説明

RTM系におけるピッチ/熱可塑性/熱硬化性樹脂の改良された放出

樹脂またはピッチは、溶融配合装置(11)中で溶融され、次いで加熱され、ジャケットされた保持タンク(12)に充填される。一対の供給管路(14、16)は、樹脂を保持タンク(12)から受入れ、そして上部ギヤーポンプ(15)および下部ギヤーポンプ(17)に供給する。スタティックミキサ(18、19)のような混合促進機がそれぞれの供給管路(14、16)においてギヤーポンプ(15、17)と供給管路の樹脂放出末端(25、26)との間に位置する。樹脂溶融物供給管路は、圧力指示計(27、28、32、34)および圧力放出弁(23、24)を備えることができる。樹脂溶融物供給管路は、さらにポンプアキュムレータ(31、32)を備えることもできる。ギヤーポンプ(15、17)で生じた樹脂溶融物の圧力は、アキュムレータ内部のピストンを所望する位置まで押戻す。アキュムレータ(31、33)は、さらに供給源量の圧力を一定に維持するために使用することもできる。樹脂は、アキュムレータ(31、33)から溶融配合機(11)に再循環することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の背景
本発明は、樹脂トランスファー成形(RTM)系に関し、そして多孔質炭素予備成形物の熱硬化性または熱可塑性樹脂もしくはピッチによる溶浸において多くの適応性を有する樹脂トランスファー成形系のための基礎を提供する。本発明は、慣用的なRTM系を特徴付ける押出しおよび注入による拘束(constraint)を、そのギヤーポンプおよび/またはピストンアキュムレータの使用によって回避する。さらに、本発明は、樹脂再循環のための内蔵型手段を提供する。
【0002】
発明の背景
従来の技術のRTM系は、押出し装置(例えば、一軸スクリュー、二軸スクリュー、または二軸ローター装置)および射出成形を使用している。本発明は、より簡単な、より堅牢な、そしてより多用途な工程制御された系を提供する。
【0003】
本発明は、材料処理系を企図する。樹脂トランスファー成形法には二つの主要な段階、つまり、金型内部で行われる成形段階それ自体と、樹脂を金型に与える樹脂放出段階とがある。本発明は、RTM法および装置の樹脂放出段階に関する。
【0004】
樹脂放出段階は、RTM系に樹脂および添加剤を提供すること、樹脂/添加剤混合物を配合および溶融すること、ならびに溶融された樹脂配合物を所望する温度および圧力で金型に放出することを含む。RTM法の樹脂放出段階においてさらに関係するものは、加工サイクルの終了時にRTM供給機装置中に残存する樹脂の処理である。本発明は、多孔質予備成形物または平らな環状炭素ブレーキ板を溶浸する場合の大きい融通性を可能にする。
【0005】
発明の概要
本発明の一つの態様は、高速樹脂またはピッチトランスファー成形法を提供する。この方法は:合成ピッチ、コールタールピッチ、石油ピッチ、メソフェーズピッチ、高チャー収率熱硬化性樹脂、およびこれらの混合物からなる群から選択される樹脂またはピッチを溶融配合機中で溶融すること;溶融された樹脂を、ギヤーポンプの手段によって、加熱されジャケットされた保持タンクに充填すること;溶融された樹脂を、保持タンクから上部ギヤーポンプおよび下部ギヤーポンプを経由してアキュムレータへ、そしてスタティックミキサを経由して供給管路の樹脂放出末端へ供給すること;ならびに樹脂を前記アキュムレータから前記溶融配合機へ再循環することを含む。
【0006】
本発明のもう一つの態様は、樹脂供給管路およびギヤーポンプによってガス抜き口を有する保持タンクに接続された、ガス抜き口を有する溶融配合装置を含んでなる高速樹脂またはピッチトランスファー成形装置である。保持タンクは、その中の樹脂の量をモニターする手段を備え、そして一対の供給管路が、保持タンクからの樹脂を受入れ、そして上部ギヤーポンプおよび下部ギヤーポンプに供給するために配置されている。混合手段は、供給管路のそれぞれにおいてギヤーポンプと供給管路の樹脂放出末端との間に位置している。樹脂溶融物供給管路は、さらにピストンアキュムレータも備えている。
