説明

RFIDタグ内蔵型SAWセンサ及び計測システム

【課題】リーダーとの通信距離を延長することができるRFIDタグ内蔵型SAWセンサ及びこれを用いてシステム構築を簡素化した計測システムを得る。
【解決手段】RFIDタグ内蔵型SAWセンサは、リーダーから送信されるRFIDタグ通信用のコマンド信号を受信し、該コマンド信号の内容に対応したSAWセンサの動作制御と、該制御にて得られたセンサデータの解析及び記録処理と、該処理にて得られた計測データの伝送制御を行うセンサ入力端子付きRFIDタグと、前記リーダーから送信されるSAWセンサ用の駆動信号を受信し、該駆動信号より直接得られた基準波とSAWチップ上のリフレクタにて反射された遅延波との位相差を検出してアナログ信号に変換しセンサデータとして出力を行うSAWセンサとにて構成し、当該RFIDタグ内蔵型SAWセンサ内でセンサ信号処理を行い、RFIDタグ通信にて計測データを前記リーダーに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SAW(Surface Acoustic Wave)センサ及びこれを利用して外部の温度,圧力,応力等を計測するシステムに関し、特にセンサ入力端子付きRFIDタグを利用することによりリーダーとの通信距離を延長することができる、RFIDタグ内蔵型SAWセンサ及び計測システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、センサ、例えば温度を計測するための温度センサとして、サーミスタ,測温抵抗体,熱電対,IC化温度センサ等があるが、何れも当該温度センサから得られる信号を温度データに変換するためには周辺回路及び電源が必要であった。このため、前記温度センサを多数設置する用途にあっては、電源線や信号線等の敷設が複雑となっていた。しかし、温度センサとしてSAWセンサを用いれば、前記電源線や信号線等の敷設が不要となり、前記用途として相応しいシステム構築が可能となる。該SAWセンサは、例えば特開2004−129185号公報の『SAWセンサ、SAWセンサを用いた個体識別装置、およびSAWセンサの製造方法』に記載されているように、圧電基板上に櫛型電極よりなるSAW素子とアンテナとを配し、SAW素子駆動信号発生部より駆動信号を送信して測定対象物の温度変化を弾性表面波の速度や遅延時間等の変化として受信し、演算処理により温度を算出するものである。
【0003】
上記公報例のように、弾性表面波による反射信号の速度や遅延時間等の変化により温度測定を行う方式では、SAW素子部における遅延時間がナノ秒単位であるために演算処理を高速に行う必要があり、演算回路が複雑且つ高価になってしまうという欠点があった。
【0004】
上記欠点を解決すべく、本願出願人による特開2006−170864号公報の『SAW温度計による室温管理及び火災報知システム』では、室温測定用SAW素子及び高温測定用SAW素子の各圧電基板上に、櫛型電極であるIDT(Interdigital Transducers)と温度計測用リフレクタを配置し、さらに何れか一方の圧電基板上にID(Identification)検出用リフレクタを配置し、温度計測時において、リーダーが送信した基準信号と各SAW素子から反射された反射信号との位相差を位相検出器にて電圧信号に変換し、さらにA/D変換器にて温度データに変換することにより、前記SAWセンサを多数設置した広範囲の温度計測を容易且つ安価に行えるSAW温度計及び火災報知システムを提案した。
【0005】
【特許文献1】特開2004−129185
【特許文献2】特開2006−170864
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記公報例に記載のものはSAWセンサからリーダーへの反射信号伝播が直接的な空中伝播のため、反射信号の減衰が大きかった。このため、該反射信号の伝送距離が短くなってしまい、システムが十分に機能することができないという問題点が生じた。リーダーからの電波送信レベルを上げることにより、前記反射信号の減衰に対する問題点は解決するが、キャリア周波数によっては電波法上の制限があるため実際には困難である。
【0007】
