられているRFIDタグ付きロゴ板2のRFIDタグ3には、図2に示すように、タグ回路部6が搭載され、このタグ回路部6には個別の識別情報を記憶するメモリ6aが内蔵されている。
【0023】
各管理物品1に貼付されたRFIDタグ3は、それが貼付された管理物品1ごとの個別の識別情報が、そのタグ回路部6のメモリ6aに記憶されている。識別情報としては、例えば、管理物品1の個体を特定するための製品名、機種情報である型番、製造番号、製造日、製造場所などの商品情報である。これらの情報を単独、あるいは組み合わせて、管理物品1の個体を特定する。このように、RFIDシステム5では、RFIDタグ3の識別情報を用いて管理物品1を特定することができ、例えば「型番Aの製造番号がABC123番」の冷蔵庫を特定することができる。
【0024】
その特定作業を行うのが図2に示すリーダライタ4で、このリーダライタ4は、RFIDタグ3と交信し、RFIDタグ3の内部に設けたメモリ6aに記憶されている識別情報を読み取り、対象とする管理物品1であるか否かなどを特定するようになっている。
【0025】
リーダライタ4を管理物品1のRFIDタグ付きロゴ板2に近づけ、RFIDタグ付きロゴ板2に設けられているRFIDタグ3をリーダライタ4により読み取るとき、図2に示すように、リーダライタ4の制御部8からRFIDタグ3に、例えば「型番Aの製造番号がABC123番は存在するか?」という問い合わせが行われる。
【0026】
この問い合わせ信号は、変調回路9により、953MHzの搬送波を変調し、送信回路10、アンテナ11を介してRFIDタグ3に向け出力される。
【0027】
RFIDタグ3は、そのタグアンテナ部7のアンテナ12で問い合わせ信号を受信し、ダイオード13とコンデンサ14で、上記アンテナ12からの信号の搬送波からDC電圧を発生させ、この発生DC電圧により、制御回路15、復調回路16、変調回路17、メモリ6aを起動する。
【0028】
すると、制御回路15からの指示で復調回路16は、受信信号から上記「型番Aの製造番号がABC123番は存在するか?」という問い合わせを復調する。
【0029】
また、制御回路15は、上記復調回路16への指示と同時に、メモリ6aに対して記憶している個別の識別情報を読み出している。
【0030】
メモリ6aに記憶された識別情報が「型番Aの製造番号がABC123番」であった場合、この制御回路15は、その問い合わせに対して、「型番Aの製造番号がABC123番」が存在することを、変調回路17を介してスイッチ18のON、OFFを行うことで答える。
【0031】
すなわち、スイッチ18がONされれば、アンテナ12のa点と、グランド部19のb点とが短絡され、逆にスイッチ18がOFFされればアンテナ12のa点と、グランド部19のb点とが開放され、このようなスイッチ18のON、OFFの繰り返しパターンにより、結論としてRFIDタグ3のアンテナ12から、リーダライタ4のアンテナ20に「型番Aの製造番号がABC123番」が存在することが報告される。
【0032】
リーダライタ4では、受信回路21を介して返信信号が復調回路22に伝達され、復調した信号により制御部8は「型番Aの製造番号がABC123番」の存在を確認し、リーダライタ4の表示部(図示せず)などに表示させて確認することができる。
【0033】
また、リーダライタ4の制御部8からRFIDタグ3に、「型番Aの製造番号がABC123番」という問い合わせが行われたにもかかわらず、「型番Aの製造番号がABC123番」を記憶したRFIDタグ3が存在しない場合には、返信がないので、リーダライタ4はこの「返信なし」から、「型番Aの製造番号がABC123番」が存在しないことを確認する。
【0034】
なお、この図2において、電源を供給する電源回路23、各部へのクロックを生成するクロック回路24、タグアンテナ部7のインピーダンス整合を行うためのコンデンサ25をそれぞれ設けている。
【0035】