【0007】
本発明によれば、金型は、ギヤーポンプおよび/またはピストン型溶融物アキュムレータまたはピストンポンプを経由する上部供給式および底部供給式であることができる。なお、本明細書中における“上(部)”および“底(部)”についての言及は便宜上であって、例えば、上半分と下半分ではなく、横に並んだ半分を有する金型における本発明の実施を排除する意図はない。さらに、本明細書中における用語“半分”は、他に記述されない限り、量的な意味ではなく質的な意味で理解されるべきである。
【0008】
本発明によれば、ギヤーポンプは、予備成形物を同時に溶浸するために使用することができ、あるいは遅延して使用することができる。例えば、底部供給管路を作動し、そして次いで閉切ることができ、その時点で上部樹脂供給管路を作動させることができる。この方法は、溶浸される予備成形物が、その繊維構造物中で集中し、そして乱流を起こす二つの溶融物の流れを有することによって不都合に影響される場合に特に価値がある。同様に、いくつかの応用において、溶浸操作が、上部樹脂供給管路のみ、または底部樹脂供給管路のみを使用して完結することが好ましいものであることができる。別の方法として、溶融物アキュムレータまたはピストンポンプは、予備成形物を満たすために同時に、別個に、または遅延によって使用することができる。最後に、ギヤーポンプおよび溶融物アキュムレータ/ピストンポンプは、溶浸を行うためにいずれもの組合せで使用することができる。
【0009】
圧力放出弁は、溶浸過程中の圧力棘波を排除するために使用される。これは、溶浸過程中の予備成形物への損傷の機会を減少する。ガスおよび水分は、溶融配合機のガス抜きおよび保持タンクのガス抜きを経由して除去されて、水分または揮発性成分が溶浸中に金型に入る可能性を排除する。これは、さらに金型自体のガス抜きの需要を減少させる。ピッチおよび樹脂の溶融は、好ましくは窒素ブランケット下で行われる。窒素(または他の不活性ガス)のブランケットは、水分および酸素をRTM法に供給される溶融された樹脂またはピッチに近づけない。窒素ブランケットは、例えば加圧された窒素を、溶融配合機タンクに供給することによって与えることができる。過剰の窒素は、溶融配合機タンクおよび保持タンクのガス抜き口を経由してガス抜きされるものである。
【0010】
本発明によれば、金型および金型インサート成形用具は、もちろんガス抜きされる。しかしながら、ガス抜きの詳細は、別個の発明の一部を構成する。本発明の新規な樹脂放出系に使用される金型は、真空中で使用することができるが、しかし真空は必要ではない。
【0011】
本発明の重要な特徴は、これが、溶融されたピッチまたは樹脂材料を都合よく再循環し、これによって廃棄損失を排除することを提供する手段である。アキュムレータおよび/または保持タンクからの溶融物は、廃棄され、廃棄物となるのとは逆に、空にされ、溶融配合機に戻すことができる。
【0012】
本発明のこれらのならびに他の目的および特徴は、以下の本発明の詳細な説明および付属する例示的な図面からさらに明白となるものである。
発明の詳細な説明
本発明は、樹脂またはピッチを溶融および運搬するための手段を含む、高速樹脂またはピッチトランスファー成形装置を提供する。ここで、この手段は、溶融された樹脂またはピッチのための保持タンクと、加圧され溶融された樹脂またはピッチを一対のスタティックミキサを経由して金型に放出するために設置された一対のギヤーポンプおよび/または一対のピストンポンプと、前記スタティックミキサの下流の圧力指示計器および圧力放出弁とを含む。本発明は、スタティックミキサから金型に運搬された溶融樹脂または溶融ピッチを受け入れるように配設された金型を企図する。本発明は、金型への樹脂またはピッチの供給中に金型を拘束するために金型に設置された手段を企図する。本発明は、運搬手段からの溶融樹脂または溶融ピッチを保持タンクに再循環するための手段を企図している。
【0013】
本発明の装置は、さらに運搬手段と金型との間に設置されたアキュムレータ(例えば油圧的に作動するピストンまたは電気的に駆動するアキュムレータ)を含む。