本発明は、上記のような問題点を解決するために成されたものであり、SAWセンサからの反射信号の空中伝播に伴う減衰問題を排除し、電波法の下で使用可能な十分大きな電波送信レベルを用いることにより、安定してリーダーとの通信距離を延長することができるRFIDタグ内蔵型SAWセンサと、該RFIDタグ内蔵型SAWセンサを用いてシステム構築を簡素化した計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のRFIDタグ内蔵型SAWセンサにあっては、リーダーから送信されるRFIDタグ通信用のコマンド信号を受信し、該コマンド信号の内容に対応したSAWセンサの動作制御と該制御にて得られたセンサデータの解析及び記録処理と該処理にて得られた計測データの伝送制御を行うセンサ入力端子付きRFIDタグと、前記リーダーから送信されるSAWセンサ用の駆動信号を受信し、該駆動信号より直接得られた基準波とSAWチップ上のリフレクタにて反射された遅延波との位相差を検出してアナログ信号に変換しセンサデータとして出力を行うSAWセンサとにて構成し、当該RFIDタグ内蔵型SAWセンサ内でセンサ信号処理を行い、RFIDタグ通信にて計測データを前記リーダーに送信することを特徴とする。
【0009】
上記センサ入力端子付きRFIDタグは、リーダーから送信されるRFIDタグ通信用のコマンド信号を受信するためのアンテナ及びRFIDチップと、前記コマンド信号の内容に対応してSAWセンサを制御する駆動電源を供給するための電源回路と、前記SAWセンサの制御にて得られたセンサデータの解析処理を行うためのA/D変換器とにて構成する。
【0010】
上記SAWセンサは、リーダーから送信されるSAWセンサ用の駆動信号を受信するためのアンテナ及びSAWチップと、上記センサ入力端子付きRFIDタグからの駆動電源供給をトリガーとして作動するスイッチ制御回路と、前記駆動信号より直接得られる信号を基準波としSAWチップ上のIDTとリフレクタ間で反射された信号を遅延波とするよう前記スイッチ制御回路により駆動されるスイッチと、前記基準波と遅延波との位相差を検出してアナログ信号に変換するための位相差検出器と、前記位相差検出器からのセンサデータを一時保持するサンプルホールド回路とにて構成する。
【0011】
また、本発明のRFIDタグ内蔵型SAWセンサを用いた計測システムにあっては、リーダー及び当該リーダーと無線通信を行うことにより計測データの伝送が行える1個乃至複数のRFIDタグ内蔵型SAWセンサにて構成したものを1ユニットとし、システムの規模により1ユニット乃至複数ユニットをネットワークに接続して構成する。
【0012】
上記リーダーは、RFIDタグ内蔵型SAWセンサ内のセンサ入力端子付きRFIDタグ間との無線通信及びSAWセンサの駆動を行うためのRFID通信部と、外部ネットワークと通信を行うためのネットワーク通信部と、前記各通信部の制御を行うためのCPUと、メモリ,クロック及び電源部とにて構成する。
【0013】
また、リーダーとRFIDタグ内蔵型SAWセンサ内のセンサ入力端子付きRFIDタグ間との無線通信及びRFIDタグ内蔵型SAWセンサ内のSAWセンサの駆動に用いるキャリアは、RFID通信用として電波法で定められた周波数及び電波送信レベルを使用する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のRFIDタグ内蔵型SAWセンサ及び計測システムによれば、リーダーから送信された計測用の駆動信号に対して反射信号を直接リーダーに空中伝播させる必要がなく、RFIDタグ内蔵型SAWセンサ内でセンサ信号処理を行い、RFIDタグ通信にて計測データをリーダーに送信する方式であるため、反射信号の減衰問題はなくなり、長い通信距離を有することができるという効果を奏する。また、リーダーとRFIDタグ内蔵型SAWセンサ内のセンサ入力端子付きRFIDタグ間との無線通信及びSAWセンサの駆動に用いるキャリア周波数をRFID通信用として電波法で定められた周波数で統一したため、リーダーの設置個数が少なく済むことによりシステム構築が簡素化されるという効果も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態を図を用いて説明する。
【0016】
図1は本発明のRFIDタグ内蔵型SAWセンサを構成する概略回路ブロック図であり、RFIDタグ内蔵型SAWセンサ3は、リーダーから送信されるRFIDタグ通信用のコマンド信号を受信し、該コマンド信号の内容に対応したSAWセンサ6の動作制御と該制御にて得られたセンサデータの解析及び記録処理と該処理にて得られた計測データの伝送制御を行うセンサ入力端子付きRFIDタグ4と、前記リーダーから送信されるSAWセンサ用の駆動信号を受信し、該駆動信号より直接得られた基準波とSAWチップ14上のリフレクタ16にて反射された遅延波との位相差を検出してアナログ信号に変換しセンサデータとして出力を行うSAWセンサ6とにて構成し、当該RFIDタグ内蔵型SAWセンサ3内でセンサ信号処理を行い、RFIDタグ通信にて計測データを前記リーダーに送信する。