ところで、図1に示すように、RFIDタグ付きロゴ板2にRFIDタグ3を設けることにより、店員はRFIDタグ3のある場所を容易に見つけてリーダライタ4により読み取り所在管理の効率よく行うことができるがRFIDタグ3の読み取り性能が低下することもある。すなわち、RFIDタグ3はタグアンテナ部7を介してリーダライタ4と交信するため、RFIDタグ付きロゴ板2のロゴ2bや表面化粧板2aがステンレスなどの金属製または金属メッキにより形成されている場合には、この金属の影響により上記タグアンテナ部7のアンテナ特性が劣化する。これは、インピーダンス不整合、電波の遮蔽、電波の乱反射、周波数のシフトなどによりタグアンテナ部7が影響を受けるためと考えられる。
【0036】
そこで、本実施の形態では図3のような構成となっている。図3は本発明の実施の形態におけるRFIDタグ付きロゴ板2の分解斜視図である。
【0037】
すなわち、RFIDタグ付きロゴ板2は、金属製のロゴ2bが表面に形成された表面化粧板2aの裏面側に管理物品1を管理するためのRFIDタグ3を設け、RFIDタグ3は基板3aに識別情報を記憶保持するタグ回路部6とこのタグ回路部6に電気的に接続されたタグアンテナ部7とを備え、基板3aのタグアンテナ部7を実装した実装面が表面化粧板2aよりも肉厚の樹脂層26を介して表面化粧板2aに貼付されている。また、基板3aの実装面と反対の裏面は基板3aよりも肉厚の樹脂層27を介して、プラスチックなどの樹脂で形成された管理物品1の外表面1aに両面接着テープなどにより貼付されている。樹脂層26、27として、タグアンテナ部7からの電界を遮蔽しない低損失なもの、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)材などのプラスチックシートなどを用いる。外表面1aが樹脂製の管理物品1としては、例えば、電話機、FAX、エアコンなどがある。
【0038】
このように、表面化粧板2aよりも肉厚の樹脂層26を介して表面化粧板2aに基板3aが貼付されるため、ロゴ2bまたは表面化粧板2aとタグアンテナ部7との間に一定の距離の隙間を設けることができ、ロゴ2bまたは表面化粧板2aが金属製であっても、この金属の影響によりタグアンテナ部7のアンテナ特性が劣化するのを抑えることができる。
【0039】
また、管理物品1の外表面1aからRFIDタグ付きロゴ板2が突出しすぎて取り扱い中に周辺の物品に接触して破損してしまうのを防ぐために、樹脂層26の肉厚を薄くできるように表面化粧板2aを形成した。すなわち、表面化粧板2aを樹脂で形成し、この表面化粧板2aの表面に金属メッキによりロゴ2bを形成した。これにより、表面化粧板2aが影響してタグアンテナ部7から発生する電界が抑えられるのを防ぎ、ロゴ2bの隙間から電波が通りぬけるため、樹脂層26の肉厚を薄くしても、タグアンテナ部7のアンテナ特性の劣化を抑えることができる。
【0040】
なお、管理物品1の外表面1aが樹脂製であった場合について説明したが、金属製の外表面1aの場合、この金属の影響によりタグアンテナ部7のアンテナ特性が劣化する。これは、金属(低インピーダンス)への接近または接触による電流の流出、周波数のシフト、インピーダンス不整合などによりタグアンテナ部7が影響を受けるためと考えられる。
【0041】
外表面1aが金属で形成された電化製品としては、例えば、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、テレビ受像機などがある。
【0042】
そこで、本実施の形態では、このように管理物品1の外表面1aが金属製である場合には、図4に示す構成としている。図4は、管理物品1の外表面1aが金属で形成されている場合の、本発明の実施の形態におけるRFIDタグ付きロゴ板2の他の例を示す分解斜視図である。
【0043】
すなわち、図4に示すように、RFIDタグ付きロゴ板30は、金属製のロゴ2bが表面に形成された表面化粧板2aの裏面側に管理物品1を管理するためのRFIDタグ3を設け、RFIDタグ3は基板3aに識別情報を記憶保持するタグ回路部6とこのタグ回路部6に電気的に接続されたタグアンテナ部7とを備え、基板3aのタグアンテナ部7を実装した実装面が表面化粧板2aよりも肉厚の樹脂層26を介して表面化粧板2aに貼付されている。そして、RFIDタグ付きロゴ板30は、さらに、RFIDタグ3の基板3aの実装面と反対の裏面側が基板3aよりも肉厚の樹脂層27を介して磁性体シート28に接着され、この磁性体シート28を基板3aよりも肉厚の樹脂層29を介して管理物品1の外表面1aに両面接着テープなどにより接着している。磁性体シート28はフェライト系またはセンダスト系などの高透磁率材料で構成され、金属に比べて高インピーダンスなものである。この磁性体シート28により基板3aのタグアンテナ部7を覆うように積層する。