本発明の高速樹脂またはピッチトランスファー成形装置は、運搬手段と保持タンクとの間に設置された溶融配合機をさらに含むこともできる。溶融配合機および保持タンクは、前記の溶融配合機および前記保持タンクに不活性ガスのブランケットを与えるために設置された不活性ガス供給系を含むことができる。
【0014】
さらに本発明は、多孔質繊維質予備成形物、炭素繊維予備成形物、不織布予備成形物、結合剤を伴うランダム繊維の予備成形物、硬化された予備成形物、またはフォーム予備成形物と共に使用するために設計された、改良された高速樹脂またはピッチトランスファー成形法を提供する。本発明の方法は:多孔質予備成形物を金型キャビティー中に配設する工程(ここで、予備成形物は、予備成形物に移送される樹脂またはピッチの融点もしくはそれより高い温度にされる)と;本明細書中に記載された装置中の樹脂またはピッチを溶融および加圧し、そして予備成形物の含浸を起こすために樹脂またはピッチを金型キャビティーに放出する工程と;得られた樹脂溶浸またはピッチ溶浸された予備成形物を、樹脂またはピッチの融点より低く冷却する工程と;含浸された予備成形物を金型から取出す工程と;を含む。
【0015】
金型は、一般的に、上部半分と、該上部半分に対応する底部半分とを有し、上部半分と底部半分とが金型キャビティーを形成する。金型は、一般的に、一対の弁を有し、この弁により、金型の上部半分および底部半分の溶融物供給経路に樹脂またはピッチを受入れることができ、これにより、金型にガス抜きを設置し、および/または真空を与える配置を有する。
【0016】
本発明によれば、多孔質炭素物体である予備整形物は、約100〜425℃間の温度に加熱することができる。金型は、約100〜310℃の温度に加熱することができる。樹脂またはピッチは、合成ピッチ、コールタールピッチ、石油ピッチ、メソフェーズピッチ、高チャー収率熱硬化性樹脂、およびこれらの組合せであることができる。単一または多数の予備成形物を単一の金型に入れることができる。溶融された樹脂またはピッチをその中に注入する前に、金型に真空を与えることができる。
【0017】
本発明の高速樹脂またはピッチトランスファー成形法において、含浸された予備成形物は、含浸された予備成形物を酸素含有ガスの存在中で約150〜240℃の温度で加熱することによって安定化することができる。この方法は、さらに酸化された含浸された予備成形物の炭化を含んでなることができ、そしてなおさらに約1600〜2500℃の温度に加熱して、炭素化された含浸された予備成形物を黒鉛化することができる。黒鉛化された予備成形物は、さらに化学蒸着法/化学気相浸透法または樹脂トランスファー成形法のいずれかを使用して濃密化することができる。
【0018】
本発明を例示するために、図1において、原材料(ARメソフェーズピッチ樹脂(Mitubishi Gas Chemical Company,Inc.から入手可能)など)は、溶融配合装置(11)中で溶融され、そして次いで例えばギヤーポンプ(30)の手段によって、加熱されたジャケット付きの保持タンク(12)に充填される。初めのうちは、樹脂は“未処理”(すなわち以前に使用されていない)のものであるが、過程が継続するに従って、供給される樹脂が、再循環された樹脂混合物(すなわち、樹脂および慣用的なRTM添加剤)をも含むことがある。溶融ピッチまたは樹脂は、好ましくは窒素ブランケット下に保たれて、樹脂を進行(advancing)から防止し、そしていくつかの樹脂がこうむる分子量の崩壊に対処する。ガスおよび水分は、溶融配合機のガス抜き口(21)および保持タンクのガス抜き口(22)を経由して系から除去して、水分または揮発性物質が溶浸中の金型に入る可能性を排除することができる。この方法によれば、使用前に樹脂を乾燥する必要がなくなる。
【0019】
保持タンクに送入された樹脂の量は、荷重計またはレベル検出計(13)によってモニターすることができる。一対の供給管路(14、16)は、保持タンク(12)から樹脂を受容し、そして上部ギヤーポンプ(15)および下部ギヤーポンプ(17)に供給する。図1は、保持タンクを描写する。このタンクには、溶融されたピッチまたは樹脂が溶融配合機から供給される。しかしながら、本発明の別の態様において、樹脂供給機の管路は、溶融配合機から金型へ直接導くことができる。直接供給される態様において、溶融樹脂は、保持タンクを経由しないで供給される。