【0017】
上記センサ入力端子付きRFIDタグ4は、リーダーから送信されるRFIDタグ通信用のコマンド信号を受信するためのアンテナ5及びRFIDチップ8と、前記コマンド信号の内容に対応してSAWセンサ6を制御する駆動電源10を供給するための電源回路と、前記SAWセンサ6の制御にて得られたセンサデータの解析処理を行うためのA/D変換器9とにて構成する。なお、該A/D変換器9は、RFIDチップ8に内蔵して一体化したものであっても構わない。
【0018】
上記SAWセンサ6は、リーダーから送信されるSAWセンサ用の駆動信号を受信するためのアンテナ7及びSAWチップ14と、上記センサ入力端子付きRFIDタグ4からの駆動電源供給をトリガーとして作動するスイッチ制御回路11と、前記駆動信号より直接得られる信号を基準波としSAWチップ14上のIDT15とリフレクタ16間で反射された信号を遅延波とするよう前記スイッチ制御回路11により駆動されるスイッチ17,18と、前記基準波と遅延波との位相差を検出してアナログ信号に変換するための位相差検出器19と、前記位相差検出器19からのセンサデータを一時保持するスイッチ12及びコンデンサ13より構成されるサンプルホールド回路とにて構成する。なお、前記スイッチ17,18,12は、リレーのようなメカニカルスイッチではなく、高速スイッチングが可能な半導体スイッチとする。
【0019】
次に、図2は本発明のRFIDタグ内蔵型SAWセンサを用いた計測システムの概略構成図であり、計測システムは、リーダー1及び当該リーダー1と無線通信を行うことにより計測データの伝送が行える1個乃至複数のRFIDタグ内蔵型SAWセンサ3にて構成したものを1ユニットとし、計測システムの規模により1ユニット乃至複数ユニットをネットワークに接続して構成する。なお、前記ネットワークは、インターネットやイントラネットなどが一般的であるが、特に限定するものではない。また、小規模であればスタンドアロンであっても構わない。また、該RFIDタグ内蔵型SAWセンサ3は、温度,圧力,応力等を測定する箇所に直接設置する構造とする。このため、RFIDタグ内蔵型SAWセンサ3内のセンサ入力端子付きRFIDタグ4は、パッシブ動作を行うバッテリーレス型が好適となる。
【0020】
次に、図3は本発明のRFIDタグ内蔵型SAWセンサを用いた計測システムで用いるリーダーの概略回路ブロック図であり、リーダー1は、RFIDタグ内蔵型SAWセンサ3内のセンサ入力端子付きRFIDタグ4間との無線通信及びSAWセンサ6の駆動を行うためのアンテナ2及びRFID通信部20と、ネットワークと通信を行うためのネットワーク通信部22と、前記各通信部の制御を行うためのCPU21と、メモリ23,クロック24及び電源部25とにて構成する。
【0021】
また、リーダー1とRFIDタグ内蔵型SAWセンサ3内のセンサ入力端子付きRFIDタグ4間との無線通信及びRFIDタグ内蔵型SAWセンサ3内のSAWセンサ6の駆動に用いるキャリアは、RFID通信用として電波法で定められた周波数及び電波送信レベルを使用し、例えば953MHz帯が好適となる。該953MHz帯は、遠隔型RFIDタグ通信で用いられる周波数であり、通信距離はパッシブ動作であっても3〜5m程度あるため、従来のSAWセンサの反射信号伝播に比べて格段に通信距離を延長することができる。
【0022】
図4は図1における位相差検出器の動作原理図であり、位相差検出器19の一方の入力端子に基準波を入力し、他方の入力端子に反射波を入力すると、内蔵ログアンプにて信号レベルを適正に調整した後、両信号の位相差を演算してアナログ信号(電圧信号)で出力するものである。この型のICとして、例えばアナログデバイセズ社のAD8302があり、位相差の測定範囲は−180〜+180°で±90°の違いを区別しないのが一般的であるため、−90°を中心とする0〜−180°又は+90°を中心とする0〜+180°の範囲となる。出力電圧は、−180〜0°の範囲で0〜1.8V、0〜+180°の範囲で1.8V〜0Vであり、どちらか一方の位相範囲を使用する。このように、位相差検出器18は前記IC又は同等の機能を有したICを使用する。