【0044】
これにより、管理物品1の外表面1aが金属製である場合、この金属表面に近接する近傍付近は、上記したように非常に低インピーダンスな領域であり、電界はタグアンテナ部7が金属に近づけば近づく程、零に近づきアンテナ特性は急激に劣化する。これに反し、磁性体シート28は、金属に比べ高いインピーダンスを示すため、電界はタグアンテナ部7が磁性体シートに近づいても、零にならず高い値となり、アンテナ特性の劣化を防ぐことが可能で、リーダライタ4とRFIDタグ3との交信が可能となる。さらに、タグアンテナ部7と磁性体シート28との間に樹脂層27により一定の距離の隙間を設け、磁性体シート28による周波数シフトや損失の影響を受けないようにしている。これと共に、金属表面とタグアンテナ部7との間に一定の距離の隙間を設けることにより、管理物品1における外表面1aの金属の影響によりタグアンテナ部7のアンテナ特性が劣化するのをより抑えることができ、その結果として図2に示すリーダライタ4とRFIDタグ3との交信が適切に行われる。
【0045】
以上のように本実施の形態によれば、RFIDタグ付きロゴ板2、30は、金属製のロゴ2bが表面に形成された表面化粧板2aの裏面側に管理物品1を管理するためのRFIDタグ3を設け、RFIDタグ3は基板3aに識別情報を記憶保持するタグ回路部6とこのタグ回路部6に電気的に接続されたタグアンテナ部7とを備え、基板3aのタグアンテナ部7を実装した実装面が表面化粧板2aよりも肉厚の樹脂層27を介して表面化粧板2aに貼付されている。また、基板3aの実装面と反対の裏面は樹脂層27を介して、管理物品1の樹脂製の外表面1aに両面接着テープなどにより貼付される。
【0046】
これにより、RFIDタグ3は所定の肉厚を有する樹脂層26を介して表面化粧板2aに貼付されているので、ロゴ2bや表面化粧板2aの金属の影響によりタグアンテナ部7のアンテナ特性が劣化するのを抑えることができる。
【0047】
また、RFIDシステム5は、上記したRFIDタグ付きロゴ板2、30と、このRFIDタグ付きロゴ板2、30に設けられているRFIDタグ3の管理物品に係る識別情報を読み取るリーダライタ4と、管理物品1に係る識別情報と場所情報とを関連付けした所在情報を管理する情報処理装置44とを備え、RFIDタグ付きロゴ板2、30を管理物品1の前面側の外表面1aに取り付け、RFIDタグ付きロゴ板2、30のRFIDタグ3をリーダライタ4により読み取り管理物品1の所在管理を行う構成としたので、ロゴ2bまたは表面化粧板2aが金属製であっても、この金属の影響によりタグアンテナ部7のアンテナ特性が劣化するのを抑え、リーダライタ4とRFIDタグ3の交信が適切に行われる。また、RFIDタグ付きロゴ板2、30は管理物品1の前面側の外表面1aに設けられているため、工場40、販売店43、顧客の家などで作業する者は、RFIDタグ付きロゴ板2、30を容易に見つけ、RFIDタグ付きロゴ板2、30にリーダライタ4を近づけ、リーダライタ4によりRFIDタグ付きロゴ板2、30に設けられているRFIDタグ3を読み取り管理物品1の識別情報(商品情報など)を取得することができる。これにより、RFIDタグ3の場所も見つけやすいため管理物品1の所在管理を効率よく行うことができる。
【0048】