【0020】
スタティックミキサ(18、19)のような混合促進(mixing enhancement)は、好ましくはそれぞれの供給管路(14、16)のギヤーポンプ(15、17)と供給管路の樹脂放出末端(25、26)との間に位置する。スタティックミキサによって、樹脂に機械的仕事を加えることで溶融物の温度をより均一にすることが補助され、樹脂の流れの形状が破壊され、さらに、樹脂材料中のいずれもの添加剤(摩擦改良剤、樹脂安定化剤、および抗酸化剤のような)の混合が改良される。スタティックミキサは、バレルの壁から壁へ溶融された樹脂(およびいずれもの他の添加剤)を運ぶための流路として作用するいっしょに溶接されたステンレス鋼の棒のような静的混合素子を含有することができる。したがって供給管路の末端に近いスタティックミキサ素子は、樹脂溶融物の混合を改良し、そして温度の変化を減少することによって、ギヤーポンプおよび/またはピストンポンプ供給物の使用を向上することができる。
【0021】
樹脂溶融物供給管路は、さらに圧力指示器(27、28、32、34)および圧力放出弁(23、24)を備えることができる。この場所の圧力放出弁は、ソフトウェアでは有効に処理することができない溶浸過程中の圧力棘波を排除する。これは、溶浸過程中の予備成形物の損傷の可能性を減少する。系から低圧に抜出された樹脂は、再循環することができる。
【0022】
樹脂溶融物供給管路は、さらにアキュムレータ(31、33)を備えることもできる。アキュムレータは、例えばピストンアキュムレータ(31、33)であることができる。ギヤーポンプ(15、17)によって造りだされた樹脂溶融物の圧力は、アキュムレータの内部のピストンを所望する位置に押し戻す。アキュムレータ(31、33)は、さらに供給原料を一定圧力を維持するためにも使用することができる。しかしながら、本発明は、さらにギヤーポンプ(15、17)のみによって実施して、アキュムレータおよびピストンを使用せずに金型に溶融物を放出することもできる。
【0023】
樹脂溶融物供給管路は、金型の溶融物供給経路の外部開口部(例えばスプルーブッシュ)に適合するように構成された格納式ノズルチップ(示されていない)により都合よく終結することができる。
【0024】
図2は、図1と同様なポンプ駆動の樹脂成形装置の略図であるが、しかし図2の図面は、溶融配合機の特徴を省略し、そして金型の関係位置の例示を加えてある。
本発明においてアキュムレータが使用される場合、一旦所望する体積の樹脂が蓄積された後、アキュムレータのピストンは前方に移動し、そして制御された体積の樹脂が移動管路を経由して金型キャビティーに押出される。樹脂の流れおよび逆流をそれぞれ制御するために、弁が移動管路に対して配設されている。溶浸されるべき部分(予備成形物)は、金型内に含有されている。本発明の目的において、金型は、多孔質物体または予備成形物が含有され、そしてその中で樹脂の溶浸が行われる含有容器である。本発明は、置換え可能であり、そして溶浸される予備成形物に対応するように構成された金型インサートを使用する。
【0025】
金型は、プレス(例えば油圧プレスまたは電気的に作動されるプレス)中に含有され又は位置される。縦型に作動されるプレスが一般的により好都合であるが、水平に作動されるプレスもまた使用することができる。
【0026】
図3は、本発明の態様による装置および方法を例示するブロック図である。図4は、図3に対応するが、しかし本発明のガス抜きおよびいくつかの弁の関係位置を示すために注記されている。
【0027】