【0023】
図5は本発明のRFIDタグ内蔵型SAWセンサにおけるセンサ入力端子付きRFIDタグの第一実施例の回路ブロック図であり、センサ入力端子付きRFIDタグ4は、SAWセンサ6からのセンサデータをA/D変換器9で計測データに変換して得られたシリアルデータを入力し、読出しコマンドにてリーダー1に送信するなどの機能を有するRFIDチップ8と、該RFIDチップ8にアンテナ5を接続して構成する。
【0024】
上記アンテナ5はリーダー1と電磁波による無線通信を行うため、RFIDチップ8内又は一部RFIDチップ8外の同調キャパシタ(図示せず)から成る同調回路26に接続し、953MHz帯等のキャリア周波数に同調させて共振回路を構成する。
【0025】
上記同調回路26の後段には、リーダー1のアンテナ2から出力された電磁波が当該センサ入力端子付きRFIDタグ4のアンテナ5を通過した時に発生する誘導起電力の電圧波形を検波したり、該誘導起電力を半波又は全波整流して直流電圧を取り出すための整流回路27を接続する。
【0026】
次に、上記整流回路27の後段には、検波したキャリアを分周してシステム用のクロックを生成するためのクロック生成回路28と、信号受信時においてキャリアから信号を取り出す復調動作を行ったり信号送信時においてスイッチング素子(図示せず)により変調動作を行うための変復調回路29と、上記直流電圧を安定化して当該RFIDチップ8及び周辺回路に回路電源を供給したり、充電用コンデンサ31に充電電圧を供給するための電源回路30を接続する。該電源回路30は、SAWセンサ6を制御する駆動電源10の供給にも使用される。
【0027】
次に、上記変復調回路29の後段には、該変復調回路29の制御や不揮発性メモリであるFRAM(Ferroelectric RAM:米国Ramtron社の登録商標)33に対する当該RFIDチップ8のIDデータや計測データ等の書込み又は読出し制御を行うためのロジック回路32を接続する。該ロジック回路32には、外部のA/D変換器9で得られたシリアルデータを入力するためのクロック信号(CLK)とシリアル入力信号(SI)の端子を設ける。
【0028】
上記FRAM33は強誘電体型の不揮発性メモリであり、回路電源がOFFになっても当該RFIDチップ8のIDデータや計測データ等は消失することはない。また、データの書込み電圧は、EEPROMやフラッシュメモリのように高圧に昇圧する必要がないため、昇圧回路が簡略化される。また、書込み又は読出し速度はDRAMと同等であり、EEPROMやフラッシュメモリよりはるかに高速であるという特徴を持つものである。このように、不揮発性メモリとしてはFRAM33が好適であるが、他のメモリを使用しても構わない。
【0029】
また、図6は本発明のRFIDタグ内蔵型SAWセンサにおけるセンサ入力端子付きRFIDタグの第二実施例の回路ブロック図であり、基本的には上記第一実施例と同様であるが、外部のA/D変換器9をA/D変換回路34として内蔵した点のみが異なる。この場合、前記A/D変換回路34には、SAWセンサ6で得られたセンサデータを入力するためのアナログ入力信号(Ai)の端子を設ける。何れの実施例においても、サンプルホールド回路でホールドされたセンサデータは、A/D変換器9又はA/D変換回路34に内蔵のスケーラーアンプ(図示せず)にて適正レベルにスケーリングした後、A/D変換を行うことにより計測データが得られる。
【0030】
次に、計測システムの動作概要をフローチャートを用いて説明する。
【0031】
図7は本発明のRFIDタグ内蔵型SAWセンサを用いた計測システムの計測開始時のフローチャートである。該動作ではまず、リーダー1内のRFID通信部20よりRFIDタグ内蔵型SAWセンサ3に対し、計測開始コマンドを送信する。(ステップS1−1)該コマンド信号は、キャリアにマンチェスタ符号を重畳した変調波である。
【0032】
次に、上記コマンド信号は、RFIDタグ内蔵型SAWセンサ3内のセンサ入力端子付きRFIDタグ4のアンテナ5で受信される。(ステップS1−2)この時、該アンテナ5及びRFIDチップ8内の同調回路26にて変調信号が共振し、誘導起電力が発生する。そこで、該誘導起電力をRFIDチップ8内の電源回路30より充電用コンデンサ31に充電し、当該RFIDチップ8及び周辺回路用電源並びにSAWセンサ6を制御する駆動電源10とする。(ステップS1−3)
【0033】