なお、RFIDタグ3の識別情報に履歴情報を付加するようにしてもよい。例えば、個々の管理物品1の部品を交換したときに、メモリ6aに交換した部品の品番、交換日などを履歴情報として記憶する。これにより、「型番Aの製造番号がABC123番のコンプレッサは○年○月に交換済み」などの情報を知ることができ、このことから確認中の管理物品1を修理対象から除くことができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように本発明のRFIDタグ付きロゴ板は、金属製のロゴが形成された表面化粧板の裏面側に管理物品を管理するためのRFIDタグを設けたものであって、RFIDタグは基板に識別情報を記憶保持するタグ回路部とこのタグ回路部に電気的に接続されたタグアンテナ部とを備え、基板のタグアンテナ部を実装した実装面が表面化粧板よりも肉厚の樹脂層を介して表面化粧板に貼付されているので、ロゴとタグアンテナ部との間に一定の距離を設けることができ、金属製のロゴの影響によりタグアンテナ部のアンテナ特性が劣化するのを抑えることができる。これにより、ロゴが金属製であってもアンテナ特性の劣化を抑制することを可能とするRFIDタグ付きロゴ板、それを用いたRFIDシステムに広く活用が期待されるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態におけるRFIDシステムの概略構成図
【図2】同RFIDシステムの電気的ブロック図
【図3】本発明の実施の形態におけるRFIDタグ付きロゴ板の分解斜視図
【図4】同RFIDタグ付きロゴ板の他の例を示す分解斜視図
【符号の説明】
【0051】
1 管理物品
1a 外表面
2,30 RFIDタグ付きロゴ板
2a 表面化粧板
2b ロゴ
3 RFIDタグ
3a 基板
4 リーダライタ
4a,6a メモリ
5 RFIDシステム
6 タグ回路部
7 タグアンテナ部
8 制御部
9 変調回路
10 送信回路
11,12,20 アンテナ
13 ダイオード
14,25 コンデンサ
15 制御回路
16,22 復調回路
17 変調回路
18 スイッチ
19 グランド部
21 受信回路
23 電源回路
24 クロック回路
26,27,29 樹脂層
28 磁性体シート
40 工場
41 管理装置
41a,44a DB
42 ネットワーク
43 販売店
44 情報処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製のロゴが表面に形成された表面化粧板の裏面側に管理物品を管理するためのRFIDタグを設けたRFIDタグ付きロゴ板であって、
前記RFIDタグは基板に識別情報を記憶保持するタグ回路部とこのタグ回路部に電気的に接続されたタグアンテナ部とを備え、
前記基板の前記タグアンテナ部を実装した実装面が前記表面化粧板よりも肉厚の樹脂層を介して前記表面化粧板に貼付されていることを特徴とするRFIDタグ付きロゴ板。
【請求項2】
前記表面化粧板を樹脂により形成し、この表面化粧板の表面に金属メッキにより前記ロゴを形成したこと特徴とする請求項1に記載のRFIDタグ付きロゴ板。
【請求項3】
前記基板は、前記実装面と反対の裏面側が前記基板よりも肉厚の樹脂層を介して磁性体シートに接着され、この磁性体シートが前記基板よりも肉厚の樹脂層を介して前記管理物品の外表面に接着されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のRFIDタグ付きロゴ板。
【請求項4】
前記タグ回路部は、前記管理物品の個体を特定する情報を前記識別情報として記憶していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のRFIDタグ付きロゴ板。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のRFIDタグ付きロゴ板と、
このRFIDタグ付きロゴ板に設けられているRFIDタグの管理物品に係る識別情報を読み取るリーダライタと、
前記管理物品に係る識別情報と場所情報とを関連付けした所在情報を管理する情報処理装置とを備え、
前記RFIDタグ付きロゴ板を前記管理物品の前面側の外表面に取り付けて前記管理物品の所在管理を行う構成としたことを特徴とするRFIDシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−134573(P2010−134573A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308171(P2008−308171)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】