未処理の樹脂またはピッチ(または他の製造操作からの再粉砕された派生ピッチ)、およびさらに所望により装置から戻された再循環された樹脂またはピッチは、樹脂またはピッチ充填機に入れられる。樹脂またはピッチを溶融配合機に移送するためにギヤーポンプが使用される。しかしながら、好ましくは、未処理樹脂またはピッチおよび再循環された樹脂またはピッチの両方は、樹脂またはピッチ充填機から重量損失供給機によってガス抜き口を経由して溶融配合機に移送される。溶融配合機は、都合よくは系に窒素ブランケットを与えるために窒素口を伴って構成される。樹脂は、溶融配合機から、締切り弁によって側面を守られたギヤーポンプによって保持タンクに移送される。一般的に保持タンクは、ジャケットが付いており、加熱されているものであり、そして樹脂の放出を容易にするために荷重計またはレベル検出器を備えている。保持タンクは、さらに一般的に撹拌機を備えており、そして窒素置換の抜出しを有するものである。
【0028】
樹脂は、保持タンクから、一対のギヤーポンプを経由して流れるものであり、これは樹脂をスタティックミキサを経由して金型装置に供給するものである。締切り弁は、保持タンクとこれらのギヤーポンプとの間に位置している。更なる締切り弁が、これらのギヤーポンプと溶融配合機との間、ならびに、これらのギヤーポンプとスタティックミキサとの間に位置している。本発明によれば、樹脂またはピッチ放出装置は、ギヤーポンプとスタティックミキサとの間に位置する圧力指示計、ならびにスタティックミキサと金型との間に位置する圧力指示計および圧力放出弁を含む。
【0029】
本発明の装置は、さらに金型装置のように保持タンクの後に位置するギヤーポンプによって供給されるピストンアキュムレータを含む。ピストンアキュムレータは、これらのギヤーポンプの作動を補足する。締切り弁が、ピストンアキュムレータおよび保持タンクの後のギヤーポンプ間に位置する。
【0030】
再循環。一旦成形サイクルが完結した後、スタティックミキサと保持タンク後のギヤーポンプとの間に位置する弁を閉じることができ、そして保持タンク下流のギヤーポンプと溶融配合機との間の弁を開くことができる。次いで、これらのギヤーポンプおよび/またはピストンアキュムレータを作動させて、配管およびアキュムレータ中に残留した溶融された樹脂またはピッチを溶融配合機に押戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明の一つの態様によるポンプ駆動樹脂成形装置の略図である。
【図2】図2は、図1と同様なポンプ駆動樹脂成形装置および関連する金型の位置の略図であるが、しかし溶融配合機の特徴は省略されている。
【図3】図3は、本発明の態様による装置および方法を示すブロック図である。
【図4】図4は、図3に対応するものであるが、しかし本発明のガス抜きおよびいくつかの弁の関係位置を示すために注記されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス抜き口(21)を有する溶融配合装置(11)を含んでなる高速樹脂またはピッチトランスファー成形装置であって、該溶融配合装置は、樹脂供給管路およびギヤーポンプ(30)によってガス抜き口(22)を有する保持タンク(12)に接続されており、該保持タンクはその中の樹脂の量をモニターする手段(13)を備え、
ここにおいて、一対の供給管路(14、16)が、保持タンク(12)からの樹脂を受入れ、そして上部ギヤーポンプ(15)及び下部ギヤーポンプ(17)に供給するように位置し、ここで、混合手段(18、19)が、供給管路(14、16)のそれぞれにおいて、ギヤーポンプ(15、17)と供給管路の樹脂放出末端(25、26)との間に位置し、そしてここにおいて、該樹脂溶融物供給管路が、ピストン式アキュムレータ(31、33)を備えている、上記装置。
【請求項2】
樹脂またはピッチを溶融し、そして運搬する手段であって、該手段は、溶融された樹脂またはピッチのための保持タンク(12)と、加圧され溶融された樹脂またはピッチを一対のスタティックミキサ(18、19)を経由して金型に放出するために配置された一対のギヤーポンプ(15、17)および/または一対のピストンポンプと、該スタティックミキサの下流の圧力指示計器(27、28)および圧力放出弁(23、24)とを含んでなる、上記手段と;
スタティックミキサから金型へ運搬された、溶融された樹脂またはピッチを受容するために配設された金型と;