次に、リーダー1内のRFID通信部20よりRFIDタグ内蔵型SAWセンサ3に対し、駆動信号を送信する。(ステップS1−4)該駆動信号は、上記コマンド信号の送信後に継続して送信されるキャリア信号である。
【0034】
次に、上記駆動信号は、RFIDタグ内蔵型SAWセンサ3内のSAWセンサ6のアンテナ7でも受信される。(ステップS1−5)この時、SAWセンサ6内のスイッチ制御回路11の制御によりSAWセンサ6内のスイッチ17及びスイッチ18を切替え、駆動信号より直接得られた基準波とSAWチップ14上のIDT15とリフレクタ16間で反射された遅延波を位相差検出器19に入力する。(ステップS1−6)なお、図中におけるスイッチ17,18の状態は、前記駆動信号をIDT15に供給している状態を示しており、リフレクタ16からの遅延波をIDT15から受信する場合は、図示とは逆に接続するようにスイッチ制御回路11にて制御する。
【0035】
次に、上記位相差検出器18にて得られたセンサデータを、SAWセンサ6内のスイッチ制御回路11の制御によりサンプルホールド回路を構成するコンデンサ13に入力して一時保持する。(ステップS1−7)
【0036】
次に、上記ホールド電圧をセンサ入力端子付きRFIDタグ4内のA/D変換器9又はRFIDチップ8に内蔵のA/D変換回路34に入力し、計測データとしてデジタルデータに変換する。(ステップS1−8)その後、RFIDチップ8内のロジック回路32の制御により前記計測データをFRAM33に書込む。(ステップS1−9)以上のようにして、RFIDタグ内蔵型SAWセンサ3により、外部の温度,圧力,応力等の計測が行われる。
【0037】
図8は本発明のRFIDタグ内蔵型SAWセンサを用いた計測システムの計測データ読出し時のフローチャートである。該動作ではまず、リーダー1内のRFID通信部20よりRFIDタグ内蔵型SAWセンサ3に対し、データ読出しコマンドを送信する。(ステップS2−1)
【0038】
次に、上記コマンド信号は、RFIDタグ内蔵型SAWセンサ3内のRFIDタグ4のアンテナ5で受信される。(ステップS2−2)
【0039】
次に、RFIDチップ8内のロジック回路32の制御により計測データをFRAM33より読出す。(ステップS2−3)
【0040】
次に、キャリア信号に対して上記計測データで変調をかけ、リーダー1に応答することによりデータ読出しが行われる。(ステップS2−4)
【0041】
以上のようにして、SAWセンサ6からの反射信号の空中伝播に伴う減衰問題もなく、安定してリーダー1との通信距離を延長することができるRFIDタグ内蔵型SAWセンサ3が得られ、該RFIDタグ内蔵型SAWセンサ3内のセンサ入力端子付きRFIDタグ4及びSAWセンサ6が同一のリーダー1と無線通信できるため、システム構築を簡素化した計測システムが得られることになる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のRFIDタグ内蔵型SAWセンサを構成する概略回路ブロック図である。
【図2】本発明のRFIDタグ内蔵型SAWセンサを用いた計測システムの概略構成図である。
【図3】本発明のRFIDタグ内蔵型SAWセンサを用いた計測システムで用いるリーダーの概略回路ブロック図である。
【図4】図1における位相差検出器の動作原理図である。
【図5】本発明のRFIDタグ内蔵型SAWセンサにおけるセンサ入力端子付きRFIDタグの第一実施例の回路ブロック図である。
【図6】本発明のRFIDタグ内蔵型SAWセンサにおけるセンサ入力端子付きRFIDタグの第二実施例の回路ブロック図である。
【図7】本発明のRFIDタグ内蔵型SAWセンサを用いた計測システムの計測開始時のフローチャートである。
【図8】本発明のRFIDタグ内蔵型SAWセンサを用いた計測システムの計測データ読出し時のフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
1 リーダー
2 アンテナ
3 RFIDタグ内蔵型SAWセンサ
4 センサ入力端子付きRFIDタグ
5 アンテナ
6 SAWセンサ
7 アンテナ
8 RFIDチップ
9 A/D変換器
10 駆動電源
11 スイッチ制御回路
12 スイッチ
13 コンデンサ
14 SAWチップ
15 IDT
16 リフレクタ
17 スイッチ
18 スイッチ
19 位相差検出器
20 RFID通信部
21 CPU
22 ネットワーク通信部
23 メモリ
24 クロック
25 電源部
26 同調回路
27 整流回路