金型への樹脂またはピッチの供給中に金型を拘束するために金型に配置された手段と;
運搬手段からの溶融された樹脂またはピッチを該保持タンクに再循環するための手段
と;
を含んでなる、請求項1に記載の高速樹脂またはピッチトランスファー成形装置。
【請求項3】
運搬手段と金型との間に配置されたアキュムレータ(31、33)をさらに含んでなる、請求項2に記載の高速樹脂またはピッチトランスファー成形装置。
【請求項4】
前記アキュムレータ(31、33)が、油圧的に作動するピストンまたは電気的に駆動するアキュムレータである、請求項3に記載の高速樹脂またはピッチトランスファー成形装置。
【請求項5】
運搬手段と保持タンク(12)との間に配置された溶融配合機(11)をさらに含んでなる、請求項2に記載の高速樹脂またはピッチトランスファー成形装置。
【請求項6】
溶融配合機(11)及び保持タンク(12)が、前記溶融配合機および前記保持タンクに不活性ガスブランケットを与えるために配置された不活性ガス供給系を含んでなる、請求項5に記載の高速樹脂またはピッチトランスファー成形装置。
【請求項7】
合成ピッチ、コールタールピッチ、石油ピッチ、メソフェーズピッチ、高チャー収率熱硬化性樹脂、およびこれらの混合物からなる群から選択される樹脂またはピッチを溶融配合装置(11)中で溶融する工程と;
溶融された樹脂を、ギヤーポンプ(30)によって、加熱されジャケット付きの保持タンク(12)に充填する工程と;
溶融された樹脂を、保持タンク(12)から上部ギヤーポンプ(15)および下部ギヤーポンプ(17)を経由してアキュムレータ(31、33)に、そしてスタティックミキサ(18、19)を経由して供給管路の樹脂放出末端(25、26)に供給する工程と;
アキュムレータ(31、33)から樹脂を溶融配合機(11)に再循環する工程と;
を含んでなる、高速樹脂またはピッチトランスファー成形法。
【請求項8】
多孔質予備成形物を金型キャビティー中に配置する工程であって、該予備成形物は、予備成形物中に移送される樹脂またはピッチの融点もしくはそれより高い温度にされている、上記工程と;
請求項2に記載の装置中の樹脂またはピッチを溶融し、そして加圧し、そして前記樹脂またはピッチを予備成形物の含浸を起こすために金型キャビティー中に放出する工程と;
得られた樹脂溶浸またはピッチ溶浸された予備成形物を樹脂もしくはピッチの融点より低く冷却する工程と;
含浸された予備成形物を金型から取出す工程と;
を含んでなる、請求項7に記載の高速樹脂またはピッチトランスファー成形法。
【請求項9】
前記金型が:
上半分部分と;
該上半分部分に対応する底半分部分であって、該上半分部分と該底部半分部分が金型キャビティーを形成する、上記底半分部分と;
一対の弁であって、金型の上半分部分と底半分部分との中の溶融物供給経路に樹脂またはピッチを流入することができる、上記弁と;
を含んでなる、請求項8に記載の高速樹脂またはピッチトランスファー成形法。
【請求項10】
予備成形物が、繊維質予備成形物、炭素繊維予備成形物、不織布予備成形物、結合剤を伴うランダム繊維の予備成形物、硬化された予備成形物、およびフォーム予備成形物の一つであり、そして、樹脂またはピッチが、合成ピッチ、コールタールピッチ、石油ピッチ、メソフェーズピッチ、高チャー収率熱硬化性樹脂、またはこれらの組合せである、請求項8に記載の高速樹脂またはピッチトランスファー成形法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−525892(P2006−525892A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509617(P2006−509617)
【出願日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/010149
【国際公開番号】WO2004/089606
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】