28 クロック生成回路
29 変復調回路
30 電源回路
31 充電用コンデンサ
32 ロジック回路
33 FRAM
34 A/D変換回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグ内蔵型SAWセンサにあっては、リーダーから送信されるRFIDタグ通信用のコマンド信号を受信し、該コマンド信号の内容に対応したSAWセンサの動作制御と該制御にて得られたセンサデータの解析及び記録処理と該処理にて得られた計測データの伝送制御を行うセンサ入力端子付きRFIDタグと、前記リーダーから送信されるSAWセンサ用の駆動信号を受信し、該駆動信号より直接得られた基準波とSAWチップ上のリフレクタにて反射された遅延波との位相差を検出してアナログ信号に変換しセンサデータとして出力を行うSAWセンサとにて構成し、当該RFIDタグ内蔵型SAWセンサ内でセンサ信号処理を行い、RFIDタグ通信にて計測データを前記リーダーに送信することを特徴とした、RFIDタグ内蔵型SAWセンサ及び計測システム。
【請求項2】
上記センサ入力端子付きRFIDタグは、リーダーから送信されるRFIDタグ通信用のコマンド信号を受信するためのアンテナ及びRFIDチップと、前記コマンド信号の内容に対応してSAWセンサを制御する駆動電源を供給するための電源回路と、前記SAWセンサの制御にて得られたセンサデータの解析処理を行うためのA/D変換器とにて構成することを特徴とした、請求項1に記載のRFIDタグ内蔵型SAWセンサ及び計測システム。
【請求項3】
上記SAWセンサは、リーダーから送信されるSAWセンサ用の駆動信号を受信するためのアンテナ及びSAWチップと、上記センサ入力端子付きRFIDタグからの駆動電源供給をトリガーとして作動するスイッチ制御回路と、前記駆動信号より直接得られる信号を基準波としSAWチップ上のIDTとリフレクタ間で反射された信号を遅延波とするよう前記スイッチ制御回路により駆動されるスイッチと、前記基準波と遅延波との位相差を検出してアナログ信号に変換するための位相差検出器と、前記位相差検出器からのセンサデータを一時保持するサンプルホールド回路とにて構成することを特徴とした、請求項1に記載のRFIDタグ内蔵型SAWセンサ及び計測システム。
【請求項4】
RFIDタグ内蔵型SAWセンサを用いた計測システムにあっては、リーダー及び当該リーダーと無線通信を行うことにより計測データの伝送が行える1個乃至複数のRFIDタグ内蔵型SAWセンサにて構成したものを1ユニットとし、システムの規模により1ユニット乃至複数ユニットをネットワークに接続して構成することを特徴とした、請求項1から3の何れかに記載のRFIDタグ内蔵型SAWセンサ及び計測システム。
【請求項5】
上記リーダーは、RFIDタグ内蔵型SAWセンサ内のセンサ入力端子付きRFIDタグ間との無線通信及びSAWセンサの駆動を行うためのRFID通信部と、外部ネットワークと通信を行うためのネットワーク通信部と、前記各通信部の制御を行うためのCPUと、メモリ,クロック及び電源部とにて構成することを特徴とした、請求項1から4の何れかに記載のRFIDタグ内蔵型SAWセンサ及び計測システム。
【請求項6】
リーダーとRFIDタグ内蔵型SAWセンサ内のセンサ入力端子付きRFIDタグ間との無線通信及びRFIDタグ内蔵型SAWセンサ内のSAWセンサの駆動に用いるキャリアは、RFID通信用として電波法で定められた周波数及び電波送信レベルを使用することを特徴とした、請求項1から5の何れかに記載のRFIDタグ内蔵型SAWセンサ及び計測システム。
【請求項7】
センサ入力端子付きRFIDタグがバッテリーレス型であることを特徴とした、請求項1から6の何れかに記載のRFIDタグ内蔵型SAWセンサ及び計測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−204234(P2008−204234A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−40533(P2007−40533)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(394007610)株式会社テルヤ (30)
【出願人】(301046617)ペガサスネット株式会社 (34)
【出願人】(304027349)国立大学法人豊橋技術科学大学 (391)
【出願人】(501360979)
【Fターム(参考)】